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2014.4.26 自然の大きさやすごさを知らないリーダーが多いのは何故か ― 「フクシマで、地下水バイパス専用井戸や凍土壁を作れば汚染水が防げる」「火山は滅多に噴火しない」という決め付けが起こった事例から
   
                2014.4.21西日本新聞より

(1)原発の立地は、火山の噴火も想定外にするのだろうか
 *1-1のように、西日本新聞には、九電の川内原発などへの火山の影響を検討した原子力規制委員会の議論は不十分とする火山研究者の批判が相次いでいることが書かれている。そして、国内の巨大噴火は約1万年に1回発生してきたとされているが、桜島はいつも噴火しているし、普賢岳が噴火しだしたのは最近で、その後、東日本大震災が起こっているため、巨大噴火が近い将来ではないという保証はなく、阿蘇で巨大噴火が起これば、九州全域に数時間で1メートル以上の降灰があるそうだ。

 そのため、*1-2のように、原子力規制委員会が再稼働の前提になる審査で、九州電力川内原発1、2号機の火山影響評価を議論し、より厳しい基準を設けるよう注文したそうだが、他から言われて初めて気がつくようでは、このほかにも気づいていないリスクが沢山ありそうだ。

 しかし、*1-3に書かれているように、日経新聞は、「川内原発が今夏再稼働すれば、九電管内の電力の余力は14.2% あると経産省が試算し、九電で余った電力は関西電力などに融通することも可能だ」と再稼動推進の姿勢で報道しており、これは、目先の小さな利益のために九州全域を人質にする愚行である。

(2)富士山も噴火が近そうだ
 *2-1のように、300年間、噴火がなかった富士山も、2011年3月11日の東日本大震災と(これから起こる)南海トラフ地震の誘発により、噴火の可能性があることを火山学者らが指摘している。私も、「東京⇔福岡」間を飛行機でよく往復するが、2012年頃、富士山の途中が少し盛り上がり、その部分を起点とする見慣れない雲ができているのを見て、その部分の温度が高くなっており、富士山の噴火も近いのではないかと思ったことがある。

 また、*2-2のように、中部電力が再稼働を原子力規制委員会に申請した浜岡原発4号機は、南海トラフ巨大地震の想定震源域でもあるため、浜岡原発を動かしてはならないことに全く同感である。それだけでなく、速やかに使用済核燃料を取り出して、廃炉にすべきだ。

(3)フクシマの汚染水対策は、地下水の水量や動きを想像できない人の発想だ
 *3-1の産経ニュースは、「原子力規制委員会は、原子炉建屋の地盤沈下、周囲環境への影響、安全性、安定的な管理、地下水の動きの把握などの問題を指摘して認可しないため、規制委と経産省が対立しており、規制委の反対で汚染水問題の解決そのものが停滞する可能性がある」と報道している。しかし、規制委と経産省が必ず同じ意見であれば規制委は役割を果たさないのであり、このような違いを「対立」と報道すること自体、規制委と経産省の関係がわかっていない。

 私も、経産省と東電が建設を進める「凍土遮水壁」については、最初に聞いた時から、①壁で地下水を防ぐことは出来ない ②四方を長期間凍らせ続けるためには莫大な費用がかかる ③核燃料のスラグを地下水で冷やし続けているのではないのか など、多くの疑問を感じていた。

 さらに、*3-2のように、東電の地下水バイパス計画で掘った「くみ上げ専用井戸」については、そもそも井戸でくみ上げれば地下水が減ると考えるのは甘いし、爆発で放射性物質が撒き散らされ、汚染水タンクからも汚染水が漏れているため、付近の地下水は次第に汚染されると考えるのが自然だ。そのため、地下水の放射性物質濃度が東電の基準値を上回った井戸ごとに運用を停止することになるのであれば、井戸を掘った費用は一体いくらかかったのかと思う。

 そして、*3-3のように、人為的とも思われる汚染水トラブルが相次ぎ、多核種除去設備(ALPS)は機能していない。そのため、この調子では原発の地元だけでなく、関東までも深刻である。

(4)全体としては、リーダーを出せない地方の公教育が問題なのだろう
 経産省、東電、メディアなどの対応を見ていると、全体として、「自然の大きさの中では人間の力は微々たるものである」ということを知らない人ばかりのようである。また、「情報を操作しても真実は変わらない」「言い方を変えても内容は同じだ」というようなことも忘れているようだ。

