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2014.8.30 原発事故時に、経営者の指示で原発技術者を現場に留まらせると、電離放射線障害防止規則等違反になるため、東電の経営者は原発技術者全員の撤退を主張したのかも・・ (2014.9.10に追加あり)
 
            2014.8.30東京新聞より
(1)どちらが真実か – フクイチで原発技術者は待機命令に背いて撤退したのか
 *1-1でスポニチが報じているように、産経新聞が、朝日新聞が報じていた吉田調書の内容のうち「福島第1原発にいた所員の9割が、吉田所長の待機命令に背いて福島第2原発に撤退した」という記事を、調書の一部を独占入手して、「所員が吉田所長の命令に違反して勝手に現場を離れたことはなく、朝日新聞の言う撤退はなかった」と報じ、雑誌等にも朝日新聞を攻撃する論調の記事が多い。

 しかし、*1-2で、読売新聞が報じているように、吉田所長は第一原発内での退避を指示したにもかかわらず、所員の多くが第二原発に避難したのであるから、所員の9割が、その時点の吉田所長の待機命令に背いて第2原発に撤退したというのが正しい。

 なお、9割撤退の適法性・妥当性については、全員が第一原発に残っている必要はなかっただろうし、もし技術者が第一原発に残っていれば、*3-2の電離放射線障害防止規則第4条に規定されている「事業者は、管理区域内において放射線業務に従事する労働者(以下「放射線業務従事者」という。)の受ける実効線量が5年間につき100mSvを超えず、かつ1年間につき50ミリシーベルトを超えないようにしなければならない(フクシマ事故後、250mSvに緩和された)」に反するため、東電の経営者は技術者全員に撤退を指示したのかもしれない。そのため、菅首相(当時)が、「全員撤退なんてあり得ない」と言って現場に乗り込んだのだと思われるが、この辺の話のあやが、一連の出来事の原因だろう。

 また、*1-3の神戸新聞に書かれているとおり、吉田調書は、未曽有の原発被害をもたらした事故に関して、国民が共有すべき公共財であり、事故の解明に重要なものであるため、公開されるのが当然で、これまで非公開とされてきたのがおかしいと考える。

(2)原子力関係者は、常に危険で命のかかった仕事に従事しているという認識と覚悟が必要
 *2の西日本新聞記事は、原子力の復活の為には、原発への負のイメージで就職志望が激減したら困ると記載されている。しかし、既に原発を稼働させていながら廃炉や使用済核燃料の最終処分技術は開発途上というのは「優秀な人材」からは程遠い無責任さで、事故後も吉田調書等の突き合わせにより事故原因を究明して解決策を考えるということはなかった。そのような中で、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけることこそ、無責任で希望のないことである。

 そして、これまでは高いレベルの人材を維持してきたということだが、それでも嘘と秘密が多く事故原因の究明すら速やかにできない原子力分野に、これからも優秀な人材を投入して人材を腐らせるのは賢い選択ではない。むしろ、今後は、数少ない優秀な人材は過去の分野で殺すのではなく、新しい分野に誘導するのが望ましいと考える。

(3)被曝の許容限度と被曝管理
     
               *3-1より                ヘルファンド医師の発言
 *3-1で、2011年6月16日にNHKが放送しているように、原発作業員は被曝に直面し、被曝すれば健康を害するので、被曝管理が必要である。また、*3-2の電離放射線障害防止規則第9条では 「事業者は、一日における外部被ばくによる線量が1センチメートル線量当量について1ミリシーベルトを超えるおそれのある労働者については、前条第1項の規定による外部被曝による線量の測定の結果を毎日確認しなければならない」と規定されている。そして、これは、現在、関東の一般住民よりも低い値だ。

<フクイチで原発技術者は撤退したのか>
*1-1:http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/303306/ (スポニチ 2014年8月21日) 慰安婦報道に続き朝日Wパンチ…福島原発「撤退誤認」リーク元は政府か
 過去の従軍慰安婦報道について事実誤認を認めた朝日新聞が、さらなる窮地に陥った。18日付の産経新聞で、先に朝日新聞が報じた「吉田調書」の内容について明確に否定する内容が報じられたのだ。吉田調書とは、2011年3月11日の東日本大震災で東京電力福島第1原発が危機的状況に陥った際の、吉田昌郎所長(享年58)と政府のやりとりを記した極秘文書だ。朝日新聞は5月20日付の紙面で「所長命令に違反 原発撤退」というタイトルで、震災直後の3月15日に第1原発にいた所員の9割に当たる約650人が、吉田所長の待機命令に背いて10キロ南の福島第2原発に撤退したと報じた。これに産経新聞は調書の一部を独占入手した上で、吉田所長の命令に違反し所員が勝手に現場を離れたことはないと断定。吉田所長から「退避」は指示されたものの、朝日新聞の言う「撤退」はなかったと強調した。8月19日の朝日新聞デジタルは、朝日新聞社が8月18日付で朝日新聞社の名誉と信用を傷つけたとして、産経新聞の東京編集局長と産経新聞に記事を書いたジャーナリストに抗議書を送ったと報じた。朝日新聞といえば、従軍慰安婦の存在を広めながら、最近になって「確認できなかった」と一部の記事が事実誤認であることを認めたばかり。その矢先に吉田調書でも大失態を演じたことから、ネット上では「また朝日か」「いい加減にしろ」と大ブーイングが飛び交っている。事実、慰安婦の事実誤認以降、年間購読している一般購読者の解約が後を絶たないという。同紙関係者は「一般読者だけでなく、企業も『慰安婦の誤報は許せない』と広告出稿を控える事態になっている。社内でも深刻な問題として捉えている」と話す。しかも、今回の産経新聞の記事は、政府がお膳立てしなければ成立しない内容。別の関係者によると「吉田調書は安倍政権下のトップシークレット。それが漏れるということは政府が産経に橋渡ししたとしか思えない。政府が朝日新聞を潰そうとしているのでは」と推測する。慰安婦報道に続き、吉田調書でダブルパンチを食らった朝日に明日はあるのか――。

*1-2: http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140829-OYT1T50151.html
(読売新聞 2014年8月30日) 原発事故調書、吉田元所長「全面撤退」強く否定
 東京電力福島第一原子力発電所事故を巡り、政府の事故調査・検証委員会が吉田昌郎(まさお)元所長(昨年7月死去)から聴取した記録の全容が29日、明らかになった。吉田氏は事故発生4日後の2011年3月15日に、所員が福島第二原発に避難したことを正しい判断だったと証言。東電が「全面撤退」を検討したという事実は強く否定した。政府は9月上旬にも吉田氏の調書を公開する予定だ。吉田氏への聴取は11年7月から11月、事故収束作業の拠点「Jヴィレッジ」と福島第一原発の免震重要棟で計13回、延べ27時間以上にわたり行われた。調書は、質問に吉田氏が答える形で、A4判で約400ページにまとめられた。こうした証言をもとに政府事故調は報告書を作成した。

