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2014.2.10 東京都知事選の結果を受けて、原発再稼働に向けての行動を再度批判する
       
     2014.2.6東京新聞     2014.2.8東京新聞 2014.2.10西日本新聞

(1)東京都知事選の民意は原発推進もしくは容認とは言えない
 *1、*2に書かれているとおり、舛添氏の当選を民意が原発にゴーサインを出したと勘違いしてはならない。何故なら、政府・与党が「脱原発」の争点化回避に血まなこになり、メディアが報道を自粛してもなお、「即時原発ゼロ」を訴える細川、宇都宮両氏の合計得票数は舛添氏に匹敵する結果となり、舛添氏自身も「私も脱原発です」と言明していたからである。これでは、原発縮小のスピードの違いの結果として何が起こるかについては、一般都民には明らかでなかっただろう。従って、都知事選で示された民意に従うならば、政府は原発や核燃料サイクルの推進をエネルギー基本計画案から削除すべきである。

(2)これで原発再稼働に前向きでいいのか
 *3のように、安倍首相は、10日午前の衆院予算委員会で、原発政策を含んで策定中のエネルギー基本計画に関し、「現実を見据え責任を持って実現可能かつバランスの取れたものを取りまとめていく」と述べ、「原発技術者を育てなければならない」と言う人もいる。しかし、今から原発技術者として大量に育てられ、無用の技術として捨てられては、人生を棒に振ることになる学生が迷惑である。なお、研究者としてなら、石炭が石油にかわっても石炭の研究者は存在し、現在、CO2を地中に埋める技術開発ができているのと同じ理由で、原子力の技術開発をする人材も残るため、それで十分だ。

(3)フクシマの被害は、まだ正確な把握も情報開示もなされていない
 *4のように、栃木県那須塩原市の住民団体が、「有識者会議の座長・鈴木元国際医療福祉大クリニック院長が、『県内への放射線の影響は少なく健康調査は必要ない』としたことに異論がある」と疑問視したそうだが、鈴木座長の発言は現実の把握を回避し、非科学的である上、住民の健康を守る立場に立っていない。また、鈴木座長の「健康調査で所見が見つかると安心につながらない」との主張についても、住民を安心させるために健康調査するわけではないので、驚くべき本末転倒である。

(4)食品放射性物質は、国の基準値以内なら人間に安全という科学的証明はない
 *5では、フクイチ事故後、福島県が続けている食品の放射性物質検査で、昨年4~12月に国の基準値を超えたのは0.16%で、基準値を超えた産地からは市場に流通しないよう徹底しているので安全だとしている。しかし、何年も慢性的に放射性物質を含有する食品を食べ続けても、国の基準値以内であれば安全だという証明はなされていないため、安全だと主張する以上、その科学的根拠を示すべきである。

(5)代替発電も増設しているので、原発再稼働は不要
 *6のように、伊藤忠商事の子会社が、約500億~600億円を投じて火力発電所2基を建設し、2016年をめどに家庭向けの電力小売りに参入するそうである。これまでもこのブログに書いてきたとおり、自然エネルギーなどの公害を出さない代替発電方法も増えてきているため、「コストが安い」「クリーン」などという嘘のふれこみで、原発を電源として利用するのはもうやめるべきだ。

*1:http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20140210_4.html
(京都新聞 2014年2月10日) 東京都知事選  民意は原発推進でない
 原発政策が大きな争点となった東京都知事選で、自民、公明両党の支援を受けた元厚生労働相の舛添要一氏が初当選した。厚い組織票をまとめ、元首相の細川護熙氏、元日弁連会長の宇都宮健児氏らを振り切った。東京は日本の総人口の1割強、国内総生産(GDP)の約2割を占める巨大首都だ。不透明な資金疑惑で猪瀬直樹前知事が辞任し、都政への信頼は大きく損なわれた。2020年には五輪を控える。新知事となる舛添氏は、まず混乱を収め、都政を再び軌道に乗せることが急務だ。そのうえで、公約に掲げた社会保障の充実や国際競争力の強化に取り組んでほしい。
 注目は、都知事選を受けた政府のエネルギー政策の行方だ。安倍晋三政権は昨年、原発を「安定して安価なベース電源」と位置づけるエネルギー基本計画案をまとめたが、閣議決定を延期している。国民の反発が強いうえ、原発が争点となった都知事選の結果を見極めるべきとの判断からだ。舛添氏の当選を、民意が原発にゴーサインを出したと勘違いしてはならない。「即時原発ゼロ」を訴える細川、宇都宮両氏の合計得票数は、舛添氏に匹敵する。舛添氏自身、「私も脱原発です」と言明し、原発に依存しない社会づくりを掲げてきた。原発縮小のスピードの違いこそあれ、3候補の目指す方向は同じといえる。都知事選で示された民意に従うなら、政府は原発や核燃料サイクルの推進をエネルギー基本計画案から削除すべきだろう。東京は日本の電力消費の1割以上を占める。原発に依存しない社会のモデルを示し、舛添氏は公約を果たしてほしい。都は東京電力の大株主でもある。原発推進を改めるよう、株主総会などで主張することも重要だ。細川氏は小泉純一郎元首相と二人三脚で選挙を戦ったが風を起こせず、無党派層をつかめなかった。高齢に加え、首相の座を投げ出した過去ゆえの「ひ弱」「気まぐれ」のイメージも、都民の信頼を得られなかった一因だろう。今回、市民グループが脱原発で一致する候補の一本化を模索したが、政党の壁に阻まれ実現しなかった。国会で「1強」の自民に少数野党がどう共闘し対抗するのか、あらためて課題を突きつけた。投票率は前回を大きく下回り、低調だった。原発という、国の在り方にも関わる問題が焦点となっただけに残念だ。参政権を行使せねば、民主主義は機能しない。4月には京都府知事選がある。1票を投じられる権利の重みを、あらためて意識したい。

*2:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-219185-storytopic-11.html
(琉球新報社説 2014年2月10日) 東京都知事選 原発施策の信任ではない
 人口1300万人を超える巨大首都のさまざまな課題への処方箋とともに、国の将来像も問われた東京都知事選で、元厚生労働大臣の舛添要一氏が初当選した。都知事は、石原慎太郎、猪瀬直樹の2氏が続けて任期中に辞職しただけに、2020年の東京五輪を控える中、都政の混乱に終止符を打ちたいという有権者の安定志向が反映した結果と言えよう。政権与党の自民、公明の両党から総力を挙げた支援を受け、舛添氏は手堅く支持基盤をまとめた。急速に進む少子高齢化が都政に影を落とす中、厚労相を務めた経歴も票を引き付けたとみられる。
 「即時原発ゼロ」を公約に掲げ、「脱原発」を争点の一つに押し上げた元日弁連会長の宇都宮健児氏と元首相の細川護熙氏は及ばなかった。細川氏は、国民的人気が高い小泉純一郎元首相の全面支援を受けたが、風は吹かなかった。「脱原発」の機運が高まることに危機感を抱いた安倍政権の意向が働き、舛添陣営は争点化を避ける戦術を徹底した。序盤は原発問題に極力触れず、中盤から「中長期的な脱原発依存」を訴え、「脱原発」との違いを薄めようとした。有権者に争点を聞いた共同通信の出口調査によると、「原発・エネルギー政策」は、「少子高齢化・福祉」「景気と雇用」に次ぐ3番目にとどまった。「脱原発」は争点からかすみ、舛添氏を利した。だが、宇都宮氏と細川氏の得票は合わせて4割に上る。電力需要の約1割を占める大消費地・東京で、「脱原発」を掲げた候補者が一定の支持を集めた意義は大きい。さらに興味深いのは、伊方原発(愛媛県)の再稼働の是非で揺れる四国4県の県紙などが実施した世論調査で、細川氏の「原発ゼロ」政策を49%が支持し、不支持の39%を10ポイント上回ったことだ。原発再稼働に不安を抱き、「脱原発」を望む民意が、首都でも原発立地地域でも広がりを見せているのだ。政府・与党は「脱原発」の争点化回避に血まなこになっただけに、選挙結果は安倍晋三首相が目指す原発再稼働にお墨付きを与えたわけではない。民意を無視した原発施策に突き進むことはあってはならない。投票率は46・14%にとどまり、前回を16ポイント余も下回る過去3番目の低さだった。政治不信がその一因であることは間違いあるまい。政府と主要政党に反省を求めたい。

