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2013.8.12 「痛み」を伴う改革をすべきは誰なのか? また、「政治」は、決められるか否かより何をどう決めるかが大切である。
(1)痛みを伴う改革(=消費税増税+社会保障の削減)をしなければ批判するメディアの主張は、的を得ていない
 *1のように、日経新聞はじめ多くのメディアが、財務省の方針に従って、「政府が2日公表した中期財政計画の骨子案は、来年4月以降に予定する消費税率の2段階引き上げの実施を明記せず、具体的な歳出削減策も素通りしたので、痛みを伴う構造改革を先送りしがちな安倍政権の姿勢が浮き彫りになった」と、①痛みを伴う改革の必要性 ②消費税増税の必要性 ③歳出削減としての社会保障費削減の必要性 を声高に叫んでいる。

 そして、「『国際公約』でもある国・地方を合わせた基礎的財政収支の名目国内総生産比の赤字幅を2010年度から半減する目標を達成するにはPB赤字額を15年度までに17兆円程度圧縮する必要がある」とも述べているが、きちんと説明すれば、東日本大震災が2011年3月11日に起こったにもかかわらず、「基礎的財政収支の赤字幅を2010年度から半減する」という国際公約を守らなかったからと言って批判するような国はない。ここで財務省もメディアも区別できていないのは、臨時的経費と経常的経費の違いである。また、国会の決議もないのに勝手に国際公約してきたから守れというのは、憲法の主権在民に反する。

(2)消費税増税は、本当に必要なのか
 *1は、「現行法は消費税率を14年4月に8%、15年10月に10%に上げると定めるが、消費税率を予定通り10%まで上げれば、15年度には国に7兆円程度の税収増が見込める」として消費増税を勧め、安倍晋三首相が「中期財政計画では決め打ちしない」という意向を示したことを暗に批判している。私は、このブログの2012.6.30及び2012.7.15などに記載しているように、消費税率を上げれば税収が上がるとは思わないし、昨年の衆議院議員選挙では、公約に反して上記法律を作った民主党への批判が民主党敗退の大きな要因であったため、他に有力な選択肢のなかった参議員議員選挙において自公が勝利したからといって、国民が消費税増税に賛成したと思ったら間違いであると思う。そして、このブログに何度も書いているように、よりよい方法が他にある。

 なお、*1には、「財務省幹部は『高齢化で毎年約1兆円ずつ膨らむ社会保障費の自然増も考慮していない。歳出を削減せずに8兆円の収支を改善するには、消費増税以外にもアベノミクスによる税収増が5兆円程度は必要』と指摘する」と述べているが、高齢化、少子化は1960年代から予測できていたことであるため、戦後ベビーブームの人口増をボーナスなどと考えて散財し、その人たちが高齢者になった時の社会保障に必要な金額を積み立ててこなかった財務省・厚生労働省・社会保険庁に責任があるのであって、国民に責任があるのではない。そのため、痛みを伴う改革をし、徹底して考え方を改めなければならないのは国民ではなく、財務省・厚生労働省・その他の関係省庁なのだが、これはできていない。

(3)節約すべきは社会保障なのか、またサービス提供時に所得で差をつけるのは合理的か
 *2、*5に書かれているように、社会保障国民会議が消費増税に伴う社会保障改革の報告書を提出し、政府が今後の改革の手順をまとめたプログラム法案を秋の臨時国会に提出するそうである。

 その中で、医療については、70~74歳の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げ、高額療養費制度の負担上限額見直しを行うとしているが、これにより、いくつもの慢性疾患を持つ高齢者の負担はかなり重くなる。また、高所得者の保険料引き上げも書かれているが、ここでいう「高所得者」の定義は、年間所得いくらだというのだろうか?医療保険料や医療費は、生活費とは別にかかるため、「高所得者」の定義によっては、医療を受けられないか、生活できなくなる高齢者が出るだろう。

