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2015.4.7 それでは、何故、日本企業は利益率が低く、ゼロ金利にしても国内投資が少ないのか (2015.4.8に追加あり)
    
  各国の政策金利     日本の電源構成の推移    電気料金の国際比較 日本のベースロード
                                                    電源の推移

     
   日本の           オランダのソーラーロード          日本の直流・交流 
エネルギー自給率                                  併用システム

(1)各国の政策金利
 上の段の左のグラフで各国の政策金利を比較すると、日本円はいつも最低で、米ドル、スイスフラン、英ポンド、欧州ユーロが1%未満に続き、豪ドルが3%以上で最も高い。2015年現在は、欧州ユーロ(0.05%)が最低になり、日本円(0.1%)、米ドル(0.25%)、英ポンド(0.5%)、豪ドルが(2.25%)と続く。スイスフランは、最近の原油相場下落等を受けたスイスフランへの逃避買いを抑制するために、マイナス0.75%からプラス0.25%とマイナス金利部分を作ったのだそうで、永世中立国の信用できる金融はこのようなプレミアムがあるようだ。

 このように、日本円が世界で最低の金利をずっと続けてきたことは、日本全体として見れば、①大量にある国債や企業の借入金利払いが少なくて済む ②産業が低金利でしか営業できない利益構造になっている ③その結果、運用益で勝負しなければならない年金・保険の業績が低迷している ④個人も金融資産からの収入(預金利息、配当等)が殆どない ⑤実質賃金も下げなければ国際競争に勝てない という状況になっている。

 国としては国債の利払いが少なくて済むのは助かるものの、①②④は、日本全体としては、それだけ生産性の低い事業しかできていないということだ。特に、雇用対策・景気対策として国が支出する歳出には、辺野古の埋め立てや東北のいらない巨大堤防のように、環境を壊して水産資源を減少させるため他の代替案の方が安価で優れているものが多い。また、毎年のように同じ場所を掘り返しても以前と変わらない道路工事や、原発に対する膨大な歳出もある。そして、このように意味がなくむしろ害のある活動にヒト・モノ・カネをつぎ込めばつぎ込むほど、日本全体を平均した生産性は低くなり、それが産業の利益率の低さや平均実質賃金の低さになって国民に跳ねかえってくる。そして、その低金利、低配当の構造は、③のように、年金や保険資産の運用益の低さを招いているのだ。

(2)日本の生産性が低い理由(エネルギー政策を事例として)
1)燃料電池車、水素に対する日本政府の認識と対応
 *1-1のように、三菱自動車に続いてトヨタ自動車が燃料電池車(FCV)「MIRAI」を発売し、ホンダもこれに追随する予定だ。燃料電池車は、水素を燃料とするため排気ガスを出さず、*1-2の下水汚泥から製造した水素をはじめとして自然エネルギー由来の水素など、国産エネルギーで走れる文句なしの車だが、まだ福岡市と北九州市のタクシー会社5社が導入しただけで、いまだに水素ステーションの整備に戸惑っている状況だ。つまり、日本の経産省はじめ政府は、技術が外国に抜かれるまでやらない体質であるため、世界初の技術を開発しても創業者利得を得ることができず、付加価値が低くなるのである。

 なお、*1-3のように、世界では、日本企業のIHI(旧社名:石川島播磨重工業株式会社)とIHIエアロスペースが、航空機でも再生型燃料電池システムを搭載して飛行実証することに成功したそうだ。そのフライト試験では、航空機の離陸前から高度上昇中には燃料電池から電力供給を行い、巡航飛行時に航空機の電源を用いて充電を実施し、発電、充電、発電のサイクルを行うことに成功したそうである。

2)太陽光発電に対する日本政府の認識と対応
 *2-1、*2-2のように、オランダでは、世界初の「発電する道路(ソーラーロード)」の建設が始まり、100m当たり一般家庭3世帯分の電力が得られるそうだ。そのソーラーロードは、極小の結晶シリコン太陽電池をコンクリートにびっしりと埋め込み、その上を半透明の強化ガラスで被って作るそうである。この道路はオランダの全道路の最大5分の1に適応でき、信号や電気自動車への電力供給ができ、5年以内に商業的に実現可能な製品にするとのことである。

 道路は面積が広いので、場所を選んでソーラーロードを設置しても相当の発電量が見込める上、太陽光のうち電気エネルギーになる分は熱エネルギーにならないため、その分は道路の温度が上がらない。そのため、安価な太陽電池材料を開発すれば、道路は無公害で大量の国産エネルギーを生産することができ、国や地方自治体の税外収入になる。従って、オランダでの成功を待つまでもなく、日本でも全力をあげて開発すべきである。

 また、*2-3のように、有機薄膜太陽電池も次第に改良され、ペンキのように壁面に塗って発電することも可能になっている。現在の薄膜太陽電池の変換効率が10%未満でも、ガラスに塗って光の一部をエネルギーに変換する方が好ましい使い方もあるため、早急に建材への安価な利用を可能にすべきだ。

