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2017.6.30 日本は、まだ男女平等の国になっていないこと (2017年7月1、2、7、28日、9月9日追加)
   

(図の説明:一番右の図のように、女性は第一子出産前後に離職し、その後は非正規労働者になるケースが多い。また、女性正規労働者の賃金水準も男性正規労働者より低い。さらに、一番左の図のように、女性は正規労働者の割合が低い上、真ん中の図のように、女性非正規労働者の賃金も男性非正規労働者より低くなっており、自発的に非正規労働者を選んでいる人は少ない)

   

(図の説明:一番左の図のように、日本の国会議員に占める女性割合は、2014年10月時点で、世界で134位と著しく低い。そして、地方議会議員に占める女性割合は、左から2番目の図のように、ばらつきがあるものの国会議員より低い地域も少なくない。さらに、右から2番目の図のように、民間企業の部長に占める女性割合はもっと低い。これは、女性に対する偏見・差別によるところが大きいため、一番右の図のように、ポジティブアクションが認められた。なお、非正規労働者は、私が中心となって進めていた1997年男女雇用機会均等法改正に合わせて増やされ始め、そこには、男女雇用機会均等法で護られない労働者を作り、雇用形態の違いを理由に差別を合理化する狙いがある)

(1)豊田真由子衆議院議員への批判に含まれるジェンダー(社会的女性差別)について
1)女性議員を標的にした一斉報道の異常性
 NHKが、*1-1のように、週刊新潮の報道内容をそのまま伝えたのには異常性を感じた。何故なら、週刊誌は、販売部数の拡大や政治的意図により、憲法やその下位法に違反する記事をしばしば書いているからで、NHKがその記事の事実関係や法律違反を吟味せずに報道したからである。その後、他のテレビ局も、原因を不問にしたまま、豊田議員の発言や行動のみを取り上げて暴言・暴力などと批判し、私はそれに違和感を感じた。

 何故なら、*1-4のように、豊田議員の元秘書は、故意か過失か支持者に送る多数のバースデーカードの宛名を違えて発送し、豊田議員が謝罪行脚をする羽目になった途中の高速道路で出入り口を違えてアポイントメントの時間に遅れさせているからで、これにより豊田議員は「これ以上、私の評判を下げるな」と大声で怒鳴っているようだからである。そして、ここまでひどいのなら、故意でなければ使い物にならない間抜けな秘書である。一般企業に例えれば、請求書を間違った得意先に送った上、忙しい社長に得意先に謝罪に行かせ、その約束の時間を遅刻させるのと同じで、着いた時には得意先は烈火のように怒っており、得意先を失うということだ。

 さらに、この元政策秘書は、*1-2のように、「(自分で録音しているのだから)運転中でもあるので」と懇願するように言い、その後、録音した音声を週刊新潮に持ち込み、埼玉県警にも暴行被害に関する相談をしている。これは、秘書側に何らかの怨念が溜まっていたとしても、豊田議員を次回の選挙で落選させるための悪意の業務妨害だ。なお、デジタルデータの音声は、録音した後で編集することも可能であるため、豊田議員が一度に言った言葉であるとも限らない。そして、注意しなければならないのは、自民党が共謀罪を成立させたおかげで、今後は、内部の人が裏切らなくても、聞きたい人物の音声を警察が自由に盗聴して編集し、使うことができるようになったということだ。

 もちろん、相手が著しいミスをしたからといって、そのミスをただすのではなく、*1-1、*1-5に書かれているように「はげ」「死ねば?」「生きている価値ないだろ」などと、人格を否定するような暴言を浴びせるのは批判の仕方が悪すぎる。しかし、日本では、メディアも、政策や業務の不適切性を指摘して批判するのではなく、人格攻撃にすり替えることが多いため、残念ながら豊田議員が特殊なわけではない。

 なお、*1-1で述べられているように、週刊新潮は、豊田議員は「政策秘書を務めていた年上の55歳の男性が運転する車の中で、事務所でのミスを理由に後部座席から繰り返し殴るなどの暴行を加え、顔や背中などにけがをさせた」と書いているそうだが、仕事での上下関係に年齢や男女の区別はないため、この表現は年齢差別であり女性差別だ。また、車の運転中に後部座席の女性に素手で殴られて顔を怪我する人はいないため、表現が誇大である。そして、*1-5の「元秘書が暴行について埼玉県警に被害相談した」というのも、自分の二重ミスか故意の嫌がらせを棚に上げての逆切れだ。

2)「部下が次々に辞める」というのは、「部下を使えない」として女性リーダーを批判する場合の定石である ← 部下が辞めたからといって使い方が悪いとは限らない
 豊田議員の事務所関係者がNHKの取材に対し、*1-1のように、事実関係を認めた上で、「豊田議員は、ちょっとしたことで、すぐ怒鳴ったり、人格否定発言をする。普通の人が我慢できるレベルではないので、秘書が次々に辞めていく」と話しているそうだが、秘書は税金から給料を支払われて重要な仕事もする筈であるのに、複数のレターの住所・氏名を間違って送付したことを「ちょっとしたこと」と考え、怒った上司を非難するというのは責任感が欠如しており、それだからこそ、怒鳴られているのである。

 にもかかわらず、「部下が次々に辞めるのは、上司が厳しすぎるためで、上司の方が悪い」という論理がまかり通るようであれば、国会議員事務所の仕事は、いい加減で信頼できないものばかりになるだろうが、国民はそれでも秘書や国会議員に税金を払い続けたいだろうか。

3)園遊会に母親を入場させようとしたのは間違いか
 *1-3に、「豊田議員は、赤坂御苑で開かれた園遊会でも、本来招待されている配偶者ではなく、母親を入場させようとしてトラブルを起こした」と書かれている。

 しかし、私は、園遊会の招待者が配偶者に限られており、母親等の他の家族の同伴を認めないのは、夫の仕事を支えている専業主婦の労をねぎらうことを前提としており、現代には合わなくなっていると考える。何故なら、豊田議員のように、夫婦で活躍している人は、夫は独自に園遊会に出席する機会もあり、公務員である夫が妻の選挙を手伝うことはできず、母親が豊田議員の子育て・家事・選挙などを支えていると思われるからで、園遊会に母親を同伴したいと思うのは自然で親孝行でもあるからだ。

 そのため、私は、豊田議員が母親を園遊会に連れて行き、母親の入場を拒まれて抗議した気持ちはよくわかるし、園遊会の規定こそ「同伴者は、その仕事に協力した人」というふうに変えるべきだと考える。

4)政策秘書の仕事について
 毎日新聞は、*1-4のように、「政策秘書」という被害者がさせられていた仕事が、①支持者にバースデーカードを贈る宛名書きだったこと ②間違った相手への発送が分かり、議員が謝罪に行くために秘書が同行させられて運転手をしていたこと もショックだったと書いている。

 しかし、①メディアが議員の人格しか取り上げないため、国会議員が政策で勝負できず、支援者を引きつける手段としてバースデーカードを贈らなければならないこと ②秘書が間違った相手に発送して国会議員が貴重な時間を謝罪行脚に使っていること については、どう思うのだろうか。つまり、批判の仕方が片手落ちであるとともに、バースデーカードすらまともに贈れない秘書がよい仕事をできるわけがないと、私は言いたい。

 私の経験では、省庁が派遣する首相や大臣付の秘書官とは異なり、議員の政策作りを任せられるほどの政策秘書の人材は見たことがなかったし、現在もそうだろう。つまり、制度ができたからといって、労働条件の不安定な職種に難しいことを任せられるほどの人材はなかなかおらず、3人程度の公設秘書なら、電話番、運転手、選挙の準備、その他の雑用もしなければ事務所が廻らないということなのだ。

5)「あれ女性です」に含まれる“女性”に対する差別的イメージ
 麻生副総理兼財務相は、*1-6のように、自民党麻生派議員の会合で、豊田議員について「①学歴だけ見たら一点の非もつけようのないほど立派だったけど。あれ女性ですよ女性」「②(厚労省の関係者の話として)どこかで引き取ってくれないかと思ったら永田町で引き取ってもらったんですよと(言われた)」「③全国に数多くおります。(2012年衆院選で)119人もの新人が通りましたから、こりゃいろいろいるんです」と述べられたそうだ。

 しかし、①については、「女性ですよ、女性」とは、女性にどういう言動を期待しているのかを追究すべきだ。もし、年上の男性には部下でも目上のような物の言い方をし、ひどいことをされても笑顔でやさしく接し、困ったらよよと泣くことしかできない女性を期待しているであれば、それは古い型の男性の夢想にすぎないとはっきり言っておく。そして、そういう女性こそ仕事ができず、リーダーは勤まらない上、そもそも立派な学歴や職歴は得ていない。また、職場の上司は、男性が部下の父親でないのと同様に、女性も部下の母親ではないのである。

 ②については、官庁には、一見非の打ちどころのない学歴を持った人材が多く、中の人は一人でもライバルが少ない方がよいと考えているため、そういう言い方をする人も少なくはないが、それはライバルの一方的な見方にすぎないだろう。

 さらに、③については、119人もの新人が通ったからいろいろな人がいると言うのなら、多く当選すれば選挙には弱いが政策に強いなどの多様な人が当選しているため、どういう意味でレベルが低いと言っているのか不明だ。そして、未曾有(みぞう)という漢字も読めず、他にも教養が感じられない場面が多く感じられる麻生氏のレベルが高いとは言えず、これなら世襲や金持ちでなければ当選していないが、世襲や金持ちは、年金・社会保障よりも自分と関係の深い株価・贈与税に関心があり、多選されたからといって国会議員として適格性があるわけではない。

 なお、女性にどのようなイメージを持っているのかについては、多分、*1-7のように「(男性に背中を押されなければ)一歩踏み出せない女性」「挑戦しない女性」「女性だけが仕事と家庭の両立に悩まなければならないことを疑問に思わない女性」「やさしいだけで、リーダーの資質のない女性」なのだろうが、こんなことを言われたら、私だって「ふざけるな」と感じる。そして、いくら努力しても、馬鹿な男に女性蔑視を含んだ評価しかされないことが阿保らしいので、優秀な女性から辞めていくのである。

(2)女性への直接差別 → 女性・女系天皇の否定
 天皇陛下の退位を実現するための法案が、*2-2-1のように、2017年6月2日、「女性宮家」創設の検討等を盛り込んだ付帯決議を付けて衆院本会議で可決された。特例法は、皇室典範と一体との位置付けであるが、わざわざおまけのような特例法をつけずに、皇室典範自体を改正した方が、よほどスマートで手間は同じだった。

 そして、*2-2-2のように、退位特例法案は6月9日に参議院でも可決されたが、天皇は男系男子でなければならないとしたのは、今の時代に中途半端な変更だった。何故なら、遺伝子は男女平等に遺伝し、細胞質やミトコンドリアは母親から遺伝するため、女性から遺伝する形質の方が多く、男系男子でなければならないとする理由は全くないからだ。その上、伝統的には皇室の祖神である天照大神は女性で、*2-1のように、明治になってから「日本は男尊女卑の国柄で、女性天皇の夫がその上に位置してしまう」などとして男系男子と定めたもので、これは現在では合理性のない女性への直接差別だからである(「女性」というだけの理由で、機会を奪ったり、昇進を妨げたりすることを、「女性の直接差別」と言う)。

 また、国民は、女性・女系天皇に賛成する人が68%(そのうち男性は賛成72%・反対12%、女性は賛成65%・反対12%)を占めるそうだ。小泉政権下で差別なき女性・女系天皇に賛成の論拠を強く述べていたのは私だが、2005年に政府の有識者会議が女性・女系天皇を容認する報告書を提出し、当時は、女性・女系天皇に賛成する国民が85%を占めていた。

 にもかかわらず、*2-3のように、自民党右派や*2-4の保守系議員は、「男系男子が日本の伝統だ」として女性・女系天皇に反対しているのである。天皇家が男系男子を固辞して理由なき女性への直接差別を行い続ければ、国民が誇りをもって天皇を象徴と考えなくなる日が遠くないにもかかわらず、である。

(3)女性への間接差別
 北海道奥尻町で、*3-1のように、新村町長が前副町長の田中氏を再任するため、同町職員である田中氏の妻に退職を迫ったそうだが、これは、「女性だから」という理由で退職を迫ったわけではなく、「妻が退職しなければ夫を副町長として再任しない」と言って退職させたものであるため、間接差別だ。そして、この種の間接差別は実は多く、退職させられた妻に対する間接差別であると同時に、「妻が働き続ければ副町長にしない」と言われた夫に対しても間接差別しているのである。

 所得が比較的高い町職員の共働きに対して町議が批判したというのも、原因が何であれ、今の時代にあるまじきことで、「(若者に働く機会を譲るため)共働き夫婦のうち夫が昇進した際に妻が辞めなければならない」というのは、男性と変わらず、もしくはそれ以上に頑張って仕事を続けてきた女性に対し、勤労の権利(憲法27条)を侵害している。また、このようにして辞めさせるから、女性管理職や女性リーダーが少なくなるのであり、町役場は介護や保育などの生活に関係する仕事も多いことを考慮すると、この選別の仕方は政策上も問題である。

 また、総務省の調査によれば、*3-2のように、日本の研究者に占める女性割合は2016年3月末時点で15.3%と過去最高だったが、これはロシア40.3%(15年時点)・英国37.4%(14年)・米国34.3%(13年)などの半分以下であり、韓国18.9%(15年)よりも低い。

 日本で理数系の研究者を目指す女性が少ない理由は、日本女性が世界の中でも特に理数系に弱いDNAを持つのでなければ、①理数系はまだ男社会であること ②教育過程でも女性には理数系を勧めない社会の雰囲気があること ③理数系に進んでも、仕事で採用・配置・教育・退職などで女性差別されて自己実現しにくいこと ③そのため、努力とそれによって得られる能力の割に見返りが少ないと女性が判断すること などであろう。

 なお、研究者の方が一般労働者よりも拘束時間に弾力性があるため、出産・育児と研究の両立が難しいことが第一の壁ではない。

<豊田真由子衆院議員への批判に含まれるジェンダー>
*1-1:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170622/k10011026871000.html (NHK 2017年6月22日) 自民 豊田真由子衆院議員が秘書に暴行か
 自民党の豊田真由子衆議院議員がみずからの元秘書に暴行したなどと週刊誌で報じられたことについて、豊田議員の事務所の関係者は「本人は事実関係を認め、元秘書にそれなりに謝罪はしている」などと説明しました。自民党の豊田真由子衆議院議員は、22日発売の週刊誌で、先月、みずからの政策秘書を務めていた男性に対し、殴ったり、暴言を浴びせたりしたなどと報じられました。これについて、豊田議員の事務所から対応を一任されている、事務所の元事務局長の男性が、22日昼前、東京都内で記者団の取材に応じました。男性によりますと、先月末に豊田議員、元政策秘書と3人で、今回の問題について話し合ったということで、「豊田議員本人は事実関係を認めている。元秘書からは3日間で7回暴力を受けたと聞いていて、腕にあざが残っていた」と説明しました。そのうえで、「豊田議員は元秘書にそれなりに謝罪はしていて、今後もおわびするだけだ。豊田議員とは3日ほど会っていないが、本人はしょうすいしきって困り果てている」と述べました。豊田議員は衆議院埼玉4区選出の当選2回で42歳。厚生労働省の元官僚で、これまでに文部科学政務官などを務めています。
●週刊新潮の報道内容
 22日発売の「週刊新潮」は、自民党の豊田真由子衆議院議員が、今月18日まで政策秘書を務めていた男性に対し、繰り返し殴ったり暴言を浴びせたりしたと報じています。記事は、豊田議員はことし5月下旬、政策秘書を務めていた年上の55歳の男性が運転する車の中で、事務所でのミスを理由に後部座席から繰り返し殴るなどの暴行を加え、顔や背中などにけがをさせたとしています。さらに、男性に対して「死ねば?生きている価値ないだろ」などと人格を否定するような暴言を浴びせたほか、男性の娘を通り魔事件の犠牲者に例えるような発言をしたとしています。一方、記事の中で、男性は警察に被害届を出すことを検討しているとしています。
●事務所関係者「秘書が次々に辞めていく」
 豊田議員の事務所関係者はNHKの取材に対し、事実関係を認めたうえで、「豊田議員はちょっとしたことですぐにどなったり人格否定の発言をする。普通の人が我慢できるレベルではないので、秘書が次々に辞めていく」と話しています。
●豊田議員の暴言・暴力の音声データ
 週刊新潮がツイッターで公開した音声データには、豊田議員が激しい口調で政策秘書だった男性を罵倒しながら暴力を加えていることがうかがえる生々しいやり取りが記録されています。この音声は、先月下旬、男性が運転する車の中での豊田議員とのやり取りを録音したものとされています。音声では、豊田議員が「このハゲー、ちがうだろ、ちーがーうーだろー」と絶叫しています。そして、鈍い音がしたあと、男性の「運転中でもあるので。すみません。たたくのは」という声が続き、運転中の男性に対して豊田議員が暴力を振るったことがうかがえます。これに対し、豊田議員は「お前はどれだけ私の心を叩いてる」「これ以上、私の評判を下げるな」などと大声で怒鳴り返しています。

*1-2:https://mainichi.jp/articles/20170623/k00/00m/020/089000c (毎日新聞 2017年6月22日) ネット音声公開:男性に罵声「違うだろ」 豊田議員か
●40秒のデータには、おびえたような男性の声に、女性の罵声
 豊田真由子衆院議員と当時の男性政策秘書とのやりとりとされる音声が22日、インターネット上で公開された。「このはげ」「違うだろ」。およそ40秒のデータには、おびえたような男性に、女性が罵声を浴びせ続ける様子が記録され、合間には何かをたたくような鈍い音も入っていた。「このはげー!」。週刊新潮が公開した音声は、豊田議員とみられる女性の絶叫から始まる。「すいません」。謝罪する男性に、女性が「ちーがーうーだーろー、違うだろー!」と大声で連呼する。車内でのやりとりなのか、男性は「運転中でもあるので」と懇願するように話すが、女性の叱責は止まる気配がない。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/440122 (佐賀新聞 2017年6月22日) 豊田議員、園遊会でもトラブル、母親入場させようと
 秘書への暴力行為などを週刊誌に報じられ、自民党本部に離党届を提出した豊田真由子衆院議員(42)が2014年4月、東京・元赤坂の赤坂御苑で開かれた園遊会に出席した際、宮内庁職員らとトラブルを起こしていたことが22日、宮内庁への取材で分かった。本来招待されている配偶者ではなく、母親を入場させようとしたという。宮内庁によると、園遊会では現職の国会議員と配偶者が招待され、母親ら他の家族らの同伴は認められていない。当日、受付の職員が豊田氏に「招待者でない方は入場できない」と説明すると、豊田氏は大声を上げて抗議し、皇宮警察が出動する騒ぎになったという。

*1-4:https://mainichi.jp/articles/20170627/dde/012/070/004000c (毎日新聞 2017年6月27日) 政策秘書のお仕事=福本容子
 「堂々としたハゲはカッコイイ運動」を細々と展開してきた筆者にとって、とりわけショッキングだった。豊田真由子衆院議員が50代の男性秘書に浴びせた「このハゲーー!」。ショッキングなことは暴言、暴行以外にもある。「政策秘書」という被害者がさせられていた仕事だ。週刊新潮の記事によると、豊田議員は、多くの支持者にバースデーカードを贈っていて、その宛名書きなどを部下にさせていた。間違った相手への発送が分かり、議員が謝りに赴く。政策秘書はミスを責められ、同行させられ、運転手をしていた。政策秘書が。彼らはその名の通り、政策の面で議員を支える専門職。昔はいなかった。誕生の背景はというと--。「事務補助員」という名で始まった日本の議員秘書はもともと地位が低いうえ、給料が税金で賄われる公設秘書は議員1人当たり1~2人とさみし過ぎた。これじゃ、いつまでも官僚に政策を握られっぱなし。アメリカの上院議員なんか、1人に平均30人以上のスタッフがいて、法案作りのプロから広報、雑用係のインターンまで、仕事が細分化されている。日本はあんまりだ、となって、1993年の法改正で、政策に専念する政策秘書の設置が決まった。年齢や勤続年数にもよるけれど、年収は1000万円にもなる。議員が直接の上司だけど、給料は税金だから、あなたや私に雇われている。その国会議員の政策能力アップに欠かせない人材が、運転手やバースデーカードのお手伝いをさせられていた。さて、豊田さんのとこだけ?政治アナリストの伊藤惇夫さんに聞いてみたら、「国会議員の政策秘書の多くが、電話番や運転手、その他雑用係をさせられている。実際の仕事と本来の仕事には、大幅なズレがあります」って。ズレは採用面でも。本来は難しい試験に合格した専門家のはずが、抜け道があり、実際は政策のプロでも何でもない人がいっぱいらしい。政策重視の議員が増えるのが先か、政策通の秘書が先か。答えは、どっちも。議員の数を減らしてでも本来の政策秘書を10倍くらいにする。彼らを立派に使いこなせない人は当選させない。絶叫を非難して終わり、じゃ変わらない。

*1-5:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/441635 (佐賀新聞 2017年6月28日) 豊田氏元秘書が暴行被害相談
 秘書への暴行問題で自民党に離党届を提出した豊田真由子衆院議員(42)=埼玉4区=の秘書を務めていた50代男性が27日、豊田氏から暴行を受けたとする被害について埼玉県警に相談した。捜査関係者への取材で分かった。県警は暴行や傷害事件の可能性もあるとみて慎重に捜査する。先週発売の「週刊新潮」によると、豊田氏は5月、当時政策秘書だった男性が車を運転中に後部座席から罵声を浴びせ、頭や顔を数回殴ってけがを負わせた。「はげ」「死ねば」といった暴言も吐いたという。事務所関係者は、男性が高速道路の出入り口を間違ったことなどから豊田氏が激高したと説明。5月19~21日に計7回、男性の顔などを殴ったという。豊田氏は男性に直接謝罪したとしている。

*1-6:https://mainichi.jp/articles/20170625/k00/00m/010/119000c (毎日新聞 2017年6月25日) 麻生財務相:離党届の豊田氏「あれ女性です」 派閥会合で
 麻生太郎副総理兼財務相は24日、新潟県新発田市で開かれた自民党麻生派議員の会合で講演し、秘書への暴行問題で離党届を提出した豊田真由子衆院議員について「学歴だけ見たら一点の非もつけようのないほど立派だったけど。あれ女性ですよ女性」と述べた。豊田氏が議員になる前に勤めていた厚生労働省の関係者の話として「どこかで引き取ってくれないかと思ったら永田町で引き取ってもらったんですよと(言われた)」と語った。豊田氏を含め、不祥事が続出する自民党の衆院当選2回生に関し「全国に数多くおります。(2012年衆院選で)119人もの新人が通りましたから、こりゃいろいろいるんです」と指摘した。

*1-7:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017030602000206.html (東京新聞 2017年3月6日) 女性活躍テーマにシンポ 経営者ら交流 一歩踏み出せば、新しい景色見えてくる
 女性活躍をテーマにしたシンポジウム「みんなで一歩踏み出そう!」が五日、東京都内で開かれた。男女平等推進団体「LEAN IN TOKYO」(鈴木伶奈代表)の主催。学生や社会人ら約三百五十人が参加し、経営者や管理職の女性らと交流した。「LEAN IN」は「一歩踏み出す、挑戦する」との意味で、米フェイスブックのサンドバーグ最高執行責任者(COO)の著書に由来。女性が挑戦してキャリアを積むことをテーマにした本で、彼女の考えに共鳴した鈴木さんらが昨年三月に同団体を設立した。冒頭、独自動車部品大手ボッシュ日本法人副社長の森川典子さんが、商社勤務を経て米国へ留学し、国内外の企業で働いた経験を振り返り、「自分の可能性にふたをしない。ふたをしているのは他人や周りではなく、自分自身。覚悟を決めて一歩踏み出せば、新しい景色が見えてくる」と訴えた。続くパネルディスカッションでは、管理職の女性らから「女性に働きやすい会社は男性も働きやすい。人口減少の中、(男性だけという)人口の半分で勝負したいですかと言いたい」「男女にかかわらず、国籍や能力など多様な方が成長できる」などの意見が出た。会場の参加者らは「仕事と家庭の両立に向けて準備すべきことは何か」「優秀な女性から辞めていく。どうしたらいいか」などと質問していた。

<直接差別の事例:女性・女系天皇の否定>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170628&ng=DGKKZO18191360X20C17A6CR8000 (日経新聞 2017.6.28) 危うき皇位継承(2)「男系男子」は明治から
 近世まで皇位継承には成文化されたルールはなかった。古代から継承の危機は何度もあったが、厳格な枠がないゆえに柔軟に対応できたともいえる。明治期、近代国家の成立と共に歴史上初めて皇位継承の「枠組み」づくりが行われた。1876年(明治9年)に元老院が作成した第1次の「国憲」草案は継承の順序について「男は女に先ち」と男性を優先しながらも女性にも皇位継承を認めていた。79年の第3次草案も「もし止(や)むことを得ざるときは、女統入て嗣(つ)ぐことを得」としている。85~86年ごろに宮内省が立案した「皇室制規」は「皇族中男系絶ゆるときは、皇族中女系を以(もっ)て継承す」としていた。このころまで男系継承は絶対の原則という共通認識はなかったといえる。これに猛然と異を唱えたのが法務官僚の井上毅だった。井上は総理大臣兼宮内卿だった伊藤博文に提出した「謹具意見」で「女性に参政権がないのに最高権力を持つ天皇が女性であることは矛盾」「女性天皇の子は夫の姓を継ぐため、皇統が他に移る」などと女系容認を批判した。井上が論拠としたのが自由民権結社「嚶鳴(おうめい)社」が82年に主催した「女帝を立てるの可否」という討論だった。女性天皇の賛否はほぼ同数であったが、「日本は男尊女卑の国柄で、女性天皇の夫がその上に位置してしまう」という懸念は一致していた。歴史や伝統よりも、当時の社会状況が影響していた。89年(明治22年)2月11日、井上の意見を入れて第1条を「大日本国皇位は祖宗の皇統にして男系の男子、之(これ)を継承す」とした皇室典範が、明治憲法発布と同時に非公式に発表された。皇室制度に詳しい小田部雄次静岡福祉大教授は「皇位が男系でつながってきたのは確かだが、明治になって『男系男子』という枠を初めてつくって、天皇は男にしか務まらないようにした。当時は女性の社会的地位が低く、女性中心の社会に抵抗があった」と言う。皇室史をよく知る宮内庁関係者は「皇室の歴史はまず事実があって、それが慣習として続けられてきた面がある。古来、男系の原則があったなら、明治期に女系容認案がつくられなかったはずだ」と話す。そして「天皇家が他姓になるというのは理解しがたい。皇室はもともと姓がないのだから、婿入りしてきた人も姓がなくなる」と明治期の女帝否定論に疑義を示す。近代以降の皇室制度は皇位継承に窮屈な服を着せてきたともいえる。小田部教授は「飛車を守って王を捨ててしまう発想はおかしい。世襲が王、男系が飛車だ。男系に固執すると世襲制そのものがダメになってしまう」と警鐘を鳴らしている。
▼男系と女系 男系継承は男性のみで相続が続いていく観念。女性に相続権はなく、「継承の袋小路」とされる。男性天皇の皇女は男系女子で、その子以降は女系になる。現在の皇太子さまの長女、愛子さま、秋篠宮家の眞子さま、佳子さまは男系女子で、悠仁さまは男系男子。男系(父系)継承は古代中国の宗族制度の影響といわれる。この制度では結婚後も男女ともに父系で受け継いだ姓を名乗る。

*2-2-1:http://qbiz.jp/article/110880/1/ (西日本新聞 2017年5月31日) 退位法案、6月1日に衆院委採決 与野党、付帯決議も
 衆院議院運営委員会は31日、理事会を開き、天皇陛下の退位を実現する特例法案を審議する議運委を6月1日に開催し、法案を採決する日程を決めた。自民、公明、民進3党が30日に合意した付帯決議案も可決される見通し。特例法案は6月2日の衆院本会議で可決され、参院に送付される方向だ。6月1日の議運委では、自民党の茂木敏充政調会長、民進党の馬淵澄夫・党皇位検討委員会事務局長、公明党の北側一雄副代表らが質問に立つ予定。菅義偉官房長官が特例法案の趣旨説明を行う。特例法案は、皇位継承の在り方を定めた皇室典範と一体との位置付け。

*2-2-2:http://digital.asahi.com/articles/ASK672TFWK67UTFK004.html (朝日新聞 2017年6月7日) 退位特例法案、参院特別委で午後可決へ 9日に成立
 天皇陛下の退位を実現するための特例法案は7日午後、参院の特別委員会で審議入りした。即日可決される。特別委は、政府に「女性宮家の創設等」の検討を求める付帯決議を、衆院の委員会と同じ文言のまま可決する予定だ。法案は9日の参院本会議で可決・成立する。天皇が終身在位制となった明治以降では初めてとなる退位に向けて、政府の準備が本格化する。審議には参院の正副議長も出席。菅義偉官房長官の法案の趣旨説明後、8会派の代表者の質疑が始まった。菅長官は「法案の作成に至るプロセスやその中で整理された基本的な考え方は将来の先例になり得る」と答弁し、改めて特例法案による対応が将来の先例になる可能性に言及した。法案は2日に衆院を通過。審議した衆院議院運営委員会では「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等」について、政府に「法施行後速やかに」検討するよう求める付帯決議も可決された。参院自民内では、女性宮家に反対する保守系議員に修正を求める動きもあったが、「参院の正副議長も入って確認された付帯決議は非常に重い」(尾辻秀久・特別委員長)として、参院側も同じ文面になる。

*2-3:https://mainichi.jp/articles/20170525/k00/00m/010/021000c (毎日新聞 2017年5月24日) 毎日新聞調査:女性天皇賛成68%
 毎日新聞の全国世論調査で女性天皇への賛否を聞いたところ、賛成が68%で反対の12%を大きく上回った。安倍政権は女性天皇や、父方が皇族でない女系天皇に消極的だ。世論との食い違いが際立っている。男性は賛成が72%、反対が12%。女性は賛成が65%、反対が12%で、男性のほうが賛成が多い。内閣支持層でも68%が賛成した。女性・女系天皇については、小泉政権下の2005年に政府の有識者会議が容認する報告書を提出している。05年12月の毎日新聞の全国世論調査では女性天皇に賛成する意見が85%だった。秋篠宮ご夫妻に長男悠仁さまが誕生した直後に実施した06年9月の調査では72%に減少したが、女性天皇への賛成論は根強い。天皇陛下と皇后さまに対してそれぞれ、どんな感じを持っているかも尋ねた。陛下に対しては多い順に「尊い」が30%、「親しみ」が20%、「好感」が17%。皇后さまに対しては「親しみ」が27%、「好感」が22%、「尊い」が20%だった。両陛下は公務ではともに行動されることが多いが、天皇陛下に対しては尊敬が強い一方で、皇后さまに親しみを感じている。調査は4月22、23日、全国の有権者を対象に電話をかける方法で実施した。

*2-4:http://www.jiji.com/jc/article?k=2017052300453&g=soc (時事 2017/5/23) 女性宮家に反対=保守系議連
 超党派の保守系議員でつくる「日本会議国会議員懇談会」は23日、皇室制度プロジェクト(座長・衛藤晟一首相補佐官)の会合を参院議員会館で開き、天皇陛下の退位を実現する特例法案の付帯決議をめぐり議論した。民進党が求めている「女性宮家」創設の検討明記について、出席者からは「皇位安定継承の唯一の道ではない」などと反対論が相次いだ。座長代行の柴山昌彦首相補佐官は終了後、「女性宮家が議論の最初に出てくるのはおかしいとの認識を共有した」と記者団に語った。

<女性への間接差別>
*3-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/425385 (佐賀新聞 2017年4月28日) 共働きの妻退職し、副町長再任 北海道奥尻町
 北海道奥尻町の新村卓実町長(64)が前副町長の田中敦詞氏(58)の再任へ、町職員である田中氏の妻の退職を迫った問題で、奥尻町議会は27日、妻が退職願を出した後、改めて町が提出した田中氏の再任案に全会一致で同意した。所得が比較的高い町職員の共働きに対する一部町議の批判を町長がくみ取った形で、専門家から「退職の強要や男女差別に当たる」と批判が出ていた。妻は今月、退職願を提出し、9月末に退職する予定。3月29日で任期満了だった田中氏の再任案は、同10日の町議会では反対多数で不同意とされ、新村町長が田中氏に妻の退職を迫っていた。新村町長によると、若者に働く機会を譲るため、共働き夫婦のうち夫が昇進した際に妻が辞めるケースが町にはあるといい、田中氏に「町議から批判があるので理解してほしい」と話したという。田中氏の再任を不同意とした議会を欠席した町議は「批判する町議も悪いが、町特有の事情もあり、仕方がない」としている。

