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2014.10.13 フクイチ事故後の地元住民ほか → エネルギーミックスへの指針 (2014.10.14、15に追加あり)
    
 *1-4より                     *4-2より

(1)フクイチ事故とSPEEDIの使用について
 *1-1に書かれているように、福島第1原発事故直後の福島県の行為をめぐり、法廷で責任を追及するそうで、その内容は、「福島県がヨウ素剤の服用を指示し、SPEEDI(スピーディー)の情報を公表していれば、子どもたちの被ばくを減らせたはずだが、そうしなかった」というものだ。福島県の重過失のため毎年検査を受けなければならなくなった被害者に対する慰謝料としては、1人10万円は安すぎる上、①慰謝料 ②治療費 ③病気になった場合の損害賠償 は別に考えるべきだろう。

 なお、SPEEDIの情報を公開しなかった理由は、「福島県の職員が国から送信されたデータの一部を誤って消してしまった」とされているが、原発の地元自治体の職員がこのような大切なデータの使い方を知らなかったのなら、それは重過失である。重要なことであるため、①本当に国から送信されたのか ②本当に県職員が誤って消したのか ③本当にデータの使い方を知らなかったとしたら、それは何故か について、きちんと調べるべきだ。

 福島県浪江町民の間には、SPEEDIの拡散予測が即座に公表されなかったことへの憤りが今もあり、町民の多くが放射能から逃れようと避難した津島地区はより線量が高くて現在も帰還困難区域に指定されている場所だった。そして、「現場の警察官は防護服を着て、福島県は放射能の危険性を認識していた。県の行動で住民は無用な被曝を強いられた」という証言もあり、これは、地元住民がないがしろにされた一事例である。

 また、福島第1原発敷地内の地下水をくみ上げ海洋に放出する「地下水バイパス」の実施を前に、東京電力は作業を公開し、国や県の関係者が立ち会ったが、県の職員は、一部作業の写真だけ撮ってすぐ帰り、これでは『監視している』というパフォーマンスにすぎない」との意見もある。このように、原発では危機管理意識が欠如し、住民をないがしろにする行為が普通に行われることが問題なのである。

 そのような中、*1-2のように、原子力規制委員会は、10月8日、「SPEEDI(スピーディ)」(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)を、住民避難などの判断に使わない運用方針を決め、その理由を「SPEEDIの使い方が曖昧で、避難計画を作る自治体から明確化を求められたため」「重大事故が起きた段階で5キロ圏内は即避難、30キロ圏は屋内退避したうえで、周辺のモニタリングポストによる放射線量の実測値をもとに避難などの判断をすることにした」としている。

 しかし、これは、「鉄砲を使えないから、武器は竹槍に変更した」というのと同じくらい後退であり、鉄砲を使えなければ、①訓練された使い手が間髪をいれずに使えるように改善する ②より使いやすくて正確な鉄砲を作る などが普通の発想だ。

(2)フクイチ事故後の現在の状況
 *1-3に書かれているように、台風の影響か、フクイチで異常事態が発生し、2号機付近の井戸で放射線の最高値を観測し、①トリチウム 15万ベクレル(過去最高値、一週間前の観測時に比較して10倍以上に急上昇) ②ストロンチウム(90) 120万ベクレル(過去最高値) という発表を東電が行ったそうだ。その理由は「不明」だそうだが、言えないことは不明で通すのが、東電の信用できない点である。

 なお、400億円かけて福島原発の回りに氷の壁を作ると言って始めた工事も当然凍らず、その後、ドライアイスをぶちこんで温度を下げようとしたが、当然凍らず、これが世界に冠たる技術を持つ鹿島建設がやることかと世界中で笑い者になっているそうだが、これでは安全な原発を建設して安全に使いこなせるわけがなく、汚染濃度が過去最高値を更新しているということは、福島原発の状況は悪化しつつあるということだろう。

 そして、*1-4のように、フクイチ事故から3年7カ月後、東京湾の放射能汚染について、独協医科大学の木村准教授(放射線衛生学)の協力で海底の土や水を調べたところ、上図のように、河口周辺でかなり高い汚染が広く残っていることが確認され、環境省に河口部の調査をしないのかをただすと「事故前から有害物質の測定をしてきた地点を踏襲している(←ここが馬鹿で、やる気がない)。今後、自治体からの要望があれば、必要に応じて測定点を増やす可能性はあるが、測定点をいくらでも増やすわけにいかない」という答えだったそうだ。

 この結果について、木村准教授は「事故で関東平野も汚染され、そこを流れる川の河口付近では、放射性物質がたまる場所があるだろうと予測していたが、予測が裏付けられた。河口付近は生態系が豊かで、放射性物質が生物に濃縮される恐れがあり、海底や水の汚染だけでなく、魚介類もしっかり監視していく必要がある」としている。

(3)中間貯蔵施設の買い取り地価
 *2-1、*2-2のように、フクイチの除染で出た汚染土を保管する中間貯蔵施設の建設について、政府は「住宅地は原発事故がない場合の評価額の5割、山林は同7割」とした標準価格を算出し、9月29日に地権者に説明したそうだ。その買い取り価格は国による原発事故の補償ルールに基づいているそうだが、評価額の5割や7割にするルールの妥当性は疑問だ。何故なら、東電に原発事故を起こされて土地や住宅地を放棄せざるを得なくなった人は、事故前の評価額に慰謝料を加えた金額を受け取るのが当然だからである。

 なお、政府は、国が福島県外で最終処分するまで土地の所有権を地権者に残したまま、国がその土地を最長30年間使用する「地上権」も示したそうだが、30年後に別の場所で最終処分するというのは、経済的でも現実的でもないため、はじめから適切な価格で土地を購入して最終処分し、中途半端なことをすべきではないと考える。

(4)どうも信用できない最終処分場
 *3-1のように、環境省によると、フクイチ事故で発生した指定廃棄物の最終処分場建設をめぐり、候補地の栗原、大和、加美の3市町での現地調査が、当初予定していた9月から10月にずれ込むが、作業手順を効率化することで調査期間を短縮でき、問題ないとのことである。しかし、その調査は、何を目的として、どういう調査を行い、それはどういう意味があるのか不明だ。

 また、*3-2のように、環境省が突然、一方的に、栃木県の「指定廃棄物最終処分場」建設候補地として、名水の里である矢板市塩田の国有林野を選定した件については、オール矢板で『一万人集会』や『国会周辺デモ行進』等の反対運動を展開し、政府や環境省に対して最終処分場断固拒否の市民の総意を示して、「大幅な選定プロセスの見直し」が発表通告されたが、まだ完全な白紙撤回ではないとのことである。

