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2015.5.2 日本は地震への対応に慣れているため、ここは援助すべきだ (2015.5.3追加あり)
    
     
          <その他は無料の画像集より>              2015.4.29朝日新聞

(1)ネパール大地震
 *1-1、*1-2、*2-3 に書かれているように、ネパールで起きたマグニチュード7・8の大地震は、発生から2日で1週間になり、死者は現在わかっているだけで6,363人となり、北東部シンドパルチョーク地区では約3,000人が行方不明だそうだ。

 また、*2-1、*2-2のように、地震の発生から5日たった30日、首都カトマンズ郊外の村サンクに、ようやく水や食料が届き始めたが、自治体の住民名簿が整備されていないため配給が進まず、食料品などの物資は役場で留め置かれた状態で、地方では、被害の実態がわからないまま孤立し、支援も届かない集落が点在しているそうだ。

 さらに、交通や通信事情の悪い山間部については、ネパール政府も被害状況が把握できておらず、救援活動用のヘリコプターが足りないため、ネパール内務省が、4月30日、国際社会にヘリの派遣や貸与を訴えているとのことである。

(2)ODAによる日本の援助
 ネパールは、2014年の名目GDPが188ヶ国中107位で196.4億 USドルであり、同じ年の日本の名目GDPは3位で46,163.4 億USドルだ。さらに、日本は、4年前の東日本大震災で災害時のヘリによる救出や食料配布に慣れており、最近は不要になった仮設住宅も増えている。

 そのため、速やかにオスプレイなどのヘリを出し、ODAで、大量にある備蓄米を配布したり、比較的手の空いている山陰や九州などの建設業者が出向いて瓦礫を取り除き、仮設住宅を建てればよいと思う。そのためには、被災地まで重機を持っていくか近くで調達する必要があるが、人は、本当に困っている時に助けてくれた人を忘れないものである。

(3)復興とまちづくり
 *2-4のように、ネパール大地震で殆どの家が全壊し、石や煉瓦や木材ががれきの山となって、人々が茫然としている状態を見てわかったことは、この地域は地震地帯であるにもかかわらず、建物が耐震設計になっていないことである。これも日本の得意分野であるため、耐震基準や建物の作り方については技術供与できる分野であり、日本の建設会社が復興やまちづくりに協力することもできるだろう。

 また、世界遺産も、次は耐震性を持たせ、世界が得意分野で協力しながら、次第に復元すればよい。ここは、原発事故がなかったので、復興を速やかに行えるのが慰めである。

*1-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/182607
(佐賀新聞 2015年5月1日) ネパール地震、死者6千人超、3千人不明情報も
 【カトマンズ共同】ネパール内務省は1日、同国の大地震による死者は6204人になったと明らかにした。近隣国を含めた犠牲者数は6300人を超えた。1日付の地元紙ヒマラヤン・タイムズによると、北東部シンドパルチョーク地区では約3千人が行方不明となっている。犠牲者は、さらに増える恐れが出てきた。ロイター通信によると、内務省当局者は4月30日、被災した山村地域での救援活動に使用するヘリコプターが不足しているとして、国際社会にヘリの派遣や貸与を訴えた。同当局者によると、ネパールでは現在、インドから派遣された機体を含め、約20機のヘリが救援活動中。

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11734822.html?_requesturl=articles%2FDA3S11734822.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11734822 
(朝日新聞 2015年5月2日) ネパール地震、犠牲者6300人超 きょう1週間
 ネパールで起きたマグニチュード(M)7・8の地震は、発生から2日で1週間になる。同国内では6254人が死亡、インドや中国など周辺国を加えると、死者は6363人になった。交通や通信事情が悪い山間部では、政府も被害の把握ができていない。震源に近く、孤立した中部の山あいの村に1日、記者が入った。

*2-1:http://digital.asahi.com/articles/ASH511634H4ZUHBI044.html
(朝日新聞 2015年5月1日) ネパール地震、死者6300人超 登録不備で配給に遅れ
ネパール内務省などによると、ネパール地震による同国内の死者は1日朝までに6198人が確認された。インドなど周辺国を合わせると、死者は全体で6307人になった。
■被災者に不満「政府は何もしてくれない」
 ネパールで4月25日に起きた地震で、同国内には今なお救援物資を待つ人たちがいる。発生から5日がたった30日、首都カトマンズ郊外の村サンクには、ようやく水や食料が届き始めた。しかし、自治体の住民名簿が整備されていないため配給が効率的に進まず、食料品などの物資は役場で留め置かれた状態だ。政府の不手際に、被災者の不満が高まっている。「水は届き始めたが、お米や油はもらえない」。30日、サンク中心部に住む主婦モティ・マヤさん(67)は目に涙をためて窮状を訴えた。地震後は近所の住民に食べ物を分けてもらい、空腹をしのいでいるという。全壊した自宅から15メートルほどの距離にある役場には食料品などが積んである。しかし、「名前が登録されていないため渡せない」と職員に言われた。政府は地域住民に平等に配給を進めようとしているが、そのための名簿が整備できていない。役場の入り口では、食料を求める人たちが職員と押し問答をしていた。サンクは伝統的なれんが造りの民家が密集する街道沿いの村で、「千軒の家」の別名を持つ。しかし、地震で住民60人がこれまでに死亡。地元の観光ガイドによると「9割以上の建物が被害を受けた」という。細い路地は倒壊した建物でことごとくふさがれていた。地震直後から行方がわかっていない住民もいる。住む家を失った人たちが身を寄せるのは、郊外に広がるトマト畑だ。ビニールハウスで雨をしのぎ、食べ物は民間ボランティアの配給を分け合う。半壊した家から取り出した毛布を地面に敷き、寝床にしている。「固定資産税も、農業の税も払ってきた。それなのに政府は何もしてくれない」。7世帯計70人と一つのビニールハウスに同居する農業マヤ・デビさん(67)は政府への怒りを隠さなかった。「私たちには戻るところがない。毎日あしたが怖い」

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/ASH4Y5GW9H4YUHBI01J.html
(朝日新聞 2015年4月30日) 山間部に孤立した集落点在 ネパール地震、物資届かず
ネパールを襲った地震から4日たった29日、首都カトマンズでは一部の商店が開き、バスも走り始めた。だが、地方では、被害の実態がわからないまま孤立し、支援も届かない集落が依然として点在している。カトマンズ北方の山あいの村に記者が入った。鋭いカーブが折り重なり、急傾斜の山道が続く。至るところで地震による土砂崩れが発生し、木の根やおよそ2メートル大の岩が道の一部をふさいでいる。道幅はわずか3~5メートルほど。道路の右側は、切り立った崖だ。車はスピードを落とし、岩や土砂を避けながら慎重に進んだ。カトマンズ中心部を出発して1時間半後、シンドゥパルチョーク郡のニブ村と呼ばれる小さな集落が現れた。一帯では10軒以上の家屋が倒壊。石と粘土でできた壁が崩れ、そこら中にちらばったままだ。村人たちが、そのがれきを少しずつ、素手で片付けていた。「誰も助けに来ない。これからどうしたらいいのか」。自宅前の庭にしゃがみ込んでいた女性、ムイサニ・タマンさん(59)が、ため息をついた。地震で2棟の自宅は完全に倒壊。偶然にも一緒に暮らす親族11人全員が屋外にいたため、難を逃れた。それからは、庭にシートやトタンを屋根にしたテントを二つ張り、雨露をしのいでいる。最大の悩みは食料不足だ。次男のディーパクさん(30)によると、5月末までは、昨年に収穫して家に貯蔵しておいた米を食料に暮らすはずだった。その残り1カ月分の米が、すべてがれきの中に埋もれてしまった。被害が比較的小さかった近所の家から米を少し分けてもらい、何とか食いつないでいるが、互いに厳しい状況の中で限界に来ている。28日に地元警察が集落を訪れ、各家庭に4キロずつ米を配給したが、それ以外は支援が届いていない。「地震から、ずっと悪夢の中にいるようです。まだ信じられない」。ムイサニさんは、頭を抱えた。周辺の山岳地域には、こんな孤立集落が多数点在している。車では近づけない険しい山肌にも、崩れ落ちた家屋がたくさん見えた。ニブ村から車でさらに約1時間。ラットマテ村では、ほとんどの家屋が倒壊していた。数十人が土砂崩れや家屋の下敷きになって死亡したという。カトマンズ市内で暮らす大学生、ナレイン・ドラさん(20)は家族を心配し、地震翌日に丸1日かけて徒歩で実家に戻ってきた。ナレインさんによると、外国の救助隊がヘリコプターで負傷者の救出に来たが、食料や生活物資の配給は一度も来ていないという。ナレインさんの家も全壊した。家族ら13人はトタン屋根で作った粗末なテントの下で暮らす。停電で、夜は真っ暗になる。野生動物や寒さから身を守るため、テントの前で一晩中たき火をたいているという。育てている野菜を近隣の集落と物々交換しながらしのいでいるが、食料の盗難も発生し始め、事態は悪化する一方だ。「食料と住む場所が必要です。ぜひ記事で伝えてほしい」。ナレインさんは、強く訴えた。
     ◇
 ネパール警察当局は29日、地震の死者数を5027人と発表。周辺国を合わせると計5135人となった。日本の国際緊急援助隊医療チームの46人が同日、カトマンズに到着した。

*2-3:http://www.asahi.com/articles/ASH520DN7H51UHBI04C.html?iref=comtop_6_01 (朝日新聞 2015年5月2日) 「ヘリ足りない」 物資届かず自衛隊にも影響 ネパール
 2日で発生から1週間となり、死者が6千人を超えたネパールの地震で、山間部での被害の実態が次第に明らかになってきた。大きな揺れで道路に崩落などが起きたほか、もともと車で行かれない場所も多く、ヘリコプターの数の不足が救援活動を難しくしている。国際社会にヘリや航空機の提供を求める声が強まっている。震源地に近い北西部ゴルカ郡ポハラター村。土砂崩れで砂利道が埋まり、車では進むことができない。食糧などの運搬はすべて人力だ。被害状況を調べに来た国連の災害調査チームのブルノー・ブリアクさんは「被災した村があちこちに散らばっている。ヘリコプターを使わないと、物資を運べない場所も多い」と言う。ネパール政府の被害状況把握や救援活動は、山間部では遅れている。その理由は、ヘリなど交通手段が乏しいことにある。ネパール内務省のダカル報道官によると、救援救助活動に従事しているヘリコプターは、応援に来たインド軍機なども入れて20機。救助活動に加え、孤立地域への救援物資の投下作業を地震から4日後に開始したが、はかどっていない。ダカル氏は「ヘリが足りない。テントや食糧も不足している」と訴える。日本から医療援助のため派遣された自衛隊も、ヘリ不足など輸送力の問題で行動が制約される。自衛隊の医療援助隊は1日に本隊が到着し、総勢114人となった。今のところ、医療活動はカトマンズ周辺で行う予定だ。被害のひどい山間部では道路が寸断され、装備を運ぶにはヘリが必要になる。だが、ネパール軍などからヘリを借りるめどはたたず、空港の受け入れ能力の問題などで日本から持ち込むのも難しいという。自衛隊は輸送機に積み込めるタイプの多用途ヘリを所有し、2005年のパキスタン北部地震でも輸送機で現場に派遣された。だが、救援要員や物資を運ぶ各国の航空機が殺到するカトマンズ空港は滑走路が1本、駐機場も8機分しかない。常に多くの飛行機が上空で旋回を繰り返し、着陸の順番を待っている状態だ。輸送機を長時間止めてヘリを取り出し、その場で組み立て直す場所と時間を確保できないという。
     ◇
 ネパール警察当局は1日午後10時現在(日本時間2日午前1時15分)の死者数を6621人と発表した。インドなど周辺国と合わせて全体の死者は6730人となった。

*2-4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11734880.html
(朝日新聞 2015年5月2日) 震源近く、立ちすくむ村 8歳娘、目の前で失う ネパール地震
 ほとんどの家が全壊し、石や木材ががれきの山となって斜面に取り残されている。あちこちで、押しつぶされた家畜のヤギや牛が横たわり、ハエがたかっている。カトマンズから車で計8時間。震源に近い未舗装の山道の先は、土砂崩れで完全にふさがれていた。車を降り、林や段々畑の広がる急斜面を1時間ほど登ると、壊滅した集落があった。約200人が住むゴルカ郡ポハラター村。住民たちが、屋内に貯蔵していた米や穀類をがれきの隙間からかき出して集めていた。村人らによると、この村では家屋40戸のほぼすべてが倒壊し、12人が死亡した。ヒム・ラナマガーさん(37)、スニタ・ラナマガーさん(32)夫妻は、3棟あった自宅がすべて壊れ、次女ビピサさん(8)を失った。地震発生時、ヒムさんは仕事で他の村にいた。急いで戻ると、胸から下が近所の家の下敷きになった状態で、ビピサさんが倒れていた。住人たちと手作業でがれきを取り除いて助け出したが、手遅れだった。背中をけがした長女のビニタさん(14)は、妹を亡くしたショックでしゃべれなくなった。ときどき、自宅のあった場所で1人で泣いているという。ヒムさんは「食事も寝るのも、ビピサと一緒だった。ビピサに会いたい」と声を絞り出した。人々は、農業と牧畜で自給自足の生活をしてきた。ふもとの小さな発電所から電気も引いていた。だが、いまは重機を入れるスペースもなく、がれきは地震発生直後のまま。みなテント生活を送っている。4月27日から、ボランティアチームなどが、ふもとまで米などの食料を届けるようになった。ほぼ毎日、村の青年たちが背負って運んでいる。ビンマル・タパモガーさん(22)は「とても重いし大変だ。地震の前は清潔で豊かな暮らしだったのに。元通りにするには、50年ぐらいかかるんじゃないか」と話した。ゴルカ郡では約400人が死亡したとされる。現地で支援活動をしている国連児童基金(ユニセフ)のネパール事務所によると、震源地付近を含む山間部に近づくのは難しく、援助が十分に行き届いていない。ポハラター村のふもとまで被害状況を調べに来ていた国連の災害調査チームのブルノー・ブリアクさんは「今回の支援の難しさは、被害を受けた村があちこちに散らばっていることにある。ヘリコプターを使わないと、物資を運べない場所も多い」と話した。
■世界遺産の街「客消えた」
 カトマンズ近郊、バクタプル市の世界文化遺産「ダルバール広場」。ヒンドゥー教寺院の本殿は崩れ、土台しか残っていない。他の建物の多くも崩れている。「予約で埋まっていたのに地震で客が消えた」。近くの宿で働くサンジェイ・ナガさん(45)は嘆いた。カトマンズ首都圏にある世界遺産は7カ所。バクタプル、カトマンズ、パタンの3市では、15世紀以降の旧王宮や寺院群が集まる同名の「ダルバール広場」が、それぞれ世界遺産に指定されている。国連教育科学文化機関(ユネスコ)のネパール事務所によると、3カ所では寺院の5~8割が倒壊。マンハート所長は「復元には10年はかかる」と言う。同国観光省によると、世界遺産やヒマラヤの山々を目当てに2013年には80万人の外国人が訪れ、4億1300万ドル(約500億円)を消費した。観光業で100万人以上が働く。ゴータム観光局長は「観光資源が失われた。復活を目指すしかない」と話す。カトマンズ中心部、ふだんは外国人観光客が多いタメル地区では1日、通りに面した土産物店などは半分が営業を再開。稼働し始めたATMの前に市民らが長い列を作っていた。観光客の姿はほとんど見えない。公園にできたテント村では、4月30日を境に野営者が減った。市内で電気の供給が戻り、自宅に帰る人が増えた。テント生活を続けるシバ・プラサド・ポウデルさん(64)も「水も食料も足りている」と話した。ネパール山岳協会によると、雪崩が起きたエベレストでは、ベースキャンプから希望者全員が下山した。登山の継続を希望する登山者ら約50人が残っているとの情報もある。被害の全容は政府も把握できていない。内務省のダカル報道官は「行方不明者数も集計できていない」。復興には、50億~100億ドル(約6千億~1兆2千億円)が必要との試算や見通しが、米シンクタンクなどから出ている。最大でネパールの国内総生産(GDP)の半分に当たる規模で、国土の再建には相当の時間がかかりそうだ。


PS(2015.5.3追加):*3に書かれているように、「ネパールでは、議会が空転を続け、憲法制定も進んでおらず、政争や腐敗で機能不全」とは言っても、前の王制に戻った方がいいわけはないだろう。しかし、せっかく支援物資を持ってきてもうまく配布できずに追い返されるようでは困るため、徐々に調整ができてきているのはよいことだ。なお、自衛隊も災害救助のための出動時には、迷彩服ではなく赤・オレンジ・黄・緑・青などの鮮やかな色の制服を着た方がよいと思う。何故なら、鮮やかな色の服の方が目立つため探しやすく、迷彩服は人助けではなく戦闘目的にあった保護色の服だからだ。

   
2015.5.2朝日新聞              <その他は無料の画像集より>

*3:http://digital.asahi.com/articles/ASH525R8NH52UHBI015.html
(朝日新聞 2015年5月3日) 被災者に怒り、救助隊は現場で混乱 ネパール地震一週間
 2日で発生から1週間になったネパールの大地震。死者数は周辺国を合わせて6950人になった。多くの人が避難を余儀なくされるネパールでは、食料や水、テントなどの配布が進まず、人々はいらだちを募らせる。ネパール政府が十分に機能していないため、各国の救助隊も現場で混乱している。自衛隊の医療チームが仮設診療所で活動を始めたカトマンズ中心部ラトナ公園。ここで寝泊まりするプレム・タマングさん(39)は「あの診療所は日本がつくった。水と食べ物はインド軍。ネパール政府は何をしてくれたと言うんだ」と怒りをぶちまけた。公園には被災者ら2500人以上が寝泊まりする。一部にはテントが与えられたが、タマングさんは地震発生から1週間、公園の隅で過ごす。食料や水、テントなどの供給が進まない状況に市民らは怒りを募らせ、視察に訪れたコイララ首相が罵声を浴びせられる騒ぎも起きた。ラトナ公園でも数日前、訪れた首相に「出て行け」との声が上がった。首相は4月29日に、市内の文化遺産「ダルバール広場」で救助活動中の日本の国際緊急援助隊・救助チームを激励する予定だったが、その前に市民に罵声を浴びせられ、日本隊に会わないまま去った。ネパールでは2008年に王制を廃止し、新しい憲法を作るための制憲議会選挙が行われた。だが、各党派の対立などからボイコット合戦が続いて議会は空転を続け、憲法制定プロセスは進んでいない。国民生活の低迷を尻目に続く政争と腐敗、そして機能不全に、地震発生の前から国民の怒りは高まっていた。政府の混乱は、救助活動にも影を落とす。各国から到着する救助隊は政府と国連の調整のもとで活動することになっているが、十分に機能していないのだ。ダルバール広場では、市民らががれき撤去に汗を流す脇で、スウェーデン政府が派遣した救助チームの2人がきょろきょろしながら歩いていた。「救助できる場所を探しているが、なさそうだ。帰国するしかない」とケント・コックム隊員は疲れた様子で話した。総勢40人のスウェーデン隊は到着後、ネパール政府の要請で、トラックに食料やテント、医薬品を積んで震源地に近いゴルカ郡に向かった。だが、到着するとネパール軍に「軍がやるから不要」と追い返されたという。日本の救助チームも苦労している。到着翌日の4月29日、カトマンズ近郊バクタプルで地元警察に案内された場所に着くと、すでに中国や韓国のチームが活動していた。1日に別の地域で活動場所を見つけたが、2日は担当区域外のはずのメキシコ隊と共同作業となった。メキシコ隊のマカレナ・オラサバル調整官は「ネパール政府が調整できていない」とこぼした。9歳の息子が生き埋めになっているというサパナ・シュレシュタさん(33)は「ポルトガル、インド、中国、トルコの救助隊が来て去って行った。今度は日本とメキシコ。とにかく助けてほしい」と話した。バレリー・エイモス人道問題担当国連事務次長兼緊急援助調整官は1日、カトマンズでの会見で「調整は徐々に効果的になっている」と話した。国連は、各国の救助チームにがれき撤去や建物の安全評価を要請する方針だ。

| まちづくりと地域振興::2014.4~2015.4 | 03:00 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.3.27 地域産業の有田焼は、セラミックの利点を活かした発展的応用でも稼げそうである (2015年4月7日、17日、2016年1月10日に文と画像の追加あり)
    
  古伊万里   柿右衛門    今衛門      李三平        虎仙窯 
           (*画像は最もよい例示とは限りません)

(1)衆議院議員時代に有田町と伊万里市大川内山の窯元を廻った経験から
1)「料亭などへの従来の食器の売り上げが減って打撃」という悲鳴が多かった
 *1-1-1に記載されているように、有田焼は佐賀県有田町を中心に焼かれる磁器で、その積み出しが伊万里港からなされていたことにより「伊万里」「伊万里焼」とも呼ばれ、17世紀(江戸時代で、日本全体としては鎖国中)から海外に輸出されていた。そういう伝統的でゴージャスな有田焼が上の画像で、それぞれの時代の最先端の技術を駆使して作ったと思われる。

 しかし、有田焼(伊万里焼)は、①主に高級食器を料亭に売ることで売り上げを挙げていたが、この需要が減少した ②電子レンジや食洗機に対応できていなかった ③丁寧に扱わなければかけやすかった などが理由で、近年、①の需要減に伴って売り上げが落ち、替わりの需要(都会の個人消費、輸出、他産業)はあまり増えていなかった。

 そのため、私は、替わりの需要に対応できるよう、有田焼のよさを残しながらも、現在の最先端の技術を導入して、②③の問題を解決すべきだと言って、「有田焼を理解しとらん」とか「食器は丁寧に扱わんと壊れるのが当たり前」などと言われたが、替わりの需要を開発すべく研究する人たちも出てきて、それらの問題は、現在、かなり解決済だと考えている。

2)世界市場で勝つ目標が必要であり、目標を持てば勝てるだろう
    
  深川製磁     香蘭社        源衛門           最近の変化形
           (*画像は最もよい例示とは限りません)

 もともと世界的視野を持っている有田焼・伊万里焼だが、*1-1-2のように、フランスのパリで開かれている世界最大のインテリア見本市「メゾン・エ・オブジェ」の会場で、有田焼と融合した映像作品を上映したり、*1-1-3のように、欧州国際見本市への出展や高級レストランでのPRといった海外市場開拓、食との連携や生活様式の変化に対応した国内市場開拓に、佐賀県が予算を計上したりしている。そして、現代の一般人の生活に合う花瓶や食器の事例は、上の画像のとおりだ。

3)芸術作品や先端産業への進出でも稼げるだろう
    
 四角形の皿   ピカソ絵画の有田焼     青磁による像        義歯
           (*画像は最もよい例示とは限りません)

 有田焼は、芸術として発展すべき部分と、食器をはじめとする産業として発展すべき部分を持つが、現在は、それが徹底していないように思う。しかし、それぞれの分野で追及されるべき機能は異なり、部屋の装飾には円形の皿ではなく、上の画像のようなものが面白くて洒落ている。

 そのうち、徹底して芸術分野に進出して成功しているのが、*1-2の有田焼で商品化されたピカソの絵だ。これは、あまりにも気に入ったので、私も2つ買って部屋に飾ってあるが、うちに来たお客さんは、それを本物だと思っていた。そして、この有田焼に転写された絵は、長時間経過しても痛まず、洗えば汚れが落ちるのが長所だ。

 つまり、有田焼になった絵は、色が退色したり、キャンバスが痛んだりすることがないため、有名な絵を有田焼に転写しておくことは大きな価値がある。また、ロンドンの大英博物館でロゼッタ石と同じ模様の絹のスカーフを売っており、私は大英博物館に行った時にそのスカーフを買ってきて今でも愛用しているが、著名な絵や彫刻を所蔵している美術館や博物館で、そこにある絵や彫刻を質の良い有田焼にして販売すればお土産として売れるだろうし、後世のために貴重な絵を有田焼にしておくことも重要だ。

4)立体への進出
 有田の職人は、どんな形でも作れることを誇りにしている。そのため、現在も、義歯や立体に進出しているが、*1-3-1のような3Dプリンタを使って、義歯や有名な彫刻の有田焼を作れるようになれば、生産の効率化と質の高さを両立させることができるだろう。さらに、*1-3-2のように、量産することも可能であり、佐賀県窯業技術センターの開発チームはアッパレだ。

5)障害者の雇用もしている
 ここで付記しておきたいのは、現在も、伊万里市で有田焼を作るのに、印刷した絵の貼り付け作業に障害者を雇用しており、私は、2007年8月17日に、伊万里市議の案内でその作業所を訪ねて感心した(http://hirotsu-motoko.com/weblog/index.php?d=20070817 参照)。しかし、その絵のデザインは安っぽかったため、安価な有田焼しかできておらず、私は、貼り付ける絵のデザインさえよければ、もっと高価なものも作れると思っている。

(2)金融について
 *2-1のように、有田焼の「大慶」が、販売する電子レンジで利用できる磁器「UTSUWA美」の型や材料の費用として活用するためネットで資金調達したところ、わずか2日間で171万円の小口資金を集めることができたそうだ。確かに電子レンジやオーブンでそのまま使用できることは、新たな食器需要の開拓には重要であり、その視点が評価されたのだろう。

 また、出資者に対する配当としては、ビアグラスだけでなく相手の希望に応じた有田焼の新製品を贈る方法もあるだろうし、有田町や伊万里市のふるさと納税の返礼品も、有田焼(伊万里焼)の面白い製品とすれば人気が出るのではないだろうか。

 なお、*2-2のように、佐賀県は制度金融のすべての貸付金利を最大で0.9%引き下げる優遇措置を設けたそうだ。時代の変化について行くためには、新製品の開発やマーケティングのための資金需要が大きいため、将来的にも貸しはがしで企業を破綻させることのない見識ある金融で、地元企業を発展させてもらいたい。

(3)この地域の農産物について
 伊万里市は、*3-1のように、ナシの産地でもある。私は、綿棒で花粉をつけるより、ミツバチを放してナシ由来のハチミツを副産物にすればよいと思うが、ともかく農業でも頑張っている。

 また、*3-2のように、長崎県では、放棄ミカン園を集積して10~20ヘクタール規模のミカン団地を造り、「売れる品種」への転換を進めるなど一生懸命だが、現在は、ミカン園も多くが耕作放棄地になっているのだ。しかし、私は、一世代前のややすっぱさのあるミカンは、みかんジュースに向いているし、みかん由来のハチミツも美味しいため、無理に植え換えの補助金を使わなくても、過去に造られた資産を活かしてジュースやハチミツ作りをする人がいてもよいと考える。

(4)原発の地元になるのは適切か
 このように、この地域は、過去の遺産と貴重な産業が多い。そのため、原発事故が起これば、失うものは計り知れない。そのため、*4-1のように、伊万里市長は、地元として原発再稼働には慎重であり、それは当然のことだ。

 また、*4-2のように、玄海原発訴訟(市民が国と九州電力に玄海原発の再稼働反対と日本の原発停止を求めている訴訟)の追加提訴で、原告数は9,126人となったそうで、原告には元日弁連会長の宇都宮健児氏や、福島第1原発事故の被害に関する著書を出版した福島県飯舘村の酪農家長谷川健一さんらも新たに加わられたそうだ。

