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2013,11,29, Friday
(1)フクシマ事故後に脱原発を決意したのは、国連・世銀・ドイツ・イタリアが先だった *1に書かれているように、2013年11月27日に、国連と世銀が「『原発への支援には関与しない』と宣言し、今後は再生可能エネルギーや次世代エネルギーへの投資に力を入れる方針」とした。本当は、原発事故を起こした日本こそオピニオン・リーダーになってしかるべきだったが、世界が意志決定してくれたのは、喜ばしいことだ。 (2)原発の本当のコスト 私が、2012年9月2日をはじめ、このブログに何度も記載したように、原発は、廃炉費用や大事故の対応費用まで含めると天文学的な資金が必要となる。しかし、それだけではなく、原発は、*2に書かれている地球温暖化対策の役にも立たず、*3に記載されているとおり、「原発稼働中に海に放出され続けてきた温排水が止まったことで、原発停止後、原発周辺の海域の環境が劇的に回復してきている」のである。これは、玄海原発の近くでも言われており、そういうことを言う人をあわてて黙らせる人もいるため、本当だろう。原発が漁業に与えていた被害は、国民全体から見れば原発のコストだ。また、*7のような被害も、当然、原発のコストである。 (3)原子力か火力かという選択しかないというのは、知識がなく思考停止だ *2では、「エネルギー政策の争点が原発に集中するなかで、棚上げされたのは地球温暖化対策だ」「原発依存度を下げるには、当面は二酸化炭素(CO2)の排出量が多い火力発電の増強で電力需要に応えるしかない」としており、これが、現在も、日本国内で多くの人が言っていることだ。 しかし、*4のブータンのように、首都を全て電気自動車にして化石燃料を使わない、*5のように燃料を水素に変換する、*6の佐賀市のように、水道用水確保を目的としたダムで発電するなど、エネルギーをスマートに変換し、今まで使っていなかった資源を使って無駄なく発電する方法もいくらでも考えられる。そのため、原子力か火力かという選択しかないと言う人は、知識がなく思考停止なのである。 *1:http://saigaijyouhou.com/blog-entry-1290.html (原発はもう時代遅れ? 2013年11月28日) 11月27日に国連と世界銀行が、「電力網を整備するのに数十億の資金が必要だが、原発への支援には関与しない」と宣言しました。今後は再生可能エネルギーや次世代エネルギーへの投資に力を入れる方針で、事実上の国連による脱原発宣言だと言えるでしょう。脱原発の動きは世界規模で広がっており、ドイツやイタリア以外にもアメリカなどの国々でも拡大中です。原発というのは廃炉費用や維持費用まで含めると膨大な資金が必要になる上に、一度でも大事故が発生すると、国家全体を揺るがすほどの事態になります。特に福島原発事故が世界に与えたインパクトは大きく、各国の原発離れを加速させました。また、次世代エネルギーの開発と生産が可能になって来たことも、世界的な脱原発と深く関係しています。国連は次世代エネルギーを普及させるためには「年間およそ6000~8000億ドル(約61兆~82兆円)が必要」と述べていますが、公の場で脱原発宣言をしたということは、次世代エネルギーを普及させるための目処が付いたということです。(中略) ☆「原発は援助しない」、世銀と国連が表明 URL http://www.afpbb.com/articles/-/3004099 【11月28日 AFP】世界銀行(World Bank)と国連(UN)は27日、最貧国に電力網を整備するため数十億ドル規模の資金援助が必要だと訴えるとともに、いずれの国においても原子力発電への投資は行わない考えを表明した。世銀のジム・ヨン・キム(Jim Yong Kim)総裁と国連の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は、2030年までに世界中の全ての人が電力の供給を受けられるようにする取り組みについて記者団に説明した。その中でキム総裁は「われわれは原発は行わない」と明言した。キム総裁によると、世銀は来年6月までに42か国の発電計画をまとめる予定。電力網の整備やエネルギー効率の倍増、再生可能エネルギー比率の倍増などを掲げ、目標達成には年間およそ6000~8000億ドル(約61兆~82兆円)が必要になるとしている。しかしキム総裁は、集まった資金は新エネルギー開発にのみ使用すると報道陣に明言。「原子力をめぐる国家間協力は、非常に政治的な問題だ。世銀グループは、原発への支援には関与しない。原発は今後もあらゆる国で議論が続く、たいへん難しい問題だと考えている」と述べた。(c)AFP ☆イタリア、原発再開を断念 国民投票で9割超が反対 URL http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1305E_T10C11A6MM8000/ 【ジュネーブ=藤田剛】イタリアで12~13日に実施された原子力発電の再開の是非を問う国民投票が成立し、政府の原発再開の計画を否決した。内務省の発表によると、投票率は約57%に達し、成立の条件である50%を上回った。福島第1原発の事故後、主要国での原発政策に関する国民投票は初めて。他国からの電力購入や再生可能エネルギーの利用拡大など戦略の練り直しは必至だ。 暫定発表では投票者のうち95%が再開に反対票を投じた。欧州ではドイツが原発をすべて停止する関連法案を決定。スイスも既存原発の停止を決めた。ベルルスコーニ政権は1990年までに稼働を停止した原発の2020年までの復活を検討していた。 ☆米バーモント州の原発閉鎖へ 福島第一原発と同型 URLhttp://www.cnn.co.jp/business/35036469.html (CNN) 米電力大手エンタジーは27日、バーモント州のバーモント・ヤンキー原子力発電所を来年末に閉鎖する方針を明らかにした。安価な天然ガスに比べて操業コストが高く、採算が取れないためとしている。バーモント・ヤンキー原発は40年前、マサチューセッツとの州境に近いコネティカット川沿いに建設され、630人の従業員が勤務している。川の水を冷却水として使うシステムで、運転期間は2032年までとなっていた。数十年に及ぶ廃炉作業には5億6600万ドル(約550億円)のコストがかかるが、既に5億8200万ドルを積み立ててある。同原発は、福島第一原子力発電所と同じ米ゼネラル・エレクトリック(GE)製の格納容器「マーク1」を使った沸騰水型炉(BWR)。マーク1型の格納容器は全米で23基の原子炉に使われている。福島第一原発の事故を受け、反原発団体などからマーク1型原子炉をすべて稼動停止とするよう求める嘆願書が出されたが、米原子力規制委員会(NRC)はこれを却下した。 *2:http://www.nikkei.com/paper/related-article/tc/? (日経新聞 2013.11.20) 2012 衆院選) 争点(5) 脱原発 足りない説明 設備投資コスト・電気料上昇… 負担増には触れず 今回の衆院選は東京電力福島第1原子力発電所の事故後、初めての大型国政選挙となる。「脱原発」を掲げる政党が多いが、時期は「即時」から「2030年代」まで幅広い。問題は経済社会が持続可能な現実的な道筋を示しているかどうか。電気代の値上がりや、電力の安定供給という課題への具体策も問われる。 ●8党「ゼロ」公約 政権公約で「原発ゼロ」を打ち出したのは民主、未来、公明、みんな、共産、社民、大地、新党日本の8党だ。原発事故以降、「脱原発依存」を掲げてきた民主党は「30年代の原発稼働ゼロ」を公約に盛り込んだ。「卒原発」の日本未来の党は「大胆な省エネと再生可能エネルギーの飛躍的な普及を実現」し、「遅くても10年以内」に原発ゼロを実現すると公約に明記した。当初、原発ゼロを主張していた日本維新の会は原発維持が持論の石原慎太郎氏率いる「太陽の党」との合流で、「フェードアウト(消失)」との表現に後退した。この文言にも石原氏は難色を示しており、方針は不明瞭だ。自民党は「10年以内に電源構成を決める」として事実上、判断を先送りした。ただ安倍晋三総裁は「原発ゼロは無責任」と繰り返し民主の原発ゼロ政策を批判。一定の原発比率を維持する可能性を示唆する。「脱」や「卒」が乱立する原発政策。省エネの推進や太陽光・風力など再生可能エネルギーの普及で原発ゼロをめざすと訴える党が多い。だが設備投資のコストや、電気代の値上がりなど利用者負担の重さも含めて「ゼロ」への道筋を説明する党はほとんどない。政府が11月にまとめた試算によると、30年時点のエネルギー消費量を10年比で約2割減らすには83兆円の環境投資が必要になる。再生可能エネルギーを3000億キロワット時以上まで拡大するには、設備投資にさらに38兆円かかるという。そのコストは電気代の値上げや、公共投資の財源となる税金で企業や家計が負担する。製造業の海外流出や、中小・零細企業の経営を圧迫する要因になりかねない。廃炉の法的手段の問題もある。電力会社など民間事業者が持つ原発を法定稼働年数の40年より前に強制的に廃炉にするには、損失が生じる電力会社や原発そのものを国有化する措置などが必要になるとみられる。その場合も損失負担は最終的に国民負担になる公算が大きい。 枝野幸男経済産業相は今年9月、着工中だった島根と大間原発の建設再開を認めた。途中で国有化など強制的な手段を発動しなければ、原発は向こう40年は稼働・存続するため、50年代まで原発ゼロは達成できない。 ●温暖化対策に穴 エネルギー政策の争点が原発に集中するなかで、棚上げされたのは地球温暖化対策だ。民主は公約に「30年時点の温暖化ガスを1990年比でおおむね2割削減」と明記。09年秋に国際公約した「20年に90年比で25%削減」から後退した。自民も「50年に05年比80%削減」と、これまでの「20年に05年比15%削減」から目標を先延ばしにした。原発依存度を下げるには、当面は二酸化炭素(CO2)の排出量が多い火力発電の増強で電力需要に応えるしかない。日本は国際社会で温暖化対策を主導してきたが、京都議定書に続く国際的な計画作りに日本の意見を反映するのは難しい情勢になった。 *3:http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131126-00543714-sspa-soci (週刊SPA! 11月26日) 原発停止で周辺の海洋環境が劇的に改善 現在、日本で稼働している原発は1基もない。そのため、稼働中に海に放出され続けてきた原発から出る温排水が止まったことで、原発周辺海域の環境が回復してきているという声が各地から挙がっている。 ◆鹿児島川内原発の場合…… 鹿児島県にある川内原発の近くで海岸の清掃ボランティアやウミガメ監視員を務める中野行男さんは、10年ほど前から月に20日以上、川内原発の南海岸を歩き続けてきた。「これまで、季節によっては毎日のようにサメやエイ、ダツなどの大型魚類や、クジラ、イルカなどの海生哺乳類、ウミガメなどの死体が海岸に漂着していました。原発ができる前は、こんなことは全然ありませんでした」。サメの死体が1日で4体もうち上げられたこともあったそうだ。「それが、川内原発が停止した’11年9月以降、これらの死体漂着は一切なくなったのです」。また、この近辺ではウミガメの異常行動がよく確認されていた。「例えば、通常のウミガメは満潮の夜に産卵のため岸に上がりますが、昼間や干潮時に産卵に来るケースがしばしば報告されていました。ところが、現在では産卵は順調に行われています」。週刊SPA!11/26発売号「原発止めたら[海の環境がもりもり改善!?]リポート」では、他にも、原発が止まったことによって取水口に取り込まれる魚が減ったり、海水温が下がったために外来種が減り、漁業にも好影響が出ていることを報じている。また、福井県の若狭湾周辺の原発、北海道の泊原発周辺地域での(よい意味での)激変をリポートしている。<取材・文/週刊SPA!編集部> *4:http://qbiz.jp/article/27743/1/ (西日本新聞 2013年11月22日) ブータン、首都全て電気自動車に 日産と提携 「国民総幸福量」の追求を掲げるヒマラヤの小国ブータンが、首都ティンプーにある自動車を全て電気自動車(EV)化する計画に向け、日産自動車などと提携することが22日分かった。大気汚染を防ぐとともに、EVの充電に水力発電を活用し、原油輸入などで膨らむ貿易赤字の改善も図る。投資額は100億円以上になる見通しだが、環境保護に直結するためアジア開発銀行が低利融資を検討している。日産のカルロス・ゴーン社長が今秋、ブータン首脳と会談し協力で一致。日産は主力EV「リーフ」を納入する。ブータンは米EVベンチャー企業テスラ・モーターズとも提携する。日産には車両の性能改善や、都市全体のEV化を研究できるメリットがあり、世界的なEV普及に弾みを付ける狙いもありそうだ。ブータン政府は、2011年時点で5千台以上あるティンプーの政府車両やタクシー、観光用のバスなどを、2年以内にEVに入れ替える方針。将来的には対象を首都以外にも広げ、補助金を支出して国民にEVへの買い替えを促すことを検討している。手始めに、来年2月にEV約100台を導入する国内大手タクシー会社に補助金を供与。同社は当初、スズキのインド子会社マルチ・スズキの小型車などを改良した試験開発車を使う。ブータンは全面禁煙化や全作物の有機栽培への転換計画など“クリーン・カントリー”を目指している。ヒマラヤ山系の豊富な水量を生かした水力発電でEV用のエネルギーを自給し、排ガスも削減する構想だ。また食料や燃料を輸入に頼り慢性的な貿易赤字に苦しむ同国には、経済立て直し策の意味合いもある。若者の失業問題解決や、付加価値の高い経済への転換も目指す。 *5:http://qbiz.jp/article/27717/1/ (西日本新聞 2013年11月22日) 「水素社会」構築へ議論 福岡市で国際会議 水素社会の実現を目指す国際組織「国際水素・燃料電池パートナーシップ(IPHE)」の第20回運営会議が20、21の両日、福岡市であり、水素の安全性に関するデータベースの構築などを盛り込んだ今後10年間の活動計画を採択した。IPHEは2003年発足。年2回、運営会議があり、先進国やインド、ブラジルなど17カ国と欧州連合(EU)が、燃料電池の普及に向けた政策や技術に関する情報交換を行っている。日本での運営会議は05年の京都以来2回目。これまでの活動を振り返り、今後10年の方針を決める節目の会合で、14の国と地域が参加した。自動車メーカー各社は、次世代自動車の本命とされる燃料電池車(FCV)を15年に発売する方針。会議では、燃料の水素を充填する水素ステーションの整備に関する議論や加盟国・地域間の情報共有について議論が交わされたという。来年までに事務局を常設する方針も決まった。議長を務めた新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の橋本道雄・新エネルギー部長は「水素ステーションの普及など、各国が協力して取り組むべき課題を確認でき、有意義な議論ができた」と振り返った。 *6:http://qbiz.jp/article/27908/1/ (佐賀新聞 2013年11月26日) 佐賀県営ダム水力発電事業者 九電グループに決定 佐賀県は25日、県営中木庭ダム(佐賀県鹿島市)で小水力発電に取り組む事業者に九州電力グループを選んだと発表した。同グループは新たに発電設備を設け、2016年4月の発電開始を目指す。グループは九電と九電工、九電関連会社の西技工業(いずれも福岡市)で構成し、代表は西技工業。公募に応じた2グループから選んだ。提案書によると、最大出力195キロワット、年間発電量は125万キロワット時で、一般家庭約350世帯分の消費電力に相当する。県によると、中木庭ダムは洪水調節と水道用水確保を目的に2006年度に完成し、佐賀県営の13ダムでは最大規模。発電を目的にダムを建設することは珍しくないが、既存ダムを活用して民間に発電を促すのは九州で初めてという。 *7:http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20131107ddlk07040107000c.html (毎日新聞 2013年11月7日) 東日本大震災:福島第1原発事故 シメジから43万ベクレル 自家消費食品検査で−−南相馬10月結果 /福島 南相馬市は6日、10月に行った自家消費用食品の放射能簡易分析結果を公表した。キノコ狩りのシーズンを迎え、キノコから高濃度の放射性セシウムが相次いで検出された。原発事故で居住制限区域に指定されている原町区馬場の山林で採取したコムラサキシメジは、基準値(1キロ当たり100ベクレル)の4000倍を超える43万4000ベクレルに達した。市によると、キノコは▽ウシコ(原町区馬場)同4万5700ベクレル▽マツタケ(同)同3万8200ベクレル▽アミコ(同区高倉)同3万6100ベクレル▽サクラシメジ(小高区小屋木)同1万9550ベクレルなど。同分析は、市民が自家消費用に山や川、家庭菜園などで採取・栽培した農水畜産物を対象にし、一般に流通していない。10月は9施設で908件を測定し、606件からセシウムを検出、うち144件が基準値を超えた。
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2013,11,28, Thursday
(1)猪瀬知事は公職選挙法違反か?
