■CALENDAR■
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31       
<<前月 2021年10月 次月>>
■NEW ENTRIES■
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■OTHER■
左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。

2021.7.8~19 国家100年の計どころか30年の計がやっとできた日本 ← それでは他国を見て真似することしかできず、一見バランスの良い予算を作ってそれを消化することが目的になり、矛盾する政策も多いこと (2021年7月20、21日に追加あり)

 2021.7.2日経新聞 2021.7.7NHK   2021.7.8朝日新聞   2021.6.2東京新聞
 *4-1-2より
(図の説明:1番左の図は「人口100万人当たり新型コロナ死者数の推移」で、日本は欧米に比べて著しく低いが、近くの韓国より高い。また、欧米・韓国は治療薬とワクチンで感染を抑え込み、日本はこれをやらなかったので、また山ができている。さらに、左から2番目の図のように、人口10万人当たり療養者数が30人以上になると医療が逼迫すると言ったり、機能不全になると言ったりするのも異常で、右から2番目の図のように、病床使用率20%代をステージ3として五輪を無観客にしているのだから、何を考えているのかと思う。なお、1番右の図のように、職域接種が進み始めるとワクチンが足りないと言って接種を停止しており、政府の過失《もしくは故意》にも程があるのだ)

(1)国家100年の計
1)中国、習近平総書記の演説にはあった国家100年の計
 中国共産党の習近平総書記が、7月1日、*1-1のように、北京市天安門広場で党創立100年記念式典の演説を行われた。私は、中国が改革開放を始めた1990年代に公認会計士・税理士として中国進出企業の監査・国際税務・ODA等で関わっていたため、中国が1990年代に生産で遅れていた理由と、それを克服した経緯を一部ではあるが知っている。そのため、習近平総書記の演説について気がついたことを指摘する。

イ) 国家100年の計について
 国家100年の計について、習総書記は、「①中国は、後進的な状態から世界第2位の経済大国へと歴史的な躍進を達成し、それは共産党主導で実現させた」「②全党と全国各民族人民による持続的な奮闘で、党創立最初の100年に掲げた目標を実現し、この地に『小康社会』を築き上げ、絶対的な貧困問題を歴史的に解決し、社会主義現代化強国の全面的な実現という次の100年の奮闘目標に向けて邁進している」とされている。

 しかし、中国を名目GDP世界第2位の経済大国にしたのは、鄧小平(1920~1926年にパリ留学)が1978年12月に改革開放路線に転換したからで、鄧小平路線の特徴は、i)経済優先 ii)不均等発展の容認 iii)社会主義体制外の改革先行方式 iv)市場経済の積極的導入 等であり、これら社会主義市場経済体制が中国の経済発展を作った。また、鄧小平氏は1980年代には政治体制改革の必要性も説いていたが、1989年の天安門事件後に政治体制改革を放棄したそうだ。

 なお、習総書記は、「③中国共産党は誕生当初から、中国人民に幸福をもたらし、中華民族の復興をもたらすことを使命と決めており、この100年、中国共産党が中国人民を束ね率いた全ての奮闘、全ての犠牲、全ての創造は中華民族の偉大な復興を実現するという一つのテーマに帰結する」とされており、使命に関する理念は立派だと思うが、共産主義の必要性があったかどうかは疑問である。

 何故なら、日本は自由主義でも太平洋戦争後の廃墟から約20年で立ち直り、復興期の私の両親の働く姿と1980~1990年代の中国の若者の働く姿がよく似ていたため、中国は大国であるため広くてまとめにくくはあるだろうが、むしろ共産主義体制をとったことで経済発展が30年遅れたように思うからである。

ロ)中華民族の歴史
 中華民族の歴史については、「④中国共産党と中国人民の勇敢で強固な奮闘で、中華民族が搾取され、辱めを受けた時代は過ぎ去ったことを世界に宣言する」「⑤私たちは社会主義革命を進め、中国で数千年にわたって続いていた封建的な搾取と圧迫の制度を消滅させ、中華民族の有史以来、最も広く深い社会変革を実現した」とされている。

 確かに④⑤のように、中国共産党が列国の支配から中華民族を解放し、深い社会変革を実現したのかもしれないが、私は(他国の実情はよくわからないものの)、蒋介石が中国に自由主義経済を作っていれば、停滞の30年もなかったかもしれないと思う。

ハ)社会主義について
 習総書記は、社会主義について、「⑥中国を救い発展させられるのは中国の特色ある社会主義だけだ」「⑦揺るぎなく改革開放を推進し、計画経済体制から活力に満ちた社会主義市場経済体制への歴史的転換を実現した」「⑧改革開放こそが現代中国の前途と運命を決める鍵となる一手であり、中国が大股で時代に追いついた」「⑨100年前、中国共産党の先駆者たちは、真理を堅持し、理想を守り、初心を実行し、使命を担い、犠牲を恐れず、勇敢に戦い、党に忠誠心を持ち、人民に背かない、偉大な建党精神をつくり上げ、これが中国共産党の精神の源」とされているが、⑧の改革開放や社会主義市場経済体制は、本当は社会主義でも共産主義でもない。そして、中国は市場主義経済に移行して後、大股で時代に追いついたのである。

 東西冷戦後、社会主義体制だった国に関与して私がつくづく思ったことは、自由主義市場経済体制における自由競争こそが工夫と発展を産み、国の経済発展の原動力になるということだった。そのため、私は、経済で儲けさえすればよいという近視眼的な自由ではなく、理念とセーフティネットを持った進化した自由競争が必要だと考えている。

二)中国の今後について
 習総書記は、「⑩2012年の第18回党大会以降、我々は経済一辺倒ではなく政治・文化・社会・環境保護の一体的な発展を重視する『五位一体』体制を見据えて推進した」「⑪中国の革命、建設、改革、中国共産党の創立と強化、発展のために大いに貢献した毛沢東・周恩来・劉少奇・朱徳・鄧小平・陳雲といった同志ら上の世代の革命家を深く忍ぶ」「⑫中国共産党の100年の奮闘から過去に私たちが成功できた理由を見て、未来にどうやって成功を続けられるか明らかにし、それによって新しい道で揺るぎなく、初心の使命を心に刻み、美しい未来を切り開かねばならない」「⑬中国のことをうまくやるために、カギとなるのは党だ」「⑭中国の特色のある社会主義はなぜ良いのか、それはマルクス主義によるものだ」としておられる。

 ⑩については、尤もだ。また、習総書記が共産党の党大会でされた演説なので、⑪⑫⑬⑭を言うのも当然だが、ロ)に書いたように、マルクス主義は競争を廃して人々の工夫をやめさせるため、技術が進歩・発展することは少なかった。これが、人間の欲求を動機づけとして活用しないマルクス主義の国すべてに起こった停滞という歴史的事実である。

 それでは、何故、中国は改革開放後、名目GDPが世界第2位の経済大国まで発展できたのかといえば、第1に、欧米や日本など外国に見本があったため、それを目標にして一丸となって進むには共産主義体制下での強力な管理体制が有効だったからだ。また、第2に、(科挙のように)海外も含む有能な研究者を厚遇で集めて付加価値を上げる努力をし、世界の研究者を集めて学会を開き、世界の優良企業を誘致して、世界の知を積極的に受け入れたことが大きい。

 ただ、第3に、購買力平価によるGDP総額は、2020年に中国が世界第1位、米国が第2位になっているが、同じ購買力平価による1人当たりGDP(分配の仕方にもよるが、国民1人1人の豊かさの指標)は、2020年に中国は世界73位(同米国7位、日本28位)であり、これは中国は人口が多く物価が安いために起こったことである(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%84%E5%9B%BD%E3%81%AE%E4%B8%80%E4%BA%BA%E5%BD%93%E3%81%9F%E3%82%8A%E5%AE%9F%E8%B3%AAGDP%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88 、 http://www.iti.or.jp/column031.htm 参照)。

 そして、このようなことは、日本でも、明治維新後の中央集権と官僚制の開始や太平洋戦争後の復興期に同様に起こったが、世界1の分野が増えて外国に見本がなくなった時、多様性がなく自由な発想のできない制度は工夫がなされにくいので、次の方向性を見失うのだ。

ホ)外交について
 外交の歴史については、「⑮中華民族は平和、和睦、調和を5000年以上にわたって追求し、継承してきた」「⑯中華民族の血には、他人を侵略し、覇権を追求する遺伝子はない」と言われているが、三国志などを見る限り国内での酷い戦争も多かったように私は思うが、漢民族は比較的温和だったと聞いてはいる。

 また、今後の外交理念として、「⑰人類の将来の運命に心を配り、世界のすべての先進的な力と協力して前進する」「⑱中国は常に世界平和の建設者であり、世界の発展の貢献者であり、国際秩序の擁護者だ」「⑲新たな道のりでは、平和、開発、協力、互恵の旗印を高く掲げ、独立した外交政策を追求し、平和的発展の道を守り、新しい形の国際関係の構築を促進しなければならない」「⑳人類の運命共同体の道を守り、『一帯一路』の質の高い発展を促し、世界に新たな機会を提供しなければならない」「㉑平和、開発、公正、正義、民主、自由という全人類共通の価値観を守る」と言われているのは、総論賛成だ。

 しかし、⑱⑲㉑については、国際秩序は「国際法が国内法に優先する」という人類共通の約束事があるため、国内法を優先させて他国の領土を侵害するのは許されないし、「内政干渉しない」という原則もあるため、既に独立国である中華民国(台湾)を無理に併合したり、同国の外交を妨害したりすることも許されない。そして、中国の民主主義や人権に関しては、強力な一党独裁で遅れていることが事実であるため、そろそろ本気で民主化すべき時だろう。

 なお、日本では悪口を言う人も多いが、⑳の「一帯一路」は中国国内での経験を基にして、それを他の開発途上国にも敷衍しているものであるため、善意で行う限り、良いことだと思う。

へ)防衛について
 防衛については、「㉒中国人民はこれまで他国の人民をいじめ、抑圧し、奴隷のようにしたことはない」「㉓中国の人民は、いかなる外部勢力が私たちをいじめ、抑圧し、奴隷のようにすることも決して許さず、故意に(圧力を)かけようとすれば、14億人を超える中国人民の血肉で築かれた『鋼鉄の長城』の前に打ちのめされるだろう」等と述べられた。

 このうち㉒については、TV放送で聞いた時すぐに、「そうかな?」と疑問に思った。他国の人民を積極的に奴隷にしたことはないかもしれないが、自分のことを「中華民族」と呼んでいる反面、周辺の民族のことは東夷(とうい)・南蛮(なんばん)・西戎(せいじゅう)・北狄(ほくてき)という蔑んだ呼び方をしていた歴史的事実がある。

 また、日本に倭国(わこく)・奴国(なこく)などという失礼な文字をあて、朝貢してきた国の女王に卑弥呼(ひみこ)という卑しさを現す文字をあてている。文字のなかった日本について記載してあるのは有難いものの、発音にあてられた文字には敬意が感じられない。

 なお、㉓は自衛権としては尤もであるものの、領土については、武力ではなく国際法にのっとって主張してもらいたい。

2)それでは、日本の「骨太の方針」に国家何年の計があるか
                  ← 対応が遅すぎる上、タイムスケジュールも不明
 「骨太の方針」が、*1-2のように、①新型コロナ対策の強化に加え ②デジタル化 ③脱炭素化 ④地方創生 ⑤少子化対策の4分野を成長の原動力と位置づけて決まったそうだ。

 このうち、①については、かなり述べたので簡略に書くと、ワクチン接種完了を「10~11月にかけて」としているのは、「解散」「解散」と騒ぎ立てるメディアや野党を、新型コロナ禍を建前として黙らせるのが目的のように見える。

 しかし、何回衆議院が解散されようと、政権が変わろうと、背後の官僚機構が政策を決めている限り、政策は変わらない。さらに、議員が官僚機構よりよい政策を作れなければ、政権は官僚機構に頼らざるを得ないということを、与野党・メディアともに認識すべきだ。そして、それを認識すれば、やるべきことはわかる筈である。

 ②③④⑤については、1990~2000年代から始めたものなので、今後のスケジュールを示さなければ意味がない。総花的かと言えば、日本では人口の中で割合が増えている高齢者のニーズを無視しており、高齢者の人権を軽く見ていると同時に、今後は世界で同じことが起こるので、経済における深慮遠謀にも欠ける。

 「どの政策を、(財源を含めて)どうやって実現していくか」については、これまで何度も述べてきたように、単にきりつめるだけでなく、正攻法で財源を増やすことや無駄遣いをなくして効率の良い使い方をすることを考えるべきだ。しかし、役所や官僚機構は、税外収入を増やすことは苦手で、古い仕事を既得権として維持しながら、ポジション増加のために新しい省庁を作ることには熱心だ。そのため、「デジタル庁」「こども庁」は、これまでの担当部署を廃して作るのでなければ、無駄遣いと調整すべき相手が増えるだけであろう。

 「最低賃金の引き上げ」については、*1-5はじめ、多くの人が言っているが、「賃金を上げれば、生産性が上がる」のではなく、「生産性を上げれば、賃金を上げることができる」のである。そうでなければ、経営が成り立たないので、日本企業は雇用を減らすか、工場を人件費コストの安い海外に移転するかして、日本では雇用が失われる。

 にもかかわらず、東大の渡辺教授が、「⑥日銀の異次元緩和で円安が進み、政策目的は円安だけでなく物価と賃金も上げることだったが、円安なのに物価も賃金も上がらなかった」と書いておられる。しかし、金融緩和は円の価値を下げるだけで、金融資産を持ち人口に占める割合の高い高齢者の実質所得や実質年金は減ったため、高いものは買えなくなり、日本製ではなく海外製の安いものに需要が向いたのであり、それは当然の結果だった。

 つまり、現在は鎖国をしている時代ではないため、中国・東南アジアなどの海外で安くてよいものができれば、高いだけで値段ほどには品質の違いがない日本製は売れなくなる。従って、「⑦日本は安い国になった」ということ自体は、国民を批判することではなく、政策によって起こった経済現象にすぎないのである。

 また、「⑧海外で物価上昇が進めば、現地の競合製品が値上がりするので日本企業も値上げできるが、日本では値上げできないという二極化が既に起きている」というのは、現在の日本は中国・東南アジア等と比較してむしろ共産主義化が進み、顧客ニーズに合ったものを作っていないという面も大きい。そのため競争に負けているのであり、これも自然な経済現象であるため、本質を改めない限り改善しない。

 *1-2は、そのほか「⑨持続可能な財政の姿が見えない」「⑩コロナ禍に伴う経済対策で2020年度の一般会計歳出総額は175兆円超、国債は112兆円が新規発行された」「⑪2021年度予算もコロナ対策予備費に5兆円積み、過去最大規模の106兆円に膨らみ、追加支出の恐れもある」「⑫内閣府は、日本経済が高成長したとしてもPBは2025年度に7兆3千億円程度の赤字」「⑬EUは復興財源として国境炭素税などを検討」なども記載している。

 ⑩⑪⑫は、コロナ禍というより、五輪の無観客開催も含めてコロナ政策禍であるため、このような政策しかできなかった根本的な問題を解決すべきである。また、コロナ政策禍によって生じた膨大な歳出増・財政赤字と失業は、*1-4のように、無駄遣いの景気対策をするのではなく、今後を見通して炭素税か環境税を導入して再エネ投資を進めることによって解決すべきだ。

 なお、五輪の無観客開催については、*1-7のように、政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身会長ら“専門家有志”が「無観客が望ましい」との提言を公表し、これが多くのメディアで主張されて国民の不安を煽っていたが、その根拠は「i)競技場内での感染はないと思うが、人流を抑制したい」「ii)市中と矛盾したメッセージを発しない」「iii)一般市民との公平性」などだそうで、科学とは全く関係のないものだった。

 しかし、その影響で五輪が無観客化されたことによって五輪の経済効果がなくなったマイナスは大きく、五輪のために投資した企業は損失を出し、無観客なら五輪の魅力も半減如何になる。さらに、「自国の検査で陰性だったのに、日本で感染が判明した選手団員が出た」「デルタ株の感染力が強い」などを大きく報道しているが、その根拠や解決法について“専門家”の理路整然とした説明はなかったし、「日本のPCR検査のカットオフが厳しいのだ」という説もある。その上、「デルタ株だからワクチンが効かない」とか「デルタ株だから中等症・重傷になる人の割合が増える」ということはない。なお、無観客なら国立競技場を建て替える必要もなかったため、五輪が終わったら民間に売却し、それで五輪開催にまつわる損失を穴埋めすればよい。何故なら、国民は、国民を幸福にしない誤った政策の尻拭いのために税金を負担したくはないからだ。

 このような中、*1-3には、「⑭新型コロナ禍で2020年春から積み増した予算73兆円のうち、約30兆円が使い残し」「⑮家計・企業への支払いを確認できたのは約35兆円とGDPの7%程度で、13%を支出した米国と比べて財政出動の効果が限られる」「⑯財政ニーズが強い時に予算枠の4割を使い残す事態は、日本のコロナ対応の機能不全を映し出している」「⑰翌年度への予算繰り越しが30兆円程度出る2020年度は極めて異例」「⑱ワクチン接種の遅れが消費や投資を制約させた影響が大きい」「⑲欧米や中国はコロナ後の成長基盤づくりをにらんでグリーン関連政策やデジタル化など戦略分野へ中長期的財政出動を競う」と書かれている。

 このうち、⑱は深刻である上、ワクチンを接種しても「差別」などと言ってワクチンパスポートを出さず、リスクの低い人の経済活動まで止め、⑭⑮の国に補助されなければならない人を増やした。さらに、ワクチンや薬剤の開発・承認も進めず、⑲にも不熱心で、産業の付加価値を上げたり、コストを下げて利益を得たりする機会を逸している。

 その上、⑯⑰のように、予算枠を使い残して翌年度に繰り越すこと自体が悪いかのように言うため、ゆとりを持って予算を設定し、不必要になったら使わないという当然のことができない。そして、これは、国に複式簿記による公会計制度を導入して財産管理を徹底しつつ、考え方を変えなければ解決できないものである。

 さらに、⑮で「家計・企業への支払いが日本はGDPの7%程度、米国は13%なので、日本の財政出動の効果が限られる」としていることについては、新型コロナ感染者の状況が異なる他国と同じ政策をとる必要はなく、日本の財政には無駄遣いするゆとりはない。

 なお、*1-6にも、「⑯後発薬原材料調達は6割が海外で、供給リスクが指摘される」「⑰塩野義は抗菌剤の原料生産設備を今年末までに岩手県に設ける」「⑱日本での原材料製造コストは中国の5倍以上との試算」「⑲国内回帰は薬のコスト上昇に繋がりかねない」などが記載されているが、同じ製品を日本で作ると製造コストが5倍以上になるのが問題なのである。そのため、理由を分析して問題解決すべきであり、そうしなければ他産業も日本には戻って来ず、それと同時に技術も日本から失われるのだ。

(2)客観的根拠に基づく軌道修正が不得意な国、日本


  2020.12.21   2021.6.24     2021.2.20      2021.6.26 
  Net IB News   東京新聞      毎日新聞       日経新聞

(図の説明:1番左の図のように、使用済核燃料の貯蔵割合が100%に近い原発は多く、それは稼働すれば増えるものである。また、左から2番目の図のように、40年を超える関電美浜原発3号機が再稼働したが、その30キロ圏内には28万人弱が暮らしている。さらに、右から2番目の図のように、長期停止の後に再稼働した原発も多い。なお、1番右の図の地下に埋める形式の小型原発が問題解決できるかのような記述があるが、結局のところ何も解決してはいない)

