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2012.2.29 普天間飛行場及びエネルギーの転換から見たメディアの論調における思考の浅さについて (4月1日、後日談追加)
 毎日新聞だけでなく、どのマスメディアも米軍普天間飛行場の辺野古への移設問題について、同じパターンの論調で報道しており、その思考にはヒューマニズムや深い考察が感じられない。そして、政治家は、そのようなマスメディアにイメージを作られたり、扇動されたりするため、それに対応して行動しなければならず、正論のための政策論争ができずに、おかしな基準で有権者に選択されることになっていることに思いを致さなければならない。これは、我が国の“民主主義”の危機なのである。

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120227-00000019-mai-pol
 <野田首相>「辺野古が唯一有効」 沖縄知事「県外」譲らず (毎日新聞 2月27日)
 沖縄県を就任後初めて訪問中の野田佳彦首相は27日午前、仲井真弘多(ひろかず)知事と県庁で会談した。首相は、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設問題を巡る民主党政権の迷走を陳謝。「日米両政府で辺野古移設が唯一、有効な方法と確認しながら進めている」と名護市辺野古への移設に理解を求めた。仲井真氏は「辺野古はものすごく時間がかかる。国内の別の地域を探した方が早い。県外移設を検討、実現してほしい」と主張し、平行線に終わった。
←批判1:野田首相は、「問題の本質は“迷走”であり、“陳謝”すれば“理解”される」と思っている点で傲慢である。つまり、反対している人が理解していないのであり、反対の原因は迷走したことであって、自分が頭を下げれば(実際には何の役にも立たない)、このような大切な問題が水に流されて要求が通ると考えるているのは、大変、相手を見下したものの考え方なのである。
←批判2:辺野古移設が唯一有効な方法だと考えているとすれば、野田首相は、思考力がないか、自分でものを考えようとしていないかであろう。。

【首相・沖縄知事会談】「移設押し付けは差別」300人抗議
←賛成:そのとおりです。よく抗議しました。

 ◇迷走を陳謝
 会談は報道陣に公開して約15分間行われ、首相は、政権交代時から鳩山政権にかけて掲げた普天間飛行場の「県外移設」を撤回したことや前沖縄防衛局長の不適切発言について「大変ご迷惑をかけ、深くおわびしたい」と頭を下げた。仲井真氏は「辺野古に戻ってきたことに党としての納得いく説明がない」と不快感を示した。
←批判3:「県外移設」の言葉を守れなかったことを陳謝し、今後とも努力することを告げるべきである。野田首相の話は論理性がなく、演説は暗記したことの繰り返しであるが、多分、筋書きは担当官僚で、自分は何も考えていないのだろう。
 
 首相は、「沖縄復帰40年にあたる今年を、沖縄振興と基地負担軽減を具体的に前進させる年にしたい。これは国の責務だ」と表明。在日米軍再編の行程表(ロードマップ)を見直し、在沖縄米海兵隊のグアム移転と沖縄県中南部の米軍5施設・区域の返還を先行する方針などを説明した。普天間飛行場については「固定化させない」と強調し、危険性の除去と抑止力維持を両立する観点から、辺野古に代替施設が必要との認識を示した。
←批判4:在沖縄米海兵隊のグアム移転と沖縄県中南部の米軍5施設・区域の返還を先行する方針はよいが、危険性除去と抑止力維持を両立する観点から考えても代替施設が辺野古にある必要はない。私は、自衛隊基地を九州及び南西諸島の排他的経済水域の国境沿いに配置して、そこに米軍も駐留させればよいと思っている。つまり、迷惑施設の押しつけではなく、本当に機動力のあるネットワークとして部隊を配置すべきである。

 また、仲井真氏が日米地位協定のいっそうの運用改善などを求めたのに対し、首相は在日米軍施設が所在する14都道県の渉外知事会と日米両政府が協議する連絡会議の再開を検討する考えを示した。同会議は08年12月以来休止しているが、藤村修官房長官も27日午前の記者会見で「日米両政府の代表や渉外知事会との連絡会議の開催を今後、米側と相談して検討したい」と述べた。
←批判5:自衛隊基地に米軍を駐留させ、星条旗を日章旗に変えれば問題は解決するが、今頃、連絡会議云々と言っているのは何故だろう?もう戦後60年以上が経ち、世の中の状況も変化しているので、アメリカも兵力と予算の削減になるのなら交渉次第だと思うが・・。
 
 沖縄振興策を巡っては、仲井真氏は野田政権が振興への知事権限を強める沖縄振興特措法改正案など2法案を策定したことや、沖縄振興予算を拡充したことを「何年来の快挙だ」と高く評価。さらに那覇空港の第2滑走路の増設計画について早期着工を求め、首相も理解を示した。
←批判6:沖縄県知事が沖縄振興予算の拡充を歓迎するのはもっともだが、「基地とは、振興予算をつけて迷惑施設として押し付けるものだ」という考え方は卒業してもらいたい。沖縄は、今やガス田の近くにある島であり、観光でも群を抜いた地域である。その資源を大切に活かし、返してもらった基地の広大な空き地を活用して発展することが飛躍への道だろう。

 首相は会談後、普天間移設に関し記者団に「沖縄振興と負担軽減を具体的に確実にやっていくことが信頼醸成、最終的な(沖縄の)理解につながる」と今後の協議に期待感を示した。だが、仲井真氏は記者団に「(県外移設の)主張を変えるつもりは毛頭ない。首相の説明は納得には今ひとつだった」と不満を示した。
←批判7:仲井真知事は頑張っているが、政府は、我が国が沖縄振興という名のバラマキで、波及効果が小さくて発展を産まない金を使うほど金が余っている国ではないことを、いつも考えておくべきである。

 首相は会談後、自衛隊機で普天間飛行場、米軍嘉手納基地(嘉手納町など)、キャンプ・シュワブ(名護市など)を、上空から視察した。
←批判8:首相は、自衛隊機で普天間飛行場、米軍嘉手納基地、嘉手納町、キャンプ・シュワブ(名護市など)だけを、案内されるままに上空から視察したのだろうか。もしそうだとすれば、あまりにも問題意識のない幼稚な行動だと思う。

 なお、私は、衆議院議員になった時には、すでに問題意識を持っていたので、2005年9月の衆議院議員当選後、2006年3月19日には“小泉チルドレン”の仲間と自衛隊機2機に分乗して、普天間飛行場、米軍嘉手納基地、嘉手納町、キャンプ・シュワブ、辺野古を見て、しらかばガス田の上空まで行き、その様子をしっかりと見てきて、2007年には、仲間とともに海洋基本法を成立させた。下の写真は、左から、行ったメンバーと自衛隊機、辺野古沖、中国が採掘しているガス田施設、尖閣諸島の魚釣島(もしくは珊瑚礁)だ。小泉首相は、「おい、危なくないかー」とおっしゃっていたが、中国側は、何もすることなく、しっかりと見せてくれた。写真一番左のメンバーの中には、現在、山口県岩国市長の福田氏も入っている。

    

後日談1:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/289765 (西日本新聞2012年3月2日)
(ポイント)米太平洋軍のウィラード司令官は1日、下院軍事委員会の公聴会で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への現行移設計画について「最善の選択肢と信じている」と述べ、早期進展に期待を表明した。またグアムへ移転する在沖縄海兵隊の総数が4700人に縮小されると明言した。米軍高官が移転規模を証言したのは初めて。

 3月2日の西日本新聞に、上のような記事が載ったが、日本政府がアメリカ政府とどういう交渉をするかによって、アメリカ政府の見解は変わる。”アメリカ政府の意向(実は、日本政府の意向が強く入っている)”を金科玉条の如く言い、何も変えられないことを前提に話を進めようとするのは、官僚の悪い癖だ。

後日談2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2182692.article.html (佐賀新聞 2012年3月31日 海洋資源の開発強化で一致 / 経産相、沖縄知事と会談)
(ポイント)枝野幸男経済産業相は31日、沖縄県を訪問し、同県振興策をめぐり仲井真弘多知事と会談し、仲井真知事が「沖縄の海底には多くの海洋地下資源がある。(開発の)力添えをいただきたい」と支援を求めたのに対し、経産相は開発強化に取り組む方針を示した。沖縄や小笠原諸島周辺には、レアメタル(希少金属)を多く含む海底熱水鉱床や岩盤があることが判明しており、経産省は日本近海での埋蔵量の調査などを進めている。経産相は知事との会談後、記者団に対し「海洋地下資源は日本にとって重要な資源。開発がうまくいけば、最も海洋資源に恵まれた沖縄の振興にもつながる」と述べた。

3月31日の佐賀新聞に、上のような記事が掲載されたが、これができれば沖縄県にとっても我が国にとっても、Bestである。しかし、何故、今までやらなかったのだろう。私は、2005年から言っているのに。けれども、今頃言うのは遅いが、今頃でも、方針変更しないよりはよい。

| 辺野古・普天間基地問題::2012.2~2015.3 | 11:20 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.2.28 週刊文春による名誉棄損・選挙妨害事件に関する訴訟と東京地裁判決について
 国会議員は、本人が、日頃、どれだけ良いことをして成果を挙げていても、メディアが嘘の悪い評価を一書きすれば、それが多くの有権者はじめ、一般の人の脳裏に刷り込まれ、事務所の運営、後援会、次の選挙などに影響します。
 私のケースでは、事実を装った事例をつけて、キャリアを持って働き続けてきた女性に対してよく行われるネガティブキャンペーンが、まず週刊文春で行われ、次に私を落選させるために作られたホームページにそれが引用され、それが、選挙中に、いろいろなツイッターで繰り返し引用されました。
 そこで、今後の為には、このような理不尽なことを放っておくわけにはいかないと思い、2010年9月15日、名誉棄損、侮辱という不法行為により、東京地裁に提訴しました。その結果、2012.2.15に判決が言い渡された東京地裁では、週刊文春側の不法行為が認められ、60%程度の勝利でしたが、①こちらの被害に対して損害賠償金額が少なすぎ、回復措置が取られなかった ②週刊文春側は、国会議員(=“権力”としている)を批判することは、嘘であっても公共性があり、「表現の自由」だと主張した ③私から見れば、事実と異なった記述で大いに国会議員及び候補者としての社会的評価を落とされたが、裁判所は一般女性を基準にして社会的評価が落ちたか否かを検討したため、「社会的評価は落ちなかった」という判断がいくつか見られた などの問題点があり、2012年2月28日に、東京高裁に控訴しました。(追加:2012年12月26日の控訴審判決で、不法行為については90%程度の勝利でしたが、100万円の損害賠償のみが認められ、これは、2012年12月17日の衆議院議員選挙投票日の後でした。)
 以下に、原告代理人弁護士による第一回目の訴状と私の陳述書を添付しますが、まさに女性の能力・実績や政治家としての資質は低いと主張し、上昇志向の女性を妨害するジェンダーをメディアが率先して行っている事例であり、私も多くの記述をしていますので、より詳しく知りたい方は、分量が多いですが、多くの証拠をつけているので、裁判所で閲覧して下さい。

