左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。
2025,09,11, Thursday
(1)再エネと分散発電の時代
![]() ![]() ![]() 2023.10.23アイシン 2022.1.13Money Post 2025.8.26New Switch (図の説明:工事中) 1)再エネと農業の親和性 ・・以下、工事中・・ <再エネ・AI・農業の親和性> *1-1-1:https://www.agrinews.co.jp/news/index/330867 (日本農業新聞 2025年9月9日) 光通す太陽電池の下でブドウ栽培 山梨県が世界初 夜間LEDで着色改善 次世代型太陽電池と呼ばれる「有機薄膜太陽電池」を活用した世界初のブドウ栽培の実証試験を山梨県が始めた。光を通し、薄くて曲がる電池の特徴を生かし、県が育成した赤系ブドウ「サンシャインレッド」を栽培するハウスの屋根に設置。発電した電力を使って夜間にブドウを発光ダイオード(LED)ライトで照らして着色を向上させる。実証試験は、公立諏訪東京理科大学(長野県茅野市)と共同で行う。県果樹試験場の簡易雨よけハウスの屋根に有機薄膜太陽電池(1枚=30センチ×100センチ)を20枚設置。透明度が高いため、ブドウが光合成で成長できる。発電で得た電力をLEDライトの点灯に使い、果房の下側から光を当て、生育や色づきを慣行栽培などのブドウと比較する。有機薄膜太陽電池に色を似せた疑似フィルムを設置した試験区も用意した。LEDライトは夜間(午後8時~午前4時)に照射し、太陽電池が1日に得る電力で4日間ほど稼働する。これまでの試験では、着色は「有機薄膜+LED」の試験区が最もよく、生育に違いは見られなかった。2024年度に本格出荷が始まった「サンシャインレッド」は、「シャインマスカット」と「サニードルチェ」を交雑して育成。“赤系シャイン”として期待が高まる一方、「果房に直接、日光が当たらないと着色が進まない特性があり、管理が難しい」(県果樹試験場)との課題が指摘されていた。 *1-1-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250910&ng=DGKKZO91226950Z00C25A9EP0000 (日経新聞 2025.9.10) 経産省、曲がる太陽電池に246億円 リコーやパナHDの開発支援 経済産業省は薄くて曲がる「ペロブスカイト太陽電池」の研究開発を支援する。リコーやパナソニックホールディングス(HD)、京都大発スタートアップの技術開発や実証への246億円の補助を近く発表する。量産規模は1ギガワット弱に及ぶ。2030年をめどに量産を促す。ペロブスカイトは日本発の技術で、原材料も国内で調達できる。従来の太陽光パネルは大半が中国製だ。政府は経済安全保障や産業競争力を強化する観点から、ペロブスカイトの普及支援に力を入れる。屋根や窓ガラスなどに設置しやすい。脱炭素向けの「グリーンイノベーション基金」を通じて、リコーなど3社を25年度から5年間支援する。支援額の246億円は研究や実証総額のおよそ3分の2に相当する。リコーはインクジェット印刷技術を使って薄型ガラスに発電層などを作り、低コストで量産する技術開発を進める。大和ハウス工業などと屋根への設置も実証する。パナソニックHDは窓ガラスなど建材一体型の電池を開発する。京大発スタートアップのエネコートテクノロジーズ(京都府久御山町)は、幅広い企業とフィルム設置の実証をする。KDDIとは基地局、YKKAPとは窓ガラスへの設置を検証する。トヨタ自動車とも協力する。 *1-2-1:https://www.agrinews.co.jp/news/index/330593 (日本農業新聞 2025年9月7日) 需要予測→仕入れ最適化 AIで食品ロス削減へ 複数業界へ横展開狙う 栃木県 栃木県は、事業系の食品ロス削減に向け、人工知能(AI)を活用した実証事業を行っている。