*1、*2、*3などの記事を見ると、「徳洲会から猪瀬氏に5千万円が提供されたことから、猪瀬氏は道義的責任をとるべきだ」とされているが、返却したのであれば寄付ではなく、仮に選挙資金として借り入れていたとしても収支報告書に借入金として記載しておけばよかったというだけのことである。 また、政党に属さない無所属の人への寄付は、公職選挙法により年間150万円以内というように、寄付者や寄付限度額に制限があるため(http://senkyo-navi.net/265/267/001589.html 参照)、徳洲会が資金援助するのであれば、寄付ではなく貸付金にするしかない。従って、徳洲会から猪瀬氏に提供された5千万円は、そこに阿吽の呼吸があったとしても、貸付金(猪瀬氏にとっては借入金)だったと思われる。そのような中、個人的借入金だったとすれば収支報告書には記載する必要はないため、「虚偽記載」と言いたてて、改革派の知事を貶めるのはもったいない話だと思う。 1068万人の有権者を有する東京都の知事選は、私が経験した約20万人の有権者を有する佐賀県第三選挙区の約53倍の有権者数を持っているため、ポスター、チラシ、運動員、選挙カーなどの費用を支払えば、1~2億円かかることは容易に想像できる。その金額を普通の人が出せるとは思えないため、猪瀬氏が徳洲会にバックアップを頼んだとしても批判はできない。それを批判する人は、一般市民出身の人が選挙費用を捻出するための代替案を出すべきである。 (2)阿部知子氏のケースは、何も問題がない *4、*5によれば、徳洲会は、千葉徳洲会病院の元院長である小児科医の阿部氏の選挙に職員を派遣して応援していたそうだが、これも批判するようなことではないだろう。安部氏は、脱原発派であり、社民党時代から、まともなことを言う頭のいい人であったため、癒着云々というより、元の職場から選挙応援をしてもらっていたのだと思われる。 また、300万円を借り入れていたそうだが、これは、小選挙区で立候補する時に必要な供託金の金額と同じであり、当選者や一定以上の得票をした候補者には返還されるものであるため、それだろう。何のために借りたにせよ、2012年分の政治資金収支報告書に記載されているので全く問題はなく、政党に所属しない候補者の資金繰りは、そのくらい厳しいということがわかる事例になっている。 (3)2人とも、癒着や汚職などとは程遠い人である 公職選挙法違反で取り締まるべきは、本来は、金銭による大きな不正を行って票を増やし、選挙結果を誤らせる場合である。しかし、猪瀬氏は改革派の都知事、阿部知子氏は脱原発派の衆議院議員であり、2人とも癒着や汚職などとは程遠い人である。 このように、現在、メディアで取り上げられている“公職選挙法違反”事件は、企業と癒着したり、不正を行って票を増やしたりする候補者とは異なる改革派や脱原発派で、助ける人のいない無所属の人に、汚れたイメージを擦り付けているものであることに注意されたい。 *1:http://www.asahi.com/articles/TKY201311210472.html (朝日新聞 2013年11月22日) 徳洲会、猪瀬氏側に5千万円 都知事選前、捜査後に返却 医療法人「徳洲会」グループが、昨年12月の東京都知事選の前に、猪瀬直樹知事(67)側に5千万円を提供していたことが21日、複数の関係者の話でわかった。猪瀬氏はこの選挙で初当選。徳洲会が公職選挙法違反容疑で東京地検特捜部の強制捜査を受けた後の今年9月、猪瀬氏の秘書が全額を返却したという。 ●医療法人「徳洲会」 猪瀬氏は同日、朝日新聞の取材に「私はまったく関知しない」「知らないと言ったら知らない」などと、全面的に関与を否定した。関係者によると、猪瀬氏は昨年11月上旬、知人とともに、神奈川県鎌倉市の湘南鎌倉総合病院に入院している徳洲会創設者・徳田虎雄前理事長(75)を訪問し、「都知事選に出ます」などとあいさつ。虎雄前理事長は全身の筋肉が動かなくなる難病で言葉を発せないが、秘書役に文字盤に対する目の動きを読み取らせて、「応援します」と応じたという。その後、徳洲会から猪瀬氏側に、5千万円が提供されたという。 *2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013112601002120.html (東京新聞 2013年11月26日) 猪瀬知事に批判電話など350件 5千万円問題、9割が批判 東京都の猪瀬直樹知事(67)が昨年12月の知事選前に徳洲会グループから現金5千万円を受け取った問題で、25日夕までに354件の電話やメール、ファクスが都に寄せられ、うち約9割が知事を批判する内容だったことが26日、都への取材で分かった。「都民の声」課によると、都に寄せられたのは問題が発覚した22日から25日までに電話157件、メール・ファクス197件。問題の経緯について釈明が変遷した猪瀬知事に「はっきりした説明をするべきだ」「せっかく1票を投じたのに、残念」などとする意見が約9割を占めた。 *3:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2589079.article.html (佐賀新聞 2013年11月26日) 徳田議員から資金提供申し出 / 同席者が証言 東京都の猪瀬直樹知事(67)が徳洲会グループから5千万円を受け取った問題で、知事選前の昨年11月に猪瀬氏と徳田毅衆院議員(鹿児島2区)の会食に同席した民族派団体「一水会」の木村三浩代表(57)が26日、共同通信の取材に応じ「その場で毅氏から資金提供の申し出があった」と明らかにした。木村氏によると、3人は昨年11月14日、東京都港区の飲食店で会食。毅氏は猪瀬氏に選挙運動のアドバイスをした上で「大きな選挙では1億円ぐらいかかる場合もある。金がないなら貸しましょうか」という趣旨の発言をしたという。 *4:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2582709.article.html (佐賀新聞 2013年11月19日) 徳洲会、阿部氏の選挙に職員派遣 / 他の多くの政治家にも 公選法違反容疑で幹部ら6人が逮捕された徳洲会グループが、昨年12月の衆院選で徳田毅衆院議員=鹿児島2区=だけでなく、阿部知子衆院議員=無所属、比例南関東=の選挙にも職員を派遣していたことが19日、徳洲会関係者への取材で分かった。また、別の選挙でも多くの政治家に職員を派遣していた。小児科医の阿部氏は千葉徳洲会病院の元院長。現在は、徳田虎雄前理事長が療養中の湘南鎌倉総合病院の非常勤医師を務めている。昨年の衆院選では社民党を離党し、日本未来の党から神奈川12区で立候補。比例で復活当選した。 *5:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2589270.article.html (佐賀新聞 2013年11月27日) 阿部知子氏が300万借り入れ / 徳田氏から衆院選直前 阿部知子衆院議員=無所属、比例南関東=の資金管理団体「フォーラム21世紀の発信」が衆院選直前の昨年11月16日、徳洲会グループの徳田虎雄前理事長から300万円を借り入れていたことが、神奈川県選挙管理委員会が27日公開した2012年分の政治資金収支報告書で分かった。小児科医の阿部氏は千葉徳洲会病院の元院長で、現在は徳田氏が療養中の湘南鎌倉総合病院の非常勤医師。阿部氏の事務所は「当時は社民党を離党して資金繰りが厳しくなると思い借りた。選挙運動には使っていない」と説明している。
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2013,11,24, Sunday
(フクシマ事故時のSPEEDIの情報やそれを公開しなかった理由も特定秘密にしないでしょうね)
(1)SPEEDIの実力について *1に記載されているように、SPEEDIとは「最大79時間先までの原子力施設付近の風速や大気中の放射性物質の濃度、線量率の分布等の予測計算を行い、それを地図上に表現された計算図形として関係機関の端末に配信するシステム」であり、これにより迅速で正確な避難や初動を行うためのものだった。そして、100億円規模の開発費と平時のデータ収集にかけたコストの意味は、まさにこの原子力緊急事態での働きにあったのだが、フクシマでは、何とかかんとか言ってSPEEDIが活かされなかった。 (2)SPEEDIの内部被曝情報について *1の後半には、SPEEDIの内部被曝に関する情報についての説明がなされている。また、*2には、医療ガバナンス学会(http://medg.jp/mt/2011/06/vol189speedi.html)が、SPEEDIに関するパンフレットから、「重大事故が発生した場合、希ガス、ヨウ素、セシウム、プルトニウムなどの核種ごとの単位時間放出量等を入力すれば、日本各地における事故発生後の外部被曝実効線量と内部被曝実効線量をSPEEDIで予測できることがわかる」等としている。さらに、「出力図形一覧を参照すると、年齢別の内部被曝量も、臓器別の内部被曝量も、具体的に予測できる」としているが、これこそが、SPEEDIの実力であり、開発目的だったため、そのデータはある筈なのだ。 (3)SPEEDIのデータと住民の被曝は未だに隠されているということ そのSPEEDIのデータは、事故後5,000枚以上の試算結果があり、事故直後の3月14日には、文部科学省が計算結果を、外務省を通して米軍に提供していたにもかかわらず、政府はパニックを避けることを優先させるため、国民には公開しなかった。そのため、自治体が住民避難を計画する参考にも供されなかったが、原発立地地域の住民に対する従前の説明では、万一の事故時の避難に際しては、SPEEDIのデータを活用するとされていた。 私は、*3のように、フクシマの原発労働者の実態にメディアが十分に迫っていないのと同様、SPEEDIのデータとそれによる科学的な住民の被曝実態についても、メディアは十分に迫っていないと思う。そして、原発再稼働に向け、これらの不都合な事実が隠されていくのは、確かに原発問題の闇だろう。 (4)日本は人権を無視する国か そのような中、内部告発者や秘密を報じるジャーナリストを脅かす内容を含む特定秘密保護法案が成立させられようとしており、これについては、*4のように、国連人権理事会のフランク・ラ・ルー特別報告者が懸念を表明しており、もっともである。 しかし、それと同時に、5,000枚以上の試算結果があるにもかかわらず、パニックや混乱を避けるという理由で、住民の命にかかわる重要な情報を住民に公開しないことも、人権の問題として強く非難すべきだ。何故なら、そのような価値観を持ち、そういう判断をする人が意思決定する立場にいるのは、日本を人権無視の国にすることになるからである。 *1:http://www.geocities.jp/wakashimu/sped_si02.html 第二章 SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)とは何か ⅰ.SPEEDIの概要 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information)ことSPEEDIとは、原子力発電所の事故など、放射性物質が大気中に放出されるような緊急事態が生じた場合、あるいは、生じる危険性がある場合に、迅速かつ正確な避難計画の策定や防護対策の基本資料を提供するために開発されたシステムである。日本の原子力防災は、原子力災害の特殊性を鑑み、通常の災害対策以上に迅速な初動が重視されており、災害対策基本法とは別に、原子力災害特別措置法が制定されている。この特別法では、電力事業者が、異常事態の通報を怠ったり、通報するかしないかを様子見しながら判断することなどを禁止する強制力のある通報義務や、原子力災害対策本部や現地対策本部など、災害対策における合理的な組織体制、役割、人事を、法的根拠に基づいて速やかに実施できるように整備されている。SPEEDIは、そのような原子力災害に対して、迅速な初動を重視する日本国原子力防災の一環にして柱でもある。 SPEEDIの役目は、最大で79時間先までの、当該原子力施設付近の風速場といった局地的な気象予測や、大気中の放射性物質の濃度、線量率の分布等の予測計算をおこない、それを地図上に表現された計算図形として関係機関の端末に配信することにある。 原子力災害の対応にあたる各種対策本部や自治体は、配信された予測計算図形を基本資料とし、緊急時モニタリング計画や避難計画の策定等に利用することで、より迅速、より正確な初動が期待できるわけである。 SPEEDIには平時の運用と緊急時モードがあり、平時は、関係府省と関係道府県、オフサイトセンター、日本気象協会などが、原子力安全技術センターを中心にネットワークで結ばれており、緊急時の予測計算に必要となる様々なデータを集積している。 平時から集積しているデータの内容は、各原子力施設近辺の地形情報、気象観測点データ、アメダスやGPVデータといった局所的な気象実績、モニタリングポストからの放射線データなど、緊急時の放射能影響予測計算に必要な情報や、人口や避難施設などの社会的な情報も含まれており、それらは静的な格納データとして蓄積されているのである。 SPEEDIは、平時からこれだけのことをしているが、それも全て、原子力災害にあって迅速な初動対応を可能とする基本資料の提供――緊急時モードでの放射能影響予測計算と配信――のために存在しているといっても過言ではない。 つまりは、原子力緊急事態における運用こそが、SPEEDIにとっての存在意義を懸けた本番であり、100億円規模の開発費と平時のデータ収集に必要なコストの対価なのである。 当然、SPEEDIの法的な位置づけは、民間の危機管理システムとは根本的に異っており、災害対策基本法の第三章に基づく防災基本計画第10編原子力災害対策編、原子力災害対策特別措置法において「専門的・技術的事項について尊重すべし」と定められている防災指針、及び同指針の四章で定められている『環境放射線モニタリング指針』などに基づいている。 SPEEDIによる計算の実務を遂行するのは、文部科学省所管の財団法人原子力安全技術センターであり、緊急時(15条通報等)の命令も、当該財団の主務官庁である文部科学省から出されることになっている。※ただし、今回の福島第一原発事故では、文部科学省がSPEEDIを使いこなせないということで、3月16日に経産省所管の原子力安全委員に実質的な権限が渡されている。 実地的な運用については、原子力安全技術センター編『SPEEDI運用マニュアル』や、政府及び各自治体や関連機関にまたがる『原子力災害対策マニュアル』などよって定められており、官民一体となって実施される原子力総合防災訓練(原災法に根拠を持つ)でも、SPEEDIを利用した避難計画の策定訓練が組み込まれるなど、具体的な利用方法が整備されている。 ⅱ.計算に必要な情報と放出源情報 緊急時におけるSPEEDIの計算に必要な情報は、平時から収集している格納データ(核種、過去の気象データ、当該施設付近の精巧な地図情報等)と、リアルタイムの気象情報、そして放出源情報の三種類に分けることができる。放出源情報とは、原子力施設から、どのような放射性物質がどのくらい放出されているか、されそうかといった数値データである。放出源情報を得るには、緊急時モニタリングによる実測値から逆推算する方法や、SPEEDIと連動することができるERSSから得ることができる。ERSS(緊急時対策支援システム)とは、原子炉の状況や施設のデータを提供し、緊急時にあっては事故の進展なども予測するシステムである。ただし、緊急事態の初期段階では、ERSSからの正確なデータや実測値などの定量的な放出源情報を得るには、1~3時間ほど必要であることが防災訓練からの知見で得られており、二種類の放出モード、「単位量放出」と「変動放出」を用意することで、放出源情報を待つことなく計算が開始できるように工夫されている。 緊急時モードで起動したSPEEDIは、まず、定量的な放出源情報を待つことなく、単位量放出によって予測計算する運用が『環境放射線モニタリング指針』等に定められている。「単位量放出」は、常に一定量の放射性物質が放出されるモードで、実測値が得られる前に計算する場合に使うことが想定されており、「変動放出」は、時間とともに放出量が変化する場合、つまり定量的な放出源情報が得られている場合に指定するモードである。この、ERSSからの放出源データがあれば、SPEEDIは、正確な情報に基づいて「変動放出モード」での計算ができるようになり、予測の精度が高くなることが期待される。また、福島第一原発事故において、災害対策本部(保安院)が、単位量放出による計算以外に条件を出して計算させた際に指定した放出源情報は以下のとおりである。 ①設置許可申請書に添付されていた仮想事故、重大事故時の放出量データ ②設置許可申請書に記載されている安全評価の前提条件とした炉内放射能量 ③ERSSに予め用意されていた事故時の放出量の予測データ これにより、緊急事態において、放射性物質の定量的な濃度分布予測が出せなくても、相対的な濃度分布予測図形を作成することができ、迅速な初動の参考に活用することができるのである。以上を踏まえ、計算に必要な放出源情報は、大きく三種類が想定されていることになり、放出源情報の種類によって異なった計算方法が確立されている。その計算方法を大別すると、まずERSSによる正確な放出源の実測値や定量的な放出量の予測数値による計算、モニタリング等の実測値から逆推算した放出源情報による計算、そして定量的な数値が得られる前の段階における単位量放出や水素爆発やベントを想定し、任意の核種や放出量を入力しておこなう仮定に基づく予測計算である。 (※5月31日参院文教科学委員会:数土参考人答弁より) 余談になるが、『環境モニタリング指針』では、緊急時に、SPEEDIのデータすら配信されない事態も想定しており、手計算による簡易計算法の手順が載っている。ただし、今回の東日本大震災による福島第一原発事故では、3月11日から風速場、大気中濃度、空気吸収線量率の予測計算図形が配信されているため簡易計算は必要とはならなかった。 (中略) 8.内部被ばくによる実効線量 ヨウ素以外のFP核種などの吸入による実効線量を表示とあるが、公式サイトに見本もなく、今回の福島第一原発事故では、7.の内部被ばくによる臓器等価線量図形と同じように、特別な意味をもって精査する必要がないため、詳細は省く。見本も公式サイトにUPされていない。 以上、8種類の予測計算がSPEEDIに可能とされる計算であり、いずれの予測計算にも、風速場図形に必要な気象に関する情報は必須である。とりわけ今回の事故を経てわかったことは、風速場図形、大気中濃度図形、空気吸収線量率図形が非常に重要で、事故の種類によって6~8の内部被ばくに関するいずれかの図形を加味すると、迅速な初動における避難計画と緊急時モニタリング、以降の避難計画等に重要な資料になりそうである。 *2:http://ameblo.jp/u-sa-kichi/entry-11129428832.html (クラスタ民主主義システム研究室 2012年1月8日) SPEEDIによる内部被曝予測を正しく活用し、直ちに内部被曝の実測を テーマ:被曝 2011年6月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp/mt/2011/06/vol189speedi.html ----------- 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)は、文部科学省管轄の財団法人原子力安全技術センターが運用しており、SPEEDIに関するパンフレットを公開しています。このパンフレットには、次のような記述があります。 ・降雨および乾燥沈着ならびに放射能の減衰を考慮し、放射性物質の大気中濃度および地表蓄積量 の予測計算を行います。 ・放射性物質の大気中濃度および地表蓄積量の計算結果から、空気吸収線量率を計算します。空気 吸収線量率は、各核種からの複数のγ線による寄与を個別に計算して合計する詳細な手法により 計算されます。 ・空気吸収線量率の計算結果から外部被ばく実効線量を計算します。 ・放射性物質の大気中濃度の計算結果から、吸収による臓器等価線量や内部被ばく実行線量等を 計算します。 このパンフレットによれば、炉心溶融やコア・コンクリート反応などの重大事故が発生した場合、燃料種別、炉心溶融割合、炉心温度、コンクリート反応の有無、格納容器からの漏出割合を想定し、核種の組成比率データが格納されたデータベースから放出源情報を入力するか、希ガス、ヨウ素、セシウム、プルトニウムなど核種ごとの単位時間放出量等を入力すれば、日本各地における事故発生後の外部被曝実効線量と内部被曝実効線量をSPEEDIで予測できていることがわかります。