*1:訴 状   2010年9月15日
東京地方裁判所民事部 御中
   原告訴訟代理人 弁護士  日隅一雄
   同          弁護士  秋山 亘
   原   告            平林素子
   被   告     株式会社 文藝春秋
   上記代表者代表取締役   上野 徹

損害賠償等請求事件
 訴訟物の価額 1450万円
 貼用印紙額   6万5000円

第1 請求の趣旨
1 被告は、原告に対し、金660万円及びこれに対する2007年9月27日から支払い済みに至るまで年5分の割合による金員並びに金660万円及びこれに対する2008年1月17日から支払い済みに至るまで年5分の割合による金員をそれぞれ支払え。 
2 被告は、被告の発行する週刊誌「週刊文春」誌上に、判決確定後10日以内に、別紙1及び別紙2の謝罪訂正記事をそれぞれ1回掲載せよ。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
4 第1項につき仮執行宣言。

第2 請求の原因
1 原告の地位
 原告は、2005年8月の衆議院議員選挙に、郵政民営化賛成の候補として自民党公認で立候補して当選し、同年9月から2009年7月まで、自民党の衆議院議員として活動したが、同年8月の総選挙では、自民党の公認を受けられず、みんなの党公認で立候補し、落選した者である(甲第3号証)。
 なお、原告の戸籍上の姓は、婚姻により姓が変わり、旧姓の「広津」から「平林」になったが、現在においても、原告は、社会生活上の名称として旧姓の「広津素子」を使用している。

2 被告の地位
 被告は、雑誌の出版等を業とする株式会社であり、発行部数74万部の週刊誌である「週刊文春」を毎週発行している(甲第4号証)。
  
3 被告による記事の掲載
(1) 被告は、2007年9月27日発行の「週刊文春」2007年10月4日号の表紙目次及び38頁(甲第1号証)において、「武部幹事長弁当事件 83会の『奇人変人リスト』」との大見出し(以下「本件第1記事見出」という)のもと、下記のような記事(以下、「本件第1記事」という)を掲載した。
                   記
①「その瞬間、議員一同、凍りつきました。」(山崎派議員) 山崎派の会合でのこと。山崎拓氏が「総裁選(の出馬)も考えてみたい」と言うと、一人の女性議員が手を上げた。“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる小泉チルドレン。誰もがひやりとしたのも遅く・・・。
 佐賀三区のがばい刺客、広津素子議員(54)は、真顔で山崎氏に進言した。「山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので難しいと思います」
②「”今週の広津語録”と言われるくらい、破壊的な発言が永田町を駆け巡っています。有名になったのは、佐賀の日本遺族会の方が東京に挨拶にみえた時。話を聞いた後、広津さんは、『遺族、遺族って、一体、何の遺族ですか』と(笑)。05年の郵政選挙の大量当選が生んだ珍現象です。」
③東大卒で公認会計士という経歴を持つ広津女史。「エキセントリックな点があり、ストレートにモノを言う。党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る」(別の自民党議員)
④伊吹文明幹事長が党税調小委員長だった時、伊吹氏の説明が終わると、新人・広津氏が挙手をするや……。「伊吹先生の説明ではわかりにくいと思いますので、代わって私が説明します」絶句したのは伊吹氏だけではない。
⑤農政の会合で農家による説明が終わると、広津氏が総括(?)した。「皆さん、農業をやめて転職したらいいと思います」
⑥極めつけが「牛肉弁当事件」。チルドレンの親分、武部勤幹事長(当時)が、「いつでもメシを食いに来なさい」と新人たちに声をかけると、本当に広津氏は幹事長室に行って、置いてあった牛肉弁当を勝手に食べてしまったというのだ。

(2)被告は、2008年1月17日発行の「週刊文春」2007年1月24日号の表紙目次及び31頁(甲2号証)において、「派閥のドン山拓に『引退勧告』しちゃった広津素子センセイ」との大見出し(以下「本件第2記事見出し」という)のもと、下記のような記事(以下、「本件第2記事」という)を掲載した。
                   記
①“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる、小泉チルドレンの広津素子議員(54)。昨年末、彼女は所属する派閥のボス山崎拓氏(71)にこう直談判したと言う。「先生はもう七十歳を超えている。辞めるべきだと思います!」
②山崎派の重鎮、野田毅議員が新人を集め食事会を開いたときもこんな事件が。野田氏が「地方経済は疲弊している。今こそ地方への配慮が必要だ」などと持論を語り終えたあと、広津氏はこう言い放った。「先生は古いタイプの政治家ですね」
③「昨年九月の安倍改造内閣が発表される前も、『次は私が女性代表で大臣になる』と公言し周囲を唖然とさせた。福田内閣の人選が進められているときには、官邸に電話して『私を副大臣か政務官に入れるべきだ』と直談判したという伝説もある」(全国紙政治部記者)
④地元の評判も芳しくない。「人の名前を覚えないから人望がない。すぐ問題を起こすから会合等に呼ばないようにしているのですが、呼ばないと『女性蔑視だ!』と大騒ぎ。問題は人間性なんですけど……」(自民党佐賀県連関係者)
⑤そんな言動が災いしてか、事務所も大混乱の様子。「広津さんは入りたての秘書に、『明日から佐賀に行って後援会を作ってきてちょうだい』とか無茶ブリがすごいようです」(同前)

4違法行為
(1) はじめに
 一般に、政治家にとって、その者の発言の有無及び内容は、当該政治家の政治生命を左右する重要な事象である。ある政治家が、実際にはそのような発言など全くしていないにも関わらず、そのような発言をしたという虚偽の事実を示すことによって、その政治家が非常識な発言をしている、普段の政治活動とは相矛盾する正反対の発言をしている、或いは、政治家として無責任な発言をしている、政治家としての資質がないなどと読者に印象付けることによって、容易に当該政治家の名誉・信用を毀損することが可能となる。或いは、ある政治家の発言内容に対する、周囲の者の反応(周囲の誰もが当該政治家の意見に反対した等)に関して虚偽の事実を付加することによっても、容易に当該政治家の名誉・信用を毀損することが可能となる。
 本件第1記事及び本件第2記事においても、以下に述べる通り、原告が全く発言していないことを発言したとして虚偽の事実を摘示することにより、或いは、原告の発言に対する周囲の者の反応に関して虚偽の事実を摘示することによって、総じて、原告は普段行っている政治活動と矛盾する発言を行っている人物である、或いは、原告を「KY」(場の空気が読めない)な人間であり、政界の「奇人変人リスト」に入るような非常識な人間である旨を読者に強烈に印象づけるものであるから、本件第1記事及び本件第2記事は、原告の政治家としての信用や名誉を大きく毀損する記事である。
 以下、個別的に述べる。

(2) 本件第1記事による名誉毀損
(ア)本件第1記事①は、「山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので難しいと思います」と原告が発言したことに対し(上発言は事実である)、その場にいた周囲の「誰もがひやりとした」という虚偽の事実を摘示することによって、原告はいつも場の空気を読むことができず周囲の人物をヒヤリとさせる発言をする非常識な人間であるとの印象を一般読者に与える記事であり、原告の社会的信用・評価を大きく失わせる記事であるから、原告の名誉を明らかに侵害するものである。
 また、本件第1記事①の「“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる小泉チルドレン。」との記載は、「83会の『奇人変人リスト』と記載する本件第1記事の大見出し、原告の写真の説明文「”ミセスKY“広津議員(上)」、本件第1記事②の「”今週の広津語録”と言われるくらい、破壊的な発言が永田町を駆け巡っています」との記載と相まって、原告は非常識な発言を繰り返す政界の問題児であって、変人であるとの印象を強く読者に抱かせるものであるから、原告の名誉を毀損する記事であると共に、原告を「“ミセス空気が読めない女”」「83会の『奇人変人リスト』」、「”ミセスKY“広津議員(上)」呼ばわりする点は、原告を侮辱するものである。
(イ)本件第1記事②は、佐賀の日本遺族会の方が東京に挨拶に来た際に、原告が遺族会の人に対し「遺族、遺族って、一体、何の遺族ですか」と話したとする虚偽の事実を摘示することによって、原告は日本遺族会の存在を知らない人物、或いは、原告は日本遺族会の人に対し侮辱的な発言をした人物であることを印象付ける記事であるから、原告の政治家としての信用・名誉を著しく毀損する記事である。
 特に、原告は、国会議員になってすぐの2006年中頃から佐賀三区内の市や町で開催されている慰霊祭に出席し自分で書いた追悼の辞を読んだり(甲第7号証)、或いは、全国戦没者追悼式にも出席するという政治活動を行っていたものである(甲第7号証)。また、原告自身の親族にも戦没者や遺族がいる。
 つまり、原告にとって、佐賀県の日本遺族会は、自らの政治活動を支援してくれる強力な支持団体になるはずの団体だったのであり、そのような人達に、上記のような侮辱的発言を原告がすることなど到底あり得ないことである。
 したがって、本件第1記事②は、原告が全く発言もしていない発言を、発言したと摘示することによって、原告にとって重要な支持母体となるはずの団体である遺族会の、原告に対する信用を著しく喪失させる記事である点において、重大な名誉毀損行為と言える。
 また、遺族会以外の一般の読者に対しても、前記の通り、原告は遺族会の存在すら知らないような問題のある政治家である、或いは、遺族会の人に侮辱的な発言をする非常識な人物であるとの印象を与えるものであるから、この点においても重大な名誉毀損行為と言える。
(ウ)本件第1記事③は、「奇人変人リスト」と摘示する本件第1記事の大見出しと共に、原告を「エキセントリック」、すなわち、変人呼ばわりする記事であり、原告を侮辱する記事である。
 また、本件第1記事③は、「党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る」という虚偽の事実を摘示することによって、原告は、周囲に期待されていない発言を繰り返すことにより、いつも周囲を困惑させる人物であるという印象を与えるものであるから、原告の名誉を毀損するものである。
(エ)本件第1記事④は、大蔵省出身でその分野の権威かつ先輩である伊吹党税調委員長の説明に対し「伊吹先生の説明では分かりにくいと思いますので、代わって私が説明します」と原告が発言したという虚偽の事実を摘示することによって、原告は、ある分野の権威や先輩に対し無礼な発言を憚らない人物であるとの印象を与える記事であるから、原告の名誉を毀損するものである。
(オ)本件第1記事⑤は、原告が農政の会合において農家の人達に対し「皆さん、農業をやめて転職したらいいと思います」と発言したとする虚偽の事実を摘示することによって、原告は日本における農家の発展や安定を軽視している政治家である、或いは、農政に関して真剣に考えていない政治家であるとの印象を与える記事である。
 上記発言は、原告がその政治活動において重視して行っている日本の食糧自給率の向上と国内農業の振興という政策(甲第7号証)と全く相反する発言であるから、原告が右発言をしたとする事によって、原告の支持母体となるはずであった佐賀県の農家の人々の原告に対する信用を失墜させる記事であり、原告の政治家としての信用・名誉を著しく毀損する記事である。
 また、農業を営んでいない一般の読者に対しても、農政の会合において農家の人々に対し、「転職したらいいと思います」と発言することは、政治家として、日本の農業を軽んじており、また、相手の気持ちが分からない非情な人間であるとの印象を与える記事であるから、原告の政治家としての信用・名誉を著しく毀損する記事である。
(カ)本件第1記事⑥は、原告が武部幹事長室に入り置いてあった牛肉弁当を勝手に食べてしまったという虚偽の事実を摘示することによって、原告は、人の言葉を全て真に受けては、他人の部屋に入りこみ、他人の食べ物を断りもなく無断で食べてしまうような非常識な人物であるとの印象を与える記事であるから、原告の政治家としての信用・名誉を著しく毀損する記事である。