*1-1-1:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%89%E7%94%B0%E7%84%BC (ウィキペディア)
 有田焼は、佐賀県有田町を中心に焼かれる磁器である。その積み出しが伊万里港からなされていたことにより、「伊万里(いまり)」や伊万里焼とも呼ばれる。泉山陶石、天草陶石などを原料としているが、磁器の種類によって使い分けている。作品は製造時期、様式などにより、初期伊万里、古九谷様式、柿右衛門様式、金襴手(きんらんで)などに大別される。また、これらとは別系統の献上用の極上品のみを焼いた作品があり藩窯で鍋島藩のものを「鍋島様式」、皇室に納められたものを「禁裏様式」と呼んでいる。江戸時代後期に各地で磁器生産が始まるまで、有田は日本国内で唯一、長期にわたって磁器の生産を続けていた。1977年(昭和52年)10月14日に経済産業大臣指定伝統工芸品に指定。九州旅客鉄道(JR九州)佐世保線有田駅-上有田駅間の沿線から煙突の立ち並ぶ風景が見られる。
●有田焼と伊万里焼
 近世初期以来、有田、三川内(長崎県)、波佐見(長崎県)などで焼かれた肥前の磁器は、江戸時代には積み出し港の名を取って「伊万里」と呼ばれていた。また英語での呼称も "Imari" が一般的である。寛永15年(1638年)の『毛吹草』(松江重頼)には「唐津今利の焼物」とあり、唐津は土もの(陶器)、今利(伊万里)は石もの(磁器)を指すと考えられている。明治以降、輸送手段が船から鉄道等の陸上交通へ移るにつれ、有田地区の製品を「有田焼」、伊万里地区の製品を「伊万里焼」と区別するようになった。有田を含む肥前磁器全般を指す名称としては「伊万里焼」が使用されている。
●肥前磁器生産の開始
 肥前磁器の焼造は17世紀初期の1610年代から始まった。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、有田を含む肥前の領主であった鍋島直茂に同行してきた陶工たちの一人の李参平は、1616年(元和2年)(1604年説あり)に有田東部の泉山で白磁鉱を発見し、近くの上白川に天狗谷窯を開き日本初の白磁を焼いたとされ、有田焼の祖である。李参平は日本名を「金ヶ江三兵衛(かながえさんべえ)」と称し、有田町龍泉寺の過去帳などにも記載されている実在の人物である。有田町では李参平を「陶祖」として尊重し祭神とする陶山神社もある。近年の学術調査の進展によって、有田東部の天狗谷窯の開窯よりも早い1610年代前半から、西部の天神森窯、小溝窯などで磁器製造が始まっていたことが明かになっている。この頃の有田では当時日本に輸入されていた、中国・景徳鎮の磁器の作風に影響を受けた染付磁器(初期伊万里)を作っていた。「染付」は中国の「青花」と同義で、白地に藍色1色で図柄を表した磁器である。磁器の生地にコバルト系の絵具である「呉須」(焼成後は藍色に発色する)で図柄を描き、その後釉薬を掛けて焼造する。当時の有田では窯の中で生地を重ねる目積みの道具として朝鮮半島と同じ砂を用いており、胎土を用いる中国とは明らかに手法が違うことから焼成技術は朝鮮系のものとされる。一方で17世紀の朝鮮ではもっぱら白磁が製造され、染付や色絵の技法は発達していなかったため、図柄は中国製品に学んだと考えられ、絵具の呉須も中国人から入手したものと考えられている。1637年(寛永14年)に鍋島藩は、伊万里・有田地区の窯場の統合・整理を敢行し、多くの陶工を廃業させて、窯場を有田の13箇所に限定した。こうして有田皿山が形成された。この頃までの有田焼を美術史・陶芸史ではしばしば初期伊万里と称する。陶石を精製する技術(水漉)が未発達だったことから、鉄分の粒子が表面に黒茶のシミ様となって現れていること、素焼きを行わないまま釉薬掛けをして焼成するため柔らかな釉調であること、形態的には6寸から7寸程度の大皿が多く、皿径と高台径の比がほぼ3対1の、いわゆる三分の一高台が多いことが特徴である。
●色絵磁器の登場・発展
 その後1640年代に中国人陶工によって技術革新が行われ、1次焼成の後に上絵付けを行う色絵磁器が生産されるようになった。伝世品の「古九谷様式」と呼ばれる青・黄・緑などを基調とした作品群は、かつては加賀国(石川県)九谷の産とされていたが、20世紀後半以降の窯跡の調査により、この時期の有田で焼かれた初期色絵がほとんどを占めることが分かっている。ただし従来言われていた加賀国(石川県南部)での生産も、1650年代から20年間程ごく小規模に行われていた(この産地問題については、別項「九谷焼」を参照)。なお、ほぼ同時期には有田の技術を基に備後福山藩で姫谷焼の磁器が20年間ほど生産されていた。色絵蓋付大壷(江戸中期)17世紀後半、1660年代から生産が始まったいわゆる柿右衛門様式の磁器は、濁手(にごしで)と呼ばれる乳白色の生地に、上品な赤を主調とし、余白を生かした絵画的な文様を描いたものである。この種の磁器は初代酒井田柿右衛門が発明したものとされているが、研究の進展により、この種の磁器は柿右衛門個人の作品ではなく、有田の窯場で総力をあげて生産されたものであることが分かっており、様式の差は窯の違いではなく、製造時期および顧客層の違いであることが分かっている(日本国内向けの古九谷様式に対し、柿右衛門様式は輸出に主眼が置かれていた)[2]。17世紀後半には、技術の進歩により純白に近い生地が作れるようになり、余白を生かした柿右衛門様式の磁器は輸出用の最高級品として製造された。17世紀末頃からは、金彩をまじえた豪華絢爛な「金襴手」も製造されるようになった。有田の金襴手は中国明代後期の嘉靖・萬暦期の金襴手をモデルにしている関係から、皿底の銘に「大明嘉靖年製」「大明萬暦年製」とあるものが多いが、これは当時の陶器先進国中国製のイミテーションのためにデザインの一部として取り入れたものであると考えられている。また、17世紀末頃から波佐見を中心に、焼きの歩掛かりをよくするための厚手の素地にコストを安く上げるために簡略化された同じ紋様を描き込んだ碗類を大量に生産した。安価で流通したこれらの碗は、当時出現して人気を得た屋台でも食器として使用された。当時の屋台が「喰らわんか」と客引きをしていたことから、波佐見窯で焼かれた安価な庶民向けの磁器を「くらわんか碗」と呼ぶ。一方、「鍋島焼」は日本国内向けに、幕府や大名などへの献上・贈答用の最高級品のみをもっぱら焼いていた藩窯である。鍋島藩の藩命を懸けた贈答品であるだけに、採算を度外視し、最高の職人の最高の作品しか出回っていないが、時代を下るにつれて質はやや下がる。作品の大部分は木杯形の皿で、日本風の図柄が完璧な技法で描かれている。高台外部に櫛高台と呼ばれる縦縞があるのが特徴。開始の時期は定かでないが、延宝年間(1673年頃)には大川内山(伊万里市南部)に藩窯が築かれている。当初、日本唯一の磁器生産地であったこれらの窯には、鍋島藩が皿役所と呼ばれた役所を設置し、職人の保護、育成にあたった。生産された磁器は藩が専売制により全て買い取り、職人の生活は保障されていたが、技術が外部に漏れることを怖れた藩により完全に外界から隔離され、職人は一生外部に出ることはなく、外部から人が入ることも極めて希であるという極めて閉鎖的な社会が形成された。しかし、磁器生産は全国窯業地の憧れであり、ついに1806年に瀬戸の陶工加藤民吉が潜入に成功し、技術が漏洩する。以降、瀬戸でも磁器生産が開始され、東日本の市場を徐々に奪われていく。江戸末期には全国の地方窯でも瀬戸から得た技術により磁器の生産が広まっていく。しかし、日本の磁器生産トップブランドとしての有田の名は現在に至るまで色褪せていない。また、江戸時代の有田焼を一般的に古伊万里と称する。
●海外への輸出
 磁器生産の先進国であった中国では明から清への交替期の1656年に海禁令が出され、磁器の輸出が停止した。このような情勢を背景に日本製の磁器が注目され、1647年には中国商人によってカンボジアに伊万里磁器が輸出され、1650年には初めてオランダ東インド会社が伊万里焼(有田焼)を購入し、ハノイに納めた。これによって品質水準が確認され、1659年(万治2年)より大量に中東やヨーロッパへ輸出されるようになった。これら輸出品の中には、オランダ東インド会社の略号VOCをそのままデザイン化したもの、17世紀末ヨーロッパで普及・流行が始まった茶、コーヒー、チョコレートのためのセット物までもあった。こうして17世紀後半から18世紀初頭にかけて最盛期を迎えた有田の磁器生産であるが、1684年の展海令などで景徳鎮窯の生産・輸出が再開され軌道に乗るにつれて厳しい競争に晒されることとなる。また、江戸幕府が1715年に海舶互市新例を制定し貿易の総量規制を行った事から、重量・体積の大きい陶磁器は交易品として魅力を失う。最終的には1757年にオランダ東インド会社に対する輸出は停止され、以降は日本国内向けの量産品に生産の主力をおくこととなる。今日の我々が骨董品店などで多く目にするのは、こうした18世紀の生産品であることが多い。19世紀は明治新政府の殖産興業の推進役として各国で開催された万国博覧会に出品され、外貨獲得に貢献する有田焼に期待が集まった。この輸出明治伊万里は第四の伊万里様式美として研究され、確立されつつある。万国博覧会の伊万里と称される。
●酒井田柿右衛門
 酒井田柿右衛門家は、鍋島焼における今泉今右衛門とともに、21世紀までその家系と家業を伝えている。1982年に襲名した14代目は重要無形文化財「色絵磁器」の保持者として各個認定されている(いわゆる人間国宝)。また、柿右衛門製陶技術保存会が、重要無形文化財「柿右衛門」の保持団体に認定されている。今日においては「柿右衛門」を襲名しても戸籍名の変更まではしないが、酒井田姓は本名であり、嫡子相伝の伝統は変わっていない。14代目が2013年に没した後、2014年2月4日に長男が15代目となる柿右衛門となった。
●「手描き」と「転写」
 有田焼には酒井田柿右衛門が創始した伝統的な技術である「手書き」と、大量生産とコスト削減を目的とした「転写」の技術が存在する。 手描き作品は相対的に手間がかかり、作家の技量や個性が反映されるため美術品や陶芸作品として販売される場合が多い、転写作品は品そのものに対する価値は低いものの価格が安い場合がある。また、一部を手書きで行い、他の部分を転写とする方法も行われている。すべての行程を手書きで行った作品は総手書きと呼び、プリント印刷である転写と比較し完成まで時間が非常にかかる。(転写の技術はデカールを参照) しかし、一概に転写作品は値段が低いという事もない。手描きと転写は手に持った手触りから簡単に見分けることができる。特に手描き作品では絵具が隆起しており、作陶家の心髄を感じることができる。一方、転写作品は全体的にのっぺりとしており、滑らかな感触を味わう事で判断することが可能。(以下略)

*1-1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/149277
(佐賀新聞 2015年1月25日) 有田焼の世界、CGで解き放つ パリ見本市
 CG技術を駆使したデジタルアートを手掛ける「チームラボ」(猪子寿之代表)は、フランス・パリで開かれている世界最大のインテリア見本市「メゾン・エ・オブジェ」の会場で、有田焼と融合した映像作品を上映している。見本市の20周年記念企画として、器の絵柄を映像で浮き上がらせる技術を使い、幻想的な空間を演出している。会場のエントランスに、有田焼でお茶などが楽しめるスペースを開設。染付、色絵などの茶わんや皿、カップなどをテーブルに置くと、器の絵柄をモチーフにした映像が一帯に広がる。絵柄の鳥が天井や壁面に映し出され、別の器から浮かび上がった木に止まるなど、器や人の動きに反応して映像が次々と変わる仕組みで、多くの来場者を魅了している。チームラボは、プログラマーや建築家、ウェブデザイナーらでつくる技術者集団。昨年3月には九州陶磁文化館(西松浦郡有田町)など県内の4会場で巡回展も開いた。見本市は27日まで。猪子代表は「有田焼の凝縮された美しい世界を空間に解き放ち、世界に大きなインパクトと感動を与えたい」と話している。

*1-1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/170689
(佐賀新聞 2015年3月27日) 有田焼400年の県実行委、欧州市場開拓など予算計上
 佐賀県有田焼創業400年事業実行委員会が26日、県庁であり、欧州国際見本市への出展や海外デザイナーとの商品開発事業など6億8100万円の予算案を承認した。国際見本市出展や高級レストランでのPR事業といった海外市場の開拓、食との連携や生活様式の変化に対応した国内市場開拓などに3億7900万円を計上した。このほか、人材育成などを進める産業基盤整備事業費に1億8600万円、国内外にPRする情報発信事業に1億1400万円を盛り込んだ。予算案を承認後、委員として参加している有田町、武雄市、伊万里市、嬉野市などからは「2016年以降の県事業をどう考えているか」「県民が一緒に盛り上がれるような企画が必要」などの意見が上がった。県は16年以降の事業も検討する考えを示した上で「県内での認知度はまだ高くないので、地元有田町などと、事業者ではなく一般県民も楽しめるような事業を考えたい」とした。

*1-2:http://www.arita.gr.jp/shop.html (篠英陶磁器 株式会社:TEL0955-43-3351、FAX0955-43-3352、HP http://www.shinoei.com/)
 有田焼の伝統継承に注力し、1986年にピカソの絵、1993年にジョン・レノンの絵の商品化権を獲得、有田焼で商品化し好評発売中です。

*1-3-1:http://news.mynavi.jp/kikaku/2014/12/09/002/ 伝統産業がデジタルと出会うと何が起こるのか? - 有田焼の職人育成を担う有田窯業大学校が3Dプリンタを導入
 近年、急速に耳目を集めるようになってきた3Dプリンタだが、現在その注目は「何ができるのか」ではなく、「どういったことに使うのか」という点へと移行している。例えば産業界では、従来のラピッド・プロトタイピング(RP:迅速な試作品づくり)だけでなくDDM(Direct Digital Manufacturing=3Dプリンタで最終製品を製作すること)による治具などの作製などにも使用されるようになってきており、開発・生産の効率化に貢献している。従来の工程に3Dプリンタを組み込むことで、開発・生産の効率化を図る取り組みは伝統産業でも始まっている。今年10月、佐賀県・有田町に位置する佐賀県立有田窯業大学校が、大手3Dプリンタメーカー・ストラタシスの日本販売代理店であるアルテックより3Dプリンタを購入した。有田は日本の磁器発祥の地と呼ばれ、国から伝統工芸品に指定されている有田焼10+ 件は世界的にも有名だ。有田焼の歴史は古く、2016年には誕生から400周年を迎える。同校は陶芸家や陶磁器デザイナー、陶磁器商品企画、指導者など有田焼10+ 件をはじめとする陶磁器の生産に関わる人材の育成を長年にわたって担ってきた。陶磁器産業のこれからを支える人材を育成する有田窯業大学校が、なぜ3Dプリンタの導入に至ったのか、同校でCAD/CAMを担当している関戸正信主査に話を伺った。
●異業種とのコラボという新しいニーズ
 同校が3Dプリンタを導入した背景には、有田焼を取り巻く状況の変化がある。
「陶磁器業界にはグラフィックやインダストリアルなど、いろいろな産業のデザイナーからデザインを有田焼で実現できないかというデザインデータの持ち込みがある」と関戸氏は語る。インターネットが普及し、情報の発信力が高まったことで、他業界とのコラボレーションが活性化しているのである。
持ち込まれたデザインのブラッシュアップにはCAD/CAMが利用されるが、従来の有田焼10+ 件の枠組みではそうしたスキルを完全にはカバーできていなかった。有田窯業大学校は新しいニーズに対応するための新たなスキルの習得が必要との方針に基づき、今年の10月に2年生向けのCAD/CAMの授業を新設。デザインの検証を目的として3Dプリンタの導入に至ったという。
●Polyjet方式の利点を生かしてデザイン検証を効率化
 磁器を生産するためにはまずデザインを決定し、そのモックアップをマスタとして型を取る必要ある。同校ではそれまで磁器の原型製作において、表面処理に時間がかかることや、寸法精度の限界に課題を感じていた。また、強度や対摩耗性もより強いものが求められていた。
今回導入された「Objet30Pro」のPolyjet方式は、表面の平滑さや、扱う素材の吸水性が少なく、多孔質ではないというメリットがあり、成形したモックアップで機能テストが行える。また、非常に高精度なため、出力したものをそのまま原型として使用することができるというメリットもあり、これらの特徴により、デザインの検証期間が短縮されることが確認され、その結果としてデザイン自体の幅を広げることにもつながったという。

*1-3-2:http://qbiz.jp/article/58776/1/
(西日本新聞 2015年3月26日) 3Dプリンターで陶磁器量産? 佐賀県窯業技術センターが開発
 佐賀県窯業技術センター(同県有田町)は25日、3Dプリンターで有田焼の主原料の天草陶石を使い、陶磁器を量産する技術の開発に成功したと発表した。「型」を使わない3Dプリンターでの生産は、プラスチックなどではできたが、陶磁器原料で成功したのは国内初という。センターは「2016年に創業400年を迎える有田焼の次の100年につながる技術開発」としている。有田焼など陶磁器の量産は石こうの型に陶土を入れて作るのが一般的だ。開発は2013年度に着手し、2年がかりで成功にこぎ着けた。完成品の立体画像をコンピューター上で制作し3Dプリンターで出力すると、天草陶石の粉末がまかれ、その上に製品の形に沿って接着剤が噴霧される。それを繰り返すと層が積み重なり、徐々に製品が形成される仕組みだ。取り出した生地を1300度で焼成すると完成する。現在は通常の磁器の20%ほどの強度で、造形の精度、自由度も今後改良が必要だが、鎖状につながったり穴が多数開いたりした複雑で細かい形でも製作が可能になる。1個数万から数十万円する型の製作費や手間も省け、少量生産時のコスト削減に有力な手段として期待がかかる。開発したデザイン担当係長の副島潔さん(49)は「有田焼が創業400年を迎える16年内には実用化を目指したい」と話した。

<佐賀県の制度金融>
*2-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/167159
(佐賀新聞 2015年3月17日) 有田焼「大慶」、ネットで資金調達
■クラウドファンディング県の支援第1号
■わずか2日で171万円
 インターネットを通じて小口資金を集める佐賀県の「クラウドファンディング(CF)」支援事業で、第1号となった有田焼商社のファンドが目標金額を集めた。有田焼創業400年事業の一環で、県が関与することによって企業がCFに参入するハードルを下げるのが狙い。今回をモデルケースとして、普及に力を入れる。西松浦郡有田町の商社「大慶」のファンドを2月25日、運営会社「ミュージックセキュリティーズ」(東京)が立ち上げ、わずか2日後に目標の171万円に達した。資金は、大慶が販売する電子レンジで利用できる磁器「UTSUWA美」の型や材料の費用として活用する。CFは本来、運営会社と企業による民間の取り組みだが、県内では知名度が低く、利用実績が少なかったため、県が本年度から支援に乗り出した。昨年8月に投資型ファンドを運営するミュージックセキュリティーズと覚書を結び、有田町などでセミナーを開催。ファンド立ち上げにかかる費用の一部を補助している。短期間での資金調達について県有田焼創業400年事業推進グループは「商品とサービスに魅力があったのが理由」と分析する。UTSUWA美は電子レンジに加え、高温になるオーブンでもそのまま使用できるのが特徴。大慶は出資者に対して、売り上げに応じて配当金を支払うほか、ビアグラスなどの特典も付けた。同グループは取り組みの効果として、有田焼ファンの掘り起こしや販売ルートの開拓に加え、補助金などに頼らない長期的な資金の受け皿づくりを挙げる。大慶に続くファンドの計画が進んでいるものの、CF参入に手を挙げる企業はまだ少なく、県は来年度も事業を継続する。大慶の森義久社長は「CFの存在は知っていたが、運営会社のことはよく分からず、県が間に入ってくれなければ実現しなかった。金額を増やして新たなファンドにも挑戦してみたい」と話す。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/165396
(佐賀新聞 2015年3月12日) 県制度金融、過去最低金利に 中小企業の新事業支援
■限度額引き上げ、貸付対象拡大も
 国の成長戦略や長期金利の低下を受け、佐賀県は制度金融のすべての貸付金利を最大で0・9%引き下げる優遇措置を設けた。10日以降の融資分が対象で、限度額の引き上げや貸付対象の拡大など融資メニューも一部拡充。中小企業の資金調達を円滑にして設備投資を促し、生産性向上などの経営改善を支援する。各メニューともこれまでで最も低い金利になる。「異次元の金融緩和」などで長期金利は歴史的低水準となり、県制度融資の金利の割高感が強まっていた。地方への波及を目指す国の経済対策にも呼応。中小・零細事業者が資金を借りやすくして、成長が期待される新分野への参入を後押しする。県商工課は「新事業の支援を目的とした大幅な制度見直しは初めて」としている。優遇措置は、10日の融資受け付け分から適用。金融機関への預託金を積み増しし、貸付金利を従来から0・2~0・9%引き下げた。県と金融機関、信用保証協会の3者が連携してリスクを分散。融資後も商工会などの支援機関が経営指導することで貸し倒れリスクを軽減する。2015年度の融資枠は、全体で200億円。企業に応じて決まる信用保証料率も一部で引き下げた。貸付金利の引き下げ幅が最も大きいのは、物的担保が原則不要で利用が最も多い「小規模事業貸付(一般資金)」。現行2・2%を1・3%に下げ、限度額は1600万円から2千万円に引き上げた。使途を限定していない「中小企業振興貸付」は2・4%を1・8%にした。成長分野への参入を支援する「経営基盤強化資金」では、観光客誘致や海外への専門家派遣による商品開発などにも貸付対象を拡大。限度額5千万円の設備投資促進枠も新設した。追加借り入れを前提に、運転資金の借り換えを促す「円滑化借換資金」は、限度額を3千万円増やして8千万円にし、融資枠も10倍の115億円に増額した。融資の申請は、各地域の商議所や商工会などで受け付ける。県商工課は「金融機関と保証協会との三位一体で信用リスクと潜在力を見極め、前向きに新規事業への展開を図る企業をサポートしていきたい」としている。問い合わせは同課金融担当、電話0952(25)7093。

<農産物>
*3-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/163707
(佐賀新聞 2015年3月7日) ナシの花満開 生産農家、授粉作業ピーク 伊万里市
 西日本有数のナシ産地の伊万里市で、ハウス栽培のナシの花が満開となり、生産農家は授粉作業に追われている。JA伊万里梨部会長の松本健一郎さん(64)=大川町大川野=のハウスは2月下旬から早生種の幸水が真っ白な花を開き、春色に包まれている。妻良子さん(60)や梨部会大川支部の役員らも手伝い、綿のついた棒に花粉をつけ、めしべに優しく押し当てる作業を丁寧に繰り返した。授粉作業の20~30日後には小さな実ができ、その後、大きく品質の良い果実にするために余分な実を半分ほど摘み取るという。出荷は6月下旬から始まる。ここ数年は関東地方のナシが出荷時期を早めた影響で、単価が大幅に下落している。松本さんは「今冬は関東の寒さが厳しいので出荷時期が遅れるかもしれない。期待を持ちながら、他産地に対抗できる良いナシを出したい」と話した。

*3-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=32159 
(日本農業新聞 2015/2/21) 放棄ミカン園集積 農地バンク活用 団地化で産地“若返り” JA長崎せいひ、生産部会
 長崎県のJA長崎せいひと同JA大西海みかん部会が耕作放棄園を農地中間管理機構(農地集積バンク)で集積し、担い手の規模拡大につなげようと動きだした。農地集積バンクを使って園地の権利関係を明確化した上で、西海市西彼町の2地区に10~20ヘクタール規模のミカン団地を造る。担い手が改植をしやすい環境を整えることで「売れる品種」への転換を進め、ミカン産地の“若返り”を目指す。モデル地区の一つ、西彼町白崎郷では、53戸の計19ヘクタールを集積する。地区では、高齢化やミカン価格の低迷から生産者が減少し、地権者53人のうち、ミカンを栽培しているのはわずか5、6人。園地の多くを耕作放棄地や地域外からの入り作が占める。未相続地も多く権利関係が複雑で「地域の担い手が園地を引き受けようにも手が出せない」(JA)状態にあった。そこで地権者との調整役を果たしてきたJAと部会が、2014年10月に事業推進委員会を立ち上げた。産地を維持する観点から、地権者、耕作者に対して園地の集積を提案。農地集積バンクの関連事業で、農地を集積した地域に支払われる「地域集積協力金」を引き合いに出し、地区内の合意を取り付けた。15年度中の集積完了を目指し、話し合いを進めている。園地の借用期間は、一般的に水田で設定する10年と比べて長い15年以上とする方針だ。同地区でミカン40アールを栽培する事業推進委員会の山脇初良会長は「規模拡大には生産性を上げる基盤整備や改植が欠かせない。園地が出来上がった頃に『返せ』と言われないよう、長く借りられる保証が必要だ」と説明する。園地を集積した後は、18年着工を目標に国や県、市町村が事業費を助成する農業競争力強化基盤整備事業など活用して団地を整備する。整備後は糖度の上がりやすい早生品種への改植を進めるとともに、2、3ヘクタール規模でミカンを栽培する専業農家を育成する方針だ。平地が少なく果樹栽培が盛んな西海市では、ミカン団地化の構想に加え、市農業振興公社でも園地の集積に力を入れている。公社が2月までに集積した農地14ヘクタールのうち3ヘクタールは果樹園で、園地のある西彼町の2戸が受け手となった。公社で農地集積を受け持つ山口用一郎担当は「市内には権利関係がはっきりしない園地が多い。農地集積バンクなど新事業を使って農地の受け手を明確にしておくことが、耕作放棄防止にもつながる」と、モデル地区外の園地でも農地集積バンクの活用を呼び掛ける。

<原発の地元について>
*4-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/167395
(佐賀新聞 2015年3月18日) 伊万里市長、安全協定で知事に積極関与要望
●玄海原発は「地元」
 伊万里市の塚部芳和市長は17日、山口祥義知事と面会し、市全域が玄海原発(東松浦郡玄海町)の30キロ圏内に入ることから「地元」と位置づけた上で、九州電力と立地自治体並みの安全協定締結ができるよう積極的な関与を要望した。県が再稼働を判断する際、市への説明と意見聴取も求めた。山口知事は安全協定が未締結の現状は問題とし、今後、協議していく考えを示した。地元の範囲は国の考え方などを踏まえて検討する意向を伝えた。伊万里市は県内の20市町で唯一、九電と安全協定を締結していない。塚部市長と山口知事が原子力政策をめぐり面会するのは初めて。塚部市長は、九電との安全協定に関し、20回以上協議を重ねているものの締結に至っていない現状を説明した。「九電に対し、再稼働の前に協定を結ぶべきと進言していただければ」と協力を要請した。山口知事は「今の状態がいいとは思わない」とし、福島事故以降、全国で締結された協定や覚書なども参考にし、「さまざまな形で議論していければいい」と応じた。市長は、避難道路の整備など原子力防災対策への財政的支援も要請した。面会後に会見した塚部市長は「市としてもいろいろな安全協定のあり方を検討する。立地自治体並みの事前了解権を県が担保するようなやり方もあるのでは」との考えも示し、県や九電と協議していく方針を語った。