1)それでもまだ、原発の建て替えをしたい人がいるのは何故か?
 日経新聞は、*2-1-1のように、「①60年に達する原発が今後出てくるのに、経産省はエネルギー基本計画に原発の建て替えを盛り込まない方向」「②政府は2030年度までに、温暖化ガス排出量を2013年度比で46%以上削減し、2050年には実質ゼロをめざすと決めた」「③原発はCO2を排出しない電源で、これにより2050年の脱炭素社会実現に向けた道筋が描きにくくなった」「④地球環境産業技術研究機構によると、原発活用は電力コストの上昇を和らげる効果もある」「⑤2050年に再生エネで電力すべてを賄うと、送電網の整備などに大きな費用がかかると見込まれるため、電力コストは今の4倍程度に増える」などと、記載している。

 ②については、よいと思うが、遅すぎるくらいだ。また、①③については、脱炭素は地球温暖化や公害をなくす一手段にすぎず、それ自体が目的ではないため、普段から温排水や放射性物質を排出し、事故が起こると手が付けられなくなる原発は既に失格であり、早く卒業すべきだ。

 具体的には、*2-1-2のように、フクイチ事故を起こした原発処理水を海洋放出して漁業に迷惑をかけようとしており、フクイチ事故自体も広い範囲の農林漁業と地域住民に多大な迷惑をかけた。その上、難しい原状回復のために支払う電気代や税金は莫大で、それがコストに上乗せされている。さらに、*2-4のように、原発建設当時からわかっていた筈の放射性物質を含む使用済核燃料の廃棄場所は未だになく、これにも税金と電気代を使うことになりそうなのだ。

 それにもかかわらず、④の「原発活用は電力コストの上昇を和らげる効果もある」などと言っている地球環境産業技術研究機構は、いかにも地球環境を護るような名前の組織だが、理事長の山地憲治氏は原子力の専門家で(https://www.rite.or.jp/about/outline/pdf/yamaji_cv.pdf 参照)、経産省の有識者会合と同様、原発推進派の下請機関である。さらに、⑤については、高度化した送電網の整備は喫緊の課題であるため、この際、送電に参入する組織がインフラ投資を行い、装置が簡単で燃料代0の再エネ電力を普及させた方が賢いに決まっている。

2)耐用年数を過ぎた原発を再稼働させる無神経
イ)仮に避難できれば、原発を再稼働してもよいのか
 運転開始から40年を超える関西電力美浜原発3号機が、*2-2-1のように、2021年6月23日、10年ぶりに再稼働したが、重大事故の際に避難対象となる30キロ圏内には28万人弱が暮らしており、避難の実効性には疑問符が付いている。

 しかし、原発事故で土地や住居を捨てて避難し、何年~何十年もどこで暮らすつもりか?「国策だったから」として、また国が除染したり公営住宅を建設したりすることを期待しているのなら、既に国策として原発を使う必要はなく、むしろ地域が補助金目当てに原発を再稼働したのだから、復興費用を全国民に負担させる理屈は通らなくなっている。つまり、避難する用意があったとしても、原発を再稼働してよいという理屈は既に破綻しているのだ。

 なお、水戸地裁は、30キロ圏に国内最多の94万人を抱える日本原子力発電東海第二原発の運転を禁じる判決を出したが、その根拠も、「市町村で避難計画の策定が遅れており、実現可能な避難計画がなければ運転を認めない」と言うに留まっており、避難した後、どうするかについての考察はない。

ロ)40年超の老朽原発を再稼働する非常識
 そのような中、*2-2-2には、「①関西電力が44年を経た福井県の老朽原発を再稼働させ、40年ルールから外れたケースが初めて現実となった」「②関西電力は、同様に老朽化した高浜1、2号機の再稼働も進める方針」「③福井県の再稼働同意は、それを条件とする巨額の交付金を経産省が県に提示したから」「④経産省と大手電力は今回の再稼働を原発復権に向けた足掛かりの一つと捉えている」「⑤例外として最長20年の延長を認める規定がある」「⑥40年の寿命を迎えた原発から順次廃炉して脱原発を着実に進める予定だった」と記載している。

 国税庁が示している耐用年数は、単なる建物・建物付属設備でも鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の場合は、工場・倉庫用:38年、公衆浴場用:31年で、金属造の場合は、工場・倉庫用:最長31年、公衆浴場用:最長27年である。また、電気設備・給排水・衛生設備、ガス設備は15年しかなく、機械・装置の耐用年数は、6~13年だ。(https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensuhyo.html 、https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensutatemono.html 、https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensukikai.html 参照)。
 
 つまり、放射性物質が飛び交うような過酷な環境でない普通の建物や建物付属設備の耐用年数でも、工場・倉庫用38年で、使用済核燃料プールのように常に水を貯めている建物付属設備なら、公衆浴場用31年である。さらに、電気設備・給排水・衛生設備、ガス設備の耐用年数は古典的で単純なものでも15年しかなく、機械・装置は6~13年で精密になるほど短いのである。

 そのため、日頃から周辺機器の点検や交換を行っていたとしても、40年の耐用年数は長い方で、⑤のように、40年ルールから外れる例外を作ることこそ緩くて甘いのだ。そして、それを存分に利用しようと、③のように、国が巨額の交付金を提示し、それにつられて①②④のように、なし崩し的に40年ルールを無視し、⑥の脱原発を闇に葬るやり方は、水際対策をザルにして先端技術も使わず、新型コロナを何度も蔓延させて国民に大損害を与えたのと同じ構図である。

3)日本における想定の甘さ
イ)地震の想定と活断層
 原子力規制委員会は、*2-3-1のように、九電が玄海原発で想定する地震の最大の揺れを引き上げる必要があるとの見解を示したそうだ。基準地震動とは、原発の耐震設計で基準とする地震動で、周辺の地質・地震学・地震工学等の見地から極めてまれでも発生する可能性があり、大きな影響を及ぼす恐れもあると想定されて、原発の地震対策の前提になるものだそうだ。

 規制委は、原発周辺の活断層などによる地震に加えて、過去に国内で発生した地震データを使って揺れを想定する方法を導入し、電力各社に最大の揺れの想定を見直す必要があるかどうか回答するよう要請したそうだが、電力会社が想定を作り直せばお手盛りになるし、耐震補強の追加工事費用も電力料金に加算される。

 さらに、活断層も、*2-3-2の「未知の活断層」だけでなく、プレートが強い力で押しあえば新しい活断層ができる可能性もあるため、過去にできた活断層だけを問題にしていることの方がむしろ不思議なくらいである。

 そのため、再エネの豊富な九州は、早々に原発を卒業し、大手電力も装置が簡単で燃料費0の再エネ発電に転換した方がよいと考える。その方が、玄海原発周辺の安全性が増し、他産業の誘致がしやすくなるメリットがある。

ロ)使用済核燃料の処分
 原発稼働で発生する使用済核燃料は、*2-4のように、再処理工場を経て最終処分場やMOX燃料加工施設に運ばれることになっている。そして、現在、日本国内で貯蔵されている使用済核燃料は約1万8,000tに上り、約5年後には、福島第二で88%、柏崎刈羽で100%、浜岡原発で90%、美浜原発で89%、高浜原発で98%、大飯原発で93%、川内原発で93%、東海第二原発で96%と、一時保管場所の9割が埋まると試算されている。

 また、九電玄海原発ではトラッキングで290t、乾式貯蔵施設の設置で440t、四電伊方原発では乾式貯蔵施設の設置で500t、中電浜岡原発では乾式貯蔵施設の設置で400tの追加保管が見込まれるが、これらは原発敷地内に放射性廃棄物が増えることにかわりない。また、東電と日本原電が出資した青森県むつ市の中間貯蔵施設は3,000tの保管を最長50年予定しているが、再処理後の高レベル放射性廃棄物最終処分場の選定はできていない。

 なお、使用済核燃料も恐ろしく危険なもので、フクイチのような自然災害による自爆もあり得るが、戦争なら原爆を運んで落とすよりも、原発を攻撃すれば原爆の何十倍もの威力でその国を自爆させることができるものである。そのため、使用済核燃料の処分は、これらのリスクも考慮したものでなければならないのだ。

ハ)小型原発の開発
 原発の是非を巡る議論が続いているのに、*2-5は、「①出力30万kwの小型原発を開発する動きがある」「②小型化して建設費を抑え、安全性も高めた」「③脱炭素に繋がる電源として実用化への取り組みは欧米が先行」「④三菱重工は国内の電力大手と小型炉の初期的設計の協議に入った」「⑤建設費は1基2,000億円台で5,000億円規模の大型炉の半分以下」「⑥小型炉は蒸気発生器を原子炉内に内蔵し、ポンプなしで冷却水が循環」「⑦小型炉は地下に設置できるので、航空機等による衝突事故への備えが高まる」「⑧密閉性が高まり放射性物質の飛散も防げる」「⑨米国ではプールにまるごと沈め、非常用電源なしでも冷却でき事故が起きにくい小型炉を開発」などと記載している。

 このうち③は、(2)1)に記載したとおり、脱炭素は地球温暖化や公害をなくす一手段にすぎず、それ自体が目的ではないのに、原発を推進するために目的を矮小化して記載している点で悪意であるし、パリ協定も原発は推進しないことを明らかにしている。また、①②⑤については、小型化したから安全になったというのは新たな安全神話にすぎず、出力30万kwが2,000億円台なら出力100万kwが5,000億円台よりも割高なので建設費を抑えたとは言えない。そして、その2000億円には地元懐柔費・事故時の現状復旧費・最終処分場建設費等は入っているのか?

 さらに、⑥⑨は、ポンプなしで冷却水が循環したとしても、冷却して回収した熱はどこかに逃がさなければならないため、それが海か空気を温めることは避けられず、温暖化防止に貢献することはない。その上、⑧のように、放射性物質の飛散は防げても発生は防げないし、使用済核燃料をどこかに処分しなければならないことに変わりはない。

 なお、⑦のように、地下に置いて航空機が突っ込む事故への備えが高まったとしても、サイバー攻撃やミサイル攻撃に対抗できない点は同じであるため、このような危険を犯し、地域住民の犠牲と大金を払って、④のように、国内電力大手が燃料費無料の再エネ(水力・地熱も含む)より原発を選択するには、また何かのからくりがありそうだ。

(3)外交・防衛にも計画性のない国、日本 ← それで勝てるわけはない
1)日本の外交について ← 台湾有事と尖閣諸島問題から
 日本は、1972年9月29日に北京で締結した「日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_seimei.html 参照)」の2条で、「日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する」としているため、中華民国(台湾)の独立性について曖昧で消極的な態度をとっている。

 しかし、中華民国(台湾)は独立国であり、中華人民共和国との合併を望んではいないため、7条の「日中両国間の国交正常化は、第三国に対するものではない」に該当し、日本政府と中華人民共和国政府の共同声明に基づいて、中華民国(台湾)の独立性が左右されるのはおかしい。

 このような中、*3-1のように、麻生氏は「①中国が台湾に侵攻した場合、安保関連法が定める『存立危機事態』に認定し、限定的な集団的自衛権を行使することもあり得る」「②台湾有事は、日本の存立危機事態に関係してもおかしくない」「そのため、日米で一緒に台湾を防衛しなければいけない」との認識を示された。

 ①②③の繋がりについては、もう少し詳しい説明を要するが、尖閣諸島問題を見ると中華人民共和国政府の国内法優先による横暴は目に余り、それは国際法にのっとった話し合いでは長期間解決することができていないのである。これは、日本の外交が情けないことも理由の1つだろうが、それだけが理由ではないと思われる。

2)日本の防衛について ← 今さら原子力潜水艦が必要か
 このような中、*3-2は、「①自由で開かれたインド太平洋を海洋安全保障戦略の基本としている4カ国の専門家が原子力潜水艦の必要性を指摘した」「②今後米中関係がさらに悪化して行く中で、台湾有事も想定せざるを得ない」「③燃料の補充が長期にわたって不要なので、潜水艦、砕氷船、発電バージに小型軽水炉は最適」「④長期間潜ったまま航行できる原潜が中国海軍の動きを抑えるのに役に立つ」等を記載している。

 また、*3-3は、「⑤ディーゼルエンジンと蓄電池で駆動する潜水艦と違い、原潜は半永久的に潜水可能」「⑥高濃度の核燃料は数十年にわたって原子炉を稼働させることができる」「⑦燃料を気にすることなく原子炉からエネルギーを得て海水を蒸発させて真水を生み出し、それを電気分解して酸素供給も可能」「⑧船員の酸素確保のために浮上する必要もないため、連続潜航距離を伸ばせる」「⑨米国が、1958年に原潜で北極点の下を潜航通過し、当時、原子力は人間が制御でき、平和利用すれば人々の生活を豊かにするという考えが大勢だった」「⑩その後、原子力潜水艦や原発がいくつも大事故を起こした」等を記載している。

 ⑤⑥⑦⑧は事実だろうが、狭い原潜の中に原子炉を積んでいれば、原潜内で放射能が上がることは確実で、放射性廃棄物は海中に捨てており、撃沈された時は燃料もろとも海中投機されるため、原潜の数が増えて実戦で使われれば海洋汚染が進む。そのため、⑨のように、1950年代に原潜を作ったのはわかるが、⑩のように、原発事故や放射能による被害が明らかになった後に、原潜を作ろうというのは時代錯誤も甚だしい。

 にもかかわらず、②④を論拠として、日本が原潜を作ろうすれば台湾も迷惑だろう。何故なら、台湾付近で原潜が戦闘を行い、そこで何隻も撃沈されれば、付近の環境や漁業に悪影響を与えるからで、①もまた、時代錯誤の日本主導でこのような指摘になったのではないかと思う。さらに、③に「燃料の補充が長期にわたって不要」と書かれている原潜のメリットは、再エネでも潮流発電を使えば海中でひっそり充電して水素と酸素を作ることが可能だ。

 また、④の「長期間潜ったまま航行できる原潜が中国海軍の動きを抑えるのに役立つ」という主張については、そんなことはないだろうし、人間が乗って運転する時代も既に去り、戦争は無人で行う時代になりつつあって、海中や空中はそれに適しているように見える。

(4)人を大切にしない国、日本 ← 医療・介護はじめ社会保障と人権を粗末にしすぎ 
1)医療・福祉について
イ)過疎地の医療について
 日経新聞は、*4-1-1で、「①2050年の人口が2015年比で半数未満となる市町村が3割に上り」「②829市町村(66%)で病院存続が困難になる」「③公共交通サービス維持も難しくなり、銀行・コンビニが撤退するなど生活に不可欠なサービスの提供もできなくなる」「④地域で医療・福祉・買い物・教育機能を維持するには、一定の人口規模と公共交通ネットワークが欠かせない」と記載している。

 交通ネットワークが整っていれば、少し広い範囲を医療・教育・福祉・買い物圏にすることができるため、必ずしも1市町村に1つ以上の基幹病院が必要ではないが、病院なら何があっても車で30分以内で専門医にアクセスできるネットワークが必要だし、小中学校はスクールバスで15分以内、保育所・介護事業所は車で5~10分以内にアクセスできる必要があるだろう。

 従って、「⑤医療圏内で20人以上の入院患者に対応した病院を維持できる境目となる人口規模は1万7500人で、これを下回ると存続確率が50%以下」というのはかなり大雑把な言い方で、病気によって専門医は異なるため、もう少し広い範囲を視野に入れ、それぞれの病気や事故時には専門医に30分以内でアクセスできる必要がある。そのため、新型コロナ禍でバス事業者が経営難に拍車をかけられたのであれば、小中学校を合併してスクールバスを走らせたり、診療・健診バスや送迎バスを走らせたりなど、これまでなかったバスの使い方を考えるのも一案だ。

 また、「⑥基準を満たせない市町村の割合は2015年の53%から2050年には66%まで増える」というのも、病院をネットワーク化してそれぞれに専門の重点を変え、距離が遠くなる地域は診療・健診バスを走らせてカバーするなど、サービスを向上させながら効率化する方法もある。そのため、固定観念ではなく、問題解決重視で改善を重ねることが重要だ。

 なお、「⑦2050年に銀行の本支店・営業所は42%、コンビニは20%の市町村で0になるリスクがある」というのは、集落が消滅する前にそういうものがなくなって不便になり、集落の消滅に拍車をかけるので、集落が消滅しないよう、仕事を作り、移住者を増やす必要がある。現在は、農林業・再エネ・製造業の国産化や地方分散が進められている時期であるため、その気になれば仕事や移住者を増やせる筈である。

ロ)全体としての医療の課題
 公共経済学の専門家が、*4-1-2のように、「①新型コロナの感染拡大を巡っては、変異株の脅威のほか、五輪開催という重大なリスク要因が存在する」と記載しておられるが、ワクチンは変異株にも有効で、かつ五輪関係者はワクチンパスポートか陰性証明を持ってくる人であるため、検査もワクチン接種もしていない日本人よりよほど安全なのである。

 そして、*4-1-2は「②ワクチン接種の大幅加速という好材料も出てきた」とも書いているが、*4-3-1のように、せっかく民間企業が職場接種を始めたら「接種に使われる米モデルナ製ワクチンの供給が追いつかなくなった」として、政府が職場接種の申請受け付けを急遽停止することにした。しかし、職場接種はモデルナ製でなければならないと決まっているわけではなく、「打ち手」が足りないわけでもないため、現役世代の接種を加速させて全体を感染から守るためには、政府は必要な場所に速やかにワクチンを供給することを考えるべきだ。

 *4-1-2には、「③ポストコロナの医療供給体制にとっても重要な課題が浮き彫りになった」とも書かれているが、日本の医療供給体制の不合理は新型コロナで初めてわかったのではなく、時代の先端を行く科学の導入や地域医療計画に合わせた医療圏の設定・病院間の分業などの継続的改善を行うことが必要だったのにやっていなかったのだ。そして、厚労省・財務省の著しく単純化された合理化案で改悪されてきたというのが実情である。

 また、このほか、*4-1-2には、「④ワクチン接種が加速している欧米諸国は死者数が大幅に減少した」「⑤欧米は死者数で第3波は到来していないが、日本には過去のピークを上回る第4波が到来している」「⑥欧米は景気もV字型の回復軌道に乗ったが、日本は経済効果があり景気回復のチャンスでもある五輪さえ無観客にして逃している」「⑦本格的な市中感染の到来を予期せず、全国レベルのワクチン接種に大きく出遅れたのが、その違いを生んだ主因である」等も書かれており、これは事実だ。

 ただ、日本の場合は、地方自治体や国民にある程度の衛生意識があるため、政府による全国一律の強制的ロックダウン等は不要だったのだが、おかしな論調のメディアに引きずられた政府のコロナ対策や医療政策が悪すぎたのである。

 また、「⑧急性期医療へのシフトなど構造改革急げ」「⑨利用者の受診抑制の要因や影響探る必要」とも書かれているが、日本の人口当たりベッド数は世界トップクラス、コロナ感染の規模は諸外国より限定的だったにもかかわらず、「医療現場が逼迫する」と言われ続けてまともな医療も受けられない人が続出した。何故か? その原因を一つ一つ解決し、患者のQOL(Quality of Life)を高めながら医療システムを良い意味で合理化することが、医療制度の改善に繋がるし、それはできるのである。

2)教育について
イ)教員の質と教員免許更新制
 *4-2-1は、「①文科省が、2009年度に導入された教員免許更新制廃止の方向で検討しているが、遅きに失した」「②免許期限を10年とし、30時間以上の講習を自費で受けると更新が認められる」「③数万円の講習費用と交通費を負担して夏休み等に講習に通うことに、教員の大多数が負担感を示し、役に立っていると答えたのは1/3だった」「④更新制は教員不足の一因にもなった」「⑤文科省は、教員の資質確保が目的で、不適格教員を排除する趣旨ではないとする」「⑥教員の多忙さが増し、学校現場の疲弊が深いのに、なぜ免許更新が必要か」「⑦いじめはじめ、子どもたちが抱える問題への対応が追いついていない」「⑧教員が子どもとじっくり向き合って力量を高め、それぞれが直面する課題を持ち寄って自主的に学び合う時間と余裕を生むことが肝心だ」と記載している。

