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2014.6.2農業における金融改革及び農協理事への女性の登用について
   
  オリーブ畑(日本) アーモンド畑(日本)  菜の花畑     キャベツ畑

(1)農協の金融改革について
 日経新聞が、*1-1で、「日本の農業融資は5兆2千億円の残高があり、民間金融機関は1割強、残りは政府系金融機関と農業協同組合(JA)の金融事業などが占める」「民間銀行の融資全体に占める農業の割合は0.1%程度。天候などに左右されるリスクが大きく、現金収支が安定しないケースが多いため、有望な成長分野とはいえ、融資に二の足を踏む銀行も多い」と記載している。

 このように、一般金融機関は、「天候に左右されるリスクが大きいから」などと、既に農法や保険等で解決されていることを根拠に、これまで農業への融資をあまりしてこなかった。それで「農家に税務やマーケティングを助言する資格、農業経営アドバイザーの合格者は地銀を中心に2500人を超えた」と言われても、(それ自体は良いことだが)自然と生物を相手に行う事業のやり方やリスク管理の方法も知らずに、税務やマーケティングの資格をとっただけで農業経営アドバイザーができると考えるのは甘い。

 また、*1-1では、「米国にならった農業規制の緩和など、政策面からのテコ入れも求められている」としているが、米国にならって食品基準の規制緩和を行えば、日本の農業製品は長所を失うことがわかっておらず、これが日本経済新聞のレベルなのだ。

 その上、*1-1は、「米国では農地規制が緩く、農地を担保にした融資が浸透している」と大手銀行の関係者が言ったとして、「農業分野に民間資金を呼び込むには、規制緩和などもう一段の取り組みが必要だ」と結んでいるが、土地を売却価格で担保にとることしか融資のリスクヘッジを考えられない点が、日本の銀行の融資テクニックの拙さなのである。

 これ対しては、1)融資が滞ったからと銀行が農家から土地を取り上げ他の用途で転売されては、農地が虫食いになり農業地帯が維持できなくなるため、農地の転用については地域で計画を立てるように規制をかけているのであること 2)日本でも農地は担保価値があるほど高価ではないこと 3)米国の農地はさらに安価で、米国ではそもそも土地の価値は売却価格ではなくその土地の収益獲得能力で測るのだということ 4)不動産担保で融資するのではなく、動産(作物や家畜)などによる収益獲得能力と信用保証などのリスクヘッジで融資する方法がすでにできていること などの反論がある。また、大規模な農業経営体に対しては、適切な農業会計(日本にはまだないため国際会計基準を翻訳して使えばよい)の適用と監査証明を前提にすべきである。

 なお、日本農業新聞は、*1-2で、「規制改革会議は、信用・共済事業の農林中央金庫・JA共済連への移管を提案したが、現行法で措置済みだが実際はどこも導入していない信用事業の譲渡と代理店方式の導入、『共同元受け方式』として実質的に導入済みの共済事業の代理店方式の導入を主張している」「JA共済の共同元受け方式は、JA共済連と組合の支払い責任を100対0とし、共済契約者の保護を図る画期的な仕組みで、銀行法にも対処し得る信用事業規程とJAバンクシステム、保険法と保険業法にも対処し得る共済規程を整備して、銀行・保険会社とほぼ同水準の事業展開を図ろうとするものである」としており、それが事実ならば、規制改革会議は、それで不足な点について合理的な説明ができるのでないかぎり、粗末な提言をすべきではない。(なお、私は、今は事実を調査する術はない)

 また、JAの信用・共済事業の実績については、*1-3のように、「運転資金が必要な時、農業を知っているJAだから、すぐに来て手続きをしてくれる。いつ収入があって、いつ返せるのか、農業を知っているJAだから信用して貸してくれる。農業経営は、JAの信用事業なしでは成り立たない。資材や機械の更新時や補助事業の活用など、融資だけでなく面倒な手続きもJAが引き受けてくれる」という組合員の意見があり、国の補助も理解した上で手続きをしてくれるJAが、農業者にとって有難いことは明らかだ。

