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2014.5.1 原発事故による健康リスクについて (2014年5月11日、12日、13日、16日に追加あり)
   
 アジアの原発    日本の原発  *3台湾の脱原発デモ  日本の脱原発デモ

(1)原発取材後に鼻血と書いたら批判された ← 何故、肝心なところでは表現の自由がないのか?
 *1のように、東京電力福島第1原発を訪れた主人公の新聞記者が取材後に鼻血を出したり疲労感に見舞われたりする描写の後に、井戸川克隆・前福島県双葉町長が「福島では同じ症状の人が大勢いますよ」と明かす設定で漫画を書いたところ、「風評被害を助長する」という批判が相次いだそうである。しかし、批判した人は、どういう根拠に基づいて風評被害と断定したのかを、公衆衛生学会に出しても恥ずかしくない程度の論文で明確にすべきだ。

 そして、診察した医師も、「福島の放射線とこの鼻血とを関連づける医学的知見はありません」と言ったそうだが、*2に書かれているように、鼻血の症状はチェルノブイリ原発事故でも出ており、α線でもβ線でも起こるもので、フクシマの場合、初期にはα線源の鼻血が多く、現在起きている鼻血はβ線源の付着と考えられるそうだ。そして、*2のようなことは、フクイチから200km以上離れた関東でも起こっているため、それでも医学的知見がないと言うのは変である。

 なお、同編集部は、検査で安全と証明された食材を無理解で買わない風評被害を批判してきたそうだが、「検査で安全と証明された」というのは、具体的にどういう“証明”をしたらそう言えたのか、これも公衆衛生学会に出しても恥ずかしくない程度の論文で明らかにすべきだ。私は、この説には、科学的でない仮定や統計手法、データの捏造や改ざんが多いと考えるが、私に向かって「無理解で買わない風評被害」などと言うのは、「女は科学に弱い」というジェンダーを利用した女性差別である。

(2)立地自治体が持つべき危機意識
 *3のように、台湾では、与党・国民党が、反原発の世論により、第4原子力発電所の建設を凍結することを明らかにしたそうで、2号機の建設も即座に中止し、安全検査の完了後も1号機を稼働させないことを決めたそうだ。日本より決断が速やかだが、今後は、事故時には偏西風で日本も被害を受ける中国や朝鮮半島でも同じ決断をして欲しいため、中国語や韓国語での情報発信をしてもらいたい。

 日本の立地自治体では、*4のように、福井県敦賀市で、敦賀青年会議所(JC)が、原発再稼働ありきではない敦賀の将来を考える講演会とパネルディスカッションを開き、篠原理事長が「『原子力発電所がないから敦賀のまちあきまへんわ』と大人たちが言っているまちで、どうして若い人が働きたいと思うのか」と開催趣旨を説明し、パネルディスカッションでは「敦賀港の自由貿易地域指定などの提案があった」そうで、今後の日本海沿岸貿易の増大を考えれば、有望である。

 しかし九州では、*5のように、電力会社は燃費がかさむ古い火力に頼りながら、「いつ故障とも知れない」「電気代が上がる」などという陳腐な説明を続けており、これが、地域独占企業の甘えだ。

*1:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140429/dst14042920290008-n1.htm
(産経ニュース2014.4.29)原発取材後に原因不明の鼻血描写、人気漫画「美味しんぼ」に批判相次ぐ
 小学館の漫画雑誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」の5月12、19日合併号(4月28日発売)に掲載された人気漫画「美味しんぼ」で、東京電力福島第1原発を訪れた主人公らが原因不明の鼻血を出す場面が描かれ、「風評被害を助長する内容ではないか」などとする批判が相次いでいることが分かった。編集部は「鼻血や疲労感が放射線の影響によるものと断定する意図はありません」などとするコメントを同誌のサイトで発表した。掲載されたストーリーは、主人公の新聞記者らが同原発の取材後に鼻血を出したり疲労感に見舞われたりする描写の後、井戸川克隆・前福島県双葉町長が「福島では同じ症状の人が大勢いますよ」と明かすという設定。一方で、主人公を診察した医師は「福島の放射線とこの鼻血とは関連づける医学的知見がありません」と話す場面もある。同編集部は「鼻血や疲労感は綿密な取材に基づき、作者の表現を尊重して掲載した。取材先や作者の実体験について、医師に見解を問う展開となっている」とした上で、これまでの連載では、検査で安全と証明されている食材を無理解で買わない風評被害を批判してきたと説明している。

*2:http://ameblo.jp/maimaikaimei/entry-11088743951.html
(2011-11-25) 放射能による皮膚症状について
 チェルノブイリ事故の被曝者を診察してきた医師の記述です。多数の方が、同じ症状を起こせば、全体として被曝である、という医学的推計ができます(法的ではない)。しかし、個々人を被曝だという特定は、診ただけでわかる場合とそうではない場合があります。政府が正確な情報を絶対ださず、行政も出しませんから、推計に従うということになります。判りますよね。そうではないこともありえるが、その可能性が高いとしか、言いようがないのです。つまり、どんな医師でも、その症状の場合、被曝であると断定できません。 ですから、微小な放射性物質のアモルファス粒子が接触した場合の症状を書きますので、ご自分でご判断いただきたいと思います。
 極めて粒子が小さく、放射性重金属成分が多い場合(セシウムだけではない場合)、皮膚に接触すると、境界の明瞭な赤い小さな点ができるか、小さな不明瞭な赤い班(虫刺されの跡のような)ができます。鼻腔開口部近傍では、鼻血、上咽頭なら痛みと炎症、声枯れ、胸の痛み、咳、鼻水などです。ここでは、皮膚だけの説明に特化します。皮膚の接触面が濡れていた場合、微粒子は、やや溶けるので、明確な境界を持たない虫刺されのようなふくらみを持つ炎症を起こし、痛みます。粒子の径によって、炎症部位の大きさとふくらみが違います。すぐに洗わなかった場合、皮下に浸透し、近傍の神経を興奮させますので、首なら首筋後部と左右の首筋の筋肉に軽度の硬直(硬くなって少し痛む)がおきます。量が多ければ、頭痛、足がつりやすくなることもあり、めまい、吐き気などがおきます。微量でこのような筋緊張の亢進が見られる場合、相当量の内部被曝による組織の細胞死が起き、炎症を起こしやすくなっていると推理できます。他のアレルギーならとっくに以前に同様の症状を起こしているはずだとも推理できます。
 皮膚症状は、二つに分かれています。1つは、丸くエッジが明瞭な穴が開き、時に出血し、あまり痛まないケースです。二つ目は、エッジが不明瞭な発赤ができるケースで、非常に痛いケースです。
 一つめは、飛程が短いα線源なら起こる現象です。痛まないのは、皮下奥までα線届かないことと、α線の届く範囲の細胞を全部殺してしまうからでしょう。
 二つ目は、強いβ線の場合、1粒子の大きさが大きい場合、皮下深くまで届き、神経を傷つけますので、痛みますし、発赤の範囲も広くなります。同時に存在する微粒子を呼吸で吸収することが多く、微量で関節痛、頭痛を起こします。二つ目でさらに大きな粒子の場合、手や指が丸ごと腫れ、回復が遅く、しばらく腫れて激しく痛みます。
 上記どちらも、私はチェルノブイリの被害者から直接聴きました。
 鼻血は、一つ目でも二つ目でも、起こりえます。今回1つ目は、私の場合、311-328に関西で降下した埃で鼻血、南相馬市に無防備で行った医師が、除染せずに他の医師を被曝させ、その被害にあった医師のかばんの除染で、腕に穴が開きました。その南相馬市に行った医師が手術した患者は、縫合不全で、抜糸に2週間もかかっています。どうやら、1Fに近いところでは、α線源がかなり多いということ、鼻血や穴は初期に多かったので、短寿命のα線核種、たとえばAmなどではなかったかと推測されます。
 現在起きている鼻血は、β線源の付着だと考えられますが(止まりにくいので傷が深い=β線が深くまで届く)、内部被曝が進行して、粘膜に炎症を起こしやすくなっているからだと考えられます。つまり、最近の鼻血は、内部被曝の指標の一つと考えられます。
 粒子が小さく数が多て、広い範囲に付着した場合、肌荒れ状の現象を起こします。呼吸器に入れば、気道粘膜に炎症を起こし、咳、鼻水などが出ます。目なら痛みと結膜炎です。これも、チェルノブイリの被害者から聞きました。さらに、呼吸器の二次疾患である風邪などの流行の話もききました。ミュンヘンでは、アトピーなどアレルギーが酷くなりました。一方、ウクライナなど、さらに激しい汚染地帯では、自己免疫疾患が一時的に良くなった、つまり、白血球の仲間や抗体産生細胞が減ることで、花粉症のような疾病が軽癒したという報告もありました。同時に、各所のリンパ節が腫れたという報告もあり、気道の白血球が微粒子を取り込み、リンパ液に戻り、リンパ節でトラップされて死に、リンパ節に放射性微粒子が残ったためだと考えられます。その割には、リンパ腫が発生した比率は低かったです。が、1Fでは判りません。花粉症が治ったというケースでは、粒子の体内取り込み量が多いと考えられます。
 内部被曝が進んでいる場合、皮膚への広範囲の微粒子の付着は、種々の形状の炎症の混在した皮膚炎を起こします。小さな水泡だったり、蚊に食われた跡を小さくしたようなものが、広範囲に出来ます。これは、ちょっとした炎症で、起炎物質が放出されやすくなっており、さらに細胞もアポトーシスしやすくなっているからだと思います。かなり危険な兆候です。
 チェルノブイリの場合、吸飲により、激しい頭痛、眩暈、間接痛、難聴、結膜、網膜異常、痙攣などが、一気に起き、皮膚の症状云々と言ってられなかったようです。こういった症状が激しかった人は、直ぐに楽天的になったようです。これは、脳の症状です。初期症状がなく、内部被曝だけだった人の場合、食べて2ヶ月ほどたってから脳症状が現れているように思います。ところが福島第一では、もっとはるかに早いのです。明らかに核種が違います。これほど早く血管内膜炎様症状を起こしていません。
 S35なら、甲状腺に取り込まれて不思議はありません。Teは、現在、枯葉の破片に濃縮され、皮膚に小さな引っかき傷のような傷をつけたり、体がチクチクするという現象を起こしているように思えます。常識的に考えてありえないようなWBCのカウントの方は、体内に大量に微粒子を取り込んでいるのでしょう。全部がイオンで均等分散していれば、体が持たないか、体のステージが別の状態へ移行します。つまり、細胞分裂がほとんど無い状態です。
 過去との違いは、明らかに進行が早いこと、より多様な症状を起こしていること、中枢症状が激しいこと、子宮、卵巣の異常が多発していることです。311-324での居た場所、食生活、普段の生活、初期症状等が判ると、かなり正確に状態がわかることがあります。
 以上まだ軽症で、ウラン腎炎と思われる方が、1Fより北で多くみられ最も北は札幌でした。その他、皮膚の脱落、眼球突出、意識喪失、血管閉塞、皮膚の異常増殖、皮下出血(紫斑)などは、福島県とホットスポットで起きています。
 さらに、嘔吐下痢は、β線核種の微粒子の摂食によるものだと思われますが、内部被曝が進んでいる現在、より簡単に起こしやすくなっています(特に下痢)。これは、腸内細菌が吸収したβ線源により、腸内細菌がβ線を腸に浴びせ続けて腸管粘膜が損壊しているからだと思います。
 過去のデータに書いてなくても、被害者から聞いた話に合致するものは多く、急に食欲が増した、などは、聞いています。日本でも、福島県にボランティアで行った県職員の食欲が増して太ったという話を、何箇所かで聞いています。飲食物の基準値が甘いためで、さらにチェルノブイリの時よりβ線、α線核種の比率が高いので、今後の健康被害は、はるかに大きいと予測できます。同時に中枢への影響が大きいので、危機感が減少し、櫛歯状に人が減っても気にしない、という状態(現在のキエフ)のようになると考えられます。酒が強くなったと感じたら、中枢障害です。今後、食物での防衛をしなければ、皮質全体と、脳幹の抑制が進みますので、突然死が増えると思います。高度汚染エリアでは、甲状腺機能低下が始まっており(含む東京)、脳の抑制で、強い欝からブラブラ病への移行期も起き始めています。核種が多いので、選択的にどこの組織がどのように損壊するかは、予測が困難です。高度汚染エリアで子供の顔の皮膚が熱く感じるようになったら危険の兆候です。この状態で、瓦礫を燃せば、目から始まって、被害が増大するだけでなく、働けなくなる人の比率が大きく上がると思います。特に給食で高濃度の放射性物質を摂取している子供への被害が大きくなるでしょう。

*3:http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0DE00N20140428
 台湾の与党・国民党の報道官は27日、記者団に対し、新北市北部に位置する第4原子力発電所の建設を凍結することを明らかにした。現地では反原発の世論が高まっており、週末には台北市内で原発計画の撤回を求めた数万規模のデモが行われた。同報道官によると、馬英九・総統が与党議員と会談し、安全検査の完了後も1号機を稼働させないことを決めた。報道官は、2号機の建設も即座に中止されるとも述べた。馬総統は25日、第4原発稼働の是非を問う住民投票の即時実施を求める野党側の要求を拒否したが、原発稼働の前にはそうした住民投票を実施するとも表明していた。

*4:http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20140428/CK2014042802000026.html
(中日新聞 2014年4月28日) 原発に頼らない敦賀を JCが講演会や討論
 原発再稼働ありきでない敦賀の将来を考える講演会とパネルディスカッションが二十六日夜、敦賀市東洋町のプラザ萬象であった。市内に立地する原発三基は東日本大震災以降、再稼働の見通しが立たないが、それでも原発に依存を続ける市民の意識を変えようと敦賀青年会議所(JC)が初めて企画した。原発が稼働して四十四年の市内は、原発関係の仕事に従事する人が多いことなどから、敦賀JCは「原発の賛否は分かれ、今回のようなテーマに触れてこなかった」という。「エネルギーとまちづくり」と題して開き、市民ら約百四十人が参加。冒頭で敦賀JCの篠原秀和理事長は「『原子力発電所がないから敦賀のまちあきまへんわ』と大人たちが言っているまちに、どうして若い人が働きたいと思うのか」と開催趣旨を説明した。講演では、21世紀政策研究所の沢昭裕研究主幹が日本のエネルギー政策の変遷を解説し「安倍政権になって原発は一基も再稼働していない。原子力を続けるべきか根本から問われている」と語った。パネルディスカッションは、市民四人と東京大の松本真由美客員准教授が登壇。松本客員准教授は「市民ファンドによるマイクロ水力発電の成功事例もある。原子力城下町として待ち続けるだけでなく、再生可能エネルギーに取り組む行動もありではないか」と提案した。敦賀商工会議所青年部の松本圭一朗会長は「敦賀市は原発の恩恵を受けすぎ、観光やまちづくりはいまいち。行政の支援の下、市外の意見も聴き魅力あるまちにしたい」。市民でもある県原子力平和利用協議会の石黒順二副会長は「原発の後始末(廃炉)で敦賀は研修場所になる可能性もある」と将来を見据えた。他のパネリストからは敦賀港の自由貿易地域指定などの提案があった。敦賀JCは今後もエネルギーについて考えてもらう事業を実施する予定だ。

*5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11108291.html
(朝日新聞社説 2014年4月28日) 原発ゼロの夏 内向きの経営脱する時
 原発なしでは電気が足りず、電気代も上がる――電力会社はもう、そんな不安を前面に出す姿勢を改めるべきではないか。この夏の原発再稼働が見通せぬ中、電力各社は「原発ゼロの夏」を乗り切る計画を示した。実現すれば、震災後初のこととなる。とはいえ、もともと原発に過大な依存をしていた関西電力では、真夏のピーク時の余裕は3%しかない。節電の手を緩めてはならないが、つい2年前「原発ゼロなら計画停電もある」「企業活動や医療現場に影響が出かねない」と大飯原発を再稼働したときのことを思えば、世の変化に目を見張る思いだ。原動力は、予想を上回る節電の定着である。あの夏、大飯原発に頼った関電管内では予想の3倍を超える節電を達成。原発ゼロでも乗り切れた計算となった。昨年は歴史的猛暑だったのに、節電の定着ぶりは変わらなかった。こうした実績から、関電は今夏、原発2・5基分の節電を見込むことができた。原発事故を真摯(しんし)に受け止めたユーザーの努力が「節電発電所」の建設につながったといえる。電力会社の努力はどうか。安定供給には原発しかないと説き続け、リスクが明らかに高い人口密集地付近の原発でも再稼働を申請する。一方で、余った電力を地域を越えて融通しあう仕組みはなかなか整わない。関電は今夏初めて、東京電力から融通を受けて電力不足を乗り切る計画だが、周波数の違う東西での融通能力は震災時から2割増えただけだ。燃費がかさむ古い火力に頼り、「いつ故障とも知れない」「電気代が上がる」という説明も続く。最新鋭の高効率の火力発電所建設の動きが出始めたのは、ごく最近のことだ。電力市場の自由化を進める法案が、国会で審議中だ。家庭も含めて自由に電力会社を選べる時代へと移っていく。すでに自由化された自治体などの大口利用者は、電気代の安い新電力に乗り換え始めた。発想を切り替えねば、大手電力会社自身が生き残れまい。節電する人びとが求めるのは、安全に安定して、できるだけ安く電気を使えるシステムをつくっていくことだろう。再生可能エネルギーを拡大し、限られた電気を融通し合える仕組みを早く根付かせたい。福島での事故で巨大なリスクが潜むことが明らかになった以上、巨額の投資をしたから原発を動かしたいという経営の論理はあまりに内向きに見える。


PS(2014年5月11日追加):*6の問題点は国民の意識の低さで、その内容は以下のとおりである。
1)原因不明の鼻血が出れば、呼吸による内部被曝の可能性が考えられるため、病院で正確な検査を
  するべきであり、検査して異常がなければ初めて安心してよいのである。
2)検査をせずに、県がホームページに反論を掲載することは、科学的でなく、住民の健康を守る姿勢で
  もない。
3)「町民や県民への差別を助長させる」とするのは、「被曝して病気になった人は、原発事故の被害者
  であって差別すべき対象ではない」という基本的事項すらわかっていない人が多いということであり、
  行政がこのようにして被曝の事実を隠せば、検査、治療、他地域での療養などができず、深刻な病
  気になっても原因が特定できないため補償や損害賠償請求もできなくなる。そのため、被曝者は被
  害者であって差別すべき対象ではなく、身体に異常を感じた人は迅速に検査すべきだということこそ、
  HPに掲載すべきだ。

*6:http://www.minyu-net.com/news/news/0511/news7.html
(2014年5月11日 福島民友ニュース) 県がHPに反論掲載へ 「美味しんぼ」鼻血描写問題
 小学館の「ビッグコミックスピリッツ」掲載の漫画「美味(おい)しんぼ」で、東京電力福島第1原発を訪れた主人公らが原因不明の鼻血を出すなどの描写があった問題で、県が12日に県のホームページに反論を掲載することが10日、分かった。12日に発売される次号と、先月28日発売号の内容を踏まえた見解を示す予定。県によると、同作品が及ぼす社会への影響を踏まえ、抗議の意思を示すとともに、県としての見解を示し、正しい理解を求める。県民からも「県として抗議すべき」という意見が寄せられているという。同問題をめぐっては、同原発が立地する双葉町が小学館に対し「町民だけでなく、県民への差別を助長させる」との抗議文を送った。


PS(2014年5月12日追加):地表の放射線に関する正確な測定を行わず、検査も住民の健康本位ではなく、甘い線量基準を居住区域分けに使用していることから考えても、フクシマ近郊に住むのは無理があるとは思っていたが、*7のように明確に言っている人がいるのは驚きだった。一般のメディアこそ、利益追求のために安全を無視したとして韓国船沈没事故の報道ばかりしておらず、世界に影響を与える大きな事故であるわが国の原発事故の真実やチェルノブイリの関係事例・解説を、希望的観測ではなく科学的に報道すべきだ。

*7:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140512-00000030-jij-soci
(時事通信 2014年5月12日) 今の福島「住んではいけない」=前町長ら発言―「美味しんぼ」
 週刊「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)連載中の漫画「美味(おい)しんぼ」で、主人公が東京電力福島第1原発を訪問後、鼻血が出たとの描写が波紋を広げている問題で、最新号が12日発売され、登場人物が「今の福島に住んではいけない」などと発言していることが明らかになった。最新号では同県双葉町前町長の井戸川克隆氏が前号に続き登場し、鼻血や疲労感の原因について「被ばくしたから」と説明。東電や国の対応の問題点も踏まえた同氏の発言を受け、他の登場人物に「自身の体験をもとに考えに考えぬいた言葉。嘘(うそ)偽りなく重い」と語らせている。福島大学の荒木田岳准教授も登場し、「福島を広域に除染して人が住めるようにするなんて、できない」と発言。登場人物は「これが福島の真実」などと述べている。


PS(2014.5.13追加):京都医療科学大学の遠藤啓吾学長(放射線医学)が、「低線量被曝が原因で鼻血が出ることは、科学的にはありえない」と断定しているのは、その根拠が「100ミリシーベルト以下、云々」などと外部被曝しか考慮していないため、科学的ではなく間違いである。何故なら、呼吸とともにフクシマ由来の核種が入って来る場合、肺に行く前にまず鼻の粘膜にぶつかり、そこに貼りついて至近距離から放射線を出し続けるものがあり、これが内部被曝を引き起こすからで、解剖学と呼吸機能を思い出せば明らかだ。また、「低線量被曝の影響で鼻血が出るのだとしたら、一般の人々より被曝線量の高い放射線技師や宇宙飛行士は鼻血が止まらないことになる」と言うのも、進化の過程における生物の適応を考慮していないため間違いだ。つまり、自然界に存在する放射線に対しては、人間は進化の過程で適応しているため強いが(何故なら、弱い個体は子孫を残せないため、生き残っているのは強い個体の子孫だから)、最近できた人工の核種には、人間は進化の過程で適応していないため、弱い個体も多いのである。さらに、放射線技師は、なるべく放射線に当たらないように気をつけて作業し、1日に24時間、放射線に晒されているわけではないし、宇宙飛行士も何年も宇宙にいるわけではない上、呼吸による内部被曝はしない。それにもかかわらず、このような根拠を出して「安心して生活せよ」と言えば、故意の傷害に当たるケースも出るだろう。

*8:http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/oishinbo/?id=6116542
(2014.5.13 産経新聞) 「美味しんぼ 福島の真実編」抗議相次ぐ 「科学的にありえない」
 京都医療科学大学の遠藤啓吾学長(68)=放射線医学=の話「低線量被曝が原因で鼻血が出ることは、科学的にはありえない。大量被曝した場合は血小板が減少するため、血が止まりにくく、鼻血が出やすくなるが、血小板が減るのは(がんの死亡リスク上昇が確認されている100ミリシーベルトの10倍にあたる)1千ミリシーベルト以上の被曝をした場合であり、それ以下の被曝では影響がない。住民も福島第1原発で働く作業員も、事故で1千ミリシーベルトを超える被曝をした人はいない。住民の被曝線量は大半が10ミリシーベルト以下。原発作業員の中に、白血球や血小板の数値に異常がある人がいるとは聞いていない。もし低線量被曝の影響で鼻血が出るのだとしたら、一般の人々より被曝線量の高い放射線技師や宇宙飛行士は鼻血が止まらないことになる。福島の人たちは過剰な不安を抱くことなく、安心して生活してほしい」。


PS(2014.5.16):私が、このブログの2012年2月29日に記載したがれきの広域処理に関する記事を、追加情報を加えて2012年5月27日に掲載しているが、そのうち参考資料1は、海外在住の日本人医師から、がれきの受け入れについて橋本大阪府知事(当時)に宛られた医師の立場からの意見書であり、ポイントは、「内部被曝を考えると、政府が問題なしと判断する汚染濃度であっても、総量では多大な健康被害を起こす汚染となり、がれきを広域に拡散することは全国を放射能汚染させることとなるため、福島県民、東日本の人たちを含む全国民に悪影響を与える行為である」ということだった。
 そのような中、*9のように、現大阪府知事松井氏と大阪市長橋下氏が、速やかに週刊ビッグコミックスピリッツの『美味しんぼ』に関する抗議文を出されたそうだが、速やかにやるべきは、本当にそういう人がいなかったかどうかを正確に調査することで、風評被害と決めつけた抗議を行うことではないだろう。核種は焼却してもなくならず、風向きによって特定の場所に集積するため、全体が均等に薄いのではなく、特定の場所が濃くなることもあり、どこが濃いかは、焼却時期のSPEEDIを見ればわかる。そのため、濃くなる地域にいた人を含んで、遠慮ない聞きとり調査をすべきであり、*10のような人がいる以上、そういう症状のある人は、実は少なくないかもしれないのである。

*9:http://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000266273.html
平成26年5月12日付:週刊ビッグコミックスピリッツ『美味しんぼ』に関する抗議文について
                                       平成26年5月12日
株式会社小学館 
代表取締役社長 相賀 昌宏 様
                                       大阪府知事 松井 一郎
                                       大阪市長   橋下 徹 
  週刊ビッグコミックスピリッツ『美味しんぼ』に関する抗議文
 平成26年5月9日付で貴社宛に、『平成26年5月12日発売予定週刊ビッグコミックスピリッツ掲載の「美味しんぼ」の内容の一部訂正』について申し入れを行いましたが、訂正等の対応をいただけなかったため、次のとおり厳重に抗議いたします。東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理において受入対象としている廃棄物は、放射性セシウム濃度が100ベクレル/㎏以下のもので、科学的にも安全に処理できることが確認されているものであり、廃棄物処理法の規制を遵守することにより、適正に処理ができるものです。
 大阪府、大阪市といたしましては、東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理について、国からの要請や岩手県からの要請を受け、岩手県宮古地区の災害廃棄物を受入れることとし、平成24年11月29日、30日の試験処理による安全性確認のうえ、平成25年1月23日から9月10日まで本格処理を行い、処理期間中や処理後においても、放射能濃度や空間放射線量率、その他必要な項目について十分な測定を行い、その結果は府市ホームページにおいて公表しておりますが、測定結果は、全て受け入れの前後で変化はなく、大幅に基準値を下回るもので、安全に処理していることを確認しており、災害廃棄物の受入による影響は見受けられませんでした。また、処理を行った焼却工場の存在する此花区役所、同保健福祉センター、此花区医師会に確認をしましたが、処理中においても、その後においても、作中に表現のある「大阪で受け入れたガレキを処理する焼却場の近くに住む多数の住民に眼や呼吸器系の症状が出ている」というような状況はございませんでした。事実と異なる貴誌「美味しんぼ」記載の表現は、此花区民をはじめ大阪府民の無用な不安を煽るだけでなく、風評被害を招き、ひいては平穏で安寧な市民生活を脅かす恐れのある極めて不適切な表現であり、冒頭述べましたように、大阪府、大阪市として厳重に抗議するとともに、作中表現の具体的な根拠について是非開示されるよう強く求め、場合によっては法的措置を講じる旨、申し添えます。

*10:http://hsaitoh.jugem.jp/?eid=182
(ライター斎藤博之  2014.5.13) 原発の事故による健康被害について~美味しんぼ 福島の真実
 漫画週刊誌『ビッグコミック スピリッツ』に連載されている「美味しんぼ」の福島県編で、福島県を取材に歩いた主人公の一行に鼻血が出るなどの症状が現れたことを描いた場面について、「事実に反する」だの「風評被害」だのと騒ぎ立てている諸君がいるらしいので、そういった健康被害にあった実在の登場人物として一言書いておく。福島県は2年かけて長期取材していたのだが、この取材に同行したスタッフの何人かに、鼻血が出る、疲れて寝込む、などの症状が現れた。わたしも、その一人だ。わたしも原作者も、お互いに同じような症状に陥っていることに気づかず、はじめは自分ひとりの病気だと思っていた。わたしなどは以前から血圧の高い傾向があったから、それが悪化したのかと思って、病院に行った。診察の結果は、原因が何かはわからないので、止血の薬を出しておく、というものだった。不思議に思って血圧のせいではないかと訊いてみた。もしも血圧が原因で鼻血が出ているのだとすれば、血管が破れる場所はここではない、とのお答え。ついでに鼻血という症状が現れる病名をひとつずつ揚げて、その場合の症状はこうだからあなたの場合は当てはまらない、と解説してくれた。どの病気にも該当しないというのである。鼻血ばかりではなく、どこかに1日取材に行くと疲れ果てて、何日も寝込んでしまうといことが続いたが、原因も病名もわからないというのでは、寝て恢復を待つ以外にはない。そんなある日、福島県双葉町から町ぐるみで埼玉県に避難しておられる方々を取材できることになって、まっさきに全町避難を決めた井戸川克隆前町長をお訪ねした。すると、その場所にたまたま偶然、岐阜環境医学研究所の松井英介所長がいらっしゃり、われわれに「体調の変化はないか」とお尋ねになるのである。これに雁屋さんが鼻血が出たり疲れたりする話をするので驚いた。わたしとまったく同じ症状だからである。お互いが同じ症状であることにようやく気づいて、われわれは顔を見合わせて唖然とした。「わたしもですよ」と井戸川前町長。「同じような人が、この避難所にも、福島県にも大勢います。みんな自分が病気だと言わず、報道されていないだけなんですよ」とおっしゃる。「わたしもね、読まなければいけない本がたくさんあるんですが、とても疲れて、原発の事故以前に較べたら何分の一も読めません。国との折衝や会議などで外出すると、もうくたくたです」。「これはね、被曝したからなんですよ」と松井所長。「放射能の影響というとみんな癌の心配ばかりしますが、健康被害は癌だけにとどまるものではありません。放射能は直接にも間接にも、人の健康に影響します。たとえば、みなさんの鼻血は鼻の粘膜が傷ついて現れる症状ですが、その原因は放射線が直接炎症を引き起こしたということではなく、放射線によって切断された水の分子が、やがて過酸化水素となって粘膜細胞を傷つけるからなんですね。鼻だけではなく、眼や咽や皮膚にも、同じ理由で症状が現れる人がいます」。わたしの場合、歯茎からも出血があった。歯もぐらつくので歯医者に行ったら、全部抜いてしまおうというので、それでは総入れ歯になってしまうと思い、断って帰ってきた。塩で歯を磨くということをずっと続け、いまは症状が治まっている。これは、われわれの身に降りかかった事実である。あとで知ったことだが、同行したカメラマンにも、同じような症状が現れたらしい。われわれにその原因はわからないが、取材の一行に同じ症状が現れていることは、原発の事故でもなければ説明がつかないだろう。松井所長のように考えれば、確かに納得できるのである。

| 原発::2013.11~2014.5 | 03:31 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.4.26 自然の大きさやすごさを知らないリーダーが多いのは何故か ― 「フクシマで、地下水バイパス専用井戸や凍土壁を作れば汚染水が防げる」「火山は滅多に噴火しない」という決め付けが起こった事例から
   