*1-3:http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201408/0007272516.shtml
(神戸新聞 2014/8/26) 吉田調書/「公共財」の公開は当然だ
原発事故で政府の事故調査・検証委員会が関係者から集めた聴取結果書(調書)が、公開されることになった。公開に否定的だった政府が姿勢を一転させた。事故当時、東京電力福島第1原発所長だった故吉田昌郎氏の調書が複数の報道機関に断片的に取り上げられ、偏った内容が独り歩きする懸念が強まったためだとしている。事故調が聴取した関係者は772人に上り、これらの証言によって2012年7月、政府の事故調査報告書が作成された。しかし、各調書が公開されることはなかった。未曽有の被害をもたらした事故に関する証言は国民が共有すべき公共財であり、公開されるべきものだ。非公開としてきた政府の対応はおかしい。吉田氏は事故の最前線で陣頭指揮したキーパーソンである。11年3月11日の地震発生と津波の襲来、全電源喪失による1~3号機の炉心溶融、さらに1、3、4号機の水素爆発、放射能拡散など、経験したことのない原発事故と向き合い、文字通り死を賭して闘った。吉田氏への聴取は11年7月から11月にかけて計13回、30時間近く行われた。官邸にいた東電や原子力安全・保安院(当時)の幹部らは情報収集や、どう対応すべきか判断する能力に欠けていた。そのため、菅直人首相が原発に出向き、吉田所長から直接、状況を聞くに至った。吉田調書には、首相とのやりとりや、本店の命に反して海水の注水を続行させた経緯、福島第1の所員たちに発した退避命令と意図しなかった所員らの行動などについても語られているとみられる。吉田氏の記憶の曖昧な部分も含め利害得失によらない証言を明らかにすることは、真相究明と再発防止に不可欠だ。他の調書と照らし合わせ突き詰めることで、より真相に近づくこともできるだろう。原発事故には依然、未解明な点が多い。高濃度汚染水に阻まれ、原子炉内の様子がはっきりしない。政府事故調が報告書で求めた原子炉建屋内の地震動の影響調査も手つかずになっている。汚染水対策の出口も見通せない。要するに、原因究明も事故の後始末もこれからなのだ。重要なのは、調書の公開を真相究明に役立てる政府の姿勢である。原発の再稼働を急ぐ安倍政権に、その意思があるかないかが問われる。

<原子力産業には負のイメージは当然>
*2:http://qbiz.jp/article/44598/1/
(西日本新聞 2014年8月26日) 原子力産業、負のイメージに就職志望が激減
◆人材不足
 福島の原発事故以降、原子力産業には負のイメージがつきまとう。ただ、原発の廃炉や使用済み核燃料の最終処分などの技術開発は途上で、今後も多くの人材が必要。関係者からは「原発が動かない状況が続けば、やりがいや魅力のある仕事だと感じてもらえず、優秀な人材が集まらなくなる」と将来を憂う声が出ている。日本原子力研究開発機構の原子力人材育成センター(茨城県東海村)によると、福島の事故以降、全国の大学で原子力を学ぶ学生は目立って減ってはいないが、就職先として原子力業界を志望する学生は激減。特に、電気や機械など原子力以外の分野を学んだ学生の間で原子力離れが進み、就職セミナーを開いても参加者が集まりにくいという。九州で唯一、原子力のカリキュラムがある九州大学工学部エネルギー科学科。前身の応用原子核工学科時代から、電力会社や電機メーカーに多くの卒業生を送り出してきたが、講義を持つ九大大学院工学研究院の出光一哉教授(原子力工学)は「原子力を学ぶ学生たちがやる気や使命感を持ち続けるのは、簡単ではない」と声を落とす。「今だからこそ原子力を学びたい」と進学してくる学生もいるが、福島の事故以降、一部の原子力燃料メーカーや原子炉点検会社は新卒採用を中止。専門分野を生かせる就職先の減少が、入学希望者の減少につながりかねないと心配する。4月に閣議決定された中長期的なエネルギー政策の指針となる国の「エネルギー基本計画」は、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけながら「依存度は可能な限り低減させる」とあいまいな表現にとどめた。困難な作業となる福島第1原発の廃炉作業に加え、老朽原発の廃炉時代到来に備え「高いレベルの原子力技術・人材の維持が必要」としているが、国が原発の将来像の議論を避けたままでは、人材育成や技術開発に支障が出る可能性がある。

