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2015,05,10, Sunday
国会議員の 下院女性比率 道府県議 議会に占める 管理職・役員の 女性割合 の世界順位 女性当選者 女性割合 女性比率世界比較 (1)女性議員が少ない理由 1)飲み会への出席がネックではない *1-1に、女性衆議院議員が少ない理由として「政策より飲み会出席競争」と書かれているが、実際に私が衆議院議員として活動していた時には、飲み会や行事に出てコミュニケーションしていても、「飲み会に出てこない」「コミュニケーションが悪い」とか、よい政策を作っても「よい政策を作ったわけがない。もし、本人がそう言うのなら、それは本人が自分を知らず、謙虚さがないからだ」というように、女性の活動や能力を過小評価し、それを否定する女性は謙虚さや反省が足りないとする世論が多かった。そのような中、この記事は、女性は昼間だけしか働けず、飲み会にも出にくい人材だとしている点で、(サラリーマンではない)女性国会議員への偏見をさらに助長している。 そもそも国会議員はサラリーマンではなく自営業であるため、上司はおらず、客は有権者で、お得意さんは後援会の人だ。政党に入っている議員は、フランチャイズの店長に似ている。また、国会議員の仕事は、国会に出席することだけでも、選挙運動することだけでも決してなく、最も重要なのは、多様な人とコミュニケーションして問題の本質を知り、政策を考えて実行することだ。 そこで、政策を作るための情報収集手段としては、国政報告会や座談会を開いて地元の人と意見交換したり、一軒一軒のお宅を廻って環境を見ながらその家の人と話をしたり、行事に出て参加者の主張を聞いたり、食事会や飲み会に参加してざっくばらんな本音を聞いたりなど、いろいろな方法の組み合わせがあるわけだ。従って、「飲み会という方法はとりたくない」と思えば、ざっくばらんな本音を聞く機会が少し減るかもしれないが、本人の判断でそれは可能である。 ただ、議員は、土日・祭日・夜を返上して地元廻りをし、多様な人とコミュニケーションするのが重要な仕事であるため、「夜の活動は、出産・育児との両立の問題を生む」という状況の人は、子どもを一定の年齢まで普通に育てた後で議員になった方がよいと考える。何故なら、議員は、大会社のような終身雇用でも年功序列でもなく、子育ての経験もキャリアの一つとなり、選挙に当選すればなれるものだからだ。 2)本当は、主権者の女性に対する過小評価がネックなのである *1-1に書かれているように、「女性は『チルドレンン』『ガールズ』などの『ブーム』があったから当選したのであって、能力があるから当選したのではない」というような女性の能力を過小評価する女性蔑視の記事は、私が衆議院議員の頃からメディアに多く存在していた。そして、それが繰り返される度に、国民の頭には女性議員は能力がないと叩き込まれ、女性議員の評価を低めて、女性議員の議員活動や選挙戦をやりにくいものにしたのである。何故なら、どの有権者も、つまらない人に人の上に立って欲しくないし、ましてや国民を代表する議員になどなって欲しくはなく、そのための寄付や協力もしないからである。 しかし、実際は、世の中には、自らが「ブーム」を作った女性議員もおり、男性議員より能力も経験も豊富な女性議員も多く、すべての女性議員がブームのおかげで当選したわけではない。そのため、このような女性を見下げた記事の連続こそが、永田町から去る女性を増やした本当の理由である。 なお、野田聖子議員は、「女性であることで軽く見られる」「政策より顔や容姿で判断される」とされたそうだが、「美しい女性は能力がなく、能力のある女性は美しくない」とか「キャリアのある女性や上昇志向の女性は、わがままで性格が悪い」というような変な価値観もあり、私はそういう価値観を基に書かれた週刊誌やブログの「セクハラ記事」で長所を否定された上、虚偽の短所を流布され、その結果として落選させられた。これについては、当然のことながら非常に怒っており、被害者の私に落ち度や努力不足があったわけではないため、私が変わってはならず、社会に意識変革させなければならないと考えている。 最近は、(私が提案して始まった)安部首相の「女性活躍社会の推進」により(*3-2参照)、佐賀新聞も*1-2のように、「重い扉、佐賀の女性と議会、根深い蔑視」というような連載記事を掲載し、「繰り返される問題発言」「女性は花を添えるもの」「国会議員7人のうち女性は0」「佐賀県議会は定数38に対し女性は1」「市区町村議会に占める女性の割合は、6.02%で全国最下位」など、日本が世界から30年も遅れている状況を連載するようになり、これはよいことだと思う。 しかし、私が衆議院議員の時には、佐賀新聞主催の催しに行くと国会議員の席ではなく一般人の席に座らされたり、その行事に参加している国会議員のうち私だけを除いた写真を撮って佐賀新聞に掲載し、地元の行事にも参加しない落下傘議員と言う評判を作られたり、目立たない席に座らされて挨拶もさせないため、その行事に出席していることが隠されるような扱いだったことがある。さらに、佐賀新聞に掲載された私に関する記事は女性蔑視の評価を含むものが多かったため、佐賀新聞が「国会議員7人のうち女性は0」などと言える立場にはなく、その状態を作ってきた理由の大半は、自らも男性中心社会である佐賀新聞はじめメディアが担っていると言える。そのため、ここでメディアの猛省を促すとともに、日本のメディア(週刊誌も含む)における女性役員比率や女性管理職比率も公開させるべきだと考えている。 (2)現在のメディアが描く“理想の女性” *2-1に、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」は、吉田松陰の妹を主人公にしたが、視聴率が10%を切る回もあると書かれている。私は、その理由は、「吉田松陰」という本当の主人公の見るに堪えない不遇が視聴者に与えるストレスとその妹が握り飯を出して男性を支える女性でしかなく、自らはチャレンジ精神も主体性もないため、主人公たりえないことにあると思う。その点、同様に無名の女性が主人公でも高視聴率を誇った「お花はん」は、今から約50年前に造られたNHKの連続テレビ小説であるにもかかわらず、主人公の女性は、主体性とチャレンジ精神のある女性だった。 つまり、「花燃ゆ」は、題名からも明らかなように、女性を花を添えるものとしか捉えておらず、周囲の男性を支えて日常を生きるだけの徹底して月のような女性(今から100年以上前の明治44年《1911年》に、平塚らいちょうが書いた言葉)を理想像として描いたところが現代の価値観に合わず、主人公が女性であるにもかかわらず、女性からも支持されないドラマになったのだ。 そのような中、*2-2のように、「女性が衆議院議員になるには家庭との両立が壁」とするのもジェンダーである。そもそも衆議院議員になれば、家事を外部委託できるくらいの歳費はもらえるため、家事との両立が壁になることはない。それにもかかわらず、「家庭との両立が壁」だとすれば、女性が衆議院議員に少ない理由は女性自身の個人的理由に依ることになるが、本当は、「①男性中心の地域では、女性の能力が正当に評価され、周囲から推薦されて公認されるところまでいかないので、当選することもない」「②選挙費用や事務所の運営費用がかかるのに寄付は少なく、経済的損失になるので家族が反対する」「③さらに痛くもない腹を探られるので、みんなやっていられないと思う」などが理由なのである。 しかし、いつも逆の立場から社会を見てきた女性国会議員が増える必要はある。ただし、「女性は、結婚・出産していなければ、母親の思いを理解し、政策などに反映して政治活動をすることができない」というのは、男性は子どもがいても自分で育てた人は少なく、家事のみならず選挙さえ妻に手伝ってもらっている人が多い中で、女性にだけ課した高いハードルであり、また結婚・出産していなければ母親の思いを理解できないというのも事実ではないため、*4で広げるべき間接差別の対象である。 (3)日本の女性管理職 *3-1のように、日本では会社の管理職に占める女性割合は現在でも10%程度で世界でも低く、役員に占める女性割合は2%にも満たずさらに低いが、この人たちが社会人になった時点では、ずっと働き続けるつもりだった人が6割弱おり、課長相当の管理職以上に昇進・昇格したいと思っていた人も2割弱いたにもかかわらず、その希望がかなわなかった人が多いのであるため、その原因を明らかにして改善することこそ重要である。 さらに、役員になった女性は子どものいない人が7割を占め、企業の部課長の男性8割に子どもがいるのと比較すれば、女性は仕事か子どもか(注:「仕事か結婚か」ではない)を選ばされていたのであり、これは、この30年以上、最前線で働く女性をしてきた私の経験からも納得のいく数字だ。 つまり、少子化の原因を女性に責任転嫁するのは本当の責任者である政府の責任逃れであり、戦後、日本国憲法で職業選択の自由を得て女性が働いて普通に昇進したいと思った当然の要求を満たす社会を作ったのか、そして、政府は、そのためにどんな政策をとってきたのかが問われ反省されなければならないのである。なお、女性議員割合、女性役員割合、女性管理職割合などの国際比較を見れば、女性の能力ややる気の問題ではなく日本の労働政策の問題だったことは明白であり、この差別の構造を、これまでのように「日本の伝統・文化」や「結婚・出産・育児」の名の下に容認することがあってはならない。 なお、*3-2のように、安倍首相が、「女性が輝く社会をつくる」として、働く女性を後押ししておられるのは有り難く思うが、「保育所」や「働く時間」の問題だけが重要なのではない。それよりも、女性の能力を過小評価する習慣を改めることこそが、労働時間ではなく成果で公正に評価し、一度退職して再就職(転職)しても、不利に扱われることなく働けるための必要条件なのである。 <女性議員は何故少ないのか> *1-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11740356.html (朝日新聞 2015年5月6日) (女が生きる 男が生きる)女性衆院議員 政策より飲み会出席競争 国会議員の仕事は、昼だけではない。「遅くなりすみません」。今年2月の午後8時すぎ、甲府市中心部の居酒屋に、自民党の宮川典子衆院議員(36)が走り込んだ。支持者の男性9人に「かわいいね」「ありがとうね」と迎えられ、ワイン片手に選挙の情勢を語る。1時間で切り上げ他の店へ。別の男性らと日本酒を酌み交わし、教育問題などを談議。午後10時、さらに1軒。終わった時、日付は変わっていた。衆院で小選挙区制度が導入されたのが1994年。同じ政党の候補者が争い、「金がかかる」などの批判を受けた中選挙区制から政策本位をめざした。だが実態は。飲み会、冠婚葬祭、行事の参加――。有権者との対話は政治家の基本だ。アルコールが入って、胸襟を開き話せることもあるだろう。だが政策本位より、飲み会出席競争に傾いてみえる時がある。両方の制度で選挙をした高市早苗総務相(54)は「得票率の目標が中選挙区と違う。(行事に)出るかどうかが、大きな影響を受ける」。夜の活動は、出産や育児との両立の問題を生む。ほかにも、複数の女性議員が「当選する前は、飲み会でセクハラされても文句は言えなかった」。少数派の女性というフィルターを通すと、政策本位と対極にある日本の政治土壌が見える。「飲み会文化」は有権者だけではない。「政治は夜動く」「料亭政治」という言葉がある。民主党の小宮山泰子氏(50)は先輩議員によく赤坂のクラブに連れて行かれた。党派を超え集まる議員と、グラス片手に政治の内幕や選挙の話。昼間の公式な場では知り得ない情報や本音が飛び交う。「政治の世界のコミュニケーションは夜」と知った。「相手の立ち位置や落としどころを探れる夜の場は、ポストにもつながる」とも感じた。小宮山氏には、飲み会が「男同士の結束を確認する場」と感じられて入りづらく、「私がいない方が楽しめるんじゃないか」と申し訳なく思ったこともあった。 ■「ガールズ」への視線 3月上旬、中川郁子農林水産政務官(56)の「路上キス」写真が週刊誌に掲載された。相手は妻子がいる国会議員だが、話題はもっぱら独身の中川氏に。大臣が辞任した日。しかも「亡夫の後継」を強調し当選してこの行動、と批判された。本人に責められるべき点はもちろんある。マドンナ、ガールズ……。女性議員には、興味本位ともみえる視線が注がれる。自民の野田聖子氏(54)は「女性であることで軽く見られる。政策より顔や容姿で判断される」。もてはやし、そっぽを向くメディアに問題はある。が、「ブーム」の終焉(しゅうえん)と共に永田町から去った女性が少なくないのはなぜだろう。自民党の小池百合子氏(62)は共著書で、政治などで女性が活躍するため三つの改革が必要だとした。性別役割分担に関する世の中の「意識」、女性の活躍を支える「制度」、女性自身が意識を高め立ち上がるための「自己」改革だ。民主党の「小沢ガールズ」と呼ばれた太田和美氏(35)。06年、衆院補選で当選。小沢一郎氏と共に12年に離党。その後落選を重ね、引退も考えた。だが、東日本大震災の原発事故で相談にきた母親たちを忘れられなかった。維新に移り昨年の総選挙に出馬、比例復活した。 ■「党に覚悟が必要」 政治で女性を増やす「制度」の改革は、少しずつだが変化の兆しがある。小池氏は12年に党の特命委員会委員長として、女性候補が少ない政党への政党助成金を減らす改正法案を提案した。委員会の最高顧問には安倍晋三氏も。その後、安倍氏は首相に就いたが、提案はたなざらし。小池氏は「党に意思と覚悟が必要。経済界などに女性の登用を2020年に3割と言って、一番の足元でやっていないのはちょっと違うのではないか。政党なら、党のトップが決めればよいことだと思う」。女性議員を増やすため100カ国超が、女性の候補者や議員の割合を定めるクオータ制度を導入済みだ。日本でも2月に「クオータ制」の導入を目指す議員連盟が発足、全政党から約50人の議員が参加する。 ■夫が支える例、半数 男性議員の場合、本人に代わり妻が地元などで活動するのは珍しくない。女性議員はどうだろう。自民党の稲田朋美政調会長(56)が初当選したのは05年。立候補の背中を押したのは、夫だった。前回衆院選では夫が仕事を休み、地元で来客対応や企業訪問などを手伝った。稲田氏は「夫がいなければ国会議員になっていなかった」と振り返る。野田聖子氏は、夫が家事や育児を担う。重い障害がある長男(4)がいるが「夫が私を支えてくれて、政治活動が成り立つ」。2人のように夫が女性を支える例は多数派ではない。「パートナーが自身の政治活動をサポートしているか」の問いには、既婚議員で「している」が12人、「していない」が12人で同数だった。「妻が選挙や地元の活動を支えている男性をうらやましいと思うか」には、「思う」が19人、「思わない」が21人でほぼ同じ。「妻の代理出席は重みがある」という声の一方、「男性が妻のために頭を下げてもプラスにならない」と抵抗がある議員は少なくない。 ◇この記事は、相原亮、伊東和貴、榊原一生、高橋末菜、田中聡子が担当しました。ご感想を、メールikiru@asahi.comまでお寄せください。 *1-2:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/senkyosaga/30108/177470 (佐賀新聞 2015年4月16日) =重い扉 佐賀の女性と議会=(1) 根深い蔑視 ■繰り返される問題発言 女性議員割合全国で最下位 世界的に見て、女性の議員が圧倒的に少ない日本。その中でも、佐賀県や県内市町の議会は女性が極めて少なく、4町は「女性ゼロ議会」だ。最も身近な自治の代表者を選ぶ「統一地方選」まっただ中の今、現職議員や議員経験がある女性らに現状を聞き、男女の人口構成とはかけ離れた議会にはらむ課題を追った。「ついていかんぎ、よかったったい」。3月17日の唐津市議会一般質問。市教育委員会指導主事のセクハラ問題について、市教委の対応を問題視していた社民党議員が質問すると、保守系会派の議席から、被害者の心をさらに傷つけるやじが飛び出した。昨年6月、東京都議会で塩村文夏議員が質問に立った時に、男性議員から「早く結婚した方がいい」とやじられたことが、大きな社会問題となった。その記憶が残る中、県内でも…。一報を伝える佐賀新聞の記事の切り抜きを手元に置きながら、佐賀中部で市議を務めていた女性は「逆行している」。怒りと悲しみを表情に浮かべた。 ■「花を添える」 元市議は15年ほど前の議場を、鮮明に覚えている。一般質問に立った男性議員が女性消防団を「出初め式に花を添えるもの」と表現し、趣向を凝らした式となるよう提案。これに対し、消防長が「花を添える活動になるように検討する」と答弁した。終了後、女性議員4人で議長に「見過ごせない発言」と抗議、訂正を求めた。消防長の答弁は訂正されたが、執行部席に居並ぶ男性幹部も「何があったと」といぶかしげ。議場で発言を聞いていたほとんどの男性は、その不適切さに気づくことさえなかった。住民の代表であるはずの議員。だが、職場や地域の常識から外れたことが、議場や議会視察などで、たびたび繰り返される。10年以上、議員を務める女性は初めて同僚議員と勉強のために訪れた視察先での懇親会を忘れられない。会場に足を運ぶと、そこには3、4人のコンパニオンの姿があった。しかも彼女たちの派遣費は公費から。帰佐して「おかしい」と訴え、懇親会のあり方を変えた。こうした問題は「過去のもの」なのか。佐賀新聞社が昨年6月、県内の女性議員に取材したところ、表沙汰になっていなかった嫌がらせや暴言の数々が聞こえてきた。「俺の女になれと交際を迫られ、拒絶すると嫌がらせを受けた」「女になんができるかと言われた」「セクハラをやめるよう指摘したら、飛びかかってこられたことがある」。 ■38分の1 佐賀県関係の国会議員7人のうち女性はゼロ。12日、統一地方選の前半戦で実施された九州の7県議選では、4県で女性が議席数を伸ばしたが、女性の立候補者が1人にとどまった佐賀県議会は定数38に対し1のままだ。内閣府が1月にまとめた都道府県、市区町村議会に占める女性の割合(2013年12月31日現在)によると、佐賀は399人中24人で6・02%。全国最下位となっている。 <現在のメディアが描く女性> *2-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11732844.html (朝日新聞 2015年5月1日) (クロスレビュー)NHK大河ドラマ「花燃ゆ」 半世紀を超える歴史を誇るNHKの大河ドラマ。1月から放送中の「花燃ゆ」は、吉田松陰の妹、杉文(すぎふみ)(井上真央)を主人公にしたが、視聴率は10%を切る回もある(ビデオリサーチ調べ)。「無名の女性主人公」「イケメンパラダイス」「青春群像劇」「ホームドラマ」といった、これまでにない売り出し方が、うまく支持を広げられていないようだ。魅力と課題を探った。 ■浮つかぬイケメンに「萌え」 小日向(こひなた)えり 「歴女(れきじょ)」(歴史好きの女子)が歴史上の人物を見る時のポイントは「萌(も)え」だ。当初は「イケメン大河」と聞き、浮ついた感じはどうかと思っていた。ところが、長身で素朴な久坂玄瑞、涼しげな高杉晋作、狂気を帯びた吉田松陰と、史実のイメージを崩さず、キャラクターを盛った感じがとてもいい。国の行く末を考える長州藩の面々にあって、特に松陰には、公に生きる精神を強く感じた。演じている伊勢谷友介さんは社会起業家でもあり、現代での生きざまも重ねて見た。20代の私たちは豊かな時代に育ち、リスクをとらないと言われる世代。でも、お金より社会貢献を大切に考える人が増えている。そうした若者が自己啓発本の感覚で見られるドラマだ。 ■女性の描き方が美しすぎる 中町綾子 主人公の文が玄瑞と黒船を見に行く回や、彼の松下村塾への入塾に一役買う回は見応えがあり、視聴率もいい。文と歴史上の人物の関わりが描かれているから。だが兄の松陰らを見守る役どころだけだと、キャラクターが淡く、彼女の生き方が見えにくい。女性主人公で成功した「篤姫」では、したたかな側面が描かれていた。やはり毒の部分もないと、大河のヒロインとしては物足りない。女性の描き方として「美しすぎる」と思えてしまう。もっと複眼的であってほしい。時代ならではの苦しみはなかったか。大河では、1回も見逃せないエピソードの積み重なりがだいご味。入りやすさを優先した構成は、大河の魅力を損なったかもしれない。(日本大学教授=ドラマ表現分析) ■無名の人物、なぜ主人公に 木村和久 ほとんどの大河ドラマを見てきたけれど、大切なのは少年ジャンプのテーマと一緒で、「努力・友情・勝利」。でも「花燃ゆ」には勝利がない。主人公は群馬県令と再婚するが、それが勝ちとは思えない。松陰が死んでしまい、ドラマの山場が終わってしまったのでは。キャラクターが弱い、無名の人物を主人公に選んだのが、最大の疑問。ジョン万次郎や乃木希典でよかった。万次郎は世界を回り、福沢諭吉が教えを請うた人物。市井の人に戻る生き方も日本人好みだ。よっぽどドラマチックに描けるだろう。NHKが安倍晋三首相の出身地、長州で主人公を探したのではと勘ぐりたくもなる。早めに終わらせて、年末まで別のドラマを放映したら、籾井勝人会長を評価するけど。 ■生活者が見た歴史、新しい 成馬零一(なりまれいいち) これまでの大河は、伊達政宗や黒田官兵衛ら歴史を作った人物を主人公とする男の物語。「花燃ゆ」は主人公が無名の女性で、歴史の大状況には介入できない。周囲のために食事を作り、恋をして、ひたすら自分の日常を生きる。生活者が歴史をどう見たかという視点は新しく、興味深い。歴史ドラマは状況を俯瞰(ふかん)する三人称になるのが常だが、日常を描くことで一人称の歴史ドラマが生まれた。ただ、当初はなぜ文が主人公なのかがわからず、兄の松陰の物語が続くので、視聴者が離れてしまった。文を入り口にして、松下村塾の面々を見れば、従来のファンも楽しめるはず。松下村塾ができた辺りから「学園もの」というコンセプトも生きてきた。 *2-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11740381.html?_requesturl=articles%2FDA3S11740381.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11740381 (朝日新聞 2015年5月6日) (女が生きる 男が生きる)家庭と両立、半数が「壁」 女性衆院議員調査、41人回答 次いで多かったのは「家族・親族の反対」(17人)、「金銭的な問題」(16人)、「男性中心の地域社会」(16人)だった。「女性国会議員が増える必要があると思うか」には39人が「ある」と答えた。「女性であることや結婚・出産をしていること」が、「なんらかの形で政治活動を制約しているか」には、「している」が12人、「していない」は27人だった。同様に「有権者や政治家などから批判されたことはあるか」には、「ある」が14人、「ない」が26人。「女性であることや結婚・出産をしていること」が「どのように政治活動に生かされているか」は「女性や母親の思いを理解し、政策などに反映できる」と答えたのが32人の一方で、「あえて女性や母親であることをアピールしない」が10人、「自分が女性や母親であることで、支持を獲得している」が3人だった。「政治と家庭を両立するためには、何が必要だと思うか」は、「家族の理解・サポート」が30人で最も多く、「国会内保育所など育児環境の整備」(15人)、「女性議員への政党のサポート」(14人)と続いた。 <日本の女性管理職> *3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150328&ng=DGKKZO84890100W5A320C1TY5000 (日経新聞 2015.3.28) 役員への道、彼女らの場合 日本の会社役員の女性はまだわずかだ。役員までの道のりはどのようなものだったのか。後輩たちへの助言は? 役員の女性たちに聞いた。「中途採用で入社し社歴20年弱の50歳。既婚で子どもはいない」。日本経済新聞が行った調査から見える平均的な女性役員像だ。 ●3人に1人は新卒採用 とはいえ、50歳代が約半分を占めたが、30歳代後半もいる。約3人に1人は新卒採用で、中途採用組も役員で入社した人がいた一方で半分は役職なく入社していた。採用時の職種も総合職が65%と多いものの、一般職や事務職もあった。男女雇用機会均等法施行(1986年)前後に社会人になり、ロールモデルもいないこともあってか、社会人になった時点で「(転職を含め)ずっと働き続けるつもりだった」人は6割弱。「結婚を機に働くのはやめるつもりだった」(11%)「出産を機にやめるつもりだった」(16%)「結婚・出産を機にやめ、再就職するつもりだった」(3%)と、結婚や出産でやめる派も3割にのぼった。社会人になった時点で、課長相当職の管理職以上に昇進・昇格したいと思っていた人は2割弱。課長相当職になった頃にさらに昇進したい人は3割に増えた。 ●昇進とともにやりがい 昇進・昇格への意識が変わったきっかけを聞いたところ、現在は「さらに昇進したい」という50代の執行役員は「希望したわけでもなく管理職になったが、『仕事の大きさだけ成長する』『大きな仕事は面白い』『やりたいことは裁量が大きい方が実現しやすい』などを実感した」と回答。同様に、昇進とともに裁量ややりがいが拡大した経験を挙げた人が目についた。後輩の女性社員に管理職になることを勧めるかどうかでは、「勧めない」「あまり勧めない」を選んだ人はおらず、「適任と思う人には勧める」が68%、「全般的に勧める」が30%だった。その理由でも、やりがいや経験、成長の大きさを挙げた人が多かった。「適任と思う人に」とした理由は、「誰もが管理職になりたいわけではない」や「適任でない人に勧めても良い結果にならない」といった意見に大別された。「男女かかわらず勧める」としたのは「全般的に」派の方に多く、ほかに「背中を押してあげる必要がある人が女性の方に多いと思われる」との理由もあった。自分が役員になれた要因と、一般に女性が役員になるための要因をそれぞれ複数回答してもらった設問で、両者とも最も多かったのが「引き立てたり機会を与えたりする上司の存在」。自分では68%が、一般では73%が選んだ。謙遜の可能性もあるが、一般で70%と2番目に多かった「能力」は自分では35%と半分で、自分での2番目は「運」(57%)。「昇進意欲」は一般で46%が選んだが、自分では11%と少なかった。「女性活躍推進の追い風」は自分で38%、一般で22%が挙げた。各企業が女性登用の数値目標を設けることに「積極的に賛同しないが、やむを得ない」という人が一番多く8割が賛成・容認派だ。女性であることを「有利」(11%)「どちらかというと有利」(57%)と感じている人が、「どちらかというと不利」「不利」を大きく上回った。どのような時に感じるかでは、少数派であるがゆえの利点や活躍推進の追い風を有利と感じる半面、「日本は圧倒的な男性社会で対等に見られない」という声も目立った。 ●「子どもいない」7割 プライベートでは未婚が4割と、日本人女性の50歳までの未婚率1割に比べ高い。また子どものいる人は27%。労働政策研究・研修機構による2012年の調査では企業の部課長の男性の8割に子どもがいたことと比べると、女性は仕事と家事・育児の両立が難しかったことがうかがえる。実際、子どものいる人に育児を主にどのようにしてきたか聞いたところ、「シッターなど経済的に対処してきた」と答えた人が一番多く、次いで多かった「親(義理の親も含む)の協力が大きかった」を合わせると7割を占め、夫婦以外の助けも活用していた。リクルートワークス研究所の石原直子主任研究員は「欧米でもスポンサー(引き立てたり機会を与えたりする上司)の存在が重要とされており、日本の役員の女性たちが同じことを強く感じている点が興味深い。スポンサーがつくには、与えられた仕事で成果を出し、それを高い地位にある人にきちんと認めてもらうことが大事だ」と話す。調査は2月下旬から3月中旬、日経リサーチが2月現在の全上場企業を通じ女性役員(会社法上の社内役員と執行役員)に調査を依頼、インターネットで37人の回答を得た。 *3-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150423&ng=DGKKZO86027390T20C15A4EE8000 (日経新聞 2015.4.23) 数字で知る日本経済2(2)女性管理職30%目標に 意識変え人手不足補う 自分の会社の役員や管理職に女性が何人いるかを思い起こしてみよう。まだまだ男性中心の日本の会社。こうした現状を変えることが日本経済の課題になっている。「女性が輝く社会をつくる」。安倍晋三首相はあの手この手で働く女性を後押ししている。保育所を増やす。残業や転勤がないタイプの正社員制度を広げる。いずれも子育てと仕事を両立しやすくするのが狙いだ。いまは働く女性の6割が、最初の子どもを産んだときに退職してしまう。政府は国民の意識を変えようと、2020年に管理職の30%を女性にする目標を掲げた。13年の実績はわずか7.5%。女性の採用や昇進を増やすよう企業に呼びかけ、欧米諸国並みに引き上げることを目指している。産業能率大学の新入社員アンケートを見ると、「管理職を目指す」という女性は29%しかいない。お手本になる先輩が増え、仕事を続けた場合のキャリアを見通せるようになれば、出産後に仕事を辞めてしまう人は減るのではないか。そんな効果を期待している。なぜ国が働く女性を増やそうと旗を振るのか。最大の理由は日本の人口が減り続けることで、経済を引っ張る労働者が少なくなってしまうからだ。働く意欲のある人は現在約6600万人。このままだと2030年には900万人減る。今よりも多くの女性が働くようになれば働き手の目減りを補うことができる。もっと女性の視点を生かして商品やサービスを改善すれば、今までにない良いモノが生まれ、消費が増えるのではないかという期待もある。日産自動車は新車の開発チームに女性が入り、長い爪でも開け閉めしやすいドアノブをつくった。戦後から高度成長期の日本の会社では、女性は結婚したら退職するのが当たり前という風潮があった。男性と同等の戦力とはみなさず、女性だけ定年を30歳にする会社も珍しくなかった。雇用での男女差別を禁じる男女雇用機会均等法ができて今年で30年。企業も男性社員の認識も大きく変わりつつある。ただ管理職目標には摩擦もある。女性登用の数値目標をつくった大手企業の担当者は「中堅層に女性社員が少ないため、目標を達成するために女性を優先して登用している。男性社員からは不満も出ている」と明かす。第一生命経済研究所の的場康子氏は「女性の働き手を増やすには、企業は中長期的な視点で採用や育成に取り組む必要がある」と指摘する。 <間接差別> *4:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000059264.pdf#search='%E9%96%93%E6%8E%A5%E5%B7%AE%E5%88%A5' 男女雇用機会均等法で禁止している間接差別の対象範囲拡大(要点のみ) 平成26年7月1日から、改正「男女雇用機会均等法施行規則」等が施行されます。これまで総合職の労働者を募集、採用する際に、合理的な理由がないにもかかわらず転勤要件を設けることは、「間接差別」として禁止されてきました。 ●「間接差別」となるおそれがあるものとして禁止される措置の例 性別以外の事由を要件とする措置であって、他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるものとして省令で定めている措置(※以下の①〜③)を、合理的な理由なく、講じることをいいます。 ①労働者の募集または採用に当たって、労働者の身長、体重または体力を要件とするもの ②コース別雇用管理における「総合職」の労働者の募集または採用に当たって、転居を伴う転勤に応じることができること(「転勤要件」)を要件とするもの ③労働者の昇進に当たって、転勤の経験があることを要件とするもの ②労働者の募集もしくは採用、昇進または職種の変更に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とするもの ●事業主の皆さまへ すべての労働者の募集、採用、昇進、職種の変更をする際に、合理的な理由がないにもかかわらず転勤要件を設けることは、「間接差別」として禁止されます。 PS(2015年5月13日追加):*5のように、市役所や教員の場合は、男女とも法律通りに育休をとり、一人で子育てする時間の苦労を味わうと、その後のサービスの改善に活かされて仕事にも有用だろう。これは、幼い子の安全も配慮すべき自動車、住宅、家具、電化製品、公共交通機関など他の産業でも同じだ。また、高齢の男女も排除せずに勤務させた方が、スイッチや説明書を高齢者にもわかりやすくするなど、これから人口の割合が増える高齢者のニーズを先取りした製品やサービスが作りやすいと考える。 *5:http://qbiz.jp/article/61982/1/ (西日本新聞 2015年5月13日) 部下の育休取得率アップでボーナスもアップ!? 北九州市がイクボス宣言へ 部下の仕事と家庭の両立を応援する上司「イクボス」を目指し、北九州市の管理職約560人が19日、“イクボス宣言”をする。研修会で育児休業を取りやすい環境づくりなどを学び、その実践度をボーナスの査定に反映させる。子育て環境の向上や女性の活躍促進につなげたい考えだ。市によると、宣言するのは課長級以上の全員で、政令市で初の試み。「私生活の時間を取りやすいよう、会議の短縮や書類の削減などを進める」「両立のための支援制度の利用を促す」など、イクボス10カ条をまとめており、19日に式を行って参加者が宣誓する。7月には研修会を開き、意識向上を図る。各管理職は、部下の育休取得や時間外勤務の削減について1年間の目標を立て、年度末に達成度を確認。結果は人事考課の材料となり、部下の意見を評価に加味することも検討する。市は、2013年度に6・1%だった男性職員の育休取得率について、19年度までに20%に引き上げるとしており、イクボスが目標達成を後押しする。