 このうち②③については、資格を維持して業務を続けるには、公認会計士(年間40単位)・税理士(年間36単位)も、毎年度に一定以上の研修を受けることが必要で、長い夏休みなどない勤務体系でも時間を作って研修を受けている。その効果は、i)刻々と更新される実務の標準をキャッチアップし ii)知識を深く整理し iii)自分が担当していない業務にも視野を広げる などであり、大学教授の講義の中に実務から離れた役立たないものもあるが、全体としては役立つものが多い。費用は、有料・無料の両方があり、昨年からはリモートでの無料の講義が増えている。

 つまり、研修を受けることを負担に感じる人は、もともと勉強好きでないのだと思うが、勉強嫌いな教員に習った子どもが勉強の面白さを教えてもらって勉強好きになるわけがない上、⑥⑦⑧のように、何十年も「忙しさ」を勉強しない口実にして根本的な問題解決をしない人たちに習った子どもに問題解決能力が身につくわけもなく、お粗末な教育の結果は既に出ている。そのため、そういう人が教員を続けていること自体が子どもや国家にとってマイナスであるため、⑤も必要であり、研修内容は毎年改善してよいが、①の教員免許更新制は残した方がよいと思う。

 なお、④の免許更新制が教員不足の一因になったという点は、これからの日本を背負う子どもを教育する教員の給料を銀行員・会社員よりも高くし、博士など専門性があり優秀な人が教員になりやすい環境を整えるべきである。

ロ)「才能を持つ子ども」の定義と誤った評価
 *4-2-2は、「①芸術・数学などで抜きんでているが、学年毎のカリキュラムや周囲にうまく適合できず、不登校になるケースもある」「②文科省によると、米国では同年齢より特に高い知能や創造性・芸術的才能などを発揮する子どもを「ギフテッド」と呼び、早期入学や飛び級といった特別な教育プログラムが用意されている」「③中にはこだわりが強すぎたり、集団行動が苦手だったりする子もいるとされ、どう支援するかも課題」「④日本では、単純な課題は苦手だが複雑で高度な活動は得意など多様な児童生徒が一定割合存在する」「⑤同質性の高い学校文化そのものを見直すべきとの意見」「⑥松村教授は「『トップ人材を輩出する目標でなく、困っている才能児のニーズに対応する視点で議論すべき』と指摘」「⑦発達障害を抱える子もいるとして特別支援教育や生徒指導との連携も必要とした」などと記載している。

 日本では、①の文脈で語られる時、「抜きんでている」という言葉の意味が低いレベルであることが多い。②の米国における「ギフテッド(神から才能を与えられた者という意味)」呼ばれる子どもは、音楽ならモーツァルト、体操ならコマネチ、男子100mならカール・ルイス、科学ならアインシュタインのような本物の「ギフテッド」であり、そういう人やその卵を探して特別な教育プログラムで育てているのである。従って、本人の自然な欲求としてこだわりが強く、努力もしており、だからこそ他人ができない何かを成し遂げることができるのだ。

 そのため、③のように、こだわりが強いことを悪いことであるかのように言ったり、集団行動をしないから性格がおかしいかのように言ったりするのは、凡人の歪んだ劣等感の裏返しにすぎない。もし、⑥⑦のように、才能児が困っている点があるとすれば、凡人の誤った評価で発達障害扱いされたり、成長を妨げられたりすることだろう。つまり、⑤のように、いつも集団行動や同質性を強制し、それを疑問にすら思わない大人の方が問題なのである。

 なお、④のように、「複雑で高度な活動が得意など多様な児童生徒が一定割合存在する」というのは、よいことでこそあれ悪いことではない。そして、通常は、複雑で高度な活動ができる人は単純な課題はすぐできるが、単純なことを繰り返すのが嫌いなだけである。いずれにしても、これからは、単純作業や体力勝負の仕事はコンピューターやロボットにとられ、人間は複雑で高度な作業で出番が多くなるため、教員の考え方も変える必要がある。

3)間違いだらけの新型コロナ対策
イ)新型コロナと五輪
 新型コロナが拡大している中、「五輪を開催しても国民は安全なのか」という論は、*4-3-5をはじめ多い。しかし、「菅首相が何より優先しなくてはならないのは、五輪を予定通り終わらせることではなく、国民の命を守るためコロナ感染を一日も早く収束に向かわせることだ」とし、五輪を開催すると国民の命が守れないかのように記載しているのは変だ。

 これは、「子どもの安全のため、放課後は子どもを学校に残さない」と言いつつ、かぎっ子を街に放り出してきたのと同様、安全を建前として使ったより悪い選択への強制である。さらに、五輪の開催を政争の具に使うのは、今後の日本外交に悪影響を及ぼすため許すべきではない。

 具体的には、*4-3-5は「①五輪開催都市である東京で新型コロナ感染者が急増している」「②1,000人/日超の新規感染者数の報告が続き、5月の第4波ピーク時を上回っている」「③専門家は現在の増加ペースで推移すれば五輪閉会後には2,400人程度に上るとの試算を公表した」としているが、私も英国と同様、今後は新型コロナによる死者数だけを開示すればよいと考える。理由は、ワクチン接種が進むにつれて重症化する人が減るからで、治療薬やワクチンの準備もできずに天気予報のようなことしか言わない日本の“専門家”会議は既に失格なのである。

 また、「④東京など首都圏の感染者数は全国のおよそ2/3を占めている」「⑤感染力の強いデルタ株への置き換わりが進み、感染再拡大が首都圏から全国に波及する可能性もある」のであれば、ワクチンはデルタ株にも有効であるため、感染者数の多い首都圏にワクチンを先に配布すれば、感染者数が減って他地域への波及も減る。ここで、誤った「公平」を持ち出すのは科学的ではなく、おかしな平等教育の結果である。

 さらに、「⑥選手約1万人、大会関係者約4万1千人の来日が見込まれる」「⑦五輪は選手らと外部の接触を遮断する“バブル方式”で運営される」「⑧種目の大半は無観客で行われる」「⑨選手らの多くがワクチン接種を済ませ、厳格な検査と行動制限でウイルスの国内流入を防ぐとする」「⑩事前合宿先で感染が判明した例もあり、水際対策は万全ではあるまい」「⑪管理の緩さが露呈した関係者の行動も問題視されている」「⑫『バブル方式により、日本国民がコロナ感染を恐れる必要はない』『感染状況が改善した場合、有観客を検討してほしい』としたバッハ会長の現状認識にも疑問が湧く」とも書かれている。

 しかし、⑨のようなワクチン接種済の人が、⑥のように4万1千人来ても伝染するリスクは低いため、⑦⑧⑪は、外国人に対するヒステリックな対応で差別的でもある。また、⑩については、PCR検査のカットオフの問題で、日本のPCR検査は長時間増幅させているという報告もあり、水際対策はビジネス目的で入国している内外の人に対する方が甘いため、私は、⑫のバッハ会長の見解に賛成だ。

 なお、「⑬選手村には、2回目の接種を終えていない日本人スタッフらが出入りする」というのは、出入りする関係者は五輪関連者として早くワクチンを接種すればよい。そのため、「⑭五輪を発生源としたクラスターを認知した場合、大会を続行するかどうかを検討しておく必要がある」のように、ワクチン接種済の軽症者ばかりのクラスターが発生したからといって大会を中止するようなことがあれば、五輪は世界中で報道されるため、世界の笑い者になるだろう。

 「⑮生活や事業がコロナ前に戻るのはいつかを国民は一番知りたい」については、*4-3-3のように、東京五輪の原則無観客開催で多くの企業が肩すかしを食らい、スポンサー企業も製品や技術を売り込む好機の筈が人々の目に触れる機会が大幅に減っている状況なので、必要な場所に早期にワクチン接種を済ませ、この1年間で経営状況が悪くなった日本企業に五輪でさらに追い打ちをかけるのをやめた時、生活や事業は少しずつコロナ前に戻ると言える。

ロ)誤った新型コロナ対策とそれによる破綻
 政府は、*4-3-4のように、7月12日、東京都に4度目の新型コロナ緊急事態宣言を出し、蔓延防止重点措置を含む6都府県の住民に県境をまたぐ不要不急の外出自粛を要請した。そして、「接種の有無による不当な差別は適切でない」として、ワクチン接種証明書は海外渡航用に限り、ワクチン接種済者も同じく移動を止めて経済を停滞させている。しかし、感染リスクが低くなり、移動を止める理由のなくなった特定地域のワクチン接種済者の移動の自由を侵害するのは憲法違反であると同時に、それこそ差別である。

 国内の観光地も政府から僅かな補助金をもらうより、感染リスクの低いワクチン接種済者からでも営業を始めた方が助かり、納税者も同じだ。また、「都道府県間の移動は控えよ」というのは理由不明で、知事の権限範囲が異なることくらいしか理由を思いつかない。そのため、私は経団連の「接種証明書を早く活用し、国内旅行などの要件を緩和すべき」という提言に賛成だ。

 さらに、「学校は、新型コロナで運動会も中止になった」と聞くが、延期すればよく、中止にまでする必要はない。そのため、「何故、ここまで融通が効かないのか」と不思議に思う。

 なお、*4-3-2のように、東京商工リサーチによると、負債1,000万円未満を含めた新型コロナ関連破綻が累計で1,661件になったそうだ。ここでおかしいのは、夜に飲食店を利用することや酒を飲むこと自体が悪いかのように、飲食店の酒類提供や営業時間制限を設備の状況に関わらず一律に行っていることである。破綻すれば、事業主は負債を負って失業し、従業員も失業するが、これを助けるのに、生活保護や「Go To Eat」による血税のバラマキばかりしている体質なら、日本も破綻寸前でお先真っ暗なのだ。

4)難民と留学生
 サッカー・ワールドカップ予選のため来日していたミャンマー代表選手のピエ・リヤン・アウンさんが、*4-4-1のように、クーデターを起こした国軍に抗議の意志を示して帰国を拒否し、日本に難民認定を申請されたそうだ。

 日本政府は、日本への在留継続を望むミャンマー人に対し、緊急避難措置として在留延長や就労を認める方針を示したそうだが、ピエ・リヤン・アウンさんが母国の家族やチームメートの身を案じながら下した苦渋の決断にも応える必要がある。

 難民条約は、人種・宗教・政治的意見などを理由に母国で迫害される恐れがある人を難民と定義して各国に保護するよう求めているが、日本は他の先進国と比較して難民認定数が極端に少ない。そのため、本来、保護されるべき人が保護されずに送還されている可能性が高く、外国人の人権保護という視点から、難民認定制度については見直すべきである。

 また、*4-4-2のように、合宿期間中に世界ランキングが下がって五輪に出場できなくなり、コーチとともに近く成田空港から帰国する予定だったウガンダの重量挙げ男子選手が、「日本で仕事がしたい。生活が厳しい国には戻らない」という趣旨の書き置きを残して名古屋行き新幹線の切符を購入したそうだ。こういう人は、希望があればスポンサー企業がついて中京大学に留学させ、次のオリンピックを目指せるようにするか、何かいい方法がありそうだ。

 なお、ウガンダは、英語が通じ、キリスト教が6割を占める国で、現在の主要産業は農林水産業・製造・建設業・サービス業で、自動車・医療機器・医薬品などは輸入しており、日本企業のアフリカ進出の拠点になれそうな国である(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/uganda/data.html 参照)。

(5)先端科学で証明する日本人のルーツと古代史

  
    2010.5.7朝日新聞       2021.6.23日経新聞    2021.7.8日経新聞
                     *5-1より       *5-2より

(図の説明:左図は、ホモサピエンス《現生人類》がアフリカで発祥し、ネアンデルタール人などと交雑しながら世界に広がり、それぞれの地域に適した姿に進化してきたことを示す図だ。中央の図は、日本における都道府県毎の50人のゲノム情報をもとに違いを可視化し、縄文人由来のゲノムが多い県は青色、渡来人由来のゲノムが多い府県はオレンジ色で表示したもので、沖縄県は縄文人由来のゲノム比率が他県と比べて極めて高いが地図に含まれていない。右図は、東北大学と製薬大手5社が創薬目的で作るバイオバンク構想だ)

 東北大学と製薬大手5社が、*5-2のように、10万人分のゲノムを解析するためのコンソーシアムを設立し、本格的にゲノムデータを創薬や診断技術開発等に利用できるようにし、日本も、ようやくゲノムをもとに新薬を探す「ゲノム創薬」の基盤整備が進むのだそうだ。

 年齢・性別・生活習慣・病歴などのデータも合わせて蓄積するそうだが、正しいデータ分析のできない人はゲノム・年齢・性別などによる固定観念で人を差別するようにもなりがちであるため、注意してもらいたい。しかし、人間のDNAを短時間で読むことができ、ゲノムを解析することが可能になったのは、著しい進歩だ。

 新型コロナウイルスを通して誰もが容易に理解できるようになったことは、DNAが分裂する時にはコピーミスも発生し、これによって変異が起こり、より有利な変異をした個体が生き残って、次の進化をしていくということだ。有性生殖をする生物は、次世代を残すのに少し時間を要するが、DNAのコピーミスだけでなく、交配によって両親から両方のDNAを受け継ぐことによっても、より生き残りやすい個体がより多くの子孫を残す形で進化できる。

 人間も有性生殖をする生物の一つであるため、上の左図のように、ホモサピエンスがアフリカで発祥し、ネアンデルタール人などと交配しながら世界に広がり、それぞれの地域に適した形に進化してきたが、これは各地域に住む人のDNA分析をするという先端科学を使って証明されたことだ。診療や健診の際に、それぞれの国で人口の10%程度のDNA分析ができれば、どの地域が強い繋がりを持ち、どういう経路を辿ってホモサピエンスが現在の分布になったのかを、より正確に知ることができるだろう。

 また、上の中央の図は、*5-1のように、日本における都道府県毎の50人のゲノム情報をもとに違いを可視化し、縄文人由来のゲノムが多い県は青色、渡来人由来のゲノムが多い府県はオレンジ色で表示したもので、沖縄県は縄文人由来のゲノム比率が他県と比べて極めて高いが、地図には含まれていないそうだ。

 この研究の結果、日本人は、縄文人の子孫が大陸から来た渡来人と混血することで生まれ、47都道府県で縄文人由来と渡来人由来のゲノム比率は異なることがわかり、渡来人由来のゲノム比率が高かったのは滋賀県・近畿・北陸・四国で、沖縄県はじめ九州・東北(多分、北海道も)で縄文人由来のゲノム比率が高かったとのことである。

 この結果は、渡来人が朝鮮半島経由で九州北部に上陸したとする考え方とは一見食い違うが、私は、渡来人は環日本海を自由に航海できたため、九州北部や日本海沿岸だけでなく、海路で繋がる瀬戸内海沿岸にも上陸し、縄文人の子孫と1000年以上かけて混血したのだと思う。どのような過程で混血が進んだかについては、沖縄などのように、さほど混血しなかった地域もあり、一様ではないだろう。

 ただし、使った器で進化や文化の程度を図れるものではない。例えば、有田焼を使っている人が唐津焼を使っている人よりも進んでいるわけではなく、それぞれの場所にある材料を使い、その時代にあった技術を使って、必要なものを作ったにすぎないだろう。そのため、考古学は、生物学的・科学的知見も合わせて、首尾一貫性のある納得いく歴史を示してもらいたい。