(2)農協の意思決定機関への女性の参画の必要性
 *2-1に書かれているように、「JA全国女性組織協議会が、女性のJA運営参画推進と次世代育成に、力を入れることを目標に掲げた2014年度計画を決め、女性正組合員25%以上、女性総代10%以上、女性理事等2人以上という数値目標の実現に向けた取り組みを進める」ことを決議したそうだ。規制改革会議は、農協の理事に占める女性割合を2020年までに30%にすることを提言した方が、理事に多様性を持たせ、農と食の現場で生産者・消費者の両方として活躍している女性の能力を引き出すことができると考える。

 実際、*2-2の日本オリーブオイルソムリエコンクールで初代優勝者になった渡辺さん、*2-3のJAとファミリーマートの業務提携、*2-4のタイへの冷凍ケーキ輸出・販売などのアイデアは、女性を始め多様な人材がJA理事としてJAを支えれば、比較的容易に出て農業の高付加価値化や6次産業化に資するものである。

(3)準組合員の制限について
 *3-1に書かれているとおり、「准組合員の事業利用は、正組合員の事業利用の2分の1を超えてはならない」とする根拠は何もない。むしろ、准組合員としてJAの事業を利用している人は、食品や農業に対する意識が高い人である場合が多い。

 植物工場で液肥によって栽培されたトマトと有機肥料で栽培されたトマトは、形は同じかもしれないが、味や栄養価は後者の方がずっと優れている。このような食品選択能力は、こどもの頃から培っておく必要があり、よい農業を維持するためには、よい産品を選んでくれるよい消費者を育てることも重要だ。

   
    茶畑           桃畑        葡萄畑        さくらんぼ畑   

*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140601&ng=DGKDZO72112070R00C14A6NN1000 (日経新聞 2014.6.1) 元気な農業へ民間資金動く ファンド出資、300億円超す 銀行融資5年ぶり高水準
 農業の活性化に向けて民間の資金が動き始めた。銀行の農業分野への融資残高は5年ぶりの高水準となった。農家が加工・販売まで手掛ける6次産業化を支援するためのファンドへの出資額は民間分だけで300億円を超えた。異業種からの参入や、生産規模を拡大する農業生産法人の投資を後押しする金融環境が整いつつある。米国にならった農業規制の緩和など、政策面からのテコ入れも求められている。日本の農業融資は5兆2千億円ほどの残高があり、民間金融機関が1割強、残りを政府系金融機関や農業協同組合(JA)の金融事業などが占める。民間銀行の2013年末の融資残高は約5500億円と1年前に比べて3.9%伸びた。農業以外も含む全体の融資の伸び(2.8%増)を上回る。農業融資は00年代以降、担い手の減少などで縮小が続いてきた。08年のリーマン・ショックを受けてさらに大きく落ち込んだが、13年に反転。リーマン・ショック直後の水準近くまで回復した。地方銀行が農業を成長産業と位置づけて融資に取り組んでいることが背景にある。北海道銀行や山梨中央銀行は農業経営者を育てる塾を開設。中国銀行や千葉銀行が農業参入を目指す企業に融資している。農家に税務やマーケティングを助言する資格、農業経営アドバイザーの合格者は地銀を中心に2500人を超えた。
●生産と販売結ぶ
 銀行が生産者と販売先を結びつける役割も果たしている。三井住友銀行は昨年12月、農業法人や食品メーカー、農機・農薬の関係企業を約150社集め、商談会を開いた。三菱東京UFJ銀行も農林漁業に鉱業などを加えた分野への融資が1年で2割近く伸びた。6次産業化を支援する農林漁業成長産業化支援機構と共同出資のファンドが40以上設立され、民間の出資額は300億円を超えた。みずほ銀行は地銀と組んで10のファンドを各地でつくり、水産加工や乳製品メーカーへの支援実績が出ている。三井住友銀のファンドが3千万円出資した農業法人の果実堂(熊本県益城町)は、データ分析を駆使したベビーリーフ栽培に取り組む。農林中央金庫も高品質のイチゴ農園や生産性の高い果樹生産など技術力のある農業法人に出資しており、支援実績は100件に達した。
●米は規制緩く
 ただ、民間銀行の融資全体に占める農業の割合は0.1%程度。天候などに左右されるリスクが大きく、現金収支が安定しないケースが多いため、有望な成長分野とはいえ、融資に二の足を踏む銀行も多い。米国では農業融資の4割程度を民間の商業銀行が占める。「農地規制が緩く、農地を担保にした融資が浸透している」(大手銀)という。日本でも銀行が成長分野と位置づけて積極的に融資しようとしているが、農業の活性化自体は道半ばといえる。大規模化や6次産業化など前向きな投資に踏み切る農家は一部にとどまっている。政府は6月にまとめる新成長戦略に、公的ファンドの出資対象を広げるなど企業の農業参入を後押しする方策を盛り込む。農業分野に民間資金を呼び込むためには、規制緩和などもう一段の取り組みが必要だ。

