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2013.11.24 フクシマにおけるSPEEDIの情報は、何故、開示されなかったのか?(2013.11.26、27に追加あり)
 (フクシマ事故時のSPEEDIの情報やそれを公開しなかった理由も特定秘密にしないでしょうね)

(1)SPEEDIの実力について
 *1に記載されているように、SPEEDIとは「最大79時間先までの原子力施設付近の風速や大気中の放射性物質の濃度、線量率の分布等の予測計算を行い、それを地図上に表現された計算図形として関係機関の端末に配信するシステム」であり、これにより迅速で正確な避難や初動を行うためのものだった。そして、100億円規模の開発費と平時のデータ収集にかけたコストの意味は、まさにこの原子力緊急事態での働きにあったのだが、フクシマでは、何とかかんとか言ってSPEEDIが活かされなかった。

(2)SPEEDIの内部被曝情報について
 *1の後半には、SPEEDIの内部被曝に関する情報についての説明がなされている。また、*2には、医療ガバナンス学会(http://medg.jp/mt/2011/06/vol189speedi.html)が、SPEEDIに関するパンフレットから、「重大事故が発生した場合、希ガス、ヨウ素、セシウム、プルトニウムなどの核種ごとの単位時間放出量等を入力すれば、日本各地における事故発生後の外部被曝実効線量と内部被曝実効線量をSPEEDIで予測できることがわかる」等としている。さらに、「出力図形一覧を参照すると、年齢別の内部被曝量も、臓器別の内部被曝量も、具体的に予測できる」としているが、これこそが、SPEEDIの実力であり、開発目的だったため、そのデータはある筈なのだ。

(3)SPEEDIのデータと住民の被曝は未だに隠されているということ
 そのSPEEDIのデータは、事故後5,000枚以上の試算結果があり、事故直後の3月14日には、文部科学省が計算結果を、外務省を通して米軍に提供していたにもかかわらず、政府はパニックを避けることを優先させるため、国民には公開しなかった。そのため、自治体が住民避難を計画する参考にも供されなかったが、原発立地地域の住民に対する従前の説明では、万一の事故時の避難に際しては、SPEEDIのデータを活用するとされていた。

 私は、*3のように、フクシマの原発労働者の実態にメディアが十分に迫っていないのと同様、SPEEDIのデータとそれによる科学的な住民の被曝実態についても、メディアは十分に迫っていないと思う。そして、原発再稼働に向け、これらの不都合な事実が隠されていくのは、確かに原発問題の闇だろう。

(4)日本は人権を無視する国か
 そのような中、内部告発者や秘密を報じるジャーナリストを脅かす内容を含む特定秘密保護法案が成立させられようとしており、これについては、*4のように、国連人権理事会のフランク・ラ・ルー特別報告者が懸念を表明しており、もっともである。

 しかし、それと同時に、5,000枚以上の試算結果があるにもかかわらず、パニックや混乱を避けるという理由で、住民の命にかかわる重要な情報を住民に公開しないことも、人権の問題として強く非難すべきだ。何故なら、そのような価値観を持ち、そういう判断をする人が意思決定する立場にいるのは、日本を人権無視の国にすることになるからである。

