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2016.3.8 地方への移住、子育て、仕事

  ヒラメの放流(*1-5)   サケの放流(*1-6) 県別大学進学率       日本ジカ


  小学生の田植え   小学生の玉ねぎ収穫    小学生の大根収穫      日本イノシシ

(1)子育てから見た地方移住の長所と短所
 *1-1、*1-2のように、九州7県の全233市町村のうち、4分の1に当たる60市町村が、移住相談窓口や東京相談員を置いて移住を推進しており、2010~14年度の5年間で、移住者は3900人を超えるそうだ。移住前の居住地は東京都が66人、福岡県が81人、大阪府が51人で、5年間の移住者数のトップは鹿児島県霧島市の336人、次いで長崎県松浦市と大分県豊後高田市がともに331人、鹿児島県出水市が248人だったとのことである。

 都会では、狭い保育園すら落とされる中で、地方では、*1-4のように、シベリア帰行中のマナヅルが羽を休める自然環境が周囲にあったり、*1-3のように、保育園が裸足で走りまわれる木造で、スギの色目の違いを生かしたグラデーションを壁に取り入れた、園庭の広い保育園に入れたりする。

 また、*1-5のように、唐津市の保育園児や小学生はヒラメの稚魚約500匹をふるさとの海に放流して泳いでいく姿を観察し、*1-6のように、富山県小矢部市の津沢小学校の児童は、小矢部川漁協が提供したサケの稚魚3万匹を放流して帰ってくるのを楽しみにし、これらは、生物、川、海、山、田畑、食、自然の法則などに関するよい教育になっている。

 さらに、*1-7のように、小学生が農業体験でタマネギを収穫して喜び、これらの体験は、都会でコンクリートの建物や人工の公園に囲まれていては決して得ることのできない多くの情報を、子どもたちに楽しみながら暗黙知として習得させる。そのため、(ここが重要なのだが)学校教育のレベルや親の仕事などの条件が整えば、地方は子育てに適している。

(2)地方にある仕事
 子育て環境がよくても、親の仕事がなければ地方移住を進めることはできない。そのため、現在では、*1-2のように、子育て世代などの地方移住志向の高まりを受け、首都圏から移住希望者を呼び込むための専門相談員を置く自治体が増えている。地方には、都会にいては考えつかない面白い仕事もあるため、市町村や企業も積極的に取り組めばよいと考える。

 元システムエンジニアの藤本さんは、海の美しさに魅かれて壱岐に移住するそうだが、システムエンジニアの経験は、漁業をやっても農業をやっても役に立つ。しかし、そもそもシステム設計などの仕事も、都会のビルの中よりも現場に近い閑静な場所の方が向くのではないだろうか。

(3)地方でできる新産業と雇用創出
 都会の製造業やサービス業で経験した経営効率化や生産性向上のノウハウは、農林漁業でも応用でき、それができる人材は地方には少ない。そのため、地方では、既存産業の維持や新産業の創出について、都会からの移住者に期待するところは大きい。

1)林業の例
 近年は日本の森林資源も増えてきたため、*2-1のように、九州の森林組合は、規模拡大でコストを削減し国際競争力を高めるために、木材輸出の広域連携を行い、木材産業が有望になりつつある。

 また、*2-2のように、鹿児島県薩摩川内市と中越パルプ工業(富山県)は、地域資源の竹の調達や製品開発の連携協定を結び、市が放置竹林を活用した新産業の育成を加速させ、中越パルプ工業が開発した竹製新素材の普及を後押して、竹を資源として活用し、高機能材料や製品を開発する計画だ。私は、スーパーの食品トレイや漁網なども、竹由来の製品を使った方がプラスチックを使うよりも環境親和性が高くて賢いものができると考える。

 さらに、*2-3のように、放置竹林を活用して、竹の堅い繊維質を生かした住宅用建材等に加工する事業も、熊本県内の建設業者の呼び掛けで始まり、これも新しい仕事となって雇用が創出されそうであるため、それに関する知識・経験のある人材は有用だろう。

 
    竹製タオル            竹製小物         竹製家具       竹製建具 

2)ジビエの例
 *3-1のように、害獣対策に一役買うジビエは野生獣の肉で、下のように蛋白質・鉄分が豊富で脂質・エネルギーが少ないため健康食品だ。また、ジビエは、もともと貴族が自分の領地で狩った獲物を食材にしたのがルーツで、伝統・格式とも申し分なく、ステータスシンボルともなっていた食材なのである。
   100グラムあたりの成分比較     シカ赤肉    乳牛モモ肉
    エネルギー(キロカロリー)       110        140
    タンパク質(グラム)           22.3       21.9
    脂質(グラム)               1.5        4.9
    鉄(ミリグラム)               3.1        2.7

 そのため、石川県も、*3-2のように、「いしかわジビエ」ブランドを確立して新幹線開業後の誘客につなげるため、猟師や料理関係者らとともに「いしかわジビエ利用促進研究会」を発足させ、メニューやレシピ作りを進めている。そのため、ジビエは、農林漁業とともに人材を必要としている分野だろう。

3)畜産の例
 日本の畜産物は脂肪が多く、霜降りになっているため、肉を食べると脂肪を多く食べさせられ、健康によくない。そのため、*4-1、*4-2の畜産クラスター事業は、大区画化した草地を整備して飼料を増産するだけではなく、放牧した脂肪の少ない家畜をコストダウンしながら生産することも重要だと考える。なお、中山間地であることをむしろ利用したスイスのような畜産もよいと思う。

