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2014.1.30 電力自由化と脱原発の明確な政治的意思決定があって、再生可能エネルギーやスマートシティーが進歩するのだということ
  
      各候補者の主張           細川-小泉チーム       宇都宮氏

(1)自民党の2030年代原発ゼロ目標の撤回について
 *1-1、*1-3に書かれているように、経済産業省は、エネルギー基本計画案で、2030年代原発ゼロ目標を撤回し、原発を「重要なベース電源」と位置付けて活用していく方針を打ち出し、政権与党である自民党は、東京都知事選の前までは、粛々とそれを閣議決定しようとしていた。しかし、自民党は、2012年の衆院選では「原子力に依存しない社会の確立」との公約で大勝していたのだから、経済産業省のエネ計画案を進めるのは公約違反だ。

 また、原発推進派は、「原発はコストが安い」という主張をよくするが、*1-3に書かれているとおり、安全投資・廃炉費・事故の賠償などを含めれば、原発のコストは非常に高く、原発に固執する政権や経産省こそ、無責任なのである。そのため、もう、日本のエネルギー体系は転換すべき時機なのだ。

 なお、*1-2に書かれている原発の耐用年数の延長については、通常の機械でも耐用年数を延長することは殆どないにもかかわらず、安全性、精密性、危機管理が重要で、一旦事故を起こせば甚大な被害を与える原発に、このようなことがあってはならない。

(2)都知事選の最中に原発問題を語ることに、NHKは難色を示した・・
 *2のように、NHKラジオで1月30日朝に放送する番組で、中北東洋大教授が「経済学の視点からリスクをゼロにできるのは原発を止めること」とコメントする予定だったため、NHK側が「東京都知事選の最中はやめてほしい」と難色を示して、中北教授が出演を拒否したそうだ。つまり、報道は不偏ではなく、出演予定者は、ディレクターの要求に沿った発言をするか、出演しないかの選択肢しかないということだ。

 中北教授は予定原稿で、「安全確保の対策や保険の費用など、原発再稼働コストの世界的上昇や事故時の損害が巨額になる」「稼働中に積まれるべき廃炉費用が電力会社の貸借対照表に計上されていないため、廃炉費用が将来の国民が負担する大きな費用になる」として、「即時脱原発か、穏やかに原発依存を減らしていくかの選択になる」と総括し、NHKの担当ディレクターが「絶対にやめてほしい」と言ったので、中北教授が「趣旨を変えることはできない」と拒否したのだそうだ。

(3)原発立地自治体の市民の行動
 原発立地自治体の市民は、*3-1のように、福島の女性が、NYで、「東京に造れない原発は日本中どこにも造れない」と脱原発を呼び掛け始めた。また、*3-2のように、薩摩川内市で原発再稼働阻止の集会があり、1800人が参加した。そして、島根県では、*3-3のように市民団体が9万人以上の署名を提出して、脱原発条例を直接請求した。

(4)自然エネルギー普及の努力も始まっている
 *4-1のように、長崎県が公共施設の屋根貸しをし、長崎県立高校の校舎の屋根を使った太陽光発電をする事業者3社が決まり、長崎県には年間約70万円の屋根使用料が入るそうで、これは、他の地域でも参考になる。ただし、マンションやビルに太陽光発電設備を設置する時も同じだが、太陽光発電設備は、屋上に傾斜をつけて設置しなければならないという規制があり、それを満たすと建物の外観が悪くなるため、その規制はなくすべきだ。また、太陽光発電設備自体も、建物に取り付けた場合に外観をよくすることはあっても損ねることなくパワーを出せるよう、進歩すべきだ。

 また、*4-2のように、改正電気事業法が2013年11月13日に成立し、2016年には家庭も含めた電力の小売りが自由化されるため、大量の蓄電池を遠隔管理して電力需給に応じて充放電したり、地域全体で二酸化炭素(CO2)の抑制や省エネを目指すスマートシティーに応用できる技術の規格化が進んだりしている。

 そして、原発を再稼働して、このような技術に水をかけるのではなく、速やかに電力自由化と脱原発を行って、このような技術を伸ばす方針を出すことが、政治の役割なのである。

*1-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2013120702000250.html (東京新聞 2013年12月7日) 福島原発事故 「どさくさまぎれ」原発ゼロ撤回
 六日に経済産業省がエネルギー基本計画の素案で、民主党政権が打ち出した「二〇三〇年代原発ゼロ」の目標を撤回し、原発を「重要なベース電源」と位置付けて活用していく方針を打ち出したことに、脱原発を訴えてきた市民らから批判の声が上がっている。特定秘密保護法をめぐる国会の攻防の最中だった点も「どさくさまぎれにやりたい放題だ」と非難する。被ばく問題などの学習会をする市民グループ「さよなら原発@東村山」の共同代表川島治さん(51)は「明らかな後退。脱原発を訴える国民の声を反映しようとせず、特定秘密保護法に世間の目が向いているすきに、という最低な行為だ」と批判する。東京都国分寺市で脱原発の学習会や街頭アピールをする「Bye-Bye原発国分寺の会」代表の服部久美子さん(61)は「まさにやりたい放題。福島の原発は汚染水の問題もあるし、事故原因もきちんと特定されていない。無責任だ。将来に責任を負うのなら、原発に依存する選択はないはず」と憤る。七日に代々木公園などで行われた特定秘密保護法廃止を求めるデモに参加した川崎市の女性会社員は「討論型世論調査とか、民意を反映する仕組みを駆使して決めた『原発ゼロ』方針なのに、民意をそでにされたのと同じ」と怒りを口にした。「原発の電力が本当に必要なのか、客観的なデータが一切ない。納得いかない」
    ◇
 東京電力福島第一原発事故で今も避難生活を強いられる住民からは「事故の反省がない」と批判の声が上がった。第一原発から二十キロ圏の旧警戒区域で、現在は避難指示解除準備区域の田村市都路(みやこじ)地区。政府と市は、来年春の避難指示解除を検討している。都路地区から田村市内の別の地区にある仮設住宅に避難している斎藤喜太郎さん(62)は「安全に使えないから原発事故は起きた。反省もなしに再稼働なんてやめてほしい。福島では除染や廃炉作業など、これからも国にやってもらわないといけないことがいっぱいある」と話した。
<エネルギー基本計画>中長期(今後20年程度)にわたる国のエネルギー政策の指針となる。エネルギー政策基本法に基づき2003年10月に策定され、3年をめどに見直している。地方自治体や事業者は、計画に協力する責務を負う。民主党政権時代の10年6月に、二酸化炭素の排出量の削減目標を達成するため、原発の発電比率5割以上を目指す現行計画を策定。東京電力福島第一原発事故を受けて大幅な見直しが迫られ、12年9月に「革新的エネルギー・環境戦略」で原発ゼロの目標を掲げた。

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/ASF0TKY201312170298.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2013年12月17日) 40年超の原発「活用を積極的に検討」 自民議連が提言
 自民党の電力安定供給推進議員連盟(会長・細田博之幹事長代行、142人)は17日、政府が年明けに閣議決定するエネルギー基本計画について、原子力発電所の新増設や建て替えの必要性を明確に打ち出すように求める提言をまとめた。提言は「原発は将来にわたり必要と明記すべきだ」と主張。新規制基準で運転が原則認められない40年超の原発も「活用を積極的に検討する」と踏み込んだ。基本計画は国の中長期的なエネルギー政策の方向性を示す。経済産業省が13日まとめた計画案は原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけたが、新増設や建て替えを認めるかどうかは明記していない。

*1-3:http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201401294402.html
(愛媛新聞 2014年01月29日) エネ計画案修正へ 原発推進の本音「隠すふり」か
 政府が、今月中に閣議決定が見込まれていた国のエネルギー基本計画案の修正に着手した。原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけるなどの原発推進の表現を薄め、依存度を引き下げていく方向性を強めるという。将来の脱原発に向けた抜本見直しなら歓迎したいが、とてもそうとは思えない。決定が目前に迫ってからの唐突な軌道修正の理由が、脱原発の是非が問われている東京都知事選の「争点隠し」であることは明らか。文言を小手先で直して本音をぼかし、国民を欺くことは許されまい。現に、茂木敏充経済産業相はベース電源の意味を「(発電量が)1%であろうとずっと使う電源」と説明する。その上で「重要な」は削る可能性があるが「ベース電源」の表現変更は否定した。これでは、位置づけは変わらないに等しく、修正の名には値しない。あらためて、選挙目当てのまやかしではない、原発推進の基本方針転換につなげる見直しを強く求めたい。自民党は2012年衆院選で「原子力に依存しない社会の確立」を公約で示した。にもかかわらず、昨年末のエネ計画案は、前政権の「原発ゼロ目標」を撤回。原発再稼働の推進や核燃料サイクル政策継続も明記した。旧態依然の原発頼みの方針が、公約を無視し、民意を無視して提示されたことは到底容認し難い。エネ計画は、国の電力政策の中長期的な指針。あの東京電力福島第1原発事故後、初の計画であるからには、原発依存の危うさ、もろさを真摯(しんし)に反省し、脱原発への道筋を示すべきであろう。併せて、多様な電源の導入推進や省エネ・節電の強化、既存の火力発電などの効率化、コスト削減策などを具体的に提示しなければ指針たり得ない。計画案にはさすがに自民党内からも「公約とも相当乖離した文章。原発事故の反省すら見えない」と、見直しを求める提言が出た。国の原子力委員会も今月「国民に原発に否定的な意見が多い状況を真摯に受け止め、丁寧に説明すべきだ」とする意見書をまとめた。せっかく「修正」を決めた以上、こうした声にも謙虚に耳を傾けてもらいたい。伊方原発の全基停止から2年。全国で「原発ゼロ」が続くが、電力は足りており、社会は変わりつつある。安全投資や廃炉費、事故の賠償を含めれば全くコストに見合わない原発に固執する政権や経産省こそ、無責任というほかない。日本のエネルギー体系の転換を図るべき時機である。修正は2月以降にずれ込む見込み。同9日投開票の都知事選まで議論を避けたい思惑が透ける。いま再び、選挙前だけ主張を弱めるふりをし、選挙後に戻すことのないよう議論を厳しく注視したい。

*2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014013002000160.html
(東京新聞 2014年1月30日) NHK、脱原発論に難色 「都知事選中はやめて」
 NHKラジオ第一放送で三十日朝に放送する番組で、中北徹東洋大教授(62)が「経済学の視点からリスクをゼロにできるのは原発を止めること」などとコメントする予定だったことにNHK側が難色を示し、中北教授が出演を拒否したことが二十九日、分かった。NHK側は中北教授に「東京都知事選の最中は、原発問題はやめてほしい」と求めたという。この番組は平日午前五時から八時までの「ラジオあさいちばん」で、中北教授は「ビジネス展望」のコーナーでコメントする予定だった。中北教授の予定原稿はNHK側に二十九日午後に提出。原稿では「安全確保の対策や保険の費用など、原発再稼働コストの世界的上昇や損害が巨額になること、事前に積み上げるべき廃炉費用が、電力会社の貸借対照表に計上されていないこと」を指摘。「廃炉費用が将来の国民が負担する、見えない大きな費用になる可能性がある」として、「即時脱原発か穏やかに原発依存を減らしていくのか」との費用の選択になると総括している。中北教授によると、NHKの担当ディレクターは「絶対にやめてほしい」と言い、中北教授は「趣旨を変えることはできない」などと拒否したという。中北教授は外務省を経て研究者となり、第一次安倍政権で「アジア・ゲートウェイ戦略会議」の座長代理を務めた。NHKでは「ビジネス展望」だけでなく、二〇一二年三月二十一日の「視点・論点」(総合テレビ)で「電力料金 引き上げの前に改革を」と論じたこともある。中北教授は「特定の立場に立っていない内容だ。NHKの対応が誠実でなく、問題意識が感じられない」として、約二十年間出演してきた「ビジネス展望」をこの日から降板することを明らかにした。
◆詳細は答え控える
<NHK広報局の話> 中北さんに番組に出演していただけなかったのは事実です。詳細は番組制作の過程に関わることなのでお答えを控えます。
【解説】公平公正 裏切る行為
 中北徹東洋大教授のNHK降板問題で、中北教授はNHK側に「都知事選期間中は原発の話はやめてほしい」と迫られたという。再稼働を進める安倍晋三政権の意向をくんで放送内容を変えようとした可能性は否定できない。選挙期間中であっても、報道の自由は保障されている。中北教授は予定原稿で「現状では原発稼働がゼロでもアベノミクスが成果を上げている。原発ゼロでも経済成長が実現できることを実証した」「経済学の観点から、巨大事故が起きた際の損害額のリスクをゼロにできるのは、原発を止めることだ」と指摘した。NHK側が問題視した中北教授の原稿は、都知事選で特定の候補者を支援する内容でもないし、特定の立場を擁護してもいない。NHKの籾井(もみい)勝人新会長は就任会見で「国際放送で日本政府の意向を伝える」としている。原発再稼働を強く打ち出している安倍政権の意向を忖度(そんたく)し、中北教授のコメントは不適切だと判断したとも推測できる。原発政策の是非にかかわらず受信料を払って、政府広報ではない公平公正な報道や番組を期待している国民・視聴者の信頼を裏切る行為と言えるのではないか。

*3-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014013002000241.html
(東京新聞 2014年1月30日) 「脱原発」NYで発信 福島の女性呼び掛け
 【ニューヨーク=共同】東京電力福島第一原発事故の影響を説明し、脱原発を訴える集会が二十九日、ニューヨークで開かれ、市民団体「フクシマ・アクション・プロジェクト」の人見やよいさん(52)=福島県郡山市=が「福島の女たちは立ち上がった」と日本の状況を紹介、米国市民も日本政府に脱原発を求めてほしいと呼び掛けた。集会は米団体「ピースボートUS」が主催し、約四十人が集まった。人見さんは脱原発デモや経済産業省での座り込みに福島の女性たちが積極的に参加していると説明。「福島県民は日本人の中でもシャイ(内気)といわれているが、事故後は変わってきた」と話した。さらに、デモの写真を示しながら「東京につくれない原発は日本中どこにもつくれない」というスローガンを掲げていると述べると、会場から小さなどよめきが起きた。人見さんは取材に、米市民に話す意義について「原発を進め、輸出までするのはおかしいという国際世論が必要だと思う。今、日本政府はすごく独り善がりになっている」と説明した。

*3-2:http://qbiz.jp/article/29087/1/
(西日本新聞 2013年12月16日) 原発再稼働阻止へ集会 薩摩川内市、1800人が参加
 原発の再稼働阻止に向けた集会「集まろう ストップ再稼働12・15in川内」が15日、九州電力川内原発が立地する鹿児島県薩摩川内市で開かれた。地元の川内原発建設反対連絡協議会など県内の反原発団体が実行委員会をつくり開催。会場の同市向田公園には福島県や東京都など全国各地から約1800人(主催者発表)が集まり、反原発運動の連帯を確認した。集会では同協議会の鳥原良子会長が「全国の人が再稼働反対を訴えてくれれば、声を上げにくい市民も声を上げようと(反原発行動が)芽生えてくれる」と訴えた。愛媛県の反原発団体代表らが「ともに闘おう」などと呼び掛けた後、「使用済み核燃料は誰も処理できない人類の負の遺産。再稼働によって、さらに増やしてはならない」などと訴える集会アピールを採択した。集会後、参加者は「原発ゼロへ」「再稼働は犯罪」などと書いたパネルやのぼりを掲げ、市中心部をデモ行進。「再稼働反対」「原発要らない」などと声を張り上げた。

*3-3:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014010601000691.html
(東京新聞 2014年1月6日) 島根、脱原発条例を直接請求へ 市民団体、9万人以上の署名提出
 島根県の市民団体「島根原発・エネルギー問題県民連絡会」は6日、原発に頼らずにエネルギー問題の解決を図る脱原発条例の制定を知事に直接請求するため、集めた署名を松江市など各自治体の選挙管理委員会に手渡した。連絡会によると、安来市の分も含め9万2827人の署名が集まった。市議選があったため署名期間がずれた安来市の分は7日に提出され、選管の審査が始まる。審査を通れば、2月上旬に島根県の溝口善兵衛知事に請求し、その後、知事が議会を招集し議会で諮られる。

*4-1:http://qbiz.jp/article/29961/1/
(西日本新聞 2014年1月5日) 高校で太陽光発電、事業者3社決まる 長崎県が初の試み
 長崎県立高校の校舎の屋根を使って太陽光発電をする事業者3社が決まった。6校で2015年度から発電を始める予定。県が公共施設の「屋根貸し」をするのは初めてで、年間約70万円の使用料が入る。県は再生可能エネルギー普及の一環で、校舎の耐震性や防水設備などの基準を満たした8高校を対象に事業者を募集していた。太陽光発電パネルが設置されるのは西彼農業、西陵、大村、大村工業、川棚、佐世保東翔の6校。校舎の屋根の面積は計2889平方メートルで、一般家庭約90世帯分に相当する年間約31万キロワット時の発電量を見込む。事業者は武藤建設(長崎市)、星野管工設備(同)と大東設備(川棚町)で、事業期間は20年。発電設備の工事や維持費は事業者が負担する。

*4-2:http://www.nikkei.com/article/DGXNZO62776730Y3A111C1TJM000/?
(日経新聞 2013/11/19) 電力供給の調整、自由化にらみ進む技術開発
 東日本大震災後の電力不足をきっかけに、企業に節電や省エネのやり方を指南するサービスが広がった。改正電気事業法が13日に成立し、2016年にも家庭も含めた電力の小売りが自由化される。今後、電力供給を調整する事業に参入する動きも出てきそうだ。こうした業者はアグリゲーターと呼ばれ、電力自由化が進んだ米国では、年商数百億円の会社もある。電力供給が安定していれば、企業や家庭などに対し、急に節電要請をしたり電力供給を増やしたりする必要はない。しかし、NECが開発した新技術を使い電力供給の調整を秒単位でできれば、将来、再生エネルギーの発電量が増えても需給調整しやすくなる。大量の蓄電池を遠隔管理して電力需給に応じて充放電する技術は、地域全体で二酸化炭素(CO2)の抑制や省エネを目指すスマートシティーにも応用できる。すでに、電力の供給量を調整するための機器や接続方法などの規格化は進んでいる。早稲田大学や東京電力や大阪ガス、東芝、トヨタ自動車など25社が実証試験に取り組んでおり、こうした装置の制御技術などを検証している。欧米の規格などを踏まえて国内の仕様をまとめる計画だ。規格策定をにらみながら、IT(情報技術)を中心に企業は制御技術の開発を急いでいる。ただ、現在は蓄電池から放電した電気を系統に送る例は珍しい。新技術の普及や新ビジネスの育成には、安定性や安全性を確かめる必要がある。

| 2014年東京都知事選::2014.1.1~2 | 08:41 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.1.29 福島第一原発事故と事故後の東京を含む周辺地域の汚染を見ても、原発再稼働問題は首都圏の知事選の最重要課題ではないと言えるだろうか?(2014.1.30追加あり)
   
          福島第一原発事故とその後の放射能汚染の広がり

(1)都知事選の討論は、放送して欲しい
 *1に書かれているように、私も、電力の大消費地、東京都知事選の候補者には、全国放送で原発、その他の方針について語って欲しいと思う。しかし、政治家がテレビ討論を警戒するのは、これまで政治家が、メディアの変な編集で、真実の本人の姿とは全く異なるイメージを流布されてきた経緯があるからだ。そのため、編集なしで情報発信されるインターネット中継の方がリスクなしという判断になっているが、これでは有権者が困る。

 なお、「1人でも欠ければ公平性に欠けるため、企画は成立しない」という点については、何らかの方法で解決してもらいたい。

(2)原発をやめると言えない政府・与党
 *2-1によれば、首相は、「化石燃料への依存度が第一次石油ショック当時より高くなっている現実を考えると、そう簡単に『原発をもうやめる』と言うわけにいかない」と、重ねて原発再稼働の意欲を示されたそうだが、電力会社が地域独占して総括原価方式で会計を行い、原発をかかえて、電力自由化も行わなかったから、自然エネルギーの利用が進まず、いざという時に高値買いの化石燃料に依存しなければならないのであり、すべての解決策は、電力自由化と水素社会への転換なのである。

 また、*2-2には、耐用年数40年を超えた原発の耐用年数をさらに伸ばして「活用を積極的に検討」と自民議連が提言しているが、何を考えているのだろうか。

(3)理念なき原発政策、フクシマ以前に後戻りするな
 このような中、*3に書かれているとおり、「将来像も理念も十分な検証も欠いたまま、エネルギー政策が東京電力福島第1原発事故以前の状態に引き戻されようとしている」のは大問題である。そのため、これを止めるためには、原発立地自治体だけでなく、電力消費地の自治体も、何由来の電力を使って、どういう地域や日本を作っていきたいかという意思表示をすることが重要なのだ。

(4)この対応は当然だ
 *4-1のように、「オランダの公務員年金基金ABPは2014年1月7日、東京電力株式を昨年売却したことを明らかにし、その理由を「福島第1原発の問題めぐり、ABPが安全性や環境への影響について繰り返し協議を申し入れたものの、東電側が応じなかったため」としている。また、ABPは、東電を1月1日付けで投資してはならない対象に指定したそうだが、株主として良識的である。

 また、*4-2のように、福島県の2信用組合が、「東京電力福島第一原発事故で一部の支店が営業できなくなった」「失ったものはあまりに大きい」として、東電に賠償を求める訴訟を起こしたそうだ。

(5)現在の汚染状況
 *5に記載されているように、「東京電力福島第1原発の汚染水貯蔵タンクから出る放射線の影響で、原発の敷地境界の被ばく線量が基準の約8倍になっている」とした。しかし、「2014年3月末に、敷地境界の線量が最大で年間0・94ミリシーベルトと基準の1ミリシーベルトを下回る」と評価していたのは、あまりにも不自然な値であるため、「同12月には最大8・04ミリシーベルトに引き上げた」というのは、本当は修正したにすぎないだろう。

