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2019.2.26 児童虐待と児童相談所など (2019年3月4、5、6、7日に追加あり)
     
 2019.2.17毎日新聞    2013.3.2Yahoo      2015.12.26産経新聞

(図の説明:左図の民法822条、児童虐待防止法、学校教育法に書かれている“懲戒”の定義は不明だが、言葉が穏やかでないため教育目的のしつけに限るべきだろう。しかし、中央の図の“懲戒”の例には、①教室への居残り ②教室内に起立 ③宿題・清掃を課す ④遅刻した子を試合に出さない などが書かれており、右のグラフには、懲戒・体罰を行ったことで処分を受けた公立学校の教員が著しく増加した様子が出ているが、この“懲戒”は、教育目的に入る例も多そうだ。なお、中央の図で、体罰の例として挙げられているものは、言語によるコミュニケーションやディスカッションなど他の方法を使うべきだ)

(1)心愛さん(10歳)のケース
 千葉県野田市で、*1-1のように、10歳の娘を虐待して死亡させた父親が、“傷害”容疑で逮捕され、その暴行を止めずに共謀していた母親が傷害容疑で逮捕され、その虐待の様子は動画で撮影され父親の記録媒体に保存されていたというから、このケースは特に父親が異常人格なのであろう。そして、母親も子どもを護るという親の役割を果していないだけでなく、父親に協力して子どもを虐待しているのが変なのである。
 
 心愛さん自身は、2017年9月以降に通っていた千葉県野田市の小学校で、「父親からいじめを受けた」「叩かれるなどの暴力を受けている」と訴え、野田市は2017年11月に学校からの連絡で虐待の疑いを確認して柏児童相談所は心愛さんを一時保護したが、家庭での養育が可能と判断して両親の元に帰してしまった。

 その後、心愛さんは殆ど学校に来ておらず、休む理由も不自然で、心愛さんの体には日常的虐待をうかがわせる複数のあざがあったというから、それでも気付かなかったというのなら児童相談所(以下“児相”)は役割を果たせていない。これに関して、「忙しかった」という弁解は、結果の重大性から見て通らないだろう。

 心愛さんは、2017年9月に沖縄県糸満市から千葉県野田市の小学校に転入し、そこで父親からの暴力を訴えて、柏市の児童相談所に一時保護された後、親族の家に預けられ、2018年3月上旬に自宅へ返されている。そして、柏児童相談所は心愛さんが自宅に戻ってから一度も面会しておらず、心愛さんが通っていた小学校の校長も、「担任の先生からあざやけがなどの報告はなかった」とし、家族関係はうまくいっていると認識していたとのことである。

 野田市の警察は、野田市からの報告で心愛さんが保護対象であることは把握していたものの、「直ちに対応するべき案件ではない」と判断していたそうで、警察が被害者を守れずに死に至らしめるケースはストーカー事件など多く、これは日本の警察の人権意識の低さに由来する。

 一方、沖縄県糸満市の記録によれば、一家は2009年に糸満市に転入して2017年8月まで住んでおり、市内に母親の実家があり、心愛さんは近くの小学校に1年~3年1学期末まで通っていた。容疑者から児相に直接電話があったのは2017年7月7日で、「祖父母が娘を返してくれない」という内容で、児相の担当者は「児相が支援できるか検討したいので来所してほしい」と求めたそうだ。この場合、糸満市の児相は、何故、祖父母が返さないのか、祖父母や心愛さんからも話を聞くのが当たり前だと考える。

 しかし、沖縄県糸満市には、*1-2のように、母親へのDV被害等について聞き取った記録はなく、当時通っていた小学校では、母親へのDV情報は校長、教頭、担任の三者に留っていたそうだ。個人情報に当たるため、ちょっと相談したら学校中(もしくは町中)に知れ渡り、永久に記録に残るのではうっかり相談もできなくなるが、相談された人は責任を持ってアクションをとる必要があったと考える。

(2)結愛ちゃん(5歳)のケース
 2018年3月に、目黒区で児童虐待によって結愛ちゃんが、*2のように、父親に虐待されて死亡した事件についても、両親は、5歳の子どもには無理なことを要求して虐待している。

 2016年12月に香川県の自宅前で結愛ちゃんが唇から出血した状態で放置されており、児童相談所は一時保護したが、2017年2月には一時保護を解除して自宅に戻している。そして、2017年3月に再度放置され、児相が2度目の一時保護を行い、2017年4月に幼稚園を退園したが、2017年7月には一時保護を再び解除している。

 2017年8月に結愛ちゃんが父親に蹴られたと病院が市に通報もしていたが、2018年1月に一家は東京に引っ越し、香川の児相から東京の児相にそれまでの経緯や情報を伝えていたにもかかわらず、結愛ちゃんは父親の暴行を受けて搬送先の病院で死亡した。

 これも、異常なのは父親と母親であって結愛ちゃんではない。また、このように明確なケースでさえ子どもを保護できずに死亡させたのは、児相の役割を果たしておらず、途中で転居があったとしても弁解の余地はない。

(3)解決策は正しいか?
 *2には、「児童虐待数は25年間で約120倍に増えているが、里親や施設数は殆ど変わっておらず数が足りない」「受け皿が増えなければ、虐待通報があっても家に戻される子どもたちは増加の一途を辿る」と書かれているが、そういうケースもあるものの、祖父母が受け皿になっていても異常な親の元に返しているケースもあり、量だけの問題ではなく質の問題も大きい。

 また、虐待を受けた子の方に精神障害・生育歴などの問題があるとしている点で、児相の構成員にも問題がある。何故なら、(1)(2)のケースは、父母が何らかの理由で異常な状態になっているので、虐待された子どもの精神分析をするよりも、子どもに対しては人権保護措置を行い、傷害罪を起こした親の方を警察に通報しなければならないからだ。

 子どもは生まれながらにしてすべてが天使というわけではないため、しつけをしなければならない局面もあり、親による体罰を法律で禁止しない方がよいという意見は、*3-2のように、子育ての当事者に近い世代の男性で高く、中でも30代と40代で半数以上が「禁止しない方がよい」としている。

 私も、*3-3のように、親の体罰を一律に禁止するより、子に対して傷害や殺人を犯すような行動をとる親を、確実に逮捕したり引き離したりしなければならないと考える。しかし、*3-4のように、児相の職員は、①教育・訓練・指導担当児童福祉司、児童福祉司、相談員 ②精神科を専門とする医師 ③心理判定員、心理療法担当職員 ④小児科を専門とする医師や保健婦 ⑤理学療法士・言語治療担当職員・臨床検査技師などの構成となっており、子どもに障害があることを前提として治療する体制になっているので、これでは目的を果たせない。