*4-2:http://www.saga-s.co.jp/column/genkai_pluthermal/20201/170537
(佐賀新聞 2015年03月26日) 玄海原発訴訟、追加提訴で原告数9千人超に
■佐賀地裁、13回目提訴
 原発の再稼働に反対する市民が国と九州電力に玄海原発全4基の操業停止を求めている訴訟で、新たに247人が26日、佐賀地裁に追加提訴した。13回目の提訴で、原告数は9126人となった。原告には元日弁連会長の宇都宮健児氏や、福島第1原発事故の被害に関する著書を出版した福島県飯舘村の酪農家長谷川健一さんらが新たに加わった。原告の内訳は福岡県が5009人で最も多く、佐賀県は1869人。九州以外からも約千人が入っている。


PS(2015年4月7日追加):衆議院議員時代に、私は有田焼卸団地に挨拶廻りに行き、①素晴らしい食器がふんだんにあること ②それにもかかわらず卸団地が空いていること に驚くとともに、ゆっくりと有田焼を拝見し、生産者に話を聞く機会を得た。現在、有田町は「ふるさと納税」のお礼に有田焼を採用していないが、有田焼卸団地協同組合と有田町商工会議所が協力して、現在の有田焼に関する広報も兼ね、「ふるさと納税」のお礼に気の利いたおしゃれな有田焼を採用してはどうだろうか。

*5:http://www.saga-s.co.jp/column/economy/22901/174427
(佐賀新聞 2015年4月7日) 卸団地40年で記念式典「有田焼400年復活へ好機」
 有田焼卸団地協同組合(山本幸三理事長、23社)の団地開設40周年記念式典が3日、西松浦郡有田町赤坂丙の同組合会館で開かれた。有田焼創業400年を来年に控え、県や町と連携して節目の年を盛り上げていくことを誓った。式典には、組合員や窯業関係者ら約70人が出席。山本理事長は、売り上げが最盛期の6分の1になるなど厳しい状況が続く焼き物業界の現状に触れ、「来年は業界復活への大きなチャンス。組合員全員で力を合わせ、次の50年、100年を目指したい」とあいさつ。40周年記念事業として、看板の付け替えなどで来場者の利便性向上を図ることや商品購入者へのプレゼント企画などを発表した。同組合は1973年、焼き物卸商社20社とダンボール製造3社で設立。75年にショールームを兼ねた卸団地を現在地に開設した。2005年からは、焼酎グラスやカレー皿などを窯元と共同開発したオリジナルブランド「匠の蔵」シリーズを販売している。


PS(2015年4月17日追加):*6-1のように、ヨーロッパはじめ外国で売る時は、絵画部門は版画や日本画も人気がでるのではないかと思うし、*6-2のように、軽くて強い強化磁器にした方がよいのは、給食用磁器だけではないだろう。

    
             版画                  上村松園           源氏物語絵巻
   (*例えば上のように、日本の作品にも有田焼版にして輸出するのに向いたものが多い)

*6-1:http://qbiz.jp/article/60351/1/
(西日本新聞 2015年4月16日)ミラノで有田焼400年事業をPR 佐賀県、家具見本市で
 【パリ国分健史】佐賀県は14日、イタリア・ミラノで開催中の世界最大級の家具見本市「ミラノ・サローネ」で、有田焼の窯元・商社と国内外のデザイナーが新商品を開発する事業について、現地マスコミ向けの発表会を開いた。有田焼創業400年事業の一環。ミラノ・サローネで新商品を発表する2016年に向け、現地で周知を図ろうと開いた。15、16日も同様の発表会を開く。県の同事業推進グループによると、初日の14日は約40人が参加。新商品の開発に取り組んでいるデザイナーなどが取り組み内容を説明した。参加者からは「地場産業と世界のデザイナーが結びついた新たなプロジェクトで、世界の産業のモデルになる」などの声があった。

*6-2:http://www.saga-s.co.jp/column/economy/22901/177882
(佐賀新聞 2015年4月17日) ショールーム29日オープン 給食用強化磁器の匠
 給食用強化磁器食器を製造、販売している「匠」(西松浦郡有田町、西山典秀社長)は29日、同町南原丁の国道35号バイパス沿いにショールームをオープンする。イベントなどを通して、有田焼の魅力を発信する。ショールームは、2階建て延べ床面積約510平方メートル。1階には自社の食器を展示。2階は企画スペースとして、窯元や勉強会の作品発表に活用する。隣接する事務所や倉庫を含め、空き物件となっていた土地建物を日本政策金融公庫の「中小企業経営力強化資金」の融資を受けて買い取り、整備した。西山社長は「来年の有田焼創業400年に向け、企画を練り、地域の熱気を伝えたい」と節目の年の盛り上げに意欲を見せた。


PS(2016年1月10日追加):磁器発祥の地、有田では、*7-1、*7-2のように、今年が創業400年であり、有田町の関係者は産地の再興や海外での販路拡大を目指して決意を新たにしたそうで、私は心から応援したい。しかし、灯籠であれば光を灯した後の見え方が大切であるため、下の段のエミール・ガレ(フランスのガラス工芸家)の作品のようにガラス質の材料を多く使って透明度を高め、三次元の造形美を創った方がよいのではないだろうか。ちなみに、ガレの作品はガラス製品だが、壺や花瓶も素敵だ。
 現在、有田焼は、東京の日本橋三越、大阪の梅田阪急、福岡三越など日本の高級百貨店で展示会を開催しているが、今後は、磁器発祥の景徳鎮を有する中国、マイセンを有するドイツ、ウェッジウッドのイギリスなどの百貨店でも展示会をしたらよいと思う。その理由は、こういう地域の人々は磁器を使う習慣や選択眼があること、有田焼の作者も世界で刺激を受けた方が良いことなどだ。

     
             2016.1.10西日本新聞(*7-2)より

       
          フランスのガラス工芸家、エミール・ガレの作品

       
   (翠玉白菜)
      
       台湾の故宮博物院に所蔵されている主に中国陶磁器の名品

*7-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/262161
(佐賀新聞 2015年12月22日) 有田焼400年 事業概要まとまる、記念式典や展示会多彩に
 来年の有田焼創業400年に向けた西松浦郡有田町の実行委員会(委員長・山口隆敏町長)の事業概要がまとまった。秋に有田焼の歴史や現在を概観する展示会を企画し、10月22日の記念式典・レセプションでは、講演会や有田焼の器と地元食材を使った会食などで400年を盛り上げる。21日の実行委員会で報告された。記念式典・レセプションは、有田町の焱の博記念堂で開く。中韓など4カ国の大使や窯業界、国・県の関係者ら300人超を招待する。翌日は有田皿山まつりと連携した町民向けの「400年感謝祭(仮称)」を検討している。展示会は、住民が企画したイベントを集めた「有田まちなかフェスティバル(10~11月)に合わせて開催する。人間国宝ら有名作家から有田の未来を担う子どもたちまでの作品を並べるほか、新商品開発の軌跡など多彩な展示を計画する。期日は未定。有田焼の名品展示や工房再現などで好評だった「400年有田の魅力展」は、2、3月の大阪・梅田阪急、福岡三越に続き、来年度も全国各地の百貨店で実施する。町内の子どものための企画として、夏休みに焼き物製作体験会を開く。実行委では、山口隆敏町長が「節目の年を目前に控え、陶器市など既存イベントの拡充を含め検討している。委員の意見を聞き、よりよい計画にしたい」とあいさつ。委員の中島宏・県陶芸協会会長らが「有田の熱気を世界に伝えてほしい」などと述べた。計画は3月までに再度実行委を開いて決定する。

*7-2:http://qbiz.jp/article/78003/1/
(西日本新聞 2016年1月10日) 有田焼 さらなる高みへ 創業400年 陶芸家ら決意
 有田焼創業400年の幕が開けた。産地の再興、海外の販路拡大を目指し、磁器発祥の地、佐賀県有田町の関係者はさらなる伝統の高みへと心を熱くしている。「今後100年、その先の未来に向け、有田の誇りを継承していきたい」。有田町の泉山磁石場で1日にあった記念イベントで、有田中3年の森龍一郎君は未来へのメッセージを力強く読み上げた。山口祥義知事は「子や孫にしっかりとした有田焼を引き継いでいきましょう」と祝辞。山口隆敏町長も「450年、500年とつないでいくため、この節目の年を生かしていく」と決意を述べた。イベントでは、重要無形文化財保持者(人間国宝)ら有田焼を代表する陶芸家たちも自作の灯籠を磁石場にささげ、思いを新たにした。灯籠に伝統文様のボタンの彫りを施した白磁の人間国宝、井上萬二さんは「400年は祭りではなく原点に返る年。先人たちが積み上げてきた技術を受け継ぎ、平成の伝統をつくっていく」。青磁の人間国宝、中島宏さんの灯籠は天に向かって伸びる竹を表現。「磁石場に立ち、あらためて先人の苦労がしのばれた。感謝し負けないように頑張らなければ」と表情を引き締めた。薄墨墨はじきの技法とプラチナ彩で鍋島文様のタチバナやザクロを描いた色絵磁器の人間国宝、十四代今泉今右衛門さんは「400年の重みを受け止め真摯(しんし)に仕事に向き合っていくことが先人への恩返しになる」と述べた。十五代酒井田柿右衛門さんは、17世紀の柿右衛門の文様と自身が取り組む団栗(どんぐり)文を表現。「柿右衛門の昔と今の融合を感じてほしい」と語った。400年前に泉山磁石場を見つけた李参平の子孫で、同町の陶芸家十四代金ケ江三兵衛さんは「有田焼の原点の地でこの日を迎えられた。ありがたく、素晴らしい」と感慨深げだった。

| まちづくりと地域振興::2014.4~2015.4 | 02:39 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.2.12 街づくりやインフラ整備で鉄道会社にできること - JR九州の事例から (2015年2月13日、14日に追加あり)
    
新しい筑肥線の車両(外見と一両目内部)     *3-4より        *4より

(1)鉄道会社と駅の無人化、発送電分離
1)多角化とシナジー効果
 *1-1のように、JR九州は国交省が2016年度に株式上場させる方針を決めたことについて「地域に根ざした会社として、さらに九州のために頑張っていきたい」とし、経営のスピード感と自由度を高め、地域密着企業として発展させる考えを示されたそうだ。そして、地域や利用者にとってのJR九州の上場のメリットは、「①九州のネットワーク網を安全に維持すること」「②鉄道事業だけでなく近い事業を組み合わせてシナジー効果を出し、九州の役に立つこと」で、そのために駅ビルやマンション事業などの多角化を続けるそうだが、これは、関東では、東急などが不動産と鉄道を組み合わせて既に行っているものだ。

2)地方赤字路線、駅の無人化・機械化
 *1-1で、上場後の地方赤字路線廃止など鉄道ネットワーク維持への懸念については「①当面の維持は約束しているが、今後の長いスパンでは、地元の方との議論をやった上で方針を決めたい」とし、年間約150億円の赤字圧縮が課題となっている鉄道事業に関しては「②効率化の手を抜くことはない」としたうえで、*1-2、*1-3のような駅の無人化やみどりの窓口の削減をしていくそうだ。

 しかし、私は無人駅の唐津線山本駅で、切符の自動販売機も自動改札機もなく、近くに人もいなかったため、どうやって入ったらよいかわからず、戸惑ったことがあるため、人員削減をするなら機械化した方がよいと考える。そして、臼杵(http://sekibutsu.com/ 参照)などの史跡や観光地には、数カ国語対応の案内ロボットを置けば、客が増えるだろう。

3)発送電分離による送電への参入
 *1-4に書かれているとおり、政府・与党は「18~20年をめど」としていた電力改革の発送電分離実施時期を2020年とする方向で検討に入り、改革の目玉をなかったことにしようとしているようだが、電力会社の地域独占は日本の電力価格を高止まりさせ、すべての産業の足を引っ張ってきた根源であるため、これこそ改革を断行すべきなのである。

 しかし、電力会社が分社化して送電会社を作っても、それだけでは使用者の選択権がないため、送電網は複数あるべきで、地域間の送電は鉄道の敷地に送電線を敷設すると、安上がりで迅速にできる。また、鉄道会社に送電料という副収入が入り、赤字を減らして黒字を増やす効果がある。

(2)街づくり
 *2-1-1に、JR九州が鹿児島市の日本たばこ産業(JT)所有地を落札し、福岡市の九大キャンパス跡地取得に続く大型投資だそうだが、「九州全域」で足固めするのはよいことだ。そして、まちづくり会社になる限りは、熊本や長崎も含めて、世界に誇れる素敵な街を作ってもらいたい。

 しかし、*2-1-2のJR九州が筑肥線に導入する新型車両は、外見はきれいだが、内装は、床が細かな木材で座席の縞模様の色調が両側で異なっているため、どうもごちゃごちゃしていてスマートではない。そのため、東京のように、外見は路線によって異なる色の線を入れてわかりやすくし、内装も工業デザイナーを使って現代的で洒落たものにしたらどうかと思った。筑肥線は海の街である唐津(呼子、玄海町、伊万里も!)に行く列車であるため、紺碧の線がいいのではないだろうか。

 なお、2-2-1のように、東急不動産は、省エネルギーを進め、世界初のマンション向け家庭用燃料電池(エネファーム)導入など省CO2を推進するとのことで、これが国交省の選定する「平成25年度(第2回)住宅・建築物省CO2先導事業」に採択されている。また、*2-2-2のように、東京急行電鉄・東急建設・イッツ・コミュニケーションズも、横浜市と締結した協定に基づき、東急田園都市線沿線地域を中心に、「次世代郊外まちづくり」を展開して「家庭の省エネプロジェクト」を実施しているそうだ。さらに、*2-3のように、国交省は大型店やホテル、病院などの施設から出る温暖化ガスを減らすため、省エネ基準を満たさない建築の着工を段階的に規制するとのことである。

 そのため、これから街づくりやインフラ整備をするJR九州は、これらを織り込んで実現した方がよい。

(3)水素ビジネスについて
 *3-1のように、水素ビジネスに期待が膨らみ、独自製品の開発などに取り組む中小企業も出てきて中小企業にも商機が広がろうとしているそうだ。そのため、今は水素燃料を伸ばすべき時であり、間違っても原発再稼働によりCO2を削減するなどという選択をすべき時ではない。また、*3-2のように、トヨタが水素燃料に関する特許の公開をしており、「やるなら、今でしょ」ということである。

 そのような中、*3-3のように、トヨタの燃料電池車「MIRAI(ミライ)」が、愛知県と愛知県豊田市に1台ずつ納車され、愛知県の大村知事は「環境に優しく、経済も盛り上がる。愛知県が求めている方向だ」としている。また、*3-4のように、福岡県庁の公用車にも導入され、福岡県の小川知事が「新しい時代の幕開けだ。大切に活用し、県民の関心を高めたい」としたそうだ。

 私は、どの自治体も、これから購入して交換していく公用車は、電気自動車か燃料電池車にすればよいし、これからの街づくりを考えるために、首長と議会議長の公用車くらいは早急に導入すればよいと考える。また、それに伴って、電気自動車や燃料電池車の価格も購入しやすいものになるべきだ。

<鉄道と発送電分離>
*1-1:http://qbiz.jp/article/54918/1/
(西日本新聞 2015年1月31日) JR九州、地域密着を強調 社長「鉄道網は当面維持」
 JR九州の青柳俊彦社長は30日の定例記者会見で、国土交通省が2016年度に株式上場させる方針を決めたことについて「地域に根ざした会社として、さらに九州の元気のために頑張っていきたい」と述べ、経営のスピード感と自由度を高め、地域密着企業として発展させる考えを示した。上場方針決定後、初の記者会見に臨んだ青柳社長は「大きく前進した。国鉄民営化の精神にのっとって28年間、自立できるように頑張ってきたことが、決定につながった」と表明。「自主自立の代わりに、経営陣は非常に大きな責任を負った。上場をきちっと果たすよう期待に添える会社になる」と表情を引き締めた。地域や利用者にとっての上場のメリットは「第一が、九州のネットワーク網を安全に維持することだ」と説明。そのうえで「鉄道事業だけでは十分ではない。近い事業を組み合わせ、相互に効果を出し、双方でいい成績を出せれば、九州のお役に立てる」と述べ、駅ビルやマンション事業などの多角化を続けるとした。上場後の地方赤字路線廃止など鉄道ネットワーク維持への懸念も出ていることについては「当面の維持は約束している」と強調した。一方で「今後の長いスパンでは、地元の方との議論をやった上で方針を決めたい」として、将来にわたる維持存続の確約は避けた。上場後に赤字路線を維持することに市場から厳しい評価が出るのではないかとの問いに対しては「上場は、そういった悪い点ばかりではない」と反論。「JR九州をよくするための、株主のアイデアを取り入れながら、事業を推進していきたい」と答えた。年間約150億円の赤字圧縮が課題となっている鉄道事業に関しては「効率化の手を抜くことはない」としたうえで、駅の無人化や「みどりの窓口」削減などを念頭に「具体的な施策を一つ一つ出していく」と明言。コスト削減を推し進める姿勢を示した。鉄道の赤字穴埋めのための経営安定基金3877億円を国に返還しない方針については「大きな進展と理解している」と述べるにとどめた。

*1-2:http://qbiz.jp/article/55487/1/
(西日本新聞 2015年2月8日) JR九州、3月に30駅無人化 上場へ鉄道赤字を圧縮
 JR九州が3月、約30駅を無人駅化することが7日、分かった。地方の赤字ローカル線を含めた九州の鉄道網を維持するため、年間150億円に上る鉄道事業の赤字を圧縮するのが狙い。今回の無人化で、同社管内の全566駅のうちほぼ半数の約280駅が駅員がいない無人駅になる。2016年度の株式上場を控えJR九州は、本業である鉄道事業の収支改善が急務。その一環として、3月14日のダイヤ改正に合わせ、福岡市郊外を走る香椎線を中心とする九州7県約30駅の無人化に踏み切る。駅員がいなくなると利便性や乗客サービスが低下する恐れがあることから、対応策も取り入れる。(1)列車の運行状況などを近くの駅から遠隔操作で知らせる放送装置(2)列車接近を知らせる放送装置(3)防犯カメラ設備−などを導入。高齢者や身体障害者などから乗降手助けなどの依頼があれば、近くの駅などから職員が駆けつける体制も整える。同社管内ではこれまでローカル線に無人駅が多かったが、今回は香椎線(福岡市・西戸崎駅−福岡県宇美町・宇美駅、25・4キロ)の12駅も無人化。乗降客が比較的多い同線については、駅の自動券売機の横に設置したインターホンを介して福岡市内にあるサポートセンターのオペレーターに各種問い合わせができる最新システムも導入する。さらに4月1日以降は、鹿児島県や宮崎県などの約10駅について、管理・運営を外部委託する「簡易委託駅」に切り替える方向で関係自治体などと協議を進めている。切符の販売や清掃などを市町村や観光協会などに委ね、有人駅として運営を続けたい考えだ。今回、無人駅と簡易委託駅にするのは計40弱。乗降客数などを基準に対象を絞り込んだ。同社幹部は「鉄道事業の収支改善のため、今後もさまざまな効率化を進める。サービス低下を防ぐ取り組みも同時に考えたい」と説明している。同社は1987年の発足時に619あった駅を、旧国鉄改革の一環で90年には557駅に削減。その後9駅増えたが、大規模な無人化は実施してこなかった。

*1-3:http://qbiz.jp/article/55688/1/ (西日本新聞 2015年2月11日) 東中津、今津、熊崎、上臼杵の4駅 大分県内の無人化計画、JR九州
 3月14日のダイヤ改正に合わせたJR九州の駅の大規模無人化計画で大分県内の対象は中津、臼杵両市の4駅であることが10日、分かった。中津市はJR九州からの委託で人員を配置し、駅舎を地域活性化の拠点として活用することを検討。臼杵市も時間限定で駅の維持管理業務などを担う人員を確保する方向で最終調整している。両市とも2015年度一般会計当初予算案に関連経費を計上する方針。JR九州大分支社などによると、県内の無人化対象駅は日豊線の東中津駅(中津市)、今津駅(同)、熊崎駅(臼杵市)、上臼杵駅(同)。2016年度の株式上場を前に鉄道事業の収支を改善するため、両市に無人化の方針を示して対応を協議していた。定期券を購入しにくくなるなど利便性の低下が懸念されることから、臼杵市の中野五郎市長はJR側に駅員存続を二度要望したが、折り合わなかったという。同市財政企画課は「利用者へのサービスを考えると、市が(人件費を)負担するのはやむを得ない」としている。中津市は、JRが駅の管理・運営を自治体などに外部委託する「簡易委託」方式を導入する方針。同市まちづくり推進課は「駅は人が集う地域の拠点。委託を好機と捉え、地域活性化につながる場とすることを検討したい」としている。

*1-4:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-238517-storytopic-11.html
(琉球新報社説 2015年2月7日) 発送電分離 大胆な改革へかじを切れ
 先送りや不徹底は改革を空回りさせ、無効にするための常套(じょうとう)手段だ。電力改革をそのような空疎な軌道に乗せてはならない。政府、与党は電力改革の「発送電分離」を2020年とする方向で検討に入った。実施時期は従来、「18~20年をめど」としていた。その中で最も遅い時期にするというわけである。後ろ向きな態度は許されない。大胆な改革へかじを切るべきだ。日本は電力会社が地域ごとに発電と送電を独占しているが、そんな寡占体制は先進国ではまれだ。近年、小型発電所の性能は向上し、新規参入は容易になった。だが日本では発送電が未分離のため、新規参入者も既存電力会社の送電網を使わざるを得ない。その使用料が高額で、新規組の競争力を奪っていると指摘される。日本の電気料金は総括原価方式だ。経費に利益を上乗せした料金に、国がお墨付きを与える形だ。その経費も電力会社の言い値に近い。電力業界は巨額の政治資金を一部の政党や政治家に提供している。いわば政官業一体で既得権益を守る構造だ。この構造に風穴を開ければ料金低下も期待できる。消費者の利益にかなうはずである。例えば1990年に国営電力会社を分割民営化した英国では、5年で電気料金が実質11%低下したとされる。改革は必然であろう。電力業界は、電力自由化は安定供給に支障があると主張し、その例として米国カリフォルニア州の01年の大停電を挙げる。だがこのとき、電力小売価格には規制が残っていた。そのために小売業者が破綻したのが停電の原因だ。経産省の資料は、逆に「中途半端な自由化」が停電をもたらしたと総括する。それなら改革はやはり大胆に断行すべきではないか。その発送電分離を遅らせるのも問題だが、その方式も問題だ。分離には電力グループ内で送配電網を分社化する「法的分離」、運用を別組織に委ねる「機能分離」、電力会社から完全に切り離す「所有分離」があるが、日本は「法的分離」を採用するという。だがこれでは、配電網の利用料などで電力グループによる恣意的な運用の可能性を排除できない。新規組に公正な競争環境を整備したとは到底言えない。こんな微温的な「改革」は改革の名に値しない。既得権益の「電力ムラ」の解体なくして、未来のエネルギー政策はあり得ない。

<街づくり>
*2-1-1:http://qbiz.jp/article/50931/1/
(西日本新聞 2014年12月2日) 上場目前、足固めに躍起 JR九州、業界驚く落札再び
 「ここまで差が付くことはあまりない」。不動産業界関係者が再び驚く結果となった。JR九州が落札した鹿児島市の日本たばこ産業(JT)所有地入札。関係者によると、最低落札額13億5千万円に対してJR九州の落札額は三十数億円とみられ、競合他社とは10億円近い大差が付いたようだ。117億円という落札額が話題となった福岡市の九州大キャンパス跡地取得に続く大型投資。悲願の株式上場を前に、収益の柱である不動産開発をさらに「九州全域」で足固めしたい思惑が透けて見える。
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 「まちづくり会社になる」という唐池恒二社長時代からの大号令は、不動産開発事業で顕著にみられる。九大キャンパス跡地で話題となった福岡都市圏以外でも、続々と開発プロジェクトが進行している。鹿児島市では、JR鹿児島駅近くと南鹿児島駅近くに、分譲マンション「MJR」がともに2016年に完成予定。熊本市のJR水前寺駅近くの都心部では、熊本初となる「MJR」が来夏誕生。長崎市でも、JR浦上駅周辺と長崎駅近くで「MJR」を建設する。駅ビル事業でも、JR博多シティ近くのビル再開発のほか、鹿児島中央駅ビルをリニューアルや増床を行い、新大分駅ビルは来年3月に開業。熊本駅ビルも再開発の検討を進めている。九州全域で大規模に事業展開する企業は、九州電力を除けばJR九州ぐらい。2016年度までの上場を果たし、名実ともに「九州の顔」となる意気込みも伝わる。一方で、必要に迫られている側面もある。決算を見ると、同社が不動産開発に力を入れる理由が明白だ。過去最高を更新した今年9月中間連結決算の経常利益は169億円。このうち「駅ビル・不動産」部門で経常利益105億円を稼ぎ出す。人口減や運輸業界の競争などが続く本業の鉄道部門を支える意味でも、不動産開発に注力せざるを得ないのが実情だ。だが、競合する不動産業界の評判はあまり芳しくない。
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 今回と同様、次点に大差を付けた九大キャンパス跡地の入札でも聞かれたが、「鉄道の赤字補填(ほてん)のために鉄道安定化基金の運用が認められている会社が、資金力を武器に不動産を買うのはいかがなものか」という不満が高まっているのだ。上場に際し、基金の取り扱いはまだ定まっていない。「上場前の今のうちに不動産を押さえている」(地場不動産関係者)と映るためか、「JR九州が応札するならまず勝てない」と漏らす関係者さえいる。「イコールフッティング(平等)が保たれていない」という批判について、JR九州関係者は「開発で何をつくるかによって取得費用の立て方は変わるはずだ」と話し、別の同社関係者も「不動産開発は鉄道事業と密接に関係する事業」と主張する。その意味では、広さで同社最大規模となる今回の不動産開発でまさに「何をつくるか」が問われることになる。約2万7千平方メートルという大規模物件では、マンションだけだと広すぎる。商業施設を含めた複合開発が頭に浮かぶが、近くには同社が商業施設を展開する鹿児島中央駅ビルがあり、競合リスクがある。今まで育ててきた関連事業を組み合わせるのか、それともまだ手掛けていない新規事業を始めるのか。上場後の「まちづくり会社」の将来を占う上でも、先行きが注目される。

*2-1-2:http://qbiz.jp/article/53336/1/%E7%AD%91%E8%82%A5%E7%B7%9A/
(西日本新聞 2015年1月8日) JR筑肥線新車両を公開 水戸岡氏デザイン
 JR九州は8日、筑肥線に導入する新型車両を佐賀県唐津市で公開した。「レトロ列車の気分を」と、1編成6両のうち1号車の床に木材を使っている。デザインは、豪華寝台列車「ななつ星in九州」などを手掛けた水戸岡鋭治さん。外装は爽やかな白が基調。冷暖房効果を高めるため、乗客が押しボタンで開閉できるドアも初めて採用した。2月5日から3月末にかけて順次、6編成を投入。西唐津−姪浜間や福岡市営地下鉄空港線を走る。「車両は豪華でも、通常の運賃で乗れます」。歴史や自然が魅力の唐津への旅を盛り上げる。