 また、介護についても、「所得が一定以上の利用者の負担を1割から引き上げ」と書かれているが、ここでも、一定以上の所得とはいくらかが重要だし、介護保険料を支払う際にすでに所得の再配分は行っているため、サービス提供時にも所得で差をつけると二重負担となるが、これは基礎的な知識である。さらに、介護費用は生活費とは別に毎日かかるライフライン・コストであるため、介護費用を払えなければ社会的入院や施設入所者が増え、別の部分でより大きく歳出が増えた上、生活の質は下がる。さらに、「要支援向けサービスを介護保険から市町村事業に移管する」とも書かれているが、そうすれば、どの地域でも現在以上の支援を受けられる保証があるのだろうか?そうでなければ改悪である。なお、仕事は、60~70歳で定年だが、家事は病気になっても死ぬまでやれというのでは、家事の仕事としての位置づけがあまりにも低すぎる。実際には、家事も病気や高齢ではできないのだが、殆ど男性ばかりで意志決定しているため、こうなるのであろう。

 さらに、年金も減額すべきという声が大きいが、そもそも年金資金が足りないのは、①日本経済や世界経済全体で利子率(配当も連動する)が低すぎた ②運用が杜撰だった ③社会保険庁が意識してしっかり管理し、適正な金額を積み立ててくるということがなかった などの原因がある。このうちの①については、*4のように、株価の上昇で少し改善しているが、他の原因については、あまり改善していない。

 そのような中、*3のように、日経QUICKニュースでは、「4~6月期の実質GDPが年率2.6%増であり、3期連続プラスなので、消費税増税の条件が整った」というように書いている。しかし、これらの改革のうち高齢の年金生活者に関係があるのは、物価上昇、社会保障給付削減、消費税増税、社会保険料値上げという負担を強いる痛みだけであり、そもそもの前提や感受性がおかしいことは明らかである。

*1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS02048_S3A800C1EA2000/
(日経新聞 2013/8/3) 痛み伴う改革先送り 中期財政計画骨子案、歳出削減も素通り
 政府が2日公表した中期財政計画の骨子案は、来年4月以降に予定する消費税率の2段階引き上げの実施を明記せず、具体的な歳出削減策も素通りした。社会保障制度改革国民会議が同日まとめた最終報告書案も給付抑制や負担増への道筋を描ききれていない。衆参両院のねじれが解消しても、デフレ脱却を最優先するあまり、痛みを伴う構造改革を先送りしがちな安倍政権の姿勢が浮き彫りになった。内閣府は2日の経済財政諮問会議で中期財政計画の骨子案を示した。「国際公約」でもある国・地方を合わせた基礎的財政収支(PB)の名目国内総生産(GDP)比の赤字幅を2010年度から半減する目標を達成するにはPB赤字額を15年度までに17兆円程度圧縮する必要があると指摘。国の一般会計ベースではPBを8兆円改善する必要があると試算した。だが最も有力な手段であるはずの消費増税は「経済状況等を総合的に勘案して判断する」と注記するにとどまった。現行法は消費税率を14年4月に8%、15年10月に10%に上げると定めるが、安倍晋三首相が秋に消費増税を最終判断する意向を示したのを受け、「中期財政計画では決め打ちしない」とする首相官邸の意向を反映したためだ。甘利明経済財政担当相も2日夕の記者会見で「経済成長と財政再建を両立できるベストの道を探る」と強調した。
 消費税率を予定通り10%まで上げれば、15年度には国に7兆円程度の税収増が見込める。ただこの一部は待機児童の解消など社会保障の充実策に充てるため、収支改善に全て回せるわけではない。財務省幹部は「高齢化で毎年約1兆円ずつ膨らむ社会保障費の自然増も考慮していない。歳出を削減せずに8兆円の収支を改善するには、消費増税以外にもアベノミクスによる税収増が5兆円程度は必要」と指摘する。それでも計画策定過程で財務省が異議を唱えることはなかった。歳出削減が景気を下押しすれば消費増税にはマイナスになりかねないためだ。複数の財務省幹部は「中期財政計画で勝負する必要はない。首相が消費増税を最終判断するまで静観するしかない」と語る。
 中期財政計画には14、15年度の新規国債発行額を今年度(約42兆8500億円)以下に抑えるため最大限努力するとの項目も盛り込んだが、税収増を歳出増に回す可能性は否定していない。参院選での勝利を受け、政府・与党に広がる歳出膨張圧力に歯止めをかけられるか、不透明感は強い。「9月上旬の20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に出せるよう作業を進めてほしい」。首相は諮問会議で計画の来週中の取りまとめを指示した。だが、政府関係者からは「日本に財政再建を求めてきたドイツなど海外から批判が出る可能性も否定できない」との懸念も出ている。

