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2015.5.5 「アジア投資銀行」に関するメディアの論調について
   
  ADBとAIIB     AIIB     2015.3.24NHKより     2015.4.18日経新聞より
   の比較    参加表明国       *1-1               *3-3

(1)最初は、AIIBの不透明性と中国の駆け引きに繋げる論調だった
 *1-1のように、中国が新しい国際金融機関AIIBの構想を発表した時、中国がAIIBの設立を目指す理由を、日本のメディアは、「①中国は自らを含む途上国の国際社会での発言権が拡大しないことに不満を強めている」「②そのため国際的な発言権の拡大と経済成長の後押しが中国の狙い」「③AIIBを通じてアジアでインフラ事業を進めることで中国企業の輸出を後押しし、自国の経済成長を図る狙いがある」とし、「④参加国を増やし、銀行の国際的な地位を高めたい中国は“時限戦術”に出た」「⑤国際金融をリードしてきた欧米や日本とこれに風穴を開けようという中国のAIIBを巡る駆け引きが激しさを増している」という報道ぶりで、中国を蔑みながら悪く言う論調が主流だったが、これは中国に対して失礼だ。

 もちろん尖閣諸島の領有権問題で日本は中国と対立しているが、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という感情論は、敵国を「鬼畜米英」としていた時代から進歩がなく、他国を説得することができないため、日本のためにもならない。

 そのような中、*1-2で、麻生財務相が「(日米が主導する)アジア開発銀行(ADB)の金で開発をやる場合でも日本企業が受注する比率は0.5%ぐらい」「AIIBへの参加・不参加にかかわらず、中国主導になった場合の比率はもっと下がり、AIIB関連の入札で日本企業が受注するのは難しい」と言っているのは、私もそのとおりだと思う。何故なら、日本も自らが主導するADBではできるだけ日本企業にチャンスを与えようとするが、それでもADBが資金協力した工事契約でさえ日本企業の受注割合は2013年で0.21%で中国企業の受注割合は20.9%であり、この差は価格競争で敗れた結果だからである(従って、物価上昇・賃金上昇は、日本企業の輸出競争力を落としていることがわかる)。

 また、*2-1のように、日米は、アジアの発展途上国の経済発展を支援する国際金融機関ADBを主導しており、同じように重要性を感じた場合には、ADBがAIIBと協調融資することができ、「創設メンバー」になっても多くの国が参加している中国中心のAIIBで日本企業に有利な融資をすることなどできるわけがないため、英国、オーストラリア、ドイツが続々とAIIBに参加表明したからといって、「孤立」や「裏切り」などと考える必要はなく、意見が一致する場合は協調融資すればよいと考える。

 なお、*1-3に、「AIIBはいかにして運営ルールの懸念に答えるか、中国の能力不足を疑う声も聞こえてくる」と書かれており、「①AIIB運営で透明性が保たれるか?」「②投資対象となるインフラプロジェクトは、環境保護の面で厳しい融資条件を満たすことが可能か?」「③管理能力を備え、合理的な制度設計や管理体制を実現し、リスク管理の水準を保つことができるのか?」といった点に疑問が集中しているとのことだが、日米が中心となっているADBは①②③を満たしているのか、「Time is money(だから利子がある)」の金融分野で、時間稼ぎや不作為の弁解として“環境影響評価”を使っており、本当に環境を大切にしているのではないのではないかなどを、*4-1、*4-2から、しっかり反省すべきである。

(2)融資の内容について
 (1)でも述べたように、また*2-1のとおり、アジア開発銀行(ADB)とアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、意見の一致する融資については協調融資を行えばよい。これは、日本国内でも、日本政策投資銀行、日本輸出入銀行、国際協力銀行、農林中央金庫、一般金融機関等があり、それぞれ目的に応じた融資を行いつつ、融資に関する意見が一致する場合は協調融資をしているのと同じであり、一行しか存在してはいけないということはないのである。

 また、*2-2のように、政治リスクのある国にも日本からのインフラ投資を拡充するのは必要なことで、その場合は官民一体で行わなければ政治リスクに対応できず、国際協力機構(JICA)とアジア開発銀行(ADB)との協力は、これまでもやってきたことである。そして、中国の現代版シルクロードを構築する「一帯一路」構想も、アジアの魅力を増すのに面白く、その東端は日本なのだ。

 なお、*2-3のように、日本のトップランナーである北九州市は、ベトナムのハイフォン市で環境マスタープランを策定し、「工場の排熱を利用した発電」など3事業については環境省が「国際協力枠」として本年度予算で調査費を計上し、北九州市は設備納入やメンテナンスで地場企業の「インフラ輸出」を期待しているそうだ。

 その経緯は、ベトナム政府が2020年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を「2010 年比20%削減」を目指しており、人口約190万人のハイフォン市は環境マスタープラン策定の協力を北九州市に要請し、①セメント工場の排熱を回収して蒸気タービンを回す発電 ②鋳物工場団地で金属を溶かす石炭炉の電炉化 ③世界遺産登録を目指す離島カットバ島での太陽光発電の導入と電気バス20台の運行 など、CO2削減効果が期待される3事業に環境省が調査費として4,500万円を計上することになったことである。そして、このような新しいインフラの敷設事業は、日本の他の都市や民間企業もできそうだ。

