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2012.12.17 高レベル放射性廃棄物の最終処分場について
 誰が政権をとろうと、生物に有害で、環境を破壊する事故を引き起こし、高コストの原子力発電を行う必要がないことは明らかである。しかし、今まで原子力発電を行ってきたことで、すでに使用済核燃料や廃炉時に出る高レベル放射性廃棄物は大量に溜まってしまっているため、高レベル放射性廃棄物最終処分場の問題は重要だ。

 まず、*1に書いてあるように、日本では、(私の提案により)高レベル放射性廃棄物を地下数百メートルの安定した地層に埋める政策を採るとしてきたが、これは、放射性廃棄物を完全に人間界と環境から隔絶して保管し続けることが目的であった。しかし、それでも、最終処分地の公募に応じる自治体はなかったし、まれに首長が手を上げると住民からリコールされた事実がある。

 これに対し、日本学術会議が「総量管理」として、高レベル放射性廃棄物の総量に上限を設けたり、増加分を厳格に抑制したりする概念を出したそうだが、放射性廃棄物は、総量が多い時のみ、又は、増加分だけが生物に害を及ぼすわけではないため、これは論理的まやかしだ。日本学術会議というのは、いつものとおり適格性を欠く専門家の集まりではないのかと思ってしまう。さらに、「暫定保管」は、取り出し可能な状態で数十~数百年間保管するという考え方だそうだが、ゴミに、どれだけ膨大な費用をかけて保管・管理し続けると言うのか。この保管・管理料も税金から支払うのだから、これ以上、現在及び将来の世代に、原発で膨大な負担を残すのはやめることこそ、未来に責任ある政治だ。

 また、*2、*3のように、国有林だから交渉がいらないとばかりに、水源近くや地下水に触れる場所で高レベル放射性廃棄物を保管しようと考えるとは、環境省に不信任を突き付けざるを得ない。どういうセンスをしているのだろうか?候補地に選ばれた高萩市、矢板市、近隣のさくら市、塩谷市、高根沢市の心配は当然であり、風評被害ではなく実害があるため、市民は頑張って欲しい。

 では、高レベル放射性廃棄物の最終処分は、どうすればよいのか? わが国のような地震国で温暖な場所では、高レベル放射性廃棄物を地下数百メートルの安定した地層に埋めても、地下水に触れる危険性があり、10万年先にはどうなっているかわからない上、高コストであるなら、適地は国内には見つからないので、10万年以上地殻変動がなく、地下水は凍っていて流れない、永久凍土のシベリアででも、生物界から完全に遮断して地層処分させてもらうほかないだろう。それには、防衛上の配慮も必要だが。

 しかし、そもそも、放射性物質の扱いにここまで無頓着な人々が、高レベル放射性廃棄物の最終処分の見通しもなく、安易な発想で放射性物質を扱う判断をしてきたこと自体、子どもの火遊びか無免許運転と同じレベルだと、私は言いたい。

*1:http://mainichi.jp/opinion/news/20121105k0000m070103000c.html
(毎日新聞社説 2012年11月5日) 放射性廃棄物 処分政策に向き合う時
 原発から出る高レベル放射性廃棄物をどこに処分するか。これまで延々と先送りしてきたテーマである。しかし、福島第1原発の事故を経て、もはや目をつぶり続けるわけにいかないことが浮き彫りになった。政府は9月中旬に公表したエネルギー・環境戦略で、30年代に原発ゼロをめざしつつ、使用済み核燃料の再処理路線も維持するという矛盾した政策を打ち出した。これに対し、私たちは再処理をやめるべきだと主張してきた。ただし、再処理をしようとしまいと、原発を動かす限り高レベル放射性廃棄物は出続ける。原発を止めても、すでに存在する高レベル放射性廃棄物を処分しなくてはならない。本来、これを真剣に検討しなければ原発政策も決められないはずだ。日本では高レベル放射性廃棄物を地下数百メートルの安定した地層に埋める政策を採用してきた。しかし、放射能のレベルが十分に下がるまで数万年かかり、安全に管理できるのか不安に思う人は多い。原子力発電環境整備機構(NUMO)が最終処分地を公募しているが、応じた自治体はない。NUMOの側にも真剣さが感じられない。
 こうした行き詰まりに対応するひとつの方策として参考になるのが、日本学術会議が提案する「総量管理」と「暫定保管」だ。「総量管理」は、高レベル放射性廃棄物の総量に上限を設けたり、増加分を厳格に抑制したりすることを意味する。増え続ける廃棄物に目を背けたまま、全国54基もの原発を稼働させてきた問題を思えば、この考え方を導入する意味は大きい。政府が、「30年代に原発ゼロをめざす」政策を誠実に進めて行く気があるなら、廃棄物の側からもその覚悟を示すべきだ。それが、「口先だけではないか」という国民の不信をぬぐうことにもつながる。「暫定保管」は、取り出しが可能な状態で数十〜数百年間保管するという考え方だ。ある種のモラトリアムで、結局は問題の先送りに過ぎないとの批判はあるだろう。一方で、従来の地層処分が本当に妥当なのか、廃棄物処分の技術的発展が今後ありうるかを真剣に検討する猶予期間と考えることもできる。ただし、その場合には、国民一人一人が自分の問題として継続的に考えていくための工夫が必要になる。学術会議は、これまでの原発政策が電力を消費する「受益圏」と、廃棄物や事故リスクを引き受ける「受苦圏」を生み出してきたと指摘している。「受苦圏」には経済利益を提供することで折り合いをつけてきたが、廃棄物の最終処分問題にはそれを超える知恵が求められている。

