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2012.10.30 原子力規制委員会は、何の専門家ですか? これで「間違った」ですむと思っているのですか? 私がやった方がいいくらいです。(2012.11.2に追加あり)
    
    玄海原発放射線汚染情報(*2訂正後)           SPEEDIによる予測(*1より)

 *2のように、原子力規制委員会が、10月24日に公表した各地の原発で過酷事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測を、10月29日に誤りがあったとして訂正した。その訂正後の拡散予測は、放射線汚染情報( http://www.imart.co.jp/fukushima-genpatu-houshasen-eikyou.html )によれば、上の左図のとおりである。

 訂正後の玄海原発のケースについて原子力規制委員会の予測では、糸島市が入らずに松浦市が入ってより多く海に拡散するという設定になっているが、*1のSPEEDIによる予測では、上の右図のように拡散する。拡散するエリアは、過酷事故であれば濃い地域が広がることはあっても狭まることはなく、風向きや地形を考慮したSPEEDIのデータの方が正しい。つまり、SPEEDIに福島第一発事故で放出された分量を入力すれば結果がでるのであり、天候や風向きは常に変わっているので、大きなエリアに広がることは間違いないのである。

 そして、風向きに関しては、2011年12月26日に、私がこのブログに記載したように11月20日午前8時であれば12.5m/s程度の北北西の風が標準的だが、風は季節や昼夜で異なるので、放射性物質は大きなエリアに広がり、関連自治体も多くなる。

 海への影響は、直接海に降った放射性物質だけでなく、破壊された原発から海に流れ出す高濃度の放射性物質汚染水や、山、田畑、住宅地に降った放射性物質が川や下水を伝って海に注ぐというのが、福島第一発事故で明白になったことだ。従って、環境への影響は、人間が手を施すことができないくらい大きく、海も汚染されるのである。そのため、ここまで大きなリスクを背負い、莫大な金をかけて、原子力で電気を作る必要はないというのが結論だ。人間は神様ではないので、100%事故を起こさない機械などは作れないのだから(「100%完璧ということはない」というのは、こういう時に使う言葉です)。

PS:ちなみに、私の実家と事務所も赤のエリア内にあり、父はそこに引っ越して30年後の1998年に多発性骨髄腫で亡くなり、母は、現在、甲状腺癌である。平時にも、多少の放射性物質が出ているのではないか?

*1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2317632.article.html 
(佐賀新聞 2012年10月29日) 【原子力防災訓練】回避ルートの訓練も必要
 訓練では、放射性物質の拡散を予測する「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」も運用された。この日の気象条件では、玄海原発から南東の佐賀市南部方面に流れた。今回の訓練は避難ルートなどに拡散方向を勘案していないが、今後は拡散地域を避けて逃げる訓練なども必要だ。予測のための放射性物質の放出量は、福島第1原発事故レベルではなく、試算用の「1時間当たり1ベクレル」を入力。佐賀の地形と当日朝の気象予測で出た西北西の風毎秒約8~8.3メートルを基に、午前8時から6時間の積算値で3種類の線量を予測した。
 地表の放射性物質の蓄積量を示した予測図では、原発付近の10分の1濃度のヨウ素が南東20キロ付近、100分の1濃度が60キロ超の佐賀市南部や県境の大川、柳川市付近に及んだ。大人の外部被ばくの目安になる実効線量は、原発付近の100分の1濃度が40キロ付近まで到達。1歳児が屋外にいて吸入した場合の、甲状腺被ばくの目安になる等価線量では10分の1濃度が30キロを超え、100分の1濃度も60キロ以上に広がった。
 今の訓練は、放射性物質の拡散方向によって避難ルートを変えることはない。現在の暫定行動計画では玄海町、唐津市からは小城市などに避難するが、この日の拡散予測地域には小城市南部が含まれた。今後、こうした拡散の方向を回避した別ルートを検討することになる。県消防防災課は「原子力規制委員会が公表した拡散予測や、避難時間シミュレーションの結果などを基に避難計画を見直すことになる」としている。

*2:http://www.47news.jp/CN/201210/CN2012102901002378.html
(共同ニュース 2012/10/29)拡散予測、6原発で誤り 原子力規制委が訂正 
 原子力規制委員会は29日、今月24日に公表した各地の原発で過酷事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測をめぐり、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)や九州電力玄海原発(佐賀県)など6原発の予測結果に誤りがあったと発表した。他の4原発は日本原子力発電東海第2原発(茨城県)、敦賀原発(福井県)、北陸電力志賀原発(石川県)、九電川内原発(鹿児島県)で、いずれも放射性物質が拡散する方角がずれていた。予測の基となるデータを提供した電力会社の指摘で発覚した。規制委は「地元に混乱を与えて大変申し訳ない」と謝罪し、関係自治体に内容を説明した。

PS(2012.11.2追加):やはり、*3のように、「原子力災害対策重点区域」を原発から半径30キロ圏に設定し直すための結果ありきの拡散予測だったのだ。しかし、これは科学的根拠に基づくものではないため、信頼性はない。つまり、これまでの原発規制のやり方と同じであり、原子力規制委員会は設立目的とする役割を果たしていないため、これに基づいて防災計画を策定しても安全とは言えない。

*3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2319891.article.html
(佐賀新聞 2012年11月1日 )玄海は対象人口10倍 原発防災・重点地域
 原子力規制委員会(田中俊一委員長)は31日、原発事故時の防災対策の枠組みとなる原子力災害対策指針を決定した。東京電力福島第1原発事故を受け、避難に備える「原子力災害対策重点区域」の目安を原発の半径30キロ圏(現行10キロ圏)に拡大することが柱。
■玄海原発の重点地域は3県8市町、25万6千人に
 玄海原発(東松浦郡玄海町)では、半径30キロ圏内に拡大された防災対策重点地域(UPZ)は、従来(10キロ圏内)の佐賀、長崎県内の2県3市町(玄海町、唐津市、長崎県松浦市)に加え、伊万里市、福岡県糸島市、長崎県佐世保、平戸、壱岐市が含まれて3県8市町に拡大。対象人口も約2万7500人から10倍近い25万6000人に増える。事故が起きた際、放射性物質放出前に避難する半径5キロ圏内(PAZ)は、玄海町と唐津市の県内2市町で、対象人口は約7100人になる。災害対策指針の原案が示された際、佐賀県などが要望していた項目の多くは検討課題として先送りされた。事故時に放射線量を測定する緊急時モニタリング体制については、事業者のほか「国および地方公共団体等」が行うよう定めたが、具体的実施手法は年内をめどに検討するとしている。安定ヨウ素剤の服用判断は、原案段階では「より住民に近い組織」としていたが、最終的には原子力規制委員会が「一義的に判断する」と転換。服用時期もPAZは「即時避難と同時」としたが、UPZを含めた具体的な服用基準や手順、責任の明確化などについては今後の検討課題とした。UPZが30キロ圏に拡大したことで、各自治体が地域防災計画を策定する際、佐賀、福岡、長崎3県の連携が重要となる。県境を超えた調整については「国が積極的、主体的に関与する」と明記した。今後、県や関係自治体は年度内をめどに防災計画の策定を進めるが、規制委では11月中に策定の手引となる「マニュアル」をまとめ、自治体に提示。具体的なやり取りをしながら、策定をサポートするとしている。

| 原発::2012.10~12 | 09:43 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.10.29 北海道は自然エネルギーと生物資源の宝庫なのに、まだそんなことを言っているのですか?
        