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2015,03,21, Saturday
マララさんの国連スピーチ ミシェル&昭恵 メルケル独首相 サッチャー英首相 (↑ http://www.huffingtonpost.jp/2013/07/12/malala_speech_n_3588163.html 参照) (1)メルケル首相とサッチャー元首相は、ともに欧州出身の理系女性であること *1に書かれているように、メルケル首相は、旧西独で生まれ、牧師だった父の転勤で東独に行き、ライプチヒの反政府デモからベルリンの壁崩壊までの激動を東側の物理学者として見届け、それから統一を求める新党に参じて科学から政治へ人生のかじを大きく切り、現在では、ウクライナの停戦を仲介し、ギリシャ債務問題で欧州連合(EU)を代表してユーロ防衛の大義を説くなど、欧州の政治に欠かせぬ顔となり、英国首相を11年半務めたマーガレット・サッチャー氏と並んでいる。このような実力派のヘビー級リーダーの女性は、まだ欧州でしか出ていない。 一方、我が国では、国会議員の女性比率は主要国で最低であり、地方議員ではさらに低くて“男湯議会”も多い。この状況は、日本国憲法制定後、70年河清を待っても変わらなかったため、国会の超党派議員連盟で女性候補を5年で30%にする目標を掲げたそうだが、私も、「リーダーや政治は男でなければならない」という人々の先入観がなくなり、自然に女性候補が50%程度になるまで、候補者のクオータ制を導入するしかないと考えている。 (2)日本のメディアは男社会で、女性に対する意識が低いこと *2-1のように、朝日新聞は、メルケル独首相を、超人的な仕事ぶりが独メディアで話題になる「欧州の女王」と表現した上で、その素顔を、「『鍋をかき回している時は、自分が首相でも何でもない存在だと思える』というのが本音だ」としている。この中には、「首相となる女性は女王のように権力主義だが、本当は首相でも何でもなく鍋をかき回しているのが一番幸せなのだ」という価値観が入っており、その古い価値観が、この記事の他の部分の内容のよさを打ち消して、メディアの意識の古さを露呈している。 私もそうなのでここではっきり書いておくが、一生懸命勉強してそれなりの大学を卒業し、研究や仕事で業績を残している人は、やりたいことを実現するために多くの苦労をし、他の時間を犠牲にしながら集中して頑張ってきているため、それを行うには強い意志が必要だったのである。そのため、本音では「首相でも何でもない存在で鍋をかき回しているのが一番幸福だ」と考えるような人は、はじめから首相にはなっていない。 さらに、*2-2でNHKは、「広がる”不寛容”多文化は共生できるか」という放送をした。私は、預言者ムハンマドを笑い物にして描くシャリル・エブドは、いくら当事者が「表現の自由」を主張したとしても、そこには見識がなさすぎると考える。 一方、イギリス政府が、イギリス市民としての生き方を教える「シチズンシップ(市民教育)」という教科を中学校で必修化する教育改革を行い、移民が市民権や永住権を得る際にはイギリスの歴史や文化に対する理解度をはかる試験を実施して、合格者にはイギリス王室や国法への忠誠を誓う儀式に参加することを義務付けたのは、イギリスとしては当たり前だと考える。何故なら、異なる宗教や民族が同居していても、異様な女性差別を宗教や文化を理由として認めるのは、男女が同じ市民権を持つ国ではありえない上、女子差別撤廃条約にも反するからだ。 さらに、*2-3のように、日本のメディアである朝日新聞は、「読解力・数学で男女に差 OECD、15歳の学習到達度を分析」と大きな見出しで書いており、まるで女性が生まれつき数学(論理学)に弱く、読解力(文学)に強いかのような戦前の発想で記事を書いている。よく内容を読めば、社会環境、教育環境、家庭環境による性差(ジェンダー)によるところが大きいだろうとも読めるが、忙しい人は題名と最初のフレーズくらいしか読まないため、さらにジェンダーを広めている。 しかし、メルケル首相(ライプツィヒ大学卒業、物理学博士)もサッチャー元首相(オックスフォード大学化学科卒、弁護士)も理数系に強い女性である。一方、メディアの記者や弁護士・公認会計士などの文系分野にも男性が多く、それは先天的能力よりも社会の期待や価値観によっており、どんな人生を送ることを前提として育てられたり、社会環境の影響を受けたりして勉強してきたかが分かれ目となっている。なお、私も理数系に強い女性だが(だからといって文系に弱いわけではない)、仕事上、女性に対して30年以上前から比較的機会均等に門戸を開いていた公認会計士・税理士としてやってきたのだ。 (3)女性に対する教育と女性が仕事を持つことの重要性 *3-1の朝日新聞で、ミシェル・オバマ米大統領夫人と安倍昭恵・首相夫人が19日、世界における女子教育の支援で協力を確認し、ミシェル夫人は「世界各地に聡明で能力があり成功を切望しながら学校に通えない女子がいる。それは世界にとって大きな損失だ」と語り、昭恵夫人も「世界には当たり前の権利を求めて汗と涙を流している子供たちがいる」と語り、米国は女子教育支援のための援助資金として2億5千万ドル(約303億円)を来年度予算に盛り込み、日本は政府の途上国援助(ODA)で今後3年間で420億円超を支出することを発表したと記載されており、よいと思う。 特にイスラム社会では、女子教育や女性の職業選択の自由が制限され、女性が活躍して世界を変える力になるための基礎教育が十分に行われていない。私は、女性の意思決定権者が少なく、一夫多妻で結婚相手にあぶれる男性が多いのが、イスラム圏で戦争が多い理由の一つであるため、教育改革による人材構造改革は、戦争回避と経済発展の両方のために重要だと考えている。 なお、「私のような貧しい環境で育った女の子は、成功を収める生徒にはなれまいと決めつける先生にも出会った」というミシェル夫人と、つい最近まで男女の性的役割分担を強調しつつ女子教育だけは充実してきた日本の昭恵夫人は、イスラム教などで差別され教育を受けられない女の子に女子教育の機会を与えられるBest Personかもしれない。それを、「オバマ大統領の残り任期2年で、大統領夫人としても、女子教育でレガシー(遺産)を作ろうとしている」などと言っているのは、言った本人がそのくらいの推測しかできない発想の持ち主なのである。 また、*3-1で、「両夫人は首脳である夫に率直に意見を述べる点などが共通していると言われる」などと書き、「ミシェルは思ったことを恐れずに語り、私が間違っている時も指摘する。それもしょっちゅうだ」とオバマ大統領が語ったということを取り上げているのは、日本のメディアが「女性は夫を立てて意見も言わないのが普通」という前提を持っているからだろうが、その愚かさと世間の狭さには呆れるほかない。何故なら、どういう地位の人でも夫は夫であり、妻が自分の意見を言うのは当たり前である上、ミシェル夫人はオバマ大統領と弁護士事務所の同僚だった人だからである。 さらに、*3-1は、ミシェル大統領夫人のファッションには詳しく触れているが、ミシェル夫人が逆境の中で、プリンストン大学とハーバード・ロー・スクールを卒業して弁護士として働いていたことには触れていない(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%90%E3%83%9E 参照)。つまり、本当はよい題材を扱いながら、記事の内容は古い価値観の男性目線に依る取り上げ方、解釈の仕方であり、記者のレベルの低さがわかるのである。 なお、女性が発言権を持てるためには、教育水準だけではなく経済力も必要であるため、女性が働きやすい産業を立地させるのが良い。それには、*3-3のような繊細、緻密で根気のいるイスラム圏の女性が織るペルシャ絨毯を見れば、イスラム女性の能力と根気、4大文明のすごさがわかるため、日本の政府途上国援助で、女子教育だけでなく、女性の能力を活かせる産業の立地も進めるのがよいと思う。 また、*3-4は日本に関する記事だが、どの国も、経済発展するためには、労働の質と量が重要だ。そのためには、労働参加率を引き上げ、いろいろな分野に女性を参加させ、1人当たりの労働生産性や1人当たり所得を増加させることが必要で、そのためには女子教育も必要不可欠なのである。 なお、教育水準の高い東アジアでは、この70年間、日本(1950~70年代)、韓国(70~90年代)、中国(90年代~現在)で、1人当たり国内総生産(GDP)の顕著な増加が起こったが、次はイスラム諸国の番である。ただし、工業は労働生産性が高いからといってすべての人が工業にシフトして農林漁業を疎かにしていれば、食べ物がなくなる。そのため、農林水産業は決して疎かにすべきではないのだ。 このような中、*3-2のように、佐賀県の私立学校協会は、補助金の充実による保護者の負担軽減や公私間格差の是正などを求めて、佐賀県の山口知事に私立学校関係予算に関する要望書を提出したそうだ。私は、保護者の負担軽減や公私間格差の是正は必要だと思うが、日本では少子化の中で公立高校の収容人数にもゆとりが出てきたため、佐賀県の私立も都会の私立のように独自の教育方針を示して保護者や生徒に魅力を増す必要のある時代になったのであり、「県立高校の2次募集合格によって私立高を辞退する人が少なくないので、2次募集を廃止してほしい」と訴えるのは、学校が生徒の教育のためにあることを考えれば本末転倒だと思う。 しかし、日本は少子化で設備にゆとりができたのであれば、この際、寮や寄宿舎を作り、昭恵夫人に頼んで、ODAで“アキエ奨学金”もしくは“(プリンセス)マサコ奨学金”を作ってもらい、イスラム圏はじめ日本で勉強したい外国の生徒を受け入れてはどうかと思う。 <実力派の女性について> *1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11638859.html (朝日新聞 2015年3月8日) (日曜に想う)「和製メルケル」クオータ制から 特別編集委員・冨永格 同じ旅で旧東独のライプチヒ大学を訪れた。ゲーテ、ニーチェ、ワーグナーらが並ぶ「在籍した偉人」の末尾にアンゲラ・メルケルの名がある。旧西独で生まれたメルケル首相(60)は、牧師だった父の転勤で東へ。ライプチヒの反政府デモに始まり、ベルリンの壁崩壊に至る激動を、東側の物理研究者として見届ける。最後は統一を求める新党に参じ、科学から政治へと人生のかじを大きく、賢く切った。いまや欧州政治に欠かせぬ顔だ。ウクライナでの停戦を仲介し、ギリシャ債務問題では欧州連合(EU)を代表してユーロ防衛の大義を説く。母国の経済力にも裏打ちされた存在感は、EU首脳の間で抜きんでている。国際政治でヘビー級と呼ばれるリーダーはめっきり減った。欧州ではロシアのプーチン大統領と、メルケル氏くらいだろう。ドイツのきっちり、どっしりにスーツを着せたその人があす、7年ぶりに日本にやってくる。 * ヨーロッパの女性指導者といえば、英国首相を11年半も務めたマーガレット・サッチャー氏が浮かぶ。メルケル氏も秋で在任10年。2017年までの任期を全うすれば「鉄の女」を超す。欧州の2大国に登場した初の女性首相が、そろって長期政権を担う。この事実、まんざら偶然ともいえない。政治が「男の世界」なのは欧州とて同じだが、北欧を中心に女性の大統領や首相は珍しくない。男優位の空気が残るラテン文化圏も変わりつつある。フランスでは07年の大統領選で左派の女性候補があと一歩に迫り、大衆人気で勝る右翼政党は創設者の三女が率いている。EU外相にあたる重職を務めるのは41歳のイタリア女性だ。女性の政治家は鍛えられ、ふるいにかけられ、地位をつかめば活躍する。それを見た同性が政界を目ざし、登用の機運は民間にも波及する。翻って、我が国の惨状である。国会議員の女性比率は衆院が9%台、参院も16%で、主要国では恥ずかしいほど低い。地方議員は12%弱、ひと時代前の「男湯議会」もたくさん残る。政治家が総じて小粒になったのに、遠からず首相を狙えそうな女性は見当たらない。三権の長といえば、過去に衆院議長(土井たか子氏)と参院議長(扇千景氏)がいるだけだ。 * 産む産まないは自由としても、妊娠出産がキャリアの妨げになる現実は捨ておけない。私たちの社会は、持てる力の半分ほどを無駄にしかねない。少子化対策にしても、女性の視点や肌感覚は必須だろう。機会均等の徹底は、だから制度づくりに関わる議会から始めるべきだ。遅れた職域でもあり荒療治が要る。まずは政党間で争う国政選挙で、候補者の一定割合を女性にするクオータ制を実現したい。かぎを握るのは巨大政党。もはや「逆差別」を理由にためらう余裕はない。100を超す国々が多様な割当制を採り入れ、女性議員を増やしてきた。先頃わが国会にできた超党派の議員連盟は、女性候補を5年で30%にする目標を掲げる。結果ではなく機会の3割だから、女性優遇の枠ではない。そもそも、能力に関係なく当選を重ねる男性議員はいくらでもいよう。サッチャー氏は首相になった翌月、東京での主要国首脳会議に臨んだ。記者会見で「初の女性首相として」と聞かれると、質問を遮り「私は女性の首相ではなく、英国の首相です」と厳しい口調で釘を刺したという。通訳を務めた村松増美さんの回顧録にある。皆が「鉄」になれるわけではない。頂点を争う地位にまで女性を押し上げるには、強いルールで人材のすそ野を広げることだ。夢はるかでも、世界を動かす和製メルケルを待ちたい。 <女性に対する日本メディアの意識> *2-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11636613.html?_requesturl=articles%2FDA3S11636613.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11636613 (朝日新聞 2015年3月6日) 「欧州の女王」の素顔 メルケル独首相、9・10日に訪日 ドイツのアンゲラ・メルケル首相(60)が、ウクライナ危機など世界的な問題の対処で存在感を大きく高めている。ドイツだけでなく、ヨーロッパ各国のメディアで、「欧州の女王」と形容されるメルケル首相は、どんな人なのか。9、10日の訪日を前に、素顔に迫った。 ■超人的 8日間で2万キロ移動 ウクライナ危機やギリシャ債務問題が山場を迎えた2月上旬。メルケル首相の「超人的な仕事ぶり」が独メディアで話題になった。メルケル氏は2月5日~12日の8日間に、ウクライナ情勢を巡りロシアのプーチン大統領らとの長時間の首脳会談を2回こなしつつ、故ワイツゼッカー大統領の追悼式や安全保障会議にも出席。北米にも外遊した。独メディアによると総移動距離は2万キロ。地球半周分だ。ウクライナ問題には特に執念をみせる。シンクタンク・欧州外交評議会のグスタフ・グレッセル客員研究員は「ソ連や旧東独で理不尽なものを目の当たりにしてきたからこそ、西側の政治家が首をかしげるようなプーチン氏の行動や決断も理解している」と分析する。 ■決断力 脱原発、世論見て即決 メルケル氏はよく「熟慮の政治家」といわれる。その資質は9歳の時のエピソードにも垣間見える。学校の水泳の授業で、高さ3メートルの飛び込み台の上で立ち往生。飛び込んだのは、授業終了の合図を聞いた時だった。後に「飛び込み台を信頼するのに、1時間かかった」と振り返った。進学したライプチヒ大学では物理学を専攻。卒業後、物理学者として東ベルリンの科学アカデミーに勤めた。その記憶力は健在のようだ。長年取材する独紙ビルトのラルフ・シューラー記者(48)は「用意された書類を短時間で細部まで覚えて忘れない」と舌を巻く。シューラー氏はこうも言う。「彼女はデータが何より好きで、それを頭の中で蒸留し揺るぎない決断を導く。逆に、理解できないうちは何も決めずに待つ」。ただ、2011年の東京電力福島第一原発事故後のエネルギー政策の転換は例外だった。「稼働延長」を決めていた原発の停止を即断。脱原発に傾いた世論をみるや、党内の反対を押し切り、22年までの原発全廃に踏み込んだ。「(被災地の映像を見て)今まで信じていたものに疑問を感じた」と後に語っている。その「素顔」はあまり知られていない。1989年のベルリンの壁崩壊後、政治の世界に飛び込んだメルケル氏は、旧東独最後の政権で副報道官などを務めた。その後、コール元首相に見いだされ、2005年に初の女性、東独出身の首相になった。私生活では大学時代に学生結婚し、数年後に破局。現在の夫と1998年に再婚後も、前夫のメルケル姓を使い続ける。好物は独家庭料理のルーラーデ(肉巻き)とポテトスープだ。「鍋をかき回している時は、自分が首相でも何でもない存在だと思える」。メルケル氏はかつて女性誌のイベントで珍しく本音を漏らし、会場を笑わせた。意外な特技が物まね。長年取材する独紙記者によると、とくにロシアのプーチン大統領が得意だという。 ■寝だめ・10キロ減量に成功 昨年7月に60歳になったメルケル氏。元気の秘密は、どこにあるのか。メルケル氏はかつて、女性誌に「ラクダがこぶに水をためるように、睡眠時間をためることが出来る」と語っている。週末や休暇中に「寝だめ」し、いざという時に消費するという。その分、普段の睡眠時間は4~6時間と少なめだ。一昨年末の休暇中にスキーで転倒し腰を負傷。医師の勧めでダイエットを始めた。そのかいあってか昨春、「10キロ減量に成功」と報じられた。ファッションでは、カラーコーディネーターのジルビア・レグニッタープレーン氏(53)によると、お気に入りの色はグリーン系。外遊中は落ち着いた印象の青系を着ることが多い。くだけた場面ではピンクやオレンジ、黄色にも挑戦する。 *2-2:http://www.nhk.or.jp/wisdom/150228/theme.html (NHK 2015年2月28日、3月7日再放送) 広がる”不寛容”多文化は共生できるか 先月、フランスの風刺新聞社「シャルリ・エブド」がイスラム過激派に襲撃された。事件後、EU各国では、イスラム系移民の排斥を訴えるデモが拡大。深刻な異文化対立を引き起こしている。グローバル化が進む時代。先進国の多くが労働力として移民を受け入れるなど、モノだけでなく人も絶え間なく国境を越えて行き交う時代になった。さらに、インターネットを通じて、さまざまな情報が瞬く間に世界中を駆け巡る。世界の経済的、社会的な結びつきは強まっているが、一方で、国境紛争や民族対立は多発。グローバル化は異文化がどのように共生していくかという重い課題も突きつけている。襲撃事件はイスラム教でタブーとされる預言者ムハンマドを描いたことへの報復行為だとされている。事件後、パリでは「表現の自由」を守れと370万人が行進。シャリル・エブドが再びムハンマドの絵を掲載した最新号は完売した。しかし、その一方で、世論調査ではこの風刺画を「掲載すべきでなかった」という意見が40%以上に上っている。インターネットを通じて、誰もが情報を発信し拡散できるようになった現代。各国で異なる人種や宗教などに対する「ヘイト・スピーチ」が問題化する中、「表現の自由」のあり方が問われている。さらに、国家の価値観も揺れている。去年、イスラム教徒の女性が顔を覆う「ブルカ」の公共の場での着用を禁止するフランスの法律が差別に当たるとする、パキスタン系フランス人の訴えに対して、法律は合法だと判断した。ブルカを「男女平等に反する」とするフランス政府の主張を認めたことになる。しかし、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは「表現の自由や信仰の自由を著しく侵害する」と判決を批判、大きな論争を呼んでいる。多文化多民族化が進む中、自国の価値観と異なる信仰や思想をどこまで認めるべきなのかが、問題になっている。多様な価値観を持つ国民をどのように統合していくのか。2011年の国勢調査ではロンドンに住む白人のイギリス人が過半数を割り、多文化多民族化が急速に進むイギリス。21世紀に入り、宗教や人種問題を背景にしたテロや暴動が多発している。そこでイギリス政府は、「イギリスの価値観」を共有することが社会の分断を防ぐとして、教育改革に乗り出した。イギリス市民としての生き方を教える「シチズンシップ(市民教育)」という教科を中学校で必修化する一方、移民が市民権や永住権を得る際に、イギリスの歴史や文化に対する理解度をはかる試験を実施。合格者には、イギリス王室や国法への忠誠を誓う儀式に参加することも義務付けた。多文化社会の中で、従来の国民国家の姿が変貌する中、国民が共有すべき価値とは何か、模索が続いている。グローバル化によって異なる宗教や民族が同居する時代を迎えた21世紀。異文化はお互いを認め合い、共生してゆくことはできるのか。世界のウィズダムが議論する。 *2-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11659566.html?_requesturl=articles%2FDA3S11659566.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11659566 (朝日新聞 2015年3月20日) 読解力・数学で男女に差 OECD、15歳の学習到達度を分析 数学や科学は男子の方が好成績で、読解力は女子の方が高い――。経済協力開発機構(OECD)が15歳の学習到達度の男女格差を調べたところ、日本を含む多くの国でそんな傾向が出た。ただ、娘よりも息子に理系の就職を期待する親や学校の教育が影響している可能性もあり、性別に関係なく好成績を取れるような数学の指導を促している。OECDが、2012年に65カ国・地域の15歳を対象に行った国際学習到達度調査(PISA)や生徒への質問票などを分析した報告書をまとめた。読解力はPISAの全参加国・地域で女子が男子を上回り、日本でも女子が24点高かった。一方、OECD平均でみると、「数学的な知識の応用」は男子が女子より強く、「科学者のように考える」ことが求められる質問では女子の苦戦が目立つ。日本では12年PISAの数学的リテラシーは男子が女子を18点上回り、科学的リテラシーで11点、問題解決能力も19点男子が女子を上回った。こうしたなか、ドイツ、韓国など10カ国・地域では、娘と息子の数学の成績が同じでも、親は息子に対し、科学や工学、数学分野の就職を期待する傾向が強かった。OECDの担当者は、学校行事での役割分担や教師の進路指導が影響している可能性も指摘する。OECDは「学業成績の男女格差は生まれつきの能力差によるものではない」と指摘し、数学では生徒に解答手順を説明させるような指導が、女子の成績向上につながるとしている。 <女性の教育と仕事> *3-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11659610.html?ref=pcviewpage (朝日新聞 2015年3月20日) 女性の活躍、世界変える ミシェル・昭恵両夫人、教育支援で協力を確認 ミシェル・オバマ米大統領夫人と安倍昭恵・首相夫人が19日、世界における女子教育の支援で協力を確認した。首脳である夫に、率直に意見を述べる点などが共通していると言われる両夫人。春の大型連休に予定される日米首脳会談を前に、「ファーストレディー外交」を展開した。東京都心の外務省飯倉公館。初来日したミシェル夫人が講演で「世界各地に、聡明(そうめい)で能力があり成功を切望しながら学校に通えない女子がいる。それは世界にとって大きな損失だ」と語ると、昭恵夫人も「世界には、当たり前の権利を求めて、汗と涙を流している子供たちがいる」と語った。米国が女子教育支援のための援助資金として、2億5千万ドル(約303億円)を来年度予算に盛り込むことを明らかにすれば、日本も政府の途上国援助(ODA)で今後3年間で420億円超を支出することを発表した。両夫人は、ともに女性の社会進出や女子教育の問題に取り組み、発信を続けてきた。昭恵夫人は、ミャンマーでの「寺子屋」づくりを支援し、バングラデシュでの女子大学設立にも尽力した。この日の講演では「日本はいかなる時も貧困削減との戦いから逃げることなく、国際社会の先頭に立つ」と宣言。「日本には子どもに質の高い教育環境を提供する支援モデルがある」とし、これまでのノウハウを生かし、さらに支援を拡大する考えを示した。一方のミシェル夫人は今月3日、女子教育の拡充を目指す「レット・ガールズ・ラーン(女子に教育を)」構想を打ち上げた。米政府の開発支援組織「ピースコー(平和部隊)」が中心となり、女子の通学を促す活動を進める世界各地のボランティア団体と連携し、地域の指導者らにも女子教育の機会拡大を求めていくのが目的だ。講演でも自らの生い立ちに触れて、「私のような貧しい環境で育った女の子は、成功を収める生徒にはなれまいと決めつける先生にも出会った」と述べ、女子教育の重要性を訴えた。日米の女性の地位についても「女性は仕事のプロと献身的な母親の両方にはなれず、どちらか一方を選ぶしかないとの時代遅れの考えがある」とも指摘した。ミシェル夫人は、講演後の日本の女子学生との懇談会で「我々には世界を変えるチャンスがある」と呼びかけた。これまで国内対策として、子どもの肥満撲滅を目指す「レッツ・ムーブ!」構想などを主導してきたが、今回、世界規模の構想を打ち出したことについて、「オバマ大統領の残り任期2年で、大統領夫人としても、女子教育でレガシー(遺産)を作ろうとしている」(海野素央明治大教授)との見方もある。 ■「マム・イン・チーフ」「家庭内野党」 2人に共通点 両夫人は19日、昭恵夫人が都内で経営する居酒屋で昼食を共にした。その後、首相官邸で面会した安倍晋三首相が「私はまだ行ったことがない」と打ち明けると、ミシェル夫人は「とてもおいしかった。ぜひ行ってみて」とほほえんだ。日米ファーストレディーには共通点も多い。「ミシェルは思ったことを恐れずに語り、私が間違っている時も指摘する。それもしょっちゅうだ」。オバマ大統領が1月にインドを訪問した際の講演でミシェル夫人を前にこう語ると、会場がどっと沸いた。米軍の「最高司令官(コマンダー・イン・チーフ)」であるオバマ大統領の立場をなぞり、大統領夫人としての務めを「マム・イン・チーフ(母親最高司令官)」と自称。娘2人の教育環境を大切にしつつ、しつけも厳しい。ホワイトハウスに入る際、担当者に「娘たちは身の回りのことは自分たちでできます」と話したエピソードが有名だ。国民の人気も高く、昨年末の世論調査でオバマ大統領への支持率(約4割)をはるかにしのぐ6割強だ。高級ブランドだけでなく、J・クルーなど手頃な価格のワンピースなどを着こなし、ファッション誌で取り上げられることも多い。一方、ときに「家庭内野党」とも評される昭恵夫人。原発の再稼働には慎重で、東日本大震災の被災地では防潮堤の是非を考えるシンポジウムを開いた。米や野菜の有機栽培に挑戦する姿は、ホワイトハウスで家庭菜園に取り組むミシェル夫人とも相通ずる。安倍首相は19日、首相官邸で会った米国の大学生らに、自民党総裁への返り咲きを目指した2012年の総裁選をめぐる昭恵夫人のエピソードを紹介した。「勝てなければ政治キャリアは終わるとの考えも頭をよぎったが、最後は妻が『国のことだけを考えて判断すべきだ』と。この時は、妻の判断に従ってよかった」 *3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/168681 (佐賀新聞 2015年3月21日) 補助金充実など山口知事に要望 県私立学校協会 佐賀県私立学校協会(江口敏文会長)は20日、佐賀市のマリトピアで山口祥義知事に私立学校関係予算に関する要望書を提出した。補助金充実による保護者負担軽減や公私間格差の是正などを求めている。運営補助金の増加や就学支援金の充実など幼稚園、中学高校、大学、専修学校などそれぞれの要求を列挙した要望書を、江口会長が山口知事に手渡した。私立高関係者は県立高校の2次募集に疑問を投げ掛けた。1次で定員割れの学校が不合格者を出しながら2次募集をかけていることを挙げ、「2次募集合格によって私立高を辞退する人が少なくない。学級編制業務も年度末ぎりぎりにせざるを得ない状況がある。2次募集を廃止してほしい」と訴えた。山口知事は「高い志を持った取り組みには県としてもバックアップしたい。2次募集についてはよく調べてみたい」と話した。 *3-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/162900 (佐賀新聞 2015年3月5日) ペルシャ絨毯、多彩な作品700点展示 佐賀玉屋 ■ペルシャ絨毯、繊細で緻密 イランの伝統工芸品ペルシャ絨毯(じゅうたん)の商品企画展が、佐賀市の佐賀玉屋で開かれている。幾何学文様や絵画などの図柄を繊細で緻密に織り込んだペルシャ絨毯約700点を展示している。8日まで。佐賀での開催は5年連続。会場には、5人で約4年をかけて織り込んだ縦3メートル50センチ、横5メートルの絨毯や、犬などの写真を基に織り込んだ作品などを展示。特に日本人に人気のあるシルクで織り込んだクム産は触り心地がよく、買い物客が立ち寄って触れていた。絨毯の仲買会社・オービーエム(東京都)を経営するバシーリ・メーディさん(76)は「ペルシャ絨毯は、シルクやウール、綿など産地によって織り込む素材が異なり、図柄や触り心地などが全く違ってくる。フローリングの家屋に合った柄もあり、多彩なデザインがあるのを知ってほしい」と話している。会期中、ペルシャ紅茶と干しイチジクのお菓子も振る舞われる。 *3-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150105&ng=DGKKZO81525890T00C15A1KE8000 (日経新聞 2015.1.5) 2015再生の起点に(1)、人を生かし生産性高めよ 青木昌彦 スタンフォード大学名誉教授 今年、戦後70年を迎える。直近25年の経済は、はかばかしくなかったという思いが、それ以前の「成功」体験を経た人たちに少なくない。だが「失われた何十年」という感傷は、それを追体験し得ない新世代には無縁だろう。日本が直面する歴史的な課題は何か。「3本の矢」による「経済再生」か。戦後政治レジームを清算し、地政学的に存在感を示すことか。それとも新世代の積極的な参加による制度の創発的な構築か。歴史的転換点とでもいうべき今を見据えるには、短期の経済変数の動きに一喜一憂するだけでは十分でない。米ブラウン大学のオデット・ガロア教授らによる「統一的成長理論」のアプローチが示唆するように、経済変数と様々な人口関連変数、それに制度変数を統合して、今を新たな経済成長のフェーズへの移行期として理解すべきである。第3回ノーベル経済学賞を受賞したサイモン・クズネッツは、19世紀から20世紀にわたる欧州経済史のデータ分析を通じ、農業から製造業・サービス産業への雇用の移転が「経済成長の数量的側面」を表現するとした。それを成長のクズネッツ効果と呼ぼう。遅れて、この70年間、東アジアでは、まず日本(1950~60年代)、ついで韓国(70~80年代)、そして中国(80年代~現在)に、人口1人当たりの国内総生産(GDP)の顕著な高度成長期が相次いで起きた。それぞれの期間、農業と工業の間には日本と中国では5倍、韓国で3倍強の1人当たり労働生産性の格差があった。だから前者から後者に急速な雇用流動が短期に起きたことで、高度成長が実現したのは不思議ではない。クズネッツ・プロセスと連動して起きた高度成長の第二の要因は、日本では終戦、韓国では朝鮮戦争の休戦、中国では多数の餓死者を出した毛沢東の「大躍進」運動という社会的混乱が終焉(しゅうえん)した直後に誕生したベービーブーマーたちが、生産活動に参加したことである。それによる1人当たりGDPの成長を「人口配当」という。だが、この2つの要因は不可逆的な過程である。日本でも、韓国でも農業雇用人口のシェアが20%を切ると、クズネッツ効果がほぼ消滅し、高度成長のフェーズが終わるという経験則がある。中国沿岸省でも今やこの20%という閾値(いきち)に到達した。クズネッツ・プロセスが終焉すると、1人当たりGDPの成長は第2次、第3次産業での1人当たり労働生産性の向上に依存する。さらにそれは2つの要因に分解される。第一に、1人当たり労働者に対する資本設備(経済学が資本装備率と呼ぶもの)の増加であり、第二に、人的資本の蓄積や経済組織の制度的な革新(経済学でTFP=全要素生産性=と呼ぶもの)である。中国の公式統計は都市で働く農村戸籍保有者を正確に捕捉しておらず、図示した近年の生産性向上の貢献分は隠れたクズネッツ効果を多分に含む。他方、2000年代のTFP貢献度は低いとされる。物的資本の量的拡大だけで、第二の人的・組織的要因によって補完されることがなければ、その生産性の貢献は次第に低下する(資本の収穫逓減の法則)。日本の70~80年代の穏やかではあるが、確かな労働生産性の向上は、第二の革新的要因に多く依存していたとはいえるだろう。だが、このフェーズの積極面にやがて2つのアンチテーゼが生じる。第一に、人的資本投資が子供の教育費、養育に費やす親の努力や時間などの点で高くつくものとなる。そういう経済計算に基づき、この内生的な経済成長のフェーズでは女性1人当たりの出生率が低下する。