4)6次産業化の例
 高齢化社会、共働き社会では、*5-1のように、女性農業者や管理栄養士でつくる地元野菜を使った日替わり弁当などは有り難いものである。農業・漁業の産地だからこそできる新鮮な食材を使って栄養を考慮した高付加価値の加工品を作る事業は、女性が働く場所もつくっている。

<地方移住>
*1-1:http://qbiz.jp/article/76319/1/
(西日本新聞 2015年12月6日) 九州への移住者3900人超 60市町村、5年で2.4倍
 人口減少が指摘される中、西日本新聞社は九州7県の全233市町村に対し、移住者政策に関するアンケートを実施した。4分の1に当たる60市町村が、相談窓口などを通して県外からの移住者を詳細に把握しており、2010〜14年度の5年間では約2・4倍に増え、計3900人を超えることが分かった。移住前の居住地は福岡、東京、大阪など大都市部が目立つ。市町村が移住促進に力を入れていることに加え、少子高齢時代の「生き方」として移住が有力な選択肢となっている実態がうかがえる。各市町村は定期的に転入者数を調査・公表しているが転勤者を含むため、九州で移住自体を目的に県外から越してくる人の規模はこれまで明らかではなかった。市町村の4分の3は把握しておらず、行政の窓口を経由せずに移り住む人も少なくなく、実際の数はさらに多いとみられる。アンケートは今秋、九州の全市町村に文書を送付、今月上旬までにすべて回答を得た。うち60市町村が、相談窓口のほか空き家バンクや奨励金など各種制度の利用者をカウントするなど、県外からの移住者を「把握している」とした。県別では福岡1、佐賀6、長崎11、熊本5、大分9、宮崎10、鹿児島18−市町村。移住者は10年度が計464人で、11年度は715人、12年度746人、13年度920人。14年度は1107人に上り、5年間の総計は3952人に達した。14年度、移住前の居住地で最も多かった都道府県を聞いたところ、東京都との回答が最多の11市町村(計66人)。福岡県が9市町村(計81人)、大阪府が8市(計51人)−と続く。5年間の移住者数のトップは鹿児島県霧島市の336人。市内の中山間地に住宅を新築・増改築した場合などに最高100万円を支給し、農業体験や住宅物件の見学を組み合わせたツアーなどで移住を促す。担当者は「05年の1市6町合併後、横ばいだった人口は減少局面に入った。移住者の受け入れは人口維持政策の大きな柱だ」と話す。次いで長崎県松浦市と大分県豊後高田市がともに331人、鹿児島県出水市が248人−だった。一方、全市町村の6割を超える150市町村が本年度、移住関連予算を計上した。98市町村が東京などで移住相談のセミナーやフェアを開催(予定を含む)。33市町村は短期間の「お試し滞在」などの移住体験ツアーを実施している。

*1-2:http://qbiz.jp/article/77332/1/
(西日本新聞 2015年12月21日) 移住相談員、東京に次々 長崎、熊本など九州5県は常駐
 子育て世代などの地方移住志向の高まりを受け、首都圏から移住希望者を呼び込むための専門相談員を置く自治体が増えている。東京・有楽町のNPO法人「ふるさと回帰支援センター」に相談員を置く自治体は、2014年度の5県から15年度には29県に増加。九州も長崎や熊本など5県が初めて配置し、残る福岡、佐賀両県も検討中だ。移住希望者の“争奪戦”に向け住宅事情の詳細な説明や地域の魅力発信に懸命で、人口減に直面する市町村の再生につなげたい考えだ。「知り合いがいない場所で不安だったけど、親身に相談に乗ってもらった。九州での暮らしが楽しみ」。来年1月、神奈川県から長崎県壱岐市への引っ越しを予定する元システムエンジニア、藤本彩子さん(30)は声を弾ませた。テレビ番組で見た海女の仕事に憧れ、海の近くへの移住を決意。千葉県や三重県も候補地に挙がったが、9月に初めて訪れた壱岐の海の美しさが決め手になった。藤本さんが頼りにしたのが長崎県の移住相談員、久永倫世さん(44)。都内在住の久永さんは幼少期、長崎県内で暮らしたことがあり、今年5月から県の非常勤職員としてセンター内で働く。藤本さんには住まいなど生活情報をはじめ、観光名所や豊かな自然環境も説明。海女として働けるよう漁業に関する各種制度を紹介し、市や地元漁協との橋渡し役を担った。センターは02年、地方移住の情報発信や支援を目的に発足。九州では本年度、長崎、熊本のほか大分、宮崎、鹿児島各県が相談員を常駐させるようになった。このうち宮崎県は就職相談員も置き、子育て支援や住宅補助の仕組みなど「なんでも聞ける窓口」を目指している。相談件数は4月の開設から11月末までに265件に上り、少なくとも4世帯7人が宮崎、小林市などに移り住んだという。センターには今後、九州の2県も含む10県以上が相談員配置などを検討中。宮崎県中山間・地域政策課は「人口減対策として他県も移住に力を入れており、競争は激しくなっている。市町村と連携し、県の魅力を発信していきたい」と意気込む。