(2)本件第2記事による名誉毀損
(ア)本件第2記事①は、原告が所属する派閥のボスである山崎拓氏に対して「先生はもう七十歳を超えている。辞めるべきだと思います!」と発言したとする虚偽の事実を摘示することによって、同趣旨の見出しと相まって、原告が所属する派閥のボスにさえ、政治家として非常識な発言をする人物であるとの印象を一般読者に与える記事であり、原告の社会的信用・評価を大きく失わせる記事であるから、原告の名誉を明らかに侵害するものである。
 また、「“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる、小泉チルドレンの広津素子議員(54)」との記載は、原告の写真の説明文「伝説をつくる女」という記載と相まって、原告が非常識な人物であるとの印象を強く読者に抱かせるものであるから、原告の名誉を毀損すると共に、原告を侮辱するものである。
(イ)本件第2記事②は、山崎派の重鎮である野田毅議員が新人を集めた食事会で経済的に疲弊している地方への配慮の必要性を話した際、原告が野田毅議員に対し「先生は古いタイプの政治家ですね」と言ったとする虚偽の事実を摘示することによって、原告は地方への配慮の必要性を否定する人物、地方に冷たい人物であるとともに、所属する派閥の重鎮を敵に回すような発言をする非常識な政治家であるということを印象付ける記事であるから、原告の政治家としての信用・名誉を著しく毀損する記事である。
 特に、原告は、地方である佐賀県選出の議員として、地場産業や農林水産業を再生させるために熱心に取り組んでいるのであり(甲第7号証)、原告が地方への配慮を不要だと考えているとの趣旨の虚偽の記載は原告の有権者に対する信頼を著しく失墜させる。
(ウ)本件第2記事③は、組閣される際に、原告が「次は私が女性代表で大臣になる」と公言したり、官邸に電話して「私を副大臣か政務官に入れるべきだ」と直談判したとする虚偽の事実を摘示することによって、原告が非常識でずうずうしく、自らを冷静にとらえることができない人物で政治家としての資質に欠けることを印象付ける記事であるから、原告の政治家としての信用・名誉を著しく毀損する記事である。
(エ)本件第2記事④は、自民党佐賀県連関係者が原告について、「人の名前を覚えないから人望がない。すぐ問題を起こすから会合等に呼ばないようにしているのですが、呼ばないと『女性蔑視だ!』と大騒ぎ。問題は人間性なんですけど……」と話したというものであり、原告について、ⅰ)人の名前を覚えない、ⅱ)すぐ問題を起こす、ⅲ)会合等に呼ばれない、ⅳ)会合等に呼ばないと原告が「女性蔑視」だと騒ぐ、という虚偽の事実を摘示することによって、原告が、人の名前を覚えず、すぐ問題を起こすために会合等に呼ばれない人望のない人物であり、かつ、会合等に呼ばないと「女性蔑視」だと騒ぐエキセントリックな人物であるとの印象を与える記事であるから、原告の名誉を毀損するものである。
(オ)本件第2記事⑤は、自民党佐賀県連関係者が原告について、「広津さんは入りたての秘書に、『明日から佐賀に行って後援会を作ってきてちょうだい』とか無茶ブリがすごいようです」と話したというものであり、原告について、新人秘書に後援会をつくるよう命じたという虚偽の事実を摘示することによって、原告が、秘書に無理なことを命じるような人の使い方を知らない人物であるとの印象を与える記事であるから、原告の名誉を毀損するものである。

5原告の損害
(1)原告は、一般週刊誌の中で国内最多の発行部数(74万部)を誇る「週刊文春」において(甲第4号証)、前記4で述べたような違法な虚偽内容の記事を掲載されたことにより、政治家としての信用と名誉を著しく侵害され、多大な精神的苦痛を被り、また、社会的な信用を大きく失い、政治活動を妨害された。
(2)原告は、本件各記事を掲載された事により、原告が全く発言していないことを発言したとして虚偽の事実を摘示することにより、或いは、原告の発言に対する周囲の者の反応に関して虚偽の事実を摘示することによって、総じて、原告は普段行っている政治活動と矛盾する発言を行っている人物である、或いは、原告を「KY」(場の空気が読めない)な人間であり、政界の「奇人変人リスト」に入るような非常識な人間である旨を有権者である読者に強烈に印象づけるものであるから、原告の政治家として、また人間としての信用喪失の被害は甚大である。
 とりわけ、本件第1記事②や本件第1記事⑤による名誉毀損によって、原告の重要な政治活動に関連する支持団体としての日本遺族会及び佐賀県内の農家の人々に対し、原告が失った信用は計り知れないものがある。
 また、本件第2記事では、記事全体の半分以上にもなる①から②にかけての記述によって、原告が所属する派閥のボスである山崎拓氏や重鎮野田毅議員から原告が嫌われているような印象を与えるものとなっており、議員として当選しても十分な活躍の場が与えられない可能性が大きいことを印象付けるものとなっている。
 さらに、本件第1記事及び第2記事は、所属派閥のボスへの発言(内容虚偽)などを繰り返し取り上げて党内における原告の立場が弱いものであることを強調するとともに、原告を支援団体から離反させるような発言(内容虚偽)を多数引用している。明らかに、原告の当選を妨害しようという意図をもって掲載されたといえる。
 2009年7月の衆議院議員選挙において、原告が、自民党の公認を得られず落選したのも、本件各記事による影響を無視できないと言うべきである。
(3)また、本件各記事は、現在においてもインターネット上で広く引用されており(甲第5号証、甲第6号証)、本件各記事の掲載から3年が経過しようとしている今日においても、原告は、本件各記事の伝播による被害を被り続けている。
(4)よって、本件各記事の掲載による名誉権に対する各慰謝料及び名誉権侵害により被った原告の政治家としての信用、社会的な信用の喪失に対する無形損害をあわせると、これらの損害は、本件第1記事につき金600万円、本件第2記事の掲載につき金600万円を下らない。
(5)また、原告は、本訴提起を原告訴訟代理人らに委任したが、弁護士費用のうち、本件第1記事及び本件第2記事の前記損害賠償請求に関しそれぞれ金60万円は、本件不法行為と相当因果関係のある損害である。

6名誉回復処分
 本件記事の内容に照らして、原告の名誉を回復するためには、多少の金銭賠償ですむことではなく、名誉回復のための措置が必要である。
よって、原告は、被告が発行する週刊文春に、判決確定後10日以内に、別紙1及び別紙2記載の謝罪訂正記事を掲載するよう求める。

7結論
 よって、原告は、被告に対し、不法行為による損害賠償請求として、前5項記載の損害金及びそれに対する本件各記事を掲載した雑誌の各発行日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金並びに前6項記載の謝罪訂正記事の掲載を請求すべく、本訴を提起した次第である。

                証拠方法
甲第1号証~甲第35号証(証拠説明書追完予定)
    (以上)
別紙1
1 謝罪訂正記事内容
(1) 見出し 
お詫び
(2) 本文 
  弊社は、2007年9月27日に発行した本誌「週刊文春」10月4日号におきまして、広津素子氏が佐賀県の日本遺族会の方に対し「遺族、遺族って、一体、何の遺族ですか」と発言した旨、農政の会合において農家の人達に対し「皆さん、農業をやめて転職したらいいと思います」と発言した旨などを報じましたが、実際にはそのような事実はなく、本誌において掲載されている広津素子氏に関する各言動はいずれも事実と異なるものでした。このような記事により、広津素子氏の名誉を侵害し、同氏に多大なるご迷惑をおかけしましたことを、謹んでお詫び申し上げます。
  平成○年○月○日
株式会社文藝春秋 代表取締役社長 上野 徹
 広津素子殿

2 掲載条件
(1)1ページ
(2)見出しは12ポイント以上のゴシック体とし、本文は12ポイント以上の明朝体とする。

別紙2
1 謝罪訂正記事内容
(1) 見出し 
お詫び
(2) 本文 
  弊社は、2008年1月14日に発行した本誌「週刊文春」1月24日号におきまして、原告が、派閥のボスである山崎拓氏に対して「先生はもう七十歳を超えている。辞めるべきだと思います!」と発言した旨等報じましたが、実際にはそのような事実はなく、本誌において掲載されている広津素子氏に関する各言動はいずれも事実と異なるものでした。このような記事により、広津素子氏の名誉を侵害し、同氏に多大なるご迷惑をおかけしましたことを、謹んでお詫び申し上げます。
平成○年○月○日
株式会社文藝春秋 代表取締役社長 上野 徹
 広津素子殿

