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2018.1.15 新エネルギーと新技術の展開 (2018年1月15、16、17、18日追加)
 太陽 あけまして、おめでとうございます。今年も、よろしくお願いします。 

(1)即時脱原発の必要性
 経産省が原発新設の議論に着手し、東京電力は原子力事業を安定的に続けるため、国に経営環境の整備を求めているそうだ。しかし、原発ほど金のかかるエネルギーはなく、著しい公害を垂れ流した企業自身が責任を持たないビジネスは他にない。そのため、これでも目が覚めずに原発の再稼働や新設を進めるのであれば、ビジョンなき日本は世界の敗者になるという*1-2の見解に、私は、全く同感だ。エネルギー基本計画で、原発を「重要なベースロード電源」としている経産省の先見の明のなさこそが、日本経済の重大なリスクである。

 そのような中、*1-1のように、脱原発・自然エネルギー推進の民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)」が、国内原発の即時廃止を目指す「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」の骨子を発表し、顧問の小泉元首相と同じく顧問の細川元首相が、国会内で記者会見された。私も、原自連会長で城南信用金庫顧問の吉原毅氏と同様、「自然エネルギーへの転換は経済界にとってもビジネスチャンスであり、テロで原発が狙われることもなくなる」と考える。さらに、日本国内で自然エネルギー技術を磨いておくことは、今後、東南アジア、アラビア、アフリカ諸国が、自由主義経済の中に新興プレイヤーとして参加してくる時に、売れるものができるという意味で重要である。

 なお、経団連の次期会長に内定した原発メーカー日立製作所の中西会長は、日立製作所が英国で進める原発事業に融資額1兆1千億円に対する債務保証(=問題が起こったら日本国民の税金を投入するということ)を日本政府からしてもらうため、「再稼働は必須」などと日本政府の言いなりになるだろう。しかし、日立は、みやぎ生活協同組合・宮城県富谷市と水素社会構築を推進する実験を行い、太陽光発電由来の電力で水を電気分解して水素を製造するサプライチェーン構築に向けた実証をするそうで、これは環境省の「平成29年度地域連携・低炭素水素技術実証事業」に採択されているのだ。つまり、エネルギーに関しては、過去と決別した選択と集中を行うべき時が来ているのである。

(2)持たざる人々にとっての太陽光発電とゼロエネルギー住宅



(図の説明:一番左のグラフのように、世界の太陽光発電導入量は自然な等比級数を描いて増加しているが、日本の太陽光発電導入量は自然でない低迷を続けており、恣意的に導入が抑えられていることがわかる。また、太陽光発電の発電コストも、他国と比較して2倍前後の高止まりで、日本の太陽光発電システムのコストはヨーロッパの1.8倍に近い。しかし、太陽光発電は、先進国だけでなく、電気が引かれていなかった地域でも容易に取り入れることができ、生活を一変させることができるものであるため、日本も決して疎かにすべきではない)



(図の説明:著しい省エネを実現する方法に地中熱を利用したヒートポンプがあり、これは世界で使用可能だ。そして、これは、住宅のみならず施設園芸《ハウス栽培》にも使うべきである)

 昼は太陽が照りつけ、夜は漆黒の闇が訪れていたタンザニアの農村地帯で、*1-3のように、日本で技術開発された太陽光発電とLEDが活躍し、住民の生活を変えた。次に新興国となる11億人の人口を擁するアフリカやインド北部のピパルガオン村で、大規模発電所を飛ばして太陽光発電等の自然エネルギーが使われるのは、これまで先進国と言われていた国を追い越す可能性さえ秘めている。しかし、日本も、既得権益者の妨害によって、これまで“持たざる国”だった地域よりも遅れるのは避けるべきである。

 なお、その気になれば、太陽光発電装置で充電したランタンを25円で貸し出すことができるのに、日本では太陽光発電による電力は高いと言われ続け、太陽光発電装置の価格が高止まりしているのは恣意的だろう。

 さらに、*1-4のように、アルジェリアは、東京大学の鯉沼客員教授らが提唱したサハラ砂漠の砂から生産した結晶シリコンを太陽電池パネルに利用して、日照の豊富な北アフリカで大規模な太陽光発電を展開する「サハラ・ソーラー・ブリーダー(SSB)」に軸足を移すそうだ。確かに、その国に豊富にある資源を使って開発するのが最も賢い。SSBには、アルジェリアの国営電気ガス公社傘下の関連企業など複数の現地企業が参加の意向を表明し、ドイツの関連企業や日米欧の金融機関が関心を寄せているそうだが、こういうベンチャー企業は将来性があるだろう。

 他に、日本の技術のうちインド・アラビア・アフリカ等で人気が出そうなのは、*1-5のゼロエネルギー住宅だ。これらの地域では、太陽光発電による電気エネルギーから家庭の消費量を引いても、エネルギー収支はゼロどころかプラスになると思われる。しかし、日本製は、ちょっといいと非常に高価なため、輸出では外国製に負けるのが問題だ。

(3)これまで持たなかった人々が選択するEV
 世界の自動車市場で新興国が台頭し、*2-1のように、インドの2017年の新車販売台数は401万台となってドイツを抜き、世界第4位に浮上したそうだ。これは、インドの人口が世界第2位の約13億4,000万人であることを考えれば当然で、インドの自動車保有台数は今後も増え続けるだろう。そして、2020年には日本も抜くとみられており、これらの国が大気汚染を引き起こす化石燃料車を使う選択肢はない。

 また、世界最大の中国市場も、2017年の新車販売台数が2,887万8,900台で電気自動車(EV)などの販売が約5割伸びたそうだが、中国もインドと同様に化石燃料車を使用する選択肢はない。ちなみに、2017年の世界全体の自動車販売台数は9,451万台で、中国・インドの2カ国で世界の1/3を占めるそうで、中国政府は、購入補助金・ナンバープレートの発給・メーカーへのEV販売の義務付けなどでEVを優遇して新エネルギー車を伸ばし、今後は、EVの購入者が充電切れを心配する「走行距離不安症」にならないよう、*2-2のとおり、2020年までにEV充電施設を480万カ所設置するそうだ。私は、駐車場に、デザインよく太陽光発電Roofを取り付けて、EVの充電施設と連結すれば、無料に近い安さでEVに充電できると考える。

 さらに、自動車先進国のアメリカでも、北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)で、*2-3のように、EV化・自動運転化の波がショーの雰囲気を変えつつあるそうだ。

 EVの「走行距離不安症」を煽った張本人の日本でも、*2-4のように、トヨタとマツダが設立したEVの基盤技術を開発する新会社にスズキ、スバル、ダイハツ、日野自動車の4社が参加し、各社の知見を共有して開発を加速しつつ、コストを抑えるそうだ。しかし、自動車のEV化は、1995年前後に夫の学会に同伴してインドに行き、当時のインドを見て私が経産省に提言したものであるため、海外勢の方が先行して今頃あせっていること自体がおかしく、その原因を改めなければ他の先進技術でも同じことが起こるのである。なお、*2-5のように、三菱自動車もEVを大幅に拡充することにしたのは、移動手段を徹底してEVか燃料電池に変更し、その動力を国産の自然再生可能エネルギー由来に変えるにあたって選択肢が増えるため良いことだ。

(4)電力自由化とエネルギー新時代



(図の説明:農業も太陽光発電とハイブリッドで収益を上げることができ、地域によっては風力発電も使えるだろう。風力発電を使う際は、3枚羽の大型発電機より、大型発電機と同等の力を出す小型で安価な製品を作るのがよく、これは理論的に可能だ)



(図の説明:九州大学は、一番左の図のように、輪の中を風が通ると強くなる風レンズ風車を開発した。真ん中の図のように、養殖場などに設置し、漁船も電動化して、漁業は発電とハイブリッドで収益を挙げられるようにすれば、いろいろな問題が同時に解決するだろう。なお、洋上風力発電も、コスト削減を行い、環境を考えながら行うべきであることは他と同じだ)

 日本でも、電力自由化により、誰でも電力を販売することができるようになったため、*3-1のように、久留米商工会議所の若手経営者が新電力会社「くるめエネルギー」を設立して、2018年春のサービス開始を目指しているそうだ。私も、大手電力会社に電気料金を払って資金が地域外に流れるよりも、市内の電力会社に電気料金を払って地域内で資金を循環させ、市の税収増に繋げた方が地域にとってよいに違いないと考える。また、商工会議所青年部なら、付随サービスに関する工夫にも長けていそうであるため、社長が「一番の目的は地方創生。各地の青年部からも注目されており、全国のモデルケースになりたい」と語っておられるのは楽しみだ。

 それでは、どうやって発電するのかと言えば、太陽光発電はもちろんのこと、*3-2のように、北九州市は、響灘地区に洋上風力発電の風車組み立てや専用積み出し岸壁などを整備する方針を固めたそうだ。しかし、私は、3枚羽の大型風車は効率が悪い上に景観を害するため、上の図のように、3枚羽の数倍のパワーが出る小型風車を開発した方が賢明だと考えている。また、魚や海苔の養殖施設に合わせて建設すれば、漁業者が船を電力船にして充電した上、ハイブリッドで収入を得ることが可能になるため、多くの問題が解決するだろう。

 しかし、*3-3、*3-4のように、日本では、経産省が「①同じ地域で複数の事業者が巨額の投資で送電線を作るのは社会全体として非効率なので、送配電事業は大手電力会社の独占が今後も続く」「②東日本と西日本をまたぐ送電は、電力の周波数が異なる」「③再生可能エネルギーの発電量の変動が・・・」などと言っている。しかし、②③のように、技術的にはすぐ解決できることを長期間解決しないのは、まさに①のように、大手電力会社の独占状態で甘えているからであり、独占や寡占など競争のない状態が経済を非効率にして悪影響を与えるというのは経済学の常識だ。日本の経産省はそんなことを知ってか知らずか(私は前者だと思うが)、日本経済の正常な発展を邪魔するので、困るわけである。

(5)伊方原発差止仮処分に関する広島高裁決定について
1)伊方原発差止仮処分
 広島高裁は、*4-1のとおり、四電に対し、周辺住民の人格権侵害に基づいて、2018年9月30日まで伊方原発3号機原子炉の運転差止を命じる仮処分決定を言い渡し、これは初めての高裁での原子炉運転停止を命ずる決定で意義深いそうだ。そして、この決定の根拠は、阿蘇の噴火は過去最大の噴火(約9万年前)規模を想定すべきで、その時は火砕流が伊方原発敷地に到達した可能性が小さいとは言えず、より小さな規模の噴火の際の降下物の層厚や大気中濃度の想定も過小評価であると認め、伊方原発の立地は不適であるとしている。

 また、この決定は、国民の人格権に基づき、国民を放射性物質の危険から守るという観点から司法の果たすべき役割を見据えてなされた画期的なものでもあり、ここで示された火砕流噴火に関する判断は九州、四国、北海道、東北の原子力施設に、降下火砕物に関する判断は、他の全ての原子力施設に当てはまるため、政府はこの決定を受けて速やかに原発を廃止して再生可能エネルギーを普及させ、これまで原発が立地してきた地域は原発に依存することなく自律的発展ができるように必要な支援を行うことを求めるとしており、私も全く同感だ。

 この決定に対しては、*4-2の東京新聞は、仮処分の効力が2018年9月末で切れることを指摘しつつ好意的であり、*4-3の西日本新聞は「九州にも警鐘鳴らす判断」としており、*4-4の南日本新聞(川内原発の地元)も「火山噴火は、九電川内原発の近隣住民も共通して抱く懸念材料だ」としており、*4-5の愛媛新聞は社説で「ある程度の安全で許されるといった、住民の不安に向き合わない乱暴な論理は決して容認できない」としている。

 それでも、*4-6で西日本新聞が記載しているように、九電玄海原発の再稼働を巡って、「神戸製鋼の製品データ改ざんがあっても玄海再稼働に問題はない」と九電社長が佐賀県知事に報告しているが、いくら細かな安全対策を積み重ねても、原発が事故を起こしたら終わりであることを、地元住民は忘れてはならない。

<脱原発と世界の潮流>
*1-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201801/CK2018011102000129.html (東京新聞 2018年1月11日) 【政治】原発即時ゼロ法案 小泉元首相ら野党連携へ
 脱原発や自然エネルギーを推進する民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)」は十日、国内原発の即時廃止を目指す「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」の骨子を発表した。国会内で記者会見した顧問の小泉純一郎元首相は「安倍政権で原発ゼロを進めるのは難しい」と断言し、他の勢力を結集し脱原発を進める意欲を強調した。同様の法案提出を目指す立憲民主党など野党も連携する意向で、国会内外で脱原発に向けた法案提出の機運が高まった。法案の「基本方針」には、運転中の原発を直ちに停止し、停止中の原発は今後一切稼働させないと明記。原発の新増設も認めず、核燃料サイクル事業からの撤退も盛り込んだ。今後は太陽光や風力などの自然エネルギーに全面転換し、二〇三〇年までに全電力の50%以上、五〇年までに100%を目標に掲げる。国には「責務」として、目標の達成に必要な措置を求めた。今後、各政党に法案への賛同を促し、二十二日に召集予定の通常国会への提出を目指す。脱原発を巡っては、立憲民主党が同様の法案提出を目指す。原自連は法案発表後、立憲民主幹部らと意見交換して連携を確認。今後、希望の党など野党各党との意見交換も予定する。安倍政権は原発再稼働を進めてきたが、東京電力福島第一原発事故から三月で七年を迎えるのを前に、政党と民間との間で脱原発を目指す連携が再び強まる。小泉氏は十日の会見で、「自民党には安倍晋三首相が(原発政策を)進めているから仕方ないなという議員が多いだけ。来るべき首相が原発ゼロを進める方針を出せば、がらっと変わる。野党がどう出るかだ」とも指摘し、自民党総裁選や国政選挙での原発政策の争点化に期待を寄せた。原自連会長で城南信用金庫顧問の吉原毅氏も会見で自然エネルギーへの転換に関して「経済界としても大ビジネスチャンス。テロで原発が狙われることもなくなる」と訴えた。原自連は昨年四月に発足し、二百以上の民間団体や企業などが加盟。十日の会見には小泉氏とともに顧問を務める細川護熙(もりひろ)元首相らも出席した。
◆経団連次期会長「再稼働は必須」
 国内の原発四十基のうち、現在稼働しているのは関西電力高浜原発3、4号機(福井県)と、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の計四基。政府は原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、他の原発も再稼働させる方針。経済界も「再稼働は必須」と安倍政権に歩調を合わせる。稼働中とは別の十基について、原子力規制委員会が新規制基準に適合していると判断し、このうち関電大飯原発3、4号機(福井県)と九電玄海原発3、4号機(佐賀県)が三月以降に再稼働する見通し。一方、適合と判断された四国電力伊方原発3号機(愛媛県)については先月、広島高裁から今年九月末までの運転を禁じる仮処分命令が出された。伊方を含めて全国十四の原発を巡り、運転差し止めを求める訴訟が起こされている。菅義偉(すがよしひで)官房長官は十日の記者会見で「安全性の確認された原発のみ、地域の理解を得ながら再稼働を進める政府の一貫した方針は変わらない」と強調した。経団連の次期会長に内定した原発メーカー日立製作所の中西宏明会長も九日、再稼働は必須との考えを記者団に示した。

*1-2:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171216-00096494-playboyz-pol (Yahoo、週刊プレイボーイ 2017.12.16) 「原発の新設」で日本は世界の敗者になる──安倍政権と原子力ムラの呆れたやり口とは?
 国民に原発への根強い抵抗感があるなか、安倍政権が原発の新設に動き出したという。『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が落胆する、安倍政権や原子力ムラのやり口とは――?
     * * *
 慌ただしい年の瀬に、目立たないが気になるニュースがふたつ流れた。ひとつは国の「エネルギー基本計画」見直しのなかで、「経産省が原発新設の議論に着手した」というニュース。もうひとつは「東京電力が原子力事業を今後も安定的に続けるため、国に経営環境整備を求めた」というニュースだ。まず原発新設のニュースについて。安倍政権は2014年に「エネルギー基本計画」を策定し、原発を国の「重要なベースロード電源」と位置づけた。それを前提に、翌15年には30年度の電源構成で、原発の比率20~22%を目指すことを決めた。この数字の意味することは原発の新・増設である。なぜか? 原発は運転期間40年で廃炉にするというのが基本原則だ。これを忠実に実行すると、30年の原発シェアは15%までに下がる。20~22%のシェアを死守するには、40年廃炉をやめて、古い原発をどんどん運転延長することが必要だが、安全対策などの費用がかさむので、延長できない原発も多く、どうしても原発の新・増設が必要となるのだ。ただ、国民に根強い抵抗感があるなかで原発の新設を言いだせば、内閣支持率が急落する恐れがある。そのため、安倍政権はこの議論を封印し、「原発を新設するのか?」と問われても「現時点では考えていない」などと、うやむやにやり過ごしてきた。そして、ふたつ目の東電のニュース。「経営環境整備を求めた」とは、つまり原発ビジネスで東電に赤字が出ないように様々な支援措置を講じてくれということだ。具体的には、固定価格買取制度や赤字補填(ほてん)制度のように絶対に損をしない仕組みや、事故を起こしたときの損害賠償を1兆円程度に抑えて、あとは国が責任を取る仕組みなどが考えられる。その財源はもちろん税金。とんでもない話だ。そもそも、発電コストが安いという理由から、原発は「重要なベースロード電源」に選ばれたはずだった。しかし、安全対策コストの増加などで、その神話は崩れ去っている。廃炉費用なども含めれば、原発の発電コストは火力などのほかの電源に比べると、逆に割高になっているというのが実情だ。本来なら、エネルギー基本計画見直しのプロセスで、原発を「重要なベースロード電源」から外すのが妥当なのだが、安倍政権も原子力ムラも、どうしても原発を維持したい。そこで「原発はベースロード電源を担う大切な存在だから、たとえコスト高でも国が税金を投入して守るべき」という倒錯した論理をひねり出し、東電に政府支援を要請させたというわけだ。このふたつのニュースは、安倍政権の支持率を下げる要因となる可能性が高い。だが、10月の総選挙で大勝し、安倍政権の基盤は再び強化された。しかも、19年の参院選まで2年間、国政選挙がない。今なら不人気政策を決めても選挙までに国民は忘れるーーおそらくそんな判断が働いたのだろう。原発から再生可能エネルギーへと急速にシフトする世界の潮流のなかで、いまだに原発にこだわる日本。ビジョンなき国家は没落する。このままだと日本は近い将来、世界のエネルギー産業市場で敗者になることは確実だ。安倍政権や原子力ムラのやり口には、本当に呆れ果てるばかりだ。
●古賀茂明(こが・しげあき)
1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。新著は『日本中枢の狂謀』(講談社)。ウェブサイト『Synapse』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中

*1-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180103&ng=DGKKZO25284640S8A100C1MM8000 (日経新聞 2018.1.3) (2)持たざる11億人、市場に 技術と低価格の「光」
 昼は太陽が照りつけても、夜は漆黒の闇が訪れるタンザニアの農村地帯。ワッシャ(東京・台東)の秋田智司最高経営責任者(CEO)は充電した発光ダイオード(LED)ランタンを手に村々を回る。「ランタンの使い心地はどう?」。「生活が変わったよ。料金がもっと下がるとよいね」
●25円で貸し出し
 個人商店に設置した太陽光発電装置で充電したランタンを1泊2日で貸し出すレンタルの料金は500タンザニアシリング(約25円)。この地域の低所得者層の平均月収である60ドル(約6800円)でも何とか払える額だ。人々は明かりのほか、携帯電話の充電などに使う。低料金を実現したのはインターネットなどの技術を活用したからだ。太陽光発電には制御装置を付け、ネットを通じて発電量や充電回数を遠隔管理。使った電気代は商店からモバイル送金サービス「Mペサ」で受け取る。これまで150万人に電力を提供している。独シーメンスの創業者、ヴェルナー・フォン・ジーメンスが実用的な発電機を発明してから150年あまり。これまでの多くの技術と同様に電気も先進国から世界に広まってきた。だが現実には電気のない生活をする人が世界に11億人もいる。その“持たざる人たち”の状況が変わりつつある。ネットなど新技術を駆使し、新しい発想を取り入れ、商品やサービスの価格を大幅に低下。所得の低い新興国でも使いやすくすることで、これまで世界とつながっていなかった人たちも世界市場に入るようになった。インド北部のピパルガオン村で電力を供給するのはOMCパワーだ。小型太陽光装置が携帯電話の基地局に電力を供給。加えて周辺1~2キロメートルに住む住民にも一部電力を供給する。主力の基地局向けが安定しているため、近隣住民には電力料金を安く提供できる。「物理的な分散化とデジタル的な統合化が同時進行する新しいグローバリゼーションの動きが加速している」とボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の木山聡パートナーはみる。電気だけではない。ネットを使えない人は40億人、金融サービスを利用できない成人は20億人いる。ケニアで生まれたMペサは携帯電話で送金できる利便性が受け、利用者は3千万人を超えた。欧州にも広がる。基礎インフラがないからこそ、困難を乗り越える技術が生まれ、これまでとは逆に先進国にも普及する。
●緑の革命めざす
 シンガポールの大手商社オラム・インターナショナルが目指すのは創業の地アフリカでの「緑の革命」。ガボンの農園でドローンを飛ばし、農作物の発育を監視するほか、ビッグデータを使って肥料散布などをアドバイスするIT支援を実施。食料自給率が低いアフリカを変え、世界の農業も変革するかもしれない。技術と低価格が灯(とも)す「光」。持たざる人が市場に加われば、世界の経済成長をけん引する大きな力になる。

*1-4:http://www.arsvi.com/i/2alg2012.htm#20120725 (日経ビジネス 2012年7月23日号) サハラで発電、日本が存在感
 サハラ砂漠の再生可能エネルギー計画が転機を迎えている。アルジェリアは、日本提唱の太陽光発電構想に軸足を移す。砂漠の砂から太陽電池用のシリコンを作る技術に注目した。
「国力のある我々は、自由にパートナーを選べる立場にある。デザーテックのようなプロジェクトに加わるには細心の注意が必要だ。歴史的な軋轢がなく、技術力を持つ日本と協力したいというのが国内の共通認識だ」。こう明言するのは、シド・アリ・ケトランジ駐日アルジェリア大使だ。デザーテックは、欧州が提唱する巨大な再生可能エネルギープロジェクト。アフリカの砂漠地帯に太陽熱や風力による大規模な発電施設を建設し、欧州など近隣地域の電力需要を賄おうとする壮大な構想だ。2050年までの総投資額は40兆円とも言われる。国土の大半がサハラ砂漠で石油、ガスなどの資源に恵まれるアルジェリアは、立地的にも財源的にもデザーテック構想の“カギ”を握る。そのアルジェリアが現在高い関心を寄せるのが、東京大学の鯉沼秀臣客員教授らが提唱した太陽光発電計画「サハラ・ソーラー・ブリーダー(SSB)」だ。SSBは、サハラ砂漠に無尽蔵に存在する砂から生産した結晶シリコンを太陽電池パネルに利用し、日照の豊富な北アフリカ地域で大規模な太陽光発電所を展開する構想。将来的には、超電導ケーブルを使って欧州など周辺国に送電することも視野に入れている。最大の売りは、太陽電池用のシリコンを潤沢に確保できることなどから、低コストでの発電が可能になることだ。アルジェリアにとっては、材料やプラントなど関連産業への波及効果が大きいという利点もある。日本からは東大などが研究チームに参加し、2010年から科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)が資金助成を始めた。アルジェリアは現在、オラン工科大学など3拠点でSSB向けに1000平方メートル級の実験施設を建設中だ。砂に含まれるシリコン成分を高純度化する実験も始めた。SSBには、アルジェリアの国営電気ガス公社傘下の関連企業など複数の現地企業が参加の意向を表明。ドイツの太陽電池関連企業や、日米欧の金融機関も関心を寄せている。
●周辺国でも高まる関心
 アルジェリアは、民間や海外の資金を合わせ、2030年までに再エネ関連に10兆円弱を投じる計画。だが、独シーメンスなど欧州が旗を振るデザーテックに対しては、資金拠出だけを担わされかねないとの警戒感が根強く、不参加の方針だ。一方、SSBで日本と組めば、アルジェリアはシリコンの精製技術や太陽電池パネルの生産技術などを導入できるとの思惑がある。同国の世論も変わりつつある。今年5月、現地の有力紙リベルテは、「SSBがデザーテックに取って代わる」と題した記事を掲載。「デザーテックを拒否した我が国の関心は、日本との共同プロジェクトであるSSBに向かっている」と論じた。「太陽熱」から「太陽光」に軸足を移す流れは、アルジェリアに限らない。アフリカ諸国では先進国の協力で多くの太陽熱発電事業が動いているが、技術やコストの面で予想以上に問題が多く、壁にぶつかっている。SSBの関係者は「(日本と共同で太陽熱発電を展開する)チュニジアでもSSBへの切り替えを探る動きがあるほか、エジプトやモロッコでも関心が高い」と話す。ただ、SSBにも課題はある。アルジェリアは、シリコン生産から太陽電池の製造まで一貫して手がけるため、日本の大手プラント会社やシリコンメーカーに協力を要請中。しかし、今のところ日本企業の参加意欲は高まっていないようだ。民間の資金や技術を呼び込めるかどうかが、砂漠の一大構想の成否を分けそうだ。

*1-5:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO09713420Y6A111C1L31000/ (日経新聞 2016/11/19) ゼロエネルギー住宅(ZEH)とは
▼ゼロエネルギー住宅(ZEH) 家庭のエネルギー消費量から太陽光パネルなどで発電したエネルギーを差し引き、エネルギー収支を実質ゼロにした住宅。断熱性の高い窓や壁などの外皮性能を高めることで省エネ化を実現する。屋根の面積が狭いなど制約のある場合に実質ゼロに近づけた住宅は「ニアリーZEH」と呼ばれる。政府は20年までに新築住宅の半数以上をZEHとする目標を掲げる。

<EV>
*2-1:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25570090R10C18A1MM8000/?n_cid=NMAIL006 (日経新聞 2018/1/11) インド車市場、独を抜き中米日に次ぐ 17年400万台
 世界の自動車市場で新興国が台頭している。インドの2017年の新車販売台数は401万台となり、ドイツを抜き世界4位に浮上した。20年にも日本を抜くとみられる。世界最大の中国市場では17年、電気自動車(EV)などの販売が約5割伸びた。新興国の自動車市場は台数増加だけでなく技術革新でも世界の主戦場となりつつある。インド自動車工業会(SIAM)が11日発表した17年12月の販売は前年同月比14%増の32万2074台だった。17年通年は前年比10%増の約401万台となり過去最高を更新した。インドの人口は世界2位の約13億4000万人で若年層比率も高い。英IHSマークイットの予想ではインド市場は今後も年率1割近い成長が続き、20年にも日本を抜き世界3位に浮上する。インドの自動車市場は10年で2倍になった。背景には経済成長に伴う所得の拡大がある。世界銀行によるとインドの16年の1人当たり国内総生産(GDP)は約1700ドルで07年(約1020ドル)に比べ7割増えた。中国で車の需要が爆発的に伸びたのは1人当たりGDPが3000ドルを超えてから。インドは3000ドルに満たないものの、農村部を中心に増えている初めて車を買う層が全体の約3割を占めるとされる。全体の8割を占める乗用車では、最大手マルチ・スズキが前年比15%増の160万台超となりシェアは49.6%と前年より2.6ポイント高まった。インドでは14年のモディ政権発足以来、16年度(16年4月~17年3月)まで実質GDPは7%台の高成長が続いた。17年度は新税導入の影響などで5~6%台の成長率にとどまったが、18年度は成長率が高まるとの見方が強い。インフレ率も足元で1~4%台の低水準で推移しており消費者の購買力が高まっている。ただ道路の整備が追いつかず首都ニューデリーなどでは渋滞が慢性化している。今後の成長にはインフラの整備が課題になる。一方、中国汽車工業協会は11日、17年の新車販売台数が前年比3.0%増の2887万8900台だったと発表した。英IHSマークイットの予想では17年の世界全体の販売台数は9451万台。中印2カ国で世界販売の3分の1を占める。中国ではEVを中心とする新エネルギー車が53.3%増の77万7千台と大きく伸びた。北京や上海などの大都市が渋滞緩和のためにナンバープレートの発給制限を強化しており、ナンバープレートを取得しやすい新エネ車の購入に向かう消費者が多い。購入補助金もプラスに働く。新エネ車で中国1位の比亜迪(BYD)のEV「e5」は北京で価格の3割に相当する補助金を得られる。中国政府は19年から一定比率の新エネ車の製造・販売をメーカーに義務付ける制度を導入し、20年に200万台の販売を計画する。日米欧の自動車メーカーが相次いで中国でのEV投入計画を発表しており、需要拡大を見込んで現地の車載電池メーカーによる開発や増産の投資が活発になっている。

*2-2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24215740U7A201C1000000/ (Financial Times、日経新聞 2017/12/4) 中国、20年までにEV充電施設480万カ所設置
 中国政府は、電気自動車(EV)の購入者がEVの充電切れを心配する「走行距離不安症」にならないようにするため、2020年までに車両数に見合った充電ステーションを設置する。中国は20年までに480万の充電設備や充電ステーションを設置する予定。中国国務院(政府)は先月、巨額の投資を行うことを改めて表明した。平安証券のアナリストは、この計画を達成するには総額1240億元(約2兆1000億円)の投資が必要となり、その全てでなくても大半を国の財源に頼ることになると話す。これはキプロスの国内総生産(GDP)にほぼ匹敵する。中国の充電設備・充電ステーションの数は9月末時点で19万ほどで、これでも世界のどの国よりも多いが、3年後の目標設置数に比べればほんのわずかでしかない。米国には4万4000の充電設備と1万6000の充電ステーションが設置されている。十分な数の充電ステーションを設置することは、EVの購買意欲を高めるカギと考えられている。EVは「中国製造2025」として知られる産業振興策の柱でもある。中国はEVを含む10のハイテク経済部門を指定し、それらの部門で25年までに世界市場を支配するか、市場の中心的存在になることを目指している。米ゴールドマン・サックスによると、中国は16年に世界のEVの45%を生産したが、30年までにその比率を60%に拡大するとみられている。
■ハイブリッド車に充電せず
 中国では今年、政府が車1台あたり最大6万元という多額の補助金を支給していることが寄与してEVの販売が急速に伸びているが、今後は補助金の引き下げが予想される。EV購入を検討する際の懸念事項として消費者から最も多く聞かれるのが、走行途中で充電切れになってしまうことへの不安だ。米コンサルティング会社アリックスパートナーズの関係者は、出身地の上海では多くの人々がバッテリーとエンジンの両方で走るハイブリッド車を買っているが、購入者が充電することはめったにないと話す。上海ではEVを購入すると補助金が得られ、ナンバープレートも無料で入手できるが、エンジン車の場合はこれが制限される。また、この関係者は「ハイブリッド車を持つほとんどの人が実際には従来のエンジンで走っている」とした上で、「上海でもまだ充電ステーションを探すのに苦労する。個人で駐車スペースかガレージを確保し、充電設備を自分で設置しなければならない状況だ」と話した。(2017年12月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

*2-3:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25667900U8A110C1000000/ (日経新聞 2018/1/14) 「大型車の祭典」にも自動運転の波 北米自動車ショー
 15日に本格的な開幕を控える北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)でプレス発表会が米ゼネラル・モーターズ(GM)を先陣に始まった。自動車メーカーは通常、年初の世界最大の家電見本市CESで自動運転などの近未来技術、長期のサービス戦略を発表し、その翌週のデトロイトショーでは北米市場向けの大型車やスポーツ車のコンセプトモデルなど直近の戦略を発表する。だが、EV・自動運転化の波がショーの雰囲気を変えつつある。米ゼネラル・モーターズのメアリー・バーラCEOは13日、「2019年にハンドルのない自動車を出すことは完全自動運転への大きな一歩になる」と述べた。米ミシガン州デトロイト市で国際自動車ショーが開幕するのに先立ち、報道陣に語った。

*2-4:http://qbiz.jp/article/125498/1/ (西日本新聞 2017年12月31日) トヨタEV新会社に4社が参加 スズキ、スバルなど
 トヨタ自動車とマツダなどが設立した電気自動車(EV)の基盤技術を開発する新会社に、スズキとSUBARU(スバル)、トヨタグループのダイハツ工業、日野自動車の計4社が参加を決めたことが31日、分かった。各社の知見を共有して開発を加速し、コストも抑える狙い。EVで先行する海外勢に対抗する。4社は2018年1月以降に各5人程度を派遣し、新会社の技術者は計約60人となる。4社は当面出資せず、開発状況によって資本参加を検討するという。新会社にはトヨタが90%、マツダとトヨタグループの自動車部品大手デンソーが5%ずつ出資している。スズキとダイハツは小型車、スバルは中型車が主力。日野は商用車を手掛けている。新会社は幅広い車種に活用できる技術開発を図る。新会社はEVの車体の基本骨格や制御システムなどを20年ごろに確立することを目指しており、各社がそれぞれ市販車に応用する。

*2-5:http://qbiz.jp/article/125509/1/ (西日本新聞 2018年1月2日) 三菱自動車、EVを大幅拡充へ SUVや小型車、世界展開
 三菱自動車が電気自動車(EV)を大幅拡充する方針を固めたことが2日分かった。2020年以降に発売することを既に決定している軽自動車とスポーツタイプ多目的車(SUV)「RVR」の2車種に加え、別のSUVや小型車のEV発売を検討。中国や東南アジアでも売り出し、電動車両を世界で展開する。三菱自は09年、他社に先駆けてEVの軽自動車「アイ・ミーブ」の量産を始め、電動車両で先行している。欧州や中国をはじめ各国で環境規制が強まっている状況を踏まえ、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)の車種を増やす。同社幹部は、各国の環境規制への対応には「EVが2車種では足りない」と指摘した。大型車はEVにすると大量の電池が必要になり価格も高くなるため、小型で短距離の移動に適した車両を中心に拡大する方向だ。三菱自は日本や欧州、米国で既に電動車両を販売している。成長が見込まれる中国にはEVを2車種以上投入し、東南アジアではPHVやEVを売り出す。時期は未定だが、できるだけ早期に発売したい考えだ。企業連合を組む日産自動車やルノーとの協力も広げ、EVの性能向上の鍵を握る電池開発などでも連携する。

<電力自由化と電力新時代>
*3-1:http://qbiz.jp/article/125592/1/ (西日本新聞 2018年1月5日) 電力新時代:電力で久留米を活性化 若手経営者ら結集し新会社 収益の一部で公園や防犯整備
 福岡県久留米市の久留米商工会議所青年部の若手経営者たちが、新電力会社「くるめエネルギー」(安丸真一社長)を設立、2018年春のサービス開始を目指している。地域活性化の観点から、収益の一部をインフラ整備に充てたり、契約者に還元したりする「地域還元型」経営が特徴。商議所青年部を母体とする新電力は全国初という。くるめエネルギーは、青年部の有志14社が共同出資して17年6月に設立。九州電力や卸電力市場から安価な電力を仕入れ、市内の一般家庭や事業所に、九電より2〜5%安く提供する。久留米市内で支出される電力料金は年200億〜250億円で、多くが九電や大手の新電力に支払われているという。くるめエネルギーに契約を切り替えることで「流出していたお金を市内で循環させ、市の税収増にもつなげたい」(安丸社長)との狙いがある。年明けから、市内の事業所を対象に小口の出資を募集。飲食店や宿泊施設といった出資事業所を利用した電力契約者が、割引などを受けられるサービスを展開する。出資事業所の負担にならないよう、サービス分は同社が広告費などの形で穴埋めするという。収益を公園や街灯、防犯カメラなどのインフラ整備に充てるほか、電力使用状況を活用した高齢者見守りサービスの計画もある。1年目の契約目標は、工場やオフィスなど消費電力が多い「高圧」200件、主に家庭、商店向けの「低圧」2千件。安丸社長は「一番の目的は地方創生。各地の青年部からも注目されており、全国のモデルケースになりたい」と語った。

*3-2:http://qbiz.jp/article/125593/1/ (西日本新聞 2018年1月5日)電力新時代:北九州市を洋上風力の製造・搬出拠点に 響灘地区に基地港湾整備 アジア初、海外市場視野
 北九州市が響灘地区(若松区)に、洋上風力発電の風車の組み立てや専用の積み出し岸壁などを整備する方針を固めたことが分かった。2021年度までの完成を目指す。洋上風力発電に特化した「基地港湾」はアジアで初めてで、市は製鉄や自動車に次ぐ北九州の主力産業に育てたい考え。欧州で先行している洋上風力発電はアジアでも普及が見込まれ、韓国や台湾などの海外市場もにらみながら整備を急ぐ。市によると、約40ヘクタールの用地を埋め立て中で、工事は18年度末に完了する。その後、発電事業者や部材メーカーなどの意見を踏まえ、100メートルを超える部材を置く保管場▽数百トンの重みに耐えられる組み立て作業場▽風車を洋上に設置する特殊作業船が横付けできる岸壁−などを整備する。隣接地に関連企業の事業用地も用意する方針。欧州で主力の出力5千キロワットの風車は羽根を含めた全長が約150メートルで、本体と羽根、発電機を合わせた総重量は千トンを超える。風車は陸上で組み立ててから洋上に運ぶため、海に近い場所に広い用地が必要になる。響灘地区には、風車の部材メーカー「日本ロバロ」(東京)やメンテナンス会社「北拓」(北海道)が既に進出。市は特殊作業船を持つ建設会社の誘致に向けて交渉を進めており、風力発電の製造から国内外への搬出までを一貫して担う拠点化を目指す。響灘の洋上では、九州電力子会社の九電みらいエナジーなどが、5千キロワットの風車を最大44基設置する事業に近く着手する予定もある。国内の風力発電の総出力は17年3月時点で、計画段階を含め1410万キロワット。市は、30年に国内のエネルギー需要の5%に当たる2930万キロワットが風力で賄われ、うち4割近い1040万キロワット(5千キロワットの設備で2080基)が洋上機になると見込み、全国に先駆けて「基地港湾」の整備に乗り出す。洋上風力発電の部品は自動車並みの2万〜3万点あり、産業としての裾野が広く、市は「地元企業が持つ技術が生かせ、波及効果も大きい」とメリットを強調している。

*3-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171222&ng=DGKKZO24945640S7A221C1EA2000 (日経新聞 2017.12.22)電力自由化 送配電は大手独占続く
▽…大手電力会社が地域独占していた電力制度を見直し、新規参入者などが自由に発電したり電力を売ったりするようにすること。国際水準から比較して割高だった日本の電力料金の低下などをめざし、政府は1990年代半ばから段階的に自由化を進めてきた。発電事業への参入は95年に認めた。▽…小売事業は2000年から工場など大規模な需要家への販売を対象に解禁。16年4月には家庭向けの販売にも広がり、全面自由化した。現在は発電事業には約600社・団体、小売事業には約450社・団体が参入している。一方、電力を需要家に届ける送配電事業は電力大手の独占が今後も続く。同じ地域で複数の事業者が巨額の投資で送電線を作るのは社会全体として非効率だからだ。▽…東日本と西日本をまたぐ送電は、電力の周波数が異なるため変換装置を通す必要がある。東日本大震災の際は装置の容量不足で送電が滞ったが、設備増強が進んでいる。再生可能エネルギーの発電量の変動を補う電力は災害時より少なく、融通に支障はない。

*3-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180109&ng=DGKKZO25434160Y8A100C1NN1000 (2018.1.9) 電力融通へ新市場、地域越え入札可能 経産省、20年度開設めざす
 電力会社が送配電の際、需給に応じて必要な予備の電力を融通し合える新市場をつくる。大手電力が地域ごとに入札で購入していたが、全国から入札で安く買えるようにする。東京電力ホールディングスなど大手4社が連携を決めており、経済産業省は基盤となる市場整備を後押しし、他の電力大手を含む連携拡大を促す。2020年度の開設をめざしている。地域を越えた電力融通を巡っては、東電、関西電力、中部電力、北陸電力が大筋で合意済み。新市場づくりには、この4社に加え他の大手6社も参画する方向で調整している。沖縄電力は地理的に融通できないため、経産省は最終的に9社に連携が拡大することをめざす。電力会社が送配電をする際、需給の変動によって送る電力の品質にあたる「周波数」にぶれが生じる。質の良い電気を維持するには周波数を安定させる必要があり、ぶれを調整するために予備の電力を使っている。いまは大手電力が域内で個別に入札を実施し、自前の電源(発電)会社や新規参入の事業者(新電力)などから調達している。政府はエネルギー基本計画で、再生可能エネルギーの導入拡大をめざしている。16年度に発電量全体の15%程度だった比率を30年度に22~24%に高める計画。時間帯や天候で発電量が変動しやすい太陽光や風力発電の普及が進めば、予備電力の必要性が高まる。経産省は電力会社が相互に融通できる市場をつくり、再生エネ事業拡大の基盤整備にもつなげる。新設する「需給調整市場」では、例えば関電が管内で電力の必要性が高まれば、管内か管外かに関係なく価格などの条件が良い会社から予備電力を調達できるようになる。他の大手だけでなく新電力からも調達できる。全国的な入札で安く調達できれば、購入者側のコスト削減につながる。市場で融通できる予備電力の種類や量は段階的に増やしていく。市場の運営は電力会社が主体的に担うしくみを検討。代表会社を選び、システムの整備を始める。システムの仕様やどういった種類の予備電力を扱うかなど市場運営の詳細については、国が関与する電力広域的運営推進機関などに逐次報告しながら、協議を進める。同機関は市場開設後に運用を点検する役割も担う。これまで必要な予備電力の把握や、それに応じた調達を細かく決める機能は、大手電力会社の「中央給電指令所」と呼ばれる司令塔が地域ごとに担ってきた。経産省は市場を通じて、瞬時に全国的に需給を調整できる体制の構築をめざす。送配電事業の連携をテコに、大手各社に他の事業での協力拡大も促す。

<伊方原発差止仮処分広島高裁決定>
*4-1:https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2017/171213.html (2017年12月13日 日本弁護士連合会会長 中本和洋) 伊方原発差止仮処分広島高裁決定に対する会長声明
 本日、広島高等裁判所は、四国電力株式会社に対し、伊方原子力発電所(以下「伊方原発」という。)3号機の原子炉について、周辺住民の人格権侵害に基づき、運転の差止めを命じる仮処分決定を言い渡した。
これまで、福井地方裁判所が、2014年5月に大飯原子力発電所3、4号機の運転差止めを命じる判決を言い渡し、2015年4月には高浜原子力発電所(以下「高浜原発」という。)3、4号機の運転差止めを命じる仮処分決定を言い渡した。また、大津地方裁判所でも2016年3月に高浜原発3、4号機の運転差止めを命じる仮処分決定を言い渡している。これらはいずれも地方裁判所での判決・決定であり、今回、初めて高等裁判所において仮処分の請求を認容し、2018年9月30日まで原子炉の運転の停止を命ずる決定を言い渡したことは、極めて意義のあることである。今回の決定は、原子力規制委員会の定めた火山ガイドの評価手順に従い、伊方原発から130キロに位置する阿蘇カルデラについて原子炉の運用期間中に火山の活動性が十分小さいと判断することはできず、噴火規模を推定することもできないから、過去最大の阿蘇4噴火(約9万年前)の噴火規模(火山噴火指数7)を想定すべきで、阿蘇4噴火時の火砕流が伊方原発敷地に到達した可能性が十分小さいと評価することはできないから、伊方原発の立地は不適であると判断したものである。同様の事実は、川内原子力発電所に関する福岡高等裁判所宮崎支部決定(2016年4月6日)や、本決定の原決定である広島地方裁判所決定(2017年3月30日)においても認定されていたが、原子力発電所(以下「原発」という。)の運用期間中に破局噴火が発生する可能性が示されない限り、これを停止させることは社会通念に反すると判断して、住民の請求を認めなかった。しかし、本決定は、原子力規制委員会が最新の科学技術的知見に基づいて定めた火山ガイドが考慮すべきと定めた自然災害について、社会通念を根拠に限定解釈をして、判断基準の枠組みを変えることは、原子炉等規制法及びその委任を受けて制定された新規制基準の趣旨に反すると判断した。さらに、火砕流噴火よりも小さい規模の噴火の際の降下火砕物の層厚と、大気中濃度の想定も過小評価であると認め、運転の差止めを認めたものである。本決定は、国民の生存を基礎とする人格権に基づき、国民を放射性物質の危険から守るという観点から、司法の果たすべき役割を見据えてなされた、画期的決定であり、ここで示された火砕流噴火に関する判断は九州、四国、北海道、東北の原子力施設に、降下火砕物に関する判断は、他の全ての原子力施設に当てはまる。当連合会は、2013年の人権擁護大会において、いまだに福島第一原発事故の原因が解明されておらず、同事故のような事態の再発を防止する目処が立っていないこと等から、原子力発電所の再稼働を認めず、速やかに廃止すること等を内容とする決議を採択している。本決定は、この当連合会の見解と基本的認識を共通にするものであり、高く評価する。当連合会は、四国電力株式会社に対し、本決定を尊重することを求めるとともに、政府に対して、本決定を受けて従来のエネルギー政策を改め、できる限り速やかに原発を廃止し、再生可能エネルギーを飛躍的に普及させ、これまで原発が立地してきた地域が原発に依存することなく自律的発展ができるよう、必要な支援を行うことを求めるものである。

*4-2:http://genpatsu.tokyo-np.co.jp/page/detail/631 (東京新聞 2017年12月14日) 伊方3号に高裁が停止命令 「阿蘇噴火、火砕流の危険」 広島地裁判断を覆す
 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求め、広島市の住民らが申し立てた仮処分の抗告審で、広島高裁は13日、運転を差し止める決定をした。直ちに効力を持ち、対象期間は来年9月30日まで。3号機は定期検査中で、四国電が来年1月に稼働を再開する計画は事実上不可能となり、政府や電力会社の原発再稼働方針には再び大きな打撃となった。
●解説/巨大リスクに重い判断 火山以外にもリスク山積の伊方原発
 原発が高温の火砕流に巻き込まれればたちまち危機に陥り、想定以上に火山灰が積もれば非常用設備や事故収束作業にも大きな支障が出る。ひとたび原発で重大事故が起きれば、その被害は広範囲かつ長期間にわたる。広島高裁が原発の巨大な潜在リスクに向き合い、来年九月末までの期間限定ながら四国電力伊方原発3号機の再稼働にストップをかけた。新規制基準「適合」と判断し、再稼働を認めた原子力規制委員会にも「不合理」を突きつけた。伊方原発が抱えるリスクは火山ばかりではない。日本一細長いとされる佐田岬半島を分断する立地そのものがリスクだ。切り立った崖に囲まれた半島だけに、原発敷地は狭く、四国電は非常用資材の置き場に苦労し、対策拠点も新基準を満たすぎりぎりのスペース。万一の際、応援を送ろうにも国道から原発へは急傾斜地で、拡幅工事中の県道はいまだ狭い地点が残る。半島各地の集落を訪ねたが、尾根筋の国道からは、もろい岩肌の細い山道しか通じていない集落が多かった。漁師からは「地震と原発事故が同時に起きたら、取り残されるだろう」との声が聞かれた。そんな状況は置き去りのままだ。
●今後の展開は?
 広島高裁は、四国電力伊方原発3号機の運転禁止の仮処分決定の効力を来年9月30日までと区切った。今後どのような展開が予想されるのでしょうか。四国電力は近く、同高裁に異議を申し立てると同時に、仮処分の執行停止も求める方針。今回の判断を決めた野々上友之(ののうえ・ともゆき)裁判長は今月下旬に定年退官となり、別の裁判長が審理する見通しだ。異議が認められない場合、四国電は最高裁まで争う機会がある。運転禁止の仮処分を勝ち取った住民たちは、運転差し止め訴訟も広島地裁に起こしている。仮処分の効力が続いている間に、地裁でどんな判決が出ても、判決が確定しない間は原則として仮処分の効力は続く。この間、四国電は伊方3号機を再稼働できない。しかし四国電力が勝訴した場合、「仮処分の決定時とは事情が変わった」ことを理由に、広島高裁に仮処分の取り消しを求めることができる。いずれにしても、仮処分の効力は来年9月末で切れる。その後、住民側が引き続き運転禁止の司法の命令を得たい場合は、あらためて地裁に仮処分を申し立てることになる。

*4-3:https://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/380222/ (西日本新聞 2017年12月14日) 伊方原発差し止め 九州にも警鐘鳴らす判断
 数多くの活火山を擁する火山国に立地する原発の安全性を、厳しく問う司法判断といえよう。
四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求めて、広島市の住民らが申し立てた仮処分の即時抗告審で、広島高裁が申し立てを却下した広島地裁の決定を覆し、来年9月30日まで運転を差し止める決定をした。定期検査中の伊方3号機は現在停止中で、来年1月の運転再開に影響が出るのは必至の情勢だ。四国電は高裁に異議申し立ての手続きを取る方針という。東京電力の福島第1原発事故後、仮処分で原発を止める司法判断は3件目だが、高裁段階では今回が初めてだ。他の原発訴訟にも影響を与えるだろう。抗告審では、福島原発事故後に原子力規制委員会が策定した新規制基準や地震、火山噴火時の影響などが主な争点になった。決定理由で特筆すべきは、規制委が火山の危険性について新規制基準に適合するとした判断を不合理とした点だ。原発が熊本県・阿蘇山から約130キロの距離にある点を重視し、大規模噴火が起きた際に「火砕流が到達する可能性が小さいとは評価できず、立地には適さない」と判断した。阿蘇や桜島などの活火山を抱え、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)と同川内原発(鹿児島県薩摩川内市)が立地する九州にも、改めて警鐘を鳴らした形だ。原発立地自治体以外の住民による差し止め請求を認めた点にも注目したい。高裁は伊方原発で重大事故が起きれば、広島市など海を挟んだ近隣の市民も放射性物質によって生命身体に重大な被害を受ける恐れがあると結論付けた。ひとたび福島原発のような重大事故が起きれば、その被害は想定を超えて広範囲に及ぶことを私たちは思い知らされた。原発周辺に暮らす人々の懸念や不安に応える住民目線の判断ともいえよう。政府や電力会社は今回の広島高裁決定を真摯(しんし)に受け止め、火山噴火に対する原発の安全対策についてもさらなる充実を図るべきだ。

*4-4:http://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=89073 (南日本新聞 2017年12月14日) [伊方差し止め] 火山を巡る議論に一石
 東京電力福島第1原発事故後、原発の再稼働や運転を禁じる高裁段階の判断は初めてである。四国電力と政府は、上級審の決定を重く受け止めるべきだ。四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求め、広島市の住民らが申し立てた仮処分の即時抗告審で広島高裁は、運転を差し止める決定をした。期間は来年9月30日までで、現在定期検査中の3号機が来年1月に再開する計画は、事実上不可能となった。福島原発事故の原因解明が十分とは言えない中、住民の不安を受け止め、原発再稼働に前のめりな政府の方針にも疑問を突きつけた司法判断といえる。注目は、火山と原発の立地を巡る議論に一石を投じたことだ。野々上友之裁判長は、熊本県・阿蘇カルデラで大規模噴火が起きた際に約130キロの距離にあることを重視し「火砕流が到達する可能性が小さいとは評価できず、立地には適さない」と判断した。その上で、原子力規制委員会が新規制基準に適合するとしたのは不合理で「住民らの生命、身体に対する具体的な危険の恐れが推定される」と結論づけた。火山以外は新基準や規制委の適合性判断に合理性があるとした。火山噴火は、九州電力川内原発の近隣住民も共通して抱く懸念材料である。高裁は、原発の火山対策について規制委に再考を求めたといえよう。伊方3号機の運転差し止めを求める仮処分の申し立ては、立地する愛媛県にとどまらず、広島、大分、山口県にも広がった。背景にあるのは、稼働中の関西電力高浜3、4号機を停止させた大津地裁決定だ。その後、大阪高裁で取り消されたが、広域被害の恐れを指摘したことで、立地県外の住民の主張でも認められることが広く知られた。福島原発事故を顧みれば、広い地域の住民が事故時の影響を心配する声を上げるのは当然だろう。伊方原発周辺では、南海トラフ巨大地震や、長大な活断層「中央構造線断層帯」が近くを通っていることを懸念する声もある。さらに、細長い半島の付け根に原発が立地し、事故時の避難計画の実効性への不安も根強い。松山地裁の却下決定を受けた高松高裁の即時抗告審と大分地裁、山口地裁岩国支部が今後どんな決定を下すか、注目される。四国電は広島高裁に異議申し立ての手続きを取る方針だ。だが、決定を軽視することなく、住民の疑念とあらためて誠実に向き合うところから始めるべきだ。

*4-5:https://www.ehime-np.co.jp/article/news201712148763 (愛媛新聞社説 2017年12月14日) 伊方3号機差し止め 噴火の危険重視した司法の警告
 危険性の評価に不十分な点がある限り、原発を動かしてはならない―。高裁の全国初の差し止め決定が発した「警告」は、極めて重い。松山市と広島市の住民が四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを求めた仮処分申請の即時抗告審で、広島高裁は火山の及ぼす危険性を重く見て、運転を差し止める決定をした。3月の広島地裁決定は、原発には「極めて高度な安全性」は求められておらず、最新の科学的知見を基にした災害予測で安全を確保すれば「社会が容認する」とした。ある程度の安全で許されるといった、住民の不安に向き合わない乱暴な論理は決して容認できない。7月の松山地裁決定でもその論を踏襲、司法の独立性が危惧されていた。流れを変え、命を守る司法の責務を果たす決定を評価する。判断の焦点は、火山の危険性だった。野々上友之裁判長は、熊本県・阿蘇カルデラで大規模噴火が起きた際に「火砕流が到達する可能性が小さいとは評価できず、立地には適さない」と判断。四電の想定を過小と指摘し「原子力規制委員会の判断は不合理」で「住民らの生命、身体に対する具体的な危険の恐れが推定される」と断じた。規制委の火山影響評価が不合理だという点については、昨年の九州電力川内1、2号機差し止め仮処分を巡る福岡高裁宮崎支部の決定でも示されていた。火山灰が及ぼす危険についても九電玄海3、4号機など各地の原発で指摘されている。安全性が立証されない以上、運転を差し止めると踏み込んだことで、他の原発にも多大な影響を及ぼそう。決定は、予測不可能な自然災害に対しても可能な限りの安全策を求めたもので、基本姿勢を問うたと言える。国や電力会社は指摘を肝に銘じ、つぶさに検証し直さなければならない。また、原発から約100㌔離れた広島市の住民にも広域被害の恐れを認めた点も意義深い。関西電力高浜3、4号機に関して昨年、大津地裁が半径70㌔圏に当たる滋賀県の住民の申し立てを認めた決定より、さらに範囲が拡大した。立地自治体以外でも事故の当事者であることは東京電力福島第1原発事故で明らかになっており、「地元」の同意があれば再稼働できる仕組みや避難計画も早急に再検討する必要がある。伊方原発に関しては愛媛、香川、大分、山口の4県の地裁や高裁で仮処分申請や訴訟を審理中だ。丁寧に審理し、全国の原発をも見直す契機にしたい。福島の取り返しのつかない事故で「想定外の事態」という言い訳が通用しないことを思い知って、6年9カ月。原点に立ち返るべき時機である。被爆地広島で、放射性物質に苦しむ人々をこれ以上出さないための判断が下された。その重みを、国と電力会社は胸に刻み、原発ありきのエネルギー政策を根本から転換しなければならない。

*4-6:http://qbiz.jp/article/126001/1/ (西日本新聞 2018年1月12日) 神鋼データ改ざんでも玄海再稼働「問題なし」 九電社長が知事に報告
 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働を巡り、山口祥義知事は11日、県庁で瓜生道明社長と会談した。瓜生社長は、神戸製鋼所の製品データ改ざん問題について「問題ない」と述べ、3号機が3月、4号機が5月とする再稼働時期に影響はないとの考えを示した。瓜生社長は、玄海原発で使われている製品の安全性や神鋼側の検査工程を確認したことを報告。「再稼働に向けた工程にとらわれず、安全性を確認しながら対応する」と述べた。山口知事は、継続的な安全対策や情報開示を要請し「県民の厳しい目が注がれているという意識を持っていただきたい」と話した。瓜生社長は、玄海町の岸本英雄町長と唐津市の峰達郎市長とも会談した。


PS(2018.1.15追加):*5-1のように、欧州勢も鮮明にEVシフトしているのに、*5-2のように、ベトナム政府が、せっかく三菱自動車とEVを共同開発して車産業の成長を狙っている時に、今更プラグインハイブリッド車をベトナム側に提供するというのは、三菱自動車はベトナム政府を舐めすぎている。こういう提案しかしないのであれば、私がベトナム政府の高官だったら、組む相手を欧州勢に変更して、電力は豊富な自然エネルギーを開発する。

*5-1:https://www.nikkei.com/article/DGXLASDC12H2T_S7A910C1EA1000/?dg=1&nf=1 (日経新聞 2017/9/12) 欧州勢のEVシフト鮮明 独自動車ショー開幕
 ドイツでフランクフルト国際自動車ショーが12日、開幕した。欧州最大手、独フォルクスワーゲン(VW)は約300ある全車種に電気自動車(EV)かハイブリッド車(HV)のモデルをそろえることを表明した。ガソリン・ディーゼル車禁止の方針を打ち出す国が増えるなか、EVが主役になる時代の到来を印象づけた。何本もの電気ケーブルをつなぐパフォーマンスのあとに、舞台に音もなく現れたのは独ダイムラーの「EQA」。現在のメルセデス・ベンツブランドの入門車「Aクラス」に相当するEVだ。ディーター・ツェッチェ社長は「すべての車種で電動化モデルを選べるようにする」と強調した。傘下の小型車ブランド「スマート」では欧州と北米で全ての車種をEVに切り替えるほか、2018年には主力の中型車「Cクラス」に相当するEQCも発表する。独BMWは電動車専用シリーズで3車種目となる「iビジョンダイナミクス」を発表した。小型車「i3」とスポーツ車「i8」の中間に位置する中型クーペで、1回の充電で走れる距離は600キロメートルに達する。19年に発売する「ミニ」のEV版も公開し、EVの品ぞろえを25年までに12車種に広げる。排ガス不正で世界のEVシフトの引き金を引いたVWは、25年までに独アウディなどグループ全体で50車種以上のEVを投入する。これまで表明していた30車種から一気に増やした。HV化とともに、全ての車種の電動化を進める。30年までの開発などにかかる投資は200億ユーロ(約2兆6千億円)で、これとは別に電池の調達に500億ユーロ規模を費やす。日本勢ではホンダが量産型EV「アーバンEVコンセプト」を世界初公開した。欧州で販売している小型車「ジャズ(日本名フィット)」よりも小さく、都市部での移動に向く。八郷隆弘社長は「このモデルをベースにしたEVを19年に欧州で発売する」と語った。ホンダは今後、欧州で発売する全ての新型車にはEVやHVなど電動車モデルも用意する。30年までに世界販売の3分の2をEVやHVなどの電動車にする方針だ。各社がEV強化をアピールする背景には温暖化や大気汚染の防止へガソリン車やディーゼル車の規制強化を各国が考えていることがある。欧州各国だけでなく中国政府もガソリン車やディーゼル車の製造・販売を禁止する方針で導入時期の検討に入った。英調査会社IHSマークイットのラインハルト・ショールシュ氏は「EVに投資するかどうかではなく、どのように投資するかの段階に入っている」と話す。従来の自動車と同様に、いかに使いやすく魅力的なEVを安い価格で提供できるかの勝負になってきた。ただ日米欧大手への対抗が難しかった中国が自動車産業を育成しようとEVシフトに傾くのとは異なり、長くディーゼルを主力販売車種に据えていた欧州勢にとっては、急速なEVシフトは簡単ではない。これまで内燃機関に多額の投資をし、多くの関連資産を持つ。ダイムラーのツェッチェ社長は「一晩で1つの技術を禁止するのは、環境に対しても悪影響」と規制強化の流れをけん制した。VWのマティアス・ミュラー社長は「ガソリン・ディーゼル車からEVまですべてを手がける」と強調した。

*5-2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25678240V10C18A1MM0000/?n_cid=NMAIL006 (日経新聞 2018/1/15) ベトナム政府、三菱自とEV共同開発 車産業成長狙う
 ベトナム政府と三菱自動車は電気自動車(EV)の研究開発で提携する。ベトナム政府は国内自動車産業の育成、三菱自は今後拡大するエコカー市場の取り込みにそれぞれつなげたい考えだ。ベトナムは中間所得層の増加で自動車販売が伸びる一方、排ガスや石炭火力発電所の増加で大気汚染も進んでおり、環境負荷の小さいEVの生産拡大をめざす。15日午後、ベトナム商工省と三菱自が覚書を結ぶ。現地の道路や渋滞状況、充電インフラの実情に合ったEVを共同で研究する。三菱自は現地生産も視野に入れているもようだ。同社は共同研究に先立ち、プラグインハイブリッド車(PHV)の「アウトランダー」をベトナム側に提供する。ベトナムでは足元でEVやハイブリッド車はほとんど普及していない。ただ、電圧が200ボルト以上で家庭での充電が容易という。道が狭いため三菱自の「アイ・ミーブ」のような小型のEVが適しているとみている。ベトナム電力公社はこのほど中部ダナンに初のEVの充電ステーションを設置した。初の国産車製造に取り組む不動産最大手ビングループも、EVの開発を進めている。ベトナムは2020年の工業立国を国家的目標に掲げ、自動車産業を柱の一つとしている。17年の新車販売は過去最高だった前年に比べ10%減の27万2750台となったが、18年1月の輸入関税撤廃を前に買い控えが広がるという特殊要因があったためだ。富裕層や中間層の自動車購入は確実に高まっており、ベトナム商工省は25年には新車販売が現在の2倍超の年60万台に達すると予想している。ベトナムでは自動車のほか、4000万台以上普及しているバイクの排ガスで大気汚染が悪化。近い将来の電力不足が見込まれ、ベトナム政府は石炭火力発電所の建設を急いでおり、大気汚染のさらなる悪化が懸念されている。


PS(2018年1月16、17《図》、18《図》日追加):豪雪地帯で高齢者が雪おろしをして命を落としたり、雪おろしをする若者がいなかったりする事態は、私が衆議院議員をしていた2005~2009年の間にも起こり、国の予算から除雪費を出していたが、それから10年経過した今でも同じことが言われ、改善されていないことに驚きを感じる。雪おろしは生産性の低い危険な仕事で、国が毎年多額の除雪予算をつけるのももったいないため、除雪をしなくてもよいシステムにすべきだ。例えば、雪が一定の重さになると屋根が温まり屋根に接している部分の雪を溶かして積もった雪をすべり落としたり、その雪が通路などの危険な場所に落ちないよう屋根の傾斜を変えたりすれば、一回の支出で積雪の悩みがなくなる。*6のように、HPに積雪重量を示しても対応する人がいなければ意味がなく、電熱システムを人が住む家の屋根に取り付ける方が効果的だと思われ、何もせず空き家にして放っておく人は、家が壊れてもよいと考えている人だと推測してよいだろう。

    

(図の説明:「電熱システムにしたら電気代が高い」と言う人が必ずいるので、ここで片屋根大容量太陽光発電を備え付けた家(1番左)と天窓のある家(左から2番目、3番目)を紹介しておく。家は、太陽光の欲しい場所もあり、片屋根の向こう側は天窓に使えそうだ。また、1番右のように、道路に太陽光発電を設置している国もある)


    光ファイバー照明とその原理   「ひまわり」による自然光の採取方法と使用

(図の説明:1番左と左から2番目のように、光ファイバーで自然の太陽光を照明したい場所に導くこともでき、左から3番目の図のように、「ひまわり」で太陽光を室内に導いて、1番右と右から2番目の写真のように、室内でサンゴや植物を育てることも可能だ。そのため、建築学科の学生は、諸外国の例も参考にし、新しい技術を使って《もしくは作って》、雪国や暑い国の街づくりを設計し、卒論や修論の題材にしたらどうだろうか?)

*6:https://www.agrinews.co.jp/p42964.html (日本農業新聞 2018年1月10日) 除雪 今でしょ 「雪おろシグナル」 運用開始 新潟県 HPに
 新潟県は9日、積雪時に屋根の雪下ろし作業をするかどうかの判断に役立つ積雪重量計測システム「雪おろシグナル」の運用を始めた。ホームページ(HP)上の地図に県内の積雪状況を「重さ」で表示する仕組みで、防災科学技術研究所と新潟大学、京都大学が共同開発した。建物が倒壊する危険性を赤、黄、緑などの色別に示し、除雪の適時を判断できる。システムは県のHPから閲覧できる。現在の積雪重量の度合いに応じて色分けして示し、最小値と最大値も表示する。建物倒壊の可能性がどの程度か、雪下ろしの基準となる積雪深1メートル以上になるのか、建築基準法に沿った積雪深を下回る量かなどを判断できる。直近30日間の重量データも確認できる。同研究所は今後、全国の降雪地域での活用も目指す。総務省消防庁の調べでは、2016年11月~17年3月末に全国で140棟の空き家が雪による全壊、半壊、一部破損などの被害を受けており、県は降雪による空き家の損壊事故を憂慮。「空き家の所有者がこのシステムで雪下ろしの必要な時期を把握し、対応してもらいたい」と期待する。

| 資源・エネルギー::2017.1~ | 11:48 AM | comments (x) | trackback (x) |
2017.12.7 国民負担増・社会保障削減・思いつきの無駄遣い指摘ではなく、国に公会計制度を導入して、国全体の資産管理・効果的な歳出・税外収入の増加等が必要なのである(2017年12月8、9、10、11、12、13、14、16、17、19、21、22、24、26日、2018年1月10、11日追加)

    財政        日本の2017、2018年度予算案   サウジアラビアの財政      

(図の説明:一番左のグラフのように、国と地方の歳出は消費税増税を行っても税収を大きく上回り、税収と歳出の差額を公債で賄っているため、債務残高がうなぎ上りに増えている。そして、左から2番目の2017年度予算案を見ると社会保障費が最も多いが、社会保障は保険料で賄われているため、発生主義で積立金を積んでおけば、本来は税金投入が不要だったものである。また、左から3番目の図のように、2018年度予算案でも税外収入が少なく、税収と歳出との差額分が国債で賄われているため国債費が多いが、一番右のグラフのように、サウジアラビアは政府歳出が政府石油収入で賄われているため税がない。日本も多くの資産や資源を持っているため、本来は工夫次第で税外収入を増やせるにもかかわらず、政府が高いエネルギー価格の負担を国民に押し付け、社会保障を減らすことに専念しているのは、自らの責任を放棄して国民の生命線を切っているものであり、無能すぎるとともに憲法25条違反だ)


  所得税増税案 社会保障費の推移と医療・介護の変更案 アジア諸国の人口ピラミッド

(図の説明:政府は、一番左の図のように種々の増税に専念し、左から二番目・三番目の図のように医療・介護費用を削減のターゲットにしているが、病気は最初の診断がその後の治療成果を左右するため、最初こそ大病院でしっかり検査して治療方針を決めることが重要だ。それにもかかわらず、最初に大病院に行くのを難しくしたり、急性期病棟の報酬要件を厳しくしたりしているのは、変更内容に疑問が多い。また、今でも十分でない介護サービスをさらに削減すれば、国民の生命線を切ることになり、憲法25条違反である。なお、人口構成は、どの国も死亡率が下がった後で出生率が下がる形で変化するため、ピラミッド型からつぼ型への人口構成の変化が起こり、日本では1980年代にはその変化を見通すことができたし、現在の開発途上国でも同じことが起こる。しかし、日本政府はその準備を怠ったのだ。なお、人口構造が変われば需要構造が変わるのであり、高齢者割合が増えたから経済成長しないというメッセージは浅学すぎる)

(1)国の杜撰な国有財産管理と無駄な歳出
1)国有財産の管理について
 *1-1の「森友学園」に対する国有地売却に関する土地評価額は、埋設されたごみの量が8億2千万円の値引きの根拠になっているが、証拠資料がないため妥当とは言い難い。しかし、財務省の管轄下に国税庁があり、国税庁は民間企業に対して譲渡資産の評価には正当な根拠とそれを立証する証拠資料の7年間の保存を求めているため、財務省が税務調査に対応できる程度の資料を揃えておくことは、技術的には簡単である上、国民の血税を使っている省庁として当然のことである。

 従って、この契約に関する資料の一部が廃棄され、売却価格の妥当性が確認できなかったということは、その国有財産の売却価格(評価額)は適切でなかったという推測ができる。そのため、こういう場合に国税庁ならどう取り扱うかを、財務省は国税庁に聞いてみればよい。しかし、ここで問題なのは、国税庁も会計検査院と同じく、財務省に予算の配分をしてもらう立場であるため、完全な独立性はないことである。

 そのため、*1-2のように、今更、「重要文書の保存期間を原則1年以上とする」などという新指針を出すのは馬鹿げているのだが、私は、安倍首相など特定の政治家をつぶすために、森友・加計問題のみをとりあげて追究する野党の姿勢には賛成しない。何故なら、このような国有財産の低廉譲渡は、年金資金や郵政資金で作られたホテルはじめ、多くの国有財産でこれまでも行われてきたことで、森友・加計だけが問題なのではなく、そういうことが起こる背景が問題だからである。

2)放置される国の膨大な無駄使い
 このほか、国の歳出には、*1-3の「原子力事業の環境整備」に代表されるような時代錯誤の支出も多い。これは、古くから既得権益を持っている相手に対する誤った配慮だが、債務保証であっても偶発債務を国が引き受けることになるので、国に膨大な支出をさせる可能性が高い。そのため、40年経っても民間で完結できないほどリスクが高いのなら、原子力事業はすっぱり止めるのが、国民負担が最も少なく、よほど安上がりなのである。

(2)国への公会計制度の導入の必要性
 これらの国有財産の低廉譲渡や膨大な時代錯誤の支出を無くして賢く使えば、国民に痛みを強要せずに経済発展することは可能だ。しかし、国有財産の低廉譲渡や膨大な時代錯誤の支出は、思いつきでいくつか指摘すればすむようなスケールではなく、網羅性・検証可能性を担保する複式簿記による公会計制度を国に導入して、(民間では当たり前の)資産・負債、発生主義などの概念をすべての省庁に徹底させ、つぶさに行政評価する必要があるのだ。

 何故なら、①固定資産の管理という意識がないため、各省庁は国有財産を低廉譲渡しない動機付けがなく ②価格交渉は「トラブルを起こす」として、むしろ嫌がり ③特定の政治家に媚びても、自らの省庁の政策を通す方が賢いことになり ④それによって国民に損をさせても、管理も公開もしていないのでうやむやにできる のが現状だからである。
 
 私は1995年前後から公認会計士としてこのことについて指摘しており、2005~2009年の衆議院議員時代は予算委員会の分科会で、①網羅性・検証可能性のある複式簿記による公会計制度導入 ②それに基づいた行政評価 ③我が国の財政状態 等について質問形式で提言している。

 しかし、国はなかなか重い腰を上げず、地方自治体が先に導入し、地方自治体は、現在、複式簿記・発生主義会計による公会計制度に移行しつつあり(http://www.soumu.go.jp/main_content/000379748.pdf#search=%27%E7%B7%8F%E5%8B%99%E7%9C%81+%E8%A4%87%E5%BC%8F%E7%B0%BF%E8%A8%98%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%85%AC%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%88%B6%E5%BA%A6%E5%B0%8E%E5%85%A5%E6%99%82%E6%9C%9F%27 参照)、公会計制度導入の必要性は、*1-4にも記載されているとおりだ。

 従って、技術的には十分可能で、民間企業はどこでもやっていることであるため、国も速やかに複式簿記による公会計制度に移行すべきである。

(3)税と社会保障の一体改革(増税と社会保障削減のセット)では解決できないこと
1)森林環境税の新設
 *2-1のように、森林環境税が2024年度から国に導入されるそうだが、森林環境税は地方税(県民税)として既に導入されている。これも、国がなかなか環境税を導入しなかったので、地方自治体が先に導入した税の一つだ。しかし、私は、国が森林環境税を導入するのは、人口が少なく森林の多い県だけでなく、人口が多いのに森林が少ない県からも税を集めて、全体の緑の割合に応じて支出できるメリットがあるため、前進だとは思っている。

 しかし、国に公会計を導入して無駄使いされないことを保障できなければ、国民負担増と政府の放漫財政の規模が大きくなるだけであるため、複式簿記による公会計制度の導入とそれを前提とした使い方のチェックが必要不可欠である。そして、国が集めた森林環境税の配分方法には徹底した公正性と無駄遣いの排除が求められる。

 なお、国が森林環境税を導入する時には地方税の森林環境税は廃止すべきであり、その時は、地方は国がまだ逡巡している環境税を導入すればよいと考える。

2)観光促進税の新設
 *2-1には、2019年4月から日本を出国する全ての人から、「観光促進税」として1000円徴収することが記載されている。しかし、訪日客が急増すれば法人税・所得税が増える筈で、その増収分を観光インフラの整備に当てられるため、観光促進のために「観光促進税」を徴収する根拠は考えにくい。

 つまり、国は、国有財産を低廉譲渡したり、稼げる資産で稼がなかったりしながら、くだらない歳出をしたい放題して、増税するという理念なき政策をやめるべきなのである。

3)所得税増税
 *2-2-1のように、政府・与党は、サラリーマンの給与所得控除を一律10万円引き下げ、控除上限額も現在の「年収1000万円以上で年220万円」から「800万円以上で年190万円」に引き下げ、基礎控除は、現在の年38万円から年48万円に引き上げて、年収800万円超の会社員は増税とするそうだ。

 しかし、物価が上昇している中で、「年収800~1000万円」は、転勤が多くて共働きができない上、都会の市場価格で住宅費を支払わなければならないサラリーマンにとって高給ではないし、配偶者控除の年間38万円や48万円で配偶者を養えるわけではない。そのため、私は、フランスのように、N分N乗方式(https://kotobank.jp/word/N%E5%88%86N%E4%B9%97%E6%96%B9%E5%BC%8F-183863 参照)を選択できるようにするのがよいと考える。

 さらに、*2-2-2のように、政府の税制改正は、働き方の違いによる不公平や所得格差を是正するものだとしているが、子育てや介護世帯の負担が増えないようにすればさらに煩雑化して税法の理念である公正・中立・簡素から程遠くなり、増税になる人が会社員は全体の約5%、年金受給者は全体の約0.5%と少ないのなら増税の効果は小さい。また、ここで公務員を除くのも意味不明だ。

4)社会保障の削減
 そのような中、「無駄遣いは、社会保障」とばかりに、*2-3のように、2018年度予算編成に向けて、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が、①医師の技術料 ②介護報酬 のマイナス改定等の歳出改革の提言を公表したそうだが、①②とも、もともと少なすぎることが問題になっている分野である。さらに、このブログの2017.1.5にも記載しているとおり、どれも働いている期間には保険料を支払ってきたものであるため、発生主義で引当金を積んでおけば、団塊の世代が退職し高齢化したからといってあわてる必要のないもので、すべての原因は厚労省・財務省の無知と無責任にあるのだ。

 にもかかわらず、「低金利が続き借金の利払い費が伸びづらく、歳出改革への危機感は広がらない」などという社会保障の削減を目的とするような考え方は重大な問題であり、抜本的に改革すべきは各省庁とメディアの姿勢である。

 また、地方自治体に複式簿記・発生主義会計による公会計制度が導入された現在では、国より地方自治体の方が本当の意味で効率的・効果的な予算編成ができる素地ができたため、地方に配る地方交付税を削減するのなら、消費税は全額地方税にするなどの税源移譲をした方がよいと考える。さらに、都道府県や市区町村が積み立てた基金の総額は21.5兆円と過去最高だなどとしているのは、発生主義による引当金・積立金の発想がないからなのである。

 なお、*2-4のように、高齢になるほど改善が難しく自立できにくくなるため、高齢者自身のためにも家族の負担軽減のためにも、生活援助サービスは必要不可欠であり、介護サービスこそ本当の需要だ。それにもかかわらず、財務省は介護報酬を全体でマイナス改定するよう求めているが、それならば機器や薬剤の価格が他国と比較して高すぎることにメスを入れるべきで、診療報酬は他国に比べて低く、介護報酬は国内の他産業と比べても低いことを忘れてはならない。

<国の杜撰な財産管理と歳出>
*1-1:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171122-00000074-asahi-soci (YAHOO、朝日新聞 2017/11/22) 地中のごみ量、最大7割減 森友問題、値引き根拠揺らぐ
 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地の売却経緯を調べた会計検査院は22日、調査内容を国会に報告した。地中のごみの量について、国が売却契約時に推計の理由としたデータは根拠が不十分としたうえで、独自に試算した結果、最大で約7割減ることなどを指摘した。ごみの量は8億2千万円の値引きの根拠となっており、売却価格の妥当性があらためて揺らぐことになった。検査院は、契約に至るまでの資料の一部が廃棄されるなどで、価格決定の詳しい経緯が確認できなかったとも指摘した。国の財産処分が適切に行われたかどうかが検証できない状態で、「適正」と繰り返してきた政府の姿勢が厳しく問われることになる。問題の国有地は、2016年6月に学園側に売却された。鑑定価格は9億5600万円だったが、学園側が地中深くにごみがあると申告したことから、売却価格はごみの撤去費用として8億2千万円などを差し引き、1億3400万円とされた。こうした大幅な値引きのうえ、公開が原則の売却価格が非公表だったことなどから、契約の経緯が問題となっていた。今年3月に国会の要請を受けた検査院は、売却契約の窓口になった財務省近畿財務局や、土地を所有していた国土交通省大阪航空局などへの調査を実施。主に価格の決定経緯について調べを進めてきた。調査では、国が1万9520トンと認定した地中のごみの量は、推計の理由とされた混入率や深さに十分な根拠が確認できなかった。そこで検査院は混入率や深さを算定しなおし、ごみの量を独自に試算。その結果、少ない場合だと6196トン、多くなる場合でも1万3927トンとなり、国の推計を7~3割下回った。国は売却時、1トンあたり2万2500円の処分単価をごみの量に掛け合わせて処分費用を算出した。検査院はこの処分単価についても調べたが、どのような内訳で見積もられたのかを示す資料がなく、詳細な内容は確認できなかった。このため、適切な売却価格は示せなかった。また、学園側との具体的な交渉内容が確認できる資料などが廃棄されていたことから、検査院は「会計経理の妥当性の検証が十分に行えない」と指摘。検証ができないのは適切でないとして、行政文書の管理について改善を求めた。
     ◇

〈会計検査院〉国などの会計経理を監督する機関。憲法90条で設置が定められ、会計検査院法で「内閣に対し独立の地位を有する」とされている。国会は会計検査院に対し、特定のことについて調べて結果を報告するよう求めることができる。

*1-2:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/153217 (佐賀新聞 2017.11.27) 首相、公文書管理で新指針、森友、加計批判受け表明
 安倍晋三首相は27日の衆院予算委員会で、学校法人「森友学園」と「加計学園」の問題で批判を受けた公文書管理を巡り「国民の信頼を一層高いものにするように、行政文書管理のガイドラインの改正を年内に行う」と表明した。公文書管理法の改正も検討する考えも示した。森友問題で文書管理の改善を求めた22日の会計検査院による報告も踏まえた対応。重要文書の保存期間を「原則1年以上」とすることで理解を得たい考えだ。首相は公文書管理のガイドラインに関し、各府省庁間で打ち合わせを行った際の記録作成と、相手方との相互確認などで文書内容の正確性を確保するよう義務付けると明言した。

*1-3:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171130/k10011241521000.html (NHK 2017年11月30日) 東京電力 原子力事業で国に環境整備を要請へ
 東京電力は、原子力事業をほかの電力会社と共同で進めていくため、国に対し、債務保証などの事業の安定化に必要な環境整備を要請する考えを明らかにしました。東京電力は、福島第一原発の廃炉や賠償などに必要な費用の総額が21兆円余りに膨らむことを受けて、原子力事業のほか、送電や配電の事業を再編して収益力の向上を図る新しい事業計画を、ことし5月に策定しました。東京電力が30日に明らかにした計画の今後の進め方によりますと、原子力事業では、青森県で建設する予定の東通原発の事業をほかの電力会社や原子力関連のメーカーと共同で進めるため、具体的な協議に入るとしています。そのうえで、原子力事業は、電力小売りの自由化で長期的な採算が見通しにくくなっているとして、国に対し、債務保証などの事業の安定化に必要な環境整備を要請するとしています。また、送電や配電の事業では、ほかの会社と海外展開などで共同事業を進めるための協議に入るとともに、国に対して規制の見直しを求めていく考えです。会見した東京電力の文挾誠一副社長は「原子力事業はいろいろなリスクがあり、今後の予見性を高められる制度をお願いしたい」と述べました。

*1-4:http://sinwagroup.jp/wp/p-account/pa-corner/post99.html (新和会計グループ 2008年9月16日) 新和会計グループは企業と地域社会の発展に貢献していきます。  - 第01回 なぜいま公会計改革か
 今回、地方公共団体における公会計制度の整備の推進により、すべての地方公共団体に、連結ベースでの新たな財務4表の作成、公表が求められていますが、この背景に、行政の役割の拡大に伴う行政の肥大化、地方債などストック化の進行があります。更には、今後、少子高齢化の進行が必至で右肩上がりを前提とした財政運営はできないという事情があります。今回の地方公会計整備は、複式簿記の技術ないしその考え方の導入と純資産変動計算書に特徴がありますが、それだけでなく、行財政運営の本質に迫るものを含んでおり、「公会計改革」といわれるゆえんでしょう。
1 なぜいま公会計改革なのか
(1) 全体が見えない -ストック情報の欠如とフロー情報の不備
 行政の決算は、公金の使途、収支を明確にすることを目的としており、減価償却や引当金なども含めた赤字・黒字や資産・負債・純資産の把握を目的としていないため、現在どうなっていて・これからどうなるのかの財務ポジションがつかめず、財政の全体の姿が見えません。更に、行政には、特別会計や企業会計、独立行政法人など複雑な仕組みがあり、国から地方への補助金等財源移転の仕組みもあるため、ますます分かりにくいものとなっています。増税が必要だとしても、これでは国民はいつも半信半疑になります。更には行政への不信や不安が拡がります。つまり、行政と住民との信頼を培う財政情報に不備があると見られます。年々の税収増が期待できる右肩上がりの時代には、これでも問題がなかったといえますが、既に基礎的収支もあやうく、長期債務が累増し、少子高齢化が必至の状況においては、これを補う必要があります。フロー、ストックの全体状況を分かりやすく示す新たな財務情報が必要です。これが第一の課題です。
(2) 将来計算ができない -マネジメント情報の不備
 発生主義、複式簿記の大きな特徴は、フロー(損益)とストック(資産負債)が緊密な連絡を保って、体系をなしている点です。従って、民間企業においては、どれだけの設備投資をすればそれが将来どれだけのコスト圧力となり、将来どれくらいの建替え需要が生じるかの計算が可能で、いつでも将来貸借対照表、将来損益計算書、将来資金繰り計算書を計算することができます。しかし、行政の収支決算システムには、この仕組み・体系がありません。即ち、財政の将来計算の仕組みがないということです。これは将来に対する共通の認識を欠くことになります。これは少子高齢化が進行する中で、将来を図り、計画的に財政を運営する上で大きな課題となります。これが第2の課題です。
(3) 行政コストが捉えられない -コスト情報の欠如
 しばしば「役所にはコスト意識がない」といわれますが、今日の収支決算システムにはむしろ「コスト意識を持つ仕組み」がありません。費用測定の仕組みが不完全であるために、全コスト(フルコスト)や将来にわたるコスト(ライフサイクルコスト)の把握が不完全なままで政策選択をすることになります。したがって、行政の効率化の観点からは、これを仕組みとして行政に埋め込む必要があります。これが第3の課題です。
2 行政は赤字か黒字か
 役所の決算時期になると、今年は「○○円黒字」だったとか・「○○円赤字」だったとか報道されます。これは普通「実質収支」のことです。「形式収支」や「実質収支」が「○○円」赤字だとか・黒字だとかいう言い方もしますが、いずれも(収入-支出)で捉えた収支差額のことです。下記は、「会計君」の家計簿と役所の捉え方を対比して示したものです。会計君は収支がトントンでも毎年100万円の赤字になっていて、財産がそれだけ減っているのを認識しています。事態を正しく認識するために何が必要かはおのずと明らかです。発生主義会計を取り入れるとは、こういうことであり、財政運営の基本にかかわることです。

<増税と社会保障削減>
*2-1:http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/267228 (福井新聞論説 2017年12月3日) 二つの新税導入へ、国民の痛み感じているか
 「用を節して人を愛す」とは2500年も前に孔子が説いた財政の眼目だ(「論語」)。政治に携わる者は、税金を元に仕事をしているのだから費用を節約し、人民の福利増進を図れというのである。外国人旅行者や日本人が出国する際に徴収する「観光促進税」が2019年4月から、また森林の間伐費用などを賄う「森林環境税」が24年度から、それぞれ導入される方向になった。恒久的な国税の新設は、土地バブル対策のため1992年に導入された「地価税」以来。孔子の金言は生かされるだろうか。
■1人当たり千円■
 観光促進税は、航空機や船舶を問わず日本から出国する全ての人から1人当たり千円を徴収する内容だ。航空機利用ならチケット代に上乗せし、船舶の場合は実態を踏まえた徴収方法を採用するという。導入の背景には訪日客の急増がある。16年は2404万人と5年前に比べて3倍近くに増え、消費額も3兆7476億円で約3・5倍となった。国は東京五輪・パラリンピックの20年に4千万人、30年には6千万人の達成を目標に掲げている。そのためには観光インフラの整備など観光立国実現に向けた各種施策が必要になる。その財源として浮上したのが観光促進税である。使途には出入国手続きの迅速化や標識の多言語対応、地方の観光振興などを見込んでいる。一方の森林環境税は、二酸化炭素の削減や土砂災害防止を目的として、約6千万人が負担する個人住民税に1人当たり年間千円を上乗せして徴収する。森林面積などに応じて自治体に配分し、荒廃した森林の整備に充てる。
■取りやすいところから■
 どちらの新税導入も、理由はもっともである。だが、疑問や課題も少なくない。特に観光促進税である。「受益者負担」の原則から懸け離れていないかとの指摘は傾聴に値する。まず、出国する日本人には千円を負担するだけのメリットはあまりない。いまでもそれほど待たずに出入国できるし、まして標識の多言語化には関係ないからだ。そこで、税を負担する対象を外国人に限ることも検討されたようだが、各国と結ぶ租税条約などに「国籍無差別」の原則があるため立ち消えになった。結局、海外旅行を楽しむぐらいの経済力がある人たちだから許容範囲とみたのではないか。税金は取りやすいところから取る、という典型例だろう。もっとも、訪日外国人であっても全員に十分な利益があるわけではない。2割はビジネス目的だからで、税の投入で観光関連施設が整備されても負担に見合う受益はなさそうだ。
■無駄遣いの恐れ■
 二つの税を導入すると、税収はどうなるか。16年の出国者は訪日外国人と日本人を合わせて約4千万人なので、観光促進税で約400億円。観光庁の17年度当初予算の2倍近くになる。もう一つの森林税は、個人住民税を支払っている約6千万人に千円を掛けて約600億円だ。いずれも特定の目的に使うだけに、税収を1年ごとに使い切ろうとして無駄遣いされる恐れがある。かつてのガソリン税がそうだった。道路整備のための財源だったのに、マッサージチェアの購入などに使われた。先日あった自民党の税制調査会では早速、二つの新税を巡って想定以上の使い道を求める声が上がった。「用を節して…」の金言とは無縁の様相である。現パナソニック創業者の松下幸之助にも政治家を戒める言葉がある。「税金を取るのは当然と考えるばかりか、増税することに痛みを感じない為政者は失格である」。安倍晋三政権はどうなのか。

*2-2-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13259273.html (朝日新聞 2017年12月5日) 会社員増税、年収800万円超 政府・与党が最終調整 20年1月目標
 所得税の見直しについて、政府・与党は、年収が800万円を超える会社員を増税とする案で最終調整に入った。2020年1月の実施をめざす。5日にも自民・公明両党の税制調査会の非公式幹部会に示し、与党内の議論を経て、14日にまとめる税制改正大綱に盛り込む。この案によると、会社員向けの給与所得控除を一律で10万円引き下げる。さらに控除額の上限もいまの「年収1千万円以上で年220万円」から「800万円以上で年190万円」に引き下げる。一方で、すべての納税者が受けられる基礎控除は、いまの年38万円から年48万円に引き上げる。この結果、年収800万円以下の人は、給与所得控除の縮小額と基礎控除の増加額が同じになり、増税にならない。年収800万円超から増税になり、900万円で年3万円、1千万円で年6万円の負担増となる。ただし、22歳以下の子どもや、体が不自由で介護が必要な人がいる世帯は増税にならないようにする。基礎控除は年収2千万円を大幅に上回る人から段階的に縮小し、2500万円超でゼロにする方向だ。年金受給者向けの「公的年金等控除」は、控除額を一律で10万円減らし、年金以外の収入が1千万円超の人は控除額をさらに減らす。年金収入が1千万円超の人や年金以外に年1千万円超の収入がある人は増税になる。今回の見直しによる増税対象者は給与所得者の5%程度で、全体で1千億円超の増税になる見込みだ。
■給与所得控除と基礎控除の見直しによる負担増額
  <給与収入>  <負担増額>
  800万円以下    なし
  850万円    1.5万円
  900万円      3万円
  950万円    4.5万円
 1000万円      6万円
 1500万円    8.6万円
 2000万円    8.6万円
 3000万円   33.5万円
 5000万円   36.9万円
 (金額は年間ベース。3000万円以上は基礎控除の段階的縮小・廃止の影響を含む)

*2-2-2:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/156333 (佐賀新聞 2017.12.6) 所得増税、会社員全体の5%、給与1千万円で6万円
 政府が2018年度税制改正で検討する所得税の改革案が5日判明した。基礎控除と給与所得控除、年金控除を見直して、働き方の違いによる不公平や所得格差を是正。子育てや介護世帯の負担が増えないようにしつつ、年収800万円を超える会社員や高収入の年金受給者を増税、自営業やフリーで働く人らを減税とする。増税となるのは会社員で全体の約5%、年金受給者は20万人程度で全体の約0・5%と想定しており、20年1月からの実施を目指す。公務員を除く会社員全体の5%で単純計算すると200万人余りとなる。年間の増税額は年収1千万円の会社員で6万円となる見込みだ。

*2-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171130&ng=DGKKZO24040570Z21C17A1EE8000 (日経新聞 2017.11.30) 歳出削減に政治の壁、社会保障・公共事業…財制審提言、改革迫る
 2018年度予算編成に向け、財務省と各省庁が本格的な調整を始めた。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が29日、歳出改革の提言を公表。医師の技術料などの診療報酬本体や介護報酬のマイナス改定などを求めたが、関係省庁や与党の族議員などの反発は強い。低金利が続き借金の利払い費が伸びづらく、歳出改革への危機感は広がらない。18年度の政府予算案は12月22日に閣議決定する見通しだ。財制審の提言を受け、財務省は各省庁との調整を急ぐ。財制審は各分野にわたり抜本的な改革を求めるが、関係省庁や与党の族議員の反発などで実現が見通せないものも多い。例えば高齢化で国の歳出が膨張する社会保障。財制審は診療報酬本体で「一定程度のマイナス」を求め、企業や個人の保険料負担の上昇を抑えるため介護報酬も引き下げを訴えている。だが自民党の厚労族議員はプラス改定を主張。安倍政権は日本医師会と距離が近く、本体はプラス改定との見方が政府内で大勢だ。財務省は報酬の抑制だけでなく、患者負担の引き上げなども訴える。代表的なのが所得の多い75歳以上の高齢者の窓口負担の引き上げだ。高齢者の反発を恐れる厚労族などから反発は強く、実現は見通せない。国が地方に配る地方交付税の削減も焦点だ。都道府県や市区町村が積み立てた基金の総額は21.5兆円と過去最高だ。財務省は交付税を減らしても自治体の財政運営は成り立つと考えているが、総務省の反発は大きい。教育分野では、政府・与党は全大学生を対象にした出世払い方式も中期的なテーマとして検討している。在学中は授業料を納めず卒業後に所得が一定水準以上の場合は授業料の相当額を後払いする仕組みだ。ただ、財制審は高所得者にも恩恵が及ぶ点や制度設計の難しさなどを理由に「導入は不適切」としている。与党内からは公共事業の上積みを求める声が強い。内閣府によると、7~9月期の国内総生産(GDP)速報値から試算した日本経済の需要と潜在的な供給力の差を示す「需給ギャップ」はプラスだ。すでに需要が供給を上回っている状態で追加需要を作っても経済への効果は限定的といえる。にもかかわらず、17年度補正予算案で公共事業関係費が膨らみそうだ。財政運営では、財制審は国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化の早期達成を求めた。政府は消費増税の使途変更により20年度の黒字化目標を事実上、断念した。財制審は「財政規律がこれまでにも増して強く問われている」と訴えるが、政府内には早期の黒字化目標の設定に慎重論がくすぶる。
▼財政制度等審議会 予算編成や財政運営の基本的な方針について議論し財務相に提言を出す。現在の会長は経団連の榊原定征会長が務める。年末に建議を示し、政府の予算編成作業へ反映を目指す。財政再建を重視し、厳しい歳出改革を求めることもある。

*2-4:http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20171126/KT171125ETI090012000.php (信濃毎日新聞 2017.11.26) あすへのとびら 社会保障をどう守る 一時しのぎは通用しない
 一口に社会保障と言っても分野は幅広い。医療、介護、年金、失業手当、生活保護、児童や障害者への手当…。何らかの事情で日常の暮らしの維持が困難になった際、憲法に記された文化的生活を続けられるよう支えるのが社会保障である。この仕組みが機能不全に陥りつつある。高齢化が進んで医療や介護の費用は増大し、地域社会や家庭、雇用の環境の変化もあって、現役世代も重くなる負担を背負い切れなくなっている。来年は診療報酬と介護報酬を同時に改定する6年に1度の年。政府は支出を抑えようと躍起で、息苦しい調整が続く。これからますます、高齢化率は上がり、労働人口は減るというのに、一時しのぎを繰り返すしか手はないのだろうか。介護報酬を巡る議論を取り上げてみたい。貫かれているのは「自立」という考え方だ。例えば、厚生労働省は、介護が必要な高齢者の自立支援で成果を上げた事業所への報酬を増やす方針を示している。通所介護(デイサービス)で、リハビリ専門職と連携して身体機能の訓練を行う事業所には手厚くし、消極的な事業所は引き下げる。訪問介護でも、掃除や洗濯、調理を担う生活援助には短期で養成するヘルパーを充てて報酬を減らす。その分、現行のヘルパーによる身体介護は高くする。こんな案も浮上している。国が評価指標を用意し、高齢者の自立支援や要介護度の維持・改善に取り組み、実績を上げた市町村に新設の交付金を支給する―。いずれも、要介護度の重い人を減らすことで費用の抑制を狙う。
<不安を高める議論>
  「高齢になるほど改善は難しくなる」「高齢者が家に閉じこもるのを防ぎ、家族の負担を軽くする役割は評価しないのか」「生活援助で気持ちに余裕が持てたのに、使えなくなると困ってしまう」。介護事業所の職員や利用者からはそんな声が聞かれる。財務省は、介護報酬を全体でマイナス改定するよう求めている。他の産業に比べ、給与が著しく低い介護職の待遇改善のため、この4月の臨時改定で報酬を引き上げたばかりだ。また減らすことになれば、人手不足に拍車を掛けることになりかねない。厚労省は今月、世帯ごとに発行している健康保険証の番号を個人ごとに割り当て、個々人が受診履歴や健康診断の結果を閲覧できるようにする、との方針を打ち出した。2019年度から発行を始めるとしている。国民の健康意識を高める目的というが、それだけか。いわば医療版「マイナンバー制度」で、健康に関する情報を国が一元管理することになる。プライバシーがさらされ、医療費抑制の名の下、健康増進への統制色が濃くならないか懸念される。暮らしの悩みを解消するはずの社会保障の議論が、国民の不安を高めているように感じられる。安倍晋三首相も、その不安を大きくした。社会保障制度の安定に使う計画だった消費税増税分を幼児教育の無償化に回すとし、衆院解散の理由にした。高齢者に偏っている社会保障を「全世代型」に転換することに異存はない。が、真っ先に着手すべきは幼児教育の無償化なのか、財源を消費税に求めるのが適当なのか。疑問の多い判断だ。年間の医療費は45兆円、介護費用は10兆円に上る。団塊の世代全員が75歳以上となる25年には、医療費は4割増え、介護費用は倍になると試算されている。サービスの効率化を図ることも大切だけれど、改定のたびに報酬を増減させ、利用者の負担割合を見直す対症療法で、超高齢社会を乗り切れるとは思えない。
<政治の責任は重く>
 政治の責任は重い。国民に構想を示し、負担=痛みから逃げずに議論する。それは政治にしかできない。安倍首相、そして与野党にその覚悟はあるのか。一向に将来が見通せない状況に、国民は不安を感じている。人口減少だけではない。非正規雇用の割合が高まり、格差が広がって、社会保障を担ってきた中間層が疲弊している。地域や家庭で支え合う関係は薄れ、人々の社会的孤立が問題になっている。こうした現実を見据え、国民、政府、自治体、企業の役割と負担のあり方を見直すこと。地縁や血縁に代わる地域のセーフティーネットの拡充も求められる。首相が言う全世代型への転換も、全体像を欠いては説得力がない。自立した生活を望まない人はいない。それができなくなったときの支え合いとして、社会保障はある。原点を忘れず、時代に見合う仕組みの構築を急いでほしい。

