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2016.6.26 日本国憲法や教育基本法を護ることが重要で、教育の無償化に憲法改正は不要であること ← 日本国憲法、教育基本法と教育について (2016年6月27、28日、7月2、3日に追加あり)
     
2016.6.20 働き手の比率低下 2016.5.31   女性の労働力率      2015.5.31  
 東京新聞               日経新聞                      佐賀新聞

 
   上  高校進学率      65歳以上の   産業別・国籍別外国人労働者数 日本の難民認定数
(97%超の人が高校に進学) 労働力率世界比較                    2015.9.4朝日新聞

 「憲法は権力のみを縛るもので、国民を縛るものではない」と主張する勢力があるが、これは日本国憲法になるべく影響されずに国政を進めたいと考えた日本国憲法導入当初の人たちが法学部教育を通じて行った解釈の拡散ではないかと、私は考える。

 何故なら、具体的事例として、*1-1の憲法第26条2項に定められているとおり、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ」とされ、憲法は義務を設けて国民をも明確に縛っているからだ。また、日本国憲法は、「義務教育は、これを無償とする」と定めているが、「義務教育以外は有償でなければならない」とは定めていないため、教育を無償化するのに憲法改正は不要である。それどころか、*1-2の教育基本法には「教育の機会均等」が定められており、消費税増税とは関係なく、誰もが教育を受ける機会を保証されなければならないことになっている。

 さらに、「憲法改正しない」というのも明確な代替案であるため、「憲法改正草案を出していない党は代替案を示していない」という批判は当たらない。つまり、各政党、行政、メディアなどが主張している議論には事実に反するものが多いため、主権者たる国民はしっかり勉強して騙されないようにチェックしなければならないのである。

 なお、*1-2の日本国憲法の理念から導かれた教育基本法はPerfect(完全)であり、憲法改正の理由に教育の無償化を掲げるのは、「消費税を社会保障財源にする」と主張するのと同様、憲法改正を進めるためのごまかしにすぎない。私は、教育については、まず日本国憲法と教育基本法の理念をしっかり実現することこそ、最も重要だと考える。

<*立憲主義(https://kotobank.jp/word/%E7%AB%8B%E6%86%B2%E4%B8%BB%E7%BE%A9-148946) 法の支配 rule of the lawに類似した意味を持ち、権力保持者の恣意によってではなく、法に従って権力が行使されるべきであるという政治原則をいう。狭義においては、特に政治権力を複数の権力保持者に分有せしめ、その相互的抑制作用を通じて権力の濫用を防止し、もって権力名宛人の利益を守り、政治体系の保全をはかろうとする政治原則>

(1)義務教育と無償化の範囲
 *1-3に書かれているとおり、保育所や学童保育の待機児童は子育て問題の一部にすぎず、大学や塾などの教育にかかる費用は増加し、インフレと比較して賃金上昇率は低く、実質賃金が下がって子育ての経済的負担は大きく、第二子、第三子となるにつれて高くなる児童手当は子の生活費に差をつけており金額も少ない。また、非正規労働者には、奨学金の返済も負担である。

 しかし、産業の付加価値を上げられず、その結果として一人当たりの分配が小さくなるのは、労働者の教育の不十分さ(単なる学歴を言っているのではない)とイノベーション不足に由来するところが大きい。その上、教育費が高くなれば、親の貧富の差が子の教育格差となり、十分な教育費を出せない親の子はハンディを背負って、次世代もまた貧しい生活を強いられるという悪循環になる。

 そのため、私は以下のことを提案する。
  1)学校外教育費の負担を減らすため、公教育を充実させること
  2)義務教育を3歳~18歳までとし、幼児教育と高校教育を義務教育として無償化すること
    学校の幅広い選択権を保護者に与え、教育内容は前倒しして、飛び級も可能にすること
  3)保育園は0~2歳とし、この間も生活習慣や外国語などの家庭ではできない教育を行うこと
  4)貸与型ではなく給付型の奨学金を増やし、条件を満たす人は大学や大学院も無償にすること

(2)財源 ← 教育は投資であり、社会保障と同様、財源が消費税でなければならない理由はない
 民進党の公約では、*1-4のように、①消費税増税を2年間再延期するかわりに行政改革を徹底して財源を捻出し社会保障を充実させる ②返済不要の給付型奨学金創設など「人への投資」で経済成長を図る としている。私は、行政改革を徹底すれば消費税を増税しなくても社会保障費や教育費は出る上、教育を充実させて教育された人材を有効に使えば産業の付加価値を上げることができるため、消費税増税は不要であると考える。

 何故なら、よく勉強した人材は、*1-5の「朝三暮四」のような算術でしかものを考えられないのではなく、「消費税を増税しないから社会保障財源がない」「痛みがあるからよい改革だ」「国会議員が身を切ったから増税を飲む」などの馬鹿な詭弁を信じない、論理性や創造力を持った人材になれるからである。

(3)小・中・高校について
 馳文科大臣は、*2-1のように、かつての「ゆとり教育」には戻らないとする見解を公表したが、これは、公教育を充実して貧しい家庭の子にも十分な教育を受けさせるために重要なことだ。知識は思考するためのツールとして不可欠であるため、仮に小・中・高の教育関係者が、「『ゆとり教育』か『詰め込み教育』かといった選択しかできないとすれば、それこそが重要な問題である。

