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2014.4.22 新たな教育改革の必要性 (2014.4.22追加あり)
  
    幼稚園就園率      義務教育の就学率       高校・大学進学率
(下から3歳児、4歳児、5歳児)

(1)教育の必要性と現在の教育制度について
 2012.12.1の記事を始め、このブログの「教育・研究開発」のカテゴリーに多面的に記載したように、先端の人材を育成するためにも、質の良い労働力を育てるためにも、教育は不可欠であり、よい教育を受ける機会を与えられた人は、それだけ考えるツールが増し、幸福になれる機会も多い。

 そして、現在の教育の基礎となった教育改革は、*1に書かれているように、米国教育使節団が教育の機会均等を基本理念とした報告書をまとめ、1947年に義務教育の小・中学校から高校、大学へと進む6・3・3・4制を定めて、すべての子どもに差別なく9年間の義務教育を受けさせ、高学歴への道も開いたものだ。1946年に公布され1947年から施行された日本国憲法には、国民が等しく教育を受ける権利を有することが明記され、これによって、1947年に教育基本法と学校教育法が公布・施行されている。

(2)では、なぜ新たな教育改革が必要なのか
 戦後すぐに行われた教育改革は、戦前の6年間の義務教育とその先にあった複雑な高等教育を、すべての子どもに対し、9年間の義務教育と高学歴への道を開くというものだった。これにより、上の真ん中のグラフのように、義務教育の就学率は1970年代に100%近くなり、高校進学率も右のグラフのように1990年台には96%以上となって、その時代の経済に資する質の良い労働力を育成する目的を果たした。

 しかし、現在、高校は、96%以上の進学率でありながら、義務教育ではないため無償化されておらず、親の経済力が子の進学に影響したり、少子化の原因になったりしている。また、進学率50%を超える大学も同様だ。さらに、幼児教育を行う幼稚園の就園率は、上の左のグラフのように、1990年前後の65%を最高として、共働きの影響で保育園にシフトして幼稚園の就園率が減少傾向にあるとはいえ、現在も4歳児と5歳児では53~54%、3歳児でも41~42%の就園率になっている。

 そのため、産業がグローバル化・高度化して、高度な人材や労働力が求められる現在、新しい時代にあわせた教育改革は、必要であるとともに、合理的だと考える。

(3)新しい時代にあわせた教育改革とはどういうものか
 *1によると、安倍首相が、学制改革への意欲を表明したそうだ。私は、(2)の現状や教育における貧富の差の解消、子どもを産めない理由の一つとなっている親の学費負担を考えれば、3歳から18歳までを義務教育として無償化し、教育内容を体系化し直して、必要なことはゆっくり学ばせるのがよいと思う。勉強が難しく感じられるのは、教育を短期間で行い、よく理解しないうちに先に進むからで、時間をかけてしっかりやれば、誰でもついていけるだろう。

 そのため、3歳~8歳までの6年間(初等教育)、9歳~12歳までの4年間(前期中等教育)、13歳~18歳までの6年間(後期中等教育)というように、義務教育を6・4・6制に移行し、中等教育以降は、必要な事項を学習し終われば飛び級させたり、外国から来て下の学年の勉強をしたい人がいれば、必要な科目を履修させるなどして、柔軟な選択が出来るようにしてはどうかと思う。

(4)「勉強すること=学歴偏重、名目主義」というのは変な論理
 *1には、「①大学の名前で一生が決まる」「②恐るべき試験地獄」などとして、「③学校教育の充実=学歴偏重、学歴社会、偏差値教育、過度の受験競争」と書かれており、そのために「ゆとり教育」になり、学力低下を招いたことが記載されている。

 しかし、現在、①をやっているのは官庁くらいで、この記事を書いた朝日新聞の人事も①ではない筈だ。何故なら、①のような人事をしていれば、一番よい記事を書ける人が残らず、読者が減って利益が上がらないというように、大学卒の学歴だけでできるような甘い仕事はないからである。なお、公平・公正に選抜した結果、一部の大学卒の人が多くなるのは、自然現象であって学歴偏重ではない。

