■CALENDAR■
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30   
<<前月 2017年11月 次月>>
■NEW ENTRIES■
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■OTHER■
左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。

2017.11.12 政治家に占める女性の割合が小さくなる理由は何か (2017年11月13、15、16、18、20、23、24、26、28、29、30日、12月1、2、3日追加)
  
  政党別当選者像     選挙前からの増減      女性当選者の推移
 2017.10.23西日本新聞               2017.10.23西日本新聞

(1)衆議院議員の選挙結果は男女平等か
1)第48回衆議院議員選挙の結果
 世界経済フォーラム(WEF)は、*1-1、*1-2のように、2017年11月2日、世界各国の男女平等度合いを示した2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」を発表し、日本は女性閣僚や女性議員の少なさから政治が123位と20位も順位を下げたそうだ。女性の健康と識字率については世界1だが、高等教育進学率は101位と低く、専門職や技術職には女性が少なく、これらが男女の収入格差の一因となり、女性は同じ専門職や技術職でも採用・配置・研修・評価・昇進で差別されがちであるため、それらの総合的な結果として今回の順位が出ているわけである。

 世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」で日本の順位が次第に下がってきた理由は、他国はまじめにジェンダー・ギャップの解消に取り組んでいるが、日本は掛け声倒れに終わっているためで、①一般国民が両親として子にジェンダーを含む価値観を与え、教育の選択を行っている ②公立高校でさえ男女別学にして男女で教育内容を違えている地域がある ③職場での採用・配置・研修・評価・昇進や選挙を通じて女性差別を行っている などが、その背景にある。また、私立学校には、小学校から男女別学のところさえある。

 その結果、「女性の幹部社員や政治家の少なさは『家事との両立困難』『女性自身のチャレンジ精神のなさ』などが原因だ」とするようなメディアの論調も多く、家事を女性の役割と決めつけ、女性は積極的でないとする男性中心社会の女性に対する偏見や責任転嫁があるが、家事は収入が多ければ外部委託でき、残りの家事をどちらが分担するかは家庭内の経済格差によって合理的に決まるため、本当はチャレンジ精神のある女性が全女性に占める割合は、チャレンジ精神のある男性が全男性に占める割合より少なくはないだろう。
(注1:動物行動学では、「人間に近い猿で、海水でイモを洗う新しい行動を始めたのはメス猿で、子猿たちがそれを真似して次世代に伝え、イモ洗い行動はその群れの文化となったが、大人のオス猿は最後まで新しい行動をしなかった」という研究事例がある)

2)今回の当選者と女性について
 このように、女性蔑視やジェンダーによる差別によって作られた形式上のもしくは実際の実力差のため、国民のリーダーとなるべき国会議員に占める女性割合は増えないわけだが、*1-3のように、西日本新聞が衆院選当選者を分析したところ、前職81.0%で、平均年齢54.8歳、出身は首長・地方議員などの地方政界が31.5%と最多で、国・地方を合わせた官僚・議員秘書がともに15.8%で同数だったそうだ。

 また、女性が全当選者に占める割合は10.3%で、「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という政府目標には遠かった。私は、「家事を担ったことがなく、自分は消費者ではないと考えている男性が多いため、このような馬鹿な政策が行われて惨憺たる結果が出ている」と感じることが多いため、2020年に指導的地位に占める女性割合を30%にするという政府目標は達成すべきだと考える。

 そのためには、「女性蔑視やジェンダーを無くして、堂々と30~50%の女性が議員に当選する状況を作る」というのが正論だが、女性が候補者となることすら難しいジェンダーの多い地域も少なくないため、*1-4のように、「クオータ制を推進する会」代表の赤松良子元文科省らが「政治分野における男女共同参画推進法案」の成立を働き掛け、各政党に対して衆院選の比例代表で女性候補を名簿上位とするよう求めるなどの取り組みを提案していたわけである。これを逆差別だと言う男性は多いが、私は、女性の当選を不利にする強固な障害が背景にあるため、その背景がなくなるまでは、この仕組を逆差別だとは思わない。

(2)女性蔑視を振りまくメディアと周辺の対応
 メディアは、連日、豊田真由子前衆院議員が元秘書の男性に暴言や暴力を行ったと報道していたが、豊田議員の地元固めの努力に比べて、元秘書の“失敗”はひどすぎる上、録音・録画がなされていたことから、豊田議員は陥れられたように思えた。しかし、*2-1のように、埼玉県警は豊田前議員が落選したところを見計らって、「傷害」「暴行」の疑いで書類送検したそうだ。

 ちなみに、私も、2005~2009年の衆議院議員時代、国会のない日は、地元廻りに精を出し、国政報告会を開き、地元の式典に参加したりして、盆も正月もなく草の根の活動をしていたが、「(ミスだらけの)秘書が大変ね」と言う人は多かったものの、私に対する労いや励ましの言葉は夫以外からはあまり聞かなかったので、その状況が推測できるのである。

 しかし、*2-2、*2-3、*2-4のように、当選を重ねて「希望の党」の代表選に出られた大串氏の場合は、「大串氏『保守王国崩す』、草の根の活動結実」と称賛されている。私は、大串氏と同じ地元活動をしていたので、同じ行動に対するこのようなメディアの論評の違いが世間に流布し、一般の人の先入観となって女性に対する強固な天井を作っていると確信する。

 なお、私は、佐賀県の式典でご一緒することが多かったため大串氏をよく知っており、その能力を認めており、大串氏の野党との統一会派を目指す路線にも賛成で、あくまで路線闘争を正面から訴える作戦を貫いて今後の流れに繋げることも重要だと思っているが、同じことを女性がやるとおかしな論評をするメディアをはじめ一般国民の意識が問題だと指摘しているのである。

 そして、ジェンダーについては、*2-5のように、佐賀新聞だけでなく全国紙の朝日新聞もメルケル首相に関して、「首相になって12年。実直で優れた指導力から『鉄の女』とも評される」「地元では、情を尽くして有権者と触れあう素顔を見せた」「政治家が地盤を守るには泥臭さもいる」などと記載している。しかし、女性がリーダーとして当然のことをすれば「鉄」と表現するのはジェンダーそのものであり、女性リーダーをやりにくくする。また、有権者と触れあう機会を多く作って有権者のニーズを知るのは男女にかかわらず政治家として当然のことだ。さらに、有権者のニーズを知って必要な政策をとるのは泥臭いことではなく当然のことだが、解決法を誤ればモリ・カケ問題のようになるため、見識の高さが必要なのである。

(3)私に関する偏向報道の事例
1)女性蔑視で偏向した報道とブログ
 私に対してなされた典型的な女性差別は、*3-1のように、週刊文春に、「83会の奇人変人」という題名で書かれた「東大卒で公認会計士という経歴をもつ広津女史。エキセントリックな点があり、ストレートにモノを言う。党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る」というものだ。

 この記事は、東大卒でも専門職でもない男性読者が「わが意を得たり」と感じるように、女性蔑視をふんだんに盛り込んだ真実ではない内容を記載しており、その結果、私の後援会作りを邪魔し、自民党の公認を得るのを妨げ、ひいては衆議院議員という職を失わせたため、「名誉棄損」「侮辱」として東京地裁に提訴して東京高裁で完全勝訴したものだ。しかし、日本の裁判所は、機会費用を認めないところが不完全である(http://hirotsu-motoko.com/weblog/index.php?c=19-22 参照)。

 また、*3-1のブログは、「自民党から小選挙区で公認してもらえなかったから」「自民党の比例区の名簿で優遇してもらえなかったから」という理由で(みんなの党に)来たらしい候補がいますね。・・・とくに広津前議員は、真偽の程はわかりませんが、以下の記事を読む限りでは、かなり“電波”な人では?」として、この女性蔑視の偏見に基づいた週刊文春の虚記事を引用し、2009年の衆議院議員選挙直前から掲載し続けている。さらに、このブログは反論もできない上、削除依頼もできない状態になっているのだ。

 そして、国会議員・公認会計士・税理士は、どれも人から信頼されなければできない仕事で、私はそれを築くために一生をかけて努力してきたため、この政治活動の妨害や営業妨害は、一般の女性のように笑って受け流したり、気分を変えたりすれば済む話ではない。

2)底の浅い決めつけ報道
 西日本新聞は、*3-2のように、政治取材に携わって20年余で、劇場政治の危うさとうさんくささは骨身に染みていたと言う記者が、「①『劇場型政治』はもう終わりに」「②郵政解散当時の小泉純一郎劇場のように爆発的人気を集めた劇場はなかった」「③1番人気は安倍劇場だったが、5年近くも同じでは観客に飽きがくる」「④耳目を集めるだけの劇場型政治は終わりにして地に足の着いた政策本位の政治にしてほしい」「⑤芸は未熟なのにスターと思い込み、トラブルを引き起こす「チルドレン」役者が増殖しなかったことだけはよかった」と記載している。

 しかし、②は、まさに政策を問うて解散した選挙であり、その後の解散総選挙はすべて政策を問うているため、④も当たらない。それでも、耳目を集めるだけの劇場型政治と感じたのであれば、それは、20年余りも政治取材に携わってきたという西日本新聞記者の底の浅い理解とそういう理解に基づいた内容のない報道の結果である。また、①の西日本新聞記者が言う“劇場型政治”は、実際には政策を主張して選挙を行い、国民はそれに注目したものであるため、これを終わりにすれば主権在民・民主主義は成立しない。さらに、③の「5年近くも同じでは観客に飽きがくる」というのは、それこそ政策を論評しておらず、自分がプレイヤーの主権者であることを忘れ、観劇する客であるかのように思っているレベルの低い発言だ。

 なお、九州で、⑤の「芸は未熟でトラブルを引き起こす『チルドレン』役者が増殖しなかったことだけはよかった」というのは、上記(3)1)などを前提にした私のことだと思うが、(3)3)に書くように、政治経験が長いから有能で、そうでないから未熟な「チルドレン」だと論評すること自体、年功序列の発想に基づいており、実力や成果を重視しない決めつけだ。そして、私の場合は、私がトラブルを引き起こしたのではなく、問題でないものを問題視したり、トラブルにしたりされたものであるため、原因のありかを間違わないようにしてもらいたい。

3)では、長期間政治に関わったという人は、国のためになることをしたのか
i)国の歳出について
 財務省は、*3-3のように、2017年11月10日、国債(949兆9,986億円)・金融機関からの借入金(52兆6,532億円)・政府短期証券(77兆7,888億円)を合計した国の借金が9月末時点で1,080兆4,405億円となり、過去最大(最悪)を更新したと発表した。

 しかし、この間、必要十分な年金積立金は積まれず、介護保険制度も時間ばかりかかって不十分で、少子化が著しくなるまで保育所の整備もされなかった。さらに、多額の農業補助金を使って耕作放棄地を増やし、食料自給率を先進国の中で最低にし、そのほかにも馬鹿な政策を多々行っているのだから、議員・官僚・議員秘書などとして長期に渡って政治に関わってきた人こそ、必要なことをした実績がなく、政治家として不適格な人が多いわけである。

 そして、今後、どうしても行わなければならないのは国への複式簿記による公会計制度の導入であり、これによって国の収支の全貌が発生主義で網羅性・検証可能性をもって開示されるようになれば、本当に役立っている政策に効果的に予算を付けられ、より小さな歳出でより大きな効果を得られるようになる(http://www.jbaudit.go.jp/koryu/study/mag/pdf/j22d05.pdf#search=%27%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%85%AC%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%88%B6%E5%BA%A6%27 参照)。

 なお、私は、公認会計士・税理士として第二次・第三次産業の多くの企業を見てきた経験から、農業政策については衆議院議員になってすぐ、①農業の規模拡大による生産性向上 ②生産物のブランド化による付加価値向上 などを提唱し、私が発案したふるさと納税とも相まって、次第に実現しつつある。また、介護保険制度や保育については、東大医学部保健学科卒の知識と働く女性としての経験により、私が経産省に提唱してできたが未完成で、年金制度については、公認会計士として企業には退職給付会計を導入したが、公的年金は未導入という具合だ。

 このように、私は、この25年間、重要な改革を提言して実現させてきた実績があるが、これらは、長期間、政治家をしていたからできたのではなく、東大医学部保健学科卒で公認会計士・税理士としてBig4で働いてきたから持っている知識と実務経験があるからできたものである。

ii)環境について
 マクロ経済学は環境や資源の制約、人口構成の変化によるニーズの変化、技術革新などを与件として考慮しないが、地球温暖化等の公害防止と経済成長は、エネルギーの転換や製造方法の変換で両立できるもので、転換期には投資が増えるため、経済成長はむしろ促進される。

 そのため、*3-4のような「パリ協定」や再エネ・省エネなどへのエネルギー転換は、化石燃料の少ない日本にとっては願ってもない福音の筈だが、「太陽光発電のコストは高い」等々のくだらない理由を付けて化石燃料や原発再稼働に固執し、エネルギーの転換に消極的なのが、その殆どを男性が占める我が国の政治家及び経済界のリーダーたちなのである。