*3-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170506&ng=DGKKZO16056990V00C17A5EA1000 (日経新聞 2017.5.6) 15.3% 女性研究者、日本は最低水準
 総務省の調査によると、日本の研究者のうち女性が占める割合は2016年3月末時点で15.3%だった。過去最高となったが、主要国の中では依然として最低水準だ。ロシアの40.3%(15年時点)や英国の37.4%(14年)、米国の34.3%(13年)などの半分以下で、韓国の18.9%(15年)よりも低い。文部科学省によると、託児所の増設や公教育の充実などが欧米に比べて遅れており、出産や育児と研究との両立が難しいことが壁になっている。研究者を目指す女性も少なく、博士課程に在学する女性の割合は約30%にとどまる。理系の女性が「リケジョ」と呼ばれるなど注目を集めているが、日本での女性研究者の進出はまだ途上にある。国は20年度までに、新規採用に占める女性研究者の比率を30%に高める目標を掲げている。科学界に女性を根づかせるには、採用した後も女性研究者が活躍できる環境の整備が欠かせない。


<各国のジェンダーギャップ指数>
PS(2017年7月1、2日追加): *4-1に書かれているとおり、世界経済フォーラムの2016年の「ジェンダーギャップ報告書」によれば、日本の男女格差は世界144カ国中111位で、前年と比較して10位も落ちた。分野別では、政治分野103位、経済分野118位、教育分野76位(高等教育103位)、健康分野40位で、特に女性国会議員比率は122位と極めて低い。日本政府は、2015年12月25日に第4次男女共同参画基本計画を閣議決定し、2015年8月28日には女性活躍推進法を制定したが、我が国の性別役割分担意識に基づく社会制度や慣行は、職業のみならず社会のあらゆる分野にはびこっているため、男女平等教育、国・地方自治体・民間企業における積極的差別是正措置の導入、税・社会保障制度におけるモデル世帯の見直し等の取組が必要だ。
 なお、日本より下には、サウジアラビアはじめイスラム教国が多く、イスラム教国における女性の地位は非常に低くて、*4-3のような宗教を根拠とする女性への人権侵害が散見される。そのため、*4-2のように、石油に頼らない国づくりを目指す経済・社会改革の司令塔である新皇太子には、石油化学製品・化学繊維・ファッションや農業・食品産業をサウジアラビアで進めるため、女性を含めて宗教以外の科学教育を通じた人材づくりと職業創出をしてもらいたい。そして、それらの産業の担い手には、女性を含んだ方がサウジアラビアをより大きな成長に導く上、そうすることによって女性の地位も上がる。さらに、アフリカを含むイスラム教国も、なるべく早い時期に、現代の女性の地位に関する国際標準である女子差別撤廃条約(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/index.html 参照)を締結するのがよいと考える。

   

(図の説明:一番左の2016年ジェンダーギャップ指数で日本は111位となり、右から2番目の図のように、「すべての女性が輝く社会づくり」をしたのに順位は下がった。これは、他国の努力と成果が日本よりも大きいからである。また、左から2番目の図のように、日本は「経済活動参加と機会」「政治的権限付与」が特に悪い。日本と同じかそれよりも女性の地位が低いのは、一番左と一番右の図のように、パキスタン・サウジアラビア・イラン・エジプト・トルコ・クウェート・アラブ首長国連邦などのイスラム教国とアフリカだ)

*4-1:http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2016/161114.html (日本弁護士連合会会長 中本和洋 2016年11月14日) 世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数に対する会長談話
 世界経済フォーラム(WEF、本部・ジュネーブ)は、2016年10月26日、2016年の各国の男女平等度を指数化した「グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書」(以下「ジェンダーギャップ報告書」という。)を発表した。同フォーラムは、毎年1月、スイスのダボスにおいて、世界各国の政財界のリーダーや学者らが参加して年次総会を開催する権威ある国際機関である。同報告書において、日本は、男女格差を示す指数において、世界144か国中111位となり、145か国中101位であった2015年に比べ、順位を10位落とした。分野別の順位は、政治分野103位、経済分野118位、教育分野76位、健康分野40位であり、特に政治分野では、女性の国会議員比率が122位と極めて低い。また、経済分野では、労働参加、賃金、所得、昇進、専門職・技術職の全ての項目で低迷し、総合順位は、2015年と比較して106位から118位へと大きく落ち込んだ。教育分野の順位が低いのは、高等教育が103位だったためである。日本政府は、平成27年12月25日に第4次男女共同参画基本計画を閣議決定し、「女性の活躍を阻害している要因」について、「固定的な性別役割分担意識、性差に関する偏見や様々な社会制度・慣行がある」と分析し、長時間労働、転勤、年功序列等の男性中心型労働慣行の見直し、女性の政治分野や科学技術分野への参画推進などに取り組むとした。そして、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)を制定し、国、自治体、民間企業に対し、数値目標を盛り込んだ行動計画の策定、公表等を義務付けた(従業員300人以下は努力義務)。しかし、上記法律を実効的なものとするためには、前記労働慣行の見直しを具体化する措置をはじめ、同一価値労働同一賃金原則の確立、間接差別の禁止拡大、コース別雇用制度の見直し等の法的措置が必要である。また、我が国における固定的な性別役割分担意識に基づく社会制度・慣行は、職業生活のみならず、社会のあらゆる分野にはびこっており、その見直しには、男女平等教育、国、地方自治体、民間企業における積極的差別是正措置の導入、税・社会保障制度におけるモデル世帯の見直し等、幅広い取組が不可欠である。当連合会は、日本政府に対し、ジェンダーギャップ報告書の順位及び指数について誠意をもって受け止め、男女間の格差解消を引き続き優先課題とし、積極的に取り組むとともに、上記社会制度・慣行に広く目を向け、より実効性のある具体的措置及び施策をとるよう求めるものである。当連合会も、あらゆる分野の男女間の格差解消と実質的平等の実現に向けて、実効的な立法措置や諸施策の提言を引き続き行うとともに、当連合会内の男女共同参画の取組を推進していく所存である。

*4-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170623&ng=DGKKZO18008810S7A620C1EA1000 (日経新聞社説 2017.6.23) 新皇太子はサウジを変えるか
 サウジアラビアの皇太子に、サルマン国王の息子であるムハンマド副皇太子が昇格した。31歳の若さながら、すでに強大な権限を持つ実力者に、王位が引き継がれる道筋が整った。サウジは中東・イスラム世界の盟主であり、世界有数の石油産出国だ。若き指導者がサウジを成長に導く改革を前進させることに期待したい。同時に周辺国との対立を避け、中東の安定実現へ責任ある役割を果たすことが重要だ。ムハンマド皇太子は2015年に王位継承順位で2位の副皇太子に就いた。80歳を超す国王の下で、外交・安全保障から経済・石油政策まで幅広く取り仕切る。サウジは石油に頼らない国づくりを目指す経済・社会改革を進める。皇太子はその司令塔だ。国丸抱えの教育や福祉からの決別など、慣行にとらわれない大胆な改革は一人に権限を集中させたからこそ踏み出せたと言える。国民や王族に痛みを強いる改革は不満を生む。早期に成果を示す必要がある。皇太子昇格で権力基盤がさらに強固になれば、改革の速度は上がるだろう。一方、皇太子が主導する外交・安全保障政策には懸念を抱かざるをえない。国防相を兼任する皇太子はイエメンへの軍事介入を決め、イランとの断交を主導した。サウジと同じアラブ湾岸産油国の一員であるカタールとの断交にも、彼の意向が強く働いているとされる。イランやカタールとの対立は中東の緊張を高めている。サウジとイランは石油輸出国機構(OPEC)の中核国だ。カタールは液化天然ガス(LNG)の世界最大の生産国である。ペルシャ湾の混乱は世界経済を不安定にする。日本にとってサウジは最大の原油調達先だ。皇太子も新婚旅行先に日本を選ぶなど、日本のファンだという。日本はイランやカタールとも緊密な関係にある。サウジの脱石油改革に積極的に協力すると同時に、地域の緊張緩和へ橋渡し役を務めることができるはずだ。

*4-3:https://www.cnn.co.jp/world/35040761.html (CNN 2013.12.2) 女性2人が抗議の車運転、警察で一時拘束 サウジ
 サウジアラビアの首都リヤドで、女性による車の運転解禁を求めてハンドルを握っていた女性と同乗者の女性が一時、当局に拘束された。本人たちの話によると、拘束されたのは車を運転していたアジザ・アルユセフさんと同乗者のエマン・アルナフジャンさん。11月29日に運転しているところを見とがめられて停車させられ、警察署で数時間にわたって拘束された後、それぞれの夫に引き渡されたという。アルナフジャンさんは、ブログやツイッターを通じて女性が運転する権利を訴えていて、女性に抗議の運転を呼びかけた10月26日のキャンペーン提唱者の1人でもある。「私たちは警察を探し、わざと警察署の前を通りかかった」と打ち明け、政府が容認するまで待つのはもううんざりだと話している。この件について、リヤドの警察は取材に応じていない。一方、アルユセフさんは、交通警察や秘密警察などが現場に召集されたことから、当初は刑務所に収監されるかもしれないとの不安に駆られたと話す。しかし警察署に着くころには物々しい雰囲気は解消されていたという。迎えに来た夫は、アルユセフさんに二度と運転させないという誓約書に署名を求められ「どうしたらそんなことができるんだ? 私には妻の運転を止められない。それができるのは神のみだ」と冗談を言いながら署名したという。その後アルユセフさんは釈放された。女性の運転する権利を認めていない国は世界の中でもサウジアラビアのみ。法律で禁止しているわけではないが、宗教令の解釈を根拠として禁止を強要している。

<「女性は仕事の経験が少ない」という先入観を利用した評価も間接差別である>
PS(2017年7月7、28日追加):*5-1のように、「①九州の豪雨で自衛隊が災害派遣されて現地で人命救助などにあたっていた最中に、稲田防衛相が勉強会に出席していた」「②仕事を知らない(TVのコメンテーター)」などと非難している人がいたが、①については、自衛隊は、一度出動を命じれば防衛大臣が防衛省に張り付いていなくても必要な仕事ができ、携帯電話も通じているため、いいがかりである。また、被災地域のうち福岡県は主に麻生副総理兼財務大臣、大分県は主に衛藤元衆議院議長の地元であり、麻生副総理が必死で対応に当たっているのが報道されていたため、問題ないと思われる。さらに、②については、女性は誰でも専業主婦しかしたことがなく、自分より仕事を知らないと思って女性を侮っている男性の的外れの見解だ。
 なお、稲田防衛相は、私が「長子相続として女系天皇を認めるべき」と主張していた時、私に「あなたは知らないから、そんなこと言っているんでしょ。私は知ってるから反対なのよ」と言われたことがあり、何を知っていると反対になるのか疑問に思ったが(称徳天皇と道鏡に関する定番の女性蔑視を含んだ古い逸話のことか?)、教育勅語を肯定したり、女系天皇に反対したりなど、信念が極右なのが問題なのである。
 また、昨日、*5-2のように、稲田防衛相がPKO日報問題で混乱があったとして引責辞任されたが、稲田氏は率先して隠蔽する人ではないため、大臣を辞任させて政権を倒すことを目的として、この問題は追究されているようだ。また、「自衛隊を統率できなかった」と言うのであれば、通行人にすぎない大臣は男女を問わず殆どがそうであり、引責辞任は何が悪いのか悪くないのかを隠蔽するので、むしろ問題だ。さらに、自衛隊の南スーダン派遣は、自衛隊法第84条の4第2項第4号及び国際平和協力法に基づき、国連南スーダン共和国ミッション (UNMISS) として2011年7月8日に行われ、派遣を決定したのは民主党政権であり、既に派遣された自衛隊の近くで戦闘があったことを公表できなかったのであるため、この派遣や派遣するための判断基準自体が正しいか否かを議論しなければ根本的解決にはならない。

*5-1:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS06H5K_W7A700C1PP8000/ (日経新聞 2017.7.7) 防衛省、政務三役が一時不在に 自衛隊の災害派遣中
 九州北部での記録的な豪雨に政府を挙げて対応していた6日、防衛省の政務三役が一時、そろって同省を不在にした。自衛隊は災害派遣され、約1600人の自衛隊員が現地で人命救助などにあたっている最中だった。不在だったのは稲田朋美防衛相が同省を離れた午前11時50分ごろから、小林鷹之防衛政務官が戻った午後0時30分ごろまでの約40分間。稲田氏は不在について「政務として、民間の方々との防衛政策に関する勉強会に出席した」と説明した。菅義偉官房長官は記者会見で「政務三役は随時連絡を受けて速やかに戻れる態勢だった。問題はない」と話した。石破茂前地方創生相は記者団に「あってはならないことだ。防衛の仕事は5分、10分の遅れが思わぬ結果を引き起こすことがある。近くにいたから問題ないということにはならない」と批判した。

*5-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13059472.html (朝日新聞 2017年7月28日) 稲田防衛相、辞任へ PKO日報問題、引責 黒江防衛次官も きょう監察結果
 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊の部隊が作成した日報問題で、稲田朋美防衛相(58)は27日、引責辞任する意向を固め、安倍晋三首相に伝えた。陸自の岡部俊哉陸上幕僚長も辞任する意向を固めており、黒江哲郎防衛事務次官も辞任する見通しだ。稲田氏は28日、記者会見を開いて日報問題をめぐる特別防衛監察の結果を公表し、正式に辞任を表明する。首相官邸幹部によると、安倍首相は28日にも稲田氏の辞表を受理。8月3日にも行う内閣改造まで、首相が防衛相を兼務する方向で調整する。稲田氏が辞任すれば、2012年の第2次安倍内閣の発足以降、閣僚の辞任は6人目となる。稲田氏は、首相が「将来のリーダー候補」として重用し、自民党政調会長から昨年8月の内閣改造で防衛相に抜擢(ばってき)した。だが、日報問題をめぐる混乱や、都議選の応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と発言するなど防衛相としての資質が再三にわたって問題となり、野党は罷免(ひめん)を要求。そのたびに首相がかばってきたことから、今回の引責辞任で首相の任命責任も厳しく問われそうだ。政府関係者によると稲田氏は27日夕、首相官邸で首相と約30分間会談した際、辞意を伝えた。防衛相として実施を指示した特別防衛監察の結果がまとまり、日報問題には一定のメドがついたと判断し、辞任を決断したとみられる。首相も、内閣改造に合わせて交代させる考えだったが、世論の批判の高まりもあり辞意を受け入れたようだ。南スーダンPKOに派遣された陸自部隊の日報には、昨年7月に現地で「戦闘」があったなどと記されていた。だが、ジャーナリストからの情報公開請求に対し、防衛省は「陸自内で廃棄済み」としていったん不開示を決定。再調査の結果、12月末になって自衛隊の運用を統括する統合幕僚監部で電子データが見つかり、今年2月上旬に該当部分を含む日報の内容を公表した。防衛省・自衛隊の「組織的な隠蔽(いんぺい)」疑惑が浮上したことから、稲田氏は3月中旬に特別防衛監察を指示。この監察に対し、陸自側が「2月中旬の幹部会議で稲田氏に、陸自内での日報データの保管について報告した」などと説明し、組織的隠蔽に稲田氏の関与が取りざたされる事態となった。稲田氏は国会答弁で「報告されなかった」と述べており、虚偽答弁に当たる可能性も指摘されてきた。

<結婚で実績の継続性を遮断するのも間接差別になる>
PS(2017年7月28日追加):特許庁が「希望する全職員に結婚後も旧姓使用を認める」としたのはよいことだが、遅すぎた感がある。そのため、法務省・外務省・財務省・金融庁・総務省・厚労省・宮内庁などの省庁や地方自治体が率先してこれを行えば、旧姓使用に対する理解を進ませ、旧姓を使用している人が不利に扱われる状況を改善することができると考える。なお、日本公認会計士協会は、私が選択的夫婦別姓を中地会長に提案し、20年くらい前から、*6-2のような旧姓使用を認めている。税理士会は最近認めたのだが、運転免許証・パスポート・金融機関・健康保険等では旧姓使用が認められていないため、煩雑さを生じさせているわけだ。

*6-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10212/450104 (佐賀新聞 2017年7月28日) 特許庁、旧姓の使用を容認へ、希望する全職員、9月から
 特許庁は28日、女性の活躍を推進するため、庁内の希望する全職員に対し、結婚後も旧姓使用を認めると公表した。中央省庁での全面的な導入は初という。9月から始める。

*6-2:https://www.hp.jicpa.or.jp/app_kaigyo/kyusei_siyou.pdf;jsessionid=F1403A4CAA2D10762002C6973A7656CC  (公認会計士協会) 旧姓使用申請手続等について
 公認会計士、会計士補、外国公認会計士及び特定社員は、婚姻、離婚、養子縁組又は離縁その他事由により戸籍簿に記載された氏に変更があるとき、次の申請手続により婚姻等による変更前の氏を業務の遂行において使用することができます。
<申請書類>
旧姓使用申請書(様式第1 号)
添付書類:旧姓が記載されている戸籍(除籍)抄本又は登録原票記載事項証明書
※申請書の氏名欄は、登録名簿上の戸籍名を記載してください。
<旧姓使用に当たっての留意事項>
・旧姓とは、婚姻等による変更前の氏で、旧姓使用を申請する公認会計士等の戸籍簿に記載
 されたことのある氏で本人が選択したものをいい、直前の氏や、公認会計士等として登録
 されたことのある氏に限られていません。
・公認会計士、会計士補、外国公認会計士及び特定社員が旧姓使用を申請するに際しては、
 旧姓使用の許可を得た後には、法令等に別段の定めのある場合を除き、業務の遂行におい
 て常に旧姓を使用しなければならないため、勤務先の了承を得る必要があります。
・旧姓使用が認められても開業登録及び変更登録の申請は、登録名簿が戸籍名であること
 から戸籍名で申請することになります。
・監査報告書等の署名、事務所看板、名刺、名入り封筒等は、旧姓を使用することになります。
・旧姓が使用できるのは、旧姓使用許可通知書に記載された許可年月日からとなります。
・旧姓使用の許可を得た後に、旧姓名と戸籍名とを随時使用するなど旧姓使用に支障がある
 ときは、登録審査会の審査を経て、旧姓使用の許可を取り消す場合があります。
・本会からの事務所又は自宅に送付される郵送物等は全て旧姓名となります。特に、ご自宅を
 送付先とされている場合、郵便物等が旧姓名で届くかご確認ください。
・会員及び準会員に配付する会員名簿は、旧姓のみの表記となります。
・離婚等により戸籍上旧姓に戻った場合には、直ちに、旧姓使用を廃止する必要があります。
・会計士補又は準会員から公認会計士に資格変更した場合は、再度旧姓使用の許可を得る
 必要があります。 

<山尾議員の不倫“疑惑”>
PS(2017年9月9日追加):*7-1のように、メディアが「不倫“疑惑”」で議員の政治生命を危うくするのは男女を問わず珍しくなく(それを指摘している人はさぞかし自分は清廉潔白なのだろうが《皮肉》)、それだからこそ議員の方は、「李下に冠を正さず」の注意が重要だ。
 ただ、山尾衆院議員の場合は、母親としてのキャリアを使って保育園の不備や働き方改革の不備を指摘していただけに、*7-2の倉持氏の主張のように、「私の事務所や山尾議員の会館事務所、その他会食を交えながらなどの打ち合わせが常態的で、私の自宅で作業や打ち合わせを行う場合もあり、これらの作業や打ち合わせは深夜に及ぶこともあった」というのが本当なら、保育園より前に親の責任を果たしていないだろう。もちろん、弁護士や国会議員・行政官は徹夜に近い形で仕事をすることも多いので、当事者にとっては別に変わったことではなかったのかも知れないが、子どもの立場から見ると、「生んだからには、議員になるための道具に使うだけでなく、私と話す時間を確保して欲しい」ということになるだろうし、本当に男女関係がなく誤解にすぎないのなら、離党や辞職をする必要はなく、理由を説明してきっぱり否定するのが自分と家族のためだったと思われる。

*7-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017090902000163.html (東京新聞社説 2017年9月9日) 山尾氏離党 民進党よ、しっかりしろ
 民進党新体制の発足早々なぜこんなことになったのか。山尾志桜里衆院議員の離党。政権を担う覚悟を全党で共有しているのかと疑いたくなる。言わねばならない。「民進党よ、しっかりしろ」と。離党のきっかけは、七日発売の週刊文春で報じられた、山尾氏と既婚男性との交際疑惑である。大島敦幹事長に離党届を提出した後、山尾氏は記者団に文書を読み上げ「誤解を生じさせる行動で迷惑をかけ、深く反省しておわびする。臨時国会の論戦に今回の混乱を持ち込むことは、さらなる迷惑をかけることになると判断した」と理由を説明した。国会質問では、保育園に子どもを預けられない母親の窮状を訴えた「保育園落ちた日本死ね」という匿名ブログを取り上げて安倍晋三首相を追及。政府が待機児童問題の深刻さを認識し、対策に本腰を入れるきっかけとなった。その後、当選二回ながら政調会長に登用されるなど、民進党のみならず政界の将来を担うべき有為な人材である。その山尾氏が代表選直後に離党に追い込まれたことに、失望している人たちは多いのではないか。特に、子育て世代には「裏切られた」との思いもあるようだ。個人的な問題と政治活動は別だとの声がないわけではない。しかし、そもそも誤解を生じさせるような行動を、民進党の再生を期すべき重要な時期にしていたことは軽率の極みである。常日ごろは説明責任を果たせ、と安倍政権に迫りながら、記者からの質問を一切受け付けなかった対応にも不信感が残る。前原誠司新代表は、山尾氏の幹事長起用を一度は決めながら、男性との交際疑惑を報道前に知り、撤回した。党の要である幹事長自身が疑惑にさらされる事態は避けられたが、前原新体制の船出はかなり厳しいものになるだろう。早ければ九月下旬には臨時国会が始まり、安倍政権と本格的な対決が始まる。十月二十二日には衆院三選挙区で補欠選挙、来年十二月までには衆院選がある。再び政権交代を果たすには時間を要するだろうが、民進党がその足掛かりを築くには、失墜した党への信頼を回復することが前提だ。もはや甘えは許されない。自民党に代わる政策や理念の選択肢を示すのは国民のためだ。議員に限らず民進党にかかわるすべての人が、その決意を今後の政治行動で示すべきである。それができないのなら民進党に存在意義はない。

*7-2:http://www.sankei.com/politics/news/170908/plt1709080007-n1.html (産経新聞 2017.9.8) 交際相手とされた倉持麟太郎弁護士のコメント全文 「男女関係なかった」 ― 平成29年9月7日 倉持 麟太郎
民進党に離党届を出した山尾志桜里衆院議員との不倫疑惑報道をめぐり、交際相手とされた倉持麟太郎弁護士は7日夜、「男女関係はなかった」などとするコメントを発表した。全文は以下の通り。
   ◇
 本日発売の週刊誌報道に際し、依頼者の皆様、顧問先会社の皆様、日頃より若輩の私をご指導いただいております皆様をはじめ、多くの方々に多大なご迷惑をおかけして誠に申し訳ございませんでした。私は、本件記事に記載の山尾志桜里議員に対して、予算委員会、法務委員会等各種委員会及び憲法審査会等において、憲法問題を中心に共謀罪(改正組織犯罪処罰法)、雇用・労働問題等々で、極めて幅広い政策分野において、政策ブレーンとして具体的な政策の立案・起案作業及び質問や法案等作成作業をかなり詳細にサポートさせていただいておりました。上記政策立案及び質問作成等の打ち合わせ及び作業のため、日常的に山尾志桜里議員と頻繁なコミュニケーション及び連携をしており、当該作業や打ち合わせは山尾志桜里議員と1対1の場合も、他の外部有識者を加えた複数名のものもございました。場所は、私の事務所や山尾志桜里議員の会館事務所その他会食を交えながら等という形態が常態的であり、私の自宅で作業や打ち合わせを行う場合もありました。これらの作業や打ち合わせは、深夜に及ぶこともございました。山尾志桜里議員との間に男女関係はありませんが、結果的に誤解を生じさせるような状況があったことについて、深く反省しております。あわせて、本件で多大なる迷惑をかけた妻、子及び家族に対して心からの謝罪をしたいと思っております。最後に、私の行動で、皆様に誤解を生じさせましたこと及び様々な場面でご指導ご支援いただいてきた皆様にご迷惑をおかけし、失望させましたことを、深く反省しお詫び申し上げます。これから、失った信頼を取り戻すべく、今まで以上に全力で取り組ませていただきます。

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2017.6.26 経営戦略と組織再編 ― 日本郵政、東芝、富士ゼロックス、JR九州、農業、自動車産業の事例から (2017年7月4、5、6、7、10、11、13日、8月7日に追加あり) 
  
   2017.6.21         2017.6.24        2017.6.25   
   日経新聞          東京新聞          日経新聞   

    
   2017.6.24       2011.2.26        2017.6.26
    佐賀新聞        日経新聞          佐賀新聞

(図の説明:日本郵便の利益は、2017年3月期は買収したオーストラリア物流子会社ののれん減損処理の影響で、マイナスになりそうだ。ウェスティングハウスの買収による巨額損失を抱えこんだ東芝は、上場維持さえ危うくなり、東芝メモリを売却することによって債務超過を回避しようとしているが、これまでに締結した不利な契約に束縛されて困難が多い。富士ゼロックスは、ニュージーランド子会社の不適切会計を理由として統括会社の支配を強めようとしているが、ローカルな市場に直面する販売はローカリズムを維持した方がよいと考える。JR九州は不動産事業の好調で順調な上場を果たしたが、気のゆるみや驕りは巨額損失に繋がるので禁物だ。また、鉄道の不採算路線は、地域社会と協力しながら、ふるさと納税も利用して話を進めることにより、問題解決して次の収益機会が得られると考える)

(1)大企業の買収・分社と失敗事例の原因
1)買収で巨大損失を招いた日本郵政
 日本郵政は、*1-1のように、買収したオーストラリアの物流子会社の業績が振るわず、のれんの減損処理をする必要が出て、民営化後初の赤字の可能性とのことである。

 減損処理を検討しているのは、2015年に純資産額より約4,700億円も高い6,200億円で買収した豪トールの「のれん代」で、上場前に国際物流で成長するというメッセージを発する目的で買収し、「上場を乗り切ろうという姿勢で、会社の将来を考えての判断とは思えない」状況だったのだそうで、この時の株主は国であり、買収は東芝出身の西室前社長の主導で行われて、内部での検討は殆どなかったそうだ。

 また、*1-2のように、早ければ7月とされる政府保有株の売却を前に、郵政が持つ膨大な不動産を野村不動産の力を借りて再開発する成長の展望を示そうと動いた日本郵政の野村不動産ホールディングス(HD)の買収交渉は中止となった。郵政株の売り出しの主幹事を務める野村証券は郵政との良好な関係を維持したいが、野村不動産は安定収益を稼ぐグループ会社であるため、郵政の要望にどう応じるべきか、野村社内には困惑するムードがあり、郵政による買収検討が伝わると野村不動産株式は急上昇したのだそうだ。

 この日本郵政の両方の買収に言えることは、金や取引関係や政府の後ろ盾を背景に、競争相手に望まない買収をしかけていることである。そのため、必要以上に高い価格で買わされ、被買収会社のモチベーションは低く、買収価格に見合った収益が挙がらないのだろう。では、相手も望む組織再編はどういうものかと言えば、技術やネットワークを拠出しあえるなど、お互いにシナジー効果のある買収や合弁だ。

 例えば、*1-3のように、ドイツポストは、配送用の電気自動車(EV)の生産で米フォード・モーターと提携し、7月からフォードの車台を使って中型のEVトラックを生産し、2018年までに2,500台を生産し、中型EVトラックとしては欧州最大規模の生産体制にし、自動車大手との提携で小包配送車をEV化する計画を加速するそうだ。この理念と仕組なら、相手も喜んで協業するだろう。

 そのような中、日本郵政のこれまでの業務とシナジー効果のある成長戦略を考えると、①最もよく使う配送車をEV化するため、日本の優秀な自動車会社とジョイントベンチャーを作る ②配送や仕分けの拠点は、土地の価格が安くて便利な高速道路のインター付近に引っ越して自動化する ③街の中心部に持っている主要郵便局は、高層化して商店・保育所・学童保育・介護施設・サービス付きマンション等を入れ、建設会社と組んで新しいスマートシティーを提案する などだ。つまり、今の時代に必要とされるサービスを提供できるよう、シナジー効果のある事業を関係する会社と合弁会社を作って行うのがよいと考える。 

2)東芝のウェスチングハウス買収と不利な契約締結による失敗
 東芝も、*1-4のように、ウェスチングハウスの高値買収と米原子力発電所建設に関して電力会社に提供した親会社保証契約で債務総額 98億ドル(約1兆900億円)を抱え、東芝原子力エナジーホールディングス(以下、TNEH)は、米国連邦倒産法第11章(Chapter 11)に基づく再生手続を申し立てることを決議して、同日付でニューヨーク州連邦破産裁判所に申し立てた。

 そして、*1-5のように、東芝は、東芝メモリを2兆円で売却して利益を出す計画で、経産省が日本勢が66.6%の株式を保有する「日米韓連合」を提案し、日米韓連合案は産業革新機構と政策投資銀行が計6千億円、ベインとSKが計8,500億円を拠出し、銀行融資も加えて2兆円となっている。そして、産業革新機構以外は融資や優先株による出資を含むため、議決権は産業革新機構が50.1%、政策投資銀行が16.5%、ベイン側が33.4%で、売却から2〜3年後の上場を目指すそうだ。

 しかし、半導体工場を東芝と共同運営する米ウエスタン・デジタルが「契約違反だ」と反対し、法廷で争う姿勢を鮮明にして経産省などと駆け引きを続けているとのことである。

 このように、高値買いと不利な契約締結の結果、東芝は、*1-6のように、2017年3月末で5,816億円の債務超過が確実となり、今月末に期限を迎える2017年3月期の有価証券報告書(有報)の提出を8月10日まで延期することを関東財務局に申請して承認され、2017年8月1日付で東証2部に降格となった。

3)東芝と日本郵政の巨額損失を招いた西室元社長について
 日本郵政は、*1-7のように、郵便事業や貯金・簡保などとは業務の異なる東芝から西室社長(1935年生まれで、2015年のトール買収時に80歳)を招き、自社に技術のないものを人脈と金にあかして買収で手に入れようとして高値買いをするという東芝と同じ失敗をしている。そして、東芝と同様、不利な契約を結んでいるという悪材料が次々と出てくるのではないかと心配されている。

 買収時に被買収会社の企業価値を厳しく精査するのは外資系企業では当然であり、私もPWCで監査していた頃、買収会社の依頼で被買収会社を監査したことがある。その目で見ると、日本企業の経営者は、根拠なき信頼をベースに企業価値をしっかり精査もせずに買収し、欧米企業を買収したこと自体に喜びを感じる人がおり、買収後の経営戦略が甘すぎるケースが散見される。

(2)富士ゼロックスのケースについて
 富士ゼロックス(株)は、富士写真フイルム(株)と英ランク・ゼロックス社との合弁会社として1962年に誕生したコピー機メーカーで、写真屋とコピー屋が技術を出し合って優秀なコピー機ができたケースだ。現在、富士ゼロックスは富士フイルムホールディングスの連結子会社だが、米ゼロックス社も25%の株式を保有しており、この協業はもともと成功事例だった。

 しかし、*1-8のように、ニュージーランドのプリンターリース会社MARCOが、普通のリース取引の形をとりながら、金融会社FINCOにリース債権を譲渡する形でリース販売を確定させ、売上の過大計上をしていたそうだ。ただ、「リース開始時に見積もったリース債権額と満了時までのリース料総額(コピー料金総額)に大きな差額が出るのは、リースが満了すれば直ちに損失計上すべき」と書かれているが、リース期間満了時に直ちに使えなくなるコピー機はないため、コピー料金で全額を支払うまでリースを解除できない契約にしておけば回収可能になる。

 実は、私は衆議院議員の時、唐津事務所で富士ゼロックスのいいコピー機を使っていて、ハンコを押した書類はどちらがオリジナルかわからないほどのカラーコピーの出来栄えに感心していたが、リース料とコピー料金が高すぎるのが欠点で、有権者に配る資料を思う存分カラーコピーすることができなかった。これは、物価の安い外国ではなおさら感じられることだと思うため、この提案をした次第である。

 今回の会計不祥事を受けて、*1-9のように、グループの成長を引っ張ってきた独立心の強い富士ゼロックスの経営を、富士フイルムHDが経理・人事・広報などで年内にも一体的に運営し始めるというのは、経理は一体的に行った方がコストの削減効果が大きいが、国によって異なるマーケットに直面している販売を統合管理するのはむしろマイナスで、人事もまた日本の論理を押し付けすぎると、現地に合ったやり方を阻害して業績悪化を招く恐れがある。

