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2014.2.17 農業の所得倍増には、大規模化・自動化によるコスト削減、ブランド化・高度加工による高付加価値化、未利用資源の資源化が有効である。(2014.2.18追加あり)
    
*2-2より           竹林の繁茂と森林への浸入

(1)食料自給率向上と所得倍増は重要
 このブログの2014年1月8日に記載したとおり、日本の食料自給率は39%で、フランスの121%やドイツの93%よりも大きく下回っている。これは、世界人口が急速に増え、世界規模で工業化が進む中、わが国だけが「工業製品を輸出して食料を輸入する」という方式をとることが不合理であることを示しており、日本が食料自給率を上げることは重要だ。

 また、日本で農業の就業者がこれまで減少し続けてきたのは、農業所得が他産業と比較して低かったり、不安定だったりしたことが原因であるため、大規模化や先端技術の導入によって生産性を向上させ、生産物の付加価値を上げて所得を増やし、農業を魅力的な産業にすることが必要であり、その結果が「所得倍増」で出てくると思う。

(2)輸入飼料を使う畜産は食料自給率向上に貢献していない
 現在、わが国では、食用米は殆ど日本産であるため食料自給率は100%だが、パンは原料の小麦が殆ど輸入であるため食料自給率は1%、同じく中華めん3%、スパゲティー3%などとなっている。また、畜産は飼料がほぼ海外からの輸入であるため、食料自給率は、鶏肉7%、豚肉5%、牛肉10%(http://www.foodpanic.com/index2.html参照)と低くなっており、為替と穀物価格の変動によって、大きな打撃を受ける状況だ。

 そのため、飼料の自給率を上げて安定した畜産経営を行う目的で、*2-1のように、飼料米を使う方法が進められている。また、*2-2のように、人が飼料米を刈って狭い家畜小屋に入れた家畜のいるところへ運ぶよりも、水田や草原に放牧する方が手間が省け、家畜にとっても健康的だろう。そのためには、地域に、適度な飼料作物や牧場と畜産の組み合わせが必要である。

 なお、*2-3では、「米国やオーストラリアなどの輸出国は『アメリカン・ビーフ』『オージー・ビーフ』など、国ごとにまとまって販売戦略を打ち出す一方、日本では同じ品目でも「A県産」「B県産」と産地ごとの小さい単位で輸出に取り組んでいる」とされているが、米国産やオーストラリア産のような大きなくくりにすると、品質と価格を最低に合わせなければならないため、高級品ではなく普及品にしかならない。しかし、日本産の牛肉は、各産地で努力して品質を高め、ブランド化して高い価格で販売しているものが多いため、国でまとめて販売するのは適当でない。

 また、牛のBSE全頭検査をやめてアメリカ産に揃え、フクシマでは原発事故が起こったため、「日本産」の牛肉は原発のないオーストラリア産よりリスクが高く、放射性物質含有可能性の高い安全面で劣った製品になったのである。そのため、産地を統一して日本産とすれば、西日本産まで買い手がつかず価格が安くなるのだ。そして、これは風評ではなく、原発事故の現実による農業被害なのである。

(3)所得倍増のためには
①生産性の向上
 生産性の向上とは、人間の単位労働時間当たりの収益額を増やすことである。その方法には、大規模化、機械化、先端技術の導入などがあり、それを行うためには投資が必要だ。そこで、国は、農業の担い手を決め、担い手に土地を集中させようとしているが、*1のように、「担い手」をめぐっては、地域ぐるみで生産体制を発展させていく方向か、一部の大規模な担い手に一層の規模拡大をさせ企業参入を許すかという見解の違いがある。しかし、ごく一部の担い手だけでは、その地域の農業、農地、環境を守ることはできないため、「担い手」は、地域ぐるみで生産体制を発展させていく方向にすべきだと、私は思う。

②高付加価値化と農業における女性の視点の重要性
 *1-2のように、九州で、大分県国東半島宇佐地域世界農業遺産推進協議会と熊本県阿蘇地域世界農業遺産推進協会が、両地域の女性農業者による交流会を開き、農業遺産認定を追い風に、両地域の女性が手を組んで、地域の農産物や食文化を国内外に発信し、ブランド化や農業の発展につなげていこうと確認したそうである。