 本当は、子どもの虐待に関する証拠を把握できる人(教師・医師)の児相や警察への連絡、子どもの人権を保護するための法的措置(それができる弁護士・警察)、親の背景理解・心理分析・援助(それができるソーシャルワーカー)が必要であるため、現在と同じ構成で人員を増やしても、*3-1のように、質を上げて目的を達成することはできないのである。

・・参考資料・・
<心愛さんのケース>
*1-1:https://www.kodomowokoroshite.com/topic/case-hw0tn/ (虐待,殺人事件 2019/1/25)千葉県野田市 10歳の娘、虐待で死亡 父親を“傷害”容疑で逮捕、「暴行止めず共謀」母を傷害容疑で逮捕 千葉の女児虐待死、心愛さん虐待の様子、動画で撮影 父親の記録媒体に保存
 10歳の長女の髪の毛を引っ張り、冷水シャワーを浴びせたり、などしたとして、千葉県警野田署は2019年1月25日、傷害容疑で、父親の自称会社員、栗原勇一郎容疑者(41)=同県野田市山崎=を逮捕した。栗原容疑者は1月24日午前10時~午後11時20分ごろまでの間、自宅で千葉県野田市立小学校4年生の栗原心愛さん(10)の頭髪を引っ張って冷水を掛けたほか、首付近を両手でわしづかみにするなど暴行し、擦過傷を負わせた疑い。栗原容疑者は「事故だった。けがをさせるつもりはなかった」といった趣旨の供述をしている
24日午後11時すぎ、「風呂場でもみあいになった娘が呼吸をしていない」などと110番通報があった。警察と消防が駆けつけたところ、アパートの部屋に住む小学4年生の栗原心愛(みあ)さんが風呂場で倒れて死亡していた。死亡したのは小学4年の栗原心愛さん。体中に古いあざがあったといい、同署は日常的に暴行を受けていたとみて調べている。栗原容疑者は4人家族。当時、自宅には妻(31)と次女(1)もいたとみられる。
(続報2)一時児相の保護、近所の人は気づいていた
心愛さんが2017年に通っていた市内の小学校に「父親からいじめを受けた」と訴えていた。野田市は同11月、学校からの連絡で虐待の疑いを確認。柏児相は心愛さんを一時的に保護したが、「家庭での養育が可能と判断」し、両親の元に帰した。
■毎日のように泣き声が聞こえた
 隣のアパートに住んでいる40代の女性は、「数年前から毎日のように女の子の泣き声が聞こえた。最近はつぶれたような声になっていて怖かった。聞こえるのは決まって夕方で、24日も夕方ごろ、女の子の『ぎゃー』という泣き声と、男性の声で『うるさいって言ってんだろ』というどなり声が聞こえた。近所に住む知人は、女の子が夜中に外に1人で立って、寂しそうに携帯ゲームをしているのをよく見たと話していた。幼い尊い命が失われて本当にかわいそうです」と話していた。
■助けてあげたかった
 亡くなった心愛さんと同級生の娘を持つ女性は「あいさつができて、いつもにこにこしていてとてもかわいい子でした。学校にはほとんど来ていませんでしたが、休んでる理由はわかりませんでした。栗原さんの家は赤ちゃんがいるから、インターホンを鳴らさないでと言われていて、遊びに行ったことはありませんでした。心愛ちゃんがうちに遊びに来たときは、あざなどは見当たらず、虐待を受けているという話は聞いたことがありませんでした。亡くなったと聞いたときは信じられなかった。もし知っていたら助けてあげたかった」と話していた。
(続報3)死亡した心愛さんを数時間放置、容疑者は学校に嘘
 遺体発見時、心愛さんのあご付近に軽い死後硬直があり、栗原容疑者が暴行後、死亡した心愛さんを数時間放置した可能性が浮かび上がった。また、心愛さんの体には日常的な虐待をうかがわせる複数のあざがあった。2017年9月に沖縄から千葉県・野田市の小学校に転入。同年11月には学校のアンケート調査に「父からいじめを受けた」と回答。その後の聞き取りで「叩かれるなどの暴力を受けている」と話していた。これを受け、11月のうちに柏市の児童相談所が心愛さんを一時保護。その後、一時保護は解除され、心愛さんは親族の家に預けられたのち、2018年1月に現在の小学校に転校。3月上旬には自宅へと戻った。
-柏児童相談所は記者会見で、心愛さんが自宅に戻ってからは一度も面会はしていないとした。記者から「学校に丸投げか」との質問が出ると、「丸投げというつもりはないですが、基本的には役割分担ということで」と説明。
-心愛さんが通っていた小学校の校長は記者会見で、「担任の先生からあざ・けがなどの報告はあったか」との質問に、「そういう報告はなかった」と話した。家族関係はうまくいっているものと認識していたという。
-警察は、野田市からの報告で心愛さんが保護対象であることを把握していたものの、「直ちに対応するべき案件ではない」と判断していた。下校後には鍵を持っておらず、両親から「インターホンを鳴らすことを禁じられていた」ため家に帰ることができず、近所の同級生の家に毎日のように寄っていた。心愛さんを知る人:体操服の袖のところからあざが見えたとか、子どもがその子(心愛さん)に「どうしたの?」とは聞けなかった。心愛さんは1月7日の始業式から小学校を欠席。栗原容疑者は学校に対し「来月上旬まで沖縄に帰省している」と説明していた。児童相談所もその説明を把握していたものの、危機感は持っていなかった。沖縄県にいる心愛さんの祖母は、FNNの取材に対し、「心愛は沖縄から転居して以来、姿を見せていません。沖縄には来ていません」と否定した。1月28日に発表された司法解剖の結果では、体には複数のあざがあったものの、「死因は特定できなかった」という。
(続報4)沖縄に住んでいた、沖縄では祖父母が一時保護、妻に対するDVも
沖縄県糸満市によると記録上、一家は2009年に同市に転入し、2017年8月まで住んでいた。転出時、心愛さんは両親と生まれた直後の妹の4人家族だった。複数の関係者によると、市内に母親の実家があり、近くの小学校に1年~3年1学期末まで通っていた。沖縄県青少年・子ども家庭課によると、容疑者から児相に直接電話があったのは2017年7月7日。「祖父母が娘を返してくれない」との内容で、児相の担当者は「児相が支援できるか検討したいので来所してほしい」と求めた。容疑者は結局、来所しなかった。さらに1週間後の同月14日には糸満市から児相に対し、容疑者から妻への暴力が疑われる事案として、対応への助言を求める電話があった。児相は市の担当者に対し「情報が少なく判断が難しい。糸満市で支援体制を整えてほしい」と回答した。沖縄県が「児相との継続的な関わりはないケース」と説明する一方、糸満市は一家を巡る関係者の情報を整理中としている。心愛さんが在籍していた糸満市の小学校の校長は「積極的に授業に参加し、一生懸命頑張っていた。担任にも聞き取りをしたが、あざなど虐待の兆候は見られなかった」と話す。2017年7月、母親が心愛さんの妹を出産する前後に、学校まで心愛さんを迎えに来た容疑者に会った。「本土出身で話し上手で、気さくな人に見えた。報道を見て信じられなかった」と振り返る。担任は親から市内の別の学校に転校すると聞いていたが、同年9月に千葉へ転校したとの知らせが学校に届いたという。心愛さんは16~17年、地元の公共施設での無料塾に週2回、通っていた。講師は「こつこつと勉強を頑張る明るい子。3年生になってから『県外の学校に行く』と寂しそうに話していたのを覚えている。事件を知って驚いている」と話した。
(続報5)母親から事情聴取
傷害容疑で逮捕した、父親の栗原勇一郎容疑者について、母親(31)が事情聴取に「事件前にも夜中に娘を起こして立たせることがあった。ずっと立たせるのはやめてと言ったが聞いてもらえなかった」と話していることが分かった。事件前から母親の制止にもかかわらず、たびたび虐待をしていた疑いがあるとみて生活状況を調べる。栗原容疑者は心愛さんが死亡した1月24日に「午前10時からしつけで立たせたり、怒鳴ったりした」と説明していた。
(続報6)
容疑者が県警の調べに、死亡当日に長時間立たせたことなどについて「しつけのつもりで、悪いことをしたとは思っていない」と供述している。また、容疑者が「事件前にスクワットをさせたりした」と話していることも判明。夜中に心愛さんを起こして立たせることがあったことも分かっており、県警は虐待が続いていた疑いがあるとみて生活状況を調べている。
(続報7)
野田市の教育委員会は、心愛さんが2017年11月、学校が行ったアンケートで「父から暴力を受けている」と回答したコピーを、容疑者である父親に渡したことを明らかにした。アンケートの目的は、“いじめに関する調査”。「ひみつをまもりますので しょうじきにこたえてください」という一文も添えられ、ここに書くことは絶対に秘密だと信じたであろう心愛さんは、アンケートにこう回答していた。
<心愛さんが書いたアンケートの自由記述の部分>
「お父さんにぼう力を受けています。夜中に起こされたり、起きているときにけられたりたたかれたりされています。先生、どうにかできませんか」。市教育委員会の担当者:精神的に追い詰められて、やむにやまれず(アンケートのコピーを)出してしまったというのが正直なところです。
(続報8)2018/2/4
県警は4日、傷害容疑で逮捕した父勇一郎容疑者の暴行を制止しなかった共謀にあたるとして、同じ容疑で母親の栗原なぎさ容疑者(31)を逮捕した。なぎさ容疑者は勇一郎容疑者からドメスティックバイオレンス(DV)を受けていたことが判明している。一家が暮らしていた沖縄県糸満市には、なぎさ容疑者の親族から「勇一郎容疑者からDVを受けている」との情報が寄せられていた。また、心愛さんを一時保護した際には、千葉県柏児童相談所に、なぎさ容疑者が「今もDVを受けている」と打ち明けていた。捜査関係者は「勇一郎容疑者による虐待が常態化する中、心愛さんへの暴力がなくなったら自分に矛先が向くと考え、マインドコントロールされていたのではないか」と話している。1月28日に心愛さんの遺体を司法解剖したが、死因は分からなかった。市教育委員会は「個人情報で本人同意もない」とアンケートを渡すことを拒否したが、勇一郎容疑者が心愛さんの「同意書」を持参し、一緒にいたなぎさ容疑者も本人が書いたと話したことから写しを手渡したとしている。
(続報9)2019/2/8 虐待動画撮影
心愛さんが虐待される様子の動画データを県警が発見していたことが分かった。心愛さんが死亡した日より前に撮影されたとみられ、県警は事件に至るまでの虐待行為を解明する重要な証拠になるとみている。動画データは父親の勇一郎容疑者が所有していた記録媒体に保存されていた。県警が確認したところ、1月にスマートフォンで撮影された可能性が高いことがわかった。心愛さんが勇一郎容疑者とみられる人物から暴行を受ける様子や、ぐったりしている姿などが映っていたという。県警は勇一郎容疑者か母親のなぎさ容疑者が撮影したとみており、映像の解析などを進めている。

