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2014.11.10 政府の「農業改革」は、農業を見たこともない人の発想のようで、農協解体による農協弱体化以外の目的が見えない → 農産物の付加価値を上げよう (2014/11/10、13に追加あり)
      
*1-1より     2014.7.3      2014.8.14  2014.7.15  *5より
                    西日本新聞より

(1)政府が求める「農協改革」は改革のための改革であり、農業への具体的なメリットが見えない
 *1-1に、「政府が中央会制度の抜本的な見直しをさらに進める踏み込んだ改革を求めるのは必至」と書かれているが、私も農協改革は自己改革でよいと考える。なお、「農協法でJA全中に認められている監査で、『農協監査士』などの資格を持つ中央会職員約500人が、地域農協の事業の妥当性や信用事業の法令順守態勢など多岐にわたって精査し、監査で得た情報を経営指導にも生かし、地域農協の経営安定に取り組んでいる」としても、それは、独立の第三者による監査ではなく内部監査である(その割には、人数が多すぎるが・・)。内部監査ももちろん重要なのだが、内部監査ではその組織のトップが指示する粉飾決算や組織ぐるみの不祥事は指摘できないというのが監査論のイロハだ。

 そのため、内部統制に依拠した外部監査も必要であり、*1-1の「企業監査は会計のチェックだけする」というのは、会計や監査を知らない人の失礼な暴言である。公認会計士などの外部監査を受けるとプラスになる点は、その組織が不正や不法行為を行っていないことを証明してもらうと同時に、あらゆる産業の監査をしている公認会計士を通じて他産業で行われている管理の知恵を得られることで、私が農業の弱点を見つけて改善策をすぐ提案できるのも、前に外部監査人として日本系・外資系の製造業、サービス業を多く廻った経験を持ち、他産業の事例を多く知っているからである。

 JA全中の幹部が「監査で経営状態を把握でき、東日本大震災でも破綻する農協はなかった。現行の監査がなければ地域の農業は守れない」と訴え、地域農協も理解を示しているのはよくわかる。何故なら、気候・風土の違いからくる地域による作物や経営方法の違いもあるが、集中しているからこそ安い単価で集まる知識や経験もあるからである。

 「農協改革を進める政府内に、全中の画一的な指導が、地域農協の自由な活動を阻害しているとの批判が根強く」「JA全中を一般社団法人化して監査などの権限を廃止する方向で検討が進む見通し」というのは、農協を弱めるための破壊の論理で、馬鹿の一つ覚えのように「法人化」を唱える人の意見は農業の競争力を弱めることこそあれ高めることはない。そのため、*1-2のように、中央会制度に関して 「改革ありき」の姿勢を疑問視する意見が出るのは当然である。 

(2)地方の豊かさを増すには、農林水産業及びその関連産業の付加価値向上が不可欠
 *2-1に書かれているように、農水省の有識者会議が「高齢化や人口減を解決するには、若者の地方移住促進に向けて農林水産業の6次産業化を進めて就業機会を確保すべきだ」とする方針を出したそうだが、そのとおりだ。何故なら、6次産業化によって農林水産業に新しい付加価値が加わり、就業機会が増えると同時に、地域を豊かにして活気づかせるからである。ちなみに、このスキームは、私が佐賀三区選出の衆議院議員をしていた時に考え、経産省が「6次産業化」という面白い名前をつけたものだ。

 そのため、*2-2のように、「ブランド化」や「6次産業化」を見つめた農業経営は、佐賀県ではかなり進んでおり、成功した農家には、学校農業クラブ全国大会で最高賞をとった中山君(農業高校3年)のようなりっぱな次世代も育っている。しかし、東北・北陸はじめその他の地域には、昔ながらの米作りのスキームに固執している場所も多く、これは農協組織の問題というよりも、国会議員はじめそれぞれの地域のリーダーが持っている地域活性化ビジョンの問題である。

 また、*2-3のように、長野県の工房「アトリエ・ド・フロマージュ」が、初の国産ナチュラルチーズコンテストで栄冠に輝き、来年6月のフランスでの国際コンクールに出るそうだ。ここでも上位優勝できれば、本場へのチーズの輸出で、農産物の輸出に貢献できそうである。

(3)農業・食品関連企業において期待される女性の活躍
 *3-1のように、地域経済の活性化に向けた男女共同参画会議(内閣府)専門調査会の報告で、働く人、管理職、起業家のいずれの項目でも、高知県の女性割合が最高だそうだ。それはよいことだが、高知県の担当者が「女性が働くことに寛容な(?)雰囲気がある」としているのは、働く女性が何かいけないことをしているかのようで、頑張って働いている女性に対して失礼である。一方、佐賀県は、起業家に占める女性の割合では高知県と並んで18.2%で最高だったそうだが、これは、食品・介護・家事支援サービスなどの家事延長系の会社が次々と立ち上がっているからだろう。

