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2020.7.8 スマートシティーが備えるべき条件は何か? (2020年7月9、10日追加)
   
  2020.7.7    2020.7.7     2020.7.5      2020.7.6日経BZ
  中日新聞    日本農業新聞    毎日新聞    浸水想定区域と実際の浸水域

(図の説明:1番左の図は、2020年7月7日までの豪雨被害地域だ。左から2番目は、人吉市の電線に流れてきた植物がからまっている状態で、水深がここまであったことを示す。右から2番目は、球磨村の特別養護老人ホームが水に沈んでいる様子で、1番右の図は、球磨川流域の浸水想定区域と実際の浸水域を示した地図である。これらによると、球磨村の特別養護老人ホームが著しく浸水することは前からわかっており、他の住宅は一段高い場所にあるため浸水していない)

(1)2020年梅雨時期の九州豪雨とその被害
 熊本県南部の豪雨では、*1-1のように、特別養護老人ホームの浸水によって入所者14人が亡くなったが、私は、その高齢者施設が地価が安いという理由からか、氾濫の恐れがある川の傍の低い場所に造られているのに驚かされた。特に、千寿園はその危険性が知られていた地域に立地しているのに、上層階のある頑丈な建物でもなく、エレベーターもないそうで、まるで三途の川の畔に建てられたような建物だったと言わざるを得ない。

 何故なら、高齢者は避難困難者であるため、浸水の恐れのある場所に高齢者施設を建設すること自体が危険であり、避難計画を作成したから命を守れることにはならないからだ。そのため、突きつけられた重い課題は、「日本は、高齢者を粗末にする国だ」ということであり、「(毎年、どこかで起こっている)○○年に一度の想定を超える豪雨」「水位が急激に上がって対応が追いつかなかった」というのは、言い訳にもならない。

 また、熊本県人吉市や球磨村では、*1-2のように、屋根と同じ高さにある電線に氾濫した川の水が運んだ木の枝や草がぶら下がり、屋根の高さまで水が押し寄せ、JAくま管内の支店建物や農地でも大きな被害が出ているそうだ。それでも、農地はまだ回復が早いが、住宅はそうはいかないため、今後の地方自治体の仕事は、避難を促すだけでなく、危険な地域には人が住まないよう土地利用を規制することである。そのためには、既に使われている土地・建物を交換したり、収用したりするなどの方法がある。

 福岡、佐賀、長崎三県でも、*1-3のように、大分県日田市で筑後川が氾濫し、熊本・大分県境の下筌ダムは基準水位を越えたため緊急放流したそうだ。また、大牟田市では避難所が周辺の冠水で孤立し、そこには200人以上が身を寄せていたそうだ。福岡・佐賀・長崎で被害が大きかったのは、有明海沿岸の海抜0mに近い地域で、有明海の満潮時に排水不良が起こったようだが、地球温暖化で海面が上がるにつれ海抜はさらに低くなるため、ここでも土地利用の見直しが必要である。

 また、ダムや河川は、底に泥が溜まって浅くなっても浚渫せず、本来の能力を維持できていない場合が多いそうだ。そのため、人口減の現在は、新しいダムを作るより現存するダムや河川を適格に管理し、できれば強化して(水力発電等の)多目的で使えるようにするのが経済的だ。

 このように事前の災害防止を怠り、国民の命を粗末にしながら、*1-4のように、防衛省は九州の豪雨被害に自衛隊員を2万人派遣して人命救助や土砂の撤去に当たらせるそうで、現在はそれが必要だが、まるで賽の河原の石積みのように思える。

 そのため、*1-5のように、激甚災害に指定するのなら、“復旧”して元の場所に同じ建物を建て、毎年同じことを繰り返して国民の血税を使うのではなく、適格な住居規制を設けて街づくりをやり直し、安全な街を作れるように復興を手伝うことが重要であり、それには、(戦争中でないため時間がある)自衛隊の労働力も使えばよいと思う。

(2)リスクを考慮した街づくりと既存施設の維持管理
1)住宅ゾーンの規制
 朝日新聞は、2020年3月22日、*2-1のように、「①政府が土地利用規制に乗り出し、都市計画法等の改正案を閣議決定して国会に提出する」「②ダムや堤防などハード面の整備だけに頼らず、街づくりから変えるという考えは理にかなう」「③レッドゾーン・イエローゾーンでの住宅開発の許可を厳しくする」「④権利の制限に繋がるので、どこから網をかけるかは難しい」「⑤被害をうけた工場が移転して地価が下がった場所で宅地開発が進むのを目にする」「⑥浸水想定区域に住む人は、2015年時点で20年前に比べて4%増、世帯は25%増だ」としている。

 このうち①②③はそうすべきだが、④を気遣って⑤⑥を野放しにすることが住民の権利保護に繋がるのかと言えば、自治体がその土地の安全性に関する情報を開示し、安全を守れる都市計画を作って住民に安全を保障することが、自治体の仕事でもあり住民の権利を護ることだと、私は思う。つまり、これをやらないことこそ、必要な仕事をしない不作為である。

2)ダムや河川への土砂の堆積
 ダムに土砂が堆積して貯水量が減り、本来の治水機能を発揮していないダムが全国に100カ所以上あることを、会計検査院が、*2-2のように、2014年に指摘している。これでは多発している豪雨に対応できないとして、会計検査院は国土交通相に改善を求めた。中には、堆砂量が計画堆砂量の3倍以上に達しているダムも2カ所あったそうだ。

 放流して人災を起こしたダムには、このような問題があったのではないか検証すべきで、設定貯水量が建設当時のままで、現在の堆砂量をダムの貯水量に反映していないなどというのは、論外だ。さらに、地震計が故障しているのに気づきながら3年以上も放置していた3県が管理する5ダム、地震計とダム管理者への自動通報装置を接続していないため地震発生時に速やかに臨時点検ができない状態のダム、非常用発電設備の燃料が規定を満たす備蓄量に達していないダムも数多く見られたそうで、それこそ国民の命を守るという意識に欠けている。

 そのため、会計検査院は国交省に対し、3つの改善処置と自治体等への周知徹底を求めたそうだが、2014年に指摘されてから6年後の現在、まだ改善されていなかったとすれば人災である。

3)まだ台風ではなく、梅雨なのだ
 政府は、*2-3のように、2019年12月20日、地方自治体が河川やダムにたまった土砂やヘドロを取り除く作業を総務省が支援することとし、当初予算案で900億円を計上したそうだ。

 しかし、他の無駄遣いが多い割には、土砂の浚渫を地方債の起債対象として起債額の70%を地方交付税で措置する政策で、それを行うことができない自治体は多く、起こった災害に対して、このように膨大な予備費を使わなければならなくなるのである。そして、今回の豪雨は、まだ台風ではなく梅雨であるため、早急に対策を実施できるようにすべきだ。

