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2015.5.29 地方自治体が持つノウハウと国際協力の可能性 (2015年6月20日追加あり)
   
    *1-2より                               *2-1より
 日本の地方自治体がこれまで培ってきたノウハウは、開発途上国のインフラづくりにも応用でき、例えばネパールのような人口の多くない地域のインフラ作りは、同じような自治体の経験が有用だろう。なお、定年を延長して増えた人員をこのような事業に投入することで、地方自治体の生産性が向上したり、税外収入が増えたりする。

(1)上下水道整備や廃棄物管理、防災、地域開発における国際協力
 *1-1のように、国際協力機構(JICA)が、2014年11月25日、「第1回地方自治体による海外展開推進のための自治体連携強化セミナー」を開催し、日本の地方自治体の上下水道、廃棄物、災害対策、地域開発、農村開発の多様な経験やノウハウは、現在の多様化する途上国のニーズに合致するとしているが、私もこれに同感だ。そして、JICAと自治体が連携して行う国際貢献は、開発途上国への貢献と同時に、それを行う地方自治体側の海外展開や地域振興、安全保障の足がかりになると考える。

 帯広市(北海道)、東松島市(宮城県)、横浜市(神奈川県)、駒ヶ根市(長野県)大阪市(大阪府)、北九州市(福岡県)、那覇市(沖縄県)などは、既にJICAとの国際協力に取り組んでおり、*1-2のように、北九州市は、2013年2月6日、JICAと包括連携協定を締結してグリーンシティ北九州モデルを活用した環境配慮型都市づくり分野における国際戦略および国際協力を推進するとしている。

(2)佐賀市の挑戦
 *2-1、*2-2に書かれているように、佐賀市は、東芝、ユーグレナ、日環特殊、日本下水道事業団、日水コンなどと共同で、下水処理時に発生するバイオガスから抽出した二酸化炭素(CO2)と処理水を使い、栄養成分が豊富な藻類ミドリムシを培養する実証事業を始める。

 佐賀市の下水浄化センターは、1日約5万立方メートルの下水を処理し、これによりCO2が約4割を占めるバイオガスが1日約5千立方メートル発生するが、ミドリムシはCO2と下水処理水に含まれる窒素やリンを使って光合成を行うため、ミドリムシの培養で下水処理場の処理コストが軽減され、培養されたミドリムシ(藻類)は栄養豊富で、家畜や養殖魚向けの飼料・肥料など高付加価値資源としての利用が期待できる。東芝などとの調印後、秀島市長は「必ず実用化につなげて、地球にやさしい技術を全国、世界に広げたい」としている。

 佐賀市の事業は、国土交通省の2015年度革新的技術実証事業に採択されたが、このような資源の徹底利用は、どこに持って行っても歓迎されるだろう。

 なお、*2-3のように、主食米の生産抑制と飼料自給率向上の目的で、農水省は飼料用米の作付面積を増やす政策を行っているが、飼料も米だけでは栄養が偏るため、ミドリムシを混ぜるとよい。

(3)福岡市のODA参加
 *3のように、福岡市が、ミャンマーの最大都市ヤンゴン市で行われる政府開発援助(ODA)の水道整備事業に参加し、浄水場建設の調査事業を受注したそうだ。福岡市が、節水・漏水対策の技術協力を行う覚書を結んだのはよいが、私は、福岡市の水道は節水しすぎで、福岡空港の水道はちょろちょろしたシャワーのようになっており、手もよく洗えず、歯も磨きにくいため、改善すべきだと思っている。

*1-1:http://www.jica.go.jp/topics/news/2014/20141211_01.html (JICA 2014年12月11日要点のみ) 上下水道や防災など「国際協力先進自治体」のノウハウを共有――「第1回自治体連携強化セミナー」開催
 上下水道整備や廃棄物管理、防災、地域開発――。日本の地方自治体は市民の生活向上のために日々さまざまな課題に取り組み、解決を図っている。その経験やノウハウを、開発途上国への国際協力に生かして、地域活性化を進める日本の地方自治体が増えている。そうした先進事例を全国の自治体と共有するため、JICAは11月25日、「第1回地方自治体による海外展開推進のための自治体連携強化セミナー」をJICA研究所(東京都新宿区)で開催した。セミナーでは、JICAの事業などを活用して国際協力に積極的に取り組む、帯広市(北海道)、東松島市(宮城県)、横浜市(神奈川県)、駒ヶ根市(長野県)大阪市(大阪府)、北九州市(福岡県)、那覇市(沖縄県)の7自治体がそれぞれの事例を発表。41自治体などから参加した107人が熱心に聴き入った。都市運営や地域開発の経験が海外で生きる全世界人口の半数以上が都市に住み、2050年には10人のうち7人が都市の住民になると予測されているが、急激な都市化の90パーセントは途上国で起こっている。一方、日本の地方自治体は上下水道や廃棄物、災害対策などの都市運営のほか、地域開発や農村開発などにも多彩な経験を持っている。このノウハウや課題対応経験が、現在の多様化する途上国の支援ニーズに合致している。横浜市や北九州市は自らの都市経営の経験を活用し、1990年代から積極的に途上国への支援を進めている「国際協力先進自治体」だ。JICAは両市の途上国の課題解決に役立つ豊富な知見を活用するため、2011年10月に横浜市、2013年2月に北九州市と包括連携協定を締結し、連携を強化している。また大阪市は上下水道などの研修やプロジェクトで、東日本大震災での復興経験を持つ東松島市は防災・災害復興分野で、那覇市は島しょ部ならではの経験を生かした廃棄物などの分野で、JICAと連携した協力が進んでいる。帯広市(北海道)や駒ヶ根市(長野県)はJICAの国内拠点を活用しながら、地域の特徴を生かし開発途上国との協力を深めてきた。
●「国際協力」を日本の地域振興の一助に
 セミナー冒頭のあいさつで、外務省国際協力局の石兼公博局長は、「自治体や地方企業の国際展開を支援し、地方産業振興や国際化などの地域社会の活性化に貢献することは、政府が最重要課題として掲げる『地方創生』の理念に合致する」と述べ、今後の展開に大きな期待を寄せた。JICAの黒柳俊之理事は、「ODAはさまざまな知見を有する地方自治体や企業などとの連携があって初めて成立する。JICAと自治体との連携が、途上国開発への貢献とともに、地域振興の一助になれば」と自治体の海外展開を後押しした。その後、JICA国内事業部の小林雪治次長が、自治体との連携事例と活用可能な事業を紹介。地方自治体の強みは、1)都市経営に関する豊富な経験、2)公共サービスの包括的なノウハウ、3)地元企業とのネットワークなどであるとした上で、「JICAの強みは、海外約100ヵ所にある拠点と、50年以上の協力で培われた途上国とのネットワークだ。また、途上国への海外展開を考える際に、JICAの国内拠点を積極的に活用してほしい」と呼びかけた。