(5)九電の再生可能エネルギー受入中断と今後のエネルギー政策について
 *4-1に書かれているように、九電が再生可能エネルギーによる電力買取の新規受け入れを中断した。太陽光発電は、私が強く提唱していたこともあり、九州では太陽光発電を中心に自然エネルギーの事業計画が多く、原発に代わるエネルギーや地域再生の切り札となっている。しかし、九電が再エネの「全量固定価格買い取り制度」(FIT)を通じた買い取り契約中断を宣告し、これが、北海道、東北、四国の各電力会社にも連鎖して、受け入れが再開されても九電から新たな設備投資などの高いハードルが課されるのだそうだ。

 しかし、*4-2にも書かれているように、これはビジネスの信義則に反する。各社ともに、出力10キロワット未満の住宅用太陽光は当面対象外としているが、住宅用でも10キロワット(10アンペア)以下の家庭は少ないため、多くの住宅が除外されることになり、事実上の接続拒否である。電力会社はその理由を、「電力の供給安定化」とし、「太陽光は夜間に発電できず、昼間でも晴天から雨に変わると発電量が急減する」などと、同じ弁を繰り返しているが、電力が余れば、これから燃料電池で使う水素を作ったり、他地域へ送電したり、蓄電池を使ったりなど、やる気があればいかようにも解決できることである。

 なお、九電への2014年7月末までの申し込み全量が接続されると、九州の春・秋の昼間の電力需要約800万キロワットを上回り、契約申し込み前の設備認定分も合わせると夏のピーク需要約1600万キロワットも超えるそうで、100%国産の自然エネルギーに、それだけの実力があるということがわかったわけだ。しかし、そこで九州全土で接続拒否することにより、九電が再エネ導入にブレーキをかけ、原発再稼働に備えているのは困ったものである。

(6)「適切なバランス」とは、何を基準に考えるのか
 *4-3のように、小渕経産相が「再生エネの中でバランスをとることが大事だ」と述べ、地熱や風力の拡大の必要性を示唆したそうだが、単に「このくらいだろう」という目分量で「バランスがよい」などと言われては、真剣に取り組んでいる人たちはたまったものではない。そのため、「バランスをとる」なら、どういう理念に基づいて、どういう基準でバランスをとるのか、そして、それは各方面から考えて合理性があるのかを、明確に検証すべきである。
 
 なお、*4-3には、「政府は、見直しを進めている再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に関し、現在の太陽光発電への偏重を是正して、地熱や風力発電の導入を促進する方針を固めた」と書かれているが、買い取り価格の見直しは進めてよいものの、太陽光発電が普及しているのは、私が進めてきた九州だけであり、日照時間が長くても他地域ではさほど進んでいないため、太陽光発電を抑制すべきではない。

 また、地熱発電は安定した大量の電力が得られるためよい電源だが、風力発電は低周波が人間に与える影響を無視できないので、立地可能地域が限られる。つまり、①100%国産(貿易は高値買いの輸入ではなく輸出を考えるべき) ②放射線、排気ガス、低周波等による公害を出さない ③安価である などが、次のエネルギーの必要条件となり、そのために技術の開発・改良を行うべきなのである。

 *4-4に書かれているように、「原発はコストが安い。化石燃料で国富が流出している」という決まり文句がいまだに繰り返されているが、実際には、すべての原発が止まっていた今年の夏の電力需要のピーク時にも大規模停電はなく、これには、2011年の夏を乗り越えるために導入した省エネ型設備や省エネ機器が役に立っており、国民の意識はそこまで行っているのだ。

 また、経産省は、火力発電の燃料費が13年度に3.6兆円も増加する見込みとの試算を公表したが、この試算の基準になった原発の発電量には事故を起こした福島第一原発の発電量も含まれ、国内の発電に使う化石燃料の輸入数量は実際には4割しか増えておらず、化石燃料自体の価格上昇と円安が費用増大の大きな原因だそうだ。また、いまだに「原子力は安い」と言う人がいるが、原子力は電力会社にとっては安いかもしれないが、立地対策費や事故対策費などの膨大な社会的コストを、税金や電気料金に上乗せする形で国民に負担させており、それらをすべて含めたコストは決して安くないのである。

 なお、本当に原発が安いと言い切れるのなら、電力会社は、事故対策費から最終処分、廃炉まで含むすべての原発コストを自ら負担して原発を稼働すればよいだろうが、そんなことをしたら原発事業はなりたたず、このことは経産省も電力会社もよくわかっているため、電力完全自由化の下でも原発を維持できるように原子力で発電した電気の価格を保証することを検討しているのだ。しかし、原発は、稼働し始めてから既に40年も経過しており、まだ独り立ちできないようなら、撤退するのが筋である。

