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2014.8.15 市民が放射能汚染に麻痺したところを見計らって、放射能汚染水を海に流す計画だったとは市民を馬鹿にしているが、メディアは最初から真実に繋がるKey部分の掘り下げが悪かった。 (2014.8.16追加あり)
       
 *1-2より  2014.7.24東京新聞  *2-4より 

(1)フクシマ3号機の真実が、今までわからなかった筈が無い
 *1-1、*1-2に、フクシマ3号機の炉心溶融(メルトダウン)は、従来の推定より約五時間早い2011年3月13日午前5時半に始まり、翌2011年3月14日午前7時頃には圧力容器の底を突き破って格納容器に落ち、格納容器床のコンクリートを最大68センチ溶かして容器外殻の鋼板まで26センチに迫っていたと書かれている。しかし、本当に鋼板まで26センチなどと細かくわかるのならば、今まではわからなかったとする方が無理があり、核燃料の位置は出ている放射線量を測定すればすぐわかった筈である。

 そして、3号機の爆発は核爆発のようだったため、核燃料が格納容器床のコンクリートを溶かしただけで、コンクリートにはひびも入っておらず、核燃料は容器外には出ていないとするのも無理があろう。

(2)放射能汚染水の処理について
 そのような中、核燃料の格納容器に地下水が流れ込み、地下水で核燃料を冷やしたため発生した高濃度汚染水は海に流し続けていたと考えられる。何故なら、そうしなければ、メルトスル―したり散らばったりした核燃料を冷やし続けることができないからである。

 そして、*2-1のように、最初に導入された「アレバ」製の汚染水処理装置は、トラブルが相次ぎ3か月で停止したまま稼働しない状態となっていたので廃止することが決まったそうだが、この装置にかかった費用は「明らかにできない」とのことで、これは電気料金か税金で賄われたが、とても言えるような金額ではないということだろう。

 また、*2-2のように、国と東電は、高濃度汚染水が溜まる地下坑道に金属性の管を設置し、冷却液を流して汚染水ごと凍らせる作業を続けてきたが、その効果が表れないため、先月30日から氷の投入を始め、さらに凍結の“切り札”として7日にドライアイス1tを投入しようとしたところ配管が詰まり、それ以降はドライアイスの投入を見合わせているとのことである。しかし、この結果は、やってみなくても、爆発の真実と小学校の理科を理解していれば予測できるため、この案を承認して実行した人と、そのために使った税金の金額を明らかにすべきだ。

 さらに、*2-3には、政府と東電が、汚染水を減らすために、1〜4号機の周りの井戸から汚染された地下水(地下をゆっくり流れる大きな河のようなもの)をくみ上げ、浄化したうえで海に放出する計画を検討しており、そのくみ上げによって建屋への流入を1日200トン減らせると書かれているが、例えば川の水をくみ上げれば、そこに周りの水が押し寄せて水面の高さは同じになるため、地下水のくみ上げによって建屋への流入量を減らせるとは思えない。

 さらに、*2-4の汚染水をせき止める海側遮水壁(水は壁では止められない)が完成すれば、地下水は横から出るか、水位が遮水壁より高くなるので、1~4号機の建屋周囲に「サブドレン(subdrain、副排水口)」と呼ぶ四十二本の井戸と護岸沿いの五本の井戸で地下水をくみ上げてタンクにまとめ、新たに整備する除染装置を通して基準値を満たせば原発前の港湾に流すことを予定しているというのも、その効果は限られるだろう。

 このような中、*2-5のように、漁業関係者から「新たな風評被害につながる」などと反発が相次いだそうで、反発はもっともだが、それが「風評被害」だと言えるためには、基準値をクリアしているだけでなく、実害はないことを証明できていなければならない。

 このように、汚染水対策の全貌を見れば、核燃料に触れて発生した高濃度汚染水が海洋を汚染して水産物も汚染されるという意識が低すぎ、もともと海洋放出ありきの対策を、税金を使い、「努力した」という形を造ってやっているだけのように見える。