また、出力図形一覧を参照すると、1歳児、成人といった年齢別の内部被曝量も、甲状腺や肺といった臓器別の内部被曝量も、具体的に予測できることもわかります。 実際に、原子力安全委員会は3月23日、1歳児が屋外にい続けた場合、事故発生から12日間で甲状腺の内部被曝が100ミリシーベルトを上まわるというSPEEDI試算を公開しました。さらに、この3月23日の試算結果と同じ放出源情報に基づいて文部科学省が試算したSPEEDIによる予測結果では、茨城県東部から千葉県東部まで1歳未満児の場合に、10~50ミリシーベルトの甲状腺内部被曝が予測されています。 しかし、その後は、なぜか、放射性物質の放出量をヨウ素単独で1ベクレル/時の単位量放出と限定して、5000枚のSPEEDI試算結果が公開されました。この5000枚では、日々放出され続けた実際の放射性物質総量を入力していませんから、SPEEDI本来の能力は活用されていません。また、燃料の温度上昇による放出+溶融炉心・コンクリート反応による放出を想定した文部科学省の解析予測でも、気象データは昨年4月から9月までの過去データによる試算しか行っておらず、なぜか、今年3月12日から現在までの気象データを利用していません。実際の放出量と気象データを用いた予測が必要だと思います。 最近になって、事故直後から3月16日までに大気中に放出された放射性物質の量は、77京ベクレルと推定量が2倍になりましたから、実際のダストサンプリング結果と今年の気象データに基づいて、SPEEDIを正しく活用し、年齢別、臓器別に、原発周辺地域において事故発生から現在までの内部被曝累積の予測結果を公表して頂くよう切に要望します。さらに、実際の放出量を入力した上で、明日および明後日のSPEEDI予測も毎日公表すべきだと思います。そうすれば、学校等での被曝防護対策に活用できるはずです。 住民への情報開示の観点からも、こうしたSPEEDIによる現実的予測を活用し、これまでに各地の住民が被爆した内部被曝総量を予測して、直ちに内部被曝の実測を開始すべきでしょう。ホールボディカウンタ検査だけではなく、バイオアッセイの試料に毛髪を利用すれば、内部被曝を時系列で推測できますし、今後の食物由来の内部被曝実測にも活用できる可能性があります。実際に、人の毛髪を使い、飲み水中のウランによる内部被曝を予測する報告もありますし、毛髪だけではなく爪でも内部被曝を実測できるという報告もあります。また、独立行政法人産業技術総合研究所は、セシウムの微少濃度変化を測定するため、極微量の金属元素分析が可能な誘導結合プラズマ質量分析装置を発注していますから、仮に、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)を用いて内部被曝を測定するとすれば、下記のように毛髪を保存、検査機関に郵送して、内部被爆を計測可能でしょう。 1.毛髪0.2g保存。できれば、多い方が良い。 2.採取量0.2gは、長さ3~4cmで150本程度。 3.出来るだけ毛根近くの毛髪を採取。陰毛でも測定可。 4.本人確認のDNA鑑定に備え、一部は毛根も含めて採取。 5.採取日を記載したジッパー付きビニール袋に毛髪を入れ、さらに封筒に入れ暗所保存。 残念ながら、上記の方法は私見ですので、将来、内部被曝を解析できなかった場合の責任は負えません。ぜひ、SPEEDIを正しく活用し、内部被曝が高い地域を推定して、政府および原子力防災関連機関の指導の下、原発周辺住民の被曝を低減する目安とするために、尿、毛髪、爪などを用い、内部被曝の実測を開始して頂きますようお願い致します。 *3:http://takumiuna.makusta.jp/e225145.html (子ども達を放射能から守るネットワーク@ちば 2013年07月23日) 32歳の元福島原発作業員が白血病で死去 先般、福島第1原発事故の収束作業を現場で指揮した元所長の吉田昌郎氏が食道がんで死去されたニュースが伝えられました。当時70ミリシーベルトを浴びたと言われた吉田所長。他の作業員も相当の被ばくをしていたことは想像に難しくありません。しかし一向に元作業員におけるその後の状況や健康被害の情報が日本のメディアで取り上げられることがありません。そんななか、FBの友人である松本和広氏が知り合いの友達が福島原発の仕事後に白血病で亡くなっていたということを発信されていました。情報をシェアさせていただきます。7/16の投稿から以下転載いたします。 知り合いの友達が福島原発の仕事後、白血病でなくなったそうです。知ってもらいたく開示許可もらいました。そのまま展開します。 ============================== 私の友人は32歳。スポーツ万能で健康体でした!福島原発の事故があってから、手伝えないかと進んで参加しました。初回時期から1年間、現場最前線で頑張っていました。現場作業で、日当二万円。 屋内2時間、屋外2時間の作業。ボスからは、東電は、しっかり放射線を監視しているからカウンター持参しなくて大丈夫。報道は過剰であって、放射線量の検査してるから大丈夫。と。。さらには、4階→3階→2階につれて、給与が増えていくらしく彼は3階で働いてました。1階は、出入り禁止らしく。当時は理由がわからずだったようです。 1年で500万円ためて、自分でスポーツジムを経営し初めました。しかし、その半年後位から、だるさが出て、さらには鼻血がよく出るように。最近になりあまりにも体調がおかしいと、病院に行き検査したところ、すぐに大学病院紹介され、その日からすぐに入院に。 一週間の精密検査をした結果、白血病と診断されました。さらに、2ヶ月の入院中でガンが見つかりました。また、二週間で全身転移。体力もなく手術できず。結局、白血病と多臓器不全さらにはガンによる死亡。体力に自信があった彼は、最後に…「東電に騙された。」といい、息を引き取った。 ============================= 福島原発の労働者の実態にメディアはどれだけ迫っているのでしょうか。多重下請け問題は取り上げるけど、放射線被ばくにおける健康被害の影響は一切伝わってきません。先日BSのプライムニュースで新潟県の泉田知事がこんな発言してました。「チェルノブイリ原発で初期の石棺作業にあたったのは死刑囚で、作業にあたった作業員は3年後全て亡くなった。日本ではそんな政治的取引が出来ますか」。 個人差もあり、個人のプライバシーに関わる問題でセシティブな問題であると思いますが、被ばく労働の真実をメディアやジャーナリストは伝えてほしい。世界的に見ても再稼働に向けて不都合な事実が隠されていくのが、原発問題の闇の深さであると感じます。 *4:http://mainichi.jp/select/news/20131123k0000m030094000c.html (毎日新聞 2013年11月22日) 秘密保護法案:国連人権理の特別報告者 日本に懸念表明 国連人権理事会のフランク・ラ・ルー特別報告者(グアテマラ、表現の自由担当)は22日、日本の特定秘密保護法案について「内部告発者やジャーナリストを脅かすもの」との懸念を表明、日本政府に透明性の確保を要請した。国連人権高等弁務官事務所(本部スイス・ジュネーブ)が報道声明で発表した。ラ・ルー特別報告者は「内部告発者や、秘密を報じるジャーナリストを脅かす内容を含んでいる」と法案を批判。秘密漏えいによる損害が国民の「知る権利」という公益よりも大きな場合に限って秘密保持が認められるが、その場合でも、独立機関による点検が不可欠だと主張した。国家機密を漏らした公務員らに厳罰を科す内容が法案に盛り込まれている点について「違法行為や当局の不正に関する機密情報を『良かれ』と思って公にした公務員は法的制裁から守られなければならない」と指摘した。 PS(2013.11.26追加):私は、*5に大体賛成だが、「テロ防止のための原発警備計画は特定秘密の対象で、その他の原発関連情報は特定秘密の対象外とするのが政府方針」ということについては、線引きだけの問題ではなく、警備をしても護りきれずに大惨事に至るような施設は、そのことを特定秘密にすれば足りるのではなく、指摘されたら早急に除去することが必要なのであり、解決策が逆だと考える。 *5:http://www.minpo.jp/news/detail/2013112612373 (福島民報 2013年11月26日) 原発情報開示「不透明」 秘密保護法 福島で公聴会 全員が反対、慎重意見 衆院国家安全保障特別委員会の特定秘密保護法案に関する地方公聴会は25日、福島市のホテル辰巳屋で開かれた。県内の首長、学者、弁護士ら7人が意見陳述し、特定秘密の範囲があいまいで東京電力福島第一原発の情報開示が不透明になる恐れがあるなどとして全員が法案成立に反対、または慎重な姿勢を示した。賛成意見はなかったが、特別委は近日中に法案を採決する方針で、陳述者からは原発事故に苦しむ県民代表の声を軽視しているとの批判の声が上がった。 ■採決方針に批判の声 浪江町の馬場有町長は、原発事故直後、放射性物質の拡散分布を予測する「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の情報が公表されなかったことを踏まえ、「政府が避難経路を明らかにしていれば、無用な被ばくを避けることができた」と情報公開の大切さを訴えた。さらに、4号機の核燃料プールからの燃料取り出しを例に挙げ、「県民の安全のためには、逐次情報を公開する方向に進むべきだ」と強調した。桜の聖母短大の二瓶由美子教授は、テロ防止のための警備計画を除く原発関連情報は特定秘密の対象外とする政府方針について、「原発関連情報とテロ防止の警備計画の線引きがあいまいだ」と指摘。県弁護士会の槙裕康副会長は「法律が成立すれば、解釈や運用で特定秘密は拡大の一途をたどる」と懸念を示した。しかし、出席した与党議員は、秘密の範囲について「国民の命と安全を守るためのもの」と明確さに欠ける発言を繰り返した。法律の制定で原発作業員による内部告発が制限される恐れや、原発関係の裁判で証拠が特定秘密のため開示されず、国民が不利益を被る可能性があるとの指摘もあった。平成14年に発覚した東電のトラブル隠しでは、原子炉内の点検結果の改ざんを作業員が告発した。国や県が把握できない原発内の偽装が明るみに出たことで、県民の安全・安心の確保のために安全監視が強化された経緯がある。公聴会終了後、委員会筆頭理事の中谷元・元防衛庁長官は「(法案全体の意義について)理解を得られたのではないか」と述べ、議論は尽くされたとの認識を示した。だが、法案の委員会採決が直前に迫る中での公聴会開催に、意見陳述した一人は「法案可決への通過儀礼ではないのか」と冷ややかな見方を示し、「県民の声を代弁した意見が法案に反映されなかったら、本県の顔に泥を塗るようなものだ」と厳しい口調で話した。地方公聴会は全国で福島市のみの開催。10月9日に県議会が原発事故の被災地として「慎重な対応を求める」とする首相、衆参両院議長宛ての意見書を全会一致で可決したため、開催地に選ばれた。 PS(2013.11.27追加):*6は事実だが、菅元首相は自然エネルギーによる電力買取制度を創設し、脱原発を主張している点が評価できる。また、当時、民主党政権は政権交代したばかりだったため、経産省、文科省によってSPEEDIの機能説明が正確になされていたかについては疑問だ。さらに、SPEEDIは、事故から現在までの放射性物質の放出もとらえていなければならず、その範囲や累積は大きい筈であるため、福島県だけではなく関東・東北各県の現時点までの累積を公表してもらいたい。また、使用済核燃料の取り出しが行われている現在も、SPEEDIは重要な役割をする筈だが、その情報は公表されていないため、速やかに公表すべきだ。 なお、*7に記載されているように、関東・東北各県でも、内部被曝により呼吸器や消化器の疾患が増加するのは必然であるため(子どもに限らない)、福島以外でも検診すべきだ。 *6:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131126/plc13112622490028-n1.htm (産経ニュース 2013.11.26) 首相「菅政権が対応誤った」 民主議員の原発事故情報非公表に反論 安倍晋三首相は26日の国家安全保障特別委員会で、政府が東京電力福島第1原発事故直後に緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報を公表しなかったことについて「あのときは民主党政権だった。菅直人首相のときに出すべき情報を出さなかった。まさに政府が対応を誤った」と切り捨てた。首相に質問したのは事故当時の環境副大臣だった民主党の近藤昭一衆院議員で、「福島ではいろいろな情報が隠ぺいされてきて、特定秘密保護法でさらに秘密が拡大されるとの懸念がある」と迫った。だが、首相の反論に続き参院福島選挙区選出の森雅子少子化相も「福島県ではSPEEDIの情報が出なかったことが心に重くのしかかっている。あれは秘密でもなんでもなかった」とバッサリ。近藤氏は「反省とおわびを申し上げたい」と述べ、墓穴を掘った形となった。 *7:http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1311250024/ (神奈川県コミュニティーサイト 2013年11月26日) ベラルーシの教訓生かして 内部被ばく問題で医師が講演/相模原 今からでも被ばくを減らすことを考えて-。相模原市南区の内科勤務医・牛山元美さん(56)が、原発事故による内部被ばくの問題と向き合い続けている。23日には緑区の橋本公民館で講演し、チェルノブイリ事故を経たベラルーシを今春訪ねた際に得た医学的知見を紹介。内部被ばくを軽視しない意識の必要性を訴えた。牛山さんは3月、日本人医師有志とともに、チェルノブイリのあるウクライナの隣国ベラルーシを訪問。現地の学術機関や検診医から事故後の現状について聞き取りを行った。講演会では、現地で得た知見として▽事故後、甲状腺がんが増加した▽甲状腺がんのリスクを地域別で分類し、検診を続けている▽保養活動で内部被ばくの線量が低下した事例も出ている-などを挙げた。 周辺都市では子どもに呼吸器や消化器の疾患が増加。「放射能の影響かどうか専門家の間でも論争が続いている」「子どもの病気が増えているが、公式に(事故が原因と)言えない」など、難しさを抱えながら原発事故後の健康被害の治療に当たる現地の声も紹介した。またベラルーシの甲状腺専門医から「日本は被爆国としてベラルーシへの検診体制整備を支援してくれた。なぜ福島以外で積極的な検診をしようとしないのか」との疑問が投げ掛けられたことも明かし、日本の対応の不備を強調した。牛山さんは「将来、日本でも何らかのがんや疾患が増えた場合、福島の事故の影響か立証が難しいため、対策が取られなかったり、遅れたりする事態が起こるかもしれない」と指摘。「例え発症率が1万分の5だったとしても、その5人が自分の子どもだったらと考えて」と当事者意識を持つように促した。 今できることとして、「卵巣への蓄積による遺伝的影響について、分かっていないことが多い現実を誠実に受け止める」「低線量被ばくを今までの常識で否定したり、軽視したりしないこと。今からでも被ばくの回避を」と強調した。ともにベラルーシに赴いた有志と、被ばくによる健康障害を減らす医学的な提言を行うグループも結成した牛山さん。「医学的な良心を果たしたい。無関心や誤解に働きかけていく」と締めくくった。講演会は市立橋本公民館の利用者有志が企画した。
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2013,11,20, Wednesday
2013.11.17佐賀新聞より (1)安全保障関係事項はすべて秘密にすべきなのか *1のように、安全保障に関しては特定秘密でもしようがなく、国民の「知る権利」に優先するということに反対する人は少ないが、今年6月にできた安全保障と情報に対する権利の国際原則である「ツワネ原則」は、「あらゆる人は、公的機関が保持する情報にアクセスする権利を有しており、その権利を制限する正当性を証明するのは、政府の責務である」と定めている。もちろん、暗号や作戦などの限られた範囲での情報制限は認めるが、それも政府に証明を負わせる点は重要だ(ツワネ原則全文訳 http://www.news-pj.net/pdf/2013/tsuwanegensoku.pdf 参照)。 ただし、*1の「原発への航空機衝突や火災などの場合について対処法の説明を受けたが、米国側から『秘密だ』と注意され、保安院側は原子力安全委員会にも、電力会社にも伝えなかった」というのは嘘である。何故なら、私は、2006年3月に、九州電力の「玄海原子力発電所3号機で、日本初のプルサーマル発電を実施する」という申し入れに、佐賀県知事が事前了解を出した後、自民党のエネルギー部会でそれについてかなりの議論を行い、その中で、私が「飛行機の墜落やテロには対応できているのですか?」と質問したところ、九州電力が「対応できていません。それは、民間企業ではできません。」と答え、そこには原子力安全保安院(旧)の担当者もおり、その後、警察や海上保安庁が原発の周囲を警戒するようになったという経緯があって、その時には、そのことが秘密だとは全く言われなかったからである。また、このようなことは、米国から言われなくても、現場を知っている当事者がちょっと考えればわかることであるにもかかわらず、このような記事を書くのは、どういう意図か。 なお、私の方は、当時からその程度の警戒で十分だとは思わなかったが、現在と同様、「原発は低コストの安全な電源で、経済成長に不可欠なものであり、シビアアクシデントは起こらない設計だ」という電力会社や専門家の声が多かったし、地元に交付金も出るので容認していたのである。しかし、「原発でシビアアクシデントは起こらない」という説明が嘘だったことは、今回のフクシマで証明された。 (2)透明性は公正性の前提である (1)のように、「秘密指定ができる」となった途端に、事実は変えられ、特定の人をターゲットとして作り話を作ることができ、その検証もできなくなる。また、秘密の範囲も、ご都合主義で自由自在に広げることができるのである。 (3)防衛は秘密の聖域か 防衛分野では、暗号や作戦は、(漏れることはあるかも知れないが)関係者以外に知らせることは、現在でもない。それは当たり前だろう。 しかし、*2のように、「自衛隊の護衛艦くらまが関門海峡で大韓民国籍のコンテナ船に衝突され、乗員6名が負傷し、艦首を損傷・出火し、単独航行が難しい状態になった」「コンテナ船側には負傷者はなかった」というニュースがあり、私が変だと思ったのは、護衛艦がコンテナ船とぶつかって、護衛艦の被害や損傷の方が大きいようでは、護衛艦はどういう作りをしているのか、護衛艦として守る機能があるのかということだった。護衛艦を造船するには、莫大な費用がかかる。また、護衛艦くらまの修理も、「11月9日に、長崎県の三菱重工長崎造船所に随意契約で修理を発注し、2010年初頭から修理されて同年6月9日に修理が完了した。修理費は約9億4,000万円と見込まれる」と書かれているように、防衛費は、競争のない社会で、費用対効果の最大化が図られているとは、とても思えないのだ。 特定秘密保護法案が成立すれば、会計検査院にも、支出された防衛費の内訳が具体的には開示されなくなる可能性が高い。そうなると、防衛費には、チェック機構も主権者の監視も働かなくなり、「何でもあり」という状態になることが容易に想像されるのである。 *1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112002000162.html (東京新聞 2013年11月20日) 特定秘密保護法案(3) 崖っぷちの「知る権利」 国民の「知る権利」と安全保障は、いわば綱引きのような関係である。政府は「秘密にしたい」と言い、国民は「情報を公開してほしい」と願う。調整をどのように図ったらいいのか。「あらゆる人は、公的機関が保持する情報にアクセスする権利を有しており、その権利を制限する正当性を証明するのは、政府の責務である」。今年六月にできた「ツワネ原則」はそう定めた。安全保障と情報に対する権利の国際原則である。世界七十カ国余りの専門家約五百人で作成した。兵器開発や軍隊の作戦など、限られた範囲での情報制限は認めているが、政府に証明を負わせる点は重要だ。 秘密指定を行政機関の「長」に委ねる特定秘密保護法案と出発点が決定的に異なる。さらにツワネ原則は国際人権法に反する情報など、「何を秘密にしてはならないか」を明確にしている。どこまで秘密に覆われるか不明な日本の法案とは、まるで正反対である。