・・参考資料・・
<中華民族と東夷・南蛮・西戎・北狄、倭国・奴国・卑弥呼>
*1-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210702&ng=DGKKZO73480930R00C21A7M11500 (日経新聞 2021.7.2) 共産党100年 習氏演説要旨、中国が大股で時代に追いついた
 中国共産党の習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は1日、北京市の天安門広場で党創立100年記念式典の演説に臨んだ。「(中国は)後進的な状態から世界第2位の経済大国へと歴史的な躍進を達成した」と述べ、党主導で経済成長などを実現させたと強調した。演説の要旨は次の通り。
     ◇
 同志と友人のみなさん。今日は中国共産党の歴史と、中華民族の歴史において、非常に重大で荘厳な日である。私たちはここに盛大に集まり、全党、全国各民族とともに中国共産党創立100周年を祝い、中国共産党の100年にわたる奮闘の輝かしい経過を振り返り、中華民族の偉大な復興の明るい未来を展望する。まずはじめに、党中央を代表し、全ての中国共産党員に、熱烈な祝意を表す。ここで党と人民を代表し、全党と全国各民族の人民による持続的な奮闘を経て、私たちは最初の(党創立)100年で掲げた目標を実現し、この地に(大衆の生活にややゆとりのある)「小康社会」を全面的に築き上げ、絶対的な貧困問題を歴史的に解決し、社会主義現代化強国の全面的な実現という次の(中華人民共和国成立から)100年の奮闘目標に向けて意気盛んにまい進していることを厳かに宣言する。これこそが中華民族の偉大な栄光である。これこそが中国人の偉大な栄光である。これこそが中国共産党の偉大な栄光である。中国共産党は誕生当初から、中国人民に幸福をもたらし、中華民族の復興をもたらすことを初心と使命と決めている。この100年来、中国共産党が中国人民を束ね率いて行った全ての奮闘、全ての犠牲、全ての創造はひとつのテーマに帰結する。それは中華民族の偉大な復興を実現するということだ。中国共産党と中国人民の勇敢で強固な奮闘をもって中国人民は立ち上がり、中華民族が搾取され、辱めを受けていた時代は過ぎ去ったことを世界に厳かに宣言する。中華民族の偉大な復興を実現するため、中国共産党は中国人民を束ねて率い、自力更生し、発奮し、社会主義革命と(社会主義現代化)建設という偉大な成果を生んだ。私たちは社会主義革命を進め、中国で数千年にわたり続いていた封建的な搾取と圧迫の制度を消滅させ、社会主義の基本制度を確立し、社会主義の建設を推進し、帝国主義や覇権主義による転覆と破壊、武装挑発に打ち勝ち、中華民族の有史以来、最も広く深い社会変革を実現した。経済的文化的に遅れた人口の多い東方の大国(だった中国)が社会主義の社会に大きく進んだという偉大な飛躍を実現し、中華民族の偉大な復興の実現に向けた根本的な政治前提と制度の基礎を築き上げた。中国共産党と中国人民は勇敢で強固な奮闘をもって世界に厳かに宣言する。中国人民は古い世界を打ち破ることに優れているだけでなく、新しい世界を建設することにも優れている。中国を救えるのは社会主義だけであり、中国を発展させられるのは中国の特色ある社会主義だけである。揺るぎなく改革開放を推進し、各方面からのリスクや挑戦に打ち勝ち、中国の特色ある社会主義を創り、堅持し、守り、発展させ、高度に集中した計画経済体制から活力に満ちた社会主義市場経済体制への歴史的転換を実現した。閉鎖や半閉鎖から全方位開放への歴史的転換を、生産力が相対的に遅れていた状況から経済の総量で世界第2位に躍り出る歴史的突破を、人民の生活で衣食が不足していた状況から総体としてはややゆとりがある社会を、さらに全面的にややゆとりがある社会に向かう歴史的な飛躍をそれぞれ実現した。中華民族の偉大な復興の実現のため、新しい活力にあふれた体制上の保障と急速発展の物質的条件を提供した。中国共産党と中国人民は勇敢で強固な奮闘をもって世界に厳かに宣言する。改革開放こそが現代中国の前途と運命を決める鍵となる一手であり、中国が大股で時代に追いついたのだ。(2012年の)第18回党大会以降、中国の特色ある社会主義は新しい時代に入り、我々は党の全面的指導を堅持・強化し、(経済一辺倒でなく政治や文化、社会、環境保護の一体的な発展を重視する)「五位一体」の体制を全体を見据えて推進し、(小康社会の建設や厳格な党統治など4項目を推進する)「四つの全面」の戦略的体制を協調して推進し、中国の特色ある社会主義制度を堅持し改善した。国家のガバナンス体制とガバナンス能力における現代化を推進し、規範に基づいた党の運営を堅持し、比較的整った党内の法規体系を形成し、一連の重大なリスクと挑戦に打ち勝った。第1の100年における奮闘の目標を実現し、第2の100年では奮闘の目標の戦略的計画を明確に実現し、党と国家の事業は歴史的成果をあげ、歴史的変革を起こし、中華民族の偉大な復興を実現するため、より整った制度保障と、より堅実な物質的基礎と、より自発的な精神力を与えた。同志と友人のみなさん。100年前、中国共産党の先駆者たちが中国共産党をつくり、真理を堅持し、理想を守り、初心を実行し、使命を担い、犠牲を恐れず、勇敢に戦い、党に忠誠心を持ち、人民に背かない、偉大な建党精神をつくり上げた。これが中国共産党の精神の源である。同志と友人のみなさん。この100年、我々が得た全ての成果は中国共産党人、中国人民、中華民族が団結し奮闘した結果である。毛沢東同志、鄧小平同志、江沢民(ジアン・ズォーミン)同志、胡錦濤(フー・ジンタオ)同志を主要な代表とする中国共産党人は、中華民族の偉大な復興のために、歴史書を光り輝かせる偉大な功績をあげた。私たちは彼らに崇高なる敬意を表する。今このとき、私たちは中国の革命、建設、改革、中国共産党の創立と強化、発展のために大いに貢献した毛沢東、周恩来、劉少奇、朱徳、鄧小平、陳雲といった同志ら上の世代の革命家を深くしのぶ。新中国を創立し、守り、建設するにあたって勇敢に犠牲となった革命烈士を深くしのぶ。香港特別行政区の同胞、マカオ特別行政区の同胞、台湾の同胞と多くの華僑に心からあいさつする。中国人民と友好に付き合い、中国の革命と建設、改革事業に関心と支持を寄せる各国の人民と友人に心から謝意を表する。同志と友人のみなさん。初心を得るのは易しく、終始守るのは難しい。歴史を鑑(かがみ)として、盛衰を知ることができる。私たちは歴史で現実を映し、未来を長い目で見通す。中国共産党の100年の奮闘の中から過去に私たちがなぜ成功できたかをはっきりと見て、未来に私たちがどうやって成功を続けられるか明らかにし、それによって新しい道のりで揺るぎなく、自覚的に初心の使命を心に刻み、美しい未来を切り開いていかねばならない。
●党は国に不可欠
 歴史を鑑として、未来を切り開くには、中国共産党の強固な指導を堅持しなければならない。中国のことをうまくやるために、カギとなるのは党だ。中華民族の近代以来180年余りの歴史、中国共産党の成立以来100年の歴史、中華人民共和国の成立以来70年余りの歴史が、すべて十分に証明している。中国共産党がなければ、新中国はなく、中華民族の偉大な復興もない。歴史と人民は中国共産党を選んだ。中国共産党の指導は、中国の特色ある社会主義の最も本質的な特長であり、中国の特色のある社会主義制度の最大の優位性であり、党と国家の根本的な所在、命脈の所在、全国の各民族の人民の利益と運命にかかわっている。新しい道のりでは、私たちは党の全面的な指導を堅持し、党の指導を絶えず充実させ、「四つの意識」を強め、「四つの自信」を固め、「二つの擁護」を徹底し、「国の大者」を銘記し、党の科学的な執政、民主的な執政、法に基づく執政の水準を絶えず向上させ、大局をまとめ、各方面を調整する核心となる党の役割を十分に発揮しなければならない。中国共産党は常に最も広範な人民の根本的な利益を代表し、人民と苦楽をともにして一致団結し、生死を共にし、自らのいかなる特殊な利益もなく、いかなる利害集団、いかなる利権団体、いかなる特権階級の利益も代表しない。中国共産党と国民を分割して対立させようとするいかなる企ても、絶対に思いのままにならない。9500万人以上の中国共産党員も、14億人余りの中国人民も許さない。歴史を鑑として、未来を切り開くには、マルクス主義の中国化を引き続き推進しなければならない。マルクス主義は私たちの立党と立国の根本的な指導思想であり、私たちの党の魂と旗印である。中国共産党はマルクス主義の基本原理を堅持し、事実に基づいて真実を求めることを堅持し、中国の実際から出発し、時代の大勢を洞察し、歴史の主導権を握り、苦難の探究を行う。絶えずマルクス主義の中国化と時代化を推し進め、中国人民が絶えず偉大な社会革命を推し進めるよう指導する。中国共産党はなぜできるのか、中国の特色のある社会主義はなぜ良いのか、それはマルクス主義によるものだ。新たな道のりでは、私たちはマルクス主義、レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、(2代前の総書記である江沢民氏の)「『3つの代表』の重要思想」、(前総書記である胡錦濤氏の)「科学的発展観」を堅持する。新時代の中国の特色ある社会主義思想を全面的に支持し、マルクス主義の基本原理と実際の中国の現状、中国の優れた伝統文化を組み合わせ、マルクス主義を用いて時代を見つめ、把握し、先導し、現代中国のマルクス主義と、21世紀のマルクス主義の発展を継続していく。歴史を教訓とし、未来を切り開くには中国の特色ある社会主義を堅持し、発展させる必要がある。独自の道を歩むのは、党の全ての理論と実践の足がかりであり、さらにこれは党の100年の闘争により得た歴史的結論だ。中国の特色ある社会主義は、党と人民が多大な苦しみと大きな代償を払ったことによる成果であり、これは中華民族が偉大な復興を実現する正しい道のりである。私たちは中国の特色ある社会主義を堅持し、発展させ、物質文明、政治文明、精神文明、社会文明、生態文明を一体的に発展し、促進する。中国式の近代化への新たな道を創造し、人類文明の新たな形態を作り出した。新たな道のりでは、党の基本理論、基本路線、基本戦略を堅持し、「五位一体」と「四つの全面」を一体的に推進する。改革開放を全面的に深化させる。新たな発展段階を足がかりとし、新しい発展理念を完全で正確かつ包括的に実行する。新しい発展パターンを構築し、高品質な発展を促進し、科学技術の自立を進める。人民自らが主であることを保障し、法の支配に従って国を統治し、社会主義の核心的価値体系を堅持する。発展中の人々の生活を保障し改善し、人と自然の調和と共生を堅持し、人民の繁栄、国家の強盛、美しい中国を共に推し進めていく。中華民族は、5000年以上の歴史の中で形成された輝かしい文明を持ち、中国共産党は100年の闘争と70年以上の統治経験があり、我々は積極的に人類文明の全ての有益な成果から学び、すべての有益な提案と善意の批判を歓迎する。ただ、私たちは決して「教師」のような偉そうな説教を受け入れることはできない。中国共産党と中国人民は、中国の発展していく運命を自らの手中に収め、自らの選択した道を歩む。歴史を教訓とし、未来を切り開くには、国防と軍隊の近代化を加速しなければならない。強国には強軍が必要で、軍は国を安定させなければならない。党が銃(軍)を指揮し、自ら人民の軍隊を建設することは血と火の闘争のなかで党が作り出し、破られない真理だ。人民解放軍は、党と人民のために不滅の功績を築き、(共産党によって守られた世の中である)「紅色江山」を守り、民族の尊厳を守る強力な柱であり、地域と世界平和を守る強力な力である。新しい道のりでは、新時代の党の強大な軍隊の思想を全面的に貫く。新時代の軍事戦略の指針を堅持し、人民解放軍に対する党の絶対的な指導力を維持し、中国の特色ある強大な軍隊の道を歩み続ける。政治建軍、改革強軍、科技(科学技術)強軍、人材強軍、法に基づき統治された軍隊を全面的に推進、人民解放軍を世界一流の軍隊へと建設する。より強力な能力と防御するための信頼性の高い手段で人民解放軍を建設すれば、国家主権、安全、発展の利益を守ることができる。
●「一帯一路」発展促す
 歴史を教訓とし、未来を切り開くには、人類運命共同体の構築を絶えず推進しなければならない。中華民族は平和、和睦、調和を5000年以上にわたって追求し、継承してきた。中華民族の血には、他人を侵略し、覇権を追求する遺伝子はない。中国共産党は人類の将来の運命に心を配り、世界のすべての先進的な力と協力して前進する。中国は常に世界平和の建設者であり、世界の発展の貢献者であり、国際秩序の擁護者である。新たな道のりでは、平和、開発、協力、互恵の旗印を高く掲げ、独立した外交政策を追求し、平和的発展の道を守り、新しい形の国際関係の構築を促進しなければならない。人類の運命共同体の道を守り、(中国の広域経済圏構想)「一帯一路」の質の高い発展を促し、世界に新たな機会を提供しなければならない。中国共産党は平和、開発、公正、正義、民主、自由という全人類共通の価値観を守る。協力を堅持し、対立をやめ、開放を守る。封鎖をやめ、互恵を守り、ゼロサムゲームをやめ、覇権主義と強権政治に反対する。歴史の車輪を明るい目標に向かって前進させる。中国人民は正義を重んじ、暴力を恐れない人々である。中華民族は強く、誇りと自信を持つ民族である。中国人民はこれまで他国の人民をいじめ、抑圧し、奴隷のようにしたことはない。過去にも現在にも、将来においてもありえない。同時に、中国の人民は、いかなる外部勢力が私たちをいじめ、抑圧し、奴隷のようにすることも決して許さない。故意に(圧力を)かけようとすれば、14億人を超える中国人民の血肉で築かれた「鋼鉄の長城」の前に打ちのめされることになるだろう。歴史を教訓とし、未来を切り開くには、多くの新しい歴史的特徴を持つ偉大な闘争が必要となる。戦い、勝利することは、中国共産党の無敵で強力な精神力である。偉大な夢を実現するには、粘り強く、たえまない戦闘が必要だ。今日、私たちは、歴史上のどの時代よりも中華民族の偉大な復興という目標に近づいている。これを実現するための自信と能力があり、同時にさらに大変な努力をする必要がある。新しい道のりでは、私たちは、危機意識を高め、常に安全な時も危険な状況を考え、総体国家安全観を貫き、開発と安全を統一的に計画する。中華民族の偉大な復興戦略と世界でこの100年なかった大変革の両方を統一的に計画する。我が国の社会の主要な矛盾の変化によってもたらされた新しい特徴と新しい要求を深く理解する。複雑な国際情勢がもたらす新たな矛盾と新たな課題を深く理解し、あえて戦い、闘争を得意とし、山があれば切り開き、水があれば橋をかけ、あらゆるリスクと挑戦を克服する。歴史を教訓とし、未来を切り開くには、中国人民がより大きな団結を強化しなければならない。100年の闘争の道のりで、中国共産党は統一戦線を重要な位置づけとし、常に最も広範な統一戦線を統合し発展させ、団結できるすべての力を結集し、動員できるすべての肯定的な要因を動員し、闘争の力を最大化する。愛国統一戦線は、中国共産党が中華民族の偉大な復興を達成するために、国内外のすべての中国人民を結集するための重要な武器である。新しい道のりでは、私たちは政治思想の誘導を強化し、共通認識を広く結集し、世界の英雄と人材を結集し、最大の公約数を探し続け、最大同心円を描き、国内外のすべての中国人民の力と心を一つの場所に集約する。民族の復興を達成するために力を結集しなければならない。歴史を教訓とし、未来を切り開くには、党が建設する新たな偉大な工程を継続的に推進しなければならない。自己革命への勇気は、中国共産党が他の政党と区別する顕著な兆候である。私たちの党は試練と苦難があったが、今も活発だ。その一つの重要な理由は、私たちは常に党が党を管理し、厳重に統治し、あらゆる歴史のなかで自らのリスクに絶えず対処し、世界情勢の深い変化の歴史的過程において、私たちの党が時代の先頭を走ってきた。歴史的過程において、国内外の様々なリスクと課題に直面するとき、常に国民のよりどころとなることを保証する。クリーンな政府を構築し腐敗との戦いを揺るぎなく促進し、党の高度な性質と純粋さを損なう全ての要因を断固排除する。健全な党を侵食するすべての病毒を除去し、党の質、色、味が変わることを防ぐ。新しい時代の中国の特色ある社会主義の歴史的過程において、党が常に強い指導的核心となるよう努力する。同志と友人のみなさん。私たちは「一国二制度」「香港人による香港の統治」「マカオ人によるマカオの統治」、高度な自治の方針を全面的かつ正確に徹底し、香港、マカオ特別行政区に対する中央の全面的な管轄権を実行する。特別行政区が国家の安全を守る法律制度と執行体制を実施し、国家主権と安全、発展の利益を守り、特別行政区の社会の大局的な安定を維持し、香港とマカオの長期的な繁栄と安定を保たねばならない。台湾問題を解決し、祖国の完全な統一を実現することは、中国共産党の変わらぬ歴史的任務であり、中華の人々全体の共通の願いだ。「一つの中国」の原則と(それを認め合ったとする)「92年コンセンサス」を堅持し、祖国の平和統一プロセスを推進する。両岸の同胞を含むすべての中華の人々は、心と心を一つにし、団結して前進し、いかなる「台湾独立」のたくらみも断固として粉砕し、民族復興の美しい未来を創造しなければならない。いかなる人も中国人民が国家主権と領土を完全に守るという強い決心、意志、強大な能力を見くびってはならない。同志と友人のみなさん。100年前、中国共産党が成立した時は50人強の党員しかいなかったが、今では9500万人以上の党員を擁し、14億人余りの人口大国を指導し、世界的で重大な影響力を持つ世界最大の政権政党になった。100年前、中華民族が世界の前に示したのは一種の落ちぶれた姿だった。今日、中華民族は世界に向けて活気に満ちた姿を見せ、偉大な復興に向けて阻むことのできない歩みを進めている。同志と友人のみなさん。中国共産党は中華民族の不滅の偉業を志し、100年はまさに風采も文才も盛りだ。過去を振り返り、未来を展望し、中国共産党の強い指導があり、全国の各民族の人民の緊密な団結があれば、社会主義現代化強国を全面的に建設する目標は必ず実現でき、中華民族の偉大な復興という中国の夢は必ず実現できる。偉大で、光栄で、正しい中国共産党万歳!偉大で、光栄で、英雄である中国人民万歳!

*1-2:https://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=770962&comment_sub_id=0&category_id=142 (中国新聞 2021/7/8) 骨太の方針 財政の裏付け見通せず
 菅義偉政権初となる「骨太の方針」が決まった。政府の経済財政運営の基本的な方向性を示す指針で、新型コロナウイルス対策の強化に加え、デジタル化、脱炭素化、地方創生、少子化対策の4分野をコロナ後の成長の原動力と位置づけた。いずれも日本が以前から直面している課題であるが、政権が当然取り組むべき政策を寄せ集めたように映る。総花的で新鮮味に欠ける。テーマや目標を並べても、確実に実行できなければ意味がない。にもかかわらず、どの政策を優先し、財源を含めてどうやって実現していくのかも判然としない。踏み込み不足と言わざるを得ない。コロナ対策では、ワクチン接種の見通しを「10月から11月にかけて終える」と明記した。ワクチン接種の加速で、感染収束の機運を高め、支持率回復につなげたい狙いがあるのだろう。さらに、首相が肩入れする「こども庁」の創設検討や最低賃金の引き上げなども盛り込んでいる。秋までに行われる衆院選に向けて、国民の関心を引きたい思惑も透ける。骨太の方針が政権・与党のアピールの場になりつつあるのではないか。存在感を失い、今のような形骸化が進めば、もはや役割を終えたと言われても仕方あるまい。とりわけ看過できないのは、一連の政策を裏付ける持続可能な財政の姿が見えてこない点である。国と地方の政策経費を税収などで賄えているかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)について、政府は2025年度に黒字化する財政健全化の目標を掲げている。コロナ禍を受けて昨年は明記しなかったが、今回は黒字化目標を「堅持する」との言葉が復活した。同時に新型コロナが経済と財政に及ぼす影響などを21年度中に検証し、「目標年度を再確認する」とした。目標の見直しや先延ばしに含みを持たせた形だ。財政健全化への道筋を曖昧にしては、骨太の方針の意義自体が問われる。コロナ禍に伴う経済対策で、国の20年度の一般会計の歳出総額は175兆円を超え、借金に当たる国債は112兆円を新規に発行した。21年度予算もコロナ対策の予備費に5兆円を積むなど、過去最大規模の106兆円に膨らんだ。感染の収束はまだ見通せず、追加の支出が必要になる恐れもある。内閣府が今年1月にまとめた中長期の経済財政の試算では、日本経済がたとえ高成長を果たしたとしても、PBは25年度には7兆3千億円程度の赤字となる見通しだ。目標達成は絶望的なことは明らかである。それでも目標の「堅持」を修正しなかったのは、こちらも衆院選を意識し、財政健全化の議論を先送りにしたのではないか。欧米の政府は、財政出動とともに財源確保策も打ち出している。米国は経済対策の財源を企業や富裕者層の増税などで調達する方針で、欧州連合(EU)も復興基金の財源として国境炭素税などを検討している。年度内に行われる検証作業では、安易な目標の先送りに終わらせず、歳出・歳入両面で具体的な財政健全化策の検討を急ぐ必要がある。 

*1-3:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA11A0I011062021000000/ (日経新聞 2021年6月24日) コロナ予算、30兆円使い残し 消化はGDP比7%、米13%に見劣り 成長へ財政回らず
 新型コロナウイルス禍を受けて2020年春から積み増してきた国の予算73兆円のうち、約30兆円を使い残していることが判明した。家計や企業への支払いを確認できたのは約35兆円と名目国内総生産(GDP)の7%程度にとどまった。GDPの13%を支出した米国と比べ財政出動の効果が限られる展開となっている。危機脱却へ財政ニーズが強い時にもかかわらず予算枠の4割を使い残す異例の事態は、日本のコロナ対応の機能不全ぶりを映し出している。脱炭素関連の投資やデジタル化の推進、人材教育など戦略分野のコロナ禍後の成長を押し上げる財政資金ニーズは大きい。にもかかわらず予算の規模を大きくみせるために枠の確保ありきで政策の中身が置き去りになっており、成長分野へ予算が行き届いていない。脱炭素へ2兆円を投じた基金は、支援の中身が詰まっていないなかで枠の大きさの議論が先行して3次補正に盛り込まれた。経済産業省が基金の支援対象となる分野を公表したのは4月に入ってからで、ようやく企業の公募が始まった段階だ。使い残しが多いのは約21兆円の追加歳出を盛り込んだ20年度3次補正が21年1月に成立したことに加え、コロナ禍の長期化が原因だ。翌年度への予算の繰り越しが「30兆円程度」(菅義偉首相)出る20年度は極めて異例だ。東日本大震災後に多額の予算を積んだ11~12年度でも繰越額と不用額を合わせても年10兆円を超えた程度だった。コロナ対策では20年6月に当時の安倍晋三首相が記者会見で「GDPの4割に上る世界最大」規模の「230兆円」の経済対策で「日本経済を守り抜く」と打ち出した。約1年を経て実際に家計や企業に出回った国費は資金繰り支援策を除くベースでGDP比7%程度。4月末までに同13%の2.8兆ドル(約307兆円)を消化した米国と比べて遅れが目立つ。4割と安倍前首相が打ち出したのは財政支出に民間資金も加えた事業規模ベースの経済対策の金額だった。財政投融資を活用した100兆円規模の資金繰り支援策が大きい。資金繰り支援の比率がコロナ対策の9%にとどまる米国と対照的だ。予算の執行状況は20年4月以降に打ち出した経済対策などについて、内閣府が21年5月にまとめた調査を基に日本経済新聞が資金繰り支援策を除いて集計。100億円以上の事業が対象で、国費ベースで9割以上をカバーしている。1人10万円の給付金など緊急を要した家計支援策は予算の9割強がすでに支払われるなど執行が進む。一方、GoToトラベルなど消費活性化の予算は進捗率が35%にとどまった。ワクチン接種の遅れが消費や投資を制約させた影響が大きい。米欧や中国はコロナ後の成長基盤づくりをにらんでグリーン関連政策やデジタル化などの戦略分野へ中長期的な財政出動を競う。日本では政府・与党内で21年度補正予算を求める声が強まりつつあるが、規模を大きくみせる枠の確保競争に終始せずに、成長につなげる政策の中身を詰める作業が欠かせない。