これまでに食品ロスが発生しやすい宿泊、卸売り・小売り、製造の各業界で実施し、効果を確認。本年度は外食産業で実証し、幅広い企業に横展開していく。国内の食品ロス(2023年度推計)は464万トンで、家庭系と事業系の比率は半々。一方、同県では12・4万トンのうち、事業系が61%を占める。県は30年度までに食品ロスを9・9万トンに減らす計画を立て、事業者向けの施策を進めてきた。22年度は宇都宮市と日光市の宿泊施設を対象に、朝・夕食で発生する食品ロス削減に挑んだ。AIで過去の顧客データや天候を加味して需要を予測し、仕入れ量を最適化。少量メニューの導入などにも取り組んだ。23年度は、宇都宮市の福田屋百貨店が実証に協力。在庫管理の自動化、気象情報と全国のスーパーの販売時点情報管理(POS)データを組み合わせた商品別の需要予測を試験。値引きや廃棄商品が減少し、一定の効果を得た。24年度は、氷菓やアイスを製造するフタバ食品で実証。AIによる需要予測で実際の出荷数との誤差が17%改善した他、年間に約180万円の物流コストを削減できることを確認した。本年度は宇都宮市内に複数の飲食店を構える(株)宮食で実証事業を行う。AI予測の精度や経営改善効果を高めるため、NTT東日本や中小企業診断士らが協力。県は本年度までの成果を生かし、マニュアルを整備する。システム導入の補助金や支援体制も周知し、「食品ロスが生じる幅広い業界に事業を横展開したい」(資源循環推進課)としている。 *1-2-2:https://www.agrinews.co.jp/news/index/331127 (日本農業新聞 2025年9月9日) 安価提供の仕組み議論を 備蓄米で農相 回転備蓄を提起 小泉進次郎農相は9日の閣議後記者会見で、政府備蓄米制度を巡り、一定量を主食用米として消費者に安く提供できる仕組みの創設を「議論しなければいけない」と述べた。ただ、実現すれば不作や災害など不測の事態だけでなく、日常的に備蓄米が市場に出回る可能性があり、主食用米の価格や売れ行きへの影響が懸念される。小泉農相は会見で、「備蓄米の政策全般を見直す必要がある」と明言。2027年度からの新たな水田政策の在り方を検討するのに合わせて、備蓄米制度の在り方も議論する必要があるとした。備蓄米は元々、保管後に主食用に販売する「回転備蓄」方式をとっていた。一方で、11年度からは、原則5年間の保管後に非主食用に販売し、主食用米の需給に影響を与えない「棚上げ備蓄」方式に転換された。小泉農相は、生活が苦しい消費者などに一定量を主食用として販売することも「選択肢」だと強調。この仕組みについて「回転備蓄みたいな発想」とも述べた。会見では、主食用米の需給動向を測る指標となる来年6月末の民間在庫量が、直近10年で最多の15年の226万トンに「匹敵する水準になる」可能性に言及した。産地への作付け意向調査で、全国で生産量が前年産から56万トン増える見通しであることなどを踏まえた。「(米の)価格は落ち着くのが普通」とした。一方で、備蓄米の買い戻しについては「準備を始めるという局面にない」と述べた。 <地球温暖化の最中に化石燃料開発!> *2-1-1:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC235YS0T20C25A7000000/ (日経新聞 2025年7月23日) 米アラスカLNG、日本企業「相当に慎重な評価が必要」 調達には関心 トランプ米大統領が22日(現地時間)、アラスカ産液化天然ガス(LNG)の開発にむけて日本との間で「合弁事業を立ち上げる計画だ」と表明した。具体的な枠組みは明らかになっていないが、総事業費440億ドル(約6兆4000億円)の巨大事業だ。商社やエネルギー、プラントなど日本企業は収益性などを慎重に見極める。トランプ氏はホワイトハウスでの共和党議員との会合で「合意を結ぶ準備がすでに整っている」と述べ、日本勢の参画に自信をみせた。トランプ氏はアラスカLNGについて、かねて日本勢の参画に期待を示していた。アラスカLNGは年産約2000万トンを計画する。