<被曝の許容限度と被曝管理>
*3-1:http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/87038.html
(NHK 2011年6月16日) 時論公論 「原発作業員 被ばく管理強化を」  
●福島第一原発で働く作業員の被ばくが深刻になってきている。国の被ばく許容限度の250mSvを超える大量の被ばくをした可能性のある作業員は、今週6人増えて8人に。今後さらに増えるおそれもあり、作業員が十分に確保できなければ収束作業に影響がでることが心配。なぜ作業員は大量の被ばくをすることになったのか、東京電力の被ばく管理体制のどこに問題があったのか、今夜の時論公論は作業員の被ばく管理について水野倫之解説委員。
●東電によりますとこれまでに許容限度の250mSvを超えたか、その可能性が高い作業員は8人、今回の事故が起こる前の原発作業員の上限値の100mSvを超えている作業員は100人に。
●被ばくには放射線がからだの外から当たる外部被ばくと、体内に取り込んだ放射性物質による内部被ばくがある。内部被ばくの方が影響が続くため危険性は高いとされている。許容限度を超えた作業員はいずれも内部被ばくが大半を占め、最大で678mSvに。8人はいずれも東電の社員で、1号機がメルトダウンした事故当日から数日間、中央制御室などで計測機器の復旧作業を行っていた。
●ではなぜ大量の被ばくをしてしまったのか。そこには東電の、想定や被ばく管理体制の甘さが。当時原発はすべての電源が失われ、中央制御室も含めて真っ暗に。電源が長期間、喪失することが想定されていなかったため、放射線量や放射性物質の濃度を自動的に測定できなくなり、発電所内がどれだけ汚染されているのか十分に把握されなかった。こうした中でも、原子炉は一刻も早く冷却しなければならず、作業員たちは様々な作業を強いられた。今回のように燃料が溶融する事故では大量の放射性物質が放出され、防護服を着ても放射線は透過してくるため、外部被ばくは避けられない。これに対して放射性物質を取り込む内部被ばくは、規則に従ってマスクやゴーグルをきちんとすればほぼ完全に防ぐことができる。つまり今回の大量被ばくは適正に被ばく管理が行われていれば防げた。しかし作業員は事故直後、マスクを適切にしていなかった可能性があり、その際に放射性のヨウ素などを吸い込んだと見られている。また放射性のヨウ素は、被ばくが予想される前にヨウ素剤を服用することで体内にとどまることを防ぎ、被ばくを減らす効果があるが、今回作業員が服用したのは事故の2日後、1号機が水素爆発を起こした後だった。被ばくの管理者は作業員に対してマスク着用の指示をしたのかどうか、いつ指示をして徹底されていたのかどうか、ヨウ素剤服用のタイミングは適切だったのかどうかなどについて事故調査委員会の場で早く検証して今後にいかしていかなければならない。
●では600ミリシーベルトをこえる被ばくは人体にどんな影響があるのか。放射線の影響については一度に大量に被ばくした場合に白血球が減少するなどすぐに現れる急性の影響と、がんになる確率が上がるといった将来の影響がある。今回は一度に大量に浴びたわけではなく、これまでのところ作業員に健康上の問題は見つかっていない。内部被ばくで問題になるのは将来の影響。原爆で被爆した人たちの追跡調査から、累積で100ミリシーベルトを超えると、将来がんになる確率が0.5%上がることが分かっており、600mSvでは3%程度上がることになるものと見られる。今、健康に問題がないからといって油断することなく、将来にわたってがん検診など継続的に健康診断をしていくことが重要。その際、作業員個人に任せるのではなく東電が検診の機会を設けたり費用を負担するなど、責任を持って対応していくことを求めたい。
●しかしそれ以上に今回の問題が深刻なのは、いまだ作業員の被ばくの全体像が把握できておらず、今後さらに多くの被ばく作業員を出しかねない状況にあること。現場での作業にはこれまでにおよそ7800人が携わってきました。東電はこのうち放射性物質が大量に放出された3月に作業していた3726人の内部被ばくの検査を優先して進めているが、事故から3か月たっても全員の検査は終わっていない。いまだに1400人の作業員は正確な被ばく状況が不明なまま作業を続けており、今後の検査結果によっては大量被ばくの作業員が増える恐れも。
●ではなぜ検査が遅れているのか。内部被ばくの測定にはホールボディカウンターと呼ばれる、体内にとりこまれた放射性物質が出す放射線をセンサーで測定する大がかりな装置が必要。福島第一原発にもともと設置されていた装置は事故で使えなくなり、東電は、福島第2原発に設置されているものと、研究機関から借り受けたあわせて4台で対応。しかし1人の測定に数十分、結果が出るまでに1週間かかることもあって、なかなか進んでいない。
●ただ測定に手間がかかることはもともとわかっていたこと。しかし東電が、ホールボディカウンターによる検査を本格的に始めたのは4月に入ってから。収束作業を優先させ、作業員の安全管理についての対応が後手にまわってしまったため、いまだに1400人について測定結果が得られていない。東電は厚生労働省の指導を受けて、内部被ばくが100mSvを超えた作業員については現場の作業から外すことにしているほか、マスクの指導を徹底させたので今後、大量被ばくの作業員が大幅に増えることはないとしている。
しかし今週も、作業員がマスクに放射性物質を取り除くフィルターを付けずに作業したため、内部被ばくしたことが明らかに。フィルターがついていないのは外見ですぐにわかるが、被ばく管理を行う社員が装備のチェックをしたのかどうかはっきりしない。
●今後、大量被ばくの作業員を出さないためにも被ばく管理体制を強化することが重要。そのためにもまずは測定器を増やして被ばく量を把握する必要があるが、装置は大掛かりですぐに配備するのは難しい状況。ただ全国には電力や研究機関や病院などにあわせて100台余りのホールボディカウンターがある。これらの空き時間に福島の作業員の測定をすることが考えられる。ただ測定器を扱える技術者が足らない。放射性物質の特性やグラフの読み取りなどある程度専門的な知識をもった人材を育成する必要。茨城県にある原子力機構ではこうした人材を育成する研修を適宜行っており、政府が主導し、東電の社員などに研修を受けさせて人材を確保する取り組みが求められる。また、福島第一原発では被ばくの管理を行う社員は80人余りしかおらず、作業員全員の装備をチェックしたり、すべての作業現場に同行するのが難しい状況。東電はほかの電力会社の被ばく管理者に応援を依頼するなどして、体制を充実させていくことが求められる。
●福島第一原発では現在も1日およそ2400人の作業員が収束に向けた作業に当たっている。過酷な状況が続けば、作業員の確保が難しくなり、来年1月までに事故を収束させるという工程にも影響が出かねない。作業員の安全を優先した収束作業を求めたい。