<増税・社会保障削減・貧困と無駄遣いの負のスパイラル>
PS(2017.12.8、2018年1月10、11日追加):*3-1のように、高校公民の教諭が「アクティブラーニング(主体的学習)」を学んだことは、民主主義国の主権者たる有権者を育てる上で重要だ。しかし、発展途上国の貧困を取り上げて、できる支援について話し合っただけなら、日本の主権者教育としては不足である。何故なら、日本にも貧困家庭は多いのが現実で、現状と政府の政策の妥当性を冷静な目で判断できる有権者が民主主義には必要だからだ。
 一例は、*3-2のように、文系のエリートと思われる日経新聞記者が、病院が介護施設などの代わりをしている高知市の社会的入院の事例を「日本の未来」として取り上げているのだが、これは未来ではなく過去の話で、病院のベッドしか居場所のない可哀想な高齢者をなくすために、自宅療養を可能にする介護制度を設けたり、施設を個室にする政策を行ってきたからだ。つまり、介護を後退させれば、病院のベッドしか居場所のない高齢者がまた増えるにもかかわらず、虚実をごちゃまぜにした質の悪い記事を書き、財政悪化の懸念を言い立てるようなことをしているのである。しかし、*3-4のような数千億円規模の無駄遣いは枚挙にいとまがなく、この記者が国民に求める①「自助」「共助」の範囲 ②それを行う主体 ③その実行可能性 などを具体的に検討すれば、現在の「公助」は足りないくらいであり、少なからぬ人が現場の実態に基づかずに、論理性も実現可能性もない議論をしている不都合な真実がわかる筈である。
 なお、*3-3のように、無年金の高齢者に対する生活保護費の見直しで、厚労省は「生活扶助」も引き下げる方向で検討に入ったそうだが、これも過去の年金制度・年金保険料の徴収法・年金積立金の管理に関する不備・不手際によるところが大きいため、憲法25条違反になるような生活を強いることのないようにすべきだ。
 さらに、診療報酬のマイナス改定や物価上昇による人件費・材料費の上昇が続き、*3-5のように、公立病院は2016年度で約6割が赤字だそうだ。しかし、民間病院も含む病院の赤字は、私が衆議院議員をしていた2005~2009年頃には既に多数言われており、その状況が激しさを増したと思われるが、特に公立病院や拠点病院はその地域の人が先端医療にアクセスできるか否かを左右し命に関わるため、民営化して収益性の低い診療科を廃止したり、経験のないスタッフに変えたり、非正規労働者を増やしたりすればよいわけではない。つまり、一定地域内に経験と技量のある医師や必要な質・量を満たすスタッフを確保しておくことが必要で、合理化して経営改善しさえすればよいわけではないのである。そして、総務省が2017年末に病院改革の報告書で述べている地域医療の再編を促すネットワーク化は、市町村を超えて経験と技量のある医師やスタッフを確保し、どこに住んでいても30分以内でどの科の先端医療にもアクセスできる状況を最低のコストで実現するために私が提唱して佐賀県では既に終わっているものだが、これだけ病院や医師を標的にした診療報酬のマイナス改定、物価上昇による人件費・材料費の上昇、消費税増税が続けば、その効果もかき消されただろうと考えている次第だ。
 このように、国民の命綱になっている社会保障を1千億円単位で節約しながら、*3-6のように、民間企業である日立製作所が英国で進める原発事業に日本が融資する1兆1千億円分に日本政府が保証(=偶発債務)をつけ、原発事業のリスクを肩代わりするそうだが、原発は、今でも安くて安全なエネルギーという触れ込みなのである。これは、第二次世界大戦の際に、先進国は戦闘機の時代に入っていたにもかかわらず、日本軍は巨艦主義の過去から脱せず、理論的・科学的思考を排して精神論で闘い、国民を犠牲にして敗戦したのと酷似している。従って、ここは、民間企業が脱原発を決意するのが賢明だろう。

  
  厚労省の生活保護実態調査      2017.12.8日経新聞(*3-2より) 

(図の説明:現在、社会的入院をしたり、施設に入ったり、介護を受けたりしている高齢者は、右の写真のように孫の世話ができるお爺さん・お婆さんではなく、自分のこともできなくなったひいお爺さん・ひいお婆さんの年代であるため、*3-2の写真は現実とは異なる。つまり、自助ができず、共助にも負担がかかるようになった人を、公的にサポートしているのだ)

*3-1:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/157328 (佐賀新聞 2017.12.8) 高校公民教諭が主体的学習事例学ぶ、7日、佐賀北高で研修会
 次期学習指導要領に盛り込まれた「アクティブラーニング(AL)」をテーマにした高校教諭向けの研修会が7日、佐賀市の佐賀北高で開かれた。新設される公民の必修科目「公共」や主権者教育での活用が期待されるALの実践事例を学んだ。島根県立大客員研究員で、秋田県内の高校で教える市川聖教諭が、発展途上国の貧困を取り上げた授業を報告した。映像も活用して途上国の現状を詳しく学んだ後、自分たちにできる支援について話し合い、それぞれが意見を発表することで理解を深めた。市川教諭は「途上国について知りたいという探求心が芽生えてきた」と成果を語った。指導要領は、ALを「主体的・対話的で深い学び」と位置付けて授業改善を求めている。公開授業を行った春田久美子弁護士も交えたパネル討論で、市川教諭は「普段の授業から、クラスの生徒全員に質問して対話に務めている」と紹介した。主権者教育に関しては「公民科の教員にとどまらず、学校全体で取り組むことが必要」と課題を指摘した。県高校公民部会が主催し、約30人が参加した。

*3-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171208&ng=DGKKZO24396610X01C17A2MM8000 (日経新聞 2017.12.8) 2030年への責任(4)不都合な現実 今こそ直視 痛みは分かち合うもの
 日本の未来を探るため、取材班がこだわってきた地域がある。人口当たりの病院や病床数、医療費が常に上位に入る高知市。街を歩いて病院やクリニックの看板を数えるとすぐ両手に余る。「病院が介護施設などの代わりをしていた」と岡崎誠也市長。高齢化が全国平均の10年先を行くのに、介護で済む人を入院させていれば、医療費がどんどん膨らむのは自明だ。
●病院に変化も
 高知の手ぬるい医療財政が破綻を免れるのは、公的保険という大きな器の一部にすぎないからだ。だが足元で変化が始まっている。「病院は機能の向上を求められるようになった。さもなくば淘汰だ」。JR高知駅前に病院を展開する近森会の近森正幸理事長は神妙に語った。医療保険の配分ルールがじわりと厳しくなり、治療の必要の乏しい長期入院は認められにくくなった。業態転換を余儀なくされる病院があり、退院を促される高齢者がいる。許されていた甘えが少しずつ通用しなくなってきた。では、いまの高知のように日本全体で3人に1人が高齢者になると何が起きるのか。団塊の世代が80代になる2030年の試算が衝撃を告げる。年金や医療、介護の隠れた債務はおよそ2000兆円。国が抱える1000兆円の借金の2倍もの負担が将来世代にのしかかる。人類が経験したことのない状況を迎える。厳しい未来予想図を前に、私たちはいまどうすべきだろう。取材班はヒントを求めてこの1年以上、現場を歩いてきた。話を聞いたのは有識者から公務員、年金受給者や高校生まで延べ数百人。ほとんどの人たちと「このままでは持たない」という思いを共有した。
●刻々と財政悪化
 いま必要なのは世代や立場を超えた痛みの分担だ。公的サービスである「公助」の領域が小さくなり、不便を感じる人も出てくるはずだ。そのぶん皆が自己責任の「自助」に努め、周囲が手を差し伸べ合う「共助」を広げる。地道な取り組みが求められている。ところが目の前の政治には厳しい未来への責任が感じられない。高齢者に偏る社会保障を全世代に広げるという掛け声で進むのは保育所や幼稚園の無償化。2兆円もの税金を使って公的サービスの範囲を広げる。03~04年に厚生労働次官を務めた大塚義治氏が今日と似た風景に接したのは若手官僚だった1970年代。老人医療費が無料化された。「医療費が大爆発し、財政が大変なことになった。30年余りの仕事の大部分は高齢化対策だった」。退官から13年、財政はいまも刻々と厳しさを増す。医療と介護、生活保護や福祉。安心網の柱をなす諸制度が2018年春から同時に改まる。一斉点検は30年に1度しか来ない。不都合な現実から目をそらさず、厳しい選択に向き合う。私たち一人ひとりがそう思うところから始めるしかない。

*3-3:http://qbiz.jp/article/124190/1/ (西日本新聞 2017年12月8日) 貧困高齢者の暮らし窮迫 食費切り詰め「もう追い込まないで」 生活保護引き下げ検討
 5年に1度の生活保護費見直しで、厚生労働省は一部世帯について、食費や光熱費などに充てる「生活扶助」を引き下げる方向で検討に入った。受給世帯の過半数を占める65歳以上の高齢者では、単身世帯の多くが対象になる見通しだ。社会保障費を抑制したい国の思惑が透けるが、現状でも切り詰めた生活を送る高齢者らは「これ以上、追い込まないで」と訴える。スーパーで半額になったヒレカツ190円、キャベツの千切り58円、まとめて炊いておいた白米とみそ汁−。東京都大田区の都営住宅に住む浜井清見さん(79)のある日の夕食だ。「外食は一切しない。お金がもたない」。多めに買った牛スジを大根とコンニャクと煮て、3日間しのぐこともある。9年前に妻を亡くし、現在は1人暮らし。中学卒業後、配管工として働いてきたが年金に加入せず、貯金は脳梗塞で倒れた妻の医療費で底を突いた。5年ほど前までは水道工事などで生計を立てていたが、体力的に厳しくなって無職に。やむなく生活保護を申請した。毎月7万5千円弱の生活扶助が支給されるが、光熱水費や電話代、新聞代で月3万円は消える。食費はやりくりしても2万〜3万円。消耗品などを買えば数百円残るかどうかで、常にぎりぎりの生活だ。おととし広島県に住む母親が亡くなったが、役所に頼んでも交通費の支給が認められず駆けつけられなかった。さまざまなことを制限される老後の日々。「千円減るだけでも大きな差だよ」と、さらなる引き下げに不安を募らせる。各地で訴訟も。生活保護の受給世帯は今年9月時点で約164万世帯を超え、20年間で約2・7倍となった。このうち1人暮らしの65歳以上の高齢者が48%と大半を占める。年齢や病気で就労が困難な人のほか、浜井さんのような「無年金」や、保険料の納付期間が足りず満額を受け取れない「低年金」の人の増加が背景にある。生活保護費は国と自治体が全額公費で賄い、国費分だけでも約3兆円(2018年度予算概算要求)に上る。このため、支給基準の抑制圧力は年々強まっている。前回の13年度改定では生活扶助が世帯平均で6・5%減額された。憲法が保障する最低限度の生活を維持できないとして各地で違憲訴訟も起きている。負のスパイラル。今回の引き下げの根拠は、生活保護を受給していない低所得世帯の消費支出に比べ、受給水準が上回るとの調査結果に基づく。だが、そもそも生活保護が必要な人のうち、約2割しか実際には受給していないという専門家の指摘もあり、実態を反映していない恐れがある。元厚生官僚で生活保護制度に詳しい尾藤広喜弁護士は「年金の支給水準も下がり、下流老人、老後破産といった言葉に象徴されるように、高齢者の生活は全体的に窮迫している。生活扶助を引き下げるのは負のスパイラルで、受給者の生活が破壊される」と指摘。「『最低限度の生活』とは何かという議論を無視し、最初から引き下げの結論ありきで、政府が誘導しているとしか思えない」と話している。

*3-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171207&ng=DGKKZO24330990W7A201C1EE8000 (日経新聞 2017.12.7) もんじゅ廃炉、30年で 原子力機構が計画提出 費用3750億円、上振れ必至
 日本原子力研究開発機構は6日、原子力規制委員会に高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉計画を提出した。2018年度に着手し47年度までに廃炉を終えるとしている。費用は3750億円を見込むが、国内では高速炉の廃炉経験はなく技術も確立していない。放射性廃棄物の取り出し後の処分場も決まっておらず、今後費用の上振れは必至だ。原子力機構が6日に提出した計画では22年度末までに核燃料の取り出しを終える。最大の難関は原子炉内のナトリウムの取り出しだが、今回の計画では具体的な時期の明記は見送った。ナトリウムは水や空気に触れると爆発する恐れがあるため取り扱いが難しい。原子力機構の伊藤肇理事は「コスト面でもできる限り削減を検討する」と話すが、今後の技術開発には大きなコストがかかる。また福井県の外に搬出するとする核燃料やナトリウムの取り出し後の処分場も決まっていない。今後、原子力機構などが選定作業に着手するが、ナトリウム処理と同様に費用が上振れする要因になりそうだ。核燃料サイクル施設関連では、同じ原子力機構が持つ東海再処理施設は廃止費用が70年で1兆円に上ることを明らかにしている。

*3-5:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180109&ng=DGKKZO25434510Y8A100C1NN1000 (日経新聞 2018.1.9) 公立病院、6割が赤字 16年度、材料・人件費重荷
 総務省がまとめた2016年度の公立病院の経営状況によると、経常収支が赤字の病院は全体の61.7%だった。比率は6年連続の増加で、8年ぶりに6割を超えた。人件費や材料費の上昇、診療報酬のマイナス改定などが響いている。病院数は15年度比で1.5%減の873と過去最少だった。同省の調査研究会報告書によると、独立行政法人を含めた公立病院の経常損益は831億円の赤字。15年度は542億円の赤字で赤字幅は1.5倍に拡大した。人手不足や、機材・材料費の高騰が経営を圧迫している。ただ公立病院の多くは地方のへき地など過疎地域の医療体制の維持には不可欠だ。全国の病院のうち公立病院数は11%にとどまるが、へき地医療の拠点病院に限れば62%を占める。地方では医師不足も問題で、赤字比率が高止まりすれば地域医療の維持も難しくなる。総務省は17年末に病院改革に向けた報告書をまとめ、地域医療の再編を促すネットワーク化の推進や外部人材の活用などで経営改善を目指すことなどを提言した。

*3-6:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13307475.html (朝日新聞 2018年1月11日) 
 日立製作所が英国で進める原発事業をめぐり、日英両政府が官民で総額約3兆円を投融資する資金枠組みについて大筋で合意したことが分かった。出資額4500億円のうち、日立の出資は3分の1にとどめ、日英で折半する融資額2兆2千億円の日本分には政府保証をつけるなど、異例の手厚い政府支援で原発事業のリスクを肩代わりする。ただ、事業で損失が出れば国民負担につながりかねない。複数の関係者によると、両国政府は昨年末、今回の枠組みについて書簡を交わして確認した。対象となるのは日立が英西部アングルシー島で計画する原発2基の事業で、2020年代半ばの運転開始をめざす。日立は12年、英国の原子力事業会社ホライズン社をドイツの電力会社から約900億円で買収したが、今回の枠組みはこのホライズン社の事業への投融資が柱だ。出資額は日立と日立以外の日本側、英国側の3者が1500億円ずつで、日本側の出資は政府系の日本政策投資銀行や大手電力会社などが想定されている。1兆1千億円にのぼる日本側の融資の主体は政府系の国際協力銀行や3メガバンクが見込まれる。政府系の日本貿易保険が融資の全額を保証する方向で検討している。先進国向けの貿易保険で全額保証は異例だ。日立は事業を進めるかどうかの最終判断を20年夏にする方針だ。その判断基準として挙げているのが、ホライズン社への出資比率を現在の100%から50%未満まで下げることだ。東芝が米国の原発事業で行き詰まり、経営危機に陥った事態を踏まえ、事業を日立本体の連結対象から切り離すためだ。枠組み通りに進めば、日立の出資比率は33・3%になる計算だ。一方、安倍政権は原発や新幹線技術などのインフラ輸出を成長戦略の柱に掲げる。とりわけ日立の英事業は「先進国で原発が成立するかしないかの最大の試金石」(経済産業省幹部)と位置づけ、英政府と支援策を交渉してきた。国内で原発の新増設が見通せない中、海外で実績を重ね、人材や技術を維持する思惑もある。とはいえ、東京電力福島第一原発事故以降、先進国では原発の建設コストが高騰している。日立の英事業も当初の総事業費は「1・5兆~2兆円」とされたが、為替変動などもあって3兆円に膨らんだ。英国政府はこの原発で発電される電気の買い取り価格をまだ決めていない。日本の大手電力は出資に応じるかも決めておらず、事業の先行きは不透明さをはらむ。

<生産性が低くて無駄遣いの多いのが日本の役所>
PS(2017年12月9、24日追加):*4-1のように、11月末に北海道松前町沖で見つかり、函館港沖に曳航されて海上で巡視船に横付けされていた北朝鮮の木造船が、12月8日、事情聴取していた警察官が巡視船に引き揚げた後にエンジンを動かして巡視船から離れ、海上保安本部が元の位置へ戻したそうだが、粗末な木造船に8人も乗せたまま10日以上も海上においているような①日本の警察の仕事の遅さと判断の悪さ ②10日以上も一つの舟に横付けしている巡視船の暇さ(ほかにも仕事はあるのに・・) ③人権意識の低さ に呆れた。北朝鮮船は松前小島に一時接岸し、島から家電などが無くなったそうだが、乗組員と船を陸に上げて調べればよい。
 一方で、*4-2のように、北朝鮮の拉致問題は蓮池さんたちが帰国してから15年経っても1mmも進んでおらず、選挙には利用するが解決する気は無いように見え、そのようなことを訴え続けたい人はいないのに時間ばかりかけて、引き裂かれた人々の台無しにされた人生や人権には思いをいたしていないように思われる。
 さらに、尖閣諸島については、*4-3のように、最近は尖閣諸島付近の領海周辺への中国船侵入が恒常化しているのに、巡視船が警告するだけで報道が少なくなった。そこで、*4-4のように、沖縄県石垣市の中山義隆市長が同諸島の地名を「石垣市尖閣」とする議案を12月の市議会に提出し可決される見通しだそうだが、「石垣市尖閣」の後は、一年間も議論しなくても、久場島、大正島、魚釣島などの各島名にすればわかりやすいのではないだろうか。
 また、*4-5のように、中国は東シナ海でガス田の開発をしており、大人口を抱える中国の第一の目的は明らかに資源獲得で、日中中間線の中国側にガス田の“構造物群”を作っているので、中国の程駐日大使が「中間線から西は双方の意見に食い違いがない海域で、日本から異を唱えられる余地は全くない」と発言したのは正しい。つまり、日中中間線から西側は中国の裁量下にあり、*4-6の菅官房長官の「指摘はまったく当たらない」という反論の方が間違っているのだ。なお、日本政府の言う東シナ海の資源開発に関する2008年6月の日中合意はあるが、日本側には共同開発する気配も意欲もないため、いつまでもは待たないのが世界常識である。そして、税外収入を得るのではなく、くだらない予算を分捕ったり、資源を外国から輸入したりすることしか考えていない日本の経産省が、将来を展望しておらず、情けないのだ。
 結論として、最も生産性が低いのは役所であるため、ここが大量の資金を使うと役に立つ投資への資金投入や経済成長が小さくなるわけである。
 なお、*4-7のように沖永良部島沖海底で金・銀・鉛などの鉱物を含む海底熱水鉱床を新たに見つけたのは頑張った成果であり、希少金属(レアメタル)も含んでいるのは有望だが、レアメタルの存在が明らかになっても採掘技術の開発を急がず、2020年代半ばまで事業を開始しない真剣みのなさと生産性の低さが日本の役所の問題点だ。そして、排他的経済水域内の海底は国有財産であるため税外収入を得られる筈だが、採掘権も無料で民間企業に譲ってしまうのが、ビジョンなき日本政府の特徴なのである。

  
  北朝鮮の木造船と日本の巡視船   拉致被害者家族 日中中間線付近のガス田開発

*4-1:http://www.sankei.com/photo/story/news/171208/sty1712080011-n1.html (産経新聞 2017.12.8) 北朝鮮木造船、かじ故障しているのに逃亡? 松前小島の被害額800万円
 北海道松前町沖で11月末に見つかり、函館港沖にえい航されて巡視船に横付けされていた北朝鮮の木造船が8日午後3時25分ごろ、男性乗員10人のうち8人が乗った状態でエンジンを始動し巡視船から離れた。第1管区海上保安本部(小樽)によると、船につながれたロープが外れており、別の船艇が再びロープをつないで停止させ、約2時間半後に元の位置へ戻した。逃亡を図ったとみて経緯を調べている。北朝鮮船は、松前町の無人島、松前小島に一時接岸していた。島から家電などが無くなり、道警は窃盗の疑いで乗員全員から任意で事情聴取。松前さくら漁協は8日、避難小屋の発電機やボイラーも壊されて被害総額が800万円近くに上ることを明らかにした。
●突然前進
 捜査関係者によると、木造船の前部と後部が巡視船とロープでつながっていた。事情聴取していた道警の警察官が巡視船に引き揚げた直後、突然前進を始めたという。木造船のかじは故障しているが、エンジンに問題はなく、動きだした際は8人が木造船にいた。

*4-2:https://mainichi.jp/articles/20171013/ddm/041/040/074000c (毎日新聞 2017年10月13日) 北朝鮮・拉致問題:北朝鮮から帰国15年 解決一刻も早く 蓮池さん「拉致は夢と絆奪う」
 北朝鮮による拉致被害者5人が帰国して、15日で15年になるのを前に、被害者の一人、蓮池薫さん(60)が新潟県柏崎市内で毎日新聞のインタビューに応じた。蓮池さんは「私や家族にとって、かけがえのない15年だった」と振り返った。その一方で「被害者家族の高齢化が進んでいる。秒読みとも言っていいような切迫した問題」と今も故郷の地を踏めずにいる被害者の早期帰国を訴えた。「帰国してからの15年間は自分の意思で人生を自由に切り開いていけた日々だった。北朝鮮にいた24年間とは対照的な時間で、それは私の子どもたちにも言えることだと思う」。蓮池さんは中央大学法学部に在学中だった1978年7月31日、当時交際していた妻祐木子さん(61)と新潟県柏崎市の海岸で拉致された。北朝鮮では日本の出版物を翻訳する仕事を命じられ、招待所と呼ばれる施設での生活を強いられた。「帰国したいという思いはあったが、考えてもつらくなるだけだったから、ずっと抑え込んできた」と振り返る。風穴が開いたのは、2002年9月の日朝首脳会談だった。北朝鮮は日本人の拉致を認め、翌10月に蓮池夫妻、地村保志さん(62)、富貴恵さん(62)夫妻、曽我ひとみさん(58)の5人が帰国を果たした。「故郷に帰った瞬間、抑え込んできた気持ちがあふれ出した」。蓮池さんは北朝鮮には戻らない、という決断を下す。しかし、北朝鮮に長女(35)と長男(32)を残したままだった。家族が離ればなれになることに祐木子さんは猛反対したが、「自分で人生を選ぶ生き方は北朝鮮ではできない。リスクはあるかもしれないが、政府を信じ、日本で子どもたちの帰国を待つべきだ」と考えたという。子どもたちの帰国は1年半後に実現した。蓮池さんは柏崎市役所に臨時職員として勤めながら、一家4人での生活を取り戻した。それでも、気持ちは落ち着かなかった。「自分の人生の『居場所』が見つけられなかった」ためだ。「拉致される前は法学を勉強していたが、今から学び直して、法律で生きていくことはできない」。自分に何ができるかを模索していた時、知人から韓国の書籍の翻訳の仕事を紹介された。周囲の協力もあって05年5月に出版にこぎ着けた。「あの国の言葉を武器に生きていく」--。翻訳という仕事が蓮池さんが見いだした「居場所」だった。沈黙を守っていた拉致問題に対し、声を上げるようになったのもそのころからだ。「日本政府は核・ミサイル問題を解決するために独自の寄与をしつつ、日朝交渉では拉致問題を最優先にすべきだ」「全てが解決すれば国交正常化交渉の開始などを盛り込んだ平壌宣言の履行という『未来』を示すことも必要だろう」。今では、新潟産業大で准教授を務める傍ら、各地の講演などで政府への提言もする。「帰ってきた喜び、生きがいが大きいからこそ、他の人が帰って来られない状況がもどかしい」。蓮池さんは「人生には夢と絆が必要だ」と語る。夢とは自由に人生を生きる選択肢を持つことであり、絆とは家族とのつながりだという。二つを引き裂いたのが、拉致事件だ。「拉致問題は被害者が帰ってきて終わりではない。その後に夢と絆を取り戻すには、時間が必要になる。だから、一刻も早く解決しなければいけないのです」。蓮池さんはそう訴え続ける。
■北朝鮮による拉致事件
 1970~80年代に日本人が不自然な形で、相次いで行方不明になった。北朝鮮の工作員らの関与が指摘され、2002年の日朝首脳会談で北朝鮮は日本人の拉致を認め、謝罪した。日本政府が認定した被害者17人のうち蓮池薫さんら5人が同年に帰国。しかし、北朝鮮は横田めぐみさん(行方不明時13歳)や有本恵子さん(同23歳)ら8人については「死亡」と主張、松本京子さん(同29歳)ら4人は「未入国」としている。

*4-3:https://mainichi.jp/articles/20170925/ddg/041/010/006000c (毎日新聞 2017年9月25日) 沖縄・尖閣諸島:中国船4隻、領海周辺に侵入
 25日午前10時10分ごろから、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に中国海警局の船4隻が相次いで侵入した。中国当局の船が尖閣周辺で領海侵入したのは21日以来で、今年24日目。第11管区海上保安本部(那覇市)によると、1隻は機関砲のようなものを搭載。領海から出るよう巡視船が警告した。

*4-4:https://mainichi.jp/articles/20170922/ddp/041/010/034000c (毎日新聞 2017年9月22日) 沖縄・尖閣諸島:地名「石垣市尖閣」に 市長が変更案提出へ
 尖閣諸島を行政区に抱える沖縄県石垣市の中山義隆市長は、同諸島の字を変更し地名を「石垣市尖閣」とする議案を市議会12月定例会に提出する方針を示した。同市が明らかにした。賛成多数で可決される見通しという。現在の尖閣諸島の地名は「石垣市登野城(とのしろ)」。中山氏は開会中の市議会9月定例会で19日、「住所に『尖閣』の文言を入れ込むため、どのような字名を付ければいいか内部で検討している」とし、字を「尖閣」とする意向を表明。その上で「12月議会には必ず(議案を)上程し、住所として『尖閣』の言葉が入るようにしたい」と明言した。市の担当者は「住所を見ただけで、その場所が尖閣諸島だと分かるようになる」と話した。尖閣諸島の字の変更は、昨年から市議会で議論されていた。

*4-5:http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/223968.html (NHK 2015年7月29日) 時論公論 「東シナ海 中国のガス田開発の狙いは何か?」
 東シナ海の「日中中間線」付近で、中国がガス田開発の構造物の建設を着々と進めていることが明らかになりました。そこには、エネルギー資源の獲得だけではない、したたかな中国の戦略が垣間見えるように思います。今夜は、ガス田開発をやめようとしない中国の狙いと日本政府の対応について考えます。
■(ガス田構造物群)
 政府の発表によりますと、中国が建設した洋上の構造物は、日本が東シナ海の境界線にすべきだと主張している「日中中間線」のすぐ西側に集中しています。あわせて16基が確認されていて、この2年間だけで12基も増えました。
■(日中中間線とは?)
 はじめに、「日中中間線」とはどういうものなのか整理しておきましょう。
そこで日本が提案したのがこの「中間線」です。地理的に中間にある線を境界線にするべきだとの主張でしたが、中国はこれを受け入れず、200海里よりもさらに深く日本側に入り込んだ「沖縄トラフ」が境界線だと主張しています。そして中間線ぎりぎりのこの位置にガス田の“構造物群”をつくってきました。
■(日中中間線付近のガス田問題の経緯)
 日中はかつて、中間線付近でのガス田開発で合意に達したことがあります。中国が2004年、中間線のすぐそばで「白樺」と呼ばれるガス田の施設の建設を始めたことがきっかけで問題化しました。その後、協議の末、2008年6月、白樺ガス田を共同開発することなどで合意しました。境界が確定するまでは互いに協力するなどとした合意で、日本が提案していた中間線の考えを中国側も尊重したものと受け止められていました。ところが、同じ年の12月、中国の法執行機関の船が尖閣諸島の日本の領海に初めて侵入。さらに2010年、尖閣諸島沖合で、中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突する事件も起きて、以来、交渉は中断したままになっています。
■(損なわれる日本の海洋権益)
 中国側の構造物は、中間線からはみ出してはいませんが、ここで重要な点は、日本は「中間線」を提案してはいるものの、境界が画定されていない以上、200カイリまでの海域の権益を放棄したわけではないという点です。ところが今回確認された構造物のほとんどは、この係争海域につくられていて、中国の一方的なガス田開発によって日本の権利は損なわれている状態です。
■(16基のガス田構造物の現状)
 今回撮影された14枚の写真を見ると、多くの構造物は海底にのびる細い「掘削用のパイプ」が確認でき、このうち5基の構造物からは、ガスを生産する際に発生する炎が噴き出しているのが見えます。先月、存在が確認されたばかりの土台だけの構造物もあり、この海域でガス田開発をさらに拡大させていく姿勢をうかがわせています。
■(中国ガス田開発の狙い)
 さて、中国が中間線付近でガス田の開発を続ける狙いはどこにあるのでしょうか。指摘されているのは、主に次の3つです。1つは文字通り「エネルギー資源の確保」、「軍事目的の利用」、そして、「海洋権益の拡大」です。ひとつずつ見ていきます。
■(エネルギー資源の確保か)
 エネルギー資源の確保は、急速な経済発展で需要が増している中国にとっては喫緊の課題です。実際、中間線付近のガス田の一部からは中国本土に天然ガスが送られ、上海で消費されているといわれています。中国では、エネルギー資源のおよそ60%余りを石炭に依存しています。石炭は、深刻な大気汚染の原因になっているため、中国政府は、その比率を減らし、天然ガスや石油を増やしていこうとしています。しかし、石油や天然ガスは、多くを輸入に頼っていて、特に石油を運ぶ中東からの海上輸送ルートはアメリカ海軍の影響力が大きく、中国としてはこのルートを使わずに済む中国近海でのエネルギー資源の開発を目指しています。中国が東シナ海と南シナ海の海底資源に強い関心を持つのはこのためです。しかし、これまでのところ、中国が期待する大規模なガス田の存在は確認されていません。
■(軍事目的の利用か)
 一方、防衛省は、「軍事目的」に使われる可能性を指摘しています。例えば、ヘリコプターや無人機の洋上の基地となることです。また、軍事専門家は、レーダーが設置されるかどうかに注目しています。現在、東シナ海に中国軍機の飛行を支援するレーダー施設はなく、ガス田の構造物に航空管制レーダーが設置されれば、中国空軍の行動半径は大きく広がることになるからです。
■(狙いは「海洋権益の拡大」か)
 そして、政府関係者や多くの専門家がこぞって指摘するのは、中国の真の狙いは「海洋権益の拡大」だというものです。
(中略)
■(日本の対応は?)
 さて、こうした中国の海洋権益の拡大の動きに対して日本政府は、どのように対応してきたでしょうか。中国による構造物建設の状況を、上空からの監視飛行によってつぶさに把握する一方、先週までその詳細を公表してきませんでした。公表に踏み切ったことについて菅官房長官は「中国の開発行為が一向に止まらないことや、中国の一方的な現状変更に関する内外の関心が高まっていることなどを総合的に判断して公表した」と説明しました。中国と交渉を進める上で様々な「外交的配慮」が必要だったにせよ、中国の海洋進出の実態を世界に発信して、国際的な世論を味方につけ、中国と交渉するという手段もあった筈だと批判する声もあります。また、安全保障法制の国会での議論を有利に進めるためにこのタイミングで公表したとのではないかと訝る声もあります。一方、中国の程永華駐日大使は、「中間線から西の部分は双方の意見に食い違いがない海域で、日本から異を唱えられる余地は全くない」と発言しました。私には、「東シナ海の半分はすでに裁量のもとにある」と言っているかのように、聞こえました。この問題をめぐって中国は話し合いを続ける立場を示しています。日本としては、中間線付近では互いに協力することで一致した「2008年の合意」に戻るよう求め、対話による解決の糸口を探っていく方針です。中国による既成事実化と現状変更の試みに対して、今後、効果的な手段をどのように繰り出していけるのか、日本の外交力が問われています。   

*4-6:https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H0E_T20C15A7EAF000/ (日経新聞 2015/7/23) 官房長官、中国の非難に反論 東シナ海ガス田写真で
 菅義偉官房長官は23日午前の記者会見で、中国による東シナ海のガス田開発の写真公開をめぐって、中国外務省が主権の範囲内だと非難したことについて「指摘はまったく当たらない」と反論した。日本政府として一方的な開発行為の中止や、東シナ海の資源開発に関する2008年6月の日中合意に基づく協議再開を中国に求めていると強調。「中国側が日本側の呼びかけに応じて建設的に問題を解決するよう期待したい」と語った。

*4-7:http://qbiz.jp/article/125146/1/ (西日本新聞 2017年12月24日) 沖永良部沖に海底鉱床 金多く含み希少金属も
 鹿児島県・沖永良部島沖の海底で金や銀、鉛などの鉱物を含む海底熱水鉱床が新たに見つかった。調査、発見した独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は「国内の他の海底鉱床より金、銀の含有量が多く魅力的な鉱床。今後、鉱石の全体量や金属の資源量を詳しく調べる」としている。JOGMECによると、調査は経済産業省の委託を受け、2016年11月〜17年2月に実施。水深1100メートルの海底で、長さ300メートル、幅100メートルの範囲で熱水を噴出する様子を、無人探査機を使い確認した。鉱物が冷えて沈殿した煙突状の構造物「チムニー」も多数発見。最高220度の熱水を噴出する高さ約30メートルの巨大チムニーもあり、一定期間活動を続けている鉱床とみられる。同島の洞窟「銀水洞」にちなみ「銀水サイト」と名付けられた。採取した鉱石の分析では、鉱石1トン当たり金13・6グラムが含まれ、これまでJOGMECが沖縄本島沖などで発見した5カ所の鉱床よりも含有量が多いという。レアメタル(希少金属)のガリウムも微量ながら検出した。海底の鉱床から鉱石を大量採掘する技術は開発中で、JOGMECは今夏、鉱石をポンプで吸い上げる試験に世界で初めて成功した。国は20年代半ばに鉱石の採掘事業開始を目指している。

<森林環境税等について>
PS(2017.12.10、17追加):*5-1に、「1人当たり年1000円で総額年620億円にもなる森林環境税を、①私有林の面積や林業就業者数などに応じて市町村に配分し ②私有林の間伐のための林道整備や放置された私有林の整備などに使う」と書かれている。しかし、①は、国有林や公有林は森林環境税とは別に予算を取るということであり、②は私有林の世話(それも道路整備)だけに使うということであるため、国民全体で負担する意義が見い出せない。
 私は、森林保全のために森林環境税を徴収するのなら、国有林・公有林(税外収入の宝庫)の維持管理費用もそれで賄い、私有林についても間伐のための道路工事だけではなく、里山の持続的な利用を可能にする政策を行っていくべきだと考える。そのため、各地域大学の農学・林学・水産学等の研究室に、①現在、その地域で何が足りないか ②地域の森林にどういう手入れをすれば、豊かな自然を守って持続可能に利用していけるか などを報告してもらい、必要な予算を積み上げて森林環境税の個人負担額を決め、負担と効果を毎年チェックすべきだ。
 なお、*5-2のように、九大の研究者でつくる「豪雨災害調査・復旧・復興支援団」が、九州豪雨被災地で出された住民の意見を集落ごとに空撮地図上に記入した新聞を住民に配布し、住民から「まとまっていて次の議論に生かせる」「集落の未来図が分かりやすい」と好評だそうだ。このように、住民にフィードバックして住民の意見を集約していくことは大変重要だが、未来の街を造るためいろいろな学部からアドバイスを提示するのもよいだろう。これは、東日本大震災の復興はじめ都市の再開発などの街造りに大学の知を活かすよい機会であり、学生が現場の事例を参考にしながら具体的なニーズを知って研究する機会にもなるため、それぞれの地域の大学が行うのがよいと思われる。

*5-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171210&ng=DGKKZO24464740Z01C17A2EA2000 (日経新聞 2017.12.10) 森林環境 使途限定が課題
 森林保全に使う森林環境税は2024年度から導入する方向だ。1人当たり年千円を個人住民税に上乗せして課税する。23年度までは東日本大震災からの復興事業費として、住民税に千円上乗せしている。24年度から代わりに導入し、途切れなく徴収する格好だ。対象は住民税を納める約6200万人。単純計算で年620億円の増収になる。私有林の面積や林業就業者数などに応じて、市町村に配分する。お金は間伐などによる林道整備や放置された森林の整備などに使う。ただ使い道を特定の政策目的に限ると、無駄遣いを生みやすく、効果が不明瞭なバラマキに陥る恐れがある。国際観光旅客税にも同じ懸念があるが、森林環境税は都市部の納税者に利点がみえにくいのが難点。独自に実施する自治体では住民に二重の課税を強いる可能性がある。

*5-2:http://qbiz.jp/article/124410/1/ (西日本新聞 2017年12月17日) 復興アイデア新聞 朝倉市と東峰村 九大支援団製作
 九州大の研究者でつくる「豪雨災害調査・復旧・復興支援団」が、九州豪雨被災地の福岡県朝倉市と東峰村の住民集会で出された意見を集落ごとに新聞にまとめ、住民に配布している。集落の空撮地図上に意見などを記入。住民から「まとまっていて次の議論に生かせる」「集落の未来図が分かりやすい」と好評だ。
●「集落の未来図 分かりやすい」
 朝倉市、東峰村は、いずれも来年3月に復興計画を策定する予定。これに住民意見を反映させようと集落や地区ごとの集会が活発化する中で、新聞が生かされている。朝倉市では、松末(ますえ)地区の集落集会などに九大の教授や学生が参加。出た意見を島谷幸宏大学院教授の研究室スタッフがパソコンで空撮地図上に書き込み、A3判1枚の新聞にして集落ごとに配っている。10月から製作を始め、現在は松末、林田、白木各地区などで7種を製作した。このうち松末地区の乙石、中村、石詰3集落の意見をまとめた「乙石川復興新聞」は、表の面に集会の合意項目などを表にしてまとめた。裏面は空撮写真上に新たに住宅や田んぼが望ましいと思う位置が一目で分かるよう色分けして描いた。他にも、主要道路に「洪水時でも通れるよう(中略)片側1車線以上は確保」などと記載。新聞の内容は集会のたびに更新される。石詰集落区会長の小嶋喜治さん(62)は「新聞を見ながら家族で話せるし、次へ進む知恵が出る。復興へ前向きになれる」と語る。一方、東峰村では、4地区ごとに地域住民協議会が開かれているが、こちらは三谷泰浩大学院教授の研究室が製作を担当。協議会で出された意見を空撮地図上に書き込み、次の協議会の場で配布している。島谷教授は、新聞が復興計画策定時に住民意見として活用されることに期待。「住民だから分かる情報も入っている。私たちが(復興策を)行政などにアドバイスする際にも役立つ資料」と話す。今後、他集落から要請があれば新たな新聞を製作したい考え。

<日本における水素社会の意味>
PS(2017.12.10追加):*6のように、神戸市は水素燃料で発電した電気や熱を公共施設に供給する実証実験を始めるそうで良いことだ。しかし、「水素は発電時には二酸化炭素(CO2)を排出しない」と書かれているように、水素を都市ガスや天然ガスから作ればCO2や他の廃棄物が出る上、料金を海外に支払わなければならない。そのため、水が豊富な日本は、自然エネルギー由来の電力で水を電気分解して水素と酸素を作るのが最も安価で環境に良いのだが(海の水を使えば、同時に塩も分離できそうだ)、外国に金をばら撒くことでしか日本の存在感を示せない能無しの経産省が、高い燃料を輸入して国民に負担を強いたがるのは困ったものである。

*6:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/158129 (佐賀新聞 2017.12.10) 水素発電施設が神戸で完成、世界初、市街地へ供給実験
 来年1月に神戸市で、水素を燃料として発電した電気や熱を病院などの公共施設に供給する実証実験が始まるのを前に、水素発電のプラントが同市中央区のポートアイランドに完成し10日、記念式典が開かれた。市などによると、市街地での実証実験は世界初という。実験は来年1月下旬から3月中旬までの予定で、市が進める水素を活用した都市づくりの一環。水素は発電時には二酸化炭素を排出しないため、クリーンなエネルギーとして注目されている。プラントの敷地は約3700平方メートル。水素だけを燃焼させたり、天然ガスを混ぜて発電したりして、安定して運用できるかを調べる。

<民間企業は工夫次第の筈>
PS(2017年12月11日追加):*7-1に、「①過疎地の店舗網を存続させるため、銀行支店の営業日を週2日に」という提言を佐銀の頭取が行い、「②日銀のマイナス金利政策による低金利の影響で銀行の収益環境が悪化した」と書かれている。しかし、銀行は一般企業に貸付を行って収益を挙げるのが本来の業務であるため、それをしっかり行えば日銀のマイナス金利は銀行にはプラスに働く筈であり、②は誤りだ。それでは、どうしっかり行えばよいかについては、自然エネルギー・PFIによる鉄道高架化・電線地中化・都市の再開発・工場や事務所のオートメーション化・介護施設建設などの時流にそった投資に貸付を行ったり、銀行自身のルーチンワークを徹底的にオートメーション化して余剰人材を営業や接客にまわしたり、子会社を作って中小企業の経理を代行したりすれば、生産性が上がり、新しいニーズも見えてくる筈である(例えば、眞子様のご結婚にあたり、美智子皇后がお持ちのものと同じか少し色違いの佐賀錦の帯を完全機械織りで作って差し上げるなど、現代に合った高度なオートメーション化もあってよい)。
 また、郵便局も、*7-2、*7-3のように、郵便が減少していることを悔やんでばかりいても仕方がないので、資産であるネットワークを活かして便利な宅配便を作ったり、建物が便利な場所にあることを活かして、*7-1のような銀行業務を受託・代行したり、建物の中にクリニック・介護施設・保育施設・ショッピングセンターなどを入れてもよいだろう。そして、このような工夫は、郵政省の管轄下ではできなかったが、民営化後の現在は、先入観にとらわれずに他の業種と提携すれば簡単に行えるのである。

*7-1:http://qbiz.jp/article/123873/1/ (佐賀銀行 2017年12月11日) 「支店営業は週2日に」 佐賀銀・陣内頭取 過疎地の店舗網存続へ提言
 銀行支店の営業日を週2日に−。経営合理化で銀行の支店網が全国的に見直される中、佐賀銀行の陣内芳博頭取は過疎地の店舗網存続に向けてこんな構想を打ち出した。銀行法は原則、平日に休業日を設けることを認めていないが、陣内氏は「顧客に不便をかけずに合理化を進めるためには規制緩和が必要」と唱える。陣内構想は、同じ顔触れの行員グループが1週間に2日ずつ、複数の店舗を移動しながら勤務する。これなら「行員を増やさず、過疎地の店舗網を維持することができる」とした。同行も拠点網の再編を進めている。来年8月には、水ケ江支店(佐賀市)の犬井道出張所と東与賀出張所を市内に新設する拠点に集約する。ただ、両出張所の統廃合はせず、同居の形で存続させるという。顧客が口座番号を変えずに済むといい、これまでも同じ対応を取ってきた。拠点数は福岡、佐賀、長崎、東京の4都県で計91カ所と1減になるが、支店・出張所は計103カ所を維持できるという。銀行業界では日銀のマイナス金利政策による低金利の影響で収益環境が悪化。みずほフィナンシャルグループが国内拠点の約2割削減を表明するなど、拠点再編の動きが広がっている。陣内氏は11月29日の記者会見で「銀行の支店は社会インフラだ。むやみに閉めていいとは思わない」とし、全国地方銀行協会の佐久間英利会長(千葉銀行頭取)にも構想を提言したという。

*7-2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24414940Y7A201C1000000/ (日経新聞 2017/12/11) 「ゆうパック」年末危機 ヤマト値上げで殺到
 「ゴルフバッグの送料は往復で820円上がった。嫁に怒られる」。ヤマト運輸や佐川急便が10~11月に相次ぎ実施した宅配便値上げが家計を直撃している。その分、来年3月まで料金をすえ置いている日本郵便「ゆうパック」に日本中の荷物がシフトしている。だが日本郵便も喜んではいられない。
■来年2月まではゆうパック
 札幌市に住む50代の主婦は、東京で一人暮らしをする娘に宅配便で食品を仕送りしている。10月のヤマトの値上げで、段ボール箱の縦・横・高さの合計が100cmの荷物を送る運賃は1620円から1793円に上がった。「食品も値上がりしているからお財布に響く」。同じ条件なら1500円で済むゆうパックに切り替えた。ゴルフが趣味という都内在住の50代男性は、週末になるとヤマトを使って長野県のゴルフ場にゴルフバッグを送っていた。料金は1404円から1814円に上がった。往復では820円の負担増だ。日本郵便なら、今なら片道1400円で送れる。10月1日、ヤマトは個人向け運賃の定価となる基本料金を引き上げた。佐川も11月21日に値上げを実施。日本郵便も追随するが、値上げ時期は来年3月1日とした。個人向けの値上げはヤマトが消費増税時をのぞいて27年ぶり、佐川が13年ぶりなのに対し、日本郵便は2015年に値上げしたばかり。日本郵便だけが年越しとなったのはこうした背景もあるが、「大手3社の中では最下位の日本郵便が、先行2社の動向を見極めた」とも言われている。16年度のシェアはヤマト47%、佐川31%、日本郵便16%で、一気に追い上げるチャンスだ。いずれにせよ、年末の繁忙期に1社のみ運賃をすえ置いたゆうパックに、日本中の荷物がシフトしている。個人向けだけではない。実は宅配便の総量のうち、個人向けが占めるのは1割に満たない。9割を超えるのが、アマゾンジャパン(東京・目黒)などに代表される大口顧客向けだ。個人向けと違い、大口顧客向けは宅配の総量が圧倒的に多く、価格も定価がなく、料金は相対で決まるブラックボックスだ。荷主企業を取材してみると、ヤマトや佐川が強硬な値上げを要求している実態がわかった。
■中小通販会社の悲鳴
 「もう決まったこと、の一点張りで、とりつく島がなかった」。千葉県の中堅倉庫会社の社長は憤る。同社は通販会社の商品を倉庫で預かり、発送を代行している。ヤマトと契約して宅配便で商品を発送しているが、9月に一方的に値上げを通告された。同社の場合、荷物1個当たりの平均料金は300円台だったが、ヤマトの営業担当から提示された見積もりは2倍超の700円台。しかも運賃改定の実施日は1カ月後の10月だという。値上げ幅の圧縮と延期を求めたが「こちらの主張はまったく聞いてもらえない」。契約を打ち切るわけにはいかず、泣く泣く値上げを受け入れた。

*7-3:https://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2017_1002.html (NHK 2017.12.11) 民営化10年 郵便局は変わったか
 130年以上にわたって国が行ってきた郵政事業が民営化され、1日で10年を迎えました。民営化の大きな狙いは、金融事業が抱える巨額の資金を民間に回し、経済を活性化させること。一方で、赤字体質の郵便事業は効率化が進められ、過疎地のサービスが低下すると懸念されました。全国におよそ2万4000ある郵便局は、民営化から10年でどう変わったのか。各地の郵便局を訪ねてみました。「民営化でよくなったことはない」。茨城県北部の大子町。福島・栃木の両県に接し、観光名所の「袋田の滝」で知られる山あいの町は人口が年々減少し、現在およそ1万7000人。65歳以上の高齢者が40%を超え、過疎化と高齢化が進んでいます。大子町にある「上小川郵便局」は、ことしで開局90年を迎えた職員5人の郵便局。周辺のおよそ1000世帯をカバーしています。1日に訪れる客はおよそ30人。近くに金融機関やコンビニがなく、ATM=現金自動預け払い機を利用するために訪れる人も多いといいます。石井義孝局長は、10年前の状況を「お客様から見たら郵便局は郵便局のままなのに、急に制度だけが変わって当初は苦情も多かった」と振り返りました。民営化からの5年間は、窓口業務は「郵便局会社」、集配業務は「郵便事業会社」と別会社が行う形態でした。上小川郵便局の窓口にいる職員は全員が「郵便局会社」の所属。集荷の依頼や郵便の問い合わせは受けられなくなり、利用者には30キロ以上離れた別の郵便事業会社に電話してもらうことになりました。実は、壁1枚隔てた窓口の裏には、集配を担当する職員がいたため、窓口で利用者の依頼を聞き取ってメモで手渡したこともあったといいます。民営化に伴って、手続きも厳格化。窓口で預金を引き出す際、“顔パス”で済ませていた本人確認も、毎回、書類を提出してもらうことが必要になりました。この10年、石井局長が懸念していた郵便局の統廃合はありませんでしたが、預金や保険の契約をとるなどの“営業目標”が厳しくなったといいます。「職員にとっては、民営化でよくなったことはないと思います。ただ、民営化して何か変わらないといけないという危機感があったのも事実です」と複雑な心境を語ってくれました。
●新たな役割 新たな活路
 全国一律のサービスの維持を法律で義務づけられている郵便事業は、慢性的な赤字体質からの脱却が課題です。売り上げの大幅アップが難しい過疎地の局では、地域の課題にあわせたサービスに活路を見いだそうとしています。その1つが、「高齢者の見守りサービス」です。大子町の郵便局ではことし4月、町と連携して75歳以上の1人暮らしのお年寄りを対象に、月に1度、自宅を訪問する取り組みを始めました。体調や暮らしぶりを尋ね、回答をタブレット端末に入力。役場と家族にメールで報告するもので、およそ150人が利用しています。利用料は町が負担しています。利用者の85歳の女性は「近所の人も施設に入ってしまい、話し相手がいないので、郵便の方が来てくれるのは楽しみ。これからも続けてほしい」と、笑顔で話していました。日本郵便は、この高齢者の見守りを1日から、月額2500円の有料サービスとして全国およそ2万の郵便局で始めました。コストの要因となっている郵便局を収益の上がる存在に変えるチャレンジ。今後さらに増加が見込まれる1人暮らしの高齢者を支える社会インフラになれるかが問われます。
●若い世代を取り込め!
 “高齢者の支え”に活路を見いだそうという郵便局がある一方、若い世代の取り込みに力を入れる郵便局もあります。千葉市美浜区にある大型商業施設「イオンモール幕張新都心」の一角に、この7月、郵便局ができました。全国で17局目となるショッピングモールの中の郵便局。周辺に大きな住宅地がなく、高齢者も少ないため、従来の考え方では郵便局にとって不利なエリアです。しかし、買い物に訪れた家族連れなど、いわゆる「いちげんさん」を引きつけることに成功。オープンからの3か月で保険商品の契約金額は、半年分の目標を達成したということです。好調の秘けつは、郵便局の施設にあります。平均的な郵便局の2倍ある広いスペースには、子ども用の小さな机といす。そして、描いた絵を壁に映すことができるプロジェクター。子どもが絵を描くことに夢中になっている間に、母親に貯金や保険の商品をすすめる戦略です。2歳の子どもと一緒に訪れた40代の母親は「家の近くにも郵便局はありますが、何か用事がないと行くことはありません。このモールには週に1回は来るので、ついでにちょくちょく立ち寄っています」と話していました。「イオンモール幕張新都心内郵便局」の田中義明局長は「赴任する前は、お客さんは来ないと思っていたが、予想外に売り上げが伸びている。カウンターの外に立って、モールに来たお客さんに声をかけて営業する『攻めの姿勢』を心がけています。ハロウィーンやクリスマスなど季節のイベントにあわせたキャンペーンを展開して、さらに売り上げを伸ばしていきたい」と意気込みを語っていました。「まだ1合目か2合目」。民営化10年の節目を控えた9月29日。グループを束ねる持ち株会社「日本郵政」の長門正貢社長は記者会見を開きました。「現状に点数をつけるとしたら?」という質問に対しては、「立派な業績を挙げてから採点したい。郵便事業はもうけることを前提とせずに、140年近くやってきた。いろんなところにコストがかかっていて、それを跳ね返さないといけない。富士山ならまだ1合目か2合目」と述べました。そのうえで長門社長は「世の中の動きが早く、未来永劫、安泰と言われる事業はない。10年、20年先を見据えながら、強い成長戦略を描いてくことが急務だ。次の中期経営計画でグループ全体の成長戦略を示せるよう努力したい」と決意を語りました。メールに続いてSNSが急速に普及し、“手紙離れ”には歯止めがかかりません。民営化から10年、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の金融事業の収益が郵便事業を支える構図は変わっていません。昨年度は、海外事業の業績悪化が響いて、初の最終赤字に転落した日本郵政。全国にある郵便局の不動産やネットワークをいかに収益に結びつけ、自立した経営を実現するか。各地の郵便局の試みに、今後も目を向けていきたいと思います。

<教育はすべての基礎>
PS(2017年12月12、21日追加):*8-1のように、「①歴史の変遷を説明するのに必須ではない」として、「②教える歴史用語を絞って授業時間を確保し歴史の流れなどの考察力育成を促す」とするグループがあるそうだが、①は、定義や背景とともに用語を覚えていなければ記憶に残らずコミュニケーションすることもできないため、②の考察以前になる。ちなみに、中国の高校中国史は日本の1.5倍くらいあり、日本が勉強しない方向への改革ばかりしているのは、全分野の人材を劣化させるためよくない。
 そのため、高校までは広範囲の知識を覚えることが必要条件で、その知識を教える際に、ただの丸暗記ではなく流れや相互関係として理解できるよう、先生自身がそれを理解して解説し、生徒の質問にも適格に答えられるなど、教える人に能力(知識と論理性)が必要なのである。そして、授業時間の確保は、中学・高校で同じことを2回教えているのをやめ、中高一貫校で日本史と世界史を2年間ずつ教え、概略は小学校で教えておけばよいのだ。この時、*8-2の人づくり革命で、小学校を3歳児以上とし、高校までを義務教育とする政策が効いてくるのであり、財源は、カンフル剤的な景気対策を節約して作らなければならない。
 なお、歴史の流れを理解するには、世界史なら人類の発生、移動とその原因、その際に起こった戦い、民族による価値観の違いとその理由、王家同士の関係、文化の融合などを解説できなければならず、その真実は人類の壮大な歴史スペクタクルである。また、日本史なら、古代も含めて世界や周辺諸国と日本との関係もごまかさずに教えなければ背後関係がわからず、役に立たない丸暗記となる。そのため、先生の報酬は上げ、優秀な人が先生になるようにすべきだ。
 従って、NHKの大河ドラマも、戦国時代と明治時代ばかりを繰り返して放送するのではなく、中国や朝鮮の歴史と絡んだ日本の古代史を放送してもよいのではないかと考える。
 なお、世界史で人類の移動とその理由、その際に起こった既存民族との戦いなどを勉強しておけば、国際関係について現状維持が最善とするのではないもっと深い報道ができる筈だ。その事例の一つに、*8-3の「トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認め、国連総会(193カ国)が米国に撤回を求める決議案を採決することを受けて、決議案に賛成した国には援助を打ち切ることをトランプ大統領が示唆した」というのがある。エルサレムは、紀元前20年にはヘロデ大王によって統治され、その神殿を取り巻いていた外壁の西側部分が、現在「嘆きの壁」として残っている。しかし、紀元135年にローマがイスラエルの地を「パレスチナ」と改称し、1191年にユダヤ教徒は十字軍に追われて世界に散り辛酸を舐めることとなり、1946年にパレスチナにはアラブ人が130万人、ユダヤ人が70万人住んでいたが、1947年の国際連合によるパレスチナ分割決議によって、1948年にイスラエルが国として独立し、世界に散っていたユダヤ人も故郷に戻れた。この時、その地は本来は誰の故郷かという問題になっているのだ。

*8-1:http://qbiz.jp/article/124371/1/ (西日本新聞 2017年12月12日) 脱暗記で歴史用語半減を提言へ 教員有志、龍馬・信玄も入らず
 大学入試で問われる歴史用語が多すぎる影響で高校の歴史教育が暗記に偏っているとして、大学、高校教員有志でつくる研究グループが、教科書本文で扱うべき重要用語を精選した案をこのほど公表した。「歴史の変遷に関する説明に必須か」などの観点から選び、用語を現状の半分程度にとどめており、日本史では坂本龍馬や吉田松陰、武田信玄、上杉謙信ら著名な人物でも案に入らなかった。案をまとめたのは、高校や大学教員ら約400人でつくる「高大連携歴史教育研究会」(会長・油井大三郎東大名誉教授)。用語を絞って授業時間を確保し、歴史の流れなどの考察力育成を促すのが狙い。

*8-2:http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20171212/KT171211ETI090010000.php (信濃毎日新聞 2017.12.12) 人づくり革命 持続性ある政策なのか
 安倍晋三政権が、幼児教育や保育、高等教育の無償化を柱とする「人づくり革命」の政策パッケージを閣議決定した。少子化対策が急がれる。ただ、巨額の予算を投じるからには、子育て世代の要望を踏まえ、持続性のある財源を確保して臨まなければならない。パッケージの中身は現場の声を優先したとは言い切れず、財源も曖昧なままだ。教育費の無償化や減免は、10月の衆院選で与野党がそろって公約していた。パッケージをたたき台に、国会で精度の高い内容に練り上げてほしい。柔軟に議論に応じるよう安倍政権に求める。幼児教育・保育では原則3〜5歳児の全員を、0〜2歳児は住民税非課税世帯を対象とする。高等教育でも、入学金や授業料を免除するなど低所得世帯の学生を支援する。私立高校授業料の無償化は所得制限を設けて実施する。気掛かりなのは財源だ。政府は消費税再増税の増収分のうち1兆7千億円と、企業の拠出金3千億円を充てるとする。掲げた政策を全て実現するとなると、この2兆円では足りない。社会保障給付費は年115兆円に上っている。教育費の無償化をもって安倍首相は「全世代型の社会保障への転換だ」と言う。高齢化に伴い、給付の増大が見込まれるのに、逆進性の高い消費税に財源を絞ることに無理がある。企業や会社員、自営業者らから保険料を徴収し「こども保険」を創設する―。自民党若手議員の提言は検討したのか。それぞれの社会保険が一定額を出し合う「子育て支援連帯基金」の案もあったはずだ。前提として「子どもを社会で育てる」との理念を根付かせることも政治の役割だろう。現場の要望との不一致も気になる。母親たちは「保育所の整備と質の向上が先」と訴える。国は保育士の確保へ賃金を月3千円引き上げるとしたが、現場は「焼け石に水」と指摘する。高等教育関係者からも「教育の質を高めることが優先」との声が聞かれる。大盤振る舞いにも映る構想を、衆院選から2カ月足らずで固めた理由として、来年に控える自民党総裁選、憲法改定を見据えた公明党との連携を意識した、との見方も出ている。少子化対策は社会の根幹に関わる重要な課題だ。それだけに党派を超えて知恵を持ち寄り、中身の濃い計画に仕上げなければならない。政局と混同してはならないことは言うまでもない。

*8-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13284425.html (朝日新聞 2017年12月21日) トランプ氏、援助停止示唆 エルサレム決議、賛成なら
 米トランプ政権がエルサレムをイスラエルの首都と認めた問題で、国連総会(193カ国)が米国に撤回を求める決議案を採決することを受けて、トランプ大統領は20日、「我々に反対する投票をさせておけばいい。我々はたくさん節約する」と語り、決議案に賛成した国には援助を打ち切ることを示唆した。米国の方針に反対する国を脅迫するかのような外交姿勢に反感が高まるのは必至だ。国連総会は21日(日本時間22日午前)に緊急特別総会を開いて、決議案を採決する予定。採択には投票国の過半数の賛成が必要だが、多数の賛成で採択される見通しだ。トランプ氏は20日、ホワイトハウスで開いた閣議の冒頭で「何億ドル、何十億ドルも(米国から)受け取る国が、我々に反対票を投じる」と不満をあらわにし、「我々は投票を見守る」と強調。「米国民は(他国に)利用されるのにうんざりしている。これ以上利用されない」と警告した。またトランプ氏の発言に先立ち、米国のヘイリー国連大使は「大統領は米国に反対した国についての報告を求めている」とする書簡を国連加盟国に送付した。国連総会の採決で加盟国には、「賛成」、「反対」、「棄権」のいずれかのボタンを押すか、そもそも採決に参加しないという選択肢がある。国連総会のライチャーク議長は20日に開いた会見で、トランプ氏を名指ししなかったが、「それぞれの考え方を示すのは加盟国の権利であり責務だ」と強調した。一方、国連関係者からは、米国ににらまれることを恐れて、採決に参加しない国が増えると予測する声も出ている。米国がトランプ氏の発言通りに援助を打ち切るかは不透明だが、実行すれば米国から多額の経済援助や軍事支援を受ける中東諸国にとっては大打撃になる。

<教育の質>
PS(2017.12.13、14《図》追加):*9-1の教育の質(教育内容・供給者・供給体制)は、人材を育てる上で決して無視してはならない課題だ。また、*9-2の大学トップが挙げる重点課題のうち、「能動的学習や対話型授業」が行われていないのは、大教室で教授の言うことを書き留めて覚えることを主とする文系学部の教育で、これでは創造的な技術を導入できる人材を育てることができない。「課題解決型学習」は、国や地方自治体がかかえる課題を近くの大学に投げかけて解を出させ、結果をフィードバックすれば、お互いに有効に機能するだろう。
 なお、*9-3のように、政治とは関係ない筈のオリンピックでロシアが差別されるのは目に余るが、ロシアの選手はバレエの素養があるためか、フィギュアスケートや体操等では技術が確かな上、表現も魅力的だ。つまり、しっかりした基礎をつけておけば何をやってもうまくなるものであるため、私は、小学校を3歳からにして、素人の教諭ではなく専門家が、語学・バレエ・絶対音階・楽器・スポーツなどの基礎となる素養を、子どもを楽しませながら教える仕組にするのがよいと考える。ちなみに、日本のアイドルは、芸がお粗末すぎて鑑賞に堪えない。

    
            幼児教育            2017.12.13日経新聞

(図の説明:小学校を3歳から始めると、これまで時間が足りないためできなかった教育を全員に行うことができる。また、現在は、音楽や英語などの専門家も多くなっているため、専門家が本物の教育をすることが可能だ。さらに、教育の専門家である教諭がやらなければならない仕事とサポートの仕事を分けて分担することによって教育の生産性が上がり、必要な人には相応の報酬を支払うことが可能になって教諭の質を上げることができる)

   
2017.12.13日経新聞                 2017.12.14日経新聞

(図の説明:能動的学習や課題解決型の学習がこれまで行われていなかったことがむしろ驚きだが、高等教育ではグローバルに通用する人材を作らなければならない。ただし、これには留学してMBA等をとってきた人材を関係部署に配置して育てるのではなく、別の仕事をさせてつぶし、社員全員を「何もできない人」にするような日本企業の人の使い方にも問題がある)

*9-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171213&ng=DGKKZO24533460S7A211C1EN2000 (日経新聞 2017.12.13) 教育改革に必要な供給側の質
 幼児・高等教育の無償化の大枠が決まった。経済的理由で子供を持てない、あるいは貧しい家庭の子供たちが進学を断念するといった状況の解消に主眼が置かれている。子供と子育て世代に大胆に政策資源を投入するこれらの政策は、待機児童解消などと並び、社会保障制度を高齢者だけでない全世代型に改革していく第一歩といえよう。ただし、幼児教育、高等教育の課題はこうした需要側だけではない。教育改革では供給側の質も同時に問われなければならない。幼児期は、能力開発、人格形成、情緒と道徳心の涵養(かんよう)などにとって極めて重要な時期であり、教育の役割は重大だ。幼児期の教育が将来の所得向上をもたらすとの研究結果も広く受け入れられつつある。従って、待機児童解消や幼児教育無償化の次に問われるべきは、幼児教育の中身である。だが、教師の質の向上や教育内容充実の議論は、これまでのところあまり行われていない。高等教育の質の重要性はいうまでもない。日本の学生の質の低下が懸念されているが、同時に教育の供給側の質の向上も待ったなしだ。大学側からは入学時の学生の質を問う声が多く聞かれるが、ならば入学時から卒業まで学生の力がどれだけ伸びたかを客観評価し、大学教育の質を問うのも一つの手法である。地方には、偏差値はさほど高くないが、卒業生が引く手あまたの私立大学もある。就職後に必要技能を学ぶ「リカレント教育」も同様だ。長寿化時代でライフステージが複線化するだけでなく、IT(情報技術)、人工知能(AI)がイノベーションを加速させる社会では、リカレント教育のあり方が今まで以上に問われる。単なる教養講座に終わらせず充実させるには、今後、教育機関と産業界、行政が連携を進め、産業界のニーズなどを踏まえた教育プログラムを組み、教育人材の確保、再就職支援にまで取り組む必要がある。企業も社内教育だけでなく、社外教育の活用を視野に、人事制度や雇用のあり方にまで踏み込んで、本気で働き方改革を進めることを求められる。真に教育改革を進めるなら、今回の教育改革で議論の対象になっていない義務教育も含め、一気通貫で教育の質を問い直す場を設けるべきである。

*9-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171213&ng=DGKKZO24535880S7A211C1TCN000 (日経新聞 2017.12.13) 教育改革が重点課題
 大学トップが当面の重点課題と考えていることは何か。選択肢から5つまで選んでもらったところ、最も多かった回答は「教育改革」(85%)で、「研究力の向上」(71%)や「国際化の推進」(68%)が続いた。
学部教育の改革で重視する項目としては60%が「能動的学習や対話型授業の拡大」、39%が「課題解決型学習の拡大」を挙げた。「評価の改善や学習成果の可視化」(38%)、「海外留学の促進」(37%)も多い。ほかは「教養教育」(22%)、「カリキュラムの体系化」(18%)など。低所得層の高等教育無償化が決まり、教育の質の確保が求められているが「進級・学位認定の厳格化」は7%にとどまる。社会人の学び直しニーズへの対応に関わる「既卒者や社会人の受け入れ」も4%と少ない。能動的学習などはきめ細かな指導が必要だが、学生・教員比率(S/T比)の改善について尋ねたところ、36%が「教員数を増やしたい」と答えた。教員増・学生減のどちらも考えていない大学が59%を占め、「学生の削減と教員の増加をともに実施したい」としたのは1%(2校)だった。

*9-3:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/158998 (佐賀新聞 2017.12.12) ロシア選手、平昌五輪参加へ、個人資格で、大統領支持
 ロシア・オリンピック委員会(ROC)は12日、モスクワで総会を開き、来年2月の平昌冬季五輪に同国選手が国旗や国歌を使用できない個人資格で参加することを支持すると全会一致で決めた。ジューコフ会長が発表した。ペスコフ大統領報道官は、プーチン大統領も決定を支持すると表明。この結果、国際オリンピック委員会(IOC)が、ドーピング違反がないことなどを認めたロシア選手は五輪に参加できる見通しとなった。ジューコフ氏は記者会見で「IOCの決定は多くの点で不公平だが、ロシアの栄誉のために勝利をつかまねばならないとの意見で一致した」と説明した。

<“化石”は地球環境と経済の両方に有害>
PS(2017年12月16、19日追加):*10-1-1のように、EV・燃料電池車等の環境対応車や自動運転車は日本が先頭だったが、メディアを巻き込んだ逆噴射によって外国に後れを取り、他国の進歩を見て追随している情けない状態だが、これは、「EVは、エコカーだから走る喜びはない(?!)」などと言うような科学的判断のできない人々の責任である。
 また、*10-1-2の「三菱重工業の火力発電所向けガスタービンが不振」というのも、世界の化石燃料離れから今後も回復する見込みはない。しかし三菱自動車は、世界で最初に燃料電池車を作った会社であるため、工業用・個人用の水素燃料による発電、燃料電池による航空機・船舶を作っていれば、トップランナーでいられ、従業員の転用を行う時間も十分あった筈で、経営者が直ちに正しい意思決定をできることが重要なのである。ちなみに、「ゆっくりした方がよい」などと言うのは、世界中で日本だけだ。
 さらに、*10-1-3の「A重油の値上がりが農漁業に打撃を与えている」という課題も、私が衆議院議員をしていた2005年当時から農漁業関係者に言われていたため、私はエネルギーの変換や省エネが不可欠だと考えて取り組んできた。そのため、10年以上も同じことを言って国民に負担ばかりかけるのではなく、農業なら自家発電・ハウスの省エネ・EV化などを既に進めて終わっていてもよい時期で、燃料費が漁業経費の3割に達する漁業もまた同じである。
 そして、人件費や化石燃料価格が高いのに、運転手付きディーゼルカーを走らせているJRの損益分岐点が高止まりするのは尤もで、*10-1-4のように、JR九州は来年のダイヤ改正で九州新幹線や在来線の運行本数を1日当たり現状より117本減らすそうだが、既にこのブログで書いてきたように、鉄道の経営体質を強化する方法は退却ばかりではない。
 なお、広島の住民が四電伊方原発3号機の運転差し止めを求めた仮処分の即時抗告審で、広島高裁は、*10-2-1のように、阿蘇の巨大噴火の危険性と火砕流到達の可能性が小さくないことにより立地不適として2018年9月末まで運転停止を命じる決定をしたそうだが、これまで苦労を重ねてこられた弁護士はじめ関係者の皆様には敬意を表する。私も、原発は事故を起こせば膨大な被害になるため、事故の確率が0でなければ積算した被害額は大きくなり、速やかに廃炉にしてもらいたいと考えている。
 そのような中、地元四国の新聞はこの司法判断について称賛の記事が多いのに、日経新聞は、*10-2-2のように、「九電瓜生社長は『伊方原発差し止めは残念だ』『火山の状況はモニタリングしている』『マグマの状況など科学的な説明を示して安全性を訴える』と述べた」と書いている。しかし、火山学者は「噴火予知はできない」と言っているので、次は地震・火山・断層・津波に関する安全神話を作らないようにすべきだ。また、*10-2-3のように、2017年12月19日には、政府の地震調査委員会が、「北海道東部沖太平洋で、海抜20m超の大津波を伴うM9級の超巨大地震の発生が切迫している可能性が高い」と予測し、「近畿から西に延びる中央構造線断層帯は、四国を横切って大分県に及ぶ」と改めたそうだが、プレートの境界を見ると阿蘇山から霧島連山も含んでいると考えた方が自然である。

 
2017.12.16日経新聞        2017.12.14、19東京新聞

(図の説明:世界は自然エネルギーに方向転換し、環境に悪い化石燃料や危険な原発は過去のエネルギーとなりつつある。日本でも、自然再生可能エネルギー・水素燃料・電気エネルギーを使うのが、最もエネルギー自給率を上げ、経済と環境によいだろう)

*10-1-1:http://qbiz.jp/article/124671/1/ (西日本新聞 2017年12月16日) EVや燃料電池車ずらり AI搭載の自動運転車も 福岡モーターショー
 クルマと変えよう暮らしの未来」をテーマに開幕した福岡モーターショー2017。会場には最先端の電気自動車(EV)や水素で走る燃料電池車(FCV)、人工知能(AI)を搭載した自動走行車など計204台が並び、大勢の自動車ファンたちが車の将来像に思いをはせた。 世界的な環境規制強化で「EVシフト」が鮮明になる中、注目を集めたのはEVのコンセプトカー。ホンダのスポーツカー「ホンダ・スポーツ・EV・コンセプト」は車体の重心が低く、EVが得意にする加速時の安定走行を可能にする。EVはエコカーのイメージが強いが「EVの世界でも走る喜びを提供する」(広報担当者)。ダイハツ工業は、低床で広い室内空間を確保した商用EV「ディーエヌ プロカーゴ」を出展している。トヨタ自動車は、3分程度の水素充填(じゅうてん)で約千キロの走行を目指すFCVのコンセプトカー「ファイン−コンフォート ライド」を展示。FCVは水素ステーション数が少ないなどの理由で普及が遅れているが、航続距離や充電時間などでEVより優位に立つ。先行開発推進部の内藤了輔主任は「FCVの得意分野は長距離なので、EVとのすみ分けが起きてくる」と分析する。各自動車メーカーは、AIを活用した自動運転技術もアピールする。三菱自動車は、AIが運転手に路面状況などを伝え、運転操作をアドバイスするコンセプトカー「ミツビシ e−エボリューション コンセプト」を披露。日産自動車もAIなどを搭載し完全自動運転を目指すコンセプトカー「ニッサン IMx」を展示している。IMxが自動運転モードに切り替わると、ハンドルが格納される様子を見ていた熊本市の会社員野崎大貴さん(23)は「自動運転の技術が急速に発展している気がする。実現化が待ち遠しい」と目を輝かせた。会場では発売予定の最新型車のほか、高級車やバイクなども間近に見ることができる。

*10-1-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171216&ng=DGKKZO24704800V11C17A2TJ2000 (日経新聞 2017.12.16) 三菱重、火力不況が直撃、主力重電「低迷2年続く」 欧米大手、リストラ先行
 三菱重工業の屋台骨がきしんでいる。15日には宮永俊一社長が主力の火力発電所向けガスタービンの不振が少なくとも今後2年は続く見通しを明らかにした。営業利益の7割を稼いだ主力部門の失速は、MRJや造船の不振とは影響の大きさが違う。世界の需要が半分以下に縮む「火力不況」で、先行して大胆なリストラ策を打ち出した欧米大手に対抗できるか。15日、7カ月ぶりに開いた記者会見で宮永氏は「パワー(発電所向け)があれほど急激に落ちたのは想定外だった」と危機感をあらわにした。温暖化ガスの削減義務を新興国にも求めるパリ協定の成立で、太陽光や風力など再生エネルギーの普及が加速。同社が得意とする出力30万キロワット超の大型ガスタービンは市場の収縮が止まらない。環境急変に対応し、独シーメンスは11月に6900人の人員削減を発表。米ゼネラル・エレクトリック(GE)も12月に入って1万2千人の大規模なリストラを公表した。ただ宮永氏は「日本の企業にレイオフはなじまない」とリストラを否定する。全国5カ所にある製造拠点の再編や効率化に活路を見いだす考えという。だが、悠長に構えている余裕はない。2018年3月期のパワー部門の受注高は前期比2割減の1兆4500億円の見通し。当初のプラス想定を5千億円引き下げた。「GEがあり得ない価格で出してくる」(関係者)というライバルの安値攻勢にも手を焼き、採算も悪化。営業利益は当初想定の3分の2の1千億円にとどまるとみている。ガスタービンを手がける三菱日立パワーシステムズ(MHPS)の安藤健司社長は「大胆な価格を提示して、少し無理をしてでも取りにいく」と採算度外視の受注もあると強調する。しかし、肝心の需要が出てこない。シーメンスによると大型ガスタービンの世界需要は年間110基程度。これに対して世界の生産能力は4倍近い年400基に達し、供給能力の過剰感が目立つ。三菱重工は巨額損失を計上した豪華客船や納入延期を繰り返すMRJなど負の連鎖が続く。だが、ガスタービンは同社の屋台骨。17年3月期には旧エネルギー・環境部門(現パワー部門)が営業利益の7割を稼いだ。客船やジェット機など「夢のある事業」(関係者)でつまずいても、後ろに控える安定感抜群のガスタービンが安心材料だった。14年には仏アルストムの重電部門買収で「打倒GE」を旗印にシーメンスと組み、敗れはしたものの存在感を示した三菱重工。それから、わずか3年の市場急変だ。GEでは8月に就任したジョン・フラナリー最高経営責任者が電光石火でリストラを加速している。世界は待ってくれない。宮永氏は来春で就任5年の節目を迎える。祖業の造船部門の分社など改革を断行した5年を「この会社に足りないのは意思決定のスピードだと感じた」と振り返った。何よりスピードが求められているのは今なのかもしれない。

*10-1-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171216&ng=DGKKZO24702360V11C17A2QM8000 (日経新聞 2017.12.16) A重油、3カ月で18%上昇 農漁業に打撃
 ビニールハウスの暖房や漁船燃料に使うA重油が値上がりしている。国内スポット(業者間転売)価格は1リットル56.8円前後(海上物)と前月比で2%、3カ月前に比べ18%高い。漁業者への卸価格も上がっている。例年より早い寒波の到来に原油高が重なり、農家や漁師の負担が増えている。農林水産省によると、A重油購入などの光熱費は農業経営費の2~3割を占める。ピーマンは26%、バラは31%が燃料代だ。「今年は寒くなるのが早く2週間ほど早めに需要期を迎えた」(全国農業協同組合連合会)。漁業への影響も出始めている。全国漁業協同組合連合会(東京・千代田)のA重油販売価格は前年同月比で2割高く、漁師から悲鳴が聞かれるという。燃料費は漁業経費の3割に達する。今年はイカやカツオ、サンマが不漁だったため、A重油価格の上昇が打撃になっているという。一度に3キロリットル程度給油するという岡山市の洋ラン農家は「1円上がっただけでシーズンの出費が数万円増える」と話す。価格がさらに上がると温度を下げざるをえず、出荷遅れを懸念する。長崎県佐世保市のミカン農家は「燃料費がかさむと栽培可能なギリギリの温度に設定するため品質に関わる」とこぼす。

*10-1-4:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/160489 (佐賀新聞2017.12.16) JR九州 運行117本減 過去最大、佐賀は7本、来年3月ダイヤ改正
 JR九州は15日、来年3月17日のダイヤ改正で、九州新幹線や在来線の運行本数を1日当たり現状より117本減らして3011本とすると発表した。九州全7県が対象で減少規模は過去最大。佐賀県関係は7本削減のほか、始発や最終便の時間繰り上げなどがある。沿線の人口減少を踏まえた鉄道事業の合理化が狙いで、運転区間の短縮や運行日の見直しも行う。ただ、利便性が損なわれることになり、さらなる利用減を招く可能性もありそうだ。博多(福岡市)―鹿児島中央を結ぶ九州新幹線は6本減らして119本とする。在来線では、特急が24本減の277本、快速と普通列車が計87本減の計2615本となる。佐賀県関連では、筑肥線(唐津-伊万里)の最終列車を上下とも約1時間半繰り上げる。唐津線は多久-西唐津の早朝1本の運転を取りやめ、佐賀-西唐津の始発を現行より22分遅くする。長崎線は肥前山口発の最終列車の運転区間を短縮し、諫早行きを肥前大浦まで、多良行きを肥前浜までに変更。肥前山口-佐世保の最終も23分繰り上げる。博多-長崎の特急は、平日の利用が少ない午前10時台~午後3時台の上下各2本を土、日曜日、祝日だけの運行とする。佐賀発の上りの最終や、下りの午後10時台の1本を取りやめ、前後の運転時間の変更などで利便性を確保する。2017年3月期の連結売上高は鉄道事業が4割超を占める。単体での鉄道事業の営業損益は会計処理に伴う費用軽減分を考慮しなければ87億円の赤字となる。福永嘉之鉄道事業本部副本部長は「他事業の黒字で埋めればいいものではなく、鉄道事業を永く続けるために経営体質を強化しなければいけない」と説明する。改正内容では、「早朝や深夜、昼間など利用が少ないところを見直し、通勤、通学の時間帯は(できるだけ)現状のままにした」と語った。佐賀県は今後、県内沿線の影響を把握するとともに、JR九州に利便性の確保を要望する。副島良彦副知事は「公共交通機関に頼っている地域もあって非常に厳しく、本数が減るのは誠に遺憾。県の実情や沿線の声をいろんな形でJR九州へ届けていく」と述べた。

*10-2-1:http://www.kochinews.co.jp/article/145907/ (高知新聞 2017.12.14) 【伊方原発】運転差し止め決定は重い
 原発の安全性について、あまり注目されてこなかった角度から司法が疑問を呈した。広島の住民らが四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求めた仮処分の即時抗告審で広島高裁は、来年9月末まで運転停止を命じる決定をした。最大の理由は、阿蘇の巨大噴火の危険性だ。火砕流が到達する可能性が十分小さいとは言えないとして、立地を不適とした。3号機は昨年8月に再稼働し、ことし10月から定期検査のため停止している。来年1月に運転を再開する四電の計画は事実上不可能になったといってよい。原発の再稼働を巡っては、伊方を含め、各地で運転差し止めの仮処分申請が相次いでいる。地裁段階では判断が分かれているが、高裁が運転停止を命じたのは初めてだ。火山は全国各地に存在する。大きな課題を突き付ける、重い決定といえよう。政府や電力企業、安全審査を担う原子力規制委員会も深く受け止める必要がある。決定で広島高裁は、約9万年前に阿蘇で発生した「カルデラ噴火」に触れ、四電の火砕流シミュレーションの甘さを指摘した。研究では、この時の噴火は火砕流が100キロ先まで到達し、山口県に達したことも分かっている。阿蘇の火砕流が海を越えて伊方に到達する危険性は、簡単に想像できるものではない。違和感を持つ人もいるだろう。思い返したいのは東京電力福島第1原発事故だ。大津波の襲来を過小評価し、悲劇を招いた。自然の脅威を謙虚に受け止めることが大きな教訓である。火山の影響も軽んじることはできない。だが、原発回帰は進んでいる。規制委トップが新規制基準に適合しても「絶対安全とは言わない」と主張している中で、だ。決定はこうした現状に改めて疑問を投げ掛けるものでもあろう。広島高裁は他方で、地震や津波など火山被害以外の新規制基準、四電の想定は「合理的」とした。伊方原発は北側に巨大活断層の中央構造線が走る。原告は、四電が耐震設計の目安となる基準地震動を過小評価しており、新規制基準の実効性の不十分さも主張してきた。決定は、地震と火山とでは明らかに判断が異なっている。大きな疑問を残したといえよう。伊方3号機の運転差し止めを求める仮処分を巡っては、今後も司法判断が続く見込みだ。松山地裁の却下決定を受けた高松高裁の即時抗告審のほか、大分地裁、山口地裁岩国支部でも審理が続いている。四電は広島高裁に対し、早急に異議申し立ての手続きを取る方針だ。裁判長は近く定年退官するため、新裁判長による審理が注目される。福島第1原発事故のような惨劇を繰り返してはならない。安全を求める住民の当然の権利に対し、司法の責任は重い。

*10-2-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171216&ng=DGKKZO24697760V11C17A2EA6000 (日経新聞 2017.12.16) 九電社長、伊方原発差し止め「残念」 火山の状況注視
 九州電力の瓜生道明社長は15日、都内で開いた記者会見で、広島高裁による四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県)の運転差し止めに対して「残念だ」と述べた。高裁は熊本県の阿蘇山が過去最大規模の噴火をした場合の安全性の観点から伊方原発の立地を不適当だと判断した。九電は熊本県と同じ九州の佐賀県と鹿児島県に原発を持つ。瓜生社長は原発運転期間中に高裁が指摘したような噴火が起こる「確率は非常に低いと思っているし、確認のために火山の状況はモニタリングしている」と説明。自社の原発に対する差し止め訴訟では「地下のマグマの状況など科学的な説明」を示して安全性を訴えるとした。神戸製鋼所のデータ改ざんを受けて玄海原発(佐賀県)の再稼働時期を延期した問題で、神戸製鋼への損害賠償請求は「(するかしないかも含め)弁護士と相談中だ」と述べた。再稼働が遅れると原発の代わりに稼働させる火力発電所の燃料費がかさむが、2017年度業績については「発表(した予想)どおりになるよう全社をあげて対応する」とした。

*10-2-3:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017121901001512.html (東京新聞 2017年12月19日) 北海道東部沖で「M9切迫」 政府調査委、大津波も
 政府の地震調査委員会(委員長・平田直東京大教授)は19日、北海道東部沖の太平洋で、大津波を伴うマグニチュード(M)9級の超巨大地震の発生が「切迫している可能性が高い」との予測(長期評価)を公表した。道東沖では340~380年間隔と考えられる超巨大地震が約400年前に発生。北海道大の研究では、この時の津波は海抜20メートルを超え、沿岸から4キロ内陸まで浸水したと推定されている。同時に四国地域にある主な活断層の長期評価も公表。近畿から西に延びる「中央構造線断層帯」は四国を横切り、大分県に及ぶと評価を改めた。断層帯の長さは360キロから444キロになった。

<燃料電池と太陽光発電、次の展開へ>
PS(2017年12月22、26日追加):*11-1の仏ルノーのゴーン会長兼最高経営責任者退任は寂しいが、後継者として欧州エアバスのブレジエ最高執行責任者の名前が挙がっているのは、エアバス社が航空機に燃料電池や電動を取り入れる準備が進みそうで期待が持てる。是非、ゴーン氏も何らかの役職に留まって企業連合全体を統括してもらいたいものだ。
 なお、EV・燃料電池と太陽光発電を組み合わせれば、我が国は「資源のない国」どころか「エネルギー自給率の高い資源大国」になれる。そして、EVと同様、太陽光発電も1995年前後に私が経産省に提案してから20年以上が経過し、最初は100%日本製だったにもかかわらず、現在では、*11-2のように、2016年のシェアで上位5位以内に日本勢は1社も入っておらず、スリム化することしか思いつかない状況なのである。この原因には、非科学的・感情的思考が多い文系出身者の理系教育の不十分さとそれによる世界競争を考慮しない視野の狭い競争と反発のような次元の低い思考過程がある。

*11-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171222&ng=DGKKZO24921130R21C17A2EA1000 (日経新聞 2017.12.22) ゴーン氏、ルノーCEO退任観測 仏紙報道 来年任期
 仏ルノーのカルロス・ゴーン会長兼最高経営責任者(CEO、写真)が退任するとの観測が浮上している。レゼコー、フィガロなどの現地メディアは21日までに、ヘッドハンティング会社による後継者の選定が始まったと報じた。改選期を迎える2018年の株主総会に向けた駆け引きが激しくなりそうだ。ゴーン氏のルノー取締役としての任期は18年6月15日に開かれる株主総会で切れるため、CEO職の去就に注目が集まっていた。CEOを交代する場合、株主総会までに後任を選ぶ必要がある。ルノーは2月に経営委員会を招集し、候補者を決めるとみられる。現状では人材会社に社内人材の評価や外部人材のヘッドハンティングを依頼し、候補者を選んでいる段階とされる。現地メディアでは後継候補として、ルノーでものづくりを統括するチーフ・コンペティティブ・オフィサー(CCO)のティエリー・ボロレ氏や販売担当責任者のティエリー・コスカス氏の名前が挙がっている。ルノーの広報担当者は報道についてコメントを避けた。外部の人材では、欧州エアバスのファブリス・ブレジエ最高執行責任者(COO)らの名前が取り沙汰されている。同氏の名前は2~3年前から挙がっている。自動車業界では、トヨタ自動車のディディエ・ルロワ副社長、仏グループPSAのカルロス・タバレスCEOらの名前も挙がる。タバレス氏は元ルノーでゴーン氏の懐刀的存在だった。ただ、外部の人材はよほどの逸材でないと難しいとの見方が強い。仏政府は外国人CEOを避けたがっているとの観測もある。1999年に始まったルノーと日産自動車の提携関係は20年近くに及ぶが、16年に新たに企業連合に加わった三菱自動車を含め、各社の成長は今もゴーン氏のリーダーシップに依存している側面がある。ルノーのCEOを退任する場合にもゴーン氏はなんらかの役職にとどまり、日産や三菱自の会長職も続けながら企業連合全体を統括するとみられる。

*11-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171226&ng=DGKKZO25048780V21C17A2TI1000 (日経新聞 2017.12.26) 太陽電池、日本勢スリム化 シャープ、子会社移管 パナソニック、国内を縮小
 日本の太陽電池メーカーが事業の抜本改革を急いでいる。シャープは2018年春に開発や設計、保守、海外営業など本体の数百人の人員を販売子会社に移管し、蓄電池や家電を組み合わせた提案営業を強化する。パナソニックや京セラは生産を縮小する。日本企業のシェアは中韓勢に押され下がり続けており、事業をスリム化して収益を確保できる体質をめざす。2005年時点の太陽電池の世界シェア(生産量)は、上位5位中4社が日本企業だった。だが再生エネルギーの買い取り価格引き下げや中韓勢の低価格品の流入で日本勢の劣勢が続く。16年のシェア(出荷量)では上位5位以内に日本勢は1社も入っていない。シャープは太陽電池の研究開発や保守管理を手がける葛城工場(奈良県葛城市)の社員などを販売子会社シャープエネルギーソリューション(SESJ、大阪府八尾市)に移管する。開発や間接部門から営業への異動など、配置転換も含めて検討する。今後は住宅や建材メーカーに太陽光パネルを供給するだけでなく、開発部隊などが営業に同行して現場の需要動向に即応できる体制にする。シャープの太陽電池事業は、16年8月に鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入って以降、原料であるシリコンの調達価格契約の見直しにより17年3月期に営業黒字に転じた。だが同期の売上高は1036億円とピーク時(14年3月期)の4分の1程度になっている。12年に始まった再生エネの固定価格買い取り制度(FIT)の見直しで価格が当時の半分程度まで下落しており、シャープ以外も事業見直しを急いでいる。パナソニックの太陽電池事業は17年3月期に初めて赤字に転落した。国内市場の落ち込みにより、「セル」と呼ぶ中核部材を作る二色の浜工場(大阪府貝塚市)は停止中で、島根工場(島根県雲南市)も稼働率が低迷している。太陽光パネルの組み立て工程を担ってきた滋賀工場(大津市)は17年度内に生産を終了する。国内シェア首位の京セラも採算性改善のため生産再編で選択と集中を進めてきた。太陽光パネルに関しては三重県伊勢市と米工場での生産を中国と東近江市に集約した。太陽電池の製品販売も補助金優遇が進むタイなど東南アジアへのシフトを進めている。営業担当者も異動などで海外を増やしている。

<科学的・論理的思考の欠如と集団主義が根本原因>
PS(2017年12月24日追加):*12-1に、博多発東京行き「のぞみ」の台車に亀裂があった問題で、「①小倉駅を発車して乗務員が焦げたような匂いに気付き、福山-岡山間で乗客から車内にもやがかかっていると申告があり、岡山から検査班が乗り込んで確認して『異常なし』と告げた」「②JR西の乗務員は新大阪駅でJR東海の乗務員に引き継ぐ際にも『異常なし』と口頭で報告した」「③JR西には、走行中に異常音があったらすぐに停車するなどを定めたマニュアルがあるが、異臭については決められていなかった」と書かれている。また、*12-2に、「④2日に1度、目視による台車検査を実施するが、ファイバースコープや超音波による非破壊検査は実施していない」「⑤JR西は列車数に余裕がないため、列車交換ができなかった」というその原因が記載されている。
 しかし、①②のように、明らかに異常があるのに「異常なし」として列車を使い続ける安全よりも社内の人間関係を重視する誤った価値観、③のマニュアルに書いてなければ安全だとする思考力の欠如、④の目視だけで検査できると考える非科学性、⑤の列車交換も可能にしておくセキュリティー概念の欠如 など、時間の正確さを損なわずに安全を維持する工夫がない。そして、その根本には、ゆとり教育と推薦入学で必要な知識を持たず、甘い価値観を持った人間が見え隠れする。つまり、基礎教育不十分が根本原因であるため、こういうことが、命に関わる医療やメディアを始め全分野で進んでいるという恐ろしい事態なのだ。

*12-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201712/CK2017122002000238.html (毎日新聞 2017年12月20日) 【社会】新幹線亀裂「異常なし」引き継ぎ 新大阪駅でJR西乗務員
 博多発東京行き新幹線のぞみの台車に亀裂が見つかった問題で、JR西日本の乗務員が新大阪駅でJR東海の乗務員に引き継ぐ際、「異臭はあったが異常はない」と口頭で報告していたことが二十日、JR東海への取材で分かった。両社が具体的なやりとりを調べている。JR西は十九日の記者会見で、新大阪駅でJR東海に運転状況と車両状況が引き継がれたと説明し、「内容については調査中」としていた。異常音や異臭を感知していたが結果的に運行は続いており、指令所と車掌のやりとりの中では走行を止めるという判断はされなかったという。JR東海などによると、のぞみは十一日午後四時ごろ新大阪駅に到着。福山(広島県福山市)-岡山(岡山市)間で乗客から車内にもやがかかっていると申告があったが、JR西の乗務員は交代時に「岡山駅から検査班が乗り込み、異常がないかどうか確認した」として、「異常はない」と告げていた。JR西によると、新幹線の走行中に異常音があった場合はすぐに停車するなどのマニュアルがあるが、異臭については特に決めていないといい、担当者は「今回は異臭や異常音がずっと続いたわけではなく、直ちに支障が出るものではないと判断した」としている。のぞみは十一日午後に博多駅を出発し、小倉駅(北九州市)を発車した際、乗務員が焦げたようなにおいに気付いた。さらに岡山駅を過ぎてうなり音が確認され、名古屋駅で運行を取りやめた。

*12-2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2492306021122017TJ1000/ (日経新聞 2017/12/21) JR西新幹線トラブル 運行と検査の体制に穴
 JR西日本が東海道・山陽新幹線ののぞみで台車に亀裂が入ったまま運行を続けたトラブルは、2つの問題を浮き彫りにした。一つは異常に気がついても列車を止められなかった運行体制。もう一つが亀裂の予兆を見落とした検査体制だ。「新幹線は遅らせてはいけないという深層心理がある」。JR西の関係者は打ち明ける。JR西はJR東海より新幹線の列車数に余裕がなく、車両繰りに苦労している。新幹線のトラブルでの重大インシデントは今回が初めて。博多駅を出発した列車が運行中に異音やにおいが発生しているにもかかわらず走り続け、JR東海が名古屋駅で台車の亀裂を発見。岡山駅で乗り込んだJR西の保守担当が異常を感知したが停止させなかった。JR西の来島達夫社長は「運行ダイヤ優先ではない」と否定する。だが新幹線は鉄道収入の5割を稼ぐ主力事業。在来線は異常が見つかればすぐに停止して点検する。一方、新幹線は運行中に年100件程度の異音が報告されるが、列車を止めて点検をすることはほとんどない。JR西は2005年に乗客106人が死亡する福知山線脱線事故を起こした。事故を受けて「安全性向上計画」を策定し、自動列車制御装置の導入など年1000億円規模の安全投資を続ける。ヒューマンエラーの研究なども進めてきたが、安全優先の意識が現場まで徹底できたかどうか。もう一つの問題が点検体制の不備だ。JR西と東海は2日に1回のペースで目視による台車検査を実施する。一定期間走行した後も部品などを取り外してより精密な目視検査を行う。だが、今回亀裂が起きた場所は力が集中しない場所と判断し、細かいキズの有無を確認する非破壊検査を実施していなかった。JR西は当面、運行の合間に新たに非破壊検査を実施する。将来は振動センサーを台車部分に設置して運行中でも運転席から異常を検知できるシステムの導入を目指す。JR東海も目視で確認しにくい狭い場所に入り込めるファイバースコープや素材内部も確認できる超音波など、非破壊検査の対象拡充を検討する。今回の重大インシデントの原因は国土交通省の運輸安全委員会で調査を進める。JR西と東海は抜本的な解決策は結果が出てからとしている。