*2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20121207/CK2012120702000145.html (東京新聞 2012年12月7日) 「最終処分場 撤回を」 4市町区長会 県と県議会に要望書
 高濃度の放射性廃棄物の最終処分場問題で、候補地に選ばれた矢板市と、近隣のさくら、塩谷、高根沢の計四市町の区長会は六日、白紙撤回を求める要望書を福田富一知事と、県議会の高橋文吉議長宛に提出した。要望書は、候補地周辺が農業用水を供給するダムや湧水が豊富な水源地帯で、処分場施設の劣化により地下水などが汚染される可能性や、推定活断層の存在を指摘。「これらに起因する風評被害は、それぞれの懸念が複雑相互に絡み合い、今までより大きなものとなることは必至」と主張している。四つの区長会の役員八人が県庁を訪れ、石崎均環境森林部長と高橋議長に文書を手渡した。矢板市区長会の江部和栄会長は「難しい問題だが、未来を担う子どもたちのためにも白紙撤回をお願いしたい」と話した。 

*3:http://ibarakinews.jp/news/news.php?f_jun=13555831079518  (茨城新聞 2012年12月16日)  高萩の最終処分場問題 白紙撤回求め市民ら2000人、総決起集会
 放射性物質を含む「指定廃棄物」の最終処分場として高萩市の国有林が選定された問題で、市民団体「指定廃棄物最終処分場候補地の白紙撤回を求める高萩市民同盟」(鈴木直登会長)の総決起集会が15日、高萩市の市庁舎跡地で開かれ、市民ら約2千人(主催者発表)が参加し、「最終処分場は永久に安全が確保できない。知恵と行動で候補地の白紙撤回を」などと気勢を上げた。
 市民同盟の鈴木会長は「ダムの上流であること、最終処分場であること、子どもたちの未来を確保するため」の3項目を反対理由に掲げ、計画の白紙撤回に向けた協力を呼び掛けた。次世代の代表として登壇した同市立中2年の女子生徒(14)は「自然を破壊して処分場を建設すれば農業も破綻してしまう。処分場は要らない」。県立高1年の女子生徒(16)は「放射能は次世代に大きな影響を残す。私たちの未来を消さないでください」と涙ながらに訴えた。
草間吉夫高萩市長は「7万人以上の反対署名が集まったことを誇りに思う。国に白紙撤回を求め、ゼロからのスタートを要望する」と強調した。集会には、同じく候補地となった栃木県矢板市の遠藤忠市長や「矢板市民同盟会」(小野崎俊行会長)のメンバーら約200人も駆け付けた。遠藤市長は「環境省の選定方法は全く拙速、稚拙で、人の命や生活環境を守ることを無視している」と述べた。最後に、参加者全員で「白紙撤回」と書かれた紙を掲げながら「頑張ろう」を三唱し、結束して闘うことを確認した。高萩市、矢板市などは26日の新内閣発足を受け、27日に環境省へ白紙撤回の要望書を提出する予定。

| 原発::2012.10~12 | 11:44 AM | comments (x) | trackback (x) |

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