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2014,04,20, Sunday
自殺した酪農家が書き残した文字 4.19東京新聞 *2-1より *3より (1)「原発さえなければ」などと、二度と言わせないで欲しい *1のように、東京電力福島第一原発事故後、福島県飯舘村で自殺した酪農家と村民を描いたドキュメンタリー映画「遺言 原発さえなければ」の上映が始まったそうだ。放射線の人体への悪影響については、「見えない放射能の恐怖におびえる」という表現がよく使われるが、見えず、匂いもしないものは怖くないというのは変で、これは原発推進派の筋書きに沿っていると、私は前から思っていた。もし、見えず、匂いもしないものは怖くないというのが本当なら、一酸化炭素中毒や薬の副作用、水俣病などの公害も怖くない筈だが、人間は、それほど無知で想像力のない生き物ではないからだ。 しかし、*2-1、*2-2のように、写真家の加賀谷雅道さんが、東京電力福島第一原発事故の被災地に残された動植物や生活道具の被曝の様子を、東大名誉教授の森敏さんの協力を得て、「オートラジオグラフ」(放射線写真)にし、このうち約二十点を展示する「放射線像展」を23日から28日まで、東京のギャラリーで開くそうである。展示する放射線写真は、コイ、蛇、モミジなどの動植物や、長靴、箒、はさみなどの生活道具だ。 4月22日は、報道関係者向けのプレオープンなので、ギャラリーを訪ねられない地方の人のために、報道機関は、しっかりした解説も含めて、「放射線像展」を報道してもらいたい。 (2)原発事故後、すぐ行うべきだった被曝情報の開示を今頃やっているのか *3によれば、「屋外作業する農家は事務職に比べて、2倍程度の被曝可能性があるとの結果だったが、この現実は1年近くも前に東京新聞や自治体が調べたデータが示しており、原発事故から3年たった今ごろになって政府がようやく現実を追認するのはあまりにも遅い」とのことだが、そのとおりである。 そして、上下の写真の動植物のように農作物にも放射性物質が含まれるため、これは、「家の中に農地の土を持ち込まない」とか「家屋の放射線を遮る対策を練る」などの対策ではすまない。 なお、*4のように、政府は2014年4月18日、福島県の川内村、飯舘村、田村市の避難指示解除準備区域などで行った個人被曝線量の最終調査結果を発表したが、これは、事故から3年以上経過した後である。茂木敏充経済産業相は、閣議後の会見で、「心配をかけたことについては申し訳なく思っている」と陳謝されたそうだが、陳謝すべきは「心配をかけたこと」ではなく、「迅速に必要な情報を正確に公開しなかったため、防げる被曝を防げず、避難する人を悪く言うことによって、家庭や地域を分断して大きな二次的被害を与えたこと」である。 また、推計値は、内閣府の委託を受けて日本原子力研究開発機構などがまとめたそうで、「個人線量は空間線量に0・7をかけた値にあたると算出した」そうだが、被曝を過小評価するための仮定が多く、科学的でないため、被曝被害が小さめに出ていることは間違いない。そのため、人間も放射線写真をとっておけば、発症した病気との因果関係を追跡しやすいと思われる。 フランス リベラシオーンの記事 *1:http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20140420/CK2014042002000049.html (中日新聞 2014年4月20日) 飯舘村の苦しみ映画に シネマスコーレで上映開始 東京電力福島第一原発事故後、福島県飯舘村の村民を描いたドキュメンタリー映画「遺言 原発さえなければ」の上映が19日、名古屋市中村区椿町のシネマスコーレで始まった。撮影・監督したフォトジャーナリストの1人、豊田直巳さん(57)=東京都東村山市=が同日、名古屋を訪れ、「見えない放射能の恐怖におびえる人たちのありのままを記録。数字では表せない被害や苦しみを感じてほしい」と語った。約二年にわたる取材をまとめた三時間四十五分に及ぶ作品。静かで美しい村を一変させた原発事故。作品は、東日本大震災の翌日から福島に入った豊田さんと、共同監督の野田雅也さん(39)が知り合った飯舘村の酪農家たちを中心に進む。村が汚染され、搾った牛乳を捨て牛を処分する。全村避難が決まり、酪農をあきらめ、散り散りになる仲間たち。ナレーションはなく、生の言葉で悲哀がつづられていく。撮影を続ける中、飯舘村に隣接する同県相馬市の酪農家が自殺。壁に書き残した「原発さえなければ」の文字がタイトルの由来となった。豊田さんはイラク戦争や、チェルノブイリ原発事故による汚染地域の取材を経験してきた。福島に入り、住民が「見えない戦場で戦っているみたい」と漏らす言葉を聞いた。「世界史に残るような事故。記録するのが自分たちの責任だ」と撮りためてきた映像を映画にしようと決めたのは、二〇一二年夏。回想シーンやデータなどは使わず、「全編が『今』を切り取った記録。映画として成立する酪農家たちの物語もあった」と語る。今年三月から東京、福岡と順に公開してきたが、予想を超える反響。「三年が過ぎ、関心が薄れていると思っていたが、潜在的にはまだまだある」と実感した。映画は昨年四月までの取材内容に基づくが、「福島の苦しみは今も続いている。これからも追い続けていきたい」と話す。上映は一日一回。二十五日までが午後二時二十分開始、その後、最終日の五月二日までが午後零時二十分開始。問い合わせは、シネマスコーレ=電052(452)6036=へ。 *2-1: http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014042002000098.html (東京新聞 2014年4月20日) 被ばく、くっきり 23日から写真展 目に見えず、臭いもしない放射能による汚染の実態を見せたいと、写真家の加賀谷(かがや)雅道さん(32)が、東京電力福島第一原発事故の被災地に残された動植物などの被ばくの様子を「オートラジオグラフ」(放射線写真)と呼ばれる写真にした。このうち、約二十点を展示する「放射線像展」を二十三日から二十八日まで、東京都品川区上大崎の「ギャラリー・やさしい予感」で開く。展示するのは、コイやモミジなどの動植物のほか、長靴、ほうきなど生活道具の写真。原発事故で放射能に汚染され、住民が避難を強いられている福島県飯舘村や浪江町で集めた被写体を、東大名誉教授の森敏(さとし)さん(72)の協力を得て放射線写真にした。放射線写真は、放射線に感光する特殊な板に動植物などの被写体を載せ、被写体から放出される放射線を撮影する。放射性物質が付いたり蓄積したりした部分が影や黒い点となって板に写り、被ばくの様子を可視化できる。被ばく量が多いほど、被写体の元の形がはっきりわかるという。加賀谷さんは「放射能汚染を知るのに、放射線量の数字だけではわかりにくい。写真を見ることで汚染に対する想像が広がると思う」と話す。入場料五百円(学生は無料)。 *2-2:http://moribin.blog114.fc2.com/blog-entry-1854.html?q=%CA%FC%BC%CD%C7%BD%B1%F8%C0%F7 放射線像展 ●4月23日(水) - 4月28日(月) 11:00-20:00 (最終日は17:00まで) ●場所:「Gallery やさしい予感」 JR目黒駅東口から徒歩5分 TEL:03-5913-7635. hppt://www.yokan.info ●入場料 : 500円 学生無料(学生証をご提示ください) ●22日(火)17:00-20:00 報道関係者向けプレオープン 社員証と名刺をご持参ください(入場無料)。 インターネットまたはWifi接続が可能なタブレットや画面の大きなスマートフォンをお持ちの方は、ぜひご持参ください。展示された放射線像に関連した映像やさらに詳しい解説をご覧いただけます。 ●付記 1. 小生(森敏)の放射線画像も数点展示されています。 2. 昨日の東京新聞夕刊第一面ぶち抜きでに以下の記事が掲載されました。 (以下略) *3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014041902100005.html (東京新聞 2014年4月19日) 農家被ばく、事務職の倍 福島第一周辺 政府ようやく推計 東京電力福島第一原発事故で避難を強いられている住民が帰還した場合の年間被ばく線量の推計値を、十八日に政府が公表した。比較的線量の少ない地域でも、屋外作業する農家などは事務職に比べ、二倍程度の被ばくをする可能性が高いとの結果だった。ただ、この現実は一年近くも前に本紙や自治体が調べたデータが示しており、今さら感がぬぐえない。原発事故から三年たった今ごろになって、政府がようやく現実を追認するのはあまりにも遅い。家の中に農地の土をいかに持ち込まないようにするかや、家屋の放射線を遮る対策を練るなど実効性のある施策が求められる。推計値は、内閣府の委託を受け、日本原子力研究開発機構(原子力機構)などがまとめた。全村避難が続く飯舘村、今月下旬から長期宿泊が認められる川内村、四月に避難指示が解除された田村市都路地区の三地域を対象に、屋内や農地などで測った線量から算出した。表の通り、飯舘村では屋内にいる時間が長い事務職でも年間被ばく線量は最低三・八ミリシーベルトと、一般人の線量限度(一ミリシーベルト)の四倍近い。農林業ではもっと多く被ばくする計算だ。帰還が始まった都路地区でも、事務職やほとんど家の中にいる想定の高齢者は一ミリシーベルトを下回ったが、農林業では最大二・三ミリシーベルト。川内村ではどの職種でも一ミリシーベルトを超え、農林業は一段高い値となった。森林の除染は人家周りを除いて手つかずで、農地の表土をかき混ぜても放射性物質は減らない。本紙が昨年、福島県各所で調査した際も、農地の線量は屋内の二倍程度あった。熱心に作業する農家ほど被ばくするのは当然ともいえる。同様の傾向は伊達市の実測データでも確認されていた。 *4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11092365.html (朝日新聞 2014年4月19日) 線量公表遅れ、大臣陳謝 経産省、調査自体明かさず 政府は18日、福島県の川内村、飯舘村、田村市の避難指示解除準備区域などで行った個人被曝(ひばく)線量の最終調査結果を発表した。政府が昨年10月11日に依頼先から個人線量データなどの中間報告を受け取ったにもかかわらず、半年間公表しなかったことについて、茂木敏充経済産業相は閣議後の会見で「心配をかけたことについては申し訳なく思っている」と陳謝した。調査を依頼した内閣府の田村厚雄参事官は会見で「(事務方の)担当ラインで共有した」として、茂木氏や赤羽一嘉経産副大臣ら政務三役に相談せず、事務方の判断で公表見送りを決めたと説明した。政府は今月1日には調査対象になった田村市都路地区で、避難指示を解除した。帰還の判断材料となる調査結果について事務方が政務三役に報告もせず、独断で公表を見送ったことになる。地元からは「経産省は相変わらず隠蔽(いんぺい)体質だ」(民主党の増子輝彦参院議員)との批判が上がる。中間報告を受けた昨年10月は、原子力規制委員会の有識者会議が従来の空間線量で被曝量を管理する方式から、個人線量計で管理する方式への転換を議論していた。しかし、調査を行っていること自体、委員会に明かさなかった。内閣府は「調査が完遂していなかったから」と釈明した。中間報告を半年間、公表しなかったことについて、放射線防護に詳しい独協医科大の木村真三准教授は「結果をただちに明らかにしていれば、自治体や住民はどう対応していくか改善策を考え立てることができた」と指摘する。 ■対象、児童も検討 調査は昨年8~9月に実施。空間線量と個人線量の比較から個人線量は空間線量に0・7をかけた値にあたると算出した。個人線量の測定結果に職業別の生活実態などを加味して推計。安倍政権が7月にも住民の帰還を目指す川内村では、年間3ミリシーベルトとなり、除染の長期目標の年1ミリシーベルトを上回った。現在、政府は除染の長期目標を、空間線量ではなく個人線量を指標にすることによって、緩和することを検討している。だが、今回の0・7という係数を使い、目標を年間約1・4ミリシーベルトに緩和することについて、調査した日本原子力研究開発機構の百瀬琢磨部長は「(科学的には)できないと思います」と否定した。今回は成人のみを対象にしたが、今後は児童についても検討するとした。
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2014,02,24, Monday
2014.2.24東京新聞 2014.2.20西日本新聞 (1)大切なものは何なのか 私は、今生きている人の命と健康を守ることが一番大切だと考えている。しかし、地域を継続させることが一番大切で、その為には、今生きている人の命や健康を犠牲にしてもよいという考え方の人も多いようだ。そして、それが原発被害や食品汚染に関し、私と政策が一致しない人との価値観の違いだろう。 (2)放射能汚染食品による内部被曝の軽視 「わが国の食品基準は、他国より厳しいので内部被曝の心配はない」と言う人がいるが、EUは、*1に書かれているように、汚染した食品1割に対し汚染されていない食品を9割食べるという希釈係数10%の前提で、内部被曝が年間1ミリシーベルト以下になるように設定しているものであり、EUの基準は、当然のことながら、食品からの内部被曝と同時に外部被曝を受けるという前提ではない。 しかし、わが国の政府やメディアは、そのことを国民に周知しておらず、国民の多くは希釈を前提としていることを知らずに、基準値以下の食品ならそればかり食べても安全だと考えている。そして、「食べて応援」をキャッチフレーズにして、それを否定する発言は風評被害と断定しているのだ。 (3)甲状腺癌発症率のデータを無視 *2に書かれているように、平時と比較しやすい福島の小児甲状腺癌の発症率は事故前の100倍以上で、チェルノブイリや広島原爆を超え、人類未踏の領域だそうである。これは、*3のように、伊藤病院の岩久建志医師らも日本甲状腺学会で、「東京の病院で3千人に行なった検査でも福島と同程度の膿胞が見つかった」と発表しており、*2が大げさすぎるわけではない。そして、フクシマ原発事故で外に放出された放射性物質の分量から考えれば、むしろこちらの方が納得できるのである。 この検査結果については、①検査の精度が上がったため ②検査した母集団が多かったため などの解釈(弁解)もある。しかし、真実は、京都市などフクシマの影響を受けていない地域の同年代の子どもを同じ方法で検査して比較すれば、すぐに明らかになることだ。 (4)旧警戒区域の避難指示解除や浜岡原発再稼働は、人の危険を無視 このような中、*4のように、フクシマ原発から20キロ圏の旧警戒区域が避難指示解除されることになった。住民から「早く自宅に戻りたい」という意見が出たとしても、それは、(2)(3)のような内部被曝情報を開示した上での意見ではなく、外部被曝も減っていない中での意見なのである。 また、*5で、菅元首相が、「浜岡原発の安全審査申請は根本的に間違いで、当時から怖さが知らされていない」と述べているように、あまりにも人の命を粗末にする判断が続いており、その結果は恐ろしいものになる。このような状況で、国が「客観的」「科学的」と言っても、それを信用する人は少ないだろう。 *1:http://approaches.blog135.fc2.com/blog-entry-26.html EU比較で食品基準安全は誤り-汚染食品から身を守るためにEUと日本の違い EUは、原発事故以前はセシウム1250ベクレルであり、事故後に日本からの汚染食品が実際に来ることを警戒し、国民の健康第一で基準を厳しくして500ベクレルにした。そのため、EUと比較して、日本の食品の旧基準(暫定基準)でも安全と思われがちだ。今まで政府はこの情報を積極的に利用してきたし、マスコミも垂れ流し続けてきた。しかし、これは間違っている。EU基準は食品の1割がその汚染レベルと想定しての輸入基準である。すなわち希釈係数10%としての基準である。汚染した食品1割に対して汚染されていない食品9割なら食品からの放射能の平均摂取量は10分の1になる。EUはその上で放射線被曝が年間で1ミリシーベルトを超えないように設定している。このことは下記JETRO資料に明記されている。そして実は日本の基準も一定の希釈を前提としている。しかし政府がその周知を怠っているので、多くの国民は食品の放射能基準が希釈を前提としていることさえ知らない。もし汚染食品だけを摂取するなら、大人の安全基準は50ベクレル/kgである。子供も場合はさらに低い必要がある。大人50ベクレル/kgの根拠については下記のブログ『子供に安全な食品とは』に示してある。簡単に言うと汚染食品を10分の1しか食べないのだから10倍汚染していてもいいという意味だ。