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2017.11.12 政治家に占める女性の割合が小さくなる理由は何か (2017年11月13、15、16、18、20、23、24、26、28、29、30日、12月1、2、3日追加)
  
  政党別当選者像     選挙前からの増減      女性当選者の推移
 2017.10.23西日本新聞               2017.10.23西日本新聞

(1)衆議院議員の選挙結果は男女平等か
1)第48回衆議院議員選挙の結果
 世界経済フォーラム(WEF)は、*1-1、*1-2のように、2017年11月2日、世界各国の男女平等度合いを示した2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」を発表し、日本は女性閣僚や女性議員の少なさから政治が123位と20位も順位を下げたそうだ。女性の健康と識字率については世界1だが、高等教育進学率は101位と低く、専門職や技術職には女性が少なく、これらが男女の収入格差の一因となり、女性は同じ専門職や技術職でも採用・配置・研修・評価・昇進で差別されがちであるため、それらの総合的な結果として今回の順位が出ているわけである。

 世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」で日本の順位が次第に下がってきた理由は、他国はまじめにジェンダー・ギャップの解消に取り組んでいるが、日本は掛け声倒れに終わっているためで、①一般国民が両親として子にジェンダーを含む価値観を与え、教育の選択を行っている ②公立高校でさえ男女別学にして男女で教育内容を違えている地域がある ③職場での採用・配置・研修・評価・昇進や選挙を通じて女性差別を行っている などが、その背景にある。また、私立学校には、小学校から男女別学のところさえある。

 その結果、「女性の幹部社員や政治家の少なさは『家事との両立困難』『女性自身のチャレンジ精神のなさ』などが原因だ」とするようなメディアの論調も多く、家事を女性の役割と決めつけ、女性は積極的でないとする男性中心社会の女性に対する偏見や責任転嫁があるが、家事は収入が多ければ外部委託でき、残りの家事をどちらが分担するかは家庭内の経済格差によって合理的に決まるため、本当はチャレンジ精神のある女性が全女性に占める割合は、チャレンジ精神のある男性が全男性に占める割合より少なくはないだろう。
(注1:動物行動学では、「人間に近い猿で、海水でイモを洗う新しい行動を始めたのはメス猿で、子猿たちがそれを真似して次世代に伝え、イモ洗い行動はその群れの文化となったが、大人のオス猿は最後まで新しい行動をしなかった」という研究事例がある)

2)今回の当選者と女性について
 このように、女性蔑視やジェンダーによる差別によって作られた形式上のもしくは実際の実力差のため、国民のリーダーとなるべき国会議員に占める女性割合は増えないわけだが、*1-3のように、西日本新聞が衆院選当選者を分析したところ、前職81.0%で、平均年齢54.8歳、出身は首長・地方議員などの地方政界が31.5%と最多で、国・地方を合わせた官僚・議員秘書がともに15.8%で同数だったそうだ。

 また、女性が全当選者に占める割合は10.3%で、「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という政府目標には遠かった。私は、「家事を担ったことがなく、自分は消費者ではないと考えている男性が多いため、このような馬鹿な政策が行われて惨憺たる結果が出ている」と感じることが多いため、2020年に指導的地位に占める女性割合を30%にするという政府目標は達成すべきだと考える。

 そのためには、「女性蔑視やジェンダーを無くして、堂々と30~50%の女性が議員に当選する状況を作る」というのが正論だが、女性が候補者となることすら難しいジェンダーの多い地域も少なくないため、*1-4のように、「クオータ制を推進する会」代表の赤松良子元文科省らが「政治分野における男女共同参画推進法案」の成立を働き掛け、各政党に対して衆院選の比例代表で女性候補を名簿上位とするよう求めるなどの取り組みを提案していたわけである。これを逆差別だと言う男性は多いが、私は、女性の当選を不利にする強固な障害が背景にあるため、その背景がなくなるまでは、この仕組を逆差別だとは思わない。

(2)女性蔑視を振りまくメディアと周辺の対応
 メディアは、連日、豊田真由子前衆院議員が元秘書の男性に暴言や暴力を行ったと報道していたが、豊田議員の地元固めの努力に比べて、元秘書の“失敗”はひどすぎる上、録音・録画がなされていたことから、豊田議員は陥れられたように思えた。しかし、*2-1のように、埼玉県警は豊田前議員が落選したところを見計らって、「傷害」「暴行」の疑いで書類送検したそうだ。

 ちなみに、私も、2005~2009年の衆議院議員時代、国会のない日は、地元廻りに精を出し、国政報告会を開き、地元の式典に参加したりして、盆も正月もなく草の根の活動をしていたが、「(ミスだらけの)秘書が大変ね」と言う人は多かったものの、私に対する労いや励ましの言葉は夫以外からはあまり聞かなかったので、その状況が推測できるのである。

 しかし、*2-2、*2-3、*2-4のように、当選を重ねて「希望の党」の代表選に出られた大串氏の場合は、「大串氏『保守王国崩す』、草の根の活動結実」と称賛されている。私は、大串氏と同じ地元活動をしていたので、同じ行動に対するこのようなメディアの論評の違いが世間に流布し、一般の人の先入観となって女性に対する強固な天井を作っていると確信する。

 なお、私は、佐賀県の式典でご一緒することが多かったため大串氏をよく知っており、その能力を認めており、大串氏の野党との統一会派を目指す路線にも賛成で、あくまで路線闘争を正面から訴える作戦を貫いて今後の流れに繋げることも重要だと思っているが、同じことを女性がやるとおかしな論評をするメディアをはじめ一般国民の意識が問題だと指摘しているのである。

 そして、ジェンダーについては、*2-5のように、佐賀新聞だけでなく全国紙の朝日新聞もメルケル首相に関して、「首相になって12年。実直で優れた指導力から『鉄の女』とも評される」「地元では、情を尽くして有権者と触れあう素顔を見せた」「政治家が地盤を守るには泥臭さもいる」などと記載している。しかし、女性がリーダーとして当然のことをすれば「鉄」と表現するのはジェンダーそのものであり、女性リーダーをやりにくくする。また、有権者と触れあう機会を多く作って有権者のニーズを知るのは男女にかかわらず政治家として当然のことだ。さらに、有権者のニーズを知って必要な政策をとるのは泥臭いことではなく当然のことだが、解決法を誤ればモリ・カケ問題のようになるため、見識の高さが必要なのである。

(3)私に関する偏向報道の事例
1)女性蔑視で偏向した報道とブログ
 私に対してなされた典型的な女性差別は、*3-1のように、週刊文春に、「83会の奇人変人」という題名で書かれた「東大卒で公認会計士という経歴をもつ広津女史。エキセントリックな点があり、ストレートにモノを言う。党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る」というものだ。

 この記事は、東大卒でも専門職でもない男性読者が「わが意を得たり」と感じるように、女性蔑視をふんだんに盛り込んだ真実ではない内容を記載しており、その結果、私の後援会作りを邪魔し、自民党の公認を得るのを妨げ、ひいては衆議院議員という職を失わせたため、「名誉棄損」「侮辱」として東京地裁に提訴して東京高裁で完全勝訴したものだ。しかし、日本の裁判所は、機会費用を認めないところが不完全である(http://hirotsu-motoko.com/weblog/index.php?c=19-22 参照)。

 また、*3-1のブログは、「自民党から小選挙区で公認してもらえなかったから」「自民党の比例区の名簿で優遇してもらえなかったから」という理由で(みんなの党に)来たらしい候補がいますね。・・・とくに広津前議員は、真偽の程はわかりませんが、以下の記事を読む限りでは、かなり“電波”な人では?」として、この女性蔑視の偏見に基づいた週刊文春の虚記事を引用し、2009年の衆議院議員選挙直前から掲載し続けている。さらに、このブログは反論もできない上、削除依頼もできない状態になっているのだ。

 そして、国会議員・公認会計士・税理士は、どれも人から信頼されなければできない仕事で、私はそれを築くために一生をかけて努力してきたため、この政治活動の妨害や営業妨害は、一般の女性のように笑って受け流したり、気分を変えたりすれば済む話ではない。

2)底の浅い決めつけ報道
 西日本新聞は、*3-2のように、政治取材に携わって20年余で、劇場政治の危うさとうさんくささは骨身に染みていたと言う記者が、「①『劇場型政治』はもう終わりに」「②郵政解散当時の小泉純一郎劇場のように爆発的人気を集めた劇場はなかった」「③1番人気は安倍劇場だったが、5年近くも同じでは観客に飽きがくる」「④耳目を集めるだけの劇場型政治は終わりにして地に足の着いた政策本位の政治にしてほしい」「⑤芸は未熟なのにスターと思い込み、トラブルを引き起こす「チルドレン」役者が増殖しなかったことだけはよかった」と記載している。

 しかし、②は、まさに政策を問うて解散した選挙であり、その後の解散総選挙はすべて政策を問うているため、④も当たらない。それでも、耳目を集めるだけの劇場型政治と感じたのであれば、それは、20年余りも政治取材に携わってきたという西日本新聞記者の底の浅い理解とそういう理解に基づいた内容のない報道の結果である。また、①の西日本新聞記者が言う“劇場型政治”は、実際には政策を主張して選挙を行い、国民はそれに注目したものであるため、これを終わりにすれば主権在民・民主主義は成立しない。さらに、③の「5年近くも同じでは観客に飽きがくる」というのは、それこそ政策を論評しておらず、自分がプレイヤーの主権者であることを忘れ、観劇する客であるかのように思っているレベルの低い発言だ。

 なお、九州で、⑤の「芸は未熟でトラブルを引き起こす『チルドレン』役者が増殖しなかったことだけはよかった」というのは、上記(3)1)などを前提にした私のことだと思うが、(3)3)に書くように、政治経験が長いから有能で、そうでないから未熟な「チルドレン」だと論評すること自体、年功序列の発想に基づいており、実力や成果を重視しない決めつけだ。そして、私の場合は、私がトラブルを引き起こしたのではなく、問題でないものを問題視したり、トラブルにしたりされたものであるため、原因のありかを間違わないようにしてもらいたい。

3)では、長期間政治に関わったという人は、国のためになることをしたのか
i)国の歳出について
 財務省は、*3-3のように、2017年11月10日、国債(949兆9,986億円)・金融機関からの借入金(52兆6,532億円)・政府短期証券(77兆7,888億円)を合計した国の借金が9月末時点で1,080兆4,405億円となり、過去最大(最悪)を更新したと発表した。

 しかし、この間、必要十分な年金積立金は積まれず、介護保険制度も時間ばかりかかって不十分で、少子化が著しくなるまで保育所の整備もされなかった。さらに、多額の農業補助金を使って耕作放棄地を増やし、食料自給率を先進国の中で最低にし、そのほかにも馬鹿な政策を多々行っているのだから、議員・官僚・議員秘書などとして長期に渡って政治に関わってきた人こそ、必要なことをした実績がなく、政治家として不適格な人が多いわけである。

 そして、今後、どうしても行わなければならないのは国への複式簿記による公会計制度の導入であり、これによって国の収支の全貌が発生主義で網羅性・検証可能性をもって開示されるようになれば、本当に役立っている政策に効果的に予算を付けられ、より小さな歳出でより大きな効果を得られるようになる(http://www.jbaudit.go.jp/koryu/study/mag/pdf/j22d05.pdf#search=%27%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%85%AC%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%88%B6%E5%BA%A6%27 参照)。

 なお、私は、公認会計士・税理士として第二次・第三次産業の多くの企業を見てきた経験から、農業政策については衆議院議員になってすぐ、①農業の規模拡大による生産性向上 ②生産物のブランド化による付加価値向上 などを提唱し、私が発案したふるさと納税とも相まって、次第に実現しつつある。また、介護保険制度や保育については、東大医学部保健学科卒の知識と働く女性としての経験により、私が経産省に提唱してできたが未完成で、年金制度については、公認会計士として企業には退職給付会計を導入したが、公的年金は未導入という具合だ。

 このように、私は、この25年間、重要な改革を提言して実現させてきた実績があるが、これらは、長期間、政治家をしていたからできたのではなく、東大医学部保健学科卒で公認会計士・税理士としてBig4で働いてきたから持っている知識と実務経験があるからできたものである。

ii)環境について
 マクロ経済学は環境や資源の制約、人口構成の変化によるニーズの変化、技術革新などを与件として考慮しないが、地球温暖化等の公害防止と経済成長は、エネルギーの転換や製造方法の変換で両立できるもので、転換期には投資が増えるため、経済成長はむしろ促進される。

 そのため、*3-4のような「パリ協定」や再エネ・省エネなどへのエネルギー転換は、化石燃料の少ない日本にとっては願ってもない福音の筈だが、「太陽光発電のコストは高い」等々のくだらない理由を付けて化石燃料や原発再稼働に固執し、エネルギーの転換に消極的なのが、その殆どを男性が占める我が国の政治家及び経済界のリーダーたちなのである。

 私は、水・食品・空気(洗濯機の水を見れば空気の汚れ具合がわかり、これは地域によって異なる)に関心を持ち、家族の健康に留意している女性の方が環境政策に敏感なのではないかと思うが、メディアはじめ国民は、何故こうなるのかを調査して解決すべきだ。

(4)女性への偏見ができる理由
 関東地方以北には、公立高校でも男女別学の地域が多く、*4-1のように、埼玉県も県立高校が男女別学で、広島市出身の教育長と同様、私もびっくりした。私は、埼玉県在住だが、決してそれをいいとは思っておらず、公立高校が男女別学なのは憲法違反であるとともに、価値観が形成される感受性の高い時期に男女別学にして異なる教育をするのは、男女平等や女性の社会参加を進める上で非常に悪いと考えている。

 しかし、私立高校も男女別学のところが多く、関東地方以北は、男女共学の進学校の選択肢が少ないのである。この教育の悪さは、それをカバーするため親に負担をかけるので、保育所の不備と同様、働き続けることを優先した私が子ども作らなかった原因の一つだ。

 そして、佐賀新聞も化石のように、*4-2の「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきか」などという調査をしたそうだが、西日本の佐賀県民も「男性は外で仕事、女性は家庭」という性的役割分担に賛成する人が33.2%いるという結果だそうだ。しかし、賛成が最も多いのは70代以上の男性で、それでも51.2%(約半分)だったのは、時代の価値観を変えた感がある。太陽

<第48回衆議院議員選挙結果と男女平等>
*1-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171102&ng=DGKKZO22985930R01C17A1CR8000 (日経新聞 2017.11.2) 男女平等指数 日本は114位 過去最低、女性の政治参画遅れ
 世界経済フォーラム(WEF)は2日、世界各国の男女平等の度合いを示した2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。日本は調査対象144カ国のうち、114位と前年より3つ順位を落とし、過去最低となった。女性の政治参画が遅れているのが主な理由で、1日に発足した第4次安倍内閣の女性活躍の推進が一層問われそうだ。同指数は女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析し、ランキング化している。日本は女性の閣僚や議員の少なさが目立ち、政治は123位と20も順位が下がった。10月の衆院選では定数の約1割にあたる47人の女性が当選したが、海外と比べると政治進出は遅れている。経済は114位と4つ順位を上げたものの、依然低い水準だ。男女の収入格差が大きいのが影響しているうえ、専門職や技術職で女性が少ない。教育は識字率は世界1位だが、高等教育の進学率が101位と低く、同分野全体で74位にとどまっている。健康は出生時の男女のバランスの改善で、40位から一気に1位に浮上した。上位10カ国の顔ぶれは順位に変動はあるものの、前年と同じ。首位は9年連続でアイスランド。女性の政治への参画が際立つほか、男性の育児休業も普及している。

*1-2:http://qbiz.jp/article/121963/1/ (西日本新聞 2017年11月2日) 男女平等、日本は114位 政治進出の遅れが最大の原因
 ダボス会議で知られるスイスの「世界経済フォーラム」は2日、2017年版「男女格差報告」を発表した。日本は調査対象となった144カ国中114位で、前年より順位を三つ下げ、先進7カ国(G7)で最下位だった。女性の政治進出が遅れているのが最大の原因。報告書では日本は政治、経済分野で男性との格差が大きく、特に政治分野(123位)では女性の議員や閣僚が少ないことなどから前年より順位を20下げた。経済分野(114位)も前年より順位を四つ上げたものの、幹部社員の少なさなどの問題が指摘された。首位は9年連続でアイスランド。2位ノルウェー、3位フィンランド、4位ルワンダで、北欧諸国が上位に並んだ。米国は49位、中国は100位、韓国は118位だった。アジアのトップはフィリピンの10位だった。世界経済フォーラムは「2006年に報告書の発表を開始してから初めて世界的に男女格差が広がった。特に政治、経済面で逆戻りし、このままでは格差解消に100年かかる」と警告した。男女格差報告は各国の女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析、数値化している。

*1-3:http://qbiz.jp/article/121142/1/ (西日本新聞 2017年10月23日) 新議員はこんな人たち 前職81%、平均55歳、地方政界出身
 当選者の新旧別、平均年齢、出身から新議員像を探った。(23日午前11時半現在で当選者未判明分を除く。自民党が追加公認した無所属候補3人は無所属として集計した)
【新旧別】前職が370人と81・0%を占め、うち253人が自民党だった。新人は56人(12・3%)で前回衆院選の43人から増えた。元職は31人。政党別の新人は立憲民主党が23人でトップだった。自民党が19人、希望の党が9人だった。
【年代】新議員の平均年齢は54・8歳で前回の53・1歳より高かった。政党別で最も若いのは希望の党の49・5歳。日本維新の会が49・7歳で続いた。自民、公明、共産、立憲民主の各党はいずれも50歳代だった。1人が当選した社民党は72歳。
【出身】首長や地方議員といった地方政界出身が144人(31・5%)と最多。次いで国、地方を合わせた官僚と、議員秘書がともに72人(15・8%)で同数だった。
●女性当選者は47人
 衆院選の女性当選者は47人となり、前回2014年の45人より2人増えた。過去最多だった09年の54人には届かなかった。当選者に占める割合は10.3%。政党別では、自民党が前回(25人)より5人少ない20人。安倍政権は女性の活躍推進を掲げているが、結果は振るわなかった。他は立憲民主党が12人、公明党が4人、共産党が3人、希望の党が2人、日本維新の会が1人、無所属が5人だった。今回立候補した女性は209人。全候補者の17.7%と割合は過去最高とはいえ「男女均等」には遠く及ばない。政府は「20年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」との目標を掲げているが、隔たりはまだ大きい。データは23日午前9時現在で当選者未判明分を除く。自民党が追加公認した無所属候補は無所属として集計した。
●新人議員は56人
 今回の衆院選で当選した新人議員は56人で、小選挙区比例代表並立制が導入された1996年以降、最少となった前回選挙の43人を13人上回った。党派別では今回躍進して野党第1党となった立憲民主党で最多の23人が当選、自民党が19人と続いた。他は希望の党が9人、公明党が2人、日本維新の会が2人、無所属1人。前回は新人14人が当選した共産党はゼロだった。最年少は希望の党の緑川貴士氏(32)(比例東北)、最高齢は立憲民主党の長尾秀樹氏(65)(比例近畿)と自民党の佐藤明男氏(65)(比例北関東)だった。

*1-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017093002000123.html (東京新聞 2017年9月30日) 女性候補者増を「争点に」 「男女半々」求める法案 解散で廃案
 女性議員を増やすため、政党に選挙候補者を男女半々にするよう求める議員提案の「政治分野における男女共同参画推進法案」が、衆院解散により廃案になった。これを受け、二十九日、東京・永田町の衆院第一議員会館で抗議集会が開かれ=写真、成立を働き掛けてきた「クオータ制を推進する会」代表の赤松良子元文部相(88)は「総選挙の争点にしたい」と訴える。法案には与野党とも合意済みで、先の通常国会で成立するとみられたが、「共謀罪」法を巡る駆け引きなどで審議入りしなかった。集会で赤松さんは「延々と積み重ねてきたものが解散でぶっ飛んじゃった。また第一歩から始めないといけない」と嘆く。集会では、各政党に対し衆院選の比例代表で女性候補を名簿上位とするよう求めるなどの取り組みが提案された。終戦時に十五歳だった赤松さんは、参政権のなかった戦前の女性の立場の弱さを知っている。旧労働省婦人局長として一九八五年の男女雇用機会均等法の成立に尽力。九九年には社会のさまざまな場の性差別をなくす「男女共同参画社会基本法」ができたが、政治の世界は取り残された。今回の解散前の衆院の女性比率は9・3%で、世界各国の女性議員の割合などを調べている国際組織「列国議会同盟」のデータでは百九十三カ国中で百六十四位。「選択的夫婦別姓の実現や待機児童問題解消など、女性の望む政策が通りにくい偏った政治になっている」と赤松さん。「女性議員を増やすことへの姿勢も、投票の判断材料にしてほしい」と話している。 

<女性蔑視を振りまくメディア>
*2-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13201928.html (朝日新聞 2017年10月27日) 豊田前議員、書類送検 元秘書への傷害容疑 埼玉県警
 元秘書の男性を暴行したとして、埼玉県警は27日、22日の衆院選で落選した豊田真由子前衆院議員(43)を傷害と暴行の疑いで書類送検した。捜査関係者が明らかにした。前議員はこれまでの調べで「頭を殴ったわけではなく、肩をたたいた」と話していたという。捜査関係者によると、豊田前議員は5月、埼玉県内を走行していた乗用車内で、当時政策秘書だった50代の男性の頭を殴ったり、背中を蹴ったりしてけがをさせた疑いがある。豊田前議員は2012年の衆院選で自民党から立候補して初当選した。しかし6月に発売された「週刊新潮」が暴行疑惑を報じたため、離党届を提出。衆院選に埼玉4区から無所属で立候補したが落選した。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/140745 (佐賀新聞 2017.10.24) 大串氏「保守王国」崩す 佐賀2区、=2017衆院選さが=草の根の活動結実
 地をはうように広い選挙区を駆けずり回った努力が結実した。激戦の衆院選佐賀2区は希望前職の大串博志さん(52)が猛烈な追い上げで大逆転劇を演じ、「保守王国」の牙城を崩す歴史的勝利を収めた。台風の影響で2日間に及んだ開票作業の末、全国で最後の小選挙区当選者となった。武雄市の事務所で支援者約550人の歓喜に包まれながら、「野党をしっかりまとめていくリーダー役を果たす」。高らかに宣言した。選挙区割り変更で事実上の国替えとなった前回は3万2千票差で破れた。堅い保守地盤の現実を突き付けられ、「地域に入って縁を紡ぐ」。草の根の活動を貫く覚悟を決め、後援会づくりに奔走した。地区単位で行事をチェックして国会議員が来たことがない所にも顔を見せ、住民と膝を付き合わせた。衆院解散時に決めた合言葉は「小選挙区で勝つ」。3年間で公民館など千カ所を訪ね、「車の走行距離は地球何周のレベル」(事務所スタッフ)。深まった自信は新党への合流で揺さぶられた。「新党を率い、右過ぎず自分が思う中道をやる」。政治家人生での最大の決断に触れた陣営の幹部たちも腹が据わった。腰が低くていい人から一変して街演や集会で見せる鬼気迫った表情に、支援者たちが突き動かされた。地域に根付かせた後援会がフル稼働して親類や知人にくまなく声掛け。「安倍1強政治」に諦めを抱く有権者の関心も呼び起こし、批判票を取り込んだ。「自民圧勝、希望埋没」の全国情勢もはねのけたが、当選後には「希望は正直逆風だった」と本音を吐露した。事務所で一人一人とあいさつを交わして責任をかみしめつつ、「政策が違うといって排除していると野党議員の責任が果たせない。協力できることは協力し、安倍政権に対抗できる大きな塊をつくることを多くの議員に呼び掛けていく」と決意を新たにした。

*2-3:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/146855 (佐賀新聞 2017.11.9) 大串氏、希望代表選 支えた「懐刀」ついに決起、経験重ね、挑戦に自負心
 陰ながら歴代代表を支え続けてきた「懐刀」がついに舞台に上がった。「首相補佐官、政調会長を経験し新しさも兼ね備えながら引っ張っていく立場になるには、ちょうどいい頃かなと思う」。8日、共同代表選への立候補届け出を終えた希望の党の大串博志衆院議員(佐賀2区)は記者会見で、政治家としての新しいステージへの挑戦に際し、自負心をのぞかせた。「大串氏は代表選に出るつもりだ」。衆院選のさなか、陣営の一人が語った。自他共に認める政策通が演説で政策を語らず、打倒安倍政権だけを訴えた。「代表になり、自ら党を引っ張る。あいまいな公約に触れなかったのは決意の現れだったのだろう」。相手は小池百合子代表に近い結党メンバーの支援を受ける玉木雄一郎氏。共同会見でも玉木氏は小池代表の「安倍1強許すまじ」という言葉をなぞったが、大串氏は「私は安倍政権を倒すと言っている。その差は大きい」と語る。党内にも「玉木陣営は与党や日本維新の会と連携を考えているのではないか」との見方があり、大串氏は「積極的に野党との統一会派を目指す」と路線の違いを打ち出し支持を広げたい考えだ。現状、大串陣営は「相手候補がリードしている」とみている。それでも強引に切り崩すことはせず、あくまで路線闘争を正面から訴える作戦を貫く。陣営の一人は「票数で党の温度が分かる。それが代表選後の大きな流れをつくる」と胸の内を明かす。

*2-4:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/147320 (佐賀新聞 2017.11.10) 希望の党、共同代表に玉木氏、大串氏を大差で退ける
 希望の党(代表・小池百合子東京都知事)は10日午前、両院議員総会を国会内で開き、玉木雄一郎(48)、大串博志(52)両衆院議員が立候補した共同代表選の投開票を実施した。若手からベテランまで幅広い支持を集めた玉木氏が大串氏を退け、国会議員を率いる共同代表に選出された。得票は玉木氏39票に対し、大串氏14票と大差がついた。任期は小池氏に準じて2020年9月まで。玉木氏は選出後、同僚の議員らに「国民に寄り添い、地に足のついた土のにおいがする本物の国民政党を、皆さんと共につくりあげていきたい」と呼び掛けた。

*2-5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13198534.html (朝日新聞 2017年10月26日) 特派員メモ バルト:「鉄の女」別の顔
 ドイツ北東部のバルト。人口9千人弱の小さな町で、メルケル首相の演説を聴いた。9月の総選挙で、彼女が地元選挙区を訪ねたときだ。小雨の中、切り出した。「この町のトマトは世界一おいしい」。選挙中、別の町で批判的な有権者からトマトを投げつけられたのを逆手に取ったようだ。私も食べたが、世界一は言い過ぎかな。今度は、地元鉄道の延伸を求める垂れ幕を見かけるや、「数カ月で実現するでしょう」。おや、利益誘導めいた発言もするのだな。30分の演説を終えると、「サインや記念撮影もできますよ」。支持者の列が途切れるまでたっぷり20分、「ファンサービス」に応じた。地元選挙区にあるシュトラールズントの市長は「彼女は毎月一度は必ず地元に帰る」という。過去に米国やフランスの大統領を招き、地元の知名度アップにも励んできた。首相になって12年。実直で優れた指導力から「鉄の女」とも評される。だが、地元では、情を尽くして有権者と触れあう素顔を見せた。政治家が地盤を守るには泥臭さもいる。国は違えど、そんな共通点が垣間見えた。

<私の事例>
*3-1:http://www.asyura2.com/09/senkyo69/msg/142.html (ブログ 2009 年 8 月 12 日) 「みんなの党」は、政策はいいと思いますが、メンバーに信用できない人たちがいます。
「自民党から小選挙区で公認してもらえなかったから」「自民党の比例区の名簿で優遇してもらえなかったから」という理由で来たらしい候補がいますね。元・自民党の清水前議員とか、同じく元・自民党の広津前議員とか・・・。およそ、政治信条とか理念などの類を持ち合わせている候補とは思えない。とくに広津前議員は、真偽の程はわかりませんが、以下の記事を読む限りでは、かなり“電波”な人では?
●武部幹事長弁当事件 83会の「奇人変人リスト」
「その瞬間、議員一同、凍りつきました」(山崎派議員)。山崎派の会合でのこと。山崎卓氏が「総裁選(の出馬)も考えてみたい」と言うと、一人の女性議員が手を挙げた。“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる小泉チルドレン。誰もがひやりとしたのも遅く……。佐賀三区のがばい刺客、広津素子議員(54)は真顔で山崎氏に進言した。「山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので、難しいと思います」。自民党議員が笑いを噛み殺しながら言う。「“今週の広津語録”と言われるくらい、破壊的な発言が永田町を駆け巡っています。有名になったのは、佐賀の日本遺族会の方が東京に挨拶にみえた時。話を聞いた後、広津さんは、『遺族、遺族って、一体、何の遺族ですか』と(笑)。〇五年の郵政選挙の大量当選が生んだ珍現象です」。東大卒で公認会計士という経歴をもつ広津女史。「エキセントリックな点があり、ストレートにモノを言う。党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る」(別の自民党議員)。伊吹文明幹事長が党税調小委員長だった時、伊吹氏の説明が終わると、新人・広津氏が挙手をするや……。「伊吹先生の説明ではわかりにくいと思いますので、代わって私が説明します」。絶句したのは伊吹氏だけではない。農政の会合で農家による説明が終わると、広津氏が総括(?)した。「皆さん、農業をやめて転職したらいいと思います」。極めつけが「牛肉弁当事件」。チルドレンの親分、武部勤幹事長(当時)が、「いつでもメシを食いに来なさい」と新人たちに声をかけると、本当に広津氏は幹事長室に行って、置いてあった牛肉弁当を勝手に食べてしまったというのだ。その恨みではないだろうが、武部氏は新人議員のグループ「新しい風」に広津氏を誘っていない。抗議する彼女に、武部氏は「あれは仲良しクラブだから」と逃げたつもりが、逆に「私は仲良しじゃないんですか!」と怒らせてしまった。広津氏は小誌の取材に「全部まったくのウソです」と否定するが、広津語録は議員の間で今も更新中だ。
●派閥のドン山拓に「引退勧告」しちゃった広津素子センセイ  週刊文春07年10月4日号より
“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる、小泉チルドレンの広津素子議員(54)。昨年末、彼女は所属する派閥のボス山崎拓氏(71)にこう直談判したと言う。「先生はもう七十歳を超えている。辞めるべきだと思います!」話は次期衆議院選挙、佐賀三区の公認問題を巡って切り出された。広津議員は現在、郵政造反・復党組である保利耕輔議員(73)と激しい公認争い中。保利氏に対して前述のように「七十歳を超えて~」と批判し、「山崎さんから若い人に道を譲るように言って下さい」と続けた。山崎派議員が苦笑しながら語る。「山崎先生は保利先生と同世代。保利先生に年だから辞めろなんて、山崎先生の口から言える訳がありません。広津さんの言葉を聞いて山崎先生は、『それは俺にも辞めろと言っているのか!』と激怒したようです」。ちなみにヤマタクが総裁選への意欲を示したときも、「山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので難しいと思います」(小誌〇七年十月四日号既報)と広津氏は直言している。山崎派の重鎮、野田毅議員が新人を集め食事会を開いたときもこんな事件が。野田氏が「地方経済は疲弊している。今こそ地方への配慮が必要だ」などと持論を語り終えたあと、広津氏はこう言い放った。「先生は古いタイプの政治家ですね」。出席していた一年生議員が振り返る。「一瞬、場が凍りつき、われわれも冷や汗をかきました。野田さんは明らかに不機嫌だった。ご馳走になっているのに、普通そういうことを言いますか?(苦笑)」。東大卒で公認会計士という経歴の広津氏は、「自らの考えが正しいと信じて疑わないタイプ」(同前)。「昨年九月の安倍改造内閣が発表される前も、『次は私が女性代表で大臣になる』と公言し周囲を唖然とさせた。福田内閣の人選が進められているときには、官邸に電話して『私を副大臣か政務官に入れるべきだ』と直談判したという伝説もある」(全国紙政治部記者)。地元の評判も芳しくない。「人の名前を覚えないから人望がない。すぐ問題を起こすから会合等に呼ばないようにしているのですが、呼ばないと『女性蔑視だ!』と大騒ぎ。問題は人間性なんですけど・・・・・・」(自民党佐賀県連関係者)。そんな言動が災いしてか、事務所も大混乱の様子。「広津さんは入りたての秘書に、『明日から佐賀に行って後援会を作ってきてちょうだい』とか無茶ブリがすごいようです」(同前)。本人に取材すると、「すべてデタラメです。一体誰が言っているんですか」とご立腹。いや、みんな言ってるんですけど。郵政総選挙でも広津氏と対峙した保利氏は、周囲にこう公言しているという。「彼女が出る以上、私も絶対次の選挙に出る。それが佐賀県のためだ」

*3-2:https://www.nishinippon.co.jp/nnp/editorialist/article/369694/ (西日本新聞 2017年10月29日) 「劇場型政治」はもう終わりに
 政治が劇場化することは間々起きるが、今回の衆院選ほど短期間に、しかも劇場乱立の政局も珍しかった。唐突に衆院を解散した安倍晋三劇場、自民党に代わる政権の受け皿を目指して希望の党を立ち上げた小池百合子劇場、そこへの合流を打ち出した前原誠司劇場-。政治取材に携わって20年余り、劇場政治の危うさとうさんくささは骨身に染みていたはずなのに、政局の急展開に「今度こそ政権選択選挙か」などと、また浮足立ってしまった。ああ、恥ずかしい。終わってみれば、郵政解散当時の小泉純一郎劇場のように爆発的人気を集めた劇場はなかった。前宣伝だけが派手だった小池劇場と前原劇場は不入りの責任を巡る内輪もめで早くも閉幕状態である。各劇場が伸び悩む中、1番人気は同じ出し物を毎回、異なる演目で演じる安倍劇場だった。ただし5年近くも同じでは主役も脇役も慢心する。観客には飽きがくる。心配は全く別の出し物の台本をこっそり用意していることだ。劇場にちなんで芝居に例えてみると、こういうことか。しかし、政治はお芝居とは違う。政治家は国民を惑わせる芝居をしてはいけない。野党で喝采を浴びたのが前原劇場から小池劇場への移籍を「芸風が異なる」として“排除”された立憲民主党だったのも皮肉な光景である。これも枝野幸男劇場と呼べるのかもしれないが、「まっとうな政治を」という原点回帰の訴えが多くの有権者を引きつけたことは政界も真剣に受け止める必要があろう。大見えを切って耳目を集めるだけの劇場型政治は終わりにして地に足の着いた政策本位の政治にしてほしい-脱・劇場型政治への有権者の切実な思いを痛感させられた選挙でもあった。政治家やメディアこそ目覚めが必要だろう。ということで、今回は人気劇場に付きもので、芸は未熟なのにスターと思い込み、トラブルを引き起こす「チルドレン」役者は増殖しなかった。それだけはよかった、ということか。

*3-3:http://qbiz.jp/article/122468/1/ (西日本新聞 2017年11月10日) 9月末、国の借金1080兆円 過去最大更新
 財務省は10日、国債と借入金、政府短期証券を合計した国の借金が9月末時点で1080兆4405億円となり、過去最大を更新したと発表した。これまで最大だった6月末の1078兆9664億円から1兆4741億円増えた。社会保障費を賄うための国債発行が膨らんだためで、財政が一段と圧迫されている。
総務省推計の10月1日時点の総人口(1億2672万人)で割った国民1人当たりの借金は約852万円に達した。内訳は国債が949兆9986億円に達し、6月末から4兆7671億円増えた。金融機関などからの借入金は52兆6532億円で1兆1628億円減少した。一時的な資金不足を補うために発行する政府短期証券も2兆1302億円減って77兆7888億円だった。

*3-4:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23119390V01C17A1SHA000/?n_cid=NMAIL004 (日経新聞 2017/11/5) 成長しながらCO2抑制 米中で大幅減、日本は停滞、世界、GDPあたり15年で2割減
 経済成長しながら温暖化防止に向け二酸化炭素(CO2)排出量を抑えるデカップリング(切り離し)の動きが広がっている。世界で国内総生産(GDP)1単位あたりの二酸化炭素(CO2)排出量はここ15年で約2割減少。再生可能エネルギー投資に加え、新興国で省エネ投資が拡大している。2020年以降の温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は4日に発効1年を迎え、各国や企業に一層の取り組みを促す。
10月下旬、英BPや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなど世界の石油・ガス10社でつくるオイル・ガス気候イニシアチブ(OGCI)は、ガス火力発電所からのCO2回収をはじめとする3事業に投資すると発表した。
国連環境計画(UNEP)のソルヘイム事務局長は「エネルギーの生産や消費の方法を転換させるのが必要」と言う。パリ協定は約170カ国が批准。慎重な石油メジャーも対応を迫られる。国際エネルギー機関(IEA)の10月末の報告書によると、15年時点でGDP1万ドル分を生み出すのに排出されたCO2量は3.1トン。00年より0.7トン減った。別の報告では16年に燃料を燃やして発生したCO2は15年比0.6%減の321億トン。ここ3年、3%成長を実現し排出量はほぼ横ばいだ。IEAは「新しく生まれた傾向」とみる。デカップリングが進む理由は、排出量の少ないエネルギーの利用が増えたことだ。グローバル企業では事業に使うエネルギーを再生エネで賄う動きが広がる。全量再生エネをめざす企業連合「RE100」には、米アップルやマイクロソフト、米ゼネラル・モーターズ(GM)など世界110超の企業が参加する。再生エネの価格は低下傾向にある。調査会社のブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)によると、米国、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストラリアでは、太陽光の発電コストが石炭火力と同水準になった。省エネ技術への投資拡大も寄与する。IEAによると、16年の投資額は前年比9%増の2310億ドル(26兆円)。販売されたヒートポンプの数は28%増え、電気自動車は38%増。主要国で開発した省エネ設備が新興国に広がりつつある。最大排出国の中国は、発電部門を石炭から太陽光などに転換。100基単位の石炭火力発電所の閉鎖も検討する。16年の経済は前年比6.7%拡大し、排出量はほぼ同じだ。再生エネや原子力、天然ガスの割合が高まり、石炭消費は減少。14年の発電量は石炭が73%を占めたが、30年51%、40年43%に下がるとみる。世界2位の排出国、米国は主に油価の高いときにシェールガス革命が起き、発電燃料として石炭からの転換が進んだ。トランプ政権はパリ協定離脱を宣言したが、企業の動きは止まらない。日本は16年時点で世界資源研究所(WRI)が選んだデカップリング達成21カ国から漏れた。GDPあたりのCO2排出量は2.6トン。米中より00年からの減少幅は小さい。RE100の参加企業もリコーと積水ハウスだけ。自動車や電機などは「再エネコストが高い日本で全量は無理」との声が大半だ。太陽光発電は固定価格買い取り制度(FIT)の影響で高コスト体質が続く。再エネのコストを下げ、原発は再稼働の進め方に知恵を絞る必要がある。6日に独ボンで開幕する第23回気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)ではパリ協定を巡るルールづくりの交渉が本格化する。IEAは年平均3.4%の成長を前提に今の削減努力を続けても、30年のCO2排出量は15年比で20%増の386億トンになるとみる。「2度目標」の達成にはさらに35%ほど減らす必要がある。

<女性への偏見ができる理由>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/ASK7D5Q3CK7DUTNB01V.html?iref=comtop_8_03 (朝日新聞 2017年7月13日) 埼玉県立高の男女別学、広島市出身の教育長「びっくり」
 個人的にはびっくり――。6月に就任した埼玉県の小松弥生県教育長は12日、就任後初の記者会見で、県立高校の男女別学や中高一貫校などについて印象を語った。広島市出身の小松氏は、県立高の男女別学を「個人的には西の方の出身なのでびっくりですが、埼玉県の人たちがいいと思ったら、悪いことでもない」と話した。一方、県立の中高一貫校については、「すごく早くから伊奈学園があって、その後がない。なぜなのか、私が聞きたい」と話し、「最近は小中一貫校もある。子供たちがいろんな学び方を主体的に選べるようにしてあげないといけない」と話し、検討課題であるとの姿勢を示した。今月、新たな教育委員が選ばれて5人中2人が、伝統的な子育てを推奨する「親学推進協会」関係者になったことについては、「うまく議論をして、バランスをとっていけばいい」と話した。

*4-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/192453
(佐賀新聞 2015年5月31日) 県民世論調査 男は仕事女は家庭、賛成33%
■共同参画意識高まらず 「出産退職」支持も半数
 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」との考えに賛成する佐賀県民は33・2%だった。県は2014年度までの4カ年総合計画で性別による役割分担意識を30%未満に抑える目標を掲げていたが達成できなかった。「出産したら仕事をいったん退職したり、働くこと自体を辞めるべき」とする出産・育児中断型の働き方を支持する人も50%を超えた。仕事を続けたいと願う女性を支えようという社会の意識が高まっていない実情が浮き彫りになった。県が昨年10~11月に成人男女3千人を対象に実施した「男女共同参画に関する世論調査」で、859人から有効回答を得た。「男性は外で仕事、女性は家庭」という性別役割分担意識は、04年の調査で反対が66・6%、賛成29・6%となり、初めて反対が賛成を上回った。しかし、前回09年の調査では賛成が増加に転じ、反対も減少する「揺り戻し」が起きた。今回も意識変化は小さく、賛成が33・2%、反対62・9%となっている。賛成は男性が女性を7・5ポイント上回る一方、反対は女性が男性を5・9ポイント上回り、男性の方が性別役割分担に肯定的な結果が出た。年代別でみると、反対の割合が最も多いのは20代女性で92・0%。逆に賛成が最も多いのは70代以上の男性で51・2%だった。女性の就業についても尋ねた。「子どもができたら中断し、手がかからなくなって再び持つ」との回答が最も多く48・2%だった。「出産したり、結婚するまでは職業を持ち、後はやめる」「ずっと職業を持たない方がいい」という回答も合計で4・2%あった。一方、育児休暇などの制度を使って「ずっと職業を持つ方がいい」としたのは37・1%にとどまった。出産・育児中断型の働き方を支持した人に理由を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「制度があっても、利用できる職場の雰囲気ではない」で37・3%。次が「現在の制度では不十分」の35・0%で、女性が仕事を続ける職場の雰囲気づくりや制度の不十分さがうかがえる。女性が結婚や出産後も働き続けるために必要なことという問い(複数回答)に対し、最も多かった回答は「配偶者の理解や家事・育児への協力」で60・1%に上った。総務省が11年に実施した調査では、男性が家事に参加した時間が佐賀県は1日当たり34分で、全国平均42分に比べて短いという結果も出ており、県の弱みとして女性の家事負担の大きさが挙げられる。県は、今回の意識調査から見えた課題を踏まえ、16年度から5カ年の県男女共同参画計画を策定する。


<農業の収益力をUPさせる政策は?>
PS(2017/11/13、15、24、26、28、12月2日追加):*5-1については、レンゲソウもきれいでよいが、稲は刈った後に再度芽が出るので、それを伸ばして畜産農家の牛を放牧させると、①牛の飼料代を節約できる ②牛が運動して健康になる ③牛の排泄物が有機肥料になるので化学肥料を使わなくて済む ④イノシシが来ない などのメリットがあると前から思っていた。そのためには、畦や水場の設計変更が必要だが、耕畜連携でお互いが得るものは大きい。
 また、このような中山間地は、小水力発電や風力発電の適地でもあるため、そのための機器の設置に補助してもらうと費用対効果でも成り立つようになり、農業補助金を減らすことができて国の財政負担が小さくなる。なお、*5-2のように、荒尾市は産炭地だったが、石炭に代わる新たなエネルギーを生かしたまちづくりとして自然エネルギーを活用するそうで、多久市も考えてみるのがよいと思う。
 さらに、棚田は田の形がふぞろいで小さく、大型の農機具を入れられないことについては、教育系の補助をもらって市街地も含む小学生に田植えや稲刈りを手伝わせるのがよいと考える。その理由は、子どもも自分が植えた稲の成長には大きな関心を持つため、遊びながら頻繁に山に見に来る結果、植物や自然の様子を観察して必要な知識や感受性を育むことができるからだ。
 また、*5-3のように、JAが外国人技能実習生を受け入れて組合員から受託した農作業や選果作業などに従事してもらう仕組みもよいが、北国で農閑期でも他の地域はそうでない場合が多いため、他の地域の要望も受け、希望する実習生はそこでも作業や実習ができる仕組みにした方がよいだろう。さらに、農学部、工学部、理学部生物学、経済学部経営学、栄養学専攻の学生は、「百聞は一見に如かず」であるため、こういうところでアルバイトをしたり、海外の農業を見て来たりして、「自分ならこう改善する」という卒論を書けば役に立つと考える。
 一方、日欧(EU)経済連携協定が合意しつつあり、これは、*5-4のように、日本産有機農産物輸出拡大の好機でもあるため、まずEU基準をクリアしておくのが今後のために便利だろう。また、付加価値を上げるためには、農産物の形ではなく、おにぎり(健康志向のファーストフード)・梅酒・紅茶などの輸入地域で消費されやすい加工品にして販売すればよい。
 なお、*5-5のように、現在、ロヒンギャ難民が困難な生活を送っているため、イスラム色を弱くして「郷に入っては郷に従う」ことを条件に、日本の過疎地に集団で受け入れて生活させ、人手が不足している農林漁業関係の派遣等の仕事を与えることから始める方法もある。日本には、離島や山間部など比較的独立した文化を保てる場所もあるため、受け入れたい地域は手を上げるのがよいだろう。
 *5-6のように、高速道路の整備を財投で加速させる案が出ており、「1.5兆円」という支出自体を目的としているのではないかと思わせる兆円単位の支出は確かに無駄遣いの可能性が大きいが、政府が40年間の(0又はマイナスの)固定金利で国債を発行して金融市場から金を調達し、1・5兆円を融資するスキームなら、超低金利時代の今がBestである。そして、高速道路を本当に高速で走れる状態にすれば、生産性が上がって経済効果は大きいだろう。また、難民を受け入れた場合は、施設に閉じ込めて生活費を支出するばかりではなく、働いてもらった方がお互いのためによい。この時、作って欲しいのは4階建ての高速道路で、1階は街と調和した安全でゆとりのある一般道路、2階・3階は4車線づつの高速道路、4階はドローンや近々出てくるであろう飛ぶ乗り物が通る道である。


2017.11.13佐賀新聞

*5-1:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/147590 (佐賀新聞2017.11.13)地域活性化の優良事例に選定「ひらの棚田米振興協議会」(多久市)、棚田米のブランド化や活動評価
 平野地区は標高約190メートルの山あいにあり、170枚の棚田で7・7ヘクタールを耕作。同協議会は、冷たい清らかな湧き水を生かし、春のレンゲソウを肥料に使って化学肥料を減らした「夢しずく」を栽培し、ブランド米としてインターネットなどで販売している。大阪の企業の食堂に納入するなどリピーターも多く、ふるさと納税の返礼品にも使われている。県内外のファンを増やそうと、直売所での試食販売や収穫体験も企画。10月1日に開いた稲刈りイベントには122人が参加した。棚田は美しい景観が注目される一方、田んぼの形がふぞろいで大型の農機具を入れられないため、維持管理が難しい。協議会のメンバーも全員が60歳以上と高齢化が進み、小園さん(71)は「畦(あぜ)の草刈りやため池の維持など、手間や労力は平たん部の何十倍もかかる」と話す。それでも、イノシシなどの鳥獣被害が広がらないよう、「荒廃地を作らない」と意識を共有して活動を続ける。小園さんは「棚田の農業は費用対効果を考えると成り立たないかもしれないけれど、もうかる農業に近づけるためにみんなで力を合わせたい」。今後は稲刈りだけでなく、田植えの体験も検討しているという。「ディスカバー農山漁村の宝」の優良事例は全国から31地区が選定された。今月下旬の有識者懇談会でグランプリと特別賞が選定される予定。

*5-2:http://qbiz.jp/article/122790/1/ (西日本新聞 2017年11月15日) 荒尾市 自然エネ地産地消へ 2社と電力連携協定結ぶ
 熊本県荒尾市と三井物産(東京)、特定規模電気事業者のグローバルエンジニアリング(福岡市)は14日、エネルギーの地産地消に向けた連携協定を締結した。両社は、荒尾市の協力を得て市内の電力需給などを調査した上で、事業会社を設立。地元の自然エネルギーで発電した電力を公共施設などに安価で販売していく方針。三井物産は現在、ソフトバンクグループのSBエナジー(東京)と共同で、荒尾市の大規模太陽光発電所(メガソーラー)を運営、グローバル社は県外で発電した電力を同市内の企業などに販売している。事業会社の設立に向け、九州電力に比べ電気料金の単価をどれくらい抑えられるかなどを調査。同市内で木質バイオマス発電に取り組む有明グリーンエネルギーなど、地場企業と幅広く連携していくことも検討する。市役所での調印式で、三井物産国内プロジェクト開発部の山根正司部長は20年前の三井三池炭鉱閉山に触れ「石炭に代わる新たなエネルギーを生かした荒尾のまちづくりに貢献したい」と強調。事業会社の設立時期について「地域の特性に合った電力の供給体制をしっかり検討し、できる限り早く実現したい」と述べた。

*5-3:https://www.agrinews.co.jp/p42565.html (日本農業新聞 2017年11月24日) 外国人実習生受け入れ 農協方式 活用先駆け 北海道
 JAが外国人技能実習生を受け入れ、組合員から受託した農作業やJA施設での選果作業などに従事してもらう仕組みに期待が高まっている。JAが受け入れることで、実習生が複数の農場で作業できることや、冬の農閑期も含めて通年で実習できるのがメリット。人手不足解消に向けて産地も歓迎する。北海道のJAが全国に先駆けて“農協方式”を活用し、実習生の通年確保を目指している。複数農場で通年作業 人手不足解消に貢献 農水省が昨年、実習制度の運用を改善し、農家に加えJAも受け入れ主体になれるようにした。JAが組合員と作業の請負契約を結ぶ。JAの指導に基づき実習生がその組合員の下で作業する。作業にはJAの職員が立ち会う。農家や農業生産法人が受け入れる場合、実習生はその農家でしか作業できない。農協方式の場合は、JA管内であれば複数の農家で作業できる。実習生にとっては多様な農業が学べ、地域の人手不足解消に貢献する。農閑期にも実習の場が作れるのもメリットだ。北国の耕種農業の場合、冬場は農作業がなくなる。作業がない期間が長いと実習生が帰国を余儀なくされ、実習生が毎年入れ替わる場合も多い。JA側が冬場に座学や選果作業などを用意できる。実習生は1年中作業・実習の場ができるため途中帰国が減り、長く滞在できるようになる。11月の技能実習法施行で、1人当たり最長5年間の滞在が可能になる。JAが受け入れ主体になる場合、都道府県の農業担当部署やJA中央会などが「第三者管理協議会」を設ける。協議会はJAで実習が適正に行われているかや、実習生の相談情報などを共有する。実習生と受け入れ組織を仲介する監理団体との実習計画の確認なども行う。実習生の受け入れ可能人数はJAの常勤職員数で決まる。同省によると、現在この仕組みを活用しているのは北海道のこしみず(小清水町)、びほろ(美幌町)、宗谷南(枝幸町)の3JA。こしみずとびほろは畑作地帯で、冬場は選果場での作業や座学などの実習を用意する計画だ。宗谷南は酪農専業地帯で、搾乳作業がメインだ。作業時間の半分以上は指定の「必須業務」で占めなければならない。農業では農作業が「必須業務」に当たり、農閑期の選果作業などの時間配分などを考慮して技能実習計画を作り、実行する必要がある。全国で初めてこの仕組みを活用して、3月から実習生を受け入れているJAこしみずは「年間を通した実習計画作りが課題。農閑期の座学や選果作業などの組み合わせをよく考えていく必要がある」(営農部)と指摘する。

*5-4:https://www.agrinews.co.jp/p42588.html (日本農業新聞 2017年11月26日) 有機農産物 検査証明書を電子化 日本産輸出の拡大好機 EU
 欧州連合(EU)は、有機農産物輸入に必要な検査証明書の電子化を始めた。手続きの簡素化と、効率的な情報共有を図る狙い。日本の主要な輸出先であるだけに、新システムの輸出への影響が注目される。EUは、日本を含むEU域外からの有機農産物を輸入する際に、EU基準と同等性のある有機認証を受けた有機農産物に対し、新たな認証を取得せずに、有機JASマークだけで「オーガニック」と表示して流通・販売することを認めている。しかし、輸入する度に、認証機関の検査証明書を求めている。検査証明書は、EUが認めた有機JAS認証機関が発給する。これまでは、EU規定の書式に沿って作成、提供していた。今後は、ネット上のEUのシステムにアクセスして必要事項を記入すると、関係機関で情報が共有される。ただ、印刷した上で、サインして発送する必要はある。検査証明書の電子化は、4月から試験的に実施した。半年間の試行期間を経て、10月19日から本格化した。同システムの導入について、認証関係者からは「電子サインはまだ実施せず、手書きサインによる書面提出が続く。格段の簡素化、効率化とは言えないが、輸出拡大の追い風にはなるだろう」と声が上がる。2016年の日本からEUへの有機農産物などの輸出量は、前年に比べ26%増の600トンと5年前の5・6倍に急増した。内訳では、茶が最も多く、同23%増の440トン、同5倍。梅干しなどの梅の加工品は、同40トン、13倍と目立つ。

*5-5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13248226.html (朝日新聞 2017年11月28日) 村に両親残し、いかだでミャンマー逃れた ロヒンギャ難民流出続く
 荷物を担いだ人たちが、うつむきながらあぜ道を歩いてきた。20日朝、バングラデシュ南東部テクナフ。国境の川を渡って逃れてきた隣国ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャの人たちだ。8月末に多数の難民流出が始まってから3カ月がたっても毎日数百人が逃れてくる。「いかだにずっとしがみついていた。生きてたどり着いてよかった」。ジャイナフ・ベガムさん(20)はその場に座り込んだ。腰に巻いた伝統衣装ロンジーはぐっしょりぬれていた。5日前、ミャンマー西部ラカイン州の北部の村を逃げ出したという。数週間前から軍が「テロリスト捜し」を理由に住人が村から出ることを禁じ、食料が尽きかけていた。病気の両親は「私たちはついて行けない」と村に残った。妹(15)と3日間歩いて国境へ。その場にいたロヒンギャ約50人が数十個のポリタンクと竹でつくったいかだに乗り、木の枝に鍋をくくりつけた櫂(かい)で交代で水をかいて川を渡った。ベガムさんは「両親が無事か心配」と顔を手で覆った。国連世界食糧計画(WFP)によると、11月下旬になっても家族を殺されたり、村を焼かれたりして逃げてくる人もいるという。8月下旬にロヒンギャとみられる武装集団の襲撃事件をきっかけにしたミャンマー治安部隊の掃討作戦が始まって3カ月。迫害を受けて、約62万人のロヒンギャが国境を越えた。そんな中、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王が27日、ミャンマー最大都市ヤンゴンに到着した。法王はバングラデシュも訪れ、ロヒンギャと面会する。法王は出発前、「和解と寛容、平和のメッセージを届けに行く」と語っていた。同国南東部コックスバザール郊外の難民キャンプに暮らすバシル・アフマドさん(66)は「法王のメッセージが、少しでも生活が良くなるきっかけになってほしい」と話した。
◆キーワード
<ロヒンギャ問題> 仏教徒が9割近いミャンマーで少数派のイスラム教徒であるロヒンギャは西部ラカイン州を中心に約100万人が暮らすとされる。隣国バングラデシュ南東部の方言に似た言語を話すことや宗教から、ミャンマー政府や国民は「バングラデシュ移民」とみなし、多くは国籍を持てないなど差別されてきた。1990年代にも当局の迫害を受けて25万人以上が難民になった。

*5-6:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13255157.html (日経新聞 2017年12月2日) 高速道整備、財投で加速 政府、「第二の予算」再び着目
 政府は、国債(借金)を発行して得た資金を貸し付ける財政投融資(財投)を使い、首都圏などの高速道路づくりを加速させる。かつて「第二の予算」と呼ばれた財投は、無駄遣いとの批判を浴びて縮小されてきた。だが、財政難で公共事業の予算が増やせない中、超低金利を利用した抜け道として再び着目された。
■1.5兆円を要求
 国土交通省は1日、財投による資金1・5兆円を高速道路の建設に使うよう、財務省に要求。麻生太郎財務相は同日の会見で、「あらゆる政策を総動員する」として、応じる意向を示した。国交省は、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)のうち、千葉県内で未整備の松尾横芝インターチェンジ(IC)―大栄ジャンクション(JCT)間の建設などを加速させる考えで、同様に東海環状自動車道の整備も急ぐ。2005年の道路公団民営化で、高速各社が金融機関などから借りたお金で道路をつくり、完成したら借金とともに独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」に引き渡している。今回は財投の仕組みを使い、政府が国債を発行して金融市場からお金を調達し、固定金利で40年間、1・5兆円を機構に融資する。同省幹部は「金融緩和で低金利。やるなら今しかない」と話す。
■背景に財政難
 財投は、かつては郵便貯金や年金積立金など潤沢な元手があり、「第二の予算」と呼ばれていた。しかし、無駄な道路建設などにつながった反省から、01年以降、郵便貯金・年金積立金からの資金繰り入れの廃止などの改革が進んだ。00年度に36兆円を超えていた財投運用額は、15年度には約12兆円まで縮小した。ところが、安倍政権は最近、再び財投をインフラ整備にあてる方向にかじを切る。リニア中央新幹線の建設を前倒しするため、財投から独立行政法人を通じてJR東海に計約3兆円を貸し付けた。背景には、国の財政難と「異次元緩和」がある。財政再建目標に影響する通常の予算は高齢化で社会保障費が膨らみ、公共事業を大きく増やせない。その点、財投は別会計で、その貸し付けは将来返済される前提なので、財務省も応じやすい。だが、不採算の事業につぎ込んで返済が滞れば、国民負担が発生するおそれもある。


<小池百合子氏の事例>
PS(2017年11月15日追加):*6のように、希望の党の小池百合子氏が代表を辞任したことについてメディアの批判が集中しているが、都知事としてうまく機能するためには、小池氏は都政では与党・国政では少なくとも無所属として政府と連携を保ちながら都政を進めて行くことが必要である。そのため、東京都民は、都議選では小池氏を大勝させたが、希望の党の党首であり続けて小池氏が都政を疎かにすることは望んでいなかった。
 また、小池氏が希望の党を作ったのは、最初は都知事選でお世話になった若狭氏を助けるためだったが、知事選と都知事選を見て勘違いしたメディアと民進党公認候補者の合流で流れが変わった。小池氏は初めから衆議院議員選挙には出ないと言っていたが、政権選択選挙なのに首班が不明と騒いでいたのは、その選挙のみしか見ていない浅薄なメディアだったのだ。
 そして、今度は党の運営を国会議員に任せるとして代表を辞任した小池氏を無責任だと批判しているが、都知事としてうまく機能しオリンピック等を成功させる責任を果たすためにはそれが必要で、最初に安保法制や憲法変更等々で「排除の論理」を持ち出したのは、一部のメディアと若狭氏・細野氏だったように私には見えた。そして、その方針で候補者を排除すれば、安保法制や憲法変更に疑問を持っている有権者の支持がなくなるのは、当然のことなのである。

*6:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13228062.html (朝日新聞社説 2017年11月15日) 小池代表辞任 一連の騒動は何だった
 旗揚げからわずか約50日。一連の新党騒動は何だったのか。あきれる人も多いだろう。
希望の党の小池百合子代表がきのう辞任した。新執行部の発足を機に、党運営は今後、国会議員に任せ、自身はサポート役に回るという。東京都知事である小池氏が、国政政党の代表を兼ねることには当初から懸念の声もあった。それでも国会議員主導の新党構想を「リセットして私自身が立ち上げる」と乗り出した。一時は吹くかに見えた小池旋風も、自ら持ち出した「排除の論理」で急速にしぼみ、衆院選では「排除された側」の立憲民主党に野党第1党を譲った。党の支持率は低迷が続く。本紙の今月の世論調査では3%にとどまり、立憲民主党の12%に水をあけられている。衆院選を勝ち残った議員は旧民進党出身者ばかり。自民党出身の小池氏が指導力を発揮しにくいとの事情もあろう。党勢回復の方向性を見失い、もはや代表を続ける意義を見いだせなくなったのだろうか。だが、小池氏には忘れてならない責任がある。衆院選で「安倍1強を倒す」と訴え、比例区で967万の票を得たことだ。小池氏の指導力に期待した人も多かっただろう。この票の重みをどう考えるのか。小池氏が政党代表を辞めるのは、この半年弱で2度目だ。夏の都議選前には「改革のスピードを上げる」として、地域政党「都民ファーストの会」の代表に就任。選挙で大勝すると「知事に専念する」とわずか1カ月で辞任した。2カ月半後、衆院選を前に再び「(改革の)スピード感を確保するには国政関与が必要」と希望の党代表に。そしてまた、その立場を放り出す。新党設立、代表辞任の繰り返しが政党や政治への国民の不信をさらに深めることを憂える。小池氏という看板を失った希望の党は立て直しが急務だ。党内では旧民進党と同様に、安全保障法制などをめぐる路線対立が整理されないままだ。希望の党は何をめざす党なのか。まず玉木雄一郎・新代表のもと、衆院選は小池氏主導の急ごしらえで済ませた政策論議をいちから始めるしかない。衆院選で圧勝した自民党は、野党の質問時間の削減を求めるなど、早くも慢心が見える。野党なのか、与党への協力もあり得るのか、選挙戦で小池氏はあいまいにしてきた。これから本格化する国会論戦にどんな立場で臨むのか。玉木執行部の選択が問われる。


<山尾志桜里氏の事例>
PS(2017年11月16日):*7の山尾氏と倉持氏が1泊2日で大阪出張していたとして、不倫を匂わせる報道をしているが、こういう論調は、①別々に会場を離れるなど仕事外では話もできない状態にする(男同士ならノミニケーションして、その後の仕事をやり易くするところ) ②時間差で帰京しなければならない(新幹線の中で仕事の話などをする機会を奪う)等々、活躍している女性を不利にする。
 30年くらい前に外資系監査法人で働いていた時、私が公認会計士として男性の部下と2人で岐阜県の会社に往査に行き、同じ宿(部屋は当然別)に泊まって2人で夕食をとったら、宿の中居さんは私の前におひつやとっくりを持ってきた。私が戸惑っていると、男性部下が「それは、私がやります」と言ってくれたので助かったが、女性の活躍には一般社会の方がついてきていないと感じることが多い。また、何かと引っ張ってくれていた男性上司と同じエレベーターに乗り合わせていると、後からエレベーターに乗って来た人が「どういう関係?」などと言って協力者の男性に困った思いさせ、女性の仕事をやりにくくしたという経験もある具合だ。

*7:http://bunshun.jp/articles/-/4947 (週刊文春 2017年11月23日号) 山尾志桜里衆院議員が倉持弁護士と1泊2日の大阪出張
 山尾志桜里衆院議員(43)、倉持麟太郎弁護士(34)の2人が1泊2日で大阪出張していたことが「週刊文春」の取材によって明らかになった。11月12日、2人は、彼らの後見役を自任する漫画家・小林よしのり氏が主催する言論イベント「関西ゴー宣道場」に参加。イベントでは、倉持氏が「日本で最も有名な弁護士です」と紹介され山尾氏が爆笑するなど、終始、和気藹々とした雰囲気だった。山尾氏は11月7日に倉持氏を政策顧問として起用することを発表。今回の大阪出張は、2人の動向に注目が集まっている矢先のことだった。大阪でのイベントが終了後の午後6時頃、2人は別々に会場を離れた。「週刊文春」取材班は、翌朝の新大阪駅で時間差で帰京する2人の姿を確認している。山尾氏の事務所は、大阪出張について、次のように回答した。「ゴー宣道場に参加したことは事実ですが、終了後、倉持弁護士含め道場師範の方々とは全く別行動を取っており、倉持弁護士と一緒に宿泊したという事実は一切ございません」。11月16日(木)発売の「週刊文春」では、1泊2日の大阪出張の詳細に加え、倉持氏の義母へのインタビューなど、山尾・倉持両氏の新たな関係について詳報している。また、「週刊文春デジタル」(http://ch.nicovideo.jp/shukanbunshun)では、山尾氏への直撃取材の模様などを、同日朝5時より公開する。


<染色・アパレルと女性の変化>
PS(2017.11.18追加):*8-1のダウンは10万円もするが、スタイリッシュさと北極圏の環境にも耐える保温性をもっており、これは「日本製の品質は高い」と言われる場合の“品質”には含まれていない。日本製の服は、20~30代向けの細身の服しかデザインのバラエティーがなく、試着すると不快になり、値段相応の質でもないため、私はサイズが多くてデザインのよいヨーロッパのブランドスーツの下に、一年毎に使い捨てても惜しくないような値段のユニクロのTシャツを組み合わせて着ており、その方が満足度が高いのだ。そのため、服が売れないのは確かにアパレルメーカーの責任で、女性に対する従来の先入観にとらわれず、市場が求めている人口動態や体格にあった製品構成にすべきだ。また、「日本は労働力などのコストが高い」という問題は、安い外国人労働力を使わないのなら、*8-2のような衣類に直接印刷できる装置等の生産性を上げるイノベーションを進めるしかない。そして、この技術には、昔の友禅染の振袖や色留袖を簡単にコピーして複製できる程の、職人も真っ青になるような潜在力がある。

*8-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171117&ng=DGKKZO23588790W7A111C1TJ2000 (日経新聞 2017.11.17) アパレル不況は本当か 海外製10万円ダウン店繁盛 消費刺激「技術力+α」カギ
 米アップルの新型スマートフォン「iPhoneX(テン)」の発売に世界の人々が沸いた3日。東京都渋谷区神宮前の閑静な通りにも負けず劣らずの長蛇の列ができていた。ダウンジャケットが主力のブランド「カナダグース」のアジア初となる旗艦店の開業だ。午前11時の開店前に並んだのは約150人。一番乗りだった仙台市の大学生、高橋颯さん(22)はアルバイトでためたお金を手に朝6時から並んだ。店内は開店と同時にごった返し、10万円のジャケットがこの日だけで1分半に1着売れた。大手アパレルの相次ぐ大規模リストラが象徴する「アパレル不況」とは無縁の世界が広がっていた。日本での代理店はサザビーリーグ(東京・渋谷)。1995年に米スターバックスを持ち込んでスタイリッシュなカフェを定着させた実績を持つ。こうした手腕にカナダの本社側が目をつけ、2015年に販売代理店契約を結んだ。カナダグースはサザビーとの契約を機に、約680店あった百貨店やセレクトショップなどの取扱店をブランドイメージに合う400店程度に絞り込んでブランドイメージを高めた。冒頭の旗艦店も本国の意向で渋谷区神宮前の人通りの少ない静かな環境を選んだ。北極圏の環境にも耐えるほどの世界屈指の保温性を持ち、希少価値が高い。こうした機能性やストーリー性が消費者の購買意欲をくすぐる。この「カナダグース狂騒曲」に、日本の伝統的なアパレル企業はほぞをかむ。オンワードホールディングス、三陽商会など百貨店を主な販路とするアパレルは、カナダグースと同じ「中高価格帯」の商品を販売してきたが、長引くデフレで販売不振に直面している。バブルに沸いた90年、国内のアパレル市場は約15兆円だった。10年には10兆円に落ち込んでその後横ばいが続き、大手アパレルはここ数年で大規模なリストラを相次ぎ実施した。だが本当に服は売れなくなったのだろうか。消費者はより安い服を求めユニクロを運営するファーストリテイリング、衣料品専門店のしまむらの収益はいずれも過去最高だ。安い服は売れているし、高くても売れることはカナダグースが証明している。人々が百貨店で洋服を買わなくなったことへの対応が遅れただけではないだろうか。品質の高さから、業界では「ものづくりの三陽」といわれてきた。その象徴である子会社サンヨー・インダストリー(福島市)。工場では女性を中心に約130人がミシンに向かい、1着1着を丁寧に縫製する。その技は有名セレクトショップや紳士服チェーンがスーツのOEM(相手先ブランドによる生産)を依頼するほどだ。だが、三陽商会の業績は低迷が続き、高い技術力を生かせていない。ある大手アパレルの幹部は「服が売れなくなったのは我々の責任」と認め、ライフスタイルを意識した次世代の服作りに真剣に取り組む。どんな時代でも人は洋服を着る。アパレル不況と嘆く必要はない。

*8-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171117&ng=DGKKZO23566720W7A111C1TJ2000 (日経新聞 2017.11.17) 写真、衣類に直接印刷 リコーが小型プリンター
 リコーは16日、衣類に直接印刷できる小型プリンターを発売すると発表した。店舗やイベント会場で、手持ちのスマートフォンに保存した写真をその場でTシャツやバッグに印刷できる。印刷から乾燥まで約10分で完了する。プリンターやインクの販売、保守サービスなどで、2019年度に100億円規模の売り上げを目指す。主に企業向けに20日に日本で発売する。今夏からアジア・中国地域で先行販売を始めていた。オフィス向けプリンターと部品を共通化したことで、プリンター本体とインクを定着させる仕上げ機を合わせて価格を30万円台に抑えた。競合他社と比べて3分の1から4分の1の水準という。インクジェット技術を応用した。150~200度にもなる専用プレス機も無くし、初めての人でも安全に使えるようにした。利用者はTシャツなどをカセットにセットして、プリンターに設置。印刷後は仕上げ機にカセットごと入れてインクを定着させるだけでいい。16日に記者会見した山下良則社長は「インクジェット技術を応用して、プロセスをがらりと変えたい」と語った。


<教育と環境>
PS(2017.11.20、30追加):*9-1のように、「3~5歳の教育無償化」と言うと、「①負担できる方には負担をお願いするべき」「②必要経費を積み上げず、はじめから金額が積み上がっている対策は初めて見た」などの意見が出るが、①については、“高額所得”に分類された(さほど多くもない)一つの所得に対する多重課税である。また、②については、*9-2のように、経済は生き物という論理性がなく説明にもならない根拠の下、「景気対策の事業規模が20兆円超(2兆円の10倍)で調整されている」として多くのメディアがいそいそと報道しているのに対し、教育に対する意識の低さがわかる。しかし、教育を徹底すれば、国から下支えしてもらわなくても稼げる人を多く作ることになるため、どちらがより重要かは異論の余地がない。
 そのため、私は、義務教育である小学校を3歳からにして教育を無償化し、十分な時間を取って教育するのがよいと思うが、国の中枢は私立中高一貫校(その殆どが男女別学)出身の男性が大多数であるため、この改革には後ろ向きで価値観もずれているようだ。そこで、地方自治体の主導で開始するのがよいと思われ、その時には、幼稚園は小学校と合併し、保育所等が0~2歳児と学童保育を引き受けるようにすれば、現在の設備で待機児童を無くすことが可能だろう。
 また、*9-1で日経新聞は、「社会保障の財源は限られており、高齢者に偏る社会保障を若年層に振り向けることは重要な視点だ」とし、*9-3では診療報酬値下げを提唱しているが、*9-4のように、環境税導入には反対だ。しかし、環境や生命・個人の生活を大切にすることは最も重要であるため、こういう政策を提唱するような人を育ててはならないのである。
 このような中、自民党税制調査会は、*9-5のように、「森林環境税」の創設で一致したそうだが、政府は森林環境税の2024年度の導入しか目指さないとのことだ。しかし、森林環境税(環境税の方がさらによい)ができれば、森林の育成や自然保護に関わる予算はそちらから支出すればよいため、これまでの一般予算を減少させることができ、消費税増税を凍結することも可能だ。つまり、政府の放漫経営と増税の連鎖は、もう変えるべきなのである。

*9-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171120&ng=DGKKZO23669080Z11C17A1MM8000 (日経新聞社説 2017.11.20) 教育無償化を問う(上)議論は尽くしたか 選挙にらみ「2兆円」先行
 安倍晋三首相が打ち出した教育無償化を巡る政府・与党の議論が混迷気味だ。首相は衆院選で2兆円の政策パッケージを策定すると表明。「保育園や幼稚園の費用はタダ」「低所得世帯は大学授業料も免除」など聞こえのいい政策を並べたが、具体策や効果をめぐる議論は生煮えのままだ。限りある財源をどう活用するか――。教育無償化をめぐる現状を追う。
●不満の声相次ぐ
 「負担できる方には負担をお願いするのが今までの政策。完全無償化はいかがなものか」。8日、自民党が開いた人生100年時代戦略本部会合。出席議員は党公約に明記された3~5歳の子育て費用無償化に疑問の声をあげた。同本部は17日、補助への上限設定を政府に提言すると決めた。多くの議員の不満の背景にあるのが政策決定の在り方だ。首相は衆院選の選挙公約として教育無償化などの対策を打ち出したが、橋本岳厚労部会長は「部会長が反対だといったことが公約になった」と公然と反論する。2兆円という「規模ありき」の手法にも不満がくすぶる。首相は衆院解散に向けた記者会見で2兆円の枠組みだけを示し、具体的な使い道や適用範囲は選挙後の検討に先送りした。厚労族の重鎮・尾辻秀久元厚労相は「必要経費を積み上げず、はじめから金額が積み上がっている対策は初めて見た」と首をかしげる。その結果が政策軸の急激な転換だ。子育て費用は家庭の所得にかかわらず無償となり、恩恵は高所得者ほど大きい。厚労族のベテラン議員は「『自助』を基本に『共助』で支え合うといった従来の社会保障の理念が壊れる」と指摘する。
●公明への配慮
 なぜ教育無償化は議論の積み上げに基づく政策でないのか。さかのぼると、人づくりや少子化対策など本来の目的とは異なる源流が見えてくる。「前向きな対応をお願いします」。衆院選前の与党党首会談で、首相は公明党の山口那津男代表から私立高校無償化の要請を受けた。自民党公約に入らなかった同政策が2兆円政策に盛り込まれる背景には、公明党の選挙協力への期待が透ける。大学などの高等教育に重点を置いたことからは、教育無償化を憲法改正の項目とする日本維新の会への配慮がにじむ。さらなる底流には消費増税の影響を回避したい首相の思惑がある。消費増税を2度延期した首相は増税には慎重だ。それでも、少子化対策の名のもとに増税分の一部を回せば「8%に引き上げたときのような景気への悪影響が軽減できる」(首相)との計算が働いた。首相周辺は「教育無償化の発想は社会保障ではない。マクロ経済政策に近い」と解説する。高齢者に偏る社会保障を若年層に振り向けることは重要な視点だ。少子高齢化を克服するためには、子育てしやすい環境づくりは不可欠だ。さらに世界を見渡せば、人工知能(AI)やロボットなど劇的なイノベーションが進んでいる。その波にのり、国際競争力を高めるためにも、高度人材の育成は最優先の課題だ。だが、社会保障の財源は限られている。その使い道として幼児教育や高等教育の無償化が正しい選択なのか。効果や意義について議論が尽くされた形跡はみえない。来る2019年が首相が掲げる「人づくり革命」の元年となるのか、財政破綻の一歩を許した一年として歴史の一ページに刻まれるのか。政権の責任は重い。

*9-2:https://mainichi.jp/articles/20160721/k00/00m/020/185000c (毎日新聞 2016年7月21日) 経済対策 事業規模20兆円超で調整 景気下支え
 政府が新たにまとめる経済対策の事業規模を20兆円超で調整していることが20日、分かった。当初は10兆円超の見込みだったが、倍増させる。追加の財政支出は3兆円超(国・地方の合計)として、残りは財政投融資や民間事業を積み増してかさ上げする。事業規模を膨らませ、景気下支えに本腰を入れる姿勢を示す狙いがあるとみられる。政府は今後、与党と調整を進め、来月上旬にも経済対策を閣議決定して、裏付けとなる2016年度第2次補正予算案を秋の臨時国会に提出する方針。与党内には一層の上積みを求める声もあり、規模がさらに膨らむ可能性もある。事業規模20兆円超の内訳は、国・地方の追加の財政支出が3兆円超▽国が低利で民間事業に長期融資などを行う財政投融資が最大6兆円程度▽国の補助を受けて民間企業が行う事業が6兆円程度▽財政投融資とは別に政府系金融機関が手がける融資が5兆円程度−−となる見込み。複数年度にまたがる民間事業を含めることで見かけ上の規模を大きくする。追加の財政支出の財源は、建設国債(使途を公共事業などに限る国債)を1兆円超発行するほか、低金利に伴う国債の利払い費の減少分などで賄う方針だ。追加の財政支出はインフラ整備が主体となり、訪日客拡大に向けた地方の港湾整備や、農産物の輸出拠点設置などを行う。財政投融資はリニア中央新幹線の大阪延伸前倒しに約3兆円、整備新幹線の建設に約8000億円を充てる。英国の欧州連合(EU)離脱に伴う金融市場の混乱を防ぐため、政府系金融機関を通じた民間企業へのドル資金融資も行う。

*9-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171117&ng=DGKKZO23566960W7A111C1EE8000 (日経新聞 2017.11.17) 診療報酬下げ、都道府県別に、厚労・財務省が指針 医療費を抑制
 厚生労働省と財務省は都道府県ごとに診療報酬を定めるためのルールをつくる。法律上は認められているが実施例がないことから、2017年度中に指針を示して導入を促す。政府は18年度から都道府県単位に医療の提供体制を見直し、医療費抑制を進める。この見直し時期にあわせ、地域の実情を考えて診療報酬を下げるしくみを定着させたい考えだ。診療報酬は病院や薬局などの医療機関が、公的医療保険で手掛ける医療行為や薬の対価として受け取る公定価格だ。国が2年に一度、全体の改定率と様々な医療サービスの単価を決める。両省はこれをもとに、都道府県が地域の医療実態に合わせて、国が決めた単価や算定要件を一部見直す形を想定する。06年の法改正で、医療費適正化のために都道府県が域内の報酬を変更できるようになったが、実施県はない。厚労省は指針で、地域内の診療報酬を設定できる場合の具体例をまとめる方針だ。例えばある県で重症者を受け入れる病床の数が他県に比べて過剰な場合、診療報酬の算定要件を厳しくするなどの例を想定している。財務省は診療報酬の単価を直接下げる案を求める。患者の需要に比べ過剰な病床数を持つ県ほど医療費の伸びが大きい傾向にある。同省は入院にかかる医療費が高い県は入院にかかる基本料の診療報酬の単価を引き下げたり、需要より過剰に薬局や薬剤師が多い県は調剤技術料を下げたりしたい考えだ。政府は都道府県主導の医療提供体制の整備を進めている。18年4月からは国民健康保険の主体が市町村から都道府県にうつる。都道府県は18年度から5カ年計画で「医療費適正化計画」をつくることになる。県内の医療費の水準を踏まえて保険料を設定し、住民への説明責任を負う。診療報酬を都道府県単位で下げるようになれば、需給にあった医療サービスをつくる手段が増える。関心をもつ県が出始めている。奈良県は「県民の保険料負担を抑制するためには検討が必要」とし、医療費抑制に取り組む方針だ。介護報酬の単価は既に地域によって違いがある。政府の指針がでれば、検討する動きが広がる可能性がある。ただ、地域別に診療報酬を設定するのは日本医師会が慎重な姿勢を崩さない。いまは厚労、財務両省と与党、医師会などの関係団体で利害調整し、診療報酬の改定率を決めている。「都道府県ごとに調整の場が分散すると、医師会の力がそがれるとの懸念があるのではないか」(政府関係者)との見方がある。医師会の慎重論に歩調をあわせる都道府県も多いとみられる。指針では義務化や罰則の措置を伴わないことから実効性を疑問視する向きもある。

*9-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171119&ng=DGKKZO23659070Y7A111C1EA1000 (日経新聞社説 2017.11.19) 森林環境税を導入する前に
手入れがされずに放置されている人工林を集約する新たな制度を林野庁がつくる。市町村が仲介役になって意欲のある林業経営者に貸与し、経営規模を拡大する。所有者がわからない森林などは市町村が直接管理するという。森林を適切に管理することは地球温暖化対策として重要なうえ、保水力を高めて土砂災害を防ぐ効果もあるが、問題は財源だ。政府・与党は「森林環境税」の創設を打ち出した。他の予算を見直して財源を捻出するのが先だろう。日本の国土面積の3分の2は森林で、その4割はスギやヒノキなどの人工林が占める。戦後植林した木々が成長して伐採期を迎えているが、零細な所有者が多いこともあって、多くが利用されていないのが現状だ。「森林バンク」と名付けた新制度は所有者が間伐などをできない場合、市町村が管理を受託し、やる気のある事業者に再委託する仕組みだ。一度に伐採や間伐をする森林を集約できれば、作業効率が向上してコストが下がる。近くに作業道がないなど条件が悪い森林は市町村がまず手を入れたうえで再委託する。所有者が不明で放置されている森林についても一定の手続きを経たうえで利用権を設定し、市町村が扱う。現在、国産材の用途拡大が進み始めている。経営規模の拡大を通じて林業を再生する好機だ。財政力が弱い市町村が継続的に事業に取り組むためには安定財源が要ることは理解できる。しかし、森林環境税は個人住民税に上乗せして徴収する方針だ。直接的な恩恵を感じづらい都市住民の理解を得られるだろうか。全国の8割の都道府県や横浜市はすでに、似たような税金を徴収している。都道府県と市町村の役割がどうなるのかについても判然としない。人材が乏しい市町村では、都道府県が作業を代行する手もあるだろう。森林整備は必要とはいえ、新税の前に検討すべき課題が多いと言わざるを得ない。

*9-5:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/154344 (佐賀新聞 2017年11月30日) 自民、森林環境税創設で一致、加熱たばこも増税へ
 自民党税制調査会は30日、幹部会合を開き、森林の整備費を賄う新税「森林環境税」の創設で一致した。通常の紙巻きたばこより税負担が軽い「加熱式たばこ」の増税も大筋で確認した。一方、政府、与党は資本金1億円超の大企業を対象に、2020年度から法人税や消費税などの電子申告を義務付ける方針を固めた。いずれも18年度税制改正大綱に盛り込む。森林環境税は、個人住民税に1人当たり年間千円を上乗せする案が有力だ。政府は24年度の導入を目指しているが、与党には早期導入を求める声も強く、引き続き調整する。


<女性天皇・女系天皇>
PS(2017.11.23追加):2005年11月に「女性天皇・女系天皇を認めて男女を問わず直系第1子を優先させる」という内容の最終報告書が出た時には私の主張が通っていたが、(実際には変更可能な)皇室典範第一条(http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000003&openerCode=1 参照)を盾にして、現在でも皇位継承資格を「男系男子」に限るという主張は強い。しかし、天皇を男子に限ったのは天皇に軍の統帥権を持たせた明治以降で、これによって文民統制が効かずに太平洋戦争に突入した経緯があって今後そうなることはなく、遺伝的には女系でも全く問題ないことがわかっているため、現在では単なる女性差別になる。

 
   <過去には女性天皇もおり、一番右は聖徳太子が摂政を務めていた推古天皇だ>

*10:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171123&ng=DGKKZO23834130T21C17A1EA2000 (日経新聞 2017.11.23) 皇位継承順位 資格は「男系男子」
▽…皇位継承順位は皇室典範に規定されている。継承資格があるのは「男系男子」に限られ、天皇の子や孫にあたる「直系」が優先。第4条は「天皇が崩じたときは皇嗣が直ちに即位する」と定めており、天皇の退位による皇位継承は認めていない。6月に成立した特例法で天皇陛下の退位に伴う皇位継承が実現することになった。▽…現在の皇室は計19人で、陛下を除き男性は4人。皇位継承順位1位は陛下の長男の皇太子さま。2位は次男の秋篠宮さま、3位は秋篠宮家の長男の悠仁さま、4位は陛下の弟の常陸宮さまと続く。陛下が退位して皇太子さまが即位されれば、秋篠宮さま以下の順位が1つずつ上がり、継承資格を持つ皇族は3人に減る。▽…皇位継承が課題となる中、小泉内閣の有識者会議は2005年11月、女性天皇や母方が天皇の血筋を引く「女系天皇」を認めることを柱とした最終報告書をまとめた。皇位継承順位は男女を問わず天皇直系の第1子を優先する内容だったが、男系男子を重んじる保守層の反発は根強く、制度化には至っていない。


<女性役員の役割>
PS(2017年11月29日、12月1日追加):農業は古代から女性が重要な役割をしていた産業であるにしては遅すぎた感があるが、*11-1のように、農業分野で女性の活躍を促進するため、働きやすい農業環境を作るという意識が高まったのは、近年の女性の努力の成果だろう。しかし、現在は、まだ農機具や運搬具が男性向けで女性仕様ではなく、これは女性を働きにくくしている。
 そのような中、EVで出遅れたトヨタは、*11-2のように、人事を前倒ししたり、外部人材の登用で役員を交代したりしているが、その殆どがやはり男性だ。しかし、日本の自動車会社及びその関連会社の失敗は、需要の半分は女性が占めているにもかかわらず、社内で女性を重用せず、女性が好む自動車を市場投入しなかったことにある。
 女性は、ガソリン車で突っ走る快感を味わうために自動車に乗るのではなく、仕事をこなすために自動車に乗る人が多いため、安全で環境を汚さず、乗りやすくてデザイン(お尻が切れたようなワンボックスカーはスマートではない)も燃費も良い車を欲しており、そのためにはEVがBestだったのだ。つまり、現在の道具は、乗用車から農機具に至るまで男性向けの仕様であるため、女性が使いやすくて気に入る製品を出せば新たな需要が見込めるのである。
 そのため、*11-3のように、機関投資家に議決権行使を助言する米グラスルイスが、日本の主要上場企業に女性役員起用を求め、候補者を含めて女性の取締役・監査役がいない企業の総会では会長又は社長の選任議案に反対票を投じるよう投資家に推奨することにしたのはよいことだ。しかし、男性中心の組織で選ばれてくる女性は、男性との予定調和を乱さずに男性が予測可能な言動しかしない人が多く、それではこれまでと変わらないので、本質的な別の視点からの指摘をズバッとできる女性が選抜されることが望まれる。



(図の説明:1番左はトヨタの新役員、左から2番目はデンソーの女性管理職・役員比率、右から2番目はクボタの女性管理職割合の推移であり、いずれも低い。また、1番右はクボタの新入社員に占める女性比率の推移だが、技術職でとりわけ低い上に下降している)

*11-1:https://www.agrinews.co.jp/p42617.html (日本農業新聞 2017年11月29日) 女性の活躍促進 働きやすい農業環境を
 政府は女性の活躍促進を重要政策に位置付けている。農業は女性の存在なくして成り立たない。経営パートナーとして働きやすい環境づくりを都市部に劣らないよう進めていく必要がある。女性が輝けば、農業も地域も元気になれる。農水省が初めて行った「女性農業者の活躍推進に関する意識調査」によると、女性が農業経営で重要な役割を果たしていると思う割合が9割に上った。生産者だけでなく消費者を含めた調査であり、女性が農業の支え手であるという実態は広く認知されているといえる。注目したいのは、その理由である。「女性が経営方針に参加している経営体は、経営の多角化に取り組む傾向があるから」(38%)と「女性が経営方針の決定に参加している経営体は収益性が高い傾向があるから」(34%)の割合が高かった。単なる労働力の提供ではなく、農業経営の改善に女性の力が不可欠との認識が高まってきているのは好ましいことだ。女性が経営者や役員などの幹部を務める経営体は、参画していない経営体に比べて72ポイントも経常利益の増加率が高いとする日本政策金融公庫の調査結果(2016年)がある。女性はコミュニケーション力やインターネット交流サイト(SNS)を使った情報発信能力に優れ、消費者目線で農産物や加工品を作るといった発想も生まれやすい。経営のパートナーとして参画することが「もうかる農業」の鍵を握ることを示している。安倍政権は現在、「1億総活躍社会」の実現に力を入れる。命を育む農業は女性の力を発揮しやすい職業である。女性の新規就農の促進と併せて、女性農業者が働き続けられる環境づくりや、経営管理・資質向上への支援を強めるべきだ。子育て、保育の問題は大都市の女性だけの問題ではない。せっかく就農したものの、出産後の育児を担うために、しばらく農業経営の一線から退かなければならないというケースはもったいない。また、女性パートを求人する場合も託児所の有無が重要な雇用条件で、自力で用意する法人も出てきている。農業者の知恵と民間企業の技術・ノウハウを結び付けて、新商品やサービス開発を進める「農業女子プロジェクト」は、開始4年でメンバーが600人台に拡大した。最近は香港で輸出販促をするなど、販路開拓でも期待されている。こうした動きを地域で広め、起業やマーケティング、6次産業化、経営管理などを女性農業者が当たり前のように学べる場を増やしたい。行政やJAが、女性が活躍しやすい雰囲気づくりをすること、意識的に女性の声を聞く仕組み作りも重要だ。若い女性に「農村は男社会」と感じさせないよう、男性側の意識改革も引き続き求められる。女性が輝き、地域の基幹産業である農業が発展することは、地域活性化にもつながる。

*11-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171129&ng=DGKKZO24015480Y7A121C1TI1000 (日経新聞 2017.11.29) トヨタ、焦燥の前倒し人事、役員交代4月→1月、外部人材登用 金融や新市場開拓
トヨタ自動車は28日、2018年1月1日付の新体制を発表した。例年より3カ月早く80人規模の役員級の人事を決定。三井住友銀行などから人材を招き、自前主義脱却を人事でも進める。背景には前例にとらわれていては車の激変期を生き抜けないという豊田章男社長の「攻めの姿勢と焦燥」(幹部)がある。異例の改造人事で、トヨタは強さを維持できるのか。
●「瀬戸際の戦い」
 「勝つか負けるかではなく、生きるか死ぬかの瀬戸際の戦いが始まっている」。28日にトヨタが公表した発表資料では過激な表現が目を引いた。これまでトヨタは1月に部長以下、4月に役員の人事を行ってきた。今回はデンソーやアイシン精機といった主要グループ企業も巻き込み、時期を前倒ししての同時実施になる。トヨタのある役員は「経営環境がどんどん変わる時代に人事は1年に1度、4月という保守的な考えは合わない」とみる。実際、トヨタは今年4月の役員人事が終わった後も6月、8月、11月と不定期で役員を異動させている。来年1月に就任した後も実績や環境の変化で交代がいつ起きてもおかしくない。交代時期の前倒しには、そうした緊張感を社内外に浸透させる狙いもある。実は8日前に今回の人事を予感させる言葉があった。愛知県豊田市の本社で20日に開かれた経営陣と労働組合幹部による約150人の「労使懇談会」。豊田社長は経営難から苦渋のリストラを余儀なくされた1950年の労働争議に言及し、「当時を超えるほどに自分たちは腹をくくって努力をしているか。大転換期は惰性でなく、厳しい行動も必要」と強調したという。今年はトランプ米大統領がツイッターでトヨタを批判し、合計で人口27億人の中国とインドが電気自動車(EV)を優遇する政策を鮮明にした。トヨタには逆風が吹き続けている。これまでの慣例にとらわれている余裕はない。
●一体感を創出
 専門性の高い分野でトヨタ出身者以外を登用するのも今回の人事の特徴だ。常務役員に就く豊田通商の今井斗志光執行役員はアフリカ事業のキーマン。トヨタのアフリカでの新車販売は16年に18万台強と世界全体からみればわずか2%で現在の優先順位は高くない。だが50年には人口が2倍の24億人に増え所得水準も向上する。既存のメンバーでは難しい有望市場の開拓を今井氏に託す。三井住友銀行の福留朗裕常務執行役員を迎え入れるのも従来のトヨタにはなかった発想だ。福留氏はトヨタファイナンシャルサービスの社長に就き、シェアリングの普及などで重要性が増す販売金融の強化を担う。主要な部品会社との間での役員異動も目立つ。例えば副社長に就くデンソーの小林耕士副会長。トヨタ出身だが03年にデンソーに移っており「年齢からも異例の復帰」(主要部品メーカー幹部)だ。アイシン精機傘下のブレーキ大手、アドヴィックス(愛知県刈谷市)の小木曽聡社長も約2年半ぶりにトヨタに戻る。一連の人事の背景には「より一体感を持たないと勝てない」(トヨタ幹部)との危機感があり、グループ再編への意志もみえる。トヨタの17年度のグループ世界販売台数は1025万台の見通し。5年連続で大台を超えるものの、売上高の成長は鈍る。そうしたなか競争力をどう磨くのか。自動運転や電動化といった次世代分野でぶつかるのは米グーグルなどの異業種だ。スピード感も従来とは違う。最大の経営課題となる社長の後継者育成も含め、新体制の責任は重い。

*11-3:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24096520Q7A131C1MM8000/?n_cid=NMAIL006 (日経新聞 2017/11/30) 「女性役員ゼロ」 総会で反対票を 米助言大手が推奨
 機関投資家に株主総会の議決権行使を助言する米グラスルイスは2019年から、日本の主要上場企業に女性の役員起用を求める。候補者を含め女性の取締役や監査役がいない企業の総会では、会長もしくは社長の選任議案に反対票を投じるよう投資家に推奨する。同社は海外投資家の議決権行使に影響力を持ち、日本企業の女性登用の流れを後押ししそうだ。グラスルイスは年内にも新ルールを公表する。まずは時価総額が大きい100社を組み入れた株価指数である「TOPIX100」の構成企業に新ルールを適用。12月期決算企業が総会を開く19年2月以降に開催する総会から実施する。現在のTOPIX100構成企業のうち女性の取締役や監査役がいない企業は、信越化学工業や東レ、富士フイルムホールディングスなど29社にのぼる。女性の候補者を探すのに一定の時間がかかるため、グラスルイスは1年前に新ルールを公表することにした。将来は東証1部上場企業全体に広げていく考えだ。日本企業に投資する海外投資家の間では、すでに同様の動きが広がっている。米運用大手ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは11月、投資先の日本企業で女性役員がいない場合は、指名委員会の委員長の取締役選任議案に反対する方針を発表した。多くの日本企業の役員は生え抜きの中高年男性で構成され、海外投資家からは欧米企業に比べ経営人材の多様性が欠けるとの批判が出ている。企業統治に詳しい野村証券の西山賢吾氏は「株主からも圧力がかかり、日本企業の女性登用の動きが加速する」と指摘する。