(3)欧州諸国が参加表明すると、「バスに乗り遅れる」という論調に変わった
 *1-1、*3-1に、「イギリスの参加表明で世界に衝撃が走った」と記載されているが、その後、同じG7のドイツ、フランス、イタリアが相次いでAIIBへの参加を表明し、さらに金融立国のルクセンブルクやスイスも追随し、日本政府はようやく事態の深刻さに気づいたと書かれている。しかし、「他国が参加したのに、日本が参加しなかったから事態が深刻だ」とするのは、単なる「バスに乗り遅れてはいけない」という論理にすぎず、反省点が的を外れている。

 一方、*3-2に、日米がAIIBを牽制し、日米欧と新興国の20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議で、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)と世界銀行などの既存の国際機関による協調融資が重要との認識で一致したと書かれているが、それでよいだろう。また、*3-3のように、「新興国の発言権を高める国際通貨基金(IMF)改革の実現に米国の批准を強く促す」と明記し、AIIBに新興国の期待が集まる背景には、経済が急伸した新興国の既存の国際機関での発言権が低く据え置かれていることへの不満があるそうで、聞けばもっともなことである。

(4)日本人は「本質は何だから、どうすべきか」という真の議論をしない人が多い
 このように、日本人は、「本質は何だから、どうすべきか」という真の情報に基づいたまともな議論をせずに、感情論や廻りがどうしているかを基準として物事を決めようとする人が多いのが欠点である。それが欠点である理由は、それでは自分の行動や立ち位置を論理的に説明することができず、集団的に意思決定を誤りがちである上、誰も納得させることができないからだ。