 また、*3-2のように、JAいわて花巻女性部が、17年前に購入した加工施設のアイスクリーム製造機を使ってアイスクリームを作ったところ、予想以上の出来となり、活性化に活用できるかもと期待しているそうだ。ブルーベリーやイチゴを入れた3種類のアイスクリームを作り、驚くほど良い出来で6次産業化につながるかもしれないとのことだが、農村で入手できる採れたての原材料を甘さ控えめのアイスクリームにすれば、美味しくて栄養価が高く、規格外の作物もうまく使うことができ、保存期間が長くなるため、作物全体の付加価値が高くなる。

 このほか、*3-3のように、佐賀県唐津市は、コスメ事業でフランスと協力連携協定を締結しており、フランスのコスメティックバレー協会のジャメ会長が、フランスのコスメ業界約30社をジャパン・コスメティックセンターの会員企業に紹介してビジネスマッチングを進めていくことを提案されたそうだ。アジア市場を睨んで日本で商品開発し、日本で原材料を調達して商品にするのはよいアイデアであり、(現在は原発で悪名高くなってしまっているが)玄海町も薬用植物の栽培を研究しているため、この機会を逃さず産学官連携して成功させるべきである。

 そのような中、*3-4のように、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)は、副支店長級以上の管理職に占める女性の割合を2023年3月までに現在の4倍の10%に引き上げる目標を設定したそうだ。2023年3月に10%というのは、1985年頃に私が監査で訪れた東京のケミカルバンク日本支店で50%くらいが女性管理職だったことから考えればかなり低いが、金融にも女性の視点が不可欠であるため、何も目標を設定しないよりはよいだろう。

(4)有害動物とされるシカやイノシシなどの野生動物は、本当は資源である
 *4-1のように、北海道から屋久島までシカが増え続けて、被害は農作物だけにとどまらず、下草も食い尽くされて土砂崩れの危険が高まる場所もあるということだが、シカやイノシシを駆除することしか思いつかず、せっかく捕獲した獲物を埋めることしかできないのでは、人間の方が情けない。

 先日、私の夫が、患者さんが獲ったというシカ肉をもらって来たので、すりおろしリンゴに1晩つけてから高圧釜でシチューにして食べたが、赤身でコラーゲンが多くヘルシーな肉だった。「肉は霜降りで柔らかくなければ価値がない」というのも、常識のウソにすぎないのではないだろうか。

 なお、シカ皮、イノシシ皮、やぎ皮は牛皮よりも柔らかいため、靴やバッグや手袋に加工すれば高級品となり、ファッショナブルでもある。そのため、フランス、イタリア、日本のブランドと組めば、付加価値の大きな商品が作れることは間違いない。

 しかし、*4-2のように、フクシマ原発事故では、山林にも放射性物質が降り注いで山林を汚染したため、そこで獲れる東北のジビエは使い物にならなくなった。そのため、放射性物質の影響が無視できるようになるまで、それらの地域は野生動物の楽園にするか、捕獲した後、しばらく放射性物質を含まない餌を与えて解毒するなどの方法が考えられる。