*1-3:http://qbiz.jp/article/80554/1/
(西日本新聞 2016年2月12日) 森のおうち保育園と嘉穂小に大賞 福岡県木造・木質化建築賞
 「第2回福岡県木造・木質化建築賞」の受賞建築物が決まり、木造の部は「森のおうち保育園」(福岡市中央区)、木質化の部は「嘉麻市立嘉穂小学校」(嘉麻市)が、最高賞の大賞に選ばれた。同賞は昨年度、国産材利用の普及、拡大を図るため県が創設。今回は、昨年6月までの10年間に県内で竣工(増改築や修繕を含む)された建物が対象で、柱やはり、桁に木材を利用した「木造の部」に18件、建築物の天井や床、外壁に木材を利用した「木質化の部」に22件の応募があった。森のおうち保育園は、床や腰壁を木材にこだわった園児に優しい構造で、園内のクスノキを伐採せずに生かした設計も評価された。嘉穂小学校は、スギの色目の違いを生かしたグラデーションを壁に取り入れ、地元材を多く使用した点も評価された。5月に粕屋町で開かれる県植樹祭で表彰式が行われる。大賞以外の受賞建築物は以下の通り。
【優秀賞】木造の部=妙泉寺門徒会館・庫裏(福岡市城南区)▽木質化の部=八女市子育て支援総合施設(八女市)
【奨励賞】筑紫保育園分園(太宰府市)、風ひかり作業所(福岡市早良区)、海物山物(同市博多区)、耳納の家(久留米市)、日豊本線城野駅(北九州市小倉南区)

*1-4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/277937
(佐賀新聞 2016年2月11日) 鎮西町 マナヅル100羽「羽休め」、シベリア北帰行の途中
 佐賀県唐津市鎮西町打上地区にマナヅルの群れが飛来した。鹿児島県の出水平野で冬を越し、シベリアへ「北帰行」中に羽休めしているとみられる。近くに住む農業の松本幹男さん(75)が8日朝、打上ダム近くの田んぼに100羽以上の大群がいるのを見つけた。9日午前にも約50羽が田んぼで餌をついばむ姿が見られ、午前10時半ごろ一斉に飛び立った。県内のマナヅルの飛来地は伊万里市の長浜干拓が有名だが、松本さんは「このあたりにも毎年数羽は来るが、今年のように数が多いのは初めて」と話している。

*1-5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/194301
(佐賀新聞 2015年6月5日) 「さがっ子リレー放流」開始 ヒラメ稚魚500匹放流
 唐津市湊町の北浜海水浴場で2日、子どもたちに海の生き物を身近に感じてもらう「さがっ子リレー放流」が始まった。地元の小学生や保育園児がヒラメの稚魚約500匹を放流し、ふるさとの海に親しんだ。湊小3年児童17人と湊保育園児22人が、近くの小川島の育成施設で約8センチに育った稚魚を放流した。子どもたちは波打ち際で稚魚が入ったバケツをそっと傾け、「大きく育ってね」と呼び掛けた。稚魚は唐津湾内で育ち、1年後には約30センチに成長するという。参加した同小3年の江口凛さん(9)は「ヒラメの赤ちゃんがひらひらと泳いでいてかわいかった。元気に育ってほしい」と話していた。放流は県が主催し、7月までに唐津市や伊万里市の海岸など7カ所で行われる。

*1-6:http://www.chunichi.co.jp/article/toyama/20160209/CK2016020902000029.html (中日新聞 2016年2月9日) サケ稚魚放流 帰ってこいよ! 小矢部・津沢小児童
 小矢部市の小矢部川左岸にある津沢大堰公園で八日、サケの稚魚三万匹が放流された。地元の津沢小学校の五年生四十三人が「帰ってこいよ」と、大海へ向けて送り出した。稚魚は小矢部川漁協小矢部地区が提供。昨秋、遡上(そじょう)したサケから採卵し、流域の人工孵化(ふか)場でかえして、体長二~三センチに育てた。役山隆地区長が「小矢部川にもサケが上がってくるようになった。関心を持ってきれいに保つようにしてください」とあいさつ。組合員らから稚魚を入れたバケツを受け取った子どもたちは、川べりで順番に中身を空けていった。順調なら、サケは体長四〇~五〇センチに育ち、三、四年後に戻る。地区の放流は二〇〇八年に始まり、今年で九回目。

*1-7:http://www1.saga-s.co.jp/news/saga.0.1915897.article.html
(佐賀新聞 2011年5月25日) 小学生が農業体験 予想以上のタマネギ収穫ににんまり
 神埼市千代田町の千代田中部小(永渕由利校長)で24日、農業体験があった。5、6年生約80人が校内の畑で育てたタマネギを収穫し、「おっきくて重い」と歓声を上げた。収穫を指導したのは、三神地区の若手農業者でつくる4Hクラブ神埼地区のメンバー5人。「収穫したタマネギは上の葉と下の根を切って」と説明すると、子どもたちは早速畑に入り、収穫と運ぶ作業を繰り返した。メンバーたちは「持ってきたコンテナ20個じゃ足りない」と大玉ばかりの収穫に驚(おどろ)き、予想の300キロを大幅に上回る約730キロを収穫した。5年の森山由貴さん(10)は「収穫には結構力がいるけど、大きなタマネギでうれしかった」と話した。

<新資源の開発、林業>
*2-1:http://qbiz.jp/article/75957/1/
(西日本新聞 2015年12月1日) 木材輸出で広域連携 九州の森林組合など
 スギやヒノキなど国産木材の輸出で広域連携の動きが進んでいる。規模拡大でコストを削減し、国際競争力を高めるのが狙い。中国での木材需要増加や円安を追い風に、今後も県レベルの連携が活発化しそうだ。財務省によると、2014年の木材の輸出額は前年比45%増の178億円となり、2年連続で過去最高を記録した。政府は20年までに輸出額を250億円にまで伸ばす計画だ。鳥取港(鳥取市)ではことし10月、中国山東省に向け住宅用建材のスギの丸太約1万5千本を輸出した。鳥取港から木材を輸出するのは初めて。建築資材の卸売業者「エコ開発」(鳥取市)が、兵庫、鳥取、岡山の3県の業者などと手を組み、実現した。今後も定期的に船を出すという。荒川正臣相談役(77)は「日本産の木材は形が整っていて、中国でも人気が高い。地方の林業と鳥取港の活性化につなげたい」と話した。鹿児島と宮崎の両県では11年に、複数の森林組合などからなる「木材輸出戦略協議会」を結成し、スギの丸太を中国と韓国向けに輸出。14年度は11年度に比べて約7倍の約30万本を輸出するなど、成果を上げている。長崎県森林組合連合会(諫早市)は14年度、伊万里港(佐賀県伊万里市)から中国に約5万本のスギやヒノキの丸太を輸出しているが、本年度中に福岡、佐賀の両県の森林組合連合会と連携し、輸出拡大を図る。四国では徳島、高知両県の木材関係の組織などが協力し、甲浦港(高知県東洋町)からスギの丸太を輸出する計画がある。