 そのため、不正をなくすためには、経営の自由度を保ちながら、富士フイルムホールディングスに社長直轄の内部監査部を作って、世界中の関連会社をローテーションしながら社内監査する仕組みにすればよい。私はPWCで監査をしていた頃、ロイズやブリストルマイヤーズの内部監査人(Big4出身の公認会計士が多い)が日本子会社の監査に来た時に、日本(東京)のPWCからその内部監査の手伝いに行っていたので知っているのだ。

 なお、写真屋とコピー屋の合弁会社である富士ゼロックスなら、*1-10のような薄い太陽電池を建材シートに印刷することも可能ではないだろうか。これにより、爆撃で建物が壊滅したイラクなどで、昔の写真を使って元の街並みを断熱性の高い建材で復元した上、可能な場所には元の建物と同じ色調の太陽電池シートを張って元の街並みを復元しながら、超次世代の街を作れば面白いし、日本の技術のアピールになると考える。

(3)JR九州について
 JR九州は本物の利益を出して滞りなく上場にこぎつけたが、*2-1のように、上場後初の株主総会に向けて準備を進めるにあたり、他社を見学したり、23人の役員全員でリハーサルを3回も開いたり、質疑に対する各役員の答弁練習を実施したり、会場で案内などを担当する社員への教育を進めたりしたのは面白い。しかし、このような成長期には、すべてを子飼いの社員でやらなくても、上場会社で総務を担当していた人材、公認会計士、弁護士、税理士などを雇えばもっとスムーズに付加価値の高いことができると考える。

 なお、JR九州の上場を容易にしたのは、*2-3のように、「不動産事業」からの収益だ。何故なら、JR九州は、現在は運輸サービス事業と駅ビル・不動産事業の利益がそれぞれ全体の4割で、不動産からの収益が多いからだ。私は、鉄道会社が運輸サービス事業とシナジー効果の高い駅ビル・不動産事業を行うのは極めて合理的だと考えている。何故なら、運輸サービス事業の充実によって、手持ちの不動産の価値を上げることができるからだ。ただし、これは、自らが運輸サービス事業を行っている地域に限られ、他の地域や外国に出るとシナジー効果はない。
 
 このような中、上場後初の総会では、*2-4のように、株主に地方路線での廃線の動きを懸念する声があったり、株主から不採算路線については第三セクターへの移譲を検討してはどうかとの意見が出たり、JR九州の担当者が効率化を図ることでネットワークを維持していく方針を説明して理解を求めたりしたそうだ。私は、鉄道収入だけを見れば不採算でも、その鉄道があることによって連続性を保つことができたり、駅近くの地価が上がったり、観光振興ができたりすることを考えれば、廃線や第三セクターへの移譲のようなコストカットだけが解決策ではなく、その特性を活かした収益拡大策があってよいと考える。

 また、*2-2のように、九州新幹線長崎ルートのフリーゲージトレインは、車体価格などコストが通常よりも約3倍になるうえ、長崎と新大阪を直通運転することもできないため、R九州の青柳社長は、全線を通常の新幹線と同じフル規格で整備すべきだとの意向を示したそうだ。私も、長崎行きがフル規格でないのはもったいなすぎるため、①高架下を利用したり ②駅近エリアの開発を行ったり ③送電線を敷設して送電料をとったり ④夜間は新幹線貨物を走らせたり しながら、フル規格で整備すれば何とかなるのではないかと考える。

 ちなみに、九州新幹線を使うと、*2-5のように、新大阪―鹿児島中央間でも3時間45分で走ることができ、夜間の新幹線貨物なら止まる駅が少ないので3時間程度で走ることができると思われる。そのため、*2-6のような物流会社と合弁会社を作れば、九州の農水産物を高付加価値のまま、高くない運賃で大消費地に届けられるだろう。

 また、街づくりのために新幹線の駅が欲しい都市は、*2-7の「ふるさと納税」で使い道を指定して寄付を集め、JR九州に目的を持って出資して、路線の有効な使い方にも知恵を絞るのがよいと考える。ただし、これがうまく機能するためには、JR九州は路線ごとに別会社にして管理しておく必要がある。

(4)合併後の戦略について ー 十八銀行の事例から
 どの合併会社でも同じだが、経理・総務は一つになり、販売も店舗の統廃合や業務の効率化で、*3のように、合併後には余剰人員が生まれる。2017年10月にふくおかフィナンシャルグループ(FFG)との経営統合を目指す十八銀行は、FFG傘下の親和銀行との合併に伴う店舗統廃合等で計400人以上の余剰人員が生じ、余力を地域活性化や新規事業に振り向けるそうだ。

 それが成功するためには、視野が広くて応用力のある優秀な人材を、経営企画部・新規事業部に配置し、事業として再編されようとしている農水産業・食品・新エネルギー・第4次産業革命・地域活性化などに関する仕事を開拓させることが必要だ。銀行経験者は、情報通で、きちんとした経理や経営計画を行う能力があるという意味で貴重な人材だが、とかく投資よりコストカットに目が向きやすい欠点があるため、自覚して気を付けるべきである。

<大企業の買収・分社と失敗>
*1-1:http://digital.asahi.com/articles/ASK4P4S39K4PULFA00Y.html (朝日新聞 2017年4月22日) 日本郵政、誤算の買収 豪子会社巡り巨額の損失計上へ
 日本郵政が巨額の損失を計上し、民営化以来初めて純損益が赤字になる可能性が出てきた。買収した豪州の物流子会社の業績がふるわず、会社の資産価値を切り下げる「減損処理」をする必要があるからだ。買収に慎重論もあったが、西室泰三前社長が主導した。日本郵政が減損処理を検討しているのは、2015年に6200億円で買収した豪州の物流大手「トール」。資源価格の低迷を受け、16年4~12月期の営業利益が前年同期に比べ7割も減るなど、業績は買収前の予想を下回る。買収額はトールの純資産額より約4700億円も高かった。トールのブランド力やノウハウが収益につながると期待したためで、この差が「のれん代」と呼ばれる。のれん代は買収した企業の資産になるが、期待ほど収益が上がらなければ損失として計上しなければならない。東芝が巨額損失を計上したのと同じ構図だ。買収発表は日本郵政が株式を上場する約9カ月前。「上場前に郵便事業の成長戦略を描く必要があった。国際物流で成長するというメッセージ」(当時の幹部)だったが、巨額の買収費用に「高値づかみだ」との声も出ていた。トールののれん代は16年12月末時点で3860億円あり、日本郵政は来週前半の取締役会でこの大半について減損処理を決める見通しだ。日本郵政は17年3月期決算の純損益を3200億円の黒字と予想するが、減損額によっては07年10月の民営化以来、初の赤字に転落する可能性がある。業績の大幅悪化は、政府が東日本大震災の復興財源に当て込む日本郵政株の売却益を減らしかねない。政府は22年度までに郵政株の3分の2を売って計4兆円を確保する計画。15年に約2割の株を1・4兆円で売却済みで、早ければ7月にも追加で売却するとみられる。日本郵政株の終値は、減損の検討が明るみに出た20日に前日比で2・6%下落。翌21日に1・6%戻したものの、今後も不安定な値動きが予想される。財務省理財局は「売却時期や規模については、市場環境などをふまえて適切に判断する」と話す。株価の下落が続く場合、売却時期の先送りもありうる。
■「内部検討ほとんどなし」
 日本郵政グループ幹部によると、西室前社長は15年春の取締役会で初めてトールの買収を説明し、「もう決めた」と語った。取締役から批判が上がったものの、西室氏の意思は変わらなかった。巨額買収を心配する声は当初からあった。別のグループ幹部は「買収について内部の検討はほとんどなかった。上から降ってきた話」と明かした。元幹部は「とにかく上場を乗り切ろうという姿勢で、会社の将来を考えての判断とは思えない」と語っていた。16年初めの日本郵政の経営会議。トールの現状について「かろうじて黒字」などと報告されたのに対し、社外取締役から「日本郵便にとって意味があるから買ったのでは」「いくらもうかり、いくら損して、これからいくら負担しなければならないのか、数字で示してくれ」などの懸念が出た。グループ内でも「すぐに減損処理せざるをえない」との見方が強まっていた。このころ、西室氏がかつて社長を務めた東芝の子会社、ウェスチングハウスも原発の受注悪化などから減損が避けられないとの見方が出ていた。だが、東芝はまだ「将来の収益が見込める」として損失の計上は不要との姿勢を続けていた。16年2月に取材に応じた日本郵政幹部は、同年3月期にトールの減損を実施するかを問われ、こう答えた。「しない。ウェスチングハウスと同じだ」(真海喬生、織田一)

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170621&ng=DGKKZO17905290Q7A620C1EE9000 (日経新聞 2017.6.21) 郵政成長戦略の舞台裏(上)、大型買収不発 次の一手模索 政府の保有株売却を意識
 日本郵政による野村不動産ホールディングス(HD)の買収交渉が中止になった。早ければ7月とされている政府保有株の売却を前に成長の展望を示そうと動いたが、大型買収への懸念をぬぐいきれなかった。オーストラリアの物流会社への出資に続く失敗で、M&A(合併・買収)による成長の道は狭まった。これから新たな戦略の模索が始まる。「ちょっと難しくなってきたな」。6月上旬、日本郵政のある幹部が関係者にこう漏らした。郵政による野村不HDの買収が報じられて1カ月。6月に入って資産査定のプロセスが止まり、買収交渉からの撤退は秒読み段階に入っていた。郵政が持つ膨大な不動産を野村不の力を借りて再開発する。野村不は有望なマンション用地などを確保。互いにメリットがあると思われた枠組みを止めたのは、他ならぬ郵政自身の「失敗」だ。
●ゲームより汗を
 郵政は2015年11月に株式上場したが、発行済み株式の8割はまだ政府出資だ。追加で売り出す株式の収益は東日本大震災の復興財源にあてられる。郵政が成長するかどうかは震災からの復興に響く。海外の買収で大失敗した直後に出てきた野村不の買収案は、政治家の目には浮ついた「マネーゲーム」に映った。郵政は野村不の買収を巡り、親会社の野村ホールディングスと交渉を進めていた。郵政株の売り出しの主幹事を務める野村は郵政との良好な関係を維持したい。一方で野村不は安定収益を稼ぐグループ会社でもある。郵政の要望にどう応じるべきか、野村社内には困惑するムードがあった。
●高値づかみ批判
 5月上旬に郵政による買収検討が伝わると、野村不株は急上昇。4月まで1800円前後だった株価は2500円程度まで上がった。「トールに続く高値づかみ」。こんな批判に耐えて買収に踏み切れるほど郵政に自信はなく、応援する人も少なかった。買収は白紙に戻ったが、成長戦略を白紙にしておくことはできない。政府が株式の追加売却を迫られているためだ。政府は3月に2次売却を引き受ける主幹事証券を決めており、追加売り出しは最も早くて7月だ。日経平均株価は2万円を超え、市場の環境は悪くない。だが郵政株は1300円台でもたついている。17年度予算に盛り込まれた売却額は1兆3000億円。郵政株が1200円台なら届く水準だが、成長戦略がきちんとしていれば、もっと大きな額で売れる可能性はある。郵政の強みは郵便・貯金・保険の3事業で培った顧客層。全国の郵便局は投資信託の販売網などとしても有力だ。華々しいM&Aには取り組みにくくなり、郵政は原点に立ち戻ろうとしている。

*1-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170615&ng=DGKKASDZ14HS2_U7A610C1TJ1000 (日経新聞 2017.6.15) 独ドイツポスト、フォードとEV生産 来年までに2500台
 国際物流・郵便世界大手の独ドイツポストは14日、配送用の電気自動車(EV)の生産で米フォード・モーターと提携すると発表した。7月からフォードの車台を使って中型のEVトラックを生産する。2018年までに2500台を生産する。中型EVトラックとしては欧州最大規模の生産体制になる。自動車大手との提携で小包配送車をEV化する計画を加速する。フォードのドイツ法人と契約を結んだ。フォードの商用車「トランジット」のシャシーをベースに独自仕様の車体やEVシステムを載せる。組み立ては独西部アーヘンのドイツポスト子会社の工場で手がける。ドイツポストはEVベンチャーを買収し、積載容積4立方メートルなどの小型の自社開発EVを国内で2500台導入している。ドイツポストは全ての小包配送車をEVにするため、積載容積20立方メートルの車両を18年までに投入する方針を表明していた。フォードとの提携で中大型車両の導入に道筋を付けた。

*1-4:http://news.mynavi.jp/articles/2017/03/30/toshiba/ (マイナビニュース 2017/3/30) 東芝、最終赤字1兆円超 ウェスチングハウスの負債はこれで本当に終わるか?
 巨額の損失が発生することが判明した東芝。そのがん細胞となっている、海外原子力事業リスク遮断のため米国子会社・ウェスチングハウス社切り離しに向けて大きな動きがあった。
●債務総額 98億ドル
 米国時間の2017年3月29日、東芝の海外連結子会社に米ウェスチングハウスエレクトリックカンパニー社とその米国関係会社、米国外の事業会社群の持会社である東芝原子力エナジーホールディングス(以下、TNEH)が、米国連邦倒産法第11章(Chapter 11)に基づく再生手続を申し立てることを決議し、同日付でニューヨーク州連邦破産裁判所に申し立てしたと、東芝が発表した。ウェスチング社とTNENの2社の債務総額は98億ドル、日本円で約1兆900億円だ。3月29日、午後5時45分から都内の東芝本社で開かれた会見の冒頭、説明にたった綱川智社長は、今回の11章に基づく再生手続きの適用について「ウェスチンググループの事業の再生に不可欠だ。それと同時に、非連結化により原子力事業のリスクを遮断するという当社の方針にも合致する」と説明。申請と同時に再生手続きに入ったため、ウェスチンググループは裁判所の法的保護のもと、電力会社、東芝などの当事者の協議によって事業再建をはかることを模索していくとした。これによってウェスチンググループは東芝の実質的な支配から外れ、2016年度通期決算から連結対象からはずれることになるという。ウェスチングハウス社の今後については、再生手続に乗っ取った事業再編を念頭に置き、当面は当面現行の事業をこれまでどおり継続する予定だという。この当面の事業継続のために、ウェスチング社は8億ドルの第三者からのファイナンスを獲得し、そのうち東芝が、2億ドルを上限として債務保証を提供する予定としている。建設中の米国原子力発電所2サイトについては、ウェスチンググループと東芝の2社が、顧客である電力会社と当面のプロジェクトの継続にむけた合意を目指して協議を進めているという。包括的な合意形成にむけて協議を行う当面の間は、電力会社が建設コストなどを支払う前提だという。
●東芝への影響について
 東芝本体への影響については、2016年度業績は、現時点でまだ影響額を確定できていないと説明した上で、2月末までの計算を公表し、追加の影響可能性額を示した。2月14日に公表した2016年度業績見通しでは、原子力事業ののれん減損によって営業利益が7125億円、当期純損益・株主資本・純資産については6204億円の悪化影響を織込んで、当期純損益3900億円の赤字、株主資本1500億円のマイナス、純資産1100億円としていた。この値から当期純損益は、6200億円規模の追加悪化となり、1兆100億円の赤字。株主資本については、4700億円規模の追加悪化となり、6200億円のマイナス。連結純資産では、4500億円規模の追加悪化となり、3400億円のマイナスだという。これだけの追加の影響が出ると想定される要因。それは、再生手続きの開始によって、主にアメリカ原子力発電所建設プロジェクトの東芝が電力会社に提供している親会社保証に関連する損失計上と、ウェスチンググループへの東芝の債権に対する貸倒引当金の計上を新たに検討する必要があるというのだ。2月末時点で、親会社保証は全額で6500億円規模、債権は全額で1756億円規模で、それに対する貸倒引当金が見積もられている。その一方で、ウェスチングハウスグループが連結から外れる影響で当期純利益が概算で2000億円超の改善影響が出る見通しだ。これらを勘案し、上記のような影響額になる可能性が示された。計上額は、再生手続きの過程で確定する再生計画の内容で大きく変動すること、額の算出については、東芝グループの2016年度第4四半期実績を踏まえる必要があるとしている。このため、先に述べたように、影響額は確定できていないというのだ。「一時的には追加の損失が発生する可能性があるが、マジョリティを含むメモリー事業の譲渡。外部資本導入に加え、聖域なく保有する資産の意義を見直し、意義の低い資産の売却を進める。新生東芝において注力事業と位置づける社会インフラなどで安定的に利益を拡大、確保し、債務超過の解消と毀損した財務基盤の回復をはかる」と発言した。再生手続きの申請によって、一つ山を超えた東芝だが、親会社保証などの額が確定していない。さらには建設中の4基の原発のスケジュールの遅れなど指摘されているリスクはまだまだある。3月30日の臨時株主総会、4月11日に予定される第3四半期決算など動向を見守りたい。

*1-5:http://qbiz.jp/article/112533/1/ (西日本新聞 2017年6月21日) 東芝メモリ売却、日本勢6割超 「日米韓連合」が提案
 経営再建中の東芝は21日、半導体子会社「東芝メモリ」(東京)の売却に向け、経済産業省が主導した「日米韓連合」と優先的な交渉に入ると発表した。連合の提案によると買収額は2兆円で、東芝メモリ株の議決権の66・6%を日本勢が握る。国外への技術流出阻止や雇用確保の観点から財界の実力者や有識者を含む取締役会が「最も優位性が高い」と判断した。28日の株主総会までに合意し、来年3月までの売却完了を目指す。だが三重県四日市市の半導体工場を東芝と共同運営する米ウエスタン・デジタル(WD)は「契約違反だ」と反対するコメントを改めて発表し、法廷で争う姿勢を鮮明にした。WDは売却の差し止めを求めて米国の裁判所に提訴している。WDは「(現地時間の)7月14日に予定される審問を楽しみにしている」と表明した。訴訟の展開次第では売却手続きが頓挫する恐れがある。日米韓連合は政府系ファンドの産業革新機構、日本政策投資銀行、米ファンドのベインキャピタルで構成。韓国半導体大手SKハイニックスはベインと連携し参画するが、東芝メモリと同じ主力製品で高いシェアがあり、中国など独占禁止法の審査で問題視される可能性もある。日米韓連合案は現時点で、革新機構と政投銀が計6千億円、ベインとSKは計8500億円を拠出。銀行融資も加え2兆円とした。革新機構以外は融資や優先株による出資を含むため、議決権は革新機構が50・1%、政投銀が16・5%、ベイン側が33・4%。売却から2〜3年後の上場を目指す。日本企業数社や米ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の出資も取り沙汰され、陣容や枠組みは変わる可能性もある。WDは経産省側などと駆け引きを続けており、買収に関与する可能性も残る。対抗馬だった米半導体大手ブロードコムの陣営は、訴訟の行方を見守る構えだ。東芝の資金繰りを支えるため、三井住友銀行やみずほ銀行など主要取引銀行7行は6月中に、280億円の新規融資をする方向だ。

*1-6:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201706/CK2017062402000138.html (東京新聞 2017年6月24日) 【経済】東芝、東証2部に降格 8月1日付 決算発表も延期に
 経営再建中の東芝の株式について東京証券取引所は二十三日、八月一日付で東証一部から二部に降格になると発表した。二〇一七年三月末で負債が資産を上回る債務超過が確実になったため。また東芝は今月末に期限を迎える一七年三月期の有価証券報告書(有報)の提出を八月十日まで延期することを関東財務局に申請し、承認された。綱川智社長は東京都内で記者会見し、「非常に責任を感じている。上場を維持し、有報の提出へ監査法人と協調し最善を尽くす」と語った。有報の提出延期は、四半期ベースを含め、不正会計問題が発覚した一五年以降で五度目。元子会社の米原発大手ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)を巡るPwCあらた監査法人の監査が七月末までかかるため延期した。東芝がWHの巨額損失をいつ認識したかについても、あらたとの意見の相違を解消する必要がある。東芝は、WHの破綻に伴い米電力会社が求める債務保証の負担などが膨らんだとして、債務超過の額が従来予想から四百十六億円増え、五千八百十六億円になったことも明らかにした。東芝は来年三月末時点で債務超過を解消できていなければ上場廃止になる。このため財務改善に必要な半導体子会社「東芝メモリ」の売却に向け、政府系ファンド産業革新機構などがつくる「日米韓連合」と交渉を急いでいる。三重県四日市市の半導体工場を共同運営する米ウエスタン・デジタル(WD)が売却に反対し係争中だが、綱川社長は今月二十八日の株主総会までに連合と売却契約を結べるとの認識を示した。

*1-7:https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/204179/1 (日刊ゲンダイ 2017年4月25日) 東芝に続き…日本郵政の巨額損失招いた西室元社長の罪
 日本郵政の巨額損失を巡り、市場の判断が揺れている。日本郵政は2015年に子会社の日本郵便を通じて、オーストラリアの物流会社トール・ホールディングスを6200億円で買収した。ところが、オーストラリア経済の低迷などでトール社の業績は悪化。3000億~4000億円程度の減損を計上する可能性が指摘されている。17年3月期の最終損益で赤字転落する恐れも出てきたのだ。「ウミを一気に出し切ることは悪くない。ダラダラと損失を処理するより、よっぽどマシでしょう」(株式アナリストの黒岩泰氏)
■「悪材料がまだあるのでは…」
 一方で、トール社買収を主導した人物が、西室泰三元社長だったことから、市場がざわついている。
「西室氏といえば東芝の元社長です。“東芝の天皇”とすら呼ばれ、その影響力は計り知れません。東芝が不正会計に手を染めたキッカケとされる経営トップの人事抗争をつくり出した張本人ともいわれます。日本郵政の巨額損失は、東芝と同じ海外M&Aに絡んでいます。もしかすると日本郵政も東芝と同じように、次々と悪材料が出てくるのではないか……と勘繰っているのです」(市場関係者)。
西室氏はトール社買収に際し、「日本郵政は世界をリードする物流企業だ。アジア太平洋で最大級のトール社との組み合わせは強力」と自信満々にコメントした。だが、西室氏の見立ては、わずか2年あまりで崩壊。買収当時、市場がささやいていた「株式上場(15年11月)に向けた“お化粧”にすぎない」「高い買い物」が正解だった。東芝の米ウェスチングハウス(WH)社買収(06年)に暗躍したのも西室氏だ。当時、西室氏は相談役に退き、社長は西田厚聰氏に譲っていた。WH社を巡っては日立製作所や三菱重工も熱心だったが、最終的には東芝が手中にした。決め手は、院政を敷いていたといわれる西室氏が人脈を駆使し、ベーカー元駐日米国大使に働きかけたからだといわれている。「ただ、その過程でWHの買収額は倍以上の約6000億円にハネ上がっています。日本郵政のトール社買収も西室氏の鶴の一声で決定したといいます。企業価値をキチンと精査しなかったので、今回のような巨額損失が生じるのです」(証券アナリスト)。日本郵政にとって「西室つながり」は悲劇だが、投資家の不安は高まるばかりだ。

*1-8:http://toyokeizai.net/articles/-/176127 (東洋経済 2017年6月14日) 富士フイルムHD、「不正会計」の絶妙カラクリ、海外子会社で売り上げのカサ上げが行われた
 6月10日。富士フイルムホールディングスの第三者委員会は、海外子会社の不正会計疑惑についての調査報告書を同社に提出した。その全文版には不正の実態が克明に描かれている。調査報告書は「不適切会計」と多く記述しているが、「不正会計の隠蔽指示」「監査上の重要性の低い監査対象外の会社での不正な会計処理等」など不正会計という記述もある。単に間違えただけなら不適切会計だが、意図的に悪意を持って正しくない会計処理をすれば不正会計だ。はたして富士フイルムHDのケースは、どちらのケースなのか。
●一見すると普通のリース取引&債権譲渡
 不正の舞台となったのはニュージーランドのプリンターリース会社MARCOと金融会社FINCOである。両社を合わせて富士ゼロックスニュージーランド(FXNZ)と呼んでいる。MARCOとFINCOの親会社が、シンガポールにあるアジア・オセアニア地域統括子会社富士ゼロックスアジアパシフィック(以下FXAP)。その親会社が富士ゼロックス(以下FX)、さらにその親会社が富士フイルムHDという複雑な親子関係だ。MARCOとFINCOの取引は大きく3段階に分けられる。まず、リース会社のMARCOはプリンターを顧客にリースする。期間は平均48〜60カ月だ。リース料金は毎月のコピー代で回収する。次に、MARCOはそのリース債権を金融会社のFINCOに全額譲渡する。最後にMARCOはリース債権を譲渡することで、債権譲渡と同時に、向こう48〜60カ月分のリース代金の合計を売上高として一括計上する。これだけならごく普通のリース取引であり、通常の債権譲渡である。問題はリース債権の見積もりにあった。このリース債権をかなり高く見積もることで、実態よりもかなり多い売上高を計上していたのである。どうやって高く見積もっていたかというと、MARCOは毎月のリース料をプリンターの使用量に完全比例するように料金設定していたが、この使用量の見積もりを、実態よりも高く見積もっていた。その高く見積もった使用量をベースにした金額でリース債権をFINCOに譲渡し、リース開始時点でリース満了までの収入を一括で得ていた。この手法だと、リース開始時に見積もったリース債権額と満了時までのリース料総額に大きな差額が出る。これはリースが満了すれば、直ちに損失計上すべきものだ。それなのにFINCOはこの差額を、未回収のリース債権としてバランスシートに計上していた。あたかも回収可能性があるかのように会計処理をすることで、損失を先送りしていたのである。
●これはやはり「不正会計」
 このケースはやはり「意図的に悪意をもって正しくない会計処理をしていた」といえるのではないか。実は、富士フイルムHDの過去分の決算修正はこれからだが、大手監査法人は不正会計を検証する前提ですでに修正作業に入っている。なぜこうした不正会計が行われたのか。調査報告書はいくつかの原因を指摘している。最大の原因はMARCOとFINCOの経営者が同一人物のニール・ウィッタカー氏だったことだ。同氏は現地採用でたたき上げの人物だったという。「料金は使った分だけ。使わなければ無料」を意味する「ミニマムペイメント(=固定費部分)なし」契約を始めたのは同氏だという。この顧客に有利な条件を武器に契約数を伸ばしたと見られる。特殊な報酬体系も不正の温床となった。売り上げ増に対する評価部分が大きいことが、毎月のリース料を高く見積もることにつながった。ウィッタカー氏はFXNZでの実績が認められてオーストラリア子会社の経営トップに栄転している。そのオーストラリアでもニュージーランドと同様の不正会計がなされた。富士フイルムは同氏への損害賠償請求を検討しているという。そもそも不正はなぜ見過ごされてきたのだろうか。調査報告書は、ニュージーランド現地の自主性を重んじ、FXが日本人経営者を派遣しなかったこと、内部監査と業績目標の管理部門が同一だったことなどを挙げている。FXでは、吉田晴彦副社長が山本忠人会長や栗原博社長に報告しないという隠蔽もあった。だが報告書は、不正会計や隠蔽は組織的だったとまでは結論付けていない。不正会計はあくまでもウィッタカー氏個人の、隠蔽は吉田副社長個人の行為だとしている。
●3月に1300億円の社債を発行
本調査が4月20日〜6月10日まで約50日もかかったのは、国内外のすべての子会社でニュージーランドやオーストラリアと同様の不正がないかを調査したからだという。結論は「ニュージーランドやオーストラリア以外で同様の不正は見つからなかった」というものである。一方で報告書は「もう一丁(1兆)やるぞ!!」をスローガンとした売上高1兆円回帰運動や、「プライド値」という売上高目標の存在を指摘し、業績至上主義の体質を指摘している。もし報告書が指摘する通りであれば、本当に不正会計問題はこれですべてなのか。他の手口による別の不正会計は存在しないのだろうか。12日の会見は2時間近くに及んだが、すべての疑問が解決されたとまでは言えそうにない。なお、今回の不正会計騒動の最中、富士フイルムは3月に1300億円の社債を発行している。また、不正会計への疑惑が指摘されているにもかかわらず、あずさ監査法人が第2四半期・第3四半期の四半期レビュー報告書で適正意見を表明している。PwCあらた監査法人が東芝に対してしたように、あずさの監査意見が「不表明」だったら、このタイミングでは社債を発行できていなかったおそれもある。

*1-9:http://www.nikkei.com/article/DGXKASDZ20IDY_R20C17A6MM8000/?dg=1 (日経新聞 2017/6/25) 富士フイルム・ゼロックス 17年目の親子接近、管理部門統合 日本流グループ統治、岐路
 富士フイルムホールディングス(HD)が子会社の富士ゼロックスと年内にも管理部門を統合する。グループの成長を引っ張ってきた富士ゼロックスは独立心が強いことで知られるが、同社の会計不祥事を受け、富士フイルムHDは経営を任せてきた方針を転換する。人事権を含めて経営を掌握して名実ともに傘下に入れる方針。成長を目指してM&A(合併・買収)で手に入れた子会社の統治が、日本企業の盛衰に直結する経営課題に浮上している。管理部門の統合は6年間で375億円の損失を出した会計処理を受け、12日に発表したガバナンス(統治)見直しの一環だ。経理や人事、広報などが候補で、年内にも一体的な運営を始める。部門の重複を減らして効率を高め、ガバナンスも強化する。近くプロジェクトチームを設け、具体的な手法を詰める。とりわけ人事部門の意味合いは大きい。2001年に連結子会社にして以来、足かけ17年にわたり主要人事の大半を富士ゼロックス側に任せ、親会社として追認するにとどめてきた。今後は富士フイルム側が社長を含む人事や主要な経営方針に強く影響を及ぼす。経理も所管しM&Aを含めたお金の流れを把握する。
●収益の多く生む
 新体制では富士ゼロックスの栗原博社長を除く6人の役員が一斉に退任。富士フイルムHDは古森重隆会長兼最高経営責任者(CEO)が富士ゼロックス会長を兼務するなど計7人の役員を派遣した。財務や技術といった主要ポストに富士フイルム側の人材が就き、栗原氏は営業を主に担う体制に改めた。
12日、富士フイルムHD本社。取締役会を終えた古森氏は富士ゼロックス会長を務めた山本忠人氏に会い、「辞めてもらえないか」と切り出した。栗原氏を除く総退陣という大なたを振るう形で、古森氏は聖域に切り込んだ。これまで経営に細かく口を挟まなかったのは、富士ゼロックスが富士フイルムHDの収益の多くを生み出してきたからだ。経営の柱だった写真フィルムは00年代、デジタルカメラの台頭で市場が急速に収縮していた。液晶パネル用部材、医薬品、化粧品――。富士ゼロックスが業績を支える間に富士フイルムは業態転換を進めて安定収益の礎を築いた。今も連結の売上高の半分近く、営業利益の4割を富士ゼロックスが稼ぐ。だが、両社の関係はこのころからよそよそしかった。もともとは折半出資だった米ゼロックス側の経営不振に伴い01年に富士フイルム側が25%分の株式を買い取った。富士ゼロックスは米ゼロックスを親会社と思う風潮が強く、富士フイルムによる連結子会社化に戸惑いを隠せなかった。両社の関係に緊張が走ったのは00年代半ばだ。古森氏が富士ゼロックスの社外の取締役として率直に意見を言い始めた。市場環境や販売の見通しといった当然の質問だが口調は厳しい。富士ゼロックスの故小林陽太郎氏は「古森さんが遠慮無く、優れた質問をする。いい意味での厳しさが増している」と評していた。両社が表立ってトラブルを起こすようなことはない。しかし、下町の印刷所に印刷材料を売り歩いて出世の階段を上った古森氏と、国際派の小林氏らは大きく境遇が異なると周囲に見られた。古森氏はこのころ「両社の関係が前向きでないなら、そうしてみせる」と微妙な間柄を示唆するような発言をしていた。富士フイルムHDの助野健児社長が12日の記者会見で言った「遠慮があった」という表現は、両社の積年の関係を映す。打ち解けない親子関係は、富士ゼロックス幹部が会計を操作する遠因にもなった。好業績こそが独立性を保てる最大の理由だということを、富士ゼロックス幹部は分かっていた。
●東芝も危機招く
 国内市場の伸び悩みを受け、日本企業はM&Aに活路を見いだしている。米ゼロックスの苦境を救う意味があったとはいえ、富士フイルムも富士ゼロックスの連結子会社化により、成長の足がかりをつかみたかった。M&Aで子会社が増えれば、それをどう管理するかという問題に直面する。とりわけ海外は目が行き届きにくい。東芝の経営危機は子会社だった米社のずさんなコスト管理が招いた。ソニーは米映画事業で1千億円以上の損失を出した。富士ゼロックスの不祥事も豪州とニュージーランドの事業で起きている。欧米の大手企業はCEOが強い権限を持ち、グループ企業の意思決定もトップに一元化している。日本企業はそれが曖昧だった面は否めない。成長に向けてM&Aが欠かせない手段となった今こそ、グループ統治の基盤強化が求められている。