だから日本の旧基準500ベクレルがEUとほぼ同様の基準だから安心だと言うなら、日本も汚染食品10%に対して汚染していない食品90%を食べる必要がある事を周知する必要がある。4月からの新基準で100ベクレルになったが、それでも50%の汚染されていない食品を食べることを前提としている。そのことを国民に周知すべきである。ところがそのことを政府は国民に周知しないため、多くの人は食品の放射能基準が一定の希釈を前提としていることを知らずに、政府の基準以下ならそればかり食べていても安全だと思っている。実際に国内で原発事故が起きてしまって放射能に汚染された食品の流通が日常化している状態で、暫定基準500ベクレルの時に政府の言うことを真に受けて積極的に食べて応援をしていたら、汚染食品1割に対して汚染していない食品9割なんて保証はどこにもない。もし積極的に汚染食品を食べていたら、10分の1に希釈しないどころか、放射能測定をまともにやっていない食品や基準超え食品も流通しているので、場合によっては濃縮だってある。 ●新基準の再見直しも必要 日本のように食品が広範囲に汚染している状況で、しかも日本では多くの国民が希釈を理解していないのに、希釈を想定とする食品基準は適切ではない。食べ続けても安全な数値に新基準を見直すことが必要だ。私は昨年から大人50ベクレル、子供はその5分の1以下だとずっと言っている。2011年11月の環境省地球環境戦略機関(IGES)の専門家会議でも、基準を下げろと農水省役人にも直接言った。それでも500ベクレルが1年続き、素直な国民は絆と食べて応援で騙された。そして勉強しないバカ学者はEUより安全と今も言い続けている。実際の被爆量は汚染食品と非汚染食品の摂取比率に密接に関係している。だから旧基準500ベクレルで汚染食品ばかり食べていたら安全でない。大人の場合は非汚染食品を90%食べて10分の1に薄めて50ベクレルにする必要がある。子供の場合は約5倍感受性高いので、50分の1に薄めて10ベクレルにする必要がある。すなわち子供は98%の非汚染食品を食べる必要がある。新基準は一般(乳児以外の子供を含む)100ベクレルなので、大人50ベクレルのためには非汚染食品を50%食べる必要がある。感受性の高い子供に対して5分の1の10ベクレルなので90%の非汚染食品が必要である。それなのに国民の命を軽視する日本政府は、乳児の新基準を許し難い50ベクレルとし、経過措置で4月以降も旧基準食品を流通させている。食品基準は国民一人一人がかなりの量の汚染されていない食品を食べることを前提としているのに、政府は国民にその周知を怠っている。それどころか、政府の基準は安全だ、流通している食品は安全だと国民に信じ込ませ、『食べて応援』キャンペーンをして汚染食品の摂取率を高めた。しかも民間の独自基準さえ妨害する。マスコミは知っていながら国民に伝えようともしない。国民が知らないのをいいことに政府は意図的に国民を危険にさらしている。政府とマスコミがしていることは国民への許し難い背信行為であり、世界の歴史にさえ永遠に残る犯罪行為である。今でも多くの人たちは食品基準の希釈という言葉も知らず、政府の基準以下ならそればかり食べていても安全だと思っている。政府が安全だと言った基準だから安心だと素直に信じて、積極的に東日本の食品ばかりを食べている人もいる。地域差もあるし個人の意識の差もあるので、国民が旧基準で10%、新基準で50%しか汚染食品を食べない保証などない。子供ならもっと事態は深刻だ。しかも食品基準は非汚染食品を一定比率食べることが前提なので、民間が実施している国より厳しい独自基準は必須なのに、事もあろうに政府は食品業界に独自基準をやめろと行政指導した。政府は今すぐ食品基準を再度見直し、大人50ベクレル、子供10ベクレル、幼児5ベクレル、乳児0ベクレルに改めるべきだ。さらに年内続ける予定の旧基準の経過措置をやめるべきである。ただちに食べて応援キャンペーンを中止して、国民に対して今ままで騙し続けてきたことを率直に謝罪すべきである。さらに政府の食品基準で想定していた希釈、すなわち汚染食品の摂取率についての真実を、広く国民に分かりやすく周知する義務がある。 ●汚染食品から身を守るために 1)2012年3月末までの旧基準(暫定基準)では汚染食品を食べる量は、大人は10%以下、子供は2%以下にすることが必要です。すなわち大人は90%以上、子供は98%以上の汚染されていない食品を食べる必要があります。 2)2012年4月から実施の新基準でも、汚染食品を食べる量は大人は50%以下、子供は10%以下にすることが必要です。すなわち、大人は50%以上、子供は90%以上の汚染されていない食品を食べる必要があります。しかも新基準後も経過措置の名目で旧基準が継続する食品があるので注意が必要です。 3)政府は国民の健康より東電を助けることを優先させて、食べて応援キャンペーンを続けています。そして汚染食品の摂取率について、政府は責任逃れのためにこっそり情報公開だけして、国民への周知は怠り続けています。マスコミはこの事実を報道しません。 4)食品基準は非汚染食品を一定比率食べることを前提としているので、なおさら民間の独自基準は必須なのです。それなのに政府は、食品業界が国より厳しい独自基準で自主検査することやめろと行政指導しています。国民が知らないことをいいことに、政府は国の基準を超えてまで国民を危険にさらそうとしています。 5)上記での『汚染食品』とは、政府の基準値を超えた食品のことではなく、政府基準に従った食品のことです。もし政府基準値を超えた食品を摂取した場合には上記の比率でも安全ではなくなります。 (この記事でのベクレルの記述はベクレル/kgの意味です) *2:http://saigaijyouhou.com/blog-entry-1802.html 福島の小児甲状腺癌、チェルノブイリや広島原爆を超える!発症率は事故前の100倍以上!人類未踏の領域に突入へ! 2014年2月7日に福島県の甲状腺調査結果が公表され、甲状腺癌の疑いを含めて合計で75人も小児甲状腺癌の患者が居ることが判明しました。この検査は原発事故発生時に18歳以下だった22万5000人を対象としているため、発症率は22万5000分の75となります。小児甲状腺癌の発症率は日本臨床検査薬協会によると、100万人に1~3人です。これらの数字を当てはめて計算してみると、実に110倍から330倍というような値が出て来ます。つまり、政府が公式に発表している甲状腺検査の数値でも、福島県の小児甲状腺癌は福島原発事故前の100倍から300倍に増加しているということなのです! 政府の検査は「数秒で簡単に終わってしまう」と指摘されている手抜き検査なのに、ここまで途方も無いほど高い値が出ている事は大変恐ろしいと言えるでしょう。福島の「75人」という値は、広島原爆やチェルノブイリ事故を遥かに超えている値で、人類が未だかつて経験したことが無いほどの異常値です。 甲状腺癌の手術をした後がネックレスみたいになることから、ウクライナやベラルーシでは「チェルノブイリネックレス」という言葉がありましたが、その時のベラルーシですら、最初の3~4年間は10人程度の発症数で収まっていました。ちなみに、ベラルーシは国です。それに対して、福島県は日本の一地方に過ぎません。福島県だけで、一国の甲状腺癌発症数を超えたということです。ハッキリ言って、桁が一つ違うというようなレベルではなく、桁が2~3個違うという状態になっています。政府や原子力村の関係者らは、「機材が昔とは違うから・・・」とか言い訳をしていますが、ちょっと機械が変化したくらいで発症率が数百倍に変化した事例なんて見たことも聞いたこともありません。本当に機械の変化でそんなに発症率が変化するのならば、具体的な資料やデータを提示して頂きたいと思います。福島県も「被曝(ひばく)の影響とは考えにくい」とか言っていますし、国や行政を待っていては、全てが手遅れ状態になってしまうでしょう。最終的には全てを隠すのは不可能だと私は思います。アメリカですら手を出すことが出来なかったほどの陸軍や特殊部隊を持っていたあのソ連が、甲状腺癌と放射能の関係を渋々認めるような状況に追い込まれてしまったのです。特定秘密保護法だろうが何だろうが関係なく、被曝の影響が本格的になったら、最終的には放射能被曝を認めるしか無い状況になってしまうと予想しています。 ☆子どもの甲状腺検査 「甲状腺がん」と診断されたのは33人(福島14/2/7) URL http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0800P_Y4A200C1CR0000/ 東京電力福島第1原子力発電所の事故による放射線の影響を調べている福島県の「県民健康管理調査」の検討委員会が8日までに福島市で開かれ、甲状腺がんと診断が「確定」した子供は前回(昨年11月)の26人から7人増え、33人になった。「がんの疑い」は41人(前回は32人)。検討委の星北斗座長はチェルノブイリ原発事故後の甲状腺がんの発症経過や、今回見つかったがんの種類、大きさなどから「現時点では放射線の影響は考えにくい」と述べた。がんの発見率がこれまで考えられていたよりも高いことについては「症状がない人も含めた未知の調査で、比較できない」と説明した。しこりの大きさなどを調べる1次検査で約25万4千人の結果が判明し、1796人が2次検査の対象となった。 *3:http://inventsolitude.sblo.jp/article/63081238.html (2013年3月3日) 子どもの甲状腺がんは年を追って急増する 親御さんは覚悟が必要 2012/12/1付けの朝日新聞によると、東京の伊藤病院の岩久建志医師らが11/30、日本甲状腺学会で発表したところによれば,東京の病院で3千人に行なった検査でも福島と同程度ののう胞が見つかったという。2003年から2012/8まで同病院で甲状腺の超音波検査を受けた15歳以下の子ども2753人の結果を集計した結果、36%の子にのう胞が見つかった。経過観察中にがんなどの悪性の病気になる子どもはいなかった。一方、福島県が18歳以下の子どもに行っている甲状腺検査では、2011年度実施分の35%で、2012年度実施分では42%にのう胞が見つかっていた、と報じられている。東京で福島と同様な割合で甲状腺異常が見つかるのは、当然予測されるところだ。2011/3/15午前に強力なプルームが関東を襲っており、その後風向きの変化でプルームは福島県内陸に流れている。 伊藤病院の医師の発表は解せないところがある。竹野内真里氏が伊藤病院に照会したら事故前のデータは発表できないと回答があったという。「東京の甲状腺異常は実は36%より多いはずです!伊藤病院に電話したが、なぜか事故前のみのデータは今のところ発表できないと。そうすると、事故後は福島と変わらないくらい高いはずです。異常をもたらす閾値を超えて、東京も被曝したと考えるのが妥当!」。私も福島第一原発事故後の検査では36%を大きく超えるのう胞が発見されたのだろうと思う。それを引き下げるために、過去の検査データを混ぜて薄めたと見ている。竹野内氏のツイートでは、関西と東京の子どものエコー検査をした医師から、「事故時に関西にいた赤ん坊は全くのう胞がないが、東京にいた赤ん坊は、ほぼ全員に小さいのう胞が数多く出た」と聞かされたとのこと。 とにかく、子どもの甲状腺ののう胞を初めとする異常発生率は極めて高いと認識しておくべきだ。のう胞が見つかっても、すべてががんに進行するわけではないが、甲状腺がんになると転移が早いと山下俊一氏自身が述べているのだろから、危険は大きい。関東と南東北の9都県に15歳以下の子どもは575万人いる。上に書いた福島県の2012年度実施分のう胞検出率42%をこれに当てはめると、241万人。さらに甲状腺がんについては、福島県の健康管理調査の結果によると、検査対象者18万人のうち38,000人の結果がまとまり、甲状腺がんと確定した子どもが計3人、そして悪性腫瘍の疑いありとされる子どもが7人なので、3800人に1人が甲状腺がん発症かその疑いが強いという状況になっている。 チェルノブイリ事故被災地の甲状腺がん発症率は、いくつかデータがあるが、深川市立総合病院内科部長の松崎道幸医師による意見書のデータを引用すれば、1万4千人に一人となる。日本では、チェルノブイリ事故のときに比して、症状の出方が早いとされている。チェルノブイリ被災地の小児甲状腺がんの年次別発症数に関するデータは、いくつかあるが、どれが信頼に足りうるのか、判断がつかない。今中哲二氏の論文チェルノブイリ原発事故による小児甲状腺ガン、長崎大学大学院医歯学総合研究科原研細胞山下俊一氏のスライドチェルノブイリ原発事故と甲状腺がんのどちらでも、事故後の数年は少なくてもその後、10年、15年かけて増加している。今中論文によれば、ベラルーシでは9年目には2年目の9倍くらいに増えており、日本でもこの倍率で増えれば単年で0.237%の発症率となり、これが何年も継続する。仮に5年継続したとすれば発症率は1.185%、それ以前の発症分を含めれば、1.5%程度にいく可能性が高い。この推計によれば、10年、15年の間には累計で上の表のD欄にある数字の50倍程度の人数が甲状腺がんを発症し、全摘手術を受けなければならないだろうと恐れる。(中略) ※2013/3/2のラジオフォーラム第8回番組での小出裕章氏の発言 「チェルノブイリの事故で、4年後から甲状腺ガンが出たという主張は、まずそれ自体が誤りです。4年後には、もう明確に出て来たということなのであって、1年後から甲状腺ガンがもう発生していますので、経験から見ても、注意をしなければいけないということだと思います。そして、今回福島で検出された甲状腺ガンの発生率というのは、これまででは決してあり得ないような発生率になっています。それを見て、まあ山下さんとかですね、そういう方々は、いや、検査のやり方が向上しているから見つかっているのだということをおっしゃっているわけですけれども、言葉を変えて言えば、それより前は検査自身をしていなかったということなのです。ですから、前のことは分からないのですね、どうであったかということが。それで科学というものはですね、元々分からないものは分からないと言わなければいけないし、分かったことを分かったと言うのが本来の科学のあり方だと私は思います。今、山下さんを含めて、福島県で甲状腺ガンの発生を否定したがっている方々は、分からないものに関して、いやそうではないというような結論を出してしまっているわけで、元々科学的な態度とは言えないと私は思います。私自身も本当にこの甲状腺ガンが被ばくの影響かどうかということは、申し訳ありませんが、確信を持っては言えません。しかし、だからこそきちっと分からないので調べなければいけないと言わなければいけないのだと思います。 *4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014022402100005.html (東京新聞 2014年2月24日) 【福島原発事故】旧警戒区域で避難指示、初の解除 4月、田村市都路地区 東京電力福島第一原発事故による旧警戒区域で、現在は避難指示解除準備区域となっている福島県田村市都路(みやこじ)地区の避難指示が四月一日に解除されることが二十三日、決まった。原発から二十キロ圏の旧警戒区域で初の避難指示解除となる。近く、政府の原子力災害対策本部で正式決定する。政府と市、住民が二十三日、田村市内で協議。住民からは「早く自宅に戻りたい」と避難指示解除を求める意見が出た一方、放射線量や健康への不安から反対の声も上がったが、原子力災害現地対策本部長を務める経済産業省の赤羽一嘉副大臣が「四月一日解除」を表明し、協議は終了した。協議の中で、政府は「除染で放射線量が下がった」とした上で「除染を繰り返しても効果は限定的なので、再度一律に面的に実施することはしない」と、事実上の打ち切りを表明。放射線量のモニタリングや、線量が高い場所の土壌の除去などは続けると説明した。避難指示解除準備区域は、日中しか滞在できず、夜は避難先に戻らなければならないが、都路地区は昨年八月から特例として夜間も過ごすことが認められている。政府と市は昨年十月に「十一月一日解除」を住民に提案したが、放射線への不安などから反発が強く、いったん取り下げていた。 *5:http://digital.asahi.com/articles/ASG2G4448G2GULFA00L.html?iref=comkiji_redirect&ref=rss (朝日新聞 2014年2月15日) 菅元首相「根本的に間違い」 浜岡原発の安全審査申請に 2011年5月に浜岡原発の停止を中部電力に求めた菅直人元首相は14日、朝日新聞の取材に応じ、浜岡原発の安全審査申請について「根本的に間違っている」と批判した。主なやりとりは以下の通り。 ●再稼働に向けた手続きが動き出しました。 「当時、30年以内にマグニチュード8程度の地震が発生する可能性が87%との数字があった。浜岡が事故を起こせば、100万人単位の避難が必要になる。東海道新幹線や東名高速など日本の大動脈、自動車産業も大打撃を受ける。