*2-2-1:http://tokyugroup.jp/ad/wedoeco/chap4_06/
(東急不動産) 〈省エネルギー〉世界初のマンション向けエネファーム導入などグループで省CO2推進
 国土交通省の選定する「平成25年度(第2回)住宅・建築物省CO2先導事業」に採択された「東急グループで取り組む省CO2推進プロジェクト」は、東急グループ6社、1大学などが連携して、住まいの省エネルギー化を推進するプロジェクトです。東急不動産をはじめ、東急コミュニティー、東急不動産次世代技術センター、東京都市大学、石勝エクステリア、東急ストア、東急ホームズなどが共同で、マンション・一戸建てなど、各種住宅に先導的な省エネ設備や手法を導入するとともに、産学協同による検証を通じて、より効果的な省CO2施策の普及を図ります。現在、品川区ベイサイドに建設中の「ブランズシティ品川勝島」は、このプロジェクトの導入第1号物件。電気を「つくりだす」「たくわえる」「つかいこなす」をテーマに、マンション全体で省CO2を目指します。例えば、世界初のマンション向け家庭用燃料電池(エネファーム)を全356戸に設置するほか、太陽光発電・定量型蓄電池・カーシェア用EV車を組み合わせたマルチパワコンシステムをマンションでは初採用します。居住者の省エネ行動に応じて「買物優待」などの仕組みも取り入れるなど、さまざまな先進設備や手法を導入。また、マンション共用部の電力消費量はMEMS(Mansion Energy Management System)と呼ばれるエネルギー管理システムによってコントロールし、照明や空調を適切な状態に制御します。専有部ではHEMS(Home Energy Management System)により電力使用量を「見える化」する他、居住者の省エネ行動を光の色で誘導する「エナジーオーブ」を全戸に導入し、マンション全体の年間電力消費量を約10%削減します。今後、HEMSによって得られる使用エネルギー量やライフスタイルなどのデータは、東急不動産次世代技術センターと東京都市大学が協同で分析。建物や居住者のタイプに応じて、最適な省CO2施策を検証します。これからも、東急グループでは住まいの省CO2化に取り組んでいきます。

*2-2-2:http://tokyugroup.jp/ad/wedoeco/chap4_05/ (東京急行電鉄・東急建設・イッツ・コミュニケーションズ) 〈省エネルギー〉横浜市・各企業と連携して「家庭の省エネプロジェクト」を実施
 横浜市と東急電鉄は、2012年4月に締結した協定に基づいて、東急田園都市線沿線地域を中心に、「次世代郊外まちづくり」を展開しています。これは、郊外の住宅地が抱える少子化や高齢化などのさまざまな課題に対して、地域住民・行政・大学・民間事業者が連携・協働して解決を目指す、住民参加型の取り組みです。「家庭の省エネプロジェクト」は、その取り組みのひとつとして、「次世代郊外まちづくり・スマートコミュニティ推進部会※」や地域住民、商業施設などが一体となって推進するプロジェクト。家庭のエネルギーを「見える化」して地域ぐるみで省エネに取り組むことにより、生活者中心のスマートコミュニティ実現を目指します。たまプラーザ駅を日常的に利用される方を中心に参加を募り、プロジェクトに参加申込みをされた方は、パソコンやタブレット端末などを通じて、各家庭の電気・ガス使用量をグラフや数値で確認。毎月の使用量が前年同月以下になると、たまプラーザ テラスなどの駅周辺商業施設や地元の商店街で使える地域通貨がもらえる仕組みです。2013年夏に「家庭の節電プロジェクト」として初めて実施されたこの取り組み。2013年冬からは電気に加えてガスも「見える化」して、さらに省エネに取り組みやすくなりました。2013年夏に245世帯だった参加世帯も、冬には1,211世帯に増え、たいへん多くのご家庭に参加していただきました。ただ省エネに取り組むだけでなく、目標を達成すると地元で使える地域通貨がもらえるという喜びもあり、楽しみながら省エネ活動に取り組めるこのプロジェクト。地域のCO2排出量削減に貢献しながら、地域の経済活動の活性化にもつながりました。また、省エネに積極的に取り組んでいただくため、家庭のエネルギー使用状況を無料で診断する「家庭のエコ診断」も実施。それぞれのご家庭に合ったオーダーメイドの省エネ対策を提案しました。
※〈スマートコミュニティ推進部会 参加企業(平成26年8月現在)〉イッツ・コミュニケーションズ株式会社、株式会社NTTファシリティーズ、JX日鉱日石エネルギー株式会社、東急建設株式会社、東京ガス株式会社、東京急行電鉄株式会社、株式会社東芝、株式会社ビットメディア

*2-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141213&ng=DGKKASFS12H4P_S4A211C1MM8000 (日経新聞 201412.13) 省エネ建築、17年度から義務に 商業施設やホテル、床面積2000平方メートル以上対象
 国土交通省は多くの人が利用する大型店やホテル、病院などの施設から出る温暖化ガスを減らすため、省エネ基準(総合2面きょうのことば)を満たさない建築の着工を段階的に規制する。床面積が2千平方メートル以上の場合、2017年度から着工を原則認めない方針だ。これまで建築主の自主的な取り組みを促してきたが、建築物の二酸化炭素(CO2)排出量は増加の一途をたどっている。規制強化に転じ、温暖化ガスの排出抑制を急ぐ。18日に開く社会資本整備審議会の建築分科会で同省案を示す。産業部門や輸送部門を含めた現在の省エネ対策は、経済産業省が所管する省エネルギー法に基づいている。国交省は現行法から建築物部門を切り離した新法「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案」(仮称)を来年の通常国会に提出する方針を固めた。13年度のCO2排出量を分野別にみると、建築物部門は1990年度比で71%増えた。産業部門(11%減)や運輸部門(2%増)より高い伸び率を示しており、国交省は建築主への努力義務にとどまる現行の省エネ法では実効性が不十分だと判断した。まずは17年度以降に床面積が2千平方メートル以上の病院や福祉施設、ホテル、飲食店を対象とし、13年に施行された新しい省エネ基準への適合を義務づける。商業施設では一般的な食品スーパー以上の規模のイメージだ。床面積などから導き出した標準的な排出量と提出された建築計画を照合し、基準に届かなければ着工できないようにする。これらの建築物は年間3千件程度の着工があるとみられる。19年度以降にはより狭い300平方メートル以上の建築物まで対象を広げる予定だ。一般住宅については省エネ基準に適合させると建築コストが5%程度上がるため、規制強化を急げば住宅市場に深刻な影響を与えると判断。義務化は当面見送る方針だ。具体的な省エネ対策として、外壁や窓の断熱化、空調設備の効率的な運用、再生可能エネルギーの活用を想定している。基準を満たさなければ是正命令を出し、従わない建築主には罰則を科す。発光ダイオード(LED)照明の多用や断熱性能の高い建築工法の採用など対応を求められそうだ。逆に省エネ基準を一定程度上回る場合には容積率の緩和を認める措置も盛り込む。

<水素ビジネス>
*3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150202&ng=DGKKZO82658030R30C15A1TJE000 (日経新聞 2015.2.2) 水素ビジネス膨らむ期待、燃料電池車関連、中小に商機 安さ・便利さで切り込む
 トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「ミライ」の登場などで盛り上がりを見せる水素関連ビジネス。水素スタンドの整備などによる裾野の拡大を見込んで、独自製品の開発などに取り組む中小企業が出てきた。培ってきた技術を生かし、「安さ」や「便利さ」を軸に新分野に切り込む。「水素社会元年」ともいわれるなか、中小企業にも商機が広がろうとしている。水道や家庭用ガス向けパッキンの老舗である高石工業(大阪府茨木市、高石秀之社長)は、水素スタンドで使うゴムパッキンを開発した。水素スタンドの充填機とホースのつなぎ目などに使うことで水素の漏れを防ぐ。一般的なパッキンは「水素ガスにさらされていると劣化して隙間ができる可能性がある」(高石社長)。高石工業の製品はゴムの配合や成型についての独自技術を活用しており、「水素スタンドで使っても劣化しにくい」という。ミライの登場もあって、遅れ気味とされる水素スタンドの建設が進む可能性がある。整備コストの低減などにつながる技術開発を通じて、新たな需要を取り込もうという中小企業もある。工業用高圧ガス向けバルブなどを製造するヤマト産業(大阪市、小野寺雅宏社長)は充填機の小型化につながる専用バルブを開発した。工業用ガスでの経験を生かし、充填機の配管をつなぐ部分を一般的な差し込み式から締め具を使う方式に変えた。水素が流れる経路が短くなり、充填機を小さくできるとしている。差し込み式はメンテナンス時などに多くの部品を外したり締め直したりする必要がある。一方、締め具方式は必要な部分だけを取り外せばいいため、費用や手間も抑えられるという。同社は水素関連製品を事業の柱の一つに育てたい考え。子会社が独自開発した小型水素スタンドの販売を始めたほか、本社には水素スタンドも設ける。高圧の水素をFCVのタンクに供給すると一気に膨張して高温になるため、マイナス40度まで冷やす必要がある。産業機械製造のオリオン機械(長野県須坂市、太田哲郎社長)は冷却機の小型化に挑んでいる。産業機械の温度を一定に保つ冷却設備の設計・製造技術を生かす。開発にあたっては信州大学などと組み、冷却機内部の形状や接合方法を見直す。従来方式に比べて容積は最大100分の1になる見通しで、生産コストも3分の1程度にできるという。2016年度の製品化を目指す。水素そのものの製造コスト削減に取り組む動きもある。ジャスダック上場の表面処理メーカー、山王(横浜市)は東京工業大学や産業技術総合研究所と連携。純度の高い水素を取り出すために必要な透過膜を現在の数十分の一の価格にできる技術の開発に取り組む。水素透過膜はセラミックとパラジウムで作るのが一般的だが、山王は貴金属の表面処理で培った薄膜製造技術を活用。セラミックを多孔質なニッケルに置き換えることなどで、50マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル程度だった透過膜の厚さを数マイクロメートルまで薄くすることを目指す。高価なパラジウムといった材料の使用量を減らせるため、価格を大幅に下げることができるという。3年以内の実用化を目標に据えている。

*3-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150202&ng=DGKKZO82658090R30C15A1TJE000 (日経新聞 2015.2.2) トヨタ特許公開 追い風に
 水素ビジネスに関心を持つ中小企業を支える存在の一つが、福岡県にある公益財団法人水素エネルギー製品研究試験センター(ハイトレック)だ。2014年4月に大量の水素を流せる試験設備を導入。民間企業などから高圧水素を使った製品試験を請け負う。「ハイトレックで試験した部品なら安心」という自動車や充填機のメーカーも増えてきたといい、中小企業などからの依頼が殺到。現在は3月末まで予約で一杯だ。渡辺正五センター長は「中小企業はこれまで補助金を使った開発が多かったが、自前の資金で取り組むケースも増えている」と話す。現在、水素スタンドの整備には1カ所あたり4億~5億円かかるとされる。中小を含めた幅広い企業の参加で技術開発が進めばコストが下がり、スタンドの普及にもつながりそうだ。水素関連産業の裾野は広い。デロイトトーマツコンサルティングの試算では、FCV関連の経済波及効果は20年には約8千億円に達し、その後も拡大する。尾山耕一シニアマネジャーは「トヨタ自動車がFCV関連の特許を無償公開することも追い風」と指摘。「技術力のある日本企業の開発が進めば、海外製品からの切り替えも進む。中小企業の商機は広がる」と見る。

*3-3:http://qbiz.jp/article/54109/1/
(西日本新聞 2015年1月20日) トヨタ、自治体初「ミライ」納車 愛知県と豊田市、公用車に
 トヨタ自動車が世界で初めて市販した燃料電池車「MIRAI(ミライ)」が20日、愛知県と愛知県豊田市に1台ずつ納車され、式典が開かれた。ミライの自治体への納車は初めてで、公用車として利用される。愛知県庁で行われた式典には、愛知県と豊田市のほか、今後ミライを導入予定の名古屋市、愛知県刈谷市、安城市の関係者も出席した。愛知県の大村秀章知事は「環境に優しく、経済も盛り上がる。愛知県が求めている方向だ」とあいさつ。トヨタの小平信因副社長は「水素社会の実現に寄与していきたい」と述べた。燃料電池車は水素を燃料とし、走行中に水しか排出しない「究極のエコカー」と呼ばれる。ミライは官庁や自治体、企業を中心に約1500台を受注している。

*3-4:http://qbiz.jp/article/55740/1/
(西日本新聞 2015年2月12日) 燃料電池車、九州で初始動 初納車は福岡県庁
 水素を燃料とする「究極のエコカー」とされるトヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」が12日、福岡県庁の公用車に導入された。2014年12月に市販が始まって以降、MIRAIの納車は民間向けを含め西日本地域で初めてという。トヨタは1月、MIRAIを首相官邸や愛知県などの公用車として納車。九州では福岡県庁が2台、2月13日には福岡、北九州の両市、3月には九州大が各1台を採用する。トヨタは15年末までに約700台を生産する計画で、受注の好調を受け、生産台数を16年は2千台、17年は3千台に増やす。福岡県庁の出発式では白色のMIRAIが披露され、小川洋知事が「新しい時代の幕開けだ。大切に活用し、県民の関心を高めたい」とあいさつ。自身がハンドルを握り、県庁周辺を運転した。残り1台は青色で、3月に納車予定という。


PS(2015.2.13追加):*4のように、佐賀新聞は、「ガソリン価格の高騰や低燃費車の普及で、佐賀県内のスタンド数がピークだった1995年から半減し、ガソリンの販売も3割以上減少した」と、ガソリンスタンドへの逆風という視点で報道しているが、電気自動車は、(当時の通産省に私が提案して)1995年頃から始動していたにもかかわらず、これまで20年間も本格的にならなかった理由は、まさに石油会社、ガソリンスタンド、従来の自動車部品会社への配慮だった。しかし、石油会社は、(これも衆議院議員時代に私が提案して)2007年頃に定款を変更してエネルギー会社となったため、ガソリンスタンドも、生き残るためには時代に合った新しいサービスを考えるべきなのだ。また、電気自動車、燃料電池車への移行は、低燃費だけがメリットなのではなく、自動車による排ガス公害を低下させる目的の方が先にあるため、佐賀新聞はもっと高い環境意識を持つべきである。
 さらに、佐賀新聞はじめ日本のマスコミには、女性の実績や能力を否定する30年遅れ(60年遅れと感じる人もいる)の女性差別表現(キャリアのある女性や上昇志向の女性に対する誹謗中傷、女性の実績や能力を過小評価する表現等)が多く、これらを“表現の自由”と正当化されては、職場や社会において実力(=能力+実績)で勝負せざるを得ない女性の足を引っ張って損害を与え、公正にも公平にも機会均等にもならないため、問題である。

*4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/156012
(佐賀新聞 2015年2月13日) ガソリン販売 平成で最少 ピーク時の3割以上減
■価格高騰や低燃費車普及
 佐賀県内の2014年のガソリン販売量は、平成に入って最低を更新することが石油連盟のまとめで分かった。価格高騰や低燃費車の普及に伴う需要減で4年連続のマイナスとなり、ピーク時に比べて3割以上落ち込む見通し。し烈な価格競争で経営が悪化しているスタンドも多く、店舗数はこの20年間でほぼ半減している。石油連盟によると、14年に県内で販売されたガソリンは、推計31万8355キロリットル。平成以降で最低だった前年を5・1%下回り、ピーク時の1997年(47万3千キロリットル)に比べ、32・7%落ち込んだ。月別で前年を上回ったのは、消費税増税直前に駆け込み給油があった3月と価格下落で持ち直した12月だけだった。14年は原油の高騰や急速に進んだ円安の影響で、月ごとの平均小売価格は6月半ばから10月上旬まで170円台の高値が続いた。年間の平均価格は約167円で、初めて160円台を突破した。こうした状況を背景に、自動車の技術革新は進んだ。「燃費が悪ければ売れない」(県内ディーラー)のが実情で、消費者のエコ志向の高まりを受けてハイブリッド車などの低燃費車が急伸している。ガソリンスタンドへの逆風が強まる一方で、不動産などの収益源も持つ県外の大手資本による安売り攻勢が激化。設備更新が進まない中小スタンドを中心に、昨年1年間で15店が休廃止した。県内のスタンド数は333店(5日現在)で、ピークだった95年の601店からほぼ半減した。今年1月にも伊万里市内で3店を運営していた事業者が後継者難のために福岡市の大手業者に全株式を譲渡し、傘下に入った。一方、中国をはじめとする新興国の需要減や石油輸出国機構(OPEC)の減産見送りなどを背景に、原油価格は急速に下落。県内の平均小売価格は年末から下がり始め、2月に入って130円台と、4年1カ月ぶりの水準になった。県石油商業組合によると、仕入れ値は販売価格への転嫁を上回るペースで下がっており、スタンドの利益率は改善傾向にあるという。ただ、価格の下落が需要に結びつくかは不透明。低燃費車の普及に加え、スタンドからは「さらに安くなるのを期待し、満タン給油する客は依然として少ない」との声も漏れる。原油相場は歴史的低水準となっており、業界には「底をついた」との見方もある。佐賀市のスタンド経営者は「価格が上がれば消費はさらに落ち込む。値上げのタイミングは他店とのにらみ合いになるが、我慢比べが長引くほど経営は苦しくなる」と相場の反転を警戒する。


PS(2015.2.13追加):*5のように、大手電力会社は、何とかかんとか言って再生可能エネルギーの出力を抑制したがっているため、送電事業を大手電力会社だけに任せてはいけないのである。

*5:http://qbiz.jp/article/53947/1/
(西日本新聞 2015年1月17日) 家庭用太陽光発電、4月から出力抑制 経産省が新ルール
 経済産業省は16日、九州電力など大手電力会社5社管内で、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の見直しに伴う家庭用の太陽光発電への新ルール適用を今月中旬から4月1日に延期することを明らかにした。ルール変更の周知期間が必要と判断した。3月末までに契約した出力10キロワット未満の太陽光発電は、「出力抑制」の対象から外す。16日にあった自民党の会合で説明し、了承された。経産省は昨年、九州のほか北海道、東北など大手電力5社管内で再生エネの受け入れ余力がなくなったため、発電量が需要を上回りそうなときに電気を捨ててもらう「出力抑制」の対象を、出力500キロワット以上の大型設備だけでなく、家庭用を含む全ての太陽光に拡大することを決めていた。当初は今月中旬に新ルールを導入する方針だったが、準備不足を指摘する自民党が反対。このため、九州など5社管内では出力10キロワット未満の太陽光発電設備は4月1日まで適用を延期するなど、運用法を見直した。出力抑制の対象を拡大する新ルールそのものは19日の週に施行される見通し。九電は説明会を経て、昨年秋から中断している太陽光発電の契約手続きを再開する。


PS(2015.2.14追加):*6のように、北九州市が50万〜100万円を国の補助金に上乗せしてFCV普及を後押しするそうだ。しかし、元の価格が723万6千円と高いため、それでも購入者の支払額が400万円以上になり、少数の人しか購入できない。しかし、乗用車だけでなく、トラックやバスなどの営業車がFCVやEVに転換すれば、地球環境は大幅に改善するのだ。

*6:http://qbiz.jp/article/55909/1/
(西日本新聞 2015年2月14日) 北九州市、FCV普及を後押し 独自の補助金制度新設へ 
 北九州市の北橋健治市長は13日、「究極のエコカー」とされる燃料電池車(FCV)の普及に向け、購入を促す市独自の補助金制度を7月に新設する方針を明らかにした。同市によると、市内に拠点を置く法人が対象で、補助額は1台当たり50万〜100万円、台数は5〜10台を軸に調整中。関連予算案を市議会6月定例会に提案する。FCV導入には国の補助(1台約200万円)もあるが、同市はこれに上乗せする。FCVは、水素と空気中の酸素を反応させた電気でモーターを動かして走行し、水しか排出しないのが特徴。トヨタ自動車が昨年12月、世界で初めてFCV「MIRAI(ミライ)」を723万6千円で発売した。 
◆ミライを公用車に
 北九州市は13日、トヨタ自動車が世界で初めて市販したFCV「ミライ」1台を公用車として導入した。市は、FCVの普及や燃料を供給する水素ステーションの設置拡大を通じた地域産業の振興を目指しており今後、ミライをPRに活用、導入台数も増やす方針だ。FCVは、水素と空気中の酸素を反応させた電気でモーターを動かして走行。水しか排出しないため「究極のエコカー」とされる。県も12日に公用車として導入した。北九州市は5年間のリース契約。13日、市内で納車式があり、北橋健治市長が「ミライをどんどん走らせて認知度と信頼度を高めていきたい」と語った。式典では、福岡トヨペット(福岡市)の中尾潤一社長が、「市木」のイチイガシの苗木千株を市に寄贈すると表明。うち1株を北橋市長に手渡した。

| まちづくりと地域振興::2014.4~2015.4 | 05:08 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.1.14 伊万里市のまちづくりと人集め
   
        伊万里市大川内山            古伊万里        鍋島
 
(1)玄海原発30キロ圏内の伊万里市の要望
 *1のように、玄海原発から30キロ圏内にある伊万里市の塚部市長は、原発再稼働問題について、新しく選出される佐賀県知事に対し、「伊万里市と九電との原子力安全協定が締結されない中では、再稼働の同意をしないよう求めたい」と述べている。原発事故が起きれば、玄海町と同じ被害にあう伊万里市としては当然のことだろう。

 さらに、伊万里市は、*3の大川内山という鍋島藩窯があったところで、日本が鎖国をしていた江戸時代から古伊万里と呼ぶ磁器をヨーロッパに輸出していた歴史的にも価値のある場所だ。そのため、ここは世界遺産に立候補することこそあれ、放射能汚染で入れない場所にするなど、決してあってはならない。

(2)伊万里市への定住促進
 *2-1のように、伊万里市は若手職員によるワーキンググループを作って、西九州自動車道の延伸に伴う交流人口の拡大や定住促進をテーマにアイデアを出し合うそうだが、それには、*2-2のような “逆指名”で移住者を募集するのが効果的だと考える。何故なら、都市には、自然に近く、食べ物が美味しくて、かつ便利な場所に住みたい自然派の人が多いが、移住後の生活の目途が立たなければ、それは実現できないからである。

 そのため、移住者にとって欠かせない①雇用条件 ②入居可能な住宅 ③教育・保育、医療・介護、生活圏に関する情報 ④問い合わせすべき市町村の担当部署 などの情報を記載した上で、地域が求める移住者を具体的に明記して、UターンやIターンを募集するのがよいと思う。もちろん、①②③の条件は、総合的には前に住んでいた場所よりも魅力的なものになるようにしなければならない。

(3)日本の農産物輸出額が過去最高になった
 日本では農産物は輸入するものであって輸出するものではないかのような錯覚が最近まであったが、*4のように、フクシマ原発事故があったにもかかわらず、努力し始めてから10年足らずで農林水産物・食品の輸出額は過去最高を更新し、2014年1~11月の輸出額は5482億円になるそうだ。伊万里市は、牛肉をはじめとする農林水産物も良質なものができるため、それを担う人材は増えた方がよい。それには、都会でいろいろな経験を持つ人を募集してはどうだろうか。

*1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/142722
(佐賀新聞 2015年1月7日) 再稼働同意、新知事に注文 「伊万里市の協定後に」
 伊万里市の塚部芳和市長は6日の定例会見で、玄海原発再稼働問題について、新しく選出される県知事に対し「伊万里市と九電との原子力安全協定が締結されない中では、再稼働の同意をしないよう求めたい」と述べた。市と九電の協定締結を、知事の再稼働同意の条件とするよう要請する。伊万里市は九電に立地自治体の玄海町と同等の事前了解を含む安全協定の締結を求めている。塚部市長は「現時点でスタンスは変えない」と従来の主張を強調した。県はこれまで伊万里市と九電の交渉に関与しない立場をとってきたが、「前知事の考えと違ってくるかもしれないので、ぜひ伊万里市の考えを伝えたい」と新知事に期待を寄せた。また、塚部市長は2月1日に西九州自動車道が市内(南波多谷口インター)まで延伸することに関し、「交流人口や観光客の増加につなげたい」と期待する一方で、「逆に福岡都市圏に買い物客や人口が流出する恐れがある」と不安も語った。近く若手職員10人による「伊万里に来てくんしゃい対策チーム」を立ち上げ、観光や定住対策などで柔軟にアイデアを出し合うという。

*2-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/145164
(佐賀新聞 2015年1月14日) 伊万里に来てくんしゃい 若手職員で対策チーム
■西九州道延伸観光客増と定住促進
 伊万里市は13日、20~30代の若手職員によるワーキンググループ「伊万里に来てくんしゃい対策チーム」を発足させた。西九州自動車道の延伸に伴う交流人口の拡大や定住促進をテーマにアイデアを出し合う。2月中旬ごろまで会合を重ね、塚部芳和市長に具体策を提案する予定。西九州道が2月1日に市南波多町の南波多谷口インターチェンジまで延伸することを受け、塚部市長が若手職員中心での論議を指示した。各部署の部長が推薦した10人がメンバー。勤務後の時間帯などに会議を開き、観光客の増加と定住促進を主なテーマに、若手ならではのアイデアを出す。初会合では、江頭興宣副市長が「西九州道をどういかすかが、伊万里市の大きな課題。これまでの事業にとらわれず新鮮なアイデアを出してほしい」と要望した。メンバーは自己紹介の後、意見交換を行い、「伊万里の親元から大学に通えれば若者の流出防止につながる。高速バス運行を充実できないか」「伊万里の魅力を集約したような場所がほしい」などの意見を出し合った。

*2-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=31611
(日本農業新聞 2015/1/14) 牧場作業員、薬剤師・・・ “逆指名”で移住募集 島根県が事業  
 島根県は、市町村やふるさと島根定住財団と協力し、地域が求める移住者像を提案する事業に乗り出した。移住希望者に就いてほしい仕事、住宅・生活圏の情報などをパッケージで提供する。全19市町村が計100のパッケージ情報を発信している。県は「移住後の生活がイメージしやすく、移住希望者から反響が大きい」(しまね暮らし推進課)と意義を強調する。
●職種や住環境まとめて提供
 同県が、若者の移住支援策として新たに打ち出したのが2014年度スタートした定住パッケージ事業だ。移住者が地域に溶け込めるよう、事前に受け入れ側の要望を分かりやすく示す必要があると判断した。パッケージ情報には、移住者にとって欠かせない(1)雇用条件(2)入居可能な住宅(3)学校や病院、スーパーなど生活圏情報(4)市町村の担当部署――などを盛り込む。その上で「行事への積極的な参加」「農業への強い意欲」など地域が求める移住者像を具体的に明記する。飯南町の来島地区は、移住者に勧める仕事として「乳牛飼育する牧場作業員」、住宅として新築社宅を提示。求める移住者像としては「乳牛の健康状態や気持ちを的確に感じ取る人。動物に対する優しさ、時には厳しさを持って接することができる人」を挙げている。こうした求める移住者像は、地域によって違う。薬剤師や育林作業員を探していたり、古民家で暮らしたい人を募集していたりと、地域ごとにさまざまな要望がある。県は「求める移住者像を明確にすることで、若者の希望と地域の要望のミスマッチを解消できる。それぞれの地域への定住化に結びつけたい」(同課)と期待する。他の自治体でも、移住者のターゲットを絞って支援する動きが広がりだした。徳島県神山町は高速通信網を整備し、IT起業家やウェブデザイナーなど移住してほしい人を“逆指名”する形をとる。町は「過疎高齢化が進む中で、若い人の移住が必要だった。逆指名型をとることで、IT企業の進出が増えて、雇用にもつながった」(産業観光課)と成果を説明する。長野県も子育て世代や若手起業家など特定層をターゲットに情報発信や移住相談会を始めた。県は「ぼんやりとした募集ではなく、移住したい人のニーズも踏まえることができる」(地域振興課)と話す。九州大学の小川全夫名誉教授は「こういう人に来てほしいと要望し、優遇策を提示する手法は、ある意味で契約型移住だ。明確な目的が共有でき、定住率が高まる」と指摘。政府が地方創生を進めることを踏まえ「全国の行政が移住支援に力を入れ始めたが、不特定多数でなく、ターゲットを絞るなど多様な戦略を練ることが求められる」と主張する。