*1-10:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170626&ng=DGKKASGG23H3W_V20C17A6TJM000 (日経新聞 2017.6.26) 薄~い太陽電池、丈夫で長持ち 理化学研究所、食品ラップの3分の1
 理化学研究所の福田憲二郎研究員らは薄型でも丈夫で長持ちする太陽電池を開発した。厚さは食品ラップの約3分の1の3マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル。腕に巻いたり服に取り付けたりしながら4~5年は使い続けられるという。健康管理用のウエアラブル(装着型)機器の電源などとして2~3年後の実用化を目指す。開発した有機薄膜太陽電池はシート状で軽い。研究チームは電池の基板に防水性に優れた「パリレンフィルム」を採用した。全体を変形させても発電に関わる部分は壊れないように設計を工夫した。従来の有機太陽電池は基板にポリイミドなどを使うのが一般的。全体の厚さは数十マイクロメートルで、折り曲げることはできても全体をくしゃくしゃにすることはできなかった。渡り鳥に取り付けて生態調査に役立てるといった用途も検討している。

<JR九州について>
*2-1:http://qbiz.jp/article/112433/1/ (西日本新聞 2017年6月21日) 「初の総会」準備着々 他社を見学、予行も JR九州、23日開催
 JR九州は23日に福岡市で開く上場後初の株主総会に向け、大詰めの準備を進めている。上場前は国土交通省所管の独立行政法人鉄道・運輸機構が全株式を保有していたため、同機構の担当者のみへの対応だったが、今回は会場のホテルに千人を超す株主の来場が見込まれる。鉄道事業の合理化などに投資家の厳しい目が向けられることも予想され、円滑な総会運営へ万全の準備を目指している。「どのくらいの来場者数を見込み、どんな会場で準備をしたらよいのか。苦労しました」(広報部)。同社は“初の総会”に向け、総務課を中心とする各部門の担当者などで準備作業を進めてきた。これまでは、福岡市の本社会議室で鉄道・運輸機構の担当者1人に対する総会を開催。所用時間は質疑応答を含め長くて2時間ほどだったという。ところが今回は、総会前に約14万通の招集通知を発送。JR他社や地場大手企業などを参考に、千〜2千人程度の来場を見込む。当日は約200人の社員で会場案内などをする予定だ。上場後を見据えJR九州は、株主総会に備えた情報収集を3、4年前から進めてきた。いつ招集通知を発送するか、会場受け付けはどうするか−。他社の総会リハーサルを見学することもあった。上場が目前に迫った昨年は、今回の会場となる福岡市のホテルで株主総会を開催。ひな壇に約20人の役員が並び、鉄道・運輸機構の担当者に対して説明するなど、来るべき日に備えて運営などを確認した。準備は今年4月から本格化。23人の役員全員でリハーサルを3回開いたほか、質疑に対する各役員の答弁練習も実施。会場で案内などを担当する社員への教育も進めてきた。鉄道事業の合理化や九州新幹線西九州(長崎)ルートへのフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)導入、上場後に相次いだ輸送障害といった課題を抱えるJR九州。「株主の関心が高そうなところはしっかり準備をし、円滑な答弁ができるようにしている」。広報部の担当者は力を込める。

*2-2:http://www.nikkei.com/article/DGXLZO17641000T10C17A6TJ2000/ (日経新聞 2017/6/14) JR九州、採算見込めず 長崎新幹線フリーゲージ導入断念
 JR九州は2022年度に開業予定の九州新幹線長崎ルートで、フリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)の導入を断念する方針を固めた。車体価格などコストが通常よりも約3倍になるうえ、長崎と新大阪を直通運転することもできない。昨秋に上場し、実質赤字の鉄道事業に株主から厳しい視線を向けられるなか、十分な収益を得られないと判断した。FGTは線路の幅が違う新幹線と在来線を行き来できる利便性がある一方、軌間を変換させるために特有の部品を使用することなどから車体価格が高くなる。また、部品交換のために台車の解体が必要で、保守点検も高コストだ。鉄道建設・運輸施設整備支援機構が開発し、川崎重工業と日立製作所が試験車両を製作していたが、コストは通常の車体などと比べて約3倍になるとみられる。「従前の新幹線と比べ費用がかかるという状況で、効果的な対策が出ていない」。5月、JR九州の青柳俊彦社長は定例記者会見でこのように述べ、FGTの経済性に懸念を表明していた。JR九州は長崎ルートでの採用を目指していた。博多から新鳥栖(佐賀県)まで新幹線を走り、新鳥栖から武雄温泉(同県)までは在来線。武雄温泉から長崎までは新幹線を走行する計画だ。現状では長崎と新大阪を直接結ぶこともできない。FGTについてJR西日本の来島達夫社長は「山陽新幹線への直接乗り入れは難しい」との見解を示している。FGTの最高速度は時速270キロメートル。「山陽新幹線は同300キロメートル区間で、走行性能が異なる」(来島達夫社長)ためだ。山手線や東海道新幹線のようなドル箱路線のないJR九州の17年3月期の鉄道事業は「実力では87億円の赤字」(同社)。長崎ルートの開業が収益の改善につながらなければ、株主から厳しい批判を受けかねない。加えて、安全性にも課題が残る。走行試験を始めた直後に不具合が発覚するなど開発は難航している。社内では「万が一事故が起きた際に責任を取るのは我々だ」という意見も根強い。JR九州はこうしたFGTの問題点を説明することで政府・与党や地元自治体から理解を求める考えだ。今後長崎ルートの運行方法はどうなるのか。暫定開業する22年度は、博多から武雄温泉まで在来線を特急が走り、武雄温泉で新幹線に乗り継ぐ「リレー方式」で運行することは決まっている。JR九州の青柳社長は「今夏に(実用化できると)断定できなければ、対案を示すのが国の仕事だ」と述べ、全線を通常の新幹線と同じフル規格で整備すべきだとの意向を示した。フル規格は収益性は高いが、新幹線の整備に関しては政府・与党や地元に委ねられ簡単には決まらない。このため、リレー方式による運行が長期化しそうだ。FGT導入というJR九州にとって“最悪のシナリオ”は脱することになりそうだが、鉄道事業の収支改善に道筋をつけるのはこれからだ。

*2-3:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ25H80_V21C16A0000000/ (日経新聞 2016/10/25) JR九州上場、快走演出した「不動産事業」
 九州旅客鉄道(JR九州)が25日、東京証券取引所第1部に上場した。朝方から買い注文が膨らみ、取引開始から30分ほどたって付けた初値は3100円と、売り出し価格(公開価格、2600円)を19%上回る水準。ひとまずは順調な「走り出し」といえそうだが、人気の背景を探ると、少し気掛かりな点も浮かび上がる。
■営業利益でみると「不動産会社」
 「現在は運輸サービス事業と駅ビル・不動産事業の利益がそれぞれ全体の4割。しばらくの間はこの構成で成長を目指す」。青柳俊彦社長は午前中、経済専門チャンネルの番組に出演し、成長のけん引役として不動産事業への期待感を隠さなかった。JR九州は社名の通り、鉄道事業が主力ではあるが、実は不動産事業が孝行息子。九州新幹線をはじめとする鉄道事業は2017年3月期にひとまず黒字化する計画だが、営業利益でみると連結全体の4割にすぎない。残る6割のうち、4割分を稼ぐのが駅ビル不動産事業。営業利益でみれば、鉄道事業と同じ規模なのだ。JR九州はJR博多駅の駅ビル「JR博多シティ」(福岡市)や4月に開業したオフィスビル「JRJP博多ビル」(同)など駅前の不動産を活用した商業施設や賃貸用不動産を運営しており、今後も駅ビルや駅ナカを開発していく方針を示す。保有不動産の収益力を高めるというストーリーは、東日本旅客鉄道(JR東日本)や東海旅客鉄道(JR東海)が歩んできた成長路線と重なる。初値時点でのJR九州の時価総額は4960億円と1兆~3兆円に達する、他のJR3社と比べると小粒だが、割安なJR九州に投資する理由は十分にある。
■不動産マネーの「逃げ場」にも
 完全民営化で経営の自由度が高まれば、成長のけん引役である駅ビル運営で大規模投資や他社との連携などに踏み切りやすくなる。楽天証券の窪田真之氏も、「高収益の駅ビル不動産事業は、これからさらに利益を拡大する余地がある」と指摘する。JR九州株の初値は、不動産事業への「期待料込み」ともいえる。実際、日本株の運用担当者の間では、「国内外の機関投資家がJR九州の不動産事業に注目して投資しようという動きも出ていた」という。そして、もう一つのJR九州にとっての追い風も吹いたのかもしれない。日本国内の不動産に向かっていた投資マネーの変調だ。ここ数年来の不動産価格の高騰で、投資額に見合う利回りを得にくくなっており、今年1~9月の累計で海外勢や国内の事業法人は不動産をこぞって売り越した。行き場を失った不動産への投資資金が向かいやすいのは、流動性が高く、一時期に比べて過熱感が薄れた不動産投資信託(REIT)や株式。つまり、巨大な投資マネーの流れの中で、JR九州株が資金の「一時的な逃げ場」になったのかもしれない。
■初値は「追い風参考記録」か
 もっとも、期待通りの水準だった初値が「追い風参考記録」になる恐れもある。JR九州が自社で保有する不動産は九州地方が中心で、東京や東海地域の一等地に資産を持つJR東日本やJR東海とは異なるからだ。不動産市況の過熱感が想定外に強まれば、新規の案件の取得や開発にかかるコストが膨らむ。今後、九州より不動産市場が大きな首都圏、成長著しいアジア地域で不動産ビジネスを拡大したとしても、リスクは消えない。25日のJR九州株は初値に比べて178円(5.7%)安い2922円で午前の取引を終えた。シナリオ通りに不動産事業を伸ばし、JR東日本など旧国鉄民営化の成功事例に加われるだろうか。

*2-4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/440538 (佐賀新聞 2017年6月24日) JR九州合理化強調 上場後初の総会
■地方廃線、株主懸念も
 JR九州は23日、昨年10月の上場後初めてとなる定時株主総会を福岡市で開いた。青柳俊彦社長は「九州外のエリアに事業進出して売り上げの拡大を目指す。徹底的なコスト削減も図りたい」と述べ、不動産など非鉄道事業で収益拡大を図る一方、合理化を推進する姿勢を強調した。株主には地方路線での廃線の動きを懸念する声もある。総会には個人株主ら987人が出席し、約1時間45分で終了。株主から不採算路線について「第三セクターへの移譲を検討してはどうか」との意見が出た。日豊線の大分-宮崎空港(213キロ)の一部列車に導入した車掌を乗せない「ワンマン特急」に関して説明を求める質問も出され、JR九州は「安全面で問題はない」と回答した。JR九州の担当者は鉄道事業に関し、効率化を図ることでネットワークを維持していくとの方針を改めて説明し、理解を求めた。フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の九州新幹線長崎ルートへの導入可否については「初夏に予定される国の専門家委員会の(耐久性などの評価に関する)判断を待ちたい」と述べるにとどめた。JR九州株を巡っては、廃線の可能性が取り沙汰されている沿線の自治体がけん制の目的で株式を取得する動きもある。日南線沿線の宮崎県串間市の担当者は総会には参加しなかったが「路線存続を求める意思表示を続けたい」と話した。

*2-5:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2500I_V20C11A2000000/ (日経新聞 2011/2/26)九州新幹線、新大阪―鹿児島中央間を最短3時間45分、空とシェア争奪
 3月12日、九州旅客鉄道(JR九州)が運行する九州新幹線鹿児島ルートが全線開業する。九州を南北に縦断して博多(福岡市)―鹿児島中央(鹿児島市)の257キロメートルを直結。同時に西日本旅客鉄道(JR西日本)が運行する山陽新幹線との相互直通運転も始まり、九州と関西の交流拡大も期待される。博多―新八代(熊本県八代市)が新たに開通、2004年に開業した新八代―鹿児島中央とあわせて全線が開業する。博多―鹿児島中央は、新幹線と在来線特急を乗り継ぐ現行に比べ所要時間を約50分短縮、最速約1時間20分で結ぶ。博多―熊本は約35分となる。列車は停車駅の数に応じて3種類。新大阪から鹿児島中央までを約4時間10分で結ぶ「さくら」は1時間に1本を運行。九州新幹線でのみ運行し、各駅に停車する「つばめ」は博多―鹿児島中央を2時間弱で結ぶ。さらに新大阪―鹿児島中央を約3時間45分で結ぶ最速列車「みずほ」を投入。途中停車駅を新神戸、岡山、広島、小倉、博多、熊本に限り所要時間を短縮。朝夕にそれぞれ2往復運行する。使用する車両は2種類。九州新幹線区間の折り返し運転に主に使うのは、すでに開業区間を「つばめ」として走る800系。山陽新幹線との相互直通運転にはN700系の改良車両を使う。正規料金は博多―鹿児島中央は1万170円(指定席利用)、新大阪―鹿児島中央が2万1300円(同、最速列車「みずほ」は300円加算)。インターネット利用による割引切符は主要区間で最大40%割引する。乗車日の3日前までしか予約、変更ができない早期割引切符「e早特」は新大阪―鹿児島中央で1万7000円、新大阪―熊本で1万4400円。博多―鹿児島中央は早割で8500円。博多―熊本の早割は正規料金より40%安い3000円。九州内のネット予約割引にはJR九州が発行するクレジットカードへの入会が必要。山陽新幹線との直通列車のネット予約割引にはJR西日本発行のカードも使える。所要時間の短縮や割引料金の設定で、9割以上が空路を利用するとされている大阪―鹿児島を筆頭に、交通機関のシェア争奪戦激化は必至。全日本空輸が3月の伊丹―熊本線を正規料金から最大1万1300円割引き、最安で九州新幹線の割引料金と同程度の1万4400円とするなど、各社は新幹線対抗策を強化している。

*2-6:http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/012600245/?rt=nocnt (日経BP 2017/1/26) Amazon.comが物流事業を拡大、海上輸送への進出本格化
 米Amazon.comが海上輸送事業への進出を本格化させていると、複数の海外メディア(米The Verge、米TechCrunchなど)が現地時間2017年1月25日、米Wall Street Journalの記事を引用して報じた。同社はすでに、中国の小売業者がAmazon.comのeコマースサイトで販売する商品の米国への海上輸送を始めている。こうした輸送事業はこれまで米UPSや米FedExなどが手がていたが、Amazon.comは今後これらの企業と直接競争することになり、自前の物流事業構築計画をさらに一歩前進させることになるとWall Street Journalは伝えている。英Reutersによると、Amazon.comは2015年に「Beijing Century Joyo Courier Service」と呼ぶ中国子会社を、非船舶運航業者(フォワーダー)として中国運輸省に登録した。これは自ら輸送船を保有しないが、通関や書類手続きなどを行って貨物輸送を取り扱う業者。Amazon.comはこれにより、中国から同国外への海上貨物輸送業務が可能になった。今回のWall Street Journalの報道によると、2016年10月以降、同社が取り扱った中国からの海上輸送コンテナ数は150超に上る。今月には、前述の中国子会社が、仕分けや貨物追跡といった業務についての料金を公開したという。なお、Amazon.comは約1年前に、同社の倉庫など米国における施設間で商品を輸送するために、自社ブランドのトラックを大規模導入すると発表した(関連記事:Amazon.comが数千台の輸送トラック導入 配送を効率化)。2016年8月には、「Amazon One」と呼ぶ自社ブランドの貨物航空機を利用した輸送業務を始めたことも明らかにしている(関連記事:Amazon.com、自前の貨物航空機の運航開始)。こうして同社はこれまで外部委託していた物流の中間業務を自社で手がけ、輸送業務の拡大とコスト削減を図っているとTechCrunchは伝えている。

*2-7:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS17H6H_Y6A610C1NN1000/ (日経新聞 2016/6/18) ふるさと納税寄付額の4割が返礼品経費に
 個人が故郷や好きな自治体に寄付できる「ふるさと納税」で、寄付額の4割が返礼品の費用に使われていることが総務省の調べで分かった。広報などの経費も含めると、地方の活性化に活用できるのは半分程度になる。寄付額が全国最多の宮崎県都城市や長野県飯山市では返礼品の費用が7割超だった。同省が全国の自治体から2015年度に受け取った寄付額と返礼品の費用などを聞き取った。寄付額が全国合計で1652億円だったのに対して「返礼品の調達費」に632億円、「返礼品の送付費」に42億円かけた。返礼品は地元の肉や魚といった特産物が多い。自治体にとって寄付してもらう動機づけになるほか、地元のPRにもつながる。全国最高の42億円の寄付があった都城市は肉と焼酎が人気で、返礼品経費は31億円だった。飯山市は寄付額17億円に対して12億円を返礼品に使った。高額な返礼品が増えたため、総務省は4月、高額だったり寄付額に対して経費がかかり過ぎたりしている返礼品の自粛を自治体に要請。これを受け、7自治体が返礼の取りやめや価格を下げることにした。自治体間の行き過ぎた競争につながりやすい返礼品の価格や寄付額に対する価格割合の表示をやめることにした自治体も33あった。高市早苗総務相は「(返礼品の費用は)基準を決めてこちらから指導するようなものではない」として自治体側の対応を見守る考えを示している。

<合併後の戦略>
*3:http://qbiz.jp/article/112722/1/ (西日本新聞 2017年6月24日) 余力400人超「新事業に」 十八銀頭取、統合意義を強調 株主総会
 10月にふくおかフィナンシャルグループ(福岡市)との経営統合を目指す十八銀行(長崎市)の株主総会が23日、本店であった。森拓二郎頭取は、親和銀行(長崎県佐世保市)との合併に伴う店舗統廃合や業務の効率化で計400〜500人の余剰人員が生じると説明。余力を地域活性化や新規事業に振り向けるとし、統合の意義を強調した。現在の行員数は十八銀が約1400人、親和銀が約1200人。合併後、2割弱が余剰になる計算。総会は非公開で約250人が出席。十八銀によると、森頭取は「スケジュール通りの統合を目指す」と語ったという。一方で株主から「選択肢として白紙撤回もあるのでは」との意見が出たほか、貸出金シェア引き下げに向けた債権譲渡に関する質問が複数あったという。総会後、長崎市内の男性株主(65)は「人口が減る中で統合する理由は分かるが、本当に実現するのだろうか」と話した。

<大都市の街づくりについて>
PS(2017年7月4日追加):東京のマンションは、容積率を上げれば階数を2倍以上に増やすことができたり、古いマンションは、容積率以下の上、建築後に建築基準法が変わっていたりするため、*4は、周囲の低層建築も巻き込みながら、階数を増やして建て替え、緑の多いマンションと住宅地に変えるのがよいと思われる。その場合、ハードを整えるだけでなく、希望する人は家事や介護のサービスを受けられるマンションにすると、高齢者・独身者・共働き世帯・学生など、多くの世代のニーズを満たすマンションにできると思うが、それを実現するためには、あらかじめ東京都知事のところへ行って、東京の都市計画・容積率緩和・介護等の社会保障に関して意思疎通しておくのがよいだろう。 

*4:http://qbiz.jp/article/113428/1/ (西日本新聞 2017年7月4日) JR九州が東京でマンションを取得 賃貸用12階建て
 JR九州は、東京都北区東十条の賃貸マンションを6月1日付で取得したと発表した。取得額は非公表。同社は収益拡大に向けて積極的に不動産事業を展開しており、東京で保有するオフィスやホテルなどの事業用不動産は7件目となる。取得した「東十条マンション」はJR京浜東北線の東十条駅近くで、地上12階建て。全182戸のうち約9割が入居しており、リニューアルするか建て替えるか検討していくという。

<農協監査について>
PS(2017年7月5日追加): *5のように、農協法の改正に伴ってJAに公認会計士監査が義務付けられ、JA全中の監査部門であるJA全国監査機構が行っていた監査を公認会計士監査に移行するのに伴い、JAを中心に監査を行う「みのり監査法人」が業務を開始して会計士を50人規模に増やすことにしたのは一歩前進だ。
 しかし、「農協監査士は、独立性を確保し、都道府県中央会などから転籍・出向する」と書かれているのは、出向してきた人は独立性を持てず、農協しか監査したことのない人は農協の特殊な遅れに気付かないため間違いであり、今後は農協の監査しか経験していない農協監査士は必要ないと言わざるを得ない。何故なら、製造業や金融関係の監査をしている公認会計士も、最初は全業種の監査を経験し、できれば外国企業の監査も経験した上で、その業種の監査に長く従事して詳しくなっているので、その業種に詳しいだけでなく、業種間比較や連携が容易だからだ。さらに、農学部卒はじめ理系の人や経営学修士(MBA)である公認会計士も少なくない。
 なお、日本は、資格を細かく分けて狭い範囲のことしかできない人材を作りたがる国だが、その職に就いた人にとっては時代が変われば努力して得た資格と人生を台無しにされ、視野の狭い人材ができ、人材の無駄使いも多いため、このやり方は生産年齢人口の少ない時代に適さない。

*5:https://www.agrinews.co.jp/p41280.html?page=1 (日本農業新聞 2017年7月4日) 「みのり法人」始動 JAの公認会計士監査対応
 農協法の改正に伴いJAに公認会計士監査が義務付けられたことを受け、JAを中心に監査を行う「みのり監査法人」が3日、業務を開始した。会計士と農協監査士が連携し、JA事業に精通した監査を実施。公認会計士監査に完全移行する2019年度までに会計士を50人規模に増やし、全国のJA監査の受け皿になることを目指す。みのり監査法人が同日、発表した。16年4月施行の改正農協法で、貯金量200億円以上のJAなどに、公認会計士か監査法人の監査を義務付けた。従来、JA全中の監査部門・JA全国監査機構が行っていたが19年9月までに公認会計士監査に移行する。15年2月に政府・与党が決めた「農協改革の法制度の骨格」では「全国監査機構を外だしして、公認会計士法に基づく監査法人を新設」するとしていた。同法に沿って、みのり監査法人は、全国監査機構でJA監査に従事した経験のある会計士ら17人が6月30日に設立。あずさ監査法人出身の大森一幸氏が理事長に就任し、3日に業務を始めた。JAや連合会を顧客の中心と想定し、会計士と農協監査士がチームを組んで監査に当たり、JA事業に詳しいのが特徴だ。農協監査士は、独立性を確保し、都道府県中央会などから転籍・出向する。全中は、今後も農協監査士の資格試験を継続するという。ただ、実際にJAなどを監査するのは、JAが公認会計士監査制度に完全に移行する19年度からとする。それまでは、公認会計士監査に円滑に移行できるよう、全国監査機構による監査に帯同するなどしてJAの内部統制の整備を支援する。内部統制が不十分だと監査時間が増し、費用が膨らむためだ。一方、同監査法人の会計士は全国監査機構への出向などでJA監査の経験を積む。現在、監査の対象となるJAや連合会は全国に600超ある。JAは他の監査法人も選べるが、同監査法人は19年度までに会計士を50人程度に増やし、全JAを担当できる体制を整える方針だ。これらを踏まえ、全中は今後、必要な農協監査士の人数や、都道府県中央会による業務監査の在り方などを検討していく。

<農業の競争力強化について>
PS(2017年7月6日追加):*6-1のように、JA全中の次期会長にJA和歌山中央会会長である中家氏が当選したのは尤もで、その理由は、和歌山県は米だけでなく、他の農産品でも実績を挙げている県だからだ。JAは現在、農家の所得向上や地域活性化に向けて自己改革を進めており、全中は、2019年9月末までに一般社団法人に移行して、中家氏には変革期のJAグループを導くリーダーシップが求められるそうだが、変革の課題は、①農家の高齢化と担い手不足は農業所得が労働と比較して低いこと ②EUとの経済連携協定(EPA)など、農産物市場開放に堪える農業にするためには生産性と付加価値(安全性を含む)の高い農業経営を行わなければならないこと に尽きる。そのため、農業には、国会議員・大学教授・官僚のような経営の素人ではなく、優秀な経営コンサルティングが必要であり、経営戦略・中長期事業戦略・成長戦略ならアクセンチュアやマッキンゼーのような世界的なコンサルティング会社に、世界のBest Practiceを調べてもらい、自らも視察に出掛けて、日本の得意技を織り込みながら、世界で勝てる農業を創るしかないと考える。
 なお、*6-2のように、農業は殆どが家族経営であるため女性の参画は50%以上だが、認定農業者に占める女性割合は低く、農業委員に占める女性割合7.4%(2015年10月現在)、JA役員に占める女性割合6.8%(2015年3月末現在)など、10%以下である。私は、海外の優良経営体や市場・スーパー・デパートの食品売り場などに出ている農産物の種類・価格を見れば、女性がピンとくるものも多いため、しばらくは農閑期に、(温泉ではなく)出荷している農産物や気候が近い優良な国に、地域農協でまとまって視察に行ったらどうかと考える。

*6-1:https://www.agrinews.co.jp/p41294.html (日本農業新聞 2017年7月6日) 全中会長に中家氏 「自己改革やり遂げる」
 JA全中の次期会長に5日、JA和歌山中央会会長の中家徹氏(67)が内定した。選挙の結果、JA東京中央会会長の須藤正敏氏(69)を抑えて当選した。任期は3年で8月10日の臨時総会を経て正式に就任する。中家氏は記者会見で「JAグループの自己改革をやり遂げる」と強調。農業者の所得増大に全力を上げる決意を示した。会長選は現任の奥野長衛氏(70)の任期満了に伴うもので、中家氏は前回の2015年に続き2回目の出馬となった。JA組合長ら全中代議員(定数251人)が6月22日から郵送で投票。締め切りの5日に即日開票し、有効票総数240票のうち中家氏が152票、須藤氏が88票を得た。結果を受け、全中の役員推薦会議が中家氏を次期会長候補として推薦することに決めた。和歌山市の和歌山県JAビルで5日に開いた記者会見で中家氏は、奥野氏の路線を基本的に継承する方針を示した上で、「自己改革の一丁目一番地は農業者の所得増大」と強調。「農家や地域の方々からなくてはならないと言われる組織を目指す」と述べた。政府・与党の農業・農協改革などには、是々非々で対応していく考えを示した。また大枠合意の可能性が高まっている欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)交渉について、「酪農家を守るのはわれわれの使命だが、今の状況では推移を見守るしかない」と述べた。選挙戦で消費者との連携を強調してきた須藤氏も同日、東京・大手町のJAビルで会見し、「立候補には意味があった。中家会長を中心に、JAグループとして(自己改革の実践などを)しっかりやっていかなければならない」と述べた。JAグループは現在、農家の所得向上や地域活性化に向けた自己改革を進める。全中は、中家氏の任期中の19年9月末までに一般社団法人に移行する。中家氏には、変革期にあるJAグループを束ね、導くリーダーシップが求められる。農家の高齢化や担い手不足、農産物の市場開放といった内外の農政課題への対応も待ったなしだ。一方で安倍政権の農業・農協改革には、生産現場の不信感も根強い。政府・与党に是々非々で臨み、日本農業の持続的発展に向けた提言をしていくことも必要となる。全中は28日の理事会で役員選任議案を決める。8月10日の臨時総会で新体制が正式に発足する。

*6-2:https://www.agrinews.co.jp/p39934.html?page=1 (日本農業新聞 2017年1月17日) 女性認定農業者が増 農委7.4%、JA役員6.8% 内閣府調査
 女性の認定農業者が3年連続で増えていることが、内閣府男女共同参画局が16日に発表した「政策・方針決定過程への女性の参画状況」で分かった。2015年3月末時点で1万812人と前年より441人増え、12年から年間400人以上増え続けている。農業委員やJA役員に占める割合も向上しており、女性の活躍の場が広がっている。認定農業者は、農業経営改善計画を申請、認定されなければならない。同計画が認定された農業者のうち女性の単独申請と夫婦による共同申請から女性の人数を算出した。女性の単独申請は5950件と449件増加。一方、夫婦による共同申請は4862件と8件減少した。農水省経営政策課は「農業女子プロジェクトなどで女性の活躍を後押しする取り組みがある中でじわじわと増えてきている」とみる。認定農業者に占める女性の割合は、担い手としての女性の活躍や、農業経営への女性の関与状況の指標となる。第4次男女共同参画基本計画でも、男女共同参画社会の形成の状況を把握する上で重要な指標としている。また、農業委員の過半を認定農業者としなければならなくなり、女性登用を進める上でも女性の認定農業者を増やしていく必要がある。同課は「農業就業人口のおよそ半数を女性が占める中、認定農業者となり積極的に経営に関わる女性が増えていくことは大切」と強調する。男女共同参画基本計画の成果目標である農業委員に占める女性の割合は7.4%(15年10月時点、前年比0.1ポイント増)、JA役員に占める女性の割合は6.8%(15年3月末時点、前年比0.7ポイント増)と改善した。ただ、指導的地位に占める女性の割合を表す指標である女性の指導農業士等は6405人(16年3月末時点)と390人減少した。女性の占める割合は30.6と1.4ポイント減少した。

<経産省のお馬鹿な政策>
PS(2017年7月6、7日追加):*7-1のように、経産省は、馬鹿の一つ覚えのように「自由貿易」「自動車」と言ってはTPPやEPAを進め、「交渉が難航したのは欧州産チーズと日本産乗用車で、日本車にかける関税を協定発効後7年かけて撤廃する方針」などと、いつまでも日本車に競争力があるかのようなことを言っているが、7年後に物価と賃金の高い日本で製造された車が欧州に輸出されているわけがなく、日本は輸入だけ増えて輸出は減っているだろう。
 何故なら、太陽光発電やEVは、(私の提案で)1995年頃から世界で最初に日本が手をつけていたのだが、経産省や産業界が変なことばかり言って逆噴射したため、*7-2のように、ボルボが2019年以降に発売するすべての車を電動車にすると発表し、*7-4のように、独ダイムラーが中国の北京汽車集団と中国でEV生産するため50億元(約835億円)を投資する発表し、*7-5のように、テスラがEV・太陽光・安い蓄電池のセット売りで日本に攻勢をかけているのに、日本ではまだ、*7-3のように「ガソリン車に必要な部品が約3万個とすればEVでは約1万8900個ですむので、(20年経っても)急激な事業構造の転換はできない」などと言っており、日本車は高くてうるさく排気ガスの出る環境に悪い車になるからである。
 そして、このような状況では、日本車を輸出するどころか、日本人も中国製のベンツやテスラを買う時代になって日本車に競争力がなくなる日は近く、リーダーが馬鹿で方針を間違うと大きな負の影響があるということで、家電も輸出どころではなくなっているだろう。
 なお、*7-6のように、フランスは、「パリ協定」の目標達成に向けてCO2排出削減計画を発表し、その柱の一つに2040年までのガソリン車・ディーゼル車などのCO2排出車の販売禁止方針を明らかにしたそうだが、これはオランダやノルウェーなどの欧州各国に広がりつつあり、都市の空気をきれいにする。また、インドも2030年までに販売する車をすべてEVにする計画で、これらによってEVの購入コストがガソリン車より安く、デザインも豊富になるのは、部品の数と仕組から考えて当然だ。また、EVを含めた再生可能エネルギーによる分散発電も進むと思われる。日本には、大量の燃料を輸入して多額の燃料費を外国に支払いながら、消費税率を引き上げるのが財政健全化策だと主張している人が多いが、これらの人々は消費税率引き上げを自己目的化しているとともに、思考停止が甚だしいのである。

   
   2017.7.6      2017.7.6    2017.7.6       2017.7.6   
   読売新聞       毎日新聞     日経新聞        日経新聞

(図の説明:日本は乗用車・家電の輸出を増やすために食品を犠牲にしているが、これは1980~90年代の新興国が十分に工業化されていなかった時代のスキームだ。今後は、世界では食品が不足し、エネルギーに化石燃料は使わなくなるのだが、このように何十年も止まったままのカビが生えたような古い発想しかできないのが、日本の行政の致命的欠陥なのである)

