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2012.8.7 原発稼働という路線を走る為の原子力規制委員会設置法案と委員長人事について
 私も、下の*1のように、原子力規制委員会委員長に田中俊一氏は適さないと思ったので、委員長候補とされている田中俊一氏の経歴と信条(*2)を調べた。

 その結果、原子力規制委員会設置法案(*3)は、今後とも原子力発電を利用するにあたり、安全の確保を図るため必要な施策を策定することを目的として作られており、“人類社会と地球環境が希求する技術を生み出す創意に満ちた原子力科学の研究開発活動”を推進することを信条としている田中氏を、委員長候補にしていることがわかったので、以下に、問題点を箇条書きにする。

1)国会事故調でも明らかにされたとおり、これまで原発を扱ってきた人々は、倫理的、技術的両面で、
  原子力を扱う資格のない人々であった。
2)原子力規制委員会は、原発を規制する立場であるため、推進派になる原子力開発の専門家を規制
  委員にすべきではない。なぜなら、工場の安全検査の担当者と製造担当者や開発担当者を兼務さ
  せるようなもので、一人の人間の中に動機の矛盾が生じ、確実な安全検査ができないからだ。
3)原子力規制委員会の設置目的が、「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全」を目的とす
  るのであれば、何が国民の生命、健康、財産、環境に悪影響を与えるもので、どうすればそれを軽
  減(原発を使う限り、リスクは軽減できても0にはならない)できるかを考えられる専門家をブレーキ
  役として委員長や委員に多用すべきである。例えば、疫学・医学・生物学、生態系、環境、法律、
  監査の専門家などがそれに当たるだろう。
4)「我が国の安全保障に資すること」と原発の関係は国会でも問題になっていたが、「エネルギー安全
  保障」ということであれば、国産エネルギーが最もその目的に適合し、原発は適合しない。むしろ、
  今回の事故で原発は危険なエネルギーであることが明白になった。 
5)原発の高コスト体質は明らかになったので、原発の技術開発や強化策に、これ以上の金をかけて
  もらいたくない。それより、如何に安く安全に廃炉にし、使用済核燃料を生物界から隔離して原発を
  閉じるかに、全精力を傾けてもらいたい。

*1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012080202000237.html (東京新聞 2012年8月2日) 規制委人事 差し替え要請 民主PT
民主党の環境部門と原発事故収束対策プロジェクトチーム(PT)の合同会議が二日開かれ、原子力規制を一元的に担う新組織「原子力規制委員会」の委員長に田中俊一・前原子力委員会委員長代理を充てる人事案について「このままでは同意できない」との意見が多数を占めた。荒井聡PT座長は横光克彦環境副大臣ら政府側の出席者に「人事案の出し直しをできないか」と求めた。会議では、一日に衆参両院の議院運営委員会で行われた田中氏の所信聴取の内容も議論。田中氏が原発運転後、四十年で原則廃炉にする政府方針に関し「安全性に支障がなければ、機械的に適用するということではない」と発言したことなどについて「納得できるものではない」などの意見が相次いだ。田中氏以外の委員についても、荒井座長は「原子力の専門家に偏りすぎている」と、人事を差し替えるべきだとの考えを示した。これに対し、藤村修官房長官は二日の記者会見で「政府はベストな(人事)案を国会に提示した」と否定的な考えを示した。

*2:http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/iin/tanaka.htm 、http://www.jaero.or.jp/data/02topic/fukushima/interview/tanaka_t.html
田中 俊一氏(たなか・しゅんいち)
1945年 福島県生まれ。
1967年 工学博士、日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)入所。原子炉工学部遮蔽研究室長、東海研究所副所長、所長、副理事長などを歴任
2007年1月~原子力委員会委員長代理(常勤)
現在、NPO法人放射線安全フォーラム副理事長として、福島県の除染活動に取り組んでいる。
信条:21世紀社会の様々な課題と不確実性に柔軟に対応し、人類社会と地球環境が希求する技術を生み出す創意に満ちた原子力科学の研究開発活動が行われる政策を企画し、推進します。

*3:http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g18001019.htm
第一条 この法律は、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故を契機に明らかとなった原子力の研究、開発及び利用(以下「原子力利用」という。)に関する政策に係る縦割り行政の弊害を除去し、並びに一の行政組織が原子力利用の推進及び規制の両方の機能を担うことにより生ずる問題を解消するため、原子力利用における事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立って、確立された国際的な基準を踏まえて原子力利用における安全の確保を図るため必要な施策を策定し、又は実施する事務(原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉に関する規制に関することを含む。)を一元的につかさどるとともに、その委員長及び委員が専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使する原子力規制委員会を設置し、もって国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする。
第三条 原子力規制委員会は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するため、原子力利用における安全の確保を図ること(原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉に関する規制に関することを含む。)を任務とする。

| 原発::2012.6~8 | 02:42 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.8.2 原子力発電を経済的に正当化することは決してできないのに、多くの議員やメディアが原発維持になっているのは何故か?
 *1でも書かれているように、普通に考えれば原子力発電を経済的に正当化することはできず、世界が天然ガスと自然エネルギーの組み合わせに向かうのは、経済と環境の両面から考えて当然である。さらに、*2のように、原発には、国民の税金から支出されるが、これまでコストに入れてこず、これからいくらかかるかも予測できない膨大なコストがかかっている。「原発に重大事故は起きない」などというのが、原発推進派の希望的観測にすぎなかったことは、既に福島第一原発事故で証明済だ。