*1-2:https://ryukyushimpo.jp/news/entry-880780.html (琉球新報 2019年2月26日) 沖縄・糸満市、DV記録なし 小4女児死亡 学校も情報共有怠る
 千葉県野田市立小4年の女児(10)が自宅浴室で死亡した事件で、糸満市が母親へのDV(ドメスティックバイオレンス)被害などについて母親に直接聞き取ったか記録にないことが25日、分かった。当時通っていた小学校では母親へのDVなどの情報は校長、教頭、担任の三者にとどまり、養護教諭には伝えていなかったことも明らかになった。市や学校は女児本人にも聞き取りをしておらず、積極的に対応しなかったことがあらためて明らかになった。同日開かれた市議会の総務委員会と民生委員会の連合審査会で、市と市教育委員会が説明した。女児の一家は、2017年8月まで糸満市で暮らしていた。母親の親族は同年7月に市の窓口で、母親へのDVと女児へのどう喝を相談していた。神谷和男福祉部長は「母親が入院中で、本人に聞き取りできなかった」と説明。17年7月下旬に母親の入院先で母親と情報を寄せた親族、医師、市と面談した際に「母親本人が家族4人での同居を強く希望していたため、同居が望ましいと判断した。DVがあったかなかったかというのは、話し合いの中では出てこなかった」と明らかにした。市教育委員会の大城直之指導部長は学校への再度の聞き取りで、母親へのDVなどの情報が女児と同学年の教諭に「家庭内のトラブル」とだけ伝えられていたことを報告した。養護教諭は家庭内のトラブルについても知らなかったという。大城指導部長は「検証委員会で学校の対応が適切だったか検証してもらい、今後につなげたい」とした。市は、市や市教委の対応を検証する要保護児童対策地域協議会(要対協)の代表者会議を2月18日、実務者会議を21日に開いたことも報告した。構成メンバーに福祉部長や教育委員会指導部長ら市当局が入っていることも分かり、市議から中立性や客観性を疑問視する声が上がった。