*1-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=28009  (日本農業新聞 2014/5/31) [規制改革会議 農協改革案の検証 5] 信用・共済事業 移管は法精神を無視
 農協の歴史的使命は戦後自作農体制の堅持にあるが、この農政課題を協同組合の目的に翻訳すれば、「農家家族の福祉向上」ということになる。この目的を、営農面活動・事業だけではなく、信用・共済事業を含む生活面活動・事業を通して実現するというのが農協系統組織の使命である。
●組合員の判断が基本
 しばしば「ゆりかごから墓場まで」という言い方がなされるが、組合が幅広く事業を展開できるようにする、というのが農協法の立法精神である。このような立法精神を無視して政府の規制改革会議は、信用・共済事業の農林中央金庫・JA共済連への移管を提案した。それも非常にお粗末な話であるが、現行法で措置済みの、しかし実際はどこも導入していない信用事業の譲渡と代理店方式の導入、「共同元受け方式」として実質的に導入済みの共済事業の代理店方式の導入を主張している。JA共済の共同元受け方式は、JA共済連と組合の支払い責任を100対0とし、共済契約者の保護を図る画期的な仕組みである。銀行法にも対処し得る信用事業規程とJAバンクシステム、保険法と保険業法にも対処し得る共済規程を整備して、銀行・保険会社とほぼ同水準の事業展開を図ろうとする組合の努力に水を差すものである。規制改革会議の提案を分かりやすく表現すれば、「総合農協の顔をした専門農協になれ」というものである。漁協とほぼ同じこの仕組みで「農家家族の福祉向上」が図れるかどうかがポイントである。歴史的経過からいえば、農協法制定に当たって、信用事業については、組合は兼営、連合会は単営という整理で決着がついた。また、共済事業については、当初、保険業への進出を目指したが、保険会社と行政庁の壁に阻まれて進出できなかった。経験や歴史を重ねて育つのが組織と事業であるから、これらの事実は重い。協同組合は、資本制企業の対抗組織でもあるが、同調組織でもある。このことは、例えば農林中金、JA共済連とメガバンク、大手保険会社との関係を見てもよく分かる。ただ、最終の意思決定は組合員の民主的コントロールの下で行う、というのが協同組合原則である。 (三重大学招聘=しょうへい=教授・石田正昭)

*1-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=28008
[農業改革 言うことあり 利用者編] 運転資金すぐに対応 (日本農業新聞 2014/5/31)
 農協改革などと言って、規制改革会議はJAをばらばらにしようとしているが、現場の声も聞いてもらわないと困る。私は乳牛50頭を飼養し、1日2回の搾乳で早朝から夜遅くまで仕事が詰まっている。運転資金が必要な時、農業を知っているJAだから、すぐに来て手続きをしてくれる。いつ収入があって、いつ返せるのか、農業を知っているJAだから信用して貸してくれる。農業経営は、JAの信用事業なしでは成り立たない。資材や機械の更新時や補助事業の活用など、融資だけでなく面倒な手続きもJAが引き受けてくれる。「組合員のため」という姿勢の表れだ。JAだからこそできることは多い。規制改革会議は実態を踏まえた議論をするべきだ。政府の規制改革会議が決めた農業改革の農協制度見直し案を、組合員農家らJAの利用者はどう見ているか。声を聞く。