*2:http://digital.asahi.com/articles/TKY201308090662.html?ref=pcviewpage
(朝日新聞 2013.8.9) 介護保険見直し15年度めど、医療分野改革17年度までに 社会保障改革の法案骨子
 安倍政権が進める社会保障改革のスケジュールをまとめた「プログラム法案」の骨子案がわかった。国民健康保険(国保)の再編や所得に応じた保険料・窓口負担の増減など、医療分野の改革は2017年度までに実施する。介護保険制度見直しは15年度をめどと明記した。政府は19日から与党と本格的に調整し、21日に骨子を閣議決定する方針だ。プログラム法案は、社会保障国民会議が消費増税に伴う社会保障改革の報告書を提出したのを受け、政府が今後の改革の手順をまとめたもの。秋の臨時国会に提出する。大筋で報告書に沿っているが、一部の項目では実施期限を初めて示した。一方、報告書に比べ時期があいまいになったものもある。
 医療分野では、国保の運営を市町村から都道府県に移す▽会社員の健保や公務員の共済が高齢者医療に出す支援金の算定方法で、加入者の収入が高いと割当額が増える「総報酬割」を全面拡大▽紹介状のない大病院の外来患者に定額負担を導入――について、15年の通常国会への法改正案提出を明記した。国民会議の報告書では、70~74歳の医療費窓口負担の引き上げについて「早期に結論」とし、総報酬割の全面拡大は「15年度に実施」としていた。しかし骨子案ではいずれも「17年度までに措置」となった。与党内や医療関係団体に根強い慎重論に配慮したとみられる。
一方で介護分野では、要介護度が低い「要支援」向けサービスを介護保険から外し、市町村の独自事業に移す▽所得が一定以上の利用者の負担割合引き上げ――について、14年の通常国会で法改正し、15年度をめどに実施するとした。年金は受給開始年齢の引き上げなどを検討項目としたが、時期には触れていない。
■社会保障改革のスケジュール案
◆医療
〈2014年の通常国会で法改正→14年度めどに実施〉
・難病への医療費助成の拡充
〈14年の通常国会で法改正→17年度までに実施〉
・都道府県が医療提供体制の改革を進める仕組みの導入
〈15年の通常国会で法改正→17年度までに実施〉
・国保の運営を市町村から都道府県に移管
・会社員、公務員らの保険が高齢者医療に出す支援金の見直し(「総報酬割」全面拡大)で大企業健保の負担増
・紹介状のない大病院の外来患者に定額負担を導入
〈17年度までに実施〉
・70~74歳の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げ
・高額療養費制度の負担上限額見直し
・低所得者の国保料・後期高齢者医療制度保険料の負担軽減
・高所得者の保険料引き上げ
◆介護
〈14年の通常国会で法改正→15年度めどに実施〉
・所得が一定以上の利用者の負担を1割から引き上げ
・「要支援」向けサービスを介護保険から市町村事業に移管
・所得が低い高齢者の保険料軽減