*1-2:http://www.jica.go.jp/press/2012/20130206_01.html
(JICA 2013年2月6日) 北九州市と包括的連携協定を締結
-開発途上国の発展と北九州の海外戦略に貢献へ-
 国際協力機構(JICA)は2月6日、北九州市と包括連携協定を締結しました。これは、JICAが取り組む開発途上地域への国際協力事業と北九州市が取り組む国際戦略にかかわる事業の連携を強化することにより、国際協力事業をさらに質の高いものとし、ひいては開発途上地域の発展と北九州市の国際競争力の強化、地元企業の活性化に貢献することを目的としています。北九州市役所で行われた締結式には、田中明彦JICA理事長と北橋健治北九州市長が出席し、協定に署名しました。JICAが自治体と包括的な連携協定を締結するのは2011年10月の横浜市に次いで2例目となります。JICAと北九州市は国際協力における連携を長年進めており、特に1989年のJICA九州の開設以降は、緊密な協力関係を構築してきました。北九州市は自らの公害克服の経験と、環境と経済を両立した都市づくりを進めてきたノウハウを生かし、環境分野での国際協力を多く行ってきました。特に近年は、自らの経験を踏まえた「グリーンシティ」(注)としての視点から、産官学連携による環境国際戦略を推進しています。JICAも、ODAを活用した日本国内の地域活性化に向けた取り組みを強化しており、開発途上地域に対する国際協力のさらなる発展と、北九州市による海外戦略への貢献の双方が期待されるとして、包括的な連携協定の締結に至ったものです。本協定の締結により、JICAと北九州市が連携を促進・強化し、大学、企業、NGOなど多くのパートナー、関係者の方々の参画も通じて、「グリーンシティ」の視点も踏まえた国際戦略および国際協力を進めます。具体的には、以下のような取り組みを目指しています。
 1. グリーンシティ北九州モデルを活用した環境配慮型都市づくり分野における国際戦略および
   国際協力の推進
 2. 官民連携および産官学連携の促進・支援
 3. 技術研修員の受入れ、技術協力専門家の派遣、技術協力プロジェクト、草の根技術協力、
   開発調査、協力準備調査などの実施
 4. 無償資金協力および有償資金協力(円借款)の実施への支援
 5. 北九州市が有する技術・ノウハウを活用したJICA事業への助言および協力
 6. 青年海外協力隊など、JICAボランティア事業への北九州市民の参加促進
 7. 多文化共生促進を目的とした開発教育/国際理解教育の推進
(注)北九州市は、環境政策と経済成長を両立した都市として、経済協力開発機構(OECD)が選定する「グリーンシティプログラム」に、アジア地域から初めて選定されました。

<佐賀市の先進的挑戦>
*2-1:http://qbiz.jp/article/62074/1/
(西日本新聞 2015年5月14日) 佐賀市の藻類培養、下水道施設でも 全国初、年明け開始
 佐賀市は13日、下水処理時に発生するバイオガスから抽出した二酸化炭素(CO2)と処理水を使い、栄養成分が豊富な藻類ミドリムシを培養する実証事業を始めると発表した。東芝などと共同で年内に市下水浄化センター敷地内に実証プラントを建設し、年明けから培養を始める。下水処理時の発生物を活用した藻類の培養は全国初という。同センターは1日約5万立方メートルの下水を処理。下水汚泥を減らすためのメタン発酵で、CO2が約4割を占めるバイオガスが1日約5千立方メートル発生している。ミドリムシは光合成で増える際、CO2と下水処理水に多く含まれる窒素やリンが欠かせず、下水処理場での培養でCO2の排出抑制や処理コストの軽減にもつなげる狙い。東芝は2013年から市清掃工場でごみ焼却時の排気からCO2を回収する技術を提供。今回の実証事業を手掛けるのは東芝のほか、ミドリムシの培養と活用を行うベンチャー企業ユーグレナ(東京)、日本下水道事業団など6団体による共同研究体。国土交通省の15年度革新的技術実証事業に採択され、プラント整備費は国が全額負担する。プラントはCO2の回収装置や9千リットルの培養槽などで構成。安定的な培養のほか、処理水に含まれる窒素、リンの低減効果を確認する。培養したミドリムシは家畜や養殖魚向けの飼料、肥料としての活用を探る。東芝などとの調印後、秀島敏行市長は「必ず実用化につなげて、地球にやさしい技術を全国、世界に広げたい」と期待を込めた。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/186417
(佐賀新聞 2015年5月14日) 佐賀市、東芝など藻類を培養、再資源化 国プロジェクト
◆下水からCO2回収 市浄化センターに実証設備
 佐賀市と東芝など5社・団体は13日、下水処理で発生するガスから二酸化炭素(CO2)を分離、回収する全国初の実証事業に取り組むと発表した。市下水浄化センターにプラントを設置し、回収したCO2を利用して、ミドリムシなどの藻類を培養する。国交省のプロジェクトの一環で、10億円程度の事業費を見込む。廃棄していたガスのCO2を資源として活用する試みで、国は新技術を実用化し、国内外への普及展開を狙う。実証事業に参加するのはほかにユーグレナ、日環特殊、日本下水道事業団、日水コン。CO2の分離回収技術を持つ東芝が代表企業となり、他の企業が藻類培養や汚泥処理、システム設計、施工などを担う。市は西与賀町にある下水浄化センターの設備や敷地の一部を貸して協力する。市や東芝によると、下水浄化センター内にCO2を分離回収するプラントと藻類培養設備を設置する。培養は先進メーカーのユーグレナが手がける。藻類は、飼料や肥料など高付加価値資源として活用が見込めるという。実証では、CO2だけでなく汚泥の脱水過程で生じる分離液から、藻類の栄養となる窒素やリンを取り出し、供給することも試みる。窒素やリンを含む分離液は赤潮の発生原因となるため、通常は再処理して排水するが、窒素、リンを回収することで再処理が不要になるという。今後、敷地内にプラントを設置し、来年2月ごろの稼働を目指す。東芝は実証期間を本年度から2年間と見込み、終了後はプラントを市に引き継ぐ方針。佐賀市と東芝は、市清掃工場の排ガスからCO2を回収する研究で連携してきた経緯から、国のプロジェクトに応募した。会見した秀島市長は職員時代に下水道事業に関わった経験に触れながら「当時は安全第一だったが、今は下水から資源を取り出す時代になった。平成の日本の革命的な事業として100年、150年後に世界遺産となるような取り組みにしたい」と述べた。