<フクイチ事故後のSPEEDIの使用について>
*1-1:http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201410/20141004_61011.html
(河北新報 2014.10.6) 原発事故対応 批判続く/(1)危機管理/福島知事選「復興の論点」
 福島県廃炉安全監視協議会のメンバーによる現場視察。監視体制強化の一環として、県が原発事故後に設置した=7月17日、福島第1原発 東日本大震災と福島第1原発事故後、初めてとなる福島県知事選(26日投開票)の告示が9日に迫った。県の危機管理は機能したのか、除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設はどうあるべきか、暮らしと産業の復興をどう進めるのか。県が直面する課題を検証する。
<国と県を訴える>
 「あの日」から3年半。福島第1原発事故直後の大混乱の中で福島県が関与した二つの行為をめぐり、法廷で責任を追及する動きが表面化した。「県がヨウ素剤の服用を指示し、SPEEDI(スピーディー)の情報を公表していれば、子どもたちの被ばくを減らせたはずだ」。「子どもたちの健康と未来を守るプロジェクト」郡山代表で歯科医師の武本泰さん(56)が、1人当たり10万円の損害賠償を求め8月末に起こした訴訟で、国だけでなく県も訴えた理由を語る。「安定ヨウ素剤」と、「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」の略称「SPEEDI」。前者は甲状腺がんを防ぐ効果、後者は放射性物質の広がりを予測する役割が期待される。ヨウ素剤は、国や県から服用の指示が出ず、実際に服用したのは町独自の判断で配布した三春町民ら一部に限られた。SPEEDIは、県職員が国から送信されたデータの一部を誤って消してしまった。武本さんが県の情報公開で開示した資料などによると、県は県立医大にヨウ素剤を配布し、被ばく医療に携わる医師や看護師が服用した。ところが、被ばく医療とは無関係の職員や学生、家族も服用し、「かん口令が敷かれていた」(医大関係者)ことが判明した。三春町は町独自の判断でヨウ素剤を配布した。県は当時、「国の指示がない」と服用中止を求め、回収を指示した。東北大は8月、「町の判断は正しかった」との調査結果を公表した。武本さんは「県内に原発を10基も抱えていながら、行政としての危機管理能力の低さにがくぜんとする」と話す。原告に加わった母親から「県の責任も大きい」との声が相次ぎ、県を被告に加えることになったという。
<無用な被ばく>
 浪江町民の間には、SPEEDIの拡散予測が即座に公表されなかったことへの憤りが今も根強い。町民の多くが放射能から逃れようと避難した町西部の津島地区は逆に線量が高く、帰還困難区域に指定されている。津島出身の馬場績(いさお)町議(70)は「現場の警察官は防護服を着ており、県は放射能の危険性を認識していたはずだ。県の危機意識の欠如で住民は無用な被ばくを強いられた」と訴える。4月16日、福島第1原発敷地内の地下水をくみ上げ海洋に放出する「地下水バイパス」実施を前に、東京電力は作業を公開し、国や県の関係者が立ち会った。「一部の作業の写真だけバシャバシャ撮って、県職員はすぐに帰った。これでは『監視している』というパフォーマンスにすぎない」。現場に居合わせた関係者の1人は、皮肉を込めて当時を振り返る。後手後手に回った県の危機管理対応が、繰り返される恐れはないか。廃炉作業の終了まで40年、県の有事対応は続く。
[安定ヨウ素剤] 放射能を持たないヨウ素(ヨウ化カリウムなど)を含む錠剤。服用して放射能のないヨウ素を取り込んでおくことで内部被ばくを防ぐ。効果が約24時間と短く、適切なタイミングでの服用が必要。
[スピーディー] 原発事故時、原子炉停止時間や放射性物質の放出量などの情報や気象、地形データを基に施設周辺の放射性物質の空気中濃度や被ばく線量を予測する。国や自治体が予測を参考に避難地域などを決める。

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/ASGB851VCGB8ULBJ01N.html
(朝日新聞 2014年10月8日) SPEEDI、原発事故の避難判断に使わず 規制委方針
 原発などで重大事故が起きた際に放射性物質の広がりを予測する「SPEEDI(スピーディ)」(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)について、原子力規制委員会は8日、住民避難などの判断に使わない運用方針を決めた。すでに、放射線量の実測値をもとに判断する態勢に転換しているが、SPEEDIの使い方があいまいで、避難計画を作る自治体から明確化を求められたためだ。東京電力福島第一原発事故では、予測のもとになる原子炉などの情報が得られないなか、初期の住民避難に活用されず問題になった。規制委は昨年2月に原子力災害対策指針を改め、重大事故が起きた段階で5キロ圏内は即避難、30キロ圏は屋内退避したうえで、周辺のモニタリングポストによる放射線量の実測値をもとに避難などの判断をすることにした。事故前、避難の指標とすると位置づけられていたSPEEDIは、「参考情報」に格下げされた。だが、使い方は具体的に示されておらず、予測結果を避難の判断に使えると受け止める自治体もあった。この日に決めた運用方針で、避難の判断以外の使い方を示すことを明記。放射性物質の放出が収まった後、放射性ヨウ素などの被曝(ひばく)線量の事後評価などの例を示す。対策指針に基づくマニュアルは、重大事故発生時にSPEEDIで計算を始め、結果を公表するとしているが、混乱を招くおそれがあることから、計算自体しないよう修正する。さらに、委託先の職員が24時間常駐する態勢をなくし、緊急時に対応できる程度に縮小する。規制委は来年度予算の概算要求で、維持管理や調査の費用を今年度より7割以上減額し、約1・6億円としている。

*1-3:http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/archives/4759622.html
(NEVADAブログ 2014年10月13日) 異常事態が発生(福島第一原発)
 しばらく報道がされていませんでした【福島第一原発】の状況ですが、時事通信は東電発表として以下のような報道を行っています。
【2号機付近の井戸で最高値を観測】
トリチウム 15万ベクレル(過去最高値)
ストロンチウム(90) 120万ベクレル(過去最高値)
 トリチウム濃度は一週間前の観測時に比較して10倍以上に急上昇しているとされています。現在、34ケ所の観測井戸があり、異常値になったのはこの内、2号機の東側にある3ケ所の井戸となっており、その理由は『不明』となっています。台風の影響とも言われていますが、それであれば他の井戸にも影響があるはずであり、東側で濃度が急上昇したということは東側の原発(2号機)の壁に先日震度3クラスの地震が連続した影響で亀裂や穴が空いたのかも知れません。今日本国民は福島原発問題は終わったと思っていますが、何ら終わっておらず、そのまま危機的な状況にあるということを認識していません。報道がされなくなったからです。
 400億円かけて福島原発の回りに氷の壁を作ると言って始めた工事も全く凍らず、ならばと何をしたかと言いますと、ドライアイスをぶちこんで温度を下げるという、これが世界に冠たる技術を持つ鹿島建設がやることかと世界中で笑い者になっています。結果はそれでも凍ることはなく(当たり前ですが)、そのままになっています。日本のスーバーゼネコンの技術は世界一の水準にあるというのが認識ですが、こんなことをしているようでは、日本の技術水準もかなり落ちているのかも知れません。ドバイのシンボルタワーを建設した企業を見せるコーナーがありますが、韓国企業となっており、日本の姿はありません。
福島原発の状況は汚染濃度が過去最高値を更新するということは、悪化しつつあるということになります。
 これをどれだけの国民が知り、危機的な状況を理解するでしょうか?本来は国会で議論すべきことになりますが、今や国会は野党が崩壊しており、うちわがどうこうというどうでもよいことを追求する体たらくであり、あてにはなりません。一人一人が意識を持ちどうすればよいかを考えるだけの時代になっていると言えます。