*3:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL120FC_S3A810C1000000/
〔日経QUICKニュース 2013.8.12〕 4~6月期実質GDP、年率2.6%増 3期連続プラス
 内閣府が12日発表した2013年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.6%増、年率換算では2.6%増だった。プラスは3四半期連続。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による円安・株高を背景に景気回復期待が高まり、個人消費が引き続きけん引した。一方、設備投資はプラスに転じることはできなかった。QUICKが9日時点で集計した民間予測の中央値は前期比0.9%増、年率3.6%増だった。生活実感に近い名目GDPは前期比0.7%増、年率では2.9%増だった。名目でも3四半期連続のプラスだった。その結果、名目成長率が実質を下回る「名実逆転」が解消した。逆転解消は2012年7~9月期以来3四半期ぶり。実質GDPの内訳は内需が0.5%分押し上げ、外需は0.2%分のプラスだった。輸出は3.0%増。円安を追い風に米国向け自動車などが堅調だった。輸入は1.5%増。液化天然ガス(LNG)など高水準のエネルギー輸入が影響した。
 項目別に見ると、個人消費が0.8%増と3四半期連続でプラス。円安、株高基調を受けて消費者心理が上向き、外食や旅行、衣料などへの支出が増えた。株式売買が活発で金融取引も増えた。住宅投資は0.2%減。5四半期ぶりのマイナスに転じた。設備投資は0.1%減。減少は6四半期連続。個人消費の改善を受けて小売りなどは底入れしたが、製造業は慎重姿勢が続いた。公共投資は1.8%増。政府の13年度補正予算による緊急経済対策の効果が出てきた。民間在庫の寄与度は0.3%のマイナスだった。
 総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてマイナス0.3%。15四半期連続で前年を下回った。季節調整して前期と比較するとプラス0.1%となった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは前年同期比0.1%下落した。

*4:http://digital.asahi.com/articles/TKY201308090515.html?ref=pcviewpage
(朝日新聞 2013.8.9) 年金、過去最大の黒字 厚生・国民 株高で運用好調
 厚生労働省は9日、会社員が入る厚生年金と、自営業者や短時間勤務の非正社員らが入る国民年金の2012年度決算(時価ベース)を公表した。厚生年金は6兆3677億円、国民年金は2250億円の黒字。いずれも時価ベースの決算がある01年度以降で最大の黒字だった。昨年末からの株価上昇で積立金の運用成績が良く、黒字幅を押し上げた。公的年金の決算は、保険料や国庫負担(税金)の収入などから支給額を差し引き、さらに積立金の運用益を加えたもの。運用益は厚生年金が10兆4691億円、国民年金が7291億円。両方合わせた積立金額は増え、計126兆269億円となった。

*5:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF0300J_T00C13A8NN1000/
(日経新聞 2013/8/3) 高所得の高齢者、介護負担増15年度に
 政府は2015年度に介護保険の自己負担を所得の多い高齢者について現行の1割から引き上げる。合わせて介護の必要度が低く食事などの世話だけがいる人を、介護保険給付の対象から段階的に外す。社会保障制度改革国民会議が5日にまとめる最終報告書を受け、介護や医療などの改革項目や手順を記す「プログラム法案」に盛り込む。国民会議は、介護のほか医療、年金、少子化対策の社会保障4分野の改革方針を、最終報告書にまとめる。これを受けて政府はプログラム法案を策定し、今秋の臨時国会に提出する。介護の負担増については、14年の通常国会に介護保険法改正案を提出。15年度からの新たな介護保険事業計画や介護報酬改定と同時に実施する。医療では国民健康保険(国保)などの関連法改正案を15年にも提出。17年度か18年度までに国保の運営をいまの市町村から都道府県へと移す。合わせて75歳以上の高齢者医療への支援金で所得の多い大企業の健康保険組合の負担を増やす。

| 消費税増税問題::2012.8~2014.11 | 01:09 PM | comments (x) | trackback (x) |

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