3)次世代の送配電について
 *3-1のように、太陽光発電した電気を家庭で使ったり長距離送電したりするには直流の方が低コストであるため、経産省とシャープが住宅に直流で電気を送って使う実験に成功したそうだ。この実証実験は「北九州スマートコミュニティ創造事業」の一つとして、2013~14年度に実施され、シャープと経産省は住宅1棟の実験で、約15%の省エネ効果を確認したとのことである。現在でも、太陽光発電、電気自動車、テレビ、パソコン、LED電球などは直流であり、その他の電気製品も直流仕様にすることが可能であるため、直流送電にすれば直交変換による電力ロスを防ぐことができる。

 そのような中、*3-2のように、自治体が電力小売りに次々と参入し、再生エネを高く買って安く販売するとのことでよいことである。上下水道と電力をスマートグリッドを使って自治体が安価に販売することにすれば、自治体の税外収入が増えるとともに、そこに立地する企業や移住する住民が増えると思うので、民間企業と協力して知恵を出しあい、推進してもらいたい。

4)次世代送配電に対する大手電力会社と政治の対応
 自然エネルギーで発電した電力を販売するに当たり、今は発送電分離が必要条件だが、*4-1のように、電事連の八木会長(関西電力社長)は発送電分離に懸念を示し、安定供給を維持する制度設計を注文したそうだ。そして、自民党の経済産業部会などが、分離前に電力の安定供給に支障がないかを検証する規定を盛り込み、電力システム改革の総仕上げとしての発送電分離を進める電気事業法改正案を了承したとのことである。

 つまり、上の段の2番目、3番目、4番目のグラフのように、原発は1980年に稼働を開始し、原発が稼働しても日本の電気料金は世界最高であったにもかかわらず、まだ「原発は環境によく、安定電源でコストが安い」として、現在は全く稼働していない原発の再稼働を主張し、“ベースロード電源”にしたのだ。

5)エネルギーに対する経産省と日本の産業界トップの行動
 *4-2のように、経団連は、2030年の電源構成比率に関して、太陽光などの再生可能エネルギーは総発電電力量の15%程度、原発は25%超、火力は60%程度にすることが妥当との提言を発表し、経済性、環境影響、エネルギー安定供給の観点からこの比率を算出したと主張している。

 経団連の榊原会長は、「①再生可能エネルギーは、高コストや発電効率の低さといったマイナス面がある」「②地球温暖化問題に対応するため、再生可能エネルギーや省エネルギーの技術開発に重点支援を行うべき」「③原発は、今後もベースロード電源として大きな役割が期待される」「④廃炉にした原発の敷地内に新たな原発を建設することや安全性が確認された老朽原発の運転延長が必要」とし、経産省の有識者委員会でも、ベースロード電源と位置付ける原発、水力、石炭火力による発電量を2030年に全体の6割程度にするとの見通しが示されている。

 しかし、①は再生可能エネルギーの技術進歩に理解がなさすぎ、②で再生可能エネルギー・省エネルギー技術の開発を言ってはいるものの、③④では原発のコスト高や放射性物質の環境への悪影響を無視しており、原発、水力、石炭火力をベースロード電源としている点で、物理・生物・化学に疎すぎる。そして、このような人たちが意思決定しているのが、技術で一番になっても制度で敗北して日本企業の利益率が低くなる理由なのである。

(3)その他の自動車及び燃料電池技術
 *5-1のように、(外国人社長である)日産自動車のゴーン氏は、2016年に市場投入する自動運転機能を搭載した自動車を同年に日本で売り出すと明らかにした。ゴーン社長は、「日本は大変重要な市場で、このような画期的な技術をできるだけ早く提供したい」と説明され、2016年の自動運転機能は高速道路限定だが、2018年に高速道路での車線変更に対応させ、2020年には市街地でも使えるようにすると表明されており、この技術は、安全性と生産性を同時に上げ、バリアフリーにも役立つだろう。

 また、*5-2のように、長崎大(長崎市)が東京大と共同で、希少元素のリチウムの代わりに豊富にあるナトリウムを使った「ナトリウムイオン電池」を開発し、これにより低コスト化が可能になり、電気自動車(EV)などへの活用も期待されるそうだ。開発者の一人で長崎大工学研究科の森口教授は「リチウムイオン電池と同じ性能で充放電できる。特定国への資源依存を解消できる次世代電池になる」「世界でリチウムの需要はさらに高まる。今後、ナトリウム電池の性能を強化し、企業と連携して実用化を目指したい」としており、原発にしがみついて生産性を下げている人々との対照が際立っている。

