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2013.9.3 汚染水は完全に人災である。そして、この程度の危機管理しかできない当事者が、原発再稼働を言うなど、ずうずうしいにもほどがある。
   
   朝日新聞2013.8.29より          朝日新聞2013.9.1より  

(1)処理後の汚染水は、どの程度汚染されているのか?
 もともと原発事故現場の汚染水は、アレバ社製の浄水装置によって、汚染水でなくなっていた筈だが、実際には、セシウムのほんの一部しか除去されておらず、高度汚染水がタンクに溜められていたわけである。そして、*2のように、東電は政府(旧原子力安全・保安院)の承認を得てコンクリート堰の排水弁を全て開け、*3のように、配管の作りは杜撰で、しっかりした管理もしていなかったということだ。ここに、放射性物質からの安全管理の視点は全くない。

 従って、まず、アレバ社製の浄水装置にいくらかけ、どのくらい浄水されていたかをここで明らかにすべきであって、絶対に、それを不問に付すべきではない。何故なら、これにより、①どういう事故が起こり ②どういう核種が汚染水に含まれ ③今後、どの程度、それを浄化できるかがわかるからである。それらを明確にできない人間が、*1のように、「多核種除去設備で処理後の海洋放出に理解を」などと唱えても空虚であり、賢明な人間なら誰も信用しない。

 また、原発内のタンクから汚染水が漏れ出した問題に関し、*1のように、原子力規制委員会の田中俊一委員長が、「一番大事なことは国際社会に適切な情報を伝えること」と言ったと書かれているが、一番大事なことは、日本国民に適切な情報を伝え、日本国民の命や健康を守ることである。それができれば、当然、他国民の命や健康を守ることもでき、国際社会に理解され、信用され、安心されもするのだ。

(2)国の判断なら正しいのか?
 *2には、「高濃度汚染水が漏れた地上タンク群を囲むコンクリート堰で排水弁を全て開けていた運用について、旧原子力安全・保安院の承認を受けていた」と書かれている。つまり、今までの対応やこれからやろうとする対応を見れば、国民の人権に対する国の意識はその程度だと判断できるため、脱原発が必要不可欠なのである。

 また、*3には、タンクや配管から汚染水が漏出した事故を受けて「東電は見回りの作業員を10人程度から60人まで増やす」と書かれているが、線量を測って伝える線量計を多く置いておけば、作業員の数はいらない。つまり、ここには、汚染水の漏出を素早く知って安全を保つという発想はなく、どんな仕事でもいいから人を使って雇用を増やそうという発想しかないのであり、命に関わる放射線管理において全く落第である。ここまで来ると、第二次世界大戦を思い出した。

(3)津波や過酷事故への対策が適切に実施されていれば事故は避け得たのか?
 このような中、*4には、日本原子力学会の事故調査委員会(委員長=田中知・東京大教授)は2日、「津波や過酷事故への対策が適切に実施されていれば事故は避け得た」などとする最終報告書原案を提出すると書いてあるが、「すべての機能は電源があることが前提となっていた」「その作業も杜撰」など、これまでの行動を見て、私は、放射線の危険からの安全管理の欠如、危機管理意識のなさが大きな原因であり、そのために必要な準備も後始末もなされないのだと思っている。

 また、事故後の現場対応についても、(1)(2)で述べたような情報をつかんで伝えられるだけの知識と経験がなければその現場で十分に働くことはできず、「問題点は認められるが、総合的には標準以上」という評価は、現場に甘すぎるだろう。

(4)320億円かけたら、凍土壁で地下水を遮水できるのか?
 *5に記載してあるように、東電は、四方遮水壁を作るのに1000億円かかるので、これを断念したそうである。私は、単なる構造物を作るのに1000億円は高すぎると思うし、それが高すぎるため四方遮水壁をやめ、岸壁近くの海側地盤に薬液を注入して水を通しにくくする遮水壁を造り、それで地下水を止められると思ったというのにも、開いた口がふさがらなかった。

 その破綻した地下水の処理のため、*6のように、今度は国が前面に出て、福島第一原発の汚染水対策に470億円をかけ、予備費も使って、土を凍らせた遮水壁の建設を前倒しするそうである。常に16度前後を保っている大量の地下水を凍らせ続けるために、どのくらいの運用費がかかるかの試算はしていないそうだが、いくらかけても自然の大量の地下水を凍らせ続けることはできないと断言する。しかし、無理に冷却し続けることで、周囲の地下水の温度が下がり、それが海水の温度まで下げて、近くの生態系を狂わせることは明らかだ。

 また、汚染水から放射性物質を取り除く装置の新設に150億円かけるそうだが、メディアは、これがアレバ社製の最初のものよりどこが優れており、どの程度の核種を除去でき、海に流せる程度に浄水できるのか否かを報道すべきだ。何故なら、結果が出なければ、誰かの道楽で、”財政再建中”の国費を湯水のように使うことになるからである。

