■CALENDAR■
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30       
<<前月 2017年04月 次月>>
■NEW ENTRIES■
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■OTHER■
左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。

2016.10.9 TPPや農協叩きでは農業の生産性は向上せず、農林水産業の付加価値向上、生産性向上、輸出増には普段からの継続的改善(Continuing improvement)が重要なのである。 (2016年10月10、13、14、15、24、26日、11月1、2日に追加あり)

     TPPの範囲           TPPに関する     交渉参加に関する   TPPによる 
                       政府と野党の主張       決議       生産減少額
     
2015.11.26朝日新聞  2015.11.18日本農業新聞  2016/3/30及び10/11日本農業新聞
   TPP関連施策      攻めと護りに分けた施策     2016年度の農林水産関係予算 

(図表の説明:農業者が海外に販路を広げる方法は多いため、TPPは必要条件ではない。にもかかわらず、国会決議を無視し、農業はじめ日本へのデメリットを過小評価してTPPに驀進するのは問題が大きく、後で後悔しても取り返しがつかない。また、交渉結果とその正確な影響を示して国会で議論されていないため、国民の納得は得られていない。なお、TPP対策として行われる施策は、強い農業を作るためにはTPPとは関係なく必要なものも多く、予算は大きいが無駄遣いになりそうな項目もあるので、全体としてどれだけの予算を農業・TPP対策としてつぎ込み、どれだけの効果があったかの検証が必要だ)

(1)「破壊すれば創造に繋がる」というのは甘すぎる
 *1-1のように、神戸大学の三品教授(専門は経営戦略論)が「破壊を伴う創造行為が産業競争力を左右する」とし、①日本の産業競争力起死回生の鍵は創造的破壊 ②生産現場は強いが大変化には対処できない ③米産業はネットワーク経済で強みを発揮している ④なぜ日本の絶頂期は一瞬で終わってしまったのか ⑤国はもはや産業競争力のけん引役とはなり得ない 等々、書いておられる。

 しかし、①については、常日頃から必要な改革・改善はやり続けなければならず(英語は、Continuing improvement)、それを怠って破壊すれば新しいものが創造されると考えるのは甘すぎ、次に創造するものの形が見えていなければ破壊されただけに終わって創造はできない(ピンチをチャンスに変えることはできない)。また、次に創造するものは、当然のことながら実需で裏付けられていなければ成功しない。そして、国が実需を決めることはできないため、⑤のとおり、日本は、国主導で産業競争力の牽引を行う段階ではないのである。

 また、②については、製造業は国の重点産業とされ、国民の安い賃金と勤勉さに支えられて国際的にも強かったが、重点産業とされなかった産業や公的資金で支えられてきた産業は生産性が低い。しかし、現在では日本国民の賃金は安くなく、高コスト構造も残ったままで、他に賃金の安い多くの国が製造業に参入してきたため、製造業も比較優位ではなくなったのである。さらに、日本の製造現場は優秀だが、狭い範囲の改善はできても経営意思決定を伴う改革はできないので、国民の人口構成や環境変化に伴う需要の変化に合った製品にシフトする大きな改革は、営業を踏まえた経営からしかできない。

 ③は、日本でも経済のネットワーク化は既に進んでおり、そのネットワークは国境を超えているが、ネットワーク化の必要性は個々の経営体で異なり、ネットワーク化を進めさえすればよいわけではない。

 また、④の日本の絶頂期が一瞬で終わってしまった理由は、i)日本は共産主義や朝鮮戦争で市場経済において競争相手なき生産者を担うことができたという千載一遇の幸運の下にあったが、その時代が終わり、それらの国々が安い賃金で競争相手として参入してきたこと ii)日本は幸運の下で工業生産において比較優位の輸出国になっていたが、それを他国と異なる技術力・勤勉さを持っている結果と勘違いして傲慢に振舞い、速やかに環境変化に対応せずに蓄えを費やしたこと iii)そのため低賃金で高い生産性を持つ振興国に太刀打ちできなくなったこと iv)それでも産業構造を変えずに同じスキームを続けようとしていること 等であり、政治・行政・経済学者・経営学者・経営者等のリーダーが問題なのである。

 このような中、*1-2のように、米国では、次期大統領候補がTPPへの反対姿勢を示して発効への道筋が不透明になっているのに、日本政府は妥協を重ねて交渉をまとめた上、TPPの承認を急いで発効への機運を高め、他国の手続きを後押しするとのことである。もともと、TPPの発案者は日本の経産省で、事実に即してよく考えられたスキームではなく、一体化しさえすればグローバル化して輸出入が増えるという安易な思い付きで締結を進めているため、交渉内容や根拠は、開示して議論するに堪えるシロモノではなく、破壊しさえすれば創造できると考えている恐るべき政策なのである。

 そのため、破壊されれば後戻りできない農地を有する農業分野に反対や慎重が多く、与党はTPPで予想されるメリットとデメリット、デメリットに対する対策とその効果を検証して、TPP参加への当否を決めるべきである。なお、*1-2にも、TPPで関税をなくしたり引き下げたりすれば製造業の輸出が活発になるかの如き記載があるが、実際にはTPPにより食品の輸入が増え、食品安全基準における主権を失い、生産コストの高い日本から外国への製造業の製品輸出は増えず、農業で独り負けして食料自給率を減らすだけだと思われる。

 それでも、*1-3-1のように、首相が「TPP協定の承認案と関連法案の早期成立を目指し、他国に先駆けて国会で協定を承認して早期発効に弾みをつけるのが、自由貿易で経済発展を遂げたわが国の使命」などとしているのは、古い発想から抜け出せない経産省(経済界はその下部団体)の言いなりになっているためだが、このように役人(官)を使うどころか使われる人が連続して議員に当選して大臣や首相になっていくのが、日本の民主主義の未熟な点である。

 また、*1-3-2は、「民進党にも隠れ賛成派がいるため、TPP反対に歯切れが悪い」と書いているが、民進党にも経産省系の議員や農業の育成より低価格の農産物という都市部出身の議員や製造業出身の議員はおり、自民党と同様だろう。しかし、本当に国益を護り、日本の将来に悔いを残さないか否かは、正確に日本語に訳された黒塗りでない資料を基に、影響調査や議論を行ってから判断すべきだ。

(2)農水省がTPP対策に3453億円もの補正予算を計上したが・・
 *1-4-1のように、農水省は8月23日、農林水産関係の総額を5739億円とする2016年度第2次補正予算案を自民党の農林関係合同会議に示して了承され、これは、2015年度補正予算を43%上回る大幅増だそうだ。このうちTPP関連対策に2015年度11%増の3453億円、土地改良(農業農村整備)関連事業に同77%増の1752億円を確保したそうだが、TPP対策で総計いくら使って何をし、どういう効果があったのかを、明らかにすべきだ。

 また、*1-4-2のように、9月27日、農林水産省は国内外での農産物の販売促進に充てるために、TPP対策の一環として農家から拠出金を集めるという論点を自民党の会合で示したそうだが、原発の販促は首相まで海外訪問して熱心に取り組み、経産省が製造業の販促をするのは無償であるのに、農水省が農産物の販促のためにTPP対策の一環として農家から拠出金を集めるのはおかしい。

(3)TPPは、日本政府(経産省)の主導だが、ぶっ壊すだけであること
 *2-1のように、TPPの経済効果について、米国は日本への農産物輸出増を約4,000億円と試算し、日本政府は米国以外の影響も含めて日本での生産減少額は1,300億~2,100億円に留まると試算している。品目別では、米国は米の対日輸出額が23%増えるとし、日本は生産減少額は0としており、牛肉も米国は対日輸出が923億円増とし、日本は生産減少額は311億~625億円としているため、日本は影響を過小評価していると言われている。

 農水省は、「A.米国の輸出額が増えても他国産と置き換わる場合もあり、米国の輸出増がそのまま日本の生産減には繋がらない」「B.影響を緩和する国内対策を日本の試算に織り込んでTPP対策の効果が発揮されたという前提で生産量は維持できる」「C.米の場合は米国とオーストラリアに合計7万8400トンの国別輸入枠を設けるが、同量の国産米を備蓄で吸収するなどで影響はない」などが差の理由だとしているが、Aは甘すぎ、Bは対策の効果が不明であるうちに試算に織り込むのはおかしく、Cは一時的に備蓄してもそれが出荷される時が必ずあるのでタイムラグにすぎない。

 そのため、*2-2のように、JA長野県グループは街宣車でTPPの情報公開等を訴える活動を始め、秋の臨時国会での審議に向けて、「国民への丁寧な説明と十分な審議を求めます」「TPPは農業農村、保険医療、食の安全、雇用など、私たちの生活に大きな影響を及ぼす恐れがあります」などのメッセージを流しているが、これは、TPPによってこれまで作り上げてきた農地や農業を打ちのめされる可能性の高い人たちとして当然のことである。

 このような状況の中、*2-3のように、TPPの審議日程が窮屈であるため強行採決の可能性もあるとのことだが、*2-4のように、十分な情報開示もなく、試算は甘く、そのため本当の議論が深まらず、農家も国民も納得していないのである。そのような状況で、TPP発効を見据えた農業“改革”を行うのは、農家にとっても国民にとっても不幸だ。そして、この間、TPPに関わったKey Personは、甘利経済再生担当相(神奈川13区)、斎藤自民党農林部会長(千葉7区、経産省出身)、石原TPP担当相(東京8区)、小泉自民党農林部会長(神奈川11区)など、農業に殆ど関わりのない地域を地元とし、農業に関する知識のない人たちが多いため、この人事で国益を考慮した交渉をしたとは思えない。

 なお、小泉自民党農林部会長が強く求めている全農の株式会社化も、そうしなければならない必然性がないため根拠を説明することはできず、農薬や肥料などの生産資材価格を政治が決めるのは市場主義に反している。そのため、自由競争を促すのがあるべき姿だ。

 そして、佐賀県の場合は、私が国会議員となった2005年からすぐに、公認会計士として多くの日本系・外資系企業の製造業・サービス業を見てきた目で佐賀県の農業を見て改革案を出し、全農はじめ農協が協力して農業改革にとりかかり、すでに必要な改革は進んでいるのだ。そのため、全農の中野会長(佐賀県の農協出身)が言われる「方向に間違いはない」「改革には既に鋭意取り組んでいる」というのは本当であり、農地の大規模化、機械化、米以外への転作などの改革が遅れているのは東北であって、九州では進んでおり地域差があるため、日本全国を一緒にひっくり返せばよいわけではないのである。

(4)全農“改革”の不合理
 全農改革を進捗管理するとして、*3-1のように、資材価格引き下げや農産物の流通構造の改革を議論しているのは、20年以上も時代遅れだ。資材価格は競争の自由度を増せばよく、*3-2、*3-3のように、化学肥料を韓国から買ってコストを下げるだけの発想では、日本の農産物は栄養価も味も悪くなり、農地が荒れることは経験済である。

 それよりも、*3-5のように、今まで捨てていたものを有機肥料として活用すれば、農業だけでなく漁業にも役立ち、その地域や作物に合った堆肥をつくることもできる。ちなみに、佐賀県の場合は、肉牛の排泄物を肥料として使い、化学肥料は土壌を計って足りないものを補充するようにしてコスト削減しており、りっぱな作物ができている。そして、これらは、何も知らない人がめくらめっぽうに壊すのではなく、それなりの知識のある人が工夫し、地域を総動員して初めて行い得るものである。

<愚かな“農業改革”>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160920&ng=DGKKZO07382980X10C16A9KE8000 (日経新聞 2016.9.20) 日本の産業競争力(上)創造的破壊、起死回生の鍵、強い経営で攻勢に転じよ 三品和広 神戸大学教授 (1959年生まれ。ハーバード大企業経済学博士。専門は経営戦略論)
ポイント
○生産現場は強いが大変化には対処できず
○米産業はネットワークの経済で強み発揮
○破壊を伴う創造行為が産業競争力を左右
 産業競争力という概念が脚光を浴びるようになったのは1980年前後のことだ。日本で製造されたテレビや自動車が欧米諸国の市場を席巻し、貿易摩擦を引き起こし始めた時期にほかならない。ハイテクの最先端に位置する半導体メモリーのDRAMの品質で日本製が米国製を上回るというリポートを米ヒューレット・パッカードが公表、衝撃が走ったのも80年のことだ。予想外の展開に遭遇して、欧米諸国が産業競争力の分析に乗り出したのも無理はない。以下では日本の絶頂期と、それに続く衰退のプロセスに関する一つの解釈を述べる。日本の急伸が世界の意表を突いたのは、日本が保護貿易や為替管理と決別してから15年ほどしか経過していなかったからだ。決別当初は、日本の市場は輸入品に制圧され、企業は買収されるという悲観論が渦巻いていた。それが杞憂(きゆう)だったとわかるころには石油ショックが勃発し企業倒産が相次いだことから、新たな悲観論が日本を覆いつくした。日本製品が貿易摩擦を引き起こすなど、誰も夢想だにしなかったはずだ。競争力という概念が国次元ではなく、また企業次元でもなく、中間の産業次元に設定されたのは、明確な理由による。いくら日本が注目を集めたといっても、農業のように後進性の目立つ産業があった。企業次元に転じてトヨタ自動車を俎上(そじょう)に載せても、やはり住宅のように競争力に劣る事業がある。これに対し日本の競争力が目立った産業では、例外を見つけるのが難しかった。テレビではソニーや松下電器産業(現パナソニック)のみならず下位の三洋電機や日本ビクターですら、自動車ではトヨタのみならず下位のスズキやいすゞ自動車ですら、DRAMでは東芝やNECのみならず下位のシャープや沖電気工業ですら、競争力を発揮した。この事実が世界を驚かせた。しかし日本の絶頂期は長く続かない。いまやテレビとDRAMで産業競争力を誇るのは韓国で、日本企業は事業縮小・撤退を余儀なくされた。自動車でも日産自動車、マツダ、三菱自動車が外資に救済を仰ぐ事態を迎え、もはや産業競争力は死語と化した観がある。なぜ日本の絶頂期は一瞬で終わってしまったのか。そもそも日本の産業競争力は、生産現場や実務組織に根源を置いていた。新卒採用した社員を比較的狭い守備範囲に張り付けることで、真面目に働く人間なら誰でも練度が上がっていく体制を構築し、そこに人事考課と昇進制度を入れて社員の間で息の長い競争を促していく。さらに歩幅の小さな定期異動により社員が思考停止に陥る危険性を排除したうえで、それでも起きかねないミスを稟議(りんぎ)で組織的に潰していく。こうした工夫は、一方で目に見えるモノの設計や製造において大きな威力を発揮するが、他方で目に見えない犠牲を伴った。そこには経営人材の育つ余地がなく、最強の管理人材が経営にあたる結果、大きな変化に対処できなくなってしまったのである。この弱点を米国は鋭く看破して、反攻策を周到に準備した。やれ現地生産、やれ市場開放、やれ内需拡大と高飛車の要求を積み重ね、それに円高誘導やココム(対共産圏輸出統制委員会)規制を絡めて日本の霞が関と産業界を横から揺さぶるというのが、その骨子だ。反攻が一巡すると、仕掛けた米国も驚くほど、日本企業の経営は暴走、または迷走し始めた。その経緯については拙著「戦略暴走」(2010年)で触れている。米国は国際政治力を駆使して、グローバリゼーションの時代を呼び込む策も打っていた。新たに新興国市場の開拓が競争の焦点になると、経営上のボトルネックはモノづくりから販路にシフトする。過去の経験が生きない展開の中で、日本企業は大挙して安易な合弁契約に走り、新興国で悪戦苦闘を強いられた。執拗な波状攻撃を受けて、日本は産業競争力を著しく低下させた。個社次元で耐え抜いたのはトヨタくらいだ。企業経営はモノづくりだけでは成立せず、先行きが不透明になるほど、または多面攻撃を受けるほど、経営が浮沈を分けてしまう。そこに80年代の日本は致命的な弱点を抱えていたことを、われわれは反省材料とすべきであろう。ただし反省材料はもう一つある。反攻に転じた日本を米国が封じ込めるという第二幕が控えているからだ。そこで彼らが武器としたのはインフォメーション・スーパーハイウエー構想だった。これは副大統領になる前のアル・ゴア上院議員が提唱していたもので、最終的にインターネットの一般開放に結実した。米国の起死回生の一手により、世界を支配する原理は「規模の経済」から「ネットワークの経済」に移行した。同じモノを大量につくって安くするより、同じプラットフォームを多くの人々が使うことで生まれる便益が企業間競争の行方を左右し始めると、戦略の要衝は大きくシフトする。チャンスの窓が開いている期間は短く、初動で結果が決まってしまう。プラットフォーム間の短期決戦を制したのはいまのところグーグル、フェイスブック、アップル、アマゾン・ドット・コムなど米国ベンチャー勢に限られる。こうした変化を日本も看過していたわけではない。ハイビジョン映像用のMUSEデコーダー(信号変復調器)、総合デジタル通信網(ISDN)、第5世代コンピューターなど、国が資金を注ぎ込んで技術革新を先導しようとしたが、軒並み失敗に終わった。テレビ産業や自動車産業も日本流の「イノベーション」、すなわち技術革新に再起を懸けたが、薄型テレビやハイブリッドカーは救世主となり得なかった。薄型テレビを主導したシャープは台湾企業の救済を仰ぐに至り、ハイブリッドカーは米国市場で占有率3%台に到達したあたりで頭打ちとなっている。国はもはや産業競争力のけん引役とはなり得ない。社員間の公平な競争を入社後四半世紀も引っ張る日本の大企業も、しかりである。なぜならば、いま世界を席巻するイノベーションは破壊を伴う創造行為で、純然たる技術革新とは一線を画しているからだ。例えばアップルはデジタルカメラ、ビデオ、電子辞書、電卓、携帯電話、携帯情報端末(PDA)など、日本が得意としてきた産業多数を破壊した。破壊の標的となっている産業に身を置く企業が正面から対抗すれば、身の丈が縮むことは避けられない。それどころか過去に雇用した人々を抱え続ける企業は防戦に打って出ざるを得ない。護送船団の先頭に立つ国も同類だ。エレクトロニクスを押し流した創造的破壊の波は、既に自動車や産業機械に矛先を向けている。その次は医療や農業や物流に襲いかかる気配が濃厚だ。守勢をとっても勝ち目は見えない。しからば、破壊の標的を自ら断ち切り、攻勢をとる展開に持ち込むほうが得策であろう。そのためには、まずは実務の強さに経営の強靱(きょうじん)さを併せ持つよう日本企業自体を創造的に破壊する必要がある。一連のガバナンス(統治)改革で、その作業は緒に就いた。水面下では、新たな日本企業を一から興す作業も静かに始まっている。あとはどこに起死回生の一手を求めるかだ。そこで妙手が出れば日本が産業競争力を回復する日は意外と近いのかもしれない。

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12589160.html
(朝日新聞社説 2016年10月3日) TPPと国会 不安解消へ審議尽くせ
 交渉を主導した米国では、民主、共和両党の次期大統領候補がそろってTPPへの反対姿勢を示し、発効への道筋は不透明になっている。そんな中で、日本の国会ではTPP承認案と関連法案の審議が本格化する。政府・与党はTPP承認を急ぐ構えだ。発効への機運を高めて他国の手続きを後押ししつつ、米国で高まる再交渉論を牽制(けんせい)するのが狙いだ。野党側は、農業分野などを懸念する民進党をはじめ反対・慎重論が強い。TPPをめぐっては今春の通常国会で審議入りしたが、議論が深まらないまま継続審議になった。いま、あえて審議を再開するというのなら、今後の暮らしや農業など国内業界に予想される影響について、丁寧にかつ徹底的に議論する必要がある。衆院TPP特別委員会の理事を務める自民党議員が「強行採決という形で実現するよう頑張る」と発言し、辞任する騒動があった。「承認ありき」で数の力を頼むことは許されない。与党は肝に銘じてほしい。そのうえで、野党を含めて望みたいのは、TPPで予想されるデメリットとその対策をしっかりと検証することだ。TPPの対象は幅広い。貿易を活発にするためにモノの関税をなくしたり、引き下げたりする。投資や金融、小売りなどのサービス分野の規制を減らす。著作権や特許、労働に関する規定も各国で歩調を合わせる。通商国家として発展してきた日本にとって、グローバル化への対応は避けられない。ただ、各国が妥協を重ねて交渉をまとめただけに、分野や項目ごとにプラスとマイナスが入り交じるのも確かだ。生活の安全・安心が脅かされないか、国内業界が打撃を受けて雇用が失われないか、といった不安は根強い。代表例が農業だろう。農林水産物の8割にあたる約2千品目の関税が撤廃され、ほかの品目の多くも引き下げられる。海外産の輸入が増えるのは必至で、消費者の食卓への不安のほか、農家の反対も続いている。政府は昨年末にまとめた分析で、コメへの影響について「(直前に決めた)対策の効果で、国内の生産量は減らない」と結論づけた。影響があるから対策を打つのに、順番が逆だ。政府をただし、情報公開を徹底させる。TPPの負の側面と向き合い、政府の対策が必要かつ十分かどうかを考える。そんな国会審議を求める。賛否の結論ありきの論戦は不毛だ。

*1-3-1:http://qbiz.jp/article/95543/1/
(西日本新聞 2016年10月7日) 首相、TPP他国に先駆け承認を 関係閣僚会議で
 環太平洋連携協定(TPP)に関する関係閣僚会議が7日、首相官邸で開かれ、協定の承認案と関連法案の早期成立を目指すことを確認した。出席した安倍晋三首相は「他国に先駆けて国会で協定を承認し、早期発効に弾みをつける。自由貿易で経済発展を遂げたわが国の使命と確信している。この国会でやり遂げなくてはいけない」と述べた。承認案と関連法案は衆院特別委員会での審議入りを控えている。閣僚会議ではTPPを担当する石原伸晃経済再生担当相が、会談した各国要人と再協議を行わないことで一致したと報告した。石原氏は会議後の記者会見で、米大統領選で共和、民主両党の候補がTPPに反対していることに関連し「日本が率先して(承認を)行うことで、オバマ大統領による議会承認を後押しする」と述べた。TPPに関する関係閣僚会議は昨年9月以来。政府が機運を高めようとしているほか、経済界からも早期承認の要望が出ている。

*1-3-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20161005&ng=DGKKZO08017530V01C16A0PP8000 (日経新聞 2016.10.5)民進、歯切れ悪いTPP反対、党内に隠れ賛成派も
 今国会の焦点は、環太平洋経済連携協定(TPP)承認案の行方に移る。野党第1党の民進党は国内の農産物保護が不十分で、自動車産業などへの利点も少ないなどと主張し反対する。党内には推進派もいるが、発言力のある反対派に配慮せざるを得ない党内事情もある。歯切れの悪い印象はぬぐえない。民進党は3月の結党時に「経済連携協定によって自由貿易を推進する」との立場を掲げた。しかし、安倍政権が合意した協定案は「国益が守れたとは評価できない」との考え方に立つ。最大の反対理由は、牛肉・豚肉など農林水産物の重要品目の保護を求めた衆参農水委員会の決議との整合性だ。決議では重要品目を「聖域」と位置づけ、10年を超す段階的な関税撤廃も認めないなどとした。民進党は牛肉・豚肉の大幅な関税引き下げなど「聖域として守れた水準ではない」(大串博志政調会長)との立場だ。自動車分野で得た「成果の乏しさ」も強調する。完成車の対米輸出で関税撤廃まで約30年の期間を設けたことを「関税には触らないと言っているに等しい結果」と批判。政府が輸出増の試算を示せていないことも問題視。大串氏は4日の記者会見で「攻めきったとはいえない」と語った。3つ目は「交渉過程が情報開示されていない」との主張だ。先の通常国会中に示された日米の交渉録は全面的に黒塗りだった。TPP参加判断の根拠となった政府の国内農業への影響試算についても正確性を疑問視している。交渉前に3兆円と見積もった農林水産物の生産額減少が、大筋合意後の農林水産省試算では最大2100億円にまで圧縮された経緯が不透明だとしている。党内事情も大きい。党の見解はTPP推進派と反対派が混在する党内の「最大公約数」で意見を集約しただけとの見方もある。9月末に開いた細野豪志代表代行のグループ会合では「農村ではなく都市部でどう説明するのか」などの意見が相次いだ。自動車関連企業が集積する中部地方選出の議員は「民進党の主張は話にならない」と言い切る。旧民主党政権下では当時の野田佳彦首相(現民進幹事長)が、党内反対派を押し切って関係国との事前協議入りを決めた経緯があり、これも民進党の見解の分かりにくさにつながっている。

*1-4-1:https://www.agrinews.co.jp/p38505.html (日本農業新聞 2016年8月23日) 総額5739億円 4割増 TPP対策に3453億 補正予算農水関係
 農水省は23日、農林水産関係の総額を5739億円とする2016年度第2次補正予算案を、自民党の農林関係合同会議に示し、了承された。2015年度補正予算を43%上回る大幅増。このうち環太平洋連携協定(TPP)関連対策には同11%増の3453億円、土地改良(農業農村整備)関連事業は同77%増の1752億円を確保した。24日に閣議決定する。目玉と位置付ける「中山間地域所得向上支援対策」には、300億円を計上した。内訳は、中山間地域で収益性の高い農産物に取り組む際の計画策定に5億円、計画に基づく基盤整備に70億円、施設整備に25億円。また、産地パワーアップ事業と畜産クラスター事業の優先枠各50億円、土地改良事業の優先枠100億円と組み合わせる。輸出力の強化策には270億円。そのうち空港や港に近い卸売市場のコンテナヤード(集積場)など、国内外の輸出拠点の整備が203億円を占める。農林水産分野のイノベーション(技術革新)推進にも117億円を計上する。TPP対策のうち産地パワーアップ事業に570億円、畜産クラスター事業には685億円を計上。いずれも前年度を1割超上回る。また、農地のさらなる大区画や汎用(はんよう)化に370億円、水田の畑地化や畑地・樹園地の高機能化に496億円、草地整備にも94億円を盛り込んだ。この他、飼料用米の拡大に伴い、水田活用の直接支払交付金の財源を144億円積み増す。熊本地震などの災害復旧等事業には713億円を計上した。大幅増額を受け、自民党の西川公也農林水産戦略調査会長は会合で「すばらしい補正予算ができた」と指摘。今月末に概算要求する17年度予算でも、万全な金額を確保したい方針を強調した。.

*1-4-2:http://qbiz.jp/article/94797/1/ (西日本新聞 2016年9月27日) TPP対策、農家から拠出金も 強制徴収で販売促進制度を法制化
 農林水産省は27日、環太平洋連携協定(TPP)対策の一環として、農家から拠出金を集め、国内外での農産物の販売促進に充てる「チェックオフ制度」の論点を自民党の会合で示した。制度を法制化する場合は、拠出金の強制徴収が避けられないとの考えだ。拠出金の強制徴収は、恩恵へのただ乗りを防止し、制度の公平性を確保するのが狙い。しかし、お金を納付しない場合は、罰則の適用も考えられるため、制度導入には一定の負担を強いられる農家から幅広い理解を得る必要がありそうだ。農水省が会合で示した資料によると、米国などで導入されているチェックオフ制度は、集めたお金の使い道を、国内外での販売促進や、調査研究などに充てると法令で決めている。日本で導入する場合は、強制徴収に見合うお金の使い道や、金額を定める必要があると説明した。お金を強制徴収される農家の同意が不可欠とも指摘した。海外では、法制化の際に品目ごとの業界団体が自ら農家に説明しているほか、業界の任意の仕組みから始め、業界内の合意形成に取り組んでいるとした。会合後、この検討課題を担当する福田達夫衆院議員は記者団に「(日本では)養豚業界が熱心だ。まずは業界がどういうことをやりたいのか提案してほしい。まだ段階として詰まっていないところがある」と述べた。

<TPPは日本政府主導であること>
*2-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37594
(日本農業新聞 2016/5/21) TPP試算 日米で大きな開き 国内対策 効果に疑問も
 環太平洋連携協定(TPP)の経済効果をまとめた日米両政府の試算が出そろった。米国は日本への農産物輸出が約4000億円増えるとはじくが、日本は米国以外の影響も含めて生産減少額は1300億~2100億円にとどまると見込む。日本政府の試算には、以前から影響を過小評価しているとの指摘もあり、試算について一層丁寧な説明が不可欠だ。米国の政府機関・国際貿易委員会は18日、TPPが米国経済に与える影響を分析した報告書を出した。品目別に見ると、米国の試算では米の対日輸出額は23%増えるが、日本の試算では生産減少額はゼロ。牛肉も、米国の試算で対日輸出は923億円増えるが、日本の試算では生産減少額が311億~625億円で差がある。米国の輸出額が増えても他国産に置き換わる場合もあるため、輸出増加がそのまま日本の生産額減少につながるわけではない。だが、影響を緩和する国内対策を日本の試算に織り込んでいることが試算の差の大きな理由だ。日本政府がまとめた影響試算では、関税撤廃・引き下げによる国産価格低下の影響だけを見ている。コスト削減などのTPP対策の効果が発揮されたという前提で生産量は維持できるとする。例えば米は、米国とオーストラリアに合計7万8400トンの国別輸入枠を設けるが、同量の国産米を備蓄で吸収することなどを理由に影響はないとする。一方、米国の試算ではこうした対策を織り込んでいない。日米の違いについて農水省は「前提が異なるため、単純に比較できない」とする。TPP対策を行うことが既に決まっているため、対策の効果を入れない状態で再試算する考えはない考えも度々示している。ただ、対策の効果が具体的に見えない段階で試算に織り込むのは適当ではなく「過小評価」との批判が野党から出ている。

*2-2:https://www.agrinews.co.jp/p38582.html (日本農業新聞 2016年9月2日) TPP情報開示 十分な審議訴え 街宣車県内リレー JA長野県グループ
 JA長野県グループは1日、街宣車で環太平洋連携協定(TPP)の情報公開などを訴える活動を始めた。2台の軽トラックが県内JAをリレーして、9日まで各地を巡回。秋の臨時国会での審議に向け、県民にアピールする。街宣車は、荷台に「国民への丁寧な説明と十分な審議を求めます」などと描いた看板を掲示。スピーカーからは「TPPは農業農村、保険医療、食の安全、雇用など、私たちの生活に大きな影響を及ぼす恐れがあります」などのメッセージを繰り返し流す。同日、長野市のJAビルを出発した街宣車は、県東部のJA長野八ケ岳と県南部のJAみなみ信州に引き渡された。今後、各JAが街宣車を引き継ぐ。9日には、同グループと生協など38団体でつくる連絡会が同市内でTPP学習会を開催。街宣車は、この会場をゴールに県内を走る。JA長野中央会は「TPPは農業の問題だけにとどまらない。県民の皆さんに一緒に考えましょう、と伝えたい」(農政対策課)と意気込む。.