これを成長の統一的アプローチでは「人口的転移」という。人口的転移は、やがて団塊世代の退職とも相まって、勤労人口の相対的シェアの減少(マイナスの人口ボーナス)、人口の高齢化という「ポスト人口的転移」のフェーズへの移転を不可避とする。第二に、これら普遍的な法則性に日本特有の要因が加わった。70~80年代の制度革新には、生涯雇用や企業集団という枠組みのなかで人々の長期の信頼関係に育まれた暗黙知の共有が、比較優位の一つの要素としてあった。しかし80年代から世界を席巻した情報革命は、膨大なデータを効率的に解析するビッグデータのアルゴリズムという、暗黙知とは対極の技術を生んだ。以上の歴史的な展望から、1人当たりGDPの成長を持続させていくには何が必要か、いくつかの論点が明らかになる。第一に、労働参加率の引き上げである。生産性の高い分野への女性の一層の参加、年長者の引退の繰り延ばしなどの可能性については、既に広く認知されている。さらに、論議を呼ぶとはいえ、生産性向上に潜在的に寄与しうる外国人に、勤労人口の予備軍として国の門戸を広くあけることである。少子化で縮小しつつある大学が主にアジアから学生を積極的にリクルートし、日本の言語、慣習、文化にも通じた人的資本を養成することも一案だ。ヘイトスピーチ(憎悪表現)を声高に叫ぶ、外国人恐怖症の現象も一部にみられるが、かの吉田松陰も「夷人」を日本に取り込むことによる知の獲得と人口の増大という「一挙両得」(「幽囚録」)について積極的に語っていた。日本文化はそういうプロセスを経て歴史的に発展してきたことに、もう一度思いを馳(は)せよう。より重要なのは、1人当たり労働者の生産性の増大である。といっても雇用削減や低賃金労働の時限的活用によって、経営上の見かけの生産性を上げることではない。それではマクロ的に労働参加率低下という負荷がかかるだけである。そして、硬直化した年功序列にあぐらをかくような経営は、ポスト人口的転移の時代に競争力を失うだろう。人的資本の投資に基づく組織と技術の革新、情報技術と伝統的なきめの細かい協働を世代を超え相補的に結合するチーム力が鍵である。また多様な人的資本の形成に貢献しうる教育制度改革も必要だ。都市集中という現象にもポスト人口的転移の動きが投影している。だとすれば、観光産業、有機農業、情報・交通のインフラが可能とする地域分散型ビジネスを発展させるため、都市から還流する新世代の斬新な市場開拓力・実行力と、地場の年長者が持つ伝統的なノウハウとが結合するとき、経済成長の新しいフェーズに対応した地方の再創成が可能となるだろう。最後に、ポスト人口的転移のフロンティアを走る日本にとって、待ったなしの政策的要請は、世代間で合意が成り立ちうる、持続可能な社会保障政策のデザインである。評判のトマ・ピケティ・パリ経済学校教授の「21世紀の資本」では、資本収益率のrが経済成長率のgを上回ると、金融資本の所有者と他の人々の間で富の分配の格差が拡大すると論じた。しかし、効率的に運営される年金基金や社会保障基金を通じて勤労所得者も金融収益の分配に参加できれば、非倫理的で野放図な格差の増大は抑制が可能だ。一方で、十分に自活しうる高齢者への公的年金支給の廃止なども考慮に値しよう。ポスト人口的転移のフェーズの制度デザインを巡って、新旧世代を網羅した論議の活性化が望まれる。 <ポイント> ○持続的成長へ統一的成長理論の示唆有効 ○人的投資かさみ出生率低下を経て高齢化 ○女性・若者・外国人を活用し競争力向上を *あおき・まさひこ 38年生まれ。スタンフォード大シニアフェロー。NIRA上席客員研究員 PS(2015.3.25追加):*4のように、最近、何でも精神障害や発達障害というレッテル貼りをするメディアが多いが、この発想では、マララさん、ミシェル大統領夫人、サッチャー元英首相はアスペルガー症候群などの発達障害にされてしまうだろうし、カントは統合失調症、カフカは躁鬱病、ファーブルは自閉症、ピカソは視覚障害ということにされてしまうだろう(例)。つまり、「自分が正常であり、自分が理解できない人は相手が異常だ」という価値観が、傲慢この上なく、間違っているのだ。 また、「多様性」「個性」という言葉も、近年、障害者や性的マイノリティーを包含することに対して使う人が多いが、DNA・ミトコンドリア由来の遺伝情報や周囲の環境が異なれば誰でも異なるのが当然であるため、「個性」はすべての人が持っており、遺伝情報が完全に一致する一卵性双生児でさえ同じではなく、それを「多様性」と呼ぶのである。そして、この多様性により、種としての環境への対応力が強くなり、環境変化に対応しやすくなっているのだ。 つまり、メディアは、国語、生物、医学の知識や倫理観を持って報道しなければ、間違った言葉の定義や浅はかな価値観を国民に定着させ、いたずらに差別を助長して、障害者に対する社会の精神的バリアを強めることになるため、注意すべきなのである。 *4:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/169772 (佐賀新聞 2015年3月24日) 発達障害、自治体支援にばらつき、手帳交付の統一基準なく 自閉症やアスペルガー症候群などの発達障害がある人を支援する障害者手帳の交付基準は、都道府県や政令指定都市によってばらつきがあることが24日分かった。共同通信の全国調査で、約4割の自治体が知能指数(IQ)の目安を超えても、知的障害者向けの「療育手帳」を交付するとした。残りの6割は精神障害者向けの手帳に限っている。療育手帳ではJRの割引などを受けられる。法律に基づく制度ではないため、国の統一基準はなく、交付の目安や、発達障害の人を対象にするかどうかは自治体の判断に任せているのが実情だ。 PS(2015.3.26追加あり):日本の男女雇用機会均等法は、下のように、1986年に採用、昇進、研修、定年・解雇における男女差別を努力義務ではあるが、禁止した。しかし、その時に、「一般職」という職種を作って、そこに女性を採用することで、その男女雇用機会均等法がザル法化されたのである。そこで、私が提案して改正した1999年改正法では、採用、昇進、研修、定年・解雇における男女差別を、努力義務から禁止規定にした。*5-2のような非正規労働者や派遣労働者は、その1999年改正法をザル法化するために、多くの企業で導入されたのである。そのような中、*5-1のように、今まで「一般職」に女性を採用して、昇進、教育訓練、研修、定年・解雇などで差別していたのなら、それは、1999年以降は違法行為である。そのため、労働基準監督署が、このような状況を注意もせずに放置していたのであれば、その男女差別に対する意識の低さを問題とすべきだ。 なお、本当は間接差別やジェンダーも大きな問題なのだが、2007年及び2014年改正法では、カバーする範囲が狭い上、「合理的な理由なく」などという文言が入っているためザル法になっている。何故なら、企業は、“合理的な理由”の弁解など、いくらでも創作できるからである。 ①1986年施行: - 採用、昇進、研修、定年・解雇における男女差別の撤廃を努力義務に。 ②1999年改正法施行: - 採用、昇進、研修、定年・解雇における男女差別の撤廃を禁止規定に。 ③2007年改正法施行: - 間接差別の禁止。これにより「合理的な理由なく総合職の募集において転勤を要件とすること、 転勤経験を昇進の要件とすること」が禁止された。 ④2014年改正法施行: - 間接差別の禁止の範囲拡大。「すべての労働者の採用、昇進、配転などにおいて合理的な理由 なく転勤を要件とすること」が禁止された。 *5-1:http://qbiz.jp/article/58761/1/ (佐賀新聞 2015年3月26日) 佐賀銀が人事制度改定 総合職と一般職の昇格要件を統一 佐賀銀行は25日、一般職と総合職の昇格要件の統一や管理職登用の見直しなど成果重視を柱とした新たな人事制度を4月から導入すると発表した。賃金体系も見直し、20年ぶりに初任給を引き上げる。人事制度の全面改定は2001年以来で、女性やシニア人材の活躍を支援する狙いがある。新制度は女性行員に多い一般職を「地域総合職」に移行し、支店長や部長にも就けるようにした。また、育児や介護で退職した行員の復職制度も新設する。管理職については、管理職定年の55歳以降も登用を可能にする。賃金体系は職務手当と職能給の一部を見直して「職責給」を導入し、一定の役職以上は一律だった手当に差を付ける。一方、16年度から新卒採用者の初任給を大幅アップ。総合職は3万4千円増の20万5千円となる。陣内芳博頭取は「優秀な学生の確保は厳しさを増している」と述べた。 *5-2:http://qbiz.jp/article/56474/1/ (西日本新聞 2015年2月25日) 「ブラック自治体」が分かる50項目とは 職務に見合わない低賃金で働いている非正規公務員の問題を広く考えてもらおうと、NPO法人「官製ワーキングプア研究会」(東京、白石孝理事長)が、各自治体の非正規公務員の労働実態を50項目でチェックする「『ブラック自治体』指標」を発表した。「○」「×」形式で30以上○がないと「ブラック自治体」と見なすべきだという。作成に当たった、地方自治総合研究所(東京)の上林陽治研究員は「各自治体で活用し、非正規公務員の労働環境の改善につなげてほしい」と呼び掛けている。若者を大量に採用した後、過重労働で使い捨てにするいわゆる「ブラック企業」が社会問題となり、非正規公務員の労働環境が不十分な自治体も、改善が求められるようになった。だが、労働契約法の改正で5年を超えた非正規労働者は期間の定めのない働き方に移行できるようになったが、公務員は適用除外で立場が弱いままだ。非正規公務員の待遇改善が進まなければ、行政のサービス低下を招きかねない。指標は労働法制や地方公務員法などのルールに基づいて作成している。職員の「募集」「採用」「勤務条件」「休暇」「社会・労働保険」「雇い止め・再度任用」など八つに区分し、「本人の意に反する雇い止めが行われていない」「通勤費が支給されている」「有給休暇を取得できる」といった項目が並ぶ。研究会は「指標は民間企業でも参考になる。労働組合や人事関連の部署で使ってもらえればいい」と話している。 ◆非正規公務員の実態深刻 非正規公務員の生活実態は依然として深刻だ。「現場の教員と同じ時間を働きながら、給与は教員の半分から3分の1の水準です」。福岡県内で学校図書館の司書として働くある非正規公務員はこう嘆く。本の管理、読み聞かせ、辞書の引き方指導…。さまざまな幅広い仕事を一手に担い、経験がものをいう仕事にもかかわらず、契約は1年更新だ。「雇用がいつまで続くのか、いつも不安だ」と打ち明ける。自治労の推計によると、非正規公務員は全国の自治体で約70万人に上り、公務員に占める比率は約33%に達するという。長崎県のある自治体は「非正規比率が7割を超えた」と明かす。自治体の財政難に伴う人件費削減と、増加する行政需要の矛盾を解消する存在として、教員、保育士、各種の相談員、給食調理員など幅広い分野で増えている。平均年収は約200万円。交通費が支給されていなかったり、休暇制度が不十分だったりする自治体も少なくない。福岡県内では、4分の3に上る自治体で任用の更新回数に制限が設けられている。非正規公務員の増加は行政の将来を危うくしている。「人がころころ入れ替わり、経験が必要な技術が伝承できていない」。九州のある自治体で埋蔵文化財の管理に携わる非正規の女性は、発掘後の土器などの復元、図面作りといった裏方を非正規公務員が支えているといい、「実態を住民に知ってほしい」と訴えている。
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2015,01,21, Wednesday
女性役員割合 女性管理職割合 就業者・管理職に占める女性割合 (1)日本における女性管理職の割合 *1-1のように、日本では、企業の管理職に占める女性割合は、平均6.2%で、男性だけの企業も半数を超え、今後増加すると見込む企業も20.9%にすぎない。 経団連の榊原会長は、*1-2のように、会員企業約1300社の全てに行動計画策定を要請し、2014年12月に公開することとし、安倍政権は「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%を達成する」と女性の活躍を新しい成長戦略の柱の一つと位置付け、成長戦略に明記して、国・地方自治体・企業に、女性幹部登用目標や行動計画策定を義務付ける新法案を国会に提出する方針を示したそうだ。 しかし、経団連の「女性の活躍推進委員会」の前田共同委員長は、「企業や業種によって男女の採用人数などが異なり一律の対応は難しい」と説明し、これまで男性中心の職場として名高かったトヨタ、日立、全日空などは数値目標を掲げるに留めたそうだが、これらの男性中心企業こそ、女性の視点を積極的に取り入れた方が、女性が多くなる今後の市場ニーズに的確に合わせられると、私は考える。 また、私は、人間は生き方も目標も異なるため、すべての男女が育児や在宅勤務に携わる必要があるとは思わないし、そのような仕事の仕方では全うできない職種も多い。そのため、それぞれの人が個性に合わせた選択を行った場合に、その選択でやりくりできることが必要で、それには、例えば、家事の外部化、職住接近、子育て・教育における負担の軽減、介護の外部化などが必要なのである。 (2)女性は仕事の能力やリーダーシップがないため管理職にしないという偏見は、どうやって造られるか 企業の管理職に占める女性割合が低い理由は、まさに*1-1にあるように、①企業が、「女性の登用が進まない理由は、女性の仕事と家庭の両立の難しさだ」として、原因を女性に押し付け、自らが内蔵する真の女性差別を明らかにして解決しようとしていないこと ②問題を、働きながら出産・子育てする環境整備にのみ集約させ、実際には男性と同じ以上の働きをしている女性にも同じ処遇すらしていないこと ③何十年も前から出産・子育ての環境整備を語っているのに、まだ保育や学童保育が十分でなく、要するに口だけで真剣に取り組んでこなかったこと などが挙げられる。 そして、*1-1では、帝国データが、その理由を「古い企業文化が残っている影響だ」と指摘しているが、女性は仕事の能力やリーダーシップがないため管理職にしないという偏見が造られる古い企業文化の素になっているのは、実は、メディアが「表現の自由」「日本文化」と称して、女性蔑視や偏見満載の報道・ドラマ・歌を、日々、国民に垂れ流して醸成しているからである。 (3)女性管理職をやりにくくする事例と日本メディアの意識 日本のメディアが「表現の自由」として、女性蔑視や偏見を満載した報道を垂れ流しているわかりやすい事例は、このブログの2014年11月28日に記載した産経新聞が、すでに大統領になっている朴槿恵大統領に対し、「客船セウォル号が沈没した2014年4月16日に男性と私的な密会をしていて連絡が取れなかった」と書いた事実ではない噂レベルの記事である。上のグラフのとおり、日本と同様に女性管理職の割合が非常に低い韓国メディアも同様の報道をしていたそうだが、これは、男性大統領に対しては行わない、女性大統領の仕事への姿勢に対する侮辱的な報道だ。 また、私が異常だと思ったのは、*2-1、*2-2、*2-3、*2-4の展開であり、日韓の報道が、まるで同族会社の女性副社長である趙顕娥(チョヒョンア)氏叩きのようだったことである。 まず、*2-1では、2014年12月9日に、大韓航空を傘下におく財閥・韓進グループの会長の長女で大韓航空副社長の趙氏がニューヨークの空港で、搭乗していた自社航空機乗務員のサービスを問題視して、動き始めていた航空機を搭乗口に戻し、乗務員を降ろしたことが判明し、その理由は、①乗務員が客にナッツを配った際、袋のまま出されたことを「マニュアル通りになっていない」と咎め ②責任者にマニュアルの確認を求めたがすぐ対応できなかったことに激怒し ③搭乗口を離れていた航空機を引き返させて責任者を降ろし、④同機の仁川到着が11分遅れた と報道されている。 そして、*2-2で、2014年12月10日に、趙氏が、そのことで厳しい非難を浴びて辞表を提出したとされているが、本当はKeyであるはずの「サービス係の乗務員は、副社長の注意に対し、その時どういう態度をとったのか」については不問に付されている。そして、*2-3で、韓国の国土交通省や市民団体が、趙氏が乗務員らに暴言を吐いたとして告発し、趙氏は、ソウル西部地検に出頭させられたそうだが、社内規定を守らなかった部下を叱責した上司が暴言を吐いたとして告発され、検察に出頭させられるというのは、男性が上司の場合には聞いたことがない。 もちろん、私自身は、ナッツはすぐに食べる人ばかりではないため、袋から出さずに配る方がよいと思うが、マニュアルの規定や役員の選抜方法が適切か否かは、会社内部で決める問題であり、検察が関与する問題ではない上、何か理由があってマニュアルどおりにしなかったのであれば、サービス係は注意された時に、その場で理由を説明すればよかった筈だ。 さらに、*2-4では、ナッツの出し方に激怒して自社機を引き返させた大韓航空の趙前副社長を、12月24日に、検察当局が、機内サービスの責任者だった事務長を暴力や自分の権威を利用して旅客機から降ろし機内を混乱させた容疑と航空保安法違反や強要などの疑いで、逮捕状を請求すると発表したそうだが、パイロットではなく機内サービスの責任者を降ろしたのだから、逮捕しなければならないほど安全に支障をきたしたとは思われないし、いくらなんでもナッツの出し方だけでサービス係を降ろしたとも考えられないため、私は、女性上司に対するサービス係の態度も悪かったのではないかと考えている。 つまり、女性が上司である場合、殆どが男性のメディアや検察まで含めたこのような社会的差別に抗して勝っていかなければならないのが、日本や韓国で女性役員、女性管理職が少ない理由なのである。 (4)では、どのような女性がよいとされているのか → 女性は、受け付けか店員しか前提とされていないようである *3で日経新聞は、2015.1.5に、「正しい笑顔 できる人には福来る、姿勢・目線で好印象 仕事では状況で使い分け」として、女性の顔のイラストをつけて記事を書いている。 しかし、仕事や職種にもよるが、嬉しくもないのに、また小馬鹿にされているのに、顔に張り付いたような笑顔をしている人は、気持ちが悪い上に哀れである。なお、顔に張り付いたような笑顔とは、(1)目尻を下げ (2)目を細め (3)口元にしわができ (4)口角が上がり (5)口が開く という作り笑いのことである。そして、笑顔に測定器があるなど、馬鹿馬鹿しいにも程があるのだ。 さらに、「単純に背筋を伸ばして笑顔をつくると真っすぐで対等な目線になるため、相手が目上だったり、取引先に依頼する場面だったりすると不躾な印象を与える」とか、「背もたれに背をつけて座るとあごが上を向き目線は下向きになり、相手を見下すような印象になる」というのは、明らかに上司で意思決定していくリーダーの立場の女性向けではなく、受け付けか、店員などの女性向けのアドバイスであり、女性全体に同じことを言えば、失礼に当たるケースも多くなることを忘れてはならない。 そのため、日経新聞は、職場における女性の価値は、実力やリーダーシップではなく、感じのよさや場を和ませる力だという考えを持っていると思うが、これが、女性に対してメディアが発している偏見である。 <日本における女性管理職の割合> *1-1:http://qbiz.jp/article/43947/1/ (西日本新聞 2014年8月14日) 女性管理職は平均6・2% 1万社回答、半数超はゼロも 企業の管理職に占める女性の割合の平均は6.2%で、男性だけの企業も半数を超えることが14日、帝国データバンクの調査で分かった。今後増加すると見込む企業も20.9%にすぎなかった。安倍政権は成長戦略で「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」との目標を掲げているが、実現には程遠い状況だ。調査は7月下旬に実施し、全国の1万1017社が回答した。企業からは登用が進まない理由として、仕事と家庭の両立の難しさを挙げる声があり、帝国データは「働きながら出産、子育てができる環境の整備が重要だ」と指摘している。調査によると、現状で女性管理職がいない企業が51.5%を占めた。管理職に占める女性の割合が30%以上の企業は5.3%にとどまっている。女性管理職の割合が過去5年間で「増加した」とする企業は17.4%で、「変わらない」が72.8%だった。今後についても「変わらない」が61.0%と多数で「増加する」は20.9%だった。業種別では、小売りや不動産、金融、サービスで管理職に占める女性の割合が高く、製造や建設、運輸・倉庫で低かった。規模別では大企業が最も低く、帝国データは「古い企業文化が残っている影響だ」と指摘している。 *1-2:http://qbiz.jp/article/41909/1/ (西日本新聞 2014年7月15日) 女性管理職登用を1300社に要請 経団連、計画策定47社公表 経団連は14日、女性の役員や管理職への登用に関する自主行動計画を47社が公表し、うち約6割に当たる27社が具体的な数値目標を設けたと発表した。安倍政権は女性の活躍を新しい成長戦略の柱の一つと位置付けており、榊原定征会長は会員企業約1300社全てに行動計画の策定を要請し、12月に公開する。政府は成長戦略で、国や地方自治体、企業に対し、女性幹部登用の目標や行動計画の策定を義務付ける新法案を国会に提出する方針を示している。政府は「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%を達成する」と成長戦略に明記。ただ経団連の「女性の活躍推進委員会」の前田新造共同委員長(資生堂相談役)は「企業や業種によって男女の採用人数などが異なり一律の対応は難しい」と説明した。数値目標を公表した27社も、それぞれ経営戦略に基づき独自に設定している。経団連によると、27社のうち20年までに女性管理職3割以上の達成を明確に掲げたのは、資生堂、セブン&アイ・ホールディングス、損保ジャパンの3社だった。トヨタ自動車は現在101人いる女性管理職を20年に3倍、30年に5倍とする。日立製作所は20年度までに女性管理職を2・5倍の千人に増やすとし、全日本空輸は「女性役員2人以上」という数値目標を掲げた。 ◆女性登用、活用の取り組みは多様 男性が育児に携わる場合の支援強化を示すなど、経団連の加盟企業の女性の登用、活用に向けた取り組みはさまざまだ。ただ、現在は体力のある大企業が中心で、今後どれだけ広がるかが注目される。住友化学は2020年までに女性管理職の割合を、課長相当以上の役職では少なくとも現在の3・7%から10%以上に、係長相当は11・6%から15%以上に高める目標を掲げた。実現のために在宅勤務制度の導入や男性の育児参加を促す方針だ。日本生命保険も、女性管理職を18年4月に520人とする目標を定めた。14年4月と比べて約2割増やす計画だ。女性が活躍できる風土づくりの一環として男性の育児休業取得にも力を入れ、13年度には対象者全員が取得したという。日本生命は「しっかり継続していく」(広報)としている。トヨタ自動車は数値目標に加え、理系を目指す女子学生の支援のために奨学金支給や女性エンジニアの出前授業を行う「リケジョ基金・財団」の設立を検討。日本郵船は女性が海外勤務先でも仕事と育児を両立できるよう、今年5月にシンガポールで保育園の優先入園枠を確保した。 <女性管理職をやりにくくした事例> *2-1:http://www.asahi.com/articles/ASGD956JSGD9UHBI00Z.html?iref=reca (朝日新聞 2014年12月9日) 大韓航空副社長が自社サービスに激怒、航空機遅らせる 大韓航空の趙顕娥(チョヒョンア)副社長(40)がニューヨークの空港で、搭乗していた自社の航空機の乗務員のサービスを問題視し、動き始めていた航空機を搭乗口に戻して乗務員を降ろしていたことが判明した。趙氏は大韓航空を傘下におく財閥・韓進グループの会長の長女で、韓国内では「財閥令嬢による行き過ぎた行為」と非難が殺到。趙氏は9日、担当業務から退いた。韓国メディアによると、趙氏は5日、仁川行きの大韓航空機のファーストクラスに搭乗。乗務員が客にナッツを配った際、袋のまま出されたことを「マニュアル通りになっていない」ととがめた。本来はナッツを袋から皿にあけて出すことになっているという。趙氏は機内サービス責任者を呼び、マニュアルの確認を求めたがすぐに対応できなかったことに激怒。すでに搭乗口を離れていた航空機を引き返させ、責任者を降ろした。乗客への説明はなく、同機の仁川到着が11分、遅れた。大韓航空側は「非常な状況でなかったにもかかわらず、航空機が引き返して乗務員を降ろしたことは行き過ぎた行動だった」とし、乗客に迷惑をかけたことをわびた。ただ一方で「安全に問題はなく、趙副社長は機内サービスと機内食の責任を担う役員として、指摘したのは当然のこと」と擁護した。 *2-2:http://www.asahi.com/articles/ASGDB3SM6GDBUHBI00R.html (朝日新聞 2014年12月11日) 大韓航空副社長が辞表提出 CAのナッツの出し方に激怒 大韓航空の趙顕娥(チョヒョンア)副社長(40)が10日、辞表を提出した。趙氏は自社の乗務員の対応に怒り、動き始めていた航空機を搭乗口に戻して機内サービス責任者を降ろしたことで厳しい非難を浴び、9日に担当業務から退いた。だが、副社長にとどまったことでさらなる批判を受けていた。一方、韓国の市民団体は10日、趙氏の行為が航空法などに違反する疑いがあるとして、ソウル西部地検に告発した。趙氏はニューヨークの空港で5日、大韓航空のファーストクラスに搭乗。乗務員がナッツを袋のまま出したことを問題視し、機内サービス責任者にマニュアルの確認を求めたが、すぐに対応できなかったことに激怒したとされる。メディアやネットで「やり過ぎだ」との批判が広がり、大韓航空のパイロット労組も9日、経営陣全体の責任を問う声明を発表。趙氏は同日、担当の機内サービスやホテル事業の総括役から退いたが、副社長の肩書を維持したために批判が収まらずにいた。 *2-3:http://www.asahi.com/articles/ASGDK51QKGDKUHBI01F.html?iref=reca (朝日新聞 2014年12月17日) 大韓航空前副社長、「ナッツ・リターン」で検察に出頭 大韓航空の趙顕娥(チョヒョナ)・前副社長がナッツの出し方に激怒して、搭乗機を引き返させた問題で、趙氏は17日、ソウル西部地検に出頭した。趙氏は報道陣の質問に対し、「申し訳ありません」と繰り返し、深々と頭を下げた。趙氏をめぐっては乗務員らに暴言を吐いたとして、国土交通省や市民団体が告発していた。地検側は機内で腹を立てた理由や機内サービス責任者に暴行を加えたかなどについて事情を聴くとみられる。 *2-4:http://www.asahi.com/articles/ASGDR61B4GDRUHBI028.html (朝日新聞 2014年12月23日) 大韓航空前副社長の逮捕状請求へ ナッツ・リターン騒動 ナッツの出し方に激怒して乗っていた自社機を引き返させた大韓航空の趙顕娥(チョヒョナ)・前副社長について検察当局は23日、航空保安法違反や強要などの疑いで24日に逮捕状を請求すると発表した。趙氏は機内サービス責任者への暴行は否定していたが、逮捕状の請求には暴行容疑も加わる見通しだ。検察当局によると、趙氏は機内サービスの責任者だった事務長を暴力や自分の権威を利用して旅客機から降ろし、機内を混乱させたという。乗っていた旅客機についても、管制塔の許可を受けて空港内を移動中だったにもかかわらず、無理に引き返させて空港内の安全を脅かしたとしている。問題が発覚した後、大韓航空では、うその証言を強要するなど真相を隠そうとする行為が確認されたという。これにかかわったとされる同社の常務についても、証拠隠滅や強要などの疑いで逮捕状を請求するとした。 <日本メディアの女性蔑視> *3: http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150105&ng=DGKKZO81528210T00C15A1EL1P00 (日経新聞 2015.1.5) 正しい笑顔 できる人には福来る、姿勢・目線で好印象 仕事では状況で使い分け 仕事が多忙だったり、ストレスを抱えていたりすると、表情がつい厳しくなりがち。笑顔は自分の気持ちがリラックスし、その場の雰囲気も和らげやすいが、仕事では笑顔を控えた方がいい場合もある。ビジネスシーンに適した笑顔について専門家に聞いた。「笑顔が苦手という人は多いですね」。こう話すのは飲食店やホテル、百貨店など企業の研修向けに笑顔測定器「スマイルスキャン」を販売するオムロンフィールドエンジニアリング(東京・目黒)の世良弘さん。特に男性は女性に比べ鏡で自分の表情をじっくりみることが少ないため、笑顔をみせたつもりでも相手に十分に伝わらない傾向があるという。 ●鏡で5項目点検 ではどんな笑顔なら良い印象を与えやすいのだろうか。世良さんによると、笑ったときに(1)目尻が下がる(2)目が細くなる(3)口元にしわができる(4)口角が上がる(5)口が開く、の5つがポイントになるという。測定器は小型カメラが独自のセンサー技術で目や口の形を分析し、笑顔の度合いを0~100%で表示する。ただ仕事の場面では、やみくもに大きく笑えばいいというわけではない。「(口を大きく開けて歯を見せるなど)100%のビッグスマイルは初対面の相手が引いてしまいがち。30%、50%、70%などシーン別に笑顔を使い分けられるように研修で指導する企業も多い」(世良さん)。人材研修などを手掛ける新規開拓(東京・千代田)社長の朝倉千恵子さんも「プライベートの笑顔とは違い、仕事では会社代表として顧客に接する笑顔を身につけることが重要」と話す。取引先などを訪問する前は鏡で5つのポイントを点検し、仕事のシーンにあった笑顔の感覚をつかむことから始めよう。笑顔の効果を高めるコツも知っておこう。朝倉さんは「姿勢や目線によって笑顔の印象が変わる」と助言する。お勧めは背筋を真っすぐ伸ばしたうえで、上体を少し前傾にした姿勢。目線が少し下から相手を見上げる「敬い目線」になるからだ。サービス業などで相手に敬意を示すため膝をついて接客するときの目線に近くなる。「敬い目線は目元がやわらかくなる。前傾になって距離が少し相手に近づいても、不快感を与えにくい」という。注意したいのは姿勢を良くすればいいというわけではないこと。単純に背筋を伸ばして笑顔をつくると真っすぐで対等な目線になるため、相手が目上だったり、取引先に依頼する場面だったりするとぶしつけな印象を与えることがある。一方、背中を丸めたまま笑顔をつくると顔全体が下を向き、目線だけが上がる上目遣いになる。上目遣いはこびた印象を与えがちだ。逆に背もたれに背をつけて座ると自然にあごが上を向きやすい。目線は下向きになり、相手を見下すような印象になる。 ●緊張感ある場NG 仕事では笑顔がふさわしくない場合もある。社員研修を手掛けるインソース(東京・千代田)の井上彩さんは「上司から注意されたり、顧客から苦情を受けたりしているときに笑っていると真剣さが伝わらない」と指摘する。おわびや謝罪をしているときも同様だ。取引先でプレゼンテーションをする際や、契約交渉で条件や金額などを詰めているときに笑顔を見せるのは基本的に避けた方いい。「重要な場面で緊張感に欠けていると受け取られかねない」(井上さん)。もっとも緊張した場面が終われば、笑顔の効用を生かしたい。例えば上司に叱責された当日は神妙な面持ちで過ごし、翌朝は「おはようございます」と笑顔であいさつをする。十分に反省していることを示すとともに、上司との関係を円滑に保とうとする姿勢をみせることができるからだ。取引先との交渉がまとまったら、笑顔で話しかけるのもいい。「主張が対立したのはあくまでビジネス上のことだったと伝えやすい」(井上さん)からだ。「普段は真剣に仕事に取り組んでいる人が笑顔を見せると、印象に残りやすい」と朝倉さんは話す。感じのいい笑顔は場を和ませ、真剣な顔は誠実さを伝えることが見込める。笑顔を上手に使って、仕事の成果を高めよう。 PS(2015.1.22追加):保守の牙城と思われていた農業は、*4のように、食品・栄養・健康を対象とする産業であり、女性の方が知識があることも多いため、農協役員や6次産業化に女性進出が進み始めている。女性が普通に働き高齢者が増える社会で必要とされる食品は、(美味しく)加工や半加工を終えてあり、少し手を加えれば簡単に食卓に出せるものであるため、そのニーズに応えれば国内需要だけでなく輸出も増えると思う。 *4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=31719 (日本農業新聞 2015/1/21) JA全国女性大会に期待 地域再生 手を携えて 萬歳章全中会長に聞く JA全国女性組織協議会は21、22の両日、東京都台東区で第60回JA全国女性大会を開く。JA女性組織3カ年計画の実践2年目として、若い世代の育成や社会参画などの成果や課題を共有する。地域の再生とJA自己改革に向けて女性組織への期待を、JA全中の萬歳章会長に聞いた。 ● JA女性組織3カ年計画が実践2年目を迎え、これまでの成果をどう見ていますか。 第26回JA全国大会で「次代へつなぐ協同」を決議した。女性組織も、次世代の育成に力を注いでいると聞く。若い世代がJAに関心を持ってもらうことはJAにとって大切なことだ。女性組織の支援はもちろん、JA女性大学の開講も進めていきたい。女性のJA運営への参画は着実に進み、女性役員は1277人に上る。その多くが女性組織の経験者だ。先頭役を買って出ていき、JAに新しい風を吹き込んでほしい。「和食」は、ユネスコの無形文化遺産に登録された。女性組織が積極的に伝えている伝統料理も和食。世界の関心事は「健康」なだけに、日本の長寿を支える和食を、女性からどんどん情報発信をしてほしい。 ● 農村での暮らしの活動には女性の力が欠かせません。JA女性組織の活性化に何が必要でしょうか。 農業者の半数を女性が占め、農村の暮らしは女性の力なしでは語れない。介護、助けあい活動など、細かな部分まで積極的に担ってくれていることをありがたく思う。高齢化が進む中、介護保険事業や助けあい組織の活動は一層大事になる。助けあい活動では、高齢者生活支援の行政受託など幅を広げるのもいい。フレッシュミズやI・Uターン者などの若い世代にも期待したい。先輩には知恵がある。若い世代は先輩に学び、フル回転していただきたい。また、組織の活性化には、料理講習や体操など興味・関心事に注目した活動で顔が見える場面をつくって幅広い交流を進めてほしい。 ● JA自己改革に当たり、JA女性組織に期待することは何ですか。 協同の理念を貫き、組合員の声に応えながら改革を進める上で、生活に密着した女性ならではの視点が必要だ。女性組織のメンバーは、JA自己改革を人ごとにせず、検討する場に積極的に参画してもらいたい。女性は、農産加工など多彩な手の技を生かし、JAのファーマーズマーケットに出荷するなど頑張っている。こうした6次産業化の取り組みを支援するとともに、期待したい部分だ。地域再生とJA改革に、男女が共に手を携えていきたい。 PS(2015.1.28追加):*5のように、労働局は、長時間労働に関わる有給休暇や残業のことしか問題にしないが、能率が悪くても長時間労働して満額の残業手当と終身雇用を要求できる正規労働者は恵まれた方であり、非正規の職しかなかったり、不当な扱いを受けて昇進を妨害され低賃金に据え置かれたり、簡単に退職を迫られたりする職場の女性差別の方が、ずっと深刻な問題である。それにもかかわらず、労働局が前近代的な意識で職場における女性差別を放置している理由には、労働局も男性中心の役人社会だという背景があるが、速やかに公的部門の男女平等を進め、女性に対して機会均等で公正な対応をしない民間企業にも厳しく対処するように、大きな意識改革をすべきだ(これも岩盤だが・・)。 *5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/149964 (佐賀新聞 2015年1月27日) 有給休暇の取得を 佐賀労働局、経済団体などへ要請 長時間労働是正などによる「働き方改革」を進めようと、佐賀労働局(田窪丈明局長)は26日、県経営者協会、県商工会議所連合会、県商工会連合会、県中小企業団体中央会の県内経済4団体と連合佐賀に対し、従業員の年次有給休暇の取得やノー残業デーの実施などを要請した。昨年6月に閣議決定した新成長戦略で長時間労働の削減など「働き方改革の実現」が盛り込まれ、各都道府県に推進本部を設置。県内は佐賀労働局内に今月7日付で設け、主要企業訪問による働きかけや自治体、労使団体などとの連携による機運醸成を図る。県経営者協会は、副会長の戸上信一・戸上電機製作所社長らが対応。佐賀労働局の横田哲労働基準部長から要請書を受けた戸上副会長は「会員各社に周知徹底したい」と答えた。2013年の県内の労働者の年間総実労働時間は1892時間で、全国3番目の長さ。有給休暇取得率は12年が47・2%で、政府目標では2020年に取得率70%を掲げている。 PS(2015.5.22追加):上のグラフのように、韓国は日本より女性役員比率や女性管理職比率が低く、女性の登用が遅れており、このような時代に役員に登用される女性は同族会社の社長の娘というケースが多くなる。そして、航空機の安全運航にはパイロットが責任を持っており、機長であるパイロットが「問題なし」と判断して引き返したにもかかわらず、*6のように、航空保安法上の航空機航路変更罪等として趙顕娥氏が起訴され、暴言を吐いたとして有罪判決を受けるというのは、韓国における幹部への女性登用や女性上司に対する意識の低さの結果である。 *6:http://qbiz.jp/article/62759/1/ (西日本新聞 2015年5月22日) 大韓航空前副社長に猶予判決 ナッツ事件 【ソウル共同】大韓航空機内で客室乗務員のナッツの出し方に怒り同機を引き返させたとして航空保安法違反罪などに問われ、一審で懲役1年の実刑判決を受けた同社前副社長、趙顕娥被告(40)の控訴審で、ソウル高裁は22日、懲役10月、執行猶予2年の判決を言い渡した。検察側は一審と同様、懲役3年を求刑していた。航空保安法上の航空機航路変更罪をめぐり一審判決は、ドアが閉まった後は運航中で、離陸前の引き返しも「航路の変更」に当たるとして同罪を認定した。