   
  海に流れ出た放射性物質   河川から流れ込む放射性物質   東京湾の汚染ピークは2.2年後

 その上、まだ無視されている被害もある。放射性物質による汚染は、下のHPのように、福島県だけでなく東北・関東全域の土壌や海にも及び、大人でも命や健康に害があり、特に、放射性物質を含む埃を吸い込んだり、放射性物質を含む食品を食べたりすることによる内部被ばくが怖いが、農産物に影響を与える土壌汚染や水産物に影響を与える海・川・魚の汚染が広がってきても、政府は、事実を開示せず、消費者が購入することを奨励している。つまり、これまでの公害の教訓が活かされていない(水俣病の原因と国の認定の仕方を見るべき)。有名人が一度食べて見せたからといって、継続的に摂取し続けた場合の放射性物質の害がなくなるわけはないのに、国民を馬鹿にするのもいい加減にすべきだ。
  http://matome.naver.jp/odai/2130129805361111301 総論
  http://matome.naver.jp/odai/2131468288290995401 土壌汚染
  http://matome.naver.jp/odai/2131798275437360201 空間線量
  http://matome.naver.jp/odai/2133726992095548101 海・魚の汚染

 その結果、*3の福島での意見聴取会では、意見表明したほぼ全員が、2030年の原発依存度について「0%」の選択肢を主張し「県民99.9%の願いだ」としたのは、当然であろう。私は、我が国の不良資産である原発が、現在は一基も稼働せずにすんでいるのだから、このまま速やかに廃炉にするのが、我が国の財政、経済、環境にとってBestだと考える。

*1:http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120731/biz12073108320003-n1.htm (産経ニュース 2012.7.31) 原発「正当化難しい」 米GEトップが英紙に
(ポイント)米電機・金融大手ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフ・イメルト最高経営責任者(CEO)は、30日付の英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで、原子力発電が他のエネルギーと比較して相対的にコスト高になっていると指摘し「(経済的に原子力発電を)正当化するのが非常に難しい」と語った。発言の背景には、東日本大震災の影響で原発に関わるコストの上昇が見込まれる一方、天然ガスの価格が10年来の安値水準を続けていることがある。イメルト氏は「世界の多くの国が(天然)ガスと、風力か太陽光の組み合わせに向かっている」と述べた。

*2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2257203.article.html (佐賀新聞 2012年7月31日) 東電の実質国有化完了 / 公的資金1兆円を注入
政府は31日、東京電力に公的資金1兆円を資本注入し、実質国有化の手続きを完了した。国の管理下で東電が経営破綻するのを回避し、一段の経営合理化も進め、福島第1原発事故の賠償対応や廃炉作業、電力の安定供給に支障が出ないようにする。政府の原子力損害賠償支援機構が31日、東電が発行した新株を引き受けて1兆円を払い込み、筆頭株主として議決権の過半を取得した。8月1日には取引銀行も計3700億円を融資し、国主導の東電再建が本格的に動きだす。政府は経営改革にめどが付くなどすれば、機構の保有株を東電に買い取ってもらうなどの形で公的資金の回収を始める。

*3:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012080101002073.html (東京新聞 2012年8月1日) 発言者ほとんどが原発「0%」 福島で意見聴取会
政府は1日、東京電力福島第1原発事故を受けた今後のエネルギー・環境政策について直接国民から意見を聞く意見聴取会を福島市で開いた。意見表明したほぼ全員が、2030年の原発依存度について「0%」の選択肢を主張し「県民99.9%の願いだ」などの意見に会場から大きな拍手が起きた。聴取会は一般傍聴者も含め参加者は福島県在住者か、事故後に県外へ避難した人に限定、約150人が参加。発言者の人数を他会場の12人から30人に増やし、開催時間も1時間延長して約3時間とした。政府のエネルギー・環境会議が示した原発依存度0%、15%、20~25%の三つの選択肢に縛られないようにした。

| 原発::2012.6~8 | 12:06 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.7.1 なし崩し的原発再稼働を進めるきっかけとなる大飯原発再稼働に反対する。
    
 *2の写真                              *1の写真

 民主党の野田首相が、福島第一原発事故の真実の検証もないまま、なし崩し的に原発再稼働のきっかけを作る大飯原発再稼働の意思決定をして、今日の午後9時から、再稼働することになった。その前の6月29日(金)には、*1のようにネットで集った普通の人々が官邸前に集まって「再稼働反対」と叫び、今日7月1日には、*2のように、普通の市民が、大飯町において徹夜で再稼働に反対し、道路を封鎖して抗議している。どちらも、主権者として明確に意志表示していて偉いと思う。

 大飯原発は、中央の図のように活断層の上にある可能性が指摘されている。そうでないことを証明もできず、ここまで何も考えずに原発を作った人にも驚くが、一旦事故が起これば大きな面積の土地を使えなくし、何百兆円もの除染費用を出さなければならないような原発を、低コストの電力だと主張する人にも呆れる。しかし、新聞・テレビは、このデモをあまり報道していない。そして、それがどういう理由によるかは、もはや言うまでもないだろう。

