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2013.6.23 やり方次第で、わが国の造船業の未来は明るい。
  
    東京港        三菱造船所     風と電気のハイブリッドは?

 私は、公認会計士時代に、通常の監査だけでなく、M&Aにおける監査、組織再編、バブルで多角化した後に大きな借金を抱えた中堅企業の後始末などもしてきた。その実務経験から、「何にでも多角化するという経営方針は失敗することが多い。なぜなら、本業で磨き上げた技術以外は、その企業は素人だからである。そのため、多角化でも、本業で磨き上げた技術を応用するものなら、成功する可能性が高い。」という法則があると考えている。

 その私は、*1、*2の記事に関して、造船の場合は、車よりも、エネルギーの変換、ハイブリッド化、省エネ化が遅れている分野であるため、世界で最も進んでいるわが国の環境車の技術やGPS・レーダーを使った自動運転技術を船に活かせば、世界で既存船の置き換え需要が高まり、わが国はトップランナーとなって、造船不況は解決すると思う。この状況は、車や家電で起こったことと同じだ。

 なお、現在、エネルギーの変換、ハイブリッド化、省エネ化は重油で港や海を汚しているあらゆる種類の船で待たれている。写真の東京港は、水の色が茶色で汚く、いくら豪華客船に乗っていても、こういう所に停泊していたのでは、「快適」には程遠いだろう。どうして今まで、そういう環境規制がなかったのか不思議なくらいだが、今後、世界でそのような環境規制を導入していけば、既存船の世代交代は、さらに進むと思われる。

*1:http://qbiz.jp/article/19361/1/
(西日本新聞 2013年6月23日) 造船業の多角化進む 厳しい経営環境が背景
 かつて日本の“お家芸”とされた造船業に変化の兆しが見える。コストの安い中国、韓国勢の生産拡大、2008年のリーマン・ショック後の受注激減、世界的な供給過剰と、厳しい経営環境にさらされる中、国内建造量の約3割を占める九州では事業多角化の動きが強まっているのだ。生き残りに懸ける各社の取り組みを追った。 
◆ホテル経営やEV開発
■世界に通用
 長崎県西海市沖に浮かぶ大島。周囲25キロ、人口約5500人の旧産炭地に4月、リゾートホテル「オリーブベイホテル」が開業した。新・歌舞伎座を手がけた建築家隈研吾氏が設計し、最高級の客室は1泊1人12万円。ホテルオークラから招かれた諏訪健一総支配人は「建物や内装、家具は超一流。世界に通用する」と胸を張る。建てたのは、島内に工場を持つ大島造船所。船の引き渡しや商談で訪れる世界中の船主らを受け入れていた旧ホテルを取り壊し、新設した。本業以外への大きな投資(額は非公表)には社内でも賛否が分かれたが、「観光客を増やすことで収益強化につなげたい」(幹部)と決断。同社が栽培するフルーツトマトは島外で人気で、出資する第三セクターでの芋焼酎製造とともに、多角化の象徴にする考えだ。一方、同県佐世保市に造船所を持つ佐世保重工業(東京)は3月、トマト栽培に取り組むため11年8月に設立した子会社を清算した。採算性を確保できなかったことが理由だが、今は本業の技術を生かしたガス分離装置の商業化を急ぐなど「新事業で収益力を高めていく」(広報担当者)との方針にぶれはない。
■町工場から
 造船業界の裾野を支えてきた関連業者も動いている。「企業や大学と連携し町工場から技術革新を起こしたい」。こう語るのは、船舶製造機械を手掛ける信栄工業(長崎市)の樫山和久社長。長崎大との連携で電動スクーターの製作に成功、4月からは小型電気自動車(EV)の開発を始めた。さらに「5〜10年後には水素と酸素を化学反応させる燃料電池車を手掛けたい」と意欲的だ。三菱重工業長崎造船所を中心に造船が基幹産業の長崎市。信栄工業も1990年代初めまでは売り上げの8割以上が造船関連だった。しかし、今では1割程度に激減。生コンクリートや鮮魚用製氷工場向けの受注を増やし、年商を維持する。
■投資を決断
 多角化の動きには目もくれず、本業の立て直しを図る社もある。「従来と同じことだけをやっていても駄目だ」。こう力を込めるのは、佐伯重工業(大分県佐伯市)の岩本光生社長。3・7万トン級の貨物船を主力としてきたが、6万トン級も建造できるよう、来年度までに数億円かけて設備を拡充する計画だ。収益環境が厳しい中で同社が設備投資に踏み切るのは、親会社の尾道造船(神戸市)の受注に対応する狙い。円高修正で昨年後半から受注が回復。だが、世界的な供給過剰で船の価格はリーマン前の6割ほどに低迷。足元では円安で鋼材などの仕入れ価格も上昇しつつあり、採算が取れるか予断を許さない。中国、韓国勢との競争はなお激しいが、岩本社長は「省エネ技術や品質で差異化できるチャンスはある」と強調。造船は地域経済を支える基幹産業だけに「雇用を支えるためにも競争力を確保したい」と言い切る。事業多角化や本業立て直しに投じる経営資源は大きく、失敗は許されない。戦後復興の象徴だった造船業界の底力がいま試されている。

*2:http://qbiz.jp/article/19361/2  (西日本新聞 2013年6月23日) 
◆世界では供給過剰
 国内の造船業は激しい浮沈を経験しながら輸出産業として日本経済を引っ張ってきた。業界を最初に襲ったのは1973年のオイルショック後の第1次不況。87〜92年は円高による第2次不況で受注が激減。造船各社は統合・再編などで経営効率化を図ってきたが、厳しい環境は今も続く。国土交通省の統計によると、第2次不況ただ中の1988年、国内の鋼船建造量は387万9千総トンと、74年比で4分の1に落ち込んだ。2000年代は、中国の成長に伴う輸送需要拡大で建造量が右肩上がりに増え、10年に1962万6千総トンと過去最高を記録。だが、08年秋のリーマン・ショック後に新規受注が激減する。現在は、リーマン前に受注した手持ちの建造船がなくなる「2014年問題」に加え、不安定な為替相場、コストの安い韓国・中国勢が立ちはだかる。日本造船工業会によると、建造量(完工ベース)の世界シェアは84年に53%を占めた日本が99年までの44年間首位を守ったが、00年に韓国が1位に躍り出て、10年からは中国がトップ。12年は1位の中国が40・9%、2位韓国が32・9%、日本は3位の18・3%だ。
 リアス海岸の“天然の良港”が多く、国内建造量の約3割を占める九州も実情は同じ。福岡、佐賀、長崎、大分、熊本の5県に大手から中小まで10を超える造船所が集まるが、佐世保重工業(東京)が7月末から全従業員の25%に当たる約250人の希望退職を募るなど構造不況に苦しむ。こうした中、三菱重工業長崎造船所(長崎市)は豪華客船や省エネ船などの高付加価値船を建造しており、苦境を打開する動きも出始めた。九州経済調査協会(福岡市)の小柳真二研究員は「世界的には船舶需要の2、3倍の供給過剰となっている。ただ、今後は世界経済も拡大するとみられ、今は力を蓄える時だ」と指摘する。

| 経済・雇用::2012.9~2013.6 | 08:14 PM | comments (x) | trackback (x) |

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