■CALENDAR■
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31       
<<前月 2024年03月 次月>>
■NEW ENTRIES■
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■OTHER■
左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。

2013.9.30 消費税増税と社会保障費削減について
      
   2013.9.29朝日新聞   2013.9.25朝日新聞  2013.9.25西日本新聞

(1)消費税増税の本質と社会への影響
 現在、課税対象になっている会社にかかる消費税の計算は、「売上高x5%-仕入高x5%=付加価値額x5%=消費税額」となっている。簡単化のため、他の会社に支払う経費(電力料など)も仕入高に含めると、その会社の付加価値額は、主にその会社で働いた人の人件費と会社の利益だ。

 つまり、財・サービスを購入する人は、人件費分について、余分に消費税を支払わなければならないのである。従って、食品を野菜や肉・魚などの素材で買う人より、調理済みの食材や弁当を買う人の方が、調理する人の人件費と調理する会社の利益の5%分だけ、多く消費税を支払っていることになる。

 消費税率を上げて消費税を増税すると、この影響はますます顕著になり、「金のない人は、加工していない食材を買って自分で加工せよ」というメッセージになる。それは、特に高齢者世帯・自宅療養している世帯・共働き世帯などにさらなる負荷を強いるとともに、社会全体としては雇用を減らす圧力になる。

(2)消費税増税の目的
 消費税増税の目的は、*1に記載されているように、①社会保障財源 ②財政立て直し と言われてきた。しかし、私が、このブログで何度も書いてきたように、①については、金に色がついているわけではないため増税を国民に納得させるための建前にすぎず、それは*1の使い方を見ても明白である。また、②については、無駄遣いを排除することなくしては進まず、*1のように「景気対策」という名目で、これまでも散財が続いてきたが、何も改善されていない以上、規模を大きくしてこれからも散財が続くだろう。

 そして、政府は、*2の「消費税転嫁法を10月1日に施行して『税抜き』の価格表示を認める」というように、中小企業が価格転嫁をしやすいようには配慮したが、消費者にはわかりにくい表示を許した。本来、「本体価格+消費税額=支払総額」が、買い手に一目でわかるようにすべきなのに、である。

(3)社会保障はどうなったか
1)年金減額(?!)について
 *3で「過去の物価下落時に特例で据え置き、本来より高い支給水準が続いてきたのを段階的に解消するため、年金給付は10月分(支給は12月)から1%減額する」とされているが、現実には、脱デフレと銘打った金融緩和政策で、食料品等も値上がりしている。そのほか、一部の自動車保険料、牛乳、輸入小麦の価格も上が*4の「厚生労働省は、現在は1割となっている介護保険の自己負担割合を、一定以上の所得がある人については2割に引き上げる方針を決め、一定以上の所得とは、年金収入のみなら年間280万円~290万円以上の人」としている。年間280万円であれば月収約23万円になるが、医療・介護費用は生活費とは別にかかるため、月収23万円を高所得世帯とは言えないだろう。

3)教育について
 *5のように、「高校授業料の無償化制度に年収910万円所得制限を設ける見通しで、2014年度から実施し、この所得制限によって高校生全体の22%が対象から外れて浮いた約490億円を、中低所得層の支援の拡充に回す」とのことである。原発の汚染水浄化装置一つのために450億円の予算が即決でついたが、このような所得制限を設けて浮いた額は、汚染水浄化装置一つとあまり変わらない額なのである。それでも、所得制限が必要だろうか。

 なお、*5で高所得者とされる910万円(4人家族を想定すれば1人当たり228万円)は、*4で「一定以上の所得」とされる老人世帯の280万円(夫婦2人の家族を想定すれば1人当たり140万円)の1.63倍(228÷140)である。「老人は、若い世代の子どもも含めた一人当たりの所得より小さな所得で暮らせ」というのも変な話であるため、この一人当たり所得制限の違いについては明快な説明が必要だ。この説明をさせれば、私が、このブログの2013年9月27日に記載したことが、経産省だけではなく、財務省はじめ他の省の官僚についても当てはまることがわかる。そして、これが、「人間を幸福にしない日本というシステム」の発想なのだ。

 ちなみに、原発は、平時でも国から年間約5000億円の補助を受けており、核燃料の最終処分、廃炉、事故対応で、国はさらに天文学的費用を拠出するが、これには異を唱える人が少ないのもおかしい。