          風レンズ風車                  風レンズ風車の原理

 私は、北海道の厳冬は、出張と旅行でしか知らないが、*1の記事を見て感じたことは、①北海道の冬の暖房は電気で行っていたのか?(重油と石炭だったのではないか?) ②北海道には広い土地があり風力発電・汐潮発電・地熱発電に向く場所も多いのに、福島第一原発事故以後もそれらの資源を利用しようとせず、何のアクションもしなかったのか? ということだ。

 一例を挙げれば、九州大学流体科学研究室が制作した上図の風レンズ風車(http://fe.mech.kyushu-u.ac.jp/research/wind/wind.html)のように、効率よく風を集めて発電する風車を牧場や農地に設置したり、空気と同様に流体である海水で効率よく発電する汐潮発電機を津軽海峡に設置したりすれば、電気はいくらでも起こせるはずである。また、昭和新山を代表として北海道には使える地熱資源も多い。ここは、北海道大学等の大学での研究や現地ベンチャー企業の活躍が望まれるところで、そのシステムの開発に成功すれば、同じような気候の国に輸出することもできる。

 なお、*2の記事は、北海道の漁業にも原発事故はダメージを与えているということなので、ごまかすことなく、大学との共同研究で、原発や農薬による汚染と北の海の生態系について本質的な研究をしたらいかがか? 北海道が中心にならなければできないことも多いのだから。

*1:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/415326.html
(北海道新聞社説10月29日) 冬の道内電力 政府の危機感が足りぬ
 この冬、北海道で節電の数値目標や計画停電の準備が必要かどうか―。政府の電力需給検証委員会がいまだに検討を続けている。結論が出る11月は既に初冬であり、北海道の冬の厳しさに対する危機意識が感じられない。一日も早く方針を示すべきだ。道民の命と健康を脅かす冬の停電は、万が一にもあってはならない。新たな安全基準も地域防災計画もない現状で、泊原発の再稼働の是非を論じるのは無理だ。であれば、答えはおのずと明らかだろう。節電は不可欠であり、広く浸透させるためには適正な数値目標があっていい。計画停電は避けなければならないが、不測の事態に備え、準備はしておく必要がある。北海道電力の電力需給見通しによれば、厳冬の来年2月に5・8%の供給予備率を確保できそうだ。ただし、これは主力の火力発電所が故障なしでフル稼働することが前提だ。北電は、発電所の故障リスクを織り込むよう求めている。火発などの停止により、2011年度は平均31万キロワットの供給力が減少した。最大出力の苫東厚真火発4号機が止まれば70万キロワットが失われる。このあたりまでは何とかしのげる。ところが、検証委の議論の過程では、複数のトラブルが重なり137万キロワット分が停止した例も示された。冬の全期間を通じて、北本連系による本州からの送電を受けても追いつかないレベルである。
 ここまで極端な場合を想定するなら、すぐに計画停電の準備に着手しなければ間に合わないではないか。何の対策も示さぬまま、こうした数字が独り歩きすれば、いたずらに不安をあおるだけだ。道と北電も、政府の指示待ちで時間を空費してはならない。道と北海道経済産業局は9月から、経済団体、医療・福祉関係者などからなる電力需給連絡会を開き、節電対策を話し合っている。夏は、工場向けの産業用が13%、オフィスビルなどの業務用が11%と目標の7%を上回る節電を達成した。経済界からは、これ以上の節電は困難との声が上がっている。ここでも課題ははっきりしている。冬の電力需要の4割を占め、夏の節電が5%にとどまった家庭への啓発だ。建設的な議論のために、北電は家電製品別の電力消費量といった具体的なデータを提示すべきだ。政府や電力会社に頼まれたから、節電するのではない。暮らしを再点検し、無駄を省いて貴重なエネルギーを分かち合うのは、私たち道民のためなのだ。覚悟を決めて、冬の準備を急ぎたい。

*2:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/413302.html
(北海道新聞 10月21日)海産物の安全 迅速な情報公開が肝心 
(ポイント)東京電力福島第1原発事故から1年7カ月余りが経過したが、10月になって室蘭沖でとれたマダラから国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)と同じ放射性セシウムが検出された。マダラ漁の最盛期を控え、周辺の漁業者は、その後の検査結果を案じながら見守っている。基準値を超えれば、道が出荷自粛を要請することになる。幸いそのような検体は出ていないが、油断できない。道は検査を強化するとともに、胆振、渡島、日高の17漁協に出荷先の正確な把握を指示した。放射性セシウムは時間とともに海中に沈み、福島第1原発周辺の海底には局所的に汚染度の高い場所が存在すると指摘されている。汚染されたプランクトンを海底のエビや小魚が食べ、それらをマダラなど大型の底魚が捕食してセシウムを取り込む。こうして汚染された底魚の一部が回遊することにより、事故から長い時間を経て福島県から遠く離れた海域で基準値を超える魚が水揚げされるとの見方が有力だ。北海道周辺のマダラは、関東・東北沖とは生息域の異なる別の系群とされ、セシウムが検出されたのは本州から北上してきたマダラとみられている。心配なのは、こうした事態が風評被害を招き、地域の水産業全体に悪影響を及ぼすことだ。道は、北海道周辺の魚介類のセシウム検査を昨秋から本格化させた。何より海洋汚染や魚の回遊状況などの実態解明が不可欠だが、自治体や漁協だけでは困難だ。政府は生態系への影響を含む総合的な調査を行い、汚染の全容把握を急がなければならない。

| 環境::2012.10~11 | 01:30 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.10.27 日本の男女差別の結果は、日本経済にプラスだったのか?
        
        日本のGDP成長率の推移           2012年版男女格差報告(東京新聞より)

 *1、*2のように、「世界経済フォーラム」が「経済・教育・政治・健康」の4分野で、各国の女性の地位を分析したところ、日本は、政治・経済の分野で決定権のある管理職や役員女性の割合が極端に低く男女格差が大きいという結果だった。これは、大学卒業後ずっと働く女性をしてきた私の経験とも一致しており、女性の教育レベルは上がり、就業率も上昇しているので、「決定権を与えられるような女性の人材はいない」という言い訳は成り立たず、わが国の多くの組織が、女性就業者を決定権のある管理職や役員に育てることに消極的だったことを意味する。これは、わが国の内閣府男女共同参画局から出ているHPの政策・方針決定過程への女性の参画をめぐる状況 (http://www.gender.go.jp/pamphlet/pamphlet-main/pdf/2011_12.pdf )でも明らかにされている。

 1979年に第34回国連総会において女子差別撤廃条約が採択されて後、わが国は、1985年に最初の男女雇用機会均等法を作り、同1985年にその条約に批准したが、最初の男女雇用機会均等法は、制度創設時に努力義務という骨抜きのものにされた。そして、同じ1985年、厚生年金にサラリーマンの専業主婦に対する3号被保険者制度という「専業主婦の奨め」を行う制度が創設されたのである。この時点で企業がとった行動は、女性雇用者を総合職と補助職に分け、補助職の女性には男女平等の扱いを適用しないとしたことであった。そして、1997年に(私発で)男女雇用機会均等法が改正され男女平等の扱いが徹底して義務化された後は、企業は、多くの女性労働者を非正規や派遣労働者に切り替えて、男女平等の扱いを骨抜きにした。この間、メディアは、ドラマ、歌謡曲、報道を通して、「結婚したら仕事を辞めて専業主婦になる女性」を推奨し、「自分では判断力がなく馬鹿な女性が男性について行く」イメージを放送し続けて、国民の”常識”を作り上げた。そして、この”常識”を受け入れた女性を”大人の女性”と呼ぶようにしてしまったのである。しかし、他国は、この間、真面目に問題解決に取り組んでいた。