*1:http://www.geocities.jp/wakashimu/sped_si02.html
第二章 SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)とは何か
ⅰ.SPEEDIの概要
 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information)ことSPEEDIとは、原子力発電所の事故など、放射性物質が大気中に放出されるような緊急事態が生じた場合、あるいは、生じる危険性がある場合に、迅速かつ正確な避難計画の策定や防護対策の基本資料を提供するために開発されたシステムである。日本の原子力防災は、原子力災害の特殊性を鑑み、通常の災害対策以上に迅速な初動が重視されており、災害対策基本法とは別に、原子力災害特別措置法が制定されている。この特別法では、電力事業者が、異常事態の通報を怠ったり、通報するかしないかを様子見しながら判断することなどを禁止する強制力のある通報義務や、原子力災害対策本部や現地対策本部など、災害対策における合理的な組織体制、役割、人事を、法的根拠に基づいて速やかに実施できるように整備されている。SPEEDIは、そのような原子力災害に対して、迅速な初動を重視する日本国原子力防災の一環にして柱でもある。
 SPEEDIの役目は、最大で79時間先までの、当該原子力施設付近の風速場といった局地的な気象予測や、大気中の放射性物質の濃度、線量率の分布等の予測計算をおこない、それを地図上に表現された計算図形として関係機関の端末に配信することにある。
 原子力災害の対応にあたる各種対策本部や自治体は、配信された予測計算図形を基本資料とし、緊急時モニタリング計画や避難計画の策定等に利用することで、より迅速、より正確な初動が期待できるわけである。
 SPEEDIには平時の運用と緊急時モードがあり、平時は、関係府省と関係道府県、オフサイトセンター、日本気象協会などが、原子力安全技術センターを中心にネットワークで結ばれており、緊急時の予測計算に必要となる様々なデータを集積している。
 平時から集積しているデータの内容は、各原子力施設近辺の地形情報、気象観測点データ、アメダスやGPVデータといった局所的な気象実績、モニタリングポストからの放射線データなど、緊急時の放射能影響予測計算に必要な情報や、人口や避難施設などの社会的な情報も含まれており、それらは静的な格納データとして蓄積されているのである。
 SPEEDIは、平時からこれだけのことをしているが、それも全て、原子力災害にあって迅速な初動対応を可能とする基本資料の提供――緊急時モードでの放射能影響予測計算と配信――のために存在しているといっても過言ではない。
 つまりは、原子力緊急事態における運用こそが、SPEEDIにとっての存在意義を懸けた本番であり、100億円規模の開発費と平時のデータ収集に必要なコストの対価なのである。
 当然、SPEEDIの法的な位置づけは、民間の危機管理システムとは根本的に異っており、災害対策基本法の第三章に基づく防災基本計画第10編原子力災害対策編、原子力災害対策特別措置法において「専門的・技術的事項について尊重すべし」と定められている防災指針、及び同指針の四章で定められている『環境放射線モニタリング指針』などに基づいている。
 SPEEDIによる計算の実務を遂行するのは、文部科学省所管の財団法人原子力安全技術センターであり、緊急時(15条通報等)の命令も、当該財団の主務官庁である文部科学省から出されることになっている。※ただし、今回の福島第一原発事故では、文部科学省がSPEEDIを使いこなせないということで、3月16日に経産省所管の原子力安全委員に実質的な権限が渡されている。
 実地的な運用については、原子力安全技術センター編『SPEEDI運用マニュアル』や、政府及び各自治体や関連機関にまたがる『原子力災害対策マニュアル』などよって定められており、官民一体となって実施される原子力総合防災訓練(原災法に根拠を持つ)でも、SPEEDIを利用した避難計画の策定訓練が組み込まれるなど、具体的な利用方法が整備されている。