(6)「原発を再稼働しなければ、中小企業が困る」というのは本当か
 次に、最近は、「原発を再稼働しなければ、中小企業が困る」という反論が出てきた。しかし、電力自由化を行い、原発再稼働をせずに新しいエネルギー体系を作る時は、中小企業がプレイヤーとして参入できるチャンスが多いため、積極的な意味で景気がよくなる。

 また、新しいエネルギー体系ができてしまえば、海外に多大な燃料費を支払う必要はなく、日本の新しい機器やインフラを海外に輸出することも可能になるとともに、電力自由化により発電方法に工夫の余地ができて電気料金が下がり、これは、すべての企業に福音となる。そのため、「原発を再稼働しなければ、中小企業が困る」というのは、原発を再稼働するための反論にすぎない。

*1:http://mainichi.jp/select/news/20140129k0000m010079000c.html
(毎日新聞 2014年1月28日) 都知事選:「討論の機会」いまだゼロ…4番組、相次ぎ中止
 東京都知事選(2月9日投開票)を巡り、少なくともテレビの4番組が主な立候補者による討論などを企画したものの、全員がそろわず中止されたことがわかった。陣営の受け止めはさまざまだが、テレビ局側は「討論の機会が失われたのは残念」と、各候補の政策を分かりやすく伝える方法を模索している。【藤沢美由紀、川口裕之、小泉大士】
◇「調整難航」候補者そろわず
 毎日新聞の取材で中止が確認できた番組は、新報道2001(フジテレビ)▽サタデーずばッと(TBS)▽プライムニュース(BSフジ)▽週刊BS−TBS報道部(BS−TBS)。いずれも告示前後の番組内で、都知事選の主要候補に集まってもらう予定だったが「日程調整が難しい」などと断った候補がおり、公平を期すため断念したという。あるテレビ局の報道担当幹部は「多様なツールがある中、テレビに出るかどうかは候補者側の選択」と一定の理解を示した上で「生放送で語り合うことで政策の違いが明らかになり、人柄も見える。1人でも欠ければ公平性の面から企画は成立しないが(視聴者から)議論を見聞きする機会を奪っていいのかという問題もある」と語る。またフジテレビの「スーパーニュース」は「形式は未定だが、主要候補4人の生出演を目指し調整していく」という。今回の都知事選では、23日の告示前に東京青年会議所が企画した公開討論会が、宇都宮健児氏(67)しか参加表明せず中止された。恒例の日本記者クラブの共同記者会見も、その時点で正式な出馬表明会見をしていなかった細川護熙(もりひろ)氏(76)が欠席。宇都宮氏、田母神(たもがみ)俊雄氏(65)、舛添要一氏(65)の3人が個別に会見しただけで、討論にはならなかった。告示後も討論がない状況について、ある陣営は「異常だ。堂々と議論し有権者に考えてもらう機会が、一部の候補の不参加で失われるのは非常に遺憾」と怒りを隠さない。別の候補は「都民に自分の政策の方がいいと伝えるには討論しかない。ただ主要候補全員から選ぶのが良く、欠けてやるべきではない」と指摘する。

*2-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014012902000113.html
(東京新聞 2014年1月29日) 「原発やめると言えぬ」 衆院代表質問 首相、重ねて意欲
 衆院本会議は二十八日、安倍晋三首相の施政方針演説など政府四演説に対する各党代表質問を行った。安倍首相は原発政策に関し「化石燃料への依存度が第一次石油ショック当時より高くなっている現実を考えると、そう簡単に『原発をもうやめる』と言うわけにいかない」と、再稼働に重ねて意欲を示した。首相は原発輸出も「新興国の原発導入は拡大が見込まれている。より国際的な観点で原子力政策を進める必要がある」と、推進する考えを強調。原発など各エネルギーへの将来の依存割合については「再生エネルギーの導入状況、原発再稼働状況などを見極め、できるだけ早く目標を設定したい」と述べた。東京都知事選で脱原発が焦点になっていることには「さまざまなところで議論されるのは望ましい」と述べた。NHKの籾井勝人(もみいかつと)会長が従軍慰安婦を「戦争地域ではどこの国にもあった」と発言した問題に関しては「政府としてコメントすべきでない」とした上で「新会長をはじめ、職員の皆さんにはいかなる政治的圧力にも屈することなく、中立公平な放送を続けてほしい」と述べた。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/ASF0TKY201312170298.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2013年12月17日) 40年超の原発「活用を積極的に検討」 自民議連が提言
 自民党の電力安定供給推進議員連盟(会長・細田博之幹事長代行、142人)は17日、政府が年明けに閣議決定するエネルギー基本計画について、原子力発電所の新増設や建て替えの必要性を明確に打ち出すように求める提言をまとめた。提言は「原発は将来にわたり必要と明記すべきだ」と主張。新規制基準で運転が原則認められない40年超の原発も「活用を積極的に検討する」と踏み込んだ。基本計画は国の中長期的なエネルギー政策の方向性を示す。経済産業省が13日まとめた計画案は原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけたが、新増設や建て替えを認めるかどうかは明記していない。

*3:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/514655.html
(北海道新聞社説 2014年1月11日) 理念なき原発政策 「福島」前に後戻りするな
 将来像も理念も十分な検証も欠いたまま、エネルギー政策が東京電力福島第1原発事故以前の状態に引き戻されようとしている。原発を重要なベース電源と位置付けたエネルギー基本計画案、福島第1原発事故による避難住民の全員帰還を断念する復興加速指針、事故対策への国費投入を拡大する東電の新再建計画。政府は昨年末、議論を尽くすことなく、これらの重要な政策を矢継ぎ早に打ち出した。年が明け、新たな規制基準で原発再稼働を判断する原子力規制委員会の審査が始まってから半年が経過した。早ければ今春にも最初の審査結果がまとまる見通しだ。エネルギー基本計画案は原発依存度を可能な限り低減させるとしながら、将来の電源構成比率を示していない。時間を稼いで再稼働の既成事実を積み重ね、その結果を追認させようとする意図は明らかだ。これが原子炉3基の炉心溶融という大惨事を引き起こした国の政策だろうか。事故の反省も再生可能エネルギーを育てる意欲も見えない。なし崩しに原発回帰を図るようなやり方は断じて認められない。
◆サイクル堅持する愚◆
 日本原燃は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場(青森県六ケ所村)について、原子力規制委に審査を申請した。工場は20回も完成延期を繰り返し、本格操業のめどは立たない。 それでも申請に踏み切ったのは、「核燃料サイクルの推進」を盛り込んだエネルギー基本計画案に力を得てのことだろう。長期にわたって巨額の費用を投じながら、展望が全く開けない国家プロジェクトの事例の中でも、核燃サイクルは最悪の見本だ。仮に再処理工場が稼働しても、プルトニウムを燃やす高速増殖炉が実用化される見込みはない。プルトニウムを通常の原子炉で使用するプルサーマル計画は安全性に疑問があり、コストも高い。日本は既に、核兵器に転用可能な余剰プルトニウムを国内外に44トンも抱えている。さらに増え続ければ、核不拡散の見地から国際的な批判を招くだけだ。核燃サイクルが破綻した現実に目をつむり、ひたすら延命を図る厚かましさには驚くほかない。青森県など関係自治体と代替策を話し合い、サイクル撤退の道を追求することこそ政治の役割だ。
◆問題多すぎる再稼働◆
 再稼働に向けた安全審査は、北海道電力泊原発を含む9原発16基について行われている。電力各社の地震や津波の想定には甘さが目立ち、安全対策への熱意がうかがえない。北電も原子力規制委の指摘を受け、最大津波の高さをはじめ火山噴火や竜巻被害の想定などで修正を繰り返してきた。敷地内や海底の活断層の疑いも依然残されている。規制委は政治的圧力や経済性に左右されぬ原則を貫き、厳格な審査に徹しなければならない。周辺自治体の住民避難計画作りも遅れている。泊原発から30キロ圏内の13町村は本年度内に作成する予定だが、問題はその中身だ。計画の基礎となる防災指針自体が急ごしらえで、規制委によってさみだれ式に追加修正された。計画はあっても、渋滞対策など詰めるべき課題が多い。訓練も不足しており、現状では実効性が疑わしい。政府は再稼働の問題を規制委に、避難計画を自治体にそれぞれ丸投げし、成り行きまかせの状況を静観している。無責任な態度と言わざるを得ない。少なくとも「原発依存度を下げる」と言うのであれば、全原発が停止している今こそ、その展望と電源多様化の具体策を示すべきだ。福島の事故後、国内の原発はほとんど稼働していない。政治の意思と目標が明確になれば、多くの国民は新たな挑戦に踏み出す用意がある。
◆脱原発の見取り図を◆
 跳ね上がる安全対策費、立地対策を含む社会的コストなどを考えれば、原発は割安な電源ではない。あてのない放射性廃棄物処分、福島の事故の賠償、除染、廃炉の費用も際限なく膨らむだろう。復興加速指針は、政府が福島の一部地域について原状回復を事実上放棄することを意味する。放射能汚染によって故郷が失われ、人が住めなくなってしまうような事態をコストに換算することなど、そもそも不可能なのだ。一昨年、民主党政権に「原発ゼロ目標」を掲げさせた脱原発を求める民意は、決して揺らいでいない。将来のエネルギーの選択は結局、どのような社会に暮らしたいかという根本的な問題につながる。途方もない危険と巨額で無意味な負担を先送りしない見取り図を描き、真剣に到達の道筋を考える時だ。そのために国民が議論する機会さえ封じておいて、脱原発の目標をあっさり否定するのは、民意軽視も甚だしい。

*4-1:http://sp.m.reuters.co.jp/news/newsBodyPI.php?url=http://jp.reuters.com/article/jp_energy/idJPTYEA0608V20140107 (ロイターニュース 2014年 1月8日) 
オランダ年金基金が東電株売却、原発事故処理への懸念で
 オランダの公務員年金基金ABPは7日、東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)株式を昨年売却したことを明らかにした。福島第1原発の問題めぐり、ABPが安全性や環境への影響について繰り返し協議を申し入れたものの、東電側が応じなかったため、としている。ABPは、東電を1月1日付けで投資してはならない対象に指定した。チェルノブイリ以来最悪の原発事故とされる福島第1原発の事故は、発生から3年近くになる今も汚染水の処理などで問題を抱え、昨年末に政府が賠償や除染のための資金支援枠の拡大を決定している。ABPは、3000億ユーロ(4080億ドル)近い運用資産を持つ世界有数の年金基金。世界的な機関投資家が、東電を投資してはならない対象としたことは、すでに原発事故処理などで厳しい批判にさらされている東電にとってさらなる打撃だ。ABPの広報担当HamenGees氏は7日、保有していた東電株を2013年第4・四半期に売却したことを明らかにした。売却価格は不明。ABPの四半期報告では、第3・四半期末時点で1800万ユーロ相当の東電株を保有していた。ABPは7日発表した声明で「東電は、福島原発事故発生時、およびその後も、われわれの基準に違反していた。東電は、一般市民の安全についての認識が乏しかったと言える」と指摘した。Gees氏によると、ABPは自分たちの懸念について繰り返し東電との協議を試みたが、東電からの返答はなかったという。ABPは、投資禁止対象リストを毎年見直している。禁止対象には、クラスター爆弾製造会社などが含まれている。東電については、ABPが社会責任投資のガイドラインとしている国連グローバル・コンパクトの10原則の内の「人権」と「環境」の2原則に関する目標を満たしていないと判断したとGees氏は説明した。現在のところ東電のコメントは得られていない。

*4-2:http://digital.asahi.com/articles/ASG1P7679G1PUGTB010.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2014年1月23日) 福島2信組、東電を提訴 「原発被災、地域を破壊」
 東京電力福島第一原発事故で一部の支店が営業できなくなったとして、福島県の2信用組合が東電に計約2億2800万円の賠償を求める訴訟を起こし、福島地裁いわき支部で22日、第1回口頭弁論があった。事故の被害をめぐり金融機関が東電を提訴したのは初めて。地域とのつながりを奪われた信組職員は「失ったものはあまりに大きい」と語る。東電側は争う姿勢を示した。2信組は、相双五城信用組合(本店・相馬市)といわき信用組合(同・いわき市)。相双五城信組は浪江、大熊、富岡の3店、いわき信組は楢葉の1店が第一原発の20キロ圏内にあり、店も客も避難を強いられて再開のめどが立たない。これに伴う融資の減少で失った利息などの賠償を東電に求めている。
 「お客さんと話す時間は減りました」。大熊町の住民の多くが避難した福島県会津若松市に、事故の約1カ月後に設けられた相双五城信組「会津若松相談所」所長、山辺善史(よしふみ)さん(48)は事故当時の大熊支店次長だった。相談所は融資業務がほとんどなく、預金の出し入れにくる客は1日10人余り。職員は3人だけで、外回りもない。大熊町出身。埼玉県の大学を卒業後、旧相双信組に就職。大熊支店で十数年を過ごす中で大熊町民の大半の家族構成を把握し、商店主や原発関係の下請け企業経営者らにも詳しかった。年金支給日の前日には数十人のお年寄り宅を回った。「遠くから来る孫に小遣いやりたいから」と聞いては、翌日にお金を届けた。顧客に信頼され、地域経済の潤滑油として働くことに誇りを感じていた。震災翌日、家族と自衛隊のトラックで避難し、いまは同市の借り上げ住宅に住む。ともに避難した父は昨年10月に亡くなった。洋品店や酒屋などは固定客を失い、避難先で開業できた店はわずかだ。途方に暮れる経営者への助言が浮かばず、歯がゆさを感じる。一方、帰還をあきらめて避難先で家を買った客も少なくない。せめて、新たな生活に踏み出す人を手助けしたい。「いつまでも悲観していられない。組合員の助けになれれば、大熊に支店があった意味がある」。
 22日の法廷で、相双五城信組は2011年度の経常収益(一般企業の売上高)が前年度より22・1%減ったことを説明。信組側は「事故で地域社会の構成要素が丸ごと破壊され、他地域の信組より大きく収益が落ちた」と主張した。これに対し、東電側は「避難者らへの東電の賠償金で組合全体では預金が増えた」と指摘。収益が落ちたのは全国的な金利低下によるもので、原発事故が原因とはいえないと反論した。

*5:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2606351.article.html
(佐賀新聞 2014年1月9日) 汚染水タンクの放射線対策検討へ / 被ばく線量増で規制委
 東京電力福島第1原発の汚染水貯蔵タンクから出る放射線の影響で、原発の敷地境界の被ばく線量が基準の約8倍になっているとして、原子力規制委員会は本格的な対策を検討する方針を決めたことが9日、分かった。10日に専門家や東電を交えた会合を開く。第1原発では汚染水の増加が続く中、昨年4月に大容量の地下貯水槽が水漏れで使用できなくなり、貯蔵タンクを敷地境界近くにまで設置せざるを得なくなった。昨年3月末に敷地境界の線量は最大で年間0・94ミリシーベルトと基準の1ミリシーベルトを下回ると評価していたが、東電は同12月には最大8・04ミリシーベルトに引き上げた。


PS(2014.1.30追加):*6の超党派議連のエネルギー基本計画案に関する提言のうち(1)(2)(3)(4)はよいが、「再生可能エネルギーの比率を『2030年に発電量の40%』に引き上げる」というのは、残りの60%は何で発電するつもりだろうか。再生可能エネルギーの比率を2030年に発電量の40%にするというのは目標が低すぎ、脱原発する意思もCO2排出量を減らす意思もなく、都知事選にむけた作文にすぎないと考えられる。今から16年後の2030年なら、本気でやれば再生可能エネルギー100%でも可能であり、放射能汚染は、生物(人間を含む)にとって気候変動よりも有害なのだ。

*6:http://qbiz.jp/article/31343/1/ (西日本新聞 2014年1月30日) 
「原発、ベース電源」の表現撤回を 超党派議連がエネ計画案で提言
 超党派の国会議員連盟「原発ゼロの会」は29日、政府がエネルギー基本計画案で原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置付けた表現の撤回を求める提言を発表した。東京電力の法的処理を含め、福島第1原発事故処理の体制刷新も求めた。近く茂木敏充経済産業相に提出する。同会は自民党の河野太郎副幹事長と民主党の近藤昭一衆院議員が共同代表を務め、日本維新の会、公明党、みんなの党、共産党などの約60議員が参加。安倍晋三政権は当初、計画案を今月中に閣議決定する方針だったが、2月9日投票の東京都知事選後に先送りした。政府は閣議決定に向け「重要な」の部分について表現の修正を検討している。提言は、計画案が福島の事故の反省を踏まえておらず、原発依存度を低減させる課題も示していないと指摘。(1)原発の新増設を認めず、運転40年で廃炉とする原則を厳格適用(2)原発は輸出しない(3)危険度の高い原子炉から順次廃炉(4)使用済み核燃料の再処理停止を宣言−などを求めている。他にも、再生可能エネルギーの比率を「2030年に発電量の40%」に引き上げる数値目標を掲げ、発送電分離と送電網の整備促進を要求。計画策定への国民の意思尊重も主張した。東電については「法的処理を行い、経営責任と株主責任、金融機関の貸し手責任を明確にする」と提案している。

| 2014年東京都知事選::2014.1.1~2 | 12:15 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.1.28 都知事選での有権者の関心事に関するアンケート調査と即時脱原発の重要性について(2014.1.29追加あり)
    
 エコガラスの仕組み      透明な太陽光発電とその仕組み

(1)地域差のある有権者の関心事
 *1の「有権者の関心事に地域差がある」というのは自然で、立命館大との共同研究により、メディアの調査方法と結果分析が改善されていると思う。もちろん、社会保障に関する関心が高いから社会保障の話だけをすればよいというわけではなく、病気を予防するためには脱原発も重要なテーマだという啓蒙をしなければならないが、*1のような情報は、演説内容の時間配分を決める上で有用だ。

(2)原発再稼働について
 *2の共同通信社の全国電話世論調査では、原発の再稼働に反対するという回答が60・2%に上り、賛成の31・6%のほぼ倍だったそうである。

 しかし、*3のように、九州電力の社長は「基本的には再稼働を目指し、運転延長申請を出したい」としている。また、電力自由化については、「離島などへのユニバーサルサービスがどう担保されるかが問題」としているが、離島は風力、太陽光、潮汐などの自然エネルギーが豊富であるため、むしろ安価な電力の供給基地になることができ、電動の漁船ができれば燃油価格高騰問題も解決する。

 なお、脱原発候補の細川氏と宇都宮氏のふるさと熊本では、*4のように、2014年1月13日と27日に阿蘇山が噴火し、阿蘇山が花火を上げて脱原発候補を応援しているかのようである。日本は火山と地震が多いため、原発には適さず、地熱発電に適していることを、再び思い出させた。

(3)即時脱原発、電力自由化は技術進歩の出発点である
 *5のように、北九州市は、2014年1月26日、旭硝子が開発した断熱性の高いエコガラスを市庁舎の一部に取り付け、省エネ効果などを調べる実証実験を始めたそうである。エコガラスは、表面に特殊な金属膜をコーティングして夏の冷房エネルギーを約25%削減し、冬は、さらに高い効果が期待できるというスマートな技術だ。

 また、上図のように、透明な太陽光発電もあるが、民間企業がこのようなスマート技術を開発して普及させるためには、まず、「原発を再稼働させず、電力自由化を行って分散発電に移行する」という政府や自治体の意思決定が重要だ。何故なら、エネルギー変換に対する政府や自治体の意思決定のぶれが、民間企業の投資リスクになるからである。

*1:http://mainichi.jp/select/news/20140127k0000m010110000c.html
(毎日新聞 2014年01月27日) 知事選:有権者の関心事に地域差 選挙戦術に影響も
 毎日新聞と立命館大は共同研究の一環として、東京都知事選の電話世論調査(23、24日実施)を分析し、地域ごとの政策関心事について調べた。社会保障、原発、東京五輪の3課題で分類したところ、社会保障への関心が他地域と比べて高い地域が周辺部に多く、中心部では原発への関心が比較的高い地域が多いことがわかった。遊説場所など今後の選挙戦術にも影響しそうだ。
◇毎日新聞と立命館大で共同研究
 世論調査では都知事選の最大の争点と思う政策について、「少子高齢化や福祉」「原発・エネルギー問題」「東京五輪の準備」をふくむ7項目から回答を得た。23区と市町村部に分け、他地区と比べた関心の高さで分類した。社会保障への関心が高いのは板橋区など8地域。原発は杉並区など4地域。五輪は品川区など5地域だった。回答が少なく分析できなかったり、大きな差異がなかったりした地域が7地域あった。政党や党首が支援する主要4候補の遊説場所(23〜26日)にあてはめると、主張と重なる地域への重視がわかる。告示日(23日)の演説で原発と社会保障がほぼ同じ時間だった前日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏(67)は原発に関心が高い地域と社会保障に関心が高い地域がともに3カ所。演説で社会保障が多かった元航空幕僚長の田母神(たもがみ)俊雄氏(65)は社会保障に関心が高い地域が7カ所と多い。告示日の演説で原発に触れなかった元厚生労働相の舛添要一氏(65)は、原発に関心の高い地域は1カ所だった。一方、元首相の細川護熙(もりひろ)氏(76)は原発が多い演説と異なり、社会保障に関心が高い地域が4カ所と多かった。
◇西田亮介・立命館大特別招聘(しょうへい)准教授の話
 東京では地域により選挙で重点を置く関心事が異なると言われてきたが、データで裏付けられた。また、候補が自らの支持層を意識して遊説していることがよくわかる。

