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2014,04,17, Thursday
*3より (1)新聞のマッチポンプには呆れた *1の朝日新聞社説は、あまりにもマッチポンプで、呆れたと言うほかない。何故なら、中心となってそれをやってきたのは朝日新聞であり、「割烹着」「黄色やピンクの壁」「子どもじみた服やぬいぐるみ」を愛用していると報道された小保方氏は、知識の深い学者というよりは、センスの悪い「ぶりっ子」という印象で、STAP細胞の使い方について話した内容も、「子どものいない人への福音」「美容目的」など、生物学や医学の知識のなさを露呈するものだったからである。 そのため、私は、「この幼さの演出が、最近の若い日本女性の流行で、これをやらせる環境が可哀想だ」とは思ったが、「リケジョの星」とは、とうてい思わなかった。 (2)しかし、それと発見の重要性は異なる しかし、*1のように、「論文がずさんだ」「撤回しろ」とたたみかけたメディアは、まさに、STAP細胞の発見の重要性やその目的とブラックタイガーを「車エビ」という包装紙で包んだメニュー偽装との区別がついていない程度だ。そして、それが、現在の日本のメディアの限界なのである。 2014.3.19、2014.3.26、2014.4.9、2014.4.15の記事のように、私は、このブログで何度もSTAP細胞の存在を強調したが、それは、小保方氏が割烹着を着て研究し、黄色やピンクの壁を好み、子どもじみた服やぬいぐるみを愛用していたからではない。むしろ、そのように小保方氏のセンスは幼稚で、お世辞にもよいとは言えないにもかかわらず、STAP細胞の発見は今後の再生医療の応用に重要であるため、第一発見者を抹殺して業績を横取りするような卑怯なことをしてはならないと考えたからである。 さらに、*1は、「包装紙よりも中身の価値にこそ細心の注意を払う。そんな心眼をもつ社会でありたい」としているが、そのためには、少なくとも中身の価値を理解できるメディアが、国民に質の高い解説をすることが必要不可欠だ。 (3)あら捜しに対応したマウスでの証明より、速やかな人間への応用の方が大切だ *2で、理研の笹井氏が、「STAP現象は本物」と述べており、私もそう思うが、*3のように、STAP細胞の真実の行方を理研がゼロから立証、確認、検証するそうだ。 しかし、理研が検証に成功したところで、*5のように、「若いマウスの脾臓から採取したリンパ球が胎児に育ち、胎盤を形成することができた」と言えるにすぎない。これは、*4のように、本当なら「世紀の大発見」であるとはいえ、植物やトカゲでできることが、若いマウスでもできることを証明したにすぎない。 しかし、大切なのは、哺乳類であるマウスでできるなら、人間の神経や皮膚や臓器を再生することもできるだろうということで、これができれば、自分のリンパ球から、悪くなった神経や皮膚や臓器を新しく作って、副作用なく取り替えることもできるため、人間への応用研究を急ぐべきなのである。 (4)再生医療について 現在の臓器移植は、他人の臓器をもらわなければならないため、くれる人が現れ、それが適合する場合にのみ、拒絶反応を抑えながら移植することができる。そのため、くれる人にも、もらう人にも多くの問題が生ずる。しかし、自分の細胞から臓器・神経やそれらを補強する細胞シートを簡単に作ることができれば、拒絶反応もなく、必要な時に身体の部品を取り替えたり、補強したりできるわけだ。 例えば、甲状腺癌で甲状腺を摘出しなければならないとしても、かわりの甲状腺を自分の細胞で作っておいて部品の取替えですむのなら問題は少ない。腎臓や大腸でも同様で、それができるためには、胎児や胎盤を作れるという特性よりも、あらゆる細胞に分化して増殖できるという特性の方が重要であり、それを3Dプリンターか何かで元の臓器と同じに形成できなければならない。 (5)人間はどこまで部品の取替えが許されるのか? 自分のリンパ球で作ることを想像すれば誰にでもわかるはずだが、リンパ球は、血液を採取すれば容易に取り出すことができるが、それを使って勝手に胎児を作られては困る。それでは、「どこまで部品を変えても本人なのか」「どこまで許されるのか」については、極端な事例を書けば、前頭葉を取り替えれば別人になってしまうが、網膜は交換してもよいだろう。そして、今後は、この境界線の倫理をしっかり詰めた上で、早く実用に供するのが、皆のためになると考える。 *1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11088507.html (朝日新聞社説 2014.4.17) STAP騒動 あおり競争で細る社会 どうも空しさが漂う。STAP細胞という大発見の立役者から一変、不正の烙印を押された小保方さん騒動である。反論会見には300人以上が詰めかけ、テレビも中継した。これほど関心を集めたのは発見の真偽に加え、「30歳の割烹(かっぽう)着を愛用するリケジョの星」という当初の鮮やかな登場が人々の興味をかき立てたからだろう。確かに、経済が滞り、対立と閉塞(へいそく)感ばかりが強まる日本で、軽々とホームランを放ったような若い女性は、存在そのものが希望の明かりをともした。それを誇らしげに強調したのは、彼女が所属する理化学研究所だった。研究費獲得にしのぎを削る現実の中、看板となるスターを押し立てたかったのではないか。研究をくるんだ「包装紙」にメディアも目を引かれ、注目度は高まったが、肝心の論文はずさんだった。前に見たものとどこか似ている。交響曲を「全ろうの被爆2世作曲」という包装紙で包んだ佐村河内氏騒動。ホテルやデパートがブラックタイガーを「車エビ」という包装紙で包んだメニュー偽装事件――。いずれも中身より外観に振り回された。足元がぐらつく思いだ。不景気な時代を生き残るには、何を売るかだけでなく「どう見せか」が大切なのはわかる。それがいつのまにか、見せ方の方が主導権を握っている。一連の騒動はひとごとではない。消費社会は行き着くところまで行っているが、それでも買ってもらおうと、売り手も買い手も見せ方、見え方に傾きすぎて刹那(せつな)的な消費を繰り返す。その中で、じっくりと腰を据えた愚直な仕事が置いてけぼりになってはいないか。仕事の成果を世に問うとは、原点に戻れば、人に役立つモノや発見、サービスを生み出して喜んでもらい、お礼をもらうことだ。それを見失った「あおり」競争は誰をも豊かにしない。いくらお金が回っても、「だまし」「だまされ」の空虚な取引に終わりかねない。きれいごとで経済は回らない。だが騒動を機に売り手も買い手も、そして運び手であるメディアも、それぞれ原点に立ち返ることは無用ではあるまい。小保方さんは、いつかSTAP細胞が人の役に立つ日を夢見て来たと語った。上司の笹井芳樹さんもきのう、「発見」は今なお検証に値すると強調した。ならば、真実の解明に全力を集中してほしい。包装紙よりも、中身の価値にこそ細心の注意を払う。そんな心眼をもつ社会でありたい。 *2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11078910.html?_requesturl=articles%2FDA3S11078910.htmlamp (朝日新聞 2014年4月11日) 「STAP現象、本物」 小保方氏指導、理研の笹井氏会見へ STAP(スタップ)細胞の論文問題で、理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーの指導役の笹井芳樹氏(52)が朝日新聞の取材に「STAPはreal phenomenon(本物の現象)だと考えている」とこたえた。小保方氏の現状については「こうした事態を迎えた責任は私の指導不足にあり、大変心を痛めた」と心境を説明した。来週中に会見を開く方針。