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2015.6.12 唐津焼・武雄焼から、地場産業の高度化について(2015/6/12、13、15に追加あり)
    
         唐津焼の皿             唐津焼茶器         唐津焼花瓶

   
 唐津焼一輪ざし    唐津焼焼き締め   唐津焼素焼き     武雄の唐津焼

 今日は、地場産業を高度化し発展させることによる産業振興の話です。なお、上は、Bestの画像を掲載したとは限りません。

(1)現在の唐津焼と武雄焼
 *1-1のように、4月29日から~5月5日に「唐津やきもん祭り」を開いて、多彩なイベントや陶芸家との交流を促したり、唐津市民会館で有名人のディスカッションをしたり、*1-2のように、外国人観光客に焼き物の魅力を伝えるための唐津焼英語版ホームページ(HP)を制作したりと、唐津市も唐津焼を売り出す努力をし始めた。日本人(特に地元の人)は、既に唐津焼を持っている人も多いが、韓国人や中国人を含む外国人はまだフロンティアの領域であるため、作品や作陶風景を写真で紹介し、買いたい人はHPを通しても買えるようにすれば、反響がある筈だ。また、梅干しや味噌漬けがおしゃれな唐津焼の入れ物に入っているのも、高級感があってよいかもしれない。

 私は、佐賀三区から衆議院議員になって地元廻りをしていた時、武雄市でも唐津焼を作っているのを知って意外に思ったが、武雄市で作られている焼物は、唐津焼の定番でも有田焼の定番でもなく、唐津焼風の陶器に少し有田焼風の色付けがしてあって、新鮮さがあった。まさに、*2のように、陶器か磁器かにこだわらない、双方の面白さを取り入れた器になっていて、驚くほどだったのである。

(2)工業製品への展開
 しかし、食器を作っている限り、強度を強くしてフロンティア市場を開拓しても需要と利益率には限界がある。そのため、唐津焼も芸術品や食器のジャンルとは別に工業製品のジャンルも開拓すべきだと思う。

 例えば、現在の舗装道路は水を通さないので、雨が降ると水が側溝に集まってすぐに川を氾濫させ、晴れるとあっという間に乾燥してしまうが、歩道に強化して砂を混ぜた唐津焼の素焼きを使えば、雨が降れば地中に浸み込み、晴れると水分が蒸発して道路の温度が上がらずにすむ上、植物にやさしい。また、焼き締めは、有機物がすべて焼き除かれて鉄を中心とする金属成分が多くなっているが、これを応用して大量生産すれば、道路で太陽光発電を行うのも安価になるだろう。そして、これらを東京オリンピックの国立競技場に採用してもらえれば、世界に対して宣伝効果が大きいと思われる。

 つまり、唐津焼も、地場産業のセラミックスに研究開発を加え、次世代の工業製品として大量に作ることを考えると、地域振興に繋がると考える。

*1-1:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150419-00010004-nishinp-l41
(西日本新聞 4月19日)‎ 唐津やきもん祭り、29日開幕
 唐津市の市街地で29日~5月5日に開かれる「第4回唐津やきもん祭り」は、展示会から食事会、音楽会まで多彩なイベントが催される。食と器の縁結びがテーマで、坂本直樹実行委員長は「風情のある町をゆっくりと歩きながら、陶芸家と触れ合い、お気に入りの器を見つけてみませんか」と話している。唐津観光協会=0955(74)3355。100の唐津焼展 5月5日まで、市近代図書館。400年前の古唐津を中心に御用窯で焼かれた献上唐津、人間国宝・中里無庵の名品を展示。無料。唐津の祭と囃子(はやし) 5月3日午後3時、唐津市民会館。唐津の伝統文化に触れてもらおうと唐津ケーブルテレビジョンが開く。篠(しの)笛奏者の佐藤和哉さんのミニライブや唐津くんちの曳山(やま)囃子、小川島鯨骨切り唄などを実演する。無料。テーマ展「食と器の縁結び」 期間中、旧唐津銀行。酒器をテーマに新作を展示。無料。唐津焼シンポジウム 5月5日午後3時、唐津市民会館。「古陶のある暮らし 日常の贅沢(ぜいたく)」と題して脳科学者の茂木健一郎さん、古美術月刊誌編集長の白洲信哉さん、骨董(こっとう)店店主の勝見充男さんらが意見を交わす。無料。まちなか展示即売 期間中、唐津中央商店街など。空き店舗や町屋で人気作家、若手の焼き物を販売。日本酒やワイン、ビールを唐津焼の器で味わうイベントもある。唐津焼・料理のコラボ 期間中、老舗旅館やレストラン、カフェなどが窯元、作家とタイアップし、唐津焼の器で料理を提供する。要予約の店も。4日午後0時半から唐津シーサイドホテルで篠笛奏者、佐藤和哉さんのランチショー。春のお呈(てい)茶席 29日~5月6日、唐津城(有料)。5月3日~5日、埋門ノ館(同)。やきもんバス 5月3日~5日、唐津-有田(有田陶器市)を結ぶ臨時バスを運行する。大人千円、子ども500円。