日本のLNG需要の3割に相当する。北極海沿岸で天然ガスを生産し、約1300キロメートル離れたアラスカ州南部へパイプラインで輸送。太平洋側で液化してLNG運搬船で出荷する。トランプ氏の発言が伝わった23日、日本貿易会の安永竜夫会長(三井物産会長)は定例記者会見で、米国でのLNG開発は様々な規制が関係することを理由に、一般論として、「相当に慎重な事業性評価がないと投資判断には至らない」と指摘した。同日、伊藤忠商事は「現時点で関与はない」とコメントした。三菱商事は「情報収集しており、状況を注視する」としている。ある商社の広報担当者は「参画に向けた動きはない」と述べた。プラント大手の千代田化工建設は事業性評価など周辺業務に関心を示す。太田光治社長は「アラスカ州のマイク・ダンリービー知事らと4月に面談した」と明らかにしたうえで、「検討業務については関心がある」とした。国内で最大のLNG調達企業であるJERAの可児行夫会長グローバル最高経営責任者(CEO)は調達に関心を示す。6月の記者会見で「値段がいくらか聞かずには判断できない。その前の段階だ」とした一方で、「実現するなら東京湾まで8日で届く。コンセプトはいい」と語っていた。ただ液化を伴う開発には慎重な姿勢が目立つ。太平洋側に船を着けて出荷するには長距離のパイプライン建設が欠かせない。莫大な建設費の負担を強いられる可能性がある。INPEXの山田大介取締役は5月の決算記者会見で「民間企業が採算を狙ってやれるプロジェクトではないのではないか」と話した。エネルギー経済社会研究所の松尾豪代表は事業の採算性が不透明であることを指摘、「資金調達でリスクが出てくる」と話す。日本エネルギー経済研究所の柳沢崇文研究主幹も総事業費について「足元のインフレ基調や関税の影響を踏まえると、膨らむ可能性が高い」と指摘する。武藤容治経済産業相は23日、「発言は承知しているが、現時点でそれ以上の合意内容の詳細というものが確認できていない」と記者団に述べた。資源エネルギー庁幹部は「何か新たな動きをもっての発言ではないと捉えている」と話す。政治色の強い巨大事業で日本政府の支援策が見えないなか、企業が踏み込めるか。判断には時間がかかりそうだ。 *2-1-2:https://www.jiji.com/jc/article?k=2025090901044&g=eco (時事 2025年09月10日) 80兆円投資、日本「拒否権」焦点 米側が最終選定、関税上げリスクも 米大統領令への署名で日本に課している関税率の引き下げが確定的になり、今後は有力な交渉カードとなった対米巨額投融資の実行に焦点が移る。政府は日米で投資案件を協議する場を設け、日本にとって有益か精査すると説明する。ただ、最終的な選定は米側に委ねられている。日本側が拒否すればトランプ大統領が関税を再び引き上げるリスクは拭えず、運用を注視する必要がある。対米投融資5500億ドル(約80兆円)に関する覚書によると、大統領への投資先候補の提示はラトニック商務長官を議長として米側の委員で構成する「投資委員会」が決める。ラトニック氏は投資先の選定について「大統領に完全な裁量がある」と述べており、日本への野放図な資金要求につながりかねないとの懸念も持ち上がっている。これに対し、赤沢亮正経済再生担当相は9日の閣議後記者会見で「法律に基づき、大赤字のプロジェクトに出資・融資・融資保証はできない」と否定。日米両政府の指名で構成する「協議委員会」が投資委員会と事前に協議することで、日本の戦略や法律との整合性を保てると訴えた。ただ、覚書には、日本は資金提供しない選択もできるが、その場合は決定前に日米で協議すると明記。最終的に日本が資金提供しなかった場合は「大統領が定める率で関税を課すこともできる」との文言もあり、今後、投資案件の選定の過程で、日本側が実際に「拒否権」を行使できるのか検証が不可欠だ。また、合意に基づいて関税が引き下げられても、幅広い品目に15%という高い関税率が課される。経済産業省は来年度予算の概算要求で、設備投資減税の拡充や自動車購入時に燃費性能に応じて課税する「環境性能割」の廃止を要望し、自動車業界を中心に国内産業の下支えに全力を挙げる。