 そのような行動の結果、何がもたらされたかと言えば、上の左図のように、わが国は、外国の真似ではなく需要から経済政策を作っていかなければならなくなった1975年以降、経済成長率が伸びなくなった。なぜなら、電車と車が好きで、家庭の資金繰りに参加したことがなく、職の確保と所得の額にしか関心のない男性ばかりで意志決定を行った結果、国の予算は、鉄道・道路などの公共事業と経済効果の小さな景気対策にまわされ、本物の需要が増加した保育・学童保育・介護を経済に取り込むことができず、衣食住や環境への意識が低くなり、国民生活を犠牲にして財政赤字を増やすばかりとなったからである。つまり、人口のうちの男性だけという特殊な半数の中から有用な人材を選抜したため、人材の半分しか活用できず、生活・生存系の問題解決や実需からのアプローチが苦手になっていたのである。

 そして、*3を見てもわかるように、内部被曝、低線量被曝のリスクから逃れるべく、父親はついて来ずに母子だけで自主避難している人に対して、「放射能は安全だ」「“風評被害”をまき散らすな」と決めつけた主張をしているのは多分男性である。男性は食品や健康に関して無頓着な人が多いが、女性は、食品や健康に関する知識を持ち、これらに注意しながら家事を担当している人が多い。そのため、女性が発言権を持つことは、大変重要なのである。本来は、その性的役割分担ももっと見直すべきだが、今のところ、非常に偏った知識と感性で意志決定がなされているということだ。

 従って、立法、行政、司法もそうだが、私の経験では、報道にも、ものすごいジェンダーを含んだ歪んだものが多く、決して中立ではない。そして、これは、国民が真実を知る権利にはむしろ害となっている。そのため、それぞれの報道機関における分野毎の責任ある地位にいる女性記者・管理職・役員の割合やこれまでの採用・配置・昇進・退職及び編集の方針など、都合の悪い情報も含めて公表し、真摯に今後の対応策を考えるべきである。また、社内にチェック機関を設ける必要もあろう。その判断の基準は、上位圏にある国のやり方を真似すればよい。他国は進んだため、もう真似する相手ができたのだから・・・。

*1: http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5164563.html (TBS 2012年10月24日) 「男女平等」101位、働く日本の女性は
(ポイント)24日、世界135か国で「男女平等」がどれだけ実現されているか、ランキングが発表されました。上位を北欧の国々が占めています。アメリカは22位、中国は69位、そして日本は101位と昨年の98位から後退し、先進国の中では最下位でした。135か国中101位。24日発表された「世界男女格差報告書」で、日本は依然として「男女の格差が大きい」と指摘されました。
 「ダボス会議」などを主催する「世界経済フォーラム」が、各国の女性の地位を「経済・教育・政治・健康」の4分野で分析。各分野で男女格差の8割以上を解消した北欧諸国が、例年通り上位を占めます。アメリカは前年より順位を5つ下げて22位。中国は69位、女性の労働参加が高いことが順位を押し上げました。世界では、政治と経済の分野で女性の進出が続きます。日本の敗因はまさに、この分野にありました。現内閣の中で女性大臣はただ1人。女性議員数そのものが減るなど、男女格差が広がっています。女性の就業率は上昇しました。しかし、決定権がある管理職や役員となると、とたんに女性の数は減ってしまいます。政府は2020年までに「指導的地位の女性割合を30%にする」と目標を掲げますが、いまだほど遠い状況です。

*2:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121024-00000052-cnippou-kr
(中央日報日本語版 10月24日)男女平等度、韓国は世界最下位圏の108位…日本は101位
 韓国社会の男女平等度が世界最下位圏であることが調査で分かったと、韓国メディアが24日報じた。報道によると、世界経済フォーラム(WEF)は23日(現地時間)、年次男女格差報告書を発表し、韓国の男女平等度は調査対象国135カ国のうち108位で、昨年より順位が一つ落ちたと伝えた。これはアラブ首長国連邦(107位)、クウェート(109位)、ナイジェリア(110位)、バーレーン(111位)などアラブ・アフリカ国家と似たレベル。指標別に見ると、韓国女性の経済参加度と参加機会指数(116位)はもちろん、教育程度指数(99位)と健康・生存指数(78位)、政治力指数(86位)も下位圏にとどまった。
 一方、世界男女平等度1位はアイスランドで、フィンランド、ノルウェーなどが後に続くなど、北欧国が上位に並んだ。最下位圏はアフリカ・チャド(133位)、パキスタン(134位)、イエメン(135位)など。アジア太平洋地域ではニュージーランド(6位)、フィリピン(8位)、豪州(25位)、スリランカ(39位)、モンゴル(44位)などの順に高く、中国は69位、日本は101位にとどまった。

*3:http://mytown.asahi.com/fukushima/news.php?k_id=07000131210090001 
(朝日新聞 2012年10月10日) 自主避難への理解
 「こういう人たちが、県外で風評被害をまき散らしているんです」 県総合計画の見直しで、県が各地で開いている地域懇談会で出た発言だ。総合計画審議会委員の一人が、母子だけで自主避難している人についてそう言い放った。「経済的にも余裕がある人たちです」「正しい知識をもってもらいたい」。二重生活の出費に耐えられる、という点では「余裕がある」かもしれない。だが、取材した限り、出費を切り詰めギリギリの生活を続けている家庭が大半だ。前向きに新天地で暮らす人たちがいる半面、「風評被害をまき散らす」どころか、いじめや嫌がらせを恐れ、「福島から来た」とも言えず、身を隠すように暮らし、福島を思って涙する。そんな人も多い。県総合計画は来年度から8年間、復興計画も含めて県の施策の指針となる。この委員がどの程度、見直しにかかわるか知らないが、県は人選をもう少し考えた方がいい。


PS:*4の海洋生物学者レイチェル・カーソンも女性だ。私も環境税の創設等々、環境系の政策提言を多く行ったが、佐賀三区内の農協を訪問した時に、女性職員が、界面活性剤の入っていない洗剤を使うようにしようと朝礼で呼びかけていたのを聞いて、「農業地域は、そこまで気をつけて農産物を作っているのだな」と感心したものである。