2 掲載条件
(1)1ページ
(2)見出しは12ポイント以上のゴシック体とし、本文は12ポイント以上の明朝体とする。


*2:東京地方裁判所民事部への陳述書(平成22年9月8日 広津素子記載)
1.はじめに
 私は、この度、被告が発行する週刊文春2007年10月4日号「武部幹事長弁当事件 - 83会の『奇人変人リスト』」と題する記事(以下「本件第1記事」と書きます)及び週刊文春2008年1月24日号、「派閥のドン山拓に『引退勧告』しちゃった広津素子センセイ」と題する記事(以下「本件第2記事」と書きます)によって、私の政治家として、及び、公認会計士・税理士としての名誉と信用を著しく侵害され、活動をやりにくくされました。
 私のこれまでの活動内容につきましては、甲第3号証の履歴書にまとめておりますので、そちらをご参照頂ければ、私の人となり、公認会計士・税理士時代の活動内容、衆議院議員になってからの活動内容等がお分かりになると思います。
 本件各記事は、こうした私の人間性とは全く異なる内容や私が発言してもいない内容を私が発言したと書きたて、さらに、私が発言すると周囲の誰もが凍り付き困惑するなどという虚偽の事実を記載して、私のことを「KY(空気が読めない人間)」或いは「奇人変人」呼ばわりすることによって、私の政治家としての適格性や資質を否定しています。そして、それにより、私の支援者や地元有権者の私に対する期待や信頼を失わせ、私の政治家としての活動をやりにくくしたものです。
 以下、2.3.により、本件各記事の虚偽性と本件各記事による私の被害について、陳述いたします。

2.本件第1記事(週刊文春2007年10月4日号、武部幹事長弁当事件 - 83会の
「奇人変人リスト」と題する記事) の虚偽による名誉毀損について (本書末尾の記事参照)
 まず、この記事の副題は、『83会の「奇人変人リスト」』となっており、これをタイトルとして大きく記載されることによって、私は、83会で奇人変人の部類に入るという虚偽の事柄を読者である多くの有権者に印象づけられ、また、政治家としての適格性や資質を否定されたことで、政治活動をやりにくくされ、大きな損害を受けました。そして、これは、現在でもインターネット上で掲載されていることにより、他の選挙に出るのみならず、公認会計士・税理士として次の仕事を探す上でも、大きな妨害となっています。

(1)「その瞬間、議員一同、凍りつきました。」(山崎派議員) 山崎派の会合でのこと。山崎拓氏が「総裁選(の出馬)も考えてみたい」と言うと、一人の女性議員が手を上げた。“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる小泉チルドレン。誰もがひやりとしたのも遅く・・・。佐賀三区のがばい刺客、広津素子議員(54)は、真顔で山崎氏に進言した。「山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので難しいと思います」という部分について
①「次の瞬間、議員一同、凍りつきました。(山崎派議員)」という部分について
 事実は、凍りついたということではなかったにもかかわらず、「広津素子議員がしゃべると一同が凍りつく」というイメージを、読者(多くの有権者)に刷り込んでいる点で悪意があり、また、政治家としての適格性や資質を否定することになっているため、名誉棄損であるとともに、政治家としての活動を妨害しています。
②「山崎派の会合でのこと。山崎拓氏が『総裁選(の出馬)も考えてみたい』と言うと、一人の女性議員が手を上げた。“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる小泉チルドレン。誰もがひやりとしたのも遅く・・・。佐賀三区のがばい刺客、広津素子議員(54)は、真顔で山崎氏に進言した。『山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので難しいと思います』という部分について
 まず、「私が、手を上げると誰もがひやりとする」という、事実ではないことを書いて、有権者に悪いイメージを刷り込んでいます。例えば、私のホームページの活動報告2006年9月22日(甲第8号証)に掲載している、私が発言しているところを見ていただいても、誰も、ひやりとしていません。この場面は、災害があってすぐに私が現場を視察して、地元事務所から武部幹事長(当時)に電話をし、武部幹事長が災害対策本部を立ち上げて下さり、その災害の内容を自民党本部の会合で報告した時の様子です。また、最初、自分を知っている山崎拓氏は、総裁選に出たいとは言っていませんでしたが、数人の男性議員が、山崎氏に、「総裁選に出ないようでは、男じゃない。」というようなことを言って、たきつけていました。
 そして、他の男性議員は、太鼓持ちをして同調している人、何も言わないで笑っている人などであり、山崎さんも次第に引けなくなってゆれてきましたので、ここは、山崎派唯一の女性議員である私しかこれを言える人はいないと判断し、勇気を持って、「私自身は、山崎派に入ったくらいですから、そういうことは気にしていませんが、山崎先生は、女性スキャンダルで報道され、女性にイメージが悪いため、自民党総裁になり、首相になると自民党のイメージが悪くなりますので、控えた方がいいと思います。」と言ったのであり、本心では、他の議員も賛成している人が多かったと思います。
 その後、あの女性スキャンダルの記事自体が山崎叩きの嘘だったと言っている人もいましたが、そういうことを率直に議論できないようでは、民主主義でも派閥でも国会議員でもありませんので、人が言わないような意見を言うと「空気が読めない」「場が凍る」などという価値観を、一般の人に刷り込む週刊誌こそが、むしろ国民の害になっていると思います。

(2)「有名になったのは、佐賀の日本遺族会の方が東京に挨拶にみえた時。話を聞いた後、広津さんは、『遺族、遺族って、一体、何の遺族ですか』と(笑)。05年の郵政選挙の大量当選が生んだ珍現象です。」という部分について
 私は、国会議員になってすぐの2006年中から、佐賀三区内の市や町で開催されている慰霊祭に出席して、自分で書いた追悼の辞を読んでいます(甲第9号証)。また、全国戦没者追悼式にも出席しています(甲第10号証)ので、上記のようなことはあり得ません。そして、これらの活動は、私が現職の間は、私のホームページの活動報告に、2-3日以内に、写真付で掲載し、有権者に報告していますので、誰でも知ることができたはずです。それにもかかわらず、こういうことを書くのは、悪意としか思えません。なお、私の親戚にも、戦没者や遺族がいます。
 そのため、これは、私から、自民党の強力な支援団体である遺族会を引き離し、当時遺族会会長で、自民党選挙対策委員長の古賀誠氏を、保利氏につけて、保利氏を復党させるための工作の一貫だと思います。

(3)「東大卒で公認会計士という経歴を持つ広津女史。『エキセントリックな点があり、ストレートにモノを言う。党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る』」という部分について
 東大卒で公認会計士という経歴を持つ女性は、性格や行動が風変わり(エキセントリック)であるという女性に対する偏見を、まことしやかに記事に書いているものです。また、人権侵害や名誉毀損にあたる場合、思いやりに欠けている場合などを除きますが、率直にモノを言うことはいけないことではないので、それを奇矯(ききょう)(エキセントリック)な行動であるということこそ、おかしいと思います。本件第1記事の大見出しには、「奇人変人リスト」とありますが、この見出しと相俟って、この記事は、私のことを何の根拠もなく、変人呼ばわりする記事であり、悪質だと思います。
 また、「党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る」というのも嘘で、私に、意図的に悪印象をつけようとしているものです。証拠の一例として、2006年9月22日に、自民党本部で、佐賀県の台風被害について援助のお願いをし、武部幹事長(当時)が、災害対策本部を作って、私を佐賀県の現地本部長にして下さり(甲第8号証)、その後、災害対策本部長の視察や激甚災害の指定などが実現した写真を添付いたします(甲第11、12号証)。いつも、場は凍っていません。

(4)「伊吹文明幹事長が党税調小委員長だった時、伊吹氏の説明が終わると、新人・広津氏が挙手をするや……。「伊吹先生の説明ではわかりにくいと思いますので、代わって私が説明します」絶句したのは伊吹氏だけではない。」という部分について
 伊吹文明先生は、税法にも詳しく、本当に頭のいい方ですので、尊敬している人の一人ですが、大蔵省の出身であり、立ち位置が官僚的な時があります。私は、公認会計士・税理士時代に、会計・監査・税務実務を行うかたわら、税制改正にも関与してきており、立ち位置が“民”の側にあるため、説明を付け加えたことはありますが、「伊吹先生の説明ではわかりにくいと思いますので、代わって私が説明します」と言ったことは、全くありません。
 つまり、いいことをしても、何でも、悪く書いているわけですが、これしか情報のない有権者は、広津素子は、本当にそういう人間なのだろうと思いますので、人間性を疑われることになるわけです。

(5)「農政の会合で農家による説明が終わると、広津氏が総括(?)した。『皆さん、農業をやめて転職したらいいと思います』」という部分について
 これは、嘘もはなはだしく、私から、自民党の強力な支援団体である農協を引き離し、2005年の郵政選挙の時に佐賀三区において無所属で当選し、従来、農業系の政策に詳しいとされていた保利耕輔議員の復党を合理化するものです。しかし、私は、もともと生物に興味があり、東大では生物系学科の出身で、かつ、大中小企業の経営を数多く見てきた公認会計士・税理士です。
 そのため、2005年に衆議院議員になってすぐ、農協などを挨拶廻りしたときに聞いた話から得た問題意識を、当時の松岡農林水産大臣に報告し、2006年成立の経営所得安定対策等大綱に関する提案をしました。そして、私のホームページの活動報告2005年12月2日には、佐賀三区内の農協の方を集めて、九州農政局の人に、経営所得安定対策等大綱案について説明してもらっていますし(甲第13号証)、2005年12月9日には、同様に伊万里農協で、職員や一般の農家の人に対する説明会をしているのです(甲第14号証)。
 このように、経営所得安定対策大綱の成立前から、佐賀三区内で勉強会や説明会をしたり、佐賀県内の農協や市役所、町役場に、これに関わる最先端の資料を送ったりしていたため、佐賀県は、現在、集落営農組織率、転作率ともに全国でも高く、進んだ営農をしていることが、私の誇りです。
 そのほか、以下のような活動をしながら、コストダウンした、生産性の高い、ブランド化して付加価値の高い、次世代の育つ農業の方法を、現職の間中、考えてきましたので、例として証拠資料をつけて、ご説明します。
①2005年12月3日には、地元畜産共進会に参加して、佐賀牛に関する説明を聞くとともに、優勝牛に触らせてもらいました(甲第15号証)。
②2006年2月18日には、地元ハウスみかんの農家を視察しました(甲第16号証)。また、2006年12月31日には、農家出身の夫とともに、ハウスイチゴやデコポン農家の視察をして、苦労をお聞きしました(甲第17号証)。
③2006年7月24日には、自民党の「食糧問題研究会」で、最先端の農業技術を視察しました(甲第18号証)。
④2006年7月25日には、自民党の「ロボット政策推進議員連盟」で、「先端技術の世界~社会に役立つロボットの創造」と題した視察を行い、農林漁業を助けるロボットも作って欲しい旨、頼んできました(甲第19号証)。
⑤自民党の農林部会には殆ど出席して発言するとともに、衆議院予算委員会の分科会などでも、地元の農林漁業を振興するための発言をしてきました(甲第20号証)。

