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2013.10.7 これでも「原発の安全性」を呼びかける原子力ムラの欺瞞と佐賀大学前学長や日本弁護士連合会など専門家のエネルギー問題への見識
      
 原発労働者への労災適用事例  http://onodekita.sblo.jp/article/72985733.htmlより    

(1)まだ原発の危険性を理解していないのか
 *1によれば、福井県は、IAEAの天野之弥事務局長(日本人だった!)との覚書に調印し、「原発の安全性」を呼びかけたりする”エキスパート”を育成するそうである。しかし、福井県には6カ所に15基の原発があり、一箇所に多くの原発を集めると、事故が起こった時に放出する放射性物質が莫大で被害が大きいことはフクシマから学んだ筈である。

 また、*3では、フクシマで4カ月働いた札幌の男性(55歳)が、被曝が原因の癌で労災申請をしている。胃癌、大腸癌、膀胱癌だそうだが、それならば、この人は50ミリシーベルト超の外部被曝よりむしろ、食物や飲料水からの内部被曝により癌を発症したと考えるのが自然だ。さらに、福島県では、子どもの甲状腺癌も増えていることが報告されている。これでも、「原発の安全性」を呼びかけるのは、人権を無視した欺瞞だ。

(2)中東やインドでの受注をめざして原発会社を買収するとは・・・
 *2によれば、東芝が、少なくとも100億円の買収額で、英国で原発の新設を進めるフランス、スペインの合弁会社を買収するそうである。フクシマの後、国内での原発新設が難しいため欧州やアジアなどで原発事業を強化するのだそうだが、このブログの2013.10.4にも記載しているように、東芝の原発がフクシマで事故を起こし、その理由は不明とされているのだ。にもかかわらず原発の輸出や原発会社の買収をするのは、他の分野ではよい製品を世に送り出している東芝の命取りにもなりかねない経営意思決定であり、先が見えるるようで残念だ。

(3)専門家の見識に少しほっとした
 *4には、「ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英さん(素粒子理論)を交えて佐賀の科学者が脱原発を議論する勉強会が4日、佐賀大で開かれ、物理学者を中心に13人が出席し、原発の代替エネルギーの問題や科学的な視点からの情報発信の在り方について意見を交わした」と書かれている。「原発なくそう! 九州玄海訴訟」の原告団長で、原子核理論の専門家である佐賀大学の長谷川照前学長(参照:http://www.data-max.co.jp/2012/02/07/post_16433_ym_2.html 長谷川照・前佐賀大学学長に聞く「安全神話」の上に築かれた「国策民営」の原発は砂上の楼閣)が中心になっておられるので、佐賀の原発論議が深いのは当然で、私も、このチームには頑張って欲しいと思っている。

 また、*5では、2013.10.4に、日本弁護士連合会が「福島第一原子力発電所事故被害の完全救済及び脱原発を求める決議」を出しており、まっとうな意見だと思う(もっとも、国が前面に出たからと言って、汚染水等の問題がよりスムーズにいくとは思わないが・・)。是非、一般の方も、これらを参考にして、自分の意見をまとめられたい。

*1:http://tanakaryusaku.jp/
(田中龍作ジャーナル 2013年10月7日)  【福井発】 IAEA 原発銀座の固定化めざし県と覚書
 世界原子力マフィアの総本山であるIAEAの天野之弥事務局長がきょう、福井県を訪れ、原子力の人材育成についての覚書に調印する。研修所などが設けられ、「原発の安全性」を呼びかけたりするエキスパートを育成する。福井県には6カ所に15基の原発がある。ひとつの狭いエリアに原発がひしめく。“原発密度”は世界一だ。福井県庁前では今朝9時からIEAEとの覚書に反対する集会が始まった。抗議の声をあげているのは、毎週金曜日にここで再稼働反対集会・デモを行っている市民たち。「原発銀座の固定化になる…」。男性参加者(60代・印刷会社経営)は危機感を募らせる。

*2:http://digital.asahi.com/articles/TKY201310050382.html
(朝日新聞 2013.10.6) 東芝、英で原発会社買収へ 欧州・アジアでの建設強化  
 東芝は、英国で原発の新設を進めるフランス、スペインの合弁会社を買収する方向で最終調整に入った。子会社の米原発メーカー大手のウェスチングハウス(WH)によるもので、買収額は少なくとも100億円を上回る見通し。原発事故を受けて国内の新設は難しいことから、欧州やアジアなど海外での原発事業を強化する。関係者によると、年内の合意を目指している。東芝が海外で原発の事業運営会社を買収するのは初めて。建設後の原発運営は電力会社などに委託する方針だ。買収をめざすのは、フランスとスペインの大手電力会社が折半で出資する「ニュージェン」。両社から50%超の株式を取得する方向だ。合弁会社は英国に拠点があり、英中部で計360万キロワット分の原発をつくる予定。大型原発で2~3基分にあたり、2023年までに稼働するという。東芝は、WH社を含めて原発建設でシェア約3割を占める世界首位。東芝は原発の建設や保守点検といった原子力関連事業の売上高が13年3月期で約5千億円と、連結売上高の1割弱を占める。17年度には原子力事業の売上高を8千億円に拡大する計画だ。2位の仏アレバの勢力圏である欧州で原発事業を強化する方針で、フィンランドでも、2カ所の原発建設の入札に参加している。中東やインドでも受注をめざしている。国内メーカーでは、日立製作所も昨年、英国の原発事業会社を約850億円で買収した。