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2014,10,21, Tuesday
*2より (1)指導的地位に占める女性の割合を、2020年までに30%に上げることができるか *1のように、2014/10/17の閣議で、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案(略称:女性活躍推進法案)が閣議決定された。この法案では、国や地方公共団体、企業に女性登用の数値目標や取り組み内容を盛り込んだ行動計画策定を義務づけ、(1)女性の採用、昇進機会の提供 (2)仕事と家庭の両立を図るための環境整備 (3)本人の意思の尊重 の基本原則を明記し、目標設定や情報公開の方法を示す指針を作り、それに基づいて、国や地方公共団体、各企業が女性登用の数値目標を含む行動計画を2016年4月から作ることになったのは進歩である。 しかし、①従業員300人以下の企業は努力義務で ②数値目標は一律ではなく ③女性の採用比率や勤続年数、労働時間状況などを分析した上で、それぞれの組織が独自に定める ならば、組織にとっては何ら規制がないのと同じであり、これでは現在10%程度にとどまる指導的地位に占める女性の割合を、2020年までに30%に引き上げることはできないだろう。 具体的には、①について、大卒女性は就職難の時に、1ランク希望を下げて従業員300人以下の中小企業に就職するケースが多いため、中小企業は女性の方が優秀な場合が多く、ここで女性差別をすれば本質的な解決にはならない。そのため、従業員数5~10人以下で全体の人数が少なく融通をきかせていられない小企業のみを例外にすればよいと考える。また、②③については、最低限の数値目標(それが30%である)を一律の義務規定として義務の達成度合いや義務違反を公表すれば、義務達成の方法はいろいろあるため、それぞれの企業が考えるだろうし、その方が名案が出ると考える。 (2)多くの女性が輝けるためには・・ *2のように、安倍晋三首相の肝いりで、女性の活躍推進法案が決定され、臨時国会中の成立を目指すのはGoodだが、(1)にも記載したように、数値目標の設定が企業任せでミニマム(30%)の規制がなく、個別企業が取り組みの結果を公表する義務はなく、従業員が300人以下の中小企業は努力義務に留まっており、全企業の9割以上は中小企業で働く女性の6割以上が中小企業に勤めているため、この法案のままでは実効性が薄い。そのため、国会では、この点を修正して可決すべきだ。 また、このブログに前にも書いたように、そもそも非正規労働者というのは、男女雇用機会均等法や労働基準法をすっぱぬくために作られた制度であるため、基本は全員正社員にすべきなのであり、「正社員になることが夢」などという国は日本以外にはない。また、「無理がきく労働者」に賃金や昇進でプレミアムがあってもよいだろうが、原則として同一労働同一賃金は当たり前である。さらに、派遣労働者にも女性が多く、労働者派遣法の緩和が行われれば、女性労働者は派遣労働者か非正規労働者として合法的に搾取され続けるため、これらは廃止か厳格化こそすれ緩和すべきではない。 *1:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS17H02_X11C14A0MM0000/?n_cid=TPRN0003 (日経新聞 2014/10/17) 女性活躍推進法案を閣議決定 企業などに登用目標義務付け 政府は17日の閣議で、女性の社会参加を後押しする「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」を決めた。国や地方公共団体、企業に女性登用の数値目標や取り組み内容を盛り込んだ行動計画の策定を義務づける。安倍晋三政権が掲げる女性活躍を官民で進めるため、今国会での成立をめざす。法案は(1)女性の採用、昇進の機会の提供(2)仕事と家庭の両立を図るための環境整備(3)本人の意思の尊重――の基本原則を明記した。政府は法案成立後に目標設定や情報公開の方法を示す指針をつくり、それに基づき国や地方公共団体、各企業が女性登用の数値目標などを含む行動計画を2016年4月からつくる。従業員300人以下の企業は努力義務とした。数値目標は一律でなく、女性の採用比率や勤続年数、労働時間状況などを分析したうえで、それぞれが独自に定める。女性の登用に特に力を注ぐ企業に対しては国の認定制度を適用し、表彰する。補助金や公共調達を増やして積極登用を促す。政府は現在10%程度にとどまる指導的地位に占める女性の割合を、20年までに30%へ引き上げる目標を掲げている。 *2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014101802000124.html (東京新聞 2014年10月18日)女性活躍法案実効性は? 目標数値企業任せ 結果公表義務なし 政府は十七日の閣議で、女性の活躍推進法案を決定し、衆院に提出した。「すべての女性が輝く社会づくり」を掲げる安倍晋三首相の肝いりで、臨時国会中の成立を目指す。大企業などに女性の登用を促す内容だが、実効性の面で課題が残るほか、非正規雇用など厳しい環境にある人への配慮も十分だとは言えない。法案では、三百人超の従業員を抱える企業に対して、女性の採用比率や幹部に占める割合、労働時間などに関する数値目標を盛り込んだ行動計画の策定と公表を義務付ける。厚生労働省が届け出を受け、優良だと認めた場合は公共事業の発注などで優遇する。十年間の時限立法で、二〇一六年度から実施する。行動計画の公表でだれもが企業の取り組みをチェックできるようになり、女性の登用促進が期待できる。しかし、女性の採用比率などに関して目標とする数値の設定は企業任せで、行動計画を届け出なくても罰則はない。取り組みの結果、目標をどの程度、達成できたのか公表する義務もない。さらに従業員が三百人以下の中小企業は、行動計画の策定そのものが努力義務にとどまっている。全企業の九割以上は中小企業が占めており、働く女性の六割以上は中小に勤めているため、法案の効果は限られている。非正規労働者に対しては正社員化を促したり、正社員と同じ労働に対して同じ賃金を払う待遇改善策も欠かせないが、法案からはそうした政府の姿勢はうかがえない。しかも、政府は臨時国会に企業の派遣労働者受け入れ期間の上限(三年)を廃止する労働者派遣法改正案も提出し、成立させようとしている。企業にとっては派遣労働者の使い勝手がよくなる半面、雇用が不安定で低賃金の非正規が増える可能性が指摘されている。女性の労働問題に詳しい日本労働弁護団常任幹事の圷(あくつ)由美子弁護士は「法案そのものは前向きにとらえているが、労働者派遣法の改正で、派遣で働く多くの女性が非正規にとどまりかねない」と指摘した。
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2014,10,12, Sunday
(1)朴槿恵大統領に対するセクハラ記事は事実だったのか、また、それはメディアが報道すべき論点か *1-1の「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」と題する記事が、産経ニュースの記者が在宅起訴される原因となったものである。 記事の内容は、「①朴大統領は側近や閣僚らの多くとの意思疎通できない」「②一連の問答は、青瓦台内での風通しの悪さを示すエピソード」「③セウォル号事故の当日、朴大統領は、中央災害対策本部を訪問するまで7時間、会った者がいない」「④世間では大統領は “秘線”とともにいたというウワサが作られた」「⑤ウワサの人物であるチョン・ユンフェ氏の離婚の事実が確認され、ウワサはさらにドラマティックになった」「⑥ウワサの真偽の追及は現在途上」「⑦朴政権のレームダック化は、着実に進んでいる」というものだ。 しかし、①②については、女性が上司になった時には、部下の男性は「女性上司が感情的なのだ」「女性上司が非科学的なのだ」「女性上司が理解しないのだ」「女性上司はコミュニケーションしにくい」などと、男性中心で女性蔑視の価値観を利用した自己合理化をすることが多いため、それを防御する目的で、女性上司は、1)必ず文書にする 2)なるべくメールでコミュニケーションして記録を残す などの対策を講じているのである。私は、韓国で大統領をしている朴氏も、日本と同じような環境の下で、そのような防御をしているのではないかと考える。 また、③については、日本では、菅元首相が福島第一原発に行ったことが問題になったくらいであるのに、韓国では、セウォル号事故の後始末について大統領が7時間いなければ誰も指示できなかったのかが疑問である。さらに、④⑤は、個人のプライバシーに関する問題を面白おかしくあげつらった質の悪い名誉棄損記事である上、⑥のように、真偽の追及は途上としているのだから論外だ。 つまり、真実であったとしてもプライバシーに関する問題であり、大統領がいないからといってそれが致命的になるわけでもない事件について、真偽のほども確認せずに記事を晒し続けているのだから、それは明らかに名誉棄損であり、朴政権のレームダック化が目的のように見える。そして、こういうことは、日本の政治家に対しても、許されない。 (2)人を貶めるための嘘記事は、日本でも「報道の自由」「言論の自由」「表現の自由」の範囲外である *1-2で、朝日新聞が報道の自由を脅かすとして騒いでいる記事は、*1-1であり、現在も産経新聞のウェブサイトに掲載されている。私は、報道の自由、言論の自由、表現の自由などと言って悪乗りした取材を行い、「セクハラ報道」をしたメディアに釘をさす意味で、今回の韓国の市民団体及び検察が行った在宅起訴にはエールを送りたい。何故なら、こういう質の悪い下品で違法な憶測記事は、本当の民主主義にとっては邪魔で不要なものであり、メディアは「萎縮」ではなく「自粛」するのが当然だからだ。 そもそも、メディアに認められる「報道の自由」「言論の自由」「表現の自由」は、例えば原発事故の秘密を暴くような公権力の悪徳使用を暴いた時に起訴されない権利であり、*1-1の「セクハラ報道」に代表されるような女性に対する人格権の侵害や名誉棄損などの不法行為は、対象が公職者であっても認められない。これは日本でも同じだが、それを意図的に誤解して、くだらない記事を書き、重要なニュースをしっかり分析せずに、やりたい放題やっているのが、現在の日本のメディアなのである。 (3)準備されたような即時の反論が不自然である *1-1の記事を掲載し続けている産経ニュースの記者が在宅起訴されたと同時に、*1-2のような記事、TV報道が日本国内で一斉に流され、日本新聞協会や日本ペンクラブが、相次いで懸念や憂慮を表明するとともに、「国境なき記者団」も起訴しないよう求める見解を発表したが、これは、準備が良すぎておかしい。 また、服部立教大教授(メディア法)は、在宅起訴について韓国政府当局が何を目指して踏み込んだのか見えないと疑問を呈し、「記事はネットのみで、名誉毀損の実害も明確ではない」と言っているそうだが、ネットならセクハラ報道、人格権の侵害、名誉棄損が許されると考えるのは報道の理念を理解していない。また、大統領の私生活に関する疑惑を報じて朴政権のレームダック化を進めたことが実害なのであり、それがこの記事の目的でもあるようなので、産経新聞側に悪意が感じられるのである。 なお、*1-3のように、産経新聞前ソウル支局長がウェブサイト記事の件で、ソウル中央地検に在宅起訴されたことについて、日本の菅官房長官や岸田外相が「報道の自由、および日韓関係の観点から極めて遺憾だ」「国際社会の常識から大きくかけ離れている」などと強く非難し、同日中に韓国側に外交ルートを通じて事実関係の詳しい確認を求め、懸念を伝える方針を表明したそうだが、このようなセクハラ報道を野放しにすることを求めて、「報道の自由、日韓関係に関わる問題」と政府高官が述べることこそ問題であり、日本政府も慰安婦問題で対立している朴政権のレームダック化を一緒に意図してきたのではないかと推測されても仕方がない。 <朴槿恵大統領に関する産経新聞記事> *1-1:http://www.sankei.com/world/news/140803/wor1408030034-n1.html (産経ニュース 2014.8.3) 朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた? 調査機関「韓国ギャラップ」によると、7月最終週の朴槿恵大統領の支持率は前週に続いての40%となった。わずか3カ月半前には6割前後で推移していただけに、大統領の権威はいまや見る影もないことを物語る結果となった。こうなると吹き出してくるのが大統領など権力中枢に対する真偽不明のウワサだ。こうした中、旅客船沈没事故発生当日の4月16日、朴大統領が日中、7時間にわたって所在不明となっていたとする「ファクト」が飛び出し、政権の混迷ぶりが際立つ事態となっている。(ソウル 加藤達也) 7月7日の国会運営委員会に、大統領側近である金淇春青瓦台(大統領府)秘書室長の姿があった。まず、質問者である左派系野党、新政治民主連合の朴映宣院内代表と金室長との問答を紹介する。 朴代表「キム室長。セウォル号の事故当日、朴大統領に書面報告を10時にしたという答弁があり ましたね」 金室長「はい」 朴代表「その際、大統領はどこにいましたか」 金室長「私は、はっきりと分かりませんが、国家安保室で報告をしたと聞いています」 朴代表「大統領がどこにいたら書面報告(をすることになるの)ですか」 金室長「大統領に書面報告をするケースは多いです」 朴代表「『多いです』…? 状態が緊迫していることを青瓦台が認識できていなかったのですか」 金室長「違います」 朴代表「ではなぜ、書面報告なんですか」 金室長「正確な状況が…。そうしたと…」 《朴大統領は側近や閣僚らの多くとの意思疎通ができない“不通(プルトン)大統領”だと批判されて いる。大統領への報告はメールやファクスによる「書面報告」がほとんどだとされ、この日の質疑で も野党側は書面報告について、他人の意をくみ取れない朴大統領の不通政治の本質だとして問題 視。その後、質問は4月16日当時の大統領の所在に及んだ》 朴代表「大統領は執務室にいましたか」 金室長「位置に関しては、私は分かりません」 朴代表「秘書室長が知らなければ、誰が知っているのですか」 金室長「秘書室長が大統領の動きをひとつひとつ知っているわけではありません」 朴代表「(当日、日中の)大統領のスケジュールはなかったと聞いていますが。執務室にいなかったと いうことですか」 金室長「違います」 朴代表「では、なぜ分からないのですか」 金室長「執務室が遠いので、書面での報告をよく行います」 朴代表「答えが明確ではありませんよね。納得し難いです。なぜなら大統領の書面報告が色々問題と なっています」 《朴代表はここで、国会との連絡調整を担当する趙允旋政務首席秘書官(前女性家族相)に答弁を 求めた》 朴代表「趙政務首席秘書官、マイクの前に来てください。女性家族部相のときも、主に書面報告だった と聞いています。直接対面して大統領に報告したことがありますか」 趙秘書官「はい、あります」 朴代表「いつですか」 趙秘書官「対面報告する必要があるときに」 朴代表「何のときですか」 趙秘書官「案件を記憶していません」 朴代表「では、調べて後で書面で提出してください」 一連の問答は朴大統領の不通ぶり、青瓦台内での風通しの悪さを示すエピソードともいえるが、それにしても政府が国会で大惨事当日の大統領の所在や行動を尋ねられて答えられないとは…。韓国の権力中枢とはかくも不透明なのか。こうしたことに対する不満は、あるウワサの拡散へとつながっていった。代表例は韓国最大部数の日刊紙、朝鮮日報の記者コラムである。それは「大統領をめぐるウワサ」と題され、7月18日に掲載された。コラムは、7月7日の青瓦台秘書室の国会運営委員会での業務報告で、セウォル号の事故の当日、朴大統領が午前10時ごろに書面報告を受けたのを最後に、中央災害対策本部を訪問するまで7時間、会った者がいないことがわかった」と指摘。さらに大統領をめぐる、ある疑惑を提示した。コラムはこう続く。「金室長が『私は分からない』といったのは大統領を守るためだっただろう。しかし、これは、隠すべき大統領のスケジュールがあったものと解釈されている。世間では『大統領は当日、あるところで“秘線”とともにいた』というウワサが作られた」。「秘線」とはわかりにくい表現だ。韓国語の辞書にも見つけにくい言葉だが、おそらくは「秘密に接触する人物」を示す。コラムを書いた記者は明らかに、具体的な人物を念頭に置いていることがうかがえる。コラムの続きはこうなっている。「大統領をめぐるウワサは少し前、証券街の情報誌やタブロイド版の週刊誌に登場した」。そのウワサは「良識のある人」は、「口に出すことすら自らの品格を下げることになってしまうと考える」というほど低俗なものだったという。ウワサとはなにか。証券街の関係筋によれば、それは朴大統領と男性の関係に関するものだ。相手は、大統領の母体、セヌリ党の元側近で当時は妻帯者だったという。だが、この証券筋は、それ以上具体的なことになると口が重くなる。さらに「ウワサはすでに韓国のインターネットなどからは消え、読むことができない」ともいう。一種の都市伝説化しているのだ。コラムでも、ウワサが朴大統領をめぐる男女関係に関することだと、はっきりと書かれてはいない。コラムの記者はただ、「そんな感じで(低俗なものとして)扱われてきたウワサが、私的な席でも単なる雑談ではない“ニュース格”で扱われているのである」と明かしている。おそらく、“大統領とオトコ”の話は、韓国社会のすみの方で、あちらこちらで持ちきりとなっていただろう。 このコラム、ウワサがなんであるかに言及しないまま終わるのかと思わせたが途中で突然、具体的な氏名を出した“実名報道”に切り替わった。「ちょうどよく、ウワサの人物であるチョン・ユンフェ氏の離婚の事実までが確認され、ウワサはさらにドラマティックになった」。チョン氏が離婚することになった女性は、チェ・テミンという牧師の娘だ。チョン氏自身は、大統領になる前の朴槿恵氏に7年間、秘書室長として使えた人物である。コラムによると、チョン氏は離婚にあたり妻に対して自ら、財産分割及び慰謝料を請求しない条件を提示したうえで、結婚している間に見聞きしたことに関しての「秘密保持」を求めたという。証券筋が言うところでは、朴大統領の“秘線”はチョン氏を念頭に置いたものとみられている。だが、「朴氏との緊密な関係がウワサになったのは、チョン氏ではなく、その岳父のチェ牧師の方だ」と明かす政界筋もいて、話は単純ではない。さらに朝鮮日報のコラムは、こんな謎めいたことも書いている。チョン氏が最近応じたメディアのインタビューで、「『政府が公式に私の利権に介入したこと、(朴槿恵大統領の実弟の)朴志晩(パク・チマン)氏を尾行した疑惑、(朴大統領の)秘線活動など、全てを調査しろ』と大声で叫んだ」。具体的には何のことだか全く分からないのだが、それでも、韓国の権力中枢とその周辺で、なにやら不穏な動きがあることが伝わってくる書きぶりだ。ウワサの真偽の追及は現在途上だが、コラムは、朴政権をめぐって「下品な」ウワサが取り沙汰された背景を分析している。「世間の人々は真偽のほどはさておき、このような状況を大統領と関連付けて考えている。過去であれば、大統領の支持勢力が烈火のごとく激怒していただろう。支持者以外も『言及する価値すらない』と見向きもしなかった。しかし、現在はそんな理性的な判断が崩れ落ちたようだ。国政運営で高い支持を維持しているのであれば、ウワサが立つこともないだろう。大統領個人への信頼が崩れ、あらゆるウワサが出てきているのである」。朴政権のレームダック(死に体)化は、着実に進んでいるようだ。 *1-2: http://digital.asahi.com/articles/DA3S11392991.html?_requesturl=articles%2FDA3S11392991.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11392991 (朝日新聞 2014年10月9日) 起訴強行、内外から懸念 「報道の自由脅かす」 韓国、産経記事巡り 産経新聞の前ソウル支局長が8日、韓国の朴槿恵(パククネ)大統領に対する情報通信網法違反で在宅起訴された。同紙のウェブサイトに掲載した記事で朴氏に関する「うわさ」を伝えたとして名誉毀損(きそん)の罪に問うが、「報道の自由を脅かす」との懸念が国内外で出ており、公権力行使のあり方をめぐって批判が高まるのは必至だ。記事は、旅客船沈没事故が起きた4月16日に朴氏の所在が7時間にわたって確認できなくなり、その間に男性に会っていたとのうわさを伝えたものだ。韓国の検察当局は罪に問えると判断したが、産経の記事自体には批判的な韓国メディアの中からも、記者を出頭させて事情聴取し、刑事罰に問うことは、国家権力に対する正当な監視活動を萎縮させる恐れがある、との指摘が出ていた。日本新聞協会や日本ペンクラブは、相次いで懸念や憂慮を表明。国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)も起訴しないよう求める見解を発表した。ジャーナリズムを専門にする韓国の学者は、韓国の裁判所はこれまで公職者に関する報道について、名誉毀損を免責する範囲を広げる傾向だったと指摘。今回の起訴は「言論の自由を侵害する」として、流れに逆行するものだと批判した。今回の捜査は朴氏の要請ではなく、市民団体の告発に基づくものだ。ただ、韓国大統領府の高官が早い段階で民事、刑事上の責任を追及すると表明していた。法令上は被害者の意思に反しての起訴はできず、朴氏の意向しだいでは起訴されない可能性もあったが、関係者によると、大統領側から明確な意見はなかった。検察当局は大統領府の意向を忖度(そんたく)しながら「大統領のメンツを立てる政治的判断」(韓国の司法関係者)をせざるを得なかったとみられる。背景には、韓国政府に批判的な産経新聞の日ごろの報道への不満もあったとの見方がある。この問題は8月にミャンマーであった日韓外相会談でも取り上げられ、日本側は懸念を表明していた。改善への模索が始まっていた日韓関係にも影響を及ぼしそうだ。 ■「取材、萎縮の可能性」「裁判、必要か」 在宅起訴について、服部孝章・立教大教授(メディア法)は「韓国政府当局が何を目指して踏み込んだのか見えない」と疑問を呈し、報道の萎縮を懸念する。「産経側にも少し甘い部分はあったが、記事はネットのみで、名誉毀損の実害も明確ではない」といい、影響は産経新聞にとどまらないとみる。日韓関係の溝が深くなっているいま、メディアは相互理解を進めるために、日韓問題について様々な記事を書き、市民に材料を提供していく必要があると指摘。「だが報道すると処罰される可能性がある状態では、取材や報道が萎縮する可能性がある。両国民にとってプラスにはならない」。小針進・静岡県立大教授(韓国社会論)は「韓国は民主化で言論の自由を勝ちとったのに、時計の針を戻してしまった」と批判する。在宅起訴にここまで時間がかかったことから、韓国の検察当局にも迷いはあったと小針教授はみる。「当然、外交問題になることも分かっていたはずだ。韓国は韓流で培ってきた国際的なブランドイメージを大きく傷つけてしまった」。韓国内には、検察の判断はやむを得ないとの見方もある。日本での取材経験がある韓国人記者は、韓国の大統領の位置づけを「国家元首であり、日本における首相よりも大きな権力があると受け止められている」といい、「その権威を傷つける私生活の疑惑を報じた産経側に問題がある」とする。一方で、戸惑いも感じているという。「韓国では言論の自由が保障されているはず。裁判まで持っていく必要があったのか」。 *1-3:http://digital.asahi.com/articles/ASGB93F7TGB9UTFK001.html?iref=comtop_6_04 (朝日新聞 2014年10月9日) 産経前支局長起訴「常識かけはなれている」 菅官房長官 菅義偉官房長官は9日午前の記者会見で、産経新聞前ソウル支局長がウェブサイトの記事で韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の名誉を毀損(きそん)したとして、ソウル中央地検に在宅起訴されたことについて、「報道の自由、および日韓関係の観点から極めて遺憾だ」「国際社会の常識から大きくかけ離れている」などと強く非難した。同日中に韓国側に外交ルートを通じて事実関係の詳しい確認を求め、懸念を伝える方針も表明した。情報通信網法違反で8日に在宅起訴されたのは、産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長(48)。菅氏は会見で「政府として報道の自由や日韓関係の観点から、韓国側に対して繰り返し懸念を伝え、慎重な対応を強く求めてきた。国内外の報道機関や関係団体からも報道の自由への侵害を懸念する声が上がっていた」と指摘した。菅氏はその上で、今回の韓国検察当局による在宅起訴について「(日本側の)声明、動きを無視する形で起訴された。民主国家で最大限尊重されるべき報道の自由との関係では、法執行は抑制的でなければならない。国際社会の常識とは大きくかけ離れている」と強い調子で批判した。また、岸田文雄外相は9日朝、外務省内で記者団に対し「報道の自由、日韓関係にも関わる問題で大変遺憾だ。憂慮している」と語った。今後の日本政府の対応については、「事実確認をして対応を考える」と述べた。
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2014,10,08, Wednesday