(3)地域エネルギー
 日経BPが、2015年6月29日、*3-1のように、「①日本各地で、地域新電力(地域密着型のエネルギー事業)が立ち上がっている」「②背景は電力小売りの全面自由化」「③再生可能エネルギーなどの地域資源を活用した電力を購入して小売りすることに多くの事業者が名乗りを挙げている」「④地域資源を生かしてエネルギーを生み出し、それを地域内で消費すればエネルギー資金が地域内で還流し、地域活性化に繋がる」「⑤事業が活性化して市外にも流通すれば収益が膨らむ」と記載しており、これは事実だったのだが、原発の再稼働とともに送電線が満杯という理由で話が下火になってしまった。

 しかし、*3-2のように、熊本県南阿蘇村で豊富な湧水を活用した小水力発電施設が整備されることになっており、水力発電なら治水ダムや利水ダムも利用できる筈だ。

 このように全く工夫が足りない中、*3-3のように、取引条件として環境対応を重視する顧客の要望があり、事業に必要な電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的企業連合の「RE100」に加盟する日本企業は、30社に達したそうだ。

 しかし、実績では欧米勢に大きく後れを取っており、その理由は、日本では太陽光17.7円/kwh(2017年)、陸上風力15.8円/kwh(2017年)と未だに再エネ調達コストが高いからで、これは、世界の太陽光9.1円/kwh、陸上風力7.4円/kwhを大きく上回っている。ここでも、世界は既に、日本政府が2030年に実現を目指す目標を達成済であり、日本はどうしてこのように何でも遅いのかを、猛烈に反省すべきだ。

・・参考資料・・
<2020年九州豪雨>
*1-1:https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200708/KT200707ETI090007000.php (信濃毎日新聞 2020年7月8日) 高齢施設の被災 突きつけられた重い課題
 熊本県南部の豪雨による特別養護老人ホーム「千寿園」の浸水被害で、入所者14人の死亡が確認された。
自力避難の困難な高齢者が犠牲になるケースは、過去の水害でも繰り返されてきた。命を守るために何が必要か。突きつけられた重い課題に改めて向き合わねばならない。濁流が押し寄せる中、職員は地域住民の協力も得て入所者の救出に奮闘した。だがエレベーターもなく、一人一人を抱えて階段を上るのに時間がかかり、全員を救うことはできなかった。熊本日日新聞の報道によると、施設長は当時、増水より土砂崩れを心配していたという。近くの球磨川と支流の合流点に数年前、水位の急上昇を防ぐ「導流堤」が完成していたこともあった。水位が急激に高まり、対応が追いつかなかった経緯が浮かぶ。早く避難に踏み切っていれば救えたのではないかと悔やまれる。国の調査では、浸水の恐れがある場所に立つ全国の高齢者施設などのうち、避難計画を作成済みなのは昨年3月時点で36%にとどまる。千寿園は作成していた。作成を促すと同時に、既存の計画に見落としている点はないか、見直しを進めるべきだ。早めの避難が大切なことは確かだ。ただ、高齢者の移動は心身に与える負担も大きい。人手や時間もかかる。踏み切るタイミングの判断は簡単ではない。避難を促す上で欠かせないのは地元自治体の役割だ。避難の勧告や指示は適切に出て正確に伝わっていたか。検証が必要だろう。2016年の台風で入居者9人が死亡した岩手県岩泉町の高齢者グループホームの事例では、当時の町長が迷いながら結局、避難指示を出せなかった。河川や気象の情報を集めているのは、国土交通省や気象庁など国の機関だ。それが自治体の判断を支えられる態勢になっているかどうかが重要なポイントだ。昨年秋の台風19号災害では、千曲川の堤防が決壊したとの情報が国交省から長野市に伝わっていなかった。情報共有や行政の連携態勢を整える必要がある。高齢者施設は、広い面積が取れて地価が安いなどの理由から、必ずしも安全な場所に立地してはいない。千寿園の地点は、以前からその危険性が知られていた。氾濫の恐れが高い地域への建設を規制するよう求める専門家もいる。災害に強い高齢者施設の在り方は、まちづくりの観点からも考えていかねばならない。

*1-2:https://www.agrinews.co.jp/p51285.html (日本農業新聞 2020年7月7日) 九州豪雨 電線にごみ、屋根に流木「水位ここまで」 熊本県人吉市・球磨村
 JAくま人吉支所球磨村店の屋根と同じ高さにある電線には、氾濫した川の水が運んだ木の枝や草などがぶら下がっていた。球磨川の氾濫で5日まで水に漬かっていた人吉市や球磨村では6日、一夜明けて変わり果てた光景が広がった。屋根の高さまで水が押し寄せ、JAくま管内の支店建物や農地などでも大きな被害が出ている。JA本店の職員らは、5日朝から被害を受けた支所に集まり支援を始めたが、6日も雨は降り続いており、予断を許さない状況が続いている。「普段見慣れている分、余計に衝撃的な光景だ」。JAくま本所から人吉支所に向かう道中、同行したJA職員はつぶやいた。JAくま本所から国道219号を西に進むと球磨川に着く。川を渡ると「九州の小京都」と呼ばれることでも有名な人吉市の変わり果てた光景が広がる。頻繁に行き交う自衛隊の車両や木や電柱には、泥が付着。住宅街には動かなくなった車が点在する。JAでは5日朝、「手の空いている職員は人吉支所に集合」と指示が出て、JA役職員や女性部の部員らが大勢集まった。支所での清掃作業や移動店舗車による臨時の窓口業務を行う。同JAには県内のJAから支援物資を送りたいとの連絡が来ているが、JAの尾方朝則参事は「JAからの協力は非常にうれしい。ただ6日も雨が降り続き、順調に到着できない」と話す。球磨村でも、大きな被害が出ている。JA人吉支所球磨村店には水が屋根の高さまで押し寄せた。店舗から道路の電柱までつながる電線には川から流れ着いた草や、ごみ、布などが付着。押し寄せた水の水位を物語っている。店舗の隣で地元の住民2家族が自宅内の泥のかき出し、水に漬かった家具を外に運び出していた。コンビニには、自衛隊の復旧作業車が10台近く止まっていた。水田には、大量の泥が流れ込んだまま。水田の隣の畑にはトウモロコシが植えてあるが、水の勢いで倒壊寸前まで曲がっている。軒高2メートル以上の2棟のハウスの屋根にも流木や草が付着している。付近の住宅は無残な形で潰れ、原形をとどめていない。JAによると、人吉市や球磨村は5日中に水が引かなかった。さらに6日も雨が降り続いており、被害の実態把握には、時間がかかる見通しだ。