*4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012102102000148.html  (東京新聞社説 2012年10月21日) 週のはじめに考える 「沈黙の春」と原子力
 先日、農協が原発と農業は共存できないと宣言しました。それは農業に限らないでしょう。私たちは自然なくして生きられず、共に暮らしているのです。自然環境について言えば、今年は、あのアメリカの海洋生物学者レイチェル・カーソン(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%B3)が「沈黙の春」を出版してからちょうど五十年になります。その本は述べます。食料増産の中で農薬が大量に使われ、鳥や虫などが死に、春は黙りこくってしまった、と。
◆巻き起こった大論争
 誤解のないように説明をしますと、彼女は農薬一切の使用禁止を言ったのではありません。その毒性、生命体に対する極めて強い影響力について、農民、国民によく知らせないまま使わせているのはおかしい、と言ったのです。アメリカでは大論争を巻き起こしました。農薬散布を勧めていた政府や、農薬を製造する化学工業界などが強い圧力をかけました。同調する学者もいました。「殺虫剤の使用をやめたら害虫の支配する暗黒の時代がやってくる」と。当時のケネディ大統領は、大統領科学諮問委員会に農業委員会を特に設け調べると約束しました。その調査の結果、委員会は、カーソンの告発が出るまで、国民は農薬の毒性を知らされていないことが明確になった、と報告したのです。悪い情報も開示せよ、と求めたのです。よい効能ばかりを聞かされてきたアメリカ国民は、やっと危険性を知らされるわけです。半世紀も前のことですが、それが今の原発問題と、何と似ていることか、また似ていないことか。似ているのは、国民が危険性をよく知らされなかったこと。それが政府や業界、御用学者らによっておそらくは覆い隠されてきたこと。似ていないこととは、悪い情報の開示が日本ではなお不十分だと思われることです。
◆国を内から滅ぼすもの
 国が運転の許認可をしている以上、国民にはその良い面と悪い面を知る権利があります。
また、政府が十分だと見なしても、国民の大方が不十分と考えれば、それは十分ではないのです。政治家は説明責任という言葉をよく口にしますが、軽々に使われては困ります。それは悪い情報も開示した上で、論理的に相手に通じなければなりません。
 カーソンに話を戻せば、「沈黙の春」出版のずっと前、一九五三年八月、彼女の投書がリーダーズ・ダイジェストに載りました。訴えはこうでした。「…自然界の真の富は、土壌、水、森林、鉱物、野生生物等、この大地の恵みの中にあります。将来の世代のためにこれらを確実に保存しなければならず、利用するには、広範囲の調査に基づく緻密な計画を立てねばならない。これらのものの管理は政治の問題とは全くちがったものなのです」(ポール・ブルックス著「レイチェル・カーソン」新潮社より)
 それは工業化社会へ急速に向かうアメリカ、また世界への警告でした。投書は、また彼女の元上司を解雇する非を指摘します。当時の大統領は、共和党に担ぎ出されたアイゼンハワー。彼は防衛産業に強くGM社長のウィルソンを国防長官に、国際派の弁護士ダレスを国務長官に任命するなど財界、民間人を登用(この時期に軍産複合体制が確立)。その中でクビを切られたのが、キャリア三十五年、人望篤(あつ)く公共の自然の収奪に断固反対してきた魚類野生生物局長アルバート・デイ氏。クビを切ったのはビジネス界から来た内務長官。投書はこう結ばれていました。「自然保護の問題は国家の死活にかかわります。政治(政略)的考えの行政官は資源の乱用と破壊の暗黒時代に引き戻す。国防に熱心な一方、内側から国を滅ぼすものに無関心ではいられない」内側から国を滅ぼすとは、何と厳しい警告でしょう。しかし彼女の学者としての真剣さがそう言わせるのです。
◆告発から半世紀を経て
 同じように、福島原発事故を経験、また見聞した農業従事者らは思わざるをえないでしょう。都市生活者が恐れるべきは、その体感のなさかもしれません。農協の将来的な脱原発宣言とは、そういう意味合いを日本に与えています。殺虫剤の代表格DDTは大多数の国で使用禁止になりました。他方、原発事故で降る放射性物質は自然をひどく、かつ長く汚染し、核のごみは半永久的に残ります。「沈黙の春」の告発から半世紀。その教示を、私たちはずいぶん学んできましたが、まだ学びきれていないものもあります。それは核のもたらす汚染であり、カーソンなら国を内側から滅ぼすもの、というかもしれません。

| 男女平等::2011.12~2013.5 | 08:53 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.10.26 尖閣諸島の領有権が明確になれば、石油・天然ガス資源が入手できるのに、離島奪還訓練とは全く情けない。鉱業も重要な産業なのに。(10月27日追加あり)
     
         LNG埋蔵                 尖閣諸島(西日本新聞より)   
 石原慎太郎前都知事が、2012年4月に「東京都による尖閣諸島購入計画」を発表して4カ月で、9万人から14億円の寄付が集まったそうだ。すなわち、これが、日本国民の意志だ。しかし、尖閣諸島は政府が購入し、そのまま手をつけずに現状維持することになってしまった。

 しかし、*1のように、日米両政府は、渡名喜村の入砂島で予定していた自衛隊と在日米軍による共同の離島奪還訓練を見送ることになったそうである。離島奪還訓練というのは、始めから実効支配を諦めており情けなく、一方で、中国の中国人民解放軍海軍は10月19日に、東シナ海で、国家海洋局の海洋監視船と農業省の漁業監視船と合同で大規模な演習を実施したそうだ。これでは、尖閣諸島の領有権に関する意志は、明らかに中国の方が強いと世界には見えるだろう。

 そして、すでに、中国が日中中間線の中国よりの場所で、天然ガスを採掘しているにもかかわらず、わが国は自国で採掘しようなどとは思いも及ばず、*3のように、ロシア(外国)のウラジオストク近郊に液化天然ガスの工場建設に向けて協力することで合意したり、アメリカが技術革新して商業生産を可能にしたシェールガスを買おうとしたりしているのである。今頃、「日本にとって天然ガスを確保することがますます重要になった」など、どこまで寝ぼけたことを言っているのか。

 そのため、これからやるべきことは、日本国民9万人の意志と寄付で集まった14億円で、尖閣諸島に灯台、漁船・天然ガス掘削船の休憩基地を作り(足りなければ、また寄付を募ればよい)、尖閣諸島を実効支配して東シナ海で天然ガスを採掘することだ。つまり、「資源は、外国から高い値段で買いあさればよい」という安易なこれまでの行動パターンを早急に改め、外国のエネルギー政策を見習って、エネルギーは技術開発して自給し、できれば輸出するという態勢にするのだ。そうすれば、わが国に雇用が生まれ、国富が増えて、低負担・高福祉が実現できる。また、地元沖縄と九州への経済効果も大きい。

*1:http://article.okinawatimes.co.jp/article/2012-10-20_40420
(沖縄タイムス 2012年10月20日)日米政府、離島奪還訓練見送りへ
 日米両政府は19日までに、渡名喜村の入砂島で予定していた自衛隊と在日米軍による共同の離島奪還訓練を見送る方向で調整に入った。地元からの反対が主な理由だが、米兵による暴行事件を受け県内で日米両政府への不満が高まる現状への配慮も要因の一つとみられる。日米両政府は当初、11月月5日から16日まで予定している日米共同統合演習の一部として、入砂島での訓練を想定。島しょ部の奪還を想定した共同訓練を国内の離島で初めて実施する背景には、尖閣諸島問題の意識もあった。一方で、同村の上原昇村長は17日に沖縄防衛局を訪れ、武田博史局長に訓練中止を求めていた。

*2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2012102002000099.html
(東京新聞 2012年10月20日)中国海軍が大規模演習 東シナ海 尖閣想定、日本けん制
(ポイント)中国人民解放軍の海軍は十九日、東シナ海で、国家海洋局の海洋監視船と農業省の漁業監視船と合同で大規模な演習を実施した。中国メディアが伝えた。沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)国有化に反発する中国は、国有化決定後、尖閣周辺海域に海洋監視船や漁業監視船を相次いで派遣している。演習は尖閣周辺海域を想定したとみられ、大規模な演習を実施することで、日本側をけん制する狙いがあるとみられる。中国中央テレビは「中国の漁船はここ数年、中国の主権の範囲内の海域で、他国の妨害や邪魔にあっている」ことに対する演習だと強調した。