ⅱ.計算に必要な情報と放出源情報
 緊急時におけるSPEEDIの計算に必要な情報は、平時から収集している格納データ(核種、過去の気象データ、当該施設付近の精巧な地図情報等)と、リアルタイムの気象情報、そして放出源情報の三種類に分けることができる。放出源情報とは、原子力施設から、どのような放射性物質がどのくらい放出されているか、されそうかといった数値データである。放出源情報を得るには、緊急時モニタリングによる実測値から逆推算する方法や、SPEEDIと連動することができるERSSから得ることができる。ERSS(緊急時対策支援システム)とは、原子炉の状況や施設のデータを提供し、緊急時にあっては事故の進展なども予測するシステムである。ただし、緊急事態の初期段階では、ERSSからの正確なデータや実測値などの定量的な放出源情報を得るには、1~3時間ほど必要であることが防災訓練からの知見で得られており、二種類の放出モード、「単位量放出」と「変動放出」を用意することで、放出源情報を待つことなく計算が開始できるように工夫されている。
 緊急時モードで起動したSPEEDIは、まず、定量的な放出源情報を待つことなく、単位量放出によって予測計算する運用が『環境放射線モニタリング指針』等に定められている。「単位量放出」は、常に一定量の放射性物質が放出されるモードで、実測値が得られる前に計算する場合に使うことが想定されており、「変動放出」は、時間とともに放出量が変化する場合、つまり定量的な放出源情報が得られている場合に指定するモードである。この、ERSSからの放出源データがあれば、SPEEDIは、正確な情報に基づいて「変動放出モード」での計算ができるようになり、予測の精度が高くなることが期待される。また、福島第一原発事故において、災害対策本部(保安院)が、単位量放出による計算以外に条件を出して計算させた際に指定した放出源情報は以下のとおりである。
 ①設置許可申請書に添付されていた仮想事故、重大事故時の放出量データ
 ②設置許可申請書に記載されている安全評価の前提条件とした炉内放射能量
 ③ERSSに予め用意されていた事故時の放出量の予測データ
 これにより、緊急事態において、放射性物質の定量的な濃度分布予測が出せなくても、相対的な濃度分布予測図形を作成することができ、迅速な初動の参考に活用することができるのである。以上を踏まえ、計算に必要な放出源情報は、大きく三種類が想定されていることになり、放出源情報の種類によって異なった計算方法が確立されている。その計算方法を大別すると、まずERSSによる正確な放出源の実測値や定量的な放出量の予測数値による計算、モニタリング等の実測値から逆推算した放出源情報による計算、そして定量的な数値が得られる前の段階における単位量放出や水素爆発やベントを想定し、任意の核種や放出量を入力しておこなう仮定に基づく予測計算である。
(※5月31日参院文教科学委員会:数土参考人答弁より)
 余談になるが、『環境モニタリング指針』では、緊急時に、SPEEDIのデータすら配信されない事態も想定しており、手計算による簡易計算法の手順が載っている。ただし、今回の東日本大震災による福島第一原発事故では、3月11日から風速場、大気中濃度、空気吸収線量率の予測計算図形が配信されているため簡易計算は必要とはならなかった。
(中略)
8.内部被ばくによる実効線量
 ヨウ素以外のFP核種などの吸入による実効線量を表示とあるが、公式サイトに見本もなく、今回の福島第一原発事故では、7.の内部被ばくによる臓器等価線量図形と同じように、特別な意味をもって精査する必要がないため、詳細は省く。見本も公式サイトにUPされていない。
以上、8種類の予測計算がSPEEDIに可能とされる計算であり、いずれの予測計算にも、風速場図形に必要な気象に関する情報は必須である。とりわけ今回の事故を経てわかったことは、風速場図形、大気中濃度図形、空気吸収線量率図形が非常に重要で、事故の種類によって6~8の内部被ばくに関するいずれかの図形を加味すると、迅速な初動における避難計画と緊急時モニタリング、以降の避難計画等に重要な資料になりそうである。