(4)人材に対する考え方と労働政策
 以上のように、最先端の研究をするにも、それを経営に反映させるにも、ジェネラリストでは役に立たず、その仕事に対する専門性と情熱が不可欠である。しかし、厚労省は、残業代を支払わない裁量労働制の対象を、デザイナー、コピーライター、研究職、弁護士、大学教授などの専門的な技術・知識を持つ職種と企画・調査分析などの事務職から、一定の専門知識を持って顧客の経営課題の解決につながる提案をする営業職、複雑な保険商品を組み合わせて奨める損保会社の社員、顧客企業に合った基幹システムを提案する営業担当者、企業年金の制度を指南する生保会社の担当者などに広げるのだそうだ。(しかし、企画は、現場をしっかり調査し、現場を知っていなければ役に立つものは出せないため、企画を短時間のひらめきだけでできるアイデア勝負だと考えている人は、よい企画ができない人である)

 つまり、日本の厚労省は、努力して専門性を持つと労働条件を悪くする提案をしており、この考え方が、我が国の生産性の低下や付加価値の低下に繋がっているのだ。これは、ジェネラリストと呼ばれる専門性を持たない人々が中心になって政策を作っているせいだろうが、工場における単純労働者を前提とした時間給中心の現行労働基準法が合わない職種は多いものの、専門性の高さや給料で適用を区分するのは当たっていない。

<燃料電池車と水素>
*1-1:http://qbiz.jp/article/58733/1/
(西日本新聞 2015年3月25日) 福岡で「MIRAIタクシー」全国初登場 5社が導入
 燃料電池車(FCV)の普及を目指す産学官組織「ふくおかFCVクラブ」は25日、FCVを導入した福岡県内のタクシー5社の合同出発式を、福岡市博多区の福岡県庁で開いた=写真。FCVをタクシーで使うのは全国初という。5社は、北九州第一交通(北九州市)、福岡昭和タクシー(福岡市)、福岡西鉄タクシー(同)、双葉交通(同)、姪浜タクシー(同)。国や県の補助金を活用し、トヨタ自動車の「MIRAI(ミライ)」を250万円程度のリース形式で導入した。出発式であいさつした同クラブ共同代表の小川洋福岡県知事は「FCVの普及に貢献してほしい。今後、水素ステーションを県内10カ所程度で整備したい」と述べた。

*1-2:http://qbiz.jp/article/59232/1/
(西日本新聞 2015年3月31日) エコカー燃料、下水で製造 福岡市で世界初の施設稼働
 下水の汚泥から水素を製造し、燃料電池自動車に供給する実証事業を行う施設が福岡市中央区荒津の市中部水処理センターに完成し、31日、現地で式典が開かれた。福岡市と九州大、民間企業2社でつくる共同研究体が、国土交通省の事業として建設。処理場に集まる汚泥の一部を発酵させてつくるバイオガスからメタンを取り出し、化学反応させて高純度の水素を製造する「世界初の施設」(同省)とされる。1日に燃料電池自動車65台分に相当する3300立方メートルを作り、併設した水素ステーションで自動車に充てんできる。市などは4月から1年かけ、施設の耐久性や水素発生の効率を検証する。月内には料金などを設定し、一般利用できるようにする方針。式典では九州大水素センター長の佐々木一成教授が「一日も早く全国や海外に展開していくことが使命だ」とあいさつした。

*1-3:http://www.ihi.co.jp/ihi/all_news/2012/press/2012-10-04/ (IHI 2012年10月4日) 世界初となる再生型燃料電池システムの民間航空機飛行実証に成功 -IHI/ボーイング共同研究によるフライト試験
 IHIとIHIエアロスペースは、米ボーイング社と共同で再生型燃料電池システムを民間航空機に搭載し、飛行実証することに成功しました。再生型燃料電池システムの飛行実証は、世界初の試みとなっています。再生型燃料電池は、充電可能な燃料電池であり、エンジンとは独立して電力を供給することが出来ます。また副産物は水のみであるため、省エネルギー化、二酸化炭素排出削減を可能とし、航空機の環境負荷を低減することができます。今回の飛行実証は、ボーイング社の環境対応技術実証を目的としたecoDemonstrator計画の一環として、米国シアトル近郊においてアメリカン・エアラインのボーイング737型機を用いて行われました。フライト試験では、航空機の離陸前から高度上昇中において、燃料電池からの発電による電力供給を行い、巡航飛行時に航空機の電源を用いて充電を実施、その後、再度、発電、充電、発電のサイクルを行うことに成功しています。再生型燃料電池の航空機適用技術は、経済産業省が公募した「航空機用先進システム基盤技術開発(航空機システム革新技術開発)」で採択されたプログラムを活用し、平成21年度より研究を行ってまいりました。 ここで得られた研究結果を、ボーイング社との共同研究でのフライト実証試験につなげることにより、今回の成功に至っています。航空機という閉鎖空間に、水素ガスを用いた燃料電池システムを搭載する必要があったため、飛行安全をどのように確保するかという部分が、一番重要な課題でした。水素ガスを民間航空機に搭載するための基準が現状は存在しないため、航空機の安全性確保のための安全設計基準を検討し、安全性解析、システム設計をボーイング社と共同で繰り返して行いました。 本システムにおいては、航空機を安全に飛行させるためのバックアップを含め、各種安全機能が備えられていることが特徴となっています。IHIは、ジェットエンジンでは国内最大のシェアを有し、航空機装備品メーカーとしての経験は豊富です。また、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と地上発電用燃料電池の研究開発を行った経験があり、IHIエアロスペースにおいてもJAXA(宇宙航空研究開発機構)と成層圏プラットフォーム飛行船プロジェクトの電源系開発の一環として再生型燃料電池の研究を進めてきており、今回 実証した再生型燃料電池システムの基礎技術になっています。IHIは、今回得られた経験をもとに、再生型燃料電池の小型化、大出力化の改良を進め、航空機の低燃費及び環境負荷低減に寄与する将来の民間航空機用補助電源の製品化に向けた検討を実施していきます。