 私は、水・食品・空気(洗濯機の水を見れば空気の汚れ具合がわかり、これは地域によって異なる)に関心を持ち、家族の健康に留意している女性の方が環境政策に敏感なのではないかと思うが、メディアはじめ国民は、何故こうなるのかを調査して解決すべきだ。

(4)女性への偏見ができる理由
 関東地方以北には、公立高校でも男女別学の地域が多く、*4-1のように、埼玉県も県立高校が男女別学で、広島市出身の教育長と同様、私もびっくりした。私は、埼玉県在住だが、決してそれをいいとは思っておらず、公立高校が男女別学なのは憲法違反であるとともに、価値観が形成される感受性の高い時期に男女別学にして異なる教育をするのは、男女平等や女性の社会参加を進める上で非常に悪いと考えている。

 しかし、私立高校も男女別学のところが多く、関東地方以北は、男女共学の進学校の選択肢が少ないのである。この教育の悪さは、それをカバーするため親に負担をかけるので、保育所の不備と同様、働き続けることを優先した私が子ども作らなかった原因の一つだ。

 そして、佐賀新聞も化石のように、*4-2の「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきか」などという調査をしたそうだが、西日本の佐賀県民も「男性は外で仕事、女性は家庭」という性的役割分担に賛成する人が33.2%いるという結果だそうだ。しかし、賛成が最も多いのは70代以上の男性で、それでも51.2%(約半分)だったのは、時代の価値観を変えた感がある。太陽

<第48回衆議院議員選挙結果と男女平等>
*1-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171102&ng=DGKKZO22985930R01C17A1CR8000 (日経新聞 2017.11.2) 男女平等指数 日本は114位 過去最低、女性の政治参画遅れ
 世界経済フォーラム(WEF)は2日、世界各国の男女平等の度合いを示した2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。日本は調査対象144カ国のうち、114位と前年より3つ順位を落とし、過去最低となった。女性の政治参画が遅れているのが主な理由で、1日に発足した第4次安倍内閣の女性活躍の推進が一層問われそうだ。同指数は女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析し、ランキング化している。日本は女性の閣僚や議員の少なさが目立ち、政治は123位と20も順位が下がった。10月の衆院選では定数の約1割にあたる47人の女性が当選したが、海外と比べると政治進出は遅れている。経済は114位と4つ順位を上げたものの、依然低い水準だ。男女の収入格差が大きいのが影響しているうえ、専門職や技術職で女性が少ない。教育は識字率は世界1位だが、高等教育の進学率が101位と低く、同分野全体で74位にとどまっている。健康は出生時の男女のバランスの改善で、40位から一気に1位に浮上した。上位10カ国の顔ぶれは順位に変動はあるものの、前年と同じ。首位は9年連続でアイスランド。女性の政治への参画が際立つほか、男性の育児休業も普及している。

*1-2:http://qbiz.jp/article/121963/1/ (西日本新聞 2017年11月2日) 男女平等、日本は114位 政治進出の遅れが最大の原因
 ダボス会議で知られるスイスの「世界経済フォーラム」は2日、2017年版「男女格差報告」を発表した。日本は調査対象となった144カ国中114位で、前年より順位を三つ下げ、先進7カ国(G7)で最下位だった。女性の政治進出が遅れているのが最大の原因。報告書では日本は政治、経済分野で男性との格差が大きく、特に政治分野(123位)では女性の議員や閣僚が少ないことなどから前年より順位を20下げた。経済分野(114位)も前年より順位を四つ上げたものの、幹部社員の少なさなどの問題が指摘された。首位は9年連続でアイスランド。2位ノルウェー、3位フィンランド、4位ルワンダで、北欧諸国が上位に並んだ。米国は49位、中国は100位、韓国は118位だった。アジアのトップはフィリピンの10位だった。世界経済フォーラムは「2006年に報告書の発表を開始してから初めて世界的に男女格差が広がった。特に政治、経済面で逆戻りし、このままでは格差解消に100年かかる」と警告した。男女格差報告は各国の女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析、数値化している。

*1-3:http://qbiz.jp/article/121142/1/ (西日本新聞 2017年10月23日) 新議員はこんな人たち 前職81%、平均55歳、地方政界出身
 当選者の新旧別、平均年齢、出身から新議員像を探った。(23日午前11時半現在で当選者未判明分を除く。自民党が追加公認した無所属候補3人は無所属として集計した)
【新旧別】前職が370人と81・0%を占め、うち253人が自民党だった。新人は56人(12・3%)で前回衆院選の43人から増えた。元職は31人。政党別の新人は立憲民主党が23人でトップだった。自民党が19人、希望の党が9人だった。
【年代】新議員の平均年齢は54・8歳で前回の53・1歳より高かった。政党別で最も若いのは希望の党の49・5歳。日本維新の会が49・7歳で続いた。自民、公明、共産、立憲民主の各党はいずれも50歳代だった。1人が当選した社民党は72歳。
【出身】首長や地方議員といった地方政界出身が144人(31・5%)と最多。次いで国、地方を合わせた官僚と、議員秘書がともに72人(15・8%)で同数だった。
●女性当選者は47人
 衆院選の女性当選者は47人となり、前回2014年の45人より2人増えた。過去最多だった09年の54人には届かなかった。当選者に占める割合は10.3%。政党別では、自民党が前回(25人)より5人少ない20人。安倍政権は女性の活躍推進を掲げているが、結果は振るわなかった。他は立憲民主党が12人、公明党が4人、共産党が3人、希望の党が2人、日本維新の会が1人、無所属が5人だった。今回立候補した女性は209人。全候補者の17.7%と割合は過去最高とはいえ「男女均等」には遠く及ばない。政府は「20年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」との目標を掲げているが、隔たりはまだ大きい。データは23日午前9時現在で当選者未判明分を除く。自民党が追加公認した無所属候補は無所属として集計した。
●新人議員は56人
 今回の衆院選で当選した新人議員は56人で、小選挙区比例代表並立制が導入された1996年以降、最少となった前回選挙の43人を13人上回った。党派別では今回躍進して野党第1党となった立憲民主党で最多の23人が当選、自民党が19人と続いた。他は希望の党が9人、公明党が2人、日本維新の会が2人、無所属1人。前回は新人14人が当選した共産党はゼロだった。最年少は希望の党の緑川貴士氏(32)(比例東北)、最高齢は立憲民主党の長尾秀樹氏(65)(比例近畿)と自民党の佐藤明男氏(65)(比例北関東)だった。

*1-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017093002000123.html (東京新聞 2017年9月30日) 女性候補者増を「争点に」 「男女半々」求める法案 解散で廃案
 女性議員を増やすため、政党に選挙候補者を男女半々にするよう求める議員提案の「政治分野における男女共同参画推進法案」が、衆院解散により廃案になった。これを受け、二十九日、東京・永田町の衆院第一議員会館で抗議集会が開かれ=写真、成立を働き掛けてきた「クオータ制を推進する会」代表の赤松良子元文部相(88)は「総選挙の争点にしたい」と訴える。法案には与野党とも合意済みで、先の通常国会で成立するとみられたが、「共謀罪」法を巡る駆け引きなどで審議入りしなかった。集会で赤松さんは「延々と積み重ねてきたものが解散でぶっ飛んじゃった。また第一歩から始めないといけない」と嘆く。集会では、各政党に対し衆院選の比例代表で女性候補を名簿上位とするよう求めるなどの取り組みが提案された。終戦時に十五歳だった赤松さんは、参政権のなかった戦前の女性の立場の弱さを知っている。旧労働省婦人局長として一九八五年の男女雇用機会均等法の成立に尽力。九九年には社会のさまざまな場の性差別をなくす「男女共同参画社会基本法」ができたが、政治の世界は取り残された。今回の解散前の衆院の女性比率は9・3%で、世界各国の女性議員の割合などを調べている国際組織「列国議会同盟」のデータでは百九十三カ国中で百六十四位。「選択的夫婦別姓の実現や待機児童問題解消など、女性の望む政策が通りにくい偏った政治になっている」と赤松さん。「女性議員を増やすことへの姿勢も、投票の判断材料にしてほしい」と話している。 

<女性蔑視を振りまくメディア>
*2-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13201928.html (朝日新聞 2017年10月27日) 豊田前議員、書類送検 元秘書への傷害容疑 埼玉県警
 元秘書の男性を暴行したとして、埼玉県警は27日、22日の衆院選で落選した豊田真由子前衆院議員(43)を傷害と暴行の疑いで書類送検した。捜査関係者が明らかにした。前議員はこれまでの調べで「頭を殴ったわけではなく、肩をたたいた」と話していたという。捜査関係者によると、豊田前議員は5月、埼玉県内を走行していた乗用車内で、当時政策秘書だった50代の男性の頭を殴ったり、背中を蹴ったりしてけがをさせた疑いがある。豊田前議員は2012年の衆院選で自民党から立候補して初当選した。しかし6月に発売された「週刊新潮」が暴行疑惑を報じたため、離党届を提出。衆院選に埼玉4区から無所属で立候補したが落選した。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/140745 (佐賀新聞 2017.10.24) 大串氏「保守王国」崩す 佐賀2区、=2017衆院選さが=草の根の活動結実
 地をはうように広い選挙区を駆けずり回った努力が結実した。激戦の衆院選佐賀2区は希望前職の大串博志さん(52)が猛烈な追い上げで大逆転劇を演じ、「保守王国」の牙城を崩す歴史的勝利を収めた。台風の影響で2日間に及んだ開票作業の末、全国で最後の小選挙区当選者となった。武雄市の事務所で支援者約550人の歓喜に包まれながら、「野党をしっかりまとめていくリーダー役を果たす」。高らかに宣言した。選挙区割り変更で事実上の国替えとなった前回は3万2千票差で破れた。堅い保守地盤の現実を突き付けられ、「地域に入って縁を紡ぐ」。草の根の活動を貫く覚悟を決め、後援会づくりに奔走した。地区単位で行事をチェックして国会議員が来たことがない所にも顔を見せ、住民と膝を付き合わせた。衆院解散時に決めた合言葉は「小選挙区で勝つ」。3年間で公民館など千カ所を訪ね、「車の走行距離は地球何周のレベル」(事務所スタッフ)。深まった自信は新党への合流で揺さぶられた。「新党を率い、右過ぎず自分が思う中道をやる」。政治家人生での最大の決断に触れた陣営の幹部たちも腹が据わった。腰が低くていい人から一変して街演や集会で見せる鬼気迫った表情に、支援者たちが突き動かされた。地域に根付かせた後援会がフル稼働して親類や知人にくまなく声掛け。「安倍1強政治」に諦めを抱く有権者の関心も呼び起こし、批判票を取り込んだ。「自民圧勝、希望埋没」の全国情勢もはねのけたが、当選後には「希望は正直逆風だった」と本音を吐露した。事務所で一人一人とあいさつを交わして責任をかみしめつつ、「政策が違うといって排除していると野党議員の責任が果たせない。協力できることは協力し、安倍政権に対抗できる大きな塊をつくることを多くの議員に呼び掛けていく」と決意を新たにした。

*2-3:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/146855 (佐賀新聞 2017.11.9) 大串氏、希望代表選 支えた「懐刀」ついに決起、経験重ね、挑戦に自負心
 陰ながら歴代代表を支え続けてきた「懐刀」がついに舞台に上がった。「首相補佐官、政調会長を経験し新しさも兼ね備えながら引っ張っていく立場になるには、ちょうどいい頃かなと思う」。8日、共同代表選への立候補届け出を終えた希望の党の大串博志衆院議員(佐賀2区)は記者会見で、政治家としての新しいステージへの挑戦に際し、自負心をのぞかせた。「大串氏は代表選に出るつもりだ」。衆院選のさなか、陣営の一人が語った。自他共に認める政策通が演説で政策を語らず、打倒安倍政権だけを訴えた。「代表になり、自ら党を引っ張る。あいまいな公約に触れなかったのは決意の現れだったのだろう」。相手は小池百合子代表に近い結党メンバーの支援を受ける玉木雄一郎氏。共同会見でも玉木氏は小池代表の「安倍1強許すまじ」という言葉をなぞったが、大串氏は「私は安倍政権を倒すと言っている。その差は大きい」と語る。党内にも「玉木陣営は与党や日本維新の会と連携を考えているのではないか」との見方があり、大串氏は「積極的に野党との統一会派を目指す」と路線の違いを打ち出し支持を広げたい考えだ。現状、大串陣営は「相手候補がリードしている」とみている。それでも強引に切り崩すことはせず、あくまで路線闘争を正面から訴える作戦を貫く。陣営の一人は「票数で党の温度が分かる。それが代表選後の大きな流れをつくる」と胸の内を明かす。