*1-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014101302100003.html (東京新聞 2014年10月13日) 福島事故放出セシウム 東京湾河口 残る汚染
 東京電力福島第一原発事故から三年七カ月が過ぎ、東京湾の放射能汚染はどうなっているのか。本紙は九月、独協医科大の木村真三准教授(放射線衛生学)の協力を得て、海底の土や水を調べた。沖合の汚染は低かったが、河口周辺ではかなり高い汚染が広く残っていることが確認された。木村准教授は、魚介類も含め継続的に監視する必要性を指摘している。調査は九月六、七の両日、東京湾に注ぐ主要河川の河口など九地点で、海底の土と海水の放射性セシウムの濃度を調べた。高い値が出た地点では後日、八地点で土を採取し直し、汚染はその地点だけなのかどうかを確かめた。その結果、沖合では海底土一キログラム当たり高くても数十ベクレルと汚染度は低かったが、花見川(千葉市)河口では、局地的ながら一一八九ベクレルと非常に高い濃度のセシウムが検出された。荒川(東京都)では一六七~三九八ベクレル、東京と神奈川県境の多摩川では八九~一三五ベクレルが検出された。海底付近の水はいずれも不検出だった。花見川は河口や周辺のくぼ地のみ高く、少し上流に入ったり、沖に出たりすると値がぐんと下がった。荒川と多摩川では、河口一帯にかなり広く汚染が残っている様子がうかがえた。魚介類には食品基準(一キログラム当たり一〇〇ベクレル未満)があるが、海底土の汚染に基準はない。だが、福島第一周辺でも、原子力規制委員会が公表している七十五点の調査地点のうち、一〇〇ベクレルを超えるような海底土の汚染は二十二点に限られている。河口周辺は川と海がぶつかり、上流から運ばれてきたセシウムが沈殿してたまりやすいと指摘されてきた。今回の調査で、原発から二百キロ以上離れた東京湾でも、河口周辺は要注意の汚染レベルにあることが判明した。国は東京湾でも十八地点を定期的に調べているが、木更津港などを除けば、いずれも調査地点は沖合に限定されている。担当する環境省に河口部の調査をしないのかただすと「事故前から有害物質の測定をしてきた地点を踏襲している。今後、自治体からの要望があれば、必要に応じて測定点を増やす可能性はあるが、測定点をいくらでも増やすわけにいかない」との答えだった。魚介類への影響が心配されるが、水産庁の本年度のデータでは、河口部で採れたシジミやアサリは一件で三ベクレルを検出したのみ。海水魚では花見川で捕れたウロハゼの八ベクレル弱が最高で、ほとんどは不検出だった。食品基準から考えると、心配ない状況と言えそうだ。調査結果について、木村准教授は「事故で関東平野も汚染され、そこを流れる川の河口付近では、放射性物質がたまる場所があるだろうと予測していた。予測が裏付けられた。河口付近は生態系が豊かで、放射性物質が生物に濃縮される恐れがあり、海底や水の汚染だけでなく、魚介類もしっかり監視していく必要がある」と話している。
 <海底の調査方法> ボートから専用の採土器を海底に下ろして土や海底付近の水を採取。着底後、ロープを引っ張ると表面数センチの堆積(たいせき)物が回収できる。東京湾奥の17地点で採取。土は乾燥させた後、独協医大のゲルマニウム半導体検出器で8時間かけて放射性セシウムの濃度を測定した。水はろ過した後、12時間測定した。

<中間貯蔵施設の買い取り地価>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140930&ng=DGKDZO77729670Q4A930C1CR8000 (日経新聞 2014.9.30) 福島・中間貯蔵施設用地買い取り、宅地「平時」の半額で、政府、初の地権者説明会
 東京電力福島第1原発事故後の除染で出た汚染土を保管する中間貯蔵施設の建設を巡り、政府は29日、福島県大熊、双葉両町の建設予定地の地権者を対象に、用地補償に関する初めての説明会をいわき市で開いた。土地の買い取りについて、政府は「住宅地は原発事故がない場合の評価額の5割、山林は同7割」とした標準価格を算出。施設建設への理解を求めた。29日の説明会には約150人の地権者が出席した。買い取り価格は国による原発事故の補償ルールに基づき、不動産鑑定士の知見に従って算出した。原発事故前の土地価格をもとに、事故のない平常時を仮定した現在の評価額を求め、避難によって土地が使えない期間や周辺の土地の価格変動などを考慮した。双葉、大熊両町の住宅地は14地域に分け、標準価格は1平方メートルあたり2800~9250円とした。両町の田畑は同1150~1200円、山林は同520円とした。政府は買い取りに加え、国が福島県外で汚染土などを最終処分するまで、土地の所有権を地権者に残したまま国がその土地を最長30年間使用する「地上権」も示した。地上権の価格は買い取りの場合の7割になるとした。国による補償とは別に、福島県は地権者の生活再建を支援するため150億円を大熊、双葉両町に交付することを表明している。国による土地の買い取り価格の目減り分を県が実質的に補う。東電による賠償も別途支払われている。国は地権者向けの説明会を10月12日まで県内外の9カ所で計12回開く予定。環境省は土地の登記簿情報などをもとに少なくとも2365人の地権者を特定。このうち住所が判明した1269人に開催通知を送った。説明会終了後、国は各地権者と個別交渉に入る。

*2-2:http://www.minyu-net.com/news/news/0930/news7.html
(2014年9月30日 福島民友ニュース) 農地最大1200円、山林520円 中間貯蔵・地権者説明会
 いわき市で29日開かれた中間貯蔵施設の地権者向け説明会で、政府が示した大熊、双葉両町の標準地ごとの土地価格によると、宅地以外の用途では、両町とも農地の価格は1平方メートル当たり1150~1200円、山林の価格は1平方メートル当たり520円と設定された。政府は土地の買い取り額について(1)建設候補地が東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域に指定され、土地の利用が一定期間できない(2)将来的に避難指示が解除され、土地価格の回復が見込まれる―などの事情を踏まえ、不動産鑑定士による評価額を基に決めた。建設候補地を含めて原発事故で被害を受けた地域については、東電が土地や建物などの損害を賠償しているが、政府は施設の建設に伴う用地補償はこれらとは別で、東電による賠償に影響を与えないとしている。

<最終処分場について>
*3-1:http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201410/20141001_11035.html
(河北新報 2014.10.1) 最終処分場 現地調査、今月着手も可 環境省
 福島第1原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場建設をめぐり、環境省は30日、候補地の栗原、大和、加美の3市町での現地調査について、当初予定していた9月着手が10月に1週間程度ずれ込んでも問題はないとの見解を示した。作業手順を効率化することで調査期間を短縮できるという。調査は地下水、地質など十数項目。掘削が必要で10日程度かかる項目もあるが、候補地間で効率的に機材を使うことなどで、3候補地全体の調査期間を1カ月半弱に短縮できると判断した。同省の担当者は10月以降の着手でも「11月中下旬の降雪前に終えられる」と説明する。現地調査に関しては井上信治前副大臣が「物理的に9月下旬がデッドラインになる」と発言。同省は9月中の着手に向けて準備を進めていた。3市町などへの事前告知について、同省担当者は「前副大臣が既に8月に詳細調査着手を3市町に伝えており、あらためて調査時期を知らせる必要はない」と話している。