*2-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=27866
(日本農業新聞 2014年5月23日) JA運営参画を推進 TPPで特別決議 全国女性協14年度計画
 JA全国女性組織協議会は22日、東京・大手町のJAビルで第64回通常総会を開き、女性のJA運営参画推進と次世代育成に、一層力を入れることを目標に掲げた2014年度計画を決めた。TPP交渉に関する特別決議も採択した。JA女性組織3カ年計画の実践2年目を迎え、女性正組合員25%以上、女性総代10%以上、女性理事等2人以上という数値目標の実現に向けた取り組みや、フレッシュミズ世代の育成を引き続き進める。大川原けい子会長は「食と農の現場で、生産者として、母として地域のくらしを守る活動に取り組もう」と呼び掛けた。女性部世代からフレミズ世代へ、文化を伝えながらの仲間づくりを目指し、伝統料理の継承に取り組むことを決議した。和食が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に選ばれたこともあり、女性組織が食と農を通じて地域を一層盛り上げていく。3カ年計画の柱の一つであるフレッシュミズ組織活性化のために作った冊子「この指とまれ! フレッシュミズ」を会場で配布し、活用していくことを確認した。冒頭、JA全中の萬歳章会長は規制改革会議の農業改革案について「JA組織の理念や実際の活動とかけ離れた内容で、極めて大きな 問題」と述べ、JAグループと女性組織が一丸となって農業を守っていく考えを示した。TPP交渉の特別決議では、予断を許さない厳しい局面を踏まえ、未来に生きる子どもたちに安全で安心な食を守り、地域やくらしを残していく必要を訴え、今後もJAグループ一丸となってTPP問題に取り組むことを宣言した。女性 正組合員加入優良実績表彰では群馬県のJA利根沼田女性部、静岡県のJAとぴあ浜松女性部、JA三重中央女性組織連絡協議会、JA女性組織仲間づくり運動優良実績表彰では滋賀県のJAグリーン近江女性部、JA大阪中河内女性会を、それぞれ表彰した。

*2-2:http://qbiz.jp/article/37721/1/ (西日本新聞 2014年5月15日) 「オリーブオイルソムリエコンクール」の初代優勝者になった 渡辺美喜子さん
 一般社団法人「日本オリーブオイルソムリエ協会」(東京)が4月に初開催したソムリエコンクールで、初代の優勝者になった。「勉強のために受けてみようと応募した。まさか1位になるなんて」。風光明媚(めいび)な大村湾を望む長崎県東彼杵町。人口約8700人の町の女性がソムリエの頂点に輝いた。ソムリエはオリーブオイルの特徴や魅力を把握し、品質を見極め、消費者にアドバイスする。全国に約150人いるオリーブオイルのソムリエの中で渡辺さんは最高位「マスター」の16人の1人だ。コンクールには20人が出場し、5種類のオイルの香りや後味、適した料理などを鑑定。海外の料理研究家や輸入商など「その道のプロ」の審査鑑定にどれだけ近いかを競い、内容の90%を一致させた。20年ほど前、家を新築した際に小さなオリーブの木を庭に植えた。植え替えを重ねながらだんだんと成長していく姿に、心も体も癒やされた。フィットネスインストラクターの資格を持っていることもあり、「体にいいオリーブオイルをもっと深く知りたい」と思い立った。本格的に学べる環境は近くになかった。協会のテキストを参考に自宅でオイルのテイスティングを繰り返し、独学で知識を身に付け、マスターの資格を取得した。オイルには多くの種類がある。品質の悪いものを知らず知らずに使っていることもあるという。「せっかく評価された知識。いいオイルを選んでもらうため、生産者や消費者の指針になりたい」。夫の悟さんは東彼杵町長。60歳。

