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2014.7.2 「九州電力と中部電力の大型火力発電所がトラブルで運転できなくなった」というこじつけの理由で、原発を稼働させてはならない。
     
 2014.6.25   2014.6.26         *1より
 日経新聞      毎日新聞

(1)再稼働か電力不足かという脅迫による原発再稼働を許すべきでない
 *1に書かれているように、「政府が夏の節電要請を始めた7月1日、偶然、九州電力と中部電力の大型火力発電所が同時にトラブルで運転できなくなり、節電期間の初日から電力不足の懸念があらわになった」というのは、まだ他の電源を本気で手当てすることなく、原発のかわりに老朽火力をフル稼働して原発再稼働の時期を覗い、再稼働か電力不足かという脅迫による原発再稼働を目論んでいたということであり、呆れるほかない。

(2)安全神話を作っても、責任者が辞めて組織を変えれば終わりでは解決できない
 *2に書かれているように、日本では、「日本は強い」「絶対勝てる」というような根拠なきムード作りを行い、反対意見は無視し、負けても現実から目を背けて、正確に敗因分析を行って次に生かそうとしない傾向がある。

 原発でも、政府や電力業界は「日本で原発事故が起きるはずがない」という“安全神話”を作って事故のリスクに目をつぶった結果、取り返しのつかない惨事を招いた。しかし、これは、原子力安全・保安院を解体して、原子力規制委員会を発足させたことで、解決されたと考えるべきものではない。

(3)低線量被曝の健康被害は、確実にある
 低線量被曝の健康被害については、「わかっていない」ということを根拠に(???)、低線量被曝の健康被害について発信する人を「風評被害の発信者」と断定し、放射線の新たな“安全神話”を作ってきた。

 そのため、医学・疫学の専門家が、*3の「双葉町等での疫学調査」を行い「報告書」にまとめているので、参照されたい。要点は、事故後1年半経過した平成24 年11 月時点で既に様々な症状が出ており、双葉町・丸森町ともに特に多かったのは鼻血であり、双葉町ではそのほかにも様々な疾患の多発が認められ、これらの症状や疾病の増加は、原子力発電所事故による放射線被曝やその後の避難生活によって起きたものだということである。

 そして、事故後3年後の現在、これらの症状や疾病は、より広い地域で進んだと考えるのが自然だ。

*1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140702&ng=DGKDASDF0100X_R00C14A7EE8000
(日経新聞 2014.7.2) 九電・中部電で火力トラブル 西日本、電力需給に懸念 節電期間の初日…
 政府が夏の節電要請を始めた1日、九州電力と中部電力の大型火力発電所がトラブルで運転できなくなった。中部を含む西日本は今夏、電力需要に対する供給の予備率が3.4%と安定供給に最低限必要な3%をわずかに上回る状況だ。電力各社は原子力発電所のかわりに古い火力をフル稼働しているが、節電期間の初日から電力不足の懸念があらわになった。九電は1日、相浦発電所2号機(長崎県、出力50万キロワット)が、ボイラーに水を送り込むポンプの不具合で発電できないと公表した。6月30日の起動に向けてポンプを動かしていたところ、異常が見つかったという。九電の瓜生道明社長は1日、記者団に「梅雨明けまでの復旧を目指したい」と説明したが、稼働のメドは立っていない。九電が今夏、想定するピーク需要に対する供給の余力は51万キロワット。仮に相浦2号機がこのまま動かなければ、ピーク時に3%の予備率を確保していた九電管内の余力がほぼなくなる計算だ。中部電力の碧南火力発電所4号機(愛知県、100万キロワット)も1日、ボイラーに空気を送り込む機具の温度が上がったため運転を停止した。中電は冷却後に原因を究明するが「原因の特定に最低数日かかるかもしれない」とし、復旧のメドは立っていない。中部電は今夏、電力需給が特に厳しい関西電力や九電への電力融通が期待されている。碧南火力の停止が長引けば、西日本全体で供給余力が低下することになる。相次ぐトラブルの背景には、原発のかわりに古い火力をフル稼働している実態がある。