<環境と教育軽視の結果は?>
PS(2017.12.3追加):*12-1のように、佐賀市は下水を浄化しすぎず、窒素・リン・カリウムを残して有明海に排水し、海苔の色落ちを防いでいる。これは、諫早干拓事業の堤防閉め切りで川が有明海に注ぎ込まなくなり、有明海の栄養塩が減って海苔の不作が続いていた解決策として、私が佐賀県庁の職員だった知り合いに言って始まったものだ。しかし、「①下水処理能力向上で海中の栄養が減ってしまった」「②下水処理能力を下げる」「③工場などからの大量の排水は各企業が処理しており、同じ対応をするためにはコストが課題となる」などという記載はとんでもない話で、(たぶん文系の)メディア記者も高校で生物・生態系・環境に関する勉強をしっかりしておかないと、このようなとんでもない記事を書くことになるわけだ。
 正しくは、①については、下水処理で寄生虫卵や菌を殺しておくことは当然で、それには、②のように下水処理能力を下げるのではなく、必要な栄養塩を必要量放流できる馬鹿の一つ覚えではない高度な能力が必要なのだ。また、③については、工場排水は家庭排水とは異なり有害物質を含むことが多いため、各企業が下水処理コストを負担して処理し製品原価に入れるべきで、公有水面に処理していない工場排水を放流するなどとんでもない話である。
 これについて佐賀新聞は、*12-2のように、「佐賀市西与賀町の市下水浄化センターが『日本水大賞』の未来開拓賞を受賞し、その理由は、地域のニーズに応え、地域で喜ばれる下水道資源の有効利用が評価された」と報じている。そのほか、寄生虫卵や菌を殺し有害物質を含まない限り、私は、窒素・リン・カリウムを残した下水処理水を農業用水に使えば、肥料が節約できると考えている。


   2017.12.2         2017.12.2      2017.9.11  2017.3.29
                いずれも日経新聞
(図の説明:養殖海苔の生産量も落ちているが、サンマの水揚げ量も落ちている。その理由は、環境変化による資源量の減少、中国などの漁業参入と大量捕獲、我が国の漁業者数の減少などであり、まずは自国の漁業者の高齢化と新規参入減少の原因を改善すべきだろう)

*12-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171202&ng=DGKKZO24195070S7A201C1MM0000 (日経新聞 2017.12.2) 水清ければノリ棲まず 35%値上げ、食卓に打撃、栄養足りず生産減
 きれいになりすぎた海がノリ養殖に影を落としている。水質改善が進んだ半面、海水の栄養が不足して育ちが悪くなり、生産量が落ち込んでいる。店頭で「のりなし」のおにぎりを増やす試みも出てきた。水清ければノリ棲(す)まず。生産地では養殖シーズンの冬場に海水の栄養を取り戻すため水質を維持しつつ下水処理能力を落とす取り組みも進んでいる。JR池袋駅にあるおにぎり屋「ほんのり屋」のショーケースに「十穀米むすび」が10月から加わった。のりを使わない新商品として投入、具材にサケや昆布など6種類をそろえた。高菜入りを購入した東京都板橋区の女性(53)は「(のりがないと)見た目は少しさみしい」とこぼした。
●規格変更相次ぐ
 運営するジェイアール東日本フードビジネス(東京)の担当者は「ノリの調達先の分散化も進めたが、1年ぐらい前から良質なノリの確保が一段と難しくなった」と嘆く。試行錯誤を重ね、のりを使わない代わりに健康志向を売りにする十穀米のシリーズを試験的に売り出したという。のり製品大手の白子(東京・江戸川)も今年度、主力商品である「卓上のり」で100枚入り500円(希望小売価格、税別)を80枚入り540円に変更。1枚当たりでは35%の値上がりだ。同社担当者は「品質を維持するには値上げや規格変更は避けられない」と理解を求める。ほかの業者も値上がりや規格変更をするなど影響は広がっている。埼玉県朝霞市の主婦(35)は自宅で男児(3)が手で食べやすいようにのり巻きをよくつくる。「必需品なので値上がりは悩ましい」と表情は渋い。漁業・養殖業生産統計によると、ノリの養殖生産量は1994年の48万3千トンから2016年は30万トンと4割近く減少。水産庁は生産者の減少に加え「海水の栄養不足で生育不良を引き起こしている」と指摘する。ノリが育つには海中に含まれるリンや窒素などの「栄養塩」が必要。しかし下水処理能力の向上で海中の栄養が減ってしまったのだ。
●下水処理を抑制
 ノリ生産1位の佐賀県。着込んでも身震いする寒さの11月下旬夜、ノリを養殖する西久保寿さん(39)に同行して初摘みのため有明海の約4キロ沖合にある養殖場に漁船で向かうと、海中から引き揚げた養殖用の網には墨のように黒々した大量のノリが現れた。「順調な出来栄え」(西久保さん)だ。県全体で不作が続いたため佐賀市は県内で先駆けて07年に生産シーズンの冬場は水質基準内で下水の処理能力を引き下げる取り組みを導入した。市下水浄化センターによると、ノリ養殖期間中は有機物を食べる微生物の活動を抑え、栄養を増やしているという。江頭聖司課長は「特に冬場は栄養塩の濃度が下がる。海の状況に応じてリンや窒素の濃度を調整する」と説明する。ノリの産地が集まる瀬戸内海も同じだ。1973年の瀬戸内海環境保全特別措置法に基づき、水質を改善してきたが、2年前の法改正で「豊かな海」を掲げ、周辺の浄化施設はノリ養殖の時期に合わせて処理能力を下げた。地元漁協は「ノリの生育状況が改善した」と喜ぶ。全国6位の生産地、愛知県も今シーズンから西尾市と豊橋市にある2つの浄化センターで下水の処理能力を引き下げる。ただ行政の浄化設備は主に家庭の生活排水が対象。工場などからの大量の排水は各企業が処理しており、同じ対応をするためにはコストが課題となる。海の環境とどう向き合うのか。身近なのりが問いかけている。

*12-2:http://cache.yahoofs.jp/search/cache?c=yqGxz7Jo5ekJ&p=%E6%9C%89%E6% (佐賀新聞 2013年7月6日) 未来開拓賞を受賞 佐賀市下水浄化センター
 佐賀市西与賀町の市下水浄化センター(馬場慶次所長)が第15回「日本水大賞」の未来開拓賞を受賞した。有明海特産のノリ養殖に配慮した放流や汚泥処理の過程で出るメタンガスを使った発電など、「地域のニーズに応え、地域で喜ばれる」をモットーにした下水道資源の有効利用が評価された。日本水大賞は、水循環の保全に寄与する団体を表彰しようと、日本水大賞委員会(事務局・日本河川協会)が創設した。下水道センター事業が同賞を受賞するのは全国で初めて。同センターは、ノリの養殖時期に処理水を有明海に流す場合は、ノリの栄養になる窒素濃度を高くする取り組みを実施している。下水処理の過程で出る汚泥を堆肥にして農家に低価で販売しているほか、汚泥の処理過程で発生するメタンガスを使う自家発電にも取り組んでいる。5日、秀島敏行市長に受賞を報告した金丸正之上下水道局長は「技術だけではなく、地域と歩む姿勢が評価された。今後も市民と一体となった取り組みを続けたい」と受賞を喜んだ。センターには全国から年間40件を超える視察が相次いでいる。

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2017.10.18~25 政党に関する時代錯誤の論評とメディアの報道について
(1)民進党議員の希望の党への参集について
 希望の党の政策協定書と公約                 各党の重要政策比較表
 
                                     2017.10.22 
                                      日経新聞
(図の説明:一番左の希望の党の政策協定書には、「希望の党で公認を受ける議員は、憲法改正を支持し憲法改正論議を幅広く進めること」「公認候補となるにあたり、党に資金提供すること」等の記載がある。しかし、憲法変更は党議拘束すら外して議員個人の良心に基づいて議決するのが妥当なくらい重要なテーマであり、他の政策と抱き合わせにした契約で無理やり賛成させるべきものではない。そのため、国民の代表として一人一人の議員を尊重しているのではなく、議員は党の執行部から降りてきた政策を機械的に採決する駒のように考えているわけだが、それは民主主義の基本に反する。また、希望の党は、新しい政党で党に金がないため、公認候補者に資金提供を要求するのは仕方がないのかも知れないが、一定の金額が決まっておらず、公平・公正感がない。なお、各党の重要政策は右の2つの表の通りだ)

1)メディア等の共産党との野党連合に対する批判
 メディアや他党が、「共産党との選挙協力は野合だ」と非難しているが、共産党の主張には、①脱原発 ②消費税増税中止 ③憲法9条の変更反対 など、資本主義・自由主義経済下でも、政府の無駄遣いを減らして国民生活を豊かにするため、賛成できる提案が多い。また、共産党は歴史が長いため人材が多いようで、情報収集力や分析力があるため、「共産党は社会制度の前提が異なる」として、どのテーマについても「共産党の提言だから」として排除すると、せっかくの提言が有意義な成果を生まない結果となる。

 また、子どもが大人のやり方を見て真似することを考えると、少数派をいじめたり、変なレッテルを貼って排除したりするやり方は、将来世代への影響という点でも問題だ。

2)メディアを通して見ていた人が考えた民進党支持率低迷の理由
 民進党をはじめとする野党連合は、森友・加計問題で安倍首相をしつこく追究して内閣支持率を落とし、今回の解散に追い込んだのだろうが、それによって民進党の支持率が上がったわけではなかった。その理由は、①(いろいろな意味で)過去に失敗したリーダーが、頻繁に顔の見える立場にいたこと ②「安倍政権下での憲法改正には応じない」というような対立軸にならない子供じみた批判をしていたこと ③脱原発の思い切った政策を出せなかったこと ④消費税増税で戦おうとしたこと などだろう。

 そのほか、日本のメディアが、政策の違いやその本質的な理由を真面目に報道できず、誰かの人格否定のようなことばかりを集中して報道するため、それよりも次元が高くなっている多くの国民から、「それだけでは任せられない」と思われたという日本独特のメディアの問題もある。

 そこで、民進党は小池氏の「希望の党」と合流することにしたようだが、希望の党は「国会を一院制にする」というような国会の二重チェック機能を無視した政策提言をしたり、公認希望者に自民党より多様性を認めないような政策協定書に署名させたりしたため、それとは考え方の異なる国民を失望させ、民進党の前議員も立憲民主党を立ち上げたり、無所属になったりして、選挙に突入したわけだ。

3)「リベラル」「保守」「革新」「右翼」「左翼」という言葉使いのおかしさ
 希望の党は、民進党議員を受け入れるにあたり、「リベラル(英語:Liberal)でないことを条件にした」とメディアが報道していたが、「Liberal」とは「自由な」という意味で、現代では、「自由」が民主主義国の大前提であり、日本国憲法にも随所に出てくる。そのため、「Liberalである」ことを理由として排除されなかった候補者が本当に「Liberalでない」とすれば、その人は日本国憲法違反の議員となるが、政党やメディアの中心にいる人が、そんなことにも気づかないとは情けない。ちなみに、「保守」と言われている自由民主党の英語名は、「Liberal Democratic Party of Japan」であり、堂々と「Liberal」が冠せられている。

 また、「保守」とは「現状を維持したい勢力」のことであり、「革新」とは「旧来の制度・方法・習慣を変えたい勢力」のことであるため、現行憲法が施行され定着している現在、憲法を変更したいとする自民党やそれに考え方の近い勢力が「革新」で、護憲を基本とする立憲民主党・公明党・社民党・共産党が「保守」と呼ばれるべきだろう。

 つまり、太平洋戦争終了後、日本国憲法の発布と施行で日本の革命は終わり、その日本国憲法が70年にわたって安定的に運用され、日本は平和主義を前提として戦争で膨大な無駄遣いをせずに経済発展してきたのに、メディアや政党がその事実を無視して戦前の発想で分類しているため、「保守」と「革新」の定義が逆になっておかしくなっているのである。

 なお、革命が終わっても、よりよい方向への継続的な改善はやり続ける必要がある(Continuing improvement)が、リセットばかりしている余裕はない。そして、どの分野でも同じだが、改善とは、欠点を直すためによりよい方向への見直しを普段から続けることであり、理由なき改革のための改革は、無駄な仕事を増やしたり、混乱させたり、改悪になったりするため、しない方がよいのである。

 また、「右翼」とは、国会議事堂で議長(戦前は、たぶん天皇)から見て右側に座っている勢力で、「左翼」とは、左側に座っている勢力であるためそう呼ばれたのだろうが、現在は議員数の多い政党順に右から並んでいるため、「右」か「左」かで思想や政策を分けられるわけではない。ちなみに、先日までの衆議院は、与党である自民党は右側、同じ与党である公明党は比較的左側に着席しており、無所属の人が考え方にかかわらず一番左側にいた。

(2)消費税増税について

    
2017.10.1琉球新報         付加価値税率国際比較   税収・歳出・公債

(図の説明:左の2つが、消費税増税に関する各党のスタンスであり、消費税増税をしないことに対してメディアの批判が多い。しかし、右から2番目のグラフのように、日本は消費税率が低いと言われるが、消費税は日本にしかない税制で、ヨーロッパは付加価値税、米国は国税ではない小売売上税があるだけだ。また、右のグラフのように、日本では1989年《平成元年》に消費税が導入されて以来、消費税率を上げるたびに景気回復と称して生産性の低い歳出を増やすため、消費税ができてから国債残高は増えるばかりなのである)

1)世界で唯一の消費税増税を大合唱する日本のメディアと経済界
 「付加価値税(taxe sur la valeur ajoutée:略語TVA」はフランスで考案され、1954年に世界で初めてフランスで導入され、1960年代末からヨーロッパ共同体(“EC”)の統一税制となり、現在はヨーロッパ連合(“EU”)諸国に導入されている。日本では、英語「value-added tax:略語VAT」で呼ぶのが一般的だが、米国には付加価値税や消費税はなく、州・郡・市毎に率の異なる小売売上税(小売りの売上に一度きり課税するもの)があるだけである。

 そして、太平洋戦争後、日本は、シャウプ勧告(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%A6%E3%83%97%E5%8B%A7%E5%91%8A 参照)を受け、直接税を中心とする米国方式の(長くは書かないが)合理的な税制を作った。その税制は、源泉徴収制度により給与所得者等の所得捕捉率や税の徴収率がよいため、今は捕捉できずにいる所得を捕捉できるように改善し、米国方式で首尾一貫した方が、特定の国民の課税済所得に再課税することにならず、公正・中立である。

 また、米国の小売売上税は売上に課税し、欧州の付加価値税は付加価値に課税するため、どちらも納税義務者は事業者である。一方、日本の消費税は消費に課税するため納税義務者は消費者で、納付を事業者が代行する形になっている。そのため、「消費者に完全に転嫁せよ」などと言われるわけだが、日本で付加価値税ではなく消費税が導入されたのは、事業者から反対の声があがったからにほかならない。

 さらに、欧州の付加価値税や日本の消費税には輸出免税があり、これにより輸出事業者は益税となり、還付されることすらある。また、軽減税率が導入されれば、軽減される業種も益税となる。そして、それが、新聞や経団連などの大企業が、消費税増税を自己目的化している財務省とつるんで、社会保障を人質に、世界で唯一の消費税増税を大合唱している理由だろう。

2)消費税しか財源がないわけではないこと
 メディアは、*1-2、*1-3、*1-4、*1-5のように、「①2019年10月の消費税増税を、自公は予定どおり実施して、借金返済に回す分を減らし、子育てや教育の充実に振り向ける」「②他党は増税に反対している」「③消費税増税を凍結すると借金が減りにくくなり、目標だった20年度の基礎的財政収支の黒字化が不可能になる」「④日本は社会保障に見合う財源が確保されておらず、国債発行という将来世代へのつけ回しに頼っている」「⑤従って、負担増こそ論点だ」「⑥消費税増税は誰が政権についても避けて通ることのできない課題で、異論を言う党はビジョンがない」「⑦各党は教育無償化などの再分配政策に傾斜した内容が目に付き、近く日本が直面する少子高齢化に向けた『痛み』を伴う施策を素通りしている」「⑧消費税増税の選挙争点化は、もうやめよう」「⑨消費税10%への引き上げの3党合意はどこへ行った」など、「消費税増税に賛成しないのは、社会保障についてのビジョンを持たないポピュリズム(衆愚)だ」という財務省の主張を記載している。

 しかし、ここで注意しなければならないのは、財務官僚が優秀でも、イ)財務省は消費税増税を自己目的化している ロ)他省庁管轄の事象に関する影響は考慮できない という事情がある。そのため、政治家が有権者である国民の負託を受けて省庁の壁なく全体を見て考察すべきであり、そうすると、幼児教育・高校授業料無償化、大学授業料減免、大学の給付型奨学金拡充が実現すれば、生産性の高い人材が増え、GDPが上がるため、直接税による税収増を見込める。また、景気刺激策・雇用維持策としてのバラマキを辞められるため、理想的な形で歳出削減を行うことができる。そして、そうなるような教育をしなければならないのだ。

 そのため、上の①については、教育・福祉予算が消費税でなければならない理由はなく、②が正論で、③④は、消費税増税を行う度にその言い訳として景気刺激策を行って生産性の低い歳出を増やし、国の借金が増加していることを忘れてはならない。そして、社会保障サービスは、まさに現代のニーズなのである。さらに、⑤⑥⑦については、痛みがあるから良薬とは限らず、害があるだけの政策もあり、⑧⑨のように、理論は別として「何が何でも消費税増税が必要で、それに反対する国民の意識はポピュリズム(衆愚)だ」などと言うことこそ、経済も税制も知らずに傲慢極まりないのだ。

(3)脱原発について


     各党の公約       使用済核燃料の蓄積  新燃岳の噴火と霧島連山
 2017.10.16   2017.10.7           2017.10.11
 西日本新聞    読売新聞             毎日新聞

(図の説明:左の2つが各党の原発政策の要点だ。中央は、各原発に蓄積されている使用済核燃料のトン数で、処理方法は未定であり、原発が稼働すれば増加する。さらに、薩摩川内市にある川内原発は、現在噴火している新燃岳の近くにあり、その新燃岳は一番右の写真の霧島連山の火山の一つなのである。しかし、原発ゼロを明記するほど憲法は細かいことを規定するものではないため、原発ゼロは環境基本法の実行で十分である)

 *1-2には、「原発の扱いも争点で、太陽光などの再生可能エネルギーで代替する計画だが、発電コストが割高のため、膨らんだ買い取りコストが家庭や企業の電気代に上乗せされる」と書かれているが、書くからには、記者は原価計算を理解した記事を書くべきである。また、普及すればコストダウンできるというのも、マーケティングの常識だ。さらに、再生可能エネルギーは国内にある資源であるため、国富が流出することなく国内で循環して税収増に繋がる。

 そして、このようなことは、他人から言われなくても自ら正確な情報を選択して論理的に考えることができる人材を養成しておく必要があり、そのためには、文系か理系かを問わず、教育を充実して達成しておかなければならない知識や論理的思考力の最低水準があるのだ。

 なお、日経新聞は、経産省の広報版のように、*2-1の「現実直視し責任あるエネルギー政策を」という記事を書いており、現実を直視してエネルギー利用の未来を展望すれば、原発を「ベースロード電源」と位置づけて再稼働するのが正しく、国民は現実を見ずに単なる不安を感じているにすぎないかのように記載している。しかし、実際には原発ゼロの道筋は既に何度も示しており、再エネや省エネの技術もある。にもかかわらず、*2-2も、太陽光や風力は天候などで発電量が変わりやすいなどとしており、思考停止が甚だしいのである。

 また、国民負担であれば、経産省は、*2-3のように、原発立地自治体を対象とした国の補助金を、2017年度から原発30キロ圏内の自治体にも支払う仕組みに変更し、2017年度の予算額を45億円とした。もちろん、原発のリスクと隣り合わせの自治体から見れば、国の補助金はないよりあった方がいいが、原発を開始してから今まで全体でどれだけの補助金が支払われたかを、正確に計算しておくべきである。

 さらに、東京新聞は、*2-4のように、東京電力福島第一原発事故の廃炉作業で、国が直接、税金を投入した額が1000億円を超えたと報道している。事業別では、①凍土遮水壁が設計などを含めて約357億8千万円 ②ロボット開発など1~3号機の原子炉格納容器内の調査費約88億4千万円 ③廃炉作業は約1172億6千万円 ④原発事故処理費用は21兆5千億円(このうち東電負担は8兆円) ⑤除染で出た汚染土を30年間保管する中間貯蔵施設は国の負担で金額は未定 という具合で、歳出額が大きい上、関係者が原発事故にたかっている様子もうかがえる。

 そのため、原発を辞めて再生可能エネルギーで代替すれば、教育無償化や社会保障の充実は容易にでき、現代のニーズにマッチしている上、エネルギーを100%国産にできるため、国富を海外に流出させずに国内で循環させることができると言える。

 そのような中、*2-5のように、日立製作所が英国に建設する原子力発電所に対して日本のメガバンクが融資する建設資金に、日本貿易保険(NEXI)を通じて政府が全額補償するそうだが、これは、日本国民にとって、言われなき国民負担のリスクがあるものである。

 また、フクイチ事故による関東の汚染も、*2-6のように、ひどいものであり、*2-7のドイツ人小児科医による講演内容は、日本メディアの記事よりも本当だ。つまり、公害は、原発の方がCO2よりもずっと著しいのである。

(4)憲法の変更と安全保障について

  
                      憲法9条への対応    北朝鮮への対応
    2017.10.20西日本新聞          2017.10.13、15西日本新聞

 *1-1に、自民・希望・維新は憲法改正に積極姿勢を示していると書かれているが、最も変更したい項目は、*3-2のように、党によって異なる。

 憲法9条の変更には、自民、希望、維新が前向きで、共産・立憲民主が反対だそうだが、①憲法9条を変更するのなら、それによって成し遂げられてきた平和主義を捨てるのか否か ②両立させる方法があるのか ③それは、改悪ではなく改善になるのか について検討すべきである。

 なお、*3-4のように、北朝鮮のミサイル実験で「国難だ、国難だ」と騒ぎながら衆議院を解散しているくらいだから、緊急事態条項が不要なことは明らかであるし、北朝鮮問題は5年もすれば落ち着くと思われるため、北朝鮮のミサイル実験を根拠に日本国憲法を変更する必要はないと考える。

 そのような中、西日本新聞は、2017年10月20日、*3-1のように、「22日投開票の衆院選を巡る世論調査では、自民党が圧勝し、憲法改正に前向きな勢力が国会発議に必要な定数465の3分の2(310議席)を獲得する勢いで、選挙後に9条改正などの論議が加速する可能性が高まる」と記載している。しかし、「立憲民主が野党第1党なら“足踏み”」などと、内容の検討もせずに「改憲が前進」という前提で報道するのは中立性を欠き、国民に先入観を与えるのでよくない。しかし、*3-2のように、公明党が改憲に慎重姿勢を示しているため、与党には少し安心感があるのである。

 また、*3-3のように、希望の党は、公認の条件として提出を求めている「政策協定書」で、①憲法改正への支持 ②安全保障関連法については「適切に運用し、現実的な安全保障政策を支持する」 などとした。一般に、改憲派は、「現実に合わせて理想を変更すべきだ」と主張しているが、憲法はあるべき姿(理想)を述べて、現実を理想に近づけるためのものであるため、発想が逆である。「現実に合わせて理想を変更すべきだ」という論法は、わかりやすく書けば、「泥棒がなくならないから、泥棒してもよいことにしよう」という論法と同じである。

 さらに、「日本国憲法は、古くて時代に合わなくなっている」と言っている人がいるが、それなら、どこが古いのでどう変えたいのかを具体的に指摘する必要があるが、憲法を変えなければならないような場所は、私には見当たらない。環境権についても、足りない部分は強化して環境基本法をしっかり守ればよいため、憲法の変更は不要である。

 最後に、核兵器問題については、日本政府が国連に提出した核兵器廃絶決議案の軍縮等に関する表現が後退していることを、国際NGO「ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)」が批判している。ICANは、そういう組織だからこそノーベル平和賞受賞が決定したのであり、こういう正論を言う人たちが、最少は少数派でも次第に世界をあるべき方向に進めるのだ( https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20171021-00000017-ann-int 参照)。

<各党の政策のうち消費税と財政再建>
*1-1:http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2017/news1/20171007-OYT1T50105.html (読売新聞 2017年10月8日)自民と希望、増税・原発で対立…憲法改正は一致
 政権を争う自民、希望の両党は、消費増税や原発政策などをめぐって対立する。一方、両党は憲法改正を目指す点では一致しており、衆院選の結果次第では、改憲論議が活発化する可能性もある。
◆消費増税
 2019年10月の消費税率10%への引き上げの是非を巡っては、与野党の対立構図がそのまま持ち込まれた。自民、公明両党は予定通り引き上げ、飲食料品などへの軽減税率導入を掲げる。両党は増税分の使い道を見直し、子育てや教育などに重点配分する方針も打ち出した。これに対し、希望、日本維新の会の両党は「凍結」との立場だ。共産党も引き上げ中止を掲げ、立憲民主は「直ちに引き上げることはできない」と見送りを主張した。ただ、野党側が消費増税に代わって確保すると主張している財源については曖昧さも残る。希望は、企業利益の蓄積に当たる「内部留保」への課税を盛り込んだが、「法人税との二重課税になる」との指摘があり、実現性を疑問視されている。
◆原発政策
 自民が公約で、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けるのに対し、野党側は「脱原発」を掲げた。
希望は公約で再稼働に柔軟姿勢を示すものの、原発は新設せず、「2030年までに原発ゼロ」を目指すとした。共産は「原発再稼働の中止」、立憲民主も「一日も早い原発ゼロ」を掲げ、「原発ゼロ基本法」の策定を目指す。
◆憲法改正
 自民や希望、維新は憲法改正に積極姿勢を示している。
自民は「自衛隊の明記、教育の無償化・充実強化、緊急事態対応、参議院の合区解消」の4項目で改憲を目指すとした。希望も「憲法9条を含め改正論議を進める」と明記した。9条改正については自民、希望、維新が前向きだが、共産や立憲民主は「9条の改悪反対」を掲げ、反対姿勢を強めている。

*1-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171007&ng=DGKKZO21978770W7A001C1MM8000 (日経新聞 2017.10.7) 財源当てなき公約競争、衆院選、主要各党が公表 目立つ曖昧さ、論戦に課題
 10日公示―22日投開票の衆院選に向けた各党の公約(総合2面きょうのことば)が6日ほぼ出そろった。政権選択を争う自民党と新党「希望の党」は消費増税や原子力発電・エネルギー政策で対立する。経済政策はいずれの政党も再分配を重視して聞こえのいい内容に偏りがちで、政策実現のプロセスや財源確保に曖昧さが残る。党首討論や街頭演説を通じて有権者に明確に説明できるかが問われる。希望が6日に発表し、新党「立憲民主党」は7日に公表する。公表済みの自民や公明党、日本維新の会などとあわせ主要政党の公約がそろう。経済政策が大きな対立点として浮かんだ。2019年10月の税率10%への消費増税は自公が予定どおりの実施を掲げた。雇用や所得などの経済環境が良くなってきたと強調する。他党は「一般国民に好景気の実感はない」(希望)として増税に反対する。自公も増収分の使い道は変える。借金返済に回す分を減らし、子育てや教育の充実などに振り向ける。これまでは5兆円あまりの増収分の大部分を借金返済、残りを医療・介護や子育て支援の充実などに充てる予定だった。安倍晋三首相は比率を「おおむね半々にする」と表明した。借金が減りにくくなり、目標だった20年度の基礎的財政収支の黒字化は不可能になる。自民は16年の参院選まで公約に明記してきた「20年度の黒字化」を削除した。政府内で簡易的にまとめた試算では、社会保障費の自然増を年5000億円に抑えるなどの歳出抑制を続ければ22年度に黒字化できる。歳出抑制のタガが緩めば25年度まで遅れる。あくまでも19年10月に消費税率を上げることが前提だが、その増税自体の実現にも曖昧さが残る。首相は9月26日のテレビ番組で「リーマン・ショック級の緊縮状況が起これば判断しなければならない」と語った。
●黒字化27年度に
 希望は消費増税の凍結を公約の筆頭に掲げた。小池百合子代表は6日の記者会見で「いったん立ち止まるべきだ」と強調。菅義偉官房長官は「財源なく大胆な改革を進めるような無責任な議論にくみすることはできない」と述べた。第一生命経済研究所の試算では凍結なら基礎的財政収支の黒字化は27年度にずれる。希望は消費拡大に向けベーシックインカム(最低生活保障)の導入も打ちだした。同研究所の星野卓也氏によると、月に6万5千円を支給する場合、現役世代の1割弱を占める年収200万円未満の世帯に対象を絞っても年5.9兆円が必要。300万円未満なら11.5兆円、400万円未満なら18.3兆円と必要な財源は増える。希望が財源に挙げたのは大企業の内部留保への課税だ。内部留保をはき出させ「雇用創出や設備投資に回す」と明記した。内部留保課税は賃上げや設備投資を企業に半ば強制する手段として政府・与党内で浮かんだこともある。実現していないのは課題が多いからだ。法人税を納付した後に課税するため二重課税になり、賃上げや投資の機運を逆に冷やしかねない。小池氏は6日に早くも内部留保課税の提案を修正する可能性に言及した。生煮え感は否めない。自民、希望以外も財源や工程に不透明な部分が多い。自民が全ての3~5歳児の幼児教育・保育の無償化を明記したのに対し公明は全ての0~5歳児で無償化を掲げた。公明は所得制限をかけて私立高校の授業料も無償化するという。より多くの財源が要るが確保策は示されていない。立憲民主も増税先送りの立場だが代替財源を確保できるかは分からない。「身を切る改革で教育無償化」をうたう維新は国会議員の定数削減などを明記した。共産党は大企業の法人税率の引き上げなどを掲げた。いずれもどれだけの財源になるか見通せない。
●家庭・企業に重荷
 電気料金や安定供給にかかわる原発の扱いも争点になる。希望など多くの党が原発に依存しない方針を示した。太陽光などの再生可能エネルギーで代替する計画だ。政府は12年度から電力大手に再生エネの電気を買い取らせる制度を始めた。まだ発電コストが割高のため、膨らんだ買い取りコストが家庭や企業の電気代に上乗せされる。今年度の上乗せは月額686円。12年度の10倍以上だ。政府は30年度に再生エネの比率を22~24%に高める目標に向け導入を進めてきた。希望の目標どおり「30%」まで高まれば電気代への上乗せはさらに増える可能性がある。今後も原発を使っていく方針を示した自民と日本のこころも新設を認めるかどうかは明らかにしなかった。原発はどんなに長くても60年間で運転を終える決まり。新設しなければいつかはゼロになる。中長期のエネルギー政策の選択肢を示したとはいえない。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13159917.html (朝日新聞社説 2017年10月1日) 衆院選 社会保障の将来 甘い言葉で「安心」得られぬ
 「社会保障制度を全世代型へと転換する。急速に少子高齢化が進む中、決意しました」。衆院解散を表明した記者会見で、安倍首相はそう強調した。「全世代型」への柱として「子育て世代への投資の拡充」を唱え、2年後に予定する消費増税分から財源を確保するとした。その是非を国民に問うという。だが、深刻な少子高齢化も、高齢者向けと比べて手薄な現役世代への支援の必要性も、以前から指摘されてきたことだ。8年前には麻生内閣の「安心社会実現会議」が「全世代を通じての切れ目のない安心保障」を打ち出した。政権交代を経てもこの考えは引き継がれ、旧民主党政権は社会保障・税一体改革大綱で「社会保障を全世代対応型へ転換」すると掲げた。安倍内閣のもとでも、「社会保障制度改革国民会議」が4年前に「全世代型の社会保障」を提言している。方向に異を唱える人はいないだろう。政治の怠慢で進まなかったのが実態である。
■繰り返される議論
 首相官邸が主導し、社会保障を議論する有識者会議が設けられるようになったのは、2000年代に入ってからだ。高齢化で年金や医療などの給付が膨らむ一方、少子化で支え手は減っていく。制度を維持していくには、給付を見直しながら、負担についても保険料や自己負担に加えて税制も一体で考え、縦割りを排して政府全体で検討する必要がある。そうした問題意識が背景にある。以来、内閣が代わるたびに「国民」や「安心」「改革」といった言葉をちりばめた会議ができ、提言がまとめられた。その内容は、多くの部分で重なり合う。「女性、高齢者、障害者が働きやすい環境を整え支え手を増やす」「高齢者であっても負担可能な人には負担を分かち合ってもらう」「子育て世代への支援、若者の雇用不安への対策の強化」……。取り組むべき課題は十数年の議論で出尽くしている。必要なのは、具体策をまとめて実行に移す、政治の意思と覚悟だ。とりわけ、給付の充実と表裏であるはずの負担増を正直に語れるかどうかが試金石となる。
■負担増こそが論点
 安倍首相は、消費増税分のうち、国の借金減らしに充てる分の一部を新たな施策に回し、安定した財源にするとしている。だが、この考え方は危うさをはらむ。日本は「中福祉」の社会保障と言われるが、それに見合う財源が確保されておらず、国債の発行という将来世代へのつけ回しに頼っている。消費税率を10%にしても、不足分の解消にはほど遠い。高齢化などに伴う社会保障費の自然増を毎年5千億円に抑えるやりくりでしのいでいるのが近年の状況だ。消費増税の使途を変えるとなると、社会保障費の伸びを今以上に抑えるのか。あるいは、国債発行に頼ってさらにつけ回しを増やすのか。そうした点も一緒に示さなければ、国民は是非を判断しようがない。給付の充実だけを言い、社会保障制度への影響には触れず、財政再建への見取り図も示さない。そうした態度では、単なる人気取り政策と言うしかない。そもそも、給付が負担を大きく上回る構造を抜本的に改めていくことが問われ続けているのだ。今後、高齢者でも所得や資産に余裕のある人には負担を求めることや、医療・介護の給付範囲と負担のあり方なども検討課題としていかざるを得ないだろう。そうした痛みを伴う改革や負担増の具体案と道筋を示し、将来の社会保障の姿を描く。それこそが政治の役割であり、国民に信を問うべきテーマである。
■一体改革をどうする
 消費税収の使途変更を打ち出した与党に対し、「希望の党」代表の小池百合子・東京都知事は消費増税の凍結を語る。与党との対立の構図を作る狙いのようだが、では社会保障についてどのようなビジョンを持っているのか。希望の党への合流を掲げた民進党の前原誠司代表は、消費税を増税した上で教育や社会保障の充実に充てると訴えていた。統一した見解を早急に明らかにするべきだ。国民のニーズの変化に対応して社会保障の仕組みを見直し、少子高齢社会のもとでも安定した制度にしていく――。誰が政権についても避けて通ることのできない課題である。人口減や財政難の深刻さを考えれば、とりうる政策の幅はそれほど大きくはない。5年前、民主(現民進)と自民、公明の与野党3党が決めた社会保障と税の一体改革は、社会保障とそのための負担を政争の具にしないという、政治の知恵だと言える。風前のともしびの一体改革の精神を大切にするか。目先の甘い話を競い合うか。すべての政党が問われている。

*1-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171011&ng=DGKKZO22078940Q7A011C1EA1000 (日経新聞 2017.10.11) 各党「痛み」素通り、公約、再分配に傾く 有権者、狭まる選択肢
 10日に公示した衆院選で各党の選挙公約をみると、教育無償化など再分配政策に傾斜した内容が目に付く。近く日本が直面する少子高齢化に向けた「痛み」を伴う施策は素通りした形で、将来負担を心配する有権者にとって選択肢は乏しい。2012年の社会保障と税の一体改革から5年がたち、各党は再び近視眼的な政策を並べている。
・「幼児教育の無償化を通じ、全世代型の社会保障へ転換」(自民党)
・「幼児教育の無償化、大学の給付型奨学金の大幅拡充」(希望の党)
・「高校授業料無償化、大学授業料の減免」(立憲民主党)
 安倍晋三首相が2019年10月の税率10%への消費増税の使途変更による「全世代型社会保障」の実現を訴えると、各党は公約に教育無償化を明記した。高等教育までを含めた無償化の費用は最大で年5兆円規模に上るが、選挙前に十分議論されたとは言い難い。例えば自民党が打ち出した幼児教育の無償化。公約は「20年度までに3~5歳のすべての子どもたちの費用を無償化する」とうたった。いまの保育料は所得が高い人ほど金額が高くなる制度だが、自民党の公約は所得制限を設けないと読める。高所得者ほど恩恵が手厚くていいのか。本来は大きな争点だが、各党で論戦になっていない。社会保障も同様だ。政府は来年6月に社会保障費の抑制額などを定める財政健全化計画を改定する予定で、負担をどうするかが焦点だ。だが、各党公約は具体像を語らない。「医療・介護費をどのくらい払うのか」「年金はもらえるのか」。有権者に「痛み」を示さず支持を呼び掛けている。消費増税は割れた。希望の党や立憲民主党など野党はそろって増税の延期や凍結を主張し、自公は「リーマン・ショック級の出来事が起きない限り」との条件付きで増税すると約束した。ただ自公も5兆円強の増収分のうち新たに1.7兆円程度の税収を教育などに使う。各党の公約はいずれも財政健全化からは遠く、将来世代にツケを先送りする主張だ。原発政策も争点だ。自民党は1日を通じて安定的に供給できる「ベースロード電源」と位置づけ、再稼働に前向き。希望の党は「30年までの原発ゼロ」を主張した。同党は再生可能エネルギーの割合を「30%」にすると唱えるが、電気代の上昇など経済的な負荷の可能性への言及は乏しい。

*1-5:https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171011/ddm/005/070/008000c (毎日新聞 2017年10月11日) 2017衆院選 消費税増税=井出晋平(東京経済部)
●選挙争点化、もうやめよう
 安倍晋三首相は、2019年10月に予定通り消費税率を8%から10%に引き上げることで見込まれる増収分の使途変更を掲げて衆院選に踏み切った。一方、小池百合子東京都知事率いる「希望の党」など野党は、増税凍結・中止を訴え対抗姿勢を鮮明にしている。だが、もう消費税を選挙の争点にするのはやめるべきではないか。政策を巡る議論が深まらないまま、選挙のたびに消費税を「政争の具」にし続ける政治の無責任さを感じずにはいられない。
●唐突な使途変更、解散の「口実」か
 首相は9月25日の記者会見で、10%への消費税増税による5・6兆円の増収分のうち、国の借金返済に充てる予定だった分の一部を幼児教育・保育の無償化などに振り向けると表明。「国民生活に関わる重い決断を行う以上、すみやかに国民の信を問わなければならない」として、衆院を解散した。だが、この首相の説明には首をかしげざるを得なかった。首相が新たな使い道とする教育無償化は、今夏の内閣改造で首相が目玉に据えた「人生100年時代構想会議」で議論を始めたばかりで、会議はまだ1回しか開かれていない。議論が深まらないうちに、首相は▽3~5歳児は完全無償化▽0~2歳については低所得層に限り無償化▽大学生の給付型奨学金の拡充--などと打ち上げた。これでは、構想会議を設置した意味がない。また、首相は全世代型の社会保障制度への転換が「待ったなし」と述べたが、現行制度が高齢者に手厚く偏っているという指摘はかなり前からあった。制度の組み替えの必要性を感じているなら、なぜもっと早く取り組まなかったのか。首相は12年12月の第2次政権発足後、選挙のたびに消費税を争点に据えてきた。14年12月の衆院選では、同年4月の消費税率の8%への引き上げによる消費低迷を理由に、15年10月に予定していた10%への引き上げ延期を表明し、衆院解散に踏み切った。16年7月の参院選では、直前に再び17年4月の増税を延期すると表明した。それまで「リーマン・ショックや大震災のような事態が発生しない限り、予定通り引き上げる」と繰り返していたが、16年5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で「世界経済が危機に陥るリスクに直面している」と唐突に表明。リーマン・ショック級の危機が迫っているという強引な理屈で増税延期に持ち込んだことは記憶に新しい。今回は、これまでとは逆に予定通りの消費税増税を表明した。2回の延期で「安倍政権で増税は無理」とあきらめていた財務省内では当初、「増税分を教育無償化の財源にする以上、3回目の延期は無いだろう」と期待する声が聞かれた。だが、その後首相がテレビ番組で「リーマン・ショック級の大きな影響、経済的な緊縮状況が起これば(延期を)判断しなければいけない」と発言したことで、「また延期するかもしれない」と戸惑いの声も出ている。希望の党が消費税増税の凍結を訴えたこともあり、首相が解散の大義とした増収分の使途変更は、自民党の政権公約の6本の柱のうち4番目に後退。「大義なき解散」を取り繕うために使途変更を持ち出した感を改めて強くする。
●10%引き上げの3党合意どこへ
 一方、希望の党や立憲民主党など野党の消費税増税の凍結・中止という主張も賛成できない。特に野党再編の中心となっている希望の党は、安倍政権への対抗姿勢を打ち出すための戦略という思惑が透けてみえる。安倍政権の支持率が低下し、自民党内で「ポスト安倍」として岸田文雄政調会長ら財政再建派の名前が取りざたされていた今夏、ある民進党議員は「自民党がポスト安倍で消費増税に傾けば、小池氏は支持を得やすい増税反対で打って出る」と予測した。増税を表明したのは首相自身だったが、対抗して増税反対を訴えれば票が集まるという計算が働いた可能性は高い。もともと消費税率5%から10%への段階的な引き上げと、増収分の使途を医療、介護、年金、少子化対策の社会保障4経費に限ることは、旧民主党政権時代の12年、自民、公明との3党合意で決めたものだ。その背景には、少子高齢化で年金や医療費が増加を続ける一方、担い手が減少し、このままでは社会保障制度が破綻するとの強い危機感があった。また、有権者の受けが悪いとされる消費税を「政争の具」にしないという狙いもあったはずだ。増税はできれば避けたい選択だ。国民に負担を求める前に税金の無駄遣いをやめ、歳出を徹底的に見直す必要がある。しかし社会保障制度を維持するには、一定の負担が避けられないのも確かだ。国と地方の借金は国内総生産(GDP)の2倍近くに達し、先進国で最悪だ。増税凍結、使途変更のどちらの主張も借金を減らすことにはつながらず、将来不安は消えない。公示された衆院選では耳に心地よい政策ばかりが目立つが、将来世代につけを回すことは許されない。どの政党がこの国のかじ取りにふさわしいか--。我々は、惑わされない確かな目を持つことが求められる。

<エネルギー政策>
*2-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171016&ng=DGKKZO22288450W7A011C1PE8000 (日経新聞社説 2017.10.16) 現実直視し責任あるエネルギー政策を
原子力発電をどう利用するかは衆院選の対立軸のひとつだ。自民党は原発を基幹電源と位置づけ再稼働の必要性を訴えている。一方で、野党は実現時期は違うものの原発ゼロを目標に掲げ、再稼働を認めない党もある。エネルギーは社会を支え、供給が途絶えれば影響は大きい。聞こえのよいスローガンを唱えるだけでは困る。現実を直視してエネルギー利用の未来を展望し、責任ある政策を示してほしい。自民党は原発を「ベースロード電源」と位置づけ、再稼働についても原子力規制委員会による安全性の確認と地元同意を前提に進めるとした。前回の衆院選の公約とほとんど変わらず、原発を争点にしたくない姿勢も見てとれる。だが安倍政権のもとで再稼働した原発は5基にとどまり、2030年に電力の2割強を原発で賄うとした政府の目標を達成できるかも、不透明さを増している。世論調査では再稼働を不安に感じる国民がなお多い。原発問題から逃げずに、再稼働がなぜ必要かを丁寧に説くべきだ。政策を見直すべき点がないかも検証が要る。太陽光や風力など再生可能エネルギーの目標はいまのままでよいのか。30年以降の原発比率や新増設はどうするのか。これらの点について方向性を示す必要がある。「30年までに原発ゼロ」を掲げる希望の党や「一日でも早い脱原発を」と訴える立憲民主党には具体的な道筋を示すよう求めたい。両党は原発の代わりに再生エネルギーの比率を増やし、省エネも最大限強化するとした。だが実現への技術的な裏づけや、国民負担がどの程度膨らむかなどが、はっきりしない。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で国際社会に約束した温暖化ガス削減と両立できるのかもきちんと説明すべきだ。立憲民主党は原発ゼロを基本法で定め、希望の党も憲法で明記すると約束した。だがエネルギー利用は国際情勢の影響を受けやすく、政策には変化に対応できる柔軟さも要る。理念と政策は分けて考えるべきではないのか。安倍政権になり原子力政策について国民の声を聞く場は減っている。衆院選を機に各党が正面から向き合い、議論を深めてほしい。

*2-2:http://qbiz.jp/article/120623/1/ (西日本新聞 2017年10月16日) 【争点チェック2017衆院選】(4)原発・エネルギー 活用かゼロその先は
 東京電力福島第1原発事故から6年余り。今後も原発を活用する方針の自民党に対し、大半の政党が「原発ゼロ」を掲げた。原発への不信感は今なお根強く、民意をすくい取ろうとする各党の思惑がのぞく。自民党は公約で「原発依存度を可能な限り低減する」としつつも「重要なベースロード(基幹)電源」と原発を位置付けた。原子力規制委員会が新規制基準の適合を認め、立地自治体の理解を得た原発の再稼働を進める方針だ。政府は2030年度の原発依存度20〜22%を目指す。原発30基程度を再稼働する前提だ。31年度以降も原発を使い続けるならば、新増設や建て替えの議論が避けられない。どこまで原発を「低減」するかも問われるが、自民党の公約にはその記載がない。連立与党を組む公明党は再稼働を容認するが、「原発の新設を認めず、原発に依存しない社会・原発ゼロを目指す」と強調。とはいえ「既存の原発はいずれ廃炉になるから、ゼロになる」(山口那津男代表)として、いつゼロにするのかは明らかにしていない。8党の中で唯一、原発ゼロの目標時期を示したのは希望の党。原発を新設せず、運転開始から40年の原発を廃炉にする原則を徹底することで、30年までの原発ゼロを目指す。ただ、再稼働を認める立場をとっており、どうやって12年余りで原発をゼロにするのかの道筋は示していない。民進党出身の前議員が軸となる立憲民主党は、原発ゼロの実現時期について「一日も早く」と表現。「30年代に原発ゼロ」を目指した民進党のように具体的な期限を掲げなかった。野党共闘する共産党、立憲民主党、社民党は再稼働反対で足並みをそろえた。原発に代わる電源について、共産は「30年までに電力の4割を再生可能エネルギーで賄う」方針。社民は「再エネの割合を50年までに100%」とする目標を盛り込んだ。太陽光や風力は天候などで発電量が変わりやすく、どう需給バランスをとるのか不透明だ。「原発ゼロ」の表現を公約に使っていない日本維新の会は「既設原発は市場競争に敗れ、フェードアウトへ」としている。原発を使い続けるにしても、ゼロにするにしても、将来にわたり、どうエネルギーを安定確保していくのか。政治の責任を背負った答えは明確に示されていない。

*2-3:http://qbiz.jp/article/120595/1/ (西日本新聞 2017年10月14日) 原発30キロ圏も国補助金 糸島など計5億円
 経済産業省が、原発が立地する自治体を対象とした国の補助金を、2017年度から、原発の半径30キロ圏内の自治体にも支払う仕組みに変更していたことが13日、分かった。17年度の予算額は16年度と同じ45億円で、対象自治体は150を超え、新たに支給予定の立地外の自治体は16に上る。対象自治体などによると、支給予定の補助金の総額は少なくとも約5億円に上るとみられる。同省は仕組みの変更を報道発表していなかった。原発事故が起きた場合、広範囲の被害への懸念から、30キロ圏内には再稼働に慎重な自治体もある。経産省は「原発の影響が周辺にも及ぶことが分かり仕組みを見直した。再稼働への同意を得る目的ではない」としているが、原発のコストに詳しい龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は「地域再生策として趣旨は理解できるが、補助金を渡すだけという手法には反対だ。再稼働への理解を得たいという意図があるのではと読めてしまう」と指摘した。経産省によると、補助事業は「エネルギー構造高度化・転換理解促進事業」で、16年度に始まった。主に老朽化などで廃炉が決まった原発が立地する自治体に対し、再生可能エネルギーの普及促進など地域振興の取り組みを後押しする。17年度からは公募要領を変更し、「原子力発電施設からおおむね半径30キロの区域を含む市町村、および当該市町村が属する都道府県」に応募資格を広げた。応募があった自治体の中から、今年4月と7月に補助対象を決めた。北海道電力泊原発(北海道泊村)の30キロ圏では、ニセコ町や岩内町など4町が選ばれた。東京電力福島第1原発や第2原発を抱える福島県では、いわき市と浪江町が対象となった。九州は、九州電力玄海原発(佐賀県)に近い唐津市、伊万里市、福岡県糸島市、川内原発(鹿児島県)周辺の阿久根市、いちき串木野市が支給予定だ。経産省は「事業は日々運用を改善しており、逐一、報道発表することはない。ホームページ上で公表し、説明もしている」とした。

*2-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201708/CK2017081402000112.html (東京新聞 2017年8月14日) 【社会】福島第一 廃炉に税金1000億円超 7月まで本紙集計
 東京電力福島第一原発事故の廃炉作業で、国が直接、税金を投入した額が一千億円を超えたことが、本紙の集計で分かった。汚染水対策や調査ロボットの開発費などに使われている。今後も溶け落ちた核燃料の取り出し工法の開発費などが必要になり、金額がさらに大きく膨らむのは必至だ。廃炉費用は東電が負担するのが原則だが、経済産業省資源エネルギー庁によると「技術的に難易度が高い」ことを基準に、税金を投入する事業を選定しているという。担当者は「福島の早い復興のため、国が対策を立てることが必要」と話す。本紙は、エネ庁が公表している廃炉作業に関する入札や補助金などの書類を分析した。廃炉作業への税金投入は二〇一二年度からスタート。今年七月までに支出が確定した業務は百十六件で、金額は発注ベースで計約千百七十二億六千万円に上った。事業別では、建屋周辺の地下を凍らせ、汚染水の増加を防ぐ凍土遮水壁が、設計などを含め約三百五十七億八千万円。全体の三割を占め、大手ゼネコンの鹿島と東電が受注した。ロボット開発など、1~3号機の原子炉格納容器内の調査費は約八十八億四千万円だった。福島第一の原子炉を製造した東芝と日立GEニュークリア・エナジーのほか、三菱重工業と国際廃炉研究開発機構(IRID)が受注した。受注額が最も多いのは、IRIDの約五百十五億九千万円。IRIDは東芝などの原子炉メーカーや電力会社などで構成する。国は、原発事故の処理費用を二十一兆五千億円と試算。このうち、原則東電負担となる廃炉費用は八兆円とされている。除染で出た汚染土を三十年間保管する中間貯蔵施設は国の負担だが、賠償費用は主に東電や電力会社、除染費用も東電の負担が原則だ。

*2-5:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170902&ng=DGKKASFS01H5T_R00C17A9MM8000 (日経新聞 2017.9.2) 政府、原発融資を全額補償、まず英の2基 貿易保険で邦銀に
 政府は日立製作所が英国に建設する原子力発電所について、日本のメガバンクが融資する建設資金を日本貿易保険(NEXI)を通じて全額補償する。先進国向け案件の貸し倒れリスクを国が全て引き受けるのは異例の措置だ。国内の原発新増設が難しい中、国が全面的な支援に乗り出してメガバンクなどの協力を引き出す狙い。インフラ輸出は中国など新興国勢との競争が激しくなっており、国が他のインフラ案件でも支援拡充に動く公算が大きい。安倍晋三首相は8月31日にメイ英首相と会談し、原発建設の協力推進を確認した。貿易保険(総合2面きょうのことば)の補償対象は日立子会社のホライズン・ニュークリア・パワーが受注した、英中部ウィルファで計画中の原発2基だ。両政府と日立は事務レベルで資金支援の枠組みを詰めて2019年中の着工を目指している。試算によると、事業費は2基で2兆円超だ。英政府と日立、日本政策投資銀行、国際協力銀行(JBIC)が投融資を実施する見込みだが、巨額な資金を調達するには民間融資が不可欠になっている。NEXIは通常、民間融資が焦げ付いた場合に備えた保険を提供し、融資額の90~95%を補償する。今回の英国案件については全額を補償する方向で邦銀と協議に入る。原発事業は東京電力福島第1原発事故以降に安全対策費が膨らみやすく、三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行も貸し倒れリスクが大きいと判断しNEXIの全額補償を条件にしていた。過去に途上国向けで全額補償したことはあるが、先進国では例外的な措置だ。数十年程度の長期融資などが補償の条件になる見込みだ。原発事故などが発生した場合、三菱UFJ、みずほ両行は第三者から原発事業への貸し手責任に関して訴訟を起こされるリスクもある。両行は損害賠償に関する日英両政府間の協議などを見極めたうえで最終判断する。国が資金支援で前面に立つのは大きなリスクとも隣り合わせだ。原発建設は徹底した安全対策で工程が長引く傾向にあり事業費が想定を上回るケースも後を絶たない。貸し倒れになったりすればNEXIやJBICのバランスシートを直撃し、税金投入を通じた資本増強が不可避になる。最終的に多額の国民負担が発生する危険を冒しながらインフラ輸出を推進することの是非についても議論が活発になりそうだ。一方で中国は国有企業を中心に国を挙げて大型のインフラ輸出を加速させており、日本も対抗上、相応のリスクを取らなければ激しい受注レースで生き残れない現実もある。英政府は15年、英南東部で中国製の原子炉を先進国では初めて導入することを決めた。安倍政権は今回、全額補償措置などと引き換えに英国側にも官民での資金支援を手厚くするよう要請する。

*2-6:http://useful-info.com/tokyo-is-contaminated-not-safeplace (お役立ち情報の杜 ) 【福島原発事故による内部被ばく】東京は放射性物質まみれであり、安心して暮らせる場所ではない。
 「福島原発事故は収束した」「福島原発事故により放出された放射性物質は健康に影響を与えない」「放射性物質による実被害は無いのに懸念を表明するのは、風評被害につながるのでやめるべきだ」というような「信念」に取り憑かれている人は多いと思います。御用マスコミや芸能人を使った「食べて応援キャンペーン」も功を奏しているようです。「食べて応援キャンペーン」を懐疑的に見ている人もいます。しかしその人たちも、健康被害を心配すべきなのは福島県内だけだと思っている場合が多いのではないでしょうか?世界有数の大都市である東京は福島県から200km以上離れていますが、果たして、安心して暮らせる状態なのでしょうか?「放射能汚染―32カ所が基準超え―東京東部で市民団体調査」というリンク先の情報によると、2014年~2015年にかけて市民団体が調査した結果、国の指定基準を超える高放射能汚染箇所(ホットスポット)が多数発見されました。さらに、ホワイトフードさんは、東京都内公園の放射性物質による土壌汚染状況をまとめてくれています。詳細な数値に関しては、下記リンク先でご確認ください。「この程度の汚染数値だったら大した事ねえよ。気の持ち方次第だよ」なんて言う人もいるかもしれません。放射性物質まみれの環境で暮らすことにより、放射性物質を呼吸や食事などを通して体内に取り込むとどうなるのでしょうか?外部被ばくよりも恐ろしい内部被ばくの危険を避けることはできません。例えば、セシウム137を毎日10ベクレルづつ摂取した場合、500日後には体内の総放射線量は1400ベクレルにも達します(1ベクレルとは、1個の原子が1秒間に崩壊する時の放射線の強さに等しい)。体重70キログラムの大人ならば、1キログラム当たり20ベクレルですが、体重20キログラムの子供の場合、1キログラム当たり70ベクレルになってしまいます。体重1キログラム当たりのベクレル数が多くなるほど心臓に悪影響を与えやすいことが判っています。特に体重1キログラム当たり50ベクレルを超えると、心臓血管系・神経系・内分泌系・免疫系・生殖系・消化器系・排泄系で病的な変化が増加します。セシウム137は、体内の様々な臓器に偏在し濃縮されるのが原因です。人工的な放射性物質には、これ以下なら安全という閾値は存在しません。チェルノブイリ原発事故に伴い、ベラルーシでこの研究を行い発表したバンダジェフスキー博士は逮捕・投獄され、拷問も受けています。日本では特定秘密保護法が成立しており、似たような人権侵害が起こる可能性が高いですね。つまり、内部被ばくによる健康被害は、原発マフィア側にとって都合の悪い事実だということです。2016年6月30日、環境省は、1キログラム当たり8000ベクレル以下ならば一般廃棄物扱いにして全国でリサイクルも可能にするという基本方針を正式決定しましたが、これが犯罪行為だということが理解できたのではないでしょうか?繰り返しますが、人工放射性物質には、これ以下なら安全という閾値は存在しないのです。本来、1キログラム当たり0ベクレルでなければなりません。安倍政権下では、放射性物質による汚染状況調査も健康被害調査もまともに行われていません。福島県内での甲状腺がん発生率が何百倍に増えても、原発事故との因果関係を認めようとしません。福島原発事故により放射性物質は全国に拡散されました。東京の人たちは他人事だと言ってられません。では、何をすべきなのでしょうか?放射性物質に汚染された地域は少なくとも300年は居住することができません。何兆円もかけて無駄な除染作業をするくらいならば、そのお金を移住費用などに充てるべきでしょう。本来、日本政府は下記の施策を即実行すべきです。
  ①放射能レベルの正確な測定を日本全国で行い、結果を全て公表する。
  ②外部被ばくだけでなく内部被ばくの危険についても、最新の知見を国民へ提供する。
  ➂避難・移住地域選定については、最低限、チェルノブイリ基準を適用する。
  ④避難・移住先で不自由がないように、住居、仕事、収入については十二分に援助する。
  ⑤避難対象者の医療費については生涯無料とし、診断結果は本人へ丁寧に説明する。
  ⑥原発は即廃止し、福島原発も含めて廃炉作業は安全第一で進める。
 放射性物質は、目も眩むような閃光を発しません。鼻を突くような異臭がありません。耳をつんざくような爆音もしません。顔をしかめるような激痛もありません。だからこそ、科学的な知識、原発マフィア以外からの情報、健康被害への想像力、冷静な思考力・判断力、雰囲気に流されない自律心などが必要になります。「見て見ぬふり」や「臭い物に蓋」は身を滅ぼします。国民は、自分の身は自分で守るしかないと思います。          以上

*2-7:http://useful-info.com/ippnw-dr-alex-rosen-lecture (お役立ち情報の杜) 福島原発事故について皆がダンマリしている時こそ、確かな情報を! ドイツ人小児科医による講演内容を紹介。
 IPPNW(=International Physicians for the Prevention of Nuclear War 核戦争防止国際医師会議)の理事会メンバーで、小児科医・医学博士でもあるアレックス・ローゼン氏が、福島原発事故による健康被害に関して講演を行いました。噂や扇動ではなく、すべて、科学的な根拠に基づいた話です。しかも、この公演では、日本政府や東京電力が公表したデータを用いています。それだけでも、原発事故の恐ろしさを十分に説明できるからです。公演内容の要点を以下に述べます。
要点始め *********************
1)放射線と、それが健康に及ぼす影響についての基礎知識
・放射線とはどういうものか?
・よく使われる放射線の単位:ベクレル(Bq)、シーベルト(Sv)
・外部被ばくと内部被ばく
・放射線による被ばくは、細胞の損傷と突然変異を引き起こす。
・これ以下なら安全という閾値はない。
・抵抗力のない人や子供は影響を受けやすい。
・放射線核種と病気の関連
  (ヨウ素:甲状腺ガン、セシウム:固形腫瘍、ストロンチウム:白血病、
  プルトニウム:肺ガン・肝臓ガン)
2)福島原発事故に関する事実
・爆発と、大量の放射性物質放出(東電の公開データより)
・福島事故による放射性物質の降下量分布
・放射性物質の約80%が太平洋へ流れた。陸地が2割で済んだのは風向きによる運である。
・放射性物質による土壌汚染調査の結果。
・吸引、経口摂取による内部被ばくの危険。
・チェルノブイリなら避難しているレベル地域に、多くの日本住民が住んでいる。
・学校、幼稚園、保育園の土壌から高い放射線が検出されている。
・子どもは土に触れる機会が多く、しかも放射能に敏感なので、健康への影響が心配だ。
・取り除いた汚染土壌が屋外に放置されている。これは放射性廃棄物なので、ドイツなら
 キャスクに入れて保管しなければならない。
・こんな環境が子どもたちの通学路になっているのはヒドイことだ。
・モニタリングポストの数値は、実際より低い。
・放射性物質で汚染された飲食物(水道水、果物、野菜、魚介類、牛乳、米、お茶)。
・最大の危険は、長期間の、汚染食料による内部被ばくだ。
・日本では、この先100年も200年も放射性セシウムが地中に残留し続ける。
・WHOは過小評価をしている。
3)これから如何なる健康被害が予測されるか、また、既に起こってしまったか。
・WHOには、放射線に関する専門部署が無い。IAEAという原子力推進団体から提供され
 たデータを用いている。例えば、タバコの害についてフィリップモリスから提供された
 報告書を鵜呑みにしているのと同じだ。
・WHOは、放射線とその影響について、IAEAの承認なしには公表できない契約を結んで
 いる。このスキャンダルは、何十年も批判され続けている。
・WHOのレポートには問題点が多い。
  「放出された放射性物質の量が過小評価されており、東電発表数値よりずっと少ない」
  「福島県外の人々への健康影響が無視された」
  「測定用食料品サンプルの量と選択が不適切」
  「原発利権者に健康被害の説明をさせている」
・福島原発事故後に乳児死亡率が上昇した。チェルノブイリのケースと似ている。
・甲状腺異常が増加した。平時なら、小児の甲状腺ガンは、あり得ないと言えるほど発生
 率が低いのだ。
・甲状腺以外のガンも増加リスクがある。しかも、福島県民だけの話ではない。
 (循環器疾患、視力障害、不妊症、遺伝子への影響)
・精神的影響(ガン発症の不安を抱えながら生きねばならない)は重大な問題だ。
4)個人として何ができるだろう?
・情報を集め、現状を知り、理解し、他の人に伝えることが重要だ。
・「汚染は大したことはない。原子力エネルギーは必要だ」という原子力業界のウソにダマ
 されないこと。
・例えば山下俊一が、「笑っている人には放射能はやって来ない」「年100ミリシーベルト
 でも安全」と言っているが、信じてはいけない。
・政治家を含む原発利権者に対して批判的な質問をすること。根拠を説明させるのが大事。
・民衆の反対圧力が高まれば、これ以上逆らえないと政治家は気付く。
・日本は、自然エネルギー大国であり、再生可能エネルギーで100%まかなうことが可能だ。
・「原発が無くなるとエネルギーが不足する」というウソを信じてはいけない。
・福島県の子どもたちが沖縄で保養している実例紹介。
********************* 要点終わり
 日本各地の原発が再稼働に向けて動いているため、福島原発事故などは過去のものであると思っている人も多いと思います。日本の大手マスコミは、福島原発事故による健康被害について、ほとんど報道していません。「問題ない」「問題ない」という、原発マフィアたちのブラックプロパガンダだけを聞かされていると、誤解や・判断ミスをして、失敗の繰り返しにつながります。原発利権集団(政治家、官僚、メーカー、電力会社、御用マスコミ、御用学者、IAEA、WHOなど)の言い分ばかりを鵜呑みにすることは危険です。原発利権組織と距離を置いているIPPNW(核戦争防止国際医師会議)などの情報も意識的に取り入れて頂きたいと思います。以上

<憲法変更と安全保障>
*3-1:http://qbiz.jp/article/120946/1/ (西日本新聞 2017年10月20日) 9条論議 加速か停滞か
 22日投開票の衆院選を巡る報道各社の世論調査では、自民党が圧勝し、憲法改正に前向きな勢力が国会発議に必要な定数465の3分の2(310議席)を獲得する勢いだ。選挙後に9条改正などの論議が加速する可能性が高まるが、各党が掲げる改憲項目には違いがある。自民、公明の与党だけで3分の2を得ることができるのか、野党第1党がどの党になるかで議論の行方が変わりそうだ。
●自公で3分の2なら…自衛隊明記へ 来年発議も
 自公で3分の2を維持すれば、安倍晋三首相(自民党総裁)が主張する9条への自衛隊明記に向けた議論が進む可能性が高い。首相は公示日の10日、仙台市での街頭演説で「東日本大震災で頑張った自衛隊に『君たちは憲法違反だけど命を懸けろ』と、こんなことが通るはずない」と訴えた。首相は自衛隊明記案の2020年施行を目指し、年内に自民党案をまとめ、来年の通常国会で発議する日程を描く。自民は今回、12年の政権復帰後、初めて改憲を公約の重点項目に位置付け、自衛隊明記を含む4項目を掲げた。各社の調査では、自民単独で300議席を獲得するとの見方もある。自民幹部は「圧勝すれば首相の改憲案に『お墨付き』が与えられたということになる」と語る。「国防軍」創設を記した12年の党草案での発議を主張する石破茂元幹事長らの異論は抑えられ、首相の想定通りの改憲シナリオが一気に進む可能性がある。9条改正に慎重な公明党は公約集で「国民は自衛隊は憲法違反の存在とは考えていない」とあえて記し、改正の必要性に疑問を示す。だが、特定秘密保護法も安全保障法制も、連立維持を重視して最後は成立を容認してきた経緯がある。首相官邸はこれまでも、日本維新の会とてんびんにかけることで公明を動かしてきた。希望の党は「9条を含め改正論議を進める」と公約に掲げており、連携を呼び掛ける可能性もある。
●野党が健闘したら…9条以外の項目優先も
 野党が健闘して自公の3分の2を阻止した場合、発議には希望や維新など、野党の改憲勢力を巻き込む必要が出てくる。だが、希望の小池百合子代表は首相の自衛隊明記案には「疑問がある」と否定的だ。民進党出身者らを中心に異論を唱える場面も予想される。維新も「9条改正」を公約に記載。ただ、松井一郎代表は教育無償化や地方自治を優先事項としており、9条については「自民党案が固まってくれば、まじめに正面から議論したい」と態度を保留している。首相官邸が9条改正を先送りし、緊急事態条項の創設など幅広い合意が得られそうな項目を先行させる「お試し改憲」を目指すことも考えられる。
●立民第1党なら足踏み?
 安保法制を前提とする「9条改悪」に反対する立憲民主党、改憲反対の共産、社民両党と野党系無所属議員が衆院3分の1超となる156議席以上を確保すれば、改憲議論は一気に後退する。だが、3党の公示前勢力は計38議席で、そのハードルは極めて高い。ただ、立憲民主が野党第1党になり発言力を高めれば、希望や維新と連携し、改憲阻止勢力が拡大する可能性もある。

*3-2:http://qbiz.jp/article/120468/1/ (西日本新聞 2017年10月13日) 【争点チェック2017衆院選】(1)憲法改正 改憲勢力の思惑交錯
 「党内外の十分な議論を踏まえ、初めての憲法改正を目指します」。自民党は衆院選の公約で、2012年の政権復帰後、初めて憲法改正を重点項目に位置付けた。首相が5月に9条1、2項を維持した上で、自衛隊を明記する案を提起したことを受け、公約には自衛隊の明記▽教育無償化▽緊急事態対応▽参院の「合区」解消の4項目を列挙。「国会で発議し、国民投票を行う」と具体的な手続きに踏み込み、首相の前のめりな姿勢を反映している。首相は政権復帰直後、改憲発議要件を定めた96条緩和を打ち出し、14年には緊急事態条項新設に意欲を示したが、世論の反発などで実現しなかった。変遷の末に9条に目を付けたのは、災害救助で高い評価を受ける自衛隊の明記に限れば、国民は受け入れるとの読みがあるとみられる。与党内の温度差は公約にも表れている。公明党は「(首相提案の)意図は理解できないわけではないが、国民は自衛隊は憲法違反とは考えてない」「安全保障法制の適切な運用を積み重ね、さらに国民の理解を得ることが大事だ」と書き込み、慎重姿勢を強調した。自公と、希望の党、日本維新の会の「改憲勢力」内でも思惑は交錯している。首相が協力を期待する希望は「9条を含め憲法改正論議を進める」と明記した。小池百合子代表(東京都知事)は00年の衆院憲法調査会で「いったん現行の憲法を停止する、その上で新しいものをつくっていくことに基本的に賛同する」とまで述べた改憲論者だが、首相案には「大いに疑問がある」と異論を唱え、選挙後の対応も見通せない。維新は「国民の生命・財産を守るための9条改正」を盛り込んだ。改憲勢力の拡大に「護憲派」は危機感を強める。共産党は「自衛隊が明記されれば9条2項を残しても死文化し、無制限の海外での武力行使が可能になる」と指摘。社民党は「9条の平和主義を守る」と同調する。共産、社民と共闘する立憲民主党は改憲論議は否定しない立場だが、公約で「憲法違反の安保法制を前提とした9条改悪とは徹底的に闘う」と宣言した。改憲論議の進展は選挙結果に大きく左右される。首相は特定秘密保護法や安保法制の制定前の選挙戦と同じく、街頭演説では改憲にあまり触れないが、首相側近はこう言う。「改憲勢力が増えれば増えるほど、議論は進めやすくなる」
   ◇    ◇
 与野党各党は憲法改正、消費税増税、北朝鮮問題などの主要課題とどう向き合うのか。各党の公約や主張を中心に衆院選の争点を5回にわたって点検する。

*3-3:http://mainichi.jp/senkyo/articles/20171003/k00/00m/010/128000c (毎日新聞 2017年10月3日) 希望の党:公認条件、安保関連法「適切に運用」に
●立候補予定者に求めている政策協定書最終案 「容認」改め
 希望の党が立候補予定者に公認の条件として提出を求めている「政策協定書」の最終案が明らかになった。安全保障関連法について「適切に運用し、現実的な安全保障政策を支持する」としている。協定書案では当初、安全保障関連法に対する「容認」を要求していた。しかし、民進党出身者が受け入れやすくするため、「適切に運用」にとどめた。憲法改正への支持、2019年10月の消費税率の10%への引き上げの凍結なども盛り込んだ。外国人に対する地方参政権の付与反対、政党支部で企業団体献金を受け取らないこと、党への資金提供も求めている。さらに、選挙区のすみ分けを行う日本維新の会を念頭に「選挙協力の協定を交わしている政党への批判は一切行わない」とする文言も加えた。
●政策協定書の全文は次の通り。
 私は、希望の党の公認を受けて衆院選に立候補するに当たり、下記事項を順守すること、当選した場合には希望の党の所属する会派に所属して国会活動を行うこと、希望の党党員として政治活動を行うことを誓います。
1 希望の党の綱領を支持し、「寛容な改革保守政党」を目指すこと。
2 現下の厳しい国際情勢に鑑み、現行の安全保障法制については、憲法にのっとり適切に
  運用する。その上で不断の見直しを行い、現実的な安全保障政策を支持する。
3 税金の有効活用(ワイズ・スペンディング)を徹底し、国民が納める税の恩恵が全ての
  国民に行き渡る仕組みを強化すること。
4 憲法改正を支持し、憲法改正論議を幅広く進めること。
5 国民に負担を求める前に国会議員が身を切る改革を断行する必要があること及び
  いわゆる景気弾力条項の趣旨を踏まえて、2019年10月の消費税10%への引き
  上げを凍結すること。
6 外国人に対する地方参政権の付与に反対すること。
7 政党支部において企業団体献金を受け取らないこと。
8 希望の党の公約を順守すること。
9 希望の党の公認候補となるに当たり、党に資金提供をすること。
10 選挙期間が終了するまで、希望の党が選挙協力の協定を交わしている政党への批判は
  一切行わないこと。

*3-4:http://qbiz.jp/article/120617/1/ (西日本新聞 2017年10月15日) 【争点チェック2017衆院選】(3)北朝鮮問題 明確な対立軸見えず
 核実験や弾道ミサイル発射を続ける北朝鮮。安倍晋三首相(自民党総裁)は、「国難」として北朝鮮への対応を衆院選の争点の一つに掲げたが、各党の公約に大きな対立軸は見えない。「北朝鮮の側から『政策を変えるから話し合いましょう』と言ってくる状況をつくり上げなければならない」。首相は全国を遊説し、北朝鮮に対する圧力強化の重要性を訴える。9月に国連安全保障理事会で採択された経済制裁の完全履行を関係国に働き掛けていくと主張。トランプ米大統領の「全ての選択肢がテーブルの上にある」という軍事的措置を含めた方針を支持している。連立与党を組む公明党は、国際社会との連携を深め「制裁決議の実効性を高めるとともに、対話と圧力で懸案の包括的な解決に取り組む」と歩調を合わせる。野党では、日本維新の会が「問題の解決に向けて、日米韓中の連携をさらに強化する」と主張。希望の党と立憲民主党は与党側と同じく、圧力強化を公約に盛り込んだ。希望は「対話を導く手段として、制裁の厳格な実施を働きかける」、立憲民主は「対話のテーブルにつかせるため、圧力を強める」との立場だ。立憲民主の枝野幸男代表は街頭演説で、度重なる挑発行為を「国難」と強調する与党側の姿勢について、「北朝鮮の脅威をあおっている」と批判している。共産党と社民党は、軍事的措置を含めた米国の方針を首相が支持していることから、「偶発や誤算から軍事衝突が起こり、戦争に発展しかねない」などと強調。北朝鮮の挑発を非難しつつも、「経済制裁強化と一体に『対話による平和的解決』に知恵と力を尽くす」(共産)、「米朝会談を実現し、停戦協定を不戦協定へ切り替えていくよう日本が仲介役となる」(社民)というように、外交努力を重視している。自民と日本のこころは、弾道ミサイルへの対処として、地上配備型の迎撃システム「イージス・アショア」の配備をうたう。自民は党内の部会で「敵基地攻撃能力」の保有を求める提言をまとめているが、今回の衆院選の公約には含めなかった。与野党で見解が分かれそうなミサイル防衛能力の強化や防衛予算の増額などの具体的な議論は聞かれない。拉致問題については、いずれの党も解決に向けて尽力することを盛り込んでいる。

<衆議院議員選挙結果と希望の党、立憲主義について>
PS(2017/10/23、25追加):*4-1のように、自民・公明・希望の党・日本維新の会を合わせた「改憲勢力」が、国会発議に必要な3分の2(310議席)を大きく上回って衆院全体の約8割に達したそうだが、これは押し付けられた“賛成”にすぎない。そのため、9条改正を巡って公明党が慎重姿勢を崩していないのが、唯一の希望である。
 希望の党の小池代表はテレビ朝日の番組で、憲法改正について「ようやく国民的議論ができるようになった」と意欲を示されたそうだが、*4-2のように、安全保障に関する政策で候補者を選別した結果、完敗したのだということを忘れてはならない。また、小選挙区は党首の人気に乗って空中戦をすべき場所ではないため、駒のように候補者を当てはめても選挙区の人が受け入れず、余程の有名人でなければ当選しないのは当たり前なのである。そのため、安全保障関連法に反対を表明するなどして希望の党の公約に反し、当選した候補者が離党するのは必然だ。
 なお、希望の党は、「日本のこころ」の中心だった中山成彬氏を九州比例1位にして当選させたが、中山氏は自民党の中でも「右翼」だった。そして、「日本のこころ」の憲法改正草案は、自民党の憲法改正草案よりは文章が整っておりテニヲハまで指摘する必要がないので引用すると、*4-3のように、下の内容の前文を記載し、「日本国のかたち」で「日本国は、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする立憲君主国家」と明記している。しかし、憲法は、事実ばかりではない自国の歴史や国土を自慢する場所ではない上、天皇を君主とする日本国を維持するため、国民は犠牲になりながらも喧嘩せず従順で温和なのがよいとするのは、聖徳太子の17条の憲法の時代ではあるまいし、官僚以外の主権者である国民にとっては改悪にほかならない。
 ①日本国は、古来、天皇がしろしめす国であり、国民は、一人一人を大切にする和の
  精神をもって、その悠久の歴史を紡いできた。
 ②日本国民は、四囲を海に囲まれ、四季が織りなす美しい風土の中で、時に自然の
  厳しさと向き合いながら、自然との共生を重んじ、相手を思いやる文化を育んできた。
 ③日本国民は、明治維新を経て、衆議を重んじる伝統に加えて、欧米諸国の英知を
  集めて、大日本帝国憲法を制定し、立憲君主国家を誕生させ、近代国家としての
  発展を目指してきた。
 ④先の敗戦の後、占領下において制定された日本国憲法の施行以来、七十年が過ぎ、
  日本をめぐる国際環境は大きく変わり、新たな対応が求められている。日本国民は、
  ここに新たな時代にふさわしい憲法を制定することを決意した。
 ⑤日本国民は、本来日本人が持つ和と公正の精神、人間尊重の原理の上に立って、
  国家の発展を図り、国民の幸福と利益を増進し、家族を大切にする、明るく温かな
  社会を建設することを誓う。
 ⑥日本国民は、法と正義を基調とする世界平和を希求し、各国間の交流に積極的に
  力を尽くすとともに、あらゆる力を注いで、世界平和の実現に寄与することを誓う。
 ⑦これらの崇高な理想を実現し、将来の世代に引き継ぐ決意を込め、われわれの手に
  より、この憲法を制定する。
 このように、立憲主義とは、「憲法を最高位の法として、それに従って下位の具体的な法律を定め、法治主義で政治を行う」という原理にすぎないため、憲法を変えれば立憲君主主義に変えることも何をすることも可能だ。そして、フランス革命時代とは異なり、現代では立憲主義は当たり前で、憲法の内容が重要なのであり、変えにくいように硬性憲法にしてあるわけである。

*4-1:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22567960T21C17A0PE1000/?dg=1 (日経新聞 2017/10/23) 改憲勢力8割に、国会発議に現実味、9条改正、公明は慎重
 自民、公明両党と憲法改正に前向きな希望の党、日本維新の会を合わせた「改憲勢力」は、国会発議に必要な3分の2(310議席)を大きく上回った。4党の議席は衆院全体の約8割に達しており、発議が現実味を帯びる。ただ9条改正を巡っては公明党が慎重姿勢を崩しておらず、希望の党も一線を画す。今後の改憲議論はなお曲折が予想される。「希望の党も建設的に議論していきたいとの考えを持っている人が多い。希望あるいは維新、他の党派の方々にも賛成してもらえるよう努力したい」。安倍晋三首相(自民党総裁)は22日夜のフジテレビ番組で語った。自民は衆院選で憲法改正を訴えた。首相が特にこだわるのは自衛隊の存在の明記だ。首相は憲法学者に根強い自衛隊の違憲論について「そういう論争がある状況に終止符を打ちたい」と改めて力説した。今後、党憲法改正推進本部での議論を加速させる。ただ、連立を組む公明は9条に手をつけることには慎重だ。山口那津男代表はNHK番組で「国民の理解が伴わないといけない」と強調した。斉藤鉄夫選挙対策委員長は「野党第1党、第2党も含んだ形で、幅広い合意で提案することが国民投票を成功させるうえでも大事だ」と指摘した。改憲勢力は衆院では3分の2を大きく超えるものの、参院ではようやく届く程度。9条改正の実現には、公明党の理解を得るのが不可欠だ。改憲に向けて多数派形成が必要になる状況に変わりはない。自民の二階俊博幹事長は22日夜、党本部で「選挙を終えても、運び方は慎重でなければならない」と述べた。自民は希望や維新との連携を探りつつ、公明の態度軟化を引き出したい考えだ。当初の想定を覆し、野党では立憲民主が議席を大きく伸ばした。「安全保障法制を前提とした憲法9条の改悪に反対」を掲げ、首相と改憲で協力する余地はほとんどない。立憲民主が野党第1党に躍り出ることで「与党プラス野党第1党」による幅広い合意を演出するのは困難となる。希望の小池百合子代表はテレビ朝日番組で、憲法改正について「ようやく国民的議論ができるようになった」と意欲を示した。ただ自衛隊の明記に関しては「種々問題がある」と述べ、慎重な見解を示した。実際の改憲項目や条文づくりは、高いハードルになる見通しだ。首相は改憲論議について自らは前面に出ずに党側に委ねる方針。2020年の新憲法施行を念頭に、18年通常国会で国会発議をめざすかどうかについて「時期ありきではない」と述べた。

*4-2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22560610S7A021C1EA1000/?dg=1 (日経新聞 2017/10/23) 小池氏「私自身におごり」 希望代表辞任は否定
 希望の党の小池百合子代表(東京都知事)は22日、「政策本位を考えたが、厳しい結果につながっているのは大きな問題で真摯に受け止めたい。敗因を分析しなければならない」と述べた。その上で「私自身におごりがあった。これまでは空中戦でやってきたが、小選挙区はそれだけではだめだった」と強調した。同時に「私自身、都知事選、都議選と完勝させていただき、2連勝だったが、今回は完敗ということをはっきりと申し上げたい」と述べた。自身の進退に関しては「(新党を)立ち上げた責任はある。今後も党運営を責任を持って進めていきたい」と辞任を否定しつつ「国会議員から(国政の)執行部を形成していくことになる」と説明し、国会議員の代表者も置く方向で検討する考えを強調した。民進党出身者の公認をめぐり、一部を「排除する」と発言したことについては「不快な思いを抱かせてしまったことは申し訳ない」と改めて陳謝。その上で「(野党が)調整できる十分な時間があったとはいえない。今の安倍政権を利したかといえば、結果的にその通り」と敗北を認めた。小池氏は「政党は政策が一致してこそ。根幹部分で一致することは必要だったと今も思っている」との持論も展開。希望の党として首相指名選挙をだれにするかを問われると「(衆院選を)勝ち上がってきた皆さんと話し合って決める。国政の方針や運営は国会議員中心に」と述べるにとどめた。出張先のパリ市内やNHK、民放番組などで記者団らの質問に答えた。小池氏の人気に支えられてきた希望は分裂含みの展開になる可能性もある。民進から希望への合流組からは「小池氏頼みには限界がある」と小池氏や合流を主導した前原氏への不満が漏れ始めている。安全保障関連法への反対を表明するなど、党の公約に反する考えを示す候補者も目立ち、当選した合流組が離党するとの観測がある。

*4-3:https://nippon-kokoro.jp/news/policies/kenpo01.php (日本のこころ 2017.4.27) 「日本のこころ」の日本国憲法草案
目次
 前 文
 序 章 日本国のかたち(第一条―第九条)
 第一章 天皇(第十条―第十六条)
 第二章 平和の維持(第十七条)
 第三章 国民の権利及び義務(第十八条―第四十二条)
 第四章 国会(第四十三条―第六十三条)
 第五章 内閣(第六十四条―第七十三条)
 第六章 裁判所(第七十四条―第八十条)
 第七章 財政(第八十一条―第八十六条)
 第八章 地方自治(第八十七条―第八十九条)
 第九章 最高法規(第九十条―第九十二条)
 第十章 改正(第九十三条)
 日本国は、古来、天皇がしろしめす国であり、国民は、一人一人を大切にする和の精神をもって、その悠久の歴史を紡いできた。
 日本国民は、四囲を海に囲まれ、四季が織りなす美しい風土の中で、時に自然の厳しさと向き合いながら、自然との共生を重んじ、相手を思いやる文化を育んできた。
 日本国民は、明治維新を経て、衆議を重んじる伝統に加えて、欧米諸国の英知を集めて、大日本帝国憲法を制定し、立憲君主国家を誕生させ、近代国家としての発展を目指してきた。
 先の敗戦の後、占領下において制定された日本国憲法の施行以来、七十年が過ぎ、日本をめぐる国際環境は大きく変わり、新たな対応が求められている。日本国民は、ここに新たな時代にふさわしい憲法を制定することを決意した。
 日本国民は、本来日本人が持つ和と公正の精神、人間尊重の原理の上に立って、国家の発展を図り、国民の幸福と利益を増進し、家族を大切にする、明るく温かな社会を建設することを誓う。
 日本国民は、法と正義を基調とする世界平和を希求し、各国間の交流に積極的に力を尽くすとともに、あらゆる力を注いで、世界平和の実現に寄与することを誓う。
 これらの崇高な理想を実現し、将来の世代に引き継ぐ決意を込め、われわれの手により、この憲法を制定する。
序章 日本国のかたち
 (日本国の象徴)
第一条 日本国は、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする立憲君主国家である。

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続き▽
| 民主主義・選挙・その他::2014.12~ | 09:41 PM | comments (x) | trackback (x) |
2017.10.1 伝統産業のイノベーションとそれを支える人材(2017年10月4、6、8、26、29日、11月1、4、9、10日に追加あり)

      2014.6.9日経新聞             2015.10.6日経新聞

(図の説明:左の2つは、インクジェットで染められた布とその機械、右の二つは、3Dプリンターで作られた有田焼で、伝統工芸も最新技術の導入で進化できることがわかる)

 

(図の説明:写真は博多人形だが、これにロボット技術を加えて、しゃべったり、音楽を奏でたり、一定の動作ができたりするようにすると面白いし、写真を使って亡くなった人とそっくりのしゃべる人形を作ったりすることも可能だろう。上の博多人形は、ロボットでなくても今にも動き出しそうにしているため、リンカーン大統領、マハトマ・ガンジー、サッチャー首相、メルケル首相等のロボットを作って、象徴的な演説や仕草を真似させ、アメリカ・インド・英国・ドイツなどに寄贈すれば、博多人形ロボットを世界で有名にすることができると考える )

(1)伝統産業には、どういうイノベーションが行えるのか
1)織物と染色-秩父銘仙の事例
 銘仙は、*1-1のように、ガシャンガシャンとにぎやかに機織機の音が響く中でほぐし織りにするため両面を使えるそうで、美しくて便利なため世界でヒットさせることもできそうだ。

 しかし、作り方は「父が数時間でできる仕事が、1週間かけてもできない(=生産性が低いため、価格が高くなる)」ということを現代でも繰り返す必要はなく、名人が作った製品と同じものやそれよりも安定したものをコンピューター制御で作れば、飛躍的に生産性を上げながら静かに美しい絹織物を作ることができるだろう。例えば、*2-2の、キヤノンが宮崎工場を自動化して競争力を強化し、製造業の日本回帰事例となっているように、である。
 
 また、染色も、*1-2のようなインクジェットによる染色もできるので、少量多品種生産が容易になった。さらに、現代では、繭を育てる背景の色を変えたり、DNA操作をしたりすれば、繭自体に初めから色や蛍光を持たせることができるため、退色しない美しい絹織物を作ることもできそうだ。

2)陶磁器-有田焼の事例
 有田焼の産地、有田では、現代にマッチした製品を作るため、伝統の中に最新技術を取り入れようとしているが、*1-3のように、佐賀県窯業技術センターが、3Dプリンターで造形した立体モデルを焼成して陶磁器の成形品を得る技術を開発した。

 3Dプリンターでは、インクジェットノズルから吐出したバインダーで粉末材料を固める手法を採用し、有田焼と同じ天草陶石の粉末を使って成形品を造形したが、最初は成形品を取り出す際に崩れてしまい、流動性の確保とバインダーの固着性の向上などを実現して強度を高めていったそうだが、私は、その粉末に冷えると固まり焼くとなくなる接着剤を混ぜておけばよかったのではないかと考える。

 有田焼の場合も、3Dプリンターやインクジェットを使えば、名人はがっかりするかも知れないが、すでに著作権のなくなった過去の名品を高すぎない価格で再現したり、新しい作品を作ったり、書や絵画を有田焼にして残したりすることも可能になり、応用は多岐にわたるだろう。

3)林業の振興-新建材CLTの事例
 直交集成板(CLT)を使えば、*1-4のように、6、7階建ての木造中層ビルも容易に建てられるそうだが、現在は、鉄筋コンクリートよりも総工費が高くなるため使われず、その克服には需要拡大でCLT製造価格が下がる好循環を作るしかないそうだ。そして、欧州に遅れること20年で、日本でもようやく普及段階に入ったものの、普及速度が緩慢なのだそうである。

 日本では、良い方向への変化でも変えるのに20年以上かかり、他国よりもかなり遅れてから追いかけるため、変えようとした人には負担がかかり、最初にその事業にチャレンジしたパイオニア企業は倒産することが多い。これは、我が国で新規事業の利益率が低く、その結果、新規事業の開業意欲が低い一因だろう。そしてすぐ、政府の補助金頼みになるのだが、森林の育成には都道府県の森林環境税を投入しているため、林業は既に「役所が補助している産業」なのである。

(2)労働力としてのロボット
 中国の人民網が、*2-1のように、「超高齢社会の日本を支える『第4の労働力』」として、「日本人の中には、高齢者、女性、外国人という3つの労働力で問題を解決できると考える人もいるが、実際には第4の労働力としてロボットがある」と伝えているのは面白い。

 日本でも、パナソニックが「離床アシストロボット」「自立支援型起立歩行アシストロボット」を開発し、トヨタは歩行不自由な障害者の歩行や起き上がるのが難しい障害者のベッドの上り下り・トイレへの移動を支援するパートナーロボットを作成し、ホンダは利用者の動作に合わせてモーターで歩行を支援する歩行アシストロボットを作っており、今ではロボットが普及向上期に入ったのだそうだ。

 ちょうどEVへの転換で仕事がなくなるとされている自動車部品メーカーは、これまでに培った精密な技術を活かして、航空機やロボット部品などの新技術に転換すればよいだろう。

(3)エネルギーと自動車のイノベーション
1)エネルギーのイノベーション


2017.10.5佐賀新聞   スカイマークの  都道府県別      主要産業の
            民事再生法申請   倒産状況      倒産件数推移 

(図の説明:太陽光発電事業者の倒産は買取制限によって増加し、航空参入したスカイマークも民事再生法を申請した。右の2つは、2015年の都道府県別倒産状況と産業別倒産件数である)

 私が1995年頃に太陽光発電を提案して20年以上が経過し、ドイツは、*3-1のように、フクイチ以後、科学的・論理的に脱原発を行って自然エネルギーを進め、トランプ米大統領のパリ協定離脱表明を受けて離脱に反対する米国の州と連携して引き続き米国を取り込み、温暖化対策で国際協力を進めているのに対し、日本は太陽光発電による電力を制限しつつ原発を再稼働した。そして、これは、新興企業が既得権のある大企業と政府にひねりつぶされた一例となった。

 また、*3-2のように、2017年9月24日投開票のドイツ総選挙では、緑の党の結党以来の主張だった「脱原発」は国の方針として定着し、「ドイツのための選択肢(AfD)」以外はすべての政党が「脱原発」を前提として再生可能エネルギーの拡大を掲げ、緑の党は「2030年までに全電力の需要を再生可能エネルギーで賄う」という公約を打ち出したのだそうだ。私は、「2030年までに全電力の需要を再生可能エネルギーで賄う」という公約も、市場の選択によって前倒しで達成され、それが緑の党の存在意義だと考える。

2)自動車(輸送手段)のイノベーション

 

(図の説明:左は京都市内を走っている中国製のEVバス、真ん中は太陽光発電と組み合わせたEV乗用車、右はロボット掃除機で、どれも日進月歩だ)

 電気自動車も、私が1995年頃に提案して始まったのだが、日本では、何かとEVの邪魔をする世論が多く、ハイブリッド車しか普及しなかった。しかし、*3-3のように、中国ではガソリン車が禁止され、BYDのトップは「中国市場からガソリン車が消える時期は、2030年になる」という見通しを示したそうだ。私は、あらゆる点でEVの方が優れているため、市場の選択によって、変化はそれより早いと考える。

 そのため、トップを走っていた日本は、*3-4のように、仏英両国の2040年までの「脱エンジン」の方針を見て、「ここで競争に負けてはならない」などと言わなければならない羽目に陥っているのだが、「車の動きはもっとゆっくりだろう」と兎さんではなく亀さんの方が寝ている状態であるため、とても競争に勝てそうにはない。つまり、このような油断と誤った方針決定が、技術を遅らせ敗退させるのである。

 なお、*3-5のように、スマホはワイヤレス給電のものがあるため、自動車も駐車場に駐車してスイッチを入れれば充電され、レストランから出てきた時や買い物が終わってスーパーから出てきた時には充電が終わっているということになればなおさら便利だ。そのため、市民は、そういう設備のあるレストランやスーパーを選ぶことになりそうである。

<伝統産業のイノベーション>
*1-1:http://digital.asahi.com/articles/CMTW1709211100003.html (朝日新聞 2017年9月21日) (13)秩父銘仙(秩父市)
◇ハイカラ復活 新たな挑戦
 華やかなデザインと色彩で大正、昭和の女性を魅了した着物「秩父銘仙(めいせん)」=◎。夏目漱石の小説にも登場し、竹久夢二も大正浪漫漂う銘仙姿の女性をたびたび描いた。セメントや材木と並ぶ秩父の近代産業を代表した銘仙の復活へ、若い後継者たちがいま、新たな挑戦を続けている。
◇ほぐし織り 現代に生かす
 秩父市黒谷(くろや)にある織元「逸見(へんみ)織物」。工場を訪ねると、ガシャンガシャンとリズミカルに機(はた)を織る自動織機(しょっき)の音がにぎやかに響いていた。逸見織物は1927(昭和2)年、初代が皆野町の織元から独立して創業した。秩父銘仙協同組合によれば、昭和初期、秩父には約500軒の織元が年に約240万反(1反は約12メートル)を織り、約7割の住民が、養蚕を含む織物関連の仕事に従事していたという。「そこらじゅう機織(はたおり)の音が響いていた」と2代目逸見敏(さとし)さん(84)。銘仙は、絹の経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交互に組み合わせた平織物の総称。大正、昭和に大流行した模様銘仙は「ほぐし織り」という高度な技法で作られる。1908(明治41)年に地元の坂本宗太郎が「ほぐし捺染(なっせん)」の技法で特許を取得。仮織りの糸をほぐしながら本織りするのでほぐし織りという。新技法は画期的で、型紙で捺染するため大胆でハイカラな柄を織れるようになった。ほぐし織りの工程はちょっと複雑だ。まず真っ白な経糸を並べ、本数と長さを整え(整経(せいけい))、整経した糸を仮織り機でざっと織る(仮織)。仮織りした経糸に、模様を彫った型紙を載せ、染料を塗る(捺染)と、経糸に柄が入る。「つなぎ」をかけ、本織りした糸を「蒸し」て色止め。最後に「整理」と「検査」を経て、反物に仕上がる。織物はかつて一貫生産されていたが、工場経営に変わると分業体制が進んだ。しかし今、各工程の職人の高齢化などで分業を維持できるか難しい状況もある。銘仙は戦後、復興や朝鮮戦争の好景気で日常着として人気を集め、物不足の時代に飛ぶように売れた。ガチャンと機が動くと万単位の金が入る「ガチャ万」と称された「糸へん景気」だったが、昭和30年代に洋装が中心になり、和服も銘仙も廃れた。秩父の織元も現在、数軒に減ってしまった。銘仙を織り続ける逸見織物は貴重なその一つだ。作家宇野千代さんの依頼で、ほぐし織りの桜模様の着物を製作。30年前に長女の恭子さん(49)が3代目を継ぎ、夏銘仙の復活など様々な試みを続けている。ほぐし織りの良さを伝えたいとの思いは秩父市中宮地町の「新啓(あらけい)織物」も同じだ。新井啓一さん(83)が1970年に創業。織り手の妻ヤスさん(85)とともに国認定の伝統工芸師だ。新啓織物では12年前、長男の教央(のりお)さん(49)が2代目を継いだ。インドなど世界や日本各地の織物を見て、ほぐし織りの魅力を再発見。デザイナーとして15年勤めた繊維商社を辞め、元同僚の妻園恵さん(51)ら一家で里帰りした。「両親が織る物は魅力的だと思う半面、携わっていない自分への疑問もあった」。しかし家業を継ぐことに啓一さんからは「苦労するから」と反対された。現実はその通りで、父が数時間でできる仕事が、1週間かけてもできない。「でも、昨日できなかったことが今日は少しだけできる。それが励みになった」。まもなく園恵さんも加わり立ち上げたのが、ほぐし織りのブランド「機音(ハタオト)」。新感覚の色柄の銘仙のほか、園恵さんのセンスで淡い色合いの反物を織りだしている。工場に捺染の仕事場も併設し、自社一貫生産も目指す。反物だけでなくストールやバッグ、綿や麻に素材を変えたほぐし織りも制作。銘仙を現代に生かすため、新たな魅力を探る。長瀞町の清流沿いに看板を掲げる「秩父織塾工房横山」も秩父銘仙の一貫生産を試みる。1920(大正9)年創業の工房には、2代目横山敬司さん(83)が関東一円の工場などから収集した織機類がぎっしり。まるで織機の博物館だ。戦後は夜具(やぐ)地や大手寝具メーカーの発注で大手百貨店に置く座布団カバーのほか、サンローランやエマニュエル・ウンガロなどライセンス物を手がけたが、「原点に返ろう」と草木染に力を入れながら銘仙復活を目指している。「日本は絹文化と生きてきた。絹と絹織物の文化の証しを残すのは自分の使命」と敬司さん。今は3代目の大樹(たいじゅ)さん(56)が敬司さんから一貫生産を目指して学ぶ日々だ。「銘仙の全工程を自分でできるようになりたい。それができる機械がそろっているから」。秩父銘仙は2013年、国の伝統的工芸品に指定された。100年以上の歴史があり、主要部分が手作業という条件を満たし、県内では春日部の箪笥(たんす)などに続く指定で、織物では初だ。逸見織物3代目の恭子さんは今、新企画「STYLE*MEISEN(スタイル銘仙)」に取り組む。秩父や栃木県足利市の職人、服飾デザイナーらと組み、銘仙を洋服に発展させようという試み。香港など海外でも展開し販路を広げる。「現代のファッションとして銘仙を復活させる、ジャパン・メイドの誕生です」
◎秩父銘仙
 絹の経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交互に組み合わせた平織物「銘仙」は、秩父・足利・桐生・伊勢崎・八王子が五大産地。秩父銘仙の起源は織物の女神が創案した布「千千布(ちちふ)」に由来し、秩父の地名の語源の一つとされる。経糸を仮織りし、型紙を使って模様を先染めして本織りをする。経糸と緯糸の色の重なりが角度によって変化して見える玉虫効果が特徴。染めた糸に織るため表と裏が同じ柄になり、色あせたら裏返して仕立て直しができる。
《ちちぶ銘仙館》 秩父織物や銘仙の資料を収集・展示し、伝統技術の継承を目的に2002年にオープン。本館や工場棟は昭和初期の面影が漂う旧県秩父工業試験場の建物で、国の登録有形文化財。生糸をたぐる作業から織り上げるまで全工程を見学できる。