*1:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309200724.html?ref=pcviewpage
(朝日新聞 2013年9月21日) 揺らぐ理念 「社会保障目的」かすむ 消費税、来春8%
 安倍晋三首相が来春の消費増税を決断し、家計は重い負担増に直面することになった。そもそも今回の増税は、年金や医療などの制度を維持・拡充し、先進国最悪の財政を立て直していく目的だった。ところが、「景気の腰折れを防ぐ経済対策」という名目で、増税で吸い上げたお金は当初の想定とはまるで違う使われ方をしようとしている。「消費税の増収分はすべて社会保障に使うことを国民に約束したい」。民主党の野田佳彦前首相は記者会見で、増税分は社会保障の財源に充てることを、繰り返し強調していた。消費増税法が成立した2012年8月のことだ。実際、民主党政権が始め、安倍政権が引き継いだ「税・社会保障一体改革」では、税率を10%に引き上げた時の増税分のうち、4%分にあたる11兆円弱は「社会保障の安定化」に使うと明示した。高齢化で医療や介護費用が自然に膨らむ分など(約7兆円)や、基礎年金の支給に必要なお金の半分を国が負担する分(約2・9兆円)などをまかなう想定だ。これまでは不足分を国が借金を重ねて穴埋めしてきた。「社会保障の充実」に充てる分としては、都市部を中心に不足する保育所の新設や、在宅医療・介護の態勢整備、低年金の人への支援などが並ぶ。だが、ここにきて「社会保障のため」という看板は揺らいでいる。安倍首相は来年4月に予定通り税率を8%に引き上げることを決断したが、負担増による景気の腰折れを防ぐため、5兆円超の経済対策を打ち出す意向だからだ。しかも、経済対策に盛り込まれた公共事業の追加や投資減税などとは異なり、法人実効税率の引き下げは恒久的な措置。実質的には全国民から集めた消費税が、法人税を納める一部の黒字企業の経営支援に回る形になり、増税の目的は大きく変質する。「年金、医療、介護の社会保障給付と少子化に対処する施策の経費に充てるものとする」。自公民3党が成立させた消費増税法は、増税分の使い道を明確に定めた。企業優遇の経済対策づくりを急ぐ首相は、条文との整合性をまだ何も説明していない。
■財政再建、危うい道筋
 国の借金が1千兆円を超える日本の財政状況は先進国で最悪だ。消費増税は、この財政を立て直すためでもあったが、5兆円超と見られる経済対策によって財政再建の道筋は危うくなっている。前年度に使い残したお金や、今年度の景気回復による税収増など計算できる財源は、今のところ3兆円ほどしかない。税収の伸びが足りなければ、国債を追加で発行せざるを得なくなり、「財政再建の消費増税なのに本末転倒の事態」(BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト)になりかねないのだ。減税や補正予算でお金をばらまけば、日本が世界に約束している財政再建目標の達成に「黄信号」がともる。安倍政権は、国と地方の政策にかかる予算の赤字(国内総生産に対する比率)を、15年度は10年度に比べて半減、20年度はゼロにすると国際公約にしている。その達成に向けて政権は8月、今年度23兆円ある国の政策予算の赤字を、今後2年間で4兆円ずつ減らす「中期財政計画」をつくったばかりだ。巨額の補正予算を組んだり、法人税率を恒久的に引き下げたりすれば、わずか1カ月前につくった計画の達成が早くも怪しくなる。さらに、20年度に赤字をゼロにする目標は、消費税率を10%に上げ、年2%という高めの経済成長がずっと続いたとしても達成できない、と政府自身が試算している厳しいハードルだ。経済対策の大盤振る舞いで政権が財政再建に不熱心だとみられれば、いずれ金融市場で日本国債が売られ、企業や個人の借入金利がはね上がり、経済やくらしを脅かしかねない。

*2:http://qbiz.jp/article/24357/1/
(西日本新聞 2013年9月30日) 【なるほど消費税】(6)価格転嫁の対策は?
◆「買いたたき」を禁止 
 消費税が増税されると、立場の弱い中小企業が取引先の大手企業などから増税分の値引きを強要される「買いたたき」などが予想される。国は中小企業が価格転嫁しやすいように、消費税転嫁法を10月1日に施行。監視を強化するが、実効性に疑問の声もある。同法では「税抜き」の価格表示も認められ、税込みの総額表示に慣れた消費者の混乱を招きかねない。価格転嫁対策では、大規模小売業者などが中小の取引先から仕入れる際の買いたたきや、増税分の値上げを受け入れる代わりに、自社の商品購入を強要する行為を禁止。悪質な違反は公正取引委員会が勧告を行い、業者名を公表する。中小企業の業界団体が増税分の値上げで共闘する「転嫁カルテル」も認める。公取委と中小企業庁は、計600人の「価格転嫁Gメン」を臨時職員として雇い、目を光らせる方針。だが、小規模企業の団体である全国商工会連合会の石沢義文会長は「100%の価格転嫁は無理」と懸念する。同法では、小売業者の値札張り替えなどの作業軽減や適正な価格転嫁を促すため、税抜き価格のみの表示も認められる。スーパーの業界団体である日本チェーンストア協会は「税抜きが基本」、日本百貨店協会は「これまで通り総額表示が望ましい」とするなど、小売業者間でも対応はまちまちだ。他に「消費税還元」をうたうセールの禁止も盛り込まれた。一方、「3%値下げ」や「春の生活応援セール」など、消費税に直接触れなければ、事実上の還元も容認されることになった。