*1-3:https://www.chunichi.co.jp/article/84866?rct=national (中日新聞 2020年7月7日) 九州の豪雨被害拡大 死者52人に、筑後川氾濫
 停滞する梅雨前線の影響で九州は七日も北部を中心に猛烈な雨が降った。気象庁は福岡、佐賀、長崎三県の一部自治体への大雨特別警報を警報に切り替え、引き続き警戒を呼び掛けた。大分県日田(ひた)市では筑後川が氾濫。熊本、大分県境の下筌(しもうけ)ダムは基準水位を越え、緊急放流に踏み切った。福岡県で初めて死者一人を確認。大牟田市では避難所が周辺の冠水で孤立し、県は陸上自衛隊に災害派遣を要請した。熊本県ではこれまでに全県で五十一人が死亡、二人が心肺停止。行方不明者十一人の捜索が続いた。武田良太防災担当相は九州の豪雨について行政上の特例措置を通じて被災者を救済する特定非常災害の指定を検討すると明らかにした。福岡県によると、死亡したのは大牟田市の田中春子さん(87)。六日夜に冠水した自宅で見つかり、病院で死亡が確認された。同市で冠水した避難所は二カ所で、七日午前四時の時点で計二百人以上が身を寄せていたという。筑後川の氾濫を受け、福岡管区気象台と国土交通省は午前八時三十五分、大雨・洪水警戒レベルで最高のレベル5に当たる氾濫発生情報を発表した。

*1-4:https://www.tokyo-np.co.jp/article/40712 (東京新聞 2020年7月7日) 災害派遣2万人態勢に増強 自衛隊、被害拡大のため
 防衛省は7日、九州の豪雨被害に対処する自衛隊の災害派遣の規模を、現行の1万人態勢から2万人態勢に拡大すると発表した。自衛隊は4日から熊本県で人命救助や土砂の撤去に当たっており、九州北部にも被害が広がったため増員が必要と判断した。防衛省によると、7日時点で、熊本県に加え、避難所が水没した福岡県大牟田市や大分県にも部隊を派遣した。これまでは九州を拠点にする部隊が活動してきたが、今後は他の地域の部隊を活用することも検討する。河野太郎防衛相は7日午後、ツイッターで「(熊本県)球磨村の孤立が深刻で、隊員が徒歩で水、食料を届け、安否確認をしている」と投稿した。

*1-5:https://jp.reuters.com/article/suga-kyushu-disaster-idJPKBN2490EL (Reuters 2020年7月8日) 九州での豪雨、激甚災害に指定の見通し=官房長官
 菅義偉官房長官は8日午前の会見で、九州の豪雨被害について、被災した自治体が復旧事業を行う際に国から財政的な支援を受けられる「激甚災害」に指定する見通しだと明言した。同長官は「被災地の早期復旧のために、財政面で不安を持つことなく復旧に取り組むことが大事であり、基準を満たしたものから速やかに行いたい」とした。東京都内で新型コロナウイルスの新規感染者が連日100人超確認されていることについては、3週間ごとの見直しに沿って専門家に議論してもらった上で、都外への外出に気を付けてもらうという中で、予定通り次の段階に制限を緩和する方針だと述べた。

<リスクを考慮した街づくりと既存施設の維持管理>
*2-1:https://digital.asahi.com/articles/DA3S14412053.html (朝日新聞社説 2020年3月22日) 災害と住まい 危ない土地には規制を
 大きな自然災害が近年相次いでいるのに対応するため、政府が土地の利用規制に乗り出すことになった。都市計画法などの改正案を先月閣議決定し、この国会に提出している。ダムや堤防などハード面の整備だけに頼らず、まちづくりの思想から変えていこうという考えは理にかなう。行政はもちろん、住民が認識を深めるのに役立つ審議を期待したい。検討されているのは、▽出水や土砂災害などの危険性が高い「レッドゾーン」は、居住をすすめる区域から除くことを徹底する▽そこでは事務所や店舗、ホテルなどの開発を原則として禁止する▽市街化調整区域内にあって浸水被害が予想される「イエローゾーン」で、住宅開発の許可を厳しくする―などだ。行政の勧告に従わない事業者の氏名を公表できるようにすることも盛り込まれている。がけの下や地盤の弱い土地、川沿い・海沿いの低地、遊水池跡といった危険な地域に、住宅や人が集まる施設がなければ、災害が起きても被害を抑えることができる。だが権利の制限につながるため、どこまで個人や企業の判断に任せ、どこから網をかけるかの線引きが難しく、結果として野放図ともいえる開発が進んできた。しかし気候は激甚化し、地震も頻発する。手をこまぬいているわけにはいかない。被災地でよく目にするのは、被害をうけた工場などが移転して地価が下がった一帯で、宅地開発が進む現象だ。山梨大の調査によると、国や県の浸水想定区域に住む人は、2015年時点で20年前に比べて4%増、世帯は25%も増えている。法改正はこうした動きへの一定の歯止めにはなろう。だが、同じイエローゾーンでも規制強化措置がとられるのは市街化調整区域に限られるなど、踏み込み不足と思える点もある。政府は、宅建業法も今後見直し、不動産取引の際に水害リスクを告げるよう、業者に義務づけることを検討中だ。議論を重ね、危ない土地への居住を減らす方策を広げてほしい。参考になるのは滋賀県が14年に定めた流域治水推進条例だ。リスク告知を努力義務とし、200年に1度の大雨で3メートル以上浸水する土地では、新改築時に地盤をかさ上げしたり2階建て以上にしたりするよう求める。対象エリアに指定するには地域の合意が必要で、県内に50ある候補地区のうち、実現したのはまだ2カ所にとどまる。それでも地域で話し合うことで、リスクの認識は深まる。20年先、30年先を見越して安全なまちをどう築くか。旧来と異なる発想で考えたい。