                2014.4.21西日本新聞より

(1)原発の立地は、火山の噴火も想定外にするのだろうか
 *1-1のように、西日本新聞には、九電の川内原発などへの火山の影響を検討した原子力規制委員会の議論は不十分とする火山研究者の批判が相次いでいることが書かれている。そして、国内の巨大噴火は約1万年に1回発生してきたとされているが、桜島はいつも噴火しているし、普賢岳が噴火しだしたのは最近で、その後、東日本大震災が起こっているため、巨大噴火が近い将来ではないという保証はなく、阿蘇で巨大噴火が起これば、九州全域に数時間で1メートル以上の降灰があるそうだ。

 そのため、*1-2のように、原子力規制委員会が再稼働の前提になる審査で、九州電力川内原発1、2号機の火山影響評価を議論し、より厳しい基準を設けるよう注文したそうだが、他から言われて初めて気がつくようでは、このほかにも気づいていないリスクが沢山ありそうだ。

 しかし、*1-3に書かれているように、日経新聞は、「川内原発が今夏再稼働すれば、九電管内の電力の余力は14.2% あると経産省が試算し、九電で余った電力は関西電力などに融通することも可能だ」と再稼動推進の姿勢で報道しており、これは、目先の小さな利益のために九州全域を人質にする愚行である。

(2)富士山も噴火が近そうだ
 *2-1のように、300年間、噴火がなかった富士山も、2011年3月11日の東日本大震災と(これから起こる)南海トラフ地震の誘発により、噴火の可能性があることを火山学者らが指摘している。私も、「東京⇔福岡」間を飛行機でよく往復するが、2012年頃、富士山の途中が少し盛り上がり、その部分を起点とする見慣れない雲ができているのを見て、その部分の温度が高くなっており、富士山の噴火も近いのではないかと思ったことがある。

 また、*2-2のように、中部電力が再稼働を原子力規制委員会に申請した浜岡原発4号機は、南海トラフ巨大地震の想定震源域でもあるため、浜岡原発を動かしてはならないことに全く同感である。それだけでなく、速やかに使用済核燃料を取り出して、廃炉にすべきだ。

(3)フクシマの汚染水対策は、地下水の水量や動きを想像できない人の発想だ
 *3-1の産経ニュースは、「原子力規制委員会は、原子炉建屋の地盤沈下、周囲環境への影響、安全性、安定的な管理、地下水の動きの把握などの問題を指摘して認可しないため、規制委と経産省が対立しており、規制委の反対で汚染水問題の解決そのものが停滞する可能性がある」と報道している。しかし、規制委と経産省が必ず同じ意見であれば規制委は役割を果たさないのであり、このような違いを「対立」と報道すること自体、規制委と経産省の関係がわかっていない。

 私も、経産省と東電が建設を進める「凍土遮水壁」については、最初に聞いた時から、①壁で地下水を防ぐことは出来ない ②四方を長期間凍らせ続けるためには莫大な費用がかかる ③核燃料のスラグを地下水で冷やし続けているのではないのか など、多くの疑問を感じていた。

 さらに、*3-2のように、東電の地下水バイパス計画で掘った「くみ上げ専用井戸」については、そもそも井戸でくみ上げれば地下水が減ると考えるのは甘いし、爆発で放射性物質が撒き散らされ、汚染水タンクからも汚染水が漏れているため、付近の地下水は次第に汚染されると考えるのが自然だ。そのため、地下水の放射性物質濃度が東電の基準値を上回った井戸ごとに運用を停止することになるのであれば、井戸を掘った費用は一体いくらかかったのかと思う。

 そして、*3-3のように、人為的とも思われる汚染水トラブルが相次ぎ、多核種除去設備(ALPS)は機能していない。そのため、この調子では原発の地元だけでなく、関東までも深刻である。

(4)全体としては、リーダーを出せない地方の公教育が問題なのだろう
 経産省、東電、メディアなどの対応を見ていると、全体として、「自然の大きさの中では人間の力は微々たるものである」ということを知らない人ばかりのようである。また、「情報を操作しても真実は変わらない」「言い方を変えても内容は同じだ」というようなことも忘れているようだ。

 そのため、「どうして、このようなリーダーばかりになっているのか」を考えたところ、都市部の中高一貫校出身者が東大はじめ有名大学に多く進学し、そのうちの法学部卒が多くの場所でリーダーになっていることに気がついた。つまり、日本のリーダーの多くは、コンクリートで作られた人為的な都市で生まれ育ち、大学では「人間が法律や基準を定めれば世の中はそれに従って動く」と勉強し、本物の自然の大きさやすごさ、その中での人間の小ささを感じたことがなく、本物の自然の美しさも知らない男性が大半だったのである。

 つまり、都会育ちの同じタイプの人ばかりが、各場所(財務省・経産省ばかりでなく、国交省・農水省・メディア・企業等も)でリーダーになっていることの弊害が出ているわけだが、これは、男女を問わず多くのリーダーを出せない地方の公教育の遅れに原因があると考える。

*1-1:http://qbiz.jp/article/36135/1/ (西日本新聞 2014年4月21日) 巨大噴火無いと言えぬ 原発再稼働へ議論不足 火山研究者批判続々
 全国の火山研究者に行った西日本新聞のアンケートで、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)などへの火山の影響を検討した原子力規制委員会の議論を「不十分」とする批判が相次いだ。国内では約1万年に1回発生してきた「巨大(破局的)噴火」が、最大60年と短期間の原発稼働中に起きるか予測できないが、発生すれば被害は計り知れない。研究者は「リスクを国民に伝えた上で再稼働するかを判断すべきだ」と注文する。規制委による川内原発の審査で、九電は桜島を含む近距離の姶良(あいら)カルデラ(鹿児島湾北部)などが稼働期間に噴火に至る可能性を否定。「マグマだまりが破局的噴火直前の状態ではない」などとの理由だが、多くの研究者は異論を唱える。熊本大の横瀬久芳准教授は「(常時観測している)桜島や雲仙の噴火ですら定量的に予測できていない。科学的な根拠があるとは思えない」と批判。そもそも、地下のマグマ量を把握する方法が確立されていないというのが共通の意見だ。九電は川内原発の再稼働後、地殻変動などを監視して噴火の前兆を把握する方針だ。岩手県立大の伊藤英之教授は「異常が検知されて巨大噴火に至るのか、終息するのか正確な予知は難しい」と明かす。九電は送電線の火山灰を洗浄装置で落とす対策などを示しているが「装置の必要数など、未検討の事項が多い。議論は極めて表層的だ」(東日本の国立大教授)との見方もあった。
  ◇    ◇
 地下のマグマが一気に地上に噴出する巨大噴火で懸念されるのは、火山灰と火砕流の被害だ。阿蘇で巨大噴火が発生すれば、九州全域は数時間で1メートル以上の降灰があるとの試算もある。雨が降れば灰の重さは約2倍に膨れて電線が切断され、電力供給が滞る可能性は強まる。火砕流は火山灰、軽石などが有毒ガスと一緒に時速100キロ超で流れる現象。数百度の高温で、山を乗り越えて四方100キロを上回って広がることもある。巨大噴火による被害について、アンケートでは「周辺の多くの人が火砕流で死亡」(23人)、「九州などは生活できなくなる」(20人)と甚大な被害を指摘する回答が大半を占めた。ある研究者は「火砕流が川内原発を直撃すれば、運転員の生存は見込めない。原発は制御不能となる」と予測。静岡大の小山真人教授は「原発が火砕流に襲われた場合、どのくらいの放射性物質が放出される恐れがあるのか検証されていない」と批判する。東工大の寺田暁彦専任講師は「阿蘇など最大級のカルデラ噴火では、火砕流で100万人単位の死者が出るはず。深刻な放射能汚染は世界に広がる」と懸念。「確率が低くても、過酷な噴火被害の可能性がある場所に原発を立地すべきでない」と首都大学東京の鈴木毅彦教授は警鐘を鳴らす。規制委は、火山研究者による専門委員会の設置などには否定的だが、群馬大の早川由紀夫教授は「火山学者を入れた議論が不可欠だ」と提案する。

*1-2:http://qbiz.jp/article/36398/1/
(西日本新聞 2014年4月24日) 川内原発の火山監視体制「厳格に」 規制委、九電に再考要求
 原子力規制委員会は23日、再稼働の前提になる審査で、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の火山影響評価を議論した。九電はカルデラの巨大噴火の兆候を判断する基準や監視体制を説明したが、規制委はより厳しい基準を設けるよう注文。規制委としても今後専門家から意見を聞いて慎重に判断する方針を示した。今後、火山噴火への対応が長引けば、川内原発の審査終了がずれ込む可能性がある。川内原発の敷地周辺では、最も近い姶良カルデラ(鹿児島湾北部)の過去の噴火による火砕流の痕跡が3カ所見つかっている。九電は「敷地に火砕流が到達した可能性は否定できない」として、姶良を含む5カルデラの監視活動の具体策を提示。巨大噴火の兆候や対応について「マグマが増える速さが10倍になれば、地殻変動などの観測を詳細に実施する」とした。これに対し島崎邦彦委員長代理は「10倍になるまで何もしないのはあり得ない」と指摘。もっと早くマグマがたまることを想定して基準を作るよう求めた。九電は、事故時の対応をまとめた保安規定を5月末に提出する予定。噴火の兆候の判断基準や対応策は、この規定に明記しなければならない。内容について、原子力規制庁幹部は「今後審査会合の場で検討する」としており、議論が長引く可能性もある。島崎委員長代理は23日の会合で、火山の影響評価について「われわれもしかるべき検討が必要だ」と言及し、専門家に意見を聞く考えを示した。規制委はこれまで、外部の意見を聞くことに否定的だったが、「火山の審査や新規制基準は不十分だ」との指摘が相次ぎ、方針転換したとみられる。

*1-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140426&ng=DGKDASFS2504K_V20C14A4EE8000
(日経新聞 2014.4.26) 川内原発、今夏再稼働なら九電管内の余力14.2% 経産省が試算
 経済産業省は25日、九州電力川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県)が今夏に再稼働すると、九電管内の電力需給の余力をあらわす予備率が14.2%になるとの試算を明らかにした。川内原発が動かなければ、予備率は安定供給に最低限必要な3%ちょうどだった。川内原発が再稼働すれば昨年より電力需給が厳しい西日本全体でも余力が生まれる可能性がある。経産省が同日開いた電力需給検証小委員会(委員長・柏木孝夫東工大特命教授)に示した。原子力規制委員会による安全審査が進む川内原発の再稼働は8月以降の見通し。予備率は8月に1基の再稼働が間に合えば8.9%に、2基なら14.2%に上がるという。川内原発が2基動けば需要に対する供給の余力が51万キロワットから238万キロワットに増す。仮に100万キロワット級の火力発電所が停止しても供給力にまだ余裕がある。九電で余った電力は関西電力などに融通することも可能。西日本では今夏、関電の予備率が3%ちょうど。経産省は川内原発の再稼働による融通の拡大効果は見込まなかったが、関電管内の電力需給にもゆとりが出る可能性もある。同小委は中部電力と北陸電力を含む西日本の今夏の予備率が3.4%との報告書を正式に了承した。昨夏より2.5ポイント悪化しており、政府は5月中に全国への節電要請の内容を決める。

*2-1:http://thepage.jp/detail/20140303-00000011-wordleaf
(THE PAGE 2014.3.3) 300年間沈黙の富士山 巨大地震で噴火誘発か?
 2月23日は「富士山の日」。昨年はユネスコの世界遺産リストに登録され、“日本のシンボル”としても世界にアピールする富士山だが、その一方で懸念されているのが噴火の可能性だ。300年間も噴火もなく優美な姿を見せ続ける富士山に対して、特に2011年3月11日に起きた東日本大震災、さらには静岡県沖から四国・九州沖で発生が予測される“南海トラフ地震”の誘発による噴火の可能性を、火山学者らは指摘する。美しさを翻して突然襲いかかる自然の猛威に、いっそうの心構えや防災の準備は必要だ。
●世界の巨大地震と火山噴火
 これまで世界各地で発生したM(マグニチュード)9クラスの巨大地震は、「例外なく火山噴火を誘発した」と指摘するのは火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長(東京大学名誉教授)だ。1952年のカムチャツカ地震(M9.0)、57年のアンドレアノフ地震(M9.1)、60年のチリ地震(M9.5)、64年のアラスカ地震(M9.2)、2004年のスマトラ島沖地震(M9.0)では、いずれも近くの複数の火山が翌日から数年以内に噴火した。地震が火山の噴火を誘発するメカニズムのうち最も有力なのは、地震によって岩盤内の応力が変化し、火山の地下にある“マグマだまり”の圧力が減少する。するとマグマの二酸化炭素などの揮発性成分が発泡して軽くなり、上昇を始める。いったん上昇しだすと、さらにマグマの圧力が下がるので、どんどん発泡が促進され、さらにマグマが深くから供給されてくる、という仕組みだ。東日本大震災での地震も、M9.0という巨大地震(東北地方太平洋沖地震)だった。この巨大地震の発生直後、北海道から九州に至る20の火山の直下で一時、地震活動が活発化した。多くは1~2日で収まったが、箱根山(神奈川・静岡県)や焼岳(長野・岐阜県)では人に感じる有感地震もあった。また、震災4日後の3月15日夜には富士山の直下約15キロを震源とするM6.4の地震が発生し、静岡県富士宮市で震度6強が観測された。「このまま富士山噴火につながるのでは…」と、多くの火山学者らに一時緊張が走った。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S10979957.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞社説 2014年2月15日) 浜岡原発 動かしてはならない
 中部電力が浜岡原発4号機(静岡県)の再稼働を、原子力規制委員会に申請した。浜岡を動かしてはならない。その再稼働の可否は、規制委の審査の次元を超えている。国全体のリスク管理の一環として、政府が主導して廃炉にしていくべきだ。理由ははっきりしている。浜岡原発が、南海トラフ巨大地震の想定震源域に立地しているからだ。複合災害を含め、どんな被害が生じるかはまさに未知数である。必ず「想定外」のことが起きる。そこを出発点に、あらためて原発の必要性を問い直し、できるだけ危険性を小さくすることが、福島での過酷事故を経験した私たちの義務だ。福島第一原発の事故で避難指示の対象となった被災者は8万人以上にのぼる。浜岡原発から30キロ圏内の防災重点区域の人口は約86万人。事実上、避難は不可能と考えるべきだ。近くには東名高速、新東名高速、東海道新幹線が通り、人やモノが日々、大量に行き交う交通の要所である。放射能漏れが起きれば、東西を結ぶ大動脈が断たれ、日本全体がまひしかねない。自動車産業を中心に製造業が集積する拠点でもある。経済活動への世界的な影響ははかりしれないだろう。「そもそも建てるべきではなかった場所にある原発」といわれるゆえんである。再稼働には地元の合意が必要だが、静岡県知事は慎重な姿勢を崩していない。中部電力が安全協定を結んできた4市でも、例えば牧之原市議会は「確実な安全・安心が担保されない限り永久停止」を決議している。原発の潜在リスクが企業の立地回避や、お茶など農産品の風評被害につながりかねないという懸念がある。浜岡原発が廃炉となれば、中部電力の経営には打撃になる。廃炉に向けて、政府はさまざまな支援を講じる必要もあろう。ただ、中部電力は発電設備に占める原発の比率が10・6%と、他の大手電力より低い。このため原発停止後の燃料費増を受けた電気料金の値上げ幅も小幅にとどまっている。原発に依存しないぶん、大阪ガスとパイプラインを構築したり、東京電力管内での電力販売に名乗りを上げたりと、経営に独自性をみせる電力会社だ。今後の電力システム改革の中で、いち早く競争力をつける可能性がある。浜岡の再稼働にこだわらず、負荷をチャンスへと転じる好機ととらえてはどうか。

*3-1:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140418/dst14041820530009-n1.htm (産経ニュース2014.4.18)「凍土壁」6月着工困難に 規制委と経産省の対立露呈 福島第1原発
 東京電力福島第1原発事故の汚染水問題で、経済産業省と東電が建設を進める「凍土遮水壁(とうどしゃすいへき)」について、原子力規制委員会は18日の検討会で、原子炉建屋が地盤沈下したり周囲環境に影響を与えたりする可能性があるなど、安全性の問題を次々と指摘した。会合では経産省と規制委との対立が露呈し、政府が目指す6月の着工は困難になった。規制委の更田豊志委員は「どれだけ安定的に(凍土壁を)管理できるか。不測の事態に何が考えられるか検討したい」と述べ、経産省と東電に対し質問リストを出すことを明らかにした。凍土壁は汚染水対策として、政府が昨年9月に国費約320億円の投入を決定。東電は今年3月、規制委に凍土壁設置の申請書を提出し、規制委は安全性と有効性の点から設置の認可を検討してきた。会合では、安全性に疑問を示す規制委側に対し、経産省側は「過去に一線級の専門家に集まってもらい検討した」と強調したが、更田委員が「一線級だろうが関係ない。データや根拠を示してほしい」と声を荒らげる場面もあった。規制委側は特に、凍結管を地中深くまで掘って設置することから「帯水層に影響が出ないか」「大規模な凍土壁は前例がなく制御できるか」と懸念。また電気代など毎年維持費に数十億円かかるという点についても疑問視している。検討会のメンバーである高木郁二・京都大教授も「地下水の動きをちゃんと分かっているわけではない。(データの把握に)すごく時間がかかるかもしれない」と述べた。規制委は現状では認可しない構えだが、東電はすでに本格着工に向けた試験ボーリングを開始。今年度中の完成を目指しているが、規制委の反対で汚染水問題の解決そのものが停滞する可能性がある。

*3-2:http://www.minyu-net.com/news/news/0426/news8.html
(2014年4月26日 福島民友ニュース)基準値超の井戸、運用停止 第1原発・地下水バイパス
 東京電力福島第1原発の地下水バイパス計画で、赤羽一嘉経済産業副大臣は25日、くみ上げ専用井戸12本について、地下水の放射性物質濃度が東電の基準値を上回った井戸ごとに運用を停止する方針を示した。同日、県庁で面会した佐藤雄平知事に伝えた。個別の井戸で基準値を超えても東電はくみ上げ継続を強調してきたが、国の方針を受けて対応を急きょ転換し、運用停止を決めた。地下水バイパス計画は、井戸12本の水を集めた段階で分析し、基準値を下回れば海に放出する計画だが、赤羽氏は「地下水バイパスを慎重に運用していく観点から、井戸の水が(基準値を)上回った場合はいったんくみ上げを停止する」と運用停止を表明。基準値を超えた井戸でもくみ上げを継続するとしていた東電の方針については「慎重で安全に運用するよう指導する」と井戸の運用に積極的に関与する考えを強調した。

*3-3:http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201404&storyid=56243
(南日本新聞 2014.4.18) [汚染水トラブル] コントロールに程遠い
 東京電力が福島第1原発の汚染水約200トンを誤って移送した、と発表した。使わないはずのポンプ4台が動き、別の建屋の地下に高濃度汚染水が流入したという。にわかに信じがたい理由である。この発表の2日後には、汚染水対策の切り札とされる多核種除去設備(ALPS)でも、高濃度汚染水約1トンが漏れている。予定していた今月中の本格稼働は絶望的な状況だ。安倍晋三首相が「状況はコントロールされている」と明言したのは昨年9月だった。それから半年以上たったのに、現実はコントロールに程遠い状況である。汚染水処理につまずけば、本格的な廃炉作業は遅れるばかりだ。地元住民の不安、不信も一向に解消されない。首相は「国が前面に出る」と繰り返してきた。有言実行を求めたい。最大の疑問は使う予定のないポンプ4台が、なぜ作動したかだ。東電は配電盤にあるスイッチを作業員が故意に操作した可能性も含め、調査を進めている。当然ながら原子力規制委員会は監視体制の強化を東電に求めた。具体的には配電盤の施錠、監視カメラの設置などだ。誤送は2月にも起きている。誤って送られた高濃度汚染水が地上タンクからあふれ、タンクを囲むせきの外に約100トンが漏れた一件である。この時も閉めているはずの配管の弁が開いていた。後に何者かが誤って開け、そのミスを隠蔽(いんぺい)した疑いが出てきた。調査はうやむやに終わり、東電は弁に施錠し、監視カメラを強化した。どうして同様の対策をポンプでも講じなかったのか。異常に気づきながら現場確認は翌日とした対応を含め、緊張感に欠けると指摘されても仕方あるまい。汚染水が海に流出したり、タンクから漏れたりといったトラブルは昨年も相次いだ。その度に東電は後手後手の対応を厳しく批判された。いつまでも教訓を生かせないのは残念である。汚染水処理の現場では、1日約400トンの汚染水を貯蔵タンクの増設でしのぐ状況が続いている。「コントロール」どころか、深刻化の一途にあるとの危機感を持つべきだ。東電は廃炉、汚染水対策に特化した社内分社「福島第1廃炉推進カンパニー」を今月発足させた。汚染水を減らすための地下水バイパス計画も先週始まった。机上の計画は許されない。夏に向けて熱中症対策など、作業環境の改善にも努めるべきである。

| 原発::2013.11~2014.5 | 08:10 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.3.25 あまりにも甘い原発事故の認識と前のめりの原発再稼働申請にNO  (「2014.3.26 朝日新聞掲載の核燃料税批判は不当である」という追加あり)
     
       *2-3より       2014.3.24東京新聞  2014.3.17西日本新聞

(1)原発の安全性は100%保証されるのか
 *1-1のように、原子力規制委員会は2014年3月6日の審査会合で、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)と九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県)について、過酷事故対策や設備面で重大な問題はないとの認識で一致し、同4日には関電の大飯原発(福井県)と九電の川内原発(鹿児島県)も同様の認識で一致したそうだ。

 しかし、規制委は、*1-2のように「私どもは絶対安全とかそういうことは申し上げていない」「お墨付きを与えるためにやっている意識はない」としており、規制委が基準適合を判断したからといって、原発事故のないことが100%保証されたわけではない。さらに、提出された審査資料の厚さが10センチあろうと20センチあろうと、その内容が真実であり、質が高いとは限らないので、そこまで見抜ける審査でなければ審査する意味はない。

 そのような中、*1-3のように、西日本新聞は「原発審査、完璧ではないからこそ『公聴会』を」などとして再稼働に前のめりの論調が目立つ。しかし、一度原発事故が起きれば、周辺住民の健康や農林漁業など、生物に関する全てに大きな被害が及ぶため、まず、原発事故は100%起こさないというお墨付きがあった上で、それでも再稼働に反対か否かを決するために公聴会を開くべきなのである。「完璧でないからこそ『公聴会』を開き、そこで了承されれば、過疎地とその周辺住民、農林漁業や国土は犠牲にしてもよい」などという発想をするのは、フクシマ後も進歩していない証だ。

(2)フクシマから学ぶべきこと
1)住民の命と健康について
 *2-1のように、内閣府原子力被災者生活支援チームは、想定より高い数値が出たため、住民の帰還を妨げかねないとして、当初予定していた結果の公表を見送っていたことが、2014年3月24日に分かったそうだ。そろそろ、住民の命や健康より、地域振興のために住民の帰還を優先している政府の行動を見抜くべきだ。これで、住民の命や健康を守れるわけがないではないか。

2)農産物について
 *2-2のように、福島県内の農業用溜池576カ所の底の土から、1キロあたり8千ベクレルを超える高濃度の放射性セシウムが検出されていたことが今頃わかり、そのうち14カ所は10万ベクレルを超えるが、国は溜池を除染対象外としているそうだ。最も高濃度の37万ベクレルのセシウムが検出された明戸石池は、住宅街の中心部にあり、その農業用水は、ふもとの田畑で使われているので、いつ底の泥が舞い上がって流れ出すかわからない溜池の危険な農産物を「食べて協力」まですれば、住民は外部被曝だけでなく内部被曝にも晒される。

3)水産物について
 *2-3のように、事故後3年経ってもまだ試運転中の東電福島第1原発の汚染水処理設備「多核種除去設備(ALPS)」は、汚染水から放射性物質を取り除けないという本質的なトラブルでまた停止し、4月中の本格運転は厳しい状況になったそうだ。三陸の水産物を愛し利用していたすべての人が、この汚染水の被害者であるため、本当に汚染水から放射性物質を取り除く気があったのか否かまで含めて、その理由を明確にすべきだ。

 なお、*2-4のように、福島原発の地下水バイパスを福島県漁連に容認させ、県漁連は「苦渋の決断」 をしているが、これは、いろいろな証拠により、最初から計画されていたことだったと思う。つまり、原発推進論者は、ここまで、人工の核種による環境破壊と人命に無頓着な人々の集まりなのである。

(3)もう原発は不要であり、再生可能エネルギーの時代だ
 そのため、*3-1のように、原発再稼働に反対する立地自治体の地方議員有志でつくる原発立地自治体住民連合が3月24日、原発の安全性などに関する7項目の公開質問状を政府に提出し、川内原発を引き合いに、九電が存在を否定する活断層や巨大噴火のリスクも指摘した。質問状は、リスクを列挙した上で「それでも原発事故は100パーセント起こらないと住民に保証できるのか」と明確な回答を求めたそうだが、阿蘇、桜島、普賢岳の噴火でさえ想定外になっていそうであるため、全くもっともである。

 そして、*3-2のように、「自民党内に再生可能エネルギーの導入や普及を訴える『新エネルギー族議員』が形成されつつあり、情報収集や判断に優れた国会議員が入っているようだが、この族議員は歓迎である。

*1-1:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2643186.article.html
(佐賀新聞 2014年3月6日) 高浜、玄海原発も重大問題なし / 規制委の審査
 原子力規制委員会は6日の審査会合で、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)と九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県)について、過酷事故対策や設備面で重大な問題はないとの認識で一致した。4日には関電の大飯原発(福井県)と九電の川内原発(鹿児島県)も同様の認識で一致している。この日の会合では四国電力伊方3号機(愛媛県)についても議論されたが、規制委事務局幹部は「質問しても(四電から)十分な回答がなく、消化不良だった」と述べ、検討が不十分との見解を示した。規制委は、審査の最終段階となる審査書案作成に進む原発を絞り込む方針。

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11009767.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞社説 2014年3月4日) 原発と政治 このまま「安全宣言」か
 新たな「安全神話」が形づくられようとしていないか。安倍政権が示したエネルギー基本計画案に、原発再稼働の手順が示された。安全性は原子力規制委員会の専門的判断に委ねる。規制委が新規制基準に適合していると認めた原発は再稼働を進める。国は立地自治体などの理解と協力を得られるよう前面に立つ。要するに、規制委の基準に適合した原発は国が全力で支援して動かすというわけだ。安倍首相は参院予算委員会で「世界で最も厳しい基準で安全だと判断されたものは再稼働していきたい」と述べ、閣僚らからも規制委の判断を「安全宣言」とみなす発言が相次ぐ。だが規制委の田中俊一委員長は「私どもは絶対安全とかそういうことは申し上げていない」「お墨付きを与えるためにやっている意識はない」という。確認しておきたい。新しい規制基準は原発事故以前よりもずっと厳しいが、万全ではない。たとえば、放射能が原発敷地外に放散した場合には周辺住民の避難が必要だが、規制基準に避難計画は入っていない。具体的な計画づくりと実施は、自治体や国の仕事になっている。規制委が基準適合を判断したからといって、住民の安全が保証されるわけではない。人口密集地に近い東海第二(茨城県)、浜岡(静岡県)の両原発や、県庁所在地にある島根原発についても、電力事業者は再稼働をめざしている。防災計画の策定が義務づけられた30キロ圏内の人口は、東海第二が98万人、浜岡では86万人、島根で47万人にのぼる。格納容器が破損する事態となれば、25時間以内に30キロ圏内の避難が必要という試算もある。津波や地震を伴う複合災害となれば、道路の寸断や大渋滞も起きるだろう。そうした中で、これだけの人を被曝(ひばく)させずに避難させることができるのか。日常を砕かれる住民への賠償の仕組みが全く不備だったことも、福島での事故で明らかになった。日本最大だった東京電力ですら支払いは不安だらけだ。他の事業者ならなお困難なのに、新たな仕組みも詰めないまま見切り発車するのか。事故の教訓のひとつは、万一に備えることだ。規制委の適合判断でどこまでリスクが減らせるか。それだけでは足りないものは何なのか。そこを見極め、国民に正直に説明することが、政治の使命である。規制委の判断をもって、住民を守る安全論議に終止符を打つことではない。

*1-3:http://qbiz.jp/article/34234/1/
(西日本新聞 2014年3月24日) 原発審査、完璧ではないからこそ「公聴会」を
 原発再稼働の前提として原子力規制委員会が進める審査は、九州電力の川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)を優先することが決まり、大詰めに入った。だが、ここにきて審査終盤に科学的な意見を地元で聴く「公聴会」(仮称)をめぐり、規制委と立地自治体が対立している。地元の要請と共催を条件としたい規制委と、あくまでも規制委の責任での開催を求める自治体。最悪なのは、押し付け合いの末、住民が原発の安全性を考える貴重な機会が失われることだ。「規制委の責任で(公聴会の)位置付けや対象、開催範囲を明確にして、主催すること」。原発がある道と県の知事と議会議長らが、今月に入って相次いで同様の要請書を規制委に提出した。26日に公聴会の開催要領を公表する規制委は、開催条件を変えるつもりはなさそうだ。このままでは、自治体から要請がなく、開催されない恐れがある。なぜ、こんなに及び腰なのか。「今度やらせが起きれば終わり…」。関係者はこう漏らす。旧原子力安全・保安院が、九電玄海原発(佐賀県玄海町)のシンポジウムなどで電力会社に動員を要請した「やらせ問題」。原発不信を高めた苦い経験として、国と自治体の記憶に刻まれている。規制委は同じ過ちを犯さないため、開催場所や手法などを自治体に決めてもらおうと考えた。これに対し、自治体側は「責任だけ押し付けるな」と反発している。迷わずに開催すべきだ。理由は大きく二つある。一つは、規制委の審査が完璧ではないからだ。過酷事故対策などが加わった新規制基準による審査は、初めての経験。従来2年以上かけていた審査を、昨年7月から急ピッチで進めている。審査に提出される資料が厚さ10センチ近いのも珍しくない。「われわれも完全とは言えない」(田中俊一委員長)というなら、外部の意見に真摯(しんし)に耳を傾け、精度を高める必要がある。もう一つは、鹿児島、佐賀両県に原発の安全性を評価する組織がないことだ。四国電力伊方原発がある愛媛県では独自の委員会が精力的に活動し、関西電力大飯原発などがある福井県は再稼働の是非まで自ら判断するという。類似の組織がない鹿児島、佐賀両県では、地元ならではの科学的な知見を吸い上げ、検討する場が乏しい。「3・11」からまだ3年。国民の原発への不安はまだ強い。丁寧な手順が求められる重要な場面で、国も、自治体も、逃げることだけは許されない。