*3:http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/126457.html (NHK 2012年07月13日)
(ポイント)
●天然ガスをめぐり日本の外交が活発化しています。先週玄葉外務大臣がアメリカのクリントン国務長官と会談、アメリカからの液化天然ガスLNGの輸入が日本にとって如何に重要であるか強調しました。また先月には枝野経済産業大臣がサンクトペテルブルクでロシアのエネルギー大臣と会談し、極東のウラジオストク近郊に液化天然ガスの工場建設に向けて協力することで合意しました。日本にとって天然ガスを確保することがますます重要になっているからです。
●国際エネルギー機関IEAが「天然ガスの黄金時代」と名付けた変化がアメリカから始まっています。地中深く眠っていたシェールガスが、技術革新によって商業生産が可能となりました。シェールガス革命です。この結果、アメリカはロシアに代わって世界最大のガス生産国となり、世界のガスの埋蔵量もそれまでの二倍へと大幅に見直されました。


PS:経団連は、*4のように20世紀の技術である原子力にご執心だが、そんな活動をしている暇があったら、経済効果の高い「尖閣諸島への寄付」でもしたらどうだろうか。経済団体の中で知恵を絞れば、実行できる名案も多く浮かぶ筈で、そういう活動をしてこそ今世紀の日本経済を担える経済団体と言える。

*4:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012102601001492.html
(東京新聞 2012年10月26日)原発の早期再稼働を要請 経団連、民主幹部が会談
 経団連の米倉弘昌会長らは26日、民主党の輿石東幹事長ら幹部と都内で会談した。原発の再稼働や、公債発行特例法案の早期成立、各国との経済連携 の加速などを党側に要請した。経団連は、野田政権が打ち出した原発ゼロ目標への反発を弱めておらず、安全確認ができた原発の早期再稼働をあらためて求めた。民主党側は「短期的には安全性が確認されたものは再稼働するという大方針を政府は決めている」と強調し、理解を求めた。公債発行特例法案に関しては、経団連側が「市場に不安が生じる」と懸念を示したのに対し、民主党側は臨時国会での成立に意欲を示した。


PS(10月27日追加):最先端の高層ビル群を建設するわけではあるまいし、*5のように、「尖閣待避所とても無理 都推計で『数百億円、工期10年』」とは何事だろうか? 役所が、こういう金と時間の使い方をしているから、日本はこういう国になったのだという一例になる話だ。「沖縄県や石垣市がすべき」というのはもっともだが。

*5:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012102790070715.html
(東京新聞 2012年10月27日)尖閣待避所とても無理 都推計で「数百億円、工期10年」
 東京都の石原慎太郎知事が尖閣諸島(沖縄県石垣市)に建設することを主張していた漁船待避施設について、都が、最も簡易な防波堤タイプでも建設費が数百億円かかり、工期が十年以上かかる可能性もあると推計していたことが分かった。巨額の資金や長い工事に、内部でも実現を困難視する意見があった。都関係者によると、都は九月二日に行った尖閣諸島の調査で、地形や水深、潮流などを確認。その結果、南小島と北小島の間の浅瀬での漁船待避所の建設は、技術的に可能と判断した。約二百メートルの二島間に防波堤を設ける最も簡易なタイプを想定し試算。しかし、一個あたり数~数十トンのブロックが千個以上必要なうえ、現場は沖縄本島から約四百キロ、石垣島から約百七十キロあり、台船などによる輸送費がかさむことが判明。夏から秋の台風や冬の荒天で工期が限られ、工事途中に壊れる可能性も指摘された。
 都港湾局によると、伊豆諸島で長さ百メートル以上の防波堤の場合、工費が百億円近くかさみ、十年以上かかったケースもある。都関係者は「沖縄の漁業者が使うことを考えると、漁業振興は沖縄県や石垣市がすべき。都議会や都民の理解を得られるか疑問、との意見もあった」としている。尖閣諸島は九月十一日に国有化され、都は建設の検討を打ち切った。

| 資源・エネルギー::2012.9~2013.3 | 12:17 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.10.25 もっと正確にわかるのにSPEEDIを使わないのは、計算結果がすごすぎるからでは?(10月27日に追加あり)
 原子力規制委員会は、*1のように、「福島第1原発事故と同じ事故が起こったら、これまでの想定を超え、原発から最も遠いところで40kmの地点まで影響が及ぶ」とする結果を出した。しかし、これは逆に、40km以上離れていれば安全で、防災対策はいらないという言うメッセージにもなる。また、原子力規制委員会が計算した結果によれば、福島第2、柏崎刈羽、浜岡、大飯が廃炉になりそうだが、これらの原発の廃炉は、もともと強く求められていたものだ。つまり、廃炉する原発の結論があって、その理由付けのために、新しく「原発事故影響試算」が出されたように見える。

 一方、*2~*4のように、福島第1原発事故による放射性物質は、岩手県、山梨県、埼玉県など200km以上離れた地域にも降っており、農産物に影響を与えている。従って、その地域に住む人々にも内部被曝の影響が出るのは時間の問題であり、40km以上離れていれば安全とは決して言えない。

 それでは、どの範囲に放射性物質が降るのかと言えば、それを、風向きや地形まで加味して計算できるのがSPEEDIだ。何故、これを使わずに同心円を使い、暫定的な試算しかできないと言うのか? それを考えたところ、SPEEDIを使って正確な計算をすると、シミュレーション結果が目的に合わず、不都合だからだろうと思った。

*1:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121024/k10015985771000.html
(NHK 10月24日)原発事故影響試算“説明不足”の声
 24日公表された原発事故の影響範囲の試算では、これまでの想定を超えて原発から40キロの地点まで影響が及ぶなどとする結果が出ましたが、NHKが関係の21の道府県に取材したところ、すべての自治体が「試算結果は先週、メールで受け取っただけで詳しい説明がなかった」と答えました。事故の影響範囲という住民にとって関心の高い情報の説明不足に自治体からは戸惑いの声が出ています。原発事故の影響範囲の試算は、原発の立地自治体などが来年3月までに作る地域防災計画の中で、避難などが必要となる防災を重点的に行う範囲を決める際に参考にするものです。24日、公表された試算では、全国の16の原発のうち、東京電力柏崎刈羽原発など4つの原発で、避難などの準備をしておく範囲の目安とされる30キロを超えて影響が及ぶという結果が出ました。特に新潟県の場合、最も遠いところで40キロまで影響が及ぶとなっています。試算結果について事前にどのような説明があったのか、関係の21の道府県にNHKが尋ねたところ、すべての自治体が「先週、メールが送られてきただけで詳しい説明はない」と答えました。原発から40キロの地点まで影響が及ぶとされた新潟県では「どのようにみてよいのか、説明を聞かなければ分からない。防災対策の範囲を決める際に参考にできるかは、今後検討する必要がある」と話しており、多くの自治体から説明不足や戸惑いの声が上がっています。これについて、原子力規制委員会の田中俊一委員長は「規制委員会の事務局の人員の数から、自治体への丁寧な説明は時間的に無理なところがあった。今後、各自治体が地域防災計画を作る段階でよく相談をしていきたい。今回の結果はあくまでシミュレーションで、新潟県を含めて防災を重点的に行う範囲については、半径30キロで問題ないと思っている」と弁明しました。

*2:http://mainichi.jp/select/news/20121023mog00m040011000c.html (毎日新聞 2012年10月23日) 放射性セシウム:ソバ、ナメコから基準値超 岩手県が出荷自粛要請
 岩手県は22日、一関市の旧興田村で生産されたソバから国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を上回る250ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。農産園芸課によると、ソバの基準値超過は初めて。県は今年産のソバについて、検査が終了するまで出荷を自粛するよう8月21日付で全県的に要請していたが、一関市と関連団体「いわい東農業協同組合」に対し22日、出荷自粛の継続を要請した。また、林業振興課も同日、陸前高田市で露地栽培された原木ナメコから基準値を超える280ベクレルの放射性セシウムが検出されたとして同市に出荷自粛を要請した。