*2-2:http://qbiz.jp/article/76601/1/
(西日本新聞 2015年12月10日) 放置の竹で新産業育成 薩摩川内市と中越パルプ協定
 鹿児島県薩摩川内市と中越パルプ工業(富山県)は9日、地域資源の竹の調達や製品開発に関する連携協定を結んだ。市が目指す放置竹林を活用した新産業育成を加速させ、同社が開発した竹製の新素材の普及も後押しする狙いだ。林野庁の統計によると、県内の竹林面積は全国トップの1万6千ヘクタール。特に同市など県北部に多いとされ、所有者の高齢化による放置竹林の拡大が問題となっている。市は7月、竹資源の活用を目的に市内外の企業など57団体による協議会を設立。竹製の高機能材料や製品開発を進めている。市内に製紙工場が立地する中越パルプは1998年から竹を使った製品研究に着手。県内農家など2千人から年2万トンの竹を集め、竹紙を製造している。竹の繊維を細かくした新素材も開発。鉄より軽く強度がありガラスの代用品や自動車ボディー素材への利用が期待されるが、製品化は進んでいない。中越パルプも協議会メンバーで、協定は協議会の参加企業に対する竹の供給や新素材などを使った製品開発のノウハウ提供を盛り込んだ。薩摩川内市の岩切秀雄市長は「困りものの竹資源のさまざまな展開が期待できる」と歓迎。中越パルプの加藤明美社長は「竹資源の活用が進めば、雇用拡大にもつながる」と話した。

*2-3:http://qbiz.jp/article/77884/1/ (西日本新聞 2016年1月3日) 放置の竹、余さず資源化 住宅用建材、燃料、消毒剤 熊本に工場建設へ
 放置竹林を活用し、竹の堅い繊維質を生かした住宅用建材などに加工する事業が、熊本県内の建設業者の呼び掛けで始まる。拠点となる敷地面積約4万平方メートルの工場を熊本県南関町に建設。建材に使われない部位も、バイオマス発電や消毒剤に活用する計画だ。伐採には、熊本県北部と福岡県南部の関係自治体が協力する。竹を余すことなく資源として使い切る試みは全国でも珍しく、竹林の拡大を抑えるモデルケースとして注目されそうだ。呼び掛けたのは、熊本県玉名市の建設業山田浩之さん(48)。山田さんは、熊本城周辺を手作りの竹灯籠で彩るイベント「みずあかり」(10月)に携わっており、イベントの賛同企業などから出資を募って運営会社を設立した。1月末にも工場の建設に着工する。林野庁によると、竹は繁殖力が強く放置された竹林の拡大が社会問題化。特に九州は竹林面積が広く、福岡、熊本両県はともに1万ヘクタールを超え、全国でもトップクラスになっている。山田さんはこれまでに、熊本県の玉名市や山鹿市、和水町、福岡県みやま市などと連携協定を締結し、伐採に向けた竹林の調査を進めてきた。今後、関係自治体と伐採用の作業道整備などで連携を深める考え。事業では、伐採した竹を幹と枝葉、表皮の三つに分類し、幹の部分をチップ化して住宅用建材に加工する。杉の樹皮を加えた「ナンカンボード」など、独自製品も開発した。建材の加工工場に隣接してバイオマス発電施設も建設。加工の際に生じるくずや枝葉を燃料として使用する。殺菌力のある表皮の部分は消毒剤などに活用する。また、竹の安定確保に向け、福岡、熊本両県の各所に1次加工施設を設置。地元の事業者などが伐採した竹を1本300〜400円程度で買い取る。南関町の工場は2016年末に完成予定。ナンカンボードなどの販売は17年に始める。山田さんは「森林を侵食する厄介者を資源化する『バンブーフロンティア(竹活用の新天地)』を九州に築きたい。将来的には、九州産の建材を台湾やインドネシアなど海外にも売り込んでいく」と話している。