笹井氏は理研発生・再生科学総合研究センターの副センター長で、ES細胞(胚性幹細胞)から体の組織をつくる研究の第一人者。小保方氏とともに主要著者の1人。記者が先月中旬から4月9日まで、メールで複数回、やり取りした。小保方氏は9日の会見で「200回以上STAP細胞の作製に成功した」などと主張した。一方、専門家の指摘では、STAP細胞が実は別の万能細胞(ES細胞)が混ざったものではないかという疑念が多い。笹井氏は「他の万能細胞を混ぜても、一つの塊にならない。実験をやったことのない人の机上の考えだ」と反論。ES細胞からつくれない組織がSTAP細胞ではつくれたことなどをあげ「ES細胞では説明のできないことが多すぎる」「STAPが存在しないなら、私たちが再立証に力を入れることはない」と指摘した。ただ、これまでのやり取りでは、STAP細胞が存在するか具体的な証拠は示されていない。論文撤回に反対する小保方氏と違って、笹井氏は「信頼が失われたのは否めない。撤回は適切な判断だ」と撤回に同意している。小保方氏の会見について笹井氏は「彼女の気持ちと考えを率直に語っていた」とした上で「若い研究者の芽を枯らせかねない状況になり慚愧(ざんき)の念にたえない」と胸の内を明かした。 *3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140417&ng=DGKDZO69974470W4A410C1M10600 (日経新聞 2014.4.17) STAP細胞 真実の行方、理研、ゼロからの立証 万能性確認へ検証実験 STAP細胞はあるのか、ないのか。16日に記者会見した笹井芳樹・理化学研究所発生・再生科学総合研究センター副センター長は「何度も自問自答している」と気持ちの迷いを吐露した。理研が存在の有無をゼロから調べるため着手した検証実験に、結論を委ねるという。小保方晴子研究ユニットリーダーは一時期、1日に1個のペースで作ったと主張するが、検証には1年かける。理研の検証実験は、論文の共著者でもある丹羽仁史プロジェクトリーダーらが進める。方法は大きく2通りある。1つは丹羽氏が論文を補足して3月に公表した作製手順に従う。小保方氏は補足文書の内容に関与していない。小保方氏が持つ作製の「コツ」や「レシピ」は検証実験に生かされていない可能性がある。具体的には若いマウスの脾臓(ひぞう)からとった血液の細胞を酸に浸し、STAP細胞ができるか調べる。様々な細胞に変わる万能性に関連した遺伝子が働くかを、蛍光を出す目印(マーカー)で確認する。もしマーカーが光っても、これだけでは本当に万能性があると証明できない。細胞を変える働きが十分でなくてもマーカーが光ることもある。そこで検証の際は、できた細胞を胚に入れて育て、それが体のあらゆる部分に成長してキメラマウスができることを示す計画だ。これが最もハードルが高い。小保方氏は9日の記者会見でSTAP細胞の作製に「200回以上成功した」と明らかにした。14日に弁護団を通して出した補充説明から、主にマーカーによる確認とみられる。キメラマウスなどの実験は「複数回」としている。笹井氏も16日の会見で「キメラマウスを200回作ったわけではないだろう」と述べた。検証実験の2つ目は論文から離れ、血液以外の細胞からSTAP細胞の作製を目指す。例えば肝臓の細胞の様子を蛍光で識別できるマウスを作り、採取した肝臓細胞を酸に浸してからキメラマウスを作る。最初の識別処理のおかげで肝臓細胞からSTAP細胞ができたかを確認ができ、別の細胞の混入やデータの混同を避けられる。論文の共著者で、米ハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授は細胞を極めて細い管に通して物理的な刺激を加えた後、酸で処理する方法を提唱する。丹羽氏らはこの方法も並行して試す。小保方氏の会見での説明などから、STAP細胞の「成功」例には、こうした物理的な刺激のケースも含まれるとみられる。作った細胞に、胚性幹細胞(ES細胞)やiPS細胞と同じように無限に増える能力を持たせられるかも大切なポイント。培養条件などの工夫でSTAP細胞を、増殖するSTAP幹細胞に変え、そこからキメラマウスのもとになるキメラ胚を作製する計画だ。発生学の専門家によると、ある種の腫瘍細胞からキメラ胚を作ったとの報告もある。理研の検証実験でSTAP細胞のキメラマウスができても、第三者を含む複数のグループが再現に成功しないと、STAP細胞が確実に存在するとは言い切れない。専門家からは今回の検証実験とは別に、小保方氏の実験のどこにどんな問題があったのか経緯を明らかにすべきだとの声が多い。小保方氏の研究室にはSTAP細胞から作ったキメラマウスや、STAP幹細胞とみられるものが複数保管されているという。これらのゲノム(全遺伝情報)を解析すると、論文で報告された通りの細胞からできた新しい万能細胞なのか、ES細胞の混入がないかなどを知る手掛かりが得られる。検証実験の総括責任者である相沢慎一特別顧問は「残っているSTAP幹細胞やキメラマウスを調べてもSTAP細胞の存在の証明にはならない」と消極的だ。 *4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140417&ng=DGKDZO69974570W4A410C1M10600 (日経新聞 2014.4.17) 「世紀の大発見」本当なら… 初期化の解明に道、体内で臓器再生も STAP細胞はなぜ生物学の常識を覆す「世紀の大発見」と騒がれ、国内外の研究者が再現実験を試みたのか。理化学研究所は1月末の成果発表時に、様々な組織や臓器になる万能性があるにもかかわらず、iPS細胞よりも作製方法が簡単だと説明した。胚性幹細胞(ES細胞)のように命の始まりである受精卵を使わなくても済む。第三の万能細胞として浮上した。STAP細胞はマウスの血液細胞を弱酸性の溶液に30分浸すというストレスを与えるとできる。細胞が若返る「初期化」が起きる。山中伸弥京都大学教授はこの初期化を使ってiPS細胞を作製、2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞した。1個の受精卵から胎児ができ、赤ちゃん、子供、大人へと成長するように、細胞は初期化すると、神経や筋肉、腸管など様々な細胞になることが可能になる。マウスやヒトでは、一度、役割の決まった細胞になると受精卵のような状態に戻ることはなく、例えば、皮膚の細胞は筋肉の細胞にはならないと考えられてきた。爪や髪の毛が伸びることはあっても、同じ細胞が分裂して増えているだけで、ある日突然爪が髪の毛に変わることはない。ところが植物や、イモリなど一部の動物では事情が違う。木の枝を折って水につけると断面部分から根が生える。イモリでは切断面の細胞が反応して再び尾が生えてくる。こうした現象は細胞が置かれる環境が大きく変わることがきっかけで起きる。STAP細胞がもし本当なら、「若返る」仕組みが高等生物である哺乳類にも存在することになる。再生医療への応用を想定した場合も、iPS細胞やES細胞ではできないような新しい治療法の実現につながると期待された。切断した指そのものを再生したり、一部が損傷した臓器を体内で再生したり、といった具合だ。マウスの受精卵にSTAP細胞を移植すると胎児と胎盤に成長するとされる点も従来の万能細胞にない特徴だ。家畜分野に応用すれば、同じ品質の肉牛を安定して作ることが可能になると期待された。基礎的な成果も見逃せなかった。再生医療への活用がまもなく始まるiPS細胞だが、初期化が起きる仕組みは実はよくわかっていない。特定の遺伝子を導入して作製するiPS細胞と、酸処理によってできるSTAP細胞とでは初期化に至る過程が異なる。2つの細胞を比べれば初期化の解明が進むともいわれた。こうなると「不老不死」だって夢物語でなくなるかもしれない。 *5:http://syodokukai.exblog.jp/20326345/ STAP細胞は、胚と胎盤へという2方向の分化能を持っている 【まとめ】 このグループは体細胞に致死以下の刺激を加えると多能性細胞へとリプログラミングされる現象を報告し、これを刺激惹起性多能性獲得(stimulus-triggered acquisition of pluripotency; STAP)と名付けた。 ① このSTAP細胞は、胚盤胞注入によるキメラマウスの作製において、ES細胞と違って、胚だけでなく、胚と胎盤組織の両方に寄与した。 ② また、STAP細胞はES細胞と違って自己増殖能を持たないが、ACTHとLIFを添加した培地で培養すると増殖能をもつSTAP幹細胞(STAP stem cells; STAP-SC)に転換した。STAP幹細胞は増殖できるES細胞様の性質を持ち(expandable ES-like cells)、胎盤への分化を表す栄養膜細胞(trophoblast)マーカーを発現せず、in vivoの分化で胎盤組織ではなく胚に寄与した。 ③ 一方で、STAP細胞にFgf4を添加して培養すると、栄養膜細胞の性質を持つ、増殖する幹細胞となった(Fgf4誘導性幹細胞; Fgf4-induced stem cells; FI-SCs)。さらにこのFI-SCsをLIF含有培地で培養すると、胚と胎盤組織に寄与するES様細胞へと転換した。この幹細胞は、in vivoで胎盤組織に寄与する栄養膜幹細胞(trophoblast stem cell; TS細胞)とは異なる幹細胞であった。 ④ 上記の、in vivoの胚盤胞注入実験とFgf4やLIFを用いたin vitro細胞転換実験によって、STAP細胞は発生のためのさまざまな多能性状態を示すことが明らかになった。 (STAP細胞を異なる条件で培養することにより、2方向の幹細胞へと転換することを示した模式図で、H Obokata et al. Nature 505, 676-680 (2014) のFig 4a部分を引用させていただいた。) *全文は下の「続き▽」をクリックすると出ます PS(2014.8.5追加):*6-1の笹井氏の自殺の仕方は、一連の報道や理研の対応に対する抗議のように思われた。また、*6-2に書かれているように、世界で初めてES細胞による網膜の分化誘導に成功して立体的な網膜生成に成功した笹井氏の先見性ある実績は、人の話を聞いてレベルの低い薄っぺらな記事を書いているだけの記者が1,000人集っても決して達成できないものである。また、論文のコピペ問題等については、メディアの記事と先端研究者の論文とは次元が異なるにもかかわらず、その違いすら理解できずに論文の内容とは関係のないことまで含む誹謗中傷をしているのが眼に余り、それで落ち込まない人がいたら、その方が異常なくらいだった。そのため、これを機会に、質の悪い人権侵害をして憚らないメディアの真摯な反省と改善を求めるものである。 *6-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/90748 (佐賀新聞 2014年8月5日) 理研・笹井氏が自殺図る、センター内で首つる、死亡確認 理化学研究所の発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の笹井芳樹副センター長(52)が5日、センター内で自殺を図ったことが分かった。理研によると、同センターに隣接する病院の医師が死亡を確認した。兵庫県警によると、笹井氏はセンターの研究棟の階段の手すりに、ひも状のものをかけて、首をつっていた。午前9時すぎに110番があったという。笹井氏は新たな万能細胞とされたSTAP細胞の論文を執筆した小保方晴子研究ユニットリーダー(30)の指導役。今年1月に理研が成果を発表した記者会見にも同席しており、論文疑惑が発覚した後も、細胞が存在する可能性を強調していた。 *6-2:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%B9%E4%BA%95%E8%8A%B3%E6%A8%B9 笹井 芳樹(ささい よしき、1962年(昭和37年)3月5日 - ) 神経系の初期発生の遺伝子・細胞レベルの研究者として知られる。世界で初めてES細胞による網膜の分化誘導に成功し、立体的な網膜を生成することにも成功した。京都大学助教授、教授、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(Center for Developmental Biology)グループディレクター、同 副センター長を歴任。受賞実績多数。2014年に発表・撤回されたSTAP論文では、様々な責任が追究されている。(以下略) PS(2014.8.7追加):*7のように、笹井氏は、よい研究をしていたのにもったいないの一言に尽きる。日本は、“普通”であることを強要し合理化し過ぎるあまり、新理論や新技術にチャレンジして成功し続けていく必要がある人にとって、やりにくい国になっている。 *7:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10203/91428 (佐賀新聞 2014年8月7日) 笹井氏グループに理研が聞き取り、自殺受け、心理的負担を調査 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の笹井芳樹副センター長(52)の自殺を受け、理研が笹井氏のグループに所属する研究員に聞き取り調査を始めたことが7日、分かった。研究を続けたいかどうかや、心理的負担の程度を調べ、研究室の新しいリーダーも検討する。理研によると、笹井氏のグループは「器官発生研究グループ」。胚性幹細胞(ES細胞)を使った組織再生に取り組み、脳の一部や目の網膜の立体組織を作成していた。理研関係者によると、研究員は大きなショックを受けており、カウンセリングなど心理的なケアも想定している。 PS(2014.8.8追加):*8のように、初めに「理研の再生研究センターを解体する」という結論があって、メディアは今回の批判キャンペーンを行ってきた。しかし、研究者が自由に研究でき、お互いを信用しあうのは、第一線の研究所では当たり前であり、経営と称して研究内容を強制されることこそ、学問の自由を害し、国の発展を妨げる。しかし、それができるためには、それぞれの研究者が信用されるに値する知識と研究姿勢を身につけている必要があり、小保方氏の場合は、ここが足りなかったのである。 *8:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/91809 (佐賀新聞 2014年8月8日) 理研、再生研究センター存続へ、「解体的」も見直しにとどまる 理化学研究所がSTAP細胞問題を受けて策定中の改革案で、舞台となった発生・再生科学総合研究センター(神戸市)を存続させる方向で検討していることが7日、関係者の取材で分かった。改革案の中でセンターの扱いを「解体的再生」とするが、内容は運営体制の見直しにとどまり、改革が骨抜きになる恐れがある。改革案の方向性は8月中にも固まる見通し。野依良治理事長の直轄で研究不正防止のための本部を9月に設置し、理事と同数の委員でつくる経営戦略会議(仮称)の新設も検討する。一方、改革委員会(岸輝雄委員長)が求めた改革の進行をチェックするための監視委員会は設置しない方針。 <下の「続き▽」をクリックすると、*5の論文全文が出ます> 続き▽
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2014,04,09, Wednesday