*1-1:http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2015_0324.html
(NHK 2015年3月24日) AIIBを巡る駆け引き
 最近、このことばをニュースで見かける機会が増えたと感じる方も多いと思います。中国が提唱する新しい国際金融機関の構想ですが、この銀行に参加するかしないか、世界の国々の判断が、今注目を集めているのです。とりわけ、これまで一貫して参加に慎重だったヨーロッパの国々の間で”異変”が起きています。中国が目指す銀行設立のねらいと日本をはじめ各国の思惑を、経済部・財務省担当の中山俊之記者と中国総局の井村丈思記者、ロンドン支局の下村直人記者が解説します。
●イギリス参加表明の衝撃
 3月12日、世界に衝撃が走りました。イギリス政府が、G7=先進7か国で初めて、AIIBへの参加を表明したのです。オズボーン財務相は声明で「世界最速の成長市場であるアジア・太平洋地域との結び付きを強める」と強調しました。
●“アジア支援”の大義名分
 イギリスが突然、参加を表明したAIIB。中国が設立を提唱し、アジアの発展途上国のインフラ整備を支援するため、鉄道や高速道路などの投資や融資を行うとされています。アジアは世界経済のけん引役として成長が期待されていますが、各国のインフラ整備の資金が足りないと言われています。2020年までに年間100兆円近い投資の需要があるとの試算もありますが、アジアの開発支援をリードしてきた「ADB=アジア開発銀行」など、既存の機関だけでは、その膨大な資金需要に応えきれていないという指摘が出ています。このため、AIIBが資金を提供すること自体は、既存の国際機関も評価しています。問題は運営の方法です。中国側の説明では、AIIBは本部を北京に置く計画で、12兆円余りの資本金の出資比率は、GDP=国内総生産の大きさに応じて、中国が50%まで出資できるとしています。具体的な銀行の枠組みは今後の交渉次第ですが、設立を提唱する中国が大きな影響力を持つのは間違いありません。
●AIIB主導、中国のねらいは
 中国がAIIBの設立を目指す理由は大きく2つあります。1つは、国際的な発言権の拡大です。中国は今や世界第2の経済大国ですが、アメリカが主導する国際的な金融秩序の下、みずからを含む途上国の国際社会での発言権が思うように拡大しないことに不満を強めています。習近平指導部は、中国の影響力を強めようと、新しい国際的な枠組み作りに力を入れていて、なかでも各国の賛同を得やすいAIIBは重要な枠組みと位置づけられています。もう1つは、経済成長の後押しです。中国はこのところ景気が減速しています。ただ、成長の速度より質を重視する方針を掲げる中国政府としては、巨額の財政出動で景気を刺激する政策をとるのは難しいのが現状です。こうしたなか、AIIBを通じてアジアでのインフラ事業を進めることで、中国企業の輸出を後押しし、自国の経済成長を図るねらいがあるとみられます。
●歓迎する途上国、慎重な先進国
 去年10月、AIIBへの参加を希望する国々の代表が北京に集い、設立に向けた覚書を交わしました。東南アジアや中東などの21か国。南シナ海で中国と島々の領有権を争うフィリピンとベトナムも加わりました。しかし、日本とアメリカは、銀行をどう運営するのか明確になっていないなどとして参加に慎重な立場を表明しました。日本とアメリカが中心となって運営してきたADBとの役割分担がはっきりしない点も懸念されているのです。オーストラリアと韓国も、この時点では参加を見送り。中国が経済力を背景に、領土問題などで外交的な圧力を強めることをおそれた日米が、水面下で働きかけを行ったためとみられています。財務省の幹部は安どの表情を浮かべました。
●中国の一手は
 参加国を増やし、銀行の国際的な地位を高めたい中国は“時限戦術”に出ます。楼継偉財政相は3月6日の会見で「3月31日までに参加表明した国が創立メンバーだ」と発言。銀行の枠組み作りに加わるには、3月中に参加の意志を表す必要があるとして、各国に決断を迫ったのです。
●イギリスはなぜ決断?
 これに反応したのがイギリスでした。そのねらいは中国の通貨・人民元の取り引きの囲い込みだとみられています。国際金融センターである「シティー」を抱えるイギリスは、貿易などで急速に存在感を増す人民元の海外取引の拠点になろうと、中国と金融面の協力を強化してきました。ただ、現実にはドイツやルクセンブルクなどと、その座を激しく争っています。イギリスの金融関係者は「この争奪戦に敗れれば、国際金融センターの地位を失いかねない」と、危機感をあらわにしていました。そこで、いち早く参加を表明することで中国に恩を売り、ライバルに差をつけたいというねらいがあったとみられます。
●雪崩を打つヨーロッパ
 イギリスの決定は、ヨーロッパの流れを一気に変えました。17日には、同じG7のドイツ、フランス、イタリアが相次いでAIIBへの参加を表明したのです。さらに金融立国のルクセンブルクとスイスも追随しました。大手自動車メーカーなどを抱えるドイツとフランス。高級衣料品などの輸出産業が経済の柱となっているイタリア。ともに中国は重要な貿易相手であり、出遅れるわけにはいかない事情がありました。
ヨーロッパの景気低迷が続くなかで、各国の経済成長にとって重要な、いわゆるチャイナマネーを呼び込み、インフラ分野でのアジア市場への参入につなげたいというねらいもあったようです。
この“ドミノ現象”を、ある外交筋は「地理的に中国と離れているヨーロッパは、安全保障上の懸念も薄く、実利を重視した」と分析しました。また、中国にとっても、信用力のあるヨーロッパ各国が加わることで、AIIBが市場から資金を調達する際に高い格付けが得られる可能性が高まったという点で、大きな援軍になったと言えそうです。
●揺らぐ日本
 ヨーロッパの変化に頭を悩ませるのが日本です。AIIBが手がける投資に携われるのは参加国にかぎられるという見方もあり、日本が参加しなければ、日本企業が将来、工事に入札できないなど不利な扱いを受けるおそれもあるからです。24日、麻生副総理兼財務大臣は会見で、日本の参加には慎重な考えを改めて示すと同時に、組織運営の透明性が確保されればADBと協調していくことが望ましいという認識を示しました。これも、日本が置かれた微妙な立場を反映したものといえるかもしれません。それでも、今の支配的な見方は「仮に日本が参加しても、恩恵を受けることは現実的に難しい」というものです。銀行内での発言権を確保するためには一定の出資が必要ですが、国と地方を合わせて1000兆円に達する巨額の債務を抱える今の日本には、財政的な余力がかぎられているからです。日本は今後、アメリカと連携して対応を検討していくことになりますが、財務省の幹部はAIIBを巡る一連の動きについて、悲哀を込めてこう話しました。「第2次世界大戦後の、アメリカを中心とする世界の金融体制の1つの転換点とも言えるものだ。日本の国際的な影響力の低下は明らかだ」
●新銀行に支持は広がるか
 AIIBへの参加を表明した国は、3月23日現在で33か国まで増えました。当面の節目である3月末に向けて、ほかの国々の対応が焦点となります。国際金融をリードしてきた欧米や日本と、これに風穴を開けようという中国。AIIBを巡る駆け引きが激しさを増しています。

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/ASH434QW7H43ULFA01J.html
(朝日新聞 2015年4月4日) アジア投資銀参加見送り「マイナスない」 麻生財務相
 日本が不参加の場合、AIIBが融資する案件の入札で日本企業が不利になるとの見方がある。これに対し、麻生氏は日米が主導するアジア開発銀行(ADB)を引き合いに出し、「ADBの金で開発をやる場合でも、日本企業が受注する比率は0・5%ぐらいだろう」と指摘。「中国資本になった場合、比率はもっと下がる」と語り、AIIBへの参加・不参加にかかわらず、AIIB関連の入札で日本企業が受注するのは難しい、との見方を示した。ADBが資金協力した工事などの契約を日本企業が受注した割合は、2013年で0・21%。一方、中国企業が受注した割合は20・9%で、日本企業が主に価格競争で敗れている。一方、麻生氏は「国際会議の場でAIIBが話題になることはあると思う」とし、5月にドイツで開かれる主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の場などで協議するとの見通しを示した。