*3:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2622903.article.html
(佐賀新聞 2014年2月10日) 首相、原発再稼働へ前向き / 「現実見据えた計画を」
 安倍晋三首相は10日午前の衆院予算委員会で、原発政策を含んで策定中のエネルギー基本計画に関し「現実を見据え責任を持って実現可能かつバランスの取れたものを取りまとめていく」と述べた。東京都知事選で脱原発を主張した候補が敗れたのを受け、原発再稼働に前向きな姿勢をにじませた発言とみられる。衆院予算委は首相と全閣僚が出席して2014年度予算案の基本的質疑を行い、実質審議入りした。与党は2月末までの衆院通過を目指す。首相は原発輸出にも積極姿勢を見せ「周辺国やアジアで原発が新設される際、福島第1原発事故の経験と教訓を共有してもらうことは安全上、重要だ」と語った。

*4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20140209/CK2014020902000137.html (東京新聞 2014年2月9日) 「将来のため、今必要」 住民団体が提言書 
 那須塩原市で先月開かれた、東京電力福島第一原発事故による健康への影響について考えるシンポジウムを受け、同市の住民団体が、主催した県と有識者会議に対し、「有識者会議が『健康調査は必要ない』としたことに異論がある」とする提言書を出した。提出したのは、原発事故後、放射線量の測定や除染の活動をしてきた「那須希望の砦(とりで)(竹原亜生代表)」。シンポは先月二十六日、黒磯文化会館で行われ、那須希望の砦メンバーも含めて約百人が出席した。シンポでは、県が設置した有識者会議の座長・鈴木元国際医療福祉大クリニック院長が、県内への放射線の影響は少なく、健康調査は必要ないと説明した。一方、質疑では参加者から「甲状腺エコー検査を受けたい」などの意見が出た。しかし、鈴木座長は「検査すれば50%は何らかの所見が出る。所見が出たら安全につながるのか」と疑問視。この後、時間を理由に質疑は打ち切られ、質問できない参加者もいた。那須希望の砦は、提言書で「(シンポでの質疑で)疑問点が解決できなかった」と指摘。その上で「健康調査は、将来起こり得る健康被害の基礎的なデータとなるため、今調査しておく必要がある」と反論した。鈴木座長の「健康調査で所見が見つかると安心につながらない」との主張についても「健康調査を不要とする理由にならない」と断じた。国連科学委員会(UNSCEAR)や世界保健機関(WHO)が福島第一原発事故についてまとめた報告書がシンポで紹介されたことに対し、「チェルノブイリ原発事故に関するベラルーシの政府報告書などは紹介されていない。いろいろな観点で健康影響を判断するべきだ」と求めた。

*5:http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20140129/CK2014012902000165.html (東京新聞 2014年1月29日) 食品放射性物質検査 基準値超0・16%  65件
 東京電力福島第一原発事故後、県が続けている食品の放射性物質検査について、昨年四~十二月の統計がまとまった。計四万一千九百二十五件を検査し、国の基準値を超えたのは六十五件(0・16%)。検査結果は個別に公表してきたが、担当が複数の課にまたがるため、全体像が把握できるように集計した。県生活衛生課によると、一般食品の放射性セシウムの基準値(一キログラム当たり一〇〇ベクレル)を超えた品目は、ワラビなど野生の山菜、ニジマスなど天然魚、野生のイノシシ肉、シカ肉など計九品目。このうち、ワラビは矢板市で五〇〇ベクレル、タラノメは塩谷町で四七〇ベクレル、コシアブラは那珂川町で二一〇ベクレルを検出するなどし、国から出荷制限の指示を受けた。ニジマスなどの天然魚、野生のイノシシ肉、シカ肉は以前から出荷しておらず、参考検査で基準値超の検体があった。検査対象の九割近くに上ったのが、二〇一一年八月に出荷制限を受け(現在は解除)、全頭検査を続ける牛肉の三万六千八百九十七件。出荷量の多いニラ、イチゴ、トマトといった野菜、果実類は二千百六件を調べ、いずれも安全が確認されている。どの食品も出荷前に検査するため、基準値を超えた産地からは市場に流通しないよう徹底している。県全体としては、基準値を超えたのは野生の山菜などごく一部に限られた。ただ、昨年四月より前に出荷制限となった露地栽培の原木生シイタケ(二十一市町)、露地栽培の原木ナメコ(十市町)など、現在も制限が解除されない品目もある。

*6:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140210&ng=DGKDASDD09044_Z00C14A2MM8000 (日経新聞2014.2.10)伊藤忠系、家庭向け電力小売り参入 火力発電2基増設
 伊藤忠商事子会社で新電力(特定規模電気事業者)の伊藤忠エネクスは、2016年をめどに家庭向けの電力小売りに参入する。約500億~600億円を投じ火力発電所2基を増設。他社からの電力調達も増やし販売電力量を3年後に約10倍の10億キロワット時に引き上げる。家庭向けの液化石油ガス(LPG)などの販路を生かして顧客を開拓する。2016年には電力小売りが全面自由化されることから、エネルギー業界では発電所の新設や買収が活発になっている。電気料金引き下げを巡る競争が激しくなりそうだ。2014年度にも東北地方で石炭火力発電所を着工する。発電容量は10万キロワットで16年度の完成を目指す。同規模の石炭火力発電所をもう1基建設する計画もあり、候補地の選定を進めている。伊藤忠エネはグループ会社を通じ3カ所に火力発電所などを持つが発電能力は10万キロワットにとどまる。増設により自社電源での供給力を3倍に増強、他社からの調達も増やす。同社は新電力では10位以下だが、販売電力量を4位の丸紅並みの10億キロワット時に増やす。伊藤忠エネはLPGの取り扱いで100万世帯に販路を持つほか、2200カ所の系列ガソリンスタンドを保有する。こうした販売網を活用して家庭向けに参入する。

| 2014年東京都知事選::2014.2~ | 03:36 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.2.9 電力市場の自由化と自然エネルギーの利用で、次の時代に進むべきである。
     
線路脇に超電導電線敷設  地下に敷設   超電導電線の仕組み   *4-4より

(1)電力市場の自由化と全国での広域運用の重要性
 *1に書かれているとおり、電力市場を自由化して全国で広域運用すれば、電力市場の地域独占体制が崩れ、従来の電力会社同士でも競争となり、新規事業者も参入しやすくなる。そうなると、発送電の方法が工夫されて電気料金が下がるため、他の全産業及び個人にとって経済的利益が大きい。しかし、そのような競争でしのぎを削るのは、独占体制でぬくぬくしているよりもずっと大変であるため、従来の電力会社は、これに消極的なのである。

 なお、電力市場を自由化しなければ、消費者は購入したい事業者や発電方法を自由に選択することができず、そのような市場は非効率になり、多くのプレイヤーの知恵を集めて発展することができない。そのため、電力市場の自由化と全国での広域運用は、どうしてもやらなければならない改革なのである。

(2)全国で広域運用する場合の長距離送電線について
 現在、東日本の電力周波数は50ヘルツで、西日本の電力周波数は60ヘルツというように、日本は周波数で2分されており、周波数の変更や直流・交流間の変更にも電力ロスが生じる。そのため、このブログの2014.2.8の図に記載したとおり、直流を標準として発送電を行い、直流でない機器を使う時に必要な周波数に変換して使うというシステムにした方が、東日本と西日本の両方から苦情が出ず、かつ、太陽光発電、蓄電池、LED電球など、直流型の21世紀器具に適している。

 そのため、私は、長距離送電には、超電導電線を高速道路や鉄道の敷地、地下などに敷設させてもらい、直流で送電するのが合理的だと考える。

(3)都知事選への原子力ムラの圧力
 *2で古賀茂明氏が語っているとおり、東日本大震災後に崩壊したかと思った原子力ムラは完全に復活し、メディアは、都知事選や原発問題をなるべく報道しないように努力した。

 しかし、原発はコストが高く、自由競争すれば淘汰される電源であり、自然エネルギーへのシフトが重要だ。そして、現在は、地域、事業所、個人宅が自然エネルギーの発電所となって電力を作り出すことができる時代であるため、それを使う方が、地域が活性化し、防災上も安全なのである。

(4)原発事故による放射能公害は広範で深刻である
 *3-1のように、フクイチ原発事故による放射能の影響で甲状腺癌と診断が確定した子どもが33人となり、「がんの疑い」は41人になったそうだが、検討委の星北斗座長は、「チェルノブイリ原発事故後の甲状腺がんの発症経過から、現時点では放射線の影響は考えにくい」と述べたそうだ。しかし、これは科学的根拠がなく、甲状腺癌だけでなく、白血病や心疾患による被害者も既に出ている。

 また、*3-2のように、東京電力は、2014年2月6日、参議院議員選挙直前の2013年7月5日にフクイチ1号機の海側にある観測用井戸で採取した水から検出された放射性ストロンチウム90が、過去最高の1リットル当たり500万ベクレルで、従来の公表値より大幅に高濃度の汚染だったことを発表した。他の核種の濃度も推して知るべしである。