 また、②については、勉強することが地獄にならないために、時間をかけて無理なくしっかり理解させることが必要なのである。③については、学校教育の充実と学歴偏重は次元が異なり、学歴社会か否かを問わず、必要なことは学んでおかなければ考えることもできない。また、偏差値教育というのも、狭い範囲の周囲と比較して優劣を競いたがる社会の意識の問題であって、教育の充実と直接結びつくものではない。また、「過度の受験競争」というのも、どれくらい以上を過度と呼んでいるのかわからないが、受験があるから一生懸命勉強したという人も多いだろう。

(5)では、どういう改革をすべきなのか
 私は、幼児教育の一般化に伴い、義務教育の早期化による幼児教育の無償化を実現し、すべての幼児に充実した幼児教育を提供することに賛成だ。しかし、この際には、働く女性のことを考慮して、学童保育の整備も必要である。また、新たな学校区分へ移行することにも賛成で、現在の小中高を再編して前倒しに教育課程の検討を行い、学び直し、飛び級、早期卒業も可能にすべきだろう。

 しかし、専門高校等を活用した5年一貫職業教育や普通高校と専門高校の適正比率の検証については、普通高校から大学への進学希望者がこの60年間一貫して増加し、学歴を積んで勉強したい人が増えており、それが進歩した時代の要請にかなっている以上、希望ではなく無理に普通高校と専門高校に振り分けるのは、不必要な挫折者を出してよくないと考える。何故なら、専門は、高専や大学、大学院以降でも十分に勉強でき、普通高校程度の基礎知識は、誰にでも必要だからだ。