*3-2:http://info.yaita-doumeikai.net/ (指定廃棄物最終処分場候補地の白紙撤回を求める矢板市民同盟会 2014.3.27) 指定廃棄物最終処分場候補地の白紙撤回を求める矢板市民同盟会主催、選定プロセスの見直しを受けての緊急市民集会
 昨年の9月3日、環境省により突然で一方的に栃木県における「指定廃棄物最終処分場」の建設候補地として、矢板市塩田字大石久保の国有林野が選定されました。早いものであれから半年が経過致しました。この間、市民の皆様の絶大なるご協力のもと、『一万人集会』や『国会周辺デモ行進』等の反対運動を展開し、政府及び環境省に対して、オール矢板で最終処分場『断固拒否』の市民の総意を示すことが出来たものと確信致しております。そして、先月の25日、井上環境副大臣が栃木県庁及び矢板市役所を訪問され、この度の問題に関して、「大幅な選定プロセスの見直し」を発表通告がされました。私ども矢板市民同盟会と致しましては、完全なる白紙撤回が実現していない以上、今後も反対運動を展開して参る所存でございます。この度の緊急市民集会は、市民の皆様方の英知を結集し、市と議会と強く連携し、完全なる白紙撤回を貫徹するために開催致します。多くの市民の皆様のご参集をお待ち致しております。

<九電の再生可能エネルギー受入中断と今後のエネルギー政策>
*4-1:http://mainichi.jp/select/news/20141007k0000m040123000c.html
(毎日新聞 2014年10月6日) 再生エネ:九電受け入れ中断 「詐欺と同じ」憤る住民 
 九州電力が再生可能エネルギーで作った電力の新規受け入れを中断した。日照時間が長く土地代も比較的安価な九州では、太陽光発電を中心に大規模な計画が目白押しで、原発に代わるエネルギーや地域再生の切り札として期待されてきた。だが、九電の突然の発表を受けて各事業者は計画の見直しを迫られ、影響は一般家庭にも及んでいる。「昔は芋や稲作が盛んでこの辺も田畑が広がっていたんですけど」。五島列島の北端にある長崎県佐世保市の宇久島。島在住の市議、大岩博文さん(61)が雑草が生い茂る土地の前で言った。近くには計画中の大規模太陽光発電所(メガソーラー)で使う太陽光パネルの見本が立っている。かつて1万2000人が暮らした島の人口は現在2377人。救世主として登場したのが世界最大規模のメガソーラー計画だった。今年6月、京セラや九電工など5社が合同で発表した計画は、島の面積の4分の1、東京ドーム134個分にあたる約630ヘクタールの土地に約172万枚の太陽光パネルを敷き詰め、一般家庭約13万8800世帯分の電力(出力43万キロワット)をまかなうという壮大なものだ。九州本土との間に約60キロの海底ケーブルを敷設して九州電力に売電する計画で、2015年度着工、18年度完成予定という。「太陽光パネルは高さ数メートルの支柱の上に設置するのでパネルの下で営農も可能」「保守管理で150人の雇用を生む」−−。夢のような話に島は沸き、8月までに地権者約1000人との間で土地の賃借契約が完了した。九電の発表3日後、島の旅館に大岩さんら住民約20人が集まった。「島の将来に絶対必要。やってもらわないと困る」。九電からの説明がない中、住民らは同席した地元の事業関係者に対し、口々に計画の続行を求めた。現段階で計画が白紙になったわけではない。だが、受け入れが再開されても九電側からは新たな設備投資などの高いハードルが課される見込みで、事業者の1社は「事業として定まっているものではない」と、見直しの可能性を示唆する。