*2-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=33479
(日本農業新聞 2015/5/29) 飼料米 各地で面積倍増 一層積み上げ 需給改善へJA推進
 各地のJAで飼料用米の作付面積を前年より倍増させる動きが出ている。ただし、JAグループが目標に掲げる60万トンを達成するには、前年実績の3.3倍に広げなければならない。出来秋の米の需給環境を整えるためにも、主食用米からの切り替えを中心に一層の作付面積の積み上げが欠かせない。
●手取り安定が魅力 
 「主食用米より手取りは確実にいい」。岐阜県瑞穂市で137ヘクタールを経営する巣南営農組合の小川勝範理事長は、こう言う。昨年は飼料用米を生産しなかったが、今年は水稲106ヘクタールのうち32ヘクタールで栽培を手掛ける。品種は主食用ながら多収性の「みつひかり」。地元のJAぎふは「最低でも10アール10俵(1俵60キロ)を収穫できる。地域平均より25%ほど多い」と見積もる。国の飼料用米への数量払い交付金の上限である10アール10万5000円は「確実にとれる」(小川理事長)とみる。同JAは、巣南営農組合をはじめ約200の中心的な担い手で組織する協議会に対し、昨夏から飼料用米の作付けを集中的に提案。「飼料用と主食用、半分ずつ生産すれば飼料用米の交付金は確実に入り、主食用の価格が回復した場合も恩恵が得られると説明してきた」(同JA)という。こうした地道な提案活動の結果、今年の飼料用米のJA集荷量は、昨年からほぼ倍増し約2900トンになる見込みだ。JAグループは都道府県ごとに目標数量を設定している。岐阜県の目標は1万1800トンだが、現状でその8割近くに達する見通し。JA岐阜中央会は「今後も全農と連携し、主食用からの切り替えを各JAに働き掛け、一俵でも多く積み上げたい」と説明する。青森県でも増産が進む。昨年の県内の飼料用米の生産実績は1万6000トンだが、JA全農あおもりによると「今年は3万5000トンは確保できる見通しだ」という。目標の2万7800トンを大幅に上回る。農家の作りやすさを考え、主食用品種で取り組む場合でも産地交付金で10アール1万円以内を支援。米価低迷に苦しむ中、飼料用米は安定した手取りが見通せるため農家の理解が広がった。栃木県も、農水省が4月末時点の集計で目標を達成する見込みと発表。同県のJAしもつけ管内では飼料用米の生産量が昨年の約3000トンから約6500トンに増え、主食用米とほぼ同じ数量になる見通しだ。JAは集落座談会や生産者との出荷契約の話し合いの際、需給バランスの崩れた生産が続けば、米価の回復はないと伝えてきた。「様子見をしていた農家が低米価で痛い思いをし、飼料用米の栽培に乗り出した」(同JA)という。飼料用米の面積が目標(900ヘクタール)の1.6倍になる見通しの茨城県のJA北つくばは、6月に職員が「コシヒカリ」以外の主食用品種を栽培する農家を中心に回る予定。営農計画書の提出期限が近づく中、「需給改善に向け取り組みが欠かせないことをあらためて訴えたい」と強調する。

<福岡市のODA参加>
*3:http://qbiz.jp/article/62310/1/
(西日本新聞 2015年5月16日) 福岡市、ミャンマーの水道事業でODA参加 地場の海外進出支援
 福岡市は、ミャンマーの最大都市ヤンゴン市で行われる政府開発援助(ODA)の水道整備事業に参加する。市内に拠点を持つ共同企業体(JV)が市と連携し、浄水場建設の調査事業を受注。市も調査の一部を担う。ヤンゴン市への水道技術支援を進めてきた市は「国際協力をさらに進め、地場企業の海外でのビジネスチャンスを増やしたい」としている。市が民間と連携し、ODAに参加するのは初めて。事業は、国際協力機構(JICA)が発注したヤンゴン市西部で2022年の稼働を目指す浄水場の建設に向けた事前調査。上下水道の設計やコンサルを手がける企業3社(いずれも本社・東京)のJVが市と連携して調査することを提案し、約1億4千万円で受注した。市もJVから請け負う形で、浄水場の運営や施設の維持管理に関する調査を行う。市の受注額は約500万円。事業は来年3月まで。市は12年から3年間、JICAを通じて水道局の職員をヤンゴン市に派遣し、漏水を防ぐノウハウを指導。昨年は節水・漏水対策の技術協力を行う覚書を両市間で結んでおり「現地と築いてきた信頼関係が今回の受注につながった」(担当者)という。市は昨秋、今回のJVに加わる2社を含め、市内に本社や支店がある企業約50社と海外でのビジネス展開を目指す組織を設立。今夏、この組織の参加企業とともに製品や技術を売り込むため、ヤンゴン市を訪ねる予定だ。


PS(2015年6月20日追加):*4を解決するには、バスの便を減らすのはほどほどにして、すべての市内バスを電気自動車にし、乗客の少ない路線は小型化して燃料費を節約するのがよいと考える。なお、広告料をもらって佐賀の名産やメッセージを宣伝しながら走るのもよいが、これは景観を悪くしない上品でセンスのよい広告に限るべきだ。

