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2014.4.19 高架化と新しい街づくり (2014.4.21追加あり)
   
            東京の街             福岡の街       佐賀の街

(1)踏切高架化の必要性
 *1-1のように、歩行者や自転車・原付バイクが電車と衝突した死亡事故の90%近くが「開かずの踏切」で発生したが、高架化などの抜本対策をしたのは1カ所しかなかった。その上、*1-2のように、踏切の開閉基準に高齢者や障害者らの歩行速度が考慮されていないため、高齢化、バリアフリー化が進む中、抜本対策が必要になっている。

 また、踏切の高架化は、大都市だけではなく、「地方の踏切の安全化」「単線の複線化」「高架下の有効活用」にも有効だ。

(2)踏切高架化の費用は、まちづくりと一体になって行えば出せる
 *1-1のように、踏切をなくして高架化することができない理由は、各鉄道会社の予算不足だ。しかし、*2-1のように、国土交通省は高速道路の高架下の有効活用策として、土地を貸し出す基準を緩和し、コンビニエンスストアの出店などをしやすくする方針を決め、今国会に提出する道路法改正案に盛り込む。これと同じことは、鉄道の高架下でも当てはまり、賃貸料で高架化の予算不足がカバーできる。

 また、*2-2のように、鉄道会社は、駅ナカの百貨店・スーパーや保育園・デイケアセンター、高架下の商店街や駐車場などの多角経営に取り組むことが可能だ。このような駅ナカ、駅チカは、時間の節約が必要不可欠な通勤者にとって、最も便利な場所であるため、高生産性になるのである。

 なお、高架化は、「街ナカ」の再生にも影響を与えることができる。その理由は、高架化によってできる便利な場所に駅前商店街を移動し、これまでの駅前商店街を再開発をすることが可能だからだ。つまり、自治体と協働して高いシナジー効果を出せば、鉄道会社だけで苦労して高架化することはなく、自治体も、まちづくりや再開発が早く進んで一石二鳥なのである。

 そして、まちづくりや再開発にあたっては、*3-1のように、緑の増加で動植物が戻って自然と共生できる街を作ったり、*3-2のように、高齢者や障がい者が自立して住める住宅を作ったりなど、20世紀には重視されなかったが、21世紀に重視されるようになったコンセプトを、早急に実現する必要がある。

(3)福岡市や佐賀市でも街づくりが始まったが・・
 *4-1のように、福岡市天神では、再開発を目指す「天神明治通り街づくり協議会」が地区内のビルの容積率を上乗せできる特例制度を活用する方針を決めて、魅力ある市街地環境の形成を目標に掲げたそうだ。飛行機から見ると、現在の福岡市は、東京より緑が少ないので、新しい街づくりに期待したい。

 また、*4-2のように、佐賀市も2014年度から中央大通りのにぎわいづくりに乗り出すそうだが、美しさや輝きは、厚化粧や手入れをすれば出るものではなく、内にある喜びや自信から発せられるものであるため、予算の制限はPFI方式や容積率の緩和などで何とかして、「美しくなれる通り」よりも、「美しくて便利な街」を作った方が、結果的に美しい女性や若者も増えると思う。現在の佐賀市は、電線が張り巡らされて風景がよくないため、電線を地中化して風景を改善し、水と緑に育まれたおしゃれな街を作ってもらいたい。なお、佐賀市の場合は、佐賀県を南北に走る唐津線の高架化・複線化とあわせて街づくりを行うと、いろいろな問題を同時に解決できるのではないだろうか。

*1-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014040302000141.html (東京新聞 2014年4月3日) 17踏切 事故前に「危険」 電車と衝突死、都内20カ所
 東京都内の踏切で二〇一一~一三年、歩行者や自転車・原付バイクが電車と衝突した死亡事故(自殺を除く)二十二件のうち、十九件が「開かずの踏切」など国土交通省が七年前に抜本的な改善の必要性を指摘した十七カ所の踏切で発生していた。このうち事故後に踏切をなくす抜本対策をしたのは一カ所しかなく、危険性が認識されながらも踏切の解消がなかなか進まない実態が浮き彫りとなった。警視庁によると、二十二件の死亡事故が起きた踏切は二十カ所。このうち国交省が指摘していた踏切は九区三市の十七カ所。半数超の十二人が六十代以上と高齢だった。四十~五十代が三人、二十~三十代が四人。内訳は、通勤・通学ラッシュのピーク時の遮断時間が一時間あたり四十分を超す「開かずの踏切」が八カ所。それ以外の踏切のうち、歩行者が多く混雑しやすい「歩行者ボトルネック」は七カ所、車の渋滞が起こりやすい「自動車ボトルネック」が二カ所あった。路線別では西武新宿線の五カ所が最多だった。「開かずの踏切」は遮断時間が長いため、踏切をくぐるなどの行為を招きやすい。事故概要をみると、警報が鳴ったり、遮断機が下り始めた後に横断し始め、渡り切れなかったケースが九件。遮断機を押し上げたり、またいだりして踏切内に入った例は八件あった。国交省は〇七年四月、この十七カ所を含む都内の約四百五十カ所の踏切について、立体交差化による踏切の解消といった抜本対策の検討が必要だと公表。都道府県などから申請を受け、認可した抜本対策事業に補助金を出すなど、解消を促している。しかし、十七踏切で事故後に抜本対策が完了したのは京浜急行本線・空港線の京急蒲田第13踏切(大田区)のみ。〇〇年に始まった六キロ区間の高架化事業に伴い、廃止された。このほか、京王線下高井戸5号踏切(世田谷区)の立体交差化事業が国交省に認可され、JR埼京線仲原踏切(北区)でも立体交差化に向けた調査が始まっているが、ほかに具体的な動きはない。

*1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014020802000099.html (東京新聞 2014.2.8) 速すぎる踏切基準 健常者並み 徒歩秒速1.39メートル
 高齢者が踏切を渡りきれない事故が相次いでいる。六日には東京都足立区で七十六歳の女性が死亡した。踏切の開閉基準に高齢者や障害者らの歩行速度は考慮されていない。高齢化社会が進む中、基準見直しを求める声も出ている。歩行者が安全に渡りきれるよう鉄道会社が踏切を設置する際の国の基準は、二〇〇二年施行の省令の解釈基準で「歩行者の歩く速度を時速五キロ」と想定。秒速では一・三九メートルで、不動産広告で使われる徒歩速度(同一・三三メートル)より速い、健常者の歩行ペースだ。しかし、田井中幸司千葉科学大准教授の調査では、八十代女性が止まった状態から十メートル歩いた通常歩行速度の平均値は秒速〇・八七メートルで、最高でも一・二一メートルだった。このため、総務省近畿管区行政評価局は昨年十月、「人が時速五キロで踏切道を通過するとして、警報開始から遮断完了までの時間が設定されており、高齢者や障害者に配慮したものとなっていない」とする行政評価の調査結果を、国土交通省近畿運輸局などに通知し改善を促した。とはいえ、高齢者や障害者でも安全に渡りきれる歩行速度に基準を下げる動きは「現在のところない」(国交省鉄道局)。ピーク一時間当たりの遮断時間が四十分以上の「開かずの踏切」は全国に約五百カ所あるが、鉄道局の担当者は「歩行速度の基準を下げると遮断時間が長くなり、開かずの踏切が増える」と指摘。「国の基準は目安としての例示。個々の開閉時間などは鉄道各社の判断」と説明する。JR東日本などの担当者も「国の省令に基づいて運用している」と口をそろえる。国の指示で、鉄道会社はおおむね五年に一度、踏切ごとに列車運行時間帯の車や歩行者の通行量や遮断時間などを調べるが、高齢者や障害者らの利用実態までは把握していない。明治安田厚生事業団の永松俊哉体力医学研究所長は国交省基準について「自転車や足元に気を取られることを考えると、高齢者には速めの設定で明らかに検討を要する問題」と指摘。「核家族化で高齢者の一人暮らしが増え、買い物や病院につえをついてでなければいけない時代に踏切は非常にリスクが高い」と話した。

*2-1:http://qbiz.jp/article/31919/1/
(西日本新聞 2014年2月9日) 高速高架下の土地 貸し出し基準緩和 国交省方針
 国土交通省は8日、高速道路の高架下の有効活用策として、土地を貸し出す基準を緩和し、コンビニエンスストアの出店などをしやすくする方針を決めた。高速道路会社が土地の利用料収入を維持管理費用に充てるのが狙いで、今国会に提出する道路法改正案に盛り込む。現行制度で、第三者が高架下の土地を借りて利用するには「ほかに用地を確保できず、やむを得ない」ことが条件になっている。結果として、地方自治体が造る公園などに用途が限られていた。改正案では、ほかで用地を確保できるかどうかを問わずに借りられるようにする。立地の良い場所で、希望者が複数出た場合に備えて、入札制度も設ける。一般道の高架下も同様の扱いとし、道路管理者の自治体などが貸しやすくする。

