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2013.2.15 5~7年後には電力会社の現在の送電網は価値を減じているため、5~7年後の「発送電分離」では遅すぎる。電力会社は、早く発電会社と送電会社を法的分離して、送電会社の株式を売却するべきだ。
(1)地域間の遠距離送電について
 このブログの2012.8.1に記載したように、鉄道や高速道路の敷地を使って超電導電線を引けば、①土地の買収がいらない ②電気抵抗のない電線を使う遠距離送電を安価に行える ③道路会社や鉄道会社に一定の送電収入が入るため、道路・鉄道などのインフラ整備のハードルが下がる などのメリットがあるので、国は、率先してこのインフラを進めるべきである。

(2)地域内の近距離送電について
 明治時代に最初の電流を流した時と異なり、現在では、大量の電気エネルギーを使っているため、電信柱の送電線では危険である上、道を狭くし、街中の景観も悪くなっている。そのため、送電線は速やかに地中化し、交換していくべきだ。そのためには、街中の近距離送電は、地方自治体が水道管や下水管に沿って新しい送電線を敷設することを可能にすれば安価にでき、地方自治体にも送電料という収入が入る。また、エコファームを売っているガス会社が、ガス管に沿って送電線を敷設してもよい。そして、最終的には、発電者が安い送電網を選んで再生可能エネルギーを供給できる方式にするのが、市場原理に基づいて電気料金を安くするためにBestである。

(3)現在の送電網はどうするのがBestか
 新型の送電網が整備されるにつれ、既存の送電網の価値は減ずる。そのため、電力会社は速やかに送電線と送電に携わる人材を分社化した送電会社に移管し、株式を売却して、その会社が独立性を持てる状態にまですべきである。これにより株式譲渡益が入るので、*3のように、原発停止の影響を直ちに電力料金に上乗せする必要がなくなると同時に、次世代の送電を担う会社も作ることができる。電力会社の送電網は、もともと総括原価方式という特殊な会計基準と地域独占によって電力会社に与えられたものであるため、価値があるうちに、まず、それを売却するのが筋であろう。

 従って、*2のうち、「競争を促す発電事業に対し、送配電事業は基本的に独占だ。需要の変化に応じて過不足なく円滑に電気を供給する調整役だから、複数いればややこしい」という部分については、経済産業省や電力会社の立場にすぎないため賛成できない(*1、*2のその他の部分については、賛成である)。そして、民営化して普通の市場競争をした方が、最新の技術を取り込んで効率化するスピードが早く、より安い価格で必要な量が供給されてきたというのが、世界史の常識だ。

*1:http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi#Edit1
(朝日新聞社説 2013年2月10日) 発送電分離―後戻りは許されない
 経済産業省の有識者委員会が電力システム改革の報告書をまとめた。与党内での議論を経て、経産省は必要な改正法案を今国会に提出する。地域独占を撤廃し、家庭向け電力の販売自由化や電力市場の活性化を通じて、競争と新規参入を促す手立てが網羅されている。実施されれば抜本的な改革となる。なかでも、電力会社の発電部門と送配電部門を別会社にする「法的分離」を明記した意義は大きい。多様な電源を生かした効率的な電力ネットワークをつくるには、送電網の広域化・中立化が不可欠だ。長年、課題とされながら電力会社の抵抗でびくともしなかった分野である。
 「変革」の必要性をつきつけたのは、原発事故だ。電力会社が「安定供給のため」と主張してきた発送電一体・地域独占の仕組みが、実はひどく脆弱(ぜいじゃく)だったことが露呈した。後戻りは許されない。改革メニューには、送電網を束ね、必要な整備計画や需給を調整する広域連携機関と、これらを監視し、利用者側の視点に立って必要な是正を求める新たな規制機関の創設も盛り込まれている。中身が多岐にわたるため、改革は段階的に進められる。発送電分離の実施は、最終段階となる2018年以降になる見通しという。たしかに制度設計には一定の時間がかかるし、混乱を避けるためには順序を整理する必要もあろう。ただ、欧米ではすでに定着している制度も少なくない。日本に適した形へと手直しする必要はあるが、できるだけ前倒しで実施すべきだ。
 電力会社は今なお、技術的な難しさなどを理由に、発送電分離に強く抵抗している。工程表を明示するのはもちろん、後から骨抜きにされたり先送りされたりすることのないよう、法律上の手当てをしっかりしておくことが肝要だ。技術面でも、電力会社の言いなりにならないよう、中立的な検証・推進態勢をかためたい。必要なら、すでに分離が進んでいる海外から専門家を招いてもいいだろう。報告書は今後、与党審査を経る。税制改革で道路特定財源の復活を狙うなど、自民党には依然として利益誘導・業界優先の古い体質がくすぶる。往年の電力族が巻き返す機会はまだまだある。新しい経済のための新しい自民党を見せてもらいたい。