 さらに、*3-3に、フクイチ事故の影響で、被災地で捕獲した野生の鳥獣肉が汚染され、出荷制限が続いていると書かれているが、これは、山林が放射性物質で汚染され、そこに住む動植物が汚染されたということだ。そして、ジビエ肉が放射能を含むということは、近くに住む人間も放射能を蓄積していると考えるべきである。

 そして、このように、広範囲に深刻な被害を与えるのが、放射能汚染なのである。

(5)自然エネルギーを使う器具の増加と進歩が期待される
 *4-1のように、三菱電機は、太陽光発電の出力を高められる次世代パワー半導体を2015年度から福岡市で量産する方針を明らかにし、2016年度以降、産業機器や家電製品の消費電力を大幅に減らし、省エネにつながる次世代パワー半導体事業を本格展開するそうだ。

 また、*4-2では、JAグループ鹿児島が、省エネ住宅を紹介する「ゼロエネルギーハウス構造見学会」を、2月8日に鹿児島市で始めたことが紹介されている。「ゼロエネルギーハウス」は、住宅の断熱性や気密性を高めて空調などに使う電気やガスを減らし、一般の同規模の家に比べて光熱費を6割削減できるそうで、JAは、太陽光発電などの自然エネルギーにも協力的だ。

 さらに、*4-3のように、北海道では、牛のふん尿を活用したバイオガス発電事業が広がりを見せており、発酵後に出る残さは有機肥料として利用できる。

 そして、*4-4のように、北海道美唄市の美唄尚栄高校の生徒が電動トラクターを開発し、2月14日に始まる札幌モーターショーに出展するそうで、希望の若者たちだ。今後は、器具を電動化することによって燃料費を節約できる時代になる。

*1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140207&ng=DGKDZO66454930W4A200C1KE8000
(日経新聞 2014.2.7)広域運用の環境整備を 電力システム改革進展へ 松村敏弘 東京大学教授
<ポイント>
  ○電力市場自由化しても参入障壁維持の恐れ
  ○電力を全国一体運用なら平時も経済的利益
  ○競争を嫌う電力会社は連系線投資に消極的
 東日本大震災後、脆弱性を露呈した電力市場に関して、機能不全を起こしていた垂直統合と地域独占を基軸とした電力システムの抜本的な改革が進展している。電力システム改革は、(1)地域ごとにバラバラに運用されてきた電力系統を、災害に強く平時にも効率的な、全国一体の系統として計画・運用する広域的運営推進機関を設立(2)家庭用を含めた電力市場を自由化(3)一般電気事業者(電力10社)の送配電部門と発電・小売部門を法的に分離してネットワークを中立化、という3段階で進められる。(3)の法的分離は重要だが実施は4年以上先なので、詳細制度が固まる過程で改めて論評することとし、本稿では(1)と(2)に関して議論する。
 電力市場自由化によって、消費者は事業者を選択する自由が与えられ、また異分野の事業者も含め参入の自由が与えられる。一般電気事業者の知恵に依存した非効率的な市場から、あらゆるプレーヤーの知恵を集める革新的な市場へと発展する可能性が開かれる。しかし自由化すれば自然にこの利益を国民が享受できるわけではない。自由化しても参入障壁が維持され、競争基盤が整備されなければ、消費者は実質的な選択の自由が与えられず、電力事業者が値上げの自由だけを得る結果となる可能性は否定できない。震災後の電気料金値上げ申請に対する査定の過程で、一般電気事業者の経営がいかに非効率的で、過大な費用を原価に算入してきたかが明らかになった。競争が機能せず、料金査定の歯止めもなくなれば、自由化が一般消費者の災厄となりかねない。改革の詳細設計でこの点は十分考慮され、規制料金を一定期間消費者の選択肢として残し「規制無き独占」から消費者を保護する策がとられ、同時に競争基盤を整備するための様々な施策が検討されている。既に自由化されている大口電力市場も、自由化から10年を経過しても新規参入者のシェアは5%に満たず、競争が機能していたとはいえない。送電ネットワーク部門が中立的でなかったことが原因の一つとしても、唯一の原因ではない。一般電気事業者は地域独占と総括原価に守られて建設した膨大な発電設備を保有し、Jパワーなど他社電源の多くも長期相対契約で囲い込んでいる。これらが開放されなければ、新規参入者は供給力を確保できず、競争を確保することは難しい。さらに従来の制度では、一見中立的な制度に見えて小規模事業者に著しく不利な制度が存在した。例えばインバランス料金制度である。新規参入者は自社の顧客の需要量と供給量を30分単位で合わせる必要があり、供給量が不足すれば一般電気事業者から高価格のインバランス供給を受け、逆に供給量が超過すれば余剰電力を低価格で一般電気事業者に買い取られる。多くの発電機と顧客を抱え需要・供給の変動をならすことができる大規模事業者に圧倒的に有利な制度で、参入を抑え込んできた。
 現行の不合理な制度は改革されるはずだが、一般電気事業者は形だけの変更で人為的な規模の経済性を維持するルール案を主張しており予断を許さない。この例に限らず、特定の事業者の圧力で制度がゆがみ、安定供給を口実にした参入障壁が維持されないよう、今後も注視が必要だ。日本の電力系統は、沖縄以外、北海道から九州まで9系統は(容量が不十分とはいえ)連系線でつながり、全国一体運用は可能である。一体運用は安定供給上有用なだけでなく、平時にも経済的利益を生む。仮に東日本で需給が逼迫し、熱効率の低い火力も使って電力を供給し、逆に西日本では供給力に余裕があり、より効率的な火力で追加供給可能だとする。もし西から東に電力を流せば、限界費用(追加一単位の発電に必要な費用)の高い東の発電を限界費用の低い西の発電で代替でき、費用を削減できる。この運用は今でも潜在的には行われている。日本卸電力取引所では全国規模の電力取引が行われている。全国で同じ卸価格がつき、市場が競争的で各企業が限界費用ベースで入札していれば、全地域で限界費用が等しくなり、効率的な電源運用が実現する。しかし連系線の容量には上限がある。先の例では、東西をつなぐ連系線容量が不足すれば、東の価格が西の価格より高くなる。これを市場分断という。市場分断があっても、電力が上限内で流れれば東西の限界費用の格差は縮小し、経済的な利益が生まれる。この事実から、現在の連系線の経済的価値、あるいは連系線増強の経済的価値を推計できる。市場分断による価格差は東西の限界費用の差を表している。この価格差、さらに可能なら入札情報も使えば、連系線により節約できた発電費用を推計できる。卸取引市場が十分に競争的で入札価格カーブと限界費用曲線が一致していれば、この推計で正しく連系線の価値がわかる。ただし、電源の大半を抱え込む一般電気事業者が取引量を人為的に抑制していれば、この推計による連系線の利益は過小となる。取引量が小さければ市場分断が起きにくいからである。この場合、電源構成から限界費用を推計し、限界費用の格差が連系線の容量の範囲内でならされると想定して連系線の社会的価値を推計することが妥当である。経産省ではこの2つの異なる発想で広域運用の利益を推計したシミュレーションの結果を提示している(上の表参照)。これらの推計は前提条件の妥当性などを吟味する必要があり、数字は慎重に利用すべきだが、それでも2つの数字に大きな差があることは読み取れる。取引所での価格差を使った推計値が著しく低いのは、広域運用の価値が小さいのではなく、現実の取引量が理論値に比べて著しく低いことを反映しているとの疑いを持たせるのに十分である。一般電気事業者にとって、取引所での取引の抑制(それに伴う電力の流動性の低下)は新規参入を抑制し長期的な利益になる。流動性が低ければ、新規参入者が自社電源の余剰や不足を取引所で調整するのに伴い価格が大きく変動し、新規参入者の採算性が低下するからである。逆にいえば、この流動性を高めることは参入のハードルを下げ競争を促進する。競争基盤整備策としても重要である。
 電力周波数50ヘルツ系統の東日本と60ヘルツ系統の西日本をつなぐ連系線の容量は現時点でも120万キロワットと東京電力のピーク時の最大電力消費量の2%しか賄えないほどに貧弱である。この連系線を例えば300万キロワットまで増強するには数千億円の費用がかかるが、鉄塔などの設備は30~100年超使えることを考えれば、前述の経済的利益に比べ費用が著しく大きいとはいえない。何より連系線の増強は地震などの緊急時の安定供給に威力を発揮する。仮に平時の経済的な利益を無視しても、安定供給を考えれば連系線の増強は正当化できるはずだ。ところが、一般電気事業者は一貫して連系線の増強に消極的だった。震災前には僅か30万キロワットの増強案も受け入れず、震災後も300万キロワットまでの増強に消極的な姿勢を貫いている。一般電気事業者が連系線投資に消極的で、安定供給対策が発電投資に偏っていたのは、経済学的に考えれば理解できる。連系線が増強されると地域間の潜在的な競争圧力が高まり、平時における一般電気事業者の独占力を将来そぐことになりかねないが、自社の発電所投資なら参入阻止に資するからである。15年にも動き出す広域的運営推進機関が、このような特定事業者の私的利益を追認するだけの機関になるか、公益を追求する機関として合理的な連系線および基幹送電線の増強計画を策定できる機関になるのか、これからの詳細制度設計が正念場である。
*まつむら・としひろ 65年生まれ。東大博士(経済学)。専門は産業組織、公共経済学