*1-2:http://qbiz.jp/article/64223/1/
(西日本新聞 2015年6月11日) 唐津焼を英語で紹介 外国人客増に対応、市がHP作成へ
 佐賀県唐津市は、外国人観光客に焼き物の魅力を伝えようと唐津焼の英語版ホームページ(HP)を初めて制作する。市内70の窯元に協力を依頼し、賛同を得られた窯元を特集する。作家のこだわりや作陶風景を写真を用いて紹介する。市文化振興課によると、唐津を訪れる外国人観光客は近年、増加傾向にあり、伝統工芸品の唐津焼への関心も高い。観光協会や旅館には、外国人が見学できる窯元に関する問い合わせも寄せられているという。そこで「外国人にも唐津焼を分かりやすく紹介しよう」と英語版の制作を決めた。HPへの掲載を承諾した窯元の紹介文を、2013年度に制作した日本語の唐津焼HPを参考にしながら英語に翻訳する。制作はデザイナーやHP制作業者に発注する予定で事業費は98万円。来年3月の完成を目指す。同課の担当者は「海外では有田焼が有名だが、欧州などで唐津焼にも注目が集まっている。外国人観光客にも窯元に足を運んでもらい、日本の美を感じてほしい」と話している。

*2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/196718
(佐賀新聞 2015年6月12日) 磁器と陶器競演 12日から、凌山窯で窯開き
 武雄市若木町川古の凌山窯で12日から3日間、窯開き展がある。磁器の松尾重利さん(80)=日展会友=、陶器の松尾潤さん(54)=日本工芸会正会員=親子が約300点を展示する。重利さんは「食と器の大切さを見直してほしい」という気持ちで、大きさや文様などに気を配った使いやすいカップや皿などを提案する。染付、青白磁、釉裏紅(ゆうりこう)の花器やつぼ、茶道具なども並ぶ。潤さんは赤い焼締作品に力を入れた。灰がかからない部分に生まれる赤にこだわった茶わんや湯飲み、鉢などのほか、塩釉の花器、唐津や粉引の食器など多彩だ。「カップや湯飲みなど、自分のものにこだわっている人も多い」と、普段使いの作品も多い。窯は若木小近く。抹茶の接待もあり、周辺のアジサイも見ごろになっている。同窯の電話は、0954(26)2422。


PS(2015/6/12追加):*3の国土形成計画は、地域間の人、物、金、情報が双方向に流れる「対流促進型国土」を形成し、「コンパクト化」と「ネットワーク化」を進め、再生可能エネルギーや農林水産業等の地域資源を活用して雇用・所得の創出を目指すという点で賛成だが、地場産業を高度化して自立できる地域を増やすことも加えたい。なお、政府は今後、この計画に対する国民からの意見を募集するそうだ。