*2:http://ameblo.jp/u-sa-kichi/entry-11129428832.html
(クラスタ民主主義システム研究室 2012年1月8日)  SPEEDIによる内部被曝予測を正しく活用し、直ちに内部被曝の実測を
テーマ:被曝 2011年6月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
http://medg.jp/mt/2011/06/vol189speedi.html
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 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)は、文部科学省管轄の財団法人原子力安全技術センターが運用しており、SPEEDIに関するパンフレットを公開しています。このパンフレットには、次のような記述があります。
・降雨および乾燥沈着ならびに放射能の減衰を考慮し、放射性物質の大気中濃度および地表蓄積量
 の予測計算を行います。
・放射性物質の大気中濃度および地表蓄積量の計算結果から、空気吸収線量率を計算します。空気
 吸収線量率は、各核種からの複数のγ線による寄与を個別に計算して合計する詳細な手法により
 計算されます。
・空気吸収線量率の計算結果から外部被ばく実効線量を計算します。
・放射性物質の大気中濃度の計算結果から、吸収による臓器等価線量や内部被ばく実行線量等を
 計算します。
 このパンフレットによれば、炉心溶融やコア・コンクリート反応などの重大事故が発生した場合、燃料種別、炉心溶融割合、炉心温度、コンクリート反応の有無、格納容器からの漏出割合を想定し、核種の組成比率データが格納されたデータベースから放出源情報を入力するか、希ガス、ヨウ素、セシウム、プルトニウムなど核種ごとの単位時間放出量等を入力すれば、日本各地における事故発生後の外部被曝実効線量と内部被曝実効線量をSPEEDIで予測できていることがわかります。また、出力図形一覧を参照すると、1歳児、成人といった年齢別の内部被曝量も、甲状腺や肺といった臓器別の内部被曝量も、具体的に予測できることもわかります。
 実際に、原子力安全委員会は3月23日、1歳児が屋外にい続けた場合、事故発生から12日間で甲状腺の内部被曝が100ミリシーベルトを上まわるというSPEEDI試算を公開しました。さらに、この3月23日の試算結果と同じ放出源情報に基づいて文部科学省が試算したSPEEDIによる予測結果では、茨城県東部から千葉県東部まで1歳未満児の場合に、10~50ミリシーベルトの甲状腺内部被曝が予測されています。
 しかし、その後は、なぜか、放射性物質の放出量をヨウ素単独で1ベクレル/時の単位量放出と限定して、5000枚のSPEEDI試算結果が公開されました。この5000枚では、日々放出され続けた実際の放射性物質総量を入力していませんから、SPEEDI本来の能力は活用されていません。また、燃料の温度上昇による放出+溶融炉心・コンクリート反応による放出を想定した文部科学省の解析予測でも、気象データは昨年4月から9月までの過去データによる試算しか行っておらず、なぜか、今年3月12日から現在までの気象データを利用していません。実際の放出量と気象データを用いた予測が必要だと思います。
 最近になって、事故直後から3月16日までに大気中に放出された放射性物質の量は、77京ベクレルと推定量が2倍になりましたから、実際のダストサンプリング結果と今年の気象データに基づいて、SPEEDIを正しく活用し、年齢別、臓器別に、原発周辺地域において事故発生から現在までの内部被曝累積の予測結果を公表して頂くよう切に要望します。さらに、実際の放出量を入力した上で、明日および明後日のSPEEDI予測も毎日公表すべきだと思います。そうすれば、学校等での被曝防護対策に活用できるはずです。
 住民への情報開示の観点からも、こうしたSPEEDIによる現実的予測を活用し、これまでに各地の住民が被爆した内部被曝総量を予測して、直ちに内部被曝の実測を開始すべきでしょう。ホールボディカウンタ検査だけではなく、バイオアッセイの試料に毛髪を利用すれば、内部被曝を時系列で推測できますし、今後の食物由来の内部被曝実測にも活用できる可能性があります。実際に、人の毛髪を使い、飲み水中のウランによる内部被曝を予測する報告もありますし、毛髪だけではなく爪でも内部被曝を実測できるという報告もあります。また、独立行政法人産業技術総合研究所は、セシウムの微少濃度変化を測定するため、極微量の金属元素分析が可能な誘導結合プラズマ質量分析装置を発注していますから、仮に、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)を用いて内部被曝を測定するとすれば、下記のように毛髪を保存、検査機関に郵送して、内部被爆を計測可能でしょう。
1.毛髪0.2g保存。できれば、多い方が良い。
2.採取量0.2gは、長さ3~4cmで150本程度。
3.出来るだけ毛根近くの毛髪を採取。陰毛でも測定可。
4.本人確認のDNA鑑定に備え、一部は毛根も含めて採取。
5.採取日を記載したジッパー付きビニール袋に毛髪を入れ、さらに封筒に入れ暗所保存。
 残念ながら、上記の方法は私見ですので、将来、内部被曝を解析できなかった場合の責任は負えません。ぜひ、SPEEDIを正しく活用し、内部被曝が高い地域を推定して、政府および原子力防災関連機関の指導の下、原発周辺住民の被曝を低減する目安とするために、尿、毛髪、爪などを用い、内部被曝の実測を開始して頂きますようお願い致します。