*3:http://sagasubanta.com/sagayoyo/yokatoko/okawachiyama/
 江戸時代、肥前地区で焼かれた焼物(磁器)は、伊万里の港から積み出され、国内はもちろん、遠くヨーロッパまでも運ばれたので、伊万里が焼物の代名詞となり、これらの焼物の総称が「古伊万里」と呼ばれています。現在では、特に赤絵に金を施した物を「古伊万里様式」と呼んでいます。日本で最初に磁器を完成させた鍋島藩は、より高い品質と技法の維持に努め「藩窯」を組織し、1675年には有田から大川内山に藩窯を移して、その技法が他に漏れないようにしました。この藩窯では大名や将軍家、朝廷に献上するための高品位な焼物を、明治4年まで焼き続けました。この焼物が鍋島と呼ばれています。鍋島藩窯のあった大川内山では、明治4年の藩窯解散以後、藩窯で培われた高度な技法を守り、受け継いできました。現在でも、鍋島の技法はもちろん、新たな技術も取り入れた多くの窯元が大川内山にあり、伊万里焼の中心となっています。伊万里焼は鍋島等の様式美を受け継いだ物から、現代の生活感覚にマッチした焼物まで、多くの種類があります。

*4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=31621
(日本農業新聞 2015/1/14) 農産物輸出額 過去最高へ 米3割、牛肉4割増 14年1~11月
 2014年の農林水産物・食品の輸出額が過去最高を更新する見通しだ。13日に農水省が公表した同年1~11月の実績は過去最高を記録した前年同期と比べて11%増と好調に伸びている。農産物では米が3割、牛肉で4割伸びた。円安による割安感が後押ししたことに加え、検疫協議などで各国が輸入規制を緩和したことなどがプラス材料になった。ただ輸出の多くを占めるのは水産物や加工食品のため、輸出増を農家の所得向上につなげられるかが課題だ。14年1~11月の輸出額は5482億円。過去最高となった13年の5505億円(通年)と同水準で、14年1年間では過去最高を更新するのが確実だ。品目別では米(援助米を除く)が12億円で33%、牛肉が71億円で41%、リンゴが64億円で39%それぞれ増え、数量ベースでもそれぞれ4割増えた。農水省は輸出増の要因について、円安による追い風に加え、日本食ブーム、動植物検疫協議が進んだこと、東京電力福島第1原子力発電所事故を受けた日本産食品の輸入規制が各国で緩和されたことなどを挙げる。特に牛肉は、5億人の市場を抱える欧州連合(EU)向けの輸出が解禁され、1~11月に3億円輸出が増えて牛肉全体の輸出増を押し上げた。輸出増に向け、環境整備が課題になる。原発事故を受けた輸入規制は、14年にEUや米国など8カ国・地域が緩和したが、輸出先で上位を占める中国や韓国が厳しい規制を続けている。輸出構成を見ると、水産物(39%)、みそ・しょうゆ、ソースなどの加工食品(29%)に対し、畜産品(7%)、穀物(4%)などの割合は少ない。

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2014.10.28 エネルギー革命と21世紀のスマートシティーについて (2014/10/29追加あり)
    
  *2-4より               マンションのサンルーム
(1)省エネ都市が世界展開の時代に
 東芝が、*1のように、米複合企業ユナイテッド・テクノロジーズとスマートシティー事業で提携し、複数のビルや街区の省エネ化などを世界規模で展開して、空調・照明等の機器販売、故障予知等の保守サービスを一体提供するそうだ。日本企業は、蓄電池、ビルエネルギー管理システムなどの新しいエネルギー技術に早くから手をつけたため、その特許を活かして外国の優良企業と提携することができる。

 そして、スマートシティーのようなエネルギーの効率化を核とした都市インフラができれば、建物の耐震化、容積率の緩和・緑地の増加を実現しながら、これまでの建物を21世紀仕様に建て替えるインセンティブが増し、スマートで人間を主体とした街づくりを迅速に進めることができるため、国内でも早く進めて欲しいものである。

(2)マンションの建て替えや団地の再生は、どうすべきか
 *2-1のように、大和ハウスは、老朽化したマンションの建て替え事業を始め、容積率の緩和により既存の住人以外にも売り出す戸数を確保して、建て替え費用の負担を軽くしつつ、新しい耐震基準に従った耐震化や環境に配慮したスマートマンション、商業施設などと一体化した開発などを行うそうである。なるべく、従来の住人には建て替え費用が0か、むしろ収入があるようにすれば、マンションの建て替えが進むだろう。

 また、*2-2のように、都市再生機構(UR)は、高齢化しても住民が住み慣れた街で安心して暮らせるように、運営する団地の入居者の高齢化に対応して、団地内で地域の医療や福祉を担う拠点づくりを進め、自治体やNPOなどと連携して、医療や介護サービスを一体的に提供できる体制を整えるそうだ。そして、それを、今年度内に始めて2020年度までに100カ所程度へ広げる方針だそうで、これと*2-1のような建て替えを組み合わせると、言うことなしの街ができるだろう。

 なお、*2-2によると、団地の一部をサービス付き高齢者向け住宅に改装した上で、訪問看護ステーションや介護事業所などを誘致し、各施設を結ぶ情報システムの構築で医療や介護を一体的に提供できる仕組みを整えて「地域包括ケアシステム」にするそうだが、これらの施設は同じ団地内にあればよく、高齢者のみを高齢者向け住宅に集めない方がよいと思う。そして、包括サービスが手近にある住宅に住んで便利な人は、実は高齢者だけではなく、子育て中の共働き家庭や独身者、障害者などと多く、料金を払えば病気の子や病気の大人も訪問介護が受けられる方が便利である。

(3)サービス付き高齢者住宅のニーズの普遍性
 *2-3のように、京王電鉄も沿線に高齢者向け集合住宅を整備し、周辺在住の高齢者の入居を想定して、入居者が住んでいた自宅には子育て世代や若者などの入居を促す仕組みを設け、高齢化の進展に対応した住環境を整えるとともに、若い世代も呼び込むことで沿線の活性化を進めるそうだ。

 その第1弾として、自立して生活できるか、介護度合いの軽い高齢者を対象にしたサービス付き高齢者向け住宅と、介護度合いの重い高齢者が入る介護付き有料老人ホームを1棟ずつ建設するそうだが、サービス付きの便利な住宅は、実は高齢者のみが好むわけではないため、混住にした方が元気で明るい街になってよいと思う。

 また、*2-4のように、東急不動産は東京都内で一般住宅を併設したサービス付高齢者向け住宅を建設し、その敷地内に、分譲マンション、保育所、学生向け住宅を併設して、入居者以外の高齢者が介護サービスを受けられる施設やカルチャールームも設けるそうだ。私は、学生向け住宅には留学生や家族持ちの学生も入居しやすくし、その近くに保育所や高齢者施設があれば、博士課程まで進学する人が多くなった21世紀の学生のよいケア方法になると考える。

 なお、これらのモデルは、大都市だけでなく、地方都市でも応用できるものだ。そして、私は、今後は、上の写真のように、ベランダだけでなくサンルームのあるマンションの方が便利だと考える。

*1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141017&ng=DGKDASDZ1603Q_W4A011C1EA2000(日経新聞2014.10.17)東芝、省エネ都市世界展開 米社と提携 機器・保守一体で
 東芝は米複合企業、ユナイテッド・テクノロジーズ(UTC)と環境配慮型都市(スマートシティー)事業で提携する。空調や昇降機に強いUTCと、ビルの設備制御が得意な東芝のノウハウを組み合わせ、複数のビルや街区の省エネ化などを世界規模で展開する。空調や照明など機器販売だけでなく、故障予知など保守サービスも一体提供し、顧客を囲い込む。17日に発表する。東芝は照明や蓄電池、ビルエネルギー管理システム(BEMS)に強い。UTCは、空調機器大手のキヤリアや昇降機のオーチスをはじめ、航空機エンジンやヘリコプターなど世界大手の子会社を多く傘下に抱える。両社は独自の技術を持ち寄り、省エネタイプの空調や昇降機、照明などビルの設備機器の開発などを進める。このほか、設備の稼働データをセンサーと通信を使って収集・分析して故障予防につなげるサービスも展開する。両社の製品とBEMSを世界160カ国以上にあるUTCの販売網を通じ一体提供する。東芝はビルの設備販売やエネルギーの効率化を核とした都市インフラ事業の売上高を3年後に現在の1割増の1兆6千億円にする計画を掲げるが、提携を機に上積みを目指す。UTCの同事業の2013年度売上高は推定3兆1千億円。グループ全体の売り上げの約半分を占める主力事業だ。20年には世界で65兆円にもなるとされるスマートシティー市場を共同で開拓する。東芝は横浜市でスマートシティーの実証実験を進めている。複数のビルの電力を一体管理したり、ビル内の人の動きに合わせて空調や照明を最適に管理したりするなどして、消費電力を2~3割減らす技術を確立しつつある。東芝はキヤリアと空調機器事業で合弁会社、東芝キヤリア(川崎市)を設立しているが、キヤリアの親会社であるUTCと組むことで空調機器以外のビル設備の販売を増やすほか、機器販売より収益性の高い保守サービスを強化し、収益基盤を広げる。また東芝とキヤリアは空調機器の新工場を北米に建設したり技術者拠点を欧米で整備したりする方向で検討に入ることでも合意。東芝キヤリアの13年度の売上高は1600億円だった。10年以内に倍増させたい考えだ。

*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141017&ng=DGKDZO78499890X11C14A0TI0000 (日経新聞2014.10.17)
大和ハウス、マンション建て替え参入、仮住居仲介も一括で
 大和ハウス工業は老朽化したマンションの建て替え事業を始める。古くなったマンションに住む住人(管理組合)向けコンサルティングから工事、建て替え中の仮住まいの仲介などを総合的に提供。首都圏や関西を中心に案件を掘り起こす。人口減で新築住宅需要の伸びが期待できないなかで、5年後をメドに年100億円規模の事業に育てたい考えだ。大和ハウスは2011年にマンション建て替えの営業や設計の担当部署を東京と大阪に設けて市場調査を進めてきた。このほど神戸市で最初の案件を受注。今後は担当者を16人に倍増して、老朽対策を検討している管理組合への働き掛けを本格化する。旧耐震基準(1981年以前)で建てられ、耐震性が不足しているマンションの建て替えについては、年末から容積率規制が緩和される予定だ。この制度を使って既存住人の住居とは別に売り出す戸数を確保すれば、建設費負担が軽くなる。大和ハウスは同制度をきっかけに、建て替えに踏み切る管理組合が増えると見込んでいる。建物の施工についてはフジタや大和小田急建設、工事中に必要な居住者の仮住まいに関する仲介は日本住宅流通を活用し、グループ全体で事業に取り組む。環境に配慮した省エネルギー型マンションや商業施設と一体となった開発なども提案する。国土交通省によると、国内のマンションの総ストック数は約590万戸で、旧耐震基準でつくられた物件は106万戸ある。建て替え事業には野村不動産や長谷工コーポレーション、旭化成不動産レジデンス(東京・新宿)などが参入しているが、建て替えを終えたのは1万4千戸(2013年4月時点)にとどまっている。ただ、南海トラフ地震など大規模な地震が想定されるなかで、建て替え需要は今後高まるとみられる。国内では大都市圏を中心に、通勤に便利な新築物件候補地が減っていることもあり、大和ハウスは建て替え事業を5年後に100億円、10年後には250億円規模に拡大したい考えだ。

*2-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141023&ng=DGKDASDF22H1S_T21C14A0MM0000 (日経新聞 2014.10.23) 
UR、旧公団団地を医療拠点に、多摩など、まず23カ所で 地域高齢化に対応
 独立行政法人の都市再生機構(UR)は運営する団地の入居者の高齢化に対応し、団地内で地域の医療や福祉を担う拠点づくりを進める。自治体やNPOなどと連携し、医療や介護サービスを一体的に提供できる体制を整える。年度内に始め、2020年度までに100カ所程度へ広げる方針だ。急速な高齢化をにらみ、住民が住み慣れた街で安心して暮らせるようにする。まずは高島平(東京・板橋)や多摩ニュータウン(東京都多摩市)、千里ニュータウンの一角を占める新千里西町(大阪府豊中市)など、首都圏や近畿圏を中心に23の団地を選んだ。ほとんどが1千戸以上の比較的大きないわゆる「旧公団団地」で、急速な高齢化が見込まれる場所だ。URは市町村と共同で地域の医師会や社会福祉協議会、NPOなどと「地域医療福祉拠点団地連絡会議」を順次立ち上げる。医療や介護、生活支援サービスなど地域ごとに必要な施設の整備計画をまとめ、URが拠点を整備する。これまでURはバリアフリー化などで高齢者が住みやすい環境を整えてきた。今後は外部の専門機関と連携を強め、地域住民のあらゆるニーズに対応できるようにする。誘致にあたっては団地内の空いた施設を活用したり、高齢化で利用者が減ってきた駐車場などを新しい施設に建て替えたりする。事業者の賃料を減額するなどの優遇策の導入も検討している。先行的な取り組みとして千葉県柏市の「豊四季台団地」では、行政や東京大学高齢社会総合研究機構と高齢化に対応した街づくりを始めた。団地の一部をサービス付き高齢者向け住宅に改装したうえで、訪問看護ステーションや介護事業所などを誘致し、各施設を結ぶ情報システムの構築で医療や介護を一体的に提供できるしくみを整えた。URは柏市の事例を参考とし、全国で同じような施策を展開する。こうした取り組みは、政府が進める「地域包括ケアシステム」の流れにも沿う。政府は施設への入居を中心としたモデルから、住み慣れた地域で医療や介護、生活支援サービスを一体的に受けられる在宅ケアへの転換をめざしている。URの取り組みはその一環で、地域の利害関係者を巻き込んだ街づくりは全国的な先行事例になりそうだ。URは全国で約1700の団地を運営し、総戸数は約75万戸にのぼる。そのうち半数超は1960~70年代に入居が始まった。2010年に行った調査によると、世帯主の平均年齢は56.8歳。65歳以上の高齢者を抱える世帯は全体の約4割で、25年前後には75歳以上の後期高齢者が急増するとみられている。

*2-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141028&ng=DGKKZO78950210X21C14A0L83000 (日経新聞 2014.10.28) 
京王電鉄、多摩市に高齢者住宅、便利な駅前「移住」促す 空き家、若者世代が入居
 京王電鉄は沿線に高齢者向け集合住宅を整備する。まず、東京都多摩市に2棟を建設する。主に周辺在住の高齢者の入居を想定しており、入居者が住んでいた自宅には子育て世代や若者などの入居を促す仕組みを設ける。高齢化の進展に対応した住環境を整えるとともに、若い世代も呼び込むことで、沿線の活性化を進める。第1弾として、自立して生活できるか、もしくは介護度合いの軽い高齢者を対象にしたサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と、主に介護度合いの重い高齢者が入る介護付き有料老人ホームを1棟ずつ建設する。ともに京王線聖蹟桜ケ丘駅の近くで、2016年の開業を目指す。サ高住は同駅から徒歩2分の場所に建てる。事業費は13億円を見込む。延べ床面積は約4000平方メートルで、予定入居者数は約60人。活動能力が比較的ある高齢者が入るため、買い物などに便利な駅前の立地にする。老人ホームは同駅から徒歩9分の場所で、事業費は11億円となる見通し。介護度合いが重く、サ高住では対応しにくい高齢者の入居を想定する。延べ床面積は約3300平方メートルで、約80人が入居可能だ。2棟については今後、沿線で建設を進める高齢者向け住宅のモデルケースにする考えだ。入居費用などの詳細は今後詰める計画で、中間所得層だった高齢者が利用できるように設定する方針だ。京王電鉄は1960年代から、沿線で戸建て住宅地を開発してきた。聖蹟桜ケ丘駅の南側にも同社が手掛けた大規模住宅地があるが、駅から離れているうえ、途中に坂道がある。高齢化の進展に伴い、こうした場所から、駅に近い物件に移り住む高齢者が増えている。同社は高齢者向け集合住宅の整備により、高齢者のニーズを取り込む。同時に、同住宅への入居者から依頼があれば、空き家になった自宅については、京王グループの不動産会社が売却や改修・賃貸の業務を請け負う。これにより、若い世代の呼び込みにつなげる考えだ。

*2-4:http://www.nikkei.com/paper/related-article/?b=20141028&c=DM1&d=0&nbm=DGKKZO78950210X21C14A0L83000&ng=DGKKZO78950260X21C14A0L83000&ue=DL83000 (日経新聞2014.10.28)サービス付き高齢者住宅、都内に一般併設型 東急不動産
 東京都内で一般住宅を併設したサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が登場する。東急不動産は世田谷区内でサ高住の敷地内に分譲マンションや保育所を建設。高齢者施設を展開するコミュニティネット(東京・千代田)などは町田市で学生向け住宅を併設したサ高住を整備する。東急不動産は東急田園都市線桜新町駅から徒歩15分の敷地(約3万4000平方メートル)に、サ高住(全246戸)と一般向け分譲マンション(全252戸)を建設する。2015年に着工し、17年度中の完成を見込む。敷地内には保育所のほか、入居者以外の高齢者が介護サービスを受けられる施設、高齢者や入居者が交流できるカルチャールームも設ける。コミュニティネットなどは町田市で、学生向け賃貸住宅を併設したサ高住を新設する。京王相模原線多摩境駅から徒歩15分で、敷地面積は約7000平方メートル。サ高住60戸、一般住宅40戸を設ける。16年度に完成する計画だ。周辺の桜美林大学と協力し、学生と高齢者の交流を促す。今回の2事業は東京都の新たな補助制度を活用する第1弾。都は一般住宅と交流施設を設けることを条件に、設計費などを一部助成する。


PS(2014/10/29追加):東京都の福祉施設を利用する障害者及び施設職員が、長野県に“通勤”してリンゴやブドウを栽培しているそうだが、人は仕事をすることによって成長し、報酬によってその仕事が評価されるものであるため、障害者も補助金頼みのボランティアや遊びではなく、可能な限り製品を作って販売し、報酬を得るべきである。そのためには、このケースでは、東京から“通勤”するのではなく、長野県の福祉施設が主体になるのが合理的だろう。なお、東京近郊にも農地や花畑はある。

*3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=30496 (日本農業新聞 2014/10/28) 通勤農業 東京の福祉施設→長野の園地 障害者 果樹栽培で活躍
 東京都の福祉施設を利用する障害者と施設職員が、長野県高山村と須坂市に“通勤”し、農家の協力を得てリンゴやブドウを栽培している。果樹栽培を引退する高齢農家から園地を借り、春から秋に月1回、10人前後が園地を訪れて作業する。収穫物を障害者施設の直売所で販売する他、園地周辺の農家の作業を手伝ったり、地元の住民と郷土食を作ったりなどして交流を深めている。長野県への“通勤農業”に取り組むのは、練馬区の障害者就労支援施設「つくりっこの家」の障害者や職員、支援団体のメンバーら。自費や募金を資金に月1回、園地に通っている。管理する園地はブドウ15アールとリンゴ15アール。支援するメンバーの高木哲真さん(65)の知人が同村にいた縁から、園地を借り受けた。
●農産物販売や郷土食作りも
 施設職員の藤村明子さん(26)は「近くの人が摘果を教えてくれたり、通りがかりのお年寄りが剪定(せんてい)を見てくれたり」と、農家の親切に感激する。お茶やお菓子の時間に招いてくれることもあるという。参加する障害者も「空気はいいし、夜は星の数が違う」と顔をほころばせる。収穫した果実は施設の直売所で販売する他、りんごジュースも人気だ。活動上の悩みは、遠隔地のため地域での就労に出る補助金が付かないこと。このため支援者から募金を募って交通費などに充て、ボランティアは自費で訪れている。これを知った村民が村と交渉し、昨年からは村の施設を宿泊と自炊に無料で借りられることになった。また、村と施設、区民の交流が昨年からスタートした。村民が区内の催しに駆け付けて農産物を売り、障害者や区民が村を訪れて郷土食を一緒に作るなど、交流が深まっている。高木さんは「障害者にとって、自然の中の仕事や農家との交流は大きなプラスになっている」と活動に手応えをつかんでいる。藤村さんも「地域の支援に応えるために、果樹作業の応援の機会などを増やしたい」と意欲を語る。

| まちづくりと地域振興::2014.4~2015.4 | 02:25 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.9.10 街づくりと公共交通、ヨーロッパにおける農業など (2014.9.13追加あり)
    
ブリュッセル市庁舎前広場  同EU本部              オランダの街並み            

(1)公共交通と市街地開発のコラボレーションの必要性
 *1-1のように、JR九州が、JR沿線に賑わいを作って列車の利用者を増やすため、街づくりから携わって住宅事業を強化するそうだ。そして、JR九州住宅の高植営業部長は、「これまでは会社の体力が弱かったので開発規模が小さかったが、事業を拡大してJR九州との相乗効果を生み出したい」としている。 私も、公共交通機関と市街地の開発は連動し、協調(コラボレーション)して行うべきだと考えている。

 その理由は、*1-3の例のように、唐津市が今年1月、せっかく開館した「唐津市水産会館」(同市海岸通)に入居した食堂と鮮魚店が売り上げ不振のため9月末で撤退し、立地の悪さのため後継店が見つからないそうだが、水産会館は、「唐津の魚をアピールする場にしたい」と魚市場に隣接する場所に整備したもので、「鮮魚を売る」という点では立地は悪くないが、近くに駅がないため、福岡市や佐賀市など唐津線、筑肥線沿線の主婦が気軽にアクセスできる場所にないことがネックだからである。

 つまり、「唐津水産会館前」という駅があって、唐津線・筑肥線が乗り入れていれば沿線の人が行きやすいし、買い物に行く人は魚だけを買うのではないため、近くに新鮮な野菜、果物、肉などの食品や調理済製品を置いておくことも必要なのだ。また、遠隔地も含めた配送を充実したり、近くに住宅地やマンション等があったりすれば客層が増えて売れ行きが良くなるため、総合的コーディネートが重要なのである。

 そして、せっかく新しい街作りをするのなら、緑・水・花・建物を含む景観を大切にして欲しいし、*1-2のように、再生可能エネルギーや蓄電池を使ってエネルギーを生産する街にしてもらいたい。また、医療施設、学校、福祉施設、スーパーなどとのコラボレーションもあらかじめ考えておいた方がよいし、建物の色や標準装備品などの規制も必要で、それらの総合的価値が、その地域の価値になるのである。また、原発や大量の使用済核燃料の存在は、その地域の負の価値になる。

 なお、私は、先日、夫の脊髄損傷学会に同行して、ベルギーのブリュッセル(EUの中心)とオランダのマーストリヒト(EUの条約締結地)に行ってきたが、「やはりヨーロッパはいい」と思える街並みだったため、上にその写真を掲載しておく。(*マーストリヒト条約:正式名称は欧州連合条約で、欧州連合創設を定めた条約。1991年に欧州共同体加盟国間で協議がまとまり、1992年に調印され、1993年に発効した。欧州連合の父と言われるリヒャルト・クーデンホーフの母であるクーデンホーフ・ミツコは日本女性で、ゲラン社から“ミツコ”という名の格調高いびんに入った香水が出ている)

(2)次の農業へ
   
           オランダの牧畜                   オランダの畑
 *2-1のように、国産農作物・加工品の商談会「第9回アグリフードEXPO」(日本政策金融公庫主催)が東京で開かれたそうだが、私がブリュッセルやマーストリヒトで感じたことは、ハム、チーズ、ヨーグルト、牛乳などは安くて美味しいが、ミカンは甘くなく、野菜も今一つなので、ここに日本の農産物を、新鮮さを維持しながら輸出できれば売れるだろうということだった。ただ、食料品が安いのは、うらやましい限りで、私は長くは書かないので、農協をはじめとする農業関係者は、自分でヨーロッパを歩いて可能性や方法を探るべきだ。

 なお、日本の農業はエネルギーを多く使うが、*2-2のような小水力発電ができる場所も多いため、イノベーションしてコスト低減する方法も考えるべきである。

(3)特許の報酬について
 *3のように、「社員が発明した特許の権利を、今の『社員のもの』から無条件で『会社のもの』に変える特許法改正案が検討されている」とのことだが、困難をブレークスルーして国富を生む源を作るのは、新しい技術を開発した人である。そのため、特許を得られる程の技術を考えた人が報酬を得られず、人間が作った単純なルールを(たとえ不合理でも)守ることしかできないようなスポーツ馬鹿ばかりを称賛して育てるのは、国力を弱くする本末転倒の行為だ。

 確かに、特許と言っても会社を挙げて開発に取り組んで得た特許もあるため、それが会社に帰属するのは当然だろう。しかし、会社では利益を生まないくだらない行為として冷遇されながら、その困難に打ち勝って新技術の開発に成功した人もおり、このような場合の特許は開発者個人に帰属すべきだ。つまり、称賛や報酬は努力した人に与えられるべきであり、そのやり方を間違えれば、困難なことに取り組む人はいなくなり、皆と同じことをして組織にぶら下がる人ばかりになるため、注意すべきである。

<公共交通と市街地開発協調の必要性>
*1-1:http://qbiz.jp/article/45607/1/
(西日本新聞 2014年9月10日) JR九州が住宅事業強化 5年内に年100棟目指す、福岡都市圏
 JR九州は、福岡都市圏に住宅地を造成し、一戸建て住宅事業を強化する。2013年度は住宅の販売棟数が41棟だったが、5年以内に約2.5倍の年100棟を目指す。JR沿線ににぎわいをつくって列車の利用者を増やすため、街づくりから携わる。住宅事業は、子会社のJR九州住宅(福岡市)が担う。福岡市を中心に福岡県の福津市や筑紫野市など、列車で博多や天神に通勤できる地域に住宅地を造成。これまでは数軒単位の小規模な開発をしてきたが、今後は規模を拡大する。宅地造成から建て売りと注文の住宅建設、販売までを一貫して手掛ける。まずは同県の新宮町と古賀市にまたがる「ジェイフォレスト古賀・新宮」の分譲住宅の販売を13日に開始する。JR鹿児島線ししぶ駅(古賀市)から徒歩6分の運送会社敷地を買い取り、約3万1千平方メートルを造成した。3年間で100棟を販売する。2000年6月にJR九州住宅が分社化されて以降、初の大規模開発。樹木や植物を多く植え、電線を地中に埋設。隣家との塀をなくすなどして、コミュニティーづくりがしやすいようにした。JR九州の住宅事業は1995年に福岡県糸島市に760棟分、97年に熊本県大津町に1200棟分、99年に福岡県宗像市に150棟分の宅地を開発し、住宅を販売してきた。しかし、分社化後は1カ所で数軒分の開発にとどめていた。JR九州住宅の高植さゆり営業部長は「これまでは会社の体力が弱かったので開発規模が小さかった。事業を拡大し、JR九州との相乗効果を生み出したい」と話している。