*1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS02020_S3A900C1PP8000/
(日経新聞 2013/9/2) 汚染水「処理後の海洋放出に理解を」 規制委委員長
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は2日、日本外国特派員協会で記者会見した。東京電力福島第1原子力発電所で放射性物質を含む汚染水がたまっている問題では、放射性物質を基準値以下にした後に「海に放水することは避けられない」との見解を改めて示した。「精いっぱいの努力をしているので理解いただきたい」と話した。汚染水を海洋放出する場合は約60種類の放射性物質を取り除くことができる「多核種除去設備(ALPS)」で事前に処理することを説明。装置で除去できないトリチウムについては「希釈なりをして放出することになると思う」と話した。また「世界中の原子力施設から、そういったものは通常の場合でも出ている」と説明。「歴史的には核実験などで大気中の放射能レベルが今より数万倍高かった時期もある」とも指摘した。
 原発内のタンクから汚染水が漏れ出した問題に関しては「一番大事なことは国際社会に適切な情報を伝えること」と指摘。「状況は日々変わっており、客観的な情報を丁寧、的確に提供することを原子力規制庁の職員にも指示した」と述べた。

*2:http://www.minyu-net.com/news/news/0825/news9.html
(2013年8月25日 福島民友ニュース) 「旧保安院が開口承認」 排水弁運用で東電が謝罪
 東京電力の相沢善吾副社長・原子力・立地本部長は24日、県庁で内堀雅雄副知事に会い、高濃度汚染水が漏れた地上タンク群を囲むコンクリート堰で排水弁を全て開けていた運用について「間違い」と認め、謝罪する一方、旧原子力安全・保安院の承認を受けていた経緯も明らかにした。東電、旧保安院が堰の役割を十分認識して運用していれば外部漏出は最小限に抑えられた可能性が高い。相沢副社長は「(人員確保のため)現場の判断があった。(弁を)閉めていると雨が降るたびに水を出しにいかなければならない」と述べた。タンクの見回りは8人の作業員で1日2回だったが、人員不足を背景に作業員の負担軽減のため開けていた可能性がある。今後、人員増強など具体策を詰めるとしている。

*3:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309010256.html
(朝日新聞 2013年9月2日) 配管からも汚染水漏出 福島第一、タンク見回りを増員
 東京電力福島第一原発の4カ所のタンク付近から高い放射線量が検出された問題で、東電は1日、このうち1カ所で新たな汚染水漏れを確認したと発表した。タンク間をつなぐ配管の継ぎ目からで、タンク本体だけでなく、配管にも危険が潜む現状が浮き彫りになった。東電は2日以降、見回りの作業員をこれまでの10人程度から60人まで大幅に増やす。漏れが見つかったのは、先月19日に約300トンの汚染水漏れが分かったタンクがある「H4」と呼ばれる区画から、南西に約100メートル離れた「H5」区画。31日に見回り中の作業員が継ぎ目部分の外側の保温材を押したところ、水滴が落ち、床面を測ると毎時約230ミリシーベルトを検出。保温材を外したところ、配管とタンクをつなぐ継ぎ目部分から約90秒に1滴の割合で漏れているのを見つけた。継ぎ目のボルトを締めると漏れは止まったという。また、31日に表面で毎時1800ミリシーベルトが検出された「H3」区画のタンクを1日にあらためて調べたところ同1100ミリシーベルトだった一方、同じタンクの反対側で同1700ミリシーベルトを検出した。ただ、主に透過力が弱いベータ線で、防護すれば遮蔽(しゃへい)できる。東電は今後、このタンクの汚染水を別のタンクに移す方針。

*4:http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130902k0000e040158000c.html
(毎日新聞 2013年9月2日) 福島第1原発:事前の対策に不備 原子力学会が最終報告案
 東京電力福島第1原発事故を調べている日本原子力学会の事故調査委員会(委員長=田中知・東京大教授)は2日、「津波や過酷事故への対策が適切に実施されていれば事故は避け得た」などとする最終報告書原案の概要を東京都内で開いた会員向けの説明会で公表した。3日から青森県で開かれる大会でも報告し、会員からの意見を踏まえて年内にも最終報告書をまとめる。学会事故調は昨年6月に発足。約50人の専門家が既存の公表データを中心に事故進展や現場対応、事前の備えなどを調査した。原案では、事故の直接原因について、津波や過酷事故への事前の対策の不備を挙げた。機器などの設計で「すべての機能は電源があることが前提となっていた」ことを「根本的過ち」と指摘。最初に水素爆発を起こした1号機の非常用復水器(IC)が機能しなかった要因について「ICの機能への認識があいまいで、作動経験に乏しかったため」と結論付けた。
 こうした事前の備えの不備の背景として、事業者や規制当局の安全意識の欠如に加え、「専門家が狭い専門に閉じこもり、システムとしての安全に見落としがあった」ことなどを挙げた。一方、事故後の現場対応については「問題点は認められるが、極限状況での人間の対応には限界があり、総合的には標準以上」と評価した。