<ソーラー発電>
*2-1:http://toyokeizai.net/articles/-/53533
(東洋経済 2015.3.24) 世界初!「発電する道路」のインパクト
 ソーラーロードは通常の自転車専用道路ではない。これは、ソーラーパネルを埋め込んで作られる世界初の道路だ。オランダのヘンク・カンプ財務大臣は、アムステルダム市内で込み合う通勤道路に70メートルのソーラーロードを建設することにしました。「今は経済的な点で可能ではありませんが、それを可能にします。現在、懸命に努力しています」(カンプ大臣)。共同考案者であるステン・デ・ウィット氏によると、ソーラーロードは、極小の結晶シリコン太陽電池をコンクリートにびっしりと埋め込み、その上を半透明の強化ガラスで被うことで作られる。デ・ウィット氏は次のように言う。「一番上の層には様々な機能を組み合わせる必要があるため、ここがこの道路における最も革新的な部分です。日光は、この一番上の層を貫通してその下の太陽電池に辿りつかなければならないため、ここは透明でなければいけませんが、同時に十分な横滑り耐性、つまり、十分なざらつきも必要になるのですから」。太陽の位置に合わせて道路を調節することはできないので、ソーラーパネル製の屋根と比べ、ソーラーロードの発電量は30%下がる。だが、デ・ウィット氏によると、この道路はオランダの全道路の最大5分の1に適応でき、いずれは信号や電気自動車の電力としても使えるかもしれないという。「将来的に、この道路からその上を走る電気自動車へと電力供給できるようになれば、持続可能な移動システムに向けて非常に大きな進歩を見せることができます」。オランダ応用化学研究機関で働くデ・ウィット氏の同僚たちは、5年以内に商業的に実現可能な製品ができると言う。この最初の試験運用が軌道に乗れば、商業化へ向けたスタートを切ることになる。