(3)除染範囲について
 *3のように、環境省は、これまで除染の長期目標として個人の年間追加被曝線量を1ミリシーベルトと規定し、1時間当たりの換算推計値は0・23マイクロシーベルトと示してきたが、世界標準は個人の年間被曝線量が1ミリシーベルト以下なのであって、年間追加被曝線量ではないため、「追加」という言葉を加えたことにより年間1ミリシーベルトのごまかしがあった。また、空間放射線量は地面や溝の放射線量よりも低いため、空間放射線量を基準として使用すれば、本当の被曝線量よりも低い数値となる。

 その上、空間放射線量が毎時0・3~0・6マイクロシーベルトの地域でも住民の追加被曝線量は年間1ミリシーベルトになったと説明しているが、それには個人差があり、個人で計れば不正確さも大きいため、私は、これは日本国憲法の基本的人権や健康で文化的な生活をする権利に反していると考える。

(4)除染廃棄物の中間貯蔵施設と最終処分場
 (2)程度の科学的思考力の人が原発政策を進め、(3)のように国民の基本的人権や健康で文化的な生活をする権利を無視しているため、*4-1、*4-2のように、中間貯蔵施設を造るために総額3010億円の交付金拠出と言われても、その妥当性も検討しなければならない。

 そもそも、中間貯蔵(過渡的で仮のもの)の名の下に、簡単な専用容器に入れたり、簡単な防水処理を施して地下に埋めたりするのでは、どの程度の放射性物質防御効果があるのか不明だ。そのため、私は、中間貯蔵ではなく、最大の防御をして、まっすぐ*4-3の最終処分場に入れるべきだと考える。

 なお、*4-3では、日本学術会議が「一般の人が理解できる形」を強調したとしているが、(1)(2)(3)のようなことを許しながら、「一般の人が理解できる形」とはおこがましいにも程があり、暫定保管の保管施設も、電力各社に任せていては、原発の二の舞になるだろう。

(5)原発事故は生物(人間も含む)に影響があり、国民の大多数が脱原発である
 *5-1で、佐賀新聞は「原発事故で生物影響の恐れ」としか書いていないが、日米研究者が専門誌に掲載するということは、人間も含む生物に影響があることが明らかになったということである。

 この事実は、原発と強い利害関係のない一般の人は事故当初から理解しており、*5-2のように、エネルギー基本計画を造る際には「パブリックコメント」で、9割超の人が 「脱原発」の意見だった。それでも、運転コストの安さを理由として原発の維持・推進を主張する人は、原発公害も含めたすべてのコストを考慮に入れて考え直すべきである。

<フクシマ3号機の真実>
*1-1:http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20140807k0000m040051000c.html (毎日新聞 2014年8月6日) 福島第1原発:3号機炉心溶融、5時間早かった 東電解析
 2011年3月の東京電力福島第1原発事故で、東電は6日、3号機の炉心溶融が、これまでの推定より約5時間早く起こっていたとする新たな解析結果を発表した。従来は燃料の約4割は原子炉圧力容器内に残っていると考えられていたが、炉心溶融が早まった分、燃料の損傷度合いも大きくなり、東電は大部分が格納容器の底まで溶け落ちたとみている。今後の燃料取り出し作業が困難になる可能性がある。政府の事故調査・検証委員会が12年に公表した最終報告書によると、3号機では、運転員が11年3月13日未明、非常用冷却装置「高圧注水系(HPCI)」を手動で止め、その後、6時間以上注水が中断した。その結果、同日午前9時すぎまでに炉心溶融が進んだとされた。しかし、東電が原子炉の圧力などのデータを再分析したところ、HPCIは手動停止より約6時間以上前の12日午後8時ごろには機能を失った可能性が高いことが判明。解析の結果、これまでの推定より約5時間早い13日午前5時半ごろには燃料が溶ける2200度に達したと判断した。現在の計画では、原子炉上部から遠隔操作で溶融燃料を回収する。大部分の燃料が格納容器の底まで落下していると、燃料までの距離が長くなるほか、炉内の構造物が障害になり、作業の難航も予想される。東電は「大部分が落下したという条件を加味して、いかに安全に取り出すかを考える」としている。