*2-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=27964
(日本農業新聞 2014/5/29)  全農、ファミマが業務提携 一体型店を全国展開
 JA全農とコンビニエンスストア大手のファミリーマートは、Aコープとコンビニの一体型店舗の全国展開を柱とした包括業務提携について合意し28日、東京都内で記者会見を開いた。中規模以下のAコープ店舗を改装するなどし、農産物直売や寄り合いスペースを兼ね備えた地域の“ライフライン店舗”を目指す。JAグループが営農・経済革新プランで重点戦略と位置付ける「経済界・企業等との連携」を実践する取り組みだ。買い物弱者が発生する農村地域では、Aコープ店舗がライフラインの役割を担ってきたが、経営が年々悪化。会見で全農の鈴木盛夫常務は「ファミリーマートの経営資源やノウハウを一緒に使わせてもらい事業展開し、地域インフラを整備したい」と説明。ファミリーマートの中山勇社長も「全国1000万人の組合員に“自分の店”として使ってもらいたい」と応じた。31日には1号店として愛媛県伊予市に「ファミリーマート+Aコープいよ店」が開店。売り場面積は通常のコンビニの2倍近くに当たる279平方メートルで、直売コーナー、全農コーナーの他に、地域住民の交流の場として使える26席のイートインを設けた。今後3年で30の一体型店舗を設置したい考え。包括業務提携では、買い物不便地域での移動販売車の運行や国産農畜産物を使った商品開発などにも取り組む。台湾を中心に海外展開しているファミリーマート店舗で、日本の農畜産物・加工品を販売する構想もある。

*2-4:http://qbiz.jp/article/38508/1/
(西日本新聞 2014年5月26日) 冷凍ケーキの五洋食品、タイで展開へ
 冷凍洋菓子製造の五洋食品産業(福岡県糸島市)は26日、タイへの冷凍ケーキ輸出と販売を8月から始めると発表した。課題としている海外市場開拓の一環。商社の双日九州(福岡市)を通じて輸出を行い、タイの中堅パン・菓子製造販売会社「Srifabakery(スリファ・ベーカリー)」の店舗網で販売する。五洋食品が冷凍ケーキを海外で本格販売するのは、香港と米国に続いて3例目。タイ進出を皮切りに、東南アジア諸国への販路拡大を目指す。また同日、2014年5月期決算の業績予想を下方修正したと発表。売上高は13億2700万円(今年1月予想は13億5300万円)、経常損益は4100万円の赤字(同1200万円の黒字)、純損益は3600万円の赤字(同1700万円の黒字)となる見通しで、経常赤字は3年連続、純損失は2年連続。タイ進出の収益効果は15年5月期から見込めるという。

*3-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=27981
(日本農業新聞 2014/5/30) [4] 准組合員制度 利用制限に根拠なし
 政府の規制改革会議は、“組合員の在り方”の項で、「准組合員の事業利用は、正組合員の事業利用の2分の1を超えてはならない」とした。この提案は、例えば准組合員が圧倒的多数を占める北海道の農協にとって、死活的に重要な問題となる。実態無視の典型である。
●共益権は定款自治で
 そもそも2分の1という量的規制に何の根拠もない。経営基盤を確保する観点から、組合員の事業利用に支障を及ぼさない限り、組合員以外の事業利用には制限を設けない、というのが西欧の協同組合の考え方である。准組合員といえども組合員であるから、彼らの事業利用を制限する理由は何ら存在しない。准組合員制度は、農協法制定に当たり、非農民的利害、すなわち地主的利害に支配されない農協づくりを目指したものであった。それは戦後創設された自作農の保護という農協理念に即したものである。准組合員には自益権(事業利用権など)は与えられるが、共益権(議決権、選挙権など)は与えられない。規制改革会議はこのことを問題視しているようであるが、准組合員にどのような共益権を与えるかは定款自治に委ねるべきであり、この観点からの法改正が望まれる。准組合員への共益権の付与に当たっては、古くからその地域に居住し、正組合員と近隣相識の関係を持つ准組合員と、新しくその地域に居住し、事業利用だけを求める准組合員との違いに配慮する必要がある。両者の区分は、基本的に自己申告あるいは農家組合など組合員組織の承認によるべきであろう。他方で、農業者の減少が進む中で正組合員資格の見直しも必要である。耕作面積要件と農業従事日数要件のうち、耕作面積要件は外すのが望ましい。現行法は、既にこれを定款自治に委ねている(JA兵庫六甲で導入済み)。かつて「農協は職能組合か地域組合か」という論争が巻き起こった。規制改革会議は明らかに職能組合に肩入れしているが、この二者択一の問題設定に誤りがあった。農協設立の歴史的経過からすれば、「職能組合であると同時に地域組合である」とする理解が正しい。農協法は、戦前の地域組合(産業組合)に米国の職能組合(販売農協)の考え方を接ぎ木した折衷的な性格を持つためである。(三重大学招聘=しょうへい=教授・石田正昭)