*1:http://mainichi.jp/select/news/20120630k0000m040057000c.html (毎日新聞 2012年6月29日)
大飯再稼働:ネットで集結「反対」…官邸前に人の波
 関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を2日後に控えた29日夕、東京・永田町の首相官邸前で毎週金曜日に行われている再稼働への抗議行動が一気に拡大し、官邸前から霞が関への車道が人で埋め尽くされた。警察の機動隊も出動した。ツイッターやフェイスブックでの呼びかけなどで集まった人々は組織化されておらず、デモ行進はなし。官邸前でひたすら「再稼働反対」と叫ぶのが特徴だ。
 人が集まり始めたのは午後4時ごろ。「再稼働に断固反対」と書かれたプラカードを手にしている人がいれば、帰宅途中の会社員や手ぶらの家族連れ、お年寄りの姿もある。埼玉県蓮田市の会社員、田中秀行さん(38)は勤務先からスーツ姿で初めて参加。「集会やデモに出たことはないが、もう無関心ではいられない。政治色もなさそうなので抵抗感はなかった」と言う。

*2:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/310602 (西日本新聞 2012年7月1日)
徹夜で再稼働に反対、道路封鎖 200人が抗議
 大飯原発に通じる道路を封鎖し、3号機の再稼働に抗議する人たち=1日午後4時49分、福井県おおい町で共同通信社ヘリから 関西電力大飯原発3号機(福井県おおい町)の原子炉起動を1日夜に控え、反対する市民らが前日から町に集結し、徹夜で原発に通じる道路を封鎖した。1日からは反原発団体のメンバーも合流し、計約200人が道路で腕を組んだりロープを張ったりして抗議した。
 市民らは6月30日、再稼働に反対する横断幕を掲げ町内をデモ行進。大飯オフサイトセンターで再稼働の即事中止を求める要望書を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。30日夕方から、原発前の道路に車を並べるなどし、通行できなくした。1日には再稼働反対を訴え関電の敷地に入り、警備員らとの間で小競り合いとなった。

| 原発::2012.6~8 | 09:59 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.6.27 電力会社もグリーン・イノベーションについていかなければ、衰退するでしょう。
 自動車産業を見ればわかるとおり、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車(水素燃料で走行)、LPガス車を、いち早く市場に投入したところは販売が伸び、決算でも黒字を計上しています。しかし、いつまでも昔の感覚から抜けきれず、ガソリン車の改良でお茶を濁していたところの決算は厳しいようです。それは、下のような理由で、ガソリンを大量に消費する車は、販売が伸びなくなったからです。
①世界の需要と供給の関係で、燃料であるガソリンの値段が一貫して上がってきていること
②ユーザーの環境意識が上がり、環境によいものを購入するという判断が働いてきたこと
③政府も、エネルギー自給率の向上や環境に配慮した車を後押ししていること

 電力会社も、いつまでも古い技術の原子力や重油火力にしがみついている会社は、同じ運命を辿るでしょう。何故なら、ユーザーは、電力料金だけでなく、環境や健康も考慮するところまで成熟したからです。そして、今後は、電力自由化を進めて電力市場に競争原理を入れ、電力料金の低下を図るのが、我が国の産業発展に不可欠であるとともに、新エネルギーによる発電で、エネルギー自給率の向上、低コスト発電、環境などを両立させる技術を速やかに実用に供さなければなりません。そして、政府も、いつまでも高コストの電力(原子力、重油火力)を応援する仕組みを堅持するのではなく、新エネルギーを後押ししなければ、我が国の産業が世界に置いていかれるでしょう。

 なお、下の記事のように、関西電力の筆頭株主が大阪市で、橋下徹市長が株主総会に出席したというのは面白いと思いました。そこで橋下徹市長に提案したいのですが、関西付近には、明石海峡、紀淡海峡、鳴門海峡など、汐潮発電に向く流れの速い場所がいくつもあるため、すでにイギリスで実用化されている汐潮発電機を設置すれば、あとは燃料費無料でかなりの発電ができます。それに、日本で改良を加えてもよいでしょう。また、関西も住宅が多いので、太陽光発電をリース会社も使ってどんどん設置すれば、かなりの普及率と発電量が見込まれ、大飯原発を動かす必要はなくなると思います。それは、電力会社がやってもよいし、他の企業がやってもよく、それを自治体が後押しすれば進展すると思いますので、是非、やったらいかがでしょうか。 四葉

http://www.asahi.com/business/update/0627/OSK201206270037.html (朝日デジタル 2012年6月27日) 橋下市長「関電このままではつぶれる」
関西電力の筆頭株主である大阪市の橋下徹市長は株主総会で質問に立ち、「関西電力はこのままではつぶれると大変危惧している」「関電は将来リスクの説明が不十分だ」と訴えた。 使用済み核燃料について「再処理事業は今後も継続するとお考えか。中止のリスクは考えているのか」と指摘し、「原発が何基止まれば赤字になるということを念頭において経営しているのか」と経営陣にただした。 橋下氏はそのうえで、「政権も代わる予定がある」と主張。「政権が代わり、エネルギー政策が変わって原発依存度がゼロになるような流れになったとき、関西電力はどう対応するのか」「今がまさに時代の、エネルギー供給体制の転換(期にある)。経営陣はリスクを念頭に置いて新しいエネルギー供給体制を目指してほしい」と迫った。

| 原発::2012.6~8 | 02:29 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.6.21 何故SPEEDIの放射性物質拡散予測を公表しなかったのかについて、徹底して追求すべき。何故なら、そこに国民の命をないがしろにする態度が表れているから。
 下の*2からわかるように、SPEEDIは、原発事故時に放射性物質の放出量を測れなくても、地形や風向きを考慮して予測データを出すもので、実測した地点での実測値をインプットしていく度に、予測の精度があがるものです。そのため、*1のように、文部科学省が、「『放出源の情報が得られていないため実態を正確に反映していない予測データの公表は無用の混乱を招きかねない』と判断して、事故から1か月以上たった4月25日まで公表を見送った」というのは、本来の使い方をしておらず、全くおかしいのです。そして重要なことは、情報が開示されなかったことにより、(関東も含む)住民は、適切な避難方法や避難方向を選ぶことができず、無用な被曝をさせられたということです(*3の計算結果参照)。 きゅー