*7-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170706&ng=DGKKZO18529550W7A700C1MM8000 (日経新聞 2017.7.6) 日欧EPA、閣僚級協議で大枠合意、首脳きょう宣言
 日本政府と欧州連合(EU)は経済連携協定(EPA)交渉の大枠合意を6日の首脳協議で宣言すると決めた。岸田文雄外相は5日午後(日本時間同日夜)、訪問先のブリュッセルでマルムストローム欧州委員(通商担当)との協議後、「閣僚間で大枠合意の達成を確認できた」と表明した。日欧間で関税がなくなる品目は全体の95%超に達する見込み。世界の経済・貿易の3割を占める大経済圏が誕生する。大枠合意した内容は、6日の安倍晋三首相とトゥスクEU大統領との首脳協議で正式に決める。EU高官は「最終的な合意には数カ月かかる」と語り、今回の大枠合意で詰めきれなかった部分を含めた最終合意は、年内に実現できるとの見通しを示した。首相は5日の欧州歴訪出発前に「日欧EPAはアベノミクスの重要な柱だ」と強調。日欧EPAの大枠合意をテコに、米国を除く11カ国での環太平洋経済連携協定(TPP)の発効を目指す「TPP11」の交渉進展にもつなげたい考えだ。欧州側も7日から独ハンブルクで始まる20カ国・地域(G20)首脳会議を前に、自由貿易を重視する姿勢を強調するため大枠合意を急いでいた。岸田氏は協議後、記者団に「大枠合意によって保護主義的な動きのなかで世界に前向きで大きなメッセージを送ることができる」と意義を強調した。「日・EUが世界に範を示すに足る内容だと自負している」とも述べ、日欧が自由貿易を主導していく考えを示した。大枠合意の内容は首脳協議後まで明らかにされない。これまでの交渉で日欧が貿易品目の95%超で関税を撤廃することになった。これはTPPと同程度の自由化水準だ。関税撤廃する品目のうち、交渉が難航したのは欧州産チーズと日本産乗用車の扱いだったが閣僚級協議でメドがついた。欧州側が市場開放を求めたチーズは、日本側が欧州産チーズに低関税で輸入する新たな枠を設け、枠内の税率を15年かけてゼロにする見通し。欧州側は、日本車にかける関税(最高10%)を協定発効後7年かけて撤廃する方針となった。このほか、日本側は欧州産ワインにかかる関税(ボトルワイン1本で約93円)を即時撤廃する方針。欧州産の豚肉やパスタ、木材などの関税も削減・撤廃でほぼ決着し、欧州側も日本産の緑茶・日本酒にかける関税を即時撤廃する。大枠合意後も、引き続き日欧間で協議を続け、年内には最終合意する方向。協定が発効すれば日本の消費者にとっては欧州産ワインやパスタ、チョコレートを今よりも安く買えるようになる。一方、日本から欧州には自動車や日本酒を売りやすくなる。

*7-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170706&ng=DGKKASDZ05IDT_V00C17A7TI1000 (日経新聞 2017.7.6) ボルボ、全車種電動に 有力メーカー初、19年、環境対応でEV・ハイブリッド集中
 スウェーデンの高級車メーカー、ボルボ・カーは5日、2019年以降に発売するすべての車を電気自動車(EV)やハイブリッド車などの電動車にすると発表した。世界中で厳しさを増す環境規制や消費者ニーズの変化に応える。世界の自動車大手が進めるガソリンやディーゼルなど既存エンジンの搭載車からEVなどへの移行がさらに加速しそうだ。ボルボ・カーのホーカン・サムエルソン最高経営責任者(CEO)は声明で「(ガソリンやディーゼルなどの)内燃機関の時代の終わりを意味する」と述べた。有力自動車メーカーで、長期目標を除いて「脱内燃機関」を表明したのはボルボ・カーが初めて。5日の記者会見で同CEOは「ボルボ・カーにとって非常に重大な決断であり、戦略的な転換」と強調した。25年までに電動車両を累計で100万台販売する計画。16年の世界販売台数は53万台。既存のエンジンを搭載しない純粋なEVは、19~21年までに5車種を発売する。EVや家庭などで充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)、バッテリーとモーターを補助に使う「マイルドハイブリッド」と呼ばれるタイプなどすべての品ぞろえを構成する。価格は高級車と同水準になるが「ディーゼル車とは勝負になるレベル」という。サムエルソンCEOは「電動車両へのニーズは強い。消費者の現在と将来の需要に応える必要がある」と強調した。背景にあるのは米テスラの台頭だ。ドイツでは1~6月の販売台数は前年同期の約2.4倍。月末からは400万円程度の廉価版EVの納車を始める。ボルボ・カーは対抗策として6月、傘下の高性能車部門「ポールスター」をEV専用ブランドとして立ち上げると発表。21年までに投入する5車種のうちポールスターのEVは2車種含まれる。EVのネックとされていた航続距離が短いという課題は、電池技術の進化でクリアされつつある。価格面でも18年に欧州でのEV保有コストはディーゼル車と並ぶとスイス金融大手UBSが試算している。充電インフラ不足という課題は残るが、数年前に業界で予測されていたより早く普及の条件はそろいそうだ。すでに最大のEV市場となっている中国の攻略も狙いの一つだ。ボルボ・カーは現在は商用車主体のボルボから分離され、米フォード・モーターによる買収を経て10年に中国の浙江吉利控股集団の傘下に入っている。中国は近く「NEV規制」と呼ばれる規制を導入する。EVやPHVの市場は急拡大するとみられ、親会社と連携して中国での販売拡大を狙う。フォルクスワーゲン(VW)やダイムラー、BMWの独大手3社も、25年に販売台数の最大25%をEVなどの電動車両にする計画を掲げる。ただ、独大手の現在の事業の柱はディーゼル。EVへの移行はエンジンや変速機をつくる工場の雇用問題に直結するため、急激な移行は難しい。

*7-3:http://www.nikkei.com/paper/related-article/?b=20170706&c=DM1&d=0&nbm=DGKKASDZ05IDT_V00C17A7TI1000&ng=DGKKZO18527410V00C17A7TI1000&ue=DTI1000 (日経新聞 2017.7.6) 大手、構造転換に時間 部品産業への影響懸念
 日欧米の自動車大手は動力機構について、当面は全方位で開発を進める。トヨタ自動車は2050年をめどにエンジン車をほぼゼロに、ホンダは30年に3分の2をハイブリッド車(HV)を含む電動車に置き換える構想を描くが、ボルボ・カーと比べると転換のペースは遅い。構造転換に二の足を踏む背景には産業の裾野の広さがある。経済産業省はガソリン車に必要な部品点数が約3万個としたときに電気自動車(EV)では約4割の部品が不要となり、約1万8900個で構成すると試算する。トヨタやホンダでは「ティア1」と呼ばれ自動車メーカーと直接取引する1次部品メーカーが数百社にのぼるとみられる。急激な事業構造の転換が部品メーカーの収益に与える影響は大きい。エンジン部品を手掛ける大手メーカー首脳も「自動車分野に限らず新たな収益源を育成しなくてはならない」と身構える。トヨタやホンダなどは燃料電池車(FCV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、HV車などの開発も進める。新興国市場での展開などを踏まえると、幅広い動力機構を持つことも成長につながるためだ。独フォルクスワーゲン(VW)は今後5年間に電動化技術に90億ユーロ(1兆1000億円)を投じ、25年のEV比率を20~25%にする計画。米ゼネラル・モーターズ(GM)もEVを投入しているが世界販売における電動化比率など中長期的な目標は明示していない。

*7-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170706&ng=DGKKASDZ05IBS_V00C17A7TI1000 (日経新聞 2017.7.6) EV中国生産へ800億円投資 ダイムラーと北京汽車
 独ダイムラーは5日、中国国有自動車大手の北京汽車集団と共同で中国で電気自動車(EV)を生産するため50億元(約835億円)を投資すると発表した。このうち数百億円規模をEVの肝となる電池の工場建設にあてる。世界に先駆けてEV市場の拡大が見込まれる中国で、存在感を高める狙いだ。高級車「メルセデス・ベンツ」を生産する合弁会社、北京ベンツで2020年までにEV生産を始める。ダイムラーがドイツ国外に電池工場を造るのは初めて。研究開発のための施設も用意する。

*7-5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170706&ng=DGKKASDZ05HU0_V00C17A7TI1000 (日経新聞 2017.7.6) 太陽光再生、起点はテスラ 売電偏重、市場にゆがみ
 太陽光発電の国内最大級の見本市「PV Japan」が5日、横浜市内で開幕した。目玉の一つが米テスラの出展だ。日本の太陽光市場は固定価格買い取り制度の機能不全で低迷が続く。自動車のほかエネルギー分野でも世界の産業秩序を壊しつつあるテスラの上陸は、日本市場再生の起爆剤になるか。
太陽光パネルが立ち並ぶ見本市会場のど真ん中。電気自動車(EV)が置かれたテスラのブースには終日、人だかりができていた。ブースを訪れた大手電機メーカーの担当者が驚いたのはテスラが提示した家庭用蓄電池の価格だ。販売時期は未定だが、予定価格は約70万円。国内で現在普及する製品の4分の1の水準になる。住宅などの屋根に取り付けた太陽光発電が機能するのは日中のみ。雨の日や夜間に家庭の電力を賄うには蓄電池が欠かせない。テスラの説明員は「太陽光発電を自家消費や地産地消のために使う動きが日本でも始まる」と話した。米国ではエネルギー分野でもテスラの存在感が高まっている。昨年は太陽光パネルメーカーのソーラーシティを買収。EVと太陽光、蓄電池のセット売りで攻勢をかける。太陽光や蓄電池は環境意識の高いユーザーが多い点でEVに近い商品だ。EVの本格普及後に、充電の時間帯が集中し電力不足を引き起こすリスクも蓄電池があれば緩和できる。3つの商品をEVの販売店で直販するのもテスラの特徴。機器の設置工事はソーラーシティの社員が担当する。無駄なコストを徹底して省き、蓄電池の価格を米国の競合品と比べ半分以下に抑えた。デザインにこだわった太陽光パネルは投資回収に約10年かかる価格設定ながら、予約が殺到し今注文しても納入は来年以降という。一方、日本市場は個人の需要がけん引する米国とまったく違う景色になっている。その原因が2012年に始まった太陽光による電力を一定価格で買い取る制度。高い価格が設定され、売電目当てのメガソーラーが急増した。パネルの市場は急拡大したが、一般家庭や工場、ビルの自家消費向けの需要の開拓が遅れるゆがみが生じた。その後、制度への批判が高まり買い取り価格が下落。発電所の設置基準も厳しくなり、市場は一気に冷え込んだ。16年は米国や中国、欧州など世界の主要国が軒並み成長するなか日本だけが前年割れ。太陽光発電協会の増川武昭事務局長は「20年ぐらいまで下降トレンドは続く」と話す。世界を追いかけるには政策頼みでない地道な需要の開拓が欠かせない。見本市では三菱電機が自家消費用にEVの蓄電池を使うシステムを提案。京セラは太陽光で発電した電気の需給を効率的に調整するシステムを展示した。テスラが運営する日本の店舗は東京、大阪など6カ所のみ。蓄電池や太陽光の販売を広げるにはまだ手薄な体制だ。しかしテスラが本気で開拓に乗り出せば市場の再生にも弾みが付く。そのためにも買い取り制度に依存しない市場環境の構築を急ぐ必要がある。

*7-6:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ07HHP_X00C17A7000000/?n_cid=NMAIL002 (日経新聞 2017/7/7)フランス、EV社会へ大転換 ガソリン車禁止の余波
 フランス政府が6日、2040年までに国内のガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を明らかにした。自国に世界大手のメーカーを抱える国が、ガソリン車禁止を明確に打ち出したのは初めて。実はフランスに似た動きは欧州やアジアでも相次ぐ。同日には40年時点で全世界の新車販売に占める電気自動車(EV)比率が5割を超えるとの予測も出た。電動化の流れが一段と加速する。
■G20直前、マクロン流のエコアピール
 仏のユロ・エコロジー相が6日に記者会見し、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の目標達成に向けた、二酸化炭素(CO2)排出削減の計画を発表した。柱の一つが、40年までのガソリン車など走行時にCO2を排出する車の販売禁止。さらに22年までに予定する石炭火力発電所の停止なども着実に進め、50年までに国全体のCO2排出量を差し引きゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すという。7日からはドイツで20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれる。マクロン仏大統領は就任以降、パリ協定からの離脱表明や保護主義的な主張を続けるトランプ米大統領に対抗し、メディアを意識し情報発信をしてきた。トランプ氏も参加するG20を前にした、「マクロン流」の広報戦略の一環とみるのが自然だ。産業界への影響は大きい。フランスはルノーとグループPSAの二大メーカーが本社を置き、トヨタ自動車や独ダイムラーも工場を構える。16年の乗用車販売台数は約200万台と、ドイツ、英国に次ぐ欧州第3の規模だ。仏自動車工業会(CCFA)によると、自動車産業に従事するのは約20万人、関連産業も含めると約230万人に達する。フランスは欧州ではEV普及に熱心なことで知られるが、限界がある。17年上半期の新車販売ではガソリン車・ディーゼル車が95.2%を占めた。ハイブリッド車(HV)は3.5%、EVは1.2%にとどまるのが実情だ。ルノーのEV「ゾエ」は欧州市場のEV販売ランキングで常に上位に位置する。だが、市場全体に占める存在感は小さく、収益貢献もまだ先だ。ユロ氏も、国内自動車メーカーなどへの影響は「厳しい」と認めた。同時に、国内メーカーは他社に先駆け変革をすることができると期待を示した。仏政府はルノーとPSAの大株主で、官民連携で戦略転換を進めやすい面はある。
■各国に広がるガソリン車販売禁止
 欧州ではCO2排出抑制と、都市部の大気汚染対策の両面からディーゼル車などへの逆風は強まる。オランダやノルウェーでは、25年までにガソリンやディーゼルを燃料にする内燃機関の車の販売を禁止する動きがある。ドイツも同様のうねりがある。連邦参議院(上院)は昨秋、30年までにガソリン車などの車の販売を禁止する決議を採択した。連邦議会(下院)で法案が成立したわけではなく、ドブリント運輸相も決議を「非現実的」と評した。決議に拘束力はないが、欧州最大の自動車大国でさえこうした議論が公にされるのが現実だ。アジアにもこの波は及ぶ。代表がドイツを抜き世界4位の自動車市場になったインド。ゴヤル電力・石炭・再生可能エネルギー相は4月、「30年までに販売する車をすべてEVにする」と野心的な計画を表明した。EVに一気にシフトして自国産業を育成しようという狙いで、中国でも似た政策が打ち出されている。メーカー側の動きも急だ。米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は2日、初の量販EV「モデル3」の納車を今月末から始めると表明。ボルボ・カー(スウェーデン)は5日、19年以降に販売するすべての車をEVかHVにすると発表した。すでにルノーは充電1回の航続距離を400キロメートル(欧州基準)に伸ばしたEVを発売。18年には独フォルクスワーゲン(VW)傘下の独アウディと独ポルシェが500キロメートルを走れるEVを投入する予定だ。
■「20年代後半、ガソリン車より安く」
 調査会社のブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンス(BNEF)は6日、40年時点の世界の乗用車販売に占めるEV比率は54%に達するとの見通しを発表した。従来予想の35%から大幅な上方修正だ。新たな予測では20年時点のEVは全体の3%、25年では8%。その間に電池価格の下落と容量の増加が進み、「25~29年までにはEVの販売価格が内燃機関の車より安くなる」とみる。5月にはスイス金融大手UBSが、欧州では18年時点でEVを購入した場合のトータルコストが、ガソリン車と対等になるとのリポートを出し、業界で話題を呼んだ。ただ、これはEVを最後まで乗っての計算。BNEFの予測では、20年代後半にEVを店頭で買う時点から競争力を持ち、普及のハードルが一段と低くなる。BNEFは市場別の40年の新車販売のEV比率も公表し、欧州が約67%、米国58%、中国51%の見通し。「早くEV採用を進めた国は40年にはリーダーになる」と指摘し、具体的にノルウェー、フランス、英国の名前を挙げた。40年には世界の路上を走る車の33%がEVになるという。同社シニアアナリストのサリム・モーシー氏は「EVは確実に力強く成長するが、世界規模でさらに多くの充電インフラ投資が必要になる」と指摘する。EV充電の用途もにらんだ、再生可能エネルギーなど分散型電源の整備など関連投資の動きも活発になりそうだ。


<人口減少時代の労働力―農業の事例から>
PS(2017年7月10日追加):*8のように、農業分野の労働力不足を解決するために、沖縄県は国家戦略特区制度に基づき人材派遣業者と雇用契約を結んだ外国人労働者の受け入れを検討しているそうだが、これは沖縄県や農業だけの問題ではないため、日本全国で解禁すべきだろう。そうすれば、外国人労働者も日本人労働者と同様の柔軟な労働条件で働くことが可能となり、農林漁業の人手不足を緩和して生産拡大に繋げることができる。また、労働にも難しさのさまざまなレベルがあるため、雇用対象となる外国人は、その仕事ができる人を派遣してもらえばよく、技能実習制度で2年以上現場実習したことを要件にする必要はないと思われる。

*8:https://ryukyushimpo.jp/news/entry-531175.html (琉球新報 2017年7月9日) 経済:農業に外国人就労、県が検討 人手不足解消図る 国家戦略特区活用 
 沖縄県内農業分野で労働力不足が課題となっていることを受け、県が国家戦略特区制度に基づいて外国人労働者の受け入れを検討していることが8日までに分かった。農業を学ぶ技能実習生として外国人を受け入れる従来の制度に比べて作業内容に制限がなく、農閑期には一時帰国もできる。植え付けや収穫期など人手が必要な時期に限った雇用が可能となり、農家の負担軽減や農業生産の拡大につながることが期待される。外国人労働者の農業就労を認める制度は、6月に国家戦略特区法が改正されて導入が決まった。作物は指定せず、繁忙期のキクやサトウキビを想定する。外国人労働者は「特定機関」の認定を受けた人材派遣業者と雇用契約を結び、高齢化や大規模化により労働力を必要とする農家に派遣される。農家が直接雇用していた「技能実習生」制度と比べ、複数の農家で働くことが可能になる。できる農作業の制限がなくなるほか、農作物の加工、販売もできるようになる。雇用対象となる外国人は、技能実習制度で2年以上現場で実習した「技能実習2号」の修了者らを対象にする見通しで、即戦力として働くことが期待される。沖縄は2014年に国家戦略特区に指定されており、観光分野や区域限定保育士事業など4件で活用している。農業分野で労働者を受け入れるには、新たに区域計画案を策定して国に申請する必要がある。現在、国は9月末までの改正法施行を目指し、細かな受け入れ条件を定めた政令や指針を定めている最中だ。県民の雇用に影響が出ることや、外国人が失踪するなどの事態も考えられる。農水部は労働政策を所管する商工労働部や、県警とも協議を進めていく考えだ。県農林水産部の島尻勝広部長は「外国人の就労解禁は関係機関からも要望が寄せられている。関係機関と連携を取って有効に活用したい」と語った。

<先が見えない日本のリーダー>
PS(2017年7月11日追加):東芝がウェスティングハウス(WH)の買収で大きな損害を受けたにもかかわらず、今度は三菱重工が経営不振に陥った原子炉製造会社「アレバNP」の買収に15%出資し、出資比率を最大で19.5%に上げるそうだ。ここまでくると、日本企業(特に重電会社)の経営者は先が見えず、ハイリスク・ローリターンの事業に大金を出し、経営方針に社会貢献や安全運転という哲学がなく、大損ばかりして地球上から消えていくため、困ったものである。

*9:http://qbiz.jp/article/113980/1/ (西日本新聞 2017年7月11日) 三菱重、最大19・5%出資 仏原子炉製造会社
 フランス電力は10日、同国の原子炉製造会社「アレバNP」の買収に三菱重工業と地元のエンジニア大手アシステムが参加すると発表した。三菱重工は15%出資し、出資比率は最大19・5%に上がる可能性があると説明した。アレバNPはフランス原子力大手アレバの子会社。アレバが経営不振に陥ったため、フランス電力が救済する。アシステムは5%を出資する。フランス電力は昨年11月、アレバNPの全株取得額は25億ユーロ(約3250億円)となり、51〜75%を出資すると公表していた。一連の出資手続きは年内に終えることを目指す。買収後の社名は「ニューNP」となる。

<新しい技術の障害を突破できない日本企業>
PS(2017年7月13日追加):燃料電池車は水素を燃料とするため、①走行時に水しか出ず、排気ガスによる公害がない ②再生可能エネルギーで水を電気分解すれば、エネルギーの100%自給が日本でも可能である のに、輸入した化石燃料から水素を作ろうなどと考えること自体、意味が分かっておらず、化石燃料から水素を作る技術開発への人材の投入や費用は無駄だったのだ。そして、これは、試行錯誤などしなくても、ちょっと考えればわかることである。
 また、いつまでも水素の製造費や運搬費が高いなどと言い続けて改善策を思いつかないのも努力と工夫が足りず、水を電気分解して水素を作れば酸素もできて販売可能なため、今後、燃料電池車が増えて混雑した道路が低酸素状態になることも考えられるので、車内の酸素濃度を一定に保つためや療養中の患者などのために、副産物の酸素も売ればよいだろう。
 なお、今日の日経新聞社説記事には「電気自動車を普及させるためには原発が必要だ」などと書かれていたが、化石燃料よりも公害の大きな原発を使って水素燃料や電気を作ると言うのは、環境への配慮に欠けすぎており、安全不感症の領域だ。

*10:http://qbiz.jp/article/114143/1/ (西日本新聞 2017年7月12日) 風力発電使い水素燃料を製造 トヨタや神奈川県が新設備
 トヨタ自動車や神奈川県などは12日、風力発電と水を使って二酸化炭素(CO2)を出さずに水素燃料を製造する新たな設備を、横浜市で報道陣に公開した。2015年度に水素活用の可能性を探る実証プロジェクトを始めており、13日から新設備を本格的に運用する。実証プロジェクトは環境省からの委託で、期間は18年度までの4年間。事業費は計約20億円という。これまで水素の利用によるコストやCO2削減効果を燃料電池車のフォークリフト2台で検証してきた。今後は新施設から水素を供給し、横浜市と川崎市の工場などで計12台を稼働させる。燃料電池車は走行時に水しか出ないが、現在は化石燃料から水素を作るのが主流で、製造時にCO2の排出を伴うことが課題となっている。今回、横浜市の臨海部にある風力発電所内に新設した設備では、風力で得た電気で水を電気分解して水素を製造し、CO2は排出しないという。神奈川県などは従来のガソリンや電気で動くフォークリフトでの作業と比べ、80%以上のCO2を削減できると試算している。横浜市内で記者会見したトヨタの友山茂樹専務役員は、水素の製造や運搬の費用が高いことも課題だとして「どこまで価格を下げられるか検証したい」と説明した。

<エネルギー大転換に対する日本のリーダーの対応>
PS(2017.8.7追加):日経新聞は、*11-1のように、①英仏政府が2040年までにガソリン車の国内販売を禁じる方針を決め、EVや再生可能エネルギーのコスト低減が石油の大量消費を前提とする産業構造を変えようとしている ②「液化天然ガス(LNG)はずっと続くと信じてやっている」と三菱商事のエネルギー部門の幹部は気色ばんだ ③石油のピークはいつか ④国家運営を石油収入に頼る産油国は小さな可能性も見過ごせない、サウジアラビアが大胆な改革を進める背景には石油の需要ピークへの備えがあるのではないか 等と記載している。
 しかし、①については、エネルギーにおける脱石油で最も恩恵を受けるのは日本で、それを最初に提案したのは私であるにもかかわらず、英仏政府の決断によって初めて日本でも変革が起ころうとしているのが日本の情けない点であり、これは各界リーダーの知的レベルの低さに由来するため、教育の問題である。
 また、②③については、商社には文系の優秀な人が多く就職したにもかかわらず、どこよりも高い値段でエネルギーとして原油を購入し、すべての産業の足をひっぱってきたという点で情けなさすぎる。そして、エネルギーは、優秀な役所と言われている経産省の管轄なのだ。私は、原油は最も付加価値の低い使い方であるエネルギーとしてではなく、化学製品を作るために使えばよいため、不要になるわけではないと考える。そこで、④のサウジアラビアは、石油製品を作って輸出するように産業構造を変革すればよいし、原油産出の少ない日本は、天然ガスを使って化学製品を作る方向にシフトすればよいのである。
 なお、改造内閣で沖縄・北方担当大臣になった江崎衆議院議員は、*11-2のように、「北方領土問題について素人なので、答弁書を朗読させていただく」などと述べ、それが謙虚な態度のつもりだったのだそうだが、「謙虚」というのは知っていて威張らないことであり、知らなければ大臣(リーダー)は務まらない。しかし、長く衆議院議員をやっていながら、そのくらいの知識や問題意識もなかったのだろうか。何故なら、知らなければ仕事はできず、理念もなく役人の原稿を読むだけでは国民主権の国の大臣を勤める能力は認められないからで、知らない人を大臣にすることこそ任命責任に反するからである。

*11-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170807&ng=DGKKZO19712870W7A800C1TJC000 (日経新聞 2017.8.7) 経営の視点EV革命と石油の終わり 事業の寿命、自問続けよ
 英仏政府が2040年までにガソリン車の国内販売を禁じる方針を決めた。トヨタ自動車とマツダは電気自動車(EV)の共同開発を視野に資本提携で合意した。EVの台頭や、再生可能エネルギーの急速なコスト低減が、石油の大量消費を前提とする20世紀型の社会・産業構造を変えようとしている。「液化天然ガス(LNG)はいつまで必要か」。「ずっと続くと信じてやっている」。三菱商事の垣内威彦社長の問いに、エネルギー部門の幹部は気色ばんだ。同社の16年3月期決算は資源安の影響を受け、初の連結最終赤字に沈んでいた。同年4月に就任した垣内社長がまず手をつけたのは150に及ぶ事業単位の「仕分け」だった。それぞれの事業を5段階に分類し、ピークアウトしたと判断した事業は撤退も考える。三菱商事はLNGビジネスのパイオニアだ。1969年に投資を決めたブルネイLNGプロジェクトは「失敗すれば三菱商事が3つつぶれる」と言われた。この決断が花開き、原料炭などとともに三菱商事を支える主力事業に育った。だが、「どんな事業、どんなビジネスモデルにも寿命がある」と、垣内社長は言う。過去に安住して未来はない。ピークアウトに向き合い、どう乗り越えるのか。問われているのは変化への対応力だ。中核事業だからこそ自問を迫った。燃料転換にとどまらず、人工知能(AI)やIoT、シェアエコノミーなど、自動車を起点とする革命は全産業に広がる可能性がある。誰が主導権を握るのか。垣内社長は「見極めるためにも自動車ビジネスに関与し続ける」と話す。石油のピークはいつか。ここ数年、関心を集めるテーマだ。「地球上には経済成長を支えるだけの石油がない」とするかつての議論ではない。温暖化対策や、自動車・発電の燃料転換によって石油消費は遠からず減少に転じ、石油が余る時代が来るとの見方だ。「石油の終わり」と決めつけるのは早計だ。英メジャー(国際石油資本)、BPのチーフエコノミスト、スペンサー・デール氏は「現在、200万台のEVが35年に1億台に増えても、失われる石油需要は日量300万~400万バレル。1億バレル前後の需要全体でみれば小さい」と指摘する。EVの実力を見極めるにはもう少し時間が必要だろう。ただし、国家運営を石油収入に頼る産油国は小さな可能性も見過ごせない。国際エネルギー機関(IEA)の事務局長を務めた田中伸男・笹川平和財団会長は、「国営石油会社の新規株式公開(IPO)など、サウジアラビアが大胆な改革を進める背景には石油の需要ピークへの備えがあるのではないか」と見る。仏トタルの生産量は10年前、石油が7割、天然ガスが3割だったが、今は5対5。パトリック・プヤンネ最高経営責任者(CEO)は「35~40年にはガス比率がさらに上がり、再生可能エネルギーが全体の2割を占めるだろう」と語る。メジャーとはもはや、巨大石油企業の代名詞ではない。エネルギー大転換のうねりは速度を上げ、国家と企業に変身を迫る。

*11-2:https://mainichi.jp/articles/20170807/k00/00e/010/212000c (毎日新聞 2017年8月7日) 江崎沖縄・北方相:朗読発言で陳謝 野党「辞任を」 
 江崎鉄磨沖縄・北方担当相は7日午前、北方領土問題に関し「答弁書を朗読させていただく」と述べたことについて「不用意な発言で、軽率だった」と陳謝した。内閣府で記者団に語った。野党からは辞任を求める声が出ているが、江崎氏は「やります、必ず」と辞任を否定した。発言の真意について江崎氏は「(答弁書の)原稿にしっかり目を通し、チェックして、自分なりに加えるところは加え、省くところは省きながら参考にするということだ」と釈明した。「(国会)軽視なんて一切していない」とも述べた。菅義偉官房長官から6日に電話で「十分に気をつけるように」と注意を受けたという。北方領土問題について「素人」と述べたことに関しては「今まで実際携わっていなかった。北方領土問題は外相、日露の経済協力は経済産業相だから、あのような表現になった」と説明した。民進党の山井和則国対委員長は7日午前、「役所の書いた原稿を朗読するだけなら閣僚は必要ない。北方領土問題に取り組む方々にも極めて失礼だ」と記者団に語り、江崎氏を批判。安倍晋三首相が「仕事人内閣」と名付けたことを挙げ、「どう考えても江崎氏が仕事をしそうには思えない。看板に偽りありだ」と江崎氏の交代を求めた。

| 経済・雇用::2016.8~ | 07:45 PM | comments (x) | trackback (x) |
2017.6.8 壊される平和主義、壊されそうな主権在民(国民主権=民主主義)、壊された基本的人権の尊重 (2017年6月10、11、14、15、19日に追加あり)
(1)壊される平和主義
 自民党が、*1-1のように、憲法9条1項・2項を残して自衛隊の存在を新たに憲法に明記する方針で改憲の原案づくりに向けた作業をスタートさせたそうだが、私も、憲法・安保基本法・自衛隊法等の個別法と合わせて法体系を整理し、自衛隊の存在から安全保障の全体像にまで及ぶ総合的な議論をすることが必要だと考える。その理由は、国民が知らないうちに、自ら平和主義を壊して危険な社会を作るという事態を招かないためである。

 しかし、我が国では、現在のように自衛隊への文民統制が定められていても、自衛隊出身の政治家が防衛大臣を務めることもあり、これはいろいろな意味で文民統制のうちに入らないと思われるため、運用にも気を付けるべきだ。

 また、*1-2に、「①憲法の理想と現実の間には隔たりがあるが、現実を理想へと近づけることこそが正義の姿である」「②だから九条の平和主義を高く掲げよ」と述べ、「③被爆国日本の役割、不戦の国の誇り、自衛隊らしい人助け、非戦は国家戦略である」「④戦後七十年余の長きにわたって戦争をせず今日に至ることのできたのは、それが国民多数の願いであり、願いの象徴的文言が九条である」と書かれているが、私は、①は全くそのとおりで、現実を理想に近づける努力をするのが当たり前であるにもかかわらず、現在は「理想と現実は異なる」として理想を諦め、現実に妥協することが正義のようになっているのが問題だと考える。さらに、②③のように、非戦はまさに国家戦略であり、④のように70年以上に渡って戦争をせずに今日に至ったことが、破壊や武器等への後ろ向きの支出がなく、我が国が富を蓄積できた大きな理由だと考える。

 そのため、日本国憲法・安保基本法・自衛隊法等の個別法を総合して、自衛隊の存在から安全保障の全体像に及ぶ中身のある総合的な議論をすることが必要だ。

(2)壊されそうな民主主義(主権在民=国民主権)
1)有権者に投票根拠となる事項を開示するよう公職選挙法を改正すべきこと
 *2-1に、「①国政選挙と首長選では、法定はがきやビラ以外にマニフェストの冊子が配布可能になったが、地方議員選挙ではマニフェストを配れない」「②新たな配布物が増えると資金力による候補者間の格差が生じるのが慎重論の根拠」「③民進党は2015年に公選法改正案を国会に提出し、自民党は2019年の統一地方選には間に合わせるが、この都議選での解禁は難しいとした」と書かれている。しかし、有権者に候補者の公約や人となりを正確に知らせることは、誰に投票するかを決める上で、最も重要なことなのである。

 しかし、①については、ビラは集会に集まった人にだけ配れるのであって、どこででも配ってよいわけではないため、集会で大人数を集めたり、組織的にボランティアを行う団体(≒政策によって利益誘導される団体)に支援されている候補の方が有利である。また、②は、資金力とビラやマニフェストの配布場所は関係なく、ビラに公約を書けば追加費用はかからないため、屁理屈にすぎない。そのため、③のように、民進党が公選法改正案を国会に提出しても、自民党はなるべく変えたくないのだと思われる。

2)高齢者を1人の有権者と考えないとする暴論の出現
 *2-2に、1964年生まれ(ゆとり教育世代)の京都大博士(経済学)で、公共経済学・人口経済学専門と標榜する岡本岡山大教授が、①経済学的に育児支援と年金削減が望ましい ②全体利益ある政策も現選挙制度では否決される(これがポピュリズムと呼ばれる) ③そのため、余命投票方式が効果が大きいが導入への壁が高い として、根拠薄弱で自信過剰な暴論を書き連ねておられる。