(6)「極めつけが「牛肉弁当事件」。チルドレンの親分、武部勤幹事長(当時)が、「いつでもメシを食いに来なさい」と新人たちに声をかけると、本当に広津氏は幹事長室に行って、置いてあった牛肉弁当を勝手に食べてしまったというのだ。」という部分について
 まず、自民党の幹事長室では、弁当は出ません。いただきものの菓子が置いてある程度ですから、この文章を書いた人は、内情を知らずに、私を、奇人変人とするために想像で、悪口を書いたものでしょう。
 なお、この週刊文春の発行日は、佐賀県連の保利派が保利耕輔氏の復党を画策していた時期で(甲第21号証)、やり方が汚すぎます。

(7)「武部氏は新人議員のグループ『新しい風』に広津氏を誘っていない。抗議する彼女に、武部氏は、『あれは仲良しクラブだから』と逃げたつもりが、逆に『私は仲良しじゃないんですか!』と怒らせてしまった。」という部分について
 私は、「新しい風」に誘われなかったので、それだけ勉強や情報収集の機会が減ると思い、武部氏に、「私も入れて下さい。」と頼みましたが、無派閥の人のみということで、山崎派に入っている私は、断られました。
 その後、人に聞いたところ、山崎派に入っており、武部さんの元秘書だった篠田陽介衆議院議員は「新しい風」に入り、それは、将来、山崎派から独立することも考えていた武部さんの意図から来るものだと思われましたので、事実関係が違います。

(8)「広津氏は小誌の取材に『全部まったくのウソです』と否定するが、広津語録は議員の間で今も更新中だ。」という部分について
 週刊文春から取材の電話がかかってきた時、この週刊誌は、女性議員を面白半分に叩くことで有名であるため、質問をFAXしてもらいました。そして、質問を見たところ、あまりにもひどい質問の連続であったことと、地元に帰る飛行機の時間スレスレであったことから、「全部まったくのウソです」と書いてFAXを送り返しましたが、当該記事には、このフレーズを入れて書かれています。そして、その後、週刊文春からは、私に対する具体的な取材は一切なく、今回の記事が、書かれたのです。そして、この記事では、「広津氏は・・・否定するが、広津語録は今も更新中だ。」と締めくくられており、あたかも記事の内容を否定する私の発言の方が嘘で、私が記事で書かかれているような「KY発言=広津語録」を更新し続けているかのような記載で、記事が締めくくられているのです。
 さらに、この記事は、「アスペ代議士広津素子先生を勝手に応援するがばい連合を立ち上げよう」という私を落選させるためのホームページ(甲第5号証)に、選挙中も含めて、ずっと掲載されていたとともに、「佐賀県選挙スレ(甲第6号証)」というホームページで、まさに選挙直前の8月5日に、再度、書かれています。
 これこそが、選挙妨害ではないでしょうか。

3.「本件第2記事(週刊文春2008年1月24日号、『派閥のドン山拓に『引退勧告』しちゃった広津素子センセイ』と題する記事)の虚偽による名誉毀損について(本書末尾の記事参照)」という部分について
 まず、この虚偽の題名によって、私は、派閥のボスである山崎拓衆議院議員に引退を勧告するような、自分の立場のわかっていない、政治家として何もわかっていない人間であるという印象を、多くの有権者に印象づけられ、政治家としての名誉を棄損されました。それと同時に、この記事は、山崎氏に多大な迷惑をかけることとなり、派閥のボスである山崎氏に対し、私の印象を悪くしたことは間違いありません。

(1)「“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる、小泉チルドレンの広津素子議員(54)。昨年末、彼女は所属する派閥のボス山崎拓氏(71)にこう直談判したと言う。『先生はもう七十歳を超えている。辞めるべきだと思います!』」という部分について
 山崎拓さんは、私を守ってくれる人ですから、私が、「辞めるべきだと思います!」などと言うことはあり得ません。つまり、これは、真っ赤な嘘です。
そして、私が、空気が読めない人間であるかのように書かれていますが、私は、独立した大人は、空気を読んだ上で、それに合わせるか否か、または、人と違ってもリードして変えていくか否かなどの判断をすることが必要だと思っています。そのため、その場の空気に合わせるか否かのみを基準として、よい人か悪い人かを決めるのは、次元の低い価値観の刷り込みであり、大マスコミの論評として、問題があると思います。
 特に、改革の初めの頃は、どういう問題であれ、その時点の常識とは異なっているため、反対派は多数おり、既得権益を持っている抵抗勢力も多数存在します。そのため、現在の周りの空気を読んで合わせているだけでは、国会議員として、役に立ちませんし、一般の大人としても失格でしょう。
 例えば、貸金業法の改正の際にも、自民党内では、若い議員数人で法案作成をリードしました(甲第22号証)。しかしながら、自民党内では抵抗勢力が強くて妥協させられがちであったため、党を超えて全体集会を開いたり(甲第23号証)、決算行政監視委員会で委員会質問をしたりして(甲第24号証)、何とかこれを突破するために苦労したのですが、この記述では、「まわりの空気が読めないのは、悪いことである」という低次元の批判的情報しか発せられていないのです。

(2)「話は次期衆議院選挙、佐賀三区の公認問題を巡って切り出された。広津議員は現在、郵政造反・復党組である保利耕輔議員(73)と激しい公認争い中。保利氏に対して前述のように『七十歳を超えて~』と批判し、「山崎さんから若い人に道を譲るように言って下さい」と続けた。」という部分について
 私は、山崎拓さんにも口添えをお願いしましたが、当時73歳であった保利耕輔氏本人にも、直接、「是非、佐賀から女性である私に世代交代していただけませんか?それは、佐賀県だけでなく、日本全体及び自民党にとってもインパクトがあり、プラスになると思います。」と、公認決定前及び選挙直前の2回、率直に、お願いして断られた経緯があります。
 そして、何故、ここで女性に交代した方が、日本のため、自民党のため、そして、お互いのためなのかも説明しました。日本国民である以上、25歳以上であれば、当然、衆議院議員の被選挙権はありますが、国会議員の年齢構成が逆三角形で、殆ど男性でいいのかというと、それは国民の意見を反映する上で問題があると思います。
 特に、九州の佐賀県では、国会議員は、私のみが女性、首長は全員男性、県議、市議も90%以上が男性という議員構成であるため、まさに、九州の佐賀県だからこそ、そこで生まれ育った優秀な女性が出るのがいいと思いますし、地元佐賀県や九州の女性には、私に対して、そういう期待があったのです。
 そういう公認争いの最中に、このような週刊文春の嘘記事で、私は、有権者に悪い印象を刷り込まれ、とても国会議員としての適格性も資質もないという印象を、地元をはじめ多くの有権者に植え付けられました。これには、がっかりした女性も多かったのです。そして、この記事は、私を、自民党の公認基準とされる「勝つ候補」からはずすという目的で使われました。

(3)「山崎派議員が苦笑しながら語る。「山崎先生は保利先生と同世代。保利先生に年だから辞めろなんて、山崎先生の口から言える訳がありません。広津さんの言葉を聞いて山崎先生は、『それは俺にも辞めろと言っているのか!』と激怒したようです」」という部分について
 激怒ではありませんが、確かに、「それでは、俺にも辞めろと言うことになる。」と言われました。しかし、自民党の現職国会議員が2人いる佐賀三区と山崎さんの選挙区では事情が全く異なるため、私は、「いえ、そういうことではありません。」と、はっきりと言いました。
 従って、このような書き方は、有権者である読者に、私が何も考えていない人であるかのような誤解を与えたとともに、派閥のボスである山崎さんと私との関係が悪いかのような印象を与えました。

(4)「ちなみにヤマタクが総裁選への意欲を示したときも、『山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので、難しいと思います』(小誌〇七年十月四日号既報)と広津氏は直言している。」という部分について
 前に書いたとおり、最初は、自分を知っている山崎拓氏は、総裁選に出たいとは言っていませんでしたが、数人の男性議員が、山崎氏に、「総裁選に出ないようでは、男じゃない。」というようなことを言って、たきつけていました。
 そして、他の男性議員は、太鼓持ちをしている人、何も言わないで笑っている人などであり、山崎さんも次第に引けなくなってゆれてきましたので、ここは、山崎派唯一の女性議員である私しかこれを言える人はいないと判断し、勇気を持って、「私自身は、山崎派に入ったくらいですから、そういうことは気にしていませんが、山崎先生は、女性スキャンダルで報道され、女性にイメージが悪いので、自民党総裁になり、首相になると自民党のイメージが悪くなるため、控えた方がいいと思います。」と言ったのであり、本心では、他の議員も賛成している人が多かったと思います。
 その後、あの女性スキャンダルの記事自体が山崎叩きの嘘だったと言っていた人もいましたが、そういうことを率直に議論できないようでは、民主主義でも派閥でも国会議員でもないと思います。
 そして、これを、いかにも私が悪いことをしたかのような書き方で何回も書くのは、私と山崎拓さんの関係を悪化させる意図、及び、有権者に私の悪いイメージを刷り込む意図があると思います。

(5)「山崎派の重鎮、野田毅議員が新人を集め食事会を開いたときもこんな事件が。野田氏が『地方経済は疲弊している。今こそ地方への配慮が必要だ』などと持論を語り終えたあと、広津氏はこう言い放った。『先生は古いタイプの政治家ですね』」という部分について
 これは、私が、地方への配慮は不要だと思っているということを印象づけ、佐賀三区の公認候補として不適切だと有権者に刷り込むための悪意ある真っ赤な嘘です。
 私が、地元まわり(甲第25~27号証)やまちづくりタウンミーティング(甲第28号証)を最初からやっており、地場産業の中小零細企業(甲第29号証、甲第30号証)や農林漁業を再生させるために、本当に一生懸命に頑張っていたことは(甲第13、14、15、16、17、18、19、20、31、32、33号証)、私のHP( http://www.hirotsu-motoko.com )の2008年1月24日以前の活動記録に、写真つきで掲載されています。また、委員会質問でも、これらの分野から質問を行っているものが多数あり、衆議院でとった委員会質問の速記録を、私のホームページのトップ・ページで、すべて見ることができます(例:甲第20、30号証)。
 地方である佐賀三区選出の国会議員にとって、地方再生のための配慮は不可欠であるため、これがないという嘘を書くのは、広津素子は、佐賀県選出の衆議院議員としての資質に欠け、佐賀三区の自民党公認には適さず、佐賀三区の自民党公認は保利氏しかいないという印象を多くの人に植え付け、「勝つ候補」ではなくして、保利氏に自民党公認を取らせるための卑怯な方法です。
 このような嘘記事は、その後の選挙が、佐賀県では、自民党公認のあるなしに大きく左右されることを考えた上での選挙妨害でもあると思います。