*1-2:http://qbiz.jp/article/45464/1/
(西日本新聞 2014年9月8日) 再生エネ発電、蓄電池整備補助 福岡県が希望業者公募
 福岡県は、再生可能エネルギーの発電や蓄電池を整備するために「県グリーンニューディール基金事業」の適用を希望する民間事業者を公募している。補助率は3分の1で、900万円が上限。16日締め切り。補助対象は福岡、北九州両政令市を除く県内の医療施設や私立学校、福祉施設など。県や市町村と災害時の帰宅者支援に関する協定を締結しているコンビニエンスストアなども該当する。同基金は、東日本大震災や福島第1原発の事故を契機に、再生可能エネルギーを普及させようと、県が環境省の補助金を活用して創設。期間は2013〜15年度の3年間で総額19億円。これまでに、飯塚市や水巻町の特別養護老人ホームなどが応募。風力や太陽光発電と蓄電池を導入する計画で、本年度中の完成を予定しているという。県は民間事業者への補助で9千万円の利用を想定している。同基金では公共施設も対象で、学校や公民館、市役所などに再生エネルギー施設などを整備し、計約18億1千万円を利用する計画となっている。公募に関する問い合わせは県エネルギー政策室=092(643)3148。

*1-3:http://www1.saga-s.co.jp/news/saga.0.2554909.article.html
(佐賀新聞 2013年9月25日) 唐津市水産会館、わずか9カ月で店舗撤退
 唐津市が原発関連の交付金を使って今年1月に開館した「唐津市水産会館」(同市海岸通)に入居している食堂と鮮魚店が売り上げ不振のため、9月末で撤退する。会館唯一のテナントで、唐津市は後継店を探しているが、地元業者は立地の悪さに二の足を踏んでおり、「建設ありきの計画ではなかったか」との批判の声も上がっている。水産会館は、市が「唐津の魚をアピールする場にしたい」と魚市場に隣接する場所に整備。1階の商業スペースのテナントは唐津水産物商業協同組合を通じ、地元業者を選んだ。オープン当初の1~2月はにぎわう日もあったが、大通りから外れた場所で集客に苦戦。海鮮丼などをメーンにした食堂と鮮魚店を経営した同市浜玉町の業者は「市から観光客がターゲットと説明を受けていたが、近くに観光施設があるわけでもなく厳しかった。周囲に大型店があり、平日はもっと厳しかった」と今月末での撤退を決めた。テナント不振の要因として、事業を立案した市の甘さを指摘する声もある。事業費3億400万円の8割を占める2億4800万円は、玄海原発のプルサーマル受け入れに伴う核燃料サイクル交付金を活用しており、市の負担は少なかった。民間の商業施設ならテナントの家賃収入から建設費を回収しなければならないが、その必要もなかった。市内の水産関係者は「外観は商業施設に見えず、ビジネスをやろうという気持ちが感じられない。立地も悪く、業者仲間はみんな腰が引けていた。まさに、予算ありきの事業」と指摘する。10月から1階が空きテナントとなり、残るのは2階の貸し会議室だけ。水産をアピールする店が消えるだけに、市は組合を通じて出店業者探しを急いでいる。 会館を所管する坂口栄一・農林水産商工部長は「今のまま後継店を探しても二の舞いになる。店のコンセプトや消費者ニーズを再検討し、リニューアルを図りたい」と話している。

<次の産業への始動>
*2-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/101655
(佐賀新聞 2014年9月6日) 東京で農産物商談会、1万2000人来場、佐賀から4社
 国産農作物・加工品の商談会「第9回アグリフードEXPO」(日本政策金融公庫主催)が8月20、21日に東京で開かれ、約1万2千人が来場した。佐賀県の4社を含む624社が出展し、商談引き合い数は過去最高の7430件だった。県内からは、小城市の佐賀冷凍食品が電子レンジで調理するステーキ、太良町の田島柑橘園&加工所が冷凍ジュース、佐賀市の「Plant Farm Japan」がタマネギドレッシング、有田町の前田食品工業が「相知高菜」を出品した。前田食品工業の担当者は「試食でいただいた率直な感想を商品企画に生かしていく」と話した。

*2-2:http://qbiz.jp/article/45460/1/ (西日本新聞 2014年9月8日) 小水力発電は「効率よく安定的」 鹿児島・船間発電所稼働に期待の声
 九州発電(古田功社長、鹿児島市)が運営する小水力発電所の第1号基「船間発電所」(鹿児島県肝付町岸良)が完成し、同町で6日、稼働式と記念式典が行われた。稼働式は発電所であり、伊藤祐一郎知事や石原伸晃前環境大臣ら来賓がテープカットして稼働を祝った。町内のホールであった記念式典では、伊藤知事が祝辞を述べ「再生可能エネルギーの中でも小水力発電は効率的で安定的。今後、ベース電源としても重要な位置を占めるに違いない」と期待を寄せた。同発電所は町が管理する馬口(ばくち)川から水を取り込み、約200メートルの高低差を利用してタービンを回して発電する。年間発電量は一般家庭2千世帯分に相当する630万キロワットを予定している。九州発電は、県内で40基の小水力発電を建設する計画で、年内にも5号基まで着工する予定。古田社長は「24時間安定して発電できる強みがある。一つ一つは小さいが、数が増えればまとまった電力を供給できる」と話した。

<特許の報酬について>
*3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11334087.html (朝日新聞 2014年9月5日) 特許の報酬、義務化も検討 待遇悪化防ぐ 社員の発明、一律「会社のもの」へ転換
 社員が発明した特許の権利を、いまの「社員のもの」から無条件で「会社のもの」に変えるのに合わせ、政府は社員の待遇悪化を防ぐための仕組みづくりを本格化させる。この秋の臨時国会にも提出する特許法の改正案に、こうした規定を盛り込むことで、反発する研究職の社員や労働団体の理解を得たい考えだ。特許庁内では、報酬を定める社内の規則を社員と話し合って決めるよう企業に義務づけることなどが検討されている。報酬をめぐるトラブルを防ぐガイドラインも作りたい考えだ。いまの特許法では、社員の発明の特許を受ける権利は「社員のもの」で、「会社のもの」にするには、企業が社内の規則などに基づいて発明に見合う対価を支払わなければならない。これに対し、企業が支払う対価の金額をめぐる訴訟を避けたい企業側が、社員の特許を最初から「会社のもの」にするよう、特許法の改正を求めていた。特許庁は6月、「社員のもの」という原則は残しつつ、「十分な報酬制度」がある企業かどうかを事前にチェックし、条件を満たしている企業に限って、特例として「会社のもの」にできる方針を示し、具体案を検討していた。しかし、この方針に企業側が反発したことなどから、3日の特許制度小委員会では、条件を満たした一部の企業だけが「会社のもの」にできるようにした場合、「制度が過度に複雑化し、実務に混乱を招くおそれがある」と説明した。事実上、企業側の要望に応えて、一律で最初から「会社のもの」に方針転換する考えを示したものだ。事前にチェックしないで「会社のもの」にすると、社員の待遇悪化につながりかねないため、特許庁は、何らかの形で社員の発明に報酬が支払われる制度を義務づけることなども提案した。企業側は3日の委員会では「勤務規則などで発明者に報奨することを法律で定めることは有意義だ」として、歩み寄りの姿勢をみせた。ただ、中小企業を中心に、今でも報酬の規則がない企業もあり、どう義務づけを徹底させるのかは大きな課題だ。違反した場合の罰則のあり方なども決まっていない。社員が得られる対価が、いまの水準を維持できるかも不透明だ。連合は、「特許が最初から『社員のもの』である今の原則を維持すべきだ。運用の改善で問題解決を図るべきだ」と主張している。


PS(2014.9.13追加):*4のシステムは、環境を汚さないためBestだが、地産地消などと小さなことを言わずに、工鉱業への電力供給もして欲しい。農業地帯は土地が広い上、施設園芸を行う場合は、植物の生育に必要な光だけを透過させ、他の光で発電する太陽光発電(未普及)もできている。

*4:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/103928
(佐賀新聞 2014年9月13日) 太陽光、風力で水素製造へ、環境省、燃料電池車用に
 環境省は13日までに、太陽光や風力など再生可能エネルギーから得られた電気を使って水素を作り、次世代エコカー「燃料電池車」などの燃料として利用するモデル事業を始める方針を固めた。水素を製造段階から輸送、利用まで統合的に管理することで温室効果ガス排出量の少ないエネルギーシステムを確立するのが目的。地方自治体と連携して地域の特性を生かしたシステムづくりを進めるといい、エネルギーの地産地消にもつながると期待される。同省によると、太陽光発電や風力発電に適した北海道など全国数カ所で事業を計画。得られた電気で水を分解して水素を発生させる。

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2014.9.8 リニアと新幹線、次世代カーと次世代機、公会計制度とふるさと納税が地方に果たす役割 (2014.9.11に追加あり)
   
   燃料電池車      燃料電池飛行機  リニアモーターカー   新幹線各種

(1)都市住民の地方への移住願望
 一昔前(20世紀後半)は、田舎から都会に出て一旗揚げるのが“成功”だったが、現在では、都会に住んだことのある人が人口の半数以上を占め、生まれも育ちも都会だという人も多い。そのため、*1-1のように、都市住民の3割が田舎暮らし願望を持っており、それもダサい田舎暮らしではなく、おしゃれな田舎暮らしなのである。そして、農林水産業も次第に先端技術を取り入れた産業になっていかなければならず、行政の就業相談や起業融資は、それらのニーズにマッチしたものでなければならない。

 都会より田舎の方が住みやすい点は、*1-2のように、自動車が1人1台近く普及しており、比較的広い家に住めることだ。また、人口密度が低いため、人間の繋がりが濃く、それぞれの人に出番が多い。さらに、人間が作った小さな公園ではなく本物の自然を住まいの近くで体感でき、子どもが環境への感受性を磨く機会が多い。これは交通などの不便とセットだが、米国でもちょっと郊外に行けば状況は同じだ。

(2)付加価値の高い最先端の製造業を誘致することも必要
 しかし、*2-1のように、付加価値の高い最先端の製造業を誘致して、若者に魅力的な雇用を準備することも必要で、佐賀県でも、燃料電池車等への地場産業の参入拡大を目指しているが、すべてのイノベーションが進みつつある現在は、その新しい産業に参入してリードできるチャンスである。

 そこで、*2-2のように、トヨタ自動車の豊田章男社長(58)が、唐津港を発着点とする自動車ラリー選手権「TRDラリーチャレンジin唐津」に出場され、鏡山や虹の松原を通るコースに「いい景色、いい道」と笑顔になり、唐津港ではラリーに合わせて多彩なイベントがあったそうだが、それならば、同時にグライダーやヨットフェスティバルも行って、燃料電池航空機やエコ船舶開発の第一歩としてはどうだろうか。

(3)地方の交通システム
 地方は、自然が多く豊かな生活ができるものの、知的刺激は少ない。都会から移住すれば同じようなことを感じる人も多いだろうが、例えば、私が本屋に行って欲しい本を探しても置いてなかったり、雇用における男女平等が進んでおらず感覚の違いを感じることが多いため、そこにだけずっといるとまいる。

 これを解決する手段としては、*3-1のようなリニア新幹線もしくは、*3-2のような新幹線で、都市との時間的距離を短縮して往来を便利にすることが必要である。東海旅客鉄道(JR東海)が2027年の開業を計画するリニア中央新幹線は、環境評価をクリアして今夏中に工事実施計画の認可を国に申請する見通しで、JR九州も「フル規格の新幹線を通す方がやりやすい」としているが、 リニアや新幹線の整備は、日本の動脈として行うべきである。

(4)地方のインフラ整備における資金調達
 *4-1のように、平成26年5月23日付で、総務大臣が各都道府県知事、各市区町村長宛に、「今後、複式簿記の地方公会計を整備促進し、全ての地方公共団体において統一的な基準による財務書類等を作成する」と通達を出している。

 民間企業では、納税目的や資金調達目的のために、複式簿記による網羅性・検証可能性のある会計処理を行って正確な開示を行うことが普通に行われており、公的部門がまだ単式簿記を使っていることを信じられない人が多いと思うが、現在は、まだ、その段階なのである。しかし、素早く民間企業並みの会計制度に移行して公認会計士監査を導入すれば、有意義な投資であれば公債発行による資金調達も可能になるため、詳しくは、その地域の公認会計士に相談して欲しい。

 また、*4-2のように、地域の農水産物等の特産品を贈ることにより、「ふるさと納税」が脚光を浴びているが、これも地域にとって有意義な投資を行う場合は、投資目的を明確にして呼びかければ、それに呼応して寄付する人も多いのではないかと考える。

<都市住民の地方への移住>
*1-1:http://qbiz.jp/article/43651/1/
(西日本新聞 2014年8月10日) 都市住民の3割が田舎暮らし願望 内閣府調査
 都市部に住む人の31・6%が農山漁村に定住してみたいと考えていることが9日、内閣府の農山漁村に関する世論調査で分かった。2005年の調査から約1・5倍に増えた。ただ定住に必要な条件(複数回答)として「医療機関、施設の存在」(68・0%)「生活が維持できる仕事」(61・6%)が上位に挙がっており、受け入れ側の課題があらためてクローズアップされた。農山漁村の活性化に取り組む農林水産省は「体験型観光のグリーンツーリズムが普及するなど、関心の高まりが表れている」と分析。改定作業を進めている農政の長期指針「食料・農業・農村基本計画」に結果を反映させる。調査は6月に実施し、全国の20歳以上の男女1880人から回答を得た。都市在住は1147人、農山漁村は700人で、他は「どちらともいえない」などだった。農山漁村に定住したいと答えた都市住民は、世代別では20代の38・7%が最高。男女別では男性が36・8%で、女性より約10ポイント高かった。農山漁村に住む人で都市部に移住したいと答えたのは19・7%だった。20代では34・5%と高かった。
■就業支援の拡充を
 小田切徳美・明治大教授(農村政策論)の話 農山漁村への移住を考える人が増えたのは、グリーンツーリズムやふるさと納税の認知度が上がり、地域の情報を得る機会が増えたことも要因になっている。安定して暮らせるかどうかの不安を解消し、定住や永住につなげられるかが課題。行政が就業相談や起業への融資などを行い、移住者が望む生活様式を実現できるチャンスを提供する必要がある。

*1-2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL020JA_S3A900C1000000/
(日経新聞 2013/9/2) 軽自動車、普及台数が過去最高 佐賀・鳥取は「一家に1台」超す
 全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が2日発表した2013年3月末時点の世帯あたりの軽四輪車普及台数は、100世帯当たり51.8台となり、過去最高を更新した。2012年3月末比で0.8台増えた。2011年に100世帯当たりの普及台数が50台を超えて以降、「2世帯に1台」以上の水準となるのは3年連続。好調な軽の新車販売が保有台数を増やし、世帯当たりの普及台数を押し上げている。普及台数は軽四輪車の保有台数を全国の世帯数で割って算出している。13年3月末の軽四輪車の国内保有台数は2.5%増の2828万3561台。世帯数は0.8%増にとどまったため、普及率が上昇した。都道府県別で最も多かったのは100世帯あたりの普及台数が100.2台だった佐賀県。昨年末まで27年連続で1位だった鳥取県を抜いて1位となった。鳥取県も100世帯あたりの普及台数が100台を超えた。全軽自協によると「一家に1台」の割合を超える県が出たのは初めてという。100世帯あたりの普及台数は1977年以降、増加が続いている。全軽自協は「路線バスや鉄道の廃止など地方の交通の便が悪化し、『車は生活必需品』という意識がより高まっている。それだけにできるだけ安く手に入れたいとして、保有コストを安く抑えられる軽自動車へのニーズが強い」と説明。燃費性能に優れた新車が増えていることも相まって、軽の普及に弾みがついているようだ。
<100世帯当たりの保有台数、13年3月末現在>
普及率が高い地域      
(1)佐賀    100.2
(2)鳥取    100.1
(3)島根     98.3
(4)山形     98.2
(5)長野     98.0
普及率が低い地域      
(1)東京     11.3
(2)神奈川    21.0
(3)大阪     26.6
(4)埼玉     37.7
(5)千葉     38.4
〔日経QUICKニュース(NQN)〕

<産業>
*2-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/98888
(佐賀新聞 2014年8月29日) 「次世代カー」市販迫る 関連企業対応を模索
 「次世代エコカー」の本命とされる燃料電池車の市販が迫り、自動車関連企業が集積する佐賀県内でも今後の市場動向に関心が高まっている。関連企業などでつくる県自動車産業振興会(吉村正会長)は27日、学識者や専門家による講演会を実施。技術革新や産業構造の変化にどう対応し、参入拡大を目指すか、地場企業の模索が始まっている。トヨタ自動車は、本年度中に燃料電池車を1台700万円程度で一般向けに販売する。ホンダは2015年、日産自動車も17年の発売を目指しており、既に市販されている電気自動車と合わせ、次世代車の普及が本格化する。「カーアイランド」とも呼ばれる九州には、トヨタや日産、ダイハツの組立工場などがリスク分散を理由に相次いで進出。同地域での13年度の生産台数は137万5千台に上り、県内でもトヨタ系の車内外装品など2次、3次部品メーカーが集積する。ただ、生産拠点の海外シフトや海外部品の輸入増などで、国内企業を取り巻く環境は厳しさが増す。さらに、次世代車は既存のガソリン車に比べて部品が3分の1程度にまで減るほか、コスト削減や工程短縮のため、部品を一部組み上げた状態で納入する「モジュール化」の流れも強まるとされ、地元企業への影響が懸念されている。こうした状況を受け、講演した東京大次世代モビリティ研究センターの田中敏久氏は「メーカーが国内企業に期待しているのは、高い技術と工程管理能力、需要変動に対応できる生産の柔軟性」と説明。電子化が著しい次世代車への対応について、「自前の技術にこだわらず、IT関連など異業種との連携で開発期間を短くできるかがポイントになる」と指摘した。県内では、自動車用ボルト製造の佐賀鉄工所(佐賀市)などのように、メーカーの海外展開に追従できる企業は一部に限られる。同振興会副会長で、プレス金型製造「聖徳ゼロテック」(同)の古賀鉄夫社長は「技術革新に伴って部品の多品種化が進む。海外進出が難しい中小企業はメーカーのニーズを把握し、オンリーワンの技術を構築することが取引の維持、新規参入の布石になる」と展望を語る。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/102140
(佐賀新聞 2014年9月8日) 自動車ラリー トヨタ社長、笑顔の快走「いい景色」
 トヨタ自動車の豊田章男社長(58)が7日、唐津港を発着点とする自動車ラリー選手権「TRDラリーチャレンジin唐津」に出場した。鏡山や虹の松原を通るコースに「いい景色、いい道」と笑顔。今季3戦目となるラリーE2クラスで8人中4位と快走した。豊田社長は国際C級ライセンスを持ち、ドライバー名は「モリゾウ」。2009年に社長就任後も「車に乗る楽しさを全国で伝えていきたいし、私自身がいい車を開発するためのいい“センサー”になりたい」とレースを続けている。唐津は高校総体のホッケーの試合で訪れて以来40年ぶりと言い、「沿道の人たちが笑顔で迎えてくれた」とレースを楽しんだ。唐津市はトヨタの伝説のスポーツカー「2000GT」をデザインした野崎喩(さとる)さん=2009年死去、79歳=の出身地。会場には2000GTの試乗会や、野崎さんの資料が展示された。豊田社長は「半世紀近くたっても人の記憶に残り、全然古くならないデザインはすごい。野崎さんがどのような環境で育ち、どういう人たちに触れたのか感じることができた」と語った。この日は全国からドライバーが集まったTRDラリーと、JAF九州ラリー選手権「グラベルマインドラリー」の2レースが開かれ、計74台が出場した。唐津港ではラリーに合わせ、AKB48チーム8のライブなど多彩なイベントがあり、6、7の2日間で約5千人の人出でにぎわった。

<交通アクセス>
*3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140718&ng=DGKDASFS17H0Y_X10C14A7PP8000 (日経新聞 2014.7.18) リニア、環境評価クリア 国交相、きょうにも表明
 太田昭宏国土交通相は18日にも東海旅客鉄道(JR東海)が2027年の開業を計画するリニア中央新幹線の環境影響評価について意見を表明する。トンネル工事で発生する大量の残土処理などに適切に対応するよう求めるものの、整備方針に大きな影響は与えない。環境評価を実質的に「クリア」することで、JR東海は今夏中に工事実施計画の認可を国に申請する見通し。会社側がめざす今秋の着工にも弾みがつきそうだ。リニア新幹線は最高時速500キロメートルで品川―名古屋を最短40分で結ぶ。工事の前には環境影響評価が必要で、JR東海は4月23日に国交相に同評価書を提出した。

*3-2:http://qbiz.jp/article/42185/1/
(西日本新聞 2014年7月18日) JR九州社長「全線フル規格、効果大」 新幹線長崎ルートで言及
 JR九州の青柳俊彦社長は17日、西日本新聞のインタビューに応じ、2022年開業を目指し整備中の九州新幹線西九州(長崎)ルートについて「事業者としてはフル規格でやる方がやりやすいし、お客さまも効果が高いと思っている」と述べ、将来的には、沿線自治体などから要望が出ている全線フル規格化が望ましいとの考えを示した。長崎ルートのうち、フル規格の新線を建設しているのは長崎−武雄温泉(66キロ)だけで、武雄温泉−新鳥栖(51キロ)は在来線を走る計画。長崎−博多はフリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)で現在より28分短い1時間20分かかる。全線フル規格になれば、所要時間は41分とFGTのほぼ半分に短縮できるとされる。青柳氏は「フル規格の方が投資効果は大きい。要はお金の問題だけ」とフル規格化論議の高まりに期待を込めた。

<資金調達>
*4-1:http://www.soumu.go.jp/main_content/000292408.pdf (総財務第102号 平成26年5月23日) 各都道府県知事、各市区町村長宛             総務大臣 新藤 義孝
●今後の地方公会計の整備促進について
地方公会計は、現金主義会計による予算・決算制度を補完するものとして、現金主義会計では見えにくいコストやストックを把握することで中長期的な財政運営への活用の充実が期待できるため、各地方公共団体において、その整備を推進していくことは極めて重要であると考えております。各地方公共団体における財務書類の作成は着実に進んでおりますが、多くの地方公共団体において既存の決算統計データを活用した簡便な作成方式である総務省方式改訂モデルが採用されており、本格的な複式簿記を導入していないことから、事業別や施設別の分析ができていないのではないか、また、公共施設等のマネジメントにも資する固定資産台帳の整備が十分でないのではないか、といった課題があります。そのため、「今後の新地方公会計の推進に関する研究会」を開催して議論を進めてきましたが、平成26年4月30日に報告書を取りまとめております。この中で、固定資産台帳の整備と複式簿記の導入を前提とした財務書類の作成に関する統一的な基準を示したところです。今後、平成27年1月頃までに具体的なマニュアルを作成した上で、原則として平成27年度から平成29年度までの3年間で全ての地方公共団体において統一的な基準による財務書類等を作成するよう要請する予定であります。さらに、こうした財務書類等を作成するためには、各地方公共団体においてICTを活用したシステムの整備が不可欠であり、その事務負担や経費負担に配慮する必要があると認識しております。また、システム整備の重複投資を回避するため、地方公共団体共通のシステムを一括構築することも重要な課題であります。そのため、地方共同法人の活用も視野に入れながら、ICTを活用した標準的なソフトウェアを開発し、平成27年度のできる限り早い時期に地方公共団体に無償で提供したいと考えております。なお、それまでの間、地方公共団体におかれては、統一的な基準による財務書類作成の前提となる固定資産台帳整備の準備(資産の棚卸等)等を進めていただくようお願いします。各都道府県におかれては、貴都道府県内市区町村に対して、この通知の趣旨について適切に助言いただきますようお願いします。

*4-2:http://qbiz.jp/article/43432/1/
(西日本新聞 2014年8月7日) 「ふるさと納税」が脚光を浴びている
 「ふるさと納税」が脚光を浴びている。生まれ故郷など希望の自治体に寄付すると税金が軽減される制度。全国46道府県で2013年度は件数で前年度の2・8倍、総額で6%増えたと報じられた。道府県別で鳥取県が件数、金額ともトップだった。上位にランクされる自治体は、一定金額以上の寄付で地元の特産品を贈っていることが奏功した。では九州の自治体はどうか。長崎県平戸市は、13年度は約3910万円で前年度の36倍に急増した。さらに14年度は既に1億6千万円を超えた。平戸ゆかりの人は10%にも満たない。平戸の特産品狙いの寄付者が圧倒的だ。13年度は佐賀県玄海町や宮崎県綾町も2億5千万円前後の寄付があり九州の代表格だ。平戸和牛にマンゴー…。大都市の消費者と地域の農水産物が直接つながる新たな販路として、広がってほしい。


PS(2014.9.11追加):確かに、燃料電池は高価すぎるため低価格化が必要であり、*5は福音なのだが、希少資源を使わない技術を確立すれば、最も安価で世界に歓迎されると思う。

*5:http://qbiz.jp/article/45414/1/ (西日本新聞 2014年9月6日) 燃料電池車の低価格化へ道 「白金の使用量10分の1に」九大グループが成功
 九州大カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の藤ケ谷剛彦准教授(応用化学)らの研究グループは、次世代のエネルギーとされる燃料電池に用いる白金の量をこれまでの10分の1に抑えることに成功したと発表した。白金は価格が高く、燃料電池開発のコスト面の課題となっている。研究グループは低価格化につながるとして、5年後の実用化を目指すという。研究成果は5日、英科学誌「ネイチャー」の姉妹誌電子版に掲載された。燃料電池は、水素と酸素を化学変化させて電気をつくる仕組みで、白金は電極に付着した状態で化学変化を促す。研究グループは、白金粒子を小さくして、使用量を抑える方策に着目したが、粒子を小さくすると互いに集まって大きくなったり、偏在したりして、発電効率が落ちる問題があった。そこで、白金の粒子を吸着する性質がある樹脂で電極を覆ったところ、直径比で約半分(直径2ナノメートル)の大きさで電極上に均等に付着し、同等の発電効率を維持できたという。資源の枯渇が懸念される白金は1グラム当たり約5千円と高価で、燃料電池車1台当たり約50グラムが必要とされる。藤ケ谷准教授は「燃料電池の普及には低価格化が欠かせない。(二酸化炭素などの有害物質を出さない)水素社会の実現を加速させることにもつながる」と話している。

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2014.8.6 街づくり、鉄道の高架化、自然エネルギーの推進を同時に行えば、自然に次の時代に進めるということ (2014.8.7、8.9に追加あり)
  
    *1-2より       全面太陽光発電ハウス   *3-2より  

(1)街づくりと省エネ・節電技術の関係
 *1-1のように、住宅メーカーは、省エネルギー型住宅「スマートハウス」への切り替えを進めており、積水化学、パナホーム、大和ハウスは、現在でも注文住宅の多くに、太陽光発電とHEMSを備えているそうだ。また、国は、2020年までに省エネ設備の導入を含む新しい省エネ基準を住宅に義務化するとのことであり、よいと思う。

 マンションについては、太陽光発電装置を置くのに一定の傾斜が必要という規制があるため見た目よく取り付けられず、また、ビル用の太陽光発電装置の進歩も遅いため、現在は、*1-2のような電気代節約目的の高圧一括受電を行うのが精一杯だ。しかし、マンションやビルも、自家発電でインフラを動かせなければ安心して居住することはできないため、建材と一体化したスマートな太陽光発電装置の開発が望まれる。

 このような中、*1-3-1、*1-3-2のように、福岡県みやま市と住宅設備のコンサルティング会社「エプコ」が、市内2千世帯の電力使用状況を把握して節電に繋げる取り組みを始め、電力小売り完全自由化後には、みやま市は自治体による電力供給事業も視野に入れているそうだ。上下水道やゴミ処理も自治体が行っているため、市は、電線をひくのも電力を供給するのも容易だろうし、HEMSを高齢者家庭の見守りに利用するのも、プライバシーの侵害にならない程度なら、よいアイデアである。そのため、他の自治体も参考にすればよいと考える。