<結愛ちゃんのケース>
*2:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56028 (現代 2018.6.9) 「もうおねがいゆるして…」目黒5歳虐待死はなぜ防げなかったのか、二度とこのようなことが起きないために、「ゆるしてください おねがいします」
 2018年3月に目黒区で児童虐待によって船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5歳)が父親に虐待され死亡した事件について、連日ニュースで流れており、たくさんの人が結愛ちゃんの残したノートのコメントを見て心を痛めているのではないかと思います。
【残されたノートの言葉】
ママ
もうパパとママにいわれなくても しっかりとじぶんから きょうよりかもっと あしたはできるようにするから
もうおねがいゆるして ゆるしてください おねがいします
ほんとうにもうおなじことはしません ゆるして
きのうぜんぜんできなかったことこれまでまいにちやってきたことをなおす
これまでどんだけあほみたいにあそんだか あそぶってあほみたいだからやめる もうぜったいぜったいやらないからね ぜったいやくそくします
もう あしたはぜったいやるんだぞとおもって いっしょうけんめいやる やるぞ
 虐待を受けていたり、家庭環境によって社会的に孤立したりした子どもたちを支援している立場として、また一人の大人として、まだこのような事件がゼロにならない現状に無力感や苦しさを感じています。
●虐待発覚から死亡までの経緯
 報道によれば、虐待発覚から死亡までの流れは以下のようになっています。
2016年12月 香川県の自宅の前で結愛ちゃんが唇から出血した状態で放置され、児童相談所が一時保護をしていた
2017年2月 一時保護を解除され自宅に戻る
2017年3月 また放置され、児童相談所が2度目の一時保護
2017年4月 幼稚園を退園
2017年7月 一時保護を再び解除
2017年8月 結愛ちゃんが「パパにけられた」と病院が市に通報もしていた
2018年1月 東京に引っ越し。香川の児童相談所から東京の児童相談所にそれまでの経緯や情報は全て伝えていた
2018年2月9日 東京の児童相談所職員が自宅訪問したが、結愛ちゃんに会わせてもらえず
2018年2月20日 小学校の入学説明のため関係職員が自宅訪問したが、結愛ちゃんに会わせてもらえず
2018年2月下旬 父親が結愛ちゃんの顔面殴るなどの暴行
2018年3月2日 搬送先の病院で結愛ちゃん死亡。享年5歳
(引用:FNN PRIME onineより)
 つまり、本件は虐待が発見されていない状況ではなく、近所の住民や病院などから何度も通報があり、児童相談所が2つも介入しており、死に至る前に未然に防げるチャンスはあったものです。そして度重なる通報があったにもかかわらず、結愛ちゃんの一時保護は2度も解除され、家庭に戻されました。一時保護後に家庭に戻さなければ、自宅訪問した際にもっと介入していれば、死に至る前に防げたかもしれない――そう思うと、余計にやるせない気持ちを感じずにはいられません。今回の結愛ちゃんの事件に限らず、児童虐待の通報は後を絶ちません。平成28年度中に、全国210ヵ所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は122,578件で、これまでで最多の件数となっています。1日に約300件以上になる計算です。さらに平成29年の厚生労働省が発表したデータによると、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの子どもの虐待死事例は、心中以外の虐待死が52人、心中による虐待死事例は32人にのぼり、1年間で合わせて84人の子どもたちが心中または虐待死で命をなくしています。ニュースで見かけるよりもたくさんの子どもたちが、虐待によって命をなくしている現状があるのです。
●なぜ一時保護を解除し、自宅に戻したのか
 今回、多くの人が疑問に思ったのはおそらく「なぜ何度も通報があったにもかかわらず、結愛ちゃんの一時保護を解除し、自宅に戻したのか」という点ではないかと思います。実は虐待の通報があっても、そのすべてが保護されるわけではありません。平成27年度、相談対応した約10万件のうち、一時保護されたのは約17%に過ぎず、さらにその中で施設入所等に至ったのはたった4%にしかすぎません。つまり、虐待通報をしたとしても、96%は家庭に戻されているのです。
●厚生労働省「第5回子ども家庭福祉人材の専門性確保WG」
 私たちも長年児童養護施設などに保護された子どもたちの支援をしてきましたが、中には何年も虐待を受けていたにもかかわらず、発見されなかったり、保護がされず深刻な心の傷を負ってしまっていたり、長年にわたって命の危険と隣り合わせて生活していた子どもたちもいます。十分な栄養、十分な学習環境などが保障されず、施設に保護されてからそれまでできなかった支援を補う形で活動をしていますが、「もっと早く発見されていれば」「もっと早く支援ができていれば」と思わずにはいられないケースがたくさんあります。この背景の一つには、児童養護施設や里親などが足りていない問題があります。対応している児童虐待数は25年間で約120倍に増えていますが、里親や施設数はほとんど変わっていないことが以下のデータからわかります。里親・ファミリーホームは約3倍近く増えているものの、もともとの数が少ないため、約4000人分の受け皿しか増えておらず、10万件以上の虐待対応の受け皿としてはあまりにも少ない状況です。
●厚生労働省「第14回 新たな社会的養育の在り方に関する検討会」
 現在約4万5千人の子どもたちが各種施設や里親に暮らしていますが、その受け皿が増えなければ、虐待通報があっても家に戻される子どもたちは増加の一途をたどります。一方で、日本では里親・ファミリーホームの数を増やす予定ですが、乳児院をはじめとした施設形態は今後増やさない方針を掲げています。2017年7月には、厚生労働省が未就学児は施設入所を原則停止すると発表しました。今後は里親が増えない限り、受け皿は増えなくなってしまいます。受け皿自体が足りない中で、里親の増加数だけに頼っていいのか、悩ましい状況でもあるのです。
●なぜ児童相談所は家庭訪問を強化しなかったのか
 今回の事件でのもう一つの疑問は、「親が結愛ちゃんに会わせることを拒否した時点で、なぜもっと頻繁に家庭訪問をして保護にもっていけなかったのか」という点です。平成11年から平成27年にかけて、児童虐待相談対応件数は約8.9倍増えたのに対して、児童相談所と児童福祉司の数は約2.4倍にしか増えていません。児童福祉司とは、虐待の通報にあった家庭に訪問したり、近隣の住民などのヒアリングを介して、虐待保護の緊急度や必要性などを判断したりする立場にいるものです。一つの児童相談所や、児童福祉司が対応するケースは単純に考えて4倍程度に膨れ上がったことになりました。東京の八王子児童相談所のホームページによると、児童福祉司一人で担当するケースは平均80〜100件だといいます。児童虐待防止制度改正後の運用実態の把握・課題整理及び制度のあり方に関する調査研究」(平成18年、日本子ども家庭総合研究所)によれば、児童虐待以外を含めた児童福祉司一人当たりの受持ち件数は平均107件と言われています。1ヵ月に20日勤務すると考えて、1家庭に1日(約8時間)割くとしても、平均して5ヵ月に1回しか1家庭に時間を割くことができません。しかも、1家庭に8時間というのは、近隣のヒアリングから親との面談、ケース会議などを十分に行うにはあまりにも少ない時間です。そして、今回のように素人から見ても緊急度を上げて、もう一度訪問した方が良い案件についても後回しになってしまい、取り返しのつかない状況になってしまいかねない構造的問題もあります。より手厚い児童福祉司の配置、そのための児童福祉予算の増加などは、このような痛ましい事件を防ぐためには必要不可欠となっているのです。
●私たちにできることはあるのか
 では、このような事件を防ぐために、私たちはなにができるのでしょうか。虐待の背景には、親本人が困っていたり、孤立したケースが多く見受けられます。貧困や、鬱などの精神障害、虐待を受けて育ってきた生育歴。また、社会保障制度へのリテラシーも低く生活保護や困窮世帯が受けられる制度を十分に理解していなかったり、だれかに頼ることがうまくできなかったりするケースも少なくありません。もし困っている人が近くにいたら、その人を責めるのではなく、「頼りたい」と思えるひとりになり、あたたかく見守り、できることがあれば手を差し伸べ続けることが、今の社会では最も難しいことかもしれませんが、最も大切なことでもあると感じています。しかし、地域間格差や教育格差が拡がっている中で、自分の地域やコミュニティには自分自身と境遇が似ている人が多く、身近に困っている人がいない・見つからないこともあるかもしれません。そんな時にできることを紹介します。(以下略)