 なお、日本に限らず、親を失って学校に行きたくても行けない子もいる。そのため、*2-2のように社会奉仕活動を重視するライオンズクラブの会員のような人たちが、外国からでも親のない子を引き取ってもう一人(もしくは兄弟・姉妹)を育てる取り組みを進めれば、①不幸な子が減り ②少子化による労働力減少の影響が緩和でき ③育った子どもたちが生まれた国と日本との懸け橋になる。そして、その里親の負担を軽くするためにも、やはり義務教育を3歳~18歳までとして無償化し、給付型の奨学金を増やして大学や大学院も無償で行けるようにすることが必要なのである。

(4)大学について
 *3のように、東京大学など東京都内の有名5大学で、今春の入試合格者の75~55%を首都圏の高校出身者が占め、その比率は30年間で約1.4倍に増えており、理由は、①公教育のゆとり化の結果、塾や受験指導に力を入れる男女別学の私立中高一貫校が多い都市部の子が学力習得に有利になったこと ②地方からの進学者の経済的負担増(家賃を含む) などだそうだ。

 これは、中央省庁(農水省、国土交通省、総務省、経産省、厚労省、財務省、内閣府を含む)、大企業、大手メディアなどにも首都圏の男女別学の私立中高一貫校出身者の採用が増えるという結果をもたらし、政策作成やメディアの論調に歪みをきたしている。そのため、地方は、それ以上、ゆとりを追求している場合ではないことを忘れないで欲しい。

(5)職場において
 *4-1の三菱自動車の燃費偽装事件は、燃費のよさで税金を軽減するという馬鹿な制度に根本的原因があると思うが、(空気を読んでか)それを誰も正面から指摘することなく長期間机上で不適切な測定をし続けたのは、エンジニアのあるべき姿ではない。しかし、何かそうさせてしまうものが、現在の教育や企業の指揮命令系統の中にあると思われ、その本質が問題であるため、社長が引責辞任すれば問題解決するというものではないだろう。

 なお、*4-2のように、女性研究者の国際的人材ネットワークの創設が行われるそうだが、研究開発においても女性の視点は重要であるため、(30~60年遅れではあるが)「男女差に対する偏見の解消」や「女性研究者を活躍させる職場環境の整備」は大切だ。島尻担当相は「仕事と家事の両立で困っている日本のリケジョ(理系女性)に海外のロールモデルを示せば大いに刺激になる」などとしているが、実際には、日本女性の意識が低いのではなく女性を育成する環境がなかったことがポイントで、家事・子育てもハードワークで第一線の仕事と両立するのは困難であるため、海外と同様に、女性を差別しない職場環境を整え、お手伝いさんを雇って家事・子育ての負担を軽減しやすくするのが効果的である。

*1-1:http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/a002.htm
(日本国憲法より抜粋)
第23条  学問の自由は、これを保障する。
第26条  すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を
      有する。
2  すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。
   義務教育は、これを無償とする。

*1-2:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18HO120.html
教育基本法より抜粋 (平成十八年十二月二十二日法律第百二十号)
●前文
 教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号)の全部を改正する。我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。ここに、我々は、日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。
●第一章 教育の目的及び理念
(教育の目的)
第一条  教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
(教育の目標)
第二条  教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一  幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
二  個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
三  正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
四  生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五  伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
(生涯学習の理念)
第三条  国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。
(教育の機会均等)
第四条  すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
2  国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
3  国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。
●第二章 教育の実施に関する基本
(義務教育)
第五条  国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。
2  義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。
3  国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。
4  国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。
(学校教育)
第六条  法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる。
2  前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。
(大学)
第七条  大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。
2  大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない。
(私立学校)
第八条  私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。
(教員)
第九条  法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。
2  前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。
(家庭教育)
第十条  父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
2  国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
(幼児期の教育)
第十一条  幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない。
(社会教育)
第十二条  個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。
2  国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない。
(学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力)
第十三条  学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。
(政治教育)
第十四条  良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。
2  法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
(宗教教育)
第十五条  宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならない。
2  国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。
●第三章 教育行政
(教育行政)
第十六条  教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
2  国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
3  地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。
4  国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。
(教育振興基本計画)
第十七条  政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
2  地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない。
●第四章 法令の制定
第十八条  この法律に規定する諸条項を実施するため、必要な法令が制定されなければならない。
   附 則 抄
(施行期日)
1  この法律は、公布の日から施行する。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/322021 (佐賀新聞 2016年6月12日) 収入増「実感ない」85% 地方ほど高い割合、子育て世代、大きな経済負担 全国面接世論調査
 アベノミクスの一環として経済界に賃上げを求めてきた安倍政権だが、2012年12月の第2次政権発足以降に給与などの収入が増えたという実感がないと答えた人は「あまりない」も含め85%に上った。地方ほどこの割合は高まり、景気が回復したとの感覚が得られていない現状が浮き彫りとなった。収入増の実感がないと答えた割合を衆院比例代表のブロック別にみると、四国が94%で最も高かった。中国は92%、東北は91%と高かった。収入が増えたとの実感があると答えた人は「ある程度ある」も含め全体で13%だった。ブロック別では東京の19%が最高で、南関東、近畿がいずれも16%。景気回復を感じている人は大都市圏に偏っていた。政権発足以降に経済格差が広がったと思うかどうかを尋ねると「変わらない」が59%で最も多くを占めた。「広がった」は36%で、「縮まった」との回答は2%しかなかった。経済格差の認識について年代別に見ると、年齢層が高くなるほど格差が広がっていると感じていた。「広がった」と答えた人は、中年層(40~50代)は34%、高年層(60代以上)は44%だった。一方、若年層(20~30代)では「変わらない」が72%にまで高まり、「広がった」という人は25%だった。
■子育て世代大きな経済負担
 池本美香・日本総研主任研究員の話 子育て支援などの少子化対策を社会保障の重要項目に挙げた人が増えたのは、待機児童や保育所建設中止の問題が昨今大きく報道されたことが背景にあるのだろう。しかし、保育所不足は少子化や子育て問題の一部にすぎない。大学や塾など教育にかかる費用は増加の一途だが、世帯収入は伸びておらず、子育て世代は経済的負担に苦しんでいる。具体的な支援策に「施設整備」と並んで「費用の負担軽減」を求める人が若年層に多いのはその現れだ。「奨学金を返すのに精いっぱいで結婚や子育てなんて考えられない」という声もよく聞く。貸与型ではなく給付型の奨学金を増やしたり、学校以外の教育費負担を減らしたりするなどの思い切った支援や若い世代が安定した収入が得られるような雇用対策が必要だ。