*2-2:http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1411/14/news048.html
(スマートジャパン 2014年11月14日) オランダの夢「太陽光道路」、無線で車へ電力送る?
☆オランダで太陽電池を埋め込み、発電する世界初の道路「SolaRoad」が完成した。100m当たり一般家庭3世帯分の電力が得られるという。当初は道路の照明や家庭への電力供給を試みる。最終的な目標は自給自足可能な交通システムの基盤となることだ。2014年11月12日、オランダで世界初の道路「SolaRoad」が完成、開通式が開催された。太陽電池セルを組み込んだ部材を利用して作られたという意味で世界初である。アムステルダムの北西約15kmに位置し、長さは100m*1)。3年間の実証実験の形で運用されることになっている。実証実験の計画では、発電能力は道路の長さ100m当たり一般家庭3世帯分。実験開始時は発電した電力を系統にそのまま接続している。設置前の見積もりによれば、寿命(20年)以内に投資を回収できるという。現在は投資回収期間を15年以内に短縮することを目指している。オランダは大都市における交通システムに革命を起こそうとしている。首都アムステルダム市は2040年までに段階的に私有車を全て電気自動車化しようという計画を打ち出している(関連記事)。その電力を生み出すのに最も自然な方法は何か。車両の下に長く伸びる道路だ。道路を「無駄に」照らしている太陽光を利用する。オランダでの議論からは離れるものの、このようなシステムは系統との関係が希薄になる。日本で現在論じられているような、系統に悪影響を与えるという課題も同時に解決する。SolaRoadにつながるアイデアを2009年に打ち出したのは、オランダ応用科学研究機関(TNO)である。オランダの年間総消費電力は約1200億kWh。発電に適した建物の屋根全てに太陽電池を設置すると、総量だけを考えた議論ではあるものの、このうち4分の1を賄うことができる。さらに太陽電池を増やそうとすると、道路が適切であるという。オランダの道路総延長距離は約14万km。面積に換算すると450km2になる。これは屋根の総面積よりも広い。首都アムステルダムが位置する北ホラント州と、道路関連技術を得意とするオランダOoms Civiel、技術サービスプロバイダーである同Imtech Traffic&InfraがTNOのアイデアに賛同し、SolaRoadコンソーシアムを形成した。州政府が主に資金を提供した。5年間で350万ユーロを投じたという。Ooms Civielは道路に設置するパネル関連を扱う。同社は道路から熱や冷熱を取り出すソリューションを既に提供している。Imtech Traffic&Infraは用途開拓や技術の方向性の提案を担う。道路から取り出した電力を(無線で)電気自動車に送り込む。これはSolaRoadにとっての最終的な目標だ。そこに至る前の段階では、系統に接続する、道路照明に利用する、道路に隣接する家屋に供給するといったさまざまな用途があるのだという。実証実験では一般道路ではなく、自転車専用道路を対象とした。自転車専用道路は一般道路と比較して加重負荷が少ない他、路面を取り外して実証実験中に改良を加えやすいためだ。なお、オランダは自転車保有率が世界一(約110%)であり、自転車専用道路が約1万5000kmも延びている。一般道路に展開する前に、実証された技術を展開する場が広がっている。
●どのような部材が必要なのか
 SolaRoladの基本単位は3.5m×2.5mのコンクリートパネルだ。厚さははっきりと公表されていないものの、写真から20cm前後だと分かる(図2)。コンクリートパネルの表面は端面付近を除き、厚さ1cmの強化ガラスで覆われている。その内部に結晶シリコン太陽電池セルが配置されており、下面の強化ガラスとの間に挟まれている。つまり一般的な太陽電池モジュールをコンクリートとガラスで作り上げた形だ。SolaRoadによれば、現時点では道路用の特別な太陽電池セルを開発する必要はないのだという。図2を注意深く眺めると、中央の人物の前後で表面の様子が違う。SolaRoadでは「2車線」のうち、図手前の1車線のみに太陽電池を組み込んでいるからだ。同じ道路で従来と似た路面と、新しい路面の影響を比較しやすい。実証実験のコストも低くなる。
●道路に対する要求も満たす
 このような「モジュール」に求められる性能は何だろうか。SolaRoadによれば4つある。まずは光を通しやすいこと(光を反射しにくいこと)、次に可能な限り汚れをはじくことだ。残る2つは道路用の部材としての性質である。強度が高いことと、車両が横滑りを起こさないことだ。強度の高さとは、車両の重量はもちろん、落下物の衝撃に耐えること、寒暖の差に耐えること、塩害を受けないことだ。オランダは干拓で国土を広げてきた経緯があり、北ホラント州の面積の過半数は海面下だ。塩害に対する十分な対策が必要である。横滑りに対する対応策は、ガラス表面のコーティングだ。歩行者、車両ともグリップが効くようなコーティング材料を用いた(図3)。SolaRoadによれば一般的な自転車用道路と比較して、横滑り抵抗力は平均以上なのだという。この他、モジュールを組み合わせたときに要求される性質が1つある。走り心地だ。モジュール同士に高低差があると、わずかな差であっても車両内部に響く。そこで、モジュール同士が相互に連結して高低差が生じない構造を採った(図4)。下地の土壌が完全に平たんでなくてもよい。さらに温度変化による収縮・膨張の影響も受けにくいという。

*2-3:http://qbiz.jp/article/55947/1/ (西日本新聞 2015年2月15日) 薄膜太陽電池、普及へ一歩 変換効率の鍵は温度、九大研究院グループ解明
 九州大大学院工学研究院の田中敬二教授(高分子化学)の研究グループは、有機薄膜太陽電池に使われる高分子半導体(半導体プラスチック)で電気が流れやすくなるメカニズムを解明した。電気の変換効率を高め「より薄いディスプレーや、軽くて曲げることができる太陽電池の普及に役立つ」(田中教授)という。有機薄膜太陽電池は高分子や有機化合物の薄い膜でできた太陽電池。ペンキのように壁面に塗って発電することも可能だが、屋根などに設置する太陽光パネルなどシリコン系太陽電池に比べ、変換効率が低いことが課題だった。研究グループは、半導体プラスチックに光を当てた瞬間、正と負の電荷のペアが自由に分離することを突き止めた。さらに、温度が高くなると、プラスチック分子のねじれによって、電荷がプラスチックに閉じ込められ、電気が流れやすくなることも分かった。温度変化によって効率よく電気が流れる構造が解明されたのは初めてという。田中教授によると、電気の変換効率はシリコン系太陽電池の25%程度に比べ、現在の薄膜太陽電池は10%未満。今回、解明したメカニズムを材料設計に反映させると、変換効率の上昇が期待できる。論文は13日付の英科学誌ネイチャー姉妹紙の電子版に掲載された。

