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2014.9.17 ユーグレナの可能性と佐賀市の契約 - 循環型社会に向けて理念を通す
      
「ユーグレナは世界を救う」マーク     2014.2.9佐賀新聞より

(1)ミドリムシは食料問題に多様な解を与えるが、環境問題はどうか?
 昨日、会計人東大会で、ユーグレナ社長の出雲氏をお招きして話を聞いた。出雲氏は、*2に書かれているように、大学時代にバングラデシュに行き、おなかをすかせている子どもはいなかったが栄養が偏っているのを見て、ミドリムシで世界の食料問題を解決しようと、東大で文学部から農学部に転部して研究し、ベンチャー企業を興した人である。

 そして、*1に書かれているように、2005年12月に世界で初めて沖縄県石垣島でミドリムシ(学名:ユーグレナ)の屋外大量培養に成功し、2008年に最初の取引相手である伊藤忠商事の出資が決まるまでの3年間は取引を断られ続けて苦労したものの、伊藤忠商事の出資をきっかけに、石油会社、航空会社、ゼネコンなどが次々と手を挙げてくれて事業が軌道に乗り、2012年12月には、ユーグレナ社を東証マザーズに上場したとのことである。

 ミドリムシは、昆布やワカメの仲間の藻の一種で、動くことも光合成することもできる動物と植物の両方の性質を備える生物で、植物と動物の両方の栄養素を持つため、人間に必要なビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など59種類もの栄養素を作り出すことができる上、油脂分を作り出すこともできるため、食料問題に多様な解を与えるとともに、ジェット燃料の開発にも期待されているのだ。

 しかし、私自身は、ジェット燃料ならミドリムシより水素の方が、さらに環境適合性がよいため、燃料系は水素か電気にして、ミドリムシには、コストダウンが求められる家畜や養殖魚の餌を含む食料への貢献を期待したい。

(2)佐賀市の挑戦はあっぱれだ
 *2のように、ユーグレナ社と佐賀市は、ジェット燃料などの大量生産、低価格化を目指す共同研究を行うことになり、佐賀市の秀島市長が、石垣島(沖縄県)に次ぐ第二の拠点となる共同研究契約を締結したそうである。そして、今回の研究では、下水処理水や清掃センターで回収する二酸化炭素(CO2)を佐賀市が提供し、従来「じゃまもの」だった下水処理水やCO2を原料に使って燃料開発などに繋げるのはあっぱれで、この研究が成功すれば、他の自治体でも応用できるだろう。

 今後は、工場開設などの生産拠点化が可能かどうか検討し、新たな食品などへの応用を探るそうだが、この機会に玄海、有明海の養殖魚や家畜の餌の研究もし、餌をコストダウンさせることに成功して欲しい。私がそういう質問をしたところ、出雲社長は、養殖魚や家畜の餌に関しても積極的だったため、関係者は話をしに行ってもらいたい。

(3)神鋼環境ソリューションがユーグレナの本格培養を開始
 そのような中、*3のように、神鋼環境ソリューションが、閉鎖型の 1m3培養槽を設置し、従属栄養培養方式によるユーグレナの培養を本格的に開始して、ユーグレナ由来のバイオマスなどのサンプルをキログラム単位で提供する体制が整って、バイオ燃料、食品/化粧品、下水処理に加え、化成品などの商品化検討を開始するそうだ。今後は、培養する方法や種類について、(人間の食べ物でなければ遺伝子組み換えもできるため)目的に応じて更なる改良を進めることができるだろう。