*2-4:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/147320 (佐賀新聞 2017.11.10) 希望の党、共同代表に玉木氏、大串氏を大差で退ける
 希望の党(代表・小池百合子東京都知事)は10日午前、両院議員総会を国会内で開き、玉木雄一郎(48)、大串博志(52)両衆院議員が立候補した共同代表選の投開票を実施した。若手からベテランまで幅広い支持を集めた玉木氏が大串氏を退け、国会議員を率いる共同代表に選出された。得票は玉木氏39票に対し、大串氏14票と大差がついた。任期は小池氏に準じて2020年9月まで。玉木氏は選出後、同僚の議員らに「国民に寄り添い、地に足のついた土のにおいがする本物の国民政党を、皆さんと共につくりあげていきたい」と呼び掛けた。

*2-5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13198534.html (朝日新聞 2017年10月26日) 特派員メモ バルト:「鉄の女」別の顔
 ドイツ北東部のバルト。人口9千人弱の小さな町で、メルケル首相の演説を聴いた。9月の総選挙で、彼女が地元選挙区を訪ねたときだ。小雨の中、切り出した。「この町のトマトは世界一おいしい」。選挙中、別の町で批判的な有権者からトマトを投げつけられたのを逆手に取ったようだ。私も食べたが、世界一は言い過ぎかな。今度は、地元鉄道の延伸を求める垂れ幕を見かけるや、「数カ月で実現するでしょう」。おや、利益誘導めいた発言もするのだな。30分の演説を終えると、「サインや記念撮影もできますよ」。支持者の列が途切れるまでたっぷり20分、「ファンサービス」に応じた。地元選挙区にあるシュトラールズントの市長は「彼女は毎月一度は必ず地元に帰る」という。過去に米国やフランスの大統領を招き、地元の知名度アップにも励んできた。首相になって12年。実直で優れた指導力から「鉄の女」とも評される。だが、地元では、情を尽くして有権者と触れあう素顔を見せた。政治家が地盤を守るには泥臭さもいる。国は違えど、そんな共通点が垣間見えた。

<私の事例>
*3-1:http://www.asyura2.com/09/senkyo69/msg/142.html (ブログ 2009 年 8 月 12 日) 「みんなの党」は、政策はいいと思いますが、メンバーに信用できない人たちがいます。
「自民党から小選挙区で公認してもらえなかったから」「自民党の比例区の名簿で優遇してもらえなかったから」という理由で来たらしい候補がいますね。元・自民党の清水前議員とか、同じく元・自民党の広津前議員とか・・・。およそ、政治信条とか理念などの類を持ち合わせている候補とは思えない。とくに広津前議員は、真偽の程はわかりませんが、以下の記事を読む限りでは、かなり“電波”な人では?
●武部幹事長弁当事件 83会の「奇人変人リスト」
「その瞬間、議員一同、凍りつきました」(山崎派議員)。山崎派の会合でのこと。山崎卓氏が「総裁選(の出馬)も考えてみたい」と言うと、一人の女性議員が手を挙げた。“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる小泉チルドレン。誰もがひやりとしたのも遅く……。佐賀三区のがばい刺客、広津素子議員(54)は真顔で山崎氏に進言した。「山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので、難しいと思います」。自民党議員が笑いを噛み殺しながら言う。「“今週の広津語録”と言われるくらい、破壊的な発言が永田町を駆け巡っています。有名になったのは、佐賀の日本遺族会の方が東京に挨拶にみえた時。話を聞いた後、広津さんは、『遺族、遺族って、一体、何の遺族ですか』と(笑)。〇五年の郵政選挙の大量当選が生んだ珍現象です」。東大卒で公認会計士という経歴をもつ広津女史。「エキセントリックな点があり、ストレートにモノを言う。党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る」(別の自民党議員)。伊吹文明幹事長が党税調小委員長だった時、伊吹氏の説明が終わると、新人・広津氏が挙手をするや……。「伊吹先生の説明ではわかりにくいと思いますので、代わって私が説明します」。絶句したのは伊吹氏だけではない。農政の会合で農家による説明が終わると、広津氏が総括(?)した。「皆さん、農業をやめて転職したらいいと思います」。極めつけが「牛肉弁当事件」。チルドレンの親分、武部勤幹事長(当時)が、「いつでもメシを食いに来なさい」と新人たちに声をかけると、本当に広津氏は幹事長室に行って、置いてあった牛肉弁当を勝手に食べてしまったというのだ。その恨みではないだろうが、武部氏は新人議員のグループ「新しい風」に広津氏を誘っていない。抗議する彼女に、武部氏は「あれは仲良しクラブだから」と逃げたつもりが、逆に「私は仲良しじゃないんですか!」と怒らせてしまった。広津氏は小誌の取材に「全部まったくのウソです」と否定するが、広津語録は議員の間で今も更新中だ。
●派閥のドン山拓に「引退勧告」しちゃった広津素子センセイ  週刊文春07年10月4日号より
“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる、小泉チルドレンの広津素子議員(54)。昨年末、彼女は所属する派閥のボス山崎拓氏(71)にこう直談判したと言う。「先生はもう七十歳を超えている。辞めるべきだと思います!」話は次期衆議院選挙、佐賀三区の公認問題を巡って切り出された。広津議員は現在、郵政造反・復党組である保利耕輔議員(73)と激しい公認争い中。保利氏に対して前述のように「七十歳を超えて~」と批判し、「山崎さんから若い人に道を譲るように言って下さい」と続けた。山崎派議員が苦笑しながら語る。「山崎先生は保利先生と同世代。保利先生に年だから辞めろなんて、山崎先生の口から言える訳がありません。広津さんの言葉を聞いて山崎先生は、『それは俺にも辞めろと言っているのか!』と激怒したようです」。ちなみにヤマタクが総裁選への意欲を示したときも、「山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので難しいと思います」(小誌〇七年十月四日号既報)と広津氏は直言している。山崎派の重鎮、野田毅議員が新人を集め食事会を開いたときもこんな事件が。野田氏が「地方経済は疲弊している。今こそ地方への配慮が必要だ」などと持論を語り終えたあと、広津氏はこう言い放った。「先生は古いタイプの政治家ですね」。出席していた一年生議員が振り返る。「一瞬、場が凍りつき、われわれも冷や汗をかきました。野田さんは明らかに不機嫌だった。ご馳走になっているのに、普通そういうことを言いますか?(苦笑)」。東大卒で公認会計士という経歴の広津氏は、「自らの考えが正しいと信じて疑わないタイプ」(同前)。「昨年九月の安倍改造内閣が発表される前も、『次は私が女性代表で大臣になる』と公言し周囲を唖然とさせた。福田内閣の人選が進められているときには、官邸に電話して『私を副大臣か政務官に入れるべきだ』と直談判したという伝説もある」(全国紙政治部記者)。地元の評判も芳しくない。「人の名前を覚えないから人望がない。すぐ問題を起こすから会合等に呼ばないようにしているのですが、呼ばないと『女性蔑視だ!』と大騒ぎ。問題は人間性なんですけど・・・・・・」(自民党佐賀県連関係者)。そんな言動が災いしてか、事務所も大混乱の様子。「広津さんは入りたての秘書に、『明日から佐賀に行って後援会を作ってきてちょうだい』とか無茶ブリがすごいようです」(同前)。本人に取材すると、「すべてデタラメです。一体誰が言っているんですか」とご立腹。いや、みんな言ってるんですけど。郵政総選挙でも広津氏と対峙した保利氏は、周囲にこう公言しているという。「彼女が出る以上、私も絶対次の選挙に出る。それが佐賀県のためだ」

*3-2:https://www.nishinippon.co.jp/nnp/editorialist/article/369694/ (西日本新聞 2017年10月29日) 「劇場型政治」はもう終わりに
 政治が劇場化することは間々起きるが、今回の衆院選ほど短期間に、しかも劇場乱立の政局も珍しかった。唐突に衆院を解散した安倍晋三劇場、自民党に代わる政権の受け皿を目指して希望の党を立ち上げた小池百合子劇場、そこへの合流を打ち出した前原誠司劇場-。政治取材に携わって20年余り、劇場政治の危うさとうさんくささは骨身に染みていたはずなのに、政局の急展開に「今度こそ政権選択選挙か」などと、また浮足立ってしまった。ああ、恥ずかしい。終わってみれば、郵政解散当時の小泉純一郎劇場のように爆発的人気を集めた劇場はなかった。前宣伝だけが派手だった小池劇場と前原劇場は不入りの責任を巡る内輪もめで早くも閉幕状態である。各劇場が伸び悩む中、1番人気は同じ出し物を毎回、異なる演目で演じる安倍劇場だった。ただし5年近くも同じでは主役も脇役も慢心する。観客には飽きがくる。心配は全く別の出し物の台本をこっそり用意していることだ。劇場にちなんで芝居に例えてみると、こういうことか。しかし、政治はお芝居とは違う。政治家は国民を惑わせる芝居をしてはいけない。野党で喝采を浴びたのが前原劇場から小池劇場への移籍を「芸風が異なる」として“排除”された立憲民主党だったのも皮肉な光景である。これも枝野幸男劇場と呼べるのかもしれないが、「まっとうな政治を」という原点回帰の訴えが多くの有権者を引きつけたことは政界も真剣に受け止める必要があろう。大見えを切って耳目を集めるだけの劇場型政治は終わりにして地に足の着いた政策本位の政治にしてほしい-脱・劇場型政治への有権者の切実な思いを痛感させられた選挙でもあった。政治家やメディアこそ目覚めが必要だろう。ということで、今回は人気劇場に付きもので、芸は未熟なのにスターと思い込み、トラブルを引き起こす「チルドレン」役者は増殖しなかった。それだけはよかった、ということか。

*3-3:http://qbiz.jp/article/122468/1/ (西日本新聞 2017年11月10日) 9月末、国の借金1080兆円 過去最大更新
 財務省は10日、国債と借入金、政府短期証券を合計した国の借金が9月末時点で1080兆4405億円となり、過去最大を更新したと発表した。これまで最大だった6月末の1078兆9664億円から1兆4741億円増えた。社会保障費を賄うための国債発行が膨らんだためで、財政が一段と圧迫されている。
総務省推計の10月1日時点の総人口(1億2672万人)で割った国民1人当たりの借金は約852万円に達した。内訳は国債が949兆9986億円に達し、6月末から4兆7671億円増えた。金融機関などからの借入金は52兆6532億円で1兆1628億円減少した。一時的な資金不足を補うために発行する政府短期証券も2兆1302億円減って77兆7888億円だった。

*3-4:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23119390V01C17A1SHA000/?n_cid=NMAIL004 (日経新聞 2017/11/5) 成長しながらCO2抑制 米中で大幅減、日本は停滞、世界、GDPあたり15年で2割減
 経済成長しながら温暖化防止に向け二酸化炭素(CO2)排出量を抑えるデカップリング(切り離し)の動きが広がっている。世界で国内総生産(GDP)1単位あたりの二酸化炭素(CO2)排出量はここ15年で約2割減少。再生可能エネルギー投資に加え、新興国で省エネ投資が拡大している。2020年以降の温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は4日に発効1年を迎え、各国や企業に一層の取り組みを促す。
10月下旬、英BPや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなど世界の石油・ガス10社でつくるオイル・ガス気候イニシアチブ(OGCI)は、ガス火力発電所からのCO2回収をはじめとする3事業に投資すると発表した。
国連環境計画(UNEP)のソルヘイム事務局長は「エネルギーの生産や消費の方法を転換させるのが必要」と言う。パリ協定は約170カ国が批准。慎重な石油メジャーも対応を迫られる。国際エネルギー機関(IEA)の10月末の報告書によると、15年時点でGDP1万ドル分を生み出すのに排出されたCO2量は3.1トン。00年より0.7トン減った。別の報告では16年に燃料を燃やして発生したCO2は15年比0.6%減の321億トン。ここ3年、3%成長を実現し排出量はほぼ横ばいだ。IEAは「新しく生まれた傾向」とみる。デカップリングが進む理由は、排出量の少ないエネルギーの利用が増えたことだ。グローバル企業では事業に使うエネルギーを再生エネで賄う動きが広がる。全量再生エネをめざす企業連合「RE100」には、米アップルやマイクロソフト、米ゼネラル・モーターズ(GM)など世界110超の企業が参加する。再生エネの価格は低下傾向にある。調査会社のブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)によると、米国、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストラリアでは、太陽光の発電コストが石炭火力と同水準になった。省エネ技術への投資拡大も寄与する。IEAによると、16年の投資額は前年比9%増の2310億ドル(26兆円)。販売されたヒートポンプの数は28%増え、電気自動車は38%増。主要国で開発した省エネ設備が新興国に広がりつつある。最大排出国の中国は、発電部門を石炭から太陽光などに転換。100基単位の石炭火力発電所の閉鎖も検討する。16年の経済は前年比6.7%拡大し、排出量はほぼ同じだ。再生エネや原子力、天然ガスの割合が高まり、石炭消費は減少。14年の発電量は石炭が73%を占めたが、30年51%、40年43%に下がるとみる。世界2位の排出国、米国は主に油価の高いときにシェールガス革命が起き、発電燃料として石炭からの転換が進んだ。トランプ政権はパリ協定離脱を宣言したが、企業の動きは止まらない。日本は16年時点で世界資源研究所(WRI)が選んだデカップリング達成21カ国から漏れた。GDPあたりのCO2排出量は2.6トン。米中より00年からの減少幅は小さい。RE100の参加企業もリコーと積水ハウスだけ。自動車や電機などは「再エネコストが高い日本で全量は無理」との声が大半だ。太陽光発電は固定価格買い取り制度(FIT)の影響で高コスト体質が続く。再エネのコストを下げ、原発は再稼働の進め方に知恵を絞る必要がある。6日に独ボンで開幕する第23回気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)ではパリ協定を巡るルールづくりの交渉が本格化する。IEAは年平均3.4%の成長を前提に今の削減努力を続けても、30年のCO2排出量は15年比で20%増の386億トンになるとみる。「2度目標」の達成にはさらに35%ほど減らす必要がある。