*1-3:http://qbiz.jp/article/60490/1/ 
(西日本新聞 2015年4月17日) AIIB、いかにして懸念に答えるか
 15日、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーの顔ぶれが最終的に確定した。米国と日本の参加をめぐる論議や分析、動向が世界中から注目されたが、国際世論の注目が徐々に、今後のAIIBの運営ルールにシフトしていることは明らかだ。まさに「準備は整った。後は東風が吹く(最後の重要な条件が整う)のを待つのみ」という状態で、後はメンバー国がいかにAIIBを運営していくかにかかっている。国際世論はAIIBについて、「中国にとって大きな挑戦となる」と見なしている。さらには、中国の能力不足を疑う声も少なからず聞こえてくる。これらの疑問は、「今後のAIIBの運営において、透明性が保たれるのか?」「投資対象となるインフラプロジェクトは、環境保護の面で、厳しい融資条件を満たすことが可能なのか?」「管理能力を備え、合理的な制度設計や管理体制を実現し、リスク管理の水準を保つことができるのか?」といった点に集中している。確かに、中国にとって、AIIBのような多国で構成される国際金融機関を主導するのは今回が初めてだ。初めてのことに挑戦する時には、当然、さまざまな壁にぶつかる。だが中国には「克服できない困難はない」ということわざがある。ピンチはチャンス、成果を得るためには、挑戦を避けては通れない。挑戦は改革を後押しし、各方面がAIIB規約の制定を首尾よく行うことを促す。透明性は、中国がAIIB設立を提唱した当初から、最も多く、最も頻繁に取り上げられた問題のひとつだ。だが、注意深く見てみると、米国と日本が参加を見送った以外は、ほぼ全ての先進国が創設メンバーとなっている。このような多国で構成される国際金融機関が、不透明な状態でいることは難しく、もし不透明ならば、多くの先進国が自ら「自国は不透明」と宣言するようなものだ。また、広く関心が集まったのは環境問題だ。確かに、中国はこれまで「まず汚染、対策は後回し」という遅れた発展プロセスを経てきた。だが、今の中国は持続可能な発展を可能とする理論と実践を備えており、「金山銀山を求め、さらに、青山緑水(セイザンリョクスイ)を求めるのではない。「青山緑水こそが金山銀山だ」の言葉の通り、環境保護に対する理念は、人々の心に深く浸透しており、どのようなインフラ建設プロジェクトも、スタートする際には、厳しい環境保護基準をクリアしなければならない。ましてや、AIIB創設メンバーには、ドイツのような世界トップの環境保護の「達人」が入っており、今後、インフラ建設プロジェクトが環境を汚染する恐れがあるといった悩みが生じる可能性など有り得ない。環境保護を疎かにすることは、中国やドイツはもちろん、全参加国にとって断じて許されないことだ。このような状況から、AIIBの初のインフラ建設プロジェクトが高く注目されることは間違いなく、AIIBの「試金石」と言っても差し支えない。互いに力を合わせれば、必ず良い結果が生まれる。世界はひとつの「地球村」で、誰もが「運命共同体」だ。みんなに関わることは、一緒に相談して対処すれば良い。「大国」とは、地域ひいては世界の平和と発展に対して、大きな責任を担う国家のことで、決して地域や国際社会で「大きなシェア」を占めているという意味ではない。これらのことから、AIIBメンバーが平等な話し合いを通じ、叡智を集結し、知恵を最大限活かし、公正かつ合理的な運営規則を確立することは、間違いないと思われる。規則の制定にあたっては、世界銀行(世銀)、国際通貨基金(IMF)、アジア開発銀行(ADB)、欧州投資銀行(EIB)、米州開発銀行(IDB)など各種国際金融機関の有益な経験と教訓を参考とし、AIIBの投資特色にもとづき、きめ細やかな配慮と力を結集し、正確な位置づけを意図して行われるであろう。AIIBは、既存のADBに取って代わることはできない。ADBや世銀などの国際金融機関と共に歩み、それらに花を添え、互いに補い合い、歩調を合わせて発展し、アジア金融協力体制の構築を推進する役割を担っている。アジア金融体制プラットフォームの構築を探求し、アジアの相互連携・疎通を加速させ、アジアの経済・社会発展を促し、各方面の相互利益とダブルウィン実現を目指す。

*1-4:http://qbiz.jp/article/60013/1/
(西日本新聞 2015年4月10日) AIIB、米が日本の参加疑う 「裏切り」続出で孤立感
 中国が設立を主導している国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)をめぐり、米国が「日本が参加を決めたのでは」と疑い、日本側に不信感を伝達していたことが10日、分かった。日本政府は参加見送りの方針を伝えたが、英国をはじめオーストラリアなど同盟国が続々と参加表明する「裏切り」を目の当たりにし、米国が孤立を懸念していたことが浮き彫りとなった。複数の日米関係筋が明らかにした。日本と米国はアジアの発展途上国の経済発展を支援する国際金融機関、アジア開発銀行(ADB)を主導。ADBはAIIBと協力関係を模索するとみられるが、既存の枠組みに挑戦する中国の動きに対し日米両国は今月26日から予定されている安倍晋三首相の訪米などを通じ、戦略の立て直しを迫られそうだ。米関係筋によると、米側が日本側の意向を確認するきっかけになったのは「数カ月以内に日本がAIIBに参加する可能性がある」と報じた3月31日付の英紙フィナンシャル・タイムズの記事。木寺昌人駐中国大使への取材に基づいた内容としている。同日はAIIBの「創設メンバー」になるための申請期限。報道を受け、米政府関係者は日本側に「記事の内容は事実なのか。日本はAIIBに加入しないはずだったのではないか」と真意を尋ねた。日本側は「記事の内容は誤りだ。特定の期限を念頭に置いていることはない」と説明し、米側は最終的に理解を示した。日本側は以前にも、参加表明を見送る方針を米側に伝えていた。菅義偉官房長官は同日の記者会見で報道は「全く違う」と否定。岸田文雄外相も「木寺大使が日本の参加見通しについて発言した事実はない」と述べた。政府筋は「日米の強固な関係にくさびを打ち込もうとする意図的な報道だ」と批判した。AIIBの参加国は50以上の国・地域となる見通し。