*2-2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO78834440U4A021C1000000/ (日経新聞 2014/10/24) 堆砂で機能低下のダム100カ所以上、検査院が指摘
 ダム内に土砂が堆積して貯水量が減り、本来の治水機能を発揮できない恐れのあるダムが全国で100カ所以上あることが2014年10月21日、会計検査院の調査で分かった。このところ多発している突発的な局地的豪雨などに対応できないとして、検査院は国土交通相に改善を求めた。検査院が検査したのは、国交省が管理する29ダムと21道府県が管理する182ダムの合計211ダム。検査における着眼点は、点検や計測の実施状況、堆砂への対応状況、緊急時への備えなどだ。
■計画堆砂量の3倍以上に達しているダムも
 指摘が最も多かったのは堆砂への対応状況で、主に3つのケースが見られた。1つ目は、実際の堆砂量が計画堆砂量を上回る状況。計画年数に達していないのに、既に堆砂量が計画堆砂量を上回っている事例が、9府県管理の20ダムに見られた。中には、堆砂量が計画堆砂量の3倍以上に達しているダムも2カ所あった。検査院は、実際に利用できる貯水容量が減少するのに加え、貯水池の上流部に土砂が堆積した場合には、貯水池上流の河川などに影響を及ぼす場合もあると指摘している。2つ目は、土砂が洪水調節容量内に入り込んでいるケースだ。たとえ堆砂量が計画堆砂量に達していなくても、洪水時に本来、貯留できる水量を貯留できなくなり、ダムの下流の河川に影響を及ぼす恐れがある。検査院によれば、国交省所管の14ダムと16道県所管の92ダムでこうした状態になっていた。このほか、11道県所管の48ダムはそもそも洪水調節容量内の堆砂量を算出せず、状況を把握していなかった。3つ目は、現在の堆砂量をダムの貯水量に反映していない例だ。国交省が管理する22ダムと20道府県が管理する130ダムでは、設定貯水量が建設当時のままで、堆砂の測量結果と連動していなかった。検査院はこれらのダムでは貯水位が建設当時よりも速く変化するため、貯水池への水の流入量を正確に測れない可能性があると指摘。放流のタイミングなど、ダムの操作を誤る恐れがあるとしている。
■地震計が壊れていても放置
 河川法に基づく操作規則に定められた点検や計測の履行については、漏水量の計測や設備の点検などが規則どおりに行われていなかった。例えば9県が管理する25ダムでは、「計測値に大きな変化がみられない」ことを理由に、一部の項目について3年以上にわたって計測を止めていた。さらに、3県が管理する5ダムでは点検の際、堤体下部に設置された地震計が故障しているのに気づきながら3年以上も放置していた。このほか、地震計とダム管理者への自動通報装置を接続していないため、地震発生時に速やかに臨時点検ができない状態のダムや、非常用発電設備の燃料が規定を満たす備蓄量に達していないダムも数多く見られた。検査院によると、維持管理に不備のあるダムは、合計201カ所あった。以上の調査結果を踏まえ、検査院は国交省に対して以下の3つの改善処置と自治体などへの周知徹底を求めた。
 1)維持管理に必要な計測を適切に行い、必要に応じて設備の修繕などを施す。
 2)計画堆砂量を大きく上回るなど、堆砂に関わる問題を抱えている場合は適宜、対策を
   検討する。また、堆砂量の測定結果は、ダム操作などに関わる情報に反映させる。
 3)地震発生時に速やかに臨時点検が行える体制を整えるとともに、緊急時に所要の連続
   運転可能時間を確保できるように、非常用発電設備の燃料調達などに万全を期す。

*2-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S14302512.html (朝日新聞 2019年12月21日) 河川やダム氾濫、防止支援900億円 予算案
 10月の台風19号で東日本の広い地域で洪水被害が出たことを受け、地方自治体が河川やダムにたまった土砂やヘドロを取り除いて氾濫(はんらん)しにくくする作業を総務省が支援する。政府が20日に閣議決定した当初予算案で900億円を計上した。来年の通常国会に地方財政法改正案を提出し、土砂の浚渫(しゅんせつ)を地方債の起債対象にする一方、起債額の70%を地方交付税で措置する。事業は2024年度までの5年間の予定で、事業費は計4900億円を見込む。

<地域エネルギー>
*3-1:https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/061800007/062500005/ (日経BP 2015.6.29) ■総論■地域エネルギービジネス、動く
 日本各地で、地域密着型のエネルギー事業が立ち上がっている。大きな流れの一つが地域新電力(特定規模電気事業者、PPS)である。背景にあるのは、電力小売りの全面自由化。再生可能エネルギーなど地域の資源を活用した電力を購入し、小売りすることに新たなビジネスチャンスを見出し、数多くの事業者がPPSに名乗りを挙げている。地域の資源を生かしてエネルギーを生み出すとともに、その電力を地域で消費すれば、エネルギーに関わる資金は地域内で還流する。そして資金の動きが活発になれば、地域の活性化につながる――。地域エネルギービジネスの根底にある、この地域活性化の効果に目をつけているのはPPSだけではない。地方自治体の中にも、地方創生に向けてエネルギービジネスに取り組む例は少なくない。PPSの動きの中にも、自治体が関与しているケースがいくつかある。再生可能エネルギーなど地域の資源を生かした電力は、燃料の製造、配送をはじめ、地域の雇用を生み出す。事業が活性化して市外にも流通すれば、収益が膨らむ。加えて、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)により、電力会社に売電できれば、新たな収入源になる。とはいえ、エネルギー産業は多額の初期投資が必要になる。地域内で安定的に燃料を確保し、配信できる体制づくりも欠かせない。しかも、その仕組み・体制づくりやノウハウは、太陽光・バイオマス・風力・小水力など、発電の方式によって全く異なる。そこで一部の自治体は、地元企業とタッグを組んで課題解決に挑んでいる。

*3-2:https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/nishinippon/region/nishinippon-1000574509 (西日本新聞 2020年1月10日) 南阿蘇で小水力発電着工 湧水生かし21年春から事業開始
 熊本県南阿蘇村に豊富な湧水を活用した小水力発電施設が整備されることになり、8日に現地で起工式があった。棚田を潤す農業用水を発電にも有効利用する県内初の試み。来年4月から事業を始め、一般家庭350戸分を発電する計画。売電収入の一部は地元の農業団体に還元され、農業振興にもつなげていく。施設が整備されるのは、緩やかな棚田が広がる久木野(くぎの)地区。全長約1キロの地下導水路を整備し、36メートルの高低差を利用してタービンを回し、最大出力199キロワットを発電する計画。売電収入は年間4600万円の見込み。このうち400万円は利水料として、地元農家でつくる久木野村土地改良区(567人、580ヘクタール)に配分される。小水力発電を巡っては、地域に眠る自然エネルギー活用に向け、県とNPO法人・くまもと温暖化対策センターが2009年から事業候補地を検討。36カ所から南阿蘇村が選ばれ、14年に事業認可された。ところが、東日本大震災後に太陽光発電施設が急増して送電トラブルが生じていたほか、16年の熊本地震で建設用地が被災し、着工が遅れていた。この日は、村と関係団体、運営会社の協定調印式もあった。総事業費は3億8千万円で運営会社が全額負担する。旧清和村長で同センター副理事長の兼瀬哲治さんは「農山村は、豊かな自然エネルギーの供給基地でもある。発電収益を地域に循環させることで、持続可能な農業や景観保全につなげていってもらいたい」と話した。