*2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2615275.article.html
(佐賀新聞 2014年1月26日) 原発再稼働反対が60% / 共同通信世論調査
 共同通信社が25、26両日に実施した全国電話世論調査によると、原発の再稼働に反対するとの回答は60・2%に上り、賛成の31・6%のほぼ倍だった。安倍晋三首相は原子力規制委員会の安全性確認を前提に、再稼働を進める構えだが、否定的な意見が根強い現状が鮮明となったことで難しい判断を迫られそうだ。安倍政権の経済政策「アベノミクス」で景気が良くなったと実感している人は24・5%で実感していないは73・0%だった。憲法解釈の見直しによる集団的自衛権の行使容認に反対すると答えたのは53・8%を占め、賛成の37・1%を上回った。

*3:http://qbiz.jp/article/30238/1/
(西日本新聞 2014年1月10日)  九州電力 瓜生道明社長 原発再稼働が喫緊の課題
−原発再稼働の見通しはなお立たない。
 「昨年は春に電気料金を値上げし、需給も非常に厳しかった。忸怩(じくじ)たる思いがある。川内原発1、2号機と玄海原発3、4号機の再稼働に向け、原子力規制委員会の安全審査を受けている。原発の信頼性、安全性を高める取り組みが喫緊の課題だ」
−再値上げはないか。
 「収支、財務、資金調達の状況から総合的に判断しなければならず、現時点では考えられない」
−原発再稼働には地元同意も必要となる。
 「手続きに不透明な点があり、状況が見通せない。われわれは『まな板の上のコイ』。安全対策をしっかりと伝え、安心感を持っていただくしかない」
−佐賀県伊万里市が安全協定に立地自治体並みの事前了解を盛り込むよう主張し、協議が難航している。この状態で再稼働できるか。
 「分からない。国の再稼働へのスタンスによっても違ってくる。私どもがどうこう言える立場ではない」
−新規制基準では原発の運転は原則40年。10月で39年になる玄海1号機は廃炉にしないのか。
 「全く否定はできないが、そうならないと思っている。基本的には再稼働を目指し、運転延長申請を出したい。ただ、安全対策にどこまで手を入れる必要があるかで(判断が)変わる可能性はある。2014年度中に見極めをする時期が来るだろう」
−宙に浮いた川内3号機増設計画はどうするつもりか。
 「新しい原発だと安全性をさらに保てる。増設の希望はあるが、国のエネルギー基本計画で原発新増設の位置付けが明確にならないと難しい」
−小売りの完全自由化、発送電分離を目指す電力システム改革が動きだした。
 「われわれが供給義務を担うこととの整合性、離島などへのユニバーサルサービスがどう担保されるかといった問題がある。それがルール化され解決されるのなら、どんどん進めればいい。競争に勝ち抜き、生き残れる会社に変わっていくことが大事だ」

*4:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2615491.article.html
(佐賀新聞 2014年1月27日) 阿蘇山で再び小規模噴火 / 今年2回目、噴煙500m
 熊本県・阿蘇山の中岳第1火口で27日午前9時半ごろ、小規模な噴火があった。熊本地方気象台によると、噴火は13日以来で今年2回目。気象台によると、噴煙が火口上空約500メートルの高さまで上がった。阿蘇山は昨年12月から火山性微動が多くなり、噴火警戒レベルが1(平常)から2(火口周辺規制)に引き上げられ、火口周辺が立ち入り禁止となった。今月13日には、2011年6月以来となる小規模な噴火があった。

*5:http://qbiz.jp/article/31119/1/
(西日本新聞 2014年1月27日) エコガラスで断熱実験 北九州市、庁舎に導入検討
 北九州市は26日、環境対策として市庁舎の一部に取り付けた、断熱性の高いエコガラスで、冬場の省エネ効果などを調べる実証実験を始めた。エコガラスは、旭硝子(東京)が開発した、表面に特殊な金属膜をコーティングした「アトッチ」(縦約2・3メートル、横約1・4メートル)。実験では、エコガラスを設置した市庁舎10階会議室の室温を27日から約2週間測定する。この日は、施工業者が温度測定器を取り付けた。市によると、夏場(7〜8月)に実施した同様の実験では、未設置の場合と比べて、冷房のエネルギー量を約25%削減、室温もピーク時で5℃低かったという。屋内外の温度差が大きい冬場は、さらに高い効果が期待できるという。市環境未来都市推進室は「実験で省エネや快適性の効果を見極めて、導入していきたい」としている。


PS(2014.1.29追加):*6で、高橋正樹日本大教授が、北海道東部や東北地方の太平洋側など、東日本大震災後、地震が多く、大津波に洗われ、日本列島が太平洋に沈み込んでいく場所であることが明白になった地域の地層が安定していると言ったのは、御用学者の結論ありきの理屈付けと思われる。そのため、「地層が安定している」と言うのなら、その科学的根拠を示すべきで、「不都合なことは想定外にする」という態度を繰り返してはならない。

*6:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2616186.article.html (佐賀新聞 2014年1月28日)  核のゴミ、国内処分可能と専門家 / 自民会合で地層安定地域示す
 自民党資源・エネルギー戦略調査会(山本拓会長)は28日、原発から出る「核のゴミ」の最終処分を議論する小委員会の初会合を開いた。講師として招かれた高橋正樹日本大教授(火山学)は、北海道東部や東北地方の太平洋側の一部など地層が安定している地域を示し、国内に最終処分に適した場所があると説明した。政府は高レベル放射性廃棄物の処分地が見つからないことから、政府主導で選定する方針を示しており、2013年度中にも選定方法を見直す。自民党は小委員会で早期に提言をまとめ、政府方針に反映させたい考えだ。

| 2014年東京都知事選::2014.1.1~2 | 11:07 AM | comments (x) | trackback (x) |
2014.1.26 都知事選における原発再稼働阻止と放射能汚染の問題は、1丁目1番地の争点です。
    
   *1より   細川―小泉チーム  宇都宮氏  舛添氏    田母神氏
(1)国際都市としての競争力強化、防災、都市開発・インフラ整備、オリンピックの準備は同時にやるべきで、「原発を再稼働せず水素社会に移行する」という都民の判断は、その1丁目1番地
 *1~*4に「細川―小泉チーム」の苦戦が報じられており、私が、このブログの2014.1.19に記載したとおり、東京都民へのアンケート結果では、国際都市としての競争力強化、防災、都市開発・インフラ整備、オリンピックの準備などの公共工事関係が上位である。

 しかし、その公共工事の結果、どういう都市を造るかについては、①原発再稼働を許して21世紀もこれまでの延長線で行くのか ②原発再稼働を許さず水素社会に変えて国際環境都市を作るか という合意形成によって大きく異なる。私は、どうせ金を使うなら、当然②を選択すべきだと思っているが、東京都民にも、国と異なり、まずその1丁目1番地の審判をして欲しい。

 水素社会の街づくりのモデルについては、私は、このブログの2014.1.16、2014.1.24、2014.1.25などに記載しており、それぞれの分野の専門家がその方向に舵を切って行動すれば、あっと驚くような素晴らしいアイデアが次々と出てくる。なお、水素は、①自然エネルギーを使ってできるコストの安い燃料で ②燃焼時に水しか出さず ③わが国のエネルギー自給率を上げ ④国富を海外に流出させないため、誰も文句のつけようがない燃料である。

(2)少子化対策・子育て支援、教育問題・教育改革、高齢化対策は社会保障の問題だが、自民党及び政府は負担増・給付減が中心で、社会保障に熱心ではない
 このブログの左の「CATEGORIES」の中にある「年金・社会保障」や「経済」という項目の期間の部分をクリックすると、私がこれまでに書いた社会保障や経済に関する記事が出てくる。そして、2014.1.21、2013.8.18、2013.8.14を代表として、自民党政権は、一貫して公共事業や企業を優先し、個人に対しては、消費税増税と社会保障給付削減を要求してきた。

 この路線は、舛添氏が厚生労働大臣だった時も同じであり、舛添氏が東京都知事になったら社会保障問題が解決するというわけではない。そのため、原発にばら撒きをして金を使う方が社会保障を行うよりも大切だと考える政党の候補を勝たせる方が、社会保障にはマイナスなのである。教育についても、今まで自民党主導でやってきた公教育は、私が自分の子どもを託せると思えるようなものではなかった。

 なお、「社会保障には金がいる」というお決まりの反論は、①水素社会にして燃料費を海外に流出させない ②原発に湯水の如く金を使うのをやめる ③一石一鳥にもならず、時には百害あって一利なしの公共事業には金を使わず、一石三鳥の公共事業を心がける などのことを行えば、必ず解決できる。

(3)原発再稼働を阻止して水素社会に移行するという都民の審判が、1丁目1番地になる
 *5に記載されているように、経済産業省は、2013年12月6日、原発を「重要なベース電源」と位置付け、原子力規制委員会が安全性を確認すれば再稼働を進めると明記したエネルギー基本計画の素案を総合資源エネルギー調査会基本政策分科会に提示した。そして、自民党政権は、都知事選で原発再稼働問題がクローズアップされるまでは、これを粛々と閣議決定し、先に進めるつもりだった。

 さらに、*6のように、東京都知事選で話が持ちきりになっている間に、政府は、福島第1原発の汚染水を海に放出するための放出基準を策定する方針で、汚染水の放出について漁業者に理解を求めている。東電は放出計画を汚染水対策の一つに位置付け、これによる魚介類の汚染は「風評被害」と断定しているが、汚染水を海に放出すれば、その海域の魚を多く食べている首都圏の人の内部被曝(特に消化器系の癌を発症)が増えるとともに、日本産食品の安全性ブランドに大きな傷がつくことは考慮外である。

 また、*7のように、九州電力玄海原子力発電所3、4号機(佐賀県玄海町)を再稼働しないよう九電に命じることを求める脱原発派の訴えに対しても、国は、争う姿勢を示している。

 そのため、このブログの2014.1.19のアンケートで8位になっている原発問題は重要な問題であり、「原発再稼働を阻止して水素社会に移行する」という電力の大消費地、東京の審判は、今後の政策の1丁目1番地になるものである。

*1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014012502000128.html
(東京新聞 2014年1月25日) 原発、ゼロか再稼働か 都知事選 国を動かす一票
 「原発のない社会を東京から発信する」「原発を使わずに景気回復するのは難しい」「ゼロを明確に打ち出すことが大事だ」。都知事選では「原発」が論戦の大きなテーマになっている。国策である原発政策を地方選挙の都知事選で議論していることになるが、都知事の判断で政策を変えられるのか。確かに都知事に原発の設置や稼働に関する権限はない。都は東京電力株を四千二百万株余り持つ四番目の大株主だが、福島第一原発事故後、賠償に必要な資金を確保するため「原子力損害賠償支援機構」が50%以上の株を保有し、実質的に国有化。都の保有率は1・2%となり、株主総会で経営の透明化などを提案しても否決され、影響力にも限界がある。
●武器
 しかし、都知事には大きな武器がある。原発を必要としない首都東京を見せることができる。知事は節電や再生可能エネルギーを拡大させるため、独自の施策や条例をつくれる。東京は全国最大の電力消費地で、消費量を大きく減らせば原発の必要性は低くなる。メキシコや韓国のGDP(国内総生産)に相当する財政力と、都庁という人材豊富な行政組織を活用して、省エネによる脱原発の実践モデルをつくり上げれば、全国に波及していくだろう。二〇一一年秋の韓国・ソウル市長選で無所属候補として与党候補を破った朴元淳(パクウォンスン)市長は、一四年度までに原発一基分の電力を再生可能エネルギーと節電で補う計画を表明。家庭で電力消費を削減すると交通機関のポイントが得られる制度などをつくり、目標達成が確実となっている。成功例はすでにある。
●うねり
 そもそも、千三百万人の都民が「原発ゼロ」の民意を示せば、その政治的な影響力は大きい。新知事が「脱原発」で他の知事や市区町村長らと連携すれば、全国にうねりが広がっていく可能性もある。安倍政権は昨年末に原発を「基盤となる重要なベース電源」とするエネルギー基本計画案を決め、都知事選後に閣議決定しようとしている。今月十五日には柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を前提にした東電再建計画も認定した。関西電力大飯原発(福井県)が昨年九月に停止して以降、「原発ゼロ」の状態が続いているが、安倍政権は春以降、停止中の原発を順次、再稼働させようと手続きを進める。原発政策はいま、まさに岐路に立っている。「一極集中を続ける首都東京をどうするかは、文化、文明、哲学、倫理の問題として考える必要がある。その象徴が原発問題だ」。元福島県知事の佐藤栄佐久氏はこう指摘する。原発政策はエネルギー政策にとどまらず、経済や産業、外交、暮らしに直結する。重い一票となる。

*2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140126&ng=DGKDASFS2502G_V20C14A1PE8000
(日経新聞 2014.1.25) 舛添氏、自民は組織戦展開 細川氏、小泉氏に挽回託す 都知事選、初の週末
 猪瀬直樹前知事の辞任に伴う東京都知事選は25日、告示から初の週末を迎え、各候補の陣営が応援に奔走した。自民党は舛添要一元厚生労働相の街頭演説に下村博文文部科学相や所属都議会議員らを投入するなど組織戦を展開。細川護熙元首相の街頭演説には小泉純一郎元首相がすべて同行し、選挙準備の遅れを挽回しようと必死だ。「東京五輪が開かれる6年後に東京を世界一の大都市にする。できるのは舛添氏しかいない」。下村氏は舛添氏と街宣車に並びこう訴えた。自民党は当初、党が前面に立たない考えだったが、人気の高い小泉氏が細川氏の全面支援に回るため、組織戦に切り替えて対抗する。27日には党本部で「各種団体協議会総決起大会」を開き、支持団体を引き締める。
 小泉氏は細川氏が今週末に予定する計4カ所の街頭演説にすべて同行する予定だ。「細川さんが都知事になれば東京は原子力発電なしで成長できる」。25日の演説では身ぶり手ぶりを交え、訴えた。
 前日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏の街頭演説には、共産党の吉良佳子参院議員らが応援弁士を務めた。都知事選には元航空幕僚長の田母神俊雄氏、発明家のドクター・中松氏、IT(情報技術)関連会社役員の家入一真氏らも立候補し、計16人で争われる。

*3:http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20140125/plt1401251448005-n1.htm (ZakZak 2014.1.25 ) 舛添氏リード 細川氏は落胆…一枚看板「脱原発」争点とみなされず 都知事選序盤情勢
 東京都知事選(2月9日投開票)の序盤情勢で、舛添要一元厚労相(65)が細川護煕元首相(76)らを引き離していることが25日、報道各社の情勢調査で分かった。細川氏の一枚看板である「脱原発」が、都民から最重要の争点とみなされていないことも判明。細川陣営にとっては衝撃の結果を突きつけられた形で、選挙戦術の見直しを迫られそうだ。「もう少し競っていると思ったが…。ジタバタしても仕方がない」。細川氏の陣営幹部は24日、調査結果を聞き落胆の表情を隠せなかった。産経新聞、共同通信、毎日新聞、東京新聞が23、24日に行った電話世論調査をもとに取材を踏まえて探った序盤情勢によると、それぞれ舛添氏がリードし、細川氏と宇都宮健児元日弁連会長(67)が追い、田母神俊雄元航空幕僚長(65)が続く分析で一致した。細川陣営にとってさらにショックなのは、「脱原発」が最大の争点として認められていないことだ。産経新聞の調査によると、都民が最も重視する政策テーマは「少子高齢化や福祉」がトップの26・8%。次いで「景気と雇用」が23・0%で、「原発・エネルギー問題」は第3位の18・5%に過ぎなかった。これでは「脱原発」を単一争点に設定し、小泉純一郎元首相の全面支援を受けて戦う細川氏の選挙戦術は見直しを余儀なくされる。

*4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014012602000106.html
(東京新聞 2014年1月26日) 都知事選候補招き若者イベント テレ朝 会場使用拒否
 若者に東京都知事選の関心を高めてもらおうと計画されたイベント「せんきょCAMP東京フェスティバル」が、会場を所有するテレビ朝日の意向で初日の予定だった二十五日、突如中止となった。テレビ朝日側は、主催者が都知事選の候補者を招こうとしたことが「利用規約で禁じた政治活動にあたる」としている。若者が集まって政治を語り合う場をつくろうとイベント企画オフィス代表の鈴木幸一さん(45)らが企画。東京都港区の六本木ヒルズ内にあるテレビ朝日本社一階のイベントスペースを二十四日から三十一日までの予定で借りた。鈴木さんらは一昨年の衆院選でも渋谷で同様の「キャンプ」を設置している。二十五日は午後から音楽演奏を交え、候補者二人と来場者との質疑応答などを計画。候補者はたすきを外し、演説や投票の呼び掛けは行わない条件で、他の候補にも参加を呼び掛けている最中だった。二十四日はプレイベントが同じ会場で開かれたが二十五日になって突然、使用禁止を伝えられたという。鈴木さんは事前に提出した企画書に、候補者が来る可能性があると明記したといい「公職選挙法には違反しない。なぜこんなことになったのか分からない」と困惑。急きょ会場を移してトークライブを行い、インターネットで配信した。一方、テレビ朝日広報部の担当者は取材に「候補者が来ることは把握していなかった」と説明している。二十六日以降は、候補者は招かず、子育てやエネルギーについて考えるイベントが同じ会場で開かれる予定。鈴木さんは「候補者を身近に感じてもらう機会にしたかったので残念だが、やれる範囲で政治への関心を高めたい」と話した。

*5:http://qbiz.jp/article/28618/1/
(西日本新聞 2013年12月6日) 原発再稼働進めると明記 エネルギー計画で「ベース電源」
 経済産業省は6日、中期的な政策の指針となるエネルギー基本計画の素案を総合資源エネルギー調査会基本政策分科会(分科会長・三村明夫新日鉄住金相談役)に提示した。原発を「重要なベース電源」と位置付け、原子力規制委員会が安全性を確認すれば再稼働を進めると明記した。焦点となっていた原発の新増設や、既存の原子炉を新型炉に置き換えるリプレースについては記述しなかった。電力全体に占める将来の原発の割合を示さないこととの整合性などを考慮したとみられるが、将来の新増設の可能性は残った。東京電力福島第1原発事故への対応については「エネルギー政策の再構築の出発点」と明示。廃炉・汚染水対策は「事業者任せにせず、国が前面に立つ」とし、財政措置を含め適切に取り組む方針を示した。茂木敏充経産相は6日の閣議後の記者会見で、「実現可能でバランスのとれた責任ある計画が必要だ」と強調。原発比率を含む電源構成の数値目標は「できるだけ(再稼働などの)状況が見えてくれば前倒ししていきたい」と述べた。

*6:http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014012400998
(時事ドットコム 2014.1.24) 地下水放出、基準策定へ=漁業者に理解求める-福島第1
 東京電力は24日、福島県いわき市で開かれた県漁業協同組合連合会の組合長会議で、福島第1原発で汚染される前の地下水を海に放出する計画について、放射性物質濃度などを定めた放出基準を策定する方針を示した。福島第1では、敷地内に降った雨や山側からの地下水が、1~4号機の原子炉建屋の地下に流入し、汚染水増大の一因になっている。東電は放出計画を汚染水対策の一つに位置付けているが、風評被害を懸念する漁業者からの反発が強く、調整が難航している。

*7:http://www.nikkei.com/article/DGXNASJC2401O_U4A120C1ACY000/
(佐賀新聞 2014/1/25) 玄海原発巡る脱原発派の訴え、国が争う姿勢 佐賀地裁
 脱原発を訴える市民団体が国の原子力規制委員会に対し、九州電力玄海原子力発電所3、4号機(佐賀県玄海町)を再稼働しないよう九電に命じることを求めた訴訟の第1回口頭弁論が24日、佐賀地裁(波多江真史裁判長)であり、国は争う姿勢を示した。3、4号機は再稼働に向けた安全審査が進んでいる。原告は「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」(佐賀市)の384人。石丸初美代表(62)は意見陳述で、原発事故が起きれば地域に甚大な被害が出ると指摘し、「経済優先の原発再稼働は言語道断。生活を守るため廃炉にすべきだ」と訴えた。訴状では九電が想定される地震の規模を過小評価し、3、4号機は耐震性が不十分だと主張。国の原発設置許可の基準に適合していないため、規制委は運転停止命令を出すべきだとしている。

| 2014年東京都知事選::2014.1.1~2 | 05:15 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.1.25 水素社会になった東京の街には、エネルギー源としての原発はいらない。また、最新機器と自治体の協力でお年寄りの見守りも可能になりそうだ。
   
      *3より              中国、北京市の街
(1)燃料電池車・電気自動車と家庭用燃料電池
 *1、*2、*3のように、「『福岡モーターショー2014』の会場では、燃料電池車や電気自動車など、最新のエコカーがひときわ目につき、自動車メーカーは環境技術を競っている」「福岡県の産学官推進組織『福岡水素エネルギー戦略会議』が次世代エネルギーとして注目を集める水素を活用する燃料電池自動車をテーマにしたセミナーを主催し、約100人が参加した」そうなので、燃料電池車や電気自動車がガソリン車にとってかわる日は間近だろう。

 また、「日産自動車は、リーフの技術を応用して大型化を実現したワゴン車を、タクシーや商用車向けに年内の市販を目指す」そうだが、日産EVの欠点はワゴン車型しかなくカッコ悪いことで、この点、海外のEV車はスマートであるため、私は、海外勢のデザインの方が好きだ。

 また、住宅メーカーは、家庭用燃料電池「エネファーム」を展示しており、都市ガスから水素を取り出して発電し、電力と給湯でエネルギーの9割を利用できるそうだ。こうなると、建物は、エネルギーの消費者から生産者になれるため、災害に強い上、原発はいらない。

 なお、北京の街の写真を見ると、道路は片側4車線で、建物の高さが揃っており、東京より美観がよいようだ。しかし、PM2.5は北西の風に乗って九州まで影響があるため、中国でも早く燃料電池車・電気自動車と家庭用燃料電池のシステムにしてもらいたい。

(2)日本の首都である東京の街はこれでよいのか?
  