*2:http://qbiz.jp/article/31895/1/
(西日本新聞 2014年2月8日) 【原発考・都知事選】古賀氏、青山氏に聞く
*古賀茂明:長崎県佐世保市生まれ。東京大学卒。通産省(現経済産業省)で経済産業政策課長などを歴任し、2011年に退職。著書に「日本中枢の崩壊」など。
◆原子力ムラとの闘い
 都知事選で原発問題が大きな争点になっていない理由は、告示前から保守系メディアを中心に「争点は原発だけで良いのか」というキャンペーンを展開し、脱原発を訴える候補者に他の政策はないという世論操作が行われたからだ。非常に大きなトリックで、みんながわなにはまっている状態だ。脱原発を掲げる候補者で「他の政策はどうでもいい」と言っている人はいない。原発以外のテーマも説明しているが、最初に多くの人が勘違いをさせられ、今も誤解が解けていないと思う。原発に反対する政治闘争をすれば、必ず「原子力ムラ」という日本で一番強力な政官財とメディア、学界を含めた巨大な利権構造との闘いになる。私は原発を推進した経済産業省の元官僚であり、その力を知っている。現役時代に出向先の経済協力開発機構(OECD)で発送電分離を提言させるために動いたが、本省幹部に「即刻クビだ」と激怒され、電力会社の激しい抵抗もあって結局、頓挫した。東日本大震災後、崩壊したかと期待した原子力ムラは完全に復活した。「脱原発」と言い出せば、さまざまな中傷を浴びせられ、金や権力を使ってつぶそうという力が働く。都知事選でも原発が争点にならないように力を発揮している。原発はコストが高く、完全に時代遅れだ。自然エネルギーへのシフトは世界の潮流であり、大きな発電所から地域に電力を流す中央集権型ではなく、地域に自然エネルギーの発電所を造って地域の活性化を生み出すのが今の主流だ。都知事選で強固で巨大な原子力ムラとの闘いに打ち勝つことが、国政でも都政でも、あらゆる改革を進める大きな力になる。そのことに気付いてほしい。

*3-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014020802100003.html
(東京新聞 2014年2月8日) 福島甲状腺がん 7人増加33人に
 東京電力福島第一原発事故による放射線の影響を調べている福島県の「県民健康管理調査」の検討委員会が七日、福島市で開かれ、甲状腺がんと診断が「確定」した子どもは前回(昨年十一月)の二十六人から七人増え三十三人になった。「がんの疑い」は四十一人(前回は三十二人)。検討委の星北斗(ほしほくと)座長はチェルノブイリ原発事故後の甲状腺がんの発症経過や、今回見つかったがんの種類、大きさなどから「現時点では放射線の影響は考えにくい」と述べた。がんの発見率がこれまで考えられていたよりも高いことについては「症状がない人も含めた未知の調査で、比較できない」と説明した。しこりの大きさなどを調べる一次検査で約二十五万四千人の結果が判明し、千七百九十六人が二次検査の対象となった。「確定」と「疑い」に、手術の結果「良性」と判明した一人を含む計七十五人のうち二十四人について、原発事故が起きた二〇一一年三月十一日から四カ月間の外部被ばく線量も公表。一ミリシーベルト未満が十五人、一ミリシーベルト以上二ミリシーベルト未満が九人だった。国立がん研究センターなどによると、十代の甲状腺がんは百万人に一~九人程度とされてきた。甲状腺検査は、原発事故発生当時十八歳以下の全員、約三十七万人が対象。一次検査の結果で軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定し、BとCが二次検査を受ける。

*3-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014020702000122.html
(東京新聞 2014年2月7日) 福島第一 海側井戸500万ベクレル 昨年7月採取、公表より高濃度
 東京電力は六日、福島第一原発1号機の海側にある観測用井戸で昨年七月五日に採取した水から検出された放射性ストロンチウム90が、過去最高の一リットル当たり五〇〇万ベクレルだったと発表した。従来の公表値より、大幅に高濃度の汚染だったことが分かった。この水の濃度について、東電はこれまで、ストロンチウム90を含むベータ線を出す放射性物質の合計で九〇万ベクレルと公表。放射性のストロンチウム90だけでも、五・五倍以上高い五〇〇万ベクレルという数値が出ていたが、東電は「値が不自然」として伏せていた。その後、東電は計測器の設定を確認。ストロンチウム90だけの値が正しく、九〇万ベクレルが誤っていると分かった。井戸は海から近く、これまで考えていたよりも多くの放射性物質の流出が疑われる。東電はほかの井戸でもストロンチウム90の値を確定させていく。今回と同様により高い値が出る可能性がある。従来の最高値は、今回の近くの井戸で一月二十二日に計測。ベータ線を出す放射性物質の合計で三一〇万ベクレルだった。

*3-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=25811
(日本農業新聞 2014/2/5)  原発事故被災地のジビエ 出荷制限 出口見えず
 東京電力福島第1原子力発電所事故の影響で、被災地で捕獲した野生の鳥獣肉(ジビエ)の出荷制限が続き、廃業に追い込まれる施設も出てきた。ジビエを核にまち興しを目指したが、出荷制限により有害鳥獣を活用する“出口”がなくなったためだ。政府は来年度から鹿とイノシシの生息数を10年後までに半減させる目標を描くが、深刻化する被害に業を煮やし、支援強化を求める声が上がる。東日本大震災に伴う事故発生から来月で3年。被災地の鳥獣害解決のめどは立たない。
●農作物への被害急増 国の支援強化急げ
 福島県境に位置する宮城県丸森町にあった、ジビエを加工・販売していた「いのしし館」。農業の獣害軽減とジビエによる地域興しを目的に、農家や狩猟者7人が2010年2月に開店したが廃業を余儀なくされた。原発事故により、イノシシ肉が宮城 県内全域で出荷制限となり11年夏、苦渋の決断で廃業したのだ。店を設立した稲作農家の一條功さん(62)は「捕獲を促し、農業被害をなくそうというみんなの思いがこもった大切な店だった。捕獲からと畜、販売と、ジビエの流通が軌道に乗った矢先だった」と悔しさをにじませる。開店をきっかけに、放血したイノシシを1頭1万5000円で通年買い取ったことで狩猟者の意欲は徐々に増し、捕獲数は1.5倍程度に拡大。これまで廃棄していたイノシシを活用できる道ができたことで、狩猟に弾みが付いた。だが、出荷制限に伴う廃業で、イノシシの買い取り→ジビエ普及→狩猟者の手取り向上↓捕獲数の増加→農業被害軽減→地域活性化というサイクルが遮断された。イノシシによる農作物への被害は日を追うごとにひどくなり、農家の捕獲依頼も急増している。同店の設立メンバーで県猟友会伊具支部の佐藤秀雄さん(66)は「猟友会は採算に合わなくてもみんな必死に頑張っている。だが、いつか限界が来るのではないか」と訴える。政府は、来年度から鳥獣捕獲の強化に乗り出すが、一條さんは「被災地で捕獲数を増やすには抜本的な体制の見直しが必要。出口すら見いだせない現場を知ってほしい。このまま被害が拡大すれば高齢農家の大半が農業をやめ、担い手育成もできない」と憤る。ジビエ活用の道が閉ざされた影響は、被災地全域に及ぶ。厚生労働省によると岩手、宮城、福島の他、千葉、栃木、群馬の各県などでイノシシや鹿肉の出荷制限が続く。「家畜と違って野生動物は管理できていない環境下にあり、食品中の放射性物質の基準値である1キロ当たり100ベクレルよりかなり高い値が検出されている」(監視安全課)ためだ。出荷制限は捕獲 数の減少に直結する。宮城県は事故が起こる11年度以前は1300頭前後だったが、事故後の12年度は820頭に激減。県は「出荷制限は捕獲 数に直結する。現在、捕獲を促す対策をしているが、猟友会の負担がかなり重く、結果的に狩猟 事故も増加している」(自然保護課)と懸念。茨城県も「狩猟敬遠を避けるために捕獲した肉を焼却処分する費用を独自助成する自治体も多く、国策として支援が必要ではないか」(環境政策課)と訴える。