*3:http://www.sannichi.co.jp/local/news/2012/10/24/3.html  
(山梨日日新聞 2012年10月24日) 放射性セシウム 鳴沢のキノコ基準超す  県産食品初、村に出荷自粛要請
 山梨県は23日、鳴沢村内で採取した野生キノコ2検体から、国が定めた一般食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムを検出したと発表した。食品の放射性セシウムの新基準値が適用された4月以降、県の検査で、基準値を超えたケースは初めて。県は鳴沢村に対し、同村内で採取された野生キノコの出荷などを自粛するよう要請した。同村産のキノコが販売できなくなる農産物販売所などからは「経営の痛手になるのは必至」との声が上がっている。

*4: http://www.news24.jp/articles/2012/10/23/07216380.html
(日テレニュース 2012年10月23日) 埼玉県の鹿肉から基準8倍のセシウム
 埼玉県は23日、東京都の県境に近い秩父市浦山で捕獲されたシカの肉から、基準の約8倍にあたる一キロあたり820ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。県は鹿肉を扱う事業者に対し、出荷と販売の自粛を要請するとともに、県内で捕獲されたシカの肉を食べないように注意喚起する予定。シカやイノシシについては、他にも県内の山間部10か所で検査を行っているが、他の場所では基準値を下回っているという。

PS:地元に玄海原発をかかえている*5の佐賀新聞記事の方が、大メディアよりも問題点の把握が進んでいるようだ。私は、そこまで金を使い、犠牲を払って原発で発電すべき理由はないと思っている。どうしても原発由来の電気を使いたい人は、その人が全コストを支払うべきだし、「低線量被曝は危険ではない」と信じて聞かない人は、その人が、速やかに福島第一原発の後処理をすればよいだろう。

                 
         今回の拡散予測             SPEEDIによる1時間後の拡散予測

*5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2315343.article.html (佐賀新聞 2012年10月25日) 放射性物質の拡散、糸島まで 玄海有事の際
 原子力規制委員会は24日、全国16カ所の原子力発電所で福島第1原発事故のような過酷事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測を公表した。玄海原発(東松浦郡玄海町)では、住民の避難基準となる事故後1週間の積算被ばく線量100ミリシーベルトに達する範囲は、福岡県糸島市方向の東北東が最も遠い27・5キロ地点まで達している。唐津市中心部方向の東南東は17・3キロ地点までと予測している。 試算は、(1)福島第1原発事故と同規模の77万テラベクレル(ヨウ素換算)の放射性物質が放出された場合(2)玄海原発4基全てが同時に、福島原発と同程度のメルトダウン(炉心溶融)事故を起こした場合-を想定。いずれも山や河川などの地形は考慮せず、全て平地という仮定で行った。 気象条件は昨年1年間の1時間ごとのデータ(8760時間分の風向、風速、降雨量など)を基に、放射性物質が拡散する方位(16方向)と距離を計算。風向きは常に一定という設定で、途中変化は考慮せず、国際原子力機関が、避難が必要としている「7日間で100ミリシーベルト(24時間屋外に滞在した場合の内部・外部被ばくの合計)」に達する地点がどこまで及ぶかを方位別に試算した。 事故の影響が大きい(2)のケースでは、糸島方面の東北東が27・5キロで、最も遠くまで達すると予測。島を含む陸側方位では馬渡島方面の北西が19・8キロ、加部島方面の北東が18・9キロと続いた。唐津市中心部方面の東南東は17・3キロで、同市のオフサイトセンターも含まれる。相知町方面は11・7キロ、伊万里市方面は9・9キロとなっている。 全体的にみれば、規制委が事故に事前に備える緊急時防護措置準備区域(UPZ)の設定目安とする30キロ圏内に収まっている。ただ、影響が大きい(2)のケースも福島事故程度の想定で、玄海原発4基にある使用済み核燃料を含む全ての放射性物質が放出されるという「最悪のケース」を想定した予測ではない。 また、急性外部被ばくの基準となる「10時間で1グレイ」に達する地点は東北東の1・1キロが最高で、規制委が放射性物質の拡散が始まる前に直ちに避難する区域(PAZ)の目安としている5キロ以内に収まっている。規制委は今回の予測について、各自治体が来年3月末までにまとめる地域防災計画の参考資料として作成。ただ、地形などは考慮しておらず、全ての気象条件もカバーできないとし、限界があることを踏まえた上で参考にしてほしいとしている。
■【記者解説】誤解招かぬ説明不可欠
 原子力規制委が公表した放射性物質の拡散予測は、佐賀県など関係自治体が策定する地域防災計画の参考資料として試算された。一定条件下での「拡散傾向」を知るという点では参考になるかもしれないが、地形条件を考慮していないなど精度には大きな問題が残る。住民に誤解を与える可能性もあり、行政側の丁寧な説明は不可欠だ。今回の試算の問題は、地形条件と風向きの変化を考慮していない点だ。日本の原発は全て海に面している。玄海原発も周囲は複雑に入り組んだ海岸線があり、後背地には山もあれば谷もある。原発を起点に一定方向に継続して風が吹くことはまずあり得ない。拡散途中では地形の影響を受け、飛散方向は大きく変化する。実際、福島第1原発事故でも30キロ以上離れた飯館村などで高線量を観測した。玄海原発の拡散予測では、避難基準地点は規制委が目安とする30キロ圏内に収まっている。しかし、これは30キロ圏外の安全を保証したものではない。規制委の田中俊一委員長は会見で「どこのサイトも30キロを超える事態は起こり得る」とした。今後、防災計画を策定する上では、拡散予測はあくまで一つの参考としてとどめ、地形など地域の実情を十分に分析、考慮した計画が求められる。

PS(10月27日追加):*6は、10月27日(土)に掲載された原発事故被災地の地方紙による社説ですが、もっともです。

*6:http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2012/10/20121027s01.htm
(河北新報社説 2012年10月27日)放射能拡散予測/もっと精密に試算すべきだ
 原発事故によって大量に放出された放射性物質は一体、どこまで飛んで重大な被ばくをもたらすのか。国の原子力規制委員会が初めて、全国の16原発を対象にした試算結果を公表した。「1週間の積算で100ミリシーベルトの被ばく線量」になる地点を調べたところ、東京電力柏崎刈羽(新潟県)では原発から約40キロの魚沼市で100ミリシーベルトに達するという結果になった。東電福島第2(福島県富岡、楢葉町)と関西電力大飯(福井県)でも方角によって30キロを超えた。東北電力の女川(宮城県女川町、石巻市)と東通(青森県東通村)では、いずれも十数キロ程度だった。試算は周辺自治体を対象にした原子力防災計画策定の際の参考資料となるが、今回のデータだけで効果的な防災計画を作ることは無理だろう。拡散予測をするなら、地形や風向きを最大限考慮した内容にすべきだ。その上で、確実な避難などが果たして可能かどうか、しっかり検証しなければならない。それが福島第1原発事故の教訓を踏まえた対応になる。規制委は、福島と同程度の事故が各原発の全原子炉で起きたという想定で試算した。当然、多くの原子炉を抱える原発は放出量も増え、100ミリシーベルト圏が広がることになる。だが、これでは大まかすぎる。放出量はむしろ何段階かに分けた方が分かりやすい。原子炉3基の女川原発なら、同時多発と単独の両方の事故について想定すればいい。
 さらに地形情報を加味していないのは、今回の試算の致命的な欠陥だ。福島では原発からの直線距離より風向きと地形、天候が放射性物質の拡散と汚染に決定的な影響を及ぼした。SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)のように地形のデータを入れ、風向きは仮定した方が現実的だ。つまり女川の場合、「北東の風なら石巻市で○ミリシーベルト。降雨があれば△ミリシーベルト。南西なら…」といった内容だ。
 また、一般の人の年間線量限度が1ミリシーベルトなのに、たった1週間でその100倍になるという線引きの基準は高すぎる。「100ミリシーベルト圏外だから避難計画を作らなくともいい」と誤解する自治体が出てきたら、それこそおかしな話になる。もっと低い何種類かの線量も示すべきだ。
 福島の事故後、規制委はこれまで原発から10キロ圏内だった防災の重点地域を30キロに拡大する考えだが、それでも到底十分とは言えない。女川原発から約50キロの仙台市が地域防災計画に原子力災害対策を盛り込むことを決めるなど、自治体側の危機感は強い。ただ、福島の教訓をくみ取って住民の避難にまで備えるのは、とりわけ都市部にとって負担の多い大変な作業だろう。自治体も規制委もこれから、本当に住民を守る防災対策を実行できるのかどうか、見極めなければならない。それが不可能に近いのなら、原発の存廃そのものを議論するのが筋だ。