(6)「東大卒で公認会計士という経歴の広津氏は、『自らの考えが正しいと信じて疑わないタイプ』(同前)。」という部分について
 「東大卒で公認会計士という経歴の広津氏」→「自らの考えが正しいと信じて疑わないタイプ」=「傲慢で、性格が悪い」という結論を出したいようですが、これは、「東大卒で公認会計士というキャリアを持って必死で働いてきた女性は、傲慢で性格が悪い」ということであり、よくある女性差別だと思います。
 なお、人は、「自らの考えが正しいと信じ」なければ、行動することも生きていくこともできません。「自らの考えが間違っている」と思ったまま、生きている人がいるでしょうか? もし、間違っていると思っていながら改善しないのであれば、それは怠慢です。
 生物は、自分が進みたい方向と現実の環境とのフィードバックを常に行いながら、自分が進むべき最善の進路を決定しているものですから、それぞれの瞬間、瞬間に「自らの考えが正しいと信じている」のは、当然のことです。そうでなければ、進む方向の決定ができるはずがありません。なお、自分の頭でものを考えず、誰かが言ったとおりについていく人もおり、このような行動は、古くは、女性に対して期待されたものですが、これは、独立した一人前の大人の行動ではありませんし、ましてや、リーダーの器でも、国会議員の資質でもありません。
 問題は、進む方向を決定する前に、十分に情報の収集と分析をしたか否かだと思います。私は、ホームページ( http://www.hirotsu-motoko.com )の活動報告に書いているとおり(その一部は今までの資料に添付しました)、かなりの調査と情報収集を行い、フィードバックしながら意思決定をしてきましたので、調査と情報収集の時点で、人の言うことをよく聞いています。
 そのため、こういう批判をする人自身は、どういう生き方を推奨しており、また、自分自身はどういう生き方をしているのかを聞いてみたいくらいです。

(7)「昨年九月の安倍改造内閣が発表される前も、『次は私が女性代表で大臣になる』と公言し周囲を唖然とさせた。福田内閣の人選が進められているときには、官邸に電話して『私を副大臣か政務官に入れるべきだ』と直談判したという伝説もある(全国紙政治部記者)」という部分について
 官邸に電話して言ったことはないので、真っ赤な嘘です。なお、自民党で集める自己申告書に、自分の経歴を書いて、副大臣か政務官という希望を書いたことはありますが、同期の猪口邦子さんは大臣になっており、同期で政務官になった人もいますので、自己申告書にこのような希望を書いても、全くかまわないはずです。もともと、自己申告書とはそういうものですので、何か、よほど悪いことをしたかのような“伝説”にするところに、悪意があります。

(8)「地元の評判も芳しくない。「人の名前を覚えないから人望がない。すぐ問題を起こすから会合等に呼ばないようにしているのですが、呼ばないと『女性蔑視だ!』と大騒ぎ。問題は人間性なんですけど……」(自民党佐賀県連関係者)」という部分について
 これも、悪印象の刷り込みで、嘘です。自民党佐賀県連の会合には、三区支部長だったので、殆ど全部呼ばれていて、問題は起こりませんでした(甲第34号証)。なお、自民党佐賀県連関係者にもいろいろな人がいますが、誰が週刊文春記者に吹聴しているのかは、保利派の市議会議員だという報告を秘書から受けたことがあります。
 なお、女性国会議員は、グラス・シーリングの原因となっている先入観や感受性についての指摘は、仕事の一つですから、気がついた時にはするようにしていますが、それをこういう書き方をするのは、悪意だと思います。
 「人の名前を覚えないから人望がない。」ということであれば、一度に、多くの人と会う人は、名前と顔を覚えられないので人望がないことになりますが、他の人は、人望がないとは言われません。私に関しては、「人望がない」というフレーズを使うことが目的のように多用し、刷り込みをしているところが悪意だと思います。

(9)「そんな言動が災いしてか、事務所も大混乱の様子。広津さんは入りたての秘書に、『明日から佐賀に行って後援会を作ってきてちょうだい』とか無茶ブリがすごいようです(同前)」という部分について
 入りたての秘書が、そのようなことをできる筈もないので、そういうことは言っていません。たぶん、女性は、人の使い方が下手であるという先入観を、事実のように書いているものだと思います。
 私は、ビジネスの世界で20年以上働いて、管理職もしてきた女性です。そのため、「・・・してちょうだい」などという言い方はしませんし、できない人に頼むとめちゃめちゃになって、後のフォローが大変なので、できそうもないことは頼みません。
 つまり、想像で、状況を作って書いているのです。

(10)本人に取材すると、「すべてデタラメです。一体誰が言っているんですか」とご立腹。いや、みんな言ってるんですけど。郵政総選挙でも広津氏と対峙した保利氏は、周囲にこう公言しているという。「彼女が出る以上、私も絶対次の選挙に出る。それが佐賀県のためだ」という部分について
 「みんな言っている」というのは、自分自身の責任回避のために使う常套手段の一言ですが、週刊文春が記事にしている以上、週刊文春には、事実でないことを吹聴して、私の名誉を傷つけ、私の政治家としての活動を妨害し、結果として、選挙妨害をも行った責任があります。
 また、このような記事を見る有権者に、広津素子の悪いイメージを植え付け、保利氏が、「彼女が出る以上、私も絶対次の選挙に出る。それが佐賀県のためだ」と周囲に公言したというのを合理化することこそが、この週刊文春記事の目的だったと思います。
 そして、この記事は、佐賀県での発売日が2008年1月19日であり、これは、多久市で、私がまちづくりタウンミーティングも兼ねて国政報告会を開き(甲第35号証)、多久市議が人集めをしていたその時に、それを打ち砕くように出されたものなのです。

4.本件各記事による損害
(1)私は、本件各記事を掲載された事により、私が全く発言していないことを発言したとして虚偽の事実を摘示することにより、また、私の発言に対する周囲の者の反応に関して虚偽の事実を摘示することによって、「KY」(場の空気が読めない)な人間であり、政界の「奇人変人リスト」に入るような、政治家として不適格な人間であると、有権者である読者に強烈に印象づけられました。これによる私の政治家としての信用喪失の被害は甚大であり、その後の仕事が、やりにくくなりました。 

(2)特に、本件第1記事に関して言えば、本件第1記事(2)や本件第1記事(5)による名誉毀損により、自民党の支持団体として、私の政治活動における重要な支持団体となるはずであった日本遺族会や佐賀県内の多くの農家の方々に対し、信用を失うことになりました。また、このような記事の影響で、私の支部の自民党員や支援者の立場もなくさせられました。
 さらに、本件第1記事(3)(4)のような虚偽の発言を書きたてられることにより、自分の能力もわきまえずに、傲慢なことを言うだけの人間であるかのような印象を一般有権者に刷り込まれ、信頼が引き裂かれたと同時に、名誉が傷つけられました。
そして、本件第1記事(6)では、全く呆れるような作りごとを書いて、奇人変人である根拠としています。

(3)また、本件第2記事が、私に関して、「空気が読めない、人望がない」などと書きたて、さらに、私が「地方は無視すべき」という趣旨の発言をしたなどという虚偽の事実を書きたてられたことで、私は、政治家としての適格性や資質を否定され、選挙区の地盤である佐賀三区の一般有権者からの信用を失うとともに、私の支援者も立場をなくして減りました。
 さらに、本件第2記事では、佐賀三区の自民党対立候補である保利氏の言葉を借りて、私を次の選挙で当選させないのが佐賀県のためだと書かれていますが、これにより、この記事は、私の政治家としての資質を完全に否定した上で、保利氏を当選させる狙いで書かれた記事であることが明らかです。実際に、私は、保利派の市議がこの週刊誌を話題にしていたことを知っています。

(4)さらに、本件各記事は、現在においてもインターネット上で広く引用されており(甲第5号証、甲第6号証)、本件各記事の掲載から3年が経過しようとしている今日においても、私は、本件各記事の伝播による被害を被り続けています。
 甲5の「アスペ代議士 広津素子先生を勝手に応援するがばい連合を立ち上げよう!!」というホームページは、私を落選させるためのホームページのサイトのようですが、2008年2月4日より、ずっと本件第1記事及び本件第2記事の内容を掲載し続け、GoogleやYahooの検索サイトに出ています。
 なお、アスペの意味は、アスペルガー症候群の意味とのことで、「興味・関心やコミュニケーションについて特異であるものの、知的障害がみられない発達障害のこと」だそうですが、私は、このような症候群とは関係がなく、発達障害者扱いされるのは、名誉棄損です。
 さらに、「佐賀県選挙スレ」というホームページ(甲第6号証)でも、選挙前の8月5日に再度、本件第1記事及び本件第2記事を引用し、雰囲気が広津素子支持にならないようにされました。

(5)「週刊文春」は発行部数74万部と日本最大の発行部数を誇る週刊誌(甲第4号証)ですが、週刊誌のような活字の刊行物という、一見信頼性の高い記事を大量に頒布されたことによって、第一次的な被害を被り、その後は、これを甲第5号証や甲第6号証のホームページ上で選挙前、選挙中も引用し表示され続けたことにより、政治家として、また公認会計士・税理士としても、信用を広く害され続けているという二次的被害を被っています。

(6)以上のように、私は、本件第1記事及び第2記事を掲載されたことにより、私自身の名誉を失い、政治家としての信用を失い、また、本件記事を選挙妨害に利用されることにより、多大な被害を受けました。そして、その後は、政治家として選挙に出るのみならず、公認会計士・税理士として就職活動をすることにも支障をきたしています。
 そのため、今回の裁判では、その損害を回復するために、本件各記事による損害賠償の請求をすると共に、失った名誉と信用を回復するため、本件各記事が掲載された被告の週刊誌への謝罪広告の掲載を請求いたします。
                                                    以上

*3:週刊文春名誉毀損訴訟の東京地裁判決全文

| 民主主義・選挙・その他::週刊文春の名誉棄損記事に勝訴 | 08:50 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.2.28 民間事故調は、中立の第三者か?それとも報道が悪いのか?
* http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/f26bf54acb9ff8921a605c6e57cc2228
福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)報告書 記者発表USTREAM 2012年2月28日
(NHKの報道より)
(1)民間の事故調査委員会「福島原発事故独立検証委員会」は、2月28日午後、東京・千代田区の日本記者クラブで記者会見を開き、委員長を務める科学技術振興機構の前理事長、北澤宏一氏が、当時の菅総理大臣の事故対応について、「原発から撤退したいと申し出てきた東京電力に対し、みずから本店に乗り込み、げきを飛ばして、結果的に50人の作業員が原発に残ることになったことについては、最悪のシナリオを避けられたこともあり、功績は大きかったと思うところもある。しかし、菅前総理大臣が電池の大きさひとつにまで関与するなど、官邸によって行われた現場への過剰な介入のほとんどについては、評価することができない。さらに菅前総理大臣は、情報の出し方に失敗し、国民の間に不信感が広がることになり、全体的には対応は不合格だったと言わざるをえない」と述べました。