*3-2:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47F04101000041.html
電離放射線障害防止規則 (昭和四十七年九月三十日労働省令第四十一号)
最終改正:平成二五年七月八日厚生労働省令第八九号
 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)及び労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)の規定に基づき、並びに同法を実施するため、電離放射線障害防止規則を次のように定める。
 第一章 総則(第一条・第二条)
 第二章 管理区域並びに線量の限度及び測定(第三条―第九条)
 第三章 外部放射線の防護(第十条―第二十一条)
 第四章 汚染の防止
  第一節 放射性物質(事故由来放射性物質を除く。)に係る汚染の防止(第二十二条―第四十一条の二)
  第二節 事故由来放射性物質に係る汚染の防止(第四十一条の三―第四十一条の十)
 第四章の二 特別な作業の管理(第四十一条の十一―第四十一条の十四)
 第五章 緊急措置(第四十二条―第四十五条)
 第六章 エツクス線作業主任者及びガンマ線透過写真撮影作業主任者(第四十六条―第五十二条の四の五)
 第六章の二 特別の教育(第五十二条の五―第五十二条の八)
 第七章 作業環境測定(第五十三条―第五十五条)
 第八章 健康診断(第五十六条―第五十九条)
 第九章 指定緊急作業従事者等に係る記録等の提出(第五十九条の二)
 第十章 雑則(第六十条―第六十二条)
 附則
   第一章 総則
(放射線障害防止の基本原則)
第一条  事業者は、労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めなければならない。
(定義等)
第二条  この省令で「電離放射線」(以下「放射線」という。)とは、次の粒子線又は電磁波をいう。
一  アルフア線、重陽子線及び陽子線
二  ベータ線及び電子線
三  中性子線
四  ガンマ線及びエツクス線
2  この省令で「放射性物質」とは、放射線を放出する同位元素(以下「放射性同位元素」という。)、その化合物及びこれらの含有物で、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一  放射性同位元素が一種類であり、かつ、別表第一の第一欄に掲げるものであるものにあつては、同欄に掲げる放射性同位元素の種類に応じ、同表の第二欄に掲げる数量及び第三欄に掲げる濃度を超えるもの
二  放射性同位元素が一種類であり、かつ、別表第二の第一欄に掲げるものであるものにあつては、同欄に掲げる放射性同位元素の種類に応じ、同表の第二欄に掲げる数量を超えるもの。ただし、その濃度が七十四ベクレル毎グラム以下の固体のもの及び密封されたものでその数量が三・七メガベクレル以下のものを除く。
三  放射性同位元素が二種類以上であり、かつ、そのいずれもが別表第一の第一欄に掲げるものであるものにあつては、次のいずれにも該当するもの
イ 別表第一の第一欄に掲げる放射性同位元素のそれぞれの数量の同表の第二欄に掲げる数量に対する割合の和が一を超えるもの
ロ 別表第一の第一欄に掲げる放射性同位元素のそれぞれの濃度の同表の第三欄に掲げる濃度に対する割合の和が一を超えるもの
四  放射性同位元素が二種類以上であり、かつ、前号に掲げるもの以外のものにあつては、別表第一の第一欄又は別表第二の第一欄に掲げる放射性同位元素のそれぞれの数量の別表第一の第二欄又は別表第二の第二欄に掲げる数量に対する割合の和が一を超えるもの。ただし、その濃度が七十四ベクレル毎グラム以下の固体のもの及び密封されたものでその数量が三・七メガベクレル以下のものを除く。
3  この省令で「放射線業務」とは、労働安全衛生法施行令 (以下「令」という。)別表第二に掲げる業務(第五十九条の二に規定する放射線業務以外のものにあっては、東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則 (平成二十三年厚生労働省令第百五十二号。以下「除染則」という。)第二条第七項第一号 に規定する土壌等の除染等の業務、同項第二号 に規定する廃棄物収集等業務及び同項第三号 に規定する特定汚染土壌等取扱業務を除く。)をいう。
4  令別表第二第四号の厚生労働省令で定める放射性物質は、第二項に規定する放射性物質とする。
   第二章 管理区域並びに線量の限度及び測定
(管理区域の明示等)
第三条  放射線業務を行う事業の事業者(第六十二条を除き、以下「事業者」という。)は、次の各号のいずれかに該当する区域(以下「管理区域」という。)を標識によつて明示しなければならない。
一  外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が三月間につき一・三ミリシーベルトを超えるおそれのある区域
二  放射性物質の表面密度が別表第三に掲げる限度の十分の一を超えるおそれのある区域
2  前項第一号に規定する外部放射線による実効線量の算定は、一センチメートル線量当量によつて行うものとする。
3  第一項第一号に規定する空気中の放射性物質による実効線量の算定は、一・三ミリシーベルトに一週間の労働時間中における空気中の放射性物質の濃度の平均(一週間における労働時間が四十時間を超え、又は四十時間に満たないときは、一週間の労働時間中における空気中の放射性物質の濃度の平均に当該労働時間を四十時間で除して得た値を乗じて得た値。以下「週平均濃度」という。)の三月間における平均の厚生労働大臣が定める限度の十分の一に対する割合を乗じて行うものとする。
4  事業者は、必要のある者以外の者を管理区域に立ち入らせてはならない。
5  事業者は、管理区域内の労働者の見やすい場所に、第八条第三項の放射線測定器の装着に関する注意事項、放射性物質の取扱い上の注意事項、事故が発生した場合の応急の措置等放射線による労働者の健康障害の防止に必要な事項を掲示しなければならない。
(施設等における線量の限度)
第三条の二  事業者は、第十五条第一項の放射線装置室、第二十二条第二項の放射性物質取扱作業室、第三十三条第一項(第四十一条の九において準用する場合を含む。)の貯蔵施設、第三十六条第一項の保管廃棄施設、第四十一条の四第二項の事故由来廃棄物等取扱施設又は第四十一条の八第一項の埋立施設について、遮蔽壁、防護つい立てその他の遮蔽物を設け、又は局所排気装置若しくは放射性物質のガス、蒸気若しくは粉じんの発散源を密閉する設備を設ける等により、労働者が常時立ち入る場所における外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計を一週間につき一ミリシーベルト以下にしなければならない。
2  前条第二項の規定は、前項に規定する外部放射線による実効線量の算定について準用する。
3  第一項に規定する空気中の放射性物質による実効線量の算定は、一ミリシーベルトに週平均濃度の前条第三項の厚生労働大臣が定める限度に対する割合を乗じて行うものとする。
(放射線業務従事者の被ばく限度)
第四条  事業者は、管理区域内において放射線業務に従事する労働者(以下「放射線業務従事者」という。)の受ける実効線量が五年間につき百ミリシーベルトを超えず、かつ、一年間につき五十ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。
2  事業者は、前項の規定にかかわらず、女性の放射線業務従事者(妊娠する可能性がないと診断されたもの及び第六条に規定するものを除く。)の受ける実効線量については、三月間につき五ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。
第五条  事業者は、放射線業務従事者の受ける等価線量が、眼の水晶体に受けるものについては一年間につき百五十ミリシーベルト、皮膚に受けるものについては一年間につき五百ミリシーベルトを、それぞれ超えないようにしなければならない。
第六条  事業者は、妊娠と診断された女性の放射線業務従事者の受ける線量が、妊娠と診断されたときから出産までの間(以下「妊娠中」という。)につき次の各号に掲げる線量の区分に応じて、それぞれ当該各号に定める値を超えないようにしなければならない。
一  内部被ばくによる実効線量については、一ミリシーベルト
二  腹部表面に受ける等価線量については、二ミリシーベルト
(緊急作業時における被ばく限度)
第七条  事業者は、第四十二条第一項各号のいずれかに該当する事故が発生し、同項の区域が生じた場合における放射線による労働者の健康障害を防止するための応急の作業(以下「緊急作業」という。)を行うときは、当該緊急作業に従事する男性及び妊娠する可能性がないと診断された女性の放射線業務従事者については、第四条第一項及び第五条の規定にかかわらず、これらの規定に規定する限度を超えて放射線を受けさせることができる。
2  前項の場合において、当該緊急作業に従事する間に受ける線量は、次の各号に掲げる線量の区分に応じて、それぞれ当該各号に定める値を超えないようにしなければならない。
一  実効線量については、百ミリシーベルト
二  眼の水晶体に受ける等価線量については、三百ミリシーベルト
三  皮膚に受ける等価線量については、一シーベルト
3  前項の規定は、放射線業務従事者以外の男性及び妊娠する可能性がないと診断された女性の労働者で、緊急作業に従事するものについて準用する。