国家の公衆監視も規制し、裁判所で秘密が公開され、審理できる保障も定めている。ことごとく考え方が逆方向なのだ。国連や米州機構、欧州安保協力機構などのメンバーが加わった最先端の原則から、わざわざ踏み外す法案をなぜ政府は作るのか。 秘密に対する日本の官僚のおそまつさを示す一例を挙げよう。二〇〇六年と〇八年に当時の「原子力安全・保安院」の審議官クラスらが渡米した。原発への航空機衝突や火災などの場合について、対処法の説明を受けた。だが、米国側から「秘密だ」と注意された。そのため、保安院側は原子力安全委員会にも、電力会社にも伝えなかった。原発の過酷事故に関する重要情報をせっかく米国から提供されていたのに、全く生かせなかったわけだ。秘密情報であっても、関係機関内で共有され、活用されなくては何の意味もない。重罰で秘匿化をより強める法案は実用的でないうえ、官僚をさらに束縛する。 逆に官僚は公文書の公開には無関心すぎる。一一年度に保存期間が満了した行政文書のファイル約二百三十万件のうち、廃棄された割合は実に92・5%にものぼる。国立公文書館に移管されたファイルは、たったの0・7%にすぎない。このうえ秘密の密封度を高める法案とは何事か。国民の「知る権利」は崖っぷちに立っている。 *2:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8F%E3%82%89%E3%81%BE_(%E8%AD%B7%E8%A1%9B%E8%89%A6) (ウィキペディア 2009年10月27日要点)護衛艦くらま衝突事故(抜粋) 護衛艦くらまが、関門海峡において、大韓民国籍コンテナ船「カリナ・スター」に衝突された。この事故で乗員6名が負傷し、本艦は艦首を損傷・出火したが、10時間半後に鎮火に成功した。この事故により揚錨部(アンカー巻上げ部)も含む艦首部分がほぼ全壊し単独航行は難しい状態になった。「カリナ・スター」側に負傷者はなかった。この事故では、護衛艦くらまおよび誘導していたとする海上保安庁・関門海峡海上交通センターの責任問題が大きく報道されたが、海上保安庁による後の調査によれば、カリナ・スターの韓国人船長が事故について虚偽の供述をしていたことが明らかとなっている。AIS等による航跡の解析などにより、コンテナ船は事故直前まで減速せず、貨物船の後方わずか20-30メートルの距離まで近づき追突寸前となった。そのため左に急旋回し、前方から航行してきたくらまに衝突した。この事故で門司海保は船長の供述が翻ったことから、事故の主因はコンテナ船にあったと断定した。事故後は佐世保に自力で帰港していたが、付近で護衛艦を修理のできる造船所が限られることから、11月9日に随意契約による修理を発注し、2010年初頭から長崎市に所在する三菱重工長崎造船所で修理され、同年6月9日に修理が完了した。この事故での損害は約9億4,000万円と見込まれている。 PS(2013.11.22追加):*3で、変な法律であるにもかかわらず、政府が特定秘密保護法案の成立を急ぐ理由がわかった。東電が今後の核燃料取り出し作業をいちいち公表すれば、福島第一原発事故の真実が明らかになり、それは政府が公表したくない真実だからであろう。 *3:http://www.minpo.jp/news/detail/2013112212284 (福島民報 2013/11/22) 東電、今後の作業公表せず 核燃料取り出し 問われる情報公開の在り方 東電は、燃料を輸送容器から取り出し保管する共用プールでの作業や、2回目以降の移送日程について「核物質の防護上、答えられない。作業終了後に公表する」としている。ただ、容器の落下など緊急時の対応は不透明で、高線量の使用済み燃料を移送する2回目以降、作業工程の危険性はさらに高くなるとみられる。県や双葉郡の首長は「原発周辺の避難区域に立ち入りしている住民の安全を確保するためにも、情報を公開すべき」と指摘しており、今後の情報公開の在り方が問われる。
| 民主主義・選挙・その他::特定秘密保護法関係2013.10~12 | 01:06 PM | comments (x) | trackback (x) |
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2013,11,19, Tuesday
(1)民主主義の基礎は、国民の自由と知る権利 私も、メディアが真実ばかりを言っているわけではなく、政策の分析力も今一つで、ニュースの重要性の比重もおかしいと思うことが多々ある。しかし、主権在民である限り、有権者は、政策を知っていなければ正しい投票行動はできず、有権者が正しい投票行動をできなければ、民主主義は機能しない。そのため、*1のとおり、民主主義の礎となる「(正確な情報を)知る権利」を脅かす秘密保護法案には反対だ。 (2)秘密保護法案に、265人の憲法・刑法学者らが反対声明 このような中、*2で、265人の憲法・刑法学者らが秘密保護法案に対して反対声明を出し、「国民主権の形骸化」「人権侵害のおそれ」「国民主権の原理に反する」「平和主義の原理に反する」など、まさに私の危惧が、具体的に、わかりやすく記載してあるので参照されたい。 (3)国会議員は、自ら立法府の立場を弱めるべきではない この法案には、弁護士会と報道が速やかに反応して反対声明を出した。それに対して、政府・与党は、*3、*4のように、弁護士と報道は対象外として、*5、*6、*7のように、何とかこの法案を成立させようとしている。その様子には、国会議員が民主主義を守るという理念がなく、少しずつ妥協して賛成を増やすというテクニックが見えるのみであり、情けない。 さらに、30年後に、それが秘密だったことが不適切だったとわかっても、スパイやテロリストとして逮捕された人の人生は戻ってこない。そのため、そこまでしてやりたいことが何なのか、大いに疑問だ。 *1:http://mainichi.jp/opinion/news/20131105k0000m070107000c.html (毎日新聞社説 2013年11月5日) 秘密保護法案を問う 国民の知る権利 国民が自由に情報を得る機会を持つことは、民主主義の基本だ。知る権利に奉仕するのは報道だけではない。国民は多様なルートで国政についての情報を集める。だが、特定秘密保護法案が成立し、特定秘密にいったん指定されれば、その取得行為が幅広く罰せられる。国民も例外ではない。法案は、社会の情報流通を妨げ、国民の日常生活を脅かす危険性に満ちていると、改めて指摘したい。 憲法や刑事法を専攻する学者300人近くが10月28日、法案に反対する声明を連名で発表した。特定秘密は安全保障に関わる国家機密で、防衛、外交、スパイ活動防止、テロ活動防止の4分野が対象だ。別表で規定された項目は広くあいまいで、行政の判断でいかようにも拡大できる。一方、情報を得ようとする側は、何が特定秘密か分からないまま、取得行為が罰せられる。法学者は、こうした基本的な枠組みに危惧を表明した。国民の人権を侵し、憲法の国民主権の原理に反するというのだ。もっともな指摘だ。声明では、特定秘密の指定が、市民の関心事に及ぶ具体例を二つ挙げた。一つは、原発事故だ。安全性に関わる情報がテロ活動と結びつけられ、特定秘密に指定される可能性が大きいと法学者はみる。もう一つが基地問題だ。防衛省は普天間飛行場の移設先に予定している沖縄県名護市辺野古のジュゴンの環境調査結果を公にしていない。こうした調査でさえ、基地移設と関連づけ特定秘密になり得るという。原発や基地は全国に点在する。地元住民のみならず国民の共通関心事である。そうした重要テーマについて、個人やグループが情報を集め、議論をし、行政対応を求めるのはごく日常的な光景だ。だが、いったん特定秘密に指定されれば、情報に近づくことは、刑事罰に直結する。漏えいや取得についての共謀、そそのかし、扇動行為には、最高で懲役5年が科せられる。未遂の処罰規定もあるから、結果的に情報提供がなくても罰せられてしまう。また、万が一、逮捕・起訴されて裁判になっても、特定秘密の内容が法廷で明らかにされないまま有罪になる可能性を法学者は指摘する。刑事裁判の適正手続きという観点からも大いに疑問が残るのだ。法案が成立すれば、国民の知る権利は守れなくなる。 ◇ 特定秘密保護法案の審議入りが近い。問題点を明らかにしていく。 *2:http://www.tokyo-np.co.jp/feature/himitsuhogo/seimei.html (東京新聞 2013年10月29日) 秘密保護法案265人反対 憲・刑法学者ら声明 憲法・メディア法と刑事法の研究者が二十八日、それぞれ特定秘密保護法案に反対する声明を発表した。声明に賛成する研究者は憲法・メディア法が百四十人、刑事法が百二十人を超えた。憲法の「知る権利」や「国民主権」を損なう法案の実態が明らかになるにつれ、成立を急ぐ政府とは逆に反対の声が広がっている。 反対声明は憲法・メディア法と刑事法の研究者が二十八日、国会内で合同で記者会見して発表した。憲法・メディア法研究者の声明は呼び掛け人が二十四人、賛同者百十八人の計百四十二人。刑事法は呼び掛け人二十三人、賛同者百人の計百二十三人。会見で、憲法・メディア法の呼び掛け人の山内敏弘一橋大名誉教授は「法案は憲法の三つの基本原理である基本的人権、国民主権、平和主義と真っ向から衝突し侵害する」と指摘。刑事法の呼び掛け人代表の村井敏邦一橋大名誉教授は「(軍事機密を守る目的で制定された)戦前の軍機保護法と同じ性格。戦前の影響を考えれば、刑事法学者は絶対反対しなければならない」と呼び掛けた。声明はいずれも法案の問題点として、特定秘密を第三者の点検を受けず政府の判断で指定し、漏えいや取得に厳罰を科して、調査活動をする市民や記者も罪に問われる点を挙げた。その上で「国民の『知る権利』を侵害し憲法の国民主権の基盤を失わせ、憲法に基づいて国民が精査すべき平和主義に反している」などと批判した。憲法・メディア法は奥平康弘東京大名誉教授、東北大や東大などで教授を歴任した樋口陽一氏、杉原泰雄一橋大名誉教授、刑事法は斉藤豊治甲南大名誉教授ら研究者が呼び掛け人、賛同者に名を連ねた。 ◆声明呼び掛け人(敬称略) 【憲法・メディア法研究者】=24人 愛敬浩二(名古屋大教授) 浦田一郎(明治大教授) 服部孝章(立教大教授) 青井未帆(学習院大教授) 浦部法穂(神戸大名誉教授) 水島朝穂(早大教授) 石村善治(福岡大名誉教授) 奥平康弘(東京大名誉教授) 本秀紀(名古屋大教授) 市川正人(立命館大教授) 小沢隆一(東京慈恵会医科大教授) 森英樹(名古屋大名誉教授) 今関源成(早大教授) 阪口正二郎(一橋大教授) 山内敏弘(一橋大名誉教授) 上田勝美(龍谷大名誉教授) 清水雅彦(日本体育大准教授) 吉田栄司(関西大教授) 右崎正博(独協大教授) 杉原泰雄(一橋大名誉教授) 渡辺治(一橋大名誉教授) 浦田賢治(早大名誉教授) 田島泰彦(上智大教授) 和田進(神戸大名誉教授) 【刑事法研究者】=23人 村井敏邦(代表、一橋大名誉教授) 白取祐司(北海道大教授) 前田朗(東京造形大教授) 斉藤豊治(代表、甲南大名誉教授) 新屋達之(大宮法科大学院大教授) 松宮孝明(立命館大教授) 浅田和茂(立命館大教授) 武内謙治(九州大准教授) 三島聡(大阪市立大教授) 安達光治(立命館大教授) 土井政和(九州大教授) 水谷規男(大阪大教授) 海渡雄一(弁護士) 豊崎七絵(九州大准教授) 守屋克彦(弁護士) 川崎英明(関西学院大教授) 中川孝博(国学院大教授) 葛野尋之(一橋大教授) 新倉修(青山学院大教授) 斎藤司(龍谷大准教授) 渕野貴生(立命館大教授) 佐々木光明(神戸学院大教授) 本庄武(一橋大准教授) ◆特定秘密保護法制定に反対する憲法・メディア法研究者の声明の賛同者 青木宏治 (関東学院大法科大学院教授) 榎澤幸広 (名古屋学院大講師) 川岸令和 (早大教授) 浅川千尋 (天理大教授) 大石泰彦 (青山学院大教授) 菊地洋 (岩手大准教授) 足立英郎 (大阪電気通信大教授) 大久保史郎(立命館大教授) 北川善英 (横浜国立大教授) 荒牧重人 (山梨学院大大学院教授) 大津浩 (成城大教授) 木下智史 (関西大教授) 飯島滋明 (名古屋学院大准教授) 大塚一美 (山梨学院大非常勤講師) 君島東彦 (立命館大教授) 池端忠司 (神奈川大教授) 大藤紀子 (獨協大教授) 清田雄治 (愛知教育大教授) 井口秀作 (愛媛大教授) 大野友也 (鹿児島大准教授) 倉田原志 (立命館大教授) 石川裕一郎(聖学院大准教授) 岡田健一郎(高知大講師) 古関彰一 (獨協大教授) 石塚迅 (山梨大准教授) 岡田信弘 (北海道大教授) 小竹聡 (拓殖大教授) 石村修 (専修大法科大学院教授) 緒方章宏 (日本体育大名誉教授) 後藤登 (大阪学院大教授) 井田洋子 (長崎大教授) 奥田喜道 (跡見学園女子大助教) 小林武 (沖縄大客員教授) 伊藤雅康 (札幌学院大教授) 奥野恒久 (龍谷大教授) 小林直樹 (東京大名誉教授) 稲正樹 (国際基督教大教授) 小栗実 (鹿児島大教員) 小松浩 (立命館大教授) 井端正幸 (沖縄国際大教授) 柏崎敏義 (東京理科大教授) 笹川紀勝 (国際基督教大名誉教授) 浮田哲 (羽衣国際大教授) 加藤一彦 (東京経済大教授) 佐々木弘通(東北大教授) 植野妙実子(中央大教授) 金澤孝 (早大准教授) 笹沼弘志 (静岡大教授) 植松健一 (立命館大教授) 金子匡良 (神奈川大准教授) 佐藤潤一 (大阪産業大准教授) 植村勝慶 (国学院大教授) 上脇博之 (神戸学院大大学院教授) 佐藤信行 (中央大教授) 江原勝行 (岩手大准教授) 河合正雄 (弘前大講師) 澤野義一 (大阪経済法科大教授) 榎透 (専修大准教授) 河上暁弘 (広島市立大講師) 清水睦 (中央大名誉教授) 城野一憲 (早大法学学術院助手) 中島茂樹 (立命館大教授) 前原清隆 (日本福祉大教授) 鈴木眞澄 (龍谷大教授) 永田秀樹 (関西学院大大学院教授) 松田浩 (成城大准教授) 隅野隆徳 (専修大名誉教授) 中村睦男 (北海道大名誉教授) 松原幸恵 (山口大准教授) 芹沢斉 (青山学院大教授) 長峯信彦 (愛知大教授) 丸山重威 (関東学院大前教授) 高作正博 (関西大教授) 成澤孝人 (信州大教授) 宮井清暢 (富山大教授) 高橋利安 (広島修道大教授) 成嶋隆 (獨協大教授) 三宅裕一郎(三重短期大准教授) 高橋洋 (愛知学院大大学院教授) 西原博史 (早大教授) 三輪隆 (埼玉大特別教員・名誉教授) 高見勝利 (上智大法科大学院教授) 丹羽徹 (大阪経済法科大教授) 村田尚紀 (関西大法科大学院教授) 田北康成 (立教大助教) 根森健 (新潟大教授) 元山健 (龍谷大教授) 竹森正孝 (大学教員) 野中俊彦 (法政大名誉教授) 諸根貞夫 (龍谷大教授) 多田一路 (立命館大教授) 濱口晶子 (龍谷大准教授) 森正 (名古屋市立大名誉教授) 只野雅人 (一橋大教授) 韓永學 (北海学園大教授) 山崎英壽 (都留文科大非常勤講師) 館田晶子 (専修大准教授) 樋口陽一 (憲法研究者) 山元一 (慶大教授) 田中祥貴 (信州大准教授) 廣田全男 (横浜市立大教授) 横田耕一 (九州大名誉教授) 寺川史朗 (龍谷大教授) 深瀬忠一 (北海道大名誉教授) 横山宏章 (北九州市立大大学院教授) 戸波江二 (早大大学院教授) 福嶋敏明 (神戸学院大准教授) 吉田善明 (明治大名誉教授) 内藤光博 (専修大教授) 福島力洋 (関西大准教授) 渡辺賢 (大阪市立大学大学院教授) 永井憲一 (法政大名誉教授) 藤野美都子(福島県立医科大教授) 渡辺洋 (神戸学院大教授) 中川律 (宮崎大講師) 船木正文 (大東文化大教員) 中里見博 (徳島大准教授) 古川純 (専修大名誉教授) (27日現在、118人=敬称略) ◆刑事法研究者の声明の賛同者 赤池一将 (龍谷大教授) 京明 (関西学院大准教授) 中村悠人 (東京経済大専任講師) 安里全勝 (山口大前教授) 楠本孝 (三重短期大教授) 鯰越溢弘 (創価大教授) 雨宮敬博 (宮崎産業経営大講師) 黒川亨子 (宇都宮大専任講師) 名和鐡郎 (静岡大名誉教授) 甘利航司 (国学院大准教授) 小浦美保 (岡山商科大准教授) 西岡正樹 (山形大准教授) 荒川雅行 (関西学院大教授) 古川原明子(龍谷大准教授) 新村繁文 (福島大教授) 荒木伸怡 (立教大名誉教授) 後藤昭 (一橋大教授) 比嘉康光 (立正大名誉教授) 伊賀興一 (弁護士) 酒井安行 (青山学院大教授) 玄守道 (龍谷大准教授) 生田勝義 (立命館大名誉教授) 坂本学史 (神戸学院大講師) 平井佐和子(西南学院大准教授) 石塚伸一 (龍谷大教授) 佐川友佳子(香川大准教授) 平川宗信 (中京大教授) 石田倫識 (愛知学院大准教授) 櫻庭総 (山口大専任講師) 福井厚 (京都女子大教授) 伊藤睦 (三重大准教授) 笹倉香奈 (甲南大准教授) 福島至 (龍谷大教授) 稲田朗子 (高知大准教授) 佐藤雅美 (神戸学院大教授) 振津隆行 (金沢大教授) 指宿信 (成城大教授) 島岡まな (大阪大教授) 本田稔 (立命館大教授) 上田寛 (立命館大教授) 白井諭 (大阪経済法科大専任講師) 前田忠弘 (甲南大教授) 上田信太郎(岡山大教授) 鈴木博康 (九州国際大准教授) 前野育三 (関西学院大名誉教授) 植田博 (広島修道大教授) 陶山二郎 (茨城大准教授) 正木祐史 (静岡大教授) 上野達彦 (三重大名誉教授) 関口和徳 (愛媛大准教授) 松岡正章 (弁護士) 内田博文 (神戸学院大教授) 高内寿夫 (国学院大教授) 松倉治代 (大阪市立大准教授) 内山真由美(佐賀大准教授) 高倉新喜 (山形大准教授) 松本英俊 (駒沢大教授) 梅田豊 (愛知学院大教授) 高田昭正 (立命館大教授) 丸山泰弘 (立正大専任講師) 岡田行雄 (熊本大教授) 高平奇恵 (九州大助教) 光藤景皎 (大阪市立大名誉教授) 岡本勝 (東北大名誉教授) 武田誠 (国学院大教授) 緑大輔 (北海道大准教授) 大出良知 (東京経済大教授) 田中輝和 (東北学院大名誉教授) 三宅孝之 (島根大名誉教授) 大藪志保子(久留米大准教授) 田淵浩二 (九州大教授) 宮本弘典 (関東学院大教授) 大山弘 (神戸学院大教授) 丹治初彦 (弁護士) 村岡啓一 (一橋大教授) 小田中聰樹(東北大名誉教授) 恒光徹 (大阪市立大教授) 森尾亮 (久留米大教授) 春日勉 (神戸学院大教授) 寺中誠 (東京経済大非常勤講師) 森下弘 (立命館大教授) 門田成人 (広島大教授) 徳永光 (独協大教授) 森久智江 (立命館大准教授) 金澤真理 (大阪市立大教授) 冨田真 (東北学院大教授) 森本益之 (大阪大名誉教授) 神山敏雄 (岡山大名誉教授) 内藤大海 (熊本大准教授) 山田直子 (関西学院大教授) 嘉門優 (立命館大准教授) 永井善之 (金沢大教授) 山名京子 (関西大教授) 金尚均 (龍谷大教授) 中島洋樹 (関西大准教授) 吉村真性 (九州国際大准教授) ※ほかに氏名未公表の賛同者4人 (25日現在、100人=敬称略) 【秘密保護法案に反対 声明要旨】 ◇国民主権を形骸化 憲法・メディア法研究者 法案には憲法の基本原理に照らして看過しがたい重大な問題点があると考える。 一 取材・報道の自由、国民の知る権利などさまざまな人権を侵害する 重要で広範な国の情報が行政機関の一存で特定秘密とされることにより、国民の知る権利が制約される危険が生じる。また、公務員などが萎縮することにより情報提供が狭められ、漏えいへの教唆や取得なども犯罪として処罰されることで、取材活動や市民の調査活動が厳しく制限され、報道の自由や市民の知る権利が不当に侵害されかねない。法案には、「報道の自由に十分配慮する」との規定も置かれているが、この種の配慮規定により、法案の危険性を本質的に取り除くことはできない。このほか、法案は、秘密を取り扱う者に対する適性評価制度を導入しようとしているが、これは個人のプライバシーを広範囲に侵害するもので、内部告発の抑止にもつながりかねない。また、秘密とされる範囲は広範囲に及び、かつ、漏えい等が禁止される事項も抽象的に書かれており、処罰の範囲も不明確であり、憲法三一条が要求する適正手続きの保障に反する疑いも強い。 二 憲法の国民主権の原理に反する 法案が提示しているのは、国民主権の前提に反して、防衛、外交、有害活動防止やテロ防止など国民が大きな影響を受ける重要な情報について、その入手、取材、伝達、報道、意見交換がさまざまな形で制限される仕組みとなっている。これでは、国民主権が拠(よ)って立つ基盤そのものが失われてしまうことになろう。また、法案が制定されることになれば、国会議員の調査活動や議院の国政調査権なども制限を受ける可能性が高く、国民主権の原理はますます形骸化されてしまいかねない。 三 憲法の平和主義の原理に反する 法案は、防衛に関する事項を別表で広く詳細に列記し、関連の特定有害活動やテロ防止活動に関する事項も含め、これらの情報を広く国民の目から遠ざけてしまうことになる。