 なお、自動車会社の立場から見ると、電気自動車は、このように世界中でフロンティア領域だ。
   
 市営バス(横浜)  レストランバス(ローマ)   はとバス(東京)      電気バス(富山)   
                     <すべて電動バス>
*4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/199079 (佐賀新聞2015年6月19日)県が全バス路線で実態調査 8割の便乗客10人以下、平日と休日延べ2000便超 枝線3割利用者ゼロ
 佐賀県は、県内を走るバスの全路線に始発から最終便まで調査員が乗り込んで乗客からアンケートを取るという、全国的に珍しい調査結果をまとめた。平日と休日の2回、延べ2000便以上を対象にした。バス停ごとの乗降数のデータは存在するが、乗客一人一人の乗車区間や利用目的を明らかにした広域調査は前例がなく、「8割の便で最大乗客は10人以下」「鉄道とのすみ分けができていない」実態が明らかになった。県は市町にデータを提供し、人口減少により衰退する公共交通の再構築に乗り出す。移動実態調査は昨年9~10月、2139便を対象に実施した。別に佐賀市営バスから1261便分の提供を受けた。費用は約2000万円。タクシーも県内5地区、12事業者の協力で運転手が乗客に聞き取り調査し、5725サンプルを集めた。国土交通省九州運輸局によると、「事業者の営業戦略に関わる調査だけに、まず表に出てこない。それを県が実施した例は聞いたことがなく、省としても注目している」という。調査は、複数の市町(合併市町含む)をまたぐバス路線を「幹線」(50路線)、人口密集地を走る「市街地路線」(16路線)、それ以外の「枝線」(34路線)に分類した。ほとんどの路線で8割の便が、最大乗客は10人以下だった。特に枝線は利用者ゼロの便が3割、乗客3人以下が7割を占めた。主流の中型バスが定員57人ということを考慮すると、「11人乗りのジャンボタクシーなどの代用も検討される」と分析した。乗客ごとの乗車区間をみると、幹線は枝線や市街地路線に比べ、長い区間乗る傾向があるが、幹線のなかでも鉄道と並行して走る路線は、短区間の利用が多かった。ある路線で始発から終点まで乗車したのは98人中1人だけで、県は「複数市町で本当に長距離バスが必要なのか」と指摘する。乗客の年齢と利用目的を分析すると、平日は22歳以下の若年層で通学、23~59歳の中間層が通勤、60歳以上の高齢層で通院目的が増える「オーソドックスな利用形態」(県)だった。休日はどの年代でも買い物利用の割合が増え、特に中間層は観光が増えた。「平日に比べて休日は枝線での観光利用が増える。これまで路線バスに観光の視点はなかったが、一定の需要はある」とみる。タクシーの利用状況をみると、高齢者が31・5%を占め、会社員の39・2%に次いで多かった。目的地を調べると、高齢者は他の職業に比べて病院や商業、文化娯楽施設など日常的な生活圏での利用が多い一方、駅やバス停など公共交通の乗り継ぎ地点への利用が少なかった。県は「高齢者が日常的に公共交通として利用している実態が見えた。さまざまな施策を考える材料になる」としている。少子高齢化や過疎化で地方の公共交通の維持が課題となるなか、2013年に成立した交通政策基本法は自治体が主体となって住民の移動手段を確保するよう定めた。県は知事と20市町の首長で構成する協議会を発足、検討を進めている。

| 公的部門と公会計制度::2015.3~ | 03:03 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.3.2 地方自治体への複式簿記に依る公会計制度導入と今後の地方自治体について (2015年3月3日、23日、26日に追加あり)
   
  国の公会計制度導入状況    地方自治体の公会計制度  *2より     *5より

(1)複式簿記を前提とした統一的地方公会計制度の導入
 *1のように、総務省が、複式簿記を前提とした統一的地方公会計制度を導入して、公会計制度を予算編成に利用し、限られた財源を賢く使って地方財政のマネジメントを強化する決意をしたため、公会計制度の導入が前進した。これまでも、1995年頃から準備を始めて1998年頃には財務書類を作っている地方自治体が増えてきていたが、それは複式簿記によるものではなかったため、固定資産や負債の認識が正確ではなく、収益・費用に関しても発生主義の発想がなかった上、網羅性や検証可能性も保障されていなかった。しかし、複式簿記による会計制度は、一般企業では普通に行っているものだ。

 本来、次年度の予算編成にあたっては、前年度の決算を見ながら議会で議論するのは当然のことだが、公的部門は決算確定が非常に遅いという理由で、これができなかったのであるため、ソフトウェアを無償提供して、迅速かつ正確に決算を行わせるのはよいことだ。しかし、これは、民間企業では、ソフトウェアを無償提供してもらわなくても、管理目的及び公表目的で、これまでも普通にやってきたことである。

 複式簿記を使った統一的地方公会計制度の導入により、地方自治体(=地方公共団体)が、地方財政のマネジメント強化を進められるのは確かだが、今後は、国も同様の制度にして、どちらも監査法人の監査を受けるべきである。そして、この地球上では、日本以外の多くの国が、既に、複式簿記を前提とした公会計制度を採用している。

(2)地方自治体の財政について
 地方自治体の歳出については、正確な財務書類を作成・公開し、次年度の予算編成にあたって前年度の決算書類を見ながら議会で無駄がないように議論することによって、解決する。

 しかし、財務体質を強化するためには、「入(いる)を計って出(いずる)を制す」ことが必要であり、地方自治体の存続のためには、入るを計ることも重要だ。しかし、「入るを計る」には、税率を上げるだけがその方法ではなく、居住人口を増やしたり、税外収入を獲得したりする方法がある。

 そのような中、*2のように、人口増加で入るを計ろうとしている地方自治体は多く、全国首長の50%が「子育て環境改善の必要性」、49%が「移住推進の必要性」を認識しており、そのために、72%の地方自治体が最優先で取り組む人口減少対策として「雇用の確保」を挙げたとのことである。しかし、「男女平等の徹底」や「介護環境の改善」も、女性がその地域に住みたいと考えるには、重要な要素だ。

