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2012.6.29 冤罪被害者の問題は、死刑の廃止で解決するものではないでしょう!
 死刑廃止論の大きな理由は、*1のように、冤罪で死刑になる人がいることだそうだ。しかし、冤罪事件については、下の理由により死刑の廃止で問題が解決するものではない。
  ①真犯人がつかまっておらず、罰せられていないこと
  ②冤罪被害者が罰せられても、殺人被害者にとっては何の慰めにもならないこと
  ③冤罪被害者を捕え長時間かけて裁いている間に、真犯人を捕える機会が失われること
  ④真犯人を捕えられない時や権力の圧力がかかった時に、警察や検察がメンツのため、かわりに
    比較的孤独で支援者のない人を捕えて冤罪をかぶせる傾向があるということ
  ⑤裁判所も本当の独立性を持っておらず、冤罪に加担する場合もあること

 そして、冤罪被害者の側から見れば、殺人犯に仕立てられて15~30年も経過した後に、「間違いでした」と認められても、認められないよりはましだろうが、失った人生は帰ってこない。つまり、年をとってから、「実は、あなたが犯人ではなかった」と確定しても、たまったものではないのである。その間の本人や家族(親、配偶者、子ども)の苦しみや失った幸福は、計り知れない。

 そして、冤罪被害者に対する刑事保障では、拘束された期間1日あたり12,500円(最高金額)の保障があり、その後に国家賠償を受ければ、判決された額から刑事保障の分が相殺されるそうだが、そもそも最高でも12,500円というのは年収4,562,500円(12,500円 X 365日)のサラリーマンの日当程度であり、人生を棒に振らされた冤罪被害者の苦痛と被害を考慮している筈がない金額だと思う。しかし、これが、現在、国民に対する基本的人権の侵害に対して、司法が妥当と考えている損害賠償額ということになる。これで計算すると、20年拘束されても最大で91,250,000円(4,562,500円 X 20年)ということになるが、人によるとしても、生涯所得の逸失利益と慰謝料から計算すると、もっと大きな金額になる人は多いだろう。

 課題は、司法が、真実を明らかにして真犯人を捕える発想と技量に欠けていること、真相追及のための裁判に、修正が効かなくなる10年単位の期間を要することである。これは、人の人生を左右する問題であるから、「裁判官や弁護士が忙しいから」などという弁解をすることは、あまりにも人権意識が低すぎると言わざるを得ない。

 なお、これについては、司法のみでなく立法・行政・民間企業にも多くの人材を送っている、我が国の法学部教育にも問題があるのだと聞いている。もし、これが医学部だったら、医者が、胃がんの人の肝臓を間違って摘出したら、病気は治らないし大変なことになるので、病気の原因を正確に把握してから治療するという勉強をして大学を卒業する。

*1: http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/309985 (西日本新聞 2012年6月28日) 地裁で死刑判決を言い渡しているうちに涙声になり…
地裁で死刑判決を言い渡しているうちに涙声になり、控訴を勧めた裁判長がいた。10年ほど前の九州でのことだ。極刑を下す人の苦悩を物語る死刑判決にかかわる裁判官の胸中は、一審であれ最高裁であれ、基本的に違いはない。殺人事件で死刑維持の判決を言い渡したあと傍聴席から投げつけられた「人殺し!」の言葉を胸に刻んだ最高裁判事もいる。団藤重光さんだ。被告は否認していた。一抹の不安が、罵声を生涯忘れられないものにした。人が人を裁くことの怖さをかみしめ直し、退官後は死刑廃止運動にかかわった自著「死刑廃止論」は1991年の出版から10年間で6版を重ねた。刑法学者として世に出た団藤さんは現行刑事訴訟法の生みの親となり、最高裁判事時代は人権派として鳴らした。広く深く知られた軌跡が退官後の言動に重みを与えてきた。先日、98歳で亡くなった。一昨年開かれた集会に次のようなメッセージを寄せている。「この20年間で死刑廃止国と存置国は逆転した。若い皆さんが死刑廃止へ向けて努力してくださることを願ってやみません」(朝日新聞から)。先進国で死刑を執行している国は今や珍しい。裁判員制度のもと一般市民も死刑判決に加わるようになった。施行3年を経て裁判員制度は見直し時期に入ったが、法務省は「国民の評価は高い」として抜本見直しには消極的と伝えられる。団藤さんはどう聞いていただろう。

| 民主主義・選挙・その他::2010.4~2012.12 | 09:52 AM | comments (x) | trackback (x) |

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