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2017.5.22 原発の危険性と使用済核燃料の早期最終処分の必要性 (2017年5月22、23、28、30日、6月1、4、14、17、18、22、25日、7月16、26日、8月1、2日追加)
(1)原発を再稼働するどころか、使用済核燃料も速やかに最終処分すべきであること
1)北朝鮮のミサイル及びサイバー攻撃

 
     最近の北朝鮮のミサイル実験状況            制裁措置について
                           2017.5.15  2017.5.15
                            毎日新聞   日経新聞

 北朝鮮がミサイルを発射するたびに、日本のTVは大騒ぎをし、共謀罪の内容を隠すかのように北朝鮮ミサイルの話ばかりを報道しているが、最近は核弾頭を取り付けられるのかという疑問を発している。しかし、現在は第2次世界大戦中とは異なり、ミサイルに核弾頭など取り付けなくても、*1-2のように、ミサイルを原発の原子炉建屋・使用済核燃料プール・それらの直近の施設などに着弾させれば、そこに内蔵されている核物質により原発自体が自爆するため、敵国を住めない土地にすることは容易なのである。

 そして、テロ対策ができている原発は一つもないのに、川内1、2号機、伊方3号機は既に運転中で、玄海3、4号機、高浜3、4号機では再稼働への準備が進められており、日本政府が本当に国や国民を守ろうとしているのかについて大きな疑問がある。

 また、複数のIT(情報技術)企業が、*1-1のように、5月15日に世界で起きた大規模サイバー攻撃には北朝鮮が関与している可能性があるとの分析結果を公表し、米政府は同攻撃に北朝鮮政府が関与したと断定して、北朝鮮の対外工作活動機関である人民武力省偵察総局などに追加制裁を実施したそうだ。しかし、日本の原発へのサイバー攻撃については、これまでの原子力ムラの対応を見ている限り、先進的な防御を速やかに行った気配はない。

 なお、*1-3のように、北朝鮮のキム・インリョン国連次席大使は、「①アメリカもICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験を行っており、ダブルスタンダードだ」「②国連安保理が、アメリカが行う攻撃的で挑発的なICBM発射訓練への説明を求めなければ、北朝鮮はいかなる安保理決議も受け入れない」「③アメリカが反北朝鮮政策を続ける限り、速い速度で核攻撃能力を高めていく」「④トランプ政権が制裁を強めれば、壊滅的な結果の責任をとることになる」としており、相互主義という意味では理屈が通っているが、北朝鮮は人権を尊重しない国であるため、近くに住む日本人は恐ろしいわけである。

2)このような中での原発再稼働について
 このような中で、まさに国も司法も電力会社も自治体も誰も責任を負えないまま、*1-4のように、福島の事故究明や避難計画の実効性を置き去りにして、原発が次々に再稼働され始めた。昨年春に大津地裁は滋賀県住民の訴えを入れ、「原発を動かすならゼロリスク、すなわち福島の事故原因に基づいた完璧な備えがいる」として関西電力高浜原発3、4号機の運転を差し止めたが、福井地裁と大阪高裁は「絶対的安全性は想定できず、危険性が社会通念上無視できる程度まで管理すべきだ」とした。しかし、「社会通念上無視できる程度」とは何%くらいで、その割合で事故が起こった場合に周囲がどうなるかについては全く言及されておらず、これで「安心しろ」と言っても無理である。

 また、*1-5のように、玄海原発再稼働については、佐賀県の全自治体と福岡、長崎両県の原発30キロ圏に入る計28自治体のうち6割の17自治体が再稼働の前提となる「地元同意」の対象範囲の拡大を求めているため、このまま玄海町と佐賀県の同意だけで、なしくずし的に再稼働されることはないようにして欲しい。

3)韓国の原発について

     
韓国原発事故の影響予測   福島第一原発事故(フクイチ)による汚染範囲

(図の説明:フクイチ事故の結果、放射性ヨウ素やストロンチウムも関東・東北一円で検出されており、文科省の調査結果は実際よりも控えめに表示されている。そのため、土壌汚染を通じて農産物が汚染されているのも明らかだ。なお、古里原発はじめ韓国の原発が事故を起こした場合は、日本海や日本の日本海側の地域が広い範囲で汚染されるが、国内で原発再稼働を進めながら、韓国に何とかするようにとは言えないだろう)

 外国のことなので今まで書かなかったが、韓国南部の釜山市にある古里原発3号機で使用済燃料プールの冷却機能が失われて火災が発生し、放射性物質セシウム137が大量に放出されると、*1-6のように、1月なら偏西風の影響で西日本を中心として日本の最大6万7000平方キロが汚染され、最大2830万人に避難の必要性が出る可能性がある。また、9月なら最大で韓国国土の半分以上5万4000平方キロが汚染され、2430万人が避難することになり、日本では首都圏に近い地域や東北にも被害が及ぶそうだ。

 そして、韓国には原発が25基あるため、北朝鮮がミサイルに核弾頭を積まなかったとしても、原発を自爆させて大きな被害を与えることは容易であろう。

(2)フクイチの健康被害について
1)本当は風評の問題ではないこと
 *2-1のように、改正福島復興再生特別措置法が、5月12日に参院本会議で可決・成立し、フクイチ事故で立ち入りが制限されている帰還困難区域内に、人が住める「特定復興再生拠点区域」を国費で整備することになったそうだ。しかし、こういう場所に住む人は、リスクを認識した上で受容すべきである。

 また、福島県産農林水産物の「風評払拭」に向け、国が販売の実態調査や適正な取引指導を行うなど、被災者の暮らしとなりわいの復興を加速させるとのことだが、福島県産の農産物は原発事故前の価格まで戻らず全国平均価格と差があるといっても、自由主義経済であれば、価格は需要と供給で決まり、需要の少ない製品の価格が下がるのは当然なのである。

 さらに、「流通しているものは安全が確認されている」と言っても、全数を検査しているわけではなく、基準放射線量は0ではなく、また、放射線量を開示しているわけでもないため、国民が長期的な安全性を重視してこういう製品を避けるのを、「風評被害」「心配しすぎ」などと言えば言うほど信頼がなくなるのである。

 そのため、これら原発事故の被害を農林漁業被害のすべてまで含めれば、*2-2のように、世耕大臣が「原発のコストは安い」などと言っているのは、ご都合主義の強弁にすぎない。


     電力の総原価         原子力発電のコスト   発電コスト実績比較  
               (事故費用12.2兆円という試算の時)

(図の説明:太陽光発電などの再生可能エネルギー買取に必要な費用が電気料金請求書で「再エネ発電賦課金」として加算されているため、再エネの買取が電気代を上げていると考えている人が多い。しかし、電力会社内で発電する場合の電力コストは、一番左の図のように、電力会社の発電設備等の減価償却費や発電に要する人件費・燃料費・修繕費などから構成されており、再エネを買い取る場合は、電力会社内ではこれらの発電コストが発生しない。一方、原発は、中央の図のように、立地自治体への交付金・核燃料サイクル費・事故処理費用等が国から支払われ、国民が負担しながら含められていない“発電コスト”もあり、使用済核燃料の処分費用は未だ計算されてすらいない。そのため、実際の発電コストは、一番右の図のように、原発は高い)

2)福島の原発事故関連疾病発生率

      
 セシウムの降下・蓄積   循環器系の疾患・心疾患    貧血治療数・手術数推移
           ・脳血管疾患死亡率の福島・全国比較


白内障・水晶体疾患推移    静脈・リンパ管疾患推移 扁桃周囲膿疱・急性扁桃腺治療推移

(図の説明:セシウム降下量は、文科省が航空機でモニタリング《空中の値であるため地上より低い》した結果、フクイチを中心として関東一円に広がっており、これはヨウ素やストロンチウムなど他の放射性物質でも同じだ。そして、循環器系疾患・心疾患・脳血管疾患死亡率が、福島県では全国平均と比較して2009年より2014年に明らかに上昇している。その原因は、①実際に死亡率が上昇した ②若い人が避難したため発症率の高い高齢者割合が増加した などが考えられるが、原発事故後、埼玉県でも心疾患で亡くなったという訃報が明らかに増えたため、①は決して否定できない。また、貧血・水晶体、白内障・リンパ管疾患になった人も2010年以降に増えており、扁桃周囲膿疱・急性扁桃腺治療数は福島県・栃木県両方のDPC対象病院で増加しているが、フクイチに近く放射線量の高い福島県の増え方は栃木県よりずっと多いため、原発事故の影響は明らかだ。そのため、これらの調査を、各県の大学病院・大病院がいっせいに行えば、世界でも貴重な驚くべき結果が出ると思われる)

 *2-3のように、岡山大大学院の津田教授(生命環境学)が国際環境疫学会の医学専門誌「エピデミオロジー(疫学)」に発表した「福島県が福島原発事故当時に18歳以下だった県民を対象に実施している健康調査の結果を分析したところ、甲状腺がんの発生率が国内平均の20~50倍に達していた」という論文に衝撃が広がっているが、これは予期されたことだ。

 津田教授は、原発事故から2014年末までに県が調査した約37万人を分析した結果、「二本松市」「本宮市」「三春町」「大玉村」の「福島中通り中部」で甲状腺がんの発生率が国内平均と比較して50倍に達し、「郡山市」では39倍になっており、チェルノブイリ原発事故やWHO(世界保健機関)の2013年予測をすでに上回っており、今後、患者数は爆発的に増える可能性を示唆している。

 そして、放射性物質の放出量がチェルノブイリ事故と比べて10分の1と公表されたことについては、「もっと大きな放出、被曝があったと考えざるを得ない」と指摘しておられる。これに対して、国内では「時期尚早」「過剰診断の結果」などの指摘が出ているが、海外の研究者で時期尚早と言う人は誰もいないそうだ。つまり、日本の原発関係者は、信じたくないことを証明する事実は認めたがらないのである。

 また、福島で被爆住民の健康状態を確認し、治療している布施福島共同診療所長(医師)は、韓国で行われた韓日国際シンポジウムに参加し、*2-4のように、フクイチ被爆住民の白血病・脳出血・心筋梗塞の発症増加を、福島県立医大が発表した「原発事故の後、増加した病気」に関する資料を公開して発表した。その内容は、原発事故後、福島住民の白内障は2010年比で2011年229%、肺癌は172%、脳出血は253%、食道癌は134%、小腸癌は277%、大腸癌は194%、前立腺癌は203%に増加したとのことである。

 さらに、2年経過後の2012年には、脳出血は2010年比で300%、小腸癌は400%に増加し、早産/低体重出産も166%まで増加し、東京や埼玉県でさえ事故後4%ほど死産率が増加し、放射能汚染度が高い福島県周辺の死産率は12.9%増加したそうだ。日本政府は、まだ原発事故以来、放射能による健康被害はないなどと強弁しているが、もう事実を認識して対応せざるを得ない時期に来ている。

 このほか、広瀬隆氏は、*2-5のように、順天堂大学の血液内科が発表した「血液系疾患の患者数が激増しており、首都圏の病院でも骨髄形成症候群(血液関連の癌)が2~5倍という状態」「白内障も増えている」という資料を使い、「東京で、白内障や心筋梗塞が激増するのは何故か?」という記事を書いておられる。また、「ロッキー山脈でもプルトニウムが検出されているということは、原子炉内でメルトダウンした燃料が気化し、あらゆるものがガスになって放出され」「フクシマ原発から放出された放射能は、天文学的な量」とのことである。

 さらに、「セシウムは盛岡より新宿が6倍!ヨウ素は盛岡より新宿が100倍!!」「東京の荻窪も“チェルノブイリ危険地帯第4区”!」だそうだが、埼玉県はしっかり測定していないため、東京より目立たないのだろう。

(3)使用済核燃料最終処理施設候補
 このように、使用済核燃料が原発近くのプールに大量に保管されているのは、危険なことなのである。そのため、*3-1のように、「原発燃料処分の先送りはもう限界」である。

 そこで、使用済核燃料をなるべく安価に処分するには、*3-2のように、炭鉱が閉山して無人になりつつある高島か軍艦島に核の最終処分場を作り、速やかに深い海底下に保存する方法を採用するのがよいと、私は考える。何故なら、すでに地下空間が存在し、島の維持管理もできる上、移住したい人が移住できるように保障金を支払っても人数が少ないため安く済むからだ。

<北朝鮮のミサイル及びサイバー攻撃と原発>
*1-1:http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM16H17_W7A510C1MM0000/ (日経新聞 2017/5/16) 大規模サイバー攻撃、北朝鮮が関与か 複数社が分析、ソフトの技術的痕跡
 複数のIT(情報技術)企業は15日、世界各地で起きた大規模サイバー攻撃に北朝鮮が関与している可能性があるとの分析結果を公表した。北朝鮮のハッカー集団が今回のサイバー攻撃ソフトを作成した技術的な痕跡を見つけたという。ボサート米大統領補佐官(国土安全保障・テロ対策担当)は同日の記者会見で「ソフトは犯罪集団か外国政府によって開発された可能性がある」として「緊密に状況を注視している」と述べた。米グーグルの研究者と米シマンテック、ロシアのカスペルスキー研究所がそれぞれ公表した。カスペルスキーによると、北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」が2015年のサイバー攻撃で使ったソフトと、今回の攻撃ソフト「ワナクライ」の初期版のプログラムに、同じ記述が存在することがわかった。同一人物によって作成された可能性があるという。ラザルスは14年にソニー米映画子会社にサイバー攻撃を仕掛けたとされる。米政府は同攻撃に北朝鮮政府が関与したと断定し、15年に北朝鮮の対外工作活動機関である人民武力省偵察総局などに追加制裁を実施した。ラザルスは13年には韓国の放送局と金融機関の計6社を襲ったサイバー攻撃に関与したとされる。16年にはバングラデシュ中央銀行への決済システムに侵入し、8100万ドル(約92億円)を不正送金した事件にも関わったとの指摘もある。シマンテックは、北朝鮮のハッカー集団が31カ国(3月時点)でサイバー攻撃に関与しているとみている。ただIT各社は今回の攻撃が北朝鮮によるものとは断定していない。ボサート氏は15日朝(日本時間同日深夜)時点で「150カ国の30万台以上が影響を受けた」と表明した。「週末が過ぎて感染速度は下がっている」という。米政府では被害は確認されていないとしている。今回のサイバー攻撃ソフトはデータ復旧の代わりに金銭を要求する「ランサム(身代金)ウエア」で、「これまでに支払われたのは7万ドル以下のようだ」(ボサート氏)。被害が大きかったのはロシアやウクライナ、台湾などという。

*1-2:http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/statement/17-05-02/ (脱原発弁護団 2017年5月2日) ミサイル攻撃の恐れに対し原発の運転停止を求める声明
脱原発弁護団全国連絡会共同代表  河合弘之
     同           海渡雄一
1 米国が北朝鮮への圧力を強め、北朝鮮がミサイルの発射実験を繰り返し、国際情勢は緊迫の度を強めている。3月17日には、秋田県男鹿市で、弾道ミサイルを想定した避難訓練が実施された。4月21日、政府は「弾道ミサイル落下時の行動について」を公表し、国民に対し、「屋外にいる場合は、できる限り頑丈な建物や地下街などに避難すること、建物がない場合には、物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守ること、屋内にいる場合には、窓から離れるか、窓のない部屋に移動すること」等を呼び掛けた。4月29日の北朝鮮によるミサイル発射を受け、米国ティラーソン国務長官は、「ソウルや東京への核攻撃は現実の脅威である」と指摘した。この発射の直後、東京メトロ、東武線、北陸新幹線は、いずれも約10分間、安全確認のため運転を見合わせた。
2 ところで、追い詰められた北朝鮮が本気で日本をミサイル攻撃しようと考えれば、第一に狙われるのは在日米軍基地であり、第二に狙われるのは、原子力発電所であろうと言われている。原発は、在日米軍基地と違って無防備であり、通常のミサイルで壊滅的な被害を生じさせることができる。そもそも、日本の原発は、ミサイル攻撃に対する防護措置は全くとっておらず、原子力規制委員会が定めた新規制基準においても、そのことは求められていない。政府が上記のように国民に対ししてミサイル落下時の行動指針まで示さなければならないほどに事態が切迫しているのであれば、第一に原子炉や使用済み核燃料プール、これらの直近にミサイルが着弾することも当然のこととして想定しなければならないはずである。しかるに、現時点でテロ対策の設備(「特定重大事故等対処施設)が完成している原発は一つもない。政府や原子力規制委員会、原発事業者がミサイル着弾のリスクに対して有効な対策をとっているという説明は国民に全くなされていない。川内1、2号機、伊方3号機は今も運転中であり、玄海3、4号機、高浜3、4号機は再稼働への準備を着々と進めている。
3 もし、原子炉建屋や使用済み核燃料プールをミサイルが直撃すれば、戦慄すべき大惨事が起こる。その近くに着弾するだけでも、電源の喪失、各種設備の損壊、損傷によってその原発は深刻な危機に陥る。原発の位置、構造若しくは設備が災害の防止上支障がないものであること、原発の保全、運転について必要な保安措置がなされていることが原発使用の大前提であり、原発がこれらを満たしていない場合、原子力規制委員会は、原発の使用停止等の必要な措置を講じる権限を有している(原子炉等規制法43条の3の23)。ミサイル着弾に備える対策としては、原子炉内の核燃料及び使用済み燃料プール内の使用済み核燃料を安全な場所に運び出すしかないが、これは短期間でなし得ることではない。しかし、少なくとも現在運転中の原発の運転を停止して核燃料を冷温停止させておけば、危機が発生した場合において破滅的事態への進展を食い止めるための対策を講じる時間的余裕が生まれる。今、ミサイル着弾を想定すべき事態においてできる対策はそれしかない。
4 よって、脱原発弁護団全国連絡会は、原発事業者、政府及び原子力規制委員会に対し、次のことを求める。
(1) 現在運転中の原発を所有している原発事業者は、その運転を直ちに停止すること、そして、政府が日本へのミサイル着弾の恐れがなくなったことを表明するまで、再稼働しないこと。
(2) 現在、再稼働準備中の原発を所有している原発事業者は、政府が日本へのミサイル着弾の恐れがなくなったことを表明するまで、その原発を再稼働しないこと
(3) 政府及び原子力規制委員会は、原発事業者に対し、(1)(2)のとおり指示すること          以上

*1-3:http://www.news24.jp/articles/2017/05/20/10362004.html (日テレNews24 2017年5月20日) 北朝鮮「安保理決議は受け入れない」
 北朝鮮の国連次席大使が19日に会見を開き、「安全保障理事会の決議は受け入れない」などと強く批判した。北朝鮮キム・インリョン国連次席大使「もし、国連安保理がアメリカが行う攻撃的かつ挑発的なICBM(大陸間弾道ミサイル)発射訓練への説明を求めなければ、北朝鮮はいかなる安保理決議も決して受け入れないだろう」。会見した北朝鮮のキム・インリョン次席大使は、安保理がミサイル発射を非難していることに対して、「アメリカもICBMの発射実験を行っており、ダブルスタンダードだ」などと反論した。さらに、キム次席大使は、「アメリカが反北朝鮮政策を続ける限り、はやい速度で核攻撃能力を高めていくことになる」とけん制した上で、トランプ政権がさらに制裁を強めれば、「壊滅的な結果の責任をとることになるだろう」と述べた。

*1-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017051902000137.html (東京新聞 2017年5月19日) 社説:高浜原発再稼働 置き去りにしたままで
 二転三転の高浜原発再稼働。国も司法も電力会社も自治体も、その責任を負えないまま、福島の事故究明や避難計画の実効性、何より住民の不安を置き去りにしたままで、原発が次々息を吹き返す。昨年春、大津地裁は滋賀県住民の訴えを入れ、関西電力高浜原発3、4号機の運転を差し止めた。原発を動かすならば、事実上のゼロリスク-、すなわち福島の事故原因に基づいた、完璧に近い備えがいるとの判断だった。前年の暮れ、福井地裁は「絶対的安全性は想定できず、危険性が社会通念上無視できる程度まで管理すべきだ」と、真逆の決定を下していた。再稼働のよりどころとなったこの三月の大阪高裁の判断も、これと同様、ゼロリスクの追求はできない、しなくてもいいという考えに立つと言えるだろう。「想定外」なら仕方がないということだ。従って高浜原発は、重大事故の危険を残したままで、再び動き始めたということだ。福島の事故原因は、究明されてはいないのだ。ならば、万一の事故の備えはどうかといえば、やはり万全にはほど遠い。日本の原発は、元々往来の不便な海辺に建てられる。国は周辺三十キロ圏の自治体に、避難計画の策定を義務付けた。だが、渋滞は、車両の確保は、船は、介助の人員は…。自治体側の悩みは深い。原子力規制委員会は、避難計画にはかかわらない。政府も了承するだけだ。被害の補償はできるのか。民間では世界最大の東京電力にさえ、福島の事故の負担は到底負いきれない。関電や政府に十分な補償ができる保証はない。それでも、立地地域以外の住民の声は聞こうとしない。周辺住民にとっては、ないないづくし。運営する電力会社も立地地域も最大のリスクを抱え続けることになる。これで「安心しろ」と言うのは無理だ。この状態が、「社会通念上無視できるほどのリスク」だとするならば、この世に危険なものなど存在しない。何か起きればすべて「想定外」で済まされる-。安全神話が復活した、というしかないではないか。福島の事故に関して明らかなことが、少なくとも一つはある。それは、安全神話こそ、すべてのはじまりだったということだ。 

*1-5:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/385309 (佐賀新聞 2016年12月10日) 再稼働、地元同意の拡大要望6割、玄海原発、5市町長慎重
 新規制基準による原子力規制委員会の審査に事実上合格した九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の再稼働に関し、佐賀県の全自治体と福岡、長崎両県の原発30キロ圏に入る計28自治体のうち6割の17自治体が再稼働の前提となる「地元同意」の対象範囲の拡大を求めていることが、共同通信が10日まとめた首長アンケートで分かった。佐賀の4市町を含む5自治体が再稼働に慎重なことも判明した。地元側の対応方針決定に時間がかかり、再稼働時期が遅れる可能性がある。九電川内原発や関西電力高浜原発が再稼働した際の地元同意の対象は、立地する県と市町に限られていた。

*1-6:https://mainichi.jp/articles/20170521/ddm/008/030/057000c (毎日新聞 2017年5月21日) 原発事故:韓国で起きたなら… 「日本では最大2830万人避難」 米シンクタンク試算
 東京電力福島第1原発事故を踏まえ、韓国の原発で事故が起きた場合の被害規模を専門家が試算した。気象次第で放射性物質が日本の広範囲に飛来し、日本で最大2830万人が避難を余儀なくされる恐れを指摘した。試算した米シンクタンク「天然資源保護協会」の姜政敏(カンジョンミン)上級研究員は「地震や津波だけでなく、テロや北朝鮮のミサイル攻撃が事故につながる事態も排除できない」としている。韓国南部・釜山市にある古里原発3号機で、使用済み燃料プールの冷却機能が失われて火災が発生し、放射性物質セシウム137が大量に放出されたと想定。2015年1~12月の気象条件で被害を調べた。1月は偏西風の影響で、西日本を中心に日本の最大6万7000平方キロが汚染され、最大2830万人に避難の必要が出る可能性がある。姜氏の図解では、山口県から四国、紀伊半島まで帯状に、地表のセシウム濃度が1平方メートル当たり200万ベクレル以上の地域が広がる。9月は最大で、韓国で国土の半分以上に当たる5万4000平方キロが汚染され2430万人が避難。日本の首都圏に近い地域や東北にも被害が及ぶ。北朝鮮や中国に被害が出るシナリオもある。韓国には原発が25基ある。

<フクイチ被害の隠蔽>
*2-1:https://www.agrinews.co.jp/p40850.html?page=1 (日本農業新聞 2017年5月13日) 改正福島特措法が成立 風評払拭 復興加速へ
 改正福島復興再生特別措置法が12日、参院本会議で可決、成立した。東京電力福島第1原子力発電所事故で立ち入りが制限されている帰還困難区域内に、人が住める「特定復興再生拠点区域」を国費で整備する。また、福島県産農林水産物の風評払拭(ふっしょく)に向けて、国が販売の実態調査や適正な取引の指導を行うなど、被災者の暮らしと、なりわいの復興を加速させる考えだ。帰還困難区域はこれまで「将来にわたり居住を制限する」と位置付けられていたが、区域内に復興拠点を整備して帰還できるようにする。市町村が、放射線量の低減や公共施設の整備などで帰還が可能な地域を選定。国費を使って除染やインフラ整備を進め、5年以内をめどに避難指示の解除を目指す。一方、福島県産の農産物は原発事故前の価格まで戻らず、全国平均価格とも差がある。流通しているものは安全が確認されており、風評被害の実態と要因を究明する。流通販売の過程で買いたたきなど不適切な取引がないか調査する。結果に応じ、販売業者に対して国が指導や助言など必要な措置を行う。この他、被災した同県東部を拠点に新産業の創出を進める「福島イノベーション・コースト構想」を改正法に位置付けた。情報通信技術(ICT)やロボットなどの先端技術を活用し、農作業の効率化を目指す研究を強化する。改正法は今村雅弘前復興相の“肝いり”だった。しかし、東日本大震災が「東北で良かった」と発言し、更迭された影響で成立がずれ込んだ。菅義偉官房長官は12日の記者会見で、改正福島特措法の成立を受け、「福島の復興再生をさらに加速することができるように引き続き全力で取り組みたい」と述べた。国が費用負担する除染について、できるだけ早く開始する考えを示した。
●痛みを和らげ本気で対応を 全中会長
 改正福島特措法の成立を受け、JA全中の奥野長衛会長は12日、「福島の復旧・復興が道半ばなのは、風評被害の存在が大きい。福島の農家の、怒りを通り越した悲しみを少しでも和らげられるよう、政府に本気で対応してほしい」と語った。日本農業新聞の取材に答えた。

*2-2:http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20161207-00000010-ann-bus_all (テレビ朝日系(ANN) 2016/12/7) 世耕大臣「原発コスト安い」強調…廃炉費用増加でも
 東京電力福島第一原発の廃炉と賠償費用が膨らんでいることを受け、世耕経済産業大臣は「原発コストは安い」と改めて強調しました。世耕経産大臣:「色んな費用を全部、含めたとしても発電単位あたりのコストは原発が一番、安いと考えている」。廃炉と賠償などの費用は事故後の見積もりから数兆円単位で増大していて、経産省は国民負担を増やす方向で議論を進めています。そうしたなか、世耕大臣は、新たな費用を考慮しても原子力の発電コストは他の発電よりも安いと説明しました。経済産業省内には廃炉や賠償の費用が20兆円に上るとの試算もあるものの、公表されていません。経産省は今月中に議論を取りまとめる方針です。

*2-3:https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/165762 (日刊現代 2015年10月9日) 福島の甲状腺がん発生率50倍…岡山大・津田教授が警告会見
 岡山大大学院の津田敏秀教授(生命環境学)が6日付の国際環境疫学会の医学専門誌「エピデミオロジー(疫学)」に発表した論文に衝撃が広がっている。福島県が福島原発事故当時に18歳以下だった県民を対象に実施している健康調査の結果を分析したところ、甲状腺がんの発生率がナント! 国内平均の「50~20倍」に達していた――という内容だ。8日、都内の外国特派員協会で会見した津田教授は「福島県では小児や青少年の甲状腺がんの過剰発生がすでに検出されている。多発は避けがたい」と強調した。福島県で原発事故と子どもの甲状腺がんの因果関係を指摘する声は多いが、権威ある医学専門誌に論文が掲載された意味は重い。国際的な専門家も事態を深刻に受け止めた証しだからだ。津田教授は会見であらためて論文の詳細を説明。原発事故から2014年末までに県が調査した約37万人を分析した結果、「二本松市」「本宮市」「三春町」「大玉村」の「福島中通り中部」で甲状腺がんの発生率が国内平均と比較して50倍に達したほか、「郡山市」で39倍などとなった。津田教授は、86年のチェルノブイリ原発事故では5~6年後から甲状腺がんの患者数が増えたことや、WHO(世界保健機関)が13年にまとめた福島のがん発生予測をすでに上回っている――として、今後、患者数が爆発的に増える可能性を示唆した。その上で、「チェルノブイリ原発事故の経験が生かされなかった」「事故直後に安定ヨウ素剤を飲ませておけば、これから起きる発生は半分くらいに防げた」と言い、当時の政府・自治体の対応を批判。チェルノブイリ事故と比べて放射性物質の放出量が「10分の1」と公表されたことについても「もっと大きな放出、被曝があったと考えざるを得ない」と指摘した。一方、公表した論文について「時期尚早」や「過剰診断の結果」との指摘が出ていることに対しては「やりとりしている海外の研究者で時期尚早と言う人は誰もいない。むしろ早く論文にしろという声が圧倒的だ」「過剰診断で増える発生率はどの程度なのか。(証拠の)論文を示してほしい」と真っ向から反論。「日本では(論文が)理解されず、何の準備もされていない。対策を早く考えるべき」と訴えた。「原発事故と甲状腺がんの因果関係は不明」とトボケ続けている政府と福島県の責任は重い。

*2-4:http://nonuke.at.webry.info/201701/article_5.html (NAZENヒロシマ~すべての原発いますぐなくそう! 2017/1/22) ふくしま共同診療所 布施幸彦所長が韓国シンポジウムで発表
 2011年の東日本津波で発生した福島原子力発電所の事故以来、被曝住民の健康状態が非常に悪化したことが分かった。福島で被爆住民の健康状態を確認し、治療している布施幸彦福島共同診療所長(医師)は18日、韓国で行われた韓日国際シンポジウム(チュヘソン・キム・ギョンジン議員など主催)に参加して福島被爆住民の白血病・脳出血・心筋梗塞発症が増加したと明らかにした。特に18歳以下の子供を対象に甲状腺がんが大幅に増加したと明らかにした。2012年福島診療所を立てた布施幸彦(前群馬県公立病院副院長)は、この日のシンポジウムで、福島県立医科大学が発表した「原発事故の後、増加した病気」資料を公開した。これによると、福島の住民の白内障は、2010年比で2011年229%、肺がんは172%、脳出血は253%、食道がんは134%、小腸癌は277%、大腸がんは194%、前立腺癌は203%増加した。 2年が経った2012年の場合、脳出血は、2010年比で300%、小腸癌は400%増加したことが分かった。甲状腺がんの場合、10歳〜24歳の若年層をはじめ、ほとんどの年齢層で発生率が増加した。注目すべき点は、放射能被曝の影響を受ける子供たちである。 2013年12月31日現在、小児甲状腺がんまたは小児甲状腺がんが疑われる患者は、74人だったが、2016年12月現在の患者は184人に増えた。福島県で義務的に検査を受けた30万人の18歳以下の子供の68人の場合、先行検査では問題がなかったが、時間が流れて発症を確認したことが分かった。潜伏期間を経て、被曝の影響が癌で明らかになったものである。原発事故の後、日本の人口は減少に転じた。 2010年比で2012年早産/低体重出産は166%まで増加した。難病件数も、2011年を基点に大幅に増えた。難病件数は70万件のレベルで、2011年以来、100万件水準まで増加した。死産率も増加した。東京や埼玉県の場合、核事故の後、4%ほど死産率が増加した一方、放射能汚染度が高い福島県周辺は死産率が12.9%増加した。福島近くの6つの県では、乳児死亡率も増加した。急性白血病も増加した。福島県は、2010年に白血病の死亡者が108人だったが、原発事故後の2013年に230人に増え213%も増加した。付近の群馬県は310%、埼玉県は285%増加した。日本の平均値(142%増)に比べて高い。セシウム137の汚染濃度が高いほど発生する急性心筋梗塞の場合も全国的には減少傾向が福島県だけ増加した。原子力発電所の事故を処理した労働者の場合、白内障数値も著しく増加して労働災害認定を受けた事例も現れている。布施幸彦診療所章このような事実を伝えた後、「現在の福島県当局は、診察受けない権利を主張して検査を縮小・中止しようとしている。自律検査に変わったら、住民の健康状態を把握することができる材料が適切に出てくることはできない」と憂慮した。彼は続いて「福島県当局はまた、避難指示を解除して高濃度汚染地域住民を回して送信している。ここでは、子供も含まれている」と憂慮した。県当局は、今年3月から避難住民に施行していた住宅補助を中止する予定である。このような状況を残して布施幸彦診療所長は「住宅補助中断は帰還して被爆れるのか、(避難指示に)残って貧困になるのかを選択するようにする非人間的な政策」と批判した。日本政府は、まだ原発事故以来、放射能による健康被害はないと主張している。彼はこの日、全世界最高の原発密集国である韓国の警告も忘れなかった。彼は「原発事故は、原子力発電所が多い順にスリーマイル(米国)、チェルノブイリ(ソ連)、福島(日本)で発生した。次は韓国になるという懸念が多い」と明らかにした。

*2-5:http://diamond.jp/articles/-/82736?display=b (ダイヤモンド・オンライン) なぜ、東京で、白内障、心筋梗塞が激増するのか?
――エッセンシャル版・緊急特別講演会
<広瀬 隆 :1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数>
 ついに伊方原発の再稼働に関して、中村時広愛媛県知事がGOサインを出した。「1977年9月30日稼働」以来、38年経った「老朽化」の心配もさることながら、中央構造線上にそびえる伊方原発の危険性については、本連載でも再三触れてきた。同時に、2015年8月に1号機、10月に2号機が再稼働し始めた川内原発とまったく同じ「加圧水型」の原子炉は、「沸騰水型」の福島第一原発とは比べものにならない危険性があると、本連載第21回で指摘した。壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が増刷を重ね、第6刷となった。本連載シリーズ記事も、累計313万ページビュー(サイトの閲覧数)を突破し、大きな話題となっている。そんななか、10月23日に、広瀬隆氏がダイヤモンド社で緊急特別講演会を開催。当日は南相馬出身の人や高速バスで遠くからたくさんの人が会場を訪れた。予定の1時間を大幅に超え、2時間にわたった講演会のエッセンスを凝縮してお届けする。さらに、現況から展望される今後の原発ゼロ時代の到来について、7回の連載記事をお届けする。
では、注目の第3回をお送りしよう。
●順天堂大学の血液内科が発表した衝撃データ
  「原発問題はフクシマだけの問題であるから、東京に住んでいる私には関係ない」と思っている人にぜひ見てほしいデータがあります。東京の人間は非常に危ない状態にあります。このことについては、それを裏づけるデータがいくつかありますので、ダイヤモンド書籍オンラインのリンク(第24回)をここに示しておきます。全身に血液が流れるので、血液が癌の転移を引き起こすという意味で非常に重大です。このリンクに示したように、血液系疾患の患者数が激増しています。首都圏の病院でも、骨髄形成症候群(血液関連の癌)が2~5倍という状態です。またほとんどの人は、放射能というと、「癌」、「白血病」しか考えないのですが、「白内障」も増えています。東京や首都圏の人間は、本人がほとんど無意識でも、確実に被曝しています。この事実は、断言しておきます。私は、フクシマ原発事故が起こってからできるだけ外出しないようにしました。ただ、当時、講演会の依頼があるたびに全国各地に引っ張りまわされたので、私自身も、かなり被曝しています。この深刻な被曝がいつごろまで続いたかが問題ですが、フクシマ原発事故が起こってから2ヵ月後の5月11日に福島大学が高空の放射能測定結果を発表しました。このグラフは、縦軸に地上からの高さをキロメートル単位で示してあります。飛行機の絵がある高さが10キロメートルで、ジャンボ機が飛行するおよそ1万メートルです。横軸が放射線の量で、セシウムのガンマ線が濃紺の折れ線で示され、ストロンチウムやトリチウムのベータ線がピンクの折れ線で示されています。このような高空に大量の放射性物質が浮遊していた、つまり原発からは放射性物質の大量の漏洩が続いていることが確認されたのですから、これらが風に運ばれて、南下して首都圏へ、また北上して東北の北部にまで、大量に流れていたのです。事故が起こってから2ヵ月後でも、これほど大量にです!! 実際には、分っている限り2015年6月頃までは、これほど深刻な被曝量でした。そうしたなかで、誰も、眼が被曝していたことには、ほとんど意識がなかったはずです。しかし水晶体のある角膜に、1000分の1mmという、目に見えない、つまりミクロン単位の微小な放射性物質がつくと、白内障になり、眼の濁りが出てきて、数年~10年後ぐらいから悪化し、最悪の場合は失明してしまいます。こうした被害は、アメリカのスリーマイル島原発事故でも、チェルノブイリ原発事故でも、多くの被害者を出しているので、明らかになっています。白内障が東北で激増している、統計データも、さきほどのリンク先に示してあります。一番こわいのは、猛毒物プルトニウムです。アメリカの環境保護局EPA(Environmental Protection Agency)が発表しているデータを見ると、アメリカ西海岸のカリフォルニアで多量のプルトニウムが検出されました。プルトニウム燃料を使って運転していた福島第一原発3号機が大爆発をした日からちょうど10日後、2011年3月24日にグーンとプルトニウムの数値が上がっています。これ以降、なぜかEPAはデータを出していません。この分野で信頼できる科学者のアーニー・ガンダーセンさんがたびたび警告したように、ロッキー山脈でもプルトニウムが検出されていますし、東京の都心でもウランのような放射性物質が検出されています。茨城県つくば市にある、気象庁気象研究所では、放射性物質のモリブデンや、テクネチウムが検出されたと、地元紙・常陽新聞が報道したのが、2011年7月16日です。このニュースを聞いたときは、私は、もうダメだと思いました。このことも、すでにダイヤモンド書籍オンラインで書きました。つくば市は福島第一原発から170kmも離れています。つくば市まで沸点4877℃でガス化するテクネチウムが飛んできたということは、原子炉内でメルトダウンした燃料が気化して、あらゆるものがガスになって放出されたということです。原子炉内で、一番危険な甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素は184℃でガスになりますから、天ぷらの温度ですぐガス化する。それが日本全土に降り積もりました。セシウムはよく議論されていますが、白血病を起こす沸点1384℃のストロンチウムはほとんど議論されていません。一番危険な猛毒物プルトニウムでさえ、3232℃でガス化します。こういう危険な放射性物質が見えないガスになって東京を含む東日本地域に襲いかかりました。沸点が低い放射性物質はみんな、原子炉内でガス化していたわけです。それが、東京に飛んでこないはずがないのです。大事故直後の2011年3月17日に、私はCS放送の「朝日ニュースター」という番組で。「今、みなさんはテレビのいい加減な学者たちから、東京は大丈夫だという話を聞いていますが、そんなことはあるはずがない! 危険な放射性物質がガス化してみんな、東京にきていますよ」ということを話しました。
●セシウムは「盛岡」より「新宿」が6倍!ヨウ素は「盛岡」より「新宿」が100倍!!
 福島県では、美しい阿武隈山地に放射能が大量に降り積もりました。北のほうに流れた放射性物質は、奥羽山脈にぶつかってそこで大量に落ち、南のほうは茨城県から千葉・埼玉・東京に向かって山がないため、一気に直進して東京から神奈川にきたわけです。特に、新宿の高層ビル群に大量にぶつかりました。高層ビルの福島側と、その裏側では全然放射線量が違いました。しかし、マスコミは一切この事実を報道せず、多くの人たちは平気で通勤していました。「この人たちは大丈夫なのか?」と思っていたのは、私だけでしたでしょうか。あまりにも非常識で、普通の生活をする人たちを見て、私の頭がオカシイのかと思いました。それぐらい誰もが普通に通勤して、子どもたちも2011年4月に入って、普通に通学しているじゃないですか。「子どもたちの通学を止めさせろ」と叫んでいたのですが、誰も聞いてくれない。あの期間に、多くの人が被曝をしました。東京・新宿と盛岡市では、セシウムで新宿のほうが6倍です。この数字は、自治体の測定値なので、おそらくエアコンのフィルターなどで付着物を測定したものと思いますが、文科省の測定ではないので、信用していいです。甲状腺癌を引き起こす放射性ヨウ素は、新宿のほうが盛岡の100倍ですよ!(2011年11月25日公表値)。特に2011年は6月ぐらいまで、多くの人がすさまじい被曝をしました。
●東京の荻窪も“チェルノブイリ危険地帯第4区”!
 これは文部科学省が発表している東京の汚染地図ですが、山のある多摩地区は当然のことながら高度に汚染され、ギリギリ山梨県境まで汚染されました。この地図を見ると、「新宿」と「杉並」が汚染されていませんが、これはウソなのです。土壌が大汚染されているのに、航空機からの空間線量で、机上の計算でつくった気休めの地図です。放射性物質を実測したものではないのです。真の危険性を調べるため、私は、わが家のある東京・荻窪(福島第一原発から230km離れた場所)の土壌の汚染度を、信頼できる人に分析してもらいました。この人たちは、チェルノブイリ原発事故以来、ずっと放射能測定を続けてきた専門家です。つまり、継続して測定している人たちが、フクシマ原発事故の真の危険度を知ることができるのです。この内容は、『東京が壊滅する日』にくわしく書きましたので、お読みください。杉並区のわが家も、目の玉が飛び出るように汚染されていることが判明しました。その結果、1平方メートルあたり、わが家は1万7160ベクレルあり、子どもが遊ぶ近くの公園の土では9万2235ベクレルという驚異的な数値でした。杉並区の住宅地のど真ん中ですよ。ところが、同じ10月に文部科学省が空間線量から推定した汚染分布地図では、今の分布図のように、杉並区も新宿区も“安全地帯”となっているではないですか! その汚染された公園では、幼稚園児たちが遊んでいたというわけです。
●これから何が起こるのか? ―知られざる「ホットパーティクル」の恐怖
 私は30年以上前から、この問題に医学的に取り組んできたので、これから何が起こるかを理論的に申し上げます。1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原発事故の教訓はこうです。ソ連では、当時の白ロシアが分離独立して、現在、「ベラルーシ」と呼ばれています。チェルノブイリ原発はベラルーシ国境近くのウクライナにありました。ベラルーシでは、チェルノブイリ原発事故のあとに亡くなった人たちの体を解剖すると、体内に高濃度の放射性物質の粒子「ホットパーティクル」がいっぱいありました。これもダイヤモンド書籍オンラインでくわしく書きましたので、そちらを参照してください。東京に住んでいるわれわれも、この高レベルの放射性物質を吸い込んできたのです。クシマ原発事故のあと、多くの人が線量計を買って、危険かどうかを調べてきましたが、アメリカと東京では、空間線量がほとんど変わりません。つまり空間線量の測定では、こうした危険な「ホットパーティクル」を検出できないわけです。
●「放射能の実害」から科学的に分析
 結論を申し上げます。フクシマ原発から放出された放射能は、トテツモナイ天文学的な量です。その内訳や計算は『東京が壊滅する日』にくわしく書きましたので、参照してください。大量の癌患者・死者を出したアメリカのネバダ核実験の風下地帯より、日本のほうが汚染度が高いのです。見すごされている事実として、首都圏はトテツモナイ人口密度だということがあります。これは福島県の比ではありません。これからこの日本で、100万人以上の方が、フクシマ原発事故の汚染で亡くなります。一瞬でみんなが死ぬわけではない。だから、気づかない。それがおそろしいのです。時間をかけて、病室の中でゆっくりと殺されてゆく。音もなく、家族だけが知っている。そうして亡くなっていくのです。私が申し上げている事実は、「放射能の実害」にあります。もし、原発から出る放射性物質が、人間の体内で「実害がない」ならば、どんどん原発を建てたらいい。しかし、私が調査してきたスリーマイル島事故(1979年)、チェルノブイリ事故(1986年)だけでなく、『東京が壊滅する日』で紹介した、アメリカネバダ州での大気中核実験(1951~58年で計97回)がおこなわれた場所から220kmも遠く離れた、田舎町のセント・ジョージでの悲劇、ロシアがひた隠しにしてきた「チェリャビンスク40」での史上最大の惨事を科学的に分析すると、放射能災害は必ず大量発生します。必ず起こります。ただ、東京には1300万人以上もいますので、100万人が何年かにわたって亡くなっても、精細な統計疫学で分析しないと、はっきり統計には出てきません。知るのは当事者の家族だけです。人殺し政策の好きな安倍晋三の日本政府が、賠償金打ち切りのために、次々と危険地帯への住民帰還政策を進めています。新聞やテレビも「フクシマ事故の影響はもう終った」かのような報道をしています。こうしてますます、フクシマ事故の大災害がいま現在、深く静かに進行しています。この体内被曝は、医学的な時限爆弾ですから、時間が経過すると共に発症するのです。
●なぜ、『東京が壊滅する日』を緊急出版したのか ―広瀬隆からのメッセージ
 このたび、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』を緊急出版した。現在、福島県内の子どもの甲状腺ガン発生率は平常時の70倍超。2011年3~6月の放射性セシウムの月間降下物総量は「新宿が盛岡の6倍」、甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の月間降下物総量は「新宿が盛岡の100倍超」(文部科学省2011年11月25日公表値)という驚くべき数値になっている。東京を含む東日本地域住民の内部被曝は極めて深刻だ。映画俳優ジョン・ウェインの死を招いたアメリカのネバダ核実験(1951~57年で計97回)や、チェルノブイリ事故でも「事故後5年」から癌患者が急増。フクシマ原発事故から4年余りが経過した今、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』で描いたおそるべき史実とデータに向き合っておかねばならない。1951~57年に計97回行われたアメリカのネバダ大気中核実験では、核実験場から220キロ離れたセント・ジョージで大規模な癌発生事件が続出した。220キロといえば、福島第一原発~東京駅、福島第一原発~釜石と同じ距離だ。核実験と原発事故は違うのでは? と思われがちだが、中身は同じ200種以上の放射性物質。福島第一原発の場合、3号機から猛毒物プルトニウムを含む放射性ガスが放出されている。これがセシウムよりはるかに危険度が高い。3.11で地上に降った放射能総量は、ネバダ核実験場で大気中に放出されたそれより「2割」多いからだ。不気味な火山活動&地震発生の今、「残された時間」が本当にない。子どもたちを見殺しにしたまま、大人たちはこの事態を静観していいはずがない。最大の汚染となった阿武隈川の河口は宮城県にあり、大量の汚染物が流れこんできた河川の終点の1つが、東京オリンピックで「トライアスロン」を予定する東京湾。世界人口の2割を占める中国も、東京を含む10都県の全食品を輸入停止し、数々の身体異常と白血病を含む癌の大量発生が日本人の体内で進んでいる今、オリンピックは本当に開けるのか?同時に、日本の原発から出るプルトニウムで核兵器がつくられている現実をイラン、イラク、トルコ、イスラエル、パキスタン、印中台韓、北朝鮮の最新事情にはじめて触れた。51の壮大な史実とデータをぜひご覧いただきたい。「世界中の地下人脈」「驚くべき史実と科学的データ」がおしみないタッチで迫ってくる戦後70年の不都合な真実!よろしければご一読いただけると幸いです。

<使用済核燃料最終処理施設候補>
*3-1:http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170507/KT170501ETI090005000.php (信濃毎日新聞社説 2017.5.7) 原発燃料処分 先送りはもう限界だ
 原発は「トイレのないマンション」と批判される。指摘されてきた矛盾の一部が浮き彫りになった。廃炉が決まった全国の原発17基のうち7基で、使用済み核燃料計約610トンの搬出先が確定していないことが表面化した。解体が計画通りに進まない可能性がある。使用済み核燃料は再処理して、プルトニウムとウランを回収する。後に残る高レベル放射性廃棄物はガラス固化体にして、地下300メートルより深く埋めることになっている。その処分地は決まっていない。搬出先が決まらないのは、最終的な核のごみの行き場がなく、途中で処理が行き詰まっているためだ。使用済み核燃料は長期にわたって極めて強い放射線を出す。運転が続けば総量はさらに増える。見通しがないまま、動かし続けることは認められない。問題を先送りにしてきた政府と電力会社の責任を問わねばならない。日本にある使用済み核燃料は約1万8千トン。フランスなどに委託して再処理した分を含めると、ガラス固化体換算で2万5千本相当になる。使用済み核燃料は、原発に併設されているプール施設などに保管されたままだ。廃炉が決まると、併設されていたプールも将来、取り壊される。そうなると、保管されていた核燃料の行き場がなくなる。搬出先が決まっている核燃料も問題を抱える。搬出先の多くは、同じ敷地内にある別の建屋のプールである。中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)は、廃炉になった1、2号機の使用済み核燃料を4、5号機のプールに移す。その結果、同原発のプールの貯蔵量は許容量の86・9%に上る。3〜5号機全てが再稼働すれば、2年余で上限に達する。満杯になれば搬出先は簡単には見つからないだろう。脱原発へのプロセスとして必要なことは、当面の保管先を確保することだ。保管方法を電力を使う水冷より安全性が高いとされる空冷の乾式貯蔵に切り替え、原発敷地などに施設を建設することも考えられる。長期保管につながる乾式貯蔵施設の建設は、地元自治体の同意が必要だ。理解を得るには、保管期限を厳密に定め、その間に最終処分する手段や処分地を見つけ出すことが求められる。まずは原発を稼働させる期間と基数を明確にして、処分する核のごみの総量を決めるべきだ。先送りはもう限界に来ている。

*3-2:http://qbiz.jp/article/99327/1/ (西日本新聞 2016年12月3日) 【閉山の島 高島30年・池島15年】(3)直訴 「無人」がもたらすもの
 閉山に揺れる30年前の高島(長崎市)に、こんな構想が持ち込まれた。国内随一を誇った高さ965メートルの立て坑を使い、ロケットの打ち上げ拠点にする−。「ありとあらゆる提案があった」。当時の高島町助役、土居訓(79)はその奇抜さに驚いた。記憶は、さらにさかのぼる。「そういえば、軍艦島(端島)の炭鉱閉山のときは核のごみ処分場はどうか、という話もあったなあ」。池島炭鉱が閉山した15年前の池島(長崎市)でも、原発から出る核のごみの最終処分場建設案が、外部コンサルタントを通じて当時の外海町に届いた。「被爆地・長崎で、無論できるわけがなかった」。当時、閉山対策を担う町課長だった吉川司(68)もあきれる。いずれも立ち消えになったが、共通するのは「人がいなくなる」=「無人化」を前提にしていたこと。もともと寒村だった島。炭鉱が生まれ、全国から人が集まった。「炭鉱なしで島は成り立つのか。行政マンとしては本土への集団移転も現実的な選択肢として考えたが…」。吉川は、今も悩んでいるようだ。
     ◇
 「お願いがあります」。11月初め、高島での旧高島町と市の合併10年式典。地元代表としてあいさつに立った自治会連合会長の松尾保(49)は、壇上の市長、田上富久(59)や市議に目を向けた。「観光だけで人口減少は止められません。せめて、今住んでいる人が住みやすくしてほしい。希望ある未来が訪れることを祈ります」。祝いの場での“直訴”だった。人口384人。うっそうと茂る雑草が坑口跡や住民の消えた家、通路をふさぐ。除草を担ってきた島民が高齢で引退し、公募でやっと市本土在住の男性が見つかり、11月から船で通う。草刈りですらぎりぎりだ。10月上旬、池島炭鉱跡。普段は立ち入り禁止区域に、池島自治会連合会長の近藤秀美(66)は関東から来た研究者数人を案内した。目的は、高低差660メートル、煙突状の立て坑。内部のコンクリート構造は健在。研究者たちは、島を囲む海から立て坑内にくみ上げた海水を落としてタービンを回す、国内初の揚水発電をひそかに構想する。炭鉱の下請けで働いていた近藤は土産店を営むが、人口は159人。客はほとんどない。「炭鉱を生かした観光の武器になる。人をたくさん呼べるようになるかもしれん」。島に2人しかいない小学生の祖父でもある近藤に差した、かすかな希望の光。一方、研究者の視点はこうだ。「実験場としてこんな適地はない。こう言っては悪いが、人がいない島なので騒音への反対がない」。最盛期からの人口減少率は2島ともに98%。こんな街が、日本にあるだろうか。島の中で今、暮らしを営む人の思いは常に切実で、外からの視線はいつも冷徹なほどに現実的だ。


<スイス、国民投票で脱原発>
PS(2017/5/22追加):フクイチから遠い国スイスでは、2017年5月21日、*4のように、脱原発を問う国民投票が行われて賛成多数で可決され、「脱原発」支持の民意が示された。なお、国民がこのような判断に至るためには、スイスでは、今回の原発事故に関する正確な情報が開示されていたのである。

*4:http://www.jiji.com/jc/article?k=2017052200199&g=int (JIJI 2017/5/22) 「脱原発」、賛成が多数=スイスで国民投票
 スイスで21日、原発の新設を禁止し、再生可能エネルギーを推進する改正エネルギー法への賛否を問う国民投票が行われた。開票結果は賛成58.2%に対し、反対41.8%と、「脱原発」支持の民意が示された。投票率は42.4%。スイスは2011年の東日本大震災での東京電力福島第1原発事故を受け、脱原発方針を決定。改正法はこの方針に基づくもので、昨年9月に議会で承認されたが、その後国民負担増加への懸念を理由に反対派が署名を集め、国民投票に持ち込んだ。

<核禁止条約>
PS(2017年5月23日追加):「日本には不幸なことで世界で有名になった都市が4つあり、それはヒロシマ・ナガサキ・ミナマタ・イサハヤだ」と言われているうちに、フクシマも加わって5つになった。そのヒロシマ・ナガサキから「核兵器禁止条約」が提案され実現が近づいているが、これが本来の日本の役割だと考える。そこで、原発はどうする?