*4-1:http://qbiz.jp/article/31829/1/
(西日本新聞 2014年2月7日) 三菱電機、福岡でパワー半導体強化 太陽光用15年度量産へ
 三菱電機(東京)は、太陽光発電の出力を高められる次世代パワー半導体を2015年度から福岡市西区のパワーデバイス製作所で量産する方針を明らかにした。今年3月に稼働する同製作所の開発拠点「設計技術棟」をフル活用し、開発を強化する。16年度以降、産業機器や家電製品の消費電力を大幅に減らし省エネにつながる次世代パワー半導体事業を本格展開する。同製作所の真田享所長が取材に応じ「15年度に太陽光発電向け電力変換装置の事業を立ち上げたい。(太陽電池パネルで発電した)直流の電気を効率良く交流に変換し、エネルギーを有効利用できる」と話した。パワー半導体は、電気の交流と直流を変換し、周波数を変えることなどでモーターを効率よく制御する半導体。熱に強い炭化ケイ素を材料に使う次世代パワー半導体は、変換時の電力損失を大幅に減らせる。三菱電機が、開発中の次世代パワー半導体で太陽光発電向けの電力変換装置を試作したところ、電力損失が半分に減り、変換効率98%を実現したという。同製作所は、次世代パワー半導体の研究・生産拠点。設計技術棟は約40億円をかけて建設中で、完成後は開発と設計の技術者約600人を集約。兵庫県にある研究所の技術者の力も借り、生産技術改善による良品率向上や価格低下、開発をスピードアップする。三菱電機はパワー半導体事業に力を入れており、省エネ性能が高い次世代パワー半導体の開発で、関連事業の売上高を12年度の915億円から15年度には1500億円に増やす計画。真田所長は「世界最先端の開発で、破壊的なイノベーションを起こしたい。16、17年度には(他の製品も量産し)事業と言われる規模にしたい」と意気込む。同社は10年11月に自社製エアコンに次世代パワー半導体を初めて搭載し、鉄道用インバーターなどを商品化。しかし、材料費の高さや製造の難しさなどから価格が高く、現在は開発ラインを使った生産にとどまっている。

*4-2:http://qbiz.jp/article/31918/1/
(西日本新聞 2014年2月9日) 省エネ住宅良さ知って JA鹿児島が見学会
 JAグループ鹿児島が販売する省エネ住宅を紹介する「ゼロエネルギーハウス構造見学会」が8日、鹿児島市上福元町の分譲地「スマイルガーデンみどりの御所」で始まった。9日まで。「ゼロエネルギーハウス」は、住宅の断熱性や気密性を高め、空調などに使う電気やガスを減らす試み。見学会は、福島第1原発事故でエネルギー消費のあり方に関心が高まる中、ハウスの構造と利点を多くの人に知ってもらおうと、同グループが初めて企画した。会場では、建築中の2階建ての1棟を展示。基礎部分にまで張り巡らされた断熱材や、気密性向上のため1カ所に集中させた排気口など、特徴的な構造をみることができる。このハウスでは一般の同規模の家に比べ、光熱費を6割削減できるという。JAグループの担当者の中島幸治さん(42)は「ゼロエネルギーハウスは今後主流になる。ぜひ見てほしい」と呼びかけている。

*4-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=25879
(日本農業新聞 2014/2/8) 牛ふん尿発電拡大 発酵後残さ 肥料に 北海道
 牛のふん尿を活用したバイオガス発電事業が、北海道で広がりを見せている。堆肥化や散布を進めにくい時期にもふん尿処理を加速し、固定価格買取制度の売電収入が下支えする。ただ、売電価格の高い太陽光に押され電力会社の受け入れが後手に回るなど、今後の普及拡大には課題もある。畜産の規模拡大と環境保全を両立する切り札として期待されるだけに、現場からは、バイオガス発電の促進を支える仕組みづくりを求める声が上がっている。
●バイオ売電 まだ不安定 
 北海道釧路地域で最も牛の飼養頭数が多い標茶町。乳牛400頭を飼育する(有)ノースワンは、牛舎に隣接するバイオガスプラントが今年から本格稼働している。小原宏樹代表は「悩みの種だったふん尿処理がスムーズに進められることは大きい」と期待する。バイオガス発電は、家畜のふん尿を高温発酵させてメタンガスを発生させ、タービンを回して発電させる技術。同社のプラントは、フル稼働すれば24時間で1200キロワット時発電できる。一部は自家用の設備に使い、あとは売電する。発酵後に出る残さ「消化液」は肥料に代用。牧草170ヘクタール、デントコーン40ヘクタールを生産する同社では、消化液の活用で肥料の3割を削減できる見通し。収益率は1%にも満たないといわれる事業に注目が集まるのは、こうした 恩恵があるためだ。同社のプラントを手掛ける土谷特殊農機具製作所(帯広市)は、バイオガス事業を始めた2004年から設置実績は6年間で1基だったが、固定価格買取制度が導入された12年以降、各地から設置の要望が続出。現在は8基が稼働。土谷紀明社長は「工事中や要望段階のプラントも数基あり、機運の高まりを感じる」と期待している。広がりを見せているバイオガス発電だが、今後の拡大に立ちはだかるものも多い。一般的に送配電網は、人口密度や電力使用量が少ない地域ほど受け入れられる電力量が少ない。広大な牧草地を抱えた酪農地帯での設置が大半を占めるバイオガスプラントの売電認可を遅らせる要因になっている。その間、設置がしやすく売電価格が高い太陽光設備が先行すれば、入り込む余地が狭くなる。また、再生可能エネルギーの普及に伴って北海道電力は買電を制限し始めた。バイオマス(生物由来資源)の優先順位は低く、電力需要の少ない時期には、真っ先に出力抑制を求められる。ある行政関係者は「家畜ふん尿は、他の再生エネルギー源よりも安定供給に強い。利益率は低いが、金には代えられない恩恵が大きい」と訴える。北海道北部の猿払村で今春にもバイオガス発電を開始する酪農法人「北の大地」の井上勝敏代表は、「うちは売電契約を進められたが、今後4、5年は各地でなかなか進まないとも聞く。酪農家にとってはいろいろな利益があることが 広く理解されてほしい」と語る。

*4-4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=25817
(日本農業新聞 2014/2/5)  充電完了! 耕すぞ 運転費用割安トラクター開発 北海道美唄市美唄尚栄高校
 北海道美唄市の美唄尚栄高校の生徒が電動トラクターを開発した。市販のバッテリーにモーターを組み合わせた動力部を、既存のエンジンと付け替えた。運転費用も軽油より大幅に安い。14日に札幌市で始まる札幌モーターショーにも出展する。工学系の3年生10人が2012年10月から開発を進めてきた。モーターは広島県の企業に発注したが、地域の工場でも付け替えができるよう、大半の部品には特殊なものを使わない。製作費は50万円以内で「エンジンを修理する経費の範囲で電化できる」(担当する小野博道教諭)。約3000円のバッテリー8個を搭載、10馬力程度の能力がある。フル充電に6時間。かかる電気代は約120円で、2時間半は作業が可能とみる。軽油が1リットル120円と想定すると、運転コストは約4割。札幌モーターショーの主催者に加わる中小企業基盤整備機構北海道本部に「電動車の可能性を広げる」と評価され、ショー展示が決まった。祖母が農家で、溶接作業などを担った山田将太君(18)は「ビニールハウスで使う時も排ガスに悩まされない」と、“人への優しさ”もPRする。

| 2014年東京都知事選::2014.2~ | 01:58 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.2.8 フクシマ原発事故で環境汚染・食品汚染という被害を受けた東京都及び関東エリアの知事選において、原発及びエネルギー問題は最も重要な争点である。
  
      21世紀は、電力を直流のまま送電して使うのが、節電できて合理的

(1)都知事選が終わるまで原発の問題に触れないという放送局の要請は公選法違反ではないのか?
 *1のように、NHKのFM番組にレギュラー出演している音楽評論家のバラカン氏に対し、東京都知事選が終わるまで原発問題に触れないよう要請したり、NHKラジオ第一で経済学の観点から脱原発について語ろうとした中北徹東洋大教授に発言をやめるよう求めたことをNHKの籾井会長が認めたそうだが、選挙の最も重要な争点を隠せば、選挙結果に大きな影響を与える。これこそ、公平どころか公職選挙法違反ではないだろうか。

 何故なら、政策に賛成して投票するのが本当の民主主義であるため、政策における重要な争点を隠されては、有権者は正確な投票行動ができないからである。”人柄”は、雑誌等を見ればわかるとおり、「寄らば大樹の陰」をしている普通のサラリーマン記者の価値観でどうにでも論評できるため、次元が高くなるほど真実とは異なる報道がなされる。