*1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014080702000128.html (東京新聞 2014年8月7日)  核燃料ほぼ全量落下 福島3号機 廃炉一層困難
 東京電力は六日、福島第一原発事故で炉心溶融(メルトダウン)した3号機について、核燃料のほぼすべてが溶け落ちた可能性が高いとする解析結果を発表した。これまでは溶け落ちた量を六割程度とみていた。1号機でもすべての核燃料が溶け落ちたとみられており、廃炉のための核燃料の取り出しは、さらに難しくなった。解析結果によると、3号機では従来の推定より約五時間早い、二〇一一年三月十三日午前五時半に核燃料が溶け始め、翌日の午前七時ごろには圧力容器の底を突き破り、格納容器に落ちた。格納容器床のコンクリートを最大六十八センチ溶かし、容器外殻の鋼板まで二十六センチに迫っていた。これまでは最大63%の核燃料が溶け落ち、床面を二十センチ溶かしたとみられていた。3号機では一一年三月十三日未明、緊急用の冷却装置を運転員が手動で止めた後、ポンプ注水をしようとしたがうまくいかず、冷却の遅れにつながった。その後の調べで、前日の十二日午後八時ごろに冷却できなくなっていたと分かり、東電が解析し直していた。原子炉への注水で温度が下がったことから、東電の担当者は、圧力容器の中に核燃料の一部が残っているとみているが「核燃料の取り出し作業では、相当な量が落ちていることが前提となる」と説明した。一方、2号機では事故当時、炉内の圧力を下げられないまま消防車で注水したため、核燃料と水が反応して大量の水素と熱が発生。注水が中断し、核燃料の溶融を促したと分析した。解析結果と原発の新しい規制基準との関わりについて、原子力規制委員会事務局は「一般論だが、福島事故の教訓として得られる知見があれば、基準の見直しを図っていく」とした。

<汚染水への対応>
*2-1:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140812/k10013742891000.html
(NHK 2014年8月12日) 停止中の仏製の汚染水処理装置を廃止へ
 東京電力は、福島第一原子力発電所で3年前に導入されたものの、トラブルが相次いで僅か3か月で停止したまま稼働しない状態となっていたフランス製の汚染水処理装置を廃止することを決めました。しかし、この装置にかかった費用は「明らかにできない」としています。東京電力は、福島第一原発の事故発生から3か月後、高濃度の汚染水がたまり続けている対策として、フランスの原子力企業「アレバ」製の処理装置を導入しました。この装置は、化学物質などを使って汚染水に含まれるセシウムなどの放射性物質を取り除くもので、東京電力は導入から3か月間で7万6000トンの汚染水を処理したとしています。しかし、運転を始めた直後からポンプが停止するなどのトラブルが相次いで停止し、その後、別の装置が導入されたこともあり、3年近くにわたって稼働していない状態が続いていました。この装置について、東京電力は、高濃度の汚染水を処理したために放射線量が高く、毎月行われる維持・管理作業のための作業員の被ばくが大きいとして廃止することを決め、近く、原子力規制委員会に申請することにしています。東京電力は「初期の汚染水処理に役だった」としていますが、この装置の導入や維持にかかった費用については「経営にかかわることで公表できない」としています。

*2-2:http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000032457.html
(TVasahi 2014年8月12日) “切り札”投入したら「詰まった」東電・福島第一
福島第一原発の汚染水対策として、地下の坑道を凍らせて水を止める工事で、凍結の“切り札”として投入されたドライアイスの効果が表れていないことが分かりました。国と東電は、高い濃度の汚染水がたまる地下の坑道に金属性の管を設置し、冷却液を流して汚染水ごと凍らせる作業を続けてきました。しかし効果が表れないため、先月30日からは氷の投入を始め、今月11日朝までの間に、合わせて222tの氷を投入しました。東電は11日の会見で、凍結の効果について「分からない」としていて、目に見える成果が出ていないことを認めました。さらに、凍結の“切り札”として7日にドライアイス1tを投入しようとしたところ配管が詰まってしまい、それ以降はドライアイスの投入を見合わせているということです。一方、汚染水の発生を減らすため、原子炉建屋の周囲の井戸水をくみ上げて浄化する計画について、東電は、12日に試験的にくみ上げを始め、20日にも浄化を始めることを明らかにしました。