2014.4.2 日経新聞 2014.4.9 産経デジタル (1)理研の調査について このブログの2014年3月19日に記載したように、今回のSTAP細胞論文事件は、メディアの批判に突き動かされた形で理研が調査を始めた。そして、*1-1、*1-2に書かれているように、初めは小保方博士を庇っていた理研も、最終報告では、「科学社会の信頼性を損ね、若手研究者の倫理観や経験不足、それを補うべき立場の研究者の指導力の不足、相互検証の欠如が研究不正を引き起こしたが、不正行為は小保方氏だけ」として、収拾を図った。 そして、2014年3月26日にこのブログに掲載したように、週刊新潮、週刊文春は電車の中吊り広告で、小保方博士と上司との間を性的関係に結び付けて女性研究者を不利にするセクハラ記事を掲載した。何故、女性研究者を不利にするのかと言えば、そういう話にされると、男性上司は、その後、その女性研究者を庇いにくくなるからである。これは、後の結果を考えれば、冗談ではすまない。 また、TVでは、科学や生物学の基礎のないコメンテーターが、「僕たちがわかるように説明してもらいたい」とコメントしていたが、アインシュタインが相対性理論を提唱した時に、「僕たちにわかるように説明しなければ、それは認めない」とは言わなかっただろうにと、女性の発見なら誰でもその価値を評価し批判できると軽視しているのには呆れた。何故、そういう人に論評させるのだろうか。 そして、*1-3のように、「理研は、小保方氏の雇用契約を更新したが、その理由は調査結果が確定しないため」というように、「STAP細胞」を発見した人を、理研が解雇又は降格するのが当然という流れができたわけである。 (2)メディアは、何でも不正や不法として騒げばよいわけではない *2で、「STAP論文、理研の責任は重い」として、「高血圧薬など臨床研究をめぐる不正発覚に引き続き、基礎研究でも失態が明るみに出た」「研究の質を確かなものにする取り組みが急務である」と批判しているが、STAP細胞論文の改ざんと高血圧薬の臨床研究をめぐる不正は、意図も次元も全く異なるにもかかわらず、これが区別できていない。 しかし、*3-1で、小保方博士が「論文作成時に論文の画像データを、実験の元データからではなく、パワーポイントから引用し、そこに載っていたデータを安心しきって使った」と述べたのは、世界初の理論を公表するにしては注意に欠けすぎるため、私は、教育して論文の書き方を教え、博士号を与えた大学の責任が問われると思った。私の出身大学(東大医学部保健学科)では、卒業時の学位論文でさえ、そのようなことは指導教官からしっかり指導を受けているからだ。なお、博士号を持っている人を指導的研究者として迎えた理研としては、むしろ自由に研究させることが重要であるため、理研の組織としての責任はないと考える。ただし、共同研究者は、お互いにチェックしあいながら研究を進めるのが当然だ。 さらに、*4-2のように、科学者の新理論発見時の年齢は若く、ニュートン(22歳)は発見時にノートなどなかっただろうし、ホーキング(32歳)も自分の自由な発想でものを考えることができたから意味のある思考ができたのだろう。また、ガリレオ(45歳)のように、他の人が再現実験をすることはできず、発表時には大変な批判にさらされた人もいる。つまり、ノートがあるか否か等の手続や、他の人が再現できるか否か、すんなり受け入れるか否かは、発見した理論の真実性とは関係がない。むしろ、他の研究者が指導監督すれば、新発見の機会がなくなる性格のものであり、これらの基礎研究では、地位の高い年配者や経験豊富な人が優れているとは限らないのである。 (3)ノートを全部渡さないのは、むしろ当然であろう *3-1に書かれているように、小保方博士は会見で、「実際は、ノートはもっと存在する。調査委から求められてその場で提出したのが2冊だった」と答えているが、自分の業績を巻き上げられて、クビにされそうな時に、記録ノートをすべて渡す人はいないだろう。 また、パソコンで編集する時代にノートでなければならないということもなく、誰が実験を正確に管理し、誰がその理論を最初に発見したかを証明できるものなら良い筈で、パソコンで管理し、日付の改ざんがないことを証明するために、日々アウトプットしてファイルしておいてもよいと思う。 (4)STAP細胞論文は虚偽か 虚偽の実績を作りたければ、STAP細胞のように他人を信用させるのに苦労するようなものではなく、誰でも信じ易いものが目的にかなう。そのため、小保方博士が、*3-3で、「STAP現象は何度も確認された真実です」とか、*3-1で、「STAP細胞は200回以上作製に成功している。論文は現象論を示しており、最適条件を示したわけではない」と言っているのは本当で、STAP細胞は実在するのだろう。 (5)論文撤回を求める日本メディアの無責任 最初に論文撤回に言及したのはメディアだったが、何を書いても無責任なメディアと異なり、研究者は、論文を撤回すれば研究者としての生命を断たれる。また、実験は、簡単に他人が再現できるものではない。そのため、*3-2の共著者のチャールズ・バカンティ米ハーバード大教授は論文撤回に反対し、既に論文修正を行っているが、こちらの方が国際標準の価値観である。 さらに、コピペを盗用と強力に主張したメディアもあったが、メディアの記事と研究論文では重要な部分が異なるため、HPで多くの情報が掲載されている現在、その研究のKeyではない一般的な文章をあちこちのHPからコピペし、加工して使うのは時間の節約であり、合理的である。これをむやみに禁止すれば、日本は、研究界もガラパゴス化するので、感心しない。 *1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140401&ng=DGKDASDG0101V_R00C14A4CR0000 (日経新聞 2014年4月1日) 「科学的な手順踏まず」 、野依理事長、険しい表情 理研最終報告 「研究者として決してあってはならない」「科学的な考察と手順を踏まない」。1日に東京都内で行われた理化学研究所の調査委員会による記者会見では、出席者から次々と厳しい言葉があがった。捏造を指摘された小保方晴子研究ユニットリーダーは、不正を否定するコメントを発表。続く会見で野依良治理事長は険しい表情を浮かべ、謝罪した。午前10時半に始まった会見では、論文に使われたデータなどを映した大型スクリーンを前に、調査委員会の委員長を務めた石井俊輔・理研上席研究員が淡々とした口調で調査結果を説明した。「不正があったか調査を続ける」とした約2週間前の中間報告時とはうってかわって厳しい言葉が続き、同席した川合真紀理事(研究担当)らは固い表情を崩さなかった。小保方氏はヒアリング調査に「(画像の切り貼りが)禁止されていると知らなかった」「間違えた」と釈明したが、石井委員長は「研究者として、信頼性を壊す危険性を認識せずに行ったとは考えられない」と批判。小保方氏から提出を受けた実験ノートが3年分で2冊だけで、記載も断片的だったことにも触れ、「データの管理がずさんだ」と話した。調査委の報告後、午後1時から会見した野依理事長も厳しい表情で、「科学社会の信頼性を損ねた」ときっぱり。「若手研究者の倫理観や経験不足、それを補うべき立場の研究者の指導力の不足、相互検証の欠如が研究不正を引き起こした」とコメントを読み上げ、深々と頭を下げた。 *1-2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL010OQ_R00C14A4000000/ (日経新聞 2014/4/1) 理研調査委員長「不正行為は小保方氏だけ」 理化学研究所の石井俊輔調査委員会委員長は1日午前、新型万能細胞「STAP細胞」を作ったとする論文で疑義が出ている問題に関する記者会見で、研究に不正行為があったのは小保方晴子研究ユニットリーダーだけだったとの見方を示した。小保方氏の論文を巡っては画像の使い回しなどが判明している。石井氏は「(実験)データの管理が非常にずさんで、由来が不確実な情報を論文に使った可能性がある。