(2)自然エネルギーの利用は進んできたが、機器の進歩が遅い
 *2-1のように、オリックスが、三菱化学物流の倉庫7棟の屋根を賃借して出力2.5MWの太陽光発電所の運転を開始し、今後、全国148カ所で、屋根を利用した太陽光発電を計画して、合計出力は68.9MWに達するそうだ。このほか、駐車場に太陽光発電の屋根をつければ、自動車が風雨に晒されず、電力の供給もできるため、一石二鳥だろう。

 また、*2-2のように、北海道内には風力発電の適地が多いけれども、鳥の衝突死が絶えないということだが、これは、鳥が飛びこまない細かさの網で覆ったり、羽のない風力発電機を造ったりなど、機器を改良すれば解決する話だ。

(3)自然エネルギーの利用、鉄道の進歩と街づくりの関係
 *3-1のように、松浦鉄道は、国の補助金が3割減となったため、2287万円分を基金から取り崩し、燃料費の高騰などを理由に運賃の改定を前倒しするそうだ。しかし、いつまでも重油を使って列車を走らせながら、国の補助金で燃料費を補填したり、運賃を上げたりするのは賢い経営とは言えない。例えば、デザインの良い蓄電池電車を使い、*3-2のJR西日本のように、駅の電力使用量を50%以下にして太陽光発電や回生電力で電力を賄って余った電力を販売するなど、先見性のある前向きな投資をすべきである。

 なお、電力が余るほど発電するためには、高架にして一階部分の壁に太陽光発電装置を取り付けるなど、いろいろな工夫があり得る。また、1階部分を駐車場、店舗、物置などとして貸し出したり、鉄道の敷地に超電導電線をひかせて土地の賃料をとったりなど、連続した膨大な土地や駅近の便利な土地を所有している鉄道会社だからこそ可能なアイデアがいくらでもある筈だ。

(4)教育・医療・介護・福祉は、街づくりのソフト部分だ
 魅力ある街づくりの重要な部分に福祉がある。そして、近年、病院に社会的入院せず、自宅で療養したり、自宅介護を受けたりする人が増えている。これは、生活の質(Quality of Life)を上げるとともに、医療費削減にも貢献しているが、それでも安心して暮らせる社会インフラを整えることは必要条件である。

 なお、自動車の運転ができない高齢者や障害者に、*4のように、タクシー利用の助成を行うのはよいと思う。例えば、高齢者がタクシー乗車券で出掛ける機会が増えれば、介護需要が減るため、このための事業費増加は、医療費・介護費の減少と同時に論じるべきだろう。

<省エネ型まちづくり>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140731&ng=DGKDZO75007210R30C14A7TI0000
(日経新聞 2014.7.31) 分譲全戸 省エネ型に、積水化学とパナホーム 電力値上げで需要
 住宅メーカーが省エネルギー型住宅「スマートハウス」への切り替えを進めている。戸建て5位の積水化学工業は2016年度に分譲する住宅を原則、すべてスマートハウスにする。パナホームも18年までに販売する全住宅を替える。電力料金の上昇が続くなか、スマートハウスは補助金などの制度を使って電力コストが削減できる。次の消費増税も視野に消費者の節約志向に訴える。積水化学のスマートハウスは太陽光発電と家庭の電力の使用状況が確認できる「HEMS(家庭向けエネルギー管理システム)」を標準装備しており、現在、分譲する戸建ての約8割を占める。価格は延べ床面積が120平方メートルの2階建ての場合、一般の住宅が3千万円に対して3300万円。太陽光で発電した電力を自宅で使うとともに、再生エネルギーの電気を電力会社が高く買う固定価格買い取り制度を使って売れば、一般的な住宅に比べて光熱費を年間で32万円抑えられるという。スマートハウスへの切り替えとともに16年度までに宅地開発に計1千億円を投じる。郊外を中心に全国で開発する計画で、1カ所に最大で100戸強を建てられるようにする。主に30代から40代の夫婦の購入を見込み、13年度に年間1800戸だったスマートハウスの分譲戸数を16年度には5000戸にする。パナホームは現在、太陽光発電を備える分譲住宅の割合が6割。18年には全商品をHEMSを備えたスマートハウスにする。大和ハウス工業も今年4月、自分の土地に建てる注文住宅のすべてを太陽光発電とHEMSを備えるようにした。再生エネの固定価格買い取り制度の利用に加え、電力会社から買う電力量を自宅での発電量が上回る「ゼロエネルギー」の状態になると、国から最大350万円の補助金も受けられる。13年度の国内の戸建て着工戸数は分譲と注文を合わせて約48万戸。マンションの12万戸を大きく上回る。14年度は消費増税後の反動減で受注額が前年同月比で1~3割減っている。各種制度を活用すればスマートハウスに割安感があることを訴えていく。国は20年までに一定の省エネ設備の導入を含む新しい省エネルギー基準を住宅向けに義務化する見込み。各社がスマートハウスへの切り替えを急ぐ背景には、新基準に対応する狙いもある。

*1-2:http://qbiz.jp/article/43178/1/ (西日本新聞 2014年8月2日) 電気代節約、マンションごとに 「高圧一括受電」普及が加速 値上げ機に自衛策
 マンション全体で電気を一括購入して、電気代を安くするサービスの利用が増えている。1世帯当たりの料金は一般的な契約に比べて5〜10%安くなるため、今年3月末の全国の利用戸数は首都圏と関西を中心に前年同期比で4割増。原発の長期停止などで電気料金が上昇する中、九州電力グループが7月に参入するなど九州でも普及が加速しそうだ。サービスは「高圧一括受電」。2000年の電力小売り一部自由化を契機に、電気料金の「格差」に目を付けた事業者が始めた。電気には、企業など大口向けの「高圧」と、変圧器で家庭向けに電圧を下げ、その分料金が高い「低圧」がある。一括受電は、事業者が割安な高圧(6600ボルト)で電力会社と契約し、低圧(100ボルト、200ボルト)に変えて入居者に配電する仕組みだ。対象のマンションは「40戸以上」が一つの目安。事業者が電力会社に代わって変圧器やメーターを設置するため、入居者は初期投資の必要がない。最大手の中央電力は2004年にサービスを開始。オリックス系のオリックス電力、ジュピターテレコム子会社のアイピー・パワーシステムズ、NTTファシリティーズ(いずれも本社は東京)の計4社が事業規模で先行する。各事業者にとっては、11年の東京電力福島第1原発事故以降の電気料金値上がりが追い風になった。原発の運転停止が長期化し、電力各社の収支が悪化。加えて円安などの影響で火力発電所の燃料となる石油や液化天然ガス(LNG)の価格も上昇した。九電によると、モデル家庭の月額料金は11年2月の6226円から、14年8月は7567円へ21・5%上がる。一括受電事業は逆に12年秋以降急成長。先行4社の契約数は、3月末現在で前年同期比43%増の計約21万1300戸に増えた。これを見て大手電力会社も相次いで参入。東電と関西電力は昨年春、子会社を通じて新築マンション向けサービスを開始した。九州では、05年設立のM・E・M(福岡市)が九州を中心に全国約2万戸にサービスを提供。九電グループの九州通信ネットワーク(QTNet、福岡市)も7月に事業を始めた。電力業界は16年の小売り全面自由化で競争が厳しくなる。中央電力の平野泰敏副社長は「今はまだ認知度が低いが、自由化で一括受電が広く知られるようになれば、利用はさらに増える」と期待する。

*1-3-1:http://qbiz.jp/article/42919/1/
(西日本新聞 2014年7月30日) みやま市、2千世帯で大規模HEMS事業 電力自由化見据え
 エプコとみやま市のニュースリリース  福岡県みやま市と住宅設備のコンサルティング会社「エプコ」(東京)は30日、市内2千世帯の電力使用状況を把握して節電につなげる取り組みを始めると発表した。各家庭に電気の使用状況が一目で分かる家庭用エネルギー管理システム(HEMS=ヘムス)を設け、官民でデータを管理。1〜2割の節電効果を見込む。HEMSを活用した地域単位の事業としては国内最大級。同市は、2016年に自由化される予定の家庭向け電力小売りへの参入を視野に入れているという。経済産業省が本年度から40億円かけて取り組む「大規模HEMS情報基盤整備事業」の一環。首都圏、中部、東北、九州の4地区計1万4千世帯で実施し、九州はみやま市だけ。同市の取り組みに国の補助金など9億円を投じ、1台の価格が5万〜10万円程度するHEMSを設置する。設置した家庭は、パソコンやタブレット端末などで電力の使用状況が確認できる。市とエプコはデータを集めて地域や時間帯に応じた能率的な使い方を分析。最も節電効果が高まる家電の利用や、生活スタイルをアドバイスする。電力の使用状況に基づき、1人暮らしの高齢者の安否確認にも活用する。9月から市内で説明会を開催し参加世帯を募集。来春からは無料でサービスを開始し、16年度からサービスの一部を有料化する。全国4地区で集約したデータは、複数の大手通信会社などで整備するプラットホーム(情報拠点)に集約。データを活用し宅配業者が在宅世帯を効率的に回れるほか、警備会社が突然電気を使わなくなった世帯の安否を確認できる。一方、空き巣などの犯罪に悪用される懸念もあり、電力データの利活用や取り扱い方の指針を定める。みやま市が参入を検討する家庭向け電力小売りは、現在は九州電力(福岡市)の独占事業。16年の自由化後に自治体として参入すれば、注目を集めそうだ。みやま市の西原親市長は「経済性が高く、生活に役立つ新サービスを提供したい」。エプコの磯部達取締役は「他地域のモデルケースになるよう、取り組みを成功させたい」と語った。

*1-3-2:http://qbiz.jp/article/42958/1/
(西日本新聞 2014年7月31日) 「2千世帯HEMS」のインパクトは、規模だけじゃない
 地方自治体単位では国内最大規模の「HEMS(エネルギー管理システム)」導入を30日発表した福岡県みやま市の取り組みは、近年叫ばれている「エネルギーの地産地消」が現実味を増したという意味で、インパクトが大きい。まずは、その規模。HEMSを導入するのは2千世帯で、市内全世帯の14%、7軒に1軒に及ぶ。共同で事業を進めるコンサルティング会社エプコ(東京)によると、国内最大規模。北九州市・東田地区など限られた範囲で同様の取り組みを進める地域が増えているが、みやま市ほど「地域ぐるみ」の例はないという。さらに、関係者が注目することがある。同市とエプコが連名で発表したリリース文には、「みやま市においては、(電力)小売り完全自由化後の自治体による電力供給事業も視野に…(後略)」と明記。「(前略)地方都市が、なぜ電力小売りの先端実証事業に選ばれたのか?」とまで書いている。どういうことなのか。「HEMS」は一義的には、クラウド技術を駆使し、リアルタイムで地域の電力需給を自動制御し、全体の節電効果を高める仕組みを指す。だが、今回の取り組みの最大のポイントは、自治体主導による「電力小売り事業」を視野に入れていることだ。現行制度では、自治体主導で電力をつくり、集めても、一般家庭には供給できず、九州電力に売電するしかないが、完全自由化後は参入が可能となるためだ。みやま市はすでに、市が出資する会社「みやまエネルギー開発機構」を設立。市有地を使ったメガソーラー開発を積極的に進めている。関係者によると、このほか風力や水力、バイオマスなどの再生可能エネルギー由来の電力を、市が主導的に調達・生産し、家庭に供給する「電力事業者」としての役割も視野に入れており、リリース文にも明記した。さらにIT技術を駆使するHEMSでは、電力だけでなく、高齢者家庭の見守り・健康チェックなどの医療福祉サービスにも活用できるため、今回の実証事業にも組み込んでいる。関係者は、こうした仕組みを「自治体版電力小売り・制御パッケージ」として他の自治体にも広げたい、としている。人口約4万人という小規模な都市だからこそ成立する新たな「公共エネルギーサービス」のモデルとなるのか、注目を集めそうだ。

<自然エネルギー>
*2-1:http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1407/22/news079.html
(スマート ジャパン 2014.7.22) 物流施設は太陽光向き、7棟の屋根に2.5MW
 オリックスは2014年7月、三菱化学物流の倉庫7棟の屋根を賃借し、出力2.5MWの太陽光発電所の運転を開始したと発表した。同社は全国148カ所で、屋根を利用した太陽光発電を計画しており、合計出力は68.9MWに達する。鹿島灘を望む鹿島臨海工業地帯は150社以上が集まる茨城県最大の工業地帯だ。鹿島港を中心に大小の製造業が立地している。三菱化学物流の鹿島物流センター(茨城県神栖市奥野谷、3万765m2)はこの工業地帯に位置する(図1)。物流倉庫の平屋根が太陽光発電システムの設置に向き、再生可能エネルギーの普及促進による環境配慮につながることから、同社はオリックスに倉庫7棟の屋根を貸すことになった。オリックスは企業や自治体などが保有する大型施設の屋根を活用する「屋根設置型太陽光発電事業」を進めており、倉庫7棟を利用した太陽光発電所の建設を2013年12月に開始、2014年7月に運転を開始した(図2)。発電所の規模は直流出力2.518MW。太陽電池モジュール(出力245W)を1万276枚設置した形だ。倉庫の屋根面積は敷地面積にほぼ等しい。年間発電量は262万3890kWhを予定し、これは一般家庭730世帯分に相当するという。発電した電力は固定価格買取制度(FIT)を利用して、全量を20年間、東京電力に売電する。オリックスは2014年4月に自社が手掛ける太陽光発電事業の状況を発表している。2014年3月期末(2014年3月末)時点において、全国214カ所、合計出力425.1MWの開発に着手していた。そのうち、今回の取り組みを含む「屋根設置型太陽光発電事業」は148カ所、合計出力68.9MWを占め、2014年3月末時点で50カ所、合計出力25.4MW分の発電を開始していた。

*2-2:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/553654.html
(北海道新聞 2014.7.28) 風力発電の立地 環境への配慮欠かせぬ
 持続的な社会を築くために再生可能エネルギーの普及は避けて通れない。ただし、自然環境に過大な負荷をかけないのが前提だ。道内の風力発電計画が、行政や自然保護団体から相次いで見直しを求められている。既設地で鳥の衝突死が絶えない。にもかかわらず貴重な野鳥の生息地が建設予定地と重なるケースがあるためだ。風量などから、道内には適地が多い。せっかくの自然エネルギーだ。住民とあつれきが生じないよう、事業者には立地場所を探す段階から野鳥や景観への影響などについて最大限の配慮を求めたい。道は環境影響評価条例で総出力5千キロワット以上の風力発電計画をアセスメントの対象にしている。より規模の小さい発電計画や将来、想定される洋上風力にも対応できるよう、条例見直しを急ぐべきだ。根室市内では2年以上にわたって、風力発電計画への反対運動が続いてきた。最大15基の建設を目指す電源開発(東京)の予定地が、絶滅危惧種のオジロワシやオオワシの生息地で、日本野鳥の会や市民団体が衝突を心配して声を上げた。結局、事業者が今月、中止を発表して計画は立ち消えになった。宗谷管内猿払村と浜頓別町にまたがるエコ・パワー(東京)の建設計画にも疑問符がついている。オジロワシの生息に加え、コハクチョウの越冬地として知られるクッチャロ湖が風車で囲まれる形になるからだ。湖はラムサール条約登録湿地であり、国際社会からの批判も免れまい。道、環境省、経済産業省がこぞって見直しを求めたのは当然である。事業者は耳を傾け、計画を変更すべきだ。こうした事態が続く以上、道は不適地をあらかじめ地図で示し、事業者に避けてもらう「回避地図」の作成を考えるべきだ。参考になるのは長野県の取り組みだ。風力発電に適さない「除外すべき地域」、「慎重に検討すべき地域」を地図上に記している。道内でも北海道鳥類保全研究会が2009年に全道を網羅した試作版を作ってノウハウがある。トラブル回避に役立つはずだ。風がよく通る場所は鳥も飛翔(ひしょう)に利用するから風力発電では野鳥への配慮が必要になる。どこまで許容されるか。既設風車の衝突率を検証しつつ、発電事業と折り合いをつけていく。こうした地道な作業には行政や専門家、市民、環境保護団体を交えた見極めが欠かせない。

<鉄道の整備と自然エネルギー>
*3-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/87598
(佐賀新聞 2014年7月26日) 基金崩して整備費補てん 松浦鉄道自治体連絡協
 第三セクター松浦鉄道(MR、本社佐世保市)の沿線自治体などでつくる自治体連絡協議会は25日、総会を開き、施設整備事業で国の補助金が3割減額となったため、2287万円分を基金から取り崩すことを承認した。またMR側は燃料費の高騰などを理由に、運賃改定を前倒しして検討する考えも示唆した。MRは本年度、検査や枕木の交換、通信線新設などの整備費に2億2874万円を計上。補助率上限の3分の1(7624万円)を国に要望したが、要望額の70%(5337万円)に減額された。JR北海道の整備不良放置が問題となった余波で、全国の鉄道事業者から施設整備の補助金申請が増え、国の予算枠を大幅に上回ったため、優先順位に応じた減額配分となったという。財務省の財源調整後の配分のため、補正予算を組むことは難しいが、連絡協議会では「次年度以降のために訴えるべき」として、国交大臣宛てに満額交付を求める要望書を提出することを決めた。MRの藤井隆代表取締役会長兼社長は経営状況報告で燃料費の高騰に強い懸念を示し、「経営改善計画で2019年に予定していた運賃改定を検討する時期にきていると思う」と述べた。同社は前年度、当期純利益で4年ぶり黒字を計上した。本年度予算では、人件費と燃料費の増加を要因に、990万円の赤字を見込んでいる。

*3-2:http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1406/23/news022.html
(スマート ジャパン 2014.6.22) 新しい駅の電力使用量を50%以下に、回生電力や太陽光発電で
 JR西日本は2016年春に神戸市で開業する新駅の電力使用量を同規模の駅と比べて50%以下に抑える。電車のブレーキ時に発生する回生電力を駅のエレベータやエスカレータに供給するほか、駅舎の屋根に太陽光パネルを設置する計画だ。回生電力によって削減できる電力量は10世帯分になる。JR西日本は2016年春から2019年春にかけて、近畿圏で5つの新駅を開業する計画である。その第1弾になる神戸市の「まや駅(仮称)」に各種のエコ・メニューを導入する。特に大きな効果を発揮するのが電車の回生電力を活用することで、導入に向けて富士電機と共同で「直流電力変換装置」を開発中だ。回生電力は電車がブレーキをかけた時に発生させることができる。通常は近くを走っている加速中の電車に送って利用しているが、それだけでは電力が余る。直流の回生電力を交流に変換するのが直流電力変換装置で、変換した電力は駅舎内の電気機器で利用できるようになる。

*4:http://qbiz.jp/article/43361/1/ (西日本新聞 2014年8月6日) 高齢者乗車券、タクシー適用も検討へ 福岡市議会委が助成請願を採択
 保健福祉などを所管する福岡市議会第2委員会は5日、高齢者に対するタクシー利用の助成制度創設を求める市民団体や市タクシー協会からの請願を全会一致で採択した。同市では70歳以上の市民に対し、バスや電車、地下鉄の交通費の一部を助成。ICカードなどを「高齢者乗車券」として交付しているが、市高齢社会政策課は委員会採択を受け「タクシー利用を含めた高齢者乗車券の在り方を検討したい」としている。請願は、9月定例会本会議で審議予定。採択されれば、議会側は、市に請願内容への対応について経過や結果の報告を求めることができる。高齢者乗車券は現在、所得に応じて年間最大1万2千円分を交付。高齢者の外出や社会参加を促す目的で、本年度の交付対象者は16万1855人、事業費は11億4432万円となる見込み。請願では「高齢者乗車券でタクシーが利用できれば、もっと出掛ける機会が増えるという声は多い」などと主張している。市によると、タクシー利用の助成を実施した場合、事業費が約2割膨らむ見込みという。現在、政令市でタクシー利用の助成を行っているのは浜松市と広島市。


PS(2014.8.7追加):離島は、風力発電や潮流発電にも適地だが、電線をひくのは一苦労という事情があるため、燃料電池向けの水素を生産して船で出荷するという案もあるだろう。

*5:http://qbiz.jp/article/43360/1/
(西日本新聞 2014年8月6日) 離島の再生エネ契約中断問題 九電、壱岐で説明会
 壱岐、対馬など長崎、鹿児島両県の六つの離島で、再生可能エネルギー発電の新規契約を1年程度中断することについて、九州電力は4日、壱岐市で説明会を開いた。発電事業者や電気工事関係者など約60人が参加した。九電本社の担当者が、壱岐での電力買い取り量が、安定供給のため設けた目安を上回る見通しで、7月26日以降の申し込みを対象に出力抑制を交渉する、と説明した。参加者からは「今後、出力抑制の対象を段階的に広げるのではないか」「すでに買い取り契約済みの場合も出力抑制の対象になるのか」などの質問が出た。九電の担当者は「対象は今の段階では新規申し込みの500キロワット以上の設備」「契約済みの場合は不利益にならないように対応する方針」と答えた。九電によると、太陽光などの電力買い取りが増えると、供給が過剰になり電力の需給バランスが崩れ、停電が起きる恐れがあるという。


PS(2014.8.9追加):太陽光発電による電力の買取制度ができたからといって、*6のようなメガソーラーは、1)太陽光発電設備下の動植物を殺して水質を悪化させる 2)その結果、動植物が住めない環境にする 3)景観を悪化させる など、環境を破壊するため許可すべきではない。そもそも、太陽光発電設備は、住宅・畜舎・倉庫の屋根や壁に地道に設置していき、空いた空間を利用して省エネしながら賢く発電するために考えたものなので、公害を出しながら大規模発電する必要はなく、このような設置の仕方には環境影響評価を行うべきである。なお、どうしてこういうことを同時に考えられないのか、疑問だ。

*6:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140809&ng=DGKDASDZ0705B_Y4A800C1TJ2000 (日経新聞 2014.8.9)ウエストHD、水上に太陽光発電所 発電量、陸上より1割増
 太陽光発電施工大手のウエストホールディングス(HD)は、池などの水面に太陽光パネルを並べる「水上太陽光発電所」の建設事業を始める。パネルなど資材調達から発電所の建設までまとめて請け負う。大規模太陽光発電所(メガソーラー)の適地が不足していることから水上の需要が高まるとみている。最初の施設を2015年1月に着工し、年間で出力3万キロワット分の建設を目指す。発電能力1000キロワットあたり、3億円程度の価格で請け負う方針だ。調整池をもつ地方自治体などからの需要を見込んでいる。価格は陸上につくる場合と同等に抑える一方、発電量は冷却効果によって陸上より1割増す見通し。プラスチック製品のキョーラク(大阪市)と、太陽光パネルを水上に浮かべる土台となる浮体式架台の金型を共同開発した。海外製の類似製品を使用する場合に比べ、2割近く価格を低減。総投資額で陸上並みのコストに抑えられるようにした。架台はキョーラクが国内で生産する。太陽光パネルは中国企業からOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受ける。太陽光パネルは熱で発電効率が落ちるため、冷却効果が見込める水上の注目が高まっている。ウエストHDが昨夏に埼玉県桶川市で自社向けに建設した水上のメガソーラーでは、陸上に比べ発電量が約1割多い実績が出ているという。発電能力1000キロワットのメガソーラーの場合、陸上に比べて売電収入が年間300万円程度増す計算だ。発電所の大きさはメガソーラーから小規模まで自由に選べる。海上には建設できないが「多少の塩分には機材は耐えられる設計にする」(ウエストHD)という。ウエストHDによると愛知、福岡、佐賀、香川、埼玉各県の10市程度から発電能力の合計2万キロワットを超える水上発電所の建設の引き合いがきている。
  

| まちづくりと地域振興::2014.4~2015.4 | 12:07 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.6.19 街づくりと電力自由化、電線地中化、カジノなど
   
2014.6.11産経新聞より       *2より

(1)2016年から家庭向電力が自由化されること
 *1に書かれているとおり、改正電気事業法が2014年6月11日に成立し、2016年から家庭向電力も自由化されて、電力の本格的な市場競争が始まることになった。電力自由化は、2000年に大口利用者向け、2004年に中規模利用者向けが行われており、今回、コンビニや家庭向けも行われて完成する。

 この際、地域独占を排して地域間の電力供給も可能にするため、電力会社間の相互乗り入れや、ガス会社、通信会社、IT企業、その他企業の新規参入も見込まれ、電力供給の方法も進歩することが期待される。これを、原子力や火力のように環境に負荷をかける発電方法を止め、送電ロスの少ない送電方法を普及させる機会にしたいものである。

 なお、「電力会社には離島などでも都市部と同じ程度の料金を維持するよう義務づける」としているが、離島は風力、太陽光、汐潮発電の適地であるため、それら自然エネルギーの発電所を作るために補助してもらう方が有難いだろう。船も電動になれば、漁船や連絡船への充電が安価にできて便利になる。

(2)電線の地中化について
 *2のように、政府・自民党は電線の地中化を促す新法を制定する検討に入り、道路や住宅地を新たに整備する際には電柱の設置を認めず、既存の電柱も低コストの工法を普及させて地下に埋めるよう促すそうだが、ロンドン、パリ100%、ニューヨーク83%と地中化率は高いのだから、素早くやればよい。

 ただ、地中化の方法は、すでに上下水道管を埋設している市町村やガス管を埋設しているガス会社に頼んで近くに埋設させてもらえば、比較的安価で素早く電線の地中化ができると思われる。そうすれば、2020年の東京五輪に間に合わせられる地域も少なくないだろう。

(3)カジノを中心とした統合型リゾートとは・・
 *3-1のように、カジノ(日本語:ばくち、賭博)を中心とした統合型リゾートを作りたいと考える人がいるが、人を不幸にして金もうけを行い、それにより治安の悪化や風俗の乱れを起こす社会的コストは馬鹿にならない。そのため、これは、一種の公害だと、私は考える。

 その例は、*3-2のように、誰より早く出社して従業員の話に耳を傾け、幹部と酒を酌み交わして会社の将来を語りあい、会長の時代がくれば会社は変わると期待されていた大王製紙前会長の井川被告が、「遊ぶスリルがあったのと、大きく負けると深みにはまり、取り返しがつかなくなった」と語っていることからも明らかである。損失の規模は違っても、このようなことは競馬や競艇でも起こっており、高い社会的コストを支払って、無駄なエネルギーを使わせる品の悪い街づくりをすることに、私は反対だ。

 「アメリカにもラスベガスがある」と言う人もいるが、ラスベガスは首都ワシントンやニューヨーク(日本では東京・大阪に匹敵)にあるのではなく、ネバダ州の田舎の大自然の中に作られたものだ。日本なら、無人島をラスベガスのような街にして、外貨を稼ぐようなものである。