その対策ができていなかったので止めた。その前提はまったく変わっていない。再稼働に向けた審査を申請するのは根本的に間違っている」 ●首相としての要請は「超法規的措置」でした。 「あり得ないと言われていた原発事故が実際に起きた。あす大地震が起きるかもしれないのに、法律を整備してからやりますというのか。国民の安全と安心を考えて政治判断した。総理としてやらざるをえなかったし、やるべきだった」 ●中部電は防潮堤新設などの対策をとりました。 「原発の安全対策は大きく二つある。一つは地震や津波などで事故が起こらないようにするための技術的な対策。もう一つは事故が起きた場合に住民がどう避難するか、どう被害を防ぐかの対策だ。原子力規制委員会が判断するのは技術的な対策だけだ。住民避難にだれが責任を負うのかもあいまいだ」。「政府も中部電も、絶対に事故が起きないとは言っていない。たとえ100年に一度であっても、国がつぶれるようなリスクは負えない。浜岡は事故が起きた時の被害が特に大きい」 ●原発がほとんど動かない状態が続いています。 「天然ガスや石油代がかかっているのは事実だが、国民生活も経済活動も成り立っている。原発がなくてもなんとかなることを実証したといえる。事故のコストを考えれば経済的にも原発を止めた方が安い」 ●都知事選では「原発即ゼロ」を掲げた細川護熙元首相らが敗れました。 「当時の怖さが忘れられているのではなく、知らされていない。福島第一原発4号機の使用済み燃料プールに水が残っていたのは、まったく偶然だった。東京に人が住めなくなるリアルな恐怖感が、残念ながら国民に共有されていない。細川さんも小泉純一郎元首相も、総理経験者だからこそ『こんな事故が起きたら』と強く感じたのだろう」 ●安倍政権は原発を活用していく方針です。 「福島事故の前と基本的な考え方が同じだ。やっぱり事故は起きない、今度は大丈夫と。自然災害はコントロールが難しいが、原発はやめればいい。技術的には一番簡単だ」。 PS(2014.2.26追加):下のように、EUは、フクシマ後に行っている日本産食品の輸入規制を緩和するそうだが、日本の消費者にとって重要な情報は、EUで輸入規制が緩和されることではなく、①今まで輸入規制されていたこと ②一部地域の米・大豆・そば・きのこ類・山菜・水産物は従来通り検査証明書が必要で、福島県で生産されていない茶以外の全ての食品に産地証明書も必要となっていること である。 *6:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26171 (日本農業新聞 2014/2/25) 日本産の野菜、果実、茶、畜産物 EUが輸入規制緩和 欧州連合(EU)は、東京電力福島第1原子力発電所事故後に行っている日本産食品の輸入規制を緩和することを決めた。3月の欧州委員会での議決後、4月1日から適用する。福島県以外の野菜や果実、茶、畜産物には放射性物質の検査証明書を要求せず、茶は産地証明書も要求しない。対象品目は、検査に掛かる費用や手間がなくなり輸出しやすくなる。日本茶をはじめ欧州で人気の日本産食品にとっては、需要拡大の追い風となる。 ●証明書の対象縮小 4月から適用へ EUの輸出規制をめぐっては、林芳正農相が1月のベルリン農相サミットに出席時、ボルジ欧州委員(保健・消費者政策担当)に緩和を要請していた。改正では、検査証明書を求める範囲を見直した。福島県以外の野菜や果実、茶、畜産物は検査証明書を求めず、東京都と神奈川県は、全ての食品で検査証明書を不要とした。福島県以外の茶は検査証明書、産地証明書の両方が不要となる。日本からEUに食品を輸出する場合、産地証明書が必要だが、茶は福島県内でほとんど生産がないことを考慮。例外的な扱いとして、産地証明書を求めないことにした。通関時のモニタリング検査も緩和した。現在、5%の検査を要求しているが、加盟国の判断で5%以下にできる。サンプル抽出後は検査結果を待たずに通関を許可する。これまでは検査が終わるまで品物が数週間取り置かれ、倉庫代などの費用がかさむケースもあったが、今回の措置で改善される見込みだ。一方、福島県産の全食品と飼料、一部県の米や大豆、そば、きのこ類、山菜、水産物は従来通り検査証明書が必要。茶以外の全ての食品には、産地証明書も必要となる。
| 内部被曝・低線量被曝::2012.9~2014.4 | 07:54 PM | comments (x) | trackback (x) |
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2013,11,24, Sunday
(フクシマ事故時のSPEEDIの情報やそれを公開しなかった理由も特定秘密にしないでしょうね)
(1)SPEEDIの実力について *1に記載されているように、SPEEDIとは「最大79時間先までの原子力施設付近の風速や大気中の放射性物質の濃度、線量率の分布等の予測計算を行い、それを地図上に表現された計算図形として関係機関の端末に配信するシステム」であり、これにより迅速で正確な避難や初動を行うためのものだった。そして、100億円規模の開発費と平時のデータ収集にかけたコストの意味は、まさにこの原子力緊急事態での働きにあったのだが、フクシマでは、何とかかんとか言ってSPEEDIが活かされなかった。 (2)SPEEDIの内部被曝情報について *1の後半には、SPEEDIの内部被曝に関する情報についての説明がなされている。また、*2には、医療ガバナンス学会(http://medg.jp/mt/2011/06/vol189speedi.html)が、SPEEDIに関するパンフレットから、「重大事故が発生した場合、希ガス、ヨウ素、セシウム、プルトニウムなどの核種ごとの単位時間放出量等を入力すれば、日本各地における事故発生後の外部被曝実効線量と内部被曝実効線量をSPEEDIで予測できることがわかる」等としている。さらに、「出力図形一覧を参照すると、年齢別の内部被曝量も、臓器別の内部被曝量も、具体的に予測できる」としているが、これこそが、SPEEDIの実力であり、開発目的だったため、そのデータはある筈なのだ。 (3)SPEEDIのデータと住民の被曝は未だに隠されているということ そのSPEEDIのデータは、事故後5,000枚以上の試算結果があり、事故直後の3月14日には、文部科学省が計算結果を、外務省を通して米軍に提供していたにもかかわらず、政府はパニックを避けることを優先させるため、国民には公開しなかった。そのため、自治体が住民避難を計画する参考にも供されなかったが、原発立地地域の住民に対する従前の説明では、万一の事故時の避難に際しては、SPEEDIのデータを活用するとされていた。 私は、*3のように、フクシマの原発労働者の実態にメディアが十分に迫っていないのと同様、SPEEDIのデータとそれによる科学的な住民の被曝実態についても、メディアは十分に迫っていないと思う。そして、原発再稼働に向け、これらの不都合な事実が隠されていくのは、確かに原発問題の闇だろう。 (4)日本は人権を無視する国か そのような中、内部告発者や秘密を報じるジャーナリストを脅かす内容を含む特定秘密保護法案が成立させられようとしており、これについては、*4のように、国連人権理事会のフランク・ラ・ルー特別報告者が懸念を表明しており、もっともである。 しかし、それと同時に、5,000枚以上の試算結果があるにもかかわらず、パニックや混乱を避けるという理由で、住民の命にかかわる重要な情報を住民に公開しないことも、人権の問題として強く非難すべきだ。何故なら、そのような価値観を持ち、そういう判断をする人が意思決定する立場にいるのは、日本を人権無視の国にすることになるからである。 *1:http://www.geocities.jp/wakashimu/sped_si02.html 第二章 SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)とは何か ⅰ.SPEEDIの概要 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information)ことSPEEDIとは、原子力発電所の事故など、放射性物質が大気中に放出されるような緊急事態が生じた場合、あるいは、生じる危険性がある場合に、迅速かつ正確な避難計画の策定や防護対策の基本資料を提供するために開発されたシステムである。日本の原子力防災は、原子力災害の特殊性を鑑み、通常の災害対策以上に迅速な初動が重視されており、災害対策基本法とは別に、原子力災害特別措置法が制定されている。この特別法では、電力事業者が、異常事態の通報を怠ったり、通報するかしないかを様子見しながら判断することなどを禁止する強制力のある通報義務や、原子力災害対策本部や現地対策本部など、災害対策における合理的な組織体制、役割、人事を、法的根拠に基づいて速やかに実施できるように整備されている。SPEEDIは、そのような原子力災害に対して、迅速な初動を重視する日本国原子力防災の一環にして柱でもある。 SPEEDIの役目は、最大で79時間先までの、当該原子力施設付近の風速場といった局地的な気象予測や、大気中の放射性物質の濃度、線量率の分布等の予測計算をおこない、それを地図上に表現された計算図形として関係機関の端末に配信することにある。 原子力災害の対応にあたる各種対策本部や自治体は、配信された予測計算図形を基本資料とし、緊急時モニタリング計画や避難計画の策定等に利用することで、より迅速、より正確な初動が期待できるわけである。 SPEEDIには平時の運用と緊急時モードがあり、平時は、関係府省と関係道府県、オフサイトセンター、日本気象協会などが、原子力安全技術センターを中心にネットワークで結ばれており、緊急時の予測計算に必要となる様々なデータを集積している。 平時から集積しているデータの内容は、各原子力施設近辺の地形情報、気象観測点データ、アメダスやGPVデータといった局所的な気象実績、モニタリングポストからの放射線データなど、緊急時の放射能影響予測計算に必要な情報や、人口や避難施設などの社会的な情報も含まれており、それらは静的な格納データとして蓄積されているのである。 SPEEDIは、平時からこれだけのことをしているが、それも全て、原子力災害にあって迅速な初動対応を可能とする基本資料の提供――緊急時モードでの放射能影響予測計算と配信――のために存在しているといっても過言ではない。 つまりは、原子力緊急事態における運用こそが、SPEEDIにとっての存在意義を懸けた本番であり、100億円規模の開発費と平時のデータ収集に必要なコストの対価なのである。 当然、SPEEDIの法的な位置づけは、民間の危機管理システムとは根本的に異っており、災害対策基本法の第三章に基づく防災基本計画第10編原子力災害対策編、原子力災害対策特別措置法において「専門的・技術的事項について尊重すべし」と定められている防災指針、及び同指針の四章で定められている『環境放射線モニタリング指針』などに基づいている。 SPEEDIによる計算の実務を遂行するのは、文部科学省所管の財団法人原子力安全技術センターであり、緊急時(15条通報等)の命令も、当該財団の主務官庁である文部科学省から出されることになっている。※ただし、今回の福島第一原発事故では、文部科学省がSPEEDIを使いこなせないということで、3月16日に経産省所管の原子力安全委員に実質的な権限が渡されている。 実地的な運用については、原子力安全技術センター編『SPEEDI運用マニュアル』や、政府及び各自治体や関連機関にまたがる『原子力災害対策マニュアル』などよって定められており、官民一体となって実施される原子力総合防災訓練(原災法に根拠を持つ)でも、SPEEDIを利用した避難計画の策定訓練が組み込まれるなど、具体的な利用方法が整備されている。 ⅱ.計算に必要な情報と放出源情報 緊急時におけるSPEEDIの計算に必要な情報は、平時から収集している格納データ(核種、過去の気象データ、当該施設付近の精巧な地図情報等)と、リアルタイムの気象情報、そして放出源情報の三種類に分けることができる。放出源情報とは、原子力施設から、どのような放射性物質がどのくらい放出されているか、されそうかといった数値データである。放出源情報を得るには、緊急時モニタリングによる実測値から逆推算する方法や、SPEEDIと連動することができるERSSから得ることができる。ERSS(緊急時対策支援システム)とは、原子炉の状況や施設のデータを提供し、緊急時にあっては事故の進展なども予測するシステムである。ただし、緊急事態の初期段階では、ERSSからの正確なデータや実測値などの定量的な放出源情報を得るには、1~3時間ほど必要であることが防災訓練からの知見で得られており、二種類の放出モード、「単位量放出」と「変動放出」を用意することで、放出源情報を待つことなく計算が開始できるように工夫されている。 緊急時モードで起動したSPEEDIは、まず、定量的な放出源情報を待つことなく、単位量放出によって予測計算する運用が『環境放射線モニタリング指針』等に定められている。「単位量放出」は、常に一定量の放射性物質が放出されるモードで、実測値が得られる前に計算する場合に使うことが想定されており、「変動放出」は、時間とともに放出量が変化する場合、つまり定量的な放出源情報が得られている場合に指定するモードである。この、ERSSからの放出源データがあれば、SPEEDIは、正確な情報に基づいて「変動放出モード」での計算ができるようになり、予測の精度が高くなることが期待される。また、福島第一原発事故において、災害対策本部(保安院)が、単位量放出による計算以外に条件を出して計算させた際に指定した放出源情報は以下のとおりである。 ①設置許可申請書に添付されていた仮想事故、重大事故時の放出量データ ②設置許可申請書に記載されている安全評価の前提条件とした炉内放射能量 ③ERSSに予め用意されていた事故時の放出量の予測データ これにより、緊急事態において、放射性物質の定量的な濃度分布予測が出せなくても、相対的な濃度分布予測図形を作成することができ、迅速な初動の参考に活用することができるのである。以上を踏まえ、計算に必要な放出源情報は、大きく三種類が想定されていることになり、放出源情報の種類によって異なった計算方法が確立されている。その計算方法を大別すると、まずERSSによる正確な放出源の実測値や定量的な放出量の予測数値による計算、モニタリング等の実測値から逆推算した放出源情報による計算、そして定量的な数値が得られる前の段階における単位量放出や水素爆発やベントを想定し、任意の核種や放出量を入力しておこなう仮定に基づく予測計算である。 (※5月31日参院文教科学委員会:数土参考人答弁より) 余談になるが、『環境モニタリング指針』では、緊急時に、SPEEDIのデータすら配信されない事態も想定しており、手計算による簡易計算法の手順が載っている。ただし、今回の東日本大震災による福島第一原発事故では、3月11日から風速場、大気中濃度、空気吸収線量率の予測計算図形が配信されているため簡易計算は必要とはならなかった。 (中略) 8.内部被ばくによる実効線量 ヨウ素以外のFP核種などの吸入による実効線量を表示とあるが、公式サイトに見本もなく、今回の福島第一原発事故では、7.の内部被ばくによる臓器等価線量図形と同じように、特別な意味をもって精査する必要がないため、詳細は省く。見本も公式サイトにUPされていない。 以上、8種類の予測計算がSPEEDIに可能とされる計算であり、いずれの予測計算にも、風速場図形に必要な気象に関する情報は必須である。とりわけ今回の事故を経てわかったことは、風速場図形、大気中濃度図形、空気吸収線量率図形が非常に重要で、事故の種類によって6~8の内部被ばくに関するいずれかの図形を加味すると、迅速な初動における避難計画と緊急時モニタリング、以降の避難計画等に重要な資料になりそうである。 *2:http://ameblo.jp/u-sa-kichi/entry-11129428832.html (クラスタ民主主義システム研究室 2012年1月8日) SPEEDIによる内部被曝予測を正しく活用し、直ちに内部被曝の実測を テーマ:被曝 2011年6月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp/mt/2011/06/vol189speedi.html ----------- 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)は、文部科学省管轄の財団法人原子力安全技術センターが運用しており、SPEEDIに関するパンフレットを公開しています。このパンフレットには、次のような記述があります。 ・降雨および乾燥沈着ならびに放射能の減衰を考慮し、放射性物質の大気中濃度および地表蓄積量 の予測計算を行います。 ・放射性物質の大気中濃度および地表蓄積量の計算結果から、空気吸収線量率を計算します。