    東京の街、空中写真             秋葉原           渋滞した道路

 私は、東京大学に進学し卒業して以降は、東京で働き、結婚して生活してきたため、東京の街のよい面と悪い面をよく知っているが、東京の街並みは上の写真のように、コンクリートやモルタル製の小さな建物と原色の看板でごった返したところが多く、ごく一部の地域を除いては美しくない。道路も混んでおり、移動に時間がかかって生産性が悪い。また、土地の単価が高いので、住居費がものすごく高く、長時間かけて周辺の街から通勤しなければならない人が多い。これは、子育てにも不便で、混んだ通勤電車で失う時間と体力は大きい。

 そのため、これらは改善すべき事項であり、まず、燃料電池車か電気自動車しか通さない道路を作れば、その道路は建物の中を走ることもできるため、街づくりとエネルギー改革を同時に行うことが可能だ。また、新築のビルや住宅には発電設備や燃料電池を標準装備させる条例を作ったり、装備に補助金を出したりすれば、防災とエネルギー改革を同時に行うことができるだろう。

 なお、下はパリの街だが、エッフェル塔と上の東京タワーを比べればわかるように、日本には、建物や看板の色合いを一定の範囲に収めて周囲の景観と調和させるという発想がない。そのため、パリでは、街並みの色合いや建物の高さに関する規制があり、全体として絵になる心地よい景観になっているが、東京にはごちゃごちゃして人の心を落ち着かせない景観が多い。

 もちろん、東京でパリのような低層階の建物にすることはできないし、低層でなければ風景が悪いわけでもない。しかし、高さ・色合い・屋根の向きなどを合わせて、全体として便利で緑あふれる心地よい景観の街づくりができないものかと、私は思っている。そして、これは、日本の他の都市でも同じだ。

  
                        フランス、パリの街

(3)最新機器と自治体のコラボで、お年寄りの見守りや健康管理もできる!
 *4、*5のように、水道の使い方や通信機器を組み合わせて、お年寄りの見守りをする実験が始まっている。プライバシーを損ねずに健康管理までできれば素晴らしいが、それには、今後、いろいろなメーカーや自治体の参加と工夫が必要だ。

*1:http://qbiz.jp/article/31067/1/ (西日本新聞 2014年1月25日) 
主役は最新エコカー 燃料電池、電気 技術の競演 福岡モーターショー
 24日開幕した「福岡モーターショー2014」の会場では、燃料電池車(FCV)や電気自動車(EV)など、最新のエコカーがひときわ目につく。環境問題や省エネへの関心が高まる中、自動車メーカーは環境技術を競っている。2015年の発売を控えるFCVの試作車「FCVコンセプト」が展示されたトヨタ自動車のブース。来場した男性が「この形で発売するのか」と質問すると、担当者は「基本的にこの形です」と答えた。FCVは、燃料電池で水素と酸素を化学反応させてモーターを動かし、二酸化炭素(CO2)を出さない「究極のエコカー」と呼ばれる。トヨタは水素タンクと燃料電池を小型化して床下に収納することで、セダンの開発に成功。3分の水素補給で500キロを走れ、トヨタの村上邦昭技術統括部主査は「安全にも自信がある。いよいよ市販される時代が来た」とPRした。会場ではFCVの試乗会もあった。福岡県と北九州市が実証実験中の公用車など4台を用意。運転席でハンドルを握ったり、同乗したりする人たちでにぎわい、FCVへの関心の高さをうかがわせた。
 住宅メーカーのブースでは、アイシン精機が2年前に売り出した家庭用燃料電池「エネファーム」を展示。都市ガスから水素を取り出して発電し、電力と給湯でエネルギーの9割を利用できる。FCVへの注目度の高さを追い風に、家庭での水素エネルギー活用を訴えた。
 EV重視の戦略を貫く日産自動車は、開発中のEV3台を披露した。リーフの技術を応用し、大型化を実現したワゴン「e−NV200」は、主にタクシーや商用車向けに年内の市販を目指す。法人営業担当の駒津知史さんは「FCVは水素ステーションが少なく、まだ先の技術。家庭でも充電できる手頃な技術のEV普及に注力する」と、対抗心を燃やした。海外勢もEVに熱心。米国ベンチャーのテスラモーターズは、フル充電で500キロ走行できる新型セダンを展示。ドイツのBMWも新型EVを出展し、会場でもFCV対EVの競争が熱を帯びている。
<福岡モーターショー 27日までの午前9時半〜午後6時(27日は午後5時終了)、マリンメッセ福岡など3会場で。一般1300円、高校生800円。事務局=092(711)5583。>

*2:http://qbiz.jp/article/31061/1/ (西日本新聞 2014年1月25日) 
水素エネルギーに熱視線、産学官組織がセミナー 福岡モーターショー
 福岡モーターショーに合わせ、次世代エネルギーとして注目を集める水素への理解を深めようと、水素を活用する燃料電池自動車をテーマにしたセミナーが24日、福岡市博多区の福岡国際会議場で開かれ、目前に迫ったFCV時代について話し合った。福岡県の産学官推進組織「福岡水素エネルギー戦略会議」が主催し、約100人が参加した。セミナーでは、開発を担当するトヨタ自動車技術統括部の広瀬雄彦主査が、2015年に発売する燃料電池自動車「FCHV−adv」を「車としてだけでなく、移動電源としても期待されている」と紹介した。トヨタが1997年に世界初の量産型ハイブリッド車(HV)のプリウスを発売し、昨年末には世界でのHV販売台数が累計600万台を突破したことに触れ、「新型車は普及に時間がかかるが、今回はホンダやヒュンダイなど他メーカーも同時期に販売するので(普及が早まると)期待している」と話した。車専門のニュースサイト「レスポンス」の三浦和成編集長は、「FCHV−adv」に試乗した感想を「非常にパワフルで乗ってみると驚く」と語り、販売価格を「555万〜915万円」と予測した。25日午後3時からは、福岡国際会議場で、九州大大学院オートモーティブサイエンス専攻の学生が「インターンシップがつなぐ企業と大学の人づくり」について発表する。

*3:http://www.nikkei.com/article/DGXNZO65833750U4A120C1LX0000/
(日本経済新聞 2014/1/25) エコカー、次世代へ加速 福岡モーターショー開幕
<日産の3人乗りスポーツEV「ブレイドグライダー」><トヨタの燃料電池車「FCVコンセプト」><テスラ・モーターズの「モデルS」>
 24日に福岡市で開催した「福岡モーターショー2014」。目玉は燃料電池車(FCV)を中心とした次世代型のエコカーだ。デザイン性を強調した電気自動車(EV)など、若い世代にアピールしたエコカーにも来場者が関心を寄せた。九州の自動車メーカーにはFCVやEVの生産予定はないが、来場者からは「実際に買いたい」との声が多く聞かれた。同日午前の開会式で、福岡県の小川洋知事が「モーターショーを通して北部九州の将来性を国内外にアピールする」と宣言し、4日間のモーターショーが始まった。注目を集めたのは、トヨタ自動車のFCV「FCVコンセプト」。高いデザイン性に加え、1回の水素充填での走行距離が500キロメートル以上という燃費性能も売りの一つだ。トヨタ、日産自動車、ホンダはFCVの試乗会を開いた。トヨタのFCVを運転した北九州市の会社員、中村仁さん(50)は「ハイブリッド車(HV)よりさらに静かな乗り心地だった。値段が自分の条件に合えば、買ってみたい」と話した。米EVベンチャーのテスラ・モーターズも、福岡市役所で最新EV「モデルS」の試乗会を実施。試乗は事前申し込みが必要だが、「4日間分の試乗受け付けのうち、24日昼時点で既に半分以上が埋まっている」(同社広報)ほどの人気だ。今回のモーターショーのテーマは「クルマの力 未来への力」。EVなどのエコカーを軸に、車離れが進んでいるとされる若い世代にアピールする企業が目立った。日産は3人乗りのコンセプトカー「ブレイドグライダー」を展示した。三角形の車体が特徴的なEVで、将来の一般販売も視野に入れている。福岡市の持永太一さん(31)は「面白いデザイン。一度はぜひ運転したい」と話した。ダイハツ工業も軽自動車のスポーツ車「コペン」を展示。多くの来場者が同車の前で足を止め写真を撮っていた。将来の車のユーザーとなる子供に向けたイベントも目立った。トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)と日産自動車九州(同県苅田町)は25、26の両日、小学4~6年生向けに二足歩行ロボットやEV模型の工作教室を実施する。自動車メーカーが子供向けの工作イベントを福岡モーターショーで行うのは初の取り組みで「工作を通しモノづくりの面白さを伝えたい」(トヨタ九州)と話す。トヨタの豊田章男社長が25日に行う講演も、大学生や工業高校に通う高校生など未来の技術者に向け、車の魅力を訴える内容になる見通しだ。前回までのモーターショーの講演は自動車部品メーカーの経営者向けに行われていたが、「九州での自動車生産が定着した今、若い世代を育てることに講演の力点を移した」(福岡県商工部)という。24日の来場者は2万2457人。天候にも恵まれ、12年の前回の初日(2万1751人)を3%上回った。

*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140125&ng=DGKDZO65851470V20C14A1TJ2000 (日経新聞 2014.1.25) 「見守り」進化 病気も発見 遠隔地の親、ITで安否確認 水道や血圧計と連動 トイレの回数増 → 糖尿病?
 郷里で暮らす年老いた親は無事だろうか。インターネットで見守るサービスが進化している。これまでは安否の確認がせいぜいだったが、いまや日々の暮らしの様子や、病気の兆候までわかるようになってきた。岐阜県郡上市和良町の下洞地区。石神勇雄さん(84)が田んぼの手入れから帰ると、電話が鳴った。愛知県に住む次女の加代子さん(56)だ。「お父さん、どうしたの? 大丈夫?」。加代子さんは、スマートフォン(スマホ)に水を使ったというメールが来ないので心配したという。石神さんは「なんだ、慌てて。たまたま水を使ってなかっただけだ」と笑った。
●利用状況を解析
 ITホールディングス傘下のクオリカ(東京・新宿)などは2013年6月、郡上市内で民家2軒の水道メーターに通信機器を設置。見守りサービスの実証実験を始めた。水の使用量などのデータはクラウドに収集・解析する。普段どおり水を使っているか。何時間も使われないと家族のスマホなどにメールが届く。専用サイトではいつでも水の使用状況を確認できる。加代子さんは「遠くにいても安否を教えてもらえる。こんなにありがたいことはない」と話す。石神さんも「誰もいないところで死ぬと迷惑かかるし、安心だ」と語る。このサービスでわかるのは安否だけではない。水の使い方から健康状態まで推測できる。同社は水道メーターのデータをクラウドに収集し、性別や年齢別、病気など、様々な世帯の水道の利用パターンを解析。それと照合すると、トイレの回数が増えたら糖尿病、1日に何度も入浴するようになったら認知症など疑わしい病名まで特定できる。クオリカの前身はコマツの子会社。建設機械に設置したセンサー情報の解析で故障の予兆を見つけるシステムを開発した。その技術を見守りに応用した。価格は初期費用が3万円、月額4千円。郡上市での実証実験を経て4月から岐阜県内100世帯で本格導入する。「見守り」も、度を過ぎれば「監視」になる。カメラで四六時中撮影されれば気詰まりだ。クオリカの宮下孝夫テクノロジーインサイド事業推進室長は「水道ならば意識せず、ストレスもない」と語る。
●健康管理に一役
 OKIは血圧計や体重計で測定したデータを簡単に記録し、日々の体調変化をテレビやパソコン、スマホで確認できるシステムを開発した。本人はもちろん、離れて暮らす家族もパソコンやスマホでデータを確認できる。血圧計や体重計などの計測データを近距離無線規格「ブルートゥース」で無線機器に自動送信。そこからクラウドに送られる。クラウドでデータを蓄積・解析。結果はサーバー経由で家庭のテレビに配信される。計測結果を自分で記録する手間なしに血圧や体重の変化をテレビ画面のグラフで確認でき、本人は健康管理がしやすくなる。家族も数値に異変があれば駆けつけられるし医療機関などに連絡できる。OKIは異常を検知すれば医療機関や自治体などにメールで知らせるサービスも検討する。

*5:http://qbiz.jp/article/30896/1/
(西日本新聞 2014年1月23日) 人感センサーで独居高齢者「見守り」 IT企業と唐津市実証へ
 人の動きや呼吸、室内環境などをセンサー技術で自動検知し、1人暮らしの高齢者の状態を見守るシステムの実証実験を、佐賀県唐津市とIT関連企業のフリービット(東京)が27日から始めることになった。総務省の「ICT街づくり推進事業」で採用された委託事業の一環。フリービットは昨年参入したスマートフォン事業やデータ解析事業に力を入れており、すでに唐津市にコールセンターを置くなど関係が深い。唐津市も65歳以上の高齢者比率が25%と高いことから、同社の技術力と通信インフラを活用した高齢者支援の枠組みを検証することになった。実証実験では、市内に住む1人暮らしの高齢者50人と、その家族や民生委員らに参加してもらう予定。高齢者50人のうち、13人の住宅内に3種類のセンサーを置く(センサーの種類は以下の通り)。
■寝返りや呼吸の様子を検知できるセンサー
■プライバシー配慮のため、人の動きの骨格映像だけを送信するセンサー
■室温や湿度、気圧などの室内環境と健康状態との関係などをビッグデータ分析するためのセンサー
 高齢者の家族や民生委員には、映像やデータで異常を検知すると、無償提供する専用スマートフォンあてにメールを自動送信するほか、スマートフォン上で常時、高齢者の動きや呼吸の状態も確認できる。このほか、高齢者には専用タブレットを配布。質問に答えるだけで健康レベルが確認でき、診断を受ける時期や診療科の種類が分かるシステムを使ってもらう。タブレットの使い方が分からない高齢者もいるため、37人の高齢者にはフリービットのコールセンターに電話してもらい、担当者がこのシステムを「代行」する形をとる。実証実験は3月半ばまでの予定。フリービットは「実証結果を踏まえ、2014年度中の有償による事業化ができるか判断したい。全国で行うか、唐津市など地域限定で行うかは未定」としている。

| 2014年東京都知事選::2014.1.1~2 | 12:45 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.1.24 原発は再稼働させず、直ちに脱原発して水素社会に移行すべきである。そして、原発都知事選も、何が何でも原発推進の「えげつなさ」と再稼働阻止の「まっとうさ」の戦いだ。(2014.1.25追加あり)
    
   *1より                 現在の東京下町風景

 私も、*5に書かれているように、名護市長選で、辺野古移設に反対した現職の稲嶺進市長が再選したことをよかったと思っており、「えげつなさ」と「まっとうさ」の戦いだったというのはうまい表現だと思った。そして、これは東京都知事選における原発再稼働問題にもそのままあてはまり、私は、有権者のソフト・パワーで「まっとうさ」が勝つことを願っている。

(1)原発再稼働の是非は、電力の大消費地である東京に託された重要な課題であり、都知事選の結果は他の地域にも影響を与えるということ
 *1、*2に記載されているように、原発再稼働を問う東京都知事選は、新首都像を実現する選択のラストチャンスだ。何故なら、そのエネルギー体系を前提として、東京で開催されるオリンピック前に街づくりやインフラの更新が進められるからで、私は、この選挙が、原発再稼働をせず、人にやさしい水と緑の街づくりをする岐路だと考えている。

 そのため、原発再稼働などさせず、原発に使う金があったら新エネルギーに投資した方が、*3のようなエネルギー革命が速く進むのであり、それをやってくれる候補が当選して都知事になることが必要だ。そして、電力の大消費地である東京都民の選択は、その他の地域にも大きな影響を与える。

(2)電力の大消費地である福岡県も原発再稼働を争点にすべきだ
 *3のように水素社会の先端実証が進んでいる九州でも、家や車に燃料電池を備え、排気ガスの排出を0にしながら、クリーンで、快適で、かつ燃料費の安い生活に切り替えるため、次回の福岡県知事選、福岡市長選では、原発再稼働をするか否か、争点にしてもらいたい。*3には、「100年かけて燃料電池の社会をつくりたい」と書かれているが、本気でやれば100年もいらない。また、*4のように、水素はロケット燃料としては既に使われてきたもので、実用化の実績ある燃料であるため、原発関連に使う金があったら新エネルギーを基本とした新しい街づくりに使う方が合理的でまっとうな選択だと思う。

 なお、やり方の例は、東京都環境局(http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/energy/index.html)のHPから入ると、スマートエネルギー都市推進事業で、「東京都が目指す『低炭素』『「快適性』『防災力』の3つを同時に備えたスマートエネルギー都市の実現のためには、これまでの創エネルギーに加えて、エネルギー利用の効率化・最適化を促進することが必要」「そこで都は、家庭やオフィスにおいて、エネルギー利用の見える化を図り、需給の最適な制御を行うエネルギーマネジメントを推進するため、平成25年度から次の5つの事業を実施する」等として、具体的な取り組みが書いてある。

(3)九州、特に熊本県は地熱の宝庫なのに、熊本県民はどう考えているのか
 *2には、「細川氏が知事を務めた熊本県の市民から同氏の立候補に批判的な見方があり、『首相のとき、佐川急便からの1億円借金問題で説明責任を果たさないまま辞任し、国民の期待を裏切った。原発即ゼロも代替案が示されず、現実離れしている。言行不一致の政治はこりごりだ』と話した」と書かれているが、これが熊本県民の多数派でないことを願いたい。熊本県は、阿蘇山を有し、地熱と自然の宝庫なのだから。

 また、たいしたこともないことをものすごく悪いことをしたかのように「政治と金」問題で挙げられた政治家というのは、だいたい、その時の既得権者(抵抗勢力)もしくは権力が望まない一般有権者本位の政治方針を実現しようとした人であることに、有権者もそろそろ気付くべきである。既得権者(抵抗勢力)は、既得権益を守るためには命もかけ、金と権力を使って何でもするため、このように有権者の支持が離れれば、一般有権者本位の政治が挫折して、「言行不一致の政治」になるのであり、ここで敗北したのは、組織化されていない一般有権者にほかならない。

 なお、私は、原発即ゼロの代替案を、ずっと前から何度も提示しており、現在は、理解したくない人が理解しないだけという状況なのである。

*1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/2014tochiji/list/CK2014012302000113.html (東京新聞 2014年1月23日) 「原発」問う 都知事選きょう告示 新首都像描ける好機
 東京都の猪瀬直樹前知事の辞職に伴う都知事選が、二十三日に告示される。投開票は二月九日。岐路に立っている原発政策や都民の暮らしについて論戦が展開される。元首相の細川護熙(もりひろ)氏(76)は二十二日、都庁で正式な立候補会見を行い、「原発再稼働にストップをかけ、原発に頼らない東京を実現する」と「原発ゼロ」を表明。元航空幕僚長の田母神(たもがみ)俊雄(65)、元厚生労働相の舛添要一(65)、前日本弁護士連合会会長の宇都宮健児(67)の三氏は、日本記者クラブでの会見に相次いで臨んだ。
 細川氏は会見で「浜岡原発(静岡県)などで事故が起きれば、都民の生活、安全、財産が壊滅的被害を受ける。原発問題こそ東京の最重要テーマ」と指摘。大量生産・大量消費型の社会から、抑制的な成熟社会へ転換を強調した。専門家らでつくる「東京エネルギー戦略会議」で具体策を検討し、脱原発へ向けた基本計画を作成するほか、再生可能エネルギー普及などに取り組む。また原発から出る放射性廃棄物の処分について「東京は当然、ある意味で負担しないといけない」と述べ、受け入れの可能性に言及した。二〇二〇年五輪で被災地の東北地方と連携することや、日本橋(中央区)の上部を通る首都高速の排除など景観向上にも力を入れる。
 一方、田母神、舛添、宇都宮の三氏の会見でも原発政策が焦点となった。将来も原発を活用する立場の田母神氏は「原発を使わなければ電力供給が十分にできない。自然エネルギーでは国内総生産が伸び悩む」と主張した。脱原発を志向するものの、実現時期を明確にしていない舛添氏は、再稼働について「原子力規制委員会に意見をもらい、政府が決定する」と説明。東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の廃炉提案を打ち出している宇都宮氏は「新潟県知事との連携を強化する。国の原発政策は、都が一歩踏み出すのが大きな影響を与える」と述べた。
◆生かす「三度目の正直」
<解説>思えば「三度目の正直」である。三年間で三回目の東京都知事選。石原慎太郎氏は四選から一年半で都政を投げ出し、猪瀬直樹氏はカネの問題で退場した。都民不在のドタバタ劇は二度とご免だが、参加型の「選挙劇場」なら特等席で見ない手はない。多彩な主役がそろい、元首相や元都知事ら、応援に回った脇役も豪華。こんなに面白い選挙は久しぶりだ。歴代の都知事は七人。一九四七年、初代の安井誠一郎氏が示した戦後復興のモデルは、意外なことに北欧の水の都だった。「ストックホルムのような文化首都をつくる」。第二次世界大戦に巻き込まれず、福祉を充実させた中堅クラスの国の首都。そんなイメージがある。かたや、七代目の猪瀬氏は「世界一の都市」を目指した。国際的な政治経済の中心ニューヨーク、五輪を成功させたロンドンが目線の先にあった。戦後六十九年、目標とする都市の移り変わりが示すように、東京は目覚ましい経済成長を遂げた。しかし一方で、社会のひずみが人と人の「格差」や、少子高齢化として表れ、未曽有の大震災と原発事故にも見舞われた。原発や核のゴミを地方に任せ、電力の大消費地として便利さだけを享受するスタイルを、このまま続けるのか。人が減り、街が老いる中、足元の暮らしをどうするか。本来は、3・11後の二回の都知事選で、候補者が踏み込んだ論戦をしなければならなかった。それが争点に浮上した今回は、真正面から向き合える貴重な機会だ。未来の首都像。シナリオを作るのは私たち一人ひとりだ。劇中人物の動きをしっかりと見定め、心に響くせりふを探したい。