*2-1:http://mainichi.jp/select/news/20140325k0000m040151000c.html
(毎日新聞 2014年3月25日) 福島原発事故:被ばく線量を公表せず 想定外の高い数値で
◇内閣府のチーム、福島の3カ所
 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示の解除予定地域で昨年実施された個人線量計による被ばく線量調査について、内閣府原子力被災者生活支援チームが当初予定していた結果の公表を見送っていたことが24日、分かった。関係者によると、当初の想定より高い数値が出たため、住民の帰還を妨げかねないとの意見が強まったという。調査結果は、住民が通常屋外にいる時間を短く見積もることなどで線量を低く推計し直され、近く福島県の関係自治体に示す見込み。調査結果を隠したうえ、操作した疑いがあり、住民帰還を強引に促す手法が批判を集めそうだ。毎日新聞は支援チームが昨年11月に作成した公表用資料(現在も未公表)などを入手した。これらによると、新型の個人線量計による測定調査は、支援チームの要請を受けた日本原子力研究開発機構(原子力機構)と放射線医学総合研究所(放医研)が昨年9月、田村市都路(みやこじ)地区▽川内村▽飯舘村の3カ所(いずれも福島県内)で実施した。それぞれ数日間にわたって、学校や民家など建物の内外のほか、農地や山林などでアクリル板の箱に個人線量計を設置するなどして線量を測定。データは昨年10月半ば、支援チームに提出された。一般的に被ばく線量は航空機モニタリングで測定する空間線量からの推計値が使われており、支援チームはこれと比較するため、生活パターンを屋外8時間・屋内16時間とするなどの条件を合わせ、農業や林業など職業別に年間被ばく線量を推計した。関係者によると、支援チームは当初、福島県内の自治体が住民に配布した従来型の個人線量計の数値が、航空機モニタリングに比べて大幅に低かったことに着目。関係省庁の担当者のほか、有識者や福島の地元関係者らが参加する原子力規制委員会の「帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム」が昨年9〜11月に開いた会合で調査結果を公表し、被ばく線量の低さを強調する方針だった。しかし、特に大半が1ミリシーベルト台になると想定していた川内村の推計値が2.6〜6.6ミリシーベルトと高かったため、関係者間で「インパクトが大きい」「自治体への十分な説明が必要」などの意見が交わされ、検討チームでの公表を見送ったという。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/ASG2G014KG2FUGTB00Y.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2014年2月25日) 福島のため池に高濃度汚染土 10万ベクレル超14カ所
 福島県内の農業用ため池576カ所の底の土から、1キロあたり8千ベクレルを超える高濃度の放射性セシウムが検出されていたことが県などの調査でわかった。うち14カ所は10万ベクレルを超えていた。国はため池を除染対象外としているが、農業用水を供給している池や住宅街にある池も多い。汚染土の農地流出や住民の健康被害を不安視する県は、国に汚染土の処理を求めている。8千ベクレルを超える汚染土などは、国の責任で処分する指定廃棄物に相当する。また、環境省は県内で発生する除染廃棄物のうち10万ベクレルを超えるのは2千分の1以下と推定している。県によると、県内の農業用のため池は3730カ所。県と農林水産省東北農政局は2012年2月~昨年12月、地域のバランスを考えて選んだ計1939カ所の底にある土壌を初めて調べた。その結果、東京電力福島第一原発事故で住民が避難した国の避難指示区域内では108カ所(調査対象の41・2%)、事故後も水田や畑にため池の水を供給している同区域外では福島市や伊達市などの中通り地方を中心に468カ所(同27・9%)から土1キロあたり8千ベクレル超のセシウムが検出された。10万ベクレルに達した池は区域内で9カ所、区域外で5カ所あり、最高は区域内にある双葉町の大南廹(おおみなみさく)ため池(39万ベクレル)だった。県農地管理課によると、事故直後に原発から飛散したセシウムがちりに付着して雨とともに降り注いだり、周囲の山林から土砂と一緒に流れ込んだりして、ため池に蓄積したとみられる。担当者は「すり鉢状で土砂がたまりやすいため池は、周囲の汚染土壌が集まり、特に高濃度になりやすい」と話す。また、同課によると、高濃度セシウムが見つかった池の中には、事故後も夏場に水位が下がり、底の土がむき出しになる所がある。渇水や大雨で濁った池で取水し、農地に汚染土が流れ込む恐れもある。住宅街の池も多く、土が露出すれば周辺住民の健康被害の心配もあるという。一方、環境省除染チームの担当者は「住民の健康に影響が出るほど周辺の空間放射線量は上がっていない」として、現時点では除染しない構えだ。農水省防災課も「除染は環境省の所管。農水省の事業として検討対象にしていない」と及び腰で、池の汚染状況を環境省に情報提供するにとどまる。除染費用は放射性物質汚染対処特措法に基づいて国が東電に請求できる。だが、農水省が土の除去をすれば除染とみなされず、国費負担になる可能性があるという。県農地管理課の試算によると、中間貯蔵施設への輸送も含む全てのため池の除染費用は約154億円。国が新年度予算案で計上した除染費用は約2600億円。菊地和明課長は「この1割弱で賄える。どこの予算でもいい。お金さえあれば作業は県でもやれる」と、一刻も早い予算化を求めている。汚染土の扱いが宙に浮いたまま、春には再び池の水で農作業が始まる。
■「コメ作れるのか」
 避難指示区域外で最も高濃度の37万ベクレルのセシウムが検出されたのは、第一原発の西約55キロにある本宮市高木の明戸石(みょうといし)池。1980年代から開発され、高台の20万平方メートルに392世帯の住宅や高校などが集まる住宅街の中心部にある。池の水はセシウムが検出下限値未満。農業用水として、ふもとの田畑で使われている。根本得夫さん(65)はこの水を約30アールの田に引き、稲作を続けている。事故後に収穫したコメは全袋検査で、すべて検出下限値未満だった。だが、不安は消えない。「祖父の代から利用している池が使えなくなれば、コメを作れなくなる」とため息をついた。明戸石池の近くに住む町内会長の石井清さん(71)は「池の水が干上がって、土が空気中に舞い上がったら、ここに住めなくなるかも。行政は何の対策もしないつもりか」と憤る。
    ◇
 水環境に詳しい独立行政法人農研機構農村工学研究所の白谷栄作・研究調整役の話 年月がたてば堆積(たいせき)した土でため池の底が浅くなったり、少雨で水位が下がったりして、汚染土が露出する危険も高まる。生活圏にあるため池の高濃度汚染土は早く除去すべきだ。

*2-3:http://qbiz.jp/article/34196/1/
(西日本新聞 2014年3月23日) 汚染水「浄化完了」一層困難に 東電
 試運転中の東京電力福島第1原発の汚染水処理設備「多核種除去設備(ALPS)」が、汚染水から放射性物質を取り除けないトラブルで停止、東電が目指す4月中の本格運転は厳しい状況になった。敷地内の地上タンクにたまり続ける汚染水の浄化を来年3月までに完了するとの目標達成も一層困難になってきた。ALPSはトリチウム以外の62種類の放射性物質を除去でき、汚染水対策の切り札とされる。18日に発覚したトラブルでは、3系統のうち1系統の出口で17日に採取した水からベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり最高1400万ベクレル検出。本来なら、数億ベクレル程度の汚染水が数百ベクレル程度まで浄化されるはずだった。水の採取が週3回だけだったため異常の把握が遅れ、浄化できなかった約2500トンの汚染水が「J1」と呼ばれるタンク群に流れ込み、浄化済みの水と混じって汚染が拡大。タンク21基に計約1万5000トンが入っており、東電は汚染状況の確認に追われている。敷地内の汚染水を来年3月までに浄化するとの目標は、昨年9月に安倍晋三首相が第1原発を視察した際に、東電の広瀬直己社長が表明した。達成には汚染水を1日当たり1960トン処理しなければならない計算で、ハードルは極めて高い。試運転中のALPSは3系統がフルに運転すると1日で約750トンを処理できるとされ、東電は同規模の設備を増設する方針。さらに国の補助を受けて整備する「高性能ALPS」も導入し、今年10月以降、計3設備で処理量を増やす計画だ。尾野昌之原子力・立地本部長代理は「改善点を新しい設備に反映させる。今回の件が、ただちに計画に影響を与えるとは思わない」とする。だが今回のトラブルの原因究明や、設備の洗浄などにかかる時間は不明で、本格運転の見通しは立たない。3設備を合わせても処理量は1日約2000トンで、1960トンを維持するには綱渡りが続く。

*2-4:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2651923.article.html
(佐賀新聞 2014年3月25日) 福島原発、地下水バイパスを容認 / 県漁連「苦渋の決断」
 福島県漁業協同組合連合会(県漁連)は25日、いわき市内で組合長会議を開き、東京電力と国が福島第1原発の汚染水対策で計画している「地下水バイパス」を容認することを決めた。県漁連の野崎哲会長は記者団の取材に「福島第1原発の廃炉の一助になるため、責任をもって回答した。容認は漁業者にとって苦渋の決断だ」と述べた。野崎会長は、経済産業省と東電に対し、排出する地下水に含まれる放射性物質濃度の基準を厳守することや、風評被害対策など5項目の要望書を手渡した。地下水バイパスは、原子炉建屋に入る前の地下水をくみ上げ、海に放出する計画。

*3-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014032502000162.html (東京新聞 2014年3月25日) 原発事故絶対ない 保証あるのか 立地議員連合 政府に質問状
 原発再稼働に反対する立地自治体の地方議員有志でつくる原発立地自治体住民連合は二十四日、原発の安全性などに関する七項目の公開質問状を政府に提出した。今後、最も早く再稼働する可能性が高い九州電力川内(せんだい)原発を引き合いに、九電が存在を否定する活断層や巨大噴火のリスクも指摘した。質問状は、リスクを列挙した上で「それでも原発事故は百パーセント起こらないと住民に保証できるのか」と明確な回答を求めた。回答がない場合、国会議員を通じ、閣議決定した回答が義務付けられる質問主意書を政府に提出する。共同代表を務める福島県いわき市の佐藤和良市議は国会内で記者会見し「原子力規制委員会は福島の汚染水対策に全力を挙げないといけないのに、川内の再稼働に全力を挙げている」と批判。住民連合を支援する作家の広瀬隆氏は「地元住民は自分たちの生活や命が奪われる恐怖と隣り合わせだ。まずは川内の再稼働を阻止しないといけない」と訴えた。質問状は規制委の審査に対する第三者チェック機関の設置時期や全原発について耐えられる直下型地震のマグニチュードの回答も求めた。同連合の参加議員は十三道県の百四十七人。

*3-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11047349.html?_requesturl=articles/DA3S11047349.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11047349 (朝日新聞 2014年3月25日) 「新エネ族議員」我も我も 自民、予算拡大にらみ
 自民党内に、再生可能エネルギーの導入や普及を訴える「新エネルギー族議員」が形成されつつある。国の新たなエネルギー基本計画に、再生可能エネルギーの数値目標を盛り込むよう要求しており、予算獲得を狙ったアピール合戦の様相も呈している。「私は水素族の族長だ」「私はメタン(ガス)族だ」。原発再稼働派が幅をきかせる自民党だが、今月に入ってからの党資源・エネルギー戦略調査会などでは、新エネルギー別に自ら「族」を名乗る議員が続出している。木質バイオマス発電を推進する「バイオ族」、水素による燃料電池などの普及を目指す「水素族」、メタンハイドレート採掘の技術革新を訴える「メタン族」などが代表格で、「国策として推進を」と政府に迫っている。背景には「脱原発」への動きに加え、新エネルギーへの予算拡大が見込まれる中、発電施設の選挙区への誘致などをにらんで、今から影響力をはたらかせておこうという狙いもありそうだ。


PS(2014.3.26追加:朝日新聞掲載の核燃料税批判は不当である):*4に、「原発停止状態でも2014年度以降、少なくとも年間計109億円の税収が確保される」「税収の大半は値上げされた電気料金で賄われており、電気利用者に負担が押しつけられている」「新たな仕組みでは、原発が止まっていても一定額の税収を確保できるためだ」と批判的に書かれているが、これは的を得ない批判だ。

 その理由は、原発停止状態でも、使用済でも、核燃料を保管している限り、立地自治体や周辺自治体には環境リスクがあり(フクシマ以降、明確になった事実)、このリスク料として地方自治体は核燃料税を徴収しているからだ。そのため、これを無料にすれば、原発由来の電力利用者は、甚大な公害のリスクを与えながら対価を支払わないフリーライダー(経済学用語)になる。

 そのため、このブログの「原発」のカテゴリーに記載してきたように、電力会社は発電方法毎に子会社を作って収益と費用を明確に区分し、電力利用者が、どの発電方法由来の電力を使用するかを選択できるようにすべきであるし、電力自由化を行って、旧電力会社の地域独占を排することが必要不可欠なのだ。

 なお、玄海町の場合は、原発からの交付金をもらっている間に、薬草栽培の研究、鯛の養殖、高速道路へのアクセス道路の整備など、脱原発後を見据えた投資もしてきたが、原発立地地域や周辺自治体が原発依存から本当に抜け出せるためには、通常の企業を誘致したり、産業を育てたりしなければならず、それには、まず原発のリスクを取り除く必要がある。

 そのためには、早急に原発を廃炉にして、現在、保管してある使用済核燃料をどこかに運び出し、通常の産業を振興できる体制の整備を行う必要がある。しかし、*4のように、メディアが浅薄な知識で視野も狭いまま一方的な批判を繰り返せば、まともなことでも悪いことであるかのようなイメージをつけられるため、メディアの記者はもう少し深く勉強して、このような批判はやめるようにすべきだ。

*4:http://digital.asahi.com/articles/ASG373WMBG37UTIL00Q.html?iref=comkiji_redirect&iref=comtop_6_04 
(朝日新聞 2014年3月26日) 原発止まっても核燃料税 8道県、109億円税収確保
 稼働している原発の核燃料に課してきた核燃料税の仕組みを、原発が止まっていても電力会社などに課税できるように原発を抱える八つの道県が変えていたことがわかった。朝日新聞の調べでは、これにより原発停止状態でも2014年度以降、少なくとも年間計109億円の税収が確保されることになった。税収の大半は値上げされた電気料金で賄われており、電気利用者に負担が押しつけられている構図が浮かんだ。核燃料税は、自治体が地方税法で定められた住民税などのほかに、条例で課すことができる「法定外普通税」の一つ。原発の安全対策に使うとして福井県が1976年に始めた。東京電力福島第一原発の事故前は、古くなった核燃料の代わりに新しいものを挿入するたびに価格に応じて課税する仕組みで、原発が動いていることが前提だった。ところが、朝日新聞社が全国13の原発立地道県を調べたところ、8道県が事故後に、原子炉の規模を表す出力に応じて課税できる「出力割」を採り入れる条例を作っていた=表。新潟、静岡、島根の3県も導入を検討中だ。新たな仕組みでは、原発が止まっていても一定額の税収を確保できるためだ。現在、全国48基のうち稼働している原発はない。12年度実績では、13のうち8道県が税額ゼロだった。福井県は11年11月、最初に新制度を導入。それまでは原発停止中の税収はゼロだが、出力割によって常に年間60億円が入ることになった。同県税務課の担当者は「稼働の有無に税収が大きく左右され続けるのは好ましくない」と説明する。青森県は12年4月に出力割を導入し、今年4月から濃縮されるウラン製品などにかける税率を2・3倍にすることも決めた。4月以降、年間37億円増える。これを加えると、青森を含めた8道県は少なくとも146億円の税収を得ることになる。一方、福島県は「原発の稼働を前提とするはずの核燃料税は福島の状況にそぐわない」とし、12年12月に核燃料税をやめた。宮城県も13年6月の条例更新時に出力割の導入は見送った。核燃料税の増額分は、電気料金の値上げ幅に入れられていた。電力各社が13年、料金値上げ申請で経済産業省に提出した資料によると、北海道、関西、四国、九州の電力各社がそれぞれ、北海道、福井県、愛媛県、鹿児島県の核燃料税の増額分を、料金算定の基礎となる経費「原価」に上乗せしていた。核燃料税は道県の一般会計に入り、交付金として原発立地・周辺の市町村に一定割合が支払われることが多い。各道県は出力割導入や増額の理由について「福島事故により安全対策の必要性が増えたため」とするが、交付金の使途を見ると、物産館の建設費や商店街活性化策など安全対策からは遠い事業もある。核燃料税の税率を決める際、地方税法では納税する電力会社から意見を聴くよう定めているが、「電力料金を負担する住民の意見を聴く機会も必要だ」という意見が地方財政審議会では出ている。(大谷聡)
    ◇
 〈核燃料税〉 自治体が条例で独自に課税する法定外普通税の一つ。福島県を除く原発立地の全12道県が導入。このほかに、新潟県柏崎市と鹿児島県薩摩川内市が「使用済み核燃料税」を採り入れている。2012年度決算では、法定外税のうち原子力関係が7割を占める。総務相の同意を得る必要はあるが、税率は実質的に自治体のさじ加減次第と言われる。電力各社でつくる電気事業連合会によると、電力9社が支払った核燃料税は2010年度に計242億円、11年度に計59億円、12年度は67億円。
    ◇
〈清水修二・福島大教授(地方財政学)の話〉 福島事故により、電源三法交付金など原発を巡る仕組みは知られるようになってきた。だが、核燃料税を巡るからくりで、電気料金の使われ方に問題があることを市民はもっと認識すべきだ。福島事故後にもかかわらず、原発立地地域が原発への依存を続けていることの現れで、悪循環から抜け出さなければならない。

| 原発::2013.11~2014.5 | 05:50 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.3.13 原発に関する世論と選挙結果について
   
 *1-2より             原発に関するアンケート       *2-4より

(1)3号機は核爆発だったという隠された原発事故の真実
 *1-1に書かれているように、福島第一原発3号機は黒いキノコ雲が発生する大爆発をしたが、この爆発は、東電は「水素爆発」と言い続けているにもかかわらず、多くの専門家の分析から核爆発だったことが判明しており、その前提で考えれば、関東を含む広範囲の汚染や示される測定値が合理的に説明できる。

 このことについて、肝心なところでは「へなちょこ」の日本メディアは報道していないため、多くの日本人は知らないが、関心を持ってインターネット等で情報を入手している人は、外国の報道機関等が報道しているので知っている。そのため、そのような人たちから、*1-2のような大規模な国会周辺デモが発生したり、*1-3のように、独仏国境で独仏やスイスなどから集まった人が脱原発を訴えて「人間の鎖」をつくったり、*1-4のように、福岡へ移転する企業が増えたりしているのだ。

(2)世論調査の世論は、軽はずみで衝動的・情緒的なものか?
 *2-1に、元九州電力社長の眞部利應氏が、「世論調査は匿名で行われ責任を伴わないため、単純に好きか嫌いか、賛成か反対かなどの情緒的な思いを反射的に回答するその場限りのものだが、選挙時には、多くの国民は冷静に判断し、限られた情報からでも結果的に妥当な結論を導き出してくる。そう考えると、一国の運命に関わる極めて重要な政策を世論調査の世論で決めてしまうような軽はずみなことは避けるべきで、世論調査の世論をあたかも国民の意思であるかのように、声高に振りかざすことも止めてもらいたい」と書かれている。また、「選挙の事例でみると、確かに組織票とか選挙戦術とか個人的資質とか選挙の結果を左右する特有の事情が挙げられるが、それとは別に、国民の意志の有り様を見誤っているということが原因として考えられないだろうか」とも書かれている。

 しかし、選挙で原発の世論調査と異なる結果が出る理由は、国民が知れば選挙に大きな影響を与える(1)の真実がメディアで報道されないように、原発再稼働を目指す電力業界・経済産業省・与党が、権力や広告料でメディアを縛っているからである(縛られている方も、報道の理念を忘れ社会的責任を果たしていないため情けないが)。また、*2-2の「原発ホワイトアウト」に書かれているように、原発再稼働を目指す電力業界が、電力使用者から電力料金として集めた資金を合法的に選挙に投入し、電力使用者の名簿を提供して、選挙に大きな影響を与えていることもある。さらに、選挙では、原発問題1点に集中して選択しているわけではなく、与党の財政政策に期待した選択効果が大きい上、長く与党であった政党の方が候補者の質が高くなるという要因もある。

 一方、選挙で選ばれた首長も、*2-3のように、東電福島第1原発が立地する福島県双葉町前町長の井戸川克隆氏は、「福島事故以前は、国も東電も絶対に事故は起きないと言っていた」と指摘した上で、「事故を繰り返さないためには、国や電力会社が示す原発の安全対策に、国民が安易に妥協してはならない」と訴えた。また、*2-4のように、佐賀新聞社が佐賀県知事の古川康氏と佐賀県内20市町の首長に玄海原発再稼働や今後の原子力政策の方向性などについて考えを聞いたところ、再稼働について「賛成」としたのは玄海町長だけで、これは過疎化と電源開発交付金などのメリットが原因だ。

 さらに、*2-5のように、市全体が玄海原発の30キロ圏に入った伊万里市は、事故があれば全市民約5万7千人が市外に避難しなければならないが、防災体制の構築が遅れ、立地自治体並みの事前了解を盛り込んだ安全協定を結んで原発の意思決定に加わりたいにもかかわらず、九州電力との安全協定は九州の原発30キロ圏で唯一未締結となっており、安全審査が進む中でも事故前と変わらず再稼働のプロセスの「蚊帳の外」に置かれるのではないかとの不安が漂っているそうだ。

 つまり、脱原発の世論が情緒的で無責任なのではなく、選挙が、権力に抑えられたり、他の政策や実行力を重視したりしているのであって、脱原発、電力改革は、軽はずみどころか、真に的を得た国民の意思なのである。なお、眞部利應氏は、「声高に振りかざすことを止めてもらいたい」とも言っておられるが、日本は、憲法で「言論の自由」が保障されている国であるため、真実に基づかない名誉棄損などの不法行為でなければ、何を言っても自由だ。

(3)原発は、エネルギーの安定に寄与する重要なベースロード電源とは言えない
 このような中、世論を無視して、中長期のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の政府案が2月25日に公表され、「原発はエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置づけられ、安全性が確認されたものは再稼働を進めると書かれてしまった。

 そして、*3-1のように、原子力規制委は、地震動の想定を評価して川内原発を優先審査するとのことで、順調に進めば5月にも合格して、地元了解を得られれば夏ごろ再稼働する見込みだそうだが、これは、地元の人にはむしろ戸惑いを与えている。

 また、*3-2のように、原発事故に関する3つの事故調の元委員長は、再稼働に積極的な政府の姿勢を批判しており、*3-3のように、アメリカ原子力規制委員会のトップとして東電福島第一原発事故対応に当たったグレゴリー・ヤツコ氏も、「原発事故を完全に防ぐことはできない」「運転再開は世論の支持を得られなければ正当化できない」と述べた。神が作ったものでない以上、完全に事故を防ぐことができないのは当然であり、原発事故後は一時避難ではすまされないため、これらの状況が明らかになった以上、国土保全の為に、原発は再稼働すべきではないのである。

*1-1:http://saigaijyouhou.com/blog-entry-620.html
(真実を探すブログ 2013/7/31) 核爆発だった!福島第一原発3号機
【原発事故継続中】3号機から再び湯気!核爆発をした3号機は危機的な状態!福島原発の地下水観測孔では水位が上昇!1.8mから2.9mに!
 福島第1原発3号機から再び湯気の発生が観測されました。東電によると湯気は継続して発生しているようで、格納容器内に封入している窒素ガスが漏れ出した可能性もあるようです。3号機といえば、100メートル以上の巨大なキノコ雲が発生するような大爆発をした建屋です。この爆発について東電は「水素爆発」と言い続けていますが、多くの専門家の分析から「核爆発」の類であったことが判明しています。つまり、東電の予想以上に3号機の格納容器はボロボロの状態になっており、窒素ガスを入れようが直ぐに漏れてしまう状態に3号機はなっているということなのです。ハッキリ言って、3号機の状態は絶望的に近いと私は思います。しかも、東電によると福島原発では新たな問題が発生しているようなのです。以下は東電が7月30日に発表した「福島第一原子力発電所地下水観測孔No.1-1~No.1-4の地下水位について」という資料です。この資料には東電が福島第1原発に設置した観測用井戸の水位が書かれているのですが、資料を見てみると7月9日の水位が1.8メートルだったのに、7月30日の水位が2.9メートルにまで上昇しているのが分かります。
☆3号機建屋で湯気 第一原発放射線量変化なし
URL http://www.minpo.jp/news/detail/201307309960 
 東京電力は29日、福島第一原発3号機の原子炉建屋5階部分で出ていた湯気のようなものが確認されたと発表した。23日以降、断続的に出続けているとみられ、詳しい原因を調べている。午前7時ごろと午後4時ごろに確認された。東電は原因について、5階床の隙間から入り込んだ雨水が原子炉格納容器のふたで温められたことや、水素爆発を防ぐために格納容器内に封入している窒素ガスが漏れ出し外気との温度差で湯気となった可能性があるとみている。周辺のモニタリングポストで計測される放射線量に目立った変化はないという。
☆福島第一原子力発電所地下水観測孔No.1-1~No.1-4の地下水位について
URL http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2013/images/handouts_130730_04-j.pdf
 今年に入ってから相次いで汚染水漏れが判明したことから、東電は福島第1原発と海の間に「遮水壁」という壁を建設中です。福島第1原発と海の間を壁で覆うわけですから、今まで漏れていた汚染水は福島第1原発内部に溜まり続けます。そうなると、福島第1原発内部は汚染水が増加し、汚染水の水位が上昇するということなのです。これは私の推測ですが、遮水壁は5月頃から建設指示が出ているので、時期的に見ても一致しており、ある程度の壁が完成している可能性が高いと考えられます。また、7月に入ってから常に一定量で汚染水の水位が上昇していることも、工事と連動しているからと考えると辻褄が合います。
☆福島第一原発の遮水壁、対策工事は難航
URL http://www.asahi.com/area/fukushima/articles/MTW1307230700006.html
 現場の1、2号機タービン建屋の観測井戸付近。折からの雨の中、作業灯の強い光に、土中で固まる水ガラス薬剤を注入する機械8台が浮かび上がる。10人の作業員が全面マスク、ヘルメット、白い防護服の上に雨がっぱを着た完全装備で作業していた。 空間放射線量が毎時200マイクロシーベルトと高いため、2時間半ずつの2班交代で、午後7時から午前5時までの突貫工事を続けている。昼間しかできない他の作業との混雑や作業員の熱中症を避けるためだ。護岸に沿って薬剤を注入し、2列の遮水壁を造る応急対策。しかし今月8日から始まり、中旬には完成する予定だった1列目さえ、半分が完成したばかりだ。東電は、予想外の地盤の固さや熟練作業員の不足を、遅れの理由にあげる。「マンパワーの強化」を図り8月中旬の完成をめざす。だが同夜、現場を視察した赤羽一嘉・経済産業副大臣も「(東電の対応が)後手後手になっている」と認めた。 また護岸の地中に造る遮水壁の効果について、原発事故直後から建屋を囲む遮水壁を造ることを提案してきた京大原子炉実験所の小出裕章助教は「海側だけ造っても汚染水はやがて脇から流れ出す」と指摘する。
 情報を整理するため、簡単に福島原発で発生した最近の出来事を並べてみましょう。
  ①7月14日から7月15にかけて3号機スキマサージタンクの水位が1メートル以上も急低下。
  ②東電が報道向けメールにて「ホウ酸水注入準備」と伝える。
  ③7月19日に3号機で湯気が観測される。
  ④3号機周囲でのがれき撤去作業が一時中止。
  ⑤3号機の作業用トンネルから6億7000万ベクレル
  ⑥7月23日に東電が3号機の線量を公表。湯気が発生していた場所から毎時562mSv。
  ⑦7月23日、東日本各地の放射線量が上昇する。
  ⑧7月25日、福島第1原発6号機の冷却装置が一時停止。
  ⑨7月25日に新潟や福島などで線量が上昇。
  ⑩7月26日に3度目の湯気が観測される。
  ⑪7月26日に東京を含め、東日本の各地で放射線量が更に上昇。今月の数値では最大値を
    捉える。
  ⑫7月27日のふくいちライブカメラが一時的にオレンジ色になり、光の塊や煙みたいな物が写る。
  ⑬7月28日、再び東日本各地で線量が上がる。
  ⑭7月29日、3号機からまた湯気が発生。
 当ブログの過去記事を参考にして並べてみましたが、これは凄まじいですね。2011年の福島原発事故以降では過去最多ではないでしょうか?ここまで多くの異常が福島第1原発で連続発生するのは私も初めて見ます。ふくいちライブカメラで異常が見られたり、湯気の発生が観測されると東日本各地で放射線量が上昇する傾向が強いので、今後も東日本にお住まいの方は放射線量情報に要注意してください。マスコミや政府はあまり福島原発を重視していませんが、このように福島原発事故はまだ終わってはいませんので・・・。
☆BBC「日本、福島原発から水が漏洩されている事が懸念される」

*1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014031002000143.html (東京新聞 2014年3月10日) 3万2000人「忘れるな」 国会周辺デモ
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から3年を前に、大規模な脱原発デモが9日、国会周辺であった。毎週金曜日に首相官邸前で脱原発を訴え続ける首都圏反原発連合など3団体が主催。約3万2000人(主催者発表)が「事故を忘れるな」との声を上げた。デモに先立ち開かれた日比谷野外音楽堂の集会では「福島県内の全原発の廃炉を求める会」の呼び掛け人、名木(なぎ)昭さんが「二〇一一年三月十一日から時計は止まったまま。故郷を追われた人が自宅に戻れる保証はない。家族がばらばらになっているのが現状だ」と報告。三年を迎えても約十四万人が地元に戻れないことに危機感を募らせた。脱原発運動に取り組む音楽家の坂本龍一さんはゲストとして参加し、東日本大震災の一カ月後に作ったという曲を披露。坂本さんは「福島、関東、東北の人たちが手を取り合って脱原発の運動をやらないと絶対に成功しない。一番困っていても声を上げられない人の声を届けていかなければいけない」とスピーチした。集会後、参加者はプラカードやのぼり旗を持ち、ドラムをたたき、首相官邸や国会に向けデモ行進した。