<新資源の開発、ジビエ>
*3-1:http://www.nikkei.com/article/DGXMZO79856470Y4A111C1000000/ (日経新聞 2014/11/21)珍味ではなくなった 野性味あふれるジビエの魅力、国産普及、害獣対策にも一役
 先日、駅ナカのハンバーガーショップ「ベッカーズ」に入ったところ、カウンターのメニューの「ベッカーズ別格」が目に飛び込んできた。「信州ジビエ鹿肉バーガー 690円」。通常のハンバーガーより300円も高い。迷わずにジビエバーガーを選んだ。
■クセ・生臭さなし 驚くほど淡い味
 「焼くのに10分ほどお時間をいただきます」。「別格」を名乗るだけあり、ファストフードには珍しい重厚感がある。あるいは頼む人が珍しく、作り置きでは廃棄のリスクが高すぎるのかもしれない。ハンバーガーが到着する。外観だけでは普通の牛肉ハンバーガーと大きな違いはない。パンと肉の合間から顔をのぞかせた大ぶりな信州あわび茸(たけ)がいかにも秋の風情を醸し出している。ガブリとかじりつく。ジビエ(野生動物)から連想されるクセの強さ、生臭さは感じられない。むしろ驚くほど淡い。玉ネギの甘みの方がよほど自己主張が強い。それでも味覚を研ぎ澄まし、何とか「鹿肉らしい滋味」を感じようと集中する。時たま、独特の野性味が口内をよぎる。少なくともそんな気がする。情報社会において、人はモノ自体を享受しているのではなく、情報を消費しているというのが定説だ。「モノではなくコト(ストーリー)を売る」といったマーケティング手法も情報による付加価値アップを説いたものだ。大切なのは「自分が食べているのは信州の鹿肉なんだ」という情報である。そこに通常のハンバーガーとの差額300円の価値がある。
■普及へ行政も後押し
 「ベッカーズ」と「ベックスコーヒーショップ」を展開するJR東日本フードサービス(東京・北)が長野県産鹿肉を使ったメニューを提供し始めたのは2011年。当初は3店舗だけだった取扱店舗が100店にまで拡大したのは、こうした価値観を共有する人が多いからに違いない。JRにジビエの活用を提案したのは長野県蓼科高原で「オーベルジュ エスポワール」を経営する藤木徳彦シェフだ。観光客が減る冬の集客対策として10年前から地元の鹿肉などを使った料理を出し始めた。やがて県から料理店向けにジビエの調理法を教えるセミナー依頼などが入るようになる。行政も曖昧だった衛生管理のガイドライン策定などで後押しし、「信州ジビエ」が広がった。現在はNPO法人「日本ジビエ振興協議会」(埼玉県三郷市)の代表も務め、ジビエ普及のために全国各地を行脚する。「ジビエ」とはフランス語で狩猟の対象となる野生の鳥獣類を意味し、牛や豚、鶏、羊など家畜類と区別される。貴族が自らの領地で狩った獲物を食材にしたのがルーツで伝統、格式ともに申し分ない。貴族にとっては豊かな土地と腕の良い料理人を持つ証しでもあり、ステータスシンボルとなっていたようだ。
■背景に天敵オオカミの絶滅や猟師の高齢化
 ところが最近、珍味とみなされがちだったジビエ料理が日本でも広がりつつある。最大の理由は野生動物が増えていることだ。温暖化で冬が過ごしやすくなったこと、天敵であるニホンオオカミの絶滅、猟師の高齢化などが原因といわれる。シカやイノシシを中心とした12年の捕獲頭数は約80万頭で10年前から2倍以上に増えた。「猟師さんが獣肉処理施設に売るシカの値段は15年前には1頭10万円ぐらいした。今は1万円しかしない」(藤木さん)。一方、鳥獣類による14年度の農作物の被害は全国で70万トンと10年前の1.8倍に増えた。従来、ジビエ食材は輸入に頼ることが多かったが、捕獲した国産ジビエを活用すれば「害獣」が「食材」に変わる。長野県、岡山県、和歌山県、鳥取県などは地域ぐるみでジビエ振興に取り組んでいる。運動量が多いジビエは高たんぱく低カロリー、鉄分も多い。美肌効果もあるとかで、女性誌が取り上げることもある。最近の赤身肉ブームも追い風だ。
●100グラムあたりの成分比較   シカ赤肉  乳牛モモ肉
    エネルギー(キロカロリー)     110      140
    タンパク質(グラム)         22.3     21.9
    脂質(グラム)             1.5      4.9
    鉄(ミリグラム)             3.1      2.7
■皿全体で動物の住環境を表現
 「料理人にとってもジビエは楽しい」と藤木さんは言う。「品質が一定の牛や豚に対し、ジビエはサイズも肉質も個体差が大きい。モノを見て、どう料理すれば一番良さが引き出せるかを考え、工夫する面白みがある。無駄なくすべてを使い切り、盛り付けなど皿全体でその動物が住んでいた環境を表現するのがジビエ料理の哲学。そういう部分も含めて楽しんでほしい」。濃厚な味わいの赤身が印象的なシカ肉、対照的に甘みのある脂身が魅力の猪肉は年間を通して提供している。狩猟が解禁される11~2月は最盛期だ。仕入れの状況次第では「ジビエの王様」とされるヤマシギ、コジュケイ、マガモ、スズメ、ハトなどもある。
■「カンガルーは鹿より筋肉質」
 ジビエ料理を楽しめる店は都心でも盛況だ。スパイスワークス(東京・港)が東京と大阪で4店を展開する「炉とマタギ」は「初心者のためのジビエ料理」がコンセプト。北海道十勝地方のトムラウシで捕獲して太らせた蝦夷鹿(えぞしか)のほか、猪などを盛り合わせた「マタギの三獣奏」や「蝦夷鹿モモ肉の串焼き」が定番だ。他店ではなかなか食べられないのはオーストラリア産カンガルー。鹿肉以上に筋肉質で、繊維が太い印象だ。「カンガルーはぴょんぴょん跳びはねてるからね。鹿よりも筋肉があるんでしょう」と大将の福本渡さん。かなりアバウトだが妙に説得力のある解説だ。市場が確立している牛や豚と違い、流通経路が定まっていないジビエは、猟師の仕留め方や直後の処理によって味が大きく左右される。漁獲手法や締め方により価値が変わる鮮魚と同じ理屈だ。「適切に処理されず、生臭くなったジビエを食べて悪い印象を持ってしまう人も残念ながら多い」と藤木さんは話す。水産の世界では天然魚を養殖魚よりも格上とする「天然信仰」が根強く残っている。それは味や身質の問題だけでなく、春夏秋冬で旬が変わる季節感や大海原を回遊するロマン、全国各地や遠洋まで及ぶ産地への旅情のようなものが混然一体となった価値だろう。ジビエにも似たような楽しさがある。