女性管理職比率 *1-2より *1-1より *2より (1)採用時の女性比率は50%でなければ、女性管理職比率は30%にならない *1-1、*1-2のように、安部首相は、今国会の重要課題に掲げた女性の活躍に関し、「2020年までに3割の女性が指導的立場に就くように政策を進める」と環境整備を急ぐ考えを示し、幅広い分野での女性の登用を主導されている。そのため、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法案(仮称)」が今国会に提出されることになったが、私は、証取法の有価証券報告書や商法の計算書類に、それぞれの企業が女性管理職登用の実績を開示するよう定めるのがよいと考える。何故なら、それにより仕事熱心な女子学生が使い捨てにされる会社を選択しなくてすみ、投資家や顧客も女性を応援することが可能になるからだ。 もちろん、私は女性管理職の比率を30%にする政府目標には賛成だが、女性を管理職として30%残すためには、採用時には50%くらいの割合で採用しなければならず、採用時に30%しかいなければ、何かとハードルを課せられる女性は管理職に30%は残らない。しかし、女性の採用に経済界が反発するというのは、(長くは書かないが)女性の能力を低く評価しすぎている。 なお、*1-1に、「『子育てとの両立が難しい』などの理由から、機会があっても女性が管理職を引き受けないケースが多い」と書かれているが、管理職の方が時間の使い方を自分の裁量で決められ、給料が高いため家事サポートも使い安いので、これは、これまで環境を整備してこなかった企業が女性に責任を転嫁している卑怯な言い訳だ。 また、*1-3には、厚生労働省の審議会が新たな法律を見すえて報告書をまとめ、それは、まず企業は自社の現状を認識するために(1)採用者に占める女性の割合(2)勤続年数の男女差(3)労働時間(4)管理職での女性の比率、の4種類の数値を「必須項目」として把握して行動計画を作り、目標や取り組み内容、実施時期などを盛り込むが、数値目標は各社の実情に配慮し、現状に関する情報公開でも企業の裁量を認める内容だそうだ。ことほど左様に、厚労省は女性労働者の保護には役立たない。 しかし、これでは1985年に施行された最初の男女雇用機会均等法と同じく骨抜きになるため、私は、開示内容は(1)採用時の女性割合 (2)男女の勤続年数 (3)管理職の女性割合 として証取法と商法に定め、会社間(例えば、日産、トヨタ、ホンダなど)で業績と同時に比較可能にすべきだと考える。 (2)非正規社員、派遣社員、限定正社員について *1-3には、「女性に多い非正社員をどう後押しするか」とも書かれているが、もともと日本には非正規社員や派遣社員の制度はなかった。これは、私が1995年に経産省に言って1997年に男女雇用機会均等法が改正され、それが施行される時に、それまで総合職と一般職に分けて行っていた女性差別が禁止されたため、立場や所属が異なることを理由に女性差別を続けることを目的として作られたものだ。つまり、非正規社員や派遣社員は、労働基準法や男女雇用機会均等法が適用されない労働者を作ることが目的の制度であるため、同時通訳などの特殊な業務を除き、速やかに廃止すべきなのである。 また、限定正社員も、男女にかかわらずどの労働者に対しても区分けをしなくても配慮するのが当然であるため、国の制度として作る必要はないと考える。そして、どうしても組織内で配慮できない事情がある場合には、他の組織への転職を容易にしておくべきなのだ。 (3)女性の管理職昇進を阻んできた組織の制度について *2に書かれているように、女性を活用している会社と差別し続ける会社を量と質で分析すれば、①戦後、日本企業は完全な男性中心社会だった ②そこに女性が進出する困難さは、企業カルチャーや差別解消の取り組み度合いにより異なった ③グローバル企業は、日本企業より女性を活用していた と言うことができる。2003年に経済同友会が会員企業を対象に女性管理職の「量」を調査したところでは、「女性管理職比率」の平均値が2.62%と世界でも惨憺たる状況だったそうだ。そして、これらは、1982年から公認会計士として外資系監査法人で働いてきた私の経験とも一致する。 「質」では、*2のように、①男女は採用区分から違う企業群 ②女性は管理職にしない企業群 ③女性を主力級として活用している企業群 ④勝手に生き残れという企業群 があるそうだ。今後は証取法や商法で情報公開を行い、就職時に女子学生が①~④のうちの就職したい企業に就職できるようにすべきだ。希望する就職先を選択できるためには、女性学生も、目的に応じて学生時代からのキャリア形成や就職先選択前の調査が必要なのである。 (4)夫婦別姓制度は働く女性の必要条件ではないだろう *3の記事は、「女性活躍」を掲げる安倍政権には女性閣僚が5人いるが、そのうち4人は通称使用であるため、旧姓使用の選択的夫婦別姓の議論が進むかというものである。なお、唯一戸籍名を使用している有村治子氏は、国際結婚で、夫婦で両方の姓を使っているそうだ。私も法律婚をしながら通称使用しているが、それと夫婦別姓にすることとは全く異なり、私は通称使用の不便をなくす制度改革をする方が便利だと考える。 その理由は、1)どちらの姓を戸籍名にするかは婚姻時に選択することができ、結婚して名字が変わるのは圧倒的に女性が多いという状況は時代とともに変わると考えられること 2)子どもの姓を決めるのに夫婦別姓ではややこしく、戸籍上Family Nameが統一できないこと (連れ子のある再婚をすると、家族全員姓が異なる場合もでてくる) 3)口座・免許証・保険証・パスポート・法律行為などは、戸籍謄本か住民票で通称を証明すれば、姓のかわった人は通称使用できるようにすればよいこと などである。 例えば、下のように、旧姓の通称が不便なく使えるように、制度を変更すればよいと考える。 ・戸籍謄本:旧姓を通称使用する人は、その旨を記載する欄を設ける ・住民票:戸籍謄本で証明して戸籍名と通称を併記し、通称の証明に使えるようにしておく ・登記:不動産、会社、役員など、戸籍謄本か住民票で通称を証明すれば通称使用を可能にする ・運転免許証・保険証:証明用にも使うため、戸籍謄本か住民票で通称を証明して、通称使用する 人は戸籍名も併記する ・銀行口座:住民票か戸籍謄本で証明すれば、通称で口座開設できるようにする ・パスポート:身分証明にも使うため、戸籍謄本か住民票で証明して、通称使用する人は戸籍名を 併記する。 ・会社のメールアドレス:住民票か戸籍謄本で証明すれば通称使用できるようにする ・国家資格:住民票か戸籍謄本で証明すれば、通称使用できるようにする ・法律行為:住民票か戸籍謄本で証明すれば、通称使用できるようにする *5より <女性活躍推進について> *1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141007&ng=DGKDASFS06H2K_W4A001C1EA2000 (日経新聞2014.10.7)女性登用、政府が主導 法案提示 企業ごとに数値目標 政府は6日、首相官邸で男女共同参画会議(議長・菅義偉官房長官)を開き、今国会に提出する「女性の職業生活における活躍の推進に関する法案」(仮称)の概要を示した。企業がそれぞれ個別に女性登用の数値目標を設けるのが柱。安倍政権が掲げる幅広い分野での女性の人材活用を政府が主導して促す狙いだ。近く閣議決定し、速やかな成立をめざす。法案には2020年までに指導的地位に占める女性の割合を3割にする政府目標を記す。ただ、経済界には反発もあり、全職種に一律に課すのは難しいと判断。企業ごとの実情に応じて数値を設定できる仕組みにする。具体的には、女性登用の数値目標のほか(1)採用者・管理職に占める女性比率(2)勤続年数の男女差(3)女性が働きやすい職場をつくるための取り組み内容や今後の計画――などを企業ごとに決めると明記した。従業員が300人を超える企業は、こうした項目をまとめた行動計画をつくり、有価証券報告書などで公表することを義務付ける。中小企業や地方公共団体に対しては努力義務とする。出勤時間帯を変えるフレックスタイム制や在宅勤務によるテレワークなど「多様な働き方」を促している企業には、政府が認定したうえで優遇する制度を設けると規定した。公共調達の受注機会を広げたり、補助金の対象にしたりすることなどを想定している。経団連の榊原定征会長は6日の記者会見で、女性登用の数値目標について「どういう形、内容にするかは、ある程度企業側の自由度が確保できる形が望ましい。しっかりと今後議論したい」と述べた。政府は10日に女性の活躍推進の司令塔となる「すべての女性が輝く社会づくり本部」(本部長・安倍晋三首相)の初会合を開く。内閣府のまとめによると、指導的地位に占める女性の割合は国家公務員(本省課室長相当職以上)は3%、100人以上の民間企業での課長相当職は8%と政府の目標を大幅に下回る。現場では「子育てとの両立が難しい」などの理由から、機会があっても女性が管理職を引き受けないケースも多い。数値目標の達成に向け、女性が働きやすい職場環境や社会制度をどう整えていくか検討を急ぐ。男女共同参画会議では、10年にまとめた「男女共同参画基本計画」を15年夏をメドに改定することも決めた。今回提出する法案の成立を念頭に、政権の女性政策の取り組み状況や新たな目標を盛り込む見通しだ。 *1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141007&ng=DGKDASFS07H0J_X01C14A0EAF000 (日経新聞 2014.10.7) 首相、女性指導者3割へ「政策を進める」 参院予算委員会は7日午前、安倍晋三首相と全閣僚が出席し基本的質疑に入った。首相は今国会の重要課題に掲げる女性の活躍促進に関し「2020年までに3割の指導的立場に就くように政策を進める」と環境整備を急ぐ考えを示した。政府は企業に女性登用の数値目標設定を促す法案を今国会に提出する方針だ。首相は国家公務員の採用・登用にも触れ「来年から3割を女性にすると決めている。各省で指導的な立場に就くように指示している」と語った。民主党の蓮舫氏への答弁。民主党の福山哲郎政調会長は経済情勢について「物価上昇に比べ賃上げが遅れている」と指摘した。 *1-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11386518.html?_requesturl=articles%2FDA3S11386518.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11386518 (朝日新聞社説 2014年10月5日) 女性活躍推進 まずは現状の公表だ 働きたい女性が希望に沿って個性や能力を発揮できる社会にしていくためには、何が課題で、どんな対策が必要か。厚生労働省の審議会が、新たな法律を見すえて報告書をまとめた。大企業と中小企業で義務づけの度合いを変えつつ、こんな方針を打ち出した。まず、自社の現状を認識するために(1)採用者に占める女性の割合(2)勤続年数の男女差(3)労働時間(4)管理職での女性の比率、の4種類の数値を「必須項目」として把握する。企業は行動計画をつくり、目標や取り組み内容、実施時期などを盛り込む。数値目標については各社の実情に配慮する。求職者が会社を選ぶ際に有益な「現状に関する情報」も公開する。ただし、どんな数値やデータにするのか議論を続け、4種の数値を含むリストを別途、つくる。各社がその中から選んで公表する仕組みにする。審議会は、大学教授のほか連合、経団連など労使の団体の代表らが委員を務める。焦点となったのは「数値」の扱いだ。経団連などは「業種ごとに事情が異なるのに、数値はとかく独り歩きする」と主張した。「従業員に関する方針は経営戦略にかかわり、各社の判断に任せるべきだ」との考えからだ。審議会は、現状に関する情報公開でも企業の裁量を認める立場だ。「公開の範囲によって姿勢がわかる」というが、経団連の主張に沿う内容である。確かに、様々な業界をひとくくりにはできないし、政府が業界ごとに目標数値を決めて義務づけるのも無理があろう。しかし、企業の自主性を尊重してきた結果、いまだに「女性が活躍できる社会」を実現できていないことを考えてほしい。「2020年に指導的な地位の人の3割を女性に」との目標を掲げる政府は、各社が管理職での女性比率について目標を作り、公表するよう義務づけたいようだ。しかし、4種の数値を手始めに現状を明らかにすることが出発点ではないか。建設や運輸などの業界では、人手不足もあって女性を増やそうとしている。職場環境を改善する努力は当然だが、「本気度」を伝えるためにも、現状を正直に語ってはどうか。女性に多い非正社員をどう後押しするか。仕事と家庭の両立支援策を含め、働きたいのに働けない女性をどう支えていくのか。報告書が十分に踏み込めなかった課題も山積している。長く、多様な取り組みになる。議論を深めるためにも、現状に関するデータは不可欠だ。 <女性の管理職昇進を阻んでいるもの> *2:http://www.mynewsjapan.com/reports/539 (My News Japan ?/2/10) 女性を活用している会社、差別し続ける会社 戦後日本の大企業は、完全な男性中心社会だ。そこに女性が進出する困難さは、企業カルチャーや差別解消の取り組み度合いにより、全く異なってくる。グローバル規模では、CSR(企業の社会的責任)の重要性が日増しに高まり、その評価項目には、必ずジェンダーフリーやダイバーシティーといった「従業員対応」がある。だが、2003年に経済同友会が会員企業を対象に、CSRに関する取組の自己評価を行わせたところ、「女性管理職比率」の平均値は2.62%と、惨憺たる状況だった。 【Digest】 ◇量と質で考える ■「採用区分から違います」エリア ◇数値目標設定で女性管理職増加へ ◇男女のコース別処遇を違法認定 ◇一般職は名称変更の流れ ◇一般職が、女性派遣社員に置き換わった ■「管理職にはなれないけど」エリア ◇メーカーは企業間で温度差 ◇逆ダイバーシティーだ ◇上層部への登用はない ■「主力級としてガンガン活用」エリア ◇女性上司も当り前 ◇「働きやすさ」定着したIBM ■「勝手に生き残ってね」エリア ◇大手出版は女性天国 ◇サービス業シフトのメーカーは変革中 ◇需給ギャップを見極める 今後は、CSRレポート等を通じて情報公開を迫られ、隠し通せなくなる時代になっていく。差別的待遇を放置したら、国際的なブランド力低下につながりかねないレピュテーション(評判)リスクを負う。このままでは、環境問題と同様、ジェンダー問題がネックとなって、EUでの企業活動すら制限されかねない。企業は、そういった切迫した本音は隠しつつ、「財布のヒモを握るのは女性だから」「優秀な女性が活用されていないから」といったタテマエのもと、数値目標をかかげ、大々的に女性を登用する企業も出てきた。これに対し、ラッシュ時の女性専用車両のごとく、逆差別的ととらえる男性社員も多い。つまり、取り組み状況によって、女性の仕事のしやすさで企業間格差が拡大しつつある。人事のホンネは、「女性は統計的に離職率が高く、企業業績から見れば、無駄な研修投資や産休が発生するため、よほど能力が飛び抜けていない限り、平等に扱うのは避けたい。同じ能力なら男性が欲しい」というもの。したがって、これは究極的には、政府の社会政策やCSRによる社会の眼でしか解決できない問題なのだ。その証拠に、女性の積極登用を宣言した会社は、外圧がかかりやすい松下や日産といったグローバル企業ばかり。外圧でしか変われない日本らしいが、働く側は、こうした個別企業のおかれた状況を理解したうえで会社を選んだほうがよい。一方、女性の活用を武器に成長してきた企業も、少数だが存在しており、それらのなかでも性差を意識した役割分担派から男女の差を無視した性別無視派まで、それぞれ質が異なるため、単に「女性を活用している」というだけで会社を選ぶのも危険である。 ◇量と質で考える すべての仕事において、男女の能力に優劣がなく、機会が均等であると考えた場合、女性比率は5割になってもおかしくない。ただ現実は出産・育児で仕事から離れる期間が発生するなどで、3~4割がせいぜいだろう。そこで、20代30代の若手社員層における女性比率3割をめどに、それより高いか低いかを考えた。これは量の視点である。さらに、質の視点として、男女の仕事上の役割分担を意識したものか、それとも全く性差を無視したものなのか、という軸(どちらが本当に平等かは議論がある)で考えた。 ■「採用区分から違います」エリア もっとも左側に位置するのが、国内系金融、商社、航空である。これらでは、女性には中核を担う仕事は無理だと決め付け、転勤なしの、いわゆる「一般職」として補助的な低賃金の仕事だけは与えるが、「職場の花」だから「腰掛け」程度に考えて貰い、できれば男性社員と結婚して30才までに大半が寿退社して欲しい、と本気で考えているようだ。表立っては絶対に口にできないが、ホンネはそうなので、結果として、女性は一般職、男性は総合職という、事実上の性別によるコース別採用となっている。総合職の女性比率は、1割未満にとどまっていることが多く、ほとんど例外的な存在に過ぎない。 ◇数値目標設定で女性管理職増加へ 三菱東京UFJ銀行の支店に勤める若手の女性社員が言う。「現場の実際のカルチャーが男尊女卑。たとえば、私が『結婚したい』と言うと『辞めないでよ』と言われる。結婚=退職が前提だから。『男は女を守るもの』という考えがあって、車で営業に出るときは女には運転させない、飲み物や食べ物は女に選ばせる、時間が遅くなると『女の子は帰りな』と言われる。これは総合職でも一般職でも、女性は全員、同じ扱いになります」。こうした思想は、男女同権の時代の趨勢として、社外から圧力があり、変化を迫られている。同社では、2006年1月1日時点で5人しかいなかった女性支店長を、4月1日付でいきなり10人に倍増させた。2010年までに30人とする数値目標を設定した。(以下、会員限定のため閲覧不能) <夫婦別姓は必要条件か> *3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11386627.html (朝日新聞 2014年10月5日) 選択的夫婦別姓、議論進むか 「女性活躍」掲げる安倍政権 女性閣僚3人は旧姓使用 かつて盛り上がった選択的夫婦別姓の議論。働く女性を中心に夫婦別姓を求める声は、依然として強い。安倍内閣の5人の女性閣僚のうち3人は通称(旧姓)を使っているが、通称と別姓制度は似て非なるものだ。「女性活躍」を掲げる安倍政権。別姓と通称はどう違い、夫婦別姓についての議論はどうなっているのだろうか。通称として旧姓を使用している女性閣僚の一人、松島みどり法務相は別姓制度に賛成だ。就任後の会見で、夫婦同姓制度に触れた。「しっかり仕事を持って働く女性が増えていく中で、主義主張の問題じゃなくて、現実に不便を感じている人たちもたくさん増えてきた」。高市早苗総務相と山谷えり子拉致問題担当相も、戸籍名と異なる旧姓を通称として使う。小渕優子経済産業相は、夫が小渕姓に変えている。高市氏は別姓制度に反対してきた。「現在のところ、戸籍上の夫婦同姓について不便を感じたことはない」と言う。山谷氏は有村治子女性活躍担当相と、2010年に選択的夫婦別姓に反対する大会に参加した。会見では「考えはあるが所管外なので控えたい」とだけ。有村氏も「法務省の今後の対応、国民意識の動向をみつつ引き続き適切にモニタリングをさせて頂きたい」。正面からのコメントは避けた。なぜ通称使用はしても夫婦別姓制度に反対なのか。あるベテラン国会議員は「支持母体が夫婦別姓に反対しており、そう言わざるを得ない」という。選択的夫婦別姓の導入に消極的な日本の政治に、海外からは厳しい声も上がる。国連女性差別撤廃委員会は日本に、選択的夫婦別姓の導入を速やかに実施するよう勧告を続けてきた。かつて法務省は1996年と2010年の2回、制度の導入に向けた民法の改正案を準備した。だが、保守系議員から「家族の崩壊を助長する」「日本の伝統を壊す」などと反対意見が相次ぎ、結局、国会提出には至らなかった。反対派の中には当時、安倍晋三首相もいた。安倍首相が所信表明演説で「(女性が輝く社会の実現に向け)日本社会が本当に変わるのか。世界が注目しています」と述べた時。参院の議席から「夫婦別姓はどうなっている」と声が飛んだ。これまでのところ、安倍内閣が掲げた女性活躍の政策に、夫婦別姓制度はない。 ■口座・免許証・保険証も戸籍名 男性記者は考えた 民法で夫婦同姓が定められている日本。結婚して名字が変わるのは、厚生労働省の統計によれば96%と圧倒的に女性が多い。記者(男性)は5月に結婚した。ろくろく議論もせず妻が改姓した。ついつい女性の問題と考えがちだが、もし自分の名字が変わったら。通称が使えるなら、現行制度でも問題ないのではないだろうか。遅きに失したが、夫婦別姓問題の専門家に話を聞きながら、考えてみた。仕事では迷わずそのまま旧姓を使う。名刺も作り直さなくてすむし、取材先にもいちいち説明しなくて済む。署名記事も同じ名前で書き続けられる。だが仕事を一歩離れれば違う。銀行口座を開くのにも運転免許証もパスポートにも、戸籍名が必要だ。社内だって、診療所を受診する際は保険証通りの戸籍名となる。将来、役員にでもなれば、登記は戸籍名となる。実際に仕事で旧姓を使ってきた女性が、役員就任と同時に登記手続きのため、仕事上でも戸籍名を併用しているケースがある。女性が社会でもっと活躍するようになれば、このような例はこれから増えるだろう。結局、旧姓を使ってきた仕事にも、戸籍名が求められる。もし夫婦別姓が選択できれば、名字の使い分けにわずらわしさやストレスがなく、キャリアの断絶も心配しなくてよくなる。 ■通称(旧姓)が使えない場面は? ・住民票(住民基本台帳):【×】戸籍名以外での登録は認められていない ・登記:【×】不動産や会社など全ての登記は戸籍名 ・運転免許証、保険証:【×】身分証明書になるため、戸籍名 ・銀行口座:【×】通称での口座開設はできない ・パスポート:【△】外務省に申請すれば通称も併記可。ただ、ICチップには記録されず、通称で航空券を取ると入国審査に時間がかかる場合も ・会社のメールアドレス:【△】会社によっては戸籍の名字しか使えない ・国家資格の職業:【△】多くは通称で仕事できるが、登録や公的文書への署名は戸籍名 PS(2014.10.9追加):*4のように、民間企業だけでなく国や地方自治体などの公的部門も、歳出削減のために多くの非正規労働者(女性の割合が高い)を雇用しているが、特定の労働者から賃金を搾取することによって支出(歳出)削減を行うのは筋違いであり、(長くは書かないが)支出(歳出)削減の方法は他にいくらでもある。 *4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/112953 (佐賀新聞 2014年10月9日) 県庁に非正規職員労組「低賃金・雇い止め」環境改善へ気勢 佐賀県庁や出先機関で働く非正規職員が8日、労働組合を結成した。立ち上がったのは若い世代の女性職員で、通称「臨職ネット佐賀」。正職員の3分の1以下という低賃金、最長3年で雇い止めになる不安定な雇用の改善を求めていく。佐賀市の自治会館で開いた結成大会では「1人では言えないことも、組合を使ってみんなで声を上げよう」と宣言、「ガンバロー」を三唱して気勢を上げた。県職員課によると、知事部局には非常勤嘱託職員と「日々雇用」と呼ばれる臨時職員が484人いて全体の13・6%を占めるが、これまで組合はなかった。正職員でつくる県職員労働組合(約2600人)の働きかけで7月から準備を始め、すでに非正規職員組合がある長崎県の取り組みを参考に規約案を作った。結成日までに20~40代の女性を中心に約140人から組合加入届を受け取った。全日本自治労によると、非正規職員による組合結成は「有期雇用がネックになり、なかなか進んでいない」という。嘱託職員の任期は1年間で、更新は最長3年まで。日々雇用職員は4カ月働くたびに15日間の空白期間を置かねばならず、最長1年で雇い止めになる。ある組合員は「残った仕事は別の自治体から来た次の嘱託に任され、自分もまた別の嘱託に行く。いいように使い回され、来年どうなるか、いつ切られるか、不安が大きい」と話す。賃金は、嘱託が職務内容に応じて月給13万4500~16万3300円で、日々雇用は1日6100円。年収200万円以下の「官製ワーキングプア」が社会問題化する中、佐賀県も例外ではないという。組合で書記長を務める菅名早苗さん(37)=佐賀市=は2児の母。「正職員と変わらない仕事内容、責任感で働く非正規もいる。家族の生活を支える収入源という人も少なくないが、残業は申請しづらく、半年たたないと有給をもらえないので体調不良や忌引の休みも欠勤扱いになる」と労働実態の厳しさを訴える。結成大会では、本人が希望し、所属部署からの要請があるなどの要件を満たせば継続雇用を認めている長崎県庁の事例が紹介された。佐賀県でも同様の対応を求めていくことや、組合情報誌の発行、相談体制の確立に取り組むことを決めた。今後、古川康知事に要求書を提出し、来月にも団体交渉に臨む方針。古川知事は組合結成について、定例会見で「使用者側がコメントすべきではないが、かなりの非正規職員に県民相談など重要な業務をしてもらっている。働く環境を良くすることは必要だと思う」と話した。 PS(2014.10.10追加):*5の「すべての女性が輝く社会づくり」には賛成だが、女性の生き方を6つに分ければ、これまでよりパターンは増えるが、人間をステレオタイプな枠に当てはめることに変わりはなく、「普通の人」があらかじめ予想することはできないような多様な生き方を包含して、すべての女性を輝かせることはできない。また、施策が子育てのみに特化すれば、「産めよ増やせよ」論になって、女性の自己実現(これが重要)を無視することになる。 *5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141010&ng=DGKDASFS10H01_Q4A011C1MM0000 (日経新聞 2014.10.10) 女性活躍6分野で支援 子育てや起業、政府包括策、来春までに35項目推進 政府は10日午前、「すべての女性が輝く社会づくり本部」(本部長・安倍晋三首相)の初会合を首相官邸で開き、女性の活躍を後押しする政策を総合的に示す「政策パッケージ」を決めた。女性の多様な生き方を6つに分け、来春までに進める35の施策を示した。同本部では施策の進捗状況をもとに課題などを話し合い、女性の社会進出を促進する。 「すべての女性が輝く政策パッケージ」では育児や再就職を後押しする施策や、男性の意識改革の必要性を盛り込んだ。首相は「女性が輝く社会をつくることは政権の最重要課題の一つだ。指導的立場で活躍する女性を増やすのは重要だ」と指摘。女性登用の数値目標設定を大企業に義務付けることなどを明記する女性活躍推進法案の成立を今国会でめざすことも改めて強調した。パッケージでは女性の社会進出の拡大に向けた施策を(1)子育て・介護(2)働き方(3)起業(4)健康・安定的な生活(5)安全・安心な暮らし(6)情報共有――の6つに分け、35項目を挙げた。子育ての分野では、妊娠から育児まで切れ目のない支援策を示した。妊産婦への相談体制整備、家事・育児支援サービスの品質確保の検討、待機児童ゼロに向けた取り組みをさらに加速させることなどで、家庭と仕事の両立を図る。「職場や家庭での男性の主体的で積極的な関わりが欠かせない」と男性の意識改革も提起した。「働き方改革」にも重点を置いた。非正規社員から正社員への転換を促す支援策を進めるほか、在宅勤務によるテレワークなどニーズに応じた職場環境を整えることを明記した。出産して退職した主婦向けの再就職支援も強化する。「女性のチャレンジ応援プラン」を年末につくり、2015年3月に専用ホームページを設ける予定だ。託児つきセミナーなど主婦が参加しやすい学びの場を積極的に提供する。今後はさらなる女性活躍推進の施策を打ち出せるかが課題となる。政府はすべての女性が輝く社会づくり本部に加え、産業競争力会議(議長・安倍首相)や規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)などで民間と連携しながら協議を進める方針だ。
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2014,09,16, Tuesday
図1 図2 図3 図4 (1)女性の管理職登用には、間接差別も法規制すべきである 図1、図2、図3でわかるように、日本では、就業者に占める女性の割合は他国に比べて突出して低くはないが、管理職(課長相当以上)に占める女性の割合は10%ちょっとにすぎず、役員以上は1.23%しかおらず、世界で突出して低い。その理由を、*1-2は、①長時間労働で仕事と家庭の両立が難しく、子どもを持つ段階で仕事か家庭かの二者択一を迫られて退職する女性が多い ②一度職場を離れると非正規以外の好条件での再就職が難しい ③カギを握るのは長時間労働を見直して職場環境を変えること ④フレックスタイムや在宅勤務など柔軟な働き方を広めること ⑤時間ではなく成果で評価する仕組みをつくること ⑥男性はもっと家庭に と説明しており、こういう説明は多い。 私は、①はもっともで、それだからこそ保育所・学童保育・家事サポートサービスの充実が必要であり、②の理由で女性労働からの搾取が起こっているため改善すべきだが、③④については、職場の全員を巻き込まなくても、そうしたい人がそうすればよいと考える。その際に大切なことは、⑤の公正な評価が行われることであり、日本企業はこれができていないのが問題なのだ。なお、⑥も、そうしたい人がそうできる職場であればよいが、日本企業では公正な評価が行われていないので、これもやりにくい。 私がこう考える理由は、*1-1に書かれているように、ワークライフバランスの問題は、「男性は家計、女性は家事育児に主たる責任がある」という「家庭内の伝統的性別役割分業」が働く女性に仕事と家庭の役割の二重負担を強いることにより起こるのであり、それを解決すればよいからである。そして、本当は、男女とも、寝る間も惜しんで仕事に没頭し、仕事が面白くなるから能力がついて成功するという事例が多く、そのくらいでなければ国際競争力の出ない仕事が多い。 また、*1-1は、①勤続年数が同じでも男女の昇格に大きな差がある ②大卒女性より高卒男性の方が課長割合が高い ③女性のみ長時間労働が昇進率に大きな影響を与える と結論しており、これが、1982年から公認会計士・税理士・国会議員等としてずっと働き続けてきた私の肌感覚と一致する。 つまり、*1-1に書かれているように、厚生労働省の企業アンケート調査では、日本で指導的地位につく女性の割合が低いのは、①現時点で必要な知識や経験、判断力を有する女性がいないと過半数の企業が挙げている ②将来管理職に就く可能性のある女性はいるが、現在管理職に就くための在職年数などを満たしている者はいない ③勤続年数が短く管理職になるまでに退職する としており、企業から見ると「女性は経験不足だから」という理由だが、実際には、i)勤続年数が同じでも管理職への昇進率は女性が著しく低い ii)高卒男性の方が大卒女性より課長以上の割合が高く、女性は高学歴でも昇進しない など、教育や努力ではなく性差で社会的機会が決まっており、iii) 労働時間も女性にのみ長時間労働が管理職資格要件となっている iv) 女性は人事考課の結果によらず昇進率の低い職に配置される などの「間接差別」があるという結果になっている。 さらに、*1-1では、v)組織内に伝統的性別役割分業意識があり、「男性はリーダー役、女性は補佐役に適任」という固定観念により、本来は「個人の適材適所」で考えるべき人事に性別がからんで大多数の女性を一般職として管理職候補から外したり vi)男性は管理職への昇進率が高いポジションに女性は管理職への昇進率の低いポジションに配置したりする慣行がはびこり vii)組織内の伝統的性別役割分業意識が女性の管理職昇進や企業内での意思決定参加を阻んできた と書かれているが、これも私の肌感覚と一致しており、本来、このようなことは、企業アンケートをとった厚労省が同時に調査・分析を行うのが当然なのである。 しかし、2002年の最高裁事務総局の通達でも、「同期同給与年齢の男女間に8対2の昇格比率の差があっても、男女職員間の全体的な昇格比率は、それだけで差別を根拠づけるものとは言えない」としているそうで、全体として、日本政府は、これまで女性を管理職として登用する気はなく、その理由は後からこじつけたもので、働く女性に対しては搾取と嫌がらせこそあれ配慮などはなかったため、これらをすべて直さなければ女性が遣り甲斐を持って生き生きと働き続けられる社会にはならないということだ。 そのため、*1-1に書かれているとおり、女性の活躍には、組織内の伝統的な性別役割分業の根本的見直しが必要で、それと同時に、既に存在する様々な間接差別的制度を法的に禁止することが重要である。なお、2006年の法制化時は、私が中心になって行い、女子差別撤廃条約違反や差別の意図がなくても男女差別を生み出す間接差別も禁止しようとしたが、自民党内からの突拍子もない反対のための反対が多く、間接差別という言葉を入れるだけで精一杯だった。しかし、自民党という与党にいたから間接差別という言葉だけでも入れることができたというのも事実だ。 今は、*1-3のように、佐賀県でも、企業や社会の意識改革を進めるべく「輝く女性応援会議in佐賀」が開かれる時代になったが、その内容は、「人材派遣(“柔軟な働き方”と称する管理職にはなれず、使い捨てにされる女性の搾取労働)」「育児・家事支援の施策や制度整備」が中心だ。また、松尾建設の担当者が営業や設計部門への女性登用について、「現場経験のなさが逆に顧客目線での営業につながって評判もいい」と報告しているのは、「女性が優れている部分は現場経験がないからだ」という女性蔑視の固定観念があり、顧客として、及び仕事の両面で現場経験が豊富だからこそよいアイデアが出ている女性に対して失礼千万である。 なお、私が国会議員として佐賀新聞主催の催しに出席した際にも、佐賀新聞社は、私を“一般の人(普通の人?)”と同列に扱って他の男性議員よりも冷遇したし、佐賀新聞記事の中にも事実に反する女性蔑視の失礼な“評価”や描写が多かった。これらは、既に管理職に登用されている女性に対してさえメディアが行っている女性蔑視(女性差別)の典型であり、一般の人の先入観を作って選挙や評価に影響し、間接差別を助長するため、早急に改善されるべきである。 また、*1-3で、行政や社会への注文として「少子化で企業にとって人こそ財産。経営者は辞めさせない覚悟を持つべき」などの意見が出ていたと書かれているのは、ただでさえ*2-1、*2-2、*2-3のような考えの人が多い中、能力と公正な評価で女性を登用してもらうのであり、どんな人でも終身雇用する時代ではないため、甘えすぎだ。原則として、企業は、価値ある仕事ができる人材は辞めさせないが、実力もないのに要求ばかりしている女性は、他の女性の足まで引っ張ることになるため、どんな時代になっても甘えるのはいい加減にすべきである。 なお、*1-4のように、女性目線で新風を吹き込むため、農水省も「女性の職業選択肢に農家を加える」との目標を掲げており、よいことだとは思うが、農業・水産業は食品製造業であり、女性の視点が特に役立つにもかかわらず、これまで経営や農協理事・漁協理事として活躍する女性が少なかったのは、異常なくらいだ。 (2)女性登用目標についてのよくある反対意見 *2-1のとおり、「a.女性登用の目標は男性に不公平で、女性3割にこだわると上位の男性より下位の女性が採用されて、公務員全体の能力が低下する」「b.政権が指導的地位に占める女性の割合を30%に引き上げるという目標を立てたのも、女性の割合ありきで納得できない」「c.採用後の昇進や昇格も、男女の別なく能力で決めるべきだ」という意見があり、このような意見は多い。 これについては、女性は戦後、高等教育を受ける機会や働く機会を与えられて働き続けてきたが、(1)に記載したとおり、社会や組織内にある伝統的性別役割分業意識によって差別され、管理職は10%程度しかおらず、女性管理職3割というのは図4の他のアジア諸国と比べても男性差別になるほど高すぎる目標ではないこと、また、(3)に書く理由から女性管理職が増えれば公務員全体の能力はむしろ上がること、及び、採用後の昇進・昇格を男女の別なく能力で決めるべきというのは全くそのとおりだが現在そうなっていないのが問題なのであること、そのため、これらが改まるまで女性管理職割合の最低目標を決めるべきだというのが、その答えである。 