 そのため、「どうして、このようなリーダーばかりになっているのか」を考えたところ、都市部の中高一貫校出身者が東大はじめ有名大学に多く進学し、そのうちの法学部卒が多くの場所でリーダーになっていることに気がついた。つまり、日本のリーダーの多くは、コンクリートで作られた人為的な都市で生まれ育ち、大学では「人間が法律や基準を定めれば世の中はそれに従って動く」と勉強し、本物の自然の大きさやすごさ、その中での人間の小ささを感じたことがなく、本物の自然の美しさも知らない男性が大半だったのである。

 つまり、都会育ちの同じタイプの人ばかりが、各場所(財務省・経産省ばかりでなく、国交省・農水省・メディア・企業等も)でリーダーになっていることの弊害が出ているわけだが、これは、男女を問わず多くのリーダーを出せない地方の公教育の遅れに原因があると考える。

*1-1:http://qbiz.jp/article/36135/1/ (西日本新聞 2014年4月21日) 巨大噴火無いと言えぬ 原発再稼働へ議論不足 火山研究者批判続々
 全国の火山研究者に行った西日本新聞のアンケートで、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)などへの火山の影響を検討した原子力規制委員会の議論を「不十分」とする批判が相次いだ。国内では約1万年に1回発生してきた「巨大(破局的)噴火」が、最大60年と短期間の原発稼働中に起きるか予測できないが、発生すれば被害は計り知れない。研究者は「リスクを国民に伝えた上で再稼働するかを判断すべきだ」と注文する。規制委による川内原発の審査で、九電は桜島を含む近距離の姶良(あいら)カルデラ(鹿児島湾北部)などが稼働期間に噴火に至る可能性を否定。「マグマだまりが破局的噴火直前の状態ではない」などとの理由だが、多くの研究者は異論を唱える。熊本大の横瀬久芳准教授は「(常時観測している)桜島や雲仙の噴火ですら定量的に予測できていない。科学的な根拠があるとは思えない」と批判。そもそも、地下のマグマ量を把握する方法が確立されていないというのが共通の意見だ。九電は川内原発の再稼働後、地殻変動などを監視して噴火の前兆を把握する方針だ。岩手県立大の伊藤英之教授は「異常が検知されて巨大噴火に至るのか、終息するのか正確な予知は難しい」と明かす。九電は送電線の火山灰を洗浄装置で落とす対策などを示しているが「装置の必要数など、未検討の事項が多い。議論は極めて表層的だ」(東日本の国立大教授)との見方もあった。
  ◇    ◇
 地下のマグマが一気に地上に噴出する巨大噴火で懸念されるのは、火山灰と火砕流の被害だ。阿蘇で巨大噴火が発生すれば、九州全域は数時間で1メートル以上の降灰があるとの試算もある。雨が降れば灰の重さは約2倍に膨れて電線が切断され、電力供給が滞る可能性は強まる。火砕流は火山灰、軽石などが有毒ガスと一緒に時速100キロ超で流れる現象。数百度の高温で、山を乗り越えて四方100キロを上回って広がることもある。巨大噴火による被害について、アンケートでは「周辺の多くの人が火砕流で死亡」(23人)、「九州などは生活できなくなる」(20人)と甚大な被害を指摘する回答が大半を占めた。ある研究者は「火砕流が川内原発を直撃すれば、運転員の生存は見込めない。原発は制御不能となる」と予測。静岡大の小山真人教授は「原発が火砕流に襲われた場合、どのくらいの放射性物質が放出される恐れがあるのか検証されていない」と批判する。東工大の寺田暁彦専任講師は「阿蘇など最大級のカルデラ噴火では、火砕流で100万人単位の死者が出るはず。深刻な放射能汚染は世界に広がる」と懸念。「確率が低くても、過酷な噴火被害の可能性がある場所に原発を立地すべきでない」と首都大学東京の鈴木毅彦教授は警鐘を鳴らす。規制委は、火山研究者による専門委員会の設置などには否定的だが、群馬大の早川由紀夫教授は「火山学者を入れた議論が不可欠だ」と提案する。