*3-2:http://www.yomiuri.co.jp/hokuriku/feature/CO006633/20150220-OYTAT50029.html (読売新聞 2015年2月20日) 県産ジビエブランドに
●斬新メニュー、誘客狙う
 北陸新幹線金沢開業を機に、石川県などは、県内の豊かな食文化をPRする一環として野生鳥獣の肉「ジビエ」の活用を進めている。19日には、県内で捕獲されたイノシシやシカの獣肉を使ったローストやお茶漬けなど斬新なメニューの試食会が金沢市のホテルで開かれた。関係者は「いしかわジビエ」ブランドを確立し、新幹線開業後の誘客につなげたい考えだ。県内では近年、イノシシによる被害が目立ち、水稲やジャガイモなどの食害のほか、田畑を転げ回る「ぬたうち」の被害もある。農作物被害金額は2007年の1191万円から14年は9145万円に急増。捕獲数も07年の655頭から13年の2684頭に増えた。県は昨年7月、有害鳥獣の駆除を進めながら「ジビエ料理」を普及させる狙いで、猟師や料理関係者らとともに「いしかわジビエ利用促進研究会」を発足させ、メニューやレシピ作りを進めてきた。県内では、ジビエ料理をブランド化して町おこしにつなげようとする動きもある。白山市商工会青年部は、イノシシの肉を「白山麓猪(いのしし)」と名付け、白山麓旧5村にあるホテルや旅館、レストラン計12施設で、イノシシを使った料理の提供を始めたほか、生肉、薫製など加工品の販売、牙や皮などを生かしたグッズの販売などを行っている。白山市の旧5村の観光協会で作る「白山ふもと会」は、イノシシやクマを食肉として加工する解体場を12年に建設。白山猪は、白山の清涼な水や木の実を食べて育つため、肉は柔らかく、甘みがあるという。同青年部部長の山本隆俊さんは「多くの人がイノシシを食べることが駆除につながり、農業被害の減少になれば」と期待する。加賀市の伝統のジビエ「坂網鴨(さかあみがも)」も注目される。国内有数のカモの飛来地で、ラムサール条約登録湿地でもある片野鴨池に飛来するカモをY字型の坂網で捕獲する伝統猟法は、江戸時代から続く。鉄砲と違って身が傷つかないため、同市出身の料理人・道場六三郎さんは「最高の食材」として激賞する。市は、地元や東京で食談会を開くなどし、「坂網鴨」のブランド化を進めている。

<畜産>
*4-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=36534 (日本農業新聞 2016/3/7) TPPで“守り”重視 畜産、中山間に独自支援 16年度都道府県予算案
 47都道府県の2016年度予算案が出そろった。農林水産予算は、日本農業新聞の調べで、29都道府県が前年度より増額となった。環太平洋連携協定(TPP)合意を受け、大きな影響が懸念される畜産や中山間地域などへの独自支援が目立つ。“攻め”の対策が目立つ国に対し、“守り”を重視しているのも特徴だ。米の主産県では、18年に迫った生産調整の見直しを念頭に、園芸産地の育成支援に力を入れているところが多い。15年度補正にTPP対策を盛り込んだ県もある。農林水産予算が増えたのは、国のTPP対策の畜産クラスター事業や園芸パワーアップ事業を県予算で計上したことも大きな理由とみられる。TPPでは、肉用牛・酪農の繁殖基盤対策に取り組む県が目立つ。兵庫県は「但馬牛」2万頭増頭へ、大規模畜舎の整備などに1億5000万円を計上。滋賀県は「キャトルステーション整備支援事業」(7900万円)で増頭を支援する。畜産クラスターが担い手に軸足を置く一方、鳥取県は6500万円を確保し小規模家族経営に独自支援するなど、対象を柔軟にする動きもある。北海道は、放牧酪農の推進へ15年度補正で7600万円を確保した。効率化・規模拡大が難しい中山間地域への目配せもみられる。岩手県は5000万円を確保し、同地域の基盤整備を進める。山形県も農地保全や新規作物の導入に合計7200万円を計上した。果樹の改植支援で福岡県は、極早生ミカンの優良品種にも使えるよう独自事業を仕組む。柔軟に使える基金を造成した県もある。徳島県は「農林水産業未来創造基金」に5億円を計上し、16年度は3億円取り崩す。愛媛県は「農林水産業体質強化緊急対策基金」に25億円を積み、5億円を16年度使う。地域資源に着目した動きも強まっている。長野県は、県産品のブランドを高め外国産と置き換えていく。観光など地域経済の活性化につなげる考えだ。地方創生で農業の役割を重視し、6次産業化を支援する県も多い。一方で“攻め”の対策を打ち出す県もある。新潟県は、水田フル活用、農地中間管理機構(農地集積バンク)を通じた集積を加速し、出し手農家には野菜・果樹への転換を促す。3億円を計上した。愛知県は「あいち型植物工場」を県内50カ所に設置する計画で1億2000万円を確保。石川県は、製造業のノウハウを農業に取り入れ、成長産業化を目指す。6700万円を計上した。米政策でも主産県の独自事業が目立っている。秋田県は園芸品目の拡大へ団地のネットワークをつくる。6200万円を計上した。富山県は県内JAが水稲以外の戦略作物を定めるのを、970万円確保し支援する。岡山県は飼料用米の1割増収など低コスト化多収技術の開発を進める。

