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2012.2.28 週刊文春による名誉棄損・選挙妨害事件に関する訴訟と東京地裁判決について
 国会議員は、本人が、日頃、どれだけ良いことをして成果を挙げていても、メディアが嘘の悪い評価を一書きすれば、それが多くの有権者はじめ、一般の人の脳裏に刷り込まれ、事務所の運営、後援会、次の選挙などに影響します。
 私のケースでは、事実を装った事例をつけて、キャリアを持って働き続けてきた女性に対してよく行われるネガティブキャンペーンが、まず週刊文春で行われ、次に私を落選させるために作られたホームページにそれが引用され、それが、選挙中に、いろいろなツイッターで繰り返し引用されました。
 そこで、今後の為には、このような理不尽なことを放っておくわけにはいかないと思い、2010年9月15日、名誉棄損、侮辱という不法行為により、東京地裁に提訴しました。その結果、2012.2.15に判決が言い渡された東京地裁では、週刊文春側の不法行為が認められ、60%程度の勝利でしたが、①こちらの被害に対して損害賠償金額が少なすぎ、回復措置が取られなかった ②週刊文春側は、国会議員(=“権力”としている)を批判することは、嘘であっても公共性があり、「表現の自由」だと主張した ③私から見れば、事実と異なった記述で大いに国会議員及び候補者としての社会的評価を落とされたが、裁判所は一般女性を基準にして社会的評価が落ちたか否かを検討したため、「社会的評価は落ちなかった」という判断がいくつか見られた などの問題点があり、2012年2月28日に、東京高裁に控訴しました。(追加:2012年12月26日の控訴審判決で、不法行為については90%程度の勝利でしたが、100万円の損害賠償のみが認められ、これは、2012年12月17日の衆議院議員選挙投票日の後でした。)
 以下に、原告代理人弁護士による第一回目の訴状と私の陳述書を添付しますが、まさに女性の能力・実績や政治家としての資質は低いと主張し、上昇志向の女性を妨害するジェンダーをメディアが率先して行っている事例であり、私も多くの記述をしていますので、より詳しく知りたい方は、分量が多いですが、多くの証拠をつけているので、裁判所で閲覧して下さい。

*1:訴 状   2010年9月15日
東京地方裁判所民事部 御中
   原告訴訟代理人 弁護士  日隅一雄
   同          弁護士  秋山 亘
   原   告            平林素子
   被   告     株式会社 文藝春秋
   上記代表者代表取締役   上野 徹

損害賠償等請求事件
 訴訟物の価額 1450万円
 貼用印紙額   6万5000円

第1 請求の趣旨
1 被告は、原告に対し、金660万円及びこれに対する2007年9月27日から支払い済みに至るまで年5分の割合による金員並びに金660万円及びこれに対する2008年1月17日から支払い済みに至るまで年5分の割合による金員をそれぞれ支払え。 
2 被告は、被告の発行する週刊誌「週刊文春」誌上に、判決確定後10日以内に、別紙1及び別紙2の謝罪訂正記事をそれぞれ1回掲載せよ。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
4 第1項につき仮執行宣言。

第2 請求の原因
1 原告の地位
 原告は、2005年8月の衆議院議員選挙に、郵政民営化賛成の候補として自民党公認で立候補して当選し、同年9月から2009年7月まで、自民党の衆議院議員として活動したが、同年8月の総選挙では、自民党の公認を受けられず、みんなの党公認で立候補し、落選した者である(甲第3号証)。
 なお、原告の戸籍上の姓は、婚姻により姓が変わり、旧姓の「広津」から「平林」になったが、現在においても、原告は、社会生活上の名称として旧姓の「広津素子」を使用している。

2 被告の地位
 被告は、雑誌の出版等を業とする株式会社であり、発行部数74万部の週刊誌である「週刊文春」を毎週発行している(甲第4号証)。
  
3 被告による記事の掲載
(1) 被告は、2007年9月27日発行の「週刊文春」2007年10月4日号の表紙目次及び38頁(甲第1号証)において、「武部幹事長弁当事件 83会の『奇人変人リスト』」との大見出し(以下「本件第1記事見出」という)のもと、下記のような記事(以下、「本件第1記事」という)を掲載した。
                   記
①「その瞬間、議員一同、凍りつきました。」(山崎派議員) 山崎派の会合でのこと。山崎拓氏が「総裁選(の出馬)も考えてみたい」と言うと、一人の女性議員が手を上げた。“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる小泉チルドレン。誰もがひやりとしたのも遅く・・・。
 佐賀三区のがばい刺客、広津素子議員(54)は、真顔で山崎氏に進言した。「山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので難しいと思います」
②「”今週の広津語録”と言われるくらい、破壊的な発言が永田町を駆け巡っています。有名になったのは、佐賀の日本遺族会の方が東京に挨拶にみえた時。話を聞いた後、広津さんは、『遺族、遺族って、一体、何の遺族ですか』と(笑)。05年の郵政選挙の大量当選が生んだ珍現象です。」
③東大卒で公認会計士という経歴を持つ広津女史。「エキセントリックな点があり、ストレートにモノを言う。党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る」(別の自民党議員)
④伊吹文明幹事長が党税調小委員長だった時、伊吹氏の説明が終わると、新人・広津氏が挙手をするや……。「伊吹先生の説明ではわかりにくいと思いますので、代わって私が説明します」絶句したのは伊吹氏だけではない。
⑤農政の会合で農家による説明が終わると、広津氏が総括(?)した。「皆さん、農業をやめて転職したらいいと思います」
⑥極めつけが「牛肉弁当事件」。チルドレンの親分、武部勤幹事長(当時)が、「いつでもメシを食いに来なさい」と新人たちに声をかけると、本当に広津氏は幹事長室に行って、置いてあった牛肉弁当を勝手に食べてしまったというのだ。

(2)被告は、2008年1月17日発行の「週刊文春」2007年1月24日号の表紙目次及び31頁(甲2号証)において、「派閥のドン山拓に『引退勧告』しちゃった広津素子センセイ」との大見出し(以下「本件第2記事見出し」という)のもと、下記のような記事(以下、「本件第2記事」という)を掲載した。
                   記
①“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる、小泉チルドレンの広津素子議員(54)。昨年末、彼女は所属する派閥のボス山崎拓氏(71)にこう直談判したと言う。「先生はもう七十歳を超えている。辞めるべきだと思います!」
②山崎派の重鎮、野田毅議員が新人を集め食事会を開いたときもこんな事件が。野田氏が「地方経済は疲弊している。今こそ地方への配慮が必要だ」などと持論を語り終えたあと、広津氏はこう言い放った。「先生は古いタイプの政治家ですね」
③「昨年九月の安倍改造内閣が発表される前も、『次は私が女性代表で大臣になる』と公言し周囲を唖然とさせた。福田内閣の人選が進められているときには、官邸に電話して『私を副大臣か政務官に入れるべきだ』と直談判したという伝説もある」(全国紙政治部記者)
④地元の評判も芳しくない。「人の名前を覚えないから人望がない。すぐ問題を起こすから会合等に呼ばないようにしているのですが、呼ばないと『女性蔑視だ!』と大騒ぎ。問題は人間性なんですけど……」(自民党佐賀県連関係者)
⑤そんな言動が災いしてか、事務所も大混乱の様子。「広津さんは入りたての秘書に、『明日から佐賀に行って後援会を作ってきてちょうだい』とか無茶ブリがすごいようです」(同前)