*1-2:https://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ0408U_U4A600C1000000/ (日経新聞 2014/6/9) ものづくり進化論:インクジェット、広がる用途 衣類や食品、医療にも
 液体をノズルから飛ばすインクジェット技術。これまでは紙に文字などを印刷する場合に使われることが多かったが、アパレルや食品の製造現場を変えようとしている。ノズルを搭載する先端部品(ヘッド)やインクの改良により、衣服に使う生地に直接柄や模様を描いたり、食品にカラーのイラストや写真を描いたりすることができるようになってきたからだ。医療分野での応用も進み始めた。
■製造工程、2カ月から3日に
 繊維製品を染色する捺染(なっせん)加工を営む工場が集積するイタリア北部のコモ地区。工場の中では、大型のインクジェットプリンターが24時間稼働し、高級シャツやネクタイを量産している。コモ地区では工場の2割程度が、染料と溶剤をまぜた糊(のり)や原版を使う伝統的な捺染から、インクジェットプリンターによる量産に移行しているとされる。長野県諏訪市に本社を置くセイコーエプソンがインクジェット技術をコモのメーカーに提供、同社が印刷機を製造した。従来の捺染方式と違い、版を製造したり、洗浄したりする必要がなく、直接模様などを描くことができるため、1.5~2カ月かかっていた製造工程を、3日~2週間程度まで短縮できる。ぎりぎりまでデザインをいじれるため、「工場の方にデザイナーが(インクジェット方式の導入を)要求することが多い」(インダストリアルソリューションズ事業部の有賀義晴課長)という。エプソンの装置が捺染に使えるのは、同社のインクジェット技術が多様なインクに対応できるからだ。インクジェットには加熱で作った気泡で液体を吐出する「サーマル方式」と、電圧をかけると変形するピエゾ素子にスポイトのような働きをさせて液体を吐出する「ピエゾ方式」があり、エプソンは後者を採用している。印刷画質での違いはないとされるが、ピエゾ方式は液体に熱を加えないためインクの自由度が高いのが特徴だ。そのため、技術供与した製品やエプソンが2013年に自社製造・販売を始めた捺染プリンター「シュアプレスFP―30160」は、絹や羊毛に向く酸性インクや、麻や綿に向く反応インクなど粘度が異なる様々な液体を飛ばすことができる。07年には半導体の微細加工技術を取り込んで開発した新型ヘッドを発表。インクを出すノズルの設置密度が従来機種の2倍で、小型になったうえ印刷の速度や精度も上がっている。同ヘッドを搭載したシュアプレスFP―30160は従来機種に比べて製品自体の体積が半分程度、大きさも3分の1程度だ。
■食べられる印刷
 エプソン以外にも長野県の中信地域にはインクジェット装置を独自で開発するメーカーが多い。特殊プリンターを製造・販売するマスターマインド(塩尻市、小沢啓祐社長)は食品に絵や写真を印刷できる「フードプリンター」を扱う食品業界で有名なメーカーだ。創業者である小沢千寿夫氏が地元の農家に「りんごに印刷できる?」と話を持ちかけられたのが開発のきっかけだ。そこで特殊な液で下塗りをして印刷をしたリンゴを持っていったところ「これ食べられないの?」と聞かれたので、「食べられる印刷」ができる装置の開発に乗り出したという。食品に色をつける「色粉」を液体に混ぜるだけだと、プリンターのヘッドに詰まりやすい。同社はインクメーカーと協力し、食物油の量や種類を工夫し、詰まりにくいインクを開発した。食品に模様を付けるには、焼きゴテを使って食品の表面を焦がしたり、可食インクを判子を押すように食品に載せる手法などを使うのが一般的。だが、専用の焼きゴテを作るのに3万~4万円かかったり、圧力で食品が割れてしまったりするのが難点だった。デジタルデータをもとに印刷するインクジェット方式なら、少量多品種にも対応できるほか、食品を変形させる心配もない。核となるプリントヘッドの部分は、大手のプリンターメーカーの製品を使っているが、食品をヘッドの下で搬送するベルトコンベヤーの制御技術は独自のものだ。同社は6月10日に始まる国際食品工業展「FOOMA JAPAN2014」でフードプリンターの新製品を発表する予定だ。食品を搬送するベルトコンベヤーの幅を2倍の60センチメートルにすることで、製造速度を2倍近くに高めた。大手菓子メーカーの工場にも営業をかける。ご当地ゆるキャラの流行でキャラクターをデザインしたお菓子の需要は増している。また「2020年には東京五輪の開催もある。需要は間違いなく伸びる」(営業部の芦田賀浩課長)という。研究所向けのインクジェット装置を開発・販売するマイクロジェット(塩尻市、山口修一社長)はこのほど、液体の吐出の仕方を自動調節できる新製品を開発した。装置に新材料を入れると電圧のかけ方や電流波形を変えて何度か試行的に吐出し、カメラで飛散の仕方などを捉える。装置にはいくつかの材料の飛散に関する基本データを盛り込んだソフトウエアがあらかじめ組み込まれており、このソフトが基本データを参照しながら、カメラが捉えた画像を吟味して吐出の最適条件を自動的に決める仕組みだ。
■研究開発向けでも脚光
 インクジェット装置は、一定量の液体を精密に出すことができるので、ナノ金属インクによる電子回路の作製やDNAやたんぱく質によるバイオチップの製作など、高価な液体を使う研究開発分野でも使われ始めている。吐出条件を自動調整できれば、材料のロスを抑制できる。同社は5月にはドイツの企業と連携し、液体の流路となるパイプを交換できるヘッドも発売した。薬剤を変えるなど実験内容を変えても、パイプを交換しながら使用を続けることができるため、部品全体を交換するのに比べて費用は3分の1以下で済むという。ものづくりのデジタル化は今後ますます進む。注目が集まる3Dプリンターが速度や精度の面でまだ「量産」に使える水準にないのに対し、インクジェット装置の一部はアナログなものづくりに比べて速度も精度も遜色がないレベルに来ている。製造業や研究所への普及が加速しそうだ。

*1-3:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO91640500R10C15A9000000/ (日経新聞 2015/10/6) 3Dプリンターで有田焼 伝統工芸、デジタルで革新
 佐賀県窯業技術センターは、3Dプリンターで造形した立体モデルを焼成して陶磁器の成形品を得る技術「C3DPO(Ceramic 3D-Direct Print-Out)」を開発した(図1)。石膏型に液状の泥である「泥漿(でいしょう)」を流し込んで硬化させるという従来の成形方法に比べて、大幅な工程短縮や低コスト化、複雑なデザインの実現などが期待できる。
■有田焼と同じ材料
 3Dプリンターとしては、インクジェットノズルから吐出したバインダーで粉末材料を固める手法を採用する市販の装置を導入。この装置で、有田焼と同じ天草陶石の粉末を使って成形品を造形した。開発を始めた当初は、成形品をうまく固めることに苦労したという。粉末材料が3Dプリンター用の純正品とは異なるため、成形品を未硬化の粉末から取り出す際に崩れてしまうのだ。粉末粒径を均一化するなど試行錯誤しながら、流動性の確保とバインダーの固着性の向上などを実現して強度を高めていった。その結果、3Dプリンターで成形品を得られるようになったが、それで有田焼の製品が完成するわけではない。成形品を素焼きし、下絵付けと施釉(せゆう:釉薬を施すこと)をした上で本焼成。さらに上絵付、上絵焼成という工程を経て初めて製品となるからだ。最終的に求められるのは、製品としての品質である。実際、3Dプリンターによる成形品を素焼きしたところ、当初は崩れてしまうことが多かったという(図2)。そのため、従来の石膏型による成形品を焼成する場合とは異なる条件を見出す必要があった。具体的な温度は明らかにしていないが、温度や焼成時間などを試行錯誤することで、陶磁器として完成させることに成功した(図3)。このように、陶磁器の成形品を3Dプリンターで造るためには、3Dプリンターに関する造形条件の工夫だけでは済まない。特に、成形品は製品になる前の中間品である。陶磁器の製造プロセスを構成する他の工程においても、従来とは異なった手法を見出し、それと組み合わせることが求められた。
■シート積層法で原型を造形
 実は、佐賀県窯業技術センターにおける3Dプリンターの活用はこれが初めてではない。まず取り組んだのが、石膏型を造るための基となる原型を3Dプリンターで造ることである。紙をカッターで切断し、積層していく方式の3Dプリンターを10年以上前に導入し、実際の製品に適用した(図4)。ただし、造形後に不要部分(原型ではない部分)を削除したり、角度によっては表面を滑らかにしたりする手作業が必要だったことなどがネックになった。さらに、造形後に時間がたつと変形してしまうこともあったため、原型での活用は続かなかったという。その後、しばらく3Dプリンターの適用は考えず、3Dデータを使って石膏型を切削加工することに取り組んだ(図5)。しかし、型を使う以上は抜き勾配という形状の制約はどうしても発生する。原型や石膏型ではなく、成形品を直接3Dプリンターで造れれば、その制約はなくなる。3Dプリンターの機能や性能が向上したことも踏まえ、再度チャレンジしたことで実現したのがC3DPO技術である。
■熟練技能者の減少対策にも
 有田焼は2016年に創業400年を迎える。近年の売り上げ減少や熟練技能者の減少といった課題にさらされる中、3Dプリンターの活用はこれらを解決する手段の1つになるかもしれない。例えば、3Dプリンターによって直接、成形品を得られることは、複雑な形状だけでなく、ごく少量や単品の生産も容易にする。型のコストを大量生産で吸収する必要はないからだ。一般消費者によるオーダーメード・システムなど、新しいビジネスモデルや市場を開拓できる可能性が広がる。現状では「完全に磁器化していないため、強度が不足している」(佐賀県窯業技術センター陶磁器部デザイン担当係長の副島潔氏)ことが課題だという。今後、さらに造形条件や焼成条件などのノウハウを蓄積して、3Dプリンターを活用した陶磁器の製造技術を確立していく考えだ。

*1-4:https://www.agrinews.co.jp/p41984.html (日本農業新聞 2017年9月23日) 新建材CLT普及 林業振興へ加速化急げ
 政府が国産材活用で期待する直交集成板(CLT)だが、普及はまだほとんど進んでいない。コスト高が障害になっている。CLTを使えば6、7階建ての木造中層ビルを容易に建てられるものの、鉄筋コンクリートより総工費が1割ほど高い。その克服には、需要拡大でCLT製造価格が下がる好循環を早くつくるしかない。林業振興に向け、政府は思い切った普及加速支援を急ぐべきだ。CLTは、ひき板を交互に積層接着したパネルで強度がある。壁や床にすれば、柱なしで中層の木造施設を建てられる。鉄筋コンクリートに代わって大量のCLTを使うようになれば、国産材の需要が大きく増えて林業振興に直結する。政府が目指す「林業の成長産業化」の切り札になり得る。CLTの日本農林規格(JAS)が制定され、国内初建築となった2013年が「CLT元年」とされる。昨春に国土交通省が建築基準を整えたことで、CLTは新建材として一般的に使えるようになった。欧州に遅れること20年。日本でもようやく本格的な普及時代に入った。しかし、その普及は緩慢だ。今年3月末までに国の支援を受けて建てられてCLT施設は、全国で51棟にすぎない。ほぼ半数の22府県は皆無だ。国内のCLT8工場の経営は厳しい。稼働率は昨年度がわずか1割で、今年度も3割がやっとの見込みだ。稼働率を高める需要拡大がないと、工場の存続自体が危ぶまれ、製造価格も下がらない。政府は、CLT生産体制を7年後の24年度までに年間50万立方メートルとする目標を掲げている。国内工場における昨年度の製造能力の10倍、製造実績の100倍に匹敵する。この量産体制を実現すれば、CLT製造価格を半減でき、建築工費を鉄筋コンクリート並みにできる算段だ。この目標を必達してこそCLTは独り立ちでき、木造ビル新時代に入る。欧州連合(EU)では来年、CLT生産量が日本の目標の2倍になると推計され、上昇飛行が続く。CLTのオフィスビルやマンション、ホテルなどが次々と建つ。木造は地球環境に優しく、社会的貢献の高いメッセージ性がある。日本は短期間で欧州に追い付かなければいけない。だが、わが国ではCLTは離陸後も低空飛行だ。会社や自治体、個人などの建築発注者が、鉄筋コンクリートに比べたコスト高にひるみ、二の足を踏んでいる。国交省や林野庁などにCLT建築のコスト高を埋める補助金があるが、財源が限定的で普及に弾みがつかない。今はCLT建築の発注増が何より肝要だ。量産によってCLT製造価格が下がれば、それがまた注文を呼ぶ。その経済的循環の早急構築が欠かせない。政府は今年1月に普及の新たなロードマップを示したが、悠長ではいけない。補助金増額をはじめ施策の集中的投入による普及の加速化が求められている。

<労働力としてのロボット>
*2-1:http://qbiz.jp/article/117436/1/ (西日本新聞 2017年8月28日) 中国・人民網おすすめ記事:超高齢社会の日本を支える「第4の労働力」とは
 よく知られているように、日本は深刻な高齢化社会の国だ。人口高齢化にともなう深刻な労働力不足にどう対処したらよいだろうか。日本人の中には、高齢者、女性、外国人という3つの労働力で問題を解決できると考える人もいる。そして実際にはこれ以外に第4の労働力といえるものがある。それはロボットであり、決して冗談を言っているわけではない。「光明日報」が伝えた。日本はこれまでずっと高齢者の生活を支えるロボットの開発を積極的に進め、この分野では世界のトップレベルにある。パナソニック、トヨタ、ホンダといった大企業が相次いで主業務と無関係にみえる介護ロボットの開発に乗り出している。報道によると、パナソニックは車いすと介護ベッドが誘導した新発想の「離床アシストロボット」を開発した。ベッドの高さ、背上げの角度、アームレストの高さを調節でき、ベッドから車いすを分離することが可能だ。車いすは眠ることはもちろん、自動的に血圧や体温をはかる機能も搭載されている。パナソニックが開発した自立支援型起立歩行アシストロボットは高齢者の小さな動きを検知し、この情報に基づいて高齢者の状態を予測し、ベッドからトイレへの移動、ベッドからイスへの移動を支援する。内蔵のモーターが足りない力だけをアシストして、高齢者の自立的動作を支援するため、筋肉の衰えを防ぐことができる。医療者や介護者の負担を軽減し、被介助者にとっても福音といえる。トヨタが打ち出した4種類のパートナーロボットは、下肢麻痺で歩行が不自由な障害者の歩行を支援したり、起き上がるのが難しい障害者のベッドの上り下りやトイレへの移動を支援したりする。そのうちの1つでロボット脚を備えた「ウェルウォークWW‐1000」シリーズは、ロボット脚を膝下部分に装着し、ベルトで太もも、膝、足首、脚にしっかりと固定して、膝の曲げ・伸ばし運動を補助するものだ。ホンダが開発した歩行アシストは、バッテリーを内蔵した腰フレームを腰に巻き、下に伸びた大腿フレームを膝に固定する。利用者の動作に合わせ、モーターで歩行を支援する。利用者の脚の動きを検知して、約1キログラムの力で前後の移動を支える。特定の病気の患者の歩行を支援するだけでなく、高齢者の日常的な動作も支援することができる。日本には脳血管障害の後遺症やパーキンソン病により歩行が不自由な患者が40万人以上いる。こうしたロボットの登場は歩きたいと強く願ってきた人々にとってうれしいニュースだ。
●ロボットの応用は普及段階へ
 介護ロボットは日本のロボット研究の1分野に過ぎない。日本のロボット発展は短い揺籃期を経て、急速に実用期へ突入し、今では普及向上期に入った。日本はロボット産業に極めて大きな期待を寄せており、ロボットを日常生活、公共サービス、工業生産の中で人により近づいたツールにすることを目指している。日本政府は中小企業に対して積極的な経済的補助政策を打ち出し、小規模企業に出資してロボット応用の専門的な知識や技術を身につける指導などを行い、応用ロボットの一層の発展と普及を奨励し、ロボット産業に取り組む企業の積極性を高めている。日本政府の予測では、2020年には日本のロボット産業の規模は2兆6700億円を超え、12年の4倍以上になるという。日本政府が15年に発表した「ロボット新戦略」では「アクションプラン−五カ年計画」が制定され、製造業、サービス業、農林水産業、医療・介護産業、インフラ建設、防災などの主要応用分野をめぐって、ロボットの技術開発、標準化、実証実験、人材育成、ロボット規制改革の実行など具体的な行動が打ち出された。日本は各分野のロボット化推進を通じて、作業の効率と質を大幅に向上させ、製造業やサービス産業などの国際競争力を強化するとともに、「少子高齢化」がもたらす一連の問題の解決をサポートしたい考えだ。注目されているのが、日本のロボット研究の第一人者で「日本の現代型ロボットの父」などと呼ばれる石黒浩氏が、人間そっくりのアンドロイドの研究を続けていることだ。石黒氏によれば、「ロボットは人間を模倣しなければならない」という。なぜなら人の理想的な対話型インターフェースは人であり、人間の脳は人を認識することができ、人間にとって最良の対話方式は人と人との対話にほかならないからだ。そこで人間そっくりのアンドロイドを研究し、人と機械がいかに対話するかを研究している。人間との密な対話が必要な多くの分野では、アンドロイドなら暮らしのニーズにかなり応えられる。特に高齢者や子どもに医療行為や介護を行う場合は、アンドロイドなら利用者の世界に入っていけるという。石黒氏が指導する研究計画では、さまざまなタイプのアンドロイドと高齢者、子どもとの対話が行われている。石黒氏はかつて、「自分のチームが発見したのは、高齢者でも子どもでも、アンドロイドに反感を抱く被験者はいなかったということだ。アンドロイドは認知症や自閉症の患者の介護で、大きな役割を果たすことができると確信する」とも述べている。

*2-2:http://qbiz.jp/article/118392/1/ (西日本新聞 2017年9月9日) 拠点国内回帰進む キヤノン宮崎に新工場 カメラ生産九州に集約 自動化で競争力強化
 キヤノン(東京)が、宮崎県高鍋町にデジタルカメラ製造などを担う新工場を開設するのは、生産拠点の国内回帰の一環だ。同社の国内でのカメラ工場設立は、2008年の長崎キヤノン(長崎県波佐見町)以来。九州に生産拠点を集中し、カメラ組み立ての自動化などを進めた最新鋭の工場を新設することで、競争力を強化する。「カメラはできるだけ日本に残そうと、生産技術を磨いていた。為替が1ドル=100円以上(の円安)であれば採算に合う」。8日に宮崎県庁であった記者会見でキヤノンの御手洗冨士夫会長はこう強調した。同社は現在、カメラ工場を国内に4カ所、海外に3カ所展開。国内は全て九州で、大分県に2カ所、長崎県に1カ所、宮崎県に1カ所ある。キヤノンは国内生産を維持するなどの狙いから、生産の自動化によるコスト削減を進めてきた。16年には、大分キヤノン安岐事業所(大分県国東市)に、自動化に向けた生産技術の研究開発拠点となる「テクノ棟」を設立。九州をカメラ生産の本拠地と位置付けている。今後は、宮崎キヤノンが運営する新工場と、大分キヤノンや長崎キヤノンとの連携を進め、市場動向に伴う需要の変化にも、柔軟に対応できる生産態勢を構築するという。御手洗会長は「今は64〜65%が国内生産。高鍋ができれば70%になると思う」との見通しを示した。一方、新工場の進出先である宮崎県高鍋町の黒木敏之町長は「キヤノンが高鍋町に工場を建てることで、雇用やにぎわいが生まれ、知名度が上がり、町民みんなで歓迎している」と語った。宮崎キヤノン従業員の雇用が維持されることについて、同県の河野俊嗣知事は「全体の雇用が守られるということでありがたい」と話した。 
   ◇   ◇
●製造業回帰広がる
 日本の製造業は2012年ごろから国内回帰の動きが出始め、15年ごろから本格化した。パイオニアは日本市場向けのカーナビ製造の一部をタイから青森県十和田市の工場に移管し、ダイキン工業は中国企業に委託していた家庭用エアコン生産の一部を滋賀県草津市の工場に切り替えた。JVCケンウッドも高級ホームオーディオの生産をマレーシアから山形県鶴岡市の工場に移している。経済産業省の調査によると16年には海外生産を行っている製造業の11・8%が国内に生産を戻した。移管元は中国・香港が66%を占め、人件費の高騰が後押ししているという。

<エネルギーと自動車のイノベーション>
*3-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201707/CK2017070602000136.html (東京新聞 2017年7月6日) ドイツ環境相の寄稿全文 「脱原発通じて独は多くを学んだ」
 ドイツのヘンドリクス環境・建設・原子力安全相(65)が本紙に寄稿し、トランプ米大統領が地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から離脱表明したことを受け、離脱に反対する米国の州による「米国気候同盟」と連携して引き続き米国を取り込み、温暖化対策での国際協力を進めていく考えを表明した。パリ協定履行に向け、トランプ政権との対立も辞さない決意を示した形だ。
   ◇
 一年あまり前に福島第一原発と周辺地域を訪れ、原子力の利用はいかに甚大なリスクを伴うのかを目の当たりにしました。二〇一一年三月十一日、海底地震が引き起こした津波は日本沿岸を襲い、広い地域が荒野と化し、二万人近い住民の方々が亡くなったり、行方不明になったりしました。その後の数日間に福島第一で起きた原発事故は大惨事となり、当時のドイツで、政治における考え方を根本的に改める契機となりました。ドイツ政府は、国内の原発の運転期間延長を決定したばかりでしたが、政策転換に踏み切り、原発八基の運転を停止し、残り九基も段階的に稼働停止することを決めました。これにより遅くとも二二年末にはドイツの全ての原発が停止することになります。この決定でドイツでは再生可能エネルギーが大幅に拡大しただけでなく、国内の政治論争が納得いく形で収束し、エネルギー政策、気候変動政策の将来のあり方が示されました。ドイツのエネルギーシフトは、同様の計画を進める他国にとってモデルケースとなるだけではなく、むしろドイツ自身が他の部門や業種で構造改革を行う際に役立つ多くのことを学んでいます。ドイツは五〇年までに温室効果ガスニュートラル(排出量と吸収量を相殺)を広範囲で実現しなければなりません。そのために必要な変革を社会とともに形づくり、新たなチャンスが生まれ、皆が社会的、経済的、そして環境的に持続可能な行動をとるようになることを目指しています。この枠組みを定めるのが、一六年末に、パリ協定履行のため長期戦略として策定された「地球温暖化対策計画2050」です。この計画は、経験から学ぶ過程を打ち立て、定めた道筋が削減目標達成のために適切かどうかを定期的に検証することを盛り込んでいます。また、計画は欧州連合(EU)の気候変動政策にも合致しています。ドイツの三〇年温室効果ガス排出削減目標の「一九九〇年比で少なくとも55%削減」も、EUの二〇三〇年目標のドイツ分担分に相当します。エネルギー需要を再生可能エネルギー源で全て賄うまでは、エネルギー部門で脱炭素化を推進するため、特にエネルギー効率を大幅に高める必要があります。これに関してドイツはこれまで日本から学び、今でも活発な交流を続けています。資源効率性の向上もまた、日本とドイツが協力して国際的に取り組んでいるテーマの一つです。日本との協力関係が、二国間でも、また先進七カ国(G7)、二十カ国・地域(G20)といった多国間の枠組みでも築けていることは非常にうれしいことです。昨年の「脱炭素社会に向けた低炭素技術普及を推進するための二国間協力に関する日独共同声明」は、長期的課題や温暖化対策のさらなる局面において、両国が共に進むべき道を示しています。米国政府がパリ協定からの離脱を決定したにもかかわらず、もしくは離脱決定があったからこそ、新たな協力関係が生まれています。ジェリー・ブラウン米カリフォルニア州知事とはつい最近、共同声明に署名を交わしました。知事は、パリ協定を順守するための州の組織「米国気候同盟」で主導的な役割を担っています。パリ協定は現米国大統領の在任期間を物ともせず存続し続けていくと、確信しています。ドイツは、特にフランスをはじめEU内で、そして日本、中国、インドとも協力し、地球温暖化対策をさらに推進したいと考えています。G7ボローニャ環境相会合の共同声明は、協力関係を国際的にどう展開していくのかを示しています。ドイツが議長国を担うG20でも必ずや野心的な成果が得られることでしょう。今年九月にドイツでは連邦議会選挙が行われます。どの政党が政権を担うことになっても、ドイツの温暖化対策の取り組みは変わることなく、場合によってはより野心的目標を掲げ継続されるのは間違いありません。ドイツの経済産業界も確固たる意志でこの政策を受け入れています。日本とドイツは将来も必ず、両国の温暖化対策技術をさらに進展させていくでしょう。(バルバラ・ヘンドリクス=ドイツ環境・建設・原子力安全相)

*3-2:http://digital.asahi.com/articles/ASK950P7XK94UHBI03T.html (朝日新聞 2017年9月10日) 脱原発「当たり前」、緑の党の支持下落 ドイツ
 24日投開票のドイツ総選挙で、緑の党が「2030年までに全電力の需要を再生可能エネルギーで賄う」との公約を打ち出している。結党以来の主張だった「脱原発」が国の方針として定着。緑の党は支持率が下落傾向にあり、さらに野心的な公約を掲げて党勢回復を狙っている。ドイツでは再生可能エネルギーの発電割合が約3割だが、石炭火力も4割、天然ガスも1割を占める。公約では現在100以上ある石炭火力発電の設備のうち、効率の悪い20設備を即座に停止し、30年までに全て廃止する目標だ。再生可能エネルギーシフトには経済界から、「供給が不安定で、急速な拡大は経済活動に影響する」(ドイツ産業連盟のデニス・レントシュミット博士)との懸念があるが、緑の党のベルベル・ヒューン連邦議会議員は「蓄電池の開発や電力需要のコントロールで、安定化させることは可能だ」と強気だ。ドイツ政府は東京電力福島第一原発の事故をきっかけに、22年までの全原発停止を決めたが、今回の選挙では、議席獲得が予想される政党のうち、新興右翼政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を除くすべての政党が「脱原発」を前提として、再生可能エネルギーの拡大を掲げている。世論調査では、他政党も環境や気候保護をテーマにしているので「緑の党はもはや重要ではない」との意見に57%が「ほぼ同意する」と回答。新たな目標の設定は、存在意義をかけた闘いと言えそうだ。

*3-3:https://www.nikkei.com/article/DGXLZO21456050S7A920C1FFE000/ (日経新聞 2017/9/23) ガソリン車禁止でBYDトップ「中国の車、30年に電動化」、自社電池を外部供給
 中国最大手の電気自動車(EV)メーカーである比亜迪(BYD)のトップの王伝福・董事長(51)は日本経済新聞などのインタビューに応じ、中国市場からガソリン車が消える時期が2030年になるという見通しを示した。中国政府は9月上旬、将来ガソリン車を禁止する意向を表明し、時期は検討中としていた。政策立案にも関わる王氏の発言から今後、急拡大が予想される中国EV市場の内情を読み解く。王氏は21日のインタビューで、中国のガソリン車の廃止時期について「車種別に工程表を決めることになるだろう」と語った。具体的には「20年に公共バスが全面的にEVに代わり、25年にトラックなど特殊車両、30年には全ての車が電動化するだろう」と述べた。その上で、中国のガソリンは現在62%を輸入に依存していると指摘し、「国家の安全上、中国はどの国よりも早く(ガソリン車禁止の)期限を公表し、EVの拡大を急ぐ必要がある」と語った。英国とフランスは40年までにガソリン車などの販売を禁じる方針を示しており、王氏の見解通りなら、中国はそれより早く大きな転機を迎える。王氏は、中国EV最大手として「これまでも先頭に立ち、政府に(EVなどの)政策を提案し、政策を推し進めてきた」と強調。王氏の意向は今後のEV関連の新政策にも、強い影響を与えていくとみられる。実際、王氏は「我々の強みは中国の政策に精通していることだ」と語る。エコカー推進役として政府の信頼も絶大だ。すでに手厚い補助金の後押しを受け、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)の「新エネルギー車」(新エネ車=NEV)の販売は昨年、前年比7割増の9万6千台へと急激に膨らんだ。中国政府は今後、中国新車市場が25年に16年比で25%増の約3500万台に達すると予測する。そのうち20%以上を新エネ車とし、700万台の販売を目指す計画だ。普及のカギを握るのは政府が18~19年に導入を予定する「NEV規制」だ。中国でガソリン車を販売するメーカーに対し、販売量に応じて一定量の新エネ車販売を義務付けるものだ。これまで中国政府は、多額の補助金をほぼ自国メーカーのみに使い、市場を独占させてきた。一方、支援のない外資は中国で新エネ車の体制整備が遅れた。そのため厳しいNEV規制をクリアするには、市場をリードする中国のEVメーカーからクレジットと呼ばれる権利を購入しなければならないケースもある。NEV規制の建前は、あくまで環境規制の強化だ。だが実際は中国企業をクレジットでもうけさせ支援するものとも指摘され、外資から反発の声が上がるのが裏事情だ。BYDはNEVの導入後の3年間だけで、クレジット販売で少なくとも140億元(約2400億円)の利益を手にするという試算もある。そんな同社の株価は連日上昇し、香港証券取引所では21日終値は71.65香港ドルと、今月に入り53%も上昇する過熱ぶりだ。当の王氏も「NEV導入は政府の補助金支援に代わる新しい我々への(支援)政策と理解している。利益がどれだけかは不明だが、トップメーカーとして恩恵は受けるだろう」と語った。中国政府はNEVの導入で新エネ車市場の拡大と中国メーカーの後押しを一挙にもくろむ。16年の50万台から25年には700万台へ急拡大を見込んでいるが、課題は無いのか。これに対し、王氏は「電池生産には巨額投資が必要で、最大の今の課題は電池の供給能力だ。このままでは20年以降、市場全体で電池が足りなくなる」と指摘した。対応策として「すでに現在、複数社と合弁生産や自社で生産する電池の外部供給、協力体制について交渉中で、大きなプロジェクトになる」と明かした。さらに独ダイムラーとのEVでの提携関係も一段と強化し、「新モデルの投資を今後行う」とも述べた。政府はNEV規制導入の詳細を近く公表する。外資各社はその動向を固唾をのんで見守らざるをえない状況だ。

*3-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170910&ng=DGKKZO20957690Z00C17A9EA1000 (日経新聞社説 2017.9.10) 電気自動車時代の足音が近づいてきた
 電気自動車(EV)シフトの動きが世界的に高まっている。日産自動車はEV「リーフ」の初のフルモデルチェンジを実施し、西川広人社長は「日産のコアになる車」と表明した。米国ではテスラが50万台という破格の予約を集めた「モデル3」の納車を始めた。メーカーだけでなく各国政府もEVの普及に熱心だ。仏英両国は2040年までにガソリン車などの販売を禁止する「脱エンジン」の方針を打ち出した。中国やインド政府、あるいは米国でもカリフォルニアをはじめとする有力州がEVの普及を後押ししている。以前のEVブームは尻すぼみに終わったが、今回は本物だろう。日本としてもここで競争に負けて、基幹産業の自動車を失うわけにはいかない。EV化の波を「脅威」ではなく、電池の部材や車の新素材、関連する電子部品など幅広い産業を浮揚させる「好機」ととらえ、変化を先取りしたい。ただ、いたずらに慌てる必要はない。携帯端末の世界では、スマートフォンがいわゆる「ガラケー」に取って代わるのに10年もかからなかったが、車の動きはもっとゆっくりだろう。米金融大手のゴールドマン・サックスは2040年時点でも世界の新車販売におけるEVの比率は32%にとどまり、エンジン車の45%を下回ると予測する。電池の性能向上や量産体制の確立、さらにリチウムやコバルトなど電池に使用される金属資源の増産にはかなりの時間が必要になる。使用済み電池のリサイクル技術の確立も未解決の課題だ。とはいえ変化の波は確実に押し寄せる。過去100年続いた「エンジンだけが車の動力源」だった時代が終わる衝撃は予想以上に大きいかもしれない。独自動車工業会などは「エンジンがなくなれば、ドイツ国内で60万人以上の雇用が影響を受ける」と試算した。日本でも「脱エンジン」の加速で、一部の自動車部品メーカーなどが痛みを被る恐れはある。こうした負の側面の一方で、EV化は電子部品や軽量な炭素繊維などの需要を広げるだろう。EVは自動運転技術との相性がよく、機械が人の運転手をサポートすることで、交通事故が大幅に減る可能性もある。そして何より排ガスがゼロになるので、新興国を中心に大気汚染に苦しむ地域には朗報だ。EV時代の足音を、冷静に前向きに受け止めたい。

*3-5:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170910&ng=DGKKZO20925630Y7A900C1MY1000 (日経新聞 2017.9.10) スマホ・車 どこでも充電、置くだけ 走るだけ 感電なし
 電線を使わずに電気を送るワイヤレス(無線)給電が身近になりつつある。電動自転車などに電気を供給する国内初の実験が始まったほか、人気スマートフォン(スマホ)の最新型にも搭載されるとみられている。宇宙空間でつくった電気を地上へ送る研究もある。いつでもどこでも電気が充電できる「電線のない社会」が実現するかもしれない。京都府南部に位置する精華町役場。今年3月、新しい電動自転車が登場した。見た目は普通の自転車だが、前カゴに板状の受電装置があり、専用の送電装置の前に駐輪すると無線を受けて充電できる。無線は電子レンジにも使うマイクロ波を使う。充電は安全面を考慮し職員がいない夜間だけ。1回の充電で約25キロ走れる。同町は研究所が点在する関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)があり、業務に自転車は欠かせない。森田吉弥健康推進課長は「重いバッテリーを取り外す手間が省けて便利だ」と話す。同町では5月、役場の5階にある企画調整課内の壁に貼り付けた温度計へ無線給電する実験も始めた。配線が難しい壁近くの温度が簡単に分かり、空調を管理しやすい。得られたデータは高齢者施設で入居者の体調などを把握するセンサーの開発に役立てる。これらの装置は京都大学と三菱重工業、パナソニックが共同開発した。いずれも政府の国家戦略特区で電波法の規制緩和を受けた国内初の実証実験だ。篠原真毅京大教授は「無線給電の普及に向けた大きな一歩になる」と強調する。電気自動車(EV)も無線給電の用途として期待されている。三菱電機は2つのコイルの間で磁界の変化を介して電気を伝える「電磁誘導方式」で、高効率の無線給電装置を開発した。「自宅に設置した太陽光発電との間で、電気を簡単に融通できる」(同社)。英国の高速道路では、走行しながら充電できる専用レーンの計画も進む。EVと無線給電の組み合わせにより、燃料補充の心配がない、新しい自動車社会が誕生しそうだ。実用化が先行するのは携帯電話だ。電磁誘導方式を採用する。普及を後押しするため、中国語で「気」の意味を表す「Qi(チー)」という規格が2010年に始動した。世界の携帯機器や自動車のメーカーなど約240社が、同規格を運営するWPCという団体に参加している。欧米を中心に、互換性のある製品が200点近く市場に出ている。今年2月には、米アップルがWPCに加盟した。9月12日に発表するスマホ「iPhone(アイフォーン)」の新型に同規格による機能が搭載されるとみられている。篠原教授は「無線給電の知名度が一気に上がる」と期待する。Qiの送電能力は現在15ワットまで。60ワット、120ワットと能力を上げていく計画だ。能力が高まれば携帯電話から照明やテレビ、パソコン、掃除機まで用途が広がる。家庭から電源コードがなくなるかもしれない。同規格の日本代表を務めるロームの鈴木紀行通信スマートデバイス課長は「新サービスが生まれたり、生活が便利になったりする」と話す。コンセントが要らず、水にぬれても感電の心配がないため、喫茶店のテーブルに置くだけで充電したり、屋外の自動販売機などから電気をもらったりもできる。充電機能を売りにした机や照明機器、カバンなども登場しそうだ。こうした商品が身の回りにあふれれば、「充電」という意識すらなくなるかもしれない。地球規模の研究も進んでいる。京大の石川容平特任教授は宇宙空間で太陽光により発電し、地上に送る「宇宙太陽光発電」技術の実現を目指している。静止軌道に浮かべた太陽光パネルで電気をつくって、海中に設けた装置にマイクロ波で送り、いったん蓄えた後に、陸上へ送電する構想だ。石川特任教授は「世界全体を網羅して安定的に電力を供給する全く新しい送電網が実現できる」と力を込める。大きな期待が集まる無線給電にも課題はある。一つは安全性だ。電磁波の人体影響に詳しい京大の宮越順二特任教授は「長期の評価はまだ十分ではない」と指摘。篠原教授と協力し今年度からマイクロ波による影響研究を始める。もう一つは電波を扱う規格だ。携帯電話使用時に発生する電磁波との干渉が指摘されている。普及には電波法を見直す必要があるが、日本は欧米に比べて出遅れており、国内メーカーは危機感を抱く。無線技術の進歩で生まれた携帯電話はこの数十年で、ビジネスや生活スタイルを大きく変えた。「第2の無線技術」といえる無線給電が普及すれば、新たな経済社会が生み出されるだろう。

<医療のイノベーション>
PS(2017年10月4日追加):医療もイノベーションを繰り返してきた伝統産業と言えるが、私は衆議院議員時代(2005~2009年)に再生医療を進め、日本は世界でリーダーになれるかに見えたが、*4-4のSTAP細胞はじめ、日本ではiPS細胞以外の研究は嘘か邪道であるかのような批判をして排除するようになったため、またまた先端研究が世界に遅れ始めている。
 例えば、*4-1のような体性幹細胞を利用した臨床研究は、皮膚などの体細胞に遺伝子を導入することがないためiPS細胞よりも問題が少なく、外国では進んでいるのだが、日本では手術や抗癌剤治療や放射線治療などで既に造血機能が低下したり免疫機能が損傷したりしている患者にしか適用されないので、効果が低い。
 また、臍帯血にも生命力あふれる元気な幹細胞が含まれているが、*4-3のように、臍帯血を違法に患者に移植していたとして医師ら6人が再生医療安全性確保法違反の疑いで逮捕され捜査されるのだそうだ。しかし、“違法”とはいっても、法律が医学研究より先を行くわけではないため、これでは日本で先進医療やその研究を行うのは医師にとっては危なすぎることになり、頭脳流出の原因になるだろう。また、治療による深刻な副作用であれば、現在の癌の標準治療の方がむしろすさまじいため、これらに関する検証は、抗癌剤を作っている薬剤会社の側に立ちがちな厚労省だけでなく、本当に公正に比較できる学者組織が行うべきである。
 さらに、*4-2のように、厚労省は癌の免疫療法に有効性を認めず実態調査をするそうだが、最も安全で賢い治療方法は、もともと体が持っている免疫機能を利用したり、それを強化したりして治すことであるため、「患者自身のリンパ球を使うものや癌ワクチンなどは科学的な効果が確立されていない」などとして研究や治療を禁止するのではなく、研究者に必要なバックアップを行って安定した結果を出せる治療法を確立すべきである。そして、文系出身の役人も、こういう知識を持って、知識に基づき正しい判断ができる教育をしておくことが必要だ。

*4-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13104676.html (朝日新聞 2017年8月27日) (科学の扉)体性幹細胞、変える治療 再生医療の研究、iPS・ESに先行
 自分の体の中に存在し、骨や神経など特定の組織を再生する能力を持つ体性幹細胞(組織幹細胞)を利用した臨床研究が、iPS細胞やES細胞に先行している。従来の治療をどのように変えていくのだろうか。幹細胞は、体を構成する様々な細胞に変化する分化能と、自分と同じ細胞に分裂できる自己複製能を併せ持つ。中でも、受精卵の中にある細胞を取り出して作るES細胞や、皮膚など体の細胞に遺伝子を導入して作るiPS細胞は、体の中のどんな細胞でも作り出せ、多能性幹細胞と呼ばれる。一方、幹細胞のうち、体の中に元々存在し、決まった組織や臓器の中で働くのが体性幹細胞だ。傷ついて古くなった細胞を入れ替えたり、病気やけがで失われた細胞を新しく補ったりする役割を担う。体性幹細胞には、赤血球や白血球などの血液をつくる造血幹細胞、神経系をつくる神経幹細胞、骨や軟骨、脂肪などへの分化能がある間葉系幹細胞などがある。幹細胞の機能を使った再生医療では、安全性の評価などに課題があるiPS細胞やES細胞に比べ、体性幹細胞の研究が実用化に近づいている。札幌医大の研究グループは2014年、脊髄(せきずい)を損傷した患者に、自分の骨髄液から分離した間葉系幹細胞を静脈内に投与して神経を再生させる臨床試験(治験)を開始。神経や血管系に分化する能力を持つ間葉系幹細胞は骨髄細胞の中に0・1%程度含まれる。これを1万倍に増やし細胞製剤にして点滴すると、患者の体内で傷ついた神経に細胞が集まり、その働きを取り戻すことが期待されている。国は16年に「高い有効性を示唆する結果が出ている」として、承認審査の期間を短縮する「先駆け審査指定制度」の対象に指定し、治験も終了。同大は、骨髄の間葉系幹細胞を脳梗塞(こうそく)患者に静脈投与し、後遺症の軽減を目指す治験も進めている。
■「親知らず」活用
 ただ、患者自身の幹細胞を使う方法は、摘出する際に体へ負担がかかり、培養に時間やコストがかかる問題もある。そこで、他人の良質な幹細胞を大量に培養し、必要な患者の治療に使う方法も研究されている。東海大の佐藤正人教授(整形外科学)は、ひざの軟骨がすり減る変形性膝(しつ)関節症の8人を対象に、患者自身のひざから取りだした軟骨細胞を培養したシートを患部に貼り付け、軟骨を再生させる効果が全員にあったことを確認した。細胞シートが特殊なたんぱく質などを出して、ひざの骨にある骨髄由来の間葉系幹細胞を活性化し、軟骨が再生すると考えられるという。今年2月からは、先天的に指が6本ある多指症の赤ちゃんから、手術で切除した指の軟骨の提供を受け、細胞シートに培養して患者に移植する臨床研究を始めた。佐藤さんは「軟骨は他人の細胞でも拒絶反応が起こりにくい。乳児の細胞は増殖能力が高く、修復を促す成分も多い」と話す。抜歯後に捨てられていた「親知らず」が歯周病の治療に役立つ可能性も見えてきた。東京女子医大の岩田隆紀准教授(歯周病学)は歯の根と周囲の骨(歯槽骨)の間にある歯根膜に着目した。歯根膜は間葉系幹細胞が豊富に存在し、骨の再生を促す役割があるが、歯周病の患者では部分的に失われている。そこで、抜歯した親知らずから歯根膜を採取して培養した細胞シートを歯の根元に移植し、骨の欠損部に一緒にいれた骨補填(ほてん)材(リン酸カルシウム)が骨に置き換わって周囲の骨を再生させる方法を考えた。重い歯周病10人を対象に患者自身の親知らずを使った臨床研究では、骨が平均で約3ミリ回復した。すでに、20代前半の健康な人の親知らずから細胞シートを作り、患者に移植する研究の準備を進めている。岩田さんは「1本の歯から約1万人分のシートができる。大量生産することでコストの大幅な削減が見込める」と言う。
■商品化、ごく一部
 再生医療の「治療薬」はごく一部で商品化されているが、研究の多くは安全性や有効性の確認を進めている段階だ。ロート製薬と新潟大の寺井崇二教授(消化器内科学)は7月、他人の脂肪組織に含まれる幹細胞を培養し、肝硬変の患者に点滴する治験を開始すると発表した。肝硬変は、肝臓の組織が炎症を繰り返して硬くなる「線維化」を起こす。マウスの実験で、脂肪由来の幹細胞を投与すると線維化が改善したため、治験をすることになった。寺井さんは「脂肪の採取は体への負担が比較的軽く、美容整形などで余っているものが入手しやすい」と話し、20年度の承認を目標としている。沖縄県は今月、再生医療の産業化を進める目的で、「脂肪幹細胞ストック事業」を琉球大などに委託することを決めた。琉球大医学部や再生医療ベンチャーのセルソース(東京都)の加工施設で、医療機関から提供された脂肪組織から幹細胞を抽出し、長期的にストックする技術を構築することを目指す。琉球大の清水雄介特命教授は「脂肪幹細胞の性質は個人ごとに大きな差があり、治療に適したものを選ぶ方法も確立していない。まず多くの細胞をストックして、個人ごとの異なる性質を解析することが不可欠だ」と課題を挙げる。
<治療法確立の分野も> 体性幹細胞による再生医療としてすでに治療法が確立しているのが、白血病などの治療における造血幹細胞移植だ。抗がん剤や放射線治療によって骨髄の造血機能が損傷した患者に、正常な造血幹細胞を移植して回復させる。骨髄液を採取して患者に移植する骨髄移植は1970年代に開発された。造血幹細胞はほかにも、特別な薬を投与すると全身の血液に流れ出す末梢(まっしょう)血幹細胞や、赤ちゃんと母親を結ぶ臍帯(さいたい=へその緒)と胎盤の中に含まれる臍帯血にも含まれており、それぞれ移植に使われている。

*4-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13164507.html (朝日新聞 2017年10月4日) がん「免疫療法」、調査へ 厚労省、拠点病院など434カ所 効果、不確かなケースも
 厚生労働省はがんの「免疫療法」について、有効性が認められておらず、治療費を患者が全額負担する治療があるとして、初の実態調査をすることを決めた。対象は、地域のがん医療の中心となるがん診療連携拠点病院など434カ所。加藤勝信厚労相は3日の閣議後会見で「どういう形で実施しているのか、速やかに調査したい」と話した。免疫療法は、体内の異物を攻撃して排除する免疫のしくみを利用して、がんを治すことを目指すもの。オプジーボなどの新しいタイプの薬・免疫チェックポイント阻害剤は、一部の進行がんで保険適用されている。一方、患者自身のリンパ球を使うものやがんワクチンなどは科学的な効果が確立されていない。研究目的の臨床試験でなければ、治療費は全額患者負担となる。こうした自由診療は民間クリニックだけでなく、国が指定するがん診療連携拠点病院でも実施し、多額の費用を患者が払うケースもあるという。国立がん研究センターの若尾文彦・がん対策情報センター長は「効果が確認されていないことなどの説明を十分せずに患者側の期待をあおり、多額のお金を使わせるのは問題だ」と指摘する。厚労省は、どれだけの拠点病院が免疫療法を実施しているかや安全管理体制などについて調査する。

*4-3:http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/461079 (佐賀新聞 2017年9月6日) 無届け臍帯血移植、患者保護へ規制を見直せ
 他人の臍帯血(さいたいけつ)を違法に患者に移植していたとして、医師ら6人が再生医療安全性確保法違反の疑いで逮捕された。リスクが高い医療行為であるにもかかわらず、厚生労働省が認めた委員会で審査を受け、同省に届け出るという定められた手続きを踏まなかったというのが直接の容疑。安全性に問題がある移植が行われていた疑いも指摘されている。捜査で実態を明らかにするとともに、安全性や有効性に問題がある類似の医療行為から患者を守るため、再生医療に関する現行の規制や患者への情報提供の問題点を洗い出し、早急に対策を進めるべきだ。臍帯血は、赤ちゃんのへその緒や胎盤から採取される血液で、さまざまな血液細胞に成長できる幹細胞を多く含む。臍帯血移植は白血病などの治療法として確立しているが、容疑者らは、別のがんの治療や美容目的など、効果未確認の移植を行っていたとされる。再生医療安全性確保法は2014年施行。自由診療で幹細胞の移植を受けた患者が死亡した問題などをきっかけに検討が進み、今回が初の刑事摘発だ。同法がなければ、医師と患者の合意の下で行われる自由診療に当局のメスが入ることは、深刻な健康被害が明らかになるなどしない限り考えにくかった。法は一定の役割を果たしたと言える。一方で、現行の規制に深刻な不備があることもはっきりした。移植に使われた臍帯血は、09年に経営破綻した民間の臍帯血バンクから流出したものだとされる。国内には、白血病患者らの治療に使うため、産婦から任意で提供を受けた臍帯血を保存する公的バンクが複数ある。これらは法に基づく許可制で、臍帯血の品質確保のための基準もあるが、他人への移植を前提とせずに有償で臍帯血を預かる民間バンクは規制の対象外。破綻時の対応も業者任せで、保管方法に問題があれば、健康被害に結びつく可能性がある。日本で人工多能性幹細胞(iPS細胞)が開発されたこともあり、再生医療の研究は国が積極的に推進し日々のニュースにも登場する。それだけに患者の期待も膨らむが、多くの再生医療はまだ研究段階にあり、長期の効果やマイナス面ははっきりしていない。そうした現状での大きな問題は、再生医療と称し患者に提案される個別の自由診療の安全性や有効性について、患者自身が判断できる材料が非常に乏しいことだ。再生医療安全性確保法は「認定再生医療等委員会」と呼ばれる委員会が治療計画を事前に審査することで一定の安全性などを担保する仕組みだが、委員会の審査の質にはばらつきがあることや、治療後のフォローが十分なのかといった疑問も指摘されている。改善が急務だ。患者が自由診療の具体的な中身を他の医療機関と比較することも難しい。厚労省は、再生医療に携わる医療機関の情報提供を、患者に役立つ形に見直す必要がある。日本再生医療学会は、一般の人から再生医療の相談を受け付ける窓口を開設する方針を決めた。これも実施を急いでほしい。患者が相談したり、疑問を寄せたりしやすい仕組みを常設することは、患者を助けるだけでなく、問題ある医療機関の情報を、学会や当局が把握するにも有益だ。

*4-4:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48272 (「週刊現代」2016年3月26日・4月2日合併号)小保方さんの恩師もついに口を開いた!米高級誌が報じたSTAP騒動の「真実」
 小保方さんは間違っていたのか、それとも正しかったのか—アメリカの権威誌に掲載された記事には日本で報道されていない新たな証言が書かれていた。世界中が彼女に注目し始めている。
●すさまじい駆け引き
 「私は、STAP細胞は正しい、確かに存在すると100%信じたまま墓場にいくつもりだ」。こう語るのは、小保方晴子さん(32歳)の恩師、アメリカ・ハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授だ。バカンティ氏は、小保方さんが発表し、後に撤回された「STAP細胞論文」の共著者でもある。小保方さんが、自らの言葉で綴った手記『あの日』が、海の向こうでも話題になっている。アメリカで有数の権威を持つ週刊誌『NEW YORKER』(ニューヨーカー)の電子版に、一連のSTAP騒動を検証する記事が掲載されたのだ。筆者は、アメリカ人のデイナ・グッドイヤー女史(39歳)。'07年まで『ニューヨーカー』の編集者として勤務し、その後、ノンフィクション作家として独立した人物である。冒頭のバカンティ氏の言葉は、グッドイヤー女史のインタビューによって騒動以降、初めて明らかになったものだ。在米の出版社社員が現地の様子について語る。「バカンティ教授が取材を受けたのも『ニューヨーカー』だからこそです。それくらいこの雑誌で記事が組まれることはステータスでもあるんです。この記事を掲載するに当たって編集部は約半年にもわたり、準備をしたそうです。かなり気合が入った記事であることは間違いない。小保方さんが手記を出したことで、世界が再び彼女に注目しています」。『ニューヨーカー』はアメリカ雑誌界の最高峰に君臨。読者層は知的好奇心が高く、「高級で権威がある雑誌」と認識されている。紙の雑誌の発行部数は100万部以上。電子版も好調で、こちらも100万人以上の会員数を誇る。一本一本の記事が丁寧に書かれている総合誌で、非常に読み応えがあるのが特徴だ。小保方さんに関する記事のタイトルは「THE STRESS TEST」。幹細胞研究の世界はまさに陰謀、欺し合いが錯綜している。そこに細胞に対して行う「ストレス・テスト」を引っかけ、ストレスに弱い者は、科学界で生き残れないことをこの記事は示している。グッドイヤー女史は日本中を巻き込んだ「STAP」騒動をどう分析しているのか。まず小保方さんの登場について記事ではこう書かれている。「この仕事(STAP)の背後にいた『革命児』が小保方晴子であった。彼女は男性中心の日本の科学界に女性として一石を投じた。彼女は他の女性に比べて、男たちとの駆け引きの中で生きることに長けていた。そして独創的な考えの持ち主であると賞賛されていた」(『ニューヨーカー』より・以下カッコ内は同)。その小保方さんを引き上げた人物こそ、バカンティ教授だった。「小保方がバカンティ教授の研究室にやってきた時、バカンティはすぐに『彼女にはopen‐minded(心の広さ、進取の気性に富む)と、明敏さがある』ことに気づいた。ただしバカンティは当面、細胞にストレスを与えると幹細胞を作り出す可能性があるという仮説を伏せておいた。彼がもっとも避けたかったのは、留学生が自国に戻って、他の誰かの研究室で彼女のアイディアを展開することにあった。バカンティは私にこう言った。『私の主な懸念は、我々はハルコを信用できるのかだ』と」
●「彼女には才能がある」
 だが、バカンティ氏の懸念は杞憂に終わる。小保方さんは彼の研究室で信頼を高めていった。「小保方の下でリサーチ・アシスタントとして働いたジェイソン・ロスはこう言った。『彼女がいかに才能があるかは、誰もが分かった。ハルコのような才能のある人はそう多くはいない』。それに対して小保方はこう返した。『日本では女性研究者は二流です。たとえ年下の大学生でも、男性が必要としたら、女性は顕微鏡を使うのを諦めないといけません』」。やがてバカンティ教授の元での短期留学を終えた小保方さんは、日本に帰国し、'11年に理化学研究所(CDB)の研究員に。そこで「STAP騒動」のキーパーソンである若山照彦教授のチームに所属する。そして本格的にSTAP細胞の研究に取り組んでいく。「生物学者の山中伸弥がノーベル賞を受賞したとき、CDBの研究者たちの野心は奮い立った。CDBのチームは、自分たちの発見が山中の発見と張り合う、いや山中の研究をobsolete(時代遅れ、廃れた)にしてしまうとまで考えた」。その一方で、当時の小保方さんについては、「小保方はCDBでの昇進は早かったが、うまく適応できてなかった。アメリカ的になっていたので、元同僚たちによると小保方は、日本の研究所の厳格なヒエラルキーにイライラしているように見えた」。と記している。'12年、STAP細胞発見への意欲を見せる小保方さんのもとにもう一人の協力者が現れる。それが騒動中に自殺した笹井芳樹・元CDB副センター長だった。笹井氏のもとで、小保方さんは論文を再構築する。そして'14年、ついに世界的権威を持つ科学雑誌『ネイチャー』にSTAP論文が掲載される。日本のメディアは割烹着姿で顕微鏡をのぞき込む小保方さんを「リケジョの星」、「ノーベル賞級の発見」と煽り持ち上げた。だが、風向きが急速に変わり始める—。「ブランドン・ステルという名の神経科学者が'12年に創設した『PubPeer』というオンライン・フォーラムがあり、そこでは誰もが科学論文を分析して議論することができる。STAP論文は彼らにとってまさに、好奇心をそそる材料であった。2週間も経たないうちに、匿名のユーザーが論文に掲載された画像の2つがほとんど同一のものであることに気づいた」。STAP論文の発表は世界に衝撃を与えると同時に、世界中の研究者からの検証にさらされることにもなった。これこそが「ストレス・テスト」なのだ。このテストにバカンティ氏と小保方さんは耐え抜くことができなかった。「ハーバード大学の科学者でボストン小児病院の幹細胞移植のディレクターであるジョージ・ダレイは私にこう言った。『当時、世界中の私の同僚たちは、お互いにメールをしあって、おーい、何が起きているんだ。うまくできたか? 誰も成功してないのか、と言い合っていた』」
●今も信じている
 グッドイヤー女史によると、ダレイは「STAPは幻想である」ことを立証するための論文を『ネイチャー』に発表する準備を始めたという。さらにダレイは2回にわたって、バカンティ氏に間違いを諭そうとしたが、無駄に終わったという。「ダレイは私に『バカンティは自分が正しいと思い込んでいる』と言った。そして、昨年の9月、『ネイチャー』はダレイのSTAPに関する論文を掲載した。そこには小保方の主張を正当化すべく7つの研究室が再現をしようとしたが、すべて失敗したと書かれていた。この論文の共著者であるルドルフ・イェーニッシュは、遠慮することなく私にこう言った。『小保方が若山にいろいろ混ざった細胞を渡したことは明らかだ。若山は彼女のことを信じてそれを注入した。そして美しいキメラができた』」。バカンティ氏は一度、小保方さんに「データの捏造はしてないのか」と尋ねたが、小保方さんの答えは、「それならこんなに時間をかけて実験はしない」だったという。さらに記事の中には、バカンティ氏は論文撤回後もSTAP細胞作製に向け、いまも研究を続けていると書かれている。断っておくが、『ニューヨーカー』に掲載されたこの記事は、誰が正しいと断定はしていない。あくまでそれぞれの当事者に取材し、主張を丁寧に拾ったものである。騒動以降、口を閉ざしたままだったバカンティ氏が、今も小保方さんを信じ続けていることは、この記事を読めば十分に伝わってくる。筆者のグッドイヤー女史は今回、記事を書くにあたって小保方さんとメールでコンタクトを取ったことを明かしている。「小保方は『私はスケープゴートにされた』と書いてきた。『日本のメディアはすべて、若山先生が犠牲者で、私がまったくのろくでなしと断定した』とも」。小保方さんは今、どんな思いで、何を考え、日々を過ごしているのだろうか。


<エネルギーから考えた街づくりのイノベーション>
PS(2017/10/6追加):*5-1に「①経産省は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で、太陽光発電のさらなる価格引き下げを行い、最終的には10円前後を目指して、今後は競争を通じて民間で自律的に市場を拡大していくよう促す」「②小規模な発電にも入札対象を広げることを検討する」「③太陽光発電の導入費用は、日本が1キロワットあたり約30万円と欧州の2倍であるため、事業者には安価で質の高い設備などの一層の技術革新が求められる」と書かれている。この①②③については、最初に太陽光発電を導入した事業者には普及を促す目的で高い買取価格を20年間保障し、普及後は次第に市場に委ねる方法が正しい。にもかかわらず、最初に太陽光発電を発明した日本では、普及が遅れて技術が進まず、欧米の5~10円/kwhに及ばない状況となっているのは、油断と妨害の結果である。なお、電力のコストは「賦課金」ではないため、記者は原価計算を踏まえて正確に議論すべきだ。
 また、*5-2には、「①柏崎刈羽原発6、7号機に原子力規制委員会が安全審査に事実上の『合格』を出し、再稼働にようやく動き出した」「②日本では再生エネでベースロード電源を担うのは難しい」「③原発1基再稼働させれば同規模の火力発電に比べてコストは年350億~630億円、二酸化炭素(CO2)排出では260万~490万トンを減らせる。」「④政府は原子力の総発電量に占める割合を2030年度に20~22%とはじく」などが書かれている。しかし、原発に絶対安全はなく、事故を起こせばCO2どころではない公害を引き起こし、使用済核燃料の最終処理まで考慮すれば発電コストは最も高いため、①②③④こそ、環境後進国日本の思考停止による見解だ。そして、再生可能エネルギーの制約として書かれている内容は、使用済核燃料の処理よりもずっと簡単に解決でき、外国では既に実践されているものである。そのため、分散発電を前提とした良質で安価な機器が増え、それを使った街づくりが進めば、100%再生可能エネルギーによる電力社会は、石炭から石油に転換したよりも早いスピードで来るだろう。

*5-1:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21969410W7A001C1MM0000/?n_cid=NMAIL004 (日経新聞 2017/10/6) 太陽光買い取り価格、さらに下げ 18年度20円弱に
 経済産業省は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)で、太陽光発電のさらなる価格引き下げに乗り出す。2018年度にも産業用の買い取り価格を現在の1キロワット時21円から同20円弱とする見通しで、最終的には10円前後を目指す。再エネの導入拡大に向け国が手厚く支援してきたが、今後は競争を通じ、民間で自律的に市場を拡大していくよう促す。FITは再エネでつくった電気を大手電力が一定期間、同じ価格で買い取るよう国が定めた制度。参入事業者が収益性を見通しやすくする目的で、12年度に導入した。経産省はこのほどFITに関する有識者会議「調達価格等算定委員会」で18年度以降の見直しに向けて議論を始めた。年度内に結論を出す。12年度に制度を導入した際の産業用の買い取り価格は1キロワット時あたり40円だったが、産業用は17年度は21円となっている。また、同省は17年度からは2千キロワット以上の大規模な太陽光発電に対し、欧州などで普及する入札制を導入し、さらなる価格下げを促している。今秋に予定する初の入札の結果を踏まえた上で、現在21円の入札上限価格についても今後、引き下げるほか、より小規模な発電にも入札対象を広げることを検討する。太陽光の普及が進み、入札制が多い独仏、米国などは1キロワット時あたりの太陽光発電による電力価格は5~10円が相場で、日本の半分から4分の1と低い。経産省が太陽光発電の導入費用を調べたところ、日本は1キロワットあたり約30万円と欧州の2倍に上る。事業者には安価で質の高い設備の導入など、一層の技術革新が求められる。より発電効率の高い太陽光パネルやパワーコンディショナー(電力変換器)を使ったり、効率的な保守管理サービスを利用したりする必要がある。再エネ導入を加速させるためFITで手厚く支援してきて、太陽光の普及は進んだ。しかし事業者側のコスト競争力はまだ低い。経産省幹部は「日本でも大幅なコスト削減を進め、競争力のある電源にしていく」とし、買い取り価格の引き下げや入札制度の導入で、太陽光関連事業者の「自立」を促す。同省は太陽光に限らず、風力、水力、バイオマスなど他の電源でも価格の引き下げを進める方針だ。FITの背後で高まる消費者負担に配慮する面もある。標準家庭が月々の電気代で負担する再エネ促進のための「賦課金」は、17年度で686円と、12年度の57円から跳ね上がった。30年度には1千円を超える見通しで、対応を迫られている。

*5-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171006&ng=DGKKZO21827100T01C17A0EA1000 (日経新聞 2017.10.6) 環境後進国ニッポン(下)思考停止 もう許されない
温暖化対策と安定的な電力供給を両立する原子力発電は過度な依存を望めない。一定量の電力を低コストで安定供給できるベースロード電源の議論は堂々巡りが続く。
●再稼働弾み期待
 東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)。原子力規制委員会が安全審査に事実上の「合格」を出し、再稼働にようやく動き出した。事故を起こした福島第1原発と同じ「沸騰水型」で初の合格内定。経済産業省は同型原発の再稼働に弾みがつくと期待する一方で、「東電を適切に指導したい」と気を引き締める。同意が必要な地元の反応はなお厳しい。1年前の選挙に勝って新潟県知事に就いた米山隆一氏。福島原発事故の県独自の検証が済むまで認めない立場に固執し、3年ほどかけるという。東電は理解を得る活動を急ぐ。政府が報道各社の世論調査を分析したところ、福島事故直後から今まで「再稼働賛成1に対し反対2」の構図のままだ。経産省は原発再稼働をベースロード電源と位置づける。1基再稼働させれば同規模の火力発電に比べ、コストは年350億~630億円、二酸化炭素(CO2)排出では日本全体の0.2~0.4%にあたる260万~490万トンを減らせる。政府は原子力の総発電量に占める割合を2030年度に20~22%とはじくが、16年度は2%。経産省によると、目標達成には全国にある42基のうち30基程度の再稼働が要る。12基が安全審査を待つが、達成はなかなか厳しい。老朽化による廃炉かリプレース(建て替え)かの判断を迫られる原発も出てくる。同省幹部は「30年以降、原発の新増設がなければ20~22%は維持できない」と語る。想定する水準を確保できなければどうするのか。今の総発電量に占める再生エネの割合は15%(大規模水力含む)。30年度は原子力より高い22~24%になるとみる。ただ天候や日照時間に左右される太陽光や風力は電力が安定しない。国境をまたいで送電網がつながる欧州では、再生エネの普及するドイツと、原発大国のフランス間で電力の融通が成り立つ。現時点の日本では再生エネでベースロード電源を担うのは難しい。地球環境産業技術研究機構(RITE)の秋元圭吾主席研究員は「再生エネの普及と技術の革新を進めながら、火力と原子力を使うのが現実的」と話す。再生エネの不安定さを液化天然ガス(LNG)火力で調整して、発電量を安定させられる。
●地熱は10年停滞
 ベースロード電源の可能性を秘めた再生エネもある。火山国、日本で資源豊富な地熱発電だ。世界3位の約2300万キロワットの資源量があるとの試算があり、日本の電力の総設備容量の約1割にあたる。だがここ10年間は50万キロワット超で大きく変わらず、ニュージーランドやアイスランド、トルコ、ケニアに抜かれた。停滞の理由は内向きの事情だ。適地の8割が国立・国定公園内にあり、景観との兼ね合いで慎重論との一進一退になりがち。温泉地に重なり関連業者の懸念もある。環境を論じるには温暖化と密接に関わるエネルギー政策が欠かせない。衆院選でも争点となり、希望の党代表の小池百合子東京都知事は30年までの原発ゼロを主張。それなら代替エネルギーを示すべきだ。東日本大震災で原発を軸とする構成が壊れて6年半。思考停止を乗り越え、エネルギーの将来像を議論する時だ。

<農林漁業のイノベーション>
PS(2017年10月8日):*6-1に、「①地方銀行による農林業への融資残高が2017年3月末時点で約5400億円に上り、資金需要は拡大傾向」「②各行は農家への助言強化や農家が生産から流通までを手掛ける『6次産業化』を後押しするサービスを拡充し、需要の取り込みに躍起」「③強い農業には生産技術に加え、生産計画や財務管理といった企業経営で求められるノウハウが必要だ」と書かれている。農林漁業のイノベーションにも資金が必要であるため、①のように銀行が融資先として認識し始めたことはよいことで、②③に述べられている農林漁業の経営管理は非常に重要だが、無理に融資して貸しはがしすることにならないよう、銀行も情報収集力や人材を活かして農林漁業の得意先と一緒に育って欲しい。
 このような中、*6-2のように、「森林環境税(仮称)」を財源に市町村が管理の行き届いていない森林を整備し、担い手への集積・集約化を進める仕組みの構築を目指すとのことだが、CO2を吸収するのは森林に限らず、環境を汚している主体からはそれに見合った金額を徴収したいので、私は「環境税」という名前にした方がよいと考える。なお、木材の価格低迷で森林の所有者が森林を管理する意欲を無くしている点については、*6-3の大川のように、日本各地に家具の街があるため、これも伝統産業のイノベーションを行い、現代の住生活にあったおしゃれな家具を安価に作れるようにした方がよいだろう。何故なら、消費者は、自分の家に合わない家具やないものは欲しくても買えないのであり、この要求を満たせば輸出も可能だからである。


 2017.10.7西日本新聞

(図の説明:地方銀行の農林漁業への貸付残高、農林漁業金融公庫/日本政策金融公庫の農林水産事業への貸付が増え続けている。また、合板用材の国産割合も増加中だ)

*6-1:http://qbiz.jp/article/120196/1/ (西日本新聞 2017年10月7日) 地銀の農業融資5千億円超 大規模化、企業参入背景
 地方銀行による農林業への融資残高が2017年3月末時点で約5400億円に上ったことが7日、分かった。農業の担い手減少が続く一方、農家の大規模化や異業種からの企業参入を背景に資金需要は拡大傾向にあり、融資残高も年々増加している。各行は農家への助言強化や、農家が生産から流通までを手掛ける「6次産業化」を後押しするなどサービス拡充の動きを活発化させ、需要の取り込みに躍起だ。第二地方銀行協会などの集計では、第二地銀を含む地銀の13年3月末以降の農林業の融資残高は年100億円超のペースで増え、16年3月末時点で5千億円を突破した。長野県地盤の八十二銀行の17年3月末の農業融資残高は215億円で、前期から41億円伸ばした。農家との接点を増やそうと6次産業化や経営に関する講座などを開催。強い農業には生産技術に加え、生産計画や財務管理といった企業経営で求められるようなノウハウが必要だと訴えてきた。農業の専任担当者は「高い経営感覚を持った農家が増えれば、資金供給先も増える」と期待。企業から農業参入の相談があれば、経営計画の策定や、その後の販路開拓を後押しする。地域の基幹産業である農業に自ら参入して知見を蓄積しているのは鹿児島銀行(鹿児島市)。運転資金がかかる畜産向け融資も堅調で、17年3月末の残高は528億円と全国の地銀でトップだ。昨年9月に農業法人「春一番」を共同出資で設立し、銀行から出向した4人がタマネギとオクラを生産。「農業経営の理解が深まり、どうすれば稼げるかを考える意識が高まった」(鹿児島銀の担当者)といい、営業力強化へ増員を予定する。6次産業化を推進する西日本シティ銀行(福岡市)は農業融資の残高を17年3月期までの5年間で約16倍に拡大。宮崎銀行や常陽銀行(水戸市)、宮城県地盤の七十七銀行、北陸銀行(富山市)といった有力地銀も残高の伸びが目立った。

*6-2:https://www.agrinews.co.jp/p42095.html (日本農業新聞 2017年10月6日) 森林管理 委託を促進 所有者の責務 法で規定も 規制会議
 政府の規制改革推進会議は5日、農林ワーキング・グループ(WG、座長=飯田泰之明治大学准教授)の会合を開き、林業改革について議論した。「森林環境税(仮称)」を財源に、市町村が管理の行き届いていない森林を整備し、担い手への集積・集約化を進める仕組みの構築を目指す。管理が困難な所有者に市町村への委託を促すため、適正に管理する責務をいかに法的に課すかが焦点となる。年内に結論を取りまとめる方針。同会議では9月の初回会合で、今期の重要課題のひとつに林業の成長産業化を掲げ、年内に結論を出すとしている。具体的には、意欲ある林業経営者に、森林の管理を集積・集約化する仕組みの構築を目指し、こうした仕組みを補完する市町村の役割などを詰める。所有者が管理できない森林について、市町村が受託し、作業道の整備や間伐などをした上で、担い手となる経営体に再委託する仕組みを検討する。一方、こうした市町村の取り組み財源として、与党は2017年度の税制改正大綱で、18年度の税制改正で森林環境税を創設する方針を示している。焦点となるのは、森林所有者にいかに市町村への委託を促すかだ。農水省によると所有者の約8割は経営意欲が低く、さらにそのうちの7割は主伐の意向がない。こうした中で、自ら管理する意向がない所有者に、市町村への委託を促すため、所有者に対して森林を適正に管理する責務を法律で課すことを検討する。来年の通常国会での森林法改正か、新法の制定も視野に入れる。この日の同WGの会合では、総務省が森林環境税の検討状況を報告。財源の使途について、間伐や作業道の整備の他、森林の所有者を特定する調査にも充てるとした一方、地方公共団体からは、森林の状況に応じて柔軟な使い方ができる仕組みを求める声が上がっていると説明した。

*6-3:http://qbiz.jp/article/120204/1/ (西日本新聞 2017年10月8日) 1万点の家具 展示販売 大川木工まつり始まる
 家具のまちの秋恒例イベント「大川木工まつり」が7日、大川市酒見の大川産業会館と大川中央公園をメイン会場に始まった。市内外の家具メーカー約200社が最新の約1万点の商品を展示販売しているほか、木工体験などさまざまなイベントがある。9日まで。会館横の市文化センターでは、東京を拠点に国内外で活躍する男女2人組のアートユニット「ミレイヒロキ」さんが、市内の倉庫に眠っていたタンスやベッドなどに色鮮やかな花を描いて再生させた作品を展示。木工体験では、南米生まれの箱形楽器「カホン」を作るコーナーもあり、親子連れでにぎわっている。8日は午前10時55分から木工まつりパレードがあり、市出身の歌手大川栄策さんや俳優の陣内孝則さん、騎手の的場文男さんが市民約500人とともに練り歩く。酢の醸造蔵や製材所などを巡る工場見学バスツアー「職人めぐり」(無料)も実施する。大川商工会議所=0944(86)2171。


<農業とJRのイノベーション>
PS(2017年10月26、29日追加):農業は起伏のある広い土地を有しているため再生可能エネルギー生産の適地であり、*7-1のように、京大農学研究科とNTTデータ経営研究所が「エネルギー創造・利用型農業」の実用化・普及に向けた組織を立ち上げたそうだ。そして、京大付属農場は、既に透過光型の太陽光発電パネルを園芸温室の天井や妻面に貼って、農産物の生産性を落とさずに発電する実験を始めたそうで、早期の実用化が望まれる。これらの製品は、世界で受け入れられるに違いない。
 なお、発電した電力は消費地に送電しなければならないが、近距離ならNTTの線やガス管・水道管に併設した電線を使うことが可能だ。長距離なら、*7-2のようなJRが送電事業に進出して超電導電線を敷設するのがよいと思われる。つまり、JRが送電子会社を作って事業の多角化を行えば、連続した土地という既にある資産を使って収益を挙げることができ、駅ビル・マンション・大型開発地でも創電すれば、さらに収益拡大が可能だ。そうすると、鉄道利用者が少ない路線も貨物運搬や送電線敷設場所を兼ねて存続することができるだろう。
 さらに、*7-3のように、環境省は国立公園をドローンで空撮し、外国人観光客を増やすため外国に発信するそうだが、外国人だけでなく、(楽しみながら歩いた方が健康に良い)高齢者も対象とすれば利用者数が増える。そのため、高くない入場料をとる形で国立公園や国定公園内に遊歩道や乗り物を組み合わせて配置すればよいだろう。そこで、*7-2の耶馬日田英彦山国定公園内にある日田彦山線は、生活路線としてだけでなく、日本史のKeyである標高1200mの英彦山や日田を通る観光路線としても使い、鉄道沿線に、春は梅・桃・みかん・りんご・アーモンド・桜・菜の花、夏は大豆・蕎麦・ひまわり、秋は楓など、その地域にあった花と収穫を楽しめる植物を農林業や地域の人と協力して植え、絶景を作ればよいと思われる。
 




(図の説明:上の段の左からEVトラック、EV軽トラ、EV電車だ。また、下の一番左はBMWの自動運転車で、中央は自動運転車の仕組に関する説明である。そして、一番右の図は超電導電線の説明で、電動化・自動運転化の技術も既にあるため、JRはじめ多くの産業がこれらの技術を使ってコストダウンし、損益分岐点を下げるのは容易な筈である)

*7-1:https://www.agrinews.co.jp/p42292.html?page=1 (日本農業新聞 2017年10月26日) 「創エネ」組織を発足 農家の収益向上に 京大とNTTデータ経営研
 京都大学農学研究科とNTTデータ経営研究所は25日、農産物とエネルギーの両方を作る「エネルギー創造・利用型農業」の実用化・普及に向けた組織を立ち上げたと発表した。名称は「グリーンエネルギーファーム(GEF)産学共創パートナーシップ」といい、ヤンマーやパナソニック、和郷園、京都府など同日の時点で23団体が参加。京都府木津川市にある同大学付属農場を拠点とし、研究開発や制度設計、政策提言などをしていく。現在のエネルギー消費型の農業を、創出型に転換させる。そのモデルを、大学と産業界が提携して作り出す。農作物を生産するとともに、エネルギーを作る“創エネ”の考え方を農業に導入し、農家の収益性向上につなげる。具体的には、太陽光や風力、小水力、バイオマス(生物由来資源)などを利用した発電事業に農業者が参入しやすいように、大学と企業などで技術開発の共同研究や事業開拓を手掛ける。作物の生育に必要な色の光だけを透過させ、それ以外の光は発電に使うような太陽光発電システムの開発や、農業とエネルギーを一緒に作る「農・エネ併産」型農業の収益性の実証などを進める。「農・エネ併産」に必要な制度や政策の提言もする。企業や大学への研究支援にも取り組む。将来は農場で生産した電力や水素で農場の電力自給や地域へのエネルギー供給ができるような社会へとつなげる構想を描く。京都大学の付属農場では既に透過光型の太陽光発電パネルを園芸温室の天井や妻面に貼り農産物の生産性を落とさず発電する実験を始めている。GEFパートナーシップには、新興の電力会社、電気、通信、ガス関係企業の他、金融機関や農業法人などが参加。大学も、京都大学以外に5大学が入っている。今後も多くの企業や団体の参加を呼び掛けていく。NTTデータ経営研究所によると、欧州では化石エネルギーを大量に消費する今の農業を見直す方向にある。農場で農産物と併せて再生可能エネルギーを作り出し農産物のブランド化を目指す。

*7-2:http://qbiz.jp/article/121273/1/ (西日本新聞 2017年10月25日) JR九州上場1年、多角化で成長をけん引 被災や赤字線…鉄道事業には課題
 JR九州が東京証券取引所第1部に株式上場して、25日で1年。企業の合併・買収(M&A)による多角化や九州域外への進出など、鉄道以外の事業を積極的に展開、成長のけん引力になっている。一方で本業の鉄道事業は実質的に赤字が続き、地震や豪雨で被災、復旧のめどが立たない路線もある。上場企業として、鉄道事業の改革をどう進めるのか。2年目の課題は重い。広い敷地に、黄色い建設機械がずらりと並ぶ。世界最大の建設機械メーカー「キャタピラー」の九州地区での販売を担う「キャタピラー九州」(福岡県筑紫野市)。今月、JR九州が販売・リース事業を買収し、傘下に収めた。JR九州から出向した山根久資(ひさし)社長は「JR九州グループの建設会社への営業や、駅ビル工事などへのアプローチも積極的に進めたい」と、組織力を生かした経営に意欲を見せる。これまでもドラッグイレブンなど運輸関連とは異業種のM&Aを進めており、JR九州の青柳俊彦社長は「九州を元気にする事業、鉄道と相乗効果を生む事業で(M&Aを)考えていきたい」と、さらなる事業拡大を狙う。
    *   *
 困難視されていた上場を果たしたJR九州。原動力となったのは、事業多角化による収益の拡大だ。駅ビルやマンション、流通や外食など幅広い事業を手掛け、2017年3月期の連結売上高3829億円のうち、鉄道以外が約6割を占める。9月には、福岡市中央区の九州大六本松キャンパス跡地に複合施設の商業エリアをオープン。同社にとって初の沿線外での大型開発となった。青柳社長は「六本松で一つの実績ができた。応用する場所はたくさんある」と強調する。九州外での事業展開にも力を入れる。14年の東京に続き、今年6月には那覇市でホテルを開業。今後はアジアへの展開も加速する構え。タイ・バンコクに現地法人を設立し、ホテルなどを視野に不動産開発を本格化させる。
    *   *
 鉄道以外の事業が拡大を続ける半面、最大の課題は鉄道事業の収支改善だ。7月には路線ごとの輸送密度(1日1キロ当たりの平均利用者数)を初めて公表。現状を理解してもらい、鉄道網の在り方への意識を高めてもらう狙いだが、利用者の少ない沿線では廃線への懸念が募る。7月の九州豪雨で被災した日田彦山線では、復旧の見通しも示していない。青柳社長は赤字ローカル線に関し「今回のような大きな災害があった場合、ゼロから鉄道を造るようなもの」と指摘。日田彦山線については地元に現状などを説明し、意見を聞いた上で鉄道以外での輸送も検討する可能性を示唆する。沿線の自治体関係者は「JRから見れば利用者は少なくても、生活には重要な路線。早期の全線復旧を望む」と訴える。青柳社長は上場前の15年、国会で「路線の廃止は検討していない」と明言。一方で、不採算路線に対する投資家の厳しい目があるのも事実だ。地元や株主の理解を得ながら、いかにして鉄道の収支改善を図るか、経営手腕が問われる。

*7-3:http://qbiz.jp/article/121580/1/ (西日本新聞 2017年10月29日) 国立公園の魅力 ドローンで空撮 環境省、外国人向けに発信
 環境省は、国立公園を訪れる外国人観光客を増やすため、小型無人機「ドローン」を使って上空から動画を撮影、無料で配信する取り組みを始める。インターネット上での閲覧や海外のテレビ局に無償提供し、番組で紹介してもらうことを想定している。環境省が訪日外国人旅行者の誘致に向けて「国立公園満喫プロジェクト」に指定した8カ所を2017〜18年度に撮影する。17年度は阿寒摩周(北海道)、十和田八幡平(青森、岩手、秋田)など、18年度は阿蘇くじゅう(熊本、大分)、霧島錦江湾(宮崎、鹿児島)などが対象。それぞれ特徴となる美しい自然を収録する。撮影や編集は主にNPO法人「ネイチャーサービス」(埼玉県坂戸市)に依頼。動画は同法人のサイトなどにアップされる。公開時期は調整している。政府は20年までに訪日外国人旅行者を4000万人に増やす方針。関連して国立公園の訪日外国人利用者数を16年の546万人から、20年には1000万人まで増やす目標を掲げている。

<産業と社会のイノベーション>
PS(2017年11月1日追加):日本が先行のチャンスを失ったのは、*8-1の「量子コンピューター」だけでなく、EVもその一例だ。そして、先行する技術にケチをつけ、その技術をビジネスに結びつけて変革するのを妨げたのは、ほかならぬメディアと経産省だった。なお、創造は規則的なサイクルになってはおらず、サイクルだと考えること自体に意味がない。そして、企業は市場のニーズにあった事業を行い、市場によい提案を行い続けなければ、市場からそっぽを向かれ淘汰されて、世界の先頭に立つどころか技術も失うのである。
 そして、まず、*8-2のように、次世代エコカーはEVが中心でFCVが置いてきぼりになった状態を「雌伏」と表現しているが、「雌伏」とは「女性は負けて伏せる」という意味であるため、女性に対して失礼である。しかし、このように、メディアは女性蔑視用語を多く使い、「女性は劣った存在だ」という先入観を社会に広めているのだ。
 また、EVもFCVも、(1995年前後に私が電気自動車を提案して)日本発の技術だったのに外国に追随せざるを得なくなったのは、①EV用電池を改良することを考えずにEVの航続距離にケチをつけることに専念した ②部品点数が少ないEVの価格を高止まりさせた ③FCVの燃料である水素を再生可能エネルギーで水を電気分解して作るのではなく、輸入した化石燃料から作ることを考えた など、関係者があまりにも馬鹿だったからである。ちなみに、水素だけを作って皆で使うと「酸素不足」という公害が起きるため、再生可能エネルギーで水を電気分解して水素を作り、一緒に発生した酸素も車内に放出するなどして使う必要がある。
 なお、EVの航続距離が延びた現在、仕組みが簡単で爆発の危険のないEVの方が、より乗用車に向いていることは明らかになった。しかし、FCVの開発は無駄だったわけではなく、大きな馬力を必要とするトラック・電車・飛行機などではFCVの出番も多いだろう。さらに、電車も新幹線まで含めてFCVにすれば、建設・維持コストを低く抑えることができる。そのような中、EV・FCVへのシフトでガソリン車の部品を作っていた会社が苦境とのことだが、現在の日本は、*8-4のように、(私の提案で)航空機を作ることも可能になったため、公害を出さない燃料電池を使った航空機部品を作れば、付加価値の高い仕事をすることができる。この時、輸入品で作るアルミ部品を使う必要はなく、炭素繊維を使って強く軽くした方が燃費にもよいのだが、日本企業は炭素繊維も含めていつまでも製品価格を高くしておくのが問題なのである。
 さらに、*8-3のように、長府工産が水素給湯器を事業化し、まず家庭用・小規模事業所向け給湯器として商品化するそうで、これも価格を安くして普及させれば規模の利益が得られるが、ここが技術をビジネスに繋げるポイントの一つだ。


  2017.11.1日経新聞       2017.11.1日経新聞      2017.11.1日経新聞

(図の説明:中国・インドなどの人口が多い新興国で論文数や基礎研究の伸びが著しいのは当たり前だが、日本は基礎研究力が減少し、応用開発力の伸びも小さいため、全体として革新力が低い。米国は1位を保っているため、違いが出る理由を明らかにして改善すべきだ)

*8-1: https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171101&ng=DGKKZO22923560R31C17A0MM8000 (日経新聞 2017.11.1) 活路はどこに(1)瀬戸際の技術立国、新たな創造の循環を
景気回復や株高が続きながら、高揚感に欠ける日本社会。新産業を生み続ける米国や急成長する中国に押され「技術立国」の看板が色あせているためだ。問われるのは技術を生かし社会や産業を変革するイノベーション(革新)の力。世界は進化する人工知能(AI)など新たな産業革命のさなかにある。技術立国をどう再建するか。その挑戦がニッポンの未来のかたちをつくる。神奈川県厚木市のNTT物性科学基礎研究所。大型冷蔵庫よりも大きい箱型の「量子コンピューター」試作機を研究者が整備する。11月27日から公開し、顧客に無償で利用してもらうためだ。小さな粒子で起きる物理現象を利用する量子コンピューターを使えば、3年以上かかるデータ処理を理論上、1秒でできる。あらゆる機器にAIが載る時代の基幹技術で、西森秀稔東京工業大学教授が理論を提唱するなど日本が先行してきた。NTTは試作機の公開で実用化へ一歩進むが、世界はその先を行く。「未来へようこそ」。カナダ・バンクーバー郊外にあるスタートアップ企業、Dウエーブ・システムズの本社は垂れ幕で顧客を迎える。同社は2011年、世界で初めて量子コンピューターを商用化した。「ドクター・ニシモリがもたらした変革に我々は鼓舞されている」。営業部門トップのボウ・エワルド氏は笑みを交えて語る。Dウエーブ製は得意な計算領域が限られる「簡易型」だが、デンソーとの利用契約を決めるなど実績を重ねている。「性能は我々の方がずっと上だが、Dウエーブはマーケティングがうまい。日本はそこが弱い……」。NTTの技術者はこうぼやく。だが、世界が高性能の製品ができるまで待ってくれると考えるのは、楽観的すぎる。時代や市場の変化に即応し、革新を実現する経営力の貧しさがにじむ。日本は明治維新後、欧米の模倣(イミテーション)から出発し、技術を改良(インプルーブメント)して魅力的な商品を創ってきた。最近のノーベル賞ラッシュは日本が発明(インベンション)で力を持ったことの証左だが、それをビジネスに結びつけ、社会を変える革新力では後手に回る。日本の革新力は現在、世界でどんな水準にあるのか。日本経済新聞社は日米独中韓5カ国について、革新力を示す4つの指標を選び、06年と16年を比較した。日本は「稼ぐ力」を示す上場企業の営業利益の合計が11%増えた。しかし、7.3倍の中国などに遠く及ばず、伸び率は最低。産業の「新陳代謝力」を示す株式公開から10年未満の企業の時価総額は約半分に減った。「基礎研究力」を示す科学技術の有力論文数を推計すると、米中独韓は大幅に増えたが日本は2%減少。「応用開発力」を示す国際特許の出願も中国が追い上げ、日本は4指標を総合した「革新力指数」が伸び悩む。瀬戸際の技術立国・日本をどう立て直せばいいのか。同じコンピューター分野にヒントがある。「AIの利用が世界で広がれば、コンピューターを動かす電力が足りなくなる」。ペジーコンピューティング(東京・千代田)の斉藤元章社長はこんな問題意識でスーパーコンピューターの開発に取り組んでいる。世界のスパコン開発は13年以降、中国勢が計算速度で独走する一方、消費電力をどう抑えるかという難題が浮上する。ペジーなどスタートアップ2社は半導体回路を工夫し、機器を液体に直接浸して冷やす独自手法で電力消費を抑える。10月には、日本最速の計算速度と世界トップ級の省エネ性能を両立したスパコンを開発したと発表。技術ありきという発想を転換したことが日本を最前線に呼び戻した。市場のニーズに真摯に耳を傾け、「使われる技術」を生み出す新たな創造のサイクルを築ければ、日本は世界の先頭に立つ力があるはずだ。

*8-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13207933.html (朝日新聞 2017年11月1日) 燃料電池車、雌伏の時 「究極のエコカー」復権のカギは価格
 次世代エコカーの開発競争が電気自動車(EV)を軸に激しさを増し、水素をエネルギー源とする燃料電池車(FCV)には逆風が吹きつける。インフラ整備が進まず、車両価格も高いためだ。FCVは、二酸化炭素(CO2)を出さない水素で走る「究極のエコカー」。巻き返しのチャンスはあるのか。「FCVへの我々の取り組みが後退したわけではない」。開幕中の東京モーターショーで、トヨタ自動車のディディエ・ルロワ副社長は力をこめた。10月25日、報道陣向けのプレゼンで、「水素社会実現へのトヨタの『変わらぬ意志』の象徴」と語り、FCVのコンセプトカーを披露した。FCVは燃料電池で水素と酸素を反応させ、生み出した電気でモーターを動かして走る。トヨタは、電池の発電効率などを上げて、水素の充填(じゅうてん)1回で航続距離1千キロの実現をめざす。2014年末に世界で初めてFCV「ミライ」を販売したトヨタは、モーターショーでEVの試作車や、EV用次世代電池を開発する計画を打ち出した。ルロワ氏が強調しなければ、FCVに対するトヨタの姿勢に疑問符がついたはずだ。今回のモーターショーは、本格的なEV時代の幕開けを告げた。新たなFCVを出展しているのは、トヨタと独ダイムラーのメルセデス・ベンツぐらいだ。航続距離は日産自動車のEV「リーフ」の400キロに対し、ミライの650キロが上回る。一方、国内のインフラ数は、EVは約7100(急速充電)あるが、FCVは約100。車両価格はFCV700万円台、リーフは最安のグレードで約315万円。いずれも国などの補助金があるものの、EVの方が手が届きやすい。ベンツは、外部電源で充電もできるプラグインFCVを出展。水素による航続距離は437キロだが、備えたバッテリーだけでも49キロ走れる。水素が切れても走れ、インフラ不足をカバーする。来年から生産を始め、ドイツや日本、米カリフォルニア州などで販売する計画だ。FCV開発を担当するダイムラーのゲオルグ・フランク氏は、「長距離走行やバスやトラックにはFCVが向いている。いまもガソリン車とディーゼル車があるようにEVとすみ分けできる」とみている。FCVもEVもエコカーとして注目されるが、地球温暖化対策としては、どちらもまだ不十分だ。水素は、天然ガスなどの化石燃料からつくる方法が主流で、その過程でCO2が発生する。EVも石炭や石油など化石燃料でつくった電気を使えば、CO2の発生量を大きく減らせない。ただ、発電時にCO2を出さない原発の再稼働に慎重な日本にとって、水素は大きな可能性を秘める。風力や太陽光、バイオガスなど自然エネルギーを生かし、CO2を出さずに水素をつくる実験が全国で進む。究極のエコカーを実現できる供給網づくりもFCVの普及に急務となる。FCVの技術は日本勢の一部が優位に立つが、内外の他社も巻き込まないと広がりに欠ける。「クラリティ」を昨春発売したホンダは米ゼネラル・モーターズと組み、新たなFCVを20年ごろに投入する。こうした仲間づくりも課題だ。追い風もある。20年の東京五輪で水素社会の幕開けを世界に示そうと、政府は水素ステーションを160に増やす目標を立てる。九州大の佐々木一成・水素エネルギー国際研究センター長は「EVが注目を集めるいまはFCVにとって雌伏の時。東京五輪までには新型車が出てくる。インフラ整備を進めるためにも、車両価格をどこまで下げられるかが、FCV復権のポイントになる」と話す。

*8-3:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22893630Q7A031C1LC0000/ (日経新聞 2017/10/31) 長府工産、水素給湯器を事業化 年明けに展示場・実験施設
 住設機器販売の長府工産(山口県下関市)は水素を燃料とする給湯器を開発、事業化に乗り出す。自社の石油給湯器の技術を応用、水素バーナーを製品化する。本社内に水素給湯器のほか燃料電池、蓄電池、モデルルームなどを備えた水素利用の実験施設を年明けをメドに設ける。水素燃料が一般に普及する前に先行して、生産技術を確立する狙いだ。トクヤマ、東芝燃料電池システム(横浜市)、岩谷産業などとのグループで昨年末に山口県周南市の水素型コージェネレーション(熱電併給)システムに納入した実験機の技術をもとにする。この際、水素と空気を混合してガスコンロのように円形に噴出し、点火する手法の水素バーナーを開発。炎の熱を水に伝える部分の構造は石油給湯器の方式を採用した。冷水から80度のお湯にする加温能力を確保した。今後は外装ケースの小型化と家庭用水素バーナーの構造を詰め、まず家庭用・小規模事業所向け給湯器として商品化する。価格は一般の石油・ガス給湯器並みの30万円以下を目指す。当面は災害用の水素ステーションを導入する予定の自治体や近隣の企業向けの販売を進める。水素は単位体積あたりの熱量がガスなどの3分1程度しかなく、燃料費は3倍とあって、現時点でコスト面で化石燃料の代替にはならない。水素給湯器は水素をエネルギー源として活用する「水素社会」を目指す自治体で必要な機器として提案する。将来は太陽光・廃棄物由来や、工場からの副生で得る水素を燃料とする発電・蓄電システムが普及するとみて、参入を決めた。今回、水素給湯器をはじめとする関連技術のショールームとして本社敷地内に実験施設を設けることにした。水素ボンベの収納庫、純水素型燃料電池、水素給湯器、水素由来の電力と湯を利用する設備としてシャワー室や洗面所、パソコンを置いたコンテナ型のモデルルームを設ける。家庭用蓄電池や電気自動車も置き、接続できるようにする予定。現在工事を進めており、年明けにもオープンできる見通しだ。長府工産は1980年に住設機器の商社と部品メーカーが統合して発足した。2017年3月期の売上高200億円のうち、9割超が他社製太陽光システムの販売で、残りが自社開発の給湯器、風呂釜、温水暖房製品になる。昨年から「フューチャー10」という長期計画を掲げ、メーカー機能を強化して売り上げの3割程度を占める構造としたい考えだ。水素関連の機器開発もその一環。
▼水素社会 エネルギー源を水素を中心とすることで二酸化炭素(CO2)排出ゼロとする社会。日本では経済産業省が2014年6月(16年3月改定)に「水素・燃料電池戦略ロードマップ」をまとめた。第1段階は家庭用燃料電池、燃料電池車(FCV)の普及。家庭用燃料電池は30年時点で530万台、FCVは25年にハイブリッド車並みの価格を目指す。