*2-3:https://www.agrinews.co.jp/p38540.html (日本農業新聞 2016年8月27日) TPP 審議日程 窮屈に 強行採決の可能性 政府与党
 環太平洋連携協定(TPP)承認案の審議が、9月召集の臨時国会で再開する。11月8日の米大統領選までの衆院通過を目指す政府・与党。だが民進党代表選の影響で召集日は26日にずれ込む見通し。審議日程が窮屈になり、強行採決の可能性もある。政府・与党は、臨時国会を9月13日に召集し、TPPの審議時間を確保する構えだった。だが民進党代表選が15日に設定され、26日召集で調整せざるを得なくなった。同党の新執行部が決まらなければ、事実上、審議が進められないためだ。約2週間のずれ込みだが、政府・与党には「かなり痛い」(政府筋)。米大統領選候補がTPP反対を強調する中、「大統領選までに衆院を通過させ、日本が承認する見通しを付ける」(同)ことで、米国の早期批准を促す考えがあるからだ。26日召集になれば、2016年度第2次補正予算案の審議などを優先し、衆院TPP特別委員会の審議再開は、10月中旬にずれ込むとみられる。参院選でTPP反対を掲げた民進、共産などの野党の厳しい追及は必至で、11月8日までに衆院通過が「微妙」(自民党幹部)な情勢だ。円滑な審議に向け、自民党は臨時国会で衆院TPP特別委員長を西川公也氏から塩谷立氏に代える。通常国会では、西川氏の著作とされる「TPP内幕本」が審議停滞の一因となったためだ。審議日程を野党と調整する筆頭理事も森山裕前農相に交代し、万全を期す。与党側は、衆院通過までに、通常国会(約23時間)と合算して40時間程度の審議を想定する。だが野党はゼロからやり直すとの考え。8月に就任した山本有二農相らのTPPへの答弁能力も未知数で、政府・与党内には「与党だけで強行採決もやむを得ない」との指摘もある。

*2-4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/359145
(佐賀新聞 2016年9月24日) 「TPP議論不十分」 全農・中野会長、国に疑問
 環太平洋連携協定(TPP)の承認案・関連法案審議が焦点となる臨時国会(26日召集)を前に、全国農業協同組合連合会(全農)会長を務める中野吉實JA佐賀中央会会長は、佐賀新聞社のインタビューに応じた。早期成立を目指す政府、与党の姿勢に対し、「議論は尽くされておらず、国の主張を農業関係に押し付けようという風潮があるようだ」と疑問を呈した。通常国会で政府がTPP関連文書をほとんど黒塗りで開示したことに触れ、「黒塗り資料では議論は深まらない。農家も納得していない」と批判し、十分に議論するようくぎを刺した。TPP発効を見据えた農業改革の一環で、小泉進次郎自民党農林部会長が強く求めている全農の株式会社化には、海外企業から買収される懸念を示し「株式会社化の強制は断固反対と言わざるを得ない」と明言した。農薬や肥料など生産資材価格を巡る自民党プロジェクトチームとの議論については、「改革に後ろ向きと言われるが、自己改革には鋭意取り組んでいる」と強調した。

<全農“改革”>
*3-1:https://www.agrinews.co.jp/39043?page=2 (日本農業新聞 2016年9月30日) 全農改革を進捗管理 来週にも提言 業界再編へ法整備 規制改革推進会議
 政府・与党は11月に取りまとめる環太平洋連携協定(TPP)中長期対策の一環で、資材価格引き下げや農産物の流通構造の改革を議論している。29日にはこうした農業改革を集中議論する未来投資会議の「ローカルアベノミクスの深化」会合と規制改革推進会議の農業ワーキンググループ(WG)が合同会議を開き、WG座長の金丸恭文フューチャー社長が検討方向の試案を示した。試案は、両会議による提言のたたき台となる。試案では、資材価格の低減などへ関連企業の競争を促すため、業界再編が必要だと強調。再編を起こす「重要なツール」として、全農の資材の仕入れや農産物販売の改革を位置付けた。改革を促すため、規制改革推進会議による農協改革の進捗管理の一環として、全農の組織体制の見直しや役職員の意識改革、外部人材の活用などを重視して管理していくとした。業界再編に向けては、税制支援などを措置する産業競争力強化法や、公正取引委員会の監視強化など独占禁止法の活用も促した。改革の着実な推進を担保する法制度を、次期通常国会で検討することも求めた。両会議の提言を受け、自民党農林水産業骨太方針策定プロジェクトチームを中心に、具体策の検討が加速する見通しだ。一方でJAグループも、全農が扱う肥料の銘柄数を絞り込むことで工場の集約化につなげるなど、業界再編を目指す方針を既に掲げている。ただ、政府・与党内には、改革の踏み込みを求める声も強い。11月のTPP中長期対策の取りまとめ以降も、規制改革推進会議の進捗管理を通じて、全農を中心とするJAグループの改革の実践に、厳しい目が向けられる構図が続きそうだ。.

*3-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160907&ng=DGKKZO06959210X00C16A9MM8000 (日経新聞 2016.9.7) 農業改革、肥料値下げ促す JA全農が高コスト批判に対応 銘柄数半減
 全国農業協同組合連合会(JA全農)は、国際的にみて割高との批判が強い肥料や農機の生産コスト削減策を打ち出す。コメ農家が使う肥料の銘柄をいまの約2000種から半分に減らし、1品種あたりの生産量を増やして値下げにつなげる。肥料や農機など農業資材をめぐっては、環太平洋経済連携協定(TPP)への対応策を話し合う自民党のプロジェクトチーム(委員長・小泉進次郎農林部会長)がJA全農に値下げを強く求めている。JAグループが近く公表する改革案は、TPP参加をにらんで農業の高コスト体質の改善を迫る政府・自民党の批判をかわす狙いもある。国内でコメ向けの肥料を製造するメーカーは約3000社にのぼる。JA全農はこうしたメーカーから肥料を買い取り、地域の農協を通じて農家に販売している。JA全農が扱うコメ向け肥料は地域限定品など約2300種に及ぶ。成分や効果が似通った製品が異なる銘柄で売られているケースも目立つ。肥料メーカーは少量多品種の生産体制をとるため、JA全農への卸価格はどうしても高くなる。JA全農はメーカーから買い取る銘柄の数を「半分あるいはそれ以下」(幹部)に抑えて卸価格の引き下げを促す。肥料代が安くなれば、農家の生産コストは下がる。農林水産省も銘柄数の増加に歯止めをかける制度改正を検討する。JA系の肥料メーカーのなかには銘柄の削減でJA全農との取引が減り、経営が苦しくなるところも出てくるとみられる。「業界再編のきっかけになる」(業界関係者)との見方は多い。農水省によると、韓国のある肥料メーカーは生産能力136万トンに対し、銘柄数は52。一方、日本のあるメーカーでは生産能力31万トンに対し、銘柄数は500近い。日本の肥料価格は平均で韓国の2倍に達している。JA全農は生産コストの2割を占める農機でも調達方法を見直す。大規模な農業法人と連携し、安価なコンバインやトラクターを農機メーカーから共同購入する仕組みをつくる。大規模な農業法人はコスト削減を狙って簡素な農機を購入する傾向があるが、JA全農での扱いは不十分だった。また農薬では開発費を抑えたジェネリック農薬の発売を検討する。

*3-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20161004&ng=DGKKZO07931020T01C16A0KE8000 (日経新聞 201.10.4) 農業の効率化と地方創生(3)化学肥料で穀物単収6~10倍に 東京大学准教授 川島博之
 第2次世界大戦が終わったころから農業の効率が飛躍的に向上しました。効率向上の要因は農薬、農業機械など色々ありますが、最大の功労者は空気中の窒素から作る化学肥料です。農作物の生産量を増やすには、(1)農地面積を広げる(2)単位面積当たりの収穫量(単収)を増やす――の2つの方法があります。人類が農業を始めてから長い間、単収はほぼ一定でした。人類は農地面積を広げることに注力し、それが土地の奪い合いにつながりました。現在でも領土問題は戦争の最大の原因ですが、それは人類に農地が重要だというメッセージが刻み込まれているためでしょう。19世紀に土壌中の窒素含有量を増やすと、穀物単収が増えることが分かりました。欧州では農地に窒素を供給する方法として、チリで採掘された硝石が使われました。しかし、地下資源には限りがあるため、19世紀末の欧州では、硝石を掘り尽くすと食料危機になると心配されていました。その悩みを解決したのが空気中の窒素から化学肥料を作る技術です。20世紀初頭のドイツで開発され、開発者の名前にちなんでハーバー・ボッシュ法といいます。空気が原料なので、いくらでも生産できます。化学肥料は著しい効果を発揮しました。人類が農耕を始めてから長い間、穀物単収は1ヘクタール当たり1トン程度でした。一生懸命に耕し、苦労して堆肥や厩肥(きゅうひ)を投入しても、同2トン程度にしかなりませんでした。それが、化学肥料を投入すると目を見張るような速度で増加し、現在、先進国では穀物単収は同6~10トン程度になっています。あまりにも化学肥料が効いたため、化学肥料に不信感を抱く人々もいます。副作用もあると考え、従来型農法である有機農業に取り組んだりしています。しかし、化学肥料なしでは、現在の世界の73億人もの人口を扶養できません。もし、化学肥料を全く使用しなければ、地球上にはその半分ぐらいの人々しか生きることができないでしょう。一方、アフリカなどの発展途上国でも先進国並みに化学肥料が使われるようになれば、地球は現在の2倍の人口でも楽に扶養できると思います。

*3-4:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E5%B3%B6%E5%8D%9A%E4%B9%8B 川島博之氏の略歴のみ引用:東京都生まれ。1977年東京水産大学卒業、1983年東京大学大学院工学系研究科博士課程単位取得の上退学。東京大学生産技術研究所助手、農林水産省農業環境技術研究所主任研究官、ロンドン大学客員研究員などを経て、現在、東京大学大学院農学生命科学研究科准教授。

*3-5:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37949 (日本農業新聞 2016/6/18) 大地と海 連携 ホタテの天敵・ヒトデを堆肥化 北海道・JAつべつ×網走、西網走2漁協
 漁師の悩みを農家が解決する試みが、北海道北東部の津別町で始まっている。キーワードは「ヒトデ」。特産のホタテを食い荒らす天敵を、堆肥にして作物を育てようという作戦だ。ヒトデの処分費用、堆肥の原料コスト双方が削減できる。堆肥化に挑むのはJAつべつ。来年から本格的に畑作に利用する。漁協と共に川の水質を守る植樹活動にも取り組み、大地と海をつなぐ活動を展開する。農家と漁師が手を組んだのは、網走湖の汚染問題が背景にある。湖には網走川の淡水が流れ込んでいるが、2001年の台風で農地の土砂が流出し、湖が汚染されて真っ赤になり、漁業を脅かした経緯がある。そこでJAと網走、西網走2漁協が話し合いを重ね、11年に「網走川流域農業・漁業連携推進協議会(だいちとうみの会)」を立ち上げ、流域の環境保全に乗り出した。「農業と漁業がしっかり手を組んで地域を支えていかなければならない。われわれには上流域としての大きな責任がある」と、同協議会副幹事長を務める酪農家、山田照夫さん(69)は意義を強調する。双方の問題解決につながる試みの一つが、ヒトデの堆肥化だ。ヒトデはオホーツク海の特産であるホタテを食べるため、漁協にとっては天敵。年間600トンものヒトデが大発生することもあり、漁師の悩みの種だ。そこでJAは13年から、ヒトデの堆肥化を考え始めた。ホタテと共に水揚げされた20トンほどのヒトデを搬入し、樹皮を発酵させたバーク堆肥を混ぜることで、完熟堆肥を作ることに成功した。試しにテンサイの畑に施用したところ、収量や品質は問題ないことが分かった。漁協は従来、ヒトデの処分を1キロ15~20円で業者に頼んでいた。600トンを処理すれば、費用は最大で1200万円にも上る。堆肥化が軌道に乗れば、この膨大な処分費用の削減につながる。JA側も堆肥の原料コストを削減でき、互いにメリットになる。JA営農部の有岡敏也部長は「ジャガイモなど他の作物にヒトデ堆肥を使っても、収量や品質には問題ないだろう」と手応えをつかんだ。漁師の間では「ヒトデには虫が嫌がる成分がある」と言われており、堆肥にもその効果が表れればさらにメリットが生まれる。今年は秋にヒトデを搬入して堆肥化し、17年産の作付けから本格活用する計画だ。
●植樹、清掃も
 協議会は毎年、植樹活動にも取り組んでいる。「大地と海をつなぐ植樹」と題し、14日には農家と漁師ら130人が参加し、アオダモやハンノキなど300本以上を植えた。こうした活動の結果、網走川流域の網走市、美幌町、大空町の農業関係者も集まる場になり、女性部からも参加する。26日には4市町で流域の一斉清掃事業も開かれる。協議会の新谷哲章幹事長は「土壌環境や水質への視線は今後さらに厳しくなってくる。漁業、農業が経済を支える町が多い道内で、モデルとなる取り組みにしていきたい」と先を見据える。


PS(2016.10.10追加):*4に、「①酪農家が、補助金の関係で原料生乳の販売先を自由に選べない」「②企業による農地の実質所有解禁は国家戦略特区だけの例外にしてはならない」「③生産性の低い農業資材メーカーの再編などを支援する新法の制定を提言した」「④重要なのは公正で自由な競争が安くて優れた商品やサービスを生む環境を整えることだ」と書かれているが、このうち①は、農業者の政治活動を農協が行うのではなく、農業者の政治連盟を作ることで解決するだろう。また、②は農業生産法人を作ることにより既に解決されており、本当に農業をやろうとする企業は、JR九州のように農業生産法人の子会社を作って既に農業に参入している。にもかかわらず株式会社でなければ農業ができないなどとする企業が農業に参入することは(理由を長くは書かないが)むしろ弊害の方が大きい。さらに、農業機械価格が高すぎるのは問題だが、その原因は機械メーカー等の独占・寡占であるため、③のように政府がメーカーの再編などを支援する新法を制定するのは逆効果であり、④のように公正で自由な競争を行って外国からでも自由に機械や資材を購入できるよう、公正取引委員会がしっかり働くのが筋である。

*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20161010&ng=DGKKZO08196920Q6A011C1PE8000 (日経新聞社説 2016.10.10) 自由な競争で農業の成長力を高めよう
 安倍晋三首相は今国会の所信表明演説で、生産から流通、加工まで農業分野の構造改革を進める決意を表明した。農業の競争力を高めるために肝心なのは、成長を阻む旧弊や横並びの保護策を見直し、企業の新規参入を活発にして創意工夫を引き出すことだ。改革を加速してもらいたい。安倍政権は農業協同組合制度の改革などで一定の成果をあげた。しかし、農業分野には旧態依然とした制度が残る。たとえば酪農家は事実上、原料生乳の販売先を自由に選べない。50年も前に制定された暫定措置法が存続し、生乳を原則すべて地域ごとの「指定団体」に出荷しないと補助金がもらえない仕組みだからだ。政府の規制改革会議は5月にまとめた答申で規制緩和の結論を先送りしている。新たに発足した規制改革推進会議は、今秋まとめる改革策で自由な競争環境の実現を提言してほしい。農林水産省の統計でコメの生産額は2014年で1兆4370億円、生乳は6979億円と農産物の1、2位を占める。しかし、03年と比べるとコメの生産額は38%減り、生乳も2%弱の増加にとどまる。トマト(22%増)やレタス(31%増)に比べ成長力は劣る。競争力の弱い農産物は手厚い保護で守る。そんな競争を排除する横並びの保護政策が成長を阻害してきた結果だ。これでは将来の展望が描けない。企業による農地の実質所有解禁は国家戦略特区だけの例外にしてはならない。成長を後押しする競争には企業の新規参入が不可欠だ。規制改革推進会議と未来投資会議は6日に合同会合を開き、生産性の低い農業資材メーカーの再編などを支援する新法の制定を提言した。農業資機材の価格や農産物の流通コストの高さが農業所得の拡大を阻む要因とみており、再編で効率化を促す狙いがある。非効率な企業の再編は必要だ。ただ、より重要なのは公正で自由な競争が安くて優れた商品やサービスを生む環境を整えることだ。これまで大部分の農家は肥料や農薬、農業機械を地域の農協から購入してきた。一般の消費財のように価格の安さやサービスの内容を農家に訴求し、競う環境が実現すれば再編はおのずと進む。農業分野に自由な競争を阻害する構造問題はないか、公正取引委員会もこれまで以上に目を光らせてほしい。


PS(2016.10.10追加):*5のように、麻生財務相は、「①自由貿易には大いなる意義があると強調し」「②保護主義の広がりに強い懸念を示し」「③過度な悲観論に陥ることなく、潜在成長率の引き上げに正面から取り組むと指摘した」そうだが、グローバル企業は、既に自由貿易ではなく相手国に生産及び販売拠点を作っているので、①は30年ほど古いテーゼだ。しかし、自国の柱になる産業を保護・育成することは必要であるため、②は必ずしもそうとは言えない。さらに、③は、何もないところから出発する開発途上国と異なり、先進国のGDPの成長率が低いのは当然であって、現在の日本は、国民一人一人の豊かさ(購買力平価による一人当たりGDP)を比較して、これを増加させなければならない時期なのである。そのため、財務相がこのような発言をすることこそ、悲観要因だ。


   発展段階別     $と購買力平価による アジアの購買力平価による    先進国の
一人当たりGDP成長率    GDP比較        一人当たりGDP      食料自給率推移

(グラフの説明:先進国ほど「一人当たりGDP成長率(「一人当たりGDP」ではない)」は低い。また、物価の高い日本では購買力平価によるGDPの順位が$ベースより低く、アジアの中で比較しても日本の購買力平価による一人当たりGDPは高くない。さらに、先進国の中で、日本の食料自給率は著しく低い)

*5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20161008&ng=DGKKASDF08H02_Y6A001C1MM0000 (日経新聞 2016.10.8) TPP推進を確認 麻生財務相、米長官と会談
 麻生太郎財務相は米ワシントンで7日、米国のルー財務長官と会談し、環太平洋経済連携協定(TPP)の実現に向けた取り組みを互いに進めていくことを確認した。麻生財務相は会談後、日銀の黒田東彦総裁と開いた会見で、「自由貿易には大いなる意義がある」と強調し、保護主義の広がりに強い懸念を示した。麻生財務相は会見で、過度な悲観論に陥ることなく「潜在成長率の引き上げに正面から取り組む」とも指摘した。働き方改革などの構造改革や生産性の向上につながるインフラ整備などを進める考えを表明。さらに、デフレ脱却を確実にするためには「継続的に賃金を上昇させることが極めて重要だ」と述べた。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では金融緩和が長期化することの副作用が議論された。黒田総裁は会見で「金融政策だけでバランスのとれた成長につながるというのは難しい」と指摘。「財政政策、構造政策といったあらゆる政策手段を用いてバランスのとれた成長を実現していくという考え方が共有された」と説明した。


PS(2016年10月13日追加):*6-1のように、JR九州ファーム(本社:佐賀県鳥栖市)が長崎県松浦市で大規模にアスパラガスの生産を行い、一般主婦・警察官・建築会社出身の人を雇用しているのは面白いが、環境意識の高さを示す洗練されたJR九州のロゴがあった方が世界で周知されやすいと考える。また、雇用された主婦は需要者の要望をキャッチしやすく、建築会社経験者はあちこちの現場で人や機械を廻して仕事を進めるのが得意で、警察官経験者は警備を任せられ、元JR職員は時間に几帳面など、前職による得意技もありそうだ。なお、*6-2で、JR九州の青柳社長が、「今後、鉄道と相乗効果のある事業に進出したい」と言っておられるが、その地域はリアス式海岸の美しい場所であるため、農林漁業の現場自体を鉄道と相乗効果のある観光地にすることもできそうだ。また、「赤字ローカル線を絶対に廃線にしないとは言い切れない」とも言っておられるが、駅ビルや高架下を充実して使うことにより便利な街づくりを進めることができ、そこから膨大な収益を上げることもできるため、JR九州の場合は、まず既に所有している資産をスマートに有効活用するのが最も安全確実な収益獲得方法だと思われる。また、赤字ローカル線は赤字になる理由があるため、その理由を精査して解決するのが資産を壊さない方法だ。

*6-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/364999
(佐賀新聞 2016年10月11日) JR九州、長崎・松浦で営農 アスパラ特産に
 長崎県松浦市にあるJR九州ファーム(鳥栖市)の農場で今年、アスパラガスが初めて収穫された。同社は九州最大のアスパラガス農場にしたい考えで、担い手不足に悩む地元は企業的な農業経営を通じた生産力アップ、特産品化に期待している。ただ、外部からの参入を不安視する声もあり、同社は地域との連携を密にする姿勢を打ち出している。
▽自慢
 長崎県のアスパラガス生産量は全国4位。北部に位置する松浦市は土壌に豊富なミネラルを含み、ほどよい甘みと苦みが特徴だ。しかし、高齢化で栽培農家が減少。JR九州ファームは昨年5月、市と農業参入に関する協定を結んだ。海に近い地区に土地を借り、アスパラガス用のハウスは現在12棟。この秋から23棟に拡張し、栽培面積は3・3ヘクタールになる。別に露地栽培でブロッコリーも育てる。今年は10月までにアスパラガス25トンの収穫を予定。2019年には約100トンに増やすのが目標だ。農業経験のない主婦、元警察官ら地元の17人を採用。建築会社から転身した松本敏光さん(61)は「農業をしたいと思っていた。自分が手入れしたものを食べてもらえることが幸せ」と話す。同社は地元のJAながさき西海から資材や営農指導の支援を受け、収穫した約7割を出荷。残りは福岡市にある直営店「八百屋の九ちゃん」などで売る。
▽期待
 JR九州は10年4月、大分市でニラ栽培に参入したのを皮切りに、九州各地で営農を開始。長崎県への参入は松浦市が初めてだ。松浦市のアスパラガス農家は減少傾向にあり、市の担当者は「大規模経営で産地強化と雇用拡大が見込める。ブランド化を進め、特産品にしてほしい」と期待する。一方、地元には「国土の保全も担う農業と利益を追求する企業は水と油。企業はもうからないと撤退する」と心配する声もある。今回の参入では第1希望だった土地の関係者に反対され、場所を変更。現在の農場でも地元住民から夏場のホタルを守るよう求められたため、蛍光灯などでガを駆除する「防ガ灯」の使用も諦めた。それでもJR九州ファーム松浦事業所の森崎崇所長(40)は「農業も鉄道も地元との関わりがあって成り立つ」と地元の声を尊重する方針を強調。地権者との交流にも積極的に参加しており「不安を抱く地域の人々に寄り添い、信頼につなげたい」と話している。

*6-2:http://qbiz.jp/article/95799/1/ (西日本新聞 2016年10月13日) 上場後、赤字ローカル線「絶対に廃線にしないとは言い切れない」 JR九州青柳社長に聞く
 25日に株式上場するJR九州の青柳俊彦社長が12日、報道各社の共同インタビューに応じ「上場することで、スピーディーで大胆な展開ができるようになる。今まで取り組んでいなかった事業にもチャレンジしていきたい」と述べた。主なやりとりは次の通り。
−上場で何が変わるか。
 「100%株主だった独立行政法人の鉄道・運輸機構から解放される。責任は重くなるが、経営判断のスピードは速まる」
−上場後、鉄道事業の収支が改善する見込みは。
 「JR九州グループにとって永遠の課題だ。収入の増加とコスト削減を、これまで以上に積極的に展開していきたい」
−赤字ローカル線の運営についての考えは。
 「昨年、国会で上場後も路線を維持することを宣言した。効率化に向けて積極的に廃線にする考えはない。ただし、絶対に廃線にしないとは言い切れない。路線の使命が終われば検討せざるを得ない」
−今後、新たにチャレンジしたい事業は。
 「イメージはまだないが、鉄道との相乗効果がある事業が望ましい」
−海外での事業展開はどう進めるか。
 「アジアでマンションやホテル事業をしたいと考えている。東京に進出してきたように、海外にも出て行きたい」


PS(2016年10月14日追加):JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」は、車両が豪華であるだけでなく、食事や列車内の調度もその地域トップの産物を使っているのが人気の秘密だ。また、*7のように、JR西日本のトワイライトエクスプレス瑞風が「美しい日本をホテルが走る」をコンセプトにしているのも魅力的で、乗り換えなどの手間なくポイントとなる地域を周遊できるメリットがある。しかし、ななつ星も、3泊4日コースで1人当たり最高95万円などという超豪華コースだけでなく、同じコースをホテルを使って周遊した場合と同程度の金額のコースも作った方が日本人や外国人の観光客が増えると思われる。

*7:http://mainichi.jp/articles/20161014/k00/00e/020/176000c
(毎日新聞 2016年10月14日) JR九州運行開始から3年 予約20倍超の人気
 JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」が運行開始から15日で3年を迎える。高額な乗車料金にもかかわらず、予約平均倍率は20倍超の人気ぶりを継続。上場を控えるJR九州の知名度向上にも大きく貢献した。一方、来春にはJR東日本や西日本も豪華寝台列車を投入予定で、各社間の競争が激しくなりそうだ。「高い価格でも価値を感じていただけている」。当初から運行に携わるJR九州クルーズトレイン本部の仲義雄次長は手応えを語る。ななつ星には今年9月末までで、延べ7297人が乗車。直近の予約平均倍率は24倍に達し、再乗車を希望する客も2割に上っており、人気は衰えない。支持される理由は豪華さだけでなく、きめ細やかなサービスにある。訓練を重ねたクルー(乗務員)が最高の笑顔で迎え、沿線住民も盛んに手や旗を振って歓迎する。温かいもてなしに乗客は感激し、最終日には多くが涙を流して列車との別れを惜しむ。ななつ星を追いかけるようにJR2社も来春、豪華寝台列車を相次いで投入する。JR西日本のトワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)は「美しい日本をホテルが走る」がコンセプト。車両には風や香りを体感できる展望デッキを設ける。JR東日本のトランスイート四季島(しきしま)は、高級車フェラーリを手がけた奥山清行氏がデザインを担当した。制作費50億円の車両は、淡い金色の外観やガラス張りの展望車が特徴だ。いずれも富裕層や外国人客の獲得を狙う。両社の動きについて、ななつ星の生みの親であるJR九州の唐池恒二会長は「鉄道業界の刺激につながったことは素直にうれしい」とし、ライバル登場についても「(豪華寝台列車に)乗りたいと思う層が拡大する。私どものお客さんが奪われるという危惧は全くない」と強気だ。ななつ星は来年3月の出発分から体験コース充実を理由に5度目の値上げに踏み切る。3泊4日コースで1人当たり最高95万円となり、高額と話題となった運行当初(同55万円)から7割も跳ね上がった計算だ。顧客の選択肢が広がる中で、価格に見合ったサービスを提供し続けることができるかが、ななつ星4年目のカギになりそうだ。