<女性への偏見ができる理由>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/ASK7D5Q3CK7DUTNB01V.html?iref=comtop_8_03 (朝日新聞 2017年7月13日) 埼玉県立高の男女別学、広島市出身の教育長「びっくり」
 個人的にはびっくり――。6月に就任した埼玉県の小松弥生県教育長は12日、就任後初の記者会見で、県立高校の男女別学や中高一貫校などについて印象を語った。広島市出身の小松氏は、県立高の男女別学を「個人的には西の方の出身なのでびっくりですが、埼玉県の人たちがいいと思ったら、悪いことでもない」と話した。一方、県立の中高一貫校については、「すごく早くから伊奈学園があって、その後がない。なぜなのか、私が聞きたい」と話し、「最近は小中一貫校もある。子供たちがいろんな学び方を主体的に選べるようにしてあげないといけない」と話し、検討課題であるとの姿勢を示した。今月、新たな教育委員が選ばれて5人中2人が、伝統的な子育てを推奨する「親学推進協会」関係者になったことについては、「うまく議論をして、バランスをとっていけばいい」と話した。

*4-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/192453
(佐賀新聞 2015年5月31日) 県民世論調査 男は仕事女は家庭、賛成33%
■共同参画意識高まらず 「出産退職」支持も半数
 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」との考えに賛成する佐賀県民は33・2%だった。県は2014年度までの4カ年総合計画で性別による役割分担意識を30%未満に抑える目標を掲げていたが達成できなかった。「出産したら仕事をいったん退職したり、働くこと自体を辞めるべき」とする出産・育児中断型の働き方を支持する人も50%を超えた。仕事を続けたいと願う女性を支えようという社会の意識が高まっていない実情が浮き彫りになった。県が昨年10~11月に成人男女3千人を対象に実施した「男女共同参画に関する世論調査」で、859人から有効回答を得た。「男性は外で仕事、女性は家庭」という性別役割分担意識は、04年の調査で反対が66・6%、賛成29・6%となり、初めて反対が賛成を上回った。しかし、前回09年の調査では賛成が増加に転じ、反対も減少する「揺り戻し」が起きた。今回も意識変化は小さく、賛成が33・2%、反対62・9%となっている。賛成は男性が女性を7・5ポイント上回る一方、反対は女性が男性を5・9ポイント上回り、男性の方が性別役割分担に肯定的な結果が出た。年代別でみると、反対の割合が最も多いのは20代女性で92・0%。逆に賛成が最も多いのは70代以上の男性で51・2%だった。女性の就業についても尋ねた。「子どもができたら中断し、手がかからなくなって再び持つ」との回答が最も多く48・2%だった。「出産したり、結婚するまでは職業を持ち、後はやめる」「ずっと職業を持たない方がいい」という回答も合計で4・2%あった。一方、育児休暇などの制度を使って「ずっと職業を持つ方がいい」としたのは37・1%にとどまった。出産・育児中断型の働き方を支持した人に理由を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「制度があっても、利用できる職場の雰囲気ではない」で37・3%。次が「現在の制度では不十分」の35・0%で、女性が仕事を続ける職場の雰囲気づくりや制度の不十分さがうかがえる。女性が結婚や出産後も働き続けるために必要なことという問い(複数回答)に対し、最も多かった回答は「配偶者の理解や家事・育児への協力」で60・1%に上った。総務省が11年に実施した調査では、男性が家事に参加した時間が佐賀県は1日当たり34分で、全国平均42分に比べて短いという結果も出ており、県の弱みとして女性の家事負担の大きさが挙げられる。県は、今回の意識調査から見えた課題を踏まえ、16年度から5カ年の県男女共同参画計画を策定する。


<農業の収益力をUPさせる政策は?>
PS(2017/11/13、15、24、26、28、12月2日追加):*5-1については、レンゲソウもきれいでよいが、稲は刈った後に再度芽が出るので、それを伸ばして畜産農家の牛を放牧させると、①牛の飼料代を節約できる ②牛が運動して健康になる ③牛の排泄物が有機肥料になるので化学肥料を使わなくて済む ④イノシシが来ない などのメリットがあると前から思っていた。そのためには、畦や水場の設計変更が必要だが、耕畜連携でお互いが得るものは大きい。
 また、このような中山間地は、小水力発電や風力発電の適地でもあるため、そのための機器の設置に補助してもらうと費用対効果でも成り立つようになり、農業補助金を減らすことができて国の財政負担が小さくなる。なお、*5-2のように、荒尾市は産炭地だったが、石炭に代わる新たなエネルギーを生かしたまちづくりとして自然エネルギーを活用するそうで、多久市も考えてみるのがよいと思う。
 さらに、棚田は田の形がふぞろいで小さく、大型の農機具を入れられないことについては、教育系の補助をもらって市街地も含む小学生に田植えや稲刈りを手伝わせるのがよいと考える。その理由は、子どもも自分が植えた稲の成長には大きな関心を持つため、遊びながら頻繁に山に見に来る結果、植物や自然の様子を観察して必要な知識や感受性を育むことができるからだ。
 また、*5-3のように、JAが外国人技能実習生を受け入れて組合員から受託した農作業や選果作業などに従事してもらう仕組みもよいが、北国で農閑期でも他の地域はそうでない場合が多いため、他の地域の要望も受け、希望する実習生はそこでも作業や実習ができる仕組みにした方がよいだろう。さらに、農学部、工学部、理学部生物学、経済学部経営学、栄養学専攻の学生は、「百聞は一見に如かず」であるため、こういうところでアルバイトをしたり、海外の農業を見て来たりして、「自分ならこう改善する」という卒論を書けば役に立つと考える。
 一方、日欧(EU)経済連携協定が合意しつつあり、これは、*5-4のように、日本産有機農産物輸出拡大の好機でもあるため、まずEU基準をクリアしておくのが今後のために便利だろう。また、付加価値を上げるためには、農産物の形ではなく、おにぎり(健康志向のファーストフード)・梅酒・紅茶などの輸入地域で消費されやすい加工品にして販売すればよい。
 なお、*5-5のように、現在、ロヒンギャ難民が困難な生活を送っているため、イスラム色を弱くして「郷に入っては郷に従う」ことを条件に、日本の過疎地に集団で受け入れて生活させ、人手が不足している農林漁業関係の派遣等の仕事を与えることから始める方法もある。日本には、離島や山間部など比較的独立した文化を保てる場所もあるため、受け入れたい地域は手を上げるのがよいだろう。
 *5-6のように、高速道路の整備を財投で加速させる案が出ており、「1.5兆円」という支出自体を目的としているのではないかと思わせる兆円単位の支出は確かに無駄遣いの可能性が大きいが、政府が40年間の(0又はマイナスの)固定金利で国債を発行して金融市場から金を調達し、1・5兆円を融資するスキームなら、超低金利時代の今がBestである。そして、高速道路を本当に高速で走れる状態にすれば、生産性が上がって経済効果は大きいだろう。また、難民を受け入れた場合は、施設に閉じ込めて生活費を支出するばかりではなく、働いてもらった方がお互いのためによい。この時、作って欲しいのは4階建ての高速道路で、1階は街と調和した安全でゆとりのある一般道路、2階・3階は4車線づつの高速道路、4階はドローンや近々出てくるであろう飛ぶ乗り物が通る道である。


2017.11.13佐賀新聞

*5-1:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/147590 (佐賀新聞2017.11.13)地域活性化の優良事例に選定「ひらの棚田米振興協議会」(多久市)、棚田米のブランド化や活動評価
 平野地区は標高約190メートルの山あいにあり、170枚の棚田で7・7ヘクタールを耕作。同協議会は、冷たい清らかな湧き水を生かし、春のレンゲソウを肥料に使って化学肥料を減らした「夢しずく」を栽培し、ブランド米としてインターネットなどで販売している。大阪の企業の食堂に納入するなどリピーターも多く、ふるさと納税の返礼品にも使われている。県内外のファンを増やそうと、直売所での試食販売や収穫体験も企画。10月1日に開いた稲刈りイベントには122人が参加した。棚田は美しい景観が注目される一方、田んぼの形がふぞろいで大型の農機具を入れられないため、維持管理が難しい。協議会のメンバーも全員が60歳以上と高齢化が進み、小園さん(71)は「畦(あぜ)の草刈りやため池の維持など、手間や労力は平たん部の何十倍もかかる」と話す。それでも、イノシシなどの鳥獣被害が広がらないよう、「荒廃地を作らない」と意識を共有して活動を続ける。小園さんは「棚田の農業は費用対効果を考えると成り立たないかもしれないけれど、もうかる農業に近づけるためにみんなで力を合わせたい」。今後は稲刈りだけでなく、田植えの体験も検討しているという。「ディスカバー農山漁村の宝」の優良事例は全国から31地区が選定された。今月下旬の有識者懇談会でグランプリと特別賞が選定される予定。

*5-2:http://qbiz.jp/article/122790/1/ (西日本新聞 2017年11月15日) 荒尾市 自然エネ地産地消へ 2社と電力連携協定結ぶ
 熊本県荒尾市と三井物産(東京)、特定規模電気事業者のグローバルエンジニアリング(福岡市)は14日、エネルギーの地産地消に向けた連携協定を締結した。両社は、荒尾市の協力を得て市内の電力需給などを調査した上で、事業会社を設立。地元の自然エネルギーで発電した電力を公共施設などに安価で販売していく方針。三井物産は現在、ソフトバンクグループのSBエナジー(東京)と共同で、荒尾市の大規模太陽光発電所(メガソーラー)を運営、グローバル社は県外で発電した電力を同市内の企業などに販売している。事業会社の設立に向け、九州電力に比べ電気料金の単価をどれくらい抑えられるかなどを調査。同市内で木質バイオマス発電に取り組む有明グリーンエネルギーなど、地場企業と幅広く連携していくことも検討する。市役所での調印式で、三井物産国内プロジェクト開発部の山根正司部長は20年前の三井三池炭鉱閉山に触れ「石炭に代わる新たなエネルギーを生かした荒尾のまちづくりに貢献したい」と強調。事業会社の設立時期について「地域の特性に合った電力の供給体制をしっかり検討し、できる限り早く実現したい」と述べた。

*5-3:https://www.agrinews.co.jp/p42565.html (日本農業新聞 2017年11月24日) 外国人実習生受け入れ 農協方式 活用先駆け 北海道
 JAが外国人技能実習生を受け入れ、組合員から受託した農作業やJA施設での選果作業などに従事してもらう仕組みに期待が高まっている。JAが受け入れることで、実習生が複数の農場で作業できることや、冬の農閑期も含めて通年で実習できるのがメリット。人手不足解消に向けて産地も歓迎する。北海道のJAが全国に先駆けて“農協方式”を活用し、実習生の通年確保を目指している。複数農場で通年作業 人手不足解消に貢献 農水省が昨年、実習制度の運用を改善し、農家に加えJAも受け入れ主体になれるようにした。JAが組合員と作業の請負契約を結ぶ。JAの指導に基づき実習生がその組合員の下で作業する。作業にはJAの職員が立ち会う。農家や農業生産法人が受け入れる場合、実習生はその農家でしか作業できない。農協方式の場合は、JA管内であれば複数の農家で作業できる。実習生にとっては多様な農業が学べ、地域の人手不足解消に貢献する。農閑期にも実習の場が作れるのもメリットだ。北国の耕種農業の場合、冬場は農作業がなくなる。作業がない期間が長いと実習生が帰国を余儀なくされ、実習生が毎年入れ替わる場合も多い。JA側が冬場に座学や選果作業などを用意できる。実習生は1年中作業・実習の場ができるため途中帰国が減り、長く滞在できるようになる。11月の技能実習法施行で、1人当たり最長5年間の滞在が可能になる。JAが受け入れ主体になる場合、都道府県の農業担当部署やJA中央会などが「第三者管理協議会」を設ける。協議会はJAで実習が適正に行われているかや、実習生の相談情報などを共有する。実習生と受け入れ組織を仲介する監理団体との実習計画の確認なども行う。実習生の受け入れ可能人数はJAの常勤職員数で決まる。同省によると、現在この仕組みを活用しているのは北海道のこしみず(小清水町)、びほろ(美幌町)、宗谷南(枝幸町)の3JA。こしみずとびほろは畑作地帯で、冬場は選果場での作業や座学などの実習を用意する計画だ。宗谷南は酪農専業地帯で、搾乳作業がメインだ。作業時間の半分以上は指定の「必須業務」で占めなければならない。農業では農作業が「必須業務」に当たり、農閑期の選果作業などの時間配分などを考慮して技能実習計画を作り、実行する必要がある。全国で初めてこの仕組みを活用して、3月から実習生を受け入れているJAこしみずは「年間を通した実習計画作りが課題。農閑期の座学や選果作業などの組み合わせをよく考えていく必要がある」(営農部)と指摘する。