*2:http://qbiz.jp/article/30999/1/
(西日本新聞 2014年1月24日) 「ほかは大した違いない」小泉流、一本勝負 都知事選告示
 2009年の政界引退以来、小泉純一郎元首相(72)が久しぶりに東京で街頭演説に立った。都知事選が告示された23日、細川護熙元首相の応援弁士として「原発即ゼロ」の一本勝負で17日間の選挙戦を戦い抜くと宣言した。政府、与党が最も警戒する小泉氏こそ、選挙戦の陰の「主役」。政界随一の勝負師と言われた小泉氏は、有権者1千万人の民意を突き動かすことができるのか−。
 「都政の問題は原発だけじゃない。確かにそうです。防災、医療福祉、待機児童。しかし、原発を除いた他の問題は、誰が知事になっても大した違いはない。最も大きな違いは、原発をどうするかだ」。同日午前、都庁前の第一声。細川氏に続いてマイクを握ると、小泉節を全開させ、原発の争点化回避を狙う自民党を一蹴した。オレンジ色のネクタイに白髪のライオンヘア。身ぶり手ぶりで絶叫する姿は現役時代をほうふつとさせる。
 午後の渋谷駅前では、さらに踏み込んだ。「3年前の東日本大震災。日本にとって大ピンチだが、日本を変えるチャンスである。変えることができるのに、なぜ立ち上がらないのかという憤りの念が私の胸に燃えてきた。原発ゼロは実現できる夢なんです」。原発ゼロを「無責任」と切り捨てた政治の弟子、安倍晋三首相への痛烈な批判。隣の細川氏は演説に涙ぐんだ。
 夕方の新宿駅前では政府がエネルギー基本計画案で原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置付けたことをやり玉に挙げた。「メルトダウンがなかったかのように1月に閣議決定しようとした。ところが都知事選の争点にしたくないと閣議決定を先送りした。目をそらそうとしている」。この日、他陣営を圧倒する聴衆を集めた。だが、01年の党総裁選、05年の郵政選挙で街頭を埋め尽くした群衆には遠い。声の張りも衰えを隠せない。「小泉劇場」の再演となるかは見通せない。「迫力がある。やっぱりすごい。原発も同じ考えです」。渋谷で主婦(60)はうなった。「きれい事だ。原発は知事が意見することではない」。新宿で男子学生(22)は首をひねった。小泉氏は演説をこう締めた。「本当に原発を進めていいのか。原発なしでやっていくのか。決めるのは皆さんだ」
◆原発即ゼロ、九州で賛否
 都知事選が告示された23日、細川護熙元首相が「原発即ゼロ」の選挙公約を打ち出したことを受け、九州では、原発の立地自治体から「都知事選の結果で国の政策が左右されるのはおかしい」などと争点化を疑問視する声が出た。一方で脱原発派は「首都、最大の電力消費地で原発を見直す議論が活発化する意義は大きい」と歓迎している。
 「東京の判断で、こちらの生活がおびやかされるのは間違っている」。九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の機器点検に従事する溶接会社社長、中間則行さん(39)=同市=は憤る。原発を「重要な電源」と位置付ける予定の国のエネルギー基本計画に影響しないか心配している。「結果次第で再稼働の時期が遅れるかもしれない」。こう懸念するのは、同玄海原発(佐賀県玄海町)で働く作業員向け旅館を営む川口昭子さん(71)=同県唐津市。一方で「いつまでも原発に頼れない。都知事選で原発政策の議論が深まることはいいことだ」と複雑な思いを口にした。脱原発を主張する九電消費者株主の会、木村京子代表(66)=福岡市東区=は「細川氏が勝てば、福岡など全国各地で原発が争点となる地方選挙が増えるのではないか」と期待した。細川氏が知事を務めた熊本県の市民からは、同氏の立候補に批判的な見方があった。山鹿市の自営業、山下学さん(58)は「首相のとき、佐川急便からの1億円借金問題で説明責任を果たさないまま辞任し、国民の期待を裏切った。原発即ゼロも代替案が示されず、現実離れしている。言行不一致の政治はこりごりだ」と話した。

*3:http://qbiz.jp/article/30709/1/ 
(西日本新聞 2014年1月19日)水素社会迫る 家、車に燃料電池、CO2ゼロ 先端地福岡実証進む 
 家庭やオフィス、自動車などのエネルギー源として水素を活用する「水素社会」の幕開けが迫ってきた。トヨタ自動車などは、次世代自動車の本命と位置付ける燃料電池車(FCV)を2015年に市場に投入する計画。水素を安全に大量に輸送、貯蔵する技術開発も進む。水素社会が到来すれば、再生可能エネルギーの活用も加速しそうだ。水素が注目されるのは、利用時に地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)などの有害物質を出さないため。水素と酸素を化学反応させ効率的に発電する燃料電池から出るのは水。究極のクリーンエネルギーだ。供給源も多様。石油や天然ガス、バイオマスから造ったエタノールなどから水素を取り出せるほか、製鉄所や製油所などで副次的に発生する「副生水素」も活用できる。太陽光や風力などの再生可能エネルギーは天気次第で出力が変動するのが導入拡大のネックだが、水を電気分解すれば、水素の形でエネルギーを蓄えることが可能。水素をトルエンと反応させて輸送、貯蔵する方法をプラントメーカーや石油会社が開発中で、太陽が降り注ぐ南の島や風が強い離島など消費地から離れた場所の自然エネルギーを活用しやすくなる。燃料電池の性能も向上しており、大規模発電用は発電効率70%超を目標に開発中。家庭用では、電力と給湯でエネルギーの9割を活用できる製品が販売中で、ガス会社は「送電ロスなどの無駄を減らせる」とアピールする。
 水素社会の到来を告げるFCV。エンジンはなく、燃料電池で発電してモーターを回す仕組みで、災害時には発電機としても利用できる。トヨタは、水素ステーションでの3分間の水素充填(じゅうてん)で現在のガソリン車並みの500キロを走れるFCVを15年に発売する計画。価格については「現在は1千万円を切った段階で、15年の市販までに引き下げたい」と力を込める。水素社会に向けた取り組みで熱心なのが福岡県だ。水素研究が盛んな九州大学を中心に、04年8月に全国初の産学官推進組織「福岡水素エネルギー戦略会議」が発足。「福岡水素タウン」として同県糸島市の住宅約150世帯で家庭用燃料電池の省エネ効果を検証するなど、実証実験を積極的に進めてきた。北九州市八幡東区東田地区では、11年1月に新日鉄住金八幡製鉄所からパイプラインで副生水素を直接供給し本格利用する世界初の実証事業を開始。商業施設や集合住宅での水素利用が始まっている。FCV普及の鍵を握る水素ステーションは福岡市西区の九大伊都キャンパスと、北九州市の東田地区に整備済み。FCVの公用車やマイクロバスが実際に利用しながら、運営コストなどを調べている。九大は「水素エネルギー国際研究センター」を軸に、研究者約300人が水素の製造、輸送・貯蔵、利用などを研究開発しており、「組織的研究では世界一」。財団法人水素エネルギー製品研究試験センターは、水素ステーション用の大型水素容器の性能を調べられる試験施設を糸島市に建設中で、4月に稼働する予定。性能向上やコストダウンにつなげて、国が掲げる15年度末までの水素ステーション100カ所整備を後押しする。
◆国の企業支援が鍵
 九大水素エネルギー国際研究センターの佐々木一成センター長に水素の安全性や課題などを聞いた。
−福岡で最先端の水素研究を進める意味は。
 「北部九州をけん引する産業が自動車だ。百数十万台を組み立てる生産拠点だが、頭脳部分がない。究極のエコカーである燃料電池車(FCV)の研究と技術開発、製造を九州で一貫してやりたいという地域の期待がある」
−普及への課題は。
 「水素爆発が怖いというイメージがあるが、危険性は都市ガスと変わらない。水素について知ってもらうことが大切だ。規制の問題もある。日本は米国、欧州に比べて住宅が密集しており、安全基準が厳しい。現在5、6億円かかる水素ステーションの整備費を引き下げる必要がある。それでもステーションの数は限られる。FCVの普及とステーションの整備は、鶏と卵の問題。国がサポートし、企業が事業に踏み出せる制度をつくることが、最初の1、2年は大事だ」
−水素社会は到来するか。
 「ハイブリッド車は普及するのに10年かかった。市販段階に来たFCVもインフラ整備に時間がかかり、本格的な普及までには10年はかかる。産業用や業務用の燃料電池はガスのインフラを使えるので普及は早い。2015年から20年には導入が始まるとみている。(熱を機械的エネルギーに変換する)熱機関全盛の時代が300年続いた。100年かけて燃料電池の社会をつくりたい」

*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140124&ng=DGKDZO65793520U4A120C1ENB000 (日経新聞 2014.1.24) 岩谷産、水素事業への期待で高値
 岩谷産業の株価が約20年ぶりの高値圏にある。燃料電池車普及への期待から、年明け以降、買い注文が先行。17日には昨年来高値(691円)を更新した。半導体製造やロケット燃料に使う水素で国内シェア5割強を持つ。燃料電池車向けの水素ステーションも運営しており「燃料電池車の普及で恩恵を受ける代表的な銘柄」(岩井コスモ証券の有沢正一投資調査部副部長)。昨年12月に経済産業省が水素をエネルギー源とする「水素社会」実現への行程表作りに着手する方針を示し、業績拡大への期待感が高まった。もっとも、燃料電池車の量産は2015年からの計画で、岩谷産の水素事業は先行投資がかさみ収益への寄与は低い。14年3月期の連結営業利益は前期比11%増の185億円を見込むが、その約7割は液化石油ガス事業で稼ぐ。SMBC日興証券の村上貴史シニアアナリストは「水素事業への期待先行で株価が上昇した」と指摘する。直近の株価上昇で予想PER(株価収益率)も約19倍と、過去5年間の平均(約14倍)を上回る。23日は利益確定売りで4%安となり「目先、調整局面に入る可能性が高い」(国内証券)との声もある。上値追いには業績面などで新規の買い材料が求められそうだ。

*5:http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=61174
(沖縄タイムス社説 2014年1月23日) [名護市長選再論]「まっとうさ」を貫こう
 名護市長選は「えげつなさ」と「まっとうさ」の戦いだった。札びらをちらつかせて基地受け入れを迫る政府のえげつないやり方に対し、市民は「まっとうさ」を大切にする姿勢を変えなかった。弱い立場にある者の「まっとうさ」が沖縄のソフト・パワーだということを結果で示したのである。
 政府・自民党は、移設問題が争点化するのを避けるための理屈付けに腐心した。「基地の場所は政府が決めるものだ」という石破茂自民党幹事長の発言はその典型である。読売新聞は選挙後、署名入りの自社評論を掲げ、「地方選を悪用するな」と主張した。「地方の首長選で国政の課題を争点化することはなじまない」と評者は指摘する。国家の根幹にかかわる外交・安保は、高度な専門性を必要とする。だから政府に任せておくべきだ、との考えは確かに根強い。本土の保守系首長がしばしば、「外交・安保は国の専権事項」だと強調するのも同じ論理である。だが、一般論を持ち出して沖縄の基地問題を論じ、県内移設を正当化するのは、的外れで一面的だ。このような見解は、沖縄の戦中・戦後の歴史体験や、今も続く過重負担の現実、これからも半永久的に続くとみられる基地負担には何も触れていない。米軍基地の新設は、地方自治、人権、環境保全、子どもの教育など、あらゆる分野に深い影響を与える。市民の平和的生存権を脅かし、地域に分断と対立をもたらす問題が自治体の首長選の争点になるのは至極当然なことである。
    ■    ■
 米国の国民は米国の国内法によって守られている。日本本土の住民の多くは基地の過重負担を免れている。住民の権利を守るはずの日本の国内法よりも地位協定が優先され、日常生活が脅かされているのは沖縄特有の現象だ。米軍用地収用特措法は、沖縄の未契約米軍用地問題に対処するために改正された。地主が契約を拒否しても土地を返してもらうことが事実上、できなくなった。米軍再編特措法は、米軍再編を推進するため、沖縄、神奈川などを想定して制定された。「基地受け入れを認めれば、お金をあげましょう。でも、認めなければあげないよ」という政策だ。石破幹事長は選挙中、移設推進候補を支援するため、財源のあいまいな500億円の基金創設を表明。現職の稲嶺進市長が再選したとたん、基金の話は消えてしまった。品格が疑われるようなえげつない話である。
    ■    ■
 政府は選挙後、地元の理解を得ながら粛々と進めていく、と語った。代替施設建設に向けた設計、生物調査を進めるため沖縄防衛局が入札を公告したのは選挙の2日後。言葉とは裏腹に、市民の切実な思いを逆なでしたのである。一事が万事こんな調子だ。日米両政府は、基地既得権を半永久的に維持するため、地方自治の健全な発展を阻害し、ずたずたにしている。普天間移設問題が名護市長選の争点になったのは、政府自身が市民をそこに追い込んだ結果である。


PS(2014.1.25追加):*6のように、発電に使っていなかったダムもあり、低いコストでの水力発電増加も可能だ。
*6:http://qbiz.jp/article/31062/1/
(西日本新聞 2014年1月25日) 水力発電所改修へ JNC、熊本県内3ヵ所で
 チッソの事業子会社JNC(東京)は24日、熊本県内の3カ所の水力発電所を改修すると発表した。発電効率の高い機器を導入することで、出力は現在の計1万2600キロワットから7・1%増の1万3500キロワットに上がる。投資額は計48億円。改修するのは、七滝川第1と第2(ともに御船町)、川辺川第2(相良村)。いずれも完成して70年以上たつが、国の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を利用して売電することで新たな収益につながると判断した。3カ所ともに2月に着工。七滝川の2カ所は2016年4月、川辺川第2は17年2月に完成する。同社は、今回の3カ所を含め、熊本県を中心に九州に13カ所保有する水力発電所の改修を順次進めている。このほか、九州で水力発電所や太陽光発電所の新設も検討している。

| 2014年東京都知事選::2014.1.1~2 | 11:31 AM | comments (x) | trackback (x) |
2014.1.21 高齢者の増加による社会保障費全体の増加は当然。そのため、社会保障サービスを向上させながら一人当たりの社会保障費を如何に下げるかを考えるべきであり、 「増税+給付減」は誰でも考えつく最悪の愚策である。
   

(1)高齢者が増加すれば、高齢者全体に対する社会保障費が増加するのは当然である
 *1、*2-1、*2-3は典型的で、「社会保障費の膨張に歯止めがかからず、高齢化に伴って医療や介護、年金の費用が増えるが、これでは、若い世代の負担を減らせない」という論調が、当たり前のように言われている。

 しかし、高齢者が受給している年金は自らが支払った年金保険料に対応するもので、もし年金原資が足りなくなったとすれば、その責任は100%、年金制度を作って徴収・運用・支払いを行ってきた国(厚生労働省)にあり、その制度に加入していた国民にはない。また、健康保険料や介護保険料も、働いていた時に納付していたものであるため、給付する時になって急に負担増されるのはおかしい。

 また、予想以上に少子化が進んだ理由は、40年以上も前から言われている保育・学童保育の不備を放置し、労働基準法や男女雇用機会均等法を骨抜きにして、社会保険料を支払わない非正規雇用を容認し続け、若い世代が安心して結婚・子育てすることができないようにしている政府(主に経済産業省、厚生労働省)に原因がある。そのため、少子高齢化の影響は、国民に負担をかけずに解決するのが筋であり、その費用は、原発や集票目的の歳出を抑え、今まで資源として使っていなかったものを資源化することによってはたきだすべきであり、それは、このブログに何度も書いたとおり可能である。

 また、*1には、「国が一定額を負担する医療サービスの診療報酬改定が試金石」「政府は当初、マイナス改定を探ったが、医師会や政治の抵抗で結局、微増で決着」と書かれており、*4で「診療報酬0.1%増で決着 実質はマイナス」とも書かれているが、診療報酬は企業で言う「売上」で、そこから「仕入(薬剤費etc.)」や「経費(医師・看護師・その他職員の給料、水光熱費、医療機器の減価償却費、地代・家賃etc.)」を支払うものであるため、物価が上昇し、医療スタッフの賃金引上げや一人当たり労働時間の短縮が必要で、消費税増税が行われる中、診療報酬の引下げばかりを強調するのは、医療の質を下げ、医療関係者の負担を不当に増加させるものである。

 私は、衆議院議員だった2005~2009年の間、地元だった佐賀三区の病院や診療所をくまなく訪問して話を聞いたが、30年前と異なり、つぶれて閉鎖した診療所や、いつそうなるかわからない診療所が多かった上、公的病院も赤字を出していた。医療サービスの質を維持しながら病院経営の効率化を図ることはもちろん重要だが、それは、単純に診療報酬を引き下げればできるというものではなく、診療報酬の引き下げは、病院や診療所をつぶして今までの蓄積を失わせるものであるため賛成できない。

(2)国民を、高齢者と若者という対立軸にして分断するのは、官のやり方である
 国(官)は、自らは決して責任をとらず、話を曖昧にする目的で、「分断」という手法をとることが多い。これは、働く女性と専業主婦の間でも行われ、双方にメリットのある政策がとられなかった歴史がある。

 具体的には、*2-1、*2-3で、「世代間の不公平」を盾に、「高齢者への年金給付切り下げ」や「社会保障給付の切り下げ」を説いているが、年金については、私がこのブログの2013年8月14日に記載しているように、国が退職給付会計を適用せず、将来の支払額を正確に見積もって、きっちり管理・運用してこなかったことが問題なのであり、それは今も変わっていない。そのため、企業と同様、日本年金機構も退職給付会計を適用し、積立不足分を長期間に渡って積み立てていくのが解決策だ。そして、高齢者に必要十分な年金を支払うことは、若者が親に仕送りをせず、自らも将来に不安を持たずに生活できることであるため、本来は、高齢者と若者は対立軸にならないのである。

 なお、*2-1は、社会保障の質は論じず金銭のことのみ論じており、この論調は典型的なものであるため、筆者の経歴を調べてみた。すると、やはり*2-2のように、筆者は経済のみの専門家で、多くの政府委員会委員を勤める御用学者であり、政府の政策を語るマイクロホンだった。そして、メディアが政府の政策に基づいて、こういう考えをばら撒き続ければ、「おれおれ詐欺」のように老人からむしりとる犯罪が増え、そういう雰囲気の中で育った若者が増えれば、長くは書かないが、あらゆる点で社会の質が低下する。そのため、ここで真面目に考え直すべきである。

(3)介護保険について
 *3に、「高所得者は介護サービス2割負担 / 公平化で15年度から」と書かれており、ここでも、意見書が「現役世代に過度な負担を求めずに、高齢者世代内で負担の公平化を図る」と強調して、65歳以上の介護サービス利用料の自己負担を、1割から2割に引き上げるよう求めたそうだが、ここで言う「一定程度以上の所得」の定義は、「夫婦合算の年収が359万円以上」という低いものだった。これで要介護者を抱えて生活できるのか疑問だ。

 また、介護費用が介護保険で賄われれば、現役世代が介護したり、親に仕送りしたりせずにすみ、自分も将来はそれを受けるため、ここで「現役世代に過度な負担を求めずに」とするのは、間違っている。

 さらに、現役世代は40歳以上しか介護保険料を支払っていないため、世代間公平化のためには、このブログの2013年8月18日に記載しているとおり、介護保険は働く全世代で負担し、給付も世代間公平を保ってもっと充実すべきであり、非正規雇用など社会保険を支払わない現役世代は減らすべきである。

*1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20131224&ng=DGKDASGC2400D_U3A221C1MM0000  (日経新聞 2013.12.24)頼みは税収、改革足踏み 来年度予算案 - 一般会計最大、95兆8823億円 社会保障なお膨張
 政府は24日の閣議で、2014年度予算案を決めた。政策や国債の利払いに使う国の一般会計の規模は、今年度当初予算に比べて3.5%増の95兆8823億円となり、過去最大になる。医療や介護にかかる社会保障費がふくらむ。公共事業や防衛などの予算も軒並み増えた。来春の消費税率の引き上げなどで税収が増えるため、国債の新たな発行は減らすことができるが、若い世代の負担を減らす歳出面の改革は足踏みしている。政府は予算案を来年1月召集の通常国会に出し、年度内の成立をめざす。麻生太郎財務相は閣議後の記者会見で「デフレ脱却、経済再生と財政健全化を併せて目指す予算だ」と強調したが、どちらかと言えば、安倍晋三政権が掲げるデフレ脱却と景気のてこ入れに重点を置く内容になった。国の一般会計は、大別すると、社会保障や公共事業など政策にかける経費と、国の借金である国債の元利払いにあてる国債費で構成する。14年度予算では、政策経費が今年度より3%増え、72兆6121億円と過去最大にふくらむ。最大の原因は社会保障費の膨張に歯止めがかからないことだ。高齢化に伴い医療や介護、年金の費用が6千億円以上増える。一方、安い後発薬への置き換えなど、コストを圧縮する抜本的な手立てはほとんど進んでいない。国が一定額を負担する医療サービスの診療報酬の改定が試金石だった。政府は当初、マイナス改定を探ったが、医師会や政治の抵抗で結局、微増で決着した。社会保障費はこの10年間で5割以上増え、初めて30兆円台に乗せる。消費税率を上げた直後の景気の落ち込みを和らげるために、雇用を創出する効果の高い公共事業予算も特別会計統合の影響を除いた実質ベースで2%増やした。全国の老朽インフラの耐震化や東京五輪対策のほか、新幹線の路線整備のための予算を9年ぶりに増やす。日本の成長力底上げ策も盛り込んだ。医療の最先端研究開発の司令塔となる「日本版NIH」の設立費用や、世界で勝ち残る大学への支援、新型ロケット事業などに約1兆9千億円を計上した。このほか、中国の海洋進出を警戒して、防衛予算も2年連続で増やす。地方税収増の寄与で約2500億円を圧縮する地方交付税交付金が、ほぼ唯一の減らす分野になった。頼みは税収だ。来春の消費増税で4兆5350億円が加わるほか、法人税収が10兆円に伸び、7年ぶりの50兆円台となる50兆10億円を見込む。新たな国の借金につながる新規国債の発行額を1兆6千億円減らし、41兆2500億円に削る。税収増により、政策経費を税収でどの程度まかなえているかを示す国の基礎的財政収支の赤字は18兆円と赤字幅が5兆2千億円少なくなる。13年度と比べた赤字幅を4兆円程度縮める目標を示した中期財政計画を1兆円程度上回るペースだ。ただ、15年度までに10年度と比べた赤字幅を半減するという国際公約の達成にはなお一段の改革が必要だ。日本の債務残高は国内総生産(GDP)の2倍を超え、国民1人が700万円以上の借金を抱えている計算になる。先進国最悪の財政状況に変わりはない。14年度予算は、税収増を追い風に予算を増やしてほしいという圧力が膨らんだ側面もある。予算にムダはないのか、どの分野で支出を削り、国民に我慢を求めるのか、本格的な歳出改革への課題は先送りされた。

