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2013.8.7 新エネルギーの可能性、発送電分離、完全な連結納税制度の導入について
   
  燃料電池バス       燃料電池車        エネファーム      電気トラック

(1)新エネルギーの可能性
 *1、*2、*3のように、今まで使っていなかった新エネルギーを賢く活用すると、わが国は、低コストで環境を害さないエネルギーを自給できた上、輸出も可能だ。そのため、新エネルギーの可能性は大きいが、新エネルギーを発見して開発し、安い価格で供給するには、発電事業者の工夫とコスト削減努力が必要なので、公正な市場競争が存在することが必要不可欠である。
 そのため、政府は、①地域独占による電力供給システムを廃して電力需要者が事業者を自由に選択できるようにすること ②徹底した発送電分離を行うこと ③環境基準を厳しく定めて環境を害さないエネルギーに誘導すること が必要である。念のために書いておくが、人間が暮らす環境を害するものは、CO2だけではなく、放射性物質、NOx、SOx、騒音、振動、低周波等もである。
 これらのあらゆる点で優れているのが、*1の水素、*2の太陽光であり、石油から水素や電気へのエネルギーシフトを行えば、殆どの問題が解決する。そのため、一般国民に手の届く安い価格で、新エネルギーに対応した便利な機器を供給することが必要だ。

(2)完全な発送電分離が必要な理由
 これまでの電力会社が送電線を所有していれば、送電事業者の意志により、新規の発電事業者は、努力に見合った安い価格で需要者に電力を届けることができず、電力市場は送電線を所有している既存の電力会社の思いのままになり、公正な競争にならない。経産省の認可が必要であっても同様だ。そのため、①既存電力会社が発送電分離を行って送電会社が中立になるか ②新しい電力網を国、地方自治体、他企業が作るか ③それを併用するか が必要なのである。

(3)完全な連結納税制度導入の必要性
 電力会社が、送電網とそれに関わる人材をまとめて送電会社として会社分割したら納税額が増えるという不利益がなく、会社分割したことによって経営力を高めるというメリットを得られるためには、連結納税制度の徹底が必要である。注の連結納税制度は、私が公認会計士の時、先進諸外国の事例を見て提唱し導入されたもので、組織再編に有力なツールだ。しかし、現在でも、連結納税制度は法人税に認められているだけで、住民税や事業税には認められていないため、会社分割すると住民税・事業税の税負担が重くなる上、税効果会計の会計処理も複雑になる。そのため、連結納税制度は、本来の趣旨にかんがみて、住民税・事業税にも適用すべきである。

 なお、特定の事業者の原発事故処理、汚染水処理、廃炉等に税金を使うのは、順番が違うと思う。まず、当事者が送電会社などの売れるものは売り、捻出できる資金はすべて捻出した上で、どうしても足りなければ税金を使うという話になるべきである。

注:連結納税制度http://100.yahoo.co.jp/detail/%E9%80%A3%E7%B5%90%E7%B4%8D%E7%A8%8E%E5%88%B6%E5%BA%A6/
 親会社と子会社などの企業グループを一つの企業のように看做して法人税を課税する制度。早くから欧米で定着していたが、日本は2002年(平成14)4月から導入した。グループ内企業の黒字と赤字を相殺でき、一般的に課税所得を圧縮する効果がある。税制面でM&A、新規事業への進出、赤字事業の分社化など機動的な組織再編を促し、企業の国際競争力を高める効果がある。

*1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD2908V_Z20C13A7SHA000/?dg=1
(日経新聞 2013/8/6) 日本は水素大国 燃料電池車の潜在力(真相深層)
■住宅に給電実験
 3年前にできた福岡県北九州市のスマートコミュニティ実証実験場。最近始まったのは車から住宅に給電する実験だ。使っているのはホンダが開発した燃料電池車。車で起こした電気を地域のエネルギー管理システムと連携させ、家庭に給電しながら電力をよく使う時間帯の分散が可能かどうかを調べている。実験場に入居するのは230世帯と50の事業所。隣接する新日鉄住金の八幡製鉄所とパイプラインでつながっており、製鉄のプロセスで生じる水素を燃料電池による発電や燃料電池車に使う。生成過程では二酸化炭素が発生しているが、通常は捨てられてしまう水素を電気にして使えば地域全体としては余計な化石燃料を使わずに済む、とのコンセプトだ。発電、熱利用、貯蔵。水素の活用法は多数ある。例えば、使う時間帯を分散して余った電力で水素をつくり、保存すれば家庭用発電機や燃料電池車に回せる。太陽光など再生可能エネルギーで水素をつくれば、さらに二酸化炭素を出さない循環が生まれる。自治体などが主導するこうした実験場は国内に4カ所あり、石油会社や重電、自動車、鉄鋼メーカーが技術開発を競う。実は、日本は水素大国だ。製鉄などの副生成物として大量に発生するほか、ガソリンなどを精製する際、硫黄分を取り除くためにつくる大量の水素が今後は製油所の縮小で余剰になる。日本の生産能力は年間約360億立方メートル。これに対し、石化や産業ガス、ロケット燃料などで使われる総需要は約半分だ。余剰の能力を生かせないか。これを使えば例えば水素で動く燃料電池車が年間1500万台動かせる計算。日本は厳しい二酸化炭素の削減目標に挑み、東日本大震災の後は天然ガスの輸入増加で貿易収支の改善が課題になっている。