*5-4:https://www.agrinews.co.jp/p42588.html (日本農業新聞 2017年11月26日) 有機農産物 検査証明書を電子化 日本産輸出の拡大好機 EU
 欧州連合(EU)は、有機農産物輸入に必要な検査証明書の電子化を始めた。手続きの簡素化と、効率的な情報共有を図る狙い。日本の主要な輸出先であるだけに、新システムの輸出への影響が注目される。EUは、日本を含むEU域外からの有機農産物を輸入する際に、EU基準と同等性のある有機認証を受けた有機農産物に対し、新たな認証を取得せずに、有機JASマークだけで「オーガニック」と表示して流通・販売することを認めている。しかし、輸入する度に、認証機関の検査証明書を求めている。検査証明書は、EUが認めた有機JAS認証機関が発給する。これまでは、EU規定の書式に沿って作成、提供していた。今後は、ネット上のEUのシステムにアクセスして必要事項を記入すると、関係機関で情報が共有される。ただ、印刷した上で、サインして発送する必要はある。検査証明書の電子化は、4月から試験的に実施した。半年間の試行期間を経て、10月19日から本格化した。同システムの導入について、認証関係者からは「電子サインはまだ実施せず、手書きサインによる書面提出が続く。格段の簡素化、効率化とは言えないが、輸出拡大の追い風にはなるだろう」と声が上がる。2016年の日本からEUへの有機農産物などの輸出量は、前年に比べ26%増の600トンと5年前の5・6倍に急増した。内訳では、茶が最も多く、同23%増の440トン、同5倍。梅干しなどの梅の加工品は、同40トン、13倍と目立つ。

*5-5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13248226.html (朝日新聞 2017年11月28日) 村に両親残し、いかだでミャンマー逃れた ロヒンギャ難民流出続く
 荷物を担いだ人たちが、うつむきながらあぜ道を歩いてきた。20日朝、バングラデシュ南東部テクナフ。国境の川を渡って逃れてきた隣国ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャの人たちだ。8月末に多数の難民流出が始まってから3カ月がたっても毎日数百人が逃れてくる。「いかだにずっとしがみついていた。生きてたどり着いてよかった」。ジャイナフ・ベガムさん(20)はその場に座り込んだ。腰に巻いた伝統衣装ロンジーはぐっしょりぬれていた。5日前、ミャンマー西部ラカイン州の北部の村を逃げ出したという。数週間前から軍が「テロリスト捜し」を理由に住人が村から出ることを禁じ、食料が尽きかけていた。病気の両親は「私たちはついて行けない」と村に残った。妹(15)と3日間歩いて国境へ。その場にいたロヒンギャ約50人が数十個のポリタンクと竹でつくったいかだに乗り、木の枝に鍋をくくりつけた櫂(かい)で交代で水をかいて川を渡った。ベガムさんは「両親が無事か心配」と顔を手で覆った。国連世界食糧計画(WFP)によると、11月下旬になっても家族を殺されたり、村を焼かれたりして逃げてくる人もいるという。8月下旬にロヒンギャとみられる武装集団の襲撃事件をきっかけにしたミャンマー治安部隊の掃討作戦が始まって3カ月。迫害を受けて、約62万人のロヒンギャが国境を越えた。そんな中、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王が27日、ミャンマー最大都市ヤンゴンに到着した。法王はバングラデシュも訪れ、ロヒンギャと面会する。法王は出発前、「和解と寛容、平和のメッセージを届けに行く」と語っていた。同国南東部コックスバザール郊外の難民キャンプに暮らすバシル・アフマドさん(66)は「法王のメッセージが、少しでも生活が良くなるきっかけになってほしい」と話した。
◆キーワード
<ロヒンギャ問題> 仏教徒が9割近いミャンマーで少数派のイスラム教徒であるロヒンギャは西部ラカイン州を中心に約100万人が暮らすとされる。隣国バングラデシュ南東部の方言に似た言語を話すことや宗教から、ミャンマー政府や国民は「バングラデシュ移民」とみなし、多くは国籍を持てないなど差別されてきた。1990年代にも当局の迫害を受けて25万人以上が難民になった。

*5-6:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13255157.html (日経新聞 2017年12月2日) 高速道整備、財投で加速 政府、「第二の予算」再び着目
 政府は、国債(借金)を発行して得た資金を貸し付ける財政投融資(財投)を使い、首都圏などの高速道路づくりを加速させる。かつて「第二の予算」と呼ばれた財投は、無駄遣いとの批判を浴びて縮小されてきた。だが、財政難で公共事業の予算が増やせない中、超低金利を利用した抜け道として再び着目された。
■1.5兆円を要求
 国土交通省は1日、財投による資金1・5兆円を高速道路の建設に使うよう、財務省に要求。麻生太郎財務相は同日の会見で、「あらゆる政策を総動員する」として、応じる意向を示した。国交省は、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)のうち、千葉県内で未整備の松尾横芝インターチェンジ(IC)―大栄ジャンクション(JCT)間の建設などを加速させる考えで、同様に東海環状自動車道の整備も急ぐ。2005年の道路公団民営化で、高速各社が金融機関などから借りたお金で道路をつくり、完成したら借金とともに独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」に引き渡している。今回は財投の仕組みを使い、政府が国債を発行して金融市場からお金を調達し、固定金利で40年間、1・5兆円を機構に融資する。同省幹部は「金融緩和で低金利。やるなら今しかない」と話す。
■背景に財政難
 財投は、かつては郵便貯金や年金積立金など潤沢な元手があり、「第二の予算」と呼ばれていた。しかし、無駄な道路建設などにつながった反省から、01年以降、郵便貯金・年金積立金からの資金繰り入れの廃止などの改革が進んだ。00年度に36兆円を超えていた財投運用額は、15年度には約12兆円まで縮小した。ところが、安倍政権は最近、再び財投をインフラ整備にあてる方向にかじを切る。リニア中央新幹線の建設を前倒しするため、財投から独立行政法人を通じてJR東海に計約3兆円を貸し付けた。背景には、国の財政難と「異次元緩和」がある。財政再建目標に影響する通常の予算は高齢化で社会保障費が膨らみ、公共事業を大きく増やせない。その点、財投は別会計で、その貸し付けは将来返済される前提なので、財務省も応じやすい。だが、不採算の事業につぎ込んで返済が滞れば、国民負担が発生するおそれもある。


<小池百合子氏の事例>
PS(2017年11月15日追加):*6のように、希望の党の小池百合子氏が代表を辞任したことについてメディアの批判が集中しているが、都知事としてうまく機能するためには、小池氏は都政では与党・国政では少なくとも無所属として政府と連携を保ちながら都政を進めて行くことが必要である。そのため、東京都民は、都議選では小池氏を大勝させたが、希望の党の党首であり続けて小池氏が都政を疎かにすることは望んでいなかった。
 また、小池氏が希望の党を作ったのは、最初は都知事選でお世話になった若狭氏を助けるためだったが、知事選と都知事選を見て勘違いしたメディアと民進党公認候補者の合流で流れが変わった。小池氏は初めから衆議院議員選挙には出ないと言っていたが、政権選択選挙なのに首班が不明と騒いでいたのは、その選挙のみしか見ていない浅薄なメディアだったのだ。
 そして、今度は党の運営を国会議員に任せるとして代表を辞任した小池氏を無責任だと批判しているが、都知事としてうまく機能しオリンピック等を成功させる責任を果たすためにはそれが必要で、最初に安保法制や憲法変更等々で「排除の論理」を持ち出したのは、一部のメディアと若狭氏・細野氏だったように私には見えた。そして、その方針で候補者を排除すれば、安保法制や憲法変更に疑問を持っている有権者の支持がなくなるのは、当然のことなのである。

*6:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13228062.html (朝日新聞社説 2017年11月15日) 小池代表辞任 一連の騒動は何だった
 旗揚げからわずか約50日。一連の新党騒動は何だったのか。あきれる人も多いだろう。
希望の党の小池百合子代表がきのう辞任した。新執行部の発足を機に、党運営は今後、国会議員に任せ、自身はサポート役に回るという。東京都知事である小池氏が、国政政党の代表を兼ねることには当初から懸念の声もあった。それでも国会議員主導の新党構想を「リセットして私自身が立ち上げる」と乗り出した。一時は吹くかに見えた小池旋風も、自ら持ち出した「排除の論理」で急速にしぼみ、衆院選では「排除された側」の立憲民主党に野党第1党を譲った。党の支持率は低迷が続く。本紙の今月の世論調査では3%にとどまり、立憲民主党の12%に水をあけられている。衆院選を勝ち残った議員は旧民進党出身者ばかり。自民党出身の小池氏が指導力を発揮しにくいとの事情もあろう。党勢回復の方向性を見失い、もはや代表を続ける意義を見いだせなくなったのだろうか。だが、小池氏には忘れてならない責任がある。衆院選で「安倍1強を倒す」と訴え、比例区で967万の票を得たことだ。小池氏の指導力に期待した人も多かっただろう。この票の重みをどう考えるのか。小池氏が政党代表を辞めるのは、この半年弱で2度目だ。夏の都議選前には「改革のスピードを上げる」として、地域政党「都民ファーストの会」の代表に就任。選挙で大勝すると「知事に専念する」とわずか1カ月で辞任した。2カ月半後、衆院選を前に再び「(改革の)スピード感を確保するには国政関与が必要」と希望の党代表に。そしてまた、その立場を放り出す。新党設立、代表辞任の繰り返しが政党や政治への国民の不信をさらに深めることを憂える。小池氏という看板を失った希望の党は立て直しが急務だ。党内では旧民進党と同様に、安全保障法制などをめぐる路線対立が整理されないままだ。希望の党は何をめざす党なのか。まず玉木雄一郎・新代表のもと、衆院選は小池氏主導の急ごしらえで済ませた政策論議をいちから始めるしかない。衆院選で圧勝した自民党は、野党の質問時間の削減を求めるなど、早くも慢心が見える。野党なのか、与党への協力もあり得るのか、選挙戦で小池氏はあいまいにしてきた。これから本格化する国会論戦にどんな立場で臨むのか。玉木執行部の選択が問われる。


<山尾志桜里氏の事例>
PS(2017年11月16日):*7の山尾氏と倉持氏が1泊2日で大阪出張していたとして、不倫を匂わせる報道をしているが、こういう論調は、①別々に会場を離れるなど仕事外では話もできない状態にする(男同士ならノミニケーションして、その後の仕事をやり易くするところ) ②時間差で帰京しなければならない(新幹線の中で仕事の話などをする機会を奪う)等々、活躍している女性を不利にする。
 30年くらい前に外資系監査法人で働いていた時、私が公認会計士として男性の部下と2人で岐阜県の会社に往査に行き、同じ宿(部屋は当然別)に泊まって2人で夕食をとったら、宿の中居さんは私の前におひつやとっくりを持ってきた。私が戸惑っていると、男性部下が「それは、私がやります」と言ってくれたので助かったが、女性の活躍には一般社会の方がついてきていないと感じることが多い。また、何かと引っ張ってくれていた男性上司と同じエレベーターに乗り合わせていると、後からエレベーターに乗って来た人が「どういう関係?」などと言って協力者の男性に困った思いさせ、女性の仕事をやりにくくしたという経験もある具合だ。