*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20131231&ng=DGKDZO64770740R31C13A2MM8000 (日経新聞 2013.12.31)消費税「10%」は不可避 大阪大教授 大竹文雄氏
●給付を自動減額
―来年4月の消費税率引き上げの影響をどうみますか。
 「増税による2014年度の増収額は5兆円程度。大半は社会保障の充実に回すのではなく、これまで取るべき税を集めていなかった分、つまり赤字国債を出して穴埋めしていた分にあてる。年金や医療はある程度安定するが、充実させる余裕はほとんどない。増税しても給付の抑制は避けて通れない」。「4月以降の景気は、駆け込み消費の反動減が出るが、ならせば影響は小さいだろう。増税の見送りは財政破綻の危険性を高める。それが現実になったとき、私たちの生活水準はどうなるか。おそらく1990年代後半の金融危機時よりも悲惨だろう。最悪の事態を想定しながら、増税の影響を考えるべきだ」。
―社会保障・税一体改革法は15年10月に税率を10%に再び引き上げると定めています。
 「10%に上げても25年以降は国内総生産に対する政府債務比率の上昇を止めるのは難しい。その事実を内閣府ははっきり示そうとしていない。10%への引き上げを先送りしたいという考えは現実離れしている。成長を追求するのは大切だが楽観的な筋書きは禁物だ」。
―年金や医療の持続性を高める制度改革について安倍政権は確たる手を打っていません。
 「国政選挙の投票者の中位年齢は50歳を超えている。高齢層を重視する政策をとり続けないと政権が維持できないほどだ。発足1年の政権がその危険を自覚するのは理解できる。社会保障の給付膨張を抑える改革を一つひとつ実行するのは至難の業だ。ある程度給付を自動調整する仕組みを導入するのが有効だ」。「年金は04年改革法で保険料を継続して上げる仕組みを入れた。厚生労働省は厚生年金の保険料率を毎年、小刻みに上げてきた。料率が上限の18.3%に達した後はどうするか。保険料収入が想定に届かなければ、国会が議決しなくとも、給付を下げる仕組みを確立させておけばよい」。
●若者の収支赤字
―厚労省は世代間不公平を問題にするのは望ましくないと言います。
 「官邸の社会保障制度改革国民会議も報告書に同じ内容を盛りこんだ。高齢者の身になれば、あなたは得な世代だと一方的に言われていい気はしない。だが無理な理屈を通そうとすれば制度への信頼を損ねる。たとえば年金を長生きのリスクに備える保険と考えればわかりやすい。誰もが保険事故に遭う可能性が未知数だからこそ、加入前から公平な制度として成り立つ。しかし現行の年金は入る前から若者や将来世代が損をし、給付を受ける前から得する世代がいるのも明らかだ。助け合いは成立しにくい」。「年金の不公平を認めたうえで、今の若者は経済発展の恩恵を受けており、年金で損をするのはやむを得ないとの合意が各世代にあるなら問題は小さい。だが年金を通じた生涯収支が数千万円の赤字になる世代は、たとえば今後のエネルギー制約を考えると生活水準が下がる可能性もある」。
―日本人は超高齢経済を乗りきれますか。
 「乗りきるしかない。長く生きられるようになったのは幸せなことだ。しかし一人ひとりの生涯所得が変わらない前提だと長寿化は毎年の生活水準の低下を意味する。経済成長は追求すべきだが、達成できない場合の覚悟も問われている」。
*大竹文雄氏:1983年京都大経卒、85年大阪大院修了。大阪府立大講師などを経て大阪大教授。専門は労働経済学、行動経済学。「日本の不平等」で日経・経済図書文化賞。最近はNHKテレビで経済学の基本を解説している。52歳

*2-2:http://www.iser.osaka-u.ac.jp/~ohtake/profile/cv.htm
大竹文雄氏 略歴
●生年月日  : 1961年
●現  職   : 大阪大学社会経済研究所教授
●学  位   : 大阪大学博士(経済学)1996年3月8日
●学  歴
 京都府立東宇治高等学校 1976年4月~1979年3月
 京都大学経済学部 1979年4月~1983年3月
 大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程 1983年4月~1985年3月
 大阪大学大学院経済学研究科博士後期課程 1985年4月~1985年6月
●職  歴
 大阪大学経済学部助手 1985年7月~1988年3月
 大阪府立大学経済学部講師 1988年4月~1990年3月
 大阪大学社会経済研究所助教授 1990年4月~2001年4月
 大阪大学社会経済研究所教授 2001年5月~現在
 大阪大学社会経済研究所長 2007年4月~2009年3月
 大阪大学理事・副学長 2013年8月~
 経済企画庁経済研究所客員研究員 1986年4月~1990年7月
 Visiting Fellow (Fulbright Fellow)
  Economic Growth Center, Yale University 1990年7月~1991年8月
●政府委員会委員
 厚生労働省社会保障審議会臨時委員 2001年7月~2007年7月
 経済産業省産業構造審議会臨時委員 2002年2月~2003年2月
 国土交通省賃貸住宅市場整備研究会委員 2002年3月~2002年12月
 内閣府国民生活審議会臨時委員 2002年3月~2003年6月
 国土交通省社会資本整備審議会臨時委員 2004年10月~2006年10月
 厚生労働省 最低賃金制度のあり方に関する研究会参集者 2004年9月~2005年9月
 内閣府税制調査会専門委員 2007年4月~2009年11月
 総務省 政策評価・独立行政法人評価委員会専門委員 2007年9月~2015年8月
 内閣府経済財政諮問会議専門委員 2008年2月~2008年10月
 経済産業研究所 労働市場制度改革研究会委員 2008年5月~2009年3月
 文部科学省 「今後の幼児教育の振興方策に関する研究会」委員 2008年3月~2010年3月
 内閣府 「幸福度に関する研究会」構成員 2010年12月~2012年9月
 文部科学省 科学技術・学術審議会専門委員 2011年2月~2015年2月
 経済産業省 産業構造審議会 臨時委員 2011年3月~2012年3
 厚生労働省 社会保障審議会臨時委員 2013年8月~2015年8月 等

*2-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140118&ng=DGKDZO65494940Y4A110C1EA1000 (日経新聞社説 2014.1.18) 「百年安心年金」の辻つま合わせは限界だ
 日本経済が人口の少子化・高齢化に直面するなかで年金制度を超長期にわたって持続させるのは容易ではない。保険料、税など年金財源を負担する現役人口は先細りする。人口構造の激変に備え、制度改革を急がなければならない。しかし、安倍政権は確たる手を打っていない。首相官邸の社会保障制度改革国民会議は2013年8月の報告書で「年金の持続可能性は確保されている」と断じた。高齢層に痛みを求める改革から距離をおこうとする政権の意向が背後にあるのではないか。改革を怠れば若い世代の不信感を一段と強め、保険料の不払いなどをさらに増やすおそれが強い。厚生労働省は近く年金財政の検証結果を公表する。日本経済の実力を率直に見通し、背伸びした前提を排した将来像を示すべきだ。それが改革を促すテコになる。財政検証は04年の年金改革法に基づき5年ごとにする。前回09年の検証で同省は年金積立金の超長期の運用利回りを年4.1%(中位ケース)と想定した。実力より背伸びさせた前提をおき、今後百年間の収支の辻つまを合わせた。物価や賃金の前提も甘めだった。これが、04年改革のときに与党が有権者に訴えた「百年安心プラン」の実態である。超党派の議員による国会版国民会議は昨年「実績が前提を下回れば将来世代が財政負担を負う。前提は保守的におくべきだ」と提言している。与野党の良識ある声に厚労省は謙虚に耳を傾けるべきである。政権内や一部の学識者には、アベノミクスの効果が出れば成長が高まるので、強気の前提をおくのは差し支えないという意見がある。成長戦略の大切さは論をまたないが、超長期の経済前提とは区別するのが常道である。かりに実績が前提を上回れば、将来世代の負担を計画よりおさえるなど「うれしい誤算」を享受すればよい。大改革を待たずとも、すべきことは多々ある。受給者への実質支給額を毎年、小刻みに下げる制度は今すぐ実施すべきだ。年金課税を強化して財源を増やすのも、制度の持続性向上に有効だろう。厚生年金などの支給開始を現行計画の65歳より上げる課題を、政権はたなざらしにしている。日本人より平均寿命が短いにもかかわらず、欧米の主な国は67~68歳への引き上げを決めた。若い世代が不利な現状をやわらげる要諦は、一刻も早い改革への着手である。

*3:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2599005.article.html
(佐賀新聞 2013年12月20日) 高所得者は介護サービス2割負担 / 公平化で15年度から
 社会保障審議会の介護保険部会は20日、2015年度からの介護保険制度改革に関する意見書を取りまとめた。意見書は「現役世代に過度な負担を求めずに、高齢者世代内で負担の公平化を図る」と強調し、65歳以上の介護サービス利用料の自己負担を、一定程度以上の所得のある人は1割から2割に引き上げるよう求めた。厚生労働省は介護保険法改正案を来年の通常国会に提出する。自己負担の引き上げは、介護保険がスタートした2000年4月以来、初めて。

*4:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131221-00000081-san-pol
(産経新聞 12月21日)  診療報酬0.1%増で決着 実質はマイナス、6年ぶり
 政府は20日、平成26年度予算編成の焦点となっていた診療報酬改定について、全体で0・1%引き上げることを決めた。ただ、消費税増税に伴う医療機関の仕入れコスト増の補填(ほてん)分を除く「実質」の改定率は1・26%マイナスとなる。診療報酬は医師の技術料に相当する「本体部分」と、薬や材料の価格である「薬価部分」で構成し、2年に1度見直される。実質的なマイナス改定は20年度の改定以来6年ぶり。26年度改定では、市場実勢価格を反映させ、薬価部分を1・36%引き下げる一方、本体部分は0・1%引き上げる。また通常の改定率とは別に、来年4月の消費税増税に伴う補填措置として1・36%を上乗せしたため、全体では0・1%のプラスとなった。0・1%の引き上げには新たに約200億円の保険料と約160億円の税金、約50億円の患者窓口負担が必要になる。改定をめぐっては、医療費を抑制したい財務省と、報酬増額を求める厚生労働省の意見が対立。自民党の厚労族議員もプラス改定を求めて安倍晋三首相に決議文を提出するなど、増額に向けた働きかけを強めていた。

| 年金・社会保障::2013.8~2019.6 | 04:28 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.1.20 女性蔑視、女性の低賃金、差別的雇用を女性自身の責任であるかのように責任転嫁する国で、女性が努力しても報われずに無駄になる。そのため、まず徹底して直すべきは、その根本的な考え方である。
   

(1)女性蔑視を現実のように見せて昇進を妨げる国、日本
 *1に、米国では連邦準備理事会(FRB)議長にジャネット・イエレン氏が起用され、「男が推した議長の座」と報道されている。しかし、1980年代のアメリカの“巧妙な女性差別”を分析した「セクシャルハラスメントの社会学」という本には、「男女平等を主張した女性は排除され、企業は男女差別がなかったことを示すため、毒にも薬にもならない2番手の女性を昇進させた」と書いてある。現在は、1980年代から30年が経過しているが、イエレン氏が男性と同じ実力を持った上で、さらに男性には気づけない女性の視点を入れた主張や判断をする人であるか否かは、*1の記事を見て、むしろ疑問になった。

 男女平等度は、「ジェンダーギャップ指数 2013年版」で、米国が23位、日本が105位であり、この違いは、私の体感と同じだ。何故なら、日本では、公認会計士及び税理士として20年以上も働いた後に国会議員になった私に対して、*2-1のように「アレの差?女チルドレン“賞味期限”切れ」として全滅したのが喜ばしいことであるかのような記事を書いているレベルだからである。私が、他の人が起こした風に乗って永田町に行っただけの“マドンナ”でないことは、私のブログを素直に見れば明らかだが、このように「馬鹿で何もできない女」という事実とはかけ離れたイメージを吹聴されたため、私はあらゆる面で大きな損害を蒙った。そして、これがまさにジェンダーに由来する差別なのである。ところで、「アレの差?」とは、いったい何の差か?こちらが知りたい。

 また、*2-2は、Googleの検索機能で「広津素子」を検索すると、出てくる表示だ。このうち「広津素子 ky」「広津素子 馬鹿」「広津素子 文春」「広津素子 週刊文春」というサジェッションは、東京高裁で、内容の真実性も取材の相当性もないため名誉毀損が認められた週刊文春記事に由来するもので、このサジェッション自体も名誉毀損である。さらに、2009年の総選挙の際、運動員がビラ配りをしたところ公職選挙法を拡大解釈して逮捕された事件について、「広津素子 逮捕」「広津素子 選挙違反」という、まるで私が選挙違反で逮捕されたかのようなサジェッションも現れるが、実際には私は逮捕されておらず、公選法違反もしていないため、真実ではなく名誉毀損だ。

 そして、このサジェッション機能については、*2-3のように、他の被害者が提訴しているが、高裁が「支援表示はウェブページの抜粋にとどまり、それ自体でプライバシー侵害にはならない」「事実が公表されない法的利益と、それを公表する理由とを比較衡量すれば、後者が優越する」と結論づけたそうだが、これでは、個人の権利を侵害する不当な表示を削除することができず、被害者が救われないため、公正ではない。

(2)統計数値で現れた女性の職業の低賃金と昇進差別
 *3に記載されているとおり、潜在保育士が求職しない理由は、「賃金が合わない」というのが47%で多数を占めるそうである。看護師・介護福祉士も同じで、女性が主体となっている職業は重労働でも賃金が低いため、有資格者でもその職業で働いていない人が多いが、既に教育済の有資格者を使えないとはもったいない話だ。また、せっかく勉強したのに報われない本人も不幸である。

 さらに、*4には、「非正規公務員の7割超が女性 九州、保育士や調理員」という記事があり、九州7県の市町村で働く「非正規公務員」のうち、74・6%を女性が占めていることが西日本新聞の取材で分かったそうである。とりわけ男女平等でなければならない地方自治体という公的機関で、女性を非正規として男性中心の正規職員の約3分の1の賃金にとどめて人件費削減を進めるなど言語道断だ。何故なら、これは、男女雇用機会均等法を出し抜いて行っている女性の雇用差別にほかならないからである。

(3)女性が労働市場に出ない理由は、女性側に責任があるのではないこと
 *5では、「女性は子育てに伴う離職が多い」としているが、これは、40年以上前から言われている保育所・学童保育の不備の結果で、とっくの昔に解決されていて当たり前のことなのである。また、*5では、働く女性が増えている要因として、景気回復に伴う求人数の増加を上げているが、これは逆に、景気が悪い場合には、女性の雇用を抑えるという事実も示している。

 日本では育児と仕事の両立が難しいというのも、社会の受入体制の問題だ。何故なら、1979~1980年代初めにかけ、女子差別撤廃条約や男女雇用機会均等法により、日本でも世界標準の法整備が行われたにもかかわらず、(2)のように、公的機関が率先して女性の雇用差別をしている状態であり、*5のように「女性の労働参加を引っ張るのは非正規雇用だ。1~9月の雇用者を形態別にみると、非正規社員が前年同期に比べ3%増える一方、正規社員は1%減った」とし、さらに女性の非正規雇用を奨励して女性に対する賃金差別・昇進差別を助長しているような状態だからである。

*1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG1500I_W4A110C1SHA000/ (日経新聞 2014/1/19) 男が推した議長の座 米国が挑む「最後の天井」  Wの未来 やればできる
 世界経済に最も影響力を持つポストに、初めて女性が就くのを後押しした多くの男性がいた。昨年9月、オバマ大統領のもとに、米連邦準備理事会(FRB)議長にジャネット・イエレン(67)の起用を促す500人以上の署名が並ぶ嘆願書が届いた。署名の半数以上はノーベル賞学者や元FRB副議長をはじめとする男性たちだ。
■性別超えた支持
 経済学者仲間らに嘆願書を回したのは米シンクタンク「女性政策研究所」所長のハイジ・ハートマン(68)。「最も適任で経験豊富な女性が、しばしば男性にポストをさらわれている」ことへのいら立ちが動機の1つだったが、予想外の性別を超えた支持に「経済界の意識の変化を感じた」。ウォール・ストリートににらみをきかせる女性議長が2月1日に誕生。一足先にメーン・ストリート(米産業界)の頂点にも女性が就いた。15日、世界の自動車大手で初の女性トップとなったゼネラル・モーターズ(GM)の最高経営責任者(CEO)、メアリー・バーラ(52)だ。18歳でGM研究所に入ったバーラを後任指名したダン・アカーソン(65)は「彼女が選ばれたのは性別ではなく才能」と断言し、無駄な開発投資をとことん絞る手法を評価する。アカーソンは昨秋には「自動車産業で女性CEOが誕生するのは当然の成り行きだ」とも発言した。35年前にGM副社長に就き業界初の女性幹部の1人だった経済学者のマリーナ・ホイットマン(78)は「女性の取締役も以前ほど珍しい存在ではなくなった」と時代の変化を口にする。政界では前国務長官、ヒラリー・クリントン(66)の次期大統領選への出馬が有力視される。女性の政界進出に詳しいボールドウィン・ウォーレス大学准教授のバーバラ・パーマーは「女性は米軍最高司令官の役割を果たす強じんさに欠ける、という固定観念を打ち破った」と指摘する。
■米大統領も射程
 建国以来、44代続いた男性大統領。クリントンは2008年に大統領選から撤退する際、女性の活躍を阻む見えない壁「ガラスの天井」を引き合いに「最も高く固いガラスの天井に無数のひびが入った」と語った。「最後の天井」に挑むまでになった米国。長年にわたる試行錯誤の結果に他ならない。同じことは日本にも言える。女性が輝き社会や経済を潤すまでになるのに、やれることはまだたくさんある。(敬称略)
<平等度、米23位・日本105位> 世界各国の男女平等の度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」2013年版によると、米国の順位は23位と日本の105位を大きく引き離している。指数はスイスに本拠を置くシンクタンクの世界経済フォーラムが女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析。米国は経済で6位、教育で1位と上位に付ける。ただ、政治では60位で、日本の118位ほどではないにしろ他の分野に比べて女性の参画が遅れていることを示している。

*2-1:http://www.zakzak.co.jp/top/200907/t2009073128_all.html
(ZAKZAK 2009/07/31) アレの差?女チルドレン“賞味期限”切れ15人全滅
 小泉元首相(中央)の起こした風に乗って永田町にやってきたマドンナたち。風がやんだらどこへ行くのか(写真はコラージュ) 8・30総選挙に向け、民主党は与党大物に女性新人を次々とぶつける戦略に出ている。これに対し、2005年の郵政選挙で初当選した小泉チルドレンのうち、「マドンナ候補」ともてはやされた女性前職15人は軒並み落選危機だ。31日には、うち1人が離党する事態に陥ったが、政治ジャーナリスト、角谷浩一氏の分析では全滅も現実味を帯びている。
【広津素子は離党届】
 「政権交代という四文字熟語にばかりとらわれず、候補者や政策本意で選んでほしい」。東京5区に出馬する自民党の佐藤ゆかり氏(47)は30日夕、東京都目黒区の都立大学駅付近でこう演説し、支持を訴えた。これに先立ち、佐藤氏は10年以上愛用しているというマウンテンバイクに乗って商店街を遊説した。この商店街は坂道で、佐藤氏は下り坂を一直線に疾走する形だった。自民党に大逆風が吹いている情勢を踏まえた記者団から「下り坂は縁起が悪くないか」と問われた佐藤氏だが、ここでは「私は縁起を担がない。下り坂でも上り坂でも、まさか、でもかまわない」と、小泉純一郎元首相の言葉を引用したジョークを飛ばす余裕を見せた。
【井脇ノブ子、藤野真紀子「大苦戦」】
 民主党の“女性刺客”作戦は、小泉氏が郵政選挙で用いた戦術に近い。それだけに佐藤氏ら郵政選挙で初当選した女性16人は「元祖・くのいち」といっていい。次期総選挙では、そのうち12人が小選挙区での出馬を予定または模索。比例単独だった3人は処遇が決まっておらず、1人は市長選に出馬して落選し、永田町を去った。角谷氏が個別の最新選挙区情勢を分析した当落予測は表の通り。対立候補をリードしている候補はひとりもいない。キャラが立っている人は多いように見えるが、賞味期限切れなのか。角谷氏は「風に頼る選挙しか知らないし、4年間、なんら政治を勉強していない人もいる。逆風下で彼女たちが当選するのは非常に厳しい」と語る。
【猪口邦子ら比例単独組「中ぶらりん」】
 かろうじて接戦を繰り広げているのが、「やや劣勢」の佐藤氏や静岡7区の片山さつき氏(50)ら5人。片山氏は郵政造反組の無所属、城内実氏(44)に地元有力企業が付いたことなどが響きそうだ。「大苦戦」組にもよく知られた名前が並んでいる。ピンクスーツを着て特徴的な外見から「野武士」などの異名を持つ大阪11区の井脇ノブ子氏(63)は、金銭スキャンダルが直撃。愛知4区の元カリスマ主婦、藤野真紀子氏(59)は、「ほとんど地元に帰っていないのでは」(愛知県議)といわれるほどで、選挙運動の甘さが指摘されている。
 佐賀3区で保利耕輔政調会長との公認争いに敗れた広津素子氏(56)は31日、党本部に離党届を提出した。かねてから「他党や新党からの出馬も選択肢」と話しており、事態を打開するための行動とみられる。ただ、新党に入れるかどうかも含めて先行きは不透明だ。猪口邦子氏(57)ら比例単独組は、中ぶらりん状態が続いている。
 角谷氏は「マドンナともてはやされて当選しても、研鑽を積まなければ結局は採決の数合わせ要員に終わり、使い捨てにされるだけだ。すべての候補者は、彼女たちを他山の石にしたほうがいい」と話している。