<資金利用について>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150503&ng=DGKKZO86418560T00C15A5MM8000 (日経新聞 2015.5.3) 
アジア開銀、アジア投資銀と協調融資 国際基準の尊重で一致
 アジア開発銀行(ADB)=総合・経済面きょうのことば=の年次総会が2日、アゼルバイジャンの首都バクーで開幕した。中尾武彦総裁は記者会見で、中国主導で創設されるアジアインフラ投資銀行(AIIB)と協調融資を実施する考えを表明した。AIIB側と融資の際に国際基準を尊重することで一致したためだ。ADBの増資についても前向きに検討する考えを示した。中尾総裁はAIIB総裁に就任する見通しの金立群・中国元財政次官と1日に会談した。中尾氏は「社会環境保全などの基準の重要性について意見が一致した」と述べた。ADBは自行と同等の国際基準を満たすことを協調融資の条件と表明しており、AIIB側がこれを受け入れた形だ。アジアでは年間8000億ドル(約96兆円)のインフラ需要が見込まれる。ADBだけ満たすのは難しいため、中尾総裁はAIIBとの協調融資に「様々な相乗効果が期待できる」と語った。ADBは2日、自己資本と低所得国向け基金を2017年に統合し、融資枠を1.5倍の200億ドルに拡大することで正式に合意した。総裁は「近い将来の増資や出資比率の見直しについても引き続き検討する」と述べた。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/183267
(佐賀新聞 2015年5月3日) 日本のアジア向け投資拡充、麻生氏表明、官民一体で
 麻生太郎財務相は3日、アゼルバイジャンの首都バクーで開かれたアジア開発銀行(ADB)のセミナーで演説し、日本からアジア向けのインフラ投資を官民一体で拡充する方針を表明した。国際協力機構(JICA)とADBとの協力枠組みを創設し、人材、資金面などで一段と貢献するとした。一方、中国の楼継偉財政相もセミナーで、現代版シルクロード経済圏を構築する「一帯一路」構想への参加を各国に呼び掛けており、アジアでの日中の主導権争いが本格化してきた。アジアの開発支援をめぐっては、中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立作業を本格化させている。

*2-3:http://qbiz.jp/article/61301/1/
(西日本新聞 2015年4月30日) 越・ハイフォン市依頼の環境総合計画、全容判明 北九州市策定
 北九州市が、ベトナム第3の都市・ハイフォン市の依頼で策定した環境マスタープラン(総合計画)の内容が分かった。大気汚染の自動観測など15事業から成り、このうち「工場の排熱を利用した発電」など3事業について、環境省が「国際協力枠」として本年度予算で調査費を計上する方針だ。北九州市は同プランに関連し、設備納入やメンテナンスで地場企業の「インフラ輸出」を期待する。ベトナム政府は2020年までに二酸化炭素(CO2)の排出を「10年比で20%削減」を目指している。人口約190万人のハイフォン市は政府方針を踏まえ、環境マスタープラン策定のため、浄水場の技術支援などで関係が深い姉妹都市の北九州市に協力を要請、市が昨年4月から着手していた。プランは交通▽上下水・雨水排水▽環境保全▽(生ごみ堆肥化による有機野菜栽培など)グリーン生産−など7分野15事業で構成。このうち(1)セメント工場の排熱を回収し蒸気タービンを回す発電(2)鋳物工場団地で金属を溶かす石炭炉の電炉化(3)世界遺産登録を目指す離島・カットバ島での太陽光発電の導入と電気バス20台の運行など、CO2削減が期待できる3事業に環境省が調査費として4500万円を計上する見通し。北九州市によると、現地企業は省エネによる生産コスト削減につながるため「導入に前向き」という。市は高温・高圧用バルブやリチウムイオン電池の性能検査機、バス運行システム開発といった関連製品の納入や技術指導などで地場企業の受注を見込んでいる。マスタープランは、北橋健治市長が5月8〜12日の日程でハイフォン市を訪ねて説明する予定。