<送配電>
*3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150331&ng=DGKKZO85068440Q5A330C1TJM000 (日経新聞 2015.3.31) 次世代送電、直流で 洋上風力や家庭内発電、効率よく、シャープ、住宅15%省エネ
 送電線で電気を送る際に、現在の交流ではなく直流を利用する試みが広がっている。太陽光で発電した電気を家庭でそのまま使ったり、長距離を送ったりするのは、直流の方がコストが安い。経済産業省が旗振り役で、シャープは住宅に直流で電気を送って使う実験に成功した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は来年度から洋上風力発電の本格導入に向け直流送電設備の開発に乗り出す。次世代の送電インフラとして普及を目指す。シャープと経産省は直流給電ができる住宅1棟の実験で、全て交流で給電する一般の住宅より約15%の省エネ効果を確認した。住宅に取り付けた太陽電池で発電した直流の電気を、家庭内のコンセントに送る。この実証実験は「北九州スマートコミュニティ創造事業」の一つで、2013~14年度に実施した。350~400ボルトの電気で、専用に開発したテレビやエアコン、冷蔵庫、発光ダイオード(LED)照明などが問題なく作動した。家庭で使うテレビやパソコンなどは今でも直流で稼働している。現行の電気製品を改良する必要があるが、普及すれば製品内部で交流と直流を変換する手間が省ける。経産省の担当者は「太陽光で発電した電気の地産地消が実現できる」と商用化に期待する。発電所や変電所から工場や家庭などに電気を送る送電網の一部も直流に切り替える試みが進む。交流と併用して高効率の送電方式を探る。NEDOは企業と協力し15年度から、洋上風力発電所からの高効率直流送電システムを開発する。洋上風力発電はメガ(メガは100万)ワット級の発電能力を持つ風車を洋上に複数設置する。発電した電気は交流で、変電設備で直流に変えて陸上の変電所に送る。先進地の欧州では、個々の発電所と陸上変電所を1本の直流ケーブルでつなぐ方式が主流だ。日本で開発するのは複数の発電所を直流ケーブル1本で陸上変電所につなぐ方式だ。風車は陸地から数十キロメートル以上離れているため、直流で送れば交流より7~8%効率が上がるという。ケーブルの本数が少なく建設コストも抑えられる見通しだ。5年間で約45億円を投じて研究開発を進める。将来、スマートグリッド(次世代送電網)が普及し、各家庭の太陽電池や電気自動車(EV)のバッテリーにためた直流の電気を集合住宅や地域で共有して使うことも想定される。その場合、電力系統の負担を減らすために複数の電源をうまく制御する必要がある。工学院大学の荒井純一教授は、直流と交流を変換するインバーターを活用し制御する方法を提唱する。一つの電源に取り付けたインバーターを主電源として周波数や電圧が一定になるように設定する。他の電源を主電源の設定に合うように出力制御する。この工夫で、全体の出力を一定範囲に収め、系統への負担を抑えて直流電源の安定した運用が可能になるという。

*3-2:http://qbiz.jp/article/59661/1/
(西日本新聞 2015年4月7日) 自治体、電力参入次々 再生エネ 高く買い安く販売
 電力の小売りに参入する自治体が広がっている。電力を買い取って利用者に販売する「新電力」を設立し、太陽光などでつくった地域の電力を安く販売することで、エネルギーの自給自足の動きを支援している。2016年4月の電力小売りの全面自由化に合わせ、家庭への電力販売も視野に入れている。群馬県中之条町は13年、新電力の「中之条電力」を設立した。町内の大規模太陽光発電所(メガソーラー)の電力を、中之条町の庁舎や小学校に供給している。中之条町の公共施設が支払う電気料金は年約1千万円減った。大手電力は太陽光などの再生可能エネルギーを、政府が固定価格買い取り制度の下で決めた価格で買い取り、利益を上乗せして販売している。中之条電力は大手と比べて買い取り価格は高いが、上乗せする利益を圧縮し、販売料金を安くしている。中之条町はことし4月中に小水力発電所の建設も始める。地域の再生エネ発電を増やして、将来的には地元企業への販売や、小売りの全面自由化後に家庭に供給することも検討している。福岡県みやま市もことし3月、新電力を立ち上げた。当面は公共施設や企業に販売し、将来は家庭向けに電力会社よりも2〜3%程度安く電力を供給する計画だ。山形県も15年度中に新電力を設立する。再生エネによる電力を地域の事業者から買い取り、家庭に供給する考えだ。電力小売りの全面自由化で、大手電力による家庭への電力販売の独占がなくなり、家庭は電力会社を自由に選べるようになる。自治体の新電力から電力を購入する家庭も増えそうだ。一方、地域の再生エネ事業者を支援する自治体もある。長野県飯田市は公民館などの屋根を無料で太陽光発電事業者に提供。岩手県紫波町は小学校などの屋根を、市民から出資を募ったファンドに貸し出し、太陽光発電の運営を任せている。
*新電力 東京電力や九州電力など全国の大手電力10社の後で電力小売り事業に参入した会社。政府は電力市場を段階的に開放し、現在は契約電力が50キロワット以上の小売りを手掛けられるようになった。2016年4月の全面自由化で一般家庭への電力供給も可能になる。大手と比べて割安な電気料金が強みで、ガスや通信などさまざまな企業が設立している。

<経産省と産業界トップの意見>
*4-1:http://qbiz.jp/article/56385/1/
(西日本新聞 2015年2月21日) 電事連会長、発送電分離に懸念示す 「安定供給維持に検証を」
 電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は20日の記者会見で、大手電力会社の送配電部門を切り離す「発送電分離」を2020年4月から実施する方向になったことについて、「課題や懸念が残されている」と述べ、安定供給を維持する制度設計を注文した。自民党の経済産業部会などが19日、電力システム改革の仕上げとして発送電分離を進める電気事業法改正案を了承。改正案には、分離前に電力の安定供給に支障がないかを検証する規定が盛り込まれた。検証規定を要望してきた八木会長は「(法案に)記載するだけでなく、きちんとした検証が大事」と指摘。その上で「(何か問題があれば)延期を含め柔軟な改革を進めていただく」と強調した。原発停止が長期化し、電力の安定供給に不安が生じるような場合を想定しているとみられる。