*1:http://mainichi.jp/feature/news/20130118org00m020003000c.html
(毎日新聞 2013年1月22日) 社長インタビュー:出雲充 ユーグレナ社長
<いずも・みつる  広島県呉市出身。2002年東京大学農学部卒業、東京三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。05年8月、大学時代の後輩ら2人とともにユーグレナ10+件を設立し、社長就任。同年12月、ミドリムシの屋外大量培養に成功した。33歳。>
◇ミドリムシで食料・環境課題を解決する
 ユーグレナは2005年12月、世界で初めて沖縄県石垣島でミドリムシの屋外大量培養に成功したバイオベンチャー。13年9月期決算の見通しは、売上高が22億9000万円(前期比44.5%増)、営業利益が3億5200万円(同14.4%増)。社員は38人。12年12月20日、東証マザーズに上場した。
─ ミドリムシ(学名ユーグレナ)について教えてください。
出雲 その名前からイモムシのような虫の仲間と誤解されやすいのですが、ワカメや昆布と同じ藻類です。ただ、ワカメや昆布とは違い、水中で植物のように光合成をする一方、細胞を変形させて動くという、植物と動物の両方の性質を持つ珍しい生物です。ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸など59種類もの豊富な栄養素を含み、二酸化炭素を吸収して成長するという特性から、昔から食料問題や環境問題解決に活用しようと各国で研究されてきました。日本でも1980年代から00年まで、国家プロジェクトとして研究されていましたが、大量培養には至らず頓挫した経緯があります。
─ 大量培養はなぜ難しい?
出雲 培養している間に、他の微生物が侵入してきてミドリムシを食い尽くしてしまうからです。ヨーグルトや日本酒のように、発酵や培養は目的とする菌以外の増殖をいかに防ぐかが重要なのですが、ミドリムシは栄養価があらゆる微生物の中でトップクラスに多いので、その分、他の微生物に最も狙われやすい。そのため、屋外での大量培養は、従来はできなかったのです。
─ 成功した秘訣は何ですか。
出雲 まず、研究者の先生方に過去になぜ大量培養に失敗したのかを教えていただきました。すると、どの先生方も同じ方法で失敗していたことがわかりました。簡単に言えば、失敗していたのは「蚊帳方式」、つまり外敵が中に進入しないようブロックする方法。これに対して私たちは発想を転換し、「蚊取り線香方式」を考えました。培養液に独自の工夫を加え、微生物の進入を阻止する方法です。この培養液の工夫に偶然にたどり着き、大量培養の成功に至りました。
─ それから事業化までが大変だったとか。
出雲 創業前にライブドア社長(当時)の堀江貴文さんと知り合い、お金もオフィスもなかったので創業時には出資を受け、オフィスも間借りしていました。ところが06年1月にライブドアに強制捜査が入り、それをきっかけにそれまで協力してくれていた企業が一斉に当社から手を引いてしまったのです。それ以降、ミドリムシをあらゆる企業に売り込みましたが、協力してくれる最初の1社を見つけるまでに約3年かかりました。08年に伊藤忠商事の出資が決まったことをきっかけに、石油会社、航空会社、ゼネコンなどが次々と手を挙げてくれ、ようやく事業が軌道に乗りました。日本企業は、ベンチャーに出資する最初の1社になるのを躊躇します。しかし、いざチームを組むと、ものすごく協力的です。これまで門前払いをしていた企業も声をかけてくる。とにかく極端ですね。
◇ジェット燃料も開発
─ 現在は、どのような事業を手がけているのですか。
出雲 収益のほとんどがサプリメントなど機能性食品や化粧品などのヘルスケア事業で、自社製品の販売のほかOEM(相手先ブランドによる受託生産)や原料供給もしています。これに加え、様々な企業と共同でジェット機の燃料開発、家畜の飼料開発、水質浄化技術開発の研究も進めています。
─ ジェット燃料の開発が有望視されています。
出雲 バイオ燃料の中で、ミドリムシから取れる油はジェット燃料に性質が適していて、地球環境問題の解決にミドリムシは大きな可能性を持っています。そこで、JX日鉱日石エネルギーなどと共同で、ミドリムシからジェット燃料を作り出すための研究開発をしています。日本航空と全日本空輸の2社が使用する燃料は年9000億トンとされますが、その1割を将来的にミドリムシ由来で賄う計画を立て、18年度に事業化の実現を目指しています。 ただ、現在ある石垣島の培養設備のみでは規模が小さく、ジェット燃料に活用するにはコストが高すぎます。実用化が頂上だとすれば、現在は3合目ぐらい。実際に飛行機を飛ばすことができて6合目、採算性を示すことができて7合目、頂上は900億トンを毎年安定的に生産できる体制が確立した時と考えています。
 そのためにまず、巨大な培養設備が必要です。将来的には光合成に適した赤道直下や国内の耕作放棄地などの活用も含めて、現在の100倍の容量の設備を作ることを目指しています。上場で得た資金で、その場所を確保する予定です。
─ 上場時の初値は、公開価格の1700円に対し、2.3倍をつけました。
出雲 ミドリムシに注力している会社は他になく、その点で注目されている面があると思います。一方で期待に応えられないと、その評価はすぐ剥落するでしょう。いったん期待が逆回転したら2度目のチャンスはないと思うので、技術で株主の期待に応えていきたいです。