<農協改革について>
*1-1:http://qbiz.jp/article/49354/1/
(西日本新聞 2014年11月7日) 「農協改革」調整難航か 全中、監査機能の維持求める
 「新たな中央会として、これからも農協への役割を果たしていく」。全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳章会長は6日の会見で、グループを束ねるJA全中の存在意義をあらためて強調した。ただ、中央会制度の抜本的な見直しを進める政府が、さらに踏み込んだ改革を求めるのは必至。与党内には農協改革に反発する意見もあり、年末にかけて激しい議論が続きそうだ。自己改革案でJA全中が強く存続を求めたのは、地域農協に対する監査機能だ。会計のチェックだけをする企業の監査とは異なり、農協法でJA全中に認められている監査では、「農協監査士」などの資格を持つ中央会職員約500人が、地域農協の事業の妥当性や、信用事業の法令順守態勢などを多岐にわたり精査。監査で得た情報を経営指導にも生かし、地域農協の経営安定に取り組んでいる。農協の破綻や不祥事を防ぐため、国が監査強化を促してきた経緯がある。JA全中の幹部は「監査によって経営状態を把握でき、東日本大震災でも破綻する農協はなかった。現行の監査がなければ、地域の農業は守れない」と訴える。こうした考えには、地域農協にも理解を示す声も。大分大山町農協(大分県日田市)の矢羽田正豪組合長は「地域農協が独自性を生かして自立的な経営をしていくことは重要だが、現状では法律的な知識や経営面で中央会に頼る農協も少なくない」と明かす。
   ◇    ◇
 一方、農協改革を進める政府内には「全中の画一的な指導が、地域農協の自由な活動を阻害している」との批判が根強い。安倍晋三首相も国会などで「農協法に基づく現行の中央会制度は存続しない」と繰り返しており、JA全中を一般社団法人化して監査などの権限を廃止する方向で検討が進む見通しだ。混迷が予想される調整の行方に対し、現場からは「全中として政府の意向をにらみながらぎりぎりの改革案を出したと思うが、政府がどう判断するか…」(熊本県の農協幹部)と不安が漏れる。政府主導で進む農協改革について、キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「安倍政権としては、アベノミクスの重要政策であるTPPに反対している全中の政治力を弱める狙いがあるのでは」と指摘。「組織を変えるだけでは本質的な農業改革にならない。政府には、減反の廃止や輸出の拡大など、農業の競争力を高める政策を進められるかどうかが問われている」と話している。

*1-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=30651
(日本農業新聞 2014/11/6) 中央会制度 「改革ありき」疑問視 自民参院政審が勉強会
 自民党参院政策審議会は5日、農協改革について勉強会を開いた。議員からは、焦点のJA中央会制度をめぐり、改革ありきで議論が進んでいるのでは、と疑問視するような意見が相次いだ。一方、農水省は、6月の政府・与党の取りまとめに沿って、法改正に向けた作業をしていく原則論を説明するにとどまった。勉強会では農水省が、JAグループの現状や6月に閣議決定した「農林水産業・地域の活力創造プラン」に盛り込まれた農協改革の方針について説明。ただ来年の通常国会での関連法案の提出に向けた議論の方向性など、議員の最大の関心事には具体的な考え方を示さなかった。一方、議員からは「(中央会などの)組織をどうするかは(改革の)手段のはずが、目的化してしまっている」「中央会の権能のうち、どこに問題があると考えているのか」「(単位JAの自主性を尊重する仕組みに改革するのであれば)全中などの権限を変える必要はないのではないか」といった意見や、農水省への質問が出た。これに対し同省は、今回の改革の方向性について「いろいろなことを、組織でこうやろうと決めつけるのではなく、各単位農協が自由に頑張り、それを連合会や中央会がうまく支援する」形にすることが本筋だと説明した。また新たな中央会制度については「まだ定まっているわけではない」としながら、(1)自律的な新たな制度になる(2)単位JAは独り立ちしているということが前提――とする6月の取りまとめを踏まえ、「中央会が強制的な権限を持つことをどうするかが最大のポイントになる」と指摘した。同党参院政策審議会は定期的に勉強会を開いているが、今回は議員から「農協改革について議論するプロジェクトチーム(PT)を立ち上げてほしい」との声が出たことを受け、農協改革を議題とした。同党には有志議員でつくる「参院農業・農協研究会」もある。同党参院幹部によると、参院は1都道府県1選挙区で農村部を多く抱えるため、農協改革の議論にも関心が高いという。