*3:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309290375.html?ref=pcviewpage (朝日新聞 2013.9.30) 年金減額、増す負担 10月から暮らしこう変わるー10月から暮らしこう変わる
 10月から暮らしにかかわる様々な制度が変わる。年金給付カット、一部食料品の値上がりなど、じわりと家計を圧迫しそうだ。年金は10月分(支給は12月)から1%減額される。過去の物価下落時に特例で据え置き、本来より高い支給水準が続いてきたのを段階的に解消するためだ。家計にかかわるものでは、一部の自動車保険料のほか、牛乳、輸入小麦の価格も上がる。また来年4月に予定される消費増税を前に、商品の「税抜き価格」表示が可能になる。本来は「税込み価格」が義務だが、業者が増税分を明示して価格に上乗せしやすくする。

*4:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130921-OYT1T00107.htm
(読売新聞 2013年9月21日) 介護保険、一定所得で2割負担に…厚労省方針
 厚生労働省は、現在は1割となっている介護保険の自己負担割合を、一定以上の所得がある人については2割に引き上げる方針を決めた。年金収入のみなら年間280万円以上もしくは290万円以上の人が対象となる案を検討している。25日の社会保障審議会介護保険部会に提示する。来年の通常国会に介護保険法改正案を提出し、2015年度の実施を目指す。介護保険財政の安定のため、能力に応じた負担をしてもらう狙いで、高齢者の20%程度が該当する。検討されている対象者の基準は、収入から公的年金等控除や事業の必要経費などを差し引いた所得が〈1〉年間160万円以上〈2〉同170万円以上――の2案。公的年金等控除は最低120万円なので、年金収入のみなら年間280万円以上か290万円以上となる。〈1〉は高齢者全体の上位20%程度にあたる水準で、〈2〉は住民税課税者の半数にあたる水準。標準的な年金額や平均的な消費支出額を上回り、負担可能とみられる層を対象とした。

*5:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013092402000145.html
(東京新聞 2013年9月24日) 高校無償化 教育の機会を歪めるな
 高校授業料の無償化制度に所得制限が設けられる見通しだ。親の貧富にかかわらず、子どもの学びを社会全体で等しく支えるという基本理念が損なわれてしまう。教育の機会を国が歪(ゆが)めてどうする。二〇一〇年度に民主党政権下で導入された制度だ。公立高生からは授業料を取らず、私立高生には就学支援金を出す仕組みで、国が年間約十二万円を負担する。私立では低所得の家庭に加算される。未来を担う子どもの可能性を高め、開花させる機会が親の経済力に左右されないよう国が保障する。大切な制度だ。それを高所得層まで対象とするのはバラマキ政策だと、自民党は批判してきた。そして、年収が九百十万円に届かない家庭に限ることで公明党と合意した。一四年度から実施する構えだ。この所得制限によって高校生全体の22%が対象から外れ、約四百九十億円の費用が浮く。それを中低所得層の支援の拡充に回す。私立高生への就学支援金を手厚くしたり、返済義務のない給付型奨学金を創設したりするという。経済格差の広がりを見れば支援の底上げは喫緊を要する。しかし、その方法には問題が多い。いくら高所得層とはいえ、同じ高校生を抱える家庭にその代価を支払わせるのでは著しく公平を欠く。だいたい九百十万円で線引きする根拠が分からない。これを境に子ども一人当たり高校三年間で三十五万円余の負担差が生じる。二人で七十万円、三人では百万円を超す格差になる。大学の費用まで見据えると、子どもの多い家庭は不満が募るだろう。多少年収が高くても、若い夫婦は子どもを産み控えかねない。教室に授業料を納める生徒と納めない生徒が混在すれば、無用の亀裂を招かないか。親の貧富にまつわる情報がどんな動揺を与えるか想像力を働かせるべきだ。
 日本は昨年九月、高校と大学の無償化を徐々に進めると謳(うた)った国際人権A規約の規定を守ると宣言したはずだ。所得制限の設定は時計の針を巻き戻すに等しい。無償化予算を積み増さず、現行の枠内でやりくりするから角を矯めて牛を殺す結果になる。そもそも日本の教育予算の国内総生産に占める割合は先進国で最低水準だ。「教育再生」を唱える安倍晋三政権の熱意を疑う。公教育は本来、所得に応じて負担と給付の均衡を図る福祉ではない。子どもへの投資は社会の利益となって還元されるのだから。

| 消費税増税問題::2012.8~2014.11 | 10:55 AM | comments (x) | trackback (x) |

PAGE TOP ↑