短期的にはトランプ関税で影響を受ける企業の資金繰り支援などの機動的な対応も必要。石破茂首相の退陣表明による「政治空白」で、企業への支援が停滞しないよう万全の対応が求められる。 *2-2-1:https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/05038/?ST=msb (日経BP 2025/5/27) 九州産「天然水素」の研究・開発、九大と九電が連携 九州大学と九州電力は、九州地域における「天然水素」の実用化に向けた研究開発を開始する。5月23日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募する「先導研究プログラム/フロンティア育成事業」の委託先に採択されたと発表した。「天然水素」は地下に自然に存在する高濃度の水素で、世界各地で確認され、次世代のカーボンニュートラルのエネルギーとして注目されている。再生可能エネルギー由来のグリーン水素、CCS(CO2回収・貯留)を伴う化石燃料由来のブルー水素との対比でホワイト水素と呼ばれることもある。日本の地下にも存在する可能性があり、CO2排出が少ない純国産の一次エネルギー資源として注目される。その一方で、生成メカニズムやポテンシャル(賦存量)は不明のため、実効的な可採埋蔵量の把握、経済性の算定が現時点では困難といった問題がある。今回採択された事業では、天然水素の生成ポテンシャルが高い可能性がある九州地域を対象に、天然水素の生産・供給・利用の技術条件を整理し、将来の実用化に向けた研究開発を進める。天然水素の研究開発は始まったばかりであり、日本における先駆けとなる取り組みという。天然水素資源の実用化に向けて取り組むべき課題については、天然水素の生成を理解するための化学的・地質学的研究、地下の熱構造や流体循環系の把握、地下探査技術を使った評価、環境への影響評価、供給ロジスティックスの実現可能性評価、社会的合意形成などを挙げる。実用化されれば、日本のエネルギー政策の基本方針であるS+3E(安定供給、経済効率性、環境適合)への貢献が期待される。また、地産地消のエネルギー資源として地域経済活性化への寄与も想定する。 *2-2-2:https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00332/062400106/ (日経ビジネス 2026.6.27) ビル・ゲイツ氏も注目「天然水素」、白馬村でも観測 JOGMECが国産化へ調査 この記事の3つのポイント ・天然水素、国内で低コストに安定調達できる可能性も ・JOGMECが埋蔵地の調査へ、INPEXも天然水素に関心 ・エネルギーに「魔法のつえ」はない。現実解を探れ 資源を輸入に頼る日本にとって、朗報となるかもしれない。地下で自然に生じる水素「天然水素」が、国産エネルギーの候補として浮上している。原油・天然ガスの探鉱を手がけるエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は2025年度中に、国内で天然水素の埋蔵地を探る調査に乗り出す。天然水素は地中で自然発生した水素ガスで、「ホワイト水素」や「ゴールド水素」とも呼ばれる。日本では長野県白馬村で観測されている。水素は軽いためすぐ飛散する上、他の物質と反応しやすい。JOGMEC水素事業部の小杉安由美氏は「以前はまとまった量の水素が、地下にガス田のように存在するとは想像されていなかった」と話す。原油・天然ガスとは埋蔵地が異なることなどから、未開発のままだった。潮目が変わったのは18年だ。西アフリカのマリで天然水素が発見されたことを紹介する論文が公表され、注目度が高まった。近年は天然水素の埋蔵量を確かめる試掘作業が、米国など海外で相次いで立ち上がっている。関連企業には資金が流入している。