 そして、*2に書かれているところでは、2012年3月3日の中国新聞によれば2011年3月15日、政務三役らが出席した会議において、SPEEDIの計算結果を高木文部大臣らが見て、一般には公表できない内容であると判断し、他のデータを用意することになったのだそうです。このときは原子炉内の全ての放射性物質の放出を想定し、関東、東北地方に放射性雲が流れるとの結果が出たという広範囲な流出も予測していたそうで、文部科学省が最悪の事態を想定し計算を繰り返していたことは明らかです。そして、この前日の3月14日より計画停電が開始され、国民が原発事故に苦情を言わない背景が作られ始めていたのです。現在の関西と似ていますね。

 そのため、今後の国会では、①SPEEDIの本来の役割 ②開発費 ③福島第一原発事故の情報を開示しなかった本当の理由 ④それにより余分な被曝をさせられた人の数と被曝量 ⑤福島第一原発が溶融して爆発したという前提で、SPEEDIによる東北・関東に降り注いだ放射性物質の種類別推定量 ⑥その前提での健康被害予測 ⑦安全な震災瓦礫はあるのか などについて、徹底して追及することが必要です。何故なら、SPEEDI情報の非公開は、国体や産業を守って個々の国民の生活や命を軽んじる政治哲学に基づくものであり、消費税増税・社会保障削減など、あらゆる分野に共通して出てくる官主主義の悪い点だからです。

*1: http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/20120611/index.html (NHKオンライン 2011年6月11日) SPEEDIで実測も非公表
(ポイント)SPEEDIの運用は文部科学省が所管する原子力安全技術センターが担当し、研究や運用にこれまで120億円余りの費用が投じられています。
福島第一原発の事故では、SPEEDIの計算の前提になる原発からの放射性物質の放出源の情報が、地震に伴う停電によって得られなかったため、原子力安全技術センターは、震災当日から放出量を仮定して入力した得られた予測データを文部科学省に報告してきました。
一方、報道機関などは、事故の直後からSPEEDIの予測データを公表するよう求めてきましたが、文部科学省は「放出源の情報が得られていないため実態を正確に反映していない予測データの公表は無用の混乱を招きかねない」として、3月23日に公表された一部の試算データを除いて、事故から1か月以上たった4月25日まで公表を見送りました。この結果、SPEEDIの情報は、住民の避難や範囲などの決定に役立てられることはなく、原発事故の際の国の情報公開の在り方を巡って大きな問題となりました。
SPEEDIの活用に関して、原発事故について検証する政府の事故調査・検証委員会は「仮に予測データが提供されていれば、自治体や住民は、より適切な避難経路や避難の方向を選ぶことができたと思われる」と指摘しているほか、民間の事故調査委員会も「住民の被ばくの可能性を低減するため、最大限活用する姿勢が必要だった」と述べています。

*2:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%8A%E6%80%A5%E6%99%82%E8%BF%85%E9%80%9F%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E4%BA%88%E6%B8%AC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0#.E5.A4.96.E9.83.A8.E3.83.AA.E3.83.B3.E3.82.AF 
(ポイント)緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムとは、緊急事態において気象条件や地形情報などから放射性物質の環境への拡散を地理的、数値的に予測するシステムで、通称、SPEEDI。2011年3月に起きた福島第一原子力発電所事故では、3月11日夜以来原子力安全・保安院が、12日未明以来文部科学省が、多数試算していた。SPEEDIは100億円以上かけて開発され、事故後5,000枚以上の試算結果があったとされるが、試算なので国民の無用な混乱を招くだけと判断され国民に公開されず、自治体が住民避難を計画する参考にも供されなかった。情報を非公開としたことにより、放射性物質の飛散方向と同じ方向に避難した住民を多く発生させてしまい、強い批判を受けた。情報を非公開としたことについては、後に政府が「パニックを避ける」ことを優先させすぎたが故の誤った判断だったと認め、謝罪している。しかし、事故直後の3月14日に文部科学省は試算結果を外務省を通じて米軍に提供していた。また、原発立地地域の住民に対する従前の説明では、万一の事故時の避難に際してはSPEEDIのデータを活用する前提であると説明していた。公開を求める声が多く、3月23日に一部が公開されたが、国会で全容の公開が強く求められた結果、5月になって試算結果が関係省庁のサイトに揃って公開された。2011年9月2日、原子力安全・保安院は3月11日の事故以後の緊急時対策支援システム(ERSS)による事故進展予測試算結果を公表した。それによれば全電源喪失による原子炉停止から1号機では15時間22分後、2・3号機では8時間35分後の炉心溶融を予測し、さらに格納容器過温破損とその後1時間後、5時間後、10時間後の放射性物質の放出率(Bq/h)や環境中の残存量率(Bq)を予測した。また1号機の予測結果に基づきSPEEDIでの放射性物質の拡散予測・試算なども行っていたが、総理大臣官邸危機管理センターには2・3号機の緊急時対策支援システム(ERSS)の予測を送付しただけで、SPEEDIでの放射性物質の拡散予測結果は報告しなかった。原子力安全・保安院で解析した45件もそのうち2件のみしか送付しなかった。送付しなかった理由は分からないが、SPPEDIの結果を使うという思いが至らず問題があったとしている。2011年6月17日の参議院東日本大震災復興特別委員会にて、自由民主党の森まさこ議員が、高木義明文部科学大臣に対して、3月12日にSPEEDIの算出結果を公開しなかったことを質問したところ、「現地情報がないため計算できなかった」「計算していることを私は知らなかった」と答弁した。 しかし、2012年3月3日の中国新聞によると、2011年3月15日、政務三役らが出席した会議において、SPEEDIの計算結果を高木らが見て「一般には公表できない内容であると判断」し、他のデータを用意することになったのだという。このときは原子炉内の全ての放射性物質の放出を想定し「関東、東北地方に放射性雲が流れるとの結果が出た」と広範囲な流出も予測したという。文部科学省が最悪の事態を想定し計算を繰り返していたことが明らかになった。