*2-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140202&ng=DGKDZO66231270R00C14A2MZA000 (日経新聞 2014.2.2) 
多角化進む鉄道経営 採算性高い小売事業 早稲田大学教授 野口智雄
 日本の鉄道は、いわゆる「本業」である運賃収入での採算を前提としながらも、それを補完するため、これまでターミナル駅の百貨店、駅ビル、観光・レジャー、不動産などの「多角経営」に取り組んできた。そして今、さらに高度な多角経営が求められている。それは、マイカー・航空機との競争激化、少子化による通学客の減少、巨額の新線投資の困難さなどにより、本業のみで採算を図ることがいよいよ難しくなってきたからだ。今日の鉄道会社の多角経営のうち、特筆されるべきは小売事業であろう。この分野は、非常に採算性が高いのだ。例えば、JR東日本の駅ナカビジネス(駅スペース活用事業とショッピング・オフィス事業)の売上高は6431億円(2013年3月期)と巨額だが、なんといっても驚異なのが売上高営業利益率の水準だ。わが国トップ小売企業のイオングループが3.3%(同2月期)、セブン&アイ・ホールディングスが5.9%(同2月期)であるのに対し、JR東日本の駅ナカは16.4%(同3月期)にも上っている。
●有利な出店環境
 このような駅ナカビジネスの高生産性の理由について、『鉄道会社の経営』(中公新書・13年)の著者、佐藤信之は一種の「温室」状態を挙げる。これは、駅という人通りに恵まれた出店環境、自社が排他的に利用できるスペース、グループ外企業との直接競争の不在といった特殊環境が幸いしているとするのだ。確かに駅ナカは、乗降客をダイレクトにつかむことができ、成果も高くなり、駅周辺エリアへの影響も絶大だ。20年に山手線内に30番目の駅ができるという構想を通じ、駅ナカの凄味(すごみ)を強調するのが市川宏雄著『山手線に新駅ができる本当の理由』(メディアファクトリー新書・12年)だ。市川によると、JR東日本が品川車両基地跡地の再開発に本気で取り組み始めた理由は、「鉄道事業以外のビジネスでも儲(もう)かる」ことを発見したからだという。その発見物が、駅ナカだ。複合商業施設のエキュートが00年代、大宮駅、品川駅、立川駅に作られ、東京駅にもグランスタがオープンし、大きな成果を上げた。これらの成功体験をバックに、品川周辺の新駅建設と都市再開発事業への本格参入を決断したと市川は推察する。駅ナカビジネスの高成果はマネー・インフラの革新も一因だ。ICカードのSuica(スイカ)が01年に世に出て以降、駅改札の通過はスムーズになった。『ペンギンが空を飛んだ日』(交通新聞社新書・13年)の著者でスイカの開発者である椎橋章夫は、スイカはわれわれのライフスタイル自体を変化させたと説く。
●電子マネーの力
 この電子マネーの利用範囲は、鉄道輸送だけにとどまらないからだ。駅ナカの小売店はもとより、自動販売機、飲食店などの支払いに利用できる。活用範囲は「駅ナカ」を超え、「街ナカ」まで広がる。マネー・インフラの革新が人々の購買スタイルを変え、本業の鉄道事業と多角化事業とを緊密化させ、シナジー効果を発生させる原動力になったのである。ただ、日本の鉄道業全般を考えれば首都圏の黒字路線だけでなく、廃線目前の赤字ローカル線も少なくない。厳しいローカル線こそ、多角経営に取り組まねばならないだろう。堀内重人の『チャレンジする地方鉄道』(交通新聞社新書・13年)には、豊富な対応事例が盛り込まれている。例えば、ぬれ煎餅で本業をはるかに凌(しの)ぐ副収入を上げている銚子電気鉄道のケース。また高島屋と提携し、同社の運営ノウハウを取り入れてターミナルビルの店舗運営を行う伊予鉄道のケースなど。猫のたまが駅長に就任して一世を風靡した和歌山電鉄が、貴志駅のカフェで地元産のイチゴのスイーツを提供して会社と地域の活性化を図ったケースも有名だ。今日の鉄道会社は業容の大小に関わらず、多角経営に取り組むことの意義を再確認させられる。そして、その際に常に念頭に置くべきことは、本業とのシナジーをいかにして実現できるかという点だろう。

*3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDASGG18002_Y4A210C1MM0000 (日経新聞 2014.2.18) 
動植物、都市に戻る 公園増加で住みやすく 自然との共生、街の価値高める
 東京や大阪など大都市で貴重な動植物を目にする機会が増えている。大規模開発で一度は姿を消したが、公園の増加や環境規制の強化、住民意識の高まりで、野生生物が住みやすい環境が復活してきた。自然が戻れば都市の魅力が高まる。自然と共生する開発は経済にも好影響を与えそうだ。「森の妖精」が愛称の小鳥、エナガの目撃が23区で相次ぐ。日本野鳥の会東京によると明治神宮では2008年ごろから定着。新宿御苑などにも出没する。都市の森にはオオタカなども集まる。都心の緑地面積は減ったが、残った木々が大きく育ってエサとなる実や虫などが増えた。23区で都市公園がこの10年で5%増加。住みやすい環境が整ってきたことに加え、野鳥も都会の暮らしに適応している。鮮やかな水色の羽を持つカワセミも日比谷公園や小石川後楽園などで目撃される。05年以降はほぼ都内全域で見られる。野鳥研究者らからなる都市鳥研究会の川内博代表は「分布は戦前よりも広がったはず。珍しい鳥ではなくなった」と話す。近郊では、希少な植物が戻ってきた。東京都立川市の湿地では、高さ2~5センチメートルのアズマツメクサが3年前に発見された。30年近く目撃されず、都は絶滅したとみていた。雑草を刈って小さな草にも日光が当たるようになったためという。大阪市近郊の吹田市や堺市などでは、外来種に押されていた在来種のカンサイタンポポが復活している。大阪自然環境保全協会の5年ごとの調査では、府内の外来種の分布は10年に68.7%と05年より1.4ポイント減った。大規模造成が一巡し、自然が戻ってきたことが大きいとみられる。環境規制で水質が改善した多摩川では昨春、アユが645万匹遡上したと東京都は推定する。最多だった12年の1194万匹より減ったが、10年以前の3倍以上の水準。河口付近では、準絶滅危惧種のヤマトシジミ(貝)も確認された。立教大学の田島夏与准教授は「自然の豊かさは住宅や土地の付加価値を高める」と指摘する。

*3-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140215&ng=DGKDZO66865150U4A210C1TJ1000 (日経新聞 2014.2.15) 
トーハンが高齢者住宅 学研と組む 18年度までに10棟 異業種から参入、一段と
 出版取次大手のトーハンはサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)事業に参入する。同事業2位の学研ホールディングスと提携し、2018年度までに支店跡地などに10棟(計約500戸)を建設する。学研から運営ノウハウの提供を受け、さらに拠点を増やす。高齢化の進展でサ高住は急拡大しておりパナソニックなど異業種の参入が相次ぐ。トーハンの参入はサービス競争を一段と促すことになりそうだ。トーハンは雑誌など書籍の発行部数の減少による影響が避けられず年間売上高は約5千億円で伸び悩んでいる。介護事業を新たな経営の柱に据える。2年半前から子会社が介護講座を運営するなど介護事業への参入を検討してきた。学研は現在、サ高住を52棟運営する。約100棟を展開するメッセージに次ぐ2位。サ高住に診療所などを併設した複合施設の運営などを多く手掛ける。トーハンとの業務提携を通じ、学研グループでサ高住を強化し、保育所や学童保育、学習塾などとともにサービス事業の多様化を急ぐ。トーハンはまず横浜市に15年4月に第1号のサ高住を開業する。3月末に老朽化した神奈川支店を本社に移転するのを契機に6億円を投じて新設する。4階建ての2階以上に51戸設ける。個室は広さ18平方メートルで月額の利用料は食費や共益費、サービス料込みで約20万円と中級クラスの価格帯にする。要介護度に応じた介護保険料の1割負担がこれに加わる。学研グループで介護事業を手掛ける学研ココファン(東京・品川)がサ高住の運営責任者となるトーハン社員の研修を担当する。現場に勤務する介護スタッフへの教育も始めるほか、開設計画や収益性など運営も支援する。建物の1階には、学研グループで保育事業を手掛ける学研ココファン・ナーサリー(同)が入居する。サ高住と認可保育所を併設し利用者同士が交流できるようにするなど他社にはない特色を出す。トーハンは支店の土地の有効活用のほか、新規の用地も取得しサ高住を増やしていく方針だ。

*4-1:http://qbiz.jp/article/9836/1/
(西日本新聞 2012年12月19日) 天神「明治通り」都市計画提案へ 福岡市の容積率特例を活用
 福岡市・天神の明治通り周辺地区約17ヘクタールで一体的な再開発を目指す「天神明治通り街づくり協議会」(会長=倉富純男西日本鉄道常務)は、地区内のビルの容積率(敷地面積に占める延べ床面積の割合)を上乗せできる市の特例制度を活用する方針を決めた。特例適用に必要な都市計画決定を受けるため、再開発の目標を定めた「地区計画方針」を年内に市へ提案する。九州最大の商業・ビジネス地区の再開発の動きが加速しそうだ。協議会がまとめた地区計画方針は「都市機能強化や魅力ある市街地環境の形成」を目標に掲げ、建物の低層階や地下の集客・交流機能を高めたり、必要に応じて建物の用途やデザインを制限したりする方針を明記。提案に必要な全271地権者の3分の2以上の同意を得ており、市都市計画審議会の承認などを経て、来年秋にも都市計画決定される見込み。容積率の特例制度を受けるには、再開発の具体的ルールなどを定めた「地区整備計画」も必要となり、協議会は今後、地区内を4ブロックに分けた計画案を順次まとめる。福岡地所(福岡市)が数年後のビル建て替えを計画している「天神1丁目南ブロック」などで計画案の策定作業が先行するとみられる。市の特例は、老朽化した都心ビルの建て替えを促すため2008年に導入。「アジア」「環境」「安全安心」など五つのまちづくり項目に該当すれば、現行法で800%が上限の容積率を最大400%上積みできる。公開空地の設置で一段の上積みも可能となる。協議会は08年6月、同地区にビルを持つ西日本鉄道、九州電力、福岡銀行などで結成。現在は35地権者が加盟している。 

*4-2:http://qbiz.jp/article/32798/1/
(西日本新聞 2014年2月26日) 佐賀市「中央大通り」再生へ 県都のシンボルロードに
 佐賀市は2014年度から、佐賀駅と佐賀県庁を結ぶ中央大通りのにぎわいづくりに乗り出す。22年の九州新幹線西九州(長崎)ルート開業を見据え、県都の「シンボルロード」として再生を図る。方針の柱となるのが「美」。美容や服飾関連の店舗が多い特徴を生かし、人を呼び込む狙いだ。関連事業費計1300万円を一般会計当初予算案に盛り込んだ。市は駅周辺と、佐賀玉屋や白山名店街の周辺をそれぞれ人の集まる「核」とし、その間を商店の並ぶ中央大通りで結ぶ「2核1モール構想」を基にした中心市街地活性化基本計画を1998年に策定。その後、駅前の再開発が中止になって計画は変更され、「まずはできるところから」(秀島敏行市長)と白山周辺への公共施設の集約を進めてきた。佐賀商工ビルの完成で白山周辺の再開発が一段落することから、中央大通りの活性化に着手することにした。市の昨年の調査によると、中央大通り沿いにある121店舗のうち、美容室やエステ、服飾販売店など美容に関する店が約3割を占め、最も多かった。「“美しくなれる通り”として広めたい。女性や若い人が増えると活気が増す」と市経済部の池田剛部長。各店舗と連携したイベントを14年度中に2回開催する計画を立てている。事業費は450万円。中央大通りの「再生計画」も14年度中に策定する。有識者や地元関係者の協議組織を設置。通り沿いの建物や土地の現況調査や美に関するイベントの結果を踏まえ、企業や店舗の進出を促す方策などを考える。事業費は調査費や委託料などで850万円。秀島敏行市長は「駅前の再開発ともつなげて通りの在り方の議論が緒に就いた」と話す。 