 農業は、主に食品を作る産業であるため、消費者の使い方を予測して生産を行うことができる女性は、優秀な農業者になれるし、加工もうまい。そのため、第一線に出るのが遅すぎたくらいだが、女性農業者の活躍は農業の高付加価値化に貢献すると考える。

③ブランド化
 ブランド化の典型は、「松坂牛」「魚沼産コシヒカリ」「関サバ、関アジ」だが、利益率が高くなるため、最近は、どの地域もブランド化に熱心で、実際に価値の高い農水産物が多くなった。

④竹など未利用資源の資源化
 *3-1のように、政府は竹材を使った紙類をグリーン購入法の対象に位置付け、これにより竹材の活用が促進され、放置竹林対策と地域活性化に繋がることになった。つまり、今まで邪魔物とされていた竹材の利用法が開発され、未利用の資源が資源化されて、地域の得られる利益が増えたわけである。

 また、*3-2のように、九州工業大大学院生命体工学研究科(北九州市)の西田治男教授(高分子化学)が、竹繊維を使ったプラスチック材料を開発し、文部科学省が「大学発新産業創出拠点プロジェクト」に採択したそうだ。これは、建築資材や自動車部品などへの活用が期待され、普及が進むことで放置竹林対策にも繋がり、未利用資源の竹が利益を生むので、地域の得られる利益が増えるわけである。

*1-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=25596
(日本農業新聞 2014/1/22) 基本計画見直し 改革へ担い手明らかに
 食料・農業・農村基本計画の見直し論議が下旬に始まる。一連の農政改革を具体的にどう実践し、農業・農村の所得倍増につなげていくかが課題で、農業者の経営にも直結する重要な検討作業になる。食料自給率の向上も大きな焦点だ。農政改革の羅針盤とする上で、誰が取り組みの中心的な役割を担うのかが鍵となる。地域の総力を引き出す必要性を踏まえ、審議での明確化を求めたい。政府は昨年12月に、農業改革の今後10年間のグランドデザインとなる農林水産業・地域の活力創造プランを策定した。経営所得安定対策や米政策の見直し、農地中間管理機構(農地集積バンク)の整備、日本型直接支払いの創設を政府全体として最終決定したのも同プランだ。他に6次産業化や輸出倍増、次世代型施設園芸の推進といった政策を網羅する。重要なのは、同プランが「農山漁村の有する潜在力を十分に引き出すことにより、農業・農村全体の所得を今後10年間で倍増させることを目指す」と明記したことだ。政策の柱は出そろったが、どうすれば所得倍増につながるのか、同プランでは道筋が明確でない。そもそも「農業・農村全体の所得」とは何を指すのか、現時点でよく分からないのが実態だ。誰が担い手かという大事な軸が据わっていないため、改革が目指す10年後の農業・農村の姿もイメージできない。農政改革の実行が急がれるが、どのような将来像を描くのか、羅針盤を示すことが最優先だ。
 担い手の在り方をめぐっては、この間の農政改革論議でも異なる考えがぶつかり合った。地域ぐるみの生産体制を発展させていく方向か、ごく一部の大規模な担い手に対し一層の規模拡大や企業参入を重視するかという立場の違いは、今も火種を残す。こうした宿題は、規制改革会議や産業競争力会議の議論とともに、食料・農業・農村基本計画の検討作業に引き継がれる。同プラン自体も、基本計画の見直しの中で将来ビジョンとなる農業構造や経営展望を具体的に示すよう求めている。本来なら目指すべき農業・農村の姿を描き、その上で実現に必要な政策を議論するのが筋だ。今回は“目的”の前に“手段”が決まり、検討手順には違和感を覚える。ただ、裏を返せば、基本計画が同プランに魂を込めるということでもあり、これからが勝負の議論になる。
 食料自給率の向上に向けた議論も注目だ。これには国全体での生産力強化が欠かせず、麦・大豆や飼料用米など戦略作物の増産に向けた水田フル活用を展開していく上でも、農地や担い手、作物の在り方を地域で議論し、総力挙げて取り組むことが重要だ。規制改革会議などが目指すような一部企業がビジネスとして農業で成功するだけでは、目標実現には直結しない。自給率が高まっていない現実も直視し、具体的で地に足着いた議論を求めたい。