批判1:首相が、電池(バッテリーと書く方が正しいのに電池と書いたのは悪意?)の大きさにまで口を出さなければならなかった理由は、地震や津波による全電源喪失という事態を“想定外”にしていた東京電力や原子力安全保安院のこれまでの楽観論や危機管理の杜撰さがあるからであって、管首相は、その中ではよくやったと思う。運搬や自衛隊出動などの省を超えた対応は、官邸にしかできないのだから、官邸に情報を上げることこそ必要不可欠だったはずだ。しかし、官邸にはタイムリーに的確な情報を上げなかったそうであり、それこそが批判されるべきである。

批判2:また、事故が起こったら責任を持って収拾するという意識もなく、「原発から撤退したい」と申し出るような物事の重大性をわきまえない東京電力の従業員は、今後とも原発など扱う資格はない。何のために給料をもらっていたのか、よく考えるべきである。

批判3:対応が不合格なのは、SPEEDIなどの情報があることをすぐ官邸に伝えず、東北・関東一円の住民に無駄な被曝をさせた文部科学省の官僚にある。何でも、政治家に責任を押し付ければよいという発想こそ改めなければ、今後とも本当の問題解決はできない。

(2)一方、委員の1人で、元検事総長の但木敬一氏は、「国が作り出した絶対的な安全神話は、反原発運動に対抗する道具として使われた。ところが、国は、その安全神話にみずから縛られて、最新の技術的な知見を取り入れることさえできない体質に陥っていた」と指摘しました。

批判4:原発が安全なわけはなく、その原発を扱う人は、危機管理の技術や準備があるだろうと思って目をつぶっていただけである。特定の人の行動を、“国”と一括して言わないで欲しい。

(3)さらに、但木氏は、今後も原子力を使い続けるべきかという質問に対し、「風力や太陽光などの自然エネルギーによる代替が難しいなかでは、われわれの生活を縮小するか、原子力を使い続けるかのどちらかを選ばざるをえない。原子力を使い続けるのならば、今回の事故原因をきっちりと究明して、一つ一つの原発について、危機管理の対策を立て、管理がきちんと実行される体制を作ることが必要だ」と述べました。

批判5:「風力や太陽光などの自然エネルギーによる代替が難しい」「今回の事故原因をきっちりと究明して、一つ一つの原発について、危機管理の対策を立て、管理がきちんと実行される体制を作ることが必要」としている点で、原発推進派であり、技術進歩によるエネルギー政策の転換を考慮していない。四葉

*参考1 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/289929 (西日本新聞 2012年3月3日)
(要点)東京電力福島第1原発事故5日目の昨年3月15日、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による放射性物質の拡散予測について、当時の高木義明文部科学相ら政務三役や文科省幹部が協議し「一般にはとても公表できない内容と判断」と記した内部文書が作成されていたことが2日、同省関係者への取材で分かった。文科省は「事務方が作ったメモだが不正確。公表の具体的な判断はしなかった」と内容を一部否定している。事故直後のSPEEDIの試算公表をめぐる文科省の議事録などは公表されていなかった。

*参考2 http://www.asahi.com/national/update/0304/TKY201203030630.html?ref=rss&utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter (朝日新聞デジタル 2012年3月4日)
(要点)経済産業省原子力安全・保安院のチームが、東京電力福島第一原発事故から1週間後には、1~3号機の原子炉内の核燃料は溶け落ちて炉心溶融(メルトダウン)したと分析していたことが、朝日新聞が情報公開請求した文書でわかった。ただし公表はされず、国が炉心溶融を認めたのは事故から2カ月後だった。分析を国民への説明などの初期対応に生かせなかった。

| 報道の問題点::2011.7~2012.4 | 01:20 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.2.27  2011年3月11日の震災直後から、情報公開請求をしたり、記者会見で質問をしたりして、正確な報道を行い、国民の命を守るのが公共放送の責任であったにもかかわらず、NHKが、2011年12月になって初めて「議事録」などの情報公開請求を行ったのは、おかしい。


下の報道によって、NHKが、「福島原発事故対策統合本部」解散後の12月になって初めて、「議事録」などの情報公開請求を行ったことがわかったわけだが、これはおかしい。本来、2009年3月11日の震災直後から、事故対策統合本部へ情報公開請求をしたり、記者会見で突っ込んだ質問をしたりして、正確な情報を報道し、国民の命と利益を守るのがマスメディアとしてのNHKの責任だったはずだ。12月になって初めて、このようなことを言いだしたのは、実は、上の本が1月に発売されることが明らかになったため、あわてて、「自分たちも一生懸命やっているのだが、政治家が発表しなかったのだ」いう体裁を作っているにすぎない。この間、正確な情報を知らされなかったことにより、命の危険にさらされ、または、今後深刻な状況になる人が多いにもかかわらず、このような判断をしたことに、NHKの人間は、良心の呵責(かしゃく)も反省もないのだろうか。これは、NHKが発する他の情報に関する偏向も疑うべきであることを意味する。本当は、「議事録」がなかったというのも嘘で、開示できるようなシロモノではないため、「ない」と言っているだけなのではないか? ぷん

http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/20111228/0910_gijiroku.html
原発事故本部 議事録作成せず(NHK 12月28日)
(内容)福島第一原子力発電所の事故対策に当たった政府と東京電力の「事故対策統合本部」の会議の議事録が作成されていないことが分かり、専門家は、事故対応を検証したり教訓を収集したりするうえで大きな支障となるおそれがあると指摘しています。統合本部は、政府と東京電力が共同で原発事故対策に当たるため、ことし3月15日、東京電力本店内に設置され今月16日に解散したものです。連日、福島第一原発との間を回線で結んでテレビ会議を開き、原子炉の状況の報告や作業内容の協議をしてきました。NHKでこのテレビ会議の「議事録」などについて情報公開請求を行ったところ、文書は「不存在」とされ、会議の内容が記録されていないことが分かりました。
会議に参加していた原子力安全・保安院は「情報共有という位置づけの会議だったので議事録などの記録はとらなかった。録音もしていない」としています。
これについて、公文書の管理や情報公開制度に詳しい名古屋大学大学院の春名幹男特任教授は「今回の事故は未曽有の大事故であり、『そのとき何があったのか』を記録し、二度とこうした事故を起こさないための教訓として残さなければならない。その記録が作成されず検証もできないということになれば、将来、参考となる情報を失うことになり大きな損失だ」と話しています。


| 報道の問題点::2011.7~2012.4 | 03:50 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.2.27 皇位継承が男系でなければならないという人は、非科学的である
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120209/plc12020920370022-n1.htm
(男系堅持 野田首相が意向 女性宮家創設めぐり答弁 2012.2.9)
(ポイント)野田佳彦首相は9日の衆院予算委員会で、「女性宮家」創設に向けた皇室典範改正について「皇室活動の安定性をどうするかという観点で、女性宮家の問題を有識者も含め議論する。皇位継承の問題ではない」と強調した。さらに、「古来、皇位継承が男系で続いてきた歴史的な重みを受け止める」と述べ、男系継承を堅持すべきだとの意向を明らかにした。

 ここでも、野田首相の理念のなさには、失望する。 しくしく

「皇位継承は、何故、男系でなければならないのか?」ということは、私が衆議院議員時代に、小泉首相の下で、自民党内の部会において大議論したことであるため、反対派の意見もよくわかっているが、それは、「皇位継承が男系で続いてきたのが、歴史であり、伝統である」というだけだ。ここには、よりよい方向に向けて国民に範を示し、歴史と伝統を変えるという発想がない。

 しかし、明治天皇は、5カ条の御誓文の中で、「旧来の陋習(ろうしゅう)を破り、天地の公道に基くべし」と言っておられる。ここで、「天地の公道」とは、男女平等、男女共同参画社会となった今日の世界の常識であり、「旧来の陋習」とは、過去の習慣のみを理由として男系でなければならないとし、女性を差別することである。また、同じ5カ条の御誓文の中で、「知識を世界に求め、大いに皇基(こうき)を振起(しんき)すべし」とも言っておられるが、現在の生物学の知識では、男性と女性の遺伝子は、どちらも子孫に同じだけ(ミトコンドリアも考えれば、むしろ母親からの方が多く)受け継がれるので、正統であるためには男系でなければならないという根拠は、成り立たなくなっている。従って、ここで堂々と、女性天皇・女性宮家を認めることにより、現在の生物学の知識と男女平等の思想を世界に広めて名を挙げることこそ、“大いに皇基を振起”することになるだろう。イギリスでは、エリザベス女王でも、何も不都合はなかったし、むしろ、華やかで美しいので、画面が映えて見る者を楽しませてきた。

 そもそも、天皇家が家族写真を撮った時、男の子であるだけで悠仁さまが前の真ん中に来て、他の年上の女の子たちが後ろに並んでいる姿は、現代社会に気持ちよく受け入れられるものではない。また、女性天皇の議論が起こってから、あわてて悠仁さまを出産したような、要領で生きる秋篠宮さまと紀子妃殿下の子より、信念を貫く優秀な女性である雅子さまと必死でそれを守っている皇太子殿下の子である愛子さまに、皇太子さまの次の天皇として、皇室の血を受け継がせたいのは私だけだろうか。

*http://kids.gakken.co.jp/jiten/3/30007010.html
五箇条の御誓文

| 皇位継承 | 09:27 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.2.26 我が国が、資源・エネルギー自給率を高めなければならない理由
①我が国企業の売上高利益率は、だいたい下のように欧米企業の半分程度である。
<2007年 売上高利益率>
欧州  11.5% 、 アメリカ 10.0% 、 日本 6.0%
(http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je10/pdf/10p03033_1.pdf#search='企業の利益率 国際比較')

②我が国企業の利益率が低い理由はいくつも考えられるが、その一つに、我が国は、資源・エネルギーを外国からの輸入に頼っているため、資源・エネルギー価格が吊り上げられると、その代金支払いが生産に大きな影響を与えるということがある。そして、原油価格の高騰は、うなぎ登りであり、一貫して農林漁業を含む産業に悪影響を与えてきた(グラフ左)。また、我が国のドル換算による環境税を含めない電気料金も、上から6番目と世界の中で高い方に位置する(グラフ右)。