<解決策は?>
*3-1:https://www.nishinippon.co.jp/feature/life_topics/article/464216/ (西日本新聞 2018年11月9日) 児童相談所の課題<上>人材育成 増員で埋められない「質」
 3月、東京都目黒区で5歳の女児が虐待死した。転居によって香川県、東京都の両児童相談所(児相)が関与しながら死を防げなかったため「目黒の悲劇を起こさないために」という掛け声の下、児相の改革を求める声も上がる。11月は児童虐待防止推進月間。年間13万件超の虐待対応に追われる児相の課題を考える。2022年度までに児童福祉司を約2千人増員し、1人当たりの担当件数を40ケース相当にする-。目黒の事件を受け、政府は7月、緊急総合対策を発表した。柱は「人材」だった。対策は、虐待通告から48時間以内に面会などで安全確認ができなかった場合、児相が立ち入り調査を実施するとともに、警察との情報共有を進めることをルール化するとした。これらを実行するにも人が要る。この対策に盛り込んだ「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」の骨子によると、現在の児相の1人当たり業務量は約50ケース。都市部では100件近くを担当する職員も珍しくない。専門家は、目黒区の事件のような「虐待疑いのある子どもが在宅しているケース」は特に注意が必要で、1人20~30件程度が理想と言う。数でみると、増員すれば1人の担当数が減り、判断ミスを減らせるように思える。しかし現場からは「増員だけでは解決しない」との声も上がる。
    *   *
 児童福祉司の仕事は、家庭の抱える問題を解決に導く「ソーシャルワーク」。貧困、親の成育歴、地域からの孤立、夫婦間のトラブル、子どもの障害など、複雑に絡み合った問題から、子どもの虐待のリスクを見立て、解決に向けて支援する。こうした技量は「現場で職務を実行しながら身に付けるしかない」と児相関係者は口をそろえるが、その経験豊富な児童福祉司が育たない、という長年の課題がある。児相以外への異動でキャリアが断たれるのだ。児童福祉法などでは、5年ほどの児相勤務経験がある児童福祉司を、指導的立場のスーパーバイザー(SV)として「5人に1人は配置する」としている。しかし熊本、鹿児島両県や熊本市など、基準を満たせていない児相もある。熊本県中央児相は「職員が3年ほどで異動となるので、5年の経験を積ませるのが難しい」と説明する。増え続ける虐待通告に追われ、子どもの命に関わる重責がのしかかるため「勤務継続を希望する職員はめったにいない」(九州のある児相幹部)実態もある。児相の相談に応じる「子どもの虹情報研修センター」(横浜市)の小出太美夫(たみお)専門相談室長は、経験ある職員を増やせない環境下で、経験ゼロの職員を増やせば「育成にさらに人手が必要になり、現場がエアポケットのような状態になるのではないか」と懸念する。
    *   *
 こうした悪循環を打破しようと、各児相も模索している。鍵は「連携」だ。福岡市は12年から、夜間の泣き声通告の安全確認をNPO法人に委託している。泣き声通告は緊急でない場合も多く、児童福祉司は負担が減り、深刻な案件に集中できるようになった。ただ、安全確認を委託しているのは全国で5件のみ。児童福祉司1人が100件ほどのケースを抱える北九州市は「誰にでも任せられる仕事ではなく、適任団体がない」と難しさを漏らす。大分県は、手作りの玄関を使った家庭訪問の模擬訓練を、市町村担当者にも頻繁に行っている。職員の技量向上とともに、市町村の対応力を上げ、軽度の案件を任せるのが狙いだ。他にも、生活保護のケースワーカーや保育士、教員を児童福祉司として配置するなどの人事上の工夫をしているところも多い。5年後10年後には、増員が功を奏してベテランが育ち、理想の体制になるかもしれない。その過渡期をどう乗り越えるか-。小出室長は、現場で育成に時間をかけられない分、虐待死亡の後に出される検証報告で学ぶ重要性を指摘する。目黒の事件でも検証報告が出され、女児の家庭に対するアセスメント(分析評価)にミスがあったと指摘。しかし、(1)児相職員の資質向上(2)転居に伴うケースの確実な引き継ぎ(3)妊娠期からの継続的な支援-などの提言は、これまでの報告の域を出ない。小出室長は「ケースが100通りあれば背景も100通り。経験の浅い職員には検証報告が経験値代わりになるので、国は加害者である親の成育歴までさかのぼるような詳細な検証を実施して公開すべきだ」と話す。 

*3-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13898966.html (朝日新聞 2019年2月19日) 子への体罰禁止「法制化を」46% 朝日新聞社世論調査
 「しつけ」に名を借りた児童虐待が相次いでいることを受け、朝日新聞社は16、17両日の世論調査で、親による体罰を法律で禁じることの是非を聞いた。「禁止する方がよい」は46%で、「しない方がよい」の32%を上回った。親の子どもへの体罰禁止を明記した法律はない。相次ぐ事件を受け、国会では家庭内の体罰禁止を法制化すべきだという意見が出ている。体罰禁止の法制化の是非を男女別にみると、「禁止しない方がよい」は男性が40%と比較的高く、女性は24%だった。年代別では、子育ての当事者に近い世代で、法制化に慎重な傾向がうかがえた。40代以下は「禁止しない方がよい」が4割と高めで、中でも男性の30代と40代は半数以上が「禁止しない方がよい」と答えた。一方、70歳以上は「禁止する方がよい」が52%だった。千葉県野田市で小4女児が自宅で死亡した事件での児童相談所や教育委員会の対応には「大いに」と「ある程度」合わせて95%が「問題があった」と答えた。「大いに問題」は男性の62%と比べ、女性の72%の方が高かった。