(線量の測定)
第八条  事業者は、放射線業務従事者、緊急作業に従事する労働者及び管理区域に一時的に立ち入る労働者の管理区域内において受ける外部被ばくによる線量及び内部被ばくによる線量を測定しなければならない。
2  前項の規定による外部被ばくによる線量の測定は、一センチメートル線量当量及び七十マイクロメートル線量当量(中性子線については、一センチメートル線量当量)について行うものとする。ただし、次項の規定により、同項第三号に掲げる部位に放射線測定器を装着させて行う測定は、七十マイクロメートル線量当量について行うものとする。
3  第一項の規定による外部被ばくによる線量の測定は、次の各号に掲げる部位に放射線測定器を装着させて行わなければならない。ただし、放射線測定器を用いてこれを測定することが著しく困難な場合には、放射線測定器によつて測定した線量当量率を用いて算出し、これが著しく困難な場合には、計算によつてその値を求めることができる。
一  男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性にあつては胸部、その他の女性にあつては腹部
二  頭・頸部、胸・上腕部及び腹・大腿部のうち、最も多く放射線にさらされるおそれのある部位(これらの部位のうち最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性にあつては胸部・上腕部、その他の女性にあつては腹・大腿部である場合を除く。)
三  最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が頭・頸部、胸・上腕部及び腹・大腿部以外の部位であるときは、当該最も多く放射線にさらされるおそれのある部位(中性子線の場合を除く。)
4  第一項の規定による内部被ばくによる線量の測定は、管理区域のうち放射性物質を吸入摂取し、又は経口摂取するおそれのある場所に立ち入る者について、三月以内(一月間に受ける実効線量が一・七ミリシーベルトを超えるおそれのある女性(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)及び妊娠中の女性にあつては一月以内)ごとに一回行うものとする。ただし、その者が誤つて放射性物質を吸入摂取し、又は経口摂取したときは、当該吸入摂取又は経口摂取の後速やかに行うものとする。
5  第一項の規定による内部被ばくによる線量の測定に当たつては、厚生労働大臣が定める方法によつてその値を求めるものとする。
6  放射線業務従事者、緊急作業に従事する労働者及び管理区域に一時的に立ち入る労働者は、第三項ただし書の場合を除き、管理区域内において、放射線測定器を装着しなければならない。
(線量の測定結果の確認、記録等)
第九条  事業者は、一日における外部被ばくによる線量が一センチメートル線量当量について一ミリシーベルトを超えるおそれのある労働者については、前条第一項の規定による外部被ばくによる線量の測定の結果を毎日確認しなければならない。
2  事業者は、前条第三項又は第五項の規定による測定又は計算の結果に基づき、次の各号に掲げる放射線業務従事者の線量を、遅滞なく、厚生労働大臣が定める方法により算定し、これを記録し、これを三十年間保存しなければならない。ただし、当該記録を五年間保存した後において、厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときは、この限りでない。
一  男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性の実効線量の三月ごと、一年ごと及び五年ごとの合計(五年間において、実効線量が一年間につき二十ミリシーベルトを超えたことのない者にあつては、三月ごと及び一年ごとの合計)
二  女性(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)の実効線量の一月ごと、三月ごと及び一年ごとの合計(一月間に受ける実効線量が一・七ミリシーベルトを超えるおそれのないものにあつては、三月ごと及び一年ごとの合計)
三  人体の組織別の等価線量の三月ごと及び一年ごとの合計
四  妊娠中の女性の内部被ばくによる実効線量及び腹部表面に受ける等価線量の一月ごと及び妊娠中の合計
3  事業者は、前項の規定による記録に基づき、放射線業務従事者に同項各号に掲げる線量を、遅滞なく、知らせなければならない。
   第三章 外部放射線の防護
(照射筒等)
第十条  事業者は、エックス線装置(エックス線を発生させる装置で、令別表第二第二号の装置以外のものをいう。以下同じ。)のうち令第十三条第三項第二十二号 に掲げるエックス線装置(以下「特定エックス線装置」という。)を使用するときは、利用線錐の放射角がその使用の目的を達するために必要な角度を超えないようにするための照射筒又はしぼりを用いなければならない。ただし、照射筒又はしぼりを用いることにより特定エックス線装置の使用の目的が妨げられる場合は、この限りでない。
2  事業者は、前項の照射筒及びしぼりについては、厚生労働大臣が定める規格を具備するものとしなければならない。
(ろ過板)
第十一条  事業者は、特定エツクス線装置を使用するときは、ろ過板を用いなければならない。ただし、作業の性質上軟線を利用しなければならない場合又は労働者が軟線を受けるおそれがない場合には、この限りでない。
(間接撮影時の措置)
第十二条  事業者は、特定エックス線装置を用いて間接撮影を行うときは、次の措置を講じなければならない。ただし、エックス線の照射中に間接撮影の作業に従事する労働者の身体の全部又は一部がその内部に入ることがないように遮へいされた構造の特定エックス線装置を使用する場合は、この限りでない。
一  利用するエックス線管焦点受像器間距離において、エックス線照射野が受像面を超えないようにすること。
二  胸部集検用間接撮影エックス線装置及び医療用以外(以下「工業用等」という。)の特定エックス線装置については、受像器の一次防護遮へい体は、装置の接触可能表面から十センチメートルの距離における自由空気中の空気カーマ(次号において「空気カーマ」という。)が一回の照射につき一・〇マイクログレイ以下になるようにすること。
三  胸部集検用間接撮影エックス線装置及び工業用等の特定エックス線装置については、被照射体の周囲には、箱状の遮へい物を設け、その遮へい物から十センチメートルの距離における空気カーマが一回の照射につき一・〇マイクログレイ以下になるようにすること。
2  前項の規定にかかわらず、事業者は、次の各号に掲げる場合においては、それぞれ当該各号に掲げる措置を講ずることを要しない。
一  受像面が円形でエックス線照射野が矩形の場合において、利用するエックス線管焦点受像器間距離におけるエックス線照射野が受像面に外接する大きさを超えないとき。 前項第一号の措置
二  医療用の特定エックス線装置について、照射方向に対し垂直な受像面上で直交する二本の直線を想定した場合において、それぞれの直線におけるエックス線照射野の縁との交点及び受像面の縁との交点の間の距離(以下この号及び次条第二項第三号において「交点間距離」という。)の和がそれぞれ利用するエックス線管焦点受像器間距離の三パーセントを超えず、かつ、これらの交点間距離の総和が利用するエックス線管焦点受像器間距離の四パーセントを超えないとき。 前項第一号の措置
三  第十五条第一項ただし書の規定により、特定エックス線装置を放射線装置室以外の場所で使用する場合 前項第二号及び第三号の措置
四  間接撮影の作業に従事する労働者が、照射時において、第三条の二第一項に規定する場所に容易に退避できる場合 前項第三号の措置
(透視時の措置)
第十三条  事業者は、特定エックス線装置を用いて透視を行うときは、次の措置を講じなければならない。ただし、エックス線の照射中に透視の作業に従事する労働者の身体の全部又は一部がその内部に入ることがないように遮へいされた構造の特定エックス線装置を使用する場合は、この限りでない。
一  透視の作業に従事する労働者が、作業位置で、エックス線の発生を止め、又はこれを遮へいすることができる設備を設けること。
二  定格管電流の二倍以上の電流がエックス線管に通じたときに、直ちに、エックス線管回路を開放位にする自動装置を設けること。
三  利用するエックス線管焦点受像器間距離において、エックス線照射野が受像面を超えないようにすること。
四  利用線錐中の受像器を通過したエックス線の空気中の空気カーマ率(以下「空気カーマ率」という。)が、医療用の特定エックス線装置については利用線錐中の受像器の接触可能表面から十センチメートルの距離において一五〇マイクログレイ毎時以下、工業用等の特定エックス線装置についてはエックス線管の焦点から一メートルの距離において一七・四マイクログレイ毎時以下になるようにすること。
五  透視時の最大受像面を三・〇センチメートル超える部分を通過したエックス線の空気カーマ率が、医療用の特定エックス線装置については当該部分の接触可能表面から十センチメートルの距離において一五〇マイクログレイ毎時以下、工業用等の特定エックス線装置についてはエックス線管の焦点から一メートルの距離において一七・四マイクログレイ毎時以下になるようにすること。
六  被照射体の周囲には、利用線錐以外のエックス線を有効に遮へいするための適当な設備を備えること。