*3:http://www.nisa.meti.go.jp/earthquake/speedi/speedi_index.html
緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の計算結果

| 原発::2012.6~8 | 02:06 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.6.17 原発再稼働推進論者の論理には無理が多いこと
 日経新聞が、最も典型的な原発再稼働推進論を展開しており、下の記事に、うまくその要約がなされているので、これに反論する形で、原発再稼働推進論者の論理の無理を指摘します。 雷

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1600D_W2A610C1000001/
大飯原発の再稼働を政府決定  (日経新聞 2012/6/16)

●野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は16日午前、首相官邸で協議し、関西電力大飯原子力発電所(福井県おおい町)3、4号機の再稼働を正式に決めた。福井県の西川一誠知事が再稼働への同意を表明したためだ。国内のすべての原発が止まった状態はほぼ2カ月ぶりに解消する。

←(批判1)国内のすべての原発が止まった状態を早く脱し、原発なしでも困らないという実績を作られるのを阻止したことを白状している。

●関電の管内で、予期せぬ停電などを通じて暮らしや企業活動が深刻な打撃を受ける危険性はやわらぎそうだ。

←(批判2)原発再稼働がなければ、病院や信号機の停電で命にかかわるというふれ込みの脅しもあったが、そもそも、計画停電するためには重要性の順位があるのが当然であり、病院や信号機を他と同じ次元で停電させざるを得ないシステムにしているというのがおかしい。もし、選択的に停電させることができないシステムになっており、重要部分にも通常の電力供給網一つしかないのであれば、事故や地震など災害時の危機管理ができていないということであり、それを問題にすべきである。なお、病院や信号機など命にかかわるものは、もともと自家発電その他で十分にバックアップしておくべきである。

←(批判3)企業活動への深刻な打撃は、①今まで原発に頼らせて自然エネルギーの普及を阻害してきたこと ②自国で算出できる天然ガスなどのエネルギー開発をせずに安易な輸入燃料に頼らせてきたこと ③電力自由化や発送電分離を行わなかったこと 等が原因であり、経済産業省(特に、資源エネルギー庁)のミスである。そして、原発再稼働を推し進めることは、それらを改善し環境と両立しながら経済成長する機会をさらに阻害する。

●首相は協議で「再稼働することを政府の最終判断とする」と語った。そのうえで「政権として原子力行政への国民の信頼回復に向けてさらなる取り組みを進める決意だ」と強調した。協議に先立ち、首相は西川知事と会談。知事が「国の安全確保のいっそうの努力と支援の約束を頂いたので(再稼働に)同意する決意を伝えたい」と述べたのに対し「決断に深く感謝申し上げる」と謝意を表明した。知事は再稼働への消費地の理解を深めることや、日本海側の津波や地震の調査推進など8項目の要望も首相に伝えた。

←(批判4)何度も書いたが、野田首相や西川知事に原発の安全性を判断する能力はないし、責任をとると言っても、どう責任をとるのか明らかにしておらず、本当は責任などとれるわけがない。そのような状況で、消費地の理解を深めるなどというのは不誠実であるし、日本海側の津波や地震の調査が今まで行われておらず、そのままで今から再稼働しようとしているのは、無謀としか言いようがない。

●昨年3月の東日本大震災で東京電力福島第1原発の事故が起きてから、原発の運転再開が決まったのは初めて。国内にある原発50基は北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)が5月5日に定期検査に入って以来、約42年ぶりに全基が運転停止となっていた。政府が大飯原発の再稼働を正式に決めたのを受け、関電はただちに準備作業を始める。最初の3号機のフル稼働まで約3週間かかり、次の4号機も含めると2基が共にフル稼働するのは最短で7月24日になる見通しだ。

←(批判5)「待ってました!」と言わんばかりの関電の対応であるが、負けてはならない。

●政府などの試算によると、大飯原発が再稼働しなければ関電管内では猛暑だった一昨年夏のピーク時に比べて15%の電力が足りなくなる。無秩序に停電が起こる可能性が高まり、企業の経済活動や家庭生活に支障が出かねない情勢だった。再稼働により、こうした最悪の事態は避けられる公算が大きくなった。ただ、関電の見通しでは一昨年並みの猛暑になれば、昨年の節電効果を反映しても8月の電力需給の余裕度を示す「予備率」はゼロになる。このため、需給が逼迫した場合に備えて関電は事前に時間や対象地域を決めて停電を実施する「計画停電」の準備は続ける。

←(批判6)いつも「関電管内で猛暑だった一昨年夏のピーク時」と比べ、その後、何ら節電対策を行っていないという前提で話を進めているところに無理がある。LED電球の使用や節電型家電への買い替え、太陽光発電をはじめとするさまざまな自家発電装置により、もう、15%くらいの節電はできていなければならない筈である。関東ではできるのに、関西ではできないとでも言うのだろうか?