*1-2:http://qbiz.jp/article/36398/1/
(西日本新聞 2014年4月24日) 川内原発の火山監視体制「厳格に」 規制委、九電に再考要求
 原子力規制委員会は23日、再稼働の前提になる審査で、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の火山影響評価を議論した。九電はカルデラの巨大噴火の兆候を判断する基準や監視体制を説明したが、規制委はより厳しい基準を設けるよう注文。規制委としても今後専門家から意見を聞いて慎重に判断する方針を示した。今後、火山噴火への対応が長引けば、川内原発の審査終了がずれ込む可能性がある。川内原発の敷地周辺では、最も近い姶良カルデラ(鹿児島湾北部)の過去の噴火による火砕流の痕跡が3カ所見つかっている。九電は「敷地に火砕流が到達した可能性は否定できない」として、姶良を含む5カルデラの監視活動の具体策を提示。巨大噴火の兆候や対応について「マグマが増える速さが10倍になれば、地殻変動などの観測を詳細に実施する」とした。これに対し島崎邦彦委員長代理は「10倍になるまで何もしないのはあり得ない」と指摘。もっと早くマグマがたまることを想定して基準を作るよう求めた。九電は、事故時の対応をまとめた保安規定を5月末に提出する予定。噴火の兆候の判断基準や対応策は、この規定に明記しなければならない。内容について、原子力規制庁幹部は「今後審査会合の場で検討する」としており、議論が長引く可能性もある。島崎委員長代理は23日の会合で、火山の影響評価について「われわれもしかるべき検討が必要だ」と言及し、専門家に意見を聞く考えを示した。規制委はこれまで、外部の意見を聞くことに否定的だったが、「火山の審査や新規制基準は不十分だ」との指摘が相次ぎ、方針転換したとみられる。

*1-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140426&ng=DGKDASFS2504K_V20C14A4EE8000
(日経新聞 2014.4.26) 川内原発、今夏再稼働なら九電管内の余力14.2% 経産省が試算
 経済産業省は25日、九州電力川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県)が今夏に再稼働すると、九電管内の電力需給の余力をあらわす予備率が14.2%になるとの試算を明らかにした。川内原発が動かなければ、予備率は安定供給に最低限必要な3%ちょうどだった。川内原発が再稼働すれば昨年より電力需給が厳しい西日本全体でも余力が生まれる可能性がある。経産省が同日開いた電力需給検証小委員会(委員長・柏木孝夫東工大特命教授)に示した。原子力規制委員会による安全審査が進む川内原発の再稼働は8月以降の見通し。予備率は8月に1基の再稼働が間に合えば8.9%に、2基なら14.2%に上がるという。川内原発が2基動けば需要に対する供給の余力が51万キロワットから238万キロワットに増す。仮に100万キロワット級の火力発電所が停止しても供給力にまだ余裕がある。九電で余った電力は関西電力などに融通することも可能。西日本では今夏、関電の予備率が3%ちょうど。経産省は川内原発の再稼働による融通の拡大効果は見込まなかったが、関電管内の電力需給にもゆとりが出る可能性もある。同小委は中部電力と北陸電力を含む西日本の今夏の予備率が3.4%との報告書を正式に了承した。昨夏より2.5ポイント悪化しており、政府は5月中に全国への節電要請の内容を決める。