*2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130806&ng=DGKDZO58137320V00C13A8TJ1000
(日経新聞 2013.8.6) 昭和シェル系 太陽電池、20円台前半に 発電コスト下げ
 昭和シェル石油の太陽電池子会社、ソーラーフロンティア(東京・港)の玉井裕人社長は、2015年以降に住宅向け太陽電池の発電コストを20円台前半まで引き下げる方針を明らかにした。出力1キロワットで1時間電気をつくるのにかかるコストで、現在は30円台とみられる。発電コストの低い太陽電池の商品化で住宅向け需要を開拓する。薄膜化合物系の太陽電池の1枚あたり出力を引き上げ、現在14%の発電効率を向上させる。「原材料の見直しや不良品率低減を徹底して製造費用も下げる」という。3~4年後に20円台前半で発電できるようにする。15年3月に国の太陽光発電買い取りの設備認定受け付けが締め切られる。15年以降は産業用の太陽電池の需要が減るとみられるが、「発電コストが安くなれば、住宅の屋根への搭載が進む」とみている。ソーラーフロンティアは、宮崎県に3つの太陽電池製造工場を持つ。年間供給量は約1ギガワットで国内3位、世界ではシェア10位。

*3:http://bizgate.nikkei.co.jp/smartcity/kanren/201308021433.html
(日本経済新聞 2013/8/1) 世界最大蓄電池、北海道電が導入
 経済産業省は31日、住友電気工業製の世界最大級の蓄電池を北海道電力の南早来変電所に導入すると正式に発表した。蓄電池の放充電により、天候による出力変動の激しい太陽光や風力などの供給量のブレを調整して、再生可能エネルギーの活用を進める。蓄電池の導入で北海道電の再生可能エネルギーの導入可能量は約1割増える見込み。住友電工横浜製作所(横浜市)の実証機を視察した茂木敏充経産相は、「世界最先端の技術は国内で再生可能エネルギーを安定的に拡大するために重要だ。日本のお家芸の技術を将来的には国際展開したい」と述べた。導入するのはリチウムイオン電池の倍の20年の寿命があるレドックスフロー電池。6万キロワット時(一般家庭6千世帯の1日分の消費電力に相当)の蓄電能力がある。電力会社が大容量蓄電池を本格導入するのは初めて。北海道では昨年7月から始まった再生エネの固定価格買い取り制度で、メガソーラー(大規模太陽光発電所)に参入する事業者が急増した。気象条件で発電量が大きく変動する太陽光発電は電圧や周波数の振れが大きく、安定供給に影響があるとして、北海道電では電力網への接続を制限している。

*4:http://digital.asahi.com/articles/TKY201308060684.html?ref=pcviewpage
(朝日新聞 2013年8月7日) 中部電、首都圏で売電 三菱商事から新電力買収 地域越え競争へ
 中部電力が今年10月から、東京電力管内で企業向けの電力販売に乗り出す。三菱商事から新電力会社「ダイヤモンドパワー」(東京都)を買収し、首都圏市場に参入する。地域ごとに電力市場を独占してきた大手電力が、他の地域に本格参入するのは初めて。大手電力どうしが競争する時代の幕開けになりそうだ。
▼国盗り合戦
 企業など大口向けの電力販売は2000年から自由化されている。三菱商事は同年に、新規参入の「新電力会社」としてダイヤモンドパワーを設立。三菱商事が株式の100%を持ち、首都圏の百貨店や工場に電気を売っている。販売量は数億キロワット時で、約90社ある新電力の上位10社に入る規模だ。中部電は10月1日付で三菱から持ち株の80%を買い取り、経営の主導権を握る。買収額は10億円程度とみられ、社長も中部電から新たに派遣する。三菱商事が売却するのは、当初の計画ほど販売が伸びなかったためだ。一方で、20%の株式を保有し続け、引き続き電力事業にかかわる。株式取得とともに、東電管内の静岡県富士市にある日本製紙の工場内に石炭火力発電所を新設する。三菱商事、日本製紙と約250億円かけて建設し、16年に運転を始める。発電能力は10万キロワット。発電した電力は、ダイヤ社が首都圏の販売用に買い取る。2000年に大口販売は自由化されたものの、大手優位が続く。大手電力が他社の区域に販売する例は、九州電力が中国電力管内のスーパーに売る1件しかない。自由化後も競争は十分に進んでいなかった。そんななかで、中部電がダイヤ社を買収して首都圏での電力販売に乗り出すのは、販売市場を広げる好機とみているためだ。首都圏を地盤とする東電は、福島第一原発事故などの影響で、今後も電気料金の高止まりが予想されている。中部電は販売電力に占める原発の比率が小さく、東電などと違って値上げしていない。首都圏で安い電力を供給できれば、市場を開拓できる余地が大きい。ダイヤ社の売電規模は、東電や中部電の企業向け販売と比べると1%に満たない。ただ、優良顧客を抱えており、首都圏市場に参入する第一歩としては、効果的だ。中部電は買収を足がかりに、首都圏での販売をさらに拡大させたい考えだ。中部電管内の周波数は60ヘルツで、東日本の50ヘルツと異なる。ただ、電力自由化が今後進めば、中部電が自社管内で発電した電力を変換して、首都圏で直接販売する道も広がる。東電と中部電の電気料金の差が開いていくと、中部電が首都圏での直販を検討する可能性もある。