*5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12950874.html (朝日新聞 2017年5月23日) 「ヒバクシャの苦難を心に留める」 核禁止条約原案に表現
 核兵器の使用などを法的に禁じる「核兵器禁止条約」の原案が22日、初公表され、「核兵器使用の犠牲者(ヒバクシャ)の苦難を心に留める」との表現が盛り込まれたことが分かった。原案をまとめた条約交渉会議議長国コスタリカのホワイト大使は、「『被爆者が皆この世を去る前に、核兵器禁止条約の実現を見届けたい』との被爆者の思いを、交渉会議に伝えてほしい」と田上富久長崎市長から依頼された、との逸話を明かした。原案は、前文と21の条項から構成されている。前文では、締約国が、核兵器のもたらす壊滅的な非人道的影響を「深く憂慮」し、再び使われることがないための「あらゆる努力」を行う必要性をうたった。禁止する項目は、(1)核兵器の開発や製造、生産、取得、保有、貯蔵(2)核兵器やその管理権限の移転や受領(3)核兵器の使用(4)核実験の実行(5)上記の活動について支援したり、支援をうけたりすること(6)自国領への核兵器の配備(7)自国領での核実験、と定めた。一方で「核兵器使用をちらつかせた脅し」を禁止する、直接的な文言は含まなかった。米国の「核の傘」の下にあり、交渉に現在参加していない日本などに、将来加盟する余地を残すものだ。


<新エネルギーと原発>
PS(2017.5.28追加):*6-1のように、福井県の原発集中立地は誰が考えても危険であるにもかかわらず、福井県が率先して原発再稼働を進め、原発事故の責任は国にあるとしているのは無責任だ。原発立地地域が原発を推進する理由は、原発が交付金・税収・(少々の)雇用等をもたらすからだが、少し広い視野で見ると、*6-2、*6-3、*6-4のように、原発は環境親和性の高い新エネルギーの進歩や発展を阻害している。また、燃料費を外部に持ち出さず安全性も高い地域エネルギーでその地域を豊かにすることをも阻んでいるのだ。さらに、*6-5のように、福井県高浜町長は、使用済核燃料を原発敷地内で「乾式貯蔵」する選択肢も示しているそうだが、ただでさえ放射性物質の多い原発敷地内で、災害・テロ・戦争などが起こっても、安全に10万年も貯蔵できるつもりだろうか。もしそうでなければ、近所迷惑である。

*6-1:http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0113969.html (北海道新聞 2017.5.28) 福井県の原発 集中立地やはり危うい 
 原子力規制委員会は、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)が新規制基準に適合すると認める審査書を正式決定した。気になるのは、海沿いに原発が10基以上も並ぶ福井県内で、審査に合格した原発がすでに7基を数えることだ。いずれかの原発で自然災害などによる過酷事故が起き、立ち入りが禁止されたり制限されたりする区域が広がった場合、他の原発に混乱は生じないのか。国、電力会社、自治体は、「原発銀座」が抱える危うさに正面から向き合わなければならない。同県内では、関電の高浜1~4号機、美浜3号機も審査に合格している。中でも大飯と高浜の両原発は十数キロしか離れていない。だが、規制委は各原発の号機ごとに審査し、独立した形での安全態勢確保を基本としている。東日本大震災の規模を考えれば、原発が集中するこの地帯で、複数の施設が同時に被災する可能性は否定できまい。その時、電力会社が想定通りに事故に対応し、住民が安全に逃げられると言い切れるのか。福井県が策定した広域避難計画が「多重事故」を想定していないことも、大きな懸念材料だ。福島第1原発事故では炉心溶融が1~3号機で起き、広範囲で放射線量が高まったため、ピーク時は約16万人が避難した。福島第2原発も津波に襲われたが、かろうじて大惨事を免れた事実がある。東日本大震災の教訓を生かすには、原発の審査や避難計画を、単独の「点」ではなく、「面」でとらえる発想が必要だ。まして福井県の場合、合格した7基だけでも、避難計画策定が必要な半径30キロ圏内の地域は京都府や滋賀県の一部にも及ぶ。原発は、立地地域に雇用などの経済効果をもたらす。だからといって、事故時には周辺地域にも被害が及ぶ恐れがあることを無視していいはずがない。大飯原発の審査を巡っては、島崎邦彦前規制委員長代理が耐震設計の目安となる基準地震動について、過小評価の疑いを指摘した。関電は秋以降の再稼働を目指しているが、運転差し止めを求める訴訟が名古屋高裁金沢支部で審理中でもあり、30キロ圏内で不安を抱く住民も少なくなかろう。しかし、現状では電力会社と国、立地自治体の意向だけで再稼働を進めることができる。やはり、可否を巡る同意権を、周辺自治体にも認めるべきだ。

*6-2:http://qbiz.jp/article/110169/1/ (西日本新聞 2017年5月23日) インドネシア 地熱12鉱区の開発加速、来月に5鉱区入札へ
 インドネシア政府は今年、地熱鉱区12カ所の開発に向け、入札手続きなどを加速させる。12鉱区の総発電容量は86万5,000キロワット(kW)。投資総額は約43億米ドル(約4,800億円)と見込んでいる。22日付ジャカルタ・ポストが伝えた。エネルギー・鉱物資源省によると、6月中にも5鉱区の一般入札を実施する。5鉱区は、◇中スラウェシ州ボラプル◇東ヌサトゥンガラ州オカイレ・アンゲ◇同シルン◇北マルク州ジャイロロ◇北スマトラ州シンボロンサモシル――。総発電容量は計33万kWで、うちシンボロンサモシルが22万kWで最大。このほか、国営電力PLNとPLN傘下のジオ・ディパ・エネルギー、国営石油プルタミナの3社は、直接指名鉱区7カ所の開発を進める。PLNは北マルク州ソンガ・ワヤウアなど3鉱区、ジオ・ディパ・エネルギーとプルタミナはそれぞれ2鉱区を開発する。インドネシアの現在の地熱総発電容量は169万8,500kW。北スマトラ州サルーラ地熱発電所で2号基が稼働することなどに伴い、容量は年内に16万kW増の185万8,500kWに拡大する見通しだ。政府は、地熱総発電容量を2025年までに720万kWに引き上げる方針を示している。

*6-3:http://qbiz.jp/article/110601/1/ (西日本新聞 2017年5月27日) 九州の風力発電 接続可能量到達
 九州電力は26日、九州の風力発電所から電力系統に接続するための契約申し込みが、25日に接続可能量の累計180万キロワットに到達したと発表した。26日以降に接続を申し込む事業者は、電力の需給バランス調整のために稼働を停止する出力制御を、無制限に受け入れる必要がある。事業者は稼働日数が想定できず、新規案件のリスクが高まる。2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まって以降、風力発電所の設置が増加。25日時点で、既に九電の系統に接続した発電所の出力が49万キロワット、接続を承諾した計画が29万キロワット、接続契約の申し込みがあった計画が102万キロワットとなった。出力制御は、天候で出力の変動が大きい太陽光発電や風力発電の急増を受け、電力需給のバランスが崩れるのを防ぐための措置。もともと九電は、各発電事業者に年間で最大30日間の出力制御を前提に容量を設定している。ただ、これまでに風力発電所の出力制御を要請したことはない。

*6-4:http://qbiz.jp/article/108807/1/ (西日本新聞 2017年5月3日) 九州・沖縄の倒産、太陽光関連が最多に 17年は4月時点で9件
 東京商工リサーチ福岡支社は2日、九州・沖縄地区の太陽光発電関連事業者の倒産状況を発表した。2017年は4月時点で件数9件、負債総額計62億7200万円に上り、件数・金額とも年間の過去最高を既に更新した。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の価格引き下げや新規投資縮小が背景にあり、同支社は今後も倒産が増えるとみている。17年の倒産9件のうち、原因別では「販売不振」が3件で最多。「事業上の失敗」「他社倒産の余波」が各2件だった。4月には関連部品販売の「ZEN POWER(ゼンパワー)」が破産開始決定を受け、負債額は約52億円と九州で過去最大だった。本年度は事業用の太陽光発電に入札制度が設けられ、今後住宅用の買い取り価格も引き下げられる見通し。同支社は「ノウハウがない新規参入企業などで淘汰(とうた)が進む」としている。同支社は2000年から集計開始。これまでの過去最高は、件数が16年などの7件、負債総額は12年の50億8100万円だった。

*6-5:http://www.shinmai.co.jp/news/world/article.php?date=20170527&id=2017052701000658 (信濃毎日新聞 2017年5月27日) 原発敷地内で乾式貯蔵も選択肢 使用済み核燃料で高浜町長
 関西電力高浜原発が立地する福井県高浜町の野瀬豊町長が27日までに共同通信のインタビューに応じ、同原発で増え続ける使用済み核燃料の扱いについて、現在保管している原発内のプールから取り出し、専用の金属容器に入れて保管する「乾式貯蔵」を原発敷地内で進めることも選択肢との認識を示した。原発外への搬出が前提となっている使用済み燃料を巡り、原発の地元町長が敷地内でのさらなる保管に言及するのは異例。野瀬町長は同時に、使用済み燃料を原発外でいったん保管する「中間貯蔵施設」建設に国が積極的に関与するよう求めた。国や、原発を抱える各地の立地自治体の議論に影響を与えそうだ。

<地産地消のエネルギーへ>
PS(2017年5月30日):*7-1、*7-2のように、福岡県の筑後地方では、「やめエネルギー」や「みやまスマートエネルギー」が事業を始め、①地域資金とエネルギーの循環を生み出して地域を豊かにする ②電力を地産地消して災害に強いまちづくりをする ③高齢者の見守りサービスを組み合わせる などを行いながら、ドイツの先進事例を学んでおり、他の地域でも参考になるだろう。また、*7-3のように、柳川市は、市の49施設を地産電力に切り替え、年間472万円の電気代節減に成功したそうだ。さらに、*7-4のように、大分県九重町の出光興産地熱バイナリー発電所が低温熱水での発電を始めており、地域によってさまざまな電源があるだろうが、これにEVとゼロエネルギー建物を組み合わせると地域のエネルギー自給率は100%になるため、「日本は資源のない国」というのは誤りである。

*7-1:http://qbiz.jp/article/109886/1 (西日本新聞 2017年5月19日) 電力新時代:八女市に新電力73社出資 6月供給スタート 太陽光など「地産地消」へ
 福岡県八女市の中小企業が1月に立ち上げた地域新電力会社「やめエネルギー」が18日、同市本町の「おりなす八女」で事業開始式を行った。出資企業は広川町を含む八女地域で事業展開する73社に上り、やめエネルギーによると民間資本だけで設立された新電力会社の中で出資者数は全国最多。「電力の地産地消」を掲げ、これまで電気料金として地域外に流れていた資金を地元で循環させ、地域経済の活性化にもつなげたい考えだ。同社は、昨年4月から全面自由化された電力小売り事業への参入を目的に1月11日に設立。製茶や仏壇など地域の特色ある産業をはじめ、建設業やサービス業など幅広い業種が出資した。電力は「やめのでんき」のブランド名で販売し、6月から供給を始める。販売する電力は、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーを地元から調達し、不足分は電力卸取引市場などから仕入れて補う。料金は一般家庭向けでは九州電力より2〜5%安く設定した。当面は、みやま市などが出資する「みやまスマートエネルギー」が電力供給などを担い、やめエネルギーは電力の需給管理などノウハウを得た上で、1年後をめどに独立するという。出資者ら約100人が出席した式典で、やめエネルギーの本村勇一郎社長は「地域資金とエネルギーの循環を生み出すことで、新たな産業や地域サービス、雇用、人の流れが生まれる。ビジネスや生活面で地域を豊かにしたい」とあいさつ。八女市の三田村統之市長は「(電力を地産地消することで)災害に強いまちづくりにも大きく貢献できる」と期待した。1年後までに、事業者80件、一般家庭450件程度との小売り契約を目指す。本村社長は「将来的には、木質バイオマスによる発電事業も構想している。高齢者見守りサービスなどにも取り組んでいきたい」と話している。契約などに関する問い合わせは同社=0943(22)8834。

*7-2:http://qbiz.jp/article/103147/1/ (西日本新聞 2017年2月7日) みやま市やドイツの先進事例を学ぶ 自治体エネルギー会議
 自治体主導の電力事業に注目が集まる福岡県みやま市で6日、「日独自治体エネルギー会議 in みやま」(環境省主催、みやま市など共催)が開かれた。国内外から参加した約140人が、ドイツの先進事例やみやま市の取り組みなどを学んだ。ドイツは、電力やガスなどのエネルギーを供給する自治体出資の都市公社が数多く設立されている先進地。会議では、公社や自治体の担当者らが、運営の仕組みや収益状況などを説明。新電力の設立を検討している日本の自治体関係者らが耳を傾けた。みやま市が中心となって設立した「みやまスマートエネルギー」は、電力売買で得た収益を住民サービスに還元する取り組みなどを紹介。磯部達社長は「自治体同士で電力を融通し合う取り組みを深め、互いの経済活性化に協力できるような関係づくりを進めたい」と話した。

*7-3:http://qbiz.jp/article/102885/1/ (西日本新聞 2017年2月2日) 電力新時代:柳川市が地産電力に切り替え 福岡県内初 49施設、年472万円節減
 福岡県柳川市は1日、市の49公共施設の電力供給先を、九州電力から、隣接するみやま市が55%出資している地域電力会社「みやまスマートエネルギー」(磯部達社長)に切り替えた。同社がみやま市以外の県内の自治体と売電契約を結んだのは初めて。柳川市によると、年472万円の電気料の節減につながるという。供給を切り替えた施設は市役所3庁舎、全25小中学校、給食センター、公民館など。いずれも高圧電力(50キロワット以上)を使用し、この49施設で市における公共施設全体の電気料の56%を占める。市は「低圧電力より大きな節減効果が見込めた」としている。この日、柳川市役所で供給切り替え式があり、金子健次市長、磯部社長、みやま市の西原親市長らが切り替えスイッチを押した。金子市長は「みやま市とは共同で火葬場やごみ処理施設を計画しており、今回の契約で、両市の地域連携をさらに深めたい」と強調。磯部社長は「地域に地産地消エネルギーを普及させることで、両市の発展に貢献したい」と述べた。同社は南筑後地区の他の自治体にも切り替えを働き掛けており、金子市長は「柳川の契約を機に、他の自治体にも広がるのでは」と話した。同社は柳川市の一般世帯にも普及を図るため、電気料を払うと市内統一買い物カード「やなぽ」のポイントがたまるサービスも検討する。

*7-4:http://qbiz.jp/article/104722/1/ (西日本新聞 2017年3月2日) 余った熱水を使った全国初の地熱発電所が運転開始
 大分県九重町に出光興産が建設した地熱バイナリー発電所「滝上バイナリー発電所」(出力5050キロワット)が1日、商業運転を始めた。低温の熱水で発電するバイナリー方式として日本最大級。グループ会社や九州電力に売電する。発電所は、子会社の出光大分地熱が運営する滝上事業所の敷地内に建設。同事業所は、九電滝上発電所に地熱発電用の高温の蒸気を供給している。同発電所で使わずに地下に戻していた130度の熱水を利用するため、出光が新たに発電所を建設した。既設の地熱発電所に併設し、未利用の熱水を使う地熱バイナリー発電所の稼働は国内で初めてという。出光大分地熱の竹中照雄社長は記者会見で「エネルギーを効率的に利用でき、地熱発電の拡大にもつながる」と語った。

<スマートメーターを使った見守りサービス>
PS(2017年6月1日):九電が、*8のように、1人暮らしの高齢者の電気使用状況から察知して高齢者を見守る社会実験を福岡市で始めるそうだ。私は、電力使用が普段と異なるパターンを示した場合には、①まず「大丈夫ですか?」と声をかけ ②返事がない場合はアクションを起こせる組織に連絡する のがよいと考える。ただ、高齢者も旅行や入院などで普段と異なる電力使用パターンになることはあるため、その場合はあらかじめ連絡するようにしておくべきである。また、「見守り・介護サービス」という福祉子会社を作り、プライバシーを守りながらシステムを完成すれば、料金をとるサービスとして国内だけでなく他国でも使えるだろう。

*8:http://qbiz.jp/article/110886/1/ (西日本新聞 2017年6月1日) 九電が高齢者の見守り社会実験 6月から電気使用量で異常把握
 九州電力は31日、1人暮らしの高齢者の電気使用状況から親族が異常を察知するサービス「みまもりサポート」を活用し、地域で高齢者を見守る社会実験を福岡市で始めると発表した。親族を対象にしたサービスを、高齢化が進む地域の見守り活動に発展できるかを検証するのが狙い。社会実験は6月から半年間、同市城南区の別府校区で実施する。1人暮らしの高齢者約30人の電気使用量と過去のデータを30分ごとに九電のシステムが分析。使用量に異常があれば、同校区の社会福祉協議会のメンバーにメールを送り、高齢者の状況を確認してもらう。高齢者1人を最大5人の地域住民で見守る。すでに九電と市、市社会福祉協議会が協定を締結。実験後に、見守る側と見守られる側の負担感などを検証する。九電の渡辺義朗営業本部長は記者会見で「他地域に拡大できればいい。役に立てることで地域に貢献したい」と語った。結果次第では、他地域での本格運用も検討する。みまもりサポートは九電の生活関連支援サービスの一つで、昨年10月に開始。九州でスマートメーターを設置している契約者が、月額500円で利用できる。

<太陽光発電電力の買取価格>
PS(2017年6月4日追加):*9-1に書かれているとおり、原発再稼働の同意は原発事故時に汚染される全地域にすべきで、それができなくても、少なくとも30キロ圏内の市町村・都道府県の同意は必要だろう。なお、*9-2のように、東日本大震災後に太陽光発電所が爆発的に増えた九州で、太陽光を中心に723万キロワット分(大型原発7基分)の再生可能エネルギー発電所建設計画の認定が2017年4月に失効したそうだが、これには系統設備の増強・新設の工事費が高騰したことや原発を再稼働させたい九電が太陽光の買取制限を行ったことなどが影響している。太陽光発電による電力の買取価格は、2012年度のスタート時(普及開始時)は1kw時当たり40 円だったが、今後は市場価格での普及を促すため、世界標準の10円前後にするのがよいだろう。

   
 2017.6.4    2016.11.23   電源別発電コスト    太陽光発電コスト
 西日本新聞    佐賀新聞      の比較         国際比較

(図の説明:日本全国では大型原発106基分の再生可能エネルギーが認可を受け、九州では太陽光を中心に大型原発22基分の再生可能エネルギーが認可を受けているため、原発再稼働は全く必要ない。また、玄海原発30km圏には26万人以上の人が住んでおり、事故時には立地自治体と変わらぬ大きな被害を受けるため、原発再稼働には立地自治体並みの同意が必要だ。なお、太陽光発電の買取価格1kw時当たり8~15 円への引き下げは、他国では既に実現しており、市場価格での取引を始めるためには、我が国でも必要だと思われる)

*9-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12971524.html (朝日新聞社説 2017年6月4日) 原発と地域 再稼働への同意権拡大を
 周辺で暮らす人々の不安を置き去りに、原発がまた続々と動きだそうとしている。九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)ではこの春、佐賀県知事と玄海町長が再稼働に同意した。関西電力大飯(おおい)原発(福井県おおい町)も先月、新規制基準に適合し、福井県知事とおおい町長の同意手続きへ進む。事故に備えた住民避難計画をつくる周辺30キロ圏では、首長や住民から再稼働反対の声が相次ぐが、電力事業者は耳を傾けない。再稼働への同意を得るべき「地元」は、原発の立地市町村と道県に限っているからだ。東京電力福島第一原発事故の被害を経験した日本で、事故前と同じ手続きを繰り返す限り、住民の不安はぬぐえない。「地元」の定義を見直し、少なくとも30キロ圏の自治体に同意権を認めるよう改めて訴える。
■被害に差なし
 同意権は法令上の権限ではない。自治体と電力事業者が結んでいる安全協定にある「事前了解」の規定がおもな根拠だ。玄海原発の30キロ圏にある佐賀県伊万里市(人口5万5千人)。塚部芳和(よしかず)市長は昨夏、再稼働への反対を明言した。福島原発事故後の13年に30キロ圏の福島県南相馬市を訪ね、「周辺と立地自治体とで被害の差はない」と痛感した。立地自治体並みの事前了解を含む安全協定の締結を九電に求めたが、九電側は拒んだ。「いくら反対してもかやの外。事故のリスクだけは負わされる。あまりに理不尽だ」と塚部市長は憤る。周辺では長崎県の3市長も反対を表明した。だが、県境をまたげば知事でも同意権はない。15年以降、川内(鹿児島県)、伊方(愛媛県)、高浜(福井県)の3原発が立地自治体だけの同意で再稼働した。福井県に隣接する京都府や滋賀県は同意権の拡大を訴えてきた。北海道函館市は、海を挟んで23キロ離れた大間原発(青森県)の建設差し止め訴訟を起こした。被害が及ぶ恐れがある地域がなぜ「地元」と認められないのか、という問いかけだ。
■地域の目を安全向上に
 朝日新聞の社説はこれまでも同意権を持つ地元の範囲を広げるよう主張してきた。より多くの自治体が同意手続きで原発の安全性をチェックすればその向上が期待でき、住民の信頼につながると考えるからだ。安倍政権は、新規制基準は世界で最も厳しく、原子力規制委員会が適合だと認めれば安全性は確認される、との見解だ。ただ、国際原子力機関(IAEA)が求める5層の安全防護策のうち、新規制基準がカバーしているのは4層までだ。第5層は原子力防災だ。1~4層が突破されて原発外に放射性物質が拡散する事態を想定し、住民を避難させて被曝(ひばく)を防ぐ「最後の壁」だ。国は福島原発事故後、その計画づくりを30キロ圏の自治体の責務とした。自治体が原発の安全性の確認を国任せにせず、自分たちが担う避難計画の実効性も含めてまだ不十分だと判断すれば、再稼働に待ったをかける権限を与えることは当然ではないか。判断には専門知識も要る。福島原発事故の独自検証を続ける新潟県のように、専門家組織を設けることも有益だろう。
■国会で議論を
 同意権の範囲拡大には、ほとんどの立地自治体も否定的だ。立地自治体は、電源三法に基づく国の交付金や住民の雇用確保など、財政・経済面で原発の恩恵を多く受けてきた。「同意権を持つ自治体を増やせば、それだけ原発は動かしにくくなる」との警戒感がにじむ。「安全協定の本来の意味に戻るべきだ」。金井利之・東京大教授(自治体行政学)は話す。60年代以降、立地自治体が協定締結に動いたのは、電力事業者に事故やトラブルの情報を隠させず、必要に応じて「もの申す」ことで、住民の安全・安心につなげるためだった。「不安や懸念を抱く自治体が周辺にあれば、何を問題視しているか、広く一緒に議論すればいい。安全性はさらに高まり、立地自治体にもプラスのはずだ」と金井さんは言う。各自治体が安全面のみを中立的に判断できるよう、原発の稼働の有無で財政・経済面の受益に差が出ることがないようにする制度づくりも考える必要があると説く。そうした制度を考えるのは、国の役目のはずだ。安倍政権はこれまで、地元同意の範囲は「国が一律に決めるものではない」(世耕弘成経済産業相)と傍観してきた。ただ、「地元」をめぐる電力事業者・立地自治体と周辺自治体の分断を放置し、周辺の異論も無視したままの原発再稼働をこれ以上続けてはならない。30キロ圏の自治体の同意を再稼働の条件として法令に明記するなど、やり方はいろいろ考えうる。事故から6年余り、積み残されている重要課題として、国会で論議していくべきだ。

*9-2:http://qbiz.jp/article/111091/1/ (西日本新聞 2017年6月4日) 電力新時代:太陽光計画、九州3割失効 723万キロワット、建設放置の業者排除
 東日本大震災後に太陽光発電所が爆発的に増えた九州で、太陽光を中心に723万キロワット分の再生可能エネルギー発電所建設計画の認定が4月に失効したことが分かった。認定された出力合計の3割強で、全国10地域で最大。太陽光などの電力買い取り価格が高い時期に認定を取得し、いっこうに建設を始めない事業者が国によって排除された形だ。大型原発6〜7基分の出力に匹敵する計画が、実現性がないまま放置されていた実態が浮かび上がる。太陽光設備の認定を経済産業省から受けた後も実現していない発電所が全国で増加し、問題になっている。太陽光の電気を買い取る価格が高いうちに認定だけ受け、発電設備の部材価格下落を待っている事業者がいたことなどが要因とみられる。固定価格買い取り制度(FIT)を見直した4月の改正FIT法施行に合わせ経産省は、事業者が3月末までに大手電力会社の電力系統への接続契約を終えなかったケースは原則的に認定を失効させた。経産省によると、FITが始まった2012年7月から16年6月末までに、九州では太陽光を中心に52万7千件、2204万キロワットの再生可能エネルギーの計画を認定。うち42万4千件、1327万キロワットは今年3月末までに九州電力との接続契約を済ませた。しかし、最大で10万2千件、723万キロワットの認定が4月に失効した。ほとんどが太陽光という。九電によると、認定後に九電に系統の接続契約を申し込んでいなかったり、申し込み後に辞退したりしたものが、失効の大半を占める。太陽光発電所の建設が集中する九州南部を中心に系統設備の増強・新設の工事費が数億円規模に高騰したことや、太陽光の増加で出力制御が必要になったことなどで事業環境が厳しくなり、建設を断念した事業者も多いとみられる。FITの事業用太陽光(10キロワット以上)の買い取り価格は、12年度に1キロワット時当たり40円でスタートした。しかし、13年度に36円に引き下げた後は4年連続で減少が続き、17年度からは21円と当初の約半分になった。価格低下に伴い、発電事業のうまみも薄れ続けている。改正FIT法 再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の内容を見直し、4月に施行。事業者が設備の認定後に電力会社と系統接続を契約する従来の手順を変更。接続契約を認定の条件にすることで、早期の事業の実現性が見込める太陽光の計画を買い取り対象に認定する。認定した計画の事業者名や設備所在地も公表。太陽光は認定から運転開始までの期限を1〜3年に定めた。

<佐賀地裁の玄海原発再稼働容認判決>
PS(2017年6月14日追加):*10-1、*10-2のように、九電玄海原発3、4号機再稼働に関する住民団体の運転差し止めを求める仮処分について、佐賀地裁は6月13日に「原発が安全性に欠けるとは認められない」と判断して住民の訴えを却下する決定を出し、九電は「妥当な決定だ」、玄海町長は「安全性が認められた」と評価しているが、住民側は決定を不服として福岡高裁に即時抗告する方針だそうだ。しかし、福岡高裁は地裁の言う通りであるため、三審制はあまり期待できない。そこで、原発は事故時には周辺に不可逆的で深刻な公害を引き起こし、経済的にも安価ではなく、屁理屈を付けて少数の利益のために周辺にリスクを負わせるのはやめてもらいたいため、30km圏内に入る壱岐市、松浦市、平戸市、佐世保市の市民が中心となって、事故時の避難の必要性や同意権の有無などの新規制基準の不備や原発の温廃水による漁業被害等も含めて長崎地裁に提訴すれば、大津地裁のように運転差し止めが認められると考える。

    
                2017.6.13西日本新聞

*10-1:http://qbiz.jp/article/111800/1/ (西日本新聞 2017年6月13日) 玄海3、4号機の再稼働容認 佐賀地裁が差し止め認めず
 九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の再稼働を巡り、住民団体が運転差し止めを求めた仮処分申し立てで、佐賀地裁(立川毅裁判長)は13日、「原発が安全性に欠けるとは認められない」と判断し、住民側の訴えを却下する決定を出した。住民側は決定を不服とし、福岡高裁に即時抗告する方針。3、4号機については今春、地元の佐賀県と玄海町の同意手続きを終え、今秋にも再稼働の見通しとなっている。直近の司法判断では今年3月、高浜原発(福井県)の運転を差し止めた大津地裁決定を大阪高裁が取り消し、伊方原発(愛媛県)についても広島地裁が住民側の訴えを却下。佐賀地裁決定は脱原発派に厳しい流れとなり、新規制基準に適合した原発の再稼働を進める政府、電力会社に追い風となった。決定は、東京電力福島第1原発事故後に定められた新規制基準の合理性を認めた上で、原子力規制委員会の審査を「厳格かつ詳細に行われた」と評価。九電が断層面積から地震規模を導くのに用いた計算式「入倉・三宅式」については「現在の科学技術水準に照らして合理的で有効性も検証されている」と判断し、住民側の「過小評価を導く」との訴えを退けた。原子炉の冷却水が流れる配管の老朽化に関しては、2号機で2007年に配管ひび割れが発覚したことについて「発見が遅れたことには問題があると言わざるを得ない」としながらも「保守点検体制に重大な不備があったとはいえない。必要な対策を講じており、現時点では同様の恐れは認め難い」とした。住民側の冠木(かぶき)克彦弁護団長は「日本は地震大国。決定は熊本地震を何も考慮しておらず、住民の安全を無視している」と話した。仮処分を申し立てたのは3号機90人、4号機146人(うち34人重複)だった。
●九州電力「妥当な決定だ」
九州電力は「発電所の安全性は確保されているとの当社のこれまでの主張が裁判所に認められたもので、妥当な決定をいただいたと考えている。今後とも、さらなる安全性、信頼性向上への取り組みを自主的、継続的に進め、発電所の安全確保に万全を期してまいります」とコメントした。山口祥義・佐賀県知事「注視怠らない」 特にコメントすることはないが、国と事業者には安全性の確保について最大限努力してもらいたい。安全問題に関しては、気の緩みや考え方、思いが風化していくことが一番怖い。注視を怠らず、玄海原発を見守っていきたい。岸本英雄・佐賀県玄海町長「安全認められた」 司法の判断で、しっかりとした安全性が認められた。再稼働が先送りされなかったことに安心している。玄海原発の保安規定の審査や使用前検査を早く進めてもらい、年内には再稼働をしてもらいたい。
■玄海原発 佐賀県玄海町に立地する九州初の原発。1号機(55万9千キロワット)は1975年、2号機(同)は81年、3号機(118万キロワット)は94年、4号機(同)は97年に運転開始した。いずれも加圧水型軽水炉で、3号機は2009年、国内初のプルサーマル発電を始めた。東日本大震災を受け、11年12月までに全4基が停止。九州電力は15年4月、運転期間を原則40年とする国の制度に基づき、1号機を廃止した。原子力規制委員会は今年1月、3、4号機の新規制基準適合を決定。佐賀県と玄海町は今春、再稼働に同意した。

*10-2:http://qbiz.jp/article/111863/1/ (西日本新聞 2017年6月13日) 「フクシマを学ばず」原告ら落胆 地裁決定「政治や経済に追随」
 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)3、4号機の運転差し止めを認めなかった13日の佐賀地裁の仮処分決定に、申立人の住民団体「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」のメンバーは「正義はないのか。安全性の無視だ」と落胆や怒りの声を上げた。地裁前でメンバーが「フクシマを学ばず」と書かれた垂れ幕を掲げると、申立人ら約70人からため息が漏れた。同会代表の石丸初美さん(65)=佐賀市=は「裁判所が最後のよりどころと思っていたので悔しい。原発がたくさんの犠牲をまた生み出すかもしれないのに」と残念がった。仮処分を申し立てたのは2011年7月、玄海再稼働の県民説明番組に九電社員らが肯定意見を寄せた「やらせメール」問題が発覚した直後だった。石丸さんは「政治や経済に追随した決定だ」と批判した。玄海原発から6キロの玄海町の自宅で却下を知った申立人の青木一さん(79)は、妻(82)と知的障害のある義妹(79)との3人暮らし。原発事故の避難計画の実効性が問われる中、試しに家族を車に乗せ、指定避難先の同県小城市に移動したことがあるが、1時間10分もかかった。青木さんは「再稼働は不安だ。裁判所の判断と言われても、納得はいかない」と語った。同県唐津市の農業、中原宏輔さん(30)は「司法は市民の声をすくい上げてくれなかった。それでも反原発への思いは変わらない」と話した。

<地熱発電の資源>
PS(2017年6月17日追加): 確かに地熱発電なら温室効果ガスを出さず、外国にエネルギー代金を支払わずに済み、コストも安く、日本列島は火山が多くて地熱が無限にあるため、*11のように、地熱発電を増やすのは良いと思う。さらに、現在は電力自由化時代で、九電が北海道や東北などに発電所を設置して電力を販売してもよくなったため、大分県・鹿児島県だけでなく、多くの場所で地熱発電すればよいだろう。

  
   日本近海のプレートと火山・地震の分布      2017.6.11    2017.6.11
                           佐賀新聞      日経新聞

(図の説明:日本は火山が多いので地熱発電の適地も多い。しかし、原子力発電は右から2番目の表のように危険性がある上、一度事故を起こすと一番右の図のように汚染範囲が広い。このセシウムボールは粉状の白い細かな粒子で、フクイチ事故の後、しばらく埼玉県の私の自宅のサイクロン型掃除機にたくさん入り、これを取り除いて線量を下げるためには、床だけではなく、壁・カーテン・備品・本の一冊一冊まで大掃除しなければならず被害甚大だったのだが、補償されていない。ちなみに、私は食べ物にも非常に注意した結果、現在のところは健康です)

*11:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/438597 (佐賀新聞 2017年6月17日) 地熱発電強化へ 九電、大分で調査、来月から九重町
 九州電力は16日、大分県九重町の涌蓋山東側のエリアで、地熱発電所新設に向けた調査を7月下旬から始めると発表した。5年後をめどに事業化できるかどうか判断する。温室効果ガスを出さない資源として九電は地熱発電事業を強化する構えで、大分県内でのほか2カ所を含め、九州と北海道の計6カ所で発電所設置を視野に調査中だ。九電によると、今回調査するエリアでは、京都大や九州大の調査により1990年代から地熱の存在が推定されていた。当初は電気や磁気を測定して地熱の分布を調べるとともに、発電所を設けた場合に周辺の温泉に悪影響が及ぶかどうかも確認する。その上で掘削調査を行う方針だ。九電はグループ会社を含め、国内で大分と鹿児島両県の計6カ所で地熱発電所を運営している。

<韓国、古里原発1号機の廃炉>
PS(2017年6月18日追加):韓国は、*12のように、最も古い古里原発1号機を運転開始から40年で廃炉とし、隣接地に建設中の新古里5、6号機の建設も中止するそうだ。そして、釜山市の徐市長が建設中止に賛成を表明し、周辺で飲食店を営む男性も「運転延長は事故のリスクが高まる」「原発依存度を下げるのは世界の流れだ」等として文大統領の公約実現を望んでいる。これは、原発事故当事者の日本よりもアクションが早い。

*12:http://qbiz.jp/article/112244/1/ (西日本新聞 2017年6月18日) 韓国の原発で初、古里1号機が18日廃炉 文政権の方針に注目
 韓国で最も古い古里(コリ)原発1号機(出力58・7万キロワット、釜山市)が、運転開始から40年を迎える18日を最後に永久停止し、廃炉となる。韓国での原発廃炉は初めて。これを機に、隣接地に建設中の新古里5、6号機(蔚山市)の建設中止など、韓国政府が脱原発にかじを切るかが注目されているが、地元には不満の声も根強い。1号機は17日夕に電源が切られ、出力が低下。18日深夜に停止する。1号機は1977年6月、初めて核分裂反応に到達。2007年に30年の運転期限を迎えたが、10年の延長が認められていた。今回の廃炉で韓国の原発は24基に減る。韓国メディアによると、文在寅(ムンジェイン)大統領が19日に同原発を訪れ、今後の原発政策について就任後初めて方針を示す可能性がある。11年の東京電力福島第1原発事故や韓国内での地震発生などを受け、文氏も選挙中「新古里5、6号機建設の白紙化や運転40年での廃炉推進」などを公約していた。ただ、37年間、古里原発で働いてきた男性住民(67)は「40年間、安全に運転してきた。1号機はまだ使える」と話す。制度上はさらに10年の延長を申請できたが、政府の停止勧告があり運営会社が廃炉を決定したことに不満げだ。日本には審査を経れば60年まで延長可能な制度がある。男性は「韓国もエネルギー資源が少ない。原発の安い電気が産業の国際競争力を支えていることを忘れてはならない」と指摘した。新古里5、6号機について、別の男性(74)は「多額の費用が既に投資された。継続してほしい」と話した。韓国はこれまで原発プラントの海外輸出にも積極的で、「核のごみの処分先が決まらず、地震による事故の心配もあるが、原発新設で韓国が持つ技術力を向上させられる」と期待。近くの女性(63)も「作業員がいるから地域経済が成り立っている」と話した。一方、釜山市の徐秉洙(ソビョンス)市長は今月上旬、同5、6号機の建設中止に賛成の立場を表明した。原発周辺で飲食店を営む男性(45)は「運転延長は事故のリスクが高まる。原発を新設するほど国内の電力需要もない。原発依存度を下げるのは世界の流れだ」とし、大統領の公約実現を望んでいた。

<韓国の脱原発と日本>
PS(2017年6月22日追加): *13-1のように、韓国は文大統領が脱原発にカジを切り、LNGや再生可能エネルギーによる発電を柱とする方針を発表したが、これが現在のあるべき姿である。これに対し、日本では「電源別の構成を示さなかった」などという馬鹿な批判をし、日本の経産省はベースロード電源などという概念を作って2030年に原発20%超などという今では世界の潮流からも外れた愚かなエネルギーミックスを計画しているが、役所が、列車・自動車・自転車の利用割合など交通機関の利用ミックスを決めるのがナンセンスであるのと同様、エネルギーも結果である利用割合を決めるのはナンセンスで、政治が理念に基づいた目標を決め、その方向に舵を切れば技術は安心してついてくるものなのである。その点、日本は原発を守ることで原発への無駄な投資を続け、先頭に立って世界を変革できる位置にいたにもかかわらず、燃料代が無料で100%自給可能な再生可能エネルギーに構造転換するチャンスを失った。これは、政治家はじめそれを選んだ市民、民主主義を誤らせないためには真実の情報提供が必要だということの意味すらわかっていない日本のメディア(特にTV)のレベルの低さが原因であり、日本のメディアは「言論の自由」「表現の自由」を言い立てる以前のレベルなのだ。
 また、*13-2ように、大分県の住民が、「伊方原発沖に国内最大級の活断層帯『中央構造線断層帯』があるため地震による重大事故の危険性があると主張して伊方原発の運転差し止め訴訟を起こしているが、伊方原発は中央構造線断層帯のすぐ上にあり、ここに原発を作ったことがそもそもの誤りなのだ。そのような中、*13-3のように、2017年6月20日に大分県で震度5強の地震があり、これに関する報道は少ないが、熊本地震との連続関係も考えられ、今後の地震にも注意すべきことを思えば、伊方原発は手早く廃止するのが最も安上がりだろう。
 なお、*13-4のように、世界の再生エネルギーによる発電能力は20億1,700万キロワットに達して、電力全体の24.5%を再生可能エネルギーが供給し、地球温暖化をもたらす二酸化炭素の排出削減に貢献したそうだ。そして、日本でも太陽光発電は昨年1年間で860万キロワットが導入され、累積で4,280万キロワット(原発43基分)になったとのことである。

    
  経産省が決めた馬鹿なエネルギーミックス  2017.6.20大分地震 2017.6.22
                                 西日本新聞
*13-1:http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM19H9U_Z10C17A6FF1000/ (日経新聞 2017/6/19) 韓国、脱原発にカジ 新設白紙、再生エネを柱に
 韓国が「脱原子力発電」にカジを切る。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は19日、原発への依存度を減らし、液化天然ガス(LNG)や再生可能エネルギーによる発電を柱にする方針を発表した。韓国では原発が発電量の3割を占める主力電源で、「エネルギー政策の大転換」(文氏)となる。文氏は釜山市郊外の古里原発1号機の運転停止の記念式典で脱原発を宣言した。具体的な時期や電源別の構成などは示さなかったが「早期に脱原発のロードマップを作成する」と語った。新規原発の建設計画は白紙化し、設計寿命を超えた原発の稼働延長は認めない。延長運転中の月城原発1号機(南東部慶州市)は電力需給を見ながら早期閉鎖をめざす。建設中の新古里5、6号機をどうするかについては「早期に社会的合意を得る」と語った。発電量の4割を占め、環境汚染の一因となっている石炭火力にも大なたを振るう。新設を全面中止し、老朽化した10基を文氏の任期内に閉鎖する。代わりに石炭より環境負荷の少ないLNG火力発電の稼働率を高める。再生エネの比率を引き上げるため、関連産業を育成する。原子力と石炭火力という2つの主力電源への依存度を下げれば、発電コストの上昇は避けられない。電力需給が逼迫する恐れもある。産業界には懸念が強いが、文氏は「産業用電力料金を見直し、産業分野の過剰消費を防ぐ。産業競争力に影響しないよう中長期的に進め、中小企業は支援する」と語った。韓国で廃炉になるのは古里1号機が初めてで、解体技術の獲得も課題だ。文氏は研究所を設立して廃炉を支援し、廃炉解体を事業化する考えも示した。

*13-2:http://www.oita-press.co.jp/1010000000/2017/06/19/JD0055862157 (大分合同新聞 2017年6月19日)運転差し止め 原告は378人 「県民 危機感の表れ」
 県民が四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求めた大分地裁の訴訟は、5月の2次提訴で原告が114人増え、計378人になった。住民側弁護団によると、住民が主体となって同地裁に起こした裁判では、1977年に始まった「8号地計画取り消し訴訟」(488人)に次ぐ多さ。原告らは「大分県民の危機感の表れだ」と強調する。「大きな前進だ」。5月11日の2次提訴後に大分市内で開かれた集会。住民側弁護団の共同代表を務める岡村正淳弁護士(72)は、大規模な原告団になった意義をこう説明した。「いいかげんな判断を許さないぞという県民、法廷の熱気が、裁判官に勇気を与える」。岡村弁護士によると、同地裁で原告が最も多かった裁判は、ストライキに伴う懲戒処分を不服として教職員1014人が84年に起こした処分取り消し訴訟。教職員組合が中心となった。住民運動による訴訟としては、同市佐賀関で計画された「大分新産都8号地」の埋め立てを巡る裁判。77年1月に332人、同6月に156人の背後地住民らが提訴し、県に計画の取り消しを求めた。臼杵市でセメント工場建設に反対する風成(かざなし)地区の漁民が立ち上がり、全国初の公害予防裁判として注目された「風成訴訟」(70年に提訴)の原告は56人だった。8号地の訴訟は住民側が敗訴したものの、県は最終的に計画を断念。風成訴訟は住民側が勝訴し、工場進出を阻止した。いずれも住民の声の高まりが行政、司法を動かした形だ。伊方原発訴訟の2次提訴に加わった大分市の主婦阿南祐子さん(59)は「3・11で原発の安全神話が崩壊し、危機感を抱いた。次世代の子どもたちのことを思うと、黙っておけなかった。裁判所は良心を持った判決を出してほしい」と話す。伊方原発沖には国内最大級の活断層帯「中央構造線断層帯」がある。住民側は地震による重大事故の危険性などを主張。四国電側は「安全性を十分確保している」と全面的に争っている。同地裁では運転差し止めの仮処分申請に対する審理も続いている。

*13-3:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170620-00000132-mai-soci (毎日新聞 2017/6/20) <地震>大分・佐伯市で震度5強 津波の心配なし
20日午後11時27分ごろ、大分県沖の豊後水道を震源とする地震があり、同県佐伯市で震度5強を観測した。気象庁によると、震源の深さは約40キロで、地震の規模を示すマグニチュード(M)は5.0と推定される。この地震による津波の心配はないという。佐伯市の地元消防や警察署によると、けが人などの人的被害は確認されていない。市防災危機管理課によると「激しい横揺れが5秒続いた」という。21日午前1時現在、被害報告は寄せられていない。市内のコンビニエンスストアでは化粧品などの軽い商品が棚から落ちた程度だった。また、地割れが多数見つかっている同県豊後大野市朝地町綿田地区では、地震で亀裂が広がるなどの変化は出ていない。九州電力などによると、玄海原発(佐賀県)、川内原発(鹿児島県)、伊方原発(愛媛県)で地震による異常はみられないという。
主な震度は次の通り。
震度4=大分県津久見市、豊後大野市、竹田市、熊本県高森町、宮崎県延岡市
震度3=大分市、大分県臼杵市、由布市、熊本県産山村、阿蘇市、南阿蘇村、山都町、宮崎県日向市、西都市、高鍋町、都農町、高千穂町、愛媛県伊方町、愛南町、高知県宿毛市

*13-4:http://qbiz.jp/article/112601/1/ (西日本新聞 2017年6月22日) 世界の再生エネルギー拡大 電力供給の4分の1担う
 2016年末時点で、大型水力発電を含む世界の再生可能エネルギーの発電能力が20億1700万キロワットに達し、初めて20億キロワットの大台を超えたとの調査結果を、エネルギーの専門家らでつくる「21世紀の再生可能エネルギーネットワーク」(REN21、本部フランス)が発表した。
●発電能力 初の20億キロワット超
 世界全体の電力の24・5%を再生可能エネルギーが供給したと推定され、地球温暖化をもたらす二酸化炭素の排出削減に貢献した。日本の市場規模の伸びは15年比で20%鈍化した。それでも太陽光発電は昨年1年間で860万キロワットが導入され、累積で4280万キロワットとなりドイツを抜き世界2位になった。昨年1年間に建設された世界の再生可能エネルギーの発電設備容量は1億6100万キロワットで、前年比9%の伸び。増加分の内訳は太陽光発電が47%、風力が34%だった。風力、太陽光ともに中国の増加量が最大で、総容量でも2位以下を大きく引き離している。世界全体で見ると、年間増加量は15年よりも多かったが、総投資額は23%少ない2416億ドルで、開発コストの低下を印象づけた。REN21の担当者は「世界の再生可能エネルギー開発のトップを走る中国は今年1月、開発中だった石炭火力発電所100基超の閉鎖を決めた。温暖化防止のため、このような変革を各国が進める必要がある」としている。

<プレートの沈み込みと地震・火山帯・断層帯>
PS(2017年6月25日追加):*14-1の大分県で震度5強を観測した6月20日夜の地震について、気象庁は「熊本地震との直接的関連はない」という見方を示したそうだが、“直接的関連”とはどういう関連までを言い、それなら今回の大分地震の原因が何かの説明ができていない。そして、気象庁は、プレートの沈み込みが早くなったことにより歪が大きくなり、限界を超えた場所で歪の修正を行うべく地震が起こったり断層ができたりすることについては直接的関連の範囲に入れていないようだが、プレートの沈み込みと火山噴火・地震・断層が無関係であることを証明できない限り、「関連なし」とは言えない筈だ。そして、日本列島の地図を見れば、プレートの沈み込みと火山帯・地震発生・断層帯の間に大きな関係があることは、一目瞭然なのである。なお、6月25日には、*14-2のように、糸魚川・静岡構造線(フォッサマグナ)上の長野県南部を震源とするマグニチュード5.6の地震もあった。



(図の説明:中央構造線、糸魚川・静岡構造線付近で地震が多く、火山帯は太平洋プレート・フィリピン海プレートが沈み込む少し内側にある。そして、中央構造線付近は絶えず動いて木々が育たないせいか、宇宙からも見える。この中央構造線が作った川や平野に沿って神武東征は速やかに行われたらしく、機関神社が中央構造線上にあるのは尤もであり、新しい発見だ)

*14-1:https://mainichi.jp/articles/20170621/k00/00e/040/239000c (毎日新聞 2017年6月21日) 気象庁:大分・震度5強「熊本地震と関連ない」
 大分県佐伯市で20日夜に震度5強を観測した地震について、気象庁は21日、「熊本地震との直接的な関連はないとみられる」との見方を示した。同庁によると、今回の地震は、陸側のプレート(岩板)に潜り込むフィリピン海プレートの内部で、地盤が北西-南東方向に引っ張られて発生したとみられる。同日に記者会見した尾崎友亮・地震情報企画官は「熊本地震は活断層の比較的浅いところで起きており、地震のタイプが異なる」と説明した。同庁は、揺れの強かった地域では今後約1週間、最大で震度5強程度の地震に注意が必要で、土砂災害などにも警戒するよう呼びかけている。また、大分県などによると、一夜明けた後の調査でも、けが人や建物被害などは確認されていない。同県内のJRの在来線や路線バスは朝から平常通り運行している。東九州道や大分道も通行止め区間はない。

*14-2:http://www.yomiuri.co.jp/national/20170625-OYT1T50010.html (読売新聞 2017年6月25日) 長野県南部で震度5強、震度4も2回…2人けが
 25日午前7時2分頃、長野県南部を震源とする地震があり、同県王滝村と木曽町で震度5強を観測した。震源の深さは7キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5・6と推定される。揺れの強かった地域では、落石や崖崩れの危険性があり、気象庁は「今後1週間程度、地震に注意してほしい」と呼びかけている。同庁によると、最初の地震の後、25日午後7時までに観測された震度1以上の地震は25回。午前9時24分頃と午後3時17分頃には、木曽町などで震度4を観測した。2014年9月に噴火した御嶽山との関連について、気象庁の松森敏幸・地震津波監視課長は25日の記者会見で、「関連性はわからない」と述べた。御嶽山の火山活動に異常は確認されていないという。木曽地域では1984年9月に、死者・行方不明者29人を出した長野県西部地震が起きているが、同庁は今回の地震との関連は低いとみている。長野県などによると、同県木曽町の女性(60)が自宅で倒れてきたタンスに脚を挟まれて軽いけがをしたほか、同県王滝村の80歳代女性が、落下物が頭にあたって軽傷。3町村の22棟で屋根瓦が落下するなどし、王滝村では90戸が最大4時間停電した。王滝村では直径約1・5メートルの石2個が村道に落下。木曽町のホテルでは、町中心部につながる町道に落石があり、宿泊客約60人が一時、通行できなくなった。岐阜県高山市でも県道が一時、落石のため通行規制された。JR東海によると、この地震で、東海道新幹線が新横浜―掛川間で緊急停止。約10分後に運転を再開した。中央線、高山線、飯田線も運転を見合わせ、在来線25本が最大1時間47分遅れた。
各地の震度は次の通り。
▽震度4 長野県上松町、大桑村、石川県輪島市、岐阜県高山市、下呂市、中津川市
▽震度3 長野県松本市、諏訪市、石川県七尾市、岐阜県飛騨市、岐阜市、富山県射水市、
     浜松市天竜区、名古屋市北区、滋賀県彦根市など


PS(2017年7月16日追加):*15-1のように、玄海原発に隣接する長崎県松浦市の漁協に属する66隻の漁船が、玄海原発再稼働に反対して原発前の海で海上デモを行い、「事故が起きれば影響は県境を越えて漁業は壊滅的な被害を受けるのに、松浦市が地元同意の対象外にされている」と訴えた。佐賀県側の漁協は、九電から漁業補償費や電源立地交付金などとして資金援助をしてもらっているため、文句が言えないのだ(http://www1.saga-s.co.jp/news/saga.0.2043429.article.html 参照)。しかし、原発が事故を起こせば、地元の農林漁業はじめ観光までが壊滅状態になることは、フクイチの例から明らかだ。
 そのような中、*15-2のように、東電HDの川村新会長は産経新聞等のインタビューに応じて、「(政府は)原子力を捨てれば、日本(経済)が衰退することを説明すべきだ」「見直し時期を迎えている国のエネルギー基本計画でも原発が重要視されるべきで、原子力の言葉は消さないようにしてほしい」と述べたそうだが、フクイチのために国民がいくら支払ったのか、電力使用者がいくら負担したのか、環境をどれだけ汚して他産業に迷惑をかけたのかを考えれば、脱原発と再生可能エネルギーへの転換こそが日本経済を救う唯一の道であることは明白だ。
 また、*15-3のように、鹿児島湾(火山の火口)を震源とする震度5強の地震があり、川内原発は2基が運転中だったが、九電は「異常はなく、運転を継続している」とした。しかし、九州新幹線は一時運転を見合わせており、これが万が一にも事故を起こしてはならない場合の運転の仕方で、電力会社は原発が国策だったことに甘えて安全に麻痺しているように見える。


    2017.7.16       2017.7.11  フクイチの  フクイチによる
    佐賀新聞        西日本新聞   汚染範囲   病気の増加

*15-1:https://mainichi.jp/articles/20170715/k00/00e/040/296000c (毎日新聞 2017年7月15日) 玄海原発:「再稼働反対」66隻の漁船が海上デモ
●新松浦漁協「事故あれば漁業は壊滅的な被害」
 九州電力玄海原子力発電所3、4号機(佐賀県玄海町)の再稼働に反対する長崎県松浦市の新松浦漁協が15日、原発の前の海で66隻の漁船(計約220人)による海上デモを決行した。同市は全域が事故発生時の避難対象の半径30キロ圏に入る。長崎県内の漁協が海上抗議行動をしたのは初めてで、漁民たちは「事故が起きれば影響は県境を越え、漁業は壊滅的な被害を受ける」と訴えている。原発が立地する玄海町と佐賀県の同意を受け、九電はまず3号機を秋にも再稼働させる見通し。新松浦漁協の本所がある離島の鷹(たか)島は原発から最短8.3キロに位置するが、松浦市が「地元同意」の対象外にされていることに、漁民らは強く反発している。漁船は「玄海原発再稼働絶対反対」などの横断幕を掲げ、原発から約300メートルの海上に5列に並んで「生活の海を守れ」「安全な海を子孫に残せ」などと抗議の声を上げた。デモにあわせて、志水正司組合長(69)は原発に隣接する施設で、九電の瓜生道明社長あて抗議文を提出。「漁業は松浦の基幹産業。海の生活を永遠に守り抜くため、再稼働は決して容認しない」と訴えた。

*15-2:http://www.sankei.com/economy/news/170714/ecn1707140005-n1.html (産経新聞 2017.7.14) 「原子力捨てれば日本経済は衰退する」 東電HDの川村隆新会長
 東京電力ホールディングス(HD)の川村隆会長は13日までに産経新聞などのインタビューに応じ、「(政府は)原子力を捨てれば、日本(経済)が衰退することを説明すべきだ」と述べた。見直し時期を迎えている国のエネルギー基本計画でも原発が重要視されるべきだとして「原子力の言葉は消さないようにしてほしい」と求めた。5月に公表した「新々総合特別事業計画」(再建計画)は福島第1原発事故を踏まえ、原発の安全性向上や再稼働を明記した。川村氏は柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に向けて過酷事故対策を進めていると強調し、「地元の理解を得なければいけない項目を粛々と進めていく」と語った。ただ、今月10日の原子力規制委員会の会議では「(福島第1原発の)廃炉に主体性がみえない」と批判を受けた。川村氏は「原子力事業は主体的にそれ(動くこと)ができないところがある」として、改善に努める考えを示した。東電HDは再建計画に盛り込まれた原発事業の再編に向け、原子力部門に社内カンパニー制を導入する方針。廃炉費用の増大を背景に経済産業省の意向が働いているとみられるが、「事業そのものを国営にすれば、うまくいくとは思っていない」と指摘した。スマートフォンと連携した省エネサービスなどの事業については「一つ一つは小さいビジネスだが広範囲にわたる」とし、今後の展開に期待感を示した。

*15-3:http://qbiz.jp/article/114018/1/ (西日本新聞 2017年7月11日) 鹿児島市で震度5強 九電「川内原発に異常なし」 指宿で負傷者も
 11日午前11時56分ごろ、鹿児島湾を震源とする地震があり、鹿児島市喜入町で震度5強を観測した。震源の深さは10キロ、地震の規模はマグニチュード(M)5・3と推定される。福岡管区気象台によると、鹿児島市内で震度5強以上を観測したのは初めて。鹿児島県内では2001年12月に奄美市で観測して以来。
●九州新幹線は一時運転見合わせ
 同県薩摩川内市の九州電力川内原発は2基が運転中。九州電力は「異常はなく、運転を継続している」としている。薩摩川内市は「九電から原発内の地表面の震度は2で、原発には今のところ影響はないと連絡を受けた」としている。九電によると、同県南九州市で計約100戸が停電している。同県指宿市によると、市内に住む60代の男性が落下物で頭を負傷した。鹿児島市や同市消防局には、被害の情報は入っていない。南九州署によると、同市川辺町の市道沿いの斜面が幅約13メートル、高さ20〜30メートルにわたって崩れ、通行止めとなっているという。JR九州によると、九州新幹線は安全確認のため新八代−鹿児島中央の上下線で一時停止したが、運転を再開した。在来線は指宿枕崎線の一部区間で上下線が運転を見合わせている。
各地の震度は次の通り。
震度5弱=鹿児島市下福元、指宿市、南九州市頴娃町、同市知覧町▽震度4=南さつま市、薩摩川内市、日置市、鹿屋市(鹿児島)など▽震度3=都城市、日南市(宮崎)など

<玄海原発について>
PS(2017年7月26日追加):原発30キロ圏内だけに事故時の核物質汚染リスクがあるわけではないが、少なくとも30圏内の自治体には再稼働を巡って反対意見を言う権利があるだろう。そのため、*16-1のように、関係市の市議が安全な街づくりのため、原発に対して再稼働反対の統一見解をまとめて集団で提言するのがよいと考える。
 ただ、*16-2のように、佐賀県や玄海町は原発からの税収減が起こり、原発立地自治体である玄海町が23年ぶりに交付税を受け取ることになった。しかし、この原発関係のコストは、すべて国民が電気料金か税金で負担しているのであり、事故時の費用や使用済核燃料の処分コストは莫大で見積もりさえできていない。そして、化石燃料の豊富な米国でも、*16-4のように、再生エネと合わせると低コストだという理由で蓄電池の普及が加速し自治体も補助金を拡充している時代なのだ。それにもかかわらず、日本こそ再生可能エネルギーにシフトした方がよほど安上がりでメリットが多いにもかかわらず、*16-3のように、原子力規制委員会が原発運転延長の申請受け付けを前倒しして延長に便宜を図り、後ろ向きの政策に予算を使って環境汚染のリスクを増加させているのは情けない。

  
 2017.7.26      世界の太陽光発電        日本の電源別発電コスト
 日経新聞        最低入札価格            (大島教授)

*16-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/448730 (佐賀新聞 2017年7月23日) 伊万里、松浦、平戸市 原発30キロ圏議員協設立へ、玄海安全対策で連携
 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働に関連し、原発から半径30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)にある伊万里市や長崎県松浦市、平戸市の3市の市議有志が22日、連携して避難計画や安全対策などを協議する組織の立ち上げに向けた初会合を、松浦市内で開いた。今秋とも言われる再稼働前の設立を目指す。再稼働を巡っては、3市とも市長が反対を表明。松浦、平戸は市議会も全会一致で反対の意見書を可決している。初会合には、宮本啓史松浦市議らの呼びかけで19人が集まり、伊万里市からは議会最大会派「伊想会」の9人が参加した。初会合は自由発言で行われ、「伊万里市と福島を結ぶ福島大橋は50年前の完成で道路の幅や耐震基準を満たしておらず、唯一の避難道路として心細い」など各地域の課題や取り組みを報告。UPZ圏内議員協議会(仮称)を立ち上げる方針が了承された。今後の活動として、国や県、九電に説明の場を設けることや要望活動、情報発信など複数の案が示されたが、継続して協議していくことになった。終了後、伊万里市の呼びかけ人を務めた草野譲市議は「塚部芳和市長が反対を表明する中で、市民からは『市議会は何をしているのか』という声がある。議会として安心安全のまちづくりのために、原発に対しての統一見解をまとめることも考えたい」と話し、全議員に参加を呼びかける考えを示した。

*16-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/449487 (佐賀新聞 2017年7月26日) 玄海町に交付税681万円 23年ぶり原発税収減で
 自治体の財源不足を補う2017年度の普通交付税と臨時財政対策債の配分額が決まった。佐賀県関係では、1995年度から県内で唯一「不交付団体」が続いていた東松浦郡玄海町の交付額が681万5千円で、九州電力玄海原発2~4号機にかかる固定資産税の減収に伴い、23年ぶりに交付団体に転じた。玄海町で固定資産税が減少した要因は、玄海原発施設の減価償却に加え、安全対策工事により不必要になった設備を算定から外したため。前年度比8・1%減の1億1千万円減った。佐賀県の普通交付税は1436億7400万円で前年度より9億1600万円(0・6%)減と2年ぶりに減少した。20市町の合計は、870億5934万円で前年度より29億8978万円(3・3%)減と2年連続で減少した。赤字地方債の臨時財政対策債発行可能額は、県が199億8200万円(前年度比0・1%増)、20市町の合計は120億3625万円(同2・4%増)となった。全国の不交付団体は、前年度より1団体減り、東京都と75市町村の計76団体となった。玄海町のほか、栃木県上三川町、東京都羽村市、静岡県富士市の3市町が配分を受けるようになる。一方、税収が伸びるなどした宮城県女川町、埼玉県八潮市、大阪府摂津市の3市町が不交付になった。不交付団体の数が減るのは5年ぶり。

*16-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170726&ng=DGKKASGG26H01_W7A720C1MM0000 (日経新聞 2017.7.26) 原発運転延長申請、受け付け前倒し 規制委、計画的な対策可能に
 原子力規制委員会は運転開始から40年を超す老朽原発の運転延長の申請を3年以上前倒しで受け付ける規則に改める。運転期間35年から申請できるようにする。電力会社が延長できるかどうかを早い段階で分かるようにして、定期検査時などの停止中に計画的に対策を取れるようにする。これまでに延長が認められた原発は、期限間際で結論が出たため対策に時間がかかり、すぐには動かせなかった。原発の運転期間は原則40年だが、最大20年延長が認められる。そのためには、電力会社は規制委に申請し、原子炉の経年劣化の確認などの審査を受ける必要がある。現状では運転40年の1年3カ月前から申請できる。審査が運転40年までに終わらなければ、その時点で審査は打ち切りとなり、電力会社は廃炉を余儀なくされる。審査の行く末が分かるまで、老朽化対策を進めるのをためらう要因になっている。規制委は運転35年の時点から延長申請を受け付けるように規則を改正する。経年劣化の試験などの項目のうち、早めに審査できる内容などを定めて柔軟性のある制度にする。今夏中に詳細をまとめる。

*16-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170726&ng=DGKKASGM25H0P_W7A720C1MM0000 (日経新聞 2017.7.26) 米、蓄電池の普及加速 再生エネと合わせ低コスト、発電所補う
 米国で再生エネルギーの普及に合わせ、蓄電池の利用が急拡大している。2016年1年間の増加ペースは13年比で6倍弱に拡大し、22年には現在の10倍に増える見通しだ。太陽光などで発電した電気を低コストで蓄積し、家庭や企業の料金節約につながるためだ。投資がかさむ火力発電所などの補完が期待され、自治体も補助金を拡充する。米テスラや韓国・LG化学などは生産を急拡大している。米GTMリサーチによると、16年に増設された蓄電設備の出力規模は260メガ(メガは100万)ワット。金額に換算すると市場規模は3億2000万ドルに達する。出力規模の増加ペースは22年に2.6ギガ(ギガは10億)ワットに増える見通しだ。これは一般的な火力発電所3基の発電能力に相当する。テスラは約5千億円を投じ米ネバダ州の巨大工場で蓄電池の量産を加速する。今年に入っても約400億円を追加投資した。LG化学も米ミシガン州の工場で生産を拡大中だ。料金が高いピーク時の時間帯に蓄電池からの電気に切り替える動きが企業や家庭で進んでいる。テスラの蓄電池を導入すれば、カリフォルニアの一般的な家庭で年間10万円前後節約できるという。市場の拡大を背景に価格は直近3年で4割以上低下している。米調査会社ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスは、25年までの10年間で価格は約半分になるとみる。設備の低価格化も市場拡大の追い風となりそうだ。普及が急速に進む背景にはいくつかの要因がある。1つは太陽光発電や風力発電など再生エネルギーの普及だ。再生エネが発電全体に占める比率が2割弱にまで上昇。再生エネは発電量の振れが大きいため送配電網の安定運用が難しいが、蓄電池を使えばこうした問題を克服できる。コストを抑えたい電力会社の意向もある。米国では環境意識の高まりなどから都市周辺での発電所の新設は難しくなっている。国土が広大な米国では長距離送電網の維持には膨大なコストがかかる。電力会社は再生エネルギーと蓄電池を組み合わせたパッケージの提案に積極的だ。自治体の支援も普及を後押しする。ニューヨーク、マサチューセッツ、ハワイなど電気が高い州では電力会社に蓄電池の調達義務を課したり、導入すれば税額を控除したりする政策を打ち出した。蓄電池の普及が進む米国に比べ、日本の市場拡大ペースは鈍い。家庭や企業の設置スペースが限られ、工事コストがかさむためだ。政府は20年度の蓄電池価格を15年度の半分以下にする目標を設定。官民が連携して普及に取り組む考えだ。