*3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=33565
(日本農業新聞 2015/6/6) 「小さな拠点」推進 国土形成計画 国交省が最終案
 国土交通省は5日、国土審議会計画部会に今後10年の国づくりの指針となる新たな「国土形成計画」の最終案を提示した。人口減少に対応するため「個性あふれる地域づくり」を目指し、地域間の対流を促す。農山村では「小さな拠点」を広げ地方移住を活発にする。一方、住宅や施設などを中核都市に集約する「コンパクトシティー」の推進も盛り込んだ。最終案では(1)安全で豊かさを実感できる国(2)経済成長を続ける活力ある国(3)国際社会の中で存在感を発揮する国――を目標として提示。国土の基本構想に地域間の人、物、金、情報が双方向に流れる「対流促進型国土」の形成を掲げた。生活に必要な各種機能を一定の地域に集約する「コンパクト化」と各地域をつなげる「ネットワーク化」を進める。農山村では、小学校区など複数の集落が集まる地域に買い物や医療、福祉などのサービスを集め、各集落を結ぶ交通手段を確保する「小さな拠点」づくりに取り組む。再生可能エネルギーなど地域資源を活用した雇用と所得の創出を目指す。農林水産業では輸出や農業経営の法人化、農家を主体とした6次産業化の推進を明記。担い手への農地集積も進める。都市部では中核都市の人口を増やし、生活サービスを集約化するコンパクトシティーを広げる。同計画にはこの他、文化、観光、交通体系、情報通信、防災、環境保全、共助社会づくりの実現に関する各種基本的施策も記した。座長を務めた中京大学の奥野信宏教授は「農山村の切り捨てではなく、人口減少の中で知恵を絞り、切り開いていく必要性を計画に打ち出した」と述べた。政府は今後、同計画に対する国民からの意見を募集。8月上旬までに閣議決定したい考えだ。閣議決定を受け、各省庁や都道府県、市町村は同計画に基づき、具体的な支援策を講じる。


PS(2015/6/13追加):*5-2のように、後期高齢者が急増する東京圏で医療・介護施設や人材不足が危機的状況になるため、(医療・介護に余力のあることのみを魅力として??)高齢者の地方移住を推進するというのは東京圏の身勝手である。そのため、*5-1のように、佐賀県知事が、「せっかく全国で地方が素晴らしいという雰囲気が盛り上がっている中で高齢者は地方移住となると、押しつけと受けとめられる」として否定的な見解を示したのはもっともだ。また、都市部にいる高齢者は、多様な地域から出て来た人が婚姻関係を結んでいるため、そのうち一人のふるさとに移住すればよいというものでもない。

 しかし、*4のように、地場産業を高度化したり農林漁業を6次産業化して国内外に販路を開拓したりするには、都市部で食品会社や商社等に勤務していた高齢者や熟年層が必要な能力・経験・人的ネットワーク等を持っているため、同窓会や県人会などを使って必要な人材を探すのがよいと考える。

 
              *4より                    *5-2より
*4:http://qbiz.jp/article/64422/1/
(西日本新聞 2015年6月13日) 【点検・佐賀県予算】(下)産業振興 農業「磨き上げ」図る
 地域の活力に欠かせない産業振興をどう図るか。山口祥義知事は県政運営の軸に「佐賀らしさを磨く視点」を掲げており、補正予算案でも農林水産業や地場製造業の振興策が並んだ。農林漁業者が生産、加工、販売などを一体的に手掛ける「6次産業化」はビジネスチャンスを広げる可能性があるとして県が取り組みを進めるが、新たに食品加工業者などに向けた支援事業(1億1474万円)を打ち出した。これまで生産者への支援策は行ってきたが、なかなか6次産業化に結びついていない。国の支援が得られる事業計画を策定した事業者は18件(5月29日現在)と、九州で最も少ない。「6次産業化は販路開拓や加工技術が鍵で、生産者がノウハウを持たずに二の足を踏む例もある。『2次』や『3次』の事業者との連携を後押ししたい」(県新産業・基礎科学課)。設備投資に対する補助や、企業と生産者と引き合わせる場を提供していく。生産者向けの新たな支援策も設ける。“農の夢”応援プロジェクト(1976万円)は4カ年事業で、農業者が先進的な知識や経営を学ぶ目的の研修や、新規就農希望者が地域の農家に実地訓練を受ける研修場「トレーニングファーム」の整備に取り組む。ものづくり産業支援では、人材育成の基金創設(10億円)が目玉だ。県内には機械製造や金属加工、窯業など製造業が多いが、県内の工業高卒業生の約4割が県外に就職するという。ものづくりの魅力を教育現場に伝えることや、技術の磨き上げに取り組む企業を支援していく。知事は「かつてものづくり、人づくりで世界をリードした佐賀を再興したい」と強調する。基金事業は4年間の予定で、産学官の研究会を立ち上げてさらに施策を練る方針。地場産業を再評価する機運を高める「種」はまかれるが、従事者が増える「芽」につなげるための実効性ある政策も問われてくる。