4違法行為
(1) はじめに
 一般に、政治家にとって、その者の発言の有無及び内容は、当該政治家の政治生命を左右する重要な事象である。ある政治家が、実際にはそのような発言など全くしていないにも関わらず、そのような発言をしたという虚偽の事実を示すことによって、その政治家が非常識な発言をしている、普段の政治活動とは相矛盾する正反対の発言をしている、或いは、政治家として無責任な発言をしている、政治家としての資質がないなどと読者に印象付けることによって、容易に当該政治家の名誉・信用を毀損することが可能となる。或いは、ある政治家の発言内容に対する、周囲の者の反応(周囲の誰もが当該政治家の意見に反対した等)に関して虚偽の事実を付加することによっても、容易に当該政治家の名誉・信用を毀損することが可能となる。
 本件第1記事及び本件第2記事においても、以下に述べる通り、原告が全く発言していないことを発言したとして虚偽の事実を摘示することにより、或いは、原告の発言に対する周囲の者の反応に関して虚偽の事実を摘示することによって、総じて、原告は普段行っている政治活動と矛盾する発言を行っている人物である、或いは、原告を「KY」(場の空気が読めない)な人間であり、政界の「奇人変人リスト」に入るような非常識な人間である旨を読者に強烈に印象づけるものであるから、本件第1記事及び本件第2記事は、原告の政治家としての信用や名誉を大きく毀損する記事である。
 以下、個別的に述べる。

(2) 本件第1記事による名誉毀損
(ア)本件第1記事①は、「山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので難しいと思います」と原告が発言したことに対し(上発言は事実である)、その場にいた周囲の「誰もがひやりとした」という虚偽の事実を摘示することによって、原告はいつも場の空気を読むことができず周囲の人物をヒヤリとさせる発言をする非常識な人間であるとの印象を一般読者に与える記事であり、原告の社会的信用・評価を大きく失わせる記事であるから、原告の名誉を明らかに侵害するものである。
 また、本件第1記事①の「“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる小泉チルドレン。」との記載は、「83会の『奇人変人リスト』と記載する本件第1記事の大見出し、原告の写真の説明文「”ミセスKY“広津議員(上)」、本件第1記事②の「”今週の広津語録”と言われるくらい、破壊的な発言が永田町を駆け巡っています」との記載と相まって、原告は非常識な発言を繰り返す政界の問題児であって、変人であるとの印象を強く読者に抱かせるものであるから、原告の名誉を毀損する記事であると共に、原告を「“ミセス空気が読めない女”」「83会の『奇人変人リスト』」、「”ミセスKY“広津議員(上)」呼ばわりする点は、原告を侮辱するものである。
(イ)本件第1記事②は、佐賀の日本遺族会の方が東京に挨拶に来た際に、原告が遺族会の人に対し「遺族、遺族って、一体、何の遺族ですか」と話したとする虚偽の事実を摘示することによって、原告は日本遺族会の存在を知らない人物、或いは、原告は日本遺族会の人に対し侮辱的な発言をした人物であることを印象付ける記事であるから、原告の政治家としての信用・名誉を著しく毀損する記事である。
 特に、原告は、国会議員になってすぐの2006年中頃から佐賀三区内の市や町で開催されている慰霊祭に出席し自分で書いた追悼の辞を読んだり(甲第7号証)、或いは、全国戦没者追悼式にも出席するという政治活動を行っていたものである(甲第7号証)。また、原告自身の親族にも戦没者や遺族がいる。
 つまり、原告にとって、佐賀県の日本遺族会は、自らの政治活動を支援してくれる強力な支持団体になるはずの団体だったのであり、そのような人達に、上記のような侮辱的発言を原告がすることなど到底あり得ないことである。
 したがって、本件第1記事②は、原告が全く発言もしていない発言を、発言したと摘示することによって、原告にとって重要な支持母体となるはずの団体である遺族会の、原告に対する信用を著しく喪失させる記事である点において、重大な名誉毀損行為と言える。
 また、遺族会以外の一般の読者に対しても、前記の通り、原告は遺族会の存在すら知らないような問題のある政治家である、或いは、遺族会の人に侮辱的な発言をする非常識な人物であるとの印象を与えるものであるから、この点においても重大な名誉毀損行為と言える。
(ウ)本件第1記事③は、「奇人変人リスト」と摘示する本件第1記事の大見出しと共に、原告を「エキセントリック」、すなわち、変人呼ばわりする記事であり、原告を侮辱する記事である。
 また、本件第1記事③は、「党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る」という虚偽の事実を摘示することによって、原告は、周囲に期待されていない発言を繰り返すことにより、いつも周囲を困惑させる人物であるという印象を与えるものであるから、原告の名誉を毀損するものである。
(エ)本件第1記事④は、大蔵省出身でその分野の権威かつ先輩である伊吹党税調委員長の説明に対し「伊吹先生の説明では分かりにくいと思いますので、代わって私が説明します」と原告が発言したという虚偽の事実を摘示することによって、原告は、ある分野の権威や先輩に対し無礼な発言を憚らない人物であるとの印象を与える記事であるから、原告の名誉を毀損するものである。
(オ)本件第1記事⑤は、原告が農政の会合において農家の人達に対し「皆さん、農業をやめて転職したらいいと思います」と発言したとする虚偽の事実を摘示することによって、原告は日本における農家の発展や安定を軽視している政治家である、或いは、農政に関して真剣に考えていない政治家であるとの印象を与える記事である。
 上記発言は、原告がその政治活動において重視して行っている日本の食糧自給率の向上と国内農業の振興という政策(甲第7号証)と全く相反する発言であるから、原告が右発言をしたとする事によって、原告の支持母体となるはずであった佐賀県の農家の人々の原告に対する信用を失墜させる記事であり、原告の政治家としての信用・名誉を著しく毀損する記事である。
 また、農業を営んでいない一般の読者に対しても、農政の会合において農家の人々に対し、「転職したらいいと思います」と発言することは、政治家として、日本の農業を軽んじており、また、相手の気持ちが分からない非情な人間であるとの印象を与える記事であるから、原告の政治家としての信用・名誉を著しく毀損する記事である。
(カ)本件第1記事⑥は、原告が武部幹事長室に入り置いてあった牛肉弁当を勝手に食べてしまったという虚偽の事実を摘示することによって、原告は、人の言葉を全て真に受けては、他人の部屋に入りこみ、他人の食べ物を断りもなく無断で食べてしまうような非常識な人物であるとの印象を与える記事であるから、原告の政治家としての信用・名誉を著しく毀損する記事である。