*3-3:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53748060U9A221C1TJ3000/?n_cid=DSREA001 (日経新聞 2019/12/25) 事業電力を100%再エネに 日本企業、欧米勢に後れ
 事業に必要な電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す、国際的な企業連合「RE100」に加盟する日本企業が30社に達した。背景には、取引条件として環境対応を重視する顧客の要望がある。ただ実績では欧米勢に大きく後れを取る。再生エネの調達コストが高い日本で、どうやって実効性を高めるかが課題になっている。楽天は17日、RE100に加盟し、2025年までに事業活動の電力を100%再生エネにすると発表した。データセンターや物流拠点で多くの電力を消費する同社だが、近年は再生エネ関連サービスにも注力する。同社の小林正忠常務執行役員は「イノベーションによる気候変動対策への貢献を目指す」とコメント。今後は本社だけでなく、楽天市場の出店店舗や楽天トラベルの加盟宿泊施設に対しても、再生エネの導入を支援していく方針だ。14年に発足したRE100は世界約220社が加盟、売上高合計は5.4兆ドル(約590兆円)に達する巨大連合だ。日本企業は17年のリコーを皮切りに、今秋以降にも東急やLIXILグループなどが参加。小売りや金融など幅広い業種に広がり、楽天の参画で加盟数は30社になった。数では一定の存在感を持つ日本勢だが、肝心の再エネ利用率では欧米勢に大きく後れを取る。RE100を主導する英国の非政府組織(NGO)によると、18年に再生エネの比率が95%を超えたのは45社で、ほぼ全てが欧米企業。日本企業のほとんどは25%未満(73社)のグループに属する。19年7月に再生エネ100%を実現した城南信用金庫など一部を除き、大半の企業にとって目標達成は遠い。取り組みの遅れは、企業の競争力に影響を与えはじめた。グローバルでの商取引では「再生エネの導入が前提条件になりつつある」(公益財団法人・自然エネルギー財団の石田雅也氏)ためだ。リコーは19年度から、国内外の5工場を対象に、主力製品のA3複合機の組み立てに使用する電力を100%再生エネに切り替えている。欧州を中心とした海外の大口顧客は、再生エネの利活用を購買判断の基準にしているためだ。「商談などでも重視され、未対応はリスクでしかない」と同社は説明する。今年RE100に加盟したパナソニックも、年内にも国内外の4工場で電力を100%再生エネにする計画だ。だがこうした動きは、有力企業の一部にとどまる。先進的とされるリコーでも全社の再エネ比率は18年時点で9%。19年度中に多少高まるが、100%を実現するのは50年になる見通しだ。一方で海外大手ははるかに先を行く。米アップルは世界中のサプライヤーに再生エネの導入を推奨。既に40社以上がアップル向け生産ラインで再生エネ100%を実現した。日本でも日本電産など3社が対応している。原動力はESG(環境・社会・企業統治)投資の動きだ。米ゴールドマン・サックスは12月中旬に、石炭火力発電や石炭採掘事業への融資を削減することを表明。環境対策を強化する企業に多くの投資資金が流れ込む。その象徴が資金の使い道を環境事業に絞った環境債(グリーンボンド)の急増だ。19年は2500億ドル(約27兆円)を超え、過去最高を更新した。アップルは11月、20億ユーロ(約2400億円)の環境債を発行した。環境意識の高い大企業がマネーを呼び込み、再生エネの「経済圏」を拡張し企業価値を高めていく。再生エネの導入に二の足を踏んでいては、この流れに乗り遅れかねない。RE100を推進する業界団体「JCLP」の石田建一・共同代表(積水ハウス常務執行役員)は、「日本企業も再生エネの利活用方針を明確に打ち出し、具体的な実効策に着手する段階に来ている」と強調する。
■太陽光、風力 高コストがネック
 企業が再生可能エネルギーの利活用を進めるには、「理念」だけでは不十分だ。経済合理性を度外視した取り組みは株主の理解を得られず、持続性もないためだ。その点で日本企業は大きなハンディを背負っている。経済産業省の資料などによると、日本における太陽光発電のコストは17年に1キロワット時あたり17.7円で、陸上風力発電は15.8円。一方、世界の平均コストは太陽光が9.1円、陸上風力が7.4円だ。日本政府が30年に実現を目指す水準を、既に達成している。再生エネ比率を高める上では再生エネ価値を取引する「証書」を購入する手法も有効だが、通常の電力調達より割高になる。証書による調達に加え再生エネ電源への直接投資などを進めなければ、日本企業が海外勢に追いつくのは難しい。再生エネ価格の高止まりは、海外企業が日本進出をためらう原因にもなる。米グーグルは千葉県に日本初のデータセンターを開設する計画だが、再生エネの調達で難航する可能性もある。仮に化石燃料由来の電力を使うようなら、再生エネ比率が下がってしまう。「日本への直接投資の広がりにも水を差しかねない」(業界関係者)。アップルやソニーなど、RE100に加盟する大手20社は6月、日本の電力に占める再生エネ比率を30年に50%に引き上げるよう求める提言を発表した。政府は30年にこの比率を22~24%に引き上げる目標を掲げ企業への支援を強化する方針だが、今後はより踏み込んだ環境整備も重要になりそうだ。

<では、どうするべきか?>
PS(2020年7月9日追加):*4-1は、熊本県南部を中心とした豪雨により、球磨川の12カ所が氾濫・決壊し、土砂崩れも続いて犠牲者が増えているため、国交省が打ち出している「流域治水」を球磨川はじめ河川ごとに急いで計画策定するべきだとしている。具体的には「①土砂災害の危険性がある地域の開発規制や住宅移転」「②雨水をためる遊水地、ビルの地下貯水施設整備」「③ため池や田んぼの貯水機能の活用」「④高架道路の避難所活用」「⑤鉄道橋の流失防止のための補強」などを進めるそうで賛成だ。特に、川底やダムの掘削は、掘削された土砂を使って堤防のかさ上げや埋め立てができるため、同時に行った方が効率的である。また、*4-2のように、中部地方でも豪雨被害で、岐阜県・長野県で4,300人が孤立し、下呂市小坂町で飛騨川沿いの国道41号が約300mにわたって崩落したほか、道路の崩壊や冠水が相次いでいるそうだ。
 日経新聞も、*4-3のように、2020年7月9日、「⑤九州や岐阜県を襲った豪雨で8日までに115河川が『氾濫危険水位』を超えた」「⑥梅雨末期の豪雨が広範囲に及んで氾濫危険水位を超えた河川数はこの5年間で5倍に増加した」「⑦気候変動で豪雨が増え、河川の安全度が下がっている恐れがある」「⑧ハード整備だけでなく、流域全体の治水対策が急務だ」「⑨地球温暖化などの影響で河川の氾濫リスクが高まっている」「⑩国交省は20年度から行政・民間企業・地域住民らが連携して『流域治水』を進める」としている。私も、避難ばかりしており、体育館等で長期間を過ごすのは文明国の国民のすることではないため、早急にITや5Gの普及だけではない安心して暮らせるスマートな街づくりを企画すべきだと考える。
 なお、*4-4のように、EUの欧州委員会は、2020年7月8日、水素を脱炭素計画の中心に据えて、運輸や産業でも排出ゼロをめざし、景気浮揚にも繋げ、世界をリードするための水素戦略を公表したそうだ。「パリ協定」は地球規模のCO₂排出量を実質0にすることをめざしており、EUは2050年までに域内の温暖化ガス排出を実質0にする目標を掲げているため、コストは下げられるだろうし、これなら投資価値がある。水素燃料電池は日本で開発されたのだが、おかしな批判や対応が多くて日本では普及せず、これもEUで先に市場投入されることになったわけだ。