*1-3:ttp://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014031000032
(時事ドットコム 2014/3/10) 9000人が「人間の鎖」=東電事故から3年、脱原発願い-独仏国境
 フランス東部エルスタンのゲルストハイム橋で、脱原発を願い「人間の鎖」をつくる人々=9日 【エルスタン(仏東部)時事】2011年3月の東京電力福島第1原発事故から3年を控えた9日、ドイツ・フランスの国境付近の九つの橋で、独仏やスイスなどから集まった約9000人が、脱原発を訴え「人間の鎖」をつくった。仏東部エルスタンのゲルストハイム橋には約500人が集結。「福島の悲劇を繰り返さない」と叫びながら、原発撤廃の願いを込めた風船を空に放った。参加者は拡声器を手に「事故の被害に苦しむ福島の人々の救済を諦めてはいけない」「今年の欧州議会選に向けて、脱原発の声を上げよう」と口々に主張。「目に見えず、音も聞こえない放射能の危険性を語り合おう」などと記した横断幕を掲げ、100メートル超にわたる橋を手をつないで埋め尽くした。

*1-4:http://qbiz.jp/article/33580/1/
(西日本新聞 2014年3月11日) 福岡へ企業移転今も 13年度50社進出、受け皿づくり進む
 東日本大震災の発生から11日で3年になる。震災後は、首都圏の企業が地震や津波のリスクが低いとされる福岡県に拠点を移転、新設する動きが相次いだ。この傾向は続いており、福岡市では、移転企業の受け皿となるオフィスビルなどの開発も本格化している。「現場はてんやわんやになった」。コールセンター代行キューアンドエー(東京)広報の大野香穂里さんは振り返る。同社のコールセンターは2011年3月の震災当時、東京と仙台市のみで、仙台の機能が3日間停止した。リスク分散のため同年11月に福岡市にもコールセンターを設け、通信販売の業務を全国展開している。福岡市経済観光文化局企業誘致課によると、本社機能移転を含む企業の福岡進出は11年度が40社、12年度が35社、13年度は50社。平均で震災前の2倍を超す水準で、11年度の進出のうち14社は災害リスクの軽減が目的だった。同課は「首都直下型地震や南海トラフ巨大地震などが取り沙汰され、現在も福岡移転を検討する企業は多いようだ」と話す。ヤフー(同)は4月に北九州市に自社ポータルサイトの3番目のニュース編集拠点を設け、大阪に続くバックアップ拠点にする。スマートフォン向け無料通信アプリを提供するLINE(同)は16年春、福岡市に千人規模が働く新社屋を開設。入居する子会社はLINE本体の業務も担う。ただ、福岡市の場合、中心部には古いオフィスビルが多く、移転のネックになっているとの指摘もある。築40年超の建物が並ぶ天神の明治通り地区では、福岡地所(福岡市)が「防災機能を備え、東京の会社が九州地区の拠点にできる仕様」のオフィスビルを計画し17年にも着工する。移転を検討する企業の取り込みも視野に入れる。福岡経済同友会は12年6月、災害時に官庁や省庁などの首都機能を担う代替拠点を目指し、福岡県への誘致の意義などをまとめた提言書を作成。福岡市も誘致に乗り出した。候補地には九州大箱崎キャンパス跡地(福岡市東区)も浮上し、14年2月にシンポジウムを初開催し、官民で誘致活動を進めていくことを確認した。福同友や同市は「誘致が実現すれば、災害に強い都市としてのイメージが強まり、企業誘致などに弾みが付く」としている。 

*2-1:http://qbiz.jp/article/33220/1/
(西日本新聞 2014年03月10日) 世論調査の世論
 よく世論調査の結果が報道される。ある政策なり考えなりについて、新聞、テレビやいろいろな調査機関が、広く一般国民の意見を聴き、統計的に国民が思考する方向性を探ろうとする。調査の手法は確立されていて、調査結果の精度は相当に高いものと思われる。しかし、ここ2〜3年の傾向を各地の自治体の首長選挙の結果からみると、必ずしも世論調査の内容通りとはいえないものが多いように見受けられる。これはどういうことであろうか。もちろん選挙は、様々な要素がからんでくるので、一概にこれだと理由づけることはできないであろう。とはいえ、あれだけ多くの自治体の選挙で、世論調査と異なる結果がもたらされていることについて、どのように受けとめればよいのだろうか。何か共通する原因があるのではないかと私なりに考えてみた。選挙の事例でみると、確かに組織票とか選挙戦術とか個人的資質とか選挙の結果を左右する特有の事情が挙げられる。しかし、それとは別に、国民の意志の有り様を見誤っているということが原因として考えられないであろうか。つまり世論調査は、匿名で行われ、かつ責任を伴わないものであるから、単純に好きか嫌いか、賛成か反対かなど、どちらかといえば情緒的な思いを反射的に回答するその場限りのものである。何日か経てば、本人はどのように答えたかも気にしていないと思う。これに対して投票などは、現実にその行為の結果によって良い影響または悪い影響が、後日確実に表れるものである。世論調査の段階では、政策に関してなんらかの思いは持っていても、それは具体的な根拠に基づくしっかりしたものではない。しかしながら、責任を伴う政策の選択の段階になると、「待てよ」と、今一度、自らの選択が現実社会において及ぼす影響について、真剣に考え始めるのではないだろうか。政策の実現性、有効性、利害得失などについて程度の差はあってもそれぞれが考え、より良い国、社会の実現を願って行動するのが普通であろう。普段は、衝動的、情緒的に行動する人たちの声が大きく鳴り響くため、それが民意であると思ってしまいがちである。しかしながら民意の採決の段階では、多くの国民は、冷静に判断し、限られた情報からでも、結果的に妥当な結論を導き出してくる。そのように考えると、世論調査の結果はどのように受けとめるべきかという本質的な問題に行き着く。一国の運命に関わる極めて重要な政策を世論調査の世論で決めてしまうような軽はずみなことは、ぜひとも避けるべきであろう。そして、そのようなものをあたかも国民の意思であるかのように、声高に振りかざすことも止めてもらいたいものである。
*眞部利應氏(まなべ・としお) 1968年九州電力入社。経営企画室長や熊本支店長などを経て、2007年に末席取締役から社長に就任。川内原発増設などを推進したが、11年夏の「やらせメール問題」を受け、再発防止策策定後の12年3月に社長退任。13年6月から現職。香川県出身、68歳。

*2-2:http://mainichi.jp/sponichi/news/20140112spn00m200018000c.html 
(毎日新聞 2014年2月24日) 「原発ホワイトアウト」:霞が関は犯人捜しに躍起…現役官僚の「原発小説」映画化へ
 原発再稼働を目指して暗躍する政官財の舞台裏を描いた、霞が関の現役キャリア官僚による告発小説「原発ホワイトアウト」の映画化の計画が進んでいる。出版元の講談社には複数の製作会社から打診があり、今月中にも製作会社やキャストが決定する見通し。映画界を代表する大物俳優の名前も挙がっている。著者の若杉冽さんは、本名や所属官庁など個人の特定につながる情報を一切明らかにしていない「覆面作家」。原発再稼働を目指す電力業界、業界を所管する経済産業省、与党の動きを生々しく描く。これまで9回増刷し18万部を販売した。若杉さんは「内幕を見ている自分が世の中に真実を伝えなくてはならないとの思いから書いた。多くの人が読んで、怒ってほしい」と話す。霞が関は「犯人捜し」に躍起だが、「第2弾、第3弾を考えている。これからも戦いを続ける」と宣言、手を緩めるつもりはない。

*2-3:http://qbiz.jp/article/33630/1/
(西日本新聞 2014年3月12日) 「原発の安全妥協するな」 前双葉町長、福岡市で講演
 東日本大震災から3年の11日、福岡市では東北から被災者を招き、原発の課題や復興の現状を聞く催しがあった。東京電力福島第1原発が立地する福島県双葉町の前町長、井戸川克隆さん(67)=写真=は「放射能に占領された町」と題して同市・天神で講演。「福島事故以前は、国も東電も絶対に事故は起きないと言っていた」と指摘した上で、「事故を繰り返さないためには、国や電力会社が示す原発の安全対策に、国民が安易に妥協してはならない」と訴えた。全国のグリーンコープ生協などでつくる被災地支援団体「共生地域創造財団」(仙台市)が福岡市博多区で開いた報告会では、宮城県石巻市の水産加工会社社長、高橋英雄さん(63)が被災者の収入格差拡大や、子どもの問題行動が増えている現状を紹介。津波被害に遭った工場復旧のため財団から支援を受けた体験から「震災で人生を考え直し、必要な人に手を差し伸べる重要さを学んだ」と語り、ニートの雇用などで地域貢献を続ける考えを示した。

*2-4:http://www.saga-s.co.jp/news/genkai_pluthermal.0.2644206.article.html
(佐賀新聞 2014年3月9日) 再稼働「条件付き賛成」15人 知事・首長
 福島第1原発事故から3年を迎え、佐賀新聞社は古川康知事と県内20市町の首長に玄海原発(東松浦郡玄海町)の再稼働や今後の原子力政策の方向性などについて考えを聞いた。再稼働については「条件付き賛成」が15人で最も多く、九州電力が新規制基準の適合性審査を申請した昨年7月の前回調査より1人増えた。「反対」は前回より1人減の4人、「賛成」は玄海町長だけだった。再稼働する場合の地元同意の範囲については「立地自治体とUPZ圏内」が7人で、「県内全自治体」6人、「立地自治体」3人、「その他」5人だった。再稼働の判断や地元合意の範囲については、政府が責任を持って主体的に説明することが必要とする声が多く、玄海原発の適合性審査が進む中、今後は、政府がどういう再稼働プロセスを示すのかが焦点になりそうだ。再稼働について、前回は「反対」としていた樋渡啓祐武雄市長と田中源一江北町長が「条件付き賛成」に変わった。樋渡市長は「規制委員会の審査が具体的に進んでいる」、田中町長は「安全確保が担保できれば」と理由を挙げた。一方、前回は「条件付き賛成」だった松本茂幸神埼市長は「反対」と回答。使用済み燃料など「最終処分の方法や処分地の受け入れ先などの課題解決が先決」とした。ただ、「条件付き賛成」を含め、「規制委員会が適合性を判断しても国が安全性の確保を保障し、十分な説明を行う必要がある」(秀島敏行佐賀市長)など、国に責任を持った対応を求める声が目立った。「選択せず」とした古川康知事は「現在、適合性確認の審査が行われており、現時点で申し上げる段階ではない」とした。また、九電に立地自治体並みの安全協定締結を求めている塚部芳和伊万里市長は「条件付き賛成」を選んだが、「協定を締結していない現時点では反対せざるを得ない」との考えを示した。再稼働する場合の地元同意の範囲は「立地自治体(玄海町と佐賀県)とUPZ圏内(原発から30キロ内の唐津市と伊万里市)」と「県内全自治体」が拮抗した。避難計画などの策定義務があるUPZ圏内が適当との考えのほか、「避難受け入れを含め、県内全体の問題」(小森純一基山町長)との考えも多かった。「その他」の回答では「地元自治体の理解が必要ということであれば範囲の考え方を含めて国が一定の考え方を示すべき」(古川知事)、「個々に意見は異なると考えるが、最低限、PAZ(原発から5キロ以内)圏の唐津市は含まれるべき」(坂井俊之唐津市長)といった意見のほか、「県内全自治体に加え、長崎県の近隣自治体との協議が必要」(谷口太一郎嬉野市長)など隣県を含めた検討の必要性を指摘する声もあった。原発の今後については、前回と同じく「将来的に廃止」が16人で最多。「数を減らして維持」は2人で、「その他」が3人。「現状維持」から「その他」に変わった橋本康志鳥栖市長は「電源確保は安全、安定的な供給が大前提。将来についてはさまざまな可能性を探りつつ、ベストミックスを選択すべき」と回答。「将来的に廃止」から「その他」にした松本神埼市長は、最終処分の問題を挙げ「解決できないなら廃止すべき」とした。古川知事は「その他」と回答、「中長期的には原発の依存度は下げていくべきだが、代替エネルギーの現状を考えれば、ただちにゼロは現実的ではない。エネルギー戦略は国が責任を持って決めるべきで、しっかりと議論し、提示してほしい」とした。

*2-5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2644991.article.html
(佐賀新聞 2014年3月11日) 原発30キロ圏の伊万里市 進まぬ防災体制
 福島第1原発事故の被害が半径30キロを超える広範囲に及んだことで、玄海原発(東松浦郡玄海町)から最短12キロの伊万里市も原発の“地元”になった。市域は30キロ圏にすっぽり入り、事故があれば全市民約5万7千人が市外に避難しなければならない。行政、市民レベルで防災体制の構築を進めているが、防災行政無線などハード整備は遅れ、九州電力との安全協定も九州の原発30キロ圏で唯一、未締結となっている。伊万里市は2012年4月に防災危機管理室を設け、原発事故対策を本格化させた。市防災計画に原子力災害対策を加え、独自の避難訓練実施などソフト面の対策を進めている。だが、ハード面は県からモニタリングポストと安定ヨウ素剤が配備されたほかは、ほとんど進んでいない。重要な情報伝達手段である防災行政無線整備に8億円、避難道路整備に36億円を見込むが、財源を確保できず計画は足踏み状態。新年度からは核燃料税の一部が県から配分されるが、再稼働がなければ交付額は年7500万円にとどまる。古賀恭二室長は「国は原発30キロ圏で防災対策を講じるように言うが、財源の手当はない。市単独ではハード整備は難しく、ソフト面を充実させても避難計画に不安は残る」と話す。
 ◇   ◇
 一方、防災意識は市民にも広がってきた。区長や防災委員を中心に市内全行政区で防災マップを作り、町単位で独自に避難訓練を行うなど原発事故への備えを進めている。民間病院では、医療関係者が中心となって防災研修会を毎月開催。それでも、市内で原発に最も近い波多津町の田中茂樹区長会長は「防災行政無線がないから、山や畑にいる人には避難警報が届かない。道も狭くて間違いなく渋滞する。お年寄りも多く、事故があったら逃げ切れるだろうか」と不安を漏らす。政府は原発の安全審査を進め、再稼働に向けた動きは加速している。再稼働に関しては“地元”の理解を前提とする考えを示しているが、地元の範囲や理解を得る方法など、プロセスはいまだ明らかにされていない。福島原発事故後、市は「30キロ圏内は地元であり、市民の安全安心の担保として原子炉施設の変更などに関する事前了解を含んだ『立地自治体並みの安全協定』を結ぶべき」と九電に求めてきた。当初は唐津市や長崎県松浦市など同じ30キロ圏内の自治体と足並みをそろえて要望してきたが、ほかの自治体は「事前説明」を含む準立地自治体並みの安全協定を次々に締結。川内原発(鹿児島県)の周辺も準立地自治体並みで妥結し、九州の原発30キロ圏では伊万里市だけが未締結となっている。
 ◇   ◇ 
 市は昨年8月から九電と単独交渉を重ねているが、九電はより原発に近い唐津市などの安全協定を前例に立地自治体並みを認めない姿勢を崩さない。塚部芳和市長は「立地自治体並みの安全協定がなければ再稼働は認められない」と後ろ向きな九電をけん制するが、現状では市長に再稼働をストップさせる法的な権限はない。塚部市長は3月初旬の会見で、協定締結のめどについて「交渉中であり、こちらから期限を区切ることはない」と明言を避けた。ある市議は「反対と言ってもなし崩しに再稼働に進んでしまう恐れもある。本音は地元の理解がカードになる再稼働前が交渉の勝負と思っているだろう」と推測する。立地自治体並みの事前了解を盛り込んだ安全協定を結び、原発の意思決定に加わりたい伊万里市。安全審査が進む中で、事故前と変わらず再稼働のプロセスの「蚊帳の外」に置かれるのではないか、焦りと不安も漂っている。

*3-1:http://qbiz.jp/article/33693/1/
(西日本新聞 2014年3月13日) 川内原発を優先審査へ 地震動の想定を評価、原子力規制委
 原子力規制委員会が進めている九州電力川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の安全審査で、九電が示していた想定される最大規模地震の揺れ(基準地震動)が12日、ほぼ固まった。施設や機器の耐震性の目安となる基準地震動が決まれば審査中の10原発17基で初めてとなる。規制委は基準地震動と最大規模の津波の高さ(基準津波)が決まった原発の審査を優先する方針。13日の規制委定例会合で原発の設備関係や火山の影響評価などで大きな問題が指摘されなければ、川内原発の優先審査入りが決まる見通しだ。規制委の田中俊一委員長は2月、優先審査に入る原発について「合格の見通しが立ったととらえていい」との考えを示しており川内原発が再稼働の前提となる「合格1号」に最も近づく。九電は、地震と津波に関する前回審査(5日)で、基準地震動を585ガル(ガルは揺れの勢いを表す加速度の単位)から620ガルに修正すると報告。12日の審査では修正の根拠となるデータを示し、「一定の確認はできた」(原子力規制庁)などと評価された。優先審査対象の条件の一つだった基準津波は、2月の審査で申請時の約3・7メートルから約5・2メートルに変更。12日は地震の規模をさらに引き上げても津波の高さは同程度になると説明し、異論は出なかった。原発の安全審査では、川内原発のほか、九電の玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)と関西電力の大飯原発3、4号機(福井県)が先行しているとみられていた。このうち玄海原発は、九電が基準地震動を川内原発と同じ620ガルに修正したが、規制委からの検討項目への回答を出せなかった。大飯原発は、想定する地震の震源の深さが特定できていない。川内原発の優先審査入りが正式に決まれば、規制委と規制庁が火砕流や敷地内断層などの残る審査に人員を集中させ、審査内容をまとめた「審査書案」を早期に作成。順調に進めば5月にも合格し、順調に地元了解を得られれば夏ごろに再稼働する見込み。川内原発は1号機(89万キロワット)が2011年5月、2号機(同)が同年9月に停止したままとなっている。

*3-2:http://mainichi.jp/select/news/20140311k0000m040030000c.html
(毎日新聞 2014年3月10日) 原発:再稼働積極的な政府の姿勢批判…3事故調の元委員長
 東京電力福島第1原発の事故原因を調査した、政府、国会、民間の3事故調の元委員長らが10日、日本記者クラブで開かれた討論会に出席した。政府が原発再稼働に積極的なことについて、「事故から学んでいない」などの批判が相次いだ。参加したのは、いずれも各事故調の元委員長の畑村洋太郎(政府事故調)▽黒川清(国会事故調)▽北沢宏一(民間事故調)−−の3氏と、米原子力規制委員会(NRC)前委員長のグレゴリー・ヤツコ氏。「規制委が安全と認めたものは地元の理解のうえで(原発を)稼働する」という政府の姿勢について、畑村氏は「安全性が確認されたから再稼働というのは論理が違う」と指摘。「想定外」だった福島の事故の教訓を生かしていないとの認識を示した。黒川氏も「あれだけの事故が起きても日本の社会が変わる気配がない」と厳しく批判。北沢氏は「事故は(再び)起こるかもしれない。(再稼働の是非は)国民がしっかり議論しなければならない」と指摘した。ヤツコ氏は「いまだに汚染水問題など課題は多い。事故は終わっていない」と述べた。

*3-3:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140312/k10015905701000.html
(NHK 2014年3月12日) 「原発事故 完全には防げず」
 アメリカ原子力規制委員会のトップとして、東京電力福島第一原子力発電所の事故対応に当たったグレゴリー・ヤツコ氏が、事故から3年の11日、NHKのインタビューに応じ、「原発事故を完全に防ぐことはできない」としたうえで、「運転再開は世論の支持を得られなければ正当化できない」と述べました。3年前の福島第一原発の事故で、アメリカ国内の対応に当たったアメリカ原子力規制委員会の前委員長、グレゴリー・ヤツコ氏は11日、東京都内で開かれたシンポジウムに参加したあとNHKのインタビューに応じました。ヤツコ氏は福島第一原発の現状について、「汚染水などによって放射性物質の放出が続き、問題は消えていない」と指摘したうえで、「人々の健康や環境に配慮できる人を現場の作業のトップに据え、避難している人たちに丁寧に説明することが重要だ」と述べ、地元住民への説明の大切さを訴えました。また全国の原発の安全性について、「新たな安全対策で再び事故が起こる可能性は低くなっている」とした一方で、「それでも事故を完全に防ぐことはできないので、起きた際の影響をできるだけ抑える対策が必要だ」と述べ、事故に備えた体制作りが欠かせないという認識を示しました。そのうえでヤツコ氏は「原発の運転再開は世論の支持を得られなければ正当化できない」と述べ、運転再開は国民の判断によるべきだという見解を示しました。

| 原発::2013.11~2014.5 | 12:41 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.3.4 原発立地自治体は、原発再稼働はせず、新産業を創り出すか、次世代の新企業を誘致すべきである。
  
                 2014.2.26西日本新聞より

(1)フクシマ事故処理の杜撰さと原発が危険な理由
 *1-1の世論調査によると、福島県民は、①国や東京電力の汚染水問題の対応について「評価しない」が8割を超え ②国や自治体の除染作業についても「評価しない」が6割を占め ③原発事故へのこれまでの政府の対応を評価しない人が74%にのぼったということである。これは、事故後、健康に問題なく、(少なくとも)元通りの生活ができるようになったか、原発事故及び避難の為の情報開示は適切か、という視点で考えれば当然のことである。

 これは、*1-2のように、高濃度汚染水をタンクからあふれさせたり、漏らしたりするような放射性物質に向き合う場合に求められる管理意識の杜撰さと原発事故に対する対応の稚拙さが原因である。そして、その根本には、一旦起きれば巨大になる原発事故とそれに対する人間の無力がある。そのため、事故時に巨大となり、人間の手に負えなくなるものは、使うべきではないのだ。

(2)ベースロード電源の意味
 そのような中、*2-1のように、経済産業省を中心とする政府は、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、「エネルギー基本計画」に、「安全性が確認された原発は、再稼働を進める」と明記した。

 「ベースロード電源」とは、*2-2のように、昼夜常時稼働して電力需要を満たすために重要な電源と説明されている。つまり、原子力は昼夜常時稼働できるからメリットがあると言われているのだが、本当は、電力需要は昼夜で異なるにもかかわらず、原発は昼夜で発電量を調節できず、多くのエネルギーを海に廃棄している。冷却のため海に廃棄される熱は、海水の温度を上げて気候や海の生態系を変え、水産業に悪影響を与えてきたため、原発停止後、藻場が回復して漁獲高が増えたと言われている。

 さらに、現在は、蓄電池や分散電源が発達し、エネルギー収支ゼロ住宅なども出てきたため、将来の為には、技術や資金をそちらにシフトすべきである。

(3)原発立地自治体も、原発なしでやっていけるようにしたい
 *3のように、全国初のプルサーマル発電導入への同意で原発推進の先頭を走ってきた玄海原発のある佐賀県の古川知事は原発再稼働に積極的ではなく、川内原発がある鹿児島県の伊藤知事は最終判断の時期を「6月議会」と明言するなど積極的だ。その理由には、電源開発交付金や原発関連の雇用があるのだが、一旦事故が起こったらどうなるかはフクシマを見ればよくわかる筈だ。

 フクシマのように、太平洋に面しており、放射性物質の7割が海に落ちてもこれだけ大変なのである。それに加えて、玄海原発は日本海、川内原発は東シナ海に面しており、事故が起これば対馬海流で狭い海全体がひどく汚染され、宝である水産物も汚染される。また、放射性物質は、半径30キロ圏内に限らず、偏西風で日本全国の陸地に落ちる。そのため、原発は、短期間の燃料費、電気料金、雇用には見合わない膨大な損害を受けるリスクや他産業への悪影響を持っていることを決して忘れてはならない。原発立地自治体も、他産業で成り立つことができるなら、迷惑施設である原発にすがりたくはないのだ。

 そのため、これまで電源開発交付金で整備してきた道路等を活かして、*4-1のような太陽光パネル工場、*4-2のような航空産業、*4-3のようなロボット工場、*4-4のような薬草の研究、次世代の農業・食品工場など、新産業を作り出すか、新企業を誘致するように、経産省・農水省・国交省に後押しを頼む方が、未来に夢と責任が持てるだろう。国には、そのための後押しを求めたい。

*1-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11009896.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2014年3月4日) 汚染水対応「評価せず」83%、福島県民共同世論調査
 東日本大震災の発生と福島第一原発事故から3年になるのを前に、朝日新聞社は福島放送と共同で、福島県民を対象にした世論調査(電話)を行った。国や東京電力の汚染水問題の対応について「評価しない」と答えた人は8割を超えた。国や自治体の除染作業についても「評価しない」は6割を占めた。調査は1、2日に実施した。事故の半年後、1年後、2年後にも同様の調査をしている。原発事故へのこれまでの政府の対応について聞いたところ、「評価する」は11%で、「評価しない」は74%にのぼった。昨年3月の調査では17%対73%で、県民の政府に対する視線は依然として厳しいといえる。今回の調査で初めて、具体的に汚染水問題の対応について質問したところ、「評価する」は8%で、「評価しない」は83%だった。特に中学生以下の子どもがいる人では「評価しない」は90%に達した。除染作業については、「大いに」「ある程度」を合わせた「評価する」は36%で、「あまり」「まったく」を合わせた「評価しない」は62%だった。人が住んでいる地域について、費用や時間がかかっても、政府目標の年間放射線量1ミリシーベルトまで除染する必要があるかどうか尋ねたところ、「必要がある」は63%で、「その必要はない」の27%を大きく上回った。30~50代の女性では「必要がある」は7~8割にのぼった。政府は、除染で出た廃棄物などを福島県内に設ける中間貯蔵施設に保存した後、30年以内に県外へ移す計画を立てている。この約束が守られると思うかどうか聞いたところ、「大いに」「ある程度」を合わせた「そう思う」は9%にとどまり、「あまり」「まったく」を合わせた「そう思わない」は87%を占めた。

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11007173.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞社説 2014年3月2日) 原発の汚染水 危機意識をもう一度
 福島第一原発で高濃度の放射能汚染水約100トンがタンクからあふれ、敷地を汚染した。昨年8月に約300トンが漏れたのに次ぐ大量漏出である。東京電力のふがいなさは相変わらずだが、汚染水対策について安倍首相は1月の施政方針演説で「国も前面に立って、予防的・重層的な対策を進める」と約束したのではなかったか。政府の危機意識と対処への覚悟を改めて問いたい。漏れた汚染水には、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり2億4千万ベクレルも含まれていた。ストロンチウム90の原発外放出の法定上限は同30ベクレルだから、実に800万倍もの高濃度である。すべてがこれほど高濃度ではないが、福島第一にはすでに1千基を超えるタンクが林立し、43万トンもの水がたまっている。非常事態は継続中だ。炉心や核燃料プールを冷やすことで汚染水は増え続ける。漏水対策がますます重要になっている。だが、巨大で複雑な現場に国も東電も対応し切れていない。漏水は2月19日から20日にかけて起きた。配管を通じて汚染水をタンクに入れる作業をしていたところ、同じ配管につながっていた別のタンクに流れ込み、上からあふれ出た。本来なら閉まっているはずの別系統への弁が開いていたためだが、事故から1週間以上たっても誰がいつ開けたか、故意なのか単純ミスなのか、わかっていない。問題は深刻だ。あふれたタンクで水位高の警報が鳴ったり、本来の行き先のタンクで水位上昇が止まっていたりと、異常が検知されていたのに大量漏出を防げなかったからだ。原子力規制委員会の田中俊一委員長は「そういう時にどう対処するかという基本的なことが欠けている」と述べた。国と東電は直接的な原因究明にとどまらず、事故を招いた背景もきちんと洗い出すべきだ。一線の作業員の問題なのか、管理をしている東電に落ち度があるのか、双方の認識共有や意思疎通が悪いのか、マンパワーや費用は十分なのか……。チェックすべきポイントはいくつもありそうだ。大規模で複雑な作業を管理するため、東電は海外でプラント建設などを手がけた人材を外部から招く方針だ。新鮮な視点を早く採り入れたい。経済産業省資源エネルギー庁と規制委は責任を押しつけあうのでなく、東電と分担して前面に立ち、実効ある汚染水対策を講じなければならない。

*2-1:http://qbiz.jp/article/32745/1/
(西日本新聞 2014年2月25日) 原発再稼働を明記 エネルギー基本計画政府案
 新たなエネルギー基本計画の政府案の概要が24日、明らかになった。原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、安全性が確認された原発は「再稼働を進める」と明記した。再生可能エネルギーへの取り組みを強化する姿勢を強調し、福島を再生エネルギーの産業拠点にする計画を盛り込んだ。25日に関係閣僚会議を開き、決定する。与党との協議を経て3月中の閣議決定を目指す。東京都知事選で原発政策が争点となり、年末にまとまった当初案に対して原発推進のトーンが強すぎると与党内から批判が噴出。修正に追い込まれる異例の事態となったが、政府は再稼働方針を維持した。当初案では原発を「基盤となる重要なベース電源」としていたが「基盤となる」との表現を外すとともに、常時一定量の発電を続ける電源を意味する「ベースロード電源」という専門用語に変更した。
◆エネルギー基本計画・政府案のポイント
 ◇原発は重要なベースロード電源。
 ◇原子力規制委員会が規制基準に適合すると認めた場合、原発の再稼働を進める。
 ◇原発依存度は可能な限り低減。安定供給やコスト低減の観点から、確保の規模を見極める。
 ◇核燃料サイクルは、再処理やプルサーマルなどを推進。
 ◇もんじゅは研究計画に示された成果の取りまとめを目指す。
 ◇再生可能エネルギーは2013年から3年程度導入を最大限加速し、その後も積極的に推進。
 ◇福島を再生可能エネルギー産業拠点化。

*2-2:http://gendai.net/articles/view/news/148375
(日刊ゲンダイ 2014年3月1日) 原発再稼動へまっしぐら 「ベースロード電源」というマヤカシ
 先日まとまった「エネルギー基本計画」の政府案で違和感を覚えるのが、原子力について「ベースロード電源」という見慣れない表現が使われていることだ。これまで使われてきた「ベース電源」の文言は、いつの間にか消えている。官僚お得意の鉛筆ナメナメでイメージを変え、原発推進をごり押しする考えなのだ。「ベースロード」は「基底負荷」と訳される。電力需要の「底」の部分で、常に使われている電力のことだ。これを使った「ベースロード電源」は、これまでの「ベース電源」と同じ意味。常時稼働して電力需要を満たす電源ということになる。基本計画では、原子力発電所がその役割を担う。要するに、原発再稼働を前提にした計画というわけで、3・11の反省はな~んにも生かされていないということになる。それでも政府が「ベースロード」の言葉を使った意図は明らかだ。「ロード」が間に入ることで馴染みが薄い言葉になり、「原子力発電所が基盤」という計画の本質がストレートに伝わりにくくなる。あらためて資源エネルギー庁に表現変更の意図を尋ねると、「折り返し担当者から電話させる」と答えながら、なしのつぶて。よほど答えたくないらしい。