<農業地帯における付加価値の向上>
*2-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=30574
(日本農業新聞 2014/11/1) 6次化で就業確保 指針に向け論点整理 活力ある農山漁村検討会
 農山漁村活性化に向けた政策の「指針」を検討している農水省の有識者会議「活力ある農山漁村づくり検討会」(委員長=小田切徳美明治大学教授)は31日の会合で論点整理をした。高齢化や人口減が深刻化する中、若者らの地域移住・定住促進に向け、農林水産物の6次産業化を進めることで就業機会を確保すべきだとする方針を打ち出した。指針は「活力ある農山漁村づくりに向けたビジョン」で来年3月をめどにまとめる。今回の論点整理では、田舎暮らしを求める若者が増えている「田園回帰」の動きをさらに広める取り組みが必要と強調。「地域経済の活性化」「地域コミュニティー機能の維持・発揮」「都市と農山漁村のつながり強化」という三つの柱を掲げた。地域経済の活性化に向けては「担い手以外の農林漁業者や地域住民、都市からの移住者を対象とし、就業機会を確保する必要がある」と指摘。地元の農林水産物や生物由来資源(バイオマス)など多様な地域資源を活用し、6次産業化や観光、福祉などの分野との連携強化などが鍵を握るとしている。6次産業化による農山漁村の活性化をめぐっては、西川公也農相も意欲を見せている。食品メーカーなどの企業に対して税制面などで優遇措置を講じる農村地域工業導入促進法などを活用したい意向を示している。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/122384
(佐賀新聞 2014年11月6日) 学校農業クラブ全国大会 中山君(唐津南高3年)最高賞
■県内26年ぶり快挙
 先月22日に沖縄県で開かれた「日本学校農業クラブ全国大会」意見発表の食料・生産部門で、唐津南高3年の中山駿(すぐる)君(17)が最優秀賞に輝いた。県内では26年ぶり2回目。中山君は「練習の成果を出せてうれしい。これも指導してくださった先生のおかげ」と喜んでいる。中山君は8月に伊万里市であった九州大会で最優秀賞を受賞。9ブロックの代表が参加した全国大会には、副担任の松尾信寿教諭(49)と審査員との質疑の練習を行うなど準備して臨み、牧場経営や地域が抱える課題の解決方法を自分の意見として堂々と発表したことなどが評価された。指導した松尾教諭は「(練習で)九州大会より自信に満ちた顔つきになり、どこに出しても恥ずかしくない発表ができるように成長した」と教え子の快挙に満足げ。農業大学校への進学を目指す中山君は「今後は発表したことを実行に移し、品質の良い佐賀牛をたくさん生産したい」と語っている。
=発表文抜粋=
〈目指せ日本一!~中山牧場の挑戦~〉
 「駿、おまえもこれだけは見とかないかん」。中学生の頃、父に連れて行かれた先には思いもよらない光景が待っていました。そこには呻(うめ)き声とともに頭を打ち抜かれ、首を切られ吊される牛の姿がありました。初めて見る「と畜」の現場に衝撃で言葉を失いました。多くを語らない父が私に畜産という仕事への覚悟を伝えたかったのだと思います。私の家は繁殖牛130頭、肥育牛2000頭を飼育する畜産農家です。畜産という仕事とどう向き合っていくかを深く考えるようになると、以前にも増して家の手伝いをするようになりました。後継者になる気持ちは決意へと変わり、迷うことなく唐津南高校生産技術科へ進学しました。1年生の時、学校に「安勝」と「安平隆」、2頭の子牛がやってきました。今年、出荷の日を迎え、体重300キロにも満たなかった2頭は700キロまで成長し、食肉センターで別れる時はあふれ出る涙を止めることができませんでした。翌々日、枝肉となった2頭を目の当たりにした時、中学時代の「と畜」の情景が頭をよぎり、胸が締め付けられる思いでしたが、そんな気持ちも喜びへと変わる瞬間が訪れました。安勝は最高ランクA-5の評価を受け、南高の牛肉として販売されたのです。ありったけの愛情を注ぐことで、おいしい肉となり、牛と人、命と命のリレーが行われる、その橋渡しを自分がしているんだと思う瞬間でした。2年生の時、「佐賀県世界にはばたく未来のスペシャリスト派遣団」に参加し、オランダの農業を視察しました。オランダでは狭い国土を有効活用し、IT技術を駆使した大規模農業、スマートアグリを展開しています。酪農経営の牧場では牛の飼育から牛乳、アイスクリームの製造販売という一貫した6次産業的経営が行われていました。家での手伝いや高校での貴重な体験は、自分なりの経営ビジョンを描くのに十分なものになりました。大規模経営とはいえ、口蹄疫(こうていえき)の影響は今も残り、わが家の経営も決して楽ではありません。父は言います。「今を乗り切るには時代に合った経営が必要になってくる」と。私はブランド力と6次産業化を経営の柱とする三つの計画を立てました。その一つがIT技術の導入です。ストレスを与えず良質な牛に育てるには、個々の牛への気配り・目配り・心配りが欠かせません。牛舎内の環境が測定できるセンサーや監視カメラを導入し、牛を常時把握できるようにすることで、わずかな変化も見逃さないきめの細かな経営に結びつけていけると考えました。二つめは子牛の産地にこだわったブランド牛生産への取り組みです。牧場では祖父の代から沖縄産子牛の優良性に着目し、大半を石垣島のある八重山諸島から導入しています。今年の夏休み、沖縄の子牛買い付けに同行し、石垣島にあるわが家の牧場の繁殖用牛舎で仕事をしてきました。その時、島の自然豊かな環境で高品質ブランドの素がしっかりと育っていることを肌で感じました。三つめは地域活性化への貢献です。玄海町は農海産物が豊富なところで、町が海と山の幸を「ふるさと納税」の返礼品にしたところ、今や国内でも上位を争う自治体となりました。牧場の本生ハンバーグやローストビーフは旨味(うまみ)がギュッと詰まった中山牧場のブランドとして一番人気です。また、玄海町は数年前から修学旅行生を受け入れ、民泊・体験学習を行っており、牧場のレストハウスでもマイバーガーづくりなどを行っています。自治体と連携し、さまざまなプランを提案することで「自然が満喫できる玄海町」のさらなる発展に努めます。小さい頃から常々言われていることがあります。「人に感謝し、人とのつながりを大切にすること」。これは祖父から両親へ、そして自分へと言い伝えられてきました。多額の借金を背負い、どん底から始まった自分の知らない中山牧場の歴史があります。いろんな人の助けがあったからこそ、今の牧場があることを忘れてはなりません。高校卒業後は、県外農家での研修を行い、経営者としてのスキルを身につけたいと考えています。そして、両親や牧場スタッフとともに、全国でもトップクラスの佐賀牛生産農家として、より高いレベルでの挑戦を続けていきます。