2  前項の規定にかかわらず、事業者は、次の各号に掲げる場合においては、それぞれ当該各号に掲げる措置を講ずることを要しない。
一  医療用の特定エックス線装置について、透視時間を積算することができ、かつ、透視中において、一定時間が経過した場合に警告音等を発することができるタイマーを設ける場合 前項第二号の措置
二  受像面が円形でエックス線照射野が矩形の場合において、利用するエックス線管焦点受像器間距離におけるエックス線照射野が受像面に外接する大きさを超えないとき。 前項第三号の措置
三  医療用の特定エックス線装置について、照射方向に対し垂直な受像面上で直交する二本の直線を想定した場合において、それぞれの直線における交点間距離の和がそれぞれ利用するエックス線管焦点受像器間距離の三パーセントを超えず、かつ、これらの交点間距離の総和が利用するエックス線管焦点受像器間距離の四パーセントを超えないとき。 前項第三号の措置
四  第十五条第一項ただし書の規定により、特定エックス線装置を放射線装置室以外の場所で使用する場合 前項第四号から第六号までの措置
(標識の掲示)
第十四条  事業者は、次の表の上欄に掲げる装置又は機器については、その区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる事項を明記した標識を当該装置若しくは機器又はそれらの付近の見やすい場所に掲げなければならない。
装置又は機器 掲示事項
サイクロトロン、ベータトロンその他の荷電粒子を加速する装置(以下「荷電粒子を加速する装置」という。) 装置の種類、放射線の種類及び最大エネルギー
放射性物質を装備している機器(次の項に掲げるものを除く。) 機器の種類、装備している放射性物質に含まれた放射性同位元素の種類及び数量(単位ベクレル)、当該放射性物質を装備した年月日並びに所有者の氏名又は名称
放射性物質を装備している機器のうち放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和三十二年法律第百六十七号)第十二条の五第二項に規定する表示付認証機器又は同条第三項に規定する表示付特定認証機器(これらの機器に使用する放射線源を交換し、又は洗浄するものを除く。) 機器の種類並びに装備している放射性物質に含まれた放射性同位元素の種類及び数量(単位ベクレル)
(放射線装置室)
第十五条  事業者は、次の装置又は機器(以下「放射線装置」という。)を設置するときは、専用の室(以下「放射線装置室」という。)を設け、その室内に設置しなければならない。ただし、その外側における外部放射線による一センチメートル線量当量率が二十マイクロシーベルト毎時を超えないように遮へいされた構造の放射線装置を設置する場合又は放射線装置を随時移動させて使用しなければならない場合その他放射線装置を放射線装置室内に設置することが、著しく、使用の目的を妨げ、若しくは作業の性質上困難である場合には、この限りでない。
一  エックス線装置
二  荷電粒子を加速する装置
三  エックス線管若しくはケノトロンのガス抜き又はエックス線の発生を伴うこれらの検査を行う装置
四  放射性物質を装備している機器
2  事業者は、放射線装置室の入口に、その旨を明記した標識を掲げなければならない。
3  第三条第四項の規定は、放射線装置室について準用する。
第十六条  削除
(警報装置等)
第十七条  事業者は、次の場合には、その旨を関係者に周知させる措置を講じなければならない。この場合において、その周知の方法は、その放射線装置を放射線装置室以外の場所で使用するとき、又は管電圧百五十キロボルト以下のエックス線装置若しくは数量が四百ギガベクレル未満の放射性物質を装備している機器を使用するときを除き、自動警報装置によらなければならない。
一  エックス線装置又は荷電粒子を加速する装置に電力が供給されている場合
二  エックス線管若しくはケノトロンのガス抜き又はエックス線の発生を伴うこれらの検査を行う装置に電力が供給されている場合
三  放射性物質を装備している機器で照射している場合
2  事業者は、荷電粒子を加速する装置又は百テラベクレル以上の放射性物質を装備している機器を使用する放射線装置室の出入口で人が通常出入りするものには、インターロックを設けなければならない。
(立入禁止)
第十八条  事業者は、第十五条第一項ただし書の規定により、工業用等のエックス線装置又は放射性物質を装備している機器を放射線装置室以外の場所で使用するときは、そのエックス線管の焦点又は放射線源及び被照射体から五メートル以内の場所(外部放射線による実効線量が一週間につき一ミリシーベルト以下の場所を除く。)に、労働者を立ち入らせてはならない。ただし、放射性物質を装備している機器の線源容器内に放射線源が確実に収納され、かつ、シャッターを有する線源容器にあつては当該シャッターが閉鎖されている場合において、線源容器から放射線源を取り出すための準備作業、線源容器の点検作業その他必要な作業を行うために立ち入るときは、この限りでない。
2  前項の規定は、事業者が、撮影に使用する医療用のエックス線装置を放射線装置室以外の場所で使用する場合について準用する。この場合において、同項中「五メートル」とあるのは、「二メートル」と読み替えるものとする。
3  第三条第二項の規定は、第一項(前項において準用する場合を含む。次項において同じ。)に規定する外部放射線による実効線量の算定について準用する。
4  事業者は、第一項の規定により労働者が立ち入ることを禁止されている場所を標識により明示しなければならない。
(透過写真の撮影時の措置等)
第十八条の二  事業者は、第十五条第一項ただし書の規定により、特定エックス線装置又は透過写真撮影用ガンマ線照射装置(ガンマ線照射装置で、透過写真の撮影に用いられるものをいう。以下同じ。)を放射線装置室以外の場所で使用するとき(労働者の被ばくのおそれがないときを除く。)は、放射線を、労働者が立ち入らない方向に照射し、又は遮へいする措置を講じなければならない。
(放射線源の取出し等)
第十八条の三  事業者は、透過写真撮影用ガンマ線照射装置を使用するときは、放射線源送出し装置(操作器(ワイヤレリーズを繰り出し、及び巻き取る装置をいう。)、操作管(ワイヤレリーズを誘導する管をいう。)及び伝送管(放射線源及びワイヤレリーズを誘導する管をいう。以下同じ。)により構成され、放射線源を線源容器から繰り出し、及び線源容器に収納する装置をいう。以下同じ。)を用いなければ線源容器から放射線源を取り出してはならない。
2  事業者は、前項の規定にかかわらず、放射線装置室内で透過写真撮影用ガンマ線照射装置を使用するときは、放射線源送出し装置以外の遠隔操作装置を用いて線源容器から放射線源を取り出すことができる。
第十八条の四  事業者は、放射線源送出し装置を有する透過写真撮影用ガンマ線照射装置を使用するときは、次に定めるところによらなければならない。
一  伝送管の移動は、放射線源を線源容器に確実に収納し、かつ、シヤツターを有する線源容器にあつては当該シヤツターを閉鎖した後行うこと。
二  利用線錐の放射角が当該装置の使用の目的を達するために必要な角度を超えないようにし、かつ、利用線錐以外のガンマ線の空気カーマ率をできるだけ小さくするためのコリメーター等を用いること。ただし、コリメーター等を用いることにより当該装置の使用の目的が妨げられる場合は、この限りでない。
(定期自主検査)
第十八条の五  事業者は、透過写真撮影用ガンマ線照射装置については、一月以内ごとに一回、定期に、次に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一月を超える期間使用しない当該装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。
一  線源容器のシヤツター及びこれを開閉するための装置の異常の有無
二  放射線源のホルダーの固定装置の異常の有無
三  放射線源送出し装置を有するものにあつては、当該装置と線源容器との接続部の異常の有無
四  放射線源送出し装置又は放射線源の位置を調整する遠隔操作装置を有するものにあつては、当該装置の異常の有無
2  事業者は、前項ただし書の装置については、その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。
第十八条の六  事業者は、透過写真撮影用ガンマ線照射装置については、六月以内ごとに一回、定期に、線源容器のしやへい能力の異常の有無について自主検査を行わなければならない。ただし、六月を超える期間使用しない当該装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。
2  事業者は、前項ただし書の装置については、その使用を再び開始する際に、線源容器のしやへい能力の異常の有無について自主検査を行わなければならない。
(記録)
第十八条の七  事業者は、前二条の自主検査を行つたときは、次の事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。
一  検査年月日
二  検査方法
三  検査箇所
四  検査の結果
五  検査を実施した者の氏名
六  検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容
(点検)