*5:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013090302000238.html
(東京新聞 2013年9月3日) 東電、費用公表に難色 「四方遮水壁 1000億円規模」
 東京電力福島第一原発の汚染水問題で、福島県民らでつくる福島原発告訴団は三日、東電が汚染水対策として原発地下の四方に遮水壁を造るのが「最も有力」と位置付けながら、一千億円規模の費用や着工時期を公表しない方針を記していた内部文書を入手したと発表した。遮水壁は結局、海側にしか設置されていない。告訴団は同日、汚染水漏れは管理のずさんさが招いた公害だとして、この内部文書のコピーなどを添え、公害犯罪処罰法違反容疑で東電幹部らの告発状を福島県警に提出した。
 告訴団によると、入手したのは原発事故から約三カ月後の二〇一一年六月に、東電から政府側にあてた内部文書という。発電所の四方に壁を造って遮水する「地下バウンダリ」という対策について、基本仕様や記者発表の対応方針が書いてある。このうち「基本仕様について」と表題のある文書は、1~4号機原子炉建屋などの地中の四方を囲む遮水壁の工事は設計がまとまり次第、着手する予定とし、「高濃度の滞留水(汚染水)をこれ以上海洋に流出させないために、『後追いにならない備え』とする」と明記している。だが、併せて作成されたとみられる記者発表に関する文書では、遮水壁は設計次第で一千億円規模の工事費がかかる可能性があり、「仮に一千億円レベルの更なる債務計上を余儀なくされることになれば、市場から債務超過に一歩近づいたとの厳しい評価を受ける可能性が大きい。是非回避したい」と記述。発表する際は着手時期や費用を「今後の調査・設計次第で不明」とする方針を伝え、政府側に理解を求めている。
 地下の四方に造るはずだった遮水壁は海側にしか造られず、東電側はこの設置費も公表していない。東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は先月の会見で「建屋地下の汚染水は地下水位との微妙なバランスで管理している。不用意に陸側に壁を造ると、バランスを崩す恐れがあった。技術的側面の判断で、決して予算面での判断ではなかった」と強調していた。東電はこの文書について本紙の取材に回答せず、告発状については「コメントは控える」としている。

*6:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF03004_T00C13A9MM0000/?dg=1
(日経新聞 2013/9/3) 福島原発、汚染水対策に470億円 政府が基本方針 遮水壁、建設前倒し
<政府の主な汚染水対策>
■体制・資金
・経済産業省や国土交通省などが関係閣僚会議を設置。東京電力や地元と連携する現地事務所を新設し、国の担当官が常駐
・総額470億円を投入。うち2013年度予算の予備費を210億円つかい、対策を前倒し
■対  策
・建屋を凍った土で覆う遮水壁の設置(320億円)
・汚染水から放射性物質を取り除く装置を新設(150億円)

 東京電力福島第1原子力発電所から高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏れている問題で、政府は3日、総額で約470億円の国費を投じ政府主導で解決する方針を固めた。国の全額負担で原子炉建屋への地下水の流入を遮断する凍土壁を設置するほか、汚染水を浄化する装置も増設する。東京電力主体の従来の対策よりも前倒しで事態を解決できるようにする。3日に開いた原子力災害対策本部で汚染水対策の基本方針を示した。安倍晋三首相は「世界中が注視している。政府一丸となって取り組みたい」と述べた。対策費は凍土壁の建設費で320億円、浄化装置の開発費で150億円と見積もった。対策費のうち約210億円は2013年度予算の予備費でまかない、年度内に対策に取りかかる。約2年の工期がかかる凍土壁の建設を前倒しする。
 凍土壁は建屋のまわりの土を冷却剤の循環により凍らせて地下水の浸透を防ぐ設備。原発内にたまった汚染水を浄化する多核種除去設備(ALPS)も、東電が設置する3系統に加え、国が高機能な浄化設備を増設する。
 汚染水対策に向けた体制も強化する。従来は経済産業省や原子力規制庁が汚染水問題に対処していたが、国土交通省や農林水産省も加えた関係閣僚会議を発足させる。地下水や土壌改良の専門家を集め、政府一丸で対策にあたる態勢を整える。東電や地元との連携を深めるため、国の現地事務所も新設。福島第1原発の周辺に常駐する担当官を増やし、情報収集や対策協議を密にする。
 基本方針には、▽建屋に流れ込む地下水のくみ上げ▽地下坑道(トレンチ)にたまっている高濃度汚染水の除去▽汚染水の海への漏洩を抑えるための地盤改良――などを盛り込んだ。個々の対策の実施計画も明らかにし、早期解決に向けた姿勢を内外に示す。
 東電は7月下旬、福島第1原発から汚染水が海洋に流出している可能性を認め、流出量を1日300トンと推計した。対策は後手に回り、8月には汚染水をためるタンクからの漏洩が見つかるなど事態は悪化の一途をたどっていた。
 原子力規制委員会は汚染水問題が、国際原子力事象評価尺度(INES)でレベル3(重大な異常事象)に相当するとの評価を決定。国内外に懸念が広がっているため、政府は「対策を東電任せにせず、国が前面に立つ」(安倍首相)との姿勢を打ち出していた。

| 原発::2013.7~9 | 04:34 PM | comments (x) | trackback (x) |

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