(2)本件第2記事による名誉毀損
(ア)本件第2記事①は、原告が所属する派閥のボスである山崎拓氏に対して「先生はもう七十歳を超えている。辞めるべきだと思います!」と発言したとする虚偽の事実を摘示することによって、同趣旨の見出しと相まって、原告が所属する派閥のボスにさえ、政治家として非常識な発言をする人物であるとの印象を一般読者に与える記事であり、原告の社会的信用・評価を大きく失わせる記事であるから、原告の名誉を明らかに侵害するものである。
 また、「“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる、小泉チルドレンの広津素子議員(54)」との記載は、原告の写真の説明文「伝説をつくる女」という記載と相まって、原告が非常識な人物であるとの印象を強く読者に抱かせるものであるから、原告の名誉を毀損すると共に、原告を侮辱するものである。
(イ)本件第2記事②は、山崎派の重鎮である野田毅議員が新人を集めた食事会で経済的に疲弊している地方への配慮の必要性を話した際、原告が野田毅議員に対し「先生は古いタイプの政治家ですね」と言ったとする虚偽の事実を摘示することによって、原告は地方への配慮の必要性を否定する人物、地方に冷たい人物であるとともに、所属する派閥の重鎮を敵に回すような発言をする非常識な政治家であるということを印象付ける記事であるから、原告の政治家としての信用・名誉を著しく毀損する記事である。
 特に、原告は、地方である佐賀県選出の議員として、地場産業や農林水産業を再生させるために熱心に取り組んでいるのであり(甲第7号証)、原告が地方への配慮を不要だと考えているとの趣旨の虚偽の記載は原告の有権者に対する信頼を著しく失墜させる。
(ウ)本件第2記事③は、組閣される際に、原告が「次は私が女性代表で大臣になる」と公言したり、官邸に電話して「私を副大臣か政務官に入れるべきだ」と直談判したとする虚偽の事実を摘示することによって、原告が非常識でずうずうしく、自らを冷静にとらえることができない人物で政治家としての資質に欠けることを印象付ける記事であるから、原告の政治家としての信用・名誉を著しく毀損する記事である。
(エ)本件第2記事④は、自民党佐賀県連関係者が原告について、「人の名前を覚えないから人望がない。すぐ問題を起こすから会合等に呼ばないようにしているのですが、呼ばないと『女性蔑視だ!』と大騒ぎ。問題は人間性なんですけど……」と話したというものであり、原告について、ⅰ)人の名前を覚えない、ⅱ)すぐ問題を起こす、ⅲ)会合等に呼ばれない、ⅳ)会合等に呼ばないと原告が「女性蔑視」だと騒ぐ、という虚偽の事実を摘示することによって、原告が、人の名前を覚えず、すぐ問題を起こすために会合等に呼ばれない人望のない人物であり、かつ、会合等に呼ばないと「女性蔑視」だと騒ぐエキセントリックな人物であるとの印象を与える記事であるから、原告の名誉を毀損するものである。
(オ)本件第2記事⑤は、自民党佐賀県連関係者が原告について、「広津さんは入りたての秘書に、『明日から佐賀に行って後援会を作ってきてちょうだい』とか無茶ブリがすごいようです」と話したというものであり、原告について、新人秘書に後援会をつくるよう命じたという虚偽の事実を摘示することによって、原告が、秘書に無理なことを命じるような人の使い方を知らない人物であるとの印象を与える記事であるから、原告の名誉を毀損するものである。

5原告の損害
(1)原告は、一般週刊誌の中で国内最多の発行部数(74万部)を誇る「週刊文春」において(甲第4号証)、前記4で述べたような違法な虚偽内容の記事を掲載されたことにより、政治家としての信用と名誉を著しく侵害され、多大な精神的苦痛を被り、また、社会的な信用を大きく失い、政治活動を妨害された。
(2)原告は、本件各記事を掲載された事により、原告が全く発言していないことを発言したとして虚偽の事実を摘示することにより、或いは、原告の発言に対する周囲の者の反応に関して虚偽の事実を摘示することによって、総じて、原告は普段行っている政治活動と矛盾する発言を行っている人物である、或いは、原告を「KY」(場の空気が読めない)な人間であり、政界の「奇人変人リスト」に入るような非常識な人間である旨を有権者である読者に強烈に印象づけるものであるから、原告の政治家として、また人間としての信用喪失の被害は甚大である。
 とりわけ、本件第1記事②や本件第1記事⑤による名誉毀損によって、原告の重要な政治活動に関連する支持団体としての日本遺族会及び佐賀県内の農家の人々に対し、原告が失った信用は計り知れないものがある。
 また、本件第2記事では、記事全体の半分以上にもなる①から②にかけての記述によって、原告が所属する派閥のボスである山崎拓氏や重鎮野田毅議員から原告が嫌われているような印象を与えるものとなっており、議員として当選しても十分な活躍の場が与えられない可能性が大きいことを印象付けるものとなっている。
 さらに、本件第1記事及び第2記事は、所属派閥のボスへの発言(内容虚偽)などを繰り返し取り上げて党内における原告の立場が弱いものであることを強調するとともに、原告を支援団体から離反させるような発言(内容虚偽)を多数引用している。明らかに、原告の当選を妨害しようという意図をもって掲載されたといえる。
 2009年7月の衆議院議員選挙において、原告が、自民党の公認を得られず落選したのも、本件各記事による影響を無視できないと言うべきである。
(3)また、本件各記事は、現在においてもインターネット上で広く引用されており(甲第5号証、甲第6号証)、本件各記事の掲載から3年が経過しようとしている今日においても、原告は、本件各記事の伝播による被害を被り続けている。
(4)よって、本件各記事の掲載による名誉権に対する各慰謝料及び名誉権侵害により被った原告の政治家としての信用、社会的な信用の喪失に対する無形損害をあわせると、これらの損害は、本件第1記事につき金600万円、本件第2記事の掲載につき金600万円を下らない。
(5)また、原告は、本訴提起を原告訴訟代理人らに委任したが、弁護士費用のうち、本件第1記事及び本件第2記事の前記損害賠償請求に関しそれぞれ金60万円は、本件不法行為と相当因果関係のある損害である。

6名誉回復処分
 本件記事の内容に照らして、原告の名誉を回復するためには、多少の金銭賠償ですむことではなく、名誉回復のための措置が必要である。
よって、原告は、被告が発行する週刊文春に、判決確定後10日以内に、別紙1及び別紙2記載の謝罪訂正記事を掲載するよう求める。