そういった情報を使う時点で不正行為と言える」と説明した。 *1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2658883.article.html (佐賀新聞 2014年4月7日) 理研、小保方氏の雇用契約を更新 / 理由は調査結果確定しないため STAP細胞の論文問題で、小保方晴子研究ユニットリーダーが所属する理化学研究所が、小保方氏の雇用契約を4月1日付で更新したことが7日、分かった。肩書は研究ユニットリーダーで変わらない。理研の調査委員会は1日、STAP論文の調査結果を公表し、一部で小保方氏による捏造と改ざんがあったと認定した。理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)によると、小保方氏が調査結果に不服を申し立てる意向を示しているため調査結果が確定せず、懲戒委員会が開かれていないことから3月末に契約の更新が決まった。 *2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11062433.html?_requesturl=articles%2FDA3S11062433.htmlamp (朝日新聞社説 2014年4月2日)STAP論文 理研の責任は重い 理化学研究所は幕引きを急いでいるのではないか。そんな疑念をぬぐえない。多くの疑問点がふきだしている新万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文について、理研の調査委員会はきのう、筆頭著者の小保方晴子ユニットリーダーに「捏造(ねつぞう)」と「改ざん」という研究不正があったとする最終報告書を公表した。これに対し、小保方氏は「承服できない。不服申し立てをする」とのコメントを発表した。調査委は論文全体を精査してはいない。6項目にしぼり、ミスを超える不正の有無を判断しただけである。また、小保方氏本人は否定している。不正と決めつける十分な根拠があるのか、見方はわかれそうだ。理研は報告書を受けて、小保方氏らへの処分や再発防止策の検討に進む方針だ。しかし、全容を解明せずに、実のある再発防止策が打ち出せるとはとうてい思えない。国は今月、研究開発を先導する特定国立研究開発法人を指定する方針だった。理研はその最有力候補だった。それをにらんで結論を急いだ面はないか。そして、責任を小保方氏個人に集中させていないか。共著者のベテラン研究者らは何をし、何をしなかったのか。実験やデータ、試料の管理のどこに問題があったか――。理研は内部調査で済ますのでなく、第三者に調査を委ねて結果を公表すべきだ。それなくして信頼は取り戻せないだろう。科学は、研究者が個人の責任で学術誌に論文を投稿するなどし、他の研究者の批判にさらされることで前進してきた。研究者が所属する研究機関の役割はさほど目立たなかった。だが、厳しい国際競争を背景に多額の研究予算がつぎ込まれる現在、大学や研究所などは新たな役割を果たさなければならなくなってきた。研究者や研究の「質の保証」である。不正の認定以前に、小保方氏の実験ノートが3年間で2冊しかなかったとか、画像切り張りを問題と認識していなかったといった事態は、およそ研究者の常識からは考えられない。博士号を与えた大学や指導的研究者として迎えた理研は、組織としての責任を免れない。指導的立場の共著者が実験ノートをひと目見ていれば、今回の問題は防げたのではないか。高血圧薬など臨床研究をめぐる不正発覚に引き続き、基礎研究でも失態が明るみに出た。研究の質を確かなものにする取り組みが急務である。 *3-1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG0900P_Z00C14A4000000/?dg=1 (日経新聞 2014/4/9) 小保方氏「STAP作製、200回以上成功」 正当性強調 新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文に不正があったとされた問題で、理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーが9日午後、大阪市内で記者会見を開いた。小保方氏は「論文の提示法について不勉強で自己流にやってしまったのは申し訳ございませんとしか言いようがない」と謝罪した。その一方で「STAP細胞は200回以上作製に成功している。論文は現象論を示しており、最適条件を示したわけではない」と、これまでの研究成果の正当性を強調した。 小保方氏は会見で、理研の調査委員会が「実験ノートが3年間で2冊しかない」としたことに対しても反論した。「実際はそんなことはない。もっと存在する。調査委から求められてその場で提出したのが2冊だったということ」と話した。 論文作成時に論文の画像データを実験の元データからではなく部内で説明するためのパワーポイントから引用したことについて小保方氏は、「何度も何度もパワーポイント内で更新していたので、そこに載っていたデータを安心しきって使ってしまった。元データを使っていればよかった」と述べた。 ただ、今回の問題が科学界で疑念を持たれることにつながったのではないかと問われたの対しては「結果自体が変わるものではない。結果自体が正しく提示されているので問題はないと考えていた」と語った。 理研や共著者らから求められている論文の撤回について「論文の撤回は国際的にはその結論が完全な間違いだと発表することであり、結論が正しい以上、正しい行為ではない」と強調。撤回しない考えを示した。今後のSTAP細胞の作製実験などの研究について小保方氏は「もし自分に研究者としての今後があるなら、STAP細胞が誰かの役に立つ技術まで発展させるという思いを貫き、どこにでも行ってできるだけの協力をしたい」と言葉を詰まらせながら話した。 *3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2655916.article.html (佐賀新聞 2014年4月2日) STAP共著の米教授、撤回反対 / 理研最終報告「結果に影響ない」 【ワシントン共同】STAP細胞論文に不正があったとする理化学研究所の調査委員会の最終報告を受け、共著者のチャールズ・バカンティ米ハーバード大教授は1日、「論文の誤りは研究結果に影響しないと信じる。論文は撤回されるべきではない」とする声明を発表した。主著者の小保方晴子研究ユニットリーダーも理研に不服申し立てをする意向を示している。理研は論文の取り下げを勧告する方針だが先が見えない状況だ。バカンティ氏は「誤りは訂正しなければいけないが、研究結果が間違っているという説得力ある証拠にはならない」と強調。自らの研究結果の正当性を訴えた。 *3-3:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014040990131713.html (東京新聞 2014年4月9日) 小保方氏のコメント全文 小保方晴子氏が発表したコメント全文は次の通り。 このたびはSTAP細胞に関する論文の作成に関し、私の不注意、不勉強、未熟さ故に多くの疑念を生み、理化学研究所および共同執筆者の皆さまをはじめ、多くの皆さまにご迷惑をおかけしてしまったことを心よりおわび申し上げます。また、責任を重く受け止め、深く反省しております。本当に申し訳ありませんでした。今日まで、筆頭著者である私から何も情報の発信ができなかったことを重ねておわび申し上げます。国際間をまたぐ二つの研究室で、2報分の英科学誌ネイチャー論文のデータを同時にまとめ執筆していく作業は私の能力をはるかに超えていたのかもしれませんが、私はその時々に論文発表に向け全力で取り組んでまいりました。