PS(2014.4.21追加):下のような蓄電池電車を使えば、電線はいらず、使用する電気は、鉄道会社の駅、ホーム、線路部分、駅前などに、太陽光発電をデザインよく使用して自給できる。また、電力会社の電線や超伝導電線を高架に敷設させて使用料をもらえば、高架化にかかる費用の一部を補填できる。

    
           太陽光発電を設置したホーム、駅、駅前広場、駐輪場

    
    唐津線                      蓄電池電車

*5:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2616396.article.html
(佐賀新聞 2014年1月29日) 蓄電池電車でGO! JR東日本 / 国内初、栃木で導入へ
 JR東日本は営業車両としては国内で初めて、蓄電池で駆動する電車を開発し、宇都宮市内の施設で29日、報道各社に公開した。3月から2両編成で栃木県内の東北、烏山線に導入する。大容量のリチウムイオン電池を搭載、電化された区間は充電しながら、電化されていないディーゼル区間は蓄電池を使って走る。最高時速は100キロ。フルに充電すれば平地なら約40キロ走行できるという。ディーゼル車と比べ、二酸化炭素の排出量を大幅に削減でき、騒音も抑えられる。電車は3月15日のダイヤ改正に合わせて、電化区間の東北線宇都宮―宝積寺と非電化の烏山線宝積寺―烏山に乗り入れ運行する。

| まちづくりと地域振興::2011.8~2014.4 | 05:13 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.3.30 せっかくの桜の名所に、風景を台無しにする色や形の提灯を下げず、夜間に桜を浮き立たせるようにLED電球でライトアップしたらどうですか?(2014.3.31追加あり)
   
    *1より       中央公園の桜      姫路城の桜      熊本城の桜

 *1のように、桜の開花予想が発表され、浮き浮きする気分の季節を迎えたが、見る度に怒りを覚えるのが、満開の桜の風景を台無しにする色や形をした提灯が下げられることだ。

 上の左から二番目の写真は、私の自宅近くの公園で満開になる桜並木に、ふじみ野市観光協会が赤、ピンク、青、緑、黄色の提灯を下げたところだが、その提灯のため桜の美しさが台無しになり、私は毎年がっかりしている。この提灯はダサすぎて風景にくぎを刺し、観光にプラスどころかマイナスだろう。「桜=花見の宴会」という発想しか浮かばないのは、いくら何でもセンスが悪すぎ、街づくりも推して知るべしだ。

 そこで、姫路城の桜、熊本城の桜を検索してみたところ、城とのバランスがよく、熊本城は夜間にライトアップされて、見ごたえがあった。城が無くても、夜間にLED照明でライトアップしたり、他の花と組み合わせたりして、現代的でおしゃれな雰囲気を出してもらいたい。

*1:http://www.excite.co.jp/News/weather/20140326/Tenkijp_481.html
(tenki.jp 2014年3月26日) 2014年 桜開花予想(第6回)中国地方~関東は開花ラッシュ
 日本気象協会では第6回桜の開花予想を発表しました。四国からスタートした2014年の桜前線は本州へ渡り、24日は名古屋と静岡、25日は広島と東京都心、26日は和歌山で開花しました。27日は大阪や京都の開花予想日です。来週の中ごろにかけて、中国地方から関東地方は桜の開花ラッシュが続く見込みです。各地の開花日は概ね平年並みでしょう。

PS(2014年3月31日追加):*2のように、旅館のおかみ会が行動している地域があったり、自然や他の花との調和で、さらによくなっている桜の景色があったりもする。
   
   *2より       水仙と桜の小道       川べりの桜     チューリップ畑と桜
*2:http://qbiz.jp/article/34662/1/
(西日本新聞 2014年3月30日) 人吉温泉「さくら会」元気に20年 青井阿蘇神社に植樹
 熊本県人吉市の温泉旅館・ホテルのおかみでつくる「人吉温泉さくら会」(会長・富田千鶴子鍋屋本館おかみ)が発足20周年を迎え、市を代表する観光名所の国宝・青井阿蘇神社(同市上青井町)の境内一角に桜を植樹し、記念碑を設置した。トレードマークのピンクの法被をまとい、市内外でPR活動に奔走して20年。発足当時からほぼ変わらぬメンバーたちは、さらなる人吉の活性化へ意欲満々だ。さくら会は九州自動車道人吉−えびのインターチェンジ間開通前年の1994年10月に設立。イベント時の観光宣伝はもとより、温泉水を使った化粧水や球磨焼酎を注ぐ酒器など、ご当地商品の企画開発にも携わってきた。現在のメンバーは旅館など11施設のおかみら12人。植樹したのは高さ2メートルほどのしだれ桜2本で、法被と同じピンク色に色づくという。黒御影石を使った記念碑(縦45センチ、横70センチ)には各旅館名とおかみの名前を彫り込んだ。どちらも神社入り口にあり、参拝客にも目立つ場所だ。人吉温泉と球磨川下りがデザインされた法被は、会の活動と同様、この20年間色あせていないという。24日の記念碑除幕式で、富田会長は「観光活性化のお役に立てばとの思いで皆元気に突っ走ってきた20年だった。今後も人吉を存分にアピールしていきたい」と語った。

| まちづくりと地域振興::2011.8~2014.4 | 10:30 AM | comments (x) | trackback (x) |
2014.2.22 大したことのない雪が、雪害に結びつかないように準備しておくべき (2014.2.23追加あり)
   

 今日は、少し簡単な話題について記載します。雪害は、私が衆議院議員をしていた2005~2009年の間も毎年あり、国は、多くの除雪費用を支出していました。そのため、私は、毎年消えてしまう除雪費用に支出するよりも、①建物や道路が雪に強い街を作る ②除雪ができなくなったお年寄りは、近くに集合住宅を作り、今まで住んでいた家と交換して移ってもらう 等をした方が安くつきそうだと考えました。

(1)雪下ろし・雪掻きについて
 *1、*2に書かれているとおり、確かに、過疎化・高齢化で、お年寄りが一人で雪下ろしを担わなければならない家が多くなり、雪下ろしが危険な作業となり、それを解決するには、短期的には雪下ろしや雪掻きを手伝ったり、その費用を国が支出することが必要である。しかし、中長期的には、建物や道路を雪害に強くする構造にするために支出し、災害全般への備えを固めた方が安上がりだと、私は思う。

 そのため、下に、スウェーデン、北米、カナダ、ロシアなど、冬の気温が低く雪が多い地域の家を掲載した。ゴミや間伐材を焼却して発電した上、温水を作って道路に流し、道路の雪を溶かすなど、道路に雪積させない構造にすることも可能だと思うので、技術をつくして安上がりに解決してもらいたい。また、屋根の傾斜を強め、地下水(年間を通して16度C前後)・空気熱・自家発電による電力などを使うことによって、屋根の積雪も防げるだろう。そして、これらの技術が確立できれば、それも輸出できる。

   
スウェーデン・オール電化     北米            カナダ           ロシア

(2)農業用ハウスの被害について
 また、山梨県や埼玉県の農業用ハウスが積雪で倒壊して作物が被害を受けたそうだが、私は、前から農業用ハウスの作りは貧弱すぎると思っていた。そこで、北海道の農業用ハウスを下に掲載するが、やはり屋根の傾斜と雪質の違いのせいか、今回の山梨県や埼玉県での積雪くらいでは倒壊していない。

 農業用ハウスも、屋根の傾斜、空気の循環、頑丈さなどを改善することにより、「たいしたこともない雪で!?」と雪国の人に笑われない程度の災害対策はできる筈だ。しかし、しっかりした農業用ハウスの建設費用が異常に高いのは、どう考えても暴利をむさぼっていると思う。

   
                     北海道の農業用ハウス

*1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S10959276.html?iref=comkiji_redirect 
(朝日新聞 2014年2月3日) (災害大国 あすへの備え)雪害、増える死者 除雪中が7割超、高齢者が大半
 「雪害」による死者数が2000年代に入ってから増え、最大で以前の10倍に上ることが国土交通省の分析でわかった。降雪量が同水準の年同士を比べた。大半は除雪作業中の事故だといい、国交省は過疎化や少子高齢化で、危険な雪下ろしをお年寄りが担わざるを得なくなったことが背景にある。
■豪雪地帯、背景に過疎化
 昨年度までの3年間、年間死者数が100人を超える深刻な事態が続いており、国交省は豪雪地帯への国の支援策を検証する方針だ。調査では、国が豪雪地帯に指定する24道府県532市町村の1988~2012年度の年間降雪量を平均。除雪作業中の事故、落雪事故、雪崩といった雪害による死者数(03年までは暦年ベース)との関係を調べた。平均降雪量が300~400センチの年の死者数は、88~99年が9~29人だったのに対し、00年以降は12~59人だった。400~500センチ超の年は88~99年が14~28人だったのに対し、00年以降は52~152人だった。国交省によると、12年度までの3年間の雪害による死者は計368人。278人(76%)が雪下ろしなど除雪中の事故で、このうち、70%を65歳以上が占めた。担当者は「若者が減り地域コミュニティーが衰退した影響が、数字に如実に反映している」と言う。豪雪地帯では80年代半ば以降、人口が8%近く減少。特に雪が多い特別豪雪地帯に限ると、減少率は17%弱に上る。一方、高齢化率は全国平均の22・8%に対して、豪雪地帯で26・1%、特別豪雪地帯で29・2%に達しているという。
■災害全般の備え再考を
 東北工業大の沼野夏生教授(都市・地域計画)の話 50~60年ごろは死者に占める65歳以上の割合、屋根からの転落者の割合はいずれも数%だった。雪による被害の増加は、高齢化・過疎化が災害への備えも弱らせていくという現実を表している。豪雪地帯に限った話ではない。巨大地震や風水害に対する備えも弱っていくことが予想される。雪害対策とともに、備え全般について考える必要がある。
◆キーワード
 <豪雪地帯> 豪雪地帯対策特別措置法に基づき、激しい積雪で、産業の発展や住民生活の向上が妨げられていると国が指定した地域。指定を受けると、雪崩対策や道路整備といった様々な事業への支援を受けられる。24道府県(北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、滋賀、京都、兵庫、鳥取、島根、岡山、広島)にまたがり、国土面積の約51%を占める。とりわけ長期間、車の通行ができなくなるような大雪が降る特別豪雪地帯は国土面積の約20%。