また、*2-2の「A.女性の管理職の比率向上を目標にする人事は、企業の本来の目的とは必ずしも一致しない」「B.企業にとって不変のルールは『適材適所』」「C.企業が行うべきは、女性に能力を発揮する機会を提供すること」「D.労働環境の整備、成果に対する公正な評価と透明性の確保が重要」というのも、*1-1に書かれているとおり、現在は組織内の性別役割分担意識から適材の女性でも登用されにくく、同意識から公正な評価も行われないため、管理職の女性割合が増えて、その考え方が改まるまで最低目標を決めるべきだということなのである。 なお、*2-3では、「女性幹部の増加より雇用促進」と題して、「イ.指導的地位に占める女性の割合を30%に引き上げるという目標が、なぜ日本を成長させるのか分からない」「ロ.女性の就業希望者は全国に328万人おり、既に職に就いている人の中から複数人を幹部にするより、まず、この328万人の女性に働く機会を作り、働きやすい環境を整えることこそ、安倍政権が優先して取り組むべき課題だ」としている。しかし、指導的地位に占める女性割合の目標を定める意味は上記のとおりで、指導的地位に占める女性割合が増えれば、その328万人の女性の働く機会は増えることがあっても減ることはないため、この論は何とか女性の登用を止めたいばかりの意味のない論理だ。 (3)男性中心で作った愚策の事例 *2-1で、「女性3割にこだわると上位の男性より下位の女性が採用されて、公務員全体の能力が低下する」と書かれているが、そもそも公務員は、男性に下駄をはかせて男性優先で採用してきたため、現在でも優秀な女性が意思決定できる立場に少なく、男性中心で作った愚策が多いのである。そのため、ここでは、その中のごく一部を紹介する。 1)気仙沼の巨大防潮堤計画 *3-1の巨大防潮堤計画は、陸から海への栄養塩の流れを止めて生態系に悪影響を与えるとともに、景観を損ね、津谷川をさかのぼる津波には意味がない。そのため、私がこのブログの2011.4.19には既に記載し、2013.7.7にも再記載しているとおり、住民が高台移転し、高速道路を防潮堤として利用して、高速道路より海側は耕作や牧畜等の生産地帯にするのが合理的なのだが、景気対策と称して税金を湯水のように使う巨大防潮堤計画ができ、宮城県の担当者は反対意見には耳を貸さない。 2)東日本大震災から3年半後も、8.9万人が仮設住宅住まい *3-2のように、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の49市町村で、毎週国会議員が現地を訪問しているにもかかわらず(現地を訪問しているというアピールだけなら、時間と旅費の無駄遣い以外の何物でもない)、まだ仮設住宅で約8万9千人が暮らしている。完成のめどが立たない復興住宅もあり、避難している人はいつ定住できるかわからない。民間借り上げ住宅、公営住宅、移住など、より被災者の立場に立った対応がある筈だと思うが、時間ばかりかけた結果、体調不良を訴える被災者も出ており、よいことは何もない。 3)国家予算 *3-3のように、来年度は、消費税を10%に上げ、景気対策に1兆円を確保して、大規模な公共事業や中小企業向けの補助金など経済対策のためなら自由に使うことができる財源を用意するということだ。しかし、その前に、デフレ脱却として称して金融緩和を行い、毎年2%以上の物価上昇を作り出した上、円安により34%(106/79%-100%=34%)の輸入物価上昇も起こったため、生活者は購買数量を減らしても購買金額が増え、表面的には買い控えの影響が低く出るが、経済学的にはそんなわけがない。 このように、男性中心で作った政策は、「本当に必要なものは何か」というアイデアに乏しいため、生産性や付加価値が低く、その結果、我が国企業の利益率も低くなっている。そして、それをカバーするために大々的な景気対策を行いながら生活を犠牲にするという政策を繰り返してきたが、意思決定者が30%女性になれば、生活の現場に役立つ付加価値の高い生産を、時間ばかりかけずに行い、もっと実のある政策を実行できると考える。 <女性登用への取り組み> *1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140829&ng=DGKDZO76284210Y4A820C1KE8000 (日経新聞 2014.8.29) 企業の間接差別、法規制を、山口一男 シカゴ大学教授 〈ポイント〉 ○勤続年数が同じでも男女の昇格に大きな差 ○大卒女性より高卒男性の方が課長割合高い ○女性のみ長時間労働が昇進率に大きな影響 2030年までに政治や経済で指導的な地位に就く人の女性割合を30%にするという政府の計画にもかかわらず、女性活躍の進展は極めて遅い。管理職の女性割合は、経済協力開発機構(OECD)諸国の中では米国が43%と高く、欧州諸国の多くは30~40%なのに対して、日本は約10%と低い。本稿では日本でなぜ指導的地位につく女性の割合が低いのか考えてみたい。 厚生労働省の企業アンケート調査によると、女性の管理職がいない・少ない「3大理由」とされるものがある。第一の理由が「現時点では、必要な知識や経験、判断力を有する女性がいない」というもので過半数の企業が挙げている。第二、第三は「将来管理職に就く可能性のある女性はいるが、現在管理職に就くための在職年数などを満たしている者はいない」「勤続年数が短く、管理職になるまでに退職する」というもので、共に勤続年数の短さを挙げている。企業から見れば「女性は経験不足だから」というわけだが、それは事実だろうか? 図1は経済産業研究所が09年に行った調査データの分析を最近筆者が「日本労働研究雑誌」(14年7月号)に発表したもので、ホワイトカラーの正規雇用者に限った結果である。勤続年数が同じでも、男女の管理職への昇進率は著しく異なる。女性正社員が31年以上その企業に勤めて達成できる課長以上割合(20%)を、男性正社員は11~15年目に達成している。また係長以上では、女性正社員が31年以上勤めて達成できる割合(50%)を、男性正社員は6~10年目に達成してしまう。ただ、この分析は男女の教育差を考慮していないという批判があるだろう。かつて女性は短大卒が多く、大卒割合は男性よりはるかに低かった。その疑問に答えるのが図2である。結果は驚くべきことに、高卒男性の方が、大卒女性よりはるかに課長以上割合が高い。社会学では生まれによる属性で社会的機会が定まるのが前近代社会、教育など達成の属性で定まるのを近代社会というが、わが国はこの点で近代社会とはいえない。 ちなみに米国で管理職になるには、大卒や経営学修士(MBA)など、学歴が性別によらず最も強く影響する。筆者の前記論文での分析では、日本で男女の教育・年齢・勤続年数の差で説明できる男女格差は係長以上割合では30%、課長以上割合ではわずか21%であった。男女格差を説明するほかの要因に、労働時間、特に通常週49時間以上働いているか否かがある。労働時間差をさらに説明要因に加えると、男女格差を説明できる度合いは係長以上割合で43%に、課長以上割合で39%へと大幅に増大する。また長時間働くほど管理職の割合が高まる関係は女性の方が男性より強い。 この事実と関連し、男女の管理職格差の原因について、加藤隆夫・米コルゲート大学教授と川口大司・一橋大学教授、大湾秀雄・東京大学教授の最近の企業内人事についてのパネル調査データ分析は、以下の二つの重要な事実を明らかにした。 一つは、長時間労働は男性の昇進率を高めないが、女性では昇進率に大きく影響するという事実である。これは長時間労働が女性にのみ管理職資格要件となっていることを示唆する。二つ目の発見は、高い人事考課結果が男性では昇進率を高めるのに、女性では高めないという事実である。これは、女性には人事考課の結果によらず昇進率の低い職に配置するという「間接差別」の結果と考えられる。企業による配置を通じた女性への昇進差別は米国でも1970年代には多くみられたが、後述する間接差別への強い法規制もあり、現在はほとんどない。ただし職業選択の性差による男女の職業分離は米国でも残り、男女の賃金差の一因となっている。筆者は女性の活躍についてワークライフバランス(WLB=仕事と生活の調和)の達成できる社会の重要性を訴えてきた。WLBの欠如のため女性の6割以上が結婚・育児を理由に離職し、正規雇用が新卒者優先のわが国で、彼女たちの再就職の大半はキャリアの進展性のない非正規雇用になる。また離職を理由に企業が女性を男性と同等に扱わない慣行が女性の継続就業意欲を奪い、結果として離職率を高めるという「予言の自己成就」ともなっている。今回、長時間労働が女性にのみ管理職登用への条件として重要視されるという、WLB達成と矛盾する企業慣行の存在も明らかになった。成果でなく長時間労働が主な基準なら、女性の管理職登用推進は難しい。WLB問題は「男性は家計に、女性は家事育児に主たる責任がある」という「家庭内の伝統的性別役割分業」が、働く女性に仕事と家庭の役割の二重負担を強いることが根本原因だが、日本の職場は特に女性管理職にその負担を強めている。 さらに、WLB問題とは別の大きな障害があることも明らかになった。それはいわば「組織内の伝統的な性別役割分業」ともいえるもので「男性はリーダー役に、女性は補佐役に適任」という固定観念である。その意識によって、本来「個人の適材適所」を考えるべき人事判断に性別が大きくからむ。大多数の女性を一般職として管理職候補から外すコース制や、男性は管理職への昇進率の高いラインポジションに、女性は有能でも管理職率の低いスタッフポジションに配置というような慣行がはびこる。そして女性の管理職昇進や企業内の意思決定参加を阻んできたと考えられる。その結果、女性は人事考課が優れていても昇進せず、高卒男性の方が大卒女性よりも管理職昇進率が高いという世界的にみて異常な状態を生み出してきたのだ。女性の活躍には、このような組織内の伝統的な性別役割分業の根本的見直しが必要であり、同時に、既に存在する様々な間接差別的制度を法的に禁止することが重要となる。わが国は06年の雇用機会均等法の改正で間接差別について法制化したが、わが国も批准した女子差別撤廃条約や、米国や欧州連合(EU)の法制度と異なり、差別の意図がなくてもその効果において男女格差を生み出す機能を持つ制度を間接差別とはしていない。それどころか02年の最高裁事務総局の通達では「同期同給与年齢の男女間に八対二の昇格比率の差があった場合、非合理な差別が存在しているといえるか」という仮想質問に対して「男女職員間の全体的な昇格比率というものは、それだけで差別を根拠づけるものとは言えず」とお墨付きを与えている。米国では、資格の同等な男女で女性の採用率や昇進率が男性の80%に満たない場合、企業の制度が格差を生んだと判断する「80%ルール」を確立し、その後、仮に80%以上でも統計的に有意な格差があれば同様に判断できる「有意ルール」という基準も採用している。ルール違反の場合、企業が正当な理由を提示できなければ、提訴された場合に損害賠償責任が生じる。間接差別についてわが国の司法上の規定や通念は世界から逸脱している。女性活躍の推進のためには、企業の間接差別的慣行の自主的廃止とともに、法改正が強く望まれる。 *やまぐち・かずお 46年生まれ。経済産業研究所客員研究員。専門は社会統計学 *1-2:http://www.nikkei.com/article/DGKDZO74837100Y4A720C1PE8000/ (日経新聞 2014/7/28) 女性登用には働き方改革が必要だ 管理職や役員になる女性を増やそうと、行動計画を立てる企業が増えてきた。具体的な数値目標をあげる企業も目立つ。企業の「本気度」を社内外にアピールし、女性の登用や育成を着実に進めていくための手段として、前向きに評価できる。ただ、それには、長時間労働の見直しなど、働き方の抜本的な改革が不可欠だ。男女ともに当事者となり、職場を変えていくチャンスとしたい。 ●管理職なお1割程度 女性の登用を後押しする動きが相次いでいる。経団連は会員企業に自主行動計画をまとめるよう呼びかけ、まず約50社分をホームページで公開した。「女性管理職数を2020年に3倍、30年に5倍に」(トヨタ自動車)、「20年度までに女性役員2人以上」(全日本空輸)などの目標が並ぶ。政府も6月の成長戦略で、女性の活躍推進を柱に据えた。実効性を高めるために、企業に行動計画づくりなどを促す新しい法律を制定する方針も打ち出した。日本の女性はどこまで職場で活躍しているのか。足元の数字は厳しい。14年の男女共同参画白書によると、就業者に占める女性の割合は、日本は欧米各国に比べて著しく低いわけではない。しかし管理的な立場の人に限ると、1割程度の日本に対し、米国は4割を超える。フランスやスウェーデンなども3割を超えており、日本のかなり先を行っている。政府は指導的地位に占める女性の割合を20年に30%にする目標を掲げている。日本の現状との隔たりは大きい。男女問わず意欲と能力のある人が力を発揮できるようにすることは、企業の成長にとって欠かせないテーマだ。単に労働力不足を補うためではない。多様な経験と価値観を持つ人材がいる職場は、より創造性の高い職場になりうる。もちろん、すべての働き手が管理職を目指すわけではないだろう。しかし意欲を阻む壁があるなら取り除いていくことが必要だ。まずは育成に向けた地道な取り組みを進めたい。管理職向けに女性社員の育て方を教える研修を開いたり、女性を対象にキャリア意識向上の研修を開いたりする企業は多い。特に管理職の役割は重大だ。同じように接しているつもりでも、つい男性の部下にだけ目を向けたり、女性に過剰な配慮をして能力を伸ばせなかったりすることもあるからだ。取り組むべき課題は、さらにある。女性管理職が少ない理由としてよく「本人が希望しない」という声が聞かれる。しかし女性側の意識の問題だけなのだろうか。背景をよく見ていくと、長時間労働や、仕事と家庭の両立が難しいことが、女性を尻込みさせている例も少なくない。そもそも子どもを持つ段階で仕事か家庭かの二者択一を迫られ、退職する女性は今なお多い。一度職場を離れると好条件での再就職は難しい。これでは管理職候補となる女性の数は限られてしまう。良質な保育サービスの拡充が就業継続の支えになることはもちろんだが、それだけでは不十分だ。カギを握るのは、長時間労働を見直し、職場環境そのものを変えていくことだ。子育てによる時間的制約があっても、仕事の内容や進め方を見直し、効率的に働けるような工夫をすることはできる。 ●男性はもっと家庭に フレックスタイムや在宅勤務など柔軟な働き方を広めることや、時間ではなく成果で評価する仕組みをつくることもあわせて必要になる。再雇用制度や中途採用などにより、女性の再チャレンジを後押しすることも大事だろう。同時に、男性がもっと家庭で役割を果たせるようにすることも欠かせない。日本の男性が育児や家事にかける時間は、欧米に比べ短い。育児休業からの復帰セミナーに夫婦そろっての参加を呼びかけたり、男性社員に短期間であっても育児休業の取得を促したりする企業もある。こうした取り組みはもっと広がっていい。高齢化が進む日本では、今後、男女問わず親の介護に直面する働き盛りの人が増える。女性が育児や家事、介護を担い、男性が長時間労働に没頭する。このモデルではもはや乗り切れない。女性の登用に向けた取り組みは、女性のためだけではない。時間的な制約の有無を含め、様々な属性を持つ人材がそれぞれの力を発揮できるよう、職場環境を変えていくことにつなげたい。多様性を包み込む、柔軟で力強い職場にしていくための一里塚だ。 *1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/102428 (佐賀新聞 2014年9月9日) 企業、社会の意識改革を 「輝く女性応援会議in佐賀」 企業などで活躍する女性と支援する関係者らが意見を交わす「輝く女性応援会議in佐賀」(内閣官房、内閣府、県主催、佐賀新聞社共催)が8日、佐賀市内で開かれた。銀行やホテル、人材派遣会社、農業法人で働く女性ら8人が登壇。企業や社会の意識改革を求め、子育て支援メニューの充実など、女性が能力を発揮できる環境づくりに必要な方策を探った。同会議は、安倍政権の成長戦略の中核に掲げている「女性の活躍促進」を図ろうと、佐賀を含む全国5カ所で開催。県内外から約280人が参加した。内閣府男女共同参画局の武川恵子局長が基調講演。女性の就業率上昇や登用推進に向け、育児・家事支援の施策や制度整備などの取り組みを紹介した。この後、佐賀新聞社の富吉賢太郎編集局長をコーディネーターに、佐賀や福岡、長崎の企業などで働く女性4人と、女性の雇用や子育て支援に取り組む企業の関係者4人が自身の経験や会社での取り組みを報告。働く女性からは「結婚や出産を機に希望しない異動を受け、女性への理解不足があると感じた」「農家の嫁は夫の付属品みたいな扱いで、人と違ったことをすると、自分だけではなく夫も非難された」などと赤裸々な経験談も出された。働く女性支援の取り組みでは、松尾建設(佐賀市)の担当者が営業や設計部門への女性登用について紹介し、「現場経験のなさが逆に顧客目線での営業につながって、評判もいい」と報告。湯江タクシー(諫早市)は、保護者に代わって子どもの保育園や病院などへの送り迎えを請け負う「子育てタクシー」事業を説明し、「企業を含め、社会の中に子育て支援のメニューがもっとあっていい」と提言した。行政や社会への注文では「少子化で、企業にとって人こそ財産。経営者は辞めさせない覚悟を持つべき」などの意見が出ていた。 *1-4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=29789 (日本農業新聞 2014/9/12) 女子目線で新風を 地域の活力創造協議会 取り組み成果報告 農水省 農水省は11日、農林水産関係団体らでつくる全国農林水産業・地域の活力創造協議会で、「農業女子プロジェクト」の成果を報告した。「女性の職業選択肢に農家を加える」との目標を掲げ、昨年11月の発足以来、181人の女性農家が参加。一般企業と連携し、女性目線で使いやすさを追求した軽トラックの開発、女性向けの農業機械研修などの実績を紹介した。安倍政権は「女性の活躍」を重要課題に位置付けており、同省としても同プロジェクトなどを通して活躍の場づくりを支援していく考え。プロジェクトに参加する農家数は昨年11月の発足時点で37人だったが、今年9月1日現在で181人になった。メディアで取り上げられることも多く、9カ月間で5倍近くに増えた。年齢制限は設けておらず、農業女子のホームページから希望者が自分で登録する。年齢構成は30代が42%とトップ。次に40代が29%、20代が18%と続き、40~20代の若手主体で構成する。農家の息子と結婚した人や実家の農業を継いだ人、農外からの新規就農者が多い。これまでの成果として、自動車メーカーのダイハツ工業と連携した「農業女子的軽トラック」を紹介。「車高を下げる」「収納スペースを増やす」などの要望を出し、女性農業者にとって乗りやすい軽トラックの開発に協力した。「農機の研修会は夫が参加することが多く、自分は参加しにくい」との声を受け、農機メーカーの井関農機と連携し、農機の使い方やメンテナンスの研修会も開いた。農水省は「女性農業者の存在感を高めて、女性の職業選択肢に農家を加えたい」(女性・高齢者活動推進室)と意気込む。現在、13社と個別に企画を進めており、女性目線で農業の魅力を広く発信していく考えだ。 <女性登用への反対意見> *2-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11265454.html?ref=reca (朝日新聞 2014年7月26日) 声:無職 本市信長(茨城県 76) 女性登用の目標は男性に不公平 安倍政権は国家公務員の採用数の3割を女性にする方針のようだが、私は反対だ。男女雇用機会均等の面から見てもおかしいと思う。男女を問わず、採用試験の上位から必要数を採用すべきだ。最初から、女性の数を決めるのは、男性側から見れば不公平だ。女性3割にこだわると、上位の男性より下位の女性が採用されて、公務員全体の能力が低下し、国の損失につながる。政権は成長戦略で「指導的地位に占める女性の割合を30%に引き上げる」という目標も立てた。これも、まず女性の割合ありきで納得できない。採用後の昇進や昇格も、男女の別なく能力で決めるべきだ。一方、政権の成長戦略を受けて、経団連も役員企業47社の女性登用計画をまとめて発表した。約6割にあたる27社で、女性管理職を2020年に3倍にするといった目標が掲げられている。「人口減少で働き手が少なくなり、女性の登用は企業にとって戦略上欠かせないから」だという。これは、民間企業にとって深刻な問題なので、国家公務員の採用、処遇とは分けて考えるべきだろう。 *2-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11265455.html?ref=pcviewpage (朝日新聞 2014年7月26日)声:経営コンサルタント 久野厚夫(千葉県 73) 企業は先を見た女性活用策を アベノミクスの成長戦略の一つに女性の活用が挙げられています。この動きを受けて、経団連は会員企業に対し、女性登用計画をつくるよう呼びかけました。企業の側も急激に進む生産年齢人口の減少を考えれば、女性の登用は今や待ったなしの状況にあります。ただし、女性の管理職の比率向上を目標にする人事は、企業の本来の目的とは必ずしも一致しないのではないでしょうか。企業にとって不変のルールは「適材適所」。欧米などを基準にした比率の改善を急ぐ必要はありません。今、企業が行うべきは、女性に能力を発揮する機会を提供すること、労働環境の整備、成果に対する公正な評価と透明性の確保です。そのために現状の検証も必要です。さらに、女性社員の能力を高められるような、新たな企業価値の醸成です。将来、企業環境が激変して経営が苦境に陥った時、早々と女性登用の看板を下ろすような底の浅い人事施策であってはなりません。経営者はじっくりと腰をすえて、「人づくり百年の計」を見据え、女性登用策に取り組んで欲しいと思います。 *2-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11265453.html?ref=pcviewpage (朝日新聞 2014年7月26日) 声:無職 藤丸善基(埼玉県 76) 女性幹部の増加より雇用促進 安倍政権が成長戦略で「指導的地位に占める女性の割合を30%に引き上げる」という目標を立て、率先垂範とばかり、中央省庁の幹部に女性を積極登用した。経団連も企業側に女性登用を促しているようだ。しかし、これがなぜ日本を成長させるのか。私には、さっぱり分からない。総務省の最新データによると、女性の就業希望者は全国に328万人いるそうだ。既に職に就いている人の中から複数人を幹部にするよりも、まず、この328万人の女性に働く機会を作り、働きやすい環境を整えることこそ、安倍政権が優先して取り組むべき課題ではないだろうか。行政や民間企業の女性幹部、管理職を増やしたとしても、その数は知れている。だが、328万人が働けるようになれば、この新たな雇用で、今は収入のない女性たちが収入を得ることができる。それは消費の増加につながるだろう。納税額、社会保険料なども増えて、よほど経済の成長につながると思う。行政や民間企業の幹部を増やすより、ずっと難しいだろう。しかし、どちらが日本の成長に寄与するかは明らかだ。 <男が作った愚策集> *3-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014091002000240.html (東京新聞 2014年9月10日) 気仙沼の巨大防潮堤計画 急ぐ行政、募る住民不満 東日本大震災後に計画された宮城県内で最も高い14.7メートルの防潮堤建設をめぐり、予定地の気仙沼市本吉町で住民と行政との考え方の溝が埋まらないままだ。震災から11日で3年半。国の集中復興期間の2015年度末をにらみ建設を急ぐ県に対し、住民の間には「生活再建で手いっぱいだった時期に計画が進められてしまった」との不満がくすぶっている。「夕方来るのが好きなんです。娘たちとも買い物の帰りに立ち寄っていろんな話をしたり」。同市本吉町小泉地区の中島海岸で風を受けながら、菅原圭子さん(48)は、いとおしそうに海を見つめた。震災時、この海岸を二十メートル超の津波が襲った。津波は津谷川をさかのぼり、海岸から約五キロ離れた本吉町津谷地区の菅原さんの自宅周辺も被害に遭った。小泉、津谷両地区で五百七十三戸が流失、五十一人が亡くなった。防潮堤も壊れた。震災直後は防潮堤整備に疑問を感じなかった。県が事業費約二百三十億円をかけて、高さ一四・七メートル、幅九十メートルの防潮堤を建設する案を示したのは二〇一二年七月。その後、七回ほど開かれた住民説明会の開催案内は、菅原さんたちの津谷地区には届かなかった。不安を覚えたのは昨年三月、会員制交流サイトでの議論を見てから。震災では高い防潮堤で海の様子が見えなかったために逃げ遅れた人がいること、震災後ようやく戻ってきた砂浜や生態系が壊される恐れが強いこと…。「避難道を整備して訓練することや、経験を伝えていくことの方が大切では」と思い始めた。しかし、説明会では住民組織の振興会長らが早々に賛意を示し、県は昨年十一月「住民合意が得られた」と結論づけた。防潮堤建設に際して、隣の岩手県は、国が示した高さの基準をたたき台にしながらも、住民の意向や高台移転の計画などを考慮して二十カ所で高さを見直した。同県でまちづくりに取り組むNPO法人東北開墾の高橋博之代表理事(40)は「住民の意見への耳の傾け方が事業の進捗(しんちょく)の差につながっている」と指摘する。菅原さんがメンバーの「小泉海岸及び津谷川の災害復旧事業を学び合う会」は、既にかさ上げして造られた高速道などを防潮堤とみなすことなどを提案してきたが、宮城県の計画に反映されることはなかった。 ◆高校生の意見、説明会で罵声 七月の最終説明会では、着工を急ぐ県の姿勢が際立った。男子高校生が建設に反対する立場で意見を述べると、罵声が飛び、失笑が漏れた。多くの人が意見を言おうと手を挙げたが、県の担当者の「時間切れですのでこれをもって終了いたします」との言葉で会は閉じられた。急ぐ理由を県は「復興の遅れにつながる」とする。だが、菅原さんは「高台移転や避難道の整備などをまずやった上で、それでも防潮堤が必要かどうか検討するべきでは」と疑問を投げ掛ける。宮城県など被災地の知事らは七月、国に集中復興期間の延長を求める要望書を提出した。菅原さんは「復興期間の延長が認められれば、計画見直しもできるのではないか。焦って造ろうとせず意見に耳を傾けてほしい」。仲間らと五百人以上の署名を集め、今月中にあらためて、県知事に申し入れる予定だ。 <被災地の防潮堤建設> 東日本大震災を受け、国は数十年から百数十年に一度の「頻度の高い津波」に対応できるよう整備方針を決定。2011年7月、政府の中央防災会議の方針に基づき、高さの基準を各県に通知した。計画地は東北の被災3県で約450カ所、総延長約400キロ。15年度末までの集中復興期間内の国の予算を使うため、各県は同年度末までの整備を目指している。現在の着工率は宮城県が263カ所中56%、岩手県が134カ所中78%。 *3-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11344637.html (朝日新聞 2014年9月11日) 仮設住まい、今も8.9万人 東日本大震災3年半 東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の49市町村では、プレハブ仮設住宅約4万1千戸に約8万9千人が暮らす。阪神大震災では仮設住宅が5年で解消されたが、東日本大震災では5年を超える見通しだ。復興庁の6月末現在のまとめでは、仮設を建てた市町村のうち、震災から5年となる2015年度までに復興住宅や集団移転地の整備が終わる見込みなのは18市町村。他の市町村について内閣府は「移る先の住宅が整わなければ仮設住宅を1年ごとに延長する」という。被災世帯が最多の宮城県石巻市は、7660戸分の宅地と復興住宅を用意する予定だが、15年度までにできるのは53%。集団移転地の造成が終わるのは17年度と見込まれ、「それまで仮設を残さざるを得ない」と担当者は話す。福島県では、13市町で用地交渉が終わらないなど完成のめどが立たない復興住宅がある。原発周辺地域では除染やインフラ復旧が進まず、仮設に避難する人がいつ帰れるのかもわからない。仮住まいの被災者は、3県で民間借り上げ住宅や公営住宅の「みなし仮設」約3万8千戸にも約9万人いる。仮設入居期間は本来2年。11日に震災発生から3年半となるなか、プレハブ仮設は老朽化が進み、体調不良を訴える被災者もいる。 *3-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140821&ng=DGKDZO75938840R20C14A8MM8000 (日経新聞 2014.8.21) 来年度予算、景気対策に1兆円確保、消費税10%に備え政府検討 政府は2015年度予算で、経済対策に使える予備費を1兆円程度計上する検討を始めた。15年10月に消費税率を10%に引き上げた際に、景気に悪影響が広がらないように機動的に経済対策を実施できるようにする。消費増税は安倍晋三首相が今年12月初めにも最終判断する。安全網をあらかじめ用意して、増税の判断に向けた環境を整える。政府は今月内にまとめる概算要求など来年度予算の編成作業を進めている。今回検討する経済対策予備費は、年度途中に景気が冷え込む場合に備え、財源をあらかじめ用意しておく措置。大規模な公共事業や中小企業向けの補助金など、経済対策のためであれば自由に使うことができる。このため、経済状況にあわせて柔軟に政策を打ち出せるという利点がある。過去には08年のリーマン・ショックを受け、当時の麻生太郎政権が09年度の当初予算に1兆円の経済対策予備費を計上。その後誕生した民主党政権も、日本経済が長いデフレに苦しむなか、同様の費用を予算に組み込んできた。デフレからの出口がようやくみえてきたこともあり、第2次安倍政権は13年度、14年度の経済対策予備費計上を見送った。15年度は年度途中の10月に消費税率を8%から10%に上げる予定がある。消費の落ち込みによる景気の悪化を避けるため、3年ぶりの計上を検討することにした。財政健全化と両立させるため、今回の経済対策予備費は1兆円程度にとどめる見通し。15年度は、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字を10年度比で半減するという健全化目標があるためだ。増税後の景気低迷が予想より大きく予備費だけで足りない場合、14年度予算の使い残しや税収の上振れ分も活用した大規模な補正予算を組むことも別途、検討する。増税を判断する際には足元の景気情勢が重要な材料となる。4月の消費増税による消費の反動減などで、4~6月の実質国内総生産(GDP)が前期比年率で6.8%減少。民間予測では年後半に緩やかな成長軌道に戻る見通しだが、次の消費増税の影響を不安視する声は政権内にも残る。1兆円規模の予備費計上を検討する背景には、景気の下振れに対する安全網をあらかじめ用意することで、過度な悲観論を抑える狙いもある。甘利明経済財政・再生相は20日、都内で記者団に次の消費増税について「ベストシナリオは予定通り上げること」と述べた。増税を見送った場合も「無期限延期はあり得ない」と語った。 ▼予備費 自然災害や急激な景気悪化など不測の事態に政府が柔軟に対応できるよう、あらかじめ使い道を決めずに予算に計上しておく費用。国会審議が必要な補正予算に比べて素早く財政出動でき、使い方は内閣の裁量で決められる。
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2014,08,27, Wednesday
(1)人口減が第一の政策課題ではないだろう