PS(2013.8.7追加):このような中、*5のように、経済産業省が2014年度予算の概算要求に、原子炉建屋への地下水流入を防ぐため、土を凍らせて壁をつくる費用を盛り込むそうである。中学生程度の熱交換の知識があれば、莫大な量の水が流れている場所に凍土の壁を作っても、それを凍らせ続けることはできず、温度の下がった水が海に流れ込んで、環境に悪影響を与えることは明らかだ。このように、放射性物質は水に流し、国民の税金をどぶに捨てながら、環境を破壊するような意思決定をする者に意思決定させるのが間違いだが、それにしてもひどすぎる。

*5:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF0600Z_W3A800C1MM8000/
 
(日経新聞 2013/8/7) 福島原発汚染水対策に国費 来年度概算要求で遮水壁
 政府は東京電力福島第1原子力発電所の汚染水対策に国費を投入する方針を固めた。経済産業省が2014年度予算の概算要求に、原子炉建屋への地下水流入を防ぐために土を凍らせて壁をつくる費用を盛り込む。福島第1原発の収束作業を東電任せにせず、国がこれまでより踏み込んだ対策を取る方針に転換する。7日に開く原子力災害対策本部会議で、安倍晋三首相が茂木敏充経産相に汚染水対策の強化を指示する見通し。これを受け、経産省が具体策を詰める。国は福島第1の廃炉の研究開発費を支援してきたが、汚染水対策に予算がつけば初めて。福島第1原発では放射性物質で汚れた水の海への流出を少しでも抑えるのが最大の課題だ。東電は地下にたまった汚染水の海洋流出を防ぐため、原発そばの護岸沿いに遮水壁をつくる工事を進めている。ただ原子力規制委員会は遮水壁を乗り越えて汚染水が海に漏れ出ている可能性を指摘。原発の地下を流れる地下水そのものを食い止める対策が必要になっていた。
 経産省は5月、原子炉建屋に流れ込む1日400トンの地下水を減らすため、1~4号機を囲うように土を凍らせて流入を阻む壁をつくるよう東電に指示した。凍土による壁は世界でも前例がなく技術的課題も多い。工事費は最大400億円規模になりそう。実質国有化中の東電には負担の余力が乏しく、費用の大半は国が負担する見通しだ。経産省は8月から遮水壁の設置場所などの調査を始め、年内に必要額が固まる見通し。8月末の概算要求では対策費の名目だけを要求し、必要額が固まって改めて予算要求する。エネルギー対策特別会計から補助金として支出する案があるが、詳細は経産省と財務省で詰める。遮水壁は15年9月末までの設置を見込むが前倒しも検討する。政府は汚染水問題では前面に出る格好だが、それにとどまらずに賠償や廃炉、除染などでも国と東電の役割分担を明確にしていく考え。
 廃炉は原則として事故を起こした東電が担う。廃炉費用を国が資金支援する枠組みもない。昨年9月に経産省から独立して発足した原子力規制委員会は当初、廃炉作業から距離を置き、官庁の監督体制も弱まった。汚染水問題は、「廃炉を東電任せ」にしてきたもろさが露呈した格好だ。東電は昨年11月に賠償、廃炉、除染の費用が10兆円規模になり「一企業のみの努力では到底対応しきれない」と国に追加支援を求めた。3月、4月にも責任と費用の分担を求める文書を国に提出。安倍首相は4月に「国が一歩前に出る」と約束したが、具体策は参院選後に先送りしていた。東電は10月に800億円弱の借り換え、12月に3000億円の新規融資を控えており、秋には昨年まとめた総合特別事業計画を改定する。東電再建を後押しし、廃炉作業を着実に進めるためにも、今後は国の関与のあり方が焦点となる。

| 資源・エネルギー::2013.4~2013.10 | 12:19 PM | comments (x) | trackback (x) |

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