*1-4:https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK0794K0X00C21A7000000/ (日経新聞社説 2021年7月7日) 成長促進と財政規律を両立できる予算に
 政府は7日の閣議で、2022年度予算の概算要求基準を了解した。これに沿った各省庁の概算要求を8月末に締め切り、年末に予算案を編成する運びだ。財政の規律を保ちつつ、新型コロナウイルス対策や成長基盤の強化に国費を重点配分する必要がある。不要不急の支出で予算をいたずらに膨らませてはならない。21年度予算の編成は、コロナ禍で異例の対応を迫られた。感染症の収束を予見できないという理由で明確な概算要求基準の設定を見送り、各省庁の概算要求の締め切りも1カ月延ばした。コロナ対策については、金額を明記しない「事項要求」を今回も認める。ただ成長戦略を推進するための「特別枠」を設け、高齢化の進展に伴う社会保障費の「自然増」を抑える目安を示すなど、例年の手法に近い形に戻した。コロナ禍の克服はいまも最優先の課題だ。とはいえワクチンの接種率が上がり、経済社会活動の正常化が進むにつれて、この先の成長基盤の強化や財政の健全化をより強く意識せざるを得ない。緊急時でも投入できる国費には限りがある。政府が「青天井」の概算要求を見直し、一定の基準を復活させたのは妥当だろう。重要なのは無駄やばらまきを排し「賢い支出」に徹する姿勢だ。20~21年度の国の一般会計総額は当初予算と補正予算の合計で280兆円を超えたが、使い残しや繰り越しも目立つという。その検証を怠ったまま、むやみに予算を積み上げていいはずがない。コロナ対応の名目で経済対策を繰り返しても、困窮者の救済や病床の確保といった問題はなかなか解消しない。背景には様々な要因があろうが、予算配分の優先順位も正しいとは言い難い。成長戦略にも同じことが言える。デジタル化やグリーン化などの推進に予算を重点配分するのは当然だが、緊急性や必要性の高い事業を選別しなければ、絵に描いた餅になりかねない。各省庁は節度とメリハリのある概算要求を心がけるべきだ。景気の回復で税収が堅調なのを幸いに、コロナ対策の不透明な事項要求を連発したり、成長戦略の名目で不要な公共事業や施設整備を強要したりするのは許されない。コロナ対策はもちろん、成長の促進や財源の確保に心を砕くのは米欧も同じだ。日本も責任ある予算編成を心がけたい。

*1-5:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA24DN70U1A620C2000000/ (日経新聞 2021年6月25日) 渡辺努・東大教授「賃金上がらぬ問題、まず認識を」、安いニッポン・ガラパゴスの転機 経営者・識者に聞く
国内では安定した生活を送っているのに、海外から見れば安く、貧しくなる日本。気づかないうちに深刻度を増すこの病理から、どうしたら抜け出せるのか。渡辺努・東大教授に聞いた。
――なぜ日本は安い国になったのでしょうか。
 「2012年末からの安倍晋三政権下では黒田東彦総裁が就任した日銀の異次元緩和もあって円安が進んだ。政策の目的は円安だけでなく物価も賃金も上げることだったが、読みが違った。円安なのに物価も賃金も上がらなかった。海外からみれば日本のサービスは安くなる」
――日本人からみると海外では高くて買えないものが増えます。日本のモノやサービスの質は国際的に見て相対的に低下していくのでしょうか。
 「たとえばパスタやラーメンをつくるときに材料になる小麦は輸入価格が高くなる。企業は最終製品を値上げできていないので、消費者は痛くもかゆくもない。企業はどうしているか。コスト削減をして、値段を据え置いて頑張る。あるいは商品のサイズが小さくなる。この場合は質が落ちている。消費者の満足度が落ちている。そして賃金は上がらない」
――訪日外国人(インバウンド)向けのホテルでは外国人用の高級価格が設定されています。こうした価格の二極化は広がっていくのでしょうか。
 「不動産ではそういうことが起きている。ある規格のマンションが、シドニーと日本で比較され、まるで貿易ができるかのように裁定が働いている。海外の人が投機的に家を持つと、日本人の給料では買えなくなってくる」。「同じ商品やサービスなのに2つの価格があるという意味での二重価格は国内では発生しにくいと思う。だが日本企業の製品価格は国内向けと海外向けで違ってくる。海外で物価上昇が進めば、現地の競合製品が値上がりするので日本企業も値上げできる。だが日本ではできない。こうした二極化は既に起きている」
――この状況を打開する政策はあるのでしょうか。
 「もともとは企業が賃金や価格を上げられないことに原因がある。これは企業行動にインプットされてしまっている。これまでも製品やサービスの値段を上げようとした企業はあるが、値上げすると客が逃げていく。そういうことから企業は学習していく。悪循環だ。日本の消費者が特別だということだ。海外の消費者は理由のある値上げについては仕方ないと受け入れる。日本人は一円たりとも値上げはだめだと反応する。アベノミクスが本格化した13年は一部の企業が値上げしたが、結局売り上げが落ちてしまった」。「この問題が解決していない理由は、みんな気がついていないからだ。値段が上がらないのはいいことだとポジティブに考える人がいる。賃金は上がらないので、値段は低い方が良いという。まず賃金が上がっていない問題を認識することが大事だ」

*1-6:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210702&ng=DGKKZO73481460R00C21A7TB2000 (日経新聞 2021.7.2) 医薬原料調達で「脱中国」 塩野義など生産国内回帰へ、依存度下げ安定確保、コスト5倍の試算も
 医薬品原材料の生産を巡り、国内製薬業界で海外依存を見直す動きが出てきた。抗菌剤など欠品すると医療に大きな支障が出る品目で、各社が国内回帰に乗り出す。塩野義製薬は2022年にも手術用抗菌剤の原料の生産を岩手県で始める。医薬品原料は中国の生産シェアが高く供給リスクが指摘されてきた。安定調達へ「脱中国」が進むが、国内回帰にはコスト面で課題が残る。医薬品原材料とは医薬品の有効成分が含まれる原薬やそのもとになる化学物質。国内回帰の動きがあるのは主に後発薬の原材料だ。後発薬は公定価格が安く抑えられており、製造原価を下げる目的で原材料生産の海外移転が進んできた。塩野義は医薬品製造子会社のシオノギファーマ(大阪府摂津市)を通じ、「セファゾリン」など「セフェム系」と呼ぶ抗菌剤の原料を生産する設備を21年末までに金ケ崎工場(岩手県金ケ崎町)に設ける。年産能力37トンで稼働し、5年後に50トンに引き上げる。生産した原料は抗菌剤を手がける国内後発薬メーカーに売る見込み。塩野義は初期投資としてまず20億円強を投じる。後発薬メーカーは従来、セフェム系原料のほぼ全てを輸入に頼ってきた。特に中国依存度が約3割と高い。抗菌剤は手術後の感染症などを防ぐために投与する。欠品すると手術が難しくなり医療体制の維持に影響が出かねない、重要な薬だ。厚生労働省は医療現場に重要な医薬品として抗菌剤や血栓予防剤など約500品目を定め、安定確保を製薬会社に呼びかけている。最重要と指定するセフェム系原料は19年に国内で50トン使われ、塩野義の拠点がフル稼働すれば全量をまかなえる計算だ。抗菌剤市場全体でみても約1割をカバーできる見通しだ。抗菌剤では19年、中国当局が環境規制を理由に現地メーカーにセファゾリン原料の生産を停止するよう命令。調達難によってセファゾリンで国内シェア6割の日医工が供給停止に追い込まれ、医療現場に影響が出た。国内調達できればこうしたリスクを低減できる。明治ホールディングス傘下のMeiji Seikaファルマも22年3月期中に岐阜工場(岐阜県北方町)で「ペニシリン系」と呼ぶ抗菌剤の原料の試験生産を始める。現在は海外調達しており中国などへの依存度が高い。同社は「試験生産を経て、生産ノウハウを再度蓄積する」とする。ニプロも滋賀県内にペニシリン系の原材料の生産施設を設ける予定。投資額は数十億円になるとみられる。厚労省によると後発薬原材料を調達する製造所の6割が海外で、中国が約14%、インドが約12%と高い。一方で、各国の保護主義政策に供給が左右されかねない状況だ。政府がまとめた21年版の通商白書では、4月時点で50強の国が医療品を輸出制限している。インド政府は4月、国内メーカーがライセンス生産している新型コロナウイルス治療薬の輸出を当面禁止とし、国内使用を優先した。米国では政府主導で生産の国内回帰の動きが進む。バイデン米大統領は2月、サプライチェーン(供給網)の見直しに関する大統領令を出した。半導体が注目されたが、医薬品も対象とする。米食品医薬品局(FDA)は同月、新型コロナ禍により中国から原薬調達が難しくなり、一部の医薬品が供給不足に陥ったと明らかにした。ただ、原薬生産の国内回帰には課題が残る。製薬会社によると日本での原材料製造コストは中国の5倍以上との試算もある。日本製薬工業協会の中山譲治前会長(第一三共常勤顧問)は「国内回帰は薬のコスト上昇につながりかねない」と話す。薬価が定まっているなか、メーカーがコスト上昇分を転嫁し、流通業者への納入価格を上げるのは容易ではない。厚労省の中では「安定確保が必要な医薬品の薬価算定で『例外』を設けるべきか否かの議論も必要」(幹部)との声もある。

*1-7:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/704218 (佐賀新聞 2021年7月10日) 無観客五輪、開催意義を実感させよ
 政府が東京都に4度目の新型コロナウイルス緊急事態宣言を発令し、埼玉、千葉、神奈川3県に対するまん延防止等重点措置を延長することを決定した。これを受け、政府と大会組織委員会、東京都、国際オリンピック委員会(IOC)など5者が協議し、東京五輪は首都圏全ての会場を無観客とすることを決めた。近代五輪が無観客で開催されるのは初めてのことだ。パンデミック(世界的大流行)の中、異例の大会となる。首都圏での感染はさらに拡大を続けるとの予測もある。組織委は選手村を中心に、感染対策の手を緩めることなく万全を期すとともに、無観客であっても五輪の開催意義を市民が実感できるよう「舞台」を整えなければならない。既に多くの選手団が事前合宿のため入国し、各自治体で練習に励んでいる。自国の検査で陰性証明を受けていたにもかかわらず、感染力の強いデルタ株による感染が判明した選手団員が出たのは組織委にとって驚きだった。入念な検査が入国時も大会中も欠かせないことを思い知ることになった。海外に目を向ければ、大規模広域大会の欧州サッカー選手権で英国やフィンランドのファンから多くの感染者が出た。競技場や街の広場、あるいはパブでマスクをせずに肩を組み、歓声を上げるなどしたのが原因とされる。注目度の高いスポーツ大会、とりわけ国の代表選手が出場する大会では、喜びを爆発させるファンが多数出る傾向がある。世界保健機関(WHO)はこれに教訓にして、IOCと組織委に助言を続けていくとした。だが、国内では、政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志が「無観客が望ましい」との提言を公表していた。政府はすぐには耳を傾けず、会場定員の50%以内で、最大1万人とする観客基準で突き進もうとした。独善的な姿勢を真摯に反省すべきである。6月下旬の共同通信の電話世論調査では、五輪とパラリンピックの開催による感染再拡大の可能性について「不安を感じている」と回答した人が86・7%に達していた。今回の無観客決断はいかにも遅かった。首都圏の会場が無観客と決まったことで、ボランティアと警備担当要員の規模は大規模な見直しが必要になった。主に観客が熱中症になった場合の対応に当たる予定だった医療従事者も規模が見直され、大幅な人員縮小が見込まれる。医療現場の負担が軽減され、最優先で取り組まなければならないコロナ感染対応で、人的な余裕が生まれるメリットも期待できそうだ。しかし、安倍晋三前首相が大会の1年延期を決定したときに語った「完全な形での開催」は実現しなかった。菅義偉首相が何度となく強調してきた「ウイルスに打ち勝った証し」としての五輪の実現も難しくなった。バッハIOC会長が言う「誰もが犠牲を強いられる大会」になるのは明らかだ。観客と喜びを共にしたいと望んでいた選手、会場で観戦できるはずだった市民はさぞかし残念だろう。それでも開催に懐疑的な人、開催を持ちわびている人が共に意義深く感じる大会にしなくてはならない。菅首相らにはその責務がある。

<客観的根拠に基づく軌道修正が不得意な国、日本>
*2-1-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210630&ng=DGKKZO73407630Q1A630C2MM8000 (日経新聞 2021.6.30) エネ基本計画、「原発建て替え」盛らず 脱炭素の道筋、不透明に
 経済産業省は今夏をメドに策定するエネルギー基本計画に、将来的な原子力発電所の建て替えを盛り込まない方向で調整に入った。東京電力柏崎刈羽原発で不祥事が相次ぐなど原発への信頼回復ができていないと判断した。原発建て替えの明記を見送ることで、2050年の脱炭素社会の実現に向けた道筋が描きにくくなる。国の中長期のエネルギー政策の方向性を示すエネルギー基本計画はおおむね3年に1度見直しており、作業が大詰めを迎えている。二酸化炭素(CO2)の排出抑制につながる原発の建て替えを明記するかどうかは、エネ基本計画見直しの最大の焦点となっていた。法律上の稼働期間の上限である60年に達する原発が今後出てくることから、政府として建て替えを進めていく方針を明記し、将来にわたって原発を活用する姿勢を示せるかに注目が集まっていた。東電福島第1原発の事故後の14年に策定したエネ基本計画で、原発建て替えの表現を削除して以来、建て替えの記載は消えたままだった。7月にも原案を示す新たな計画では建て替えを明記しない方向だ。判断を先送りし、3年後に計画を見直す際にあらためて判断する。国内の原発は建設中の3基を含め36基ある。東電福島第1原発の事故後、再稼働できたのはこのうち10基にとどまる。直近では東電柏崎刈羽原発でテロ対策の不備など不祥事が相次ぎ、信頼回復が遠のいている。原発はCO2を排出しない脱炭素電源だ。政府は30年度までに温暖化ガスの排出量を13年度比で46%以上削減し、50年には実質ゼロをめざすと決めた。エネ計画について議論する経産省の有識者会合でも「最大限活用すべきだ」との指摘が出ていた。地球環境産業技術研究機構(京都府木津川市)が5月にまとめた脱炭素のシナリオ分析によると、原発の活用は電力コストの上昇を和らげる効果もある。50年に再生エネで電力すべてを賄うと電力コストは今の4倍程度に増える。送電網の整備などに大きな費用がかかると見込まれるためだ。一方、再生エネで5割、原発で1割を賄うケースでは2倍程度に上昇を抑えられると試算する。

*2-1-2:https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1212256.html (琉球新報社説 2020年10月23日) 原発処理水海洋放出 地元の不安を押し切るな
 東京電力福島第1原発で増え続ける処理水の問題で、政府は海洋放出の方針を月内に決定する。地元は漁業者を中心に反対の声を上げており、影響を受ける人々と向き合わないまま方針決定に突き進むことになってしまう。処理水には放射性物質トリチウムが含まれる。環境や人体に与える影響を巡る検証は十分ではなく、復興に取り組む地場産業に及ぶ風評被害にも懸念が尽きない。放射性物質の除去技術や安全性が確立するまでの間の新たな保管場所の確保など、海洋放出を回避する方策を探るべきだ。第1原発では溶融核燃料(デブリ)を冷やすための注水などで、現在も1日に170トン程度の汚染水が増え続けている。東電は多核種除去設備(ALPS)を使って汚染水から放射性物質を取り除く処理をしているが、水に似た性質があるトリチウムは除去することができない。東電は処理水を保管する原発敷地内のタンク容量が、2022年夏に限界に達するとしている。政府も処分方法の決定を急ぐ姿勢を強めており、菅義偉首相は21日に「いつまでも先送りできない」と語った。背景には、海洋への放出を始めるには設備工事や原子力規制委員会の審査などで2年程度の準備を要するため、現状が決定のタイムリミットだとする判断がある。だが、時間切れを理由に地元の反対を押し切ることなど許されるはずがない。炉心溶融(メルトダウン)した原発から出る処理水を海に流し続けることによる環境影響は簡単に予見できるものではなく、問題視するのは当然だ。処理水の保管を東電の敷地内に限定せず、政府としても別の保管先の確保を検討する対応などがとれるのではないか。トリチウムの除去技術開発に注力することも、原発事故を起こした東電や国の責任であるはずだ。また、震災の津波でさらわれた漂着物が沖縄で見つかることがあるように、海洋放出の影響は原発沿岸だけにとどまらない。周辺諸国からの非難は避けられないだろう。19年には、韓国による水産物の輸入規制を巡って世界貿易機関(WTO)の紛争処理手続きで日本が敗訴した。国際社会は福島の原発事故を終わったと見なしていないことを自覚する必要がある。処理水の扱いに関する議論は13年に始まった。この間には、17年に東電の川村隆会長(当時)が海洋放出について「判断はもうしている」と発言し、地元の反発を招いた。18年には、国民の意見を聞く公聴会の直前に、本来除去されているべきトリチウム以外の放射性物質が処理水に残留しているのが発覚した。東電、政府の結論ありきの姿勢やデータに対する不信も、処理水の処分方法が長年決まらない要因の一つにとなってきた。地元や国民の不安の払拭を第一とした、誠実で慎重な対応が必要だ。

*2-2-1:https://www.tokyo-np.co.jp/article/112551 (東京新聞 2021年6月24日) 「混乱するのが見えている」30キロ圏に28万人 広域避難不安拭えず 老朽・美浜原発3号機再稼働
 運転開始から40年を超える関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)が6月23日、10年ぶりに再稼働した。重大事故が起きた場合、避難対象となる30キロ圏内には再稼働した原発では最多の28万人弱が暮らす。県内外へ避難が計画されているが、避難先の確保など実効性に疑問符が付いたままだ。中心市街地が30キロ圏内にある福井県越前市は人口約8万人。2019年8月に初の広域避難訓練が行われ、今年1月には国の避難計画がまとまった。美浜3号機で重大事故が発生すれば、北に位置する同県坂井市やあわら市、石川県小松市や能美市へ避難する。県や市の計画では、地区ごとに避難先の小中学校や公民館が細かく設定され、病院の入院患者や高齢者福祉施設の入所者などの搬送先も決められた。しかし、福祉施設からは懸念の声が上がる。障害者施設で入所者の避難を担当する40代女性は「施設で毎年訓練をしているが、実際の避難では手伝う人も車両も足りず混乱するのが目に見えている。着の身着のまま逃げたとしても、布団などの物資はどうなるのか」と表情を曇らせた。
◆実効性ない計画なら…水戸地裁は運転禁じる判決
 広域避難を巡っては、30キロ圏に国内最多の94万人を抱える日本原子力発電東海第二原発(茨城県東海村)について、水戸地裁は3月、運転を禁じる判決を出した。市町村で避難計画の策定が遅れており、実現可能な避難計画がなければ運転を認めないという基準が示された形だ。福井県の担当者は美浜原発について「東海第二とは状況が違う。避難に使用するバスや避難先などをしっかり確保できる計画になっている」と強調する。ただ、美浜原発周辺の避難人口は、既に再稼働した福井県内にある2原発よりも多い。住民を避難させる場合に県内にあるバスの3分の1にあたる278台が必要となるなど、一段とハードルが高い。新型コロナウイルスの感染拡大で避難の難しさはさらに増した。人が密になるのを避けるためにバスの台数を増やし、避難所で避難者が間隔を空けることを避難計画に盛り込んだ。だが、昨年8月に関電大飯原発(福井県おおい町)などで行った訓練では、避難所の収容人数が減り、新たな避難場所の確保が必要になるという課題も浮かんだ。今年1月には福井県内の記録的大雪で、避難で使う国道8号や北陸自動車道で車の立ち往生が発生し、長時間通行できなくなった。福祉施設の責任者を務める50代男性は「計画で避難先が決まっていても実際に役に立つのか分からない。いざとなったら入所者は計画とは別の県外施設へ避難させる」と話した。