PS(2017年8月1日追加):世界は脱原発に向けて進み始めたにもかかわらず、日本が原発にこだわり続ける理由は何か?電力を作るには、①温度を上げて蒸気を発生させ、タービンを回すか ②風力を使うか しかなく、環境汚染したり外国に金を払ったりしなければエネルギーは得られないと思っている人が少なからずおり、*17のようなことになるのだろうが、これでは説明しても理解できる素地がないので話にならないわけである。

*17:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201708/CK2017080102000251.html (東京新聞 2017年8月1日) 日本は「原発新増設」も視野 エネ基本計画見直しへ
 経済産業省は一日、国のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の見直しに着手すると発表した。これまで「想定していない」としてきた新しい原発の建設や老朽原発の建て替えの必要性を、将来の課題として盛り込む構え。しかし原発の建設や建て替えに対する世論の慎重論は根強く、議論は曲折が予想される。世耕弘成(ひろしげ)経済産業相は一日の閣議後の記者会見で「現計画の骨格を変える必要はないと思うが、ゼロからしっかり議論する」と話した。経産省が選んだ学識者による二つの審議会で話し合い、二〇一八年三月末までに新計画の素案をまとめる。原子炉等規制法は原発の稼働期間を原則四十年、特例を適用しても六十年と定めており、将来は廃炉になる原発が増える。経産省幹部と自民党議員の一部は「原発は必要だ」と強調。経産省は原発の新設や建て替えの必要性を計画に盛り込みたい意向だ。しかし原発をめぐっては、放射線を出すさまざまな廃棄物の処分場がないほか、海外での建設費が高騰するなど課題が山積している。それにもかかわらず日本政府は「原発は安い」と主張。主張には矛盾や問題点が多く、国民の反発は根強い。与党内にも「脱原発」を求める声があり、議論は難航しそうだ。
<エネルギー基本計画> 国の中長期的なエネルギー政策の方針で、2003年に初めて策定して以来、おおむね3年ごとに見直してきた。11年の東京電力福島第一原発の事故を受け、当時の旧民主党政権は、将来は稼働する原発をゼロにする目標を掲げたが、12年に自民党が政権に復帰し原発維持に方針を転換。14年に決定した現計画でも原発を「重要な電源」と位置付けた。

<食品の安全性と健康>
PS(2017年8月2日追加):最近、成人病(癌、心疾患、脳血管疾患など)になると生活習慣に原因を求めて本人の責任にする傾向が強いが、私も生活習慣以外にも原因があると考えている。その原因はいろいろな要素からなるが、人工の核種による被曝の要因も大きく、これは外部被曝や内部被曝の程度に比例するため、地域別の死亡率や罹患率を調べれば違いが出るのだ。そして、*18-1の結果は、本来ならもっと寿命が延びた筈のところ、被曝した地域の人は死亡率が上がって寿命の延びが抑えられたようである。
 そして、このことはフクシマへの差別でも風評でもなく、既にわかっている言わざるを得ない事実だから言っているのだ。そのため、*18-2のように、事故時は海と漁業者の生活が奪われるため、漁協が原発再稼働に反対するのは安全な食料を生産しようとする者として当然のことであり、漁業補償すれば失われた海産資源が戻ってくるわけでもない。
 そのため、*18-3のように、信濃毎日新聞が2017年8月2日に、「エネルギー計画 国民の声に耳を傾けよ」と記載しているのは心強いが、「国民の声はポピュリズムだ」などと無知丸出しのメディア関係者が不遜極まりない報道をしているのも散見されるため、「国民の声がポピュリズムなら、誰の声が正しいと思っているのか」という論点も追及すべきである。

*18-1:http://qbiz.jp/article/114583/1/ (西日本新聞 2017年7月20日) 都道府県の健康格差が拡大 病気別の死亡率にも差
 日本の平均寿命は過去25年間に4・2歳延びたが、都道府県間の健康状態の格差は拡大したとの研究結果を、東京大の渋谷健司教授(国際保健政策学)らのチームが20日、英医学誌ランセットに発表した。格差の原因は不明だが、医療体制や食事などの生活習慣以外に理由があると考えられるという。
●生活習慣以外にも原因か
 今後、自治体の健康関連予算や住民の意識との関係を調べる必要があるとしている。病気ごとの死亡率にも地域差があり、都道府県は地域の事情に応じた健康対策の推進が求められそうだ。チームは、国などが公表している死亡や病気に関する1990年と2015年のデータを使って独自に解析。全国の平均寿命は、25年間で79・0歳から83・2歳に延びた。ただ90年に最長の長野と最短の青森の差は2・5歳だったが、15年には最長の滋賀と最短の青森の差が3・1歳に広がった。健康上の問題がなく生活が送れる期間を示す健康寿命も70・4歳から73・9歳に延びたが、地域間の差は広がった。医療の進歩を見るため、年齢構成の違いを取り除いた病気などの死亡率を算出すると、全国で29%減少していた。心臓病やがんの死亡率が下がったためだが、05年以降は減少のペースが鈍くなっていた。死亡率の減少は近畿や九州で目立つ一方、東北や沖縄では小幅で、減少幅が最大の滋賀(32・4%)と最小の沖縄(22・0%)で約10ポイントの差がついた。病気ごとの死亡率にも地域差が出た。狭心症や心筋梗塞を含む「虚血性心疾患」の15年の死亡率は、最も高い埼玉が最も低い熊本の1・5倍。首都圏で高く、北陸や九州で低い傾向があった。気管支炎など「下気道感染症」の死亡率は、青森が長野の1・5倍だった。健康格差ができる原因も分析したが、医療費や医師、看護師の数とは関連がなかった。塩分摂取や喫煙などの生活習慣も、今回の解析では格差との関連は見つからなかった。

*18-2:http://qbiz.jp/article/114567/1/ (西日本新聞 2017年7月20日) 九州の原発:事故懸念、漁業は壊滅 玄海再稼働、3漁協組合長に聞く
 「万が一の事故時は、海と漁業者の生活が奪われる」。秋以降に見込まれる九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働。原発30キロ圏内の住民は事故時の被害の大きさを恐れ、突き動かされるように新松浦漁協(長崎県松浦市)が15日、再稼働反対の海上デモを実施した。原発が間近にありながら再稼働に伴う「地元同意」手続きの対象外になっており、反対の声が再稼働への判断に考慮されないという「黙殺への怒り」が渦巻いている。同漁協をはじめ、30キロ圏内にある長崎県平戸、壱岐両市の漁協トップに原発再稼働に対する姿勢と今後の方針を聞いた。 
●新松浦「デモは県民の声代弁」
 新松浦漁協は原発から8・3キロの鷹島など4カ所の漁港を拠点に、玄界灘でのヒラメやカレイなどの底引き網漁、トラフグやクロマグロの養殖が盛んだ。再稼働について、志水正司組合長は「事故が起きれば、風評被害も加わって漁業は壊滅的打撃を受ける。生活の糧が一瞬で奪われる」と訴え、松浦市長に先んじて反対を主張してきた。15日に海上デモをしたことにも「市は同意権がなく、このままだと物も言えない。組合員の怒りを伝えたくて行動した。同時に県民の声も代弁している。その重みを九電と国は理解すべきだ」と話し、「地元同意」の対象でなく、自らの主張が届かないもどかしさの表れであることを強調した。デモに合わせて九電に抗議文も提出した。「われわれの声を無視して再稼働をしようとする限り、抗議行動を続ける」と初心を貫く覚悟を見せる。
●平戸市「県漁連と申し入れを」
 平戸市漁協の山中兵恵組合長は、新松浦漁協のデモについて「漁業者の立場をはっきり示した。訴えに賛同する。平戸市漁協も一貫して再稼働反対の立場」と言い切る。事故時の影響についても「福島第1原発のような事故が起きたら、平戸の漁業も大きな打撃を受ける」と指摘。平戸のあごは8月下旬〜10月上旬、玄海町と壱岐の間の海域を通って、玄海原発方面から吹く風とともにやってくる。「風や潮流で放射性物質が平戸方面に流れたら魚は売れない。観光も影響を受ける」と懸念する。今後の対応については「県漁連と各漁協組合長で九電に再稼働反対を申し入れることを考えたい」と語った。
●箱崎「責任持って補償して」
 島南部が原発から30キロ圏に入る壱岐市。県漁連副会長で、箱崎漁協(壱岐市芦辺町)の西寛組合長は「今回のデモは、松浦が壱岐以上に原発から近いため、その危機感から行ったのだろう」と推察。今後の連携には「今のところ、松浦との連携は考えていないが、県漁連も再稼働反対を掲げており、その方針には従う」と述べた。ただ、事故時の危機感は松浦、平戸と同様に強い。「壱岐は1次産業の島。イカ、ブリ、サワラ、マグロ漁が盛ん。ウニ、サザエ、アワビなども特産で、風評被害を一番懸念している。万が一の場合は、九電や国が責任を持って漁業被害を補償してほしい」と訴えた。

*18-3:http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170802/KT170801ETI090005000.php (信濃毎日新聞 2017年8月2日) エネルギー計画 国民の声に耳を傾けよ
 経済産業省がエネルギー基本計画の改定に向け、議論を始めると発表した。国の中長期的なエネルギー政策の指針で3年ごとに見直すことになっている。2014年策定の現計画は原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、再稼働方針を明記している。世耕弘成経産相は記者会見で骨格は変えないとし、審議会や有識者会議で議論するとした。経産相に問う。国民の声を聴く意向は今回もないのか、と。政府は現計画を民意を無視して策定した。12年夏、当時の民主党政権は計画策定に向け、全国11都市で原発について意見を聴く会を開き、討論型世論調査も実施した。その結果、再生可能エネルギーの普及を進め、30年代に原発稼働ゼロを目指す戦略を決めている。基本計画に反映させる前に政権交代した。安倍政権は12年12月の発足直後にゼロ目標を撤回。基本計画を審議する委員を経済界などから選び、現行計画をまとめた。市民の意見を生かした脱原発路線は顧みられなかった。政府の原発推進路線はその後も加速する。15年には30年度の電源構成比率を決め、原発は20〜22%程度にするのが望ましいとした。原則40年の運転期間を延長するか、建て替え、新設がなければ達成が難しい目標である。今回の見直しでは「目標をどう達成するのか議論する」(世耕経産相)という。民意無視の現計画が電源構成比率につながった。それが新基本計画に反映されることを認めるわけにはいかない。脱原発を求める民意は各種世論調査でも変化していない。基本計画の策定は、国民に向き合うことから始めるべきである。世界の潮流にも目を背けてはならない。台湾はアジアで初めて脱原発に踏み切り、韓国の文在寅大統領も原発の新設計画の白紙化を宣言した。米国では他の発電方法のコスト低下で、原発新設計画が中止に追い込まれている。原発の矛盾は覆い隠せない。事故経費や安全対策費などを含めれば安価とはいえない。原発から出る高レベル放射性廃棄物の処分方法も決まっていない。議論するべきことは幅広い。火力発電に頼れば温室効果ガスが増え、料金値上げも想定される。再生可能エネルギーで安定供給できるのかも検証する必要がある。必要なのは全ての課題を提示した上で、国民が議論し、進路を選ぶ過程である。旧態依然とした審議会だけで決める問題ではない。

| 原発::2015.11~ | 09:55 AM | comments (x) | trackback (x) |
2017.3.10 東芝・三菱重工・日立の原発による損失と原発の手終い方 - まず日本が再稼働せずに直ちに脱原発し、廃炉・使用済核燃料の処理に取り掛かるべきである (2017年3月11、12、14、15、16、17、20日、4月6、8、12日に追加あり)
  
 事故前後の   2号機の   除染された表土     従来の放射性廃棄物 
福島第一原発  ロボット調査   の野積み            の保存法
      2017.2.10東京新聞  毎日新聞

(図の説明:2号機のロボット調査で毎時650シーベルトの放射線量が観測されたが、2号機は被害が小さかった原発であり、3号機は爆発して放射性物質が噴出しており、その結果、関東まで含む広い範囲が放射性物質で汚染されているのである)


 2015.5.22   軍艦島            池島         池島の坑道
 朝日新聞
(図の説明:高レベル放射性廃棄物の最終処分場は、一番左の図のように地下300メートル以下とされているが、軍艦島や池島の深い坑道なら、水の下で人が近づくこともなく、既に地下がある。そのため、防御をしっかりすれば比較的安価に高レベル放射性廃棄物の最終処分場を作れるのではないだろうか)

(1)東芝・三菱重工・日立の原発による損失について
1)東芝の原発による損失
 東芝は、*1-1、*1-2のように、2017年2月14日に、2016年4~12月期連結決算で、ウェスチングハウス(以下、“WH”と記載)などの原子力事業に7,125億円の損失を計上すると発表したが、これで2015年3月期に計上した2,476億円の損失と合わせて1兆円弱の原子力事業に関わる損失を計上することとなった。しかし、WHが米国の原発4基の完成をあきらめて撤退すると、さらにWHの電力会社への違約金が生じる契約で、その親会社保証が2016年3月末で約7,935億円あるそうだ。

 しかし、「世界でエネルギー事情が変化しても、米国での原発建設を2020年末までに終えなければ、WHが工事費の増加とは別に違約金を負担し、それを親会社の東芝が保証する」という契約は、あまりにも東芝に不利にできており、このような契約を結ぶのは、営業や経営の実力のなさである。そして、このように災害に似たリスクを負う場合は保険をかけるのが通常であるため、保険もかけていなかったとすればお粗末すぎる。

 さらに、2017年3月9日の報道によれば、*1-3のように、建設工事の遅れで今後発生する損失を抑えるため、東芝が米原発子会社WHに米連邦破産法11条の適用を申請する方向で調整に入るそうだが、米国政府がWHの事業に83億ドル(約9,500億円)の債務保証をしていたとしても、契約通り処理して米原発子会社WHを破綻させるのが、誰もが納得できる問題の少ない解決策である。この際、米国民の負担や米政府の反応を気にして、日本政府が日本国民の税金を投入する理由は全くなく、徹底した契約社会で法治国家の米国は、日本政府が言い出さない限り、そのような解決策は期待しないだろう。

2)東芝の半導体事業について
 東芝は、*1-3、*1-4のように、1982年という日本では最も早い時期に超LSI研究所を設置し、クリーンルームに230億円の設備投資をした、半導体では先進的な会社であり、半導体は東芝の中核事業になっていた。にもかかわらず、東芝は、その半導体事業を分社化して設立する新会社の全株式売却も視野に入札手続きを進め、その売却額を1兆5千億〜2兆5千億円と想定しているそうだ。

 しかし、経営者と原発事業部長の判断ミスによる原発損失を半導体事業部など他の事業部の売却等で賄うと、それまでこれらの事業部で小さな製品を作りながら着実に頑張ってきた従業員はたまったものではない。従って、(私が提案してできた)持株会社方式を使って事業部毎に子会社とし、それぞれの事業部を独立採算制にしておけばよかったのだ。また、現在の日本には、(これも私が提案して)連結納税制度もできているため、事業部毎に100%子会社にすれば支払税金は増えず、事業部毎に直面している異なる市場環境で適切な意志決定を迅速に行うことができ、さらに現場から経営者までの階層が短くなるため、情報伝達が容易になった筈なのだ。

 東芝は、2017年1月27日の取締役会で、*1-4のように、半導体メモリー事業を分社化し、それをWHの巨額損失を補填するために売却することを決定した。そのような中で、東芝の半導体メモリー事業が、*1-5のような投資ファンドの餌食にならないためには、売却する相手はシナジー効果の出る他の製造業でもよいが、半導体事業部の有志が出資して銀行借り入れを行い、「東芝メモリー(仮称)」のような独立した会社を作るマネージド・バイ・アウトという方法もある。こうすると、東芝が解体された後で、優良部門だけが集まって東芝を再構築する機会もできる。

3)三菱重工、日立について
 原発で損をしそうなのは東芝だけではなく、*1-6のように、三菱重工業も、66億ドルという巨額の損害賠償請求訴訟を起こされているそうだ。

 また、*1-7のように、日立の子会社は、英国中部に2020年代前半の稼働を目指し、総事業費2兆円超の原発2基を建設するが、受注競争のためにJBICや政投銀が日立の子会社に融資や株式の買い取り支援を行うそうなのだ。ここでも、原発という過去のエネルギーに対して、日本政府が日本国民の金を「兆円」単位で投入しており、その結果が国民負担になるのは目に見えている。

(2)使用済核燃料の最終処分について
 事故を起こしていない原発にも、*2-1のように、使用済核燃料の最終処分という問題がある。九州電力は玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の再稼働後を見据えて、使用済核燃料の乾式貯蔵施設を建設する敷地内候補地の選定作業に着手し、①まず3号機の貯蔵プールの容量を増強し ②次の段階として原発敷地内での乾式貯蔵施設の新設 を挙げている。

 また、原子力規制委員会は、*2-2のように、水や電気を要しない空冷の保管容器の導入を促すために、原発の使用済核燃料の保管に関する基準を緩和する方針を決めたそうだ。

 しかし、フクイチ事故を見ればわかるように、多量の使用済核燃料を貯蔵していること自体も危険で、乾式貯蔵のように空気の通りがよい場所で保管すれば、空気が汚染される危険性が高いので、使用済核燃料の貯蔵に関しても、少くも30km圏内の近隣住民の同意を要件とすべきだ。

 私自身は、*2-3のように、過去のエネルギーである原発廃棄物の最終処分場の建設やその運営に「3.7兆円+α」を支払うよりは、すでに石炭採掘後の広い地下空間があり、海面下の地下深くで人が近づかず、安全に保管できる長崎県の池島か軍艦島の深い坑道に空冷の保管容器を保存するように整備するのが、過去のエネルギーという点では一致しており、安価で、新しい観光スポットにもなるため、よいと考える。もちろん、島民のうち原発廃棄物の最終処分場建設に伴って移住したい人には、その費用を負担すればよいだろう。

(3)玄海原発再稼働について
 九州電力玄海原発3、4号機の再稼働に関して、佐賀県は、*3-1のように、2月21日に初めての県民説明会を唐津市民会館で開き、唐津市や玄海町だけでなく佐賀県内各地から192人が参加し、会場からは原発の必要性や安全対策を疑問視するなど、再稼働への反対や懸念を示す意見が相次いだそうだ。住民は真剣に考えた上で反対しているのであるため、説明会を単なるプロセスとして形式的に説明会さえ終われば再稼働してもよいなどと考えるべきではない。

 また、*3-2のように、半径30キロ圏外では初めて武雄市文化会館で開かれた説明会には、周辺市町の首長・職員・住民ら117人が参加し、会場から「再生可能エネルギーや蓄電池などの開発に国策を転換して」などの意見が上がったそうだ。再稼働に慎重姿勢の谷口嬉野市長は、エネ庁の法的に地元の同意は必要ないとの明言について、「事故があればわれわれも避難する立場であり、同意を取ってほしい」としており、尤もだ。

 さらに、*3-3のように、原発再稼働に関する佐賀市の住民説明会には234人が参加して不満が噴出したそうだ。原発は、平時でも海水を利用して熱を逃がしているため、「海温め装置」と言われており、漁業環境を変化させて漁獲減に繋がっている。

 原発再稼働に関する佐賀県内4カ所目の県民説明会は、*3-4のように、2月28日に伊万里市民会館で開催され、周辺市町の住民らを含めて388人が参加し、安全性などへの疑問点を質問し、会場からは「福島原発事故の収束や原因究明も終わらない状態で、なぜ再稼働を急ぐのか」「避難訓練が必要なほどのリスクの中で進める理由が分からない」との批判や「再稼働ありきで検討が進んでいる」との不信感も漏れ、使用済核燃料保管の問題や、テロなどでの航空機墜落事故の際の安全対策への疑問が出たそうで、全く尤もである。

 *3-5のように、佐賀県では5会場での県民説明会を終え、国と九電が再稼働の必要性や安全対策に関する紋切り型の説明をしたが、参加者から容認する意見はなく、安全性への不安や必要性への疑問が相次ぎ、九大大学院の吉岡教授(科学史)は、県民の参加状況に関して、「周知不足だけではなく、県の姿勢に期待が持てず『形だけのスケジュールを消化している』と多くの住民が判断したのではないか」と見ているそうだ。

 玄海原発の再稼働に反対する佐賀県内の複数の団体は、*3-6のように、3月9日に説明会を要望し、全市町での県民説明会の開催や再稼働に反対・慎重の意見を持つ専門家の説明会などを佐賀県に求めたそうで、これは必要なことだ。

 また、九電玄海原発3、4号機の再稼働に同意した岸本玄海町長に対しては、*3-7のように、脱原発を訴える市民団体のメンバーが、町役場で抗議して同意撤回を求めている。

(4)リーダーたちの見解
 大震災から6年経過したが、*4-1のように、①原発被災地では今も8万人が避難生活を強いられ ②地域社会の再生は見えず ③除染が終わったと連絡が来ても線量は十分に下がっておらず ④避難指示解除とともに東電が家賃の支払いを停止する のは問題だとして抗議している状況だ。

 原子炉は炉心溶融を起こしたとされているが、それは事実とは思えず、3号機は爆発して核燃料を噴出したというのが正しいだろう。その証拠は、爆発時の映像、ぐにゃりと曲がった鉄骨だけの建物の残骸、「まだわからない」とされている惨状である。そして、東電がロボットを投入した2号機は、1、3号機よりは被害が小さかったが、650シーベルトの放射線量を記録しており、溶け落ちた核燃料を取り出す道筋は見当もつかないのだそうで、その対応の無責任さには呆れるほかない。

 原発の賠償・除染・廃炉等の費用について、経産省は昨年末、総額21.5兆円にのぼるとの見通しを示し、これは従来想定の2倍で、巨額の負担が電気料金や税金として国民にのしかかるが、21.5兆円という金額は年間消費税の8.6%分だ。従って、原発のコストは非常に高く、早々に再稼働なしの脱原発を進めるべきなのである。

 このような中、*4-2のように、日本カトリック司教団は、 2016年11月11日、「地球という共通の家に暮らすすべての人」に向け、「原子力発電の撤廃を―福島原子力発電所事故から5年半後の日本カトリック教会からの提言」と題するメッセージを発表して原発撤廃を呼び掛け、世界のカトリック教会に協力と連帯を要請したそうだ。これは、世界が共通の認識を持つための重要な一歩になる。

 これに先立って、日本仏教の多くの宗派も、*4-3のように、2012年6月26日の段階で原発への反対表明をしており、今後は世界の仏教圏へのアクセスが望まれる。

 政治では、*4-4のように、民進党が3月7日、「原発ゼロ基本法案」の国会提出を明記した政策方針を了承したそうだ。私は、再稼働なしの原発ゼロ実現に向けて、自然再生可能エネルギーの利用を促進し、これまでの原発立地自治体には、他の産業で成り立つ方法を提供するのがよいと考えている。

<東芝・三菱重工・日立について>
*1-1:http://mainichi.jp/premier/business/articles/20170215/biz/00m/010/032000c (毎日新聞 2017年2月17日)「撤退なら違約金8000億円」米原発やめられない東芝
●債務超過に転落(3)
 東芝は2月14日、2016年4~12月期連結決算で、ウェスチングハウスなど原子力事業に関して7125億円の損失を計上すると発表した。15年3月期にもウェスチングハウスで2476億円の損失を計上しており、原子力事業は2年間で9601億円もの損失を出したことになる。ほぼ1兆円という莫大(ばくだい)な損失。2011年の福島第1原発事故以降、原発をめぐる社会環境が一変したことに、東芝の経営陣は目をつぶってきた。そのツケが一気に噴出したのだ。急激な環境変化にもっと早く対応していれば、ここまで大きな損失にはならなかったのではないか。14日の記者会見で、東芝の綱川智社長は、原子力事業について(1)米国4基、中国4基の建設中の原発はあらゆるコストを削減して完成させる(2)原発新設は原子炉供給などに特化し、今後、土木建築工事は受注しない(3)原子力事業の売上高の8割は既存原発の燃料・サービスであり、安定したビジネスとして継続する(4)再稼働、メンテナンス、廃炉事業は継続するーーと説明した。
●新たな損失の可能性は?
1兆円近い損失を出した8基の原発新設で、今後、新たな損失が出ることは本当にないのか。二度あることは三度あるのではないか。もっと抜本的に原発事業を見直さないと、また別の損失が出てくるのではないか。記者の質問はそこに集中した。記者の一人と、綱川社長の会見に同席した畠澤守・常務原子力事業部長との間で次の質疑があった。  記者「海外の原発建設で、今後、東芝のコスト負担は最悪どのくらい出てくると見込んでいるのか」。原子力事業部長「今回発表の損失に見込んだ将来コストの見積もりは、かなり保守的に積み上げた数字だ。将来のコストなので、リスクがないと言えばうそになる。ただ、そのリスクの最小化に努めていく」。記者「現状でまだ見えていないリスクはあり得るのか」。原子力事業部長「我々はこれから(原発の建設に関する)効率改善に取り組むが、それが期待通りにいかないリスクはある。ただ、今の最悪の状態が続く前提で損失額を計上した。改善しないという可能性はゼロではないが、少ないと思っている」
●電力会社への支払い保証
これだけひどい目にあった建設中の原発から、東芝が全面撤退することはできないのか。その手がかりになる事情が、14日に公表された東芝の資料の一番最後にあった。「ウェスチングハウスに対する親会社保証」と書かれた1枚の資料だ。そこには「16年3月期 有価証券報告書の記載額(偶発債務及び保証類似行為)」として「16年3月末 7934億9900万円 ※米国AP1000の客先に対する支払い保証が90%弱」と書かれていた。さらに、「米国AP1000プロジェクトにおいてウェスチングハウスの客先への支払い義務(プロジェクトを完工できなかった場合の損害賠償請求を含む)を履行できなかった場合、東芝はウェスチングハウスの親会社として、客先にこれを支払うことが要求されている」との注記があった。AP1000は、ウェスチングハウスが建設中の原発に導入する予定の新型原子炉だ。客先とは、原発建設をウェスチングハウスに発注した電力会社のことだ。もしいま、ウェスチングハウスが米国の原発4基の完成をあきらめて撤退すると、電力会社に「7934億円」の違約金を支払う義務があるということだ。そして、東芝は親会社としてそれを保証しているのだ。この保証は現時点も続いている。すでに損失1兆円が発生した事業。ここで退けば、さらなる地獄が待っているという状況の一端が、この1枚のペーパーに記されていた。

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12832302.html (朝日新聞 2017年3月9日) 東芝、新たな損失恐れ 20年末に税制優遇期限 米原発建設
 東芝が、米国で手がける原発4基の建設工事を2020年末までに終えられなければ、工事費用の増加とは別に、新たな損失が最大数千億円規模で生じる可能性があることが分かった。発注元の電力会社が米政府の税制優遇を受けられなくなり、東芝側に補償を求める公算が大きいためだ。工期を期限ぎりぎりの20年12月まで延長した原発もあり、さらに遅れれば再び大きな損失が出かねない。05年に定められた米政府の税制優遇では、20年末までに運転を開始した新設の原発は、発電量1キロワット時当たり1・8セントを税金から差し引く「税額控除」を8年間受けられる。海外電力調査会などによると、この4基の税額控除は1基当たり最大11億ドル(約1250億円)になる見込み。4基とも間に合わなければ、電力会社は5千億円規模の税制優遇を失う計算で、東芝側が求められる補償も数千億円規模になる可能性がある。東芝の米原発子会社ウェスチングハウス(WH)は先月、原発4基について3度目となる工期延長を電力会社2社に要請。最も遅いサマー3号機は20年12月の完成を見込み、1カ月の遅れも許されない状況だ。WHは4基を08年に受注。13年に工事を始めたが、4年経ったいまも約3割しか終わっていない。世界の原発事情に詳しい環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は「過去の経緯からみて、さらに工期が遅れる可能性は高い。その際、電力会社が東芝側に補償を求めるのは自然な流れ」と話す。補償を求められる可能性について、東芝は「コメントできない。現在の目標で工事を終わらせるよう努力する」(広報担当)としている。税制優遇を巡っては昨年、地元下院議員が20年末の期限を撤廃する法案を議会に提出したが、廃案になった。今年も同趣旨の法案を提出する動きがあるが、成立するかは不透明な状況だ。

*1-3:http://qbiz.jp/article/105252/1/ (西日本新聞 2017年3月9日) 東芝、WHに米破産法申請で調整 銀行団へ数千億融資要請を検討
 経営再建中の東芝が、米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)に米連邦破産法11条の適用を申請する方向で調整に入ったことが9日、分かった。日本の民事再生法に相当する制度を活用し、建設工事の遅れで今後発生する損失を抑える狙いだ。近く最終判断する。WHの事業には米国政府が83億ドル(約9500億円)の債務保証をしている。破産法が適用された場合、米国民の負担が発生して外交問題に発展する恐れがあり、米政府の理解を得られるか流動的な側面もある。東芝もWHの事業に債務保証をしており、破産法適用が認められたとしても、今後も原発の建設費用などで応分の負担を迫られる。このため東芝は、取引銀行団に数千億円規模の追加融資を要請する検討に入った。この2年で東芝がWH関連で計上する損失額は1兆円規模に上る。WHが米国で進める原発建設は工事の遅れが常態化している。来年度以降も巨額の損失が発生すれば、東芝の経営が立ち行かなくなる危険があり、経営陣は破産法の活用に傾いたもようだ。社内には「(適用申請には)数カ月かからない」(幹部)との声もある。東芝は、半導体事業を分社して設立する新会社について、全株式売却も視野に入札手続きを進める。売却額は1兆5千億〜2兆5千億円を想定しているが、売却完了は2017年度後半となる見通し。それまでに原発建設の費用が膨らみ、手元資金が不足する恐れがあるため、銀行借り入れで乗り切りたい考えだ。支援を受けるため、半導体の新会社の株式を一時的に融資の担保とする案が浮上している。建設中の米原発は、当初16年から順次稼働する計画だったが、延期を繰り返している。東芝は現段階でも人件費などで計61億ドル(約7千億円)のコスト増になると試算しており、完成が遅れると費用はさらに拡大する。

*1-4:http://mainichi.jp/premier/business/articles/20170203/biz/00m/010/002000c (毎日新聞 2017年2月6日) 「8500億円半導体事業切り売り」は東芝解体の第一歩
●東芝解体の危機(6)
 東芝は1月27日に開いた取締役会で、半導体メモリー事業の分社化を決めた。分社化後、株式の2割弱を入札で売却し、得た資金で米原子力事業の巨額損失を補てんする。すでに10社程度の売却候補の名前があがったり消えたりしている。半導体メモリーは、東芝の中核事業だ。その2割弱の株式を外部に売ることは、どんな意味を持つのか。 2016年1月26日付の毎日新聞東京朝刊より  東芝の発表によると、分社化の対象は、東芝の社内カンパニーであるストレージ&デバイスソリューション社のメモリー事業。「NAND型フラッシュメモリー」の開発、製造、販売部門だ。東芝の主力製品であり、稼ぎ頭である。製造拠点は三重県の四日市工場だ。分社化する部門の2015年度の売上高は8456億円、営業損益は1100億円の黒字。売上高に対する営業利益の比率は13%で、かなり高い利益率をあげている。東芝は15年度、不正会計が発覚し、連結売上高5兆6000億円に対し、営業損益は7191億円の大赤字だった。半導体メモリーだけがまとまった稼ぎをあげていた。
●NANDの世界シェアは2位
 「NAND」は「ナンド」と読む。小型の記憶媒体のことだ。スマホや携帯音楽プレーヤーの記憶装置に多用され、デジカメのメモリーカードや、パソコンに接続するUSBメモリーにも使われている。「NAND」という名前は、コンピューターの演算の種類である「Not」と「AND」を組み合わせたものだ。フラッシュメモリーの「フラッシュ」は、書き込んだ内容を一瞬で消せることから付けられた。NAND型フラッシュメモリーは東芝が1980年代に開発した。携帯音楽プレーヤーやスマホが広がるにつれ、需要が急速に伸びてきた。ただし、世界シェアのトップは、韓国サムスン電子。東芝は2位、3位は四日市工場で東芝と共同で投資を行っているウエスタン・デジタルだ。もともと東芝の半導体は、「DRAM(ディーラム)」と呼ばれるコンピューターに使われる製品が主流だった。80年代に生産量が世界一になったこともある。当時は東芝、日立製作所、NECがシェア上位を競っていた。ところがその後、サムスン電子など韓国勢が大がかりな投資で製品を量産して価格攻勢をかけ、東芝は競争に負けて00年代はじめに撤退する。代わって力を入れたNAND型フラッシュメモリーが、スマホなどの普及で東芝の屋台骨に育った。
●後ろ向きの分社化
 半導体部門の分社化は、経営の意思決定のスピードアップや、設備投資に振り向ける巨額資金を外部から調達するという前向きの狙いでこれまでも検討されてきた。ただし、外部資本を入れると、その分、配当という形で利益の一部を外部に流出させることになり、決断までに至らなかった。今回は、原子力事業の巨額損失の穴埋めのために、分社化することになった。打って出る前向きの分社化ではない。1月27日の東芝の記者会見でも、記者から次のような質問が相次いだ。「稼ぎ頭であるNANDを切り離し、それで得る資金を成長分野に振り向けるシナリオもあったが、それができなくなった。追い込まれる前にやっておくべきだったのでは」「主力事業を切り売りする形になって、本当に東芝の再生は果たせるのか」 東芝の綱川智社長=2017年1月27日、根岸基弘撮影  これに対して綱川智社長は「分社化がNAND事業を強化する一助になればと考えている。再建に向かって頑張りたい」と通り一遍の回答だった。半導体事業を担当する成毛康雄副社長は「東芝全体の危機と受け止めて、乗り切ることに注力したい」と短く回答するのみだった。半導体は分社化して2割弱の外部資本を導入した後、どういう道を歩むのだろうか。これは、どんな外部資本が株式を保有するかにかかっている。次回はそのあたりを詳しく解説する。

*1-5:http://mainichi.jp/premier/business/articles/20170206/biz/00m/010/006000c (毎日新聞 2017年2月7日) 東芝半導体新会社に群がるファンドの百鬼夜行
●東芝解体の危機(7)
 半導体メモリー事業の分社化を決めた東芝は、さっそく、入札で株式の2割弱を売却する手続きに入った。すでに、10社前後の売却候補の名前が挙がったり消えたりしている。投資ファンド、銀行系ファンド、事業会社だ。このなかで、有力なのは投資ファンドだ。入札するかどうかは判明していないが、事前に名前が挙がったのは米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)、米ベインキャピタル、米シルバーレイク・パートナーズ、英ペルミラといった名前だ。いずれも世界的に名前の知られたファンドで、日本でも実績のある大どころが並ぶ。投資ファンドに詳しいある関係者は、「まだほかのファンドが出てくる可能性がある。半導体メモリー事業に興味があるファンドは多いはず」と見る。投資ファンドの目的ははっきりしている。数年後に新会社を上場させ、株式の価値が上がったところで売却して利益を出すことだ。手を挙げるファンドがたくさん出て、競争が激しくなれば、東芝は思った以上に株式を高く売れるかもしれない。ただし、高値になればなるほど、数年後、投資ファンドが株式を手放す「出口」にたどり着いたときのハードルは高くなる。
●「出口」で大もめした投資ファンド
 「出口」で大もめしたのは、西武鉄道に出資した投資ファンド、サーベラスが記憶に新しい。西武鉄道(その後西武ホールディングス)は2004年に有価証券報告書の虚偽記載が発覚し上場廃止となった。東芝と同じくらいの窮地だった。そこにサーベラスが約1000億円を出資し、約32%の筆頭株主となった。10年後、再建を果たした西武は再上場した。その過程で、思ったほど売却益が出ないと考えたサーベラスは、路線廃止や球団売却を要求したり、株式の公開買い付け(TOB)で経営陣に揺さぶりをかけたり大騒ぎした。アベノミクスで全体の株価が底上げされ、そこそこの売却益が出ることになったため、静かになったが……。サーベラスは10年も出資をしてきた。言ってみれば「寝かせていた」ため、それなりの見返りを求めた。東芝が分社化する半導体メモリー事業について、投資ファンドは2~3年後の上場を想定し、少なくとも2~3割の売却益を目指すだろう。原子力事業の大損失がなく、戦略的に分社化・上場ができたなら、東芝が手にできたはずの利益だ。
●銀行系ファンドも有力候補
 銀行系ファンドも売却先の候補に挙がっている。その筆頭格が日本政策投資銀行(政投銀)が出資する投資ファンドだ。政投銀系の投資ファンドはベンチャー企業などに投資実績があり、企業再生に向けた出資も行っている。ただし、東芝のような大企業の再建支援に、政府系金融機関が乗り出せば、批判の声が上がる可能性がある。「投資ファンドや民間銀行系ファンドに任せればいい、なぜ政府系が手を出すのか」という批判である。政投銀は15年前、経営難に陥った大手スーパー、ダイエーの再建支援で、民間銀行とともに再建ファンドを作って出資し、このファンドがダイエーの筆頭株主になったことがある。このときも「国策救済」と批判された。結局、再建はうまくいかず、ダイエーは産業再生機構の支援を受け、最終的にイオンの傘下に入った。いま、ダイエーは店舗名からもほとんど姿を消している。仮に政投銀系ファンドが半導体新会社に出資することになったとしても、ダイエーの二の舞いにならないとは限らない。このほか、三井住友銀行やみずほ銀行、三菱東京UFJ銀行などメガバンク系のファンドも候補になる。政投銀やメガバンクのファンドは、東芝の半導体新会社の2割弱の株式をすべて手に入れることは想定していないだろう。金額が大きすぎるからだ。他の出資者と組むことが考えられる。東芝側は、外国系の投資ファンドが売却先の主体になった場合でも、政投銀や銀行系ファンドに一部出資してほしいと考えているはずだ。信用力と、話のわかる相手だからである。入札にはキヤノンなど、事業会社の名も挙がっていた。だが、キヤノンは「大変難しい」と事実上、参加しない方針を明らかにしている。次回は、そのあたりの事情を解説する。

*1-6:http://mainichi.jp/premier/business/articles/20170123/biz/00m/010/001000c (毎日新聞 2017年1月24日) 東芝だけじゃない 三菱重に賠償請求66億ドルの衝撃
●米国での原発新設(3)
 米国内では2013年以降、原子力発電所の廃炉が相次いでいる。「シェールガス革命」で電力価格が下がり、福島第1原発事故の影響で安全規制が強化され、原発のコストが上昇したことを受けた動きだ。米国内の原発新設計画も大きな影響を受けた。東芝の子会社、米ウェスチングハウスは、08年に受注したボーグル原発2基、VCサマー原発2基以外に、フロリダ州レビィ原発1、2号機を09年に受注していた。ところが、レビィ原発は当初の予定通りに米原子力規制委員会の建設運転認可がとれず、契約が解除された。東芝本体も、09年にテキサス州サウス・テキサス・プロジェクト原発3、4号機の建設を受注していた。東芝としては初の海外での原発受注だった。だが、このプロジェクトに共同出資を計画していた東京電力が、福島原発事故で断念した。さらに、プロジェクトの主体だった米電力大手も、福島原発事故直後に投資を打ち切ると発表した。2基は16年2月に建設・運転認可を受けたが、東芝は「テキサス州では電力価格が低迷していることから、電力市況を見極めながらパートナー企業を募集し、適切な時期に建設開始を判断する」と発表し、事業は凍結された。
●3割しか工事が進んでいないボーグル、VCサマー原発
 ウェスチングハウスと東芝の両社で米国内で受注した8基は、当初の予定では16年に4基、17年に3基が完成するはずだった。ところが建設が開始されたのはボーグル原発、VCサマー原発の計4基にとどまった。その4基の工期も予定より大幅に遅れている。原発回帰の流れにのって、米国内で原発を次々新設するという東芝・ウェスチングハウスの狙いは、大きく外れてしまったのだ。建設中のボーグル原発、VCサマー原発は今のところ、19年と20年に2基ずつ運転を開始することになっている。東芝が数千億円損失の可能性を公表したのはこの4基の建設についてだ。建設工事は全体の3割しか進んでいないことも明らかになった。ウェスチングハウスも、親会社の東芝も、巨額の損失で債務超過の恐れが出ている。そうした企業に、3割しか建設が進んでいない原発を完成させることができるのか、という疑問が湧いてくる。
●三菱重工に対して起こされた巨額の損害賠償請求
 米国内での原発事業で大変な目にあっているのは東芝・ウェスチングハウス連合ばかりではない。巨額の損害賠償請求訴訟を起こされている日本企業がある。三菱重工業だ。カリフォルニア州のサンオノフレ原発2、3号機のうち、3号機で12年、加圧水型原子炉の重要設備である蒸気発生器の配管が破損し、放射性物質が漏れた。定期点検中の2号機でも多数の配管の摩耗が見つかった。蒸気発生器は三菱重工製で、交換されて2年以内のものだった。米原子力規制委員会は三菱重工のコンピュータ分析のミスが、設計上の不具合につながったと結論づけた。地元住民が再稼働に反対し、米原子力規制委の調査も長期化するなかで、電力会社は13年に廃炉に追い込まれた。電力会社は三菱重工に対し、廃炉費用を含め、75億7000万ドル(今の為替レートで約8600億円)という巨額の損害賠償を求めた。三菱重工は契約上、支払いは最大1億3700万ドル(約155億円)だと主張。請求額はその後66億6700万ドル(約7570億円)に減額されたが、争いはパリの国際商業会議所の国際仲裁裁判所で係争中だ。東芝が抱えた数千億円の損失といい、三菱重工が抱える巨額の損害賠償請求といい、原発事業のリスクがいかに大きいかを物語っている。

*1-7:http://digital.asahi.com/articles/ASJDH3WLZJDHULFA00N.html (朝日新聞 2016年12月15日) 日立受注の英原発に資金支援 政府系金融機関
 政府系金融機関の国際協力銀行(JBIC)や日本政策投資銀行は、日立製作所が英国で進めている原子力発電事業に資金支援する方針を固めた。設計から運営までを担う日立の子会社に、融資などを行う。原発の輸出ビジネスに官民で取り組む姿勢を明確にする。
●日立が日本原電と協定 英国での原発建設へ協力要請
 日立の子会社は英中部に原発2基を建設する。2020年代前半の稼働を目指し、総事業費は2兆円超とされる。JBICや政投銀は、同社への融資や株式の買い取りを検討する。来年中に支援の大枠を固める。英国では中国の原子炉の導入が予定されている原発計画もある。安全面などから逆風が吹く原発ビジネスに官民で取り組む姿勢を示し、受注競争を有利に進めるねらいがある。来日したハモンド英財務相は15日、麻生太郎財務相と会談。原発事業への資金支援についても話し合ったもようだ。ハモンド氏は会談前、朝日新聞などのインタビューに応じ、日本の支援について、「前向きに考えてくれていることをうれしく思っている」と述べた。年内には、世耕弘成経済産業相とクラーク英ビジネス・エネルギー・産業戦略相も会談し、原発分野での協力を話し合う見通しだ。

<核燃料の最終処分>
*2-1:http://qbiz.jp/article/101074/1/ (西日本新聞 2017年1月3日) 玄海原発敷地内に乾式貯蔵施設 九電、候補地選びに着手 
 九州電力が玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の再稼働後を見据え、使用済み核燃料の乾式貯蔵施設を建設する敷地内候補地の選定作業に着手したことが分かった。玄海原発が再稼働すれば、同原発の使用済み核燃料貯蔵プールを全て使っても、4〜5年程度で満杯になる見通し。このため、まず3号機の貯蔵プールの容量を増強。次の段階として、乾式施設も新設する方針。
●再稼働後を見据え容量拡大
 玄海原発では、使用済み核燃料を原発内の貯蔵プールで保管しており、既に容量の約6割が埋まった状態。九電は2010年2月、3号機の貯蔵プール容量を燃料集合体1050体から2084体に約2倍に増やすリラッキング工事の計画を国に申請していた。しかし、11年3月の東京電力福島第1原発事故で、電源喪失のため貯蔵プールが冷却できなくなるトラブルが発生。事故後に発足した原子力規制委員会の田中俊一委員長は、同様の問題が起きなかった乾式施設の新設を電力各社に強く要求している。九電は規制委の求めに応えて、乾式施設の新設も具体化させる。ただ、関係者によると九電は、乾式施設よりも貯蔵プール増強の方が完成が早いと判断。再稼働後にプールが満杯になる事態を避けるため、3号機のプール増強を優先する。着工から完成まで4年程度と見積もっていた従来の増強計画の設計を、福島第1原発事故後の新規制基準に適合するよう変更した上で、再稼働後なるべく早い時期に国へ工事の認可を申請する方針。乾式施設建設のための調査も始動。再稼働に向けた安全対策で手狭になった敷地内に施設を置くための、具体的な建設レイアウトの検討に入った。貯蔵容器をコンクリート製にするか金属にするかなど技術面に関する検討も進めている。使用済み核燃料を巡っては、青森県六ケ所村の再処理工場稼働の見通しが立っておらず、九電は原発敷地外への持ち出しができない状態。16年8月には、玄海原発の対岸にある佐賀県唐津市鎮西町串地区の住民が、中間貯蔵施設誘致の要望書を市に提出するなど、使用済み核燃料の取り扱いが再稼働に伴う大きな焦点となっている。
◆使用済み核燃料の貯蔵方法 プールに貯蔵する「湿式」と、キャスクという密閉容器に入れる「乾式」がある。使用済み核燃料が出す熱をプールの水の循環で冷やす湿式には、電源や水が必要なため、電源が失われると冷却できなくなる危険性がある。乾式は使用済み核燃料をキャスクに入れて建屋に保存し、空気の自然換気で冷却する。海外では安全性が高く保守・点検が簡単な乾式が普及。日本でも福島第1原発事故後に原子力規制委員会が導入を促している。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12765433.html (朝日新聞 2017年1月26日) 原発の使用済み燃料、空冷保管を促進 規制委、基準緩和へ
 原発の使用済み燃料の保管について、原子力規制委員会は25日、水や電気を必要としない空冷の保管容器の導入を促すために基準を緩和する方針を決めた。プールでなく、地表に置いた容器で燃料を保管する方法で、乾式貯蔵と呼ばれる。使用済み燃料は通常、燃料プールで保管し、ポンプで水を循環させて冷やしているが、地震などで停電すると冷却機能が失われかねない。東京電力福島第一原発の事故では、4号機プールで1千体以上が冷やせなくなり、燃料がむき出しになることが懸念された。乾式貯蔵はプールで十分に冷やされた燃料を専用の容器に入れて密封し、空気の通りがよい場所で保管するもの。規制委が導入を促す容器は燃料の輸送用で、高さ9メートルからの落下試験や高温の炎に耐える試験にも通っている。この保管法は欧米で導入が進んでいる。これまで国内では耐震性の高い建屋が必要だったり、地震の揺れの想定が必要だったりして、導入のハードルが高かった。そのため、日本原子力発電東海第二原発(茨城県)など一部でしか導入されていない。規制委の田中俊一委員長は乾式貯蔵について、「プールで保管するより安全度がはるかに高い」と話した。電気事業連合会によると、全国の17原発にある使用済み燃料は計約1万5千トン。プールなどの保管施設は7割が埋まっている。乾式貯蔵で保管できるようになれば、プールに余裕が出るため電力会社も導入に前向きだ。ただ、原発が立地する自治体には、燃料の新たな保管場所ができることで、敷地での保管が長期化しかねないとの懸念も強い。

*2-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201703/CK2017030602000168.html (東京新聞 2017年3月6日) <原発からの請求書>(5) 最終処分場建設、運営に3.7兆円 増額の可能性も
Q 原発から出る核のごみを受け入れる最終処分場にはいくらかかりますか。
A 経済産業省の試算では建設・運営費で計三兆七千億円かかります。東京五輪向け新国立競技場(総工費約千五百億円)が二十四個できる金額です。
Q なぜそんなにかかるのですか。
A 燃料は再利用しますが、廃液など「高レベル放射性廃棄物」が出るからです。人が近づくとすぐ死亡するほど危険なので、ガラスに混ぜて固め、三百メートル以上の地下に埋めます。日本は地震が多いので耐震性を高め、完全な地下水対策も必要。その状態で最長十万年管理し、やっと放射線が減少するのです。その分、費用はかさみます。東京電力・福島第一原発事故の溶解燃料も受け入れる可能性があり、その場合もっと高くなるでしょう。
Q お金はだれが払うのですか。
A わたしたち電気を利用する国民が払っています。大手電力が出資する専門組織が建設・運営するのですが、費用は電気料金に上乗せされ、積み立てられています。東電の上乗せ額は一キロワット時あたり〇・〇四二五円で、約三百六十キロワット時使用した家庭(図のケース)では月十五円。家庭が電力会社を選べるようになった昨春以降は主に大手電力の利用者が負担しています。二〇一六年三月末時点の積立金は約一兆円にとどまっており、本紙試算では最低四十六年上乗せを続けないと必要額に達しません。
Q 原発を持たない新電力と契約すれば負担をしなくてよいのですか。
A いいえ、一部は負担を迫られます。経産省は〇五年に最終処分対象の核のごみの種類を増やし、見積総額も約八千億円上積みしました。燃料のリサイクルに必要な費用も膨らんでいたので、まとめて計二兆七千億円分を十五年かけて電線使用料である「託送料」に上乗せして集めると決めたのです。検針票の裏に小さく記されている「使用済燃料再処理等既発電費相当額」という長い名前の項目です。一キロワット時につき〇・一一二円の負担で、図の家庭は約四十円の負担。従来負担と合わせ月五十五円。東電管内の平均家庭(月間使用量二百六十キロワット時)は毎年計千六百七十五円ずつ積み立てに協力している計算です。
Q 処分場はいつできるのですか。
A 政府は長年候補地を探してきましたが、人々の抵抗感は強く、みつかりません。経産省は断層の状況などから有望地域を示す地図を昨年末までに示す予定でしたが、先送りにしています。ごみの受け入れ先がないにもかかわらず、政府と電力会社は原発再稼働を急いでおり「無責任」との批判があります。日本学術会議も「いまの科学で十万年の安全確保は証明できない」としており、建設計画は難航が必至。資金面でも作業が進めば、三兆七千億円の見積もりを大きく超え、国民は電気代からの積み立て増額などを迫られる可能性があります。原発政策と電気代についての疑問、意見をお寄せください。ツイッター上からハッシュタグ #原発からの請求書 をつけて投稿してください。メールは keizai@tokyo-np.co.jp  ファクスは03(3595)6914

<玄海原発再稼働>
*3-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/407816 (佐賀新聞 2017年2月22日) 玄海再稼働 唐津市で県民説明会始まる、住民から不安、疑問 国と九電は対策強調
 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働に関し、佐賀県は21日、初めての県民説明会を唐津市民会館で開いた。エネルギー政策、適合性審査の概要、原子力防災の取り組み、原発の安全対策の4分野について、国と九電の担当者が説明し、再稼働への理解を求めた。会場からは原発の必要性や安全対策を疑問視するなど再稼働に反対や懸念を示す意見が相次ぎ、終了時間を1時間近く延ばして対応した。唐津市や玄海町だけでなく、県内各地から192人が参加した。原子力規制庁、資源エネルギー庁、内閣府、九電の担当者が各分野の概要や取り組みを挙げ、福島第1原発事故を教訓に「審査に通ることがゴールではない」「原子力に対する不安の声に真剣に向き合う」などと述べた。会場からは「熊本地震のように複数の地震に対する審査をしたのか」「福島の事故は終わっていない」など、震災を踏まえて再稼働に反対する質問が噴出し、国や九電の担当者は説明に追われた。質問時間が1人1分間と短いことへの不満や、再度の説明会開催を求める声も上がった。主催した佐賀県の山口祥義知事は「再稼働する、しないにかかわらず玄海原発はそこにある。時間が足りないというのはよく分かるが、われわれもプロセスを大切にしたい」と語った。県は県内首長にも案内を出し、参加を呼び掛けた。唐津市の峰達郎市長は「文言が専門的すぎる。一方的な説明の仕方が印象的で、住民は分からないのではないか」と感想を話した。玄海町の岸本英雄町長は「町議会特別委員会で説明を受けた内容と同じで、わざわざ出る必要はない」として欠席した。県は、この日の県民説明会をインターネットで中継したほか、動画も見られるようにする。今後は22日に武雄市、27日に佐賀市、28日に伊万里市、3月3日に鳥栖市で開催する。玄海原発3、4号機の再稼働に関しては1月18日、規制委の適合性審査に合格した。これを受け国は県と玄海町に理解を求め、山口知事は県民から広く意見を聞く姿勢を示している。

*3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/408220 (佐賀新聞 2017年2月23日) 武雄で玄海再稼働に関する県民説明会、水蒸気爆発想定審査せず
 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働に関する県民説明会が22日、半径30キロ圏外では初めてとなる武雄市文化会館で開かれ、周辺市町の首長や職員、住民ら117人が参加した。国と九電が、エネルギー政策や安全対策などを説明した上で再稼働に理解を求め、住民からの質疑に答えた。会場からは「再生可能エネルギーや蓄電池などの開発に国策を転換して」などの意見が上がった。資源エネルギー庁は再稼働の必要性について「現状では電力の安定供給、経済性、温暖化対策でリスクがあり、今すぐ原発を代替できるものではない」などと説明した。適合性審査を担当した原子力規制庁には、重大事故が発生した場合に水蒸気爆発が起こるかどうかに質問が集中した。規制庁は「海外の知見も踏まえて水蒸気爆発が起きないことを確認している」と繰り返し、万が一、爆発が起こる想定に関しては「審査していない」と答えた。参加した武雄市朝日町の朝重節男さん(82)は、国の説明を聞いて「安全対策が十分かどうかは判断できないが丁寧だった」と話した。会場は前日の唐津会場に続いて空席が目立ち、市内の会社員の女性(31)は「若い人がいない。周知が足りないのか関心がないのか…」と首をかしげた。再稼働に慎重姿勢の谷口太一郎嬉野市長は、エネ庁が法的に地元の同意が必要ないことを明言したことに対し「はっきり言われて驚いた。事故があればわれわれも避難する立場であり、同意を取ってほしい」と顔をしかめた。説明会は今後、27日に佐賀市、28日に伊万里市、3月3日に鳥栖市で開催する。

*3-3:http://qbiz.jp/article/104555/1/ (西日本新聞 2017年2月28日) 原発再稼働、佐賀市でも不満噴出 住民説明会
 佐賀県は27日夜、佐賀市日の出1丁目の市文化会館で、九州電力玄海原発3、4号機(玄海町)の再稼働に関する3回目の住民説明会を開き、234人が参加した。前回までと同様、参加者からは事故への不安を訴える声が相次いだ。原子力規制庁の荒木真一原子力規制企画課長は、玄海原発が福島第1原発事故を踏まえた新規制基準に適合し、格納容器の破損を防ぐ冷却手段の強化や、海水を利用して熱を逃がす対策を確認したことを説明し、理解を求めた。参加者からの質問は1、2回目の説明会と同じく1人1分以内に限られ、不満が噴出。出席者が「福島の事故が収まっていない中で、世界一といえる基準が作れるのか」と訴えたのに対し、規制庁の担当者は「分かってきている基本的な部分を参考に新基準を作った。必要なものがあれば追加する」と回答した。「海外のように(炉心溶融時に溶けた核燃料を閉じ込める)コアキャッチャーは設置しないのか」との質問には「同様の機能を持たせている」と答えた。

*3-4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/410217 (佐賀新聞 2017年3月1日) 玄海原発再稼働、伊万里説明会 市長「反対変わらぬ」、「なぜ急ぐ」住民も批判
 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働に関する県内4カ所目の県民説明会(佐賀県主催)が28日、伊万里市民会館であった。周辺市町の住民らを含め388人が参加、安全性などへの疑問点を質問した。地元の塚部芳和市長は「参加者の不安や疑問に国や九電は答えていない。再稼働に反対の立場は変わらない」と述べた。原子力規制庁と資源エネルギー庁、内閣府、九電の担当者が防災の取り組みや国のエネルギー政策などを説明した。会場からは福島原発事故の収束や原因究明が終わらない状態で「なぜ再稼働を急ぐのか」「避難訓練が必要なほどのリスクの中で進める理由が分からない」と批判の声や、「再稼働ありきで検討が進んでいる」と不信感も漏れた。このほか、使用済み核燃料の保管の問題や、テロなどでの航空機落下事故の際の安全対策への疑問が出た。伊万里市のほぼ全域は原発から半径30キロ圏内にあり、緊急時防護措置準備区域(UPZ)にあたる。塚部市長は、国が再稼働の必要性についてエネルギーの安定供給に終始したことに触れ、「原発の安全安心とエネルギー問題は同列で論じられない。不安への回答になっていない」と指摘した。その上で会場から再稼働への疑念を示す意見ばかりが出されたことを挙げ「県がどのような判断を下すか、注目したい」と話した。
■4カ所目、最多388人参加 市長「市民の関心、不安表れ」
 首長が再稼働反対を主張する伊万里市の会場で開かれた4回目の県民説明会。これまでの最多となる388人(県発表)の参加に、塚部芳和市長は「市民の原発に対する関心の高さと不安への思いの表れだ」と強調した。唐津市と武雄市の参加者が少なかったため、伊万里市には市民から「市が周知すべきだ」と意見が寄せられた。市は24日、各公民館長に対して区長に住民への周知を促すよう呼び掛ける文書を発送。その効果もあったのか、会場には行政関係者や区長以外に一般住民の姿も目立ち、住民ならではの「命の訴え」が相次いだ。70代女性は「既成事実のための説明会という印象」と切り捨てた上で、「みんな本当に反対しているのだと分かった。市長はあくまで反対を貫き通してほしい」と求めた。一方、70代男性は「反原発団体の関係者の殺気だった質問と怒号が目立ち、あんな雰囲気の中でごく普通の市民は質問できない」と違和感を訴え、「公民館で開かれるなら、もう一度聞きたい」と期待を寄せた。説明会を巡って伊万里市と市議会は2月17日、県に市内全地区の公民館(13カ所)での開催を申し入れ、「まず伊万里での県民説明会の様子を見て、改めて協議したい」と県の回答を得ていた。終了後、塚部市長は「県がどう判断するかだが、聞き入れられなければ市議会と相談する」と地区別での実施を求めていく姿勢を示した。