7結論
 よって、原告は、被告に対し、不法行為による損害賠償請求として、前5項記載の損害金及びそれに対する本件各記事を掲載した雑誌の各発行日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金並びに前6項記載の謝罪訂正記事の掲載を請求すべく、本訴を提起した次第である。

                証拠方法
甲第1号証~甲第35号証(証拠説明書追完予定)
    (以上)
別紙1
1 謝罪訂正記事内容
(1) 見出し 
お詫び
(2) 本文 
  弊社は、2007年9月27日に発行した本誌「週刊文春」10月4日号におきまして、広津素子氏が佐賀県の日本遺族会の方に対し「遺族、遺族って、一体、何の遺族ですか」と発言した旨、農政の会合において農家の人達に対し「皆さん、農業をやめて転職したらいいと思います」と発言した旨などを報じましたが、実際にはそのような事実はなく、本誌において掲載されている広津素子氏に関する各言動はいずれも事実と異なるものでした。このような記事により、広津素子氏の名誉を侵害し、同氏に多大なるご迷惑をおかけしましたことを、謹んでお詫び申し上げます。
  平成○年○月○日
株式会社文藝春秋 代表取締役社長 上野 徹
 広津素子殿

2 掲載条件
(1)1ページ
(2)見出しは12ポイント以上のゴシック体とし、本文は12ポイント以上の明朝体とする。

別紙2
1 謝罪訂正記事内容
(1) 見出し 
お詫び
(2) 本文 
  弊社は、2008年1月14日に発行した本誌「週刊文春」1月24日号におきまして、原告が、派閥のボスである山崎拓氏に対して「先生はもう七十歳を超えている。辞めるべきだと思います!」と発言した旨等報じましたが、実際にはそのような事実はなく、本誌において掲載されている広津素子氏に関する各言動はいずれも事実と異なるものでした。このような記事により、広津素子氏の名誉を侵害し、同氏に多大なるご迷惑をおかけしましたことを、謹んでお詫び申し上げます。
平成○年○月○日
株式会社文藝春秋 代表取締役社長 上野 徹
 広津素子殿

2 掲載条件
(1)1ページ
(2)見出しは12ポイント以上のゴシック体とし、本文は12ポイント以上の明朝体とする。


*2:東京地方裁判所民事部への陳述書(平成22年9月8日 広津素子記載)
1.はじめに
 私は、この度、被告が発行する週刊文春2007年10月4日号「武部幹事長弁当事件 - 83会の『奇人変人リスト』」と題する記事(以下「本件第1記事」と書きます)及び週刊文春2008年1月24日号、「派閥のドン山拓に『引退勧告』しちゃった広津素子センセイ」と題する記事(以下「本件第2記事」と書きます)によって、私の政治家として、及び、公認会計士・税理士としての名誉と信用を著しく侵害され、活動をやりにくくされました。
 私のこれまでの活動内容につきましては、甲第3号証の履歴書にまとめておりますので、そちらをご参照頂ければ、私の人となり、公認会計士・税理士時代の活動内容、衆議院議員になってからの活動内容等がお分かりになると思います。
 本件各記事は、こうした私の人間性とは全く異なる内容や私が発言してもいない内容を私が発言したと書きたて、さらに、私が発言すると周囲の誰もが凍り付き困惑するなどという虚偽の事実を記載して、私のことを「KY(空気が読めない人間)」或いは「奇人変人」呼ばわりすることによって、私の政治家としての適格性や資質を否定しています。そして、それにより、私の支援者や地元有権者の私に対する期待や信頼を失わせ、私の政治家としての活動をやりにくくしたものです。
 以下、2.3.により、本件各記事の虚偽性と本件各記事による私の被害について、陳述いたします。

2.本件第1記事(週刊文春2007年10月4日号、武部幹事長弁当事件 - 83会の
「奇人変人リスト」と題する記事) の虚偽による名誉毀損について (本書末尾の記事参照)
 まず、この記事の副題は、『83会の「奇人変人リスト」』となっており、これをタイトルとして大きく記載されることによって、私は、83会で奇人変人の部類に入るという虚偽の事柄を読者である多くの有権者に印象づけられ、また、政治家としての適格性や資質を否定されたことで、政治活動をやりにくくされ、大きな損害を受けました。そして、これは、現在でもインターネット上で掲載されていることにより、他の選挙に出るのみならず、公認会計士・税理士として次の仕事を探す上でも、大きな妨害となっています。

(1)「その瞬間、議員一同、凍りつきました。」(山崎派議員) 山崎派の会合でのこと。山崎拓氏が「総裁選(の出馬)も考えてみたい」と言うと、一人の女性議員が手を上げた。“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる小泉チルドレン。誰もがひやりとしたのも遅く・・・。佐賀三区のがばい刺客、広津素子議員(54)は、真顔で山崎氏に進言した。「山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので難しいと思います」という部分について
①「次の瞬間、議員一同、凍りつきました。(山崎派議員)」という部分について
 事実は、凍りついたということではなかったにもかかわらず、「広津素子議員がしゃべると一同が凍りつく」というイメージを、読者(多くの有権者)に刷り込んでいる点で悪意があり、また、政治家としての適格性や資質を否定することになっているため、名誉棄損であるとともに、政治家としての活動を妨害しています。
②「山崎派の会合でのこと。山崎拓氏が『総裁選(の出馬)も考えてみたい』と言うと、一人の女性議員が手を上げた。“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる小泉チルドレン。誰もがひやりとしたのも遅く・・・。佐賀三区のがばい刺客、広津素子議員(54)は、真顔で山崎氏に進言した。『山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので難しいと思います』という部分について
 まず、「私が、手を上げると誰もがひやりとする」という、事実ではないことを書いて、有権者に悪いイメージを刷り込んでいます。例えば、私のホームページの活動報告2006年9月22日(甲第8号証)に掲載している、私が発言しているところを見ていただいても、誰も、ひやりとしていません。この場面は、災害があってすぐに私が現場を視察して、地元事務所から武部幹事長(当時)に電話をし、武部幹事長が災害対策本部を立ち上げて下さり、その災害の内容を自民党本部の会合で報告した時の様子です。また、最初、自分を知っている山崎拓氏は、総裁選に出たいとは言っていませんでしたが、数人の男性議員が、山崎氏に、「総裁選に出ないようでは、男じゃない。」というようなことを言って、たきつけていました。
 そして、他の男性議員は、太鼓持ちをして同調している人、何も言わないで笑っている人などであり、山崎さんも次第に引けなくなってゆれてきましたので、ここは、山崎派唯一の女性議員である私しかこれを言える人はいないと判断し、勇気を持って、「私自身は、山崎派に入ったくらいですから、そういうことは気にしていませんが、山崎先生は、女性スキャンダルで報道され、女性にイメージが悪いため、自民党総裁になり、首相になると自民党のイメージが悪くなりますので、控えた方がいいと思います。」と言ったのであり、本心では、他の議員も賛成している人が多かったと思います。
 その後、あの女性スキャンダルの記事自体が山崎叩きの嘘だったと言っている人もいましたが、そういうことを率直に議論できないようでは、民主主義でも派閥でも国会議員でもありませんので、人が言わないような意見を言うと「空気が読めない」「場が凍る」などという価値観を、一般の人に刷り込む週刊誌こそが、むしろ国民の害になっていると思います。