(2)真の電力自由化を行えば、市場原理でエネルギーの最適な組み合わせは自ずと達成される
 しかし、*2は客観的な分析でわかりやすいし、インターネットで公開されている*3に書かれているとおり、私も、骨抜きでない真の電力自由化を行えば、市場原理でエネルギーの最適な組み合わせが自ずと達成でき、多額の税金を投入しなければ継続できない原発は自然淘汰されると考える。

 そもそも、*3、*4のように、「最適なエネルギーミックスを国で決める」「プロセスを1から10まで国が示さなければ、エネルギーの転換ができない」という考え方は、統制経済・計画経済そのものであり、成熟社会の国民を馬鹿にしている。

(3)エネルギー政策は国策だから、地方選挙での争点にしてはいけないのか?
 私は、電力の需要地では、何由来の電力を使うか選択する権利があり、電力の供給地では、過疎化に対応して過去に誘致した迷惑施設である原発を今後も持ち続けるか否かを選択する権利があるため、当然、原発の是非は地方選挙の争点になるべきだと考える。

 東大大学院法学政治学研究科の金井利之教授(自治体行政学)も、*5のように、「住民生活や地域社会に関わることは全て争点となり得るということは、戦後日本の自治体の常識だ。何が争点になるべきかを判断すること自体、住民の選択に委ねられている。選挙の結果として示された民意を国政がしっかりとくみ取って、国と自治体の間で真摯に議論をすることが、分権社会が目指す姿だ」と語っているのは、現代民主主義社会における市民感覚にマッチしている。

   
            今でも直流電源の方が使い易い機器は多い

*1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014020502000238.html
(東京新聞 2014年2月5日) FM番組でも「脱原発」回避要請 NHK会長、参院委で発言
 NHKの籾井勝人会長は五日午前、参院予算委員会に参考人として出席し、NHKのFM番組にレギュラー出演している音楽評論家のピーター・バラカン氏に対し、東京都知事選が終わるまでは原発問題に触れないよう要請していたことを明らかにした。籾井氏はバラカン氏について「放送法は政治的に公平であること、意見が対立している問題にはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすることを定めている。都知事選では原発問題が争点の一つとなっており、期間中の番組はより公平性を期する必要性があり、いろいろ検討した結果、出演が取りやめられた」と述べた。バラカン氏は先月下旬、都知事選が終わるまで原発の問題に触れないよう複数の放送局から求められていたと明らかにしていた。NHKラジオ第一放送で先月末、経済学の観点から脱原発について語ろうとした中北徹東洋大教授に発言をやめるよう求めたことについても籾井氏は、「選挙期間中でもあり、テーマの変更を求めた」と認めた。

*2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014020690071054.html?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter (東京新聞 2014年2月6日) 都知事選世論調査 脱原発票割れる 舛添・細川・宇都宮氏に
 九日投開票の東京都知事選を前に、本紙は都民を対象に三回目の世論調査を実施した。原発再稼働に反対する有権者は半数を超えているが、投票しようと思う候補者は、元厚生労働相の舛添要一氏(65)、元首相の細川護熙氏(76)、前日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏(67)の三人に割れた。逆に、原発再稼働を求める層は舛添氏に集中。原発ゼロ層の足並みの乱れが浮かび上がった。調査では、政府が「安全が確認された」とする原発を再稼働することの是非を聞いた。再稼働反対が53・3%で、賛成は39・6%。また、投票先を選ぶ際に、原発政策を「大いに重視する」は18・4%だが、「ある程度重視する」を合わせると六割を超えた。しかし、再稼働反対派の投票先は、安倍政権の原発政策に沿う舛添氏と、原発即時ゼロを訴える細川氏と宇都宮氏に三分した。逆に「賛成」の半数以上は舛添氏に集中。主な候補で唯一、原発推進を訴える元航空幕僚長の田母神俊雄氏(65)を引き離していた。
◆舛添氏リード保つ 投票先未定なお3割
 本紙世論調査では、都知事選終盤も、舛添氏が幅広い層から支持を集め、リードしている。これを宇都宮氏と細川氏が追い、田母神氏が続く展開だ。前回に比べ、舛添氏が差を広げつつある。しかし、三割が投票先を決めておらず、流動的な要素も多い。
 舛添氏は福祉の充実を訴え、選挙戦を優位に展開。支援を受ける自民支持層の六割、公明支持層の八割をまとめ、民主支持層の三割にも浸透。無党派層からも三割の支持を集める。
 宇都宮氏は、脱原発と貧困問題を前面に出して支持を広げている。支援を受ける共産支持層の八割、社民支持層の五割を押さえている。女性の支持が比較的高いのが特徴だ。
 細川氏は脱原発を最優先課題に掲げ、小泉純一郎元首相と街頭で訴える。原発政策を特に重視する層の四割、民主支持層の五割をまとめた。ただ、無党派層の支持は二割にとどまる。
 田母神氏は防災対策を中心に訴え、自民支持層の二割近くに食い込んだ。個人的に支援する石原慎太郎元都知事が共同代表を務める維新支持層の支持は二割で浸透し切れていない。
 【調査の方法】3~5日、都内有権者を対象にコンピューターで無作為に選んだ番号に電話をかける方法で実施した。実際に、有権者がいる1792世帯にかかり、1006人から有効回答を得た。回答率は56%。各設問の回答の比率は小数点第2位で四捨五入しており、総計が100%にならない場合がある。

*3:http://diamond.jp/articles/-/44438
(Diamond online 高橋洋一 [嘉悦大学教授]) 希代のケンカ師・小泉元総理の「原発即ゼロ」発言
●原発ゼロ、電力自由化、東電解体の根は一つ
 筆者は電力の自由化をきっちりやれば、エネルギーの最適な組み合わせは自ずと達成できると考えている。原発事故が現実に起きて、そのコストが一企業でまかなえないほどに莫大になった以上、イデオロギーとは無関係に市場原理から考えると原発ゼロは自ずと出てくる最適解になる。だから電力自由化を全力で行えば、東電解体を経て、自ずとスムーズに脱原発も達成できる。この意味で、原発ゼロへの責任ある具体的なプロセスとは、電力自由化、その結果としての東電解体に他ならない。統制経済の考え方で、長期間の工程表を作ってみても、それはかえって無責任になってしまう。長期にわたる変化をうまく行うのは市場原理しかありえない。原発ゼロへの具体的なプロセスは、電力自由化、東電解体を示せば、それが必要かつ十分な解答になる。
●決断し制度設計は任せる小泉流
 こうした観点から、今話題になっている小泉純一郎元総理大臣の意見をみてみよう。かつて、郵政民営化でお仕えしたことがある筆者にとって、相変わらず勘が冴えているといえよう。小泉氏は、12日、日本記者クラブで記者会見し、今後のエネルギー政策について、原発は「即ゼロの方がよいと思う」と発言し、各方面に波紋を広げている。朝日新聞が実施した世論調査では、小泉氏の原発ゼロの主張について、支持するが60%、支持しないが25%となっている。小泉氏の脱原発論は、いわゆる「トイレのないマンション」論だ。日本に最終処分場は作りようがないのだから原発ゼロというシンプルで説得的な考え方だ。これに対して、「楽観的で無責任」とか反論しても、小泉氏の「最終処分場もないのに原発に依存するほうがよほど無責任」で一蹴されてしまう。自民党の石破幹事長は、11日の記者会見で「自民党の目指す方向と違わない」とやや軌道修正してきている。ただし、「小泉氏は、いつまでに、どのようにして、誰の責任で『原発ゼロ』を実現するのかまでは踏み込んでいない。単に理想を掲げるだけではなく、答えを出すのが責任政党だ」と述べ、具体的なプロセスにこだわった。

*4:http://qbiz.jp/article/31787/1/
(西日本新聞 2014年2月6日) 原発再稼働「短期的に必要」 佐賀県知事
 古川康知事は6日の定例記者会見で、原発の再稼働をめぐり「短期的には原発は必要で、再稼働していかねばならない」と強調し、安全性が確認された場合の再稼働の必要性をあらためて示した。一方で中長期的には「原発依存度を下げるため、代替できる基幹的エネルギーの開発を加速させるべきだ」と述べた。また、国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の潮受け堤防排水門の開門問題について、2日に投開票された長崎県知事選で現職の中村法道知事が再選されたことを受け「長崎県側に協議のテーブルについてもらうよう、国は本格的に働き掛けを始めてほしい」と期待を込めた。6日に熊本県で福岡、熊本両県の担当者同士が意見交換し、両県との連携に取り組んでいることも明かした。