空気 吸収線量率は、各核種からの複数のγ線による寄与を個別に計算して合計する詳細な手法により 計算されます。 ・空気吸収線量率の計算結果から外部被ばく実効線量を計算します。 ・放射性物質の大気中濃度の計算結果から、吸収による臓器等価線量や内部被ばく実行線量等を 計算します。 このパンフレットによれば、炉心溶融やコア・コンクリート反応などの重大事故が発生した場合、燃料種別、炉心溶融割合、炉心温度、コンクリート反応の有無、格納容器からの漏出割合を想定し、核種の組成比率データが格納されたデータベースから放出源情報を入力するか、希ガス、ヨウ素、セシウム、プルトニウムなど核種ごとの単位時間放出量等を入力すれば、日本各地における事故発生後の外部被曝実効線量と内部被曝実効線量をSPEEDIで予測できていることがわかります。また、出力図形一覧を参照すると、1歳児、成人といった年齢別の内部被曝量も、甲状腺や肺といった臓器別の内部被曝量も、具体的に予測できることもわかります。 実際に、原子力安全委員会は3月23日、1歳児が屋外にい続けた場合、事故発生から12日間で甲状腺の内部被曝が100ミリシーベルトを上まわるというSPEEDI試算を公開しました。さらに、この3月23日の試算結果と同じ放出源情報に基づいて文部科学省が試算したSPEEDIによる予測結果では、茨城県東部から千葉県東部まで1歳未満児の場合に、10~50ミリシーベルトの甲状腺内部被曝が予測されています。 しかし、その後は、なぜか、放射性物質の放出量をヨウ素単独で1ベクレル/時の単位量放出と限定して、5000枚のSPEEDI試算結果が公開されました。この5000枚では、日々放出され続けた実際の放射性物質総量を入力していませんから、SPEEDI本来の能力は活用されていません。また、燃料の温度上昇による放出+溶融炉心・コンクリート反応による放出を想定した文部科学省の解析予測でも、気象データは昨年4月から9月までの過去データによる試算しか行っておらず、なぜか、今年3月12日から現在までの気象データを利用していません。実際の放出量と気象データを用いた予測が必要だと思います。 最近になって、事故直後から3月16日までに大気中に放出された放射性物質の量は、77京ベクレルと推定量が2倍になりましたから、実際のダストサンプリング結果と今年の気象データに基づいて、SPEEDIを正しく活用し、年齢別、臓器別に、原発周辺地域において事故発生から現在までの内部被曝累積の予測結果を公表して頂くよう切に要望します。さらに、実際の放出量を入力した上で、明日および明後日のSPEEDI予測も毎日公表すべきだと思います。そうすれば、学校等での被曝防護対策に活用できるはずです。 住民への情報開示の観点からも、こうしたSPEEDIによる現実的予測を活用し、これまでに各地の住民が被爆した内部被曝総量を予測して、直ちに内部被曝の実測を開始すべきでしょう。ホールボディカウンタ検査だけではなく、バイオアッセイの試料に毛髪を利用すれば、内部被曝を時系列で推測できますし、今後の食物由来の内部被曝実測にも活用できる可能性があります。実際に、人の毛髪を使い、飲み水中のウランによる内部被曝を予測する報告もありますし、毛髪だけではなく爪でも内部被曝を実測できるという報告もあります。また、独立行政法人産業技術総合研究所は、セシウムの微少濃度変化を測定するため、極微量の金属元素分析が可能な誘導結合プラズマ質量分析装置を発注していますから、仮に、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)を用いて内部被曝を測定するとすれば、下記のように毛髪を保存、検査機関に郵送して、内部被爆を計測可能でしょう。 1.毛髪0.2g保存。できれば、多い方が良い。 2.採取量0.2gは、長さ3~4cmで150本程度。 3.出来るだけ毛根近くの毛髪を採取。陰毛でも測定可。 4.本人確認のDNA鑑定に備え、一部は毛根も含めて採取。 5.採取日を記載したジッパー付きビニール袋に毛髪を入れ、さらに封筒に入れ暗所保存。 残念ながら、上記の方法は私見ですので、将来、内部被曝を解析できなかった場合の責任は負えません。ぜひ、SPEEDIを正しく活用し、内部被曝が高い地域を推定して、政府および原子力防災関連機関の指導の下、原発周辺住民の被曝を低減する目安とするために、尿、毛髪、爪などを用い、内部被曝の実測を開始して頂きますようお願い致します。 *3:http://takumiuna.makusta.jp/e225145.html (子ども達を放射能から守るネットワーク@ちば 2013年07月23日) 32歳の元福島原発作業員が白血病で死去 先般、福島第1原発事故の収束作業を現場で指揮した元所長の吉田昌郎氏が食道がんで死去されたニュースが伝えられました。当時70ミリシーベルトを浴びたと言われた吉田所長。他の作業員も相当の被ばくをしていたことは想像に難しくありません。しかし一向に元作業員におけるその後の状況や健康被害の情報が日本のメディアで取り上げられることがありません。そんななか、FBの友人である松本和広氏が知り合いの友達が福島原発の仕事後に白血病で亡くなっていたということを発信されていました。情報をシェアさせていただきます。7/16の投稿から以下転載いたします。 知り合いの友達が福島原発の仕事後、白血病でなくなったそうです。知ってもらいたく開示許可もらいました。そのまま展開します。 ============================== 私の友人は32歳。スポーツ万能で健康体でした!福島原発の事故があってから、手伝えないかと進んで参加しました。初回時期から1年間、現場最前線で頑張っていました。現場作業で、日当二万円。 屋内2時間、屋外2時間の作業。ボスからは、東電は、しっかり放射線を監視しているからカウンター持参しなくて大丈夫。報道は過剰であって、放射線量の検査してるから大丈夫。と。。さらには、4階→3階→2階につれて、給与が増えていくらしく彼は3階で働いてました。1階は、出入り禁止らしく。当時は理由がわからずだったようです。 1年で500万円ためて、自分でスポーツジムを経営し初めました。しかし、その半年後位から、だるさが出て、さらには鼻血がよく出るように。最近になりあまりにも体調がおかしいと、病院に行き検査したところ、すぐに大学病院紹介され、その日からすぐに入院に。 一週間の精密検査をした結果、白血病と診断されました。さらに、2ヶ月の入院中でガンが見つかりました。また、二週間で全身転移。体力もなく手術できず。結局、白血病と多臓器不全さらにはガンによる死亡。体力に自信があった彼は、最後に…「東電に騙された。」といい、息を引き取った。 ============================= 福島原発の労働者の実態にメディアはどれだけ迫っているのでしょうか。多重下請け問題は取り上げるけど、放射線被ばくにおける健康被害の影響は一切伝わってきません。先日BSのプライムニュースで新潟県の泉田知事がこんな発言してました。「チェルノブイリ原発で初期の石棺作業にあたったのは死刑囚で、作業にあたった作業員は3年後全て亡くなった。日本ではそんな政治的取引が出来ますか」。 個人差もあり、個人のプライバシーに関わる問題でセシティブな問題であると思いますが、被ばく労働の真実をメディアやジャーナリストは伝えてほしい。世界的に見ても再稼働に向けて不都合な事実が隠されていくのが、原発問題の闇の深さであると感じます。 *4:http://mainichi.jp/select/news/20131123k0000m030094000c.html (毎日新聞 2013年11月22日) 秘密保護法案:国連人権理の特別報告者 日本に懸念表明 国連人権理事会のフランク・ラ・ルー特別報告者(グアテマラ、表現の自由担当)は22日、日本の特定秘密保護法案について「内部告発者やジャーナリストを脅かすもの」との懸念を表明、日本政府に透明性の確保を要請した。国連人権高等弁務官事務所(本部スイス・ジュネーブ)が報道声明で発表した。ラ・ルー特別報告者は「内部告発者や、秘密を報じるジャーナリストを脅かす内容を含んでいる」と法案を批判。秘密漏えいによる損害が国民の「知る権利」という公益よりも大きな場合に限って秘密保持が認められるが、その場合でも、独立機関による点検が不可欠だと主張した。国家機密を漏らした公務員らに厳罰を科す内容が法案に盛り込まれている点について「違法行為や当局の不正に関する機密情報を『良かれ』と思って公にした公務員は法的制裁から守られなければならない」と指摘した。 PS(2013.11.26追加):私は、*5に大体賛成だが、「テロ防止のための原発警備計画は特定秘密の対象で、その他の原発関連情報は特定秘密の対象外とするのが政府方針」ということについては、線引きだけの問題ではなく、警備をしても護りきれずに大惨事に至るような施設は、そのことを特定秘密にすれば足りるのではなく、指摘されたら早急に除去することが必要なのであり、解決策が逆だと考える。 *5:http://www.minpo.jp/news/detail/2013112612373 (福島民報 2013年11月26日) 原発情報開示「不透明」 秘密保護法 福島で公聴会 全員が反対、慎重意見 衆院国家安全保障特別委員会の特定秘密保護法案に関する地方公聴会は25日、福島市のホテル辰巳屋で開かれた。県内の首長、学者、弁護士ら7人が意見陳述し、特定秘密の範囲があいまいで東京電力福島第一原発の情報開示が不透明になる恐れがあるなどとして全員が法案成立に反対、または慎重な姿勢を示した。賛成意見はなかったが、特別委は近日中に法案を採決する方針で、陳述者からは原発事故に苦しむ県民代表の声を軽視しているとの批判の声が上がった。 ■採決方針に批判の声 浪江町の馬場有町長は、原発事故直後、放射性物質の拡散分布を予測する「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の情報が公表されなかったことを踏まえ、「政府が避難経路を明らかにしていれば、無用な被ばくを避けることができた」と情報公開の大切さを訴えた。さらに、4号機の核燃料プールからの燃料取り出しを例に挙げ、「県民の安全のためには、逐次情報を公開する方向に進むべきだ」と強調した。桜の聖母短大の二瓶由美子教授は、テロ防止のための警備計画を除く原発関連情報は特定秘密の対象外とする政府方針について、「原発関連情報とテロ防止の警備計画の線引きがあいまいだ」と指摘。県弁護士会の槙裕康副会長は「法律が成立すれば、解釈や運用で特定秘密は拡大の一途をたどる」と懸念を示した。しかし、出席した与党議員は、秘密の範囲について「国民の命と安全を守るためのもの」と明確さに欠ける発言を繰り返した。法律の制定で原発作業員による内部告発が制限される恐れや、原発関係の裁判で証拠が特定秘密のため開示されず、国民が不利益を被る可能性があるとの指摘もあった。平成14年に発覚した東電のトラブル隠しでは、原子炉内の点検結果の改ざんを作業員が告発した。国や県が把握できない原発内の偽装が明るみに出たことで、県民の安全・安心の確保のために安全監視が強化された経緯がある。公聴会終了後、委員会筆頭理事の中谷元・元防衛庁長官は「(法案全体の意義について)理解を得られたのではないか」と述べ、議論は尽くされたとの認識を示した。だが、法案の委員会採決が直前に迫る中での公聴会開催に、意見陳述した一人は「法案可決への通過儀礼ではないのか」と冷ややかな見方を示し、「県民の声を代弁した意見が法案に反映されなかったら、本県の顔に泥を塗るようなものだ」と厳しい口調で話した。地方公聴会は全国で福島市のみの開催。10月9日に県議会が原発事故の被災地として「慎重な対応を求める」とする首相、衆参両院議長宛ての意見書を全会一致で可決したため、開催地に選ばれた。 PS(2013.11.27追加):*6は事実だが、菅元首相は自然エネルギーによる電力買取制度を創設し、脱原発を主張している点が評価できる。また、当時、民主党政権は政権交代したばかりだったため、経産省、文科省によってSPEEDIの機能説明が正確になされていたかについては疑問だ。さらに、SPEEDIは、事故から現在までの放射性物質の放出もとらえていなければならず、その範囲や累積は大きい筈であるため、福島県だけではなく関東・東北各県の現時点までの累積を公表してもらいたい。また、使用済核燃料の取り出しが行われている現在も、SPEEDIは重要な役割をする筈だが、その情報は公表されていないため、速やかに公表すべきだ。 なお、*7に記載されているように、関東・東北各県でも、内部被曝により呼吸器や消化器の疾患が増加するのは必然であるため(子どもに限らない)、福島以外でも検診すべきだ。 *6:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131126/plc13112622490028-n1.htm (産経ニュース 2013.11.26) 首相「菅政権が対応誤った」 民主議員の原発事故情報非公表に反論 安倍晋三首相は26日の国家安全保障特別委員会で、政府が東京電力福島第1原発事故直後に緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報を公表しなかったことについて「あのときは民主党政権だった。菅直人首相のときに出すべき情報を出さなかった。まさに政府が対応を誤った」と切り捨てた。首相に質問したのは事故当時の環境副大臣だった民主党の近藤昭一衆院議員で、「福島ではいろいろな情報が隠ぺいされてきて、特定秘密保護法でさらに秘密が拡大されるとの懸念がある」と迫った。だが、首相の反論に続き参院福島選挙区選出の森雅子少子化相も「福島県ではSPEEDIの情報が出なかったことが心に重くのしかかっている。あれは秘密でもなんでもなかった」とバッサリ。近藤氏は「反省とおわびを申し上げたい」と述べ、墓穴を掘った形となった。 *7:http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1311250024/ (神奈川県コミュニティーサイト 2013年11月26日) ベラルーシの教訓生かして 内部被ばく問題で医師が講演/相模原 今からでも被ばくを減らすことを考えて-。相模原市南区の内科勤務医・牛山元美さん(56)が、原発事故による内部被ばくの問題と向き合い続けている。23日には緑区の橋本公民館で講演し、チェルノブイリ事故を経たベラルーシを今春訪ねた際に得た医学的知見を紹介。内部被ばくを軽視しない意識の必要性を訴えた。牛山さんは3月、日本人医師有志とともに、チェルノブイリのあるウクライナの隣国ベラルーシを訪問。現地の学術機関や検診医から事故後の現状について聞き取りを行った。講演会では、現地で得た知見として▽事故後、甲状腺がんが増加した▽甲状腺がんのリスクを地域別で分類し、検診を続けている▽保養活動で内部被ばくの線量が低下した事例も出ている-などを挙げた。 周辺都市では子どもに呼吸器や消化器の疾患が増加。「放射能の影響かどうか専門家の間でも論争が続いている」「子どもの病気が増えているが、公式に(事故が原因と)言えない」など、難しさを抱えながら原発事故後の健康被害の治療に当たる現地の声も紹介した。またベラルーシの甲状腺専門医から「日本は被爆国としてベラルーシへの検診体制整備を支援してくれた。なぜ福島以外で積極的な検診をしようとしないのか」との疑問が投げ掛けられたことも明かし、日本の対応の不備を強調した。牛山さんは「将来、日本でも何らかのがんや疾患が増えた場合、福島の事故の影響か立証が難しいため、対策が取られなかったり、遅れたりする事態が起こるかもしれない」と指摘。「例え発症率が1万分の5だったとしても、その5人が自分の子どもだったらと考えて」と当事者意識を持つように促した。 今できることとして、「卵巣への蓄積による遺伝的影響について、分かっていないことが多い現実を誠実に受け止める」「低線量被ばくを今までの常識で否定したり、軽視したりしないこと。今からでも被ばくの回避を」と強調した。ともにベラルーシに赴いた有志と、被ばくによる健康障害を減らす医学的な提言を行うグループも結成した牛山さん。「医学的な良心を果たしたい。無関心や誤解に働きかけていく」と締めくくった。講演会は市立橋本公民館の利用者有志が企画した。
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2013,11,17, Sunday
(まさか、こういうブログを、テロや扇動や風評被害などと呼ばないでしょうね)