*3-3:https://mainichi.jp/articles/20190217/k00/00m/040/001000c (毎日新聞 2019年2月17日) 親の体罰禁止へ法改正を検討 政府・与党 民法「懲戒権」削除も視野
 政府・与党は、児童虐待防止に向け、両親など家庭内の体罰を禁止する法改正の検討に入った。今国会で児童虐待防止法に体罰禁止の明記を検討。その上で、今後、親が子どもを戒めることを認める民法の「懲戒権」の削除などの見直しも目指す。民法改正には法制審議会(法相の諮問機関)の審議が必要で、法改正まで時間がかかる。このため、児童虐待防止法改正を先行させたい考えだ。児童虐待防止の観点からの体罰禁止はこれまでも議論されてきた。特に民法の懲戒権については、児童相談所(児相)の職員らに「しつけ」を理由にした虐待事案への介入をためらわせる一因にもなっていると指摘されてきた。だが、2010年の法制審での議論では「『しつけ』もできなくなると誤解される恐れがある」などの反対論が出た。このため、16年の児童虐待防止法改正では体罰禁止が議論になったが、踏み込めなかった。千葉県野田市の栗原心愛(みあ)さん(10)や東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5歳)の事件はいずれもしつけ名目で暴力を受けており、社会的関心が高まった。東京都は全国に先駆けて保護者による体罰や暴言を禁止する条例案を今月20日開会の都議会定例会に提出することを決めている。さらに、国連の子どもの権利委員会も今月7日、体罰の法的禁止を日本政府に勧告したことなども踏まえ、安倍晋三首相は13日の衆院予算委員会で「懲戒権の規定の在り方について法務省に検討させる」と答弁。山下貴司法相は15日の記者会見で「具体的な検討方法やスケジュールを担当部局に検討させている」と表明し、法制審への諮問を示唆した。児童虐待防止策を検討してきた超党派の議員連盟(会長・塩崎恭久元厚生労働相)などからは「児童虐待防止法での体罰全面禁止に再挑戦すべきだ」との声が強まっている。ただ、自民党の保守派議員らには「家族の在り方に踏み込むべきでない」との声が根強く、政府は慎重に検討する意向だ。
●懲戒権
 民法822条で、親(親権者)に認められている子どもを戒める権利。2011年の民法改正で「子の利益のため」との前提を加え、児童虐待の口実にはならないことを明確にした。法務省は「なぐる」「たたく」などの体罰について「その時代の社会常識で判断される」とし、現在は「相当限定される」との立場。学校教育法は、親権者ではない校長や教員による児童・生徒への体罰を明確に禁じている。

*3-4:https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv-soudanjo-kai-sinkyu02.html 児童相談所運営指針 - 第2章(児童相談所の組織と職員 抜粋)
第3節 職員構成
1.規模別職員構成の標準
第1章に述べられている諸般の業務遂行のため、所長、次長(A級の場合)及び各部門の長のほか、次の職員を置くことを標準とする。
C級-教育・訓練・指導担当児童福祉司(ス-パ-バイザ-)、児童福祉司、相談員、精神科を専門とする医師(以下「精神科医」という。嘱託も可。)、心理判定員、心理療法担当職員、その他必要とする職員
C級-教育・訓練・指導担当児童福祉司(ス-パ-バイザ-)、児童福祉司、相談員、精神科を専門とする医師(以下「精神科医」という。嘱託も可。)、児童心理司、心理療法担当職員、その他必要とする職員
B級-C級に定める職員のほか、小児科を専門とする医師(以下「小児科医」という。嘱託も可。)、保健師
A級-B級に定める職員のほか理学療法士等(言語治療担当職員を含む。)、臨床検査技師

<しつけと暴行罪の境界>
PS(2019年3月4日追加): *4-1は、母親が息子を足で蹴るなどしたとして佐賀地検が暴行罪で起訴したそうだが、けがもないのに誰が通報したのだろうか? *4-2に、暴行罪は「他人の身体に対し有形力を行使し、傷害するに至らないとき成立する罪」と書かれているが、母親は息子に長時間耳もとで泣かれたかもしれず、「過ぎたるは及ばざるがごとし」に思えた。

*4-1:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/344272 (佐賀新聞 2019年3月2日) 男児蹴った母、暴行罪で起訴 佐賀地検
 2月に当時2歳だった息子を足で蹴るなどしたとして、佐賀地検は28日、容疑者の母親(26)=佐賀県東松浦郡玄海町=を暴行罪で起訴した。起訴状によると、被告は2月4日午前9時45分ごろ、当時2歳10カ月の息子の腹部付近を1回足で蹴ったとしている。唐津署などによると、男児にけがはなかったという。被告は夫と息子の3人暮らし。同5日に北部児童相談所から県警本部へ虐待についての通報があり、唐津署が関係者などに事情聴取したところ、容疑が明らかになった。

*4-2:https://kotobank.jp/word/%E6%9A%B4%E8%A1%8C%E7%BD%AA-131957 (コトバンク) 暴行罪
 他人の身体に対し有形力を行使し,傷害するにはいたらないときに成立する罪 (刑法 208) 。暴行は人の身体に物理的な力を加えることであり,その結果,普通は心理的または肉体的に苦痛をもたらす。したがって,なぐる,蹴るといった場合だけでなく,催眠術を施したり,長時間耳もとで異常な騒音を立てることも暴行になる。面前で刃物を振回す行為なども含まれる。暴行の故意のある場合のほか傷害罪の未遂も本罪となる。逆に暴行の意思で暴行を加え,結果として人を傷害するにいたれば傷害罪となり,死亡させれば傷害致死罪となる。

<子どもの人権を護るために>
PS(2019年3月4日追加):*5-1のJA保育園は、「①自然の中で美味しい食材を使って0~2歳児を保育する」「②園児の食への関心を高める工夫がある」「③木製おもちゃや絵本など園児の想像力を膨らませるアイテムが多い」「④隣りにJA直販所・JA直営レストランやカフェ・金融共済窓口があって便利」など、農業地帯の長所を活かした仕様になっているが、このような質の良い保育所が十分にあることは重要だ。
 一方、*5-2のように、学童保育は整備が追い付いていないため、運営基準を緩和して1カ所に職員1人でもよいことにするようだが、確かにサービスの質や安全性の低下に繋がり易く、例えば暴行してもチェックされず、暴行ではないが無視するということも起こりうる。そのため、0歳から学齢期の児童まで切れ目なく質の高い保育サービスを提供して子育て世帯を支援できるように、政府だけでなく地方自治体やJA・企業の工夫も望まれる。