*5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S10964684.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞 2014年2月6日) 原発、足元の県で問う 山口・石川…相次ぐ知事選
 東京電力福島第一原発の事故から3年になる今年、原発政策が問われる知事選が続く。原発が立地する石川県や、新設計画がある山口県では、いずれも原発政策の転換を掲げる候補が名乗りをあげる。一方で、エネルギー政策や在日米軍基地など国政の課題を地方の首長選で問うことの是非も問われそうだ。
■地元の合意、再稼働左右
 「東京都知事選は元首相2人のそろい踏みで話題になっているが、山口県知事選も安倍晋三首相の地元の選挙で関心が集まってくる。ふさわしい結果を」。6日に告示される山口県知事選。自民党の河村建夫選挙対策委員長は1日、自民、公明両党が推薦する新顔の元総務省職員村岡嗣政氏の集会で檄(げき)を飛ばした。都知事選で「即原発ゼロ」を掲げる細川護熙元首相を意識するのは、同県知事選でも原発政策の是非が争点化しているからだ。山口県内は、建設計画中の上関原発(中国電力)を巡って揺れる。辞職した前知事は、民主党政権時代に建設予定海域の埋め立て免許の延長申請を「不許可にする」と明言したが、安倍政権発足後の昨年3月、判断を1年間先送りする方針に転じた。2年前の前回知事選で敗れた元民主党衆院議員の高邑(たかむら)勉氏は今回、「建設計画反対」を前面に打ち出す。共産党公認の藤井直子氏も「即原発ゼロ」を訴える。高邑氏は「危険と負担を過疎地に押し付ける(国の)原発政策に甘んじていていいのか、と東京の人たちが思い始めている」とみる。一方、村岡氏は「エネルギー政策は国策。国で考えることだ」と争点化させない構えだ。安倍政権は電力が逼迫する今夏を念頭に原発再稼働をめざすが、今年は原発が立地する石川県や愛媛県でも知事選が予定されている。原発を再稼働させるには地元の合意が前提。再稼働判断を大きく左右する知事を選ぶ選挙となる。北陸電力志賀原発が立地する石川県の知事選は今月27日に告示される。現職で全国最多に並ぶ6選をめざす谷本正憲知事を自民、民主、公明各党の県組織が推薦するほか、県内で反原発運動を展開してきた社民党県連合も支持を決め、「相乗り」の形だ。志賀原発は原子炉直下の断層調査を待っている段階で、谷本氏は安全性が確認された原発を再稼働するという政府方針に「現実的な対応として理解できる」と肯定的な立場。原発をめぐる政策判断は国に委ねる姿勢を強調している。これに対し、新顔2人は原発政策の転換を掲げる。民主党県議の川裕一郎氏は同党県連が現職推薦を決めたことに反発し、昨年末に離党して挑む。「原発から自然エネルギーへの転換」を訴え、脱原発を訴える市民グループとも連携する。川氏は「原発政策は国政だけでなく地方の問題でもある」と指摘。細川氏や小泉純一郎元首相への支援要請も視野に入れる。共産党が推薦する木村吉伸氏も「即時廃炉」を主張する。こうした立地県の動きを注視しているのは、電力各社だ。ある東電社員は「大方針は国が決めても、細かい権限は地元知事にある。負ければしっぺ返しが大きい」と恐々とする。
■滋賀知事「国が守ってくれるのか」
 原発を問う知事選への関心は広がるが、争点化には悩みもある。7月に知事選が予定される滋賀県の嘉田由紀子知事は、隣接する福井県の大飯原発(関西電力)の再稼働に対し、事故が起きた時の避難計画や環境汚染防止が不十分だと批判的な立場だ。「自治体だから原発政策に口を出すなというが、国が国民の命と環境を守ってくれるのか。福島は守りきれなかった。原発がテーマになるかは有権者が判断することだ」と語る。2012年衆院選で、知事のまま日本未来の党を結成、「卒原発」を掲げて挑んだが惨敗した。解党後、原発に関する発信は控えめで、3選を目指すかどうか態度も明らかにしていない。県議会で知事の野党が過半数を占め、知事肝いりの流域治水推進条例案の審議を優先させ、議会側への配慮がある。自民党では対抗馬を検討する動きも出ている。秋には、福島第一原発事故で今も約14万人が避難している福島県でも知事選がある。現在2期目の佐藤雄平知事は進退を明らかにしていないが、県内では復興や除染が目に見えて進まないことへのいらだちが募る。昨年来、福島、郡山、いわきといった主要市長選などで現職首長が相次いで落選。知事を支える民主党県議の一人は「知事も戦々恐々ではないか」。ただ、エネルギー問題そのものが争点になるかは不透明だ。福島県議会は事故後、県内原発の全基廃炉を全会一致で決議して与野党間に隔たりはなく、佐藤氏も同様の主張しか発していない。原発被災地での対立軸はまだ見えていない。
■地方選で国政の課題 識者「争点、住民の選択」
 知事選でのせめぎ合いをよそに、安倍政権は「エネルギー政策は国策。国民利益を考えながら取り組んでいかないといけない」(甘利明経済再生相)と原発再稼働への布石を打つ。だが、国政課題を自治体選挙で問うことはなじまないのか。1月の沖縄県名護市長選でも、米軍普天間飛行場の移設計画という国の政策が真っ向から問われた。移設に反対する現職が再選されたが、政権は「市長の権限は限定されている」(菅義偉官房長官)として、直後から移設手続きに入った。11月には沖縄県知事選が予定され、辺野古の埋め立て申請を承認した仲井真弘多知事の判断が争点となる見通しで、あらためて民意が問われる場となる。東京大大学院法学政治学研究科の金井利之教授(自治体行政学)は国の独善を戒める。「住民生活や地域社会に関わることは全て争点となり得るということは、戦後日本の自治体の常識だ。何が争点になるべきかを判断すること自体、住民の選択に委ねられている。選挙の結果として示された民意を国政がしっかりとくみ取って、国と自治体の間で真摯(しんし)に議論をすることが、分権社会が目指す姿だ」と語る。

| 2014年東京都知事選::2014.2~ | 12:13 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.2.5 介護の負担は、まちづくりのやり方で軽減できる。(2014.2.8追加あり)
   

(1)路地の長屋から、緑が多くて便利な集合住宅は?
 *1に書かれているように、東京には木造住宅密集地域が多いが、これは区画整理を行い、道を広くして、瀟洒な集合住宅にまとめるのがよいだろう。住民が老人の場合、家の建替費用を出せないケースが多いため、古い住居と新しい住居の交換が必要だ。診療所、訪問看護・介護サービス、ショートステイ、託児所、レストラン、スーパーなど、老人や共働き夫婦に便利なインフラを建物内や近くに配置して、21世紀のコンセプトである「死ぬまで家庭で過ごせる環境」を作れば、抵抗する人は少ないと思う。

 また、*2のように、国交省は老人ホームの容積率の規定を緩和し、地下室を造りやすくする方針を決めたそうだが、市街地の地上部分の容積率を緩和することも重要である。

(2)介護と医療の連携について
 高齢化では東京より一歩先を行く九州で、*3のように、ITを利用した支援サービスや有料老人ホームへの新規参入など、介護投資が盛んに行われている。しかし、厚労省がしばしば制度の見直しを行うのは経営上のリスク要因だ。また、介護費用の総額を抑制する場合は、介護利用者へのサービスの質と量を落とさずに行わなければ、介護サービスの利用者が生命線を断たれることになる。

 なお、*4のように、厚労省は通常国会に医療と介護を見直し、一本化した法案を提出するそうだが、国民は健康保険料と介護保険料は別に支払っている。そのため、受給する段になると一本化するというのは、やり方の説明が重要であり、単なる負担増・給付減が目的であれば、健康保険制度や介護保険制度の理念が消えてしまうため、要注意だ。

*1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S10956070.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞 2014年2月1日) (都知事選2014 論点を問う)木造密集、遅れる防災
 幅8メートルの道路に接する公園近くに、3階建て共同住宅が立つ。低層の木造住宅が密集する東京都墨田区の京島3丁目の一角で、区画整理が進んでいる。岩田ふみさん(75)は2011年、夫婦で移り住んだ。以前の住まいは約100メートル離れた木造の長屋。入り組んだ路地は狭く、消防車も入れなかった。「しっかりした家に住めて安心」。都と区は1983年、京島2、3丁目地区で災害に強い街づくりに乗り出した。震災時に火災延焼の危険性が高い木造住宅密集地域(木密)を解消するため、道路を拡張し、住宅建て替えや移転を支援する制度を創設。都市開発業者と連携し、地権者らと交渉を重ねている。岩田さんの旧宅周辺で区画整理されたのは約2千平方メートルで、12年かかった。それでも区の幹部は「ここはうまく進んだ。そんな地区ばかりではない」。土地や建物の権利関係が複雑な上、住み慣れた家の建て替えに抵抗感を示す住民は少なくない。国土交通省によると、木密地域など震災時の延焼危険性や避難の困難度が高い地区は、全国に5745ヘクタール。東京に1683ヘクタールが集中する。都は12年度、木密解消に向け、住宅移転に補助金を出して都営住宅などをあっせんする一方、過度に密集する地域で強制力のある手法を検討する「特区制度」を導入した。首都直下地震に備え、都知事選の候補者は防災を訴える。行政の支援や住民の防災意識向上に論戦が交わされる。