*7:http://bunshun.jp/articles/-/4947 (週刊文春 2017年11月23日号) 山尾志桜里衆院議員が倉持弁護士と1泊2日の大阪出張
 山尾志桜里衆院議員(43)、倉持麟太郎弁護士(34)の2人が1泊2日で大阪出張していたことが「週刊文春」の取材によって明らかになった。11月12日、2人は、彼らの後見役を自任する漫画家・小林よしのり氏が主催する言論イベント「関西ゴー宣道場」に参加。イベントでは、倉持氏が「日本で最も有名な弁護士です」と紹介され山尾氏が爆笑するなど、終始、和気藹々とした雰囲気だった。山尾氏は11月7日に倉持氏を政策顧問として起用することを発表。今回の大阪出張は、2人の動向に注目が集まっている矢先のことだった。大阪でのイベントが終了後の午後6時頃、2人は別々に会場を離れた。「週刊文春」取材班は、翌朝の新大阪駅で時間差で帰京する2人の姿を確認している。山尾氏の事務所は、大阪出張について、次のように回答した。「ゴー宣道場に参加したことは事実ですが、終了後、倉持弁護士含め道場師範の方々とは全く別行動を取っており、倉持弁護士と一緒に宿泊したという事実は一切ございません」。11月16日(木)発売の「週刊文春」では、1泊2日の大阪出張の詳細に加え、倉持氏の義母へのインタビューなど、山尾・倉持両氏の新たな関係について詳報している。また、「週刊文春デジタル」(http://ch.nicovideo.jp/shukanbunshun)では、山尾氏への直撃取材の模様などを、同日朝5時より公開する。


<染色・アパレルと女性の変化>
PS(2017.11.18追加):*8-1のダウンは10万円もするが、スタイリッシュさと北極圏の環境にも耐える保温性をもっており、これは「日本製の品質は高い」と言われる場合の“品質”には含まれていない。日本製の服は、20~30代向けの細身の服しかデザインのバラエティーがなく、試着すると不快になり、値段相応の質でもないため、私はサイズが多くてデザインのよいヨーロッパのブランドスーツの下に、一年毎に使い捨てても惜しくないような値段のユニクロのTシャツを組み合わせて着ており、その方が満足度が高いのだ。そのため、服が売れないのは確かにアパレルメーカーの責任で、女性に対する従来の先入観にとらわれず、市場が求めている人口動態や体格にあった製品構成にすべきだ。また、「日本は労働力などのコストが高い」という問題は、安い外国人労働力を使わないのなら、*8-2のような衣類に直接印刷できる装置等の生産性を上げるイノベーションを進めるしかない。そして、この技術には、昔の友禅染の振袖や色留袖を簡単にコピーして複製できる程の、職人も真っ青になるような潜在力がある。

*8-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171117&ng=DGKKZO23588790W7A111C1TJ2000 (日経新聞 2017.11.17) アパレル不況は本当か 海外製10万円ダウン店繁盛 消費刺激「技術力+α」カギ
 米アップルの新型スマートフォン「iPhoneX(テン)」の発売に世界の人々が沸いた3日。東京都渋谷区神宮前の閑静な通りにも負けず劣らずの長蛇の列ができていた。ダウンジャケットが主力のブランド「カナダグース」のアジア初となる旗艦店の開業だ。午前11時の開店前に並んだのは約150人。一番乗りだった仙台市の大学生、高橋颯さん(22)はアルバイトでためたお金を手に朝6時から並んだ。店内は開店と同時にごった返し、10万円のジャケットがこの日だけで1分半に1着売れた。大手アパレルの相次ぐ大規模リストラが象徴する「アパレル不況」とは無縁の世界が広がっていた。日本での代理店はサザビーリーグ(東京・渋谷)。1995年に米スターバックスを持ち込んでスタイリッシュなカフェを定着させた実績を持つ。こうした手腕にカナダの本社側が目をつけ、2015年に販売代理店契約を結んだ。カナダグースはサザビーとの契約を機に、約680店あった百貨店やセレクトショップなどの取扱店をブランドイメージに合う400店程度に絞り込んでブランドイメージを高めた。冒頭の旗艦店も本国の意向で渋谷区神宮前の人通りの少ない静かな環境を選んだ。北極圏の環境にも耐えるほどの世界屈指の保温性を持ち、希少価値が高い。こうした機能性やストーリー性が消費者の購買意欲をくすぐる。この「カナダグース狂騒曲」に、日本の伝統的なアパレル企業はほぞをかむ。オンワードホールディングス、三陽商会など百貨店を主な販路とするアパレルは、カナダグースと同じ「中高価格帯」の商品を販売してきたが、長引くデフレで販売不振に直面している。バブルに沸いた90年、国内のアパレル市場は約15兆円だった。10年には10兆円に落ち込んでその後横ばいが続き、大手アパレルはここ数年で大規模なリストラを相次ぎ実施した。だが本当に服は売れなくなったのだろうか。消費者はより安い服を求めユニクロを運営するファーストリテイリング、衣料品専門店のしまむらの収益はいずれも過去最高だ。安い服は売れているし、高くても売れることはカナダグースが証明している。人々が百貨店で洋服を買わなくなったことへの対応が遅れただけではないだろうか。品質の高さから、業界では「ものづくりの三陽」といわれてきた。その象徴である子会社サンヨー・インダストリー(福島市)。工場では女性を中心に約130人がミシンに向かい、1着1着を丁寧に縫製する。その技は有名セレクトショップや紳士服チェーンがスーツのOEM(相手先ブランドによる生産)を依頼するほどだ。だが、三陽商会の業績は低迷が続き、高い技術力を生かせていない。ある大手アパレルの幹部は「服が売れなくなったのは我々の責任」と認め、ライフスタイルを意識した次世代の服作りに真剣に取り組む。どんな時代でも人は洋服を着る。アパレル不況と嘆く必要はない。

*8-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171117&ng=DGKKZO23566720W7A111C1TJ2000 (日経新聞 2017.11.17) 写真、衣類に直接印刷 リコーが小型プリンター
 リコーは16日、衣類に直接印刷できる小型プリンターを発売すると発表した。店舗やイベント会場で、手持ちのスマートフォンに保存した写真をその場でTシャツやバッグに印刷できる。印刷から乾燥まで約10分で完了する。プリンターやインクの販売、保守サービスなどで、2019年度に100億円規模の売り上げを目指す。主に企業向けに20日に日本で発売する。今夏からアジア・中国地域で先行販売を始めていた。オフィス向けプリンターと部品を共通化したことで、プリンター本体とインクを定着させる仕上げ機を合わせて価格を30万円台に抑えた。競合他社と比べて3分の1から4分の1の水準という。インクジェット技術を応用した。150~200度にもなる専用プレス機も無くし、初めての人でも安全に使えるようにした。利用者はTシャツなどをカセットにセットして、プリンターに設置。印刷後は仕上げ機にカセットごと入れてインクを定着させるだけでいい。16日に記者会見した山下良則社長は「インクジェット技術を応用して、プロセスをがらりと変えたい」と語った。


<教育と環境>
PS(2017.11.20、30追加):*9-1のように、「3~5歳の教育無償化」と言うと、「①負担できる方には負担をお願いするべき」「②必要経費を積み上げず、はじめから金額が積み上がっている対策は初めて見た」などの意見が出るが、①については、“高額所得”に分類された(さほど多くもない)一つの所得に対する多重課税である。また、②については、*9-2のように、経済は生き物という論理性がなく説明にもならない根拠の下、「景気対策の事業規模が20兆円超(2兆円の10倍)で調整されている」として多くのメディアがいそいそと報道しているのに対し、教育に対する意識の低さがわかる。しかし、教育を徹底すれば、国から下支えしてもらわなくても稼げる人を多く作ることになるため、どちらがより重要かは異論の余地がない。
 そのため、私は、義務教育である小学校を3歳からにして教育を無償化し、十分な時間を取って教育するのがよいと思うが、国の中枢は私立中高一貫校(その殆どが男女別学)出身の男性が大多数であるため、この改革には後ろ向きで価値観もずれているようだ。そこで、地方自治体の主導で開始するのがよいと思われ、その時には、幼稚園は小学校と合併し、保育所等が0~2歳児と学童保育を引き受けるようにすれば、現在の設備で待機児童を無くすことが可能だろう。
 また、*9-1で日経新聞は、「社会保障の財源は限られており、高齢者に偏る社会保障を若年層に振り向けることは重要な視点だ」とし、*9-3では診療報酬値下げを提唱しているが、*9-4のように、環境税導入には反対だ。しかし、環境や生命・個人の生活を大切にすることは最も重要であるため、こういう政策を提唱するような人を育ててはならないのである。
 このような中、自民党税制調査会は、*9-5のように、「森林環境税」の創設で一致したそうだが、政府は森林環境税の2024年度の導入しか目指さないとのことだ。しかし、森林環境税(環境税の方がさらによい)ができれば、森林の育成や自然保護に関わる予算はそちらから支出すればよいため、これまでの一般予算を減少させることができ、消費税増税を凍結することも可能だ。つまり、政府の放漫経営と増税の連鎖は、もう変えるべきなのである。

*9-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171120&ng=DGKKZO23669080Z11C17A1MM8000 (日経新聞社説 2017.11.20) 教育無償化を問う(上)議論は尽くしたか 選挙にらみ「2兆円」先行
 安倍晋三首相が打ち出した教育無償化を巡る政府・与党の議論が混迷気味だ。首相は衆院選で2兆円の政策パッケージを策定すると表明。「保育園や幼稚園の費用はタダ」「低所得世帯は大学授業料も免除」など聞こえのいい政策を並べたが、具体策や効果をめぐる議論は生煮えのままだ。限りある財源をどう活用するか――。教育無償化をめぐる現状を追う。
●不満の声相次ぐ
 「負担できる方には負担をお願いするのが今までの政策。完全無償化はいかがなものか」。8日、自民党が開いた人生100年時代戦略本部会合。出席議員は党公約に明記された3~5歳の子育て費用無償化に疑問の声をあげた。同本部は17日、補助への上限設定を政府に提言すると決めた。多くの議員の不満の背景にあるのが政策決定の在り方だ。首相は衆院選の選挙公約として教育無償化などの対策を打ち出したが、橋本岳厚労部会長は「部会長が反対だといったことが公約になった」と公然と反論する。2兆円という「規模ありき」の手法にも不満がくすぶる。首相は衆院解散に向けた記者会見で2兆円の枠組みだけを示し、具体的な使い道や適用範囲は選挙後の検討に先送りした。厚労族の重鎮・尾辻秀久元厚労相は「必要経費を積み上げず、はじめから金額が積み上がっている対策は初めて見た」と首をかしげる。その結果が政策軸の急激な転換だ。子育て費用は家庭の所得にかかわらず無償となり、恩恵は高所得者ほど大きい。厚労族のベテラン議員は「『自助』を基本に『共助』で支え合うといった従来の社会保障の理念が壊れる」と指摘する。
●公明への配慮
 なぜ教育無償化は議論の積み上げに基づく政策でないのか。さかのぼると、人づくりや少子化対策など本来の目的とは異なる源流が見えてくる。「前向きな対応をお願いします」。衆院選前の与党党首会談で、首相は公明党の山口那津男代表から私立高校無償化の要請を受けた。自民党公約に入らなかった同政策が2兆円政策に盛り込まれる背景には、公明党の選挙協力への期待が透ける。大学などの高等教育に重点を置いたことからは、教育無償化を憲法改正の項目とする日本維新の会への配慮がにじむ。さらなる底流には消費増税の影響を回避したい首相の思惑がある。消費増税を2度延期した首相は増税には慎重だ。それでも、少子化対策の名のもとに増税分の一部を回せば「8%に引き上げたときのような景気への悪影響が軽減できる」(首相)との計算が働いた。首相周辺は「教育無償化の発想は社会保障ではない。マクロ経済政策に近い」と解説する。高齢者に偏る社会保障を若年層に振り向けることは重要な視点だ。少子高齢化を克服するためには、子育てしやすい環境づくりは不可欠だ。さらに世界を見渡せば、人工知能(AI)やロボットなど劇的なイノベーションが進んでいる。その波にのり、国際競争力を高めるためにも、高度人材の育成は最優先の課題だ。だが、社会保障の財源は限られている。その使い道として幼児教育や高等教育の無償化が正しい選択なのか。効果や意義について議論が尽くされた形跡はみえない。来る2019年が首相が掲げる「人づくり革命」の元年となるのか、財政破綻の一歩を許した一年として歴史の一ページに刻まれるのか。政権の責任は重い。

*9-2:https://mainichi.jp/articles/20160721/k00/00m/020/185000c (毎日新聞 2016年7月21日) 経済対策 事業規模20兆円超で調整 景気下支え
 政府が新たにまとめる経済対策の事業規模を20兆円超で調整していることが20日、分かった。当初は10兆円超の見込みだったが、倍増させる。追加の財政支出は3兆円超(国・地方の合計)として、残りは財政投融資や民間事業を積み増してかさ上げする。事業規模を膨らませ、景気下支えに本腰を入れる姿勢を示す狙いがあるとみられる。政府は今後、与党と調整を進め、来月上旬にも経済対策を閣議決定して、裏付けとなる2016年度第2次補正予算案を秋の臨時国会に提出する方針。与党内には一層の上積みを求める声もあり、規模がさらに膨らむ可能性もある。事業規模20兆円超の内訳は、国・地方の追加の財政支出が3兆円超▽国が低利で民間事業に長期融資などを行う財政投融資が最大6兆円程度▽国の補助を受けて民間企業が行う事業が6兆円程度▽財政投融資とは別に政府系金融機関が手がける融資が5兆円程度−−となる見込み。複数年度にまたがる民間事業を含めることで見かけ上の規模を大きくする。追加の財政支出の財源は、建設国債(使途を公共事業などに限る国債)を1兆円超発行するほか、低金利に伴う国債の利払い費の減少分などで賄う方針だ。追加の財政支出はインフラ整備が主体となり、訪日客拡大に向けた地方の港湾整備や、農産物の輸出拠点設置などを行う。財政投融資はリニア中央新幹線の大阪延伸前倒しに約3兆円、整備新幹線の建設に約8000億円を充てる。英国の欧州連合(EU)離脱に伴う金融市場の混乱を防ぐため、政府系金融機関を通じた民間企業へのドル資金融資も行う。