*2:http://www.shinmai.co.jp/news/20140216/KT140215ETI090004000.php
(信濃毎日新聞 2014年2月16日) 記録的豪雪 除雪への備え見直そう
 関東甲信や東北の各地が記録的な豪雪に見舞われた。長野県全域で被害が出ている。悩ましいのは除雪の問題だ。国や県、市町村から委託された建設業者がフル稼働しているが、生活道路までは手が回らない。2週続けて週末に大雪が降ったこともあり、役所には「早く除雪を」「融雪剤をまいて」「雪で水路があふれている」といった要望や苦情が殺到している。業者頼みの除雪には限界がある。それぞれの自治体は、委託方式を見直すとともに、住民の協力を得られやすい仕組みづくりを工夫してほしい。高齢化が進むなか、支え合いの輪を広げることが、ますます大切になっている。松本市では8日、全国で2番目の積雪量を記録した。幹線道路で車が立ち往生し、凍結した雪で凸凹になった路面や歩道が市内のあちこちで見られた。市民から苦情が相次ぎ、菅谷昭市長は会見で陳謝。建設業者の機動力を検証する考えを示している。公共事業が削減されてきた影響で、除雪を受注できる建設業者は全国的に減っている。除雪はもともと、業者にとって採算の合う仕事とは言い難い。除雪機は冬しか使わないのに多額の維持費がかかる。稼働状況に応じて委託料が支払われるため、雪が少ない年は人件費などが大きな負担になる。公共事業の受注を目指す業者の貢献姿勢に、自治体側が甘えてきたのが実情だ。国土交通省の有識者会議が2年ほど前、例えば夏の除草と組み合わせて複数年契約を結ぶなど、発注方法を見直すよう提言した。重労働に見合う委託の在り方を、各自治体にあらためて求めたい。業者の除雪が追い付かないからといって、住民個々に責任を押し付けるのは酷だ。どの地域でも高齢者世帯が増え、雪かきの担い手が不足している。一人で雪かきをしていた高齢者が事故に遭う事例も後を絶たない。めったに大雪が降らない市町村が、豪雪地帯のように雪害対策救助員や、県外ボランティアを確保するのは現実的でないのかもしれない。それでも職員自身が加わって、自治会や町内会に相応の備えを促すことはできる。事業所も巻き込めば、平日の日中でも若手の動員を見込めるだろう。時には「雪かき塾」を開き、こつを学びつつ住民同士の交流を深めるのもいい。いざという場合を意識した取り組みは、雪害に限らず、災害全般の備えを強めることにもなる。


PS(2014.2.23追加):*3の規模の被害なら、国の補助率が高くなる激甚災害の指定を受けられるが、この機会に、単なる復旧ではなく、よりよい方向への改善を行うことが望まれる。

*3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26112
(日本農業新聞 2014/2/22) 大雪被害額本紙まとめ 農業 最低でも480億
 今月14~16日にかけて降った大雪による農業被害額が、17道府県で少なくとも480億円に上っていることが21日、日本農業新聞の各県への聞き取りなどで分かった。各地で園芸用ハウスや畜舎の倒壊が相次いでいるが、除雪や復旧作業が遅れている地域もあり、全容の把握にはまだ時間がかかりそうだ。被害総額は今後さらに増える可能性が高く、JAグループは農家の経営再建に全力を挙げている。
 被害は関東甲信を中心に、北海道~近畿の太平洋側と九州にまで及んでいる。東北は宮城、福島両県がそれぞれ1億円を超す。岩手県は沿岸北部中心にパイプハウスが90棟近く損壊。雪で現地確認が難しい所もあり、全容がつかめない状況だ。
 埼玉県は21日、229億円と発表。19日時点の22億円余から調査が進み10倍に膨らんだ。全域で農業施設の損壊が相次いだ。搾乳、集乳ができず生乳の廃棄に追い込まれる農家もいた。静岡県東部などでも酪農が被害を受けた。
 群馬県は18日時点で140億円。内訳はイチゴ、キュウリ、トマトなど農作物が70億円、ハウスの損壊・倒壊で67億円。家畜は1億4000万円で、鶏舎の屋根が潰れて鶏21万羽が圧死するなどの被害が出た。雪の被害としては過去最大となる見通しで、JAグループ群馬は被災農家を支援するため「豪雪に係る災害対策本部」を立ち上げ、被害実態の把握と経営再建に当たっている。
 記録的豪雪となった山梨県では、農業施設の被害面積が20日までで過去最大の173ヘクタールに達している。園芸用ハウスの他、JAの共選場も2カ所で損壊した。被災した範囲が広いため「被害額の把握にはまだ時間がかかる見込み」(県災害対策本部)という。
 栃木県では主要農作物のイチゴなどが打撃を受けた。19日までに判明した被害額は70億円に達している。特に県南部で被害が大きい。
 長野県は被害実態が見通せない状況が続く。19JAでハウス倒壊などの報告があるが、除雪作業に追われ被害金額は3JAでしかつかめていない。
 九州でも被害は広がっている。大分県は19日時点で10億円を超えた。

| まちづくりと地域振興::2011.8~2014.4 | 10:07 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.1.17 高齢化社会に必要なインフラづくりは、街づくりと同時に行うと早い。 (2014.1.18追加あり)
   

(1)高齢者ケアの実態
 地方や離島の高齢化は既に進んでいるが、*1のように、東京で孤立死する老人も多く、今後、ますます増えると思われる。*1のケースは、妻が認知証で食事の世話も夫がしていたのであれば、本来なら、栄養指導や細かいアドバイスが必要だった筈にもかかわらず、「ケアマネジャーは、車いすの点検に月一回、自宅を訪れていただけだった」「ケアマネジャーは、プライバシーの問題ですぐにドアを開けることをためらった」というように、①ケアマネージャーは車椅子しかケアしていなかった ②そのような老夫婦の家庭に行きながら、『いざという時には中に入る』という申し合わせをしていなかった ③いざという時に際してもプライバシーの方を優先するなど物事の重要性の認識に欠けていた 等々、看護や介護の素人だったと思われる。そして、定期的な保健師の訪問や介護師によるケアは行われておらず、医療との連携もなかったのが問題の発端であろう。

 また、「北区では七十五歳以上の高齢世帯を対象に民生委員らの見守りを実施しているが、亡くなった夫婦は申し込んでいなかった」ということだが、「民生委員らの見守り」というのは、プロではない近所の人に家庭の事情をさらけ出さねばならないため選択しないのも理解でき、全体として、この記事は、介護制度の不備による老夫婦の深い悲しみや苦しみと絆を感じさせるものだった。

(2)街づくりとハイテクで解決できる高齢者支援もある
 今後、東京でも高齢者の割合が増え、訪問看護・介護も生産性を上げなければならないが、高齢化と高齢者の自宅での生活を前提として街づくりすることによって、人手を省きながらQOL(Quality of Life:生活の質)を上げることは可能である。

 例えば、*2のように、高齢化した古い団地やマンションの容積率を緩和し、増床して建て替え、建替費用を増床分の売却益で賄い、1階に診療所、訪問看護・介護ステーション、レストラン、コンビニなどを置き、高齢者が自立して暮らしやすくするなどがある。また、電力の使用が普段と異なる「異常」を示したら警報がなるシステムにしておけば、異変が起こったら即座に救急に向かうことも出来る。そして、そのやり方のバラエティーは、いくらでも考えられる。

(3)バリアフリー時代の踏切の高架化
 *3、*4のように、踏切事故は高齢者の被害が多く、2012年度はほぼ半数が60歳以上で、車いすで立ち往生した人がはねられた事故も目立ったそうだが、これは、鉄道・自動車優先の時代に作られた踏切や道路が、高齢化時代のバリアフリー社会にあっていないということである。

 そのため、特に都会の開かずの踏切は、2階建て、3階建てに高架化して電車が上を走るようにし、1階は、身体の不自由な人や自転車もゆったり通れる空間にしてもらいたい。高架化する費用は、1階をテナントや駐車場にして貸し出せば捻出できるし、1階をテナントや駐車場にすれば、旧駅付近の街づくりを大きく前進させることも可能だ。

 また、PFI方式を使えば、税金ばかりを使うことなく、多くの有効な施策を行うことができるだろう。PFI(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)とは、国や地方公共団体が、公共施設の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法で、詳しくは、「http://www8.cao.go.jp/pfi/aboutpfi.html」を参照されたい。