(2)「有名になったのは、佐賀の日本遺族会の方が東京に挨拶にみえた時。話を聞いた後、広津さんは、『遺族、遺族って、一体、何の遺族ですか』と(笑)。05年の郵政選挙の大量当選が生んだ珍現象です。」という部分について
 私は、国会議員になってすぐの2006年中から、佐賀三区内の市や町で開催されている慰霊祭に出席して、自分で書いた追悼の辞を読んでいます(甲第9号証)。また、全国戦没者追悼式にも出席しています(甲第10号証)ので、上記のようなことはあり得ません。そして、これらの活動は、私が現職の間は、私のホームページの活動報告に、2-3日以内に、写真付で掲載し、有権者に報告していますので、誰でも知ることができたはずです。それにもかかわらず、こういうことを書くのは、悪意としか思えません。なお、私の親戚にも、戦没者や遺族がいます。
 そのため、これは、私から、自民党の強力な支援団体である遺族会を引き離し、当時遺族会会長で、自民党選挙対策委員長の古賀誠氏を、保利氏につけて、保利氏を復党させるための工作の一貫だと思います。

(3)「東大卒で公認会計士という経歴を持つ広津女史。『エキセントリックな点があり、ストレートにモノを言う。党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る』」という部分について
 東大卒で公認会計士という経歴を持つ女性は、性格や行動が風変わり(エキセントリック)であるという女性に対する偏見を、まことしやかに記事に書いているものです。また、人権侵害や名誉毀損にあたる場合、思いやりに欠けている場合などを除きますが、率直にモノを言うことはいけないことではないので、それを奇矯(ききょう)(エキセントリック)な行動であるということこそ、おかしいと思います。本件第1記事の大見出しには、「奇人変人リスト」とありますが、この見出しと相俟って、この記事は、私のことを何の根拠もなく、変人呼ばわりする記事であり、悪質だと思います。
 また、「党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る」というのも嘘で、私に、意図的に悪印象をつけようとしているものです。証拠の一例として、2006年9月22日に、自民党本部で、佐賀県の台風被害について援助のお願いをし、武部幹事長(当時)が、災害対策本部を作って、私を佐賀県の現地本部長にして下さり(甲第8号証)、その後、災害対策本部長の視察や激甚災害の指定などが実現した写真を添付いたします(甲第11、12号証)。いつも、場は凍っていません。

(4)「伊吹文明幹事長が党税調小委員長だった時、伊吹氏の説明が終わると、新人・広津氏が挙手をするや……。「伊吹先生の説明ではわかりにくいと思いますので、代わって私が説明します」絶句したのは伊吹氏だけではない。」という部分について
 伊吹文明先生は、税法にも詳しく、本当に頭のいい方ですので、尊敬している人の一人ですが、大蔵省の出身であり、立ち位置が官僚的な時があります。私は、公認会計士・税理士時代に、会計・監査・税務実務を行うかたわら、税制改正にも関与してきており、立ち位置が“民”の側にあるため、説明を付け加えたことはありますが、「伊吹先生の説明ではわかりにくいと思いますので、代わって私が説明します」と言ったことは、全くありません。
 つまり、いいことをしても、何でも、悪く書いているわけですが、これしか情報のない有権者は、広津素子は、本当にそういう人間なのだろうと思いますので、人間性を疑われることになるわけです。

(5)「農政の会合で農家による説明が終わると、広津氏が総括(?)した。『皆さん、農業をやめて転職したらいいと思います』」という部分について
 これは、嘘もはなはだしく、私から、自民党の強力な支援団体である農協を引き離し、2005年の郵政選挙の時に佐賀三区において無所属で当選し、従来、農業系の政策に詳しいとされていた保利耕輔議員の復党を合理化するものです。しかし、私は、もともと生物に興味があり、東大では生物系学科の出身で、かつ、大中小企業の経営を数多く見てきた公認会計士・税理士です。
 そのため、2005年に衆議院議員になってすぐ、農協などを挨拶廻りしたときに聞いた話から得た問題意識を、当時の松岡農林水産大臣に報告し、2006年成立の経営所得安定対策等大綱に関する提案をしました。そして、私のホームページの活動報告2005年12月2日には、佐賀三区内の農協の方を集めて、九州農政局の人に、経営所得安定対策等大綱案について説明してもらっていますし(甲第13号証)、2005年12月9日には、同様に伊万里農協で、職員や一般の農家の人に対する説明会をしているのです(甲第14号証)。
 このように、経営所得安定対策大綱の成立前から、佐賀三区内で勉強会や説明会をしたり、佐賀県内の農協や市役所、町役場に、これに関わる最先端の資料を送ったりしていたため、佐賀県は、現在、集落営農組織率、転作率ともに全国でも高く、進んだ営農をしていることが、私の誇りです。
 そのほか、以下のような活動をしながら、コストダウンした、生産性の高い、ブランド化して付加価値の高い、次世代の育つ農業の方法を、現職の間中、考えてきましたので、例として証拠資料をつけて、ご説明します。
①2005年12月3日には、地元畜産共進会に参加して、佐賀牛に関する説明を聞くとともに、優勝牛に触らせてもらいました(甲第15号証)。
②2006年2月18日には、地元ハウスみかんの農家を視察しました(甲第16号証)。また、2006年12月31日には、農家出身の夫とともに、ハウスイチゴやデコポン農家の視察をして、苦労をお聞きしました(甲第17号証)。
③2006年7月24日には、自民党の「食糧問題研究会」で、最先端の農業技術を視察しました(甲第18号証)。
④2006年7月25日には、自民党の「ロボット政策推進議員連盟」で、「先端技術の世界~社会に役立つロボットの創造」と題した視察を行い、農林漁業を助けるロボットも作って欲しい旨、頼んできました(甲第19号証)。
⑤自民党の農林部会には殆ど出席して発言するとともに、衆議院予算委員会の分科会などでも、地元の農林漁業を振興するための発言をしてきました(甲第20号証)。