日本の汚染情報 ドイツの汚染情報 フランスの汚染情報 (1)優先順位を間違えた論理 *1の石井孝明氏は原発推進派で、「俳優だった山本氏は福島第1原発事故の後に、『反原発』を主張してさまざまな騒動を起こした」と書かれているが、これらは、「騒動」という言葉で表すべきものではない。そして、そういう活動の結果、山本氏が参院選の東京選挙区で約67万票を集めて当選したのは間違いなく、これは、その活動が多くの人に支持された結果だ。 また、石井氏は、*1で、「山本議員の主張と行動、特に健康情報の扱いは問題があり、『被ばくで健康被害が起こる』と繰り返すが、健康情報は正確に、慎重に発信しないと、パニックや風評被害の源になる」「事故後に多くの放射能デマが社会を混乱させ、人々の心を傷つけた」「誰もが原発事故当時、放射能による健康被害を警戒し、放射線を大量に浴びると発ガンが増えると思ったが、事故の影響は限定的だった」等々と述べている。 要するに、石井氏は、「放射能の健康被害はデマであり、デマを流してパニックや風評被害の源になるのは悪いことだ」と言っているのだが、放射能の健康被害がデマでないことは、*6、*7のとおりである。そのため、*2、*3、*4、*5のようなことが問題となっているのだ。そして、これが、全国放送で報道され、国民に情報共有されないことは、普段から「言論の自由」を標榜しているメディアの闇である。 そのような情報を知らないため、福島市在住の母親が、「山本さんが『子供が危険』と誤った情報を流すことは故郷への悪口で、とても不愉快」「山本氏の行動は人の心を傷つけている」と述べているのだろうが、「故郷への悪口」「不愉快」「人の心を傷つける」と言う以前に、正確な情報を入手して家族の命や健康へのリスクを軽減することこそ最も重要な課題であり、優先順位が異なる。 私は、「環境ジャーナリスト」という肩書をつけたからといって、慶応大学経済学部卒のフリー記者が、放射線と癌の関係に詳しいとは思わない。石井氏は、その自分の限界を自覚すべきである。 (2)内部被曝にかかわる食品安全基準は、もう0にしてもらいたい 食品の安全基準は、飲料水(10ベクレル/kg)、牛乳(50ベクレル/kg)、一般食品(100ベクレル/kg、乳児用食品50ベクレル/kg)とされている(http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/20131025-1.pdf 参照)。そして、その基準は、年間1ミリシーベルトを超えないように設定したとされているが、「年間1ミリシーベルトを超えなければよい」というのは外部被曝の場合であり、食物からの内部被曝では、食品に少量でも放射性物質が含まれていれば、消化器系や腎臓・膀胱をはじめとして、身体全体に負担がかかる。また、食品から年間1ミリシーベルトを摂取すれば、外部被曝との合計は、さらに大きな値となる。これは真実であり、風評ではない。 つまり、一見、もっともらしい安全基準も、①他の被曝との合計が考えられていない ②期間が明示されていない ③仮定が多すぎる ④ご都合主義 などの問題があるのである。 原発事故から既に2年8カ月経過し、その間、国民は放射性物質を含む食品を食べさせられて、抵抗力は、もう限界に近い。そのため、もう食品には全く放射性物質を含まないようにしてもらいたいのだ。そんな常識も通らない国ならば、日本国民はもとより、外国の日本食材に対する安全性評価も地に落ちる。 *1:http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20131113/plt1311130726000-n1.htm (Zakzak 2013.11.13) 【脱原発論はいいけれど…】山本太郎氏は被曝の恐怖と自分の政治主張を結びつけるな 誤った情報は福島を傷つける★(2) 山本太郎参議院議員が10月31日の園遊会で、天皇陛下に手紙を直接渡して、大騒動となった。本人によれば、手紙は「子供たちの被ばくが進み、健康被害が出る。実情を知ってほしい」という内容だ。あらゆる立場の人が彼を批判した。社会問題の解決は国会議員の仕事なのに、関係のない皇室を巻き込んだ。これは目立ちたいパフォーマンスにしか思えない。参院は8日、議長名で厳重注意と皇室行事参加を認めない処分を決めた。山本氏は、処分後に「猛省している」と陳謝した。 俳優だった山本氏は福島第1原発事故の後に、「反原発」を主張してさまざまな騒動を起こした。今年夏の参院選では東京選挙区で約67万票を集めて当選した。多くの人に支持されたことは尊重するが、彼の主張と行動、特に健康情報の扱いは問題がある。 今回の手紙騒動を含めて、山本氏は「被ばくで健康被害が起こる」と繰り返す。健康情報は正確に、慎重に発信しないと、パニックや風評被害の源になる。事故後に多くの放射能デマが社会を混乱させ、人々の心を傷つけたことを思い出してほしい。誰もが原発事故当時、放射能による健康被害を警戒した。放射線を大量に浴びると発ガンが増える。幸いなことに事故の影響は限定的だった。専門家はそろって「健康被害は起きる可能性はほとんどない」と現状を分析し、日本政府も国連科学委員会も「がん患者の増加は考えられない」との報告をまとめた。現時点で、福島県や東日本の大半で、事故の影響による追加被ばく量は、影響がないと推定される年数ミリシーベルト以下だ。 ところが、山本氏は安心を得られる情報を受け付けず、皇室を含めて他の人に「危険だ」という意見を押し付ける。3歳の女の子と暮らす福島市在住の母親に感想を聞いた。「私たちは情報を集め、健康被害はないと判断した上で、故郷に住んでいます。山本さんが『子供が危険』と誤った情報を流すことは故郷への悪口で、とても不愉快です」。周囲も同種の感想ばかりという。山本氏の行動は人の心を傷つけている面があるようだ。山本氏が代表格だが、放射能をめぐる誤った情報を周囲に拡散する人がいる。そして、その恐怖感と自分の「反原発」の政治主張を結びつける。そうした行為は、今すぐやめてほしい。それよりも放射能の正確な情報を学び、福島の人々の声を聞いたらどうか。 他者に迷惑をかけない「脱原発」や「子供を守れ」の主張なら、違う考えの人も交えながら、子供の健康とエネルギーをめぐる建設的な議論ができるはずだ。 ■石井孝明:経済・環境ジャーナリスト。1971年、東京都生まれ。慶応大学経済学部卒。時事通信記者、経済誌記者を経て、フリーに。エネルギー、温暖化、 環境問題の取材・執筆活動を行う。アゴラ研究所運営のエネルギー情報サイト「GEPR」の編集を担当。著書に「京都議定書は実現できるのか」(平凡社)、「気分のエコでは救えない」(日刊工業新聞)など。 *2:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-215262-storytopic-1.html (琉球新報 2013年11月13日) 東京湾にセシウム高濃度地点 東京電力福島第1原発事故から1年半以上がたった2012年11月の段階でも、東京湾奥部の河口域の底泥から1キログラム当たり千ベクレルを超える放射性セシウムが検出されるなど、比較的高濃度の「ホットスポット」が存在していることが、近畿大の山崎秀夫教授らの分析で13日、明らかになった。 山崎教授は「事故に起因する放射性物質が今でも河川を通じて東京湾に流れ込んでいる。生物を含めた監視を続けることが重要だ」と指摘した。12年8~11月初めにかけて東京湾の延べ106地点で泥を採取、分析。 *3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20131113/CK2013111302000147.html (東京新聞 2013年11月13日) 利根川水系のウナギ出荷制限 県は十二日、境大橋(境町)より下流の利根川で、支流を含めてウナギの出荷を制限するよう国の指示があったと発表した。県境に接している千葉県の利根川で捕れたウナギから基準値(一キログラムあたり一〇〇ベクレル)を上回る放射性セシウムが検出されたため。茨城県内の利根川水系でウナギが出荷制限されるのは初めて。県は同日、関係する漁協に出荷を控えるよう要請した。千葉県の利根川で検出された放射性セシウムは五月に一キログラムあたり一三〇ベクレル、十月に同一四〇ベクレル。 *4:http://www.minyu-net.com/news/news/1115/news1.html (2013年11月15日 福島民友ニュース) 農業用ため池、3割基準値超 底土の放射性物質 福島県は14日、東京電力福島第1原発事故を受け、県内の農業用ため池1640カ所(避難区域を除く)で底にたまった土砂(底土)などに含まれる放射性物質濃度を調査した結果、3割の450カ所で、国が処分責任を持つ指定廃棄物の基準値(1キロ当たり8千ベクレル)を超えたことを明らかにした。本宮市の明戸石(みょうといし)ため池で最高値1キロ当たり37万ベクレルを検出したのをはじめ中通りを中心に高濃度の放射性セシウムが底土に蓄積している実態が判明。ため池は除染の対象でなく、県は環境省に実測値を提示し除染対象に加えるよう強く求める。底土の調査結果が検出限界値未満だったのは1カ所だけで、1639カ所で放射性セシウムを検出した。県は「(濁った水が流れれば)放射性セシウムが水田や畑に流出し、農作物に色濃く影響が出る」(農地管理課)と警戒感を示したため池の水の調査では、75カ所から放射性セシウムを検出、最高値は1リットル当たり13ベクレルで飲料水の基準値(1リットル当たり10ベクレル)を上回る一方、水を濾過(ろか)して再調査すると、検出したため池は2カ所に減り、最高値も同8ベクレルまで下がった。これはセシウムが土などに付着して水の中を漂っている状況を裏付けるという。 *5:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=24516 (日本農業新聞 2013/11/16) 津波被災田200ヘクタール復旧 稲作再興へJA奮闘 福島・JAそうま 東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故の被害を受けた福島県のJAそうまは、農地復旧の専属班を設けて農家の早期営農再開を後押しすると同時に、農地データの収集や米の全量検査の実施で「風評被害」の克服に取り組む。今年の米の作付け2142ヘクタールは、震災前の27%にとどまる。時間の経過とともに離農が進む中、JAは「農家の営農意欲を何とかつなぎ止めたい」と奮闘する。 JA管内4市町村のうち南相馬市と飯舘村は、原発事故の影響で今年も全域で作付けができない。同市を含む相馬市、新地町の沿岸部は津波被害を受けた農地の復旧作業が続く。JAは、「災害農地除塩・除染対策班」を12年2月に発足させ、専従職員4人を配置した。津波被災田の復旧事業を行政から受託し、被災者支援のため農家らに作業を振り分ける。JA出資法人にも依頼して200ヘクタールの作業を終え年度内にさらに40ヘクタールを復旧させる。しかし、農地除染は思うように進んでいない。除染で発生する汚染廃棄物の一時保管場所や作業員の確保が難しいことが原因。「風評被害」への懸念から「営農を再開するには、検査で不検出となる米を確実に生産できる状況を整えてほしい」(南相馬市の農業法人代表)との声も強い。こうした状況を踏まえJAは、今年度、国から委託を受けて、同市の123ヘクタールの農地で実証栽培に取り組んだ。土壌や空間の放射線量が比較的高い地域で、塩化カリウムなどを施用して米のセシウム吸収を抑制できるかを調べる。土壌や玄米の放射性物質濃度などのデータを取りまとめ、国や県に提供している。また、放射性物質が基準値以下の米だけを流通させるため、全量全袋検査を徹底する。同対策班の西幸夫班長は「稲作を回復できるかが地域の復興に大きく影響する。できる対策を地道に続けたい」と語る。 *6:http://digital.asahi.com/articles/TKY201311120463.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2013年11月13日) 子の甲状腺がん、疑い含め59人 福島県は被曝影響否定 東京電力福島第一原発事故の発生当時に18歳以下だった子どもの甲状腺検査で、福島県は12日、検査を受けた約22・6万人のうち、計59人で甲状腺がんやその疑いありと診断されたと発表した。8月時点より、検査人数は約3・3万人、患者は疑いも含め15人増えた。これまでのがん統計より発生率は高いが、検査の性質が異なることなどから県は「被曝(ひばく)の影響とは考えられない」としている。県は来春から、住民の不安にこたえるため、事故当時、胎児だった約2万5千人の甲状腺検査も始める。 新たに甲状腺がんと診断されたのは8人、疑いありとされたのは7人。累計では、がんは26人、疑いが33人。がんや疑いありとされた計58人(1人の良性腫瘍〈しゅよう〉除く)の事故当時の年齢は6~18歳で平均は16・8歳。甲状腺がんはこれまでで10万人あたり12人に見つかった計算になる。宮城県など4県のがん統計では2007年、15~19歳で甲状腺がんが見つかったのは10万人あたり1・7人で、それよりかなり多い。ただし、健康な子ども全員が対象の福島の検査の結果と、一般的に小児は目立つ症状がないと診断されないがんの統計では単純比較できない。 ただ、チェルノブイリでは、原発事故から4~5年たって甲状腺がんが発生しており、複数の専門医は「被曝から3年以内に発生する可能性は低い」と分析している。県は被曝の影響とは考えにくい根拠として、患者の年齢分布が、乳幼児に多かったチェルノブイリと違って通常の小児甲状腺がんと同じで、最近実施された被曝影響の無いロシアの子どもの検査でも4千~5千人に1人がんが見つかっていることなどを挙げている。 *7:http://saigaijyouhou.com/blog-entry-997.html 福島第一原発で4ヶ月ほど作業をしていた元作業員の方が、3つの癌を同時併発し、「被曝が原因で癌になった」として労災を申請していることが判明しました。この元作業員の方は2011年7月から10月まで福島第一原発で作業をしており、50ミリシーベルト以上の被曝をしたとのことです。過去の原発労災に関する情報を見てみると、年5ミリでも許可が出ているものもあることから、この方の総被曝量はかなり多いと言えるでしょう。発生した癌は「膀胱がん」、「胃がん」、「大腸がん」の3つで、いずれもそれぞれの臓器で独立していたことが確認されています。作業員の方が55歳であることを考えると、ここまで大量の癌が発見されたということは、放射能被曝の可能性が濃厚です。亡くなってしまった吉田元所長も食道がんが死因だったので、福島第一原発で作業をした方は消化器官を強く痛めていると推測されます。 ☆福島第1原発で4カ月 札幌の55歳男性が労災申請 がん「被ばくが原因」 URL http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/496287.html 東京電力福島第1原発事故後の2011年7月から10月まで同原発で作業し、その後膀胱(ぼうこう)がんなど三つのがんを併発した札幌市在住の男性(55)が、発がんは作業中の放射線被ばくが原因だとして労災の申請をしていたことが5日分かった。原発事故後、被ばくを理由に労災を申請した人はこの男性を含めて全国で4人。いずれも審査中で、労災が認定された例はまだない。男性は重機オペレーターとして同原発の原子炉建屋周辺でがれきの撤去作業などに従事した。被ばく線量が4カ月間だけで原発作業員の通常の年間法定限度である50ミリシーベルトを超えたため、同年10月末で現場を離れた。12年5月に膀胱がんが見つかり、札幌で手術。今年3月には大腸がんと胃がんも見つかった。現在も通院しながら抗がん剤治療を続けている。転移でなく、それぞれの臓器で独立して発病していた。<北海道新聞10月6日朝刊掲載> ☆東電 吉田昌郎元所長が死去 URL http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130709/t10015922331000.html 7月9日 17時15分 東京電力福島第一原子力発電所で、事故対応の指揮を執った吉田昌郎元所長が、9日午前、東京都内の病院で食道がんのため亡くなりました。58歳でした。吉田元所長は3年前の6月に福島第一原子力発電所の所長に就任し、おととし3月11日の事故発生から現場のトップとして事故対応の指揮を執りました。おととし12月に食道がんと診断されて所長を退任し治療を受けていましたが、去年7月に脳出血の緊急手術を受け療養生活を続けていました。
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2013,10,26, Saturday