*1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014011202000116.html
(東京新聞 2014年1月12日) 認知症の妻は凍死か 北区・高齢夫婦死亡
 昨年暮れ、東京都北区赤羽のアパートで、年老いた夫婦の遺体が見つかった。妻(79)は夫(75)の死後に凍死したとみられ、認知症だった。妻の介護担当者は何度も連絡を取ろうと試みたが、遺体発見は死後1カ月以上たってから。プライバシーの壁が結果的に発見の遅れにつながった面も否めない。夫婦が寄り添うように暮らしていたアパートは、JR赤羽駅から続く商店街の外れにある。1Kで家賃は四万円台。住民に夫婦のことを尋ねても「住人同士はあまり話をしないので」と言葉少なに話す。代わりにアパートの管理人が「奥さんは車いすに乗っており、外出の際はご主人がおぶって三階から下りていた。少なくとも十数年前から住んでいました」と教えてくれた。北区や赤羽署によると、妻は糖尿病や慢性心不全を患って車いす生活となり、二〇〇五年に要介護認定された。区が委託する介護事業所のケアマネジャーが車いすの点検に月に一回、自宅を訪れていた。ところが、昨年十一月の電話に応答せず、その後も計八回したが出ないため、十二月上旬にアパートを訪ねた。「ケアマネジャーはプライバシーの問題で、すぐにドアを開けることをためらったようです」と区の担当者。この時、ドアにカギはかかっていなかった。隣人らが「入院したのでは」と話したので、ケアマネジャーは妻の複数のかかりつけの病院に連絡を取ったが、「個人情報で答えられない」などと言われ、入院の有無が確認できなかった。その後、用事で区を訪ねた際、「夫婦と連絡が取れない」と伝えた。十二月二十八日夕方。夫の親族とケアマネジャー、区職員らがアパートを訪ねた。二人は居間であおむけの状態で死んでいた。夫は昨年十月三十日、妻のかかりつけの病院で薬を受け取ったのを最後に連絡が途絶えていた。解剖の結果、夫はこの直後に脳疾患で死亡し、妻はしばらくして凍死したとみられた。遺体から離れた所にスイッチが入ったままの電気毛布があった。妻は認知症のため暖を取れなかったとみられる。食事の世話も夫がしていたといい、炊飯器にはご飯が残っていた。年の瀬に起きた夫婦の孤立死。区の担当者は「ケアマネジャーは積極的に夫婦の所在確認に努めていた」と語った。
◆相次ぐ「家族の孤立死」 自治体苦慮
 高齢者らの孤立死が問題化する中、最近は先に同居の家族や伴侶が亡くなり、その後に家族の世話が必要な人も亡くなる「家族の孤立死」が相次いでいる。北区では七十五歳以上の高齢世帯を対象に民生委員らの見守りを実施しているが、亡くなった夫婦は申し込んでいなかった。区の担当者は「奥さんの世話をご主人ができていると考えていた」ことを異変に気付くのが遅れた一因に挙げる。都内では二〇一二年、立川市で母親=当時(45)=の死亡後、知的障害の息子=同(4つ)=が孤立死したとみられる事案が起きた。厚生労働省は各自治体に民間事業者や地域と連携して見守り強化を要請した。それでも自治体の担当者は「介護や見守りは人と人との付き合いの問題で、ケースはそれぞれ異なる。どのくらい連絡が取れなかったら行政に報告すべきかなど、機械的な取り決めはしにくい」と明かす。孤立死問題に詳しい淑徳大総合福祉学部の結城康博教授は「プライバシーの壁もあるが、ケースによって無理してドアを開けるなど積極的な対応を取る自治体もある。室内を確認すれば命を救えるかもしれないし、仮に亡くなっていても死者への尊厳の観点から、早く発見してあげなければならない」と指摘している。

*2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2606410.article.html
(佐賀新聞 2014年1月10日) 容積率緩和で増床、建て替え促進 / マンションの老朽化対策
 国土交通省は9日、耐震性が不足する老朽マンションを住民が建て替える場合、容積率を緩和し増床できるようにする方針を決めた。増床分を売却し費用の一部に充てることで住民の負担を減らし、建て替えを促進するのが目的。24日召集予定の通常国会にマンション建て替え円滑化法改正案を提出する。全国約590万戸のマンションのうち、約106万戸が1981年以前の旧耐震基準で建てられており、震度6強以上の大規模地震で倒壊する危険性が指摘されている。しかし住民の合意形成や費用負担の問題で対策が進んでいないのが現状だ。

*3:http://mainichi.jp/select/news/20140112k0000m040089000c.html
(毎日新聞 2014年1月12日) 認知症:鉄道事故死遺族ら「24時間見守りなんて無理」
 在宅介護に取り組み家族を失った各地の遺族が、予期せぬ賠償請求に直面している。認知症の人の鉄道事故。予防や安全対策が追いつかない中、遺族の監督責任だけが問われる事態に、「できるだけ住み慣れた地域で」という国の認知症施策は課題を突きつけられている。2012年3月6日夕、埼玉県川越市の伊藤貞二さん(78)宅に近くに住む長女(44)が立ち寄り、首をかしげた。「お母さんは?」。「寝ているだろ」。伊藤さんはそう答えて隣室の寝床をのぞいたが、妻敦子さん(当時75歳)の姿はない。悪い予感がした。まだ肌寒いのにコートは置かれ、必ず身に着けさせていたGPS(全地球測位システム)付きの携帯電話や名前と連絡先を書いた「迷子札」も布団に残っていた。予感は当たってしまった。敦子さんは自宅から約15分の東武東上線川越駅そばの踏切で、電車にはねられ死亡した。
 高度経済成長期に自動車部品工場で職場結婚して50年近く。敦子さんは孫ができたころから物忘れが目立ち、70歳を過ぎて近くの病院で胃がんを手術した際、「麻酔で症状が悪くなることがある」と告げられた。退院後、近くのスーパーから1人で帰れなくなり、事故の1年半ほど前に認知症と診断された。週に1度ほど徘徊があり、時折、道が分からなくなることはあったが、大声を上げたり排せつで困らせたりすることはない。要介護度は「部分的介護が必要」とされる「2」。施設に入れるほどではなく、デイサービスも利用しながら、敦子さんは住み慣れた家で穏やかに暮らしていた。事故当日は伊藤さんが自治会の用事で出掛けた直後、外に出たらしい。がんを手術した病院の近くで見たという人がおり、そこへ行こうとしたのかもしれない。伊藤さんは帰宅後、妻の不在に1時間ほど気付かなかった。「もう少し早く気付いていれば……」。悔いは残るが「できる限りのことはした」という思いはある。就寝時は部屋の出入り口で横になり、妻がトイレに立つ度に起きて見守った。近くの孫も一緒に外出する際、常に敦子さんと手をつないで注意を払ってくれた。万一に備え近所にも症状を隠さず伝えていた。

*4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S10914035.html?ref=pcviewpage
(日経新聞社説 2014年1月8日) 踏切事故 いのちはもっと守れる
 踏切はおそろしく前近代的な存在。対策を急げ。66年12月、こんな社説を載せた。だがその後もほぼ半世紀、踏切は多くの人命を奪い続けている。この年末年始も、山形新幹線や、松山市のJR予讃線の踏切で死亡事故が起きた。踏切は60年代のほぼ半分の3万3千カ所余りになり、事故件数も大幅に減った。ところが90年代以降、死亡者数は毎年百数十人で横ばいだ。高齢者の被害が多く、12年度はほぼ半数が60歳以上だった。車いすで立ち往生した人がはねられる事故も目立つ。踏切は鉄道優先が原則だ。鉄道会社の対策は、列車に被害が及びかねない対自動車事故の防止に主眼が置かれてきた。救助に入った女性が死亡した昨年10月のJR横浜線事故で、限界が露呈した。最新の障害物検知装置があったが、身を低くした女性を救えなかった。鉄道各社は「まず非常ボタンを」と強調する。ただ横浜の事故ではボタンを押した人もいたのに、自動的にブレーキがかかるようにはなっていなかった。自動ブレーキが作動するシステムは実用化されているが、全国でもごく一部にしか普及していない。列車だけでなく、踏切にいる人の命も守る。鉄道会社はそういう発想を強く持ち、技術開発を急いでほしい。ほかにもできることはある。総務省は昨年、高齢者や障害者の視点から大阪府内の踏切を点検した。警報機が鳴り始めてから遮断機が閉まるまでの時間は、歩行者が時速5キロで通り抜ける想定で決まっている。ところが、電動車いすが全速力で走っても、閉じ込められる恐れがある長い踏切が、少なくとも9カ所あった。車いすが何台通っているか、大半の鉄道会社は把握していなかった。鉄道会社はおおむね5年ごとに踏切の通行量を調べる。どんな年齢層や障害のある人が渡っているかを詳しく把握し、遮断時間を見直すといったきめ細かい対策に役立ててはどうか。事故から学ぶ仕組みも必要だ。05年の東武竹ノ塚踏切事故で母を亡くした加山圭子さんらは、鉄道会社が国に提出した事故報告書の分析を続けてきた。05~12年度に2700件超起きた踏切事故で、再発防止策の記入があったのは8%。「これでは同じような事故はなくせない」と加山さんは訴える。運輸安全委員会は14年度から、踏切事故で調査する件数を増やす方針だ。できる限り多くの事故の背景を究明し、安全向上につなげてもらいたい。


PS(2014.1.18追加):救急で駆けつける場合、救急車でたらいまわしにされるなど、現代にあってはならないことだが、それは救急体制をしっかり整備して解決すべき問題である。私が提案して始まったドクターヘリは、離島や山間部、渋滞した道路などで力を発揮すると思うが、日本全国で整備できただろうか?