  
    2020.7.9朝日新聞            2020.7.9中日新聞

(図の説明:1番左の図のように、岐阜県・長野県でも豪雨被害があり、右の3つの図のように、河川の氾濫やがけ崩れによる被害となっている)

*4-1:https://kumanichi.com/column/syasetsu/1518004/ (熊本日日新聞 2020年7月9日) 流域治水 球磨川でも新たな計画を
 県南部を中心とした3日からの豪雨では、球磨川の12カ所が氾濫・決壊した。土砂崩れも相次ぎ、犠牲者は日を追って増えている。活発化した梅雨前線はさらに福岡や大分県など九州北部、中部地方にも被害を及ぼした。人命のみならず、家屋の浸水、橋の流失、道路や堤防の崩壊など、各地に大きな爪痕を残している。今年に限ったことではない。日本列島は、死者が数十人を超えるような風水害に毎年のように見舞われている。そうした現状を踏まえ、国土交通省が防災・減災の新たな在り方として打ち出したのが「流域治水」である。ダムや堤防だけに頼るのではなく、流域のあらゆる力を集めて豪雨災害を防ぐ、という考え方だ。地球規模の気候変動の影響で、水害を含めた自然災害は大規模化・頻発化している。もはや従来のやり方では対処できず、国交省の方向性は間違っていないだろう。球磨川をはじめ、河川ごとの計画を急いで策定するべきだ。これまで治水は、主に国管理の多目的ダム(治水・利水)や河川の堤防を中心に考えられてきた。だが、ハード整備には時間がかかり、それだけに頼るのは限界がある。このため新たな考え方では、国、自治体、企業、住民など流域のあらゆる関係者に協力を求め、ソフトを含め対策を総動員する。具体的には(1)土砂災害の危険性がある地域の開発規制や住宅移転(2)雨水をためる遊水地、ビルの地下貯水施設整備(3)ため池や田んぼの貯水機能の活用(4)高架道路の避難所活用(5)鉄道橋の流失防止のための補強-などを進める。農業や発電用の利水ダムについても、大雨を予想して事前放流し、雨水のせき止めに役立てる。多くは自治体や電力会社の運営だが、国は全国955カ所のダムと既に協定を結んでおり、事前放流が可能になっている。国交省は全国109の1級水系について、地域の実情に応じた「流域治水プロジェクト」を策定するとしている。一刻も早く実行してもらいたい。1級河川の球磨川水系では、1963年から3年続けて大きな洪水が発生。国は66年、治水目的の「川辺川ダム」建設計画を発表した。しかし流域に賛否もあって事業は進まず、2008年に蒲島郁夫知事が建設反対を決めた。その後、国、県、流域自治体で「ダムによらない治水」の在り方を協議。川底掘削、堤防かさ上げ、遊水地の整備などを組み合わせた10案が候補に挙がった。だが現在までに決定には至らず、その中で今回の豪雨災害が起きた。また、球磨川流域では県営市房ダムなど6ダムで事前放流が可能となっていた。だが、豪雨の予測が難しいこともあって現実には実行されず、今後に課題を残した。国、県、自治体は今後、「流域治水」の考え方も踏まえて球磨川水系の新たな治水プロジェクトを策定すべきだ。その根底には当然、今回の被害の検証がなければならない。

*4-2:https://www.chunichi.co.jp/article/85971 (中日新聞 2020年7月9日) 岐阜・長野で4300人孤立 中部でも豪雨被害、9日以降も大雨警戒
 梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、中部地方は八日、各地で大雨となった。岐阜県では下呂市や高山市で道路が寸断されるなどし約四千人が孤立。長野県でも観光地の上高地につながる国道で土砂崩れが起き、宿泊客ら三百人以上が孤立している。岐阜、長野両県に一時、大雨特別警報が出され、その後解除されたが、気象庁は九日以降も大雨を予想。これまでの雨で地盤が緩んでいる所もあり、引き続き厳重な警戒を呼び掛けている。岐阜県では下呂市萩原町の飛騨川と、白川町河岐の白川と飛騨川の合流地点で氾濫が発生した。同県は大雨特別警報が出された下呂、高山、中津川など六市に対し、災害救助法の適用を決めた。六市ではピーク時に計二十一万九千人に避難指示が出た。八日午後十一時半現在、下呂市など四市町で百九十六人が避難している。けが人は見つかっていない。下呂市小坂町で、飛騨川沿いの国道41号が約三百メートルにわたって崩落したほか、道路の崩壊や冠水などが相次ぎ、高山、下呂、郡上の三市の計十七集落で約四千人が孤立。九日にはいずれも解消される見通し。

*4-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200709&ng=DGKKZO61296530Y0A700C2CC1000 (日経新聞 2020.7.9) 115河川「氾濫危険水位」、増える豪雨、広域で被害 流域全体で対策急務
 九州や岐阜県などを襲った今回の豪雨で、8日までに115河川が「氾濫危険水位」を超えた。梅雨末期の豪雨は近年、広範囲に及び、氾濫危険水位を超えた河川数は5年間で5倍に増加。気候変動で豪雨が増え、河川の安全度が下がっている恐れがある。堤防建設などのハード整備だけでなく、流域全体の治水対策が急務だ。8日は岐阜県で非常に激しい雨が降り、山間部の下呂市で飛騨川が氾濫。大分県でも日田市の筑後川と由布市の大分川が氾濫した。国土交通省によると、8日午後2時時点で氾濫危険水位を超えていたのは長野県の木曽川や犀川など7。今回の豪雨で一時、氾濫危険水位を超え、すでに下回った河川も108に上った。地球温暖化などの影響で河川の氾濫リスクは近年高まっている。国交省によると、氾濫危険水位を超えた河川数は2014年に83だったが、19年は403と5年で5倍に増加した。17年の九州北部豪雨や18年の西日本豪雨など、梅雨末期の豪雨が広範囲で河川氾濫を引き起こすケースも多い。増える災害に対して、堤防建設などのインフラ整備はコストと時間がかかるため、国交省は20年度から行政や民間企業、地域住民らが連携してインフラ整備に頼らない「流域治水」を進める。戦後最大の洪水と同規模の災害を想定し、流域ごとに雨水貯留施設やため池の活用、工場の浸水対策などを検討する。同省担当者は「河川管理区域内だけの対策では限界があり、行政だけでなく関係者全体を巻き込みたい」と話す。福島、宮城両県を流れる阿武隈川、新潟、長野両県にまたがる信濃川など、昨年の台風19号による河川氾濫の被害が大きかった9都県の7水系で計画が進んでいる。埼玉県の入間川流域では県や市町、河川事務所が連携し、1月末に計画を公表した。20年度は決壊箇所の災害復旧や遊水池の整備に取り組む。プロジェクトには避難行動を時系列で示す「マイ・タイムライン」の普及などのソフト対策も盛り込んだ。治水対策に詳しい京都大の今本博健名誉教授(河川工学)は「国内ではダムによる治水が重視され、堤防の補強や川底を掘削して流量を増やすなどの対策が遅れてきた」と指摘。一方で「従来の治水対策の範囲では今回の雨量で洪水を防げなかった可能性がある。避難計画やまちづくりも含めた幅広い視点で、被害を減らす取り組みが必要だ」と話している。