*4-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=36015 (日本農業新聞 2016/1/19) 草地整備で飼料増産 大区画化など164億円 クラスター推進へ農水省
 農水省は飼料作物の収量を増やし、地域一体で畜産の収益拡大を目指す「畜産クラスター」を後押ししようと、草地の基盤整備へ重点支援に乗り出す。大区画化で作業効率を高め、適期収穫もしやすくすることで、単位収量を25%以上増やすのが目標。環太平洋連携協定(TPP)の発効後を見据え、自給飼料の安定生産体制を整えることで、畜産経営の体質強化を目指す。畜産物はTPPで関税の大幅削減が決まり、国際競争力の強化が重要課題となっている。同省は飼料生産基盤を強化し、足腰の強い畜産経営を実現しようと、2015年度補正予算案の農業農村整備(土地改良)事業に草地整備関連費として164億円を計上した。補正予算案にTPP対策の目玉として盛り込んだ畜産クラスター事業(畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業)と連携し、収益向上に向けた畜産クラスター計画を策定した地域が対象。生産コストの低減へ飼料の増産を目指す地域に、草地や畑の区画整理や暗きょ排水などを施す。柱の一つが、大型機械による作業に対応できる基盤整備だ。①草地と畑の一体的整備②草地の大区画化③排水不良の改善――などを支援し、生産性の大幅な向上につなげる。同省はコントラクター(農作業受託組織)や担い手を耕作者と想定する。これらの工事の補助率は原則、事業主体が国の場合は3分の2、それ以外は2分の1。同省は「圃場(ほじょう)が点在し生産効率が悪い地域がある。大区画化を進め、収量向上に結び付けたい」(飼料課)と説明する。この他、北海道向けの支援として、水はけが悪い泥炭地帯にある草地への排水施設の整備や、家畜ふん尿からスラリー(液状きゅう肥)を作る「肥培かんがい施設」の整備にも助成する。

<6次産業化>
*5:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=35976 (日本農業新聞 2016/1/15) 宅配弁当で地域守る 年間通じ働く場も 栃木県下野市の女性グループ
 栃木県下野市の女性農業者や管理栄養士の女性11人でつくる企業組合「らんどまあむ」が作る、地元野菜を使った日替わり弁当が人気だ。健康に配慮し塩分は2.7グラム以下に抑え、高齢者宅に配達し、体調に変化はないか見守り活動も担っている。母ちゃんたちの試みは口コミで評判となり、当初は1日に数十食だった注文も、多い時で700食を超えるほど。食を通して自分たちが年間通して働ける場をつくり、地域の健康を支えている。「らんどまあむ」は地元農業をPRしようと、2011年に発足。中心となるのは、女性農業士の大越歌子さん(60)と大高京子さん(58)、管理栄養士の大沼スミエさん(60)。農閑期は女性が働ける場所がなく、市外にパートに出掛ける状況に危機感を抱いた大越さんと大沼さんが、道の駅しもつけのオープンを機に立ち上がった。日替わり弁当の14日のメニューは、「豚のしょうが焼きとゴボウサラダ」。ゴボウは地元農家から仕入れ、ご飯は大越さんが栽培した米を使った。価格は宅配料込みで1食520円。宅配と同時に「体調はどうですか」などと声を掛けて、健康状態を気遣っている。市から弁当代の補助が出るため週3回、毎回40人ほどの高齢者が利用している。最近では口コミで弁当の良さが広がり、保育園や子どもらが集まるイベントなどでの注文も増えているという。加工品も開発した。ニンジンとゴボウを鶏肉と特産のカンピョウで巻いた八幡巻きや、ゴボウをしょうゆなどで漬け込んだ「ごぼうのたまり」など20種類ほどを道の駅で販売する。大越さんは「食で地域の人々の健康を支えていきたい。今後は、若い女性の働く場所もつくっていきたい」と抱負を語る。


PS(2016年3月10日追加):上のほか、*6のグリーン水素ネットワークモデルは、自然エネルギーが豊富な地方の新しい収入源になりそうだし、下の写真や*7のようなロボット・農機の開発は、今後有望で海外展開も期待できそうな分野だ。