*2-3:http://mainichi.jp/shimen/news/20140807dde001040070000c.html
(毎日新聞 2014年8月7日) 福島第1原発:建屋周辺地下水の放出計画 浄化後に海へ
 福島第1原発で増え続ける汚染水を減らすため、政府と東京電力が、1〜4号機の周りの井戸から汚染された地下水をくみ上げ、浄化したうえで海に放出する計画を検討していることが、7日分かった。汚染前の地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」は既に実施しているが、原子炉建屋近くの汚染された地下水もくみ上げ、汚染水の抑制を図る。東電などは7月から福島県漁連などにくみ上げに関する説明を始めており、了承が得られれば、9月末にもくみ上げを開始する。井戸は「サブドレン」と呼ばれ、建屋を取り囲むように設置されている。事故以前から、地下水位を調整するため掘られていた27本に加え、新たに15本を新設する。くみ上げる水は、事故直後に地面に降った放射性物質に触れ、放射性セシウムやストロンチウムの濃度が高くなっている。原子炉の冷却で生じる汚染水より放射性物質の濃度は低いが、東電は新たな浄化装置を作って放射性物質を取り除く。浄化後に海へ放出する場合は、放射性物質濃度が基準値以下であることを確認した上で判断する。汚染水は、地下水が原子炉建屋に流入することで1日当たり400トン生じている。汚染水を保管するタンクの増設は限界があり、東電はサブドレンからの地下水のくみ上げを汚染水対策の柱の一つと位置づけ、海洋放出を探ることになった。くみ上げによって、建屋への流入を1日200トン減らせるという。政府関係者は「海洋放出を検討しているが、地元の理解が得られるまでは実施しない」と話している。

*2-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014081202100004.html (東京新聞 2014年8月12日) 東電が排水設備申請 汚染地下水 放出ありき
 東京電力福島第一原発の建屋周囲の井戸から放射性物質を含む地下水をくみ上げ、除染後に海に流す計画で、東電は十一日、この計画を約二年前から汚染地下水対策の有力な選択肢としていたことを明らかにした。これまでは「方針は未定」と公にせず、地元への説明を始めたのもつい最近で、「後出し」に地元の不信が強まりそうだ。東電は同日、海への排水設備の設置を原子力規制委員会に申請した。十二日にも試験的にくみ上げを始め、除染の効果を調べる。この水はタンクにため、海へは出さないという。東電の白井功原子力・立地本部長代理は十一日の記者会見で「地下水の行き先はタンクか、排出しかなかったが、方針を明確にできなかった。説明が遅れて申し訳ない」とした。東電の担当者は取材に、地下水のくみ上げを計画し始めた二〇一二年夏ごろから、海への放出は選択肢にあったと認めた。くみ上げる地下水は一日五百~七百トンに上り、ぎりぎりの運用が続く地上タンクにため続けることはできない。タンクの増設計画にも、くみ上げた地下水をためることは盛り込んでいなかった。一方で、護岸に建設中の汚染水をせき止める海側の遮水壁が完成すれば、地下水位が上がって汚染水の行き場がなくなり、地下水のくみ上げは欠かせないことは明らかだった。今回の海への放出計画では、1~4号機の建屋周囲の「サブドレン」と呼ばれる四十二本の井戸と、護岸沿いの新たな五本の井戸で地下水をくみ上げる。いったんタンクにまとめ、新たに整備する除染装置を通し、基準値を満たせば原発前の港湾に流す。東電は今秋にもくみ上げと放出を予定し、七日から地元漁協などに説明を始めた。地下水には高濃度の放射性物質が含まれていることから、反発も予想される。東電は海への放出を「地元の理解が得られなければしない」としている。