*2:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/348130
(西日本新聞社説 2013年2月14日) 発送電分離 最初の一歩は踏み出せた
 経済産業省の電力システム改革専門委員会(委員長=伊藤元重・東大大学院経済学研究科教授)は、電力会社の発電部門と送配電部門の分離など今後の電力改革の進め方を示した報告書をまとめた。同委員会は昨年2月に設置され、12回の会合を重ねて今回の報告書に至った。
 なぜ、いま電力改革なのか。2011年3月の東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故が分岐点だった。大震災で福島第1原発だけでなく、東北から関東の太平洋側にある多くの発電所が被害を受け、夏場の深刻な電力不足が懸念された。政府は東電、東北電力管内の大口需要家に電力使用制限令を発動するなど節電への協力を強く求めた。夏は乗り切ったが、課題は残った。原発依存の見直しが一つだ。電源を多様化する。風力や太陽光、地熱など再生可能エネルギーの普及が筆頭に挙がった。福島第1原発には6基の原子炉があった。大規模集中型は効率が良いかもしれないが、いったん事故があると大規模電源を一気に喪失する恐れがある。集中型から分散型への転換も必要、となった。電力不足の関東、東北に西日本からどんどん電気を送りたくてもできない広域送電網の弱さも浮き彫りになった。電源の多様化や分散化、広域送電網の充実などの課題をどう解決していくか。現行制度の延長線上で考えるか、抜本的に見直すのか。抜本見直しのために電力システム改革専門委員会が設けられた。
 今回の改革の目玉は発電と送配電部門の分離である。いま電力供給を主に担っているのは東電や関西電力、九州電力などである。大手電力9社と呼ばれ、地域割りで発送電一貫体制をとっている。これを発電と送配電に分け、別会社にしてしまう。そして、発電事業はもっと門戸を開放し、新規参入を促す。狙い通りいけば電源の多様化、分散化が進む。大手電力企業が風力発電や太陽光発電の普及に熱心だったとは言い難い。気象条件に左右されて安定性に欠ける電源はあまり増やしたくないのが本音だろう。門戸開放で再生可能エネルギーに取り組む事業者が増えることも期待される。
 競争を促す発電事業に対し、送配電事業は基本的に独占だ。需要の変化に応じて過不足なく円滑に電気を供給する調整役だから、複数いればややこしい。ただ、新旧発電事業者を差別しない中立・公平性が一層強く求められることになる。電力9社を発電と送配電に分離しただけでは、広域的な送電網の強化は図れない。そこで広域的な運用機関を設けて需給調整機能の強化などを進めるという。
 発電と送配電の別会社化も5~7年先を目標としている。独占型から開放型へと変える。息の長い改革で、いまはまだ一歩踏み出したところでしかない。スーパーコンピューターやインターネットに代表される情報通信技術の進化が電力改革を支える。改革に伴って電力の「地産地消」も進むのではなかろうか。

*3:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130215-00000004-khks-soci
(河北新報 2月15日) 東北電力値上げ 被災地、消費者や企業悲鳴
 東北電力が家庭向け電気料金の平均11.41%引き上げを政府に申請した14日、東日本大震災の被災地では、家計負担が増すことへの不安や戸惑いが広がった。東北電力の経営効率化の行方に厳しい視線を送る被災者も多い。企業向けも値上げされることから、再建途上の被災企業からは「値上げ分を製品価格に転嫁できる状況ではない」と悲鳴が上がる。「先の生活が見えない中での値上げは大きな負担。原発事故で避難させられているのに、電気料金の負担増を強いられるのはおかしい。被災者が忘れられているようだ」。東京電力福島第1原発事故で福島県双葉町から福島市の仮設住宅に避難している無職堀井五郎さん(65)が嘆いた。「電気料金の引き上げで日用品の値段が上がるようなことがあれば年金生活者には大きな負担になる」と懸念するのは、仙台市若林区伊在の仮設住宅で暮らす無職早坂勝良さん(72)。同区荒浜の自宅を津波で失った。「電気を多く使う季節は値上げ幅を抑えるなど配慮がほしい」と話した。
 石巻市では昨年6月、津波で施設が被災した石巻ガスが、家庭用の都市ガス料金を19.13%引き上げた。都市ガスを利用する在宅被災者にはさらに負担がのしかかる。大規模半壊となった自宅を修繕した同市住吉町2丁目の無職芳賀敏さん(66)は「全体を考えるとやむを得ない。ガス値上げ後は風呂のガス使用も抑え、節約している。自分たちにやれることはそれしかない。電力会社にも見える形で自助努力をしてもらわないと困る」と注文を付けた。事業を再開しても、多くの被災企業は震災前の生産水準に戻っていない。失った顧客を取り戻そうと懸命な努力が続いており、大幅なコスト増は足かせになりかねない。昨年3月に主力の本社工場を再開した水産加工業の八葉水産(気仙沼市)の清水敏也社長は「生産ライン数は震災前の3分の1。まだこれからという段階なのに大打撃だ。値上げ分の価格転嫁はできない。内部のコストダウンしかないが、それにも限界がある」と頭を抱える。津波で全壊した工場を昨年7月に稼働させた水産加工業のナカショク(岩手県大槌町)は、新しい冷凍冷蔵施設の完成を4月に控える。新施設だけで月の電気代は100万円を超える。斉藤勲社長は「値上げで電気代がさらに膨らむのは本当に切ない。再建途上の被災地の負担を軽減する特例措置を認めてほしい」と話した。

| 資源・エネルギー::2012.9~2013.3 | 06:14 PM | comments (x) | trackback (x) |

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