*3-5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/411493 (佐賀新聞 2017年3月6日) 原発県民説明会 容認意見なく、空席目立つ
■専門家「県の説明必要」
 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働に関し、佐賀県は5会場での県民説明会を終えた。国と九電が再稼働の必要性や安全対策を説明し、参加者から容認する意見はなく、安全性への不安や必要性への疑問が相次いだ。説明内容の分かりづらさや質問時間の短さを指摘、追加開催の要望も上がった。1000人以上収容できる各会場は空席が目立ち、有識者は事故被害の甚大さを踏まえ、県民意向調査の実施を訴えている。各会場の受け付けでは開始時間が過ぎても参加者用の資料がうずたかく積まれたまま。「多くの県民に説明を聞いてほしいが、難しい」と県幹部はこぼした。説明会は、国が説明責任を果たすことを条件に県が主催した。2月21日~3月3日に半径30キロ圏の唐津、伊万里両市と佐賀、武雄、鳥栖市で開いた。参加者数は伊万里の388人が最多で、佐賀234人、唐津192人、武雄と鳥栖は各117人の計1048人。夜の開催で、子育て世代や若者は少なかった。説明会の運営では説明内容や質疑時間を巡り課題が指摘された。説明者の答えがかみ合わず、紋切り型の説明が繰り返され、怒号が飛び交う会場もあった。質疑時間は、原子力規制庁が適合性審査の概要説明後に20分、資源エネルギー庁がエネルギー政策、内閣府が避難計画、九電が原発の安全対策を説明した後に2回目を30分設け、「規制」と「推進」で分けた。県は「多くの意見を聞く」として質問を原則1人1問で1分間に限定。質問中に「30秒前」「まとめてください」と書いたボードをステージ上で掲げた。会場からは「重大な問題なのに短すぎる」「もう一度説明会を開いて」と批判が出た。ただ、多くは1分を超えたものの、司会者が遮ることはほとんどなく、各会場とも終了予定時間を1時間近くオーバーした。県民説明会について九州大大学院の吉岡斉教授(科学史)は「再稼働を判断する立場にある佐賀県の説明が必要だった」と指摘する。県民の参加状況に関しては、周知不足だけではなく「県の姿勢に期待が持てず『形だけのスケジュールを消化している』と多くの住民が判断したのではないか」と読み解く。住民避難に特化した説明会の必要性も挙げた上で「何より県が、県民の生命・健康を守る立場から徹底的に安全性を評価し、県民世論を幅広く収集することが大切。これまでのように政府や業界に従う姿勢は改めるべき」と述べ、住民意向調査を行うよう求めた。唐津と佐賀の説明会に出席した山口祥義知事は「福島の事故を経験して不安の声が多かった」と感想を述べた。県はメールや書面で意見を受け付け、18日には20市町の首長の考えを聞く。開会中の県議会は、再稼働容認の自民議員が多数を占める。「県議会の意見は極めて大切」と強調する山口知事。追加の説明会を開くのかどうか、幅広い声をどうそしゃくし、いつ判断を下すのか。過程を重視する知事の説明責任も重要さを増している。

*3-6:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/412564 (佐賀新聞 2017年3月10日) 玄海原発 反原発団体も説明会を要望、県に24項目の要請書
 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働に関し、反対する県内の複数の団体が9日、全市町での県民説明会の開催や再稼働に反対・慎重な意見を持つ専門家の説明会などを佐賀県に求めた。山口祥義知事が判断材料にする会合が3月中旬に集中し、慎重な対応を求めた形だ。再稼働に反対する県内9団体で構成する脱原発佐賀ネットワークは、県内5カ所で開かれた県民説明会では不十分として、子育て世代や離島住民も参加できるよう、昼間や休日に説明会を追加開催することや、公開討論会の実施など24項目の要請書を提出した。県外住民の参加を認めることや、健康への影響、避難計画を検証する委員会の設置などを盛り込んでいる。県内各界の代表が委員を務める広く意見を聴く委員会の委員を出している県労連(北野修議長)は、再稼働に疑問を持つ専門家による説明会を求める要望書を提出した。2月の第2回会合では、再稼働を推進する国と九電の説明を聞いており「幅広い見地からの検討が必要」と指摘し、中立性を保つため県に選任を求めた。また共産党県委員会は、岸本英雄玄海町長が玄海3、4号機の再稼働に同意したことに対し抗議声明を発表した。広く意見を聴く委員会は13日、県議会原子力安全対策等特別委員会は15、16の両日、山口知事が県内首長の意見を聞く会合「GM21ミーティング」は18日に、それぞれ開かれる。

*3-7:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/412275 (佐賀新聞 2017年3月9日) 玄海原発、町長の再稼働同意撤回を 市民団体が抗議
 東松浦郡玄海町の岸本英雄町長が町内に立地する九州電力玄海原発3、4号機の再稼働に同意してから一夜明けた8日、脱原発を訴える市民団体のメンバーらが町役場で抗議活動し、同意の撤回を求めた。玄海原発対策住民会議(会長・藤浦晧玄海町議)をはじめ、佐賀市や武雄市などから集まった20人余りが、役場前でマイクを手に「再稼働は町長や議会だけで判断できるものではない」「玄海町で福島原発の二の舞いが起きてはいけない」などと声を張り上げた。その後、庁舎内に移動し、同意表明の撤回を求める要求書を、体調不良という岸本町長に代わって対応した町の担当者に手渡した。提出に先立ち、庁舎内の混乱を避けようと代表者だけの入庁を求める町職員に対し、「みんなが町民、県民の代表だ」とメンバーが詰め寄る一幕もあった。

<リーダーの見解>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12832205.html (朝日新聞社説 2017年3月9日) 大震災から6年 「原発は安い」では済まぬ
 東日本大震災からまもなく6年。復興はまだ道半ばだが、とりわけ原発被災地の福島県では今も8万人が避難生活を強いられ、地域社会の再生は見えない。原発事故の被害とその処理費用も膨らみ続けている。にもかかわらず、政権は原発を「重要な基幹電源」として、今後も積極的に使う構えだ。事故の惨禍を目の当たりにしてもなお、原発に頼り続けることに理はあるのだろうか。政府や電力業界が言うように、本当に「原発は安い」のか。
■膨らみ続ける費用
 東京都内のホール。福島第一原発の事故で全町避難を強いられた福島県浪江町が2月に開いた住民との懇談会で、避難者たちが次々に悲痛な声を上げた。「除染が終わったと連絡が来たが、線量は十分に下がっていない。これでは家に帰れない」。「私たちは原発事故で町を追い出された。帰れない人には東電が家賃を払い続けるべきだ」。浪江町の中心部は今月末に避難指示が解除され、住民は戻れるようになる。ただ、楢葉町など指示がすでに解除された地区では帰還率が1割ほどのところが多く、先行きは厳しい。炉心溶融を起こした原子炉の内部は、惨状がようやく見え始めたところだ。高熱で曲がった鉄格子、こびりついた黒い塊……。東京電力は2号機に調査ロボットを投入したが、人間なら数分足らずで致死量に達する強い放射線や堆積(たいせき)物に途中で阻まれた。溶け落ちた核燃料を取り出す道筋は見当もつかない。賠償や除染、廃炉などの費用について経済産業省は昨年末、総額21・5兆円にのぼるとの見通しを示した。従来想定の2倍で、巨額の負担が電気料金や税金として国民にのしかかる。そもそも、壊された生活や地域社会など金銭では表せない被害もある。痛手は計り知れない。
■保護ありきの政府
 政府は東電をつぶさないため、支援策のてこ入れに乗り出した。東電や原発を持つ電力大手各社が負担してきた賠償費を、今後40年間にわたって、電力自由化で参入した「新電力」にも一部負担させる方針だ。これは、自由化でめざす消費者の利益より、原発の保護を優先するやり方にほかならない。原発を持たない新電力にも原発固有のコストを押しつけ、大手の負担を軽くするからだ。なりふり構わぬ姿勢から浮かび上がるのは、原発はもはや強力な政策支援がないと成り立たないという実態である。それでも、経産省は「福島事故の費用を織り込んでも、原発のコスト面の優位性は変わらない」と言う。引き合いに出すのは15年に示した試算だ。原発を新設する場合の発電コストについて、火力や自然エネルギーなど他の電源より低いとする。30年度時点で必要な電気の2割ほどを原発でまかなう政策の根拠としている。だが、これにはさまざまな疑問が出ている。原発に批判的な専門家は「試算は、原発を大きなトラブルなく長く運転できることが前提。過去の稼働状況や費用の実績をもとに計算すれば、発電コストは高くなる。建設費用も震災後は世界的に上昇している」と指摘する。経産省の試算には、費用の見積もりが仮置きにすぎない項目も目につく。たとえば核燃料サイクルは技術が確立されておらず、具体的な進め方も未定の部分が多い。長年の懸案である高レベル放射性廃棄物の最終処分地選びは遅々として進まない。これらは既存の原発にもかかわる問題だ。歴代の政権は、原発推進の旗を振りつつ、「負の課題」については先送りやその場しのぎを繰り返してきた。そんなやり方は、もはや限界だ。
■脱原発への具体策を
 今年は国のエネルギー基本計画を見直す時期に当たる。この機をとらえ、原発をはじめ各電源の経済性やリスク、利点を精査し、新計画に反映させるべきだ。原発推進派だけでなく、批判的な専門家も招き、多角的に検討することが欠かせない。海外に目を向ければ、ドイツや台湾が脱原発を決めた。他の先進国でも原発を前倒しで閉鎖したり、原発への依存度を下げる目標を掲げたりする動きが出ている。安全性を重視する社会では、事故や廃棄物への対策が解決できていない原発は、手に余るものになりつつある。そのきっかけとなったのが、福島の事故だった。安全規制の強化とコストの上昇は最近の東芝の経営危機にもつながった。安倍政権がなすべきなのは、原発を取り巻く現実や再稼働に慎重な民意に向き合い、原発への依存度を着実に下げていく具体策を真剣に練ることである。閉鎖的な「原子力ムラ」の論理が幅を利かせ、安全神話がはびこった結果、福島で何が起きたか。この6年間をいま一度思い起こし、エネルギー政策を合理的で持続可能なものに作り替えなければならない。

*4-2:http://www.kirishin.com/2016/11/20161126.html (キリスト新聞 2016年11月26日) 司教団が原発撤廃を呼び掛け 世界のカトリック教会に協力と連帯要請
 日本カトリック司教団は11月11日、「地球という共通の家に暮らすすべての人」に向けて、「原子力発電の撤廃を――福島原子力発電所事故から5年半後の日本カトリック教会からの提言」と題するメッセージを発表した。同司教団は東日本大震災後の2011年11月、「いますぐ原発の廃止を」と訴えるメッセージを発表。その後、韓国のカトリック司教団とも原発について学びを重ねてきた。今回のメッセージでは、被災者が現在も経済的・社会的・精神的な苦境に立たされており、東京電力福島第一原子力発電所事故の収束の見通しも立っていないことを指摘。放射性廃棄物の根本的な処理方法が確立されていないにもかかわらず、日本政府は48基の原子炉を順次再稼働し始め、新原子力発電所建設計画の再開、原発輸出に向けた動きを加速していると述べた。そして、「一国の司教団が、世界に向けてメッセージを発するのはきわめて異例のことかもしれません」とした上で、「しかし、福島原発事故から5年半が経過し、日本がこのような事態に陥ってしまった中で日本司教団は、原子力発電の危険を世界のすべての人に知らせ、その撤廃を呼びかけるほかはないと考えるに至った」と、メッセージを発表した理由を説明した。メッセージは、「なぜ日本司教団は呼びかけるのか」「5年半をへて分かったことと学んだこと」「原子力発電を推進する国家の姿勢」「キリスト教信仰の視点から」「国際的な連帯の呼びかけ」の5項目から成り立っている。「国際的な連帯の呼びかけ」では、原子力発電の撤廃は、国際的な連帯がなければ実現困難だとし、世界中のカトリック教会に協力と連帯を要請。特に各国の司教団に対して、原子力発電の危険性を理解し、その是非について福音的立場から議論するよう求めた。最後に、「原子力発電の是非を将来世代をも含めたすべての人間の尊厳を守るという一点から判断しなければならない」と主張。また、核エネルギーを利用している国々が選択すべき道は、原子力発電の撤廃を決定し、再生可能エネルギーの利用拡大を推進していくことだと強調。「今一度立ち止まり、人類社会の目指すべき発展とは何か、真の豊かさとは何かを問い直さなければなりません」とし、それは「新たな豊かさに向けての前進」だと訴えた。

*4-3:http://www.higan.net/news/2012/06/post-28.html (彼岸ネット 2012年6月26日) 日本仏教各宗派は原発についてどう考えている? 
 毎週金曜日夜、首相官邸前や大阪の関西電力本店前などで行われている、大飯原発再稼動決定に対する抗議デモはどんどん規模が大きくなっていますね。6月22日には、官邸前に4万5000人、大阪の関電本店前には1500人が集まったと言われています。日本の仏教界では、6月12日に東本願寺(真宗大谷派)が「大飯原子力発電所再稼動に関する声明」を発表。こちらもTwitterやFacebook上で話題になりました。ところで、日本仏教界の各宗派は、原発についてどんな意見を持っておられるのでしょうか。各宗派のウェブサイトに記載されている声明や談話を、震災後から時系列に沿ってまとめてみました。
●東本願寺「原子力に依存する現代生活」を問い直す姿勢を表明(2011年7月7日、安原晃宗務総長)
http://higashihonganji.or.jp/info/news/detail.php?id=337
 宗会(最高議決機関)において、安原晃宗務総長が「原子力に依存する現代生活」の問題は「人間の方向」の問題であると述べ、「放射能飛散と被ばくのいたましい現実から『原発』の誤謬性を思い知らされることであり、したがって極力、ていねいな議論が必要な最重要課題であります」。
●全日本仏教会 会長談話「原子力発電所事故から思うこと」(2011年8月25日、河野太通会長)
http://www.jbf.ne.jp/2011/08/post_206.html
 原発の利便性ゆえに便利な生活を享受してきた反面、事故による放射能汚染、廃棄物の処理について見通しがつかないという現状があることに言及したうえで、「私ども仏教徒は、仏陀の教えに連なるひとりとして、今を生きるひとりの人間として、また大切な地球の中に生きる者として利便性と経済的効果のみを追求せず、自らの足、実地を踏む良き道を選び、歩んでまいりたいと思います」。
●臨済宗妙心寺派「宣言(原子力発電に依存しない社会の実現)」(2011年9月29日、臨済宗妙心寺派宗議会)
http://www.myoshinji.or.jp/about/post_9.html
 平和利用とは言え、原子力発電が人類に制御できない危険なものであることが明らかになった今は「一刻も早く原発依存から脱却し、これに代わる安全なエネルギーへの転換に向け社会に働きかけなければいけない」としたうえで、「私たち仏教徒は、利便性や経済性のみを追求せず、仏教で説く「知足(足るを知る)」を実践し、持続可能な共生社会を作るために努力することをここに決意し、宣言します」。
●曹洞宗「原子力発電に対する曹洞宗の見解について」(2011年11月11日)
http://jiin.sotozen-net.or.jp/wp-content/uploads/2011/11/20111101aboutapg.pdf
 「現状において即時に全ての原子力発電を停止し、再生可能エネルギーに転換することは不可能」であり、火力や水力もCO2増加や環境への負荷がかかること、電力不足で経済が混乱するなどの問題があると指摘。原発を速やかに停止して再生可能エネルギーへと移行することが望ましいとしながらも「現時点で原子力発電の是非について述べることは非常に難しいのではないでしょうか」。
●全日本仏教会「原子力発電によらない生き方を求めて」(2011年12月1日、河野太通会長)
http://www.jbf.ne.jp/2011/12/post_214.html
 快適さや便利さを追い求める影で、原子力発電所立地の人々が事故による「いのち」の不安に脅かされ、処理不可能な放射性廃棄物を生みだして未来に問題を残しているという現実があることに言及。「「いのち」を脅かす原子力発電への依存を減らし、原子力発電に依らない持続可能なエネルギーによる社会の実現を目指します。誰かの犠牲の上に成り立つ豊かさを願うのではなく、個人の幸福が人類の福祉と調和する道を選ばなければなりません」。
●西本願寺 本願寺新報「まことの安穏を目指して」(2012年1月1日号、梯實圓先生)※6/26追記
 本願寺出版社が発行する『本願寺新報』2012年1月1日号表紙に、梯實圓先生の文章を掲載。震災以降、本願寺派の公式発行物で原発に触れた最初の記事だとされています。仏教の説く「三毒の煩悩」になぞらえて、自分と自分の属する集団の利潤を最優先することを戒められています。以下、一部を引用。「単純な自然災害でも、天災と人災が複雑に組み合っていますが、とりわけ今度のような原子力発電所の事故は、想定を超えた天災のせいだけではなく、経済的効果に惑わされて、想定を甘く設定した人災であったといわねばなりますまい。さらにいえば原子力発電そのものが、経済発展を最高の価値と見なす思想が生み出した危険な産物です。その意味でこの事故は経済的利潤の追求を、すべてに優先させている思潮への激しい警鐘と受け取るべきでしょう」
●東本願寺「原子力発電所の再稼働に対する真宗大谷派の見解」(2012年4月24日、真宗大谷派解放運動推進本部長 林治)
http://higashihonganji.or.jp/info/news/detail.php?id=391
 2011年末に、政府に対して「原子力発電に依存しない社会の実現を目指す」要望書を提出。「生きとし生けるもののいのちを脅かすことなく、さらに未来を生きる子どもたちのためにも、一刻も早く原子力発電に依存しない社会の実現」を求め、「すべての原発の運転停止と廃炉を通して、原子力に依存しない、共に生きあえる社会」へと歩みたいと表明。「私たちは、すべてのいのちを摂めとって捨てない仏の本願を仰いで生きんとする念仏者として、仏智によって照らし出される無明の闇と、事故の厳しい現実から目をそらしてはならないと思っています」。
●法華宗(本門流)「第66次定期宗会において声明文を発表」(2012年6月11日)※6/27追記
http://www.hokkeshu.or.jp/
 「一、東京電力福島第一原発事故の一日も早い収束を祈り、原子力発電にたよらない、持続可能な自然エネルギーによる社会の実現に向け、努力してまいります」。
●東本願寺宗派声明「大飯原子力発電所再稼動に関する声明」を発表(2012年6月12日、宗務総長 安原晃)
http://higashihonganji.or.jp/info/news/detail.php?id=402
 「福島第一原子力発電所の事故で多数の苦しんでおられる方がある中で、一旦停止した原子力発電所を再稼動する理由に、人のいのちよりも優先すべきことがあったのでしょうか」と問いかけ、野田内閣総理大臣による大飯原子力発電所再稼動表明に強い遺憾の意を表明。すべての原発が「決して再稼働することないよう念願するものであります」。

*4-4:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017030701001351.html (東京新聞 2017年3月7日) 民進、「原発ゼロ法案」を了承 蓮舫代表、党大会で表明へ
 民進党は7日、エネルギー環境調査会(玄葉光一郎調査会長)を国会内で開き「原発ゼロ基本法案」の国会提出を明記した政策方針を了承した。原発ゼロ実現に向け、再生可能エネルギーの利用促進などを盛り込んだ。蓮舫代表が12日の党大会で表明する原発エネルギー政策に反映させる。政策方針は「民進党のエネルギー政策(当面の論点メモ)」。「2030年代原発ゼロ」目標の「30年」への繰り上げ明示を見送った一方、「原発依存からの脱却が前倒しで実現可能となるよう、来る総選挙に向け検討を進める」とした。省エネ目標を上積みするほか風力や水力などの再生可能エネルギーの導入を加速する。


PS(2017年3月11日追加):*5-1のように、国は年間積算の空間線量が20ミリシーベルト以下の地域では避難解除を進めているが、この線量は原発の中と同じである上、加算しなければならない内部被曝を考慮していないため、帰還した一般市民は原発労働者より大きな放射線量を365日、24時間浴び続けることになる。にもかかわらず、「20ミリシーベルトは最大で普通はそれ以下だ」という言い訳も聞くが、基準はそういうもので、原発労働者も同じである。また、避難し続けるか帰還するかについては、放射能汚染の正確な情報を公開した上で意思決定させるべきであるのに、正確に計ることもせず、「放射能による健康被害はないから、心配するのは風評被害だ」と決めつけるなど、想定が甘く非科学的すぎる。その上、避難し続ける人を「必要以上に不安に思っている人」などと吹聴しており、これが避難生活をやりにくくして、周囲から驚くような内容の差別やいじめの言葉を引き出すことになっている。そのため、*5-2のように、科学的に説明した上で、希望する避難者へは支援を継続することが必要だ。
 なお、*5-3のように、フクイチの原子炉建屋を覆っていたカバーは、解体され、現在は取り外されたままである。そのため、放射性物質の付着した粉じんが舞い上がるのを防ぐために飛散防止剤を吹き付けたとしても、その効き目がそれほど長くて強いとは思われず、フクイチは現在、遮るものもなく解放されているわけである。その上、*5-4の約350億円の国費を投入した凍土遮水壁は、かなり前に凍結を開始したものの未だに目的を果たしておらず、これから夏や台風の季節になればさらに凍りにくくなって、フクイチは汚染水を垂れ流し続けることになる。
 さらに、*5-5、*5-6のように、フクイチ2号機に、堆積物除去ロボットを投入して調査したところ、空間放射線量が毎時650シーベルトと推定され格納容器内の高線量でカメラは2時間で故障したというお粗末な結果で、「ロボットが圧力容器下まで行けなかったためデブリの状況が確認できなかった」などと説明されたが、人工衛星・ドローン・ミュー電子・放射線に感光するフィルムなど他の方法も使用可能であるため、これは稚拙な言い訳に過ぎない。

 
   スイス気象台の      日本のフクイチ以前と以後の   2015.4.14現在の上    
 2017.3.11放射能拡散予測    放射性セシウム基準    日本産食品の輸入制限上    
    (http://blog.goo.ne.jp/1shig/e/578f13d84d4da457255da1d206ae0d55参照)

(図の説明:一番左の図のように、フクイチからの放射能は現在も拡散し続けており、累積では天文学的数字だ。また、フクイチ事故前の食品に含まれていた放射性物質は大変微量だったが、現在の基準である100ベクレル以下というのは決して小さくなく、食べ続けても安全という証明はない。また、日本産食品の輸入にあたっては、条件をつけたり産地制限したりしている国が多い)

<フクイチ事故とその後>
*5-1:http://fukushima20110311.blog.fc2.com/blog-entry-94.html (福島 フクシマ FUKUSHIMA、津波被害と原発震災に立ち向かう人々とともに) 「20ミリ基準で解除」は原発の中と同じだよ ――帰還目指す住民も汚染の実態に警鐘
 国は、「年間積算の空間線量が20ミリシーベルト以下」を基準に、避難区域の解除を進めている。4月1日、田村市都路(みやこじ)地区が、20キロ圏内の旧警戒区域では最初の解除となった。南相馬市は2年後の解除を決めている。しかし、このような避難解除の進め方に、疑問を抱いている住民は少なくない。その一人である木幡寛治さん(仮名)にお話を聞いた。木幡さんは、30数年来、福島第一原発を中心に原発作業員として働いてきた。しかし、原発事故によって木幡さんの自宅も避難区域とされ、現在は、仮設住宅で暮らしながら、除染作業などに従事している。木幡さんは、原発内の作業に長年携わってきた知識と経験から、「日常生活で20ミリシーベルトというのは到底了解できるものではない。まさに原発の中の放射線管理区域で暮らすということなんだから」と厳しく見ている。とくに、木幡さんは、空間線量以上に汚染の実態と内部被ばくのリスクについて警鐘を鳴らす。だから、空間線量だけを見せて、汚染の実態について知らせないという国のやり方に対して、「国による犯罪」だと批判する。その一方で、木幡さん自身は、自宅へ「戻る」ことを選択し、「戻る」人びとと共に地域再生に取り組むことを模索している。しかし、「その前に『戻らない』人たちの選択を守っていく必要が絶対にある」と訴える。また、「戻る」にあたっても、汚染の実態を正確に調査し開示して、住民が主体となって、内部被ばくを防護する対策を徹底する必要があるという考え方だ。そして、国が、事故を何ひとつ反省せず、原発の再稼働と増設に突き進むことに対して、「国がそういう態度なら、国民の側から転換をつくり出していく必要がある」という思いを持っている。
●外部放射線以上に汚染が問題
○4月1日に田村市都路地区の避難指示が解除になり、小高や浪江もそういう方向で進んでいます。
木幡:いつまでたっても復興事業ができないとか、このままだとコミュニティーが崩壊してしまうとか、国に限らず、市町村も、遮二無二解除しようとしているよね。で、放射線に対する防御よりも、復興を優先して行くような雰囲気がどんどん強まっているし、そういう圧力が高まっているね。これ以上、除染しても無理だと思うし、そういうところに戻って住むか住まないかは個人の判断によるしかないんだけど、もし、年間20ミリシーベルト近く被ばくをする可能性があるようなところで生活するというなら、それはまさに原発作業員と同じなんだから。だから、そうするんだったら、そういう管理をきちっとやれよという話なんだよね。
○木幡さんは30年以上、主に福島第一原発で作業員をやって来られましたね。その経験や知識からすると、20ミリシーベルト基準での解除には問題があると。
木幡:そうね、相当に問題があるんじゃないかな。原発で働いてきたから、職業被ばくとして、年間20ミリシーベルト〔※〕ということについては、まあ了解しているよ。でも、日常生活で20ミリシーベルトというのは到底了解できるものではない。〔※法定の限度は「実効線量で5年間に100ミリシーベルトを超えず、かつ、1年間に50ミリシーベルトを超えない」。それに準じて、東京電力や協力企業では、概ね年間20ミリシーベルトを管理基準にしてきた〕。放射線管理区域というのが法律で定められている。その基準は、外部放射線で言えば、3カ月で1.3ミリシーベルトを超えるところ。そういうところでは、被ばく管理や汚染管理をきちんとしなさいよと決められている。例えば、放射線管理区域の中で作業をするときには、APD(警報付ポケット線量計)とか、ガラスバッチ(個人積算線量計)をつけて外部被ばくの線量を管理している。それから、作業を終えて管理区域から出るときは、汚染を服や体にくっつけたまま持ち出してしまわないように、スクリーニングチェック(表面汚染検査で汚染者を選別する)を受けなければならないんだ。表面の汚染密度で基準を作っている。そこで引っかかると、落ちるまで洗わされるとか、服なんか取り上げられるとか、そういう風にやっていたんだよ。それから、3カ月に1回はホールボディーカウンターの検査、それに6カ月に1回の電離健康診断が義務づけられているんだ。で、そういう検査でもし基準以上の数値が出たりしたら、放射線管理区域の中での作業ができなくなるんだよ。20ミリシーベルトというのはそういう世界なんだから、そういう管理がなされないといけないという話なんだよね。
○外部放射線にだけに目が行ってしまいますが、放射線管理区域では、外部放射線に対する管理とともに、汚染濃度で内部被ばくに対する管理が行われていたのですね。
木幡:その通り。原発労働の経験からすると、外部被ばくだけを見ていたらだめだと思うんだ。土壌や空気中のダストの汚染濃度を見ないと。震災前の原発では、外部被ばくに対する管理では、年間20ミリシーベルトを超えないように管理しているし、実際にはそれよりさらに低く抑えるようにしていた。しかし、それ以上に、内部被ばくに対する管理が厳しかったと思うよ。外部被ばくの防護管理だけであれば、線量測定と時間管理だけで十分なんだけど、汚染管理やスクリーニングとかホールボディーカウンターというのは、内部被ばくに対する防護としてやっていたわけだからね。だから、法律で決められている放射線管理区域の条件も、三つの基準があるんだよ。ひとつは、外部放射線で、実効線量が3カ月で1.3ミリシーベルト。もうひとつは、空気中の放射性物質の濃度。三つ目が、体や物の表面の放射性物質の密度。二つ目の空気中のダストの場合は、基準が核種によって違っていて、たとえばセシウム137だったら、1立方センチ当たり3×10-3ベクレルが空気中の濃度限度で、その1/10が管理基準といった具合。で、これがマスクオーダーだった思うんだよね。それ以上のダストが予想される場合は全面マスクをしないといけない。大事なのは、三つの指標があって、決して外部放射線だけではなかったということなんだ。
○そうすると、国の20ミリシーベルト基準の問題点は、単に、外部被ばくの数値として高いかどうかではなく、内部被ばくのリスクを軽視している点にあると。
木幡:そういうことだね。原子力規制委員会が昨年11月に「帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方(線量水準に応じた防護措置の具体化のために)」という見解を出しているけど、それを見ても、最初から最後まで線量に対する防護措置だけを扱っているんだよ。でも、20ミリシーベルト以下であれ一定の空間線量があるということは、そこにそれだけの放射性物質が存在して汚染しているということでしょ。で、外部被ばくは、空間線量率で予測できるけど、内部被ばくは主に汚染濃度に影響されるわけだからね。そういう汚染がある所で生活するということは、それを取り込むリスクがあるわけだ。それが一番危険なのに、そのことをほとんど無視しているという点だよね。
●シーベルトで管理する狙い
○そうすると、国は、汚染を密度・濃度でとらえるということを、意図的にネグレクトしているということでしょうか?
木幡:私としては、そう思わざるをえないね。実際、管理基準を変えているんだよね。あまり知られていないけど。まず、震災前の管理がどうだったかということを、少し前に作ったものだけど、表にしてみたんだ。(「放射線管理区域内の区分と管理例」 )もちろんこういう規定があるという意味ではなく、自分の経験と記憶の範囲でしかないけど。3・11以前から原発に関わってきた人は、こういうものだと思って、そういう基準でやってきたわけ。ところが、原発がドーンとなって、汚染が噴出したら、基準もガーンと変わってしまうというね。それも一時的な緊急措置ならまだしも、汚染にかんする基準は元に戻っていないわけだから。放射線管理区域から出るときの表面汚染の基準、スクリーニングの基準だね、それは、もともとアルファ線核種以外では1平方センチ当たり4ベクレル以下、カウントで約1300cpmだった。ところが、3・11以降、緊急時ということで40ベクレル、1万3千カウントにして、さらにすぐに10万カウントに引き上げた。で、その年の9月に40ベクレルには戻したけど、それがいまも続いている。3・11以前の基準の10倍。これは意図的でしょう。要するに、もう4ベクレルで管理しようとしても、そこら中が汚染だらけで、対応できないということでしょう。そういう意味で、汚染密度とか濃度ということにはできるだけ触れないで、外部放射線のシーベルトでくくっていると、これは管理しやすい。住民もシーベルトしか測んないから、本当の汚染が高いのか低いのかは分かんない状態なんだよ。もちろん、中心にいてコントロールしている人は分かっているでしょう。放射線管理区域の基準がどうだったかとか、汚染と内部被ばくの問題とか。でも、そういうことには触れないで、20ミリシーベルトという線量で切って解除ということにしている。これは、国による犯罪に近い行為なんだよ。
○なるほどそういう手口だったのですね。
木幡:ただね、国の方には、こういう言い訳があるんじゃないかと思うんだ。つまり、外部被ばくにしても、汚染を内部に取り込んだときの被ばくにしても、結局、シーベルトで統一しているんだからいっしょだと。外部被ばくで1ミリシーベルトを浴びようと、内部被ばくで1ミリシーベルト浴びようと影響は同じだというわけ。ICRP(国際放射線防護委員会)などの考え方なんだけど、外部被ばくでも、内部被ばくや局所的な被ばくでも、体の単位体積での平均的な影響で計算してしまう。でも、これは、私は違うと思うよ。例えば、細い針で皮膚を突いたときと、太い筒で突いたときとでは、痛さ、ダメージは違うでしょ、同じ力で押しても。だから、ECRR(欧州放射線リスク委員会)2010勧告では、内部被ばくは、外部被ばくに対して100倍から1000倍ぐらいリスクが高いと指摘しているよね。だから、原子力規制委員会の見解は、内部被ばくのリスクを非常に軽視したものだと思うよ。
●不安とリスコミ
○ところで、復興加速化方針では、被ばくと健康リスクに関して、住民の不安を取り除くためのリスクコミュニケーションということを言っています。
木幡:そこのところが、一番、頭に来ているんだ。たしかに健康への影響は、すぐに出てくる場合もあるかも知れないけども、すぐには出て来ない方が多い。少なくとも、健康への影響は、「わからないことが多い」というのが正しい知見でしょう。だけど、国の加速化方針は、放射線の健康影響は実際にはないと決めてかかっているよね。で、住民の抱いている「不安」には科学的な根拠はないと。それでも「不安」だというから、そういう人にはリスクコミュニケーションで「不安」を取り除いてあげましょうと。外部被ばくの数字だけを見せておいて、「大丈夫ですよ」「戻れますよ」というやり方はほんとにおかしいよ。これだけの放射能汚染があるよということを情報としてきちんと開示するべきでしょう。それからだよ、戻るかどうかは。もちろんそれをちゃんと理解した上で戻るという選択はあると思うけど。だけど、そのためには、ちゃんとした環境データをつくらないと。放射能は測ればわかるんだから。誰でも計測器があれば測れるんだから。
○国は、今後は個人の線量を把握すると言っていますが。
木幡:個人線量計つけるかどうかじゃないよ。帰還する住民に個人線量計を持たせるとか、それが被ばく対策で帰還促進策だと言っているけど。ガラスバッチを各家庭に配って、3カ月単位で送り返すと。ガラスバッチで積算線量を測るには便利だけど、その最少単位が0.1ミリシーベルトなんだ。だから0.1ミリシーベルト以下は被ばくゼロになってしまうんだ。そんなんじゃなくて、身体汚染とか内部への取り込みとか、汚染拡大なんかを防止することに力を注ぐべきだよ。
●除染の目標は「除染前よりは下げる」
○ところで、木幡さんは除染作業員としてモデル除染からかかわっていますね。また、被災者としてご自宅が除染の対象になっているわけですが。
木幡:うーん、除染ね。除染は必要は必要だよね。住宅の除染はどうしても必要だよね。ただ、やってもダメなところはダメだし、こんなやり方ではやらない方がいいんじゃないかというのもあるよね。屋根はもうやんなくてもいいと思うんだよ。最初の頃は、たしかに、一階より二階の方が線量が高いといったことがあって、やっぱり屋根から来ているということだったけど、今は、もう雨で汚染が流れてしまっているからね。あと苔が生えているような屋根とかは、苔を取ればいい。錆びたトタン屋根とか、そういうのはもう張り替えるしかない。雨樋もあるよね。雨樋なんか取り換えればいい。だけど、今の除染マニュアルでは、取り換えないね。壊れているものがあってもそれをそのままの状態におくんだ。非常に硬直している。それから壁でも、拭き取りによって効果がある材質のものだったら、拭き取りをやればいいだろう。それから洗浄でもいいと思うんだよ。
○洗浄は水の回収の問題があるのでは?
木幡:私も、最初の頃は、洗浄したら、水を回収はどうするんだかと言っていたんだけど、下がコンクリートだったら側溝に堰を作って回収する。それから、土のところでは、流れた水は土に染み込むけど、後で表土を5センチはぎ取る作業をやるから、結局、回収できるんだ。放射性物質は表土にとどまっていているからね。
○そうすると除染の現場で感じている問題は?
木幡:一番の問題は、拭き取りのできない材質のものだな。最悪なのはブロック塀。ワイヤーブラッシでブラッシングしているんだよね。これが最悪。たしかにブロックは多孔質で、放射性物質が付着していてなかなか取れない。だから、ワイヤーブラッシでやったら、ああキレイになったというのはあるかも知れないけど、で、それはどこに行ったのって?飛び散っちゃうんだから。
○それは作業している人にとって非常に危険ですね。
木幡:そう、それを一番心配しているんだよ。
それから、線量が高い場所での除草作業でもそうなんだ。ベーラーと言って、コンバインみたいな機械を運転しながら草を刈っていくわけ。そうすると粉塵がすごい。思わずもう風上に逃げたよ。タイベックを着て、マスクをして、あとタオルを覆ったりしてやってるんだけど。しかも除染作業員は、原発作業員よりも、検査の回数とか少ないんだ。ホールボディーカウンターだって、最初に除染作業に入る前と辞めた後に1回ずつ受けるだけ。例えば、除染作業員を2年やっていたら、その間は受けられない。除染電離則(除染業務における放射線障害を防止する法律)というのはそういうひどい法律なんだよ。
○ところで除染の作業には、数値的な目標や基準はないのですか?
木幡:厳密な意味での基準はないね。
 最初のモデル除染(2011年11月から12年3月)のときは、一応、きつい基準でやってたよ。ゼネコンがそれぞれ独自に目標を掲げて、空間線量率で毎時0.23マイクロシーベルトとか、表面汚染密度で1平方センチ当たり1000カウントとか。でも、環境省がこの間、言ってきたのは、「長期的な目標として追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下」、「2011年8月末と比べて物理的減衰等を含めて約50パーセント減少」〔『除染関係Q&A』環境省〕という目標だよね。でも、「長期的な」と言っている通り、1ミリシーベルトはあくまでも先の先ということでしょう。それから50%減少というけど、「物理的減衰等を含め」というところがミソ。セシウム134の半減期が2年だから、その効果で線量も下がってきているわけ。それから雨や風で流されていったりして下がることもあるし。だから、この3年についていえば、除染をしなくても線量はかなり下がっているんだよね。でもこれから先は、半減期が30年のセシウム137が支配的になるから、なかなか下がらないだろうね。ともかく、こういうことだから、環境省の目標は目標じゃないよ。
○そうすると現場ではどうしているのですか?
木幡:まずは、やってみないとわからないということだな。
 とくに、田畑や家の周囲の山林はとにかくやっているだけという感じ。実際、どうしようもないよね。
○除染して、住宅とその周囲は0.23マイクロシーベルト以下になったけど、住宅から10メートルも山の方に行ったらもう1マイクロシーベルトを超えているというような話がありますが。
木幡:山林や田畑はもうそれ以上、下げることはできないでしょう。スポット的に除染して下げることは可能かも知れないけど、全体では無理だと思う。
○宅地については?
木幡:宅地については、空間線量で見て、除染前よりも線量が高いときに再除染をしているな。除染でかえって汚染を拡散させて、除染後の線量を上げてしまうことだってあるんだよ。とにかく現場では、「除染前よりは下げる」ということでやるしかないんだな。「数字が下がっていることを見せる」というためにやっているという感じだな。何マイクロ以下といった数値目標はないね。結局、先ほどスクリーニングレベルでも言ったけど、1万3千カウントから下げてないんだから。作業者のスクリーニングで、1万カウントの汚染が出たらエライことで、よっぽど特殊なことをやらないとそういうのは出ないんだから。つまり、1万3千カウント、40ベクレルというスクリーニングレベルを基にしたら、そもそも除染なんてする必要もないということになるよね。除染も形だけでいいとなる理由もここにあると思うんだよ。
○ところで、この間、環境省と福島、郡山、相馬、伊達の各市長が会合をもって(4月14日)、除染をめぐる勉強会を初めて、「追加被ばく量年間1ミリシーベルト」という除染の一応の目標を見直し、緩めようという方向で動いていますが。
木幡:結局、除染がうまく行かなくて、それが復興の妨げになっているからって、目標そのものを変えてしまおうというやり方だよね。外部放射線で、追加被ばくが1ミリシーベルトという点については、意見に一定の幅があるところだと思うけど、狙いが、「戻れ、戻れ」というところにあるのが問題だよね。それから、いま話してきたことだけど、外部放射線だけとらえて、いいとか悪いとかという議論に引き込んで、結局、汚染と内部被ばくのリスクという問題から目を逸らさせていることが一番の問題だわな。
●インフラ工事で汚染拡大
○ところで、除染とは違いますが、インフラ復旧工事が、汚染拡散を防止する措置もなく進められています。巨大ダンプがひっきりなしに走ってますね。
木幡:これもね、根本には国が1平方センチ当たり40ベクレルからスクリーニングレベルを下げない以上はどうしようもないんだ。いま帰還困難区域の中を走って来たって、スクリーニングも受けないでそのまま出て来ちゃんだから。一応、受けてくださいとはいっているんだけど、個人の判断になっちゃう。だから、浪江のところのスクリーニング会場の人も暇そうにしているでしょ。国のやり方として、あれは無責任極まりないよ。警戒区域にしているときは、必ずやっていたんだよ。状況は変わってないんだから、本当はそういう管理をしないといけない。汚染が出たらどうするのか、公共の除染場もつくらないといけない。ただ、1平方センチあたり40ベクレルの汚染なんて、基準が緩すぎてほとんど出ることはない。だから形だけになっちゃう。そういう緩い基準で住民が慣れてしまうのを待っているようなもんだよね。だから汚染は拡散しっぱなしだ。
○そういう状態をどう見ていますか?
木幡:チェルノブイリの場合、食品の汚染が大きな問題になっているよね。汚染していると分かっているけど、貧しいから野生のキノコを食うしかないとか、野イチゴを食べるとか。そういうことで相当長いこと内部被ばくが続いている。日本では、現在のところでは、いろいろな取り組みもあって、一応、食品に関しては、そういう状況にはないだろうと思うけど。しかし、空気中のダストはわかんないよ。逆にチェルノブイリよりもひどいかもしれない。「除染だ、インフラだ」っていじって、余計に粉塵が舞い上がっちゃっている。そういう感じがするぐらい杜撰だよね。これが後々どういう影響がでるかが心配だよ。
●「戻らない」選択と「戻る」選択
○お話を伺っていると、空間線量だけを見て、戻るかどうかの議論や判断が行われていることに問題があると。つまり、汚染の実態ということを見ると、厳然と健康被害のリスクがあるというご指摘ですね。
木幡:そういうことだな。外部放射線だけでは、いいとも悪いともいえないところだと思うんだよ。ただ、そこで生活するという選択をする場合、やはり内部被ばくが問題になるわけでしょ。 そのリスクはあるんだから。だから、「戻りたい」という人たちの話の前に、そんな線量ではとても「戻れない」という人、とくに若い人、子育て世代、こういう人たちの選択があると思う。そういう選択の人たちを守っていく必要が絶対にあると思う。そういう人たちに対して、「じゃあ、帰んなくていいよ。その代り補償は打ち切るからね」なんていうやり方は絶対にしたらいけないよ。で、早く帰還する人には賠償を上乗せするなんて言ってるけど、そんなことをするんじゃなくて、むしろ賠償は、帰って来れない人がこれから生計を立てていくために使うべきでしょう。その上で、私自身は、戻ろうと思っているんだけどね。
○では翻って、「戻る」という住民にとっては、何が必要だと考えていますか?
木幡:木村真三さんの本(『「放射能汚染地図」の今』)を読むと、志田名(しだみょう:いわき市北部のホットスポット 本サイトの記事参照)の除染の話が出てくる。住民が出してくる意見にはかなり鋭いものがあって、そういう意見を取り入れながら進めたということがよくわかる。住民はその土地のことを良く知っているわけだからね。こういうやり方がやっぱり正しいんだと思うよ。もっとも、小高や浪江では、なかなかこうはいかないだろうね。志田名は小さい集落だからまとまれたかも知れないけど、やっぱり広いと簡単じゃない。それから、志田名の場合、そこに生活していたからできたんだと思う。小高や浪江は、避難しちゃってバラバラになっている。だから、いろいろ呼びかけても、それっきりになっちゃって、なかなか立ち上がって来ないわけね。だから、私としては、とりあえず、いま国でやっている除染は除染として一通り終わらせる。その後、帰還する人たちで、空間線量ももちろんだけど、土壌、空気中ダスト、水、食品、植物、動物などの環境モニタリングを詳細にやる必要があるでしょう。で、それに踏まえて、生活の中で、どうやったら内部被ばくを低減できるかという取り組みを具体的に詰めて行うことが必要だと思う。あるいはまた電離検診も義務付ける必要があるよね。それから、住民が調べた結果、まだ除染が必要だと判断すれば再除染を要請するとか。そういったことを町づくりというか町の再建の一環として、はじめていくということかなと考えている。それを住民の手でやっていくことが大切なんじゃないかと思う。
○住民が主体になる必要があると。
木幡:そう、だから、国には、避難解除をするならするんでいいけど、解除して終わりじゃなくて、それからやることがいろいろいっぱいあるだろって言っているんだよ。でも、今の政府のやり方は、除染のやり方でも解除の決め方でもそうだけど、住民の様子を見ながら、結局、自分たちの方に責任が来ないようにという動きをしているよね。自分たちが責任をとって率先してやろうとはまずしない。住民への説明会なんかでも、環境省の本体の人間なんて見たことがない。どっかのコンサルタント会社に雇われた地元の人間が出てくる感じ。
●いま変わらなくて、いつ変わる
○木幡さんは、2011年3月11日にまさに福島第一原発にいたわけですが、今日のお話しから、やはり3・11を経て、考え方に大きな転換があったといっていいでしょうか。その点を最後に聞かせて下さい。
木幡:そう、建屋の中にはいなかったけど、構内にね。30年以上、福島原発をメインにやってきたから。3・11以降もしばらく収束作業に入っていたし。長く原発に関わってきただけに、全電源停止で水素爆発を起こすのを見て、痛切に反省をさせられた。自分自身、いかに、現代の科学技術文明にどっぷりと浸りきっていたんだって。津波の凄まじさとか、原発メルトダウンとか、科学技術文明に頼りすぎてきたことへの、自然の側からのしっぺ返しのような気がしたんだ。だから、これまでの日本人のライフスタイルの総点検とか、日本の進路の総点検ということを、一人ひとりが考えなければならないと思うんだ。そういう意味で、日本人のあり方とか、日本の社会のあり方そのものが重なって問題になっていると思うんだよね。そんなことを、高木仁三郎を読んだりして考えたね。
○ところが、政府の方では、原発の再稼働と増設を打ち出した『エネルギー基本計画』を閣議決定しました(4月11日)。また、修正過程では原発事故への「深い反省」が一旦削除されました。
木幡:もう、怒り心頭だよね。国は、これまでの考え方を何も変えていない。何も反省していない。そして事故や被害はもう忘却の彼方にだよね。まあ、この流れはこの間、ずっと見えていたことだから今さら驚かないけど。結局、国がそういう態度なら、国民の側から転換をつくり出していかないとね。どうしたら転換していけるか、そこが問われていると思うよ。そういう問題意識を持っている人がいま結構多くなっていると思うよ。新聞の投稿なんかでも、「明治維新でも変わらなかった。終戦でも変わらなかった。いま変わらなくていつ変わるんだ」って。本当にそういうことだと思うんだ。
<管理区域の設定基準>
 以下の基準を超えるおそれのある場所について管理区域に設定すると電離則などの法律〔※〕で定められている。〔※放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則、人事院規則一〇一五、電離放射線障害防止規則、経産省告示第百八十七号など〕
①外部放射線に係る線量については、実効線量が3月あたり1.3mSv
②空気中の放射性物質の濃度については、3月についての平均濃度が空気中濃度限度の10分の1
③放射性物質によって汚染される物の表面の放射性物質の密度については、表面汚染密度(α線を放出するもの:4Bq/cm2、α線を放出しないもの:40Bq/cm2)の10分の1
④外部放射線による外部被ばくと空気中の放射性物質の吸入による内部被ばくが複合するおそれのある場合は、線量と放射能濃度のそれぞれの基準値に対する比の和が1

*5-2:http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-458940.html (琉球新報社説 2017年3月11日) 東日本大震災6年 避難者支援さらに拡充を
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から6年となった。被災地以外で震災報道が少なくなったと懸念する声を聞く。社会が関心を失う中で、被災者に対する偏見が広がっていることを憂慮する。福島第1原発事故で福島県から横浜市に自主避難した男子生徒へのいじめ問題が一つの例だ。復興に向けて生活再建が進む一方、古里に戻りたくても戻れず苦悩している人々がいることを忘れてはならない。私たちに何ができるかを考え、共に歩みたい。東日本大震災で故郷を離れ、プレハブ仮設住宅や賃貸住宅、親族宅などに身を寄せる避難者は全国で12万3千人に上る。阪神大震災では約5年で仮設住宅がなくなったのに対し、岩手、宮城、福島の被災3県では1月末現在で1万8千戸に入居者がいて、仮設生活の解消も見通せない。沖縄県内への避難者数は598人(1月現在)。県別では福島県が419人と最も多く、宮城県92人、岩手県3人。ピーク時の約半数に減った。県が2016年11~12月に県内避難者を対象に実施したアンケート結果によると、88%が今後の生活について「避難を継続」「県内に定住する」と答え、沖縄で県内の生活を望む避難者が大多数であることが明らかになった。中には経済的な理由で戻れない人もいる。福島原発事故で避難区域外から避難した自主避難者に対する住宅無償提供がことし3月で打ち切られる。支援打ち切りは避難者の生活を直撃する。県内への避難者は子どものいる世帯の割合が高く、二重生活の長期化で経済的不安を抱える世帯も多い。県は新たな補助制度を設けているが、さらに支援を拡充してほしい。避難者は国の原発政策が招いた事故の被害者である。当然ながら国は、被災者の生活安定に責任を持つべきだ。一方、横浜市に自主避難した男子生徒へのいじめ問題が発覚した昨年11月以降、全国各地で同様のケースが存在することが明らかになった。横浜市の男子生徒は名前に「菌」を付けて呼ばれていた。教育現場で被災地や避難者の現状を伝え、放射線について科学的な知識を教える必要がある。同時に社会が関心を持たなければ、偏見はなくならない。大人の責任でもある。

*5-3:http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/cntcolumn/15/00012/00009/?n_cid=nbpncr_twbn (日経BP社 2017年2月20日) 原発事故から4年後の難関、カバー解体、1号機原子炉建屋カバー工事編(第5回)
 時の流れは早い。福島第一原発1号機原子炉建屋の最上階(オペレーティングフロア)に残ったがれきの撤去に手を付けるため、4年間にわたって建屋を覆っていたカバーの解体が始まった。清水建設はカバーの建設に引き続き、工事を担う(以下、敬称略。肩書きや組織名は、特記以外は2016年2月時点)。清水建設生産技術本部の印藤正裕本部長(2011年12月時点)らが知恵を絞って計画した建屋カバーが完成してから、約4年後の15年7月28日。東京電力福島第一原子力発電所では、役割を終えたカバーの解体が始まった。放射性物質が付着した粉じんが作業時に舞い上がるのを防ぐため、建屋カバーの内側に眠るがれきに飛散防止剤を「これでもか」と吹き付けてから、最初のステップである屋根パネルの撤去を始める。建設時と同様に、風が弱まる早朝を狙う。750t吊りクローラークレーンを操って「自動玉掛け装置」を吊り込み、全長40mもの大きさの屋根パネルを取り外す算段だ。クレーンは、カバーの組み立てに使用した機体と同じもの。操作を担当するオペレーターの技能とマシンが一体となり、一つ目のパネルが無事に外れた。「その瞬間、現場には感動が広がった」。解体工事を指揮する清水建設JVの砂山智所長は、その時の現場の様子をこのように振り返る。カバー解体の第一段階である屋根パネル6枚の取り外しはその後も順調に進み、同年10月5日に終了した。

*5-4:http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2016/03/post_13557.html (福島民報 2017年2月22日) 東日本大震災 「福島第一原発事故」アーカイブ2016/3/31分、31日「凍土遮水壁」運用開始 第一原発汚染水対策規制委が認可
 東京電力は31日、福島第一原発の建屋への汚染水流入を抑制する「凍土遮水壁」の運用を開始する。原子力規制委員会が30日の会合で、建屋海側(東側)などの先行凍結を認可した。東電は工程を3つに分けており、規制委が認めたのは工程の第1段階。建屋の周囲約1・5キロを取り囲む凍土壁全体のうち、海側全面(690メートル)と山側(860メートル)の大部分が対象。効果は1~2カ月程度で表れるとみている。東電は山側の残りの部分(7カ所、計45メートル)についても今後、実施計画を申請する。凍土壁全体の凍結が完了するまでには8カ月かかる見込み。31日は昼ごろ、凍結を始める。規制委の田中俊一委員長(福島市出身)は会合で「建屋への流入水を減らすのが本質的な解決ではない。最終的には建屋の水を枯らす必要があり、今後の道筋に向けデータを取ってほしい」と注文した。凍土壁は1~4号機を取り囲むように埋めた配管に冷却材を循環させて地盤を凍らせ、建屋に入り込む地下水を遮って汚染水の増加を抑える。しかし、建屋周囲の地下水位が下がり過ぎると、建屋内の汚染水の水位と逆転し、汚染水が地中に漏れ出す恐れがある。地下水位が下がり過ぎた場合、凍結中止や建屋周辺の井戸への注水で対応する。凍土壁の建設には約350億円の国費が投入され、平成26年6月に着工し、先月設備工事が終わった。
■最後のステップ 経産副大臣
 高木陽介経済産業副大臣は、いわき市で開かれた政府、東電による廃炉・汚染水対策現地調整会議後、「地下水バイパス、サブドレン計画実施、海側遮水壁とさまざまな汚染水対策を行ってきた。(凍土遮水壁は)最後の大きなステップ」と述べた。東電の増田尚宏福島第一廃炉推進カンパニー最高責任者は「決して運用を間違うことがないよう取り組む」と語った。

*5-5:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201702/CK2017021002000259.html (東京新聞 2017年2月10日) 福島2号機、格納容器内の高線量確実 カメラ2時間で故障
 東京電力が九日、福島第一原発2号機の原子炉格納容器内に堆積物除去ロボットを投入して実施した調査で、空間放射線量が毎時六五〇シーベルトと推定された。一月下旬の前回調査の推計五三〇シーベルトを上回る過去最高値。政府内では前回調査を疑問視する意見が少なくなかった。画像の解析によるもので、線量計で測定しておらず、大きな誤差がある可能性があるためだ。また圧力容器の真下付近の線量が最も高くなるとみられるが、二〇シーベルトとされた。信頼性が揺らいでいるとして、数値の公表に慎重な意見もあった。しかし、今回の調査でも高い線量が推計されたことで、誤差を考慮しても格納容器内が数百シーベルトという高線量であることはほぼ確実となった。堆積物の除去作業は九日午前に始まり、約二時間後、ロボットに搭載したカメラの映像が暗くなる不具合が発生して中断した。東電は「カメラは一〇〇〇シーベルトに耐えられるが二時間で壊れた。五〇〇~六〇〇シーベルトはおおむね正しいと思う」としている。

*5-6:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/condition/list/CK2017021802000147.html (東京新聞 2017年2月18日) 【福島第一原発の現状】自走ロボ調査は失敗
 東京電力は福島第一原発2号機の原子炉格納容器内に、サソリ型の自走ロボットを投入したが、圧力容器下の足場にたどり着けなかった。途中、レール上の堆積物で動けなくなった。回収も断念して内部に放置。調査は失敗に終わった。一月下旬からの予備調査では、溶融した核燃料(デブリ)の熱で溶けたとみられる穴が圧力容器下の鉄製の足場で見つかった。格納容器内で最大毎時六五〇シーベルト(推定)を計測。ロボットが圧力容器下まで行ければ、デブリの状況をもっと詳しく確認できる可能性があった。デブリを取り出すためには、まだまだ情報が不足している。今回のロボット調査が失敗したことで、東電は新たなロボット開発など調査方法の練り直しを迫られる。


PS(2017年3月12日追加):*6のように、九電が玄海町と唐津市鎮西町・肥前町・呼子町を全戸訪問して“丁寧な”コミュニケーションをしたそうだが、いつもの紋切り型の説明にすぎないと思われる。何故なら、「丁寧な」とは、言葉が丁重でお辞儀が深いことを意味するだけで、内容が変わるわけではないからだ。また、「肯定的意見が約7割」というのは、わざわざ訪ねてきた九電職員の前で否定的な意見は言いにくく、もし否定的な意見を言えば、「停電してもいいのか」「ここの家の電気を止めたい」などと脅迫されるからであり、この全戸訪問は再稼働の説明と原発再稼働を推進する与党議員の選挙運動を兼ねたものにすぎないだろう。しかし、鎮西町や肥前町には「近所の娘さんが白血病になった」という話や、呼子には「海藻が少くなった」などの実体験があるのだ。

*6:http://qbiz.jp/article/105387/1/ (西日本新聞 2017年3月12日) 九電が全戸訪問、58%で面会 再稼働へ玄海町や唐津市
 九州電力は10日、佐賀県玄海町の玄海原発再稼働を巡り、同町と一部が原発5キロ圏に入る同県唐津市の鎮西町、肥前町、呼子町の全戸を2月に訪問し、約58%に当たる4347戸で住民に面会して安全対策を説明したと発表した。全戸訪問は玄海町では2013年以来約3年半ぶり。唐津市では初めて。玄海町は1569戸のうち約63%の991戸で面会、唐津市では5905戸のうち約57%の3356戸で面会できたという。住民からは約2300件の意見が寄せられ、再稼働、原発の必要性、安全性に関する意見が約1300件。肯定的意見が約7割、慎重な意見と反対意見が約2割、賛否が判別しにくい意見が約1割だったという。避難に関しては約300件あり、約6割が不安を訴える内容だった。九電は「今後は面会できていない世帯を数カ月で訪問し、丁寧なコミュニケーション活動を続けたい」としている。