*2-5:http://www.minpo.jp/news/detail/2014080917375
(福島民報 2014/8/9) 漁業関係者反発相次ぐ 汚染水浄化放出計画 いわきで東電説明
 東京電力福島第一原発事故による汚染水を浄化して海に放出する検討を始めた東電は8日、いわき市の中央台公民館で市漁協に計画の概要を説明した。出席した漁業関係者からは「新たな風評被害につながる」などの反発が相次いだ。反発により組合員向けの全体説明会開催のめども立たない状況だ。計画の説明は冒頭を除いて非公開で行われた。東電の新妻常正福島復興本社副代表らが計画内容を伝えた。終了後、矢吹正一組合長は計画の印象について「いくら浄化するとしても、もともとは汚染水。安易な気持ちで了解するわけにはいかない」と語った。出席者から反発が出たことを明かし、「漁業生命に関わる計画。地下水バイパスは苦渋の決断だったが、生命を懸ける決断となる」と述べた。新妻副代表も明確な反対意見があったことを認めた。「必要な対策と考えており、関係者に丁寧に説明していきたい」と述べ、計画ありきで進めない考えを強調した。

<除染>
*3:http://www.minpo.jp/news/detail/2014081217416 (福島民報 2014年8月12日) 半数「理解得られない」 環境省の新除染方針 県内市町村アンケート
 環境省が示した個人被ばく線量に基づく新たな除染方針について、汚染状況重点調査地域に指定されている県内40市町村のうち約半数の19市町村が「住民の理解を得られない」と受け止めている。11日までに行った福島民報社のアンケートで分かった。空間放射線量「毎時0.23マイクロシーベルト」が除染の目安として浸透しているなどの理由が目立ち、「国が責任を持って住民に説明すべき」とする指摘も出た。アンケートは6日から11日にかけて実施した。個人被ばく線量に基づいた新たな除染方針に、住民理解が得られるかどうか聞いた市町村別の回答は【表】の通り。「理解が得られない」とした19市町村からは、「毎時0.23マイクロシーベルトが除染の目安として住民に認識されており、方針変更は混乱を招く」とする意見が出た。方針を転換した国が説明の前面に立つべきだとする声も聞かれた。本宮市は「国が直接出向いて住民説明会を開くべき」と注文。同省が新方針で放射線防護策を講じるよう住民に求めていることに対し、西郷村は「(放射線の)自主管理を任せるのは無責任ではないか」と批判した。「どちらでもない」との答えが16市町村に上った。個人によって放射線に対する考え方が異なるため、理解が得られるかどうか判断がつかないとした回答が複数あった。三島町は国に対し、「住民の不安をあおらないよう取り組んでほしい」と求めた。一方、「理解を得られる」としたのは須賀川、相馬、伊達、塙、石川の5市町。「除染の効率化が期待できる」などの意見が目立った。須賀川市は「毎時0.23マイクロシーベルト」について、特定の条件の下で算出した値にすぎないと指摘。個人被ばく線量に基づいた新方針について「より実態に合った考え方」と評価した。
※環境省の個人被ばく線量に基づく新除染方針 政府は従来、除染の長期目標として個人の年間追加被ばく線量を1ミリシーベルトと規定、1時間当たりの換算推計値は0・23マイクロシーベルトと示してきた。しかし、環境省は1日、福島など4市で行った調査で、空間放射線量が毎時0・3~0・6マイクロシーベルトの地域で住民の追加被ばく線量が年間1ミリシーベルトになったと説明。「0・23マイクロシーベルト」は除染目標でないとして、年間1ミリシーベルトの目標を維持しつつ空間線量から個人被ばく線量に基づいた除染を重視する新方針を示した。