第十八条の八  事業者は、透過写真撮影用ガンマ線照射装置を初めて使用するとき、当該装置を分解して改造若しくは修理を行つたとき、又は当該装置に使用する放射線源を交換したときは、第十八条の五第一項各号に掲げる事項及び線源容器のしやへい能力の異常の有無について点検を行わなければならない。
(補修等)
第十八条の九  事業者は、第十八条の五若しくは第十八条の六の定期自主検査又は前条の点検を行つた場合において、異常を認めたときは、直ちに補修その他の措置を講じなければならない。
(放射線源の収納)
第十八条の十  事業者は、第四十二条第一項第四号の事故が発生した場合において、放射線源を線源容器その他の容器に収納する作業に労働者を従事させるときは、しやへい物を設ける等の措置を講じ、かつ、鉗子等を使用させることにより当該作業に従事する労働者と放射線源との間に適当な距離を設けなければならない。
(放射線源の点検等)
第十九条  事業者は、放射性物質を装備している機器を移動させて使用したときは、使用後直ちに及びその日の作業の終了後当該機器を格納する際に、その放射線源が紛失し、漏れ、又はこぼれていないかどうか、線源容器を有する当該機器にあつては放射線源が確実に当該容器に収納されているかどうか及びシャッターを有する線源容器にあつては当該シャッターが確実に閉鎖されているかどうかを放射線測定器を用いて点検しなければならない。
2  前項の点検により放射線源が紛失し、漏れ、若しくはこぼれていること、放射線源が確実に線源容器に収納されていないこと又は線源容器のシヤツターが確実に閉鎖されていないことが判明した場合には、放射線源の探査、当該容器の修理その他放射線による労働者の健康障害の防止に必要な措置を講じなければならない。
第二十条  削除
第二十一条  削除
   第四章 汚染の防止
    第一節 放射性物質(事故由来放射性物質を除く。)に係る汚染の防止
(放射性物質取扱作業室)
第二十二条  事業者(第四十一条の三に規定する処分事業者を除く。以下この節において同じ。)は、密封されていない放射性物質を取り扱う作業を行うときは、専用の作業室を設け、その室内で行わなければならない。ただし、漏水の調査、昆虫による疫学的調査、原料物質の生産工程中における移動状況の調査等に放射性物質を広範囲に分散移動させて使用し、かつ、その使用が一時的である場合及び核原料物質(原子力基本法 (昭和三十年法律第百八十六号)第三条第三号 に規定する核原料物質をいう。以下同じ。)を掘採する場合には、この限りでない。
2  第三条第四項及び第十五条第二項の規定は、放射性物質取扱作業室(前項の作業室及び同項本文の作業に従事中の者の専用の廊下等をいう。以下同じ。)について準用する。
(放射性物質取扱作業室の構造等)
第二十三条  事業者は、放射性物質取扱作業室の内部の壁、床その他汚染のおそれがある部分については、次に定めるところに適合するものとしなければならない。
一  気体又は液体が浸透しにくく、かつ、腐食しにくい材料でつくられていること。
二  表面が平滑に仕上げられていること。
三  突起、くぼみ及びすきまの少ない構造であること。
(空気中の放射性物質の濃度)
第二十四条  事業者は、核原料物質を坑内において掘採する作業を行うときは、その坑内の週平均濃度の三月間における平均を第三条第三項の厚生労働大臣が定める限度以下にしなければならない。
第二十五条  事業者は、放射性物質取扱作業室及び核原料物質を掘採する坑内を除く事業場内の週平均濃度の三月間における平均を第三条第三項の厚生労働大臣が定める限度の十分の一以下にしなければならない。
(飛来防止設備等)
第二十六条  事業者は、放射性物質を取り扱うことにより、放射性物質の飛沫又は粉末が飛来するおそれのあるときは、労働者とその放射性物質との間に、その飛沫又は粉末が労働者の身体又は衣服、履物、作業衣、保護具等身体に装着している物(以下「装具」という。)に付着しないようにするため板、幕等の設備を設けなければならない。ただし、その設備を設けることが作業の性質上著しく困難な場合において、当該作業に従事する労働者に第三十九条第一項に規定する保護具を使用させるときは、この限りでない。
(放射性物質取扱用具)
第二十七条  事業者は、放射性物質の取扱いに用いる鉗子、ピンセツト等の用具にその旨を表示し、これらを他の用途に用いてはならない。
2  事業者は、前項の用具を使用しないときは、汚染を容易に除去することができる構造及び材料の用具掛け、置台等を用いてこれを保管しなければならない。
(放射性物質がこぼれたとき等の措置)
第二十八条  事業者は、粉状又は液状の放射性物質がこぼれる等により汚染が生じたときは、直ちに、その汚染が拡がらない措置を講じ、かつ、汚染のおそれがある区域を標識によつて明示したうえ、別表第三に掲げる限度(その汚染が放射性物質取扱作業室以外の場所で生じたときは、別表第三に掲げる限度の十分の一)以下になるまでその汚染を除去しなければならない。
(放射性物質取扱作業室内の汚染検査等)
第二十九条  事業者は、放射性物質取扱作業室内の天井、床、壁、設備等を一月を超えない期間ごとに検査し、これらの物が別表第三に掲げる限度を超えて汚染されていると認められるときは、その限度以下になるまで汚染を除去しなければならない。
2  事業者は、前項の物の清掃を行なうときは、じんあいの飛散しない方法で行なわなければならない。
(汚染除去用具等の汚染検査)
第三十条  事業者は、第二十八条若しくは前条第一項の規定による汚染の除去又は同項の物の清掃を行つたときは、その都度、汚染の除去又は清掃に用いた用具を検査し、その用具が別表第三に掲げる限度を超えて汚染されていると認められるときは、その限度以下になるまでは、労働者に使用させてはならない。
2  事業者は、前項の用具を保管する場所に、その旨を明記した標識を掲げなければならない。
3  第二十七条第二項の規定は、第一項の用具について準用する。
(退去者の汚染検査)
第三十一条  事業者は、管理区域(労働者の身体若しくは装具又は物品が別表第三に掲げる限度の十分の一を超えて汚染されるおそれのあるものに限る。以下この条及び次条において同じ。)の出口に汚染検査場所を設け、管理区域において作業に従事させた労働者がその区域から退去するときは、その身体及び装具の汚染の状態を検査しなければならない。
2  事業者は、前項の検査により労働者の身体又は装具が別表第三に掲げる限度の十分の一を超えて汚染されていると認められるときは、前項の汚染検査場所において次の措置を講じなければ、その労働者を管理区域から退去させてはならない。
一  身体が汚染されているときは、その汚染が別表第三に掲げる限度の十分の一以下になるように洗身等をさせること。
二  装具が汚染されているときは、その装具を脱がせ、又は取り外させること。
3  労働者は、前項の規定による事業者の指示に従い、洗身等をし、又は装具を脱ぎ、若しくは取りはずさなければならない。
(持出し物品の汚染検査)
第三十二条  事業者は、管理区域から持ち出す物品については、持出しの際に、前条第一項の汚染検査場所において、その汚染の状態を検査しなければならない。
2  事業者及び労働者は、前項の検査により、当該物品が別表第三に掲げる限度の十分の一を超えて汚染されていると認められるときは、その物品を持ち出してはならない。ただし、第三十七条第一項本文の容器を用い、又は同項ただし書の措置を講じて、汚染を除去するための施設、放射性物質取扱作業室、貯蔵施設、廃棄のための施設又は他の管理区域まで運搬するときは、この限りでない。
(貯蔵施設)
第三十三条  事業者は、放射性物質を貯蔵するときは、外部と区画された構造であり、かつ、扉、蓋等外部に通ずる部分に、鍵その他の閉鎖のための設備又は器具を設けた貯蔵施設において行わなければならない。
2  事業者は、貯蔵施設の外側の見やすい場所に、その旨を明記した標識を掲げなければならない。
3  第三条第四項の規定は、第一項の貯蔵施設について準用する。
(排気又は排液の施設)
第三十四条  事業者は、放射性物質取扱作業室からの排気又は排液を導き、ためておき、又は浄化するときは、排気又は排液がもれるおそれのない構造であり、かつ、腐食し、及び排液が浸透しにくい材料を用いた施設において行なわなければならない。
2  前条第二項の規定は、前項の施設について準用する。
(焼却炉)
第三十五条  事業者は、放射性物質又は別表第三に掲げる限度の十分の一を超えて汚染されていると認められる物(以下「汚染物」という。)を焼却するときは、気体が漏れるおそれがなく、かつ、灰が飛散するおそれのない構造の焼却炉において行わなければならない。
2  第三十三条第二項の規定は、前項の焼却炉について準用する。
(保管廃棄施設) 第三十六条  事業者は、放射性物質又は汚染物を保管廃棄するときは、外部と区画された構造であり、かつ、とびら、ふた等外部に通ずる部分に、かぎその他の閉鎖のための設備又は器具を設けた保管廃棄施設において行なわなければならない。
2  第三条第四項及び第三十三条第二項の規定は、前項の保管廃棄施設について準用する。
(容器)
 第三十七条  事業者は、放射性物質を保管し、若しくは貯蔵し、又は放射性物質若しくは汚染物を運搬し、保管廃棄し、若しくは廃棄のために一時ためておくときは、容器を用いなければならない。ただし、容器に入れることが著しく困難なものについて、外部放射線を遮蔽するため、若しくは汚染の広がりを防止するための有効な措置を講じたとき、又は放射性物質取扱作業室内において運搬するときは、この限りでない。  (以下略)