 私が、*2-2を、根拠薄弱で自信過剰だと書く理由は、①で「育児支援と年金削減が望ましい」としているのが、社会保障間の予算のやり取りしか考えられない厚労省の算術を基にした政策に乗っているにすぎず、公共経済学・人口経済学を専門とする京都大卒経済学博士の大学教授が調査・分析をして得た結果とはとても思えないからである。さらに、②のように、全体利益を口実にして個人の権利をないがしろにする政策が現選挙制度で否決されるのをポピュリズムと評しているのは、稚拙な論理をふりかざしての独裁であり、民主主義の否定にすぎない。

 また、①には「経済学的に」とも書かれているが、*2-4のように、これからの経済成長の源泉は人口で多数を占める高齢者の需要に応える財・サービスの開発と生産で、*2-2は経済学的にはマイナスであり、日本の経済学者はこの程度かと思わざるを得ないのである。

 そして、その結果、③のように、余命投票方式の方が効果は大きいが導入への壁が高いため、ドメイン投票方式や世代別選挙区制度を組み合わせるのがよいとして、*2-3の日本国憲法第15条「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する」という条文とその内容の価値を無視している。つまり、日本では、日本国憲法も年金・医療・介護の重要性も理解しておらず、単純な算術しかできない人が経済学の専門家として公共経済学・人口経済学専攻と称しているのが、最も大きな問題なのである。

3)*2-2の文章の稚拙さについて、具体的に述べる


 2016.9.20  家計収入と消費支出の推移    出生数と      年齢別潜在的
  日経新聞   総務省家計調査報告   合計特殊出生率の推移  労働力率と就業率

(図の説明:政府は物価上昇を目的として異次元の金融緩和を続け、円安にもなったが、一番左のグラフのように物価はあまり上昇しなかった。その理由は、物価上昇・利子率低下・消費税増税・社会保障の負担増・給付減で、65歳以上の人が人口に占める割合が27.3%になっている我が国の高齢者の可処分所得を減少させたからである。また、2014年4月から消費税が8%に上げられたため、左から2番目のグラフのように、2014年5月以降の家計収入・消費支出はマイナスとなり、消費税増税や社会保障の負担増・給付減は、福利を低下させ経済にも悪影響を与えている。さらに、人口における高齢者の割合が増加した理由は、右から2番目のグラフのように、第二次世界大戦後の第一次ベビーブームの後、国の家族計画によって合計特殊出生率がゆるやかに低下し始め、ベビーブーム世代が出産期を迎えた1965~75年の第二次ベビーブーム期に出生数は増加したものの、合計特殊出生率は一貫して下がっているからだ。合計特殊出生率が一貫して下がった理由は、戦後教育を受けた女性の社会進出が増えても、厚労省が育児に対する社会的支援を行わず、多くの女性が結婚や出産で正規の仕事を辞めた後にはパートしか仕事がない状態が続いたからで、それにより女性は結婚や出産を先延ばししたり、諦めたりし、その状況が、一番右のグラフのように、今でも女性は労働力率が低く、M字カーブがあることに現れている)

   
年金に関する論戦    2016.11.2東京新聞     2016.1.28    2016.10.21 
                           朝日新聞     佐賀新聞

(図の説明:2007年度の年金制度見直し時に、国民がもらえる年金額の確定(=政府債務の確定)のために、年金特別便や年金定期便を提案したのは私なのでよく知っているのだが、その時挙げられた①年金制度の不合理 ②不正免除など年金保険料回収の杜撰 ③年金積立金の運用における杜撰 ④管理の杜撰 等々の問題は、いまだに実質的には改善されていない。それにもかかわらず、積立金が足りなくなると少子高齢化を理由として給付減・負担増を言い出すのはやめるべきだ。また、年金定期便で確認された金額から減額するのは契約違反であるにもかかわらず、左から2番目の図のように、賃金か物価のどちらかが下がれば、その低い方に合わせて年金支給額を下げる変更は、(子どもの世話にならずに)年金生活をしている高齢者の生活設計を破壊する。さらに、年金受取額が多い厚生年金には正規労働者の会社員と公務員しか入れず、非正規労働者や無職者が入る国民年金は自営業者向けに設計されたもので定年を想定していないため、負担額が大きく給付額は小さい。その上、年金支給は保険料を支払った人すべてに行われるのではなく25年以上支払った人に対してのみで、2017年8月1日からは10年以上であれば支給されることになったものの、10年以上支払わなければもらえないというのもおかしい)

 *2-2の文章は、学位論文だとしても落第だ。何故なら、「①巨額の政府債務を抱えて財政再建が急務であり、プライマリーバランスの黒字化を当面の目標とするが、年金、医療などの社会保障給付が拡大する半面、若年の意見が政治に反映されにくい」として、 “当面の”プライマリーバランス黒字化を目標とし、これまで長期間かけてできた政府債務の原因究明をせず、若者に寄り添うふりをしながら社会保障給付を削減することを目的とする文章であり、真実に基づいて問題を解決しようという姿勢が全く見られないからである。

 真実は、これまでの政府債務の増大は、景気対策と称して支出した膨大な無駄遣いによるものだ。また、年金・医療・介護などの社会保障は契約により保険料を徴収して給付しているものであるため、給付時に足りなくなった金額は厚労省の杜撰な管理・運用により積立金が足りなくなったことが原因で、そうなった真の原因を追究して改善すべきなのである。

 また、*2-2の「②分析の結果、育児支援の促進政策と年金給付の削減政策はともに経済学的に望ましい政策であることが示された」と書かれているのは、突然、結論だけが出てきて根拠が書かれておらず、実際には、日本だけでなく世界で人口に占める割合が増える高齢者の年金・医療・介護給付を減らすことが経済学的に望ましいことなどあり得ない。

 その後、「③“無限先”の将来世代の効用までを考慮した上で、経済厚生全体のパイが拡大するため、世代間での適切な資源配分によりすべての世代が改革前と同じか、改革前よりも良い状態に移行できる」として、突然、時間を“無限先”にして出生率上昇によるパイの拡大を効用として挙げている。こうすれば“無限先”には人口が増加してパイが拡大するという馬鹿なモデルを想定しているが、このように個人を犠牲にすることを何とも思わず、老後が保障されない国で、支出ばかりが多い子育てをするよりも、正社員として働き続けて貯蓄しておかなければ自らの生活が危うくなるため、考えのある人ほど出生率は低くなるだろう。

 さらに、「④少子高齢化・人口減少が急速に進展する中、少子化対策を拡充する必要性が認識されているが、日本の家族政策に対する公的支出は国際的にみて低水準」というのは、1970年代後半から長期的に起こってきたことで、厚労省がそれこそ長期的視野で対応してこなかったまさに失政の結果である。そのため、何故、そのような怠惰なことを続けてきたのかを徹底して原因究明し、改善しなければ解決しないのだ。

 にもかかわらず、「⑤人口比率の高い高齢者の政治への影響力増大は、世代間不公平につながり、若者の政治的無関心を引き起こしている可能性があるため、シルバー民主主義に弊害がある」というように、高齢者に一票の選挙権があるのが問題だという違憲の結論を導き出している。このように変に若者を甘やかし、若者のためにならない議論のシャワーを浴びせられて育った若者が、成長すれば正義感にあふれた社会に役立つ人材になるということはあり得ないため、モチベーションが高くてやる気にあふれ、高齢者に親切な外国人労働者を導入した方がずっとよいというのが、今後の日本が辿る道になる。

 なお、このように、厚労省の重大ミスを隠して官にはミスがないと強弁し、屁理屈を付けて国民を分断しながら国民にしわ寄せするという発想は、*2-5のように、憲法に天皇を元首として位置付けようとする昔帰りの発想をする人たちが、(特に自民党)政治家の中に多いことにも起因している。何故なら、官は選挙で選ばれるのではなく天皇の官吏であって判断ミスなど犯すわけがなく、官が犯したミスは国民か政治家が悪いため、問題とされた時点でたまたま大臣をしている政治家を引責辞任させ、国民の溜飲を下げればよいという発想になるからだ。

 もちろん、官の走り使いとして形だけの民主主義を演じている政治家は、本当の意味での国民代表ではないが、官に都合のよい政治家が官によって選挙の便宜を図られることは多く、回を重ねて当選した人が大臣や首相になるのである。また、日経新聞はじめメディアも官の太鼓持ちが多く、「言論の自由」「表現の自由」を標榜している割には真実で中身のある言論や表現は少ないため民主主義を下支えするには堪えず、国民はそれも見抜いて変えなくてはならない。

4)成長戦略が成果を出せない理由
 政府の成長戦略がなぜ成果を出せないのかについて、*2-4を土台にして説明すると、政府(特に官である経産省)は、成長戦略として二番煎じのAI・ビッグデータ・ロボットを活用して課題解決する社会の実現ばかりを掲げているが、そこには機械に対する狭い興味しか反映されておらず、国民の福利を増そうという発想がないからである。それは、最終需要者である国民の所得が減れば全体の需要も減るという経済学の基本原則を無視している。

 また、「日本経済の最大の課題は、成長力の強化と財政健全化の両立だ」と書かれているが、何故、経済成長(正しくは経済拡大)しなければならないのかについての考察がなく、国の経済拡大だけを目的としているようであり、国民の福利を無視している。さらに、ベビーブームがあったからには適正人口まで人口が減るのは当然で、その局面では経済拡大よりも個人の豊かさを増す財やサービスの提供の方が重要だという発想もない。その結果、「財政健全化には、消費税増税と社会保障の削減しかない」という算術(足し算と引き算のみ)に基づく愚かな政策提言しかできていないのだ。

 さらに、日銀による異次元の金融緩和による物価上昇は、消費税増税とあいまって人口に占める割合の多い年金受給者の実質所得を減らした。その上、社会保障の負担増・給付減がめじろおしであるため、日本経済の潜在成長率が2014年時点の0.8%台から16年後半には0.6%台まで下がったのは当たり前で、今後も高齢者の生活を締め付ければ締め付けるほど、人口の多くを占める高齢者に対応した新しい技術や製品開発は進まず、現在から将来にわたって世界で需要される財・サービスの開発を邪魔することになるのである。

 なお、自動運転車やEVも、日本発のアイデアでありながら抵抗勢力のため世界に出遅れて税収増の機会を失ったが、このようなことになる原因分析を行わずに、古い技術に大きな予算をつけ、官が作った法律を通しさえすれば実績をあげたなどと考えている政治家は、官の走り使いとして形だけの民主主義を演じている信念なき政治家にすぎない。

(3)壊された基本的人権の尊重
 「テロ等準備罪」と名を変え、表題と内容の異なる「共謀罪」法案が、自民党・公明党・維新の会の賛成多数で衆議院を通過し、現在は参議院で審議中だ。これに対しては、*3-1のように、国連のプライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏が懸念を表明し、それに対する菅官房長官の抗議に対して、「中身のないただの怒り」「内容は本質的な反論になっておらず、プライバシーや他の欠陥など、私が多々挙げた懸念に一つも言及がなかった」と批判するとともに、プライバシーが侵害される恐れに配慮した措置を整える必要性をあらためて強調している。そして、私も、全くそのとおりだと考える。

 また、*3-2のように、衆院憲法審査会は2017年5月25日、「新しい人権」などをテーマに審議を行い、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案に対し、野党の委員から「(新しい人権の一つとされる)プライバシー権の侵害で、違憲立法」などの批判が相次いだそうだ。しかし、日本国憲法は、第21条で「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」と定めており、プライバシー権は、1947年(昭和22年)5月3日に施行された日本国憲法に規定されている権利であって、最近になって初めて認められた新しい権利ではない。

 そして、共謀罪の捜査で最も有力なツールとなる盗聴・盗撮については、*3-3のように、米国家安全保障局(NSA)による大規模な個人情報収集を告発し、現在はロシアに亡命中の米中央情報局のスノーデン元職員が、モスクワで共同通信と会見し、①NSAが情報監視システムを日本側に供与した ②日本政府は個人のメールや通話等の大量監視を行える状態にある ③「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案は個人情報の大規模収集を公認することになる ④これまで日本に存在していなかった監視文化が日常のものになる として、共謀罪法案に懸念を表明した国連特別報告者ケナタッチ氏に「同意する」と述べたそうだ。

 その上、*3-4のように、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)締結のため政府が必要と言う共謀罪法案について、国連の「立法ガイド」を執筆した刑事司法学者のニコス・パッサス氏は、「1)条約はテロ防止を目的としたものではない」「2)英国は長年TOC条約のメンバーだが、条約を締結するだけではテロ防止にはならない」「3)新たな法案等の導入を正当化するために条約を利用してはならない」「4)非民主的な国では政府への抗議活動を犯罪とみなす場合があるので、イデオロギーに由来する犯罪は除外された」「5)現行法で条約締結の条件を満たさなければ、既存法の改正か新法導入で対応しなければならない」「6)条約はプライバシーの侵害に繋がる捜査手法の導入を求めていない」と述べ、条約を新たな施策導入の口実にしないよう注意喚起したそうだ。

 私は、ロンドンでテロが多発したとしても、英国と日本は歴史が異なる上、日本は自衛戦以外の戦争をしないため、他国のテロが日本での立法理由にはならないと考える。

 佐賀新聞は、2017年6月7日の記事で、*3-5のように、「民主主義社会において発言や行動の自由がいかに大切かをあらためて確認する必要がある」と述べている。確かに、「共謀罪」「特定秘密保護法」などは、「何を行えば罰になるのか」が曖昧で、憲法21条に違反しているが、これまでメディアや野党が行ってきた言いたい放題の言論も、疑惑どまりのくだらない人格攻撃が多く、民主主義を守るために体を張って行った言論や表現とはとても言えず、言論の自由や表現の自由で守られる価値のあるものだけだったわけではないため、猛省すべきだ。

 そのような中、*3-6のように、法律の専門家である日本労働弁護団が「衆議院法務委員会における共謀罪法案の採決強行に抗議する声明」を出している。また、*3-7のように、真宗大谷派《東本願寺》宗務総長の但馬氏も「テロ等組織犯罪準備罪(共謀罪)法案に反対する声明」を発表しておられ、さらに、*3-8のように、カトリック団体も戦中の弾圧に言及して「共謀罪」法案の衆院通過に反対する声明を出しておられる。つまり、普段は温厚で熟考するタイプの方々が、歴史に基づいて次々と反対表明を出しておられるのは重視すべきだ。

 最後に、*3-9のように、国際ペンクラブのジェニファー・クレメント会長も、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案が国会で審議されていることを受け、「共謀罪は日本における表現の自由とプライバシーの権利を侵害する」と題する声明を発表しておられる。同法が成立すれば、日本における言論・表現の自由やプライバシーの権利は必ず脅かされる。しかし、それでも党議拘束だからと言ってすべての議員が党の決定に従うのであれば、日本には、国あって国民がない(人が主役でない)のと同様に、党あって議員がいないのであり、その「組織あって個人なし」の発想こそがわが国で最も大きな問題なのだ。

<壊される平和主義>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170601&ng=DGKKZO17153520R00C17A6EA1000 (日経新聞社説 2017年6月1日)9条論議は安保基本法を含め総合的に
 安倍晋三首相が火をつけた憲法9条の改正論議が広がりを見せている。自民党が改憲の原案づくりに向けた作業をスタートさせ、日本維新の会も調整を本格化。経済団体に加え、民進党の支持団体である連合も議論をはじめる。憲法施行70年、9条問題にわれわれ自身も真っ正面から向き合うときがいよいよ来たようだ。首相がこれまでに明らかにしている方向は、9条の1項と2項は残しつつ、新たに自衛隊の存在を憲法に明記するというものだ。自民党としての改憲案を年内にまとめ、2020年の新憲法の施行をめざすとしている。これは、自民党が野党当時に決めた12年の改正案を捨てて、公明党の主張である現行憲法をそのままにして必要なものを加える「加憲」の考え方に沿ったものだ。民進党の一部にも9条3項などのかたちで自衛隊の存在を明記する意見があるのもにらんでいる。自民党内では首相の唐突な見解表明を批判する声があるように、従来の議論と異なったものであるのは間違いない。そうだとしても、本社調査で51%の有権者が自衛隊の明記に賛成している世論の動向を踏まえた場合、しっかりした議論を通じて方向性を見いだしていくことが望まれる。必要なのは単に自衛隊を明記するのが是か非かといった形式的な憲法論ではなく、安全保障のあり方を含めた総合的な議論だ。そのとき参考になるのが12年当時、自民党が集団的自衛権の行使を容認する際に定めようとしていた国家安全保障基本法案だ。もし自衛隊を憲法上で明文化するのなら、自衛隊に対する文民統制、安全保障基本計画の策定といった同基本法案に盛り込んだ規定なども改めて検討すべきだ。憲法、安保基本法そして自衛隊法などの個別法と法体系を整理し、自衛隊の存在から安全保障の全体像にまで及ぶ議論が求められる。その前提として21世紀の国家のあり方を含めた中長期的なビジョンも必要になってくるだろう。9条改正消極論のひとつとして、目ぼしい成果があらわれていない成長戦略や規制改革などのテーマに政権の力を集中すべきだといった声があるのは事実だ。首相の宿願である改憲を実現するためにも、国民の多くが望む経済再生につながる政策を断行し、具体的な果実を示していく努力もまた必要になる。

*1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017051502000118.html (東京新聞社説 2017年5月15日) 日本の平和主義 9条の精神を壊すな
 憲法記念日に、安倍首相が自民党総裁としてとことわりつつも、九条改正を唱えたのを聞き、皆さんはどう思われただろう。自衛隊の存在を書き込むだけなら認めていいと思われたか、それとも不安を覚えられたか。私たち論説室は今年の元日前後に「日本の平和主義」と題した連載型の社説を掲げた。安保法が成立し次にはどんな形であれ、改憲の動きが出てくる。そうなれば焦点は九条、日本の平和主義が危うくなると考えたからだ。連載の初回(十二月三十日)は、ずばり「憲法改正が来年の大テーマとなるでしょう」と書き出して、憲法の理想と現実の間には隔たりがあるが、現実を理想へと近づけることこそが正義の姿であると述べた。だから九条の平和主義を高く掲げよ、と。私たちのその姿勢は今ももちろん変わらない。連載は被爆国日本の役割、不戦の国の誇り、自衛隊らしい「人助け」、「非戦」は国家戦略であると続けた。訴えたかったのは、戦後七十年余の長きにわたり戦争をせず今日に至ることのできたのは、それが国民多数の願いであり、願いの象徴的文言が九条であるということだ。政治に知恵を絞らせもした。自衛隊はたしかに憲法の字句外にある。戦力不保持をいう憲法下で発足し、国連PKО(平和維持活動)の名の下に今は外国へも行く。しかしそれでも九条を侵しはしない。守るべきは専守防衛。他国の侵害はしない。首相は九条の一、二項、すなわち戦争放棄と戦力不保持を維持したうえで、自衛隊を認める明文を加えたいという。巧みな言い方である。しかし、そもそも歴代の政府も多くの国民もその存在を認めてきた自衛隊を、急いで書き込む理由は何なのか。しかも今の自衛隊は安保法により違憲濃厚な集団的自衛権を付与されている。展開次第では九条が歪(ゆが)められ、日本の平和主義は変質してしまうかもしれない。父や母、祖父や祖母、戦争体験者たちが命がけで守ってきた戦後日本の思いが霧消してしまう。キナ臭い現実をまだ見えぬ理想に近づけよう。現実の追認は未来への否認である。人類の正義は理想へ向かう行動にある。九条の精神を壊してはなるまい。

<壊される民主主義>
*2-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017052202000114.html (東京新聞 2017年5月22日) 【政治】都議選で公約ビラ配れない 法改正、間に合わぬ見通し
 国政選挙と地方の首長選では公約が書かれた冊子やビラを配れるが、地方議員選では配れない-。東京都議選を前に、こうした公職選挙法の規制を見直すよう求める声が高まっている。だが、六月二十三日の告示が一カ月後に迫り、法改正は間に合わないとの見方が強い。国政選挙は二〇〇三年の公選法改正により、法定はがきやビラ以外にマニフェスト(政権公約)の冊子が配布可能になった。さらに〇七年の法改正で、地方首長選もA4判以下の一枚紙のローカル・マニフェストが配れるようになった。国政選挙や首長選に比べ、地方議員選は不特定多数に政策を訴える色合いが薄いのが実態。「新たな配布物が増えると、資金力による候補者間の格差が生じる」との慎重論も根強い。一方、政策本位の選挙に向け、地方議員選での解禁を求める声は強い。早稲田大マニフェスト研究所(マニ研)によると、〇六年から今年にかけて千葉、神奈川、長野など八県議会と東京都町田市、岐阜県多治見市など二十二市町議会が地方議員選での解禁を求める意見書を可決した。全国の地方議員でつくるローカル・マニフェスト推進地方議員連盟は昨年、都議選に間に合う法改正を求める決議を採択。学識者や弁護士でつくる選挙市民審議会も今年一月の中間答申に、地方版マニフェスト配布自由化を盛り込んだ。国会も放置しているわけではない。一六年の公選法改正の際、衆参の特別委員会は解禁について「速やかに検討を進める」と付帯決議。自民党は選挙制度調査会が全国地方組織にヒアリングを実施し、民進党は民主党時代の一五年に公選法改正案を国会に提出した。ただ、自民党関係者は「一九年の統一地方選には間に合わせるが、この都議選での解禁は難しい」と打ち明ける。都議会の定数一二七は、全国の地方議会で最多。都議選は「ビラが配布できない最も大規模な選挙」になる公算が大きい。

*2-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170505&ng=DGKKZO15995160S7A500C1KE8000 (日経新聞 2017.5.5) 経済教室:シルバー民主主義を考える(下)選挙制度の大胆改革急げ 、まず「世代別選挙区」導入を 岡本章・岡山大学教授
 現在の日本では「シルバー民主主義」の弊害が指摘されることが多くなっている。巨額の政府債務を抱えて財政再建が急務であり、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化を当面の目標とするが、その達成は遠のくばかりだ。年金、医療などの社会保障給付が拡大する半面、少数派の若年層の意見が政治に反映されにくくなっている。また少子高齢化・人口減少が急速に進展する中で、少子化対策を拡充する必要性が認識されているにもかかわらず、日本の家族政策に対する公的支出は国際的にみて低水準のままだ。さらに高齢層の政治への影響力の増大は、世代間の不公平につながり、若者の政治的無関心を引き起こしている可能性がある。政策決定にあたっては、今生きている現在世代のみならず、子どもの世代、さらには今後生まれてくる将来世代への影響も考慮する必要がある。こうした問題を分析するため、筆者は乃村能成・岡山大准教授と共同で「人口内生化世代重複シミュレーションモデル」を構築した。そして政府の育児支援の促進政策と公的年金給付の削減政策が、各世代の生涯効用(人が商品やサービスを消費することで得られる満足度)に与える影響を定量的に分析した。その結果、政策の変更の影響は世代により大きく異なることが示唆された。これら2つの政策は1970~75年以降生まれの若い世代や将来世代の効用を改善する半面、それより前に生まれた世代や高齢世代の効用を悪化させる。本研究では、無限先の将来世代を含むすべての世代の効用を総合的に考慮して、改革案が全体の経済厚生(経済学的な「効率性」を表す)に与える影響を厳密に分析した。分析の結果、育児支援の促進政策と年金給付の削減政策はともに経済学的に望ましい政策であることが示された。無限先の将来世代の効用まで考慮したうえで経済厚生全体のパイが拡大するため、世代間での適切な資源配分によりすべての世代が改革前と同じか、改革前よりも良い状態に移行できる。問題は、全体にとって望ましい改革ではあるものの高齢者が損をするため、こうした改革案は政治的に実現されにくいことにある。そこで現行の日本の選挙制度の下でこれらの政策が政治的に実現可能かどうかについて検討した。育児支援の促進政策は、若い世代や将来世代の効用を改善する半面、高齢世代では税負担が増えるだけで受益がないために効用が悪化する。シミュレーションの結果、損得は2014年時点の44歳と45歳の間で分かれる。投票にあたって、改革により効用が改善する者は賛成票を、悪化する者は反対票を投じるものとする。現行の日本の選挙制度や有権者の各年齢での現実的な投票率の下では、圧倒的な差(20対45)で育児支援の促進政策は否決される(表参照)。公的年金給付の削減政策の政治的な実現可能性についても分析したが、ほぼ同様の結果が得られた。以上のように現行の選挙制度や現実的な投票率の下では、全体にとって望ましい政策(育児支援の促進・年金給付の抑制)が否決され、シルバー民主主義の弊害が如実に表れる結果となった。その理由として日本での高い高齢者人口比率、若者の低い投票率、および改革により効用が改善する選挙権年齢以下の若い世代と将来世代が投票に参加できないことが挙げられる。こうした問題を解決するには、子どもや孫世代の利益を尊重する高齢者の良識に期待するだけでなく、制度として若い世代の声を政治に反映させる仕組みを構築する必要がある。ここでは3つの選挙制度の改革案を取り上げる。まず「ドメイン投票方式」は、米国の人口学者ポール・ドメイン氏が考案したもので、投票権を持たない未成年に投票権を与え、親が子どもの代わりに投票する。次に「世代別選挙区制度」は、井堀利宏・東大名誉教授と土居丈朗・慶大教授により提唱されたもので、有権者を年齢階層別にグループ分けし選挙区を構成する。例えば30代以下を青年区、40~50代を中年区、60代以上を老年区とする。各グループから有権者数に比例した定数の議員を選ぶため、青年区の投票率が低くても必ず若年層を代表する議員を議会に送り出せる。最後に「余命別選挙制度(余命投票方式)」は、竹内幹・一橋大准教授により提唱されたもので、余命に応じて投票権に重みをつけ、若い人の一票を高齢者の一票よりも重くする。例えば20歳の有権者の一票を64票とカウントする一方、80歳の一票を10票とカウントすることが考えられる。ただし表をみると、シルバー民主主義を克服するには、3つの代表的な選挙制度改革案の中から一つを導入するだけでは不十分で、最もドラスチックな改革である余命投票方式とさらにもう一つ別の選挙改革を同時に実施する必要があることが示唆される。3つの改革案の中で、最も効果が弱いのは世代別選挙区制度だ。日本では既に少子高齢化の水準が深刻な状況にあり、そもそも高齢者と若者の人口比率自体が大変ゆがんだものとなっているからだ。余命投票方式の効果は大きいが、年齢により一票の価値が異なる。ドメイン投票方式では未成年にも選挙権を与える。劇的な変化を伴うため、導入へのハードルは高い。政治的な実現可能性の点から当面はまず世代別選挙区制度の導入から始めるべきだろう。この制度の導入を契機として現在の危機的な状況についての理解が深まり、子どもや孫世代の利益を尊重する機運が高まることも期待される。世代別選挙区制度の導入は理念的な話にとどまらない。東京都狛江市の内山恵一氏は民間企業を定年退職した後、市民団体に所属しながら、次世代のため同制度を導入すべく地元の市議会に働きかけている。漠然としたイメージの同制度を憲法上の問題に配慮しつつ、具体的で実用的な改革案に練り上げた。この案は現行憲法の下で実現可能であり、公職選挙法の改正で済むと考えられる。改革の実現は困難を極めているが、この案の存在が広く社会に認識されて、他の自治体にも論議が波及し、早急に改革に着手することを期待している。シルバー民主主義に伴う低水準の家族政策が子育て環境を悪化させ、さらに少子高齢化・人口減少の流れに拍車をかけることもその弊害として挙げられる。こうした悪循環を断ち切るために、大胆な発想に基づいた選挙制度改革を断行すべき時期に来ている。もはや時間的猶予はない。今すぐに実施しなければ、たとえ実現できても効果は限られたものになる。現在の日本では子どもを産み、親になる可能性のある女性の数自体が急激に減少しているからだ。選挙制度の改革には大きな痛みを伴うが、長期的な視野の下で全体の経済厚生が高まる経済学的に望ましい改革であることを認識してほしい。ともかく改革を実施するのが大事で、もし改革を実施できれば得られる果実は大きい。改革により経済成長が促進されるため、たとえ損失を被る高齢者へ損失分の補償をしたとしても、まだ余りある。若者世代にまん延する閉塞感を取り除き、時間軸の長い施策が実行可能となる。そして財政破綻や急激な人口減少を回避することにより、長期的に持続可能な社会を構築し、未来への展望を切り開くことが可能となるだろう。
<ポイント>
 ○経済学的に育児支援と年金削減望ましい
 ○全体利益ある政策も現選挙制度では否決
 ○余命投票方式は効果大だが導入へ壁高い
*おかもと・あきら 64年生まれ。京都大博士(経済学)。専門は公共経済学、人口経済学

*2-3:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html より抜粋
第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
  2  すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
  3  公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
  4  すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に
     関し公的にも私的にも責任を問はれない。

*2-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170531&ng=DGKKZO17106690R30C17A5EA1000 (日経新聞社説 2017.5.31) 成長戦略はなぜ成果を出せないのか
 政府が今年の成長戦略(日本再興戦略)の素案をまとめた。人工知能(AI)やビッグデータ、ロボットを活用し、さまざまな社会課題を解決する「ソサエティー5.0」の実現を掲げた。その目標が悪いわけではない。問題は、安倍晋三政権が過去の成長戦略で示しながら、なお実現できずにいる難題と十分に向き合っていない点である。日本経済の最大の課題は成長力の強化と、財政健全化の両立である。日銀による異次元の金融緩和と、2度にわたる消費増税延期で時間を買っている間に、経済の実力を高めることができたか。残念ながら、日銀の推計では、日本経済の潜在成長率は2014年時点の0.8%台から16年後半に0.6%台まで下がった。この厳しい現実を政府は直視する必要がある。安倍政権は法人税の実効税率を20%台まで下げ、農業や医療などの岩盤規制改革に取り組んだ。企業統治も強化した。さらに今年の成長戦略が、IT(情報技術)を使った医療・介護の効率化策を示したのは妥当だ。高速道路での自動運転や、金融とITを融合したフィンテックの推進を打ち出したのも理解できる。しかし、こうした新政策を次々と繰り出す一方で、過去の政策目標が未達に終わった原因をしっかり分析していない。数値目標を言いっ放しで、軽々しく扱うのは民間企業ではあり得ない対応だ。たとえば、20年までに世界銀行のビジネス環境ランキングで「先進国3位以内に入る」という目標を掲げながら、昨年時点の順位は26位まで下がってしまった。ほかにも「開業率・廃業率を米英レベル(10%台)に」「外国企業による対内直接投資残高を倍増」といった目標の達成はほぼ絶望的だ。新陳代謝を促す規制改革や、信用保証制度の見直しなどが不十分だからではないか。時間に縛られない「脱時間給」という働き方を解禁する労働基準法改正案は国会で棚ざらしにされ、一般の自家用車で利用客を送迎するライドシェア(相乗り)のサービスは進まない。100ページ超に及ぶ文書をまとめて「やってる感」を国民にアピールするだけでは困る。決めたことを着実に実行する。結果を厳しく検証し、不断の改革に挑む。そんな政策のサイクルを徹底していない政府に猛省を求めたい。

*2-5:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/436170 (佐賀新聞 2017年6月8日) 自民、天皇の元首明記提案、改憲論議巡り、民進反対
 衆院憲法審査会は8日午前、「天皇制」をテーマに議論した。自民党は、国家および国民統合の象徴としての地位を「元首」と定義した上で、憲法に天皇を「元首」と位置付けることも改憲論議の対象になり得るとの認識を示した。国旗や国歌、元号を憲法に明記する可能性にも触れた。民進党は、天皇の元首化は必要はないとして反対した。天皇の地位を巡り、2012年の自民党改憲草案は「天皇は日本国の元首であり、日本国および日本国民統合の象徴」と明記。「国旗を日章旗とし、国歌を君が代とする」と盛り込んでいる。