しかも、法案により、現在の自衛隊法により指定されている「防衛秘密」はそのまま「特定秘密」に指定されたものと見なされ、懲役も倍化されるという乱暴なやり方が取られている。政府は、安全保障政策の司令塔の役割を担う日本版NSC(国家安全保障会議)の設置法案とともに法案の制定を図ろうとしている。法案は、想定される武力の行使を見越して秘密保護をはかろうとするものだ。その背後には、日米の情報共有の進展を踏まえた秘密保護強化の要請がある。 ◇人権侵害のおそれ 刑事法研究者 法案は、基本的には一種の軍事立法であり、平和主義、国民主権原理、基本的人権の尊重主義といった憲法の基本原理を脅かし、憲法「改正」の先取りでもある。同時に、刑事法の人権保障をも侵害するおそれが大きいと言わざるを得ない。 一 法案の罰則は罪刑法定主義に反し、憲法三一条違反である 特定秘密保護法の罰則は、文言が曖昧であり、処罰範囲は広汎(こうはん)であって、憲法三一条の適正手続き・罪刑法定主義に反する。罪刑法定主義は、犯罪と刑罰が国会の制定する法律によらなければならないとするもので、政府が刑罰法規を定めることは基本的人権と議会制民主主義の見地から許されない。この法案の特定秘密はそもそもきわめて広範囲であり、具体的な内容は行政機関の長が決定する。このような罰則は、刑法による保護の対象を事実上行政機関の決定に広範に委任するという意味で、それ自体罪刑法定主義の趣旨に反する。処罰の類型も秘密漏えいを中心に、特定秘密の取得行為、独立教唆・扇動、共謀にまで及び、過失による漏えいの処罰も含まれており、悪(あ)しき完全主義に陥っている。ささいな行き過ぎを口実に、報道機関の取材や住民運動の側の調査活動は規制の対象とされ、活動を萎縮させるおそれが大きい。 二 刑事裁判における適正手続きを侵害する 罰則に違反して起訴された場合、裁判官や弁護人に秘密の内容を開示することは認められないおそれがある。その結果、「特定秘密」の内容が裁判官に対してさえ明らかにされないまま審理され、有罪とされることになろう。裁判の公開の制限や、尋問・論告・弁論が制限されるおそれも無視できない。弁護人の活動が特定秘密の取得行為あるいは共謀罪、独立教唆・扇動罪あるいは未遂罪に当たるとして、処罰される可能性がある。被疑者・被告人が弁護人の援助を受ける権利が著しく制限される。 三 報道機関への配慮規定は問題を解決しない 法案は報道・取材に対する配慮規定といわゆる「免責」規定をおいている。これらの条文はメディアをなだめることを意図している。しかし、懲役十年を覚悟して、秘密の情報をメディアに提供する人はほとんどいない。濫用(らんよう)禁止規定が人権侵害に対して効果的な歯止めとなるかは、過去の類似の規定を持つ法律等の運用から見て疑わしい。 *3:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013110900196 (時事ドットコム 2013.11.9) 秘密提供、弁護人は対象外=「防御権侵害の恐れ」指摘も-保護法案. イージス艦情報漏えい事件で海上自衛隊第1術科学校を家宅捜索し、押収品を車両に載せる神奈川県警の捜査員ら=2007年5月19日、広島県江田島市政府が今国会で成立を目指す特定秘密保護法案は、秘密を扱う公務員らだけでなく、秘密を取得した側も罪に問われかねない内容となっている。起訴されて裁判を受ける場合、同法案では弁護人への秘密の提供は認められておらず、弁護士の間では「被告の防御権が侵害される恐れがある」との指摘も出ている。特定秘密は行政機関の長が指定し、扱えるのは国家公務員や都道府県警の職員、防衛産業関係者らに限定。秘密を漏らすと最高で懲役10年の刑が科され、過失や未遂も処罰の対象となる。また、秘密漏えいを唆したり、暴行や脅迫、不正アクセスなどによって秘密を取得したりした場合も処罰対象となる。法案では、刑事事件の捜査または公訴の維持に携わる警察、検察には特定秘密を提供できるとされる。証拠開示命令を出すかどうかを決めるに当たって必要な場合には裁判所への提供も可能とされるが、弁護人への提供を認める記載はない。 *4:http://mainichi.jp/shimen/news/20131115ddm041010080000c.html (毎日新聞 2013年11月15日) 特定秘密保護法案に言いたい:「報道」の線引きに疑問−−アジアプレス共同代表・石丸次郎さん ◇石丸次郎さん(51) 特定秘密保護法ができれば、報道と秘密保護の摩擦は必ず起きる。立件するかどうか決めるのは警察だ。大手メディアにはすぐには手を出さないだろう。まずターゲットになるのは私たち独立系やフリーランスのジャーナリストではないかと強い危惧を抱いている。政府はフリーランスも「報道従事者」として処罰対象にしないと言っているが線引きするのは権力側。日朝外交の舞台裏をチームで取材し、若いスタッフが外交官に話を聞いたら「特定秘密の漏えい教唆」と見なされるかもしれない。「報道実績がない」と決めつけることも可能だからだ。基地問題などで報道機関に負けない地道な調査を続けている市民がいる。彼らはどうなるのか。 報道とそれ以外という線引き自体が間違っていると思う。何が秘密か分からないのが不気味だ。アジアプレスのメンバーはイラクで自衛隊の活動も取材した。特定秘密保護法ができれば、自衛隊や外交の関係者を取材する時に「相手に迷惑をかけるかもしれない」との思いが働くだろう。「これ以上突っ込むと通報されるかもしれない」という疑心暗鬼にも陥る。踏み込んだ取材には慎重にならざるを得なくなる。長く取材してきた北朝鮮は、路地裏の露天市場の写真や映像すら「国家機密」として外国に持ち出すことを厳罰に処す国だ。非民主的で強権的な国家はやたらと秘密を作りたがり、情報統制によって国民を管理する。安倍政権も同じベクトルを向いているのではないか。 *5:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/list/CK2013111002000111.html (東京新聞 2013年11月10日)【特定秘密保護法案】「国家の安全に優先せず」 「法案批判は放送法違反」 「知る権利」が国家の安全に優先するとの考えは間違い。法案に批判的なテレビキャスター発言は放送法違反-。特定秘密保護法案をめぐり、自民党の閣僚経験者や政権幹部から、国民の知る権利や報道の自由を軽視するかのような発言が続いている。法案は知る権利と報道・取材の自由に十分配慮すると規定しているが「うわべだけのものだ」との声も上がる。 自民党の特定秘密保護法案に関するプロジェクトチーム座長を務める町村信孝元外相は、八日の衆院国家安全保障特別委員会で「(知る権利が)国家や国民の安全に優先するという考え方は基本的に間違いがある」と発言。「『知る権利は担保しました、しかし個人の生存が担保できません、国家の存立が確保できません』というのは、全く逆転した議論ではないか」とも述べた。 一方、小池百合子元防衛相は十月二十八日の衆院特別委で、首相の一日の行動を報道する首相動静について「知る権利(の範囲)を超えているのではないか」との認識を示した。「知る権利もあるが、何を知り、何を伝えてはいけないかを精査してほしい」と求めたが、菅義偉官房長官は同日の記者会見で「(首相動静は)特定秘密には当たらない」と火消しに走った。 短文投稿サイト「ツイッター」で盛んにつぶやいているのは、法案を担当する礒崎陽輔首相補佐官。十一月七日にはテレビ報道をめぐり「こういう法案にはファイティングポーズをとらなければならないということなのだろうが、放送の中立性を侵せば、放送法違反だ」「キャスターが『廃案にさせなければならない』と明確に言った。明らかに放送法に規定する中立義務違反の発言だ」と投稿した。 今国会での法案成立を目指す安倍晋三首相は衆院本会議で「国民の知る権利や報道の自由への配慮も重要と認識している。適切に対応する」と述べた。しかし、山口二郎北海道大教授(政治学)は、自民党が七月にTBSの取材を一時拒否したことも挙げながら「安倍政権になってメディアに対するけん制、威嚇はずっと続いており、元閣僚らの発言はその一端だ。配慮規定はうわべだけのソフトな言葉を入れ、法の有害さを隠しているにすぎない」と指摘した。 *6:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2582478.article.html (佐賀新聞 2013年11月18日) 民主の対案、特定秘密を限定 / 外部監査も導入 民主党が検討している政府の特定秘密保護法案への対案に、特定秘密に指定できる対象を外国政府との共有情報に限定し「国際特別管理秘密」との名称にする内容を盛り込むことが分かった。行政機関による恣意的な対象拡大を防ぐため、国会や第三者機関による外部監査制度も導入する。複数の党幹部が18日、明らかにした。政府の秘密保護法案は(1)防衛(2)外交(3)スパイ行為など特定有害活動防止(4)テロ活動防止―に関する情報を「特定秘密」に指定。公務員らが漏らした場合、最高10年の懲役を科す。 *7:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131119/k10013165551000.html (NHK 2013年11月19日) みんな 与党と修正のうえ法案賛成へ みんなの党は、まもなく役員会を開き、「特定秘密保護法案」について、「特定秘密」の指定などで総理大臣の関与を強める修正を行ったうえで賛成する方針を、正式に決めることにしています。「特定秘密保護法案」を巡って、自民・公明両党とみんなの党は、修正協議の実務者が、先ほど国会内で会談し、▽「特定秘密」の指定にあたって統一的な運用を図るための基準案を総理大臣が作成することや、▽指定などについて、総理大臣の指揮・監督権を明記し、必要があれば閣僚らに説明を求め、改善を指示できることなど、18日、大筋で合意した法案の修正内容を確認しました。これを受けてみんなの党はまもなく役員会を開き、与党と共に法案を修正したうえで、賛成する方針を正式に決めることにしています。一方、自民・公明両党と日本維新の会の実務者が、先ほどから国会内で修正協議を行っており、この中では、維新の会が求めている、▽「特定秘密」の指定の妥当性をチェックする第三者機関の設置や、▽すべての情報を30年後に開示することなどを巡って、意見が交わされているものとみられます。
| 民主主義・選挙・その他::特定秘密保護法関係2013.10~12 | 08:37 PM | comments (x) | trackback (x) |
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2013,11,18, Monday
(1)食品偽装と食品表示 *1に書かれている「全国各地のホテルや百貨店で相次ぐ食材の偽装は、おもてなし以前の問題で、人の口に入れるものをだますのは犯罪に等しい」というのは本当で、薬と同様、食品は身体の中に入れるものであるため、安全性や品質には、十分な注意が必要だ。そのため、消費者が正しく選択できるように、食品表示が義務付けられているのである。 しかし、*2のように、委員を務めるJA全農の立石食品品質・表示管理部長が、「事業者と消費者には大きな情報格差があるので、原料原産地表示などの重要課題を先送りせず、消費者目線で検討すべきだ」と主張したにもかかわらず、本来、消費者の側に立つべき消費者庁が、「食品表示法施行までの時間が限られている」として、表示基準案の作成を優先し、アレルギー表示や遺伝子組み換え表示、加工食品の原料原産地表示などの問題を先送りすることをあらためて強調したそうである。 (2)食品表示の役割 *1で、「日本農林規格法(JAS)では、加工品や生鮮食品には品種や産地名の記載が求められるにもかかわらず、外食には法規制が及ばなかった」と書かれているが、これは、私が衆議院議員だった時、議員数人で外食産業に視察に行き、私が提案したことだ。何故なら、産地名が表示されていなければ、消費者は正しい選択をすることができず、食品の安全や品質に注意して手をかけた生産者が馬鹿を見るパラドックスが起きるからだ。 そのため、消費者庁は、外食メニューにも食材の明記や安全性に関する表示を求めることを検討しているそうだが、外食や中食でも、原材料の産地は地域まで正確に記載してもらいたい。その理由は、安全・安心や質の高さに地域ぐるみで取り組んでいる県や農協もあり、産地が明確に区別されなければ、努力が水泡に帰すからだ。そのため、*2、*3のように、生産者も表示に積極的なのである。 また、*4のように、今の日本では、「放射能○○ベクレル」という放射能表示も必要になった。何故なら、それがなければ、消費者は、危険性ある地域の食材をすべて敬遠するしかないからだ。 (3)大人にも「嘘をつくな」「誠実に生きよ」という基本的道徳がないのに、誰が教えて評価する? *1に、「肝心なのは食を提供する側にモラルを取り戻すことだ」と書かれているが、そのとおりだ。それでは、どうすればそれを可能にできるかと言えば、家庭や社会の大人たちが見本を見せることができていない以上、「嘘をつくな」「誠実に生きよ」という基本的な道徳を、*5のように、学校で教える必要があるだろう。子どもにだけ教えても無理だろうが・・・。 また、*5に、重要項目として「いじめ防止」「生命尊重」「グローバル社会の中でのアイデンティティー」などが挙がっていると書かれているが、「ヒューマニズム(生命尊重やいじめ防止は当然含まれる)」と「個人の尊重(すべての人のアイデンティティーを大切にすること)」を教えれば、それらはすべて含まれる。また、子どもに「善悪の価値」や「我慢」を教えることは重要だが、「自己犠牲」を教えれば、基本的人権の軽視に繋がる「特定の価値観の押しつけ」に発展することが、日本の歴史と文化には現われている。 *1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013110902000138.html (東京新聞社説 2013年11月9日) 食材偽装 モラルを取り戻そう 全国各地のホテルや百貨店で相次ぐ食材の偽装は、おもてなし以前の問題だ。人の口に入れるものをだますのは犯罪に等しい。「表示を誤った」と弁解する経営陣には最低限のモラルもない。後味の悪い話というのは、まさにこのことだ。阪急阪神ホテルズで食材の偽装が発覚したのをきっかけに、全国のホテルや百貨店などが自主調査したところ、オークラや高島屋、三越伊勢丹など大手老舗にもまん延していた。安価な食材を使いながら、高級食材を使ったように偽る。その手口も詐欺的で、一流店のすることかとあざとさに驚かされる。牛脂を注入した加工肉を「牛ステーキ」と偽り、バナメイエビやブラックタイガーを「シバエビ」「車エビ」と表記する。おせちの「からすみ」もサメとタラの卵で作った模造品だった。ハレの日、いつもより贅沢(ぜいたく)な食事を楽しんだ人は多いだろう。でも、偽物だった。偽装が常態化し、オークラは過去六年間に三十八万六千食、八億円以上を売り上げたという。「業界の慣習」と認めた役員の言葉通り、非常識な偽装は業界の“常識”だったのだ。 怖いのは、食材偽装は命さえ奪いかねないことだ。フランスのグルメ本にも載った奈良の旅館で「和牛ステーキ」として出された成型肉は、結着剤にアレルギー物質の乳などが含まれていた。肉を貼り合わせる過程で雑菌が入り込むと食中毒の危険もある。高い代価を支払う一流店なら食材も厳選している-。お客の多くはそう思っている。だが、こんなお粗末さでは「一流こそ疑え」となる。支配人クラスに食材の知識もなかったのか。現場の料理長らはプロだ。偽の食材を扱って良心は痛まなかったか。消費者庁など行政機関に告発はなかったのか。経営陣は「客を誤解させる意図はなかった」「表記の誤り」と弁解している。「偽装」と認めれば景品表示法に触れる恐れが出てくるためだろう。まず非を認め、反省を示すべきではないか。 日本農林規格(JAS)法では加工品や生鮮食品には品種や産地名の記載が求められるが、外食には法規制が及ばなかった。消費者庁は外食メニューにも食材の明記や、安全性に関する表示を求めることを検討している。肝心なのは食を提供する側にモラルを取り戻すことだ。二度とお客を置き去りにした偽装などしないと。だましてまで食べてほしい味なんてあるはずがない。 *2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=24361 (日本農業新聞 2013/11/7) 問題先送りで異論 内閣府消費者委食品表示部会「命に関わる」 内閣府の消費者委員会は6日、食品表示部会を開き、新たな食品表示ルール策定方針や法施行までの日程を確認した。委員からは今後の議論に当たり、委員の構成や原料・原産地表示など残された問題を先送りすることに、異論が出た。消費者庁は食品表示法施行までの時間が限られているとして、表示基準案の作成を優先し、アレルギー表示や遺伝子組み換え(GM)表示、加工食品の原料原産地表示などの問題を先送りすることをあらためて強調した。 委員を務めるJA全農の立石幸一食品品質・表示管理部長は「事業者と消費者には大きな情報格差がある」と指摘。「原料原産地表示などの重要課題を先送りせず、消費者目線で検討すべきだ」と主張した。他の委員からも「命に関わるアレルギー表示などの問題を先送りにするな」といった意見が出た。今後の議論の持ち方については、委員構成を問題視する声も上がった。立石部長は日本消費者連盟の山浦康明共同代表らと共に、消費者団体を代表する委員を減らしたことに質問状を提出。しかし、消費者庁は「人選については部会で議論すべき問題ではない」と答えるにとどまった。 *3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=24455 (日本農業新聞 2013/11/13) 食品の表示 適正に 関係団体へ要請 農水省が取り組み方針 ホテルや百貨店でメニューの表示と異なる食材を使っていた虚偽表示問題を受け、農水省は12日、食の信頼回復に向けた今後の取り組み方針を発表した。DNA分析やチェック体制の強化が柱。併せて同省は外・中食業界15団体に対し、適正な表示の徹底を求める指導・要請を行った。取り組み方針では、違反が多く報告されるエビなどの食材をDNA分析し表示内容を確認。地方農政局などの食品表示Gメンが外食事業者に対する表示制度の普及・啓発を行うとした。対策を通じて「表示の適正化に向けて川下の体制を強化し、成果として産地のブランドが守られるようにしたい」(表示・規格課)考えだ。消費者庁が作成する表示適正化へのガイドラインの協力も行うとしている。同日の指導・要請で同省は業者らに対し、違反事例などの周知、表示適正化の取り組み状況の把握、表示適正化を強く求めた。山下正行食料産業局長は「2020年の東京五輪に向けて輸出戦略も決め、日本食を世界に広めていこうとしている中で、今回の問題は日本食への信頼が揺るぎかねない重大な問題」と指摘。11日に開いた「食品表示等問題関係府省庁等会議」の内容も説明し、表示順守を重ねて強調した。これに先立ち、林芳正農相は同日の閣議後会見で、「改善されないと、日本の食に対し(信頼に関わる)影響が出る」と食品表示問題に懸念を表明。その上で、「消費者が食に信頼感を持てるように、政府一丸となって表示の適正化に取り組みたい」との意向を示した。 *4:http://dot.asahi.com/news/incident/2012092600824.html 福島第一原発事故の直後、CNNテレビで「すでにチェルノブイリと同じレベルだ」と指摘した米原子力技術者、アーニー・ガンダーセン氏。さらに原発の即時全廃を訴える作家・広瀬隆氏が対談で福島第一原発4号機の危機的状況を指摘した。 * * * ●広瀬:私の講演会では、ガンダーセンさんが3号機の爆発で、使用済み核燃料プールで即発臨界が起こった可能性について解説しているインターネットの動画を見せています。東京電力は認めませんが、私はあなたの解析に間違いないと思います。 ▲ガンダーセン:今は、爆発の原因を厳密に特定するのは難しい段階ですが、上向きのベクトルで劇的な爆発が起こったこと、爆発位置と偏りを考えると、核燃料プールで不慮の臨界が起こったと考えるのが自然です。 ●広瀬:原発敷地内で極めて高い放射線量が検出されたのも、臨界暴走でプールの核燃料が飛び散ったと考えると、現場の状況と符合します。著書『福島第一原発 ―真相と展望 』(集英社新書)では「4号機のプールで火災が起きたら、日本を脱出せよ」と警告していますね。 ▲ガンダーセン:4号機の核燃料プールは、今も日本列島を物理的に分断するほどの力を持っています。震災時、このプールには炉心数個分もの使用済み核燃料が入っていたのです。