●政府は早期の大飯再稼働をめざしていたが、立地自治体の福井県の同意を得られなかっただけでなく、消費地である周辺自治体が慎重な姿勢を崩さなかったため、手続きが滞っていた。首相は経済活動やエネルギー安全保障の観点から「原発は重要な電源」と表明しており、運転を止めているほかの原発の再稼働もめざす方針。年内は伊方(愛媛県)、泊(北海道)の2原発の再稼働が課題になる。

←(批判7)全貌が見えていない首相が表明したからといって、「原発は重要な電源」とはならない。また、手続きをすれば危険なものが安全になるということもない。さらに、原子力燃料は、外国依存であるためエネルギー安全保障には資さない上、原発が爆発すれば大きな自損事故となり、自らの国土を崩壊させるとともに、外国にも迷惑をかけることが福島第一原発事故で証明されたのに、何を血迷ったことを書いているのだろうか。

←(批判8)そして、やはり運転を止めている他の原発の再稼働を進めるきっかけとするのであるから、野田首相は全く民意を汲んでおらず、不信任に値する。

←(批判9)さらに、この記事は日経新聞の社説に掲載されていたものであり、日経新聞の中でも選ばれた記者が書いたと思われる。それでも、このような聞きかじりのコメントを連ねて全体としては結果ありきの深みのない社説を出すというのは、新聞社自体のスタンスがわかると同時に、(文系であろう)記者の能力や志の低さを感じさせる。こういうのを「暗記型秀才」というのであろうが、全く論理性がないことに自らは気がつかないのだろうか?

| 原発::2012.6~8 | 03:07 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.6.16 どうしても大飯原発の再稼動を進めたい人は誰でしょうか?
 「 http://www.ustream.tv/recorded/13775234 」は、弁護士でフリージャーナリストの日隅一雄さんが、福一原発事故の東電記者会見で、汚染水放流の判断理由と責任者について質問している動画です。この動画のインターネット報道後、視聴者から服の色の「オレンジ」というニックネームがつけられたそうですが、東電担当者の中には、日隅さんを睨み付けている人もおり、口では「すみません」と言いつつ、ポイントについてはなかなか答えていません。そして、汚染水は、現在でも流れ出し続けており、国や経済産業省の漁業に関する認識の甘さには、驚くほどのものがあります。後に、水俣病と同じような公害問題に発展することが予想されるのに、大メディアの記者は、記録するでもなく、何か質問するでもなく、ぼーっとしているのが印象的です。これは、記者クラブ制で、会社の方針により大本営発表しているからだそうで、まれに詳しい記者がいて、いい質問をしていると配置転換されたのだそうです。また、フリージャーナリストは、何度も排除されたとのことでした。 怒

 そのように隠し事の多い中、*2のように、今また、大飯原発が再稼動寸前です。何度も書きますが、発電燃料は代替可能で安くもでき、国民生活や国土は代替不能です。*1のように、専門家を中心とした原告団が玄海原発の運転差し止め訴訟も始めています。野田佳彦首相や福井県知事にも、自らが政治を志した理念(まさか、なかったなんて言わないでしょうね!)を思い出してもらいたいと思います。

 なお、関西電力大飯原発の30km圏内には、京都府・滋賀県の一部が入り、100km圏内には、京都府・滋賀県の全域と福井県の殆ど、兵庫県・大阪府・岐阜県の一部が入りますので、これら地元の承諾は、最低必要でしょう。

*1: http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/307933 (西日本新聞 2012/6/16)
「反原発」2度目の挑戦 長谷川原告団長が意見陳述
(ポイント)「原発建設を止められなかった科学者として社会的責任がある」。玄海原発の運転差し止め訴訟の法廷に立った前佐賀大学長の長谷川照(あきら)原告団長(73)は、半世紀近く前を振り返りながら意見陳述した。長谷川氏の専門は原子核理論。京都大卒業後の1967年、佐賀大に助手として赴任。当時、玄海町では九州初の原発となる玄海1号機の建設計画が進んでいた。「原発は時期尚早だ」。コントロールできない核の脅威を知る長谷川さんは、反原発の立場から数々の運動に参加。それでも施設は着工し、75年に営業運転が始まった。そして、学長退任の1年8カ月後に起きた東日本大震災で再び“反原発魂”に火が付いた。

*2: http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2226271.article.html (佐賀新聞号外 2012年6月16日) 大飯原発、再稼働へ 福井知事が同意
(ポイント)福井県の西川一誠知事は16日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働への同意を野田佳彦首相に官邸で伝えた。これを受け、政府は同日、再稼働を正式に決める。首相は知事に対し「福井県の決断に深く感謝したい」と述べた。 昨年3月の東京電力福島第1原発事故後、国内の原発の再稼働決定は初めて。5月5日に国内の商業用原発全50基が停止した「稼働原発ゼロ」は終わることになる。

| 原発::2012.6~8 | 01:40 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.6.9 大飯原発再稼働に関する「責任を持った首相の判断」は信頼性があるのかについて
 同じことばかり書くのも馬鹿馬鹿しいのですが、*1の報道を見て、下のように思いました。 ぷん

