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2013.7.28 「世界最高水準の安全性」は、念仏のように唱えても達成できず、現在の総合的状況は、世界最低水準であることを認識すべきである。
  
玄海原発事故時の汚染の広がり方    同九州の汚染予測      *3より
 (SPEEDIによる最初の1時間)
 *1に「東電は岸壁近くの地盤に薬液を注入し水を通しにくくする」と書かれているが、本当に薬剤で土を固めると地下水を止められると思っているのなら、東電は、あまりに物理・化学に弱いのではないか?何故なら、それは、土に薬液を注入して固め、ダムの壁をつくるのと同じくらい耐久性がない上、薬液が溶け出す可能性もあるからだ。また、東電は、「放射性物質をほとんど除去した処理済みの水を海に流そうと福島県や関連漁協などに理解を求めようとしていた」とも書かれているが、放射性物質のうちトリチウム(H3)は、水から分離できない物質であり、これだけ汚染水に鈍感な人たちが、「放射性物質をほとんど除去した処理済みの水」と言っても、もはや信用できないのである。

 *2には、「東電はこれまで汚染水の漏出を認めてこなかったが、今月22日に一転して海への流出の可能性があるとの見解を示した」と書かれている。これについて、自らの産業に影響を受ける全漁連が東電に抗議するのは当然だ。食料を汚染された消費者も抗議したい。

 そのような深刻な状況の中、*3には、「溶け落ちた燃料が格納容器の底部にたまる1~3号機の取り出し作業も見通しが立たない」「小野明福島第1原発所長は、『放射線量が高く、人が入っての作業が難しいため、中の様子は分かっていない』と説明した」と書かれているが、人が入らなくても、放射性物質があれば放射線を出すので、映像にすることができる。そのため、「分かっていない」というのは、言い訳にすぎない。さらに、現場を視察して説明を聞いた後、経済同友会の長谷川氏が「思っていたより被害状況はひどいが、他の原発については経済への影響や、エネルギー安全保障の観点からも、早期再稼働を求める考えは変わらないと言い切った」というのは、あまりにも自ら判断する能力がなく、経済産業省のシナリオに従っているだけで、経済界のリーダーとしての見識がないと思う。

 そして、*4には、「全九州電気工事業協会の評議員大会が、7月18日、唐津市で開かれ、原発の早期再稼働を訴えるとともに、発送電分離には『電力の安定供給に支障が出る』として反対していくことを決めた」と書かれている。しかし、これは、再生可能エネルギーによる発電で利益を得る筈の多くの会員の要望ではなく、九州電力の旗振りによる既存の大企業のリーダーシップの結果であろう。また、九州電力の大島洋常務が、「世界最高水準の安全性を目指すことで、再稼働の理解を得たい」と言っているが、現在、福島第一原発事故の後始末、使用済核燃料の保管や処分、人権や環境への配慮など、総合的には最低の水準にあることを考えれば、そのようなことは無理と言うほかない。

 また、事故が起これば、1時間以内に居住不能区域となる唐津市でこのような会合を行うのは、ずうずうしいにも程があるし、玄海原発は九州の北西部に位置するため、放出された放射性物質は、殆どが市街地、田畑、山、海苔の養殖で有名な有明海に落下するという意味で、フクイチよりも深刻な被害になるのである。

*1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130724&ng=DGKDZO57683210U3A720C1EA1000  (日経新聞社説 2013.7.24)  汚染水対策は破綻寸前だ
 福島第1原子力発電所の敷地内から高濃度の汚染水が海に流出していることが明らかになった。流出がわずかだとしても海の汚染が今なお続く事実は重い。東京電力が状況把握に手間取り、海洋流出を否定し続けたため、漁業者らは東電への不信を一段と強めた。極めて憂慮すべき事態だ。東電はタンクにたまり続ける汚染水の処置に苦慮し、放射性物質をほとんど除去した処理済みの水を海に流そうと福島県や関連漁協などに理解を求めようとしていた。実現すれば汚染水を減らす切り札になり得たが、今回の事態で見通しがつかなくなった。
 汚染水流出を止めるため、東電は岸壁近くの地盤に薬液を注入し水を通しにくくする。また流出源である疑いが濃い、原子炉建屋周辺のトレンチ(坑道)から汚染水を抜く計画だ。いずれも流出抑制に一定の効果が期待できるが、とりあえずの対症療法にすぎない。汚染水の発生を減らす抜本策を講じないと、増え続ける汚染水のせいで福島原発の収束作業が滞る事態が予想される。このことは今年4月に地下貯水槽からの低濃度汚染水の漏れが判明した時から指摘されてきた。東電の汚染水対策は破綻にひんしていると政府は認識すべきだ。もはや東電だけでは手に負えなくなりつつある。政府が一歩前へ出て世界の知恵を集め、長期的な展望にたった対策を考えて実行に移していく必要がある。汚染水流出で水産物の風評被害の再燃が懸念される。福島県の漁業者は昨年6月、タコ類など放射能の影響がきわめて少ないものから試験操業を始めた。現在は対象魚種を広げ、本格的な操業再開に向けて努力を続けている。福島県外の市場でも、水揚げした水産物の放射能を調べて消費者の信頼回復に取り組んできた。新たな汚染水流出は水産業の復興をめざす関係者の努力を台無しにしかねない。海の汚染状況の把握に政府と東電はもっと力を入れ、風評の払拭にも努めるべきだ。