*3:http://qbiz.jp/article/32089/1/
(西日本新聞 2014年2月13日) 佐賀と鹿児島の原発立地県知事、再稼働へ攻守対照
 原発再稼働に向けた地元了解の手続きをめぐり、九州電力の原発を抱える2県の知事のスタンスに大きな違いが出ている。佐賀県の古川康知事は「(手続きについて)私から述べることはできない」などと国の判断を待つことを繰り返し強調。一方、鹿児島県の伊藤祐一郎知事は最終判断の時期を「6月議会」と明言するなど踏み込んだ発言が目立つ。
 対照的な両知事の姿勢の背景は? ― 「スケジュールを自分で勝手に予測して組み立て、それに合うように物事を持っていくことは避けなければいけない」。古川知事は昨年末の定例記者会見でこう述べた。発言の背景には2011年7月に発覚した「やらせ問題」がある。玄海原発(玄海町)再稼働に関する国主催の住民向け説明番組で、九電社員らが再稼働賛成のメールを投稿していたことが発覚。九電に知事が要請したことが強く疑われ、この問題を追及してきた県議会特別委員会での知事の責任をめぐる議論も、いまだ決着していない。全国初のプルサーマル発電導入への同意などで原発推進の先頭を走ってきたといえる古川知事。「前回(民主党政権下で再稼働の動きが出た11年)は玄海原発が候補の1番手だったので、自分なりにいろいろ考えた。そこで事案(やらせ問題)があり、ご迷惑をかけた。今回は他地域の様子を見ながら判断したい」(昨年12月27日の本紙とのインタビュー)と、かつての積極姿勢はみられない。片や、積極姿勢を隠さない伊藤知事。1月6日の会見では、川内原発(薩摩川内市)の再稼働について「原子力規制委員会で相当長い間、審査をしてもらっているので、3月末までに終了してもらいたい。住民への説明、地元首長などの判断を踏まえて6月議会で再稼働の判断をしたい」と具体的なスケジュール感まで示してみせた。規制委の審査終了後、県などが住民説明会を県内で3回程度開くことや、説明会でアンケートを行い、結果を踏まえて再稼働を判断する方針も示している。説明会については、防災対策を重点的に進める緊急防護措置区域(UPZ)に当たる原発から半径30キロ圏に一部がかかる鹿児島市が市内での開催を求めたこともあるが、知事はこれを否定。「(再稼働への同意は)薩摩川内市と県で十分だ」とする考えは、震災後一貫している。県の関係者は「知事は、自治省(当時)時代に出向していた石川県で原発に関係する仕事をするなど、知識が豊富。条件に恵まれた川内が再稼働しなければ、全国どこも無理だと思っている」と解説。「古川知事がやらせ問題で言いにくい状況の中、『自分が再稼働の先頭に』との思いがあるようだ」との見方を示す。
◆地元了解手続き、国示さず
 原発立地自治体の知事の間で、再稼働の地元了解の手続きについて対応が異なるのは、そもそも政府方針がいまだ示されていないためだ。原子力規制委員会の安全審査は、九電の原発などを先頭に徐々に進んできている。手続きが各地で異なったまま、再稼働の是非を地元が判断しなければならない事態が懸念される。「原発の必要性は地元に説明したいが、全国統一の手続きは示さず、立地自治体ごとに手続きを進めてもらうしかない」。資源エネルギー庁幹部はこう明かす。例えば、四国電力伊方原発がある愛媛県などは、県独自で原発の安全性について評価し、知事に意見する専門家組織を持つ。佐賀、鹿児島両県に類似組織はなく、地域ごとの体制に大きな違いがある。さらに、半径30キロ圏に複数の府県が入る原発もあるなど「関係自治体」の捉え方も複雑。「政府がルールを作ろうとしても、ややこしくて再稼働なんかできなくなる」(同幹部)との事情がある。鹿児島県の伊藤知事は、県などが主催する説明会を3回程度開くとしているが、佐賀県の方針は明らかにされていない。玄海原発の30キロ圏には長崎、福岡両県も含まれており、おのずと説明会などの方法、回数についても違いが出てくるとみられる。さらに、30キロ圏の自治体と九電との原子力安全協定も、立地自治体並みの権限を求める佐賀県伊万里市との間では未締結のまま。それを放置して、九電が再稼働を進めるのかも焦点だ。

*4-1:http://qbiz.jp/article/32075/1/
(西日本新聞 2014年2月13日) 外資が太陽光パネル 福岡・久山工場、中国系が来月にも生産
 中国江蘇省の中堅太陽光発電パネルメーカー「金壇正信光伏電子」傘下の「ゼンパワー」(福岡市)が3月にも、福岡県久山町の原工業団地に太陽光パネルの製造工場を稼働させる。外資系企業によるパネル工場は珍しいという。生産品目は、海沿いでも塩害に耐えられるなど特殊環境で使用できる製品が中心。初年度は最大100億円の売り上げを見込み、輸出も視野に入れているという。正信グループは2012年8月以降、産業用太陽光パネルを輸入販売するゼンパワーをはじめ、住宅用パネルの輸入会社などを相次いで福岡市に設立。現在、太陽光関連の日本法人は5社あり、国内展開を本格化させている。人件費が比較的高い日本での製造について、ゼンパワーは「事業費に占める人件費の割合は低く、大きな問題ではない。何より“日本製”として売れるメリットが大きい」としている。新工場への投資は総額約20億円。広さ4千平方メートルで、生産能力は年間最大10万キロワット分に上る。従業員は30〜50人で、既に生産ラインの試運転も実施している。生産するパネルは、塩害対策製品のほか、農作物の生育を阻害しない透光性の高い農地向けや、太陽光の反射を抑えて飛行機の離着陸を妨げない空港周辺向けなど。部品は国内や台湾、韓国などから集め、注文に応じて使い分ける。また、太陽光発電の売電事業を展開するグループ会社「正信ソーラーホールディングス」(福岡市)にも製品を供給。同社は九州を中心に大規模太陽光発電所(メガソーラー)など出力合計40万キロワットの発電を計画している。外資の太陽光パネル工場をめぐっては、カナダの企業が東北の復興特区で計画しているが、現在は延期になっているという。

*4-2:http://qbiz.jp/article/32060/1/
(西日本新聞 2014年2月13日) 北九州市、航空産業誘致へ一歩 MRJ試験の準拠点
 三菱重工業が12日発表した小型ジェット機「MRJ」の拠点構想で、北九州空港(北九州市)が飛行試験・駐機を担当する「準拠点」に位置付けられた。量産工場の誘致はならなかったものの、航空機産業誘致に名乗りを上げた地域では後発組である北九州市としては「将来につながる一歩」(市関係者)ともいえる。道のりは長く険しいが、半導体や自動車産業に続く、新たな「ものづくり」の軸になるか、注目される。航空機産業誘致は2009年夏、麻生渡・前福岡県知事が西日本新聞のインタビューで初めて明言。MRJの量産化を見据え、工場などの関連施設や航空機整備員の養成施設の誘致を進める考えを示した。そこでも、北九州空港について「24時間使える海上空港の強みを生かせる」「試験飛行できる余力もある」などと語っていた。その後、官民でつくる「県航空機産業振興会議」(現会長・利島康司北九州商工会議所会頭)を10年に設立。専門家を招いたり、昨年には三菱重工業がMRJ量産の本拠地とする中京地区の関連企業群を視察したりするなど、自動車・半導体関連企業に航空機分野への参入を促す取り組みも行ってきた。三菱重工業によると、北九州空港については2017年上期中に、納入前の飛行試験・駐機場として活用を始める方針。具体的な設備規模や人員数は未定だが、機体整備を行うためのノウハウや人材、企業群の蓄積が期待できる。さらに、福岡県や北九州市などが「一歩」と位置付けるのは、試験飛行や駐機、整備で実績を積めば、「将来、さらに量産が必要になった際に新工場の有力候補地になる」(関係者)からだ。ただ、課題は少なくない。まずはMRJ自体の開発スケジュールが遅れており、受注がどれだけ増えるかが不透明な点。参入のメリットが分かりにくいため、まだ航空機分野に参入した地元企業もない。岡山県などすでに部品生産の実績がある地域に比べれば明らかに力不足だ。北九州市関係者は「今回、目に見える具体的な拠点ができるため、地元企業が参入を具体的に考える呼び水になるだろう」と期待している。

*4-3:http://qbiz.jp/article/32305/1/
(西日本新聞 2014年2月17日) 北九州市、介護ロボット開発に「大賞」制度
 北九州市は2014年度、画期的な介護・生活支援ロボットを開発した地場メーカーなどを表彰する「市ロボット大賞」(仮称)を創設する。介護ロボットを導入した施設への補助金も設け、市全体として、介護ロボットの「モデル都市」を目指す。一般会計当初予算案に、関連事業費800万円を盛り込んだ。市によると、ひざの曲げ伸ばしや歩行などをサポートするロボットが対象。モーターやセンサーなど、ロボットの技術を用いた介護製品の製造業者も表彰する。介護ロボットを継続的に使ったり、メーカーの実証実験に積極的に協力したりする介護事業者も選ぶ。市によると、同様の表彰は全国の自治体でも珍しいという。コストが高いことから介護ロボットの導入は進んでおらず、導入促進のために、介護施設などを対象にした上限30万円の補助金も創設。10件程度の採択を想定している。同市内には産業用ロボットの累計出荷台数世界一の安川電機(同市八幡西区)があり、行政もロボットを生かした街づくりを進めている。少子高齢化の進展で人口減が予測される中、市は労働力の減少を補うロボットの産業振興が地元活性化につながるとして、介護ロボットの拠点化を目指しており、その一環として大賞を設けることにした。

*4-4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1913421.article.html
(佐賀新聞 2011年5月25日) 玄海町に薬草研究所がオープン 国内初の研究拠点に
 佐賀県東松浦郡玄海町が九州大学との共同プロジェクトとして建設を進めてきた薬用植物栽培研究所が完成、22日に開所式が行われた。輸入に依存している漢方薬原料の国産化を目指す国内初の本格的な研究拠点。地域の新たな産業創出にも期待がかかる。研究所は国内で自生していない漢方薬の原料「甘草(かんぞう)」の栽培技術確立に向け、九大の薬学院と工学研究院が土壌や気象条件などの実証実験を行う。国内で販売されている漢方薬の約7割に配合される甘草だが、主な輸入先の中国では乱獲による枯渇も懸念されており、安定的な国内自給と品質向上を目指す。玄海町今村の玄海エネルギーパーク南にある約1万8千平方メートルの敷地に、温室など計11棟を備える。このうち、甘草の土壌研究などを行う施設と、苗の培養などを行う温室が各3棟。それ以外の薬草を扱う温室が5棟、見学者用の遊歩道を備えた露地栽培のスペースもあり、約150種の薬草・薬木を育てる。総事業費は約11億8千万円。うち約7億6千万円は玄海原発のプルサーマル受け入れに伴う核燃料サイクル交付金と、電源立地地域対策交付金を充てた。町と九大は2008年度から5年間の協定を結び、研究を進めてきた。開所式には甘草の種子を提供したモンゴルの研究機関などから関係者約60人が出席。岸本英雄町長は「健康を通じた地域浮揚を目指す施設にしたい」とあいさつ。記念植樹などで完成を祝った。

| 原発::2013.11~2014.5 | 12:11 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.2.21 武器輸出三原則見直しと原発ゼロの関係も問題にすべきである。 (2014.2.22追加あり)
  
                フクシマ                   *2-4より

(1)日本の原発は、何故、止められないのか
 *1-1に書かれているとおり、経団連が武器輸出三原則を緩和するよう求める提言を自民党の国防関連会合に示し、国産品の輸出を認めることを求めているそうだが、これは、日本が平和国家の看板を下ろし、武器禁輸政策を変更するという意味を持つものであり、ここでビジネス優先の論理を通せば日本の平和主義の理念が問われる。

 また、*1-1によると、政府は、「安保上の利益がある国」や「国際的な平和や安定に資する場合」は武器輸出を認め、大規模な国際共同開発を国が主導して輸出先の国に訓練・運用を支援するそうだが、具体的に、どういう武器を売るつもりか。まさか、唯一の被爆国で平和主義国家の日本が世界に核兵器を輸出することはないと願いたいが、原発を辞められない本当の理由は核兵器開発目的だと言われる。

 防衛産業の存続や育成のために平和主義の理念を捨て、日本製の武器や装備が紛争国に広がれば、アメリカのように、その武器の消費のために一定期間ごとに戦争をしなければならず、わが国は恨まれてテロの標的になりやすく、戦争にも巻き込まれやすい。これと、*1-2の核の不拡散や核テロ対策への取り組みを一層強化する方針を表明するというのは矛盾しており、慎重な議論が必要である。

(2)事故の真実も報道できず、人がコントロールすることもできないフクシマ原発事故
 *2-1のように、東京電力は、昨年7月に楢葉町の井出川河口付近で見つかった高濃度の放射性物質に汚染された四つの物体を「福島第一原発内にあった構造物」と断定したが、原発から南に約15キロメートル離れた場所で、原発内にあった構造物が発見された理由は、不明として説明を避けている。

 また、*2-2のように、炉心溶融事故を起こしたフクシマ2号機の原子炉圧力容器の底についた温度計が誤操作による故障で壊れて測定できなくなり、その温度計は、圧力容器の底にある溶けた燃料が再臨界しないか、冷温停止状態が維持できているかを常時監視しているものだと東京電力が発表した。フクシマ2号機は再臨界したのだという人もおり、原発で誤操作や故障が多すぎるのは、東京電力(他の電力会社も同じ)が、もともと原発を使う資格や能力がないか、再臨界の事実を隠していることになる。

 さらに、TVは大雪やソチ・オリンピックに関する冗長な報道しかしていないが、実際には、*2-3のように、フクシマの地下水で2014年2月12日に採取した地下水から1リットル当たり、セシウム137が5万4000ベクレル、セシウム134が2万2000ベクレルというこれまでの最高値のセシウムが検出され、セシウム137の濃度は、国の海への放出基準の600倍に当たるそうだ。そして、濃度は日々上がっているが、これも漏れた具体的な場所は特定されておらず、これでは事故時からこれまでの測定値が正しかったかどうかも疑問である。

 その上、*2-4のように、2014年2月20日、東京電力は、フクシマで原子炉を冷却した後の水を貯蔵するボルト締め型タンクの上部から約百トンの処理水が漏れて周辺敷地に流れ出したが、処理水には一リットル当たり二億ベクレル超と超高濃度の放射性ストロンチウムなどが含まれており、これも「誤って」水を入れすぎたのが原因と発表した。このようなことを続けていれば、その付近の線量が上がり、その付近には人が近づくことすらできなくなるだろう。

 そして、*2-5のように、東電は、今頃、フクシマの貯蔵タンクにたまった汚染水を、浄化装置「ALPS(アルプス)」で、全て浄化するのは困難であることを発表した。これは、最初から全て浄化して排出し、決して海を汚さないという真剣さがなかったということである。

(3)これらにより示された民意は、原発再稼働拒否である
 そのため、*3-1のように、原発再稼働のみについて投票したわけではない東京都知事選でも、原発「即ゼロ」の候補が193万票を獲得し、「脱原発依存」の舛添氏の得票211万票に迫った。

 また、*3-2のように、2月14日~16日に全国の有権者2035人に原発再稼働について質問した結果は、安全基準を満たした原子力発電所の再稼働を「支持する」と答えた人が32.9%、「支持しない」と答えた人が54.3%であり、今後の電力供給について、原子力発電を一定程度続けていく方針を「支持する」と答えた人が34.0%、「支持しない」と答えた人が50.0%である。

 つまり、想定外、不明、ミスだらけで、人間がコントロールすることすらできず、真実を報道することもできない、電力会社や”専門家”への明確なNoなのだ。

(4)電力会社は、原発再稼働を促す目的の値上げを主張するべきではない
 *4-1のように、原発のストップにより、電力会社の経営が圧迫され、北海道電力が再値上げ表明し、九電なども追随しそうだと書かれている。

 これに対し、*4-2のように、「原発維持が目的だ」と北海道電力の再値上げ方針に批判や反発が相次いでいるが、電力会社の燃料費については、本当は、地域独占による燃料の高値買いや円安の影響の方が著しく大きいのだ。

 そして、*4-3のように、脱原発を主張する団体「伊方原発50キロ圏内住民有志の会」がフクシマ事故当時、福島県双葉町長だった井戸川克隆氏を招いて福島の現状を話してもらおうと講演会を企画したが、施設の利用を拒否されたそうで、このような妨害は、民主主義国家にあるまじきことである。

(5)国は、原発を「重要なベース電源」から「重要なベースロード電源」に変え、核融合を追加した
 そのような中、*5のように、エネルギー基本計画の政府案は、民意に対してそしらぬ顔で、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、安全を確認できた場合は再稼働する方針を明確にするそうだ。そして、核融合の研究を進めることも新たに加えたそうだが、エネルギーが大きく、事故時には人間の手に負えず、生物(人間を含む)に危険を与える原子力を発電に使うのは、核分裂か核融合かを問わず、代替的発電方法が豊富で、かけがえのない地球で行うべきでない。

 しかし、国は、このように原子力にむしゃぶりついているため、*6のように、函館市が、建設中の大間原発の建設を差し止める訴訟を始めた。豊かな海を、視野の狭い人間が原発で汚し、環境や農林漁業にこれ以上の悪影響を与えれば、日本には国産の食べ物がなくなり、輸入するしかなくなるため、本当の意味で貿易収支は赤字になる。そのため、このような地方自治体の行動に期待するしかないのだ。

*1-1:http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20140214_3.html
(京都新聞社説 2014年2月14日) 武器輸出  ビジネス優先許されぬ
 経団連が武器輸出三原則を大幅に緩和するよう求める提言を自民党の国防関連会合に示した。防衛装備品の共同開発だけでなく、国産品の輸出を認めることや政府内に武器輸出を専門に扱う部局を設けるよう求めている。安倍晋三政権が進めている武器輸出三原則の見直しを後押し、あるいは便乗しようとの思惑だろう。歴代政権が踏襲してきた武器の禁輸政策の変更を迫るもので、ビジネス優先の論理がまかり通るようなら、戦後築き上げた平和国家の看板が傷つくばかりか、足元が揺らぎかねない。提言は三菱重工業や川崎重工業など、防衛関連産業約60社でつくる経団連の防衛生産委員会がまとめた。1970年代に禁輸政策として定着した武器輸出三原則を大幅緩和したのは民主党の野田政権だが「積極的平和主義」を掲げる安倍政権は輸出基準の明確化など一層の見直しを目指している。提言では、安全保障面で重要な関係を持つ国に対する装備品の移転が、日本や国際社会の安保に資する場合には幅広く輸出を認めるよう主張。その上で装備品を第三国に移転する際の事前同意の条件を緩めるよう求めている。政府も新たな原則として「安保上の利益がある国」や「国際的な平和や安定に資する」場合には武器輸出を認める方向だ。装備品を第三国に移転する際に求めていた事前同意についても例外規定を設ける見通しで、専門部会の提言はぴったり重なる。そればかりか、大規模な国際共同開発は国が主導し、輸出先の国には訓練・運用を支援するよう求めるなど、より踏み込んだ内容となっている。背景には防衛関係予算が頭打ちになる中、防衛産業全体の弱体化に対する危機感がある。採算割れなどから撤退する企業も多く、厳しい状況に置かれているのは確かだが、防衛産業自らの存続や、防衛産業育成のために国の理念や政策を曲げては本末転倒だろう。武器輸出の市場は中東やアジア諸国向けが全世界の7割を占めるという。武器輸出が緩和されれば政府や経団連が期待する国家戦略に位置づける輸出品となるかもしれないが、一方で日本製の武器や装備が紛争当事国に広がる恐れのあることを忘れてはならない。官民一体となった武器の輸出拡大策は、国是である平和主義の根幹を崩しかねない。かつて、経済的利益を第一とする日本人の態度はエコノミックアニマルと皮肉られたが、敵味方を問わず兵器を売る「死の商人」になってはならない。

*1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2636924.article.html
(佐賀新聞 2014年2月20日) 首相、核テロ対策強化表明へ / 核サミットで積極的平和主義発信
 安倍晋三首相は3月24、25両日にオランダのハーグで開かれる「第3回核安全保障サミット」に出席し、参加国との連携を通じて核の不拡散や核テロ対策への取り組みを一層強化する方針を表明する意向を固めた。北朝鮮の核開発の動きについても言及し、自らが掲げる「積極的平和主義」について理解を求める方向だ。政府関係者が20日、明らかにした。 訪問時期は2014年度予算案の国会審議が大詰めを迎えるため、政府内では首相の出席は難しいとの見方もあったが、首相は被爆国である日本の首相がサミットに出席する意義は大きいとして、当初から出席を強く望んでいた。

*2-1:http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukushima/news/20140213-OYT8T01319.htm?from=tw (読売新聞 2014年2月14日) 原発内構造物と東電がほぼ断定
 東京電力は、昨年7月に楢葉町の井出川河口付近で見つかった高濃度の放射性物質に汚染された四つの物体について、「福島第一原発内にあった構造物」とほぼ断定した。発見場所は同原発から南に約15キロ・メートル離れている。原子炉建屋の水素爆発で飛び散ったのか、海から流されてきたのかなど、理由は不明という。東電が12日に発表した。四つの物体の材質はポリエチレンや木などで、全長2~16センチ、重さ0・3~6・9グラム。放射性物質はセシウムが最大292万ベクレル、ストロンチウムなどベータ線を出すものを合わせて同250万ベクレルだった。付近の土壌と比べてセシウムの濃度が高いことや、原発敷地外では検出されていない放射性コバルトが含まれていたことから、原発内にあった構造物の可能性が高いとした。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/ASG2M6GK6G2MULBJ016.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞 2014年2月19日) 原子炉の温度計故障 炉心溶融事故の福島第一原発2号機
 東京電力は19日、炉心溶融事故を起こした福島第一原発2号機の原子炉圧力容器の底についた温度計が壊れて測定できなくなったと発表した。もう一つある温度計で監視しているという。東電は、誤操作による故障とみている。温度計の異常に気づいたのは18日午後。事故後に新しくつけた温度計が壊れた。18日午後に温度計を点検した際に想定以上に電圧をかけ、壊したという。現在、事故前からついている別の温度計で監視している。壊れた温度計は、圧力容器の底にある溶けた燃料が再臨界しないか、冷温停止状態が維持できているかを常時監視している。

*2-3:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140213/t10015214951000.html?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter 
(NHK 2014年2月13日) 原発地下水で最高値のセシウムが検出
 東京電力福島第一原子力発電所で地下水の汚染を調べるため、海側に新たに掘られた井戸の水から、これまでで最も高い濃度の放射性セシウムが検出され、東京電力は周辺の井戸に比べて値が高いことなどから、この近くに汚染水が漏れた場所があるとみて調べています。東京電力によりますと、福島第一原発2号機の海側の海からおよそ50メートルの場所に新たに掘った観測用の井戸で、12日に採取した地下水から、1リットル当たり▽セシウム137が5万4000ベクレル、▽セシウム134が2万2000ベクレルと、いずれもこれまでで最も高い値で検出されました。このうちセシウム137の濃度は、国の海への放出基準の600倍に当たり、すぐ北側の井戸で今月6日に採取した水と比べて3万倍以上高い値でした。福島第一原発では、建屋から海側の地下に伸びる「トレンチ」と呼ばれるトンネルから汚染水が漏れているとみられ、海への流出を防ぐ対策が取られていますが、漏れた具体的な場所は特定されていません。放射性セシウムは土に吸着しやすく、地下水とともに広がりにくい性質があるため、東京電力は、今回検出された井戸の近くに汚染水が漏れた場所があるとみて調べています。

*2-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014022002000270.html (東京新聞 2014年2月20日) 高濃度汚染水100トン漏れ タンク弁開きっぱなし
 東京電力は二十日、福島第一原発で原子炉を冷却した後の水を貯蔵するボルト締め型タンクの上部から約百トンの処理水が漏れ、周辺敷地に流れ出したと発表した。処理水には一リットル当たり二億ベクレル超と超高濃度の放射性ストロンチウムなどが含まれていた。閉まっているはずのタンクの弁が開きっぱなしになっており、誤って水を入れすぎたのが原因とみられる。高濃度の処理水漏れ事故は、昨年四月に止水性能が劣る地下貯水池(漏れ量は不明)で発生。さらに八月にタンク底板の接ぎ目の止水材がずれて三百トン、十月にはタンクが傾いているのに水を入れすぎて〇・四トンが漏れた。東電によると、十九日午後十一時二十五分ごろ、巡回中だった下請け企業の作業員が4号機の西側にあるタンク群の一基で、天板の接ぎ目付近から水漏れしているのを見つけた。発見の九時間半ほど前には、タンクの水位計がほぼ満水を知らせる警報を発していた。この時点ではタンク周辺に水漏れなどの異常は見つからなかったため、東電は現場で実際の水位を確認しないまま水位計の故障と判断し、特段の対策は取らなかったという。しかし、実際にはタンクに取り付けられた処理水を受け入れるための二つの弁が開きっぱなしになっており、水位はさらに上昇し、遅くとも深夜には処理水があふれ出すレベルに達していた。タンク群の周囲には、コンクリート製の堰(せき)があり、処理水は食い止められるはずだった。しかし、タンクには、天板に降った雨を堰の外に直接排出する雨どいが取り付けられており、これが裏目となって処理水が敷地へ大量漏出した。東電は「近くには排水溝がなく、海への流出はないと考えている」と強調している。

*2-5:http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/life/20140219-567-OYT1T00631.html
(gooニュース 2014年2月19日) 原発汚染水浄化、来年度中達成は困難…東電試算
 東京電力福島第一原子力発電所の敷地内の貯蔵タンクにたまった汚染水を、2014年度中に全て浄化するという計画が達成困難であることが東電の試算で明らかになった。試算によると、約35万トンの汚染水の浄化には今年10月以降に1日当たり1960トン処理する必要があるが、浄化装置「ALPS(アルプス)」の能力が追いつかない。東電の広瀬直己社長が昨年9月、安倍首相に約束した「14年度中に浄化」の実現は難しくなってきた。試算は、福島市内で18日に開催された「廃炉・汚染水対策現地調整会議」で、東電が示した。ALPSは、汚染水に含まれる63種類の放射性物質のうち、トリチウム(三重水素)以外の62種類を除去する装置で、現在、東電が1台を試運転中。東電によると、最大で同750トンの汚染水を処理できる設計だが、点検や部品交換などの停止期間も必要なため、実際には平均で同560トンしか処理できない。

*3-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014021002000212.html (東京新聞 2014年2月10日) 原発「即ゼロ」193万票 舛添氏得票211万票に迫った
 九日投開票された東京都知事選で、原発「即ゼロ」を訴えた前日本弁護士連合会長の宇都宮健児氏(67)、元首相の細川護熙氏(76)の合計得票は約百九十三万八千票となった。初当選した元厚生労働相の舛添要一氏(65)の得票数に十七万票差に迫り、ほぼ拮抗(きっこう)した。原発再稼働に前向きな安倍政権に「待った」をかけたい民意が意地を示した形だ。都選管が十日未明に発表した投票率の確定値は46・14%で、衆院選と同日になった前回二〇一二年十二月より16・46ポイントの大幅減。開票作業が進む中で墨田、品川両区で不在者投票数を二重計上するミスが見つかるなどしたため、当初発表値を訂正した。元厚労相の舛添氏には少子高齢化など身近な暮らしの課題解決への期待が大きく、支援を受ける自民、公明両党の組織票を積み重ね、二位の宇都宮氏に百十三万票差をつけた。原発政策をめぐっては、再生可能エネルギー活用を進め原発依存度を徐々に減らす考えを示し「即ゼロ」には否定的な見解を示している。一方、宇都宮氏の得票数は約九十八万二千票、同じく原発ゼロを訴えた細川氏は約九十五万六千票。二人を合計した原発「即ゼロ」支持票は有効投票数の39・81%を占め、舛添氏の43・39%と約3ポイント差だった。
 舛添要一氏は、当選から一夜明けた十日朝、選挙戦で原発「即ゼロ」を訴えた候補者二人の合計票を約十七万四千票上回っての勝利に「福祉や他の分野に加え、原発を少しずつ減らしていくとの政策が評価された」と力を込めた。情報番組への出演のために訪れた東京・渋谷のNHK前で、報道陣の取材に答えた。灰色のスーツにピンク色のネクタイ姿で現れた舛添氏は、一夜明けた心境を問われ「午前三時から二時間しか寝ていない。まだ選挙が続いている感じだ」と晴れ晴れとした笑顔。勝因を「政策中心にさまざまな訴えをしたこと。どの候補よりも広く、全ての地域を回って直接、多くの有権者と対話をしたことが成果につながった」と分析した。二百十一万票を超す得票数について「二番目の候補者の倍以上の票をいただいたことは大きい。私以外の候補に投票した方も良かったと思えるような都政をしたい」と述べ、「さまざまな課題を抱えており、大変重い責任。厚労相としての政治経験を生かして、全力を挙げて結果を出す」と真剣な表情で抱負を語った。また、新年度予算案の福祉や防災の分野で、独自の政策を加える意向を示しており「舛添カラーを出せるように、小額だけれども、公約に見合った形でやりたい」と述べた。原発問題については同番組内で「原発は少しずつなくしていく方向にするべきだ。都民の使う電力のうちの自然エネルギーの割合を、六年後の五輪までに6%から20%まで引き上げる」などと主張した。この日は、あいさつ回りや自民党役員会への出席が予定されており、十二日に初登庁し、知事に就任する。

*3-2:http://www.news24.jp/articles/2014/02/16/04245911.html
(日テレニュース 2014年2月16日) 原発再稼働、半数以上が「支持しない」
 NNNが14~16日に行った世論調査で安全基準を満たした原子力発電所の再稼働について半数以上の人が「支持しない」と答えた。世論調査で安倍内閣を「支持する」と答えた人は51.8%(前月比-0.2ポイント)で、「支持しない」と答えた人は29.9%(前月比-0.1ポイント)だった。安全基準を満たした原子力発電所の再稼働については「支持する」と答えた人が32.9%だったのに対し、54.3%の人が「支持しない」と答えた。また、今後の電力供給のあり方をめぐり、原子力発電を将来にわたって一定程度続けていく方針について、「支持する」と答えた人は34.0%で、50.0%の人が「支持しない」と答えた。一方、集団的自衛権の行使を認めるよう、憲法解釈を見直す事については「支持する」と答えた人が37.9%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は45.5%だった。さらに集団的自衛権の行使を認める事に変えた場合、「日本の安全保障政策を大きく変えるものだと思う」と答えた人が62.2%に上り、「思わない」と答えた人の21.8%を大きく上回った。
NNN電話世論調査
 【調査期間】14~16日
 【調査対象】全国有権者2035人
 【回答率】50.9%
 http://www.ntv.co.jp/yoron/