*9-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171117&ng=DGKKZO23566960W7A111C1EE8000 (日経新聞 2017.11.17) 診療報酬下げ、都道府県別に、厚労・財務省が指針 医療費を抑制
 厚生労働省と財務省は都道府県ごとに診療報酬を定めるためのルールをつくる。法律上は認められているが実施例がないことから、2017年度中に指針を示して導入を促す。政府は18年度から都道府県単位に医療の提供体制を見直し、医療費抑制を進める。この見直し時期にあわせ、地域の実情を考えて診療報酬を下げるしくみを定着させたい考えだ。診療報酬は病院や薬局などの医療機関が、公的医療保険で手掛ける医療行為や薬の対価として受け取る公定価格だ。国が2年に一度、全体の改定率と様々な医療サービスの単価を決める。両省はこれをもとに、都道府県が地域の医療実態に合わせて、国が決めた単価や算定要件を一部見直す形を想定する。06年の法改正で、医療費適正化のために都道府県が域内の報酬を変更できるようになったが、実施県はない。厚労省は指針で、地域内の診療報酬を設定できる場合の具体例をまとめる方針だ。例えばある県で重症者を受け入れる病床の数が他県に比べて過剰な場合、診療報酬の算定要件を厳しくするなどの例を想定している。財務省は診療報酬の単価を直接下げる案を求める。患者の需要に比べ過剰な病床数を持つ県ほど医療費の伸びが大きい傾向にある。同省は入院にかかる医療費が高い県は入院にかかる基本料の診療報酬の単価を引き下げたり、需要より過剰に薬局や薬剤師が多い県は調剤技術料を下げたりしたい考えだ。政府は都道府県主導の医療提供体制の整備を進めている。18年4月からは国民健康保険の主体が市町村から都道府県にうつる。都道府県は18年度から5カ年計画で「医療費適正化計画」をつくることになる。県内の医療費の水準を踏まえて保険料を設定し、住民への説明責任を負う。診療報酬を都道府県単位で下げるようになれば、需給にあった医療サービスをつくる手段が増える。関心をもつ県が出始めている。奈良県は「県民の保険料負担を抑制するためには検討が必要」とし、医療費抑制に取り組む方針だ。介護報酬の単価は既に地域によって違いがある。政府の指針がでれば、検討する動きが広がる可能性がある。ただ、地域別に診療報酬を設定するのは日本医師会が慎重な姿勢を崩さない。いまは厚労、財務両省と与党、医師会などの関係団体で利害調整し、診療報酬の改定率を決めている。「都道府県ごとに調整の場が分散すると、医師会の力がそがれるとの懸念があるのではないか」(政府関係者)との見方がある。医師会の慎重論に歩調をあわせる都道府県も多いとみられる。指針では義務化や罰則の措置を伴わないことから実効性を疑問視する向きもある。

*9-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171119&ng=DGKKZO23659070Y7A111C1EA1000 (日経新聞社説 2017.11.19) 森林環境税を導入する前に
手入れがされずに放置されている人工林を集約する新たな制度を林野庁がつくる。市町村が仲介役になって意欲のある林業経営者に貸与し、経営規模を拡大する。所有者がわからない森林などは市町村が直接管理するという。森林を適切に管理することは地球温暖化対策として重要なうえ、保水力を高めて土砂災害を防ぐ効果もあるが、問題は財源だ。政府・与党は「森林環境税」の創設を打ち出した。他の予算を見直して財源を捻出するのが先だろう。日本の国土面積の3分の2は森林で、その4割はスギやヒノキなどの人工林が占める。戦後植林した木々が成長して伐採期を迎えているが、零細な所有者が多いこともあって、多くが利用されていないのが現状だ。「森林バンク」と名付けた新制度は所有者が間伐などをできない場合、市町村が管理を受託し、やる気のある事業者に再委託する仕組みだ。一度に伐採や間伐をする森林を集約できれば、作業効率が向上してコストが下がる。近くに作業道がないなど条件が悪い森林は市町村がまず手を入れたうえで再委託する。所有者が不明で放置されている森林についても一定の手続きを経たうえで利用権を設定し、市町村が扱う。現在、国産材の用途拡大が進み始めている。経営規模の拡大を通じて林業を再生する好機だ。財政力が弱い市町村が継続的に事業に取り組むためには安定財源が要ることは理解できる。しかし、森林環境税は個人住民税に上乗せして徴収する方針だ。直接的な恩恵を感じづらい都市住民の理解を得られるだろうか。全国の8割の都道府県や横浜市はすでに、似たような税金を徴収している。都道府県と市町村の役割がどうなるのかについても判然としない。人材が乏しい市町村では、都道府県が作業を代行する手もあるだろう。森林整備は必要とはいえ、新税の前に検討すべき課題が多いと言わざるを得ない。

*9-5:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/154344 (佐賀新聞 2017年11月30日) 自民、森林環境税創設で一致、加熱たばこも増税へ
 自民党税制調査会は30日、幹部会合を開き、森林の整備費を賄う新税「森林環境税」の創設で一致した。通常の紙巻きたばこより税負担が軽い「加熱式たばこ」の増税も大筋で確認した。一方、政府、与党は資本金1億円超の大企業を対象に、2020年度から法人税や消費税などの電子申告を義務付ける方針を固めた。いずれも18年度税制改正大綱に盛り込む。森林環境税は、個人住民税に1人当たり年間千円を上乗せする案が有力だ。政府は24年度の導入を目指しているが、与党には早期導入を求める声も強く、引き続き調整する。


<女性天皇・女系天皇>
PS(2017.11.23追加):2005年11月に「女性天皇・女系天皇を認めて男女を問わず直系第1子を優先させる」という内容の最終報告書が出た時には私の主張が通っていたが、(実際には変更可能な)皇室典範第一条(http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000003&openerCode=1 参照)を盾にして、現在でも皇位継承資格を「男系男子」に限るという主張は強い。しかし、天皇を男子に限ったのは天皇に軍の統帥権を持たせた明治以降で、これによって文民統制が効かずに太平洋戦争に突入した経緯があって今後そうなることはなく、遺伝的には女系でも全く問題ないことがわかっているため、現在では単なる女性差別になる。

 
   <過去には女性天皇もおり、一番右は聖徳太子が摂政を務めていた推古天皇だ>

*10:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171123&ng=DGKKZO23834130T21C17A1EA2000 (日経新聞 2017.11.23) 皇位継承順位 資格は「男系男子」
▽…皇位継承順位は皇室典範に規定されている。継承資格があるのは「男系男子」に限られ、天皇の子や孫にあたる「直系」が優先。第4条は「天皇が崩じたときは皇嗣が直ちに即位する」と定めており、天皇の退位による皇位継承は認めていない。6月に成立した特例法で天皇陛下の退位に伴う皇位継承が実現することになった。▽…現在の皇室は計19人で、陛下を除き男性は4人。皇位継承順位1位は陛下の長男の皇太子さま。2位は次男の秋篠宮さま、3位は秋篠宮家の長男の悠仁さま、4位は陛下の弟の常陸宮さまと続く。陛下が退位して皇太子さまが即位されれば、秋篠宮さま以下の順位が1つずつ上がり、継承資格を持つ皇族は3人に減る。▽…皇位継承が課題となる中、小泉内閣の有識者会議は2005年11月、女性天皇や母方が天皇の血筋を引く「女系天皇」を認めることを柱とした最終報告書をまとめた。皇位継承順位は男女を問わず天皇直系の第1子を優先する内容だったが、男系男子を重んじる保守層の反発は根強く、制度化には至っていない。


<女性役員の役割>
PS(2017年11月29日、12月1日追加):農業は古代から女性が重要な役割をしていた産業であるにしては遅すぎた感があるが、*11-1のように、農業分野で女性の活躍を促進するため、働きやすい農業環境を作るという意識が高まったのは、近年の女性の努力の成果だろう。しかし、現在は、まだ農機具や運搬具が男性向けで女性仕様ではなく、これは女性を働きにくくしている。
 そのような中、EVで出遅れたトヨタは、*11-2のように、人事を前倒ししたり、外部人材の登用で役員を交代したりしているが、その殆どがやはり男性だ。しかし、日本の自動車会社及びその関連会社の失敗は、需要の半分は女性が占めているにもかかわらず、社内で女性を重用せず、女性が好む自動車を市場投入しなかったことにある。
 女性は、ガソリン車で突っ走る快感を味わうために自動車に乗るのではなく、仕事をこなすために自動車に乗る人が多いため、安全で環境を汚さず、乗りやすくてデザイン(お尻が切れたようなワンボックスカーはスマートではない)も燃費も良い車を欲しており、そのためにはEVがBestだったのだ。つまり、現在の道具は、乗用車から農機具に至るまで男性向けの仕様であるため、女性が使いやすくて気に入る製品を出せば新たな需要が見込めるのである。
 そのため、*11-3のように、機関投資家に議決権行使を助言する米グラスルイスが、日本の主要上場企業に女性役員起用を求め、候補者を含めて女性の取締役・監査役がいない企業の総会では会長又は社長の選任議案に反対票を投じるよう投資家に推奨することにしたのはよいことだ。しかし、男性中心の組織で選ばれてくる女性は、男性との予定調和を乱さずに男性が予測可能な言動しかしない人が多く、それではこれまでと変わらないので、本質的な別の視点からの指摘をズバッとできる女性が選抜されることが望まれる。



(図の説明:1番左はトヨタの新役員、左から2番目はデンソーの女性管理職・役員比率、右から2番目はクボタの女性管理職割合の推移であり、いずれも低い。また、1番右はクボタの新入社員に占める女性比率の推移だが、技術職でとりわけ低い上に下降している)

*11-1:https://www.agrinews.co.jp/p42617.html (日本農業新聞 2017年11月29日) 女性の活躍促進 働きやすい農業環境を
 政府は女性の活躍促進を重要政策に位置付けている。農業は女性の存在なくして成り立たない。経営パートナーとして働きやすい環境づくりを都市部に劣らないよう進めていく必要がある。女性が輝けば、農業も地域も元気になれる。農水省が初めて行った「女性農業者の活躍推進に関する意識調査」によると、女性が農業経営で重要な役割を果たしていると思う割合が9割に上った。生産者だけでなく消費者を含めた調査であり、女性が農業の支え手であるという実態は広く認知されているといえる。注目したいのは、その理由である。「女性が経営方針に参加している経営体は、経営の多角化に取り組む傾向があるから」(38%)と「女性が経営方針の決定に参加している経営体は収益性が高い傾向があるから」(34%)の割合が高かった。単なる労働力の提供ではなく、農業経営の改善に女性の力が不可欠との認識が高まってきているのは好ましいことだ。女性が経営者や役員などの幹部を務める経営体は、参画していない経営体に比べて72ポイントも経常利益の増加率が高いとする日本政策金融公庫の調査結果(2016年)がある。女性はコミュニケーション力やインターネット交流サイト(SNS)を使った情報発信能力に優れ、消費者目線で農産物や加工品を作るといった発想も生まれやすい。経営のパートナーとして参画することが「もうかる農業」の鍵を握ることを示している。安倍政権は現在、「1億総活躍社会」の実現に力を入れる。命を育む農業は女性の力を発揮しやすい職業である。女性の新規就農の促進と併せて、女性農業者が働き続けられる環境づくりや、経営管理・資質向上への支援を強めるべきだ。子育て、保育の問題は大都市の女性だけの問題ではない。せっかく就農したものの、出産後の育児を担うために、しばらく農業経営の一線から退かなければならないというケースはもったいない。また、女性パートを求人する場合も託児所の有無が重要な雇用条件で、自力で用意する法人も出てきている。農業者の知恵と民間企業の技術・ノウハウを結び付けて、新商品やサービス開発を進める「農業女子プロジェクト」は、開始4年でメンバーが600人台に拡大した。最近は香港で輸出販促をするなど、販路開拓でも期待されている。こうした動きを地域で広め、起業やマーケティング、6次産業化、経営管理などを女性農業者が当たり前のように学べる場を増やしたい。行政やJAが、女性が活躍しやすい雰囲気づくりをすること、意識的に女性の声を聞く仕組み作りも重要だ。若い女性に「農村は男社会」と感じさせないよう、男性側の意識改革も引き続き求められる。女性が輝き、地域の基幹産業である農業が発展することは、地域活性化にもつながる。