*1-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=25724
(日本農業新聞 2014/1/30) 世界農業遺産2地域 農業女性がタッグ 大分・国東宇佐と熊本・阿蘇
 ふるさとの世界農業遺産認定をきっかけに、女性の力で農村の文化や食の豊かさを発信――。大分県の国東半島宇佐地域世界農業遺産推進協議会と熊本県の阿蘇地域世界農業遺産推進協会は29日、阿蘇市内で両地域の女性農業者による交流会を開いた。認定を追い風に両地域の女性が手を組み、地域の農産物や食文化を国内外に発信、ブランド化や農業の発展につなげていこうと確認した。世界農業遺産に認定された両地域が共同で、生産者の交流会を開くのは初めて。国東半島宇佐地域の同協議会長でシイタケ農家の林浩昭さん(53)は「地域の農産物の良さを一番知っているのは女性たち。おいしい食べ方やPRの方法を共有して、活躍の場を広げてほしい」とエールを送った。交流会にはJA大分県女性協やJAおおいた管内の女性部、JA阿蘇女性部など女性組織代表も出席。地産地消や食農教育、グリーン・ツーリズムなどの活動を共有した。国東半島の豊後高田市でかんきつなど果樹を栽培するJA大分県女性協会長の永松カズ子さん(67)は「国東半島宇佐と阿蘇で農業や文化は違うが、農と食をつなげるのは女性の役目。アイデアやノウハウを共有し、両地域の発展につなげよう」を提唱。施設園芸農家でJA阿蘇女性部長の栃原清子さん(64)も「今回の交流会で生まれた交流をのちのちまでつなげ、知名度を国内外に浸透させよう」と呼び掛けた。会場では、国東半島宇佐地域から持参した特産の干しシイタケやネギ、かんきつなどを使った「しいたけのバター焼き」や「白ネギのサラダ」などを披露。阿蘇地域は特産のあか牛やタカナを使い「赤牛ステーキサラダ」や「高菜めし」を紹介した。

*2-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=25911
(日本農業新聞 2014/2/11) 飼料米要望6万7000トン 畜産農家を調査 衆院予算委で農相
 林芳正農相は10日の衆院予算委で、2014年産の飼料用米について、現在までに畜産農家から約6万7000トンの利用要望が寄せられていることを明らかにした。また農地中間管理機構(農地集積バンク)について、「3月から4月にかけて相当数の都道府県で立ち上がる」との見通しを示した。いずれも自民党の宮腰光寛・農業基本政策検討プロジェクトチーム座長への答弁。農水省は飼料用米の利用拡大に向け、作る側の耕種農家と、利用する側の畜産農家のマッチング(結び付け)活動を行っており、林農相は現時点での状況を説明した。同省は、毎年8万トンずつ需要が減る傾向にある主食用米の生産数量目標の減少分を飼料用米に振り向ける方針で、目安として5年で40万トン程度の生産を目指している。また農地中間管理機構について林農相は「都道府県で早期に立ち上げられるよう、準備をお願いしてきた」と強調。これに対し、宮腰氏は「(都道府県によって)取り組みに濃淡がある」としてさらに働き掛けを強化するよう求めた。一方、安倍晋三首相は米の生産調整の見直しについて「(農家が)マーケット(市場)を見ながら自らの経営判断で(作物を)生産できるようにしていくことで、消費者への米の安定供給、米の生産性向上、所得増大を図っていく」と述べた。麦・大豆や飼料用米などの生産振興による水田フル活用で、米の需給安定を確保していく考えを示したとみられる。また安倍首相は、政府の規制改革会議などが検討しているJAや農業委員会、農業生産法人の在り方については「さらに議論を深め、具体的な農業改革の推進について、結論を得ることにしている」と述べるにとどめた。ただ「岩盤にドリルを入れること自体が目的ではなくて、そこから新たな天地を開いていくのが目的だ」と語った。いずれも宮腰氏への答弁。