<電力自由化>
*1:http://digital.asahi.com/articles/ASG6C4SK3G6CULFA01K.html
(朝日新聞 2014年6月11日) 家庭向け電力、16年から自由化 サービス競争本格化
 家庭が電気料金やサービスを比べて電力会社を選べるようになる改正電気事業法が11日、成立した。いまは東京電力など電力10社が家庭に電気を売っているが、2016年からはいろいろな企業が家庭向けに電気を売る「電力小売り」に参入できる。競争が本格的に始まると、くらしはどう変わるのか。
■参入に期待、料金値下げにつながるか
 電力小売りは東京電力などの電力会社が地域ごとに独占してきた。これを自由化するため、00年に大きな工場など産業用の大口利用者向けに新規参入が認められ、04年に百貨店など商業用の中規模利用者向けに広げられた。今回の改正は、企業向けに加え、コンビニエンスストアや家庭向けでも16年から新規参入を認める「全面自由化」だ。たとえば関東の家庭では、東電ではなく、中部電力や新規参入の会社から電気を買えるようになる。ガス会社や通信会社などいろいろな業種の企業が参入するとみられ、電気料金は「昼は高いが、夜は安い」というプランや、ガス代や携帯電話代との「セット割引プラン」などの選択肢が増えそうだ。今は円安などで火力発電に使う燃料が高くなり、電気料金は値上がりしている。家庭向けの電気を売る企業が増えれば、サービスや価格の競争が激しくなり、料金を抑える効果も期待できる。経済産業省は、自由化される家庭向け電力の市場を7・5兆円と試算している。これをねらい、東京ガスや石油元売り大手のJXホールディングスは今年4月に電力専門の部署を立ち上げた。東京ガスの山上伸常務執行役員は「電力とガス両方を提供できるサービスを考えたい」と話す。太陽光発電に熱心なソフトバンクのような通信会社なども名乗りを上げる。IT企業の楽天も昨年、エネルギー部門を立ち上げた。最近では電力会社が火力発電所をつくる際にも、ほかの電力会社やいろいろな企業が建設に加わろうと入札に参加するようになった。電力業界にくわしいATカーニーの笹俣弘志パートナーは「発電と小売りがセットで自由化されることで、新規参入が進むだろう」とみている。ただ、これまでの企業向け小売りでは、新規参入企業のシェアは13年度で約4%にとどまっている。16年から家庭向けを自由化しても、本格的な競争がすぐに始まるとは限らない。このため、電力会社が家庭向け料金を値上げする場合は国が審査したうえで認可するという今の仕組みを当面残す。電力会社に料金水準を決める主導権を握らせないためで、新規参入の広がりを見極めたうえでこの仕組みをなくす。また、電力会社には離島などでも都市部と同じ程度の料金を維持するよう義務づける。政府は今後、18年をめどに電力会社から送電部門を切り離す「発送電分離」も検討している。こうした自由化で電力会社の「地域独占」が崩れて競争が激しくなれば、電力会社の再編や淘汰(とうた)につながる可能性もある。電力の安定供給を続けながらサービスや料金をどう競い合うか。電力会社も経営改革が求められる。(藤崎麻里、大津智義)
■改正電気事業法のポイント
 ・新規参入企業の家庭向け電力販売が可能に
 ・販売量に応じた電力の確保を義務化
 ・契約内容の書面による丁寧な説明を義務化
 ・いまの電力大手の料金規制は当面維持
 ・電力大手に離島でも都市部と同程度の料金維持を義務化

<電線地中化>
*2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140619&ng=DGKDASFS1802Q_Y4A610C1MM8000
(日経新聞 2014.6.19) 電柱新設を禁止 地中化へ新法検討 政府・自民、五輪へ景観・防災改善
 政府・自民党は電線の地中化を促す新法を制定する検討に入った。道路や住宅地を新たに整備する際、電力会社などに電柱の設置を認めず、電線を地中に埋めるよう求める。既存の電柱も低コストの工法を普及させて地下に直接埋めるよう促す。2015年にも法案を提出し、20年の東京五輪を見据えて都市の景観や防災機能を改善する。自民党が19日開く専門委員会で方針を示す。同党は来年の通常国会に、地中化の基本方針を示した「無電柱化基本法(仮称)」を議員立法で提出する考えだ。国土交通省も具体策の検討に入る。政府・自民党案ではまず電柱の新設を規制する。住宅建設などで電柱は年7万本のペースで増えている。道路管理者である国や自治体は電柱の新設を法令などで原則禁止し、電線は地下に埋める工事のみ認めるようにする。まずは道路の新設や拡張工事、歩道の設置、住宅地の開発時に限って禁止する方向だ。全国に約3500万本ある既存の電柱の電線地中化も促す。都市の景観を改善して訪日観光客を増やす。地震などの災害時に倒壊した電柱が避難や物資輸送を妨げるリスクを抑える狙いもある。課題は財源だ。地中化は道路の地下に管路を設けて収容する「電線共同溝方式」が主流だが、費用は1キロメートルあたり3億5千万円かかる。このため政府・自民党は共同溝をつくらず低コストで電線を直接地下に埋める方式の普及に乗り出す。国交省の試算では整備費が同8千万円と4分の1以下に下がるという。ただそれでも電柱7万本分の電線を地中化した場合、国・地方に単純計算で2400億円規模の財源が必要になる。電線地中化では変圧器や電線の工事で、電力会社にも1キロメートルあたり1億8千万円の負担が発生する。国交省は公的負担の割合を増やすなど、企業の負担軽減策も検討する。電柱を街中からなくす取り組みで日本は世界の都市に出遅れている。ロンドンやパリの地中化率は100%で、ニューヨークも83%と高い。

<カジノ法案>
*3-1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS18014_Y4A610C1PP8000/
(日経新聞 2014/6/18) 「カジノ法案」、今国会の採決見送り 継続審議へ
 カジノを中心とした統合型リゾートを推進する「特定複合観光施設(IR)区域整備推進法案」が18日、衆院内閣委員会で審議入りした。治安悪化を懸念する公明党内に配慮し、審議開始が遅れていた。22日の今国会会期末が迫っており、自民党は採決を見送り継続審議とし、秋の臨時国会での成立を目指す。共同提出者の細田博之自民党幹事長代行は18日の同委で「国民不安も大きく、丁寧に議論を深めていくことが大事だ」と述べた。同法案は昨年12月、自民党、日本維新の会、生活の党の3党が共同提出した。施設整備への政府の支援を明記し、施設関係者を規制する「カジノ管理委員会」を内閣府の外局に置くことを盛りこんだ。安倍晋三首相は5月末、シンガポールのカジノ施設を視察し、政府は月末にまとめる成長戦略にもIR設置の検討を盛りこむ方向だ。

*3-2:ttp://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120721/trl12072112010000-n1.htm (産経ニュース 2012.7.21) 「私はギャンブル依存症」 大王製紙の東大卒御曹司が初めて語ったギャンブラーの心理と論理
 カジノ費用に充てるため子会社から計55億3千万円を無担保で借り入れ損害を与えたとして、会社法違反(特別背任)罪に問われた大王製紙前会長、井川意高(もとたか)被告(47)の公判が18日、東京地裁で開かれた。(中略) 22年には年間33回海外に渡航、カジノに興じた被告。軍資金の借り入れに窮し、依頼先はファミリー企業や連結子会社に移っていく。弁護側の被告人質問では、借金について当時の心境を問われ、こう答えた。 「ギャンブルで10億円勝ち、返済できた経験もあった。どうにか返せないかと考えてしまいました」。(中略) 被告人質問に先立って行われた証人尋問では、かつて直属の部下だった現在の大王製紙専務が、井川被告の仕事ぶりについてこう話していた。「誰より早く出社して従業員の話に耳を傾け、われわれ幹部とは酒を酌み交わして会社の将来を語りあった。会長(井川被告)の時代がくれば、会社は変わる。期待を持って仕事をしていた」。ワンマンオーナーだった父親とは対照的な仕事ぶりで、部下の絶大な信頼を勝ち取り、実績を積み上げていた井川被告。左陪席の裁判官は腑に落ちない表情で質問した。
裁判官「みんながあなたの仕事を評価しています。本来極めて合理的な考えを持っているのに、なぜギャンブルで損失を取り戻そうと考えたんですか。子供でもわかることでしょう。そのギャップが埋められません」。被告「遊ぶスリルがあったのと、大きく負けると深みにはまり、取り返しがつかなくなりました。ギャンブルに勝手な期待値を描いてしまいました」。検察官から「苦労のない人生を送ってきたのか」と問われた際、「人の考え方によります。…恵まれていたと思います」と言葉を選ぶように話す姿が印象に残った。起訴状によると、井川被告は昨年3~9月、大王製紙の子会社7社から計55億3千万円を本人名義などの銀行口座に無担保で入金させ、損害を与えたとされる。東京地検特捜部の調べでは、そのほかの関連会社などを含めた借入総額は約165億円と判明。今年3月の初公判で、井川被告は「間違いございません」と起訴内容を認めている。(以下略)

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2014.4.29 バリアフリー社会では、司法の“社会通念”も、このような踏切事故の責任は鉄道会社に帰属させるべきで、そうすれば、鉄道の高架化は、リスク管理上、必要不可欠になるということ
  
                      踏み切り                動物に注意
(1)社会の変化とともに、司法判決も変えるべき
 *1、*2に書かれているように、認知症の91歳の男性がJR東海の電車にはねられて死亡した事故について、JR側が遺族に賠償を求めた訴訟で、一審の名古屋地裁は男性の妻(85歳)と長男(63歳)が「見守りを怠った」として、JR側の請求通り720万円の支払いを命じていたが、名古屋高裁判決では、「監督不十分な点があった」として妻の責任だけを認めることにした。しかし、これは、鉄道事故の責任を被害者家族に押し付けており、次の点で、間違っていると思う。

 1)鉄道優先の発想は、明治5年(1872年)10月14日、「新橋~横浜」間に日本初の鉄道が開通
   した時に作られ、当初の踏み切りは横断できる余裕が十分にあったが、現在はそうではない
 2)鉄道優先の発想ができた頃は、高齢者や認知症の人は少なかったが、現在はそうではない
 3)21世紀になってから、高齢者や障害者に対するバリアフリーが徹底して行われ始めている
 4)在宅医療に移行しつつあるが、介護制度は不十分で、核家族化による「老老介護」が多い

 そのため、この名古屋高裁判決は、被害者とその家族を鞭打つものであり、判決は取り消されるべきであり、被害者家族の弁護士は、むしろ、「*3のように、高齢者が巻き込まれる踏切事故が多発しているにもかかわらず、JR東海が危険な踏み切りを放置していたこと」を反訴して、事故による精神的被害と裁判になったことによる金銭的被害について損害賠償請求すべきである。そうすれば、裁判所も、世の中の流れを察知して判決を出せると思うが、「可哀想の論理」でしか弁護できないところに、わが国の司法の、世界では闘えない論理性のなさがあるのだ。

(2)妻に監督責任を認めた名古屋高裁判決は間違っており、責任はむしろ危険な踏切を放置していた鉄道会社側にある
 *3、*4に書かれているように、名古屋高裁は、被害者である男性の長男の監督責任はないとしたが、「見守りを怠った」「センサーを作動させる措置を取らず、監督不十分な点があった」などとして要介護1の認定を受けていた当時85歳の妻に監督責任を認定して359万円の損害賠償を命じており、問題である。何故なら、踏切事故に遭った被害者の男性は、仮にセンサーが作動していたとすれば外に出なかったかどうかも疑問であるし、認知症の人を施設などに入れずに無理をしながらも家で介護して夫を亡くした妻に対して、そういう責任を求めるのは、妻に二重三重の苦痛を与えるからだ。

 また、介護で24時間見守るのは不可能であり、そうするには部屋に閉じ込めたり、縛ったりするしかないため、介護施設でそういう措置をとるようになると、バリアフリーの理念から外れる。バリアフリーとは、施設ではなく自宅を中心とする地域の中で自然に生活させ、周囲がそれを受け入れる社会への転換を目指しているものであるため、この判決は国の方針にも矛盾するのである。

(3)歩道橋は、渡るのに不便で不十分
 *3に、「高齢者が踏切を渡りきれずに犠牲になる事故がなくならず、高架化や地下化には費用の壁があるため、臨時の歩道橋を造ったり、高齢者向けに簡易エレベーターを設置したりする対策が必要だ」とも書かれているが、道路に架かっている高い歩道橋は私でさえ渡るのが大変で、「自動車の方が上がったり降りたりすべきだ」と日頃から思っているため、歩道橋が高齢者や障害者の役に立つとは思えない。従って、そういうことに金を使うよりも、万障繰り合わせて、早急に電車を高架化もしくは地下化すべきである。なお、このブログの2014年4月19日等に記載しているとおり、高架化にも多くの手法がある。

(4)認知症への地域の向き合い方
 「認知症に優しい町」宣言をしたベルギーの地域のように、認知症の高齢者が人間らしい生活を維持できるように、自宅で暮らすことを前提として、市役所、警察、タクシー、宅急便、郵便局、駅、施設などが有効な連絡網をつくり、行方が分からなくなっても、すぐに発見できるシステムを構築すべきである。

(5)踏切事故は、都会の開かずの踏切だけではない
 *5のように、踏切事故は都会だけにあるのではなく、JR九州でも、シカなどが列車と衝突して遅れた「鳥獣類による輸送障害」が、2013年度に過去2番目となる計456回に上っているが、環境という視点から、鳥獣類ならひき殺してもよいということはない。また、滅多に列車の来ない踏切では、つい油断しがちになり、30分に1本しか来ない列車に出会って事故を起こす人間の子どもや車も少なくない。

*1:http://www.saga-s.co.jp/news/ronsetu.0.2671624.article.html
(佐賀新聞 2014年4月29日) 認知症事故の賠償 家族に責任を問うのは酷
 愛知県で徘徊症状がある認知症の91歳男性が電車にはねられ死亡した事故をめぐり、名古屋高裁が男性の妻の監督責任を認定し、359万円の損害賠償を命じた。超高齢化社会で在宅介護が奨励されている中、同居家族の責任を問うのは論議を呼びそうだ。厚生労働省によると、認知症の人は65歳以上の15%を占め、全国で約462万人(2012年度)と推計されている。佐賀県内は約2万人。そのうち3割が介護者も高齢の「老老介護」とみられている。徘徊に伴う事故が増えるのは避けられず、判決は決して人ごとではない。男性は2000年ごろから認知症の症状が出始め、1人で外出し行方不明になることもあった。事故が起きたのは07年12月7日。デイサービスから帰宅して、当時85歳の妻がうとうとしていた数分の間に、近くのJR駅構内で電車にはねられて死亡した。JR東海は遺族に損害賠償を請求したが、話し合いがつかず訴訟に発展した。一審の名古屋地裁は「徘徊を防止する措置を怠った」などと家族側の責任を認めた。これを不服とした控訴審で遺族側は「24時間一瞬の隙もなく、認知症高齢者に付き添うのは不可能」と主張していた。JR側は「男性には資産もあり、ヘルパーを頼むなど防止措置はとれたはず」と過失を指摘していた。鉄道事故が起きた場合、乗客の振り替え輸送費や人件費、設備修理費などを遺族側に請求するのが通例という。しかし、徘徊は認知症の特性であり、完全に防ぐことは難しい。スタッフがそろった施設でも防げない場合がある。認知症の男性には責任能力がなく、判決は監督者の法的責任を認めた。法律論では正しくても、老老介護の実態からは釈然としない思いが残る結論だ。自宅で懸命に介護してきた人が家族を事故でなくした上、多額の賠償を負わされるのは酷である。介護の専門家から「家族は精いっぱいやっているという実態を抜きにした判決」と憤る声が出るのも当然だろう。国土交通省によると、12年度に全国で発生した鉄道事故は811件で死者は295人。認知症患者の事故統計はないものの、高齢者が踏切などで列車にはねられる事故は県内でも起きている。交通事故を含めて社会的な対応がいる。男性は改札口を通ってホームに行ったとみられ、判決はJR側の監視が不十分だった可能性にも言及している。鉄道会社の社会的責任として、ホームや踏切などの安全対策を向上させると同時に、認知症について学ぶことも必要になりそうだ。全国1万1千人の会員を持つ「認知症の人と家族の会」は、今回の裁判に関し、認知症の行動から出た被害や損害については家族の責任にしてはいけないと主張している。解決策の一例として、介護保険制度の中に損害賠償の仕組みを設けることを提案している。ぜひ検討すべきだ。田村憲久厚労相は「今回のような事故が起こり得ること自体が大きな課題。どう防ぐかを念頭に置き、政策をつくりたい」と述べている。政府を挙げた自殺対策が成果を生んだように、啓発活動にとどまらず実効性のある取り組みを求めたい。

*2:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-224387-storytopic-11.html
(琉球新報社説 2014年4月27日) 徘徊事故高裁判決 家族に責任を押し付けるな
 認知症の高齢者を抱える家族にとっては酷な判決であり、理不尽の極みだろう。徘徊症状がある認知症の91歳の男性がJR東海の電車にはねられ、死亡した事故をめぐり、JR側が遺族に賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は男性の妻(91)の責任を認定し、359万円の支払いを命じた。昨年8月の一審判決は、男性の妻と長男(63)が「見守りを怠った」として、JR側の請求通り720万円の支払いを命じていた。高裁判決は「JR側の駅利用客への監視が十分で、ホームのフェンス扉が施錠されていれば事故を防げたと推認される」などとして減額した。妻の責任だけに変更したとはいえ、家族に責任を課す司法判断の本質は何も変わっていない。認知症患者の介護に当たる家族の実態を理解せず、高齢化社会が直面する問題に正面から向き合おうとしない判決だと指摘せざるを得ない。事故は2007年12月に発生。認知症で「要介護4」の認定を受けた愛知県大府市の男性がJR駅構内で電車と衝突して死亡。同居していた妻と近くに住む長男の嫁が目を離した隙に外出していた。男性の家族は、夜間の徘徊を防ぐため自宅玄関にセンサーを設置するなどの対応を取っていたが、高裁判決は「センサーを作動させる措置を取らず、監督不十分な点があった」とし、要介護1の認定を受けていた妻の責任を認めた。高裁判決は、高齢者が介護に当たる「老老介護」の厳しい実態にも目を閉ざし、非情ですらある。施設を利用している高齢者でさえ、徘徊で行方不明になる事例を考えると、在宅介護の厳しさは察するに余りある。徘徊の責任を家族に押し付ける司法判断がまかり通れば、認知症のお年寄りを社会から隔離し閉じ込めてしまうことになる。在宅介護を放棄してしまう家族も出てくるだろう。厚生労働省の調べでは、認知症高齢者は12年時点で462万人と推計される。にもかかわらず、認知症の理解と社会で支える仕組みは追い付いていないのが現状だ。国や自治体をはじめ、企業や学校など地域が連携した取り組みは待ったなしだ。今回の高裁判決は、介護する家族の意欲を大きく減退させるだけでなく、社会全体で認知症対策を考える機運をそぐ。判決は取り消されてしかるべきだ。

*3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11110013.html?ref=nmail
(朝日新聞 2014年4月29日) 踏切、高齢者置き去り 渡りきれぬ場所、解消進まず
 高齢者が長い踏切を渡りきれず、犠牲になる事故がなくならない。理想は立体交差化を進めて長い踏切をなくすことだが、費用の壁は高い。進む高齢化にどう対応すればよいのか。現場を歩いて考えた。東京都足立区にある東武伊勢崎線の踏切。今年2月6日の夜、自転車を押していた女性(当時76)が、北千住駅を出発した急行列車にはねられて死亡した。踏切は長さ23メートル。普通、急行、快速など様々な列車が通るため、線路は5本ある。警視庁などの調べでは、女性が2本目にさしかかったころ、警報機が鳴り始めた。後ずさるように引き返し、1本目まで戻ったところではねられた。音が鳴り始めてから遮断機が下りるまで約20秒、その約20秒後に電車が通過した。今年3月、25歳の記者が実際に歩いてみると、18秒で渡りきった。だが、近くの羽室万里子さん(76)は32秒かかった。2~3年前から足腰が悪く、背中もやや丸い。踏切内は急ぎ足で進むようにしているが、向かいからの歩行者や自転車は、止まらないとよけられない。「危ないからできれば通りたくないけど、買い物に行くには一番近道なので」。踏切は北千住駅から約800メートルの場所にあり、朝夕は登下校の子どもや通勤する人、昼間は買い物客が多い。1時間に40分以上閉まることがあるとして国土交通省が認定する「開かずの踏切」の一つで、東武鉄道によると、ラッシュ時は1時間に49分閉まったままになる。遮断機が上がってすぐ、再び警報音が鳴ることも珍しくない。近所の遠峰良輔さん(68)は、渡りきれずに遮断機をくぐって外に出る人をよく見かけるという。「若い人はいいかもしれないけど、年寄りには不親切」と不満を漏らす。
■高架・地下化、費用の壁
 国交省は、歩行者の速度を成人並みの時速5キロ(秒速約1・39メートル)と想定し、警報機の鳴り始めから遮断機が下りるまでの標準時間を15秒としている。だが国立長寿医療研究センターの鈴木隆雄所長によると、75歳女性の平均歩行速度は秒速1メートル。高齢者は急がないと、長さ15メートル以上の踏切は渡りきれない計算になる。また、鈴木所長は「認知機能が低下した高齢者は、警報が鳴り出しても前に進むべきか戻るべきか瞬時に判断できない。パニックになっているうちに事故に遭いかねない」と指摘する。現状には、同じ国の機関からも疑問が示されている。総務省近畿管区行政評価局が大阪府内で長さ15メートル以上の踏切20カ所を調べたところ、4カ所で遮断機が下りるまでに電動車いすが渡りきれない可能性があった。同局は昨年10月、「高齢者や障害者に配慮していない」と国交省近畿運輸局などに指摘した。遮断機が下りるまでの時間を延ばす手もあるが、国交省鉄道局は「開かずの踏切がますます開かなくなり、渋滞が悪化する」と否定的。線路の高架化や地下化で踏切をなくすことを目指している。開かずの踏切を含めた全国の「危険な踏切」は2007年4月時点で1428カ所あった。そのうち13年3月までの6年間でなくなったのは130カ所だけ。土地の取得や建設に巨額の費用がかかるうえ、地権者との協議に時間がかかり、なかなか進まないという。JR東日本は、約7千カ所ある踏切の約4割に障害物検知装置を付けているが、対象は車だ。歩行者用は「動物やごみにも反応するため、導入予定はない」という。閉じ込めなどの事例には、約6割の踏切に設置した非常ボタンで対応する姿勢だ。ただ、列車の停止まで数百メートルかかることもあり、「押した後は中に入らないで」と呼びかける。(工藤隆治)
■臨時の歩道橋を
 鉄道事故に詳しい関西大の安部誠治教授(公益事業論)の話 都市部の踏切事故をなくすには、究極的には立体交差化が有効だ。少しずつ進んではいるが、一気に解消するのは難しい。立体交差化までのつなぎとして、臨時の歩道橋を造ったり、高齢者向けに簡易エレベーターを設置したりする対策が必要だ。
■周囲が見守って
 踏切事故の遺族でつくる「紡ぎの会」の加山圭子代表の話 高齢者や車いすの人が長い踏切を渡ろうとしている際は、周りの人が渡り終えるのを見届けたり、声をかけあって一緒に歩いたりしてもらえれば。そうすれば、万一、踏切内に取り残されそうになっても、すぐに非常ボタンを押したり、周囲に助けを求めたりでき、事故を防げるのではないか。
◆12年度は死者121人
 <高齢者の踏切事故> 2012年度に起きた全国の踏切事故295件のうち、60歳以上の通行者が巻き込まれたのは48%にあたる142件。死者数は121人で、ここ十数年ほぼ横ばいの状態が続いている。
■高齢者が巻き込まれた主な踏切事故
 <2014年1月 長さ:10m>
 神奈川県座間市の小田急線で杖をついた認知症の女性(84)が死亡
 <13年11月 長さ:9m>
 東京都世田谷区の東急大井町線で手押し車を押した女性(96)が死亡
 <13年10月 長さ:12m>
 横浜市緑区のJR横浜線で倒れた男性(74)を助けようとした女性(40)が死亡
 <13年8月 長さ:22m>
 横浜市鶴見区のJR横須賀・京浜東北線で杖をついた男性(88)が死亡
 <12年10月 長さ:9m>
 大阪府豊中市の阪急宝塚線で酸素ボンベのカートを引いた女性(73)が死亡
 <05年8月 長さ:41m>
 横浜市鶴見区のJR東海道・横須賀・京浜東北線で腰の悪い女性(80)が死亡


*4:http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=68092
(沖縄タイムス社説 2014年4月29日)  [認知症徘徊事故]地域で支える仕組みを
 認知症の介護現場に目をつぶり、介護家族を苦境に追いやりかねない。愛知県大府市で2007年12月、徘徊症状がある認知症の91歳男性がJR東海の電車にはねられ死亡した。この事故をめぐり、JR東海が遺族に振り替え輸送代などの損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は「見守りを怠った」などとして、男性の妻(91)の責任を認定し359万円の支払いを命じた。一審名古屋地裁では、遠くで別居する長男(63)の監督責任も認め、計720万円の支払いを命じていた。高裁判決は監督責任から長男を除いたものの介護家族の責任を問うたことに変わりはない。死亡した男性は認知症で「要介護4」、妻も「要介護1」と認定されていた。妻がまどろんでいるすきに男性は外出していた。判決は「男性が通常通っていた事務所入り口のセンサーを作動させなかった」と妻を非難したが、とても納得できるものではない。認知症の介護で24時間片時も目を離さず見守るのは不可能だ。そうするには部屋に閉じ込めるしかない。介護施設でも責任を恐れ、同じ措置をとるようになるだろう。国の「認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)」は、施設から自宅を中心とする地域の中で生活することへの転換を目指している。介護家族を萎縮させるような判決は国の方針にも反する。判決はJR東海に対しても監視体制が十分でホームの扉を施錠していれば事故が防げたと推認されると指摘した。だが家族やJRだけの責任負担にしないためにも賠償制度の仕組みづくりが必要だ。
   ■    ■
 認知症は誰でもなる可能性がある。これからもさらに増加することが確実であることを考えると、決して人ごとではないからである。厚生労働省は、65歳以上の認知症高齢者は12年時点で、約462万人と推計している。予備軍の軽度認知障害は約400万人に達し、それを含めると、計約862万人に上る。65歳以上の実に4人に1人が該当する「認知症時代」が到来しているといっても過言でない。認知症徘徊に関し、ショッキングなデータがある。警察庁によると、認知症が原因で行方不明になったとして12年に9607人の届け出があった。沖縄県警にも63人。12年中に確認できた人は、それ以前から行方不明になった人を含め9478人。このうち359人は死亡していた。
   ■    ■
 国内でも地域ぐるみで認知症対策に取り組んでいる自治体があるが、NHKテレビで「認知症に優しい町」宣言をしたベルギーの地域が紹介されていたことを思い出す。住み慣れた自宅で暮らすことを前提に、NPOが中心となって市役所、警察、病院、商店街などに呼び掛け、緊密なネットワークをつくる。行方が分からなくなった場合でも情報を共有し、いち早く発見できるシステムを構築していた。認知症の高齢者が人間らしい生活を維持するために地域全体がどう向き合うか。ベルギーの事例は多くのヒントを与えるのではないだろうか。

*5:http://qbiz.jp/article/36591/1/
(西日本新聞 2014年4月26日) シカと衝突、最多317件 JR九州、鳥獣被害が倍増
 JR九州は25日、2013年度の運転事故発生状況を発表。シカなどが列車と衝突し遅れが発生する「鳥獣類による輸送障害」が、過去2番目となる計456回に上った。集計を始めた06年度の2倍超に増加。いずれも乗客にけがはなかった。同社によると、里山の荒廃などにより、線路沿いにシカやイノシシが出没するケースが増え、列車との衝突事故が年々増加。特にシカは13年度に317回で過去最多だった。豪華寝台列車「ななつ星in九州」でも計10回発生し、うち8回はシカだったという。同社は05年から、肥薩線でシカが線路内に侵入しないよう防護ネットを設置。日豊線、日田彦山線などでも同様の対策を進めている。同社は「防護ネット区間を延長し、衝突事故の減少に努めたい」としている。

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