*4-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140218&ng=DGKDZO66974790Y4A210C1EA1000 (日経新聞 2014.2.18) 
原発ストップ、電力の経営圧迫 北海道電、再値上げ表明 九電など追随も
 原子力発電所を再稼働する見通しが立たず、電力会社が電気料金の再値上げに動き出した。北海道電力は17日、家庭向け電気料金の引き上げを政府に申請する方針を表明した。再稼働が遅れるほど電力会社の収益は圧迫され、値上げは大幅になる恐れがある。北海道電の川合克彦社長は同日、札幌市内で記者会見し「本日付で再値上げの具体的検討をするよう、社内に指示した」と述べた。東日本大震災後、泊原子力発電所(北海道泊村)の運転停止で火力発電の燃料費がかさみ、業績が悪化しているためだ。申請は「可及的速やかに行う」といい、値上げ幅は今後詰める。震災後に7電力が値上げを申請したが、再値上げ表明は北海道電が初めて。同社は昨年9月、電気料金を家庭向けで7.73%、企業向けで11%引き上げた。その時点では泊原発が全く稼働しない場合、原価の上昇分を穴埋めするには単純計算で3割超の値上げが必要としていた。川合社長は「その数字が上限だが、料金の改定ですべて対応するわけではない」とした。「債務超過を避けるには、家庭向けでさらに10%程度の値上げをしたいところだろう」(SMBC日興証券の塩田英俊氏)との見方もある。北海道電単体の自己資本比率は2014年3月期末は5%を下回る。来期は追加で200億円の費用を削ると表明したが赤字回避には追いつかない。川合社長は「収支改善の道筋を示せなければ燃料調達や資金借り入れが困難になる」とした。電気料金の改定には経済産業省の認可が必要。再値上げ申請があった場合、経産省は燃料費に関係する4項目に絞って審査を簡単に済ませられるよう12年に導入した新制度を初適用する。従来の料金審査は、申請から半年近くかかっていた。新制度での審査は規制委の安全審査の進み具合をにらみながらの作業となる。1カ月近くで審査を終わることを想定しているものの「どのくらいかかるかはやってみないとわからない」(経産省幹部)という。5電力の15基が値上げ申請時に想定していた再稼働時期を過ぎたが、再値上げを申請してもすでに余計に支払った分の燃料費は料金に転嫁できない。九州電力は1月、再値上げの可能性に言及。中部、関西、九州も3期連続の赤字となる見通しで、北海道電に追随する動きが出てきそうだ。原子力規制委員会は17日、東京電力柏崎刈羽原発の敷地内の断層調査に入った。東電の姉川尚史常務執行役は調査に「3、4カ月もしくは5、6カ月」かかるとの見通しを明らかにした。半年なら7月の再稼働は不可能となり、東電も収支計画の見直しを迫られる。

*4-2:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/topic/521877.html
(北海道新聞 2014年2月18日) 「原発維持が目的か」 北海道電力の再値上げ方針に批判、反発
 北海道電力が電気料金を再び値上げする方針を表明した17日、負担増を強いられることになる道民からは批判や反発が相次いだ。道消費者協会の木谷洋史専務理事(65)は「昨年9月の値上げ以来、道民がどんな思いで節電、節約しているか、北電は分からないのだろうか」と憤る。再値上げは泊原発(後志管内泊村)の「再稼働時期が見通せないため」(川合克彦社長)だ。17日には同原発の廃炉を求める訴訟の第8回口頭弁論が札幌地裁であった。原告の一人で空知管内南幌町の元教員山根正子さん(71)は「値上げの真の要因は原発の維持管理費ではないか。必要ない原発を推進したツケを道民に回すのは納得できない」と批判した。原発を持つ全国の電力会社の中で、再値上げの表明は北電が初めて。再値上げに道民の理解は得られるか。17日の会見でそう聞かれた川合社長は「理解する、しないの判断は、こちらが言えるものではない」とだけ述べた。

*4-3:http://www.47news.jp/CN/201402/CN2014022001001282.html
(47ニュース 2014/2/20) 脱原発団体の施設利用拒否 愛媛・伊方町
 四国電力伊方原発のある愛媛県伊方町が1月、脱原発を訴える市民団体から講演会の施設利用を求められ、政府の原発政策が定まっていないとして拒否していたことが20日、関係者への取材で分かった。同町産業振興課の担当者は事実関係を認め、取材に「賛成、反対にかかわらず原発がらみの講演会は施設の使用を遠慮してほしい」と説明した。一方、四国電への配慮については否定した。講演会は、東京電力福島第1原発事故当時、福島県双葉町長だった井戸川克隆氏を招いて福島の現状を話してもらおうと、「伊方原発50キロ圏内住民有志の会」(愛媛県八幡浜市)が企画した。

*5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140220&ng=DGKDASFS1903A_Z10C14A2PP8000 (日経新聞 2014.2.20) 原発は「重要電源」 エネ計画政府案、表現残す
 エネルギー基本計画の政府案が19日、明らかになった。原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、安全を確認できた場合は再稼働する方針を明確にする。将来的にも「確保する規模を見極める」との文言を盛り込み、当面は一定比率を原発に依存する。「重要」という表現をはずすべきだとの意見もあったが、温暖化対策や安定供給のために原発は欠かせないと判断した。与党との最終調整をへて、25日に関係閣僚会議を開き正式に決定する。今年度中の閣議決定を目指す。昨年12月に政府の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会(会長は三村明夫・新日鉄住金相談役)がまとめた計画案に国民から寄せられた1万9千件の声や与党の意見を反映した。「基盤となる重要なベース電源」の表現から「基盤となる」の部分は削除する。当初案と比べて原発の活用を前面に出す表現は弱めた。公明党に配慮して将来の原発の活用も「必要とされる規模を十分に見極めて、その規模を確保する」としていた当初案からは後退させる。一方、電気料金の抑制や、廃炉に必要となる人材・技術水準の維持のためには必要な量を慎重に見極める必要があるため、ぎりぎりの表現を探った。今後の公明党との調整で表現が変わる可能性もある。発電しながら消費した以上の核燃料を生み出せるとしてきた高速増殖炉もんじゅは「25年ごろまでの実証炉の実現、50年より前の商業炉の導入」という前回計画に明記した目標を撤回する。核のゴミを減らす「減容化」の研究を進める方針も明記する。太陽がエネルギーを放射する原理で発電でき、高レベル放射性廃棄物を発生しないとされる核融合の研究を進めることも新たに追加する。再生可能エネルギーは3年にとどまらず、最大限導入する姿勢を打ち出す。

*6:http://digital.asahi.com/articles/ASG1L4G00G1LIIPE00D.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2014年1月19日) 大間差し止め提訴、3月にも 函館市
 Jパワー(電源開発)が建設中の大間原発(青森県大間町)の建設差し止め訴訟を準備している函館市が、3月にも東京地裁に提訴する方針を固めたことが18日、わかった。2月末に開会予定の市議会に議案を提出する方向で準備を進めている。大間町と津軽海峡を挟んで向かい合う函館市は、大間原発と最短で23キロの距離。原発事故に備える防災対策重点地域は2012年、それまでの半径8~10キロから30キロに拡大され、同市も含まれるようになった。同市は工事の無期限凍結を求めており、再開の動きがあった場合は法的措置で食い止める姿勢を示していた。訴状原案では、事故が起きた場合、「自治体崩壊という壊滅的な被害を受ける危険にさらされる」などとしている。提訴の時期について、工藤寿樹市長はこれまで、原発再稼働の議論の盛り上がりをみながら判断するとしていた。工藤市長は18日、原子力規制委員会による安全審査手続きに入る「原子炉設置変更許可申請」が今春以降に想定されていることから、「安全審査の前に提訴するために、3月とした」などと説明。また、都知事選にあわせたわけではないとした上で、「都知事選で原発が争点になれば、世論は大きく盛り上がるだろう」とも述べた。


PS(2014.2.22追加):*7のように、原子力規制庁も「東電の安全文化や事業者として対応能力があるのか議論になる」と述べているが、東電柏崎刈羽原発も東電の安全文化や事業者として対応能力に依存している以上、切り離して考えてよいわけがない。

*7:http://mainichi.jp/select/news/20140222k0000m040065000c.html
(毎日新聞 2014年2月22日) 規制庁:「東電の能力、議論に」…トラブル続出で次長
 原子力規制庁の森本英香次長は21日の記者会見で、東京電力福島第1原発で極めて高濃度の汚染水約100トンが漏れるなどトラブルが続いていることについて、「東電の安全文化や、事業者として対応能力があるのか議論になる」と述べた。一方、再稼働に向けた安全審査の申請が出ている東電柏崎刈羽原発の審査については「法に基づいて粛々としてやる」と、福島第1原発の対応とは切り離す方針を示した。また、今回の事故を国際評価尺度(INES)で示すことが適切かどうかを国際原子力機関(IAEA)と協議することを明らかにした。規制庁は昨夏発生した大量の汚染水漏れ事故で、8段階で上から5番目の「レベル3」になるとしたが、福島事故自体が最悪の「レベル7」とされており、「整合性がとれない」などの意見がある。

| 原発::2013.11~2014.5 | 10:41 AM | comments (x) | trackback (x) |
2014.1.15 税金を使って原発輸出国などになりたくない。原発推進は時代に逆行した国民負担の大きな政策だ。
(1) 原発輸出と核拡散について
 *1-1、*1-2に記載されているように、「安倍政権は、原発輸出の前提となるトルコとの原子力協定で、『両政府が書面で合意すれば、核物質の濃縮または再処理をすることができる』として核燃料の再処理を認める記述を盛り込んだ。しかし、それは、岸田外相が衆院外務委員会では『認めない』と断言していたものだ。また、安倍政権は、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコとの間で二国間協定に署名し、インドやブラジルとも交渉を進めている」とのことだが、それは、それらの国に意思さえあれば、プルトニウムを取り出し、自前の核兵器を造る力を持たせるということである。

 そのため、唯一の被爆国で福島原発事故を起こし、ヒロシマ・ナガサキ・フクシマを有する日本が、原発の輸出を「成長戦略」の重要な柱と位置づけ、現在儲かって景気が良くなりさえすれば良いと言うような死の商人になるのは感心できず、それとは逆に世界の脱原発を進めるべきだと、私は考える。 四葉
 
(2)深刻な原発事故が起こった際の賠償金について - 原子炉メーカーには製造物責任がない
 *2-1によると、「原発輸出は、経産省の安全確認が形だけで、2003年2月に定められた内規に基づいて行われており、安全確認ではメーカーが提出した書類の点検や担当者から聞き取りをする程度で、実物は確かめず、さらに、担当課に複雑な計算が可能な人材もおらず、形式的なチェックにとどまっている」とのことだ。また、*2-2、*2-3から、原子力事故の場合の責任主体は原子力事業者(電力会社等)だけであり、原子炉メーカーは製造物責任を負わないとされていることがわかる。

 一方、「アメリカ政府が批准を求めている深刻な原発事故の賠償金を、各国の拠出金で補う枠組作りについて、茂木経産大臣が国際条約を締結する意向を表明した」という報道もあったが、*4のように、東日本大震災で米軍の救援活動「トモダチ作戦」に参加した米空母「ロナルド・レーガン」の乗組員が被曝で健康状態が悪化したとして、東京電力を相手に損害賠償を求める訴訟を起こしており、原告の数が数十人に増えているため、トモダチ作戦参加者の健康調査を始めることを米議会が国防総省に義務づけるそうだ。そして、これは、東北・関東まで含むフクシマ周辺の住民も同じである。また、輸出した原発が事故を起こしても同じだ。

(3)先見の明なきは敗戦のシナリオだ
 *2-4のように、日立の社長が「原発技術、途絶えれば大打撃」として国に原発の継続を求め、北米事業の売上高を3~4割程度増やして1兆1000億円規模にする目標を表明している。なお、日立は英原子力発電会社のホライズン・ニュークリア・パワーを買収している。さらに、*2-5では、東芝も英原発会社を170億円で株の60%を取得して買収したと報じられている。

 つまり、日本政府の態度が原発輸出推進であるため、日本メーカーは強気で原発輸出の体制をとっているのだが、一方で、イギリスの会社は原発事業部を売却しているのだ。これは、私には、将来を見据えて原発事業部が高く売れる時にできるだけ高く売っている国と、過去にとらわれてそれを高く買っている国の明暗であるように思えた。

(4)原発事故では、多くの被害を受けている
 *3のように、東電福島第1原発の海側地下水は、日々、放射性物質濃度を上げ、2014年1月13日には、ストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり240万ベクレル含まれるという最悪を更新している。この汚染水により漁場は使えなくなったし、原発爆発後の除染も進んでいないため、温暖化ガス削減どころではない環境への悪影響を福島原発事故は未だに与えているのだ。

 そのため、社会保障も、まず、「人を不治の病にして、その人の人生や幸福を奪うようなことをしない」ということから始めるべきで、環境被害を受けている首都圏の住民は、今回の都知事選の争点である原発問題を真剣に考える必要がある。なお、私自身は、再稼動なしの脱原発にした方が、代替エネルギー開発や無公害・省エネの街づくりが一気に進んで日本経済は良くなるし、ここが分かれ道だと思っている。

*1-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S10914031.html?iref=comkiji_redirect
(日経新聞社説 2014年1月8日) 原発輸出 立法府から再考促せ
 安倍首相がトルコのエルドアン首相と会談し、日本からトルコへの原発輸出を進めることを確認した。経済浮揚につながるとして原発輸出に積極的な安倍政権だが、過酷事故が起きれば被害は一国にとどまらず、日本も責任を負わせられかねない。使用済み核燃料の最終処分や管理方法の確立といった国際課題もある。日本とトルコとの原子力協定は、核燃料サイクルをめぐる記述すらあいまいだ。協定の発効には国会の承認がいる。与野党の議員は立法府の責任として、政府に再考を促すべきだ。トルコとの原子力協定で問題視されているのは、ウラン濃縮と、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理に関する記述である。将来的にトルコが「できる」余地を残す文面となっている。いずれも核兵器の製造につながりかねない技術だけに、国際社会はきわめて神経質に対処してきた。今回、協定が発効したとしても、トルコが簡単に再処理できるわけではない。先の国会でも岸田外相が「日本として認めない」と答弁している。にもかかわらず、不明瞭な記述となったのは「肯定的な表現」を求めるトルコ側の要望を受けてのことだという。原発輸出の道筋を早くつけたい日本の前のめりぶりを表している。ごく一部の国に限られていた原発の利用は、ここにきてエネルギー不足に悩む新興国に広がっている。安倍首相がトップセールスで原発を売り込んでいる先も新興国ばかりだ。原発開発を急ぐ国々には、政情不安な地域や非民主的な政治基盤のところが少なくない。安易に原発を売り込み、相手の求める内容で協定を結べば、核不拡散への国際的な取り組みは難しさを増す。ただでさえ、国際原子力機関(IAEA)による従来型の査察は強制力に欠けるなどの限界が指摘されている。日本自体、核燃サイクルは頓挫しており、海外への再処理委託で大量に積み上がった余剰プルトニウムの確実な処理が国際的な関心事となっている。まずは、足元の問題解決に専心し、放射性廃棄物の管理や処分をどうするかという国際課題に正面から取り組む。それが、安倍政権の責務だろう。野党はもちろん、自民党内にも拙速な原発輸出や協定発効に対する慎重論があるという。与野党協力して立法府の良識を示してほしい。

*1-2: http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014011502000175.html (東京新聞社説 2014年1月15日) 原発輸出協定 核拡散が心配になる
 安倍政権は、原発輸出の前提となるトルコとの原子力協定に、核燃料の再処理を認める記述を盛り込んだ。外相は国会で、それを否定していたはずだ。被爆国日本が核拡散の懸念を広げていいのか。 核物質や原子力に関連する機材の輸出に際しては、相手国との間で原子力協定を結ぶ。核不拡散の観点から、平和利用に限るという約束を取り付けるのだ。原子力には常に、軍事転用の危険が付きまとう。日本は米国や韓国、中国など十二の国や機関と協定を結んでいる。原発の輸出を「成長戦略」の重要な柱と位置付ける安倍政権は、アラブ首長国連邦(UAE)に次いで、トルコとの間で二国間協定に署名し、国会の承認を急ぐ。インドやブラジルとも交渉を進めている。トルコでは、三菱重工やフランスのアレバ社などによる企業連合が、出力百十万キロワット級四基のシノップ原発を建設する計画が進んでいる。総事業費は二兆円規模になるという。最大の問題は協定で「両政府が書面で合意すれば、核物質の濃縮または再処理をすることができる」としたことだ。つまり、意思さえあれば、プルトニウムを取り出して、自前の核兵器を造る力を持てるということだ。トルコ側の強い要請があったというが、UAEとの協定では認めていない。なぜ、今回は特別扱いなのか。岸田文雄外相は衆院外務委員会で「日本は認めない」と断言していた。だとすれば、協定の内容も修正されるべきではないか。途上国では、開発に伴うエネルギー不足を補うため、原発建設計画ラッシュの状況だ。国内外に紛争の火種を抱える国もある。唯一の被爆国である日本が、核拡散に手を貸す恐れがあるような、振る舞いをすべきでない。その上トルコは、日本と同じ世界有数の地震国だ。一万七千人以上の死者を出した一九九九年八月のトルコ大地震は、まだ記憶に新しい。福島原発の事故原因には、いまだ不明な点が多く、後始末もできないままだ。国内で新増設のめどが立たないから、海外に打って出るのが「成長戦略」だとすれば、それで日本政府は胸を張れるのか。過酷な事故や戦争の犠牲になるのはいつも国民だ。ヒロシマやナガサキ、そしてフクシマの精神に照らしても危険を拡散すべきではないだろう。

*2-1:http://mainichi.jp/select/news/20131222k0000e010111000c.html
(毎日新聞 2013年12月22日) 原発輸出:安全確認、形だけ 経産省「国内向け」と落差
 原発関連機器の輸出を巡り、国が品質などを調べる「安全確認」と呼ばれる手続きの詳細が、情報公開請求により毎日新聞が経済産業省資源エネルギー庁から入手した文書で初めて判明した。実物の確認や複雑な計算式を使った強度計算など、国内向け機器の場合は実施する調査が行われておらず、簡単な書面審査や聞き取りだけで輸出が実行されていた。官民一体となって原発輸出を推進する中、手続きのずさんさが鮮明になった。毎日新聞は経産省資源エネルギー庁原子力政策課に手続きの詳細を明らかにするよう求めたが、拒否されたため情報公開請求して関係文書を入手した。安全確認は、独立行政法人「日本貿易保険」か、政府系金融機関「国際協力銀行」の融資を利用して、1件当たり10億円を超える機器を輸出する際、原発関連機器メーカーが両機関を通じて原子力政策課に申請する。入手した文書によると、安全確認は2003年2月に定められた内規に基づいて行われていた。(1)輸出元のメーカーが機器の品質確保や、輸出後長期間にわたり機器の保守補修、関連研修サービスを適切に行うか(2)相手国・地域が安全規制を適切に行える体制などを整備しているか(3)原子力安全条約などの国際的取り決めを受け入れ、守っているか−−の3項目。(1)は経産省産業機械課と原子力政策課、(2)と(3)は経産省旧原子力安全・保安院が実施する、と定められている。実際に使う「調査票」の「ひな型」も開示された。(1)に対応する項目は「国際的に認められた基準に基づいて設計、製作、品質保証を行っているか」や「保守補修など安全関連サービスを提供する用意があるか」など。いずれも「Y」(Yes)か「N」(No)に丸を付けるだけの簡単なものだった。国内向けの機器なら、原子力規制庁が実物を確認し、さらに複雑な計算式を使い強度などを調べる。一方、関係者によると、安全確認ではメーカーが提出した書類の点検や担当者から聞き取りをする程度で、実物は確かめない。さらに、担当課に複雑な計算が可能な人材はおらず、形式的なチェックにとどまっている。

*2-2:http://www.minpo.jp/news/detail/2014011513288
(福島民友 2014/1/15 ) 東電の過失責任が審理対象に 東電原発訴訟 裁判長「重要な争点」
 東京電力福島第一原発事故の被災者でつくる福島原発訴訟原告団が国と東電に慰謝料などを求めた訴訟の第4回口頭弁論は14日、福島地裁(潮見直之裁判長)であった。潮見裁判長は、「東電が津波対策を怠ったことで原発事故を招いた」とする原告側の主張に沿って、同社に過失責任があったかどうかを審理対象とする考えを示した。潮見裁判長は「賠償額算定のために東電の過失の種類・程度の審理が必要」とした上で、「(過失が)重要な争点となる」との見解を示した。東電は原発事故での過失や程度を問わない原子力損害賠償法に基づき審理を進めるように主張していた。原告側弁護団によると、全国13の地裁・地裁支部に東電と国を相手取って提訴された訴訟で、東電の過失を審理対象とするのは初めてという。原告側は東電の過失立証のため、昨年11月に東電から拒否された福島第一原発への津波到達予測試算データの開示を再度求めた。次回は3月25日午後3時から。

*2-3:http://www.westlawjapan.com/column/2011/110207/ (早稲田大学大学院法務研究科教授・弁護士 道垣内 正人 2011年2月7日) 第138回 原子炉メーカーの製造物責任
 メーカーにとって製造物責任は大きなリスクである。しかし、原子力損害の賠償に関する法律4条3項は、「原子炉の運転等により生じた原子力損害については、・・・製造物責任法 (平成六年法律第八十五号)の規定は、適用しない。」と定めている。原子力事故の場合の責任主体は原子力事業者(電力会社等)だけであって、原子炉メーカーは責任を負わないのである。 これは責任集中と呼ばれる。
 なぜ、原子炉メーカーは製造物責任法の適用除外を受けているのであろうか。それは、日本がアメリカから原子力関連技術の供与を受け、原子力発電事業を始める際にアメリカから提示された条件のひとつだったからである。アメリカの原子炉メーカーとしては、原子炉設備の瑕疵による事故が万一起これば巨額の賠償責任を負うことになりかねず、そのようなリスクを負うことはできないというビジネス判断をしたのである。アメリカの技術をもとにして原子力発電を始めた国々は、原子力事故の民事責任についてはほぼ同一の法制となっており、それらの国の間では原子炉メーカーの製造物責任は問わないというルールが国際標準となっている。1986年、チェルノブイリ原子力発電所事故が発生した。ソ連時代に発生した事故であるから、死の灰の飛散により西側諸国の酪農家等が被った損害についてソ連が何らの賠償をしなかったことは不当とはいえ、当時はいかんともしがたいことであった。ソ連の崩壊後、ドイツはロシア型原子炉の危険性を理由として、旧東ドイツの原子力発電所をすべて停止したが、ロシア・東欧の多くの国は主要なエネルギー源として原子炉を稼働し続けた。これをめぐって、上記の問題がクローズアップされた。すなわち、それらの国の多くは製造物責任の特則を設けていないため、西側のメーカーは、ロシア型原子炉の補修工事を受注することによって生ずるリスクを回避したのである。IAEAは国境を越える原子力事故に備える様々な法的対応をとったが、そのひとつとして、1997年に「原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)」を作成した。CSCは、責任集中のほか、無過失責任、一定額以上の賠償措置(責任保険、国の措置等による)等を定める法制を有している国が締約国となることができ、締約国で原子力事故が発生した場合には、原則として事故発生国のみが裁判管轄を有することとするとともに、国際基金から一定額が賠償資金として提供されるという仕組みを定めるものである。ロシア・東欧のほか、新たに原子力発電を始めようとする国々に国際基金というバックアップを提供する代わりに、国際標準の原子力損害賠償法制を作ってもらおうというわけである。そのため、CSCは原子力ルネサンスを謳歌して設備の輸出を積極的に行おうとする原子炉メーカー、その多くを擁する日本のためのものであると言われている。もし、国際標準の原子力損害賠償法制を有していないA国に日本の原子炉メーカーYが設備を輸出し、同国の電力会社Bが発電中にY製設備の瑕疵により原子力事故が発生した場合、A国居住者を中心とする被害者Xらは、日本の裁判所においてYを被告として損害賠償請求訴訟を提起することになろう。この場合、日本は被告住所地国であるので、日本の裁判所は国際裁判管轄を認め、本案の審理に入る。そして、国際私法によれば事故の発生地であるA国法が準拠法となり、同法には通常の民事責任法しかないとすれば、Yは倒産リスクにさらされることになる。これに対して、もしA国も日本もCSCの締約国になっていれば、裁判管轄は事故発生国に限定されるので、Xらが日本で提訴してもその訴えは却下され、A国で請求するほかない。そして、責任集中を定めるA国法により、A国の電力会社Bにのみ賠償責任があり(A国法上、Bは原子力損害賠償のための責任保険等の措置をとっているはずであり、それに加え、その賠償能力を補うため国際基金から一定額の拠出がされる)、Yに対する請求は認められない。最近、ベトナムに対する日本からの原子炉の輸出が決まったという報道に接し、日本は進んでCSCを批准するとともに、その世界各国での批准を推進する役割を果たすべき時期に来たのではないかと思う。 (なお、ロシアは現在、責任集中等を定めるIAEAの古い条約の締約国となっている。他方、アメリカ等4ヵ国がCSCをすでに批准しているものの、発効要件である5ヵ国に達せず、CSCは未発効である。)

*2-4:http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0400S_U3A201C1EB2000/
(日経新聞 2013/12/4) 日立社長「原発技術、途絶えれば大打撃」 国に継続求める
 日立製作所の中西宏明社長は3日、ワシントン市内で記者会見し、原子力発電事業について「日本の原発技術が途絶えるのは(エネルギー政策上の)打撃が非常に大きい」として、安倍政権に原発の継続を求めた。グループの北米事業の売上高を3~4割程度増やして1兆1000億円規模にする目標も表明した。中西氏は「日本の原発再稼働に時間がかかることは米当局も理解している」と説明した。原発の基幹技術を持つのは日本、フランス、ロシアの3カ国に事実上絞られるとしたうえで「日本のエネルギー供給全体の構成を勘案すれば、むしろ原発の技術開発を進める重要性が問われている」と語り、原発継続への期待を表明した。米ゼネラル・エレクトリック(GE)との原発合弁事業では、米電力大手ドミニオンでの採用が決まっている次世代沸騰水型軽水炉(BWR)の早期承認を目指す考えを示した。オバマ米大統領は気候変動対策で石炭などの火力発電プラントへの温暖化ガス排出規制を大幅に強化する方針を表明。米火力事業の先行きに不透明感も強い。中西氏は日立が三菱重工業と事業統合する火力発電システム事業をテコに引き続き北米でのシェア拡大を進める意向を示した。米規制強化について「事業への深刻な打撃はない」と語った。中国の防空識別権(ADIZ)に関しては「突発的な戦争が起こるリスクがある」と述べ、経済への悪影響に強い懸念を示した。仮に日中間で偶発的な軍事衝突が起きた場合は「地域で積み上げてきたビジネスのネットワークや資産が一気に凍結されかねない」と指摘。事態安定に向け関係当局の対応を求めた。

*2-5:http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014011500035
(時事ドットコム 2014/1/15) 英原発会社を買収=170億円で株60%取得-東芝
 東芝は14日夕(日本時間15日未明)、英国の原発事業会社「ニュージェン」を買収することで合意したと発表した。株主のスペイン電力大手イベルドロラとフランスのエネルギー大手GDFスエズから株式約60%を計1億200万ポンド(約173億円)で取得、経営の主導権を握る。一昨年の日立製作所に続く日本企業による英原発事業会社の買収で、この結果、3件の英国の原発新設事業のうち2件を日系企業が主導していくことになる。

*3:http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014011400896 (時事ドットコム 2014/1/14) 放射性物質濃度240万ベクレルに=最悪更新、福島第1海側地下水-東電
 東京電力は14日、福島第1原発2号機タービン建屋海側の観測用井戸で13日採取した地下水から、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり240万ベクレル検出されたと発表した。9日採取の同220万ベクレルを超え過去最悪を更新した。東電によると、この井戸は護岸から約40メートルの位置にあり、昨秋から濃度が上昇傾向にある。井戸周辺では、汚染地下水を吸い上げたり、放射性物質の海への流出を防ぐため護岸の土壌を固めたりする工事が進んでいる。東電は「一連の工事が地下水の流れに影響を与えている可能性がある」と説明し、新たな汚染水漏洩ではないとみている。

*4:http://digital.asahi.com/articles/ASG1G4JQFG1GUHBI01G.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2014年1月15日) トモダチ作戦参加者、米が健康調査へ 議会が義務化法案
 東京電力福島第一原発事故を巡り、東日本大震災で米軍の救援活動「トモダチ作戦」に参加した米空母「ロナルド・レーガン」の乗組員への健康状態を調査するよう、米議会が国防総省に義務づけることがわかった。米上下院がまとめた2014会計年度の歳出法案の中に盛り込まれており、議会は週内の可決を目指している。法案によると、任務に就いた後に健康状態が悪化したすべての事例を調べ、4月中旬までに議会に報告するよう求めている。また、被曝(ひばく)対策として米軍が取ったすべての措置を報告することも求める。同空母は震災当時、東北地方沿岸の海域で、米軍による被災者の捜索・救助活動や救援物資の輸送の拠点として活動していた。米国では、当時の乗組員が被曝で健康状態が悪化したとして、東京電力を相手に損害賠償を求める訴訟を起こしており、原告の数は数十人に増えている。

| 原発::2013.11~2014.5 | 05:06 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.12.26 脱原発と電力自由化の必要性について
    
         ↑               2013.11.17佐賀新聞より
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/dblog/speedi1/blog/38508/  
SPEEDIデータ:強風で有明海まで1時間で汚染が到達

(1)発送電分離と市場競争の必要性
 *1-1で、九電前社長の真部氏が「発送電分離に疑問」としながら、電力市場で競争が低調なことについて、「制度上の問題というより、新規参入事業者が大規模電源を持てないからではないか」としているのは、(経営者が経営学・経済学を知らないのでなければ)意図的に事実を歪めていると思う。何故なら、大規模発電設備など持たなくても、自然エネルギー等によって分散発電を行い、その電力を販売する場合や、*4のような新電力を使いたい人に送電するためには、送電会社が発電会社とは独立の意思決定ができる別会社であることが必要だからである。これまで新電力の普及を邪魔してきたのは、送電設備を所有する従来の電力会社にほかならない。