*3:http://takumiuna.makusta.jp/e225145.html
(子ども達を放射能から守るネットワーク@ちば 2013年07月23日) 32歳の元福島原発作業員が白血病で死去
 先般、福島第1原発事故の収束作業を現場で指揮した元所長の吉田昌郎氏が食道がんで死去されたニュースが伝えられました。当時70ミリシーベルトを浴びたと言われた吉田所長。他の作業員も相当の被ばくをしていたことは想像に難しくありません。しかし一向に元作業員におけるその後の状況や健康被害の情報が日本のメディアで取り上げられることがありません。そんななか、FBの友人である松本和広氏が知り合いの友達が福島原発の仕事後に白血病で亡くなっていたということを発信されていました。情報をシェアさせていただきます。7/16の投稿から以下転載いたします。
 知り合いの友達が福島原発の仕事後、白血病でなくなったそうです。知ってもらいたく開示許可もらいました。そのまま展開します。
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 私の友人は32歳。スポーツ万能で健康体でした!福島原発の事故があってから、手伝えないかと進んで参加しました。初回時期から1年間、現場最前線で頑張っていました。現場作業で、日当二万円。
 屋内2時間、屋外2時間の作業。ボスからは、東電は、しっかり放射線を監視しているからカウンター持参しなくて大丈夫。報道は過剰であって、放射線量の検査してるから大丈夫。と。。さらには、4階→3階→2階につれて、給与が増えていくらしく彼は3階で働いてました。1階は、出入り禁止らしく。当時は理由がわからずだったようです。
 1年で500万円ためて、自分でスポーツジムを経営し初めました。しかし、その半年後位から、だるさが出て、さらには鼻血がよく出るように。最近になりあまりにも体調がおかしいと、病院に行き検査したところ、すぐに大学病院紹介され、その日からすぐに入院に。
 一週間の精密検査をした結果、白血病と診断されました。さらに、2ヶ月の入院中でガンが見つかりました。また、二週間で全身転移。体力もなく手術できず。結局、白血病と多臓器不全さらにはガンによる死亡。体力に自信があった彼は、最後に…「東電に騙された。」といい、息を引き取った。
=============================
 福島原発の労働者の実態にメディアはどれだけ迫っているのでしょうか。多重下請け問題は取り上げるけど、放射線被ばくにおける健康被害の影響は一切伝わってきません。先日BSのプライムニュースで新潟県の泉田知事がこんな発言してました。「チェルノブイリ原発で初期の石棺作業にあたったのは死刑囚で、作業にあたった作業員は3年後全て亡くなった。日本ではそんな政治的取引が出来ますか」。
 個人差もあり、個人のプライバシーに関わる問題でセシティブな問題であると思いますが、被ばく労働の真実をメディアやジャーナリストは伝えてほしい。世界的に見ても再稼働に向けて不都合な事実が隠されていくのが、原発問題の闇の深さであると感じます。

*4:http://mainichi.jp/select/news/20131123k0000m030094000c.html
(毎日新聞 2013年11月22日) 秘密保護法案:国連人権理の特別報告者 日本に懸念表明
 国連人権理事会のフランク・ラ・ルー特別報告者(グアテマラ、表現の自由担当)は22日、日本の特定秘密保護法案について「内部告発者やジャーナリストを脅かすもの」との懸念を表明、日本政府に透明性の確保を要請した。国連人権高等弁務官事務所(本部スイス・ジュネーブ)が報道声明で発表した。ラ・ルー特別報告者は「内部告発者や、秘密を報じるジャーナリストを脅かす内容を含んでいる」と法案を批判。秘密漏えいによる損害が国民の「知る権利」という公益よりも大きな場合に限って秘密保持が認められるが、その場合でも、独立機関による点検が不可欠だと主張した。国家機密を漏らした公務員らに厳罰を科す内容が法案に盛り込まれている点について「違法行為や当局の不正に関する機密情報を『良かれ』と思って公にした公務員は法的制裁から守られなければならない」と指摘した。