天然水素の開発を手掛ける米スタートアップ企業のコロマには、米マイクロソフト共同創業者ビル・ゲイツ氏が設立したベンチャーキャピタル(VC)が出資し、24年には三菱重工業や大阪ガスも資本参加した。天然水素が地下で発生するメカニズムには諸説ある。岩石中の放射性元素が水に反応して水素を生じたり、地球の地下深くにある水素が亀裂を通じて地表近くまで上がったりすることがある。地下の水が岩石に含まれる鉄と反応するプロセスは水素の生成速度が速く、有力視されている。高温下で鉄が水と反応して酸化し、水は分解して水素を生じる。かんらん岩といった鉄を含む岩石は北海道など日本国内にも分布しており、埋蔵の可能性があるという。(以下、略) <想定外だらけの原発政策> *3-1:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/1546016 (佐賀新聞 2025/9/5) 原発上空の脅威 防護措置や法整備、対策急げ 九州電力玄海原発(玄海町)の上空で、三つの光る飛行物体が目撃されてから1カ月以上が経過したが、依然として正体は不明のままだ。九州電力はモーター音などから「ドローン」との見方を強めるが、客観的な映像記録はなく、政府関係者の間では「民間航空機の誤認」との声も漏れる。原因究明が進まない現状は、原発の「安全神話」のもろさを露呈し、地域住民をはじめ国民に大きな不安の影を落としている。今回の事案で浮き彫りになったのは、国内の原子力施設における警備の脆弱(ぜいじゃく)性だ。現地を24時間体制で警備する警察の「原発特別警備部隊」にはドローン検知機材が配備されていたにもかかわらず、機能しなかった。そもそも飛行物体がドローンだったのかさえ定かではなく、機材の性能の問題なのか、別の要因なのかも判然としない。地上からの侵入への警戒に偏るあまり、上空からの脅威に対する備えが想定外だったのではないか。監視カメラの多くが空を向いていなかったとの指摘もあるが、機密事項の多い原発の警備体制はそもそも検証が難しい。法制度にも大きな矛盾が横たわる。小型無人機等飛行禁止法は、原発の敷地内や周囲の上空をドローンが飛行することを禁じている。一方、航空法では原発上空を飛行禁止区域とする明確な規定はなく、最低安全高度さえ守れば民間の航空機が通過することに法的な制約はない。原子力施設の安全規制の根幹を定めた「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(炉規法)」にも、上空からの侵入を直接規制する条文は見当たらない。ドローン、航空機、そして原子力施設と、管轄する法律が縦割りで運用され、結果として「原発上空の安全」という極めて重要な視点が抜け落ちており、危機管理上の深刻な欠陥と言わざるを得ない。世界に目を転じれば、原子力施設へのドローン攻撃は、もはやフィクションの話ではない。ロシアが侵攻を続けるウクライナでは、チョルノービリ(チェルノブイリ)原発がドローン攻撃の標的となった。安価で高性能化したドローンは、軍やテロリストにとって有用な兵器となっている。ひとたび重要施設が破壊されれば被害は甚大だ。玄海原発の事案は、正体が何であれ、日本の原子力安全体制に警鐘を鳴らした。この警告を真摯(しんし)に受け止め、具体的な行動に移すことが急務だ。国と九州電力は、今回の飛行物体の正体を徹底的に究明し、全ての情報を国民に包み隠さず公開しなければならない。憶測が飛び交う現状こそが、不信と不安を増幅させる最大の要因だからだ。その上で、物理的な防護措置を抜本的に見直すべきである。高性能な検知システムや、上空を常時監視するカメラ網の構築、そして侵入物体を無力化する技術の導入を急ぐ必要がある。国が主導して最新技術の導入を支援し、全国の原発で標準化を図りたい。そして最も重要なのは、新たな脅威に対応するための法整備である。ドローンだけでなく、航空機も含めた「上空からの脅威」全般を視野に入れ、重要インフラ上空の飛行規制を包括的に見直すべきだ。今回の事案を単なる「謎の飛行物体」で終わらせるのではなく、現実的な脅威として捉え、政府と事業者が一体となって、実効性のある対策を講じることを強く求めたい。 *3-2:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/1549724 (佐賀新聞 2025/9/10) 【原発医療体制】家族と仕事、揺れる職員、再稼働進むも人材確保懸念 松江赤十字病院と福島県立医大の調査からは、原発事故時の人材確保が課題として浮かんだ。家族と仕事のはざまで揺れる職員の葛藤もうかがえる。病院が入院患者のケアを続けられなければ、東京電力福島第1原発事故を教訓に定めた屋内退避の原則は実現できないと専門家は指摘する。再稼働を進める政府に突き付けられた課題は重く、事故時の事業継続計画(BCP)作りにも影響しそうだ。 ▽休日態勢 「実際の出勤率は良くて5割くらいだろう。通常医療を回すのは無理だ」。万が一、原発事故が起きた際の見通しについて、同病院の田辺翔太救急部長が指摘する。中国電力島根原発の南東約9キロに立地し、平時から約400~500人の入院患者を抱える。職員の大半は原発の30キロ圏内に住むため、保育園や学校が閉鎖されると育児中の職員は身動きが取れなくなり、深刻な人手不足が懸念される。そのため、事故が起きれば一般の外来や検査、手術を全て止めて、入院患者のケアに注力する「休日態勢」で乗り切る。急患の線量測定や除染といった事故の追加業務に「人を出す余裕はない」(田辺さん)と不安の声が漏れる。 ▽切実 屋内退避の原則は、福島第1原発事故後に政府が策定した。支援が必要な高齢者や入院患者は、室内を気密化して気圧を高め、放射性物質の流入を防ぐ対策を施した「放射線防護施設」と呼ばれる病院や介護施設にとどまる。ただし、運用する職員が十分確保されていることが大前提だ。「家には子どもがいるため、安全が守られなければ出勤できない」、「認知症の親を一人残せない」。今回の調査には家族の身を案じる切実な声が多く寄せられ、自分自身の被ばくやペットの預け先、空間線量率など情報の信頼性への懸念もあった。福島県立医大の坪倉正治主任教授は「今のままでは絵に描いた餅。政府は再稼働を進めるのであれば、現実に目を向けて対策を講じるべきだ」と強調する。 ▽経験 現場の声からは仕事への使命感も垣間見える。調査の回答者約500人のうち、研修や訓練があれば参加したいと答えた人は半数を超えた。「住民の適切な避難の仕方、被ばくの防護を学びたい」と前向きな意見も。全国の原発立地地域の医療機関で事故時のBCP作りは進んでおらず、同病院が策定する計画は、一つの基準として注目される。原発事故を経験した病院は非常に限られ、多くの職員が手探りでの対策を迫られている。田辺さんは「BCP策定の過程で、具体的な対応が何も決まっていないことを実感した」と話し、国には事故対応に当たった医師を各地の医療機関に派遣して策定作業を支援するよう要望した。 <金をつぎ込んでも機能しない防衛> *4-1:https://www.yomiuri.co.jp/world/20250621-OYT1T50120/ (読売新聞 2025/6/21) 日本の防衛費「GDP比5%に大幅引き上げを」…アメリカ国防総省報道官 米国防総省は20日、日本を含むアジアの同盟国の防衛支出を国内総生産(GDP)比で5%に引き上げる必要があるとの見解を示した。読売新聞の取材に対し、同省のショーン・パーネル報道官が声明で明らかにした。北大西洋条約機構(NATO)は加盟国の防衛支出目標を2%以上から5%に引き上げる案を検討している。兵器購入などの従来の防衛費を3・5%とし、軍用道路の改修などを防衛関連費として1・5%組み込む案を想定している。日本政府は2027年度に防衛費を含む安全保障関連費を22年度のGDP比で現行の約1・8%から2%に引き上げる計画を進めている。パーネル氏は欧州の動向を踏まえ、「アジア太平洋の同盟国が欧州のペースと水準に追いつくよう迅速に行動するのは当然のことだ」と述べ、中国や北朝鮮に対抗するため、日本もNATO加盟国が検討する「5%目標」に足並みをそろえるべきだと主張した。