*11-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171129&ng=DGKKZO24015480Y7A121C1TI1000 (日経新聞 2017.11.29) トヨタ、焦燥の前倒し人事、役員交代4月→1月、外部人材登用 金融や新市場開拓
トヨタ自動車は28日、2018年1月1日付の新体制を発表した。例年より3カ月早く80人規模の役員級の人事を決定。三井住友銀行などから人材を招き、自前主義脱却を人事でも進める。背景には前例にとらわれていては車の激変期を生き抜けないという豊田章男社長の「攻めの姿勢と焦燥」(幹部)がある。異例の改造人事で、トヨタは強さを維持できるのか。
●「瀬戸際の戦い」
 「勝つか負けるかではなく、生きるか死ぬかの瀬戸際の戦いが始まっている」。28日にトヨタが公表した発表資料では過激な表現が目を引いた。これまでトヨタは1月に部長以下、4月に役員の人事を行ってきた。今回はデンソーやアイシン精機といった主要グループ企業も巻き込み、時期を前倒ししての同時実施になる。トヨタのある役員は「経営環境がどんどん変わる時代に人事は1年に1度、4月という保守的な考えは合わない」とみる。実際、トヨタは今年4月の役員人事が終わった後も6月、8月、11月と不定期で役員を異動させている。来年1月に就任した後も実績や環境の変化で交代がいつ起きてもおかしくない。交代時期の前倒しには、そうした緊張感を社内外に浸透させる狙いもある。実は8日前に今回の人事を予感させる言葉があった。愛知県豊田市の本社で20日に開かれた経営陣と労働組合幹部による約150人の「労使懇談会」。豊田社長は経営難から苦渋のリストラを余儀なくされた1950年の労働争議に言及し、「当時を超えるほどに自分たちは腹をくくって努力をしているか。大転換期は惰性でなく、厳しい行動も必要」と強調したという。今年はトランプ米大統領がツイッターでトヨタを批判し、合計で人口27億人の中国とインドが電気自動車(EV)を優遇する政策を鮮明にした。トヨタには逆風が吹き続けている。これまでの慣例にとらわれている余裕はない。
●一体感を創出
 専門性の高い分野でトヨタ出身者以外を登用するのも今回の人事の特徴だ。常務役員に就く豊田通商の今井斗志光執行役員はアフリカ事業のキーマン。トヨタのアフリカでの新車販売は16年に18万台強と世界全体からみればわずか2%で現在の優先順位は高くない。だが50年には人口が2倍の24億人に増え所得水準も向上する。既存のメンバーでは難しい有望市場の開拓を今井氏に託す。三井住友銀行の福留朗裕常務執行役員を迎え入れるのも従来のトヨタにはなかった発想だ。福留氏はトヨタファイナンシャルサービスの社長に就き、シェアリングの普及などで重要性が増す販売金融の強化を担う。主要な部品会社との間での役員異動も目立つ。例えば副社長に就くデンソーの小林耕士副会長。トヨタ出身だが03年にデンソーに移っており「年齢からも異例の復帰」(主要部品メーカー幹部)だ。アイシン精機傘下のブレーキ大手、アドヴィックス(愛知県刈谷市)の小木曽聡社長も約2年半ぶりにトヨタに戻る。一連の人事の背景には「より一体感を持たないと勝てない」(トヨタ幹部)との危機感があり、グループ再編への意志もみえる。トヨタの17年度のグループ世界販売台数は1025万台の見通し。5年連続で大台を超えるものの、売上高の成長は鈍る。そうしたなか競争力をどう磨くのか。自動運転や電動化といった次世代分野でぶつかるのは米グーグルなどの異業種だ。スピード感も従来とは違う。最大の経営課題となる社長の後継者育成も含め、新体制の責任は重い。

*11-3:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24096520Q7A131C1MM8000/?n_cid=NMAIL006 (日経新聞 2017/11/30) 「女性役員ゼロ」 総会で反対票を 米助言大手が推奨
 機関投資家に株主総会の議決権行使を助言する米グラスルイスは2019年から、日本の主要上場企業に女性の役員起用を求める。候補者を含め女性の取締役や監査役がいない企業の総会では、会長もしくは社長の選任議案に反対票を投じるよう投資家に推奨する。同社は海外投資家の議決権行使に影響力を持ち、日本企業の女性登用の流れを後押ししそうだ。グラスルイスは年内にも新ルールを公表する。まずは時価総額が大きい100社を組み入れた株価指数である「TOPIX100」の構成企業に新ルールを適用。12月期決算企業が総会を開く19年2月以降に開催する総会から実施する。現在のTOPIX100構成企業のうち女性の取締役や監査役がいない企業は、信越化学工業や東レ、富士フイルムホールディングスなど29社にのぼる。女性の候補者を探すのに一定の時間がかかるため、グラスルイスは1年前に新ルールを公表することにした。将来は東証1部上場企業全体に広げていく考えだ。日本企業に投資する海外投資家の間では、すでに同様の動きが広がっている。米運用大手ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは11月、投資先の日本企業で女性役員がいない場合は、指名委員会の委員長の取締役選任議案に反対する方針を発表した。多くの日本企業の役員は生え抜きの中高年男性で構成され、海外投資家からは欧米企業に比べ経営人材の多様性が欠けるとの批判が出ている。企業統治に詳しい野村証券の西山賢吾氏は「株主からも圧力がかかり、日本企業の女性登用の動きが加速する」と指摘する。


<環境と教育軽視の結果は?>
PS(2017.12.3追加):*12-1のように、佐賀市は下水を浄化しすぎず、窒素・リン・カリウムを残して有明海に排水し、海苔の色落ちを防いでいる。これは、諫早干拓事業の堤防閉め切りで川が有明海に注ぎ込まなくなり、有明海の栄養塩が減って海苔の不作が続いていた解決策として、私が佐賀県庁の職員だった知り合いに言って始まったものだ。しかし、「①下水処理能力向上で海中の栄養が減ってしまった」「②下水処理能力を下げる」「③工場などからの大量の排水は各企業が処理しており、同じ対応をするためにはコストが課題となる」などという記載はとんでもない話で、(たぶん文系の)メディア記者も高校で生物・生態系・環境に関する勉強をしっかりしておかないと、このようなとんでもない記事を書くことになるわけだ。
 正しくは、①については、下水処理で寄生虫卵や菌を殺しておくことは当然で、それには、②のように下水処理能力を下げるのではなく、必要な栄養塩を必要量放流できる馬鹿の一つ覚えではない高度な能力が必要なのだ。また、③については、工場排水は家庭排水とは異なり有害物質を含むことが多いため、各企業が下水処理コストを負担して処理し製品原価に入れるべきで、公有水面に処理していない工場排水を放流するなどとんでもない話である。
 これについて佐賀新聞は、*12-2のように、「佐賀市西与賀町の市下水浄化センターが『日本水大賞』の未来開拓賞を受賞し、その理由は、地域のニーズに応え、地域で喜ばれる下水道資源の有効利用が評価された」と報じている。そのほか、寄生虫卵や菌を殺し有害物質を含まない限り、私は、窒素・リン・カリウムを残した下水処理水を農業用水に使えば、肥料が節約できると考えている。


   2017.12.2         2017.12.2      2017.9.11  2017.3.29
                いずれも日経新聞
(図の説明:養殖海苔の生産量も落ちているが、サンマの水揚げ量も落ちている。その理由は、環境変化による資源量の減少、中国などの漁業参入と大量捕獲、我が国の漁業者数の減少などであり、まずは自国の漁業者の高齢化と新規参入減少の原因を改善すべきだろう)

*12-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171202&ng=DGKKZO24195070S7A201C1MM0000 (日経新聞 2017.12.2) 水清ければノリ棲まず 35%値上げ、食卓に打撃、栄養足りず生産減
 きれいになりすぎた海がノリ養殖に影を落としている。水質改善が進んだ半面、海水の栄養が不足して育ちが悪くなり、生産量が落ち込んでいる。店頭で「のりなし」のおにぎりを増やす試みも出てきた。水清ければノリ棲(す)まず。生産地では養殖シーズンの冬場に海水の栄養を取り戻すため水質を維持しつつ下水処理能力を落とす取り組みも進んでいる。JR池袋駅にあるおにぎり屋「ほんのり屋」のショーケースに「十穀米むすび」が10月から加わった。のりを使わない新商品として投入、具材にサケや昆布など6種類をそろえた。高菜入りを購入した東京都板橋区の女性(53)は「(のりがないと)見た目は少しさみしい」とこぼした。
●規格変更相次ぐ
 運営するジェイアール東日本フードビジネス(東京)の担当者は「ノリの調達先の分散化も進めたが、1年ぐらい前から良質なノリの確保が一段と難しくなった」と嘆く。試行錯誤を重ね、のりを使わない代わりに健康志向を売りにする十穀米のシリーズを試験的に売り出したという。のり製品大手の白子(東京・江戸川)も今年度、主力商品である「卓上のり」で100枚入り500円(希望小売価格、税別)を80枚入り540円に変更。1枚当たりでは35%の値上がりだ。同社担当者は「品質を維持するには値上げや規格変更は避けられない」と理解を求める。ほかの業者も値上がりや規格変更をするなど影響は広がっている。埼玉県朝霞市の主婦(35)は自宅で男児(3)が手で食べやすいようにのり巻きをよくつくる。「必需品なので値上がりは悩ましい」と表情は渋い。漁業・養殖業生産統計によると、ノリの養殖生産量は1994年の48万3千トンから2016年は30万トンと4割近く減少。水産庁は生産者の減少に加え「海水の栄養不足で生育不良を引き起こしている」と指摘する。ノリが育つには海中に含まれるリンや窒素などの「栄養塩」が必要。しかし下水処理能力の向上で海中の栄養が減ってしまったのだ。
●下水処理を抑制
 ノリ生産1位の佐賀県。着込んでも身震いする寒さの11月下旬夜、ノリを養殖する西久保寿さん(39)に同行して初摘みのため有明海の約4キロ沖合にある養殖場に漁船で向かうと、海中から引き揚げた養殖用の網には墨のように黒々した大量のノリが現れた。「順調な出来栄え」(西久保さん)だ。県全体で不作が続いたため佐賀市は県内で先駆けて07年に生産シーズンの冬場は水質基準内で下水の処理能力を引き下げる取り組みを導入した。市下水浄化センターによると、ノリ養殖期間中は有機物を食べる微生物の活動を抑え、栄養を増やしているという。江頭聖司課長は「特に冬場は栄養塩の濃度が下がる。海の状況に応じてリンや窒素の濃度を調整する」と説明する。ノリの産地が集まる瀬戸内海も同じだ。1973年の瀬戸内海環境保全特別措置法に基づき、水質を改善してきたが、2年前の法改正で「豊かな海」を掲げ、周辺の浄化施設はノリ養殖の時期に合わせて処理能力を下げた。地元漁協は「ノリの生育状況が改善した」と喜ぶ。全国6位の生産地、愛知県も今シーズンから西尾市と豊橋市にある2つの浄化センターで下水の処理能力を引き下げる。ただ行政の浄化設備は主に家庭の生活排水が対象。工場などからの大量の排水は各企業が処理しており、同じ対応をするためにはコストが課題となる。海の環境とどう向き合うのか。身近なのりが問いかけている。

*12-2:http://cache.yahoofs.jp/search/cache?c=yqGxz7Jo5ekJ&p=%E6%9C%89%E6% (佐賀新聞 2013年7月6日) 未来開拓賞を受賞 佐賀市下水浄化センター
 佐賀市西与賀町の市下水浄化センター(馬場慶次所長)が第15回「日本水大賞」の未来開拓賞を受賞した。有明海特産のノリ養殖に配慮した放流や汚泥処理の過程で出るメタンガスを使った発電など、「地域のニーズに応え、地域で喜ばれる」をモットーにした下水道資源の有効利用が評価された。日本水大賞は、水循環の保全に寄与する団体を表彰しようと、日本水大賞委員会(事務局・日本河川協会)が創設した。下水道センター事業が同賞を受賞するのは全国で初めて。同センターは、ノリの養殖時期に処理水を有明海に流す場合は、ノリの栄養になる窒素濃度を高くする取り組みを実施している。下水処理の過程で出る汚泥を堆肥にして農家に低価で販売しているほか、汚泥の処理過程で発生するメタンガスを使う自家発電にも取り組んでいる。5日、秀島敏行市長に受賞を報告した金丸正之上下水道局長は「技術だけではなく、地域と歩む姿勢が評価された。今後も市民と一体となった取り組みを続けたい」と受賞を喜んだ。センターには全国から年間40件を超える視察が相次いでいる。

| 男女平等::2015.5~2019.2 | 01:47 PM | comments (x) | trackback (x) |

PAGE TOP ↑