*1-1のように、全国知事会議でも人口減を問題とし、少子化問題を出産減問題に矮小化して議論しているようだが、わが国では、*1-2の広島市安佐南区八木地区のように、扇状地の斜面に這い上がるようにして住宅を建てたり、川の中州に家を建てたりする場合も多く、①人口密度が高くて住宅に適した土地にない住宅が多い ②条件の良い土地は高すぎて買えない ③狭い住宅で暮らしている ④都市の住環境が悪い など、人間の幸福や安全を無視した政策のつけが現われている。 従って、本当の政策課題は、まず、いる人間が、安全で幸福を実現できる住宅に住めるようにすることだが、そのためには、人口密度が高すぎる都市への産業集中から、人口密度の低い地方への産業の移転や産業振興が必要なのだ。 しかし、実際には、人口減が政策課題であるかのようなプロパガンダが多いため、*1-3のように、議会で女性議員が発言した時に、「早く結婚すればいい」「子どもを産めないのか」と言われるような本末転倒で野蛮な事態となっている。これについては、指導的立場に立つ女性を軽視し、女は家で子どもを産み育てるべきだとする男性中心の文化にどっぷり染まっている人は、男女を問わずその異常性に気付かないのだろうが、米議会報告書がセクハラやじに言及し、日本の女性登用戦略に難題があることを指摘しているのが、当たっていて面白い。 (2)今の日本の現実 *2-1のように、今ごろ、「国土交通省が、人手の足りない造船業で女性や高齢者の活用を促す」というのが、日本の女性登用の現実である。しかし、「女性」と「高齢者」を、壮年期の男性より一段劣った二級の働き手として“活用する”という言葉を使って表現するのは失礼だ。何故なら、機械化が進んだ現在では、腕力で勝負する仕事は少なく、女性が船舶の設計、造船、インテリアなどに携われば、できた船の付加価値はより高くなるだろうし、高齢者のニーズは高齢者自身が一番よく知っているため、高齢者も職場にいた方が需要の多い製品を作ることができるからである。 さらに、*2-2のように、産経新聞が、客船セウォル号沈没事故当日の朴大統領の男性との密会の噂に触れ、「名誉毀損で出頭要請を求められたことは理解に苦しむ」としているのは、このブログの2014年8月20日にも記載した通り、日本のメディアが指導的立場に立つ女性を軽視している事例である。 (3)女性閣僚と女性議員 このような中、*3に書かれているように、安倍首相は閣僚や自民党役員の人事で女性の登用を探っているそうで、それはよいことだが、よく名前の出る小渕優子氏は、小渕元首相の娘で選挙に強い以外は、他の女性議員より特に勝っている点はなく、元首相の娘で子どもを産んだからという理由で閣僚になれるのなら、閣僚は誰でもよいということになり、閣僚のポストに重みが無くなる。 なお、日経新聞は、「衆院で当選4回以上、参院で当選3回以上は11人いるが、・・・男性議員からの不満を招く」等とも記載しているが、ここでおかしいのは、議員になった後の年数による年功序列にすれば、能力との相関関係は無いことである。また、女性議員そのものを増やすことも重要だが、女性議員はもともと差別というハードルを超えて難関突破した人であるため、男性議員以上の割合で登用される人がいるのは自然であり、母集団の数に対する割合を見れば、それでも登用された人の割合は小さいのだ。 (4)男女平等の意識について *4-1の「夫の家事参加伸ばすには 妻の褒め言葉大切」という調査結果と記事に、私は、時代遅れで驚いた。何故なら、それは、「家事は本来は女性の仕事だが、機嫌がよければ夫も手伝ってやる」というスタンスだからである。もちろん、性的役割分担をして妻が家事を分担している家庭ならそのとおりだろうが、両方とも必死で働いている家庭では、妻も仕事で疲れて帰って来るため、家には休みに帰って来るのであって、そこで家事をやってもらうために人に気を使っていたら、くたびれて長続きしないだろう。 そのような状況を敏感に感じてか、*4-2のように、福岡市が実施した男女共同参画社会に関する意識調査では、「男は仕事、女は家庭」という考えに肯定的な人の割合が、20年以上続いた減少傾向から初めて増加に転じたそうだ。しかし、九州は、まだ「家事は女性の仕事だが、妻も働いているので少しは夫が手伝ってやる」「家事は女性の仕事なので、妻が働いていても夫は手伝わない」というレベルであるため、とてもやっていられないのかも知れない。 <人口減が問題と称する女性差別> *1-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/84082 (佐賀新聞 2014年7月15日) 人口減に危機感強調、全国知事会議が開幕 全国知事会議が15日、人口減少問題や地方分権改革を主なテーマに佐賀県唐津市で2日間の日程で始まった。山田啓二会長(京都府知事)はあいさつで人口減に関して「少子高齢化の問題が、はっきりわれわれの前に姿を現しているが、国の対策が大幅に講じられたことはなかった。日本は死に至る病にかかっている」と危機感を強調した。会議には42都道府県の知事が参加。農地を工場や宅地に転用する許可権限の市町村への移譲など、分権改革に関する国への提言をまとめる。農地転用に関しては佐竹敬久秋田県知事が「地方に転用の自由度を与えてもらわないと、有効な産業政策が滞る」と述べた。 *1-2:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140827/k10014119141000.html (NHK 2014年8月27日) 土砂災害1週間 死者70人 捜索難航 広島市の土砂災害は27日で発生から1週間になり、これまでに70人の死亡が確認されました。行方不明になっている人は18人に上っていて、警察と消防、自衛隊が3400人余りの態勢で捜索を続けています。今月20日に起きた広島市の土砂災害では、これまでに70人の死亡が確認され、18人が行方不明になっています。現場では警察と消防、自衛隊が27日も合わせて3400人余りの態勢で捜索に当たっています。このうち、被害が大きかった安佐南区の八木地区では時折、雨が降るなか、重機を使って、がれきや大きな石を取り除いたり、手作業で土を掘り返したりしていました。行方不明者の捜索は、雨のため二次災害のおそれがあるとして、26日までに何度も作業が中断しているほか、地盤が緩んでいて安全を確認しながらの作業になっているため、難航しています。地元の気象台によりますと、27日の広島市内は雲が多く、時折、雨が降る天気だということで、警察などは引き続き天気を確認しながら、捜索を続けることにしています。 *1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/93623 (佐賀新聞 2014年8月13日) 米議会報告書でセクハラやじ言及、日本の女性登用戦略に難題指摘 米議会調査局が、女性登用を推進する安倍政権の成長戦略「ウーマノミクス」に関する報告書をまとめたことが13日分かった。女性の社会進出を阻んでいる要因として男性中心の職場文化を分析、セクハラやじ問題にも言及し、「戦略を成功させる上で難題がある」と指摘した。報告書は、東京都議会で女性都議が「早く結婚すればいい」「子どもを産めないのか」とやじを受けたと指摘。国政レベルでも女性議員の割合が小さいとし、「指導的立場に立つ女性を軽視し、彼女らは家にいるべきだとの政治文化が根強い」と強調した。 <日本の現実> *2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140731&ng=DGKDASDF30H0D_Q4A730C1PP8000 (日経新聞 2014.7.31) 造船業、女性活用を 力仕事支える機器普及 国交省支援 国土交通省は人手が足りない造船業で女性や高齢者の活用を促す。未熟練者が技術を学べる研修センターを増やすほか、溶接などの力仕事を支える機器の普及を進める。地方経済を支える造船業が必要な人材を確保できるようにし、安定して受注できる環境を整える。企業幹部や大学教授が参加する検討会を8月1日に立ち上げる。人材確保や育成に関する支援策を同月中にまとめ、2015年度予算の概算要求に必要経費を盛り込む。女性や高齢者の就業を促すため、技術を磨いたり、安全に関する技能を身につけたりする研修センターを増やす。現在は兵庫県と広島県の2カ所にあるが、国交省は数年かけて5カ所以上に増やす考えだ。体に装着して力作業の負担を軽減する「パワーアシストスーツ」の普及も促す。 *2-2:http://mainichi.jp/select/news/20140810k0000m030036000c.html (毎日新聞 2014年8月10日) 韓国:産経支局長へ出頭要請…ソウル地検、大統領記事巡り 韓国の朴槿恵政権が、4月の客船セウォル号沈没事故当日の朴大統領の動静に関する疑惑追及に神経をとがらせている。当日の動静と関連して朴大統領の男性関係についてネット版のコラムで言及した産経新聞には、青瓦台(大統領府)が「民事・刑事上の責任を問う」と表明。9日付の産経新聞によると、名誉毀損の疑いで市民団体からの告発を受けたソウル中央地検は8日、記事を書いたソウル支局長に、12日に出頭するよう求めた。発端は、金淇春青瓦台秘書室長が7月7日に行った国会答弁。大統領が、事故当日の午前10時に書面報告を受けてから午後5時過ぎに対策本部を訪れるまでに「空白の7時間」があることが明らかになった。その後、大統領はその間に24回の報告を受けたものの、すべて書面だったことが分かった。朴大統領は普段から直接聞くより書面での報告を好むとされる。金室長は、秘書官の部屋が大統領と別棟で「少し離れているので」と釈明した。これに関連し、韓国紙・朝鮮日報が同月17日、金室長の答弁で「大統領がひそかに誰かといた、といううわさが出た」と指摘するコラムを掲載。産経新聞(電子版)は今月3日、コラムの紹介に加え、「証券街の関係筋」の話として男性関係をめぐるうわさに触れた。韓国では、名誉毀損容疑での告訴や告発が多く、捜査機関が告発を受ければ、調べを始めるのが一般的だ。 ▽小林毅・産経新聞東京編集局長の話 記事は韓国国会でのやりとりや朝鮮日報コラムの紹介が中心で、記事を理由に名誉毀損容疑で出頭を求められるというのは理解に苦しむ。 <女性閣僚と女性議員> *3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140821&ng=DGKDASFS20H16_Q4A820C1PP8000 (日経新聞 2014.8.21) 女性閣僚 積極登用探る、最多は小泉政権5人 内閣改造、バランス腐心 安倍晋三首相は9月の内閣改造・自民党役員人事で、女性の積極登用を探っている。女性閣僚は歴代内閣で過去最多となる5人を上回る起用を視野に入れ、高市早苗政調会長らの入閣が浮上している。女性の社会進出を推進する姿勢を明確にする狙いだが、男性議員に比べて数が少ない女性議員からの人選は容易ではない。適材適所のバランスに腐心しそうだ。山梨県の別荘で夏休みを過ごす安倍首相が手元に置いて繰り返し熟読している内部資料がある。党内の女性議員の政策的な立場や希望のポストなどを一覧表にしたもので、女性の閣僚候補を選ぶために首相官邸が自民党の各派閥の幹部らを通じて内々に聞き取り調査したものだ。政府は2020年までに指導的地位に占める女性の割合を3割にする目標を掲げる。首相は改造後の内閣でも、18人の閣僚枠で女性比率が3割になるよう6人程度の起用を目指している。しかし、衆参で400人超に上る自民党全体で、女性議員は40人と約1割にすぎない。現内閣では2人の女性閣僚が登用されているが、首相周辺は「男女の議員のバランスを考えれば、6人の女性を起用するという目標達成は難しい」と話す。これまでの検討作業では高市政調会長らの入閣が浮上。党三役に2人の女性を起用した首相は、今回の党役員人事でも女性を積極登用したい考えだ。小渕優子衆院文部科学委員長や稲田朋美行政改革相らを処遇するとの見方が出ている。女性閣僚を巡っては、小泉政権が01年の組閣で田中真紀子外相ら5人を起用したのが過去最多。しかし、このときは5人のうち2人は民間からの登用だった。女性議員の数が大きく伸びているわけでもない中で、今回の改造で一気に5人以上を政治家から起用するのはそう簡単ではない。現在の自民党の女性議員をみると、衆院で当選4回以上、参院で当選3回以上は11人いるが、すでに6人が閣僚を経験済みだ。女性閣僚を大幅に増やすには、閣僚経験者の再登板や若手の抜てきを視野に入れなければならない。女性閣僚を増やせば、女性登用を推進する意味ではアピールする効果は高い半面、党内多数派の男性議員からの不満を招くジレンマもある。特に、第2次安倍政権で初となる今回の改造人事は、衆参で約60人に上る入閣待機組の不満解消を図る狙いもある。能力以上に女性を過大評価しすぎているとの批判が出ないよう適材適所のバランスをどう取るかが鍵を握る。実際、自民党の脇雅史参院幹事長は記者会見で「大事だが、無理は禁物だ。急に結果を求めるべきではない」と女性の優先的な閣僚起用にクギを刺した。政府内にも「女性議員そのものを増やすことに力を入れるべきではないか」との声もある。 <意識調査> *4-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140812&ng=DGKDASDG1102V_R10C14A8CR8000 (日経新聞 201r4.8.12) 夫の家事参加伸ばすには 妻の褒め言葉大切 民間調べ 夫の家事参加を伸ばすには妻の褒め言葉が有効――。旭化成ホームズの「共働き家族研究所」の共働き夫婦の家事に関する意識調査で、妻のひと言が夫の家事意欲を大きく左右する姿が浮かび上がった。意識調査は今年3月にインターネットで行い、999人の回答を得た。共働き世代の中心である30代で、妻に「ダメ出し」をされたことのある夫は79.0%。「洗濯物を畳むとき、へたくそと言われ、二度とやるもんかと思った」「皿洗いをしたとき、用途の違うスポンジを使ったと責められ、悲しい気分になった」など、妻のひと言でやる気を失ったとの声が多く寄せられた。一方、「朝早く洗濯物を干したとき、寒い中ありがとうと言われた」と妻の言葉で家事へのやる気を高めた夫、「子供が喜ぶと言うと(夫は)急にやる気になる」とうまく夫を操る妻もいた。調査担当者は「夫がうれしくなる妻のひと言は、実は妻も夫や子供から言われたい言葉。お互いへの思いやりと感謝の言葉が大切」と話した。 *4-2:http://qbiz.jp/article/42693/1/ (西日本新聞 2014年7月26日) 「男は仕事」「女は家庭」意識逆行? 福岡市の意識調査 「男は仕事、女は家庭」−。福岡市が実施した男女共同参画社会に関する意識調査で、こうした考えに肯定的な人の割合が、20年以上続いた減少傾向から初めて増加に転じた。2013年の調査では、賛成派は女性47・2%、男性56・2%となり、08年の前回調査から女性で15ポイント、男性では20ポイントも伸びた。専門家はこの“揺り戻し”の背景について「働く環境の悪化」を挙げ、懸念を示している。市は13年8〜9月、無作為に抽出した男女計4500人に郵送で調査。1948件の回答があった。市が、男女の固定的な役割分担に関する意識調査を始めたのは1986年。男女雇用機会均等法の公布や女子差別撤廃条約の批准があった翌年だった。当時の調査で「男は仕事、女は家庭」という考えに「同感する」と回答したのは男性では7割超、女性でも6割以上に上った。それ以降、こうした考えに対する肯定意見は年を追うごとに低下していた。ところが2013年調査では一転し、15年前の水準に逆戻りした形だ。内閣府が12年に実施した全国調査でも、1992年の調査開始以来初めて増加に転じている。社会全体の平等感については、全国調査では「男性が優遇」が69・8%で前回(2009年)の71・6%からやや下落したが、福岡市では13年調査で74・5%となり、前回(08年)から1・9ポイント増加した。NPO法人「福岡ジェンダー研究所」理事の倉富史枝さんは福岡市での傾向を「非正規雇用が増え、女性の処遇も改善されない中、『働くよりも家にいるほうがいい』と思う人が増えているのではないか」と分析。「男女共同参画の実現には意識と制度の両方が必要。男性の働かされ方が変わらなければ、状況は変わらない」と述べた。
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2014,08,20, Wednesday
(1)産経新聞の朴大統領をめぐる噂の報道について
*1-1のように、韓国大統領府の尹広報首席秘書官が、「朴大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」と題する記事を掲載した日本の産経新聞に対し、民事・刑事上の責任を問う方針を示したそうである。私も、衆議院議員時代、日本の雑誌や新聞に事実と異なる失礼千万な女性蔑視記事を書かれることが多かったため、朴槿恵大統領には、ここでしっかり闘ってもらいたいと思っている。 これに対し、*1-3のように、産経新聞は、「東京本社にインターネット記事削除の要請があったが応じていない」とし、産経新聞東京編集局長が8月9日の紙面で、「問題とされた記事は韓国国会でのやりとりや朝鮮日報コラムの紹介が中心であり、この記事を理由に名誉毀損容疑で出頭を求められるというのは理解に苦しむ」としたそうだ。また、インターネットでは、「朝鮮日報のコラム書いたやつ逮捕しないの? あれが大元だろ」「言論統制そのもの」「こういうのをファシストと呼ぶ」などといった産経新聞を擁護する書き込みが少なくないそうだ。 一方、中国のメディアは、*1-2のように、「産経新聞がセウォル号沈没後、韓国の朴大統領が7時間以上にわたり行方不明となり、その間、男性と密会していた疑惑を報じた」「日本では、報道をめぐって外国メディアの記者が捜査対象にされるのは異例なのに、韓国政府は感情的になっていると報道された」「朴大統領の当日の行動に関する説明は不十分といった日本のメディアから批判的な声が聞こえている」などとしている。 しかし、産経新聞も、記事にして報道する以上は、内容の真実性に責任を負わなければならないし、韓国国会でやりとりがあったとしても、その書き方には責任がある。また、記事の内容が真実でない場合は、大統領であっても提訴する権利はあり、提訴されたことをもって感情的と逆ギレすべきではない。特に、朴大統領の場合は、「国と結婚する」と言って独身でいる人であるため、この報道によるダメージは大きい上、実際には、(若くは見えるが)62歳の朴大統領が朝9時から変な意味で男性と密会していたというよりは、人と会って秘密にしなければならないような会議をしていた可能性の方が高い。 (2)笹井氏と小保方氏の場合 STAP細胞論文の共同執筆者で、理化学研究所発生再生科学総合研究センターの笹井副センター長(52)が8月5日、先端医療センター研究棟内で首を吊って自殺した。 これを、*2-1では、7月27日に放送されたSTAP細胞問題に関する「NHKスペシャル」で、理研の調査委員会に提出された笹井氏と小保方氏のメールのやりとりのうち、「小保方さん本日なのですが、東京は雪で、寒々しております。小保方さんとこうして論文準備ができるのを、とてもうれしく思います」などの個人的なメールが暴露されたことが原因で、笹井氏は、「交際疑惑までささやかれていた」「すべてを他人の責任にしてリセットできる人は自殺しない。自殺は責任感の極まるところ」などとしているが、この個人メールの内容は、上席研究員が部下の女性研究員に部下を持ちあげる丁重なメールを送ったもので、どう見ても性的な関係のある男女間のメールではない。 そして、*2-2のように、笹井氏が妻と兄に宛てた遺書には、自殺する理由について「マスコミなどからの不当なバッシング、理研や研究室への責任から疲れ切ってしまった」「今までありがとう」「先立つことについて申し訳ない」などの言葉が記されていたそうだ。普通の人はそれまでの仕事の積み重ねによる実績を背景に現在及び将来の仕事のネットワークを作っているものだ。そのため、全てを他人のせいにしたり、リセットしたりできる人は、マッチポンプの記者か役人くらいしかいないにもかかわらず、実績ある人の実績を否定して破滅に追い込み、責任の一端すら感じないメディアや評論家の言動には呆れる。 (3)両者に共通するものは、女性蔑視だ 両者は、活躍している女性を貶めるための下品な性的スキャンダルであるという点で共通している。 朴大統領の場合は、全体として、すでにトップに立っている女性を目障りと感じる者が叩き落とそうとしてでっちあげたものだろう。私は結婚しており、そのようなことに非常に気をつけていたので、衆議院議員時代にそういうケチのつけられ方をすることはなかったが、そのかわりに週刊文春やインターネットによるキャリア・ウーマン叩きの嘘記事で、これまで作ってきた実績をなきものされた。それは、被害者にとっては、過去の被害ではなく、現在の被害であり、未来に影響している被害なのである。 また、小保方氏の場合は、部下としてかわいがってもらわなければ自らの研究が進まない上司である笹井氏とのよい関係を男女関係としてバッシングされたもので、それにより、女性研究者の協力者となった優秀な男性研究者もバッシングされ、「女性研究者と一緒に仕事をするのはこりごりだ」という風潮ができてしまい、こういうことは、男女の機会均等を阻む要因となる。そして、これも、私が公認会計士として働いていた頃、能力を評価して引き上げてくれた男性上司との関係を変に言われたり、たまたま乗り合わせたエレベーターから一緒に降りてきただけで「どういう関係か」と言われたりして、理解ある男性上司の方に嫌な思いをさせることがあったので経験済だ。 そして、このような低レベルで品のない憶測記事は、女性が輝きながら働くのを妨げる敵の一つであるため、必ず駆逐しなければならないと考えている。 <朴大統領の場合> *1-1:http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2014/08/07/0400000000AJP20140807002200882.HTML 【ソウル聯合ニュース 2014/8/7】 朴大統領めぐるうわさ報道 産経新聞に「責任問う」=韓国 韓国青瓦台(大統領府)の尹斗鉉(ユン・ドゥヒョン)広報首席秘書官は7日、「朴槿恵(パク・クネ)大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」と題する記事を掲載した日本の産経新聞に対し、民事・刑事上の責任を問う方針を示した。この記事は朝鮮日報のコラムと証券街の情報などを引用し、朴大統領の私生活に関するうわさを報じており、外国のマスコミが他国の首脳を侮辱したと物議を醸していた。尹秘書官は「口にするのも恥ずかしいことを記事にした。うそを書いて読者を増やせるのかもしれないが、とことんまで厳しく対処していく」と述べた。また、市民団体がすでに産経を告発したことも明らかにした。これと関連し、最大野党・新政治民主連合の安敏錫(アン・ミンソク)国会議員は同日の人事聴聞会で、社会副首相兼教育部長官に指名された黄祐呂(ファン・ウヨ)氏に対し「朴大統領が所在不明だった7時間の間に何らかの不適切な行為をしたといううわさを産経が掲載した」と述べた。また「もしもわれわれが日本の首相や天皇について同じような記事を書いたなら、(日本は)黙っているだろうか。プライドもないのか」と追及した。 *1-2:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140820-00000031-rcdc-cn (YAHOOニュース Record China 2014年8月20日より) 産経の朴大統領報道、韓国検察は「重罪」を検討、日本では「韓国は感情的」と反発の声―中国メディア 2014年8月20日、環球時報(電子版)は「韓国、産経記者に重罪を検討」と題し、産経の朴槿恵(パク・クネ)大統領報道に関して、韓国検察側の姿勢と日本メディアの反応を伝えた。産経新聞は今月3日、セウォル号が沈んだ当日の朴大統領の動向について、韓国紙・朝鮮日報のコラムなどを引用しながら、「朴大統領が7時間以上にわたり行方不明となっていた。その間、男性と密会していたのではないか」という疑惑を報じた。同報道に韓国は国家元首の名誉棄損と批判し、18日には産経新聞のソウル支局長・加藤達也氏がソウル中央地検で事情聴取を受けた。韓国・国民日報によると、検察側は加藤達也氏に対し情報通信網法の名誉毀損罪の適用を検討している。同罪が適応されれば、7年以下の懲役、10年間の資格はく奪または5000万ウォン(約500万円)の罰金が言い渡される。一方、韓国の検察側の姿勢に日本メディアからは批判的な声が聞こえている。日本では、「報道をめぐって外国メディアの記者が捜査対象になるのは異例。韓国政府は感情的になっている」「朴大統領の当日の行動に関する説明は不十分」といった報道が見られた。 *1-3:http://www.j-cast.com/2014/08/09212789.html (Jcastニュース 2014/8/ 9) 産経新聞ソウル支局長に出頭要請 朴大統領めぐる報道で「名誉毀そん」の疑い 産経新聞がインターネットに掲載した記事で韓国の朴槿恵大統領の名誉を毀そんしたとの市民団体の告発を受けて、ソウル中央地検が同社ソウル支局の加藤達也支局長(48)に事情聴取のため出頭するよう求めたことがわかった。産経新聞は2014年8月9日付朝刊で、加藤支局長が12日に出頭するよう求められていることを明らかにした。8月3日、「MSN産経ニュース」に掲載された「追跡~ソウル発 朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」の記事が問題視されている。 ●「名誉毀そん容疑で出頭。理解に苦しむ」 記事は、4月16日に起きた旅客船・セウォル号の沈没事故の当日、朴大統領の姿が7時間にわたって確認できなかったことをめぐり、その間の行動などに韓国国内で論議が高まっているという内容。セウォル号事故などをきっかけに、6割前後だった朴大統領の支持率が4割に落ち込んだことを引き合いに、「こうなると吹き出してくるのが大統領など権力中枢に対する真偽不明のウワサだ。こうした中、旅客船沈没事故発生当日の4月16日、朴大統領が日中、7時間にわたって所在不明となっていたとする『ファクト』が飛び出し、政権の混迷ぶりが際立つ事態となっている」との書き出しではじまる。韓国の国会内での議論やうわさ、地元紙、朝鮮日報に掲載されたコラムなど公開されている情報をもとに、それらを紹介するかたちで書かれている。ウェブサイトへの掲載後、産経新聞には韓国大統領府からソウル支局に抗議があったほか、在日本韓国大使館から東京本社に「名誉毀そんなどにあたる」として記事削除の要請があったが、同社は記事の削除に応じていない。小林毅・産経新聞東京編集局長は8月9日付の紙面で、「問題とされた記事は韓国国会でのやりとりや朝鮮日報コラムの紹介が中心であり、この記事を理由に名誉毀損容疑で出頭を求められるというのは理解に苦しむ」とコメントしている。インターネットでは、「朝鮮日報のコラム書いたやつ逮捕しないの? あれが大元だろ」「言論統制そのもの」「こういうのをファシストと呼ぶ」などといった産経新聞を擁護するカキコミが少なくない。 <笹井氏と小保方氏の場合> *2-1:http://news.livedoor.com/article/detail/9122028/ (livedoor NEWS) 笹井氏悲劇の裏に「裏切りリーク」「小保方氏とのメール暴露」 笹井芳樹悲劇の裏には一体、何が!? STAP細胞論文の共同執筆者で、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB=神戸市)の笹井芳樹副センター長(52)が5日、同センターの施設が入る先端医療センター研究棟内で首をつっているのが発見された。現場には遺書が残されており、自殺とみられる。同論文主著者の小保方晴子研究ユニットリーダー(30)も大きなショックを受けているという。それにしても日本有数の再生医学の権威は、なぜ死に場所にあえて研究棟を選んだのか?理研の広報室などによると午前8時40分ごろ、笹井氏が首をつっているところをセンター関係者が発見。ただちに警察と消防に通報し、隣接する神戸市立医療センター中央市民病院に運ばれたが、午前11時3分に死亡が確認された。現場状況から事故や他殺の可能性はないという。5日午後、笹井氏の自宅に人の出入りはあったものの、報道陣への応対はなかった。笹井氏は遺書とみられる書面を4通残し、3通が自殺現場にあった。小保方氏宛てのほか、部下やCDBの竹市雅俊センター長(70)への謝罪、さらに理研の関係者宛てに、残された家族に対してのことが書かれていたという。また、笹井氏の研究室内にある秘書の机には、総務課長らへの遺書があったという。関係者によると、小保方氏宛てのものには「STAP細胞を再現してください」という趣旨の言葉が記されていた。ノーベル賞候補と称されたこともあるエリート研究者の自殺の裏側には何があったのか。理研の関係者は「笹井さんは裏切られたと話していました」としてこう語った。「笹井さんは味方も多いが、敵も多かった。その反笹井派がやったNHKを筆頭にしたマスコミへのリークが度を越えていた」。度を越えたリークとは、個人的なメールの暴露で、それもかなりひどい状況だったようだ。理研から与えられたアドレスで小保方氏と行ったやりとりが、調査で公表していない部分まで全て漏れていたというのだ。笹井氏は6月に「自分が出したメールがバラまかれている。その内容をコピーしたものを添えて、私をバカにするような内容のメールが届いた」と、あるジャーナリストに明かしていた。確かに先月27日に放送されたSTAP細胞問題に関する「NHKスペシャル」では、理研の調査委員会に提出された笹井氏と小保方氏のメールのやりとりが放送された。「小保方さん本日なのですが、東京は雪で、寒々しております。小保方さんとこうして論文準備ができるのを、とてもうれしく思います」と男性のナレーションで笹井氏のメールを紹介。続けて女性の声に変わり「また近いうちにご相談にうかがわせていただけないでしょうか」との小保方氏のメールが、画像をバックに読み上げられた。「騒動が過熱してからは笹井さんも小保方さんも理研のアドレスを一切、使用しなくなった。メールの盗み見とリークについては、小保方さんも笹井さんも『そんなことまでするのか』と疲弊していました」(前出の関係者)。ましてや2人には交際疑惑までささやかれていたから、なおさらだ。理研内部の何者かの裏切りリークに心を痛めつけられたことが、自らの命を絶つ引き金になった可能性は否定できない。自殺場所として選んだのは、自宅でもなく、研究拠点である発生・再生科学総合研究センターでもない。自分の研究室がある先端医療センター研究棟2階でもなく、iPS細胞の研究もしている先端医療センター研究棟5階の階段部分だった。メールをリークした裏切り者へ「なぜそこまでする?」という抗議の意図があったのだろうか。精神科医の東京・銀座泰明クリニックの茅野分(ちの・ぶん)院長は、こう指摘している。「STAP細胞やiPS細胞の研究をしていた場所で自殺をしたのは、内心STAP細胞が本当にあるのかと疑問に思いつつも、わが命を懸けてでも最後の責任を取り、誠意を表したいと思ったのでは。殉死したという印象。武士の切腹に近いものを感じる」。また、一方で「すべてを他人の責任にしてリセットできる人は自殺しない。自殺とは責任感の極まるところ」と茅野氏は、笹井氏の自責の念が自殺という選択肢を引き出してしまったのでは、ともみている。笹井氏が心理的なストレスで3月に入院していたことも、5日に明らかにされた。本紙もその当時、笹井氏の精神不安を報じている。小保方氏も大きなショックを受けており、騒動の発端となったSTAP細胞論文に影響も出そうだ。自殺で失ったものは計り知れない。 *2-2:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140812-00000107-mai-soci (毎日新聞 8月12日) <笹井氏自殺>家族宛て遺書も 遺族「絶望しか見えない」 STAP細胞論文の著者の一人で、自殺した理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の笹井芳樹副センター長(52)の遺族の代理人弁護士が12日、大阪市内で記者会見し、家族宛ての遺書の概要を明らかにした。自殺する理由について「マスコミなどからの不当なバッシング、理研や研究室への責任から疲れ切ってしまった」との趣旨の記述があったという。代理人の中村和洋(かずひろ)弁護士によると、遺書は妻と兄宛て。いずれも「今までありがとう」「先立つことについて申し訳ない」などの言葉が記されていた。笹井氏の状況について、遺族は中村弁護士に「論文の疑惑が指摘された今年3月ごろから心労を感じていた。6月にセンター解体の提言を受け、相当ショックを受けていた。精神的に追い込まれ、今回の事につながった」と話したという。遺族は中村弁護士を通じて出したコメントで「突然の出来事を受け入れることができずにいます。今は絶望しか見えません」と心境を明かした。理研の職員や研究者には「おわびのしようもありません。一日も早く、研究・業務に専念できる環境が戻ることを切に願うばかりです」としている。 PS(2014.8.22追加):*3に「科学論文ではどんな仮説を立て、実験でどう検証し、結論に至ったかを具体的なデータを示し理路整然と説明しなければならない」と書かれているが、それは科学論文だけではなく、新聞記事でも同じだ。にもかかわらず、日経新聞を筆頭とする日本の新聞は、消費税増税、原発事故、年金削減の影響などについて、具体的なデータを出して理路整然と説明することなく、意図的に政策誘導している役所の広報をまる写しして嘘の多い報道をしているため、このようなことを書くとおこがましいのだ。新聞等のメディアがこのような報道しかできなければ、国民は、選挙権のある主権者として当然持っておくべき知識や情報を知ることができず、民主主義が形骸化するので、問題なのである。 なお、「万能細胞はES細胞か、iPS細胞しかありえない」と考え、そのための証拠探しに時間を費やすような研究者は、これまでの常識にとらわれすぎて常識を覆すような大発見はできない。しかし、ES細胞やiPS細胞も最初は常識を覆す大発見だったのであり、できないという考えをいくら述べても、科学の進歩を妨げこそすれ、世の中の役には立たない。 *3には、「笹井氏は、嘘は避けつつ曖昧さの残る書き方が目立つ」とも書かれているが、ES細胞やiPS細胞も最初の論文からすべてPerfectにわかっていたわけではなく、新事実を発見して実用化していく場合には、段階的に解明していくのが当たり前だ。なお、新聞は、データを無視して平気で嘘を書いているため、「研究者は嘘は書かない」という点を見習うべきである。 また、「笹井さんほどの人が、なぜ小保方氏以外にも再現実験させなかったのか」とのことだが、第一線の研究所では、(女性であれ、男性であれ、また年齢がいくつであれ)研究者が自らの研究者生命を危うくするような捏造データを出してくるとは疑わないのが普通であり、そのような画期的な発見について他の研究者に再実験をさせると、秘密を守れない可能性があるとともに、誰が(教科書に載るような)最初の発見者かわからなくなってマナー違反であるという理由が考えられる。 *3:http://www.nikkei.com/article/DGXLZO75986690S4A820C1SHA000/?dg=1 (日経新聞 2014.8.22) STAP、悲劇防ぐためにも徹底究明を(真相深層) 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の笹井芳樹副センター長が自殺し、STAP細胞の論文不正を巡る真相究明が危ぶまれている。笹井氏は最初から、いくつかの不自然な点に気づいていたともいわれる。残されたデータや共同研究者らの聞き取りをもとに、論文作成の経緯を丁寧にたどる必要がある。 ■論文の土台に 「ひどい書き方だった」。英科学誌「ネイチャー」に載った小保方晴子研究ユニットリーダーが数年前に書いた論文を見た研究者は振り返る。笹井氏の指導を受けて見違えるほどよい出来栄えに仕上がり、ネイチャー論文の土台となった。科学論文ではどんな仮説を立て、実験でどう検証し、結論に至ったかを具体的なデータを示し理路整然と説明しなければならない。笹井氏はSTAP細胞の存在を示す画像やグラフをそろえるよう小保方氏に次々と指示、同氏は手際よくデータを出したとみられる。画像などの出どころはチェックされないまま作業は進んだ。「笹井さんほどの人が、なぜ詳しく検証せず、小保方氏以外にも再現実験させなかったのか」と、笹井氏と仕事をした経験のある研究者は首をかしげる。ネイチャーのSTAP論文は2本ある。発表当初、多くの研究者が驚いたのは、笹井氏が責任著者の一人となった短い方の論文の冒頭にある画像だ。STAP細胞から作ったとされる胎児マウスの体、それを包む羊膜、胎盤などがすべて緑に光っているように見えた。緑の光はSTAP細胞があらゆる組織に育ったことを示す証拠となる。胚性幹細胞(ES細胞)など他の万能細胞は羊膜や胎盤を作らないとされており、笹井氏らは記者会見などでこの画像をもとに、STAP細胞の優れた性質を強調した。論文の不正が明らかになりSTAP細胞の存在が揺らいでからも、この画像は謎とされた。STAP細胞が作られていなかったとしたら、なぜ胎盤や羊膜が光ったのか。 ■謎残されたまま 医科学系の若手研究者は「ES細胞を使った場合でも光って見える可能性がある」と指摘する。ES細胞は羊膜の一部にはなれる。胎盤にある母体から入った細胞や血管も光り、論文の画像のように見えることもある。論文はES細胞が胎盤部分に見いだされるのは「まれ」と記述し、これらに「ならない」とは書いていない。STAP細胞は胎盤や羊膜などに「寄与した」としながら、どこにどう寄与したかは明記していない。嘘は避けつつ、あいまいさの残る書き方が目立つ。笹井氏は画像がSTAP細胞の万能性を示す証拠として「弱い」と気づきながら、問題点をオブラートで包むように慎重に書いたのではないかとの見方が出ている。STAP細胞の主張が虚構だったのかを知るうえで重要な点だ。ES細胞を使って実験し、詳しく検証する必要がある。もう一方の論文の謎も残る。マウスの血液細胞から作った「STAP幹細胞」に、もとの血液細胞の「痕跡」があることを示す遺伝子解析データがないことだ。これでは、成熟した細胞が受精卵に近い状態に戻り「初期化」したといえない。CDBの自己点検検証委員会は笹井氏らが論文発表前にこの問題を話し合った事実をつかんだ。「論文の一番の弱点だ。引き返すチャンスはあった」と委員長を務めた鍋島陽一・先端医療振興財団先端医療センター長は残念がった。笹井氏は細胞の一部を新しい培地に移すことを繰り返すうちに痕跡が消えたと解釈し、詳述を省いた。重大な問題を素通りするよう笹井氏をせき立てたのは何か。論文掲載が年度内に間に合わないと、予算上の不都合があったのか。米国で特許出願し、内容が既に公開されていたために競争を意識して急いだのか。笹井氏は論文撤回に抵抗した共同研究者のチャールズ・バカンティ米ハーバード大学教授との交渉の窓口にもなっていた。特許問題などを巡り、どんなやりとりがあったのか。「笹井氏はCDBを守るために犠牲になった」という声を若手研究者から聞いた。STAP論文ができた経緯を深追いしない空気も出ているようだが、逆だろう。悲劇を繰り返さないためにも詳細な調査が必要だ。