*4-2:http://toyokeizai.net/articles/-/50377 (東洋経済 2014.10.13) 再エネに冷や水浴びせる電力会社の契約中断、太陽光発電の買い取りを止めた九州電力
 「電力会社にも、国にも、裏切られたような気持ちだ」。九州電力が10月1日に福岡県で開いた事業者向け説明会。そこでは詰めかけた数百人の再生可能エネルギー事業者から厳しい声が相次いだ。九電による電力買い取りを当て込んで太陽光パネルに投資した個人事業主は、「投資が無駄になったらどうしようかと毎日不安。慰謝料は考えてくれるのか」と訴えた。事の発端は9月24日、九電が再エネの「全量固定価格買い取り制度」(FIT)を通じた買い取り申請への回答を、翌日から数カ月間「保留する」と発表したことだ。突然の“契約中断”宣告は、30日には北海道、東北、四国の各電力会社にも連鎖した。各社ともに、出力10キロワット未満の住宅用太陽光は当面対象外としたが、10キロワット以上の住宅用も少なくない。九電の説明会では、「太陽光を含めローンを組んで家を着工したが、契約中断で工事を中断している」「マンション屋上に太陽光パネルを設置する計画が頓挫した。顧客にどう説明すればいいのか」といった苦情も聞かれた。
■「電力の供給不安定」を理由に拒否
 今までも各管内の一部エリアや沖縄では、「送電線の容量不足」を理由に、接続の拒否や高額な接続工事費の請求を行う、ローカルネックの問題はあった。だが今回は管内全域が対象。自治体からも「九州全土とは想定外。福岡県は再エネ導入量全国1位だが、ブレーキになりかねない」(福岡県総合政策課エネルギー政策室)と懸念が広がる。九電によれば、今年3月だけで、FITの買い取り単価引き下げ直前の駆け込みもあり、従来の1年分に匹敵する、約7万件の太陽光の接続契約申し込みが殺到。詳細を確認した結果、7月末までの申し込みの全量が接続された場合、総量は春・秋の昼間の電力需要約800万キロワットを上回る。契約申し込み前の設備認定分も合わせると、夏のピーク需要約1600万キロワットをも超えるという。電力を安定供給するには、需要と供給を常時一致させる必要がある。もし、太陽光を含む発電の供給が需要を大きく上回れば、周波数が上昇、場合によっては自動的に発電機が停止し、大規模停電が発生するおそれがあるというのが、電力会社の回答保留の理由だ。太陽光は夜間に発電できず、昼間でも晴天から雨に変わると発電量が急減する。安定供給には太陽光以外の電源が不可欠とも強調する。今後は再エネの受け入れ可能量を数カ月かけて見極める方針。結果的に受け入れ拒否となる事業者が多数出る可能性がある。FIT法では、電気の円滑な供給確保に支障の生ずるおそれがあれば、受け入れを拒める。事業者の損害を補償する義務もない。だが問題は電力会社が再エネの受け入れ可能量を増やすための対策だ。要は、昼間に太陽光の発電で需要をオーバーする分を、どこまで調整・転用できるかである。第一には揚水発電。昼間に太陽光の電気を使って、揚水運転を行い(水を上部のダムにくみ上げ)、夕方や夜間に水を落とし発電する。通常のやり方と昼夜の運転が逆だが、これを行うことで、夜間の火力発電もセーブできる。第二は地域間連系線を使った管外への送電である。現在の連系線の空き容量を活用し、電力会社間の送受電を増やすものだ。ほかにも、太陽光の出力抑制や、蓄電池の活用といった方法が考えられる。
■原発再稼働にらみ、再エネを減らす?
 そもそも今回の回答保留には疑問点も多い。一つには、接続申請が集中した3月から今回の発表まで、約半年もかかったことだ。電力側は、申し込み内容の詳細確認に時間がかかったというが、もっと早くできなかったのか。また九電の場合、7月末の再生エネの設備認定容量(政府認可)は1900万キロワットに及ぶが、導入容量(運転開始済み)は400万キロワット弱にすぎない。「この状態で唐突に回答を保留することは、通常のビジネス常識では考えられない」(大林ミカ・自然エネルギー財団事業局長)。気になるのが原子力発電との関係だ。事業者からも「川内(せんだい)原発が再稼働するから再エネの枠が減ったのでは」との質問が出た。これに対し九電は「再エネのみでは安定供給できない。ベースロード電源としての原発と、調整可能電源としての火力発電も入れた前提で、再エネの接続可能量を見極めたい」と説明。ただ川内原発1、2号機の計178万キロワット、玄海原発3、4号機の計236万キロワットの再稼働を前提にすれば、おのずと再エネの入る枠は狭まる。この点はまさに再エネに対する、国としての姿勢が問われる。欧州では再エネの優先給電が欧州連合(EU)指令で義務づけられ、再エネの出力を抑制する前に、火力や原子力を抑制しなければならない。結果としてベースロード電源が消滅に向かっているともいわれる。もちろん、電力系統の安定が大前提ではあるが、日本はまだFIT法によっても、再エネの優先義務が徹底されていない。電力会社にとっては「厄介な代物」との意識が根強く、受け入れ対策も後手後手の印象が強い。「系統接続に厳しさがあり、受け入れ容量拡大が必要なことは、FIT開始前からわかっていたはず。揚水発電の設備利用率は低く、連系線を通じた他地域への供給もあまり行われていない。本当に受け入れ枠はいっぱいなのか」と、高橋洋・富士通総研主任研究員は疑問を投げる。日本の全発電量に占める再エネの比率は、欧米に比べて低く、普及の本格化はこれから。FIT導入で、住宅用の太陽光発電の導入コストは急速に低下し、2016年には家庭向け電気料金より安くなる可能性も指摘される。低コストでエネルギー自給率を高めるためにも、電力会社が先進国の需給調整ノウハウを見習い、そして政府も再エネの推進姿勢をより明確にする必要があろう。

*4-3:http://qbiz.jp/article/47651/1/
(西日本新聞 2014年10月12日) 政府、地熱や風力の導入促進へ 再生エネ、太陽光偏重を是正
 政府は12日、見直しを進めている再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に関し、現在の太陽光発電への偏重を是正して、地熱や風力発電の導入を促進する方針を固めた。小渕優子経済産業相は同日、視察先の山梨県甲州市で記者団に、「再生エネの中でバランスをとることが大事だ」と述べ、地熱や風力の拡大の必要性を示唆した。再生エネは、買い取り価格が高い太陽光に事業者の参入が集中。九州電力や東北電力など電力5社が、送電網の能力の限界から、受け入れを中断する事態になっている。政府は、太陽光に比べて発電コストが安く国民負担の拡大抑制が期待される地熱、風力の比率を高めることを目指す。小渕経産相は「再生エネを最大限導入する方針は変わっていない。年内には一定の答えが出てくると思う」と強調した。15日の総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会で議論を本格化させる。地熱は開発費用はかかるが、発電にかかる費用が安価なほか、天候に左右される太陽光などと異なり安定的に発電できるメリットがあるとされる。開発期間が地熱で約10年、風力でも約5年かかり事業参入が思うように進んでいないため、てこ入れを図る。6月末の認定設備の内訳は、太陽光が6896万キロワットと再生エネ全体の96%を占め、風力は121万キロワット、地熱はわずか1万キロワットにとどまる。政府は、地熱や風力発電所の環境影響評価(アセスメント)の審査短縮などで導入促進を図る考えだ。