*4-2:http://qbiz.jp/article/59651/1/
(西日本新聞 2015年4月6日) 再生エネ15%に、経団連が提言 原発は25%超
 経団連は6日、2030年の電源構成比率に関して、太陽光などの再生可能エネルギーは総発電電力量の15%程度、原発は25%超、火力は60%程度にすることが妥当との提言を発表した。それぞれの経済性や環境への影響、エネルギーの安定供給といった観点から比率を算出した。経団連の榊原定征会長は6日の記者会見で、再生可能エネルギーは普及が進んでいるものの、高コストや発電効率の低さといった「いろいろなマイナス面がある」との考えを示した。提言では、地球温暖化問題に対応するため、再生可能エネルギーや省エネルギーでの技術開発に「重点支援を行うべきだ」との見解も示した。原発は「今後もベースロード電源として大きな役割が期待される」とし、廃炉にした原発の敷地内に新たな原発を建設することや、安全性が確認された老朽原発の運転延長が必要とした。経済産業省の有識者委員会では3月、ベースロード電源と位置付ける原発、水力、石炭火力による発電量を30年に全体の6割程度にするとの見通しが示されている。

<人材に対する考え方と労働政策>
*5-1:http://qbiz.jp/article/59504/1/
(西日本新聞 2015年4月3日) 自動運転車、日本で16年販売 日産ゴーン社長が表明
 【ニューヨーク共同】日産自動車のカルロス・ゴーン社長は2日、2016年に市場に投入する自動運転機能を搭載した自動車に関して、日本で同年に売り出すと明らかにした。ゴーン社長はこれまで、どの国でこの機能を搭載した車を発売するか表明していなかった。ゴーン社長はニューヨーク国際自動車ショーの会場で、共同通信などのインタビューに「日本は大変重要な市場で、このような画期的な技術をできるだけ早く提供したい」と説明した。この自動運転機能は高速道路に限定する。走行中に道路の白線や前方を走る自動車を検知し、ハンドル操作や加速、減速を自動的に行う。ゴーン社長は18年に高速道路での車線変更にも対応させ、20年には市街地でも使えるようにする計画を進めるとあらためて表明。「ドライバーがハンドルから手を離し、道路から目線をそらすことができるような技術を徐々に実用化し、規制当局が認めるようにしたい」と語った。

*5-2:http://qbiz.jp/article/59477/1/
(西日本新聞 2015年4月3日) 長崎大が次世代電池開発 希少リチウム不要
 長崎大(長崎市)は2日、東京大と共同で、希少元素のリチウムの代わりに、豊富にあるナトリウムを使った「ナトリウムイオン電池」を開発したと発表した。低コスト化が可能になり、電気自動車(EV)などへの活用も期待される。開発者の一人で長崎大工学研究科の森口勇教授は記者会見で「リチウムイオン電池と同じ性能で充放電できる。特定国への資源依存を解消できる次世代電池になる」と話した。ナトリウムイオン電池の開発はさまざまな企業や大学が手掛けているが、マイナス極の材料選びが課題になっていた。森口教授は、多量のナトリウムイオンをスムーズに吸蔵、放出できるマイナス極の材料を研究。チタンと炭素、マグネシウムの粉末を1300度に熱し、フッ酸水溶液に漬けるなどして、シート状の化合物を開発した。既に東京大が完成させていた鉄と硫黄で作ったプラス極と合わせて、ナトリウムイオン電池を試作した。検査では、リチウムイオン電池と同様の出力で、急速充電と長時間放電も可能なほか、充放電を100回重ねても劣化はなかったという。現在、携帯電話やノートパソコンなどの電池に広く使われているリチウムの最大産出国はチリで、日本は輸入に頼っているが、ナトリウムは国内でも入手できる。森口教授は「世界でリチウムの需要はさらに高まる。今後、ナトリウム電池の性能を強化し、企業と連携して実用化を目指したい」と話している。