*8-4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13207896.html (朝日新聞 2017年11月1日) MRJ部品調達、神鋼から変更も 三菱重工が検討 
 三菱重工業は31日、開発中のジェット旅客機「MRJ」にデータが改ざんされた神戸製鋼所製のアルミ部品が使われていた問題で、部品の調達先変更を検討する方針を明らかにした。この日、東京都内で開いた2017年9月中間決算の会見で、小口正範常務執行役員が「(調達先を)今のままいくのか、変えるのかは当然検討の俎上(そじょう)にある」と述べた。米国などで試験飛行中のMRJは、垂直尾翼の付け根や胴体の骨組みの一部などに神鋼製の部品を使っている。「安全性に問題はない」(小口氏)という。また、MRJの設計見直しについて、三菱重工は同日、「秋までに完了させる」としていた従来の方針を事実上撤回した。ただ、設計の見直しが終わった部品から順次、製造を始めており、20年半ばに納入を始めるスケジュールは維持する。


<運転支援の標準装備へ>
PS(2017年11月4日追加)*9のように、「高齢ドライバーは症状を自覚していなくても認知症の恐れがある」などと言って免許の返納や取り消しを推奨するのは、人生100年時代に高齢ドライバーの足を奪い、家にひきこもらせ、意気消沈させて命を縮めるため感心しない。また、高齢者でなくても、居眠り運転・疲れ・飲酒運転・病気・よそ見、乱暴な運転などで交通事故を起こす人は多いため、世界に先んじてアクセルやブレーキを備えた車には運転支援機能を標準装備するという規制に変更すべきだ。

*9:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201711/CK2017110202000244.html (東京新聞 2017年11月2日) 認知症のおそれ 3万人 増える高齢ドライバー
 七十五歳以上の高齢運転者を対象にした認知症対策が強化された改正道交法が施行された今年三月十二日から九月末までの半年間に、検査で認知症の恐れがあると判定されたのが三万人超に上ったことが、警察庁のまとめで分かった。このうち、六百九十七人が医師に認知症と診断され、運転免許が取り消し・停止された。警察庁によると、施行からの半年で、百十一万七千八百七十六人(暫定値)が認知機能検査を受け、認知症の恐れがあると判定されたのは2・7%の三万百七十人。このうち免許の自主返納などを除き、七千六百七十三人が医師の診断を終えた。施行後半年で受診者が千九百三十四人だった昨年一年間の四倍増となった。認知症と診断されて免許が取り消された人が六百七十四人、免許が停止されたのが二十三人だった。ほかに医師の診断待ちなどが約一万人いるため、これらの人数はさらに増える見通し。七十五歳以上で免許を自主返納したのは、今年一~九月で十八万四千八百九十七人(暫定値)で、過去最多だった昨年一年間の十六万二千三百四十一人をすでに上回っている。「認知症の恐れ」と判定された人数を都道府県別で見ると、多いのは愛知の千五百三十六人、茨城、神奈川の千二百五十六人など。東京は八百十六人だった。警察庁は「医師会などとの協力で、改正道交法は円滑に施行されている。高齢ドライバーの増加を見据えて、さらなる対策を検討する」と説明している。
◆生活の足 支えが課題
 改正道交法の施行後半年で、認知症と判明して運転免許が取り消し・停止となった高齢ドライバーは、既に昨年一年間の人数を上回った。七十五歳以上の免許保有者は二〇二一年までに百万人増える見通しだ。事故防止への取り組みが急がれる一方で、高齢者の生活を支える視点も欠かせない。運転できる車種や時間帯などを指定する限定免許の検討など、運転能力に応じたきめ細かな対策が模索されている。昨年十月、横浜市港南区で集団登校中の児童に突っ込んだ軽トラックのドライバーは、認知症であることが事故後に判明した。当時八十七歳の男性は症状を自覚しておらず、小学一年の男児ら八人が死傷したものの「過失責任が問えない」として不起訴になった。警察庁では、昨年末に五百十三万人だった七十五歳以上の免許保有者は、二一年には六百十三万人になると推計。事故をどう防ぎ、日常の移動手段の確保など、高齢者の生活をどう支えていくかが課題になる。同庁は有識者らの検討会議を設置。初期の認知症などを念頭に、認知機能に応じた対策を調査研究するほか、アクセルとブレーキを踏み間違えても加速を抑える「安全運転サポート車」などに限定する運転免許に関して、海外事例などをもとに導入の可否を検討している。
<認知機能検査> 3年ごとの免許更新時に加え、更新前でも認知機能の低下が疑われる信号無視、逆走などがあった場合、受検を義務化。約30分の筆記検査で、指定の時刻を示すように時計の針を文字盤に書いたり、イラストを記憶して何が描かれていたかを答えたりする。点数に応じて「認知症の恐れ」「認知機能が低下している恐れ」「記憶力・判断力に心配がない」の3段階に分類。認知症の恐れがある場合は医師が診断し、認知症ならば運転免許が取り消し・停止になる。

<製品の社内検査に国家資格?>
PS(2017年11月9、10日追加):*10-1のように、EUの欧州委員会は、2017年11月8日、EU域内で販売する自動車のCO2排出量を、2030年に2021年の目標に比べて3割削減する規制を発表し、電気自動車(EV)などの環境対応車普及を後押しするそうだ。燃料の変更は、日本にとって最もメリットのあることで、日本の自動車メーカーは20年以上前から環境対応車を手がけるチャンスはあったため、2020年には、①新車はすべて環境対応車にする ②電力は再生可能エネルギー由来にする などが可能な筈で、いつも外国の後ろからあわてて追いかけることしかできないのは情けない限りだ。
 そのような中、日産自動車は(日本人ではない)ゴーン社長のリード下で、世界最初のEVを実用化したが、日本のメディアはEVの航続距離の短さや静かさなど、何でも悪くしか報じなかったのを、私は忘れていない。そして、EVは既に世界競争が始まっており、競争相手は日本のメーカーだけではないのに、*10-2、*10-3のように、1)日産自動車が無資格の補助検査員らに完成車両の検査をさせていた 2)補助検査員は正規検査員の判子を使って検査結果を記す書類に押印していた 3)国土交通省は、長年にわたり検査現場で組織的な偽装工作が行われていた疑いがあるとみて実態の解明を急いでいる 4)日産自動車検査員テストで解答を見せて受験させた などを問題にしているのである。
 私は、この報道が行われ始めた頃から、企業の工場内で行われる最終検査に国家資格が必要であることの方が異常で、今からEVを売り出そうとしている日産自動車への嫌がらせではないかと感じた。何故なら、①現在の平均的な車を前提としている国家資格を持っている従業員と持っていない従業員の間で、日産車の検査能力に有意な差があるとは思われず ②仮に国家資格を持っていたとしても、企業に従属している企業内資格者が検査すれば独立性はない上 ③企業は製造物責任があることによってユーザーから厳しく評価されている からであり、1)2)3)は、電気製品などの工場内最終検査に国家資格が必要ないのと同様、国土交通省のシステムの方がおかしい。そして、あまり意味のない資格なら、4)のように、日産自動車が検査員テストで解答を見せて受験させたのはよいことではないものの、その国家資格に意味を感じていなかったことが原因とも考えられる。
 このような中、*10-4のように、中国は、「中国資本の出資比率50%以上」という合弁規制を緩和し、自由貿易区で新エネ車等をつくる場合に限り自由化して高度技術を持つ外資を誘致する政策に変更したそうだ。そのため、これまで外資が経営権を握れなかった規制が解除され、外資系メーカー主導の現地生産が可能になるため、日産などは中国の自由貿易区で新エネ車を作って輸出した方がやりやすい上、種々のコストが下がる。ここで、中国の賢さは外資のノウハウを入れつつ遅れていた自国の産業を育成し、自国企業に競争力がついた時点で外資と競争させて産業を高度化しようとするビジョンがある点で、日本の愚かさは優良企業を技術付で追い出そうとしているビジョンのなさである。
 なお、日本のメディアはあまり報じなかったが、*10-5のように、トランプ米大統領が来日された際に、2017〜2018年に米国と協力して石炭火力発電所と原発の建設を世界に広げることに合意したのであれば、日本は温室効果ガス削減にも消極的であるため、「化石賞」に選ばれたのは尤もであり、馬鹿にも程があると言わざるを得ない。


                               2017.11.7東京新聞
(図の説明:1番左の図のように、CO2排出量の総量は中国が世界一だが、一人当たりのCO2排出量は米国・韓国・ロシア・日本と続く。そのため、左から2番目の図のように、意識の高い国はEV化を進めて内燃機関を禁止しつつある。従って、次世代環境車はEVが中心になると思われ、右から2番目のグラフはハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の伸びを高く見積もりすぎている。その結果、日本では、一番右の図のように、EVのホープを追い出そうとしているが、これは太陽光発電のシャープが追い出されたのと同じ愚かな構図だ)

*10-1:http://qbiz.jp/article/122338/1/ (西日本新聞 2017年11月9日) EU、車CO2排出量3割削減へ 30年、EV普及促す
 欧州連合(EU)の行政執行機関に当たる欧州委員会は8日、域内で販売する自動車の二酸化炭素(CO2)排出量に関する規制を発表し、2030年に21年の目標値に比べ3割の削減を要求した。ガソリン車やディーゼル車では達成が難しいとみられ、電気自動車(EV)など環境対応車の普及を後押しするのが狙い。日本メーカーも対応が求められる。日本政府による今後の排出量目標にも影響を与えそうだ。地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の策定で中心的な役割を果たしたEUの環境規制は世界で最も厳しいとされる。欧州委には、これを一段と強化し温暖化対策をリードしたい思惑もある。EUの乗用車のCO2排出量目標は21年が1キロ走行当たり平均95グラム。欧州委は25年にこれを15%、30年に30%それぞれ減らすとしている。日本の環境省によると、日本は20年に122グラムを目標としており、中国が20年に117グラム、米国は25年に97グラムとなっている。フランスは40年までに石油を燃料とするガソリン車やディーゼル車の販売終了を目指す方針を表明している。ただ、規制導入には加盟各国や欧州議会の承認が必要で、協議は曲折も予想される。大手自動車メーカーが本社を構えるドイツなどが反発する可能性がある。欧州自動車工業会は30年のCO2排出削減量は21年比で2割が妥当だとの考えだ。

*10-2:https://mainichi.jp/articles/20171005/k00/00m/020/063000c (毎日新聞 2017年10月4日) 日産 組織的偽装か 検査しない有資格者の印
 日産自動車が無資格の補助検査員らに完成車両の検査をさせていた問題で、正規の検査員が自分の判子をあらかじめ補助検査員に渡していたことが4日、分かった。補助検査員は正規検査員の立ち会いなしでこの判子を使い、検査結果を記す書類に押印していた例があった。国土交通省は、長年にわたり検査現場で組織的な偽装工作が行われていた疑いがあるとみて実態の解明を急ぐ。日産は、神奈川、栃木、京都、福岡にある国内すべての完成車工場で、正規検査員に交じって補助検査員が日常的に出荷前の最終段階の検査を行っていた。最終検査は、1台ごとに8人程度で分担。ブレーキの利き具合などをチェックするもので、検査を通らないと出荷できない。日産によると、全国で正規検査員は305人、補助検査員は19人いる。補助検査員が検査する際、書類への押印も含めて正規検査員が立ち会うが、不在時には補助検査員が自分1人だけで押印した例があった。書類上は複数の項目の検査を1人の検査員が同時に行ったことになり、書類を調べた国交省が不自然さを指摘して発覚した。国交省は3日、京都と栃木両工場に抜き打ちで立ち入り調査を行った。今後、他工場でも実態把握を進める。日産は既に在庫約3万4000台の再点検に着手。週内に計24車種を対象に販売済みの約121万台のリコール(回収・無償修理)を届け出る。原因究明と再発防止策を10月末をめどに報告する。

*10-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201711/CK2017110702000118.html (東京新聞 2017年11月7日) 【経済】日産、検査員テストで不正 解答見せ受験させる きょう生産再開
 日産自動車は六日、新車の無資格検査問題を受け停止していた国内向けの生産と出荷を、七日から順次再開すると発表した。再開が決まったのは完成車を組み立てる全六工場のうち、グループのオートワークス京都(京都府宇治市)を除く五工場。また第三者調査では、正規検査員を認定するテストで解答を見せ受験させるなど教育面の不正が六工場であったことが分かり、国土交通省はこれらの問題是正を再開の条件とした。国交省の検査で不正が発覚してから約一カ月半ぶりに事態が正常化へ向かうが、ずさんな品質管理体制が改めて浮き彫りになった。日産によると、追浜工場(神奈川県横須賀市)など五工場が、部品メーカーからの調達を含む準備が整い次第、生産と出荷を始める。国交省は各工場に立ち入り検査をした結果、生産体制について一定の見直しが進んだと判断した。関係者によると、正規従業員が出荷前の最終検査に携わる運用を確実にするため、当面は以前より生産ペースが大幅に落ちる可能性があるという。新たに判明した不正は、試験で解答を見せたことに加え、本来七十二時間が必要な受講時間を短く済ませた例があった。日産は時期や規模を明らかにしていないが、正規検査員約三百人全員への再教育や再試験を実施し始めたという。また、各工場で検査スペースを独立させ週一回の外部監査を行い、現場で適正に運営されているかどうか確認する。日産の無資格検査は九月十八日の国交省の立ち入り検査で発覚。公表後も不正が続いたことが判明し、十月十九日に国内向け生産、出荷の全面停止を発表した。国交省は今月六日にオートワークス京都を立ち入り検査し、これで不正が発覚した国内全六工場に検査が入った。京都も対策が十分だと認定されれば、生産と出荷を再開する見通し。

*10-4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13221582.html (朝日新聞 2017年11月10日) 中国、車の合弁規制緩和へ 自由貿易区の新エネ車に限定
 中国外務省の鄭沢光次官は9日、中国資本の出資比率が50%を下回らないという自動車メーカーの合弁規制を、自由貿易区で新エネルギー車などをつくる場合は試験的に自由化すると述べた。外資系メーカー主導の現地生産が可能となりそうだ。2018年6月までに実施する。国営新華社通信が報じた。既存の規制は、外資が経営権を握れない点が問題視されていた。中国の習近平(シーチンピン)指導部は19年から自動車メーカーに、電気自動車など一定量の新エネ車の製造・輸入を義務づけるなど、新エネ車大国化を推し進めている。出資比率を緩和することで高度な技術を持つ外資を誘致。現地企業と競争させて中国の自動車産業を高度化しようとしている。新華社通信によると、鄭次官はこの日、米中首脳会談の成果について記者団に説明する席で、出資比率の規制緩和を明らかにした。

*10-5:http://qbiz.jp/article/122452/1/ (西日本新聞 2017年11月10日) 日本、化石賞をダブル受賞 石炭火力広げ、目標消極的
 世界の環境保護団体で組織する「気候行動ネットワーク」は9日、地球温暖化対策の前進を妨げている国を指す「化石賞」に、日本と、「先進国」をそれぞれ選び、ドイツ・ボンの気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)会場で発表した。日本は先進国にも含まれるため、不名誉な化石賞のダブル受賞となった。日本が単独で選ばれた理由は、トランプ米大統領が来日した際、2017〜18年に米国と協力して石炭火力発電所と原発の建設を世界に広げることに合意したため。先進国は、歴史的に温室効果ガスを大量に排出してきたにもかかわらず、削減目標の引き上げに消極的なため。

| 経済・雇用::2016.8~ | 04:39 PM | comments (x) | trackback (x) |
2017.9.17 精神障害者・ハンセン病患者に対する差別と最近の人権軽視への歩み (2017年9月21、24日、10月10日に追加あり)
  

(図の説明:左のグラフのように、精神病床の平均在院日数は日本が著しく高い。また、真ん中のグラフのように、統合失調症入院患者への向精神病薬投与量も日本が著しく高く、自閉症と診断される人もうなぎ上りに増えている。これは、日本人には特に重度の精神障害者が多いというわけではなく、診断と入院及び薬の投与方針の問題だろう)

  

(図の説明:左のグラフのように、ADHDと診断される子どももどんどん増え、子どもへの使用に関する安全性は疑問であるにもかかわらず、メチルフェニードの子どもへの処方が著しく増えている。これに加えて睡眠薬の処方も日本で著しく高いため、精神科の診断と睡眠薬を含む薬剤使用の妥当性について再検討する必要がある)

(1)精神障害者・知的障害者について
1)精神障害者を殺人犯になり易い人と理解するのは間違っていること
 植松容疑者が措置入院からの退院後に相模原市障害者施設「津久井やまゆり園」の入所者19人を殺害した事件を受けて、*1-1、*1-2のように、厚労省は、責任能力の有無を調べていると報道されている。これは、刑法第39条に、「①心神喪失者の行為は、罰しない」「②心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する」という古い規定があり、心神喪失者・心神耗弱者の定義が不明確であるにもかかわらず、精神障害者や精神障害の病歴のある人がこれにあたると非科学的に決めつけているからで、これは大多数の精神障害者に対する人権侵害である。

 しかし、植松容疑者の障害者殺害事件は精神障害が理由ではないため、精神障害者に対する監視強化等は福祉目的ではなく意味のない防犯目的の差別である。私は、①精神障害者が引っ越せば、その自治体に支援計画と呼ぶ監視計画を引き継ぐ(精神障害者と殺人犯を結び付けて監視する人権侵害) ②自治体・警察・病院が参加する協議会を設置して病気の個人情報を共有する(精神障害者と犯罪者とを結び付けて個人情報を開示する人権侵害) ③障害者差別解消法の理念を啓発(共生社会の推進) ④障害者の地域生活を支援(共生社会の推進)のうち、①②は精神障害者への言われなき差別を助長して、③④をやりにくくするものだと考える。

 そして、*1-4のように、東京都港区で厚労省のキャリア官僚女性が弟に包丁で刺されて死亡した事件も、弟は精神疾患での通院歴があり、警視庁が男の責任能力の有無を調べていると報道されているが、これは刑法第39条の規定を根拠としており、このような報道が続けば「精神障害者=殺人犯予備軍」という先入観ができる。

 さらに、*1-5では、埼玉県熊谷市で小学生2人を含む6人が殺害された事件で、強盗殺人などの罪で起訴されたペルー人のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン被告について弁護側が請求して実施された精神鑑定では、さいたま地検の鑑定と異なり、「精神疾患がある」という診断結果が出たそうだが、弁護側も罪を軽減するために刑法第39条をよく使い、冤罪の際にも刑法第39条を使ってうやむやにすることがあるのは、「殺人犯=精神疾患」というイメージを一般の人につけるという意味で、精神障害者に対する差別を醸成する人権侵害である。

 そのため、今回の厚労省の精神障害者と殺人犯を関連付けて精神障害者を監視するという再発防止策は、精神障害者に対する差別や人権侵害を無くすために、これまで培われてきた精神科の歴史に逆行する程度の低いものである。

2)知的障害者施設「津久井やまゆり園」について
 神奈川県の「津久井やまゆり園」を再生する案が、*1-3のように持ち上がり、入所者の意思を尊重したものだとも評価されたそうだが、知的障害者である入所者も、自宅から離れた交通の便の悪い場所で滅多に家族にも会えず積極的に集団生活をしたかったわけではないだろう。

 そのため、公聴会で、「入所者の意向を聞くべきだ」「時代錯誤だ」との批判が続出し、大規模施設の建て替え案が撤回されたのはよかった。私は、セキュリティーが悪く、当直の職員が身をもって防衛することもなく、植松被告が殺人するに任せておいた他の職員の意識にも疑問を感じている。

3)「殺人犯=精神障害者」というイメージの社会では、精神障害者の雇用が進まないこと
 *1-6のように、佐賀労働局と佐賀県は、佐賀県の経営者協会など経済4団体に、障害者の積極的な雇用を要請したそうだが、ここで言う障害者に精神障害者は入っているのだろうか?

 「殺人犯=精神障害者」というイメージがついた社会では、トライアル雇用など労働条件の悪い雇用でも難しいと思われるが、それが政府とメディアがまき散らした精神障害者差別の大きな問題点なのである。

(2)“発達障害”について
 最近、*2-1のように、“発達障害”として、「落ち着きがない注意欠陥・多動性障害(ADHD)」「読み書きや計算など特定分野が苦手な学習障害(LD)」「対人関係をうまく築けず、限られた対象にこだわる傾向(アスペルガー症候群)」など、何でも異常だと言うことが多いが、言語や知能に遅れがなければ周囲の“常識的”な大人が理解できなくても全く問題ない。

 何故なら、将来、周囲の“常識的”な大人には想像もつかないことを行って“常識”を変える人物かも知れず、別の面でとびぬけた能力を持っている人かも知れないからである。

 にもかかわらず、*2-2のように、いちいち発達障害として病気扱いし、*2-3のように、全国学力テストの結果として文科省に報告さえせず、一人前と見做さないでいると、本当にその子の将来性をつぶしてしまう。そのため、何でも異常だとしてしまう最近の子どもへの扱いは問題であり、人権侵害である。

(3)ハンセン病患者に対する差別
 *3のように、国がハンセン病患者に対する不要な隔離政策を行い、司法が加担して「密室の法廷」で死刑判決を下し、ハンセン病患者の人権が無視された差別助長の歴史に対し、国は、元患者らを差別や偏見の中に置き続けて精神的苦痛を与えたり、人生を台無しにしたりした責任をとって損害賠償すべきだ。

 しかし、現在でも、国は「精神障害者=殺人犯、犯罪者予備軍」というレッテルを張って監視することにより、病気の人に対する人権侵害の過ちを繰り返そうとしているわけである。

<精神障害者と殺人犯の関連付け>
*1-1:http://digital.asahi.com/articles/ASJD924FDJD9UBQU001.html (朝日新聞 2016年12月9日) 措置入院中から 退院後の支援計画
 相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害された事件を受けて、厚生労働省は8日、再発防止策の報告書を公表した。精神保健福祉法に基づく措置入院中から都道府県や政令指定市が支援計画を作成。植松聖(さとし)容疑者(26)の退院後に事件が発生したことから、自治体や医療機関が連携して退院後も患者を孤立させない仕組みをつくることが柱だ。
■厚労省 相模原事件 再発防止策
 有識者9人による厚労省の検証・再発防止策検討チーム(座長=山本輝之成城大教授)がまとめた。厚労省は報告書を踏まえ、精神保健福祉法改正案を来年の通常国会に提出する方針。報告書では、措置入院を決める都道府県や政令指定市に対し、すべての患者について入院中から退院後の支援計画づくりを求めた。計画に盛り込む支援内容は入院先の病院や居住する自治体の職員による「調整会議」で検討。会議には患者本人や家族の参加も促す。現行法では退院後の支援体制が定まっていないため、退院後もチームで支援を続けられるようにする狙いだ。患者が転居した場合には支援計画を自治体間で引き継ぐことも明記した。
■「監視強化」の懸念も
 相模原市の事件を受けた厚生労働省の再発防止策は、措置入院患者の退院後の継続支援に重点を置いた。ただ、障害者の監視が強まることへの懸念は残った。東京都内の診療所で働く精神保健福祉士の男性(50)は、自治体や医療機関などによるチームで連携することで、継続支援をしやすくなると評価している。治療を拒否する患者は多く、措置入院と通院中断を繰り返し、通院を続けるようになって症状が安定する人もいるためだという。「治療継続の重要性を患者本人が自覚できる働きかけが必要で、ネットワークが大切になる」。一方、自身も精神障害者という「全国『精神病』者集団」運営委員の桐原尚之さんは、現行の措置入院について「『社会防衛的』に運用されることがあり、多くの精神障害者のトラウマになっている」と指摘。事件の再発防止を理由にした退院後の継続支援であることから、「福祉目的ではなく防犯目的であることは自明だ。精神障害者を監視する方向に秩序化されるのではないか」と心配する。こうした懸念に対し、報告書をまとめた厚労省の検証・再発防止策検討チームの山本輝之座長(成城大教授)は記者会見で「あくまでも退院後、孤立せず安心して暮らせる支援体制を築くもので、精神障害者の利益にもなる」と強調した。退院後にいつまで支援は続くのか――。報告書は「国が一定の目安を示す」として方向性を示さなかった。患者の症状によって期間が異なるうえ、長くなれば自治体の負担が増えるため調整がつかなかった。厚労省が別途議論を進め、年度内に結論を出す予定だ。事件における警察の対応については「法令に沿ったもの」と触れるにとどめ、再発防止につながる検証結果などは明らかにされなかった。
■再発防止策のポイント
【入院中の対応】
・国が心理検査や薬物使用に対応するガイドラインを作成し、それに基づいて治療
・都道府県や政令指定市が病院職員らを交えた「調整会議」などの意見を参考に退院後の支援計画を作成
【退院後の対応】
・保健所を持つ自治体が支援計画に基づいて支援
・患者が引っ越せば、その自治体に支援計画を引き継ぐ
・自治体や警察、病院が参加する協議会を設置し、情報を共有
【共生社会の推進】
・障害者差別解消法の理念を啓発
・障害者の地域生活を支援

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/ASJCF6286JCFUTFL002.html
(朝日新聞 2016年11月14日) 措置入院の患者情報、自治体間で共有へ 厚労省の原案
 相模原市の障害者施設で入所者19人が刺殺された事件で、厚生労働省は措置入院をした患者の個人情報を共有できるような制度改正を盛り込んだ再発防止策の原案をまとめた。自治体間の連携強化が狙いで、14日の検証・再発防止策検討チーム(座長=山本輝之成城大教授)で提示。11月中にも最終報告書を公表する。植松聖(さとし)容疑者(26)は退院後、「東京都八王子市で家族と同居する」としていたが、相模原市と八王子市は連携できていなかった。個人情報は原則、自治体間で共有できない。そこで措置入院について定めた精神保健福祉法を改正し、特例的に患者の精神症状や住所地などの個人情報を共有できるようにする。原案には、措置入院を決めた都道府県や政令指定市が、患者の入院中から家族らの情報も踏まえて中長期的な支援計画をつくる方針も盛り込んだ。この計画をもとに、患者が居住する自治体が退院後の生活や治療の相談にのる。病院は相談員を選び、患者の地域での生活に目を配る。また、警察や病院、自治体が地域ごとに集まる協議会を設け、措置入院を決める際の仕組みを強化。措置入院や退院を判断する精神保健指定医の研修には、薬物に関する課程を加える。原案に対して検討チームでは「(措置入院患者は)年間7千人ほどいるので、自治体や病院の負担が大きい」などの意見が出た。

*1-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201709/CK2017090602000178.html(東京新聞2017年9月6日)【神奈川】やまゆり園再生案 入所者の意思尊重 評価
 昨年七月に殺傷事件があった知的障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)の再生基本構想案の説明会が五日、横浜市神奈川区で開かれ、全七回の説明会が終了した。この間、入所者の意思を尊重して居住先を決める仕組みを評価する意見が目立った一方、建て替え後も指定管理者が運営することに懸念を示す声もあった。神奈川区の説明会には、障害者団体の関係者ら約六十人が出席。「時間をかけて入所者の意思確認をする考えが盛り込まれて良かった」などと、構想案を前向きに捉える人が多かった。県が一月、定員百五十人規模での現地建て替えを発表した際の公聴会では、「入所者の意向を聞くべきだ」「時代錯誤だ」と批判が続出。県は大規模施設の建て替え案を撤回するとともに、入所者の意思を二年がかりで確認する仕組みを構想案の柱の一つにした。ただ、家族からは不安も漏2016年12月8日、措置入院患者の退院後の継続支援(支援と呼ぶ監視)という再発防止策を公表した。

*1-4:https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20170813-00000013-ann-soci (Yahoo 2017/8/13) 死因は出血性ショック 厚労省女性キャリア官僚刺殺
 東京・港区で厚生労働省のキャリア官僚の女性が弟に包丁で刺されて死亡した事件で、女性の死因が腹を刺されたことによる「出血性ショック」だったことが新たに分かりました。52歳の男は12日午前5時半ごろ、自宅マンションで、姉の厚労省関東信越厚生局長・北島智子さん(56)の腹を包丁で刺し、殺害した疑いで13日朝、送検されました。その後の警視庁への取材で、北島さんは腹を複数回刺されたことによる「出血性ショック」で死亡していたことが新たに分かりました。男は「私がやりました」と容疑を認めています。男には精神疾患での通院歴があり、警視庁は、男の責任能力の有無を含めて当時の状況を調べています。北島さんは男と同居する母親の介助のため、事件前夜から泊まりにきていたということです。

*1-5:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/462726 (佐賀新聞 2017年9月12日) ペルー人被告「精神疾患」の診断、埼玉・熊谷6人殺害事件で再鑑定
 埼玉県熊谷市で2015年9月14~16日、小学生2人を含む6人が殺害された事件で、強盗殺人などの罪で起訴されたペルー人のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン被告(32)について弁護側が請求し実施された精神鑑定で、「精神疾患がある」との診断結果が出たことが12日、関係者への取材で分かった。さいたま地検が起訴前に実施した鑑定では「精神疾患なし」と診断されていた。裁判はさいたま地裁で年度内にも始まる見通し。異なる鑑定結果が出たことで、刑事責任能力が主な争点になる。事件は間もなく発生から2年となる。ナカダ被告は逮捕後の県警の調べに不可解な説明もみられた。

*1-6:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/460108 (佐賀新聞 2017年9月2日) 障害者の積極雇用を 労働局と県が要請
■経済4団体に
 9月の障害者雇用支援月間に合わせて、佐賀労働局と佐賀県は1日、県経営者協会など経済4団体に、障害者の積極的な雇用を要請した。他の要請先は県商工会議所連合会、県中小企業団体中央会、県商工会連合会。松森靖佐賀労働局長は県経営者協会で、前年度の県内のハローワークにおける障害者の就職件数が8年連続で増加した点を踏まえつつ、「精神障害者雇用が全体に占める割合が7・3%にとどまっている。積極的な採用を」と促した。協会側は「トライアル雇用などの多様な手段を使いながら、障害者雇用の機運を高めていきたい」と応じた。県内の障害者雇用率は2・43%で全国5位(昨年6月現在)。法定雇用率達成企業の割合は73・1%で6年連続で全国トップを維持している。

<発達障害>
*2-1:http://www.asahi.com/topics/word/%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3.html
(朝日新聞 2013年2月27日) 発達障害
 生まれながらの脳の機能障害が原因と考えられ、犯罪など反社会的な行動に直接結びつくことはないとされる。落ち着きがない注意欠陥・多動性障害(ADHD)、読み書きや計算など特定分野が苦手な学習障害(LD)などがある。アスペルガー症候群は対人関係をうまく築けず、限られた対象にこだわる傾向がみられるが、言語や知能に遅れがなく、周囲が障害を見過ごすケースも少なくない。文部科学省の調査(2012年12月)は、小中学校の通常学級の子の6.5%に発達障害の可能性があるとしている。

*2-2:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/lifestyle/article/302604 (西日本新聞 2017年1月20日) 発達障害、進学先と連携を 総務省が文科、厚労両省に勧告
 総務省行政評価局は20日、自閉症やアスペルガー症候群などの発達障害を抱える児童・生徒に対する個人別の支援計画を、進学時に引き継ぐ仕組みが不十分だとして、文部科学省と厚生労働省に改善を勧告した。全国の計42施設を抽出した調査で、中学は卒業生の15%、高校は6%しか進学先へ計画を引き継いでいなかった。小学校は79%、保育所は35%、幼稚園は47%だった。計画の作成対象が施設ごとに異なる実態も判明。文科省の通知などは「必要に応じて」計画をつくるよう学校側に求めているが、医師の診断書を必要としたり、特別支援学級の児童に絞ったりというケースもあった。

*2-3:https://ryukyushimpo.jp/news/entry-570430.html (琉球新報 2017年8月30日) <“学力向上”の現場>障がいある子、全国学力テストを問う、全国学力・学習状況調査、全国学テ
◆点に入れないで/「手の掛かる子」対象外に
 「標準的な学力が身に付いていないなら、入れなくていい」。沖縄県内南部のある小学校で昨年、発達障がいがある生徒が受けた全国学力テストの結果を、文科省に報告しなくていいと管理職が断言した。担任らは「子どもたちの実力を把握するための調査なのだから出すべきだ」と主張したが、通らなかったという。文部科学省によると全国学テの対象は該当学年の学習内容を履修できている全児童・生徒。知的障がいの診断が付くと対象外にされるが「学習内容を履修できているか」の判断は学校に任される。診断が付いていないグレーゾーンや、発達障がいがある児童・生徒を一律に対象から外したり、点数によって選択したりすることが、少なくない県内学校で行われている。情緒障がいやADHD、学習障害などがある児童・生徒が、通常学級に在籍しながら必要に応じて別教室で指導を受ける「通級指導教室」。県内の設置数は右肩上がりで、2017年には過去最多を記録した。通う子どもたちに知的障がいはないが、一斉授業では力を伸ばしにくく、教科などによって得手不得手が出る場合もある。「通級の子どもは、学テを受けても結果は文科省に出さない」と多くの教員が口をそろえる。県は「数人の調査結果を抜いても学校の平均正答率は大きく上下しない。点数が悪いからと、結果を報告しないことは考えにくい」と否定するが、現場教員は「平均点が取れるなら入れて、取れないなら入れなくていいと言われることもある」と明かす。学テの目的は「義務教育の機会均等と水準の維持向上」だ。だがわずかな点差を競い合う中で、全ての子どもの学習を保障するはずの「学力向上」の現場から、平均から外れる子どもたちが排除されている。「誰かの指示というより慣例」で通級学級の児童の結果を除外すると説明していた若手の小学校教諭は、記者と話をするうち「学力向上の対象に通級の児童が入る認識がなかった。恐ろしいことをしていたのかもしれない」と表情を変えた。

<ハンセン病患者差別>
*3:https://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/354631/ (西日本新聞 2017年8月30日 ) ハンセン病差別 司法が加担した罪を問う
 「密室の法廷」で下された死刑判決は妥当だったのか、重大な疑義があるのに司法が検証を拒むのは不当-として、国家賠償を求める訴訟が熊本地裁に起こされた。ハンセン病患者の誤った隔離政策に司法が加担し、差別を助長した歴史を踏まえ、国はこの訴えを重く受け止めるべきだ。訴えたのは熊本県でハンセン病患者とされた男性が殺人罪などで死刑判決を受け執行された「菊池事件」を巡り、裁判のやり直しを求めてきた支援者の元患者らだ。隔離施設内に設けられた「特別法廷」で裁かれた男性について、元患者らは差別的な扱いを受けた冤罪(えんざい)の疑いが強いとして、検察自らが刑事訴訟法に基づき「公益の代表者」として再審を請求すべきだと主張してきた。しかし、最高検は「再審の事由がない」とこれを拒み、元患者らは差別や偏見の被害回復を求める権利が侵害され、精神的苦痛を被ったと訴えている。再審の道が開かれない中で、国賠訴訟を通じて事件の真相に迫るのが狙いだ。熊本県の元役場職員を殺害するなどした罪に問われた男性は一貫して無罪を主張しながらも1962年、3度目の再審請求が棄却された翌日に死刑が執行された。最大の問題は、人権尊重や裁判の公開をうたった憲法に反した疑いが強い特別法廷である。最高裁が1948~72年に開廷を認めた事例は全国で95件に上る。最高検は今年3月、隔離法廷に関与したこと自体は認め、最高裁や日弁連に続き謝罪した。菊池事件は特別法廷で下された唯一の死刑事案とされる。元患者らの弁護団は冤罪の新証拠などを示すとともに、特別法廷の違憲性を明らかにしていく方針という。ハンセン病問題は、国の隔離政策を違憲とした2001年の熊本地裁判決(確定)後、元患者の救済策が進む一方、今も差別と偏見に苦しむ家族が国を集団提訴するなど、全面解決にはほど遠い。菊池事件が問うのは人権侵害に対する司法全体としての姿勢だ。真相を闇に葬ってはならない。

<共謀罪と個人情報運用も人権侵害の方向>
PS(2017年9月21日追加):*4-1のように、犯罪を計画段階で逮捕でき、そのためには監視社会になる「共謀罪」法案も国民の反対を無視して可決された。これは、安倍首相が人権侵害を好む人なのでは全くなく、官僚機構やそれに便乗して民主主義(国民主権)の理念を護るためではなく他の目的のために働く国会議員やメディアに原因がある。そのため、誰が首相になっても余程の気概と力がなければ「共謀罪」の廃止はできないと思われる。
 また、*4-2のように、総務省は、①個人が健康状態や購買履歴等の情報を一括で企業に預けて報酬やポイントを得る仕組みを作り ②データを預かる事業者は個人情報を匿名化した上で情報が欲しい企業に提供できるようにする とのことだが、民間企業の利用によって歯止めがなくなる上、個人から同意を取る形で次第に個人の選択の余地もなくなるため、この規制緩和は個人情報の過度な開示や利用による人権侵害に繋がる。
 つまり、近年は、民主主義や人権尊重の歴史に逆行する改革が次々と行われているのだ。

*4-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017091602000145.html (東京新聞 2017年9月16日) 【社会】「共謀罪」廃止へ集結 「監視を恐れず」「改憲つながる恐れ」
 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法の廃止を目指す市民団体や法律家団体などでつくる「共謀罪廃止のための連絡会」は十五日、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂で「共謀罪は廃止できる!9・15大集会」を開いた。約三千人(主催者発表)が参加し、「共謀罪は絶対廃止」などと声を上げた。連絡会は今月七日、「SEALDs(シールズ)」の元メンバーらがつくった「未来のための公共」や日本消費者連盟など十四団体が結成した。アムネスティ・インターナショナル日本の山口薫さんは「今、市民活動は危機にさらされている。法は施行されたが廃止できる。監視を恐れず、萎縮せず活動したい」と話した。「共謀罪対策弁護団」の三澤麻衣子事務局長は多くの弁護士で、摘発された場合の対策や予防を考えるとした。世田谷区の会社員横山淳さん(46)は「共謀罪の強行採決はひどかった。計画段階で捕まり、監視社会が進む。改憲の流れにもつなげられるのでは」と話した。民進党など野党四党の国会議員らは、二十八日からの臨時国会への廃止法案の提出を明らかにした。

*4-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170828&ng=DGKKASFS25H54_X20C17A8MM8000 (日経新聞 2017.8.27) 個人情報 運用を一任、総務省、利用増へ事業者認定 データ利用先を自由に
 総務省は個人が健康状態や購買履歴などの情報を一括で企業に預け、ビジネスに役立ててもらって報酬を得る仕組みを作る。2020年をめどに、情報を預かって運用する事業者への認定制度を設ける。個人にとってはデータを預けて、その先の利用を運用者に任せる「簡易型」の仕組みだ。データの運用先まで個人が選ぶ「厳格型」と合わせて、政府は個人データをビジネスに利用する制度を整える。ビジネスに個人データを活用する仕組みは、実際に情報を使う企業まで個人が指定する「情報銀行(総合・経済面きょうのことば)」も政府内で検討が進んでいる。総務省が取り組むのは、運用者が一定のルールのもとで個人のデータを自由に利用できる仕組み。個人情報のビジネス利用は2本柱で設計が進む。総務省は新たな仕組みを「情報信託」と呼んで整理する。データを扱う事業者はIT(情報技術)系の企業やシンクタンクを想定する。個人はあらかじめ病院や銀行、旅行会社などのデータベースを事業者に指定し、病歴や資産情報、渡航履歴などの情報に運用担当者がアクセスできるようにする。データの開示範囲は個人が設定する。データを預かる事業者は個人情報を匿名化したうえで、情報を欲しい企業に提供する。医療や観光、金融といった企業のニーズを見込む。データをもらう企業は対価を払い、一部を特定のサービスに使えるポイントなどの形で個人に還元する。個人情報を適切に管理するため、データを運用する事業者に対し、民間が設立する団体による認定制度を導入する方針だ。提供元の個人との間ではデータを漏洩しない、提供先の企業との間では個人データを不正に使わない、などの約款を交わすことを義務付ける。18年度予算の概算要求に実験費用を盛り込む。政府はIT総合戦略本部を中心に、個人が預ける情報を管理・運用する仕組みとして「情報銀行」を検討している。ただ、「どの企業にどのデータを提供する」といった具合にデータの提供先まで個人が指定する方法が議論されている。銀行方式は最終的にデータを使う企業が分かる。個人に詳細なデータを出してもらうかわりに、大きなポイントを出すといった個別の設計をしやすい。総務省の方式はデータ運用の自由がある一方、個人がデータ提供をためらう可能性はある。政府は個人の使い勝手に応じて2案を設け、流通の仕組み作りを進める。日本は海外と比べて個人データの外部提供への抵抗感が強いとの調査もある。信託方式はデータ管理のルール作りとともに、認定制度の信頼を高めることが課題になる。

<子どもへの人権侵害>
PS(2017年9月24日追加):*5-1のように、1000人あたりの向精神薬の処方件数を算出し、年齢層ごとの処方件数の経年変化を統計解析で比較したところ、2002年~2004年と2008年~2010年の比較で、13歳~18歳のADHD治療薬使用が2.49倍、統合失調症などに使う抗精神病薬が1.43倍、抗うつ薬が1.31倍と増加し、小学生でもADHD治療薬が1.84倍、抗精神病薬が1.58倍となっており、病気も効果も安全性も確立していないのに子どもへの適応外処方や多剤併用が浮上しているのだ。また、*5-2のように、以前はADHDという名前の病気はなく、子どもに元気があるのは当たり前で、そういう人が大人になってもやはり元気に仕事をしているため、「子どもに落ち着きがないから、ADHDが疑われる」などとして、すぐ子どもを異常扱いして薬漬けにするのは疑問が多い。

*5-1:https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20150120-OYTEW54767/ (読売新聞 2015年1月20日) 「子供に向精神薬処方増」のなぜ?
 1月13日の朝刊社会面で、「子供に向精神薬処方増」のニュースを書いた。臨床現場では以前から指摘されていた傾向が、初の全国調査で確かめられたのだ。いささか硬い内容になるが、子どもへの投薬を考える上で重要なデータが多く含まれているので、今回は調査結果を詳しく紹介してみたい。調査を行ったのは、医療経済研究機構研究員の奥村泰之さん、神奈川県立こども医療センター児童思春期精神科医師の藤田純一さん、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部室長の松本俊彦さん。2002年~2010年の外来患者(18歳以下)の診療報酬明細書と調剤報酬明細書の一部、計23万3399件をもとに、1000人あたりの向精神薬の処方件数などを算出し、統計解析で年齢層ごとの処方件数の経年変化などを比較した。2002年~2004年と2008年~2010年を比較すると、13歳~18歳では、注意欠如・多動症に使うADHD治療薬が2・49倍、統合失調症などに使う抗精神病薬が1・43倍、抗うつ薬が1・31倍と増加した。2008年~2010年の同年代の人口1000人あたりの処方件数は、抗不安薬・睡眠薬が4・8件、抗精神病薬が3・9件、抗うつ薬が3件、気分安定薬が3件だった。小学生(6歳~12歳)への向精神薬処方も増え、2002年~2004年と2008年~2010年の比較では、ADHD治療薬が1・84倍、抗精神病薬が1・58倍となった。依存性のあるベンゾジアゼピン系薬剤を中心とする抗不安薬・睡眠薬は、この年代では0・67倍と減少した。同年代の人口1000人あたりの処方件数は、気分安定薬が3・6件、ADHD治療薬が1・5件、抗精神病薬が1・2件、抗うつ薬が1・2件だった。件数は少ないが、0歳から5歳の幼児に対しても、抗精神病薬などの処方が確認された。処方件数増加の背景について、調査報告書は、受診者数の増加(厚生労働省の患者調査では、未成年の精神疾患受診者数は2002年に9万5000人、2008年は14万8000人)や、思春期外来の増加(2001年は523施設、2009年は1746施設)、ADHD治療薬など新薬の承認、などの影響を挙げている。
●適応外処方と多剤併用の問題も浮上
 果たして診断や投薬は適切に行われているのだろうか。過剰診断や誤診、不適切投薬の症例はないのか。診療報酬明細書などを基にした今回の統計調査では、個々の状況が分からず、処方が適正か否かの判断はできない。だが、疑問点はいくつも浮かび上がる。特に、処方件数が増えている向精神薬の多くが、子どもに対しては「適応外」であることは認識しておく必要がある。現在使われているADHD治療薬は、子どもに対する臨床試験を行って適応(6歳以上)を得ているが、抗精神病薬や抗うつ薬、抗不安薬・睡眠薬などは、子どもを対象とした大規模な臨床試験が日本では行われておらず、有効性や安全性の確認が十分ではない。このような向精神薬の添付文書(薬の説明書。インターネットで簡単に読める)には、子ども(小児)への投与について、「安全性は確立していない」「使用経験がない」などの記述があるので、関心のある方は確認していただきたい。子どもへの薬の適応外処方は、向精神薬以外にも行われることが多く、すぐに「悪」と決めつけることはできない。本物の薬か偽の薬を、ランダムにグループ分けした子どもたちに飲ませ、効果を比較する臨床試験への抵抗感が日本では根強く、実施しにくい事情もある。大切な子どもたちを、薬の「実験」に巻き込みたくないのだ。しかし一方で、成長期の脳に作用する向精神薬が、「安全性は確立していない」「使用経験がない」とされながらも、実際には使用が拡大している。子どもたちを守りたいがゆえに、子どもたちを未知のリスクにさらす。そんな矛盾した状況が生じているのだ。子どもに対する臨床試験が行われなければ、副作用の種類や発生頻度は分からず、市販後の副作用調査も徹底されないなど、被害を組織的に防ぐ手立てが乏しくなってしまう。さらに、深刻な問題が起こった時の救済策も、適応外処方の場合は不十分になりかねず、善意で処方した医師が責任を問われる可能性もある。このような状況で、誰が得をするというのだろうか。この調査でもう一つ注目したいのが、一人の子どもに異なる向精神薬を複数処方する例が多いという指摘だ。向精神薬が、他の種類の向精神薬と併用される割合は、気分安定薬で93%、抗うつ薬で77%、抗不安薬・睡眠薬で62%、抗精神病薬で61%に上った。言い方を変えると、例えば抗精神病薬を処方される子どもの61%は、抗不安薬・睡眠薬や抗うつ薬など、他の種類の向精神薬も併用処方されている、ということになる。調査報告書は「この数値は欧米と比べて著しく高い」と指摘し、欧米での未成年への向精神薬併用処方割合について、米国19%、オランダ9%、ドイツ6%という数字を示した。医療提供体制の違いや調査対象の等質性などの点から、この結果だけで「安易に『わが国では、向精神薬の不適切な多剤併用処方の割合が異様に高い』と結論づけるのには慎重であるべき」と注意を求めたが、「今後、わが国の多剤併用処方の割合が欧米よりも高くなる理由について、検討していく必要がある」とした。当然の指摘だろう。日本では以前から、成人患者に対して抗精神病薬を何種類も使う多剤大量処方が続き、国際的にも問題視されてきた。ベンゾジアゼピン系薬剤を漫然と長期間処方され、常用量依存に苦しむ人も多い。カウンセリング技術の未熟さや診療時間の短さ、マンパワーの少なさなど様々な事情から、薬に過度に頼る医師が多いのだ。そして更に、過剰な処方が子どもたちにも及んでいるとすれば、早急に歯止めをかけなければならない。日本の子どもへの多剤併用処方や適応外処方は、どのような根拠で、どのような必要に迫られて行われているのか。処方医や患者、家族を対象とした詳細な実態調査が求められている。

*5-2:http://healthpress.jp/2015/07/adhd-1.html (Health Press 2015.7.8) 覚せい剤に似た性質を持つADHD薬。子どもへの処方は本当に害はないのか?
 近年、ADHD(注意欠陥・多動性障害)など発達障害と診断される子どもが増えている。ADHDの特徴は、集中力や注意力に欠けたり、衝動性や多動性が見られたりすることだ。詳しい原因はわかっていないが、脳の機能障害ではないかといわれている。しかし、以前はADHDという名前の病気はなく、"元気があること"はその子どもの個性だと思われていた。そして、そうした子どもたちも、たいていは成長するにしたがって落ち着いて生活できるようになっていた。今は病気というレッテルを貼られ、薬漬けにされる時代だ。メディアでこの病気が取り上げられるようになると、「この子も落ち着きがないのでADHDではないか」と、親や教師など周囲の大人が心配し、子どもを受診させるケースが多くなった。また、少しでも兆候があるとADHDとみなし、脳の中枢神経に作用する強い向精神薬を処方する医師も増えている。
●向精神薬を服用していた米銃撃事件犯の少年たち
 この向精神薬の代表的な薬のひとつに、リタリン(塩酸メチルフェニデートの一般製剤)がある。すでに、スウェーデンでは1960年代後半に同剤の発売が禁止されており、1970年代にはヘロインと同等の依存性があると指摘されていた。それにもかかわらず、アメリカではADHDの特効薬として患者への投与を継続。また、子どもへの投与だけではなく、大人の間でも「活動的になり仕事や家事がはかどる」という理由で、急激に広まっていった。リタリン生産量は1990~1999年に全世界で700%という高い伸びを示し、その9割がアメリカで使用されていた。だがそうしたなか、少年たちによる銃乱射事件が学校内で多発する。彼らは学習機能障害と診断され、リタリンなどの向精神薬を投薬されていた。コロラド州ではその後、厳密な検査を行わず安易に診断を下されたADHDの子どもに対して、リタリンを強制投与することを禁止した。日本において、ADHDはリタリンの適応外であったものの、うつ病の患者に処方されてきた。だが、2007年、ある男性が複数の病院を受診して安易にリタリンを処方され、同剤の依存に陥り自殺するという事件が起こる。このことからうつ病も適応外となり、ナルコレプシーのみの適応となった。2008年からは登録された専門医にしか処方できなくなっている。現在、日本でADHDと診断された子どもに処方されるのは、コンサータ(メチルフェニデート徐放剤*)という薬だ。しかし、このコンサータには覚せい剤に似た性質があるため、承認にあたって"コンサータ錠適正流通管理委員会"を設置し、処方できる医師や調剤できる薬局を登録制にするという厳しい規制が設けられた。また、薬局はリストにない場合は拒否しなければならないなど、流通・処方状態の管理がしっかり行われている。このように、子どものADHDに処方される薬は、厳重な規制を必要とする危険な薬だ。これを子どもに与え続けて、果たして悪影響がないといいきれるのだろうか。ADHDが疑われるからといって子どもを安易に薬漬けにしてしまう医療には、疑問を持たざるを得ない。何らかの弊害が起こらないよう、親をはじめとする周囲の大人たちが、子どもに投与される薬には、どのようなリスクがあるのかを十分理解するべきである。
○徐放剤:成分の放出を遅くし、服用回数を減らせるように開発された薬。血中濃度を長時間一定にすることで、副作用を回避できる。

<精神障害者差別>
PS(2017年10月10日追加):*6-1のように、「①ラスベガスで銃乱射事件があった」「②容疑者の動機は謎に包まれている」「③米ABCは事件の数カ月前から容疑者の精神状態が悪化していたと報じた」と朝日新聞が報道し、日本の多くのメディアは、「原因は米国が銃社会であることだ」としているが、①は事実であるとしても、②の動機は、容疑者の弟が「最近、金額の大きなカケをしていた」と証言していることから、私は「カケで破産するほどの大損をしてラスベガスに恨みを持った」のが動機ではないかと考える。しかし、この容疑者の弟の証言は相手にされず、③のように「容疑者は精神状態が悪化していた」ということになっており、この「精神状態の悪化」の定義は全く曖昧で、それが銃乱射を行う動機になるとは思えない。にもかかわらず、こういう報道が堂々となされることは、国連の「障害者権利条約」や日本の「障害者基本法」「障害者差別解消法」などに反しており、精神障害者への差別を助長して社会参加をやりにくくするとともに、その尊厳を無視する見識の低いものである。
 そのような中、*6-2のように、「農福連携」して農業を障害者雇用の場とする取り組みが始まっている。私は、衆議院議員時代(2005~2009年)に、伊万里市の障害者福祉施設で精神障害者が有田焼の絵付けをしているのを視察したことがあるが、この仕事は自閉症でも問題なく、集中する分だけ出来は上々で、高級品を作らせればそれにも対応できそうに思われた。

*6-1:http://digital.asahi.com/articles/ASKB55F2ZKB5UHBI018.html (朝日新聞 2017年10月6日) ラスベガス銃乱射容疑者、精神状態悪化か 米報道
 米史上最悪の銃乱射事件を起こしたスティーブン・パドック容疑者(64)の動機は、いぜん謎に包まれている。解明のかぎを握ると思われた交際相手の女性(62)は帰国後、「全く知らない」と困惑した。容疑者の精神状態が悪化していたとの報道も出ているが、なおはっきりしない。「こんな事件を計画していたとは全く考えられなかった」。女性が4日、事件後初めて弁護士を通じて出した声明には、突然捜査対象となった困惑とともに、容疑者への思いがにじんだ。「親切で思いやりのある、静かな人だった。私は彼を愛していて、将来をともにすることを望んでいた」。容疑者は、事件前に女性にフィリピンに帰るための航空券を買い与えていた。女性は9月15日に日本を経由してマニラに到着。その後、容疑者から「フィリピンの家族のために家を買うお金」として10万ドルの入金があった。米メディアによると、女性が容疑者と知り合ったのは、地元のカジノだった。女性は接客担当をしており、度々訪れる容疑者と親しくなり、交際を始めた。ネバダ州の地元紙リノ・ガゼット・ジャーナルによると、女性は容疑者と知り合った当時、別の男性と結婚していたという。2013年、女性は夫と暮らしていた家を出て、パドック容疑者が所有していた同州リノのアパートに引っ越した。それから2年後、女性は夫と離婚した。女性が元夫と暮らしていた当時の隣人は「家でパーティーをしたり、近所の子どもたちを家に泊めてあげたりしていた。近隣の皆に好かれ、とてもすてきな女性だった。家族に会いによくフィリピンへ往復していた」と話し、事件に衝撃を受けていたという。しかし、容疑者と暮らし始めてから、女性の近隣の人は全く違った印象を語る。「2人とも見た覚えがない」。事件直前まで2人が暮らしていた家の隣人はそう話す。他の近隣住民も、つきあいのあった人はほとんどいなかった。オーストラリアに住む女性の姉妹は米NBCの取材に「彼女は何も知らぬままフィリピンに行かされた。(容疑者が)計画を邪魔されたくないと思ったのだろう」と涙ながらに訴えた。一方、米ABCは4日、事件関係者の話として、容疑者は事件の数カ月前から精神状態が悪化していたと報じた。体重が減り、身なりも汚くなり、女性の元夫に対する妄想にとりつかれていたという。確たる動機が見えぬまま、捜査関係者のいらだちは高まっている。ラスベガス警察のロンバルド保安官は4日の会見で「1人で全てやったとは信じがたい」と話し、協力者がいた可能性も視野に入れていることを示唆した。同保安官は、容疑者が9月下旬に高層コンドミニアムの一室を予約していたことも明らかにした。その時期、今回の事件と同じように、ここから見下ろせる場所で別の音楽祭が開かれていた。警察は「理由は不明」としているが、容疑者が当初、この音楽祭を狙おうとした可能性もある。ラスベガス警察は、これまで事件での死者を59人としていたが、自殺した容疑者を除く58人に訂正。けが人も489人とした。

*6-2:http://special.nikkeibp.co.jp/NBO/businessfarm/bizseed/05/ (日経BP 2017.2.28) キーワードは“ノウフク”、浸透し始めた「農福連携」、「働き手」が欲しい農と「働く場」を求める福祉、両者のニーズが合致
 「農福連携」と呼ばれる取り組みが活発化している。農業を福祉の現場に取り入れる試みは従来からあるが、どちらかというと障がい者支援が中心だ。引きこもりやニートなどの生活困窮者への支援は、それほど多くなかった。最近になって、生活困窮者の支援にも手が広がる。また、農作物の生産・加工・販売を広く手掛けたり、農家からのニーズに応じて農作業の委託請負をしたりする法人が少しずつ増えている。一般にはまだそれほど馴染みがないが、「農福連携」という言葉がじわじわと浸透し始めている。農福連携とは、文字通り、農業の現場と福祉の現場が連携することだ。具体的には、障がい者や生活困窮者などの社会的に弱い立場にいる人たちが、農園で畑仕事に従事したり、農産物の加工・販売をしたりして、自分の働く場所と居場所を手に入れる取り組みを指すことが多い。農業の現場では、高齢化などにより担い手の減少が止まらず労働力不足が悩みの種だ。一方の福祉サイドでは、障がい者・生活困窮者の働く場所がなかなか見つからない。農業の「働き手がいない」という問題と、福祉の「働く場がない」という問題を解決し、補完してくれるのが農福連携というわけだ。
●農福連携のシンポジウムやフォーラム、マルシェ
 最近、農福連携を冠したシンポジウムやフォーラム、マルシェなどの催しが頻繁に開かれるようになった。農業・福祉関係者だけでなく、行政や一般の人も巻き込みながら、大きなうねりになろうとしている。この2月14日には、農林水産省の政策研究機関である農林水産研究所主催の「農福連携」シンポジウムが開催された。「農業を通じた障害者就労。生活困窮者等の自立支援と農業・農村の活性化」というテーマが掲げられ、障がい者や引きこもり、ニートなどを実際に引き受けている事業者をはじめとして、農業関係者、行政の担当者、自治体、研究機関など多くの人たちが集結。農福連携の最前線について報告が行われ、活発な議論が交わされた。3月には農福連携の取り組みを全国レベルで推し進める「全国農福連携推進協議会」が設立される。ここに全国の福祉事業所や農家、行政や研究者、企業など、多くの賛同者が参加する。行政の側でも、該当省庁でもある農林水産省と厚生労働省の関心度は高い。協力しながら、積極的に連携を推し進めている。「農福連携マルシェ」などはその一例だろう。2015年6月に初のマルシェを霞が関で開催。2016年5月には官庁街を出て東京・有楽町、その後全国規模で開かれている。予算面でも、両省庁に農福連携を意識したものが少しずつ目立つようになってきた。
●取り組みには2つの方向がある
 一般社団法人JA共済総合研究所主任研究員で、長らく農福連携分野の研究を先導してきた濱田健司氏は、今、農福連携の取り組みとして大きく2つの方向があると分析する。1つは、障がい者や生活困窮者が身を寄せる福祉関係の事業者が取得したり借りたりした農地で農業生産を行う方向だ。生産だけでなく、できた農産物の加工・製造や販売まで手掛けるところも多い。もう1つは、農家や農業生産法人などに対して農作業の請負契約を結ぶというもの。こちらは、障がい者や生活困窮者が農業側の田畑やハウスに出向いて、いわゆる施設外就労として農作業に従事する。直接生産を手掛ける事業者の中には、独自の工夫で、持続可能な事業にしているところもある。代表例は、農福連携のパイオニアとしても知られる農事組合法人「共働学舎新得農場」だ。共働学舎は、北海道十勝地方・新得町に約120ha(120万㎡)の農地を構え、酪農、チーズや有機野菜の生産、工芸品づくりなどを行っている。ここには障がいを持つ人をはじめ、引きこもりやホームレスなど、様々な困難を背負った人たちが集まり共同生活をしながら農業生産・販売を行う。ここで生産されるチーズなどの農産物や工芸品はその品質の高さで知られ、学舎の経営にも寄与する。共働学舎の総売上高は約2億2千万円にのぼり、代表宮嶋望氏によれば「生活に必要な経費は賄えるほど」だという。後者でよく知られている取り組みは、特定非営利活動法人(NPO法人)香川県社会就労センター協議会の例だ。生産者と同協議会が農作業の請負契約を結んで、協議会から障がい者施設に作業の参加を募集・依頼する。農作業の対価として工賃が支払われる。請け負う農作業は、野菜類の苗の植え付けから収穫、除草、出荷調整に至るまで多種多様だ。協議会を中心として、障がい者施設と地域行政、JA、生産者の間で協力し合う仕組みを構築し、上手に連携している例といえる。生活困窮者への支援をする団体も増えている。厚生労働省が2015年4月にスタートさせた「生活困窮者自立支援制度」の中には、生活困窮者に対する就労訓練事業を行う社会福祉法人や生活協同組合で条件を満たすところに対して、支援をする仕組みがある。内容も地域によって違ってくるが、固定資産税や不動産取得税などの一部を非課税にする措置や、事業を立ち上げる時の経費の補助、自治体による商品の優先発注がある。農林水産省でも、いわゆる「福祉農園地域支援事業」という、福祉農園の全国展開を支援する事業を進めている。平成29年度の予算でも、同様の施策が取られていて、「農山漁村振興交付金」といわれるものの中に、福祉農園を支援する枠が設けられた。こちらはNPO法人、民間企業、一般社団法人も申請できる。
●生活困窮者への就労訓練の場としても注目
 こうした制度の充実に伴って、引きこもりやニートなどの生活困窮者に対して就労訓練をする団体が今後増えてきそうだ。ホームレスの就農支援プログラムを手掛けるところも出てきている。JA共済総合研究所の濱田氏は、こうした一連の動きを、「単なる社会貢献や福祉という範疇を超えて、障がい者や生活困窮者はいまや農業にとって必要な人材だと見る動きだ」と語る。担い手不足に悩む農業の現場からのニーズは今後ますます高まってくるだろう。社会的な弱者といわれる人たちが、農業を通じて働く場と収入を得て自立できれば、それだけ社会保障費の削減につながる。同時に、農業の衰退にも一定の歯止めがかかり、生産の拡大に寄与する可能性もある。もちろん解決しなければいけない問題は山ほどある。現在のセーフティネットにアプローチできなかったり、しなかったりする人もまだまだ多い。受け入れる側の意識や体制もまだまだだ。しかし、農福連携には大きな可能性が秘められている。今後の進展に大きな期待がかかっている。

| 日本国憲法::2016.6~ | 04:45 PM | comments (x) | trackback (x) |
2017.9.12 日本に現存する差別とその目的 (2017年9月12、14、17、25、26、28、29、30日追加)
 
    高齢者人口の割合       年金受給年齢の引き上げと継続雇用
                      2017.9.7日経新聞

  
 日本人の平均余命  支えられるべき高齢者 外国人労働者  女性労働のM字カーブ 
                              2017.9.9日経新聞

(1)高齢者に対する差別
 日本老年学会と日本老年医学会は、*1-1-1のように、現在は「65歳以上」とされる高齢者の定義を「75歳以上」に引き上げるべきだと国に提言した。私も、65歳時点の平均余命は男性19歳、女性24歳と長く、75歳時点の平均余命でも男性12歳、女性15歳で、医療の進歩や健康意識の高まりで高齢者が若返った状態で平均寿命が延び続けていることを考えると、高齢者は75歳からとし、65~74歳はできるだけ社会の支え手になってもらうのがよいと考える。

 ただし、その際、高齢者に対して雇用差別を行ってはならず、平均余命や平均寿命に男女差・個人差があることも考慮すれば、職種や個人によって仕事が続けられる上限は異なるため、定年ではなく客観的評価(しかし、日本人はこれが苦手なのが問題なのである)でFairに報酬を決めて、働けるようにするのが良いだろう。

 一方、*1-1-2のように、医療制度や人口統計上の区分で「高齢者=65歳以上」が定着しているのに、公務員の定年を60歳から65歳に引き上げることに反対意見があり、役職定年の導入に取り組むべきだとしているが、これは高齢者差別そのものであるため、役職は仕事の遂行能力で決めるべきである。

 また、*1-1-3のように、60歳定年後も希望者全員を雇用することを企業に義務付ける高年齢者雇用安定法改正案の成立に対し、企業は継続雇用の対象者を能力などで絞り込めなくなるため負担増に備えて対応を急いでいると書かれているが、これも働く以上は年齢で差別すべきではないと考える。そして、第一生命経済研究所の熊野首席エコノミストの「人件費の増加を防ぐため能力の高い高齢者の賃金まで企業が一律に抑制しかねない」という警鐘は現実で、人口が減り働き手が減ると言いながら、高齢者の雇用が若年者の雇用を食うと言うのはおかしい。

 つまり、私は、公務員であれ、民間企業のサラリーマンであれ、仕事をこなせる人は気持ちよく働けるようにすべきであり、年齢や性別による差別に合理性はないのに、若い男性しか働かせない状態にしているのはむしろマイナスであって、日本で自動車、家電・パソコンの説明書、銀行の書類等が高齢者や女性に扱いにくい仕様になっている原因だと考える。

(2)社会保障に関する政治・行政・メディアの主張の不合理
1)“子ども保険”創設の主張について
 幼児教育・保育の無償化を目指し、*1-2-1のように、自民党は「子ども保険」の創設を提言しているそうだが、「子ども保険」はリスクも便益もない人からも保険料を徴収するため保険ではなく、公的保険として創るべきでない。小泉氏は「子どもがいなくても年金、医療、介護の受け手となるが、その持続可能性を担保するのは若い人だ」としているが、社会保障には消費税増税か子ども保険による新たな負担が必要で、その他の膨大な無駄は垂れ流しのままでよいとする広報ばかりを受けて育った日本の若者が、真摯に高齢者に寄り添った政策を作ったり介護したりする人材になるわけがないため、外国人労働者の方がよいということになるだろう。

 そしてまさに、*1-2-2のように、「若者に比べて高齢者を優遇する“シルバー民主主義”が財政を悪化させてきたが、政治家は投票所に足を運んでくれる人の意向を気にするため、選挙制度を変えて、“ドメイン投票”や“余命投票”が真剣に議論されている」と言う人まで出てきており、これは底の浅すぎる解釈で、日本国憲法で定められた普通選挙、基本的人権の尊重、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利などを無視している。さらに、「政治家が高齢者の意向を勝手に忖度しているだけ」「新たな人気取り」などとしているのは、(ここでは長く書かないが)我が国の周回遅れの社会保障と本物の財政改革の遅れに対する合理化にすぎない。

2)介護保険制度について
 *1-2-3に、「我が国の介護保険は膨張しており、介護施設や在宅サービスの給付費は総額約9兆円に上り、2025年度には2倍以上のおよそ20兆円に膨らむ見込みで、週2回、月10回程度の訪問が常識的だ」と書かれている。しかし、自宅療養をする人に月101回(1日3.4回)は不自然ではなく容体によるため、最高利用回数が月30回というのを威張る必要はない。

 そして、ムダを生む理由の一つは「安さだ」とも書かれているが、介護保険制度はすべての人にリスクと便益があるのに、介護保険料は「40歳以上~死亡時」まで支払わなければならない。一方で、医療保険制度は世帯主が支払義務者で40歳以下でも支払っているのであり、私は「子ども保険」を創るよりも介護保険料の支払義務者を医療保険と同じ世帯主とし、保険料の支払者・受益者の年齢制限をなくすのが筋だと考える。そうすれば、病児保育も介護で賄える。

 なお、「生活援助サービスは無駄」とも書かれているが、高齢や病気で家事ができない場合は、生活援助サービスがなければ施設に入らなければならず、QOL(Quality of Life)が低くなると同時に、施設の建設コストもかかる。そのため、「回数を増やすとコスト意識が甘くなる」などと言うのは、家事が知識と体力を要し失敗の許されない労働であって、85歳の高齢者には大変な仕事であることを知らない人の主張である。

 また、*1-2-3では、サービス付き高齢者住宅(以下、サ高住)等での在宅サービスが問題視されているが、自宅を離れてサ高住に住まなければならなくなった高齢者がどういう人であるかの丁寧な考察がない。つまり、サ高住で介護保険の給付が増えるのは当然で、そのため介護サービスの内容は障害の程度に応じて専門家が判定しており、認められているケアを100%受けても足りない程度の設定になっているのである。

 このように、メディアが「高齢者は金持ちで社会保障などする必要のない人」「若者の負担になるだけの存在」などという宣伝を熱心に行った結果、*1-2-4のように、二度と稼げない高齢者から、息子を語って大金を奪うなどという詐取が増えた。私は、「子どもだとしても、甘やかしすぎだ」「見ず知らずの人に、そんな大金をよく渡すものだ」などと驚くことが多いが、詐欺は騙した人が悪いのであって騙された人が悪いわけではないため、警察は、気を付けるように広報するだけではなく、犯人を逮捕して厳罰に処し、犯罪の予防に繋げるべきである。

(3)外国人労働者に対する差別
 佐賀県は、2016年に、*2-1のように外国人数が前年比13%増の5,140人で伸び率では全国の都道府県でトップになり、県が受け入れ態勢づくりに取り組んで、「壁」の突破に努めているそうだ。

 しかし、政府は、トランプ政権の移民政策を批判する割には、*2-2、*2-3のように、技能実習でも最長3年しか働けず労働条件が悪く、国家戦略特区で認めた農業の外国専門人材も日本で働ける期間を通算3年に制限するなど、外国人労働者に対する差別的扱いを行っている。ちなみに、最長3年では、仕事を覚えたところで帰国するため、労働力として頼みにならない。そして、農業だけではなく、加工・販売・輸出入・製品企画などで、日本人労働者と同じ条件で働けることを「差別のない状態」と言うのである。

(4)高度専門職差別と女性差別
1)高度専門職に対する差別
 *3-1のように、労働基準法を改め、「残業代ゼロ」制度を作って“高度プロフェッショナル”と呼ばれる人をそれに当てはめる制度は、他の法案と一括化して出し直すのではなく、①“高度プロフェッショナル”と呼んでいる人は本当に高度プロフェッショナルなのか ②“高度プロフェッショナル”なら、残業代をゼロにするのが適切な理由は何か などについて、立法理由を明確に説明すべきである。

 しかし、私は、労働時間を自己管理できて報酬もそこそこに高い管理職に残業代がつかないことで十分であり、“高度プロフェッショナル”という職種を分けて残業代をゼロにするのは不適切だと考える。何故なら、努力して“高度プロフェッショナル”になると、プラスどころかマイナスになる社会システムにしては、智の時代に対応できないからだ。そして、現在、博士課程を修了してポスドクになっている人も同じである。

2)女性に対する差別
 *3-2のように、日本女性には、谷が緩やかになったとはいえ、まだM字カーブがある。そのM字カーブは欧米にはないが、それは保育施設が整っているだけではなく、ナニーやメイドを雇って子どもを見させることもできるからである(ただし、日本でこういうことをすると批判する人すらいる)。そのため、優秀な日本女性は、欧米に留学している間や欧米に転勤している間に子ども作る人が多く、そうした方がやり易いと言われている。

 そのM字カーブが、近年は米欧とほぼ遜色のない形に近づいたそうだが、女性は労働条件が悪く、昇進も困難であるため、賃金が低い。その理由は、生産年齢人口の男性を中心に据えて、多くの女性を補助的労働力と捉えているからにほかならない。

<高齢者差別>
*1-1-1:https://www.nikkei.com/article/DGKKASDG05H6Y_V00C17A1EA1000/ (日経新聞 2017/1/6) 「高齢者は75歳から」 学会が提言 65~74歳は社会の支え手
 日本老年学会と日本老年医学会は5日、現在は「65歳以上」とされる高齢者の定義を「75歳以上」に引き上げるべきだとする国への提言を発表した。心身が健康な高年齢者が増えたためで、65~74歳は「准高齢者」とし、社会の支え手として捉え直すべきだとしている。社会保障や雇用制度をめぐる議論に影響を与える可能性がある。提言をまとめるに当たり、両学会は高年齢者の様々な健康データを解析。日本老年医学会副理事長の秋下雅弘東京大学教授によると、医療の進歩や健康意識の高まりで現在の高齢者は10~20年前に比べ5~10歳若返った状態にあるという。提言は、前期高齢者とされる現在の65~74歳は「心身の健康が保たれ、活発な社会活動が可能な人が大多数」と分析。健康な間は仕事を続けたり、ボランティアに参加したりするなど、支えられる側から支える側に回る必要があるとした。この世代を過ぎた75~89歳を高齢者と定義し、平均寿命を超えた90歳以上を「超高齢者」と呼ぶのが妥当だとしている。2016年9月の総務省の推計によると、65歳以上は人口の約27%。高齢者を75歳以上とした場合、約13%と半減する。日本では「65歳以上を高齢者とする」と定めた法律はないが、医療制度や人口統計上の区分などで「高齢者=65歳以上」が定着している。高齢者を65歳以上と定義した1956年の国連の報告書が契機とされる。海外でも60歳以上や65歳以上を高齢者とする国が多い。ただ、56年に男性63.59歳、女性67.54歳だった日本の平均寿命は2015年にそれぞれ80.79歳、87.05歳に延びた。内閣府の14年度の意識調査では、高齢者だと考える年齢は男性が「70歳以上」(31.3%)、女性は「75歳以上」(29.9%)が最多。65歳以上が高齢者だと答えたのは男性が7.1%、女性は5.7%にとどまった。

*1-1-2:https://www.nikkei.com/article/DGXKZO20949810Y7A900C1EA1000/ (日経新聞社説 2017/9/9) 公務員の定年延長には十分な議論が要る
 安倍内閣は公務員の定年をいまの60歳から65歳に引き上げる方針だ。国や地方自治体の財政事情が厳しいなか、総人件費が膨らまないか、心配になる。民間で定着している役職定年の導入などに取り組むのが先決であり、拙速に定年延長を進めれば社会の反発は免れないのではないか。国家公務員法は定年を原則60歳と明記しており、地方公務員もこれに準拠する。定年の延長には法改正が必要で、政府は6月に「公務員の定年引き上げに関する検討会」(座長・古谷一之官房副長官補)を発足させた。早ければ来年、法案を国会に提出し、2019年度から段階的に定年を引き上げる構えだ。年金支給開始年齢が65歳になったことで、60歳からの5年間をどうやって生活すればよいのかと不安を訴える公務員が多い。内閣人事局はそう説明する。しかし、そのための措置を政府はすでに講じている。公務員が再任用を希望したら必ずそうする、と閣議決定しているのである。これは民間企業の多くが導入している再雇用制度と大差ない。再任用から定年延長へ、なぜ急いで移行させるのか。十分な説明が求められる。公務員の給与体系は民間に比べて恵まれている。成果主義が導入されたとはいえ、最低の評価を受け続けても給与が増えないだけで減りはしない。役職定年がないので、いちどたどり着いたポストの給与が定年まで続く。検討会は定年延長とセットで役職定年の導入を検討しているらしいが、役職定年は民間ではとうに常識で、周回遅れの感がある。そもそも長年の課題である公務員と民間の年金格差がなお残っている。こうした課題を早く片付けるべきだ。いまのご時世に公務員の総数を増やすことは考えられない。定年を延長すれば新規採用の抑制は不可避だ。それで組織の活力を維持できるかどうかも、疑問点だ。ベテランのノウハウの継承は大事だが、官が人材を抱え続ければ政府が目指す労働力の流動性の増大をさまたげる要因ともなる。再任用では定年前よりも給与水準が下がるのが普通だ。そうしないための定年延長であり、公務員だけがいい思いをしようとしている。そんなふうに有権者に受けとめられたら、政治への不信はますます増大することになる。

*1-1-3:https://www.nikkei.com/article/DGXNASDF2800Y_Y2A820C1EA2000/ (日経新聞 2012/8/28) 65歳まで雇用、企業身構え 義務付け法 29日成立
 60歳の定年後も希望者全員を雇用することを企業に義務付ける高年齢者雇用安定法改正案が29日、成立する。来年4月から厚生年金の受給開始年齢が引き上げられるのに対応し、定年後に年金も給料も受け取れない人が増えるのを防ぐ狙い。2025年度には65歳までの雇用を義務づける。企業は継続雇用の対象者を能力などで絞り込めなくなるため、負担増に備え対応を急いでいる。28日の参院厚生労働委員会で民主、自民、公明などの賛成多数で可決。29日に参院本会議で可決、成立する見通しだ。会社員が加入する厚生年金(報酬比例部分)は現在60歳から受け取れるが、男性は13年度に61歳からとなり、以降3年ごとに1歳上がって25年度には65歳開始となる。現在、企業の82.6%(約10万9千社)は継続雇用制度を持ち、定年後も希望者を雇用している。ただ、その5割強は労使協定の基準を満たす人に対象を絞っている。労働政策研究・研修機構によると、健康状態や出勤率・勤務態度のほか、約5割の企業が業績評価も基準に使っている。改正法は企業が労使協定で対象者を選別することを禁じる。ただ、企業の負担が重くなり過ぎないよう、厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会で指針を作り、勤務態度や心身の健康状態が著しく悪い人は対象から外せるようにする。継続雇用する対象者の範囲は年金の受給開始年齢の引き上げに合わせて広げ、受給開始が65歳となる25年度には65歳まで希望者全員の雇用を求める。指導や助言に従わない企業名は公表する。11年6月の厚生労働省の調査では、過去1年に定年を迎えた約43万人のうち10万人以上は継続雇用を希望しなかった。年金の受給年齢が上がると定年後もしばらく年金を受け取れなくなるため、来春以降は希望者は増えると考えられる。みずほ総合研究所の試算では、継続雇用を希望しなかった人と希望しても離職していた人が全員、継続雇用されると賃金総額は来年度に4千億円増える。25年度には1.9兆円増え、総人件費を約1%押し上げる。コスト増以上に、能力の低い従業員も雇用しなくてはならず労働生産性が下がると懸念する声も多い。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「人件費の増加を防ぐため能力の高い高齢者の賃金まで企業が一律に抑制しかねない」と警鐘を鳴らす。高齢者の雇用が増える結果、企業が若年者の雇用を抑える可能性もある。「高齢者と若者のワークシェアなど柔軟な働き方を進めていく必要がある」と高年齢者雇用コンサルティングの金山驍社会保険労務士は指摘している。

*1-2-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201709/CK2017091202000117.html (東京新聞 2017年9月12日) 子育て「共助で」 「こども保険」提言の小泉氏
 幼児教育・保育の無償化を目指す新制度「こども保険」の創設を提言した自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長=写真、小平哲章撮影=は十一日、本紙のインタビューに答え「親の自助だけに子育てを委ねるのは難しい。急速に人口が減っている中で、優先すべきは人生前半の教育だ。共助の仕組みである保険がかなう」と必要性を強調した。こども保険は、厚生年金と国民年金の保険料に一定額を上乗せし、児童手当の増額などに充てる制度。税金でなく「社会保険方式」で財源を確保するのが特徴だ。小泉氏らは約一兆七千億円あれば、実質無償化になると試算する。だが、負担が現役世代に限られることや、子どものいない世帯はサービスを受けられない点が課題と指摘され、自民党内にも反対論が強い。小泉氏は「子どもがいなくても年金、医療、介護の受け手となる。その持続可能性を担保するのは若い人だ」と指摘。二年後に予定される消費税増税の増収分を財源にすべきだとの意見には「政治的な困難、待ったなしの子どもの問題を考えたら現実的なのはこども保険だ」と反論した。こども保険は二〇一六年二月、小泉氏を中心に自民党の若手議員が参加した「二〇二〇年以降の経済財政構想小委員会」が議論に着手。今年三月に導入を促す提言をまとめた。四月に政調会長を委員長とする特命委員会に格上げされた。

*1-2-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170828&ng=DGKKZO20438380X20C17A8NN1000 (日経新聞 2017.8.28) 忖度しすぎ?シルバー民主主義、高齢者を優遇、財政悪化 負担増、受け入れる素地
 年金は少しでも多く、医療・介護や税の負担は少しでも小さく――。若者に比べて高齢者を優遇する「シルバー民主主義」政策が財政を悪化させてきた。お年寄りがこれからますます増えるなか、目先の痛みを強いる財政再建など、とても支持を得られない。だがこうした常識を覆す研究が出てきた。諦めるのはまだ早い。お年寄りの政治への影響力は大きい。直近3回の衆議院選挙の平均投票率は20代が39%なのに対し、60代は75%だった。2025年には、有権者の6割が50歳以上になる。病院の窓口負担を増やしたり、年金の給付額を減らしたりするのは難しくなるというのが霞が関や永田町の常識だ。
●利害・公共心カギ
 政治家は投票所に足を運んでくれる人の意向を気にする。それなら選挙制度を変えるしかない。そこで親が子どもの分まで投票する「ドメイン投票」や、年齢が若いほど1票の価値を高める「余命投票」などが真剣に議論されてきた。しかし、本当に単純な世代間対立で語れるのかと異議を唱える研究が最近、出てきた。鶴光太郎慶大教授らが全国の6128人に税制と社会保障に関する考え方を聞いたところ「増税をして社会保障を拡大する必要がある」とした人が20代では29%で、60代では40%だった。高齢になるほど高くなる。高齢者はすでに社会保障の恩恵を受けており、実利の面から増税と社会保障充実の組み合わせを選んだ可能性がある。一方、20代で最も支持を集めたのは「増税をせず社会保障を拡大する」というただ乗りで、35%を占めた。高齢者に比べてすぐに社会保障の恩恵を感じにくいため、増税への支持が少ないようだ。調査では政府やまわりの人への信頼が低く、ゴミのポイ捨てや年金の不正受給などに目をつぶる「公共心の低い人」ほどただ乗り政策を選ぶ傾向もあった。財務総合政策研究所の広光俊昭氏は仮想の国の財政政策について、負担を30年後に先送りするか、現世代と将来世代が分かち合うかを10~70代の447人に聞いた。先送りは、30年後に付加価値税(消費税に相当)が10%から25%に、年金給付が月10万円から5万円になる。分かち合いは付加価値税が20%、年金給付は7万円の状態がずっと続く。30代は67%が、60代は54%が分かち合いを支持。「将来世代」役を1人置いて討議をすると、分かち合いを選ぶ割合はさらに高まった。広光氏は「政策選択には個人的な利害と公共的な判断が併存して働く」とみる。
●若者の理解課題
 「政治家が高齢者の意向を勝手に忖度(そんたく)しているだけ。きちんと説明すれば高齢者もある程度の負担増を受け入れる」。「シルバー民主主義」(中公新書)を書いた八代尚宏・昭和女子大学特命教授はいう。
ただ、お年寄りの理解を得ても財政再建のハードルは高い。莫大な国の借金が若者の不安につながっている。鶴氏は「若い人でも目先の利益を重視する傾向がある」と話す。教育年数が短く、時間あたりの所得水準が低い人ほど、小さな負担で大きな受益を求めがちという。世界的に所得格差の不満が高まるなか、新たな人気取りは財政再建をより難しくする。

*1-2-3:https://www.nikkei.com/article/DGXLASDC08H39_Y7A900C1MM8000/?dg=1&nf=1 (日経新聞 2017/9/10) 介護費膨張 3つの温床 25年度に20兆円、ムダの解消急務
 介護保険が膨張している。介護施設や在宅サービスの給付費は総額約9兆円に上り、2025年度には2倍以上のおよそ20兆円に膨らむ見込みだ。給付の伸びは高齢化だけでは説明しがたく、サービスのムダにつながる3つの温床が浮かび上がってきた。「お肉はこのくらいでいいですか」。横浜市金沢区の団地。ヘルパーの藤田博美さん(62)が菅野茂さん(81)に尋ねながら料理する。訪問は週2回。「体の状態が悪いとき、言わなくても分かってくれる」と菅野さん。利用するのは生活援助と呼ぶサービスで、全国の平均的な利用回数は月10回程度。菅野さんのように常識的なケースが多くを占めるが「家政婦代わりに使われて本人の自立につながらない」(神奈川県の中堅介護事業者)との指摘が絶えない。北海道標茶町101回、大阪市98回……。財務省が6月まとめた調査には生活援助のひと月当たりの利用ケースで驚くような数字が並んだ。介護の取り組みが先進的とされる埼玉県和光市では月平均わずか6.7回で最高利用回数も30回だ。
■安い自己負担
 標茶町によると、101回利用したお年寄りは軽い認知症を患うなどして手厚い世話が必須だ。こうしたやむを得ないケースもあるが、全国でみれば要介護度や居住環境が同じでも自治体格差が大きく広がっている。ムダを生む理由の一つは「安さ」だ。例えば生活援助なら1回約2千円。自己負担は原則1割の200円ほど。最低でも1時間925円ほどかかる民間の家事代行サービスより格段に手軽だ。軽い介助が必要な要介護1なら保険給付の月額限度額は17万~19万円程度で、上限内で何度でも利用可能。コスト意識が甘くなり生活の「援助」に使うという本来の目的を逸脱しやすい。財務省幹部は「あまりにずさんな使い方が増えた。来年度改定で厳格に対応する」という。政府内ではサービス利用の上限制導入などが課題に浮上している。介護保険の給付費は国や自治体による公費と40歳以上からの保険料(労使折半)でまかなう仕組みだ。健康保険組合連合会によると13年度から17年度にかけて労使を合わせた保険料は7千円近く増え、年9万円に迫る。15~25年の要介護の認定者数の伸びは3割強を見込むが、保険からの給付費総額は2倍になる。高齢化で重度の認定者が増える面もあるが、財務省などはムダ遣いなどの非効率が広がってきた影響だと分析している。
■規制に抜け道
 保険対象の施設などには国の総量規制があるが、ここにも死角がある。その一つがサービス付き高齢者住宅(サ高住)などによる需要の囲い込みだ。サ高住自体は一種の賃貸住宅で保険の枠外。ところが運営者の企業などがサ高住に住むお年寄り向けに自社系列の事業者を使い、頻繁な在宅サービスを供給するケースも急増した。大阪府が昨年12月公表した調査では、府内のサ高住や有料老人ホームでは給付限度額の9割前後を消化していた。全国平均は約4~6割だ。この6年で府内にサ高住などの施設数が3倍に拡大した結果、その施設と在宅などのサービスが抱き合わせで増えていたのだ。
■監視難しく
 では介護サービスの内容を定めるケアプランを厳しくすればいいかといえば、それも困難だ。ここに3つ目のムダの温床がある。介護保険の運営主体の市町村にはプランを精査して見直しを迫る権限がない。介護事業所の経営者は「ケアマネジャーと事業者が結託すれば過剰サービスは防ぎようがない」と明かす。介護保険には今年度から収入が多い人ほど多く保険料を負担する「総報酬割」が段階導入される。大企業を中心に約1300万人は負担増の見込みで、高所得者を中心に現役へのしわ寄せは拡大の一途だ。焦点は政府と与党が年末にかけてまとめる来年度の介護報酬改定だ。「要介護度が低い人向けサービスを定額制にしたり、事業者が回数を抑えたりする動機付けが必要」。日本総合研究所の西沢和彦氏は指摘する。例えば現行は状況が改善して要介護度が下がると介護報酬も下がり、事業者の経営が苦しくなる。そこで自立を後押しした事業者には努力に報いて報酬を上乗せすれば、ムダ遣いを直す余地が生まれる。近年の介護費用の伸び率は医療や団塊の世代が受給し始めた年金を大きく上回る。介護の効率化を進めながら質の高いサービスの担い手のやる気を引き出せるか。介護保険は改革を先送りできないところまで来ている。

*1-2-4:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170907-00000022-kyt-l25 (京都新聞 2017/9/7) 息子をかたり490万円詐取 大津の女性被害
 滋賀県警大津署は7日、大津市内の女性(68)が息子をかたる男に490万円をだまし取られたと発表した。
同署によると、5日から6日にかけ、女性宅に息子を名乗る男から「友人と投資をやっていて、友人が会社の金に手を出した。500万円の示談金が必要」と電話があった。女性は大阪府高槻市内で、弁護士の代理を名乗る男に現金を手渡したという。

<外国人労働者差別>
*2-1:http://qbiz.jp/article/117249/1/ (西日本新聞 2017年9月3日) 佐賀県、外国人受け入れへ態勢着々 在住者13%増、伸び率全国トップ
 佐賀県内在住の外国人数が、2016年は前年比13%増の5140人で、伸び率では全国の都道府県でトップになった。県は今後の増加を見据え、日本語教室の開設を後押しするなど受け入れ態勢づくりに取り組んでいる。全国ではごみ分別の理解不足などから住民トラブルに陥ったり、犯罪に巻き込まれたりするケースも後を絶たないが、山口祥義知事は「官民で多文化共生を進めたい」と話す。県によると、県内在住者のうち、技能実習生が1863人で前年より426人増えた。留学生も前年比87人増の744人。この両者で全体の増加(604人)の約85%を占め、伸び率を押し上げた。コンビニや工場などの労働現場は人手不足に陥っており、技能実習生は「引く手あまた」(福岡県内の機械部品メーカー)の状態。県によると、多くが製造現場で働いており、今後も増える見通しという。このため、県は外国人の受け入れの課題や対策などの助言を政策に反映させようと、国際交流の有識者や関係者を招き、2015年4月に国際戦略本部会議をスタート。8月24日に6回目の会議を開き、「外国人住民への生活支援」をテーマに約20人が論議した。この日の会議では、日本で暮らす外国人を支援する東京のNPO法人国際活動市民中心(通称CINGA=シンガ)のコーディネーター新居(にい)みどりさんが、「外国人の在住には法律と言葉、心の『三つの壁』がある」と指摘。具体的には(1)夫の暴力で骨折しながら「逃げたら在留資格を失って子どもに会えなくなる」と逃避できない(2)東日本大震災で「タカダイ(高台)」の言葉の意味が分からず避難が遅れて被災した(3)マンションの隣人から「怖い」と敬遠され孤立した−といった事例を報告した。県によると、県内には日本語での会話に支援が必要な小中高校生が50人いるといい、子ども世代へのサポートも欠かせないという。県は「佐賀モデル」として、市民ボランティアによる日本語教室開設を会場費の助成などで後押ししており、現在、13教室が運営されている。本年度からは専任のコーディネーターも1人配置し、「壁」の突破に努めている。

*2-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170909&ng=DGKKASFS06H5G_X00C17A9MM8000 (日経新聞 2017/9/9) 外国人就農、通算3年 特区で延長 総労働時間には上限
 政府は国家戦略特区で認めた農業の外国専門人材について、日本で働ける期間を通算で3年とする方針だ。技能実習制度で働く場合は最長3年だが、特区では農繁期だけ働く場合などは初めて来日してから3年を超えても働くことを認める。年間総労働時間の上限も設け過重労働を防ぐ。外国人材の活用で、高齢化などで担い手不足に悩む地方農業の活性化を狙う。農業での外国人受け入れを盛り込んだ改正国家戦略特区法が6月に成立したことを受け、受け入れの詳細をまとめた指針や政令を近く公表する。自治体の間で農業分野の外国人活用に対する関心は高く、すでに特区に指定されている愛知県のほか長崎県や茨城県、群馬県昭和村、秋田県大潟村などが関心を示している。政府は年末をめどに特区を追加指定する方針で、これらの自治体が選ばれれば、農業での外国人活用が広がる。政府・与党内には特区に限らず全国で認めるべきだとの声もある。農業で受け入れる外国人は満18歳以上で、1年以上の実務経験がある人材に限る。農業に従事するうえで必要な日本語が話せることも条件とした。派遣会社が雇用契約を結び、過去5年以内に労働者を雇用した経験がある農業生産法人などに派遣する。生産法人が直接雇用することは認めない。期間は通算で3年だ。例えば春から夏にかけて半年だけ日本で働くケースでは、初来日から6年目まで就労できる。農作業のほか加工や販売にも携わったり、複数の生産法人で働いたりすることもできる。派遣会社には日本人労働者と同等以上の報酬を払うことを義務付ける。指針などとは別に、法令の解釈通知を通じて年間の総労働時間の上限を決める。

*2-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/461590 (佐賀新聞 2017年9月8日) 外国人実習生の労働条件改善を 市民団体、県に要請
 労働組合や患者団体などでつくる「はたらくもののいのちと健康を守るネットワークさが」は7日、外国人技能実習生の労働条件の改善などを求める要請書を佐賀県に提出した。実習生の長時間労働や賃金の未払いなどの違法な労働実態の調査や、実習生に対応できる相談窓口を設けることなど4項目を求めた。要請書を手渡した東島浩幸弁護士は「外国人技能実習生の制度は『奴隷労働』と国際的にも批判されている。窓口の設置や、通訳をつけて対応するといった相談体制の充実に取り組んでほしい」と強調した。県産業人材課の担当者は「国が所管しているため、(県では)取り組みを進められない項目もある。対応できる部分は関係課に報告したい」と話した。団体側はアスベストを使用した建物の所在を掲載したハザードマップの作成も求めた。

<高度専門職差別と女性差別>
*3-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201709/CK2017090902000140.html (東京新聞 2017年9月9日) 【政治】働き方法案に「共謀罪」・安保法の手法 「残業代ゼロ」根幹残し一括化
秋の臨時国会に提出される「働き方改革」関連法案のうち、労働基準法を改めて「残業代ゼロ」制度(高度プロフェッショナル制度)を創設する部分は、継続審議となっている法案を取り下げ、他の法案と一括化して出し直す。かつての「共謀罪」法や安全保障関連法と似通う手法だ。「残業代ゼロ」制度は、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す。政府はこれを柱とした労基法改正案を二〇一五年の通常国会に提出したが、一度も審議入りしていない。法案要綱では、関連法案のうち「残業代ゼロ」を導入する労基法改正案は、休日確保措置などが新たに盛り込まれたが、従来の法案と根幹部分は変わらない。批判が強い法案の内容を微修正して出し直すやり方は「共謀罪」法と重なる。「共謀罪」法案は〇三、〇四、〇五年に国会提出され、「人権侵害につながる」との懸念が出て廃案に。安倍政権は構成要件を一部変更した上で罪名を「テロ等準備罪」に変え、今年六月に成立させた。また、今回の法案は残業時間の上限規制や正社員と非正社員の待遇差縮小など、性格の異なる法案と一括化して提出する。審議時間を短縮するのが狙いで、「残業代ゼロ」など個別の制度の是非を巡る審議が不十分になる可能性がある。多くの法案と抱き合わせる手法は、一五年九月に成立した安保関連法と似ている。同法も、集団的自衛権行使を可能にする武力攻撃事態法、地球規模で米軍を支援可能にする重要影響事態安全確保法など十本を一本化し、批判を受けた。政府が提出した法案を自ら取り下げるのも異例。二〇〇〇年以降では、衆参の多数派が異なる「ねじれ国会」で成立を断念するなど計八法案だけだ。一橋大大学院法学研究科の只野雅人教授(憲法、議会制度)は「政治的な思惑から法案を一括化することは、審議の充実という観点から問題がある。賛否が分かれる法案は個別に提出し、別々に議論すべきだ」と話す。 