*5-1:https://www.agrinews.co.jp/p46915.html (日本農業新聞 2019年3月2日) JA保育園開園 育休復帰支える えひめ中央
 JAえひめ中央は1日、松山市のJA本所と同一敷地内に企業主導型保育「おひさま保育園」を開園した。企業主導型保育は西日本エリアの総合JAで初の試み。同日に入園式を行い、0~2歳の子ども7人が保護者に抱かれ、元気に登園した。JAは、職員の育児休業後の復帰を支援し福利厚生を充実させようと、構想も含め約2年前から開園準備を進めてきた。「おひさま保育園」は、JA本所とJA農産物直販所「太陽市」両建物の中間地点に建つJA新施設「MATTERU(まってる)」内に設置。「おひさま保育園」の運営は社会福祉法人育和会が行い、保育対象は0~2歳、定員は18人。うち半数を地域枠とし、地域の待機児童改善や若年層のJA利用促進を図る。同園には調理室を設置。「太陽市」の食材などを使用した温かい給食が提供できるだけでなく、1、2歳の園児が過ごす部屋からガラス越しに調理する様子が見える設計にして、園児の食への関心を高める工夫を施した。木製のおもちゃやカラフルな絵本など園児の想像力を膨らませるアイテムも多く、小規模園ならではのアットホームな環境づくりで質の高い保育を目指す。入園式後、園内の利用方法の説明を受けた保護者からは「働く女性にとって、すごくありがたい保育園。布団などもすでに準備していただき、親の負担が少ない。隣りにはJA直販所もあるので、迎えついでに買い物もできて便利」と話す。「MATTERU」はJA直営レストランやカフェ、金融共済窓口やローンセンターなどを兼ね備えた複合施設。グランドオープンは4月7日。

*5-2:https://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/491231/ (西日本新聞 2019年3月3日) 学童保育の未来 運営の質が下がらないか
 共働き家庭などの小学生を、学校や児童館などで預かる放課後児童クラブ(学童保育)について、政府が運営基準を緩和する方針を打ち出した。現行制度では、1カ所につき職員2人以上の配置が義務付けられている。これを従うべき基準ではなく、参考とすべき基準(参酌基準)に改め、自治体の裁量を広げて、1人にもできるようにするという。学童保育は全国に約2万5千カ所あり、登録児童数は120万人を超えている。働く女性の増加とともにニーズも高まっているが、整備が追い付いていない。2018年5月時点で利用できない待機児童は、全国で約1万7千人、九州7県では約1800人を数える。国は19年度から5年で30万人分の受け皿を整備する方針を示した。これに対し、地方では職員の確保が難しいといった理由で、全国知事会などが運営基準の緩和を国に求めていた。利用者の数は確かに、地域や時間帯によって異なる。全国一律の基準が緩和され、地域の保育需要に応じて柔軟な対応が可能になれば、待機児童を減らせる自治体もあるだろう。とはいえ、児童を見守る職員の数を減らすことは、サービスの質や安全性の低下につながりはしないか。強い疑念が残る。学童保育の運営主体は自治体や社会福祉法人、保護者グループなどさまざまだ。習い事を導入するなど、多様な取り組みが評価される一方で、さまざまな問題も指摘されている。1カ所当たりの児童数の目安は40人以内とされるが、利用定員が70人を超えるケースもある。施設や設備が貧弱な所も少なくない。職員待遇は総じて低く、人材が集まらない大きな要因となっているという。運営時間の短さも利用者に不評だ。そもそも、国が15年に職員配置基準を導入した理由は、規制が緩やかな学童保育の安全性を担保することにあったはずだ。自治体の求めに応じて基準を緩める前に、国は地方の人材確保や施設整備を財政支援の拡充で後押しすべきではないか。もし、基準を緩和する場合、自治体はサービスの質と安全性の確保に重い責任を負うことを自覚する必要がある。主に子育てしながら働く女性を念頭に置いた「小1の壁」という言葉がある。学童保育に入れない、たとえ入れても運営時間が短いために、保育所を利用できていた時より仕事と育児の両立が難しくなる現状を指す。男性も女性も共に働き、子育てする時代である。0歳児から学齢期まで切れ目なく共働き世帯を支援できる体制構築へ、骨太の議論を国に求めたい。

<外国人の就学義務>
PS(2019年3月5日追加): *6の「就学させない」というのは、外国人の子どもの学ぶ権利を侵害するとともに、日本と母国の架け橋となれる将来の労働力の質を落とすため、義務教育への外国人の就学を法律に明記した方がよい。また、児童労働や(特に女子の)低年齢での結婚習慣がある地域から来る外国人労働者もいるため、これらは明文の規定で禁止した方がよいと考える。

*6:https://mainichi.jp/articles/20190304/k00/00m/010/156000c?fm=mnm (毎日新聞 2019年3月5日)就学しない外国人の子、初の全国調査へ 1万6000人以上確認できず
 日本に住民登録している義務教育年齢の外国人のうち、1万6000人以上が学校に行っているか確認できていない問題で、文部科学省は来年度、初の全国実態調査に乗り出す方針を固めた。4月の改正入管法施行で「外国籍児」がさらに増加すると予想される中、就学機会の確保を徹底する必要があると判断した。全国の1741自治体に就学不明児の人数を照会し、全体像を確認。就学状況の把握に向けた取り組みの有無も調べる。調査は4月以降、自治体の協力を得て実施する。住民登録がある6~14歳の外国籍児のうち、学校に行っているかどうか分からない就学不明児を集計すると同時に、自治体が就学状況を把握するための戸別訪問などに取り組んでいるか調査する。先進的な事例を紹介し、他の自治体に導入を促すことも検討する。日本人の場合、保護者は憲法で子どもに教育を受けさせる就学義務を負うが、外国籍は対象外で受け入れるかどうかは自治体に委ねられている。そのため就学不明や、学校に行かない不就学となる外国籍児は少なくない。毎日新聞が昨秋、外国籍児の多い上位100自治体を対象に実施したアンケートでは、外国籍児約7万7500人のうち、2割にあたる約1万6000人が就学不明だった。外国籍児の多い浜松市や岐阜県可児市などは、就学状況を把握して就学を促すため、戸別訪問や外国人学校への在籍確認、出入国履歴の確認といった独自の調査を進めてきた。一方、就学義務がないことなどを理由に、事実上、放置したままの自治体もあり、対応には温度差がある。文科省は2005~06年度、外国籍児の多かった1県11市の協力を得て、就学不明の外国籍児の世帯を戸別訪問し、112人の不就学児の発見につなげた。不就学調査はその後、希望する自治体に補助する形で断続的に行われてきたが、全国調査は実施されたことはなかった。文科省の担当者は「全国の外国籍児の就学状況を明らかにし、結果を分析することで、就学機会を確保するために何が必要か課題を見つけたい」と話している。