PS(2017年3月14日追加):西日本新聞が*7の記事を掲載しているが、佐賀県の第三者委で意見表明した26人のうち女性は6人で23%、男性は20人で77%であり、女性は1/3に満たない。そして、原発再稼働について、女性は反対4人・容認2人、男性は賛成9人・容認5人・反対6人と、食品の安全性や環境汚染に敏感な女性の方が反対が多いのである。
 その食品の生産者である農業者は、4人のうち伊万里農協の岩永組合長が明確に再稼働反対を表明し、唐津農協の堤組合長は反対しているものの最大の心配事は原発事故ではなく風評被害で、佐賀県農協の金原組合長は再稼働に賛成しており、食品製造者として情けない。これなら、原発のないオーストラリア産牛肉の方が、安い上に脂肪が少なく、人工の放射性物質を含まないため、安全でよいと思う。また、漁業者のうち男性である佐賀県有明海漁協の徳永組合長は再稼働容認で、女性である佐賀県漁協女性部の西村連合会長は言いにくそうに再稼働に反対している。また、佐賀県森林組合連合会の福島会長は纏めるのが難しかったとしながら容認しているが、農林漁業は太陽光・風力・バイオマスなどの自然再生可能エネルギーによる発電機器を設置できる場所が多く、自らが発電者になり得るので、流されることなく、自然再生可能エネルギーで発電するための補助を求めた方が有益だと考える。
 なお、佐賀県中小企業団体中央会の内田会長の「安全性が確保されたら再稼働もやむを得ない」「原発以外に石油、天然ガスのほか、風力・太陽光といった再生エネルギーが考えられるが、生産コストが割高で、中小企業の経営の圧迫に繋がる」等というのは、メディアで宣伝されている自然再生可能エネルギー高コスト論そのままだが、すべての専門家が「原発に100%の安全はない」としている上、私がこのブログの「原発」「資源・エネルギー」「環境」の項目で証拠をつけて述べてきたとおり、世界の自然再生可能エネルギーのコストは原発より安くなっている。

*7:http://qbiz.jp/article/105484/1/ (西日本新聞 2017年3月14日) 賛否両論さまざま 玄海原発再稼働 第三者委
 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働について有識者らの意見を聞く県の「第三者委員会」(会長・副島良彦副知事)第3回会合では13日、委員から賛否さまざまな意見が出た。県は委員会としての結論は求めず、山口祥義知事が再稼働に同意するかどうかの判断に役立てるとしているが、委員会を今回で終了させることに異論も相次いだ。県は委員会の中に原子力や地震分野の学識者7人による専門部会を設けており、今月中にも最終会合を開いて報告書をまとめる予定。13日の会合の主な意見は次の通り。
①堤武彦・唐津農協組合長 国が示す新しい対策は、それぞれの分野で格段に安全対策が強化され評価している。ただ、最大の心配事である風評被害についての新たな対策強化は聞いていない。このような中では再稼働に賛成とは言い難い。
②岩永康則・伊万里市農協組合長 原則は「第二の福島をつくらない」ということ。東北、近畿、九州でも原発事故が起きたら「日本の農産物は食べられない」と世界で議論される。原発をゼロにして国民が負担を強いられるとしても、納得はできると思う。
③家永美子・JA県女性組織協議会長 佐賀は農業県で、一度事故が起きると1次産業は壊滅的被害を受ける。再稼働についての説明は、資源エネルギー庁だけでなく環境省や国土交通省、農林水産省からもあるべきだった。農業団体としてはもう少し考えてもらいたい。
④徳永重昭・県有明海漁協組合長 ノリ養殖は冷凍網や加工などあらゆる面で電力が必要。原発事故が起きてから化石燃料に頼りすぎ、温暖化が加速する傾向がある。将来的には原発廃止の方向に進むべきだと思うが、再生エネルギーで電力に余裕が出るまでは頼らざるをえない。
⑤西村陽子・県漁協女性部連合会長 福島原発事故の現地視察で見た光景が今も鮮明に浮かぶ。佐賀県の主幹産業はノリ。熊本でも地震があった。佐賀でないとは言えない。再稼働した場合、地震がないか心配だ。専門部会委員との話し合いの場も設けてほしい。
⑥福島光洋・県森林組合連合会長 組合で統一した意見をまとめるのは難しかった。将来は、原発や化石燃料よりも再生エネルギーにシフトしてほしい。原発は安全の上に安全を重ねて、再稼働するよう努力してもらいたい。
⑦内田健・県中小企業団体中央会長 安全性が確保されたら再稼働もやむを得ないと考えている。原発以外に石油、天然ガスのほか、風力・太陽光といった再生エネルギーが考えられるが、生産コストが割高で、中小企業の経営の圧迫につながる。
⑧青柳直・連合佐賀会長 現場を抱える九電労組があり、賛成も反対もある。企業の生産活動には安定したエネルギー供給が欠かせない。単価が上がれば企業に影響を与える。新規制基準をクリアし、地元同意が得られたら再稼働やむなしと判断している。
⑨松永宣子・県老人福祉施設協議会長 会員の中に賛否はあるが、容認が多い。原発5キロ圏内の施設長から話を聞くと、玄海原発は安全性も配慮され、テロなどがない限り事故は起きない、と言っているので信じたいが、入所者の安全を考えて避難計画を立てている。
⑩岩本諭・佐賀消費者フォーラム理事長 県は、原発から30キロ圏という距離にこだわらず、安全確保のために努力する姿勢を示してほしい。化石燃料を使うから電気料金を値上げしたのなら、再稼働したら料金を下げる必要がある。県は九電と向き合う際に把握しておいてほしい。
⑪柳瀬映二・県平和運動センター事務局長 いち早く原発をやめ、子どもが安心でき、豊かな自然を残し続けることを考えなければいけない。再稼働と避難計画は車の両輪だが、避難計画の説明は不十分なままだ。電気は足りている。県は再稼働しない判断をしてほしい。
⑫飯盛康登・県商工会連合会長 新規制基準に適合していると判断したのであれば、玄海原発の再稼働をお願いしたい。小規模事業者は経営が圧迫され、大変であると分かっていただきたい。エネルギー政策は、国が中長期的な政策を示してほしい。
⑬池田秀夫・県医師会長 災害発生時の医療体制を最優先に考えてほしい。住民への安定ヨウ素剤事前配布はもちろん、被災時の情報の正確かつ迅速な開示、入院・在宅患者の搬送、避難患者の受け入れなどの態勢づくりが再稼働の前提条件だ。
⑭寺尾隆治・県歯科医師会長 自分たちは専門家ではないが、専門部会のメンバーが十分に審議したと思う。安全面について最善の注意を払って頂けるならば、原発再稼働に反対するものではない。
⑮佛坂浩・県薬剤師会長 事故時の健康被害防止や避難時の医療充実のため安定ヨウ素剤の事前配布と講習、適切な服用方法の周知徹底をしてほしい。安全確保が担保されれば再稼働に反対しない。ただし、原発依存度を低減させ代替エネルギー施策を講じてほしい。
⑯三根哲子・県看護協会長 看護職は原発事故の時、被ばく者に最初に対応する職業の一つで、必然的に被ばく者になる。国は環境問題改善(温暖化防止対策)のためであっても、原発再稼働を国民に強いてはいけない。県は県民の命と安全な暮らしを守るため再稼働を認めない判断が必要。
⑰北野修・県労働組合総連合議長 原発は100%安全と言えない。使用済み核燃料は安全保管できず、核燃料サイクルも破綻している。住民説明会でも反対意見しかなかったことを踏まえ、山口知事には原発再稼働反対を表明してもらいたい。
⑱藤岡康彦・県介護老人保健施設協会長 原発をコントロールできない現状では再稼働は反対。それでも玄海原発を再稼働するのであれば避難計画を早急に見直し実効性のあるものにしてほしい。これまでの計画は机上の考えで、介護現場の現状を理解していない。
⑲松尾義幸・県障害者社会参加推進協議会長 再稼働について、もう(手続きが)進んでおり、いろいろ申し上げることはない。30キロ圏内の避難計画について再度の配慮をお願いしたい。
⑳山田浩史・県連合青年団事務局長 分かりやすい言葉で県の方向性を示してほしい。国の意向は無視しても構わない。県は委員会を(今後も)やるべきだ。(再稼働を)決めるのは誰か分からないが、決めた人が責任を持つべきだ。
【欠席した9人のうち、次の6人は書面で意見陳述した。3人は後日提出する】
①金原寿秀・県農協組合長 代替エネルギーが確保できないうちに原発を止めれば電気代も上がり産業や生活に大きな影響が出る。廃炉には多額の費用が掛かり、それを捻出するためにも、今ある原発は高い安全性が確認できれば動かしていくべきだ。
②井田出海・県商工会議所連合会長 福島原発事故の反省を踏まえ、厳格な規制基準が設けられ、行政も電力会社も緊張感を持っているので、事故時も適切な対応がなされると思う。日本の経済力を維持し、生活水準を落とさないために原発は必要だ。
③枝吉真喜子・佐賀商工会議所女性会長 住民説明会の参加者が少なかったのは県の姿勢に期待が持てず、形だけのスケジュールを消化していると住民が思っているからではないか。山口知事は再稼働容認方針だが、少なくとも30キロ圏内の住民に丁寧な説明をする責任がある。
④村岡安広・佐賀経済同友会代表幹事 県内産業界のほとんどの人が、早期の再稼働をお願いしたいということであると理解している。私も同じように思っている。
⑤三苫紀美子・県地域婦人連絡協議会長 安全が保証されない限り再稼働には賛成できない。
⑥工藤和彦・原子力安全専門部会長 原発についての個人的な見解としては「100%の安全はない」との意識を常に持って、安全性向上へ不断に取り組んでいくことが必要だと考える。


PS(2017年3月14日追加):*8の関西弁の万博資料は、関西人はこの程度だとして関西人を侮辱しており、「万博はゴチャゴチャを解決する場」というのも論理が通らず、これを書いた人の頭がゴチャゴチャなのだと思われる。また、「主なゴチャゴチャは精神疾患だ」というのは、病気はゴチャゴチャな状態だと言うのと同じで、これを書いた人は、知識も見識もなく差別意識のみがあり、レベルが低いことがわかる。経産省がこれでは、エネルギーに関する簡単な問題も必要以上に複雑にして、解決困難になるわけだ。

*8:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017031402000247.html (東京新聞 2017年3月14日) 「ゴチャゴチャ解決の場 例えば精神疾患」 万博資料、経産相「不適切」
 世耕弘成(せこうひろしげ)経済産業相は十四日の閣議後会見で、経済産業省が二〇二五年国際博覧会(万博)を大阪に誘致するため十三日に公表した報告書案の関西弁版が「不適切だった」と陳謝し撤回した。関西弁版では万博を「人類共通のゴチャゴチャを解決する方法を提言する場」と表現し、「例えばやな、精神疾患」などと記載していた。世耕氏は「関西弁版(の作成)はまったく報告を受けていなかったし、不適切な表現が入っていた」と話した。担当者は、関西人にも親しみを持ってもらいたかったと作成の理由を話しているというが、世耕氏は「関西人の私が見ても、親しみは持てなかった」と語った。資料は十三日に大阪市内で開かれた有識者会合で配られ、経産省のホームページにも掲載された。正式な報告書案は「いのち輝く未来社会のデザイン」として、二五年五月三日から十一月三日に大阪湾沿岸部の人工島「夢洲(ゆめしま)」で開催する内容。万博を「人類共通の課題の解決に向けたアイデアを発信し、異なる知と知が融合することで新たなアイデアが生まれる場」としている。経産省は報告書案に加え、「試作品」として関西弁版も添付した。万博は「ゴチャゴチャを解決する場」で、「主なゴチャゴチャの例」として正式な報告書案になかった「例えばやな、精神疾患」などを追加。冒頭に「こんな言い方せーへんとか、細かいこと言わんといてな。とにかく大目にみてくれると助かるわ」と書いていた。


PS(2017年3月15日追加):*9のように、1kg当たり5,000~8,000ベクレル以下の膨大な量の除染土を、日本全国の公共工事で再利用するのが既定路線のようだが、数世帯が放射線量の高い地域にある家に帰る意欲を持つために放射性廃棄物を日本全国にばら撒くのではなく、それらの人々に補償して移住を進めるのが筋だ。何故なら、フクイチ事故以前は、100ベクレル以上の放射性廃棄物は、再利用などせずにドラム缶で厳重に保管してきたのであり、放射性廃棄物は閉じ込めるのが原則であって、ばら撒くのは論外だからだ。
 フクイチ事故後は大量の放射性廃棄物が出たが、それを日本全国にばら撒けば厳重に管理できるわけがないため、一か所に集めて厳重に管理する必要がある(★)。その一か所は、5,000~8,000ベクレル以上の土壌になっている帰還困難区域の埋め立てや防潮堤建設、海岸防災林や高速道路工事であり、それでも分量が多いのでコンクリートでしっかりした枠を作って、環境と遮断すべきだ。そうすれば、そのような場所でも、自然再生可能エネルギーによる発電地帯や自然公園にはできる。
 なお、日本では、既に放射性廃棄物を焼却してセメントの材料などにしているが、これでは新しいマンションや新築の家を安心して購入することはできない。

★大量の放射性廃棄物を日本全国にばら撒けば、①全国で心疾患や癌が増えて平均寿命が短くなり、年金財政にはプラスである ②全国で増える心疾患や癌の増加原因をフクイチ事故と特定できなくなり、「日本人の食習慣が変わったから」「人口が高齢化したから」など他の理由をつけることが可能になる 等の効果があるため、放射性廃棄物のばら撒きは、これらが目的の悪魔の政策ではないか?

*9:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/413609 (佐賀新聞 2017年3月14日) 除染土、再利用実証試験へ 福島原発事故で環境省、住民理解、ハードル高く
 東京電力福島第1原発事故に伴う福島県内の除染で生じた土を全国の公共工事で再利用するため、環境省は4月にも除染土で盛り土を作って放射線量を測る実証試験を同県南相馬市で本格的に始める。安全性を確認した上で再利用につなげたい考えだが、再利用先の周辺住民の理解が得られるかどうかは見通せない。環境省は昨年6月、管理責任が明確で、長期間掘り返されることがない道路などの公共工事に限定し、放射性セシウム濃度が基準以下となった除染土を再利用する方針を決定。工事中の作業員や周辺住民の被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下となるよう、1キログラム当たり5千~8千ベクレル以下に設定した。さらに土やコンクリートで覆い工事終了後の住民の被ばく線量を年間0・01ミリシーベルト以下に抑える。昨年7月に避難指示が解除された同市小高区の「東部仮置き場」。柵で囲まれた広大な敷地に除染土が詰まった黒い袋が大量に積み重なっていた。その一角にある盛り土の予定地付近には重機が並び、「再生資材化プラント」では放射性物質の飛散を防ぐテントの建設作業が進んでいる。実証試験は、仮置き場に保管された平均値で1キログラム当たり2千ベクレル程度と推計される除染土約千立方メートルを使う。分別して品質調整した除染土を遮蔽(しゃへい)のため別の土で覆って盛り土を作る。放射線量や浸出水の放射性物質濃度を測り、風雨の影響がどの程度あるか調べる。「目の前の仮置き場にいつまでも黒い袋があるから、家に帰る意欲がそがれる。袋が減るなら再利用も仕方ない」。避難先から東部仮置き場近くの自宅に戻っていた男性(68)は悩ましげだ。福島県内の除染廃棄物の量は、最大で東京ドーム18杯分に当たる2200万立方メートルに上ると推計される。中間貯蔵施設(同県双葉町、大熊町)で保管後、県外で最終処分する予定だが、全てを処理するのは難しいため、再利用で量を減らすのが環境省の狙いだ。南相馬市の担当者は「大量の土を中間貯蔵施設へ輸送するだけでは、仮置き場の解消に長い年月がかかる」と説明。市は仮置き場の早期解消のため、比較的濃度の低い除染土について、市内の海岸防災林や高速道路の工事での再利用の可能性を探っている。ただ、再利用先の住民が放射性物質への不安から、受け入れに反発することも予想される。男性も「除染土が流出したり、飛散したりしないかが心配だ。責任を持って管理してもらわないといけない」と懸念する。福島県外では、住民理解のハードルがさらに上がるのは必至。これまでの環境省の有識者検討会では、専門家から「県外での再利用は簡単ではない」「技術開発を進めても、実際の再利用先がなければ意味がない」との意見も上がった。環境省は実証試験前に仮置き場周辺の住民への説明会を開いており、現場の見学会も開く予定。担当者は「実証試験で安全に管理する方法を検証し、住民に理解してもらえるようにしたい」と話している。


PS(2017年3月16日追加):*10-1のように、原発事故の際には玄海町と同じリスクに晒され、避難に協力もしなければならない周辺自治体に原発再稼働に関する同意権がなく、“原発の地元”は玄海町と佐賀県だけというのはフクイチ事故の教訓を考慮していないため、周辺自治体から不満が出るのは当然だ。なお、参加者の「100%安全と言わないのに、なぜ再稼働をするのか。もっと環境に優しいエネルギーがあるはずだ」「事故が起きたときの生活の補償はどうなっているのか」などの質問はもっともだ。そして、この付近には潮流発電や風力発電の適地が多く、*10-2のように、鷹島には海岸の入江を締め切った海中ダムがあり、低層の貯留水を海へ放流しているので、その放流口に発電機をとりつければ、給水だけでなく発電もできそうだ。

   
 玄海原発30km圏内     玄海原発        鷹島での説明会    鷹島の海中ダム     
               2017.3.16西日本新聞

*10-1:http://qbiz.jp/article/105657/1/ (西日本新聞 2017年3月16日) 玄海原発「再稼働ならデモも」 長崎・鷹島、「同意」対象外に不満 県外説明会
 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働を巡り、長崎県は15日夜、原発から最短8・3キロの離島、同県松浦市鷹島町で国と九電による住民説明会を開いた。同原発から30キロ圏内の自治体のうち、佐賀県以外で説明会が開かれたのは初めて。安全性への不安を訴える声が相次いだほか、事実上、立地自治体の玄海町と佐賀県に限られる「地元同意」について不満の声が出た。説明会には島民を中心に約80人が参加。国や九電の担当者は審査概要や安全対策などを説明した。質問に立った男性は「立地する町と県の同意があれば再稼働するという話だ。再稼働を前提にした説明会ではないか。玄海町に近い私たちの声は届かないのか」と怒りを込めた。新松浦漁協の志水正司組合長(69)は「再稼働には漁業者の9割が反対している。漁民の声を無視して再稼働するのなら海上デモも辞さない」と声を荒らげた。説明会は予定の2時間を超えた。終了後、友広郁洋市長は記者団に「周辺自治体には説明のみではなく、再稼働の了解を得る制度をつくるよう、国に要請していきたい」と語った。長崎県内では21日まで、30キロ圏内の佐世保市や平戸市、壱岐市でも説明会が開かれる。玄海原発をめぐっては、玄海町の岸本英雄町長が7日に「同意」を表明。焦点は佐賀県の山口祥義知事の判断となっている。
●避難路への不安消えず 陸路は佐賀に向かう橋のみ
 佐賀県玄海町の九州電力玄海原発の再稼働に向け、長崎県松浦市鷹島町で15日に開かれた住民説明会。再稼働の是非を判断する「地元同意」がないことへの批判のほかに、原発事故が起きた場合の避難ルートのぜい弱さを指摘する意見も出た。難解な専門用語が飛び交う説明会に参加者からは戸惑う声もあった。会場となった鷹島スポーツ・文化交流センターには市民約80人が集まった。鷹島は、原発から最も近い場所で約8キロしか離れていない。島全体が30キロ圏内に入り、原発事故時の避難は島外への脱出が必要となる。だが、陸路の避難は原発のある佐賀県側に、いったん入る形の「鷹島肥前大橋」を通過するルートしかない。質疑に立った参加者からは「(避難ルートが1本だけでは)橋が渋滞してしまう。どのような対応をするのか」との意見が出た。国の担当者は「佐賀、長崎両県と話し合っていく」と述べるにとどめた。その後、「風向きによっては鷹島に放射性物質が飛んでくることもあり得る。そうなった場合に、島民が避難できると考えているのか」と国などに訴える参加者もいた。立地自治体の玄海町と佐賀県のみの「地元同意」についても、松浦市にも同意権を与えるように求める声が上がった。だが、九電側からは容認する答弁はなかった。参加者の1人は「100%安全と言わないのに、なぜ再稼働をするのか。もっと環境に優しいエネルギーがあるはずだ」と疑問を呈していた。また、女性の参加者は「事故が起きたときの生活の補償はどうなっているのか」など、事故後の生活を懸念する声もあった。主催する県では、16日以降も県北4会場で説明会を開く。ただ、その後に再度、説明会を開く予定はないという。

*10-2:http://www.wec.or.jp/library/100selection/content/takashimadam.html 鷹島海中ダム、長崎県鷹島町
鷹島は、九州の西北端・玄界灘に面した南北13kmの島です。本地区は、本土に比べて降雨が少なく、河川もわずかで、農民は、安土・桃山時代から「六本幟」と呼ぶ雨乞いを行うなど、常に水不足と闘う生活を強いられてきました。その様な状況を打開すべくダムの建設が、昭和60年に計画され平成6年に完成しました。鷹島海中ダムの特徴は、ダムの建設地に陸で適地がなかったことから海岸の入江を締め切り、ダム湖内の海水塩分を沈殿させ、流入水をためて内水面を海面より高くして高低差と比重差を利用し、堤体下部に設けた除塩暗渠から、塩分の沈殿作用が進んだ低層の貯留水を海へ放流して淡水化を図るという方式で、日本初の海中ダムです。有効貯水量46万トンの水は、島内ほぼ全域の農地に給水されています。また、堤体背面に「六本幟」等が描かれ、島の玄関口・日比港を出入りするフェリーからその個性のある景観を見ることができます。ダム湖周辺は、展望所をはじめ周辺は遊歩道や公園も整備され、春先には芝桜が咲き、公園内のダム湖へ注ぐ「せせらぎ水路」はメダカやアメンボなどの生息地になっています。初夏はホタルが群舞する幻想的な姿を見せるなど、地域住民の憩いの場となっています。鷹島海中ダム湖では毎年1回、住民参加によりダム湖周辺の清掃作業を行い、ダム本来の機能を保つとともに、景観等を保持しています。


PS(2017年3月17日追加):*11のように、福島県など地元自治体が強く要請してきた4基全ての廃炉は、事故から6年経っても「まだ道筋が見えない」などと呆れたことを言わずに速やかに行うべきであり、この判断は、6年経たずとも事故直後に出た筈だ。にもかかわらず、このように重要性の順番が異なり、徹底した原因究明やそれに基づく意思決定がなされない態度が、日本の電力会社の原発運転能力のなさと経産省の政策の不誠実を示唆している。なお、フクイチの廃炉は、核燃料(デブリ)を迅速に取りだすことができないのなら、チェルノブイリのように直ちに石棺にするのが、放射性物質をむやみに散乱させず、最も安価で最短時間の解決をして被害を最小にする方法で、事故直後からわかっていた筈だ。

   
            2017.3.17毎日新聞             牛白血病の増加 周産期死亡率の推移

*11:http://mainichi.jp/articles/20170317/k00/00m/020/140000c (毎日新聞 2017年3月17日) 県民は「全基」を要請 
 東京電力ホールディングス(HD)は福島第2原発(福島県)の1号機について廃炉とする方針を固めたが、福島県など地元自治体が強く要請してきた4基全ての廃炉の道筋はいまだ見えない。一方、東電は福島第1原発事故の処理費用捻出のために柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働は進める方針だが、地元の反対は根強い。「県民の強い思いは県内原発の全基廃炉だ」。福島県の内堀雅雄知事は今年1月、東電の広瀬直己社長との会談で、福島第2原発の廃炉を迫った。一方、広瀬社長はこれまで「福島の思いは理解しているつもりだが、会社としては大変大きな判断になる」と明確な方針を示してこなかった。東電は福島第1原発の廃炉や賠償などの対応に追われており、これらの処理費用を捻出するための経営再建も喫緊の課題だ。福島第2の廃炉に手をつければ、さらに人手や費用が必要になる。東電内には「福島第1原発の対応が最優先で、第2原発の廃炉は待ってほしい」(幹部)との思いが強かった。だが、いつまでも地元の要請を無視し続けるわけにはいかず、福島第1原発の処理費用の工面も一定のめどがついたことから、まずは1号機に限った形で第2原発の廃炉を打ち出すことにした。政府内には「柏崎刈羽原発の再稼働に理解を得るためにも、福島第2の方針を明確にする必要がある」(政府関係者)との思惑もある。残る3基についても東電は廃炉の方向で検討を進めるが、費用面などで課題は残り、廃炉を決めても長い期間がかかることも予想される。また、1基で年間500億円の収益改善効果が見込まれる柏崎刈羽原発の再稼働についても新潟県知事は慎重な姿勢を示しており、東電の原発事業はなお課題が山積する状態だ。


PS(2017年3月20日追加):*12に、「東芝は、①原発が停止し、国内で火力発電用の燃料が必要とされたため、原油と連動しない米国産LNGを2019年から20年間にわたり年220万トン購入し、日本の電力事業者などに発電用として供給することにした ②東芝の思惑に反して原油とLNGの価格が下落し、米国産は割高となって競争力が低下したため、今後20年間で最大計1兆円近くの損失が生じかねない」と書かれている。しかし、エネルギー改革の時代に、20年間の長期でLNG調達契約をするなど、東芝のエネルギー部門は先見の明がなく、その杜撰な経営が他部門の足を引っ張っていることがわかる。

*12:http://qbiz.jp/article/105869/1/ (西日本新聞 2017年3月18日) 東芝、LNG事業で損失1兆円も 割高で販売先なく
 経営再建中の東芝は、米原発のほか液化天然ガス(LNG)事業でも巨額損失の不安を抱える。国際相場を見誤り、米企業から割高なLNGを長期にわたって調達する事態となったためだ。販売先を見つけられない場合、今後20年間で最大計1兆円近くの損失が生じかねない。全体の約半分の量について複数の顧客と基本合意書を締結したとしているが、条件面の調整は終わっておらず実際の販売契約には至っていない。既に2020年3月期決算で100億円規模の損失を見込んでいるようだ。東芝は13年に米フリーポート社(テキサス州)と、米国産天然ガスから加工したLNGを調達する契約を結んだ。東京電力福島第1原発事故で原発が停止し、国内で火力発電用の燃料が必要とされたためだ。当時は原油価格の高騰に連れてLNGも値上がりしていたため、原油と連動しない米国産LNGを19年から20年間にわたって年220万トン購入し、日本の電力事業者などに発電用として供給することにした。ところが東芝の思惑に反して原油とLNGの価格は下落し、米国産は割高となって競争力が低下した。東京電力ホールディングス子会社と中部電力が共同出資するJERA(ジェラ)から販売やマーケティング活動で支援を受けているが、顧客探しは難航している。19年9月に供給を始めるためには、18年中に販売先を決めて準備をする必要がある。LNGの売れ行きにかかわらず、フリーポート社に対し液化にかかる費用は支払わなければならないため、想定より安く売りさばいたり、LNG化を見送ったりすれば損失処理が必要となる。


PS(2017年4月6日追加):*13-1に書かれているように、震災復興の司令塔である今村復興相が記者会見で、「①(自主避難者は)本人の自己責任」「②裁判でも何でもやればよい」としたことのうち、①は、*13-2のように、放射線量が年間20mSV以下なら避難指示を解除するという日本基準が、チェルノブイリ法の強制移住地域5mSV以上と比較してあまりに高いことがそもそもの原因だ。また、②は、*13-3のように、各地で提訴された東電・国に賠償を求める原発被災者訴訟で、2017年3月には前橋地裁が国に賠償を命じたが、裁判をするには時間と労力がかかり、最高裁まで行くと結果が国寄りになるため、苦労が絶えないわけである。さらに、今村復興相は、TV番組で「③ふるさとを捨てるのは簡単だが、戻って頑張っていく気持ちをもって欲しい」などとも述べておられるが、これは、自民党憲法改正草案のように「日本国」を主に考えているか、日本国憲法のように「日本国民」を主に考えているかの違いだ。つまり、日本もチェルノブイリ法と同程度の権利を原発被災者に与えるべきなのである。
 なお、この放射線被害は、(日本政府は認めたくないようだが)風評被害のような実態がないのに評判だけで起こる被害ではなく、また不安や心の傷といった精神的な問題でもなく、心疾患や癌などの命に関わる病気になるという健康被害をもたらすものである。そのため、チェルノブイリ原発事故で強制移住地域となった年間5mSV以上の地域は避難・帰還のどちらを選んでも補償されるべきだ。それには、原発被災者の土地・家屋を買い取って移住させる方法もあり、移住を選択可能にして補償すべきなのである。そのようにしても、旧ふるさととの繋がりは、県人会や「南相馬出身者の集い(もしくは情報交換会)」などを、知事や市長・町長などを招いて頻繁に開くことによって可能だ。

   

(チェルノブイリ法は、年間被曝量1mSV超の可能性のある地域を汚染地域と定義している)
     《http://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-13030 参照》
 
*13-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12878633.html (朝日新聞社説 2017年4月6日) 今村復興相 避難への無理解に驚く
 震災復興の司令塔なのに、原発事故の避難者たちが置かれた複雑な状況を分かっていないのではないか。今村雅弘復興相が記者会見で、「本人の責任でしょう」「裁判でも何でもやればいい」と話した。福島第一原発の事故後、避難指示の対象区域以外から逃げた自主避難者をめぐる発言である。国の支援のあり方を記者から重ねて問われるうちに今村氏は激高し、会見を打ち切った。後で感情的な態度は謝罪したものの、発言については「客観的に言ったつもりだ」と釈明し、撤回しなかった。避難指示を受けた人と自主避難者との違いを指摘したかったようだが、内容には聞き流せない問題がある。自主避難者の多くは、避難指示に関して国が定めた放射線量の基準に不安が拭えず、悩んだ末に地元を離れる決断をした。全国で2万数千人にのぼり、家族がばらばらになった人は多く、生活に困窮する人もいる。東京電力からの損害賠償や行政による住宅提供も、避難指示を受けた人に比べると手薄だ。自身で決めたこととはいえ、自主避難者も事故の被害者だ。それを自己責任で片付けるのは、国策として原発を推進してきた政府の責任への認識に欠けると言わざるをえない。裁判をすればいいという発言に至っては、開き直りにしか聞こえない。東電や国に賠償などを求めて提訴した原発被災者は各地で1万人を超える。3月には前橋地裁が国に賠償を命じたが、裁判には手間ひまがかかる。その負担を避難者に背負えと言うのだろうか。今村氏はこれまでも、被災者との意識のずれを指摘されることがあった。今年1月、福島市での会合では、最近の避難解除でようやく本格化しつつある福島の復興について「マラソンにたとえると30キロ地点」と発言。3月にはテレビ番組で「ふるさとを捨てるというのは簡単だが、戻って頑張っていく気持ちをもってほしい」と述べた。避難者で地元に戻る人はまだ少数派で、生活基盤や放射能への不安などから当面戻らないという人は少なくない。ふるさとから離れていても、つながりは保ちたいという声も根強い。今村氏の発言は、さまざまな事情を抱える避難者の心を傷つけ、切り捨てと受け取られても仕方ない。帰還の促進策ばかりでなく、被災者の多様な声に耳を傾け、必要な手立てをとるという国の役割を自覚すべきだ。

*13-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/tohokujisin/fukushima_report/list/CK2015070702000163.html (東京新聞 2015年7月7日) 【ふくしま便り】20ミリシーベルト基準を許さない 避難指定解除 南相馬住民の決意
 東京電力福島第一原発の事故で放射線量が局所的に高いホットスポットとなった特定避難勧奨地点の指定を解除したのは違法として、福島県南相馬市の住民約五百三十人が、国に解除の取り消しと一人十万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したのは、今年四月十七日のことだった。原告団の一人で「南相馬・避難勧奨地域の会」事務局長の小沢洋一さん(59)は、訴訟を「二〇ミリシーベルト基準撤回訴訟」とも呼ぶ。「人の命が何より大切とはっきりさせる訴訟だ」とも。小沢さんと現地を歩いた。特定避難勧奨地点に指定された百五十二世帯は南相馬市の西側半分、阿武隈山地に連なる農村部に点在している。福島第一原発から二十五キロ前後。線量の高さを考えれば、避難指示が出ても不思議はなかった。行政区分を基にした単純な線引きで区域外とされたにすぎない。だが、あまりにも線量が高いことがわかり、国は追加措置をとる。地域の中で、年間積算線量が二〇ミリシーベルトを超えるとみられる地点で、小さな子供や妊産婦などがいる世帯を選んで避難を促す対応をとった。「露骨な分断工作だった」と小沢さんは話す。「同じ小学校に通う子供で指定を受けた家の子とそうでない家の子がいる。指定を受ければ、慰謝料が払われた上、医療費、税金、電気代、ガス代、NHKの受信料までただになる。指定外の家の子も避難はしたが、経済的にも大変。誰だって理不尽だと思うでしょう」。福島県には伊達市や川内村の一部にも特定避難勧奨地点があったが、二〇一二年十二月に解除された。そして南相馬市についても、政府は昨年十二月に解除した。除染により線量が年間二〇ミリシーベルトを下回ったのが解除の理由であると説明された。
●畑の端で、毎時17.7マイクロシーベルトと高い値が計測された
 「分断」を乗り越えて住民は反対で団結した。地域の行政区長のひとりで原告団長でもある菅野(かんの)秀一さん(74)は「年間二〇ミリシーベルトを基準にするのもおかしいと思うが、地域の線量が、二〇ミリシーベルトを下回っているとは到底思えない。それでも特定避難勧奨地点がなくなれば、ただの地域になる。何ごともなかったかのように東電は賠償を打ち切るでしょう」と話す。たしかに地域の線量は驚くほど高い。小沢さんと一緒に実際に線量計をもって計測して歩いたところ、田畑の際などで空間線量が毎時一〇マイクロシーベルトを超えるような場所が随所にあった。政府は年間二〇ミリシーベルトの積算線量に達する目安を毎時三・八マイクロシーベルトとしているが、楽に超えてしまう。南相馬・避難勧奨地域の会の末永伊津夫会長は「東京五輪に間に合わせたいのか、政府は避難区域の解除に躍起になっている。その基準とされるのが年間二〇ミリシーベルトですが、無理があるのは明らかです。もしもこれが既成事実となったら、将来、世界のどこで原発事故が起きても二〇ミリシーベルトまでは大丈夫となる。こんなむちゃを黙認するわけにはいかないのですよ」と話す。前出の菅野さんは、こうも話した。「解除しても現実に帰ってきた子持ち世帯はない。病院もスーパーも閉鎖。長寿会も少年野球もPTAも崩壊。地域社会がなくなった場所へ帰って来られるわけがない。年寄りばかりになって将来なんかない。先日、近所のおばあさんが池に身を投げた。皆で引き上げたけど助からなかった。ここで、どれほど悲惨なことがおきているか、政府は知っているのか。私らは伝えなくちゃならない」。農民一揆、という言葉が頭に浮かんだ。 

*13-3:http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-463362.html (琉球新報社説 2017年3月19日) 原発避難者訴訟 国と東電の責任は明白だ
 国と東京電力の責任を認めた判決は極めて妥当な判断だ。福島第1原発事故で福島県から群馬県などに避難した住民ら137人が国と東電に計約15億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、前橋地裁は「東電は巨大津波を予見しており、事故を防げた」と判断し、東電と安全規制を怠った国の賠償責任を認めた。原告のうち62人に計3855万円の支払いを命じている。判決は東電が2002年ごろには第1原発が津波に襲われる可能性を知り得たと認定した。予見可能だった時期がいつなのかは訴訟の最大争点だった。原告側は「02年~08年の間」と主張し、東電と国は「巨大津波は想定外だった」と真っ向から対立していた。政府の地震調査研究推進本部が02年に「福島県沖を含む太平洋側の日本海溝沿いでマグニチュード(M)8級の津波地震が30年以内に20%程度の確率で発生する」との長期評価を公表していた。しかし東電も経済産業省の旧原子力安全・保安院も過去400年間に福島県沖で大地震が起きていなかったため、長期評価を考慮せず、津波対策を先送りにしてきた。東電は08年、長期評価に基づく試算をしていた。高さ10メートルの第1原発の敷地を大きく超える津波が襲来し、敷地南側では東日本大震災と同規模の最大15・7メートルが押し寄せるとの結果だ。すでに大津波を予見していたのだ。それなのに東電は試算結果を公表せず、何の対策も取らなかった。旧保安院に結果を報告したのは3年後の11年3月7日だ。その4日後に震災が発生し、大津波が押し寄せた。無為無策というほかない。原発事故はタービン建屋に給気口から津波が入り、非常用配電盤の浸水により核燃料の冷却機能が失われたために起きた。長期評価や試算結果を踏まえて、給気口のかさ上げ、配電盤や発電機を高台に設置するなどの対策が取られていれば事故は起きなかった。判決はこうした対応を安全より経済的合理性を優先させたと指摘し「特に非難に値する事実がある」と批判した。事故によって福島県から県内外に避難している人は現在でも約7万7千人に上る。判決で国と東電の責任が明白になった。原発再稼働に突き進む国と電力会社は判決を真摯に受け止め、脱原発へと政策転換を図るべきだ。二度と同じ過ちを繰り返してはいけない。


PS(2017年4月8日追加):*14の「①ウェスチングハウスを巡る調査で、経営陣が2016年3月期にも巨額損失の可能性を認識していたのではないかとみて、監査法人が詳しく調べるよう求めていた」「②東芝は事前に損失を認識していた証拠はない」というのは、②は現時点で証拠がないからといって事実がなかったとは言えないため、①は監査法人としては当然だろう。しかし、現在行っている決算は第三四半期のものであるため、決算書にその旨を付記するなり、限定意見を出すなりして決算発表し、一年決算の第四四半期有価証券報告書までにすべてをクリアにしたらどうかと考える。なお、私はスペインで報道を見ていたのだが、2017年3月29日のウェスチングハウスの破産申請日は英国のEU離脱通告日と重なったため、欧州での報道は英国のEU離脱が中心で東芝の取り上げられ方は小さく、公表日の選び方は正解だったと思われる。また、スペインの工業製品のメーカーを見たところ、ホテルの空調は東芝、フロントの担当者が使っていたスマホはソニー、テレビはサムソン、エレベーターはOTISで、タクシーは50%くらいがプリウスだった。さらに、スペインではタクシーの運転手の50%くらいは女性で、帰りのバルセロナからロンドンまでのブリティシュ・エアウェイの機長も女性だったことを付け加えておきたい。

*14:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12882131.html (朝日新聞 2017年4月8日) 東芝決算、なお調整難航 監査法人と溝 11日期限
 東芝の昨年4~12月期決算の発表期限が11日に迫るなか、同社とその監査法人との溝が埋まっていない。監査法人側は、経営破綻(はたん)した米原発子会社ウェスチングハウス(WH)を巡る調査で、WH経営陣が2016年3月期の間にも巨額損失の可能性を認識していたのではないかとみて、詳しく調べるよう求めていた。監査法人による決算の承認はまだ得られていない。問題となっているのは、WHの経営幹部が損失を小さく見せるよう部下に「不適切な圧力」をかけた内部統制の不備だ。監査法人側は、調査の対象期間を15年秋よりも前にさかのぼる必要があると指摘。当時からWH経営陣が損失の可能性を認識していたのかどうかが焦点となっている。東芝はこれまでの調査から、「事前に損失を認識していた証拠はない」(幹部)として、調査そのものを終えた。しかし、監査法人側は、疑いを完全には晴らしていない様子だという。損失を事前に認識していた場合、東芝は16年3月期の決算を修正する必要が生じる。17年3月期末だけでなく、16年3月期末も債務超過となる可能性もある。東京証券取引所では、2期連続の債務超過で上場廃止となる規定がある。しかし、このケースではすぐに適用されるわけではない。18年3月期末までに債務超過が解消されれば、免れる。東芝はこれまで決算発表を2度延期。経営不安をいっそう高める異例の3度目は避けたい考えで、ぎりぎりの調整を続けている。


PS(2017年4月12日追加): *15-1に、東芝の決算について、監査法人は「ウェスチングハウス(WH)の経営幹部が『不適切な圧力』を部下にかけた」ということで「意見不表明」とした。しかし、*15-2のように、「意見不表明」とは、監査証拠の入手が困難で財務諸表に対する意見表明ができないというものであり、内部統制報告書に関する監査報告書の意見不表明は、上場廃止基準に抵触しない。そして、東芝で問題となっているのは、「WHの経営幹部が損失を小さく見せかけるよう部下に『不適切な圧力』をかけた」という内部統制の問題で、東芝は、2017年3月29日にWHの破産申請をしており、WHの破産後は内部統制は問題でなくなり、残余財産のみが問題となる。そして、東芝自体の債務超過や「継続企業」の問題は、他の子会社をいくらで売却できるかにかかっているだろう。

*15-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12887149.html(朝日新聞 2017年4月12日) 東芝、信頼欠く決算発表 監査法人「意見不表明」
 東芝は、2度にわたって延期していた2016年4~12月期決算を、国が認めた期限の11日に発表した。ただ、通常の決算につくはずの監査法人の「適正意見」は得られず、代わりに「意見不表明」という信頼性を欠いた異例のものとなった。経営破綻(はたん)した米原発子会社ウェスチングハウス(WH)をめぐる調査で監査法人との溝が埋まらなかった。東芝を担当するPwCあらた監査法人は、原発事業の損失を小さくみせようとして、WHの経営幹部が「不適切な圧力」を部下にかけたことを問題視。損失を経営陣が早くから認識していた可能性も調べていた。だが、詳しい調査の必要性を訴えるPwCに対して、東芝の綱川智社長は11日夕方の記者会見で「これ以上調査を続けても意味がない」と突き放した。PwCは報告書のなかで「調査結果を評価できておらず、財務諸表に修正が必要か否か判断できなかった」とした。「意見不表明」は十分な監査の証拠が手に入らない場合に監査法人が出す見解で、大手上場企業ではきわめて異例だ。綱川社長は「適正意見のめどが立たないことから、これ以上、ステークホルダー(利害関係者)に迷惑をかけられない」と話した。ただ、東芝の信用はさらに傷ついた。過去の不正会計問題で、東京証券取引所は東芝株を「特設注意市場銘柄」に指定し、上場を維持するかどうかを検討中。この件でも審査に入る。多くの課題も待ち受けている。異例の発表で、支援する金融機関の態度には変化が出かねない。体力のない地方銀行で融資を引きあげる動きがすでに出ている。まずは17年3月期の通期決算の発表を、予定する5月にできるかが当面の焦点になりそうだ。東芝の3月末時点の自己資本は6200億円のマイナスとなり、債務超過に陥る。18年3月期末も債務超過となれば上場廃止になる。その解消には、半導体子会社「東芝メモリ」を高値で売ることが不可欠だ。東芝が発表した16年4~12月期決算は、米国の原子力事業関連で7166億円の損失を計上し、純損益は5325億円の赤字(前年同期は4794億円の赤字)。企業としての存続に疑義が生じたことを示す「継続企業の前提に関する注記」を初めて記載した。
■決算に対する監査意見の種類
(1)適正意見
 企業会計の基準に従って、決算が正しいと監査法人が判断した場合
(2)限定付き適正意見
 一部に不適切な事項はあるが、決算全体には、それほど重要性がないと判断した場合
(3)意見不表明
 重要な監査手続きができず、決算が正しいかどうか判断できないとみなされた場合
(4)不適正意見
 不適切な事項が見つかり、決算全体に重大な影響を与えると判断した場合
〈通常は(1)。(3)(4)は東京証券取引所の上場廃止の基準に抵触し、廃止のおそれが出てくる。今回は(3)

*15-2:http://www.hp.jicpa.or.jp/ippan/cpainfo/ke_word/2007/09/post_40.html (日本公認会計士協会) 意見不表明
 監査報告書において監査意見を表明しないこと。監査報告書を提出しないということではなく、監査意見を表明しない旨を記載した報告書を提出する。監査人が「意見不表明」の報告書を提出するのは、財務諸表に対する意見表明ができないほど、会計記録が不十分であったり、監査証拠が入手困難である場合に限られている。この監査報告がなされると、「不適正意見」と同様に「その決算書は信用できない」ということになり、上場会社は上場廃止基準に抵触することになる。「内部統制監査報告書」においては、重要な監査手続きが実施できなかったことにより、内部統制報告書に対する意見表明のための合理的な基礎を得ることが出来なかったときは、意見不表明となる。内部統制報告書の監査報告書の意見不表明は、上場廃止基準には抵触しない。

| 原発::2015.11~ | 02:21 PM | comments (x) | trackback (x) |
2016.8.16 福島原発事故の隠蔽と原発再稼働の不合理 (2016/8/17、18、19、20、21、28、29(図表を含む)、2016/9/15、2016/10/20に追加あり)
    
 放射能汚染           2015.3.25月刊宝島4月号より     2016.3.10時事ドットコム
2013.9.13現在

       
  放射性セシウム       食品基準           農産物の汚染  上 農地の除染法 
   体内残存量 (暫定基準と2012年4月以降の基準)  (これで農産物の汚染がなくなるか疑問)

(1)雑誌が奮闘して書いた原発事故の影響
 月刊宝島が、2015年4月号で、*1-1のように、「汚染17市町村で小児甲状腺ガン、急性心筋梗塞が同時多発していること」「周産期死亡率も汚染17市町村で高いこと」「高止まりしているのは2012年からであること」を国の人口動態統計の死亡率から突き留め、フクイチ原発事故による被曝の健康被害として公表した。

 この記事を書くにあたり東電に取材依頼書を送ったところ、東電から「(記事を)読む方の不安を煽るような内容になったりするのではないんでしょうか」と質問された上、「人口動態統計での各死亡率等についての数値の変化については、さまざまな要因が複合的に関係していると思われ、それら変化と福島原子力事故との関係については、当社として分かりかねます」という“回答”がFaxで送られてきたそうだ。

 そして、死亡統計や被曝に詳しい筈の厚労省は、「環境省に聞いていただきたい」とし、環境省は「昨年12月22 日に公表した『東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議』の中間取りまとめが、①放射線被曝により遺伝性影響の増加が識別されるとは予想されないと判断した ②今般の事故による住民の被曝線量から、不妊、胎児への影響のほか、心血管疾患、白内障を含む確定的影響(組織反応)が今後増加することも予想されない としているため、周産期死亡率や急性心筋梗塞年齢調整死亡率が増加したとしても、それは原発事故の影響ではない」と原発事故で現実に起こった事象から目を逸らしてごまかしているそうである。

 これらは、官の責任回避のためのチームプレイであり、原発事故の被害者にとっては決して許せることではなく、他の国民にも今後の原発利用への判断を歪めて迷惑がかかるものだ。

(2)食品放射能基準は、蓄積・呼吸による内部被曝・外部被曝を考慮していないため、甘すぎること
 原子力規制委員会の田中委員長は、2016年8月3日、*1-2のように、「(食品の放射性物質濃度基準値が放射性セシウムで1キロ当たり100ベクレル以下などと規制されていることについて)私の知る限りでは科学的根拠があるとは思えない」と述べた。

 しかし、食品・飲料水の放射性物質濃度基準値は原発事故直後の暫定基準から2012年4月に厳格化されたとは言え、一日10ベクレルでも長期間摂取すると体に蓄積するので、食品に人工の核種は含まないにこしたことはない。にもかかわらず、厚労省や食品安全委員会が「国際的指標を踏まえ、食品からの被曝線量上限を年1ミリシーベルトにした場合の値(つまり、食品以外からの被曝は考慮していない)で、長期的な健康への影響も含めて専門家が科学的見地から判断している」としており、さらに原子力規制委員会の田中委員長は医療の専門家ではないにもかかわらず、「厳格化された基準になったことで風評被害や出荷制限で大変な思いをしている」と述べた。しかし、福島県の農漁業生産者へは、安全な産物を生産できなくなったことに対して損害賠償や補償をすべきなのであり、国民に汚染食品を食べて協力させるのは間違いである。

 このような中、*1-3のように、今村復興相が産業再生を重点施策に据え、福島の産物に対する風評被害対策として消費運動を促す仕掛けづくりに意欲を示されたそうだが、放射性物質が含まれていても基準以下なら安全だと吹聴することこそ、国民に対する科学的根拠なき風評による加害である。

(3)危険な伊方・川内原発の再稼働
  
    中央構造線と川内原発・伊方原発    事故時の放射性物質拡散予測  広島での反対
2016.8.8佐賀新聞                   2016.8.16高知新聞   2016.8.12東京新聞 

 女性自身の原発関連記事は、2016年8月2日、*2-1のように、「事故が起きたら死ぬ伊方と川内原発のお粗末すぎる避難計画」という記事を掲載している。伊方原発は、そばを国内最大級の中央構造線断層帯(活断層)が通っており、2016年4月に起きた熊本地震に誘発されて付近の断層が動く可能性が指摘されている。また、最大43万人以上の死者になるという南海トラフで地震が起きると複合災害となって避難は不可能だそうだ。さらに、原発事故で放射能漏れしている時に、その場所にバスやフェリーを出せる民間会社もないだろう。

 また、現在稼働中の鹿児島県川内原発から50kmに桜島があり、桜島は姶良カルデラという巨大火山帯の一部で、多くの火山学者は火山噴火の予知は不可能としているにもかかわらず、九電は「敷地周辺のカルデラが、巨大噴火する可能性は十分に小さい」とし、薩摩川内市の担当者は「風向きによって避難する方角が変わるので事前に避難先を決めても意味がない。避難の必要性が生じたら鹿児島県が予め整備した原子力防災・避難施設等調整システムによって、その都度、避難先を選定する」としている。しかし、アメリカでは、現実的な避難経路が確立されていない原発は即廃炉であり、日本では避難計画は新規制基準の対象外だそうだ。

 そして、どちらも避難することしか話題にしていないが、原発が事故を起こした場合には周辺の土壌や近くの瀬戸内海・日本海・太平洋が汚染され、その被害はフクイチどころでなく、広い地域が避難したまま使えなくなることについては指摘されていない。

 そのため、*2-2、*2-5のように、無理してまで原発を動かす大義が見当たらない中、伊方原発の再稼働について豊後水道を挟んだ大分県内18市町村のうち半数の9市町議会が再稼働に反対や見直し、慎重対応を求める意見書案を可決した。また、*2-4のように、広島の原爆慰霊碑前でも座り込みが行われ、周辺自治体には、政治的立場の左右を問わず懸念や反対が広がっている。

 さらに、*2-3のように、伊方町民を対象にした原発意識調査の結果、再稼働に反対は55%で、賛成の24%を上回り、賛成住民のうちの67%も大地震発生時の原発に不安を感じているそうだ。

(4)国民負担になる原発のコスト
 福島原発事故5年で、*3-1のように、賠償・除染などの国民負担が3兆4千億円超になっており、今後も増え続ける見通しだそうだ。そのほか電源開発促進税が入るエネルギー特別会計から約1兆1000億円が中間貯蔵施設の建設費等に充てられ、政府の直接財政支出は2014年度までに廃炉支援や食べ物の放射能検査、研究開発の拠点整備など計1兆2144億円が使われ、確定していない2015年度分の除染費や直接支出を含めれば、国民負担はさらに膨らむそうだ。

 また、*3-2のように、最近になってフクイチの2号機内部を透視したところ、溶融核燃料が原子炉の圧力容器の底に残っている可能性が高いことがわかったと発表されたが、3号機については爆発時に核燃料を外に吹き出してしまって内部に残っていないらしく、全く言及されていない。そして、これまで強い放射線で作業員が近づけないため溶融燃料を確認できなかったなどと言い訳されているが、人体はずっと前からレントゲン、CTスキャン、MRIなどで直接見ることのできない場所を透視しているため、その気があれば応用は容易だった筈である。

 なお、*3-3のように、廃炉費用についても当初の見込みを大幅に超過するという話で、東電は国に支援要請をしている。フクイチの被災者への賠償費用も国が無利子で立て替えており、既に6兆円を超えているそうだ。

(5)他の原発の安全性
 北電は、*4-1のように、「加圧水型軽水炉のタービンを回すために使う2次冷却水や蒸気に放射性物質を含まない」と説明をしていたが、1次冷却水に含まれるトリチウムは金属配管を透過して2次冷却水に漏れ出しているため事実と異なり、北海道新聞が「事実と違う」と指摘したところ、「(2次冷却水には)蒸気発生器の伝熱管を透過したトリチウムが含まれている」と説明内容を修正したそうだ。

 私も玄海原発について九電から同じ説明を受け、混じりあわなくても近くで接すれば放射能を帯びることがあるかもしれないと思って何度も問い返したことがあるが、2次冷却水や蒸気には放射性物質を含まないという同じ説明だったので、他の原発も検証すべきである。

 また、*4-2のように、原子力規制委が新規制基準の合格証となる「審査書案」を了承して40年以上の老朽原発を延命していくのは、原発事故のない社会を作りたいという多くの国民の声を無視しており、原発の過酷事故を経験した国が進めるべきことは、金をかけて老朽原発を延命することではなく、廃炉にすることだ。

(6)世界の潮流と日本政府のギャップ
 世界銀行(World Bank)と国連(UN)は、*5-1のように、2013年11月27日、最貧国に電力網を整備するため数十億ドル規模の資金援助が必要だと訴え、いずれの国でも原子力発電への投資は行わない考えを表明している。現在は分散発電が可能になったため、①地下に電力網の整備すること ②エネルギー効率を倍増すること ③再生可能エネルギー比率を倍増すること ④新エネルギーを開発することは、開発途上国だけでなく日本でも行うべき重要な政策である。

 さらに、*5-2のように、第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)、2015年12月12日、「途上国を含む196カ国が参加する2020年以降の新たな温暖化対策「パリ協定」を採択し、「産業革命前からの気温上昇を2度より十分に低く抑える目標を掲げたうえ、さらに1.5度以内とより厳しい水準へ努力する」とした。そして、この ブログの2015年12月8日に記載しているとおり、「パリ協定」の温暖化対策は原発を意図しているのではなく、100%自然エネルギーを意図しているのだ。

 それにもかかわらず、*5-3のように、日本の山本環境相は2016年8月3日の就任記者会見で、温室ガス削減目標達成は原発抜きでは「極めて困難」と述べ、著しい放射線公害を引き起こす原発の再稼働を進めており、大量の温室効果ガスを排出する石炭火力発電の新設計画も条件付きで容認する意向であるため、既に再生可能エネルギー技術が進み、さらにこれを伸ばして税収を増やすべき日本の環境相として失格だ。

 また、*5-4のように、原発事故を受けて企業や家庭の節電が進み、エアコンの利用が増える猛暑でも夏の電力需給は安定し、原油安で電力大手の業績も改善し、新電力への切り替えで大手に対する電力需要が減っている現在、原発再稼働の大義はない。

 初期投資の大きい原発は長く使うほど利益が出るため、九電は玄海3、4号機を早く再稼働させたいそうだが、それなら、被災者への賠償費用(約5・4兆円)、廃炉費用(約2兆円)、使用済核燃料の最終処分費用等、これまで国民が負担してきた費用も電力会社が負担するよう制度変更してから、意思決定すべきである。

(7)再生可能エネルギーの発展
 九州電力の子会社で再生可能エネルギー事業を手掛ける九電みらいエナジーは、*6-1のように、長崎県の五島列島沖で潮流を利用した発電の実証実験を始めるそうだ。まだ出力が小さく、運転開始も2019年度だが、日本には五島列島沖はじめ狭い海峡になっていて潮流の速い場所が多いため、本気でやれば潮流発電も力を発揮できると考える。

 また、*6-2のように、農家の経営安定と地域の災害時安全保障のため、再生可能エネルギーが農村の電源になりつつあるそうだ。原発を遠慮なく使っていた時代でも電気料金は高すぎたため、農家は輸入した燃油を使っていたが、太陽光・水力・風力などの自然エネルギーを動力として使えるようになれば、農家の所得が上がって地域を活性化できると同時に、日本のエネルギー輸入額が減少するため、より重要なものに支出を振り向けることができる。

 なお、埼玉県は、*6-3のように、下水処理施設で下水汚泥から発生するメタンガス等を使った発電を2019年4月に開始し、事業者へのガス売却代金や土地賃貸料など年間6000万円の収入を見込むことができた上、汚泥の減量化にも繋がるとのことである。事業者は施設内に発電機を設置し、1キロワット時あたり39円(税抜き)で20年間、電力会社に売電するそうだが、このように邪魔者をエネルギーに換えるのはアッパレだ。他の自治体も、この“資源”は豊富に持っているのではないだろうか。