1)首相は「国民生活を守るため」と会見で訴えましたが、事故を起こした時の国民生活の破壊は解決不能であり、電力不足は解決可能であるにもかかわらず、大飯原発3、4号機を再稼働すると、どういう意味で国民生活を守るのでしょうか? 私は、*2の新潟県知事の意見に全く賛成です。
2)首相は再稼働の判断の根拠となる安全性について、「1年以上の時間をかけて得られた知見を積み上げて確認した」としていますが、どういう知見を積み上げた結果、それをどう理解して言っているのでしょうか? まだ福島第一原発事故の本当の原因も確定しておらず、福島第一原発事故の収拾もできておらず、*3から見ても、十分な筈がありません。
3)「3割の原子力発電をいま止めては、日本の社会は立ちゆかない」「関西は15%という電力不足」としていますが、現在、原発は稼働していなくても電力は不足していませんし、化石燃料の輸入コストが高くつくというのは、これまで、経済産業省が、国産再生可能エネルギーや国産天然ガスの開発をさぼっていたからにほかなりません。今は、それを変えるBest Chanceなのです。
4)「関西を支えてきたのは福井県、おおい町だ。立地自治体への敬意と感謝を新たにしないといけない」とのことですが、今までそうだったから今後もそうでなければならないということはないし、そもそも、国民は、原発による電気を求めていたわけでも、他に発電方法がなかったわけでもないことに思いを致すべきです。

 そして、野田首相は、事故が起こったらどういう形で責任をとり、それは、被害者にとって何の足しになるというのでしょうか? 自分では何も考えることができずに、論理的でない、一瞬聞こえがいいだけの演説を行うのは、もう、いい加減にやめて欲しいです。また、野田首相の演説は辻説法で鍛えたそうですが、辻説法の場合は、言葉の切れはししか聞く人がいないので、一瞬聞こえのよいフレーズが多く織り込まれていればよいでしょうが、このように前後も含めて記録される首相の言葉は、しっかりとした理念を持って首尾一貫したことを言わなければ、論理性も責任感も感じられず、聞くに耐えないのです。

*1:http://www.asahi.com/politics/update/0608/TKY201206080422.html?ref=reca
大飯原発再稼働、首相「国民生活守るため」 会見で訴え  (朝日新聞 2012年6月8日)
 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に向け、野田佳彦首相は8日夕、記者会見を開き、「国民の生活を守るために、3、4号機を再稼働すべきだというのが私の判断だ。立地自治体のご理解をいただき、再稼働の手続きを進めたい」と述べ、福井県の同意が得られしだい、再稼働を決める考えを表明した。 首相は再稼働の判断の根拠となる安全性について「1年以上の時間をかけて得られた知見を積み上げて確認した」と強調。そのうえで「3割の原子力発電をいま止めては、日本の社会は立ちゆかない。関西の15%という電力不足は昨年の東日本でも体験しなかった水準だ」として、再稼働への理解を求めた。 また、立地自治体については「関西を支えてきたのは福井県、おおい町だ。立地自治体への敬意と感謝を新たにしないといけない」と述べた。 会見は福井県の西川一誠知事の求めに応じたもの。会見を踏まえ、西川知事は再稼働に同意する意向で、政権は来週中にも大飯原発の再稼働を決める。

*2:http://www.asahi.com/politics/update/0609/TKY201206080752.html
新潟知事「国民生活を人質」 首相の再稼働説明を批判 (朝日新聞 2012年6月9日)
 関西電力大飯原発の安全性に関する野田佳彦首相の説明について、東京電力柏崎刈羽原発を抱える新潟県の泉田裕彦知事は8日夜に談話を発表した。 泉田知事は「『福島を襲ったような地震や津波が起きても事故を起こさない』と限定付きでの『安全宣言』で、福島を襲ったものとは異なる直下型地震の場合は再び『想定外』との言い訳が通る説明になっている」と指摘。 新たな原子力規制機関ができていないことにも触れ、「万が一の事態が生じた場合の対策も固まっていない中で、新たな『安全神話』を創造することになり、極めて無責任。国民生活を人質にして安全を軽視した宣言となっている」と痛烈に批判した。

*3:http://www.asahi.com/national/update/0608/OSK201206080279.html
大飯原発直下に活断層の可能性 専門家指摘、関電は否定 (朝日新聞 2012年6月9日)
 関西電力大飯原発の敷地内にある断層について、名古屋大の鈴木康弘教授(変動地形学)と東洋大の渡辺満久教授(同)が「活断層の可能性がある」とする分析結果をまとめ、再稼働前の現地調査の必要性を指摘している。関電は「活断層ではないと判断しており、再調査の必要はない」としている。 関電によれば大飯原発の敷地には断層が15ある。最も長い1本(F―6断層)について、3、4号機の原子炉設置許可の申請時に掘削調査などをしている。 鈴木さんらが当時の資料や航空写真を確認したところ、新しい時期に断層が動いた可能性を示す粘土が断層面にあることや、断層の上にある堆積(たいせき)物の年代が特定できていないことが分かった。鈴木さんは「関電の調査は不十分で、断層の活動を否定できる根拠がない」と話す。

| 原発::2012.6~8 | 01:57 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.6.5 福井県大飯原発3、4号機の再稼働を本当に望んでいるのは誰か?
 下の*1~*4の記事から、私は、福井県大飯原発3、4号機の再稼働を最も望んでいるのは、関西電力、福井県の西川知事、大飯町の時岡忍町長ではないかと思う。いずれも、原発再稼働によって、収入が増えるからだ。しかし、国に責任を押し付けたいので、国の責任で稼働させ、国全体での議論を訴えて、再稼働を肯定させようとしているのではないだろうか。 雲