*5の表3 2013.9.30放射線量 2013.10.1朝日新聞より (1)許容される線量基準は、本当に「年間1~20 mSv」か *1に書かれているように、国際原子力機関(IAEA)が、「年間追加被曝線量を1ミリシーベルト(以下“mSv”)とする政府の長期目標は、必ずしも達成する必要はなく、環境回復に伴う利益と負担のバランスを考えて最適化すべき」「住民との同意を得ながら復興対策とともに資金を適切に配分するのが重要」と報告したそうだが、IAEA除染専門家チームのフアン・カルロス・レンティッホ団長は、IAEA核燃料サイクル・廃棄物技術部長で、核燃料サイクルを再開したい原子力畑の人であり、人間に対する核物質の影響に詳しい医学や疫学の専門家ではない。 また、除染費用という負担を負うべき東電・国は、除染による利益を受けるべき住民とは別の主体である。そのため、環境回復に伴う利益と負担のバランスをとれば、東電・国の利益の為に住民に負担を強いることになり、不公正だ。これを解決するには、まず、年間1~20mSvの地域の住民には移住の権利を与え、そのためのコストと逸失利益は、東電・国が負担すべきである。 さらに、*2によれば、IAEAの報告を受けて、原子力規制委員会の田中俊一委員長が、10月23日の記者会見で「(1mSvという数字が)いつの間にか独り歩きしている」と、年間被曝線量限度1mSvは不当であるかのような見解を述べているが、1mSv未満というのは、*5のICRPの2007年勧告で、「平常時の一般人年間被曝線量限度は1mSv未満」と定められていることによるものだ(上図左)。そして、医療で放射線を使う場合のように、個人の中で便益がまさっている場合にのみ、それ以上の被曝を許容するものであるため、政府に都合のよい解釈が目に余る。 (2)日本の安全基準は信頼できるのか このように、「一般人の年間被曝線量限度」という健康や命に最も重要で測りやすい基準でさえ、除染費用とのバランスで(!)、なし崩し的に緩められようとしている。そして、食物や空気から受ける内部被曝の影響は、この年間被曝線量限度には含まれておらず、身体には、さらなる大きな負荷がかかっているが、内部被曝に関する基準も、経済性とのバランスを取った科学的根拠のないものだ。 その上、*3の「本来は、庭先など野外と居間など屋内の線量を実際に測って比較すべきだが、そうしていなかった」というように、命にもかかわる帰還目安線量の算出が意図的であり、精度が低い。 もちろん、*3の「実測もせずにIAEAの結果と合わせるような測り方をした」、*4の「福島原発で被曝した人の因果関係を否定して労災を認めなかった」等のように、政府が決めた安全基準外の状況では原発事故との因果関係を否定すれば、一応、「日本の安全基準は正しかった」という結論にすることはできる。 しかし、これは、科学的常識から程遠く、自然科学のいろいろな角度から自然現象を調査すれば、隠蔽したことまで含めて、すぐに明るみに出る行為だ。自然現象の結果が出てからでは遅いけれど・・。 *1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20131022&ng=DGKDASGG2102J_R21C13A0MM8000 (日経新聞一面 2013.10.22) 年1ミリシーベルトの除染目標達成「必ずしも必要ない」 IAEA報告 東京電力福島第1原発事故に伴う除染の状況を検証した国際原子力機関(IAEA)の専門家チームは21日、報告書(暫定版)をまとめた。年間追加被曝線量を1ミリシーベルトとする政府の長期目標について、「必ずしも達成する必要はない。環境回復に伴う利益と負担のバランスを考えて最適化する必要がある」と指摘。住民との同意を得ながら復興対策とともに資金を適切に配分するのが重要だとした。報告書は同日、石原伸晃環境相に提出した。環境省は報告書を踏まえて住民の健康管理などを含めて今後の除染のあり方を検討する。国際的に許容される線量基準は1~20ミリシーベルトで、日本政府は1ミリシーベルトを目標に設定。同省は2013年度まで除染に1兆円を超す資金を投じている。政府は国直轄で行う福島県内の除染の完了時期を年内に示す方針だ。報告書は今後活動を改善するための8つの助言をまとめた。「環境回復活動が良好に進捗している」とし、政府の除染活動をおおむね評価した。ただ除染作業が遅れている。除染が終わった地域でも線量が十分に下がっていない地域もあり「年間1ミリシーベルトの追加被曝線量は、除染活動のみによって短期間に達成できるものではないことをもっと住民に説明すべきだ」と強調した。 *2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2570666.article.html (佐賀新聞 2013年10月23日) 年1ミリシーベルト「独り歩き」 / 被ばくで田中規制委員長 東京電力福島第1原発事故に伴う除染で国が掲げる長期目標の年間追加被ばく線量1ミリシーベルトに関し、原子力規制委員会の田中俊一委員長は23日の記者会見で「(1ミリシーベルトという数字が)いつの間にか独り歩きしている」と述べた。除染を支援するため来日した国際原子力機関(IAEA)専門家チームのフアン・カルロス・レンティッホ団長が21日、年間1ミリシーベルトについて「必ずしもこだわる必要はない」と述べた見解を容認した形。 *3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013101302000097.html (東京新聞 2013年10月13日) 福島除染・帰還目安線量 算出精度に疑問 東京電力福島第一原発事故で汚染された地域で、家が放射線を遮る効果を、国がまるで環境の異なる場所の調査で計測した値を基に、算出していたことが分かった。放射線量は除染や住民帰還の目安になるが、この算出方法ではデータのばらつきが大きく、専門家も精度を疑問視している。国は、住民が避難先から帰る目安として、当面の被ばく線量を年二〇ミリシーベルト以下とし、長期的には年一ミリシーベルト以下としている。これらの目安は、除染を進めるかどうかの判断にも使われている。 問題なのは、被ばく線量を推定する際に重要となる家屋の遮へい効果の数字だ。国際原子力機関(IAEA)は、鉄筋コンクリートなら屋外の放射線を九割、木造家屋なら六割カットするとしているが、国は日本でも当てはまるかどうかを、独立行政法人日本原子力研究開発機構に調査を委託。機構は調査で、この値の正しさを確かめたという。機構はまず、福島県川俣町の五軒で、野外と屋内の窓際の線量を計測、窓際でどれくらい線量が減るかを調べた。その上で、福島市や伊達市など三市二町の百五軒について、窓際の数値から野外の数値を推計し、屋内で測った数値と比べ、家屋の遮へい効果がIAEAの値とほぼ同じと結論づけていた。 本来は、庭先など野外と、居間など屋内の線量を実際に測って比較すべきだが、そうしていなかった。統計数理研究所(東京)の石黒真木夫(まきお)特命教授によると、機構の調査方法は実測できない理由があるような場合はあり得る手法だが、川俣町のデータは少なすぎる。家によって、遮へい効果の数値が大きくばらついていることに注意する必要があるという。機構の担当者は、野外に多くの線量計を長く置くのは管理が難しいと説明。その一方、「集めたデータがまだ少なく、六割減という数値は、絶対的なものではない」とした。本紙は今年八、九月に福島県田村市や川俣町、楢葉町などの二十六軒で実測。木造家屋の遮へい効果は二割ほどとの結果を得た。計測に協力した住民たちは「避難先から帰るかどうかは、十分信用できる根拠を基にして決めたい」と語った。だが、国は本年度も機構に委託し、同様の手法で福島県内の二百軒で測り、家屋が遮る割合を算出するという。 <国の被ばく線量の推定>毎時0・23マイクロシーベルト(1マイクロシーベルトは1ミリシーベルトの1000分の1)であれば、自然界から受ける放射線を加味しても、一般人の被ばく線量限度の年1ミリシーベルトにおさまるとされる。1日のうち野外に8時間、屋内に16時間滞在する生活パターンを想定し、屋内(木造)にいれば野外の線量は6割カットされることが前提になっている。除染でも住民の帰還でも、国の長期目標の重要な目安となっている。 *4:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/dogai/499044.html (北海道新聞 2013/10/20) 福島原発で被ばく、労災認めず 厚労省、がんとの因果関係否定 東京電力福島第1原発事故の収束作業に従事した後、がんを発病したのは作業中の放射線被ばくが原因だとして労災申請した男性に対して厚生労働省が、発病は被ばくが原因ではないとして労災を認定しない決定を下していたことが19日分かった。福島事故後の原発作業員の労災申請で、被ばくとがんの因果関係をめぐる厚労省の判断が出たのは全国初。福島事故の収束作業に従事して発がんし、被ばくを理由に労災申請したのは全国で4人おり、このうちの1人。残り3人は申請に対する決定が出ておらず、このうち1人の札幌市在住の男性(55)は作業当時の様子などについて北海道新聞の取材に応じ、本紙が今月6日の朝刊で報じた。複数の関係者によると、労災が認定されなかったのは福島県外から福島第1原発に働きに来た男性。居住地や年齢は明らかになっていない。作業従事後にがんの一種である悪性リンパ腫を発症し、昨年9月以降に労災を申請していた。今年9月下旬に厚労省が開いた専門家による検討会で、《1》被ばく線量が労災認定の基準以下である《2》被ばくから発症までの期間が短い―と、被ばくと発症の因果関係を否定。これを受け今月10日に富岡労基署(仮事務所・福島県いわき市)が労災を認めないと決定。本人にも通知したという。<北海道新聞10月20日朝刊掲載> *5:http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-04-01-05 (2012年2月)ICRPによって提案されている放射線防護の基本的考え方 <本文> 国際放射線防護委員会(ICRP)は放射線防護の目的を以下のように定義している。 (1)放射線被ばくを伴う行為であっても明らかに便益をもたらす場合には、その行為を不当に制限する ことなく人の安全を確保すること。 (2)個人の確定的影響の発生を防止すること。 (3)確率的影響の発生を減少させるためにあらゆる合理的な手段を確実にとること。 ICRPはこれらの目的を達成するために、放射線防護体系に、正当化、最適化、線量限度という三つの基本原則を導入することを勧告している。 1.放射線防護の基本理念の変遷 (略) 2.1977年勧告以降の放射線防護の基本的な考え方 (1)1977年勧告(ICRP Publication 26) (略) (2)1990年勧告(ICRP Publication 60) (略) (3)2007年勧告(ICRP Publication 103) 主要な特徴として以下が挙げられる。(a)放射線荷重係数と組織荷重係数を更新した。(b)正当化、最適化、線量限度の適用という三つの基本原則を維持した。(c)行為と介入による防護の方法から状況に基づく方法に転換し、計画被ばく状況、緊急時被ばく状況、現存被ばく状況というすべての制御可能な被ばく状況へ三つの基本原則を適用した。(d)計画被ばく状況における実効線量と等価線量に対して1990年勧告の線量限度(表3)を維持した。(注:計画被ばく状況とは計画的に線源を導入または操業することによる被ばく状況、緊急時被ばく状況とは不測の事態または悪意の行為から生じる予期せぬ被ばく状況、現存被ばく状況とは自然放射線による被ばくや過去の行為の結果として存在する被ばく状況をいう。) また、2003年に刊行されたICRP Publication 91(A Framework for Assessing the Impact of Ionising Radiation on Non-Human Species)を踏まえ、「環境の放射線防護」の考え方を導入し、人以外の動物、植物についても参考動物と参考植物を選定して防護体系を構築する必要性を求めた。 なお、2007年勧告では主文書Publication 103は1990年勧告の報告文書に比べて簡素化され、付帯文書で個別分野に対する詳細な勧告を行う方式が採用された。例えば、医療分野における放射線防護に関してはPublication 105に詳細にまとめられている。 3.環境放射線被ばくの制限に対する考え方 (以下略)
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2013,04,03, Wednesday
セシウムを基準とした汚染格付け *3より 福島第一原発事故で放射性物質による汚染が起これば、そこで生活する生物(人間も含む)に影響を与えることは間違いない。*1は、これを研究者が研究の名に値する形で調査し、公表した点に意義がある。今後は、食品となる家畜や海洋及び海洋生物の調査もして欲しい。 現在、狂牛病(BSE)とチェルノブイリ原発事故の関係は、*2のように言われている。家畜も生物である以上、放射線を浴びれば異常をきたすのが当たり前で、私は、*2を信じられる。ウイルスに感染もしないのに、体内で異常プリオンが作られるのは、自分の細胞が変化したとしか考えられない。そのため、「セシウム137(半減期30年)やストロンチウム90(半減期90年)といった放射性物質が大量に放出されたことで、それらが狂牛病や人間のクロイツフェルト・ヤコブ病を引き起こす有力な候補となる」「チェルノブイリ原発事故由来の放射能で牛が被曝したことにより遺伝子異常が起き、BSE(狂牛病)が発症したのではないか?」というのは、確かにその可能性がある。そして、これは、福島第一原発事故により、現在、日本で起こっていることなのである。 このような中、*3のように、厚生労働省は、7月にもBSE国内検査免除の月齢を「48カ月以下」に大幅に緩和するとのことだが、これからは、TPP参加を視野に安易に米国に追随することなく、しっかりと検査しなければならない時だ。しかるに、この厚生労働省の方針では、全頭検査による和牛に対するこれまでの信頼もなくし、やることが逆である。こういう姿勢では、仮にTPPに参加しても、日本の農産物輸出は減ることはあっても増えることはなく、これまで安全性で選んでいた国内の顧客も失うだろう。日本の消費者を馬鹿にしてはならない。 *1:http://news.livedoor.com/article/detail/7558754/?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter (東洋経済オンライン 2013年4月3日) 福島原発周辺で「動植物異常」相次ぐ チョウやニホンザルなどに異常、研究者が被曝影響と指摘 福島市や全村民が避難を余儀なくされている福島県飯舘村など、福島第一原原子力発電所からの放射性物質で汚染された地域で、動物や植物に異常が多く見られることが研究者による調査で明らかになった。3月30日に東京大学内で開催された「原発災害と生物・人・地域社会」(主催:飯舘村放射能エコロジー研究会)で、東大や琉球大学などの研究者が、ほ乳類や鳥類、昆虫、植物から見つかった異常について報告した。原発事故による生物への影響についての研究報告は国内でもきわめて少ないうえ、4人もの研究者が一般市民向けに報告したケースはおそらく初めてだ。 ■稲の遺伝子に異変 まず生物への影響に関してシンポジウムで最初に報告したのが、筑波大大学院生命環境科学研究科のランディープ・ラクワール教授。「飯舘村での低レベルガンマ線照射に伴う稲の遺伝子発現の観察」というテーマで研究成果を発表した。ラクワール教授は、つくば市内の研究所で育てた稲の苗を、福島第一原発から約40キロメートルに位置する飯舘村内の試験農場に持ち込んだうえで、放射線の外部被曝にさらされる屋外に置いた。そして生長が進んでいる根本から3番目の葉をサンプルとして採取し、ドライアイスを用いて冷凍保管したうえで、つくばに持ち帰った。その後、「半定量的RT-PCR法」と呼ばれる解析方法を用いて、特定の遺伝子の働きを観察したところ、低線量のガンマ線被曝がさまざまな遺伝子の発現に影響していることがわかったという。ラクワール教授らが執筆した研究結果の要旨では、「飯舘村の試験農場に到着してから初期(6時間後)に採取したサンプルではDNA損傷修復関連の遺伝子に、後期(72時間後)ではストレス・防護反応関連の遺伝子に変化が認められた」と書かれている。「稲に対する低線量被曝の影響調査は世界でも例がない。今後、種子の段階から影響を見ていくとともに、人間にも共通するメカニズムがあるかどうかを見極めていきたい」とラクワール教授は話す。 動物に現れた異常については、3人の研究者が、チョウ、鳥、サルの順に研究成果を発表した。 チョウについて研究内容を発表したのが、琉球大学理学部の大瀧丈二准教授。「福島原発事故のヤマトシジミへの生物学的影響」と題した講演を行った。大瀧准教授らの調査は、日本国内にごく普通に見られる小型のチョウであるヤマトシジミを福島第一原発の周辺地域を含む東日本各地および放射能の影響がほとんどない沖縄県で採集し、外部被曝や内部被曝の実験を通じて生存率や形態異常の有無を調べたものだ。大瀧准教授らの研究結果は昨年8月に海外のオンライン専門誌「サイエンティフィックリポート」に発表され、フランスの大手新聞「ル・モンド」で大きく報じられるなど、世界的にも大きな反響があった。 ※原著論文は下記に掲載 http://www.natureasia.com/ja-jp/srep/abstracts/39035 ※日本語の全訳は下記に掲載(研究室のホームページより) http://w3.u-ryukyu.ac.jp/bcphunit/kaisetsu.html ■飼育実験で被曝の影響を検証 大瀧准教授は研究の特徴として、1.事故の初期段階からの調査であること、2.事故の影響のない地域との比較研究であること、3.飼育実験により、子世代や孫世代への影響を評価していること、4.外部被曝実験および内部被ばく実験を実施したこと――などを挙げた。 事故から2カ月後の2011年5月および半年後の9月に福島県などからヤマトシジミを沖縄に持ち帰ったうえで、子ども世代や孫世代まで飼育を継続。一方、沖縄で採集したヤマトシジミにセシウム137を外部照射したり、セシウム137で汚染された野草(カタバミ)を、沖縄で採集したヤマトシジミの幼虫に食べさせた。ヤマトシジミの採集地点は東京都や茨城県(水戸市、つくば市、高萩市)、福島県(福島市、郡山市、いわき市、本宮町、広野町)、宮城県(白石市)の計10カ所で、研究に用いたヤマトシジミの数は5741匹に上った。大瀧准教授の研究では、驚くべき結果が判明した。2011年5月の採集で、ほかの地域と比べて福島県内のヤマトシジミでは、羽のサイズが小さい個体が明らかに多いことがわかったのだ。「地面の放射線量と羽のサイズを比較したところ逆相関が見られ、線量が上がっていくにつれて羽のサイズが小さくなる傾向が見られた」と大瀧准教授はデータを用いて説明した。また、捕獲した個体の子どもについて、「福島第一原発に近い地域ほど羽化までの日数が長くなる傾向が見られ、成長遅延が起きていたことがわかった」(大瀧准教授)。「親に異常があった場合、子どもでも異常率が高くなる結果も出た」とも大瀧准教授は語った。ただし、「これだけの実験では、遺伝性(異常がDNA損傷に基づくもの)であると断言するには十分な証拠とは言えない」とも説明した。 ■被曝した個体で生存率が低下 外部から放射線を照射した実験(外部被曝の検証)では、放射線を多く照射した個体ほど羽根が小さくなる傾向が見られ、生存率が低くなっていた。また、汚染されたカタバミを幼虫に食べさせた内部被曝に関する実験でも、比較対照群である山口県宇部市の個体と比べて福島県内の個体で異常が多く見られ、生存率も大幅に低くなっていた。内部被曝の研究では驚くべき結果も出た。「沖縄のエサを食べた個体と比べ、福島県内の個体は死に方でも明らかな異常が多く見られた」と、大瀧准教授は写真を用いて説明した。さなぎの殻から抜けきれずに死んだり、成虫になっても羽が伸びきれない事例などショッキングな写真を紹介。「(生体の)微妙なバランスが狂ってしまうと死亡率が上がるのではないか」(大瀧准教授)と指摘した。 続いて東京大学大学院農学生命科学研究科の石田健准教授は、「高線量地帯周辺における野生動物の生態・被ばくモニタリング」と題して講演した。 ■通常のウグイスなら、見たこともない「おでき」が… 石田准教授らは、福島県阿武隈高地の中でも特に放射線量が高く、現在、「帰還困難区域」に指定されている浪江町赤宇木地区(福島第一原発から約25キロメートル)で2011年8月に野生のウグイス4羽を捕獲したところ、「うち1羽から今までに私自身、ウグイスでは見たこともないおできが見つかった」(石田准教授)。これまで350羽あまりを捕獲した経験のある石田准教授が驚くほどの病状で、このウグイスには血液原虫も寄生していた。また、捕獲したウグイスの羽毛を持ち帰って放射線量を測定したところ、セシウム134と137を合わせて最高で約53万ベクレル/キログラムもの汚染が判明した。石田准教授はその後も自宅のある埼玉県横瀬町と福島を15回にわたって行き来し、鳥類の定点観測や自動録音による野生動物のモニタリングを続けている(研究成果の一部は、中西友子・東大大学院教授らの編纂した英文書籍で、シュプリンガー社から3月に出版された。電子ファイルは誰でも無料で自由に読める。 ■ニホンザルの白血球数が減少 そして4人目の講演者として登壇したのが、羽山伸一・日本獣医生命科学大学教授。「福島県の野生二ホンザルにおける放射性セシウムの被ばく状況と健康影響」と題した講演をした。28年にわたってサルの研究を続けている羽山教授は、ニホンザルが北海道と沖縄県を除く全国に生息している点に着目。「世界で初めて原発の被害を受けた野生の霊長類」(羽山教授)として、ニホンザルは被曝による健康影響の研究対象としてふさわしいと判断した。羽山教授は、約3000頭近くが生息する福島市内(福島第一原発から約60キロメートル)で農作物被害対策のために個体数調整で捕獲されたサルを用いて、筋肉に蓄積されているセシウムの量を継続的に調査。性別や年齢、食性との関係などについて検証した。 ■福島と青森のサルを比較すると… 11年4月から13年2月にかけて福島市内で捕獲された396頭のサルと、青森県で12年に捕獲された29頭を比較。土壌中のセシウムの量と筋肉中のセシウム濃度の関係を検証した。その結果、「土壌汚染レベルが高いところほど、体内のセシウム蓄積レベルも高い傾向があることがわかった」(羽山教授)。また、木の皮や芽を食べることが多く、土壌の舞い上がりが多い冬期に、体内の濃度が上昇していることも判明したという。なお、青森県のサルからはセシウムは検出されなかった。「注目すべきデータ」として羽山教授が紹介したのが、血液中の白血球の数だ。避難指示区域にならなかった福島市内のサルについては、外部被ばくは年間数ミリシーベルト程度の積算線量にとどまるうえ、内部被曝量も10ミリグレイ程度にとどまるとみられると羽山教授は見ている。にもかかわらず、ニホンザルの正常範囲より白血球数、赤血球数とも減少しており、白血球は大幅に減少していた。 「特に気になったのが2011年3月の原発事故以降に生まれた子どものサル(0~1歳)。汚染レベルと相関するように白血球の数が減っている。造血機能への影響が出ているのではないかと思われる」(羽山教授)という。シンポジウム終盤の討論で羽山教授はこうも語った。「本日の講演内容がにわかに人間の健康への研究に役に立つかはわからない。ただし、現在の福島市内のサルの被曝状況は、チェルノブイリの子どもたちとほぼ同じ水準。チェルノブイリの子どもたちに見られる現象がニホンザルにも起こったことが明らかにできればと考えている」 *2:http://tabimag.com/blog/archives/2091 (オンタイム 2011 年 7 月 13 日) チェルノブイリ原発事故(放射能)と狂牛病の奇妙な関係 <ポイント> ●遺伝子の異変によっても起こる狂牛病 まず、狂牛病について、もう一度おさらい。Wikiに興味深い記述を発見した。(参照) 2008年9月11日、米国農務省(英語略:USDA)動物病センター(英語:National Animal Disease Center/UADC)で研究を行ったカンザス州立大学のユルゲン・リヒト(Jurgen Richt)教授は、BSEの病原体である異常プリオンは外部から感染しなくとも牛の体内での遺伝子の異変によって作られ、BSEを発症する例につながると発表した。この発表は2006年アラバマ州でBSEを発症した約10歳の雌牛の遺伝子の解析から異常プリオンを作る異変が初めて見つかったことによる。人間でも同様の異変が知られ、クロイツフェルト・ヤコブ病を起こす。つまり、外部から感染しなくても、遺伝子異常で起こる可能性があるということ。ということは、やはり、チェルブイリから約2000キロも離れたイギリスまで届いたという、原発事故由来の放射性物質による可能性も否定できない。放射性物質による被曝で遺伝子異常が起こる可能性があることは、よく知られている事実だ。 ●チェルブイリ原発事故と狂牛病発生時期は重なるという事実 さらに様々な文献をあたっていて、興味深いものを発見した!それは、ハンガリーのブタペスト技術経済大学Budapest University of Technics and Economyの博士課程の学生が2000年に発表した研究論文だ。原文のまま、該当箇所を抜き出してみる。 The Chernobyl accident occurred at 01:23 hr on Saturday, 26 April 1986, when the two explosions destroyed the core of Unit 4 and the roof of the Chernobyl reactor building. In Britain, the first cases of the Mad-Cow Disease can be dated back to 1986, in the same year when the Chernobyl accident occurred. まず、チェルノブイリの原発事故で炉心が破壊され、2度の爆発が起こったのが1986年4月26日土曜日の1時23分であることに触れ、イギリス国内で最初の「狂牛病」が発症したのが同じ1986年に遡ることができると指摘している。このことが示すのは、私が在英時代に狂牛病が騒動になったのは初の死亡者が出たからであって、実はその前から発症していた患者はいたということ。裏を返せば、1986年以前には発症していないということだ。 The Chernobyl accident occurred 15 years ago, nevertheless the caesium-137 (half-life: 30 years) radionuclides and strontium-90 (half-life: 90 years) radionuclides could be the most likely candidates for causing the Mad-Cow Disease in cows and the Creutzfeldt-Jakob Disease in humans. そして、チェルノブイリの事故は15年前ほど前のことだが、セシウム137(半減期30年)やストロンチウム90(半減期90年)といった放射性物質が大量に放出されたことに触れ、それらが狂牛病および人間に発症するクロイツフェルト・ヤコブ病を引き起こす有力な候補となる、としている。つまり、チェルノブイリ原発事故由来の放射能で牛たちが被曝したことで、遺伝子異常が起き、BSE=狂牛病が発症したのではないか?ということになる。 ●放射能という目に見えない敵が放つ、形を変えた攻撃 この研究論文では「科学界は、チェルノブイリ事故の影響を一部分しか究明しておらず、こうした知らない事実が多いにもかかわらず、英国政府もそうした事実を心配もせず、調査しようともしていない」と指摘する。この論文以外にも、調べてみると「狂牛病とチェルノブイリ事故の関連性は否定できない(明らかになっていない)」とする意見もかなりあるようだ。 チェルノブイリ原発事故は、旧ソ連下にあったということもあり、事故の検証も完璧にはできていないばかりか、放射能が人間や生物、植物などの生態系に与える影響も、いまだよくわかっていない。しかも、突き詰めて調査研究もできていない(事実は「公表されていない」が正しいかも?)…というのが今の現状なのである。それは、そうした調査研究ができるだけの国力のある国のほとんどが原発推進国である、ということと無関係ではなさそうな気がする。 …と、ここまで書いて、ピンとくる人もいると思うが、今回の福島の原発事故により、今後、狂牛病のような(もしくはそれ以上の?)わけのわからない病気が蔓延する可能性もあるということ。また、上述のWiki引用文にあるように「人間でも同様の異変が知られる」ということも、一応留意しておくべきだろう。放射能という目に見えない敵が仕掛けてくる攻撃は、後で形を変えて現れる…ということを忘れてはならない。 *3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130403&ng=DGKDZO53548770T00C13A4CR0000 (日経新聞 2013.4.6) BSE国内検査免除の月齢、「48カ月以下」7月にも 厚労省 内閣府の食品安全委員会は3日、専門調査会を開き、BSE(牛海綿状脳症)対策で国内の食肉検査を免除する牛の月齢を「48カ月以下」に緩和することを容認する評価書案を了承した。安全委は意見公募を経て厚生労働省に答申。同省は関連省令などの改正を進め、早ければ7月にも緩和を実施する。これまで検査免除の月齢は「20カ月以下」が対象だったが、4月1日から「30カ月以下」に緩和されていた。日本では飼料規制などの効果で2009年度以降はBSE感染牛が確認されていない。評価書案では「日本のBSE発生防止対策は適切に行われている」と判断。BSE発生の可能性はほとんどないと指摘した。その上で(1)日本では例外を除いてBSE感染牛の月齢が48カ月以上(2)欧州連合(EU)の感染牛の約98%が48カ月以上と推定される(3)仮に日本の牛がBSEの原因となるたんぱく質「異常プリオン」を摂取しても極めて微量で潜伏期間が長くなる――などの理由から検査免除の月齢を「48カ月以下」に引き上げても「人への健康影響は無視できる」と結論付けた。牛肉の輸入を巡っては、今年2月から米国、カナダ、フランスの月齢がいずれも「30カ月以下」、オランダが「12カ月以下」に緩和された。調査会では、輸入を認める月齢についても「30カ月以下」からさらに緩和した場合のリスク評価を検討している。 PS(4月4日追加):国内の検査対象を48カ月齢超とする根拠として、食安委調査会が「(1)感染牛は一部を除けば48カ月齢以上」としているのは、科学的ではなく滑稽ですらある。何故なら、その一部というのは全頭検査していたからこそ発見されたもので、検査しなければ発見されないものであり、月例が低くてもBSEが発生する証拠だからである。そして、発見された一部を例外として除けば統計調査したことにはならない。また「(4)2002年1月以降の生まれでは発生していない」としているのも、福島第一原発事故以降は発見される可能性が上がっている現在、適切でない。さらに「都道府県がBSE全頭検査を一斉にやめられるように廃止を促す」というのは、安全性で差別化してきた産地のブランド価値を落とす行為だ。最後に、BSEの発生リスクが最も低い「無視できるリスク国」(清浄国)に認定されるために安全検査を緩くするというのは、消費者を無視した本末転倒の行為である。 *4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=20190 (日本農業新聞 2013年4月4日) BSE検査で食安委調査会方針 「48カ月齢超」に緩和 全頭検査廃止も促す 食品安全委員会プリオン専門調査会は、3日、国内で牛海綿状脳症(BSE)検査を実施する牛の月齢を現行の「30カ月齢超」から「48カ月齢超」に引き上げても「人への健康影響は無視できる」との見解で合意した。意見募集などを行った上で同委員会が厚生労働省に答申する。同省も意見募集を行い、7月にも検査月齢の引き上げに踏み切る見通し。また48カ月齢以下の検査分の補助は打ち切り、全頭検査をやめるよう都道府県に促す方針だ。同調査会は今後、米国産牛肉など輸入を認める月齢のさらなる引き上げについて審議する。 国内の検査対象を48カ月齢超とする根拠として同調査会は、(1)感染牛は一部を除けば48カ月齢以上(2)欧州連合(EU)の検査で分かった感染牛の98%は48カ月齢以上(3)牛の感染実験で病原体の異常プリオンが検出された月齢は48カ月齢以上(4)2002年1月以降の生まれでは発生していない――ことを挙げた。国内の検査対象は、同委員会の答申を受け厚労省が4月1日に「20カ月齢超」から「30カ月齢超」に引き上げたばかりだ。ただ同省が「30カ月齢超」と併せて、さらなる引き上げも諮問していため検討を続けてきた。輸入牛肉についても同様の諮問を行っている。 と畜・解体時に除去する特定部位は見直さず、30カ月齢以下の頭部(へんとう以外)、脊柱、脊髄の利用を認めるとした4月1日の規制緩和策を継続する。同調査会は今回の合意を、国内対策の見直しによる健康への影響の「評価書案」としてまとめた。親組織の同委員会に報告し、30日間の意見募集の結果を踏まえて正式に決定・答申する。それを受け、厚労省は検査月齢引き上げのための省令改正などの手続きに入る。検査費用の補助について厚労省は、4月1日の検査月齢の引き上げ時には経過措置として「21カ月齢以上~30カ月齢以下」の分を継続した。しかし、同委員会がさらなる引き上げを答申した際には、国の検査対象以外の補助金は打ち切り、都道府県がBSE全頭検査を一斉にやめられるように廃止を促すとしている。 政府は、BSEの発生リスクが最も低い「無視できるリスク国」(清浄国)に認定するよう国際獣疫事務局(OIE)に申請しており、5月のOIE総会での決定を目指している。こうした動きも、検査月齢の一層の引き上げと全頭検査の一斉廃止の要請方針につながったとみられる。 日本の年間と畜頭数は10年度が122万頭で、現行で検査対象外の30カ月齢以下は70%、また検査月齢の一層の引き上げで対象外となる48カ月齢以下は83%だった。