<ヨーロッパ諸国の参加>
*3-1:http://digital.asahi.com/articles/ASH4B3SV5H4BULFA00V.html?_requesturl=articles%2FASH4B3SV5H4BULFA00V.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH4B3SV5H4BULFA00V (朝日新聞 2015年4月12日) ドイツ参加、官邸に衝撃 アジア投資銀ショックを検証
 3月17日朝、首相官邸に衝撃が走った。英紙フィナンシャル・タイムズ電子版が、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)にドイツ、フランス、イタリアが参加を決めた、と伝えていた。正午過ぎ、慌ただしく官邸に駆けつけた財務、外務両省の幹部は、首相の安倍晋三に「これはアプローチだけの違いです」と説明した。官邸には、両省から当初、「主要7カ国(G7)から参加はない」との情報が伝えられていた。G7では、英国が12日に参加を表明していた。だが、5月の総選挙を控え、経済的メリットを打ち出したい英政府の特殊事情と分析し、危機感は乏しかった。欧州連合(EU)のリーダーであるドイツの参加で、日本政府はようやく事態の深刻さに気づいた。G7各国は、AIIBの組織の運営方法や融資基準の不透明さに対して懸念している。英独仏伊がAIIBの内部から中国に疑問をぶつけるならば、日米は外からただせばよい――。財務省幹部らのそうした説明に安倍は理解を示しながらも、ドイツの参加が腑(ふ)に落ちない様子だった。その8日前の3月9日、安倍はドイツ首相のメルケルと会談した。夕食会を含め5時間余りを一緒に過ごした。「AIIBは一緒に条件をきちんと見ていきましょう」。政権幹部によると、2人はそう確認し合ったという。メルケルは参加の意向は示さなかった。「まずかった。官邸に早めにチームを作っておけば、メルケルに伝えるメッセージも違っただろう」(官邸幹部)。政府の甘い見通しによる楽観的な想定は、音を立てて崩れていった。
     ◇
 約50の国・地域が参加を表明したAIIB。中国が提唱する新たな金融の枠組みによって、米国が築いてきた戦後の国際的な秩序が揺さぶられている。米国とともに表明を見送った日本政府の対応を検証する。
     ◇
■不参加ありき、G7の「雪崩」読み切れず
 日本政府が事態の重大さに気づくのは遅かった。「英国が西側主要国で初めてAIIBの創設メンバーになることを発表できて喜ばしい」。北京で開会中の中国の全国人民代表大会(全人代)に花を添えるように、英財務相のオズボーンは3月12日、英語と中国語の声明を発表した。日本政府が英国から連絡を受けたのはその直前だった。官邸幹部は「えっと思った。あれでG7の共同歩調が乱れた」と振り返る。だが、それでも政府全体で参加の是非を検討する動きはなかった。その後の「雪崩」につながる大きなうねりをつかみきれていなかった。なぜ読み間違えたのか。「我々はあくまでも、AIIBの中に入らないつもりで来た」。財務省幹部は初めから「不参加ありき」だったことを明かす。関係者によると、2013年10月にAIIB構想をぶち上げた中国政府が、日本に参加の働きかけを始めたのは昨年初めだった。ただ、歴代総裁をアジア開発銀行(ADB)に送り込んできた財務省は、中国主導のAIIBは戦後の国際金融秩序への「挑戦」と受け止めた。昨夏に来日した中国財務省の国際局長に対しても、AIIBの組織や融資基準が不透明だとして「これでは参加できない」とつっぱねた。米国の存在も大きい。中国の影響力増大を警戒するオバマ米政権は慎重姿勢で、米議会も出資を認める可能性は低い。日本に直接、不参加を求めることはなかったが、「お互いがどういう問題意識を持っているか当然共有しているし、認識は一致している」(外務省幹部)。対米関係を重視する外務省も「不参加」で財務省と足並みをそろえていた。そうした前提のもと、情勢分析が甘かったことは否めない。17日の「ドイツ・ショック」を境に、両省への不信感が噴出し、官邸主導色が一気に強まる。財務省は急きょ、参加の利点や懸念をまとめた表をつくって官邸に説明するなど対応に追われた。「完全に政治の話になった」。財務省幹部はつぶやいた。
■中国、日本の懸念に「一切答えず」
 官邸主導になっても、打てる手は限られていた。「理事会が案件の審査をするのか」「環境や社会への配慮は確保されるのか」――。政府はこうした懸念への回答を中国に求めてきたが、「答えをいただいていない」(財務相の麻生太郎)まま時が過ぎた。3月24日にオーストラリア、26日には韓国。アジアにおける米国の同盟国の参加報道も続いた。しかも、正式発表に際して、韓国は「中国が前向きな意思を表明した」、オーストラリアも「運営、透明性で良い進展があった」とそれぞれ説明。日本は「中国は日本の問い合わせには一切、答えていない。日本だけ排除しようという意図が明確だ」(経済閣僚)と疑いを募らせた。政府は「米の意向を無視して日本単独の判断はあり得ない」(経済閣僚)と対米協調路線に一段と傾くことになる。オバマ政権が土壇場で方針を変えても、対中強硬派が多い米議会が承認しないとの判断が支えだった。それでも疑念がなかったわけではない。「米国はぽきっと折れることがある」(財務省幹部)、「米国が入れば日本も入る」(官邸幹部)との声が漏れていた。北京で30日にあった米財務長官のルーと中国首相の李克強(リーコーチアン)との会談の行方を不安げに見守った。そして迎えた創設メンバーの参加期限の31日。午後2時すぎから官邸で、安倍晋三は財務、外務両省の幹部とふたたび向き合った。「中国から答えは返ってきていません」との報告に耳を傾けていた安倍は答えた。「慌てることはない」。ただ、安倍は一方で、同じ日、自民党外交部会長の秋葉賢也らに「大いに活発に議論してほしい」と党に指示した。アジアでAIIBに参加表明していないのは、北朝鮮、アフガニスタン、ブータンなどわずかにとどまる。参加国が設立協定に署名する6月末を見据え、参加も含めた政治判断ができるようにしておくため、とみられている。(敬称略)
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■日米抜きで主導 中国、見せつけた影響力
 AIIBに参加するかしないかで、どんな利益、損失があるのかは、いまだ不透明だ。参加すれば、AIIBが融資するインフラ事業の入札で、自国企業に有利に働く期待があり、政府内にも「早く入った方がよい」との声もある。ただ、運営ルールはまだ決まっていない。日本企業が13年にADB関連事業で受注した割合はわずか0・21%で、参加で有利になるとも言い切れない。不参加だと日本企業が中国国内のビジネスで不利に扱われかねないとの懸念もあるが、根拠があるわけではない。政府は参加する場合に払う出資金額を最大30億ドル(約3600億円)と試算する。財務省は「巨額の財政負担とメリットが見合わない」(幹部)と慎重だ。ただ、中国主導の枠組みに約50の国や地域が賛同し、日米抜きで話が進んだという事実は、AIIBの成否を超えた衝撃がある。中国は新たな経済秩序づくりで影響力を見せつけた。AIIBは、中国が掲げる陸路と海路のインフラ整備を通じて欧州と結ぶ「一帯一路(二つのシルクロード経済圏)」構想の中核だ。日本政府はAIIBの「中国による独自の影響力拡大のための恣意(しい)的な利用」を懸念するが、インフラ資金の不足に苦しむ途上国は歓迎した。商機を期待する欧州諸国も、中国と地理的に離れていて安全保障上の脅威にならないうえ、出資金もアジアの日本よりも少ないため、相次いで参加を表明した。アジア太平洋に軸足を移すリバランス(再均衡)政策を掲げてきたオバマ米政権は、指導力や求心力の衰えを内外に印象づけた。カーター米国防長官が8日、日米主導の環太平洋経済連携協定(TPP)が戦略的に「空母と同じくらい重要だ」と語った言葉には、失地回復への焦りもにじむ。「AIIBの失態で、米国はTPPを形にしたい思いが強くなっているはずだ」と日本の経済閣僚は言う。日本も、新しい現実を踏まえた外交戦略の練り直しを迫られている。
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 〈アジアインフラ投資銀行(AIIB)〉 中国が提唱し、途上国で道路や鉄道などのインフラ整備の資金を貸し出す銀行。年内の設立を目指し、50以上の国・地域が参加を表明した。法定資本金は1千億ドル(約12兆円)。出資比率などは6月末までに決める。中国が過大な発言権を持つことへの懸念などから、日米は参加に慎重な姿勢をとる。