*2-1:http://thepage.jp/detail/20140303-00000011-wordleaf
(THE PAGE 2014.3.3) 300年間沈黙の富士山 巨大地震で噴火誘発か?
 2月23日は「富士山の日」。昨年はユネスコの世界遺産リストに登録され、“日本のシンボル”としても世界にアピールする富士山だが、その一方で懸念されているのが噴火の可能性だ。300年間も噴火もなく優美な姿を見せ続ける富士山に対して、特に2011年3月11日に起きた東日本大震災、さらには静岡県沖から四国・九州沖で発生が予測される“南海トラフ地震”の誘発による噴火の可能性を、火山学者らは指摘する。美しさを翻して突然襲いかかる自然の猛威に、いっそうの心構えや防災の準備は必要だ。
●世界の巨大地震と火山噴火
 これまで世界各地で発生したM(マグニチュード)9クラスの巨大地震は、「例外なく火山噴火を誘発した」と指摘するのは火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長(東京大学名誉教授)だ。1952年のカムチャツカ地震(M9.0)、57年のアンドレアノフ地震(M9.1)、60年のチリ地震(M9.5)、64年のアラスカ地震(M9.2)、2004年のスマトラ島沖地震(M9.0)では、いずれも近くの複数の火山が翌日から数年以内に噴火した。地震が火山の噴火を誘発するメカニズムのうち最も有力なのは、地震によって岩盤内の応力が変化し、火山の地下にある“マグマだまり”の圧力が減少する。するとマグマの二酸化炭素などの揮発性成分が発泡して軽くなり、上昇を始める。いったん上昇しだすと、さらにマグマの圧力が下がるので、どんどん発泡が促進され、さらにマグマが深くから供給されてくる、という仕組みだ。東日本大震災での地震も、M9.0という巨大地震(東北地方太平洋沖地震)だった。この巨大地震の発生直後、北海道から九州に至る20の火山の直下で一時、地震活動が活発化した。多くは1~2日で収まったが、箱根山(神奈川・静岡県)や焼岳(長野・岐阜県)では人に感じる有感地震もあった。また、震災4日後の3月15日夜には富士山の直下約15キロを震源とするM6.4の地震が発生し、静岡県富士宮市で震度6強が観測された。「このまま富士山噴火につながるのでは…」と、多くの火山学者らに一時緊張が走った。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S10979957.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞社説 2014年2月15日) 浜岡原発 動かしてはならない
 中部電力が浜岡原発4号機(静岡県)の再稼働を、原子力規制委員会に申請した。浜岡を動かしてはならない。その再稼働の可否は、規制委の審査の次元を超えている。国全体のリスク管理の一環として、政府が主導して廃炉にしていくべきだ。理由ははっきりしている。浜岡原発が、南海トラフ巨大地震の想定震源域に立地しているからだ。複合災害を含め、どんな被害が生じるかはまさに未知数である。必ず「想定外」のことが起きる。そこを出発点に、あらためて原発の必要性を問い直し、できるだけ危険性を小さくすることが、福島での過酷事故を経験した私たちの義務だ。福島第一原発の事故で避難指示の対象となった被災者は8万人以上にのぼる。浜岡原発から30キロ圏内の防災重点区域の人口は約86万人。事実上、避難は不可能と考えるべきだ。近くには東名高速、新東名高速、東海道新幹線が通り、人やモノが日々、大量に行き交う交通の要所である。放射能漏れが起きれば、東西を結ぶ大動脈が断たれ、日本全体がまひしかねない。自動車産業を中心に製造業が集積する拠点でもある。経済活動への世界的な影響ははかりしれないだろう。「そもそも建てるべきではなかった場所にある原発」といわれるゆえんである。再稼働には地元の合意が必要だが、静岡県知事は慎重な姿勢を崩していない。中部電力が安全協定を結んできた4市でも、例えば牧之原市議会は「確実な安全・安心が担保されない限り永久停止」を決議している。原発の潜在リスクが企業の立地回避や、お茶など農産品の風評被害につながりかねないという懸念がある。浜岡原発が廃炉となれば、中部電力の経営には打撃になる。廃炉に向けて、政府はさまざまな支援を講じる必要もあろう。ただ、中部電力は発電設備に占める原発の比率が10・6%と、他の大手電力より低い。このため原発停止後の燃料費増を受けた電気料金の値上げ幅も小幅にとどまっている。原発に依存しないぶん、大阪ガスとパイプラインを構築したり、東京電力管内での電力販売に名乗りを上げたりと、経営に独自性をみせる電力会社だ。今後の電力システム改革の中で、いち早く競争力をつける可能性がある。浜岡の再稼働にこだわらず、負荷をチャンスへと転じる好機ととらえてはどうか。

*3-1:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140418/dst14041820530009-n1.htm (産経ニュース2014.4.18)「凍土壁」6月着工困難に 規制委と経産省の対立露呈 福島第1原発
 東京電力福島第1原発事故の汚染水問題で、経済産業省と東電が建設を進める「凍土遮水壁(とうどしゃすいへき)」について、原子力規制委員会は18日の検討会で、原子炉建屋が地盤沈下したり周囲環境に影響を与えたりする可能性があるなど、安全性の問題を次々と指摘した。会合では経産省と規制委との対立が露呈し、政府が目指す6月の着工は困難になった。規制委の更田豊志委員は「どれだけ安定的に(凍土壁を)管理できるか。不測の事態に何が考えられるか検討したい」と述べ、経産省と東電に対し質問リストを出すことを明らかにした。凍土壁は汚染水対策として、政府が昨年9月に国費約320億円の投入を決定。東電は今年3月、規制委に凍土壁設置の申請書を提出し、規制委は安全性と有効性の点から設置の認可を検討してきた。会合では、安全性に疑問を示す規制委側に対し、経産省側は「過去に一線級の専門家に集まってもらい検討した」と強調したが、更田委員が「一線級だろうが関係ない。データや根拠を示してほしい」と声を荒らげる場面もあった。規制委側は特に、凍結管を地中深くまで掘って設置することから「帯水層に影響が出ないか」「大規模な凍土壁は前例がなく制御できるか」と懸念。また電気代など毎年維持費に数十億円かかるという点についても疑問視している。検討会のメンバーである高木郁二・京都大教授も「地下水の動きをちゃんと分かっているわけではない。(データの把握に)すごく時間がかかるかもしれない」と述べた。規制委は現状では認可しない構えだが、東電はすでに本格着工に向けた試験ボーリングを開始。今年度中の完成を目指しているが、規制委の反対で汚染水問題の解決そのものが停滞する可能性がある。