*2-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=30579 (日本農業新聞 2014/11/1) 長野の工房「アトリエ・ド・フロマージュ」に栄冠 初の国産ナチュラルチーズコンテスト
 特定非営利活動法人(NPO法人)のチーズプロフェッショナル協会は30日、東京都内で国産限定のチーズコンテスト「ジャパンチーズアワード14」を初めて開いた。酪農家ら61工房が121のチーズを出品。最高位のグランプリには、アトリエ・ド・フロマージュ(長野県東御市)のブルーチーズが輝いた。コンテストは、国産ナチュラルチーズの評価を高めて消費拡大するのが狙い。来年6月にフランスで開かれる国際コンクールの選考会を兼ねる。同協会が商談会「日本の銘チーズ百選」の一環で開いた。応募があったチーズを種類別に15グループに分け、審査員が味や見た目を採点。グループごとの金賞からグランプリ1点を選んだ。グランプリは青かびを使ったチーズで、原料の生乳は地元の酪農家から仕入れる。同工房の粂井裕也課長は「日本人が好む味わいに仕上げることができた。受賞を機に、地元の酪農家とのつながりを深めていきたい」と抱負を話した。商談会には300人以上のチーズ愛好家やバイヤーが参加。フランス産チーズを輸入する業者は「国産の品質は本場の欧州にひけをとらないほどだ。今後、取り扱ってみたい」と手応えを話した。

<農業と食品関連企業>
*3-1:http://qbiz.jp/article/41167/1/
(西日本新聞 2014年7月3日) 女性起業家率、佐賀と高知がトップ18.2%
 地域経済の活性化に向けた男女共同参画会議(内閣府)専門調査会の報告書で、働く人、管理職、起業家のいずれの項目でも、女性の割合は全都道府県の中で高知県が最高であることが明らかになった。県の担当者は「共働き世帯が多く、女性が働くことに寛容な雰囲気がある。中小企業が中心で、社員数が少ないため女性が管理職になりやすいのでは」と分析している。総務省の2012年調査を基に、内閣府が作成した都道府県別ランキングによると、公務員を含む課長相当職以上のうち、女性の割合は高知21.8%、青森20.3%、和歌山18.4%の順だった。最下位は滋賀の8.0%。働く人に占める女性の割合も高知が46.7%でトップ。2位は宮崎の46.4%だった。高知は起業家に占める女性の割合も、佐賀と並び18.2%で最高だった。今年2月時点で、将来女性の幹部登用促進に「積極的に取り組む」とした都道府県は33。「ある程度取り組む」が9だった。

*3-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=30384
(日本農業新聞 2014/10/22) 古い調理機器生かせ 活動広げる糸口に JAいわて花巻女性部
 JAいわて花巻女性部花巻地域支部の各支部は、JA支店などで使用されなくなった調理機器を使って、JA店舗の利用拡大や女性部活動の活性化につなげている。JA本店農産加工施設の「アイスクリーム製造機」を使い、講習会を開いた同地域支部湯本支部の食母’S(クッカーズ)は、予想以上の出来上がりとなり、活性化に活用できると期待している。アイスクリーム製造機は、17年ほど前に購入した。時代とともに多様化する調理器具の普及で使用頻度が減り、近年は使い方を知る人も少ない状態だった。グループのリーダーらは「新たな活動につなげることはできないか」と試験を重ね、使い方を研究。果実を投入するタイミングなども吟味した。講習会には支部員ら14人が参加し、ブルーベリーやイチゴを入れた3種類のアイスクリームを作った。グループの吉田伯子代表は「驚くほどに良い出来だった。今後の活動に可能性が広がる」と話した。参加者は「自信を持って外に出せるほど、おいしく出来上がった。6次産業化にもつながるかも」などの積極的な声も出た。この他、同地域支部矢沢支部では、矢沢支店で30年以上前に使っていたパン焼き用オーブンに火入れを試みた。現在の機器とは使用法が異なるため、試作品を作りながら、不明だった温度や発酵時間の調節などを分析。もが使えるよう取り扱い使用書などを作った。講習会を開くなど活動の幅を広げる予定だ。