 なお、形式的組織再編である道州制の導入への賛成は15%に留まり、50%が反対だそうで、その理由は、「行政の広域化で、住民サービスが行き届かなくなる」というのが最も重要だろう。しかし、病院の配置やごみ処理など、広域で考えた方が効率的になるインフラもあるため、そのようなインフラは広域連携して整備した方がよいと考える。

(3)佐賀市の「入るを計る」挑戦
 「入るを計る」方法は、税の徴収だけではなく、各地方自治体の稼げる資源や人材を、賢く使うことにもある。例えば、*3-1のように、佐賀市は2015年度から、市清掃工場でごみ焼却時に出る排気から二酸化炭素(CO2)を抽出して、園芸農業や藻類の培養向けに販売する事業に本格的に乗り出すそうだ。

 また、*3-2のように、佐賀市はベンチャー企業ユーグレナと、下水浄化センターの処理水が培養に有効なことを確認し、今後は浄化センターに近い場所で、下水処理水を用いて、ミドリムシの培養を目指すそうだ。佐賀市は飼料や燃料向けの培養を目指すそうだが、ミドリムシを用いた栄養価の高い飼料は、魚介類の養殖のみならず、畜産の飼料としても有効と考えられ、安価な資料を通して、地域の産業振興に役立つと思われる。

 さらに、*3-3のように、日米合弁企業アルビータと佐賀市は、市の清掃工場でごみ焼却時に出る二酸化炭素(CO2)を用いて培養事業を始める協定を結び、清掃工場近くに培養施設を設けて、来年6月の稼働を目指すそうだ。培養施設は、温室で覆った水槽を五つ並べ、市から購入したCO2と太陽光で藻類を培養し、抗酸化作用が高いアスタキサンチンを年間2800キロ生産する計画で、年間売り上げ6億〜8億円を見込み、地元から30人程度を雇用するとのことである。

 これらは、地方自治体が、今まで捨てていたものを資源化して「入る」を計った、賢い事例である。

(4)雇用が増えても、そこに住むか否かは別である
 *2のように、移住を促進して居住人口を増やすには、「雇用確保」だけでは不十分であり、「子育て・教育環境」や「医療・介護環境」などの生活に必要なインフラが整っていることが必要だ。

 そのような中、*3-4のように、佐賀県太良町は新年度から、町内全4小中学校の給食費を無料化して子育て世代の負担軽減を行い、少子化対策や定住促進の柱の一つとするとのことである。太良町は、自然が豊かで、新鮮で美味しい食材が比較的安いため、教育も充実すれば、よい住環境になるだろう。
 
<統一的基準による地方公会計>
*1:http://www.soumu.go.jp/main_content/000334402.pdf 
(総務大臣 平成27年1月23日)
各都道府県知事殿
各指定都市市長殿
              統一的な基準による地方公会計の整備促進について
 地方公会計については、これまで、各地方公共団体において財務書類の作成・公表等に取り組まれてきたところですが、人口減少・少子高齢化が進展している中、財政のマネジメント強化のため、地方公会計を予算編成等に積極的に活用し、地方公共団体の限られた財源を「賢く使う」取組を行うことは極めて重要であると考えております。今後の地方公会計の整備促進については、「今後の地方公会計の整備促進について」(平成26年5月23日付総務大臣通知総財務第102号)のとおり、平成26年4月30日に固定資産台帳の整備と複式簿記の導入を前提とした財務書類の作成に関する統一的な基準を示したところです。その後、「今後の新地方公会計の推進に関する実務研究会」を設置して議論を進めてきましたが、平成27年1月23日に「統一的な基準による地方公会計マニュアル」を取りまとめております。当該マニュアルにおいては、統一的な基準による財務書類の作成手順や資産の評価方法、固定資産台帳の整備手順、連結財務書類の作成手順、事業別・施設別のセグメント分析をはじめとする財務書類の活用方法等を示しております。つきましては、当該マニュアルも参考にして、統一的な基準による財務書類等を原則として平成27年度から平成29年度までの3年間で全ての地方公共団体において作成し、予算編成等に積極的に活用されるよう特段のご配慮をお願いします。特に、公共施設等の老朽化対策にも活用可能である固定資産台帳が未整備である地方公共団体においては、早期に同台帳を整備することが望まれます。なお、統一的な基準による財務書類等を作成するためには、ノウハウを修得した職員の育成やICTを活用したシステムの整備が不可欠であり、平成27年度には関係機関における研修の充実・強化や
<別紙>
 標準的なソフトウェアの無償提供も行う予定です。また、固定資産台帳の整備等に要する一定の経費については、今年度から特別交付税措置を講じることとしております。各都道府県知事におかれては、貴都道府県内の指定都市を除く市町村長に対してこの通知について速やかにご連絡いただき、通知の趣旨について適切に助言いただくようお願いします。なお、地域の元気創造プラットフォームにおける調査・照会システムを通じて、各市町村に対して、この通知についての情報提供を行っていることを申し添えます。