*3-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170909&ng=DGKKASDF29H17_Y7A900C1MM8000 (日経新聞 2017.9.9) M字カーブ 「谷」緩やかに、30~40代女性の離職に歯止め
女性の就労が増えている。労働力としてみなされる女性の割合を示すグラフをみると、30~40歳代の部分が顕著に落ち込む「M字カーブ」と呼ばれる特徴が薄れ、米国や欧州各国などに似通ってきた。育児休業など企業側の制度整備が進んだことや働く意欲を持つ人が増えたことが大きいが、待機児童の解消はなお道半ばだ。働きやすさと労働の質を高めるさらなる工夫がいる。デイサービス(通所介護)大手のツクイは従業員の75%が女性だ。働き手の確保のため介護施設内に託児所を設け、0~2歳児の子供が5人いる。ある従業員は「休憩時間をつかって子供の様子を見に行けるので安心」と語った。総務省の7月の調査によると15~64歳人口に占める女性の労働力の割合(労働力率)は69.7%で、働く女性は着実に増えてきた。年代別ではM字の谷に相当する35~44歳の労働力率が前年同月比0.7ポイント増の75.3%。10年前の2007年7月と比べると全ての年代で上昇し、全体的に底上げされている。
●米欧に近づく
 15年時点では米国や英国、北欧地域とは大きく異なるカーブを描いていた日本。近年は米欧とほぼ遜色のない形に近づいており、女性の労働市場は歴史的な構造変化を遂げつつある。女性の就労が加速した最大の理由は、企業が離職防止に取り組んできたことだ。女性の育休取得率はやや低下傾向にあるとはいえ8割超で推移している。育休中の生活を支える政府の育児休業給付金の受給件数は、06年度の13万件から16年度の32万7千件へと2倍以上に増えた。高齢化で15~64歳の生産年齢人口はこの10年で700万人以上も減った。その一方で実際に働いている労働力人口をみると同じ時期におよそ50万人増えた。女性だけに限れば約200万人増え、M字の底を押し上げるのに大きく貢献したことがわかる。働き口も高齢化でニーズの強まる医療・福祉業など裾野が大きく広がっている。大和総研の鈴木準政策調査部長は25~44歳女性の就業率について「このままのペースで伸びれば22年には80%に到達する」と話す。国立社会保障・人口問題研究所の試算をもとに計算すると22年に25~44歳女性の就業者数は16年と比べて200万人以上減る見通しだが、就業率が80%に上がることで減少幅は46万人で済む。政策努力などでさらにこの比率を高めることができれば、減少を食い止めることができるかもしれない。もっとも楽観的な見方を戒める声も目立つ。第一生命経済研究所の柵山順子氏は「M字カーブの完全解消には保育所不足などがハードルになるだろう」と分析する。ここ数年で女性の就労が政府の想定以上のテンポで進み、待機児童は減るどころか2万6千人強に膨らんだ。政府は22万人の保育枠を追加整備する方針だが、都市部の整備が遅れるミスマッチを解消するのはやさしくない。
●賃金は伸び鈍く
 生産年齢人口の急激な減少が進む中で女性の就労をさらに後押しするには企業の一段の取り組みも重要だ。オリックスは配偶者の転勤で現在の勤務地で仕事が続けられない場合、勤務エリアを変更できる制度を昨年3月に導入。配偶者の転勤で退職を選ぶ社員も多かったが「キャリアを途中で諦めなくてすむので好評だ」(同社)。ユニ・チャームは全社員を対象に在宅勤務を導入。ネスレ日本は昨年に在宅勤務の制約を緩和し、上司の許可があれば理由に関係なく会社以外で勤務できるようにした。経済成長の土台を確かなものにするにはM字カーブを解消し、労働力を底上げするのは理想的な方向だ。とはいえ夫の収入が低迷するなどしてやむを得ずパートなどで働きに出る女性もまだ多く、賃金の伸びは鈍い。さらに女性の就労を後押しするには育児休業などの整備を加速させるのはもちろん、生産性向上と賃上げなどで働き手に報いる努力が必要だ。離職者向けの再就職支援、学び直しの機会の提供など、様々な手立てを講じることも欠かせない。

<サービス付き住宅>
PS(2017年9月12日追加):*4のように、訪問サービス付き高齢者向け集合住宅に大手不動産などの参入が相次いでいるそうだが、私の叔父が入っている横浜市のサ高住には食堂があり、栄養管理した食事が出されて介護付きであるため、便利だ。中では、書道や軽い体操などのコースもあるが、高齢者が若い頃に流行っていた音楽や映画などもやると心が元気になってよいと思われる。なお、訪問サービスの内容に介護だけでなく、家事サービスを加えて間取りを広くすれば、高齢者だけではなく、独身者、共働き家庭、子育て家庭にも便利な住宅になりそうだ。

*4:http://digital.asahi.com/articles/ASK945D0FK94UTLZ00G.html?iref=comtop_list_biz_f03(朝日新聞 2017年9月9日)「サ高住」銘柄に熱視線 大手不動産など参入相次ぐ
 「足腰が元気なうちに『終の棲家(すみか)』となる新築物件に移り住もう」。郊外の持ち家を処分して都心の超高層マンションに引っ越すシニア層が増えています。一方で、看護・介護の訪問サービス付きの高齢者向け集合住宅、いわゆる「サ高住」が高い関心を集めています。利用者の需要も全国レベルで拡大。事業者向けの税制優遇や融資制度など、国や自治体が促進施策を充実させて、参入企業も増えています。登録物件をオンラインで公開する高齢者住宅推進機構によると、有料老人ホームも含めた「サ高住」は7月末時点で、全国6697棟、21万8851戸。この4年で棟数、戸数とも倍増しました。政府は共同住宅、寮、ホテル、老人ホーム、賃貸住宅など既存施設の改修を呼びかけていますが、補助事業全体に占める改修物件の割合は少なく、大半は民間企業が医療・社会福祉法人と手を組んで開発した新築物件です。「サ高住」事業に参入している民間企業で有名なのは、学研ホールディングス系の学研ココファン。神奈川県を中心に全国で117事業所を展開しています。最近勢いがあるのは、大手損害保険のSOMPOホールディングス。「メッセージ」「ワタミの介護」と介護事業者を相次いで買収し、新築物件を供給しています。大手不動産の参入も目立ちます。賃貸アパート受託など、サブリース事業を手掛ける企業が、入居者への転貸目的で働きかけを強めそう。「サ高住」は株式市場のテーマとしても今後、注目の的になる可能性があります。

<開発力・技術力とそれを支える国民>
PS(2017年9月14日追加):*5-1のように、佐賀新聞は2015年度の国民医療費が42兆円に達し、これは、高齢化に加えてオプジーボなどの超高額薬の保険適用が影響したものだと報道している。高齢化によって有病者が増えるのは自然だが、薬の飲ませすぎもあるのではないかと思われ、オプジーボの価格も、図のように、英国・米国では日本の約1/5と1/2だったので、厚労省の価格決定や過度な使用範囲の制限が問題なのだと思われる。何故なら、原理から考えると、オプジーボは、どの癌にも効き広範に使用できるのが当たり前だからだ。
 また、*5-2-1のように、英国・フランスに続き中国がガソリン車・ディーゼル車の廃止に向けた検討に入り、環境規制を強化するため、自動車大手は電気自動車(EV)の開発を急いでいるそうだ。しかし、日本の「リーフ」は、いつまでも「市街地で短い距離を走るなど、中国では独自の使われ方がある」などと、排気ガスを出さないのだから少しくらい不便でも我慢しろという態度だ。しかし、EVは、①排ガスが出ない ②静か ③操作性がよい ④燃料費がいらない など、ガソリン車と比べて欠点がないから売れるのであって、ドイツのVWは、*5-2-2のように、2030年までにEVに200億ユーロ(約2兆6千億円)を超える投資を行う計画を発表し、2025年までには80車種の新型車両を投入する方針にしたそうだ。なお、開発を始めて20年以上経過している日本は、とっくの昔にそれをクリアしていなければならない時期なのである。そして、こういう意思決定を速やかに行えるためには、文系の人もこの程度の理系の知識は必須であるため、それを高校卒業までに教えておかなければ国力をそぐことになる。
 そのため、*5-3のように、私企業である日立が英国に建設する原発に、同じく私企業である日本の銀行が融資する建設資金を、日本政府が全額補償して膨大な偶発債務を引き受け、昔帰りの技術に固執するなどという馬鹿な税金の使い方を止めさせつつ、幼児教育の無償化もよいが、それに先立って小学校への入学年齢の3歳への引下げを行い、いろいろなことを高校卒業までにマスターしておけるようにすることが必要だと考える。

   
   2017.9.13佐賀新聞      日米英の価格比較    2016.11.2朝日新聞

*5-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/462976 (佐賀新聞 2017年9月13日) 15年度国民医療費42兆円、過去最高、高額薬が影響
 厚生労働省は13日、2015年度に病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた医療費の総額(国民医療費)が、前年度比1兆5573億円増(3・8%増)の42兆3644億円だったと発表した。国民1人当たりでは1万2200円増(3・8%増)の33万3300円。いずれも9年連続で過去最高を更新した。高齢化の進行に加え、がん治療薬「オプジーボ」など超高額薬の保険適用が相次いだことが要因。国民医療費が国民所得に占める割合は10・9%。年代別では、65歳以上の高齢者向けが25兆1276億円で59・3%を占めた。

*5-2-1:http://qbiz.jp/article/118672/1/ (西日本新聞 2017年9月13日) EVシフト急加速 英仏中、ガソリン車廃止検討
 英国やフランスに続き中国がガソリン車とディーゼル車の廃止に向けて検討に入った。環境規制の強化を受け、自動車大手は電気自動車(EV)の開発を急ぐ。割高な生産コストや基幹部品である電池の安定調達がEV転換への課題となる。「フォルクスワーゲン(VW)の歴史に新たな幕が開こうとしている」。フランクフルト自動車ショー開幕を前にした11日、ミュラー会長は環境規制に対応したEVを含む電動化投資戦略を発表。2030年までにグループで200億ユーロ(約2兆6千億円)超を投じる計画をぶち上げた。欧州に続いて、中国政府はEVをはじめとする新エネルギー車の普及を加速させる。EVの主戦場になると予想される中国市場で、日系メーカーは攻勢をかける構えだ。先行する日産自動車は18〜19年に複数のEVを投入する方針で、今月披露した新型「リーフ」の発売も検討する。西川広人社長は「市街地で短い距離を走るなど、中国では独自の使われ方がある」とし、現地で受け入れやすい商品展開を狙う。現地主導で開発するホンダは18年に新型EVを投入する予定。出遅れるトヨタ自動車も19年をめどにEVモデルを既存車種に設定する考えだ。規制強化をいち早く打ち出した欧州では、低燃費を売りにしたディーゼル車からの撤退が進む。ホンダは18年に欧州で売り出すスポーツタイプ多目的車の新型「CR−V」にディーゼル車の設定をなくす方針。SUBARU(スバル)は20年をめどにディーゼル車販売を取りやめる見通しだ。ある日系メーカー首脳は「環境対応車の主役にディーゼル車が今後座ることはない」と断言する。ただ、EVはエンジン車に比べると依然として割高感があり、販売が政府の補助金に頼っている面は否めない。さらに、基幹部品のリチウムイオン電池に使われるレアメタル(希少金属)の生産は中国やアフリカ、ロシアなど少数の国に偏っており「安定調達がネックになってくる」(日産幹部)との懸念もある。国際エネルギー機関(IEA)は、世界の新車販売に占めるEVの割合は35年でも1割程度だと予想。住商アビーム自動車総合研究所の大森真也社長は、EVの普及見通しについて、エンジン車の乗り入れが将来禁止されそうな都市部で存在感を示すなど「すみ分けが鍵となる」と指摘する。

*5-2-2:http://qbiz.jp/article/118559/1/ (西日本新聞 2017年9月12日) VW、電動車両に2・6兆円投資 80車種投入へ
 ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は11日、グループで2030年までに電気自動車(EV)など車の電動化に200億ユーロ(約2兆6千億円)を超える投資を行う計画を発表した。25年までに80車種の新型車両を投入する方針だ。VWの排ガス規制逃れによる欧州でのディーゼル車離れや、市場シェアが高い中国の大気汚染規制の動きに対応する。欧州最大級の国際自動車ショーが12日にドイツ・フランクフルトで開幕するのを前に、ミュラー会長が公表した。車に搭載する電池性能の向上のほか、工場設備や充電設備を整備する。80車種のうちEVが約50車種、プラグインハイブリッド車(PHV)が約30車種になるという。グループのブランド全300車種に電動化モデルを最低一つそろえる。ミュラー氏は「自動車産業の(電動化への)変換は止められない。VWがそれを主導する」と語った。また、VW傘下の高級車アウディは11日、ハンドルやペダルがない完全自動運転によるEVの試作車を公開した。1回の充電で800キロまで走行できることを想定している。具体的な実用化の時期は未定。

*5-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170902&ng=DGKKASFS01H5T_R00C17A9MM8000 (日経新聞 2017.9.2) 政府、原発融資を全額補償、まず英の2基 貿易保険で邦銀に
 政府は日立製作所が英国に建設する原子力発電所について、日本のメガバンクが融資する建設資金を日本貿易保険(NEXI)を通じて全額補償する。先進国向け案件の貸し倒れリスクを国が全て引き受けるのは異例の措置だ。国内の原発新増設が難しい中、国が全面的な支援に乗り出してメガバンクなどの協力を引き出す狙い。インフラ輸出は中国など新興国勢との競争が激しくなっており、国が他のインフラ案件でも支援拡充に動く公算が大きい。安倍晋三首相は8月31日にメイ英首相と会談し、原発建設の協力推進を確認した。貿易保険(総合2面きょうのことば)の補償対象は日立子会社のホライズン・ニュークリア・パワーが受注した、英中部ウィルファで計画中の原発2基だ。両政府と日立は事務レベルで資金支援の枠組みを詰めて2019年中の着工を目指している。試算によると、事業費は2基で2兆円超だ。英政府と日立、日本政策投資銀行、国際協力銀行(JBIC)が投融資を実施する見込みだが、巨額な資金を調達するには民間融資が不可欠になっている。NEXIは通常、民間融資が焦げ付いた場合に備えた保険を提供し、融資額の90~95%を補償する。今回の英国案件については全額を補償する方向で邦銀と協議に入る。原発事業は東京電力福島第1原発事故以降に安全対策費が膨らみやすく、三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行も貸し倒れリスクが大きいと判断しNEXIの全額補償を条件にしていた。過去に途上国向けで全額補償したことはあるが、先進国では例外的な措置だ。数十年程度の長期融資などが補償の条件になる見込みだ。原発事故などが発生した場合、三菱UFJ、みずほ両行は第三者から原発事業への貸し手責任に関して訴訟を起こされるリスクもある。両行は損害賠償に関する日英両政府間の協議などを見極めたうえで最終判断する。国が資金支援で前面に立つのは大きなリスクとも隣り合わせだ。原発建設は徹底した安全対策で工程が長引く傾向にあり事業費が想定を上回るケースも後を絶たない。貸し倒れになったりすればNEXIやJBICのバランスシートを直撃し、税金投入を通じた資本増強が不可避になる。最終的に多額の国民負担が発生する危険を冒しながらインフラ輸出を推進することの是非についても議論が活発になりそうだ。一方で中国は国有企業を中心に国を挙げて大型のインフラ輸出を加速させており、日本も対抗上、相応のリスクを取らなければ激しい受注レースで生き残れない現実もある。英政府は15年、英南東部で中国製の原子炉を先進国では初めて導入することを決めた。安倍政権は今回、全額補償措置などと引き換えに英国側にも官民での資金支援を手厚くするよう要請する。

<福岡市の再開発と自動車>
PS(2017年9月17日追加):日本で5番目に多い人口約153万人を擁する福岡市で、*6-1のように、建物の高さ制限を緩和しているのは新しい街づくりが進み易くなってよいが、次はオフィスや商店を高くなったビルに集めて、広い自動車道・自転車専用道・歩道などを備えた緑多き安全な街づくりをして欲しい。なお、排ガスの出る自動車が通らなければ、ビルの中を通る道路や高速道路を作ることも可能だ。また、福岡市は市内に空港があって便利な街だが、航空法の規制緩和は危ないので、空港を能古島か糸島半島に移転してはどうかと考える。現在は北九州空港もできているため、福岡空港は西に移動してもよいのではないだろうか。
 さらに、*6-2のように、我が国では、現在の一般車を前提として高齢者の免許返納を進め、高齢者の運転を制限しているが、免許返納して外出できなくなってから認知症になる高齢者も多いため、何でも禁止するのではなく、自動運転車や運転支援車など、自動車の方を迅速に改良すべきだ。

*6-1:http://qbiz.jp/article/118957/1/ (西日本新聞 2017年9月17日) ウオーターフロント地区も高さ緩和 福岡市都心部再開発 上限100メートル、国が最終調整
 福岡市都心部の再開発を促進する一連の建物の高さ上限緩和で、国が博多港中央・博多両ふ頭のウオーターフロント(WF)地区について、現行から最大30メートル引き上げて高さ上限を最高点で約100メートルとする方向で最終調整していることが16日、分かった。高さ上限緩和を巡っては、国が「天神明治通り地区」(中央区)で渡辺通りを挟んで西側は一律約115メートル、東側は約99メートルを最高点とするレベルまで大幅に引き上げる方針を既に固めており、月内にもWF地区と合わせて正式に決定する見通し。福岡市は天神、JR博多駅周辺、WFの3地区を「都市成長の軸となるトライアングル(三角形)」と位置付け、民間を中心としたビルの新築・建て替えを誘導するため、国に対し国家戦略特区による航空法の規制緩和を要望している。7月には、天神に隣接する旧大名小跡地(中央区)の高さ上限が地上26階建て相当の約115メートルまで緩和されたばかりで、都心再生に向けた環境整備が急ピッチで進みだした形だ。WF地区は、海外からの大型クルーズ船の発着地点として注目が高まっており、市は民間活力を生かして高級ホテルや大型ホール、商業施設を集積する再整備計画を検討している。WF地区の建物の高さ上限は現在、福岡サンパレス付近で約70メートルなどとなっている。市は、地区内の博多ポートタワー(高さ約100メートル)と同じ高さを最高点とする規制緩和を求めていた。実現すれば、地上22階建て相当のビルの建築が可能となり、WF地区の再整備計画の追い風となりそうだ。また、市はJR博多駅周辺地区についても、現行の高さ上限約50メートルを最高約60メートル(地上13階建て相当)まで引き上げることを要望しており、国との協議が続いている。

*6-2:https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-572995.html (琉球新報 2017年9月12日)75歳以上の免許返納14万件 改正道交法、事故対策に一定効果
 75歳以上の高齢運転者への認知機能検査を強化した改正道交法は、12日で施行半年となった。高齢者の事故が依然として高水準な一方、1~7月の運転免許証の自主返納は14万件を超え、死亡事故も減少するなど一定の効果があった。警察庁は運転できる車種や地域、時間帯を限定した「限定免許」の導入も検討するなど、さらに事故防止の取り組みを進めていく。警察庁によると、75歳以上の1~7月の免許自主返納は14万3261件(暫定値)で、昨年1年間の16万2341件を上回る勢い。過失の重い「第1当事者」となった死亡事故も1~7月に219件で、過去10年間で最少だった。

<教育は国の礎なのに>
PS(2017年9月25、26日追加):明治時代から「教育は国の礎だ」として小学校から大学まで整備してきたことは、我が国の経済発展に大いに寄与した。今、そのうちの義務教育を3歳から18歳までとして無償化し、現代に必要な基礎的知識や技能を義務教育で身に着けられるようにすることは、無駄遣いでもバラマキでもなく、必要な教育を国民全体に行き渡らせ、生産性を向上させるために必要なことである。にもかかわらず、*7-1のように、「教育無償化」「保育」と言えば、「財源として消費税増税やこども保険が必要だ」とか「バラマキだ」などという批判が出るのは間違っている。バラマキは、景気対策と称して生産年齢人口の成人が働く産業に支払う多額の支出や補助金であり、教育レベルを高めることは、国から補助してもらわなければならない人を減らして税金を多く支払う人を増やすものであるため、消費税以外の税収を財源として優先的に支出しても何ら問題ない。
 また、外国では海底油田から原油を採掘しており、日本の排他的経済水域(EEZ)にも地下資源が埋蔵されていることがわかっていたのに、*7-2のように、海底鉱物採掘は2020年代の半ば頃しか商用化できないそうで、経産省の判断の悪さと生産性の低さが問題である。遅れ馳せでも海底鉱物資源を大量採掘することに成功したのはよいが、海底資源は国有財産であるため、国交省・財務省は国の収入として教育・福祉・国の借金返済に貢献するスキームを作るべきだ。

*7-1:http://qbiz.jp/article/119372/1/ (西日本新聞 2017年9月25日) 財政健全化の目標先送り 人づくり2兆円、ばらまき批判も
 衆院解散・総選挙を決断した安倍晋三首相は25日、「人づくり革命」に2兆円を投じる方針を掲げ、政策パッケージを年内に策定するよう関係閣僚に指示した。2020年度までに3〜5歳児の幼稚園・保育所の家計負担を全て無償とし、0〜2歳も低所得世帯に絞って無償化する。財源には消費税増税分の一部を転用する方針。基礎的財政収支を20年度に黒字にする財政健全化目標の先送りを事実上認めた。19年10月に予定する消費税率8%から10%への引き上げでは、増収分のうち4兆円を「社会保障の安定化」として借金抑制に充てる計画だったが、使途見直しにより財政再建は後回しとなる。無償化で家計は助かる一方、選挙での票獲得を狙った「ばらまき」との批判も強まりそうだ。首相は25日の記者会見で財政目標の20年度達成は「困難」と説明。黒字化自体は引き続き目指すと強調したが、具体的な時期は示さなかった。人づくり革命では、低所得世帯の大学生を対象に17年度から一部導入した給付型奨学金の支給額を大幅に増やすことや、授業料減免の拡充を表明。待機児童の解消に向け、32万人分の保育の受け皿を22年度まで5年間で整備する計画を前倒しし、20年度末までに完了する方針も打ち出した。幼児教育・保育の無償化はこれまで低所得世帯を中心に段階的に進めてきた。年収を問わず全て無償化するには約7300億円の追加費用が必要になる。首相は財源の大半を消費税で賄うとした上で、企業と従業員が負担する「こども保険」の導入是非も引き続き検討すると述べた。企業の設備投資などを促す「生産性革命」についても年内に政策パッケージを策定する。20年度までの3年間を集中投資期間とし「税制、予算、規制改革を総動員」(安倍首相)する方針だ。

*7-2:http://qbiz.jp/article/119459/1/(西日本新聞 2017年9月26日) 海底鉱物、大量採掘に成功 20年半ば、商用化目指す
 経済産業省と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は26日、海底にある鉱物資源を船で大量採掘することに世界で初めて成功したと発表した。沖縄県近海では海底から熱水と一緒に噴き出した金属が堆積してできる「海底熱水鉱床」の存在が相次いで確認されており、2020年代半ばごろの商用化を目指す。海底熱水鉱床には亜鉛、鉛のほか、金や銅などの資源が含まれている。今年8月中旬〜9月下旬、沖縄近海に投入した採掘機で海底約1600メートルの鉱床を細かく砕き、ポンプで海水とともに船に吸い上げる方式で試験を実施して成功した。今回採掘した鉱床には日本の年間使用量に相当する亜鉛が存在すると分析しているという。沖縄近海の排他的経済水域(EEZ)内では過去3年間で6カ所の鉱床が見つかっており、今後も新たな鉱床が発見される可能性が高い。日本は鉱物を輸入に頼っており、経産省は「生産性の高い採掘方法を確立し、十分な埋蔵量が確認できれば資源産出国になれる可能性がある」と期待している。18年度に経済性評価を実施する予定だ。

<保育・学童保育の質について>
PS(2017年9月28日追加):*8のように、放課後学童保育は必要で、これは量だけでなく質も重要だ。私は、退職後の教諭が予習・復習を手伝ったり、エンジニア出身者が遊びを兼ねて工作を手伝ったりなどすると、子どものうちから知らず知らずのうちに役に立つ能力が身につき、興味がわいてよいと考える。

*8:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/466972 (佐賀新聞 2017年9月28日) 学童保育、定員501人増 新設や余裕教室活用
 9月定例佐賀県議会は27日、総務、文教厚生、農林水産商工、県土整備・警察の各常任委員会の質疑を行った。共働きやひとり親家庭の小学生を預かる放課後児童クラブ(学童保育)の待機児童が増え続け、5月現在で235人に上っている問題で、県こども未来課は、市町がクラブを新設したり、余裕教室など既存施設を改修したりすることで、本年度中に定員が501人増える見込みを示した。放課後に安心して過ごせる生活の場としての放課後児童クラブを質・量ともに充実することが課題となっている。待機児童問題や、職員の処遇改善などについて、徳光清孝議員(県民ネット)が聞いた。定員増により、待機児童が出ている6市町中、佐賀市を除く5市町は施設面では待機児童を受け入れることができる見通しだが、一方で放課後児童支援員の不足も深刻化しており、「『待機児童が解消される見通し』とまでは言えない」(こども未来課)という。152人と県内で待機児童が最も多い佐賀市の定員増は50にとどまる。支援員の資質向上や処遇改善の質問に、藤本武こども未来課長は「子どもたちが安心して放課後を過ごすため、放課後児童支援員が果たす役割は大きい。市町と連携し、支援員が働きやすい環境づくり、質の向上に努めたい」と答弁した。過熱する部活動や教職員の負担軽減の観点では、武藤明美議員(共産)と古賀陽三議員(自民)が取り組みを尋ねた。牛島徹保健体育課長らは中学校の部活動に関し、「県内統一の休養日を設定する方向で調整している」と述べた。部活動の過熱化にブレーキをかけるとともに、教員の負担軽減を図る。10月初旬にも通知する。6月時点では佐賀市など6市町の教育委員会が休養日を独自に設定している。


<希望の党の小池氏への期待>
PS(2017年9月29日追加):*9-1、*9-2のように、高齢世帯の4分の1が貧困状態にあり、その生活水準は「生活保護以下」である。これは、スーパーでちょっと気を付けて庶民の高齢者の買い物かごを見ていればすぐにわかることで、買いたくても金がないから買えないのだ。にもかかわらず、経済政策は、①物価上昇を目的に金融緩和して貨幣の購買力や資産価値を低下させ ②ゼロ金利にして金融資産からの収入を無くし ③年金を削減し ④介護保険料などの負担は増やし ⑤消費税増税を自己目的化して他の工夫はせず ⑥教育・福祉の財源は消費税しかないかのような論調をはびこらせて高齢者いじめをしており、目に余る。
 そのため、安倍首相の「消費税収の使い道の変更」が衆議院選挙の争点になっているのだが、実際には、*9-3、*9-4の原発は、何十兆円もの予算を使いながら激しい公害を出すシロモノで、速やかに「原発ゼロ」にすれば多額の原発予算を削減して本物の地域再生や教育・福祉にまわすことができるため、希望の党の小池百合子氏には、具体的に、「速やかな原発ゼロと自然エネルギーへの転換」「消費税凍結」「脱世襲政治」を前面に掲げて欲しいと考える。

*9-1:http://qbiz.jp/article/118821/1/ (西日本新聞 2017年9月15日) 高齢世帯の4分の1が貧困状態 「生活保護未満」立命館大教授分析
●独居女性では2人に1人 
 65歳以上の高齢者がいる世帯の貧困率は2016年時点で27・0%−。厚生労働省の国民生活基礎調査を基にした立命館大の唐鎌直義教授(経済学)の独自分析で、こうした結果が明らかになった。1人暮らしの女性は特に深刻で、2人に1人が生活保護の水準を下回る収入で暮らしている。高齢者世帯の貧困率は上昇しており、その背景について唐鎌教授は年金受給額の減少を指摘している。唐鎌教授は、全国約29万世帯を対象に所得や家計支出などを調べた16年の国民生活基礎調査のデータから高齢者世帯の所得状況を分析。平均的な生活保護費(1人世帯で月額約12万円と想定)に租税免除などの影響を加味し、生活保護受給者と同等の生活水準になる世帯年収を1人世帯160万円▽2人世帯226万円▽3人世帯277万円▽4人世帯320万円と設定。この基準に満たない世帯の割合を貧困率として算出した。分析によると、1人世帯の貧困率が特に高く、女性56・2%、男性36・3%。2人世帯でも2割を超え、高齢者と未婚の子の世帯は26・3%、夫婦世帯は21・2%だった。高齢者世帯全体の貧困率は27・0%で、以前まとめた09年調査の分析結果と比較すると2・3ポイント増加。この間、貧困世帯は156万世帯以上増えて約653万世帯に、人数で見れば1・3倍の約833万6千人になった計算だ。背景について唐鎌教授は「公的年金の給付額が低下したため」と指摘。国立社会保障・人口問題研究所の統計から割り出した高齢者1人当たりの年金受給額は「(直近の調査結果である)14年度は年間約161万8千円で、09年度に比べ14万円減っていた」と説明する。国民生活基礎調査は、1986年から毎年実施。全国から無作為に対象世帯を抽出し、回答結果から全体数を推計している。3年ごとの大規模調査の年は、子どもの貧困率も公表しているが、高齢者の貧困率については算出していない。子どもの貧困率は、平均所得の半分に満たない家庭で暮らす子どもの割合で、今回の分析はこの基準と異なるが、唐鎌教授は「子どもだけでなく高齢者の貧困も深刻。生活保護受給者は今後さらに増えるだろう。これ以上の年金引き下げはやめるべきだ」と強調した。

*9-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170929&ng=DGKKASGF28H0R_Y7A920C1EE8000 (日経新聞 2017.9.29) 市場、財政悪化を警戒、国債の信用リスク高まる、消費増税の扱い懸念
 金融市場で日本の財政悪化への警戒感が高まっている。日本国債の信用力を映すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料率が数日で急上昇し、約1年2カ月ぶりの高水準をつけた。長期金利もおよそ2カ月ぶりの水準まで上がった。衆院選を前に、安倍晋三首相をはじめ、どの政党が勝っても財政再建の道は険しいという見方が広がる。安倍首相は選挙の争点に「消費税収の使い道の変更」を掲げる。2019年10月に予定する10%への消費増税の際、もともと借金返済にあてる予定だった税収の一部を、幼児教育の無償化などに回す方針だ。基礎的財政収支(プライマリーバランス)を20年度に黒字化する目標も「達成は困難」としている。市場が意識するのは、首相の発言や動向だけではない。「希望の党」代表の小池百合子東京都知事は景気が回復するまで「増税は凍結する」と唱える。民進党はこの希望の党に事実上合流する。市場関係者は消費増税の行方を注視しつつ「自民・公明両党もそうだが、他党も輪をかけて財政拡張路線ではないか」と警戒している。具体的な市場の動きとしては、情報会社マークイットによると、日本国債の信用力を映すCDSの保証料率がここ数日で急上昇した。市場がよりリスクを意識すると、CDSの需要が高まり保証料率が上がる仕組みだ。料率は衆院解散観測さえなかった今月初めまでは0.3%程度。足元で0.4%前後と16年7月以来の水準まで上がった。長期金利も上がっている。新発10年物国債利回りは28日、国債を売る投資家が増え一時0.075%と約2カ月ぶりの高水準を付けた。この10日で0.03%上昇しており、40年物国債など償還までの期間が長い超長期債で金利上昇が目立つ。欧米の金利上昇が主因だが、メリルリンチ日本証券の大崎秀一氏は「日本の財政悪化懸念もあって投資家の買い意欲が鈍っている」と指摘する。国債の格付けにも不安は連鎖する。欧米の格付け会社は変更しない方針だが、格付投資情報センター(R&I)は28日、首相の財政健全化目標の先送り表明を受けて「政策運営の信頼感を損ね、見通しに対する懸念を高める事態だ」との見解を示した。R&Iは現在、国債の格付けの先行き見通しを「ネガティブ」(弱含み)とする。仮にここからさらなる格下げとなれば、地方自治体が発行する債券や社債などにも影響が広がる可能性もある。政府系金融機関や地方自治体が発行する債券の格付けは、日本国債をもとに決まる。たとえば日本の金融機関などの信用度が下がると、外貨を調達する際の金利が高くなる場合も発生し得る。市場関係者はこぞって「少なくとも選挙が終わるまで不透明感はぬぐえない」と語る。選挙戦で与党も野党も「痛みを伴う改革」よりも、景気刺激に重きを置く政策に傾きやすいとみる。金利動向をはじめ市場にも緊張感が当面残りそうだ。

*9-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170929&ng=DGKKASFS28H67_Y7A920C1EA1001 (日経新聞 2017.9.29) エネ政策 原発再稼働で対立
 原発政策でも溝は深い。自民党は原発について安全性の確保を前提として、季節や天候、昼夜を問わず安定的に発電できる「ベースロード電源」として活用すると主張。原子力規制委員会の基準を条件に原発再稼働を進める方針を示す。一方の小池氏は28日の会見で、新たな原発の新設は難しいと説き「30年までに原発はゼロにもっていくためにどういう工程があるか検討したい」と表明。「原発ゼロ」に慎重な連合を名指しし「膝をつき合わせて真剣に考えたい」と述べた。原発ゼロには代替エネルギーの確保が必要。エネルギーの輸入を増やすならコストがかかる。実体経済にどの程度の影響を与えてゼロを目指すのか、デメリットへの言及は乏しい。小池氏は「原発ゼロ」を唱える小泉純一郎元首相と近く、人気をとりこむ思惑も透ける。

*9-4:http://qbiz.jp/article/119749/1/ (西日本新聞 2017年9月30日) 九州の原発:玄海3号機にMOX燃料16体を装填方針 九電
 九州電力の山元春義取締役は29日、来年1月の再稼働を目指す玄海原発3号機(佐賀県玄海町)について、今年12月に想定する核燃料の装填(そうてん)時に、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料16体を使用する方針を示した。MOX燃料数は東京電力福島第1原発事故前と同じになる。29日の佐賀県議会で説明した。九電は2009年、国内で初めてMOX燃料を使ったプルサーマル発電を玄海3号機で始めた。再稼働でもプルサーマル発電を行う計画。山元氏によると、16体は3号機が10年12月の定期検査で運転停止するまで使用していた。停止中に福島原発事故が起き、保管していたが、再稼働に向け「もう1回入れる」という。さらに16体とは別に、新たなMOX燃料を「20体準備している」と説明。装填数を増やすなど今後については「検討している」とするにとどめた。

| 経済・雇用::2016.8~ | 04:56 PM | comments (x) | trackback (x) |
2017.8.10 EPAと農林漁業、農協と農業改革、食料自給率、地域振興など (2017年8月11、12、13、16、18、20、21、22、24、26、28、31日、9月1、2、3、8、9、15日追加)

(図の説明:日本では大型の田植機は増えてきたが、その他の作物での自動化は進んでいない。その理由には、大型機械導入を前提とした田畑の区割りになっていないこと、農機の価格が高すぎることなどがあるが、これは農協の努力を超えており、これまでの国の政策の問題が大きい)


  日本の耕作放棄地      オーストラリアの放牧と機械化された搾乳風景

(図の説明:国は、主食米に多額の補助金をつけ耕作面積を制限しながら、他の作物への転作を促さなかったため耕作放棄地が増えた。一方で、豪州の畜産は、右の写真のように大規模な放牧で行われており、日本も飼料用米に多額の補助金をつけるよりも賢い土地の使い方がある筈だ)

(1)JAの改革
1)JAさがの持株会社発足
 JAさがは、自己改革の目玉として全国の地域農協で初めて、2017年7月21日に、*1-1のように、農産物加工や購買生活関連といったグループ会社9社を傘下に置く持株会社2社を設立し、当面は中期の企画・戦略策定、総務管理部門の集約に注力して、業務の効率化・商品開発等に力を入れるそうだ。私は、農業者の共同体である農協を株式会社化するのではなく、農協の下に持株会社をつけるのがあるべき姿だと考えている。

 ちなみに、持株会社制度と連結納税制度は、私がフランスの事例の経験から1995年前後に経産省に提案し、持株会社制度が1997年に解禁され、連結納税制度は2002年度の『税制改正大綱』で100%子会社、孫会社などに限って実施されることになったものだ。

 そして、持株会社の下に、①企画部門 ②総務管理会社 ③食品会社 ④人材派遣会社 などをつければ、①は全体を見渡して企画立案でき、②はそのことに熟練した人が関係会社の総務・経理をまとめて面倒見ることによって効率的で質の高い仕事ができるとともに、受託料をもらって農業者の会計・管理を受託することもでき、③は加工・販売を行う食品会社と合弁企業を作れば、お互いのノウハウをつぎ込んで経営する最先端の組織を作って生産性を上げることができ、④は繁忙期に人材派遣を行えば、農業者の所得増大・農業生産の拡大・地域の活性化に繋げることができる。

 そのため、JAさがの大島組合長が全国から注目を集める取り組みであることを強調して「絶対に成功させなければならない」と強い決意を語られたのは心強いし、頑張って欲しい。

2)JA全中次期副会長にJA佐賀中央会の金原会長内定
 このように、佐賀県のJAは先進的な試みを率先して取り入れたため、*1-2のように、全中副会長にJA佐賀中央会会長金原氏が内定した。次は、持株会社での実績を携えて、JA全中次期会長になれれば嬉しいと考える。

3)JA全農の新執行部
 JA全農の新執行部が始動し、*1-3のように、長澤会長は「『全ては組合員のために』の姿勢を貫き、全農の自己改革を完遂する」と強調されたそうだ。私も、産地再生、生産基盤作り、新技術駆使、業務提携などを含む生産力・販売力の強化、生産資材の引き下げなど、農業者の所得向上と地域再生を目的として自己改革すればよいと考える。なお、農家所得増大のためとして特殊な資材の引き下げのみに固執するのは、政府がやるようなことではない。

 また、農業は、同じ地域に存在し土地所有者が同じであるという意味で林業と関係が深く、同じ食品であるという意味で水産業とも関係が深い。そのため、漁協や森林組合も持株会社形式で会社を作り、食品会社など協働した方がよいケースでは合弁会社にした方が販売力がより強化できるので、地元の公認会計士・税理士とケースに応じた相談をした上で、具体的な対応を決めるのがよいと考える。

(2)JA全厚連とJAバンクについて
1)JA全厚連について
 農家は共働きが一般的で妻の働きも所得に直結するため、JAは、*1-4のように、医療・介護を行う全厚連をもっている。そして、今回、その会長にJA長野厚生連会長の雨宮氏、副会長にJA愛知厚生連会長の前田氏、理事長に中央コンピュータシステム社長の中村純誠氏が選任されたそうだ。

 私は、医療・介護を一体としたコンピュータシステムによる管理は、効率化や生産性の向上に役立つと思うが、これまで連続して行われてきた医療費・介護費の削減によって赤字になった病院や介護施設が多いと思われるため、その対応も重要だと考える。

2)JAバンクについて
 2008年のリーマンショック時には、みずほ銀行等の一般銀行と並んで農林中央金庫がアメリカのサブプライム住宅ローン(所定基準を満たさない顧客への貸付に対しては、より高い利率をとるローン)に融資し、借り手が破たんして大損していたので、私は本当にショックを受けた。

 何故なら、サブプライム層が破たんしても、家は資産としてアメリカに残るが、日本の金融機関は単に損をしただけで、リスクが高い割に還元が少ない外国への融資に農村から集めた資金を出して大損していたからである。ちなみに、この時、地方では、投資すべき案件は多いのに投資が行われないため、生産性が上がらないという悪循環の状況だった。

 しかし、JAバンクの貯金額は、*1-5のように、100兆円を超えたため、是非、豊富な資金力を生かして農業への融資拡大や地域重視で必要な投資をしてもらいたい。何故なら、そうすることが、今後の生産性の向上・販売力の強化・地域振興に繋がり、農村の魅力を増して人口回帰に資するからである。

(3)政府が進める農業改革について
 中野吉実JA全農前会長が、*2-1に述べられているとおり、政府・与党が主導する農協改革は、「農協=悪い岩盤=農家とは利益相反関係にある」という誤った前提で叫ばれた。そして、提示された改革理由は、農機・化学肥料・農薬などの高価格への対応だったが、それらの高価格は農協よりも生産者の独占や寡占によるところが大きく、安価な有機肥料の利用・減農薬・農協と競争関係にある他の店舗からの購入などで解決できるものが多い。そのため、政府が既定路線にしている全農の株式会社化とは結びつかないものだ。

 にもかかわらず、*2-2のように、農水省は8月中旬から農協改革の進捗状況調査に乗り出し、改革の重点を、①農産物の高値販売や生産資材の安値調達に向けた取り組み ②組合員の経営支援 ③改革を進めるための組織体制整備 とし、それが具体的にどの程度進んでいるかを確認して改善を働き掛けるそうだ。農水省は「JAと同じ目線で対話して課題の解決策などを探り、自己改革の実践を後押したい」と言っているそうだが、都会育ちの農水省職員なら、同じ目線どころか現場に同行して教えていただく形で調査すべきで、経営の専門家ではない官の口出しは経営を悪化させる懸念さえある。

 その点は、現場をよく知っている知事会も懸念しており、*2-3のように、全国知事会は2017年7月27日に盛岡市で会議を開き、農業振興を柱とした「地域経済の好循環の拡大に向けた提言」を採択した。そして、農業振興を地域社会の基盤と位置付け、政府が定めた「農業競争力強化プログラム」を進めるに当たっては、農業・農村の実情を十分踏まえるよう求めたそうで、これには私も賛成だ。

 しかし、安倍改造内閣の斎藤農相(経産省出身)は、*2-4のように、2017年8月7日に、JA全中を訪問し、引き続き安倍政権が進める農業・農協改革への協力を呼び掛けたそうだ。しかし、出向いてちょっと話したくらいで現場の問題点を正しく把握してよい改革案を提示できるわけがないため、結果ありきの話し合いにならないようにしてもらいたい。そして、斎藤農相が本気で農業改革に取り組みたければ、状況が全く異なる北海道・東北・北陸・中部・都市近郊・中国・四国・九州・沖縄・離島などの農業現場を回り、その地域でどういう農業が行われ、何に困っているのかを調査した上で、外国にも負けない生産性や販売力を持ち、土地を有効に利用して農家所得を増大させ、農業の魅力を作って積極的な担い手を増やす方法を考えるべきである。

 なお、経産省は、自動農機具やコンピューター制御の温室など優秀な農機を安価に生産して提供するよう知恵を絞って欲しい。そうすれば、その農機はどの国でも重宝され、輸出可能でもある。なお、私は、報酬をもらって仕事でやっているわけではないので、*2-5の農業強化法は見ていないが、議論を聞く限り、良い方向に改革されているようには見えない。

(4)EPAについて
1)EPAとその交渉内容
 私は、安全規制等の国家主権を放棄することになるTPPには反対だったが、EPAには賛成だった。何故なら、TPPの参加国は広大な農地を持つ国が多くて太刀打ちできそうもないが、EPAの参加国は広大な農地を持っているわけではないのに知恵と工夫で生産しているので、主権を放棄しない自由貿易が前提なら、日本の農業が学ぶところは大きいと考えたからである。

 そのため、*3-2のように、交渉中に情報開示を行うことはその分野の専門家が見て意見を述べるために必要で、日本が相手国並みにも情報開示を行わないのは、交渉官が国民に見せられるような交渉をしておらず、国民には背信行為の結果ありきの交渉をしている証拠だろう。

2)自由度を高めさえすればよいのではないこと
 日経新聞の論調は、*3-1のように、いつも経済の一体化を主張し、農業の将来を考えるためにも自由度を高めるべきだとする。しかし、そのEPA交渉では、自動車と酪農製品(特にチーズ)のバーター的な関税削減を巡って、交渉が最後まで難航したのだそうだ。

 そのうち自動車については、EUとEPAを結んでいる韓国車が無税で輸出できるのに、日本車は10%の関税が課されてハンディであるため、自動車の関税撤廃は日欧EPAの大きな目的の一つだったそうだが、日本は人件費が高く、全体として高コスト構造になっているため、日本のグローバル企業は、人件費が安くて労働の質の良い東欧で生産することが多い。また、現在では、自動車もEVで遅れ始めているため、環境規制や本体価格の問題を抜きにして、関税だけで売れ行きがよくなるとは思えない。

 一方、農業については、TPPを超える乳製品(特にチーズ)の関税削減が問題となり、出荷先にかかわらず加工用生乳はすべて補給金の対象となるそうだが、今まで指定団体に出荷しなければ加工用生乳に対する補給金が支給されなかったというのは、食料不足時代の食糧管理のやり方のようで、TPPやEPAとは関係なく、変えていなければならなかった問題だろう。

 私は、欧州産のチーズは美味しく、種類も豊富で、よく工夫されていると思うが、日本産の食品も冷凍ピザのような中食にまで加工したり、健康志向を加えたりすれば、欧州では見られない商品ができると考える。そのため、欧州の人の口に合わせながらも、手間が省けて美味しく、健康に良い新しい食品に進化させれば、日本産チーズは関税0でもやれるのではないだろうか。

 また、*3-1には、最先端にいるフロンティア農業者の自由度を高め、フロンティアを広げる政策が必要として、米の減反政策廃止が提言されている。しかし、そもそも主食用米ばかり作っても、その需要は日本国内が殆どであるため、だぶついて価格が低下し、生産したこと自体が無駄になりそうだ。これは、経済学における典型的な市場の失敗の例で、昔から世界中で起こっていることのようである。かといって、多額の補助金を使って飼料米生産に誘導するのも、甚だしい無駄遣いだ。

 そのため、私は、足りない産品を作るように転作すればよいと思うのだが、「日本の農家は、どうして米ばかり作りたがり、足りない産品に転作しないのか?」と問うと、「米を作れば機械化でき、何かと楽で兼業農家でもできるから」という答えが、(特に東北の農家から)返ってくる。私は、ここが問題の本質で、他の産品に転作しても損をせず、機械化でき、保険や作業システムを整えて、兼業しなくても生活できる所得を得られるようにすべきだと考える。そうすれば、余剰な米ばかりを作りたがり、耕作放棄地を増やしながら、食料自給率は低いという日本の変なシステムを変えられると思うが、これは決して農協だけの責任ではない。

 なお、EPAやTPPについては、*3-3のように、「経済規模が大きく自由化度が高いのが優れているとの論調は経済学的に間違いだ」とする注目すべき意見もある。

3)食料自給率と安全保障

  
世界の人口増加 食糧不足の発生リスク拡大 主要先進国の食料自給率 日本の食料自給率

(図の説明:一番左と左から2番目の図のように、世界人口は2050年には95億人になることが予想されており、気候変動による生産減も起こる。そのため、右から2番目のグラフのように、どの先進国も農業を疎かにはしておらず食料自給率が高いが、日本だけ著しく低い。その日本の食料自給率は、一番右の図のように、1975~1990年の間はほぼ横ばいだったが、1990年以降は下降の一途を辿っており、政府が「国民の命と健康を守る」と言うのは白々しく聞こえる)

 *3-1は、「日本農業が活路を見いだすには、市場を世界に求めなければならず、そのためには関税なき貿易が必要で、それを前提に日本の農業の構築を考えなければ、農業の産業としての独り立ちは見えてこない」としている。

 しかし、*3-4、*3-5のように、食料自給率は減り、食料の安定供給を果たす「食料安全保障」はさらにおぼつかなくなった。それについての拙い言い訳は不要であり、食料はカロリーだけでは不十分であるとともに、価格だけでは話にならないことは、中等教育以上で栄養学を学んだ人(殆ど女性)なら常識だ。

 なお、*3-4の「低自給率を強調するよりも、消費者に選ばれる農産物をつくり、輸入に対抗できる競争力を磨いていけば、おのずと国内農業の供給力が高まるのではないか」という部分は、世界人口の予測と世界の食糧事情を無視し、農業生産を行うには生産基盤や日進月歩する機械・技術・種子が必要であることを無視した、驚くべき楽観論である。

<JAさがの持株会社発足>
*1-1:http://www.saga-s.co.jp/column/economy/22901/448475 (佐賀新聞 2017年7月22日) JAさが持ち株会社発足 効率化進め商品開発強化、地域農協初自己改革の目玉
 JAさが(大島信之組合長)は21日、農産物加工や購買生活関連といったグループ会社9社を傘下に置く持ち株会社2社を設立した。業務の効率化を進めて商品開発などに力を入れる。8月1日から業務を始め、当面は中期的な企画・戦略の策定と、総務管理部門の集約に注力する。持ち株会社化は、「農協の一員としての自覚とガバナンス(企業統治)の強化」「事業統合によるコストダウン」「会社の枠を越えた商品開発」の3点を主眼に置く。政府・与党が農協改革に力を入れる中、農業者の所得増大、生産の拡大、地域の活性化につなげようと、JAさがが自己改革の目玉として、全国の地域農協で初めて打ち出した。設立したのは、「JAさが食品ホールディングス(HD)」と「JAさがアグリ・ライフホールディングス(HD)」。JAさがグループ15社のうち9社がぶら下がる。食品HDは、JAフーズさがとジェイエイビバレッジ佐賀、JAさが富士町加工食品の3社を傘下に置く。社長には大島組合長が就き、大手からのOEM(相手先ブランドによる生産)のほか、独自ブランドを開発し、地域の農畜産物を全国に発信する。宅配や通販事業などにも取り組む。アグリ・ライフHDの傘下には、JA建設クリエイトさがやJAオート佐賀など6社が入る。タマネギやミカンの収穫など農家の人手が足りない繁忙期に人的支援をしたり、農業経営に参画して農地を活用したりして、担い手育成に努める予定。JAさがの中村直己副組合長が社長を務める。2016年度のグループ15社の総売上高は約680億円。持ち株会社の傘下に入っていない残り6社については引き続き、HD編入に向けた準備、検討を進める。佐賀市の県JA会館で行われた設立総会で、JA佐賀中央会の金原壽秀会長は「それぞれがさらにもう一段パワーアップして、農家、組合員、地域の評価をいただけるように飛躍を遂げてほしい」とあいさつ。大島組合長は、全国から注目を集める取り組みであることを強調し、「絶対に成功させなければならない」と強い決意を語った。

*1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/450623 (佐賀新聞 2017年7月30日) 金原氏、全中副会長に JA佐賀中央会会長、県出身者で初 来月正式決定
 全国農業協同組合中央会(JA全中)の次期副会長に、JA佐賀中央会の金原壽秀会長(67)=杵島郡江北町=が内定したことが29日、分かった。JAグループの独立的な総合指導機関であるJA全中の副会長に県出身者が就任するのは初めて。8月10日の全中臨時総会で正式に決定する。
金原氏はJAさがの理事や常務理事を経て、2014年から組合長を1期務めた。6月30日の通常総会でJA佐賀中央会の会長に就任した。中央会の前会長である中野吉實氏(69)は11年から今年7月25日まで2期6年、全国農業協同組合連合会(JA全農)の会長を務めた。佐賀の中央会トップが2代続けてJA全国組織の要職を務めることになる。JA全中の次期会長にはJA和歌山中央会の中家徹会長が内定。もう一人の副会長には、中家氏と会長選で競ったJA東京中央会の須藤正敏会長が就く見込み。

*1-3:https://www.agrinews.co.jp/p41464.html (日本農業新聞論説 2017年7月27日) 全農新体制と改革 結集こそ組織の「底力」
 JA全農の新執行部が始動した。陣容は「改革加速内閣」とも言えよう。営農経済事業を担う全農は、系統組織のいわば“心臓部”だ。役割発揮はJA自己改革の成否に直結する。事業改革の年次計画に沿った着実な実践と、内外への「見える化」が欠かせない。組織の結集力と求心力こそが大きな鍵を握る。新執行部の使命は、会見で長澤豊会長が強調した「『全ては組合員のために』の姿勢を貫き、全農の自己改革を完遂する」ことに尽きる。最終ゴールは、農業者の所得向上を通じた元気な地域の復活だ。全農はこれまでも多様な事業改革を実施してきた。いま力を入れるべきことは、改革加速化と併せ、農業者の営農と経営にどう結び付くのかの「見える化」である。組織内外への広報強化は、経済事業への組合員の理解と納得にもつながる。理不尽な全農批判の防波堤ともなる。「全ては組合員のために」は、何のための組織なのかを改めて自らに問う原点回帰宣言でもあろう。産地再生、生産基盤づくり、新技術の駆使、新たな業務提携も含む販売力強化、生産資材の引き下げ。農業者の所得向上と地域再生にはトータルコストの引き下げが重要だ。資材下げなど一分野だけをあげつらうのは見当違いだ。その意味では、全農が全国55JAと取り組むモデル事業は、今後の総合的なコスト下げに向けて全国展開の礎となり得る。「ゴーゴー作戦」として、地域農業再生への旗振り役を果たしてもらいたい。意欲的な数値目標を掲げた全農の事業改革年次計画だが、滑り出しはほぼ予定通り。だが、本番はこれからと言っていい。年次計画は年を追うごとに大きな目標値となっているだけに、この1、2年が正念場となる。自己改革完遂へ残された時間は少ない。政府・与党の改革フォローアップや2019年5月とされる改革集中期間の最終期限も2年を切った。代表理事体制も一新した。新理事長の神出元一氏はこれまで専務として全農改革に関わり、政府・与党との調整の陣頭指揮を担ってきた。専務となった岩城晴哉氏は外食大手・スシローと業務提携するなど、米・園芸の販売事業強化を進めた。もう一人の山崎周二氏は改革の本丸となった生産資材引き下げなど、購買事業見直しの具体案を取りまとめた。改革加速化に期待したい。一方で、農政改革では政府の責任こそが問われなければならない。民間組織の全農ばかりに改革努力を迫るのは間違いだ。通常国会冒頭での安倍晋三首相の施政方針演説に大きな違和感を覚える。「農政新時代」の項目で「農家のための全農改革」を挙げた。首相自ら民間組織の具体名を挙げることは極めて異例だ。政権による「全農先行」改革の意図が透けて見える。政府は全農自己改革を後押しする姿勢に徹するべきだ。

*1-4:https://www.agrinews.co.jp/p41476.html (日本農業新聞 2017年7月28日) 全厚連 会長に雨宮氏(長野)
 JA全厚連は27日、東京都内で通常総会後に経営管理委員会を開き、会長に雨宮勇氏(JA長野厚生連会長)を選任した。空席になっていた副会長には前田隆氏(JA愛知厚生連会長)を選任した。加倉井豊邦会長は同日付で退任した。理事長に、中村純誠氏(中央コンピュータシステム社長)を選任。総会では、経営管理委員16人を選任し、そのうち9人が新任した。任期は2020年度の通常総会終了まで。

*1-5:https://www.agrinews.co.jp/p41520.html (日本農業新聞論説 2017年8月2日) 農協貯金100兆突破 協同組合こそ明日開く
 JAバンクの貯金額が100兆円の大台を超えた。計画目標よりも1年前倒しの達成は、組織結集力の結果である。大台達成を契機に、いま一度、地域や農業の足元を見直し、協同組合金融の特色を確認したい。根底には、組合員目線に立ち地域重視で利用者第一の考え方がある。JAの総合力の発揮こそが持続可能な社会づくりの「明日」を開くはずだ。金融の根幹は「信用」である。信用事業と言われる理由だ。貯金額が100兆円を突破したのは、JAバンクへの組合員・利用者の「信用」の表れである。健全経営の徹底や万が一の事態へのセーフティーネット(安全網)の整備など、金融機関として安全・安心が評価されてきた結果とも言えよう。農林中央金庫のリテール事業本部長を務める大竹和彦専務は、日本農業新聞のインタビューで「JAの総合事業、地域での人と人とのつながりこそが他金融機関にない強さ」と強調。協同組合金融の特色発揮が、揺るぎない「信用」につながっている。運動体でもあるJAグループは、目標を掲げた組織展開に強みを持つ。100兆円達成も運動の成果の一つだ。歴史をさかのぼれば、協同組合は信用事業の確立と重なる。組合運営の原則を制定した英国のロッチデール公正先駆者組合設立は1844年。日本はその1年前の43年、江戸時代に二宮尊徳が基金をつくり困窮した農民に無利子で貸し出す報徳社をつくった。協同組合の原点の一つである。尊徳は600もの村落で協同の精神で地域復興を果たす。JAバンクを束ねる農林中金は、6年後に創業100周年を迎える。前身の産業組合中央金庫は関東大震災の直後、1923年末から営業を開始した。協同組合金融は地域の復興・再生の歴史と共に歩み発展してきた。こうした歴史的な経過をしっかり踏まえたい。今後の課題は「ポスト100兆円」の戦略だ。少子高齢化、日銀のマイナス金利の影響などで、金融業界は大きな岐路に立つ。地域金融機関を中心に合従連衡の動きが活発化してきた。系統信用事業も、地域単位では次の目標を検討するだろうが、数値で全国一本の“旗”を掲げる時代とは明らかに異なる。時代の変化を踏まえ農林中金は、JA全農や関連企業との連携を強め、食農ビジネスを本格化させている。豊富な資金力を生かした農業融資の拡大、担い手育成は喫緊の課題だ。「食と農、地域の振興のためにできることは何でもやる」と食農法人営業本部長を務める宮園雅敬副理事長。新たな一手として、組合員の資産形成のため投資信託などを推進する「JAバンク資産形成推進部」を新設した。「ポスト100兆円」をどうするのか。模索は続くが、基本路線は営農経済事業をはじめ地域に根付くJAの総合力、相互扶助を歴史的な原点とした協同組合金融の強さのはずだ。

<政府が進める農業改革>
*2-1:https://mainichi.jp/articles/20170730/ddm/008/020/116000c (毎日新聞 2017年7月30日) 中野吉実・JA全農前会長:農協への圧力、再燃を懸念
 全国農業協同組合連合会(JA全農)会長を今月退任した中野吉実氏(69)が29日までに共同通信のインタビューに応じ、政府、与党が主導した農協改革を「(日本農業が低迷する現状を踏まえ)誰かを悪者にしないと駄目だったのだろう」と振り返り、改革が再燃し農協への圧力が強まりかねないとの懸念を示した。JA全農の株式会社への移行は「絶対すべきでない」と強く否定した。2011年7月から2期6年にわたる在任中、政府の規制改革推進会議などから組織縮小やコメ全量買い取りなどを求められたほか、自民党の小泉進次郎農林部会長から組合員に提供する農機や肥料などが高すぎるとして改革を迫られた。中野氏は、農家の所得向上を目指すとの方向性は政府と一致しているとした上で、「農協が力を付け、組合員に還元できるようにしていく」ことが重要だと指摘した。在任中の成果として17年3月に自己改革をまとめたことや、コメの安定的な出荷先確保のため回転ずしチェーン大手「あきんどスシロー」の持ち株会社に出資したことを挙げた。その上で「農協と農家が一緒に努力し生産性を高めていくことが所得向上につながる」との認識を示した。政府、与党で議論されたJA全農の株式会社化に関しては「海外では農協が株式会社化した後、穀物メジャーに買収された例がある。農家を守る立場の組織がなくなったら元も子もない」と改めて反対を表明した。政府は18年産米から生産調整(減反)を廃止するが、「米価が下がらないようJAグループが各地の収穫量を配分する。それができることが前提だ」とし、コメ農家に大きな影響は出ないとした。
■ことば:全国農業協同組合連合会(JA全農)
 JAグループで商社機能を担う全国組織。肥料や農薬といった生産資材を農家に供給するほか、農産物を集めて販売する。事業収益は大手商社に匹敵。政府、与党が改革の方針を昨年11月にまとめたことを受け、今年3月に資材価格引き下げなどに向けた自己改革案を策定した。

*2-2:https://www.agrinews.co.jp/p41525.html (日本農業新聞 2017年8月3日) 農協改革 中旬から進捗調査 月内にも進捗調査 各県1JAを行脚 農水省
 農水省は全国のJAを対象に、農協改革の進捗状況の調査に乗り出すことが分かった。各地のJAに担当者を派遣。改革の重点となる農産物の高値販売や生産資材の安値調達などが具体的にどの程度進んでいるかを確認し、改善を働き掛ける。今年度は試行的に各都道府県の1JAを対象に調査を実施する方針で、8月中にも始める。2014年6月の農協改革に関する与党取りまとめでは、5年間を「農協改革集中推進期間」として、JAに自己改革の実行を強く求めている。既に同期間の中間年を迎える中、改革の実践を加速させる必要があるとみて、今回の調査に乗り出す。特に重点的に調査するのは、(1)農産物の高値販売や生産資材の安値調達に向けた取り組み(2)組合員の経営支援(3)改革を進めるための組織の体制整備――の3項目。都道府県の担当者と共にJAに出向き、JAが事業計画などに盛り込んだ目標数値など具体的な指標に照らし合わせて、取り組みが進んでいるかどうかを聞き取る。思うように成果が上がっていない取り組みについて、何が課題かをJAとの間で共有、同省から先進事例を紹介するなどで改善策を探る。都道府県は意見聴取後も、特定した課題について、JAの解決に向けた取り組みの進捗を確認し、改革の着実な進展を促す。こうした一連の流れを今年度、試行的に実施、検証し、来年度以降の対応を検討する。同省は「JAと同じ目線で対話して課題の解決策などを探り、自己改革の実践を後押したい」という。16年4月に施行された改正農協法では、農協の事業目的に、農業者の所得増大に最大限配慮することを掲げ、JAに営農経済事業の強化を求めている。こうした中、JAグループは16年度からの3年間を自己改革の集中期間として自己改革の実践を進めている。同省が各都道府県の1JAを試行的に調査することに対し、JA全中は「自己改革に取り組んでいるJAの実態を見て、理解してもらうには良い機会だ」と話している。

*2-3:https://www.agrinews.co.jp/p41471.html (日本農業新聞 2017年7月28日) 現場踏まえ対応を 農業競争力プログラム 全国知事会
 全国知事会は27日、盛岡市で全国知事会議を開き、農業振興を柱とした「地域経済の好循環の拡大に向けた提言」を採択した。農業振興を地域社会の基盤と位置付け、提言5項目のうち2項目を農業関連とした。政府が昨年決めた「農業競争力強化プログラム」を進めるに当たって、農業・農村の実情を十分踏まえるよう求めた。改革を急進的に進める政府に対し、くぎを刺した格好だ。日欧経済連携協定(EPA)をはじめ、国内農業への影響に懸念を示し、丁寧な情報提供を求めるとした。会議には「地方から日本を変える」をテーマに、全国都道府県の首長が参加した。政府が2016年11月に決めた同プログラムでは、生産資材の引き下げや全農改革、卸売市場法の見直しを提起。政府はこれに沿って農業改革を進めている。提言では、地域間格差の是正や、多様性に満ちあふれた地域の創出に取り組むべきとした。その上で、プログラムに関する制度設計について、地域の農業・農村の実情を十分踏まえるよう求めた。地域の農業者が意欲と希望を持って営農に取り組めるようにすべきとした。国際貿易交渉を巡っては、日欧EPAをはじめ国内農林水産業への影響が懸念されると指摘。全ての貿易交渉で、重要品目に対する必要な国境措置を確保することが必要と提起した。交渉の進捗(しんちょく)や国内の影響についての情報提供を丁寧にするよう求めた。米、大豆など主要農作物種子法(種子法)の廃止に際して、今後も生産者に良質で安価な種子の供給と普及ができるよう、財政措置の確保を要望した。国産種子の海外流出の防止などの措置も求めた。この他、農業分野では担い手らの人材育成、農地集積、ICT(情報通信技術)をはじめとするスマート農業、鳥獣害防止対策について国の支援の充実を提起。資材の価格低減、所得向上への支援策、輸出促進策の強化も必要とした。会議では、国と地方を挙げて「防災庁」の創設に取り組むことや、東京一極集中の是正などについて議論、提言した。災害に強い国土づくりを進める「岩手宣言」も採択した。

*2-4:http://qbiz.jp/article/115975/1/ (西日本新聞 2017年8月7日) 農相、改革継続に協力要請 就任直後異例のJA訪問
 斎藤健農相は7日、全国農業協同組合中央会(JA全中)を訪問し、奥野長衛会長や中家徹次期会長らに対して引き続き安倍政権が進める農業・農協改革への協力を呼び掛けた。就任直後の農相がJA首脳を訪ねるのは異例。自民党の農林部会長や農林水産副大臣を歴任して農協改革を主導し、3日に農相に就任した。10日にJA全中の次期会長に選出される中家氏は政権の改革に距離を置く慎重派とみられており、自ら出向くことで話し合いを重ねていく姿勢を示した。面会では、JA全中に加え、全国農業協同組合連合会(JA全農)、農林中央金庫などJAグループ幹部が顔をそろえた。奥野氏は「本来ならこちらが伺うのが筋」と謝意を表明し、斎藤氏は「日本の農業が厳しいという状況認識を共有できれば、農家の皆さんが前向きに取り組める環境づくりに向け、いい関係で前進ができる」と述べた。面会後、報道陣に対して奥野氏は「大臣としての農業に対する強い思いから、自らこちらに足を運ばれた。官僚の経験を生かし、いろいろ課題を提起していただくことになる」と語った。中家氏も「問題があったときには話し合いをして互いに理解し合うのが大事」との認識を示した。

*2-5:https://www.agrinews.co.jp/p41511.html (日本農業新聞 2017年8月1日) 農業強化法が施行 改革推進丁寧に
 農業生産資材価格の引き下げや農産物流通の合理化に向けた構造改革を進める農業競争力強化支援法が1日施行される。農水省は、卸売市場法の抜本改革など規制・規格の見直しや資材の開発促進、直販の促進といった改革を実行に移す。同省が、生産性の低さや機能不全を問題視する米卸や飼料メーカーには業界再編をてこ入れする。同時に、JA全農の改革の実行を促す方針だ。いずれも生産現場に密接に関わる課題だけに、具体化には、多様な農家の声を踏まえた丁寧な議論が欠かせない。同法は、5月に成立。資材価格下げや農産物流通の合理化に向けて①国が講じるべき施策②業界再編や事業参入に向けた支援措置――を定めたのが柱。同省は今後の政策展開は一義的に行政の仕事として「与党の了承を取る必要はなく、農水省の権限で粛々と進めればよい」(同省幹部)としている。だが、法律上は国の政策の方向性を示す抽象的な文言にとどまる。施行を受け、同省は、法律が定める国内外の農業資材供給や農産物流通の実態調査に着手。この結果を踏まえて2019年8月までに施策見直しを検討する。同省は昨年、日本の肥料などが韓国に比べて割高とする調査結果をまとめ、全農に改革を迫った経緯がある。だが、殊更に価格差だけを取り上げれば、品質の劣化を招く恐れがある。農業全体の構造や品質格差を踏まえた冷静な分析が必要だ。参院農林水産委員会は、協同組合の本来機能である共同購入や共同販売の機能の強化、民間事業者の自発的な取り組みの尊重を求める付帯決議を採択した。今後の法律運用では、政府による過剰な民間干渉につながらないか国会による監視が求められる。

<EPAについて>
*3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170801&ng=DGKKZO19451050R30C17A7KE8000 (日経新聞 2017.8.1) 日欧EPAの課題(下)農業の将来 考える好機に、最先端分野、自由度高めよ 本間正義・西南学院大学教授(1951年生まれ。アイオワ州立大博士。専門は農業経済学。東大名誉教授)
ポイント
○チーズの低関税輸入枠設定の影響小さい
○日本農業は関税なき貿易で世界に活路を
○コメの減反政策廃止や農地政策改革急げ
 日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉が大枠合意した。米国が環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱し、自由貿易の推進に暗雲がたち込めていただけに、この合意の意義は大きい。また貿易だけでなく、グローバル化時代の包括的な経済活動のルールづくりを目指すTPPと目的を一にする。世界の国内総生産(GDP)の28%、世界貿易の37%を占める両地域のEPA実現に向けた大きな一歩を歓迎したい。日欧EPAの交渉でも、またぞろ農産物が焦点の一つとされた。だがTPPでの合意が基礎となっていることや、欧州の関心の低いコメが除外されていること、日本からも日本酒などの食品輸出の拡大が見込めることなどもあり、国内の反応は関係者を除けば比較的冷静だったといえる。とはいえ、自動車と酪農製品、特にチーズの関税削減を巡っては最後まで交渉が難航した。日本にとって自動車の関税撤廃は日欧EPAの大きな目的の一つだった。EUとEPAを結んでいる韓国の自動車が無税で域内に輸出できるのに対し、日本の自動車には10%の関税が課され、大きなハンディとなっていた。一方、EUが求めてきたのはTPPを超える乳製品、特にチーズの関税削減だった。金額でみると、日本からEUへの自動車輸出額は1兆2494億円(2016年)に対し、EUからのチーズ輸入額は378億円(同)にすぎない。従ってこの両者をバーター(交換取引)にしたとみるのは適当ではない。日EUともに包括的なEPA締結に十分大きなメリットを見いだした結果と解釈すべきだろう。EUが今回の交渉でチーズにこだわる理由はあった。EUは15年3月末、30年以上継続してきた生乳クオータ(割り当て)制度を廃止した。加盟各国に生乳供給の上限を課す制度だが、これを自由化し市場志向性を高め、乳製品の需要増大が見込める国際市場で活路を見いだそうとした。しかしEUが輸出増を期待したロシアは、欧米がウクライナ問題で科した経済制裁に対抗し、欧米からの農畜産物の輸入禁止措置を継続している。このためEUは別の市場を求め輸出戦略を練り直しており、途上国への輸出拡大とともにEPAを通じた日本市場の開放が重要課題だった。表は、合意したEUからの主な農産物の関税削減の内容を示したものだ。焦点だったチーズは、TPPでは関税を維持したカマンベールやモッツァレラなどソフト系チーズを一括して新たに低関税輸入枠を設けた。この枠内関税率は徐々に削減し、16年目に撤廃するとしている。輸入枠は初年度2万トンから、16年目に3万1千トンに拡大する。EUからのソフト系チーズ輸入量は2万トン(16年)程度であり、輸入枠は現状に比べ16年で1.5倍に拡大するだけなので、大きな影響はあるまい。またチーズは差別化できる製品であり、国内でも様々な取り組みが展開されている。輸入品に対抗できる日本ブランドのチーズが多く生み出されることを期待したい。さらに生乳の流通制度改革も進行中だ。これまで全国を10地域に分けて、各地域の指定団体に出荷しなければ加工用の生乳に対する補給金は支給されなかったが、出荷先にかかわらず、加工用の生乳はすべて補給金の対象となる。また補給金受給のためには指定団体に原則全量委託することを義務付けていたが、これも部分委託が可能となる。従って個々の農家や農家グループの創意工夫を乳製品の生産に生かせる道が広がる。日欧EPAの合意は、英国のEU離脱決定や米トランプ政権の誕生で挫折しかかった自由貿易の方向を、決して後戻りさせてはならないという両地域の強い政治的意志でもある。今後、他のEPAや新たな交渉を通じ貿易の拡大と経済活動に関するルールの共通化が進展していくと予想される。その際、交渉結果に一喜一憂するのでなく、日本農業も国境措置に依存しない体制を築くことが重要だ。先ごろ日本経済調査協議会は、元農水事務次官の高木勇樹氏を委員長とする食料産業調査研究委員会がまとめた提言「日本農業の20年後を問う」を公表した。筆者はこの委員会で主査を務めた。これから20年後の日本農業をどう考えるか。少子高齢化・人口減少で日本の国内市場は確実に縮小する。一方、浮き沈みはあるにせよ、グローバル化の波は今後も間違いなく押し寄せてくる。これらの条件の下で日本農業が活路を見いだすには、市場を世界に求めなければならない。それには関税なき貿易が必要だ。この関税なき世界を前提に日本農業の構築を考えなければ、農業の産業としての独り立ちは見えてこない。日本の農家数は経営体でみて過去20年間で毎年平均して6万戸減少している。このままいけば20年後には10万戸を切ることになる。それでも各農家(経営体)が年間1億円規模の生産を担えば、日本農業は10兆円の生産額を維持できる。そうした方向に向かうにはどのような政策が望ましいのか。真っ先に必要な政策は最先端にいるフロンティア農業者の自由度を高め、フロンティアを広げる政策である。第1にコメの減反政策の廃止だ。政府は生産割り当てをやめると言うが、多額の補助金で飼料米生産に誘導し、主食米生産を制限し高価格を維持する政策を継続する。小規模兼業農家が維持され、大規模農家の生産拡大が阻害される。第2に農地政策の改革だ。現行農地法は農地を生産資源として活用するというより、農地所有者の権利を守ることを目的としている。農業内での権利移動を前提とするために、リースは認められても、農外の株式会社が農地を保有することは禁じられている。第3に耕作地が何カ所、何十カ所にも分散している非効率な経営の解消だ。農地のリースや所有を自由化しても耕作地が細切れでは生産効率は上がらない。地域で連坦(れんたん)化してひと続きの耕作面積を確保するために、孤島的に別経営をしている農地を周囲と一体化し、耕作を統合する仕組みが必要となる。農地の流動化のためには、農地の利用に応じた税制の整備などが有効だと考えられる。フロンティアは海外での販売戦略でも広げる必要がある。概して日本の農業関係者は海外でのマーティングが不得手だ。農産物の品質の高さのアピールが足りない。それは日本の農業者がいまだにプロダクトアウト(作り手優先)の姿勢から抜けきらず、消費者ニーズを取り込むマーケットインの姿勢に切り替えられずにいることに通じる。和食がユネスコ無形文化遺産になっている今日、世界に日本の農と食を広範にアピールするチャンスだ。今回の日欧EPAで日本酒の関税が撤廃され、欧州への輸出拡大が期待される。日本酒をフランスワイン並みのブランドに育て、それに合う和食とその魅力を伝える好機でもある。一方で、農業はその生産プロセスそのものが付加価値を生む。農作業はそれ自体が面白い。また工夫により様々なアクティビティーに展開可能でもある。農業の魅力を都市住民に伝え、農業体験をより手軽にできるような体制づくりは、これからの農業のあり方の一つとしても重要だ。農業が20年後に自立した産業となるには、国内海外を問わず今何をすべきか、国民全体での活発な議論を期待したい。

*3-2:https://www.agrinews.co.jp/p41351.html (日本農業新聞 2017年7月12日) EPA 情報開示に差 EUは協定文案一部公開
 欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の大枠合意を受け、欧州委員会が日本政府が開示していない協定文案の一部を公開していることが分かった。一方、日本政府は文案が固まっていないとして公表しない方針で、日欧の情報開示の差が露呈した。民進党など野党は、情報開示に後ろ向きな日本政府の姿勢を問題視し、欧州と同水準の開示を求める方針だ。欧州委員会は日欧首脳が大枠合意を発表した6日付けで、ホームページに投資やサービス、電子商取引、紛争解決などに関する協定文案の一部や欧州側の提案を掲載。最終案ではないと断りながら「交渉への公衆の関心の高まりを考慮」して開示したと説明している。一方、日本の外務省は同日開かれた民進党の会合で「テキストが固まっておらず、最終調整する必要があるので、今の時点で公表に至っていない」と開示しない理由を説明した。民進党の会合では、出席議員から「情報公開には(日欧で)互いに同じ対応するのではないのか」(玉木雄一郎氏)など、情報開示に後ろ向きな政府の姿勢を質す意見が相次いだ。協定案を巡り、交渉の経過を含めて国民に積極的に開示しようとする欧州側と、内容が固まるまでは国民に知らせるべきではないとする日本政府の対応の違いが浮き彫りになった。交渉における情報開示の少なさは、農業関係者からも不満の声が相次いで挙がっており、今後の政府の説明に注目が集まっている。

*3-3:https://www.agrinews.co.jp/p41449.html (日本農業新聞 2017年7月25日) EPAの経済学分析 貿易ゆがみ損失も大 東京大学大学院教授 鈴木宣弘氏
 日欧経済連携協定(EPA)は国内総生産(GDP)で世界の約3割を占め、全体で95%超の関税撤廃率で、日本の農林水産物の関税撤廃率も82%で環太平洋連携協定(TPP)並みに高いとして、「経済規模が大きく自由化度が高い」のが優れているとの論調は経済学的には間違いである。そもそも自由貿易協定(FTA)は「悪い仲間づくり」のようなもので、A君は好きだから関税なくしてあげるがB君は嫌いだから関税をかけるというものである。仲間だけに差別的な優遇措置を取るのがFTAだから、「経済規模が大きく自由化度が高い」方が貿易が大きくゆがめられ、「仲間外れ」になる域外国の損失は大きくなる。われわれの試算では、日欧EPAによって締め出される域外国の損失は23億1600万ドルで、日欧のメリットの17億6200万ドルより大きい。しかも、自由化度が高いほど、締め出される域外国の損失は大きくなるから、農産物のような高関税品目は除外した方が域外国の損失は緩和できる。われわれの試算では、域外国の損失は23億1600万ドルから16億2300万ドルに減少する。さらに、日本にとっても、農産物を自由化しない方が、日本全体の経済的利益は、11億2600万ドルから21億3200万ドルに増加する。高関税の農産物を欧州連合(EU)だけに関税撤廃すると、例えば、最も安く輸入できる中国からの輸入が差別的な関税撤廃によってEUに取って代わる「貿易転換効果」によって、消費者の利益はあまり増えず、生産者の損失と失う関税収入の合計の方が大きくなってしまうからである。このように、FTAは、仲間外れになった国は損失を被るし、域内国も貿易が歪曲されて損失が生じることなどから、日本では、長年、政府も国際経済学者も世界貿易機関(WTO)を優先し、FTAを否定してきた。ところが、2000年ごろから、日本政府がFTA推進にかじを切り出すと、みるみるうちに、同じ学者がFTAやTPPを礼賛し始めた。しかも、「農産物を例外にしてはいけない」と主張したい人たちにとっては、日本にとっても、域外国にとっても、農産物を除外する方がベターだ、という試算結果は不都合なので、そういう数値は表に出ないように極力隠されてきた。経済学者の良識、経済学の真理とは何なのかが問われている。

*3-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170621&ng=DGKKZO17910830Q7A620C1EE8000 (日経新聞 2017.6.21) 経済:骨太診断(6)消えた「食料安全保障」 農家、保護より自立促す
 経済財政運営の基本方針(骨太の方針)の「攻めの農林水産業の展開」を見ると、2016年の骨太の方針にあった「食料安全保障の確立」の文言が消えている。農林水産省関係者によると、食糧安保を象徴するものは「食料自給率」。食料の安定供給を果たす責務を国が放棄するわけではないが、食料自給率を重要な指標として位置づけるのを見直しつつある状況の表れだ。食料自給率は、国内で消費する食品がどれだけ国産の材料で賄われているかを表す。供給熱量で換算するカロリーベースで2015年度は39%。主要先進国の中で最低水準にあることが「手厚い農業予算が必要」(農業団体幹部)との主張を支えてきた。ただ、カロリーベースの食料自給率は野菜をつくっても上向きにくいなどの問題が指摘される。生産額ベースになれば66%まで引き上がるのも、「(カロリーベースが)むやみに危機を高める指標になっている」(農水省OB)との見方を強めている。生産額ベースも下落傾向にあり、食料の安定供給を懸念する主張に根拠がないわけではない。ただ、ことさら低自給率を強調するより、消費者に選ばれる農産物をつくり、輸入に対抗できる競争力を磨いていけば、おのずと国内農業の供給力が高まるのではないか。安倍政権が自民党の小泉進次郎農林部会長らの主導で農協改革に乗り出したのも、保護農政から脱却する狙いが強いからだ。日本の農村を守る適度な予算の配分は必要だが、自立できる強い農家を各地にどれだけつくり出せるかという視点が欠かせない。

*3-5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170810&ng=DGKKASFS09H3O_Z00C17A8EE8000 (日経新聞 2017.8.10) 食料自給率、38%に低下 昨年度、23年ぶり水準 小麦の生産減
農林水産省は9日、2016年度の食料自給率(カロリーベース)が38%だったと発表した。コメが不作だった1993年度の37%に次ぐ低水準。北海道を襲った台風などの影響で、小麦やテンサイの生産量が落ち込んだ。政府は2025年度までに自給率を45%に高めるという目標を掲げている。しかし09年度を最後に40%台には届いておらず、目標達成の道筋は見えない。カロリーベースの自給率は、コメや小麦といった穀物の供給量に左右されやすい。政府は輸入品が多い畜産飼料を国産に置き換えようと、飼料用米の増産に力を注ぐ。しかし草を食べる牛の飼料にコメを配合してもその割合には限界があり、自給率の押し上げ効果は乏しい。単価の高い野菜や畜産物などの動向が影響する生産額ベースの自給率は15年度に比べて2ポイント増の68%だった。野菜や果実で輸入が減り、国内生産が増えた。生産額ベースは2年連続で上昇した。

<農林漁業とエネルギー>
PS(2017.8.11、16追加):私も、*4-1の「太陽光などの再生可能エネルギーで作った電気でEVを動かすシステム」が、CO2はじめ排気ガスを0にできるため、最もよいと考える。なお、日経新聞は「フランスは原子力発電の比率が高いので、CO2を出さない」としているが、フランスは、2015年7月22日に制定した「エネルギー転換法」で、①原子力発電所の大幅削減 ②化石燃料消費の廃止 ③再生可能エネルギーへのシフト ④石油由来廃棄物の大幅削減 などを決め、マクロン新大統領も、*4-2のように、エネルギー・環境政策をさらに推し進めるとして、国民議会(下院、定数577)選挙で大勝した。そして、その中には、農業分野の環境改善や輸送分野のエネルギー効率改善なども入っている。
 日本でも、*4-3-1、*4-3-2、*4-3-3のように、平成26年5月1日に、農山漁村で自然再生可能エネルギー(太陽光、風力、小水力、地熱、バイオマス等)を積極的に活用する「農山漁村再生可能エネルギー法(http://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/pdf/re_ene1.pdf)」が施行され、地域の所得向上・農山漁村の活性化・農林漁業の振興などを進め、再生可能エネルギーの地産地消により、地域内での経済循環を構築する方向性が示された。そのため、農林漁業は、機器を電動化して自然エネルギーで自家発電するのが近未来の姿になる。従って、全農は、持ち株会社の下に自然エネルギーによる発電子会社(仮名:全農自然エナジー)をつければよいだろう。
 やはり、*4-4のように、日経新聞は経済教室で、慶大卒・東大院博士課程満期退学・災害情報論専門の関谷氏に、「偽ニュースを考える」として「①市場に流通している福島県産の農作物・海産物は徹底した検査をして、99.99%がND(検査機器が設定した検出限界より大きい値の放射性物質が検出されなかったこと)で安全確認されている」「②NDとは生産者・流通業者・消費者の間で流通上の許容量のデファクトスタンダード(事実上の基準)として結果的に合意した値」「③現在、このNDの状態でも風評被害により経済被害が起きている」「④流通業者・農業関係者の中に、まだ福島県産の農産物に多くの消費者が不安を抱いていると思い込んでいる人も多い」「⑤福島県の農林水産物についての情報発信は、検査結果に関する広報が十分ではなく、おいしさをアピールするブランド戦略や広告が中心となっている」と書かせている。
 しかし、①②にも書かれているとおり、ND(検査機器が設定した検出限界より大きい値の放射性物質が検出されなかったこと)は、生産者・流通業者・消費者の間で流通上の許容量の事実上の基準として人為的に合意した値にすぎず、長期間食しても健康を害さないことが証明された値ではない。そのため、NDだから安全確認されたとは言えず、④のように、流通業者・農業関係者・消費者に疑念を抱いている人がいる方が尤もであり、③のように、これを風評被害と断じることこそ無知である。また、放射能で汚染されても味は変わらないため、「おいしさをアピールすればよい」と考えている人には、もともとこの問題を論じる資格がない。そして、⑤のように、この検査でNDであったことをアピールしても「だから長期間食しても健康を害さないのか」は依然としてわからず、薬剤と同様、安全性が不明なら摂取しないのが常道だ。さらに、“災害情報論の専門家”というのが何を勉強してきた人かは不明だが、東大の教官でもこのようなことを断じる知識があるとは限らないことをわきまえるべきである。
 なお、*4-5のように、東京電力は、市民の反対と福島の不安に応えず、2016年9月にフクイチの1号機建屋カバーを外した。チェルノブイリでは、原発からの放射性物質の飛散を防ぐために、旧ソ連が国家の威信をかけて石棺を突貫工事で完成させ、30年を経て石棺の老朽化により再び飛散の危険があるため、2千億円をかけてさらに石棺を覆うシェルターを完成させたにもかかわらず、フクイチは、青天井で放射性物質が飛散し放題の状態になったのである。そして、これらは、「差別」や「感情論」などという否定のための誹謗中傷にもめげず、「女性自身」はじめ環境意識のある女性によって多く主張されていることを忘れてはならない。

   
都道府県別食料自給率     フクイチ事故の状況と“除染”後のフレコンバッグ

(図の説明:一番左の都道府県別食料自給率で福島県は85%と高い方だったが、原発事故後の福島県の農産物や海産物は0ではない放射性物質を含み、安全でなくなった《まさか、これをフェイク・ニュースとは言わないでしょうね》。その上、他の原発も食料自給率の高い地域(農林漁業地帯)に建設されているため、エネルギーに原発を使うのはコストが高い上、食料自給率にも影響し、亡国へのパスポートである)

*4-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170811&ng=DGKKZO19918370R10C17A8MM8000 (日経新聞 2017.8.11) EV大転換(下)これが持続可能な未来だ さらば石油、世界も揺れる
 7月上旬に横浜で開かれた太陽光発電の見本市。目玉は米テスラだった。「太陽光で作った電気を蓄電池でためて電気自動車(EV)で使う。これが持続可能な未来だ」。テスラのカート・ケルティ・シニアディレクターはこう語った。
●一気通貫めざす
 テスラは2月に社名から「モーターズ」を外した。16年に太陽光発電の米ベンチャーを買収。EV用電池に加え据え置き型蓄電池にも事業を広げる。創業者、イーロン・マスク氏の狙いは発電からEVまで一気通貫のエネルギーインフラを作ることにある。なぜそこまでするのか。「発電時の二酸化炭素(CO2)排出量まで考えれば、エンジン車はEVとの差がなくなる」。ある国内自動車メーカー幹部はこう主張する。背景にあるのは「ウェル・トゥー・ホイール」(油井から車輪)という考え方。燃料を作る段階からトータルの環境負荷を見る発想だ。国立環境研究所の調査では、ガソリン車に対するEVのCO2削減率はフランスで90%。一方、中国では15%減にとどまる。フランスは原子力発電の比率が高いのに対し、中国は7割以上をCO2を多く排出する石炭火力発電に依存するためだ。いくらEVを増やしても、エネルギー源から変えなければ根本的な地球温暖化対策につながらない。EVシフトの先には太陽光発電など再生可能エネルギーの拡大が待ち受ける。多くの企業がそのことに気がつき動き始めている。北欧では米IBMや独シーメンスなどが連携し、風力発電による電力をEVに供給するシステムの整備が進む。日本でも一部自治体で同じような実証実験が進むが、「欧州では既に商用段階に入っている」(日本IBMの川井秀之スマートエネルギーソリューション部長)。石油メジャーも「変身」に動く。仏トタルは低炭素の液化天然ガス(LNG)などガスの生産量が発熱量ベースで原油を超えた。仏電池メーカーを買収し再生エネ事業の拡大にも走る。自動車に素材、そしてエネルギーまで産業構造を大きく変えようとしているEVへの大転換。それは世界の秩序にも影響を与える。
●試される産油国
  「40年には1日に800万バレルの石油需要が減る」。米調査会社ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスはEVシフトの影響をこう予測する。800万バレルは石油輸出国機構(OPEC)の1日の生産量の4分の1に相当する。世界の石油消費量の65%は自動車など輸送用が占める。発電用途は全体の4%程度。自動車用の落ち込みを補うのは難しい。各国が協調して需給調整するOPECの戦略が成り立たなくなるかもしれない」。日本エネルギー経済研究所の田中浩一郎中東研究センター長は指摘する。需要減により協調が崩れれば、次世代産業にカジを切れるかどうかで産油国間の格差が広がる。不安定な中東に新たな不協和音を生みかねない。EVへの大転換は地政学に大きな影響を与える可能性もある。

*4-2:https://sustainablejapan.jp/2017/05/12/macrons-energy-policy/26778 (Sustainable Japan 2017/5/12) 【環境】フランスのエマニュエル・マクロン新大統領のエネルギー・環境政策の骨子
 5月7日のフランス大統領選挙で勝利を収めたエマニュエル・マクロン元経済・産業・デジタル大臣。5月14日に第25代フランス大統領に就任します。フランスでは、社会党を与党とする現オランド大統領政権時代に、環境・エネルギー政策の大転換がありました。その最たる例が2015年7月22日に制定された「エネルギー転換法」。この法律では、フランスの電力の代名詞であった原子力発電所の大幅削減、化石燃料消費の廃止、再生可能エネルギーへのシフト、石油由来廃棄物の大幅削減、企業及び金融機関に対する気候変動関連情報開示制度など、世界初の政策を大規模に盛り込みました。同時に政府の公的年金でもESG投資が大規模に推進されました。これまで欧州の環境先進国と言えば、ドイツやイギリス、または北欧という印象が強かった近年。フランスは後塵を拝していましたが、このオランド政権時代に、欧州、そして世界の「トップクラス」へと躍進しました。その中、関心が集まるのが、マクロン新大統領のエネルギー・環境政策です。マクロン新大統領は今回、無党派として立候補し、極右と言われる国民戦線のマリーヌ・ル・ペン候補だけでなく、フランス二大政党である社会党のブノワ・アモン候補、共和党のフランソワ・フィヨン候補とも選挙戦を競いました。選挙戦中には、現政権与党の社会党幹部が、自党の候補ではなく、マクロン新大統領を支持するという事態も発生しました。なぜマクロン氏には社会党の支持が集まっているのか。その背景には、マクロン新大統領の経歴が関係しています。マクロン新大統領は、2004年にフランスの名門大学、国立行政学院(ENA)を卒業後、フランス財務省に就職。国家官僚として勤務する一方、政治家を志し、社会党へ入党します。その後、2008年に財務省から、英国老舗資本家であるロスチャイルド家の中核投資銀行であるロチルド&Cie銀行に転職。投資銀行家としてのキャリアを積み、2010年には社会党を離党し、無党派として政治家を目指す姿勢に転向します。マクロン氏が、最初に政権入りするのが、2012年。当時就任したばかりのオランド大統領に招聘され、大統領府副事務総長としてオランド大統領に側近の地位を得ます。そして2014年、オランド政権の経済・産業・デジタル大臣に任命された後、今回の大統領選挙出馬を視野に2016年8月に大臣を辞任。そして、39歳の若さで大統領選挙に勝利。このように、マクロン新大統領は、無党派ながらも現オランド政権を支えてきました。マクロン氏は、2010年に社会党を離党した背景について、「私は社会主義者ではない」とし、右派・左派を超越した政治を目指したい考えを訴えています。さて、このマクロン新大統領の環境・エネルギー政策はどう展開されていくでしょうか。マクロン新大統領は、選挙期間中に、すでに自身の「環境・エネルギー政策」の骨子を表明しています。大きな柱は、現オランド政権のエネルギー・環境政策を「さらに推し進める」というものになっています。
<電力>
•2025年までに原子力発電比率を2025年までに現在の67%から50%に削減
•国営電力会社EDFが業績が大幅に低下している原子力発電会社アレヴァを救済合併
•2022年までに石炭火力発電を2022年までに全て廃止
•フランス領内での石油・ガス採掘を全て禁止
•2030年までにエネルギー消費に占める再生可能エネルギー割合を現在の約15%から32%に引き上げ
•2030年までに発電量に占める再生可能エネルギー割合を現在の約18%から40%に引き上げ
•再生可能エネルギーと環境保全分野に150億ユーロ(約1.8兆円)を投資
•再生可能エネルギー発電の設備容量を26GW分を新たに追加
<交通燃料>
•ガソリンとともにディーゼル燃料に対する増税を実施し、石油燃料の消費を抑制
•2040年までに化石燃料自動車を廃止する将来構想を提示
•電気自動車向けの充電スタンド設置に対する政府支援
<エネルギー効率>
•不動産分野のエネルギー効率改善のため、低所得家庭に対し40億ユーロ、政府施設に対し40億ユーロを助成
•農業分野の環境改善と地域農業協働促進のため50億ユーロを助成
•輸送分野のエネルギー効率改善のため、50億ユーロを助成
•EUの排出権取引制度に対し、フランス国内では下限価格を設定する意向を表明(2020年までに1t当たり56ユーロ、2023年までに100ユーロ)
 再生可能エネルギー推進では、すでにEUからの助成が決定しています。大統領選挙の前の5月10日、EUの行政府である欧州委員会が、再生可能エネルギー発電所建設プロジェクト合計17GW分に対する約13億ユーロ(約1,600億円)の助成金給付を承認しました。そのうち、15GW分は陸上小型風力発電所(最大3MWで6基以内)。残りは、小型太陽光発電所(100kW以内)が2.1GWと、下水発生ガスを用いた廃ガス火力発電所が1ヶ所です。マクロン新大統領はこれらの野心的な政策を実現できるのか。それは今後の国会運営にかかっています。無党派で出馬したマクロン新大統領は、現在国会内に1議席も有していません。マクロン氏は当選後、支持団体をもとに新政党「レピュブリック・アン・マルシェ(共和国前進)」を設立。6月11日から18日に行われる国民議会(下院、定数577)選挙に向け、428人の公認候補を発表しました。社会党の下院議員24人もマクロン新党公認候補として出馬します。一方、半数以上の候補が新人候補であり、選挙戦は容易ではありません。マクロン新大統領は、従来の政党には依存しない政権運営を目指すため既存の政治との訣別を掲げ、有権者に支持を訴えています。マクロン新大統領が打ち上げたエネルギー・環境政策が花開くか。次の下院選挙が帰趨を決します。

*4-3-1:http://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/ (農林水産省) 再生可能エネルギーの導入促進
 私たちの身のまわりには、土地や水、風、熱、生物資源等が豊富に存在しています。有限でいずれは枯渇する化石燃料などと違い、これらは、自然の活動などによって絶えず再生・供給されており、環境にやさしく、地球温暖化防止にも役立つものとして注目を集めています。農山漁村において、これらのエネルギー(太陽光、風力、小水力、地熱、バイオマスなど)を積極的に有効活用することで、地域の所得の向上等を通じ、農山漁村の活性化につなげることが可能となります。農林水産省は、再生可能エネルギーの導入を通じて、農山漁村の活性化と農林漁業の振興を一体的に進めていきます。

*4-3-2:http://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/sinkou.html (農林水産省) 農山漁村の再生可能エネルギー振興策について
 農山漁村における再生可能エネルギー振興策について、固定価格買取制度の活用等による発電の取組と併せて、再生可能エネルギー熱の利用や、電力小売全面自由化を捉えた再生可能エネルギーの地産地消の取組による地域内経済循環の構築等、今後推進すべき方向性の一例を紹介します。

*4-3-3:http://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/houritu.html (農林水産省) 農山漁村再生可能エネルギー法
 平成25年11月15日に農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(農山漁村再生可能エネルギー法)が成立し、11月22日に公布され、平成26年5月1日に施行されました。この法律は、農山漁村における再生可能エネルギー発電設備の整備について、農林漁業上の土地利用等との調整を適正に行うとともに、地域の農林漁業の健全な発展に資する取組を併せて行うこととすることにより、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電を促進し、農山漁村の活性化を図るものです。この法律の条文や概要等につきましては、以下のリンク(http://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/pdf/re_ene1.pdf 等)を御参照下さい。