<壊される基本的人権の尊重>
*3-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201705/CK2017052302000119.html (東京新聞 2017年5月23日) 【国際】「共謀罪」書簡の国連特別報告者 日本政府の抗議に反論
 安倍晋三首相宛ての公開書簡で、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案に懸念を表明した国連のプライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏は二十二日、菅義偉(すがよしひで)官房長官が同日の記者会見で抗議したと明らかにした日本政府の対応を「中身のないただの怒り」と批判し、プライバシーが侵害される恐れに配慮した措置を整える必要性をあらためて強調した。電子メールで本紙の取材に答えた。ケナタッチ氏によると、「強い抗議」は十九日午後、国連人権高等弁務官事務所を訪れた在ジュネーブ日本政府代表部の職員が申し入れ、その後、約一ページ余りの文書を受け取った。しかし、内容は本質的な反論になっておらず「プライバシーや他の欠陥など、私が多々挙げた懸念に一つも言及がなかった」と指摘した。抗議文で日本側が、国際組織犯罪防止条約の締結に法案が必要だと述べた点について、ケナタッチ氏は「プライバシーを守る適当な措置を取らないまま、法案を通過させる説明にはならない」と強く批判。法学者であるケナタッチ氏自身、日本のプライバシー権の性質や歴史について三十年にわたって研究を続けてきたとし、「日本政府はいったん立ち止まって熟考し、必要な保護措置を導入することで、世界に名だたる民主主義国家として行動する時だ」と訴えた。ケナタッチ氏は日本政府に引き続き、法案の公式な英訳文とともに説明を求めている。菅官房長官は二十二日、ケナタッチ氏の書簡に「不適切だ」と反論していた。犯罪の合意を処罰する「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を巡り、衆院議院運営委員会は二十二日の理事会で、衆院本会議を二十三日に開くことを佐藤勉委員長(自民党)の職権で決めた。与党は「共謀罪」法案を採決し、衆院を通過させる方針。二十四日の参院での審議入りを目指している。与党が理事会で「共謀罪」法案の採決を提案したのに対し、民進、共産両党は、与党が衆院法務委員会で法案の採決を強行したことに反発して拒否。双方が折り合わず、佐藤氏が本会議開催を決めた。「共謀罪」法案を採決するかどうかは与野党の協議に委ねた。法案を巡っては、安倍晋三首相(自民党総裁)が二十二日の党役員会で「今国会での確実な成立を目指す」と強調。高村正彦副総裁も「二十三日に間違いなく衆院通過させる」と話した。民進党の野田佳彦幹事長は記者会見で「審議は不十分だし、この間のやり方は極めて遺憾だ」と与党の国会運営を批判した。与党は法案の成立を確実にするため、来月十八日までの今国会の会期延長も検討している。  
<国連特別報告者> 国連人権理事会から任命され、特定の国やテーマ別に人権侵害の状況を調査したり、監視したりする。子どもの人身売買や、表現の自由に関する人権状況などの報告者がいる。政府や組織などから独立した専門家で、調査結果は理事会に報告する。

*3-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017052602000135.html (東京新聞 2017年5月26日) 【政治】共謀罪は「プライバシー権侵害」 憲法審で委員から「違憲」
 衆院憲法審査会は二十五日、「新しい人権」などをテーマに審議を行った。衆院を二十三日に通過した「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案に対し、野党の委員からは「(新しい人権の一つとされる)プライバシー権の侵害で、違憲立法」などの批判が相次いだ。民進党の山尾志桜里氏は、犯罪の共謀を処罰することは「包括的なプライバシー情報の収集なしには実現できない」と指摘。「共謀罪」法案について「プライバシー権の核心を侵しかねない」と訴えた。共産党の大平喜信氏も、「共謀罪」法案について「表現の自由をはじめ、憲法が保障する国民の権利を幾重にも侵害する」と指摘。プライバシー権に関する国連特別報告者ケナタッチ氏が法案に懸念を示したことに触れ「安倍政権は、この指摘を重く受け止めるべきだ」と求めた。また、民進党の辻元清美氏は、学校法人加計学園の獣医学部新設を巡る記録文書問題について「(新しい人権の)『知る権利』以前の問題。政府の隠ぺい体質そのもの」などとして、憲法審として調査を求めた。一方、共産党の赤嶺政賢氏は、自民党が年内にも改憲案をまとめる作業を始めたことについて「憲法審査会の議論は無視して、安倍晋三首相主導で改憲案をまとめようとしている」と批判。自民党の中谷元氏は、憲法審での議論は「首相に縛られるものではない」と強調した。

*3-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201706/CK2017060202000125.html (東京新聞 2017年6月2日) 【国際】「共謀罪で監視が日常に」 元CIAのスノーデン氏が警鐘
 米国家安全保障局(NSA)による大規模な個人情報収集を告発し、ロシアに亡命中の米中央情報局(CIA)のエドワード・スノーデン元職員(33)が一日までにモスクワで共同通信と単独会見した。元職員は持ち出して暴露した文書は全て「本物」と述べ、NSAが極秘の情報監視システムを日本側に供与していたことを強調した。日本政府が個人のメールや通話などの大量監視を行える状態にあることを指摘する証言。元職員は、参院で審議中の「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案が、個人情報の大規模収集を公認することになると警鐘を鳴らした。元職員によると、NSAは「XKEYSCORE(エックスキースコア)」と呼ばれるメールや通話などの大規模監視システムを日本側に供与。同システムは、国内だけでなく世界中のほぼ全ての通信情報を収集できる。米ネットメディア「インターセプト」は四月、元職員の暴露文書として、日本に供与した「エックスキースコア」を使って、NSA要員が日本での訓練実施を上層部に求めた二〇一三年四月八日付の文書を公開した。元職員は共謀罪について「日本における(一般人も対象とする)大量監視の始まり。日本にこれまで存在していなかった監視文化が日常のものになる」と指摘。法案に懸念を表明した国連特別報告者に「同意する」と述べた。

*3-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201706/CK2017060502000127.html (東京新聞 2017年6月5日) 【国際】「共謀罪」崩れる政府根拠 「条約はテロ防止目的でない」
 国際組織犯罪防止条約(TOC条約)締結のため、政府が必要であるとしている「共謀罪」法案をめぐり、各国が立法作業をする際の指針とする国連の「立法ガイド」を執筆した刑事司法学者のニコス・パッサス氏(58)が本紙の取材に、「条約はテロ防止を目的としたものではない」と明言した。三日にロンドン中心部で起きたテロなどを指し、「英国は長年TOC条約のメンバーだが、条約を締結するだけでは、テロの防止にはならない」と語った。さらに「新たな法案などの導入を正当化するために条約を利用してはならない」と警鐘を鳴らした。政府は東京五輪・パラリンピックに向けたテロ対策として、共謀罪の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を成立させ、条約を締結しなければならないと主張。法案を参院で審議している。パッサス氏は条約を締結する国が、国内の法律や制度を整備する際の指針を示した国連の立法ガイドを執筆した。同氏はテロ対策に関して、それぞれの国に異なった事情があり、まずは刑法など国内の制度や政策を活用するものだと主張。条約はあくまで各国の捜査協力を容易にするためのものという認識を示した。また、TOC条約については「組織的犯罪集団による金銭的な利益を目的とした国際犯罪が対象」で、「テロは対象から除外されている」と指摘。「非民主的な国では、政府への抗議活動を犯罪とみなす場合がある。だからイデオロギーに由来する犯罪は除外された」と、条約の起草過程を振り返りつつ説明した。TOC条約を締結するため新法の導入が必要かとの問いには、「現行法で条約締結の条件を満たさなければ、既存法の改正か、新法の導入で対応しなければならない」と指摘。一方で「条約はプライバシーの侵害につながるような捜査手法の導入を求めていない」と述べ、条約を新たな施策導入の口実にしないよう注意喚起した。さらに、当局に過剰な権力を与え、プライバシー侵害につながる捜査ができるようにすることを懸念するのは「理解できる」と発言。捜査の主体や手法、それらを監督する仕組みを明確にするよう助言した。
<Nikos Passas> 1959年2月、ギリシャ・アテネ生まれ。アテネ大やパリ第二大で法学などを学び、欧米各地の大学で犯罪学や刑事司法を研究。現在は米ボストンにあるノースイースタン大犯罪学・刑事司法学科教授。
<国際組織犯罪防止条約(TOC条約)> 「国際的で組織的な犯罪集団」の対策に向け、2000年11月の国連総会で採択。組織による重大事件の合意を犯罪とみなし、マネーロンダリング(資金洗浄)などによる犯罪収益の没収や、犯人引き渡しなどでも相互協力するよう定める。「金銭的な利益その他の物質的利益」を目的とする集団を対象とし、テロについては全く触れられていない。今年4月時点で187の国・地域が締結しているが、日本は「条約を実施するための国内法が未成立」との理由で締結していない。

*3-5:http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/435789 (佐賀新聞 2017年6月7日) 表現の自由、意義を再確認したい
 民主主義の社会において発言や行動の自由がいかに大切か。今、その意義をあらためて確認する必要があろう。犯罪の計画を罰する「共謀罪」の構成要件を取り込んだ組織犯罪処罰法改正案や2014年に施行された特定秘密保護法、権力の強権的な姿勢など一般市民や報道機関を萎縮させかねない抑圧の動きへの危惧が強まるからだ。現状の問題点を指摘する声や多数意見に対する異論は議論を喚起し、その声を取り込んで政治や社会は進展してきた。例えば、人権や生活を保障するさまざまな制度はこうして築かれたものだ。「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」という憲法21条は、国民が政治の意思決定に参加する権利を定めた規定だ。「表現の自由」の重要性を再確認し、抑圧の動きに対抗したい。まず「共謀罪」法案から指摘しよう。その問題点の一つは「何を行えば罰になるのか」の線引きがあいまいなことだ。不明確な線引きのため「もしかしたら罰せられるかもしれない」と恐れた市民は萎縮して発言や行動を控える可能性がある。先日の衆院本会議で民進党の山尾志桜里衆院議員はこの点を指摘。「線引きの明確性や安定性を欠いた刑罰法規は自由の範囲を不明確、不安定にする」と強調し、「迷ったら、やめておこうという自発的な萎縮をもたらし、いったん萎縮した自由を取り戻すのは並大抵ではない」と主張した。計画段階の動きを把握するため捜査当局による監視が拡大する懸念も拭えない。国際ペンクラブのジェニファー・クレメント会長も声明を発表し、「共謀罪は日本の表現の自由とプライバシーの権利を侵害する」と批判している。もっと直接的な抑圧の動きもある。沖縄県で米軍基地移設への抗議活動を続ける反対派リーダーの山城博治さんは、米軍訓練場近くで有刺鉄線を切った器物損害の疑いなど逮捕、起訴され、微罪で約5カ月間も拘束された。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは「抗議活動への参加をためらう人が出始め、市民に平和的な表現や集会の権利の行使を思いとどまらせる悪影響が出ている」と警告したが、これも萎縮の問題だ。危惧が強まる状況の中で重要なのは報道機関の役割だろう。だが現状はどうか。国連人権高等弁務官事務所は5月末、言論と表現の自由に関する特別報告者デービッド・ケイ米大学教授の対日調査報告書を公表。特定秘密保護法で日本のメディアが萎縮している可能性や、政府が放送局を規制できる放送法によってメディアの「自由と独立」に不当な制約が課せられる懸念を指摘している。報告書は国連としての見解ではないが、近く国連人権理事会で説明される。日本政府は「伝聞情報に基づき不正確で不十分な内容だ」と反論する。だが国際的な視点からの指摘を謙虚に受け止めるべきだろう。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」が発表する世界の報道自由度ランキングで日本は10年の11位から17年は72位に落ち込んだ。侵される「表現の自由」の問題は、報道機関の在り方も問うている。権力を監視するという本来の役割を果たせているのか。自主規制に陥っていないか。報道機関の重い責任も再確認したい。

*3-6:http://roudou-bengodan.org/topics/4745/ (日本労働弁護団 2017/5/19) 衆議院法務委員会における共謀罪法案の採決強行に抗議する声明   <共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会、社会文化法律センター代表理事 宮里邦雄、自由法曹団団長 荒井新二、青年法律家協会弁護士学者合同部会議長 原和良、日本国際法律家協会会長 大熊政一、日本反核法律家協会会長 佐々木猛也、日本民主法律家協会理事長 森英樹、日本労働弁護団会長 徳住堅治、明日の自由を守る若手弁護士の会共同代表 神保大地・黒澤いつき>
 衆議院法務委員会での採決の強行を受けて、労働弁護団も加わる共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会で声明を発表しました。本日,衆院法務委員会において、共謀罪(「テロ等準備罪」)法案を含む組織犯罪処罰法改正案の採決が強行された。来週にも本会議への上程を計画していると伝えられる。私たちは,この暴挙に対し,満腔の怒りをもって強く抗議する。そもそも、刑法は、どの行為が犯罪とされるかを定めているが、裏返せば、犯罪とされずに自由に行動できる範囲を定めているといえる。犯罪とは人の生命や身体自由名誉財産に被害を及ぼす行為と説明され、法益の侵害又はその現実の危険性が生じて初めて事後的に国家権力が発動されるというシステムは,我々の社会の自由を守るための制度の根幹である。約300もの多くの犯罪について共謀の段階から処罰できることとする共謀罪法案は、既遂処罰を基本としてきた我が国の刑法体系を覆し、人々の自由な行動を制限し、国家が市民社会に介入する際の境界線を、大きく引き下げるものである。私たちは沖縄ですでに弾圧の道具に使われている威力業務妨害罪の共謀罪が法案化されていることに警鐘を鳴らしたい。1999年に制定された組織犯罪処罰法によって、組織的威力業務妨害罪、組織的強要罪、組織的信用毀損罪が作られ、法定刑が長期3年から5年に引き上げられ、廃案となった2003年法案で共謀罪の対象犯罪とされた。これらの犯罪は、もともと構成要件があいまいで、労働運動などの弾圧法規として使われてきた問題のある犯罪である。この共謀罪はひとつだけでも治安維持法に匹敵する著しい危険性を持っている。自民党の2007年小委員会案では、これらの犯罪は共謀罪の対象から外されていたのに、これを何が何でも共謀罪の対象としようとしている安倍政権には、市民の異議申し立て活動に対する一網打尽的弾圧の意図を疑わざるを得ない。「組織犯罪集団」の関与と「準備行為」を要件としても、法案の適用範囲を厳しく限定したものとは評価できない。首相は、一般人は処罰の対象にならないと説明しているが、同法案では、原発反対運動や基地建設反対運動などに適用され得る組織的威力業務妨害罪や、楽譜のコピー(著作権法違反)や節税(所得税法違反)など市民が普通の生活の中で行う行為が犯罪に問われかねないものも,対象犯罪に含まれている。そもそも、同法案には一般人を対象としないなどという文言はなく、「計画」と「準備行為」があれば、条文解釈上、誰でもが処罰対象となり得る規定となっている。現在の審議状況では、到底、私たち市民が納得できるだけの充分な説明が尽くされたとは言えない。警察は今でも,市民運動に関わる人の情報を収集したり,イスラム教徒だというだけで調査の対象とするなどの違法なプライバシー侵害を繰り返しているが,共謀罪が制定されれば、今以上に,市民の行動や,人と人との会話、目配せ、メール、LINEなど、人の合意のためのコミュニケーションそのものが広く監視対象とされる可能性が高い。政府は,共謀罪の制定が国連越境組織犯罪防止条約(TOC条約)の批准のために不可欠であるかのように主張するが,諸外国の例を踏まえれば、このような広範な共謀罪法案を成立させることなく国連条約を批准しても、国際的な問題は全く起きるものではない。また,この条約の目的はマフィアなどの経済的な組織犯罪集団対策であり、テロ対策ではない。日本は、国連の13主要テロ対策条約についてその批准と国内法化を完了している。法案には「テロリズム集団その他の組織犯罪集団」という言葉は入れられたものの、テロリズムの定義もなく、法の適用範囲を限定する意味はない。共謀罪法案をめぐる衆議院法務委員会の審議・運営は,政府が野党議員の質問にまともに答える姿勢を放棄して「一般市民は捜査の対象にもならない」など根拠のない答弁を機械的に繰り返したり,野党議員が大臣に答弁を求めたにもかかわらず政府職員が勝手に答弁するなど,異常かつ非民主的という他ないものであった。5月17日,野党議員が金田法務大臣の解任決議案を提出したことは,道理にかなったものである。こうした異常な審議の挙句,いまだ審議すべき重要問題が多数積み残されたまま,本日,採決が強行されたことは,暴挙といわざるを得ない。5月16日報道された朝日新聞の世論調査では、共謀罪法案を今国会で成立させる必要はないという意見は64%に達し、必要とする意見18%を大きく上回った。共謀罪法案反対の世論は急速に広がっており,国民の多数は、この間の審議を通じて浮かび上がってきた法案の多くの問題点について,審議を深めることを願っている。私たち共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会は、我が国の人権保障と民主主義の未来に大きな禍根を残す共謀罪法案の成立を阻止するため、引き続き全力を尽くす決意である。      以上

*3-7:http://www.higashihonganji.or.jp/news/important-info/19796/ (真宗大谷派《東本願寺》宗務総長但馬弘 2017年5月18日) 「テロ等組織犯罪準備罪(共謀罪)法案に反対する声明」を発表
 真宗大谷派では5月18日、宗務総長名による「テロ等組織犯罪準備罪(共謀罪)法案に反対する声明」を発表しました。
       *テロ等組織犯罪準備罪(共謀罪)法案に反対する声明*
 現在、テロ等組織犯罪準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案が、国会で審議されています。当然テロ等の犯罪行為は、決して許されるものではありません。しかしこの法案は、実際の行為がなくとも、犯罪とみなされる計画をしただけで処罰することができる、いわゆる「共謀罪」の内容が盛り込まれており、市民の日常生活に重大な制約をもたらす恐れがあります。どのような計画が犯罪になるのかは捜査機関の判断によることから、恣意的な検挙が行われ、市民の思想や言論、表現の自由全般が損なわれる可能性は否めません。さらに犯罪の事実を立証するために、日常的にプライバシーが侵害され、市民どうしが相互に監視する社会をつくりだしてしまうことを危惧します。宗祖親鸞聖人は、時の権力によって「専修念仏」が罪とされたことにより、同行たちが斬首され、聖人自身も流罪となった承元の法難を経験されました。権力側が欲する秩序を護るために個を抹殺しても厭わない当時、宗祖は「主上臣下、法に背き義に違し」との痛みをもった厳しい言葉を残しておられます。また明治期の日本では、国家による思想弾圧事件として、多くの人たちが無実の罪で死刑、無期懲役となった「大逆事件」が起こりました。国全体が戦争へと突き進む中、宗祖の教えに生きんとし、非戦と平等を説いた当派僧侶・高木顕明師もこの事件に連座した一人でありました。思想や信条は、他から侵害されてはならないものです。そして、思想や信条の自由は、一人ひとりが声をあげてこそ守られるものと考えます。すべての人が共に生き合える同朋社会の実現をめざす教団として、テロ対策という名のもとに政府が市民を監視し、私たち個人の思想や言論、表現を統制しようとする今回の法案に対して、真宗大谷派は強く遺憾の意を表明し、廃案を求めます。

*3-8:http://www.christiantoday.co.jp/articles/23810/20170524/kyobozai-catholic-council-for-justice-peace-statement.htm (Christian Today, Japan 2017年5月24日) 「共謀罪」法案衆院通過、カトリック団体が反対声明 戦中の弾圧にも言及
 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の内容を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する「組織犯罪処罰法」の改正案が23日、自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数により、衆院本会議で可決された。これを受け、日本カトリック正義と平和協議会は24日、反対声明を発表。戦中の宗教弾圧により拷問を受けて亡くなった外国人神父の存在についても触れ、同法案の撤回、廃案を強く求めた。同協議会は、同法案に反対する理由を4つ挙げている。最初に挙げたのは、社会に対して実際に損害をもたらした犯罪のみを処罰するという「行為原理」や、刑罰を科す範囲をあらかじめ明確に定めるという「罪刑法定主義」などの近代刑法の原則に反することだ。「犯罪の範囲はいっきに拡大し、犯罪の『共謀』『計画』をはかったという理由で、犯罪を実行していない人間の意思や内心が処罰の対象となり、国家による恣意的な処罰、自白の強要によるえん罪の危険が高まります」と警告している。また、任意の捜査と情報収集の幅が拡大することで、プライバシーの侵害が頻発し、監視社会になってしまうと危惧。自首した場合の免罪が盛り込まれていることから、仲間うちでの密告が推奨され、社会の中に深刻な相互不信を作り出すとしている。さらに、恣意的な捜査や逮捕が可能になった監視社会では、実際の監視行動がなくても市民活動が萎縮し、憲法が保障する思想、信条、信教の自由、集会・結社の自由が破壊されかねないとしている。第2次世界大戦下では、治安維持法により多くの宗教弾圧が行われ、日本のカトリック教会でも司祭や修道者、信者らが逮捕・勾留されることは多くあった。パリ外国宣教会のシルベン・ブスケ神父は、天皇への不敬言動やスパイ活動などの容疑をかけられ、拷問を受けて亡くなった。同協議会は声明でこうした過去の弾圧について触れ、「私たちの信仰するカトリックの教義が、権力にとって都合の悪い危険思想と見なされたからです」と説明。同法案が国家に恣意的に用いられた場合の危機感をにじませた。さらに戦中は、こうした宗教弾圧により「信徒は萎縮し、警察への密告が行われ、教会は分断されました」と言い、「教会に、私たちが希求する愛と信頼に基づいた世界と正反対の出来事が起こりました。このようなことは、いかなる場所においても、もう二度と繰り返されてはなりません」と訴えている。

*3-9:http://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-509218.html (琉球新報 2017年6月5日) 「共謀罪」で国際ペン会長が声明 「日本の表現の自由を侵害」
 いわゆる「共謀罪」法案について記者会見する日本ペンクラブの浅田次郎会長。上は国際ペンクラブのジェニファー・クレメント会長の顔写真=5日午後、東京都中央区
「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案が国会で審議されていることを受け、国際ペンクラブのジェニファー・クレメント会長は5日、「共謀罪は日本の表現の自由とプライバシーの権利を侵害する」と題する声明を発表。日本ペンクラブ(浅田次郎会長)が同日記者会見し、明らかにした。声明は「いわゆる『共謀罪』という法律を制定しようという日本政府の意図を注視している。同法が成立すれば、日本における表現の自由とプライバシーの権利を脅かすものとなるであろう」と警告。「日本国民の基本的な自由を深く侵害することとなる立法に反対するよう、国会に対し強く求める」としている。


PS(2017.6.10追加):*4のように、「集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法は憲法違反」として、自衛官の家族や元教員が札幌地裁に同法に基づく自衛隊派遣の差し止めと慰謝料の支払いを国に求めたそうで、私は、北海道の人も頑張っていると思うが、集団的自衛権のすべてが違憲なわけではないため、違憲になる部分を具体的にリストアップして提訴しなければ勝訴しにくいと考える。また、野党の主張には手続き論が多いが、それでは手続きさえよければよいということになって本質的な問題提議にならないため、市民の共感は得られないだろう。

*4:http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0408956.html (北海道新聞 2017.6.10) 「安保法、手続きも違憲」 札幌訴訟初弁論 原告が主張
 集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法は憲法違反として、自衛官の家族や元教員ら268人が同法に基づく自衛隊派遣の差し止めと慰謝料の支払いを国に求めた訴訟の第1回口頭弁論が9日、札幌地裁(岡山忠広裁判長)であった。国側は派遣差し止めの請求却下と、慰謝料の請求棄却を求めた。原告は、安保法成立で平和的に生きる権利を脅かされたとして、1人につき10万円の慰謝料を求めている。原告側は6人が意見陳述し「安保法は内容も成立までの手続きも、憲法の恒久平和主義、立憲主義、民主主義に違反する」と強調。自衛官の息子を持つ70代男性は「自衛官の家族は、いつ大事なわが子、夫、父親の命が奪われるかもしれない恐怖と不安の中で過ごしている」と訴えた。


PS(2017年6月11日追加):*5のように、「取り調べの可視化を検討することを附則に盛り込む」ことによって、どこまでの範囲の取り調べ可視化が約束されるかについては全く期待できない。また、警察のシナリオに沿った自白をしない人に対するカメラには映らない取り調べ中の嫌がらせも多い。さらに、最高裁で「令状無しの捜査は違法だ」という判決が出たGPS捜査を合法化するために法律を変更するのは、プライバシーの侵害や人権侵害を合法化するものであり、憲法違反である。それでも与党は、「一般人は対象にならない」等々と強弁しているが、この場合の“一般人”の範囲はかなり狭いため、ここで言う「一般人」「普通の人」の定義も明らかにすべきで、その結果、共謀罪法案は廃案にすべきだということは自明である。

*5:http://www.news24.jp/articles/2017/05/11/04361244.html (日テレNEWS24 2017年5月11日) 自公と維新の会“共謀罪”修正案で合意
 自民・公明両党と日本維新の会は11日、共謀罪の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を修正し、取り調べの可視化を検討することなどを附則に盛り込むことで合意した。修正協議では日本維新の会が取り調べの録音・録画を義務づける「可視化」を求めた。このため修正案では「捜査の適性の確保に十分配慮する」とした上で、附則に「取り調べの録画・録音の制度を検討する」などと明記することになった。また、最高裁判所で令状無しの捜査は違法だとの判決が出た全地球測位システム(=GPS)を使った捜査については、立法措置の検討を附則に盛り込むという。自民・公明両党と日本維新の会は12日にも修正案を共同提出し、18日の衆議院通過を目指している。一方、民進党などは「政府案は人権侵害につながる上、テロ対策にもなっていない」として廃案を求めており、独自案を衆議院に提出した。組織的な詐欺などに限り犯罪の準備行為を「予備罪」として罰することや、ハイジャック防止に向け国が空港の保安体制を強化することを義務づけていて、速やかな審議入りを求めている。


PS(2017年6月14日追加):*6のように、法務委員会で議論している最中で疑問ばかりの「共謀罪」法案だが、法務委員会の採決を省略して6月15日未明に本会議で採決しそうである。これでは内容だけでなく手続きも異例で、未明に本会議で採決するなど、“働き方改革”を提唱している人たちのすることかと呆れるばかりだ。

*6:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201706/CK2017061402000252.html (東京新聞 2017年6月14日) 【政治】「共謀罪」の委員会採決省略を提案 自民、本会議へ 民進は拒否
 自民党の松山政司参院国対委員長は十四日、民進党の榛葉賀津也(しんばかづや)参院国対委員長と国会内で会談し、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案について、参院法務委員会での採決を省略し、同日午後の参院本会議で「中間報告」を行った後、採決すると提案した。榛葉氏は「法務委で議論している最中だ」などとして拒否した。民進党など野党四党は内閣不信任決議案の提出も視野に成立阻止を図る方針。自民党の竹下亘国対委員長は十四日午後、党本部の会合で「中間報告の形で可決することを今日中にやらないといけない」と語った。法案は通常、委員会で審議・採決された後に本会議で採決されるが、国会法は「特に必要があるとき」は、本会議での中間報告を経て、本会議採決できる手順を定める。報告は通常、委員長が行うが、動議により委員長以外が行うこともできる。現在、参院法務委員長は公明党の秋野公造氏。十四日午後の参院本会議では、「共謀罪」法案を巡り、民進、共産両党が提出した金田勝年法相の問責決議案を与党などの反対多数で否決する見通し。自民党は、この本会議の後に「共謀罪」法案に関する中間報告と採決に踏み切ると提案した。与党は十五日に参院法務委員会で「共謀罪」法案を採決する意向だった。民進党の山井和則国対委員長は十四日昼、党会合で「近いうちに内閣不信任決議案の提出も視野に入ってくる」と指摘。自民党提案の中間報告については「強権政治は許さない」と反発した。民進党の蓮舫代表は党参院議員総会で「共謀罪」法案について「安倍内閣は充実した審議より採決ありきの姿勢だ。共謀罪は絶対に通すべきではない」と、成立阻止を訴えた。民進、共産両党は十三日、「共謀罪」法案の審議を巡り、金田法相の答弁能力が欠けるとして、問責決議案を共同提出。法務委の審議が中断した。参院本会議は十四日午前、山本幸三地方創生担当相の問責決議案を与党などの反対多数で否決した。学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)問題に関し、国家戦略特区制度を担当する山本氏が「事実の隠蔽(いんぺい)に加担している」などとして、民進党が十三日提出した。


PS(2017年6月15日追加):*7-1のように、犯罪を計画段階で処罰する“テロ等準備罪”を新設する改正組織犯罪処罰法が、実行後の処罰を原則としてきた日本の刑法体系を変える重大な岐路であるにもかかわらず、参院法務委員会の採決すら省略して、6月15日朝の参院本会議で自民党・公明党・日本維新の会などの賛成多数により強硬採決されたが、これは警察の監視社会・捜査権乱用と密告社会に繋がるものである。
 この法案は、地下鉄サリン事件を例に説明されることが多かったが、地下鉄サリン事件は松本サリン事件(犯罪)が起こった時、被害者を守る主張をする筈の被害者の夫を犯人に仕立て上げ、真犯人を探さなかった警察の不作為と冤罪によって起こったもので、原因と解決法が合わない。基督教関係団体・真宗大谷派住職・浄土真宗本願寺派住職・金光教教会副教会長など多くの宗教家が、*7-2のように、その歴史的教訓や宗教の理念から“テロ等準備罪(共謀罪)”に反対しておられるが、創価学会の皆様は公明党の態度に納得しておられるのだろうか。
 なお、「共謀罪」の対象となる277の犯罪には、*7-3のように、騒乱・放火・水道汚染・組織的な威力業務妨害・海底電信線の損壊・自動車道における自動車往来危険・他人の森林への放火・放射線の発散・けしの栽培・強制わいせつ・強姦・無資格自転車競走・特許権/著作権等の侵害・所得税/法人税の免脱・偽証など、テロとは関係なく犯罪実行後に処罰すればよいものが多く含まれ、放射線の発散のように、むしろ政府や東電に当てはまると思われるものもあって、“テロ等準備罪”の成立によってメリットがあるのは権力側につく警察だけである。

*7-1:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017061501000632.html (東京新聞 2017年6月15日) 「共謀罪」法が成立、自公強行 委員会採決省略、懸念置き去り
 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が15日朝の参院本会議で自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数により可決、成立した。自公は参院法務委員会の採決を省略するため「中間報告」と呼ばれる異例の手続きで採決を強行。同法は実行後の処罰を原則としてきた日本の刑法体系を大きく変える内容で、野党は「監視社会や捜査権乱用につながる懸念を置き去りにした」と猛反発した。安倍内閣への不信任決議案は15日未明の衆院本会議で否決された。法務省は、法施行は7月11日になる見込みだと発表した。

*7-2:https://kansaisyukyosya.wixsite.com/kyobozai/blank、https://kansaisyukyosya.wixsite.com/kyobozai/blank-1(2017年6月13日)私たちは「共謀罪」に反対します。
【呼びかけ人】
浅野献一  (日本基督教団室町教会 牧師)
菴原淳   (真宗大谷派 教福寺 住職)
一木千鶴子 (日本基督教団高石教会 牧師)
今給黎真弓 (日本バプテスト連盟豊中バプテスト教会 牧師)
大仁田拓朗 (日本基督教団兵庫教区 議長、鈴蘭台教会 牧師)
大薮朝祥  (日本基督教団 長崎飽之浦教会 牧師)
小倉雅昭  (浄土真宗本願寺派宣光寺 住職)
上内鏡子  (日本基督教団神戸イエス団教会 牧師)
清川泰司  (日本カトリック正義と平和協議会大阪教区担当 司祭)
古郝荘八  (日本基督教団高石教会 牧師)
後藤正敏  (日本基督教団京都上賀茂教会 牧師)
斎藤成二  (日本基督教団大阪東十三教会 牧師)
斉藤 壹  (日本聖公会  司祭)
佐々木基文 (西光院 名誉住職)
高木孝裕  (大阪宗教者平和協議会 理事長 日蓮宗)
高島保   (金光教稗島教会 副教会長)
佃真人   (日本基督教団宝塚教会 牧師)
長田譲   (真宗仏光寺派正念寺 住職)
中道基夫  (関西学院大学神学部学部 教授)
袴田康裕  (神戸改革派神学校 教授)
樋口洋一  (日本基督教団島原教会 牧師、九州教区平和・人権部門 委員長)
水野隆一  (関西学院大学神学部 教授)
森口あおい  (日本基督教団大阪西淀川教会 牧師)
森田幸男   (日本キリスト教会 大阪北教会  牧師)
矢野太一  (天理教平和の会 会長)
山本有紀  (日本基督教団尼崎教会 牧師)
弓矢健児  (日本キリスト改革派千里山教会 牧師)
<声明文>
 私たちは、今国会で審議されている「組織犯罪処罰法改正案」(以下、「「共謀罪」法案」)に対して深い憂慮を抱き、その成立に反対します。この法案は、具体的な犯罪行為の前段階で取り締まる法案となっており、日本の刑法が拠って立っている原理である「行為原理」に反する法案であるとの指摘がなされています。また、「共謀罪」を取り締まるためには市民の日常的な会話や行動が監視対象となり、それによって市民生活が萎縮し、自由、ことに集会や思想信条の自由が制限されることが危惧されています。さらに、告発による罪の軽減も含まれているために、市民同士がお互いを監視し、告発し合う、「警察社会」の出現やえん罪の増加すら、引き起こしかねないと思われます。「共謀罪」法案の持つ問題については、国連人権委員会の任命した特別報告者も懸念を表明し、日本政府に対して説明を求めています。「共謀罪」法案が成立すれば、すべての宗教団体がその監視対象となることが危惧されます。政府の当初の説明では、対象は「組織的犯罪集団」のみが適用の対象となるとしてきましたが、その定義は曖昧であり、「普通の団体」も「その性格が一変すれば」対象となる事がありうると国会答弁で答えています。また、犯罪の構成要件も非常にあいまいであり、各宗教団体が行う、祈り、礼拝などの、日常的な宗教行為まで、「共謀罪」、準備行為とみなされる可能性があります。政府は、犯罪の構成要件は犯罪の具体的計画を立て、合意をし、その「準備行為」を行うことであると説明しています。しかし、その合意は集会に参加したり、SNS・メーリングリスト等でその合意が行われたグループに参加したりしているだけでも成立することがありうると指摘できます。つまり、日常的に行われる各宗教団体の集会における法話や説教で語られたことも、信者の集まりで話合われたことも、果ては、信者同士の何気ない会話も「共謀」とみなされる可能性があることは否定できません。歴史を振り返れば、「治安維持法」も「言論文章の自由」を最大限尊重すると答弁されていたにもかかわらず、多くの宗教団体が国家権力によって、監視され、自由な宗教活動は制限されました。私たちは、自らの宗教者としての信条に基づき、戦争や「国体」に反対し、それゆえ、「治安維持法」により逮捕され、拷問すら受けた宗教者のあったことを想い起こします。その一方、宗教団体が組織として、国家による弾圧を恐れて、自らの教説を曲げてまで「聖戦完遂」のために協力した歴史もあったことを認識しています。私たちが「共謀罪」法案に反対するのは、このような歴史に対する反省の上に立っています。国会審議の過程では、オウム真理教による事件が、テロ組織に変貌した宗教団体による事件の例として言及されました。彼らのような犯罪を企てることは決してありませんが、私たちが所属するそれぞれの宗教の教説には、理想的な社会の実現を信じ、そのために力を尽くすことが含まれています。「治安維持法」下では、これが「国体」を否定し、転覆させようとしたと見なされました。今回の「共謀罪」法案でも、今現在の社会を、民主的な手段で、あるいは、教育や福祉という方法で、よりよいものに変革しようとするグループすら「組織的犯罪集団」と見なされかねない危険があることが指摘されています。社会をよりよくしようとするすべての人々と手をたずさえて協力し合うことは、自らの教説に基づいており、また、これまで宗教が担ってきた社会における役割の一つであることを、私たちは認識し、これからもその役割を果たすものでありたいとの願いも、「共謀罪」法案反対の理由です。以上のようなことに鑑み、私たちは、良心の自由、思想信条の自由、集会の自由、表現の自由を守っていくため、この「共謀罪」法案に強く反対します。