生物系の論文の基本的な執筆法や提示法について不勉強なままでの作業になり、それに加え私の不注意も加わり、結果的に多数の不備が生まれてしまったことを大変情けなく、申し訳なく思っております。それでも私はSTAP現象がいつか必ず誰かの役に立つと信じ、研究を続けてきました。多くの研究者の方々から見れば、考えられないようなレベルでの間違いだと思いますが、この間違いによって論文の研究結果の結論に影響しないことと、なにより実験は確実に行われておりデータも存在していることから、私は決して悪意をもってこの論文を仕上げたわけではないことをご理解いただきたく存じます。そもそも私が正しく図表を提示していたならば、調査委員会自体も必要なく、お忙しい中、調査に参加してくださった調査委員の先生方にも心からのおわびと感謝を申し上げます。しかし、調査結果では、事実関係をよく理解していただかないまま不正と判定されてしまいました。弁明と説明の機会を十分に与えてくださったならば、必ず間違いが起こった経緯を理解していただけるものと思いますので、昨日不服申し立てをさせていただきました。 STAP現象は何度も確認された真実です。私はSTAP現象に出会って以降、この現象を発表する使命感とともに、毎日実験に取り組んでまいりました。そして、この現象のメカニズムが詳しく理解され、いつか多くの人に役立つ技術にまで発展させていける日を夢見てきました。どうかSTAP現象が論文の体裁上の間違いで否定されるのではなく、科学的な実証・反証を経て、研究が進むことを何よりも望んでおります。 このたびは本当に申し訳ありませんでした。 *4-1:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E4%BF%9D%E6%96%B9%E6%99%B4%E5%AD%90#cite_note-5 小保方晴子(1983年6月29日~ )さんの経歴 千葉県松戸市出身。松戸市立第六中学校、東邦大学付属東邦高等学校を経て、2002年4月、AO入試の一種である創成入試(現・特別選抜入試)で早稲田大学理工学部応用化学科入学。2006年3月、早稲田大学理工学部応用化学科卒業。学部では微生物の研究を行っていたが、指導教授からのアドバイスで、早稲田大学大学院に進学すると専門分野を転向し東京女子医科大学先端生命医科学研究所研修生としてのちに論文の共著者となる東京女子医科大学教授大和雅之の指導の下、医工融合研究教育拠点である先端生命医科学センター (TWIns) にて再生医療の研究を開始。早稲田大学大学院理工学研究科応用化学専攻修士課程修了、早稲田大学大学院先進理工学研究科生命医科学専攻博士課程修了。大学院在学中、ハーバード大学医学大学院教授のチャールズ・バカンティの研究室に2008年から2年間留学。2011年より理化学研究所発生・再生科学総合研究センターゲノムリプログラミング研究チーム客員研究員、2013年理化学研究所発生・再生科学総合研究センター細胞リプログラミング研究ユニット研究ユニットリーダー。 *4-2:http://mickipedia.blog113.fc2.com/blog-entry-57.html 【科学者の偉業達成時の年齢】 45歳:ガリレオ(望遠鏡による天体観測の開始) 45歳:カントール(対角線論法による非可算集合存在の証明) 41歳:ノイマン(ノイマン型コンピュータの発表)、朝永振一郎(くりこみ理論の発表) 33歳:リーマン(リーマン予想の発表)、マクスウェル(マクスウェル方程式の発表) 32歳:ドブロイ(ドブロイ波の発表)、ホーキング(ブラックホールの蒸発理論の発表) 28歳:ボーア(ボーアの原子模型の発表)、湯川秀樹(中間子理論の発表) 26歳:アインシュタイン(特殊相対性理論の発表)、ハイゼンベルク(不確定性原理の発表) 25歳:ゲーデル(不完全性定理の発表)、 24歳:チューリング(チューリングマシンの発表) 22歳:ニュートン(万有引力の発見) 19歳:ガロア(ガロア理論の発表) 18歳:ガウス(正17角形の作図法の発表)
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2014,02,13, Thursday
(1)「夢だから」「理想だから」「常識でないから」と言って、実現不可能と考えるのは間違い 実現不可能なことは夢や理想とは呼ばず、妄想と呼ぶべきであろう。また「理想と現実は違うから理想は実現不可能」と言う人もいるが、人類は、実現不可能と考えられていた理想を現実にしてきたからこそ、現在がある。そして、そのツールが科学や技術であり、人類が科学を通して知っていることは、まだ全体のほんの一部にすぎない。そのため、「夢や理想は実現できない」「常識はいつの時代にも常識である」と考えるのはそもそも間違いであり、新しく問題解決ができれば、理想が実現でき、常識も変る。 (2)再生医療について *1には、「理化学研究所の小保方晴子さんが、『STAP(スタップ)細胞』の作製に成功した」「STAP細胞の特徴は、弱酸性の液体に浸すなど細胞を外から刺激することで、万能細胞を簡単につくれるところだ」「一昨年英科学誌ネイチャーに論文を投稿した当初は、『何百年にもわたる細胞生物学の歴史を愚弄している』と激しく突き返された」と書かれている。 けれども、私は、「下等動物の細胞では普通にやっていることが、高等動物の細胞になると絶対にできなくなる」という、証明されたわけでもない細胞生物学の“常識”自体が不自然で、何かのスイッチを入れればできる筈だと思っていたため、1995年くらいに再生医療を提案し、2005年~2009年の衆議院議員時代に、再生医療を、経産省、文科省、厚労省が省の枠を超えて協力する国家プロジェクトにした。その理由は、再生医療が実用化すれば、今まで治らなかった病気を治すことができ、免疫を抑えながら他人の臓器を移植しなくてもすむようになるからである。そのスイッチが、『STAP(スタップ)細胞』では酸などのストレスであり、iPS細胞では遺伝子であり、ES細胞は受精によりスイッチの入った卵子を使うということなのだ。 しかし、すでに再生医療が国家プロジェクトになっている環境の下では、周囲の研究者の理解も進んでおり、むしろ追い風と言える状況なので、小保方さんは恵まれている方であり、失敗して泣き明かす時間があったら他の解決方法を探るべきである。*5に書かれているように、遺伝子の二重らせん構造を発見する時代の女性研究者は、ノーベル賞級の成果があっても成果を認められなかった上、人格否定されているくらいなのであり、日本では、現在でもそういう傾向があるため、油断や甘えは禁物だ。 なお、*1には、「教科書を学ぶ学習を卒業し、教科書を書き換える研究の道に進む。強い信念と柔らかな発想に満ちた若い世代の飛躍を、もっともっと応援したい」とも書かれているが、教科書を書き換えるほどの研究は、教科書を学ぶ基礎学習をした上で、それに疑問を突き付けて解決することによって成立するものだ。そして、若い人が研究できるためには、それまでの積み重ねがあったのだということを、決して忘れさせてはならず、これは初等・中等教育レベルの道徳教育で教えるべきである。 (3)STAP細胞の今後の研究について *2のように、米ハーバード大のチームは、既に「STAP細胞」を使って脊髄損傷のサルを治療する研究を始めているそうだ。人間の細胞を使った作製も研究しているとのことで、これが、間髪をいれずに、速やかに次の段階に進んだ姿である。そして、*3には、共同研究者のチャールズ・バカンティ米ハーバード大教授が米公共放送(PBS)のニュース番組で、「霊長類や人間の細胞でもマウスと同様にSTAP細胞を作れることを示唆する初期のデータが得られた」と打ち明け、既に複数の大学などで人間のSTAP細胞を作る研究が始まっているそうだ。 