*1-4:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/322370
(佐賀新聞 2016年6月14日) 民進、行革徹底で社会保障充実、成長目指し「人への投資」
 民進党が参院選で掲げる公約の全容が13日、判明した。消費税増税の2年再延期を表明。行政改革を徹底して財源を捻出し、社会保障を充実させると強調した。憲法9条改正に反対し、安全保障関連法の撤回も求めた。党独自の経済政策として返済不要の給付型奨学金創設など「人への投資」で経済成長を図る一方、大企業や富裕層に税負担を求め、格差を是正する姿勢を打ち出した。アベノミクスに対抗し、経済政策を前面に押し出すことで、安倍晋三首相の「経済対案がない」という批判をかわす狙いがあるとみられる。

*1-5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12416400.html
(朝日新聞社説 2016年6月19日)参院選 社会保障の将来 給付と負担の全体像を
 たくさんの猿を飼っている人が、家計が苦しくなって餌のトチの実を減らすことにした。朝は三つ、夕方に四つ与えると言うと猿たちが怒ったので、朝に四つ、夕方は三つにすると言ったら喜んだ。「朝三暮四」の由来になった中国の寓話だ。目先を変えて言いくるめるたとえである。参院選での社会保障をめぐる議論もさながらこの話のようだ。各党は選挙公約で「充実策」を競い合う。その先にある「痛み」を覆い隠すように。だが、そんなその場しのぎは有権者に見透かされるだろう。むしろそうした姿勢が、制度への不信や将来への不安を高め、消費を冷やし、経済低迷の一因となっているのではないか。「子育て世帯を支援していく決意は揺らぎません」。消費増税の再延期を表明した記者会見での安倍首相の言葉だ。「アベノミクス」の成果と誇る税収の増加分を使い、保育や介護の「受け皿」を増やし、保育士と介護職員の賃金アップに優先して取り組むという。
■財源危うい「充実」
 だが、保育所を増やせば運営費として毎年約1千億円がかかる。保育士や介護職員の待遇改善には年に約2千億円が必要とされる。景気次第の税収増は、安定した財源とは言えない。そもそも子育て支援では、「税と社会保障の一体改革」で決めた施策が置き去りになっている。消費税収などを財源に保育士の配置を厚くするといった充実策を進めるはずなのに、いまだに財源のあてがない。子育てだけではない。低所得者の介護保険料の負担を軽くする、無年金の人を減らすといった対策も、消費増税の再延期で宙に浮いている。国民は今、さまざまな不安を感じている。子育て、医療や介護、雇用、貧困・格差の拡大……。これらを解消していくために社会保障を立て直す。そのために必要な財源を確保する。一体改革で示した対策は国民への「約束」であり、いずれも喫緊の課題ではなかったのか。約束をなし崩しにしているのは、首相が率いる自民党だけではない。一体改革をともにまとめた公明党や民進党も消費増税の延期に賛成し、安定した財源のめどがないままにもっぱら充実策を言っている。置き去りになっているのは、充実・強化の約束だけではない。少子高齢社会のもとで制度をどう維持していくかという議論が一向に聞こえて来ない。
■高まる抑制の圧力
 日本の総人口が減っていく一方で、2025年には「団塊の世代」が75歳以上になり、社会保障費は増えていく。医療費は今より約1・4倍、介護費は約1・9倍に膨らむと見込まれている。国の財政は国債発行という将来世代へのつけ回しに頼っており、国の借金は1千兆円を超えてなお増え続ける。社会保障費は政府予算の約3割を占め、財政難と表裏の関係にある。一体改革では、消費税の増税分をすべて社会保障に充てるとされたが、その大半は借金が増えるのを抑えるのに使われ、新たな「充実策」には約1%分しか回らない。社会保障を支える財政の状況はそれほど厳しい。さらに、消費税率を10%にしてもそれだけでは借金の増加は止まらない。安倍政権は、社会保障費の毎年度の増加を高齢化に伴う「自然増」程度に抑える目標を掲げている。そのための方策として、高齢者の医療費の負担増、介護保険の利用者負担の引き上げ、要介護度の低い人へのサービスの見直しなどが検討課題に挙がっている。しかし本格的な議論は参院選後に先送りされた。
■政治の役割は何か
 選挙では充実ばかり唱え、終わった途端に負担増や給付減を言い出すのか。そんなやり方は、政治や社会保障への国民の不信を強めるだけだろう。制度のほころびを繕い新たなニーズに対応する。全体の費用はできるだけ抑えていく。これをどう両立させるのか。経済的に余裕のある人には、高齢者であっても負担を求める流れは加速するだろう。だが、それにも限界はある。これ以上の給付の抑制・削減が難しければ、国民全体でさらなる負担増も考えねばならない。既存の制度をどう見直し、限りある財源をどこに振り向けるのか。必要な財源をどうやって確保していくか。選択肢を示し、合意を作っていくことは、まさに政治の責任だ。税・社会保障一体改革は、与野党の枠を超えて「給付」と「負担」の全体像を示し、国民の理解を得ようとする「覚悟」だったはずだ。だが、参院選に臨む3党の姿勢は一体改革の土台を自ら掘り崩すかのような惨状である。このままずるずると「一体改革前」へと後戻りしていくのか、それとも踏ん張るのか。3党の責任はとりわけ重い。