| 男女平等::2014.7~2015.5 | 05:48 PM | comments (x) | trackback (x) |
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2014,07,15, Tuesday
*2-2より 2014.7.14日経新聞より *1-1より (1)その男性中心の価値観が、働く女性をやりにくくしているのである *1-1に、「男性は女性に比べ、ためらうことなく叱っている。(女性の)私にはなぜできないのか」などと女性管理職は部下を叱ることすらできないように表現されているが、これがまさに男性目線の偏見で、女性に失礼であり、女性管理職を少なくしている原因でもある。 わかりやすい例を挙げれば、帝王切開を新人の産婦人科医にさせようとしたところ、必要な検査をやっていなかったり、間違った薬を使おうとしたりすれば、「馬鹿!何してる!そのくらい勉強しておけ!」と上司である医師から叱られるのは、男性医師でも女性医師でも同じだ。また、上司である医師が男性であっても女性であっても、短時間で必要なコミュニケーションを行う言い方に大きな違いはなく、ここで、女性上司の叱り言葉にくねくね文句を言ってすねるような人は、男性であれ、女性であれ、見込みがない。つまり、叱られるようなことをした人は、周囲に迷惑をかけたことを反省して次から失敗しないようにするのが筋であり、これは、真剣にやらなければならない仕事ならどれも同じだ。 しかし、*1-1に掲載されている上の右図では、女性上司に対しては、「感情に左右されやすい」「言葉がきつすぎる」「具体策が提案できない」「ねちねちしている」という女性蔑視の先入観をさらけ出し、男性部下には、「プライドを傷つけないよう叱るべき」「期待しているから叱るという気持ちを見せるべき」と男性優位を肯定するように仕向けている。誰が考えてもわかるように、プライドを傷つけられては困るのは女性も同じであるし、仕事で期待されたいのも男女とも同じである。そして、期待していない相手に重要な仕事をさせたり、失敗しても時間をかけて叱ったりするなどという暇な職場は滅多にない。また、失敗して叱られた時に、叱られた人が叱り方に文句を言う筋合いがないのも、どちらが男女でも同じである。 (2)女性のリーダーが少ない理由 *1-2で佐々木成江准教授が述べているように、「女性が社会進出できない理由を子育て問題に落とし込まれ、幹部に女性が少ないことが根本問題なのに、そこに目が向かない」というのは、私も全く同感だ。そして、幹部に女性が少ない理由には、*1-1のように、既に上司になった女性に対しても、リーダーの資質と矛盾する偏見があり、その偏見を含んだ“評価”や部下の態度が女性上司をやりにくくしているにもかかわらず、メディアを中心とする社会は、まだこのような宣伝をしているということがある。 それに加えて、STAP細胞という大発見の可能性にかけた小保方さんの採用を杜撰と指摘したり、「50~60代の男性研究者は(若い女性に)免疫がない」「若さやかわいさが(採用の)大きな要因になった」などとしているのも、「免疫」とは人間に対して悪さをするウイルスに対する防御機構であるため、人間の女性に対して使うのは女性を侮辱している上、「能力ではなく、若さやかわいさで採用された」というのは、採用した人とされた人の両方を侮辱している。 私は、大人であるにもかかわらず小学生のようなスカートをはいてかわいさを演出していた小保方さんを素敵な女性だとは思わなかったし、研究室で割烹着を着ている小保方さんがよいとも全く思わなかったが、超男性社会で働く女性は矛盾した男性の要求にも答えざるを得ないため、小保方さんも苦労していただろうとは思った。しかし、そのようなこととは関係なく、私は、STAP細胞に目を付け、(たぶん)発見した才能は認めるべきで、そういう人材に替えはないと考えている。つまり、女性研究者も才能と実績で公正に評価される時代が来るべきであり、朝日新聞社会部の女性記者が、一連の報道について、「これって男目線じゃないですか」と再考を求めたのは、少し進歩だと感じている。 なお、*1-2に、「日本では、男性社会で頭角を現す女性は男っぽく、プライベートを犠牲にしているとのイメージが作られてきた」と書かれているが、逆に「幸せに結婚し続けている女性は、仕事の能力がなく社会で活躍していない」というイメージも作られており、どちらも働く女性をやりにくくしている。 (3)2020年までに指導的地位の女性比率を30%以上とする政府の目標は少ないくらいである 今まで意見を言ったり意思決定したりする女性が少なかったのを増やせば、生活に密着した新しい市場が開けるため、*2-1の「女性の力、成長の礎」というのは本当である。しかし、「まだ眠っている」というのは、これまで少人数で頑張ってきた女性に対して失礼だ。 なお、「出生率の低迷」自体を問題にする記事も多いが、子どもを持つのは権利であって義務ではないため(世界の常識)、女性が速やかに昇進するなど、仕事で安定して金銭的余裕ができていれば、家事を外部化することができて出生率も上がるだろう。しかし、仕事において女性を差別しないことは、憲法では「基本的人権の尊重」であり、男女雇用機会均等法でも1985年から明記されていることであって、出生率の回復が目的ではない。 そのような中、*2-2のように、安倍政権は女性の活躍を新しい成長戦略の柱の一つと位置付け、経団連の榊原会長は会員企業約1300社全てに行動計画の策定を要請して、12月に公開するそうだ。政府が、国、地方自治体、企業に対して女性幹部登用の目標や行動計画の策定を義務付ける新法案を国会に提出する方針なのはよいと思う。 ただ、1999年から施行されている改正男女雇用機会均等法では、「採用・配置・昇進・退職において女性を差別してはならない」と義務化されているのに、経団連の女性の活躍推進委員会委員長が、「企業や業種によって男女の採用人数などが異なり一律の対応は難しい」と説明したのは、これまでそれらの企業が15年間にもわたり、違法行為をしてきたことを暴露しているものである。 これに対し、厚労省の労働基準監督署は、残業代の不払いや長時間労働については変に強く“監督”してきたが、企業の女性差別を男女雇用機会均等法に基づいて指導監督することはあまりなく、「女性だからという理由で差別した場合は、・・・」としていた。しかし、差別するのに女性だからという理由をつけて差別する企業はないため、実質的には、雇用における女性差別は野放しだったのである。 なお、現在、自動車は、男性中心のユーザーから多くのユーザーが女性の時代となった。そのため、女性が必要と考える機能や女性好みのデザインは女性市場で勝つためのKeyになり、それを実現するためには、意思決定できる立場に女性がいるのがよいため、*2-3のように、トヨタ自動車が数値目標を掲げたのは当然だ。しかし、*3のように、高島屋、資生堂、セブン&アイ・ホールディングス、航空会社、積水ハウス、家電、銀行など、顧客にも従業員にも女性が多い企業で、これまで女性管理職が30%もいなかったというのは、その方が不思議であり、どれだけ女性差別をしていたのかと思う。 *2-2や*3のように、「女性の登用には、男性も働き方の意識改革が必要」「長時間残業体質からの脱却が必要」などと言われることは多いが、女性であれ、男性であれ、医療関係者や運転手など、通常の時間外に働かなければならない職種は多い。そのため、必要な残業はしなければならないが、効率の悪い働き方をして不要な残業をしていたのであれば、それは企業にとっても過大なコストになっていたのだから、それこそ速やかに変えるべきである。 *3には、「人口減少で働き手が少なくなったので、女性の活躍を促す取り組みに経済界が本腰を入れ始めた」とも書かれているが、働く権利や職業選択の自由は女性にもあり、性別で差別してはならないことは、日本国憲法や男女雇用機会均等法で定められている。そのため、そこを出発点にすべきだ。しかし、「女性の活躍推進は女性だけのためではなく、企業の競争力を左右する」というのは本当なので、両性とも敬意を払われて気持ちよく働けるようにすべきなのであって、「女性は一時的な補完労働力だから、踏みつけにしてもよい」という考えは論外だ。 最後に、*3には、「女性管理職を増やす過程で、昇進の機会を逃す男性から反発が出る」「登用された女性の能力が適正に評価されないという不満が出る」などのため、女性登用は定着までに一筋縄ではいかないと書かれているが、これまで学校教育・採用・配置・研修・昇進で女性を差別して男性の機会を確保してきたのだから、30%程度のクウォータ制で男性から反発される理由はなく、これまでの差別の補完程度であると考える。そのような事情なので、女性差別がなくなるまで一時的にクオータ制を導入しても逆差別にはならないだろう。 <日本で女性リーダーが少ない原因> *1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140714&ng=DGKDZO74180030S4A710C1EL1P00 (日経新聞 2014.7.14) あなたの叱り方、大丈夫?男性は相手見下す態度禁物 女性は感情抑え具体策示そう 仕事では上司に叱られたり、部下や後輩を叱ったりする場面がつきもの。どちらの立場でも心に負担を感じやすい。ただ、男性と女性で叱り方やその受け止め方には違いがあるとか。違いを知って、後の関係に響かない叱り方を考えよう。東京都内のパン店店長のA子さん(40)は部下らを叱ることが苦手。叱った後に関係がぎくしゃくするのがいやだからだ。感じているのは自分と男性の違い。「男性は女性に比べ、ためらうことなく叱っている。私はなぜできないのか」。医師で作家の米山公啓さんは、男女の特性の違いによると説明する。「男性は勝つことや白黒つけることに快感を覚えがち。叱ることもそのひとつ。一方、女性は迷っていることの答えをはっきりさせたがらない傾向がある」。叱る行為は他人の失敗に「こうすべきだった」と答えを示すこと。そのため難しさを感じる女性がいる、というわけだ。では、苦手な人はどうすればいいか。男性を叱る場合は、相手が納得できる答えを用意するのがポイント。叱る前にじっくり失敗の原因を見極め、防ぐ方法を具体的に伝えることが必要だ。逆に、女性を叱る場合はいきなり答えを示すのは避けた方がよさそう。「女性が求めるのは答えより共感。『こうしろ』ではなく『大変だね』と言う。一緒に悩んであげることが大切」と米山さんは助言する。女性は叱る際に注意したい傾向もある。言葉がきつくなる人が目立つのだ。(以下略) *1-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11231422.html (朝日新聞 2014年7月9日) 女性のリーダー、なぜ少ない STAP報道を見て、名古屋大学大学院生命理学専攻の佐々木成江准教授は「ようやく女性研究者の活躍が目に見える形で出た」と喜んだ。同じ専攻に4人の女性研究者がいる。報道後、地元テレビから「理系女子(リケジョ)の活躍を取材したい」と依頼された。森郁恵教授は即座に応じた。「女性研究者で脳研究拠点を作る計画があり、リケジョブームを利用しようという気持ちがあった」と正直に打ち明ける。取材を受けた森さんと佐々木さんはカメラの前で「画期的な成果」と褒めちぎった。論文不正が明らかになると、2人は「科学者として反省しています」。このせいばかりでなく、番組はいささか後味の悪いものになった。子育てと両立する大変さがことさら強調されていたからだ。10歳の娘がいる佐々木さんは「こうやって、女性が社会進出できない理由が子育て問題に落とし込まれる。(組織の意思決定をする)幹部に女性が少ないことが根本問題なのに、そこに目が向かない」と嘆く。森さんは番組で「結婚も出産もせずにきた」ことがクローズアップされた。1998年に名大助教授になり、2004年に教授に昇格した。「紅一点」状態が変わったのは07年。女性を増やすという国の方針もあり、名大が「女性に限る」公募を始めてからだ。体内時計研究で朝日賞を受けた近藤孝男・名大特任教授は「通常の公募の時は低かった応募女性の研究レベルが、女性限定にしたらガンと上がった」。なぜだろう。公募に応じ、11年に36歳で教授になった上川内あづささんは「『女性のみ』という条件は、応募する気持ちを後押ししてくれた。その条件があることで、自分を候補として認識したと思う。それがなければ、公募情報を見過ごしていたかもしれない」という。これまでの男性中心の採用状況から「応募しても無駄」と、挑戦する前にあきらめてしまう女性が少なくないことをうかがわせるエピソードだ。日本の女性研究者比率は14%。米国の34・3%の半分にも満たない。准教授、教授となるにつれて女性比率は下がる。名大でも女性教授は47人、7・2%だ。92年に理系で初の東大教授となった黒田玲子東京理科大教授は、昔は露骨な差別があったと言う。「公募で東大助教授に選ばれた時は、女に男の学生を教えられるのかと言われた」。今はそんなことを誰も言わない。だが、女性リーダーは少ない。女性限定の公募が必要なのは、日本がまだ過渡期にあるからだ。 ■ずさんな採用、「差別」と同根 STAP細胞の研究不正を検証した、外部の有識者でつくる改革委員会(岸輝雄委員長)は、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の小保方晴子氏の採用を「信じ難い杜撰さ」と指摘した。過去の論文を精査しないなどさまざまな手続きを省略、人事委員会の面接だけで内定したからだ。改革委のメンバーの一人は「理研から見せてもらった書類を総合すると、間違いなく普通ではない人事のやり方がなされたと言える」。人事の焦点が、STAP細胞という大発見の可能性にあったのはもちろんだ。しかし採用に加え、その後の論文のチェックの甘さなどには、彼女の年齢や容姿が影響した、と複数の委員は見る。「50~60代の男性研究者は(若い女性に)免疫がない。若さやかわいさが大きな要因になっていた」。ある委員は語った。CDBには高橋政代氏ら女性の研究室主宰者(PI)が6人いる。32人中19%を占めるが、採用担当の人事委員会の委員7人は全員男性だ。2012年のPI公募で、47人の応募者からの採用は女性2人、男性3人。採用審査には通常賛否両論が出るが、小保方氏の場合は全員が賛成した。採用側に女性がいたら? ある委員は「女性、たとえば高橋(政代)さんらがいたら(採用段階で問題点を)見抜けたかもしれない」という。当の高橋氏は「かわいい小保方さんじゃなかったら、ずいぶん経過は変わっていただろう」と4日の記者会見で語った。改革委の岸委員長は、調査を通じ「男性が女性をフェアに扱っていないと感じた」という。自分自身の研究生活でも、女性の同僚はほとんどいなかった。今回の改革委には2人の女性がいたが、「2人は、審査なしで採用するのは女性を侮辱していると、男性たちに怒っていた」と話す。女性の登用を増やす措置は必要だが、ずさんな審査での特別扱いは別だ。「隠れた意識」はここでは、特別扱いに形を変えた。差別と同根と言えるかもしれない。委員の市川家國信州大学特任教授はこう言った。「振り返ってみれば、女性を対等に扱わない日本の文化が、一連の経過のすべてに表れたようにも見える」 ■人物像の報道、どこまで必要 今年5月。予備校講師の林修氏がキャスターの番組に、朝日新聞のデスクが出演した。林氏はSTAP騒動の報道について「すごいニュースだが、かっぽう着などは不必要な報道だったのでは?」と質問した。報道を振り返る。STAP細胞発見を知らせる1月30日の新聞では、全国紙すべてが理研が公開した研究室での、小保方氏のかっぽう着姿の写真を載せた。科学というとっつきにくい分野に読者に関心をもってもらうため、人物に焦点をあてるのは工夫の一つだ。翌日からはテレビ、週刊誌をはじめ、STAP細胞そのものより、小保方氏自身や人物に焦点を当てた記事や番組も増えていく。捏造疑惑が持ち上がり、小保方氏が開いた4月9日の記者会見を報じた記事で、新聞各紙は写真を大きく扱った。9日の夕刊最終版は各紙すべてが1面に潤んだ目でマイクを持つ小保方氏のアップ写真を掲載。多くのテレビ局が小保方氏の会見を生中継した。朝日も地方に配達する10日付の朝刊の締め切りの早い版(東京本社発行)では、社会面トップ記事に彼女のさまざまな表情を追った4枚の写真を据えた。しかし、社会部の女性記者(31)は「これって男目線じゃないですか」と再考を求めた。様々な世代の男性からも異議が上がった。一方で、2時間半の会見では、最大の当事者である彼女がどのような表情をするのかも注目された。それを伝えるのは新聞の役割で、止めるのは変な抑制という議論もあった。結局、東京本社では小保方氏の姿を遠景で撮った写真1枚に差し替えた。 ■「活躍する女性」への思い込み 武田徹・恵泉女学園大教授(メディア論)の話 先端科学は報道で伝えるのが難しい。図解しても直感的にわかりにくい。科学者の人となりを紹介して興味を持ってもらうやり方はある。iPS細胞を開発した山中伸弥・京都大学教授の時も、「マラソンが趣味」との報道があった。だから、当初、小保方氏の人物報道に重点が置かれたことは仕方がない面もある。しかし、小保方氏の写真が大きく何枚も報じられ続けたのは異例だった。それは「若い女性」が科学技術の世界にいて、ああいう成果を出すことを意外に感じる、そういう文化に私たちが生きているからだ。それは根拠のない思い込みだ。戦後の日本では、男性社会で頭角を現す女性は男っぽく、プライベートを犠牲にしているとのイメージが作られてきた。メディアもいわば共犯関係。相当気をつけないとその文化に乗っかって報道してしまう。 ◆2月2日の朝日新聞3面(東京本社版)「キスでお目覚め『お姫様細胞』」。STAP細胞の作り方を説明した小保方氏自身の言葉に着目したものです。紙面内容を決めるデスク会に出ていた私は、若くてかわいい女性だからこその取り上げ方のように感じました。が、口にしませんでした。私の所属は政治部、男性中心の職場です。東京本社も、デスク会に出席する女性は1割未満。言っても無駄と最初からあきらめていたからです。心にずっとそれがひっかかっていました。今回、「隠れた意識」をテーマにしました。社内にもいろいろな意見があります。この問題はそう単純ではありません。だからこそ取り上げることにしました。これから年間を通じて、女性男性を通じたさまざまな視点から、社会を切り取っていきます。 ◆この企画への感想、ご意見をjosei@asahi.comまでメールでお寄せ下さい。 <女性の管理職登用目標> *2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDZO73503900Y4A620C1M10900 (日経新聞 2014.6.29) 「Wの未来 世界が競う」 女性の力、成長の礎、日本と世界各国をデータで比較 リーダーを任せよう まだ眠っている女性の力を引き出し、経済成長につなげようと、世界の先進各国がしのぎを削っている。そこには出生率の低迷という共通の課題も横たわる。だが、女性の活躍ぶりやそれを支える環境で、日本はどこを取っても世界に大きく後れをとっている。女性が力を発揮できているか――。就業者に占める女性の割合を見ると、ほかの多くの先進国よりも低いが大きく水をあけられているというほどではない。ただ非正規雇用率が高く、管理職で見ると、ほかの国が30%前後から40%強なのに対し、日本は韓国とともに10%ほどだ。さらに取締役での割合を見ると、ノルウェーが40%以上、ほかも10%前後が多いが、日本はわずか1.4%。韓国と並んで極端に低い。「女性の活躍促進」を成長戦略の中核に据える安倍政権は「2020年までに指導的地位(管理職)の女性比率を30%以上にする」目標を掲げるが、多くの国はすでにその先を進んでいる。取締役についても、昨年安倍首相は経済団体に「上場企業に1人は女性役員を」と要請したが、これが達成されたとしても1割にも満たず、各国がクオータ制(割当制)で3~4割を義務付けるのとは大きな差がある。 *2-2:http://qbiz.jp/article/41909/1/ (西日本新聞 2014年7月15日) 女性管理職登用を1300社に要請 経団連、計画策定47社公表 経団連は14日、女性の役員や管理職への登用に関する自主行動計画を47社が公表し、うち約6割に当たる27社が具体的な数値目標を設けたと発表した。安倍政権は女性の活躍を新しい成長戦略の柱の一つと位置付けており、榊原定征会長は会員企業約1300社全てに行動計画の策定を要請し、12月に公開する。政府は成長戦略で、国や地方自治体、企業に対し、女性幹部登用の目標や行動計画の策定を義務付ける新法案を国会に提出する方針を示している。政府は「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%を達成する」と成長戦略に明記。ただ経団連の「女性の活躍推進委員会」の前田新造共同委員長(資生堂相談役)は「企業や業種によって男女の採用人数などが異なり一律の対応は難しい」と説明した。数値目標を公表した27社も、それぞれ経営戦略に基づき独自に設定している。経団連によると、27社のうち20年までに女性管理職3割以上の達成を明確に掲げたのは、資生堂、セブン&アイ・ホールディングス、損保ジャパンの3社だった。トヨタ自動車は現在101人いる女性管理職を20年に3倍、30年に5倍とする。日立製作所は20年度までに女性管理職を2・5倍の千人に増やすとし、全日本空輸は「女性役員2人以上」という数値目標を掲げた。 ◆女性登用、活用の取り組みは多様 男性が育児に携わる場合の支援強化を示すなど、経団連の加盟企業の女性の登用、活用に向けた取り組みはさまざまだ。ただ、現在は体力のある大企業が中心で、今後どれだけ広がるかが注目される。住友化学は2020年までに女性管理職の割合を、課長相当以上の役職では少なくとも現在の3・7%から10%以上に、係長相当は11・6%から15%以上に高める目標を掲げた。実現のために在宅勤務制度の導入や男性の育児参加を促す方針だ。日本生命保険も、女性管理職を18年4月に520人とする目標を定めた。14年4月と比べて約2割増やす計画だ。女性が活躍できる風土づくりの一環として男性の育児休業取得にも力を入れ、13年度には対象者全員が取得したという。日本生命は「しっかり継続していく」(広報)としている。トヨタ自動車は数値目標に加え、理系を目指す女子学生の支援のために奨学金支給や女性エンジニアの出前授業を行う「リケジョ基金・財団」の設立を検討。日本郵船は女性が海外勤務先でも仕事と育児を両立できるよう、今年5月にシンガポールで保育園の優先入園枠を確保した。 *2-3:http://digital.asahi.com/articles/ASG7G52LRG7GULFA018.html?ref=nmail (朝日新聞 2014年7月15日) 女性登用27社が数値目標 経団連調査、役員企業の6割 日本企業で女性の役員や管理職は増えるのか。経団連が14日に役員企業47社の女性登用計画をまとめたところ、約6割の27社が「女性管理職を2020年に3倍に」(トヨタ自動車)などの数値目標を掲げた。ただ、女性の登用を増やすには、男性も含めた働き方や意識を変えなければならない。目標の達成に向けた企業の本気度が問われる。経団連は今回、会長や副会長などを出している47社の計画や目標をまとめた。15日には会員企業約1300社に対し、これらを参考にして計画をつくるよう呼びかけ、年内にとりまとめて公表する。ただ、数値目標を入れるかどうかは各企業の判断にまかせる。女性管理職の割合は欧米諸国で軒並み3割を超えているのに対し、日本では約1割にとどまる。経団連がようやく取り組みを強めるのは、女性の登用が遅れているのに加え、安倍政権が成長戦略で「指導的地位に占める女性の割合を30%に引き上げる」という目標をたてたのを意識した側面が強い。数値目標を掲げた27社では、資生堂、セブン&アイ・ホールディングス、損保ジャパンの3社が女性管理職の割合を30%以上にする目標を掲げた。これら27社ではそのために男性管理職の意識改革や、育児休職からの早期復職の支援などを進めるという。数値目標をつくっていない企業も「長時間残業体質からの脱却」「女性版経営スクールなどの研修を進める」などに取り組む計画をたてている。経団連で「女性の活躍推進委員会」共同委員長をつとめる前田新造・資生堂相談役は14日に記者会見し、「企業がグローバル競争を勝ち抜くための重要な経営戦略の一つとして主体的に推進すべきだ」と話した。ただ、計画だけでは十分ではなく、これを実行できるかが課題だ。男性を含めて育児と両立できるように働き方を変えたり、女性管理職が増えることへの社内の反発と向き合ったりしなければならない。政権は国家公務員の採用も3割を女性にする方針をたてている。一方、女性の国会議員や地方議員の割合を増やすための議論は進んでおらず、今後は政治分野での女性登用も問われる。 *3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11243209.html (朝日新聞 2014年7月15日) 長時間労働、見直し必須 女性登用、経済界が本腰 女性の活躍を促す取り組みに、経済界が本腰を入れ始めた。人口減少で働き手が少なくなり、女性の登用は企業にとって戦略上欠かせないからだ。だが、女性が働きやすい職場をつくるためには、日本の長時間労働を改める必要がある。男性中心の企業社会で、摩擦を乗り越える覚悟も問われている。「女性の活躍推進は女性のためではない。人口減少社会を前に、あらゆる人の能力を生かすことが、企業の競争力を左右する」。経団連の女性の活躍推進委員長の前田新造・資生堂相談役は14日の会見で語った。経団連が女性幹部登用の旗を振る背景には、日本の女性管理職の比率が国際的に低いことがある。欧米諸国が軒並み3割を超えるのに対し、日本は1割だ。女性管理職が少ない理由について、厚生労働省所管の研究機関が従業員300人以上の企業に尋ねたところ1036社から回答があり、「採用の時点で女性が少ない」「経験や判断力をもつ女性がいない」などが多かった。一方、管理職への昇進を希望するかを社員にも聞いたところ、希望すると答えたのは男性が6割なのに対し、女性は1割にとどまった。昇進を望まない理由について、女性は「仕事と家庭の両立が困難になる」(40%)が最も多かった。背景には、日本の長時間労働がある。週50時間以上働く人の割合は日本は約3割。英国や米国、フランスなどは1割前後で、3倍にのぼる。女性が昇進への意欲を持ちにくいのは、男性が長時間働き、家事や育児の負担が女性に偏っている現状があるためだ。総務省の11年の調べでは、就学前の子どものいる共働き夫婦(パートなども含む)で、1日の家事や育児などにかける時間の平均は妻約6時間に対し、夫は約1時間。女性管理職を増やすには男女ともに育児や家事を分担しながら、働き方を効率的にするなどして、労働時間を短縮することが欠かせない。 ■強制力なし、定着見通せず 女性登用は世界的な流れだが、定着までには一筋縄ではいきそうもない。女性管理職を増やす過程では、昇進の機会を逃す男性から反発が出たり、「登用された女性の能力が適正に評価されない」という不満が出たりする可能性がある。「逆差別にならないか」(鉄鋼大手のJFEホールディングス)として数値目標をあえてつくっていない企業もある。また、数値目標は強制力がなく、実際に登用が進むかは見通せない。世界には、管理職の女性の割合をあらかじめ決めて強制力をもたせるクオータ(割り当て)制を導入する国もある。ノルウェーは企業に役員の4割を女性にすることを義務づける。東レ経営研究所の塚越学シニアコンサルタントによると、ある大手電機メーカーでは、男ばかりの役員会に女性が入り、議論が一気に活性化した。「女性管理職を増やすことは、会社にとってメリットになる」と塚越氏は指摘する。 ■主な企業の女性管理職を増やす目標 <アサヒグループHD> 21年までに比率を20%に(現在14.8%) <コマツ> 16年4月までに5%超に(14年4月は3.6%) <商船三井> 20年に8%に(14年7月で5%) <住友化学> 20年までに課長相当以上を3.7%から10%以上に <積水ハウス> 20年までに200人(5%)に <全日本空輸(ANA)> 20年度までに15%に <第一生命保険> 16年4月までに20%以上に(14年4月で18.4%) <高島屋> 15年度に20%以上に <東芝> 15年度に5%以上に <東レ> 16年に5%に、20年に数を倍増 <日産自動車> 17年に10%に <日本生命保険> 18年度に520人(14年比20%増)に <NTT> 12年度末の2.9%から20年度に6%に <ボッシュ> 日本で20年までに10%に <三井住友銀行> 20年度末までに20%に(13年度末で10.5%) <三菱商事> 20年度までに10%超に <三菱東京UFJ銀行> 15年3月末までに役付き者を15%に (経団連の資料から。HDはホールディングス。1面で紹介した企業以外の17社)
| 男女平等::2014.7~2015.5 | 01:18 PM | comments (x) | trackback (x) |
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