PS(2016年10月15日追加):どうも官制合併は、①大きくなりさえすればよいと考えている ②寡占や独占状態にしたがる など、経済原則や経営合理性からはずれたものが多いが、*8の九州を中心とする離島を結ぶ地域航空会社の統合なら、JR九州が航空会社を作って統合し、列車との接続をよくして離島の価値を上げつつ、空への進出を計るのがよいと、私は考える。

*8:http://qbiz.jp/article/96017/1/
(西日本新聞 2016年10月15日) 離島結ぶ地域航空会社の統合検討 国交省、大手2社に要請
 国土交通省がANAホールディングス(HD)と日本航空に対し、離島などを結ぶ地域航空会社の統合を検討するよう求めたことが15日、分かった。燃料の調達や機体の整備などでコストを削減し、地域の航空網を維持する狙いがある。国交省は地元自治体の意見も聞き来年夏までに統合計画をまとめたい意向だが、ANAHDと日航は慎重に検討するもようだ。統合を検討するのは北海道エアシステム(札幌市)、ANAウイングス(東京都)、オリエンタルエアブリッジ(長崎県大村市)、天草エアライン(熊本県天草市)、日本エアコミューター(鹿児島県霧島市)の5社。各社はそれぞれANAHDや日航と資本や業務の提携関係がある。国交省では、地域航空会社を傘下に収める持ち株会社を設立したり、経営規模のより大きな会社が小さな会社を合併したりする案などが浮上している。5社はいずれも30〜70席程度のプロペラ機を中心に運航し、北海道や九州の離島を結んでいる。各社はともに路線の利用率が低く、経営基盤は弱い。保有する機体が少なく、整備や乗務員の養成にかかるコストも高くなる傾向がある。主に100席以上の大型機を運航するANAHDや日航から機体の融通を受けることも難しい。このため国交省は同じ課題を抱える地域航空会社が連携し、効率化する必要があると判断した。ただ、ANAHDと日航は競合関係にあり、地元の自治体や企業も地域航空会社に出資している。このため国交省は関係者の意見を聞き、統合に関する課題の洗い出しを進める。


PS(2016年10月24日追加):*9-1のように、SBS米を商社が扱う理由は、「安い」「自社のビジネスが増える」にほかならない。そして、輸出国も日本の消費者に合わせた製品を最低コストで生産する工夫をしており、(自民党農林族のベテラン議員が中国に視察に行った時、中国産コシヒカリと日本産コシヒカリを食べ比べて区別がつかなかったように)味だけを比べれば国内産が勝るとは限らない。そのため、産出地・遺伝子組み換えの有無・使用した農薬・食品添加物などに関する表示は、消費者の選択を可能にするため、最低限必要なのである。
 なお、*9-2の「都会だから食料自給率が低い」という見解は成立せず、日本の食料自給率は先進国の中でも際立って低く、それもカロリーだけを比較するのは一面的で、本来は主要な栄養素の自給率を示すべきだ。また、「コメの消費拡大が鍵で、需要面の政策が必要」というような見解の人は議員・行政(殆どが栄養学の“え”の字も知らない男性)にも多いが、供給を需要に合わせるのが財・サービスを販売するには当然であり、「供給が余るから重要を増やす政策が必要」などとして糖尿病患者を増やすのは逆である。にもかかわらず、このような発想で農業政策を行い、余っても米に固執しながら減反してきたため、日本の農業政策は失敗したのだ。


政府と大学教員 SBS米の価格偽装  TPPで争点   先進国の食料自給率   嗜好の変化
 の会の試算    201610.23     となりそうな      国際比較       2016.10.24 
            日本農業新聞    食品安全基準                   西日本新聞

*9-1:https://www.agrinews.co.jp/p39269.html (日本農業新聞 2016年10月23日) SBS米扱う理由 商社「安いから」 相場は国産の2割安 本紙聞き取り調査
 輸入米の売買同時入札(SBS)取引を巡って日本農業新聞は、商社に聞き取り調査を行い、回答を得た全社が輸入米を扱う理由に「国産米より安いから」を挙げた。取引する米の相場は「国産品より2割安」が最も多かった。SBS米の「調整金」を使った価格偽装問題に対し、今月7日に農水省が公表した調査結果は、実需者への販売価格に十分踏み込まないまま、「国産相場への影響はない」と結論付けた。“安さありき”で取引される実態と、同省見解との間には大きなずれがある。国会での徹底審議が求められる。
●国の見解と食い違い
 調査は、今月13~21日にSBS参加資格を持つ全24の商社を対象に聞き取り、11商社(設問への一部回答も含む)の回答をまとめた。「輸入米を扱う理由」には、11商社全てが「国産米より安いから」と答えた。長い輸送時間で劣化しやすく、炊飯時に割れやすいなど品質面で見劣りする点も織り込んだ回答だ。タイ産の香り米などでは料理適性が調達基準になるが、まれなケースだった。米卸を通じた輸入米の売り先は、外食・中食といった業務筋が中心。企業や福祉施設向けの給食事業者もあった。安さを優先し、原産地表示が目立たない場面で採用されていた。単一銘柄での使用は少なく国産米とのブレンドが中心だった。実際に取引する輸入米の相場観は、国産米より「2割安」が4社と最も多く、「1割安」が2社と続いた。米国産やオーストラリア産より一段安い中国産を想定し、「4割安」とする回答もあった。近年、同省が公表するSBSの売り渡し価格は、国内業務市場で競合する国産B銘柄と接近するケースが目立つ。だが、同価格ではSBS米の魅力はなく、「公表される価格と実際の取引価格は、明らかに乖離(かいり)している」(大手商社)との受け止めが業者に広がっていた。調整金について商社は「農水省が定める売り渡し価格の最低ラインをクリアし、実需が求める安い水準で販売するための手法」(中堅)と受け止める。そうした使途を打ち消すために同省が挙げる「米卸が商社に支払う“逆調整金”もある」という事例は、「取扱量が少ない銘柄を試験輸入する場合など限定的」(大手商社)とみる。SBS売渡価格に米卸の手数料などを加算した実需への販売価格は、複数社が「1キロ当たり200円がボーダーライン」とみている。その水準を下回ると、実需の調達意欲が高まる傾向にあるという。14、15年度のSBS入札の不調は、国産米が大幅に値下がり、B銘柄を輸入米並みの価格で調達できたことが影響していたとみられる。

*9-2:http://qbiz.jp/article/96476/1/ (西日本新聞 2016年10月24日) 【福岡県の食料自給率20%】九州で唯一、全国の39%を下回るワケ
 国内で供給される食料のうち、国産で賄われる割合を示す食料自給率(カロリーベース)。日本は39%と先進7カ国(G7)で最も低く、食料の多くを輸入に頼っている実態があらためて分かる。さらに、これを都道府県別にみると、福岡県の“お寒い”状況が浮かぶ。自給率は九州で最低の20%。しかも唯一、全国の39%を下回る。
■胃袋は多いのに品目は低カロリー?
 直近は2014年度(概算値)のデータだ。それによると、九州の他6県は、佐賀90%▽鹿児島84%▽宮崎67%▽熊本59%▽大分48%▽長崎44%−の順で高く、全国の39%を下回っている県は一つもない。なぜ福岡だけ、食料供給が“ぜい弱”なのか。農林水産省のある職員はこう解説する。「福岡はそれなりの農業県だが、それ以上に人口(約510万人)が多いからだ」。つまり、胃袋の数が多く、供給が追いつかない、というわけだ。栽培品目に着目する意見もある。福岡県の農政担当者は「カロリーが低いお茶やイチゴなどの生産に力を入れていることも影響している」と分析する。確かに、野菜や果実に比べカロリーが高いコメの産地は上位に並ぶ。全国では、1位は北海道だ。自給率208%は北海道“二つ分”のカロリー供給力を誇る。全国の農地面積の4分の1超を占め、酪農の生乳や、畑作のばれいしょ、小麦の生産も盛んだ。2位以下は米どころが目立つ。秋田190%▽山形141%▽青森123%▽岩手111%▽新潟105%―が100%を超え、余剰分を他県へ“輸出”できる供給力を持っていることを意味する。逆に、自給率が低いのは、東京と大阪が1%と同率ワースト1位。続いて神奈川の2%がワースト3位で、「一ケタ」はこの3都府県のみ。いずれも大都市で、福岡の20%も、九州で都市化が進んだ表れかもしれない。
■コメ消費拡大が鍵、需要面の政策も
 都道府県別の食料自給率について、農水省は「2025年度末までに全国で45%」とする政府目標達成に向け、「地域ごとの取り組みを推進する参考データにしてほしい」と説明する。とはいえ、コメの生産を増やそうにも、簡単ではない。農水省は米価下落を防ごうと、生産調整(減反)を進めている。各都道府県に、上限となる生産数量を割り振り、過剰生産をしないよう要求。これを守らない生産者には、麦や大豆の転作助成金を支払っていない。食料自給率は1965年は73%だった。それが、経済成長とともに、右肩下がりに下がってきた経緯がある。背景には、日本人の食生活の変化を指摘する声もある。食の「欧米化」が進み、コメ中心の食事はパンやパスタ、卵、肉など、いずれも輸入に頼る食品へシフトした。畜産は、牛や豚、鶏といった家畜を国内で飼育しているものの、その飼料の大半を輸入に頼っているため、自給率は低いままだ。「米離れ」の実態は、1人当たりの年間コメ消費量をみると、明らかだ。1962年度の118キロをピークに、現在(2015年度)は54・6キロと半分以下になっている。コメは日本が唯一自給できる主食。その消費が増えれば、おのずと自給率も上がり、輸入への依存度も下がる。農水省は自給率アップについて「(麦や大豆など)コメ以外の農産物の生産量を増やして対応してほしい」というが、そもそもコメの消費拡大をどう進めるのか。需要面で実効性ある政策を示す必要もありそうだ。


PS(2016年10月26日追加):農業において種子は最も重要で、開発者に特許権があるにもかかわらず、何年もかけて開発した種子を技術提供として簡単に外国に渡しているのが我が国の現状だ。しかし、それを改めなければ外国産との差別化はできず、日本で種子の開発をする民間はなくなるだろう。

*10:https://www.agrinews.co.jp/p39282.html (日本農業新聞 2016年10月25日) 野菜種子を国産化 海外品より発芽率高く 福岡市の種苗メーカー
種苗メーカーの西日本タネセンター(福岡市)が、野菜種子の国産化に乗り出す。流通する種の大半が海外産の中、管理が行き届いた国内施設で育てて品質を高める。価格は海外品より高くなるが、発芽率は高まるため、種を買う農家の採算性はトータルで改善すると同センターは見込む。キュウリ、トウガンなど70~80種を栽培し、年内にもJAや種苗店へ販売する。日本種苗協会は「種子を本格的に国産化する事業は初めてではないか」と指摘する。福岡市内の3ヘクタールの農地に建てた6メートル×20メートルのハウス43棟で採種用の植物を育てる。ハウスでは1種類の採種を完全に終えた後、別の品種の栽培に移る。同センターによると、屋外中心の海外の圃場(ほじょう)は虫害や他品種との交雑、異物混入といったリスクがあり、「正品率の低さが課題だった」(諸岡譲代表)という。ハウス室内の温度やかん水は専門の社員が管理する。収穫した種子は消毒、選別した後、発芽率が高まるように種の外皮を研磨する。生産した種子の8割はグループ会社の中原採種場(同市)が販売を担う。県や農研機構などが育成した品種は同センターが直接JAなどに販売する。山口県と同県のJA下関が共同開発した小ネギ「YSG1号」などは山口県内の複数のJAと契約し、全量販売する予定だ。日本種苗協会によると国内に流通する種(F1種)の9割は海外産とみられる。気温などの栽培適性、農地の確保のしやすさ、人件費の安さが理由だ。ただ、異常気象や人件費アップなど海外の生産条件が今より悪化する恐れが高まっており、同センターは「国産化が安定供給につながる」と事業の将来性を見込む。同センターは今後、耕作放棄地を活用しながら規模拡大を進める計画だ。2020年までに農家委託を含め、県内外20ヘクタールにハウス計300棟まで増やす。扱う品種も段階的に増やす。消えそうな固定種や在来種の保存も進める考えだ。種子の海外輸出も想定する。同センターのハウスを今月、視察した佐賀県の職員は「近場で安定的に種子が供給される環境が整うようであれば、県内で使える品種があるか、検討したい」と期待する。事業化に当たっては、6次産業化などを後押しする農林漁業成長産業化支援機構(A―FIVE)やサブファンドが8000万円を出資した。


PS(2016.10.26追加):木質バイオマス発電は、限られた資源である木材チップを燃やして発電するシステムで、これが21世紀の日本で進められるのには驚かざるを得ない。また、農地を売却して製造業・運送業・倉庫業などの5業種の建屋に用途を変える場合は地主農家が所得控除を受けられるようにするというのは、日本でしかできない農業のための農地を、外国で簡単に肩代わりできる製造業に転用するということで、何の工場かにもよるが50年も前のスキームだ。さらに「食の安全意識の高まりから室内で野菜をつくる植物工場」と書かれているが、確かに農薬は使わないものの、限られた栄養素のみを溶かした水耕栽培で人工光による「形だけ野菜」を、誰が、どこで食べるのか、呆れてモノが言えない。

*11:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20161026&ng=DGKKASFS24H4L_W6A021C1MM0000 (日経新聞 2016.10.26) 農地転用 税優遇広く、バイオマスや植物工場 製造業中心を転換
 農林水産省は農地を売却する農家への税制優遇を拡大する。全国で広がる木質バイオマス発電所や植物工場を運営する企業に売却する際にも所得税を軽くする方針だ。運営企業には固定資産税の軽減も検討する。現行制度で優遇を受けられるのは製造業などに転用した場合に限られる。産業構造の変化を踏まえ、新たな産業を誘致して農村で就労機会を増やす狙いだ。年末の与党の税制調査会の議論を経て実施を目指す。併せて2017年の通常国会に農村地域工業等導入促進法(農工法)の改正案を出す。現在は農地を売却して製造業や運送業、倉庫業など5業種の建屋などに用途を変える場合に限り、地主の農家は800万円を上限に所得控除が受けられる。一般的に農地転用は厳しく制限されるが、農工法のもとで例外が認められている。農水省は既存の5業種に加え、木材チップなどを燃料にするバイオマス発電所や植物工場、農家レストランなど農林業と関わりがある場合も税優遇の対象とする。追加業種を限定せず、広く対象に加える案もある。農家への優遇措置を広げるとともに、農工法が対象とする場所でバイオマス発電所などを運営する企業の進出も支援する。日本政策金融公庫の低利融資を受けられるようにするほか、新たに導入する機械設備の固定資産税を3年間は2分の1にする方向だ。農工法はコメ余りに悩んでいた農家の振興策として1971年に制定された。だが農地転用の有力な受け皿だった製造業は円高などで海外への生産シフトを加速させてきた。2015年の国内の工場立地面積はピークだったバブル期の4分の1まで減少。農工法に基づいて工業団地を整備するケースは1970年代に年間200件を超えることもあったが、2015年にはわずか1件にとどまった。代わって存在感を増しているのが農林業系の産業だ。11年の東京電力福島第1原子力発電所事故後に生じた電力不足の解消を狙ってバイオマス発電所の建設が相次いでおり、全国の認定容量は原発1.5基分に達した。食の安全意識の高まりから室内で野菜をつくる植物工場も全国300カ所を超え、地場産業としての期待が高まりつつある。バイオマス発電所や植物工場などの広がりは農工法制定時には想定されていなかった。農水省は新しい産業の誘致を通じ、農村での雇用機会の拡大につなげたい考えだ。


PS(2016年11月1、2日追加):*12-1に書かれているように、TPPが発効されれば、かつての不平等条約と同様、日本の農業や国民生活に打撃があるにもかかわらず、政府が自分もわかっておらず口当たりが良いだけの答弁を繰り返して採決に進もうとしているのは論外だ。なお、*12-2の鹿児島県鶏卵販売農協の経営の行き詰まりはもったいなく、①フクイチ事故で、放射能汚染の心配がない九州の農産物は付加価値がついているため全国区のスーパーや百貨店に販路を拡大する ②「飼料の高騰、高騰」と騒がなくてもよいように、材料は多いので安くて質の良い飼料を工夫して近くで作る などを行えば、経営が改善した上、飼料も販売できるようになると考える。また、*12-3のように、人口が減少して一人一人が豊かになる社会の休耕田や耕作放棄地の使い方には、佐賀県みやき町で秋咲きのヒマワリが咲いて観光名所になり、近くでこだわりの農産物を販売しているように、風景の美しさと食へのこだわりの両方を満足させる企画もある。 

*12-1:http://qbiz.jp/article/97095/1/ (西日本新聞 2016年10月31日) 「TPP反対」650人が気勢 JA福岡など福岡市で集会
 環太平洋連携協定(TPP)をめぐる衆院の論戦が大詰めを迎える中、JAグループ福岡などは29日、福岡市・天神のエルガーラホールで「TPP断固反対 農業政策要請 県農業者集会」を開いた。JA組合員(農業者)ら約650人が参加。「TPPが発効されれば、将来のわが国の農業のみならず、国民生活に対して大きな懸念を残す」などとするTPP反対の決議を採択した。JA福岡中央会の倉重博文会長はあいさつで、最近の国会審議に関して「野党の質問は丁寧だが、受け答えする政府側がはっきりしない。TPPは秘密主義だ」と批判。「(TPP承認案と関連法案について)急いで採決に向かっていることが全く分からない」と述べた。また、集会に参加した県選出の自民党国会議員らに対し、「TPPの合意内容が、農林水産分野の重要5項目などの聖域確保を求めた国会決議を満たしているとは考えられない。協定内容を十分に精査し、さらなる情報開示などを行うこと」などを要請。参加者は「TPP断固反対」と書かれた旗を掲げた後、「頑張ろう」と声を上げて集会を締めくくった。

*12-2:http://qbiz.jp/article/97174/1/
(西日本新聞 2016年11月1日) 鹿児島県鶏卵販売農協が2回目の決済も不調
 東京商工リサーチ鹿児島支店によると、鹿児島県内の養鶏農家でつくる「鹿児島県鶏卵販売農業協同組合」(鹿児島市)が2回目の決済も不調となり、経営が行き詰まっていることが分かった。事実上の倒産で、負債総額は約8億円の見込みになるという。同支店によると、同農協は1973年に採卵養鶏農家が共同出資して設立した。組合員となる農家が生産した鶏卵をスーパーなどに販売し、最盛期は売上高15億円を超えたという。しかし、卵の価格が低迷した上、飼料が高騰し、事業環境が悪化。資金繰りが悪化し、取引先への支払いを予定していた9月30日と10月20日の決済がそれぞれ不調に終わったという。

*12-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/372599 (佐賀新聞 2016年11月2日) 秋の棚田大輪10万本 みやき町の山田ひまわり園
 佐賀県みやき町簑原山田地区の「山田ひまわり園」で、秋に咲くヒマワリが見頃を迎えている。中山間地の棚田を活用した会場内には約10万本の黄色い花が咲き誇り、赤く色づいたケイトウとのコントラストが来場者の目を楽しませている。27日まで。地区住民でつくる山田地区中山間地組合が、耕作放棄地対策とにぎわいづくりを目的に2001年から取り組んでいる。昔ながらの石積みの棚田が残る約6千平方メートルの園内に、8月中旬から種をまいて準備を進めた。10月中旬から開花し、約2メートルの高さまで育った茎の先端に太陽に似た大輪の花を咲かせている。家族で訪れた西津博幸さん(47)は「インスタグラムで見て初めて訪れた。迫力があってきれいで、涼しいから子連れでもいいですね」と幼い我が子を抱きかかえながらほほ笑んだ。近年は観光バスのコースに組み込まれることも増え、長年の目標だった「来場者1万人」を2014年に達成。昨年は1万3千人が訪れた。今年は10日前後まで見頃が続くという。組合代表の眞子生次さん(69)は「棚田が荒れないよう守り続けるための活動だったが、ここまでの観光名所になった」と目を細める。場所は県道31号と136号が交わる綾部東交差点から北に約1・7キロ。開園時間は午前10時~午後4時半。大人1人100円の協力金を呼び掛けている。組合員らが手掛けた米などの農産物も販売する。問い合わせはみやき町観光協会、電話0942(96)4208。

| 農林漁業::2015.10~ | 08:44 PM | comments (x) | trackback (x) |
2016.9.17 豊洲市場・首都圏の生鮮食料品と産地の対応 (2016/9/19、20、21、22、24、27、2016/10/1、15に追加あり)
   
  2016.9.11   豊洲市場の位置      2016.9.17          豊洲市場の状況
   Yahoo                      日経新聞

  
                 豊洲市場の欠点  上         2016.9.17   豊洲の海面との差
(魚を冷やす氷も、浄化した海水で創った方がいいのでは?)   日経新聞

(1)首都圏の食品が集積する豊洲市場の現状を、驚きを持って見た 
 小池百合子氏が東京都知事になられてから、豊洲市場への移転について立ち止まって検証してみたら、*1-1のように、豊洲市場の主要3施設の地下空洞が公開されたら、床一面に水がたまっており、完成から4カ月で深さが20cmに達した場所もあったそうだ。

 深さが最大で20cmある豊洲市場の地下空間の水たまりは、*1-2のように、日本の環境基準以下だそうで、東京都によると、*1-4のように、建設業者から施設を引き渡された2016年5月末の時点では地下の空洞に水はなく、水たまりは6月以降にできたと書かれている。しかし、これほど短期間に大きな瑕疵が現れる工法をとったことは、設計者や建設業者など建設を受託したプロ集団にも責任がある。

 しかし、*1-4では、水が酸性かアルカリ性かということしか調べていない上、*1-3のように、日数をかけてもヒ素と六価クロムしか検出できなかったというのは水質検査のレベルが低すぎ、水俣病の原因物質が有機水銀であることをつきとめた東大薬学部に委託すれば、その水に含まれる成分と濃度のリストは数日で作れる筈だ。また、海水の可能性もある上、現在は、フクイチから漏れたセシウムやストロンチウムが川から東京湾に注ぎ込んでいるため、放射性物質等の測定も必要だ。

 私が、ここまですべきだと書くのは、*1-6のように、豊洲はもともと海だった所にゴミを埋めて陸地を造った海抜1m~2mの場所だからである。その前提で6月以降に水たまりができた理由を考えれば、横にだけコンクリートの護岸を造っても、圧力差で地下から水が上がってくるため、2m掘って海抜0m近くになっていた場所が大潮・高潮で海抜以下となり、水圧によって深い所で20cmの水が溜まったのだと考えられる。そうすると、この水は、もともとゴミだった土壌を通ってきた海水であり、何が含まれているかわからず、危険であるため、地下空間を造るのなら徹底して防水すべきだったのだ。

 しかし、平時は、徹底して防水した地下空間にすれば何とかなるにしても、4.5mの盛り土をしたところでも、5mの津波が来ればマンホールから水が噴きあがってアウトになる。そのため、そこにいる人たちが、どう避難する計画なのかは疑問だ。

(2)豊洲市場の安全性を「再評価する」という都の専門家会議
 都の専門家会議は、*1-5のように、2008年に土壌汚染対策として盛り土を提言した当時のメンバーで、豊洲市場の盛り土をめぐり、前提条件が変わったことを受けて、現状を再評価するそうだ。「今から盛り土をするのは難しいため、盛り土がない中でどうするのかを議論する」とされているが、その費用及び豊洲市場移転の遅延損害金は、どこが負担するのだろうか。

 また、国の環境基準以下なら何が出ても安全なわけではないため、私も、小池知事同様、豊洲市場の問題は徹底して経緯と安全性を明確にしてもらいたい。そして、これは、単に東京だけでなく、豊洲市場を利用する地域全体の問題だ。

(3)産地の安全を保つ努力を知るべき
i)安全と衛生
 *2-1のように、EUは漁船から水揚げされてから流通に至る段階まで厳しい基準を満たした水産物しか域内への輸入を認めておらず、アジアの新興国でも衛生意識が高まり、輸出促進には衛生基準の引き上げが不可欠になっているそうだ。しかし、輸出のために衛生基準を引き上げなければならないほど、日本国内の衛生基準(安全基準)は低かったのだ・・。

 なお、現在、「におわない魚」が人気だそうだが、産地ではもともと生臭さを感じるほど死んでから時間の経過した魚は食べないし、魚臭さは魚の味のうちだと私は思っている。しかし、*2-2のように、みかんやレモンの香りをつけたり、エサに大豆カスなどの植物性たんぱく質を増やしたり、うまみを補うチキンミールや脱臭効果のある茶の粉末を大量に加えたりした養殖魚も出荷され始めているそうだ。

ii)魚は新鮮さが命
 日本全国で害獣と言われたクラゲだが、*2-3のように、中国では高級食材として需要があり、(私の提案で)輸出量が増えて高値を付けていた有明海のビゼンクラゲは、一時は有明海の“救世主”となったが、中国景気の失速による価格下落で現在はピンチだそうだ。しかし、簡単に調理できるように(例えば「野菜や蒸し鳥と一緒にたれをかけるだけ」など)加工してセットにすれば(6次産業化)、日本の家庭でも前菜として人気が出るだろう。

 つまり、共働きが増え専業主婦の割合が減っている現在では、女性は魚をおろせたり、美味しいだしをとれたりすることに誇りを持つのではなく、ゴミや洗い物を少なくしながら手軽に美味しいものを食べたいという価値観に変化しているため、魚は水揚げしたらすぐに産地で加工し、獲れたての美味しさを閉じ込めた製品にして送った方が喜ばれると考える。

 また、豊洲市場がこういう具合であれば、豊洲市場を通していない食品の方が安全ブランドの価値が高くなるため、産地で細胞を壊さない冷凍にしたり、半調理したりして、消費者が選択できるように獲れた海域を明示したラベルを貼って送った方がよい。

<豊洲市場の現状に驚き>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160917&ng=DGKKASFB16HFG_W6A910C1EA1000 (日経新聞 2016.9.17) 一面に水、漂う臭気 豊洲地下空洞公開、青果棟、砕石層むき出し
 豊洲市場(東京都江東区)の主要3施設の地下空洞が16日、報道陣に初めて公開された。床一面に水がたまっており、完成から4カ月で、深さが20センチに達した場所もあった。共産党都議団の発表によると、水に含まれる化学物質は環境基準以下だったが、地下空洞がつくられた経緯が不透明で、安全対策の検証は長期化も予想される。階段を下りていくと泥の臭いがしてきた。「地下ピットに入る場合は原則2名以上とする」。酸欠や閉じ込めへの注意を促す触れ書きを横目にドアをくぐると、青果棟の地下に広大な暗闇が目の前に広がった。室内に明かりはなく、懐中電灯を手に慎重に歩を進めると、一面水浸しの床が眼前に飛び込んできた。空間の高さは5メートルほどの場所もあれば、かがまないと歩けない狭い地点もあった。都は同市場の施設の地下には盛り土だけでなくコンクリート床も計画していなかった。今回、公開されたのは水産卸売場棟、水産仲卸売場棟など3施設。このうち青果棟では床のかなりの部分で、砕石層がむき出しになっていた。暗く、奥まで見渡せない室内は、20~30人は優に入れる広さがある。じめじめと湿気が多く天井も結露し、泥やカビのような臭いが全体に充満。人が通るとすぐににごる水たまりの側には、大気の成分を調べるためとみられる機器も置かれていた。水産卸売場棟や水産仲卸売場棟の地下でも、深さ数センチの水たまりが一面にできていた。いずれの建物の地下にも配管が縦横無尽に張り巡らされており、その上に土ぼこりなどがたまっていた。地下空間の水について都は「8月の大雨でたまった。外構工事が半ばで地下の側壁から水が浸透した」とみている。13日以降の都の水質調査で16日までに回収できた分は、関係者によると、ベンゼンやシアンなどの有害物質の濃度は環境基準値以下だったという。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160917&ng=DGKKZO07373620X10C16A9MM8000 (日経新聞 2016.9.17) 豊洲の地下空洞 水たまり、深さ最大20センチ
 築地市場(東京・中央)の移転予定先である豊洲市場(同・江東)の建物の地下が空洞となっている問題で、東京都は16日、主要3施設の地下部分を報道陣に公開した。床には深い所で20センチの水がたまっていた。雨水か地下水かは不明という。都によると5月に建設会社が引き渡した時には水はなかった。共産党都議団は16日、青果棟の水からヒ素が検出されたが、環境基準以下だったと発表した。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/ASJ9K3GLYJ9KUTIL00R.html?iref=comtop_8_03 (朝日新聞 2016年9月17日) 建物地下の水、微量のヒ素と六価クロム検出 豊洲市場
 豊洲市場(東京都江東区)の建物の地下にたまっていた水について、都は17日、水質調査結果を発表した。環境基準を下回る微量のヒ素と六価クロムが検出されたが、ベンゼンやシアン化合物などは検出されなかった。13日に主な3棟の地下で採った水を検査したという。専門家会議座長の平田健正(たてまさ)氏は会見で「(検出された数値は)全然問題ない」と話し、ヒ素が検出されたことから「地下水の影響が出ている可能性がある」と指摘した。結果によると、ヒ素は環境基準(1リットルあたり0・01ミリグラム)に対し最大で0・003ミリグラム、六価クロムは基準(1リットルあたり0・05ミリグラム)に対し0・005ミリグラムがそれぞれ検出された。