*2-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=25904
(日本農業新聞 2014/2/11) 水田放牧こうして 手引書普及版HPで公開 中央農研
 農研機構・中央農業総合研究センターは10日、水田放牧の研究成果をまとめた手引書「水田放牧の手引き―水田飼料資源の効率的利用と畜産経営の発展に向けて」の普及版を同センターのホームページ(HP)で公開した。水田放牧によるコスト低減や繁殖成績の向上、規模拡大効果などを掲載している。同機構プロジェクト研究「飼料イネ活用型周年放牧モデルの開発」で得られた成果を作成した。全7ページで5章からなる。水田放牧に適した牧草や飼料稲の放牧利用技術、リスク管理方法、衛生管理上の注意点などをまとめた。普及版では水田放牧による繁殖牛の栄養・繁殖への影響を掲載した。水田通年放牧実証経営の繁殖牛の分娩間隔は360日前後と全国平均より繁殖成績は良好。子牛の生時体重も33キロを超え放牧開始前よりも増加したという。飼料用稲の立毛放牧の実績も紹介。イタリアンライグラスやバヒアグラスなどの牧草と飼料稲を組み合わせることで、放牧期間を1月末まで延長できる。実証圃場で飼料稲専用品種「タチアオバ」や「たちすずか」を栽培したところ、10アール当たり150日頭以上の高い牧養力を挙げたという。手引書の請求など問い合わせは同センター、(電)029(838)8414。

*2-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=25912 
(日本農業新聞 2014/2/11) 農産品輸出1兆円へ 物流改革で産地連携 品目ごと時期調整 農水・国交省検討会
 農水省は農林水産品輸出額1兆円の目標に向け、物流対策に乗り出した。これまで産地ごとにばらばらだった物の流れを整理することで、輸送費を削減しようとする試みだ。農水省の狙いの根底には、単に輸送費削減にとどまらない、「産地ばらばら」から「オールジャパン」への意識改革がある。農産品は、各産地がそれぞれ輸出商社を通じて輸出するが、実際に物を運ぶ段階では同じ系列の物流会社を使っていることがある。産地ごとに少量の荷物を送るよりも、複数の産地で連携し、時期を調整しながらまとまった量を定期的に送る方が輸送費の削減につながる。こうした観点から、物流を所管する国土交通省と農水省が1月末、共同で物流検討会を立ち上げ、共同輸送が可能かどうかを探っている。物流の面からコスト削減に取り組むことで、産地を超えて連携する利点を示したいという思惑がある。米国やオーストラリアなどの輸出国は「アメリカン・ビーフ」「オージー・ビーフ」など国ごとにまとまって販売戦略を打ち出す一方、日本では同じ品目でも「A県産」「B県産」と産地ごとの小さい単位で輸出に取り組んでいる。販売ルートも産地によって違う。また産地間で輸出時期を調整しないため、たとえばある国でA県、B県、C県の同じ果実が特定の時期に集中し、逆に他の時期には全くないなどの問題が出ている。産地ではこうした問題を認識しつつも、「産地を超えて連携すると、具体的にどんな利点があるのか分からない」(農水省輸出促進グループ)のが現状だという。農水省は昨年8月、輸出額1兆円に向けて国別・品目別の戦略を作り、米、牛肉など、大きく8品目ごとに金額目標を設定した。目標達成のためには同じ品目を作る産地が垣根を越えてまとまり、戦略の点検や、課題の検討が欠かせない。品目ごとにゆるやかな連携をつくれないか検討を重ねている。

*3-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=25933
(日本農業新聞 2014/2/12) 竹材活用へ弾み グリーン購入法対象に 政府 
 政府は、国が環境に優しい製品やサービスの利用に努めることなどを定めたグリーン購入法の基本方針を見直し、新たに竹材を使った紙類を同法の対象に位置付けた。これにより竹材の活用が促進され、放置林対策につながるとの期待がある。
●地域活性、放置林対策も
 同法は、環境に負担が少ない製品、サービスを国や地方公共団体、独立行政法人などが率先して購入する仕組み。持続可能な社会の構築を目指す一環だ。今回の見直しで竹パルプを「間伐材等」とし、新たに竹紙が購入の対象となった。環境省は「資源の有効活用や放置林対策の観点から、竹パルプを同法に位置付けた」と理由を話す。林野庁によると、竹林の面積は13.8万ヘクタール。これとは別に手入れを放置したことなどにより約27万ヘクタールの森林に竹が侵入している。竹材生産量は、2000年の約60万トンから10年には約29万トンに減少したが、11、12年は一転して増加。製紙用の利用が本格化したことが追い風となり、約36万トンになった。生産量の約半分は鹿児島で、製紙用が約7割を占める。竹材の利用について議論を進めてきた自民党の木質バイオマス・竹資源活用議員連盟の会長を務める宮路和明氏(衆・比例九州)は「環境にとって良い影響を及ぼす製品だ、とのお墨付きを与えてもらった。竹パルプの活用に弾みがつく」と期待する。