*3-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/123510
(佐賀新聞 2014年11月9日) 仏企業30社を紹介へ コスメバレー会長が初来訪
 フランスのコスメティックバレー協会のマーク・アントワーヌ・ジャメ会長が8日、コスメ事業で協力連携協定を締結している唐津市を訪れ、坂井俊之市長を表敬訪問した。ジャメ会長は日仏連携を軌道に乗せるため、フランスのコスメ業界の約30社をジャパン・コスメティックセンター(事務局・唐津市)の会員企業に紹介し、ビジネスマッチングを進めていくことを提案した。アジア市場をにらみ昨年4月に協定を締結して以来、具体的なビジネス提案は初めて。また、同協会が産学連携で進めている150の商品開発プロジェクトの中からも連携を模索したいとアイデアが出された。コスメ業界ではフランスは香水、日本は基礎化粧品を得意としており、ジャメ会長は「高い技術を持つ両国が協力すれば、得意分野をさらに伸ばせる。ともにいい商品を開発し、発展していきましょう」と述べた。コスメティックバレーはフランスのシャルトルに拠点を置く世界最大の化粧品産業集積地。3代目会長のジャメ氏が唐津を訪れるのは初めて。10日まで3日間滞在し、9日は玄海町の薬用植物栽培研究所、10日は県庁や佐賀大学を訪問する。

*3-4:http://qbiz.jp/article/49144/1/ (西日本新聞 2014年11月5日) FFG、管理職の10%を女性に 23年目標、積極活用で組織力強化
 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)は、副支店長級以上の管理職に占める女性の割合を2023年3月までに現在の4倍の10%に引き上げる目標を設定したと発表した。女性行員を積極的に活用し、組織力を高める狙い。FFG傘下3行の女性管理職数は今年3月末で26人で、全体の2・5%。課長級以上の役職者を含めても7・7%にとどまるという。特に取引先との信頼関係が欠かせない法人融資部門が少なく、昨年10月に女性行員によるプロジェクトチームを立ち上げ、社内の意識や制度に改善点がないか検討してきたという。目標達成に向け、育児休業からスムーズに復職する制度なども検討するという。柴戸隆成社長は「お客さまの半分は女性なので、女性の視点を持つことは大事。中長期的には組織力も高まる」としている。

<シカやイノシシなどの野生動物について>
*4-1:http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/incident/ASGBM520TGBMUUPI001.html (Gooニュース 2014年11月7日) シカ増殖、北海道から屋久島まで食害 土砂崩れの危険も
 シカが増え続けている。被害は北海道から屋久島まで広がり、農作物だけにとどまらない。下草が食い尽くされ土砂崩れの危険が高まる場所も。10年後に倍近くに増えるとの試算もある。捕獲を強化するため鳥獣保護法も改正され、官民一体で新たな試みも始まった。野生のシカを探して、富士山南斜面、静岡県裾野市の有料道路「南富士エバーグリーンライン」を車で走った。標高千メートル付近、シカが横切った。車を止めてカメラを構えたが間に合わない。走り出すとまた一頭、扉を開けた途端に逃げられた。昼は一頭も出てこなかったが、暗くなると次々現れる。数頭を逃し、今度は車を手前から徐行させる。近づいても、母子らしいシカは道路脇で草を食べ続けていた。静かに窓を開けて300ミリの望遠レンズで撮影できた。静岡県自然保護課によると、富士山地域の静岡県側には推定で1万頭前後が生息。木々は樹皮をはがされ、植林しても葉や枝先を食べられる。国有林では4年前、静岡森林管理署や県、富士宮市、猟友会などが協力して、シカの駆除を始めた。猟師ら十数人がかりで週末に通年行ったが、2010年度は288頭。簡単には減らせなかった。