  

③そのため、まず、エネルギーの自給率を上げることを提案したい。地熱・潮流・太陽光・風力などの再生可能エネルギーを使って発電するための態勢を整え、我が国に多い資源であるLNGやメタンハイドレートなども、世界で6番目に広い我が国の排他的経済水域内で採掘する。これは、しらかばガス田で、中国が前からやっていたことで、我が国の経済産業省等が、「エネルギーは外国から買うもの」という古い常識から抜け出せず、現在の出遅れた馬鹿な状況を作ってしまったものである。(http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/285010 参照)

④効果
1)資源・エネルギー価格が吊り上げられ、我が国企業の利益が吸い取られる事態が回避できる。
2)資源・エネルギーを自給していれば、資源・エネルギーで弱みを握られることがない。
3)貿易収支にプラスである。輸出までできれば、さらによい。
4)資源・エネルギーの採掘に関わる企業の利益も内国法人の利益となり、その従業員も国内に住んでいるため、そこに、我が国の法人税、所得税、地方税を課すことができ、これは大きな金額となる。消費税増税などいらなくなるであろう。

*なお、我が国の排他的経済水域内の資源・エネルギーの利用のため、私が衆議院議員をしていた時に、下の海洋基本法を、2007年に成立させている。
http://law.e-gov.go.jp/announce/H19HO033.html 平成19年4月27日成立 海洋基本法
第1条 (目的) 
 この法律は、地球の広範な部分を占める海洋が人類をはじめとする生物の生命を維持する上で不可欠な要素であるとともに、海に囲まれた我が国において、海洋法に関する国際連合条約その他の国際約束に基づき、並びに海洋の持続可能な開発及び利用を実現するための国際的な取組の中で、我が国が国際的協調の下に、海洋の平和的かつ積極的な開発及び利用と海洋環境の保全との調和を図る新たな海洋立国を実現することが重要であることにかんがみ、海洋に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにし、並びに海洋に関する基本的な計画の策定その他海洋に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、総合海洋政策本部を設置することにより、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって我が国の経済社会の健全な発展及び国民生活の安定向上を図るとともに、海洋と人類の共生に貢献することを目的とする。

第2条(海洋の開発及び利用と海洋環境の保全との調和)
 海洋については、海洋の開発及び利用が我が国の経済社会の存立の基盤であるとともに、海洋の生物の多様性が確保されることその他の良好な海洋環境が保全されることが人類の存続の基盤であり、かつ、豊かで潤いのある国民生活に不可欠であることにかんがみ、将来にわたり海洋の恵沢を享受できるよう、海洋環境の保全を図りつつ海洋の持続的な開発及び利用を可能とすることを旨として、その積極的な開発及び利用が行われなければならない。
以下、略


| 資源・エネルギー::2011.8~2012.9 | 03:14 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.2.24 物価上昇と消費税増税が国民のためとは、民主党も自民党もおかしい。
①現在、民主党や自民党などの政治家は、日本銀行に対して、景気をよくするために、インフレターゲット(物価上昇率)が毎年1%になるように金融緩和を行うよう、プレッシャーをかけている。しかし、物価が上昇すれば、企業や若い人などの借入金の価値が下がり、借入金を持っている人は得をするが、老後のために低い利子率で安全な預金をしてきた人の預金の価値は目減りし、その人の財産価値は毎年1%ずつ下がるのである。つまり、これは、貸付者から借入者への財産の移転になるのだ。本来、日本銀行は物価の安定を図り、通貨で計った国民の財産を守るのが仕事で、そのために、政治とは一線を隔して自主性が認められているのだから、日本銀行にインフレターゲットを決めさせ、実行させるのは違法である。計算例を挙げれば、毎年1%ずつ物価が上がり続ければ、今年100万円の価値があった借入金や貯金は、翌年は、100/1.01=99万円の価値になっているということで、これを続ければ、現在の100万円の購買力は、5年後には100万円を1.01の5乗で割った95万円になっているということなのである。  *資料(1)(2)参照 

②また、野田首相、安住財務相を中心とする政府は、「社会保障と税の一体改革」と銘打った消費税率引き上げのために、“不退転の決意”で、“国民の理解を求めるための”あらゆる努力をしている。これも、使わなくなる原発の堤防建設やダムに、未だに大きな無駄な支出を行いながら、財務省の言いなりに、最も簡単な国民へのしわ寄せを行おうとしている点で、何の理念もないものである。念のため、5年後に消費税が5%上がって10%になっているとすると、今年105円だったものは、5年後には110円になっているため、①と同時に行われれば、今年100万円の買い物ができた人は、5年後には、95X105/110=約91万円分の買い物しかできなくなるのである。  *資料(3)参照

つまり、需要の7割を占める消費者の購買力は、①と②を合わせれば、5年後には91%に落ちる。これでは景気がよくなるわけがないし、そもそも国民を幸福にしない政策である。さらに、年金生活者などのぎりぎりで暮らしている人には、早く死ねと言わんばかりの政策である。そして、ほかに方法がないわけではないのだから、こんなことしかできないのであれば、政治家としての能力に不足があると言わざるを得ない。 ぷんすか

*資料(1): http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/287113 
(西日本新聞2012.2.17 日銀、10兆円の追加金融緩和 物価目標「当面1%」 )
 日銀は14日開いた金融政策決定会合で、国債などの資産買い入れのための基金をこれまでの55
兆円から10兆円拡大する追加金融緩和を全会一致で決めた。追加緩和は昨年10月末以来、約3カ月
半ぶり。政策金利を0~0・1%とするゼロ金利政策の維持も決めた。また、ゼロ金利政策継続の是非を
判断する際の基準となる「物価目標」のめどについて「当面は消費者物価の前年比上昇率で1%とする
ことを決めた」とした。景気の現状については「海外経済の減速や円高の影響などから、横ばい圏内の
動きとなっている」と判断した。

*資料(2): http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H09/H09HO089.html 日本銀行法
第1条(日本銀行存在の目的)
1.日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行う
  ことを目的とする。
2.日本銀行は、前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の
  円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。
第2条 (通貨及び金融の調節の理念)
 日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済
 の健全な発展に資することをもって、その理念とする。
第3条(日本銀行の自主性の尊重及び透明性の確保)
 日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない。

*資料(3): http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2140168.article.html
(佐賀新聞2012.2.18 一体改革で全国集会スタート / 消費増税に理解求める)
政府は18日、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革に国民の理解を求める全国対話集会を、
滋賀県長浜市を皮切りにスタートさせた。安住淳財務相は長浜市の集会で「消費税の増税をお願いする
のは心苦しいが、日本の抱えている大きな問題を理解いただければと思う」と強調。少子高齢化の現状
などを説明した。 一体改革に関する与野党協議の実現に見通しが立たない中、世論を味方につけて
局面を打開したいとの思惑がある。だが、この日の4カ所の集会のうち3カ所は定員が15人程度に限ら
れ、野党は「広く国民の声を聞けない」と批判を強めている。

| 経済・雇用::2011.8~2012.9 | 03:55 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.2.4 電機大手8社決算、家電のリストラで明暗とのことだが、悪いのは技術者ではなく、販売戦略とコンテンツである。
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819596E2E1E2E7828DE2E1E2E0E0E2E3E09C9CEAE2E2E2;bm=96958A9C93819696E2E1E29AE18DE2E1E2E0E0E2E3E09C9CEAE2E2E2 (日経新聞、2012.2.4)

 「日本のテレビ事業の不振が業績を直撃するパナソニック、シャープは今期の最終赤字が過去最大と
なり、ソニーは4期連続の赤字となった」「テレビ不振に苦しむのはシャープだけではない。ソニーは今
期、900億円の連結最終赤字を見込んでいるが、赤字幅は1000億円を大きく上回る可能性がある。
欧州や日本でテレビ事業の採算が悪化し、同部門は8年連続の赤字となりそうだ」「国内勢の不振を
よそに、海外の有力企業は好決算を謳歌している。韓国サムスン電子の2011年12月期の連結純利益
は13兆7300億ウォン(約9600億円)。ウォン安も追い風となり、スマートフォン(高機能携帯電話)の需
要拡大を取り込んだ。サムスンの株式時価総額は約12兆円とパナソニック、ソニー、シャープの合計
(約3兆6000億円)を大きく上回る。」など、この頃、日本の電機大手のテレビ事業が不振と韓国のサム
スン電子の活躍が報道されている。

 その原因には、円高による不振もあるかも知れないが、下のような技術過信による販売戦略の甘さ
による失敗やテレビを付加価値の高い製品にすべきコンテンツの貧弱さがあると思う。 お茶

 ①最近でこそ少し単価が下がったが、日本製薄型テレビの販売価格は高かった。
   ←私でさえ、日本製ではなく韓国製を買おうかと思ったほどであり、販売戦略が悪い。
 ②その高いテレビで見るほど、価値の高い番組をテレビではやっていない。
   ←新春番組はいい例であるが、ニュースやニュース解説などでも、福島原発事故の報道のよう
     に、真実を伝えるジャーナリスト精神に欠けるため、薄っぺらで感動をもたらさないものが多い。
     その点、BBCは尊敬に値するし、韓国ではケーブルテレビが普及しており、60チャンネル以上
     の番組が楽しめるそうである。
 ③ちょっと面白い箇所にさしかかると、必ずその前に広告が出てきて視聴者は不快になる。また、広告
  による中断が多すぎて、細切れの番組を見る羽目になっている。
   ←韓国のテレビでは、CMは番組の最初と最後にまとめて放送しなければならないという規制が
     ある。そのため、番組の途中でCMによって何度も中断されることが無くて、大変良い。
     日本も見習うべきである。
 ④スターの作り方が、素人本位で鑑賞に堪えない人が多い。
   ←アイドルでも、技量の高い芸術家(現在では、そのような人は多い)を使うべきである。その点、
     他国では、見るに堪えず、聞くにも堪えず、無理やり笑うしかないようなスターは見ない。
 ⑤映像や音楽が、美しくない。従って、憧れを持てない。
   ←韓国では、文化コンテンツそのものが期待されているのみならず、「憧れ」や「豊かさ」のイメージ
     を通して、企業の海外展開、市場開拓を支援するソフトパワーとして位置づけられている。
     これが、韓国ドラマが人気のある理由の一つであろう。

| 経済・雇用::2011.8~2012.9 | 03:52 PM | comments (x) | trackback (x) |

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