*3-2:http://www.minyu-net.com/news/news/0426/news8.html
(2014年4月26日 福島民友ニュース)基準値超の井戸、運用停止 第1原発・地下水バイパス
 東京電力福島第1原発の地下水バイパス計画で、赤羽一嘉経済産業副大臣は25日、くみ上げ専用井戸12本について、地下水の放射性物質濃度が東電の基準値を上回った井戸ごとに運用を停止する方針を示した。同日、県庁で面会した佐藤雄平知事に伝えた。個別の井戸で基準値を超えても東電はくみ上げ継続を強調してきたが、国の方針を受けて対応を急きょ転換し、運用停止を決めた。地下水バイパス計画は、井戸12本の水を集めた段階で分析し、基準値を下回れば海に放出する計画だが、赤羽氏は「地下水バイパスを慎重に運用していく観点から、井戸の水が(基準値を)上回った場合はいったんくみ上げを停止する」と運用停止を表明。基準値を超えた井戸でもくみ上げを継続するとしていた東電の方針については「慎重で安全に運用するよう指導する」と井戸の運用に積極的に関与する考えを強調した。

*3-3:http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201404&storyid=56243
(南日本新聞 2014.4.18) [汚染水トラブル] コントロールに程遠い
 東京電力が福島第1原発の汚染水約200トンを誤って移送した、と発表した。使わないはずのポンプ4台が動き、別の建屋の地下に高濃度汚染水が流入したという。にわかに信じがたい理由である。この発表の2日後には、汚染水対策の切り札とされる多核種除去設備(ALPS)でも、高濃度汚染水約1トンが漏れている。予定していた今月中の本格稼働は絶望的な状況だ。安倍晋三首相が「状況はコントロールされている」と明言したのは昨年9月だった。それから半年以上たったのに、現実はコントロールに程遠い状況である。汚染水処理につまずけば、本格的な廃炉作業は遅れるばかりだ。地元住民の不安、不信も一向に解消されない。首相は「国が前面に出る」と繰り返してきた。有言実行を求めたい。最大の疑問は使う予定のないポンプ4台が、なぜ作動したかだ。東電は配電盤にあるスイッチを作業員が故意に操作した可能性も含め、調査を進めている。当然ながら原子力規制委員会は監視体制の強化を東電に求めた。具体的には配電盤の施錠、監視カメラの設置などだ。誤送は2月にも起きている。誤って送られた高濃度汚染水が地上タンクからあふれ、タンクを囲むせきの外に約100トンが漏れた一件である。この時も閉めているはずの配管の弁が開いていた。後に何者かが誤って開け、そのミスを隠蔽(いんぺい)した疑いが出てきた。調査はうやむやに終わり、東電は弁に施錠し、監視カメラを強化した。どうして同様の対策をポンプでも講じなかったのか。異常に気づきながら現場確認は翌日とした対応を含め、緊張感に欠けると指摘されても仕方あるまい。汚染水が海に流出したり、タンクから漏れたりといったトラブルは昨年も相次いだ。その度に東電は後手後手の対応を厳しく批判された。いつまでも教訓を生かせないのは残念である。汚染水処理の現場では、1日約400トンの汚染水を貯蔵タンクの増設でしのぐ状況が続いている。「コントロール」どころか、深刻化の一途にあるとの危機感を持つべきだ。東電は廃炉、汚染水対策に特化した社内分社「福島第1廃炉推進カンパニー」を今月発足させた。汚染水を減らすための地下水バイパス計画も先週始まった。机上の計画は許されない。夏に向けて熱中症対策など、作業環境の改善にも努めるべきである。

| 原発::2013.11~2014.5 | 08:10 PM | comments (x) | trackback (x) |

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