*2-2-2:https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021062700079 (信濃毎日新聞社説 2021/6/27) 40年超原発稼働 例外が常態化する懸念
 関西電力が、福井県にある美浜原発3号機を再稼働させた。運転開始から44年を経た老朽原発だ。原発の運転には、2011年の東京電力福島第1原発事故を踏まえ「原則40年」とするルールが導入されている。原則から外れたケースが、初めて現実となった。「例外中の例外」として、最長20年の延長を認める規定もある。40年の寿命を迎えた原発から順次廃炉にし、脱原発を着実に進める―。事故を機に多くの国民が原発の危険性に気付くなか、そう考え導入されたルールだった。関西電力は、同様に老朽化した高浜1、2号機の再稼働も進める方針だ。他の電力会社にも再稼働を目指す40年超原発がある。今後、例外が常態化していく恐れがある。老朽原発は建材の劣化など安全性に課題があり、地域住民には不安が募っている。国民の理解を得ずに原発推進の既成事実を積み重ねるような対応は、看過できない。事故の教訓に立ち戻り、40年ルールの重要性を再確認する必要がある。安倍晋三前政権以降、政府は、脱原発を求める世論をよそに実質的な原発回帰を進めてきた。経済産業省と大手電力は、今回の再稼働を原発復権に向けた足掛かりの一つと捉えているようだ。美浜3号機は、設置が義務付けられたテロ対策の施設が未完成のため、今年10月の設置期限までに再び停止となる。わずかな期間の再稼働にこだわったのも、40年超原発の再稼働に道を開くことを重視したからではないか。福井県が再稼働に同意したのは今年4月。同意を条件とする巨額の交付金を経産省が県に提示するなど、国が積極的な役割を果たしたことが分かっている。菅義偉政権は、世界的な脱炭素化の加速を受け温室効果ガスの大幅削減を打ち出した。最近は、温室ガスを排出しないことを名目に原発推進を求める議員連盟が自民党にできるなど、政府・与党に表だった動きも目立つ。原発政策がこれまで、ごまかしの連続だったことを忘れてはならない。典型は使用済み核燃料の問題だろう。今回も、再稼働で増えていくのは分かっているのに、一時保管する関電の原発の燃料プールは約8割が埋まったままだ。行き場は決まっていない。原発にいつまで頼るのか、使用済み核燃料はどうするのか。数々の問題を放置して目先の経営や業界の利益を優先する姿勢は、到底認めることができない。

*2-3-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210707&ng=DGKKZO73642330X00C21A7MM0000 (日経新聞 2021.7.7) 玄海原発 地震想定見直し 規制委、九電に求める
 原子力規制委員会は7日、九州電力が玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)で想定する地震の最大の揺れを引き上げる必要があるとの見解を示した。4月に厳しくした地震の揺れの想定方法に基づき電力会社に見直しを求めるのは初めて。九電は3年以内に想定を見直して規制委の再審査に合格する必要がある。想定する揺れの大きさは基準地震動と呼ばれ地震対策の前提になる。規制委は4月、原発周辺の活断層などによる地震に加え、過去に国内で発生した90件ほどの地震データを使って揺れを想定する方法を導入した。電力各社に対し、最大の揺れの想定を見直す必要があるかどうか9カ月以内に回答するよう要請した。九電は4月、新たな方法でも玄海原発の揺れの想定は変わらないと規制委に伝えたが、規制委は7日、この主張を却下した。九電は想定を作り直し、規制委の再審査を受けることになる。耐震補強の追加工事が必要になれば費用が膨らむ可能性がある。玄海原発3、4号機は2018年に再稼働している。九電の川内原発(鹿児島県薩摩川内市)と日本原子力発電の東海第2原発(茨城県東海村)は従来の揺れの想定を変える方針を規制委にすでに報告済みだ。

*2-3-2:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGG201GK0Q1A120C2000000/?n_cid=SPTMG002 (日経新聞 2021年1月20日) 原発「未知の活断層」対策強化 規制委が規則改正案了承
 原子力規制委員会は20日の定例会で、原子力発電所などで「未知の活断層」への備えを強化するため、新しい評価手法を盛り込んだ関連規則の改正案を了承した。電力会社は原発を襲う揺れを再評価し、現行想定を上回った場合、追加工事などの対策を迫られる可能性がある。一般からの意見公募を経て、3月をメドに決定、施行する。従来より多くの地震データを反映した評価手法を用いて、原発ごとに未知の活断層による揺れの再評価を電力会社に求める。再評価の結果が現在想定している揺れ(基準地震動)を上回る場合、改正規則の施行後9カ月以内に原子炉設置変更許可を申請し、施行後3年以内に審査に合格して許可を得る必要がある。影響を受けるのは原発周辺に目立った活断層がなく、未知の活断層の影響を重視している原発で、九州電力の玄海原発(佐賀県玄海町)や川内原発(鹿児島県薩摩川内市)などだ。再評価結果が今の想定を上回り、現在の施設では耐震性が不十分だと判断されれば、追加工事などが必要になる可能性もある。追加工事の猶予期間については工事規模などを踏まえて、規制委があらためて設定する。

*2-4:https://www.data-max.co.jp/article/39260 (Net IB News 2020年12月21日) 行き場を失う原発の使用済み核燃料~5年後に9原発で容量9割が埋まると試算
 原発を稼働していると毎年発生する、放射能を含む使用済み核燃料が行き場を失っている。原子力発電所で発生した使用済みの核燃料は、再処理工場を経て最終処分場やMOX燃料加工施設に運ばれるが、再処理を行うまでの間は、原子力発電所内の「燃料プール(貯蔵施設)」や中間貯蔵施設などで一時保管される。現在、日本国内で貯蔵されている使用済み核燃料は約1万8,000t。使用済み核燃料は原発を稼働すると増え続けるため、その一時保管場所が課題になってきた。そのため、九州電力の玄海原子力発電所の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力の増強(290t)、同敷地内の乾式貯蔵施設(440t)の設置、四国電力の伊方発電所敷地内の乾式貯蔵施設(500t)の設置、中部電力の浜岡原発敷地内の乾式貯蔵施設(400t)の設置などが見込まれている。また、東京電力ホールディングス(株)と日本原子力発電(株)が出資し、リサイクル燃料貯蔵(株)が運営する青森県むつ市の中間貯蔵施設が2021年度に操業開始を目指すとされ、ここでは最長で50年、3,000tの保管が予定されている。このように約4,600t相当の使用済み燃料貯蔵施設の拡大に向けて取り組みがなされている一方で、表のように電気事業(連)の試算値では、約5年後に東京電力の福島第二で88%、柏崎刈羽で100%、中部電力の浜岡原発で90%、関西電力の美浜原発で89%、高浜原発で98%、大飯原発で93%、九州電力の川内原発で93%、日本原子力発電の東海第二原発で96%などと9つの原発で一時保管場所(管理容量)のおよそ9割が埋まってしまうと試算されている。さらに、使用済み核燃料を再処理工場で処理した後の高レベル放射性廃棄物を地層に埋める最終処分場の選定問題も難航している。原発はCO2排出量の削減に役立つとされるものの、発電後の放射性廃棄物の問題を含めて真摯に見つめたうえで、今後の方針を再度見直すべきではないか。

*2-5:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210626&ng=DGKKZO73297070V20C21A6TB0000 (日経新聞 2021.6.26) 小型原発の開発、日本勢動く 脱炭素へ実用化探る、三菱重、建設費半額に/日立、カナダで商談
 原子力発電所の是非を巡る議論が続く日本でも小型原発を開発する動きが出てきた。三菱重工業は出力が従来の3分の1の原子炉を開発する。小型化して建設費を抑え、安全性も高めた。小型原発にはIHIなども米新興企業に出資して参画する。脱炭素につながる電源としての実用化への取り組みは欧米が先行していた。三菱重工は国内の電力大手と小型炉の初期的な設計の協議に入った。出力は30万キロワットと、従来の100万~130万キロワットの3分の1以下だ。工場で複数の部品で構成するモジュールをつくり、現地で据え付ける。設備も簡素化し、現地での作業量を減らせる。電力需要にあわせ設置数を変えられ、将来は海外での受注も視野に入れる。建設費は1基2000億円台と、東日本大震災前に5000億円規模とされた大型炉の半分以下にする。同社の小型炉は蒸気発生器を原子炉内に内蔵し、ポンプなしで冷却水が循環する。非常用電源が災害などで失われた際の安全性を高めたという。東日本大震災では東京電力福島第1原子力発電所で非常用電源が機能しなくなり、冷却できなくなった。小型炉は地下に設置でき、航空機などによる衝突事故への備えが高まる。密閉性が高まり放射性物質の飛散も防げる。商用運転の事例は欧米でもないが、複数の建設計画が進んでいる。米国では新興企業のニュースケール・パワーが小型炉を開発し、米規制当局の技術審査を終えた。出力は約7万7000キロワットで、複数を組み合わせて使う。プールにまるごと沈め、非常用電源なしでも冷却でき事故が起きにくいという。これまで5年から7年かかっていた工期も約3年に短くできる。「2040年代までに400~1000基の受注をめざす」(チーフ・コマーシャル・オフィサーのトム・ムンディ氏)としており、世界各国で11の新設計画についてそれぞれ電力会社などと覚書を交わした。ニュースケールには日揮ホールディングスとIHIも出資した。日立製作所と米ゼネラル・エレクトリック(GE)は海外市場を開拓する。受注を重ねて作業の習熟度を高めれば、建設費を700億~800億円台に下げられるとみる。カナダのオンタリオ電力と出力30万キロワットの小型炉の納入を巡り商談しているほか、エストニアやチェコなどでも営業している。小型炉への注目が高まっているのは、先進国で従来型の大型炉の建設が停滞しているからだ。大型炉は安全対策費が膨らみ、投資回収が難しくなっている。日立・GE連合は英国で大型炉を使う電力事業を計画したが、1基1兆円規模の投資に見合う経済性がないとみて撤退した。三菱重工もフランスの旧アレバ(現フラマトム)と開発していた100万キロワット級の「アトメア」の開発を凍結した。国際エネルギー機関(IEA)は、50年にカーボンゼロを達成するには化石燃料への投資を止め、30年までに毎年1700万キロワット分、31年以降は毎年2400万キロワット分の原発稼働が必要と試算する。関西電力と九州電力も小型炉などの活用を長期計画に明記した。国内の主要企業では約1万人が原発事業に従事し、三菱重工で約4000人、日立でも約1600人が働く。メーカーには小型炉の開発・建設を通じ、関連する雇用や技術を維持したいとの思惑もある。課題も多い。ひとつは発電コストだ。三菱重工の場合、1キロワット時あたり10円強のいまの大型炉より高くなる見込み。国内では原発管理の不備も続き、地元住民の反発もある。いま策定中のエネルギー基本計画でも、原発の建て替え・新増設を明記するのか議論が割れている。国内での新設の原発は09年に稼働したのを最後に、青森県や島根県で着工済みの工事は進んでいない。

<防衛にも計画性のない国、日本←それでは勝てるわけがない>
*3-1:https://www.jiji.com/jc/article?k=2021070500799&g=pol (時事 2021年7月5日) 台湾有事で集団的自衛権行使も 麻生氏
 麻生太郎副総理兼財務相は5日、東京都内で講演し、中国が台湾に侵攻した場合、安全保障関連法が定める「存立危機事態」に認定し、限定的な集団的自衛権を行使することもあり得るとの認識を示した。存立危機事態は、日本と密接な関係にある他国が攻撃され日本の存立が脅かされる明白な危険がある事態で、集団的自衛権を行使する際の要件の一つ。麻生氏は「(台湾で)大きな問題が起きると、存立危機事態に関係してきても全くおかしくない。そうなると、日米で一緒に台湾を防衛しなければいけない」と述べた。

*3-2:https://newswitch.jp/p/23594 (ニュースイッチ 2020年8月29日) 「むつ」以来のタブーを破り、日本が原子力潜水艦を造るべき深い理由、元IEA事務局長・田中伸男氏「まずは米国から1隻購入し技術移転を」
 現在、世界で使われている商業用原子炉はそのほとんどが大型軽水炉である。この炉型は大型かつベースロードで運用し、電力線網で広範囲に送電するという集中型電力システムで低コストを実現してきた。しかし東京電力福島第一原子力発電所事故でリスクの高さを露呈し、安全対策の強化で建設コストが上昇、新設では太陽光風力発電に対して競争力を喪失しつつある。今後は既存原発の運転期間を延長することでコスト上昇を抑えるしかない。大型軽水炉は将来的には小型モジュラー炉にとって代わられるだろう。軽水炉の弱みは、冷却水の供給が何らかの理由で途絶えることで燃料のメルトダウンを招く点にある。逆に船舶用の動力として使えば、万が一の場合、海中投棄でメルトダウンは防げる。燃料の補充が長期にわたって不要な点で潜水艦、砕氷船、発電バージなどで小型軽水炉は最適である。日本も原子力船「むつ」を建造し、自前の舶用小型軽水炉を実証したが、放射線漏れを起こし、残念ながら建造路線は放棄された。まずは、むつの失敗を総括するところから始めなければならない。笹川平和財団では北極海航路用砕氷船を前提として勉強会を始めたところである。関係者の話を伺ったが、むつ建造に関わった複数企業の設計インターフェースの悪さ、海外専門家から放射線漏れの可能性を指摘されながらも十分に検討しなかった建造体制の不備などが問題だったようだ。笹川平和財団では2017年から18年にかけて、インド洋地域における海洋安全保障に関する日米豪印4カ国専門家会議を開き、政策提言を取りまとめた。記者会見で配られた提言は報道されなかったが、その中に「日本政府はシーレーン防衛のため原子力推進の潜水艦保有を検討すべきではないか」という項目があった。自由で開かれたインド太平洋を海洋安全保障戦略の基本としている4カ国の専門家が一致して原子力潜水艦の必要性を指摘したのは重い。ポストコロナの中国が南シナ海や東シナ海での軍事活動強化に走り、香港の一国二制度を否定したのは、狙いが台湾併合にあることは明らかだ。今後米中関係がさらに悪化して行く中で、台湾有事も想定せざるを得ない。長期間潜ったまま航行できる原潜が中国海軍の動きを抑えるのに役に立つ。日本の持つディーゼルとリチウムイオン電池の潜水艦は静音性などに大変優れるが、毎日浮上する必要があり、秘匿性能と航続距離に課題がある。最近、北朝鮮のミサイルを撃ち落とす新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」計画が放棄された。敵国領内での基地攻撃の可否が議論されているが、そもそも攻撃を受けた場合、通常型巡航ミサイルでの反撃は攻撃ではなく防御だ。非核巡航ミサイルを装備した原潜による敵の核攻撃抑止も、米国の核の拡大抑止の補完として検討されるべきであろう。まずは1隻、米国から購入し技術移転、乗員の訓練などのための日米原子力安全保障協力が必要だ。日本に核装備は不要で核兵器禁止条約にも加盟すべきだが、緊張の高まる北東アジアの状況を考えれば、むつ以来のタブーを破り原子力推進の潜水艦建造を検討する必要があると考える。
【略歴】田中伸男(たなか・のぶお)東大経卒、通商産業省(現経済産業省)入省。通商政策局総務課長、経済協力開発機構(OECD)科学技術産業局長などを経て07年に欧州出身者以外で国際エネルギー機関(IEA)事務局長に就任。16年笹川平和財団会長、20年顧問。70歳。

*3-3:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/77734 (現代 2021.1.21) なぜ原子力潜水艦は長い潜航が可能なのか? 推進力、水、酸素すべてを賄う原子の力
●原子力潜水艦が長く潜水を続けられる理由とは?
 1954年の今日、世界初の原子力潜水艦であるアメリカの潜水艦「ノーチラス号」の進水式が執り行われました。原子力潜水艦は、その名前の通り原子力を動力として駆動する潜水艦のことをいいます。ディーゼルエンジンと蓄電池によって駆動する通常の潜水艦と違い、原子力潜水艦は半永久的に潜水可能というメリットがあります。なぜなら、高濃度の核燃料は数十年にわたって原子炉を稼働させることが可能であり、燃料補給がほぼ不要だからです。燃料を気にすることなく原子炉からエネルギーを得られるため、海水を蒸発させて真水を生み出すこともでき、それを電気分解することによって酸素を供給することもできます。これにより、船員の酸素確保のために浮上する必要もなく、連続潜航距離をさらに伸ばすことができるのです。そういった理由から、原子力潜水艦の実現を強く望んだのが、アメリカの海軍大佐ハイマン・リッコーヴァー(Hyman George Rickover、1900-1986)です。第二次世界大戦で潜水艦の重要性を実感した彼は、戦後上官から新しい任務を受け取りました。それが、核エネルギーによる潜水艦の現実性についての研究だったのです。リッコーヴァーが赴いたのは、テネシー州のオークリッジにある国立研究所でした。そこでは、アルヴィン・ワインバーグ(Alvin M. Weinberg、1915-2006)などの研究者が核エネルギーの平和的利用について模索していました。リッコーヴァーは彼ら研究者たちを、ついで軍の上層部を説得し、原子力潜水艦の実現に動き出します。そして、時間と競争しているかのような凄まじいペースで工事を完了させ、戦後10年も立っていない1954年に進水式に至ったのです。ワインバーグによって水の蒸気を利用するコンパクトな原子炉が提案されたことがターニングポイントだったようです。翌年には本格的に稼働し、1958年には北極点の下を潜航通過しています。当時は、原子力は人間が制御でき、平和に利用すれば人々の生活を豊かにするという考えが大勢を占めていた時代です。それに基づき、原子力の商用が強く推進されました。元アメリカ大統領・アイゼンハワー(Dwight David Eisenhower、1890-1969)による1953年の「平和のためのアトム」演説などが代表例です。しかしその後、原子力潜水艦や原子力発電所がいくつもの大事故を起こすことになるのは皆さんもご存じのとおりです。ワインバーグも、当時は安全性より経済面を重視するきらいがあったことを認めています。

<人を大切にしない国、日本 ←社会保障と人権を粗末にしすぎ>
*4-1-1:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2390A0T20C21A6000000/ (日経新聞 2021年6月25日) 市町村66%、病院存続困難に 人口減少巡り国交白書
 政府は25日、2021年の国土交通白書を閣議決定した。人口減少により2050年に829市町村(全市町村の66%)で病院の存続が困難になる可能性があるとの試算を示した。公共交通サービスの維持が難しくなり、銀行やコンビニエンスストアが撤退するなど、生活に不可欠なサービスを提供できなくなる懸念が高まる。地域で医療・福祉や買い物、教育などの機能を維持するには一定の人口規模と公共交通ネットワークが欠かせない。人口推計では50年人口が15年比で半数未満となる市町村が中山間地域を中心に約3割に上る。試算によると、地域内で20人以上の入院患者に対応した病院を維持できる境目となる人口規模は1万7500人で、これを下回ると存続確率が50%以下となる。基準を満たせない市町村の割合は15年の53%から50年には66%まで増える。同様に50年時点で銀行の本支店・営業所は42%、コンビニは20%の市町村でゼロになるリスクがある。新型コロナウイルス禍は公共交通の核となるバス事業者の経営難に拍車をかけた。20年5月の乗り合いバス利用者はコロナ前の19年同月比で50%減少し、足元でも低迷が続く。白書は交通基盤を支えられないと「地域の存続自体も危うくなる」と警鐘を鳴らす。