<地方自治体の生き抜き方>
*2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/161516
(佐賀新聞 2015年3月1日) 「雇用確保」最優先72% 全国首長アンケート
自治体の人口減対策
◎「子育て環境」50%、「移住推進」49%
 共同通信のアンケートでは、72%の自治体が最優先で取り組む人口減少対策として「雇用の確保」を挙げた。都市部への若者の流出を防ぐため、各自治体は安定した収入が得られる働き口を増やす取り組みを強化させている。雇用の重要性について、宮城県女川町は「飯が食える状態がなければ何も始まらず、産業政策は必須だ」とし、北九州市は「若い世代の首都圏などへの人口流出を減らすため、多様な雇用機会を創出する必要がある」と訴える。雇用確保に続いて「保育所整備など子育て環境の充実」が50%、「移住の推進・支援」が49%だった。一方、道路や公共交通、下水道など「インフラ整備」は18%、施設や住居を集約する「コンパクトシティーの推進」は10%にとどまった。従来型の公共事業よりも、人口増の直接的な効果があるソフト事業への期待が高い様子がうかがえる。人口5千人未満の自治体に限ると、移住支援68%、雇用確保59%、空き家提供や家賃補助など居住支援53%の順だった。地方の小規模自治体の多くは若者が流出し、高齢化も進んでおり、Iターンなどの移住者の増加を望んでいる事情がありそうだ。人口約4500人の徳島県牟岐町は「地域の雇用は1次産業と観光が基本。政府が国家戦略として農林水産業の再生に取り組まなければ職の確保は難しい」と指摘している。
◎道州制賛成15%どまり 町村反発、法案提出に壁
 全国首長アンケートで、道州制導入への賛成は15%にとどまり、50%が反対した。自民党の道州制推進本部(佐田玄一郎本部長)は、地方側の理解を得て関連法案を国会に提出したい考えだが、自治体の半数を超す町村の反発が特に強く、実現への壁は高そうだ。道州制は都道府県を廃止し、全国を10程度の道や州に再編する構想で、都道府県の仕事の大半を市町村に移す。自治体区分別では、町村は反対が76%で、賛成の6%を大きく上回った。反対派は「体制強化に向けた市町村合併を迫られる」(群馬県の町)「行政の広域化で、住民サービスが行き届かなくなる」(熊本県の町)と批判した。市と東京特別区は賛成26%、反対23%、47都道府県知事は賛成9人、反対6人だった。いずれも道州制のメリットとデメリットが不明などとして賛否を明示しない「その他」が最も多かった。道州制の賛成派は「行政が効率化する」(大阪府の市)「合併で市町村は減ったのに、都道府県が変わらないのはおかしい」(青森県の町)などを理由に挙げた。自民党推進本部は2012年の政権復帰後、道州制導入に向けた法案提出を表明した。だが、全国町村会や党内から反対が相次ぎ、国会提出に至っていない。
◎首長の本音透けて見える 片山善博・慶応大教授
 地方自治体はこれまで地域活性化策をさんざん作ってきたが、うまくいった例は少ない。地方版総合戦略として斬新な計画の作成を求められても、真剣に考えれば3年ぐらいはかかる。国の総合戦略を評価するものの「ある程度」とした回答が大部分で、自力で地方版戦略を策定できるとした回答が3割台だったのは、首長の地方創生へのさめた本音や、戸惑いが透けて見える。財源や交付金への要望が強いのは、国から出てくるのは、それくらいしかないからだ。政府に「妙案を出してください」と言っても無理で、自分で考えなければならない。ただ事業を進めようとすると許認可の問題が出てくる。本来はそうした足かせを取る地方分権を求める声がもっと出てこなければならない。国の総合戦略にも入っているIターンやUターンに力を入れるとした自治体は多い。重要なのは魅力ある雇用を地道に創出することだ。下請け企業の誘致ではなく、若者などが起業しやすい環境づくりや、地元の企業や大学と自治体が連携した付加価値の高い製品開発を支援する必要がある。東京を世界一ビジネスのしやすい都市にしようとする政策と、企業の地方移転促進は矛盾しているのではないか。そうした矛盾を地方から指摘していくことも大切だ。
■かたやま・よしひろ 51年岡山県生まれ。自治省府県税課長などを経て、99年鳥取県知事に当選。2期で退任し07年に慶応大教授。10年の菅改造内閣で総務相を務めた。

<佐賀市の挑戦>
*3-1:http://qbiz.jp/article/56499/1/
(西日本新聞 2015年2月24日) 佐賀市、園芸農業向けにCO2販売へ
 佐賀市は2015年度から、市清掃工場でごみ焼却時に出る排気から二酸化炭素(CO2)を抽出し、園芸農業や藻類の培養向けに販売する事業に本格的に乗り出す。13年度から実証プラントで試験を続けてきたが、大規模なプラントを建設し、“量産”態勢を整える。市によると、自治体がCO2を回収、販売するのは全国初という。プラント整備費14億9996万円を15年度当初予算案に盛り込んだ。実証プラントでは、有害物質を含まない純度99・9%のCO2の回収に成功。試験栽培した野菜も順調に育った。昨年、日米の合弁企業が清掃工場のCO2を使い、栄養成分が豊富な藻類の培養事業を始める協定も結んだ。新プラントは清掃工場が排出するCO2の5%に当たる1日10トンの回収能力がある。一時貯留するガスタンクも設置、パイプラインで供給する。市は23日、08年から計画が進んでいない清掃工場北側の工業団地予定地も、藻類の培養産業や植物工場の拠点として活用する方針も明らかにした。測量調査費2005万円を予算案に盛り込む。秀島敏行市長は「CO2の削減に加え、雇用の創出にもつながると期待している」と語った。
   ◇   ◇
●当初予算案 過去最大924億円
 佐賀市は23日、総額924億円の2015年度一般会計当初予算案を発表した。小中学校と市役所本庁舎の耐震化や増改築工事がピークを迎える一方、扶助費が膨らみ、前年度を3・0%上回る過去最大規模となった。3月2日開会の定例会に提案する。歳入は、市税が前年度比0・6%減の291億5200万円。地方交付税は1・0%減の193億円。05年の1市3町1村の合併から10年が経過。地方交付税が上乗せされる特例措置の段階的廃止が15年度から始まるが、緩和策が講じられ、減額幅は圧縮された。市債は13・1%減の101億3200万円。市債依存度は1・2ポイント減の11・0%。歳出は、扶助費が15年度からの子ども・子育て支援制度開始に伴う支出増などで6・8%増の223億8900万円。人件費は退職予定者増加などで2・1%増の144億400万円。投資的経費は134億9700万円で1・0%増にとどまった。主な投資的経費は、小中学校12校の校舎増改築費29億2147万円▽熱気球世界選手権の会場となる嘉瀬川河川敷の排水対策や緑化整備費4億8472万円など。新規事業は、中央大通りの一部を歩行者天国にする社会実験などの経費1160万円▽長崎街道沿いの枝梅酒造跡の用地取得費4467万円など。