| 原発::2012.10~12 | 01:25 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.10.23 女性の先輩からの褒め言葉や評価は違うようです。
            

 上の写真の2012年のミス・インターナショナル世界大会で世界一になった佐賀県鳥栖市出身の吉松育美さんには、心から「おめでとう」と言いたい。そして、*1の記事で、大会後、吉松さんが「体形で勝る西洋人に勝つには自分のいい部分をアピールするしかないと思い、スピーチに力を入れた。女性は次世代のオピニオンリーダーになると思うので、自分がどのような活動をしていきたいかを話した」と知って、私は、これが本当の勝因だと思った。審査員にも共感する人が多かったに違いない。

 これに対し、*2のように、激励に沖縄を訪れた橋本鳥栖市長が、「自信と日本女性の謙虚さをもって臨んでいるのが伝わり、出場者の中でも光っていた。」と、勝因の一つを「日本女性の謙虚さ」としているが、これは男性中心の発想であり、浅い。世界の女性の美の基準はそうではないし、そう褒められても、日本女性でも嬉しくはなく返事に困る。もう日本女性も、それをはっきり言うべき時だろう。

 私は、吉松さんの勝因は、本人の言うとおり、①世界標準の中で自分の欠点となりそうなものをカバーするために、優れた部分を作ってアピールしたこと ②スピーチに力を入れ、女性が次世代のオピニオンリーダーになることを意識して、自分がどのような活動をしていきたいかを話したことであり、これが審査員の共感を得たのだと思う。 (ただし、前から女性がオピニオンリーダーしています)

 美しさは総合点だ。そして、その要因には、外形の美しさも大きいが、内容の深さから発せられるスピーチの内容とセンス、自信が元となって顔や身体から発せられる輝き、存在を認められ自信を持てることによって得られる幸福からくる本物の笑顔があると、私は思っている。 他の皆さんは、どう思いますか?

*1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2313777.article.html (佐賀新聞 2012年10月22日) ミス世界に鳥栖市観光大使、吉松さん
 2012年のミス・インターナショナル世界大会が21日、那覇市で開かれ、日本代表のモデル吉松育美さん(25)=佐賀県鳥栖市出身=が優勝した。1960年にスタートした同大会で日本代表が優勝するのは初めて。 大会後、吉松さんは「体形で勝る西洋人に勝つには自分のいい部分をアピールするしかないと思い、スピーチに力を入れた。女性は次世代のオピニオンリーダーになると思うので、自分がどのような活動をしていきたいかを話した」と勝因を語った。吉松さんは今年3月には鳥栖市観光大使に就任した。スポーツウーマンで、高校時代は陸上部で100メートルハードルの選手。ランニングが趣味で、今年の東京マラソンに出場し、完走した。吉松さんは「夢の中なのか現実か分からなくなった。もちろん優勝するつもりで大会に臨んだが、優勝できてほんとうにうれしい」と話した。報道関係者が選ぶ特別賞「ミス・フォトジェニック賞」も受賞した。今大会には69カ国・地域の代表が参加。沖縄開催は本土復帰40周年などを記念したもので、1975年の沖縄海洋博で開催されて以来、37年ぶり。沖縄県側が誘致した結果、今後2021年まで毎年、同県で開催されることになった。ミス・インターナショナルは世界の三大ミスコンの一つとされ、今回で52回目。

*2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2314311.article.html (佐賀新聞 2012年10月22日) 「ミス世界一」に故郷も喝采 パレード計画 
 リハーサル中の20日、激励に沖縄を訪れた橋本康志市長は「自信と日本女性の謙虚さをもって臨んでいるのが伝わり、出場者の中でも光っていた。世界一にはびっくりしたけど」と笑顔。「市民も昔から知っている“育美ちゃん”が世界一になった。いろんな分野で世界に向けて挑戦する人たちに、鳥栖と世界がつながっていることを見せてくれた」と誇らしげに語った。

| 報道の問題点::2012.4~2012.10 | 10:14 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.10・21 原発事故による海の汚染と韓国における脱原発の動きについて
 *1のように、海の汚染について地方紙が本当のことを書き始めたが、全国紙ではまだ、こういう論点を書いた記事は見ない。冷却用に大量の海水を使う原発は海岸線に造られるので、漁業補償されていることが多く、補償された漁業者は原発立地に対して苦情を言えないのが現状なのだ。しかし、原発立地地域以外の補償を受けていない漁業者なら、苦情を言うことができるはずだ。そして、原発は海水温を上昇させて藻場を喪失させた原因の一つとも言われ、海の環境や生態系を変えていることは明らかなのだ。

 さらに、平時に排出されているのは本当に熱だけであり、放射性物質は皆無なのかについては、現職の時にそういう説明は受けたが、今一つ自信が持てないし、福島第一原発事故では、多量の放射性物質を太平洋のよい漁場に無神経にまきちらして、海を汚したのは明らかだ。そして、事故の影響による海の汚染は、陸地の汚染がなくなるまで続く。

 このような中、*2は韓国での動きだが、素早い。広い太平洋でさえ、原発事故の放射性物質はカナダまで恐れさせているのであり、釜山などの日本海に面する原発で事故が起これば、日本海全体が漁場として使えなくなるのだから、韓国の動きは、同じ日本海を漁場として生活している日本人にも歓迎である。ましてや、生簀(いけす)のような狭い瀬戸内海に面して原発を作ろうという計画がまだ進んでいるのは、信じ難い。日本を、核と電気あって食べ物なしの国にするつもりか。 ぷんすか