*3-2:http://qbiz.jp/article/60531/1/
(西日本新聞 2015年4月18日) 日米がAIIBけん制、G20  「既存機関と協調融資を」
 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が16日午後(日本時間17日午前)、米ワシントンで開幕した。開幕に先立ち麻生太郎財務相はルー米財務長官と会談し、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)と世界銀行など既存の国際機関による協調融資が重要との認識で一致した。G20は17日午後(同18日未明)に共同声明を採択して閉幕する。G20は、世界経済の成長力強化に向け、民間資金を活用して道路や鉄道などのインフラ投資を拡大することが重要との認識で一致。9月までに各国が投資戦略を取りまとめ、議長国トルコの南部アンタルヤで11月に開かれるG20首脳会合に提出する。創設メンバーが57カ国に上るAIIBには投資拡大への貢献で期待が高まっている。日米の両財務相は中国の恣意的な運営をけん制するため、協調融資を通じてAIIBに融資や組織運営などの面で国際基準を守らせる狙いとみられる。日米欧の先進7カ国(G7)の財務相らも非公式会合を開催。AIIBへの対応を協議したもようだ。日米はAIIBへの参加を見送り、ドイツなどは創設メンバーに加わって対応が分かれたが、透明性のある組織運営が必要との認識では一致している。G20は、日本と欧州の経済の改善を歓迎したが、一部の新興国に景気減速懸念があるため、財政政策や金融政策で景気を下支えすることが必要であることを確認。米国が年内に予定する利上げで金融市場が混乱する可能性があることから、影響を最小限に抑えるため市場動向を注意深く観察し、各国で情報共有を進めることでも一致した。

*3-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150418&ng=DGKKZO85860950Y5A410C1MM0000 (日経新聞 2015.4.18) G20、米にIMF改革批准促す、共同声明、新興国の発言権に配慮 主要国経済の回復を歓迎
 日米欧と新興国の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は17日午後(日本時間18日未明)、主要国経済の回復を歓迎する共同声明を採択して閉幕した。新興国の発言権を高める国際通貨基金(IMF)改革の実現へ、米国の批准を「強く促す」と明記。焦点となっていた中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)はG20会議そのものでは大きく扱わなかった。中国が年内発足を目指すAIIBは英独仏の欧州勢を含む57カ国が創設メンバーで、日米は参加を見送っている。インフラなどへの投資を扱った17日のG20会議では、中国がAIIBの計画を紹介し話題には上った。ただ、本格的なやり取りには至らず、共同声明でAIIBには直接言及しなかった。AIIBに新興国の期待が集まる背景に、経済が急伸した新興国の既存の国際機関での発言権が低く据え置かれていることへの不満がある。中国など新興国のIMFへの出資比率を引き上げる2010年の改革案について、共同声明は「引き続き、米国に対し可能な限り早期に批准することを強く促す」と明記。改革の遅れが改めて関心を集める中で、拒否権をもつ米国の行動を求めた。共同声明は主要国経済の回復を歓迎し「特にユーロ圏と日本で最近改善している」と言及した。新興国は国によってばらつきがあると指摘。石油価格下落の影響は「全体としてプラスと見込まれる」とした。米利上げが近づいているとの予測を念頭に、金融政策の「負の波及効果を最小にするため、明確にコミュニケーションが行われるべきだ」と盛り込んだ。