*5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2610970.article.html
(佐賀新聞 2014年1月18日) 県ドクターヘリ待望の単独就航
 佐賀県が導入した救急医療専用のドクターヘリが17日、運航を開始した。これまで福岡、長崎両県のヘリを共同運航していたが、単独運航によって機動力が向上。患者の救命率アップと後遺症の軽減が期待される。導入した機体は米国製の最新型で、全長13メートル、最高時速260キロ。拠点となる佐賀市の佐賀大病院、県医療センター好生館から県内全域に15分以内で到着できるようになった。運用方法も新しい試みを取り入れ、119番の内容に「交通事故で車外に投げ出された」「急に意識を失った」など緊急を要する言葉があると、各地の消防機関は迷わず出動を要請するルールをつくった。ヘリの定員は6~7人。通常はパイロットと医師、看護師、整備士の4人が搭乗し、患者1人を搬送する。災害など多くの患者が出た場合は2人まで搬送できる。運航時間は日の出から日没30分前まで。福岡、長崎との連携は継続する。年間経費は2億1千万円。1年で250件の出動を見込んでいる。佐賀大病院の屋上ヘリポートで開かれた式典で、古川康知事は「財政的な理由で単独運航が遅れた分、他県より優れた仕組みを導入できた。日本で一番、ドクターヘリを安心して利用できる地域にしたい」と述べた。

| まちづくりと地域振興::2011.8~2014.4 | 05:07 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.1.16 遅い実用化・デザインの悪さ・高い価格設定が、燃料電池車・電気自動車が浸透していない理由である
    
       *1より         *2より        *3より      地熱発電所

(1)燃料電池車・電気自動車の実用化について
 自動車が全く排気ガスを出さないためには、①電気自動車にする ②燃料電池車にする という2つの方法がある。自動車の排気ガスは、CO2のみならず、NOx、SOxなども含み、環境に悪いだけでなく、人間に吹き付けられると気分が悪くなり、車酔いしやすい。私は、そう感じる人であるため、電気自動車や水素燃料による燃料電池車を20年ほど前に経産省に提案したが、その技術開発と普及は、*1、*2のとおり、あまりにも遅かった。

 遅かった理由は、ガソリン車を前提としてできていた仕組み、つまり石油会社やガソリンスタンド、ガソリン車の部品や技術が使えなくなることとの兼ね合いがあったようだが、日本で時間がかかっている間に、日本で最初にできた技術も他国に先を越され、あわてて後追いしなければならない羽目になったりする。燃料電池車、電気自動車、太陽光発電などは、これにあたる。また、新しい技術を使った製品でも、あまりにも高い価格設定をしたために普及せず、そうこうしているうちに他の製品に置き換えられて敗退するものもある。その代表はプラズマテレビだが、燃料電池車・電気自動車、及びそれを走らせるためのインフラや太陽光発電設備も、現在、価格が高すぎたり、デザインがよくなかったりするので気がかりだ。

(2)燃料である水素ガスの供給と価格について
 現在、*3のように、石油会社が「石油を売る」というコンセプトから「エネルギーを売る」というコンセプトに換えて、水素燃料の販売に進出している。しかし、石油会社の限界は、①水素燃料の価格を石油と同じまでにしか下げない ②既存の設備を使いたがる ということだろう。

 しかし、水素燃料は、水を電気分解すれば作ることができ、化学工場では副産物としてできるところもある気体であるため、日本でもいくらでも作ることができる。従って、電気分解するための電気を、地熱や風力など、自然エネルギーで安価に作れれば、水素燃料の価格も安くすることが出来るのだ。そのため、水素燃料価格は、かなり安くて当然であるにもかかわらず、水素燃料価格を高止まりさせていることは、無公害車の普及を妨げている。

(3)新しい街づくりと新しいエネルギー体系
 オリンピックを控えて、東京都は、高速道路や道路を新しく作り変えなければならない局面が多い。この時、燃料電池車と電気自動車を前提とする新しいエネルギー体系にしておけば、高速道路や道路がビルの中(3、4階など)を走ることもでき、川の上のカーブした古い高速道路を撤去して、直線の広い高速道路や道路を作ることも可能だ。そうすれば、東京に、美しく便利でわかりやすい街が出現するだろう。

 もちろん、東京以外の都市が先にそれをやってもいいのだが、東京がその方向で街づくりを行い、オリンピックを開催すれば、世界へのインパクトが大きいと思う。

*1:http://qbiz.jp/article/30322/1/
(西日本新聞 2014年1月11日) 通学に燃料電池バス トヨタ九州が実証実験 九大伊都キャンパス  
 トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)は10日、走行中に二酸化炭素(CO2)を排出しない燃料電池バスの導入に向け、九州大伊都キャンパス(福岡市西区、糸島市)とJR九大学研都市駅(福岡市西区)間の約6キロで走行実証実験を始めた。16日まで1日4往復し、CO2削減効果や採算性を検証する。バスはトヨタ自動車と日野自動車が共同開発し、2016年の発売を目指している。水素と酸素の化学反応で発生する電気を使って走る。CO2や窒素酸化物を排出しないため、「究極のエコカー」と呼ばれる。ディーゼル車と比べ、走行音や振動も少なく、1回の充填(てん)で200〜300キロ走ることができるという。実証実験は温室効果ガス削減を目指す環境省の委託事業。通学のため試乗した同大大学院博士課程4年の男性(27)は「揺れが少なく、集中して本を読むことができた。静かで快適なので、早く実用化してほしい」と話した。同社は18日から、福岡、熊本両市を結ぶ高速道路での実験も予定している。

*2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140115&ng=DGKDASDD140N0_U4A110C1EA2000 (日経新聞 2014.1.15) 燃料電池車 排出するのは水だけ
▽…水素と酸素を化学反応させて電気を作り出す「燃料電池」でモーターを回して走る自動車のこと。走行中に出すのは水だけで、二酸化炭素(CO2)などの温暖化ガスや有害物質を排出しない。1回の水素充填でガソリン車並みの約500キロメートルを走行できる。電気自動車よりも航続距離が長く、充電時間もかからないことから「究極のエコカー」とも呼ばれる。
▽…昨年11月の「東京モーターショー」ではトヨタ自動車が2015年に市販予定の燃料電池車のコンセプト車を公開した。ホンダも同時期の市販を目指す。燃料電池車の価格はかつて「1台1億円」とされたが、トヨタは15年の市販時点で1千万円以下に抑え、量産段階では500万円台まで引き下げて需要を開拓する計画だ。
▽…開発費や技術普及コストの低減のため、自動車業界では同分野の国際提携が相次いでいる。トヨタは独BMW、日産自動車は独ダイムラー、米フォード・モーターと組み、昨年7月にはホンダも米ゼネラル・モーターズ(GM)との提携を決めた。燃料電池車の普及には車両コストの削減と同時に、水素ステーションなどインフラコストの低減が欠かせない。関連企業でつくる「燃料電池実用化推進協議会」は25年に国内で200万台の普及を目指す。

*3:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD100VI_U4A110C1MM8000/
(日経新聞 2014/1/15) JX 水素価格、ガソリン並みに 燃料電池車後押し
 二酸化炭素(CO2)を排出しない燃料電池車はエコカーの本命とされ、トヨタ自動車やホンダが15年から量産・販売する。政府も15年度までにガソリンスタンドに相当する「水素ステーション」を国内100カ所に整備する計画。ただ、同じ走行距離に換算した価格がガソリンの2倍以上とされるコストと、1カ所あたり3億~5億円かかる水素ステーションの建設費が普及の課題になっていた。グループ中核のJX日鉱日石エネルギーが製油所で自社生産している水素をトルエンに溶かして液体化。常温・常圧の状態でトレーラーで水素ステーションに運ぶ技術を開発した。車に充填する時点で、独自開発した触媒を使って気体に戻す。現在は気体の水素を高圧で圧縮して専用トレーラーで輸送、貯蔵している。液化すれば高強度の炭素繊維製ボンベや爆発を防ぐ設備なども不要になり、ガソリン用のトレーラーやタンクを転用できる。ステーション建設費は2億円と現行よりほぼ半減する。液化で体積を小さくして輸送量も2倍に増やせる。現状の水素の生産・流通コストは1立方メートルあたり145円。今回開発した低コストの水素供給体制が整うと、燃料電池車の普及の目安とされる同100円以下が実現する。ステーション整備などで水素の生産量を増やすことでさらにコストを引き下げ、同じ走行距離でガソリン並みとなる同約60円に近づける計画。JXは国内の約3分の1に相当する1万1100店の系列ガソリンスタンドを持つ。すでに神奈川県海老名市など5カ所に水素ステーションを開設。15年度までに40カ所に増やす計画。この段階では従来技術を使うが、燃料電池車が普及期に入るとみられる20年から液体輸送を実用化。一気に供給網を広げる方針だ。燃料電池車は1回の燃料充填で走れる航続距離はガソリン車並みだが、15年時点の車両価格は500万円前後の見込み。水素の供給量が増えれば価格も下がる。それが車両の需要も喚起し、車両価格の一段の引き下げにつながる好循環が期待できる。トルエンで水素を液化する技術は千代田化工建設も開発を進めており、燃料電池車だけでなく、関連インフラの技術開発でも日本勢が世界をリードしている。

| まちづくりと地域振興::2011.8~2014.4 | 06:05 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.12.23 ふるさと納税制度の意味と、まだ不十分な部分について
(1)ふるさと納税制度の意味
 「ふるさと納税制度」は、私が提唱して作られた制度だ。その意図は、「ふるさとで教育を受け、老親はふるさとで医療・介護などのケアを受けているが、生産年齢人口の人は、都会や工業地域で働き、そこで住民税を支払っているため、地方財政の支出と収入に存在する矛盾を修正するためのものである。 うさぎ

 そのため、ふるさと納税制度を使って寄付する地域は、自分が教育を受けた地域や老親が住んでいる地域というのが普通だが、ふるさとを複数持つ人や特別の思い入れを持つ地域のある人もおり、それらのどこへでも寄付することができる制度になったのはよいことだと思っている。

 しかし、ふるさと納税制度の意図からすれば、控除は、国税とは関係なく住民税で行うべきであり、ふるさと納税した金額は、全額、居住している地域の住民税から差し引けるのが合理的だと思うが、これは、一人負けになる東京都の反対で実現しなかった。

(2)制度の不十分さと自治体の努力
 *2、*3のように、「ふるさと納税」すれば、所得税、個人住民税の確定申告をすることによって、一定限度の寄付金控除が受けられるものの、100%は控除できない。*2で説明されているような「限度額計算」は、税法でよく使われるものだが、合理的な根拠があるわけではなく、納税者を不利にし、やたら計算を複雑化しているため、「ふるさと納税」は、もっと簡単な手続きと限度計算(例えば、住民税所得比例部分の70%以上は居住する自治体に納税するなど)で、全額を控除できるようにすべきだ。

 しかし、現在は、納税者に煩雑さと不利益があるため、*1のように、「ふるさと納税」による寄付を受けたい自治体は、納税者の不利益部分の補填の為に、特産品などを贈るようになったわけである。自治体が特産品などの特典を与えたり、賛同を呼ぶ寄付金の使い道を提示したりして「ふるさと納税」による寄付金を集めるのは、全く悪いことではない。そして、ふるさとの再生やまちづくり、福祉の充実など、寄付する人に魅力のある使い道を提示したり、ふるさとの産品を送ったり、寄付の集め方を工夫したりした結果、寄付金の額に差が生まれるのは当然である。 うし