*5-3:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS01H51_R00C15A4MM8000/
(日経新聞 2015/4/2) 裁量労働制の対象拡大 専門知識持つ法人営業職にも
 厚生労働省は働く時間を社員が柔軟に決められる裁量労働制の対象を広げる。一定の専門知識を持つ法人向け提案営業職にも適用する。金融機関やIT(情報技術)企業などで活用が進む見通しで、新たな対象者は数万人規模にのぼりそうだ。導入の手続きも簡単にする。多様な働き方を認め、効率的に仕事ができるようにする。政府が3日に閣議決定する労働基準法改正案に盛り込む。今国会で成立すれば2016年4月に施行する。裁量労働制はあらかじめ決めた時間だけ働いたとみなす制度。ただ深夜や休日に働くと手当がつく点で、同じ法案に盛り込まれた「脱時間給」制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)とは異なる。今の裁量労働制の対象者は専門型で約50万人。デザイナーやコピーライター、研究職、弁護士、大学教授など専門的な技術や知識が求められる職種が対象だ。00年に解禁された企画型の裁量労働制は約10万人。企画や調査、分析といったアイデア勝負の事務職が対象だ。企画型は専門型に比べて普及が遅れているため、見直すことにした。第1に対象を広げる。一定の専門知識を持って顧客の経営課題の解決につながる提案をする営業職を新たな対象に加える。具体的には、高度な金融技術を使って企業の資金調達を支援する銀行員や、顧客の事業に対して複雑な保険商品を組み合わせてすすめる損害保険会社の社員、顧客企業に合った基幹システムを提案する営業担当者などを想定している。企業年金の制度を指南する生命保険会社の担当者なども対象になりそうだ。企業からは「法案が成立すれば適用するかどうか検討したい」(三井住友海上火災保険)、「協調融資や大型事業向け融資の担当者などが適用候補になる」(大手銀行)といった声があがる。裁量労働制を既に導入しているSCSKの古森明常務執行役員は「法人向けの提案営業が対象になれば、さらに500人弱を対象にできる可能性がある」と話す。厚労省は法案の成立後に指針を見直して、具体的な職種を例示する。既存の顧客を定期訪問する「ルートセールス」や店頭販売など一般的な営業職は対象に含めないことも明記する。裁量が乏しい営業職も対象にすると、働き過ぎを招く可能性があるためだ。産業界には営業職にも裁量労働制を導入すべきだとの声が根強い。現在は外回りの人向けの「事業場外みなし労働時間制」を適用する企業も多いが、外回りはみなし時間、内勤は実際に働いた時間で計算するため、労働時間の管理が煩雑になる。第2に手続きを簡単にする。これまで企画型の裁量労働制を導入するには、オフィスや工場ごとに労使が合意する必要があった。これからは本社で合意すれば、全国の事業所で適用できるようにする。裁量労働制の対象になると、職場にダラダラと残っても残業代はもらえない。短い時間で効率的に働く意識が高まりやすい。働く時間を柔軟に選べるので介護や育児との両立もしやすくなる。
▼裁量労働制 あらかじめ想定した労働時間に賃金を払う「みなし労働時間制度」の一種。労働時間規制を外す「脱時間給」制度とは異なり労働時間という概念が残るため、深夜や休日に働くと手当が出る。個人の仕事と生活の両立がしやすくなる一方、働き過ぎが増える懸念もある。


PS(2015.4.8追加):*6の記事もあり、排気ガスを出さない環境型のエネルギーを使うという意味で、水素で一貫体制を作ることは必要不可欠である。しかし、そもそも「現状では石油などから水素を取り出す時にCO2が出る」という水素の作り方をしたこと自体が、①高くつく ②エネルギー自給率に貢献しない ③環境にも悪い  など、燃料を水素に変える意味を理解していないのだ。この知識のなさ、見識の低さは、教育と社会の雰囲気のせいだろう。

   
    水素社会      *6より   IHIの水素燃料ジェット    *1-2より      

*6:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150407&ng=DGKKASDZ06I7X_W5A400C1MM8000 (日経新聞 2015.4.7)東芝、水素で一貫体制 開発拠点新設、製造から発電まで
 東芝は6日、二酸化炭素(CO2)の排出を減らせる水素エネルギー専用の研究開発拠点を開設したと発表した。2020年度にも水素の製造から発電まで手掛ける大規模システムを他社に先行して実用化する。水素関連の世界市場は50年に160兆円になるとの予測がある。米ゼネラル・エレクトリック(GE)など世界大手の間で主導権争いが始まりそうだ。東芝は府中事業所(東京都府中市)に研究開発拠点を設けた。現状では石油などから水素を取り出す時にCO2が出る。東芝は水素の製造過程でCO2を排出しないシステムを目指す。太陽光発電で水を分解して作った水素を、専用装置にためて大型の燃料電池で集中発電する。電力は送電網を通じて家庭に供給する。20年度までに1万世帯分の電力を発電できる大型システムを開発し新電力などに販売する。製造から発電まで一貫した水素エネルギーシステムは世界初。東芝は家庭用燃料電池など現在約200億円の水素関連売上高を20年度に1千億円にする。日本メーカーでは昨年末にトヨタ自動車が世界初の市販用燃料電池車(FCV)「ミライ」を発売した。三菱日立パワーシステムズは温暖化ガスの排出が少ない水素タービンを17年度にも実用化する。川崎重工業は同時期に海外の安価な水素を海上輸送する取り組みを始める。海外勢ではGEがイタリア電力最大手と3万世帯分の水素発電を実証実験中だ。

| 経済・雇用::2014.6~2015.10 | 03:26 PM | comments (x) | trackback (x) |

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