*1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11064493.html
(朝日新聞 2014年4月3日) (教育2014)学制改革、狙いはどこに
 みんなが同じように進級・進学して、それぞれの学歴を獲得していく戦後日本の学校制度。その仕組みを根本から変えようと、2012年に政権与党に返り咲いた自民党は「平成の学制大改革」を掲げ、安倍晋三首相が意欲を示す。なぜいま、学制改革なのか。
■戦後 義務教育以降の道、平等に
 義務教育の小・中学校から高校、大学へと進む6・3・3・4制が定まったのは、日本が米国の占領下にあった1947年のことだ。その年の2月15日付朝日新聞の1面には、こんな見出しが躍っている。「六・三制即時実施せよ 特権階級から教育開放 南原氏質問」。論戦の舞台は、帝国議会本会議。45年の終戦直後に東京帝大総長となり、吉田茂首相直属の教育刷新委員会で学制改革に取り組んだ貴族院議員の南原繁氏が、吉田首相に改革断行を迫った。議事録によると、南原氏はこう切り出した。「最も重要な一つの分野が取り残されている。それはほかならぬ、教育に関する改革の問題であります」。その前年、米国教育使節団が教育の機会均等を基本理念とした報告書をまとめた。柱は6・3・3・4制と、無償の義務教育を6年から9年に延ばすこと。戦前は一握りの特権階級のためだった高学歴への道を、すべての子どもに開くものだった。南原氏は「祖国再建の成否は国民の新しき教育にある」と訴え、財政難で動きが鈍かった政府の背中を押した。「もしも政府が財政上の理由からこの実現を遅らせるということがあるならば、国民国家にとって極めて大なる損害と不幸と思う」。吉田首相は「実現に努める」と応じ、翌年度からのスタートが本決まりに。3月には教育基本法や学校教育法が公布された。戦後の混乱期で学校整備は難航したが、新しい教育への国民の期待は大きかった。帝国議会は46年に「渾身(こんしん)の努力を教育の再建に傾注しなければならない」と政府に求める決議を採択。各地では学校再建のための募金活動が広がっていた。戦前の義務教育は6年間の初等教育のみ。そこから先の高等教育への道は、複雑で階級的な「複線型」の狭き門だった。帝国大学を頂点に、旧制高校や旧制中学、高等女学校、高等小学校、実業学校(職業学校)、師範学校(教員養成)などに分かれ、年限もバラバラだった。それが戦後、みんなが同じように階段をのぼるシンプルな「単線型」に変わった。憲法は、国民が等しく教育を受ける権利を有することを明記。すべての子どもが平等に教育を受け、高等教育への道をめざせるシステムができあがった。
■現在 脱「6・3・3」へ、首相意欲
 安倍首相(自民党総裁)は3月3日の参院予算委員会で、学制改革への意欲を表明した。「戦後の6・3・3制をもう一度見直そうと、学制の大改革にもいま挑戦し、議論をしているところだ」。自民党教育再生実行本部の「平成の学制大改革部会」が昨年5月にまとめた提言は、6・3・3制を弾力化し、4・4・4制や5・4・3制などへ移行することをうたう。小中一貫の義務教育学校(仮称)の創設や、後期中等教育の複線化に向けて5年一貫職業教育の検討も明記した。これも踏まえ、首相直属の教育再生実行会議は昨年10月から、学制の見直し論議をスタートさせた。安倍首相は悲願とする憲法改正をはじめ、米国の占領時代に土台が固まった戦後レジーム(体制)からの脱却を掲げてきた。いまの学制改革論議も、その流れに沿ったものだ。これまでも大規模な学制改革を唱えた提言はあった。1971年、文部相の諮問機関だった中央教育審議会(中教審)による通称「46(よんろく)答申」だ。答申は「敗戦という特殊な事情のもとに学制改革を急激に推し進めたことによる混乱やひずみも残っている」とし、4・4・6制への移行を念頭に、幼児学校や中高一貫の先導的導入を提言した。だが、これには学校現場などから「国民の十分な信頼のもとにすでに安定している小学校教育をなぜ変えようとするのか」と強い反発が起き、答申はたなざらしになった。それから40年余。安倍首相は「(いまの学制が)子どもの発達段階に即したものになっているか、能力や個性に柔軟に対応できるものになっているかなど、改めて問い直す時期」としつつ、「幅広い観点から丁寧に議論を重ねていくことも必要だ」と慎重に進める構えも示す。(編集委員・前田直人)
■子どもの個人差イメージして 国立教育政策研究所総括研究官・山森光陽さんに聞く
 学校の制度改革を考えるとき、私たちはどんな点に注意したらいいのか。教育心理学が専門で、学級規模の研究に取り組む山森光陽(こうよう)・国立教育政策研究所総括研究官に話を聞いた。
       ◇
 教育心理学は、子どもがどうなるのかを研究対象とした学問です。制度が子どもに与える影響を研究していますが、その影響は個人差によって様々です。私が研究している学級規模についても同様で、少人数学級を実施してもそれがクラスの全員に同じような効果があるとはいえません。進級・進学の制度がどんな影響を子どもたちに与えるのか、答えは簡単には出ません。6・3・3・4制改革にしても「大事なところだからつなげる」「大事なところだから切る」という両論があり得ます。発達段階は、全員が同じというわけではない。また、子どもが制度の変化を経験することでどういう影響があるのかを考えることも必要でしょう。飛び級は、一定の学力がついたかを重視する修得主義的な発想です。明治の前期は修得主義で、いわゆる等級制で同じ級にいろんな年齢の人たちがいました。その後、一定期間の就学を重視する履修主義となって次第に学級は同一年齢の集団になり、以降、先生が工夫を積み上げてきたわけです。それぞれ利点と難点があって、折り合いをつけるのは難しいと思います。昔と今で子どもを取り巻く環境も変わりました。学校の制度をめぐる議論が出ることは自然なことです。子どもたちは先生の指導の仕方から影響を受けます。制度は先生を介して間接的な効果をもたらすものですから、先生が授業しやすくなるかどうかも大事。子どもに優しい視点と言ったらいいのでしょうか。子どもの立場に立って、個人差をイメージしていくことが大切だと思います。
■学歴偏重、見えぬ是正策
 教育機会の均等をめざした戦後の学制のもとで新たに生まれた社会問題が、受験競争を過熱させる学歴社会の弊害だった。1966年、ソニー創業者の盛田昭夫氏が学歴社会を批判する「学歴無用論」を著した。「政府も人づくりと言えば、大学さえつくればいいということになり、駅弁大学という言葉が生まれるほどに大学を設けるし、大学の名前で一生が決まるという、不可解な現実が、この恐るべき試験地獄をつくりあげてしまった」。中教審も66年の答申で「学校中心の教育観にとらわれて社会の諸領域における一生を通じての教育という観点を見失ったり、学歴という形式的な資格を偏重したりすることをやめなければならない」と指摘した。是正に乗り出そうとしたのは、首相直属の臨時教育審議会をつくった中曽根康弘元首相だ。1986年1月、国会で、こう答弁している。「偏差値教育の問題は学歴偏重の社会的風潮、過度の受験競争といういろいろな問題が絡み合っている。そういう面についてメスを入れていかなければ、抜本的改革はできない」。臨教審は学歴社会の弊害の是正策として、生涯学習、学校教育改革、企業・官公庁の採用改善の3点を指摘。受験競争の過熱や偏差値偏重、詰め込み教育を改めようとした中曽根政権の問題意識は「ゆとり教育」へとつながった。しかし、学歴偏重をめぐる議論は次第に下火に。のちに「ゆとり教育」は学力低下を招いたとの批判を浴び、第1次安倍政権も「脱ゆとり」の流れを加速させた。学歴社会の弊害をどうただすかという問いかけへの答えは、出ていない。
■自民党教育再生実行本部「平成の学制大改革部会」提言(要旨)
 結果の平等主義から脱却し、社会状況や子どもの実態等に応じて、学校制度を多様化・複線化
【1】幼児教育の無償化の実現
 すべての3~5歳児に充実した幼児教育を提供
【2】6・3・3・4制の見直しと義務教育の充実
 新たな学校体系への移行を目指し、6・3・3制を弾力化。4・4・4、5・4・3など新たな学校区分へ移行▽小中一貫校「義務教育学校(仮称)」の制度を創設▽小中高一貫教育、義務教育の早期化の検討▽学び直しのための体制整備、飛び級・高校早期卒業の制度化などにより、個人の能力・適性に応じた学びの保証システムを実現▽先導的取り組みに対する財政支援を創設
【3】後期中等教育等の複線化
専門高校等を活用した5年一貫職業教育(目標200校)の検討▽普通高校と専門高校の適正比率の検証
■飛び級「賛成」51%
 朝日新聞社が2月15、16の両日実施した全国定例世論調査(電話)で、成績が優秀な子どもが学年を飛び越えて進級する「飛び級」を義務教育で認めることへの賛否は、賛成が51%で反対の38%を上回った。