大気圏内で行われた過去の核実験で放出された総量に匹敵するほどの、放射性セシウムが眠っています。 ●広瀬:しかも、おそろしいことに、核燃料プールは遮蔽されていません。 ▲ガンダーセン:まさに「格納されていない炉心」です。今は水で冷やしていますが、プールにヒビが入るなどして水位が下がり、冷却できなくなると、温度が上がって燃料棒の鞘であるジルコニウム合金が発火するのです。こうなると、もはや水では消火できない。核燃料が大気中で燃えるという、人類のだれも経験したことはない、おそろしい状況になるのです。 ●広瀬:今回の事故とはけた違いの膨大な放射性物質が出てくる。大惨事です。 ▲ガンダーセン:まさしく。震災直後、日本では1、3号機の爆発に気を取られていましたが、米原子力規制委員会(NRC)は、この事態を非常に心配してきました。私自身もそうです。 ●広瀬:私は、ボロボロの4号機の燃料プールがガラッと崩れて、核燃料がバラバラと飛び散る事態を心配してきましたが、燃料プールのコンクリートに亀裂が入っただけで終わり、ということですね。 ▲ガンダーセン:科学にとって未知の大惨事になります。 *5:http://digital.asahi.com/articles/TKY201311110491.html?iref=comkiji_redirect&ref=nmail (朝日新聞 2013年11月12日) 生徒の「心」、評価対象 道徳、教科に格上げ案 文部科学省の「道徳教育の充実に関する懇談会」(座長=鳥居泰彦・慶応義塾学事顧問)は11日、小中学校の道徳を教科に格上げする報告案をまとめた。文科省は、12月に懇談会の報告を受け、年明けにも中央教育審議会に諮問し、15年度から教科化する日程を検討するが、教科書を使い、記述式で子どもを評価するという報告案の実現には問題が多い。 今は教科外の活動として週1回、副読本などを用いて教えられる「道徳」。報告案の最大の特徴は検定教科書の導入だ。「教科書は使用義務があり、授業水準を保てる」「教科書会社が競い、教材の質が高まる」などを理由に挙げる。ただ、懇談会でも、「検定基準をどう定めるのか、難しい」「教科書を選ぶ教育委員会の負担が大きい」などと慎重な意見が出た。 検定は「学習指導要領に沿っているか」「学説に照らして正確か」等の観点で判断される。「心のありように関わる記述の『正確性』を判断できるのか」と疑問視する文科省幹部も。報告案では「多様な価値観を反映した教科書を認める」としつつ、具体的な検討は文科省に委ねた。また、「成績の数値評価」は「道徳性を培うという性格上、不適切」とする一方、記述による評価の検討をうたった。しかし、具体的な評価観点は示されておらず、何をどう評価するかはまだ不透明だ。教える内容について、報告案は「発達段階ごとに精選を検討すべきだ」とし、重要項目として「いじめ防止」「生命尊重」「グローバル社会の中でのアイデンティティー」などを挙げた。11日の懇談会では「善悪の価値が最重要」「自己犠牲や我慢」といった意見も出た。「特定の価値観の押しつけにつながる」との懸念が根強い中、何を重視するかも焦点だ。 ■「崇高なもの」どう教科書に 編集者ら困惑 「自然や崇高なものとのかかわり」。現在、道徳の学習指導要領で掲げられている柱のうち、大手教科書出版社の編集者は、この項目を将来どう扱ったらいいか気をもむ。自然を愛し、人間の力を超えたものへの畏敬(いけい)の念を養うことなどを目指したもので、副読本ではトルストイの童話「七つの星」やマザー・テレサらの偉人伝などを利用して伝えてきた。この編集者は「『崇高なもの』は抽象的なので子どもが体験に基づいて振り返ることが難しく、個人差も大きい。畏敬の念を抱いたか、どう評価するかも難しいのでは」と話す。評価の導入について、本田由紀・東京大教授(教育社会学)は「記述式とはいえ、多様性の尊重や子どもの内面の自由を損なうことになる。何が良い生き方かを政府が決め、教師が子どもを裁くことになれば、憲法19条の思想・良心の自由にも抵触するのではないか」と心配する。教科化に向けた今回の議論は、政府の教育再生実行会議が2月にまとめた「いじめ対策」の提言が発端だが、効果は高いのか。内藤朝雄・明治大准教授(社会学)は「皆との同調が強く求められる環境の改善なくしていじめはなくならないだろう。むしろ、子どもの内面の善悪の評価をすることによって、『悪い』とされた子へのいじめが正当化されることにもなる」とみる。 ■「道徳」懇談会報告案の主な内容 ◆道徳の時間を「特別の教科」(仮称)に格上げ ◆検定教科書の導入 ◆数値評価は不適切だが、評価は重要。記述式など検討 ◆子どもの実態をよく知る学級担任が指導 ◆教員養成課程で履修単位数の増加を検討 ◆学習指導要領で示す道徳の内容の見直し PS(2013.11.19追加):11月19日に、*6の記事を見たが、食品表示と景品表示の区別もわからないような人が判断しているのが問題なのだ。食品はMainで景品はおまけである。 *6:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2582893.article.html (佐賀新聞 2013年11月19日) 食材虚偽表示で改正景表法案 / 来年の国会提出目指す 消費者庁は19日、相次ぐ食材虚偽表示の取り締まりを強化するため、都道府県も違反業者に措置命令を出せるようにする景品表示法改正法案を、来年の通常国会に提出することを目指すと明らかにした。課徴金制度の導入や、違法行為を直接罰する規定の導入も今後の検討課題とする。 自民党の消費者問題調査会は19日、景表法に基づく国と地方自治体の取り締まり態勢を強化することや、虚偽表示の罰則強化を検討すべきとする緊急提言をまとめた。提言は悪質な虚偽表示は、政府が詐欺容疑などでの刑事告発も考えるべきだと指摘した。
| 教育・研究開発::2013.11~2014.7 | 10:44 AM | comments (x) | trackback (x) |
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2013,11,17, Sunday
(まさか、こういうブログを、テロや扇動や風評被害などと呼ばないでしょうね)
日本の汚染情報 ドイツの汚染情報 フランスの汚染情報 (1)優先順位を間違えた論理 *1の石井孝明氏は原発推進派で、「俳優だった山本氏は福島第1原発事故の後に、『反原発』を主張してさまざまな騒動を起こした」と書かれているが、これらは、「騒動」という言葉で表すべきものではない。そして、そういう活動の結果、山本氏が参院選の東京選挙区で約67万票を集めて当選したのは間違いなく、これは、その活動が多くの人に支持された結果だ。 また、石井氏は、*1で、「山本議員の主張と行動、特に健康情報の扱いは問題があり、『被ばくで健康被害が起こる』と繰り返すが、健康情報は正確に、慎重に発信しないと、パニックや風評被害の源になる」「事故後に多くの放射能デマが社会を混乱させ、人々の心を傷つけた」「誰もが原発事故当時、放射能による健康被害を警戒し、放射線を大量に浴びると発ガンが増えると思ったが、事故の影響は限定的だった」等々と述べている。 要するに、石井氏は、「放射能の健康被害はデマであり、デマを流してパニックや風評被害の源になるのは悪いことだ」と言っているのだが、放射能の健康被害がデマでないことは、*6、*7のとおりである。そのため、*2、*3、*4、*5のようなことが問題となっているのだ。そして、これが、全国放送で報道され、国民に情報共有されないことは、普段から「言論の自由」を標榜しているメディアの闇である。 そのような情報を知らないため、福島市在住の母親が、「山本さんが『子供が危険』と誤った情報を流すことは故郷への悪口で、とても不愉快」「山本氏の行動は人の心を傷つけている」と述べているのだろうが、「故郷への悪口」「不愉快」「人の心を傷つける」と言う以前に、正確な情報を入手して家族の命や健康へのリスクを軽減することこそ最も重要な課題であり、優先順位が異なる。 私は、「環境ジャーナリスト」という肩書をつけたからといって、慶応大学経済学部卒のフリー記者が、放射線と癌の関係に詳しいとは思わない。石井氏は、その自分の限界を自覚すべきである。 (2)内部被曝にかかわる食品安全基準は、もう0にしてもらいたい 食品の安全基準は、飲料水(10ベクレル/kg)、牛乳(50ベクレル/kg)、一般食品(100ベクレル/kg、乳児用食品50ベクレル/kg)とされている(http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/20131025-1.pdf 参照)。そして、その基準は、年間1ミリシーベルトを超えないように設定したとされているが、「年間1ミリシーベルトを超えなければよい」というのは外部被曝の場合であり、食物からの内部被曝では、食品に少量でも放射性物質が含まれていれば、消化器系や腎臓・膀胱をはじめとして、身体全体に負担がかかる。また、食品から年間1ミリシーベルトを摂取すれば、外部被曝との合計は、さらに大きな値となる。これは真実であり、風評ではない。 つまり、一見、もっともらしい安全基準も、①他の被曝との合計が考えられていない ②期間が明示されていない ③仮定が多すぎる ④ご都合主義 などの問題があるのである。 原発事故から既に2年8カ月経過し、その間、国民は放射性物質を含む食品を食べさせられて、抵抗力は、もう限界に近い。そのため、もう食品には全く放射性物質を含まないようにしてもらいたいのだ。そんな常識も通らない国ならば、日本国民はもとより、外国の日本食材に対する安全性評価も地に落ちる。 *1:http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20131113/plt1311130726000-n1.htm (Zakzak 2013.11.13) 【脱原発論はいいけれど…】山本太郎氏は被曝の恐怖と自分の政治主張を結びつけるな 誤った情報は福島を傷つける★(2) 山本太郎参議院議員が10月31日の園遊会で、天皇陛下に手紙を直接渡して、大騒動となった。本人によれば、手紙は「子供たちの被ばくが進み、健康被害が出る。実情を知ってほしい」という内容だ。あらゆる立場の人が彼を批判した。社会問題の解決は国会議員の仕事なのに、関係のない皇室を巻き込んだ。これは目立ちたいパフォーマンスにしか思えない。参院は8日、議長名で厳重注意と皇室行事参加を認めない処分を決めた。山本氏は、処分後に「猛省している」と陳謝した。 俳優だった山本氏は福島第1原発事故の後に、「反原発」を主張してさまざまな騒動を起こした。今年夏の参院選では東京選挙区で約67万票を集めて当選した。多くの人に支持されたことは尊重するが、彼の主張と行動、特に健康情報の扱いは問題がある。 今回の手紙騒動を含めて、山本氏は「被ばくで健康被害が起こる」と繰り返す。健康情報は正確に、慎重に発信しないと、パニックや風評被害の源になる。事故後に多くの放射能デマが社会を混乱させ、人々の心を傷つけたことを思い出してほしい。誰もが原発事故当時、放射能による健康被害を警戒した。放射線を大量に浴びると発ガンが増える。幸いなことに事故の影響は限定的だった。専門家はそろって「健康被害は起きる可能性はほとんどない」と現状を分析し、日本政府も国連科学委員会も「がん患者の増加は考えられない」との報告をまとめた。現時点で、福島県や東日本の大半で、事故の影響による追加被ばく量は、影響がないと推定される年数ミリシーベルト以下だ。 ところが、山本氏は安心を得られる情報を受け付けず、皇室を含めて他の人に「危険だ」という意見を押し付ける。3歳の女の子と暮らす福島市在住の母親に感想を聞いた。「私たちは情報を集め、健康被害はないと判断した上で、故郷に住んでいます。山本さんが『子供が危険』と誤った情報を流すことは故郷への悪口で、とても不愉快です」。周囲も同種の感想ばかりという。山本氏の行動は人の心を傷つけている面があるようだ。山本氏が代表格だが、放射能をめぐる誤った情報を周囲に拡散する人がいる。そして、その恐怖感と自分の「反原発」の政治主張を結びつける。そうした行為は、今すぐやめてほしい。それよりも放射能の正確な情報を学び、福島の人々の声を聞いたらどうか。 他者に迷惑をかけない「脱原発」や「子供を守れ」の主張なら、違う考えの人も交えながら、子供の健康とエネルギーをめぐる建設的な議論ができるはずだ。 ■石井孝明:経済・環境ジャーナリスト。1971年、東京都生まれ。慶応大学経済学部卒。時事通信記者、経済誌記者を経て、フリーに。エネルギー、温暖化、 環境問題の取材・執筆活動を行う。アゴラ研究所運営のエネルギー情報サイト「GEPR」の編集を担当。著書に「京都議定書は実現できるのか」(平凡社)、「気分のエコでは救えない」(日刊工業新聞)など。 *2:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-215262-storytopic-1.html (琉球新報 2013年11月13日) 東京湾にセシウム高濃度地点 東京電力福島第1原発事故から1年半以上がたった2012年11月の段階でも、東京湾奥部の河口域の底泥から1キログラム当たり千ベクレルを超える放射性セシウムが検出されるなど、比較的高濃度の「ホットスポット」が存在していることが、近畿大の山崎秀夫教授らの分析で13日、明らかになった。 山崎教授は「事故に起因する放射性物質が今でも河川を通じて東京湾に流れ込んでいる。生物を含めた監視を続けることが重要だ」と指摘した。12年8~11月初めにかけて東京湾の延べ106地点で泥を採取、分析。 *3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20131113/CK2013111302000147.html (東京新聞 2013年11月13日) 利根川水系のウナギ出荷制限 県は十二日、境大橋(境町)より下流の利根川で、支流を含めてウナギの出荷を制限するよう国の指示があったと発表した。県境に接している千葉県の利根川で捕れたウナギから基準値(一キログラムあたり一〇〇ベクレル)を上回る放射性セシウムが検出されたため。茨城県内の利根川水系でウナギが出荷制限されるのは初めて。県は同日、関係する漁協に出荷を控えるよう要請した。千葉県の利根川で検出された放射性セシウムは五月に一キログラムあたり一三〇ベクレル、十月に同一四〇ベクレル。 *4:http://www.minyu-net.com/news/news/1115/news1.html (2013年11月15日 福島民友ニュース) 農業用ため池、3割基準値超 底土の放射性物質 福島県は14日、東京電力福島第1原発事故を受け、県内の農業用ため池1640カ所(避難区域を除く)で底にたまった土砂(底土)などに含まれる放射性物質濃度を調査した結果、3割の450カ所で、国が処分責任を持つ指定廃棄物の基準値(1キロ当たり8千ベクレル)を超えたことを明らかにした。本宮市の明戸石(みょうといし)ため池で最高値1キロ当たり37万ベクレルを検出したのをはじめ中通りを中心に高濃度の放射性セシウムが底土に蓄積している実態が判明。ため池は除染の対象でなく、県は環境省に実測値を提示し除染対象に加えるよう強く求める。底土の調査結果が検出限界値未満だったのは1カ所だけで、1639カ所で放射性セシウムを検出した。県は「(濁った水が流れれば)放射性セシウムが水田や畑に流出し、農作物に色濃く影響が出る」(農地管理課)と警戒感を示したため池の水の調査では、75カ所から放射性セシウムを検出、最高値は1リットル当たり13ベクレルで飲料水の基準値(1リットル当たり10ベクレル)を上回る一方、水を濾過(ろか)して再調査すると、検出したため池は2カ所に減り、最高値も同8ベクレルまで下がった。これはセシウムが土などに付着して水の中を漂っている状況を裏付けるという。 *5:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=24516 (日本農業新聞 2013/11/16) 津波被災田200ヘクタール復旧 稲作再興へJA奮闘 福島・JAそうま 東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故の被害を受けた福島県のJAそうまは、農地復旧の専属班を設けて農家の早期営農再開を後押しすると同時に、農地データの収集や米の全量検査の実施で「風評被害」の克服に取り組む。今年の米の作付け2142ヘクタールは、震災前の27%にとどまる。時間の経過とともに離農が進む中、JAは「農家の営農意欲を何とかつなぎ止めたい」と奮闘する。 JA管内4市町村のうち南相馬市と飯舘村は、原発事故の影響で今年も全域で作付けができない。同市を含む相馬市、新地町の沿岸部は津波被害を受けた農地の復旧作業が続く。JAは、「災害農地除塩・除染対策班」を12年2月に発足させ、専従職員4人を配置した。津波被災田の復旧事業を行政から受託し、被災者支援のため農家らに作業を振り分ける。JA出資法人にも依頼して200ヘクタールの作業を終え年度内にさらに40ヘクタールを復旧させる。しかし、農地除染は思うように進んでいない。除染で発生する汚染廃棄物の一時保管場所や作業員の確保が難しいことが原因。「風評被害」への懸念から「営農を再開するには、検査で不検出となる米を確実に生産できる状況を整えてほしい」(南相馬市の農業法人代表)との声も強い。こうした状況を踏まえJAは、今年度、国から委託を受けて、同市の123ヘクタールの農地で実証栽培に取り組んだ。土壌や空間の放射線量が比較的高い地域で、塩化カリウムなどを施用して米のセシウム吸収を抑制できるかを調べる。土壌や玄米の放射性物質濃度などのデータを取りまとめ、国や県に提供している。また、放射性物質が基準値以下の米だけを流通させるため、全量全袋検査を徹底する。同対策班の西幸夫班長は「稲作を回復できるかが地域の復興に大きく影響する。できる対策を地道に続けたい」と語る。 *6:http://digital.asahi.com/articles/TKY201311120463.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2013年11月13日) 子の甲状腺がん、疑い含め59人 福島県は被曝影響否定 東京電力福島第一原発事故の発生当時に18歳以下だった子どもの甲状腺検査で、福島県は12日、検査を受けた約22・6万人のうち、計59人で甲状腺がんやその疑いありと診断されたと発表した。8月時点より、検査人数は約3・3万人、患者は疑いも含め15人増えた。これまでのがん統計より発生率は高いが、検査の性質が異なることなどから県は「被曝(ひばく)の影響とは考えられない」としている。県は来春から、住民の不安にこたえるため、事故当時、胎児だった約2万5千人の甲状腺検査も始める。 新たに甲状腺がんと診断されたのは8人、疑いありとされたのは7人。累計では、がんは26人、疑いが33人。がんや疑いありとされた計58人(1人の良性腫瘍〈しゅよう〉除く)の事故当時の年齢は6~18歳で平均は16・8歳。甲状腺がんはこれまでで10万人あたり12人に見つかった計算になる。宮城県など4県のがん統計では2007年、15~19歳で甲状腺がんが見つかったのは10万人あたり1・7人で、それよりかなり多い。ただし、健康な子ども全員が対象の福島の検査の結果と、一般的に小児は目立つ症状がないと診断されないがんの統計では単純比較できない。 ただ、チェルノブイリでは、原発事故から4~5年たって甲状腺がんが発生しており、複数の専門医は「被曝から3年以内に発生する可能性は低い」と分析している。県は被曝の影響とは考えにくい根拠として、患者の年齢分布が、乳幼児に多かったチェルノブイリと違って通常の小児甲状腺がんと同じで、最近実施された被曝影響の無いロシアの子どもの検査でも4千~5千人に1人がんが見つかっていることなどを挙げている。 *7:http://saigaijyouhou.com/blog-entry-997.html 福島第一原発で4ヶ月ほど作業をしていた元作業員の方が、3つの癌を同時併発し、「被曝が原因で癌になった」として労災を申請していることが判明しました。この元作業員の方は2011年7月から10月まで福島第一原発で作業をしており、50ミリシーベルト以上の被曝をしたとのことです。過去の原発労災に関する情報を見てみると、年5ミリでも許可が出ているものもあることから、この方の総被曝量はかなり多いと言えるでしょう。発生した癌は「膀胱がん」、「胃がん」、「大腸がん」の3つで、いずれもそれぞれの臓器で独立していたことが確認されています。作業員の方が55歳であることを考えると、ここまで大量の癌が発見されたということは、放射能被曝の可能性が濃厚です。亡くなってしまった吉田元所長も食道がんが死因だったので、福島第一原発で作業をした方は消化器官を強く痛めていると推測されます。 ☆福島第1原発で4カ月 札幌の55歳男性が労災申請 がん「被ばくが原因」 URL http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/496287.html 東京電力福島第1原発事故後の2011年7月から10月まで同原発で作業し、その後膀胱(ぼうこう)がんなど三つのがんを併発した札幌市在住の男性(55)が、発がんは作業中の放射線被ばくが原因だとして労災の申請をしていたことが5日分かった。原発事故後、被ばくを理由に労災を申請した人はこの男性を含めて全国で4人。いずれも審査中で、労災が認定された例はまだない。男性は重機オペレーターとして同原発の原子炉建屋周辺でがれきの撤去作業などに従事した。被ばく線量が4カ月間だけで原発作業員の通常の年間法定限度である50ミリシーベルトを超えたため、同年10月末で現場を離れた。12年5月に膀胱がんが見つかり、札幌で手術。今年3月には大腸がんと胃がんも見つかった。現在も通院しながら抗がん剤治療を続けている。転移でなく、それぞれの臓器で独立して発病していた。<北海道新聞10月6日朝刊掲載> ☆東電 吉田昌郎元所長が死去 URL http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130709/t10015922331000.html 7月9日 17時15分 東京電力福島第一原子力発電所で、事故対応の指揮を執った吉田昌郎元所長が、9日午前、東京都内の病院で食道がんのため亡くなりました。58歳でした。吉田元所長は3年前の6月に福島第一原子力発電所の所長に就任し、おととし3月11日の事故発生から現場のトップとして事故対応の指揮を執りました。おととし12月に食道がんと診断されて所長を退任し治療を受けていましたが、去年7月に脳出血の緊急手術を受け療養生活を続けていました。