*2:http://qbiz.jp/article/41049/1/
(西日本新聞 2014年7月2日) 押せ押せムードと安全神話
(記者:川崎弘 西日本新聞社 経済部所属。担当はエネルギー、中小企業、国際分野など。社内で「経済部にいるけど、足し算できるの?」と質問されることが多く、原因を鋭意分析中。ラグビーと日本酒とカレーとロックを愛する。佐賀市出身)
 本田選手の先制ゴールで浮かれたのも束の間。後半に2点を決められ、逆転負け。2戦目は1人少ない相手を崩しきれず、同点。3戦目は、後半に3点を決められ、惨敗。にわかサッカーファンの私も、今回のワールドカップは「きっとやってくれる」と期待しながらテレビで観戦したが、見ていて苦しくなる場面の連続だった。スポーツに勝ち負けは付きものだし、選手たちが精いっぱいやって負けたのであれば、仕方がないと思う。ただ、違和感が残るのは、大会前の新聞やテレビは「日本は強い」「絶対勝てる」といったムード一色だったのに、予選敗退が決まると、何ごともなかったかのように急に話題に上らなくなったことだ。残念な結果に終わったとはいえ、敗因の分析や結果責任を問う声は少なく、反省を次に生かそうとする機運も乏しいように感じる。
 スポーツと戦争を比べるべきではないかもしれないが、今回の日本チームの戦いぶりを見ていて、太平洋戦争を連想した。真珠湾攻撃以降は優勢だったが、ミッドウェー海戦とガダルカナル島の戦いで敗れた後は防戦一方。敗色が濃くなっていたが、終戦直前に沖縄を占領され、2度にわたって原爆を投下された。厳しい言論統制下にあったとはいえ、「必ず勝てる」「絶対にうまくいく」といった押せ押せムードが広がるうちに、現実から目を背けてしまう風潮は、今も昔も変わらないように思う。
 同じ傾向は、原発にもついても言えると思う。福島第1原発事故の前、政府や電力業界は「日本で原発事故が起きるはずがない」という“安全神話”に陥っていたと言われる。事故のリスクに目をつぶった結果、取り返しのつかない惨事を招いた。福島の事故を受け、原子力安全・保安院が解体され、原子力規制委員会が発足。そして、昨年7月に始まった同委員会の審査では、九州電力の川内原発(鹿児島県薩摩川内市)が最も合格に近く、再稼働第1号になる可能性が高い。今後、地元で説明会が開かれる見通しだが、再稼働への反対の声は大きく、原発をめぐる議論は大きなヤマ場を迎える。九電の瓜生道明社長は6月にあった原発の安全対策についての記者会見で「安全神話から脱却するのが、当然の姿だと思う」と語った。この言葉が本当であれば、説明会の場では、社長自ら、福島の事故の前の九電は、どういうところが問題で、どう変わったのか。事故は二度と起きないと言えるか。そもそも九電は安全神話に陥っていたのか‐といった疑問に対する答えや思いを語ってほしい。原発は、再稼働するにせよ、しないにせよ、多くの問題をはらんでいる。しかも難解だ。それだけに、意見や立場の違いを乗り越え、率直な思いを交わすところからしか、答えは見つからないと思うからだ。少なくとも、戦争や今回のワールドカップのように「ムード」や「雰囲気」や「神話」の中で物事が進むことだけは避けなければならないと思う。

*3:http://www.saflan.jp/info/870 (福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク 2014年5月20日) 双葉町等での疫学調査の「報告書」について
 双葉町では、事故から約1年半が経過した平成24年11月に、鼻血等の症状または疾病罹患の多発の有無等について調査が行われています。この調査は、過去の公害・薬害事件の経験を踏まえ、将来的に放射線被ばくと疾病との因果関係が問題になることが予想されることから、SAFLANが提案・コーディネイトを行い、疫学研究の第一人者である岡山大学の津田敏秀教授、頼藤貴志准教授らのグループが主体となって、双葉町等が参加して行ったものです。いわゆる美味しんぼ問題をめぐっては、因果関係や風評被害の有無等について様々な議論がなされていますが、その議論の前提として、まずは当該地域における鼻血等の多発の有無に関する具体的なデータが必要だと考えます。そこで、平成25年9月に双葉町が町民に公表した調査報告書を下記よりダウンロードできるようにしました。本調査結果が事実に基づいた議論の一助になることを願っております。
■報告書要旨(全文は、上の題名「双葉町等での疫学調査の『報告書』」をクリックすると出てきます) 
(平成25 年9 月6 日) 低レベル放射線曝露と自覚症状・疾病罹患の関連に関する疫学調査プロジェクト班  低レベル放射線曝露と自覚症状・疾病罹患の関連に関する疫学調査 -調査対象地域3町での比較と双葉町住民内での比較
 福島県双葉町、宮城県丸森町筆甫地区、滋賀県長浜市木之本町の3 か所を調査対象地域とし、事故後1年半が経過した平成24 年11 月に質問票調査を行った結果、平成24 年11 月時点でも様々な症状が双葉町住民では多く、双葉町・丸森町ともに特に多かったのは鼻血であった。双葉町では様々な疾患の多発が認められ、治療中の疾患も多く医療的サポートが必要と思われる。これらの症状や疾病増加は、原子力発電所の事故による放射線被曝や避難生活によって起きたと思われる。

| 原発::2014.5~8 | 07:21 PM | comments (x) | trackback (x) |

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