<除染廃棄物の中間貯蔵施設>
*4-1:http://qbiz.jp/article/43619/1/
(西日本新聞 2014年8月9日) 中間貯蔵施設、福島に3000億円提示 政府、交付金額で大幅譲歩
 東京電力福島第1原発事故に伴う除染廃棄物を保管する国の中間貯蔵施設建設をめぐり、石原伸晃環境相と根本匠復興相は8日、福島県郡山市で佐藤雄平知事や候補地の双葉、大熊両町長と会談し、施設使用の30年間で総額3010億円の交付金を拠出する方針を提示した。中間貯蔵施設の交付金額は政府と福島側の交渉で最大の焦点。来年1月の施設供用開始を目指していたが、金額などをめぐり事態は硬直。政府がこれまで水面下で示してきた金額を3倍に増やし大幅に譲歩したことで、難航している交渉が進展する可能性が出てきた。会談で、石原環境相は「除染と復興を進めるのに必要不可欠な施設。今後、議会で国の対応方針を説明したい。それを踏まえて判断いただきたい」と理解を求めた。提示内容について、佐藤知事は「県として重く受け止める。今後、精査していく」と応じた。大熊町の渡辺利綱町長は「地元の要望をのんだ形だ」、双葉町の伊沢史朗町長は「額が出たことについては前進だ」と語った。3010億円の内訳は、大熊、双葉両町のほか県や両町以外の県内市町村を対象に新たに創設する「中間貯蔵施設交付金(仮称)」に1500億円。県全域の復興を効果的に進める事業に利用できる「原子力災害からの福島復興交付金(同)」を新設し、1千億円。電源立地地域対策交付金の増額分として510億円。交付金の総額は既存の立地交付金も加えると5千億円以上になる。福島県と地元2町は今後、既に政府が示している用地の賃貸借認可や県外最終処分の法制化など他の条件と合わせて、受け入れ是非を判断する。
■中間貯蔵施設 東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た福島県内の汚染土壌などを最長30年間保管する施設。第1原発周辺の約16平方キロが候補地で、約3千万トンの貯蔵が可能。放射性セシウム濃度に応じ、1キログラム当たり10万ベクレル超の焼却灰や廃棄物は専用容器に入れて建屋で保管。10万ベクレル以下は防水処理などをして地下に埋める。福島県外で最終処分する法制化を国は約束しているが、最終処分場確保のめどは立っていない。

*4-2:http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201408/20140809_61015.html
(河北新報 2014年8月9日) 中間貯蔵 福島側「内容を精査」 慎重姿勢崩さず
 福島第1原発事故に伴う除染廃棄物の中間貯蔵施設建設計画で、国が8日、新たな交付金の総額を3010億円と提示した。福島県と大熊、双葉両町が挙げた受け入れ条件に、国としては全て回答した形で、今後の焦点は福島側の対応に移る。佐藤雄平知事と両町長は、交付金について「前進だ」と評価しつつ、受け入れの是非は慎重に判断していく姿勢を見せた。佐藤雄平知事は会談後の記者会見で「大熊、双葉両町と内容をしっかり精査する。ボールは県にもあり、国にもある」と述べ、即座に受け入れ是非の判断には入らない考えを示した。大熊町の渡辺利綱町長、双葉町の伊沢史朗町長も同じ構えで、渡辺町長は「自由度が高いと言っても、どの程度か分からない。精査する」、伊沢町長は「交付金の中身を一つ一つ検討していく」と語った。国は来年1月の搬入開始を目指しており、9月には内閣改造も控える。石原伸晃環境相は、県議会や両町議会に説明したいとの意向を示し、「早急に検討し、受け入れの是非を判断してほしい」と求めた。ただ、5~6月に開かれた住民説明会では、交付金の規模よりも、用地補償の具体額提示を求める声が多く出た。国の最終回答では、用地補償について「受け入れ判断後に、具体的なイメージを示す」との内容にとどまっている。大熊町の渡辺町長は「原発事故前の評価で用地補償すべきだとの意見は多い。しっかりと要望していく」と話す。双葉町の伊沢町長は、双葉、大熊の両町議会が7月末、「拙速な判断は避けるべきだ」と両町長に申し入れたことを挙げ、「議会の意向を受け止め、慎重に対応する」と語った。
◎住民不満「使い道分からぬ」「用地補償提示を」
 中間貯蔵施設の建設受け入れを求め、国が地元側に3000億円規模の交付金の拠出を提示したことに対し、候補地の福島県大熊、双葉両町の住民からは「具体的な使い道が明らかにされていない」「問題は交付金だけではない」などと不満の声が上がり、住民目線に立った対応を求めた。大熊町から会津若松市に避難している武内正則さん(64)は「いつ町に戻れるか分からないのに、交付金が入っても積んでおくだけだ。放射線量が高くて帰還を断念している町民の方が多いのに、県も町も住民を見ていない」と交付金そのものを批判した。交付金の額に注目が集まる状況に対し、候補地の地権者の一人で大熊町から会津若松市に避難する根本充春さん(74)は「住民にとって重要なのは用地補償の問題。具体的な金額を早急に示してほしい。住民説明会をもう一度開く必要がある」と訴える。補償の行方を懸念する声も聞かれた。双葉町からいわき市に避難する中谷祥久さん(34)は「自宅は施設候補地の区域外にある。町民間で補償に格差が生まれないようにしてほしい」と望んだ。福島県知事選をにらんだ動きと見る向きもある。同町からいわき市に避難する男性(56)は「佐藤雄平知事に自民党が相乗りするためのお土産だ。知事に実績をつくらせる意図があるのだろう」と勘ぐった。