 真部氏は、「発送電分離などが必ずしも電気料金の抑制や災害時の大規模停電回避につながらない」ともしているが、発送電分離により市場競争が起こることで、発電方法の工夫や技術革新が進み、電気料金は抑制される。また、災害時の大規模停電に備えるには、自家発電や狭い地域単位での発電設備所有しか危機管理の方法はないだろうし、ここで発電された電力も販売できるのである。

 「改革の本当の狙いは、電力やガス、石油業界の融合を進め、外国に負けないエネルギー産業を育成することではないか」とも語られたそうだが、顧客本位の国内競争で鍛えられていない産業は、*1-2のように、原発か火力かという選択肢しか思いつかず、国際競争にも弱い。また、現在の地域独占と総括原価方式によるシステムでは、*5のようなことも普通に起こる。

 原発について、「燃料コストが安い電源だが、事故時に巨額の損害賠償を求められたり、外国の事故でも停止を迫られたりするリスクがある。使用済核燃料の問題もあり、『国策民営』の矛盾を真っ先に考えるべきだ」とも主張されたそうだが、すべてを考慮した原発のコストが膨大であることは、すでに多くの国民が知っている。従って、国営だろうと民営だろうと、原発はもう終わりにすべきなのである。

 なお、*1-3に記載されているように、「東京・六本木の原子力規制委員会からほど近いビルの一室に、7月以来、九電の社員90人が常駐し、原子力規制庁からのヒアリングや審査会用の資料作成に当たっている」という電力会社の体質は問題だ。普通の会社なら、社員が90人もいれば、数億円の売り上げを稼ぐが、電力会社では、他部署から送られた激励の寄せ書きや千羽鶴をもらって、「大変だ、大変だ」と言いながら、原子力規制委員会への対応だけをしているわけである。普段から、生産性が低く、人材や費用を無駄遣いしているのがよくわかるが、それで「九州の電力供給を支えている」などと言って欲しくない。何故なら、他社がやれば、もっと生産性高く発電し、料金を安くすることができるからである。

(2)立地自治体は、もう原発依存を断つべき
 *2で「原発が停止すると、地元を潤す定期検査に伴う作業員の宿泊や飲食、輸送需要が消えるという経済損失が危惧される」とされているが、これらは、結局は、私たちが電気料金として支払っているものだ。一方、これまで作業員の宿泊だけで経営が成り立っていた地元玄海町の旅館業者は、原発停止後、町内にある運動施設を活用し、サッカー大会や合宿の誘致に取り組んで宿泊客が右肩上がりになり、旅館組合長は「福島の事故で、原発が絶対的な存在でないことが分かった。経営を自立する手だてを築かなければ」と述べている。近くに原発がない方が都合のよい産業が多いため、立地自治体も、もう次のステージに進むべきだが、そのためには周囲の協力も必要なのである。

(3)原発事故時に被害を受ける周辺自治体について
 *3のように、玄海原発のケースでは、佐賀県伊万里市区長会連合会が2013年12月24日、九電に、原発立地自治体並みの「事前了解」を盛り込んだ原子力安全協定を伊万里市と早期に結ぶよう求める要望書を提出したが、受取った武雄営業所長は、立地自治体並みは難しいとの認識を示したそうだ。事故が起これば立地自治体と同じ被害を受けることが明らかな周辺自治体に、必要な情報を知らせるのは当然だし、それもできないのであれば、やはり一刻も早く原発を終えるべきである。

*1-1:http://qbiz.jp/article/29361/1/
(西日本新聞 2013年12月20日) 九電前社長、発送電分離に疑問 講演で「改革に事業者の声を」
 九州電力前社長で九州通信ネットワーク(福岡市)の会長を務める真部利応氏が19日、福岡市・天神であった交流会「天神サロン」で講演し、政府が電力システム改革で進める予定の「発送電分離」について「意図がよく分からない」と疑問を呈し「(改革に)民間事業者の率直な声を反映してほしい」と訴えた。改革では、2015年をめどに全国規模で電力需給を調整する「広域系統運用機関」を設立する改正電気事業法が11月に成立。付則には小売りの全面自由化、大手電力会社の発電と送配電部門を別会社にする「発送電分離」を実現する工程が盛り込まれた。真部氏は、電力市場で競争が低調なことについて「制度上の問題というより、新規参入事業者が大規模電源を持てないからではないか。安い電源の確保には大規模開発しかないが、数千億円の設備費用がかかる」と指摘。発送電分離などが必ずしも電気料金の抑制や災害時の大規模停電回避につながらないとして「改革の本当の狙いは、電力やガス、石油業界の融合を進め、外国に負けないエネルギー産業を育成することではないか」と語った。原発については「燃料コストが安い電源だが、事故時に巨額の損害賠償を求められたり、外国の事故でも停止を迫られたりするリスクがある。使用済み核燃料の問題もあり、『国策民営』の矛盾を真っ先に考えるべきだ」と主張した。

*1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2601482.article.html
(佐賀新聞 2013年12月26日) 1日も早く再稼働を 瓜生九電社長が会見
 九州電力の全原発が停止して丸2年となった25日、瓜生道明社長は記者会見で「1日も早い再稼働が不可欠」と述べ、玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)、川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の早期再稼働を目指す考えをあらためて強調した。瓜生社長は1年を振り返り、原発停止に伴う電力需給のひっ迫と電気料金値上げについて「お客さまに大変な不便と迷惑をかけた」と陳謝。火力燃料費の増加で収支が急速に悪化しているとし、原発の早期再稼働に理解を求めた。一方、本年度は資金調達のめどが立ち、経営面で「まだ辛抱できる余地はある」とも述べた。原子力規制委員会の安全審査については、年内におおむね申請書類を提出できたとし、「想定の範囲でしっかりした対応ができた」と評価した。伊万里市の塚部芳和市長が「(安全協定は)政治的駆け引きの道具」などと発言した問題については「住民の安全・安心を守るために立地自治体並みの安全協定をという気持ちが根底にはあると思う」と話し、安全協定に関する協議に影響はないとの認識を示した。

*1-3:http://qbiz.jp/article/29631/1/
(西日本新聞 2013年12月26日) 「安定経営」今は昔 九電、社員に疲労感 「原発ゼロ」2年
 主要電源だった原発がすべて停止し2年を迎えた九州電力。火力燃料費の増大に伴う急速な経営悪化で経営合理化を迫られ、「九州随一の安定企業」だった東日本大震災前とは様変わりした。原発再稼働に向けて九電は、原子力規制委員会による安全審査への対応に全力を挙げるが、賃金カットを余儀なくされた社員には疲弊感も漂う。東京・六本木の原子力規制委員会からほど近いビルの一室。7月以来、九電の社員90人が常駐し、原子力規制庁からのヒアリングや審査会合用の資料作成に当たっている。部屋の壁に掛けられているのは、九州の他部署から送られた激励の寄せ書きや千羽鶴。社員は都内でホテル暮らし。相応の経費がかかるが「審査に迅速かつタイムリーに対応する必要がある」と九電。一日も早い再稼働のためにはできることは何でもする構えだ。九電にとって正念場を迎えつつある審査会合。11月8日には原子力規制委員会から、原発で想定している地震評価が「不十分」と指摘され、審査期間が大幅に長期化しかねない状況になった。九電は12月18日に、想定する最大の揺れをこれまでより引き上げると説明。規制委から大きな異論はなく、九電幹部からは「本年度内の審査終了も見えてきた」と安堵(あんど)の声も漏れる。その一方で「最後まで何があるか分からない」とくぎを刺す声もある。規制委の現地調査で高い評価を得た川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)と玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)。関係者の間では、審査の進み具合は九電がトップとの見方があるものの、審査終了し、再稼働するまでは緊張の日々が続く。
  ■   ■
 「忘年会で居酒屋を予約するときも、『九電』の名は出さない」。九電の40代の男性社員は自嘲気味に話した。福島第1原発事故以来、原発や電力会社への世間の視線は厳しい。九電は原発再稼働をめぐる「やらせメール問題」からの信頼回復も道半ば。春の電気料金値上げでは利用者に負担増を強いただけに「『九電社員が外で酒飲んで遊んでいる』と評判が立ったりしたらまずい」とこの社員はこぼす。九電は4月から、社員の基本給を5〜10%カット。賞与支給は夏冬とも見送り、創業以来初めて年間ゼロにした。妻と小学生の娘2人とマイホームで暮らすこの社員は住宅ローン返済のために、退職金の一部を前借りして家計をやりくりしている。「会社の赤字を考えるとやむを得ない」と分かっているものの「今後もこれが続くと思うときつい」のも本音だ。九州の電力供給を支える−。現場の社員には今も電力マンとしての心意気が残るものの、原発停止で電力の安定供給は他電力からの融通などに頼らざるを得ない現実が横たわる。「若い社員が希望を持てない会社になった」と嘆くのは別の中堅社員。「九電が原発事故を起こしたわけではないのに、なぜここまで肩身が狭い思いをしなければならないのか」。そんな不満も社員の間にはくすぶっている。瓜生道明社長は25日の記者会見で「厳しい環境の中でも社員の『頑張っていこう』という気持ちはなえていないのではないか。処遇の改善は、原発の再稼働をにらみながら考えていきたい」。九電の経営も、社員の生活も、原発に頼らざるを得ないのが九電の実情だ。

*2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2600048.article.html
(佐賀新聞 2013年12月24日) 玄海原発停止2年 地域への余波目立たず
 玄海原子力発電所(東松浦郡玄海町)の原発全4基が停止し、25日で丸2年となる。地元を潤していた定期検査に伴う作業員の宿泊や飲食、輸送需要が消えることによる経済損失が危惧されたが、目立った倒産などは出ていない。ただ、再稼働に向けた安全対策の工事が地元経済を“下支え”していることもあり、今の状況を「一時的な平穏」と見る向きは多い。玄海原発から十数キロにある唐津市中心部のホテル。福島第1原発事故後、当時の菅直人首相が「脱原発」を打ち出したことで、一時は「蓄えがあるうちに閉館」を検討したほどだが、昨秋ごろから原発関係者の宿泊が戻り始めたという。「定検で客が入るのは1年の半分ほど。今年は定検時ほど多くはなかったけど、年間を通じて客足が絶えなかった」と経営者。客室の空調設備も新しくした。銀行の融資査定はすんなり通ったという。原発による地元への経済効果は13カ月に一度、炉を停止して行う定期検査によってもたらされる。唐津上場商工会が昨春示した「年間34億円の経済損失」の根拠も、1日2千人前後の作業員の宿泊や食費などの需要が消えることを想定したものだ。ただ、安全対策工事が入り、「100ではなくても、最悪ではない」と同商工会はみる。唐松地区の宿泊施設は震災直後の2011年4月に106カ所だったのが、直近の今年12月は99カ所。飲食店は471店から450店に減った。駅前の唐津シティホテルという大型施設の閉鎖はあったが、景気低迷に伴う減少傾向を考慮すれば、大きな落ち込みとまでは言えない。経済指標の一つ、企業からの税収である法人市民税で唐津経済をみると、震災が起きた10年度が6億9400万円に対し、直近の12年度は7億円と微増。企業調査会社の担当者は「倒産の数も少ない。建設業を中心に活気を取り戻しており、原発停止の影響は見えにくい」と話す。ただ、地元は楽観視する声は少なく、唐津上場商工会の古賀和裕会長(58)は「安全対策工事は一時的なもので、もうすぐ終わる。原発が再稼働しても、九電もこれだけ経営が厳しいので“地元対策”のようなお金の使い方はしないだろう」と、以前ほど原発マネーが地域を潤すことはないとみる。これまで作業員の宿泊だけで経営が成り立っていた地元玄海町の旅館業者たちは、原発停止後、町内にある運動施設を活用し、サッカー大会や合宿の誘致に取り組む。宿泊客は昨年10月からの半年間で575人、4月以降は11月末までの8カ月間で1556人と右肩上がり。同町旅館組合の小豆朋行組合長は「福島の事故で、原発が絶対的な存在でないことが分かった。今回のことを教訓に、経営を自立する手だてを築かなければ」と話す。原発停止から2年の歳月は、地元の意識を変えつつある。

*3:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/saga/article/60009
(西日本新聞 2013年12月25日) 安全協定で九電に要望 「立地自治体並みに」 伊万里市区長会
 佐賀県伊万里市区長会連合会は24日、九州電力に対し、原発立地自治体並みの「事前了解」を盛り込んだ原子力安全協定を伊万里市と早期に結ぶよう求める要望書を提出した。安並勇会長らが武雄営業所で富永弘文所長に手渡した。要望書は「緊急防護措置区域(UPZ)に指定され、市民は驚きと不安を募らせている」とし「安全・安心確保の観点から、立地自治体並みの安全協定を求める市の判断、行動を全面的に支持し早期締結を強く要望する」との内容。富永所長は「本店に伝えたい」と述べる一方「(事前了解を含む県との)安全協定があり、伊万里市とはこれを補完する形がいいのではないか」と述べ、立地自治体並みは難しいとの認識を示した。

*4:http://qbiz.jp/article/28003/1/
(西日本新聞 2013年11月27日) 新電力で9000万円削減 北九州市教委が競争入札
 北九州市教育委員会は26日、市内の小中学校と特別支援学校計193校の来年度の電力供給について一般競争入札を実施し、新電力(特定規模電気事業者)の丸紅(東京)が落札したと発表した。これまでは学校ごとに九州電力と随意契約していたが、新規事業者が参加しやすい新制度に変更。今回の落札で約9千万円の電気料金が削減できる見込みだという。新電力は電力の小売りが自由化されて登場し、工場の余剰電力などを安く売ることが可能だ。今回の入札は個別契約の煩雑さを避けるため193校を3グループに分けて実施。いずれも九電と新電力の計5社が参加し、すべて丸紅が落札した。落札額は計約3億9千万円。九電の見積額は約4億8千万円だったという。同市によると、九電が4月から実施している企業・団体向けの値上げ(平均11・94%)で、市所有の施設の電気料金は年間約5億円の負担増になるという。市は体育館や野球場など学校以外の市所有施設についてもグループ化しての一般競争入札を検討する。

*5:http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=313119&nwIW=1&nwVt=knd
【東電談合 2013年12月23日】 発送電分離は不可欠だ
 いったい何度、国民や利用者を裏切るのか。もはやあきれるしかない。東京電力発注の送電線工事をめぐる談合問題で、東電の社員が受注業者に助言したり、事前に契約の意向を伝えたりするなど談合を容認、助長していた実態が公正取引委員会の調べで分かった。受注業者間の話し合いなどを主導していたのも関連2社だった。外形的にはグループぐるみの構図である。談合によって不当につり上げられた工事代金は結果的に電気料金に転嫁された可能性がある。早期の全容解明と再発防止の徹底を求める。東電は本来、必要のないしわ寄せを幾重にも国民、利用者に及ぼしている自覚があるのだろうか。原発事故の被害に加え、昨年9月には家庭向けで平均8・46%の電気料金値上げを実施。賠償や除染費用の原資として国が貸し付ける巨額の「無利子」融資も返済が滞れば、さらなる国民の負担になりかねない。こうした流れからも東電が経営合理化に努めなければならないのは当然なのだが、社員が不法行為に手を貸していた。東電は昨年1月、発注方法を随意契約から値引き率や見積価格で業者に競わせる手法に変更したものの、ポーズにすぎなかったわけだ。複数の担当社員がメールで「きれいに数字が並んだら談合がばればれ」といった助言のほか、「A社に取らせたい。うまく調整する」と「天の声」を下したケースも判明した。受注業者、特に関連2社には多数の東電OBが再就職しており、うち7人が直接担当者として談合に参加していたという。公取委が業者側に立ち入り検査に入ったことし3月までの1年余りに、違反が認定された工事の発注総額は約150億円に上る。価格の高止まりは明らかで、立ち入り後は4割も安くなった工事があった。こうした実態をみれば、電力システムのインフラにあたる送配電部門と収益事業である発電部門とを切り離す「発送電分離」の必要性を疑う余地は全くない。3段階で進められる電力改革で、発送電分離は18~20年をめどに実施する方向性は決まったとはいえ、成立した改正電気事業法では付則に盛り込まれたにすぎない。改革が骨抜きにされないよう、利用者である国民がしっかりとチェックしていく必要がある。

| 原発::2013.11~2014.5 | 04:34 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.12.14 経産省・政府は、いつまで時代遅れの原発政策にしがみついているのか?(2013.12.15最終更新)
   (まさか、この記述を「非科学的」「風評被害」「扇動」などと、言わないでしょうね)
    
   2013.12.7東京新聞       日本全国で起こった市民の脱原発への意志表示

(1)原発事故を直視せず、将来に対する展望もない経産省の既定路線による危機
 *1によれば、2011年3月のフクイチ原発事故直後、経済産業省が「原子力の再生」「原発輸出の再構築」をめざす内部文書をつくり、「機密」扱いにしたそうである。その冒頭の「趣意」には、「原子力なきエネルギー安定供給は成り立たない」と書かれ、その上で「原子力再生を果たし、インフラ輸出基盤を再構築」と記して原発の維持と輸出促進を確認しているそうだが、これは、*3の、まさに現在行われようとしていることだ。

(2)世銀と国連は、「原発は援助しない」と表明して、原発を過去のエネルギーとした
 しかし、*2のように、2030年までに世界中の全ての人が電力の供給を受けられるようにする取り組みに関して、世銀のジム・ヨン・キム総裁と国連の潘基文(パン・キムン)事務総長は、11月27日、「最貧国に電力網を整備するため数十億ドル規模の資金援助が必要だが、集まった資金は原子力発電には投資せず、電力網の整備やエネルギー効率の倍増、再生可能エネルギー比率の倍増などの新エネルギー開発に使用する」という考えを表明したそうだ。

 私は、これが科学的・経済的でまっとうなエネルギー政策だと考えるが、現在、国連の事務総長が韓国出身の潘基文氏であるのは重要なことであり、*4に書かれている韓国や中国の原発停止にも尽力してもらいたいと思う。

(3)日本政府は、事実に対する追求がなく、ご都合主義である
 *5に書かれているように、内閣府が2012年3月、ロシアなどへ職員を派遣し、1986年に起こった旧ソ連チェルノブイリ原発事故の被災者支援を定めた「チェルノブイリ法」の意義を否定する報告書をまとめたそうだ。その報告書は、チェルノブイリ法が年間被ばく線量1ミリシーベルトと5ミリシーベルトを基準に移住の権利や義務を定めたことについて「(区域設定が)過度に厳しく、日本で採用するのは不適当」などの証言を並べ、「子ども・被災者生活支援法」の意義を否定し、両事故を比較して、福島での健康影響対策は適切だったと強調しているのだそうだ。

 しかし、「http://ishtarist.blogspot.jp/2013/10/google.html」に記載されているように、内部被曝による健康被害は癌や白血病だけでなく、倦怠感・心不全・膀胱炎・免疫低下など、全身の多様な慢性疾患であり、その影響は、事故後1年以内に現われるというより、次第に増えてくるものであるため、内閣府が2012年3月に結論を出すのは早すぎるとともに、健康被害を過小評価して原発事故の被害を矮小化すれば、その結果は、無防備となって、さらに多くの被害者を出すのである。

 また、①関東各地の地表線量の分布 ②放射性物質の飛散状況 ③爆発時の映像 ④事故後の原発の衛星写真が公開されていないこと などから、3号機の爆発は、本当は*6で言われているメルトダウンではなく、核爆発であり(http://www.youtube.com/watch?v=OiZmLqWnjgc 、http://www.youtube.com/watch?v=Gh1E1-u4CkU 参照)、大量の放射性物質はすでに外に放出されてしまっているのだろう。そのため、東京電力が「大量の放射性物質が放出された経路や原因などは依然解明されていない」などと言っているのであり、それは、本当は、上空からの写真、原発内部の写真、飛散した物質、その線量分布などを見れば、すぐにわかるはずなのだ。

(4)慣れっこになってはいけない、ものすごい事実
 *7のように、福島第1原発の海側敷地にある観測用井戸の水から、ストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が、過去最高値となる1リットル当たり180万ベクレル検出され、上昇し続けている。原発事故から2年9カ月の間、汚染水が流され続けており、その総量は想像もつかないが、これから何十年もこの状態が続けば、あの地域の海は、広い範囲で使い物にならなくなる。

 そして、当然のことだが、国民が命や健康と引き換えに、業界を守るために、汚染された食品を食べさせられ続けるようなことがあってはならない。何故なら、そういうことがあれば、その後、本人が不幸であるのみならず、国民の医療費が増える結果にもなるからだ(http://saigaijyouhou.com/blog-entry-433.html ドイツの国営テレビ・ZDFの動画参照)。

 また、*8の現場作業員の話からもわかるように、放射性物質に対する取り扱いの杜撰さ、技術のなさは、そんなことも知らずに原発をやっていたのかと驚くほどであり、それでも「日本の原発技術は世界一だ」「放射能は安全だ」と言って、「原子力再生」に突き進む人が多いのには呆れるほかない。

*1:http://digital.asahi.com/articles/TKY201312010227.html?iref=comkiji_redirect&ref=com_top6_2nd
(朝日新聞 2013年12月2日) 福島事故直後に「原子力再生」 経産省が機密文書
 2011年3月に東京電力が福島第一原発事故を起こした直後、経済産業省が「原子力の再生」や「原発輸出の再構築」をめざす内部文書をつくっていたことがわかった。事故の混乱が続いている最中にもかかわらず、原発推進政策の維持を図ろうとしていた。朝日新聞は、3月下旬の日付で情報管理が必要な「機密」扱いの「原子力エネルギー再復興へ向けて」と題する文書を入手した。関係者によると、原発にくわしい幹部がつくり、エネルギー政策にかかわる幹部級に配られた。事故後の方針を確認したり政策を立案したりするたたき台の一つになったという。冒頭の「趣意」には「原子力なきエネルギー安定供給は成り立たない」「原子力存続に向けた政府の再決意を表明する」と書かれている。そのうえで「原子力再生を果たし、インフラ輸出基盤を再構築」と記し、原発の維持と輸出促進を確認した。「経産省の再生そのもの」とも強調し、最重要政策に位置づけている。輸出では「今回の悲劇に潜む情報を分析し、世界に共有する」としている。原発輸出を進める安倍政権は「事故の経験と教訓を世界と共有する」と唱えており、その原型と言える。さらに、(1)(事故の)応急措置(2)緊急時宣言(3)原子力規制委員会の形成(4)東電解体と新電力事業体制の確立、という項目があり、とるべき具体策が並ぶ。このうち規制委は12年9月、民主党政権でつくられた。文書では新基準で審査したうえで「合格原発の稼働」としており、民主党政権や「原発活用」を掲げる安倍政権の再稼働方針とも重なっている。当時、経産省資源エネルギー庁にいた官僚は「原発に知見のある幹部が文書をつくった。政策に通じた幹部の考えが実現するのは自然の流れだ」と説明する。特定秘密保護法案では原発にかかわる文書なども秘匿されかねない。国民がこれらの政策立案過程を検証できなくなる恐れもある。
■「原子力エネルギー再復興へ向けて」の主な内容(◎は実現かほぼ実現、○は一部実現や検討されているもの)
【趣意】
・原子力なきエネルギー安定供給は成り立ち得ない。原子力存続に向けた政府の再決意を表明(◎)
・原子力再生を果たし、インフラ輸出基盤を再構築(○)
・今回の悲劇に潜む情報を分析し、世界に共有する覚悟を持つ(○)
【(事故の)応急措置】
・福島第一原発1~4号機の冷却、5、6号機の復帰
【緊急時宣言】
・安全基準を作成し、合格原発の稼働許可(○)
・原子力復興基金を創設し、不合格原発の復興に活用
【日本版NRC(原子力規制委員会)の設立】
・原子力安全委員会、原子力安全・保安院、有識者から構成(○)
・事故経緯の徹底した分析。NRCによる追加安全基準の作成(◎)
【東京電力解体と新電力事業体制の確立】
・原子力事業を東日本、西日本2社に再編
・送電会社の国営化。配電事業は当面は現体制維持、または再編も
・東電の賠償を国が肩代わりするのをてこに改革を電力業界に迫る(○)

*2:http://www.afpbb.com/articles/-/3004099?ctm_campaign=topstory (AFP BBニュース 2013年11月28日 発信地:ニューヨーク国連本部/米国) 「原発は援助しない」、世銀と国連が表明 
 世界銀行(World Bank)と国連(UN)は27日、最貧国に電力網を整備するため数十億ドル規模の資金援助が必要だと訴えるとともに、いずれの国においても原子力発電への投資は行わない考えを表明した。世銀のジム・ヨン・キム(Jim Yong Kim)総裁と国連の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は、2030年までに世界中の全ての人が電力の供給を受けられるようにする取り組みについて記者団に説明した。その中でキム総裁は「われわれは原発は行わない」と明言した。キム総裁によると、世銀は来年6月までに42か国の発電計画をまとめる予定。電力網の整備やエネルギー効率の倍増、再生可能エネルギー比率の倍増などを掲げ、目標達成には年間およそ6000~8000億ドル(約61兆~82兆円)が必要になるとしている。しかしキム総裁は、集まった資金は新エネルギー開発にのみ使用すると報道陣に明言。「原子力をめぐる国家間協力は、非常に政治的な問題だ。世銀グループは、原発への支援には関与しない。原発は今後もあらゆる国で議論が続く、たいへん難しい問題だと考えている」と述べた。

*3:http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20131211_3.html
[京都新聞社説 2013年12月11日]エネルギー計画  「脱原発」明記が出発点
 少しずつでも原子力発電所を減らし、将来的には原発に頼らない社会にしたい。そんな多くの国民の願いに目を背ける内容だと言わざるを得ない。経済産業省が、エネルギー政策の中期的な指針となる基本計画の素案を総合エネルギー調査会の分科会に提示した。年内に分科会案をまとめ、来年1月に閣議決定する。基本計画は、ほぼ3年ごとに見直している。民主党政権は2010年6月につくった今の計画で、30年までに全電源に占める原発の比率を約5割にするとし、翌年3月の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後には「30年代に原発稼働ゼロ」を掲げた。計画の見直しは、自民党への政権交代後、今年3月から始めた。素案は、原発を「エネルギー需給構造の安定性を支える重要なベース電源である」と明記し、前民主党政権の「原発ゼロ」目標をあっさり否定した。同時に、「原子力規制委員会によって安全性が確認された原発は再稼働を進める」との方針を記した。さらに、前政権が決めた「新増設は行わない」という原則を削除し、古くなった原発の建て替え(リプレース)や新設、増設に事実上、道を開く内容になった。政権交代に伴い、分科会委員を大幅に入れ替え、原発活用を進めたい現政権の意向に沿う結論は予想されたが、方針大転換にしては説明があまりにも不足している。
 最近の世論調査でも、国民の半数以上は原発再稼働に反対し、7割近くが「脱原発」を支持している。民意を無視してごり押しするやり方は、特定秘密保護法を強行採決した巨大与党の姿と重なる。最も指摘したいのは、目標を明示しないで進める原発、エネルギー政策の危うさだ。今回の素案でも将来の原発と自然エネルギーなどの電源構成比率の数値目標化は見送った。国内の原発は、運転30年超が20基近くに達し、老朽化が進む。原発の運転は40年に制限され、このままだと49年にはゼロになる。原発から出る使用済み核燃料など放射性廃棄物の処分場探しも、短期間に実現できる可能性は低い。安倍晋三首相は、東京五輪開催が決まった直後の記者会見では「原子力比率を引き下げる」と胸を張ったはずだ。こうした目標すら持たないエネルギー計画では国際社会の信頼は得られない。目標があってこそ節電や省エネ、新しいエネルギー開発の知恵や行動が生まれる。年明けの国会では政府方針について突っ込んだ議論を深め、計画の見直しを求めたい。

*4:http://www.47news.jp/CN/201312/CN2013121101001482.html
(47ニュース 2013/12/11)  韓国、原発増設路線を維持 35年に44基稼働目標
 【ソウル共同】韓国政府は10日、電力供給に原子力発電が占める割合を、現在の26・5%から2035年には29%にまで高め、従来の原発増設路線を維持することを柱とした国家エネルギー基本計画案を国会に提出した。韓国メディアが11日報じた。韓国では現在、原子炉23基が商業運転中で、他に建設中や建設計画が決まったものが11基ある。韓国メディアは政府方針を基に試算した電力需要量から、新たに最大で10基を増設し、35年には44基を稼働させる必要があると伝えている。

*5:http://mainichi.jp/select/news/20131201mog00m010002000c.html
(毎日新聞 2013年12月1日) 復興を問う:内閣府チェルノブイリ視察 支援法理念、報告書で否定
 東京電力福島第1原発事故への対応の参考にするとして内閣府が2012年3月、ロシアなどへ職員を派遣し、旧ソ連チェルノブイリ原発事故(1986年)の被災者支援を定めた「チェルノブイリ法」の意義を否定する報告書をまとめていたことが分かった。同法の理念を受け継いだ「子ども・被災者生活支援法」の法案作成時期と重なるが、非公表のまま関係の近い原発推進派の団体などに配られていた。
 支援法は、線量が一定以上の地域を対象に幅広い支援をうたって12年6月に成立したが、今年10月に支援地域を福島県内の一部に限定した基本方針が決まっており、成立を主導した国会議員らからは「国は早い時期から隠れて骨抜きを図っていたのではないか」と不信の声が上がる。
 報告書はA4判30ページで、内閣府原子力被災者生活支援チームが作成。毎日新聞の情報公開請求で開示された。調査団は同チームの菅原郁郎事務局長補佐(兼・経済産業省経済産業政策局長)を団長に、復興庁職員を含む約10人。ウクライナ、ベラルーシ(2月28日〜3月6日)とロシア(3月4〜7日)を2班で視察し、各政府関係者や研究者から聞き取りした。
 報告書は、チェルノブイリ法が年間被ばく線量1ミリシーベルトと5ミリシーベルトを基準に移住の権利や義務を定めたことについて「(区域設定が)過度に厳しい」として「補償や支援策が既得権になり、自治体や住民の反対のため区域の解除や見直しができない」「膨大なコストに対し、見合う効果はない」「日本で採用するのは不適当」などの証言を並べ、同法の意義を否定。両事故の比較で、福島での健康影響対策は適切だったと強調もしている。
 支援法の成立を主導した谷岡郁子元参院議員(当時民主)は「視察自体聞いていない」。川田龍平参院議員(みんな)は「できるだけ被害を矮小化したい意図が当時からあったことが分かる。支援法つぶしが目的だろう」と話した。