*4-2:http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201411/20141107_75024.html
(河北新報 2014年11月7日) 東北のジビエ危機 原発事故で提供困難に
 東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故を受け、野生鳥獣の食肉「ジビエ」を扱う料理を東北で提供できない状態が続いている。国の基準値を超える放射性物質が検出されたのが要因で、影響は岩手や山形、宮城各県など広範囲に及ぶ。マタギ文化の継承も危ぶまれる事態に、関係者の嘆きが深まっている。
<熊そば断念>
 「足を運んでもらっても断らなければならないのがつらい」。飯豊連峰に近い山形県小国町の小玉川地区。民宿と料理店を営む本間信義さん(64)は原発事故後、目玉だったツキノワグマ肉が提供できなくなった。県内全域で出荷が制限されたためだ。柔らかく煮込んだ赤身が入った「熊そば」などのメニューが人気だった。一時は東電への賠償請求も検討したが、手間の割に受け取れる金額が小さいことから諦めた。本間さんはマタギの9代目として、昔ながらの猟を仲間12人で守ってきた。肉の販売は収入源の一つだったこともあり、「この状態が続けば後継者がいなくなってしまう」と危機感を募らせる。
<シカ売れず>
 岩手県ではニホンジカの肉が基準値を超えた。五葉山に約1万頭が生息しており、原発事故までは大船渡市の第三セクター「三陸ふるさと振興」が「けせんしかカレー」を製造していた。五葉山から福島第1原発までの距離は約200キロ。ふるさと振興の志田健総務課長は「ヒット商品だったのに販売できなくなった。これだけ離れても実害を受けるとは…」と話す。フランス語で野生鳥獣肉を意味するジビエを使う料理が注目される背景には、野生鳥獣による深刻な農作物被害の増加がある。自治体などが近年、駆除促進と観光資源の発掘を狙い、食肉利用の拡大策を打ち出している。国が2012年度から年間30万頭分の補助金を用意し捕獲強化を促した結果、流通量が増加。メニュー開発も加速しブームに火が付いた。ただ出荷制限地域では食用販売できず、ほぼ全量が廃棄されているとみられる。
<イノシシも>
 宮城県丸森町でイノシシ肉を販売していた「いのしし館」は出荷制限が始まった11年8月、閉鎖に追い込まれた。農家らでつくる「丸森自然猪利用組合」が10年にオープンさせたばかりだった。町によると、10年度に252頭だった捕獲数は13年度に1236頭まで増えた。原発事故の影響が大きい福島県で繁殖が進み、域内に入り込む例が増えたらしい。組合の一條功代表(63)は「頭数は増え、施設の息の根も止められた。非常に理不尽だ」と嘆いた。


PS(2014/11/10追加):農林水産業は、①経営規模の拡大 ②6次産業化 ③再生可能エネルギーの利用など、これまであまりやってこなかったことを行うため初期投資が必要で、資金需要が大きい。その資金需要に的確に応えて農林水産業や地域の発展に繋げるには、農林水産業における資金需要の性格を知り、農林水産業を強い産業に育てたいという気持ちを持って、金融を行うことが大切である。

*5:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=30706
(日本農業新聞 2014/11/9) JAグループファンド 6次化 再エネ 法人経営 目的別出資で支援
JAグループは、ファンドを通じて農業と地域への支援を進めている。担い手である農業生産法人の経営安定や6次産業化の支援、再生可能エネルギーを活用した地域づくりという大きく三つの目的に沿って複数のファンドをそろえた。出資先が100件を超えたファンドもある。ファンドは農林中央金庫をはじめJAグループなどが拠出した資金で創設した。出資はJAグループなどが候補を運営会社に紹介し、運営会社が検討・審査した上で行う。法人などにとってファンドは借り入れと異なり、利息の支払いがない。出資を受けることで自己資本の比率が高まり、財務が安定。対外的な信用力も向上する。農業生産法人などを対象にしたファンドの数が多く、そのうち「アグリシードファンド」は資本過小ながら技術力のある法人に出資する。9月末までに119件に出資した。農林中金によると、イチゴの観光農園はファンドで1000万円の出資を受け、設備を改修。来園者が増え、経営が安定した。ファンドの活用で自己資本比率が低下せず、追加の借り入れが不要になったという。法人向けは他に、地域営農ビジョンの中核となる農業法人などを対象にした「担い手経営体応援ファンド」、大規模な法人向けには「アグリ社プロパーファンド」がある。東日本大震災からの復興を支援するファンドなども設けている。6次産業化を後押しするのが「JA・6次化ファンド」だ。農林漁業者とパートナー企業でつくる、6次産業化法に基づく認定事業者(6次産業化事業体)に出資する。これまでに、地元農産物を使った総菜の加工・販売、国産豚肉と鶏肉を使った料理を提供する外食産業を展開する会社などに出資した。「農山漁村再エネファンド」は、地域活性化の観点で取り組む再生可能エネルギー事業を支援する。10月に2件の出資が決まった。地域の営農と一体的に取り組む太陽光発電、地元林業者らによる木質バイオマス発電を行う会社を支援する。