*2:http://www1.saga-s.co.jp/news/saga.0.2622486.article.html
(佐賀新聞 2014年2月9日) ミドリムシからジェット燃料 佐賀市と研究
 世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功し、その体内から燃料を抽出する技術を持つバイオベンチャー企業「ユーグレナ」(本社・東京都)と佐賀市が、ジェット燃料などの大量生産、低価格化を目指す共同研究に乗り出すことになった。石垣島(沖縄県)に次ぐ第二の拠点を探す同社に、全国の自治体から共同研究の依頼が舞い込む中、佐賀市を研究パートナーとして選んだ。8日、同社の出雲充社長が秀島敏行市長と共同研究契約を締結した。自治体との共同研究契約は初めて。ユーグレナは2005年8月に設立。高タンパクのミドリムシを培養し、ミドリムシクッキーやサプリメントなど機能性食品の企画・販売などで成長している。抽出物質のバイオジェット燃料への応用も手掛け、20年の事業化を目指している。今回の研究では、下水浄化センターから排出される有機物を多く含む処理水や、清掃センターから回収する二酸化炭素(CO2)を佐賀市が提供。同社は従来「ごみ」となってきた処理水やCO2を原料に使い、市場コストに見合う燃料開発などにつなげるステップとする考え。今春にも研究に着手し、佐賀市に研究室を設けることも視野に、工場開設など生産拠点化が可能か検討する。ミドリムシは約100種類と多く、ジェット燃料のほか、新たな食品などへの応用も探る。研究者の人数や詳細な日程については「競合が多い分野なので控えたい」とした。出雲社長は「明治維新の原動力となった佐賀で循環型社会構築に向けたスタートを切ることができ、縁を感じている。しっかり取り組みたい」と話した。
■佐賀市と共同研究「ユーグレナ」社長が講演
 8日、佐賀市と共同研究契約を締結したバイオベンチャー「ユーグレナ」。出雲充社長(34)が同日、佐賀市内で講演し、ミドリムシの研究を始めるきっかけから今後の展望までを熱っぽく語った。講演要旨を紹介する。
   ◇   ◇   ◇
 大学時代、世界の最貧国バングラデシュに行った。土産に栄養補助食品を持って行ったが、おなかをすかせている子どもはいなかった。子どもたちはカレーを食べていた。しかし、カレーに具はない。動物性タンパク質の不足から、おなかがポコッと出ている子どもも多かった。腹ぺこ状態ではなく、炭水化物以外の栄養素が不足する「栄養失調」で困っている人が世界に10億人もいる-。現状の一端を垣間見た。「世界の栄養失調を解消したい」という思いが原点。しかし、世界にはそれだけの人が食べる卵や野菜を作る土地、農地がない。帰国して栄養価が高い食べ物について調べた。そこで出合ったのがミドリムシだった。その語感から、よくイモムシのようなものを想像されることが多いが、体長0・1ミリの微生物ミドリムシは植物の仲間で、ワカメやコンブなど海藻の親戚に当たる。植物だけではなく動物の栄養素も持ち合わせ、人間に必要な栄養素59種類を作り出すことができる。ただ、害虫からも狙われるミドリムシを育てる環境整備は非常に困難で、最初は大学の研究室に1カ月泊まり込んで育てても、できるのはスプーン1さじ程度だった。安く大量に育てる技術を世界で初めて発明したのは2005年。沖縄県の石垣島で大量に育てている。2006年からは食品展開を始めた。食品だけではない。ミドリムシからバイオ燃料、特にジェット燃料を生み出す研究も続けている。化石燃料の使用による二酸化炭素の排出が気候変動を引き起こし、昨年も大型台風が国内外を襲った。こうした状況は人類にとって、大きなリスクだ。農地を使わず、ジェット燃料を作り出すことができれば、地球に優しい新しい飛行機が作れる。私たちは今日から佐賀で、燃料や食料の面で日本や世界を救う研究に取り組む。前例がないことをやろうとしている人をぜひ応援してほしい。そして東京オリンピックの20年、ミドリムシからできた燃料を積んだ飛行機で、佐賀空港から東京に向かいましょう。

*3:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140910-00000131-mycomj-sci
(YAHOO 2014年9月10日) 神鋼ソリューション、ユーグレナの本格培養を開始
 神鋼環境ソリューションは9月8日、技術研究所内に閉鎖型の 1m3培養槽を設置し、従属栄養培養方式によるユーグレナの培養を本格的に開始致したと発表した。これにより、ユーグレナ由来のバイオマスなどのサンプルをキログラム単位で提供する体制が整ったため、バイオ燃料、食品/化粧品、下水処理に加え、化成品等の商品化検討を開始する。ユーグレナの培養方法は一般的に光合成培養と従属栄養培養がありますが、閉鎖型の培養槽における従属栄養培養は、光合成培養と比較すると、単位面積当たりのバイオマス獲得量が数百倍程度となると共に、気候等外部環境(日光、気温等)に影響されない安定した培養を継続することが可能です。このたび、筑波大学と共同で見出したユーグレナの新規株の培養をフラスコ規模から段階的にスケールアップし、培養槽(1m3)においても、バイオ燃料として有望と考えられてきたユーグレナ・グラシリスZ株と比較してバイオマス生産性が2倍以上であることを改めて確認できたという。ユーグレナから得られるパラミロンが嫌気状態にて、バイオ燃料のもとになりうるワックスエステルを生成することも確認されており、バイオマス乾燥重量当たり 70~80%のパラミロンを蓄積する培地成分や培養条件も確立しているとのこと。バイオマスの成分分析結果では、ビタミン・ミネラル・必須アミノ酸・必須脂肪酸の含有が確認されており、アミノ酸スコアは100となっている。なお、これらの培養成績は、日本農芸化学会2014年度大会にて発表された。同社は今後、培養方法について更なる改良を進めると共に1m3培養槽の培養実績を積み重ねていくとしている。また、培養槽の大型化に必要な最適設計条件を把握し、2015年度には10m3培養槽での大量培養を計画しており、この10m3培養槽が完成すれば、パラミロンの製造設備としては、世界最大レベルになる見込みだという。

| 環境::2012.12~2015.4 | 03:11 PM | comments (x) | trackback (x) |

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