*3:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/496287.html
(北海道新聞 2013年10月6日) 福島第1原発で4カ月 札幌の55歳男性が労災申請 がん「被ばくが原因」
 東京電力福島第1原発事故後の2011年7月から10月まで同原発で作業し、その後膀胱(ぼうこう)がんなど三つのがんを併発した札幌市在住の男性(55)が、発がんは作業中の放射線被ばくが原因だとして労災の申請をしていたことが5日分かった。原発事故後、被ばくを理由に労災を申請した人はこの男性を含めて全国で4人。いずれも審査中で、労災が認定された例はまだない。男性は重機オペレーターとして同原発の原子炉建屋周辺でがれきの撤去作業などに従事した。被ばく線量が4カ月間だけで原発作業員の通常の年間法定限度である50ミリシーベルトを超えたため、同年10月末で現場を離れた。2012年5月に膀胱がんが見つかり、札幌で手術。今年3月には大腸がんと胃がんも見つかった。現在も通院しながら抗がん剤治療を続けている。転移でなく、それぞれの臓器で独立して発病していた。

*4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2560024.article.html
(佐賀新聞 2013年10月5日) 益川さん交え脱原発議論 佐賀大名誉教授ら
 ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英さん(素粒子理論)を交えて佐賀の科学者が脱原発を議論する勉強会が4日、佐賀大で開かれた。物理学者を中心に13人が出席。原発の代替エネルギーの問題や科学的な視点からの情報発信の在り方について意見を交わした。益川さんは原発の代替として自然エネルギーを推進する方針を支持しつつ、「発電方法だけでなく、エネルギーをどう蓄積するかが課題」と指摘した。原子力分野の研究を衰退させるのには難色を示し、「エネルギー問題は複雑だからこそ幅広いアイデアを結集させるべき」と強調した。出席者から原発再稼働の是非を問う際の議論の在り方について問題提起があり、益川さんは「賛成、反対の主張を並べるだけでなく、きちんと評価してどちらが正しいか判断を下さないと社会は進展しない」と述べた。勉強会には佐賀大の長谷川照前学長や近藤弘樹名誉教授らが出席。益川さんは「佐賀は科学者が原発問題を真剣に議論していて、内容も深い。今後も継続してほしい」と述べた。

*5:http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/civil_liberties/year/2013/2013_3.html (日本弁護士連合会 2013.10.4)
福島第一原子力発電所事故被害の完全救済及び脱原発を求める決議
 福島第一原子力発電所事故(以下「本件事故」という。)は、福島県をはじめとする広範な地域に深刻な放射能汚染をもたらし、地域住民の人格権、幸福追求権などの基本的人権を日々侵害している。本件事故の責任は、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)はもとより、原子力政策を推進してきた国にもある。国及び東京電力は、生活の原状回復を基本として、既に発生した損害については完全かつ早急な救済を、まだ顕在化していない被害についても完全な救済を実現しなければならない。
 また、放射能汚染による健康被害を未然に防止するために、希望者に対する避難する権利を実質的に保障するための必要な支援の実施、健康調査体制の充実、被ばく労働等への規制、食品汚染に関する規制、水質・大気汚染・廃棄物に関する防護などが必要だが、いずれも対策は不十分である。2012年6月に「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「子ども・被災者支援法」という。)が成立したが、その内容は具体化していない。放射能汚染から健康を守るための法整備は急務である。
 原子力発電所(以下「原発」という。)に関する従来の安全規制は、本件事故を防ぐことができなかった。本件事故は収束のめどが立っておらず、大量の放射性物質が環境に排出され続けており、また、事故の発生原因や具体的経緯すらいまだ明らかではなく、安全対策も不十分である。原発は、たとえ事故を起こさなくても、放射性廃棄物の処理という解決困難で深刻な問題を伴う。広島・長崎への原爆投下による放射能被ばくを含む多大な惨禍に加え、本件事故によっても大きな被害を受け、かつ地震・津波等の自然災害を今後も避け得ない我が国は、今こそ、原子力推進政策を見直し、原発をゼロとすべきである。