*1-4:http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20160915-00000370-fnn-soci (フジテレビ系FNN 2016年9月15日) 豊洲新市場地下空洞に水たまり 小池都知事、専門家会議再招集へ
東京・築地市場の移転先となる豊洲市場の土壌汚染対策をめぐる問題で、市場の建物の地下にある空洞にたまった水は、2016年6月以降にたまったとみられることがわかった。都は、早急に水質調査を行う考え。豊洲市場の主要施設の地下が、都の独断で盛り土(もりど)がされず、空洞になっていた問題で、14日、公明党や共産党の都議団が現場を視察し、水産卸売場棟や青果棟など3つの施設で、多いところでは、20cm近くの深さの水がたまっていることがわかった。東京都によると、建設業者から施設を引き渡された2016年5月末の時点では、空洞に水はなく、水たまりは、6月以降にできたものとみられる。14日、水を採取した共産党都議団が調べたところ、水は、強アルカリ性だったということで、専門家からは、人体への影響も懸念されるとの指摘が出ている。日本環境学会元会長の畑 明郎氏は、「弱アルカリ温泉では、pH8~9くらいですね。それよりも、もっと強いので、皮膚は表面が溶けますから、痛くなるし、飲むとまずいですね。魚なんかは死んじゃいますね」と話した。一方、小池都知事は15日、専門家会議を再招集することを明らかにしたほか、地下の空洞について、さらにくわしく調べる必要性を強調した。小池知事は、「水質だけでなくてですね、地下の大気などもよく調べていかないと、正しい分析にはならない」と述べた。東京都は、すでに水の調査を行っており、小池知事は、空気の調査についても、早急に行う考え。

*1-5:http://digital.asahi.com/articles/ASJ9K36LJJ9KUTIL00L.html
(朝日新聞 2016年9月17日) 豊洲市場の安全性「再評価する」 都の専門家会議が会見
 東京都の築地市場(中央区)が移転を予定する豊洲市場(江東区)の「盛り土」をめぐる問題で、都の「専門家会議」の委員らが17日に会見し、「前提条件が変わった。現状を見て再評価する」と述べた。2008年に土壌汚染対策として「盛り土」を提言した当時のメンバーで、当時の想定と異なる地下空間の安全性を検証する。08年当時の座長だった平田健正(たてまさ)・放送大学和歌山学習センター所長らが会見した。「(今から)盛り土をするのは難しい。盛り土がない中でどうするのかを議論する」などと話し、必要な改善策も検討する考えを示した。結論を出す時期については、「いつまでというのは、予想がつかない」と述べるにとどめた。会議は平田氏のほかに、いずれも当時の委員だった駒井武・東北大院教授と内山巌雄・京都大名誉教授も参加する。当時、環境基準を大きく上回る有害物質が検出されたため、「敷地全体で汚染の可能性がある土を入れ替えて盛り土をする」と提言。しかし、都は提言を無視する形で施設を設計し、建設を進めた。盛り土がなかった問題を小池百合子都知事が10日に公表し、「提言からの変更について、都が専門家会議に意見を求める手続きを怠った」と指摘。都の要請で会議を再開し、盛り土がない現状での安全性を検証することになった。危険性が認められる場合、改修策も検討する。都はこれまでの経緯や市場の移転について検証する有識者のプロジェクトチームも今月発足させており、専門家会議には、チームの座長を務める小島敏郎・青山学院大教授もオブザーバーとして加わる。小島氏も会見に出席し、豊洲への移転時期について「少し(時間が)かかりそう」と長期化を示唆した。小池百合子知事は16日(日本時間17日)、パラリンピック閉会式出席のために出張中のリオデジャネイロで取材に応じ、豊洲市場の問題について「徹底して客観的に、これまでなにがあったのかを明確にしたい。それを踏まえたうえで、それぞれのご専門の方々からの意見を待ちたい」と述べた。

*1-6:http://blogs.yahoo.co.jp/konchanni/54595284.html
(Yahooブログ 2014/7/30) 豊洲で、海抜の話しするのは、禁句です。
豊洲のららぽーとに買い物に、先日行きました。どこの道にも、案内板にも、海抜何メートルという表示がありません。私の住む東京都港区は、どこの電柱にも案内板にも、ここは海抜何メートルですとあります。しかし、ここ、江東区豊洲町には、高層マンション、学校もたくさんできているのに、その開示がありません。これは、危険ですね。防災上も。なぜ、開示が示されないのか? 考えられることは、住民が馬鹿なんですね。この地域に5000万円のローンを銀行から組んで暮らしている人たちからすれば、資産価値が下がりますから。しかし、事実は、知らさなければなりません。他の地域から買い物しに来た客たちの命を守るためにもです。ここ、豊洲は今は道路も幅広く、綺麗な個装マンションが建ち並んでいる地域で、一部の会社員、主婦層=私はバカたちと思います(環境問題に疎い、見かけにこだわる人達)が、ここの街のアスファルトの下は、ヘドロとゴミの有害物質の土壌?です。もともとは、海でした。今、築地市場移転問題で揺れていますが、これは、豊洲などのこの地の土壌が有害物質で汚染れているから、口の中に入る築地市場の移転に反対する市場関係者も少なくないわけです。また、この豊洲地域の海抜は、0mから2mです。ここの自治体に代わって、示しておきます。ここに、あんぜんに暮らす価値が本当にあるのか?疑問です。高い価格のマンションを買って・・・・・。

<生鮮食品の安全性>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160515&ng=DGKKASFS13H64_U6A510C1NN1000 (日経新聞 2016.5.15) 水産物輸出へ拠点港 水産庁方針 20年度までに80カ所
 水産庁は2020年度までに水産物の欧米やアジアへの輸出を担う強化漁港を全国で70~80カ所整備する。欧州連合(EU)などの厳しい輸入基準を満たせるように、水揚げから出荷までを衛生的に管理できる設備の導入を急ぐ。海外での日本食ブームや健康志向を追い風に、20年の水産物輸出額を15年比3割増の3500億円に引き上げることを目指す。16年度末までに閣議決定する漁港整備の長期計画にこうした方向性を盛り込む。水産庁は16年度から(1)水産物の取扱量が原則5000トン以上(2)ホタテやサケなど養殖用水産物の取扱量が原則1000トン以上――のいずれかを満たす漁港を「流通・輸出拠点漁港」とする方針を打ち出した。だが該当する約150カ所のうち、高度な衛生管理体制で出荷できる漁港は八戸港(青森県)や枕崎港(鹿児島県)など2割にとどまっている。これを20年度までに5割に引き上げる。具体的にはアジア向けのホタテ輸出が期待できる北海道北東部の漁港などが対象になる見通し。東日本大震災で甚大な被害を受けた女川港(宮城県)なども含まれる可能性がある。EUは漁船から水揚げされてから流通に至る段階まで厳しい基準を満たした水産物しか域内への輸入を認めていない。水産需要が膨らむアジアの新興国でも衛生意識が高まり、輸出促進には衛生基準の引き上げが不可欠になっている。15年度の農林水産物・食品の輸出額は前年比2割増の7452億円と、3年連続で過去最高を更新した。世界的な日本食ブームや健康志向の高まりを背景に、海外の富裕層から水産物の引き合いが増えている。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/ASJ5M43L5J5MUTIL017.html?iref=com_alist_8_01 (朝日新聞 2016年6月19日) におわない魚、食卓で人気 エサ工夫、フルーツの香りも
 魚臭さを抑えた「におわない魚」が人気だ。みかんやレモンの香りをつけた「フルーツ魚」を売り出す地域も増えている。魚離れが進むなか、新しい需要の掘り起こしにつながるのか。総合スーパー「イトーヨーカドー大森店」(東京都大田区)の鮮魚売り場。「におわない」のシールが貼られたブリの切り身を買った近所の主婦原早知子さん(32)は「くせがなくて最初食べたときは驚きました。お肉みたいにジューシーで気に入っています」。一般的なブリより1割ほど高いが、月に3回ほど買うという。開発したのは、クロマグロなどの養殖に力を入れる近畿大学の有路昌彦教授(41)。食べても魚臭さはほとんど感じさせない一方で、脂の乗りは中トロ並みの平均20%以上。濃厚な味が口に広がる。5年がかりで商品化し、大学が支援する「食縁」(本社・和歌山県新宮市)が今年1月から関西や関東の一部の店に卸し始めた。「におわない」理由は主にエサにある。一般的なエサの配合飼料には、成長に不可欠なたんぱく質として魚粉が4~6割ほど含まれるが、魚臭さの元になるため、配合を28%に削減。一方で大豆カスなどの植物性たんぱく質を増やし、うまみを補うチキンミール、脱臭効果のある茶の粉末を大量に加えたという。「内臓と接して本来、エサのにおいがつきやすいはずの腹身もほぼ無臭にできた」と有路教授は言う。開発の背景にあるのが、魚臭さや調理の手間を敬遠する消費者の魚離れだ。農林水産省の調べでは、1人当たりの魚介類消費量は2011年度に肉類に逆転され、14年度は約27キロと、ピークの01年度から約13キロ減った。有路教授は国内で養殖が最も盛んなブリに着目。エサとともに、においの元となる体表の酸化を防ぐ真空パックも民間企業と開発した。「ブリ特有のにおいを好む人も多いが、消費拡大のためには苦手な人の市場開拓が大事。よりにおいに敏感な海外への輸出増にもつなげたい」と期待する。
■みかん香るブリも
 「フルーツ魚」もエサに柑橘(かんきつ)などを混ぜて魚臭さを抑え、香りをつける。養殖業が盛んな西日本で次々と商品化されている。回転ずし「無添くら寿司」を展開するくらコーポレーション(本社・堺市)は12年、みかんの皮と果汁をエサに混ぜた愛媛県の「みかんブリ」のにぎりの提供を始めた。食べると、みかんの風味が口に残る。担当者は「さっぱりした後味が人気で、魚嫌いの子どもも食べてくれる。通常の養殖ブリの1・5倍の売れ行きです」。今では「みかんサーモン」や「すだちしまあじ」など10種類のネタを、フェアや月替わり商品として出しているという。フルーツ魚の生みの親は高知大学の深田陽久准教授(魚類栄養生理学)。柚子(ゆず)に含まれるポリフェノールの抗酸化作用に注目し、エサに加えたところ、身の変色が抑えられるだけでなく、香りもつくことを発見した。07年に鹿児島県の地元漁協が深田准教授の協力を得て「柚子鰤(ぶり)王」の販売を開始。果皮と果汁をエサに10%ほど加えて20~30回魚に与え、柑橘の香気成分「リモネン」を人間の感知できる最低量の約20倍、身に蓄積させているという。全国海水養魚協会の調べでは、少なくとも8県に23種類のフルーツ魚がある(昨年12月時点)。消費者にも浸透し始め、大分県の「かぼすブリ」の15年度の出荷量は512トンで、販売を始めた10年度の90トンから急増している。とはいえ、フルーツ魚のシェアは養殖魚全体でみればわずかなもの。「におい」のある本来の魚の販売が安定経営には大事なため、大々的にPRするのは難しい。深田准教授は「養殖でしか作れないおいしい魚が増えることで、養殖魚の評価が高まり、業界の活性化につながる。魚を好きになるきっかけになってほしい」と期待する。

*2-3:http://qbiz.jp/article/92489/1/ (西日本新聞 2016年8月17日) ビゼンクラゲの価格が急落 中国景気失速で有明海の“救世主”がピンチ
 有明海漁業の救世主的存在だったビゼンクラゲの取引価格が大幅に下落している。中国で高級食材として需要があり、輸出量が増えて高値を付けていたが、中国経済の失速で需要が落ち込んだとみられる。有明海では取れなくなったタイラギなどに代わる貴重な収入源で、県内の漁業者から心配する声が出ている。ビゼンクラゲは傘の直径50〜70センチで、大物は重さ約30キロ。昔は引っ掛かると漁網が破れる厄介者とされていたが、ここ10年は中華料理の前菜や酢の物の食材として、国内外の業者による取引が活発化。乱獲を防ぐため、福岡、佐賀両県の有明海区漁業調整委員会は昨年、7〜10月だけ漁を解禁する規制を始めた。ところが、県有明海漁協大浦支所によると、今年の取引額は1キロ230円前後で低迷。14年の500円、15年の350円と比べ半値近くになっている。今夏の水揚げ量は昨年と同水準でだぶついているわけではなく、クラゲ専門商社くら研(神奈川県茅ケ崎市)の福田金男社長は「中国の景気失速が原因。ぜいたく品の消費は落ち込み、安物を求める傾向が価格を押し下げている」とみる。ノリ養殖も営む太良町の漁業渋谷浩之さん(45)は「クラゲ漁は重くて肉体的にきついが、不作気味のノリ養殖を補う大切な仕事。このまま低価格が続けば、燃料費も割に合わなくなる」と気をもむ。九州農政局佐賀支局によると、クラゲを主に示す「その他の水産動物類」の県内の水揚げ量は11年まで年間30〜100トン前後だったが、取引の活発化や個体数の増加で12年は3500トンと爆発的に拡大、13年は5488トン、14年も3230トンで推移してきた。一方、タイラギは有明海の環境異変で戦後最長の4季連続休漁が続いている。


PS(2016/9/19追加):*3-1、*3-2で、東京都は生鮮食料品を扱う市場開設者としての食品安全性に関する責任感や金銭感覚が欠けていることがわかった。しかし、「①この建物に約5,900億円もの建設費を支払わされた被害者としての都民」「②市場を機能させている民間企業の卸・仲卸」だけでなく、「③東京都が承認しなければ小売店や食品企業はせりに参加できないという時代遅れの市場制度」「④生産者の利益」「⑤消費者の利益」も考えられるべきである。つまり、第一次産業の生産者は、市場を通すことで自由な価格付けができず、卸・仲卸に手数料を支払う分だけ消費者がその製品に対して支払った金額から受け取る収入が減らされる。そのため、間に立っている卸・仲卸・小売は、よほど役立つ仕事をしているのでなければ第一次産業の寄生虫となり、役立つ仕事をしているか否かはニーズによって決まるため、取引の自由を認めた上で卸・仲卸数の調整がなされるべきである。
 私は、衆議院議員をしていた2005~2009年の間、地元の全農協・漁協を廻って話を聞き、第一次産業は利益率が低いため大規模化・機械化・機械価格の低減・燃費削減等によるコスト削減が必要だと理解したが、同時に、市場を通さず直接消費者に販売することで生産者の利益が増え工夫も生まれるので、生産者が道の駅や小売店と直接取引することが重要だと考え、これを進めてきた。そして、道の駅に出された生鮮食料品は、新鮮さ・安さ・品質などで市場を通した規格品よりも人気があり、道の駅や小売店による生産者からの直接仕入れは増加しているのである。
 従って、地方の市場はそれぞれ存在理由があるのでその地方で考えればよいが、東京都は確かに11ある市場の整理統合が不可避だろう。そこであぶれた仲卸の人材は、知識・経験・ネットワークを持っているため、大規模小売店や食品企業の生鮮食料品仕入れのプロ、もしくは生産者のアドバイザーとして働けばよいと思う。

    
2016.9.18日経新聞   2016.9.18日経新聞    第一次産業製品の  2016.9.18日経新聞
 市場開設者の責任       豊洲市場          卸売市場経由率    仲卸業者数の推移

*3-1:http://www.nikkei.com/article/DGXMZO07231360U6A910C1000000/?dg=1 (日経新聞 2016/9/18) 豊洲騒動にみる市場開設者の怠慢  編集委員 志田富雄
 東京都の小池百合子知事は8月末、11月2日に予定していた築地市場の閉鎖と同7日の豊洲市場開業を当面延期すると発表しました。2011年の決定から曲折を繰り返した豊洲市場への移転は、最後の最後で「待った」がかかったのです。さらに、ここにきて汚染土壌対策として専門家が求めた「盛り土」工事が主要な建物の地下で実施されていなかった事実が共産党都議団の調査で明らかになりました。これまでの東京都の説明は事実上、嘘だったことになります。こうした築地移転をめぐる一連の騒動は、卸売市場の役割や仕組み、現在の卸売市場が直面する課題に目を向けることで理解が深まります。マグロの初セリや場外市場での買い物を通じて築地の名前は国内外に浸透し、外国人観光客も多く訪れます。ただ、その役割をきちんと説明できる人は少ないかもしれません。今回はそこを解説してみましょう。
■全国64の中央卸売市場、東京都に11開設
 築地市場などの卸売市場には、中央卸売市場と地方卸売市場があります。14年度時点で全国に1092ある地方卸売市場の開設は企業や農業協同組合でも可能ですが、食品流通の根幹を担う中央卸売市場の開設者は卸売市場法によって自治体と決められています。とりわけ東京都は15年度で全国に64ある中央卸売市場のうち、11の市場を開設しています。そこには取引金額で全国最大の築地市場のほか、野菜や果物、花の取引を主力とする大田市場、芝浦の食肉市場があります。これらの市場は設置場所や開設者が東京都とはいえ、卸売市場としての役割は全国区です。市場開設者としての東京都の責任は自治体の中でも突出して重いのです。今回の騒動をみると、東京都には市場開設者としての責任感が欠けているとしか思えません。建設資金の税金を払った都民も被害者ですが、直接的な影響を受けるのは市場に参加する卸や仲卸会社の人たちです。卸売市場を開設し、適切に運営するのは東京都です。ただ、市場を機能させるのはそこに参加する民間企業の卸や仲卸です。卸売市場では卸が仕入れてきた食品を仲卸が買い付け、それを小売店や外食店に売ります。その過程で、卸と仲卸の間でマグロなどのせりが行われるのです。東京都が承認すれば小売りや食品企業なども買い手としてせりに参加することができます。卸売市場には全国の食品を集めて分配し、公正な価格を決める役割があります。開設者である東京都が「築地は老朽化したので、豊洲に引っ越します」と決めれば“店子(たなこ)”である卸や仲卸はそれに従うか、豊洲での営業をあきらめる(多くの仲卸の場合は廃業)しかありません。ところが、引っ越しの準備をほぼ終え、新居の冷蔵庫のスイッチも入れた(家庭の冷蔵庫と違い、冷やし込みには長い時間がかかります)と思いきや今度は「新居の安全チェックがまだなので引っ越しはしばらく延期。新たな引っ越し時期は年明けに決めます」と言われたのです。これだけでも上から目線で、店子はかちんときます。追い打ちをかけるように「新居の安全対策がこれまでの説明と違ってました」と言われれば、移転を推進してきた企業の幹部さえ怒り心頭なのは当然のことです。市場関係者の話では、年末に向けて取引量が増える11月の引っ越しを提案したのも東京都です。築地市場の跡地では20年の東京五輪で幹線道路として使う「環状2号」の工事をしなければならず、道路の建設計画から逆算して移転時期を決めたとみられています。しかし、豊洲市場の安全性の最終確認が間に合わないとして、小池知事は移転延期の根拠としました。築地市場の移転をめぐっては、これまでも曲折がありました。開設は1935年ですから、すでに80年代には老朽化や場内の狭さなどが問題になり、大井への移転や築地での再整備計画などが持ち上がりました。築地での再整備は工事に着手したのですが、市場の営業を続けながらの工事という同時並行が困難なことが分かり、工事は中断。東京都は01年に豊洲への移転を決めました。ところが、東京ガスの工場があった移転先の土壌から高濃度の有害物質が見つかり、都は汚染対策工事にとりかかりました。土壌をきれいな土と入れ替える対策で、これが都の説明と違うと問題になっているものです。その間、店子も「豊洲移転派」と「築地派」に分かれて激しい議論が続きました。とりわけ、豊洲への移転に難色を示す企業が多かったのは仲卸です。築地市場に参加する卸会社には大都魚類、東都水産、中央魚類、築地魚市場といった上場企業もあります。一方、仲卸は零細な中小企業がほとんどです。東京都の調べで中央卸売市場の仲卸は14年末時点で1164社と89年から35%減少。存続する仲卸も3期連続で経常損失となるなど東京都の決めた財務基準に抵触する比率が6割に及びます。仲卸には1000万円ほどかかるとされる引っ越し費用を捻出できないところも多く、これが移転反対の一因になっています。
■仲卸の経営改善へ役割果たせず
 卸売市場法では市場開設者の自治体や卸会社の許可権限は政府(農林水産大臣)が持ち、仲卸の許可権限は自治体にあります。東京都は仲卸各社の経営状況をチェックし、市場の円滑な運営に努めなければならないのです。多くの仲卸の経営が揺らいでいる現状も、東京都は十分に責任を果たしていないといえます。12年には仲卸の団体の間で、移転派の組合員が移転に慎重な理事長に解職請求を突きつけた騒動もありました。今回の移転延期と土壌汚染対策の不備発覚により、時計の針が逆戻りし、移転をめぐり市場が再び割れる懸念があるのです。ただし、このまま築地市場を存続させることは本質的な問題解決につながりません。築地市場の老朽化は目に余るものがあります。大規模な地震などが起きなくても、天井の崩落などによって働く人たちに被害が及ぶ危険性もあります。手狭な場内でターレーと呼ばれる運搬車による人身事故も後を絶ちません。今回の騒動では、築地市場もアスベストなどの問題を抱えている事実に焦点が当たりました。少なくとも東京都は市場開設者として築地など11市場についても豊洲と同様、有害物質を厳しくチェックして情報を公開する必要があるでしょう。築地市場を見学したことのある読者なら分かると思いますが、築地は間仕切りの少ない開放型の施設です。もちろん卸や仲卸はそれぞれ冷蔵庫を持っていますが、市場全体として厳格な温度管理は不可能です。政府は卸売市場の整備方針として温度管理を徹底するコールドチェーンをつくることをめざしています。現状維持では、こうした市場の近代化も足踏みしてしまいます。移転の前途には暗雲が広がりましたが、かといって振り出しに戻ることもできないです。
■進む地盤沈下、11市場の整理統合は不可避
 そもそも東京都は長い間、老朽化した市場の改善を放置していたのです。移転延期の期間がどれくらいになるかは分かりません。しかし、長期化するだけ食品流通は築地(卸売市場)を離れ、地盤沈下が進むのです。宿題はそれだけではありません。東京都には11、全国では64の中央卸売市場があると説明しましたが、数が多すぎるのです。交通網が整備されていなかった時代と違い、今では青森県でとれた「大間のマグロ」や大分県でとれた「関さば」もすぐに築地市場にトラックで運ばれるようになりました。買い手では大規模なスーパーや外食チェーンが台頭し、卸売市場を通さない産地との直接取引も増えています。水産物の卸売市場経由率は98年度の71%台から13年度には54%台まで低下しています。卸や仲卸は扱う商品の金額の中から収入を得ますから、卸売市場の取扱金額が減れば収入は減り、経営は苦しくなります。先に指摘した仲卸の経営問題です。東京都は11市場の整理統合にまったく手を付けていません。これも責任の放棄です。東京都などの自治体は政府と連携し、卸売市場の整理統合を加速しながら、市場の近代化を進める必要があります。それには施設だけでなく、取引制度を食品流通の変化に合わせる規制緩和も必要です。これを契機に、中央卸売市場の民営化推進も検討してほしいと思います。

*3-2:http://www.sankei.com/life/news/160830/lif1608300029-n1.html (産経新聞 2016.8.30) 総事業費1・5倍 維持費1日700万円 延期で都民にさらなる負担の可能性
 11月7日に計画されている東京都の築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転について、小池百合子知事が疑問視するのは、移転先の豊洲市場の総事業費が平成23年度の約3900億円から約1・5倍となる約5900億円に膨れ上がった点だ。だが、移転を延期しても豊洲市場の空調などに維持費がかかる上、11月移転に向け準備を進めてきた関連業者から補償も求められかねない。財政負担はさらに拡大の可能性が高く、小池氏は難しいかじ取りを迫られそうだ。都の説明によると、豊洲市場の建設費は、資材・人件費の高騰などで、23年度に行った試算時の約2・8倍の2747億円に増加したほか、土壌汚染対策費も約1・5倍の858億円に膨張するなど、最終的な総事業費は約5884億円に及ぶと見込まれている。膨らんだ事業費について小池氏は今月16日、「こんなに天井知らずに高くなっていいのか。非常に疑問に思う」と不信感をあらわにし、自身が設置する都政改革本部で検証する考えを示していた。


PS(2016.9.20追加):*4-1のように、毎日新聞は、2016年9月18日、「『建物下の空洞は土壌汚染が再び見つかった場合に備えて、パワーショベルが作業できる場所とする目的でつくられた』と都幹部が毎日新聞の取材に証言した」と報じている。しかし、最初、東京都の担当部局は「配管などのために空洞を設けた」と説明していた。次に、*4-2のように、日経新聞が、2016年9月20日、「都は2008年、有識者会議に『建物下に汚染地下水浄化の作業空間を確保する』と説明しつつ、詳細な内容は伝えていなかった」と報じている。しかし、汚染された地下水を浄化して何に使うのだろうか。市場で使用するのなら、汚染されていない海水を管で遠くから採取してきて浄化するか、水道水を使うべきで、ここの土壌から出た地下水を使用するなどもってのほかである。そして、こういうことを言われなければわからないような人が給料をもらって担当しているのがおかしく、都民はじめ市場利用者に多大な迷惑をかけている。

 
      2016.9.11東京新聞     2016.9.18  2016.9.20    豊洲市場の地下水
                          毎日新聞    日経新聞
*4-1:http://mainichi.jp/articles/20160918/k00/00m/040/105000c
(毎日新聞 2016年9月18日) 豊洲市場、空洞は汚染対処用…「再発時、重機搬入」
●都幹部が証言
 東京都の築地市場(中央区)からの移転が延期された豊洲市場(江東区)の主要建物下に土壌汚染対策の盛り土がされなかった問題で、建物下の空洞は土壌汚染が再び見つかった場合に備え、パワーショベルが作業できる場所とする目的でつくられたことが分かった。都幹部が毎日新聞の取材に証言した。担当部局の都中央卸売市場は問題発覚後、配管などのために空洞を設けたと説明しており、本当の理由が隠されていた疑いが強くなった。豊洲市場では2007〜09年、地下水や土壌などから環境基準値を大幅に上回るベンゼンが検出された。土壌汚染対策を検討する外部有識者の「専門家会議」と、専門家会議が対策として提言した敷地全体の盛り土の工法を検討する「技術会議」が相次いで開かれ、都議会でも豊洲移転の可否が議論されていた。都幹部によると、都中央卸売市場内には「対策は十分だが、万が一、土壌汚染問題が再発した場合のリスクヘッジ(危険回避)を講じておく必要があるのではないか」との声が根強くあった。「有害物質が出たら、土を掘り起こして作業をしなければならない」との指摘もあり、パワーショベルが入れる空間を確保することになったという。建物下に盛り土がなかった事実の発覚以降、都中央卸売市場は床下の高さ4.5メートルの空洞は配管や電気設備の敷設のためだったと繰り返し説明してきた。しかし、この都幹部は「配管などのためなら高さ1メートルもあればいい。4.5メートルという高さは、建築の常識ではあり得ない」と指摘した。別の元局長級幹部は、都中央卸売市場が事実を公表しなかった背景について「『パワーショベルを入れるため』と明かせば、『土壌汚染対策は万全ではないのか』という話になる。問題が広がらないようにと考えるのは、事務方特有の発想だ」と説明した。一方で「盛り土よりコストが高いとも考えられ、手抜き工事とかコスト削減目的とかではなく、真剣に検討した結果だったのではないか」と述べた。