*2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0101G_R00C14A2CR8000/
(日経新聞 2014/2/1) 国交省、老人ホームの容積率緩和 地下室造りやすく
 国土交通省は1日、老人ホームの容積率の規定を緩和し、地下室を造りやすくする方針を決めた。地価が高い都市部など限られた敷地でも、物置や浴室などを地下に設置し、地上部分の居住空間を広く取ることができるようになる。今通常国会に提出する建築基準法改正案に盛り込む。容積率は、敷地面積に対する延べ床面積の割合で、土地に対してどのくらいの大きさの建物を建てられるかを示す。現行法では老人ホームの場合、延べ床面積に地下部分も含めるので、地下室を造れば、地上部分が狭くなる。改正案では、延べ床面積の3分の1を上限に、地下室の面積を差し引いて容積率を計算する。これにより、容積率を上限まで使って建物を造る場合でも、地上階の面積を減らさずにある程度の広さの地下室を造ることができる。この規定は現行法で住宅に適用されている。国交省は、老人ホームが実質的に居住の場だと考え、住宅と同じ扱いにする。通所施設は対象に含まない。ただ地下室は、老人福祉法に基づく厚生労働省の省令により、居間や寝室といった居住スペースに使うことはできない。国交省の担当者は「高齢化社会でホーム増設のニーズが高まる中、空間を有効活用してもらいたい」と話している。〔共同〕

*3:http://qbiz.jp/article/31404/1/ (西日本新聞 2014年1月31日) 介護ビジネス再び活況 老人ホーム参入続々 IT活用で新サービス
 九州で介護関連ビジネスが再び活況を帯びている。ITを利用した支援サービスや、有料老人ホームへの新規参入などが相次ぐ。近年、介護が必要になった高齢者が急速に増えていることも背景にありそうだ。介護ビジネス最前線を追った。福岡市南区の「ケアプランセンターやよい」の事務所。要介護認定を受けた人の介護プランを作成していたケアマネジャーの永田やよいさん(58)が、タブレット端末に指を掛ける。画面に、市内の介護施設の空き状況や設備の有無が表示された。永田さんは「利用者の希望に合った施設を探す手間が省けます」と話す。ITベンチャー企業のウェルモ(福岡市)が開発したシステム。昨年末、市内のケアマネ事業所400カ所に端末を貸し出し、介護施設の検索に役立てている。ウェルモの鹿野佑介社長は「検索の利用状況を蓄積し、他の事業にも生かしたい」と語る。
  ◇   ◇
 結婚式場運営のアイ・ケイ・ケイ(佐賀県伊万里市)と、調剤薬局チェーンの総合メディカル(福岡市)が昨年、それぞれ住宅型有料老人ホームを開設した。両社とも口をそろえて「本業の経験や人材を生かせる」と介護事業に参入。さらに、既存の老人ホーム運営会社を買収したのも共通する。既に老人ホームを運営する福岡地所(同)は、新たに、サービス付き高齢者向け住宅を福岡市博多区に建設中。入居者の初期費用が比較的安く人気があるため、同社はこの住宅の拡大に力を入れる。
  ◇   ◇
 厚生労働省の集計では、九州7県の要介護・要支援認定者は昨年3月末で約68万2千人。5年前に比べ10万人以上増えた。増加率はこの3年間が毎年4%台で、それ以前の1〜2%台に比べハイペースで推移。人口が多い団塊の世代が65歳に達したためとみられる。2000年に介護保険制度がスタートして以来、企業の介護ビジネス参入が続いた。しかし大手業者の不正問題をはじめ、介護報酬の低さや人手不足などから、収益性は必ずしも高くないとの認識が浸透。それでも介護を必要とする人が増える中、ここにきて再び参入機運が高まっている。一方、厚生労働省は来年4月からの制度見直しで介護サービスの「効率化・重点化」をさらに徹底する方針。介護報酬の総額が抑制される可能性もある。参入企業にとって、利用者へのサービス充実と収益確保をどう両立するか、今後の課題は大きい。

*4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014011102000099.html
(東京新聞 2014年1月11日) 負担増の追及回避? 介護+医療 一括法案提出へ 厚労省
 厚生労働省は二十四日召集の通常国会に介護保険と医療の見直しを一本化した法案を提出する。国民生活に大きく影響する個別の法案を一本化するのは異例。厚労省は医療と介護の連携強化方針に基づく対応と説明している。しかし、野党からは「負担増を国会で追及される機会を減らしたいのだろう」と反発が出ている。一括法案は、介護保険関連で(1)一割の利用者負担を一定以上の所得がある人は二割に引き上げ(2)特別養護老人ホームに入所できる人を原則として中重度の「要介護3~5」に限定-などが入る。医療関連では都道府県の医療計画策定を介護に合わせ五年ごとから六年ごとに変えることや在宅医療・介護推進の基金設置などが盛り込まれる。医療法や介護保険法の見直し部分を一括法案にまとめる。厚労省幹部は「医療と介護は不可分の関係にある」と、一本化の必要性を強調する。しかし、国会対策上の狙いもある。介護保険の見直しは負担増・給付減がめじろ押しで、民主党などは反対する見通し。一方、医療・介護の連携強化には野党も反対しにくいため、抱き合わせで徹底抗戦を封じようというわけだ。民主党の厚労関係議員は「前代未聞だ。これを認めたら、年金や介護など何でも一括化できることになってしまう。わが党は分割を求めていく」と述べた。与党の自民党にも批判がある。昨年十二月に開かれた自民党会合で厚労省が一本化方針を説明したところ「医療と介護は全然違う話だ。なぜ一括になるのか」などと批判が相次いだ。参院法制局の元参事で「国会とは何か」の著書がある清野正哉・会津大上級准教授は「一括化は政府が追及されたくないときやどさくさ紛れに法改正したいときによく使う手法だ。審議が進みやすいし、手続きの瑕疵が指摘されにくい」と説明している。


PS(2014.2.8追加):*5のように、訪問看護・介護ステーションは、高齢者だけでなく、障害児や病児はじめ、誰にでも対応できるし、使えるようにすれば便利だと思う。

*5:http://qbiz.jp/article/31901/1/
(西日本新聞 2014年2月8日) 福岡市、重症児の短期預かり事業へ 訪問看護施設を活用
 たんの吸引など日常的な医療的ケアを必要とする重症心身障害児・者を自宅で介護する親の負担を減らそうと、福岡市は新年度、顔なじみの訪問看護師らを訪問看護ステーションに派遣して重症児を短期間預かるモデル事業に着手する。事業費は数百万円。国は重症児を病院などで一時預かる短期入所制度を設けているが、重症児は年齢が低いほど環境の変化で体調を崩しやすく、15歳以下を受け入れる病院は福岡市に1カ所だけ。厚生労働省は「同様の取り組みは聞いたことがなく、国としても注視したい」とする。事業は、障害児の親などでつくる同市のNPO法人「ニコちゃんの会」と共同で実施。計画では、ステーションの一室を借り、重症児が日常的に利用している訪問看護師やヘルパーを一時的に配置して2泊3日程度預かる。利用は体調が安定している時に限り、医師との連絡を密接にする。安全性や費用を検証し、2015年度以降の制度化を目指す。市内に94ある訪問看護ステーションや359の訪問介護事業所を足場に、預かり先を増やす考えだ。市内の重症心身障害児・者は約800人で、うち約600人が在宅。たんの吸引に加え、導尿、経管栄養の補給、体位変換などのケアが日常的に必要で、介護する側の負担は重い。市は本年度、福岡都市圏の医療機関に意識調査を実施。回答した23機関はいずれも15歳以下の受け入れはできないとし、リスクや手がかかることを理由に挙げた。一方、介護する家族は「病気になっても入院できない」「法事など大切な行事に出られない」などの悩みを抱き、「短期間、安心して預けられる場所を」との声を市に寄せていた。人工呼吸器が必要な1歳の子どもがいる市内の母親(36)は「この1年、旅行や外泊はおろか睡眠も十分取れない。顔なじみの人がケアしてくれるのなら安心だ」と歓迎した。

| 2014年東京都知事選::2014.2~ | 03:54 PM | comments (x) | trackback (x) |

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