<開発途上国の意見>
*4-1:http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17H1U_X10C15A4EAF000/
(日経新聞 2015/4/17) アジア投資銀を歓迎 発展途上国の財務相らが声明
 アジアやアフリカ、南米などの比較的経済力が高い発展途上国(G24)は16日、米ワシントンで財務相らの会議を開き、経済成長にはインフラ投資が極めて重要で、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立を歓迎するとの声明を採択した。G24のメンバーには中国のほか、AIIBに参加するインドやフィリピン、エジプトが含まれている。声明では「インフラを含めた長期投資には効果的な手法と革新的な機関が必要だ」と指摘した。このほか、世界銀行グループの国際開発協会(IDA)や国際通貨基金(IMF)に対し、最貧国への柔軟な融資を求めた。

*4-2:http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22H6C_S5A420C1FF2000/
(日経新聞 2015/4/23) インドネシア、「大国」誇示 バンドン会議主宰
 22日に開幕したアジア・アフリカ会議(バンドン会議)記念首脳会議を主宰するインドネシアのジョコ大統領が、勢ぞろいした新興諸国を前に「大国」としての威信誇示に力を注いでいる。国連や世界銀行など欧米主導の既存体制を批判し、新興勢力による新しい秩序の構築を主張。首脳会談の合間を縫った2国間会談でも、影響力を見せつけようと躍起だ。「アジア・アフリカ諸国は国連に改革を迫らなければならない」。ジョコ大統領が開会の演説でこう述べると、会場から拍手が起こった。パレスチナ自治政府による国家樹立の苦闘などに触れ「世界は不正義にあふれ強国とのギャップはなお大きい」と語気を強めた。ジョコ氏はまた「3億人の富める人々の陰で12億人が飢えている」とし、貧困や開発の問題を提起。「世界銀行や国際通貨基金(IMF)、アジア開発銀行(ADB)で解決できるという考え方は時代遅れで捨て去るべきだ」と切って捨てた。「新興国の盟主」を意識して振る舞うジョコ氏。昨年10月の就任後、アジア太平洋経済協力会議(APEC)や東アジア首脳会議、20カ国・地域(G20)首脳会議など国際会議に出席してきたが、居並ぶ先進国や中国、インドなどの間で埋没感は否めなかった。今回は大きな国際会議で初のホスト役を務めると同時に、参加約100カ国の大半はインドネシアが主導的な立場を示しやすい後発新興国だ。1955年のバンドン会議は当時のスカルノ大統領や中国の周恩来首相、インドのネール首相ら、新興独立国の「雄」が集まって結束を呼び掛けた。今回はインドのモディ首相、南アフリカのズマ大統領らが欠席し、インドネシアの存在感は際立つ。国内の財政改革やインフラ整備など内向きな政策ばかり注目されてきたジョコ氏が、外交でも指導力を発揮できることを内外に見せつける絶好の機会だった。こうした好機を生かし、ジョコ氏は首脳会議の合間を縫って2国間会談も積極的にこなした。安倍晋三首相との会談では、インドネシアと日本が人材や技術、資金面で連携するかたちでアジア・アフリカ開発に取り組むことで合意。母子保健や農業、理数科などの教育、産業人材育成の4分野を指定した。中国が強硬姿勢をみせる南シナ海問題でも責任を果たしていくことを確認した。約1時間後には中国の習近平国家主席とも会談した。インドネシアは中国が主導して設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加するだけでなく、本部の誘致も狙ってきた。会談では日本が事業化調査で先行しているジャカルタが起点の高速鉄道計画について、中国とも「具体的な協議をした」(政府筋)という。同計画は安倍首相も同日の会談で売り込んでいた。日本をてんびんにかけつつ「新たなグローバル経済の秩序」(ジョコ氏)づくりで意見交換したものとみられる。一方、アジア・アフリカ諸国に対しては、工業製品の輸出拡大などを呼びかけた。ジョコ氏は21日、カンボジアのフン・セン首相と会談し、インドネシア製の兵器や輸送機を熱心に売り込んだ。ジョコ大統領は「我が国の人口はイスラム教徒数で世界最多、民主主義国としても世界3位であり、グローバルな役割を演じる用意がある」とも強調した。中東ヨルダンのアブドラ国王とも会談し、世界のイスラム教徒の連帯で歩調を合わせることで一致した。

| 外交・防衛::2014.9~2019.8 | 04:01 PM | comments (x) | trackback (x) |

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