*5-1:http://qbiz.jp/article/64413/1/
(西日本新聞 2015年6月13日) 佐賀知事、高齢者地方移住の「押しつけ」懸念
 民間の政策提言機関「日本創成会議」(座長・増田寛也元総務相)が提言した東京圏の高齢者の地方移住について、佐賀県の山口祥義知事は12日の定例会見で「あまりその話には乗りたくない」と否定的な見解を示した。九州の知事で明確に異を唱えたのは初めてとみられる。山口知事は提言について、「せっかく全国で地方が素晴らしいという雰囲気が盛り上がっている中で、唐突に高齢者は地方移住で、となると、地方への押しつけと受けとめられるのではないか」と懸念を表明。財政上の負担の問題も挙げ「施設はどうなるのか。財源は国がしっかり持ってくるのか」と疑問を示し、佐賀県では子どもから高齢者まで快く暮らせるような施設を整えたいとして、「高齢者に絞って議論されない方がいい」と述べた。

*5-2:http://qbiz.jp/article/63809/1/
(西日本新聞 2015年6月5日) 東京圏高齢者の地方移住を提言 医療・介護「深刻化」
 有識者でつくる日本創成会議(座長・増田寛也元総務相)は4日、後期高齢者が急増する東京圏で医療・介護の施設や人材の不足が危機的状況になるとして、高齢者の地方移住の推進などを国や自治体に求める提言を発表した。医療・介護に余力のある「2次医療圏」として、北九州市や大分県別府市など全国41地域を示した。東京都内で記者会見した増田氏は、東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県)で2025年までの10年間に、75歳以上の後期高齢者が推計175万人増えると説明。その結果、介護施設の収容能力は全国平均を下回り、「高齢者が施設を奪い合う事態になる」と述べた。医療・介護に携わる人材不足も深刻になる。25年時点で介護職や看護職などを80万〜90万人増やす必要に迫られる。東京圏外から人材が大量に流入すれば、地方の人口減少が加速すると警鐘を鳴らした。具体的な対策として挙げたのは、東京圏の高齢者の地方移住、外国人介護人材の受け入れ推進、4都県の政策連携など。地方移住に関連して、会議メンバーの高橋泰国際医療福祉大大学院教授は、緊急な重病に対応できる病院の近さ、75歳以上の介護ベッド数などを基に「医療・介護に余力のある41地域」を紹介した。九州は8地域で、関東と東海はゼロ。高橋氏は「自治体は魅力に気付いて、積極的に動いてほしい」と移住者の受け入れを促した。増田氏は「東京一極集中のリスクは地震だといわれていたが、膨大な高齢者が集積することの方が脅威になる」と話し、日本全体の問題ととらえるべきだと強調した。
◆医療・介護に余力のある地域(九州分)
 福岡県北九州市、福岡県大牟田市、佐賀県鳥栖市、長崎市、熊本市、熊本県八代市、大分県別府市、鹿児島市
■日本創成会議 中央省庁の事務次官経験者、産業界の代表者、大学教授らで構成し、2011年に発足。昨年5月、40年時点で20〜39歳の若年女性が10年と比べ半分以下になる自治体が全体の約5割に当たる896市区町村に上るとの試算を公表。「将来的に消滅の可能性がある」と指摘、人口減少問題への関心を集めた。


PS(2015/6/15追加):*6の解決法は、道路整備にかかる時間と費用を削減し、整備の効果を最大限に発揮させることだ。そこで、道路を作るのに時間と金がかかっている土地の収用と建設を省力化するため、JR唐津線を高架にして一階を道路にすれば、鉄道の複線化と道路建設の両方の問題が一度に解決する。国は、現在の交通量を調べて必要性を検討したいとしているが、鉄道や道路は、それが先に整備されてから周囲に住宅や工場ができるものであり、工場や住宅ができてから鉄道や道路を整備すべきものではない(東京の地下鉄も、建設当初は大赤字だったそうだ)。そのため、最近はまちづくりにも進出している九州JRと協力しながら、21世紀の緑あふれる都市計画を作り、全体としては低コストで鉄道と道路のインフラを同時に作って佐賀空港まで繋げるのがよいと考える。ただし、これには国土交通省が都市局、道路局・鉄道局・航空局と分かれているのがややこしくなりそうであるため(http://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_002577.html 参照、本来はインフラ整備をまとめて政策の総合性とコスト削減を考えた方がよいと思う)、地方自治体が総合企画をする必要がある。