*1-1:http://blog.takarajima.tkj.jp/archives/1957240.html (月刊宝島2015年4月号) 福島県の汚染地帯で新たな異変発覚!「胎児」「赤ちゃん」の死亡がなぜ多発するのか?
~誰も書けなかった福島原発事故の健康被害 【第6回 後編】~最新2013年の「人口動態統計」データを入手した取材班は、高い放射能汚染に晒されている「17の市町村」で、周産期死亡率が急上昇している事実に辿り着いた。ジャーナリストが自力で行なう「原発事故による健康への影響調査」最終回!
■小児甲状腺ガン、急性心筋梗塞「汚染17市町村」で同時多発
 福島第一原発事故発生当時、18歳以下だった福島県民の人口は36万7707人。そのうち、14年12月末時点で甲状腺ガン、またはその疑いがある子どもの合計は117人である。この数字をもとに、福島県全体の小児甲状腺ガン発症率を計算してみると、10万人当たり31.8人となる。これでも相当な発症率であり、十分「多発」といえる。14年度の検査で新たに「甲状腺ガン、またはその疑いがある」と判定されたのは8人だが、そのうちの6人が「汚染17市町村」の子どもたちである。「汚染17市町村」における小児甲状腺ガン発症率を計算してみると、同33.0人と県平均を上回り、より多発していることがわかった。汚染17市町村」では、急性心筋梗塞も多発している。【図5】は、同地域における過去5年間の「急性心筋梗塞」年齢調整死亡率を求めたものだ。
 最新13年の年齢調整死亡率は、福島県全体(同27.54人)を上回る同29.14人。おまけにこの数値は、12年(同29.97人)から“高止まり”している。つまり「汚染17市町村」が、福島県全体の同死亡率を押し上げていた。周産期死亡率、小児甲状腺ガン発症率、さらには急性心筋梗塞年齢調整死亡率のいずれもが、「汚染17市町村」で高くなる──。これは、福島第一原発事故による「健康被害」そのものではないのか。それとも、偶然の一致なのか。本誌取材班は、東京電力を取材した。同社への質問は、
(1)原発事故発生後の「福島県における周産期死亡率の上昇」は、原発事故の影響によるものと考えるか。
(2)原発事故発生後の「汚染17市町村における周産期死亡率の上昇」は、原発事故の影響によるものと考えるか。
(3)「汚染17市町村」で周産期死亡率と急性心筋梗塞年齢調整死亡率がともに上昇していることは、この中に、被曝による「健康被害」が内包されている可能性を強く示唆している。これに対する見解をお聞きしたい。
 という3点である。取材依頼書を送ったところ、東京電力広報部から電話がかかってきた。
      *
「(記事を)読む方が、心配になったりするような内容ではないんでしょうかね?」
──「心配になる内容」とは?
「質問書をいただいた限りだと、『震災以降、率が上がっている』といったところで、特に不安を煽るような内容になったりするのかなと、個人的に思ったものですから」
──「不安を煽る」とはどういうことでしょうか?質問した内容はすべて、国が公表したデータなど、事実(ファクト)に基づくものです。
「ファクトですか」
──はい。
「国等(とう)にも当社と同様にお聞きになった上で、記事にされるんでしょうかね?」
──はい。そうです。
      *
 その後、同社広報部からファクスで次のような“回答”が送られてきた。
「人口動態統計での各死亡率等についての数値の変化については、さまざまな要因が複合的に関係していると思われ、それら変化と福島原子力事故との関係については、当社として分かりかねます」。しかし、「分かりかねる」で済む話ではない。そもそも、日本国民の「不安を煽る」不始末を仕出かしたのは東京電力なのである。それを棚に上げ、事実を指摘されただけで「不安を煽る」などという感情的かつ非科学的あるいは非論理的な言葉で因縁をつけてくるとは、不見識も甚だしい。自分の会社の不始末が「国民の不安を煽っている」という自覚と反省が不十分なようだ。猛省を促したい。
■環境省「放射線健康管理」の正体を暴く
 続いて、国民の健康問題を所管する厚生労働省に尋ねた。
      *
「それは、環境省のほうに聞いていただく話かと思います」
──原発事故による住民の健康問題は、環境省に一本化されていると?
「そうですね」
      *
 ご指名に基づき、環境省を取材する。面談での取材は「国会対応のため、担当者の時間が取れない」との理由で頑なに拒まれ、質問への回答は、同省総合環境政策局環境保健部放射線健康管理担当参事官室よりメールで寄せられた。回答は以下のとおり。「昨年12月22 日に公表された、『東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議』の中間取りまとめによれば、
●放射線被ばくにより遺伝性影響の増加が識別されるとは予想されないと判断する。
●さらに、今般の事故による住民の被ばく線量に鑑みると、不妊、胎児への影響のほか、心血管疾患、白内障を含む確定的影響(組織反応)が今後増加することも予想されない。
 とされています」
 環境省は、たとえ周産期死亡率や急性心筋梗塞年齢調整死亡率が増加したとしても、それは原発事故の影響ではない──とした。その根拠は「専門家会議の中間取りまとめ」が、原発事故の影響でそうした疾患が増加することを予想していないからなのだという。ちなみに、「専門家会議」を所管しているのは、この回答の発信元である同省の「放射線健康管理担当参事官室」である。科学の権威たちが揃って予想だにしないことが起きたのが福島第一原発事故だったはずだが、あくまで「予想」に固執する環境省は同じ轍(てつ)を踏みそうだ。もちろん、科学が重視すべきは「予想」より「現実」である。環境省の説が正しいとすれば、原因は別のところにあることになり、それを明らかにするのが科学であり、それは環境省が拠りどころとする「専門家会議」の仕事のはずだ。だが、その原因を特定しないまま、環境省は端から全否定しようとするのである。なぜ、環境省は現実から目を逸らし、真正面から向き合おうとしないのか。身も蓋もない言い方だが、環境省が現実に目を向けることができないのは、昨年12月に出したばかりの「中間取りまとめ」を、環境省自身が否定することになりかねないからなのである。つまり、本誌取材班の検証で明らかになった「汚染17市町村」での周産期死亡率や急性心筋梗塞年齢調整死亡率の増加の事実は、「専門家会議の中間取りまとめ」の「予想」結果を根底から覆しつつ「権威」を失墜させ、その贋物性を白日の下に曝け出してしまうものだった。中間取りまとめ」が予想していない疾患の増加はすべて「原発事故の健康被害ではない」として、頭ごなしに否定する環境省の姿勢は、かつて「日本の原発は事故を起こさない」と盛んに喧伝してきた電力御用学者たちの姿を彷彿とさせる。12年7月に出された国会事故調(東京電力福島原子力発電所事故調査委員会)の報告書は、「歴代の規制当局と東電との関係においては、規制する立場とされる立場の『逆転関係』が起き、規制当局は電力事業者の『虜』となっていた。その結果、原子力安全についての監視・監督機能が崩壊していた」としていた。環境省もまた、電気事業者の「虜」となっているようだ。そう言われて悔しければ、「現実に向き合う」ほかに名誉挽回の道はない。このように不甲斐なく、頼りにならない環境省のおかげで、このままでは「汚染17市町村」での“健康異変”は十把一絡(じっぱひとから)げにされ、かつて「水俣病」が発覚当初に奇病扱いされたように、原因不明の奇病「福島病」とされてしまいそうである。メチル水銀中毒である「水俣病」に地域の名前が付けられたのは、加害企業の責任をごまかすべく御用学者が暗躍し、「砒素(ひそ)中毒説」などを唱えたことにより、原因究明が遅れたことが原因だった。これにより、病気に地域名が付けられ、被害者救済も大幅に遅れることになったのである。従って、「汚染17市町村」で多発する病気に「福島」の名が冠されるようになった時の原因と責任は、すべて環境省にある。

*1-2:http://www.jiji.com/jc/article?k=2016080300780&g=soc
(時事ドットコム 2016.8.3) 食品放射能基準「根拠ない」=田中委員長が批判-規制委
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は3日の定例記者会見で、食品の放射性物質濃度基準値が放射性セシウムで1キロ当たり100ベクレル以下などと規制されていることについて、「私の知る限りでは科学的根拠があるとは思えない」と述べた。食品や飲料水の基準値は東京電力福島第1原発事故を受け、2012年4月に厳格化された。それまでは野菜や穀類、肉などは同500ベクレル以下などとされていた。田中委員長は「あの基準になったことで、風評被害や出荷制限で大変な思いをしている」と述べ、福島県の農業生産者らの苦労を強調した。チェルノブイリ原発事故後の欧州の食品基準にも言及し、「コントロールできるようになったから(基準値を)低くしている。そういうのが本来の姿だ」と指摘。「私のような人たちから見ると日本は変な国だ」と批判した。厚生労働省は現行基準について「国際的な指標を踏まえ、食品からの被ばく線量上限を年1ミリシーベルトにした場合の値。長期的な健康への影響も含めて判断している」と説明。食品安全委員会事務局も「専門家が科学的見地から取りまとめた」としている。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/344681
(佐賀新聞 2016年8月15日) 編集局長インタビュー 今村雅弘復興相に聞く 風評被害対策に意欲
 第3次安倍再改造内閣で初入閣した今村雅弘復興相(69)=衆院比例九州、鹿島市出身=は、佐賀新聞社のインタビューに応じた。5年が経過した東日本大震災の復興・復旧について、産業再生を重点施策に据える考えを示すとともに、根強く残る福島の産物に対する風評被害対策として、消費運動を促す仕掛けづくりに意欲を示した。今村復興相は就任直後に改めて被災地3県を回った。現状について「5年前に比べると、基盤整備などで着々と姿を現してきており、復興・復旧が進んできた」と評価した。その上で「基盤が整備されても、なりわいの再生が進まなければ人は戻らない」として、産業再生へ支援策を重点的に打ち出す考えを示した。原発事故の影響で福島を中心に農産物や海産物の風評被害が残っていることに関しては「危ないものではないということをもっとアピールして、福島の食材を買おうという運動を常に起こしていくことが重要」と指摘した。「福島農産物ファンクラブのようなものや、ふるさと納税に似た仕組みで消費拡大を促してもいい」と私案も披露した。原発の再稼働問題では「日本のエネルギー事情を考えると、原発は最小限必要」と容認の立場を鮮明にした。ただ、条件として「二重、三重の安全対策を講じ、さらに万一、事故が起きた場合に備えた多重防護策を施すべき」と福島第1原発事故を教訓にした対策の徹底を挙げた。

<伊方・川内原発の再稼働>
*2-1:http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160802-00010000-jisin-soci
(女性自身 2016年8月2日) 「事故起きたら死ぬ」伊方&川内原発のお粗末すぎる避難計画
「ここでの暮らしは、つねに不安がつきまとう。原発で事故が起きたら、逃げ場がありませんから」と話すのは、佐多岬半島(愛媛県伊方町)の先端近くに住む平岡綾子さん(仮名・43)。伊方原発は、すぐそばを国内最大級の中央構造線断層帯(活断層)が通っている。4月に起きた熊本地震に誘発されて、伊方付近の断層が動く可能性も指摘されている。また南にある南海トラフで地震が起きると、最大で43万人以上の死者数になる可能性も……(内閣府試算)。「伊方原発は、佐多岬半島という日本一細長い半島の付け根にあるんです。だから、伊方原発から西に住む半島の住民(4,906人)は、原発事故が起きたら原発の前を通って東に避難するしかありません。でも放射能漏れしている原発の前を通って逃げるなんて不可能です」と平岡さん。しかし避難経路になっているのは片側一車線の道が多く、なかにはがけ崩れが修復されず、そのままになっているところもあった。政府は、放射能漏れがひどく原発の前を通って逃げられない場合は、佐多岬半島の港からフェリーで大分県に避難する計画も立てている。「訓練のときは、迎えのバスが来て港まで連れて行ってくれました。でも地震でガケくずれが起きたら、すぐに道がふさがれてしまう。第一、放射能漏れしているのにバスやフェリーを出してくれる民間会社なんてあるんでしょうか」(平岡さん)。避難訓練にも参加した国道九四フェリーの広報担当者にも尋ねた。「放射能漏れがなければフェリーは出せますけどね。当社も、船員の人命を守らねばなりませんから、(放射能漏れが)あった場合は対応できるかむずかしいですね」。昨年の避難訓練では、ヘリを導入することも予定されていたが、天候不良で中止になるというお粗末さ。事故がおきれば、逃げ道をふさがれた住民の命は切り捨てられる。現在、日本で唯一稼働している鹿児島県の川内原発。そこから50kmには桜島がある。桜島は姶良カルデラという巨大火山帯の一部で、これが巨大噴火を起こせば川内原発も破壊的なダメージを受ける可能性がある。九電は「敷地周辺のカルデラが、巨大噴火する可能性は十分に小さい。原発の運用期間中は、火山活動のモニタリングを続ける」と説明する。多くの火山学者は「火山噴火の予知は不可能」と批判している。しかし、原子力規制庁も九電の言い分を認めて再稼働に至っている。避難計画も穴だらけだ。介護が必要な高齢者や障害者の避難計画はないに等しい。「県や市は、避難計画を各施設に丸投げです。原発事故が起きたら、施設に通う高齢者は自宅に帰せと言うが、ひとり暮らしで認知症がある高齢者も少なくないのに、帰せるわけがありません」。そう話すのは、川内原発から約17kmにある、いちき串木野市で「デイサービス蓮華」を営む江藤卓郎さん。原発から5~30km圏内の要介護者は“屋内退避”が原則だが、避難が必要になった場合に施設の利用者を受け入れてくれる先は決まっていない。市の担当者は「風向きによって避難する方角が変わるので、事前に避難先を決めておいてもあまり意味がない。避難の必要性が生じたら、鹿児島県が予め整備した原子力防災・避難施設等調整システムによって都度、避難先を選定する」と話す。「風向きを読むことは、もちろん大事です。でも、事故が起きてから高齢者をいきなり知らない施設に避難させることは不可能です」と江藤さん。事前に利用者の家族にアンケート調査を実施し、避難の意向を確認。独自に原発から30km離れた知人の介護施設に受け入れてもらえるよう手はずを整えた。施設に通う80代の女性は、ポツリとこうもらした。「原発事故が起きたら、逃げられやせん。もう、ここで死ぬだけよ」前出の後藤さんもこう語る。「アメリカでは、現実的な避難経路が確立されていない原発は即廃炉です。でも日本の場合、避難計画は原子力規制委員会が原発再稼働を進めるために新たにつくった新規制基準の対象外なんです。だったらなおさら、安全がきっちり確認できない原発は再稼働を認めない、という厳しい姿勢で臨まなければ」。今回の取材で出会った、福島県南相馬市から京都府綾部市に避難中の女性も、次のように訴える。「福島では、事故のときに逃げ遅れたり、放射能の方向に避難してしまったりして被ばくした人がたくさんいます。その教訓がまるで活かされていない。事故が起きたら、国の言うことを信じずに、逃げられる人はすぐに逃げてほしい。国の指示を待っていたら被ばくするだけです」

*2-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201608/CK2016081202000241.html (東京新聞 2016年8月12日)伊方、不安置き去り再稼働 周辺自治体に広がる懸念・反対
 四国電力は十二日午前、伊方原発3号機(愛媛県伊方町)を再稼働させた。東京電力福島第一原発事故を踏まえ策定された原子力規制委員会の新規制基準に適合した原発では九州電力川内1、2号機(鹿児島県)、関西電力高浜3、4号機(福井県)に次ぎ五基目。川内1号機の再稼働から一年たち政府は原発活用を加速させたい考えだが、伊方原発近くには長大な活断層「中央構造線断層帯」が通り、熊本地震を機に活発化する懸念や、事故時の避難計画の実効性に不安も根強い。日本一細長い半島に位置し、事故時には住民避難も収束作業も支援も困難が予想される四国電力伊方原発3号機(愛媛県)が再稼働した。九州から四国を通って本州に至る活断層「中央構造線断層帯」に沿って発生した四月の熊本地震後、豊後水道を挟んだ大分県各地の議会で、再稼働への懸念や反対を表明する動きが広がっている。その一方、暑い日が続く中でも四国の電力需給は安定。無理をしてまで原発を動かす大義は見当たらない。いくら地震や津波の対策をしても、原発のリスクはなくならない。一般的な工業施設なら、事故の影響は限定的。広範囲かつ長期にわたる影響が出る点で、原発はやはり別格と言える。何度、伊方の地を訪れても、雄大な美しい光景に圧倒される。その半面、尾根筋を走る一本の国道を除けば、道は細く険しく、岩肌ももろい。事故に備えて進めている道路拡幅は未完成のまま。住民避難計画では海を渡って大分などに避難するというが、現実的と受け止めている住民には出会ったことがない。地震が起きたら道は寸断される可能性があるためだ。「港に行く前に、閉じ込められる」と多くの人が語った。険しい半島の岩場を切り崩し、埋め立てて造った原発。敷地に余裕はない。事故時の対策拠点も必要最低限の施設で、休むスペースはなく、トイレも仮設が一つあるだけ。福島のような高濃度汚染水問題が起きても、保管するためのタンクの置き場も見当たらない。「新規制基準を満たせば、事故はある程度で止まる」。そんな危うい仮定の上で、伊方原発の「安全」は成り立っている。

*2-3:http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20160812/news20160812018.html
(愛媛新聞 2016年8月12日) 町民反対55% 伊方原発再稼働
 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働を前に、県内外の8人でつくる「瀬戸内海を守ろう会」は11日、伊方町民を対象にした原発への意識調査結果を発表した。再稼働に反対は55%で、賛成の24%を上回り、賛成住民でも67%は大地震発生時の原発には不安を感じているとしている。調査は、7月11日~8月10日に県内外のボランティアが戸別訪問し、伊方町民294人から回答を得た。大地震発生時の伊方原発には「とても不安」が全体の56%で、「少し不安」は29%、「大丈夫だと思う」は10%。再稼働に賛成の住民は「少し不安」が42%で「とても不安」は25%。「大丈夫だと思う」は31%だった。再稼働反対の住民は「とても不安」が73%を占め、「事故が起きれば逃げ場がなく、避難計画に不安がある」などの意見があった。

*2-4:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016081201001778.html
(東京新聞 2016年8月12日) 「再稼働強行に抗議」で座り込み 広島の原爆慰霊碑前
 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)が再稼働した12日、広島市中区の平和記念公園にある原爆慰霊碑前では、反原発派の市民団体メンバーら約30人が「再稼働の強行に抗議する」と訴え、座り込みをした。原水爆禁止広島県協議会(広島県原水禁)が呼び掛けて実施。金子哲夫代表委員(68)は「絶対的に安全だとは言えない。放射能被害に遭った広島と同じ思いをさせないためにも、直ちに停止させるべきだ」と批判し、参加者らは「原発再稼働をゆるさん」と書かれたプラカードを掲げた。

*2-5:http://qbiz.jp/article/92331/1/
(西日本新聞 2016年8月13日) 伊方原発再稼働 大分のシイタケ農家、対岸60キロ圏から抗議
 天気が良い日は、豊後水道を挟んだ対岸に伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の原子炉格納容器のドームが見える。原発から約60キロの大分県杵築市大田でシイタケ栽培を営む中山田さつきさん(62)は再稼働に不安を募らせる。「過酷事故が起きれば、海を越えて放射性物質が飛来する。そんなことになったら、生活を根こそぎ奪われてしまう」。12日、四国電力は3号機を再稼働させた。中山田さんの住む国東半島は、江戸時代からため池やクヌギ林を活用したシイタケ栽培が盛ん。その循環型農業が評価され、地域は2013年、国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産に認定された。中山田さん方も代々続くシイタケ農家。自宅で乾燥させ、大分名産の干ししいたけとして出荷する。今春は菌が入った「種コマ」をクヌギの原木に約9万5千個打ち、生育を待っている。東京電力福島第1原発の事故後、福島県産の露地栽培シイタケから基準を上回る放射性物質が検出され、出荷停止になった。生産量日本一を誇る大分県産の干ししいたけも、産地を問わずに敬遠される風評被害で価格が急落した。12年、中山田さんは同業者の声を聞こうと福島県二本松市の農家を訪ねた。汚染されたシイタケは行き場がなく、倉庫に積まれたまま。「同じことが大分で起きるかもしれないと思うとぞっとする。シイタケもクヌギ林も全部汚染され、生活が立ちゆかなくなる」。今年3月、関西電力高浜原発(福井県)の運転差し止めを求める仮処分申し立てを大津地裁が認めた。「隣県の住民でも止められるんだ」と勇気をもらった。7月上旬、大分地裁に伊方原発の再稼働差し止めを求めて仮処分を申し立てた。「今まで立地県の人に、原発と戦うことを押しつけてきた。申し訳なかった」。原発はとんでもない怪物だと思う。「過酷事故を想定して、30キロ圏内の自治体には避難計画を義務づけ、何十万という人を避難させるかもしれない前提で、動かす。そんな工場や発電所がほかにありますか?」。再稼働を前に開かれた今月10日の仮処分申し立ての審尋で、四国電力は「安全性に問題はない」と主張した。「事故はいつ起きるか分からない。一日も早く止めなければ」。伊方原発が再稼働した12日、居ても立ってもいられず、発電所周辺で開かれた抗議集会に駆け付けた。
   ◇   ◇
●反対意見書の可決次々 大分9市町議会、全体の半数
 愛媛県の中村時広知事が昨年10月に伊方原発3号機の再稼働に同意して以降、大分県内18市町村のうち半数の9市町議会が再稼働に反対や見直し、慎重対応を求める意見書案を可決した。経済的利益は受けず、事故の際には被害だけを受けることになる大分県では、不信感が高まっている。意見書案を可決したのは杵築、竹田、由布、別府、中津、国東、豊後高田、臼杵の市議会と日出町議会。このうち、全会一致で可決した杵築市議会は、再稼働にあたり、周辺自治体の同意や実効性ある避難計画が必要だと求めた。内陸部の竹田市議会は「放射性物質が飛来すれば、農林畜産業など主要産業が壊滅する」としている。杵築市議の一人は「原発の安全性確保に関しては、保守も革新もない。事故が起きれば市民は誰だって被害者になってしまう」と話す。臼杵市の中野五郎市長は今年1月、伊方原発を視察した際に「絶対に安全ということはありえない」と訴え、四国電力に大分県内での説明会開催を求めたが、四電は応じていない。大分県は、愛媛県からの避難者を受け入れる方針を示し、再稼働自体には反対していない。

<国民負担の原発事故コスト>
*3-1:http://www.jiji.com/jc/article?k=2016031100118&g=soc (時事ドットコム 2016/3/11) 国民負担3兆4千億円超=賠償・除染など、事故5年で-総額見えず拡大へ・福島原発
 東京電力福島第1原発事故の発生から5年間に損害賠償や除染、汚染水対策などで国民が負担した額が、確定分だけで3兆4613億円を超えることが分かった。日本の人口で割ると1人2万7000円余りに上る。今後も増え続ける見通しで、総額が見通せない状況だ。時事通信は復興特別会計などの原子力災害関連予算の執行額と、東電など電力7社が電気料金の値上げ分に含め賠償に充てる一般負担金などを集計した。国民負担は、電気料金への上乗せ▽事実上の国民資産である東電株の売却益やエネルギー特別会計(エネ特)からの支出▽政府の直接財政支出-に大別される。電力7社は事故後の電気料金値上げで、一般負担金を2015年度までに少なくとも3270億円上乗せした。東電は汚染水処理装置の保守管理費や賠償相談のコールセンター運営費など、2193億円以上も値上げ分に含めている。一般負担金は原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じ、賠償費用を立て替えている政府に納付されるが、その際に機構の運営費が差し引かれる。14年度までの運営費は117億円だった。東電株の売却益やエネ特の支出は、除染や汚染廃棄物の処理費、中間貯蔵施設関連費に充当される。これらの費用は14年度までに計1兆6889億円発生し、政府が立て替えている。東電株の購入に際し、機構が金融機関から受けた融資には政府保証が付き、焦げ付いた場合は税金で穴埋めされる。機構は東電株が大幅に値上がりすれば約2兆5000億円の売却益が生じ、除染などの費用を賄えると見込む。電源開発促進税が入るエネ特からは、約1兆1000億円が中間貯蔵施設の建設費などに充てられる。直接財政支出は14年度までに、廃炉支援や食べ物の放射能検査、研究開発の拠点整備などで計1兆2144億円が使われた。確定していない15年度分の除染費などや直接支出を含めれば、国民負担はさらに膨らむ。

*3-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160729&ng=DGKKASGG28H1J_Y6A720C1MM8000 (日経新聞 2016.7.29) 溶けた核燃料、圧力容器内に 福島第1の2号機 内部を透視
 東京電力と政府は28日、福島第1原子力発電所2号機の内部を透視する最先端の技術を使って調べたところ、溶け落ちた核燃料が原子炉の圧力容器の底に残っている可能性が高いと発表した。強い放射線に阻まれて作業員が近づけない溶融燃料を確認したのは初めて。具体的な取り出し方法を決める手がかりになるとみており、今後より詳しい調査を進める。2011年3月の福島第1原発事故で、1~3号機は炉心溶融(メルトダウン)が起きた。原子炉内部の調査には、宇宙線から生じる「ミュー粒子」と呼ぶ素粒子を使う。この粒子は人体などたいていの物質を通り抜けるが、ウランなど密度が高い物質に当たると進路が折れ曲がり、レントゲン撮影のような透視画像を得られる。今回の観測では、圧力容器の底に大きな影が映っていた。影の大部分は溶融燃料とみられる高い密度の物質で、その量は160トンほどと推定した。この数字から、原子炉中心部付近にあった核燃料はほとんどが溶け落ちたとみられる。2号機については、核燃料が集まった炉心を覆う鋼鉄製の圧力容器の中に溶融燃料が多く残っていると推定されてきた。しかし、建屋周辺の除染や調査の準備などに時間がかかっていた。溶融燃料の位置や量が把握できたことで、今後の取り出し方法の選定に向けて前進したことになる。東電と政府は今年度中にも、ロボットを使って格納容器の内部を調べる計画だ。

*3-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160729&ng=DGKKZO05400790Z20C16A7MM8000 (日経新聞 2016.7.29) 廃炉費用 東電が国に支援要請 当初見込みを大幅超過
 東京電力ホールディングス(HD)の数土文夫会長は28日の記者会見で、福島第1原子力発電所の廃炉に関して政府に支援を求める考えを明らかにした。作業工程の遅れなどで、廃炉費用が当初見込んだ約2兆円を大幅に上回る可能性が高くなったため。原発事故の賠償費用が当初見込みを上回っている問題でも政府と対応を協議する。数土会長は福島第1原発の廃炉費用について「経営に多大なインパクトを与える」と強調。そのうえで「これまで以上に国や原子力損害賠償・廃炉等支援機構と連携を密にする」と述べた。具体的な廃炉費用の見通しや支援要請の内容は明らかにしなかった。福島第1原発事故の被災者への賠償費用は国が無利子で立て替えている。従来の再建計画では5兆4000億円を見込んでいたが、すでに6兆円を超えた。想定を上回る分をどう負担するかについて政府と協議する。東電HDは経営改革を加速することで国の支援を取り付けたい考えだ。数土会長は電力小売りの全面自由化などで「環境が大きく変化している」とし、「過去の習慣にとらわれず非連続の改革に取り組む」と語った。政府は東電HDからの支援要請を受け、廃炉が着実に実施できるような支援措置の検討に入る。費用が膨らんだ場合でも作業が滞らないようにする考えだ。

<原発の安全性>
*4-1:http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0301450.html
(北海道新聞 2016/8/6) 北電が泊原発資料修正 地元首長「信頼揺らぐ」と批判の声
 北海道電力が4月から後志管内で行っている泊原発(後志管内泊村)に関する地域説明会で「原発の2次冷却水には放射性物質が一切含まれない」と事実と異なる説明をしていたことが分かり、北電は5日から説明会の資料や説明内容の修正を始めた。後志管内の首長からは「説明の信頼が揺らぐ」との批判の声が出ている。北電によると、地域説明会の資料に、泊原発が採用する加圧水型軽水炉について「タービンを回すために使う2次冷却水や蒸気に放射性物質を含みません」などと記載し、口頭でも同様の説明をしていた。しかし、1次冷却水に含まれるトリチウムは金属配管を透過して、2次冷却水に漏れ出している。北海道新聞が「事実と違う」と指摘したところ、内容の修正を決めた。北電は「資料は沸騰水型原発との構造の違いの説明を主眼にしたもの。故意に誤った説明をした訳ではないが、誤解を招く表現なので修正した」としている。北電は5日夜の留寿都村での説明会では「(2次冷却水には)蒸気発生器の伝熱管を透過したトリチウムが含まれている」と説明を変え、修正した資料を配った。誤った内容による説明会は18市町村で計61回行われたが、「説明会のやり直しはしない」という。これに対し、泊村の牧野浩臣村長は「当初の説明内容が軽率だった。説明会をやり直す必要はないが、機会を見て住民への説明責任をしっかり果たしてほしい」と指摘。仁木町の佐藤聖一郎町長は「(トリチウムが)入っていないと説明したのに、入っていたとなると不信感が募るだけ。北電は悪いことも含め事実をしっかり伝えてほしい」と話している。

*4-2:http://mainichi.jp/articles/20160808/ddm/005/070/002000c
(毎日新聞社説 2016年8月8日) 老朽原発の延命 「40年廃炉」の骨抜きだ
 老朽原発の運転延長が、立て続けに認められようとしていることに、大きな危惧を抱かざるを得ない。あくまでも「例外」とされた措置が、普通のことになってしまった。福島第1原発事故を教訓に見直された原子力安全規制は事実上、大きく方向転換したことになる。関西電力が40年を超えた運転を目指す美浜原発3号機(福井県)について、原子力規制委員会は新規制基準への合格証となる「審査書案」を了承した。11月末までに追加の審査に合格すれば、最長で2036年まで運転が延長できる。
●「例外」が普通のことに
 老朽原発の運転延長は、今年6月に認可を得た関電高浜原発1、2号機(同)に続き3基目となる。福島第1原発事故後、原発の運転期間を原則40年とする法改正がなされた。老朽化による原発のリスクを低減するためだ。福島第1原発で炉心溶融した1〜3号機は運転開始から約35〜40年が過ぎていた。導入当時の民主党(現民進党)政権は、40年の根拠を「圧力容器が中性子の照射を受けて劣化する時期の目安」と説明し、法改正には野党だった自民、公明両党も賛成した。規制委が認めれば1度限り、最長で20年間の延長を認める規定が盛り込まれたが、あくまで「例外的」な措置のはずだった。日本は地震と火山の国だ。原発に依存し続けるリスクは大きい。多くの国民も、40年原則を当然だと受け止めたはずだ。原発の安全性を向上させるためにも、脱原発依存を進めるためにも、政府と電力会社は40年廃炉の原則を厳守すべきだ。老朽原発の部品は新品に交換できても、施設の配置などは古い設計を変えづらく、安全性向上には限界があるとされる。古い技術をどうやって継承していくのかも、大きな課題となっている。こうした老朽原発のリスクを重く見るのなら、運転延長の審査は、通常の原発に比べても、格段に厳しいものであるべきだ。ところが、高浜、美浜両原発の運転延長に関する規制委の一連の審査では、むしろ、関電を手助けしているようにすら見える。高浜原発は今年7月が認可の期限だった。美浜原発は運転開始40年の前日となる11月末が期限となる。審査期間が限られる中、規制委は担当者を両原発に集中させ、安全審査を申請済みの他の原発よりも優先して審査してきた。しかも、審査が時間切れになるのを避けるため、重要な機器を実際に揺らして耐震性を確認する試験を、運転延長の認可後に先送りした。認可後の試験で耐震性に問題ありと判定された場合でも、認可は取り消さず、追加対策をして確認をやり直せばよいという。この問題については、規制委の一部委員からも「確認のやり直しは社会の理解を失う」との批判が出たほどだ。老朽原発では、燃えやすいケーブルを使っていることが問題視されていた。新規制基準は全ケーブルの難燃化を求めているが、すべて難燃性ケーブルに交換するには膨大な費用と時間がかかる。規制委は、交換が難しい箇所を防火シートで覆うという関電の代替策を認めた。難燃性ケーブルを使う場合と同等の安全性が保てるのか、疑問が残る。
●疑問募る委員長の発言
 規制委の田中俊一委員長は就任当初、原発の40年超運転について「延長は相当に困難」と述べていた。しかし、最近では「費用をかければ技術的な点は克服できる」という言い方に変わった。電力会社の代弁者のように聞こえはしまいか。福島第1原発事故後に廃炉が決まった老朽原発は、東電分を除くと6基ある。ただ、出力は30万〜50万キロワット級と小規模なものばかりだ。一方で、美浜3号機や高浜1、2号機は出力が80万キロワット級と、廃炉が決まった原発に比べれば大きい。関電は安全対策費として、高浜1、2号機で2000億円超、美浜3号機で1650億円を見込む。それでも延長に踏み切るのは、火力発電の燃料費削減など収益改善効果があるからだ。高浜1、2号機の場合、1カ月当たり約90億円に上るという。国内では今後10年間で、美浜3号機を含めて15基の原発が運転開始から40年を超える。関電の原発がお手本となり、安全対策費をかけても採算が見込める一定規模以上の原発の運転延長申請が続くだろう。廃炉の選択は、経済原理に基づく電力会社の判断に託され、例外規定の形骸化が更に進む。40年廃炉原則には、こうした電力会社の経済原理よりも、安全性を重視する意味があったはずだ。しかし、安倍政権は30年度の電力供給における原発比率を20〜22%とする計画を掲げる。これも、老朽原発の延命を後押しする。40年原則を徹底すれば、既存と建設中の原発がすべて稼働したとしても、比率は15%程度にとどまるからだ。これでは、原発に依存しない社会をできる限り早く作りたいという多くの国民の声には応えられない。原発の過酷事故を経験した国として、進めるべきは、老朽原発の延命ではなく淘汰(とうた)のはずだ。

<世界の潮流と日本のギャップ>
*5-1:http://www.afpbb.com/articles/-/3004099?ctm_campaign=topstory
(朝日新聞 2013年11月28日) 「原発は援助しない」、世銀と国連が表明
 世界銀行(World Bank)と国連(UN)は27日、最貧国に電力網を整備するため数十億ドル規模の資金援助が必要だと訴えるとともに、いずれの国においても原子力発電への投資は行わない考えを表明した。世銀のジム・ヨン・キム(Jim Yong Kim)総裁と国連の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は、2030年までに世界中の全ての人が電力の供給を受けられるようにする取り組みについて記者団に説明した。その中でキム総裁は「われわれは原発は行わない」と明言した。キム総裁によると、世銀は来年6月までに42か国の発電計画をまとめる予定。電力網の整備やエネルギー効率の倍増、再生可能エネルギー比率の倍増などを掲げ、目標達成には年間およそ6000~8000億ドル(約61兆~82兆円)が必要になるとしている。しかしキム総裁は、集まった資金は新エネルギー開発にのみ使用すると報道陣に明言。「原子力をめぐる国家間協力は、非常に政治的な問題だ。世銀グループは、原発への支援には関与しない。原発は今後もあらゆる国で議論が続く、たいへん難しい問題だと考えている」と述べた。

*5-2:http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG12H37_S5A211C1000000/ (日経新聞 2015/12/13) COP21、パリ協定採択 196カ国・地域が参加、18年ぶり 温暖化1.5度以内へ努力
 第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)は12日午後7時26分(日本時間13日午前3時26分)、途上国を含むすべての国が参加する2020年以降の新たな温暖化対策「パリ協定」を採択した。産業革命後の気温上昇を抑える目標を掲げたうえ、できるだけ早期に温暖化ガス排出を減少に転じると明記した。各国の自主性に委ねられる面は大きいが、196カ国・地域が史上初めて温暖化防止にともに努めると約束した。地球温暖化の阻止へ歴史的な一歩を踏み出した。12日夜、パリ郊外に設置された特設会場に設けられた大会議場にケリー米国務長官や中国の解振華・国家発展改革委員会特別代表、丸川珠代環境相など各国の閣僚が集まった。議長を務めるファビウス仏外相が「パリ協定を採択した」と述べ、木づちを振り下ろすと会場は長い間、拍手や歓声で包まれた。世界の温暖化対策がまとまるのは、1997年採択の京都議定書以来、18年ぶり。パリ協定は産業革命前からの気温上昇を2度より十分に低く抑える目標を掲げたうえ、さらに1.5度以内とより厳しい水準へ努力するとした。2度を超えると、異常気象といった様々な影響が現れると指摘されている。すでに地球の気温は1度程度上昇している。このため、温暖化ガスの排出量を早期に頭打ちにし、今世紀後半には人為的な排出量を森林などによる吸収量と均衡する状態まで減らす。米国や、中国などの途上国を含むすべての国が温暖化ガス削減の自主目標を作成し、国連に提出し、国内対策を実施する義務を負う。各国の削減目標を引き上げるため、2023年から5年ごとに目標を見直し、世界全体で進捗を検証する仕組みも導入する。温暖化に伴う被害を軽減する世界全体の目標を定めることも決めた。パリ協定の採択に向けて最大の焦点となった途上国の資金支援を巡っては、「温暖化は先進国の責任」とする途上国と、将来の支援額を明示できないうえ新興国にも拠出側に回ることを望む先進国で意見が激しく対立。途上国への資金支援は義務づける一方、具体的な拠出額は協定とは切り離す形とし、25年までに、最低でも年間1000億ドルとする新たな拠出額の目標を決めることで決着した。地球温暖化を巡っては、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が14年に第5次評価報告書を公表し、「人間活動が20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な要因であった可能性が極めて高い」と結論づけた。世界各地で温暖化の影響とみられる豪雨や洪水、干ばつなどの被害の報告も相次いでいる。国際社会が地球環境問題に危機感を感じ、1992年には気候変動枠組み条約が採択された。97年の同条約第3回締約国会議(COP3)で京都議定書がまとまった。だが京都議定書の採択後、中国やインドなど経済成長を遂げた途上国を中心に温暖化ガスの排出量が急増。さらに米国が2001年に離脱し、日本などが参加を見送るなど、参加国が大幅に縮小し、13~20年に削減義務を課された国々の排出量は世界全体の1割強にとどまっている。こうした状況を打開すべく、09年のデンマークでのCOP15で新たな枠組みの合意を目指し、首脳級による交渉が行われたが先進国と途上国の意見の隔たりが大きく失敗。その後6年間かけて各国の温暖化対策の機運を徐々に高めていき、ようやくパリ協定の採択に至った。

*5-3:http://www.jiji.com/jc/article?k=2016080400011&g=pol
(時事ドットコム 2016.8.4) 原発抜きでは「極めて困難」=温室ガス削減目標達成-山本環境相
 山本公一環境相は3日の就任記者会見で、地球温暖化対策を進める上での電源構成(ベストミックス)について「原子力発電抜きで、2030年までに(13年比で)温室効果ガスを26%削減する目標を達成するのは極めて困難」と述べ、原発の再稼働などを進める政府方針を堅持する考えを示した。環境相はまた、大量の温室ガス排出を伴う石炭火力発電の新設計画の条件付き容認方針も基本的に踏襲する意向も表明。一方で「(環境影響評価法に基づき)石炭火力への抑制的な思いをにじませたい」とも述べた。政府は30年のベストミックスとして、原発の比率を20~22%、石炭火力を26%、再生可能エネルギー22~24%とすることを決めている。

*5-4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12509511.html (朝日新聞 2016年8月13日) 「原発必要」揺らぐ根拠 電力大手、需給に余力・業績も回復 伊方再稼働
 四国電力の伊方原発3号機(愛媛県)が再稼働した。電力業界は需給や経営を安定させるのに「原発は欠かせない」として、審査中の原発の再稼働を進める方針だ。だが、原発事故を受けて企業や家庭の節電が進んだ結果、エアコン利用が増える猛暑でも夏の電力は安定。原油安で業績は改善しており、再稼働の根拠は逆に揺らいでいる。2011年3月の東京電力福島第一原発事故をきっかけに、大手に対する電力需要は減っている。節電が定着したことに加え、新電力への切り替えが進んだためだ。15年度の需要は5年前より約13%減。ピーク時でも電気を十分に供給できることから、政府はこの夏、震災後で初めて「節電要請」を見送った。四電は、伊方3号機の再稼働で、原発1基分にあたる98万キロワットが余る計算になり、首都圏や関西圏向けに電気を売る方針だ。1年前に川内原発(鹿児島県)が再稼働した九州電力は「余る電力を売ることが必要」(幹部)と、自粛していたオール電化の営業を7月から再開した。「再稼働しないと電力不足になる」状況にはない。業績も回復している。事故後、原発の代わりに動かす火力の燃料費が増え、原発頼みだった各社の業績は悪化した。だが、原発を持つ9社の16年3月期決算は、震災後初めて全社が経常黒字になった。WTI原油の先物価格は11年以降、1バレル=80~100ドル台で推移したが、今年2月には一時20ドル台に下落した。原油安の影響で火力の燃料費負担が減り「燃料価格の安さなど外部環境がプラスに働いた」(瓜生道明・九電社長)。それでも「収益力の本格回復には至っていない」として、玄海3、4号機(佐賀県)の再稼働を急ぐ考えだ。初期投資の大きい原発は長く使うほど利益が出るため、今ある原発は早く再稼働させたい。電気事業連合会の勝野哲会長(中部電力社長)は7月の記者会見で「需給と電力の事業収支の面で厳しい状況が続いている。早期の再稼働に向かって進めていく」と改めて強調した。
■かさむ事故対策費
 経産省は昨年5月、30年時点の原発の発電コストは1キロワット時あたり10・3円以上と試算し、太陽光や火力など他の電源と比べて「最安」と位置づけた。ところが、政府は今年4月からの「電力自由化」で競争が激しくなり、原発を持つ大手の経営環境は厳しくなると見て、原発事業を維持する制度づくりを進める。例えば、使用済み核燃料の再処理事業では、電力が撤退や破綻(はたん)することも想定し、国の関与を強めた。原発事故時の損害賠償制度をめぐっては、電力側の責任の範囲を小さくすることも含めて議論を始めた。こうした見直しに国の有識者会議の委員からは「原発コストは安いという試算があるのに、なぜ自由化で『原発はやっていけない』という議論が出るのか」と、矛盾を指摘する意見も出た。実際、事故対応のコストは当初の想定より膨らんでいる。被災者への賠償費用(約5・4兆円)や廃炉費用(約2兆円)は、東電の想定を大幅に上回る見通しだ。電力各社が見込む原発の安全対策費も年を追うごとに増えている。原発の実際の発電コストは試算を上回っている可能性が高い。再稼働を進めるにあたっては「原発は安い」との試算を前面に出し、実際には「高コスト」を前提に政府内の議論が進む。都留文科大の高橋洋(ひろし)教授(エネルギー政策)は「すでに電気は十分に足りているし、コストが安いという神話は崩壊している。政府は、原発が安くないことを認めたうえで、それでも推進する根拠を説明する必要がある」と指摘する。

<再生可能エネ>
*6-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/337842
(佐賀新聞 2016年7月26日) 国内最大の潮流発電設置、長崎、五島列島沖で実証実験
 九州電力の子会社で再生可能エネルギー事業を手掛ける九電みらいエナジー(福岡市)は26日、長崎県・五島列島沖で潮の流れを利用した発電の実証実験を始めると発表した。新日鉄住金エンジニアリング(東京)などと共同で実施。出力は2千キロワットを想定しており、潮流発電としては国内で最大規模になる。本年度から準備を進め、2019年度の運転を目指す。潮流発電は再生エネの中でも天候に左右される太陽光や風力と違い、年間を通じて安定した発電ができるとされ、政府も導入に力を入れている。実験は環境省の委託事業として選ばれ、総事業費は本年度からの4年間で30億円以上を見込む。

*6-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37920
(日本農業新聞 2016/6/17) 再生エネルギー 収益で地域活性化 災害時 農村の電源に
 地域ぐるみで再生可能エネルギー発電を行い、大規模な災害に備えて蓄電する取り組みが、農山村で広がっている。固定価格買取制度による売電収入で地域活動の財源が見込めるだけでなく、停電した場合の一定期間、非常用電源にも活用できる。自然災害で集落が孤立した場合などへの備えになり、「農家の経営安定と地域の災害時の安全保障につながる」と効果を実感する声が上がる。兵庫県朝来市の10集落の住民でつくる「与布土地域自治協議会」は、児童数の減少で閉校になった小学校体育館の屋上に太陽光パネルを設置し、昨年3月から固定価格買取制度を利用して売電を始めた。パネルと同時に蓄電池も設置。体育館は災害時に地域の避難所となり、その場合に使える非常用電源を確保した格好だ。山に囲まれた与布土地域。閉校を契機に、協議会では過疎高齢化が進む地域の存続問題について話し合いを重ね、再エネ発電に挑戦した。太陽光パネルと蓄電池設置の総費用は2200万円。うち蓄電池は500万円程度で、体育館の数日間の電源が確保できる見通しだ。県の助成500万円を活用し、残りの1700万円は無利子融資を受けた。年間180万円の売電収入のうち、年間50万円は協議会の活動費に充てる。同協議会の西山俊介さん(73)は「地域活性化のために自由に使える活動費は貴重。自然災害が発生しライフラインが途絶えた時に、自分たちの生活を地域で守ることもできる」と笑顔だ。兵庫県では再エネを活用した非常用電源を整備した集落を「エネルギー自立のむら」と認定し、補助や無利子貸し付けを行う。現在、県内の中山間地域などで12集落を認定。同県は「エネルギーの地産地消により災害時の自給自足が実現できる」(水エネルギー対策課)と説明する。地元農家や地域づくり団体などでつくる福島県いわき市の「いわきおてんとSUN企業組合」も太陽光発電と蓄電に取り組む。売電する他、蓄電池を整備することで災害時の電源対応ができる。島村守彦事務局長は「再エネは、売電による経済効果も大きいが、自分たちでエネルギーを作って自分たちで使い、いざという時の生活を守ることができる」と感じる。熊本県南阿蘇村の「里山エナジー」は、農家が再エネに参入する支援をする。代表者の農家、大津愛梨さん(41)の家では、再エネ発電をしていたことから熊本地震の本震が発生した4月16日もすぐに電気が使えた。大津さんは「再エネの力は災害時に改めて証明された」と強調。地域の資源を生かした発電について「農村は食べ物もエネルギーも作れることを示し、農業の経営安定にも災害時の安全保障にもつながる」と指摘する。

*6-3:http://www.nikkei.com/article/DGXLZO05236320V20C16A7L72000/
(日経新聞 2016/7/26) 下水汚泥発電の準備着手・県、桶川で19年に開始
 埼玉県は25日、下水処理施設で下水汚泥から発生するメタンガスなどを使った発電事業の準備に着手したと発表した。元荒川水循環センター(桶川市)に設備を設け、2019年4月に発電を開始する。県は事業者へのガスの売却代や土地の賃貸料で年間6000万円の収入が見込め、汚泥の減量化にもつながるという。事業者は公募型プロポーザル方式で大原鉄工所(新潟県長岡市)の東京支店(東京・文京)を選定。県は同センターに汚泥消化槽を建設し、年間に発生するメタンガスを主成分とする消化ガスのうち6割に相当する146万立方メートルを同社に売る。同社は同センター内に発電機を設置し、1キロワット時あたり39円(税抜き)で20年間、電力会社に売電する。年間発電量は270万キロワット時で、一般家庭500世帯分に相当するという。国が定めた再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を活用する。ガスの残り4割は汚泥焼却炉の燃料として活用。県は汚泥消化槽の建設や焼却炉の改造などに約40億円を投じる。同センターは熊谷、行田、鴻巣、桶川、北本の5市の33万人分の下水を処理している。県は中川水循環センター(三郷市)でも発電事業を予定している。


PS(2016/8/17追加):*7-1のように、7月の鹿児島県知事選では三反園氏が当選し、川内原発の一時停止を要請しているため、停止後は再稼働しない可能性も出てきた。しかし、愛媛県は2014年11月に2度目の当選を果たした中村氏が、四国電の再稼働に関し、「安全確保を最優先に慎重に取り組んでいただきたい」と述べただけだったため、愛媛県の伊方原発は、*7-2のように、司法で止めるか、知事を換えて止めるかしかなさそうだ。

*7-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/342354
(佐賀新聞 2016年8月8日) 地震で原発立地知事に差
■川内原発 一時停止の要請を表明
■伊方原発 再稼働に追加策求めず
 連続して震度7を記録し大きな被害が出た4月の熊本地震を巡り、原発を抱える周辺自治体首長の対応に差が目立っている。鹿児島県の三反園訓知事が九州電力川内原発(同県薩摩川内市)の一時停止を求める意向を示す中、12日にも再稼働する四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働に同意した同県の中村時広知事に特段の動きは見られない。市民団体は「熊本地震を受け安全対策を再検証すべきだ」と批判している。
▼対決姿勢
 7月に初当選した三反園氏は、熊本地震の影響を調べるため、稼働中の川内1、2号機の一時停止を九電に要請することを表明。「地震後に安全性は確認した」とする九電との対決姿勢を鮮明にしている。一方、伊方3号機の近くには長大な中央構造線断層帯が通っており、熊本地震をきっかけに活発化することを危ぶんだ住民らは松山地裁や大分地裁に運転差し止めを求める仮処分を申し立てた。一部の市民団体は、再稼働同意を撤回するよう中村氏に要請した。だが、原子力規制委員会は「審査で十分検討した」との立場で、中村氏もこれをほぼ踏襲する形で、再稼働までに四国電や国に追加の安全対策を要求しない考えを示してきた。
▼影潜める
 中村氏は昨年10月の再稼働同意に際し、国の基準以上に施設を耐震化するよう四国電に求めるなどの県独自の安全対策を取るとともに「過酷事故が起きたときの国の責任が曖昧」と繰り返し批判。“物言う知事”としての存在感をアピールしたが、熊本地震後は影を潜めたようにも見える。今年7月下旬の定例会見。中村氏は県の取り組みを改めて紹介した上で「立地条件などが違い、鹿児島県と同じ土俵で(対応を)比較できない」と理解を求めた。今月5日、四国電が再稼働の日を12日と発表した際も、中村氏は「安全確保を最優先に、慎重に取り組んでいただきたい」などとコメントを出しただけだった。

*7-2:http://www.oita-press.co.jp/1010000000/2016/08/16/000804532 (大分合同新聞 2016/8/16) 対岸の原発 伊方再稼働㊦ ― 「一私企業の経営安定のために、どうして多数の住民がリスクを負わなければならないのか」(井戸謙一 1954年生まれ。大阪府出身。東京大学教育学部卒。75年司法試験合格。金沢地裁、京都地裁で民事部の裁判長を務めた。2011年3月に退官し、現在は弁護士。滋賀県彦根市在住)
 関西電力高浜原発3、4号機(福井県)に隣接する滋賀県の住民の申し立てを認め、運転を差し止めた3月の大津地裁決定は、重大事故が起きた場合に放射能被害が及ぶ可能性のある周辺自治体の住民を勇気づけた。滋賀住民の弁護団長を務め、四国電力伊方原発(愛媛県)の運転禁止を求める「大分裁判」の弁護団にも加わった井戸謙一弁護士(滋賀弁護士会)に、大津決定の意義などを聞いた。
●大津決定の意義は。
 現実に動いている原発を、隣接県の住民の申し立てで隣接県の裁判所が止めたことだ。(立地県でない住民の主張を認めたのは)東京電力福島第1原発事故の被害が広範に広がったことの裏返しだ。
●追随する司法判断は出るか。
 これまで裁判所は、電力会社側に原発が安全基準に適合していることを、原告側には原発の危険性の立証を求め、原告側のハードルが高かった。大津決定は従来の枠組みを踏襲しながらも、関電に対し「福島事故後の規制がどう強化され、関電がどう応えたか」の立証責任を強く求めた。(他の裁判所が)同調しやすい判断枠組みだ。
●決定は政府が「世界最高水準」と自負する新規制基準を不十分と指摘した。
 国際基準である国際原子力機関(IAEA)の「深層防護」の考え方を取り入れなければならないのに、新基準は避難計画を審査の対象としていない。それだけで原子力基本法、原子力規制委員会設置法に違反する。「世界一厳しい」というのは大うそだ。
●井戸さんは元裁判官で、金沢地裁の裁判長だった2006年に北陸電力志(し)賀(か)原発の差し止め判決を言い渡した。
 もともとは原発廃止論者ではなかった。原発なしでは日本のエネルギーが立ち行かないと思っていた。しかし、審理の中で、北陸電力がコスト削減のためにあえて不利な部分に目をつぶっていると感じた。原発自体は反対しないが、やるなら安全性を高めて、との思いを込めた。「3・11」直後も原発をすぐゼロにとは言えなかった。だが、2年間、原発が1基も動かず、日本社会には原発がいらないことが分かった。今夏は節電要請もしていない。一私企業の利益のために周辺住民がリスクを負う理由はない。
●伊方原発をどう見る。
 最も大きいのは耐震性の問題。中央構造線が動いたときの地震の加速度予測は、四国電の計算にごまかしがあるとしか思えない。合理的な避難計画もできず、立地不適だ。
●「大分裁判」の弁護団に参加した。
 大分、松山、広島と3地裁に伊方原発差し止めの仮処分が申し立てられている。最低でも一つ勝ち、何としても止めたい。鹿児島県では九州電力川内原発の一時停止を掲げた知事が当選した。川内は政治で、伊方は司法で止めることができる。もう時代は変わった。動き始めた原発を一つ一つ止めていき、原発ゼロを実現したい。


PS(2016年8月18日追加):朝日新聞編集委員の上田氏が伊方原発近くの集落生まれだそうで、*8に、「『なんか声をあげんといかん』。道は、その先に開かれる」と書いておられるが、役に立つ有力な地元出身者だろう。そして、その先の道は、原発がなければ瀬戸内海は釣り堀のように魚が多くて美しい内海にでき、豊予海峡は海峡幅が約14kmで流れが速いため関アジ・関サバのような筋肉質の高級魚が獲れる上、潮流発電の適地にもなりうる。従って、その先は栽培漁業を含む漁業や九州・四国間海底トンネルをつくって四国・瀬戸内海をめぐる観光拠点にするなど、いろいろな可能性が考えられる。

*8:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12516729.html (朝日新聞 2016年8月18日) ザ・コラム 伊方原発再稼働 声をあげる、その先に  (編集委員 上田俊英)
 朝のうちから夏の日差しが照りつけていた。11日、愛媛県伊方町。穏やかな瀬戸内の海が眼前に広がる四国電力伊方原発のゲート前に、斉間淳子さん(72)はいた。3号機の再稼働反対を訴えるためだ。伊方の隣の八幡浜市で生まれ育ち、夫で地域紙を発行する満さん(2006年死去)と原発反対運動を続けてきた。兄が四電にいて運動と距離を置いた時期もあったが、1981年に伊方沖で魚の大量死が発生。県の調査グループは放射能の影響を否定したものの、淳子さんは恐怖を感じた。「海に浮いている魚を見て、わが子のように思ったんよ。どこかで必ず事故が起こる。そうなったら、子どもや孫が帰るところがなくなってしまう」。11年3月11日、不安は福島で現実になる。東京電力福島第一原発事故からほどなく、淳子さんは東日本大震災の「月命日」の毎月11日に、ゲート前で座り込むようになった。「反対の声をあげんといかん。そうすれば四電もむちゃくちゃを、ようせんようになる」という思いからだ。最初の座り込みは、みずからが88年につくった「八幡浜・原発から子どもを守る女の会」のメンバーと2人。それが3号機の再稼働を翌日に控えたこの日、全国から集まった人たちは80人ほどはいただろう。その輪の中で淳子さんは訴えた。「子どもの命を、だれが守ってくれるんですか」
     ◇
 伊方で原発の建設計画が表面化したのは69年。激しい反対運動のなか、8年後の77年に最初の1号機が運転を始める。そして94年までに3基の原発が並んだ。淳子さんの夫の満さんは新聞記者として、当初から取材にあたった。満さんは著書「原発の来た町/原発はこうして建てられた/伊方原発の30年」に記す。「原発は決して伊方を豊かにはしなかった。道路や建物は立派になったが、人々の心は傷つき、人間の信頼は失われた」。それは、まさにいまの福島の被災地の姿だ。第一原発周辺の広大な避難指示区域。人々は分断され、心は傷ついたままだ。伊方の反対運動は73年、原発の安全性を争う日本で最初の裁判へ発展する。住民が1号機について国の設置許可の取り消しを求めて最高裁まで争い、92年に敗訴が確定した。しかし、この裁判は、反対運動に、いまにつながる道を切り開いていた。伊方の最高裁判決は次のように述べた。原発の設置許可の判断に不合理な点があるという主張や立証の責任は「本来、原告(住民)が負うべき」だが、原発の安全審査に関する資料をすべて国側が持っている点などを考えると、国側に「判断に不合理な点のないことを相当の根拠、資料に基づき主張、立証する責任があり」、それを尽くさなければ「判断に不合理な点があることが事実上推認される」。関西電力高浜原発3、4号機(福井県)をめぐり滋賀県の住民が大津地裁に再稼働の差し止めの仮処分を求めた裁判で、地裁が今年3月に出した運転停止の決定も、この最高裁判決を引用した。被告が電力会社の場合も原発の安全を立証する責任は電力会社側にあり、関電がそれを尽くしていないなどとして、住民の申し立てを認めた。伊方3号機は12日、予定通りに再稼働した。反対する住民は広島、松山、大分の3地裁にそれぞれ運転停止の仮処分を申請。いま、司法の力での運転停止を目指す。
     ◇
 伊方原発は愛媛の西に針のように突き出た佐田岬半島のつけ根にある。事故の際、避難の「命綱」となる幹線道は、半島を貫く国道197号と、そこから分かれて瀬戸内海沿いを通る378号だけである。原発を離れて378号を東に向かうと、ほどなく私が生まれた集落に着く。人口450余。避難路はこの国道1本だ。道は片側が海、反対側は崖。かつては幅が狭く、ガードレールもまばらで「酷道(こくどう)」と呼ばれた。集落の2キロほど東には60年前に路線バスが海に転落し、9人が亡くなったことを伝える「慰霊碑」も立つ。集落で知人を見かけた。「事故があったらどう逃げる」と尋ねたら、「みんな、あきらめとる」。現実かもしれないが、それでは困るので、言った。「なんか声をあげんといかん」。道は、その先に開かれる。


PS(2016年8月19日追加):*9-1のように、鹿児島県の三反園知事は九電川内原発周辺を視察し、「道路・避難訓練など、事故時の避難計画を含めて見直す必要がある」と述べている。これにより、道路整備のために原発が必要だということにならないことを望みたい。一方、電力供給については、*9-2のように、北九州市や地場企業が出資する地域エネルギー会社「北九州パワー」が、供給可能なすべての市施設への電力供給を達成し、供給先を民間企業にも拡大する方針を決めた。また、*9-3のように、九電管内の揚水発電所は太陽光発電接続量が約600万キロワット(原発6基分)に達し、日中に水をくみ上げる日が増加して揚水発電所が太陽光発電の余剰電力を調整する「蓄電池」の役割を果たしているそうだ。さらに、北九州市は、*9-4のように、響灘沖の洋上風力発電に向けて事業者の公募を開始しており、*9-5のように、地中熱の利用で省エネ・創エネもできるため、強烈な公害を伴う原発は、既に過去のエネルギーとなっている。 

   
    *9-1より         *9-3より      2016.8.18      北九州市響灘 
                                  東京新聞        風力発電ゾーン 

*9-1:http://qbiz.jp/article/92651/1/ (西日本新聞 2016年8月19日) 九州の原発:事故時の「避難計画を見直す」 鹿児島知事が明言、川内原発周辺視察で
 鹿児島県の三反園訓知事は19日、九州電力川内原発(薩摩川内市)周辺を視察した。前知事時代に作成された原発事故時の避難計画が適切かどうかを判断するため、避難道路の状況を確認。住民からも意見を聞き「道路や避難訓練の問題など、早急に対応が必要なことが分かった。避難計画を含めて見直す必要がある」と述べた。記者団の質問に答えた。今回の視察は、7月の知事選で川内原発の一時停止を公約として掲げて当選した三反園知事にとっては、実現に向けた初めての具体的な行動。三反園知事はこの日、薩摩川内市や原発30キロ圏内のいちき串木野市を視察した。

*9-2:http://qbiz.jp/article/92556/1/
(西日本新聞 2016年8月18日) 「北九州パワー」が中小企業に売電 来年1月から
 北九州市は17日、市や地場企業が出資する地域エネルギー会社「北九州パワー」(戸畑区)が2017年1月から市内の事務系中小企業への売電を始めることを市議会環境建設委員会に報告した。18年1月をめどに工場系の中小企業にも売電を始める。企業側は電気料金の削減が期待できるという。同社は4月から市内2カ所のごみ焼却施設で発電する電力を買い取り、市施設の約3割に当たる122施設に他の事業者より安く売電。残りは売っても採算割れする施設などで、同社は「供給可能なすべての市施設への電力供給を達成した」と判断し、1日の取締役会で供給先を民間企業に拡大する方針を決めた。同社は昨年12月に設立。4〜6月の売上高は約1億9600万円で営業利益は約1600万円。購入した122施設では3カ月間で計1111万円の電気料金削減効果があったという。