<日本における女性議員割合の低さ>
PS(2019年3月6、7日追加):*7-1のように、2018年における議員の女性割合は、日本は193カ国中165位、G7では日本以外に100位台の国はなく、新興国を加えたG20でも最下位だったそうだ。議会への女性進出が進めば、特に教育・保育・医療・介護等の社会保障が現実を踏まえて大きく前進すると思うが、*7-2のように、国会議員だけでなく地方議員の女性割合も著しく低い。その原因は、候補者の公認や推薦、有権者の投票行動、メディアや司法はじめ周囲で選挙を支える人々など多くの国民に女性蔑視や女性に対する偏見が潜んでいるため、(後で書くが)本当に変えるにはなかなか根深いものがあるからだ。
 なお、*7-2に、「①全国の地方議会に占める女性ゼロの割合は19.5%だが、九州は女性0議会が25%あり、全国平均にも届かず男女共同参画が進んでいない」「②現職の女性市議らが『九州の女性議員をふやす会』を設立して女性議員の割合を高めることを目指している」と書かれており、②については、良い傾向だと思うが、①については、東北地方等も同じ傾向ではないかと思う。また、「③議員の平均年齢は62.7歳で報酬格差が71万円あり、定数7の議会もある」と書かれているが、離島・過疎地は人口が少なく高齢者割合が高いため、中には住民の最低年齢が65歳以上という所もあるので、人口構成と比較する必要がある。さらに、“働けない高齢者”の定義は、2015年の65歳の日本人の平均余命が男19.57(平均寿命84.57)・女24.43(平均寿命89.43)であるため、65歳では速すぎ少なくとも男75歳・女80歳くらいになるだろう。なお、0歳児の平均余命が平均寿命で男81.29・女87.06だが、0歳児の平均寿命が65歳の平均寿命より短い理由は、65歳の人の平均寿命には0歳~64歳で亡くなった人を入れないからである。


2019.3.6           福岡県男女共同参画センター         2019.3.7
東京新聞                                 西日本新聞

(図の説明:左図のように、2018年における議員の女性割合が、日本は193カ国中165位だった。その内訳は、右の3図のように、議員・役員・管理職などリーダーシップや意思決定を要する立場でとりわけ女性の割合が低く、これはコンクリートの天井があることが理由のようだ)

*7-1:https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201903/CK2019030602000274.html (東京新聞 2019年3月6日) 女性議員割合、日本165位 G20中最低 政治参加進まず
 世界の国会議員が参加する列国議会同盟(本部ジュネーブ)は五日、八日の国際女性デーを前に、二〇一八年の各国議会の女性進出に関する報告書を発表した。百九十三カ国の中で日本は前年より七位下げ、百六十五位だった。衆院の女性議員は四十七人で、割合は10・2%。総選挙が実施されていないため前年の数字とほぼ同じだが、相対的に順位を落とした。先進七カ国(G7)では日本以外に百位台の国はなく、中国、ロシアなどの新興国を加えた二十カ国・地域(G20)でも日本は最下位。安倍政権が女性活躍推進を掲げながら、女性の政治参加が進まない現実が浮き彫りになった。一院制の議会または下院で女性議員が占める割合を比較。世界全体の女性議員の割合は24・3%で、一九九五年から13ポイント上昇した。地域別では米州がトップで、グレナダ、コスタリカなど中南米諸国の伸びを背景に地域として初めて30%を超えた。欧州(28・5%)、サハラ砂漠以南のアフリカ(23・7%)、アジア(19・6%)と続いた。報告書は、候補者や議席に占める女性の割合を一定以上にする「クオータ制」が百三十カ国以上で導入され「一八年の選挙結果から、適切に策定されれば議会の男女平等に道を開くことが示された」と指摘した。国別で一位はアフリカのルワンダで、上位には女性の社会進出が進む中南米の国が多く入った。日本より下位に位置するのは、アフリカや中東、太平洋地域の小国が目立った。

*7-2:http://qbiz.jp/article/149871/1/ (西日本新聞 2019年3月7日) 女性ゼロ議会25% 全国平均に届かず 九州の地方議会、進まぬ共同参画
 九州の7県、233市町村の議会のうち、女性議員のいない「女性ゼロ議会」が全体の4分の1(25%)となる60議会を占めている。西日本新聞の議会アンケートの集計。昨年施行された「政治分野の男女共同参画推進法」は、政党に議員選挙での男女の候補者数をできる限り均等にするよう促しており、4月の統一地方選でどれだけ解消されるか注目点になる。県別でゼロ議会が最も多いのは熊本の16議会。ゼロ議会で議員数が最も多いのは福岡県飯塚市(定数28)だった。内閣府の集計で、全国の地方議会に占める女性ゼロの割合は19・5%。九州全体のほか、熊本、鹿児島、長崎、宮崎、大分の各県で全国平均より悪かった。九州の地方議員数は4209人で、女性は398人。全議員に占める割合は9・5%で、全国平均の12・9%(内閣府集計)を下回った。県別では福岡の12・3%が最も高かった。県、市、町村議会別での女性議員の割合は県議7・1%、市議10・4%、町村議8・5%だった。統一選へ、現状打破を図る動きとして、現職の女性市議らが「九州の女性議員をふやす会」を設立。選挙や議会活動のノウハウを共有し、割合を高めることを目指す。メンバーの女性市議は「立候補を考える人の背中を押したい」と動く。熊本大の鈴木桂樹教授(政治学)は「少子高齢化社会を迎え、より生活に近い政策が求められている。女性が政策決定プロセスに入っていないのは問題。政治は男がやるものだとのイメージが強いのかもしれない」と分析。政治分野の男女共同参画推進法が努力目標であることを指摘し「増やすには(候補者や議席に占める女性の割合を一定以上にする)クオータ制の導入などが必要だろう」と話した。アンケートの実施方法  アンケートの実施方法 アンケートは昨年12月〜今年1月、九州7県と全市町村、計240議会を対象に実施した。前回、統一地方選があった2015年から18年にかけての議会活動について、ウェブ入力やメール、ファクスでそれぞれの議会事務局から回答を得た。議員数や平均年齢などは今年1月1日時点。今年あった議員選の結果は反映していない。
   ◇   ◇
●平均年齢62.7歳 報酬格差71万円 定数7の議会も 
 全議員4209人の平均年齢は62.7歳、議員定数7人の議会も−。西日本新聞が九州7県の240議会に実施したアンケートで、九州の地方議会のさまざまな姿が浮かび上がってきた。平均年齢65歳以上の議会は68あり、全体の約3割を占めた。県、市、町村別に見ると、町村議の平均年齢が最も高く、県議よりも3.9歳高かった。毎月の報酬の全議員平均は31万8574円。最高の福岡県(89万円)と最低の長崎県小値賀町(18万円)では71万円もの差があった。3番目に低い宮崎県五ケ瀬町(18万8000円)は、4月から4万円引き上げて22万8000円となる。県議と町村議の平均報酬額には約56万円の差があった。政務活動費を支給しているのは101議会だった。議員定数が最も多いのは福岡県の86で、4月の改選時には1増の87となる。最も少ないのは鹿児島県の離島、三島村の7だった。直近の議員選の平均投票率は66.90%。県議48.91%、市議62.19%で、町村議の72.60%が最も高かった。

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