     
     *6より      (参考)福岡空港周辺の3階建道路  杜の都、仙台の街並み
*6:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/197421
(佐賀新聞 2015年6月14日) 佐賀唐津道路 計画指定20年 開通4割 完成いつ
■国は西九州道、有明海沿岸道優先 沿線自治体「福岡へ流出続く」
 佐賀市と唐津市を結び、南北の大動脈として期待される「国道203号佐賀唐津道路」が地域高規格道路の指定を受けて20年が過ぎた。昨春、厳木バイパスが全線開通し、多久市から唐津市相知町まで16キロの整備を終えたが、全長約40キロのうち、開通区間は4割ほど。西九州自動車道や有明海沿岸道路の整備が着々と進む中、沿線自治体からは「早く佐賀と唐津を結ばないと福岡への流出が続くばかり」と不満も出ている。唐津市役所で5月18日に開かれた整備促進期成会総会には沿線5市町の首長や議長らが顔をそろえた。多久以南は工事未着手で、小城市の江里口秀次市長は「市内が整備区間指定を受けて、もう12年目。早期の着手を心待ちにしている」と事業主体である国や県に求めた。県内の幹線道路は長崎自動車道(1990年に県内全線開通)に加え、北は西九州自動車道、南は有明海沿岸道路の整備が進む。この東西を貫く3本の道路を南北に結ぶのが佐賀唐津道路で、沿線自治体関係者は「ネットワーク効果は非常に大きい」と訴える。
■アピール弱い
 ただ、整備する国交省としては、西九州、有明海沿岸に続く“第三の道路”の位置付け。福岡や長崎につながる二つの道路と比べれば優先順位は低い。佐賀国道事務所の柳田誠二所長も総会で「県内の主要都市を結び、時間短縮になるというだけでは国へのアピールは弱い」と指摘し、「たくさんの事業を抱えるなか、佐賀唐津道路にどうやってお金を回すか、大変厳しい」と現状を説明した。未着工区間は相知から西九州自動車道唐津インターまでの約10キロと、多久市から佐賀市嘉瀬周辺に予定されている沿岸道路ジャンクションまでの約15キロ。県は佐賀空港への波及効果や渋滞状況も踏まえ、多久-佐賀間を優先する方針。2023年には佐賀国体を控えており、国道34号以南については県が事業主体となり、整備を急ぐ考えだ。
■早期整備求め
 多久-佐賀間は本年度中に環境影響調査の評価書をまとめ、都市計画を策定し、来年度にも具体的な設計や用地買収に向けた準備に入る。一方、昨年3月に厳木バイパスは完成したものの、相知-唐津の延伸は白紙状態。国は「まず、現在の交通量を調べ、必要性を検討したい」と述べるにとどめており、唐津市側は「後回しにされれば、いつ完成するか分からなくなる」と危機感を募らせる。隣接する東松浦郡玄海町も原発事故時の避難道路として佐賀唐津道路の早期整備を求めている。岸本英雄町長は「西九州自動車道の整備が進んでいる今、避難だけでなく、買い物も産業もみんな福岡に行った方がいいとなる。佐賀との結び付きを強めるためにも間髪入れずやった方がいい」と唐松地区の思いを代弁した。94年10月の国の指定から20年。この間、財政難に伴う公共事業費の大幅カットなどで大きく遅れてきた。残り区間の工事も巨額の支出が予想されるだけに完成は遠い道のりだ。道路網の整備でいかに地域活力を生むか、説得力ある提案が求められている。
■佐賀唐津道路
 佐賀市と唐津市を結ぶ地域高規格道路で、1973年に事業が始まり、94年に有明海沿岸道路とともに計画路線に指定された。西九州自動車道と長崎自動車道、有明海沿岸道路を結ぶ南北約40キロ。全線開通すれば、唐津市から佐賀空港までが1時間圏に入る。多久-佐賀の15キロは本年度中の都市計画策定を目指しており、来年度以降、設計や用地買収に向けた準備に入る。唐津-相知10キロは環境影響調査もまだで、整備のめどは立っていない。

| まちづくりと地域振興::2015.5~ | 11:29 AM | comments (x) | trackback (x) |

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