*9-3:http://qbiz.jp/article/92610/1/
(西日本新聞 2016年8月19日) 電力新時代:揚水発電所「昼夜逆転」 余剰太陽光の受け皿に
 九州電力管内で、くみ上げた水を使って発電する「揚水発電所」の役割が変化している。従来は夜間に原子力や火力などの電力を使って貯水し、需要が増える時間帯に発電していたが、近年は日中に水をくみ上げる日数が増加。太陽光設備の余剰発電量を調整する「蓄電池」の役割を果たしている。揚水発電所は、電気を使って低所ダムの水を高所ダムに移し、必要に応じて水車を回して発電する仕組み。九電は天山(佐賀県唐津市、出力60万キロワット)、大平(熊本県八代市、出力50万キロワット)、小丸川(宮崎県木城町、出力120万キロワット)の3発電所を持つ。離島を除く九州の太陽光発電の接続量は、国の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度が始まった2012年以降に急増。今年6月末現在の接続量は615万キロワットで、11年度末の約8・3倍に増えた。このため、春や秋の需要が少ない時期には、日中の発電量が想定を上回る状況が発生。供給過多だと停電の恐れもあることから、九電は需給調整のため揚水発電所を活用している。水をくみ上げた延べ日数の合計を昼夜別にみると、11年度以降、昼間の稼働は年々増加。15年度には昼夜が逆転した。九電によると、昼間のくみ上げ日数は、15年度の3倍程度まで増やせる余地がある。現在も増加を続ける太陽光発電の受け皿として、重要性がさらに高まりそうだ。

*9-4:http://qbiz.jp/article/92596/1/ (西日本新聞 2016年8月19日) 北九州市、事業者の公募開始 響灘沖の洋上風力発電
 北九州市若松区沖での洋上風力産業集積を目指す北九州市は19日から、響灘の港湾区域2700ヘクタールに発電施設を設置・運営する事業者の公募を始める。市は投資金額1千億〜1500億円、関連産業を合わせて将来的に千人超の雇用を見込む。公募は10月18日まで。外部の有識者からなる「評価・選定委員会」の意見を参考に市が事業者を選び、来年1月ごろに結果を公表する。事業者は環境アセスメントを経て2021年度以降に発電を始める予定。評価項目には、風力発電産業の総合拠点化に向けた産業集積、拠点形成に役立つ具体的提案も含まれている。市港湾空港局は「洋上風力の風車には2万点程度の部品が必要とされ、裾野が広い産業。単に発電所を設置するだけでなく、北九州市をけん引する新たな産業集積を図りたい」としている。

*9-5:http://www.saga-s.co.jp/column/economy/22901/346157
(佐賀新聞 2016年8月19日) 「地中熱の利用促進を」九州研究会、最新事例など発表
 再生可能エネルギーとして注目されている地中熱を研究している「九州地中熱利用促進研究会」(野田豊秋会長、8社)の結成1年を記念した講演会が佐賀市であり、地中熱を導入したモデルルームの事例などが報告された。地中熱は浅い地盤にある低温の熱エネルギーで、地上の外気温と地中の温度差を利用して冷暖房に役立てる。地盤改良機製造のワイビーエム(唐津市)は、地中熱の利用により夏期の電力消費を50%以上削減できたという。講演会では、研究会が建設した小城市のモデルルームでの実験結果を報告。太陽光発電と地中熱を利用することで、外気がマイナス3度でも20度以上の室温を実現した事例が示された。同社の大久保博晃主査は「海外からの視察もあり、地中熱が次世代のエネルギーの主役になる可能性がある」と力を込めた。講演会には約50人が参加。佐賀大の宮良明男教授が地中熱利用技術の最新研究を発表した。


PS(2016年8月20日追加):東電福島第一原発事故による避難区域のうち、放射線量が年間50ミリシーベルト超の帰還困難区域を、どうすれば年間1ミリシーベルト以下の居住可能区域にできるのか不明であり、際限なく国家予算をつぎ込めば年間1ミリシーベルト以下の居住可能区域になるわけでもない。そのような中、最終的には数兆円にもなる可能性のある除染を国費で負担しつつ、原発のコストは安いと強弁し、社会保障は消費税率を上げなければ財源がないなどとして、特定の省庁のメンツや趣味のために国民の生命・財産・生活をないがしろにするのは程がある。

*10:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201608/CK2016082002000130.html (東京新聞 2016年8月20日) 帰還困難区域の除染に国費 事実上の東電救済策
 東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域のうち、最も放射線量が高く、立ち入りが制限されている福島県の「帰還困難区域」の除染について、政府が国費を投入する方針を固めたことが政府関係者への取材で分かった。帰還困難区域では本格的な除染作業は行われておらず、方針が決まるのは初めて。政府は区域内に、五年後をめどに避難指示の解除を目指す「復興拠点」を設ける方針で、この拠点や関連するインフラの整備を公共事業として行うことで、通常の除染作業と同様、線量を下げる。洗浄や表土はぎ取りといった従来の除染は、東電が費用を負担する仕組み。国費の投入は「国が前面に出る姿勢のアピール」(政府関係者)で、帰還困難区域の除染がスムーズに進むとの期待がある一方、東電の事実上の救済に当たるため、反発も出そうだ。政府関係者によると、復興拠点の整備事業として、対象地域内の建物の解体・撤去や土壌の入れ替え、道路の基礎整備・舗装などを実施することで、除染と同様に大幅な線量低下が見込めるという。インフラ整備と一体化して行うことにより、除染が迅速化すると同時に、東電の負担軽減につながる。こうした除染費用の方針について、政府は近く与党の提言を受け、今月末にも正式決定する。拠点外の除染については、整備の進展に応じて今後、検討する。一方、既存の利用可能な設備やインフラなどの除染費用は、政府が従来通り、東電に請求する。政府は二〇一三年、東電が負担する除染費用を二・五兆円と試算したが、範囲の拡大や経費の高騰などで大幅に超過する見込みで、本年度当初予算までに二・九兆円が計上されている。帰還困難区域を含めると最終的には数兆円程度に増える可能性もあり、このうち、国費で負担する復興拠点の除染費用は見通しが立っていない。
<帰還困難区域> 東京電力福島第一原発事故による避難区域のうち、放射線量が年間50ミリシーベルトを超え、原則立ち入り制限がされている区域。第一原発のある大熊町、双葉町をはじめ、浪江町、富岡町、飯舘村、葛尾村、南相馬市のそれぞれ一部が対象で、事故前の区域内人口は約2万4000人、面積は約337平方キロ。


PS(2016年8月21日追加):送電網がなくても電気を使えるのが太陽光発電などによる自家発電だ。パナソニックは、*11-1のように、「①ブランドイメージは最初に手にする商品で創られる」「②日本製は機能や品質は高いが価格も高いと言われてきた」としているが、最近の日本製は、他国製と比較して機能差より価格差が大きすぎ、これがブランドイメージになっている。ではどうすればよいかと言えば、生産を現地化してインドでよく教育された優秀な技術者やインド商人として有名なインド人営業マンを使って、市場のニーズに合う製品を作って販売することだ。これは、グローバリズムの中のローカリズムと言われ、現地に雇用を生み出して購入資金を提供するとともに、会社としてのパナソニックのファンを増やし、市場がインド人の視野の内にあるユーラシア大陸に広がるという効果を持たらす。これは、左ハンドルの大型アメ車を輸入して日本で売ろうとしても売れないのと同じグローバル化の原則だ。
 さらに、アフリカもインドと同様に太陽光発電の適地である上、これから生産適地にもなるため、現地で生産・販売することを視野にビジネスを行った方が、地域を豊かにして販売も進むと考えられる。
 このような中、*11-2のように、経済同友会副代表幹事「原発の運転延長をしないと原子力比率20%は達成しえない」と述べたり、*11-3のように、内閣府原子力委員会が原子力白書を復活して原発回帰したりしていれば、せっかく日本で発明された太陽光発電の普及や生産が妨害され、10年後にはインドよりも、15年後にはアフリカよりも遅れて、またバスに乗り遅れまいと必死で追い駆け、(逆転できたとしても)逆転できたことを喜ばなければならない立場になっているだろう。何故なら、生産技術は販売され生産する場所で改良され定着するものだからだ。 

*11-1:http://digital.asahi.com/articles/ASJ8D64VXJ8DULZU00F.html?ref=nmail
(朝日新聞 2016年8月21日) 日本品質を途上国価格で 「エネルギーのはしご」見据え
 南アジアやアフリカの送電網がほとんど整備されていない地域で、電気のある暮らしが急速に広がっている。かぎを握るのは、太陽光パネルを使った簡素な機器と、低所得者層の実情にあった販売手法の組み合わせだ。貧困問題の解決はビジネスチャンスにもつながる。日本企業も本腰を入れ始めた。レンガ造りの家の中で、子どもたちが本を読んでいた。インド・ニューデリーの東約200キロにあるゴート村。明かりは、小さな太陽光パネルとリチウムイオン電池、LED照明を組み合わせたソーラーランタンだ。「ケロシン(灯油)の明かりは、暗くて煙で目が痛かった。これで夜も勉強できるようになった」。大学生のポージャ・チャンドラさん(18)と中学生のアカシュ君(12)のきょうだいは口をそろえた。家の外では母親のマヤさん(45)がもう1台で夕食の準備をしていた。送電線はあるが、電気がつくのは日に2~3時間。昨年末に2台買ってから、市場で野菜などを売って暮らす一家の生活は明らかに上向いた。夜も商売ができるようになり、収入が2割増えたという。約900世帯の集落では、ランタンの明かりの下で店を開いたり、工芸品を加工したりする人たちも目につく。この村で一番売れているのはパナソニック製だ。機能を絞って、価格を1500~2500円に抑えた。インド全体ではこれまでに約5万台売れた。ソーラーランタンはインドで年間約300万台が売れている。大半は欧米のベンチャー企業製。日本製はこれまで「機能や品質は高いが価格も高い」と敬遠され、もっぱら社会貢献として寄贈されてきた。そこにあえて参入したのが、パナソニック・インド事業開発センターの柿本敦さん(39)たちだ。電気が使えると、教育や健康も改善され、貧困から抜け出す足がかりになる。自然エネルギーの電気なら地球温暖化防止にも役立つ。安くて信頼できるエネルギーへのアクセスは、国連が2030年までに解決をめざす「持続可能な開発目標(SDGs)」の重要なテーマでもある。寄贈や援助でなく、ビジネスを通じて社会課題を解決するのが世界の流れだ。パナソニックは14年11月、価格をこれまでの半分以下に抑えた低所得者層向け製品を発売した。販売面では現地の社会的企業と連携し、「なぜ健康や家計にプラスなのか」という啓発や代金回収、アフターサービスの窓口などを委託した。もうけは薄い。ただ、インドの無電化人口は2億4千万人もいる。潜在的な市場は巨大だ。電気のない生活から、安定した電気が使える生活へと発展していく道筋は「エネルギーのはしご」と呼ばれる。ソーラーランタンは「はしご」の1段目にあたる。柿本さんは、その先を見据える。「ブランドイメージは、最初に手にする商品でつくられる」。パナソニックは家電のラインアップが豊富だ。無電化地域の人たちはこれから「はしご」を登り、家電を増やしていく。目先の利益は難しくても、将来的には大きな利益が見込めるはずだ。「うちも元は二股ソケットで大きくなった。大きな可能性があると思う」。電気のない生活をしている人は世界に約12億人、不安定な電気しか使えない人は約10億人いる。多くは年間3千ドル(約30万円)未満で暮らす低所得者層だ。この人たちが灯油やロウソクなどのエネルギーに使うお金は、年間約270億ドルにのぼる。送電網につなげないソーラーランタンなどの「オフグリッド(独立電源)」の市場は、まだ世界で7億ドルだが、20年には31億ドルに拡大し、約1億世帯に普及するとみられている。
■南アジアだけでなくアフリカでも
 世界には、インドを含む南アジアのほかにもう一つ、広大な無電化地域がある。アフリカだ。人口約1億人とアフリカで2番目に多いエチオピアでは、日本の中小企業連合がエネルギービジネスに挑む。「東京電力の顧客の2倍にあたる1億人に電気を届けましょう」。8月上旬、東京・新宿のスナックに中小企業の社長ら10人が集まって気勢をあげた。町工場の技術を結集した「ソーラー・ホーム・システム(SHS)」が完成したのだ。SHSは「はしご」の2段目にあたる機器。ランタンよりひと回り大きい10~100ワット程度の太陽光パネルを屋根に置いて蓄電池にためる。複数の照明やテレビ、扇風機などを動かせる。きっかけは、LEDや蓄電池製品を製造・販売するアイガジェット(東京都千代田区)の川口辰彦社長(62)が、途上国の低炭素化事業を企画する会社を経営する松尾直樹さん(55)と出会ったことだ。2年前、松尾さんが国内の大企業と開発していたSHSの試作品をたまたま見かけ、川口さんはダメ出しをした。松尾さんが「あなたはできるの」と聞くと、「できますよ」と答えた。製品化を考えたことはなかったが、勝算はあった。太陽光パネルや蓄電池を世界各地から安く調達できる人脈と、核となる制御装置に日本の高い技術を投入できる人脈を両方持っていたからだ。松尾さんとエチオピアを訪ね、社会的な意義も実感した。1年後にできた試作品は、大企業のものよりはるかに能力が高かった。コストもぎりぎりまで抑え、1万円程度で量産できる見込みだ。6~12カ月のローンなら現地の人にも手が届く。年内に1千台のテスト販売を予定している。川口さんを突き動かしたのは「技術ではどこにも負けない」という中小企業の意地と、「短期的な利益は薄くても将来性は十分ある」という確信だ。「日本品質の製品を途上国価格で提供することは十分可能。日本の生きる道はここだと示したい」と川口さん。アフリカの無電化人口は6億3千万人で世界の半分以上を占める。27、28日にケニア・ナイロビで開かれる第6回アフリカ開発会議(TICAD)でもエネルギーアクセスの向上が議論される。
■コストダウンとマイクロクレジットの広がり
 太陽光パネルと蓄電池を組み合わせて電気を自前でまかなう動きは、送電網が整備された先進国にもある。だが、いま世界で先頭を走っているのは途上国の人たちだ。いくつかの無電化地域を歩いて、その勢いを感じた。後押ししているのは、最近6年間で80%も下がった太陽光パネルの急激なコストダウンと、貧困層への無担保少額融資(マイクロクレジット)の広がりだ。実は、SHSが世界で最も普及している国はバングラデシュだ。グラミン銀行の創設者でノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏は、マイクロクレジットの手法で、1996年から販売に取り組んだ。初めは月に2、3セットだったが、いまでは1日に1千セット。通算で160万セットも売れた。他社分も合わせ400万世帯に普及した。SHSは1万~5万円。3年ローンを組めば、毎月の返済は明かりの灯油代とほぼ同じになる。マイクロクレジットは、インドやアフリカでも広がる。最近は各国で携帯電話による決済も可能になっている。お金と時間をかけて発電所や送電網を整備する前に、電気のある暮らしが広がる。電話回線を引く前に携帯電話が普及したのと同じ「カエル跳び」現象だ。自然エネルギーの技術と新しいビジネスモデルが融合し、世界のエネルギーの構図を変えつつある。

*11-2:http://jp.reuters.com/article/asada-nuclear-plant-idJPKCN10213Z?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter (ロイター 2016年7月 22日) インタビュー:電源構成、原発比率10%達成も危うい=同友会副代表幹事
 7月22日、経済同友会の朝田照男副代表幹事(丸紅会長)はロイターとのインタビューで、政府が2030年度の望ましい電源構成(ベストミックス)で20─22%と想定している原子力発電の比率について、現状を踏まえると10%の達成も危ういと指摘した。写真は川内原発、2015年8月撮影(2016年 ロイター/Issei Kato)[東京 22日 ロイター] - 経済同友会の朝田照男副代表幹事(丸紅(8002.T)会長)はロイターとのインタビューで、政府が2030年度の望ましい電源構成(ベストミックス)で20─22%と想定している原子力発電の比率について、現状を踏まえると10%の達成も危ういと指摘した。太陽光などの再生可能エネルギー拡大に向けた民間投資を促すよう、政府の積極的な支援を求めた。同友会は6月28日に「ゼロ・エミッション社会」実現への提言を発表。その中で、原子力について、「40年廃炉ルール」を厳格に適用した場合、原発全基が再稼動しても政府目標の達成は難しく、「その発電割合は15%程度になる」との見通しを示している。朝田氏は昨年、同友会の環境・資源エネルギー委員会委員長として同提言のとりまとめにあたった。インタビューの中で、朝田氏は福井県にある関西電力の高浜原子力発電所の1号機と2号機が40年超の運転を認められたことに触れ、「あのような運転延長を入れていかないと、原子力比率20%は達成しえない」と指摘。しかし、原子力規制委員会による新規制基準への適合可能性や司法判断による運転見合わせのリスクなどを考慮すると、「残念ながら、10%も行くかどうかという状況」と述べた。一方、再生エネルギー開発については、日本のエネルギー産業で最大の成長分野でありながら、促進するには「障害が多すぎる」と指摘。具体的には、地熱、水力、風力発電に長期の環境アセスメントが必要になるという実態のほか、最大の問題として送電線の不備を挙げた。朝田氏は、再生エネルギーを推進しなければ、「日本が世界の笑いものになってしまうという危機感を持っている」としたうえで、民間企業による投資への促進措置や送電線整備への政府や政府系ファンドからの資金支援を強く求めた。

*11-3:http://mainichi.jp/articles/20160725/k00/00m/040/102000c
(毎日新聞 2016年7月25日) 原子力白書、7年ぶり復活 「原発回帰」の伏線か
 内閣府原子力委員会(岡芳明委員長)は、東京電力福島第1原発事故以来、発表を中止していた「原子力白書」を来春に復活することを決めた。2010年以来、7年ぶりとなる。原子力委はかつては「原発推進の司令塔」と位置付けられており、「原発回帰」の伏線との臆測を呼びそうだ。白書は、11年春に10年版が発表される予定だったが、福島事故を受けて急きょ中止され、09年版以降、発表がストップしていた。今年度になって「編集作業に必要な人員を確保できた」(内閣府幹部)として復活を決めた。来春発表される16年版は、事故後の原子力政策の動きや、今後の展望を紹介する内容になりそうだ。原子力委は、国の原子力政策を推進するために56年設置された。78年には旧原子力安全委員会と分離され、福島事故後も業務や体制を縮小されたが、自民党内には「『原発推進のとりで』として復権させるべきだ」といった意見が根強くある。

<アフリカについて>
    
 世界の開発段階別    アフリカ諸国の  アフリカ諸国の      世界人口の推移  
一人当たりGDP成長率  現在の産出物  人口ピラミッド  (飢餓や戦争の原因になる人口爆発も
                                         教育で抑制することができる)

PS(2016年8月28日追加):*12-1のように、①安倍首相は、今後3年間で総額300億ドル(約3兆円)規模をアフリカに投資し ②インフラ整備に3年間で約100億ドル(約1兆円)を拠出する方針を表明し ③産業の基礎を支える人材や感染症専門家の育成はじめ約1000万人の人づくりに取り組み ④アジア・アフリカをつなぐ二つの大洋(太平洋、インド洋)を平和なルールの支配する海にし ⑤民主主義、法の支配、市場経済のもとでのアフリカの成長に貢献する考えをTICAD6で示された。このうち②は、決して原発や電柱を建てるのではなく、自然エネルギーによる分散発電を行い、上下水道・ガス管・電線を同時に埋設し、発電できるゴミ処理施設を建設したりするのが最も安上がりで迅速だと考える。その時は、日本の自治体は既にノウハウを持っているので、JICAと組んで熟練した人をアフリカ各地に派遣し、自治体事務を効率化すると同時に定年延長や若い世代の研修を果たせると考える。また、③については、米国は、米国が奨学金を出してアフリカのリーダーとなる人を米国の大学で勉強させるシステムを持っており、これは日本でアジア・アフリカ系の留学生がアパートや下宿探しでさえ苦労させられたのとは対照的で展望の大きさに違いを感じる。そして、それらのインフラ(人材も含む)ができれば廻り出すため、積極的に男女の留学生を受け入れて教育するべきだ。
 なお、*12-2のように、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン副皇太子(石油依存からの脱却を目指す経済改革を主導)が日本を訪問し、日中両国に民間投資の拡大を促し、改革「ビジョン2030」への協力を強く求められるそうで、今後は資源の産出国も加工する時代になるため、日本がコストをかけて遠くから原油を運んできて加工し、輸出するというスキームは成り立たなくなることを忘れてはならない。 

*12-1:http://mainichi.jp/articles/20160827/dde/001/010/054000c
(毎日新聞 2016年8月27日) アフリカに3兆円投資 安倍首相、午後表明 官民・3年で
 安倍晋三首相は27日午前(日本時間27日午後)、ケニアの首都ナイロビで開幕する第6回アフリカ開発会議(TICAD6)で基調演説し、今後3年間で民間資金を含めて総額300億ドル(約3兆円)規模でアフリカに投資する方針を表明する。産業の基礎を支える人材や感染症専門家の育成をはじめ約1000万人の人づくりに取り組む考えも打ち出す。首相はアフリカで初めて開催するTICAD6を「日本とアフリカ諸国の関係の新たな幕開け」と位置付け、資源価格の低迷やエボラ出血熱、平和と安定などアフリカが直面する課題をともに解決していく姿勢を強調する。2013年のTICADで、日本は5年間で約3兆2000億円の支援を表明した。今回の300億ドルについて首相は演説で「3年前のプランを充実、発展させる日本の新たな約束」と説明する。インフラ整備には3年間で約100億ドル(約1兆円)を拠出する。首相は、日本とアフリカの経済関係を強化するため「日アフリカ官民経済フォーラム」を常設することにも言及。フォーラムは、日本の閣僚や経済団体、企業のトップが3年に1回、アフリカを訪れ、投資環境改善などを協議する場になる。3年間の人づくりに関しては、将来の職長、工場長など現場指導者を1500人、感染症の専門家らを2万人育成するほか、基礎的保健サービスを受けられる人口を200万人増やす。一方、豊富な資金力でアフリカに進出する中国を念頭に、首相は「日本は太平洋とインド洋、アジアとアフリカの交わりを、力や威圧と無縁で、自由と法の支配、市場経済を重んじる場として育てる責任を担う」と述べ、民主主義、法の支配、市場経済のもとでのアフリカの成長に貢献する考えを示す。
●安倍晋三首相の基調演説 骨子
 ・アフリカの国連安全保障理事会常任理事国入りを支持
 ・日アフリカ官民経済フォーラムを設立
 ・感染症対策を強化
 ・今後3年間で約1000万人の人づくりを実施。官民で総額300億ドル規模を投資
 ・アジアとアフリカをつなぐ二つの大洋(太平洋、インド洋)を平和な、ルールの支配する海に

*12-2:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/348056
(佐賀新聞 2016年8月23日) サウジ副皇太子が31日初訪日へ、安倍首相と会談
 サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン副皇太子(30)が、就任後初めて31日から日本を訪問し、安倍晋三首相らと会談することが23日分かった。複数の外交筋が明らかにした。ムハンマド副皇太子はサルマン国王の息子で、異例の若さで国防相と国家経済評議会議長を兼務。最高実力者の一人として、石油依存からの脱却を目指す経済改革を主導している。副皇太子は今回、日本と中国を歴訪。日中両国に民間投資の拡大を促す狙いがあり、副皇太子が進める改革「ビジョン2030」への協力を強く求める。日本側は、国家元首級として厚遇する。


PS(2016.8.29追加):*13のうち「世界的な1次産品の価格下落」は、6次産業化によって付加価値を上げれば解決するが、それには人材育成や衛生環境が不可欠だ。また、「地熱や水力発電などのエネルギーインフラや電子通信網の整備」は、九電みらいエナジーなど、アフリカの自然を壊さず活かしながら行える技術を持つ日本企業も多く、貢献できるだろう。

*13:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160829&ng=DGKKASFS28H1Q_Y6A820C1PE8000 (日経新聞 2016.8.29) 「教育・雇用を支援」 アフリカ開発会議ナイロビ宣言
 第6回アフリカ開発会議(TICAD)は合意文書「ナイロビ宣言」で、アフリカの経済成長には、社会を安定させ、テロや紛争の抑制につながる若者への教育や雇用での支援が重要だとの方針を打ち出した。安倍晋三首相は全体会合で「日本企業の高い技術力はアフリカの課題解決に資する」と強調した。TICADは27~28日の2日間、日本とアフリカ諸国の首脳らが経済発展のあり方を話し合った。ナイロビ宣言はテロや紛争に加え「世界的な1次産品の価格下落」「エボラ出血熱の流行」をアフリカの新たな課題だと指摘。これに対応するため「質の高いインフラ整備」などを通じた経済の多角化・産業化や人材育成、保健システムの強化が必要だとした。ナイロビ宣言とともにまとめた各国・機関向けの実施計画は、港湾や空港、鉄道、幹線道路などの建設を加速する方針を明記。地熱や水力発電などエネルギーインフラや電子通信網をさらに開発するとした。経済特区の推進も盛り込まれており、政府は日本企業の受注増につなげたい考えだ。首相は28日の共同記者会見で「海で法の支配が尊重されることは、地域の平和と安定、繁栄の基礎になる」と指摘。「日本とアフリカが経済的な関係を深め、貿易を通じて繁栄していくには海が自由で開かれていなければならない。それを担保するのが法の支配だ」と強調した。中国が念頭にあるとみられる。


PS(2016.9.15追加):*14のように、経産省はフクイチの教訓から学ぶことなく、一定規模の原発を維持するために、まだ原発で創った電気が安い(?!)などとして電力自由化で参入した新電力に原発で創った電気を供給させ、同時に原発の廃炉費用の負担も新電力に求めるとしている。しかし、新電力の売りは、①原発や化石燃料で創った環境に悪い電力を使わないこと ②原発や化石燃料による発電をしないため料金を安くできること の2つであるため、この経産省の方針によれば、新電力は差別化できなくなって電力自由化は失敗する。このように、国が「ベースロード電源」などとして一定規模の原発を維持するという原発ありきの市場原理を無視した恣意的な政策をとると、よりよい製品(この場合は電気)を選択していく市場経済を失敗させるのであり、これがまさに共産主義経済の失敗の原因なのである。そのため、経産省のこの経済運営は、既に失敗が証明された共産主義の経済運営と同じであり、このようなことを続けていれば、日本はアフリカよりも遅れるだろう。

*14:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160915&ng=DGKKASFS14H3F_U6A910C1PP8000 (日経新聞 2016.9.15) 原発の電気、公開市場に 経産省検討 大手に義務付け
 経済産業省は原子力発電でつくった電気を公開市場に供給するよう電力大手に義務づける検討に入った。4月の小売り自由化で参入した新電力が調達できるようにして、安い電気を家庭や企業に売りやすくする。一方、原発の廃炉費用などの負担を新電力に求める。一定規模の原発を維持するため、大手と新電力の利用者が受益と負担を分け合うしくみを整える。学識経験者らで構成する審議会を近く立ち上げ、来年の通常国会に電気事業法の改正案を出す。数年内の実施をめざす。原子力や石炭火力などコストが低く発電量が天候や時間帯に左右されない「ベースロード」と呼ばれる電気を日本卸電力取引所に供給することを義務づける。いま大手が取引所に出しているのは石油火力などコストの高い電気が中心で、割安な電気は自社の小売部門に優先的に流している。原発で作った安い電気が市場に出回れば、自前の発電所の少ない新電力が大手と価格競争しやすくなる。義務づける電気の供給量は今後詰める。一方、原発の廃炉費用などは新電力にも負担を求める。通常の原発を廃止するには数百億円のコストがかかり、これまでは原発を持つ大手が家庭や企業が支払う電気料金で回収してきた。今後は新電力も支払う送電線利用料に上乗せして回収する。家庭や企業は契約先が大手か新電力かにかかわらず原発のコストを負担することになる。反原発の消費者などからの反発も予想されるため、経産省は慎重に制度設計をする考えだ。


PS(2016年10月20日追加):九州の原発30キロ圏内21自治体を調査したところ、*15-1のように、屋内退避に課題があると答えたのが5割に上るそうだが、万が一にも原発事故が起これば、フクイチの例のとおり、短期間の屋内退避だけではすまず、その後、その地域を棄てるか、莫大な費用をかけて完全に除染するかしなければならない。しかし、現在では、そのようなリスクとコストをかけて原発で発電しなければならない理由はないため、早急に脱原発し、オーストラリアやニュージーランドのように、原発のない国として安全な農水産物を生産し、徹底して「安全な食品」というブランドを高めるべきである。
 なお、*15-2のように、原発政策を進めるには、原発建設費・地元補助金を除く関連処理費として、フクイチの事故処理・廃炉・最終処分場建設・核燃サイクルなど最低でもこれまでの処理に総額30兆円かかり、既に国民が14兆円負担しているそうだが、これらは発電時に原発のコストとして電力会社が引き当てていなければならなかったもので、本来、一般国民が負担する理由のないものである。

*15-1:http://qbiz.jp/article/96303/1/
(西日本新聞 2016年10月20日) 屋内退避に「課題」5割 九州の原発30キロ圏21自治体調査
 九州電力の玄海原発と川内原発の30キロ圏内にある佐賀、長崎、福岡、鹿児島の4県と17市町のうち、半数に当たる11県市町が、重大事故の発生時に5〜30キロ圏の住民に原則屋内退避を指示する現在の避難計画について、「課題がある」と考えていることが西日本新聞のアンケートで分かった。震度7が2度発生し、家屋倒壊で多くの犠牲者が出た熊本地震を背景に、複合災害への対応を不安視している実態が明らかになった。熊本地震後に避難計画の見直しを着手・検討しているのも12県市町に上った。5キロ圏の住民は屋外、5〜30キロ圏は屋内とする2段階避難について、「十分に対応できる」としたのは佐賀県玄海町のみ。11県市町が「対応できるが、課題もある」と回答し、理由として「パニックが予想され、指示に従わない住民が出る恐れがある」(鹿児島県さつま町)「老朽化している避難施設もある」(佐賀県伊万里市)などを挙げた。「対応できない」と答えた自治体はなかったが、4市町は「分からない」とし、この中で鹿児島県姶良市は「複合災害では避難経路の安全確保などさまざまな問題が発生し、予測できない」と答えた。残り5県市は「状況に応じて柔軟に対応する」「現時点では問題ない」などとした。熊本地震後、避難計画の見直しに着手したのは佐賀県唐津市と長崎県、鹿児島県。9県市町は「検討中」とした。見直しが必要な項目は「避難車両の確保」(9県市町)「避難道路の確保」(8市町)「要支援者のスムーズな避難」(7県市)が多く挙がった。熊本地震では道路が寸断されたが、交通混乱の想定については、複数の避難経路を確保するなどして「想定している」としたのが13県市町、「想定していない」は6市町だった。自治体間の避難連携に基づく広域避難は18県市町が「仕組みが整っている」とし、16県市町は訓練も実施していたが、鹿児島県さつま町と同県長島町は「実際に訓練したことはない」と答えた。「仕組みが整っていない」と回答したのは同県日置市のみで、長崎県と同県壱岐市は「整備中」とした。アンケートは原発事故発生時の避難計画の策定が義務づけられている21県市町を対象に9、10月に実施し、全自治体が回答した。

*15-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201610/CK2016102002000131.html (東京新聞 2016年10月20日) 原発処理に総額30兆円 既に国民負担14兆円 本紙調べ
 原発政策を進めるには原発建設費、地元補助金を除き、関連処理費用として東京電力福島第一原発の事故処理、廃炉、最終処分場建設、核燃サイクルに最低でも約三十兆円かかることが本紙の調べで分かった。十九日には、経済産業省が有識者会合の作業部会を開き、規制変更によって廃炉が決まった原発の廃炉費用を電気料金に上乗せする方針を固めた。高速増殖炉もんじゅの行き詰まりなど原発政策の矛盾が拡大する中、政府が国民負担を増やそうとする論議が本格化する。すでに国民は電気料金や税金で十四兆円を負担しており、今後、さらに十六兆円以上の負担を迫られる可能性がある。新潟県や鹿児島県知事選で原発慎重派の候補が当選するなど原発への厳しい民意が強まる中で、政府が国民負担を増やしながら原発を推進するかが問われそうだ。福島第一原発の処理に必要なお金は、二〇一三年時点の見積もりを超過。二・五兆円を見込んでいた除染費が来年度予算の概算要求では三・三兆円に、被災者への賠償金がすでに六・三兆円にのぼっている。廃炉費用の見込み額も二兆円となっており、総額で十二兆円以上かかりそう。東電は自力で払うのは困難とみて政府に支援を求めた。経産省が財界人らとつくった「東京電力改革・1F(福島第一原発)問題委員会」で検討しているが、東電の経営努力で賄えない分は、電気代などを通じ国民に負担を求める方針だ。東電を除く原発の廃炉費用問題では、福島第一原発の事故後、原発の規制基準が変わったため関西電力美浜原発1号機など六基が廃炉を決定。予定より早い廃炉決定などで計三百二十八億円の積み立て不足(一三年三月末時点)が生じている。経産省は原発による電力を販売していない新電力の契約者も含めすべての利用者の電気料金に上乗せし、回収する意向だ。他の原発も合わせると合計二・九兆円(福島第一などを除く)の廃炉費用が必要だ。また、使用済み核燃料をリサイクルする計画の柱だった高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉方針に伴い、経産省は代わりの高速炉を開発する。政府はすでに核燃サイクルに十一兆円(最終処分場を除く)を費やし、電気代や税金で国民が負担している。もんじゅの後継が決まれば、さらに国民負担は膨らみそうだ。核のごみの最終処分場は場所が決まっていないが、政府試算では最低三・七兆円かかる。このうち積み立て済みは国民が支払った電気代をもとにした一兆円だけ。政府は年末にかけ候補地選定作業を急ぐ予定で具体化すればさらに国民負担が増える可能性がある。政府は福島第一原発の処理問題やもんじゅの後継問題でも、年末までに方針を決める意向だ。

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2016.2.2 後始末のできないこれだけの事故を見ても、原発を推進したがるのは何故か? (2016/2/4、8、10、12、16、17に追加あり)
     
      2015.12.29       2016.1.1     2015.12.20     2015.12.21
      西日本新聞        西日本新聞      日経新聞        東京新聞

  
         2016.2.1             2016.2.1          日本の社会保障費  
         愛媛新聞              日経新聞         (スペード社会保障は必要経費で
                                             あるため、国庫負担分から 
                                             資源収入で賄うようにしよう)    
(1)国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)と世界の動向
 COP21は、*1-1のように、途上国を含む全世界が「今世紀後半までに排出と吸収を均衡させる」という目標を掲げる「パリ協定」を採択し、化石燃料に頼らない社会を目指すことを宣言した。これを、CO2の排出削減を痛みを分かち合う制度と捉えれば発展性はないが、より快適なエネルギーを使うための産業革命と捉えればエネルギー関連の投資を拡大して、コストダウンすることができる。

 そして、日本でも自然エネルギーが普及し、*1-2のように、四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)が全基停止して記録的な寒波に見舞われても、電力供給力に占める需要の割合は90%に達した平日は昨年12月以降、3日間だけで、電力の安定供給に影響はなかったそうだ。そして、*1-3のように、四国電力は企業や家庭から買い取る太陽光発電の発電量が上限に達したため、電力供給が過剰となった場合には、買い取り制限するとしているくらいだ。

 それにもかかわらず、日経新聞は、*1-4のように、パリ協定を受けて長期戦略を描く時だとしながら、理由も書かずに突然、「①原子力は今後も維持していく必要がある」「②安全性の高い設備に更新するのが望ましい」「③原子力の信頼回復を急げ」「④中国電力の島根原発3号機など建設半ばで足踏みする原発も稼働への道筋をつけるべき」「⑤放射性廃棄物の最終処分について政府や電力会社は具体的な道筋を示す責任がある」と記載している。しかし、世界銀行は、すでに原発には融資しない方針を定め、世界は既に脱原発に舵をきっているのだ。

 *1-4の記事は、①②の結論が先にあって、③のように、「フクシマの事実を隠しても原子力の信頼回復を急げ」としていることが明らかだ。また、④は現在でも多くの証拠で否定されている上、今後は自然エネルギーのコストがどんどん下がると予想される。その上、⑤のように個別の企業が使った危険性の高い産業廃棄物を原発稼働から40年経った今でも原発の近くの使用済核燃料プールに大量に保管し続け、最終処分の目途すら立たずに政府に頼っている電力会社は、他の産業ではあり得ない怠惰な状況なのである。

(2)電力自由化について
 電力会社が他産業ではあり得ない怠惰な状況でもやってこられたのは、地域独占体制に守られていたからである。そのため、電力自由化で電力の供給に競争原理を導入すれば、*2-1のように、より便利で安く公害の出ない電力供給へと電力の需要側から圧力をかけることができる。電力自由化に対する反対意見もあったが、荷物を送る手段が鉄道のチッキしかなかった頃と比較すれば、宅急便の参入で荷物を送るのが簡単で便利になった結果、市場が拡大したり、これまでできなかったことができるようになって新市場ができたりしたのと同じ成果が現れる筈だ。

 そのため、*2-2のように、九州でも26社が電力小売りに参入する予定で、このうち地場が11社あるというのは、喜ばしいことである。電気エネルギーを地元で作れれば、エネルギー代金が外に奪われることなく地元で還流するため、財政が豊かになることは確実であり、これは、国の規模でも同じだ。

 また、*2-3のように、一般企業も、これまで自家発電を行ってきたため発電能力のある企業が多く、新しい事業者として有望である。そして、*2-4のように、九州では既に九電から特定規模電気事業者(新電力)に切り替えた九州内の企業や自治体が7628件あり、九電離れが原発1基分超あるそうだ。

(3)送配電システム
 *1-3のように、四国電力は「企業や家庭から買い取る太陽光発電の発電量が上限に達したため、今後は電力供給が過剰となれば金銭的な補償なく買い取りを制限する」としており、これは九州電力はじめ大手電力会社で同じである。

 しかし、これでは再生可能エネルギーの足を引っ張る。そのため、*3の電線地中化を行う際に、地方自治体が、上下水道と電力供給のインフラを一緒に設置すれば、①簡単に送配電設備を設置して公平中立な送配電を低価格で行うことができ ②地方自治体に送配電料という収入が入り ③安い電気料金を提案できる自治体は地場産業や新たな企業の誘致に有利となる。

(4)原発事故と後始末
 NHKは、2015年12月18日になって、*4-1のように、「東京電力は、フクシマ3号機からの放射性物質の放出は格納容器が機能を失い、直接外部に放出されたとした」と放送している。しかし、3号機爆発の真実は爆発直後から映像でわかっていた筈で、爆発直後の公表と現在の公表では住民の予防の徹底度が異なるため、病気の発症割合が異なる。そのため、住民の命を最も大切にはしない判断が行われたということだ。

 さらに、*4-2-1のように、フクシマ原発事故に伴って自治体が受けた損害に対する賠償は、事故から4年8カ月近くたっても、福島県内56市町村が請求した553億3900万円に対し、東電が支払ったのは11.4%にすぎないとのことである。

 また、*4-2-2のように、岡山大大学院の津田敏秀教授(生命環境学)が6日付の国際環境疫学会の医学専門誌「エピデミオロジー(疫学)」に論文を発表し、「福島県が福島原発事故当時に18歳以下だった県民を対象に実施している健康調査の結果を分析したところ、甲状腺癌の発生率が国内平均の20~50倍だった」「福島県では甲状腺がんの過剰発生がすでに検出されており、多発は避けがたい」として、今後、患者数が爆発的に増える可能性を示唆したそうだ。このように、次第に出てくる結果を見れば、フクシマの爆発状況は推定されるのである。

 また、*4-2-3のように、福島県は、フクシマ原発事故当時18歳以下だった約38万人を対象に実施している甲状腺検査で、2915年7月から9月末までの3カ月間に新たに11人が癌と診断されたと発表したが、甲状腺癌のリスクは、当時18歳以下だった人のみにあるのではなく、県境でリスクが変わるわけでもないため、この検査範囲では不十分だ。さらに、フクシマ原発事故による病気のリスクは、甲状腺癌だけでなく、いろいろと弁解は多いものの、*4-2-4のような白血病や心臓病もあるのである。

 さらに、*4-3-1、*4-3-2のように、「Nature(ネイチャー)」などが日本政府の福島第一原発への対応を批判しており、①漏れた汚染水の放射線量が最初に報道されていた状況よりも18倍も高かったこと ②報道が遅れたこと ③監視体制の甘さなどを挙げている。また、汚染水が海洋生物にどのように影響があるかを調べる専門家もおり、日本が他国から多くの専門家を呼び込むべきだとしている。

 なお、*4-4のように、南相馬市除染推進委員会の委員長を務める児玉東大教授(医師)は、2013年の同市産米から国の基準(1キロ当たり100ベクレル)を超える放射性物質が検出された問題で、現地の水源や水田の調査をせず、科学的検討も行わずに「福島第1原発のがれき処理が原因でない」と因果関係を否定した原子力規制委員会の田中俊一委員長の発言を強く批判した。私は、児玉教授の見解がもっともだと考える。

 さらに、多くの日本人は、「風評被害」と信じ込まされているが、*4-5のように、EUは2016年1月9日から食品の輸入規制を一部緩和したのである。そして、これは、低線量の外部被曝を受け続けたり、呼吸による内部被曝を受けたりしておらず、他の食品は全く汚染されていない、人体にとっては日本よりずっと好条件の国の話なのだ。

(5)原発のコスト
 従って、*5-1のように、原子力発電は高くつくため、原発ゼロに向かって再考すべきであることは、フクシマ原発事故以来、誰の目にも明らかになった。さらに、汚染水一つ後始末できず、病人を増やし、国土を狭め、農林漁業も不能になることが明白になった。そして、*5-3のように、原発事故後5年たっても故郷に戻れぬ原発避難者は、2015年末で6900件が移住を余儀なくされている。そのため、持続可能で豊かな社会に向けて、そろばんを弾き直すことに、私も賛成である。

 そのような中、*5-2のように、経団連会長は、「原発停止は国の損失」「全国で停止中の原発を再稼働させるべき」などとしているが、第一線の経済人が、このようなそろばんのはじき方をしているようでは、日本経済や日本企業が本質的に回復することなどあり得ない。そのため、いつまでも、カンフル剤にしかならない財政支出をして国民に迷惑をかけ続けるしかないだろう。

<COP21と世界の動向>
*1-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12116852.html  (朝日新聞 2015年12月15日) <視点>実質排出ゼロ社会、新技術が導く 温暖化対策、パリ協定採択
 国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)は12日夜(日本時間13日未明)、2020年以降の地球温暖化対策の国際枠組みを定めた「パリ協定」を採択した。先進国だけに温室効果ガスの削減を義務づけた京都議定書に代わり、途上国を含むすべての国が削減に加わる。開幕には約150カ国・地域の首脳が集まったこの会議で「今世紀後半までに排出と吸収を均衡させる」という目標も掲げた。排出を実質ゼロにすることであり、石炭や石油など化石燃料に頼らない社会を目指すことを宣言したに等しい。1997年のCOP3で採択された京都議定書は、世界が科学の声を聞き入れ、温暖化を招いた先進国が率先し、欲望を抑える「痛みを分かち合う」制度と受け止められていた。経済活動で増える排出量を抑えるのが、政府の役割と考えられていた。今回のパリ協定は、違う文脈でとらえられている。米ホワイトハウスは、ただちに「合意は、ここ数年のエネルギー関連の投資を相当拡大することになるだろう」との声明を発表。欧米の経済界からは歓迎のツイートが相次いだ。風力発電は18年前の50倍に、太陽光発電は原発の設備容量の半分までに成長した。爆発的な普及に伴ってコストは急激に下がり、途上国でも火力発電を下回るようになってきた。低炭素経済への移行は、温暖化対策に後ろ向きとみられた新興国でも進む。中国は世界一の自然エネルギー大国であり、インドも22年までに風力を6千万キロワット、太陽光を1億キロワットにする計画を掲げる。多くの国で経済成長と二酸化炭素(CO2)排出は連動しなくなり始めた。昨年、世界経済は3%成長したのに、CO2排出量は横ばいだった。今年の排出量は下がると見られている。196カ国・地域の意思が詰まったパリ協定は、こうした経済の動きを伸ばそうとしている。削減目標の達成までは義務化されていないので、実効性に疑問を持つ声もある。ただ、目標の作成と報告は義務づけられ、世界が見ているなかで5年ごとに点検する。さぼることは難しいだろう。世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」はCOP3に合わせて発売された。パリ協定が生まれた今日、より多くの低炭素技術が生まれている。日本は50年に80%削減の目標を持ちながら、実現への政策手段を持ち合わせていないままだ。日本がまずやるべきは、いまある削減技術への投資と普及、次に新たな技術の開発と新しいライフスタイルの確立だ。

*1-2:http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20160131/news20160131227.html
(愛媛新聞 2016年1月31日) 伊方原発全停止、4回目の冬 安定供給に影響なし
 四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)が全3基停止した状態で迎えた4回目の冬。県内は1月、記録的な寒波に見舞われたが、電力需給に関しては供給力に占める需要の割合を示す使用率が90%に達した平日は昨年12月以降、3日間だけ。おおむね80%台で推移し安定供給に影響は出ていない。使用率が90%と「やや厳しい需給状況」になったのは松山で最高気温が10度を下回り7.2度だった1月13日に加え、県内で大雪を伴う氷点下の地点が続いた25、26日の3日間。最大需要の記録は松山で最高気温が3.3度までしか上がらなかった1月19日の481万キロワットだった。一方、昨年12月の使用率は78~88%で推移。四電によると、四国4県の県庁所在地の平均気温は平年比プラス2.0度、前年比プラス3.6度と暖かく、需要減につながった。四電によると例年、冬季の最大需要が発生するのは2月が多い。一般的に、寒い日が連続すると需給状況が厳しくなる傾向があるといい、安定供給へ「気は抜けない」としている。

*1-3:http://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/8035461111.html
(NHK 2016.2.1) 四電、太陽光が制限枠に到達
 四国電力は企業や家庭から買い取る太陽光発電の発電量が上限に達したと発表しました。
今後も買い取りの契約は受け付けますが、電力の供給が過剰となった場合、金銭的な補償なく買い取りを制限することになります。再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社が買い取るよう義務づけた国の制度では、太陽光発電を中心に申し込みが急増したため、去年、電力会社が買い取る発電量に制限が設けられました。四国電力の発表によりますと、発電事業者や家庭などからの買い取り量は、すでに契約済みの分と申し込みが来ている分の合計が、先月22日に、上限の257万キロワットに達したということです。四国電力は今後も買い取り契約の申し込みは受け付けるものの、上限を超えた分については、発電量が電力の需要を上回るなど供給が過剰になる場合、買い取りを制限することなります。また、買い取りを制限した場合も電力会社側からの金銭的な補償はないということです。太陽光発電の受け入れが上限に達したのは、大手電力会社の中では北海道電力などに続いて4社目です。四国電力では、「無制限に買い取り続けた場合、逆に安定供給に支障が起きることもある。ぜひご理解いただきたい」と話しています。

*1-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160201&ng=DGKKZO96762260R00C16A2PE8000 (日経新聞 2016.2.1) パリ協定受け長期戦略を描くとき
 21世紀後半までを見通す息の長い日本のエネルギー戦略について国をあげて議論を始めるときだ。昨年12月に開いた国連の会議で地球温暖化の抑止を目指す「パリ協定」が採択された。国民世論を二分する原子力発電の扱いをはじめ難しい問題はあるが、政府は腰を据え長期の戦略づくりに取り組む覚悟を固めてもらいたい。
●見え始めた低炭素社会
 パリ協定は人間の活動による二酸化炭素(CO2)排出を今世紀後半にゼロにするよう世界各国に求めている。化石燃料の消費を世界全体で大きく減らし、「低炭素社会」へと向かう潮流がはっきり見えてきた。日本はCO2の排出量を2030年時点で13年に比べ26%減らす目標を掲げているが、その先は明確でない。パリ協定を誠実に履行するには、30年以降の長期のエネルギー政策の方向性をはっきりさせ、日本社会や産業をどこまで「低炭素化」できるか具体策を考える必要がある。発電所や送電線などエネルギー関連の設備投資や技術開発には時間がかかる。30年は遠い未来ではない。今から手立てを尽くしておかねばならない。まず目指すべきは、エネルギーを効率よく使う社会の実現だ。現在の原油の安値は消費者にはとりあえず恩恵といえるが、省エネには逆風となる。ここで省エネの手綱を緩めるのは望ましくない。燃料価格が再び高騰することもあるだろう。化石燃料の価格がどうあれ、工場や住宅の省エネ努力や、バイオや水素など化石燃料に代わる新エネルギーの普及の足取りを滞らせてはいけない。省エネは化石燃料の輸入を減らし、エネルギー安全保障の観点からも意義が大きい。化石燃料の消費を継続的に減らすには、CO2排出をコストとして経済活動に取り込む仕組みも有効だ。例えば化石燃料の消費に課税する炭素税がある。既存の地球温暖化対策税は炭素税の体裁をとっているものの、消費抑制の効果が薄い。補助金の財源になっているだけだ。見直してはどうか。再生可能エネルギーは果たす役割が大きくなる。再生エネの電気を電力会社が買い取る制度によって太陽光発電などの導入が進んでいる。問題は設置が容易な太陽光が先行し、風力や地熱発電の拡大が遅れバランスを欠く点だ。買い取り制度を維持するため消費者が電気料金の一部として払う賦課金の額も膨らむ。制度は見直しを迫られている。ただし太陽光の発電コストは着実に下がり、賦課金の負担もやがては減る。風力や地熱も立地を妨げる規制を緩和し、普及を後押ししてもらいたい。電力会社間の連系線を柔軟に運用して電力を融通し合えば、再生エネを受け入れる余地は広がる。再生エネを電力供給を支える基幹電源の一つに育てていくべきだ。原子力は今後も維持していく必要がある。東京電力福島第1原発の事故後、政府は原発依存度を下げるとしてきたが、ゼロにするのは現実的でない。活断層などの不安を抱え、老朽化して採算性の良くない原子炉を電力会社は積極的に廃止し、安全性が高い設備に更新するのが望ましい。中国電力の島根原発3号機など建設半ばで足踏みする原発も稼働への道筋をつけるべきだ。
●原子力の信頼回復急げ
 原子力維持の最大の課題は国民の信頼をいかに回復するかだ。事故から5年近くになるが、なお道遠しと言わざるを得ない。原子力規制委員会の厳格な審査に加え、電力会社自身が規制基準を上回るまでに安全性を高めることが極めて大事だ。だがその努力は十分とはいえない。放射性廃棄物の最終処分についても政府や電力会社は具体的な道筋を示す責任がある。火力発電は設備の新陳代謝を急ぐ必要がある。再生エネの出力変動を機敏に補うため火力発電は要るが、発電効率が悪くCO2排出が多い設備をそのままにはできない。発電量あたりのCO2排出が少ない最新鋭設備への置き換えを進めてほしい。一方で電力の自由化が進みコスト競争が激しくなる。再生エネや原子力を必要なだけ維持するにはどうすればいいか、知恵を絞る必要がある。なすべきことは多い。

<電力自由化>
*2-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015122002000132.html (東京新聞 2015年12月20日) 
都民6割「東電以外」検討 電力自由化 より安く/原発の電気いや
 来年四月に始まる電力の小売り自由化で、電気の購入先を東京電力から新しい電力販売業者に代えようと考えている東京都民が六割に上ることが、本紙と新潟日報の合同世論調査で分かった。料金がより安いところがあれば代えたいという理由が最も多いが、「原発でつくられた電気を使いたくない」を理由に挙げた人は二番目に多かった。また東京、新潟とも七割が将来的には原発をゼロにし、再生可能エネルギーを軸に取り組むべきだとの意思を示した。調査は、東電福島第一原発事故から五年を前に、原発に関する意識を調べるために実施。今月十二日から十六日までの五日間、十八歳以上を対象に、東京と新潟でそれぞれ一千人、計二千人から有効回答を得た。電力の小売りが自由化されると、これまでは地域の大手電力会社に限られていた電気の購入先が、一般家庭でも自由に選べるようになる。購入先を切り替えるかどうか尋ねたところ、東京では6%が「切り替える」、56%が「すぐではないが検討する」と答えた。合わせて六割超の人が、東電から別の事業者に購入先を切り替えようと考えているとの結果が出た。「切り替えない」「当面は切り替えない」は計約三割にとどまった。切り替えを考えている人たちにその理由を聞いたところ、うち35・3%の人が「より安い電気を使いたい」と答え、二番目は「原発を保有しない電力会社の電気を使いたい」(28・2%)だった。東北電力管内の新潟では「切り替える」「検討する」が計四割弱、「切り替えない」「当面は切り替えない」が計五割弱だった。原発に対する考え方では東京、新潟とも「すぐゼロにするべきだ」「徐々に減らし将来はゼロ」が合わせて七割に上り、脱原発を望む声の大きさがあらためて明らかになった。逆に「今まで通り活用」「徐々に減らすが、一定数は活用」はともに三割弱にとどまっている。今後、力を入れるべきエネルギーを二つ選んでもらう問いでは、東京、新潟とも太陽光や風力、バイオマスなどの再生エネを軸に、水力や火力、原子力との組み合わせを挙げる人が八割いた。原発推進の考え方を持つ人に絞っても、六割超の人が再生エネを軸にすべきだと答えた。
<電力の小売り自由化> 来年4月からは、地域の電力会社の独占が崩れ、消費者は、国に「小売電気事業者」として登録したさまざまな業者から電気を購入できるようになる。契約先を切り替える際、メーターを新型のスマートメーターに取り換える必要があるが、原則費用負担はない。12月7日現在、登録業者は全国で73。ガス会社、石油会社、リース会社、商社などが参入するほか、再生可能エネルギーを中心にする業者、地域限定の業者もあり、選択肢は大幅に広がる。

*2-2:http://qbiz.jp/article/79739/1/
(西日本新聞 2016年1月31日) 電力小売り、九州26社が参入予定 地場は4割11社
 一般家庭でも電気の購入先を選べるようになる4月1日の電力小売り全面自由化後、九州では26社が電力小売り事業への参入を予定していることが分かった。参入業者は今後さらに増える可能性もある。26社のうち地場企業は約4割の11社。九州都市ガス最大手の西部ガス(福岡市)や石油販売大手の新出光(同)などは、ガスや石油などと合わせて電力を販売。ケーブルテレビ最大手ジュピターテレコム(JCOM)の子会社ジェイコム九州(福岡市)はインターネットなどとのセット割引で顧客獲得を狙う。九州外の企業では、KDDI(au)やソフトバンクなどが参入を予定している。すでに料金プランを発表したのは6社。新規参入業者が料金設定の目安とする九州電力が新プランを発表したことを受け、残る各社も今後相次いでプランを公表するとみられる。ただ準備に時間がかかることなどから、4月時点で電力供給を始めるのは15社前後にとどまる見通しだ。

*2-3:http://qbiz.jp/article/77862/1/
(西日本新聞 2016年1月1) 電力、消費から供給へ 鉄鋼や製紙大手、発電事業を強化
 2016年4月の電力小売り全面自由化を前に、大規模工場で電力を大量消費する鉄鋼や製紙大手が、電力供給事業を強化している。自家発電の運営経験を生かせるほか、本業の需要低迷による生産縮小で生じた遊休地を活用する狙いもある。「阪神大震災後の電力インフラ強化に貢献したかった」。神戸製鋼所の北川二朗執行役員は参入の経緯を振り返る。震災と同じ1995年に電気事業法が改正され、一般企業も電力事業に参入できるようになった。神戸製鋼所は総工費2千億円を投じ、神戸中心街に近い神戸製鉄所に計140万キロワットの石炭火力発電所を建設した。鋼材の製造過程で大量の電力を使う鉄鋼業は、電気代節約のため自家発電機などを備え、大半の電力を自前で確保。11年の東日本大震災後の電力不足では、余剰分を供給に回してきた。
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 神戸製鋼所は、神戸市の電力需要の約7割に当たる電力を関西電力に販売しており、年間150億円前後の経常利益を安定的に生み出す。さらに神戸製鉄所の高炉跡地に計130万キロワットの石炭火力、栃木県真岡市に計120万キロワットのガス火力の発電所を建設する計画で「電力は屋台骨を支える事業」(幹部)との認識だ。新日鉄住金やJFEスチールも遊休地を活用する。鉄鋼需要の減少で高炉の休止など合理化を迫られており、発電施設を設置できる広い土地が各地にある。東京電力が募集した火力発電の電力卸供給は、15年8月末に新日鉄住金が他との共同案件を含む2案件を落札した。製鉄所は燃料を直接荷揚げできる港湾施設などが充実。発電施設の運営ノウハウもあり「競争力がある」(関係者)という。ただ石炭火力は二酸化炭素(CO2)の排出が伴い、温室効果ガス削減への対応が課題になる。
   ■    ■
 売上高500億円へ−。日本製紙は15年5月に発表した17年度までの経営計画で、電力事業を新たな経営の柱に据えた。紙の国内需要も縮小しており、生産縮小による遊休地の活用を進める。徳島県小松島市で太陽光、熊本県八代市でバイオマスの発電施設を稼働させたほか、宮城県石巻市に石炭とバイオマスによる13万5千キロワットの発電設備を建設する計画だ。王子ホールディングスは、宮崎県日南市や北海道江別市でバイオマス発電の運転を順次開始。北海道や静岡県の水力発電所の発電効率も高める。バイオマス発電は、成長の過程でCO2を吸収する木を使うため、発電による温室効果ガスはゼロとみなされる。製紙大手は間伐材の調達ルートを持っており「有力な発電事業者になる」(関係者)とみられている。

*2-4:http://373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=72451
(南日本新聞 2016 /1/17) 「九電離れ」原発1基分超 新電力へ企業・自治体7628件
 九州電力から特定規模電気事業者(新電力)へ切り替えた九州内の企業や自治体が、7628件(2015年11月1日時点)に上ることが16日分かった。新電力が割安な料金で顧客を奪っている構図で、4月からは一般家庭向けを含めた電力小売りが全面自由化となり、“九電離れ”はさらに広がりそうだ。電力小売りの自由化は、安価な電力供給を目指す国の電力システム改革の一環として、00年から段階的に開始。現在は需要が一定規模以上の工場やスーパーなどが対象で、自由に電力会社を選べる。九電からの切り替えは、11年3月1日時点では1508件(31万3000キロワット)だったが、15年3月には5321件(77万キロワット)と3倍以上に膨らんだ。ここ数年は前年比1.5倍ほどのペースで、東京など各地の新電力への移行が進んでいる。契約電力ベースでみると、昨年再稼働した薩摩川内市の川内原発(出力89万キロワット)の1.2基分の約109万5000キロワットが移った格好だ。

<送配電>
*3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151225&ng=DGKKZO95528320V21C15A2MM0000 (日経新聞 2015.12.25) 電線地中化、減税で促す 政府・与党方針、固定資産税3分の2 災害対策や景観維持
 政府・与党は2016年度から無電柱化を税制面で後押しする。16~18年度の間に、新たに地中に埋めた電線やケーブルにかかる固定資産税を4年間にわたって3分の2にする。道路法で道路上に電柱を立てることを禁じた地域では2分の1にまで減らす。来年1月4日召集の通常国会に提出する税制改正関連法案に盛り込み、今年度中の成立をめざす。政府は、地震で倒れた電柱が緊急車両の通行の妨げになることを防いだり、景観を維持したりするため電線の地中化を進める。予算面では16年度予算案に1兆円強を計上した地方自治体向けの防災・安全交付金で無電柱化を促す。13年6月には道路法を改正し、道路を管理する国や自治体の判断で道路上に電柱などを立てられない区域を指定できるようにもした。税制面での後押しをめぐっては、1986~05年度の間にも電線の地中化を促す固定資産税の減税措置があった。20年の東京五輪に向け、無電柱化の機運が高まったことから税制優遇を復活させた。国土交通省によると、今回の減税規模は約10億円だという。日本の無電柱化は諸外国に比べて遅れが目立つ。ロンドンやパリなど主要都市で電線の地中化が完了する一方で、東京23区は14年度末時点で7%にとどまる。大阪市内は5%。全国ベースでは1%にすぎない。政府は市街地を中心とした全国の主な幹線道路2万4000キロメートルでの無電柱化を急いでおり、14年度末に16%だった地中化率を20年度までに20%にまで引き上げたいとしている。

<原発事故と後始末>
*4-1:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151218/k10010345211000.html
(NHK 2015年12月18日) 福島第一原発 格納容器機能失い放射性物質放出か
 東京電力福島第一原子力発電所の事故で環境を汚染した原因の1つである3号機からの放射性物質の放出について、東京電力は放射性物質を閉じ込める「格納容器」と呼ばれる設備が機能を失い、直接外部に放出されたと考えられるとする見方を示しました。東京電力は福島第一原発の事故で起きた放射性物質の放出の原因などについて、新たにまとまった検証結果を公表しました。核燃料が溶け落ちた福島第一原発3号機では放射性物質を閉じ込めるため、原子炉を覆っている「格納容器」内の圧力が上がり、破損するおそれがあったため、水蒸気などを放出する「ベント」と呼ばれる操作を繰り返し行いました。これについて、東京電力はデータを改めて確認した結果、3月13日の午後9時に行った3回目のベント以降は圧力の下がり方が緩やかなことなどから、ベントは成功していないという見方を示しました。このため、14日の夜から16日にかけて引き起こされた環境への汚染は核燃料の熱で3号機の格納容器が放射性物質を閉じ込める機能を失い、直接放出されたのが原因と考えられるとしています。これについては、ベントの状況によっては圧力が緩やかに下がることもありうるほか、操作の前後で圧力が変動しているのはベントによる可能性があるという指摘が専門家の間から出ていて、現在も検証が続いています。 .