*2-2:Google 検索サジェッション機能
 広津素子
 広津素子 ky
 広津素子 逮捕
 広津素子 選挙違反
 広津素子 馬鹿
 広津素子 文春
 広津素子 週刊文春

*2-3:http://www.nikkei.com/article/DGXDZO65494970Y4A110C1EA1000/
(日経新聞 2014/1/18) 腑に落ちないグーグル判決
 米グーグルの検索機能が個人のプライバシーを侵害したとして、表示差し止めと損害賠償を命じた東京地裁の一審判決を東京高裁が覆した。人格権侵害は認めたものの、検索サービスの利便性を優先した腑(ふ)に落ちない判決だ。プライバシーの侵害が問われたのは、検索キーワードと関連性の高い言葉を自動的に補う「オートコンプリート」と呼ばれる検索支援機能だ。日本ではサジェスト機能とも呼ばれ、コンピューターが統計処理に基づき関連する言葉を自動的に補ってくれる。原告側によると、自分の名前を入力すると犯罪を思わせる言葉が表示され、職を失うなどの被害にあったという。一審ではこうした機能が個人の名誉を毀損するサイトに導いていたことを考慮し、慰謝料の支払いなどを命じた。一方、高裁は「支援表示はウェブページの抜粋にとどまり、それ自体でプライバシー侵害にはならない」と判断。「事実が公表されない法的利益と、それを公表する理由とを比較衡量すれば、後者が優越する」と結論づけた。高裁判決はインターネット時代を迎え、検索サービスが生活に不可欠な技術となった点を重視したといえる。だが、それだからといって個人の権利が侵害された状態を看過していいというのはうなずけない。不当な表示を削除できる何らかの法的措置は必要だろう。グーグルの検索機能を巡ってはフランスやドイツでも削除を命じる判決が下されたが、グーグルは十分には対応していないようだ。適切な救済措置がとられなければ政府間で協議し、司法とは別な形で対応策を求めていくことも、今後は重要だといえよう。原告側は上告する構えだが、仮に最高裁が判断を再び覆したとしても、国境を越えた外国企業の情報サービスに対し、国内法の執行をどう求めていくかという課題は残る。便利な技術の発展をそぐことは好ましくないが、それを適切に利用できる環境づくりも併せて進めていく努力が必要だ。

*3:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0501A_V00C14A1CR8000/
(日経新聞 2014/1/5) 求職しない潜在保育士、「賃金合わない」47%
 資格があるのに保育士の仕事を希望しない人の半数近くが「賃金が希望に合わない」を理由に挙げていることが5日、厚生労働省の調査で分かった。待機児童問題が深刻化する中、政府は保育士不足の解消に向け、保育の仕事をしていない有資格者「潜在保育士」の活用を掲げている。今後はさらに賃金面での待遇改善が求められそうだ。調査は昨年5月、ハローワークで求職した潜在保育士を対象に実施し、958人から回答を得た(回答率47.1%)。保育の仕事を希望しない理由を複数回答で尋ねたところ「賃金が合わない」が最多で47.5%。厚労省によると、保育士の平均給与(2012年)は月21万4200円で、全業種の平均より10万円以上低かった。そのほかの理由は「他業種への興味」43.1%、「責任の重さ・事故への不安」40.0%、「自身の健康・体力への不安」39.1%、「休暇が少ない・取りにくい」37.0%と続いた。こうした問題が解消された場合は保育士を希望すると回答した人は63.6%に達した。保育現場での勤務経験がない人は30.3%。経験者668人のうち、5年未満が50.7%を占めた。厚労省の推計では、「潜在保育士」は全国に60万人以上。政府は昨年4月、17年度末までの5年で40万人分の保育の受け皿を整備する「待機児童解消加速化プラン」を打ち出したが、定員の急速な拡大で保育士が約7万4千人足りなくなると予測している。保育士の待遇改善のため、厚労省は平均勤続年数に応じて賃金を上乗せできるよう私立保育所などに補助金を支給。全国のハローワークでは保育士の応募が一定期間ない保育所に求人条件見直しなどの相談に応じている。潜在保育士確保策としては、現場復帰に必要な知識を学ぶ講座や実習などを実施する施設などに助成金を出している。

*4:http://qbiz.jp/article/30622/1/
(西日本新聞 2014年1月17日) 非正規公務員の7割超が女性 九州、保育士や調理員
 九州7県の市町村で働く「非正規公務員」のうち、74・6%を女性が占めていることが西日本新聞の取材で分かった。各自治体が保育士など女性の多い職種で正職員を非正規に切り替え、人件費削減を進めているためだ。非正規の給与は男性中心の正職員の約3分の1にとどまり、専門家は「雇用形態の違いを名目に賃金格差を設ける女性差別の側面がある」と指摘する。
 ◆識者「性差別の側面」
 総務省が2013年3月に公表した全国の臨時・非常勤職員調査のうち、未公表データを本紙が入手。性別を集計していない北九州市を除く九州の232市町村について、男女の比率を算出した。それによると、女性の非正規職員が多い職種は保育士、給食調理員、教員・講師、看護師など。一般事務職に女性が多い自治体もあった。同省によると、官民を合わせた全国の非正規労働者に占める女性の割合は68・8%(12年)で、九州の市町村の高率が際立つ。非正規職員に占める女性の割合を県別にみると、高い順に熊本80・7%▽宮崎76・6%▽福岡75・1%▽佐賀74・5%▽大分72・4%▽長崎71・7%▽鹿児島68・8%−となった。9割超の自治体も21あった。非正規職員の96%を女性が占める熊本県玉名市は「保育士や調理員など自治体には女性職場が多いため、非正規も女性の割合が高くなる」と説明。福岡県宗像市は「短時間勤務を望む女性は少なくない。家計補助としては一定の賃金水準になっている」と話した。地方自治総合研究所の上林陽治研究員は「政策決定の職場を男性が担う一方、福祉など住民生活をケアする仕事は低賃金の非正規の女性に任せるという構図が強まっている」と指摘。経済協力開発機構(OECD)が12年「日本の男女間の賃金格差はOECD諸国で2番目に大きい」と警鐘を鳴らすなど女性の低賃金は国際機関から改善を求められており、上林氏は「手当の充実など労働環境の改善を急ぐべきだ」と行政の対応を求めた。
 ◆「自立可能な賃金水準を」 首都大学東京の江原由美子教授(社会学)
 公務員批判を背景に、正職員を削減し効率化を図る自治体が評価される傾向にあるが、そのつけが低賃金の非正規職員、特に女性に回っている。非正規の若年女性も家族に頼らず、自立可能な賃金水準が不可欠だ。政策決定に関わる女性職員の割合も高める必要がある。

*5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140120&ng=DGKDASFS1900T_Z10C14A1MM8000 (日経新聞 2014.1.20) 子育て世代、働く女性最多 35~44歳、初の7割超 景気回復、環境も改善
 子育て期に働く女性が増えている。総務省の労働力調査によると、35~44歳の女性のうち就業者と求職者が占める割合は2013年1~11月の平均で12年より1.6ポイント上昇し、71.3%となった。子育てのため離職する人が多いこの年齢層で70%を超すのは初めて。景気回復で働き口が増えたうえ、保育所の増設などで子どもを持つ女性の働く環境が改善したためだ。働く女性が増えると、中長期的な経済成長率の底上げにつながる。労働力人口は就業者と職探しをしている失業者の合計で、働く意思のある人の総数を示す。13年の女性の労働力人口は3年ぶりに増え、11月までの平均で前年比37万人増の2803万人。増加率は1.3%と1997年以来、16年ぶりの高水準となった。一方で男性の労働力人口は12年に比べ12万人強減る見通し。男性の労働力の減少を女性が補う格好だ。15~64歳の女性人口に占める労働力人口の割合(労働力率)も上昇している。13年は64.9%程度と過去最高を更新。12年と比べた伸び率は1.5ポイントと統計がさかのぼれる69年以降で最大だった。
 年齢別にみると、子育てに伴う離職が多い35~44歳で12年と比べ1.6ポイント伸びた。10年前と比べた上昇率は4.8ポイントで、その3分の1を13年に達成した。同世代の労働力人口は13年に660.8万人程度と過去最多になる見通しだ。働く女性が増えている要因は3つほど挙げられる。1つは景気回復に伴う求人数の増加だ。人材情報大手インテリジェンスによると、同社の求人サービス「an」に寄せられたバイト求人は、昨年11月は前年の1.5倍に膨らんだ。小売業の出店にあわせた求人の伸びが大きく、特に女性の働き手が多い販売などの業務は2倍になった。子育てと仕事を両立させる環境が整いつつあるのも追い風だ。横浜市など保育所整備に力を入れる自治体が増え、待機児童は昨年4月時点で、3年連続で減った。第一生命保険や日産自動車など大企業が女性管理職の登用方針を掲げるようになったことも、女性が働き続ける誘因となっている。日本は育児と仕事の両立が難しいため、他の主要国と異なり、女性の労働力率が子育て期に下がる「M字カーブ」を描いている。日本経済の中長期の実力を示す潜在成長率は現在、0%台半ばとみられる。人口減で将来は労働力が不足し、潜在成長率が下がる懸念がある。女性・高齢者の労働参加が進めば、潜在成長率は0.35%高まると三菱総合研究所は試算する。女性の労働参加を引っ張るのは非正規雇用だ。1~9月の雇用者を形態別にみると、非正規社員が前年同期に比べ3%増える一方、正規社員は1%減った。

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2014.1.19 都知事選の争点は多いが、日本最大の電力消費地である東京の責任は大きい (2014.1.20追加あり)


(1)東京都民への要望
 あるブログ(http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20140119)でアンケートをとったところ、上の図の結果となり、原発問題への関心は8位と低かったそうだが、日本最大の電力消費地である東京が、今後、どういうエネルギーを使っていくかについて意思表示をすることは都民の役割であり、東京が変われば日本も変えられるだろう。そのため、*1、*2、*3のように、細川元首相は何とかしようと必死の思いで立候補し、小泉元首相が応援しているのである。なお、私も脱原発票が割れるのは心配しており、宇都宮健児氏には司法の側面から徹底してやっていただくという方法もあると思う。

 残念ながら、*4、*5のように、国は、国民をごまかしてまで原発再稼動に突き進んでいる。そのため、電力の大消費地である東京都民は、何由来の電力を使いたいのか、原発再稼動は是か非かの審判もしてもらいたい。なお、上図の上位に上がった問題は、首相経験者なら誰でもやれるし、都庁内にも多くのアイデアがある筈だ。そして、原発を再稼動しないことを決めてしまえば、他のエネルギーの普及を邪魔する者はなく、準備は既にできている。

 *4の自民党森派の領袖だった森元首相は、面倒見はいいものの、1937年生まれで小学校時代はいじめの常連、勉強はそれほど出来ず、早稲田大学ラグビー部監督のスポーツ推薦を受けて早稲田大学第二商学部に入学し、早稲田大学雄弁会を経て政治家になった人である。そのため、大きなエネルギーと言えば原子力を思い出されるのかも知れないが、判断の基礎となる科学的知識はあまりない。

(2)電力自由化で電力不足は解消する
 骨抜きにせず電力自由化を行えば、超電導電線を敷設して他地域から東京に電力を送ることもできるし、新電力も伸びることができる。そのため、*4の「『原発即ゼロ』なら五輪返上しかない」とする森元首相の発言は、単なる脅しである。

 電力に関しては、これ以外にも「原発はコストの安い電源である」「原発が再稼動しなければ電気料金を上げる」など、地域独占の弊害からくる嘘と脅しの発言が多かったが、これこそ糾弾し、本当に安い国内産の電力を使うようイノベーションを進めて、生産性を上げることが必要である。また、地域独占でなくても安定した供給が行われることは、他のすべての産業で証明されている。

(3)原発頼みのエネルギー基本計画と国民負担による東電救済はおかしい
 *6に書かれているとおり、東電の再建計画が、まだ原発頼みで、国費を投入して事故負担の軽減を図っているのは、あまりにも反省がなく無神経だ。そして、国が、エネルギー基本計画で原発を重要なベース電源と位置付け、なし崩し的原発再稼働を進めようとしているのは、放射線公害への認識が全くないと言ってよい。また、国民負担より前に、東電の株主や金融機関に負担を求めるべきである。

 なお、2016年度からの電力小売り自由化を睨めば、東電は、新エネルギーへシフトし、原発は再稼働より廃炉に専念して、国の支援もそこに力点を置くのが、フクシマを経験した後にやるべきことだろう。

*1:http://gendai.net/articles/view/news/147226
(日刊現代 2014年1月15日) 「脱原発」都知事選 「小泉-細川」が仕掛ける“反安倍”戦争
 都知事選で小泉純一郎元首相が細川護煕元首相を全面支援することになったが、これは小泉の安倍自民党に対する“宣戦布告”だ。ケンカを売られ、当初は表に出ないつもりだった官邸もムキになってきた。いよいよ全面戦争である。14日のぶらさがり会見。小泉は出馬する細川以上に力が入っていた。細川を支援することについて、「喜んで」「積極的に」という言葉を使い、前のめりな姿勢をわざわざアピールしたのだ。そのうえ、「細川氏が当選すれば、原発問題で国政を揺るがす大きな影響力を与える知事になる」と都知事選を国政マターに引き上げ、「原発ゼロでも日本は発展できるというグループと、原発なくしては日本は発展できないというグループの戦いだ」と、原発推進の安倍首相に敵意をむき出しにした。完全に“火”のついた小泉は、選挙戦で街頭にも全面的に立つ。対する舛添陣営。除名問題もあり、自民党は都連推薦にとどめ、本部は表に出ないはずだった。が、小泉から宣戦布告され、引っ込んでいられなくなった。舛添も14日の出馬会見で、政策の一番手に「五輪成功」を掲げ、「世界一の東京を目指す」と発言。「世界一」が大好きな安倍カラーに染まり、舛添と自民党が一体化しつつある。

*2:http://www.asahi.com/articles/ASG1L4FDCG1LUTIL00S.html?iref=com_top6_05 (朝日新聞 2014年1月18日) 細川氏、原発再稼働認めない方針 都知事選、22日会見
 23日告示の東京都知事選で、立候補を表明している元首相の細川護熙氏(76)が22日夕に記者会見を開き、具体的な政策を公表することになった。脱原発については、「原発の再稼働を認めない」とする方針を固めた。陣営の複数の関係者が18日、明らかにした。細川氏は当初、15日に会見を開いて政策を公表する予定だったが、陣営は17日に延期。さらに16日には、会見の日程を再度変更して「20日以降」にすることを示していた。細川氏は14日、小泉純一郎元首相と会談し、都知事選に立候補して脱原発を中心に訴える意向を表明した。再稼働を認めない方針については、22日の会見で詳細を語るという。

*3:http://www.47news.jp/CN/201401/CN2014011801002303.html
(47ニュース 2014年)1月19日) 細川氏、安倍政権への懸念強調 都知事選で政見
 東京都知事選(23日告示、2月9日投開票)に立候補する細川護熙元首相(76)は18日、原発再稼働などを進める安倍政権への懸念を強調するとともに、都政の継続性に配慮を示すことを柱とした「政見」をまとめた。「東京が日本を変える」をキャッチフレーズに掲げる。原発の再稼働を認めないなど脱原発を柱とする5項目の公約と併せ、22日の記者会見で発表する。細川氏の政見は、安倍政権が進める原発・エネルギー政策に加え、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加や集団的自衛権の行使容認、特定秘密保護法制定を批判。中韓両国との関係悪化も非難する。「都市間外交」の積極展開も打ち出す。

*4:http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2020/politics/20140118-OYT1T00775.htm
(読売新聞 2014年1月18日) 「原発即ゼロ」なら五輪返上しかない…森元首相
 2020年東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会の会長に就任する森元首相は、18日のテレビ東京の番組で、小泉元首相が訴えている「原発即時ゼロ」について、「6年先の五輪のためにはもっと電気が必要だ。今から(原発)ゼロなら、五輪を返上するしかなくなる。世界に対して迷惑をかける」と批判した。

*5:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2013052202100003.html (東京新聞 2013年5月22日) 原発電力 政権二枚舌 世界から疑問の恐れ
 二〇二〇年東京夏季五輪は電力の余裕が十分あると国際公約しながら、国内では電力の安定供給のために原発再稼働を進めるという相反する説明を安倍政権がしている。電力確保は国民生活や経済活動はもちろん、世界各国から大勢の人が訪れる五輪開催に不可欠。整合性の取れた説明がなければ開催計画の信ぴょう性が疑われかねない。安倍政権発足後のことし一月、五輪招致委員会は国際オリンピック委員会(IOC)に詳細な開催計画書「立候補ファイル」を提出した。電力に関する項目では「東京では、既存の配電システムで、二〇年東京大会で発生する(電力の)追加需要に対応することができる」と明記した。ここに、東電や他の電力会社の原発再稼働方針は書かれていない。にもかかわらず、ファイルでは電力は今後も安定して確保できるとアピールした。最大の根拠として、昨年七~八月の東電管内の最大電力需要五千七十八万キロワットに対し、七百八万キロワットの予備力があったことを挙げた。この時期は東電の全原発が停止中。国外に向けては、再稼働がなくても電力に余裕があると宣伝したことになる。加えて、今後の新たな電力増強策として(1)東電が一五年までに既存の電力発電所の増強や新設で約三百万キロワット(2)東京ガスグループが約二百万キロワットの天然ガス発電所を建設・保有する-と列記した。これらの余力は計約千二百万キロワット。日本の平均的な原発十基分に相当する。ファイルは、IOC委員が五輪開催地を決める際の重要な判断材料。「東京大会のコンセプトは都や国との綿密な協議を重ねて作られた」と政府のお墨付きを得たと強調している。安倍晋三首相は招致委の最高顧問。全閣僚が特別顧問に名を連ねる。だが安倍政権は、国内向けには原発再稼働へと前のめりの姿勢を隠さない。この問題は、四月二十五日の参院予算委員会で取り上げられた。生活の党のはたともこ氏が、ファイルの電力に関する記述が正しいなら原発再稼働は不要だとただすと、茂木敏充経済産業相はファイルの内容について「間違いがあるか、ないかはお答えする立場にはない」と答弁。「電力供給は、ある時点とか東京が良ければいいという話ではない」と原発再稼働の必要性を強調した。茂木氏の発言は、ファイルの内容に誤りがあるかの印象を国内外に与えかねない。それでも安倍首相は五月十五日の参院予算委員会で、今後の再稼働について「できる限り早く実現していきたい」と表明。柏崎刈羽原発の再稼働を目指す東電を後押しした。東京五輪の最大の目的の一つは、震災からの復興のアピール。だが、矛盾しているともとれる説明は、日本が原発事故から得た教訓と向き合っているのかどうか、国際社会に疑問を抱かせるおそれがある。

*6:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014011602000139.html (東京新聞社説 2014年1月16日) 東電再建計画 原発頼みは筋が通らぬ
 政府が認定した東京電力の新たな総合特別事業計画(再建計画)は国の支援を強化し、東電の事故負担の軽減を図って再建を確かにする狙いがにじむ。フクシマの反省や教訓はどこへいったのか。いわば国と東電が二人三脚で作った再建計画である。エネルギー基本計画で原発を「重要なベース電源」と位置付ける政府と当事者である東電の合作では、なし崩し的に原発再稼働が盛り込まれるのは予想できた。だが、過酷事故を忘れてしまったかのような、あまりに無神経な計画の内容ではないか。再建計画では、被災者への損害賠償は従来通りに東電が支払うが、電力会社が除染など事故処理の費用をすべて負担する枠組みを見直し、国と東電の役割分担を明確化した。除染のうち、実施・計画済みの費用は国が保有する東電株の売却益を充て、東電の負担を軽くする。確かに、一企業では背負いきれない巨額費用を東電に押しつけるだけでは事故収束が進まないおそれがある。国も原発を国策として推進してきた以上、国費の投入はやむを得ないとの声はある。しかし、国費投入とは、原発と全く関わり合いがない沖縄県民も含め、国民負担が何兆円も生じることである。東電への融資や投資で利益を上げてきた金融機関や株主の負担を求めるのが本来の筋である。原発を推進した経済産業省などの関係者が誰一人として責任を問われていないのもおかしい。再建計画では、東電の収益体質の強化も柱の一つとしている。燃料調達の改善や海外投資などの改革も描くものの、切り札は相変わらず原発である。今年七月以降、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を順次目指すとした。福島原発の汚染水問題すら収束せず、今なお十五万以上の人に避難を強いていながら、収益優先で原発に固執する姿勢は到底理解を得られまい。汚染水の貯蔵タンクで溶接費を節約したばかりに大量流出を招いたように、東電がこのまま収益重視の経営を続ければ、安全対策はおろそかになろう。再稼働の議論より先に、フクシマの検証と総括もやはり必要だ。二〇一六年度からの電力小売り自由化をにらめば、ガス販売や原発に代わる新エネルギー事業へシフトし、原発は再稼働より廃炉に専念、国の支援もそこに力点を置く。それが福島事故を経験した東電の生き残る道ではないか。