<小・中・高校>
*2-1:http://mainichi.jp/articles/20160510/dde/041/100/065000c
(毎日新聞 2016年5月10日) 馳文科相、「脱ゆとり」を宣言 次期指導要領 「知識軽視」誤解解く
 馳浩文部科学相は10日、今年度中に予定されている次期学習指導要領改定に向け、授業内容を減らしたかつての「ゆとり教育」には戻らないとする見解を公表した。次期指導要領では、児童・生徒が討論や体験などを通じて課題を探究する学習形態「アクティブ・ラーニング」の全面的な導入を目指しているが、教育関係者の一部から「ゆとり教育の理念を復活させる」と誤解されていることを受けた対応という。馳氏は10日の閣議後の記者会見で「『ゆとり教育』が『緩み教育』というふうに間違った解釈で現場に浸透してしまった。どこかで『ゆとり教育』との決別宣言を明確にしておきたいと思った」と話した。馳氏は「教育の強靱(きょうじん)化に向けて」と題する見解で「学習内容の削減を行うことはしない」と強調。「『ゆとり教育』か『詰め込み教育』かといった、二項対立的な議論には戻らない。知識と思考力の双方をバランスよく、確実に育む」とした。そのうえでアクティブ・ラーニングについて「知識が生きて働くものとして習得され、必要な力が身につくことを目指すもの。知識の量を削減せず、質の高い理解を図るための学習過程の質的改善を行う」と説明している。指導要領の改定はほぼ10年ごとに実施される。前回の2008年は、詰め込み教育の反省で1970年代から軽減されてきた授業内容を約40年ぶりに増やし、「脱ゆとり」と呼ばれた。今年度改定される指導要領では、思考力や表現力の育成を重視する方針だが、これが一部で「知識の軽視」との誤解を招いており、改めて文科省としての考え方を示したという。

*2-2:http://qbiz.jp/article/89285/1/
(西日本新聞 2016年6月22日) ライオンズクラブ活動紹介パネル展 福岡市・天神
 福岡市で24日に開幕する「第99回ライオンズクラブ国際大会」にちなんで、クラブの活動を紹介するパネル展が21日、福岡市・天神のエルガーラ・パサージュ広場で始まった=写真。県内116団体のクラブの歴史のほか、献血や青少年育成など社会奉仕活動を約120枚のパネルで説明。岩田屋本店本館7階では22日から、来年創立100周年を迎えるライオンズクラブ国際協会の取り組みを紹介するパネル展も開催される。いずれも国際大会が閉幕する28日まで。国際大会は福岡ヤフオクドーム(中央区地行浜)をメイン会場に、国内外から約3万8千人が訪れる。パネル展の問い合わせは大会ホスト委員会事務局=092(407)8199=へ。

<大学>
*3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12337211.html
(朝日新聞 2016年5月1日) 東京5大学合格、大半が首都圏高 東大・早慶など、30年で1.4倍
 東京大など東京都内の有名5大学で、今春の入試合格者の75~55%を首都圏の高校出身者が占め、30年間で約1・4倍に増えていることがわかった。下宿生の経済負担増などが背景にあるとみられる。地方出身者の東京離れを食い止めようと、大学側は奨学金新設などの対策を始めている。進学情報誌を発行する大学通信と毎日新聞出版は毎年、主要大学の出身高校別合格者を調査。1986年と2016年のデータ(16年分は朝日新聞出版も調査に参加)を元に、東大、東京工業大、一橋大、早稲田大、慶応義塾大の合格者(早大と慶大は一般入試のみ対象)を分析した。その結果、首都圏(東京都、埼玉、千葉、神奈川県)の高校出身者は、東大は86年の47・3%に対し今春は55・2%。ほかは東工大61・6%→74・7%▽一橋大44・7%→69・4%▽早大51・8%→73・9%▽慶大56・0%→72・6%と、いずれも増えていた。東京地区私立大学教職員組合連合の15年度の調査では、都内で下宿する私大生への平均仕送り月額は86年度比で16%減少。一方で家賃は76%上がった。また、受験指導に力を入れる学校が多い私立中高一貫校は、全国の約4割が首都圏にある。高校関係者や専門家からは、こうしたことが影響しているとの指摘がある。学生の画一化などを懸念する大学側は、地方出身者の確保策に乗り出した。早大や慶大は近年、地方出身者向けの奨学金制度を新設している。