PS(2014.9.10追加):*4のように、原子力規制委員会が、「安全とは言わない」としながら、「安全対策が新規制基準を満たしているとの審査書を正式に了承した」→「再稼働に向けた安全審査の合格第1号となる」というのは論理的ではなく、何が何でも再稼働しようとする姿勢だ。また、「稼働すれば西日本の電力事情は改善しそうだ」とも書かれているが、九州電力管内は原発なしで既に2夏越しており、九州は自然エネルギーが豊富な上に、夏の方がエネルギーを使うため、原発は不要である。

*4:http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG10003_Q4A910C1MM0000/
(日経新聞 2014/9/10) 川内原発、冬にも再稼働 規制委が審査書を了承
 原子力規制委員会は10日、九州電力川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県)の安全対策が新規制基準を満たしているとの審査書を正式に了承した。再稼働に向けた安全審査の合格第1号となる。一般からの意見募集では火山の噴火を心配する意見などが寄せられたが、可能性は「十分小さい」などとして結論を変えなかった。政府は地元自治体の同意を得やすくするための支援を進めており、今冬にも再稼働する見通しだ。規制委は申請を受け昨年7月に川内原発の審査を始め、九電が示した地震・津波対策や重大事故への対応策などを検討してきた。九電が過去の地震を考慮して川内原発の最大の揺れは620ガル(ガルは加速度の単位)、最大の津波の高さは6メートルと見積もったことについて、規制委はいずれも妥当と判断した。炉心が損傷するような重大事故への対策も十分だとし、審査書で新基準に「適合している」と結論づけた。残る手続きとして、九電は川内原発の改造工事の認可を規制委から取り付け、規制委による現場の検査も受けなければならない。すべての事務的な手続きを終えるには数カ月かかるとみられる。7~8月にかけて実施した国民からの意見募集では「火砕流が到達する可能性がある」などの意見が寄せられた。規制委は「火山事象が敷地に到達する可能性は十分小さい」などと回答した。また「放射性物質の大量放出をもたらす事態を検討しておらず防止策もない」との意見もあった。これについては「総放出量はできるだけ小さくとどめるものであると確認している」などと説明、審査書案の表現の一部を変更するにとどめた。規制委による安全審査が終了し、今後の焦点は自治体や政府の再稼働に向けた判断に移る。再稼働にあたっては、鹿児島県など地元自治体の同意が必要だ。規制委は10月中旬以降、川内原発周辺で開く住民説明会で審査の内容や安全対策などを説明する予定だ。再稼働は冬以降になりそうだ。政府は規制委の審査を合格した原発から順次稼働させる方針だ。川内原発1、2号機は1984年と85年に相次ぎ運転を開始し、2基で九電の全電力供給の1割弱をまかなえる。稼働すれば西日本の電力事情は改善しそうだ。これまでに10電力会社が13原発20基について再稼働に向けた安全審査を規制委に申請している。

| 原発::2014.8~10 | 02:53 PM | comments (x) | trackback (x) |

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