(6)「極めつけが「牛肉弁当事件」。チルドレンの親分、武部勤幹事長(当時)が、「いつでもメシを食いに来なさい」と新人たちに声をかけると、本当に広津氏は幹事長室に行って、置いてあった牛肉弁当を勝手に食べてしまったというのだ。」という部分について
 まず、自民党の幹事長室では、弁当は出ません。いただきものの菓子が置いてある程度ですから、この文章を書いた人は、内情を知らずに、私を、奇人変人とするために想像で、悪口を書いたものでしょう。
 なお、この週刊文春の発行日は、佐賀県連の保利派が保利耕輔氏の復党を画策していた時期で(甲第21号証)、やり方が汚すぎます。

(7)「武部氏は新人議員のグループ『新しい風』に広津氏を誘っていない。抗議する彼女に、武部氏は、『あれは仲良しクラブだから』と逃げたつもりが、逆に『私は仲良しじゃないんですか!』と怒らせてしまった。」という部分について
 私は、「新しい風」に誘われなかったので、それだけ勉強や情報収集の機会が減ると思い、武部氏に、「私も入れて下さい。」と頼みましたが、無派閥の人のみということで、山崎派に入っている私は、断られました。
 その後、人に聞いたところ、山崎派に入っており、武部さんの元秘書だった篠田陽介衆議院議員は「新しい風」に入り、それは、将来、山崎派から独立することも考えていた武部さんの意図から来るものだと思われましたので、事実関係が違います。

(8)「広津氏は小誌の取材に『全部まったくのウソです』と否定するが、広津語録は議員の間で今も更新中だ。」という部分について
 週刊文春から取材の電話がかかってきた時、この週刊誌は、女性議員を面白半分に叩くことで有名であるため、質問をFAXしてもらいました。そして、質問を見たところ、あまりにもひどい質問の連続であったことと、地元に帰る飛行機の時間スレスレであったことから、「全部まったくのウソです」と書いてFAXを送り返しましたが、当該記事には、このフレーズを入れて書かれています。そして、その後、週刊文春からは、私に対する具体的な取材は一切なく、今回の記事が、書かれたのです。そして、この記事では、「広津氏は・・・否定するが、広津語録は今も更新中だ。」と締めくくられており、あたかも記事の内容を否定する私の発言の方が嘘で、私が記事で書かかれているような「KY発言=広津語録」を更新し続けているかのような記載で、記事が締めくくられているのです。
 さらに、この記事は、「アスペ代議士広津素子先生を勝手に応援するがばい連合を立ち上げよう」という私を落選させるためのホームページ(甲第5号証)に、選挙中も含めて、ずっと掲載されていたとともに、「佐賀県選挙スレ(甲第6号証)」というホームページで、まさに選挙直前の8月5日に、再度、書かれています。
 これこそが、選挙妨害ではないでしょうか。

3.「本件第2記事(週刊文春2008年1月24日号、『派閥のドン山拓に『引退勧告』しちゃった広津素子センセイ』と題する記事)の虚偽による名誉毀損について(本書末尾の記事参照)」という部分について
 まず、この虚偽の題名によって、私は、派閥のボスである山崎拓衆議院議員に引退を勧告するような、自分の立場のわかっていない、政治家として何もわかっていない人間であるという印象を、多くの有権者に印象づけられ、政治家としての名誉を棄損されました。それと同時に、この記事は、山崎氏に多大な迷惑をかけることとなり、派閥のボスである山崎氏に対し、私の印象を悪くしたことは間違いありません。

(1)「“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる、小泉チルドレンの広津素子議員(54)。昨年末、彼女は所属する派閥のボス山崎拓氏(71)にこう直談判したと言う。『先生はもう七十歳を超えている。辞めるべきだと思います!』」という部分について
 山崎拓さんは、私を守ってくれる人ですから、私が、「辞めるべきだと思います!」などと言うことはあり得ません。つまり、これは、真っ赤な嘘です。
そして、私が、空気が読めない人間であるかのように書かれていますが、私は、独立した大人は、空気を読んだ上で、それに合わせるか否か、または、人と違ってもリードして変えていくか否かなどの判断をすることが必要だと思っています。そのため、その場の空気に合わせるか否かのみを基準として、よい人か悪い人かを決めるのは、次元の低い価値観の刷り込みであり、大マスコミの論評として、問題があると思います。
 特に、改革の初めの頃は、どういう問題であれ、その時点の常識とは異なっているため、反対派は多数おり、既得権益を持っている抵抗勢力も多数存在します。そのため、現在の周りの空気を読んで合わせているだけでは、国会議員として、役に立ちませんし、一般の大人としても失格でしょう。
 例えば、貸金業法の改正の際にも、自民党内では、若い議員数人で法案作成をリードしました(甲第22号証)。しかしながら、自民党内では抵抗勢力が強くて妥協させられがちであったため、党を超えて全体集会を開いたり(甲第23号証)、決算行政監視委員会で委員会質問をしたりして(甲第24号証)、何とかこれを突破するために苦労したのですが、この記述では、「まわりの空気が読めないのは、悪いことである」という低次元の批判的情報しか発せられていないのです。

(2)「話は次期衆議院選挙、佐賀三区の公認問題を巡って切り出された。広津議員は現在、郵政造反・復党組である保利耕輔議員(73)と激しい公認争い中。保利氏に対して前述のように『七十歳を超えて~』と批判し、「山崎さんから若い人に道を譲るように言って下さい」と続けた。」という部分について
 私は、山崎拓さんにも口添えをお願いしましたが、当時73歳であった保利耕輔氏本人にも、直接、「是非、佐賀から女性である私に世代交代していただけませんか?それは、佐賀県だけでなく、日本全体及び自民党にとってもインパクトがあり、プラスになると思います。」と、公認決定前及び選挙直前の2回、率直に、お願いして断られた経緯があります。
 そして、何故、ここで女性に交代した方が、日本のため、自民党のため、そして、お互いのためなのかも説明しました。日本国民である以上、25歳以上であれば、当然、衆議院議員の被選挙権はありますが、国会議員の年齢構成が逆三角形で、殆ど男性でいいのかというと、それは国民の意見を反映する上で問題があると思います。
 特に、九州の佐賀県では、国会議員は、私のみが女性、首長は全員男性、県議、市議も90%以上が男性という議員構成であるため、まさに、九州の佐賀県だからこそ、そこで生まれ育った優秀な女性が出るのがいいと思いますし、地元佐賀県や九州の女性には、私に対して、そういう期待があったのです。
 そういう公認争いの最中に、このような週刊文春の嘘記事で、私は、有権者に悪い印象を刷り込まれ、とても国会議員としての適格性も資質もないという印象を、地元をはじめ多くの有権者に植え付けられました。これには、がっかりした女性も多かったのです。そして、この記事は、私を、自民党の公認基準とされる「勝つ候補」からはずすという目的で使われました。