<職場>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12364251.html
(朝日新聞 2016年5月19日) 三菱自社長、引責辞任へ 燃費偽装、新たに5車種
 三菱自動車は18日、すでに燃費偽装が発覚している軽自動車の4車種(日産自動車向け含む)のほか、新たに5車種でデータを机上計算する偽装があったと発表した。不適切な測定をしていた車種を含め、軽4車種を含む13車種のうち12車種で問題があった。相川哲郎社長と中尾龍吾副社長は、6月24日の株主総会日付で引責辞任する。相川氏は「不正があった開発部門に長く在籍してきた。その風土で育った私が社長として残っていては、改革の妨げになる」と辞任理由を語った。軽4車種以外の販売は続ける。燃費を測り直したところカタログ値との隔たりが最大3%ほどにとどまったとして、中尾氏は「お客さまに迷惑をかけるレベルではない」と述べた。三菱自によると、新たに偽装がわかった5車種は、人気のスポーツ用多目的車(SUV)やミニバン。法定の実走試験を省き、机上の計算によって燃費測定の元データとなる「走行抵抗値」を出していた。「RVR」は別のセダンのデータを元に机上計算。「アウトランダー」「パジェロ」「(プラグインハイブリッド車の)アウトランダーPHEV」と「デリカD:5」のガソリン車は、車体に所定の重さを加えない軽い状態で実走試験をし、机上計算でデータを補正した。さらに「パジェロ」のガソリン車では、空気抵抗が小さい別の車のデータを流用する偽装も見つかった。また、これらと一部重複する6車種では、国の定めと違う不適切な方法で走行抵抗値を測定。試験日や天候も、国土交通省に事実と違う報告をしていた。生産・販売を止めている軽4車種では、三菱自本社の性能実験部幹部が、子会社「三菱自動車エンジニアリング」の管理職にデータ不正を指示していたことを正式に認めた。相川氏の後任社長は未定。今月12日に日産との資本業務提携で基本合意しており、年内をめどに34%の出資を受けて日産傘下に入る方針。その後、新たな経営陣で再建をめざす。益子修会長兼最高経営責任者(CEO)は「新体制が誕生するまで現職にとどまる」としつつ、その間の報酬はすべて自主返納するという。

*4-2:http://mainichi.jp/articles/20160515/k00/00m/040/112000c
(毎日新聞 2016年5月15日) 「リケジョ」人材ネット創設へ
 15日に茨城県つくば市で開幕する主要7カ国(G7)科学技術相会合の共同声明に、女性研究者に特化した国際的な人材ネットワークの創設が盛り込まれる見通しであることが分かった。議長を務める島尻安伊子科学技術担当相が14日、毎日新聞などの取材に明らかにした。同会合では「保健医療」「海洋の未来」など六つのテーマが議論される。このうち「次世代の人材育成」の議題について、島尻担当相は研究人材の多様性確保の観点から、女性研究者を支える国際協力の必要性を強調。17日にまとめる共同声明「つくばコミュニケ」に、▽国際人材ネットワーク作りの支援▽女性研究者の模範例の共有▽男女差に対する偏見解消▽女性研究者が活躍できる政策や職場環境の整備−−を盛り込む考えを示した。国際人材ネットワークでは、海外の企業や研究機関の採用情報などを共有し、行き来しやすくする仕組みを整えることで、女性研究者のキャリアアップにつなげてもらうという。科学技術分野では、男性に比べ女性の割合が少ない国が大半。日本の女性研究者は約13万人で、20年前からほぼ倍増したが、全体に占める割合は2014年で14.6%と国際的に最低レベル。英国(37.8%)やイタリア(35.5%)など同会合参加国と比べ著しく低い。島尻担当相は「仕事と家事の両立などで困っている日本のリケジョ(理系女性)に海外のロールモデルを示せば大いに刺激になるし、国内の対策にも生かせる」と話した。


<給食費と食育・食器>
PS(2016年6月27日追加):*5のように、公立小中学校の給食費は無償化してよいと私も思うが、文科省は「財源や給食を実施していない自治体との公平性を考える必要がある」として、いつものとおり最悪に合わせる形の公平性を主張している。しかし、「給食は食育にも活用されており、教材でもある。無償とする義務教育の範囲に給食を入れるべきだ」というのは尤もだ。また、食育には食材だけでなく食器の使い方も含まれるため、磁器による食器の画像を掲載しておく。

  
   従来の食器              強化磁器の食器           佐賀県鳥栖市の食器
(エサの入れ物のようだ) (強化磁器はよいが、模様がイマイチだにぱっ)   (トレイ以外はGood)