*1:http://qbiz.jp/article/29089/1/
(西日本新聞 2013年12月16日) ふるさと納税格差拡大 導入5年−福岡市急増、長崎県苦戦
 出身地や応援したい自治体に寄付をする「ふるさと納税」の導入から5年が過ぎた。寄付の使い道への賛同や、返礼に贈る特産品などの特典の効果で、爆発的に寄付額が増えるケースもあり、福岡県と福岡、北九州両市では本年度、既に過去の年間最高額を更新した。一方で自治体間の特典競争は過熱しており、寄付額に格差が生まれる傾向もうかがえる。
 福岡市は4〜10月の寄付額が前年度(171万円)の40倍以上の7560万円となった。わずか7カ月で過去最高だった2010年度(710万円)の10倍を超えた要因として、寄付金の使い道に、市立こども病院の患者家族向け宿泊施設の建設支援を加えたことが挙げられる。市によると、宿泊施設建設を支援する寄付を受け付け始めた5月以降、賛同者が続出。5千万円の大口も含め、寄付全体の97・4%が施設建設向けに寄せられた。「こんなに集まるとは想定していなかった。使途に『目玉』があると寄付が増えるようだ」。市の担当者は目を丸くする。返礼の特典充実が、寄付を呼び込むことにつながった例も目立つ。福岡県は1万円以上寄付した人に県産イチゴ「あまおう」などを贈り始めた12年度、寄付額が過去最高を記録。さらに本年度は、10月時点で12年度の倍近い379万円に達している。担当者は「東京の県人会などで寄付を呼び掛け、特典の効果が浸透してきた」と言う。11年度から寄付目的に応じて水産加工品などを贈っていた佐賀県は、本年度に入ってテレビの全国放送で紹介された影響もあり、寄付件数が過去最多の545件になった。寄付額も過去最高となる勢いという。総務省が4〜6月に行った調査では、特産品などを贈っている自治体は932団体で全体の52%。少数派となった特典のない自治体の寄付集めは苦戦気味だ。
 家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の被害を受けた宮崎県は10年度、全国から寄付の申し出が殺到し、1億5千万円以上を集めたが、本年度はまだ270万円。10月までの寄付が135万円にとどまる長崎県は、特産品の提供を検討している。ただ、特典のない自治体の中にも「特産品を目当てに寄付をする人もいる。特典の豪華さで自治体競争をエスカレートさせても意味がない」(熊本市)と特典贈呈に否定的な声もある。国も競争過熱にブレーキをかけ始めた。総務省は「特典の提供が行き過ぎると、ふるさとへの貢献などを目的にした制度の趣旨から外れる」と警告。9月に「良識ある対応」を促す文書を全国の自治体に送付している。
◇九州各県 返礼多様、使途も独自色
 九州では、ふるさと納税の返礼として農水産物などを贈る自治体が目立つ。豪華なのは佐賀県玄海町。本年度から1口10万円以上の寄付者に、1年を通して毎月、黒毛和牛やメロンなどを贈る「プレミアムコース」を設けた。4月から10月末までの寄付額は、既に2012年度の10倍を超す4362万円に達した。特産品ではなく、工夫を凝らした返礼をしている自治体も。鹿児島県は約60の文化・観光施設で入館料割引などを受けられる「かごしま応援者証」を贈呈する。佐賀県は寄付者が選べる返礼の一つに、県に関する豆知識を記した「トリビア入りトイレットペーパー」を用意した。寄付の使い道でも独自色を競う。熊本県は11月、県のキャラクター「くまモン」の応援のための寄付を新設。全国のくまモンファンの賛同を期待する。西アフリカの伝統打楽器「ジャンベ」の普及促進を掲げたのは鹿児島県三島村。世界的奏者との交流を機に、ジャンベを核とした村づくりを進めており「ジャンベのリズムに乗せて島の情報を発信したい」としている。
■ふるさと納税 個人が任意の自治体に2千円を超えて寄付すれば、住民税と所得税から一定の控除を受けられる制度。大都市と地方の税収格差を是正する狙いがあり、地方税法の改正で2008年に導入された。寄付する「ふるさと」は出身地に限らず自由に指定できる。年間70億円前後で推移してきたが、12年度は東日本大震災の被災地への義援金目的で急増し、649億円に達した。

*2:http://www.furusato-nouzei.jp/guide/simulator.html ふるさと納税の仕組み
 寄付金の控除として所得税、個人住民税は確定申告をすることによって、それぞれ所得控除及び税額控除が一定の限度の中で受けられます。こちらから、自治体に寄付した場合の税控除額を試算できますので、ご参照ください。また、目安となる「ふるさと納税による税金の軽減額早見表」をダウンロードいただけます。
1 寄付金の控除対象金額所得税では、自治体以外への控除対象寄付と合わせて、所得金額の40%相当額、住民税では自治体、所在地の都道府県共同募金会及び所在地の日本赤十字社支部への寄付金の合計額で所得金額の30%相当額がそれぞれ控除対象の限度となります。
2 所得税から控除寄付金控除額(寄付した金額-2,000円)は扶養控除、社会保険料控除及び生命保険料控除等と同様に総所得金額から控除されます。
3 住民税から控除寄付金控除額(寄付した金額-5,000円)は算出した住民額から次の(1)、(2)の合計額が控除されます。
(1)= 寄付金控除額の10%
(2)= 寄付金控除額×(90%-所得税の税率)・・・この金額は住民税の10%が限度

*3:http://www.furusato-nouzei.jp/guide/pdf/hayami.pdf
ふるさと納税による税金の軽減額早見表(目安額)
1.この表は、総所得金額毎に寄付金額別の住民税と所得税の目安軽減額(概算額)を表したものです。
2.扶養の状況は、夫婦と子供2人で試算しています。
3.百円未満の端数は、切り捨てて表しています。
総所得額                  寄付額50,000円の場合  寄付額100,000円の場合
500万円の場合   控除合計(割合)   38,200円(76.4%)    48,200円(48.2%)
700万円の場合   控除合計(割合)   45,600円(91.2%)    75,500円(75.5%)
1000万円の場合  控除合計(割合)   45,600円(91.2%)    95,600円(95.6%)

| まちづくりと地域振興::2011.8~2014.4 | 10:46 AM | comments (x) | trackback (x) |
2013.12.19 日本最古で最大の国家機密である「白村江の闘いでの敗戦」と日本史での記述
  
      白村江           邪馬台国の場所        
(1)「白村江の闘い」の敗戦とその後の話
 玄海原発の近くは、*1のように、日本最古で最大の国家機密である「白村江の闘い」のために、中大兄皇子が百済に2万7千人の援軍を船出させた場所である。ここは、壱岐、対馬を経由すれば、古代の帆船で、朝鮮半島に最も安全かつ最短距離で航海できた場所だからであろう。福岡県・佐賀県には、それを示す神社や逸話が多い。

(2)日本の古代史では、真実が扱われていない
 しかし、この事実は、日本の高校歴史教科書では殆ど触れられておらず、韓国の高校歴史教科書(日本語訳有)では、詳しく書かれている。従って、日本人は知らないが、韓国人には常識だ。これは、特定秘密(機密)によって、1300年以上も、日本史の真実が曲げられている最大の事例だろう。

 なお、*1に書かれているように、「白村江の闘い」の後、百済は滅亡し、新羅が朝鮮半島を統一して、倭国(日本)に亡命した百済人は、いろいろな闘いを経た後、日本の中枢に入った。しかし、その様子も日本史では正確に扱われていないため、日本の奈良時代より前の正確な史実については、日本人は知らないと言っても過言ではない。

(3)そこを明らかにすると、古代東アジアでの倭(日本)の位置づけがわかる
 *2に書かれているように、現在の博多駅と同じ場所に、1300年前も「駅」があったそうだ。また、玄海原発の近く(唐津市、玄海町、松浦郡)は、日本の弥生時代を記した魏志倭人伝によれば、末盧國(まつらこく:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%AB%E3%82%89%E5%9B%BD)であり、糸島は伊都国(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E9%83%BD%E5%9B%BD)であって、長くは書かないが、邪馬台国(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%82%AA%E9%A6%AC%E5%8F%B0%E5%9B%BD)は大宰府の近くである。そのため、玄海原発の立地周辺地域は、歴史の真実が明らかになれば、日本史の中でも重要な地域であり、原発などなくても、観光地として整備して成り立たせることができると考える。

*1:http://www.asuka-tobira.com/hakusonkou/hakusonkou.htm
白村江の戦い(要点)
倭国の援軍
●663年
①3月,中大兄皇子は百済に2万7千人の兵を3軍編成で送った。将軍は上毛野君稚子(かみつけののきみわかこ)、巨勢神前臣訳語(こせのかんざきのおみおさ)、阿倍引田臣比羅夫(あべのひけたのおみひらふ)。援軍は博多湾から壱岐・対馬を越え,朝鮮半島へ向かった。いつも海が穏やかで天気がよいとは限らない。時には荒れ,また,海の流れに逆らって進まねばならない。
②8月28日:白村江(錦江-クムガン河口)で,唐軍と百済・倭国連合軍が激突。倭国軍は唐の水軍によってはさみうちにされ,軍船400隻は燃え上がり,大敗してしまう。(歴史上最初で最大の敗戦となった)。百済王(豊璋)は逃亡してしまう。
③9月7日:百済が陥落し永遠に滅亡
●668年
 唐・新羅連合軍は高句麗も滅ぼした。その後,唐と新羅が対立。
●672年
 壬申の乱:日本古代最大の内乱戦争で、天智天皇の太子・大友皇子に対し、皇弟・大海人皇子(後の天武天皇)が地方豪族を味方に付けて反旗をひるがえしたとされているもので、大海人皇子が勝利した。
●676年
 新羅によって、朝鮮半島統一
<百済人は倭国(日本)へ>
 唐との戦いで敗れ,祖国をなくした百済人たちは倭国に亡命した。滋賀県蒲生郡は百済人たちが多く住み着いたところ。石塔寺の三重塔は,百済の都,扶余(ふよ)にあった定林寺の五重塔の様式と同じといわれる。滅亡した百済の王族たちは奈良地方に逃れたが,その後の動乱から逃れるため再び九州地方を目指して船出した。一行は瀬戸内海で時化(しけ)にあい,九州東海岸の日向市金ヶ浜と高鍋町蚊口浦に漂着した。そして,山間部に入り,父の禎嘉王(ていかおう)は宮崎県東臼杵郡美郷町に王子の福智王(ふくちおう)は宮崎県児湯郡木城町に移り住んだと言われている。(旧南郷村の「百済王伝説」より)。神門神社(宮崎県東臼杵郡美郷町)は718年(養老2年)創建されたと伝えられ、祭神として百済の禎嘉王が祀られている。この神社で行われる行事として「師走祭り」がある。禎嘉王とその王子が1年に1度再会する様子を再現したものという。禎嘉王の墓とされる南北10m,東西10mの円墳がある。
●694年
 飛鳥浄御原から藤原京(着工時期:676年)に遷都
●710年
 藤原京から平城京に遷都