*4-3:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014081301001643.html
(東京新聞 2014年8月13日) 「核のごみ」処分、年内に提言も 学術会議、「暫定保管」報告基に
 日本学術会議は13日、原発から出る「核のごみ」の最終処分に関する検討委員会を開いた。取り出し可能な場所での「暫定保管」の課題を整理した二つの分科会の報告書案を基に、早ければ年内にも国への新たな提言をまとめる方針を確認した。最終処分場が決まらない問題で、今田委員長(東工大名誉教授)は国民的議論の喚起を期待。「一般の人が理解できる形」を強調。報告書案は、新たに生じる高レベル放射性廃棄物への対策を明確にしないままの原発再稼働や新増設は「将来世代への無責任を意味し、容認できない」と指摘。暫定保管の保管施設は電力各社の管内での建設が望ましいとしている。

<国民の大多数が脱原発>
*5-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10208/94111
(佐賀新聞 2014年8月15日) 原発事故で生物影響の恐れ、日米研究者が専門誌に
 【ワシントン共同】東京電力福島第1原発事故に伴って放出された放射性物質が、周辺の鳥類や昆虫に遺伝子異常を引き起こしている可能性があるとする論文を、日本や米国の研究者が14日、米専門誌ジャーナル・オブ・へレディティーに発表した。米サウスカロライナ大のティモシー・ムソー教授は、1986年のチェルノブイリ原発事故後に周辺でツバメの羽毛に白い斑点ができる異常が見つかったと指摘。福島でも白斑のあるツバメが見つかったとの報告があることから「遺伝子レベルの分析や生態系への影響など広範で長期的な調査が必要だ」と訴えた。