*5:http://qbiz.jp/article/89584/1/
(西日本新聞 2016年6月27日) 給食費、負担に地域差 九州の市町村、3割が補助制度
 公立小中学校の給食費について2015年度、九州7県の全233市町村の約3割、64市町村が全額または一部を補助していることが西日本新聞のまとめで分かった。人口減対策で子育て環境を整えようと補助制度を導入する自治体は増加傾向にある一方、食材費高騰から値上げも相次いでおり、負担の二極化が進んでいる。保護者からは地域間格差の是正、一律無償化を求める声も出ている。九州の各県教育委員会によると、64市町村は生活保護や就学援助とは別に、すべての小中学生無料や、小1と中1が無料、第2子以降は半額などの補助制度を設けている。県別では鹿児島が21市町村と最も多く、熊本(15市町村)、福岡(14市町村)、宮崎(6町村)、佐賀(5市町)、長崎(3市町)と続いた。大分はゼロだった。制度導入の背景には、人口減少に対する自治体の危機感がある。民間提言機関による「消滅可能性都市」に含まれる佐賀県太良町。手厚い支援で子育て世代の流入と流出防止を図ろうと、15年度に全額無償に踏み切った。16年度も制度を新設、拡充する自治体は増え、福岡県古賀市は第3子以降を無償化(これまでは半額)。熊本県人吉市も全ての児童生徒に対する月額千円の補助を始め「最終的には全額補助が目標」(担当者)という。宮崎県小林市は、ふるさと納税を財源に半額補助に乗り出している。一方、給食費は近年の消費税増税や食材費の上昇を受けて値上がり傾向にある。文部科学省の調査によると、14年度の平均月額給食費は小学校4266円、中学校4882円。5年前に比べてそれぞれ153円、200円上がった。福岡市は15年度、小学校で300円増の月額4200円、中学校は400円増の同5千円に値上げした。中1と小4の母親(40)=福岡市西区=は「わずかな値上げでも毎月必要な給食費は負担感が大きい。地域によって異なるのは不公平でおかしい」と疑問の声を上げる。一律無償化について、文科省健康教育・食育課は「財源や給食を実施していない自治体との公平性を考える必要がある」との姿勢。名古屋大大学院の中嶋哲彦教授(教育行政学)は「給食は食育にも活用されており、教材でもある。無償とする義務教育の範囲に給食を入れるべきだ」と指摘している。学校給食 公立小中学校では、学校給食法に基づき学校を設置する各自治体などが実施。食材費は保護者負担、給食にかかる施設整備や人件費は自治体の負担と定めている。文部科学省によると、公立の小学校の99.7%、中学校の93.7%で実施(2014年度)。また、同省の12年度の抽出調査では、児童生徒の0.9%が給食費を納めておらず、その理由の6割は「保護者の責任感や規範意識の問題」、3割が「保護者の経済的な問題」などとなっている。政府の経済財政諮問会議の民間議員は4月の同会議で、給食費の免除制度を充実させるよう政府に提言している。

<IT教育とデジタル教科書>
PS(2016年6月27日追加):*6-1のように、タブレット端末の導入が全3学年に行き渡った佐賀県の県立高で来年度以降に導入する学習用パソコンをキーボード付にするかどうか検討する会合が開かれたそうだが、キーボード操作は、(日本に限らない)大学に進んだり、会社で仕事をしたりして文章を書く時に必要不可欠であるため、キーボード操作にも慣れさせておくことを、私は薦める。
 そのような中、*6-2のように、生徒の上達と比較して、情報を管理する「校務支援システム」のセキュリティーは甘すぎたらしく、「最先端の佐賀県システムが破られた」として文科省担当者がショックをあらわにしたそうだ。しかし、小中学生3万4,739人、高校・特別支援学校などの県立学校生5万6,590人、教職員7,987人という大量の個人情報をまとめて保存し、校外からアクセスできるシステムにしておくのは、個人情報の意味やセキュリティーについてあまりにも疎すぎると言わざるを得ない。
 なお、*6-3のように、最近は「デジタル教科書」があり、私も雑誌「ニュートン」が作ったデジタル教科書で地球46億年の大陸移動や日本列島ができる様子を動画で見たことがあり、とてもわかりやすくて最近の生徒を羨ましく思ったほどだ。しかし、デジタル教科書は紙の教科書のようにめくったり全体を一覧したりすることはできないため、紙の教科書と併用するのがよいと考える。

*6-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/320345
(佐賀新聞 2016年6月8日) 県立高の使用端末、次期機種選定で会合
 生徒一人一人へのタブレット端末の導入が全3学年に行き渡った県立高について、来年度以降に導入する学習用パソコンの在り方を協議する専門委員会の初会合が7日、佐賀県庁で開かれた。学校現場の意見を踏まえながら次期機種選定に向け、秋ごろ佐賀県教委に提言する。専門委は藤原久嗣県情報統括監や学校長ら7人で構成。渡辺健次・広島大大学院教授が委員長を務める。機種の選定はせず、キーボード付きのタブレットで続けていくかどうかや、OS(基本ソフト)は何にするかなどを論議する。委員からは「英語のリスニング学習で効果的に使われている」「工業系資格試験対策で作業手順を何度も動画で確認できる」といった事例が報告された。「今まで構築した教材がそのまま使えるか不安」と現行機種を望む声や、使い勝手向上のため変更してもよいとする意見も紹介された。渡辺委員長は「県民の中には導入を『やめろ』という意見もあるかもしれない。必要性を説明するためには、ICT利活用を県の教育目標でどう位置付けるか、もう一度確認しないといけない」と語った。