*7-3:http://www.chunichi.co.jp/s/article/2017061590040437.html (中日新聞 2017年6月15日) 政治:「共謀罪」の対象犯罪
 「共謀罪」の対象となる277の罪は次の通り。
【テロの実行に関する犯罪=110】
(刑法)内乱等ほう助▽騒乱▽現住建造物等放火▽非現住建造物等放火▽建造物等以外放火
  ▽激発物破裂▽現住建造物等浸害▽非現住建造物等浸害▽往来危険▽汽車転覆等
  ▽水道汚染▽水道毒物等混入▽水道損壊及び閉塞(へいそく)▽傷害▽未成年者略取及び
  誘拐▽営利目的等略取及び誘拐▽所在国外移送目的略取及び誘拐▽被略取者等所在国
  外移送▽営利拐取等ほう助目的被拐取者収受▽営利被拐取者収受▽身代金被拐取者収
  受等▽電子計算機損壊等業務妨害▽強盗
(組織犯罪処罰法)組織的な殺人▽組織的な逮捕監禁▽組織的な強要▽組織的な身代金目的
  略取等▽組織的な威力業務妨害▽組織的な建造物等損壊
(爆発物取締罰則)製造・輸入・所持・注文▽ほう助のための製造・輸入等▽製造・輸入・所
  持・注文=第1条の犯罪の目的でないことが証明できないとき
(海底電信線保護万国連合条約罰則)海底電信線の損壊
(外為法)国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなる無許可取引等▽特定技術提供目的
  の無許可取引等
(電波法)電気通信業務等の用に供する無線局の無線設備の損壊等
(文化財保護法)重要文化財の損壊等▽史跡名勝天然記念物の滅失等
(道路運送法)自動車道における自動車往来危険▽事業用自動車の転覆等
(森林法)他人の森林への放火
(刑事特別法)軍用物の損壊等
(有線電気通信法)有線電気通信設備の損壊等
(武器等製造法)銃砲の無許可製造▽銃砲弾の無許可製造▽猟銃等の無許可製造
(ガス事業法)ガス工作物の損壊等
(関税法)輸入してはならない貨物の輸入▽輸入してはならない貨物の保税地域への蔵置等
  ▽無許可輸出等▽輸出してはならない貨物の運搬等
(自衛隊法)自衛隊の所有する武器等の損壊等
(高速自動車国道法)高速自動車国道の損壊等
(水道法)水道施設の損壊等
(銃刀法)拳銃等の発射▽拳銃等の輸入▽拳銃等の所持等▽拳銃等の譲り渡し等▽営利
  目的の拳銃等の譲り渡し等▽偽りの方法による許可▽拳銃実包の輸入▽拳銃実包の
  所持▽拳銃実包の譲り渡し等▽猟銃の所持等▽拳銃等の輸入に係る資金等の提供
(下水道法)公共下水道の施設の損壊等
(道交法)不正な信号機の操作等
(新幹線特例法)自動列車制御設備の損壊等
(電気事業法)電気工作物の損壊等
(海底電線等損壊行為処罰法)海底電線の損壊▽海底パイプライン等の損壊
(ハイジャック防止法)航空機の強取等▽航空機の運航阻害
(火炎瓶処罰法)火炎瓶の使用
(熱供給事業法)熱供給施設の損壊等
(航空危険行為処罰法)航空危険▽航行中の航空機を墜落させる行為等▽業務中の航空
  機の破壊等▽業務中の航空機内への爆発物等の持込み
(人質強要処罰法)人質による強要等▽加重人質強要
(生物兵器禁止法)生物兵器等の使用▽生物剤等の発散▽生物兵器等の製造▽生物兵器
  等の所持等
(流通食品毒物混入防止法)流通食品への毒物の混入等
(化学兵器禁止法)化学兵器の使用▽毒性物質等の発散▽化学兵器の製造▽化学兵器の
  所持等▽毒性物質等の製造等
(サリン等人身被害防止法)サリン等の発散▽サリン等の製造等
(感染症予防法)一種病原体等の発散▽一種病原体等の輸入▽一種病原体等の所持等
  ▽二種病原体等の輸入
(対人地雷禁止法)対人地雷の製造▽対人地雷の所持
(公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金等の提供等の処罰に関する法律)公衆等脅迫
  目的の犯罪行為を実行しようとする者による資金等を提供させる行為▽公衆等脅迫目的
  の犯罪行為を実行しようとする者以外の者による資金等の提供等
(放射線発散処罰法)放射線の発散等▽原子核分裂等装置の製造▽原子核分裂等装置の
  所持等▽特定核燃料物質の輸出入▽放射性物質等の使用の告知による脅迫▽特定核
  燃料物質の窃取等の告知による強要
(海賊対処法)海賊行為
(クラスター弾禁止法)クラスター弾等の製造▽クラスター弾等の所持
【薬物に関する犯罪=29】
(刑法)あへん煙輸入等▽あへん煙吸食器具輸入等▽あへん煙吸食のための場所提供
(大麻取締法)大麻の栽培等▽大麻の所持等▽大麻の使用等
(覚せい剤取締法)覚醒剤の輸入等▽覚醒剤の所持等▽営利目的の覚醒剤の所持等
  ▽覚醒剤の使用等▽営利目的の覚醒剤の使用等▽管理外覚醒剤の施用等
(麻薬取締法)ジアセチルモルヒネ等の輸入等▽ジアセチルモルヒネ等の製剤等▽営利目的
  のジアセチルモルヒネ等の製剤等▽ジアセチルモルヒネ等の施用等▽営利目的のジアセ
  チルモルヒネ等の施用等▽ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の輸入等▽営利目的のジ
  アセチルモルヒネ等以外の麻薬の輸入等▽ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の製剤等
  ▽麻薬の施用等▽向精神薬の輸入等▽営利目的の向精神薬の譲り渡し等
(関税法)輸出してはならない貨物の輸出
(あへん法)けしの栽培等▽営利目的のけしの栽培等▽あへんの譲り渡し等
(医薬品医療機器法)業として行う指定薬物の製造等
(麻薬特例法)薬物犯罪収益等隠匿
【人身に関する搾取犯罪=28】
(刑法)強制わいせつ▽強姦(ごうかん)▽準強制わいせつ▽準強姦▽人身売買
(労働基準法)強制労働
(職業安定法)暴行等による職業紹介等
(児童福祉法)児童淫行
(船員職業安定法)暴行等による船員職業紹介等
(入管難民法)在留カード偽造等▽偽造在留カード等所持▽集団密航者を不法入国させる行為等
  ▽営利目的の集団密航者の輸送▽集団密航者の収受等▽営利目的の難民旅行証明書等の
  不正受交付等▽営利目的の不法入国者等の蔵匿等
(旅券法)旅券等の不正受交付等
(売春防止法)対償の収受等▽業として行う場所の提供▽売春をさせる業▽資金等の提供
(労働者派遣法)有害業務目的の労働者派遣
(入管特例法)特別永住者証明書の偽造等▽偽造特別永住者証明書等の所持
(臓器移植法)臓器売買等
(児童買春・ポルノ禁止法)児童買春周旋▽児童買春勧誘▽児童ポルノ等の不特定又は多数の者
  に対する提供等
【その他資金源犯罪=101】
(刑法)通貨偽造及び行使等▽外国通貨偽造及び行使等▽有印公文書偽造等▽有印虚偽公文書
  作成等▽公正証書原本不実記載等▽偽造公文書行使等▽有印私文書偽造等▽偽造私文書等
  行使▽私電磁的記録不正作出及び供用▽公電磁的記録不正作出及び供用▽有価証券偽造等
  ▽偽造有価証券行使等▽支払用カード電磁的記録不正作出等▽不正電磁的記録カード所持
  ▽公印偽造及び不正使用等▽墳墓発掘死体損壊等▽収賄▽事前収賄▽第三者供賄▽加重収賄
  ▽事後収賄▽あっせん収賄▽窃盗▽不動産侵奪▽事後強盗▽昏睡(こんすい)強盗
  ▽電子計算機使用詐欺▽背任▽準詐欺▽横領▽盗品有償譲り受け等
(組織犯罪処罰法)組織的な封印等破棄▽組織的な強制執行妨害目的財産損壊等▽組織的な強制
  執行行為妨害等▽組織的な強制執行関係売却妨害▽組織的な常習賭博▽組織的な賭博場開帳
  等図利▽組織的な信用毀損(きそん)・業務妨害▽組織的な詐欺▽組織的な恐喝▽不法収益
  等による法人等の事業経営の支配を目的とする行為▽犯罪収益等隠匿
(外国貨幣の偽造に関する法律)偽造等▽偽造外国流通貨幣等の輸入▽偽造外国流通貨幣等の
  行使等
(印紙犯罪処罰法)偽造等▽偽造印紙等の使用等
(郵便法)切手類の偽造等
(金融商品取引法)虚偽有価証券届出書等の提出等▽内部者取引等
(競馬法)無資格競馬等
(自転車競技法)無資格自転車競走等
(小型自動車競走法)無資格小型自動車競走等
(文化財保護法)重要文化財の無許可輸出
(地方税法)軽油等の不正製造▽軽油引取税に係る脱税
(商品先物取引法)商品市場における取引等に関する風説の流布等
(投資信託及び投資法人に関する法律)投資主の権利の行使に関する利益の受供与等について
  の威迫行為
(モーターボート競走法)無資格モーターボート競走等
(森林法)保安林の区域内における森林窃盗▽森林窃盗の贓(ぞう)物の運搬等
(関税法)偽りにより関税を免れる行為等
(出資法)高金利の契約等▽業として行う高金利の契約等▽高保証料▽保証料がある場合の
  高金利等▽業として行う著しい高金利の脱法行為等
(補助金適正化法)不正の手段による補助金等の受交付等
(特許法)特許権等の侵害
(実用新案法)実用新案権等の侵害
(意匠法)意匠権等の侵害
(商標法)商標権等の侵害
(所得税法)偽りその他不正の行為による所得税の免脱等▽偽りその他不正の行為による
  所得税の免脱▽所得税の不納付
(法人税法)偽りにより法人税を免れる行為等
(著作権法)著作権等の侵害等
(廃棄物処理法)無許可廃棄物処理業等
(貸金業法)無登録営業等
(消費税法)偽りにより消費税を免れる行為等
(種の保存法)国内希少野生動植物種の捕獲等
(不正競争防止法)営業秘密侵害等▽不正競争等
(保険業法)株主等の権利の行使に関する利益の受供与等についての威迫行為
(スポーツ振興投票法)無資格スポーツ振興投票
(種苗法)育成者権等の侵害
(資産の流動化に関する法律)社員等の権利等の行使に関する利益の受供与等について
  の威迫行為
(民事再生法)詐欺再生▽特定の債権者に対する担保の供与等
(電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律)不実の署名
  用電子証明書等を発行させる行為
(会社更生法)詐欺更生▽特定の債権者等に対する担保の供与等
(破産法)詐欺破産▽特定の債権者に対する担保の供与等
(会社法)会社財産を危うくする行為▽虚偽文書行使等▽預合い▽株式の超過発行▽株主等
  の権利の行使に関する贈収賄▽株主等の権利の行使に関する利益の受供与等について
  の威迫行為
(放射性物質汚染対処特別措置法)汚染廃棄物等の投棄等
【司法妨害に関する犯罪=9】
(刑法)加重逃走▽被拘禁者奪取▽逃走援助▽偽証
(組織犯罪処罰法)組織的な犯罪に係る犯人蔵匿等
(爆発物取締罰則)爆発物の使用、製造等の犯人の蔵匿等
(刑事特別法)偽証
(国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律)組織的な犯罪に係る証拠隠滅等▽偽証


PS(2017年6月19日追加):*8-1のように、共謀罪法に反対する大学教授が抗議声明を出して共謀罪法の廃止を求めておられるのは心強いが、反政府的な運動を弾圧することを政府が容認するという妄想のためではなく、政府が行ってきた現在も含む歴史上の弾圧の事実のために反対しているのであり、「司法は正しいことしかしない」という考えの方がよほど妄想である。
 また、公職選挙法や政治資金規正法が共謀罪法に含まれていないのはよいことで、その理由は、公選法違反や政治資金規正法違反を用いて、*8-2のように、警察が罪を捏造して選挙結果を歪めることが少なくないからであり、志布志事件の例では県議の任期終了後に無罪が確定している。県警と自民党が共謀するのは、県警を管理する公安委員会が知事の下部組織で、知事が与党であれば自民党の影響を受けやすいからである。さらに、裁判所も財務省の予算付けに弱く、最高裁判事は内閣が任命するため、与党との繋がりが深い。これらは、公選法違反で挙げられるのが、自民党以外の候補や警察への仕返しをしない落選候補が多いことからも明らかで、学者であれば、①どのような候補が ②何を理由として公選法違反や政治資金規正法違反とされ ③それがどういう役割を果たしたか について統計をとるくらいの調査はすべきだ。
 なお、民主党代表だった小沢一郎氏が、本当は間違ってすらいなかった政治資金規正法違反を挙げられて権力の座を追われたことも記憶に新しく、民主党が政権を失ってから氏の無罪判決が出たが、このように公選法違反・政治資金規正法違反は権力闘争に用いられているのだ。さらに、氏に対するメディアの印象操作もものすごく、日本国憲法に定められている「表現の自由」「言論の自由」は、「基本的人権の尊重」「民主主義」に優先する権利ではないのに、小沢氏に対する警察捜査時の報道が連日だったのと比較して、氏の無罪確定後にメディアは謝罪していない。そして、こういうことは、私を含む他の政治家に対しても、しばしば行われているのだ。
 さらに、*8-3のように、共謀罪の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法が成立し、警察が犯罪計画を把握するための監視を強めるそうだが、これは憲法に定められている「通信の秘密」に反する。また、「ポスト真実」と言われるように、盗聴・盗撮されたデータもどうにでも加工され得る。これを妄想と言う人もいるのだろうが、実際には、*8-4の足利事件のように、最新の科学を使った筈のDNA鑑定で菅家さんは誤って犯人と認定された。しかし、DNAは、一卵性双生児なら全く同じであり、ポイントのみ調べるのであれば血縁関係の近い人なら同じであることも多い上、意図的に証拠を捏造すれば何とでも言える。そして、先端技術であるだけに、そうされたことを証明するのは難しいのである。

*8-1:http://digital.asahi.com/articles/ASK6L5S6DK6LUTIL020.html (朝日新聞 2017年6月18日) 「共謀罪」法、学者ら廃止訴える「内容も手続きも暴挙」
 犯罪を計画段階から処罰できる「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織的犯罪処罰法の成立を受け、反対する立場の大学教授らが18日、抗議声明を出した。「法律の内容も、国会での手続きも民主主義を破壊する暴挙だ」と批判。法律の廃止を訴えている。安全保障関連法に反対する学者の会」(約1万4千人)の呼びかけ人の62人。参院で委員会採決を省略する「中間報告」の手続きを使ったことについて、「特に緊急を要する場合にしか認められず、国会法に違反する」と主張。表現の自由の観点から法案に懸念を示した国連の特別報告者に政府が抗議したことにも触れ、「国連との関係悪化は日本の国益を侵害する」とした。この日、7人が東京都内で会見し、高山佳奈子・京都大教授は「テロ対策の主要な国際条約を批准し、すでに国内法の整備は終わっている。五輪の安全のため、テロ対策のためという政府の説明は虚偽だ」と話した。内田樹(たつる)・神戸女学院大名誉教授も「反政府的な運動を弾圧することを政府が容認しているという妄想をこの法律が生む素地がある」と述べた。7月9日午後1時半から「自由が危ない」と題した市民向け集会を早稲田大学(東京都新宿区)で開く。
■共謀罪法案の強行採決に対する抗議声明
 2017年6月15日に、自民党・公明党・日本維新の会は、参議院において、組織的犯罪処罰法改正法案につき、法務委員会での採決を経ることなく本会議での採決を強行した。内容的にも、手続的にも、民主主義を破壊する暴挙である。閣僚・与党および法務省は本法案を「テロ等準備罪」を創設するものと称したが、当初明らかになった案には「テロ」の語が存在しなかった。その後も「テロリズム集団その他」の語が挿入されただけで、テロ対策を内容とする条文は全く含まれない。しかも、日本はテロ対策主要国際条約をすべて批准し、国内法化を終えていることから、組織的なテロの準備行為はすでに網羅的に処罰対象である。本立法にテロ対策の意義はない。内閣が法案提出にあたって理由とした国連国際組織犯罪防止条約も、その公式「立法ガイド」の執筆者が明言するとおり、テロ対策を内容とするものではない。本改正法の処罰対象は、犯罪の計画の合意と「実行準備行為」から成る、国際的に共謀罪(conspiracy)と理解されるものにほかならない。主体の要件とされる「組織的犯罪集団」には、一般の団体の一部をなす集団の性質が犯罪的なものに変化すれば該当することとなり、人権団体や環境保護団体として組織されたものも対象たりうることを政府答弁は認めている。「実行準備行為」は実質的な危険を含まない単なる「行為」で足り、無限定である。約300に及ぶ対象犯罪は、テロにもマフィアにも関係のない多数の類型を含む一方で、警察の職権濫用(らんよう)・暴行陵虐罪や公職選挙法違反など公権力を私物化する罪や、民間の商業賄賂罪など組織的経済犯罪を意図的に除外しており、国連条約の趣旨に明らかに反している。こうした点について国会で実質的な議論を拒み、虚偽の呼称により国民をだまし討ちにしようとする政府の姿勢は、議会制民主主義への攻撃である。さらに参議院での採決は、委員会採決を経ない手続を「特に緊急を要する」場合にしか認めない国会法に違反している。これらの内容・手続の問題点を問いただす公式の書簡がプライバシー権に関する国連特別報告者から首相宛てに出されたにもかかわらず、政府は質問に回答するどころかこれに抗議した。国連人権委員会においては、表現の自由に関する特別報告者によって、日本の政治家の圧力によるメディアの情報操作も公式に報告されている。国連との関係の悪化は、北朝鮮問題の解決や国連国際組織犯罪防止条約への参加を要する日本の国益を侵害している。ここに、本強行採決に強く抗議し、今後、市民の自由を侵害する怖(おそ)れのある法が悪用されないよう厳しく監視することと、立憲主義と民主主義を回復する勢力によって、この法を廃止することを広く社会に対して呼びかける。
<安全保障関連法に反対する学者の会・呼びかけ人一同>
     ◇
「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼びかけ人
・青井 未帆 (学習院大学教授 法学)
・浅倉 むつ子 (早稲田大学教授 法学)
・淡路 剛久 (立教大学名誉教授・弁護士 民法・環境法)
・池内 了 (名古屋大学名誉教授 宇宙物理学)
・石田 英敬 (東京大学教授 記号学・メディア論)
・市野川容孝 (東京大学教授 社会学)
・伊藤 誠 (東京大学名誉教授 経済学)
・上田 誠也 (東京大学名誉教授 地球物理学/日本学士院会員)
・上野 健爾 (京都大学名誉教授 数学)
・上野 千鶴子 (東京大学名誉教授 社会学)
・鵜飼 哲 (一橋大学教授 フランス文学・フランス思想)
・内田 樹 (神戸女学院大学名誉教授 哲学)
・内海 愛子 (恵泉女学園大学名誉教授 日本―アジア関係論)
・宇野 重規 (東京大学教授 政治思想史)
・大澤 眞理 (東京大学教授 社会政策)
・岡野 八代 (同志社大学教授 西洋政治思想史・フェミニズム理論)
・小熊 英二 (慶応義塾大学教授 歴史社会学)
・戒能 通厚 (早稲田大学名誉教授 法学)
・海部 宣男 (国立天文台名誉教授 天文学)
・加藤 節 (成蹊大学名誉教授 政治哲学)
・金子 勝 (慶応義塾大学教授 財政学)
・川本 隆史 (国際基督教大学特任教授 社会倫理学)
・君島 東彦 (立命館大学教授 憲法学・平和学)
・久保 亨 (信州大学教授 歴史学)
・栗原 彬 (立教大学名誉教授 政治社会学)
・小林 節 (慶応義塾大学名誉教授 憲法学)
・小森 陽一 (東京大学教授 日本近代文学)
・齊藤 純一 (早稲田大学教授 政治学)
・酒井 啓子 (千葉大学教授 イラク政治研究)
・佐藤 学 (学習院大学教授 教育学)
・島薗 進 (上智大学教授 宗教学)
・杉田 敦 (法政大学教授 政治学)
・高橋 哲哉 (東京大学教授 哲学)
・高山 佳奈子 (京都大学教授 法学)
・千葉 眞 (国際基督教大学特任教授 政治思想)
・中塚 明 (奈良女子大学名誉教授 日本近代史)
・永田 和宏 (京都大学名誉教授・京都産業大学教授 細胞生物学)
・中野 晃一 (上智大学教授 政治学)
・西川 潤 (早稲田大学名誉教授 国際経済学・開発経済学)
・西崎 文子 (東京大学教授 歴史学)
・西谷 修 (立教大学特任教授 哲学・思想史)
・野田 正彰 (精神病理学者 精神病理学)
・浜 矩子 (同志社大学教授 国際経済)
・樋口 陽一 (憲法学者 法学/日本学士院会員)
・広田 照幸 (日本大学教授 教育学)
・廣渡 清吾 (東京大学名誉教授 法学/日本学術会議前会長)
・堀尾 輝久 (東京大学名誉教授 教育学)
・益川 敏英 (京都大学名誉教授 物理学/ノーベル賞受賞者)
・間宮 陽介 (青山学院大学特任教授 経済学)
・三島 憲一 (大阪大学名誉教授 哲学・思想史)
・水島 朝穂 (早稲田大学教授 憲法学)
・水野 和夫 (法政大学教授 経済学)
・宮本 憲一 (大阪市立大学名誉教授 経済学)
・宮本 久雄 (東京大学名誉教授・東京純心大学教授 哲学)
・山口 二郎 (法政大学教授 政治学)
・山室 信一 (京都大学教授 政治学)
・横湯 園子 (中央大学元教授・北海道大学元教授 臨床心理学)
・吉岡 斉 (九州大学教授 科学史)
・吉田 裕 (一橋大学教授 日本史)
・鷲谷 いづみ (中央大学教授 保全生態学)
・渡辺 治 (一橋大学名誉教授 政治学・憲法学)
・和田 春樹 (東京大学名誉教授 歴史学)

*8-2:http://cocologsatoko.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/post-595e.html (飯山一郎 2015.5.15) 志布志事件の真相は? 県警と自民党の共謀
 志布志事件とは、警察が犯罪をデッチアゲた事件である。買収などの選挙犯罪を一切ヤっていないのに、鹿児島県警が虚偽の自白を強要して犯罪をデッチアゲた悪質な事件である。犯罪者は、むしろ警察である。なぜ? 鹿児島県警は無実の人間を次々に逮捕してウソの自白を強要し、悪質な犯罪デッチアゲ事件を犯したのか?鹿児島県警は無実の市民を強引に犯罪者に仕立てあげた!この志布志事件の動機は何だったのか? このことを明らかにしないかぎり、警察の犯罪はなくならない。

*8-3:http://qbiz.jp/article/112247/1/ (西日本新聞 2017年6月18日) SNS、防犯カメラ…監視を「受容」 情報提供のルールない「共謀罪」法成立
 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法が成立し、警察が犯罪の計画を把握するために市民への監視を強めるとの懸念が強まっている。ITの発展で行政や企業が膨大な個人情報を持つようになった一方、捜査機関への提供に関するルールはほとんど整備されていない。国民が安全や利便性を追求すれば、意図しなくても監視を受け入れざるを得ない状況の中、専門家からはプライバシー保護のための仕組みを求める声が上がっている。
●歓迎 
 道路の脇に電柱と並んで長いポールが立っている。千葉県松戸市の住宅街。視線を上げると、地上に向けて設置された防犯カメラが行き交う車や通行人の姿を捉えている。「防犯カメラ作動中」の表示に気付く人は、ほとんどいないようだ。松戸市では3月に小3女児が行方不明になり、通っていた小学校の保護者会長が殺人などの疑いで逮捕された。住民の要望で、市は学校の近くに3台の防犯カメラを設置。映像はインターネット回線を通じて山梨県にある民間企業のデータセンターに送られ、1週間保存されることになった。近くに住む女性(67)は「設置されたことは知らなかったけど、悪いことをしてないから気にならない。犯罪抑止につながればいい」と歓迎。市の担当者は「任意でも提出を求められれば映像は警察に提供する。行政の責務だ」と話す。早稲田大の西原博史教授(憲法学)によると、かつては行政が防犯カメラを直接設置したり、補助金を出したりするのは商業地区が多かったが、近年は住宅街にまで広がっているという。
●丸裸 
 電子データの保存コストが大幅に下がった今、自治体や企業はカメラの映像を長時間蓄積することが可能になっている。会員制交流サイト(SNS)を飛び交う無数のやりとりも保管される。西原教授は「警察がこれらの情報を結び付ければ、人々のあらゆるコミュニケーションが丸裸になる」と指摘。「自分は捜査の対象にならないと安全・安心を求め、監視を受け入れることは自由を差し出すことと同じ。やがて、本当の自分のままでいられる空間を失う」と警鐘を鳴らす。警察は現在でも「捜査関係事項照会」などの任意捜査で、クレジットカードや出入国、銀行口座の履歴など広範囲にわたって市民の情報を集めている。だが、企業などがどういう場合に、どの程度の情報を警察に提供しているのかは“ブラックボックス”だ。無料通信アプリを運営する「LINE」(東京)は今年4月、2016年7〜12月に警察などから1500件の情報提供を求められ、うち928件を開示したことを公表。裁判所の令状に基づく強制捜査なのか任意の「照会」なのかも明らかにした。大半は強制捜査だった。LINEは「透明性を保つことが利用者の利益になる」との立場だが、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話大手3社は、いずれも取材に「義務はない」として件数すら公表していない。
●保証 
 プライバシー権に詳しい中央大の宮下紘准教授は「監視社会の気味悪さは、権力を持つ側がどれだけの情報を集めているのか分からないことにある」と言う。企業や自治体が捜査機関から照会のあった件数を積極的に公表することで一定程度は乱用を抑止できるとし、捜査機関に国会への報告を義務付ける制度を設けるべきだと提言する。「乱用しないという政府の説明だけでは何の保証にもならない。『監視に対する監視』のシステムをつくることで、初めて市民のプライバシーが守られる」
●警察からの要請件数など公表、LINE
 警察などから情報提供の要請があった件数を明らかにしているLINE(ライン)の法務担当執行役員、中山剛志氏に公表の理由などを聞いた。
−なぜ公開するのか。
 「私も一利用者の立場から言えば、自分の情報がどう扱われているのか分からないと気持ちが悪い。公表することで少しでも不安が払拭(ふっしょく)できればと考えた。今後も透明性を高めていきたい」
−全ての要請に対応しているのか。
 「プライバシー保護を担当する部署で審査し、請求の範囲が広過ぎるなど問題があると判断した場合は、対応しない」
−どういう情報を提供しているのか。
 「裁判所の令状に基づく強制捜査では、利用者のトークの内容を明らかにしなければならない。ただし利用者が暗号化機能を解除していなければ、捜査機関にも知られることはない」。「任意捜査である捜査関係事項照会に開示するのは利用者の氏名、電話番号などの登録情報やプロフィル画像までで、トーク内容は開示しない」
−同業他社の対応は。
 「グーグルやフェイスブックなどのグローバル企業は、捜査当局などから情報提供を求められた件数を公開している。ラインも世界中でサービスを提供しているので、同水準の情報開示をすべきだと考えた」

*8-4:http://www.nikkei.com/article/DGXDASDG2603L_W0A320C1CC1000/ (日経新聞 2010/3/27) 足利事件再審 宇都宮地裁判決要旨
【再審までの経緯】
 1990年5月、栃木県足利市で4歳の女児が誘拐、殺害された。被害者が着用していた半袖下着に付着した体液と菅家利和さんの体液のDNA鑑定が行われ、同型だった。逮捕、起訴された菅家さんは1992年12月の第6回公判で否認したが、第7回公判で再び認め一度結審。弁論再開後、全面的に否認する供述をした。1993年の一審判決は(1)DNA鑑定(2)自白――を主な証拠とし菅家さんを犯人と認定。無期懲役とした一審判決が確定した。菅家さんは2002年、再審を請求。東京高裁は再審開始を決定した。
【DNA鑑定】
 東京高裁は2009年、鈴木広一大阪医大教授らを鑑定人に命じ、被害者の下着に付着した体液と菅家さんの血液のDNA再鑑定をし、同一の男性に由来しないと判定された。菅家さんが犯人でないことを如実に示す。最高裁が証拠能力を認めた当時のDNA鑑定は、鈴木鑑定の結果、証拠価値がなくなり、具体的な実施方法にも疑問を抱かざるを得ない。現段階においては証拠能力を認めることができず、証拠から排除する。
【菅家さんの自白】
 鈴木鑑定の結果は、捜査段階や公判での菅家さんの自白を前提とすると到底説明がつかず、自白は信用できない。起訴後でも公判維持に必要な取り調べはできるが、慎重な配慮や対応が求められる。森川大司検事は既に2度の被告人質問が行われた後の1992年12月7日、別件の取り調べで菅家さんが突如、本件の否認を始めたことから翌日、本件の犯人ではないかと追及する取り調べをした。弁護人への事前連絡を一切せず、黙秘権告知や弁護人の援助を受ける権利も説明しておらず、当事者主義や公判中心主義の趣旨を没却する違法な取り調べだった。取り調べで、DNA型が一致したとの鑑定結果を告げられたことが、菅家さんが自白するに至った最大の要因。捜査段階の自白の任意性には影響しないが、その信用性には大きく影響している。自白の証拠能力自体に影響する事情は見当たらないものの、再審公判で明らかとなった当時の取り調べ状況や、強く言われるとなかなか反論できない菅家さんの性格からすると「当時の新聞記事の記憶などから想像を交えて捜査官の気に入るように供述した」という控訴審での菅家さんの供述は信用性がある。自白は信用性が皆無で、虚偽であることが明らかだ。
【結論】
 犯人のものと考えられるDNA型が菅家さんの型と一致しないことが判明し、自白が虚偽であることが明らかになったのだから、菅家さんが犯人ではないことは誰の目にも明らかになった。

| 日本国憲法::2016.6~ | 03:04 PM | comments (x) | trackback (x) |

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