*4-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160920&ng=DGKKASDG19H27_Z10C16A9CR8000 (日経新聞 2016.9.20) 都「地下水浄化の作業空間」 豊洲市場、有識者に詳細伝えず
 豊洲市場(東京・江東)の建物地下が空洞になっている問題で都が2008年、有識者会議に「(建物下に)地下水浄化の作業空間を確保する」と説明しつつ、詳細な内容は伝えていなかったことが19日分かった。会議の議事録によると、その後の質疑でも都側の回答はあいまいで、有識者との間で認識が食い違ったままだった。小池百合子知事が設置したプロジェクトチーム座長の小島敏郎青山学院大教授は17日の記者会見で、「(議事録に)不思議なやりとりがある」と指摘していた。同市場の土壌汚染対策を巡っては08年7月、「専門家会議」が全敷地に4.5メートルの盛り土をするよう提言。ただ都は地下利用を検討、同年12月に具体的な工法についての「技術会議」で初めて説明した。都は「地下水管理について」の文書で将来的に土壌汚染対策法が改正され、同市場が同法の指定区域になるケースを想定。「汚染地下水の浄化が可能となるよう、建物下に作業空間を確保するなどの措置」を講じる方針を示した。ただ作業空間の大きさや配置など詳細は説明されないまま、有識者側は了承した。土壌汚染対策工事を終えた14年11月の技術会議で都は断面図のイメージを提出。だが建物下はグレーに塗られただけで注釈はなかった。盛り土用の購入土の少なさに気付いた有識者が理由を尋ねると、都の担当者は「建築敷地以外のところを盛り土した」と答弁した。答弁の趣旨は伝わらず、有識者が「4.5メートルは土が積んであるのか」と改めて問うたが、担当者は「はい」と回答。そのまま質疑は終わった。


PS(2016.9.21追加):*5-1に「①日本の正社員の長時間労働は法規制の緩さだけが原因ではない→従って、残業や休日労働が認められる現行制度を見直せ」「②労働生産性が低いことも大きな理由→従って、政府は働く人の生産性向上の支援にも力を入れるべきで、就業者の1時間あたり付加価値は日本は米国の6割強であるため、脱時間給や裁量労働制が有効」「③転職が簡単ではないため、過重労働を我慢している人もいる→従って、転職しやすい柔軟な労働市場を整備すべき」「④長時間労働の是正は女性の就業や男性の子育て参加を促す上でも重要」と書かれている。
 しかし、①②は産業によって大きく異なり、豊洲市場の事例のように、最も生産性・付加価値が低いのは中央省庁を含む役所であって、低いのみならずマイナスのことさえある。さらに、「時間をかけるのがよい」という価値観もあって、1週間で結論が出る話に1年かけたり、③のような1~2年で解決できる事象を25~30年も議論していたりする。次に生産性が低いのは景気対策のカンフル剤として支出される公共事業で、生産性・付加価値が低いだけでなくマイナスのこともある。つまり、生産性の向上や長時間労働の是正を強く主張しているのは経営などしたことも考えたこともない役所であり、生産性や付加価値の低い行動を長く続けられるのは、実は税金で賄われる組織と独占企業・寡占企業だけなのである。
 なお、付加価値は、小売業・飲食業・観光業・病院(特に救急医療)のように、休日や夜も営業していることにより高まるものも多いため、①をどの産業にも当てはめるのは役所の横暴であり、そもそも共働きの女性が増えている現在、役所も8時~17時ではなく、少なくとも窓口は20時くらいまで空いていて欲しい。そして、これは、組織内の長すぎる文書の簡略化や人材のローテーションで問題なく行い得る。
 また、*5-2のように、出産・育児で離職しがちな医師を支援しようと、九大病院がフルタイムで働くことが難しくなった女性医師らを年収100万円程度で非常勤として雇用し(この制度がないよりはよいが、可哀想な境遇だ)、診察や研修に携わって将来復職しやすくする制度を行っているとのことだが、他の専門職と同様、一人前になるため一生懸命に修行すべき期間と子育て期間は重なるため、国が「子育ても仕事も自分で行うべき」という方針でいる限り、本来は難しい仕事をこなせる優秀な女性ほど遣り甲斐をなくして離職する結果となる。従って、家事や子育てを夫婦の仕事と決めつけず、外国と同様、ハウスキーパーや外部サービスを容易に使えるシステムを作る方が、働く男女を助けることになる。

*5-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160921&ng=DGKKZO07470560R20C16A9EA1000 (日経新聞社説 2016.9.21) 多面的な政策で正したい長時間労働
 問題を解決するときは最初に原因を洗い出し、ひとつひとつ手を打っていく必要がある。長時間労働の是正も同じだ。政府は残業時間に上限を設けることを考えているが、日本の正社員の長時間労働は法規制の緩さだけが原因ではない。労働生産性が低いことも大きな理由だ。転職が簡単ではないため、過重労働を我慢している人もいるだろう。長時間労働の是正は女性の就業や男性の子育て参加を促すうえでも重要だ。労働時間規制以外の点にも目を向け、多面的な対策で効果をあげるよう政府に求めたい。日本の正社員の年間労働時間は2000時間超で高止まりしている。厚生労働省は残業時間の上限規制について、有識者による検討会を発足させて議論を始めた。企業の労使が協定を結べば、残業や休日労働が認められる現行制度を見直す。今は協定に特別条項を付ければ事実上、青天井で残業時間を延ばせる。政府はこの仕組みを改め、一定の制限を設ける方向という。これは妥当だろう。併せて政府は働く人の生産性向上の支援にも力を入れるべきだ。就業者が1時間あたりに生み出す付加価値は、日本生産性本部によると日本は2014年に41.3ドルで、米国の6割強にとどまる。主要7カ国のなかでは最も低い。生産性を上げれば労働時間を短縮しやすくなる。労働時間ではなく成果に対して賃金を払う「脱時間給」の導入や、働く時間の配分を本人にゆだねる裁量労働制の拡大は、メリハリをつけた働き方を広げる効果が見込める。それらを盛り込んだ労働基準法改正案を26日召集の臨時国会でぜひ成立させるべきだ。ロボット、ドローン(小型無人機)や人工知能は生産性向上の強力な武器になる。普及には規制のあり方の見直しも課題になろう。会社から命じられる仕事の量が多すぎるなら、それを拒否できるように、転職がしやすい柔軟な労働市場を整備する必要もある。求人企業と求職者の橋渡しをする職業紹介業務をもっと民間企業が担えるようにする規制の見直しなどが求められる。長時間労働の是正には一人ひとりの職務の明確化や仕事の進め方の見直しなど、企業の取り組みが重要になるが、政策面でもやるべきことは多い。政府は必要な政策を総動員すべきだ。

*5-2:http://qbiz.jp/article/94327/1/%E4%B9%9D%E5%A4%A7%20%E5%A5%B3%E6%80%A7%E5%8C%BB%E5%B8%AB/ (西日本新聞 2016年9月20日) 育児や出産 医師の復職支援10年 九大病院プロジェクト 20日記念講演会
 出産、育児で離職しがちな医師を支援しようと、九州大学病院(福岡市東区)が取り組む「きらめきプロジェクト」が今年で10年目を迎えた。フルタイムで働くことが難しくなった女性医師らを非常勤として雇用し、診察や研修に携わってもらい、将来的に復職しやすくする取り組み。多くが職場復帰を果たしており、初年度からサポートする樗木(ちしゃき)晶子九大教授(62)は「今後も精力的に続けたい」と意気込んでいる。プロジェクトは2007年から、国の大学改革推進事業の一環としてスタートし、事業終了後も九大が独自に継続している。毎年、男女を問わず、非常勤を希望する医師や歯科医師を募集。雇われたスタッフは週に1回程度、同病院で診察や研究に携わるほか、月1回のミーティングで情報交換をしたり、年度末の発表会などを行ったりしている。年収は100万円程度。15年度までに約40人(延べ92人)を雇用。うち約20人がフルタイムで職場に復帰し、同病院や国立病院で管理職(部長)を務める女性もいるという。プロジェクトの発足当時、九大病院でも離職する女性が増えていた。出産などで休職した場合、「定員に枠がある医局に迷惑を掛ける」との理由で離職を選択するケースが多かったという。全国的に医者不足が叫ばれている中で、一度離職すると、それまで研究してきた専門分野への復帰が難しく「せっかくの優秀な人材が戻ってこられなかった」と樗木氏は振り返る。非常勤スタッフとして働く医師たちは「年収は少なくても、働ける喜び、名誉をみな感じている」という。10年を記念し、20日午後1時から、九大医学部の百年講堂で講演会も開催。活動報告のほか、水田祥代福岡学園理事長らの講演もある。一般参加可。入場無料。プロジェクト事務局=092(642)5203。


PS(2016.9.22追加):メディアは政治家には大したことのない事象まで騒ぐが、役人の責任となると、*6-1のように、あらゆる手法で曖昧にされ、メディアも追及の手を緩める。しかし、2007年以降に中央卸売市場長が5人いるとしても、「盛り土がなかったとの認識はなかった」というのは、食の安全に関する認識がなかったということであり、卸売市場長の役目を果たしていない。また、2年毎に異動させて担当者を変え、ど素人を担当者にして時間の無駄遣いをさせた上、質の低い仕事になるのも役所人事の問題点である。そのため、部課長級で判断して市場長や知事に説明していなかったことも問題だが、契約書を作ったり、それにサインしたり、稟議書にハンコを押したりして多額の予算をつけながら、建設内容のポイントを掴んでおらず、建設現場に何度も行かなかったというのなら、それ自体も問われるべきである。
 なお、*6-2のように、共産党都議団が、21日に豊洲市場の主要建物付近の地上部に地下空洞に通じる重機の搬入口を見つけ、都議会公明党も同様の搬入口を確認したそうだ。共産党・公明党の都議はよくやっているが、これまで都議でさえ地下空間の存在を知らず、推理小説のように探しているのは全くおかしい。私は、この地下空間は、厚いコンクリートで密閉すれば、水素燃料による自家発電装置や蓄電池などの機械・備品を置いたり、地下鉄と同様に水を一時的に溜めるプールとして使用したりなど、有効活用することも可能だと考えるが、都はまず正確な開示を行うべきだ。

*6-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160922&ng=DGKKASFB21HDY_R20C16A9EA2000 (日経新聞 2016.9.22) 都知事、豊洲問題の追加調査を指示
 豊洲市場(東京・江東)で盛り土をしていなかった問題で、東京都の小池百合子知事は21日、都幹部から経緯の検証結果の報告を受け、追加調査を指示した。責任の所在が不明確などの理由から不十分と判断した。28日の都議会開会をめどに最終結果をまとめるように求めた。都は盛り土を同市場の土壌汚染対策の目玉としてきた。にもかかわらず、建物の地下が空洞に変更になった経緯が明らかでなく、副知事を中心に調査してきた。小池知事は21日夜、記者団に、「(同日受けた報告は)時系列的に歴史年表みたいな形でまとめてある。その時、誰が関わって何を決めたのかについて今まとめてもらっている」と語った。さらに「仲間でずっとやってきたので厳しいことが聞きにくいのだろう。都庁でアマアマで調査結果を出したのではかえってマイナスになる」と話した。検証結果は公表されていないが、日本経済新聞の取材でも不透明な点が多い。誰が判断したのか? 豊洲の土壌汚染が大きな問題になった2007年以降、豊洲問題の都の責任者である中央卸売市場長は5人いるが、いずれも「盛り土がなかったとの認識はなかった」と語る。重要政策の変更にもかかわらず、責任者に十分説明せず、部課長級で判断した可能性がある。いつ変更した? 都は11年8月、豊洲市場の土壌対策の工事契約を結んでいる。石原慎太郎知事(当時)の押印があり、建物の下に盛り土はしないという内容だった。地下を空間にする案は出ては消えた。08年11月、土壌汚染対策の工法を検討する「技術会議」に都は地下空間を整備する案を示していた。ただ、11年3月、都議会の委員会で当時の担当部長は「敷地全体にわたり、きれいな土で盛り土を行う」と答弁している。なぜ変更した? 地下が空洞になっている理由について、現在の都の担当者は「配管の整備や修繕作業のためのスペースが必要」と説明する。比留間英人・元中央卸売市場長は「(在任中)地下水をモニタリングするスペースは必要と考えられていた」と語る。盛り土をしなかったこととコストの関連も焦点だ。

*6-2:http://mainichi.jp/articles/20160922/k00/00m/040/075000c (毎日新聞 2016年9月21日) 豊洲市場、.空洞に通じる重機搬入口が見つかる
 共産党都議団は21日、豊洲市場の主要建物付近の地上部に、地下の空洞に通じる重機の搬入口が見つかったと発表した。市場担当者から説明を受け、21日に敷地外から目視で確認したという。都議会公明党も21日に同様の搬入口を確認した。共産党によると、水産仲卸売場棟の搬入口の大きさは縦約3メートル、横約6メートルで、コンクリート製のふたでふさがれている。都の担当者は「建物下の空洞に分解した重機を降ろすために設置した」とし、大がかりな工事を想定していることを明らかにしたという。青果棟、水産卸売場棟にも同規模の搬入口があった。共産党は「汚染が見つかった場合に掘り返すためだとすれば、これまでの『世界一安全な土』という説明はどうなるのか。地下空間に関わることが隠されていたことは重大で、都は全面的に公表すべきだ」としている。


PS(2016年9月24日追加):*7-1のように、豊洲市場の土壌汚染対策を検討する「専門家会議」の平田座長が、9月24日、「豊洲市場の空洞に溜まった水は雨水ではなく地下水」と判断し、「地下水管理システムで地下水位および水質を管理し始めれば問題ない」と言っておられるが、*7-2、*7-3に書かれている井戸で、この埋立地の地下水の水位・水質を管理できると考えるのは甘い。何故なら、湧き出ている地下水は雨水以外にはあり得ないと断定しているが、下図に書かれている不透水層は岩盤やコンクリートででもなければ不透とは言えず、本当は下から海水が上がってきている可能性が高いからだ。もし地下水管理システムで地下水位および水質を管理できると言うのなら、今、やってみればよいだろう。また、下図で、海水の水位が砕石層より下に描かれているのは、豊洲の標高から考えて嘘である。
 さらに、*7-1のように、都議会公明党が実施した水質調査でシアン化合物が検出されたことについては、「直ちに人体に影響を与えるものではない」とされているが、食の安全確保には、環境基準以下で直ちに人体に影響を与えないという程度では不十分だ。

  
  人工島にある豊洲市場     豊洲市場の地下水概念図(×)    井戸による地下水管理(×
                            *7-3より
*7-1:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160924-00000036-mai-soci (毎日新聞 2016年9月24日) <豊洲市場>平田座長「空洞の水は雨水でなく地下水と判断」
◇水産卸売場棟の建物下の空洞を視察
 東京都の豊洲市場の土壌汚染対策を検討する外部有識者の「専門家会議」の平田座長は24日に水産卸売場棟の建物下の空洞を視察し、豊洲市場の空洞にたまった水は雨水ではなく、「地下水であると判断される」との見解を示した。都議会公明党が14日に採取し実施した水質調査でシアン化合物が検出されたことについては、「直ちに人体に影響を与えるものではないと考えられる」とした。

*7-2:http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/dojou/taisaku/outline/step/step08/
(東京都中央卸売市場) 盛土と井戸の設置
 調査により安全性を確認した盛土等を使って、計画地盤の高さまで盛土します。(このことにより、A.P.+2mより上は、全てきれいな土となります。) 盛土した後、地下水管理用の井戸を設置します。
●地下水管理用井戸
 市場施設完成後は、地下水管理システムにより、敷地全域の地下水位および水質を管理します。今回の工事では井戸の設置まで行います。
●地下水管理システムの概要
 敷地全域の地下水位および水質を管理します。観測井戸で測定したデータをもとに、自動で揚水ポンプを稼働させるなど、地下水位をリアルタイムに監視・制御します。常時は管理推移より0.2m低く地下水位を維持することで、大雨、集中豪雨時の雨水貯留機能も備えます。

*7-3:http://ameblo.jp/kazue-fgeewara/entry-12201552847.html (マスメディア報道のメソドロジー 2016.9.19) 洲市場の地下空間問題の最大の問題点/マスメディアの悪意報道
 実は私、地盤内の物質移動現象に関する専門知識をちょっぴり有している(笑)のであえて言わせていただきます。豊洲市場の「地下空間問題」の最大の問題点は何かといえば、物質の移動現象のイロハも知らずに安全性を判定することなど到底できない素人の皆さん(例えば建築エコノミストやら経済評論家やら弁護士やら元政治家やら元競馬評論家やら自称ジャーナリストやら司会者やら)が、ワイドショーなどのマスメディアで、まるで物質移動分野の権威のように安全だとか危険だとか根も葉もない結論をアテズッポで語っていることであると私は考えます(笑)。根拠薄弱な言説や非論理的な言説をもって東京都を理不尽に締め上げるような態度は既に常軌を逸している悪意報道であると思います。今回の問題で東京都が正当に批判されるのは当然であると考えますが、不当な批判をするのは厳に慎むべきです。これらの人物は、テレビの視聴者が専門知識を持っていないことをよいことにして、かなり浅くいい加減な言説を連発してミスリードを続けています。この記事では、このようなマスメディアや運動家がほとんど理解していない【地盤内浸透流 groundwater flow】による【物質移動 mass transfer】についてエレメンタリーな知識を紹介した上で豊洲市場の地下空間における【浸出水(たまり水)seepage】の発生メカニズムについて考察してみたいと思います。
●豊洲市場の地下水環境
 まず、物質移動について紹介する前に豊洲市場における地下水環境について簡単に紹介しておきたいと思います。豊洲市場の【地下水環境 groundwater conditions】を概念的に示すと次の図のようになります。都が発行している[工事概要パンフレット] [豊洲新市場の土壌汚染対策工事の概要資料] [専門家会議の提言]も理解に役立つものと考えます。非常に簡潔に言えば、豊洲市場では、不透水層よりも上部にある層のうち2mを掘削除去すると同時に2m以深の地盤についても高濃度の部分を除去し、下部の砕石層を含む4.5m高さの【盛土(もりど) Embankment】を行ったと言えます。地下水のモニタリングは7回実施されていますが、その[結果]を見れば、いずれの汚染物質も基準値以下に抑えられており、土壌汚染対策が有効に機能していることがわかります。過去7回の調査の結果に観測値のトレンド(時間平均)の変化は認められず、8回目の観測結果の確認を理由にした小池都知事の移転延期には工学的な有意性はほとんどないものと考えます。ちなみに、調査サイトに仮想のメッシュを設定して調査を実施する方法をグリッドシステムと言います。これにより、調査を系統的に行うとともに調査の偏りを除去して見落としを防止することができます。豊洲のような大規模なサイトにおいて10mメッシュで詳細調査するのは極めて異例なものであり、極めて丁寧な調査が実施されていると言えます。このような形で安全性が確認されれば、[地下水制御システム]によって地下水面の位置が制御され、汚染物質の地表への到達が抑止されることになります。
●汚染物質の移動現象と豊洲市場への影響
 自然界において、地下水に溶存(溶けている)あるいは混在(溶けていない)する気体・液体・固体を移動させているのは、基本的に【移流 advection】【分散 dispersion】【拡散 diffusion】という現象です。それぞれの現象が豊洲市場における汚染物質の移動にあたってどのような影響を与えるか考えてみたいと思います。
●移流
 移流とは地下水の流れに乗って物質が移動する現象です。したがって、その移動は地下水が流れる速さである【流速 flow velocity】に影響を受けることになります。地盤内の地下水が流れる空隙を【水みち water pathway】と言います。土の場合は土の粒子の間の空隙が主な水みちであり、岩やコンクリートの場合には亀裂の空隙が主な水みちとなります(岩やコンクリートは空隙が存在する率が低いため粒子間を通る流れに対して亀裂内を通る流れが卓越します)。この空隙の大きさによって【ダルシーの法則 Darcy's law】における【透水係数 hydraulic conductivity】(水の通りやすさ)が決まりますが、盛土材料の場合、透水係数はどんなに大きくても0.001cm/秒程度であるといえます。この数値に、【動水勾配 hydraulic gradient】(ある場所とある場所の水位換算された水圧の差をある場所とある場所の距離で割った値)をかけると【平均流速 averaged flow velocity】を求めることができます。移流による汚染物質の移動速度はこの平均流速あるいはそれ以下の値であると言えます。ここで、重要なのは豊洲の地下水は埋立地を取り囲むように設置された遮水壁によって水平方向の流速が生じない地下水環境である【不透水境界 impermeable boundary】となっていることです。豊洲の【地下水位 GWL】は【涵養(かんよう) Cultivation】(雨水などによる外部からの水の供給)によって鉛直方向に上昇することになりますが、この場合、涵養は敷地全体にわたって一様に生じるため、水平方向の動水勾配は極めて小さい値になります。もし仮にエリアを囲んでいる遮水壁に沿って水位が瞬間的に5m上昇するという絶対にありえない最悪の地下水圧分布が生じたとしても埋立地中心までの最短距離は200mあるので動水勾配は5/200=0.025であり、このときの地下水流速は0.00025cm/秒という速度になります。これは1時間にすると約1mm、1日にするとたった2cmという流速です。こんなにあり得ないような地下水圧分布が仮に1年間続いたとしても年間の水平移動量は約8mであるといえます。豊洲の汚染評価のグリッドシステムの幅は10mですので、隣り合う観測井戸でも変化が検出されないことになります。なお、透水性が高い砕石層部においては流速は大きくなります。仮に1cm/秒と仮定すると、上述の地下水圧分布の場合、1時間に1mの流速で水平方向に進むことになります。ただし、この場合水の鉛直方向の移動は下方に進むため、未掘削部の帯水層に存在する可能性がある汚染物質が砕石層部を移動する可能性はありません。砕石層部を移動する水はすべてクリーンな水であると言えます。このように、移流現象によって汚染物質が短期間に水平方向に大きく移動する可能性は極めて低いと言えます。通常の地下水環境を考えれば、100年にわたる長期間であっても移流現象に起因する汚染物質の顕著な水平移動は考え難いと言えます。一方で鉛直方向における地下水の移動は水位の変動によって確実に生じます。しかしながら、豊洲市場においては、揚水井戸(地下水をくみ上げる井戸)を利用して地下水位がA.P.1.8mの標高よりも高くならないように【地下水制御 groundwater control】されることになります。したがって、地下水制御が正常に機能している場合には、移流による鉛直方向への汚染物質の移動も発生することはないと言えます。ところで、移流現象としてもう一つ考えておかなければならないことがあります。それは、土粒子間の間隙における表面張力の作用によって液体が吸い上げられる【毛細管現象 capillary action】という物理現象です。この現象は粒子径が大きい場合には発生しないので、豊洲市場では未掘削部の上部に粒子径が大きい砕石層を設置して現象の発生を防止しています。常識的には、この砕石層の存在によって毛細管現象による水位上昇が発生することはないと考えられます。
●分散
 地下水の通り道である地盤内の水みちは必ずしも直線状ではなく、複雑な形をしています。このため、地下水の流れはこれらの間隙を回り道をしながら一定の方位に進んでいくことになります。このときの回り道の広がり(水みちのばらつき度合)を分散と言い、物質の濃度が場所によってはらつくことになります。この分散の広がりを示す係数としては、流れの進行方向に定義される【縦分散長 longitudinal dispersion coefficient】と進行に垂直な方向に定義される【横分散長 lateral dispersion coefficient】があります。豊洲のような土質地盤において、縦分散長は移動距離の1/10程度、横分散長は縦分散長の1/10程度であることが知られています。つまり、分散が汚染物の移動に影響を与える程度は移流の影響の1/10程度であり、今回の場合はほぼ無視できるものと考えられます。
●拡散
 拡散は流体の分子の運動によって物質が移動して拡がっていく現象です。例えば水にインクを静かに入れたときに徐々に広がっていく現象がこの拡散にあたります。拡散現象は、【濃度勾配】(異なる場所の濃度の違いをその距離で割った量)が【流束 flux】(流量)に比例するという【フィックの法則 Fick's laws of diffusion】に従います。このときの比例定数は【拡散係数 diffusion coefficient】と呼ばれますが、豊洲で検討の対象となっているヒ素や六価クロムの水中における拡散係数は約10-9m2/秒という値です。この値が具体的にどの程度のものかと言えば、10cm離れた場所の濃度が変化するのに4ヶ月近くかかる値です(フィックの第2法則)。このように、豊洲サイトにおいて、拡散現象によって汚染物質が短期間に大きく移動する可能性は極めて低いと言えます。地下水位を制御する地下水環境を考えれば、拡散現象に起因して汚染物質が地表に到達することは考え難いと言えます。一方、揮発性のベンゼンは気体であるため、その水中の拡散速度は非常に速いと言えます。しかしながら、土の粒子の間に存在するベンゼンが自由に水中を上昇してくるかと言えば答えはノーです。土粒子内では【毛管圧 capillary pressure】が作用するために鉛直方向の動水勾配が1以上の時には漏気が発生しないことが知られています。これは、[Aberg]の研究によるものであり、地下水制御の実務ではすでにこの現象が利用されています。また、JOGMECが波方と倉敷に建設した水封式LPG地下貯蔵タンクの建設事例では、鉛直方向の動水勾配が0.5でもプロパンの漏気が発生しないことが実証されています。ベンゼンの蒸気圧は20℃で10kPa程度あるので、1m程度の水深を確保すればそれだけでベンゼンを封じ込めることが可能であると言えます。以上、移流・分散・拡散という物質移動の各観点から豊洲市場の地下水環境を考察した場合、豊洲市場の地下水制御の考え方は妥当なものであり、地下水制御システムが妥当にオペレーションされた場合には、汚染物質が短期間に急激に移動して市場に影響を与える可能性は極めて低いと言えます。移流・分散・拡散の数値解析手法としては【オイラリアン=ラグランジアン法 Eulerian-Lagrangian method】による飽和不飽和浸透流解析がありますが、この問題はこのような数値解析を実施する必要がないほどの自明な問題であると言えます。
●豊洲市場の地下空間における「たまり水」の水文学的考察
 ここでは、ここまでに示してきた基本的状況を踏まえた上で、豊洲市場の地下空間における浸出水(たまり水)について水文学的に考察してみたいと思います。豊洲市場の地下空間に水が浸入したシナリオとしては、地表水浸透説と地下水浸透説の2つの可能性があります。
●地表水浸透説
 豊洲市場建屋の地下空間内のたまり水の原因として、雨水等の地表水が地盤内を浸透して地下空間に浸出した可能性があります。基本的に豊洲市場建屋の地下空間は地下水位よりも上にあると考えられます。一般に、地下水位よりも下の部分の地盤は【飽和帯 saturated zone】、地下水よりも上の部分の地盤は【不飽和帯 unsaturated zone / vadose zone】と呼ばれますが、この説では、大気圧よりも低い不飽和帯の水が地下空間に浸入したと考えるものです。この説が真である場合、豊洲市場の地下水環境は保持されていると言えますが、逆に地下空間部における建物の構造に問題があったということになります(笑)。建物内に浸出している水の量は少なくなく、盛土と地下空間を結ぶ明瞭な水路がない限りこのような状況が生じる可能性は極めて低いと言えます。さて、その水路が具体的に何かということですが、コンクリートの接合部の欠陥といった企業体の施工不良である可能性は極めて低いと言えます。この現象は各棟で生じていますが、各棟の企業体(清水JV、大成JV、鹿島JV)がそろいもそろって信じられないような施工不良を起こす確率は極めて低いと考えられるからです。この場合、水路となる可能性があるのが未掘削土と盛土の間にある高透水性の砕石層です。報道において、この砕石層が地下空間内で露出していたことが確認されています。透水係数が0.001cm/秒程度の未掘削土の上部に高透水性の砕石層が存在する条件下において、多量の降雨などで一時的に大きな涵養が生じた場合、もう一つの地下水面が形成されることが十分に考えられます。これは「二重地下水面」と呼ばれます。私が考えるに、8月中旬の積算約300mm(30cm)の雨によって未掘削土の地下水面の上部に砕石層を含む飽和帯が一時的に形成され、その地下水面が空洞の底面よりも高くなったため、砕石層から地下空間内に水が浸入し、たまり水が生じた可能性があると考えています。この場合、たまり水から検出された微量なヒ素・六価クロムは砕石層下面に存在したものが移流によって運搬されてきたものと考えられます。このケースが真である場合には東京都としての対応は、地下空間の下面に遮水製のシートを設置した上でコンクリートを底面に打設すればよいと考えられます。また、この際には、二重地下水面が生じないように砕石層から揚水できるポンプを取り付けることが重要です。もちろん既存の地下水制御システムで対処可能であれば、ポンプは不要となります。
●地下水浸透説
 豊洲市場建屋の地下空間内のたまり水の原因として、雨水等の地表水が地盤内を浸透して地下水の水位を押し上げて、最終的に地下空間の底面よりも高い位置となったため、地下水が地下空間に浸入したと考えるものです。この説が真である場合、良い知らせと悪い知らせがあります。まずは精神衛生上、悪い知らせの方から説明しますと(笑)、今回の降雨において地下水制御システムが有効に機能していなかったということです。情報によれば、最近まで地下水制御システムは運用していなかったということです。この場合、揚水ができずに地下水面が上昇するのは当然起こり得る状況であり、今回それが起こってしまったということです。もしも、今回仮に基準値を上回る汚染物質が検出されていたとしたら、その時点で大金をかけて設置した盛土にも同様の汚染物質が到達したと考えられ、不飽和帯の毛細管現象によって地表に汚染物質が将来到達するシナリオを検討する必要もあったと考えらえます。東京都は、盛土の存在を一瞬で無意味にする可能性もあったこのような杜撰なオペレ―ションを猛省すべきであると考えられます。次に、良い知らせの方ですが、今回たまり水から検出されたヒ素・六価クロムは基準値を下回る微量なものであり、おおむねこれまでに実施されてきたモニタリング調査結果と整合するものでした。これが何を意味するかと言えば、豊洲の地下水は広範囲にわたって、十分に浄化されているということです。地下水制御システムを運用していなかった東京都は盛土という高額なアセットを一気に無意味化するリスクを冒すという恐ろしいほど大きな失策を演じましたが、その結果、逆に豊洲市場の地下が安全であることが判明したということになります(笑)。このケースが真である場合には東京都としての対応は簡単です。地下空間の下面に遮水製のシートを設置した上でコンクリートを底面に打設すればよいと考えられます。ポンプは基本的に不要です。
なお、コンクリートで下面処理を行うことを前提とした場合、地下空間の存在自体は水文学的に問題があるものではありません。専門家会議で問題視されたベンゼンについて、基本的に現在の地下水位1m以浅のベンゼンは既に大気中に放出されているものと考えられ、1m以深のベンゼンはAbergの理論に従って水封されていると考えられるからです。当時の専門家会議でこのgas entry pressureの議論がなされなかったことは専門家の資質としてかなり問題があると私は思います。さらに言えば、東京都は専門家会議の提案を厳守する必要はありません。専門家会議の提案はあくまでも参考意見であり、最終的な意思決定は科学的根拠に基づいて東京都が行い、政治家が責任を持てばよいことです。建設の実務において、専門委員会の提案が却下されるのはごく普通のことであり、これを金科玉条のような拘束力があるものと考えているマスメディアはあまりにもナイーヴな「超」がつくほど世間知らずであると考えます。
●おわりに
 東京都は今回の原因が地表水浸透なのか地下水浸透なのかを科学的に判定し、対策工を迅速に行う必要があると考えます。地表水浸透なのか地下水浸透なのかを判定するには、過去半年程度の地下水位の時系列の観測データが重要になるものと考えられます。オイラリアン=ラグランジアン法による飽和不飽和浸透流による移流・分散・拡散解析を実施すれば、自ずと答えは出るはずです。
いずれにしても、「羽鳥慎一モーニングショー」や「新報道2001」のようなド素人の皆さんが科学的な内容を評価して国民を過度に不安視させる有害なおバカ番組(笑)は国民の批判の対象となるべきであると考えます。都民を中心に国民は今こそ冷静で科学的な議論を行うことが必要であると考えます。
東京都が基本的情報を公表しないことは民主主義社会にとって問題があると考えられます。ただし、なぜ東京都が情報を公開しないかということについても考える必要があると思います。東京都が情報を公開しない理由としては次の2つが考えられます。
(1) 自らの行動が招いた不都合な状況が明らかとなって社会から正当な批判を受けることを回避するため。
(2) 自らの行動がマスメディアや反対運動家の不当な宣伝により社会から不当な批判を受けることを回避するため。
このうち(1)は自明なことですが、(2)はあまり指摘されていません。例えば、原子力関連の事業者(例えば電力会社やJAEA)が何かの安全対策を実施すると、マスメディアや反対運動家は「何か問題があるから安全対策が必要なのであろう」として現状を常に否定してきました。今回も「羽鳥慎一モーニングショー」でテレビ朝日のコメンテイターがまったく同じことを言っていました。これはバックフィットの考え方まで否定するものであり、このような権力者の発言によって事業者は萎縮し、必要な安全対策もとれなくなる事例が過去に何例もあるとされています。私たち国民にとって重要なことは、今回の東京都の運営について批判することが必要であると同時に、マスメディアや運動家の非論理的な言説についても厳しく批判することが必要であると考える次第です。