 そのためのツールは、下のようなものである。
①電気が必要ではないのかという脅し(*2参照)
 ← 実際には、原発でなくても電気は作れるのだが、再生可能エネルギーによる発電の実力は
    否定する。
②他の電力ではコストが高くなるので電気料金を上げるという脅し
 ← 最終処分場設置・原発事故処理・原発による環境悪化に伴う除染費用・電源三法交付金の
    支払い(*3参照)などにかかるコストを加えれば、原発はすこぶる高コストなのだが、それは
    無視する。 
③原発再稼働反対者は、原子力の役割・機能を理解できない馬鹿か独裁者だというラべリング
 ← エネルギーの基本がわかっている東工大卒の菅前首相の予想(*1)は正しいと私も考える
    が、*2や*4のように、原発再稼働反対者の人格を否定しながら「スーパーの安売り」とか
    「独断専行」と言って馬鹿にする不遜さがある。私も、現職の時、同じ目にあったので、その
    時の目線まで知っているが、本当は、エネルギーの基本を知らないのはその人たちである。

 つまり、これだから、決して信用してはならず、断固として再稼働してはならないのである。エネルギーの自給率を上げ、環境を破壊しない電気の作り方は、ほかにいくらでもある。

*1: http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120603/plc12060300330000-n1.htm
原発ゼロ「何とかなる」 再稼働問題で菅氏 (産経ニュース 2012.6.3)
(ポイント)菅直人前首相は2日、静岡県湖西市内で講演し、原発再稼働問題に関し「場合によっては国民もかなり我慢しないといけない。しかしそういう気持ちをもって対応すれば、止まった状態でもこの夏、何とかなると思う」と述べた。また、「脱原発を進めるかの判断は国政選挙、皆さんの一票で日本の方向を決めるのが重要だ」と述べ、次期衆院選や来年夏の参院選の争点にすべきだとの認識を表明した。

*2: http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120604/waf12060422030028-n1.htm 
期間限定「スーパーの安売りではない」 西川・福井県知事、怒り露わ (産経ニュース 2012.6.4)
(ポイント)6月4日夕行われた関西電力大飯原発3、4号機の再稼働をめぐる細野豪志原発事故担当相らと福井県の西川一誠知事の会談で、大阪市の橋下徹市長ら関西の首長が主張する夏期限定の再稼働に、かねて不快感を漏らしていた西川知事は、この日も皮肉交じりの口調で憤りをあらわにして、「期間限定など、スーパーの安売りではない」と述べた。4月14日の枝野幸男経済産業相による再稼働要請以降、西川知事は関西の動向について、具体的な発言をしてこなかったが、その態度が一変したのは、5月24日の定例会見。「電気が必要でないというのであれば、無理して動かす必要はない」と明言し、周囲を驚かせた。さらに、期間限定での再稼働を「勝手で話にならない」と一蹴。原子力の役割や、機能を踏まえた国全体での議論を訴えた。また、6月4日に会見したおおい町の時岡忍町長も、橋下市長らの夏期限定稼働の主張について「住民の間からも、今までにない不満が出ている。立地自治体として40年間、大きなリスクを抱えながら今日に至っているのに、何の理解もない」と西川知事に同調した。

*3: http://www.ombudsman.jp/nuclear/yugami.pdf#search='電源三法交付金配布状況'
原発利益誘導によってゆがめられた地方財政
(ポイント)国は、電源三法(電源開発促進税法、発電用施設周辺地域整備法、電源開発促進対策特別会計法)により、電源開発を促進するための目的税を設け、その税収を特別会計に繰入れ、電源施設立地自治体に支給する仕組みを作ってきた。電源開発促進税の税率は、販売電気千キロワット時につき375 円で、一般電気事業者が納税義務者だが、販売電気価格に転嫁して回収している。(中略)
ほとんどの原発立地市町村では、固定資産税収入の歳入総額に占める比率が一般の市町村を大幅に上回っており、原発施設からの収入が原因だ。また、寄附金の大半も電力会社等からのものだ。
固定資産税、電源三法交付金、寄附金合計の歳入総額に占める比率は、1 位:刈羽村(73.3%)、2 位:東通村(67.8%)、3 位:女川町(61.8%)、4 位:泊村(58.3%)、5 位:双葉町(56.4%)、6 位:大熊町(54.8%)、7 位:六ヶ所村(54.6%)、8 位:玄海町(53.3%)、9 位:高浜町(52.2%)と、9 市町村が50%を超え、原発依存のすさまじさを示している。

*4:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/565823/
懲りない菅前首相「脱原発」を提言 首相の再稼働推進に逆行 (産経新聞 2012/05/31)
(ポイント)菅直人前首相が顧問を務める民主党有志の「脱原発ロードマップを考える会」は31日、再生可能エネルギーの推進などにより平成37年に脱原発を実現するとの提言案を大筋了承した。政府は現在、原発比率を42年に15%とする案を軸に検討している。菅氏らの提言案は、これを大幅に上回る急進的な内容で、原発再稼働を急ぐ野田佳彦首相の方針と明らかに異なっている。菅氏は5月28日に行われた国会の東電福島原発事故調査委員会の参考人聴取で、事故対応などについて自己弁護に終始したばかり。聴取では「最も安全な原発は、原発に依存しないこと。つまり脱原発の実現だと確信した」と強調したが、提言案はやはりそれに沿った内容となった。菅氏は党の新エネルギー政策担当の最高顧問を務めているが、政権の方針をよそに相変わらずの「独断専行」ぶりをのぞかせた。

| 原発::2012.6~8 | 04:55 PM | comments (x) | trackback (x) |

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