*4-1-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210702&ng=DGKKZO73459090R00C21A7KE8000 (日経新聞 2021.7.2) コロナが示した医療の課題(上) 逼迫時の役割分担 明確に 小塩隆士・一橋大学教授(1960年生まれ。東京大教養卒、大阪大博士(国際公共政策)。専門は公共経済学)
<ポイント>
○政策の微調整での対応は信認弱める恐れ
○急性期医療へのシフトなど構造改革急げ
○利用者の受診抑制の要因や影響探る必要
 新型コロナウイルスの感染拡大を巡っては、変異株の脅威のほか、五輪開催という重大なリスク要因が存在する。一方で、ワクチン接種の大幅加速という好材料も出てきた。感染拡大の発生から1年半近くが経過し、ポストコロナの医療供給体制にとっても重要な課題が浮き彫りになった。まず新型コロナが日本人の健康に及ぼした影響を大まかにみてみよう。感染者数・死者数ともに、日本はほかの先進国と比べ著しく少なく、影響はかなり限定的だというのが一般的な受け止め方だろう。果たしてその理解でよいか。コロナ対策の評価にも影響する。図は、新型コロナを原因とする100万人当たり新規死者数(7日間合計)の推移を国際比較したものだ。図の上段は英米独日の比較、下段は日韓の比較だ(上段の目盛りは下段の20倍)。日本での影響はこれまで欧米諸国に比べ極めて軽微だった。しかし2つの点に注意が必要だ。まず図の上段の右端、つまり直近の数字をみると日本と英米独との差はほとんどなくなっている。ワクチン接種が加速している欧米諸国で死者数が大幅に減少してきたからだ。その結果、コロナの影響は「瞬間風速」としては、今では欧米とほぼ同じレベルになっている。変異株の影響もあり先行きは不透明だが、足元のこの状況は押さえておいたほうがよい。さらに重要なのは、図の上下を比較すれば明らかなように、死者数が形成してきた「波」の違いだ。欧米の死者数は2つの大きな波を形成してきたが、第2波が2021年1月ごろにピークを越えた後は、何とか収束に向かいつつある。日本では20年春に第1波が発生し、現在の波は通常、第4波と呼ばれる。欧米の第2波、日本の第3波には規制の解除・緩和を受けたリバウンド(感染再拡大)という共通点がある。だが欧米には死者数でみる限り第3波は明確な形では到来していない。景気もV字型の回復軌道に乗った。一方、日本には過去のピークを上回る第4波が到来し、対応に苦慮している。韓国でも、日本の第4波のような大きな波は発生していない。こうした波の違いは、日本政府によるコロナ対応の問題点を示唆している。本格的な市中感染の到来を予期せず、全国レベルのワクチン接種に大きく出遅れたのが、違いを生んだ主因だというのが筆者の判断だ。欧米諸国はワクチン接種と厳格な移動規制の合わせ技で、コロナ感染を力ずくでねじ伏せつつある。これに対し、日本がとってきたアプローチは経済活動に目配りをしつつ、感染者数などの動きをみながら、緊急事態宣言の発令と解除を繰り返し、さらに地域別に規制の濃淡をつけるなど、微調整で対処するものだ。本格的なロックダウン(都市封鎖)を許容する法制度がなく、ワクチン接種を急がなかったという制約条件、しかも五輪開催も予定される状況の下では、この方針は最適解だったかもしれない。だがそれはあくまでも制約条件を所与とした場合の机上の話だ。ロックダウンは難しいとしても、ワクチン接種なしで移動抑制だけで感染を抑え込もうとしても無理が出てくる。政策の微調整はそれだけを取り出してみれば合理的だとしても、方針を分かりにくくし、政策への信認を弱めてきた可能性がある。規制とリバウンドのいたちごっこを生み、政策の調整が感染の波を増幅させ、収束をむしろ遅らせてこなかったか。また入国管理や検疫に漏れはなかったか。経済への影響も含め、詳細な検証が必要になる。そうした対応の問題点を考慮に入れても、日本のコロナ感染の健康面へのショックは国際的にみれば軽微だったとの見方はできる。だが医療システムが余裕を持って感染拡大に対処できたかと問われると、答えは残念ながら「ノー」だ。日本の人口当たりベッド数は世界でトップクラスだ。しかも感染拡大の規模は諸外国より限定的だった。にもかかわらず、コロナ対応の最前線に立つ医療現場は逼迫し、崩壊寸前、あるいは事実上の崩壊に至ったところも少なくない。日本のベッド数は確かに多いが、精神病床や療養病床の比重も大きい。コロナ対応が可能な一般病床は全体の6割弱だが、すべてが急性期医療に特化しているわけではない。厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の会合(20年10月21日)に提出された資料によると、全医療機関のうち、新型コロナ患者の受け入れ可能な機関は23%、受け入れ実績がある機関は19%にとどまる。しかも受け入れ実績のある機関でも、人工呼吸器、体外式膜型人工肺(ECMO=エクモ)またはその両方を使用した患者を受け入れていた機関に限ると全体の4%どまりだ。民間医療機関に患者の受け入れを要請する法制度も未整備だ。現場レベルでの調整は徐々に進んでいるが、感染再拡大をみてからの対応であり、後手に回ったといわざるを得ない。医療システムにかかる負荷は全体としてみれば小さくても、局所的には耐え難いほど高くなる。それを認識せず、その仕組みも改めずに経済活動を優先すると大変なことになる。日本の医療供給体制はもともと新型コロナのようなパンデミック(世界的流行)を想定した仕組みにはなっていない。公的介護保険の導入後も、日本の医療供給は平均在院日数の長い患者の療養を念頭に置いた面が色濃く残っている。社会全体の医療資源の使い方として非効率な面はないか。この問題がコロナ禍で改めて浮き彫りになった。医療供給体制にとって最低限必要なのは、医療逼迫時における地域医療機関の役割分担を明確にしておくことだ。長期的には、医療資源を急性期医療に一層シフトさせるとともに、地域医療機関間のネットワーク化を推進するなど、構造的な改革が求められる。最後に、日本の医療供給体制にとっての潜在的な問題点を指摘しておきたい。コロナ禍の下で利用者の受診抑制の動きがみられることだ。厚労省の研究でも明らかなように、コロナ禍の下で健康診断や各種のがん検診、人間ドック受診を抑制する傾向もみられる。問題は利用者の抑制行動が何を意味するかだ。抑制した人とそうでない人を比較して、コロナ発生前からの健康状態の変化に差がなければ、医療サービスの供給に過剰な部分があったことになる。逆に抑制した結果、健康状態が悪化していれば、必要な医療サービスがコロナ禍で受けられなかったことになる。この判定は極めて難しい。感染収束後も長期の追跡調査が必要だ。所得や就業状態など他の要因にも左右される。だがコロナ禍は医療を巡る利用者の行動変容をもたらしている可能性が高い。だとすれば、医療給付費の長期予測にも大きな影響が出てくる。まさしく統計的なエビデンス(証拠)に基づく政策評価・立案が必要となるテーマだ。コロナ禍は日本の医療供給体制の効率性や持続可能性にもかなりの影響を及ぼしている。

*4-2-1:https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021071400125 (信濃毎日新聞社説 2021/7/14) 教員免許更新制 廃止の判断遅きに失した
 遅きに失したと言うべきだろう。文部科学省が、教員免許の更新制を廃止する方向で検討を進めている。更新には30時間以上の講習を自費で受ける必要があり、負担を訴える現場の声は導入当初から強かった。10年以上にわたって半ば漫然と存続させてきたことが問われなければならない。廃止で事を済まさず、文科省は経過を検証すべきだ。萩生田光一文科相が、制度の抜本的な見直しを中央教育審議会に諮問している。廃止の結論を得て、来年の国会への教員免許法の改定案提出を目指す。免許の期限を10年とし、大学などで講習を期限内に修了すると更新が認められる。お金と時間を負担するのは教員だ。数万円の講習費用と交通費を出し、夏休みの期間などに通わざるを得ない。教員を対象にした文科省の調査で、大多数が負担感を示す一方、講習が役に立っていると答えたのは3分の1にとどまった。自由記述では、制度を廃止すべきだとの回答が最も多かったという。更新制は教員不足の一因にもなってきた。定年前に期限を迎える教員が早期退職する動機になるほか、産休・育休取得者の代替教員の確保を難しくしている。更新を忘れて免許が失効していることが分かり、引き続き教壇に立てなくなった事例もある。2000年代初めころ、自民党の議員らから上がった「不適格教員の排除」の掛け声が制度化の発端だ。管理の強化があらわな主張に現場の反発は強く、いったんは見送られたが、第1次安倍政権下、政治主導で免許法が改定され、09年度から導入された。文科省は、教員の資質確保が目的で、不適格教員を排除する趣旨ではないと説明している。そもそもなぜ免許の更新は必要なのか。制度化の根拠は曖昧だ。その後、民主党政権が廃止の方針を打ち出したものの、参院で過半数を失って法改定を断念。自民党の政権復帰で立ち消えになっていた。教員の多忙さは増し、学校現場の疲弊は深い。いじめをはじめ子どもたちが抱える問題への対応が追いついていない現状がある。そこへ官製の研修が詰め込まれ、現場をさらに追い立てている。その状況をどう改めるか。教員が日々、子どもとじっくり向き合って力量を高める。それぞれが直面する課題を持ち寄って自主的に学び合う。そのための時間や余裕を生むことが肝心だ。文科省は現場を下支えすることにこそ力を傾けなくてはならない。

*4-2-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210715&ng=DGKKZO73895020V10C21A7CE0000 (日経新聞 2021.7.15) 芸術や数学で突出でも不登校 「ギフテッド」の子に支援策 文科省会議、指導法など議論
 特定分野で突出した才能を持つ子どもへの支援について話し合う文部科学省の有識者会議は15日までに、初会合を開き、具体策の検討を始めた。芸術性や数学力などの面で抜きんでているものの、学年ごとのカリキュラムや周囲にうまく適合できず、不登校になるケースも。こうした子どもの状況に応じた指導の在り方、大学、民間団体との連携などを議論し、年内にも論点をまとめる。文科省などによると、米国では、同年齢よりも特に高い知能や創造性、芸術的才能などを発揮する子どもを「ギフテッド」と呼び、早期入学や飛び級といった特別な教育プログラムが用意されている。中にはこだわりが強すぎたり、集団行動が苦手だったりする子もいるとされ、どう支援するかも課題となっている。一方、日本では「単純な課題は苦手だが複雑で高度な活動は得意など、多様な特徴の児童生徒が一定割合存在する」(1月の中教審答申)とされるものの、十分に議論されてこなかった。このため、教育関係者や保護者らの間でも認識や対応にばらつきがあるのが現状だ。会合では、実際にこうした子どもが不登校となっている事例が報告されたほか、「同質性の高い学校文化そのものを見直すべきだ」との意見が出た。委員の松村暢隆関西大名誉教授は「『トップ人材を輩出する』といった目標から出発するのではなく、困っている才能児のニーズに対応するとの視点で議論していくべきだ」と指摘。発達障害を抱える子どももいるとして、特別支援教育や生徒指導との連携も必要とした。

*4-3-1:https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/202107/0014461592.shtml (神戸新聞 2021/7/1) 職場接種停止/国は態勢立て直しを急げ
 政府は、新型コロナウイルスワクチンの企業や大学などでの職場接種の申請受け付けを急きょ停止した。想定を超える申請が殺到し、接種に使われる米モデルナ製ワクチンの供給が追いつかなくなったためだ。与党からは、国と自治体による大規模接種分を回すなどして早期再開を求める声が出ているが、見通しは立っていない。このまま打ち切られる可能性もあるという。開始から間もない方針転換で、準備を進めていた企業などの混乱は計り知れない。政府は見通しの甘さを猛省し、停止の経緯と再開の可否についてきちんと説明するべきだ。混乱は自治体の現場でも起きている。7月後半以降のワクチン配分量が政府から示されないなどで、兵庫県内の複数市町で64歳以下の接種予約が滞っていることが分かった。米ファイザー製を含めたワクチン供給量は全国民分を確保していると政府は強調するが、実際に大きな混乱が生じているのはなぜか。菅義偉首相は「1日100万回」「11月末までに希望者全員に」などの数値目標を掲げた。これを達成するため、準備不足にもかかわらず、スピード重視で進めようとした無理がたたったのは明らかだろう。政府は態勢を早急に立て直し、今後のワクチン供給量と配分計画を明確に示すべきだ。職場接種は、現役世代の接種を加速させ、社会全体を感染から守る効果への期待が大きい。だが課題も多い。1カ所で最低千人程度に接種するのが要件とされ、医師や会場は自前で確保しなければならない。すぐ対応できる大企業が先行する一方、国内企業の大半を占める中小企業にはハードルが高く、不公平感は否めない。温泉地や業界団体が同業各社を集めて共同実施にこぎつけた例もあるが、医師や会場が確保できず断念した企業もある。政府は小規模でも接種が可能な仕組みや、負担軽減に向けた支援拡充を検討するべきだ。一方、「打ち手」の争奪戦が起きれば、軌道に乗りつつある自治体の接種に影響しかねない。国と自治体、医師会などが連携して接種体制の再点検に努めねばならない。接種の本格化に伴う同調圧力にも注意が必要となる。持病や医学的な理由で接種を受けられない人や、副反応への不安などから接種を望まない人もいる。接種の強要や、打たない人が不利益を被るような対応があってはならない。今後、接種対象となる若い世代には高齢者と比べて副反応が出やすいとの報告もある。政府や自治体は、丁寧な情報開示と相談窓口の充実に取り組んでもらいたい。

*4-3-2:https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210622_03.html (東京商工リサーチ 2021.6.22) 「新型コロナウイルス」関連破たん 1,661件
 6月22日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が7件判明、全国で累計1,580件(倒産1,482件、弁護士一任・準備中98件)となった。月別では2月(122件)、3月(139件)、4月(154件)と、3カ月連続で最多件数を更新した。5月は124件と、2021年1月以来4カ月ぶりに前月を下回ったが、過去3番目の件数と高水準だった。6月は22日までに105件が判明し5カ月連続で100件を超え、前月を上回るペースで推移している。なお、倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計81件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で1,661件となった。3度目の緊急事態宣言は沖縄県を除き6月20日をもって解除された。ただし、一部地域はまん延防止等重点措置に移行し、飲食店の酒類提供や営業時間の制限は継続する。当面は流動的な状況で、消費関連企業にとって厳しい環境が続きそうだ。ダメージを受けた企業への金融支援策は継続するが、事業環境が回復しないままコロナ融資の返済がスタートする過剰債務の問題も浮上している。息切れや事業継続をあきらめて破たんに至るケースも目立ち始め、コロナ関連破たんは引き続き高水準で推移する可能性が高い。
【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 30件以上は12都道府県 ~
 都道府県別では、東京都が372件(倒産351件、準備中21件)に達し、全体の約4分の1(構成比23.5%)を占め、突出している。以下、大阪府159件(倒産151件、準備中8件)、神奈川県80件(倒産73件、準備中7件)、愛知県74件(倒産74件、準備中0件)、北海道64件(倒産63件、準備中1件)と続く。22日は北海道、山形県、茨城県、東京都、石川県、大阪府、兵庫県でそれぞれ1件判明した。10~20件未満が17県、20~30件未満が8府県、30件以上は12都道府県に広がっている。
【業種別】(負債1,000万円以上)~飲食が最多284件、建設153件、アパレル135件、宿泊83件 ~
 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多の284件。一部地域では休業や時短の要請が継続し、営業制限が続く飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が153件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の135件。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が83件と続く。
また、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が75件、食品製造業も49件と目立 ち、飲食業界の不振が関連業種に波及している。
【負債額別】(負債1,000万円以上)
 負債額が判明した1,551件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の557件(構成比35.9%)、次いで1億円以上5億円未満が527件(同33.9%)、5千万円以上1億円未満が272件(同17.5%)、5億円以上10億円未満が98件(同6.3%)、 10億円以上が97件(同6.2%)の順。負債1億円未満が829件(同53.4%)と半数を占める。一方、100億円以上の大型倒産も6件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。
【形態別】(負債1,000万円以上)
 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した1,482件の形態別では、破産が1,309件(構成比88.3%)で最多。次いで民事再生法が80件(同5.3%)、取引停止処分が73件(同4.9%)、特別清算が12件、内整理が7件、会社更生法が1件と続く。「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。
【従業員数別】(負債1,000万円以上)
「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した1,466件の従業員数の合計は1万8,143人にのぼった。1,466件の内訳では従業員5人未満が783件(構成比53.4%)と、半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が294件(同20.0%)、10人以上20人未満が206件(同14.0%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。また、従業員50名以上の破たんは2021年1-3月で11件発生し、4月は1件発生した。
※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

*4-3-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210710&ng=DGKKZO73760110Q1A710C2EA2000 (日経新聞 2021年7月9日) 企業落胆、商機失う 観光業など、打撃大きく
 東京五輪の原則無観客開催で多くの企業が肩すかしを食らっている。宿泊を見込んでいた観光業界は収益への打撃が避けられない。スポンサー企業も製品や技術を売り込む好機のはずが、人々の目に触れる機会が大幅に減る。「朝からキャンセルが止まらない」。東武ホテルレバント東京(東京・墨田)では、9日午前だけで十数件の予約キャンセルが入った。期間中は稼働率約7割を見込んでいたが下がることは必至。大会期間中は通常より数割高い価格で設定していたが、緊急事態宣言の影響もあり「値下げは避けられない」と話す。京王プラザホテルも予約キャンセルが入り始めている。都内の高級ホテルでは大会関係者らの予約が多く入り、無観客でも一定の需要が見込まれる一方で、中堅・中小のホテルのダメージは大手より大きい。JTBなど旅行3社は9日、1都3県での観戦チケット付きの全ツアーを払い戻すと発表した。3社はスポンサーでもあり、このうち1社の幹部は「数十億円のスポンサー料や人件費などをかけてきたが、全て水の泡だ」とため息をつく。グッズ販売も苦戦が避けられない。アシックスは当初、約200億円の売り上げを見込んでいた。同社は9日「無観客シナリオは業績予想に織り込み済み」と発表し、業績下振れ懸念の払拭を図った。大会を「技術のショーケース」と期待していたスポンサーも思惑が外れた。NTTは高速通信規格「5G」を活用。セーリングでは観客席から沖合の船を間近で観戦できるように映像を映し出し、ゴルフでは専用端末を観客に配る計画だった。だが楽しめるのは大会関係者のみになる。セコムは警備ロボット、NECは入退場を管理する顔認証システムを導入するが、PR効果は薄れる。トヨタ自動車は燃料電池車(FCV)や電気自動車(EV)など1000台以上を提供する計画だったが、修正を検討する。大和総研は無観客の場合、大会期間中の経済効果が3500億円程度と、通常開催より4500億円縮小すると予測する。五輪は世界中で視聴される。映像演出など画面を通じて技術をアピールする機会はなお残る。