*2:http://qbiz.jp/article/28503/1 (西日本新聞 2013年12月8日) 
博多駅移転50年、1300年前も「ここ」にあった 石井幸孝氏(NPO法人 福岡城市民の会 理事長)
 12月1日、福岡市・祇園にあった博多駅が現在のところに引っ越して50年がたった。一昨年の2011年、九州新幹線鹿児島ルートが完成して、鹿児島から青森までの新幹線列島大動脈が完成し、また新しい駅ビルもできた。博多駅は九州内各都市はもちろん、全国と鉄道で直結している。至近の博多港からは韓国・釜山に高速船ビートルが出るし、地下鉄で5分の福岡空港からは国内主要都市やアジア、世界とつながっている。
■ ■ ■
 日本最初の法制国家誕生ともいえる大化の改新(646年)後、大和朝廷による律令国家では、最重要事項として全国に幹線道路網をつくった。奈良・京都を中心にして6方面に延びる「山陽道」、「東海道」、「東山道」などのほか、九州は「大宰府」を中心にした道路網「西海道」、合わせて「五畿七道」と呼ばれた。全国6300キロ(今の高速道路と同じくらいのキロ数)、道幅12メートルの直線道路という驚くべきスケールだった。都と、「遠の朝廷」(とうのみかど)と呼ばれた大宰府を結ぶ「山陽道」(九州内は大宰府道と呼ぶ)は、唯一の「大路」という最重要幹線だった。全国に当時の30里(約16キロ)毎に400ほどの「駅家」(うまや)を置き、ここに飼い慣らされた馬を、「大路」の場合には20頭ずつ置いて、公務出張の場合にはこれを乗り継いで移動した。大宰府から都まで6日くらいで飛ばした。馬は人間が歩く速さの5倍くらいで走るので、まさに高速道路だ。
■ ■ ■
 奈良時代(710年〜)の初めには全国網がほぼ完成して平安時代にかけて使用され、万葉集などの古文書にも出てくる。平安時代半ばの法令ともいえる「延喜式」には、駅名などが詳細に載っている。驚くなかれ、現在の博多駅と同じところに1300年前の「駅」があったことになる。「美野駅」と記され「よしのえき」と呼ばれたらしい。近くに今も美野島という地名が残っている。もっと厳密に言うと、この「美野駅」はいまの博多駅ビルと交通センターの接するあたりに十字路があって、その隣接地に駅家の施設があったらしい。「五畿七道」のことを今の学者は「古代官道」と呼び、最近では歴史地理学と考古学でその実態がわかってきている。大宰府から水城東門経由「美野駅」に至り、博多港に至る直線道路と、水城西門経由鴻臚館に至る直線ルートがあった。外交・軍事・貿易の最重要地域なので、二本つまり二重系になっている。今の筑紫通りと高宮通りである。山王公園の南西の道からは、古代官道の遺跡が発掘調査されている。この2ルートと直交する道は、都から来た「山陽道」が柚須、二股瀬から美野駅経由住吉神社門前を通り、西門ルートと直交して早良平野の直線道を進み、糸島から唐津、壱岐・対馬に至り韓国(当時新羅)と対する。美野駅は都とつながり、さらに大宰府経由九州内各国(肥前、肥後、薩摩など)とはもとより、博多港からは海路中国(当時は隋・唐)、さらに遠くシルクロードにつながっていた。美野駅の役割は今の博多駅とまったく同じだ。たいへん重要な「駅」だったので、馬の管理や飼育の大規模な役所があったに違いない。今も近くに「馬番所」という字名も残っている。

| まちづくりと地域振興::2011.8~2014.4 | 12:21 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.10.16 街づくりとそのパーツについて
  
         東京駅(2012年10月、NPJのHPより)
 東京駅は、佐賀県出身の建築家、辰野金吾の設計で、1914年(大正3)に開業し、大正初期の代表的建築物だったが、第二次大戦で壁体を残して焼失し、戦後、大幅に改修されていた。今回、戦災で焼失した屋根と3階の外壁が創建当初の姿に復原され、平成24年(2012年)10月1日に復原開業したが、この東京駅を改修するのに使われたすぐれたコンセプトをまとめると、下のようになる。
  1)外観は歴史的建造物を復元したこと
  2)駅中には、現代的な素敵な街ができていること
  3)総工費500億円が、近くの東京ビルや新丸ビルといった新しい高層ビルへの容積率移転という
    手法によって捻出され、実質、無料で駅の修復ができたこと。 にかっ

 ここで、駅とまちづくりの重要な関係を考えれば、駅や鉄道を賢く改築すれば、殆ど費用負担をせずに新しいコンセプトの街づくりを始められるということである。できれば、線路も高架にして欲しかったが・・。

 しかし、上の写真のように、よく復元できた東京駅の手前にあの白いガードレールがあることによって、景観の50%は台無しにされている。あの刃物のように薄く、事故が起これば危険物になる白のガードレールは、白くてあの形でなければならないのだろうか? 「現在の技術を使い、安全で景観のよいスポットにする」というコンセプトの下で考えれば、別の答えが出て、それもこれからの模範になるだろう。ヨーロッパの街並みは、田舎の街でも景観全体が調和していて美しいので、参考にしたい。

| まちづくりと地域振興::2011.8~2014.4 | 10:15 PM | comments (x) | trackback (x) |
2011.8.15 国破れて山河あり(杜甫)→ 21世紀の日本でも同じでした。
8月9日、「どう考えても、2009年8月の総選挙の時に運動員に支払ったアルバイト代が日当買収に
あたるなんておかしい。これ以上は、気をつけられないから、そんな公職選挙法とその運用の下では
選挙はできない。」と思い、再審の請求をしようと考えて論点を書き出し、証拠を揃えて、佐賀県で
その方面に一番詳しいという佐賀市の弁護士さんのところへ相談に行った。その経過は、時が来たら
書くとして、久しぶりに鬼塚駅から唐津線に乗った感想を書こうと思う。 花 電車 四葉

<唐津線について>
①唐津線は単線で、一時間に一本。つまり、「唐津⇔佐賀」の往復には、あまりあてにできない交通
機関である。
②鬼塚駅は無人駅で、切符の自動販売機もなく、私は戸惑ってしまった。切符の自動販売機くらい
あった方がいいのではないだろうか。
③車窓の景色は松浦川、緑の山、緑の田畑がとても美しく素晴らしかった!
④列車は、どうしてあの黄色と橙色、もしくは赤の暑苦しくてセンスの悪い50年も変わらないデザイン
の古いディーゼルカーを使っているのだろう?複線にするならともかく、車両や車両の色を変えるの
に、それほど金がかかるとは思えないのに。
⑤複線にするにしても、今ある線路を高架にすれば、土地の買収は不要だし、高架下の土地は、駐
車場、店舗、その他に貸し出せるので、私は、工夫次第で、実質、それほど金をかけずにできると
思うのだが、JR九州は工夫が足りないのではないだろうか?
⑥まちづくりは、使える交通機関次第である。少し改良すれば、沿線の過疎化が防げ、新しいまちづ
  くりができると思うが、筑肥線ともども、信じがたいほど、昔のまま進んでいない。

<原発について>
①佐賀駅の改札口を出たところからよく見える佐賀駅構内の積文館書店に、「玄海原発は大丈夫か」
という貼りだしがあって、「原発のウソ(著:京都大学原子炉実験所助教 小出裕章)」という本が、
山積みになっていた。これは、さすがだと思って、すぐ購入した。
②内容の報告は、後ほど。



| まちづくりと地域振興::2011.8~2014.4 | 06:32 PM | comments (x) | trackback (x) |
2011.8.8 脱原発した時、玄海町はどうすればいいのか?
他の原発立地地域も同じ問題を抱えていると思いますが、私が事情を知っている玄海町についてのみ、2011年8月6日の佐賀新聞記事情報をもとにして、コメントします。

九州電力玄海原子力発電所3号機のプルサーマル受け入れに伴い、玄海町は、核燃料サイクル交付金を、2014年度までに、30億円交付されます。ちなみに、佐賀県は15億円、唐津市も15億円交付されます。

確かに原発はリスクがある、だから交付金をもらわなければ、立地させる自治体はないわけですが、玄海町は、その交付金を使って太陽や水素など新エネルギーを体験できる次世代エネルギーパークの整備を行っていました。私は、これは、Badな状況の中でのGoodな選択だったと思います。 チューリップ家四葉花

次世代の自動車は、電気自動車と水素燃料自動車にするのが、環境への配慮という点でよいので、どんどん発電した電気で、水から水素(同時に酸素もできる)を作り、トラックなどの大型車は、ガソリンではなく、水素燃料で走らせる計画なのです。燃料が水素であれば、燃焼後には水しか出ませんし、水素の原料となる水は100%国産ですから、完璧です。

けれども、原発があることで、農林漁業や観光などの他産業に大きなリスクを抱え、企業誘致も進まないことは、前から言われていたものの、今回の福島原発事故で証明されました。

そのため、玄海町は、原発から撤退し、太陽光や水素などの新エネルギーを研究する次世代エネルギー研究所や潮流発電装置を仮屋湾の入り口に設置して発電した電気で、水素を作る工場を作ることにしたらどうですか? そちら向きに県をあげて努力した方が、次のエネルギー革命をリードすることができると思います。


| まちづくりと地域振興::2011.8~2014.4 | 10:01 AM | comments (x) | trackback (x) |

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