PS(2014.11.13追加):日本商工会議所会頭の三村明夫新日鉄住金相談役が会長を務める諮問会議調査会が、「①女性や高齢者の就業率を5%引き上げれば」「②50年後も2%成長可能」で、「③結婚を希望する若者が皆結婚し、2人超の子どもを産み育てる環境を作れば、50年後の人口は1億人が維持できる」として、「④1億人維持を政府として目標に据えるべきだ」「⑤定期的に若返りが必要な企業は、高齢者雇用を増やすことで若者の働く場がなくなり、国全体の活力をそぐ」等と強調したそうだが、これらの諮問会議は、委員の頭が古すぎ、結果ありきの結論で、科学的・合理的な思考がないのが問題だ。 
 何故なら、このブログに何度も記載しているとおり、①は、50年後に女性や高齢者の就業率をわずか5%しか引き上げない予定で、さらに年金支給額を削減して需要を減らそうとしていること ②は、経済成長(正しくは、経済拡大)のみしか考えておらず、生活水準に関する考察がないこと ④は、合理的な説明なく1億人の人口が不可欠としており ③は、そのために2人超の子どもが必要だとしていること(この計算も間違い) ⑤は高齢化による需要構造の変化や高等教育での再教育を状況に合わせて考えていないこと などで、どれも正しくないからである。

*6:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141113&ng=DGKKZO79623110T11C14A1EE8000 (日経新聞 2014.11.13) 女性・高齢者の就業率 5%引き上げを、諮問会議調査会の最終報告書案 50年後「2%成長可能」
 50年後の日本経済を議論する政府の「選択する未来」委員会の最終報告書案が12日、明らかになった。「女性や高齢者の就業率を5%引き上げる必要がある」としたうえで、生産性の上昇も実現すれば「50年後も1.5~2%超程度の経済成長を維持できる」と結論づけた。政府全体の施策を中期的視点でどう再構築するかが課題になる。同委は経済財政諮問会議の下に置かれた専門調査会で、日本商工会議所会頭の三村明夫新日鉄住金相談役が会長を務める。14日の会合で報告書を決定し、三村会長が記者会見で政策提言の狙いなどを説明する予定だ。現状のままでは人口は50年後に現在の3分の2の8700万人に落ち込む。報告書は「結婚を希望する若者が皆結婚し、2人超の子どもを産み育てる環境を作れば、50年後の人口は1億人が維持できる」とし、1億人維持を政府として目標に据えるべきだと強調した。労働参加を促しても、2031~60年平均で労働力不足は年0.3%成長を下押しする。1.5~2%の経済成長を実現するには、生産性が年1%台半ば~2%強、伸びる必要がある。報告書は「生産性の低いビジネスが淘汰されるよう起業促進や事業再編などを通じ、新陳代謝や若返りが活発化することが必要」と指摘した。特に20年代初頭までに改革を集中的に進め「生産性上昇率を世界トップレベルに引き上げる」ことを求めた。人口減への対応策は中長期的な視点から整理した。課題は実現に向けた具体策だ。報告書では女性の活躍を進めるため、現在1割程度の女性管理職を3割に高めるほか、事務職や販売職に偏った働く場を改善するよう求めた。育児休業の取得促進や長時間労働の是正を通じ、男女共に働きやすい職場作りを進める必要がある。報告書では税制や年金などを念頭に「女性の就労拡大を抑制する制度や慣行は積極的に見直す」とも強調した。ただ、主婦年金や配偶者控除の大胆な縮小は政治的な抵抗も強い。妻のパート収入に連動した公務員や企業従業員の配偶者手当も見直しが急務だ。高齢者の就労促進については「希望年齢まで働ける環境整備がまず重要だ」と提言した。現時点では高年齢者雇用安定法により、段階的に企業は65歳まで働く場を確保することが義務付けられている。さらに65歳を過ぎても働く意欲のある高齢者は多い。ただ、定期的に若返りが必要な企業にとって、年齢の高いシニアをどう活用するかは頭の痛い問題だ。高齢者雇用を増やすことで結果的に若者の働く場がなくなれば、国全体の活力をそぐリスクもある。

| 農林漁業::2014.8~2015.10 | 06:30 PM | comments (x) | trackback (x) |

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