PS(2016年9月27日):下の写真のうち公明新聞のものは地下水にさざ波がたっており、これは人が入った時にできる報知新聞の波とは異なっている。そして、この波は、汽水域で潮が満ちる際、海水が川に上がってくる時に見かけるのと同じ形だ。つまり、公明新聞の写真は、潮が満ちる時に水が波の元の方向から流れ込んでいることを示し、その他の波のない写真は潮が引く時に水面が静かに下がって行く際のものと考えられる。そのため、水の成分と時間による深さの違いを確認すれば、これが潮の満ち引きと関係していることが分かるはずだ。なお、これを繰り返せば、東京湾の水で土壌が洗われるかも知れないので、水の成分検査を続けながらしばらく変化をみるのがよいと思う。


 2016.9.17朝日新聞  地下空間のある場所  2016.9.15報知新聞   2016.9.24公明新聞 

*8:https://www.komei.or.jp/news/detail/20160924_21429
(公明新聞 2016年9月24日) 豊洲市場 新たに1棟で水たまり
 東京都議会公明党「豊洲市場整備問題対策プロジェクトチーム(PT)」の上野和彦座長らは23日、豊洲市場(都内江東区)を訪れ、生鮮食品などを扱う加工パッケージ棟と管理施設棟の地下空間を調査したほか、両施設の地下に重機などを入れるための搬入口なども視察した。同PTの緊急調査は今回で3回目。都は土壌汚染対策として盛り土を行うと説明しながら、実際には行っていなかった主要建物のうち、加工パッケージ棟と管理施設棟の地下空間を初めて公開した。加工パッケージ棟地下の床は、厚さ10~20センチのコンクリートが敷設されている。一行は、広範囲に水がたまり、深いところで最大23センチほどの水位になっていることを確認し、その水を採取した。管理施設棟の地下は、水のたまりがなく照明も完備されていた。調査を終えた同PTは都議会内で記者会見を行い、上野座長は、加工パッケージ棟地下のたまった水について、「降雨で地下水が上昇してきたもの」と指摘。その上で「採取した水は成分の分析を専門機関に依頼した」と述べた。


PS(2016年10月1日追加):*9のように、東京都庁は、豊洲市場の問題で、①食品安全の意識が薄い ②多額の予算を使いながら費用対効果を考えていない ③2年毎に担当者が交代し、責任を持って全うできていない ④ポストを増やすために細かく部署を分け、全貌を見えなくすると同時に、無責任体制を助長している などの決して言い訳できないガバナンスの欠如が明るみに出た。そのうち、②③④は、税金で運営する中央省庁や他の地方自治体にも多かれ少なかれあることで、これをなくさなければ税金の無駄遣いや役所の生産性の低さを変えることはできない。そして、このように大きな無駄使いをしながら、教育や保育・医療・介護などの福祉には消費税を上げなければ財源がないと言うのである。
 また、①は、役所に男性が多く女性がいても発言権がなかったり、食品の安全性や環境について同時に考えることのできる知識を教育課程で身につけさせず、「空気」を読んでそれに流されることを良しとする人間を育てたことが原因だと考える。

*9:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12586085.html (朝日新聞 2016年10月1日) 「都のガバナンス欠如」 豊洲盛り土なし、知事「流れの中で」 調査、責任者特定できず
 東京都の築地市場(中央区)が移転する予定の豊洲市場(江東区)の主要施設の下に土壌汚染対策の盛り土がない問題で、小池百合子知事は30日の記者会見で、「責任者を特定することは難しい」とする調査結果を発表した。「今回の事態を招いたのはガバナンス(内部統制)と責任感の欠如」と厳しく批判。巨大組織に構造的な問題があるとして、縦割り打破などの組織改革に取り組む方針を示した。会見では、都の調査チームがまとめた自己検証報告書の内容を小池氏が説明。いつ、どの時点で誰が盛り土をしないことを決めたのか▽なぜ、都議会や都民への説明責任を果たせなかったか、の2点を最重要ポイントとして挙げた。盛り土なしの決定については、2008年の技術部門での内部検討から、13年2月の実施設計完了にかけ、五つの段階で決まった過程を示したが、責任者は特定できなかった。都民への説明責任の欠如は、土壌汚染対策の土木担当と建物の建築担当の縦割りによる連携不足や、ずさんな引き継ぎなど、組織運営に不備があったとした。この結論に小池氏は「いつ誰が、という点は、ピンポイントで指し示すのは難しい。流れの中で、空気の中で進んでいった。それぞれの段階で責務が生じる」と述べた。敷地全体に盛り土をしたとの説明を続けたことは「誰も気づかず、チェックさえなかったという恥ずかしい状況」とした。小池氏に続き、地下空間を設ける設計を進めた11~12年当時の中央卸売市場長だった中西充現副知事や岸本良一・現中央卸売市場長らが会見し、謝罪。2人は「盛り土の上に建物があると思っていた。理解が足りなかった」と述べ、部門トップとして「責任を痛感している」と繰り返した。今回の調査結果について小池氏は「一定の評価はするが不十分」として、ヒアリングを続ける考えを示した。都政改革本部内の情報公開調査チームが今後、内部告発を受け付ける公益通報制度を充実させ、調査を続ける。また、部門間の縦割りや形だけの決裁で責任の所在があいまいだったことが原因だとして、重要な課題を部門をまたいで共有する「都庁マネジメント本部」も設置する。


PS(2016年10月15日):私も、近くに同じような建造物を次から次に造る東京オリンピックの無制限な金の使い方に呆れて、他にやるべきことがあるだろうと思っていた。そのため、*10のように、宮城県で復興五輪として施設を整備するのなら、地震・津波で失われた施設や前にはなかった施設を整備する予算になるため、国の復興予算を使ってよいと考える。なお、選手村が分かれるため、ボートの選手が他国や他競技の選手と交流できなくなるという苦情があるようだが、それなら復興五輪なのだから、ヨット、陸上、体操などいくつかの競技を宮城県で行えばよいだろう。

*10:http://digital.asahi.com/articles/ASJBH5FPXJBHUTIL00Y.html?iref=comtop_list_nat_n01 (朝日新聞 2016年10月15日) ボート会場経費「宮城なら3~4割に抑制」 県が試算
 宮城県の村井嘉浩知事は15日、2020年東京五輪・パラリンピックのボート・カヌー会場を現行案の東京都内から同県内に変えた場合、経費を約3~4割に抑えられるとの試算を示した。小池百合子・東京都知事も同日に現地を視察し、「復興五輪」の意義を強調。両知事が足並みをそろえて宮城開催へ加速しているが、競技団体などの反発も強まっている。村井氏によると、長沼ボート場(宮城県登米市)を会場とした場合、経費は「150億~200億円」と試算。借金や国の補助、復興のために寄せられた寄付などを充てる考えを示した。都が491億円かけて東京湾岸に新設する「海の森水上競技場」を会場とする今の計画より割安と訴えており、「小池氏に(判断を)任せたい」とした。村井氏はこの日、長沼開催を疑問視する大会組織委員会に反論。組織委が12日に挙げた、選手村が分かれてしまう▽会場への輸送手段が乏しい▽宿泊施設が不足――などの「九つの問題点」に対し、「仮設住宅の再利用で選手村を確保」「新幹線利用などで移動の負担軽減」「隣接する町の大規模ホテルを利用」などと全てについて回答を示した。また、組織委が14日、小池氏が他県知事と会談したことを「水面下で話し合うのは極めて不透明」と批判したことに、村井氏は「『長沼ありき』ではなかった。いちゃもんをつけている」と反論した。小池氏は先月13日に村井氏と会い、長沼開催について意見交換したことを明かしている。小池氏は15日午後、登米市を訪ね、村井氏の案内でリフォーム済みの仮設住宅や長沼ボート場などを視察。「『復興五輪』はパワフルなメッセージ」と話し、長沼開催に前向きな姿勢をみせた。五輪開催に関する村井氏との会談は、先月以降、この日で少なくとも3回目だ。ただ、長沼開催について、視察に同行した日本ボート協会側からは「環境アセスメントなどの手続きに時間がかかり、間に合わない」など否定的な声があがった。また、小池氏は同日、変更先の別候補となっている彩湖(埼玉県)での開催をめぐって、同県の上田清司知事と認識が食い違ったことについて「(自身の)就任直後のお祝いの席で聞いた」と発言。上田氏が誘致しない意向を示していたと、改めて説明した。(桑原紀彦、末崎毅、野村周平)
■大会組織委員会が示した宮城・長沼会場の九つの問題点と宮城県の反論
①分村には五輪だけで1300人以上の宿泊機能などが必要→仮設住宅の再利用などで対応
②パラリンピックへのバリアフリー対応→会場内にバリアフリー対応道路などを整備
③輸送に難あり→長沼では毎春、2万人が来場するマラソン大会の開催実績あり
④会場に斜面が多く、整備が困難→標高の高い部分は切り土して平地を確保
⑤電力・通信系のインフラが未整備→会場近隣にNTTの光回線が引かれており、整備可能
⑥観客らの宿泊施設不足→隣接する南三陸町や仙台市内のホテル利用可
⑦選手の移動などに負担大→成田空港からの乗り継ぎ便や新幹線を使えば、過度の負担とはいえない
⑧費用増大の可能性→東京都の試算(351億円)より低く抑えられる見込み
⑨レガシー(遺産)が残らない→恒久施設中心に整備。五輪後は高校総体などに活用。仮設費用は組織委が負担すべきだ

| 農林漁業::2015.10~ | 08:54 PM | comments (x) | trackback (x) |
2016.5.6 日米安保条約の代償として農業を差し出した(?)TPP交渉と、その交渉を守った特定秘密保護法 (2016年5月7、8日に追加あり)

   2016.5.5     2016.5.4    ナスの         自動搾乳機      菅平の牧場
  日本農業新聞    日経新聞   自動摘み取り機      (アメリカ)
 
 熊本・大分を中心とする大地震報道の陰に隠れて、メディア上で議論されなくなったことは多いが、今日は、そのうちの環太平洋経済連携協定(TPP)交渉について記載する。

(1)TPP交渉と政府の姿勢
 環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案の衆院特別委員会での審議は、*1-1、*1-2のように、どこまでが秘密にする交渉過程に当たるかや秘密にしなければならない理由が明確でないのに、交渉資料は国会に全て黒塗りで提出され(海苔弁と言われた)、内容が分からないため審議できない状態だった。私も、交渉に関する情報開示がなければ、交渉の妥当性に関する国会決議はできないと考える。

 これに対し、自民党の国会対策委員長は、「公開しないという国と国との約束は絶対に逸脱できない」としているが、これでは自民党議員でも交渉の内容がわからず、国会決議でも賛否は言えない筈で、これらの対応は国会軽視である。なお、ニュージーランド政府は書簡のひな形を公開しているため、情報公開請求をすれば他の民主主義国の政府なら、ある程度、交渉内容を公開するに違いない。そのため、こここそメディアのネットワークが活躍すべき場所である。

 このTPP交渉は、最初は神奈川県選出の甘利前TPP担当相が顔になり、その後は東京都選出の石原担当相が顔になり、農業とは殆ど関係のない地域から選出され農業に詳しくない議員が担当した。そのため、この人事を見れば、妥結の結果ありきでシビアな交渉はしておらず、日本側には開示できるほどの資料はないと判断される。

 そのため、*1-3のように、大島衆院議長(青森県選出、自民党)が、環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案を、参議院議員選挙が終わった後の秋の臨時国会で成立させる意向をすでに米議会に伝達したというのは、農業をはじめとするどの産業にとっても重要な問題を、国民には何も開示せず、参議院議員選挙の争点ともせずに、選挙後の忘れた頃に議決すればよいとしているのであり、これは自民党議員がよく言う「民主主義国(=主権在民)と価値観を同じくする」ものではない。

(2)特定秘密保護法について
 TPPの交渉資料をすべて全て黒塗りにして国会に提出し、内容が分からないため国民の代表である国会議員がまともな審議をできない状態にしている根拠法は、*2-1、*2-2のように、TPPの交渉前の2014年12月に無理に施行された特定秘密保護法である。これにより、政府(自民党よりは官)は、理由を付ければ国民に知られたくない情報を特定秘密に指定して開示せず、政府にとって都合の悪い人も特定秘密保護法違反で逮捕して投獄することができるようにしていたのである。

 なお、この特定秘密保護法を根拠に、*2-3のように、公務員の“適性評価”を行ったが、プライバシーを侵害されるなどの理由で、38人が拒否している。

(3)TPP条約が締結された場合の影響
 環太平洋連携協定(TPP)が発効すれば、*3-1のように、宮崎県は農林生産686億円減1.5万人の雇用減となり、佐賀県は、*3-2のように、県内主要の農水産物15品目の生産額は最大13億8千万円減少すると試算している。佐賀県は、コメは輸入米の増加分を政府が買い取って備蓄するため影響ないとしているが、その備蓄がいつどのような形で放出されるのか、毎年買い取るとしている税金は誰が払うのかが大きな問題だと私は考える。

 福岡県でのTPPの影響は、*3-3のように、福岡県が試算した金額の17倍に当たることを、TPP反対ネットが公表している。確かに、国は「輸入増加分を備蓄するため影響額はゼロ」としているが、鈴木教授のように「(備蓄分は)順次市場に出てくる」とするのが自然であり、対策も正確な影響額を出してから議論するのが本筋だ。

 *3-4のように、農林水産予算総額は、TPPに加入しても前年度より1億円多いだけというのは驚きだが、2兆3091億円という大きな金額である。私は、食用米の自給率が100%を超えているのに他の食用作物に転作せず、水田活用直接支払交付金を支払ってまで飼料用米を支援するのはいかがなものかと思うが、現在は米が最も栽培しやすく、これまで持っている機械を使って兼業農家でも栽培できるからとのことである。しかし、転作のリスクと労力をかけて自給率の低い作物に転作する農家に対して、それに見合った交付金を支払う方が妥当だと考える。

 もちろん、農業農村整備を行い、農業の付加価値や生産性を上げて、農業を成長産業化するのは必要なことで、これは、TPPに入るか否かを問わない。しかし、(4)の理由で、日本政府がやっていることは、付加価値を上げるどころか下げている。

(4)日本の農業は差別化できず、付加価値が下がること
1)新品種の特許権流出
 農産物の収量や味は品種によるところが大きく、農業の場合は、これを主に公的機関が行っている。それにもかかわらず、農水省は、*4-1のように、野菜や果樹などの新品種を外国政府が栽培試験する手間を省き、審査期間の短縮に繋げるそうだ。もちろん、私企業が開発した新品種を輸出するのは自由だが、公的機関が高いコストと長い期間をかけて開発した新品種を、簡単に海外で生産できるようにすれば、日本の農産物は差別化できず、安価な海外製品に負けることになる。ここに、品種は農産物を差別化するための重要な資産であり、特許権は長い方がよいという考慮はあるのだろうか?

2)米の付加価値の低下
 「ナラシ」という言葉は経済学から程遠い用語であるため私は嫌いなのだが、*4-2のように、米の価格下落に対して支払われるナラシ(収入減少影響緩和対策)が、2015年産には全国的に発動される見通しだそうだ。しかし、自給率100%を超えているのに何が何でも米を生産すれば、供給過剰になって価格が下がるのは当然であり、その一方で、足りずに輸入に頼っている作物もいくらでもあるのに、そちらに転作するよりも米の方が手厚い補償を受けられるのでは、誰も米から離れないと考える。

3)「日本産は安全」という付加価値は健在か?
i) 遺伝子組換植物について
 *4-3のように、日経新聞は、2016年5月4日、「遺伝子組み換えやゲノム編集は品種改良の延長上にあり、速すぎる技術の進歩を消費者が不安に感じているので、消費者も食の安全について知識を身につける必要がある」などと、自分はわかっているが消費者が理解できずに感情的な不安を感じているのだとする傲慢なことを書いているが、私は、ゲノム編集や品種改良についてよく理解して述べている。

 その上で、ビタミンCや昆布のうまみを生むグルタミン酸のように、製法が違っても成分が同じで環境に遺伝子組換植物をまき散らさないものならよいが、農薬を使わなくても害虫がつかない遺伝子組換植物を人間が長期間食べても安全か否かは注意する必要がある上、その花粉が環境にまき散らされれば害虫は数年で抵抗力を持つように進化するため、さらに強い害虫駆除性を持つ遺伝子組換をしなければ効かなくなる。その上、ゲノム編集された遺伝子を検査で見つけるのは難しいため、私は人間の食物としてはこれを禁止するのが最善で、それによっても安全性で差別化できると考えている。

ii)放射能汚染について
 東日本大震災に伴うフクイチ事故によって日本産農産物や食品の輸出は、*4-4のように、香港、台湾、米国など多くの国・地域などで輸入制限措置が続いており、「美味しくさえあればいいだろう」として、この輸入制限措置を「風評被害」と断じる姿勢は、日本の安全性への意識の低さを露呈している。そのため、日本の安全ブランドを、さらに損ねる結果となっている。

 そして、この安全性への危惧は、外国人だけが持っているのではなく、日本人も持っているため、*4-5のように、原産地表示を拡大し、加工品は主原料の原産地を明記して選択可能にすることが、誰にとっても必要不可欠なのである。

iii)BSEについて
 日本では、国内初のBSE感染牛が確認された直後から、(私の提案で)BSEの全頭検査をしていたが、アメリカに合わせる形で平成25年7月1日から「48か月齢超」のみの検査とし、各自治体で自主的に全頭検査を行っていたものも全国統一して「48か月齢超」を対象とする検査に変えられた。

 その結果、最低に合わせることとなり、より高い安全性という付加価値で差別化することができなくなったため、それなら価格が安い方がよいという選択になるだろう(http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/2.html参照)。

3)農業機械価格の高さが、農業の生産性向上を阻んでいること
 *4-6に、「①暗闇の中のビニールハウスでロボットが働き、目のような2つの高性能カメラが熟度を判断して甘くなった粒だけを選んで収穫し、農家が目覚めると朝イチで出荷できる」「②その収穫ロボは4千万円と高い」「③ロボットは、農林漁業の生産性を上げる」「④クラウドファンディングで資金を3カ月で集めた」等が記載されている。

 そのうち、①については、センサーで糖度を計って摘み、サイズ毎に分けてパックづめまでするロボットもあるため、高性能カメラが色を見て熟度を判断しているくらいでは、まだ遅れている。また、②については、農業機械は少しよいと大変高価で、農業補助金は農家に行くのではなく機械に行っているのではないかと思うくらいなので、日本は先端の機械を高い価格に据え置いて普及を阻む慣習を早く改めるべきだ。そうしなければ、工業で追い付いてきた近隣諸国に追い越されるだろう。

 なお、③はそのとおりであるため、私は2005年~2009年の衆議院議員時代にロボットを作成している大学の研究チームと交流して農林漁業用のロボットを作るよう要請していたが、この時、大学の研究チームは農林漁業のニーズをあまり知らず、趣味的なロボットを作りがちであることがわかった。そのため、ロボット技術者に農林漁業のフィールドでの実習場を提供し、農林業者や漁業者の方からニーズを言うことも必要だと考える。

 また、④は、同じ志を持つ人がITで瞬時に集まる新しい形のファンディングであるため、成功すればよいと思う。

<TPP交渉と政府の姿勢>
*1-1:http://digital.asahi.com/articles/ASJ455V3NJ45UTFK016.html (朝日新聞 2016年4月5日) TPP交渉資料、全て黒塗りで公開 内容分からず 自民
 環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案の衆院特別委員会での審議をめぐり、自民党は5日、民進党が求めていた政府の交渉資料を、特別委の理事懇談会に提出した。ただ、全て黒塗りされ、内容は分からない状態だった。民進は、情報開示がないと十分な審議ができないとして、甘利明・前TPP相とフロマン米通商代表部代表の会談記録の提出を要求。自民は5日、首相官邸への報告用に論点をまとめた資料を提出したが、全て黒塗りされ、「TPPブルネイ交渉会合 平成25年9月」などというタイトルだけが上から貼り付けられていた。自民の佐藤勉国会対策委員長は記者団に「公開しないという国と国との約束は絶対に逸脱できない。それ(黒塗り)でもという話があった」と説明。民進の近藤洋介・特別委筆頭理事は「ここまで黒いと思っていなかった。政府の説明を徹底的に求める」と述べた。資料提出を受け、与野党は、特別委で6日に承認案などの趣旨説明、7、8の両日に安倍晋三首相も出席して質疑を行うことで合意。自民は、首席交渉官だった鶴岡公二氏の参考人招致にも応じた。

*1-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=36901 (日本農業新聞 2016/4/8) 激論TPP国会 「保秘」線引きで応酬 米の影響 見解分かれる
 7日の衆院TPP特別委員会では、民進党が交渉過程に関する情報開示を強く求めたが、政府側は「交渉過程は原則、非公開」と応じず、押し問答が続いた。どこまでが秘密にする交渉過程に当たるかや、秘密にしなければならない理由は、必ずしも明確にならなかった。今後の審議でも秘密の“線引き”が争点になりそうだ。民進党の玉木雄一郎氏(香川)が「本当に国益にかなう交渉をしたのかどうかは交渉過程も吟味しなければ判断できない」と指摘。交渉が終結していることを踏まえ「出せる情報は出してほしい」と求めた。石原伸晃TPP担当相は「(交渉過程に関することは)コメントを差し控えたい」と開示しない方針を繰り返した。ただ、開示できない理由については「秘密保護に関する書簡がある」「外交交渉上の原則」などと答弁が定まらなかった。環太平洋連携協定(TPP)交渉参加国は、秘密保護に関する書簡を交わしており、政府が交渉過程を明かさない根拠になっている。書簡のひな形はニュージーランド政府が公開していたが、書簡の原文は開示されていない。石原氏は「書簡の内容を含めて交渉上のやりとりを外部に出さない」としたが、「書簡自体を秘密にするのは過度な秘密主義ではないか」(玉木氏)など追及が続いた。民進党の柿沢未途氏(東京)は、甘利明・前TPP担当相が交渉中に、米をめぐる米国との駆け引きの一部を明かしていたとし、秘密の範囲の曖昧さを指摘した。一方、民進党の福島伸享氏(比例北関東)は、米国などに認めた、米の国別輸入枠について「屈辱的な内容だ」と追及。「需要のある安い(米国産)米が入ってきたら日本の米の値段が下がるのは当たり前だ」とし、国産米価格への影響に懸念を示した。森山裕農相は「(輸入米は)国産米の価格水準を見据えて流通している」と指摘。「(輸入米の)数量規模が数万トンにとどまる以上、基本的に大きな変化はない」とし国産米価格への影響は小さいと反論した。日本は、3年度中2年度で枠数量が消化されなかった場合に、国が設定する最低マークアップ(輸入差益)を一時的に引き下げる約束を米国とオーストラリアとの間で交わしている。森山農相は「円滑な入札手続きを行うため」と説明したが、福島氏は「(枠の)全量を輸入する仕組みになっている」と譲らず、見方が割れた。

*1-3:http://qbiz.jp/article/86044/1/
(西日本新聞 2016年4月30日) 臨時国会でTPP承認と大島氏 米議会に意向を伝達
 訪米中の大島理森衆院議長は29日、ワシントンでライアン米下院議長と会談し、環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案に関し、秋に想定される臨時国会での成立を図る意向を伝達した。会談後の記者会見で明らかにした。自民党は26日、今国会での成立断念を野党に伝えた。民進、共産、社民、生活の野党4党は廃案を要求。国会で紛糾している案件に関し大島氏が米議会に伝達したことに対して、野党から反発が出る可能性がある。大島氏はライアン氏との会談で「今国会では結論は出せないが、たぶん秋の国会では結論を出すようになるのではないか」と伝えた。大島氏によると、米議会の進捗状況の説明を求めたが、ライアン氏は承認時期に関する明確な見通しを示さなかった。オバマ米政権はTPPの年内承認を議会に促しているが、議会では賛否両論があるため、11月の大統領選や上下両院の選挙後に先送りされる可能性が強まっている。