*3-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=27515
(日本農業新聞 2014年5月5)  こどもの日 食農体験始める好機に
 5日は「こどもの日」。端午の節句であると同時に、子どもにとっては自由な時間を得やすい一日となる。窓の外には爽やかな風が吹き、野山へと誘う。学校が休みというだけでなく、この日から子どもの野外体験を増やすシーズンに入ったと捉え、少しでも多くの食農・自然体験をさせてやりたい。身近に電子機器類のある生活が、すっかり定着した。着信の合図と同時に携帯電話に手を伸ばす子がいれば、テレビのリモコンを器用に扱い、お気に入りの番組を見る子がいる。しかもそれをするのは、おむつがまだ外せない幼児たちだ。同じものを手にした祖父母の戸惑いとは、大違いである。スイッチのどこを押せばどんな反応がある、といったことを見よう見まねで覚える。手引書がなくても直感的に操作方法が分かることは素晴らしいことでもあり、だからこそ科学も進歩を遂げるのだと思えてくる。そんな場面だけを見ると天才的な子どもだが、ひとたび野外に出るとそうでもない。途端に慎重になり、そこに生えている草、飛び出した虫に手を伸ばすことはない。昔の子どもたちは、そうでなかった。動くものがあれば反射的ともいえる素早さで捕らえ、食べられそうだと思える植物は口にしてみた。そうした体験から学ぶのか、日常生活でも五感をフルに働かせて食べ物の賞味期限を嗅ぎ分けた。食べて腹をこわすかどうかを判断するのは親ではなく、それを食べる自分自身だった。傷んでいると感じたら、とっさに吐き出した。においで判断することはできず、口に入れても違いの分からない遺伝子組み換え食品の選択は取りあえず、表示に頼るしかない。しかし、そうでない食べ物ぐらい見極められる力は身に付けておきたいものだ。食農・自然体験を積む価値は、そこにある。作物の種をまき苗を植えることで成長が楽しみになり、病気から守る手だてを考える。あるいはアブラムシを襲うテントウムシを見て、自然界の仕組みに思いをはせる。そうした何でもないこと、当たり前のことを子ども時代に体験できるかどうかは、その後の生き方・生活にも影響しよう。「こどもの日」は、そのきっかけにするのに最適の日だ。田植えは移植機に任せる時代になったが、子どもにもできることがあれば手伝わせよう。日本の食の基本である米作りを肌で知ることは、何物にも代え難い財産になる。農作業がなければおにぎりでも持って野山に連れだし、草木に触れさせたい。川の流れに足を入れて魚を追いかけ、山菜を摘んで調理し、食卓に出そう。子育て中の大人は、自分の体験をじかに伝えることができる最後の親世代でもある。農業の未来を支えるのは、技術だけではない。風景や風、空の色も含めた農村全体を感じ取ることができる感性だ。

| 農林漁業::2014.2~7 | 01:22 PM | comments (x) | trackback (x) |

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