(3)「山崎派議員が苦笑しながら語る。「山崎先生は保利先生と同世代。保利先生に年だから辞めろなんて、山崎先生の口から言える訳がありません。広津さんの言葉を聞いて山崎先生は、『それは俺にも辞めろと言っているのか!』と激怒したようです」」という部分について
 激怒ではありませんが、確かに、「それでは、俺にも辞めろと言うことになる。」と言われました。しかし、自民党の現職国会議員が2人いる佐賀三区と山崎さんの選挙区では事情が全く異なるため、私は、「いえ、そういうことではありません。」と、はっきりと言いました。
 従って、このような書き方は、有権者である読者に、私が何も考えていない人であるかのような誤解を与えたとともに、派閥のボスである山崎さんと私との関係が悪いかのような印象を与えました。

(4)「ちなみにヤマタクが総裁選への意欲を示したときも、『山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので、難しいと思います』(小誌〇七年十月四日号既報)と広津氏は直言している。」という部分について
 前に書いたとおり、最初は、自分を知っている山崎拓氏は、総裁選に出たいとは言っていませんでしたが、数人の男性議員が、山崎氏に、「総裁選に出ないようでは、男じゃない。」というようなことを言って、たきつけていました。
 そして、他の男性議員は、太鼓持ちをしている人、何も言わないで笑っている人などであり、山崎さんも次第に引けなくなってゆれてきましたので、ここは、山崎派唯一の女性議員である私しかこれを言える人はいないと判断し、勇気を持って、「私自身は、山崎派に入ったくらいですから、そういうことは気にしていませんが、山崎先生は、女性スキャンダルで報道され、女性にイメージが悪いので、自民党総裁になり、首相になると自民党のイメージが悪くなるため、控えた方がいいと思います。」と言ったのであり、本心では、他の議員も賛成している人が多かったと思います。
 その後、あの女性スキャンダルの記事自体が山崎叩きの嘘だったと言っていた人もいましたが、そういうことを率直に議論できないようでは、民主主義でも派閥でも国会議員でもないと思います。
 そして、これを、いかにも私が悪いことをしたかのような書き方で何回も書くのは、私と山崎拓さんの関係を悪化させる意図、及び、有権者に私の悪いイメージを刷り込む意図があると思います。

(5)「山崎派の重鎮、野田毅議員が新人を集め食事会を開いたときもこんな事件が。野田氏が『地方経済は疲弊している。今こそ地方への配慮が必要だ』などと持論を語り終えたあと、広津氏はこう言い放った。『先生は古いタイプの政治家ですね』」という部分について
 これは、私が、地方への配慮は不要だと思っているということを印象づけ、佐賀三区の公認候補として不適切だと有権者に刷り込むための悪意ある真っ赤な嘘です。
 私が、地元まわり(甲第25~27号証)やまちづくりタウンミーティング(甲第28号証)を最初からやっており、地場産業の中小零細企業(甲第29号証、甲第30号証)や農林漁業を再生させるために、本当に一生懸命に頑張っていたことは(甲第13、14、15、16、17、18、19、20、31、32、33号証)、私のHP( http://www.hirotsu-motoko.com )の2008年1月24日以前の活動記録に、写真つきで掲載されています。また、委員会質問でも、これらの分野から質問を行っているものが多数あり、衆議院でとった委員会質問の速記録を、私のホームページのトップ・ページで、すべて見ることができます(例:甲第20、30号証)。
 地方である佐賀三区選出の国会議員にとって、地方再生のための配慮は不可欠であるため、これがないという嘘を書くのは、広津素子は、佐賀県選出の衆議院議員としての資質に欠け、佐賀三区の自民党公認には適さず、佐賀三区の自民党公認は保利氏しかいないという印象を多くの人に植え付け、「勝つ候補」ではなくして、保利氏に自民党公認を取らせるための卑怯な方法です。
 このような嘘記事は、その後の選挙が、佐賀県では、自民党公認のあるなしに大きく左右されることを考えた上での選挙妨害でもあると思います。

(6)「東大卒で公認会計士という経歴の広津氏は、『自らの考えが正しいと信じて疑わないタイプ』(同前)。」という部分について
 「東大卒で公認会計士という経歴の広津氏」→「自らの考えが正しいと信じて疑わないタイプ」=「傲慢で、性格が悪い」という結論を出したいようですが、これは、「東大卒で公認会計士というキャリアを持って必死で働いてきた女性は、傲慢で性格が悪い」ということであり、よくある女性差別だと思います。
 なお、人は、「自らの考えが正しいと信じ」なければ、行動することも生きていくこともできません。「自らの考えが間違っている」と思ったまま、生きている人がいるでしょうか? もし、間違っていると思っていながら改善しないのであれば、それは怠慢です。
 生物は、自分が進みたい方向と現実の環境とのフィードバックを常に行いながら、自分が進むべき最善の進路を決定しているものですから、それぞれの瞬間、瞬間に「自らの考えが正しいと信じている」のは、当然のことです。そうでなければ、進む方向の決定ができるはずがありません。なお、自分の頭でものを考えず、誰かが言ったとおりについていく人もおり、このような行動は、古くは、女性に対して期待されたものですが、これは、独立した一人前の大人の行動ではありませんし、ましてや、リーダーの器でも、国会議員の資質でもありません。
 問題は、進む方向を決定する前に、十分に情報の収集と分析をしたか否かだと思います。私は、ホームページ( http://www.hirotsu-motoko.com )の活動報告に書いているとおり(その一部は今までの資料に添付しました)、かなりの調査と情報収集を行い、フィードバックしながら意思決定をしてきましたので、調査と情報収集の時点で、人の言うことをよく聞いています。
 そのため、こういう批判をする人自身は、どういう生き方を推奨しており、また、自分自身はどういう生き方をしているのかを聞いてみたいくらいです。

(7)「昨年九月の安倍改造内閣が発表される前も、『次は私が女性代表で大臣になる』と公言し周囲を唖然とさせた。福田内閣の人選が進められているときには、官邸に電話して『私を副大臣か政務官に入れるべきだ』と直談判したという伝説もある(全国紙政治部記者)」という部分について
 官邸に電話して言ったことはないので、真っ赤な嘘です。なお、自民党で集める自己申告書に、自分の経歴を書いて、副大臣か政務官という希望を書いたことはありますが、同期の猪口邦子さんは大臣になっており、同期で政務官になった人もいますので、自己申告書にこのような希望を書いても、全くかまわないはずです。もともと、自己申告書とはそういうものですので、何か、よほど悪いことをしたかのような“伝説”にするところに、悪意があります。