<特定秘密保護法について>
*2-1:http://mainichi.jp/articles/20160404/ddm/004/010/007000c
(毎日新聞 2016年4月4日) 国会監視機関報告 「原則」盾に情報閉ざされ
 特定秘密保護法に基づき指定された特定秘密をチェックする衆参両院の情報監視審査会が3月30日に公表した初の年次報告書からは、秘密を指定した行政機関に対する質疑で、情報を引き出すのに四苦八苦した様子がうかがえる。衆参両院に設けられ、携帯電話の電波を遮断する専用の部屋で、審査会は開かれた。委員は部屋の中でしか書類の閲覧を許されず、メモを取っても持ち出せない。ところが、衆院の審査会の額賀福志郎会長(自民党)によると、省庁幹部の対応は「最初、従来の常任委員会の政府答弁みたいだった」という。委員の「2015年1月に発生したIS(過激派組織『イスラム国』)による邦人殺害テロ事件の関係で特定秘密に指定した文書は存在するか」との質問に、外務省幹部の回答は「個別事案が特定秘密に該当するかどうかを公にすることは、外国の政府等との信頼を損なう恐れがある」とそっけなかった。特に外国から提供された情報は「第三者には情報を渡さない」原則を盾にシャットアウトされた。参院の審査会も同様で、参院の報告書は原則を口実に必要以上の情報隠しがされないよう「適用基準の明確化を図ること」とくぎを刺した。情報管理の専門家からは、与党主導の審査会運営を懸念する声が聞かれた。審査会は衆参とも会派の議席数に応じて委員が割り当てられるため、与野党比率は衆院で6対2、参院で5対3。参院では昨年12月、野党側から出た政府への秘密文書の提出要求が賛成少数で否決され、民主党(現・民進党)の大野元裕委員は「疑義があれば見てみるべきなのに」と悔しがった。情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は「秘密提出要求は現在の『委員の過半数の賛成』から、『3分の1以上の賛成』に緩和しては」と提言する。国会の仕組みに詳しい南部義典・元慶応大講師(憲法)は「与野党委員の逆転を考えてもいい。机上の空論と言われそうだが、自民党には野党に転落した場合、チェックができるのか想像してほしい」と話す。審査会には常時監視の「調査」のほか、常任委員会の要請を受けて特定秘密をチェックする「審査」機能があるが、昨年中は行われなかった。南部氏は「3月の安全保障関連法施行に伴う特定秘密があるはずだが、常任委員会では議論できない。それを審査会が審査すべきだ」と指摘した。

*2-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160504&ng=DGKKZO00374320U6A500C1PE8000 (日経新聞社説 2016.5.4) 特定秘密への懸念を深める政府の対応
 外交や防衛などにかかわる秘密が漏れたら、国の安全が脅かされてしまう――。政府はそんな理由から、重要情報の漏洩に厳罰を科す特定秘密保護法を2014年12月に施行した。この法案をめぐっては当初から、政府が秘密を抱え込み、国民の「知る権利」が損なわれかねないという指摘があった。施行から約1年半。政府の対応をみると、この懸念は和らぐどころか、むしろ深まっている。特定秘密とは、外部に漏れれば国の安全保障がいちじるしく脅かされかねない情報のことだ。政府がこれに指定した情報は、15年末時点で443件。文書にして27万2020点にのぼる。この制度は正しく運用されれば、国の安全に役立つ。しかし政府に乱用されたら、本来、国民が知るべき情報までお蔵入りし、表に出てこなくなってしまう。そうならないよう、衆参両院には情報監視審査会が設けられ、特定秘密の指定が適切かどうか、チェックすることになっている。審査会は3月末、初めてとなる15年の年次報告書を公表した。その内容から浮かび上がる制度の実態には不安を禁じ得ない。それによると、審査会は15年、外務省や防衛省など10機関が指定した特定秘密382件(約18万9千点)について、聞き取り調査などで実態をつかもうとした。だが、政府側は協力的とはいえず、詳しい説明を拒み続けた。たとえば、政府が提出した特定秘密の項目リストは、「国家安全保障会議の議論の結論」や「日米安保協力に関する検討、協議」などあいまいな表題が多く、約18万9千点の文書については一覧表も出てこなかったという。これでは、指定が適切かどうかを審査するどころか、どんなテーマが特定秘密に含まれているのかすら分からない。審査会は結局、開示を求める特定秘密を絞りきれず、提出を要求した文書は数点にとどまった。政府が慎重な対応に終始したのは、情報漏れへの不安からだろう。だが、審査会は非公開であり、メンバーの国会議員は守秘義務を負っている。特定秘密を漏らせば懲罰の対象にもなり得る。情報がきちんと開示されなければ、国の政策を検証し、教訓をくみ取り、生かしていくことはできない。政府は態度を改め、審査会にもっと協力する義務がある。

*2-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/305173
(佐賀新聞 2016年4月26日) 公務員の適性評価、38人が拒否、秘密保護法で政府報告書
 政府は26日の閣議で、2015年の特定秘密保護法の運用に関する報告書を決定した。秘密を扱う公務員らの身辺を調べる「適性評価」の対象となったのは9万6714人で、拒否した職員らが38人だったと明記した。拒否理由は記述がなく不明。家族の個人情報まで収集する評価手法に関し、プライバシー侵害を懸念した結果とみられる。同日中に国会提出する。前回報告書は14年12月10日の施行日から同月末の22日間だけを対象にしており、1年間通しての運用状況や、適性評価を拒んだ職員らの数が明らかになったのは初めて。評価の結果、1人が不適格と判断された。

<TPPの影響>
*3-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=35986 (日本農業新聞 2016/1/16) 農林生産686億円減1.5万人の雇用減も 宮崎中央会がTPP試算
 TPP交渉の大筋合意を受け、JA宮崎中央会は県内の農業と関連産業への影響試算を独自にまとめた。政府の国内対策を考慮せず、関税の撤廃・削減などによる直接的な影響だけを前提とした。発効から16年目までに農林産物の生産額が約686億円減少すると推計。関連産業を含め1万4642人の雇用が失われるとの見通しも示した。対象は産出額50位以内で、関税が撤廃・削減されたり、低関税枠が設けられたりする品目。関税削減分だけ輸入価格が下落し、国産価格も同程度下落すると予測した。畜産への打撃が最も大きく、産出額上位3品目のブロイラーと肉用牛、豚は約533億円の減少を見込んだ。特に豚は産出額の6割に当たる約280億円、肉用牛も3割に当たる約154億円が減少するとした。関連産業への影響もまとめた。農林業を含む全産業の生産減少額は約1094億円と推計。就業者は農林業の1万1248人を含め、全産業で1万4642人減少すると試算した。中央会の森永利幸会長は「政府は国内対策で所得が確保され、国内生産を維持できると説明しているが、農家は大きな懸念を抱いている。今後、今秋までの継続課題となった国内対策について、現場の声が反映されるよう、強く要請していく」と強調する。

*3-2:http://qbiz.jp/article/79718/1/ (西日本新聞 2016年01月30日) TPP発効、最大13億8000万円減 佐賀県が主要15品目試算
 佐賀県は環太平洋連携協定(TPP)が発効すれば県内主要の農水産物15品目の生産額は最大13億8千万円減少するとの試算を明らかにした。国のTPP経済効果分析を基に算出した。28日の県TPP対策本部会議で報告した。国の分析は農林水産物33品目の生産額が全国で1300億〜2100億円減少するとしていた。県の試算では、県産品も牛肉2億1千万〜4億2千万円▽小麦2億5千万円▽豚肉1億2千万〜2億2千万円−の順で影響が大きかった。コメは輸入米の増加分を政府が買い取って備蓄するため「影響はない」とした。ノリもTPP参加国からの輸入実績がなく影響ないとみるが、ノリは韓国などが今後参加すれば影響を受ける可能性もある。山口祥義知事は「数字にどのくらいの意味があるのか。(生産)現場の不安や懸念にしっかりと対応していくことが大事だ」と述べた。

*3-3:http://qbiz.jp/article/84122/1/
(西日本新聞 2016年4月5日) 福岡のTPP影響、県試算の17倍 TPP反対ネット公表
 環太平洋連携協定(TPP)に反対するJA福岡中央会などでつくる「TPP反対福岡ネット」は、東京大大学院の鈴木宣弘教授がまとめた福岡県内の影響試算を公表した。農林水産業の生産減少額は259億〜311億円程度。国の試算を踏まえて県が発表した額の約17倍に上る。国は国内対策の効果を差し引いているが、鈴木教授はTPPの影響自体を試算した。対象は国が33品目で、鈴木教授は57品目。コメについて、国は輸入増加分は備蓄するため影響を「ゼロ」としているが、鈴木教授は「順次市場に出てくることを織り込み、備蓄が増えれば流通価格も下がる。価格が下がれば生産量も減る」として約30億円とした。鈴木教授は「影響額を出してから対策を議論するべきで、生産性の向上などを入れて試算するのはむちゃくちゃだ」と国の姿勢を批判した。

*3-4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=36794 (日本農業新聞 2016/3/30)農林水産関係2.3兆円 TPP 来月5日審議入り 16年度予算成立
 2016年度予算が29日成立した。農林水産予算の総額は前年度当初より1億円多い2兆3091億円。飼料用米などを支援する水田活用の直接支払交付金や農業農村整備事業を増額し、米政策や農業の成長産業化をはじめとする農政改革を進める。環太平洋連携協定(TPP)大筋合意を受けて最初の当初予算となる。財政当局の削減圧力が強かったが、TPPに対する農業者の不安を払拭(ふっしょく)するため、前年度当初を1億円上回る形で決着した。TPP対策を中心に農林水産関係で4008億円を計上した15年度補正予算を合わせれば2兆7100億円となる。森山裕農相は29日の閣議後会見で「(農家の)将来への意欲を後押しできるよう、省を挙げて現場に親身に寄り添った丁寧な説明を行う。必要な取り組みが着実に推進されるように努めていきたい」と述べた。16年度予算の目玉となる農業農村整備事業は3820億円を計上し、前年度当初を232億円上回った。水利施設の老朽化対策や防災・減災事業に重点的に対応する。もう一つの目玉となる主食用米の需給安定に向けた飼料用米、麦・大豆などの転作支援では、水田活用の直接支払交付金に3078億円を計上した。前年度当初比308億円の大幅増で、農水省は16年産の生産調整達成に必要な額を確保できたとしている。予算成立後の後半国会の焦点となるTPPをめぐっては、4月5日の衆院本会議で承認案と関連法案の審議が始まる。与野党が29日の衆院議院運営委員会理事会で決めた。安倍晋三首相と関係閣僚が出席し、政府による趣旨説明と各党の質疑を行う。石原伸晃TPP担当相は同日の閣議後会見で「日本が率先して動き、発効に向けての雰囲気をつくっていく上で、審議が非常に重要なものになる」と語った。

<日本の農業は差別化できなくなる>
*4-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37337
(日本農業新聞 2016/5/3) 海外でも 品種登録 種苗輸出、価格下げ 農水省が支援策
 農水省は、野菜や果樹などの新品種について、海外での品種登録の支援に乗り出した。日本で試験栽培した際のデータを無償で提供し、外国政府が栽培試験する手間を省き、審査期間の短縮につなげる。中小の種苗業者や農家が外国で品種登録する手続きを手助けすることも検討している。種苗の輸出に弾みを付けて生産量を増やし、種苗価格の低減につなげたい考えだ。植物新品種の育成者は、品種登録により「育成者権」が認められている。育成者の権利を保護することで優れた品種の開発を促すためだ。「植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV)」では、新品種として海外で登録できる植物は国内発売から4年以内、果樹は6年以内となっている。その期間を過ぎると品種登録できず、海外に持ち出されて日本の品種が栽培されていたとしても対処できない。日本への逆輸入や輸出促進への影響が懸念され、実際に静岡県が育成したイチゴ「紅ほっぺ」が中国で栽培される事例も起きている。このため農水省は3月、日本からの品種登録出願数が多いオーストラリアやブラジル、ニュージーランド、スイスの4カ国と、日本で試験栽培したデータを無償提供することで合意した。日本の業者がこの4カ国で品種登録をする際、果樹であれば7、8年かかる審査期間を大幅短縮でき、栽培試験にかかる年間数十万円とされる審査料を支払う必要もなくなる。今後、欧州連合(EU)、ベトナムなどにも順次拡大する予定だ。同省は、中小の種苗業者や農家に対して、開発した新品種を外国政府に品種登録出願する際、申請書類の書き方や申請方法などを情報提供することも検討している。海外で日本の新品種の育成者権を保護することで、種苗の生産拡大に加え、農産物の輸出拡大にもつなげたい考えだ。種苗価格の低減には、生産量を増やすことが欠かせない。ただ、日本国内の市場規模は2000億~3000億円と推計され、これ以上の拡大も見込み難いため、いかに輸出を伸ばすかが重要になる。政府が今秋にまとめる環太平洋連携協定(TPP)の中長期対策では、生産資材価格の引き下げが目玉になる。今回、導入する海外での品種登録支援は、資材低減を進めるための具体策の一つにもなる。

*4-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37373 (日本農業新聞 2016/5/5) 米ナラシ 全国で発動 相場上向き補填圧縮 農家収入は目減り 15年産本紙試算
 米の価格下落に支払われる収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)が、2015年産は全国的に発動される見通しであることが、日本農業新聞の試算で分かった。米価は14年産より値上がりしたものの、補填額は全銘柄で前年より小さくなり、米の販売金額と合わせた農家収入は多くが前年を下回る結果となった。米価は依然、過去3番目に低い水準で、再生産が難しい状況から脱していない。農水省が公表する相対取引価格(昨年9月~今年3月)を基に、主産地の17産地・銘柄を試算した。60キロ当たり補填額は茨城「コシヒカリ」が1404円、宮城「ひとめぼれ」が677円になるなど、420~1400円の範囲だった。全銘柄平均では820円となった。実際に国から農家に支払われる金額は、都道府県別に作付け上位3銘柄の割合などを踏まえて面積当たりで算出する。農家ごとの10アール収量、大豆や麦などの販売収入によって変わる。農水省によると、14年産は全国平均で60キロ当たり約2480円が交付された。一方で15年産の補填額は減少し、販売収入と合わせた農家収入は8割近い銘柄で前年より減っている。この農家収入が、生産費(14年産の全算入生産費)を割り込む産地が、8割近くあることも分かった。ただ、北海道や新潟など、稲作の大規模化が進む一部地域では上回った。産地からは「米価水準がまだ十分に上がっていない。生産コスト削減に加え、需給改善に引き続き取り組み、農家所得を確保することが欠かせない」(東日本のJA)と声が上がる。15年産では、飼料用米の作付け推進で米価が上昇。相対取引価格は全銘柄平均で1万3178円と前年比1割上げたが、多くの農家経営が安定する水準にはまだ届いていない。

*4-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160504&ng=DGKKASM108H0D_T00C16A5MM8000 (日経新聞 2016.5.4) 次代に伝えたい(1)新技術と安心どう両立 消費者と判断材料共有
 今年2月、マルハニチロがタイから輸入した缶詰から国内でまだ認められていない遺伝子組み換えパパイアが見つかった。長年、同じ製造者から輸入していたが「干ばつで製造者が別の農家からパパイアを仕入れたら混じった」(マルハニチロ)という。中国では未認可の遺伝子組み換えのコメの栽培が広がっている。昨年6月、日本向けのビーフンから遺伝子組み換え米の成分が見つかる事例が2件起きた。
●検査年3.3万件超
 遺伝子組み換え食品の登場から約20年。日本モンサントなどバイテク情報普及会は年間約3100万トンの日本の穀物輸入量のうち、飼料用トウモロコシなどを中心に約1700万トンが遺伝子組み換えと推計する。国内で商用生産はなく、国の安全性審査を経て輸入する。食用油やしょうゆなど加工食品にも使われ、今や日本の食に欠かせない。これまで安全の防波堤の役割は横浜検疫所輸入食品・検疫検査センター(横浜市)などが果たしてきた。全国から輸入食品のサンプルが届き、2014年度の検査実績は3万3千件を超す。遺伝子組み換えだけでなく残留農薬や有害物質も調べ、水際で日本の食を守る。食の安全を脅かしかねない新たな技術とそれを見抜く検査の「いたちごっこ」。それも限界に近い。バイオ技術の進歩は急だ。次の革新はゲノム(全遺伝情報)の狙った部位に突然変異を起こす「ゲノム編集」。政府も芽に毒の無いジャガイモや大収量のコメを研究し始めた。自然界で起こる突然変異と同じ程度の変化にとどめれば「ゲノム編集を検査で見つけるのは難しい」と国立医薬品食品衛生研究所の近藤一成生化学部長(53)は認める。
●品種改良の延長
 食品添加物の世界では遺伝子を組み換えた微生物の活用が広がる。ビタミンCや昆布のうまみを生むグルタミン酸も作れる。製法はこれまでと違っても成分は同じ。製法を変えても条件を満たせば特別な審査は要らず企業も「知的財産、競合他社の観点から具体的な製造方法は答えられない」(味の素)のが現実だ。食と農の歴史は人間が自然を征服し、野生の動植物をよりおいしく、より多く収穫できるように努力を積み重ねた歩みでもある。その中核には品種改良があり、遺伝子組み換えやゲノム編集もその延長にある。しかし、速すぎる技術の進歩を消費者が不安に感じていたらどうだろうか。解の一つは企業や農家が消費者の求める製法や原材料の情報を開示し、情報の不釣り合いをなくしたうえで消費者の選択に委ねる――つまり信頼関係を築いて市場の力を使うことだ。世界保健機関(WHO)の宮城島一明食品安全・人畜共通感染症部長(55)は「リスクコミュニケーションに誰が手間をかけるかを考えねばならない」と話す。企業や農家任せでなく消費者も食の安全について知識を身につけ、安全の向上に伴うコスト負担を受け入れる覚悟が求められる。

 最終部は「食と農」の未来を見据えた課題と解を考える。

*4-4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=36529
(日本農業新聞 2016/3/6) いまだ続く輸入規制 緩和、撤廃へ交渉急務 日本産の農産物・食品
 東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所事故発生から5年。日本産の農産物・食品輸出は「風評被害」の影響が続いている。香港や台湾、米国などの国・地域が依然、輸入制限措置を講じており、日本政府が掲げる輸出増の機運に水を差しかねない状況だ。今後も「科学的根拠」に基づく輸入規制の緩和、撤廃へ政府間での粘り強い交渉が求められている。原発事故の影響で農林水産物や食品の輸出額は2011年、12年と連続で前年を下回った。各国が日本産に対し、輸入停止などの厳しい規制を設けた。13年からは検疫規制の緩和に向けた官民の努力が実を結び、輸出額は徐々に回復。15年には、前年に比べ2割増の7452億円と過去最高を達成。13、14、15年と3年連続で前年の水準を上回り、政府が目標に掲げる1兆円が見えてきた。一方で、被災地を中心とした特定の都県に対して香港や台湾、米国、中国などは輸入停止など厳しい規制を設けている。輸入を認めても、政府が作成した放射性物質の検査証明書や産地証明書の提示が必要となっている。例えば最大輸出先の香港は、福島や茨城、栃木、群馬、千葉5県の野菜や果実、牛乳などの輸入を停止。台湾は、同5県産の全ての食品の輸入を停止している。厳しい規制が残る香港や台湾。消費者は、日本産をどう見ているか。1月に香港や台湾で日本産リンゴの消費動向を調査した弘前大学の黄孝春教授によると、「ごく一部の消費者を除き、大半の消費者は日本産の食品は安全でおいしいと考えていることが分かった。日本産に対する風評被害は、ほぼ見られなかった」と指摘。海外の消費者の段階では、日本産に対しておおむね好意的に評価していることがうかがえた。海外で焼き肉店を展開するJA全農ミートフーズは「台湾などでは、いまだに特定地域からの牛肉などの輸入を停止している」と実情を話す。その上で政府に対し「輸出規制の緩和・撤廃を働き掛ける一方、全国から日本産の良質な牛肉を輸出できる体制整備を急いでほしい」(海外事業推進課)としている。

*4-5:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=35835
(日本農業新聞 2015/12/28)原産地表示 拡大を TPPで輸入増見込み 国産扱う加工業者
 国産の農畜産物を原料に使う加工業者から、原料原産地表示の拡大を求める声が強まっている。環太平洋連携協定(TPP)による関税撤廃・削減で、原料となる農畜産物や加工品の輸入増が見込まれるためだ。原料原産地表示は輸入品との差別化につながり食料自給率にも貢献する。ただ、輸入品を原料に使う多くの加工業者からは反発も予想される。北海道芽室町の(株)日本罐詰は、大手食品業者からOEM(相手先ブランドによる生産)を請け負い、缶詰や冷凍食品、レトルト食品を製造する。年商73億円を誇る十勝地方屈指の大企業だ。原料の野菜は全て道産にこだわり、農家1000戸と同社が種子や肥料も調達する直接契約を締結。スイートコーンやインゲンなどを仕入れる。同社の高岡隆常務は「原料には絶対の自信がある。原料を海外の野菜に切り替えれば、十勝に存在する意味を失う」と言い切る。TPPで仮に輸入品と国産との価格差が急激に拡大すれば、社の経営には大きな脅威となる。原料の仕入れ価格はこれ以上は下げられず、製造過程でのコスト削減には限界がある。このため、同社営業部の後藤智成係長は「原料の産地が表示される利点は大きい。明確に付加価値を高められ、消費者が価格だけでなく産地で選択するようになる」と期待する。消費者庁はTPP対策として11月、加工食品の原料原産地表示の拡大に向けた検討に着手した。同庁は「TPP大筋合意を受け、輸入品急増に対する国民の不安払拭(ふっしょく)のため拡大を検討する」(食品表示企画課)と説明。ただ、有識者会議の日程など具体的な検討スケジュールは決まっていない。加工食品の原料原産地表示の拡大は、国内産地や消費者団体が強く要望してきたが、これまで検討は先送りされてきた。加工業者にとって包装や印刷の切り替え、季節によって調達国を変える場合などコストや手間を要するためだ。今後も拡大に向けた検討では難航が予想される。原料は表示義務のない加工品が多く、消費者は国産と誤認しやすい状況が続いている。ギョーザなどを製造する長野県塩尻市の美勢商事の野本孝典副社長は「企業側の論理で考えるべき問題ではない。原料原産地表示は消費者の貴重な判断材料となる」と求める。JA全農食品品質表示管理・コンプライアンス部の立石幸一部長は「現状のままではTPPで国産を扱う加工業者は淘汰(とうた)される。日本農業と消費者のためにも表示拡大は不可欠で、食料自給率向上にも欠かせない」と指摘する。
<メモ> 加工食品の原料原産地表示
 生鮮食品は原産国の表示が義務付けられているが、加工食品の原料の原産国を表示する義務は一部に限られる。現在は乾燥きのこ類や餅、緑茶飲料といった22の食品群と農産物漬物など個別の品質表示基準がある4品目にとどまる。

*4-6:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160505&ng=DGKKZO01950500U6A500C1MM8000 (日経新聞 2016.5.5) 次代に伝えたい(2) ロボ導入、24時間農場 生産性向上へ先端技術
 宮城県南部の山元町。夜7時すぎ、暗闇にかすむビニールハウスから「カシャカシャ」と機械音が漏れる。なかをのぞくと身長1.5メートルほどのロボットが真っ赤なイチゴを収穫していた。
●起きたら即出荷
 ライトの瞬きで位置を確かめ、目のような2つの高性能カメラが熟度を判断。甘くなった粒だけを選んでアームを優しく伸ばす。ぐっすり眠った農家が目覚めると朝イチで出荷できる。農業設備メーカーのシブヤ精機(松山市)などが開発した収穫ロボは4千万円と「まだ高い」(宮城県の農家)が実証試験が進む。イチゴ栽培の労働時間は1千平方メートルあたり2100時間と手間のかかるコメと比べても80倍だ。甘く形の良い日本産はアジアの富裕層がブランド品扱いするが、農家の負担は大きい。日本の農業の生産性は海外に比べ低いとされる。ロボットは、その壁の扉を開く可能性を秘めている。鳥取県境港市の沖合に銀ザケ養殖のいけすが並ぶ。海中のセンサーを魚がつつくと餌がパラパラと落ちていく。日本水産の自動給餌ロボだ。空腹と習慣で魚はすぐに仕組みを覚える。台風のときでも食べたい量だけ。海を汚すことも少ない。日の出と共に働き、日没や悪天候で終わりにする――。そんな時間軸を先端技術が変える。ロボと二人三脚で働けば、農地や漁場はコンビニエンスストアのように「24時間営業」だ。日本の就農者は6割以上が65歳以上。米国の2倍の水準だ。農水産ロボは限りあるヒトや土地の生産性を最大限に引き出す力を秘める。農業技術革新工学研究センターの手島司主任研究員(41)は「農家のパートナーになり新しい農業の形を生むだろう」と話す。先端技術は「作る」を変えるだけではない。「売る」まで含めた強い農業に向けて意識改革も促す。千葉県柏市でコメや小麦を作る染谷茂さん(66)はクボタ製の自動走行トラクターを導入した。運転管理システムに100万円かかったが「販売量から逆算して生産計画を立てた。商品量の確保に必要な効率化投資になる」と踏み切った。経営感覚を養ったのは仲間と始めた株式会社方式の直売場だ。「価格も会社で決める。自分で売るから成長の方向が見えてきた」
●ネットで開墾費
 日本の耕作放棄地は富山県の広さと同じ約42万ヘクタール。海外の安価な農作物の流入で農地の荒廃が広がる懸念もあるなか、愛媛県大洲市の山中で10年以上放置されていた農地が生き返った。重機で木の根を取り除くなど約130万円かかった費用の調達先は農協や金融機関ではない。ネットで作物の成長を見守る全国140人の出資者たちだ。まとめ役はベンチャー企業のテレファーム(松山市)。企画や理念に賛同する消費者から小口の事業資金を募るクラウドファンディングの手法で資金は3カ月で集まった。先端技術に加え、ヒトとヒトを結ぶネットワークが農業に新たな資金の流れを生む。農を変える企業は動き出している。


<日本で生産性が上がらないその他の理由>
PS(2016.5.7追加):*5-1のように、経産省傘下の経団連と九経連は、ずっと「電力の安定供給や料金負担の増大に不安を感じている企業が多いので一刻も早い原発再稼働を求める」としてきた。そして、「太陽光発電は、コスト高で安定性がない」という風評被害を流し続けて世界の太陽光発電トップランナーであるシャープを海外企業に売り渡したのである。しかし、他国の企業はこのようなことに左右されずにすむため、*5-2のように、着実に太陽光発電のコスト削減を進め、周辺機器も準備してきた。そして、現在は、*5-3のように、電気自動車で経費を節減した上、環境にも配慮できる時代になったので、*5-4のように、家庭・工場・農場などで太陽光発電を利用して自家発電し、電気自動車を充電するのが、最も経済的で持続可能な時代になったのである。
 つまり、日本で生産性が上がらない大きな理由の一つは、先見の明がなく先進的な技術を理解せずに妨害する人が、行政・メディア・経済界・政治の重要な地位の多くに就いていることなのだ。

    
2016.5.7日経新聞  電気軽トラック   原発事故後の対応    経産省のエネルギーミックス  

*5-1:http://qbiz.jp/article/32465/1/ (西日本新聞 2014年2月20日) 経団連と九経連が懇談会 エネ分野などで意見交換
 経団連と九州経済連合会は19日、福岡市で第66回九州経済懇談会を開き、「九州が動き、日本経済の好循環を実現する」をテーマに、エネルギー、社会基盤整備、医療介護、観光、道州制などさまざまな課題について意見を交わした。両役員など約210人が参加した。意見交換で九経連の大野芳雄副会長(鹿児島銀行相談役)は、原発が停止している現状に「(電力の安定供給や料金負担の増大に)不安を感じている企業が多い。安全性が確認された原発については一刻も早い再稼働が求められる」と強調。竹島和幸副会長(西日本鉄道会長)は「アジアの活力を取り込む空港、港湾の整備が必要だ」と述べ、福岡空港の滑走路増設の早期実現などを要望した。道州制をめぐっては本田正寛理事(西日本シティ銀行会長)が「九州は(道州制論議の)先進地。メリットや課題について地域の理解を深めることが重要だ」と主張。道州制基本法案の早期提出実現に向け、経団連が政府への働き掛けを強めることを求めた。経団連側は九経連側の主張に理解を示し、両団体の連携を強める方針を確認。麻生泰九経連会長(麻生セメント社長)は「(経団連との関係を)心強く思っている。これから実行と実績づくりに取り組みたい」と総括した。懇談会終了後に会場に駆け付けた米倉弘昌経団連会長(住友化学会長)は会見で「九州は工業、農業、観光と非常に明るい地方。強いリーダーシップを発揮する麻生会長に期待している」と述べた。