*6-2:http://mainichi.jp/articles/20160627/k00/00e/040/156000c
(毎日新聞 2016年6月27日) 「最先端の佐賀県システム破られるとは」
●文科省担当者はショックをあらわに
 「ICT(情報通信技術)化が最も進んでいる佐賀県のシステムが破られた。とても驚いている」。佐賀県立高校の生徒の成績などが流出した事件で、文部科学省の担当者はショックをあらわにした。同省は27日、佐賀県教委に事実関係の早急な報告を求めた。全国の公立小中高校の普通教室に設置されている電子黒板の整備率(2015年3月時点)は全国平均が9%なのに対し、佐賀県は76.5%で全国1位。パソコンの整備状況も生徒2.6人に1台と全国トップで、国が第2期教育振興基本計画(13〜17年度)で定める目標の3.6人に1台を唯一超えており、ICT化の先進地域として知られていた。同省によると、児童や生徒の学籍や成績などの情報をコンピューターで管理するシステムは「校務支援システム」と呼ばれ、各地の学校で導入が進んでいる。教職員同士が情報を共有することできめ細かな指導をしたり、教員の校務負担の軽減を図ったりするメリットがあるとされる。佐賀県のシステム「SEI−Net(セイネット)」は全国に先駆けて13年度から導入された。学校側が授業支援のためのデジタル教材を提供し、児童生徒が家庭でダウンロードして予習や復習に利用したり、ネット経由で相談に乗ったり、学校行事の確認をしたりすることも可能にしていた。佐賀県教委によると、このシステムには5月1日現在で小中学生3万4739人、高校や特別支援学校などの県立学校生5万6590人、教職員7987人の情報が登録されていた。教職員が成績や住所などの個人情報にアクセスするには、校内ネットワークに接続したうえでIDとパスワードを入力する必要がある。児童生徒はIDとパスワードを入力すれば、校外からでもネットに接続して、自分のテスト結果や電子教材などは閲覧できるという。

*6-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10206/318376
(佐賀新聞 2016年6月2日) デジタル教科書、20年度から、当面は紙と併用、文科省中間案
 文部科学省の有識者会議は2日、タブレット端末などを使う「デジタル教科書」を、次期学習指導要領が実施される2020年度から、紙の教科書と併用する形で導入するとの報告書の中間まとめ案を大筋了承した。4月に示した案から大きな変更はなかった。年内に報告書をまとめる予定。当面は紙の教科書を基本とし、単元によってデジタル版だけを使う形を認める。教育効果や健康への影響などを調べた上で、教育委員会の判断で紙かデジタル版のどちらかを選ぶ制度も将来的には考えられるとした。


<社会科の学び方>
PS(2016.6.28追加):*7で公民科が適切に教えられるのか否かは不明だが、日本国憲法の理念は正しく教えるべきである。また、地理と歴史は相互関係が深く、時代によって国境線も変化し、日本は古代から世界と無関係に存在していたわけではない。そのため、日本史と世界史を総合的に学習するのは真実を理解するためによいことで、そうすることによって社会科が単なる暗記科目ではなく、人類の歴史の壮大な物語として理解できるだろう。

*7:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160628&ng=DGKKASDG27HDD_X20C16A6CR8000 (日経新聞 2016.6.28) 現代社会を廃止 高校必修、公共・歴史総合に 次期指導要領で中教審案
 中央教育審議会の専門部会は27日、2022年度以降に導入する高校の次期学習指導要領の地理歴史・公民について、科目の構成やおおまかな学習内容を取りまとめた。公民科は選挙権年齢の18歳への引き下げを踏まえ「公共」を新設。法律や経済の仕組みに加え、社会保障の現状などを学び問題点を理解する。学習内容が重複する「現代社会」は廃止する。地理歴史科は近現代史の理解度が低いことから、18世紀以降を中心に日本史と世界史を関連づけて学ぶ「歴史総合」を新必修科目とする。近代化やグローバル化の流れを学習の中心に据える。近代以前の歴史も含めてより深く学習する「日本史探究」「世界史探究」は選択科目とする。「地理総合」も新たに必修科目に。環境問題など、全世界が直面する共通の課題と国際協力の在り方などを学ぶ。地図情報をコンピューターで加工する「地理情報システム(GIS)」の使い方も学習する。選択科目の「地理探究」は世界の民族・宗教や産業、資源などをより深く知ることを目指す。現行の学習指導要領では、公民科は「現代社会」1科目か「倫理」「政治・経済」の2科目が必修。地理歴史科は「世界史A」「世界史B」から1科目、「日本史A」「日本史B」「地理A」「地理B」から1科目が必修となっている。


<地方の人手不足>
PS(2016年7月2、3日追加):*8-2の高齢化率が高いという結果は、出生率や死亡率の統計を見れば1980年代から予想できたことで、その原因を究明して政策を作るのが当然だったわけである。しかし、*8-3の人手不足をカバーする方法もあり、それは日本人女性や高齢者を採用したり、雇用が不足している国から外国人労働者を採用したりすることだ。そのため、外国人労働者の生活基盤を準備した上で、九州でまとまって海外募集を行ってはいかがかと考える。なお、社会保険の観点から、女性・高齢者・外国人労働者も正規労働者として人権をないがしろにしない採用をすべきだ。

     
主な企業の外国人採用     高齢者の雇用条件     女性管理職比率   給与・雇用・議員数 
2016.5.3西日本新聞    <同一労働同一賃金?>   <何とかかんとか言って日本の職場
                                       における男女平等度は低いので、
                                       *8-1の憲法27条、労働基準法、
                                       男女雇用機会均等法を護るべきだ>

*8-1:http://www.jicl.jp/kenpou_all/kenpou.html 日本国憲法(抜粋)
第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3 児童は、これを酷使してはならない。