*4-4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11357434.html (朝日新聞 2014年9月19日)原発のコスト 国富流出の試算に疑問 大島堅一(立命館大学教授、環境経済学)
 すべての原発が止まった状態で初めて迎えた今年の夏。電力需要のピーク時期は、大規模停電などがないまま無事過ぎた。一方で、九州電力川内原発の再稼働に向けた手続きが着々と進められている。そんな今、改めて日本のエネルギー政策を考えてみたい。今夏、政府は、エネルギーを自由に使いたい産業界に配慮してか、数値目標のない節電要請でお茶を濁した。私は「大丈夫だろうか」とかなり心配だった。しかし、結果的に、電力不足は生じなかった。元々、発電施設が過剰だった上に、2011年夏の電力危機の際に、各工場や家庭で導入された省エネ型の施設や機器が今でも節電効果を生み続けているためだろう。しかし、さらなる省エネ機器の導入を企業や家庭に促すためにも、政府は数値目標付きの節電要請をすべきだったと思う。一部に、老朽化した火力発電設備を稼働させての綱渡り操業で、「いつ大停電が起きてもおかしくない状態だった」との指摘もあった。しかし、いくつかの原発依存度が低い電力会社は高効率の火力への更新を進めており、決してすべての電力会社が綱渡りだったわけではない。経済産業省は火力発電の燃料費が13年度に3・6兆円も増加する見込みという試算を公表した。原発を稼働させず火力に頼ることで、国富が海外に流出しているという印象を内外に広めた。だが、この試算はおかしな点がある。この「3・6兆円」の試算の詳しい根拠は公表されていないが、基準になった原発の発電量には事故を起こした福島第一原発も含まれている。また、国内の発電などに使う化石燃料の13年度の費用は、10年度に比べて2・3倍になっているが、輸入数量は4割しか増えていない。つまり、化石燃料自体の価格上昇と円安が費用増大の大きな原因だ。原発が停止していることによる直接的影響は費用増のうち3分の1程度である。裏を返せば、福島以外の全ての原発を稼働させていたとしても、2兆円以上、燃料費が増えていた計算になる。何もかも原発停止のせいにして、原発を再稼働すれば巨額の貿易赤字が解消されるかのように言うのはおかしい。いまだに、「原子力は安い電力だ」と言う人がいるのには驚かされる。確かに、電力会社にとっては安いかもしれないが、それは立地対策費や事故対策費など社会的コストを、税金や電気料金に上乗せする形で国民に転嫁しているからで、それらを含めたコストは決して安くない。政府の検討小委員会は11年、使用済み核燃料の処分や廃炉の費用を含めて「1キロワット時8・9円以上」という数字を出している。事故後の最新事情を考慮して私が試算し直してみると、1キロワット時9・4~11・6円になる。本当に原発が安いと言い切れるなら、電力会社は事故対策費を含むすべてのコストを自ら負担して原発を稼働すればよい。しかし、そんなことをしたら、原発事業は到底なりたたないだろう。このことは経産省も電力会社もよくわかっている。実際、8月に開かれた経産省の原子力小委員会で、電力完全自由化の下でも原発を維持できるように、原子力で発電した電気の価格を保証することを検討している。これこそ、究極の原発生き残り策で、国民には「原発の電気は安い」と言っておきながら、一方で、原子力の膨大なリスクとコストを国民に負担させようとするのものにほかならない。これはとんでもない二枚舌だ。本来、「原子力は経済性はなくリスクも大きい。事故を起こせば巨額のコストがさらに発生する。それでもかくかくしかじかの理由から、原発は稼働させる」と国民にきちんと説明してこそ、説明責任を果たすことになるというものだ。


PS(2014.10.14追加):*5のように、原発事故に備えて自治体の防災計画作成を支援するため、内閣府に専従職員50人を配置した新しい部署が発足したそうだが、これも個別企業のために税金を使っているものであり、許し難い。また、「原発事故に備えた自治体の避難計画作り」とのことだが、使用済核燃料の捨て場もないのに原発を再稼働して、再度大きな事故を起こされるのは御免である。原発よりも、長い時間をかけて切り開いた農地や海の方がよほど大切な財産だ。

*5:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141014/k10015380811000.html
(NHK 2014年10月14日) 原発事故時の防災計画作成支援で新部署
 原子力発電所の事故に備えた自治体の防災計画の作成を支援するため、内閣府に専従の職員50人を配置した新しい部署が発足しました。発足したのは、局長級をトップに、50人の専従職員からなる原子力防災の担当部署で、原発事故に備えた自治体の避難計画作りへの支援などを担います。望月原子力防災担当大臣は「避難計画への国民の関心の高さは改めて言うまでもない。福島の事故の教訓を忘れず、自治体と共に計画作りに取り組んで欲しい」と述べました。原発事故に備えた防災計画や避難計画を巡っては、これまで内閣府が自治体に助言をしたり、作成の手引きを示したりしてきましたが、専従の職員はおらず、原子力規制庁の職員およそ30人が兼務していたため支援体制が不十分だと指摘されていました。今回発足した部署では、規制庁の職員が出向したり、ほかの省庁の職員が常駐したりして、専従で業務に当たるということです。原子力防災の支援は、これまで原子力規制委員会の審査がもっとも早く進んだ鹿児島県の川内原発の周辺地域に重点が置かれてきましたが、今後は、そのほかの原発がある地域への支援が本格化することになり、それぞれの実情に合わせたきめ細かい支援を行って避難計画の実効性を高めていけるかが課題になります。


PS(2014.10.15追加):*6について、これまで40年以上に渡り原発に数兆円の税金を投入し、これからも天文学的金額の税金を投入せざるを得ないにもかかわらず、まだ始まって10年前後の再エネの買取価格はすべて電気料金に上乗せして税金での補助を行わない理由を、国民が納得できるように説明しなければ、政府及び経産省の信用はさらに下がって地に落ちるだろう。そもそも、会計上、明確に区別して集計できるようにすれば、後は電力の需要者が選択する。また、*7は全くそのとおりで、*8は、農業団体から陳情するのがよいだろう。

*6:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141015&ng=DGKDASDF15H05_V11C14A0MM0000 (日経新聞 2014.10.15) 再生エネ、入札制を検討 買い取り価格柔軟に、経産省、国民負担を抑制
 経済産業省は再生可能エネルギーの買い取り価格を柔軟に見直せるようにする。発電コストの安い事業者を優遇する入札制度の導入、価格の改定時期を1年ごとから半年ごとに短くする案などを検討する。国民が負担する費用を抑えると同時に、太陽光発電に偏重した再生エネ制度を見直し、新規契約の中断に揺れる現状の打開策を探る。経産省は15日に開かれた総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会で、「固定価格買い取り制度」の見直しに向けた論点を正式に示した。太陽光発電への新規参入や発電施設の新増設の凍結など当面の対策も盛り込んだ。小委員会の議論を踏まえ、年内に具体策をまとめる。再生エネの参入の9割以上は、電力会社が買い取る価格がほかの発電に比べ高く、事業者に有利な太陽光発電に集中している。そのコストは毎月の電気料金に上乗せされ、利用者に転嫁されている。経産省は国民負担の抑制策の一つに、スペイン、ドイツが採用している入札制度の導入をあげた。事業者間のコスト引き下げ競争を促す効果が期待できる。そのほか、価格を決める際に最もコストの低い事業者を基準にすること、価格改定の頻度を上げ、機動的な価格下げを可能にすることも検討課題とした。太陽光発電への参入集中に歯止めをかける対策としては、買い取り量が政府が目標とする一定の水準を超えた段階で、優遇価格から他の電源と同水準に切り下げる仕組みなどを検討する。太陽光に代わる電源として、地熱発電を重視、発電した電力を地域内外に送る際、地熱向けを一定程度確保する案などもあがっている。経産省は議論を踏まえ、年内に具体的な対応策を打ち出す。同制度を抜本的に見直すことになった場合、経産省は省令を改めたり、2015年以降の国会で再生可能エネルギー特措法の改正を検討することになる。再生エネをめぐっては推進論と見直し論が交錯しており、制度見直しは難航が予想される。経産省は小委員会の下に作業部会を設け、電力各社の受け入れ能力の検証も進める。初会合を16日に開き、現在の送電網による受け入れ能力の拡大を検討する。具体的には電力会社が発電事業者から電力を受け入れなくてもいい期間を現在の30日から長く設定し、電力会社が需給の調整をしやすくする案などを検討する。不安定な太陽光で発電する電気をためるための蓄電池や送電網を増強して受け入れ能力を拡大するのも検討する。固定価格買い取り制度は再生エネで発電した電力を一定の価格で最長20年にわたり電力会社に買い取りを義務付けている。12年の開始以降、買い取り価格が高く設置が容易な太陽光発電所に事業者が殺到し、国が認定した設備容量の9割超が太陽光に集中している。九州など電力5社は急増した再生エネが送電線の受け入れ能力を超えるとして、10月以降、受け入れを止めている。国が同制度の適用を受ける太陽光発電の認定を拡大したことで、国民負担の増大が懸念されている。再生エネを買い取る原資は電気料金に上乗せする形で年2700円(一般家庭)を徴収。認定済みの事業者が全発電所を稼働すれば家庭の負担が1万円を超すことが見込まれる。