*5-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160507&ng=DGKKZO02014790W6A500C1TI1000 (日経新聞 2016.5.7) 太陽光パネル 住宅に照準、保守拠点倍増やセット販売 価格下落、普及に弾み メガソーラーは市場縮小
 太陽光パネルメーカー各社が家庭向けの営業に注力している。地元に強い工事会社と組んで保守拠点を倍増させたり、周辺機器とのセット商品を売り出したりする動きが相次ぐ。売電目的のメガソーラー(大規模太陽光発電所)からつくった電気の買い取り価格下落を受け、住宅用が主戦場となっている。パネルの価格も下落傾向にあり、普及に弾みがつきそうだ。太陽光パネル世界3位のカナディアン・ソーラー(カナダ)は6月、保守拠点を現在の2倍の約300カ所に増やす。納入した太陽光発電システムにトラブルが発生したときに技術者を早期に派遣できるようにする。地方の電気工事会社など業務の委託先拡大を急ぐ。太陽光パネルとセットで販売する関連機器の性能を無償で保証する期間も従来より5年延長し、15年間とした。韓国メーカーのハンファQセルズは年内にも住宅向け営業員を現在の倍となる100人体制にする。中国、四国地方では支店も開設する。世界最大手のトリナ・ソーラー(中国)は月内に太陽光パネルと設置に使う架台、電力変換装置などがセットとなった住宅向け商品を売り出す。国内の太陽光パネル市場に占める海外メーカー製は5割以上を占めるが、住宅用に限ると2割未満とみられる。住宅用では営業拠点の少なさや認知度の低さが壁になっていた。住宅用太陽光発電の導入費用は現在、1キロワット当たり35万円前後とみられる。この2年間で1割強下がった。一般的な出力4キロワットの場合、工事代も含め導入費用は新築で現在150万円ほどが相場となる。低価格品に強い海外勢が家庭向けに本格参入することで今後、導入費用が安くなる可能性が高い。埼玉県の50代の男性は「太陽光発電と蓄電池などをうまく組み合わせれば光熱費を減らせる」という。国内勢も拡販に注力している。三菱電機は発電ロスを減らし、出力を高めた住宅用太陽光パネルを6月に発売する。東芝グループは太陽光発電と連携可能な電力変換装置、住宅用蓄電池をセットにした製品を売り出す。京セラも同じ屋根の面積に同社従来品より3割多く敷き詰めることができるパネルの販売を始めた。シャープが事業縮小を検討課題とするなか、内外のメーカーの間で需要取り込みに向けた競争が激しさを増している。

*5-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=36898 (日本農業新聞 2016/4/8) 電気自動車 農村を快走 充電環境ぐんと充実 エコ 経費節減も もちろん 
 電気モーターを動力源とし、ガソリンを使わない電気自動車(EV)が農村で、じわりと浸透してきた。JAの店舗や農産物直売所でも急速充電ができるようになるなど環境が整備されたことから、EVを所有する農家が年々増加。初期投資はガソリン車以上にかかるものの、乗り換えた農家は、環境に優しいだけでなく経費節減につながると効果を実感している。車を利用して4年。ブルーべリーのプリンなど農産加工品の配達で、1日に150キロ近く走行することもある。環境への配慮が購入のきっかけだが、今では「大幅な経費節減になった」と実感する。充電は主に道の駅や購入先のメーカー、家などで済ませる。電気代など維持費は推定で年間3万~4万円。燃料代で年間約40万~50万円が浮いた計算だ。オイル交換の必要がなく、車検費用も半分以下だ。初期費用は約380万円と、ガソリン車に比べて高いが「元は取れた」とみる。しかも近隣の給油所は近年減っていることから「電気自動車は便利だ」と痛感する。心配だったのは走行距離だが、最近は道の駅やサービスエリアに充電器の設置が進み、途中で急速充電しながら約470キロ先の札幌市まで高速道路を使って行けるようになった。横田さんは「小まめに充電すればよく、不自由さは感じない。賢く使って経費を抑えられた」と喜ぶ。公用車に電気自動車を導入したり、急速充電器を設置したりするJAも増えている。東京都JAマインズ、静岡県JAおおいがわ、滋賀県JA草津市、JA鳥取中央などでは直売所や本店に急速充電器を設置。買い物や食事、JAで用事を済ませる間に充電できる体制を整えた。佐賀県JAからつが運営する直売所「唐津うまかもん市場」も急速充電器を設置。事務担当の坂本輝憲さん(39)は「充電を目的に来てくれるお客さんもいて、直売所のPRになっている」と歓迎する。
●JA店舗や直売所でも
  次世代自動車振興センターによると、EVの保有台数は2009年度末(9000台)以降、年々増えて、14年度末には全国で7万台を超えた。1回フル充電した時の走行距離は100~300キロ、30分の急速充電ができる車種が一般的だ。200ボルトの家庭用電源を使うと8時間前後でフル充電できる。購入への補助事業もあるが、初期投資がかかるため、誰もが「お得」というわけではない。同センター次世代自動車部の荻野法一課長によると「車を多用し、小まめに充電できる環境がある」農家にお薦めという。充電器の普及状況を調べる「GOGOEV」によると、充電器の設置場所は急速・普通合わせて約1万7800カ所と、年々増加している。一方、給油所は14年度末で3万3510カ所(経済産業省調べ)。ここ20年間で、半数近くの約2万7000もの給油所が消えた。それだけに荻野課長は「充電環境が整ってきた電気自動車は、農村部でさらに広がる可能性がある」と見通す。(尾原浩子)

*5-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160507&ng=DGKKZO02014830W6A500C1TI1000 (日経新聞 2016.5.7) 住宅用市場、20年度に2倍
 太陽光パネルメーカーが住宅用にシフトする背景には売電目的のメガソーラー(大規模太陽光発電所)を中心とした「太陽光バブル」がはじけたことがある。2012年に太陽光でつくった電気を割高な固定価格で買い取る制度が導入されたことを受け、産業用の需要は急拡大した。だが買い取り価格が高すぎてバブルが発生したとの指摘が相次ぎ、この4年間で政府は産業用の買い取り価格は4割程度引き下げた。調査会社の富士経済によると、産業用太陽光発電システムの市場規模は20年度に430万キロワット(出力ベース)と15年度より4割強減る見込みだ。一方、住宅用の市場規模は20年度に200万キロワット(出力ベース)。15年度の2倍強になると予測している。


PS(2016/5/8追加):*6-1のように、世界農業者機構(WFO)総会で、アジア地域の新理事にJA全中の奥野会長が選ばれ、農協は、突然、世界に踏み出した。動物(人間を含む)は、食料が不足すると自分が生き延びるために殺し合いを始めるため、食料の確保は安全保障に重要であり、アフリカその他の後進地域でも、日本の農業技術・6次産業化・太陽光発電システムなど、使える技術は多いだろう。
 また、*6-2のように、世界農業者機構(WFO)は初めての女性会長を出し、そのグレカ会長が、①農家組織の代表をほぼ男性が占めている ②多くの労働を抱えているのは実は女性 ③その苦労を訴える声が届いていない ④女性が十分な教育を受けることで自らを表現する自信を持つのが重要 と強調しておられるのは、現代日本でも言えることであり共感できる。

*6-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37386
(日本農業新聞 2016/5/7)所得増大 各国連携を アジア理事に奥野氏 WFO総会
 ザンビア・リビングストンで開催中の世界農業者機構(WFO)総会は5日(現地時間)の本会議で、情報共有を強化するなど今後の取り組み方針を議論した。併せて、アジア地域の新たな理事にJA全中の奥野長衛会長を選んだ。一方、4日の開会からこれまでの議論では、飢餓撲滅などの目標達成へ、食料安全保障の確立や農業の所得増大を共通課題に、各国農家の連携を深めるべきだとの発言が相次いでいる。WFO総会は「成長のための協力」をテーマに開幕した。5日は、2018年から10年間の戦略プランの策定に向け協議した。欧米の団体から、戦略の具体化に向け会員間の情報共有を迅速、密にすべきだとの声が相次いだ。奥野会長もWFOは設立段階から体制を充実させる段階に入ったとして、具体的な取り組み計画の策定を要請した。その上で「組織を強くすることは情報を共有することだ。ボトムアップ、トップダウンの双方の情報のやりとりが必要だ」と訴えた。一方、初日はザンビアのルビンダ農畜産業相が出席。飢餓の撲滅へ食料増産が迫られる一方、「若者は農業への関心が薄く、農家は高齢化、減少しているジレンマにある」と指摘。飢餓や貧困に苦しむ小規模農家の所得増へ、農産加工など付加価値の向上も課題だと訴えた。同国出身でWFOのエブリン・グレカ会長は、こうした農業の担い手不足や所得向上は、各国団体の共通課題だとして「われわれには差異を打ち消す大きな共通点がある。飢えのない世界へ、各国の農家が活動を続けていく意義は大きい」と呼び掛けた。アフリカの農業団体からも「小規模農家の発展には、農協が役割を発揮し商業的な生産を広げる必要がある」(東アフリカ農業者連盟)、「小規模農家の生産物をいかに販売網に乗せるかが課題だ」(マグレブ北アフリカ農業者連盟)との声が上がった。最終日の6日には農家の所得増やそれを支える政策への意思反映へどう取り組むべきかなどについて、各国の農業団体代表が討議する。

*6-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37388 (日本農業新聞 2016/5/7) 女性参画 積極的発信を 鈴木全国女性協会長とグレカWFO会長が会談
 JA全国女性組織協議会の鈴木春美会長は5日(現地時間)、世界農業者機構(WFO)の初の女性会長、エブリン・グレカ氏とザンビア・リビングストンで会談した。組織への女性参画についてグレカ会長は、家庭での役割を果たしながらも、自らの考えを積極的に対外的に発信する重要性を強調。鈴木会長は、組織に参画した先でいかに役割を発揮するかが今後、より問われるとの考えを示した。鈴木会長は、4日からのWFO総会にJAグループ代表団の一員として出席するため、当地を訪れている。グレカ会長はザンビア全国農業者連盟の会長も務め、昨年のWFO総会で会長に選出された。息子2人を育てながら養豚やトウモロコシ、大豆などを経営する。グレカ会長は、農家組織の代表をほぼ男性で占めている実態がある半面、「多くの労働を抱えているのは実は女性。その苦労を訴える声が届いていないのではないか」と、抱えていた疑問を指摘。女性が十分な学習を受けることで「自らを表現する自信を持つのが重要だ」と強調した。積極的に組織活動に参画し意見を述べ続けた自身の経験を踏まえ、「女性が組織を率いた方が良いという評価が広がる結果につながった」と述べた。鈴木会長は同協議会の新たな3カ年計画でも「ふみ出す勇気」を掲げたことを説明し「勇気を持ち、例えば、JAの総代や理事または農業委員になってみることが大切だ」と指摘。JA理事などへの登用に関して数値目標を掲げ、女性参画を進めていることも挙げた上で「役員になった人数だけでなく、その組織でどう女性が役割を発揮するかも重要になる」と述べた。

| 農林漁業::2015.10~ | 02:27 PM | comments (x) | trackback (x) |
2016.2.14 ふるさと納税とそのお礼 (2016年2月16日、18日、3月4日に追加あり)
    
2016.2.6西日本新聞(*2)  2014年上位    2015年上位    田んぼの白サギ

    
ツルの越冬地 鹿児島県出水市のツル      蔵王の白鳥          天草のイルカ

(1)2014年と2015年のふるさと納税額順位
 (私の提案でできた)ふるさと納税は、*1に書かれているように、2014年は長崎県平戸市が約13億円でトップだったが、2015年は宮崎県都城市が約35億超を集めてトップとなり、2位は静岡県焼津市の約35億円、3位は長崎県平戸市の約27億円となるそうだ。

 そして、*2のように、2015年度のふるさと納税総額は、2014年度の389億円の3倍を超す1500億円に達する見込みで、ブームを盛り上げているのはお礼の特産品であり、全体の8割を超す約1500自治体が地域ブランドの肉や海産物、地酒、菓子、工芸品などの返礼品を用意し、寄付した人は好みの物が選べるとのことである。

 「お礼を渡すのは本来の趣旨から外れており、邪道」と言う人もいるが、商工会や自治体が推薦するその地域の特産品をお礼にすれば、その自治体への寄付が増えて財源が潤うだけでなく、その特産品の価値が知られて知名度が上がり、地元業者の販路拡大に繋がるため、一石二鳥の効果があると、私は考えている。なお、地域の特産品は、地元の人が考えている以上に、都会で喜ばれるものが多い。

(2)ふるさと納税をしてみて感じたこと
 2015年は、私も夫の所得からふるさと納税した。いろいろやった結果、玄海町と小城市は、納税後の手続きが速やかで気合が入っており、これも人気の秘密だろうと思われた。伊万里市、唐津市、太良町は少し遅かったが、米、伊万里牛、佐賀牛、みかん、海産物などのお礼の品は美味しかった。伊万里市は、鍋島焼などのお礼の品もあったが、もう少し日常的に使うお茶碗などの品ぞろえがあればと感じた。

 夫の所得から納税するので、当然、長野県松本市と塩尻市も見たが、どちらも農林水産物やその加工品を今一つ活かしていないと思われた。長野県出身で首都圏に在住している人には、松本城の無料入場券よりも、米、信州蕎麦、りんご、葡萄、とれたて野菜、信州味噌、漬物、ハチミツ、ジャム、おやき、もち、信州サーモン、鯉の味噌づけ、木曽漆器などの方が人気が出ると、私は思う。

    
 みやき町、佐賀牛    伊万里鶏      平戸干物        小城米     唐津みかん
                          <お礼の品の例>
(3)こんなお礼も・・!
 *3のように、佐賀県に50万円以上寄付すると、佐賀市にあるホテルニューオータニ佐賀で開かれる「知事感謝の夕べ」に招かれて、佐賀県産アスパラガス、有明海・玄界灘産の魚介類、佐賀牛、有明鶏など佐賀県自慢の食材を使ったおいしい料理を食べながら、知事と歓談できるそうだ。

 他の地域に出た佐賀県出身の人は、現在の佐賀県の状況や方針を聞く機会が少ないため、佐賀県知事と食事をしながらそのような歓談ができるのは貴重であり、よく考えたと思うが、50万円以上の寄付というのは高すぎて、該当者が極端に限られるのではないだろうか。

*1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160210&ng=DGKKASDG09H9N_Z00C16A2CR8000 (日経新聞 2016.2.10) ふるさと納税、トップは宮崎・都城市35億円 昨年、減税拡大で大幅増の自治体多く
 2015年に「ふるさと納税」が一番多かった自治体は宮崎県都城市で、寄付額が35億2718万円に上ったことが9日、分かった。ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」がまとめた。寄付額は、14年にトップだった長崎県平戸市の約13億円の2.8倍だった。15年の2位は静岡県焼津市の34億9280万円、3位は平戸市の26億7716万円。4月から減税対象の寄付額の上限が2倍に引き上げられた効果で、大幅に増加している自治体が目立った。都城市は、特産の宮崎牛や地元の焼酎を中心とした特典が人気を集め、繰り返し寄付をする人が増えているという。担当者は「地元業者の販路拡大にもつながっており、大きな経済効果が出ている」と話す。焼津市は14年10月から特典を始め、現在はマグロなどを中心に500種類以上をそろえる。担当者は「当初は3億円程度と予想していた。想定以上だ」と話した。平戸市は海産物の詰め合わせの特典が人気で、発送まで半年以上かかるものもあるという。4位は山形県天童市、5位は長崎県佐世保市だった。順位と金額は、ふるさとチョイスがアクセス数の多い自治体に問い合わせて集計した。

*2:http://qbiz.jp/article/80232/1/
(西日本新聞 2016年2月6日) ふるさと納税急増1500億円 15年度推計、特産品の返礼人気
 出身地や応援したい自治体に寄付をすると、居住地の住民税が減額される「ふるさと納税」の2015年度の総額は、前年度の3倍を超す1500億円に達する見通しであることが分かった。寄付の返礼品が人気を集めていることや、制度改正で利用しやすくなったことが要因とみられる。総務省によると、15年度上半期(4〜9月)の寄付額は453億円で、前年度同期の約4倍。既に14年度1年間の389億円を上回っている。例年、年度後半に増加する傾向があり、15年度下半期も同じようなペースで伸びれば、年度総額は1500億円に達すると推計される。ブームを盛り上げているのは寄付のお礼の特産品。全体の8割を超す約1500自治体が地域ブランドの肉や海産物、地酒、菓子、工芸品などの返礼品を用意しており、寄付した人は好みの物が選べる。自治体への寄付が増えれば自主財源が潤うだけでなく、特産品の知名度が上がり、地域経済にもメリットがある。総務省は15年度から制度を見直し、税の控除が受けられる寄付額の上限を2倍に引き上げた。寄付先が5自治体までなら、給与所得者は確定申告の手続きが不要になった。ふるさと納税は08年度、都市と地方の税収格差是正などを目的に始まった。初年度の寄付額は81億円、東日本大震災後の11年度は121億円だったが、14年度から急増している。

*3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/278780
(佐賀新聞 2016年2月14日) 知事、ふるさと納税に食事でお礼
 ふるさと納税で県へ50万円以上寄付した人を招待した「知事感謝の夕べ」が13日、佐賀市のホテルニューオータニ佐賀で開かれた。関東や県内の5組11人が県産品を使ったおいしい料理を食べながら、山口祥義知事と歓談した。同夕べは、多額の寄付をしてくれた個人に感謝の気持ちを伝えようと初めて開催。ふるさと納税のお礼として知事と会食する取り組みは全国的にも珍しく、昨年7~12月に50万円以上を寄付した13人のうち、5人が参加を希望した。会では、山口知事が「熱い思いのふるさと納税ありがとうございました。いろんな話をしてアドバイスももらいたい」とあいさつ。参加者は、県産アスパラガスや有明海・玄界灘産の魚介類、佐賀牛、有明鶏など県自慢の食材を舌鼓を打ちながら、山口知事との会話を楽しんだ。県へのふるさと納税は2012年度1588万円、13年度3032万円、14年度4488万円と推移。昨年7月に佐賀牛など県産品をお礼としてもらえる制度ができてから急激に伸び、15年度は5億4144万円(昨年12月末現在)となっている。


PS(2016年2月16日、18日追加):*4-1、*4-2の「サイトウ・キネン・フェスティバル松本(現セイジ・オザワ松本フェスティバル)」は、ふるさと納税の使い道でチョイスできるようにし、このような市民の取り組みを支援して芸術を育てる方法もあるし、無理してチケットを入手して東京から聞きに行く人も少なくないため、よい席をふるさと納税のお礼にするのも良く、ふるさと納税制度の使い方はいろいろある。

*4-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/279282
(佐賀新聞 2016年2月16日) 小澤征爾さんにグラミー賞、最優秀オペラ録音部門
 世界最高峰の音楽の祭典「第58回グラミー賞」の発表・授賞式が15日(日本時間16日)、米ロサンゼルスで開かれ、日本からは指揮者の小澤征爾さん(80)が最優秀オペラ録音部門で受賞した。小澤さんの受賞作品は2013年に長野県で開かれた音楽祭「サイトウ・キネン・フェスティバル松本(現セイジ・オザワ松本フェスティバル)」で指揮した歌劇「こどもと魔法」を収めたアルバムで、演奏はサイトウ・キネン・オーケストラ。小澤さんは1960年代からたびたびグラミー賞の候補になっていたが、小澤さん名義のアルバムが受賞したのは初めてという。

*4-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12214183.html
(朝日新聞社説 2016年2月18日) 文化と地域 息長い市民参加の開花
 受賞作には、長野県松本市で開かれた「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」で上演した歌劇「こどもと魔法」が収録されている。地元のアマチュア歌手や子どもたちも参加した。小澤さんはきのうの記者会見で「みんなでつくったものがこういう形になり、松本でやってよかった」と語った。小澤さんが総監督を務めるこの音楽祭は、松本市で1992年から毎年開かれている。昨年、「セイジ・オザワ松本フェスティバル」に改称した。海外から著名な音楽家が多く訪れる一方、小中学生向け演奏会にも力を入れる。例年、9万近い人たちが音楽に触れる。市民の参加も活発だ。チケットを買う行列を整理したり、そばを打って海外からのゲストをもてなしたりと、様々な場面で音楽祭を応援する。松本市は市役所に「国際音楽祭推進課」を置き、14年は総予算約8億円のうち1億3千万円を負担した。市の調査では、音楽祭は地域の誇りとなり、子どもたちの芸術への関心の高まりや、地域のイメージアップに貢献している。経済効果は10億円を超えるという。有名人を招く地方イベントは珍しくないが、継続する催しは限られる。一過性のにぎわいではなく、文化として浸透するには、幅広い市民の参加意識と愛着が重要だ。松本市の例は各地の参考になるだろう。地方を拠点にした国際芸術祭の先駆けは、演出家の鈴木忠志さんが82年に始めた「利賀フェスティバル」(富山県南砺市)だ。山深い地に世界的な演劇人が集う催しは今日まで続く。昨夏は約1万人の観客を集め、市は、芸術と産業振興とを結びつける努力も始めた。埼玉県の「彩の国さいたま芸術劇場」では、演出家の蜷川幸雄さんが主宰する平均77歳の劇団「さいたまゴールド・シアター」が10周年を迎える。「生活者の老い」を表現に昇華し、海外でも高い評価を得る。〈芸術家+地元の人々の理解と参加+行政の支援〉という足し算に、長い時間を乗じる「かけ算」によって、文化は地域の財産になる。今、各地をリードしている大御所たちを継ぐ人を育てることも含めて、大事なのは、やはり息長い取り組みである。そんな試みが広がるといい。


PS(2016年2月18日追加): *5-1、*5-2のように、下水に含まれる成分を有効活用して、家畜・養殖魚の飼料や肥料を作るこの取り組みにも、私は一票を入れたい。これも、ふるさと納税の使い道でチョイスできるようにすれば、寄付金が集まって佐賀市の支出分くらいは出るのではないだろうか。

   
   佐賀市の下水処理システム         *5-2より          *5-1より

*5-1:http://qbiz.jp/article/80931/1/
(西日本新聞 2016年2月18日) ミドリムシ培養施設が稼働 佐賀市、下水のCO2有効利用検証
 下水処理時に発生するバイオガスから抽出した二酸化炭素(CO2)と処理水を使って、藻類ミドリムシを培養する佐賀市と民間企業の共同事業の実証施設が、全国で初めて市下水浄化センター(同市西与賀町)内に完成し17日、稼働を始めた。事業は、下水汚泥を減らす過程で生じるCO2や下水処理水が含む窒素やリンを、ミドリムシの培養に活用する。官民の6団体が進め、CO2の回収技術を持つ東芝や、藻類の培養や活用を手掛ける東京のベンチャー企業「ユーグレナ」などが参加している。施設は、CO2の分離・回収装置や藻類培養設備などで構成。広さ約470平方メートルの藻類培養設備は、ミドリムシの光合成に必要な採光のための透明な壁の建屋に千リットルの培養槽9基を配置。バイオガスから抽出したCO2を供給し、ミドリムシの安定的な培養に必要なCO2濃度や気温、光量などを検証する。ミドリムシは家畜や養殖魚向けの飼料、肥料としての活用を探る。同日あった式典で、秀島敏行市長は「自然環境の改善のため貢献できれば」と期待。ユーグレナの出雲充社長は取材に「バイオテクノロジーは急激に進歩しており、何としても成功させたい」と意気込みを語った。

*5-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/280031
(佐賀新聞 2016年2月18日) 全国初の藻類培養施設が佐賀市で稼働、下水からCO2回収
 佐賀市や東芝など6者による下水処理で発生する二酸化炭素(CO2)を分離、回収して藻類培養に利用する全国初の実証施設が17日、市下水浄化センター内に完成、稼働を始めた。下水処理に伴う環境負荷を減らすとともに、高付加価値資源として注目される藻類の培養技術の確立・品質向上を研究する。事業には佐賀市、東芝、ユーグレナ、日環特殊、日水コン、日本下水道事業団の6者が参加している。国土交通省のプロジェクトの一環で事業費は10億円。下水処理過程で発生するバイオガスからCO2を分離・供給し、藻類の光合成を促進して培養する技術の確立を検証する。培養施設は470平方メートルの敷地内にあり、1千リットルの培養槽が9槽ある。隣接する種株培養槽から本培養槽に移し、CO2や窒素、リンを含んだ脱水分離液を供給して培養を促す。窒素やリンを含む培養液は、赤潮の発生原因となるため通常は再処理して排水するが、藻類に供給することで窒素、リンが低減される。藻類は食品、燃料などに利用できるため、食糧やエネルギー分野で注目されている。施設の落成式で秀島敏行市長は「地球環境の改善に向かって努力しないといけない時代になっている。佐賀の取り組みが全国に広がってほしい」と述べた。


PS(2016年3月4日追加):*6-1の環境保全型農業は、農業や野生鳥獣のみならず水産業にも重要で、以前は沢山いた日本鰻が天然記念物に近くなったのは、川を汚染したり、川に堰をつくって遡上を妨げたりしたからだ。また、*6-2のように、ハチなどの生物が農業にもたらす利益は年間約4,700億円に上り、リンゴ、サクランボ、ウメなど果樹栽培への貢献が大きいそうだ。しかし、最近は、ハチミツも百花混合より、レンゲ、クローバー、アカシア、菜の花、蕎麦、サクラ、ウメ、ミカン、メロン、ローズマリー、タイムなどの花種別に分けた方が花や果物の香りがして付加価値が高いため、地域単位でハチを使って受粉すれば、高付加価値のハチミツという副産物もできるだろう。

   
  *6-1より       清流のヤマメ             ボラ           遡上中のウナギ

*6-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=36503
(日本農業新聞 2016/3/4) 安全・安心志向を重視 環境保全型農業 農林水産省調査
 農薬や化学肥料を一切使わない有機農産物や、5割以上減らした特別栽培農産物などに取り組む農業者の4割が、今後生産を拡大する意向であることが農水省の調査で分かった。安全・安心を求める消費者ニーズを背景に、「エコ栽培」に力を入れようとする農業者が依然少なくない。有機や特別栽培農産物の需要が今後「拡大する」と答えた流通加工業者も約5割に上った。同省が2014年にまとめた「有機農業の推進に関する基本的な方針」によると、現在の有機農業の取り組み面積の割合は、全国の耕地面積のわずか0.4%程度。同方針では18年度までに1%に倍増させる目標を掲げており、この達成には生産拡大のペースを引き上げることが必要になる。調査は農薬や化学肥料の使用を減らす環境保全型農業に対する、生産現場の意識を把握するのが目的。昨年11月に農業者モニター1269人を対象にアンケートを取り、9割から回答を得た。
・5年後に拡大4割
 環境保全型農業に取り組む農業者450人のうち、おおむね5年後に規模拡大する意向を示したのは30%に達した。その理由として「消費者の信頼を高めたい」との回答が70%と最多で、「より良い農産物を提供したい」(52%)が続いた。また全体の規模は「現状維持」するが、環境保全型農業の割合を増やしたいと考える農業者も全体の12%いた。同省は「拡大できなくても高単価を魅力に感じ、有機や特別栽培の割合を増やそうとする意欲が高まっている」とみる。同省は流通加工業者と消費者にも環境保全型農業への意識調査を実施。流通加工業者で有機農産物を取り扱い中か、取り扱う意向を示したのは63%、特別栽培農産物では72%となり、販売意欲が高いことが分かった。消費者の購入理由として、約9割が安全面を重視しているとした。

*6-2:http://qbiz.jp/article/81170/1/ (西日本新聞 2016年2月22日) 生物の貢献4700億円 授粉のハチ、コウモリ、サル… 農業環境技術研 年間試算
 花粉を運び、受粉に貢献するハチなどの生物が日本の農業にもたらす利益は年間約4700億円に上るとの試算を、農業環境技術研究所(茨城県つくば市)の研究グループが22日までにまとめた。このうち約70%が野生生物によるもので、リンゴやサクランボ、ウメなど果樹栽培への貢献が大きい。花粉を運ぶ生物の経済的価値を、野生も含めて全国規模で推定した初の例。同研究所の小沼明弘主任研究員は「欧米ではミツバチなどの減少が問題になっている。日本でもこのようなことが起こると農業生産量の減少や生産コストの増加につながる恐れがある」として保護の重要性を訴えた。グループは2013年の都道府県別の農業生産額や、各種の作物が実を付けるのに、昆虫などによる授粉にどれだけ依存しているかを調べたデータなどから、花粉を運ぶ生物の農業生産への経済的な貢献額を試算。総額は約4731億円で農作物の総生産額の8・3%。果樹のほかメロンやスイカ、トマトやナス生産への貢献が大きかった。都道府県別ではリンゴ生産への貢献度が高い青森県が約592億円と最高。2位はサクランボなどの山形の約412億円、3位はカボチャやメロンなどの北海道の約378億円で以下、長野(リンゴなど)、茨城(メロンや野菜など)、熊本(メロンやスイカなど)の順だった。人間が飼育するセイヨウミツバチとマルハナバチの貢献が計約1056億円だったのに対し、昆虫を中心とした野生生物の貢献が約3330億円と大きく、保護するメリットが大きいことが示された。

| 農林漁業::2015.10~ | 03:32 PM | comments (x) | trackback (x) |

PAGE TOP ↑