 よって、当連合会は、国に対して、次の諸点を強く要請する。

1 国は、本件事故の加害者であることを認識し、本件事故のあらゆる被害を完全に回復するため、以下の措置をとること。
(1) 被害者が従来営んできた生活を、原状回復することを基本とし、既に顕在化している被害については、東京電力とともに、完全かつ早急に救済すること。また、東京電力に対し、原子力損害賠償紛争解決センター(以下「原紛センター」という。)の提示した和解案については、これを尊重し、迅速かつ誠実に履行するよう強く指導すること。
(2) 本件事故による被害は、家族の分断など生活環境の破壊、ふるさとの喪失、地域ブランドの喪失など多岐にわたる、深刻かつ継続的なものであり、また、被害者がその被害を訴えることには様々な障害があることを踏まえ、継続的な被害調査を行い、それを踏まえた損害賠償の指針の見直しを行うこと。
(3) 本件事故の損害賠償請求権については、民法上の消滅時効(民法第724条前段及び同法第167条第1項)及び除斥期間(民法第724条後段)の規定を適用せず、消滅時効に関する特別措置法を、可能な限り早期に、遅くとも本年末までに制定すること。
(4) 東京電力から、原子力損害の賠償に関する法律に基づき、被害者に支払われる損害賠償金は、相当部分が現行の各種税法上、課税対象とされる可能性があるため、非課税とするべく特別の立法措置を講ずること。

2 国は、以下の施策をはじめ、健康被害を未然に防ぐあらゆる施策を講ずること。
(1) 子ども・被災者支援法の趣旨に則って、放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないことを全ての前提とし、かつ、2011年3月11日以降の1年間の追加被ばく線量が国際放射線防護委員会(ICRP)勧告の一般公衆の被ばく限度量である年間1ミリシーベルトを超えることが推定される全地域及び福島県の全域を「支援対象地域」として、同様に年間5ミリシーベルトを超えることが推定される全地域を「特別支援対象地域」とすること。「支援対象地域」の住民には、避難の権利を実質的に保障するため必要な支援を行い、「特別支援対象地域」の住民には、正当な補償及び避難先における生活全般の保障を十分に行うことを前提に、避難指示を出し、それでもなお居住を続けることを強く希望する住民については、その意思を尊重し、安心して生活できるような環境の整備等を行うことを検討するなど、被災者救済のための具体的な支援策を早急に実施していくこと。
(2) 広島・長崎の被ばく者への援護が被ばく後12年も経過してようやく健康診断を中心に制度化されたことの反省を踏まえ、今回の原発事故では速やかに血液検査、尿検査、ホールボディーカウンター検査等をはじめ、内部被ばく検査を含む多角的な検査を無償で受ける機会を被害者に保障し、検査結果は被害者に全て直接開示すること。原発事故の健康影響を長期的に調査・研究する体制を整えるとともに、検査結果はプライバシーに十分に配慮しつつも、学術機関等様々な立場の調査・研究に開かれたものとし、かつ、これに十分な支援・援助を行うこと。
(3) 事故収束作業や除染作業等に従事する労働者は一般の人々よりもはるかに健康被害を受けやすいことに鑑み、本件事故直後の記録再現を含む正確な被ばく量の記録の徹底、労働者本人が累積線量データへ常時アクセスできる保障、継続的な健康診断及び一定の被ばくをした労働者が疾病を発症した場合における労災認定を行うこと。
(4) 食品の安全基準は、住民、特に子どもの安全確保の観点から、外部被ばく・内部被ばくを合計した年間実効線量が1ミリシーベルトを超えないよう見直しを行うこと。
(5) これまでの公害対策と放射性物質による汚染等の総合した視点に立ち、従来居住していた地域において本件事故以前の環境基準を確保し、新たな汚染の拡大を防止するため、大気や土壌、海・川などの放射能汚染の実態を継続的・包括的に調査・公表し、これに対処する全面的法整備を行い、放射性物質を含む廃棄物の安易な移動や広域処理をやめ、長期にわたる管理(対象地域の指定の維持、放射線量の継続的かつ包括的測定、警告表示、除染と除去した放射性廃棄物の保管・管理)及び子どもの生活圏における適時適切な除染等を行うこと。汚染水の漏洩など、本件事故の収束と廃炉に向けた作業について、東京電力任せにすることなく、組織、人材、予算等あらゆる資源を投入してさらなる抜本的な対策を講じ、国際社会と国民の不安を一刻も早く取り除くよう強く求め、その進捗状況を自ら国民に公表すること。

3 国は、我が国の原子力推進政策を抜本的に見直し、以下のとおり原子力発電と核燃料サイクルから撤退すること。
(1) 原発の新増設(計画中・建設中のものを全て含む。)を止め、再処理工場、高速増殖炉などの核燃料サイクル施設は直ちに廃止すること。
(2) 既設の原発について、安全審査の目的は、放射能被害が「万が一にも起こらないようにする」ことにあるところ、原子力規制委員会が新たに策定した規制基準では安全は確保されないので、運転(停止中の原発の再起動を含む。)は認めず、できる限り速やかに、全て廃止すること。
(3) 今後のエネルギー政策につき、再生可能エネルギーの推進、省エネルギー及びエネルギー利用の効率化と低炭素化を政策の中核とすること。
(4) 原発輸出は相手国及び周辺諸国の国民に人権侵害と環境汚染をもたらすおそれがあるため、原発輸出政策は中止すること。

以上のとおり決議する。
                                 2013年(平成25年)10月4日
                                        日本弁護士連合会

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