*4-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170816&ng=DGKKZO20000960V10C17A8KE8000 (日経新聞 2017.8.16) 経済教室:経済教室偽ニュースを考える(下)周知不足が風評被害拡大、流通や行政にも課題多く 関谷直也・東京大学特任准教授(1975年生まれ。慶大卒、東大院博士課程満期退学。専門は災害情報論)
ポイント
○安全確認されても経済的被害が止まらず
○消費者の不安和らぐも供給側に思い込み
○ブランド戦略優先し検査体制のPR不足
 風評被害とはもともと原子力分野において、放射性物質による汚染がない状況で食品や土地が忌避されることとして問題となってきた。過去の事例をまとめると、風評被害とは、ある社会問題(事件、事故、環境汚染、災害、不況など)が報道されることによって、本来「安全」とされるもの(食品、商品、土地、企業など)を人々が危険視し、消費、観光、取引をやめることなどによって引き起こされる経済的被害を指す。環境汚染や食中毒などの危険性のあるものや、安全でないものが売れないのは当然である。それとは別に「安全であるにもかかわらず売れない」からこそ問題となる現象が風評被害である。2011年の東京電力福島第1原子力発電所の事故と、その後の福島県産の食品に関する消費者の購買行動を例に、風評被害のメカニズムと解消に向けた対応策を論じたい。原発事故の直後の段階では、公的には政府が定めた放射線量の基準値以下ならば安全であるとして、この基準値以下で人々が商品を買わないことや、福島県を訪れないことで生じる経済被害が「風評被害」とされた。事故直後は出荷制限された農産物も多く存在し、実際に放射性物質が検出されることもあったため、風評被害か実害かは議論が分かれるところであった。だが、放射性物質のセシウム134はすでに半減期(約2年)が過ぎ、空間線量や農作物の放射性物質の含有量は大幅に低下してきている。汚染の状況も把握され、空間線量も明らかにされてきた。カリウムを含んだ肥料をまくなどの吸収抑制策の成果もあり、農作物に含まれる放射性物質の値は下がり、昨年度の放射性物質モニタリング検査結果では野菜2870点、果実923点、肉類3791点、野生・栽培キノコ796点はすべて基準値以下である。しかも市場に流通している福島県産の農作物は徹底した検査がされている。米は毎年、約1000万袋全量が調査されているが、15年と16年は放射性物質が基準値を超えたものはなく、99.99%が不検出を意味する「ND」であった。海産物についても昨年度は8766件が調査され、全て基準値以下だった。現在、10魚種の出荷制限が続いているが、魚種や海域を絞った試験操業は拡大している。NDとは正確には、検査機器の設定した検出限界より大きい値の放射性物質が検出されなかったという意味で、生産者や流通業者、消費者の間で、流通上の許容量のデファクトスタンダード(事実上の基準)として結果的に合意した値である。現在の風評被害は、このNDの状態であっても生じる経済被害のことだといえる。さらに、社会状況や消費者の心理状況も大きく変化している。福島第1原発は廃炉の見通しが立っていないものの、避難指示区域は縮小してきている。筆者らが実施したアンケート調査の結果を比べると、福島県産の購入を拒否する人の割合は減ってきており、とくに福島県内で消費者の意識の変化が大きく、拒否する人の割合は12%にまで減った(図参照)。放射性物質に関して不安が薄らいだ理由としては、「基準値を超えた品目は出荷制限がなされている」「放射性物質が検出されなくなってきている」など、検査体制の充実による信頼感が生まれてきたことが大きいと考えられる。筆者らのこれまでのアンケート調査でも繰り返しこれらの結果が得られている。福島の風評被害の焦点は現在、人々の不安や心理の問題から、流通の問題へと変化している。流通業者や農業関係者の中に、いまだ「福島県産の農産物に多くの消費者が不安を抱いている」と思い込んでいる人も多い。社会心理学で言う、周囲の意見を正確に認識できない「意見分布の無知」という現象である。人々への影響力の大きいソーシャルメディアでも、ユーザーが見たい情報を選択的にみる「フィルターバブル」と称される現象が起きている。一般の関心は低下しているものの、ネット上では強い関心を持つ人が多くの意見を書き込むため、「放射能の問題の有無について、いまだに論争が続いている」という印象を持つ人も少なくない。さらに福島県産の農産物の安全性は確認されてきているにもかかわらず、(1)流通が長期間滞ったことで他産地の商品に置き換わり、販路が途絶えた(2)安全なことが分かっているうえ、安価でおいしいので業務用とされることが多い(3)震災後の混乱を経験した仲卸や小売店が福島県産の回復に消極的――といった問題がある。これらが総じて現在の風評被害の最も大きな課題であるといえよう。福島の風評被害の問題はすでに次のステージに入っている。放射能などに関する「科学」的な理解の問題や、リスクに関する情報を社会で共有する「リスクコミュニケーション」の問題でもなければ、行政に対する不信感の問題でもない。「事実」がきちんと周知されていないというPRの問題である。筆者らの統計的な分析でも、購買行動に大きく影響を与えるのは「検査結果」や「検査体制」である。「福島県内では米に関して全量全袋検査が行われている」ことの周知率は、福島県内では79.0%に達しているのに対し、県外は40.8%にすぎない。「食品への含有放射性物質の検査でもほとんどがNDである」ことの周知率は県内では50.3%にもなるが、県外では17.3%しかない。図で紹介したように、福島県産の食品の購入状況が県内と県外で異なっているのは、全量全袋検査やスクリーニングなどの検査体制や、ほとんどがNDという検査結果について、事実の周知に差があるためと考えられる。福島県外では汚染対策などへの関心の低下により周知度が低く、食品に対する不安感の低減が遅れているとみられる。検査体制や結果について事実が周知されなければ、これ以上の消費の回復は望めない。現在の福島県の農林水産物についての情報発信は、検査結果に関する広報が十分ではない段階にもかかわらず、「おいしさ」をアピールするブランド戦略や広告が中心となっている。だが産地間競争が増すなかで、他地域も栽培技術の開発やマーケティングに熱心に取り組んでおり、おいしさのアピールだけでは風評被害の払拭は望めない。そしりを恐れずにいえば、現代社会では消費の選択の自由がある。福島県産を心情的に拒否する人がいても、それはやむを得ない。だが、少なくとも今の福島県の検査体制や検査結果の事実を知った上で、福島県産を拒否する合理的な根拠はすでにないことは理解される必要がある。福島第1原発事故の事例に限らず、「風評被害」という社会問題は単に消費者の不安感だけが原因なのではない。メディアの報道姿勢、人々の安全認識、安全基準の設定、市場流通、産地間競争、復興時の情報発信などが複雑に絡み合った問題である。多義的であり、時間の経過と共に変化するといえる。それゆえに風評被害は単なるリスクコミュニケーションや広告だけで解決できるものではない。課題から目を背けず、社会問題としての風評被害の事実を正確に把握し、事実をきちんと知ることが解決策につながるのである。

*4-5:http://blog.goo.ne.jp/kimito39/e/24433de21832131caeb66f361abde4fa 木村結、東電株主代表訴訟事務局長
「女性自身 2017年4月4日号」(光文社)引用記事
 昨年9月、市民の反対と福島の不安に応えず、東京電力(以下、東電)は福島第一原子力発電所1号機の建屋カバーを外した。東電は放射性物質には飛散防止剤を使うので心配はないと説明していた。しかし、「女性自身」編集部が原子力規制庁のデータを検証したところ、福島県双葉郡では2017年1月の放射性セシウム134が770ベクレル/立方メートル、137が4700で合算5470ベクレル/立方メートル。カバーを外す前の2016年9月と比べると約65倍に急増していた。東京都新宿区では約4.5倍、神奈川県茅ヶ崎市では約9倍、群馬県前橋市では約13倍、千葉県市川市で約5倍となった。これは東電の怠慢であると同時に国民の安全を守らなければならない国の怠慢であり、全国各地で定点観測している規制庁は数値を知りながら警告せず放置していたことになる。1986年に福島原発と同じくレベル7の事故を起こしたチェルノブイリ原発は30年経って石棺にヒビが入り放射能漏れを起こしたため、ドーム型の覆いを施したが、これは100年持つという。チェルノブイリではデブリ(=原子炉から解け落ちて鉄や金属とともに固まった核燃料。非常に高い放射線量を持つ)を取り出すことはまだ不可能と考えているということ。ところが日本は再稼働をしたいばかりに事故を起こした原発から無理にデブリを取り出し、何が何でも廃炉が可能と言いたいようだ。それは取りも直さず作業員に多大なる被ばくを強い、無理やり帰還させた福島の住民をも被ばくさせるだけでなく、全国民も知らないうちに被ばくさせられているということ。このような原発推進ありきの政治を一刻も早く終わりにしないと日本は世界の核のゴミ捨て場になってしまう。 
-----(引用ここまで)--------
 政府・原子力ムラはこの記事の否定に躍起ですが、1号機に限らずガレキ撤去のたびに周辺の線量が跳ね上がることは以前から観測されており、何の不思議もありません。しかも溶融燃料が格納容器の底を突き抜けて地下に沈下しており、地下水と接触して大量の放射性蒸気も噴き上げています。今さら騒ぐこともない当たり前の事実です。口汚く「女性自身」を罵っている連中は、何一つ科学的なデータや根拠を示すことはしません。チェルノブイリ原発からの放射性物質の飛散を防ぐために、旧ソ連は国家の威信をかけて石棺を突貫工事で完成させました。30年を経て石棺の老朽化により再び飛散の危険があるため、さらに2千億円もかけてこのたびそれを覆うシェルターを完成させたのです。石棺も何もない青天井の福島第一原発(1F)からは放射性物質は飛散し放題です。風が吹けば大量の放射性微粒子が舞うのです。こんな当たり前のことをデマだと騒いで否定する連中は頭がおかしいとしか言いようがありません。今月1Fを見学したNYタイムズの記者たちが防護服・マスクをしていたのも、きちんとした理由があるのです。被ばくをしたくなければ、1Fから放射性物質が飛んでこない地域に避難移住するしかありません。「女性自身」には、誹謗中傷にめげず今後もぜひ真実を伝え続けてほしいと思います。読んで応援しましょう。

<人材派遣会社>
PS(2017年8月12日追加):全農の人材派遣子会社が、*5のように、リレー方式で農繁期の地域を渡り歩いたり、加工に携わったりする人を雇用して派遣すれば、働く人にとっては、①正規社員になれば生活が安定する ②多様な農業を体験できる ③定年後の高齢者・外国人などの雇用の受け皿が増える などのメリットがあり、派遣を受ける農家や加工会社にとっては、④繁忙期のみ人を増やすことができる というメリットがある。
 そして、①は被用者にとってプラスであり、②は農業に従事し始めたばかりの人や外国人にとってよい経験となり、③は雇用が増える効果がある。また、私は、この時の賃金の支払い方は、時間給だけでなく成果給を入れるのが効率を上げるポイントだと考える。何故なら、1時間あたりのみで賃金を決めるのではなく、収穫一箱あたりでも賃金を決めると、能率の良い人ほど短時間で多く稼ぐことができるため能率を上げる動機付けができ、賃金の決め方によっては双方にとってプラスになるからである。

*5:https://www.agrinews.co.jp/p40280.html (日本農業新聞 2017年3月3日)北海道-愛媛-沖縄で農作業 3JAがリレー方式 アルバイト周年確保 即戦力、人材情報を共有
 愛媛県のJAにしうわと沖縄県のJAおきなわ、北海道のJAふらのは、農繁期の労働力確保へ、アルバイトをリレー方式でつなぐ事業に乗り出した。農繁期がずれる3JAを、アルバイトが1年間渡り歩くイメージで、一定の農作業経験を積んだ即戦力として期待できる。2016年度は各JAが連携先のJAで人材募集をかけた。17年度からは他JAの加入も検討する。産地維持にアルバイトは必須なだけに、人材情報を共有するなど連携を強化し、人材確保につなげる。各JAがアルバイトに聞き取り調査などをしたところ、提携するJAでも農作業をしている事例が多く、リレー方式による連携を決めた。アルバイトの1年間の流れはこうだ。11月10日から12月20日ごろまでJAにしうわでミカンの収穫や選果場での選別作業をする。その後、JAおきなわで12月中旬から翌年3月までサトウキビの収穫や製糖作業に従事。JAふらので4~10月までメロンの品質管理やミニトマト、スイカの定植と管理、収穫を担う。各JAでは年々、アルバイト不足が深刻化している。JAおきなわは15年度、必要な約250人が集まらず一般の派遣会社を利用した。派遣会社を通じた場合は紹介料などもあり、直接募集するアルバイトより2割以上高いという。同JAは「1人でも多くリピーターを増やしたい」と連携による人材確保に期待する。JAふらのは年々、必要な採用人数に達する時期が遅くなっている。これまで4月末までに120人を確保できたが、近年は5月下旬にずれ込む。同JAの子会社で農作業支援サービスを展開するアグリプランによると、今年は2月末までで15、16人の採用しか決まっていない。「前年は同時期に約20人が決まり、状況は悪化している」と嘆く。JAにしうわ管内のアルバイトの採用人数は年々増えている。16年度は前年を2割近く上回る212人を農家が雇用した。「将来的に労働力の確保の要望は高まる」とみる。連携により、農作業経験がある優良なアルバイトの確保につなげる。新規の場合は作業効率が悪いことや働く姿勢に個人差があるため、事前にJA間で情報を共有し、有望な人材を確保する。アグリプランは「農業は他のバイトに比べ、雇用主と向かい合ってやりとりをする機会が多い。事前に参加者の個性を知ることは重要」と強調する。今後は連携JAの拡大も検討する。JAにしうわは「アルバイトにとっても選択肢が増えれば、さまざまな働き方ができるようになる」と強調する。

<脱原発・脱化石燃料と農林漁業の貢献>
PS(2017年8月13日追加):地球温暖化対策の推進に関する法律(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H10/H10HO117.html)の第21条1項には「都道府県・市町村は、温室効果ガスの排出量削減や吸収作用の保全・強化のため措置計画を策定する」と定められており、3項には「その区域の自然的社会的条件に応じて温室効果ガスの排出の抑制等を行うための施策(太陽光、風力その他の再生可能エネルギーの利用、都市機能集約、公共交通機関利用者の利便増進など)を行う」等々が定められている。また、農山漁村の活性化と再生可能エネルギーによる発電推進を目的として、「農山漁村再生可能エネルギー法(http://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/pdf/re_ene1.pdf)」も制定されているため、農山漁村で発電して市町村の上下水道に併設した送電線で電力を集め、鉄道の敷地に(超電導)電線を敷設して大量消費地に送るシステムにすると、*6の脱原発・脱化石燃料と電線の地中化が比較的安価に実現できる。
 これにより、外国に支払う燃料費が不要になるとともに、農林漁業に再生可能エネルギー発電機器を補助して所得を下支えすることにより、農林水産物への永遠の補助金を削減することが可能になり、送電した組織には送電料収入が入る。こうなると、2014年の日本の原油輸入額13.9兆円(GDP比2.9%)のうちの燃料の割合が92%の12.9兆円であるため、この外国への支払いが次第になくなって国内で廻るようになり、こういう構造改革をしていくと消費税増税や子ども保険の徴収を行わなくても必要な社会保障ができるようになる。そして、これまでこういう改革ができなかったのは縦割りの別省庁の管轄だったからで、これこそ政治主導でやるべきなのだ。
 なお、日本もEV化を進めるために、東京オリンピックを期限として東京都が東京23区内へのEVや燃料電池車以外の乗り入れを禁止すれば、瞬く間にあらゆる車種の環境車への変換が進み、空港や道路で排気ガスに燻されることがなくなり、世界に驚きを与えるだろう。また、東京だけでなく、奈良・京都・大阪・札幌・福岡やその他の観光地もそうすればよいと考える。

*6:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13084985.html (朝日新聞社説 2017年8月13日) エネルギー基本計画 「脱原発」土台に再構築を
 電気や熱などのエネルギーをどう使い、まかなっていくか。その大枠を示す国のエネルギー基本計画について、経済産業省が見直し論議を始めた。世耕弘成経産相は「基本的に骨格は変えない」と語った。しかし、小幅な手直しで済む状況ではない。今の計画は、国民の多くが再稼働に反対する原発を基幹電源とするなど、疑問が多い。世界に目を向けると、先進国を中心とした原子力離れに加え、地球温暖化対策のパリ協定発効に伴う脱石炭火力の動き、風力・太陽光など再生可能エネルギーの急速な普及といった変化の大きな波が起きている。日本でも将来像を描き直す必要がある。まず土台に据えるべきは脱原発だ。温暖化防止との両立はたやすくはないが、省エネ・再エネの進化でハードルは下がってきた。経済性や安定供給にも目配りしながら、道筋を探らなくてはならない。
■偽りの「原発低減」
 14年に閣議決定された今の計画にはまやかしがある。福島第一原発の事故を受けて、「原発依存度を可能な限り低減する」との表現を盛り込んだが、一方で原発を「重要なベースロード電源」と位置づけた。新規制基準に沿って再稼働を進める方針も明記し、実際に各地で再稼働が進んでいる。計画をもとに経産省が15年にまとめたエネルギー需給見通しは、原発回帰の姿勢がさらに鮮明だ。30年度に発電量の2割を原発でまかなうと想定する。30基ほどが動く計算で、再稼働だけでなく古い原発の運転延長か建て替えも多く必要になる。だが、原発政策に中立的な専門家からも「現実からかけ離れている」と批判が出ている。事故後、原発に懐疑的な世論や安全対策のコスト増など、内外で逆風が強まっているからだ。原発から出る「核のごみ」の処分も依然、日本を含め大半の国で解決のめどが立たない。先進国を中心に原発の全廃や大幅削減をめざす動きが広がっている。次の基本計画では、原発を基幹電源とするのをやめるべきだ。「依存度低減」を空証文にせず、優先課題に据える。そして、どんな取り組みが必要かを検討し、行程を具体的に示さねばならない。
■温暖化防止と両立を
 脱原発と温暖化対策を同時に進めるには、省エネを徹底し、再エネを大幅に増やすことが解になる。コストの高さなどが課題とされてきたが、最近は可能性が開けつつある。省エネでは、経済成長を追求しつつエネルギー消費を抑えるのが先進国の主流だ。ITを使った機器の効率的な制御や電力の需要調整など、技術革新が起きている。かつて石油危機を克服した時のように、政策支援と規制で民間の対応を強く促す必要がある。再エネについては、現計画も「導入を最大限加速」とうたう。ここ数年で太陽光は急増したが、風力は伸び悩む。発電量に占める再エネの割合は1割台半ばで、欧州諸国に水をあけられている。本格的な普及には障害の解消が急務だ。たとえば、送電線の容量に余裕がない地域でも、再エネで作った電気をもっと流せるように、設備の運用改善や、必要な増強投資を促す費用負担ルールが求められる。世界では風力や太陽光は発電コストが大きく下がり、火力や原子力と対等に競争できる地域が広がっている。日本はまだ割高で、設置から運用まで効率化に知恵を絞らねばならない。再エネは発電費用を電気料金に上乗せする制度によって普及してきたが、今後は国民負担を抑える仕組みづくりも大切になる。一方、福島の事故後に止まった原発の代役として急増した火力発電は、再エネ拡大に合わせて着実に減らしていくべきだ。現計画は、低コストの石炭火力を原発と並ぶ基幹電源と位置づけ、民間の新設計画も目白押しだ。しかし、二酸化炭素の排出が特に多いため、海外では依存度を下げる動きが急だ。火力では環境性に優れる天然ガスを優先する必要がある。
■世界の潮流見誤るな
 今回の計画見直しでは、議論の進め方にも問題がある。経産省は審議会に加え、長期戦略を話し合う有識者会議を設ける。二つの会議の顔ぶれは、今の政策を支持する識者や企業幹部らが並び、脱原発や再エネの徹底を唱える人は一握りだ。これで実のある議論になるだろうか。海外の動向や技術、経済性に詳しい専門家を交え、幅広い観点での検討が欠かせない。資源に乏しい日本では、エネルギーの安定供給を重視してきた。その視点は必要だが、原発を軸に政策を組み立てる硬直的な姿勢につながった面がある。世界の電力投資先は、すでに火力や原子力から再エネに主役が交代した。国際的な潮流に背を向けず、エネルギー政策の転換を急がなくてはならない。

<国政の方針と教育財源>
PS(2017年8月18、20日追加):*7-1のように、福島第一原発の廃炉のため国は既に1000億円超の税金を投入し、電力ばかり食って効果の上がらない汚染水対策や調査ロボットの開発費に使ったそうで、経産省が原発事故処理にまでたかって予算を獲得していることがわかる。さらに、東芝の失敗を見てもなお、*7-2のように、日立の英国子会社はスペインのテクナトム社と提携して原発新設に携わる作業員の育成や原発の運営・保守に繋げるそうで、*7-3のように、米政府代表でさえ「パリ協定」の完全履行を求める内容を含む閣僚宣言を採択したにもかかわらず、日本の経産省幹部は、①石炭火力発電所の新増設 ②国外での削減貢献分の算入 ③目標を引き下げるか原発を新設するかの選択 などを主張しているのだ。
 しかし、私は、②については、環境省の「国内の努力だけで達成すべき」というのが正しく、①③ではなく、環境に配慮した製品への代替こそが経済成長のKeyになると考える。そのため、韓国でも、*7-4のように、現代自動車が、1回の水素充填で580キロメートル走る新型FCVを2018年に韓国と欧米市場に投入し、1回のフル充電で390キロメートル走るEVも発売する予定とのことであり、この調子では、太陽光発電は中国製か台湾製、EVやFCVは中国製か韓国製が優れたブランドになり、日本は国が大きな補助をして実質マイナス価格で原発か石炭火力発電機器を売るしかなくなりそうだ。
 さらに、上のような莫大な無駄遣いを放置しつつ、*7-5のように、高等教育の無償化や福祉については、必ず財源問題が主張される。そして、政府は有力な2案(①全国民を対象に在学中は授業料を取らず、卒業後に所得に応じて拠出金の形で納付する案 ②一定の所得制限をした上で給付型奨学金を拡張する案)に絞って検討を進める方針だそうだが、教育・福祉の財源は、国内にある自然再生エネルギーで発電すれば容易に出てくるため、国立・公立大学の授業料は(無料である必要はない)せいぜい月額1万円を上限とし、奨学金は親の所得とは関係なく必要とする学生には支払うべきである。また、そうすることによって、補助金にぶら下がった仕事をするのではなく、報酬以上の付加価値を自らつけられる教育をすべきだ。
 なお、*7-6のように、日経新聞は社説で「①全員入学に近づいて大半の大学が学力による学生の選抜機能を失っている」「②このまま門戸を広げれば大学の質が低下する」「③必要なのは量的拡大より国際競争力の強化と規模の適正化だ」「④そのため外部評価に応じた資金配分が必要だ」としている。私は、大学まで無償化する必要はないと思うが、大学を卒業することにより社会貢献が多くなる学生に少ない費用で教育したり、奨学金を出したりするのは理にかなっていると考える。その際、大学の立場から見れば、①②は、選抜して間口を狭くしさえすれば質が上がるわけではなく、教育のゆとり化やスポーツ重視で高校までに得ている知識が少なく思考力が弱くなっている生徒をいくら選抜しても限界があり、少なくとも高校までの内容を身に着けていなければ大学の授業についていけない。そのため、大学はじめ試験者は、選抜者の顔色や空気を読んで相手が気に入る答えをする能力だけが鍛えられる推薦を廃止し、知識や思考力を測る試験に変えるべきだと考える。また、③の国際化が必要なのは、実は国際競争をしている第一線の人材だけで、職業によっては国際競争は少ないが専門教育を受けることが必要なものもある。そのため、望む人が大学に行けるようになったのはよいことで、今後は、知識を更新したい社会人の再教育や医療・看護・介護、工学、農学などの外国人への門戸拡大が必要だ。そして、日本の大学が勉学に困難を極める開発途上国の若者を受け入れるようになれば、結果は日本にも戻ってくる。④については、外部評価の公正性を担保した上でなら評価に応じた資金配分に異存はないが、日本人は(教育のせいか)将来を見据えた公正な評価ができないのが問題なのである。


  2017.8.18日経新聞     2011.11.13東京新聞      凍土遮水壁
      
*7-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201708/CK2017081402000112.html (東京新聞 2017年8月14日) 【社会】福島第一 廃炉に税金1000億円超 7月まで本紙集計
 東京電力福島第一原発事故の廃炉作業で、国が直接、税金を投入した額が一千億円を超えたことが、本紙の集計で分かった。汚染水対策や調査ロボットの開発費などに使われている。今後も溶け落ちた核燃料の取り出し工法の開発費などが必要になり、金額がさらに大きく膨らむのは必至だ。廃炉費用は東電が負担するのが原則だが、経済産業省資源エネルギー庁によると「技術的に難易度が高い」ことを基準に、税金を投入する事業を選定しているという。担当者は「福島の早い復興のため、国が対策を立てることが必要」と話す。本紙は、エネ庁が公表している廃炉作業に関する入札や補助金などの書類を分析した。廃炉作業への税金投入は二〇一二年度からスタート。今年七月までに支出が確定した業務は百十六件で、金額は発注ベースで計約千百七十二億六千万円に上った。事業別では、建屋周辺の地下を凍らせ、汚染水の増加を防ぐ凍土遮水壁が、設計などを含め約三百五十七億八千万円。全体の三割を占め、大手ゼネコンの鹿島と東電が受注した。ロボット開発など、1~3号機の原子炉格納容器内の調査費は約八十八億四千万円だった。福島第一の原子炉を製造した東芝と日立GEニュークリア・エナジーのほか、三菱重工業と国際廃炉研究開発機構(IRID)が受注した。受注額が最も多いのは、IRIDの約五百十五億九千万円。IRIDは東芝などの原子炉メーカーや電力会社などで構成する。国は、原発事故の処理費用を二十一兆五千億円と試算。このうち、原則東電負担となる廃炉費用は八兆円とされている。除染で出た汚染土を三十年間保管する中間貯蔵施設は国の負担だが、賠償費用は主に東電や電力会社、除染費用も東電の負担が原則だ。

*7-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170720&ng=DGKKASDZ19IOJ_Q7A720C1EAF000 (日経新聞 2017.7.20) 日立の英子会社が提携 スペイン原発関連と
 日立製作所は英国の原子力発電事業開発子会社ホライズン・ニュークリア・パワーがスペインの原発関連エンジニアリング会社であるテクナトム社と提携したと発表した。英国中部のアングルシー島で進める原発新設に携わる作業員を育成し、確実な原発の運営・保守につなげる。

*7-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170818&ng=DGKKZO20106770X10C17A8EE8000  (日経新聞 2017.8.18) 経済:エネルギー再考 論点を探る(下)50年目標、具体化か素通りか 温暖化対策、省庁間で溝
 7月半ば、ニューヨークでの「持続可能な開発目標(SDGs)」閣僚級会合。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の完全履行を求める内容を含む閣僚宣言を採択した直後、米政府代表は言い放った。「米国は協定に関する部分とはかかわりを持たない」
●米抜きでも歩み
 ほぼすべての国が参加するパリ協定。温暖化ガスの2割弱を排出する米国の離脱表明が衝撃だったのは確かだが、欧州連合(EU)や中国など主要国が歩みを止める兆しはない。7月、独ハンブルクでの20カ国・地域(G20)首脳会議で、米を除く各国は「パリ協定は撤回できない」と宣言。仏英は2040年からガソリン・ディーゼル車の販売を禁止し電気自動車などを優遇すると発表した。再生可能エネルギーの普及を急ぐドイツやカナダを含め、各国の念頭には「産業革命前からの気温上昇を2度未満にする」との協定に盛られた目標がある。カギになるのが50年をメドとする長期の削減戦略。仏独などは基本対策とともに国連に提出済みだ。各国は対応が経済成長につながるとみる。経済協力開発機構(OECD)によると、G20が温暖化防止に取り組めば50年時点で成長を約5%押し上げる。30年までに年平均6兆9000億ドルの投資が必要になる。
●石炭火力やり玉
 一方の日本。50年に80%減という長期計画を閣議決定したが、国連に出せていない。政府内調整が難しいためで、特に温暖化対策を推進する経済産業、環境両省の足並みがそろわない。「どんどん設置されれば二酸化炭素(CO2)の削減はできない」。中川雅治環境相は約40ある石炭火力発電所の新増設計画をやり玉にあげる。中部電力の計画に待ったをかけるなど影響が出ているが、経済産業省は「電力安定供給に石炭火力は必要」との立場だ。80%減を巡り、環境省は国内の努力だけで達成すべきだと訴えるが、経産省は国外での削減貢献分も算入するよう主張。対策を示す報告書も別々にまとめた。地球環境産業技術研究機構(RITE)の分析によると、国内だけで80%減を実現するには電源構成の4割以上が原子力になる。1割強はガス発電だが、排出されるCO2を回収する装置をつける。残りは再生可能エネルギーだ。このシナリオではCO2を1トン減らすのに60万円以上かかり、原発の新設も必要になる。経産省は30日、50年を見据えた有識者会議の初会合を開く。経産省幹部は「目標を引き下げるか原発を新設するかの選択になるかもしれない」と言う。将来像を詰めて具体化するか素通りするか。温暖化対策への本気度も問われる。

*7-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170818&ng=DGKKASDX17H0I_X10C17A8FFE000 (日経新聞 2017.8.18) 現代自が新型燃料電池車 航続距離39%増 欧米でも来年投入
 韓国の現代自動車は17日、新型の燃料電池車(FCV)を公開した。2018年の第1四半期(1~3月)に韓国で発売するのを皮切りに、欧米市場などにも投入する。現行モデルと同じ多目的スポーツ車(SUV)型で、航続距離は現行比39%延びるという。18年に航続距離を2倍にした電気自動車(EV)を発売することも公表した。現代自にとって2代目になるFCVは、水素と酸素を化学反応させて電気をつくる燃料電池スタックや水素供給装置などの中核部品を全面的に見直した。化学反応から推力を得るシステムの効率を60%と現行比約5ポイント上げ、1回の水素充填で走る距離を580キロメートルに延ばす。モーターの出力は163馬力でトヨタ自動車のFCV「ミライ」(154馬力)を若干上回る。欧米とオーストラリアで「18年後半の発売を見込み、中国販売も検討する」(現代自幹部)とする。FCV市場で先行するトヨタなどを追撃する。ハイブリッド車(HV)などを含む環境対応車を20年までに現在の14車種から31車種に増やす方針も明らかにした。EVは1回のフル充電で390キロメートル走るSUV型を来年前半に出す。また、現代自は航続距離が500キロメートルのEV開発に着手したことも明かした。

*7-5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13091724.html?_requesturl=articles/DA3S13091724.html&rm=150 (朝日新聞 2017年8月18日) 高等教育無償化2案 卒業後に拠出金納付・給付型奨学金を拡張
 安倍政権が掲げる大学などの無償化について、政府は、有力な2案に絞って検討を進める方針を固めた。全国民を対象に在学中は授業料を取らず、卒業後に所得に応じて拠出金の形で納付する案と、一定の所得制限をした上で給付型奨学金を拡張する案の二つ。ただいずれの案でも、数兆円規模で必要ともされる財源の確保策には現時点では踏み込んでおらず、検討が難航する可能性も残る。意欲があれば大学や専修学校に進学できるようにし、高等教育への機会均等の確保を図るのがねらい。政権の目玉政策「人づくり革命」を具体化するため、9月に初会合を予定する「人生100年時代構想会議」で大学改革と合わせて議論を開始。関係法案をまとめ、2020年4月からの新制度の施行を目指す。第1案は、オーストラリアの高等教育拠出金制度「HECS(ヘックス)」を参考にする。在学中の授業料などを全額、公費で負担する代わりに、卒業してから所得に応じて拠出金を納めてもらう。「高等教育費は保護者が負担する」という原則を「社会が共同で支える」考え方に転換するものだ。拠出金は、卒業者がその時点の所得に応じて社会に貢献してもらうという位置づけだが、拠出金のあり方や額などによっては、奨学金の貸与を受けて返済するのと変わらなくなる可能性もあり、慎重な制度設計が不可欠になる。第2案の「給付型奨学金の拡張」は今年度、先行実施された給付型奨学金制度がもとになる。この制度では最終的に、年6万人程度が返済不要の奨学金を受ける見込み。日本学生支援機構が貸与し、返済義務がある奨学生(15年度で約132万人)に比べてまだまだ少ないため、拡張を検討する。しかし、所得制限をかけることで、高等教育をすべての国民に等しく開かれたものにするという考え方からは離れることになる。財源をどうするかも課題だ。新たな借金(国債)で賄うことになれば、将来世代に負担を先送りすることになりかねず、構想会議や政府部内でも激しい議論を招きそうだ。
■高等教育無償化の二つの案
◇日本版HECS(高等教育拠出金制度)
 【対象】 全国民
 【在学中】授業料は無償
 【卒業後】所得に応じて拠出金を納付
◇給付型奨学金の拡張
 【対象】 一部(所得制限あり)
 【在学中】現行制度では、授業料は減免制度で対応
 【卒業後】返還の必要なし

*7-6:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170820&ng=DGKKZO20171740Z10C17A8EA1000 (日経新聞社説 2017.8.20) 
 政府は高等教育の無償化の検討を始めた。だが、私立大学の約40%が定員割れし、大半の大学が学力による学生の選抜機能を失っている。現状のまま無償化で門戸を広げれば、大学の一層の質の低下は避けられない。必要なのは、量的拡大よりも国際競争力の強化だ。人材育成や研究の中核を担う「公共財」としての価値をいかに高めるのか。長期的な視野に立ち、抜本的な大学改革に乗り出す時だ。
●規模適正化が課題に
 まず、検討すべきは大学の規模の適正化だ。バブル経済崩壊後の低成長、少子化時代に、大学はその数、入学定員を増やし続けた。その結果、志願者の90%超が進学する「全入」に近づいた。水ぶくれした大学が限られた予算を奪い合い、国全体としての教育・研究の投資効率を低下させてはいないか。18歳人口のピークは1992年度の205万人。直近は120万人で、2040年には88万人と予測される。現在の大学数は780。92年に比べ18歳人口は約40%減ったが、大学数は約50%、入学定員も約25%それぞれ増加した。今の大学進学率、入学定員が維持されると仮定すると、20年後には十数万人規模の供給過剰になる。入学定員1000人の大学が100校以上不要となる計算だ。1980年代に18歳人口が減少した米国では、大学が入学者数を抑制し、選抜機能を維持した。新入生の減少で大学は授業料を引き上げたが、連邦政府は貸与奨学金と寄付制度の拡充という支援策を講じた。少子化が進む韓国では現在、大学を5段階にランク分けし、評価下位大学に定員削減を求める荒療治を始めた。日本でもようやく規模適正化の議論が始まった。少子化による教員採用減が確実な国立大の教員養成大学・学部に対し、文部科学省の有識者会議は定員削減や他大学との機能集約・統合を求める報告書案を示した。妥当な判断だ。20年後には日本の労働人口の約49%が人工知能やロボットなどにより代替可能という民間調査がある。産業別就業者の推計なども参考に今後は、国公私立の設置形態の別を問わず、入学定員の総枠の削減を視野に、時代に適合した学部の重点化を図るべきだ。政府は東京23区内の私立大の定員増を今後認めない方針を決めた。若者の東京一極集中を是正する目的だが「木を見て森を見ず」の感が否めない。問題はむしろ学生の選抜機能を失い教育の質の低下が懸念される地方の小規模大学だ。大学間の単位互換や校地の共有化など、地域教育の中核となるような統合・再編が望まれる。大学の数や入学定員が急増したのは、「事前規制から事後チェックへ」という政府の規制緩和策が大学設置基準にも及び、一定の要件を満たせば新規開設が認められるようになったからだ。規制緩和の本質は、新規参入を促す一方、質の低いサービスは市場から淘汰される仕組みにある。しかし、大学の経営や教育水準をチェックするため2004年度に文科省が導入した「認証評価制度」がうまく機能していない。
●評価に応じ傾斜配分を
 大学基準協会などの機関が評価結果を公表しているが、社会的にほとんど認知されていない。財務省の財政制度等審議会は、主に規模や定員の充足率に応じ交付する私立大の補助金を評価結果に連動させ傾斜配分すべきだと提言。学術論文の数や学生の就職実績なども勘案すべきだと指摘する。どんな評価指標が妥当かは議論の余地があるが、公費の使途や効果の「見える化」は国民的な要請だ。評価機能の拡充も課題だ。その点、気になる動きがある。評価機関によって経営や教育が「不適格」とされた地方の私立大が公立大に衣替えするなど、定員割れの私大を地方交付税で救済する事例が相次いでいる。納税者の観点からは、違和感がある。日本の大学の国際的評価が総じて低調なのは、密度の低い教育を量的に拡大してきたからだ。高等教育無償化の前提は、各大学が入学金や授業料が公費で充当されるにふさわしい公的価値を持つことを、社会に証明することにある。国はまず、定員を戦略的に削減し教育の質を高める大学を支援するなど規模適正化と、外部評価に応じた資金配分に着手すべきだ。

<21世紀の農林漁業へ>
PS(2017年8月21、22、24、26日追加):現在の森林環境税は、都道府県が森林整備の目的で徴収する法定外目的税だ。しかし、この仕組では森林面積が広くて人口の少ない地域が二酸化炭素吸収源で水源である森林を整備することになるため、*8-1のように、国が森林環境税を新設しようとしているのは実現すべきだ。問題はどう配分するかで、私は、森林・田園・緑地帯・藻場などの面積に比例して都道府県・市町村の役割に応じて両方に交付すればよく、そのためには都道府県・市町村の役割分担を明確にする必要があると考える。そうすれば、森林・田園・緑地帯・藻場などを護ることが、直接的な地域の収入にもなる。
 なお、農業は、*8-2のように、熊本県山鹿市が民間企業と協力して最適な温度と湿度を保った無菌室で蚕を飼育し、桑の葉を人工飼料に加工することによって年24回の繭の生産を可能にして養蚕業の再興に乗り出し、「山鹿シルク」のブランドを確立させて世界のシルク産業の拠点にするそうだ。そのシルクの使用目的は、製糸、医療・医薬品、化粧品開発などだが、日本の技術の粋を尽くしたシルクのブランドイメージを作るためには、「山鹿シルク」よりも「日本シルク」「九州シルク」のようなもっと大きなブランド名の方がよいと考える。
 また、*8-3のように、鹿児島県十島村では、輸入品の多い神棚のサカキを栽培する新しい組合が生まれたり、島の特性や気候を活かして野生のヤギを出荷したり、バナナの栽培が始まったりしている。さらに、*8-4のように、佐賀県伊万里市南波多町にブドウや梨の収穫体験ができる観光農園が開園したそうだが、現代の最大の贅沢は自分で選んだ採れたての野菜や果実でジャムを作ったり料理を作ったりすることで、それが贅沢である理由は、大都会ではそれができにくいからだ。
 菓子とガムを生産していた「九州グリコ」が、*8-5のように解散し、従業員のうち非正規社員211人が雇用契約を更新されず、跡地の活用も未定だそうだ。跡地(佐賀市鍋島町大字蛎久、3万1520平方メートル)は神野公園の前にあるため、工場よりも付加価値の高い使い方ができるが、私は残った人で土地価格の安い場所に引っ越し、残った機械や技術を活用して、ケーキと洋菓子のメーカーをすればよいと考える。何故なら、この頃、馬鹿の一つ覚えのように生クリームのケーキしかなく、私はアマゾンを通して広島のケーキ屋さんからバタークリームのケーキを購入しているくらいで、ケーキも冷凍して運べば遠くからでも運ぶことができ、解凍すればできたてのようになるからだ。その際、戦後の「菓子でさえあればよい」という発想は捨て、フランスの一流パティシエを招いて作るのがよいだろう。そのケーキ・洋菓子の材料は、小麦粉・米粉・牛乳・果物・野菜など佐賀県に豊富にあり、6次産業化しての輸出も可能である。
 なお、最近は、*8-6のように、惣菜が売れている。その理由は、1~2人暮らしの家族では、いろいろな材料を買って手作りするよりも、できあがった中食を買う方が安くつき手間も省けるからだが、「九州グリコ」の元従業員のように、衛生的に食品を作ることに慣れている人は、そちらへの転用も可能だろう。しかし、この際も、惣菜だから味・栄養価・品質が一段落ちたり高くついたりしてもよいというわけではなく、手作り以上の味・栄養価・品質を出して合理的な価格で売るのが、継続的にヒットするコツである。
 また、*8-7のように、西日本新聞が「パスタ・菓子 本場の味に対抗できるか」という記事を書いているが、私は「ゆで時間が短い」「束になっている」などの理由で、国産スパゲティを買うことが多いため、国産も十分に太刀打ちできると考える。さらに、カルシウム・鉄・ビタミンなどを配合して付加価値を増し、調理を簡単にするための美味しいトマトピューレや冷凍海産物があると、売り上げがさらに上がると思われる。


 これからの課題 福岡県の森林環境税に関する説明   熊本県山鹿市のシルク  
                           2017.8.16佐賀新聞

(図の説明:2050年の世界人口は95億人となり、今のまま構造改革をしなければ、食料・水・エネルギー・資源が不足する事態となる。そのため、我が国も持続可能な社会を意識して、食料・エネルギーの自給率を上げておくことが必要だ。さらに、持続可能にするためには、国内の自然を壊さず、公害を出さずに、国内資源を十分に活用できるようにしておく必要があるため、環境税の徴収による環境維持は重要である。さらに、農林漁業に生物学・生態学の最先端の知識を導入して、担い手が誇りを持ち、豊かな生活ができる産業にしなければならない)

*8-1:http://qbiz.jp/article/116766/1/ (西日本新聞 2017年8月20日) 森林環境税、都道府県にも税収を 知事会「整備に関与不可欠」主張
 市町村の森林整備費を賄うため政府、与党が新設を検討している「森林環境税」について、全国知事会が「森林整備は都道府県の関与が不可欠」として、税収の一部を配分するよう働き掛けを強めている。ただ都道府県に配れば、取り分が減る市町村からは反発も予想される。年末の税制改正大綱の取りまとめに向け、議論が過熱しそうだ。森林環境税は、所有者が分からない森林の増加や林業の担い手不足が問題になる中、地域の実情に最も詳しい市町村が私有林の間伐を代行する財源を確保するために検討が始まった。個人住民税に上乗せして徴収し、国が森林面積などに応じて市町村に配分する仕組みが想定されている。これに対し、7月に盛岡市で開かれた全国知事会議では「都道府県が関わらないと森林整備はできない」(佐竹敬久秋田県知事)、「林業の専門職員が少ない市町村だけでは厳しい」(尾崎正直高知県知事)といった声が噴出した。会議では、都道府県が市町村への間伐事業の指導や林業技術者を派遣することなどを念頭に「税収は役割分担に応じて配分すべきだ」との提言を採択した。

*8-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/455475 (佐賀新聞 2017年8月16日) シルク産業 世界拠点へ 熊本・山鹿市に巨大養蚕工場
■耕作放棄地桑畑に転換 製糸、化粧品開発も視野
 かつて養蚕が盛んだった熊本県山鹿市は、民間企業と協力して養蚕業の再興に乗り出した。市内の廃校跡には世界最大級の養蚕工場が建設され、耕作放棄地約25ヘクタールは桑畑に生まれ変わった。「山鹿シルク」のブランドを確立させ、世界のシルク産業拠点となることで地域経済の活性化を狙う。今年4月、熊本県北部の山あいの地に延べ床面積約4170平方メートルの養蚕工場が完成し、5月に稼働を始めた。総工費は約23億円。最適な温度と湿度を保った無菌室で蚕を飼育し、病気から守る。桑の葉を人工飼料に加工する設備もあり、通常は葉の収穫に合わせて年3回程度の繭生産が、通年で24回可能となった。取り組みのきっかけは、工場を運営する市内の農業生産法人「あつまる山鹿シルク」側の提案だった。市は2014年12月、同社と新養蚕産業構想に関する協定を締結。同社による養蚕工場建設や桑畑造成の計画が具体化した。土地の有効活用や雇用創出につながると、市は用地選定や桑畑へのアクセス道路の沿道整備といった面から支えた。3年以内に国内最大産地の群馬県に匹敵する年約50トンの繭生産を目指す。現時点で、地元を中心に約20人の雇用が生まれている。あつまる山鹿シルクの島田裕太専務(37)は「徐々に生産量を増やしたい」と意気込む。一方、取り組みはまだスタート地点。市は、製糸工場建設や、繭のタンパク質を活用した医療・医薬品、化粧品開発も展望する。大手商社などと連携し、情報発信や販路開拓を強化。構想名をIT産業の聖地、米カリフォルニア州シリコンバレーになぞらえた「SILK on VALLEY(シルク・オン・バレー)」とし、関連産業の集積を図りたい考えだ。市によると、県内には昭和初期、約7万軒の養蚕農家があった。しかし、安価な輸入品の増加や、高齢化に伴う廃業により衰退し、14年には市内の2軒を含め県内で5軒にまで減った。養蚕業再興の成否はこれからだ。山鹿市は熊本の近代養蚕業の開祖とされる長野濬平(しゅんぺい)の出身地。中嶋憲正市長(67)は「広がりの大きい産業が山鹿の地から生まれれば、市民の誇りや希望につながる」と話している。

*8-3:https://www.agrinews.co.jp/p41655.html (日本農業新聞 2017年8月19日) [にぎわいの地] 島で生きる 鹿児島県十島村(下) なりわい育む“家族” 移住者の夢村民が応援
●サカキ特産化組合つくる 
 シャツに記された文字は「悪」。フェリーが港に着岸すると、高齢者から若者までそろいの服を着て港で積荷の作業に励む。命綱である生活物資を島に運び入れる作業だ。収入を得るための出荷物も皆で送り出す。家族のような一体感。それが、悪石島(鹿児島県十島村)の特徴だ。36世帯78人が暮らす。昨年、神棚に備えるサカキを栽培する新しい出荷組合が生まれた。名古屋市出身の西澤慶彦さん(20)、東京都出身の太田有哉さん(21)ら都会育ちの“ヨソモノ”と地元農家12人が団結。手間が掛からず台風に強いサカキ。組合長で自治会長の有川和則さん(65)は「ヨソモノじゃなくて家族と思っている。サカキは将来の収入の種。若者を島に残すため金をつくる仕組みを皆でつくる」と知恵を絞る。
●野生のヤギで新ビジネスを
 ここ数年、島には夢を抱いて新しい農業に挑戦する若者が移住する。必ずしも全員が夢を持ってやってきたわけでない。中には都会で傷ついた若者たちも。島で生きるため、移住後、夢を見付ける。大人たちが団結し、若者の夢を育み、支える。野生のヤギの生体出荷を始めた太田さん。「牛の草をヤギが食べて島民を困らせている。土砂崩れの原因にもなる。一石二鳥のビジネスでしょ」。少し自慢そうに構想を明かす。ここまで何かに本気になって挑戦したことは、初めてだ。太田さんは農林漁業のイベントで有川さんと知り合い、西澤さんを誘って3年前に移住した。家事が苦手で、売店もない島の生活は苦労の連続。遅刻などでたびたび島民に怒られる。「けんかするのも怒るのも家族だから。本気で僕を育ててくれている」。心の中で島民に、感謝している。病気になってもライフラインが壊れても、助け合って応急処置するしかない離島。西澤さんは「誰かが勝ち残るのではなく皆で生きていく感覚を島で初めて知った」と語る。ゲーム漬けで孤独だった高校生活。皆で支え合う家族的な島の雰囲気に、生きる居場所を見つけた。村で成人式を挙げた西澤さん。将来も島で生きていく術(すべ)を懸命に模索する。サカキ、スナップエンドウ、バナナなど新たな特産品で生計を立てようと必死だ。早朝から夕刻まで、畑へ。
●団結と温かさ一体感が支え
 高知県から移住し、漁業とバナナを栽培する鎌倉秀成さん(38)は「夢を持って生きることができる島。家族のように受け入れてくれる温かさが、生きる励み」と感謝する。若者の夢は、島民の夢でもある。畜産農家の有川俊江さん(59)は「島を選んでくれて心からうれしい。絶対、島に残ってほしい」と願う。手伝えることがないか、いつも考えているという。悪石島の名の由来は諸説ある。農家の有川安美さん(84)は隠し財宝を悪人から守るために先祖が命名したと聞いて育った。終戦も長く知らず島で生きてきた有川さん。「島に来てくれて夢に向かって頑張る若い人は、悪石島の財宝のよう。自分たちが財宝を守っていきたい」と決意する。誰もがわが事として、移住してきた若者の挑戦を応援している。本当に定住できるかは、これからにかかっているからだ。発想力を生かし挑戦する若者たちの移住。人口は増え、悪石島には保育園も近くでき、島は確実に変わった。その変化の道のりは、時に摩擦も生じる。十島村の住民は、新しい風を受け止めながら、島を残す歴史をつむいでいく。
キャンペーン「若者力」への感想、ご意見をお寄せ下さい。ファクス03(3257)7221。メールアドレスはwakamonoryoku@agrinews.co.jp。フェイスブック「日本農業新聞若者力」も開設中。

*8-4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/456578 (佐賀新聞 2017年8月21日) 伊万里に観光フルーツ園 9月30日まで
■ブドウやナシ収穫体験
 「フルーツの里」の伊万里市南波多町で20日、特産のブドウや梨の収穫体験ができる観光農園が開園した。今年はブドウ、ナシともに品質が上々で、家族連れの観光客がもぎたてをかごに入れながら笑みを浮かべていた。9月30日まで。地元農家でつくる観光農業推進協議会(池田徳和会長)が毎年町内5カ所の園地を開放しており、今年で41回目。初日は高瀬ぶどう園で開園式があり、池田会長は「猛暑の影響が危ぶまれたが、ここ数日の涼しさで着色も酸切れもよく、抜群の食味」と太鼓判を押した。ナシも好天で玉太りが良好となり、「近年では一番の出来栄え」という。入園無料で、持ち帰り料金は巨峰1キロ1000円、シャインマスカットは2000円。ナシ(豊水・新高)は1キロ500円。開園時間は午前9時から午後5時。問い合わせは「道の駅伊万里ふるさと村」、電話0955(24)2252へ。

*8-5:http://qbiz.jp/article/116868/1/ (佐賀新聞 2017年8月22日) 九州グリコが解散へ 2018年12月に菓子生産停止
●江崎グリコ創業の地「特別な思い」
 江崎グリコ(大阪市)は21日、菓子とガムの生産子会社「九州グリコ」(佐賀市)の生産を来年12月に停止し、会社を2019年1月に解散すると発表した。工場の老朽化と販売不振が理由。乳製品などの生産子会社「広島グリコ乳業」(広島市)も来年10月に解散し、それぞれ生産は国内17工場に集約する。九州では、グループ工場が乳製品などを製造する「佐賀グリコ乳業」(佐賀市)のみとなり、菓子製造から撤退する。江崎グリコによると、九州グリコの従業員は262人。うち正社員51人は他工場に転籍させるが、パートなど非正規社員211人は雇用契約を更新しない。跡地(3万1520平方メートル)の活用は未定。九州グリコは1953年に九州工場として操業を開始し、01年に現地法人化した。菓子の「チーザ」とガム類を生産し、17年3月期の売上高は11億6900万円とピークの09年3月期から半減したという。佐賀県は江崎グリコの創業者江崎利一の出身地。有明海のカキの煮汁をヒントにキャラメルのグリコを製品化したといい、九州グリコの干貝(ひがい)博彦社長は「(佐賀県には)特別な思いがある」とコメントを出した。

*8-6:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/457446 (佐賀新聞 2017年8月24日) 総菜ポテトサラダ出荷元O157不検出 埼玉
 埼玉県熊谷市のスーパーに入る「でりしゃす籠原店」などで7、8日にポテトサラダを買って食べた14人が腹痛などを訴え、県は23日までに10人の検体からO157が検出されたと発表した。群馬県高崎市は23日、出荷元の同市の食品加工工場にあったサンプルを調べた結果、菌は検出されなかったと発表した。立ち入り調査で感染者が食べたのと同じ製造日のものを持ち帰り検査していた。高崎市によると、埼玉県からの依頼で21日と23日に調査し、製造工程を確認。感染者の食べたサラダは5~7日に製造され、6、7日に群馬、埼玉、栃木の34店舗に計約590キロ出荷されていた。5日と7日の製造分は菌が検出されなかったが、調理器具などの検査結果が24日以降に出る見込み。市は「原材料の衛生状態などに問題はなく、管理上明らかに不適切な点は確認できなかった」としている。工場は19日から操業自粛中という。埼玉県によると、総菜店を運営する群馬県太田市の「フレッシュコーポレーション」は、同工場から袋詰めのポテトサラダを仕入れ、ハムやリンゴをまぜて販売していた。

*8-7:http://qbiz.jp/article/115782/1/ (西日本新聞 2017年8月26日) 【よく分かる日欧EPA】その5:パスタ・菓子 本場の味に対抗できるか
 「今でも国産は太刀打ちできないのに、先は厳しい」。経済連携協定(EPA)で欧州連合(EU)産スパゲティやマカロニの関税が11年目になくなると決まり、国内メーカーでつくる日本パスタ協会(東京)の担当者は肩を落とす。協会によると、消費者の国産志向は強いが「パスタに限ってはイタリア、ギリシャ産が好まれる」。形や食感の種類が豊富な輸入品には国産と価格が大差ないものもあり、2016年は輸入量が国内生産量を上回った。1キロ当たり30円の関税がゼロになれば、本場のブランドがさらに浸透する。パスタ協会は原料の小麦輸入時に事実上の関税がかかり、高値で調達せざるを得ない仕組みの見直しを求めている。加工食品では、菓子の関税も軒並み撤廃される。チョコレート菓子の関税は現在10%。詰め合わせだと数千円はするベルギーのチョコ「ゴディバ」といった高級品ほど恩恵は大きくなる。国内メーカーには、EU産と日ごろ食べる国産菓子とはすみ分け可能との見方が多い。ただ、乳酸菌入りのチョコを手掛ける不二家は「今後も付加価値のある製品開発に力を注ぐ必要がある」と輸入増加に気を引き締めており、新商品の投入競争が活発になりそうだ。
   ◇   ◇
日欧EPAで貿易や投資のルールがどう変わるのか。暮らしや産業への影響を中心に解説する。

<漁業について>
PS(2017年8月24、26、28日追加):一般の人に海は水面しか見えていないため変わっていないように感じるだろうが、実際には水中のいたるところに生物が生息し生態系があって、人間はそれを利用しているわけである。わかりやすい例では、*9-1のように、ウニは食べ物の海藻が少なければ身が入らず商品にならない。また、海藻が減って砂漠のようになった海を「磯焼け」と呼び、「磯焼け」の主な原因は海水温の上昇で生物が増えて海藻が食べ尽くされることと書かれているが、海水温上昇の原因は地球温暖化だけではなく原発の温排水や海底火山の噴火もあり、海藻の生育にも適切な海水温があるため、「磯焼け」する原因は多い。その結果、食べる身のないウニが増えるため海藻は重要なのである。ただし、ウニの場合は身のないウニを捕獲して陸上の植物や藻類のユーグレナなどで安い飼料を作って養殖することが可能だと私は考える。
 そのような中、*9-5のように、原子力規制委員会は、2017年8月25日に九電が再稼働を目指している玄海原発3号機(佐賀県玄海町)の「工事計画」を認可したそうだ。原発が稼働すると、温排水により海が暖められて正常な生態系が壊れるとともに、原発を冷やすために大量の海水とともに海の生物の幼生を吸い込んで煮殺して排出する。これも藻場の衰退や漁獲高減少の原因であるにもかかわらず、原発を再稼働させるなど何を考えているのかと言いたい。
 しかし、*9-2は、「①三陸沖での漁獲量が減っているのは、中国が公海で大量に獲っているのもあるが、資源の枯渇も原因だ」「②日本の水産業が抱える問題の縮図が、東日本大震災が起きた三陸にある」「③震災により廃業した漁業者が増え、高齢化と後継者不足が顕著に表れている」「④より厳しく確実に水産資源を管理し、地球環境だけでなく漁業者の生活にとっても持続可能な漁業を実現すべき」などとしている。しかし、①の中国が公海で大量に獲って資源が枯渇しそうなのは事実だが、②③の東日本大震災で原発事故が起きた三陸沖はいろいろな意味で漁業に適さない海になっているという特殊事情があるため、他の要因と混同させるのはよくない。また、④については、日本の漁船は既に網目を大きくして幼魚は逃げられるようにし、漁業者の数も減っているため、日本の水産資源管理を厳しくするよりは他国にも同様の規制を促すとともに、海の環境を守ることの方が重要だ。そして、その結果は食料自給率に影響する。
 さらに、*9-3のように、「第6あおい丸」が優良な漁場である長崎県壱岐沖で海砂を採取した後、平戸沖を経由して諫早市久山港に向かう途中の平戸沖で沈没した。対馬や壱岐沖ではイカ釣りなどの漁業が盛んだが、海砂を取ると砂の中に産み付けられた魚介類の卵を一緒に吸い込むため、不漁の一因になっていると言われている。そのため、一石二鳥になるよう、海砂ではなく、埋まってしまったダムの底や天井川の川底の砂をとるべきで、日本はこのように漁業を持続可能にするための国を挙げての努力が行われていないのだ。
 その上、*9-4のように、ロシアは北方領土を経済特区に指定し、「先行発展地域」に指定するそうで、日本政府の言う「特別な制度」にどういう意味があるのかは不明だが、日本政府は現在最もやるべきことを考えていなかったため、北方領土を返還してもらうこともできず、“共同経済活動”だけを行って北方領土を諦めることになったらしいのは、悲しくも阿保らしい。
 そのため、このような漁業上の理由からも、*9-6の高知新聞による「エネルギー計画は、脱原発を明確にすべきだ」という意見及び*9-7の山陽新聞による「エネルギー計画、現実踏まえ抜本見直しを」という意見に全く賛成だ。

  
                  *9-1より
(図の説明:ウニの漁獲高は、左のグラフのように年々減少している。その原因は、①中央の写真のように、えさとなる海藻がなくなる磯焼けをしていること ②それにより、右の写真のように、餌不足のウニに食用部分の身が入らないこと などである)

*9-1:https://abematimes.com/posts/2467906 (Abema Times 2017.6.2) 寿司屋からウニが消える?漁獲量を減少させる「磯焼け」とは
玄界灘に面した新三重漁港をはじめ、長崎県は全国4番目の漁獲量を誇るウニの好漁場だ。しかし近年、ウニの漁獲量は年々減少しているという。中には身の入っていないウニもあった。原因は「磯焼け」だ。海岸に生えているコンブやワカメなどの海藻が減少、不毛の状態となってしまう現象だ。磯焼けの海で獲れるウニは、身入りが悪く、売り物にはならない。長崎県のウニの漁獲量は1970年代後半には4000トン以上を記録していたが、現在はその10分の1程度にまで落ち込んでいる。福岡市中央区にある「うにと海老の専門店 魚魚魚」の島津料理長によると、価格も高騰、1キロ5000円~1万円の幅で変動しているという。30年以上全国各地の海に潜り「磯焼け」を研究、水産庁の「磯焼け対策ガイドライン」策定にも携わった東京海洋大学の藤田大介准教授は、「磯焼け」の主な原因は温暖化による水温上昇が引き金となって生物の活動が活発化し、海藻が食べ尽くされてしまったことだと話す。さらに、気候変動で大型の台風や時化の発生が増え、海藻が引き剥がされ枯れてしまうのだ。 また、ウニそのものも「磯焼け」の原因になってしまっている。飢餓に強く、食料がない場合は生殖せずに生きていこうとするのだという。「磯焼け」の海で取れた、身の入っていないウニは、精巣・卵巣の部分の成長を抑えているウニということだ。「実は東日本大震災の直後、養殖施設が流れてしまったことで潮通しが非常に良くり、海藻にとってプラスに働いた。その後に生まれたウニたちが食べ盛りになっていて、今、大いに暴れている。そこで水温が高くなると、ますます海藻を食べてしまう」(藤田准教授)。長崎の漁師たちも手をこまねいていたわけではない。漁協では、ウニの移植で磯焼けの解消を図っている。ウニを普通の藻場に移し、磯焼けが進行した場所には海藻を移植、繁殖を促している。また、藤田准教授は「北海道では冬のエサがない時期にイタドリの葉っぱを与えるという試みもあった。エサに困るところはそういう努力もしている」と、不要になった野菜を使った養殖の可能性も示唆した。将来、私たちが美味しいウニを食べられなくなる日が来てしまうのだろうか。藤田氏は「磯焼け対策の中でも、一般市民ができることはまだまだあると。ダイバーの方は写真を撮って記録していただくとか、陸上で手伝えることもあると思う。参加していただければと思う」とした。

*9-2:http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19950560U7A810C1I00000/?n_cid=MELMG002 (日経新聞 2017/8/16) 市場で買う魚がない 減り続ける水産資源、三陸沖の不都合な真実(上)
 ノルウェー近海、北米東海岸と並び世界三大漁場のひとつといわれる三陸沖。親潮と黒潮がぶつかる潮目でとれる豊富な種類の魚介類は、長らく日本人の食生活を支えてきた。しかし今、三陸沖での漁獲量が減っている。宮城県北部の気仙沼湾。最も奥まったところにある鹿折地区に、18社の水産加工会社が名を連ねる気仙沼鹿折加工協同組合(気仙沼市)がある。地元の加工業者が事業コストを減らすために設けた7000トンの大型冷蔵庫が低い音を響かせる。
■細る漁獲量
 しかし組合は冷蔵庫の稼働率を高めるのに苦労している。2016年末の時点で稼働率は6割ほど。本来は魚で冷蔵庫の棚を埋めたいところだが、やむなく組合企業から海藻類を集め、やっとのことでフル稼働に近づけた。「サンマやカツオなど、気仙沼で揚がる主要な魚種がとれなくなっている」。当初の計画通りに漁獲量が上がらず、組合の細谷薫事務局長は頭を悩ませる。組合企業で缶詰などを製造するミヤカン(気仙沼市)で原料・直販を担当する三浦謙一氏は、最近魚市場に買い出しに行っても何も買わずに帰ってくることが増えた。「水揚げそのものがない場合が多く、揚がっていても高くて入札で落とせない」。サンマの缶詰は同社の主力商品の一つだ。だが16年の日本のサンマ漁獲量は約11.4万トンと、水産庁が統計を取り始めた1977年以降の最低を記録した。気仙沼魚市場には16年10月時点では5700トンのサンマが揚がり、1キログラムあたり188円の値が付いた。03年10月と比べると量は約半分に、価格はほぼ4倍に跳ね上がっている。ミヤカンの寺田正志社長は「台湾や中国などが公海でたくさんとっているのもあるが、資源そのものの枯渇も原因だ。ここ2年ほどは小さいものしか揚がらない」と嘆く。
■漁業大国は過去のモノに
 「6本目ェ!」「はい7本目ェ!」。午前3時、宮城県東部の石巻湾。東松島市の漁師、大友康弘氏が海からはえ縄を手際よく船上にたぐり寄せる。縄の先の針をくわえた旬のスズキは甲板の上でバタバタと力強い音を立て抵抗する。大友氏は釣ったスズキの水揚げ量を記録し、岩手大学の石村学志准教授に報告する取り組みを2年前から始めた。水産資源学が専門の石村准教授のもとでスズキの資源量を科学的に調べ、どのくらいの漁獲量なら資源の回復と漁業が両立し得るか、その水準をはじき出すのが狙いだ。石巻湾のスズキは長く漸減傾向にあった。ところが11年の東日本大震災から4年間、湾内ではスズキ漁が取りやめになり、資源量が大きく回復したという。「スズキが増えた今がチャンスだ。この資源水準を保てる漁のやり方を探したい」。大友氏は過去に記録していた水揚げ量の資料も含め計7年分のデータを石村准教授に渡している。「日本は漁業大国」。世界各国の水揚げ高と比べれば、そんな言葉が過去のものだということは一目瞭然だ。国連食糧農業機関(FAO)によると、日本はかつて他国を大きく引き離していたが、1984年の1159万トンをピークに右肩下がり。中国、ペルー、米国、インド、インドネシアに抜かれ、現時点では6位まで下がった。特に三陸地方の主要漁港である八戸、宮古、釜石、大船渡、気仙沼、女川、石巻、塩釜の8港の水揚げ高は、03年に55万トンだったのが15年には42万トンにまで減少。東日本大震災が起きる前から減少傾向は続いている。水産庁によると、日本周辺の主要な48魚種79系群(系群は一つの魚種の中で産卵場、産卵期、回遊経路などが同じ集団を指す)のうち、16年9月時点で実に半数の資源量が低位にあり、3割超は資源量が中位にあるという。資源量が低位にある魚種にはマサバやスケトウダラ、ズワイガニやトラフグなどが挙げられている。スズキ以外のこうした日本の食卓になじみ深い魚種についても、大友氏は警鐘を鳴らす。「今の発達した漁業技術をもってすれば、この石巻湾内のあらゆる魚を取り尽くすのはいとも簡単なことだ」
■漁業者は利益上げにくく
 漁獲量の減少により、漁業者や水産加工会社は利益を上げにくくなっている。特に日本の漁業生産額の約6割を占める沿岸漁業では個人経営が多く、原油の高騰なども所得に大きく響いている。15年時点の沿岸漁船漁師の平均漁労所得は年261万円と漁業だけで生活するには困難な水準だ。収入が低いため若い漁業者も集まりにくく、後継者不足と高齢化が深刻化している。
日本の水産業が抱える問題の縮図が、東日本大震災が起きた三陸にある。震災により廃業した漁業者が増え、高齢化と後継者不足がより顕著に表れている。全国の漁業経営体の数は13年に9万4507件と03年から28%減少したが、宮城・岩手の両県では計5676件と、同じ10年間で41%も減っている。
――より厳しく確実に水産資源を管理し、地球環境だけでなく漁業者の生活にとっても持続可能な漁業を実現する――。国や漁業関係者のあいだで、漁業大国の名を名実ともに取り戻すための挑戦が始まろうとしている。

*9-3:http://qbiz.jp/article/116928/1/ (西日本新聞 2017年8月22日) 長崎・平戸沖で砂運搬船が沈没 2人不明1人心肺停止
●停泊中、3人は漁船に救助される
 22日午前3時40分ごろ、長崎県平戸市沖で長崎市平野町の「葵新建設」所属の台船を押す押し船「第6あおい丸」(98トン)が遭難信号を出した後、沈没した。佐世保海上保安部によると、乗船していた男性6人のうち4人が救助されたが、航海士大浦作美さん(59)=福岡市南区大橋3丁目=の死亡が確認された。2人が行方不明となっている。救助された他の3人はいずれも意識があるという。行方不明になっているのは、船長の竹谷和浩さん(48)=長崎県新上五島町七目郷、航海士丸山勝広さん(46)=同県平戸市生月町山田免。第7管区海上保安本部(北九州)が捜索している。海保などによると、第6あおい丸は台船の「第8あをい丸」と連結して運航。長崎県・壱岐沖で砂を採取した後、平戸沖を経由し、同県諫早市の久山港に向かう途中で、現場付近でいかりを下ろして停泊していたという。台船もともに沈み、救助された4人は台船に乗っていたという。海保によると、現場は平戸島北東約4キロの海上で、当時は晴れており海は穏やかだったという。乗組員の一人は「船が浸水して急に傾き、6人が海に投げ出された」などと説明している。他に救助されたのは、機関長森律雄さん(66)=平戸市、航海士森元徳さん(55)=同、機関士笹山安彦さん(48)=長崎市。笹山さんは近くの漁船に救助され、2人の森さんは海保が救助したという。
●過去にも転覆・沈没
 長崎県沖では、これまでにも船の転覆・沈没事故がたびたび起きている。
五島列島沖では1993年2月、巻き網漁船「第7蛭子(えびす)丸」(80トン)が転覆して沈没、乗組員19人が行方不明になった。同年7月には、佐世保市沖で巻き網漁船「第21金光丸」(14トン)と砂利運搬船「龍玉丸」(683トン)が衝突、金光丸が沈没して9人が死亡した。2009年4月には平戸市沖で、巻き網漁船「第11大栄丸」(135トン)が沈没して船長ら12人が犠牲になった。その10日後には、五島市沖で巻き網漁船「有漁丸」(19トン)が座礁・沈没。10年1月にも同市沖で底引き網漁船「第2山田丸」(113トン)が沈没、10人が死亡した。15年9月には、対馬市沖でイカ釣り漁船「第5住吉丸」(10トン)など5隻が転覆し、5人が死亡している。大きな事故が起こるたび、漁業者や行政は事故防止策の見直しを進めてきた。ただ、後継者不足や魚価低迷で老朽化した船の新造が難しいなど、事故の背景には漁業が直面する厳しい現状を指摘する声もある。

*9-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201708/CK2017082402000123.html (東京新聞 2017年8月24日) 【国際】ロシア、北方領土を特区指定 共同経済活動影響か
 タス通信によれば、ロシアのメドベージェフ首相は二十三日、訪問先の極東サハリン州で、南クリール諸島(北方領土)を、外国企業の誘致などを目的としたロシアの経済特区「先行発展地域」に指定する決定に署名した。日本政府は、北方領土で双方の法的立場を害さない「特別な制度」での共同経済活動実現を目指してロシア政府と協議中。一方的ともいえる特区指定は、共同経済活動の実現に否定的な影響を及ぼす可能性がある。日ロは現在、観光や養殖など共同経済活動の事業案絞り込みを進めるが、ロシア側は「特別な制度」をめぐる協議には消極的とされる。九月上旬に極東ウラジオストクで予定される日ロ首脳会談を前に、特区指定で日本をけん制する狙いもあるとみられる。先行発展地域には税制優遇措置などがあり極東地域では十八番目。メドベージェフ氏は「漁業やインフラ整備に役立ち、地域の発展を後押しする」と強調した。共同経済活動を巡って、ロシアの経済関係者からは「日本が特区に参加する形で進めるべきだ」との意見がある。一方、ロシアが指定した特区での経済活動は、北方領土でのロシアの主権を認めることになる。日本側が創設を求める「特別な制度」とは矛盾し、日本側としては受け入れ困難。

*9-5:http://qbiz.jp/article/117302/1/ (西日本新聞 2017年8月26日) 九州の原発:玄海原発3号機の工事計画認可 再稼働は越年も
 原子力規制委員会は25日、九州電力が再稼働を目指す玄海原発3号機(佐賀県玄海町)について、設備の詳細設計をまとめた「工事計画」を認可した。九電は、設備性能を現地で確認する「使用前検査」を28日にも申請する。工事計画の審査が長引いたため、今秋を想定していた再稼働は12月以降にずれ込む見通しで、越年の可能性が出ている。再稼働には使用前検査に加え、運転管理体制を定めた「保安規定」の認可も必要。一連の手続きに4、5カ月程度を要するとみられる。九電は25日、「引き続き国の審査に真(しん)摯(し)かつ丁寧に対応する」とコメントした。玄海原発3、4号機は1月に新規制基準の適合性審査に合格した。九電は3号機を先行して再稼働する方針。4号機は工事計画の審査が続いており、九電の補正書提出を受け、3号機に続いて認可される見通し。

*9-6:http://www.kochinews.co.jp/article/121389/ (高知新聞 2017.8.28) 【エネルギー計画】脱原発を明確にすべきだ
 国の中長期的なエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の改定に向け、経済産業省が作業に入った。有識者の意見を聞きながら年度内にもまとめる方針だ。最大の焦点はやはり原発の方向性になる。国民が納得のいく、しっかりとした論議を求めたい。現計画は2014年4月に策定された。東京電力福島第1原発事故後初の改定で、事故の反省と教訓を前面に打ち出したが、矛盾が目立つ内容というしかない。序文で「震災前に描いていたエネルギー戦略は白紙から見直し、原発依存度を可能な限り低減する」と強調する一方で、その原発を石炭火力や水力とともに安定供給を図る「ベースロード電源」に位置付けた。事故後に停止した全国の原発の再稼働を進める方針も掲げている。旧民主党政権は事故後、脱原発の声の高まりを受け、「30年代の原発ゼロ」を打ち出していた。政権交代で後を継いだ安倍政権がそれを転換し、「原発回帰」を掲げたといっていいだろう。国民の声を無視し、アベノミクスの実現を優先したとの批判もある。15年には30年度の電源構成比率を決め、原発を「20~22%」とした。世界各国が積極的に導入している再生可能エネルギーの位置付けは「22~24%」にとどまっている。政府の原発依存の姿勢は明らかだ。しかも、原発の電源構成比率2割以上を実現するには、いま停止中の原発の再稼働を進め、老朽化した原発の運転期間延長や建て替えが前提になる。福島第1原発事故後に改正された原子炉等規制法は、原発の運転期間を原則40年としているが、原子力規制委員会が認めれば、特例で1回に限り20年の延長ができる。に2基が延長審査に合格しており、原発事故を教訓に設けられた運転期間制限の形骸化が早くも懸念されている。建て替えとなれば脱原発はさらに遠のく。世耕経産相は、計画改定について「(計画の)骨格を変える段階にない」と述べている。電源構成目標の達成方法を論議したいという。ひとたび原発の過酷事故が起これば、復興がいかに難しいかは被災地が示している。福島第1原発はいまもって廃炉の具体的な見通しが立たず、事故対策費は約22兆円に上るとの試算もある。原発は極めてリスクが高く、他の発電方法と比べコスト競争力に勝るとも言えなくなっている。何より多くの国民が脱原発を望んでいる。一足飛びにはいかないにしても、政府は中長期の戦略である新計画で脱原発を明確に打ち出し、その道筋を探るべきだ。地球温暖化防止も含め、再生可能エネルギーの導入にもっと汗をかく必要がある。福島の事故責任の一端は、「安全神話」に陥り、過酷事故への備えが不十分だった政府にもあると、現計画も記している。まやかしのような計画や政策を続けてはならない。

*9-7:http://www.sanyonews.jp/article/587277/1/ (山陽新聞 2017年8月28日) エネルギー計画 現実踏まえ抜本見直しを
 国の中長期的なエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の見直し議論が経済産業省の有識者会議でスタートした。2014年の現行計画の決定以降、エネルギーや環境を巡る状況は変化している。抜本的な見直しに踏み出すべき点は少なくないはずだ。ところが、世耕弘成経産相は大幅見直しに慎重な姿勢を示している。原発について現計画は「依存度を可能な限り低減する」としつつ、「重要なベースロード電源」とも位置付けている。30年度の「電源構成」目標では、原発が20~22%を担うとした。東京電力福島第1原発の事故を受けて、脱原発を望む多数の国民の思いを反映しておらず、逆に原発回帰路線を鮮明に打ち出したものとなった。原発で約2割をまかなうためには既存の42基の多くで再稼働が必要となる。「例外」とされたはずの運転期間の40年制限を超えた延長もしなければ達成できず、実現性には疑問符が付こう。老朽原発の運転データはまだ少なく、トラブル増加を招く恐れも指摘されている。計画が示された14年以降、再稼働した原発は5基にとどまっている。新潟県の柏崎刈羽原発を巡る地元同意の難航など、再稼働が容易でないことも示されている。目標が現実に即したものになるよう、丁寧な議論が必要だ。もう一つの焦点が再生可能エネルギーである。現行計画は「導入を最大限加速する」とうたい、目標を22~24%(水力含む)としている。再生エネは原発事故後、日本でも育ちつつあるとはいえ、水力を除いた太陽光、風力などは6%にとどまる。26%を占めるスペイン、25%のドイツなどの欧州各国と比べれば立ち遅れは明らかだ。日本が再生エネの課題に挙げる発電コストの高さについて欧州では、市場拡大による設備価格の低下などにより火力、原子力と同等か割安の水準を実現している。昨年秋には、地球温暖化防止のための新たな枠組み・パリ協定が発効した。日本は温室効果ガス排出量を50年に13年比で80%削減する目標を掲げ、先進各国も思い切った目標を設定した。多くの国で再生エネ拡大を目標達成手段の柱に据え、技術革新やインフラへの投資が相次いで、ビジネスチャンスともなっている。経済面からも乗り遅れないようにしたい。現行計画で推進を掲げている核燃料サイクル政策の根本的な見直しも急務だ。政府は昨年末、トラブル続きの高速増殖原型炉もんじゅの廃炉を決めた。政府は後継となる高速炉の開発を進めるというが、サイクル政策の延命にも限界があろう。日本のエネルギー政策が時代に取り残されることのないよう、政府は現実を直視し、計画を練り直していくことが求められる。

<では、次に進もう>
PS(2017.8.28追加):10-1のように、準天頂衛星「みちびき」を使えば、既存のGPSと併用して最小6cmの誤差で位置を測ることができ、正確な測位で農機の自動走行ができるようになるというのはすごいが、確かに道路を移動中も安全に自動運転して欲しい。
 また、*10-2-1のように、水田の給排水を自動化して水管理時間を8割減少させ、遠隔操作できるのようにしたというのも素晴らしい。このような中、*10-2-2のように、地震や豪雨で多くの溜池が決壊したそうだが、この際、どうしても必要な溜池と地下水や下水浄化水で代替できる溜池を選別したらどうだろうか。このうち下水浄化水は、現在では飲めるほどまで浄化できるそうだが、窒素・リン酸・カリウムを少し残して肥料の節約をすることも可能だ。
 さらに、*10-3のように、「農家・漁師をスターにする」として、早稲田・慶應など首都圏8大学の学生編集部が生産者の生の声を月間約2万の読者に届けているのは面白いが、販売はマーケティングで、自動農機はロボットであるため、いろいろな学部の学生が農林漁業の現場を体験して、スマートに問題解決する方法を考えれば有意義だと思われる。

*10-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170828&ng=DGKKZO20441280Y7A820C1PE8000 (日経新聞社説 2017.8.28) 衛星生かし精密農業の推進を
 衛星画像やIT(情報技術)を利用し、農業生産の効率向上をめざす「精密農業」が米国で広がっている。日本でも担い手が不足する農業の改革は待ったなしで、準天頂衛星「みちびき」を使う日本版GPS(全地球測位システム)を最大限活用すべきだ。米国では東京ドーム400~500個分もの農地を数人で経営する場合もあり、精密農業による効率化のニーズが高い。GPS受信機、収量計測装置などを搭載し、自動運転も可能なトラクターやコンバインが増えている。日本の農地は規模が小さいが生産性向上などの課題は米国と共通しており、学ぶべき点は多い。米モンサントはGPSの位置情報を使い農地の区画ごとの雨量、収量などをスマートフォン(スマホ)画面の地図上にわかりやすくカラー表示するサービスを始めた。気象情報会社を買収し観測やデータ解析のノウハウを得た。近年は局地的豪雨が増え、隣接地でも雨量が異なる場合がある。同じように育てた同一品種でも、収量が少ないこともある。スマホなどで常に実態を把握できれば、区画ごとに収穫時期をずらしたり品種を替えたりするのに役立つ。日本はみちびき1~3号機の打ち上げに成功し、今年度中に4基目が上がる予定だ。既存のGPS信号と併用して最小6センチメートル程度の誤差で位置を測れるようになる。精密農業の普及につながる新サービスを展開する好機だ。正確な測位で農機の自動走行の安全性は高まる。農林水産省は今年3月、人間が近くで監視しながら、農地でトラクターなどを無人で自動走行させる際の安全指針を出した。今後は遠隔操作での無人走行や、農地に隣接した一般道の走行も検討すべきだろう。測位情報は他の衛星の画像、気象、地形、地質などの多様なデータと組み合わせてこそ使い道が広がる。斬新なアイデアをもつ企業がこれらを素早く入手して事業に生かせるよう、関係省庁が連携して仕組みづくりを進めてほしい。

*10-2-1:https://www.agrinews.co.jp/p41733.html (日本農業新聞 2017年8月28日) 水田給排水を自動化 管理時間8割減 遠隔操作装置+アプリ 農研機構
 農研機構農村工学研究部門は、スマートフォン(スマホ)などで水田の給排水を自動設定し、水管理の時間を8割減らすシステムを開発した。給水バルブと排水口に遠隔操作装置を取り付け、圃場(ほじょう)に行かなくても水深が制御できる。給排水の両方を自動化したのは日本初で、今年度中に市販化の予定。水稲の労働時間の3割を占める水管理を軽減し、農地を集積する担い手を支援する。研究は内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環。遠隔操作装置はソーラーパネルやアンテナ、モーターなどを組み合わせて作り、給水バルブと排水口の両方に使える。電波で開閉し、各社のバルブに後付けできる。この他、水深を感知するセンサー、電波の基地局などを設置する。制御の仕組みは、センサーが水深の変化を感知すると自動で給排水を調節し、元の水位に戻す。水位の設定は専用のアプリを使いスマホやタブレット、パソコンでできる。アプリでは水位や気温の確認もできる。省力の他、豪雨で急に増水したときも有効だ。20アール区画で実証試験をしたところ、水管理の年間の労働時間は3時間と、慣行水田の15時間に比べて8割減った。無駄なかけ流しが減るため、使う用水量を50%に節約する効果もあった。システムは年度内に国内メーカーから発売される予定だ。価格は基地局が1台20万~30万円、バルブを動かす装置(給水、排水共通)が同10万円。サーバーの利用料が1カ月当たり2000~4000円ほどを見込む。同部門は「農地の集積で分散した水田が増える中、担い手の省力効果は大きい」と説明する。品種などから水管理が自動で分かり、収量や品質が向上できる仕組みも開発中だ。

*10-2-2:https://www.agrinews.co.jp/p41729.html (日本農業新聞論説 2017年8月27日) ため池 総点検 防災強化へ再整備急げ
 地震や豪雨で決壊するため池が続発している。釣りなど娯楽中の死亡事故も続く。政府は農業用水の確保に欠かせぬため池の再整備を急ぎ、防災機能と安全性を高める必要がある。ため池は、西日本を中心に全国に約20万カ所ある。主に雨の降水量が少ない地域で農業用水を確保するために人工的に造られた。洪水調節や土砂流出を防止する効果に加え、生物の生息・生育の場所の保全、地域の憩いの場の提供など、多面的な機能もある。2ヘクタール以上の農地をカバーするため池は約6万カ所あり、このうち7割が江戸時代以前に造られた。取水施設などでの老朽化が進んでいる。多くは地元の水利組合や土地改良区、農家などが管理する。農家の減少や高齢化から管理が行き届かず、堤の崩れや排水部の詰まりなどが起きている。農水省の調査によると、下流に住宅や公共施設のあり、決壊すると大きな被害が予想される「防災重点ため池」は、1万カ所を上回った。近年は都市化や混住化が進み、事故の危険性が増している。安全性が確認できない3391カ所に対する詳しい調査を地方公共団体が行うが、整備を急ぐ必要がある。最近10年のため池被災は、7割が豪雨、3割が地震で決壊や流失している。7月の九州北部豪雨災害で大きな被害を受けた福岡県朝倉市では、市内のため池108カ所の1割に当たる11カ所が流出・決壊した。こうしたため池の復旧を急ぐとともに、耐震性を高め、洪水防止策を強めるなど、安全性の強化を急ぐことが肝要だ。ため池を抱える地域では、農家が減る中で受益農家にかかる工事費用の負担が重く、改修工事の合意形成も容易ではない。政府がしっかり支援すべきだ。農水省は農村地域防災減災事業(508億円)に含まれているとするが、心もとない。現場のニーズに応えられるように予算を確保し、改修工事などをしやすくしたい。また、補助率を高めるなど農家負担を減らす方法も改修を後押しするはずだ。ため池での死亡事故は増加傾向にある。2016年度は26件で32人が亡くなった。60歳以上の高齢者が多く、例年水利用が多くなる5月から9月にかけて多発している。ため池を管理する土地改良区や個人は、安全管理に対する意識を高めるとともに、監視を強める必要がある。死亡事故には、釣りなどの娯楽中の事故も多い。夏休み期間の子どもたちが危険な箇所に立ち入らないように注意喚起したり、安全柵を設置したりする対策も進めるべきだ。また、管理作業中の事故も多い。高齢者の作業は特に注意する必要がある。農山村は人口減少と高齢化が進んでいる。ほったらかしにしたままのため池はないか。地域のみんなで点検し、必要な整備を急ぐことが大事だ。政府は、こうした取り組みを全力で支援すべきである。

*10-3:https://www.agrinews.co.jp/p41724.html (日本農業新聞 2017年8月27日) 若者力:[食農応援隊 大学生リポート](9) 長期密着し“スター”育成 首都圏8大学の学生が編集 農家の生の声を発信するWEBサイト 日本食べるタイムス
 「タケノコ王」って知っていますか? 目印はピンク色のタンクトップ。全国放送のテレビ番組で準レギュラーとしても活躍するタケノコ農家、風岡直宏さんです。2年前、無名だった風岡さんの情報発信を「日本食べるタイムス」(以下食べタイ)が引き受け、彼が“農家スター”になるまで伴走しました。今では彼の下にファンがサインを求めて訪れ、タケノコの産直販売は大盛況です。食べタイは、農家の生の声を発信するWEBサイトです。コンセプトは「農家・漁師をスターにする」。早稲田、慶應など首都圏8大学の学生編集部20人が、全国約200人の生産者の生の声を、月間約2万の読者に届けています。大量の情報の中に埋もれてしまった農家のブログやSNS(インターネット交流サイト)投稿を掘り起こしたり、学生が現地で取材したりして記事を発信しています。何度も現場に通い、一緒に農作業をすることもあります。このような長期密着・仕事体験型の取材は、学生だからこそできる発信方法です。登録生産者からは「過去最高の売り上げになった」「ここで働かせてほしい、と若者に志願された」などと反響をいただいています。われこそは、という農家、推したい農家さんがいる農業関係者の皆さん、ぜひ食べタイにご連絡ください。登録は無料です。(代表・森山健太=早稲田大学)
*キャンペーン「若者力」への感想、ご意見をお寄せ下さい。ファクス03(3257)7221。メールアドレスはwakamonoryoku@agrinews.co.jp。フェイスブック「日本農業新聞若者力」も開設中。

<お粗末な日本の食料政策>
PS(2017年8月31日、9月1日追加):*11-1の「①食料自給率が38%にダウンしたから、1ポイント上げるために、ご飯をもう一口食べろ」「②日々の食卓に、ちょっと工夫しろ」という指示を出すような意識の低い人が人がリーダーでは困るのである。何故なら、①は、現在は、*11-2、*11-3のように、健康上の理由で栄養バランスを考えて糖質・炭水化物を控えている時代だからであり、供給者が需要に合わせて生産を調整するのではなく、できたものを食べるように需要者に注文を付けるというのは市場主義にも反するからである。また、斎藤健農相の「消費者が意識を持ってもらうことが重要」「子や孫のことを考えて食料自給率向上に目を向けてほしい」というのも呆れたもので、消費者は十分に意識が高いからこそ栄養バランスを考えて糖質を抑え、放射性物質が混入している可能性のある食品を控えているのであり、政府の方がよほど意識が低いのだ。そんなことも、言われなければわからないのですか?
 なお、*11-4のように、全ての加工食品に原材料の原産地表示を義務付ける改正食品表示基準が9月1日に施行されるが、5年も猶予期間があり、完全施行は2022年4月からだそうだ。これは、政府はしぶしぶこの法律を施行するという意味で、実質的には2022年3月までは施行されないということだ。それも、国名だけの表示なら、安全基準の緩い日本産は買わないことになるが、まさか国名だけの表示ではないでしょうね。
 さらに、*11-5のように、TPP署名11カ国は2017年8月30日にシドニーで首席交渉官会合を行い、日本は議論を主導する立場なので関税分野の見直しを提案しにくく、最終的には米国のTPP復帰を促して12カ国での発効を目指すのだそうだ。しかし、オーストラリアは優秀な農業国で原発はなく、赤身で脂肪の少ない牛肉や乳製品が安いため日本の消費者は嬉しいが、日本の農業には不利である。それでも日本政府は、まともな交渉もせずに議論を「主導」し、このTPP条約が締結されれば食料自給率がさらに下がるが、それでもTPP条約の締結は麻生副総理の言われる「結果を出した」ことになるのですか?

*11-1:https://www.agrinews.co.jp/p41748.html (日本農業新聞 2017年8月29日) 食料自給率 38%にダウン +1ポイント作戦始動 ご飯もう一口、国産豆腐は月に2丁… 日々の食卓 ちょっと 工夫を
 ご飯を1日もう一口、国産豆腐を月に2丁――。食料自給率を1ポイント上げるため に必要な国民の食事量の一例だ。2016年度の食料自給率(カロリーベース)は38%と、先進国の中で最低水準にまで落ち込んだ。半世紀前の73%から半減し、もはや国民の食と命を自国で守れない危機的な状況にある。自給率向上へ国民一人一人がどんなことをすればよいのか? 誰でも簡単にできる「1ポイント上げる」ためのちょっとした工夫を紹介する。農水省が提示する食料自給率を1ポイント向上させる方策によると、全国民が、ご飯を1日にもう一口(17グラム)食べるだけで1ポイント自給率が向上する。「国産米粉パンを月に6枚(400グラム)食べる」「国産大豆100%の豆腐を月に2丁食べる」「国産小麦100%のうどんを月に2玉食べる」などでも向上する。これら全て実現できれば、4ポイント向上する計算だ。日常の食事を増やすわけでなく、国産の農産物を選ぶことで自給率が上がる。国産の比率が高いのが米を使ったメニューだ。おにぎり1個98%、にぎりずし75%、親子丼70%など、米料理の自給率は高い。ただ、和食を多く食べれば自給率の向上に直結するかというと、そう単純ではない。原料の輸入割合が高いそばやうどんでは自給率は下がり、「エビの天ぷらそば」は24%まで低下する。本みりん(98%)、かつおだし(69%)などだしの自給率は高いが、しょうゆ(23%)、エビ(5%)などの低さが自給率を下げる要因だ。しかし、国産のそば粉や小麦粉を使うと自給率は向上する。ソバの自給率22%の中で、国産そば粉を使ったそばを提供する東京・上野の「はなみずき」店主、弘田千秋さん(43)は「国産のそば粉は、海外産と味が違う」と国産にこだわる理由を明かす。そば粉を100%国産にすれば、天ぷらそばの自給率は71%まで上昇する。最近ではラーメン用やちゃんぽん用、パスタ用など小麦の品種開発が進んでおり、こうした品種が広がれば自給率向上に貢献しそうだ。農水省は自給率への意識を高めてもらおうと、インターネット上で、料理の自給率を計算するソフトを公開。ハンバーグ(14%)、ねぎとろ丼(82%)といったメニューや、家庭で作る料理の食材を選んで入力すれば、食料自給率を算出できる。
●国民が危機感を共有
 食料自給率は、国民の平均カロリー摂取量のうち、国産食材で得られるカロリーの割合を示す。16年度は国民1人が1日当たり2429キロカロリーを摂取しており、このうち国産食材からの摂取は913キロカロリーにとどまる。国民の摂取カロリーの割合で最も多いのは米(自給率98%)、次いで畜産物(同16%)、油脂類(同3%)。この3品目だけで摂取カロリーの全体の半分を超える。4番目に多いのは小麦(12%)だ。同省によると、自給率の高い米の消費が減る一方で、飼料を海外に依存している肉類や油脂類、小麦製品の消費量が増え、自給率を下げる要因となっている。食の洋風化や油脂類・小麦の輸入増などが、自給率低下をもたらしている。少子高齢化で国内の食市場そのものが縮小している状況を踏まえ、斎藤健農相は「消費者が意識を持ってもらうことが重要。子や孫のことを考えて食料自給率向上に目を向けてほしい」と危機感を示す。

*11-2:https://mainichi.jp/articles/20170719/ddl/k37/040/330000c (毎日新聞 2017年7月19日) 糖尿病:治療「中断」17.1% 県、491機関の患者を調査 /香川
●「仕事」理由、重症化の傾向
 仕事の忙しさや症状がなかったことなどから糖尿病の治療を中断した経験を持つ人が患者の17・1%いることが、県の調査で分かった。若い患者ほど中断経験があり、40歳以下では24・8%と4人に1人近くに上った。中断経験者は重症化しやすい傾向もあり、県は治療継続のために地域や職場、医療が連携する必要性を指摘している。昨年の人口動態調査(概数)によると、人口10万人あたりの糖尿病死亡率は14・1人で、全国平均(10・8人)を上回り、全都道府県でワースト9位となっている。調査は2008年度に続いて2回目。生活習慣から発症が多いとされる「2型糖尿病」患者を治療する491の内科や専門医療機関を対象に、60歳以下の患者について昨年12月に実施。226機関が1367人(男882人、女482人、性別不明3人)分を回答した。受診のきっかけは、46・1%が健康診断で、35・7%は妊娠や交通事故などの診察や治療だった。糖尿病の症状が出て受診した患者も15・2%いた。だが、すぐに受診したのは78・5%。受診しなかった理由(複数回答)では、▽「特に症状もなく必要はないと思った」59・8%▽「仕事や用事で時間が取れなかった」42・4%▽「生活習慣を変え自分で改善できると思った」30・8%--などだった。17・1%の患者で治療の中断経験があった。男性は18・5%で、女性の14・7%を上回った。中断理由(複数回答)では、男性の47・7%が「仕事が忙しいので通院できなかった」を挙げたが、女性は22・4%だった。女性は「症状がなかった」が29・9%で最多だった。治療継続のために必要なことは、男性は「職場の理解」が31・4%、女性は「家庭の理解」が36・9%だった。治療を中断後に再開した患者は、網膜症や腎症、神経障害といった糖尿病合併症の併発率が中断しなかった患者と比べて3・2~2・6倍に達した。また、40歳以下の患者の86・8%が肥満だったが、41歳以上50歳以下は74・4%、51歳以上は64・4%にとどまった。食事、運動療法を続け、年配者ほど効果が出ているためとみられるという。他の医療機関との連携状況では、歯科医との連携が24・6%と低かった。県健康福祉総務課の担当者は「歯周病と糖尿病には高い相関関係のあることが分かっているが、歯科医との連携が低かった。症状がなくても治療の必要があるといった知識の普及を進めたい」と話している。

*11-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/459618 (佐賀新聞 2017年8月31日) くら寿司が糖質制限メニュー
■シャリは大根酢漬け
 回転ずしチェーン「くら寿司」を運営するくらコーポレーションは29日、すしの酢飯の代わりに大根の酢漬けを使った「シャリ野菜」など、業界で初めて糖質制限に対応したメニューを発表した。31日から全国の店舗で販売する。ご飯など炭水化物に多い糖質の摂取量を減らす「糖質制限」の人気に着目し、若い女性などの集客増を目指す。一方、「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトが期間、時間帯限定の食べ放題サービスを28日から対象店舗を拡大して実施するなど、回転ずし業界各社は激化する競争での勝ち残りへ知恵を絞っている。シャリ野菜は酢飯を使った通常のすしと比べて糖質を最大88%カットした。すしネタはエビやビントロなど4種類。酢飯の量を半分にした商品も用意し、価格は108円。担当者は「糖質を気にせずに野菜と一緒においしく食べてもらいたい」とアピールする。かっぱ寿司の食べ放題は今後も実施店舗を変えて継続する方針で、担当者は「大学生や家族連れなど幅広い層に利用してもらいたい」と話す。「スシロー」を展開するあきんどスシローは、国内の天然魚の活用や、海外産食材の調達多様化を進めている。

*11-4:http://qbiz.jp/article/117878/1/ (西日本新聞 2017年9月1日) 全加工食品に原産地表示 きょうから義務化
 全ての加工食品に原材料の原産地表示を義務付ける改正食品表示基準が1日、施行された。メーカーや販売店が表示を変更する準備ができるよう猶予期間が設けられ、2022年4月から完全施行される。内閣府・消費者委員会が8月、改正案を首相に答申していた。輸入食品の増加が見込まれる中、消費者が購入の際に参考にできるようになるほか、国産品のブランド力向上などの効果を狙う。
22年4月以降、虚偽の原産地表示をした食品を販売した個人に、2年以下の懲役または200万円以下の罰金、法人には行為者への罰のほか、1億円以下の罰金が科せられる。

*11-5:https://www.agrinews.co.jp/p41765.html (日本農業新聞 2017年8月31日) 日本 見直し提案せず TPP11首席会合終了
 環太平洋連携協定(TPP)署名11カ国は30日、オーストラリア・シドニーで3日間の首席交渉官会合の日程を終えた。知的財産分野の見直しでは一致したが、その他の分野で各国から修正要望が続出。日本は農業関係者が要望する農産品関税の見直しを提案しなかったもようだ。次回は9月後半に再び日本で首席交渉官会合を開く。
●米国要求項目 棚上げ
 12カ国で合意した内容のどの部分を見直すか具体的に議論した。米国が要求した項目について、いったん凍結し棚上げすることで米国のTPP復帰を促し、最終的に12カ国での発効を目指す。しかし、米国に復帰の兆しは見えず、先行きは依然不透明だ。交渉関係者によると、焦点の関税分野の見直しについては、各国から要望が出なかった。日本の農業関係者は、乳製品の輸入枠など米国の参加を前提にした合意内容の見直しを求めているが、日本は今回見直し提案をしなかったもようだ。日本は議論を主導する立場のため、「各国が慎重な関税分野の見直しを率先して提案しにくい」(交渉筋)。政府は米国の焦りを引き出すため11カ国での発効を急ぎたい考えだが、米国の2国間交渉で追加の農産品の市場開放を求められるとの警戒感は農業関係者に根強く、日本国内の意見調整も難航しそうだ。今回の会合で、実質8年の医薬品のデータ保護期間については凍結する方向でおおむね一致した。議論を主導する日本とオーストラリア、ニュージーランドはTPPの自由化水準を下げないよう協定の内容の見直しを極力少なくしたい考え。ただ、投資などルール分野の修正要望が続出。国内調整が引き続き必要な国もあり、見直し項目を絞り込みきれなかった。11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までの合意を目指し、来月の首席交渉官会合で検討を継続する。


PS(2017年9月2、3日追加):*12-1のように、JA全中が「らくらくWeb簿記システム」を本格始動し、経理・税務申告書類や源泉徴収票の作成・経営コンサルなどに役立てるのは、不得意な作業から農業者を解放し、質の高い生産・販売に専念でき