しかし、日本では、*3のように、STAP細胞応用へ過熱したり、性急な国家事業は逆効果と書かれており、*4のように、厚労省が、安全の確保を目指して、効果が不確かな再生医療を大幅に制限する見通しになったなどとされている。これでは、新しい治療法の開発ができないのは当然であり、ここは教育の問題であるため、文科系の事務官でも、その科学技術の意味がわかる程度の科学的知識を持っていなければ、国を発展させることはできないということだ。 なお、私は、研究者同士の競合があるため、「STAP細胞」の研究は、iPS細胞研究のプロジェクトに組み込むのではなく、別組織を作ってあらゆる方面から行うのがよいと思うし、その価値があると考える。そうしなければ、「STAP細胞」の研究でも、日本は遅れるだろう。 (4)DNAの二重らせん構造の発見 *5に書かれているように、1962年のノーベル生理学・医学賞は、DNAの構造が二重らせんであることを発見した功績で、ジェームス・ワトソン、フランシス・クリック、モーリス・ウィルキンスの三人に与えられたが、このDNAの二重らせん構造の発見は、その後の生物学への発展に貢献し、生物学のパラダイム変換となった。 私は、生命科学に関心を持っていたので、20代の頃にワトソンの『二重らせん』という本を読み、「DNAの構造を明らかにするX線回折データをとったのは、ロザリンド・フランクリンという女性研究者だ」とワトソン自身が書いていたのを知っているが、ワトソンは自分で書いている分だけ、多くの日本人男性より卑怯ではなく潔いと思った。1960年代のイギリスでは、女性研究者がマイノリティーで地位も低かったのだろうが、日本は、現在でも、この領域の中にあることを忘れてはならない。 *1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S10953905.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞社説 2014年1月31日) 新万能細胞 常識を突破する若い力 輝かしい新星が現れた。理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダー(30)らのグループが、まったく新しい万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の作製に成功した。筋肉や神経など、さまざまな細胞に変化できるのが万能細胞だ。万能性があるのは、生命の初期である受精卵など、特殊な細胞に限られるというのが生物学の常識だった。だが近年、万能細胞を人の手で生み出す研究が進み、すでに、受精卵を壊してつくるES細胞、山中伸弥・京都大教授らが遺伝子を導入する方法で開発したiPS細胞がある。STAP細胞の大きな特徴は、弱酸性の液体に浸すなど細胞を外から刺激することで、ずっと簡単につくれるところだ。一昨年英科学誌ネイチャーに論文を投稿した当初は突き返された。だが追加の証拠をそろえ、掲載にこぎ着けた。最初に拒絶した専門家は「何百年にもわたる細胞生物学の歴史を愚弄している」と激しい意見を付けてきた。これはいまや最大級の賛辞と読まれるべきだろう。まさに教科書を書き換えるような大発見である。博士号をとってわずか3年。若い小保方さんの研究過程は、決して順風満帆ではなかった。「誰も信じてくれない中で、説得できるデータをとるのは難しかった」「泣き明かした夜も数知れないですが、今日一日、明日一日だけ頑張ろうと思ってやっていた」と振り返る。化学畑の出身で、生物学の既成概念にとらわれず、自らの実験データを信じた。一人また一人と周囲の研究者を味方につけ、数々の壁を乗り越えた。変わってきたとはいえ女性の働きづらさが指摘される日本で、これほど信念に満ちた研究成果を上げた小保方さん、そして彼女を支えた共同研究者のみなさんはすばらしい。「21世紀は生命科学の時代」といわれ、日本政府も力を入れる。小保方さんの属する理研の発生・再生科学総合研究センターは00年に神戸市にできた。基礎研究から治療への応用まで、再生医学を総合的に進める態勢づくりが結実したようだ。特大ホームランを放った小保方さんに限らず、きっと同じように「もう一日だけ」と頑張っている研究者がたくさんいるだろう。そう考えると、日本の科学への希望も膨らむ。教科書を学ぶ学習を卒業し、教科書を書き換える研究の道に進む。強い信念と柔らかな発想に満ちた若い世代の飛躍を、もっともっと応援したい。 *2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2617021.article.html (佐賀新聞 2014年1月30日) STAP細胞使い、サルで実験 / 米チーム、脊髄損傷に 細胞に刺激を与えることで、さまざまな種類の細胞に変化できる能力を持たせた新しい万能細胞「STAP細胞」を使い、米ハーバード大のチームが脊髄損傷のサルを治療する研究を始めていることが30日、分かった。人間の細胞を使った作製も研究しているという。マウスの細胞で世界初の作製を報告した30日付英科学誌の論文を理化学研究所チームと共同で執筆したハーバード大のチャールズ・バカンティ教授が共同通信の取材に答えた。人工的に脊髄を損傷してまひを起こさせた複数のサルからSTAP細胞を作製し、移植に利用する実験を2011年から始めているという。 *3:http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG0600D_W4A200C1000000/?dg=1 (日経新聞 2014/2/10) STAP細胞、応用へ過熱 性急な国家事業は逆効果 理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーらが新しい万能細胞「STAP細胞」を作製し、世界が追試や再生医療への応用研究に動き出した。2006年に京都大学の山中伸弥教授が最初にiPS細胞を発表した時以上の注目が集まっている。一方で、国家プロジェクトなどが動き出すと小保方さんの研究が束縛を受けるのではないかと懸念する声もある。小保方さんの柔軟な発想がSTAP細胞の作製をもたらした。 ■日本版NIHの目玉に? 共同研究者のチャールズ・バカンティ米ハーバード大教授は米公共放送(PBS)のニュース番組で、「霊長類や人間の細胞でもマウスと同様にSTAP細胞を作れることを示唆する初期のデータが得られた」と打ち明けた。米紙などの報道によると、既に複数の大学などで人間のSTAP細胞を作る研究が始まっているようだ。日本でも安倍晋三首相が小保方さんの成果を称賛。下村博文文部科学相は政府の研究支援強化に前向きの姿勢を示し、加藤勝信官房副長官は再生医療への応用に期待を表明した。iPS細胞研究を軸に進めてきた再生医療関連の国のプロジェクトに、STAP細胞の応用研究も組み込まれる可能性が高い。基礎研究を臨床に素早くつなげようと、政府が米国立衛生研究所(NIH)を手本に15年春に設立を目指す日本版NIHの目玉プロジェクトになるかもしれない。iPS細胞の場合は、難病患者らの治療に一刻も早く生かすために「オールジャパン」の研究体制づくりが急務とされ、山中教授が先頭に立って全体計画のとりまとめなどを進めた。研究費集めにも奔走、関係省庁や国会の協力を取り付けた。山中教授に会うと、いつも「研究に力を入れたい」と話していたが、現実には調整・管理業務などが多く研究の時間が取りにくかったようだ。もちろん京大のiPS細胞研究所(CiRA)にはまな弟子の高橋和利講師をはじめ、優秀な研究者が大勢いる。皮膚細胞などにいくつかの遺伝子を入れることによってiPS細胞ができるメカニズムの解明を試みる論文も、いくつも出ている。慶応義塾大などと協力し、がんを起こさず再生医療などに安全に使えるiPS細胞の作製法の研究も進む。 *4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S10962708.