一方、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は20日、米政権が日本に対し、防衛支出をGDP比3・5%に引き上げるよう求めたと報じた。従来の防衛費のみを対象としているのか、公共インフラなども含めた安保関連費を指しているのかは判然としないが、日本にとって大幅な増額となる。報道によると、米国の要求に日本側が反発し、7月1日開催で調整していた外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)の会合は見送られた。FTは、日本側が参院選に与える影響も考慮したと伝えた。日本政府は「米側から防衛費増額の要求をされた認識はない。2プラス2は日程調整がつかなかっただけだ」(外務省幹部)として報道を否定している。政府高官は「日本だけが増額要求されないはずはない」と述べ、今後のトランプ政権の出方に警戒感を示した。 *4-2:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN190100Z10C25A8000000/ (日経新聞 2025年8月19日) 米国防総省、日本の防衛費増額「明らかに不十分」 欧州や韓国に後れ 米国防総省の当局者が、日本政府の防衛費増額の取り組みに強い不満を持っていることが18日までに明らかになった。韓国、オーストラリア、ドイツ、カナダなどの同盟国はトランプ政権と歩調を合わせていると評価する一方、日本政府の対応は鈍いとみている。米国防総省当局者は取材に「日本政府は何年もの間、安全保障環境が劇的に悪化していると非常に憂慮する発言をしてきた。それなのに『日本には(米国への)後方支援に限定する憲法上の制限がある』と言うのは、とてもおかしい」と述べた。第2次トランプ政権発足以来、米国防総省は欧州やアジアの同盟国に米国と肩を並べるような防衛力の増強を求め、各国の国防当局と交渉してきた。ドイツやカナダなどを含む北大西洋条約機構(NATO)は、国内総生産(GDP)の5%を国防費と国防関連投資に充てることで合意した。現在の国防費の基準では3.5%で、1.5%は有事に必要なインフラなど広義の関連支出を指す。米国防総省は6月、パーネル報道官(当時)の声明で、アジアの同盟国も、NATOの新目標を基準に国防費を増やすべきだとの見解を明らかにした。8月7日、ウィルソン報道官は「欧州だけでなくインド太平洋地域でも、多くの同盟国が防衛費を増やしているのを見て、とても勇気づけられている」と述べた。米国防総省当局者は「韓国とは、新しい政権と進展する見通しが立っている」との見方を示し、消極的なのは日本だけであると示唆した。日本は2027年までに防衛費をGDPの2%に引き上げるという目標を掲げる。米国防総省当局者は「過去と比べれば、防衛費は改善されたが、現在の安保環境にはまだ明らかに不十分だ」と述べた。ドイツでは、メルツ政権が基本法(憲法)改正で厳しい債務制限を緩和し、国防費増額の道を開く。米国防総省当局者は、ドイツの基本法改正に言及し「もし真剣に安全保障を考えるのであれば、それに応じて適応することはできるし、そうしなければならない」と強調した。日本の政府当局者が憲法を理由に防衛費の大幅な増額を拒否するのであれば、それは適当ではないとの考えをにじませた形だ。トランプ政権が高水準の軍備増強を要求するのは、中国の軍事力が巨大化し、インド太平洋地域の軍事バランスが中国にシフトしているからだ。中国による台湾侵攻の懸念がくするぶるなか、アメリカだけでは力の均衡と抑止力を維持できない。米国防総省の当局者は「日本に対して、自国防衛や集団的自衛権のために自らの役割を果たすよう期待するのは一過性の要請ではない。米国は他のすべての国々と同じように日本を扱うという、いわば一般的なシフトが起きている」と述べた。「日本政府の意見にも耳を傾けた結果だ」と触れ「我々はこの状況を合理的に考えなければならない」と加えた。「課題は目の前のことであり、遠い地平線の話ではない」と訴えた。 *4-3:https://digital.asahi.com/articles/ASPDH5SM7PDBUTFK00P.html (朝日新聞 2021年12月26日) 日本は世界平和に貢献していく」旧敵国条項の削除、米へ異例の打診 日本、ドイツなど第2次大戦で敗れた「旧敵国」に関する国連憲章の条項について、冷戦終結間もない1990年、日本が米国に対し、大統領から提起するよう打診していたことがわかった。22日公開の外交文書に異例のやり取りが記されていた。旧敵国条項は日本の国連加盟から65年を経た今も残っている。この提案は、90年2月27日付で中山太郎外相から村田良平駐米大使への指示を伝えた「極秘 無期限」「大至急」の公電にあった。起案者の「岡本」は、当時の岡本行夫・外務省北米1課長とみられる。国連憲章の旧敵国条項には、旧敵国の「侵略政策の再現」に備える地域的な国際機構の強制行動については安全保障理事会の許可を不要とする53条や、旧敵国が第2次大戦の結果として受け入れたことは国連憲章に優先するとする107条などがある。 30年が経過した外交文書は原則公開対象になります。外務省は、特に国民の関心が高い記録については、外部有識者が参加する公開推進委員会で審査し、毎年末、一括して公開しています。朝日新聞の専門記者らが、これらの文書を徹底して読み込み、取材や分析を加え、日本外交史の真相に迫ります。外相発の公電はまず、89年末の冷戦終結で東西ドイツ統一が見通せるようになり、東ドイツの中で陸の孤島となった西ベルリンを米国などが守るため53条に頼る必要が減って「米国に態度変更を促しやすい状況が出てきているのかもしれない」と指摘した。また、米国に次ぐ経済大国だった日本が「国力にふさわしい政治的役割を果たし、世界平和のための協力に貢献していく」と強調。米大統領から、そんな日本の安保理常任理事国入りに対する改めての支持とあわせ、旧敵国条項削除の提起があれば「日米友好の象徴的意味を有する」とした。その上で、対日貿易赤字への対応を海部俊樹首相に求めたいブッシュ(父)大統領の意向で急にセットされた3月初めの首脳会談で、逆に「大統領の自発的申し出として上記内容の発言を行う可能性につき、米側の感触を大至急打診」と駐米大使に求めた。また、当時のソ連について近年のロシアと同様、日本との平和条約締結交渉で「北方四島の占拠は旧敵国条項(107条)により正当化されるとの不当な主張を行っており、日ソ間で旧敵国条項適用の余地があると解釈されうるような米側発言は我が国の立場を害する恐れがある」と念を押している。だが、今回同時に公開された別の一連の「極秘」文書によると、この挑戦は実らなかった。首脳会談前日3月1日付の駐米大使発外相あての公電には、「カトウ」(後の駐米大使、加藤良三駐米公使とみられる)の打診を、米側が日本の国際貢献を進める点で理解できるとしつつ、首脳会談まで時間がないなどとして受け流す様子が記されている。ジャクソン大統領補佐官は、ドイツ統一の行方がまだ見えないことや、国連憲章の全面見直し論が出てくる懸念を示し、「(両首脳に同行する)外相会談レベルで日本側より今後話し合っていきたい旨の頭出しにとどめていただくのも一案」。アンダーソン国務次官補代理も同様の反応で、「外相レベルの非公式な場で言及される方がよいかも」とかわしていた。3月初めに米西部パームスプリングス、9月下旬にニューヨークで開かれた日米首脳会談と外相会談の議事録に、旧敵国条項削除や日本の安保理常任理事国入りの話は見当たらない。中山外相はその9月の訪米の際、東西ドイツ統一決定から間もない国連総会での各国の一般演説で、日本の外相では4回目となる旧敵国条項削除の訴えをした。今の日本政府は旧敵国条項削除について、安保理常任理事国入りを含む安保理改革で「国連憲章改正の機が熟した時に、あわせて求めていく」という立場。憲章改正には加盟国の3分の2の賛成と批准といった高いハードルがあり、めどは立っていない。
| 外交・防衛 | 05:26 PM | comments (x) | trackback (x) |
|
PAGE TOP ↑