*4-3-4:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA124F40S1A710C2000000/ (日経新聞 2021年7月12日) 県境またぐ移動自粛、接種者も対象 戸惑う観光地
 政府は12日、東京都に4度目となる新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を適用した。まん延防止の重点措置を含む6都府県の住民には県境をまたぐ不要不急の外出自粛を要請する。ワクチン接種者も一律に対象とする。26日から申請を受け付ける接種証明書も海外渡航用だ。夏のかき入れ時に期待していた国内観光地には戸惑いが広がる。東京の宣言は8月22日まで。宣言を延長する沖縄県、宣言に準じる重点措置を延長する埼玉・千葉・神奈川・大阪の4府県も期限は同じだ。夏休みやお盆に人の移動が活発になるのをにらんだ。政府が8日に改定した基本的対処方針は特に東京や沖縄について「帰省や旅行など都道府県間の移動は極力控えるよう促す」と明記した。国内でも高齢者を中心に増えつつある接種済みの人も扱いに差をつけなかった。首相官邸によると11日時点で65歳以上の76%、2700万人がワクチンを少なくとも1回打っている。ほとんどがファイザー製で3週間後に2回目を打つため、7月中に多くが接種を完了する。ワクチンの普及に期待していた観光地は今回、冷や水を浴びせられた。首都圏からの観光客が多い京都市。八坂神社近くの旅館「ギオン福住」の山田周蔵社長は「東京が動かないと話にならない」と肩を落とす。「予約は4月以降、修学旅行以外はほとんど入っていない。8月中旬までも期待できなくなった」。温泉地の群馬県草津町の旅館「ホテル一井」の市川薫女将も「(8月以降の)予約の入り方が鈍ってきた」と話す。クラブツーリズムは12日以降、東京や沖縄が発着地となる添乗員付きツアーを中止とする。日本旅行の小谷野悦光社長は「夏休みの旅行需要も見込めず、去年より厳しい状況。この夏をどう乗り越えるか、正念場だ」と話す。日本旅行業協会(JATA)の菊間潤吾副会長は「我々にいつまで我慢しろというのか」と憤りを隠さない。政府は感染力の強いインド型(デルタ型)の拡大を警戒している。内閣府幹部は「(接種者であっても)ウイルスを運ぶリスクがある。特にインド型は侮れない」と語る。海外では接種証明書を経済再生に生かす取り組みが進む。欧州連合(EU)は夏のバカンスシーズンを前に、1日から本格運用を始めた。加盟国やスイスなど約30カ国で使える。QRコードを示せば出入国時の検査や自主隔離が免除される。発行数は2億件を超えた。シンガポールは人口の半数が2回目を接種する見込みの7月末以降、制限緩和を進める方針だ。現在は5人までの飲食店の利用を接種者グループは8人まで認めることなどを検討している。日本も26日、証明書の申請受け付けを始める。加藤勝信官房長官は12日の記者会見で「海外に渡航する際に防疫措置の緩和を受けるのを目的とする」と述べた。イタリアなど十数カ国に要請している。国内での活用は現時点で想定していない。「接種の有無による不当な差別は適切ではない」と説明した。チグハグにも映る対応に経済界は異を唱える。経団連は接種証明書を早期に活用し、国内旅行などの要件を緩和すべきだと提言している。病床確保などの対策を進めつつ、経済をいかに回すかはコロナの感染拡大当初からの課題だ。ワクチンの普及など状況の変化を踏まえた柔軟な対応も求められる。

*4-3-5:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/707944 (佐賀新聞 2021.7.17) コロナ拡大と五輪、国民は「安全」なのか
 国民の「安全」を守り、暮らしに「安心」をもたらす。一国のリーダーにとって最大の責務であることは言うまでもない。世界が注目する東京五輪・パラリンピックの開幕が迫った日本で、菅義偉首相はその使命を果たしているのか。五輪開催都市である東京で新型コロナウイルスの感染者が急増している。1日当たり千人を超す新規感染者数の報告が続き、5月の「第4波」ピーク時を上回っている。4度目になる緊急事態宣言が発令中だが、その効果は表れていない。専門家は現在の増加ペースで推移すれば、五輪閉会後には2400人程度に上るとの試算を公表した。年末年始の「第3波」さえ超える水準だ。東京など首都圏の感染者数は全国のおよそ3分の2を占めている。今後、インドに由来する感染力が強いデルタ株への置き換わりが進み、感染再拡大が首都圏から全国に波及する可能性もある。感染を収束させられないのは、政府対策の不備や迷走が第1の要因だろう。それでも五輪は23日に開幕する。21日には一部競技が先行して始まる。菅首相が「安全、安心な大会を実現する」と主張し、開催に突き進んできたためだ。1964年以来、日本では2度目となる夏の五輪には選手約1万人、大会関係者約4万1千人の来日が見込まれ、入国は本格化している。五輪は選手らと外部の接触を遮断する「バブル」方式で運営され、10都道県での広域実施となる33競技・339種目の大半は無観客の会場で行われる。菅首相は選手らの多くがワクチン接種を済ませている上、厳格な検査と行動制限を課すことで、ウイルスの国内流入を防ぐと強調する。だが事前合宿先で感染が判明した例もあり、水際対策は万全ではあるまい。選手村には、2回目の接種を終えていない日本人スタッフらが出入りする。管理の緩さが露呈した関係者の行動も問題視されている。バブルに穴がないか常時点検するとともに、五輪を発生源としたクラスター(感染者集団)を認知した場合、大会を続行するかどうかを検討しておく必要がある。菅首相はコロナ禍で行われる東京五輪の開催意義を巡って「世界が一つになり、難局を乗り越えていけることを発信したい」と繰り返している。さすがに「コロナに打ち勝った証し」との言い回しは封印したようだ。だが、生活や事業がコロナ前に戻るのはいつかという国民が一番知りたいことに答えていないのに、無責任な意義付けだと指摘せざるを得ない。主催者である国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の現状認識にも疑問が湧く。バブル方式によりコロナ感染を「日本国民が恐れる必要はない」と断言。首相と会談した際には、感染状況が改善した場合「有観客」を検討してほしいと伝えたという。首相と同じく「五輪ありき」の姿勢がうかがえ、国民感情を軽視していると批判されても仕方あるまい。菅首相が何より優先しなくてはならないのは、五輪を予定通り終わらせることではない。国民の命を守るためコロナ感染を一日も早く収束に向かわせることだ。憲法に基づく野党の臨時国会召集要求に応え、コロナ対策を充実させる論議に臨むべきだ。首相に値するか問われている。

*4-4-1:https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/929053.html (静岡新聞社説 2021年7月14日) 来日選手難民申請 認定制度見直す機会に
 サッカー・ワールドカップ予選のため来日していたミャンマー代表選手のピエ・リヤン・アウンさんが、クーデターを起こした国軍に抗議の意志を示して帰国を拒否し、日本に難民認定を申請した。本国の家族や帰国したチームメートの身を案じながら、自らが帰国した場合、生命の危機にさらされると考えて下した苦渋の決断だった。クーデター後のミャンマー情勢には世界の目が注がれている。日本政府は5月、日本在留の継続を望むミャンマー人に対して緊急避難措置として在留延長や就労を認める方針を示した。ピエ・リヤン・アウンさんは在留延長が認められ、難民認定も出入国在留管理庁は迅速に手続きを進めるという。日本は他の先進国と比べて難民認定の判断基準が厳しく、認定数が極端に少ないと指摘されている。ここ数年、ミャンマー人は一人も認定されていなかった。人道上の見地から安心して帰国できる治安情勢になるまで保護するのは当然で、国際社会の視線を気にした例外的な対応であってはならない。認定のハードルが高いため、これまで本来、保護されるべき人が保護されていないまま本国へ送り返されるようなことはなかったのか。難民認定の在り方について見直す機会にしたい。難民条約は人種、宗教や政治的意見を理由に母国で迫害される恐れがある人を難民と定義し、各国が保護するよう求めている。日本は条約に加入した1981年以降、計約840人を難民として認定してきた。だが、他国と比べると、難民の受け入れに消極的なのは一目瞭然で、条約加入国の義務を十分果たしているとはいえない。2019年の1年間だけでも、難民認定はドイツ約5万3千人、米国約4万4千人、フランス約3万人に上る。認定率も18~30%と高い。日本の認定者は44人で、認定率は0・4%だった。他国なら難民と認められても当然な状況ながら日本で認定されなかったため、本国に帰ることもできず難民申請を繰り返さざるを得ない外国人も多いのではないか。先の国会で難民申請の回数を制限する入管難民法の改正案が提出されたが、入管施設収容中のスリランカ女性の死を巡って野党の強い反発もあり、与党は成立を断念した。難民認定は人命に関わる重要な手続きだ。申請者の出身国の情勢をしっかり見極めた上で認定の是非を判断しなければならない。国会での政治的駆け引きではなく、外国人の人権保護という原点に立ち戻って認定制度について真剣に議論する必要がある。

*4-4-2:https://www.jiji.com/jc/article?k=2021071601004&g=spo (時事 2021年7月16日) ウガンダ選手が所在不明 事前合宿地の大阪府泉佐野市〔五輪〕
 大阪府泉佐野市は16日、東京五輪の事前合宿で受け入れているウガンダ選手団の男子選手の所在が分からなくなっていると発表した。この選手は重量挙げのジュリアス・セチトレコさん(20)で、市は警察に届け出た上で行方を捜している。16日正午すぎに、セチトレコ選手の新型コロナウイルスのPCR検査が行われていないことに気付いた市職員が、ホテルの部屋を確認したところ不在だった。部屋には「日本で仕事がしたい。生活が厳しい国には戻らない」という趣旨の書き置きが残されていた。市はJR西日本に問い合わせ、同選手が名古屋行き新幹線の切符を購入したことも確認したという。市によると、セチトレコ選手は合宿期間中に世界ランキングが下がって五輪に出場できなくなり、コーチとともに近く成田空港から帰国する予定だった。選手団9人は6月19日、成田空港に到着。入国時の検査で1人が陽性判定を受けた。一行が泉佐野市に移ってから残りの8人全員が濃厚接触者と特定され、さらに別の1人の感染が判明。その後、基準を満たしたため練習を再開していた。

<先端科学で証明しよう、日本人のルーツと古代史>
*5-1:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC18CCA0Y1A610C2000000/ (日経新聞 2021年6月23日) 渡来人は四国に多かった? ゲノムが明かす日本人ルーツ
 私たち日本人は、縄文人の子孫が大陸から来た渡来人と混血することで生まれた。現代人のゲノム(全遺伝情報)を解析したところ、47都道府県で縄文人由来と渡来人由来のゲノム比率が異なることがわかった。弥生時代に起こった混血の痕跡は今も残っているようだ。東京大学の大橋順教授らは、ヤフーが2020年まで実施していた遺伝子検査サービスに集まったデータのうち、許諾の得られたものを解析した。1都道府県あたり50人のデータを解析したところ、沖縄県で縄文人由来のゲノム成分比率が非常に高く、逆に渡来人由来のゲノム成分が最も高かったのは滋賀県だった。沖縄県の次に縄文人由来のゲノム成分が高かったのは九州や東北だ。一方、渡来人由来のゲノム成分が高かったのは近畿と北陸、四国だった。特に四国は島全体で渡来人由来の比率が高い。なお、北海道は今回のデータにアイヌの人々が含まれておらず、関東の各県と近い比率だった。以上の結果は、渡来人が朝鮮半島経由で九州北部に上陸したとする一般的な考え方とは一見食い違うように思える。上陸地点である九州北部よりも、列島中央部の近畿などの方が渡来人由来の成分が高いからだ。大橋教授は「九州北部では上陸後も渡来人の人口があまり増えず、むしろ四国や近畿などの地域で人口が拡大したのではないか」と話す。近年の遺伝学や考古学の成果から、縄文人の子孫と渡来人の混血は数百~1000年ほどかけてゆっくりと進んだとみられている。弥生時代を通じて縄文人と渡来人が長い期間共存していたことが愛知県の遺跡の調査などで判明している。どのような過程で混血が進んだのかはまだ不明で、弥生時代の謎は深まる一方だ。今回の解析で見えた現代の日本列島に残る都道府県ごとの違いは、弥生時代の混血の過程で起こったまだ誰も知らない出来事を反映している可能性がある。書物にも残されていない日本人の歴史の序章は、ほかならぬ私たち自身のゲノムに刻まれているのだ。

*5-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210708&ng=DGKKZO73668690X00C21A7TB2000 (日経新聞 2021.7.8) 10万人のゲノム解析 東北大・武田など5社連携 創薬に利用、欧米を追う
 東北大学は7日、武田薬品工業やエーザイなど製薬大手5社と、10万人分のゲノムを解析するためのコンソーシアムを設立したと発表した。製薬会社が従来の10倍以上のゲノムデータを創薬や診断技術の開発などに利用できるようにする。欧米には数十万人規模のバイオバンクがすでにあり、ようやく日本もゲノムをもとに新薬を探す「ゲノム創薬」の基盤整備が進む。バイオバンクは健康な人や患者から、血液や尿などの試料、そのゲノムを解析したデータを収集する。年齢・性別、生活習慣や病気の履歴などのデータも合わせて蓄積し、これらを創薬研究する企業や大学などに提供する。データを活用すれば、新薬の開発やそれぞれの患者に適した治療をする「個別化医療」の実現に役立つ。東北大が運営する東北メディカル・メガバンク機構は2012年に設置。宮城県、岩手県の15.7万人超のデータや試料をもつが、ゲノム解析に時間や費用がかかり、企業が利用できるデータは約8300人分にとどまっていた。コンソーシアムは文部科学省の予算約40億円と企業の資金をもとに、24年までに10万人分のゲノム解析を目指す。21年度中に6万人分の初期的な解析を終える予定だ。参加するのはエーザイ、小野薬品工業、武田、第一三共、米ジョンソン・エンド・ジョンソン傘下のヤンセンファーマ。5社は10万人分のゲノムデータを優先的に利用できる。記者会見した東北メディカル・メガバンク機構の山本雅之機構長は「10万人のゲノムデータがあれば、日本人で見つかる遺伝子変異を網羅的に探せるだろう」と話した。製薬会社は治療薬や診断法の開発につなげる狙いだ。武田は国内でも先駆けてゲノム創薬に取り組んできた。19年には英国の「UKバイオバンク」に参加。一定の使用料を支払い、50万人規模のゲノムデータを活用している。20年には東北メディカル・メガバンク機構と共同研究を開始。認知機能の低下など精神・神経疾患を引き起こす要因を中心に調べ、新薬や治療法の確立を目指している。エーザイも21年5月に国立がん研究センターが持つがん組織のゲノムデータをもとに、希少がんの治療薬の開発に乗り出している。もっとも、ゲノムデータ収集で先行するのは欧米だ。武田が参画する英国の「UKバイオバンク」は06年から健康な50万人を追跡。米ファイザーや英アストラゼネカなど世界のメガファーマも参画する。ゲノムデータをはじめとして、生活習慣や既往歴などの情報が利用でき、創薬に利用しやすいという。英国にはがんや希少疾患の患者を対象とした政府系機関によるバイオバンクもあり、18年12月に10万人のゲノム解析を終えた。米国では100万人分を目標に約49万人分を集めた取り組みなどがある。ゲノム解析などに詳しいアーサー・ディ・リトル・ジャパンの小林美保シニアコンサルタントは「UKバイオバンクは英政府が支援しており、データが集まってくる仕組みがある」と指摘する。日本も国の支援のもとデータを集める仕組み作りが必要だ。

<感染者・濃厚接触者も検査で陰性になれば出場させるのが適切>
PS(2021年7月20、21日追加):*6-1のように、「①東京五輪に出場する選手が新型コロナ感染者の濃厚接触者でも、試合開始6時間前に実施するPCR検査で陰性なら出場を認める」「②国内の濃厚接触者は14日間の自宅待機等が求められ、五輪選手への特例的対応」「③プレーブックでは、濃厚接触者は個室に移動し、1人での食事などが求められ、試合出場に国際競技団体の同意が必要とされていた」「④南アフリカのラグビーチームで選手ら18人が大会での濃厚接触者の取り扱いが課題となっていた」と書かれている。
 しかし、濃厚接触者は感染を疑われる者でしかなく、PCR検査で陰性ならその疑いは晴れている。また、PCR検査を数回やって陰性ならなおさら安心で、14日間の自宅待機・個室への移動・1人での食事も不要であり、プレーブックの方が間違いだ。もちろん、国民も同じである。そのため、南アフリカの選手が1人であれ複数であれ、不要な出場禁止や幽閉は、権利の侵害にあたる。また、*6-2の米女子体操選手と濃厚接触者になった選手も、PCR検査で陰性なら何の問題もなく出場を認めてよい筈だ。
 さらに、*6-3のように、「①私立米子松蔭高は、7月16日に学校関係者に新型コロナ感染が判明し、第103回全国高校野球選手権鳥取大会への出場を一度は辞退した」「②ベンチ入りした全野球部員の陰性を確認したが、7月17日の試合直前に辞退を決めた」とのことだが、選手本人が陰性なら辞退する必要はない。にもかかわらず、学校関係者に新型コロナ感染が判明したことを罰するかのように、出場を辞退させるのは非科学的すぎる。また、学校関係者に感染者がいたことが全体の責任ででもあるかのような対応をとれば、悪くもない感染者を窮地に追い詰め、差別やいじめに繋がって教育上も悪影響がある。そのため、「鳥取県高野連が世論の高まりを受けて出場を容認したからよい」のではなく、こういう理不尽な判断が教育現場でまかり通った理由を追及すべきである。

*6-1:ttps://digital.asahi.com/articles/ASP7J3V8MP7JUTQP005.html (朝日新聞 2021年7月16日) 五輪選手、濃厚接触者でも検査陰性なら出場へ 特例対応
 東京オリンピック(五輪)・パラリンピックに出場する選手が新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者と判定されても、試合前のPCR検査で陰性となれば出場を認める方向で、政府と大会組織委員会が調整していることがわかった。通常、国内の濃厚接触者は14日間の自宅待機などが求められており、五輪、パラリンピック選手への特例的な対応となる。政府と組織委の対応方針では、濃厚接触者と判定されても、試合開始の6時間前をめどに実施するPCR検査で陰性となれば、出場を認めるという。コロナ対策のルールをまとめた「プレーブック(行動規範)」では、濃厚接触者と認定されると、個室への移動や1人での食事などが求められており、試合出場については国際競技団体の同意などが必要とされていた。今月13日に来日した南アフリカのラグビーチームで選手ら18人が濃厚接触の調査対象者と判定され、事前キャンプ地入りを一時的に見送るなどしており、大会での濃厚接触者の取り扱いが課題となっていた。テニスの4大大会、ウィンブルドン選手権では、濃厚接触者となった選手は自動的に10日間の隔離を強いられ、棄権扱いになっていた。

*6-2:https://www.tokyo-np.co.jp/article/117784 (東京新聞 2021年7月19日) 米女子体操選手が陽性 事前合宿中、1人濃厚接触
 千葉県印西市は19日、同市で事前キャンプをしていた東京五輪の米女子体操選手団のうち、10代選手1人が新型コロナウイルス検査で陽性になったと発表した。別の選手1人が濃厚接触者として宿泊先のホテルで待機している。市によると、選手団は15日の入国後、毎朝スクリーニング検査を実施。10代選手は18日に陽性疑いが出て、19日未明に病院の検査で確定した。選手団はトレーニング以外での外出はしておらず、移動は貸し切りのバスを利用していた。感染した選手と濃厚接触者を除く選手団は19日午後、東京五輪の選手村に移動した。

*6-3:https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-1359293.html (琉球新報 2021年7月21日) 米子松蔭高、鳥取大会初戦を制す コロナで辞退から一転
 学校関係者に新型コロナウイルスの感染者が出たため、第103回全国高校野球選手権鳥取大会への出場を一度は辞退しながら、一転して出場が決まった私立米子松蔭高の再試合が21日、米子市内で開かれた。17日に行われるはずだった境高との初戦(2回戦)で、米子松蔭高は0対2でリードされていた九回裏に3点を入れ、逆転サヨナラ勝ちした。米子松蔭高は春季鳥取大会を制した強豪校。16日に学校関係者の陽性が判明。ベンチ入りした全野球部員の陰性を確認したが、17日の試合直前に辞退を決めた。世論の高まりを受け、県高野連は19日に不戦敗の記録を取り消し、出場を容認した。

| 経済・雇用::2021.4~ | 11:46 PM | comments (x) | trackback (x) |

PAGE TOP ↑