*5-2:http://digital.asahi.com/articles/ASG5L0FYJG5KULFA00K.html
(朝日新聞 2014年5月25日) 「脱原発」意見、9割超 エネ計画のパブリックコメント
 安倍内閣が4月に閣議決定したエネルギー基本計画をつくる際、国民に意見を募った「パブリックコメント」で、脱原発を求める意見が9割を超えていた可能性があることがわかった。朝日新聞が経済産業省に情報公開を求め、開示された分について原発への賛否を集計した。経産省は、そうした意見をほとんど反映しないまま、基本計画で原発を「重要なベースロード電源」と位置づけた。経産省が昨年12月6日に示した基本計画の原案に対し、対象の1カ月間にメールやファクスなどで約1万9千件の意見が集まった。経産省は2月に代表的な意見を発表したが、原発への賛否は集計しなかった。朝日新聞はすべての意見の公開を求め、経産省は、個人情報保護のために名前を消す作業が終わった2109件分のメール(2301ページ)を開示した。受け付け順で開示したとしており、残りの開示の可否は9月までに決めるという。内容は、再稼働反対や原発の廃炉を求める「脱原発」が2008件で95・2%、「原発の維持・推進」は33件で1・6%、賛否の判断が難しい「その他」が68件で3・2%だった。脱原発の理由では「原発事故が収束していない」「使用済み核燃料の処分場がない」との声が多かった。原案が民意に背いているとの批判もあった。一方、原発の維持・推進を求める声は、運転コストの安さなどを理由にした。民主党政権は2012年に「30年代に原発稼働ゼロ」の方針を決めた。だが、安倍政権はこれを白紙に戻し、今回の基本計画で原発を再稼働させる方針を明確にした。原発への賛否を集計しなかったことについて、茂木敏充経産相は2月の国会で「数ではなく内容に着目して整理を行った」と説明している。
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〈パブリックコメント〉 行政機関が政令などを定める際に広く一般から意見を募る仕組み。ウェブサイトなどで原案を公開し、電子メールやファクスで意見を集める。2005年に改正された行政手続法は「意見を十分に考慮しなければならない」と定めている。


PS(2014.8.16追加):*6のように、規制委は、トレンチにたまっている汚染水が海洋に流れ出す恐れを「最大のリスク」と位置付けているそうだが、汚染水は既に海洋に流れ出しているので、何を「最大のリスク」としているのか不明だ。また、東電の白井原子力立地本部長代理が「十分な検討が不足していた」「当初予定していたことができないことはあり得る」としているのも、熱交換の初歩的な原理すらわかっていない人が原子力立地担当者とは呆れるほかない。

*6:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140814/dst14081408090001-n2.htm
(産経ニュース 2014.8.14) 福島第1、凍らない「氷の壁」断念か 別工法も 19日に規制委が検討
 東京電力福島第1原発海側のトレンチ(地下道)に滞留する汚染水を遮断するための「氷の壁」が3カ月以上たっても凍らない問題で、7月末から投入している氷やドライアイスに効果が見られないことから、政府が「氷の壁」の断念を検討し、別の工法を探り始めたことが13日、分かった。政府関係者によると、19日に原子力規制委員会による検討会が開かれ、凍結方法の継続の可否について決めるという。氷の壁は、2号機タービン建屋から海側のトレンチへ流れ込む汚染水をせき止めるため、接合部にセメント袋を並べ、凍結管を通し周囲の水を凍らせる工法。4月末から凍結管に冷媒を流し始めたものの、水温が高くて凍らず、7月30日から氷の投入を始めた。しかし氷を1日15トン投入しても効果がなく、今月7日からは最大27トンに増やしたが、凍結が見られなかった。12日までに投じた氷は計約250トンに上る。ドライアイスも7日に1トン投じたものの、小さい配管に詰まってしまい投入を見合わせ、12日に再開した。氷の壁が凍結しないことは、規制委の検討会でも有識者から指摘されており、「コンクリートを流し込んでトレンチを充(じゅう)填(てん)すべきだ」との意見があった。政府関係者によると、19日に予定されている検討会では、氷投入の効果を評価した上で、効果がないと判断されれば代替工法の作業に着手するという。規制委は、トレンチにたまっている汚染水が海洋に流れ出す恐れがあることから「最大のリスク」と位置付けており、早期解決を目指している。特に凍結管の中に冷媒を通して水分を凍らせる技術は、1~4号機周囲の土中の水分を凍らせる「凍土遮水壁」と同じで、氷の壁が凍土壁にも影響しないか懸念を示している。氷やドライアイスの投入について、東電の白井功原子力・立地本部長代理は「十分な検討が不足していたという批判はその通り。失敗を次の糧にしていく。当初予定していたことができないことはあり得る」と話している。

| 原発::2014.5~8 | 11:09 AM | comments (x) | trackback (x) |

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