PS(2013.11.26追加):私は、*5に大体賛成だが、「テロ防止のための原発警備計画は特定秘密の対象で、その他の原発関連情報は特定秘密の対象外とするのが政府方針」ということについては、線引きだけの問題ではなく、警備をしても護りきれずに大惨事に至るような施設は、そのことを特定秘密にすれば足りるのではなく、指摘されたら早急に除去することが必要なのであり、解決策が逆だと考える。雨

*5:http://www.minpo.jp/news/detail/2013112612373 (福島民報 2013年11月26日)
原発情報開示「不透明」 秘密保護法 福島で公聴会 全員が反対、慎重意見
 衆院国家安全保障特別委員会の特定秘密保護法案に関する地方公聴会は25日、福島市のホテル辰巳屋で開かれた。県内の首長、学者、弁護士ら7人が意見陳述し、特定秘密の範囲があいまいで東京電力福島第一原発の情報開示が不透明になる恐れがあるなどとして全員が法案成立に反対、または慎重な姿勢を示した。賛成意見はなかったが、特別委は近日中に法案を採決する方針で、陳述者からは原発事故に苦しむ県民代表の声を軽視しているとの批判の声が上がった。
■採決方針に批判の声
 浪江町の馬場有町長は、原発事故直後、放射性物質の拡散分布を予測する「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の情報が公表されなかったことを踏まえ、「政府が避難経路を明らかにしていれば、無用な被ばくを避けることができた」と情報公開の大切さを訴えた。さらに、4号機の核燃料プールからの燃料取り出しを例に挙げ、「県民の安全のためには、逐次情報を公開する方向に進むべきだ」と強調した。桜の聖母短大の二瓶由美子教授は、テロ防止のための警備計画を除く原発関連情報は特定秘密の対象外とする政府方針について、「原発関連情報とテロ防止の警備計画の線引きがあいまいだ」と指摘。県弁護士会の槙裕康副会長は「法律が成立すれば、解釈や運用で特定秘密は拡大の一途をたどる」と懸念を示した。しかし、出席した与党議員は、秘密の範囲について「国民の命と安全を守るためのもの」と明確さに欠ける発言を繰り返した。法律の制定で原発作業員による内部告発が制限される恐れや、原発関係の裁判で証拠が特定秘密のため開示されず、国民が不利益を被る可能性があるとの指摘もあった。平成14年に発覚した東電のトラブル隠しでは、原子炉内の点検結果の改ざんを作業員が告発した。国や県が把握できない原発内の偽装が明るみに出たことで、県民の安全・安心の確保のために安全監視が強化された経緯がある。公聴会終了後、委員会筆頭理事の中谷元・元防衛庁長官は「(法案全体の意義について)理解を得られたのではないか」と述べ、議論は尽くされたとの認識を示した。だが、法案の委員会採決が直前に迫る中での公聴会開催に、意見陳述した一人は「法案可決への通過儀礼ではないのか」と冷ややかな見方を示し、「県民の声を代弁した意見が法案に反映されなかったら、本県の顔に泥を塗るようなものだ」と厳しい口調で話した。地方公聴会は全国で福島市のみの開催。10月9日に県議会が原発事故の被災地として「慎重な対応を求める」とする首相、衆参両院議長宛ての意見書を全会一致で可決したため、開催地に選ばれた。