PS(2014.4.22追加):*2のように、全国学力テストの①全員参加方式が復活 ②学校別の成績については各学校の判断だったが、区市町村教委の判断で公表が可能になった ③文科省は条件付きで区市町村教委が学校名を示した成績を公表できるよう実施要領を改めた といういずれにも驚く。何故なら、①については、全員参加して調査しなければ正確な状況はわからず、日本国内での比較もできないからだ。本来は、正確な状況を把握した上で、その原因を究明して改善すべきである。また、②については、これまで学校別の成績は公表しなかったのは何のためか思うが、学校は子どもの教育のためにあることを忘れてはならない。さらに、③については、文科省もそれを黙認し、「過度の受験競争」をやめるとして「ゆとり教育」に進ませたが、中高一貫の進学校から東大を卒業した都市部出身の文科省官僚の場合はそうでも、地方では、ただでさえのんびりしていたので、それ以上「ゆとり」や「脱競争」でのんびりすれば、必要な学力もつかないだろうと思っていた。

*2:http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20140422-OYT8T50315.html
(読売新聞 2014年4月22日)  成績公表解禁、「学テ」始まる…224万人参加
 今年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が22日朝から始まった。昨年度に全員参加方式が復活してから2度目の実施で、国公私立の小6、中3の計約224万1000人が、国語、算数・数学の、それぞれ基本問題(A)と応用・思考力をみる問題(B)に臨んだ。参加するのは、国公立は計3万186校。私立は457校で全体の47%だった。全国学力テストについては、今回から、学校別の成績について区市町村教委の判断で公表が可能になっており、どの程度情報公開が進むか注目される。これまでは、区市町村別の成績については区市町村教委の判断で公開可能とし、学校別は、各学校の判断としていた。だが、文科省は昨年11月、条件付きで、区市町村教委が学校名を示した成績を公表できるよう実施要領を改めた。保護者のニーズがあり、各校での改善策につながると判断した。

| 教育・研究開発::2013.11~2014.7 | 05:30 PM | comments (x) | trackback (x) |

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