*7:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014101502000241.html
(東京新聞 2014年10月15日) 政府、長期展望欠く 電力会社、なお原発優先 再生エネ買い取り
 再生可能エネルギーの拡大に貢献してきた固定価格買い取り制度が、開始からわずか二年余りで大きな見直しを迫られることになった。これは再生エネを導入するために必要な長期展望を欠いた政府と、原発の再稼働を優先する電力会社の非協力的な姿勢が背景にある。政府は民主党政権時の二〇一二年に固定価格買い取り制度を始めて再生エネを増やす目標を掲げた。しかし、政権交代した自民党が原発重視にかじを切ったことで、再生エネの位置付けがあいまいになった。欧州各国では、再生エネの発電量が導入から十年で数十倍に跳ね上がっており、制度開始後に爆発的に増えるのが常識となっている。日本の場合、今後の見通しが二倍になっただけで抜本的な見直しを迫られたのは、どこにどの程度の再生エネ発電所を誘致するのか、それを吸い上げるためにどれだけ送電網を準備するのかといった長期展望を描かず、必要な対策も怠ったためだ。また、今回はまず九州電力が九月二十五日に受け入れ手続きを中断。同三十日には、東北電力など大手四社が、それぞれ状況が異なるにもかかわらず、電力需要に対しどれぐらいの買い取り申請が積み上がっているのかといった情報を開示しないまま、一斉に中断を表明した。再生エネを地域振興の柱としていた自治体や、発電を計画していた事業者、発電設備の販売会社など幅広い関係者は衝撃を受け、不信感を強めている。経産省は十六日から、別の専門家部会をつくって電力各社の主張が妥当なのか検証するほか、将来的に再生エネを拡大するための方策を検討する。東京都内で新規のメガソーラーを検討していた業者は「はしごを外すような政府の対応に腹が立つ。再生エネの導入機運がしぼまないよう、前向きに議論してほしい」と議論の行方を注目している。

*8:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=30287 (日本農業新聞 2014/10/15) [波紋 再エネ契約中断 上] 小水力 米農家支援 足踏み 山形県酒田市、高知県香美市
 電力5社(北海道、東北、四国、九州、沖縄)が、小水力や太陽光など再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づく契約の受け付けを中断したのを受け、売電を計画していた農山村地域に波紋が広がっている。契約できない事態になれば、見込んでいた売電収益が得られないからだ。現場の実情を報告する。
●実現へ時間 計画後手に
 山形県酒田市の日向川土地改良区。農業用水を活用した出力118キロワットの小水力発電施設を整備しようと、2年前から準備してきた。今年度末にも東北電力と買取契約を完了する。そんな見通しが立った矢先、新規契約の一時中断を突きつけられた。「先行きがまったく見えなくなった。何もしなければただの水の流れ。それが“宝の流れ”になるはずだったのに……」。同改良区の富樫善弘理事長は、歯がゆさを募らせる。日向川から取水した農業用水を約5600ヘクタールに供給する土地改良区は、その水資源に着目。総工事費約4億円をかけ、発電施設を整備する計画を打ち出した。工事費の85%を国や県、市町村が負担し、残り15%を土地改良区が金融機関からの融資で捻出する。既に県が事業主体となり施設の詳細設計にも入った。売電収入は年間約2200万円を見込む。農家経営は米価下落、電気・燃料代高騰で厳しい。それだけに売電収入を土地改良区の施設の維持・管理に充て、農家負担を少しでも減らしたいと、長い時間を費やし計画を具体化してきたのだ。富樫理事長は「これから地域で小水力を導入しようと考える農業者が萎縮しかねない」と不安視する。東北電力が新規契約を一時中断したのは、出力50キロワット以上の発電設備だ。管内の再エネ発電設備の認定量(5月末時点)が1149万キロワットに達し、全てを受け入れると、「管内の電気の需要量を超え、電気の安定供給に支障をきたす恐れがある」(東北電力電力システム部)からだ。背景には太陽光発電設備の急増がある。実際に認定量の93%を太陽光が占める。約半年で簡単に建設できるとあって、契約の申し込みが殺到した。これに対し、小水力は水路に合った専用の発電機を設計・製作しなければならない。後手に回らざるを得ないのだ。小水力での発電が見込める量が全国8位の山形県は「太陽光の急増で出はなをくじかれた。小水力の場合、計画から最低でも2年はかかる」(農村整備課)と指摘する。農業用水路などを活用した小水力発電を2016年度までに計1400キロワット整備する目標を掲げ、100地点の発電候補地の選定と優先順位づけに取り組むだけに、危機感が強い。他の電力会社管内でも、小水力発電の計画に支障が出ている。中国四国農政局によると、四国で計画中の4カ所のうち愛媛県西条市、高知県香美市の2カ所が契約申請前にある。その一つ、香美市の山田堰井筋土地改良区は、16年の運用開始を目指し、出力90キロワットの発電施設の設計を発注しようとしていたところだった。売電収入は年間1200万~1300万円を見込み、水利施設の補修費や人件費の一部に充てたいと準備してきたという。植野寛事務局長は「小水力発電は、地域の水を守る公共の意味合いが強い。その点を十分に考慮し、計画通りに進むよう、対応してほしい」と訴える。

| 原発::2014.8~10 | 05:25 PM | comments (x) | trackback (x) |

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