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2013,02,05, Tuesday
「福島第一原発事故による放射能の影響は単なる風評(実体のない噂)被害であり、本当は何の害もない」という証明はできていない。国の基準を決めたからといって、それを守ってさえいれば安全ということはないし、守っているかどうかも全量検査しているわけではない。
そして、原発推進派は、「原発は安全だ」「内部被曝や低線量被曝の影響はない」と言い続け、何かが起これば「想定外だった」「生活習慣病だ」「外国の核実験や大気汚染の影響だ」ということにしようとしているのが、見え見えだ。 「安全だ」と主張する人が、その科学的・合理的な根拠を示すのが当然であるから、科学的・合理的な根拠を示せなければ、安全側に保守的な対応をするのが危機管理だということを、決して忘れないでもらいたい。 http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2391770.article.html (佐賀新聞 2013年2月5日) 全国的な風評被害対策を / 復興推進委の報告案 東日本大震災からの復興の進み具合を有識者と地元知事で検証する復興推進委員会の2012年度報告案の概要が4日、判明した。東京電力福島第1原発事故による風評被害対策を全国的に実施することや、被災地の将来を見据えた産業振興の促進、医療・福祉サービスを一体的に提供する地域包括ケアの実現などを提言している。近く開かれる推進委会合で議論する。 報告案は、原発事故による避難住民の早期帰還や放射線に対する不安の解消といった基本課題に全力で対処するよう要請。特に風評被害対策は、消費者を念頭にした継続的なPR活動、学校教育、各種研修を、被災地を含め全国的に進める必要があると強調。
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2013,01,20, Sunday
(出典:http://matome.naver.jp/odai/2131829810240813801より) *1は、①漁業者が操業できない ②海の「ホットスポット」がなぜ出現するかの原因は未解明 ③風評被害を抑え込むことが重要 などと、海に原因不明のホットスポットがあって、その他の場所は放射能汚染がなく、魚介類の汚染を心配する人は風評被害をまきちらす迷惑な人であり、自粛の長期化で苦しんでいる疲弊しきった漁業者に対する思いやりがないかのような記事だが、被害を過小評価して安全でないものを販売する食品業者は、過去に形成した信用までなくし、食品業者としての資格を失うのが常だ(私は、好きで、わざわざこういうことを書いているのではない)。 上の左図(2012年10月2日更新)で明らかなように、爆発してメルトスル―した福島第一原発から出た放射性物質による海洋汚染は、直接海に流れ出た放射性物質や、山野に降り注いだ放射性物質が雨や除染によって河や下水をつたって海に注いでいるのであり、全体としては相当の量になるはずだ。しかし、環境に放出された放射性物質の総量は、わからないと言って発表されていない。 そして、*2のように、海洋汚染はチェルノブイリの一桁上と言われており、東京電力福島第一原発取水口付近の海水から、国が定める濃度限度の最大240倍の放射性物質ストロンチウム89、90が検出されている。ストロンチウム90は、体内に取り込まれると骨に蓄積して、なかなか体外に排出されず、チェルノブイリの時には、癌や白血病など、大人に表れた健康被害のうちもっとも深刻なものだったということだが、日本では、ヨウ素、セシウムの濃度しか調べられていない。 そのような中、上の右表のように、多くの魚から国の暫定基準値を上回るセシウムが検出された。そもそも放射能に安全な濃度というものはないが、500ベクレルというゆるい基準を使っても、これだけ多くの魚が暫定基準値を上回っているのであり、これは、左図の海洋汚染と比較すれば、ごく自然なことである。そして、山野に降った放射性物質が海に流れ出てくる2~3年目が、海洋の放射能汚染は最大になると言われている。これが、原発事故なのであり、その気になれば調べられるのだから、メディアは、「安全なのに風評被害だ」という念仏のような報道を繰り返すのではなく、正確な情報を調べて伝えるべきである。そうしなければ、正しい対処ができず、被害が拡大する。 *1:http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2013/01/20130120s01.htm (河北新報 2013年1月20日) 東日本大震災 海洋汚染/セシウム異常値の解明急げ 震災から2年近く、福島の浜には無情の時が流れている。「目の前に広がる海で、もう一度思い切り網を手繰りたい」。切なる願いは、まだかなわない。見通しすら立たない。漁業者は焦燥感を深めている。福島第1原発事故後、水産庁が続けてきた魚のサンプル調査で、放射性セシウムの検出値は減少傾向にはある。だが、突然、異常に高い値が出る。海の「ホットスポット」はなぜ、出現するのか。その原因が未解明だ。この問題が漁再開の足かせになっている。福島沖では昨年8月、アイナメから国の新基準値(1キログラム当たり100ベクレル)の258倍、2万5800ベクレルの放射性セシウムが検出された。八戸沖でも昨年6月と8月、マダラから異常値が確認された。漁獲海域は原発から400キロも離れ、事故発生から1年以上も後のことだ。2回目の検出は出荷自粛解除からわずか2週間しか経過していないことも、地元漁業者に衝撃を与えた。ホットスポットの謎が風評被害の沈静化を遅らせている。安全な魚まで不安視され、適正な価格で取引されない。原因が分からない以上、安全性を訴えることがままならない。 汚染の理由を合理的に証明する手法の確立が喫緊の課題である。官民挙げて知見を結集し、不安を早期に解消したい。放射性物質は食物連鎖を通じて広がることが分かっている。海の表層では、プランクトンを食べるコウナゴやシラスなどの小魚から中型・大型魚へと移行する。海底近くでは、底に沈んだ魚の死骸からゴカイなどが取り込み、それを食べるアイナメやエゾイソアイナメ(ドンコ)、ヒラメなどに広がる。こうした汚染の流れをさらに突き詰める取り組みを、独立行政法人水産総合研究センターなどが昨年秋に始めた。 着目したのは、魚の平衡感覚をつかさどる「耳石」という器官にできる年輪のような輪だ。形成過程で体内に取り込んだ放射性物質が沈着するため、セシウムが付着した時期を把握できるという。原発事故後に一気に汚染されたのか、少しずつ蓄積されたのか。その過程と魚種が特定されれば、水揚げ制限をよりきめ細かく設定できよう。海底土の汚染度合いを広範囲に把握する調査も進めている。放射性物質を計測できるえい航型の装置が昨年夏に開発され、汚染状況が点から面で確認できるようになった。この技術が活用されている。福島沖で漁獲可能な魚種はイカ、キチジ、ミズダコなどに限られる。漁獲自粛は危険性を排除する水際対策として効果的だが、対症療法の域を出ない。自粛の長期化で、漁業者は苦しみ、疲弊しきっていることを忘れてはなるまい。汚染のメカニズムが科学的に解明されれば、消費者の不安を拭い去ることができよう。風評被害を抑え込む有効な手だてになるはずだ。 *2:http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-613.html 福島第一原発の海洋汚染はチェルノブイリの一桁上 <福島第2原発>放射性汚染水の海への放出検討 批判の声も ポイント:「海水から240倍のストロンチウム→薄まるから心配ない。」と・・。 今年はイワシが豊漁だそうです。読売の日テレは、ニュース番組にも関わらず、この話題に長い時間を取ってイワシ料理の数々を紹介。「今年はマグロは半額だよ」と、まるで旅行番組のグルメ紀行のようです。海洋生物への汚染が、いよいよ現実的になってきた今、マスコミや政府は、野菜のときと同じように正しい情報を出さず、「安心して魚を食べろ」と言い出しそうです。 2011年4月の段階で、オランダの環境調査団体・グリーンピースから、福島第一原発沖の海洋調査を許可して欲しい旨の要望が入っていましたが、日本の政府はこれを拒否。日本の政府がグリーンピースを拒否したことが、どうのこうのではなく、「拒否した後も何もやっていない」ことが問題なのです。世界から日本の政府への風当たりが強くなりそうだと考えたのか、この後、文部科学省は、今までの怠慢な調査を改め、多少は本腰を入れるのかと思ったのですが、あいかわらずヨウ素とセシウムの検査しかやっていないのです。その海洋サンプリング調査も独立行政法人海洋研究開発機構という官僚の在庫処分団体に丸投げで、その結果を形式的にネットで公表しているだけです。この最新のモニタリング結果を見れば分かるように、海の表面と深度100mをモニタリングしているだけで、この検査結果も信用に足るものなのか疑わしい。もちろん、ストロンチウムという文字は見つかりません。計測してないのですから。今では、文部科学省が地上何十メートルに設置したモニタリング・ポストの数値を信じることなく、各自治体が独自に地表面の数値を図っています。これと似たようなことが海洋汚染についても起きるはずです。第一、海の表面から300mまでの深さを混合層といって海水が上下に入れ替わったり、混じりあったりしている層があるのですが、ここをモニタリングしなければ意味がないでしょうに。すで100mより下の部分に放射性核種が沈殿し始めているはずですから。2011年5月9日には、とうとう福島第一原発の海から、出てはならないもの-ストロンチウム89と90が初検出されました。そして6月12日には、東京電力福島第一原子力発電所取水口付近の海水から、国が定める濃度限度の最大240倍の放射性物質ストロンチウム89、90が検出。特にストロンチウム90は半減期が29年と長く、体内に取り込まれると骨に蓄積してしまって、なかなか体外に排出されません。チェルノブイリのとき、大人に表れた健康被害のうちもっとも深刻なものは、このストロンチウム90によるものだと考えている専門家が多いのです。今度こそストロンチウムの検査に本腰を入れると思ったら、原子力安全・保安院はなんと言ったか。西山英彦・保安院審議官は12日の記者会見で「海で希釈されて大きな影響はないと思うが、監視を続けたい」と。プールで泳ぎながらオシッコをした子供とは、わけが違うのですよ。 枝野が「直ちに・・」「今すぐに・・」と言うなら、西山審議官は「薄まるまで待とう」です。これでは、ますます消費者の買い控えは広がっていくでしょう。
| 内部被曝・低線量被曝::2012.9~2014.4 | 11:31 PM | comments (x) | trackback (x) |
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2012,10,17, Wednesday
*1の報道についてですが、この番組の司会者は、反原発の意志を持つ頭の良い人で、この番組は、原発推進国のフランスで視聴率の高いスポーツ番組であるのが重要なポイントでしょう。番組での表現はオーバーですが、オーバーすぎるため現実味はなく、これをきっかけに、「放射線はDNAを切って、DNAを損傷する可能性がある」ということが原発推進国のフランスやEUの一般の人に認識されれば、この番組の司会者は、世界での脱原発に一役買うと、私は思います。
もちろん、人の苦しみをからかいの対象にするのはよくありませんが、DNAが切れて変化する可能性のあるところに住まわせ、「直ちに人体に影響はありません(注:何年か後の事は知らないということ)」「低線量被曝・内部被曝の影響はわかっていません(注:本当は影響のあることがわかっている)」と繰り返しながら、放射線によってDNAが切れて変化する可能性には口をつぐむことが、福島県民やその周辺都県の住民への配慮なのか、福島県及びその周辺都県の皆さんに聞いてみて下さい。NHKはそういう態度ですが、私は、速やかに事実を公表し、除染できるところは迅速に徹底して除染し、除染しても住めない場所の人には、代替地を提供すべきだと思っています。 なお、代替となりうる土地は日本国内にも多くありますが、例えば、オーストラリア政府に交渉して、福島県民やその周辺から望んで移住する農業者・養殖漁業者のために土地や海を借りてさしあげる方法もあります。そうすると、オーストラリアは日本と季節が逆であるため、日本ではできない季節に日本で実際に作っていたプロにより、美味しい農産物や海産物を大規模に作ることができ、それを日本に輸出することによって、お互いのメリットになるでしょう。ただし、外国に行っても健康診断等のケアは必要です。 *1:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121017/k10015797611000.html (NHK 10月17日) 川島選手合成写真 仏公共テレビ局が謝罪 フランスの公共テレビ局は、サッカーの試合で活躍した日本代表のゴールキーパーの川島永嗣選手について腕が4本ある合成写真を放送し、番組の司会者が原発事故の影響ではないかなどと発言したことについて、「日本の被災者を傷つけるつもりはなかった」などと謝罪しました。フランスの公共テレビ局フランス2は、サッカーの日本とフランスの代表が対戦した試合のあと13日に放送した情報番組で、日本の勝利に貢献したゴールキーパーの川島永嗣選手について腕が4本ある合成写真を紹介し、番組の司会者が「原発事故の影響ではないか」などと発言しました。これについて、フランス2は16日に声明を発表し、「日本の人々の感情を傷つけたことを深くおわびします」と謝罪しました。そのうえで、「司会者はフランス代表チームをからかいたかっただけで、日本の被災者や原発事故の被害者を傷つけるつもりは全くありませんでした」と釈明しました。この問題で、パリの日本大使館は16日、フランス2に対して「被災した方々の気持ちを傷つけ復興へ向けた努力を阻害するものである」として書簡で抗議していました。
| 内部被曝・低線量被曝::2012.9~2014.4 | 12:11 PM | comments (x) | trackback (x) |
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2012,09,14, Friday
追加被曝線量を年間1ミリシーベルト(=1000マイクロシーベルト)とすれば、下の計算になります。
1000マイクロシーベルト/365日/24時間=0.114マイクロシーベルト/時 また、毎時0.23マイクロシーベルト/時であれば、下の計算になります。 0.23マイクロシーベルト/時x24時間x365日=2ミリシーベルト/年 せっかく新聞に書くのなら、この程度の算術は正確にやってもらいたいですし、ここに書かれた上限には、外部被曝のみしか考慮されておらず、内部被曝分が、これに加わることも報道した方がよいと思います。なぜなら、人間の身体は、同時に、その両方に対応して修復し続けなければならないからです。そして、身体の方が負けて修復が追いつかなくなった時、病気になるのです。限界は人によって異なりますが、他の病気で身体が弱っていたり、免疫力が落ちていたりすると、限界値がより低くなります。 *1:http://www.minyu-net.com/news/news/0914/news7.html (2012年9月14日 福島民友ニュース) 36%低減でも目標届かず 広野・国道6号通学路線量 国土交通省磐城国道事務所は13日、広野町の国道6号で実施した通学路の除染結果を発表。歩道の放射線量は、地面から高さ1メートルの空間線量の平均で除染前の毎時0.39マイクロシーベルトから36%低減したが、0.25マイクロシーベルトにとどまった。町は、子どもが多く利用する施設は早期に追加被ばく線量を年間1ミリシーベルト(毎時0.23マイクロシーベルト)以下にすることを目標としていることから、同事務所は0.23マイクロシーベルトを上回った地点については今後、町と対応を検討していくという。遮蔽(しゃへい)体を使用して地面から1センチで測定した表面線量の平均は除染前の毎時平均0.19マイクロシーベルトから0.14マイクロシーベルトとなり、26%低減した。
| 内部被曝・低線量被曝::2012.9~2014.4 | 12:30 PM | comments (x) | trackback (x) |
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