*3-2:http://qbiz.jp/article/49045/1/
(西日本新聞 2014年11月3日) 下水処理水でミドリムシ培養 佐賀市とベンチャーが研究報告
 食品やバイオ燃料などへの利用が進む藻類ミドリムシの大量培養を目指す佐賀市とベンチャー企業ユーグレナ(東京)の共同研究の中間報告が、佐賀市内であった。市下水浄化センターの処理水が培養に有効なことを確認し、今後は浄化センターに近い場所で、下水処理水を用いた培養を目指す方針を示した。ミドリムシは光合成で増える。市と同社は、下水処理水やごみ焼却時の排気から抽出した二酸化炭素(CO2)の活用を念頭に、2月に共同研究契約を結んだ。報告は10月26日に県立森林公園であった「さが環境フェスティバル」で行った。同社の鈴木健吾研究開発部長は、下水汚泥を脱水した直後の処理水に窒素やリンが多く含まれ、同社が開発した培養液と比べても遜色ない効果があったと説明。培養に使うことで窒素やリンが減り、排水時の水質改善にも役立つとした。CO2は汚泥を発酵処理する際に出るガスを使う方針。同社は石垣島(沖縄県)に食品向けのミドリムシの培養拠点を設けているが、佐賀では飼料や燃料向けの培養を目指す。鈴木部長は「魚介類の養殖などにも活用して地域の産業振興にもつなげたい」と語った。

*3-3:http://qbiz.jp/article/40535/1/
(西日本新聞 2014年6月25日) 日米合弁企業が佐賀市に拠点 藻培養にごみ焼却のCO2活用
 化粧品や健康食品の材料になる成分「アスタキサンチン」を含む藻類「ヘマトコッカス」の培養を目指す日米合弁企業アルビータ(佐賀市)と佐賀市は24日、市の清掃工場でごみ焼却時に出る二酸化炭素(CO2)を用いて培養事業を始める協定を結んだ。清掃工場近くに培養施設を設け、来年6月の稼働を目指す。同市は、ごみ焼却時に出るCO2を回収して園芸農業などに活用する実験を昨年10月に開始。この取り組みを知った米国の藻類培養事業会社と東京の廃棄物処理会社シンシアが今年3月にアルビータを設立し、培養施設を佐賀に設けることになった。培養施設は温室で覆った水槽(最大1250平方メートル)を五つ並べ、市から購入したCO2と太陽光で藻類を培養し、抗酸化作用が高いアスタキサンチンを年間2800キロ生産する計画。年間売り上げ6億〜8億円を見込み、地元から30人程度を雇用する。調印式でアルビータの松坂幸洋社長(シンシア社長)は「日射量などの気候条件も考慮した結果、ふさわしい場所と判断した。いち早く稼働させたい」、同席した在福岡米国領事館のユーリー・フェッジキフ首席領事は「日米経済のイノベーションにおいても評価している」と語った。

*3-4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/161715
(佐賀新聞 2015年3月2日) 太良町給食を無料化 全小中4校、新年度から
少子化対策、定住促進の柱に
 藤津郡太良町は新年度から、町内全4小中学校の給食費を無料にする。子育て世代の負担軽減につながることから、町が取り組む少子化対策や定住促進の柱の一つとする。全国的に見られる給食費の未払い問題も起きなくなり、問題に端を発するトラブル防止や子どもが安心して食べられる雰囲気づくり、集金業務の解消にもつなげる。県教委によると、給食費の無料化は県内で初めて。町内の小学生466人、中学生281人が対象となる。それぞれ1人当たりの月額は4100円と4600円で、予備13人も含めた計760人の1年間分に当たる3621万円を2015年度一般会計当初予算案に盛り込む。給食費の集金は、町学校給食センターが担っている。現在は保護者の99%が金融機関からの引き落としにしているが、新年度からは数人分の納付書の郵送作業もなくなる。無料化の背景には、昨年5月に有識者らでつくる「日本創成会議」が公表した将来推計がある。若年女性人口(20~39歳)の減少率は太良町が県内で最も深刻とされ、危機感を抱いた町は岩島正昭町長と副町長、各課の課長らで対策を話し合ってきた。給食費のほかにも、町は新たな支援策を打ち出す。町内で結婚する男女に支給する「結婚祝い金」は、1組に20万円を支給、町内で披露宴を挙げればさらに20万円を加算する。それぞれ25組と5組分の600万円を予算案に組む。出産を奨励する「誕生祝い金」は820万円を計上、第1子が産まれた際に10万円、第2子は15万円、第3子以降は20万円を支給する。岩島町長は「1次産業が低迷する中、町の活性化には町外から若者を呼び込むことが必要。『子育て支援のまち』というイメージが内外に浸透するよう、受け入れ態勢を充実させていきたい」と話す。
【メモ】
 太良町の人口は現在、約9500人で、町が合併してできた1955年の約1万6千人から落ち込んでいる。中でも15歳未満の年少人口の減少幅が大きく、85年には2892人で全体の23・0%を占めたが、2010年は1322人の13・4%となっている。


PS(2015.3.3追加):電力会社の発送電分離を2020年に実施するそうだが、地方自治体が、これまで利用していなかったもので資源化できるものに、ゴミの焼却で作れる電力や熱エネルギーがある。また水道管も全家庭に通じているため、送電線を水道菅に併設すれば、(*4-2のように電事連が検証で発送電分離延期を主張している*4-1の電力会社の送配電施設だけでなく)送配電を行って送配電料を得ることができ、電線の地中化もすぐに可能だ。このように、地方自治体は多くの財産(本当は収入源)を持っているため、その活用を進めるのがよいと考える。

*4-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/162052
(佐賀新聞 2015年3月3日) 電事法改正案を閣議決定、20年に発送電分離
 政府は3日、大手電力会社の送配電部門を切り離す「発送電分離」を2020年4月に実施する電気事業法改正案を閣議決定した。電力は16年4月に小売りを全面自由化することが既に決まっており、今回の改正が電気料金の引き下げやサービスの多様化を後押しする電力システム改革の総仕上げとなる。今通常国会での成立を目指す。発送電分離により、大手電力が事実上独占してきた送配電網を、新規参入企業が公平な条件で利用しやすくする。また17年をめどに都市ガスの小売りを全面自由化するほか、22年4月に大手ガス3社に導管部門の別会社化を義務付けるガス事業法改正案も閣議決定。