*2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2501P_V20C13A7CC0000/
(日経新聞 2013/7/25) 全漁連が東電に抗議 福島第1汚染水問題
 東京電力福島第1原子力発電所の汚染水が海に流出している問題で、全国漁業協同組合連合会(全漁連)などは25日午前、東電本社を訪れ、広瀬直己社長に抗議するとともに、再発防止を求める要望書を手渡した。全漁連の岸宏会長は広瀬社長に「全国の漁業者、国民に対する裏切り行為。強い怒りを抱く」と述べ、不快感をあらわにした。全漁連は東電に対し、汚染水漏出を早期に完全防止する対策を取るとともに、消費者の信頼を得るための海域モニタリングの徹底・強化を要請した。要望書を受け取った東電の広瀬社長は「申し訳なく思っている。対策をしっかりやっていきたい」と頭を下げた。東電はこれまで汚染水の漏出を認めてこなかったが、今月22日に一転して「海への流出の可能性がある」との見解を示した。

*3:http://qbiz.jp/article/20506/1/ (西日本新聞 2013年7月14日) 
「被害予想以上」「それでも再稼働を」 経済同友会、福島第1原発視察
 増え続ける汚染水との戦いに苦闘し、廃炉への道のりは遠く感じた−。13日、東京電力福島第1原発を視察した経済同友会の長谷川閑史(やすちか)代表幹事たちメンバー18人に同行して所内に入った。事故から2年4カ月たったが収束の見通しは立たない。原発の再稼働を強く求める経済界。長谷川氏は視察後、「それでも再稼働は必要」と強調した。視察はバスの車窓からに限られ、約40分かけて1周した。津波が襲った原子炉建屋のそばでは、ひしゃげたトラックや、ぐにゃぐにゃに曲がった鉄骨が残されたまま。放射線量は事故当時から大幅に下がったとはいえ、3号機のそばを通過する際は毎時1・15ミリシーベルトの放射線量を記録した。静まり返った車内に「ピ、ピ、ピ」と線量計の警報音が響いた。目下の課題は、増え続ける汚染水への対応。1〜4号機の西側から、原子炉建屋に1日400トンの地下水が流れ込む。東電は2016年度までに汚染水を収容するタンクの容量を、約80万トンに倍増する。敷地南側では急ピッチで造成工事が進められていた。汚染水の発生量そのものを減らすため、原子炉建屋西側に12本の井戸を掘削済み。建屋に入る前に地下水をくみ上げ、海に放出する計画も進める。東電は放出予定の水に汚染は無いとしている。だが、最近になって海側の井戸の水から放射性物質が検出された問題もあり、漁業者の同意は得られていない。視察に同行した東電の広瀬直己社長は「リスクを小さくする取り組みだと、何度でも説明したい」と話した。溶け落ちた燃料が格納容器の底部にたまる1〜3号機の取り出し作業も見通しは立たない。小野明福島第1原発所長は「放射線量が高く、人が入っての作業が難しい。中の様子は分かっていない」と説明した。5月末には、4号機の使用済み核燃料を取り出すための逆L字形の骨組みが完成。11月にも取り出しに着手する。所内には1日3千人の作業員が出入りする。約20キロ離れた「Jヴィレッジ」で行っていた防護装備の脱着などは、今月から発電所正門に新設した管理施設に移された。少しずつだが改善の兆しも出てきた。長谷川氏は視察後「思っていたより被害状況はひどいという印象」と述べたものの、他の原発については「経済への影響や、エネルギー安全保障の観点からも、早期再稼働を求める考えは変わらない」と言い切った。

*4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2516846.article.html
(佐賀新聞 2013年7月24日) 原発の早期再稼働訴え 九州電気工事業協
 全九州電気工事業協会(4735社)の評議員大会が18日、唐津市で開かれた。原発の早期再稼働を訴えるとともに、発送電分離には「電力の安定供給に支障が出る」として反対していくことを決めた。大会には九州8県から約250人が参加。花元英彰会長は「夏の節電が社会生活や生産活動に影響を及ぼし、火力発電による燃料費の負担増は電力会社の経営だけでなく日本経済全体に深刻な影響を与えている」と述べ、原発の早期再稼働の必要性を訴えた。来賓出席した玄海町の岸本英雄町長は「安く、質のいい電気を提供してもらうことが日本の発展には必要」と早期再稼働の持論を繰り返し、九州電力の大島洋常務は「原発の全炉停止以降、わが社の財務は大変厳しい状況にある。世界最高水準の安全性を目指すことで、再稼働の理解を得たい」と語った。

| 原発::2013.7~9 | 01:57 PM | comments (x) | trackback (x) |

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