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2013,11,16, Saturday
燃料電池車 電気自動車 (1)地球温暖化と自動車の関係 *1のように、世界は、地球温暖化対策に世界全体で取り組むことに合意し、1997年には、京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で、先進国の削減目標を明確にした「京都議定書」に合意した。そして、2002年には、我が国も京都議定書を締結し、2005年2月に発効した。 1997年頃というのは、私が環境という視点から、経済産業省を通して「太陽光発電」や「電気自動車」を提唱していた頃で、私が考えていたのは、日本国内での公害もさることながら、中国やインドなどの大国で工業化が進み、そこで自動車保有台数や一人当たりのエネルギー消費量が増えれば、地球の方が持たなくなるということだった。それから、16年以上が経過し、この期間は、新しい技術を確立し普及するのに十分な時間だった筈だが、守旧派のバックラッシュが、次世代のリーダー技術の進歩を妨げたのは、実に残念である。はっきり言うが、これだから日本は真似しかできない国で駄目なのだ。この状況は、どうやって変えればいいのだろう? 自動車は、*2のように、1886年にドイツで蒸気自動車が発明され、1896年に石油の豊富なアメリカでヘンリーフォードが「ガソリン自動車」を発明して、1907年にフォードがT型車という大衆車を作った頃から一般に普及し始めた。日本では、1926年に日産自動車、1937年にトヨタ自動車が設立され、最初はアメリカの模倣をして自動車が作られたにすぎない。そして、日本では、1973年に第一次オイルショック、1979年には第二次オイルショックを経験し、1997年に京都議定書ができたにもかかわらず、「ガソリンの値段が高い、高い」と同じ愚痴をこぼしながら、自動車燃料の大枠は変化しなかった。 そのような中、私が衆議院議員だった時、自動車は排気ガスの少ない車を優遇して自動車税をかけようと提案し、そうなった。これは、自動車が外部不経済を撒き散らしながら走っていることから当然である。私が予定していたのは、排気ガスの少ない車を優遇して自動車税をかけることにより、電気自動車、燃料電池車、ハイブリッド車などへの燃料シフトを税制でバックアップすることだった。しかし、軽自動車は、燃費をよくしたガソリン車という方向に進んでしまい、今も軽自動車に、手ごろな値段でスタイルの良い電気自動車、燃料電池車はない。電気も水素も、自然エネルギーを使えば、国内でいくらでも作れるにもかかわらずである。 *3の、世帯単位の軽自動車保有率が全国1位の佐賀県では、私も車を自分で運転して乗るが、それは、どこに行くにも(買い物でさえ)、自動車が必要不可欠だからである。そして、軽自動車の方が、狭い道でも通行しやすいというメリットもある。それにもかかわらず、私が、プリウスを愛用して軽自動車に乗らないのは、軽自動車が完全ガソリン車で、音と振動が大きく、乗り心地も悪いからだ。そのため、電気自動車や燃料電池車で軽自動車が大衆価格になれば、大いに普及すると思われる。もちろん、日本では、水素ステーションなどの関連機器の値段も、常識を超えて高すぎるが・・。 日本で主に軽自動車に乗っている女性は、ガソリン車を高速道路でとばすことより、自動車のコストと利便性を優先しており、環境意識も高い。また、あらゆる車種が、電気自動車や燃料電池車になれば、中国、インドをはじめ、世界各国で自動車の排気ガスや音・振動による公害が減ることは明らかである。 (2)CO2削減に、原発は必要か 今回の温室効果ガス削減目標で、日本は、原発が稼働していないため、2005年比3.8の削減となり、1990年比6%の削減より、大きく後退した。これにより、原発再稼働派は、「原発がCO2削減に貢献しているのだから、原発を再稼働すべきだ」と言っているが、とんでもないことである。 地球環境を汚したり、環境破壊したりするのは、何もCO2だけではなく放射性物質もであるため、これも、地球規模で規制すべきだ。そして、*5にも書かれているように、原発事故がなくても原発は普段から公害を出しており、私は、*5と似た内容について、唐津日赤病院や佐賀医大の医師から聞いたことがある。そして、原発が一旦事故を起こせば、フクシマのように広い範囲で環境を破壊する。それを知っているからこそ、*4のような提訴が起こるのである。 つまり、科学的知識がなく、知識の応用力もない人に、リーダーとしてバックラッシュされる余裕はもうないため、いい加減にしてもらいたいのだ。 *1:http://www.env.go.jp/earth/ondanka/cop.html (環境省) 地球や人類にとっての危機である地球温暖化問題を解決に導くためには、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)等が示す最新の科学に基づき、世界全体で早急に行動をとる必要があります。 1992年に世界は、国連の下、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の目標とする「気候変動に関する国際連合枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change)」(以下「国連気候変動枠組条約」とする。)を採択し、地球温暖化対策に世界全体で取り組んでいくことに合意しました。同条約に基づき、1995年から毎年、気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催されています。また、1997年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)では、我が国のリーダーシップの下、先進国の拘束力のある削減目標(2008年~2012年の5年間で1990年に比べて日本-6%、米国-7%、EU-8%等)を明確に規定した「京都議定書」(Kyoto Protocol)に合意することに成功し、世界全体での温室効果ガス排出削減の大きな一歩を踏み出しました。2002年に我が国も同議定書を締結し、2005年2月に同議定書は発効しました。 今後、更に地球温暖化対策を加速化し、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させるという条約の究極目標を達成するには、2020年以降の新しい法的枠組みを、世界全体に占める排出量の割合が大きい米国、中国、インド等を含めた全ての主要経済国が責任ある形で参加する、公平かつ実効的な枠組みとすることが不可欠です。 我が国は、環境保全を図りながら発展を実現してきた経験と、それを支えてきた技術、人材を活かし、先進国の一員として、率先して次期枠組みづくりに貢献しています。 *2:http://www1.parkcity.ne.jp/h-sugar/history.html 車のあゆみ(自動車の歴史) 要点のみ抜粋 1886年:ドイツのカールベンツ、自動車の原型で蒸気自動車の「ベンツ パテント・モトールバーゲン」 を開発し、路上を走行。 1890年:ダイムラー自動車会社が設立。 1894年:126キロを12時間以内で完走するという、世界初の自動車レースがパリで開催。 1896年:アメリカのヘンリーフォードが「ガソリン自動車」を発明。 1899年:ルノー社が設立。 1900年:世界初の国際レースとされる「ゴードン・べネット杯」が開催。 1903年:フォード社が設立。 1907年:GM(ゼネラルモーターズ)社が設立。フォード社がT型フォードを発表 。 1926年:ダット自動車製造設立。1934年、日産自動車に改称。 1937年:トヨタ自動車工業(株)が設立。 1973年:第一次オイルショック勃発。 1979年:第二次オイルショック勃発。 *3:http://qbiz.jp/article/27375/1/ (西日本新聞 2013年11月16日) 軽自動車税増税、晩秋の陣 「生活の足」標的に 「上げるべきではない。私たちの心は一つだ」−。15日、自動車メーカーなどのトップが一堂に会した都内ホテルの記者会見場で、豊田章男・日本自動車工業会会長(トヨタ自動車社長)は気勢を上げた。業界が反発するのは、総務省がまとめた軽自動車税の増税方針だ。2015年10月に予定される消費税率10%への引き上げに伴い、自動車業界が「二重課税」と主張する自動車取得税は廃止される。財政が逼迫(ひっぱく)し、代替財源の確保も容易ではない中、総務省が目を付けたのは同じ地方財源の軽自動車税だった。 地方に欠かせない「生活の足」である軽自動車の増税方針をめぐり、政府、与党内でも意見が割れる。年末の税制改正に向け、ゴールは見通せない。公共交通が不便な地方の暮らしを支える軽自動車の増税方針をめぐる関係者の綱引きが激しさを増している。九州では、世帯単位の軽自動車保有率が全国1位の佐賀県や、10位の宮崎県など普及率が高い。高齢者や主婦が主に利用する軽自動車税が上がれば、家計への影響は大きい。自動車業界、政府、与党と地方自治体の思惑が絡み合い、年末の税制改正に向けた調整は難航必至だ。 総務省の有識者検討会が10月末にまとめた報告書は軽自動車税増税の根拠として、「価格や燃費にも小型車と軽の間に大きな差は無くなってきている」と指摘する。現在、軽自動車保有者に課される税金は1台あたり年間7200円(自家用乗用)。一方、排気量千CC未満の普通車は2万9500円と4倍も高い。軽優遇は「バランスを欠く」というわけだ。同省が軽自動車税増税に動くのは、地方の財源確保の思惑がある。2015年10月に予定される消費税率10%への引き上げに伴い、自動車の購入時にかかる自動車取得税は廃止される。取得税は都道府県税で、13年度の税収は1900億円の見込み。市町村にも交付金として配分される。取得税廃止に伴う減収分の一部を市町村税の軽自動車税増税で穴埋めしたい考えだ。貴重な自主財源を確保するため、全国市長会や全国町村会も軽自動車税率引き上げを求める。例えば、軽自動車の世帯当たり保有率が全国1位の佐賀県。佐賀市の場合、12年度の軽自動車税の税収は4億9千万円。自動車取得税交付金は1億5千万円だった。軽自動車税の増税幅によっては、場合によっては交付金の減少を上回る税収増になる可能性もある。日本と欧州の自由貿易協定(FTA)交渉で、欧州側が日本の軽自動車優遇税制が、小型車が多い欧州車の輸入障壁となっていると主張するなど、増税を迫る「外圧」もある。 政府、与党内には賛否が渦巻く。今月8日にあった自民党の自動車議連では反対論が続出。同議連の額賀福志郎会長は税制改正方針を決める自民党税制調査会でも最高幹部の一人だ。公明党も「軽自動車を狙い撃ちにしたような大幅な増税は地方の利用者の理解が得られない」と反発する。財務省は総務省と歩調を合わせる一方、自動車業界を所管する経済産業省は反対するなど、政府内も一枚岩ではない。 *4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2580990.article.html (佐賀新聞 2013年11月14日) 玄海再稼働阻止へ提訴 384人停止命令求め 再稼働に向けた安全審査が進む九州電力玄海原子力発電所(東松浦郡玄海町)3、4号機について、脱原発を訴える市民らが13日、「地震や重大事故対策が新規制基準に適合しない」などとして、国の原子力規制委員会に対し、運転停止命令を出すよう求める訴訟を佐賀地裁に起こした。原告は36都道府県と韓国の住民384人。訴状などによると今年7月、新規制基準に基づく適合性審査を原子力規制委に申請した玄海3、4号機は、津波に対する評価と基準地震動の設定で、九電が別の計算式を使っており「基準地震動の設定が過小評価されている」として、耐震性が十分でないと主張。重大事故対策についても「原子炉格納容器の破損や原発外への放射性物質の放出を防ぐ措置が不十分」として、同規制委は九電に運転停止命令を出す義務があるとしている。提訴について原子力規制委は「訴状が送達されていないのでコメントできない」と話した。九電は「訴訟の当事者ではなく、コメントする立場にない」としている。 *5:http://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-9438 (中村隆市ブログ 2012/03/31) 肥田医師「玄海原発の町は小児白血病が全国の10倍以上」 福島原発事故から1年が過ぎた3月19日に、とても重要な本が発行されました。広島で6000人の被ばく者を診てきた95歳の肥田舜太郎医師が書かれた『内部被曝』という本です。 ●その第一章「原発事故の影響でこれから何が起こるのか」の【子どもたちに初期の被曝症状が現れ始めている】(14ページ)から抜粋 福島第一原発事故後の例で私が実際に報告を受けたものでいえば、放射線に敏感な多くの子どもたちに初期症状が現れています。下痢が続いて止まらないとか、しばらくしたら口内炎が出るとか、のどが腫れて痛いなどの症状です。多くの母親が心配していたのは子どもの鼻血です。鼻血がずっと続いて止まらない。そのうちに両親にもそんな症状が出てきます。それから、皮膚にあせものような変化が起きるといったこともあります。これは福島に限りません。私のところには、東京や神奈川、静岡、山梨などからもこういった相談が寄せられました。広島・長崎でも、爆心地近くにいて大量の放射線を浴びたわけではないのに、時間がたつにつれて被曝の症状が現れてくる人が数多くいました。福島第一原発の事故後に子どもたちに起こっているこうした現象も、直接原子爆弾を浴びていない被ばく者と同様、内部被曝によるものと思われます。 ●21ページ【特に女性と子どもには注意が必要】から抜粋 これまでの多くの研究によれば、放射線の被害を受けた人たちの中で最も出やすい症状のひとつに、女性の乳ガンがあります。原発立地周辺のデータや核爆発実験場の風下住民のデータなどによって、低線量被曝をした住民に乳ガンの発生率が高まっていることがわかっています。日本でも、中国で大気中核実験が盛んだったころに乳ガンが増えた記録があるのです。もちろん、放射線に対する耐性が低い子どもたちについても、十分な注意が必要です。玄海原発がある佐賀県玄海町では、子どもの白血病の発症率が全国平均に比べて10倍以上高いことが、政府の資料から明らかになりました。子どもたちは大人より何倍も何十倍も放射線に対して弱いのです。真っ先に守らなければいけません。 ●玄海原発周辺で白血病が増加 全国平均の6倍 上記ブログを久しぶりに見直したら、ツイートが4万を超えていました。
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2013,11,15, Friday
取調中の容疑者 裁判中の容疑者 メディアの闇 (1)公職選挙法違反事件とその報道の仕方 *1に、「徳田陣営、現金買収の疑い 姉が裏金捻出か 公選法違反事件」として、裁判によって有罪か否かが確定されていない“公職選挙法違反”がメディアでいっせいに報じられ、徳田毅氏が自民党を離党したと報じられている。つまり、*2、*3だけでなく、NHKなど他のメディアでも、有罪か否か確定していない容疑の段階で同じ報道に大きな時間を割いているのだ。 徳田議員を検索すると、検索サイトには、この報道により、「逮捕」や以前からあった「女性問題」というサジェッションが並ぶ。そして、これは、うちの運動員が逮捕された後、私を検索すると検索サイトに、「広津素子 公職選挙法違反」や「広津素子 逮捕」などの文字が並び、今でも見る人に誤解を与えているのと同じ現象だ。そして、私は、このブログの2010年8月10日に記載しているとおり、逮捕されたことはなく、公職選挙法違反もやっていないため、これは、名誉棄損、人格権の侵害、政治活動の妨害、営業妨害であり、かつ人権侵害以外の何物でもないのだ。 このように、メディアが容疑の段階でいっせいに同じ報道を繰り返すのは、小沢一郎衆議院議員の時も同じで、私が、このブログの2012年12月17日に記載した通り、無罪が確定しても修正の報道はなされず、議員としてその報道で被った被害に対する謝罪や賠償もなく、検索サイトにはその人のイメージを悪くするサジェッションが並び続けるため、全く人権侵害なのである。また、「議員は、無罪であっても、疑われたら同義的責任をとれ」というのも、超法規的すぎて、法治国家で言うべきことではない。 (2)そのような“公職選挙法違反事件”は、どういう人に起こっているか 私は、公職選挙法違反事件の捜査には偏りがあり、メディアもそれに加担していると思うので、どういう人が、公選法違反事件捜査のターゲットになっているか、簡単に調べてみた。この結果は、法律家の研究課題として、もっと多くの正確な統計をとれば、さらに明らかになるだろう。 ①徳田毅(3期目で違反容疑、親族が容疑者とされ、自民党離党)X保岡興治(元法務大臣) ②小林千代美(連座制適用で、1期目に辞職)X町村信孝(元通産大臣、元外務大臣etc.) ③堀江貴文(落選後、証取法違反で逮捕、有罪判決)X亀井静香(元運輸大臣、元建設大臣) ④石川知裕(小沢事件で1期目逮捕後、落選)X中川昭一(元経済産業大臣、元農水大臣) ⑤広津素子(落選後、運動員逮捕)X保利耕輔(元自治大臣、元文部科学大臣) つまり、自民党の有力議員と闘った人にターゲットになった人が多く、そのほか、共産党候補、落選候補に公選法違反事件のターゲットにされた人が多い。つまり、公職選挙法は、運用により、誰かにとって都合の悪い議員や候補者を排除しつつ、誰かが国会議員をコントロールするツールになっているわけだ。公職選挙法以外に、所得税法や相続税法も同じ目的で使われることがあり(民主党の鳩山元首相など)、現在議論されている特定秘密保護法もその恐れが大きい。 (2)それは、公正で正義なのか 同じようなことをしても、①特定の人をターゲットにして公選法違反を言いたてる ②公選法を拡大解釈して違反と認定する ③メディアやITを使った人権侵害を野放しにする など、いちいち細かくは書かないが、不公正なことが多く、その結果、国民が判断を誤った投票をすることになる。それは、公正でも正義でもなく、国のためにもならない。 (3)公職選挙法は時代に即して改正すべき 議員の選抜は、民主主義の重要な基礎であるため、「何をやっても、ひっかけようと思えばひっかけられる」と豪語される公職選挙法を改正し、議員や候補者なら誹謗中傷による人格権の侵害や人権侵害をやりたい放題やってもよいという発想を改めるべきだ。何故なら、それは民主主義における得票数に影響する、最も大きな選挙違反行為だからである。 *1:http://digital.asahi.com/articles/TKY201311120631.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞2013年11月13日) 徳田陣営、現金買収の疑い 姉が裏金捻出か 公選法違反事件 東京地検特捜部と警視庁は12日、昨年の衆院選で鹿児島2区から立候補し、当選した自民党の徳田毅(たけし)衆院議員(42)の運動員を買収したとして、毅議員の姉で、医療法人「徳洲会」グループの関連会社社長だったスターン美千代容疑者(46)ら6人を公職選挙法違反容疑で逮捕した。美千代容疑者をめぐっては、関係者の証言などから、裏金による地元議員の現金買収疑惑も浮上している。ほかに逮捕されたのは美千代容疑者の姉の越沢徳美(なるみ)容疑者(50)とグループ幹部の計5人。いずれも選挙運動に専従させたグループ職員に、事実上の報酬など計1億4750万円を支給した疑いがある。特捜部は徳洲会創設者で病気療養中の徳田虎雄・前理事長(75)が不正を主導したとみて、在宅で調べる。一方、複数の徳洲会関係者は、同じ衆院選で美千代容疑者が「裏金」約6千万円を用意し、うち約1千万円が「地元議員らに現金で渡された」と証言。別の約1千万円は逮捕容疑である運動員買収で、派遣された同会職員に支払われたと話す。特捜部もこれら関係者から事情聴取し、実態解明を進めている。関係者によると、美千代容疑者は昨年11月の衆院解散後、社長だった徳洲会の関係会社から3千万円を捻出。さらに親族らから現金3千万円を用立てた。毅議員は鹿児島2区で「奄美」「谷山」「指宿」の3地区に事務所を設立。奄美事務所には5千万円、指宿事務所にも1千万円が届き、それぞれ現金買収や事務所設営費に使われたという。毅議員陣営が提出した選挙運動の収支報告書には、収入の部に「自民党鹿児島第2支部から2650万円」の記載しかない。公選法では、有権者数に応じて選挙運動での支出上限額が決まっており、昨年の衆院選での鹿児島2区の上限額は約2770万円だった。公選法では、候補者の親族が買収で有罪が確定すると、連座制で候補者の当選は無効となる。特捜部は今後、毅議員への連座制適用も視野に捜査する方針。 ■徳田氏離党の意向 徳田氏は12日夕、国会内で自民党の石破茂幹事長に会い、「党に迷惑をかけたくない」と離党の意向を伝えた。石破氏はこれを受けて、13日に党の党紀委員会を開く手続きに入る意向を明らかにした。徳田氏は面会後、記者団に「関係者が逮捕されたという事実は大変重く受け止める」と語ったが、議員辞職については「今後の推移を見守り考えたい」と答えるにとどめた。 *2:http://www.news24.jp/articles/2013/11/12/07240113.html (日本テレビ 2013年11月12日) 徳洲会事件 徳田毅議員の姉2人を逮捕 医療法人「徳洲会」グループによる公職選挙法違反事件で、東京地検特捜部は12日、徳田毅衆議院議員の姉2人を逮捕した。公職選挙法違反の疑いで逮捕されたのは、いずれも徳田議員の姉の越沢徳美容疑者とスターン美千代容疑者。特捜部によると、越沢容疑者らは去年12月の衆議院選挙で鹿児島の徳田議員の陣営に派遣された徳洲会の職員563人に対し、選挙運動の報酬として現金や交通費など約1億5000万円を支払った疑いがもたれている。特捜部は、父親の徳田虎雄前理事長も越沢容疑者らとともに選挙違反を行った疑いがあるとしているが、難病で入院中のため、逮捕を見送ったとみられる。 *3:http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-11-14_56598 (沖縄タイムス社説 2013年11月14日) [徳洲会選挙違反]議員辞職は避けられぬ 昨年12月の衆院選で、医療法人「徳洲会」グループが自民党の徳田毅衆院議員(42)=鹿児島2区=の運動員に違法な報酬を支払っていたとして、東京地検特捜部と警視庁などは徳田議員の姉2人とグループ幹部4人の計6人を公職選挙法違反(運動員買収)の疑いで逮捕した。沖縄徳洲会を取りまとめていた事務方トップも含まれている。系列病院職員を選挙運動員として派遣するという日本最大級の病院グループによる組織ぐるみの事件は、逮捕者が出る事態に発展した。6人は昨年11月ごろ~今年7月ごろ、選挙運動させるために派遣した病院職員らに報酬や航空券などを供与した疑いが持たれている。特捜部は、現金などを受け取った運動員らは563人に上り、金額は計約1億4750万円相当とみている。過去に例のない規模である。事件は系列病院の職員を欠勤扱いなどにして派遣し、減給分を賞与で補填(ほてん)していた。特捜部はこれらの行為が公選法が禁じる運動員買収に当たるとみている。徳田議員は13日、自民党に離党届を提出した。これでけじめをつけたと言いたいのなら思い違いも甚だしい。親族が逮捕されるという重大性の認識が薄いというほかない。親族が買収などで禁錮以上の刑が確定すれば連座制で、当選が無効となるからである。徳田議員は関与を否定するが、自身の選挙に関わる事件である。有権者への説明責任を果たしていない。議員辞職は免れないというべきだ。 ■ ■ 徳田議員は、徳洲会グループを一代で築き上げた元衆院議員の徳田虎雄前理事長(75)の次男である。事実上トップの虎雄前理事長にも容疑がかかっている。難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患っているため、逮捕はせず在宅のまま取り調べる方針だ。幼少期を過ごした鹿児島県・徳之島で、実弟が医療を受けることができず、急死したことが医師を志すきっかけとなった。「生命だけは平等だ」を理念に、「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」を目指し、年中無休・24時間オープンの救急救命医療を掲げた。北海道から沖縄県まで66病院を展開。約430の医療施設を運営している。約2300人の医師を抱え、職員数は2万7千人に上る。医療が行き届かない離島・へき地など医療過疎地に貢献してきたことは事実だ。県内でも23の病院や介護施設などを運営しており、離島にも病院・診療所を開設している。 ■ ■ 虎雄前理事長の理念に共感して徳洲会に入った医師や職員も多い。虎雄前理事長は、理想とする医療の実現には政治力が必要だと考え、国政に乗り出す。当初の志はどこで道を踏み外したのだろうか。後継の徳田議員は今年2月、週刊誌に女性問題を報じられ、国土交通兼復興政務官を辞任したばかりである。捜査当局は事件の全容解明を急いでもらいたい。病院側は入院・通院している患者の不安を取り除くことを最優先すべきだ。地域医療に影響を及ぼしてはならない。
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2013,11,14, Thursday
(1)小泉-細川元首相の「原発ゼロ」共闘は心強かった
私も、*3、*4に記載されているように、総理の持つ大きな力は多くの国民が協力できる壮大で夢のある事業に使って欲しいし、それができる時期に首相になっている安部首相は幸運だと思う。それを指摘した小泉-細川元首相の「原発ゼロ」共闘は心強く、小泉元首相の演説は確かにうまかった。 「小泉元首相の『政治で一番大事なのは方針を出すこと。そうすれば必ず知恵が出てくる』というのは無責任だ」と言う批判もあるが、知恵を出すのは民間企業や技術者・科学者であるため、事前に「こういう知恵がある」と全部列挙するわけにはいかない。しかし、方針が揺らぐと民間企業にとってはそれがリスクとなりチャレンジできないので、やはり「政治で一番大事なのは、全体の整合性がとれた矛盾のない方針を出し、揺らがないこと」であり、そうすれば、技術開発と応用が進むのである。 現在、野党は全部「原発ゼロ」の方針を出しているが、景気対策と電力自由化を公約にした自民党が衆院選、参院選ともに大勝したため、自民党から多くの賛成者が出なければ、「即原発ゼロ」は実現しない。しかし、自民党の政策が原発推進だから国民が自民党に投票したわけでないことは、世論調査から明らかである。 (2)「異業種参入」「石油・ガス会社の領域拡大」「電力会社の越境」で市場競争開始へ 改正電気事業法成立後に起こると予想していたことに、*2の「異業種参入」「他のエネルギー産業の領域拡大」「他地域の電力会社の越境」などがある。電力システム改革によって地域独占がなくなれば、工場で自家発電に慣れている企業や他のエネルギー産業が参入し、また、越境する大手電力会社も出る。中部電力は、10月から首都圏に参入し、関西電力も首都圏進出の計画を持つそうだが、自然エネルギー資源の豊富な北海道・東北・九州などからも首都圏に参入できるためには、2015年までの広域送電線整備に、電気抵抗が非常に小さい超電導電線(下左図)を使ってもらいたい。 (3)その結果、どうなる? 下のようなことが考えられる。 ①電力価格が下がる: 電力産業が地域独占でなくなり、総括原価方式を使わない企業とも競争する ことで、全体の電力価格が下がるため、電力を使用する企業の利益が増加する。 ②必要十分な電力が供給される: 電力需給が市場で調整されるため、消費者が発電方法を選択で き、電力が必要十分に供給される。 ③自然エネルギー・国産天然ガスエネルギーは、外国への支払いが生じない: 自然エネルギー・国 産天然ガスエネルギーで発電すれば、環境によいだけでなく、外国へのエネルギー代金の支払 いが生じないため、その資金を国内で循環させることができる。 ④電力輸出国になれる: 今から10年後のアジアでは、中国がエネルギー不足に陥りそうだが、日本 は電力や資源の輸出も可能だ。 ⑤結果: 消費税全額を地方に移管しても、国は国有資源からの収入と法人税により、年金・医療・ 介護、教育、保育などの資金に困らずにすむだろうし、是非とも、そうしなければならない。 *1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20131114&ng=DGKDASFS13031_T11C13A1EA2000 (日経新聞 2013.11.14) 電力市場、60年ぶり転機 改正電事法が成立、価格・サービス競争へ 地域独占を前提としてきた日本の電力市場が約60年ぶりの転機を迎えた。家庭向けを含む電力事業への新規参入を大幅に自由化する改正電気事業法が13日に成立。全国を舞台に発電や小売りの大競争が始まる。質の良いサービスを利用者が選べるようになり、料金競争を通じた恩恵も広がりそうだ。13日に成立した改正電気事業法は3段階で改革を進める。第1弾は全国10地域に事実上分断されていた市場の統合だ。2015年には地域間で電力を融通する広域機関を設立。九州の新電力会社が関東の企業に電力を売ったりしやすくなる。電力10社ごとの「縄張り」を解消、全国レベルの大競争のインフラを整える。電力事業は、発電、送配電、小売りに大別できる。1990年代から企業向け分野の自由化が始まったが大手電力による地域独占はほぼ手つかずで、新規参入は伸び悩んだ。広域機関の設立で、発電事業の採算性が高まれば新規参入の増加は確実。大手電力が独占してきた家庭向けの電力小売り事業も16年に自由化する。この結果、新規に参入した小売り事業者は全国どこの家庭向けにも販売できるようになる。利用者は「携帯電話と電力のセット販売」など、それぞれの実情にあったメニューから選べるようになる。電力会社は1人暮らし向けなどの多様なメニューを用意したり値下げしたりして顧客をひき付ける必要が出てくる。もっとも、送配電に関してはすでに大規模なインフラを持つ大手の独占が残る。政府は第3段階として18~20年に電力会社から送配電部門を分離。中立性を高めた送配電網を使って発電や小売りでの競争環境を整える。 公益産業の自由化で参考になるのは1985年の電電公社民営化。通信自由化では圧倒的な資本力があるNTTが市内通信網の独占をテコに優位な立場を温存し、新電電との競争がなかなか進まなかった。新規参入が思うように進まなければ規制なき独占が生まれ、料金が高止まりする可能性もある。電力自由化では新規参入を促すため、大手電力が持つ顧客情報の開示も義務付ける。通信自由化の際に既存業者と比べて新規参入への規制を緩めた「非対称規制」も検討の余地がある。 戦後長く続いた電力制度の改革が進み始めたのは福島第1原子力発電所事故などの影響で、業界の盟主だった東京電力が公的管理に置かれたためだ。だが、今後7年間の改革が、想定通り進むかはまだ判然としていない。「全面自由化のタイミングは慎重な検討が必要」。電気事業連合会は改革に反発している。13日成立した改正電気事業法でも小売り自由化は法律の本則ではなく付則にしか盛り込んでいない。経済産業省は14~15年度に自由化を進める追加の電事法改正案を国会に提出するが、この時点で改革の内容が修正される可能性も残っている。 *2:http://www.nikkei.com/paper/related-article/?b=20131114&c=DM1&d=0&nbm=DGKDASFS13031_T11C13A1EA2000&ng=DGKDASDC1300C_T11C13A1EA2000&ue=DEA2000 (日経新聞 2013.11.14) 東電の管内に3勢力が照準 異業種/石油・ガス/越境 電力システム改革のための改正電気事業法が成立し、競争環境の整備に道筋がついた。16兆円の国内電力市場の争奪戦が本格化する。「異業種の参入」「石油・ガス会社の領域拡大」「電力会社の越境」という3方からの新勢力が既存の電力会社に挑む。重点地域と位置付けるのは、日本の3割の需要を抱える首都圏。東京電力の管内だ。「発送電分離が実現すれば売り先の選択肢が広がる」。日本製紙の芳賀義雄社長は電力事業の拡大に意欲を見せる。計170万キロワットの発電設備を使い14年度から大口向けの小売りに参入する。送電網の利用コストが下がれば家庭向けも視野に入ると判断、能力を40万キロワット程度積み増す方針だ。 電力システム改革は大手電力の地域独占を崩す。すでに小売りが自由化されている大口需要家向けでは、全面自由化の前哨戦が始まっている。規模で存在感を示しているのは異業種からの参入となる製紙や鉄鋼といった素材大手。工場で培った自家発電の運営ノウハウを持つ。既に新電力事業を手がける王子ホールディングスも約300億円を投じて売電専用の発電設備を新増設する。燃料調達に強みを持つエネルギー企業も備えを進める。JX日鉱日石エネルギーが大口向け小売りに参入、4つの発電所を持つ東京ガスは大幅な出力引き上げを計画している。大阪ガスも能力増強が見込まれる。 もう一つの「新勢力」は越境により他社の管内に参入する大手電力会社。中部電力が10月から首都圏に参入、関西電力も進出計画を持つ。「他にも進出をうかがっている大手電力がある」(中堅新電力幹部)。各社が狙うのは首都圏だ。大口向けの小売りではすでに東電と新電力の競争が激化。東電が値上げした昨年4月以降は5~15%料金が安い新電力が契約を伸ばし、管内需要に占めるシェアは1割に達した。全国平均の約4%を大きく超える。 迎え撃つ東電はシステム改革のスケジュールより早く16年度にも燃料・火力発電、送配電、小売りの3部門を分社化する検討を始めた。他社に先がけて自由化に対応した体制を築き競争力を確保する狙いだが、福島第1原子力発電所事故の対応も残る東電にとって苦しい戦いは避けられそうにない。 *3:http://mainichi.jp/opinion/news/20131113k0000m070128000c.html (毎日新聞社説 2013年11月13日) 小泉氏の原発論 首相は耳傾け決断を 「総理の持つ大きな権力を、多くの国民が協力できる壮大で夢のある事業に使ってほしい」。小泉純一郎元首相は日本記者クラブで記者会見し、「原発ゼロ」の持論を改めて展開、安倍晋三首相への期待を語った。「今、総理が決断すればできる。郵政民営化の時より条件はよく、恵まれている」。小泉流の主張には説得力があった。安倍首相には、ぜひとも、耳を傾けてほしい。小泉氏の「原発ゼロ」主張に対しては、「ゼロを補う代案を出さないのは無責任で楽観的」といった批判がある。確かに、火力発電のたき増しによるコストはかさみ、二酸化炭素も増えている。懸念があることは否定できない。しかし、「政治で一番大事なのは方針を出すこと。そうすれば必ず知恵が出てくる」という小泉氏の反論はそのとおりだろう。オイルショックをきっかけに環境技術で世界をリードするなど、過去の歴史をみても、困難があればそれを解決する技術や方法が生み出されてきた。「原発依存度を下げる」といいつつ再稼働を推進する中途半端な政策を続けると、再生可能エネルギーや二酸化炭素の排出抑制への投資が進まず、原発から脱却できなくなる。本気でイノベーションを起こそうと思うなら、「原発に頼らない」という大方針こそが有効だ。「今すぐ原発ゼロ実現を」という踏みこんだ主張も、そうした点で理解できる。使用済み核燃料の最終処分場がないまま原発を動かしてきた「トイレなきマンション」問題も深刻だ。小泉氏はフィンランドの最終処分場を視察し、日本での場所決定は無理と感じたことも、「原発ゼロ」主張の理由としている。「処分場にめどをつけることが政治の責任」という反論はあるが、フィンランドの安定した地盤は日本とはまったく違う。大震災と原発事故で、自然の脅威を知り、原発技術への信頼が失われた日本で、最終処分場選定が非常に困難であることは確かだ。それがわかっていて核のゴミを増やしていくことの無責任さを考えないわけにはいかない。もちろん、原発ゼロを実現しても既存の使用済み核燃料は残る。その最終処分については現世代がめどをつけねばならない。ただ、原発ゼロを前提に核のゴミは増やさないと確約されていれば、解決のめどが立ちやすくなるのではないか。「本音を探れば自民党の中でも原発ゼロへの賛否は半々」と小泉氏は言う。安倍首相への遠慮から本音が言えないとしたら不健全だ。国民が声を出しつづけることも大切で、「原発ゼロ」論をきっかけに本音の議論を深めたい。 *4:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013111290071127.html (東京新聞 2013年11月12日) 原発ゼロへ共闘 細川・小泉元首相「国民運動を」 細川護熙(もりひろ)元首相(75)は十一日、都内での本紙のインタビューで、安倍政権の原発再稼働路線を「犯罪的な行為だ」と批判し、「原発ゼロ」に向けた活動を国民的な運動に発展させたい考えを示した。講演会などで「原発ゼロ」を主張している小泉純一郎元首相(71)と会談したことを明らかにし「目的を達成するまで、主張し続けていきたい」と述べた。国民的な人気のあった首相経験者二人が立場を鮮明にしたことで、脱原発運動に新たな局面がひらける可能性がある。 細川氏は、安倍政権の原発推進政策に関して「ごみの捨て場がないのに再稼働しようとするのは、理解できない。原発について、根本から問い直さなければいけない」と強調した。「原発ゼロ」を目指す活動について「政局的な連携でない方が広がっていく。幕末も薩長土肥が攘夷(じょうい)で一致した」と、政党レベルではなく、国民運動として発展させていくべきだと訴えた。小泉氏とは約一カ月前に会談した。具体的な会談の内容は明らかにしなかったものの、「核廃棄物の最終処分場がないのにもかかわらず、再稼働を進めることに反対なのは、小泉さんと同じだ」と述べた。 ただ、「政局レベルの話ではない」と、自らの政界復帰や小泉氏と脱原発新党を結成することは否定。「原発ゼロ」を訴えることで連携し、国民運動推進の一翼を担っていく考えを示した。細川氏によると、会談は、フィンランドで建設中の核廃棄物最終処分場を視察した話を小泉氏から聞くために申し入れたという。小泉氏は十二日午後、都内の日本記者クラブで講演する。細川氏は、安倍晋三首相が九月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、東京電力福島第一原発事故の汚染水漏れ問題について「状況はコントロールされている」と発言したことについても「首相の言葉をどれだけの人が信じたか疑問だ」と批判した。 <ほそかわ・もりひろ> 1938年生まれ。上智大卒。新聞記者を経て参院議員(自民党)、熊本県知事を務めた後、92年に日本新党を結成。93年に衆院議員に当選、首相に就任したが、8カ月で辞任。98年に政界引退し、神奈川県湯河原町を拠点に陶芸、ふすま絵などアーティストとして活躍。 超電導電線 ハウスの太陽光発電 バイオマス発電 光選別型太陽光発電
| 経済・雇用::2013.7~2014.6 | 03:31 PM | comments (x) | trackback (x) |
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