*4-2:http://qbiz.jp/article/56358/1/
(西日本新聞 2015年2月20日) 電事連、検証で発送電分離延期も 八木会長
 電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は20日の記者会見で、大手電力の送配電部門を切り離す「発送電分離」に当たり、電力の安定供給に支障がないか検証する手続きを盛り込むことについて「私どもの要望を受け止めていただいた」と評価した。検証結果によっては、発送電分離の延期を求める考えも示した。自民党の経済産業部会などは19日、2020年4月の発送電分離を柱とする電気事業法改正案を決定し、付則に検証の規定を入れた。問題があれば「必要な措置を取る」としている。八木会長は原発の再稼働が遅れ、電力会社の経営や電力需給の改善が見通せないことを念頭に、発送電分離の実施には「懸念や課題が残されている」と指摘した。検証で問題があれば「延期も含めて柔軟に(電力システムの)改革を進めていただく」と強調した。政府が本格的な議論を始めた30年の電源構成比率では、原発について「一定程度を確保していく必要がある」と述べたが、望ましい割合については言及を避けた。発送電分離は大手電力の送配電部門を別会社化し、大手と新規参入業者が公平に送配電網を使えるようにするもの。政府は16年の電力小売り全面自由化に続く、電力システム改革の総仕上げと位置付けている。


PS(2015.3.23追加):地方自治体が収入を増やす方法には下の3通りがあり、*5のように、税外収入を増やしながら電気料金を安くすると、2)と1)②の両方の効果がある。そのため、今後は、住民や企業が、物価、利便性、文化、環境はじめ、税率、医療・福祉、教育、インフラの整備状況とその利用料などを比較して居住地や立地場所を決められるように、市町村別の比較表になったHPがあれば便利だ。
 1)税収を増やす
   ①税率を上げる ②税金を払う会社や住民を増やす
 2)税外収入を増やす

*5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150323&ng=DGKKASDZ20IJV_T20C15A3MM0000(日経新聞2015.3.23)自治体が電力小売り 自由化にらみ続々 地元資源で割安に
 2016年4月の電力完全自由化に向け地方自治体が電力小売りに参入する動きが広がっている。福岡県みやま市は新電力会社を月内に設立、市内の再生可能エネルギーを使って家庭向けに大手より2%安く電力を供給する。鳥取市はバイオマスなどで作った電力の販売を始める。地元のエネルギー資源から作った割安な電力を地元で消費する仕組みを作り地域の振興につなげる。みやま市が設立する新電力「みやまスマートエネルギー」には同市が55%、残りを地元金融機関や電力管理システムのエプコなどが出資する。市内のメガソーラー(大規模太陽光発電所)や市民が持つ太陽光パネルの電力を買い取り、まず市役所など公共施設に売電する。足りない分は他の電力会社から買う。来春から市内の家庭にも電力を供給する。18年までに市内の4割強にあたる6千世帯への売電を目指す。エプコの需給管理システムを使い、安価な時間帯の電力をためて、電気料金を大手電力より2%程度安くする。鳥取市は鳥取ガス(鳥取市)と組み新電力を4月に設立する。太陽光発電やバイオマス、小水力発電など市内の再生可能エネで作った電力を公共施設や企業、家庭に供給する。メガソーラーなど再生エネ電源の開発にも取り組む。岩手県北上市はNTTファシリティーズが同市内で4月から事業を始める新電力と連携する。新会社が市内のメガソーラーから調達した電力を市役所や給食センターなど公共施設用に買い取る。同市は市関連施設の使用電力の2割以上を再生エネとする目標を掲げる。エネルギー管理システムで節電しながら、地元で作った再生エネ電力の使用を増やす。地元で電力を調達・販売する会社を立ち上げれば、長距離の送電に伴う電力ロスを防げ、エネルギーの有効活用にもつながる効果もある。自治体による新電力第1号は群馬県中之条町が13年に企業と組んで一般財団法人を立ち上げた。地元の太陽光発電所や他の新電力から電力を調達し公共施設に売電している。電力を地元の行政や企業で運営管理する取り組みはドイツが先行している。「シュタットヴェルケ」と呼ばれる公的事業体でドイツ内で約900あり電力小売市場の4割を占めるという。水道や通信など生活インフラ全般も担い、地域で雇用を創出している。


PS(2015年3月26日追加):*6のように、みやま市が電力小売り会社「みやまスマートエネルギー」を設立し、市内のメガソーラーや家庭用太陽光発電機が生み出した電力を九州電力よりも高く購入し、より安く販売するとのことで、市や関係3社の代表者が、「再生可能エネルギーの自給自足を実現させる」「全国初の取り組みであるだけに、成功させて他地域にも広げたい」と述べたそうだ。みやま市には頑張ってもらいたいし、このように専門技術を持つ民間企業と組んで行うのが、成功への近道だろう。

*6:http://qbiz.jp/article/58734/1/
(西日本新聞 2015年3月25日) みやま市が電力小売り会社設立 筑邦銀も出資
 2016年度から全面自由化される電力小売り事業に参入する福岡県みやま市は25日、電力売買を手がける新会社「みやまスマートエネルギー」の運用についての協定を関係企業3社と結んだ。新会社は市が筆頭株主として4月から運営。筑邦銀行と九州スマートコミュニティが共同出資し、専門的なシステムはパナソニック関連会社の「エプコ」がバックアップする。市内の大規模太陽光発電所(メガソーラー)や家庭用太陽光発電機が生み出した電力を九州電力より高く購入し、より安く販売。当初は市内34の公共施設に供給し、16年4月から家庭向け小売り事業に乗り出す。18年までに年間の売上高13億8千万円を目指し、地元雇用は30人まで増やす計画。市役所で締結式があり、市や関係3社の代表者が調印。それぞれ「再生可能エネルギーの自給自足を実現させる」「全国初の取り組みであるだけに、成功させて他地域にも広げたい」などと述べた。

| 公的部門と公会計制度::2015.3~ | 08:03 PM | comments (x) | trackback (x) |

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