*4-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200709&ng=DGKKZO61293600Y0A700C2FF8000 (日経新聞 2020.7.9) EU、脱炭素の柱に「水素」 戦略公表、景気浮揚狙う
 欧州連合(EU)の欧州委員会は8日「水素戦略」を公表した。燃焼しても温暖化ガスを排出しない水素を脱炭素計画の中心に据え、運輸や産業でも排出ゼロをめざす。景気浮揚にもつなげる。世界での脱炭素競争をリードする考えだが、コストが課題となる。「この戦略の狙いは(温暖化ガスの)排出ゼロ達成と、新型コロナウイルスが経済に与えたダメージの克服だ」。欧州委員会のティメルマンス上級副委員長(気候変動担当)は8日の記者会見で力説した。EUは2050年までに域内の温暖化ガス排出を実質ゼロにする目標を掲げている。これまで力を入れてきた再生可能エネルギー普及は排出のない電力を通じ、家庭やオフィスの脱炭素に貢献しているが、排出ゼロには産業や運輸部門の脱炭素化が欠かせない。だが大型の飛行機や船舶、トラックの電化は難しい。鉄鋼やセメントなどの産業でも現状は石炭を使う必要がある。水素を活用すれば、こうした課題を解決できると期待されている。水素を使う燃料電池車は一部で実用化されている。50年には世界のエネルギー需要の24%を水素がまかなうとの分析もある。水素戦略によると、域内で24年までに水を電気分解して水素をつくる装置を6ギガワット分整備。30年までに40ギガワット超に拡大する。実現に向け、「水素版エアバス」とも言える官民の「クリーン水素連合」を設ける。複数の欧州企業が知見を共有し、水素の生産から輸送、利用までを手掛ける企業連合をつくる。20年に500社が参加し、24年に1千社の参加を見込む。欧州委は50年までの累計投資額は1800億ユーロ(約21兆円)から4700億ユーロにのぼるとみている。関連事業を手掛ける企業を資金面などで支援する仕組みを設け、新技術導入を阻みかねない規制の緩和を検討。21年までにルールを改正し、車や船のための水素充填施設の整備を加速させる。EUとは別に、7月からEU議長国となったドイツも総額1兆円を超える投資計画を発表。内閣改造があったフランスも一段と新エネルギー開発を強化する見通しだ。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は、地球規模での排出を将来、実質ゼロにすることをめざす。水素は次世代エネルギー源の一つとして注目される。日本や中国のほか、石炭産出国のオーストラリアや産油国のサウジアラビアなども研究。国際エネルギー機関(IEA)は2日公表の報告書で排出ゼロのカギを握る技術に水素、CO2回収、電池などをあげた。当面はコスト引き下げが重要になる。EUによると、水素生産装置の価格は過去10年間で6割下がったが、30年までにさらに5割減らす。

<原発と安全保障>
PS(2020年7月5日追加):*5-1のように、政府は、中国を意識して敵基地攻撃能力の保有に踏み切るかどうかの検討を始めたそうだが、「①先制攻撃との線引きができなければ、専守防衛からの逸脱になる」「②平和主義や戦争放棄という憲法の理念に背く」というのはもちろんのことだが、敵基地として攻撃されて黙っている国はないため、原発を早々に手じまって使用済核燃料もどこかの地下深くもしくは海底の深い場所に始末しておかなければ、動けない原発を狙った数発のミサイルで、日本中が住めない国になる。
 日本政府は、③科学的検証力の弱さ ④後進性(航空機の時代に巨艦主義採用、国際法から逸脱した野蛮な行為、戦略なき進軍、運と精神論への依存、国家のためとした国民への死の強制など) ⑤縦割行政による無責任体制 があって第二次世界大戦に負け、これに懲りて戦争放棄を日本国憲法に入れたにもかかわらず、③④⑤は今でも変わらないのに、日本国憲法の戦争放棄部分をなし崩し的に変えるのは歴史の歯車を逆に回す危険な行為だ。また、サイバー攻撃やバイオ兵器も使える現代は、原爆も過去の兵器となりつつある。
 しかし、*5-2は、「⑥低効率の石炭火力発電所を休廃止する」「⑦2030年度の電源構成は原子力20~22%、再エネ22~24%、残り56%は石炭・石油などの化石燃料」「⑧これはフクイチ事故後の2014年に定められ、2018年の見直しでも据え置かれた」「⑨20~22%の電力を確保するためには約30基の原発が必要だが、再稼働した原発は9基に留まる」「⑩原発は重要なベースロード電源」等としている。これは、⑦⑧のように、人為的に電源構成を定めた点が誤りなのであり、⑨⑩は原発を護り、⑥は化石燃料を護っている。地球温暖化にはCO₂だけ削減すればよいというのも③の典型例で、原発が温排水により海を温めていることは周知の事実だ。また、「世界の潮流だから逃れられない」としているのも、自分でよいものへの改革ができない③④の事例だ。さらに、省庁横断的に見れば矛盾だらけで、二重三重に計上され無駄遣いの多い政策や予算は、⑤が変わっていないことを意味する。つまり、再エネを猛烈に伸ばせば全エネルギーを代替できるため、エネルギー源を人為的に配分して原発や化石燃料を市場淘汰から護る「エネルギーミックス」により、公害を出すエネルギーを温存する必要はないのだ。

   

(図の説明:1番左は、科学技術予算のGDP比で、日本の地位低下が目立つ。また、左から2番目は農業地帯で利用できる小水力発電の全体像で、右から2番目は山の尾根沿いに設置された風力発電だ。1番右は、漁業地帯の養殖施設に併設された風レンズ風車で、一般の風車より効率的に発電できる)