*8-2:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS29H27_Z20C16A6000000/?n_cid=NMAIL002 (日経新聞 2016/6/29) 全都道府県で子供より高齢者多く 15年国勢調査人口
 総務省は29日、2015年国勢調査の抽出速報集計結果を公表した。65歳以上の高齢者人口は10年の前回調査比で14%増の3342万人となり過去最高だった。高齢者の割合は26.7%で、5年前の調査に続き世界各国で最も高い。15歳未満の子ども人口の割合も12.7%と過去最低で、調査開始以来初めて全都道府県で高齢者人口が子ども人口を上回った。労働力人口は5年間で294万人減少した。15歳以上人口に占める働く意欲のある人の比率である労働力率は59.8%と10年比1.4ポイント低下した。少子高齢化により全体の就労者が減るなか、女性の労働力率は49.8%と0.2ポイント上昇した。女性は25~29歳の労働力率が初めて8割を超え、35~39歳も72.4%と4.4ポイント上昇。出産による退職などで女性の30歳代の労働力率が下がり、育児後に再び上昇する「M字カーブ」の底が上昇した形だ。

*8-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/329364
(西日本新聞 2016年7月2日) 豊かさはどこに(上)雇用 人材確保に悩む中小企業
■大手の求人増、経営に逆風
 「自動車メーカーが押し上げ、大手企業の夏のボーナスは過去3番目の高水準です」。喜々として伝えるテレビのアナウンサーに、佐賀市の自動車部品メーカーの専務(35)はいら立ちを隠さなかった。「うちの社員が変に期待してしまうから、こんなニュースは流してほしくない」。これ以上、賃上げをする余力がないことを強調した。安倍政権の経済政策「アベノミクス」は円安を誘導し、自動車メーカーなど輸出企業の業績を回復させた。その孫請け企業が潤う「トリクルダウン効果」はあったのか。「何も恩恵はない」と専務。コスト削減ばかり求められ、受注単価は横ばいか微減。受注量はリーマンショック前の水準にすら戻っていない。むしろ円安で原材料費が10%値上がりし、利幅は目減りしている。安倍晋三首相が参院選で強調する雇用改善。佐賀労働局によると、県内の5月の有効求人倍率は1・11倍で、バブル期の水準までに回復した。6カ月連続で1倍を超える。年度別にみても、アベノミクスが始まった2012年から急速に数値は上向いている。自動車部品メーカーの専務はそれも実感できずにいる。毎年数人採用してきた新入社員は期待をかけて仕事を丁寧に教えても、半年たたずに辞めてしまう。「ものづくりに魅力を感じず、楽で給料がいい業種に移ってしまうのか」。若手の引き留め策で新たな手当を導入し、月給を最大28万円に引き上げた。それでも求人票には反応がない。今春卒の高校生の県外就職率は44・3%。過去10年で4番目に高い水準となった。佐賀市内の高校の進路担当教諭は2年前から、大手・中堅の製造業、建設業の求人が県外から急増していると明かす。「保護者が安定を求めるからなのか、優秀な学生ほど大企業に挑戦したがる」と説明する。先の自動車部品メーカーの従業員は約20人で、平均年齢は30代後半。一人前に育てるには5年かかり「50代の工場長がしっかりして、仕事が回る今のうちに技術を継承したいのだが…」と専務は危機感を口にした。派遣社員は短い期間で入れ替わるため育成が難しいだけに、産業用ロボットの導入を本気で検討し始めた。人材不足は製造業だけの問題ではない。佐賀市のIT企業は、年3回の会社説明会を倍に増やした。社員だけでは対応できなくなり、外部に業務委託せざるを得なくなった。経営幹部はコストがかさむ現状に「首都圏の雇用改善が私たちの足かせになっている」と困惑する。円安の恩恵を享受してきた大企業も、英国の欧州連合(EU)離脱で風向きが変わった。県内の大手電子部品メーカーは「円高が1円進むだけで6億円の利益が吹き飛ぶ。コスト削減に努める以外に方法はない」。為替リスクに左右される無常感を口にした。


PS(2016年7月3日追加):*9に、「現代の学校教育では美術、音楽の時間がないがしろにされており、活動は実質20分程度で芸術は育たない」と書かれているが、義務教育を3歳から始めれば時間にゆとりがあるため、適時に適切な時間を芸術やスポーツにも当てることができる。しかし、現在、学んでいる知識や服飾技術などもすべて人類の文化に入るため、*9で言う「文化」とは具体的に何なのか書いてなければわからない。また、世界の第一線で活躍できる人を育てるには、時間さえとればよいというものではなく、ベースを教える指導者も本物でなければならない。そのため、児童・生徒に時間の無駄をさせず、その魅力を教えて効果を上げられる人材を、日本人に限らず探してきて揃えるべきだと考える。

*9:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/329649
(佐賀新聞 2016年7月3日) 候補者へ(11) 文化教育の充実を
 現代の学校教育では美術、音楽の時間がないがしろにされている。40分授業なら準備、後片付けもあって活動は実質20分程度。そんなんじゃ芸術は育たない。このような状況は家庭にも悪影響を及ぼし、子どもたちから文化の芽を摘む。世界の第一線で活躍する芸術家を育てるには、まずはベースから。家庭でも文化を愛する教養が育まれるような素地をつくらないと。フランスがそうであるように、芸術は世界中から人を呼び寄せる経済的資源になり得る。芸術や文化に敬意を払う政策を願いたい。

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