*3-2:http://qbiz.jp/article/31256/1/
(西日本新聞 2014年1月29日) 竹ファイバーで強化プラスチック 九工大が新材料開発
 九州工業大大学院生命体工学研究科(北九州市)の西田治男教授(高分子化学)が、竹繊維を使ったプラスチック材料を開発した。しなやかな竹の繊維を混ぜることで強度が増し、熱による変形が抑制されるといい、建築資材や自動車部品などへの活用が期待される。西田教授は「普及が進むことで放置竹林対策にもつながる」と話している。竹の繊維を使った布や紙製品は実用化されているが、プラスチック化は珍しく、文部科学省が「大学発新産業創出拠点プロジェクト」に採択。実用のめどが立ったため、西田教授は2014年度中に法人を設立し、事業化を支援する。竹の有効活用の研究は09年に開始。10年以降はタケノコの産地として知られる北九州市や福岡県八女市の支援も受け、複合材料の開発に取り組んできた。竹から繊維を取り出すには、高温の圧力容器内で加減圧を繰り返したり、薬品で溶かし出したりするが、コストが高かった。西田教授は圧力容器を使わず、竹に水蒸気を当て繊維周辺の物質を分解する手法に着目。220度前後の水蒸気を1時間〜1時間半当てて細かく粉砕し、繊維を取り出す方法を確立した。複合材料には、竹繊維を30〜50%配合。プラスチックより堅い竹繊維を混ぜることで、複合材料は曲げ強度が2倍に増したほか、熱による膨張も10分の1程度になった。静電気を帯びにくい性質もあり、既に北九州市の自動車部品メーカー2社が製品化の可能性を調査。竹の粉末は月産100トンで通常のプラスチックより価格が安くなるため、大手素材メーカーからも問い合わせが来ているという。事業化を支援するDBJキャピタル(東京)の山口泰久投資部長は「建築資材のほか、優れた帯電防止性を生かし半導体のクリーンルームで使う樹脂製品などにも活用できるのではないか」と期待している。林野庁によると、九州の竹林面積は1981年の約5万5千ヘクタールから2012年には約6万4400ヘクタールに拡大。増えた分は放置竹林とみられる。竹は、地中の浅い部分に地下茎を伸ばすため、地滑りの危険性を高めるとの指摘もある。


PS(2014.2.18追加):なお、*3-3のように、ジビエも邪魔にされていた鳥害獣を資源を利用し、発展可能性の大きなものである。

*3-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26007 
(日本農業新聞 2014/2/17)  [鳥獣害と闘う] ジビエでおもてなし 23日まで食べ歩き JR長野駅前飲食店グループ
 長野市のJR長野駅前の飲食店グループが17日から23日、地元で捕獲された野生鳥獣肉(ジビエ)の料理で“おもてなし”する「ジビエウィーク」を開く。ピザ、煮込み料理など30品を超すメニューを考案して各店が提供。スタンプラリーでの食べ歩きなども企画し、消費者に「信州ジビエ」をPRする。ジビエウィークは、市内で18日に開かれる「全国ジビエサミット」に合わせて開催。飲食店組合「長野しまんりょ会」の賛同店舗が県内の食肉処理施設で加工したイノシシや鹿の肉を使った創作料理を提供する。気軽にジビエを楽しめるよう、500円のメニューを中心に用意。食べ歩き企画やアンケート、景品プレゼントを実施する。参加店の居酒屋「鶴亀」では、地元のJAグリーン長野女性部が加工した「シカ肉味噌」を使ったピザや、イノシシの空揚げなどを販売。同店料理人の二本松孝洋さん(24)は、「ジビエが初めてという人も食べやすいよう工夫した」と勧める。取り組みは、同市の猟師やJAグリーン長野、飲食店が連携する「若穂食のモデル地域実行協議会」の活動の一環。飲食店はJA女性部とともに、数回にわたり研修を通じ、ジビエの特性や調理法の研究を重ねた。

| 農林漁業::2014.2~7 | 10:55 AM | comments (x) | trackback (x) |

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