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2014年2月5日) 再生医療の審査を厳格化 厚労省案、安全の確保目指す 効果が不確かな再生医療が大幅に制限される見通しになった。安全確保を目指した新法の規制対象がまとまり、細胞を使う治療の大半が、厳格な審査委員会の承認を得なければ実施できない位置づけとされた。委員は専門家、法律家や生命倫理の有識者ら8人以上とし、第三者の立場で内容や手順を確認する。昨秋成立した再生医療安全性確保法は、治療をリスクに応じ高中低に3区分し審査の仕組みを定める。11月の施行を前に、厚生労働省が政省令に盛り込む具体的な対象の案をまとめた。「高」はiPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚〈はい〉性幹細胞)、他人の細胞を使う治療など安全性と有効性が未知の場合が対象。これ以外で細胞に手を加える場合などはいずれも「中」とした。体外での培養や、脂肪由来の幹細胞を糖尿病やがんの治療に使う場合があてはまる。「低」は、患者自身の細胞を、同じ種類の組織や臓器にそのまま用いる場合に限った。自分の脂肪の幹細胞を豊胸手術やしわ取りに用いるケースが入る。審査委は病院や大学、NPO法人や学術団体が設置し、国が認定する。「中」以上の審査委は、法律家や生命倫理の有識者ら8人以上とし、独立性の保障も求めて厳格にする。「高」はさらに国も治療計画をチェックし、変更を命じられる。一方、「低」は5人以上で、独立性の保障までは求めない。再生医療は、iPS細胞などの応用に期待が高まる一方、根拠が不明確な治療法を提供する民間施設もあり、朝日新聞の昨年の調べでは少なくとも20カ所以上。安全性や信頼性の確保が課題になっていた。 ■再生医療のリスク区分 <リスク・高> 【対象の例】iPS細胞、他人の細胞による治療 【審査委員会】8人以上、高い独立性 【国の審査】あり * <リスク・中> 【対象の例】自分の幹細胞による体の機能の再生 【審査委員会】8人以上、高い独立性 【国の審査】なし * <リスク・低> 【対象の例】自分の脂肪幹細胞によるしわ取り 【審査委員会】5人以上 【国の審査】なし *5:http://thomas.s301.xrea.com/thinking/20seikisaidainohakken.pdf#search='DNA%E7%99%BA%E8%A6%8B%E8%80%85' 20世紀最大の発見-二重らせんの裏側 1962年のノーベル生理学・医学賞は、DNA の構造が二重らせんであることを発見した功績で、ジェームス・ワトソン、フランシス・クリック、モーリス・ウィルキンスの三人にもたらされた。二重らせんとは、二本のDNA鎖がらせん状になった構造のことである。DNA 構造の発見は20 世紀最大の発見といわれている。その理由は、この発見により遺伝情報がどのように伝えられるかという最大のなぞが解明されたからである。当時、DNAが遺伝物質であるということが実験的に確かめられていたが、複雑な遺伝情報を、単純な物質であるDNAがすべてになっているという考えには批判も多かったのである。そして、複雑なタンパク質こそが、複雑な遺伝情報を伝えるのではないかという考えもあった。DNAの構造が発見されたことで、遺伝がDNAの複製によって起こることや、塩基配列が遺伝情報であることがみごとに説明された。いまでは、この事実は、高校の教科書でも扱っている。塩基の種類ATGCを覚えたひともあるだろう。アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)である。DNA の構造発見は、その後の分子生物学への発展にも大きく貢献し、生物学のパラダイム変換となった。 ところで、DNAの模型は、分子模型を構築する手法を用いて、1953年にワトソンとクリックによって提唱されNature(vol. 171, pp.737-738, 1953)に発表されている。このDNA構造発見の経緯は、発見者のひとりワトソンが、『二重らせん』という本を1968年に上梓したことで、一般のひとにも感動をもって迎えられた。この本は、日本でも訳書が発売され、ベストセラーとなっている。実は、20世紀最大の成果と呼ばれる二重らせん構造の発見は、科学史上まれにみる剽窃事件とも捉えられている。ノーベル賞受賞者をけなすことはできないという遠慮から、それほど大きく取り上げられないが、ワトソンの人間性の下劣さも加わって、いまだに非難の声は絶えない。 この謎をとく鍵は、なぜ、ノーベル賞の決定版となったNatureの論文の著者がワトソンとクリックのふたりだけだったにもかかわらず、ウィルキンスにもノーベル賞が授与されたのかという事実である。分子構造は、資料もなしに、頭の中で簡単に構築できるものではない。実験データがあってはじめて考えられるものである。この貴重なX線回折データをワトソンらに与えたのが、ウィルキンスというわけである。これが、ウィルキンスにもノーベル賞が与えられた理由である。しかし、ここで疑問が生じる。なぜ、ワトソンはウィルキンスをNature の共著者にしなかったのだろうか。そして、ノーベル委員会は、なぜ、ウィルキンスを論文の共著者でもないのに、ノーベル賞に選んだのだろうか。ところで、ノーベル賞対象となったワトソンとクリックによるNature論文は、参考文献のない、まれに見る美しい論文として語り継がれている。しかし、少しでも科学論文に関わったことのある人間ならば、これは嘘であることは明白である。科学の重要な発見は、突然、出てくるものではない。その前に、数多くの仕事があって、そのうえに成り立つものである。参考文献がないというのは、なにか、その裏に意図が隠されているはずである。 実は、DNAの構造を明らかにする決定的な証拠となるX線回折データをとったのは、ロザリンド・フランクリンという女性研究者である。ワトソンは、卑怯にも、彼女の実験データをこっそりと盗み見ていたのである。このことは、上品な表現ながら、彼自身が語っている。これでは、参考文献をかけるはずがない。しかし、ノーベル委員会にも、構造を決定するには、実験データが必要だということを知っていた人間がいたのにちがいない。その結果、登場したのがウィルキンスである。では、なぜ、フランクリンではなかったのだろうか。彼女は、1958年に37歳の若さでなくなっている。1962年には、この世にいなかったのである。一説には、実験でX線を浴び続けてきたためにガンになったと言われている。とすれば、フランクリンという女性研究者の功績を三人の不埒な男が奪って、ノーベル賞を獲得したことになる。 ノーベル賞を受賞したワトソンは、1968年に意気揚々と「二重らせん」という本を上梓する。用意周到にも、ワトソンはノーベル賞級の研究成果を上げたらこうした本を上梓することをあらかじめもくろみ、日々の記録をとっていたのだそうだ。まさに死人に口なしとはよく言ったものである。ワトソンは、この本のなかで、ロザリンド・フランクリンを意地の悪い女としてけちょんけちょんにけなしている。その実験成果を盗んだうえに、人格まで否定する。にもかかわらず、世の中のひとはワトソンを現代のヒーローとして賞賛するのである。かわいそうなのは、この本のなかで、フランクリンと対立していたと書かれたウィルキンスである。彼は、フランクリンに無断で、ワトソンにDNAのX線回折データをみせたとされている。ワトソンは、自分の剽窃の罪を、巧妙にウィルキンスになすりつけたのである。おかげで、ウィルキンスは悪者にしたてあげられた。しかも、ノーベル賞の受賞理由が、部下のデータをライバルのワトソンに渡した功績というのだから研究者としては、最大の侮辱であろう(以下略)。
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