PS(2014.1.20):フクシマ3号機の原子炉建屋床面で、1リットル当たり2400万ベクレルのベータ線を出す放射性物質が検出されても、その漏えい箇所と原因が特定できないなどと言っている東電。フクシマ3号機は爆発したため、今さら原因を言えないのに決まっているではないか。

*7:http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2014/01/post_9063.html
(福島民報 2014/1/20) 放射性物質2400万ベクレル 第一原発3号機の漏水
 東京電力は19日、福島第一原発3号機の原子炉建屋の床面で見つかった漏水を分析した結果、ベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり2400万ベクレル検出されたと発表した。漏えい箇所と原因は特定できておらず、東電は調査を続ける。分析では、ベータ線を出す放射性物質以外に放射性セシウム134が1リットル当たり70万ベクレル、同137が170万ベクレル検出された。水温は20度だった。東電は1~3号機の溶融燃料を冷やすため原子炉内への注水を続けている。今回見つかった水は注水時の水よりも放射性物質濃度、温度とも高く、東電は「注水段階で直接漏れたものではない」としている。原子炉の格納容器の損傷部分から冷却後の水が漏れている可能性があるという。東電によると、原子炉内の温度や水位に変動はない。

| 2014年東京都知事選::2014.1.1~2 | 06:09 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.1.18 国民生活が貧しくなる脱デフレと称する「インフレ政策+消費税増税」の罪 (2014.1.19最終更新)
(1)脱デフレ(インフレ)はどれだけ進んだか
 *1で「2%の物価上昇を目指す」として始まった金融緩和と円安の影響で、消費者物価は20~30%上昇した。私が、それに気がついたのは、去年と全く同じ買い物をした年末のスーパーでの支払いが、去年より20~30%程度多かったため、変に思ってその理由を考えたからだ。そうすると、2012.11.30に円は82円台、同12.31には85円台だったのが、2013.12.31には105円台だった。そのため、輸入食材を多く使っていれば、仕入れ値が20~30%上がるため、消費者の支払いが去年より20~30%多かったのは自然だ(根拠:105/82=1.28《28%アップ》、105/85=1.24《24%アップ》)。

 そのため、*4で「年末年始の消費旺盛で、百貨店の売上高が2~8%増加した」というのは、輸入衣料品の単価は20~30%上がったが、消費者が購入数量を抑えて2~8%の増加に留まったと考えるのが妥当だろう。また、「4月の消費増税を控えた駆け込み需要も出始めた家電量販店は2ケタの伸びとなっている」というのは、単なる購入時期のずれであり、景気とは関係がない。また、そのほかに「景気が良くなった」としているものも、人の幸福を増す自然な景気のよさではないし、名目と実質を混同している。

(2)働く世代は、何%のベースアップなら同じ生活水準を守れるのか
 このような中、*1、*2、*3のように、「インフレ政策をとり、消費税率を10%まで引き上げよ」という声が、財務省を中心とする政府・経済界・メディアから出ている。

 一方で、「景気が良くなれば、賃金のベースアップがある」という理屈もあるが、仮に物価が25%上がり、消費税が8%になった場合、賃金は28%(25+8-5=28)ベースアップされなければ、以前と同じ水準の生活は維持できない。つまり、*5の「全ダイハツ労連、今春闘で、ベースアップに相当する1%以上の賃金改善を要求する方向で検討」では、全く足りないのだ。しかし、企業は、その人の生産性以上の賃金を支払うことはできないため、賃金をベースアップできるためには、カンフル剤ではない本当の生産性向上が必要なのである。

 さらに、*6のように、非正規雇用は最多更新が続き、その上、正規雇用減少の政策が進められようとしており、*7のように、「生活保護受給者は昨年10月に216万4000人となり、過去最多」となっているのだ。政府の政策はおかしい。

(3)「増えつつあるシニアの消費」という本物の需要を抑える政策は、ニーズに逆らう愚策である
 *8に書かれているように、現在は、「年280兆円規模の国内個人消費で、60歳以上の消費額が全体の5割近くを占め、社会保障分野を中心に潜在需要が多い」わけである。そのため、その自然のニーズにあった市場を伸ばすべきで、これは、今後、中国始め世界で増加するニーズであり、輸出も可能だ。

 しかし、インフレ、消費税増税、高齢者負担増、年金削減などの政府の政策は、そういう支出に備えて蓄えてきた高齢者のぎりぎりの蓄えを目減りさせ、それと同じだけ国や企業の借金を目減りさせる。そのため、これがよいことだと主張する人は、人間の道徳と経済学を勉強し直すべきだ。

*1:http://www.asahi.com/paper/editorial.html
(朝日新聞社説 2013年12月31日) アベノミクス1年―中長期の視点を忘れるな
 この1年、日本経済はアベノミクスを中心に回ってきたといえるだろう。安倍政権は「異次元」の金融緩和と大規模な財政出動を推し進めた。幸い、世界経済も落ち着きを取り戻した。これらが日本経済の沈滞したムードを一変させたのは間違いない。物価はプラスに転じ、政府は12月の月例経済報告で「デフレ」の文字を4年2カ月ぶりに削った。しかし、金融と財政が混然一体となった異例のデフレ脱却策は、財政破綻のリスクを膨らませてもいる。危惧するのは、安全保障の強化など「安倍カラー」の政策を進めるために支持率の維持が最優先となり、景気のわずかな停滞もなりふり構わず排除する姿勢が見えることだ。来春の消費増税への対策に5・5兆円もの国費を投入するのはその典型だ。目先の景気刺激を意識するあまり、構造的な財政悪化の是正という中長期の政策がおろそかになっては、手痛いしっぺ返しが来る。
■インフレ期待の逆流
 アベノミクスで、まず打ち出されたのは日銀による金融緩和である。正式には「量的・質的金融緩和」という。以前は、緩和策の終了に備えて満期3年までの国債を市場で買っていたが、現在は3年以上の国債も大量に買い込む。2年で日銀の資産を2倍に増やし、2%の物価上昇を目指す。金融緩和への強い姿勢を示すためだが、一方で金融政策のかじ取りは難しくなる。生命線は「インフレ期待」である。家計や企業が物価高を予想して早めに支出を増やし、それが経済を活性化させ、さらに物価上昇につながる好循環を想定している。現実に、物価は上がりつつある。だが、その相当部分は円安による輸入インフレで占める。値下げ競争でデフレの元凶だったパソコンや家電で価格低下が止まったのも、輸入依存度が高まったためだ。これだけでは家計を圧迫する「悪いインフレ」である。実質的な収入が増えなければ、日銀の想定とは逆に家計の財布のひもは固くなる。インフレ期待が「逆流」しかねない。先々のインフレ率の予想も伸び悩み、金融市場では追加緩和の催促が始まった。黒田日銀総裁は「緩和策の逐次投入はしない」というが、インフレ期待を維持するために追加緩和を続ける悪循環のリスクもちらつく。こうしたジレンマを覆い隠すのが、大盤振る舞いの財政出動だ。政権発足後、補正予算を含めると年間100兆円規模の大型歳出が続く。リーマン・ショック前の好況期に比べ15%ほど多く、国債依存率も上昇した。経済全体の財政依存は深まっている。消費増税対策の補正予算も、公共事業をはじめとするバラマキ型で、古い自民党時代の赤字膨張メカニズムさながらだ。
■劣化する財政規律
 そもそも消費増税は、社会保障を持続可能なものにするための第一歩である。国民に負担増を求める以上、中長期の歳出抑制につながる財政改革に力を注ぐべきだった。ところが、安倍政権では社会保障との「一体改革」という位置づけは遠景に退き、増税対策の名目で予算の分捕り合いが展開される。財政規律は「量的・質的」にむしばまれていると言わざるをえない。日銀の金融緩和が長期金利を抑え込んでいることが、政府与党の慢心を助長していることも否定できまい。結局、アベノミクスは金融と財政の「上げ底」ミックスに過ぎない―。いずれ、そんな疑念が深まるのを恐れる。それは、日銀の緩和策が財政赤字の穴埋めだという見方を広げ、国債暴落(金利急騰)の引き金になりかねない。安倍政権は、企業に対する賃上げ要請に力を入れている。9月から続いた政労使の協議は、合意文書で来年の春闘での「賃上げ」を明記した。インフレ期待の逆流を防ぐのに賃金上昇が重要であるのは事実だ。円安メリットを享受する主要企業が率先して労働者に還元すべきことも論を待たない。
■暮らしの底上げを
 ただ、賃上げやベアはあくまで労使の努力で主体的に生み出すものだ。成果を急ぐような政府介入は弊害が大きい。春闘の中心は製造業の大企業であり、対象は正社員だ。むしろ政府が果たすべき役割は、サービス業や非正規労働者、中小企業での賃上げに向けた環境整備である。例えば、巨大な潜在需要がありながら、低賃金労働が一般化している福祉・介護の分野だ。介護保険など制度に縛られた面が大きく、ここを社会保障の改革の中で相応の所得を生む仕事に変えていく。暮らしの底上げを目指す成長戦略に目を向けるときだ。

*2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140107&ng=DGKDASFS06029_W4A100C1PP8000
(日経新聞 2014.1.7) 財務相「消費税10%達成を」 7~9月が重要と指摘
 麻生太郎財務相は6日、職員向けの年頭挨拶で「(消費税率10%に)到達しなければ我々の本来の目的は達成できない」と述べ、税率上げに意欲を示した。政府は税率を4月に8%にした後、2015年10月に10%へ上げる予定。経済状況を慎重に見極めたうえで、年内をメドに安倍晋三首相が10%に上げるかどうかを最終判断する。麻生財務相は「4~6月、7~9月の結果がすべてを語る」とも指摘。今年4月の増税後に減速するとみられる景気が、7月以降に回復に向かうかが判断の分かれ目になるとの考えをにじませた。7~9月期の経済状況が重要なのは、首相判断の直前とみられる今年12月に、この時期の国内総生産(GDP)の改定値が発表になるためだ。日本経済研究センターがまとめた民間エコノミスト41人の経済予測の平均をみると、実質成長率は前期比年率で4~6月期がマイナス4.62%、7~9月期がプラス1.89%になる見通しだ。

*3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140108&ng=DGKDASFS0704D_X00C14A1PP8000
(日経新聞 2014.1.8) 「消費税10%必ず実現を」 経済3団体トップが年頭会見で一致
 経団連、日本商工会議所、経済同友会の経済3団体トップは7日、新年の合同記者会見を都内で開いた。政府が2015年10月に予定する消費税率10%への再引き上げについて、社会保障の充実や財政再建の観点から「必ず実現すべきだ」(米倉弘昌経団連会長)との意見で一致した。安倍晋三首相は今年4月の消費税率8%への引き上げが日本経済に与える影響を慎重に見極めた上で、10%に上げるかどうかを年内をめどに最終判断する方針。米倉会長は「消費税を社会保障目的の税として手当てすることで財政健全化につながり、国際的な信認が強まる」と再引き上げの必要性を強調した。日商の三村明夫会頭も「8%への引き上げだけでは、社会保障と税の一体改革は達成されない」と指摘した。デフレ脱却に向けた賃上げの必要性でも足並みをそろえた。同友会の長谷川閑史代表幹事は「この機を逃すと、日本が成長軌道に戻るのは難しくなる。経済にプラスになることは協力する」と賃上げに前向きな考えを示した。米倉会長も「景気の好循環を目指して、会員企業に賃上げをお願いする」と語った。会見に先立つ3団体の新年祝賀パーティーには過去最高の1850人の経営者らが集まり、安倍首相も出席した。首相は「賃金と消費を拡大し、企業が収益を増やして設備投資するという好循環を実現したい」と強調した。

*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140107&ng=DGKDASGF0606O_W4A100C1EA2000 (日経新聞 2014.1.7) 年末年始の消費旺盛 百貨店の売上高2~8%増
 小売り各社の店頭がにぎわっている。ボーナス商戦から初売りまでの百貨店の売上高は前年同期比2~8%増え、4月の消費増税を控えた駆け込み需要も出始めた家電量販店は2ケタの伸びとなっている。個人消費の好調は増税直前の3月末まで続く見通しだ。百貨店では宝飾品などの高額品に加え、主力の衣料品も伸びた。株高の資産効果に加え、冬のボーナス支給額の増加も押し上げ要因になった。大手5社が6日発表した12月の既存店売上高(速報値)は全社が2カ月連続プラス。年明け以降は伸びが大きくなっている。三越伊勢丹の12月の売上高は6.6%増。旗艦店の伊勢丹新宿本店(東京・新宿)では宝飾・時計が30%増、婦人服が26%増だった。大丸松坂屋百貨店も12月は3.6%増。年明けの2~5日は冬物衣料のセールの効果もあり、プラス幅は5.7%に拡大している。家電量販店ではエアコンや冷蔵庫など白物家電が好調。ケーズホールディングスの12月1日~1月5日の売上高は10%増え、「高単価・高性能商品の売れ行きがよい」。ビックカメラでは1月に入り、20万円程度する白物家電に人気が集中。販売額はエアコンや冷蔵庫が70%増、洗濯乾燥機は60%増となっている。インターネット通販でも単価の高い商品が人気を集めた。12月の取扱高が過去最高となったヤフーの通販サイト「ヤフーショッピング」では家電や自転車などの取り扱いが30~40%増えた。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは12月の個人消費を前年同月比3%増の27兆1000億円と試算。先行きも1~3月は2%前後の伸びとなる一方、駆け込み需要の反動減などが見込まれる4~6月は3%台のマイナスになるという。ただ、景気回復による賃上げの期待感が高まるなか、百貨店業界では「前回の増税時より影響は軽微」(J・フロントリテイリング)といった見方も広がっている。

*5:http://qbiz.jp/article/30135/1/
(西日本新聞 2014年1月8日) 全ダイハツ労連、1%以上ベア要求へ 他労組に影響も
 ダイハツ工業グループの労働組合で構成する全ダイハツ労働組合連合会(約2万5千人)が、今春闘で、ベースアップ(ベア)に相当する1%以上の賃金改善を要求する方向で検討していることが8日、分かった。14日の中央委員会で正式決定する。自動車メーカーの労組では、全トヨタ労働組合連合会が具体的な金額を盛り込まずベアを要求する方向で調整している。具体的な賃上げ要求の数字が明らかになったのは全ダイハツ労連が初めて。今春闘での他労組の動きに影響を与えそうだ。ダイハツ工業は2013年9月中間連結決算で過去最高の売上高を計上。業績が上向いているため「目安を示した方が、春闘に臨みやすい」(労組関係者)と判断した。前年と比べて平均月給を1%以上増やすよう求めていく方針。年齢が上がるごとに賃金も上がる「定期昇給」に加え、賃金体系を底上げするベアにより、組合員の生活水準を向上させる。一律の賃上げか、若い世代に手厚く配分するかなど、具体的な要求内容は組合ごとに決めるという。上部組織の自動車総連はベアを要求する方針案を確認したが、「各社の業績にばらつきがある」などとして具体的な賃上げ額を示していない。ダイハツ工業はトヨタ自動車の子会社だが、全ダイハツ労連と全トヨタ労連は別組織として活動している。

*6:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014010902000153.html
(東京新聞 2014年1月9日) 非正規 最多更新続く 安倍政権 正規減少の政策推進
 派遣社員やパートなど非正規労働者の数が過去最多を更新し続け、四割に近づいている。安倍晋三首相は経済政策の成果として、雇用の改善を挙げるが、実態は非正規労働者の急増に支えられ、正社員など正規雇用は減っている。安倍政権は企業の競争力を強化するため、正社員のさらなる減少につながる政策も推し進めようとしている。首相は年明け後も景気の回復を強調し、七日の会合では「今年も経済最優先で日本経済をしかるべく成長させていく」と述べた。だが、少なくともその恩恵は国民全体にまで広がっていない。総務省の労働力調査によると、非正規雇用者は昨年十一月時点で、千九百六十四万人と過去最多になった。雇用者全体に占める割合も増加傾向が続き、政権発足直後の昨年一月と比較して1・9ポイント増の37・2%。働く人の三人に一人が非正規雇用という水準を大きく超えている。
 雇用改善を主張する首相の根拠は、全体の雇用者数が昨年一月から十一月までの間に百六万人も増え、五千二百七十四万人となった点だ。しかし、それは非正規にあたるパートやアルバイトが百十一万人増えたためで、正規雇用は逆に二十六万人減少した。厚生労働省がまとめた有効求人倍率にも同じ傾向が見られる。昨年一月に〇・八五倍だった有効求人倍率は、十一月には一・〇〇倍に回復。ただ、正社員に限れば〇・六三倍にとどまる半面、パートは一・三〇倍に上る。ここでも非正規雇用の求人が全体の倍率を押し上げている。安倍政権はさらに、正規雇用の減少につながりかねない政策に意欲を示す。昨秋の臨時国会で成立した国家戦略特区法では、規制緩和の一つとして、有期雇用期間の延長を検討している。現在は契約社員などの有期雇用者は、五年勤めれば正社員となれるように要求できるが、それを十年程度に延長する。政府は「期間を区切ったプロジェクトがやりやすくなり、専門家を集めやすくなる」というが、正規雇用になる道を狭めかねない。

*7:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014010802000232.html
(東京新聞 2014年1月8日) 生活保護受給216万4000人 昨年10月、過去最多
 厚生労働省は八日、全国で生活保護を受けている人が昨年十月時点で二百十六万四千三百三十八人(前月比四千五百三十人増)となり、過去最多だったと発表した。これまで最も多かった昨年三月の二百十六万一千五十三人を七カ月ぶりに更新。受給世帯数も百五十九万四千七百二十九世帯(同三千八百十八世帯増)で、過去最多だった。厚労省は、低年金や無年金で生活保護に頼らざるを得ない高齢者が増えていると分析している。世帯別では、六十五歳以上の高齢者世帯が全体の約45%を占め、七十一万九千三百九十八世帯(前月比二千三百九十九世帯増)。働ける世代を含む「その他の世帯」は二十八万八千六百三十世帯(同四十五世帯増)だった。受給者は二〇一二年十二月に二百十五万人を突破し、その後も高水準で推移している。政府は生活保護費のうち食費や光熱水費に充てる「生活扶助」の基準額を今年四月に0・4%引き上げる。物価下落などに伴い実施する基準額引き下げ分と、消費税増税に伴う引き上げ分を相殺し、決定した。

*8:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140109&ng=DGKDASDC0800I_Y4A100C1EA1000 (日経新聞 2014.1.9)
シニア消費 伸び鮮明 60歳以上の世帯46%占める 企業、市場発掘急ぐ
 年280兆円規模の国内個人消費で、60歳以上の高齢者を世帯主とする家計の存在感が一段と高まっている。政府の家計調査によると、2013年11月の2人以上の世帯では65~69歳の消費額が前年同月比8.3%増え、全世帯の伸び率(2.1%)を上回った。60歳以上の消費額は全体の5割近くを占めるようになり、企業も生活支援サービスなど有望市場の発掘を急ぐ。社会保障分野を中心に潜在需要も多く、規制緩和も重要になる。11月の65~69歳以上の世帯の消費額は28万7807円。全世帯の平均額27万9546円を約1万円上回った。株式などの有価証券の約7割を60歳以上の世帯が保有しており、足元の株高効果でシニア消費の伸びが大きくなっている面がある。シニア消費は高齢者人口の伸びを上回っている。総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は00年の17.4%から13年には25.2%に上昇。一方、国内消費全体に占める65歳以上の世帯の比率は18.4%から34.2%(11月時点)まで上がった。60歳以上の世帯で見ると消費額は全体の46.6%を占め、従来の主力だった40~59歳の世帯の消費(40.8%)と比率が逆転した。晩婚化で60歳を過ぎても子供と同居する高齢者が増加。定年延長の影響で、2000年代後半に60歳以上になった「団塊の世代」を中心に働く人も増えている。シニア消費の存在感の高まりは企業データからも浮かぶ。イオンは12年秋に55歳以上向けの電子マネー「G・Gワオン」の発行を始めた。会員数は200万人を超え、平均利用回数は月10回とイオンの電子マネー全体(6~7回)を大幅に上回る。今後の有望市場は、一歩踏み込んだ生活支援サービスだ。「最も力を入れていくのは宅配サービスだ。潜在ニーズはすごく大きい」。セブン―イレブン・ジャパンの井阪隆一社長はこう語る。同社は現在、全国約1万6000店の8割近くで日替わり弁当や総菜などを届ける「セブンミール」を展開。受注が多い店舗には13年度中に超小型電気自動車「コムス」を1200台も配備。15年度をめどに宅配の売上高を12年度実績の5倍の1000億円に伸ばす。居酒屋チェーンのワタミは、高齢者向けの弁当宅配を居酒屋に代わる主力事業と位置付ける。同事業の14年3月期の売上高は456億円と前期比18%伸びる見通し。同じように考える企業は多く「新規参入が増え、競争は激化している」(同社)という。介護大手のセントケア・ホールディング(HD)は1月から、高齢者の買い物や通院などの外出を支援するサービスを開始。訪問入浴サービス大手のアースサポート(東京・渋谷)も家事代行業に参入した。外出支援や一部の家事代行には介護保険が適用されず自費負担になるが、単身の高齢者を中心に身の回りの世話を手伝ってほしいという需要は多い。民間企業の創意工夫が生きるように規制を緩和するなど、政府側の取り組みも不可欠だ。

| 経済・雇用::2013.7~2014.6 | 06:43 PM | comments (x) | trackback (x) |

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