*5-1:ttps://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=658905&comment_sub_id=0&category_id=142 (中国新聞 2020/7/5) 敵基地攻撃能力 専守防衛からの逸脱だ
 政府は、山口、秋田両県で進めてきた地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の計画断念を受け、敵基地攻撃能力の保有に踏み切るかどうかの検討を始めた。国家安全保障会議(NSC)で議論して、9月にも方向性を出すという。北朝鮮や中国を仮想敵として日本に向けてミサイルが発射される前に、弾道ミサイル発射基地やミサイルを攻撃しようというのだ。相手国の基地の場所を確認し、防空能力を無力化しておく必要があり、十分な打撃を与える力も欠かせないなど、実現には高いハードルがある。先制攻撃との線引きができなければ、自衛とはいえなくなるだろう。戦後、堅持してきた専守防衛からの逸脱になりかねない。平和主義や戦争放棄という憲法の理念に背くことにもなる。看過できない。自民党は既に前のめりだ。防衛相経験者らを中心に検討チームを設け、論議を始めた。提言をまとめ、政府のNSCの議論に反映させる考えだ。「北朝鮮よりも中国を意識している」(党幹部)という。背景には、沖縄県の尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返すなど、海洋活動を活発化させる中国に対する警戒感の高まりがある。党内にも慎重論はある。岩屋毅前防衛相は「地上イージスが難しいからといって、一足飛びに敵基地攻撃能力を考えるのは論理の飛躍だ」と強調する。連立を組む公明党は否定的である。山口那津男代表は「武力行使を未然に防ぐ外交的な取り組みに力を入れるべきだ」と指摘する。当然だろう。政府はこれまで、米国との役割分担として、敵基地攻撃能力は米側に依存するとしてきた。なぜ今、抜本的に方針転換するのか。地上イージス断念を受け安倍晋三首相は「防衛に空白が生じてはならない」と言う。しかし地上イージスの配備は計画では5年後の2025年以降。それまではイージス艦で対応する方針だった。敵基地攻撃能力の保有を巡り、今秋までに急いで方向性を出す必要性があるのか。地上イージス断念の経緯の検証こそ急務のはずだ。敵基地攻撃能力の論議は1956年にさかのぼる。当時の鳩山一郎首相が「座して自滅を待つというのが憲法の趣旨とは考えられない」と指摘。攻撃を防ぐのに他に手段がないと認められる限り、法理的に自衛の範囲との見解を示した。以来、政府は憲法上可能との考えを踏襲しつつ、専守防衛の観点から保有しない立場を取ってきた。2006年、北朝鮮が相次いで弾道ミサイルを発射したのを受け、当時の防衛庁長官が必要性を表明した。しかし小泉純一郎首相は「憲法上の問題がある」と否定した。ところが安倍首相は政権に返り咲いた12年末以降、保有論議を再燃させた。ただ当時のオバマ米大統領から、中国などを刺激するとして懸念を示された。妥当な指摘だろう。核実験やミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮には、国際社会と連携して非核化するよう説得を続ける必要がある。近隣諸国との有効な関係づくりに努めれば、敵基地攻撃能力は不要だ。武力に武力で対抗するだけでは平和で安全な地域づくりには、つながらない。政府は肝に銘じるべきである。

*5-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200710&ng=DGKKZO61341880Z00C20A7EA2000 (日経新聞 2020.7.10) エネ政策、不作為に限界 脱炭素、原発に国の関与不可欠
 脱炭素のうねりが迫るエネルギー転換や電力・ガス市場の自由化など、エネルギーをめぐる環境が内外で変わりつつある。速度を上げる変化に日本がのみ込まれようとしているときに、エネルギー政策は不作為とも言える思考停止が続く。現実を直視した計画に作り直すときだ。梶山弘志経済産業相は9日、洋上風力発電を拡大させる方針を表明した。3日には低効率の石炭火力発電所を休廃止する考えを示している。エネルギー政策を担う経産省は長期指針である「エネルギー基本計画」の見直しに向けた地ならしを急ぎ始めた。現行の計画は2030年度の電源構成について、原子力を20~22%、再生可能エネルギーを22~24%、残り56%を石炭や石油などの化石燃料でまかなうとする。東京電力福島第1原子力発電所の事故後の14年に定められ、18年の見直しでも据え置かれた。この比率実現が、温暖化ガス排出を30年度に13年度比で26%減らす国際公約の前提になっている。しかし、目標年度と定める30年度まで残り10年に迫り、掲げる数字の非現実性があらわになりつつある。なかでも原発だ。20~22%の電力を確保するためには約30基の原発が必要だが、再稼働した原発は9基にとどまる。福島原発事故から来年で10年、国民の原発に対する信頼回復は進まない。関西電力で発覚した原発立地をめぐる金品受領問題は不信を増幅した。金品の渡し手となった元助役のような人物がどうして影響力を持つようになったのか。「重要なベースロード電源」と位置付けながら、立地対策を含め、運営を電力会社に丸投げしてきた国策民営の限界がある。原発は有力な脱炭素の手段となりうる。国民が受け入れて使い続けるには、立地対策や使用済み燃料の処理、核燃料サイクルなど、国がもっと前に出て関与しなければならない。それは政治と行政の責任でもある。国際エネルギー機関(IEA)によれば、世界の発電量に占める太陽光や風力など再生エネの比率は40年に44%となり、石炭や天然ガスを上回る最大の電源になる。日本もこの潮流から逃れられない。石炭より発電コストが高くても伸ばすなら、国民に受け入れてもらうよう説明を尽くす必要がある。広大な海洋をいかした洋上風力を増やす。導入拡大のネックとなる送電線利用のルールを見直す。発電した場所で電気を使う分散型システムの導入を促す。原発に温暖化ガス削減を期待できないとすれば、あらゆる政策を動員して再生エネを主力電源に育てていかねばならない。ただし、エネルギー政策は温暖化対策だけでない。安全や供給の安定性、経済性などの要素を考慮する必要がある。国際的に割高な電気料金をどう下げるのか。地政学リスクに伴う供給途絶をどう回避するのか。エネルギー戦略の立案とはこうした要素の最適バランスを見つける作業だ。現行のエネルギー基本計画では30年度に電源構成の56%を化石燃料でまかなう。再生エネを最大限伸ばしても、すべてを代替するには力不足だとすれば、脱炭素に配慮しながら化石燃料を使い続ける方法を考えるしかない。石炭に比べて、温暖化ガスの排出が少ない液化天然ガス(LNG)の利用拡大が現実解になるとしても、輸入頼みのLNGには地政学リスクがつきまとう。これをどこまで増やせるのか。現実を見据えたエネルギーの最適組み合わせ、いわゆる「エネルギーミックス」の議論を早急に始めなければならない。

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