(8)「地元の評判も芳しくない。「人の名前を覚えないから人望がない。すぐ問題を起こすから会合等に呼ばないようにしているのですが、呼ばないと『女性蔑視だ!』と大騒ぎ。問題は人間性なんですけど……」(自民党佐賀県連関係者)」という部分について
 これも、悪印象の刷り込みで、嘘です。自民党佐賀県連の会合には、三区支部長だったので、殆ど全部呼ばれていて、問題は起こりませんでした(甲第34号証)。なお、自民党佐賀県連関係者にもいろいろな人がいますが、誰が週刊文春記者に吹聴しているのかは、保利派の市議会議員だという報告を秘書から受けたことがあります。
 なお、女性国会議員は、グラス・シーリングの原因となっている先入観や感受性についての指摘は、仕事の一つですから、気がついた時にはするようにしていますが、それをこういう書き方をするのは、悪意だと思います。
 「人の名前を覚えないから人望がない。」ということであれば、一度に、多くの人と会う人は、名前と顔を覚えられないので人望がないことになりますが、他の人は、人望がないとは言われません。私に関しては、「人望がない」というフレーズを使うことが目的のように多用し、刷り込みをしているところが悪意だと思います。

(9)「そんな言動が災いしてか、事務所も大混乱の様子。広津さんは入りたての秘書に、『明日から佐賀に行って後援会を作ってきてちょうだい』とか無茶ブリがすごいようです(同前)」という部分について
 入りたての秘書が、そのようなことをできる筈もないので、そういうことは言っていません。たぶん、女性は、人の使い方が下手であるという先入観を、事実のように書いているものだと思います。
 私は、ビジネスの世界で20年以上働いて、管理職もしてきた女性です。そのため、「・・・してちょうだい」などという言い方はしませんし、できない人に頼むとめちゃめちゃになって、後のフォローが大変なので、できそうもないことは頼みません。
 つまり、想像で、状況を作って書いているのです。

(10)本人に取材すると、「すべてデタラメです。一体誰が言っているんですか」とご立腹。いや、みんな言ってるんですけど。郵政総選挙でも広津氏と対峙した保利氏は、周囲にこう公言しているという。「彼女が出る以上、私も絶対次の選挙に出る。それが佐賀県のためだ」という部分について
 「みんな言っている」というのは、自分自身の責任回避のために使う常套手段の一言ですが、週刊文春が記事にしている以上、週刊文春には、事実でないことを吹聴して、私の名誉を傷つけ、私の政治家としての活動を妨害し、結果として、選挙妨害をも行った責任があります。
 また、このような記事を見る有権者に、広津素子の悪いイメージを植え付け、保利氏が、「彼女が出る以上、私も絶対次の選挙に出る。それが佐賀県のためだ」と周囲に公言したというのを合理化することこそが、この週刊文春記事の目的だったと思います。
 そして、この記事は、佐賀県での発売日が2008年1月19日であり、これは、多久市で、私がまちづくりタウンミーティングも兼ねて国政報告会を開き(甲第35号証)、多久市議が人集めをしていたその時に、それを打ち砕くように出されたものなのです。

4.本件各記事による損害
(1)私は、本件各記事を掲載された事により、私が全く発言していないことを発言したとして虚偽の事実を摘示することにより、また、私の発言に対する周囲の者の反応に関して虚偽の事実を摘示することによって、「KY」(場の空気が読めない)な人間であり、政界の「奇人変人リスト」に入るような、政治家として不適格な人間であると、有権者である読者に強烈に印象づけられました。これによる私の政治家としての信用喪失の被害は甚大であり、その後の仕事が、やりにくくなりました。 

(2)特に、本件第1記事に関して言えば、本件第1記事(2)や本件第1記事(5)による名誉毀損により、自民党の支持団体として、私の政治活動における重要な支持団体となるはずであった日本遺族会や佐賀県内の多くの農家の方々に対し、信用を失うことになりました。また、このような記事の影響で、私の支部の自民党員や支援者の立場もなくさせられました。
 さらに、本件第1記事(3)(4)のような虚偽の発言を書きたてられることにより、自分の能力もわきまえずに、傲慢なことを言うだけの人間であるかのような印象を一般有権者に刷り込まれ、信頼が引き裂かれたと同時に、名誉が傷つけられました。
そして、本件第1記事(6)では、全く呆れるような作りごとを書いて、奇人変人である根拠としています。

(3)また、本件第2記事が、私に関して、「空気が読めない、人望がない」などと書きたて、さらに、私が「地方は無視すべき」という趣旨の発言をしたなどという虚偽の事実を書きたてられたことで、私は、政治家としての適格性や資質を否定され、選挙区の地盤である佐賀三区の一般有権者からの信用を失うとともに、私の支援者も立場をなくして減りました。
 さらに、本件第2記事では、佐賀三区の自民党対立候補である保利氏の言葉を借りて、私を次の選挙で当選させないのが佐賀県のためだと書かれていますが、これにより、この記事は、私の政治家としての資質を完全に否定した上で、保利氏を当選させる狙いで書かれた記事であることが明らかです。実際に、私は、保利派の市議がこの週刊誌を話題にしていたことを知っています。

(4)さらに、本件各記事は、現在においてもインターネット上で広く引用されており(甲第5号証、甲第6号証)、本件各記事の掲載から3年が経過しようとしている今日においても、私は、本件各記事の伝播による被害を被り続けています。
 甲5の「アスペ代議士 広津素子先生を勝手に応援するがばい連合を立ち上げよう!!」というホームページは、私を落選させるためのホームページのサイトのようですが、2008年2月4日より、ずっと本件第1記事及び本件第2記事の内容を掲載し続け、GoogleやYahooの検索サイトに出ています。
 なお、アスペの意味は、アスペルガー症候群の意味とのことで、「興味・関心やコミュニケーションについて特異であるものの、知的障害がみられない発達障害のこと」だそうですが、私は、このような症候群とは関係がなく、発達障害者扱いされるのは、名誉棄損です。
 さらに、「佐賀県選挙スレ」というホームページ(甲第6号証)でも、選挙前の8月5日に再度、本件第1記事及び本件第2記事を引用し、雰囲気が広津素子支持にならないようにされました。

(5)「週刊文春」は発行部数74万部と日本最大の発行部数を誇る週刊誌(甲第4号証)ですが、週刊誌のような活字の刊行物という、一見信頼性の高い記事を大量に頒布されたことによって、第一次的な被害を被り、その後は、これを甲第5号証や甲第6号証のホームページ上で選挙前、選挙中も引用し表示され続けたことにより、政治家として、また公認会計士・税理士としても、信用を広く害され続けているという二次的被害を被っています。

(6)以上のように、私は、本件第1記事及び第2記事を掲載されたことにより、私自身の名誉を失い、政治家としての信用を失い、また、本件記事を選挙妨害に利用されることにより、多大な被害を受けました。そして、その後は、政治家として選挙に出るのみならず、公認会計士・税理士として就職活動をすることにも支障をきたしています。
 そのため、今回の裁判では、その損害を回復するために、本件各記事による損害賠償の請求をすると共に、失った名誉と信用を回復するため、本件各記事が掲載された被告の週刊誌への謝罪広告の掲載を請求いたします。
                                                    以上

*3:週刊文春名誉毀損訴訟の東京地裁判決全文

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