*6:http://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/hydrogen-network.html (福岡市HP 2015年6月12日更新)「地産地消型グリーン水素ネットワークモデル」構築に着手!~全国に先駆け、再エネ導入拡大に向けて「水素エネルギーによる電力貯蔵システム」のビジネスモデル構築を目指します~
 福岡県では、「福岡水素エネルギー戦略会議」(※2)を設立し、他の地域に先駆けて水素エネルギー社会実現に向け取り組んできました。 水素エネルギーは、電力を大規模かつ長期間にわたって貯蔵できるポテンシャルがあることから、出力変動が大きい再生可能エネルギーの導入拡大に資するものとして有望視されています。本県では、平成25年2月に有識者による「地域エネルギー政策研究会」(※3)を設置し、分散型電源や高効率発電の普及、エネルギーの効率的利用の促進などにおける地方の役割や取組みを幅広く研究してきました。今年3月に取りまとめられた報告書では、「水素エネルギー分野で世界を先導する福岡県において、産学官連携の下、水素エネルギーによる電力貯蔵システムの開発・普及を積極的に進めるべきである。」という提言がなされたところです。このような状況のもと、この度、福岡県では、経済産業省の支援を受けて、豊田通商株式会社、九電テクノシステムズ株式会社、九電みらいエナジー株式会社、西日本環境エネルギー株式会社、国立大学法人九州大学とともに、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、水素エネルギーによる電力貯蔵システムのビジネスモデル構築に着手することとしました。今年度は事業計画を策定し、来年度以降、県内の工場等に水素製造装置や水素利用機器を設置し、電力のピークカットや変動する再生可能エネルギーの出力の平準化するための水素利活用モデルの構築を目指します。
※1:地産地消型再生可能エネルギー面的利用等促進事業費補助金(構想普及支援事業)
 経済産業省平成26年度補正予算事業(1事業当たり、定額3,000万円)。民間事業者や地方公共団体等が、地域の実情に根ざした地産地消型のエネルギーシステムの構築を進めるために実施する事業化可能性調査及び事業計画策定を支援し、地産地消型のエネルギーシステムの加速的な導入・普及につなげることにより、システム構築に関するノウハウの共有化及び他地域への展開を図ることを目的として、事業計画策定を支援するもの。
※2:福岡水素エネルギー戦略会議
 水素の製造、輸送・貯蔵から利用までの一貫した研究開発や社会実証、全国唯一の人材育成などに取り組む全国最大の産学官連携組織(2004年8月発足)。2015年6月1日現在、757企業・機関が会員として参加。会長は、新日鐵住金株式会社 柳川 欽也(やながわきんや)代表取締役副社長
※3:福岡県地域エネルギー政策研究会
 平成25年2月23日に設置。座長は、東京大学公共政策大学院日下 一正 客員教授。報告書では、福岡県において新たなエネルギー社会を先導して実現するため、   
  (1)エネルギーを無駄なく最大限効率的に利用する社会の実現
  (2)環境にも配慮したエネルギーが安価かつ安定的に供給される社会の実現   
  (3)水素を本格的に利活用する水素エネルギー社会の実現
  (4)新たなエネルギー関連産業の育成・集積による地域振興・雇用創出
を目指した課題が整理されるとともに、その課題を解決するための取組みに関し幅広い提言が行われている。

   
 芝刈りロボット(ホンダ)              農業用草刈り機(オ―レック)

*7:http://qbiz.jp/article/76368/1/ 
(西日本新聞 2016年3月10日) 【ロボットの波(上)】マンパワーの“聖域”にも
 ロボット化に「第3の波」が来ている。注目すべきは、マンパワーに頼ってきた「組み立て工程」だ。「関東より人件費が安い」(大手自動車メーカー)ため、九州には大手の組立工場が集まり、雇用の受け皿となってきた。だが、インターネットを駆使する欧米の動向や、将来の労働力不足懸念に背を押され、機械に置き換わりつつある。デジタルカメラ生産の「完全自動化」を掲げるキヤノン(東京)に続く動きが九州で広がる。
■生産の質を向上
 2人の作業員が、鉄製のギアとチェーンを金属ケースにはめ込んでいた。四輪駆動の草刈り機の組み立て工程の一部だ。ここは、オーレック(福岡県広川町)本社工場。国内有数の草刈り機メーカーの同社は2016年2月、車輪の駆動に必要な「チェーンケースカバー」の組み立てを自動化する。ロボット導入は25年ほど前から進めてきたが、溶接や塗装といった「前工程」と呼ばれる部品製造ばかり。作業が複雑で、製造する製品の切り替えなど、人の判断を伴う「後工程」と呼ばれる組み立てでは、「初めて」という。目的は「生産性の向上」。農家の高齢化が進む中、草刈り機の需要は高まり、生産が追いつかない。第2工場を本社敷地につくり、製造ラインを現在の二つから三つに増設。来年3月をメドに生産能力を1・5倍に引き上げ、「量」を拡大するとともに、ロボット導入で生産の「質」も向上させる。
■普及のモデルに
 計画では、人間の両腕のような「双腕ロボット」と、関節が六つある片腕の「六軸ロボット」を導入する。数千万円かかるが、作業のほとんどを自動化でき、工程管理上の作業員は現在の「2人」から、「0・5人」に省力化。生産能力は20%増えるという。ロボットの低価格化と性能向上で、これまで人手に頼ってきた組み立て工程も、自動化が可能になりつつあるという。約100種類の草刈り機を製造する同社。今回の自動化は、傾斜地向けの主力機種「スパイダーモアー」だけだが、同社はこれを普及の「モデル」として、他の機種や、別の組み立て工程にも導入していきたい考えだ。人口減で将来、労働力不足が懸念され、安定生産の地盤を固める必要もある。「もうここしかない」。同社幹部は人の姿が目立つ組み立て工程を見渡した。
■キヤノンに続く
 今年1月、政府は今後5年の成長戦略となる「ロボット新戦略」を策定した。産業面では、中小企業の「組み立て工程」や「食品加工」を「労働集約的製造業」と位置づけ、ロボット導入を進める構え。マンパワーに頼ることが多く、雇用の受け皿となる“聖域”と呼ばれる分野だ。背を押すのは、欧米の動向だ。ドイツが国家プロジェクトとして仕掛ける「インダストリー4・0」。「第4次産業革命」と呼ばれ、センサーやネットワークを駆使し、工場の完全自動化を進める。部品の在庫がなくなりかけると、センサーが感知し、ネットを通じて部品を発注。生産を絶やさない。トヨタ生産方式の「ジャスト・イン・タイム」(カンバン方式)のネット版と言える。米国も、こうしたモノをインターネットでつないだ「IoT」技術の導入で先行する。日本では、キヤノンが2018年をメドに、大分キヤノン(大分県国東市)など九州の子会社3社で生産するデジタルカメラの組み立てを完全自動化する。人工知能(AI)やIoTをフル活用し、成長力を押し上げる狙いだ。「波」は、中小企業にもじわりと広がる。今夏、経済産業省が中小企業を主な対象にロボット導入の助成事業を行ったところ、九州から6社が手を挙げた。オーレックもその1社だった。

| まちづくりと地域振興::2015.5~ | 03:35 PM | comments (x) | trackback (x) |

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