*6:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131213/k10013805342000.html
(NHK 2013年12月13日) 「3号機事故「早期に冷却機能低下」
 おととしの福島第一原子力発電所の事故で、東京電力はメルトダウンした3号機では、重要な冷却装置の機能が早い段階で低下したうえに、その後の消防車による注水も配管の抜け道から漏れた可能性が高く、十分な冷却が行われなかったとする検証結果をまとめました。これらの冷却の問題はメルトダウンにつながったとみられ、東京電力は検証結果を公表することにしています。福島第一原発の事故について、東京電力は去年6月、みずから行った検証の結果を公表しましたが、メルトダウンや放射性物質の放出に至る具体的な経緯については、未解明の問題が多く残され、検証を続けています。
 このうち3号機では、事故の2日後、おととし3月13日の午前10時40分ごろからメルトダウンが始まったとされていますが、それまでの原子炉の冷却がどのように行われていたのか、焦点になっています。東京電力で分析したところ、その日の早朝の原子炉の水位計のデータでは燃料が露出するほど水位が大幅に下がっていて、重要視していた外部電源がなくても動く緊急用の冷却装置の機能がそれよりも前の段階で低下していたとみられることが分かりました。さらに午前9時すぎに始めた消防車による注水では、水が配管の途中にある抜け道から別の装置に漏れ出していたとみています。
 こうした冷却が十分にできなかったことはメルトダウンにつながったとみられ、東京電力は13日、この検証結果を公表するとともに、大量の放射性物質が放出された経路や原因など、依然解明されていない問題の検証を続けることにしています。

*7:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013121301002568.html
(東京新聞 2013年12月13日) 海側井戸で180万ベクレル 福島第1原発、上昇続く
 東京電力は13日、福島第1原発の海側敷地にある観測用井戸の水から、ストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が、過去最高値となる1リットル当たり180万ベクレル検出されたと発表した。水は12日に採取した。5日採取の水から140万ベクレル、9日採取では150万ベクレルを検出しており、上昇傾向が続いている。井戸は2号機の東側で、2011年の事故直後に極めて高濃度の汚染水が漏れたトレンチ(電源ケーブルなどが通る地下道)の近くにある。

*8:http://news.nifty.com/cs/domestic/societydetail/agp-20131213-18314/1.htm
(@niftyニュース 2013年12月13日) 現場作業員が独占激白!福島原発4号機 「燃料棒取り出し」の凄絶実態!(3)
 現場は常軌を逸した惨状が続いている。ちなみに八木澤氏はこんな話を聞いたという。「福島原発が水素爆発した際、何号機のものかは定かではないが、燃料棒の一部が敷地の中に落ちていた。しかし非常に線量の高いものでしょ。では、どうしたかというと、遠隔操作のブルドーザーで運び、瓦礫と一緒に原発のそばを流れる川の河川敷に埋めてしまったというんですね」。そもそも仮に4号機の全ての燃料棒取り出しに成功したとしても、1~3号機の燃料棒が残っていることは周知のとおりだ。社会部記者が言う。「1号機の使用済み燃料プール内にある燃料棒70体が東日本大震災前から損傷していたことがこのほどわかりました。1号機プール内に保管されている使用済み燃料は292体で、その約4分の1に相当する。損傷した燃料棒を取り出す技術は確立しておらず、2017年にも始まる1号機の燃料棒取り出し計画や廃炉作業は困難を極めます。事故前から損傷していた燃料棒は1号機プールの他にも2号機プールに3体、3号機に4体、4号機に3体の計80体あった。しかし、震災後は、1~3号機は線量が高すぎ誰も近づけず、もはやこれらがどうなったかも、はっきりしたことは言えないのです」。
 1~3号機の原子炉格納容器の内部では、炉心溶融で溶け落ちた核燃料と金属類のくずが熱を発しており、現在、真水による冷却が続いている。溶け落ちた核燃料の実態を高放射線量の中で把握し、取り出すまでの長期にわたる技術が確立されておらず、その工程も手探りの状態。「現場ではこのまま水を流し続けるしかないのではないかという諦めに似た空気がある」。廃炉まで40年──いや、廃炉できるのかどうかもわからない現状。一刻も早い詳細な情報開示による事態の広範な共通認識が形成されなければ、現場作業員ならずとも感覚が麻痺しそうになる。

| 原発::2013.11~2014.5 | 01:00 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.12.10 原発の地元は、原発再稼働をさせないようにしよう! → ほかにもっと賢い方法がいくらでもあるのだから、玄海原発は再稼働させない。
(1)また歴史を逆走して、原発回帰を許してはならない
    
                     *1より           *3より
 *1に記載されているように、経産省は、2013年12月6日に新エネルギー基本計画の素案を示し、「原子力は重要なベース電源」と明記して原発回帰を鮮明にしたそうだ。しかし、その根拠は、すでに明確に否定された「ほかの電源と比べてコストが安い」という虚偽である。

 例を挙げれば、まず*2の中間貯蔵施設の建設と運用には多大なコストがかかるが、その予算は示されておらず、環境省が「設置可」とした根拠も薄弱すぎ、汚染垂れ流しの施設になる可能性が高いため、ここは、検証と結果の開示が必要だ。

 また、福島第一原発事故(シビアアクシデント)の損害賠償、除染、住民の健康管理、医療などの費用の合計は天文学的数字になりそうだが、総額が示されていない。そして、原発のシビアアクシデントは、広い範囲の国土を奪い住民に被害を及ぼすため、発生確率が低ければよいというものではなく、発生確率は0でなければならないものなのである。

 なお、*3に記載されているように、玄海原発のシビアアクシデント時については、避難訓練段階で27万人が逃げられるか、船やヘリ輸送に限界があるということだ。そして、避難した後に、元の場所に帰還して、元の生活に戻ったり、元の仕事に復帰したりすることができないのは、福島のシビアアクシデントで既に証明されている。つまり難民になるわけだが、放射能汚染地域になるのだから当然だ。

 このような中、*4のように、政府は、原発重大事故に備えて被曝医療の拠点病院を作る方針を出した。拠点病院で被曝医療を行えば、シビアアクシデントによる癌や心臓病が元どおり治癒できると思っているのなら甘すぎる。その状況は、既に東北大学に蓄積されている筈だ(まさか、特定秘密ではないでしょうね)。また、科学的に正確な疫学調査も行うべきである。そして、これらの医療費、調査費や新しく被曝医療の拠点病院を作って運営するコストも原発のコストであるため、その予算や実績を開示して原発のコストに含めるべきなのである。

(2)経産省は原発再稼働に前のめりで、電力会社は電力改革に後ろ向きである
 このような中、*5のように、九州電力の社長が「国民の利益になるか、電力を安定供給できるかという視点でしっかり検討してほしい」と述べ、慎重な議論を求めたそうだ。九州電力は、*6のように、玄海原発で重大事故が発生した際に指揮所となる「代替緊急時対策所」を建設して公開し、放射線防護設備を完備したとしているが、この費用も電気代に上乗せされる上、これがあれば、原発のシビアアクシデント被害が防げるわけでもない。

 そして、それをバックアップするかのように、*7では、「冬の節電スタート 九電、電力供給ぎりぎり」という従来通りの脅し文句が掲載されているが、九州では、冷房のため夏の方が電力需要が大きく、その夏は既にクリアしており、冬に備えては多くの家庭がガス・ストーブや石油ストーブを準備して電力離れしたのだ。また、再生可能エネルギー・自然エネルギー・エネファームなどの導入も進んでいるため、*7の内容は、古いタイプの脅しにすぎない。

(3)原発の地元では、再稼働に抵抗している
    
          *3より                     *8より
 *8のように、佐賀新聞社の佐賀県民世論調査では、玄海原発の再稼働について、反対が49・3%を占め、賛成の36・5%を上回った。また、今後の原発比率は、「将来的にゼロ」「即座にゼロ」の脱原発派が55・7%と半数を超え、維持派の39・3%を大きく上回った。

 これは、フクシマのシビアアクシデントやそれに対する政府の対応を見ての結果であり、地域別にみると、玄海原発が立地して多額の交付金をもらっている玄海町のみが再稼働に賛成100%、今後の原発比率維持派が80%だが、伊万里市をはじめ、シビアアクシデントで大きな被害を受ける周辺地域では、すでに原発再稼働反対が多数なのだ。つまり、賛成は金で買ったものにすぎない。

 年代別にみると、20代だけ再稼働賛成(51・2%)が反対(41・9%)を上回り、今後の原発比率についても維持派(60・5%)が脱原発派(34・9%)を大きく上回るが、これは、原発の安全神話に基づく間違った教育をした結果であり、これこそ深刻な問題なのである。

 そして、*9のように、「原発の安全神話は虚偽であり、玄海原発の操業は、憲法が保障する人格権や生存権を侵害する」として、玄海原発停止を求めて新たに386人が提訴し、原告数が7137人となっている状況なのだから、政府は、時代の流れを感じとり、エネルギー基本計画を再考すべきである。

*1:http://qbiz.jp/article/28634/1/
(西日本新聞 2013年12月7日) 原発回帰、具体性なき「国が前面」 エネ基本計画素案
 経済産業省が6日示した新たなエネルギー基本計画の素案は、原子力を「重要なベース電源」と明記して原発回帰を鮮明にした。東京電力福島第1原発の事故を踏まえ、民主党政権時代に多くの国民が「原発ゼロ」を望んだ民意は置き去りにされた。小泉純一郎元首相が問題提起した高レベル放射性廃棄物の最終処分場探しも、「国が前面に出る」としたものの、具体的な解決の道筋は示されていない。「エネルギー出力が圧倒的に大きい。数年は国内の保有燃料で供給できる」−。基本計画の素案は原子力の位置付けについて、天然ガスや石油などほかの電源に比べて有利な点を2回にわたって強調した。東京電力福島第1事故前の過去3回の計画と同様に、利点が目立つ書きぶりだ。だが、その説得力は乏しい。例えば、発電コスト。素案を議論した経済産業省の分科会では、民主党政権が2年前に行った1キロワット時8・9円との試算を基に、ほかの電源に比べて安く「運転コストが低い」とした。しかし、試算には廃炉の処理費用や福島事故の損害などが最低限しか入っておらず、それらを入れると1キロワット時17・4円との試算もある。それでも分科会ではコストの見直しはせず、推進派の委員が「原子力は安価な電源」と繰り返した。6日の分科会では、脱原発派の委員がたまらず「(放射性)廃棄物の問題や、ひとたび事故が起きれば悲惨な状況になると書いてほしい」と注文を付けたほどだ。
 素案には自民党が昨年末の衆院選で掲げた「原発依存度を可能な限り低減する」が盛り込まれたが、「必要な規模を十分見極めて確保する」ともあり、矛盾する。原発推進派の委員の「新増設、建て替えの明記を」という意見と、慎重派の「原発をどう減らすか具体的な議論するべきだ」との声を踏まえた妥協の産物といえる。だが、「規模の確保」を理由に新増設や建て替えの可能性を残したのは間違いない。10年以上進んでない高レベル放射性廃棄物の最終処分場探しに関して、素案は「国が科学的により適性が高い地域を示す」と強調した。従来の自治体の立候補を待つ方式からの転換を印象付けている。だが、実際は2007年に国の自治体に申し入れる形で候補地を絞る仕組みが導入されており、新味はない。議論をまとめた三村明夫分科会長(新日鉄住金相談役)は会合後、「総合的に分科会の議論と民主党時代の議論もフェアに取り上げた内容だ」と自信をみせたが、国民の理解を得るのは難しそうだ。
◇市民怒り 立地自治体歓迎
 民主党政権が掲げた「原発ゼロ」目標を否定し、原発の活用方針を盛り込んだ国のエネルギー基本計画素案が公表された6日、九州の立地自治体から賛否の声が上がった。九州電力玄海原発がある佐賀県玄海町の岸本英雄町長は「国が活用方針を明確にすれば再稼働にもつながり、ありがたい。原発はこれからも町の基幹産業」と歓迎。同川内原発が立地する鹿児島県原子力安全対策課も「今すぐ原発に代わる安定電源がないのが現実ではないか」と理解を示した。玄海町を所管する唐津上場商工会の古賀和裕会長は「原発停止の影響の大きさを知った。活用方針が出たとしても、飲食、宿泊業などで原発依存度を減らす努力をしたい」と話した。原発政策が震災前に逆戻りしないか、地元の懸念は根強い。玄海原発から約3キロで暮らす新雅子さん(80)は「原発に危険を感じ続けている。国は経済優先で、住民の暮らしや安全を考えているのか」と憤る。川内原発増設に反対してきた下馬場学さん(58)=鹿児島県薩摩川内市=は「脱原発を望む住民は増えている。福島の事故を経ても脱原発に転換できない政治に怒りを覚える」と語気を強めた。
◇合理性全くない 吉岡斉・九州大副学長(科学史)の話
 東京電力福島第1原発事故で、原発の破局的事故は無視できないと分かり、原発の経済性やその他の特性の評価も厳しくなった。新たなエネルギー基本計画の議論では、事故リスクを踏まえた原発の総合評価を見直すべきなのにやらなかった。「原子力ムラ」の人たちが語る原発の利点だけを挙げて、重要な電源と位置づけており、合理性は全くない。
■エネルギー基本計画 エネルギー政策基本法に基づき、3年ごとに政府が策定するエネルギー政策の中長期指針。2010年に策定された現行計画は、30年までに発電電力量に占める原発比率を50%以上にすると明記している。東京電力・福島第1原発の事故を受け、民主党政権は昨年9月に「革新的エネルギー・環境戦略」をまとめ、30年代に原発ゼロを打ち出した。戦略を反映した計画改定に向け、経済産業省の分科会を33回開いたが、取りまとめ前に政権交代した。安倍政権は民主党の政策を「ゼロベースで見直す」と表明。分科会委員から脱原発派を減らし、今年3月から議論を再開した。

*2:http://www.minpo.jp/news/detail/2013120812618 (福島民報 2013/12/8)
中間貯蔵施設、双葉の候補地も「設置可」 環境省 年内3町に受け入れ要請
 東京電力福島第一原発事故に伴う除染で出た土壌などを搬入する中間貯蔵施設の整備で、環境省は7日、双葉町の建設候補地で実施したボーリング調査から「設置可能」と判断した。有識者でつくる検討会に設置案を示し、了承された。既に調査を終えている大熊、楢葉両町を含め、候補地がある3町全てで、設置可能とする調査結果が出そろった。環境省は年内に3町と県に対し、受け入れを要請する。除染の推進に必要な中間貯蔵施設の整備は新たな段階に入る。設置案は東京都で開かれた中間貯蔵施設の安全対策検討会、環境保全対策検討会の合同会合で示され、了承された。会合で井上信治環境副大臣は「大きな一歩になった」と評価した。井上副大臣は記者団の取材に対し、「政府として責任ある案をまとめることができた。年内には要請する。ぜひ受け入れてもらいたい」と述べた。要請に合わせ、貯蔵施設の具体的な設置場所を公表し、説明する考えを明らかにした。
 環境省の調査結果によると、双葉町の建設候補地の地盤は「大年寺層」と呼ばれる固い泥岩層が分布。一部の砂岩層を除いて安定しており、建設に問題ないと判断した。地表から深さ3~5メートルで地下水を確認したが、くみ上げることで施設への影響はないとしている。土砂などを搬入する貯蔵施設は、大熊、楢葉両町の設置案と同様に、廃棄物の放射性セシウム濃度に応じて3種類設ける。1キロ当たり8000ベクレル以下は「1型」、8000ベクレル超~10万ベクレル以下は「2型」に搬入する。10万ベクレル超は専用の貯蔵施設に運ぶ。貯蔵施設の周囲には、廃棄物の体積を減らすための焼却施設や廃棄物の受け入れ・分別施設、研究施設などを整備する。3町ともに設置可能となったことで、今後、地元の受け入れが焦点となる。環境省は平成27年1月までの廃棄物搬入開始を目標にしている。ただ、3町は「調査と建設は別問題」と建設に慎重な姿勢を見せており、調整に時間がかかる可能性もある。
 中間貯蔵後の搬入先となる県外の最終処分場は具体化しておらず、数千人に上る地権者の同意取得が難航することも予想される。井上副大臣は「住民に(土地の買い上げなどについて)説明する機会を設けたい」と話した。双葉町の伊沢史朗町長は、調査受け入れに際し、町と町議会への中間報告と調査結果報告を条件としていたことを挙げ、「報告がないので調査が終了したとは考えていない。この段階での判断は難しい」と述べた。検討会が設置案を了承したことについては「専門家の判断は真摯に受け止める」と語った。

*3:http://qbiz.jp/article/28256/1/
(西日本新聞 2013年12月1日)  3県原発避難訓練 27万人逃げられるのか 船、ヘリ輸送に限界  
 佐賀、長崎、福岡の3県合同の原子力防災訓練では、住民が県境を越えて避難する訓練が初めて行われた。九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の30キロ圏内には約27万人が暮らす。これだけの住民が本当に避難できるのか。参加者からは疑問の声も上がった。玄界灘に浮かぶ壱岐島(長崎県壱岐市)。午前8時、玄海原発30キロ圏に入る島南部の郷ノ浦港で、市民9人が海上自衛隊のミサイル艇に乗り込んだ。その一人、自営業の足達親次さん(51)は普段から「原発の近さ」を感じている。島と原発を隔てるものは海以外にない。島南部の住民は30キロ圏外の北部に避難するのが県の計画だが、「風向き次第で島全体が放射能に汚染される。島を出るしかない」と覚悟する。博多港との間でフェリーが運航するが、約2万9千人の市民を島外に逃がすには何往復も必要。訓練では、逃げ遅れた人たちを救うという想定で海自ミサイル艇が出動したが、足達さんの表情はさえない。「海が荒れれば船は来ない。どこに逃げたらいいのか」。空路での避難訓練では、壱岐市民9人が壱岐空港で航空自衛隊ヘリに乗り、福岡空港へ。避難誘導した市職員の飯田雅浩さん(40)は「落ち着いて行動できたが、事故が起きれば『われ先に』と乗り込む人も出てくるかも」。万単位が想定される避難者に対し、ヘリの定員はわずか55人だ。玄海原発から北約8キロの離島・松島(佐賀県唐津市)。住民は24世帯61人で、原発周辺の七つの離島で最も少ない。事故が発生すれば漁船が頼みの綱となりそうだ。訓練では7人が松島港で漁船3隻に乗り込み、福岡県糸島市の岐志港に向かった。訓練を終えた漁業、宗勇さん(51)は疲れた表情で漏らした。「知らない海を港まで安全に航海するのは難しい。そもそも船を係留する場所が確保できるのか」。宗さんは海に潜ってアワビなどを採る。その間、3〜4時間は携帯電話もつながらない。「事故の連絡があってもどうしようもないよね」。原発20キロ圏内の唐津市浜玉町からは、住民23人が大型バスで福岡市西区の高校に避難した。小学校教員の早瀬和人さん(51)は「避難ルートを佐賀県に限定せず、福岡県に広げたのはいいことだ」と評価しながらも、「交通渋滞の恐れがあるし、風向きなどの情報が行政から随時伝えられるのか。不安は尽きない」と話した。
◆広域連携、課題山積み
 九電玄海原発(佐賀県玄海町)周辺の佐賀、長崎、福岡3県は、広域避難の連携では一致しているものの、具体的な受け入れ先などは決まっていない。福岡都市圏には多くの避難者の流入が予想されるが、30キロ圏内からの避難を優先している福岡県の地域防災計画と、50キロ圏内からの避難も視野に入れる福岡市の計画が連動していないなど課題は山積している。3県は5月に開いた協議会で、福岡県が長崎県壱岐市や佐賀県唐津市方面から避難者を受け入れることを確認した。ただ、博多港と航路で直結している壱岐の人口だけで約2万9千人に達し、「全員の具体的な避難先を確保するのは簡単なことではない」(福岡県防災企画課)という。そもそも福岡県の計画では、福岡市を中心とした福岡都市圏(8市8町)は、原発から30キロ圏にかかる福岡県糸島市の一部、約1万5千人の受け入れを優先する。一方、福島第1原発事故のように30キロ圏外の多くの住民も避難を求められる可能性は高く、福岡都市圏に3県の避難者が集中する恐れもある。さらに複雑なのは、福岡県の地域防災計画は国の「原子力災害対策指針」に基づき原発から30キロ圏を避難対象としているのに対し、福岡市は独自に原発から50キロ圏の市民(約56万人)の避難も考えていることだ。福岡市の計画は、福島第1原発事故での高濃度放射性物質の飛散状況を勘案したもので、50キロ圏外の市内の小中学校を避難先とする計画を本年度中にまとめる予定。より原発に近い糸島市の30キロ圏外で暮らす約8万5千人の避難先は未定なのに、遠方の福岡市民には避難先が用意されるという矛盾が生じる。福岡市の計画のように、事故時には県の計画で避難者の受け入れ先とされている地域も避難が必要となることも考えられるが、福岡県は「国の指針が見直されない限り対象を広げられない」(防災企画課)としている。

*4:http://digital.asahi.com/articles/TKY201311040506.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2013年11月5日) 被曝医療に拠点病院 政府方針、原発重大事故に備え 派遣チーム新設も
 東京電力福島第一原発事故を教訓に、政府は原子力災害時の医療体制を抜本的に見直す。原発周辺の広範囲で住民が低線量の被曝をしても即応できるよう、日常的に救急医療を行う病院を「原子力災害拠点病院」(仮称)に指定して、住民らの除染や治療を担う。大量被曝した重症患者を診る病院も全国のブロックごとに作る。原子力災害時に現地に入る派遣チームも新設する。原子力規制庁は近く検討会を立ち上げ、細部を詰める。原子力規制委員会の了承を得て、来年夏までに国の防災基本計画に盛り込むことをめざす。新設する「原子力災害拠点病院」は、救急医療に慣れた災害拠点病院などから選ぶ。その基準は規制庁が定め、各自治体が原発30キロ圏内と隣接区域に分散して指定する。拠点病院には、定期的に実践的な研修・訓練をしてもらう。また、大量被曝した重症患者への専門的な除染や診療をする病院を東北、北陸などブロックごとに指定する。候補には弘前大(青森)や福島県立医大、福井大、大阪大、長崎大などが挙がっている。従来は放射線医学総合研究所(千葉)と広島大の2カ所だけだった。さらに、原子力災害時の応援態勢も強化する。全国に約1150あり、自然災害発生地に行く災害派遣医療チーム(DMAT)の中から、被曝医療に詳しい医師、看護師らを育て、「原子力災害時派遣医療チーム(NMAT)」(仮称)を新設する。全国で100チーム以上指定し、避難指示区域でも活動できるようにする計画だ。現行の被曝医療体制は、1999年に数人の作業員が大量被曝したJCOの臨界事故をきっかけにできた。住民の被曝は少数との前提で、除染や治療は「被ばく医療機関」に指定された地元の病院が担うことになっていた。ただ、指定の統一基準がなく、各自治体は、救急対応力ではなく、原発からの距離などを重視して選んでいた。広範囲の住民が被曝した福島第一原発事故では、指定病院が十分に対応できなかった。福島県内では6病院が「被ばく医療機関」だったが、4病院は地元の一般病院で、災害拠点病院は2カ所、救命救急センターがあるのは1カ所だけだった。全体的に準備不足で、しかも4カ所は原発に近すぎて避難や屋内退避の対象となった。
■原子力災害時の医療体制の見直しのポイント
《1.緊急時対応能力の強化》 原発30キロ圏内・周辺にあり、日常的に救急医療を担う病院から、全国統一基準で「原子力災害拠点病院」(仮称)を指定。低線量被曝患者の除染や診療をする
《2.重症患者対応能力の強化》 全国のブロックごとに、大量被曝した重症患者の除染や診療をする病院を指定
《3.応援態勢の強化》 事故発生時に応援に駆けつける「原子力災害時派遣医療チーム(NMAT)」(仮称)を新設

*5:http://qbiz.jp/article/28066/1/
(西日本新聞 2013年11月28日)  「電力改革慎重に」 九電社長 国民目線を強調
 九州電力の瓜生道明社長は27日の記者会見で、政府が目指す電力システム改革について「国民の利益になるか、電力を安定供給できるかという視点でしっかり検討してほしい」と述べ、慎重な議論を求めた。電力システム改革をめぐっては、2015年をめどに全国の電力需給を調整する「広域系統運用機関」を設立する改正電気事業法が13日に成立。付則には小売りの全面自由化、大手電力会社の発電と送配電部門を別会社にする「発送電分離」の工程も明記された。瓜生社長は改革の方向性に理解を示しつつも「料金が高止まりしたりして国民が困るということも考えられないことはない。しっかりとした仕組みやルールが必要だ」と強調。九電としては経営環境の変化に備え、社内横断チームで将来の対応策などを検討していると説明した。会見で瓜生社長は、通信機能の付いた次世代電力計(スマートメーター)の全世帯への導入時期を、従来計画の2025年度から2年程度前倒しする方針も表明した。

*6:http://qbiz.jp/article/27914/1/
(佐賀新聞 2013年11月26日) 玄海原発の代替指揮所を公開、九電 放射線防護設備など完備
 九州電力は25日、玄海原発(佐賀県玄海町)で重大事故が発生した際に指揮所となる「代替緊急時対策所」を報道関係者に公開した。放射線防護設備や九電本店とつながるテレビ会議システムを備え、2015年度に予定する免震重要棟完成まで、代替施設としての役割を果たす。事務所棟の地下にも対策所はあったが、津波が起きれば機能しなくなる恐れがあり、海抜21メートルの高台に6月下旬に着工、10月中旬に運用体制が整った。鉄筋コンクリート平屋の約180平方メートルで、窓はなく、壁の厚さは約60センチ。放射線対策としてヨウ素を除去するフィルター付き換気空調設備や、非常用発電機2台がある。収容人数は約100人で、最長1週間作業できる食料を備蓄した。隣接地には、原子力規制委員会の助言に基づき、放射性物質を遮る機能を持つ屋外待機スペースを建設中。担当者は「規制委から注文があれば、さらに改良したい」と話した。

*7:http://qbiz.jp/article/28270/1/
(西日本新聞 2013年12月2日) 冬の節電スタート 九電、電力供給ぎりぎり
 沖縄電力を除く全国9電力管内で2日、冬の節電期間が始まる。東日本大震災後、夏と冬の節電要請は恒例となっているが、稼働原発ゼロで需要期を迎えるのはこの冬が初めて。節電期間も来年3月末までの平日(年末年始を除く)と夏より長い。九州電力は、安定供給ぎりぎりの供給力を確保し、トラブルなどに備え「無理のない範囲での節電」を呼び掛ける。冬の寒さが2011年度並みの厳寒だった場合、九電管内の最大電力使用量に対する供給余力を示す「予備率」は3・1%。安定供給に最低限必要とされる3・0%は上回ったものの、頼みの綱の原発は再稼働が見通せず、予期せぬ気温低下やトラブルで需給が逼迫(ひっぱく)しかねない状況だ。一番の心配は火力の停止。12年2月には新大分発電所(大分市、計229万5千キロワット)が寒波で発電できなくなり、広域停電寸前の危機に陥った。記録的猛暑だった今夏も8月に松浦1号(長崎県松浦市、70万キロワット)が蒸気漏れで17日間停止。需給が一気に緊迫した。冬本番に向けて九電は9月から火力発電設備の集中的な点検・補修に入り、今月中旬までに終える予定。廃止予定だった老朽火力の苅田(かりた)新2号(福岡県苅田町、出力37万5千キロワット)もフル稼働させる計画だが、11月19日にボイラー設備の不具合で運転停止に追い込まれた。応急工事で復旧したものの「設備の性質上、トラブルをゼロにするのは難しい」(九電)という。「供給力計画はぎりぎり」と九電はアピールするが、供給力の上積みができないわけではない。中部、北陸、関西、中国、四国、九州の6電力管内全体で見た予備率は厳寒想定でも5・0%。九電と関電を除く4社の予備率は6・0〜8・5%と比較的余裕がある。九電は中部などから約70万キロワットの融通を受ける計画で、緊急時に融通量を拡大してもらうことは可能だ。
 企業などが電力を売り買いする日本卸電力取引所を使う手もある。翌日に使う電力を30分単位で取引する市場などがあり、九電はこの夏も最大108万キロワットを調達して乗り切った。冬の電力使用量は気温に大きく左右される。気象庁によると、西日本のこの冬の気温は平年より低い見込み。寒さで電力需要が増えれば、融通電力の積み増しが難しくなり、電力の市場価格も高くなる。赤字経営の九電にとって厳しい冬になる。

*8:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2582221.article.html
(佐賀新聞 2013年11月17日) 玄海再稼働「反対」5割 県民世論調査
 原子力規制委員会が新規制基準に基づき安全審査を進めている九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県東松浦郡玄海町)。佐賀新聞社の県民世論調査では、玄海原発の再稼働について、反対が49・3%を占め、賛成の36・5%を上回った。今後の原発比率については「将来的にゼロ」「即座にゼロ」の脱原発派が55・7%と半数を超え、維持派の39・3%を大きく上回った。汚染水漏れなどで福島第1原発事故がいまだに収束の道筋を描けない中、原発に対する県民の不信感が浮き彫りになった。
 昨年と比較すると、再稼働に反対は5・1ポイント、賛成は6・2ポイントそれぞれ増え、差はわずかに縮まった。一方、今後の原発比率については脱原発派が8・4ポイントアップしたのに対し、維持派は5・9ポイントのダウン。拮抗していた昨年に比べ、10ポイント以上開いた。「分からない」という回答は減り、原発問題への理解の高まりもうかがわせた。
 地域別にみると、玄海原発が立地する玄海町では再稼働に賛成が100%、今後の原発比率も維持派が80%を占め、長引く原発停止が地域経済に与える影響の大きさを示す結果になった。市域の大半が30キロ圏内に含まれ、立地自治体並みの権限を求めて県内で唯一、九電と安全協定を結んでいない伊万里市は、再稼働に賛成が31・6%、反対は52・6%だった。
 年代別にみると、全体的に再稼働反対、脱原発の傾向が強まる中、20代だけが再稼働賛成(51・2%)が反対(41・9%)を上回り、今後の原発比率についても維持派(60・5%)が脱原発派(34・9%)を大きく上回った。若い世代ほど、原発を必要と捉えている傾向が読み取れた。

*9:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2584048.article.html
(佐賀新聞 2013年11月22日)  「玄海原発停止」 新たに386人が提訴
 佐賀など全国の反原発の住民が、国と九州電力に玄海原発(東松浦郡玄海町)全4基の操業停止を求めている訴訟で、新たに福島県を含む21都道県の380人と韓国人6人が21日、佐賀地裁に提訴した。提訴は第8次で、原告数は7137人となった。今回新たに原告に加わったジャーナリストの斎藤貴男さん(55)らが12月20日に意見陳述する。原告弁護団は「来年早期に1万人に到達し、その力で脱原発を実現する」と話す。訴状では2011年3月の福島第1原発事故で原子炉4基が制御不能となり「安全神話は虚偽」と主張。玄海原発の操業は、憲法が保障する人格権や生存権を侵害するなどとしている。

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