PS(2013.11.27追加):*6は事実だが、菅元首相は自然エネルギーによる電力買取制度を創設し、脱原発を主張している点が評価できる。また、当時、民主党政権は政権交代したばかりだったため、経産省、文科省によってSPEEDIの機能説明が正確になされていたかについては疑問だ。さらに、SPEEDIは、事故から現在までの放射性物質の放出もとらえていなければならず、その範囲や累積は大きい筈であるため、福島県だけではなく関東・東北各県の現時点までの累積を公表してもらいたい。また、使用済核燃料の取り出しが行われている現在も、SPEEDIは重要な役割をする筈だが、その情報は公表されていないため、速やかに公表すべきだ。
 なお、*7に記載されているように、関東・東北各県でも、内部被曝により呼吸器や消化器の疾患が増加するのは必然であるため(子どもに限らない)、福島以外でも検診すべきだ。

*6:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131126/plc13112622490028-n1.htm
(産経ニュース 2013.11.26) 首相「菅政権が対応誤った」 民主議員の原発事故情報非公表に反論
 安倍晋三首相は26日の国家安全保障特別委員会で、政府が東京電力福島第1原発事故直後に緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報を公表しなかったことについて「あのときは民主党政権だった。菅直人首相のときに出すべき情報を出さなかった。まさに政府が対応を誤った」と切り捨てた。首相に質問したのは事故当時の環境副大臣だった民主党の近藤昭一衆院議員で、「福島ではいろいろな情報が隠ぺいされてきて、特定秘密保護法でさらに秘密が拡大されるとの懸念がある」と迫った。だが、首相の反論に続き参院福島選挙区選出の森雅子少子化相も「福島県ではSPEEDIの情報が出なかったことが心に重くのしかかっている。あれは秘密でもなんでもなかった」とバッサリ。近藤氏は「反省とおわびを申し上げたい」と述べ、墓穴を掘った形となった。

*7:http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1311250024/ (神奈川県コミュニティーサイト 2013年11月26日) ベラルーシの教訓生かして 内部被ばく問題で医師が講演/相模原
 今からでも被ばくを減らすことを考えて-。相模原市南区の内科勤務医・牛山元美さん(56)が、原発事故による内部被ばくの問題と向き合い続けている。23日には緑区の橋本公民館で講演し、チェルノブイリ事故を経たベラルーシを今春訪ねた際に得た医学的知見を紹介。内部被ばくを軽視しない意識の必要性を訴えた。牛山さんは3月、日本人医師有志とともに、チェルノブイリのあるウクライナの隣国ベラルーシを訪問。現地の学術機関や検診医から事故後の現状について聞き取りを行った。講演会では、現地で得た知見として▽事故後、甲状腺がんが増加した▽甲状腺がんのリスクを地域別で分類し、検診を続けている▽保養活動で内部被ばくの線量が低下した事例も出ている-などを挙げた。
 周辺都市では子どもに呼吸器や消化器の疾患が増加。「放射能の影響かどうか専門家の間でも論争が続いている」「子どもの病気が増えているが、公式に(事故が原因と)言えない」など、難しさを抱えながら原発事故後の健康被害の治療に当たる現地の声も紹介した。またベラルーシの甲状腺専門医から「日本は被爆国としてベラルーシへの検診体制整備を支援してくれた。なぜ福島以外で積極的な検診をしようとしないのか」との疑問が投げ掛けられたことも明かし、日本の対応の不備を強調した。牛山さんは「将来、日本でも何らかのがんや疾患が増えた場合、福島の事故の影響か立証が難しいため、対策が取られなかったり、遅れたりする事態が起こるかもしれない」と指摘。「例え発症率が1万分の5だったとしても、その5人が自分の子どもだったらと考えて」と当事者意識を持つように促した。
 今できることとして、「卵巣への蓄積による遺伝的影響について、分かっていないことが多い現実を誠実に受け止める」「低線量被ばくを今までの常識で否定したり、軽視したりしないこと。今からでも被ばくの回避を」と強調した。ともにベラルーシに赴いた有志と、被ばくによる健康障害を減らす医学的な提言を行うグループも結成した牛山さん。「医学的な良心を果たしたい。無関心や誤解に働きかけていく」と締めくくった。講演会は市立橋本公民館の利用者有志が企画した。

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