*4-2-1:http://www.minpo.jp/news/detail/2015110126389
(福島民報 2015/11/1) 支払い依然1割 財政運営に影響 自治体賠償
 東京電力福島第一原発事故に伴う自治体賠償で、県内56市町村が請求した553億3900万円に対し、東電が支払ったのは11・4%の62億8900万円にとどまる。事故から4年8カ月近くがたっても東電との交渉は進まず、自治体の財政運営に影響を与えている。福島民報社の調査で分かった。30日までに全59市町村から回答を得た。各市町村の請求総額と、東電からの支払総額は【表】の通り。請求総額の平均は9億8820万円で、10億円を超えたのは11市町。双葉町の192億5335万円が最も多く、次いで郡山市71億8933万円、福島市59億970万円、いわき市35億1508万円となっている。一方、請求総額に対する東電の支払総額の割合は11・4%。平成25年8月の前回調査7・0%(請求総額342億3000万円、支払総額24億1000万円)を4・4ポイント上回るが依然として低率だ。請求額の多くは人口減に伴う住民税や固定資産税の減収分、原発事故対応の職員増に伴う人件費など。東電は支払いが進まない理由を「請求額が膨大で精査に時間がかかっているため」としている。「賠償金の未払いが市町村の財政運営に影響を与えているか」との質問では、10市町村が「大きな影響を受けている」、26市町村が「影響を受けている」と回答した。「大きな影響がある」と回答した桑折町は請求総額に対して支払いが23・1%。「未払い分は一般財源を充てており、他の事業も抑制を余儀なくされている」として、このままなら事業の遅滞や町民サービスの低下を招きかねないとみる。富岡町は「帰町に向けて施設の復旧に取り組むところだが、賠償が決まらず、財源確保に苦慮している」と訴えた。このような状況を踏まえ、15市町村は裁判外紛争解決手続き(ADR)による原子力損害賠償紛争解決センターへの和解申し立ての検討に入った。請求額の多い市部や避難区域が設けられた町村に目立つ。福島市と桑折町は既に申し立てを行い、水道事業などの賠償で東電と和解合意している。残る39市町村は「予定なし」としているが、須賀川市は「他市町村の動向を見ながら対応する」としており、今後、検討する自治体は増える可能性がある。東京電力は「具体的な算定基準が策定できた項目から賠償金請求を受け付け、早期支払いに取り組んでいる。それ以外の項目も請求を受けた場合は事情を聴きながら適切に対応している」と説明している。
※支払総額と請求総額、合計は1000円以下切り捨て。下郷、柳津、三島の各町は賠償請求の手続き準備中。ADRの○は既に申し立てを行い、和解合意した。●は申し立てを検討している

*4-2-2:http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/165762
(日刊ゲンダイ 2015年10月9日) 福島の甲状腺がん発生率50倍…岡山大・津田教授が警告会見
 岡山大大学院の津田敏秀教授(生命環境学)が6日付の国際環境疫学会の医学専門誌「エピデミオロジー(疫学)」に発表した論文に衝撃が広がっている。福島県が福島原発事故当時に18歳以下だった県民を対象に実施している健康調査の結果を分析したところ、甲状腺がんの発生率がナント! 国内平均の「50~20倍」に達していた――という内容だ。8日、都内の外国特派員協会で会見した津田教授は「福島県では小児や青少年の甲状腺がんの過剰発生がすでに検出されている。多発は避けがたい」と強調した。福島県で原発事故と子どもの甲状腺がんの因果関係を指摘する声は多いが、権威ある医学専門誌に論文が掲載された意味は重い。国際的な専門家も事態を深刻に受け止めた証しだからだ。津田教授は会見であらためて論文の詳細を説明。原発事故から2014年末までに県が調査した約37万人を分析した結果、「二本松市」「本宮市」「三春町」「大玉村」の「福島中通り中部」で甲状腺がんの発生率が国内平均と比較して50倍に達したほか、「郡山市」で39倍などとなった。津田教授は、86年のチェルノブイリ原発事故では5~6年後から甲状腺がんの患者数が増えたことや、WHO(世界保健機関)が13年にまとめた福島のがん発生予測をすでに上回っている――として、今後、患者数が爆発的に増える可能性を示唆した。その上で、「チェルノブイリ原発事故の経験が生かされなかった」「事故直後に安定ヨウ素剤を飲ませておけば、これから起きる発生は半分くらいに防げた」と言い、当時の政府・自治体の対応を批判。チェルノブイリ事故と比べて放射性物質の放出量が「10分の1」と公表されたことについても「もっと大きな放出、被曝があったと考えざるを得ない」と指摘した。一方、公表した論文について「時期尚早」や「過剰診断の結果」との指摘が出ていることに対しては「やりとりしている海外の研究者で時期尚早と言う人は誰もいない。むしろ早く論文にしろという声が圧倒的だ」「過剰診断で増える発生率はどの程度なのか。(証拠の)論文を示してほしい」と真っ向から反論。「日本では(論文が)理解されず、何の準備もされていない。対策を早く考えるべき」と訴えた。「原発事故と甲状腺がんの因果関係は不明」とトボケ続けている政府と福島県の責任は重い。

*4-2-3:http://digital.asahi.com/articles/ASHCZ61VFHCZUGTB00P.html
(朝日新聞 2015年11月30日) 福島の11人、新たに甲状腺がんと診断 合計115人に
 福島県は30日、東京電力福島第一原発事故当時18歳以下だった約38万人を対象に実施している甲状腺検査で、今年7月から9月末までの3カ月間に11人が新たにがんと診断されたと発表した。甲状腺がんが確定したのは合計115人になった。昨年3月末までの1巡目検査でがんの疑いがあると診断され、手術を受けた2人と、昨年4月以降の2巡目検査でがんの疑いが見つかり手術を受けた9人が新たにがんと確定した。1巡目検査の2人は、本人の都合で確定診断に必要な手術がこの時期になった。これで、がんが確定したか疑いがあるとされた人は1巡目114人、2巡目39人で計153人になった。2巡目でがんや疑いがあると診断された39人のうち、2人は、1巡目検査で一定の大きさ以上のしこり(結節)があり、それががん化したとみられるという。19人は1巡目検査では「何もない」とされており、新たにがんが発生したと考えられるという。県検討委員会の星北斗座長は「分かる範囲では、推定される福島県民の甲状腺の内部被曝(ひばく)線量はチェルノブイリの住民より低く、放射線の影響を受けやすい乳幼児にがんが発生していないことから、今見つかっている甲状腺がんは放射線の影響とは考えにくい」と述べた。

*4-2-4:http://digital.asahi.com/articles/ASHBJ7DNSHBJULBJ014.html
(朝日新聞 2015年10月20日) 原発事故後の被曝、初の労災認定 白血病の元作業員男性
 労災が認められたのは北九州市在住の男性(41)。男性によると、2012年から13年まで、東京電力の協力企業の作業員として、3号機や4号機周辺で、構造物の設置や溶接の作業に当たり、14年1月に急性骨髄性白血病と診断された。累積の被曝線量は福島第一原発で約16ミリシーベルト、定期点検の工事で12年に約3カ月間働いた九州電力玄海原発で約4ミリだった。男性の労災申請を受けた富岡労働基準監督署(福島県)が業務内容や被曝実態を確認し、被曝の専門家らで構成する厚労省の検討会で被曝と白血病の因果関係を検討、「業務上(業務由来)」と結論づけた。これを受け同労基署が20日付で労災と認定した。医療費と休業補償が支払われる。1976年に定められた国の放射線業務従事者の労災認定基準では白血病の場合、年5ミリシーベルト以上被曝し、最初の被曝を伴う作業から1年超経って発症した人は、白血病を引き起こす他の要因の影響が排除できれば労災が認められる。厚労省は20日の会見で、「今回の認定により科学的に被曝と健康影響の関係が証明されたものではない。『年5ミリ以上の被曝』は白血病を発症する境界ではない」とした。白血病の認定基準については「労災保険の精神に基づき、労働者への補償に欠けることがないよう配慮し、また、76年当時の一般公衆(住民)の被曝限度が年5ミリだった点も考慮して決まった」と説明した。福島第一原発事故の対応にあたった後、被曝と関係する病気になった人の労災申請は今回を含め8件。3件は不支給、1件は本人が取り下げ、3件は調査中で、がんの種類など詳細は明らかにされていない。東京電力によると、事故から今年8月末までに福島第一原発で働いた約4万5千人のうち、約2万1千人は累積被曝量が5ミリを超え、20ミリ以上も9千人を上回る。今年4月から8月末までの5カ月間に働いた約1万5千人でみても、約2200人が5ミリ超の被曝をした。現場では被曝を伴う作業が長期にわたって続き、労災申請が増える可能性がある。

*4-3-1:http://www.huffingtonpost.jp/2013/09/07/nuclear_error_nature_n_3884364.html?utm_hp_ref=tw (The Huffington Post 2013年9月7日) 汚染水漏れ 「Nature(ネイチャー)」が日本政府の福島第一原発の対応を批判
 ネイチャーの指摘する内容はどのぐらい厳しいものなのか。記事は「Nuclear error」と題され、「日本はもっと世界に助けを求めるべきだ」という副題がついている。福島第一原発事故の事故は東京電力の手に負えないほどのものとした上で、政府が先頭に立って対応するということを決めた時期が遅すぎると非難している。また、漏れた汚染水の放射線量が、最初に報道されていた状況よりも18倍も高かったことや、報道が遅れたこと、監視体制の甘さなどを挙げ、情報に精通した海外の専門家に助けを求めるべきと助言している。日本が海外の力を借りるべきとする意見を出しているのは、ネイチャーだけではない。ドイツ出身のエネルギーコンサルタント、マイケル・シュナイダー氏は、ハフィントン・ポストUK版の取材について、「現在の課題は、彼ら(日本政府)の現実逃避的な姿勢を崩すことだ。これは組織的な現実逃避だ。ここでは日本の持つプライドが問題になっているが、プライドが現実逃避の態度へと変わってしまうと、このような問題は本当に危険なものとなる。彼らは人々を、高まり続けるリスクにさらしている」と述べている。アメリカの科学者、チャールズ・ファーガソン氏も、ロシアやノルウェーには、汚染水が海洋生物にどのように影響があるかを調べる専門家がいることなどを挙げ、日本が他の国から多くの専門家を呼び込むべきだということに同意している。また、ロシアの国営原子力発電所操業会社ロスエネルゴアトムの第一副社長、ウラジミール・アスモロフ氏は、「原子力業界はグローバル化しており、事故が国内でとどまることはない。国際的な問題だ」と述べ、ロシアとしても支援する用意があると述べたという。ネイチャーは、福島沖の海洋汚染の問題を挙げ、安倍首相が掲げる科学振興に言及して次のように述べている。安倍首相と政権は、科学振興を推進すると述べている。世界中の研究者が、(汚染された海洋データを)調査しシェアしていくことを支援するべきではないか。チェルノブイリの事故後にはこのような機会がなかった。しかし、福島ではまだ遅くはない。東京電力は、相澤善吾副社長が8月21日の記者会見において、海外を含む国内外の叡智を結集して汚染水の対応にあたると話している。一刻も早い対応が期待される。

*4-3-2:http://www.nature.com/news/fukushima-leaks-18-times-worse-than-first-thought-1.13626 (nature 29 August 2013 ) Fukushima leaks 18 times worse than first thought 、New revelations from stricken plant’s operator add to claims that it cannot cope with clean-up operation.
 Pressure continued to mount on the owner of Japan’s crippled Fukushima Daiichi nuclear plant on 1 September after it admitted that recent leaks of contaminated cooling water contained 18 times the levels of radiation previously reported.The Tokyo Electric Power Company (TEPCO) said that one hot spot was found to be giving off 1,800 millisieverts per hour — much more than the 100mSv initially quoted and enough gamma radiation to kill a human within four hours. It also emerged that the pipe from which the water was leaking had been sealed with plastic tape.The company vowed to launch an investigation of the leak and “take any appropriate countermeasures immediately”, adding that only 1mSv of the radiation was made up of gamma rays, with the rest being less penetrating beta radiation.But the new revelations will heap pressure on the Japanese government to intervene in the clean-up of Fukushima after experts voiced fears that TEPCO is unable to cope with the operation, which has seen hundreds of tonnes of radioactive water escape into the Pacific Ocean. Analysts warned that if the government fails to act, prime minister Shinzo Abe’s pro-nuclear stance may be jeopardized.“It’s clear that TEPCO is unable to solve the problems on its own,” said Tsutomu Toichi, managing director and chief economist at the Institute of Energy Economics in Tokyo. “The government has to step in to ensure these problems are solved quickly. It is going to have to provide funds, as well as a plan for moving forward, and explain this to the public in a way that is easy to understand.”Wiktor Frid, a nuclear expert with the Swedish Radiation Safety Authority in Stockholm, added, “That water leaked from a tank unnoticed for several days is alarming and extremely embarrassing for TEPCO”.The leaks have also led to renewed concerns over ocean contamination and food safety, with local fishing cooperatives suspending trial catches and one oceanographer saying that further leaks would have “severe” consequences for marine life.
●Incident upgrade
 The leak of some 300 tonnes of partially treated water that had been used to cool melted nuclear rods from the destroyed reactors was reported by TEPCO on 19 August. The radioactivity of the water stands at about 80 megabecquerels per litre, about 1% of what it was before treatment by an on-site purification system. Japan’s Nuclear Regulation Authority initially labelled the incident a level 1 event (known as an ‘anomaly’) on the International Nuclear Event Scale, but on 28 August upgraded it to level 3 (‘serious incident’), citing the large amount of contaminated water leaked and the fact that a safety buffer was not available for the water tank in question.At present, TEPCO is storing more than 300,000 tonnes of radioactive water on the site of the destroyed Fukushima Daiichi plant. Radioactive caesium isotopes are being removed from the water by an advanced liquid-processing system built after the accident, but a facility for removing strontium isotopes is not yet ready. Tritium, another harmful radionuclide, cannot be safely removed by any known purification system because it is incorporated within water molecules.The leaked water is thought to have seeped into the ground and will eventually reach the sea adjacent to the plant. The storage site near Fukushima’s reactor 4, where the leak was discovered, lies some 50 metres above sea level and is just a few hundred metres from the coast.Measures proposed so far to prevent the polluted water from flowing into the sea — such as freezing or excavating the soil surrounding the storage site — seem to be either very expensive or technically unfeasible, says Joachim Knebel, a nuclear expert and chief science officer at the Karlsruhe Institute of Technology in Germany.“We can’t really assess the situation from far away,” he says. “But it appears to me that none of the proposed measures would work. TEPCO would be well advised to seek international expertise in coping with the problems.”Several countries, including Russia, have offered to assist with the company’s clean-up efforts, and TEPCO said last week that it will consider accepting outside help. On Monday, it also announced a series of measures, including the installation of a new central control system, to mitigate the risk of future leaks.
“Some tanks have automatic monitoring equipment and some don’t,” says Yo Koshimizu, a TEPCO spokesman. “We are currently determining whether to add such equipment to all of the tanks.”
●Storage situation
 Some 400 tonnes of cooling water are being collected in tanks each day. The growing fleet of storage tanks — which currently stands at about 1,000 — is a source of alarm for experts, who fear that huge amounts of contaminated water will eventually have to be dumped into the ocean. Worse still, some 300 tonnes of groundwater highly contaminated with caesium-137, which has a 30-year half-life, are thought to be flowing from beneath the destroyed reactors into the sea every day.The potential for harm is huge, says Jota Kanda, an oceanographer at the Tokyo University of Marine Science and Technology who monitors radionuclide distribution in sediments and biota off Fukushima1.“The effects of one relatively small leak may be insignificant,” he says. “But there are huge amounts of radionuclides in these tanks and the water may have to be stored for a long time to come. If more leaks were to occur the consequences might be severe.”The Fukushima nuclear accident resulted in the largest ever accidental release of radioactivity to the oceans. Some 80% of all the radionuclides released from Fukushima ended up in the Pacific2. In some local fish, high residual levels of radioactivity were measured two years after the accident. Commercial fishing in the area is still banned.But it is unclear how much residual radioactive contamination is still entering the sea from leaks around the Fukushima plant, says Scott Fowler, a marine ecologist at Stony Brook University in New York who has been involved in previous assessments of contamination levels in the ocean near Fukushima.To track changes in coastal waters and predict when seafood species in the region may be safe to consume, it will be necessary to establish a ‘temporal data set’ — that is, to measure the levels and distributions of contaminant radionuclides at a given location over time, he says.“Even if one assumes that leaks from the plant into the sea will eventually be stopped, residual contamination would continue to be present in the adjacent marine ecosystem for many years,” he says. “So the contamination of long-lived radionuclides in different organisms in the local marine food webs needs to be monitored continually.”

*4-4:http://mainichi.jp/articles/20151225/ddl/k07/040/190000c (毎日新聞 2015年12月25日) 福島第1原発事故 南相馬・汚染米問題 除染推進委員長、規制委員長発言を批判 「現地を調査せず」 /福島
 南相馬市除染推進委員会の委員長を務める児玉龍彦・東大教授は24日、2013年の同市産米から国の基準(1キロ当たり100ベクレル)を超える放射性物質が検出された問題で、福島第1原発のがれき処理が原因でないと因果関係を否定している原子力規制委員会の田中俊一委員長の発言を強く批判する見解を発表した。児玉教授は、田中氏が除染していない山林から流れたセシウムが原因の可能性があるとの見方を南相馬市の桜井勝延市長と10月に会談した際に示したことについて、「田中氏は現地の水源や水田の調査をしておらず、科学的検討を行った発言ではない」と批判。(1)汚染は複数の水源を持つ複数の水田で確認された(2)前年収穫されたコメに汚染はなく14年以降も国の基準値を下回っている(3)発言の根拠とする放射性物質飛散の実験値は実測値との乖離(かいり)が指摘されている−−などと反論した。さらに児玉教授は、「規制委は放射性物質の飛散防止に全力を挙げる責任があることを深く自覚」するよう求めた。田中氏は桜井市長と会談した際、汚染とがれき処理との因果関係を否定したうえで「除染が終わっていない山から流れてくる水に(放射性)セシウムが溶け込んでいる場合があると思う。今後もそういう事例が出てくる可能性は否定できない」と発言。国が1キロ当たり100ベクレル以下を基準としていることについても、「何で100にしたのか。500でよかった。それでも国際基準より厳しい」として政府の対応を批判していた。

*4-5:http://mainichi.jp/articles/20160108/k00/00m/020/135000c
(毎日新聞 2016年1月7日) 福島原発事故、EUが9日から食品の輸入規制一部緩和
 農林水産省は7日、欧州連合(EU)が東京電力福島第1原発事故を受けて実施している日本産食品の輸入規制のうち、福島県産の野菜や牛肉などが9日に緩和されることになったと発表した。福島産はこれまで酒類を除く全品目が規制対象だった。EUは昨年11月に緩和の方針を示しており、手続きが完了した。EUは現在、規制対象に対して放射性物質の検査証明書の添付を義務付けている。今回、野菜や牛肉などの畜産品のほか、柿を除く果実、そば、茶などを規制対象から外す。コメやキノコ、大豆などは引き続き規制の対象となる。また青森、埼玉両県を規制対象の地域から外し、全ての品目で検査証明書を不要とする。これでEUによる規制対象が残るのは、福島を含めて13県となる。このほかに岩手、宮城、茨城、栃木、群馬、千葉の6県のコメや大豆、そばなど一部を規制対象から除外する。一方で、これまで規制対象外だった秋田や山形、長野のゼンマイなどを新たに対象に加える。

<原発のコスト>
*5-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015111902000128.html (東京新聞 2015年11月19日) 原発ゼロへ再考を 原子力は高くつく
 きょうは原発推進の人たちにとくに読んでいただきたい。原子力発電は結局、高くつく。そろばんを弾(はじ)き直し、原発ゼロへと考え直してみませんか。やっぱり金食い虫でした。原子力規制委員会が日本原子力研究開発機構に示した、高速増殖原型炉「もんじゅ」の運営を「ほかの誰かと交代せよ」との退場勧告は、その操りにくさ、もろさ、危険さを、あらためて浮かび上がらせた。そして、本紙がまとめた「核燃料サイクル事業の費用一覧」(十七日朝刊)からは、もんじゅを核とする核燃料サイクルという国策が、半世紀にわたって費やした血税の大きさを実感させられる。
◆巨費12兆円を投じて
 原発で使用済みの核燃料からプルトニウムを抽出(再処理)し、ウランと混ぜ合わせてつくったMOX燃料を、特殊な原子炉で繰り返し利用する-。それが核燃料サイクルだ。その上もんじゅは、発電しながら燃料のプルトニウムを増やしてくれる。だから増殖炉。資源小国日本には準国産エネルギーをという触れ込みだった。それへ少なくとも十二兆円以上-。もんじゅの開発、再処理工場(青森県六ケ所村)建設など、核燃サイクルに費やされた事業費だ。国産ジェット機MRJの開発費が約千八百億円、小惑星探査機「はやぶさ2」は打ち上げ費用を含めて二百九十億円、膨らみ上がって撤回された新国立競技場の建設費が二千五百二十億円…。十二兆円とはフィンランドの国家予算並みである。
◆1日5500万円も
 ところが、もんじゅは事故や不祥事、不手際続きで、この二十年間、ほとんど稼働していない。止まったままでも一日五千五百万円という高い維持管理費がかかる。もんじゅは冷却に水ではなく、大量の液体ナトリウムを使う仕組みになっている。ナトリウムの融点は九八度。固まらないように電熱線で常時温めておく必要がある。千七百トンのナトリウム。年間の電力消費量は一般家庭約二万五千世帯分にも上り、電気代だけで月一億円にもなるという。発電できない原子炉が、膨大な電力を必要とするという、皮肉な存在なのである。もんじゅ以外の施設にも、トラブルがつきまとう。さらなる安全対策のため、再処理工場は三年先、MOX燃料工場は四年先まで、完成時期が延期になった。MOX燃料工場は五回目、再処理工場に至っては、二十三回目の延期である。研究や開発は否定しないが、事ここに至っては、もはや成否は明らかだ。これ以上お金をつぎ込むことは是とはされまい。核燃料サイクルが、日本の原子力政策の根幹ならば、それはコストの面からも、根本的な見直しを迫られていると言えそうだ。欧米で原発の新増設が進まないのは、3・11以降、原発の安全性のハードルが高くなったからである。対策を講ずるほど費用はかかる。原発は結局高くつく。風力や太陽光など再生可能エネルギーにかかる費用は普及、量産によって急速に低くなってきた。国際エネルギー機関(IEA)の最新の報告では、太陽光の発電コストは、五年前より六割も安くなったという。ドイツの脱原発政策も、哲学だけでは語れない。冷静に利益を弾いた上での大転換だ。原子力や輸入の化石燃料に頼り続けていくよりも、再生エネを増やした方が、将来的には電力の値段が下がり、雇用も増やすことができるという展望があるからだ。
◆そろばん弾き直そう
 核燃料サイクル事業には、毎年千六百億円もの維持費がかかる。その予算を再エネ事業に振り向けて、エネルギー自給の新たな夢を開くべきではないか。電力会社は政府の強い後押しを得て、核のごみを安全に処理するあてもまだないままに、原発再稼働をひたすら急ぐ。金食い虫の原発にこのまま依存し続けていくことが、本当に私たち自身や子どもたちの将来、地域の利益や国益にもかなうのか。政治は、その是非を国民に問うたらいい。持続可能で豊かな社会へ向けて、そろばんをいま一度弾き直してみるべきだ。

*5-2:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS15H2R_V10C16A1EE8000/
(日経新聞 2016/1/15) 経団連会長「原発停止は国の損失」 柏崎刈羽の再稼働要請
 経団連の榊原定征会長は15日、新潟県の東京電力柏崎刈羽原子力発電所を視察した。柏崎刈羽6、7号機を含めた全国で停止中の原発を再稼働させる必要性を改めて訴えたうえで「原発が止まっているのは国として損失だ。早期に動かして(企業と家計の)電力コスト削減につなげてほしい」と強調した。榊原氏は安倍晋三政権になってから円高など経済の「6重苦」は解消しつつあるが、「最も対応が必要なのはエネルギー問題だ」と指摘。東日本大震災後、電気料金は家庭用で2割、産業用で4割上がったとして「もともと世界で電力コストが一番高い日本でさらに高くなった。成長と投資、発展の大きな障害になっている」と強調し、時期への言及は避けつつも再稼働を重ねて訴えた。視察には東電の広瀬直己社長も同席。榊原氏は東電が取り組む安全対策に対して「中越沖地震と福島の事故の教訓を受け、考えられる限りの対策をしていると感じた」などと評価した。九州電力の川内原発(鹿児島県)など西日本が先行する形で、震災以降に止まっていた原発に再開の動きが少しずつ出てきた。ただ東日本の原発は柏崎刈羽原発を含めて東電福島第一原発と同型の沸騰水型軽水炉が多く、先行きを見通しにくい面が多い。

*5-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201601/CK2016013102000111.html (東京新聞 2016年1月31日) 震災5年 故郷戻れぬまま 原発避難者 移住6900件
 東京電力福島第一原発事故で住まいを追われた福島県の避難住民が、二〇一一年三月の事故後、政府の制度を利用し県内や首都圏などに新たに土地や住宅を買って移住するケースが、毎年増え続けていることが本紙の独自調査で分かった。累計の移住件数は、一五年末現在で約七千件。元の住まいに戻れる見通しが立たず、避難先などで生活再建を図ろうとしている実態が浮かんだ。移住しても、住民票はそのままにしている避難住民が多いため、どれくらいの人が移住したのか実態はつかみにくい。本紙は、避難指示区域の住民が移住先で不動産を買うと不動産取得税が軽減される特例がある点に着目。福島県のほか、避難者の多い十一都道県に適用件数を聞き取りし、主な状況を調べた。その結果、一一年度末では六十六件だったが、一二年度末には累計で七百四十五件に増え、一三年度末は二千百九十件、一四年度末には四千七百九十一件にまで増えた。一五年度は昨年末時点ながら、六千九百九件にまで増えた=グラフ。このほか、他の府県での制度の適用例や特例を使わないケースもあるとみられる。移住用に家や土地を購入した先は、全体の約九割が福島県内(六千八件)。次いで多いのが、隣接する茨城(二百八十五件)や栃木(百五十六件)、宮城(百十五件)の各県だった。いずれの都道県でも毎年増えている。政府は帰還困難区域を除く避難指示区域を一六年度中に解除する方針を示しているが、福島第一周辺はいまだに広く汚染されている。仮に避難指示が解除される状況になっても、放射線の影響への不安があるほか、商店や病院、学校など暮らしの基盤がどこまで元のような姿になるのか見通すのは非常に難しい。五年近い避難の中で、新たな仕事や通学の関係から、避難先に根づき、生活再建しようとする住民も多い。福島県の担当者は「避難先での基盤が固まってきた一方、故郷に戻ろうにも生活の厳しさがある。事故後五年を迎え、帰る、帰らないの判断をする時期に来ており、今後も移住が増えていくのでは」と分析している。大阪市立大の除本理史(よけもとまさふみ)教授(環境政策論)は「元通りの暮らしを期待して故郷に戻りたい住民、人口減を何とか食い止めたい避難元の自治体、避難者の数を少しでも減らしたい政府、と三者で思惑にずれがある。避難者のニーズにそったきめ細かい施策が必要だ」と強調している。
<福島県からの避難住民> 政府の統計では、福島第一原発事故の避難者数は2016年1月14日現在、自主避難含め9万9000人とされる。このうち、県外への避難者は4万3000人に上り、北は北海道から南は沖縄まで全都道府県に及ぶ。特に多いのが東京都(6000人)などの首都圏と、福島県に隣接する山形、宮城、新潟県。ピーク時の16万4000人(12年5月)から減っているが、数多くの人が先行きの見えない暮らしを送っている。


PS(2016/2/4追加):*6-1のように、政府は、原発再稼働を進めるため、「電源立地地域対策交付金」を原発を再稼働させた自治体に手厚く払うようにして再稼働への同意を促した。その結果、再稼働した原発地元の道県・市町村は、新たに原発1基当たり年間最大5億円を支払われるそうだ。また、*6-2のように林経済産業大臣は、「原子力の問題や事故が起きたら、政府が責任をもって対応する」としている。このように、原発には電力会社が発電コストに入れていない多額の税金が投入されている。
 なお、*7のように、原油先物相場が下落したとして、原油が出ない国の日本人が中東など産油国の財政を心配しているのはおかしい。何故なら、サウジアラビアなど富裕な産油国は、日本のような税はない上、公共料金・医療・福祉が原油代金で賄われて無料というめぐまれた状態で、「増税しても年金・医療・介護・福祉を削減しなければやっていけない」などと言っている日本とは雲泥の差だからだ。しかし、日本も自然再生可能エネルギーにエネルギーを転換したり、LNGを掘り出したりすれば、油田を発見したのと同じ効果がある。

<原発への政府の支出と推進>
*6-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/268020
(佐賀新聞 2016年1月13日) 原発再稼働で交付金手厚く 来年度から、政府が配分見直し
 政府が原発の再稼働を進めるため、立地自治体に対する財政面からの誘導を強めている。交付金の分配の在り方を見直し、2016年度分から再稼働した原発の立地自治体に手厚く支払うようにするなど、「アメとムチ」で再稼働への同意を促す狙いだ。立地道県や市町村に支払う「電源立地地域対策交付金」は原発で発電した電力量に所定の単価を掛けるなどして算出する。従来は定期点検などで原発が停止中でも自治体の財政が維持できるよう稼働率を一律81%とみなして支払われてきた。16年度からは、再稼働した原発は実際の稼働率で計算する。停止中の原発は、福島事故前10年間の平均稼働率を採用するが、同期間の全国平均稼働率(68%)以上は認めない。再稼働した場合は、原発1基当たり年間最大5億円を立地自治体に支払うインセンティブを与える。一方、再稼働を進める上で国民の間に不安が根強い老朽原発の廃炉を進めるため、交付金の激減緩和措置を用意した。「みなし稼働率」は03年に導入され、当初は100%に設定されていた。しかし実態に比べ高すぎると見直しが入り、10年に81%に引き下げられた。翌年、東京電力福島第1原発事故が発生。その後、全国の原発が停止した中でも、このみなし稼働率で交付金が払われてきたが、政府は再稼働の進捗を踏まえ、みなし稼働率の在り方をあらためて見直した。地元の原発の再稼働が見通せない自治体では大幅減収になる可能性が高い。政府は16年度の当初予算案で立地交付金を15年度当初比4・8%減の868億円に抑えた。東電柏崎刈羽原発の地元、新潟県柏崎市によると、震災前10年間の同原発の平均稼働率は47%。市は今回の見直しで、15年度約26億5千万円あった交付金が16年度は3億円程度減ると試算する。市担当者は「稼働率が低かったのは東電のトラブル隠しや中越沖地震が原因で、自治体のせいではない」と指摘。「見直しの影響は大きい」と訴えている。

*6-2:http://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/3054441721.html
(NHK福井 2015年12月20日) 西川知事と林経産大臣が会談
 関西電力・高浜原子力発電所3号機と4号機について林経済産業大臣が西川知事と会談し、「原子力のさまざまな問題や事故が起きた際には政府が責任をもって対応する」と述べ、高浜原発の再稼働に理解を求めました。高浜原発3号機と4号機は、現在、再稼働に向けて最終段階の検査を受けているほか今月(12月)に入って、高浜町長と県議会が再稼働に同意するなど、再稼働へ向けた手続きは知事の判断が焦点となっています。こうしたなか林経済産業大臣が20日、西川知事と会談しました。このなかで林大臣は、西川知事が政府に求めていた再稼働を判断するための5つの条件について▼原子力に対する国民理解を促進するため、全ての都道府県でシンポジウムを開くことや▼福島の原発事故を教訓とした事故の制圧体制の強化のため、政府として訓練や改善に取り組むなどと応えました。そのうえで林大臣は、「原子力のさまざまな問題や事故が起きた際には政府が責任をもって対応します」と述べ、高浜原発の再稼働に理解を求めました。これに対して西川知事は「国が責任をもって進めていきたいという方針が示され、評価させて頂きたい」と述べ、国からの説明に一定の理解を示しました。知事との面談を終えた林経済産業大臣は高浜原発の再稼働について「ある程度の理解が得られたのではないか」と述べ、今後、原発の重要性、必要性について国民に丁寧に説明していく考えを示しました。

<原油高騰に日本が懸念 ?!>
*7:http://mainichi.jp/articles/20160103/k00/00e/020/113000c
(毎日新聞 2016.1.3) 昨年3割下落 中東諸国の財政に打撃
 2015年のニューヨーク原油先物相場は年間で約30%下落し、46%下げた前年に続く大幅下落となった。原油価格の長期低迷で中東などの産油国の財政は急激に悪化しており、各国は政府支出や海外投資の圧縮に懸命だ。オイルマネーの縮小が世界の金融市場を不安定化させる懸念も出ている。12月31日のニューヨーク市場で、指標の米国産標準油種(WTI)2月渡しは前日比0.44ドル高の1バレル=37.04ドルで取引を終えた。14年末の53.27ドルから約30%の下落。米国のシェールオイル増産や中国経済の減速による需要減で、供給過剰に陥っているのが原因だ。この影響で、中東・北アフリカの11産油国の原油輸出総額は、15年の1年間で3600億ドル(約43兆2000億円)も激減した。歳入の大半を占める原油収入の落ち込みで、財政収支は、サウジアラビアが国内総生産(GDP)比15%の赤字に落ち込むなど、15年は11カ国平均で同10%前後の赤字となる見通しだ。過去の原油収入の積み立てで、直ちに財政危機に陥る懸念は低いが、今後、米国の原油輸出の解禁などで一段の価格下落の可能性もあり、国際通貨基金(IMF)は「包括的な財政調整が不可欠」と警告している。サウジアラビアは12月28日、公務員給与の削減などで16年の歳出を前年比14%削減すると発表。クウェートも軽油価格を値上げしたほか、バーレーンもガス料金や医療保険料を値上げするなど、各国は相次いで財政引き締め策を導入した。ただ、サウジなどの富裕な湾岸産油国は、11年に始まった民主化要求運動「アラブの春」の波及を食い止めるため、公共料金無料化や公務員増員などのバラマキ政策を実施してきた。「国内の不安定化につながりかねない大胆な緊縮策は取りにくい」(英調査会社)のが実情だ。産油国は原油収益を先進国の株式や土地などに投資しているが、英紙フィナンシャル・タイムズによると7〜9月期に少なくとも190億ドル(約2兆2800億円)が産油国に引き揚げられた。IMF中東・中央アジア局のマザレイ次長は「資金の撤退が市場の大きな変動をもたらす可能性がある」としている。


PS(2016/2/8追加):*8のように、汚染された木くずを日本全国にばら撒き、堆肥を製造して農産物を作れば日本全体の農産物が汚染されるが、これを「風評被害」と呼ぶのは日本だけである。なお、汚染木材を家の新築にも使うそうだが、ここまでくると呆れてものが言えない。

<放射性廃棄物の処理>
*8:http://www.chibanippo.co.jp/news/national/302919
(千葉日報 2016年2月7日) 汚染木くず千葉県にも 大津地検が捜査資料開示
 東京電力福島第1原発事故で放出された放射性セシウムに汚染された木くずが滋賀県高島市などに不法投棄された事件で、木くずは滋賀のほかに茨城、栃木、千葉、山梨、鹿児島の各県にも搬出されていたことが6日、大津地検が部分開示した捜査資料で明らかになった。開示は5日付。開示資料によると、木くずは2012年12月~13年9月、計約5千トンが計12ルートで6県に運ばれた。運搬には栃木、埼玉、千葉、山梨各県の業者が関わっていた。京都市の無職男性(75)が昨年2月に捜査資料の閲覧を地検に請求したが、3月に不許可とされたため、大津地裁に準抗告。地裁は7月、自治体名を含めた閲覧を認め、地検に開示を命じる決定を出した。地検は特別抗告し、最高裁は12月14日に「搬出先が特定され、風評被害などで経済損害が発生する恐れがある」として地裁の決定を一部取り消し、市町村名などを除いて閲覧を認める決定を出した。これを受け、地検が今月5日に資料を男性に部分開示した。高島市の木くずはその後、前橋市の産業廃棄物処理業者の施設で破砕され、中間処理された。不法投棄をめぐっては、東京のコンサルタント会社社長(当時)の男性が、高島市に木くずを持ち込んだとして産業廃棄物処理法違反の罪で14年12月に大津地裁で有罪が確定。男性は各地の搬出先には汚染について伝えず「堆肥製造のため」などと説明し、木くずは野ざらしの状態だった。


PS(2016.2.9追加):*9-1のように、丸川珠代環境大臣が、長野県松本市で、「『反放射能派』で、どれだけ下げても心配だという人は世の中にいるが、そういう人たちがわあわあ騒いだ中で何の科学的根拠もなく、時の環境相が1ミリシーベルトまで下げると急に言った」と述べたのは、単に無知であるだけでなく、環境大臣になったから環境に詳しいという本末転倒の自負がある。その上、「そういう言い回しをした記憶はない」「誤解を与えたなら言葉足らずだった」としているのは誠実さに欠ける。
 また、*9-2に、「年間1~20ミリシーベルトの幅で適切な防護をしながら長期的に1ミリシーベルトを目指すという国際放射線防護委員会(ICRP)の考え方に基づく」という専門家の指摘があるが、人間の体にとって長期的とはどのくらいの期間かという問題が未だ棚上げされている。私は、「短期的とは、速やかに脱しはしたが事故で仕方なく陥った状態の最短期間」であり、癌が発症し始める5年は十二分に長期であり、短期的・長期的という言葉を使って放射線安全神話を作ってはならないと考えている。
 なお、*9-3のように、丸川環境大臣がその発言をした松本市は、信州大学医学部助教授などを経てチェルノブイリ原発事故後、ベラルーシの放射性物質汚染地域で医療支援活動にあたった菅谷氏を市長に選んでいる地域で、講演を聞きに来た一般市民には丸川環境大臣よりも放射線防護に詳しい人も多かったと思われるため、よりによって松本市でそういう発言をしたのは喜劇の部類に入る。

*9-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016020902000243.html (東京新聞 2016.2.9) 丸川環境相「被ばく上限、根拠ない」 国会追及で陳謝
 丸川珠代環境相が、東京電力福島第一原発事故後に国が定めた年間被ばく線量の長期目標一ミリシーベルト以下について「何の根拠もない」と発言したと、九日の衆院予算委員会で指摘された。丸川氏は発言の記憶がないとしながら「誤解を与えたなら、言葉足らずだったことはおわびする」と述べた。丸川氏は七日、長野県松本市であった自民党の若林健太参院議員の集会で講演した際に「『反放射能派』というと変だが、どれだけ下げても心配だという人は世の中にいる。そういう人たちがわあわあ騒いだ中で何の科学的根拠もなく、時の環境相が一ミリシーベルトまで下げると急に言った」と発言した。民主党の緒方林太郎氏が九日の衆院予算委で問題だと追及。丸川氏は「記録を取っていないし、そういう言い回しをした記憶はない」と釈明した上で陳謝。「数字の性質を十分に説明し切れていなかったのではないかという趣旨のことを申し上げた」と述べた。福島第一原発の事故後、当時の民主党政権は、自然放射線などを除いた一般人の通常時の年間被ばく線量限度を一ミリシーベルトとした国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づき、長期的な目標を一ミリシーベルトとした。

*9-2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016020901002341.html
(東京新聞 2016年2月9日) 専門家からいぶかる声 丸川環境相の線量発言
 東京電力福島第1原発事故後、国が「年間被ばく線量1ミリシーベルト」と定めた除染の長期目標をめぐり、丸川珠代環境相が講演で「何の根拠もなく時の環境大臣が決めた」などと発言した問題で、放射線の専門家からは9日、「根拠はある。発言の真意がよく分からない」といぶかる声が上がった。鈴木元国際医療福祉大教授(放射線疫学)は、1ミリシーベルトの目標は「事故で出た放射性物質と共存する状況にあって、年間1~20ミリシーベルトの幅で適切な防護をしながら長期的に1ミリシーベルトを目指すという国際放射線防護委員会(ICRP)の考え方に基づく」と指摘。

*9-3:http://mainichi.jp/articles/20151217/ddl/k20/010/150000c
(毎日新聞 2015年12月17日) 松本市長選 菅谷氏が出馬表明 4選目指し /長野
 任期満了に伴う松本市長選(来年3月6日告示、13日投開票)で、現職の菅谷昭氏(72)は16日、4選を目指し立候補すると表明した。同日閉会の12月市議会で「引き続き市長の使命を果たすべきだと決断した」と述べた。信州大医学部助教授、県衛生部長などを歴任。2004年に初当選し3期目。チェルノブイリ原発事故後、ベラルーシの放射性物質汚染地域で医療支援活動にあたった。「健康寿命延伸都市宣言などの施策は道半ばだと、市民から続投の強い要請を受けた。私を育んだ松本のまちづくりを引き続き担うのも道である」と語った。市長選には、いずれも新人で、団体役員の鈴木満雄氏(65)、前市議の増田博志氏(63)が立候補を表明。前市教育委員の小林磨史(まふみ)氏(61)、元NHK解説委員の臥雲義尚氏(52)が立候補の意思を示しており、過去最多の5人による争いとなる可能性がある。

      
2016.2.10東京新聞    2016.2.12NHK     2015.10.12、2015.11.20佐賀新聞 
                                     (http://no-genpatsu.main.jp/上参照)

PS(2016年2月12日追加): *10-1で、原発由来の物質であるセシウム137が多いほど、人間以外の生物も白血病の傾向があることがわかる。しかし、NHKは、*10-2のように、原発から遠い地域に住んでいる人も含めた3600人ばかりのアンケート調査により、①電気料金が安い ②地球温暖化など環境への影響が少ない ③安定して十分供給できる ④安全に発電できる などとするフクシマ原発事故前の“常識”を理由に、原子力発電所を「増やすべき」「現状を維持すべき」が合わせて29%だったと強調し、「すべて廃止すべきだ」だけでも22%あるにもかかわらず、これについては表題に記載せず重視もしていない。そして、「不安の程度はやや和らいだものの、まだほとんどの人が不安を感じている」などと、原発による公害や原発のコストには言及せず、「不安」という情緒論に終始している。この分析力と報道力が、NHKの能力だとしても企業文化だとしても、どちらにしても問題だ。

*10-1:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016021101001336.html
(東京新聞 2016年2月11日) 福島のヤマメに貧血傾向 放射性物質多いほど
 東京電力福島第1原発事故で影響を受けた家畜や野生動物をテーマにしたシンポジウムが11日、東京都文京区の東京大で開かれた。東北大大学院の中嶋正道准教授(水産遺伝育種学)は、福島県内の河川で採取した魚の調査で、筋肉中に含まれる放射性物質の量が多いヤマメに貧血傾向がみられると報告した。中嶋氏によると、同県浪江町を流れる請戸川など県内の三つの河川で2012年末~14年にヤマメを採取し、血液などを調べた結果、筋肉中のセシウム137の量が多いほど、赤血球1個当たりのヘモグロビン量が減少するなど貧血傾向にあることが確認された。

*10-2:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160211/k10010405331000.html
(NHK 2016年2月11日) 原発「現状維持」26% 「減らすべき」49% NHK調査
 東日本大震災の発生から5年になるのを前にNHKが行った調査で、今後、原子力発電所をどうすべきだと思うか尋ねたところ、「増やすべきだ」と「現状を維持すべきだ」が合わせて29%だった一方、「減らすべきだ」が49%、「すべて廃止すべきだ」が22%でした。NHKは、去年12月、全国の16歳以上の男女3600人を対象に、調査員が訪問して調査用紙を配る「配付回収法」による世論調査を行い、調査の対象になった人の71%に当たる2549人から回答を得ました。この中で発電について最も重要だと思うことを尋ねたところ、「電気料金が安いこと」が13%、「地球温暖化など環境への影響が少ないこと」が30%、「安定して十分供給できること」が28%、「安全に発電できること」が29%でした。原発事故が起きた2011年の12月に行われた調査と比べると、「安全に発電できること」が13ポイント減った一方、「地球温暖化など環境への影響が少ないこと」が11ポイント増えました。「今後、原発をどうすべきだと思うか」という質問に対しては、「増やすべきだ」が3%、「現状を維持すべきだ」が26%、「減らすべきだ」が49%、「すべて廃止すべきだ」が22%でした。過去の調査との比較では、「増やすべきだ」と「現状を維持すべきだ」と答えた人は、前回2013年より6ポイント増え、2011年と同じ水準でした。「減らすべきだ」は、前回より3ポイント増え、2011年より2ポイント減りました。「すべて廃止すべきだ」は、前回より8ポイント減りましたが、2011年より2ポイント増えました。原発から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のゴミ」の最終処分場の問題について、今後原発をどうすべきかを考えるにあたって、どの程度考慮するかという質問に対しては、「大いに考慮する」が52%、「ある程度考慮する」が35%と考慮するという答えが87%を占め、「あまり考慮しない」が10%、「全く考慮しない」が2%でした。今回の調査では、福島県と宮城県それに岩手県の3県でも同時に16歳以上の1368人を対象に同様の方法で調査を行い、72%に当たる987人から回答を得ました。この中で、廃炉作業が進められている福島第一原発の現状について尋ねたところ、「不安だ」が50%、「どちらかといえば、不安だ」が42%で、合わせて92%の人が不安に感じていると答え、「どちらかといえば、不安ではない」が6%、「不安ではない」が1%でした。2013年の調査と比べると、「不安だ」が12ポイント減って「どちらかといえば、不安だ」が10ポイント増え、不安の程度はやや和らいでいるものの、まだほとんどの人が不安を感じていることがうかがえます。


PS(2016年2月13日追加): *11のように、丸川環境大臣が1ミリシーベルトの除染基準について、「何の科学的根拠もない」などと根拠もなく発言し、2月12日に「福島をはじめ、被災者に改めて心からおわびしたい」と謝罪したそうだが、詫びの内容はまだ矮小化されている。何故なら、「何の科学的根拠もない」という発言は、被災者だけでなく、科学的根拠を持って行動している人の人格権を傷つけた上、無知なのは丸川大臣本人だからだ。そのため、「無知で思考力がなかったため、科学的根拠を持って行動している人を逆に根拠もなく誹謗中傷して、大変申し訳なかった」と明確に詫びたとしても、許すか否かは人格権を傷つけられた側が決めるものだ。
 なお、原発労働者の白血病労災認定基準は「年間5ミリシーベルト以上」で、チェルノブイリ原発事故によるウクライナの移住権利区域も「年間5ミリシーベルト以上」であるのに、「日本の一般住民の被曝限度は、年間1~20ミリシーベルトでよい」と主張する人もいるが、それでは甘すぎるため、そう主張する人は、被災者の立場になって物事を考えられるよう、家族を連れてこのような場所に移住すべきで、それには原発推進派の議員、経産省・厚生労働省、NHKをはじめとするメディア、電力会社・原発推進企業の本社機能などが該当するだろう。

*11:http://mainichi.jp/articles/20160213/k00/00m/040/113000c
(毎日新聞 2016年2月12日) 被ばく線量発言を撤回 被災者におわび
 丸川珠代環境相は12日の記者会見で、東京電力福島第1原発事故後に定めた除染などの長期目標について「何の科学的根拠もない」などとした発言を撤回した。これまで「記憶がない」と発言を事実上否定していたが、5日後になってやっと自分の発言と認め、「福島をはじめ、被災者に改めて心からおわびしたい」と謝罪した。閣僚の辞任は否定した。丸川氏は「福島の皆さんと信頼関係を保つ上で、撤回すべきだと判断した。福島の思いに応えるのが私の責任だ」と述べた。これ以上、発言を否定し続ければ、福島県など被災自治体との関係がさらに悪化するうえ、野党も国会で追及を強める構えを見せており、発言撤回で事態を収拾させる思惑がある。丸川氏は7日、長野県松本市内で開かれた自民党参院議員の会合で講演し、除染の長期目標について「科学的根拠もなく、時の環境大臣が決めた」と述べたことが報じられ、発覚した。当時の環境相は民主党の細野豪志政調会長で、民主党が閣僚辞任を求めていた。国会答弁などでは「そういう言い回しを使ったか記憶にない。伝えようとした趣旨が伝わらず、言葉足らずで申し訳ない」と述べていたが、12日になって発言を記録したメモを点検し、会合出席者の証言から「自らの発言」と確認をしたという。福島県知事にも電話で謝罪した。長期目標は民主党政権時に定められ、自然放射線などを除いた一般人の通常時の年間被ばく線量を1ミリシーベルト以下にすることを目指して除染などを進めるとしている。丸川氏は「1ミリシーベルト」について「達成に向けて政府一丸で取り組む」と述べ、引き続き長期目標として維持する方針を強調した。


PS(2016年2月16日追加): *12-2のように、国際放射線防護委員会(ICRP)勧告は、公衆被曝線量限度を、1977年勧告で年間5ミリシーベルト以下としているが、1985年勧告では数年間は5ミリシーベルト以下を許容しその後は年間1ミリシーベルト以下とし、1990、2007、2012年勧告では数年間の5ミリシーベルト以下という文言もなくなって年間1ミリシーベルト以下としている(http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/etc/13-10-3Nitiben.pdf#search='WHO+%E5%B9%B4%E9%96%93%E5%85%AC%E8%A1%86%E8%A2%AB%E6%9B%9D%E7%B7%9A%E9%87%8F%E9%99%90%E5%BA%A6 参照)。従って、ICRPの公衆被曝線量限度は年間1ミリシーベルト以下であるにもかかわらず、「追加被曝線量の長期目標を年間1ミリシーベルト」とするのも国際基準より甘く、丸川大臣の言葉はもちろん軽すぎるため、どういう志を持って環境大臣をしているのか聞きたい。
 また、*12-1のように、島尻沖縄北方大臣が北方領土の一部である歯舞群島の「歯舞」を読めなかったというのは、北方領土交渉の重要なKey Wordであって単なる固有名詞の読み方の問題ではないため、どういう意思を持って北方領土交渉を行っているのか(もしくは何もやっていないのか)を聞きたいところだ。そして、この傾向は、女性大臣だけでなく、男性大臣にもある。

*12-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12210350.html
(朝日新聞社説 2016年2月16日) 丸川環境相 撤回しても残る「軽さ」
 国が追加被曝線量の長期目標として示した年間1ミリシーベルトについて、7日の講演で「『反放射能派』と言うと変ですが、どれだけ下げても心配だという人は世の中にいる。そういう人たちが騒いだ中で、何の科学的根拠もなく時の環境大臣が決めた」などと発言した。翌日の信濃毎日新聞が報じた。放射性物質の除染や、追加被曝の抑制などは、安倍内閣の最重要課題の一つである。原発事故からまもなく5年。除染だけでは長期目標の達成が難しい地域がまだ残り、住民の帰還が進まない現状がある。長期目標は、国際放射線防護委員会が原発事故から復旧する際の参考値とする「年1~20ミリシーベルト」の最も厳しい水準だ。1ミリシーベルトに決まった背景には、安全や安心を求める地元福島の要望もあった。一日も早い帰還を願う住民の思いと、長期目標をどう整合させるか。さまざまな複雑な要素を考慮して決められ、いまなお試行錯誤が続く難題である。丸川氏がそうした経緯を知らなかったとすれば、不勉強と言われても仕方がない。それとも、経緯を知ったうえで、決定当時の民主党政権をおとしめるための発言だったのか。さらに深刻なのは発言が報じられて以降の二転三転ぶりだ。国会質問や取材に「こういう言い回しをした記憶は持っていない」などと答え続け、一転して「言ったと思う」と認めたのは12日朝、発言を撤回したのはその日夕方になってからだ。本当に発言内容を忘れたのか。記憶がないと言っていれば、いずれ国民が忘れてくれると思ったのか。いずれにせよ、閣僚としての適格性が疑われる発言というほかない。丸川氏だけではない。安倍内閣の言動の「軽さ」を印象づける場面は他にもある。島尻沖縄北方相は記者会見で、北方領土の一部である歯舞(はぼまい)群島の「歯舞」を読めず、秘書官に問う場面があった。安倍首相も、自民党のインターネット番組で、2014年に北朝鮮が拉致被害者らの再調査を約束した「ストックホルム合意」を、中東和平の「オスロ合意」と間違えた。確かに、言い間違いや思い違いは誰にでもある。ただ、原発事故対応や北方領土、拉致問題はいずれも安倍内閣が重要課題に掲げるテーマだ。閣僚の資質とともに、内閣としての姿勢が問われかねない。

*12-2:http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-04-01-08
<概要>ICRP(国際放射線防護委員会)による線量限度は、個人が様々な線源から受ける実効線量を総量で制限するための基準として設定されている。線量限度の具体的数値は、確定的影響を防止するとともに、確率的影響を合理的に達成できる限り小さくするという考え方に沿って設定されている。水晶体、皮膚等の特定の組織については、確定的影響の防止の観点から、それぞれのしきい値を基準にして線量限度が決められている。がん、遺伝的疾患の誘発等の確率的影響に関しては、放射線作業者の場合、容認できないリスクレベルの下限値に相当する線量限度と年あたり20mSv(生涯線量1Sv)と見積もっている。公衆に関しては、低線量生涯被ばくによる年齢別死亡リスクの推定結果、並びにラドン被ばくを除く自然放射線による年間の被ばく線量1mSvを考慮し、実効線量1mSv/年を線量限度として勧告している。


PS(2016年2月17日追加):*13の「みやまスマートエネルギー」は、環境負荷が少なく、好意が持てる。今後は、見守り・その他のサービスもセットにできるだろう。

*13:http://qbiz.jp/article/80823/1/ (西日本新聞 2016年2月17日) 電力の半分は地元太陽光 みやまスマートエネルギー 水道とのセット割プランも
 福岡県みやま市などでつくる電力会社「みやまスマートエネルギー」は16日、4月から開始する家庭向け電力販売の料金プランを発表した。調達する電力のうち約半分を地元の太陽光発電分が占めるのが特徴で、離島を除く九州全域に販売する。一般的なプランでは、使用量の多い家庭ほど料金が割安になる。17日から予約を受け付ける。一般的なプランは、契約容量30アンペア以上が対象。月間の基本料金を九州電力よりも低く抑え、300キロワット時を超える分の単価を割安にした。みやま市内約2千世帯の電力使用データを基にしたモデル家庭(契約容量60アンペア、年間使用量6472キロワット時)では、九電の現行プラン「従量電灯B」に比べ、年間約4千円お得になると試算。休日の電気料金が割安になるプランとオール電化向けプランもある。親子間など親族との一括契約で基本料金を割り引くほか、市内世帯向けに水道と電力とのセット割引も設けた。また、電気料金の支払額に応じて独自ポイントを付与。たまったポイントで、インターネット上の仮想商店街にある約100店舗から地元の農産物などを購入できる。みやまスマートエネルギーは九州全域での契約目標を掲げていないが、みやま市内では3年後に約1万4千世帯のうち約7割への供給を目指す。磯部達社長は「『地産地消』電力を多くの人たちに勧めていく。太陽光だけでなく、水力や風力など再生可能エネルギーの比率を高めたい」と述べた。

| 原発::2015.11~ | 01:23 PM | comments (x) | trackback (x) |

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