*1:http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1098/20121019_01.htm (河北新報 2012年10月19日)第5部・原発のまち(4)欲望/巨額補償、安全見失う
<億単位で上積み>
 「今度来るときは、もう一つゼロを付けてこい」。福島県浪江町の漁業桜井治さん(76)は請戸漁協(現・相馬双葉漁協)を代表して時折、声を荒らげながら東京電力の担当者と交渉を重ねていた。2000年の夏から冬にかけてだった。東電が福島第1原発7、8号機の増設計画(未着工)を示したのを機に、請戸など7漁協は1~8号機の温排水に対する漁業補償を求めた。
 既に運転していた1~6号機については建設当時、まだ温排水による漁場への影響が問題視されず、補償対象に含まれていなかった。7漁協に東電が当初示した額は計80億円。組合員の目算とは大きな差があったが、東電は交渉する度に億単位で上積みしていった。「目標額になるまでは絶対に譲れなかった」と桜井さん。交渉を優位に進めようと、原子力施設が集中立地する青森県・下北半島にある漁協も視察した。20回近い交渉の末、東電は同年12月、当初額を42億円上回る計122億円の支払いに同意した。組合員1人当たり約5000万円になり、請戸漁協の目標通りだった。目標額算定の基準は、後継者が船や家を買い替えられること。桜井さんは「後継者が育たなければ、原発との共存共栄はあり得ない」と考えていたからだ。「東電から引き出せる補償は、これが最後だろう。取れるだけ取りたい」。組合員にはそんな思いもあったという。
<尽きぬ請求理由>
 冷却用に大量の海水を使う国内の原発は、海岸線に造られる。そのために漁業補償は避けて通れない。1970年代以降は原発の立地計画が浮上する度、各地で地権者や漁業者が激しく抵抗し、計画が行き詰まるケースが相次いでいた。東電は分かっているだけで、これまで約200億円を福島県の漁業者に支払っている。最初は66年の約1億円。第1原発に隣接する約5万4000平方メートルを対象に、共同漁業権が消滅する9漁協(当時)への補償だった。請戸の漁業者のほとんどが、木造の無動力船で操業していたころだった。補償金でエンジン付きの漁船を購入し、漁具を更新した。 原発が動きだすと、補償の請求理由に事欠かなくなる。「ホッキ貝から放射性物質が見つかった」「核燃料を積んだ大型船が操業海域近くを通ることで迷惑している」。 地元漁業者の要求に、東電はその都度応じた。「安全を求めるのではなく、金を求めるようになっていた」(相馬双葉漁協の組合員)との自覚はその頃、まだなかった。 
<汚染された漁場>
 東電は昨年4月、福島県漁連(いわき市)にファクス1枚を送り、福島第1原発事故による低レベル汚染水の海洋放出に踏み切った。県漁連は「あまりに一方的」と抗議したが、原子炉等規制法によると、海洋放出に漁業者の了解は必要ない。漁場汚染が決定的になったことに、県漁連の新妻芳弘専務は悔やんだ。「東電との交渉には何度も立ち合ってきたが、自分を含め誰も、原子炉等規制法などは知らなかった」
◇福島県浜通りへの主な漁業補償
 1966年 東電が漁業権補償協定を請戸など9漁協と締結。補償額計1億円
   71年 第1原発1号機が営業運転開始
   73年 第2原発、広野火力発電所(火発)の漁業補償35億円で調印
        第2原発の工業用水取水に伴う漁業補償協定を締結
   75年 第2原発1号機着工
   78年 東電が県漁連と使用済み核燃料の海上輸送に伴う協定締結
   80年 東電が福島県相双沿岸漁業調整基金で覚書調印
   82年 第2原発1号機が営業運転開始
 2000年 第1原発7、8号機増設計画などと広野火発5、6号機に伴う
        漁業補償協定152億円(うち30億円が火発分)で締結

*2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2012102102000107.html
(東京新聞 2012年10月21日)韓国 脱原発の動き 超党派議員 10法案国会提出へ
 韓国の超党派議員グループが脱原発に向けた法案十本を準備し、来月にも順次国会に提出する。十二月の大統領選の最大野党・民主統合党(民主党)候補も未着工原発の建設計画中断を明言するなど、「原発大国」の政界に脱原発の動きが見え始めた。法案提出を準備しているのは「脱核(脱原発)・エネルギー転換議員の会」。民主党を中心に与党セヌリ党、無所属議員の計三十二人が所属する。法案は、新規原発建設の中止や老朽原発閉鎖などを盛り込んだ脱原発基本法案のほか、原発を広報する財団を廃止し、再生可能エネルギーの拡大を目的とした新財団を立ち上げる法案や、廃炉の際の施設解体計画書作成を義務づける原子力安全法改正案など。禹元植(ウウォンシク)議員(民主党)は十六日、こうした方針をソウルでの国際シンポジウムで表明。「国民は廃炉や使用済み核燃料の処理にかかる費用を知らされていない。これらを明らかにするのも国会の役割だ」と、脱原発への意欲を強調した。民主党の文在寅(ムンジェイン)候補だけでなく、無所属の安哲秀(アンチョルス)候補も、大統領選のビジョンで「原発に対する不安が深刻になっている。きれいで安全なエネルギーへの根本的な転換が必要だ」と言及している。韓国では現在二十三基の原発が稼働し、五基が建設中。二〇三〇年までに四十基体制にし、発電量に占める原子力の割合を約三割から約六割に引き上げる計画だ。

| 原発::2012.10~12 | 10:48 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.10.20 自民党の原発推進政策を変えられるのは、農協などの自民党支持団体しかない
 経済産業省系の経団連は、「安い電力」と称して原発必要説を堅持しているが、このブログの2012年9月2日に私が記載したとおり、本当は、原発よりも再生可能エネルギーの方が安い電力である。

 そのため、農林水産省系のJA全中が脱原発を表明し、農業用水での小水力発電や太陽光・風力発電を積極的に取り入れるという表明をしてくれたのは心強い。なぜなら、いざ脱原発の方向で動きだせば変える力のある自民党を動かせるのは、自民党支持団体しかないからだ。*2のように、「太陽光発電を用いた農業用ハウスの低コスト自動換気システム」なども既に提案されており、再生可能エネルギーで電力を作れば、農業生産で輸入燃料の代金に一喜一憂することなく、安価にハウスの温度管理ができ、農業にプラスであることは言うまでもない。それと同時にCO2は全く出ない。後は、農業用トラックや機械のエネルギーを電気に変える必要があるだけだ。

 しかし、農業団体だけでは、「経済産業省+経団連」チームにはちょっとかなわないだろう。原発事故は、林業、水産業(平時から海水への排熱の影響もある)にも悪影響を与え、環境への負荷はCO2以上に大きいのだから、その関係団体も脱原発を表明して欲しい。

 なお、*3のように、茨城県東海村の村長が茨城で脱原発サミットを開き、「このまま原発が維持されれば、必ず第二の原発事故は起こる。脱原発の闘いはこれからが本番だ」と話したというのはもっともであり、私もそう思う。それぞれの地域の首長や議員にも自民党支持者は多いので、この人たちが支援者の意を受けて率直な意見を表明してくれれば、脱原発は進むと思う。

*1:http://mainichi.jp/select/news/20121019k0000m020131000c.html
(毎日新聞 2012年10月19日) JA全中・万歳会長:脱原発へ 農業用水で水力発電
 脱原発を決議した全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳章(ばんざい・あきら)会長は18日、毎日新聞のインタビューに答え、太陽光発電や小水力発電など再生可能エネルギーの事業化に取り組む考えを明らかにした。JA全中などによると、全国の農村部にある農業用水路の総延長は40万キロあり、原発1基分に当たる100万キロワットの発電が可能。万歳会長は、政府の再生可能エネルギー固定買い取り制度を活用し、電力会社に売電する考えを示した。
農業用水を利用した小水力発電は、年間を通して安定した発電が可能で、JAグループでは広島県など中国地方を中心に38施設が稼働している実績がある。万歳会長は小水力発電について「まだまだ拡大できると思っている。原発のように後始末ができないエネルギーよりも、代替エネルギーの方向に行くべきだ」と述べ、脱原発への取り組みを強調。「潜在的な資源はあり、農業復権のひとつの力にしたい」と、再生可能エネルギーの可能性に期待を示した。

*2:http://farc.pref.fukuoka.jp/farc/shuyosei/H1803/shu05.pdf#search='%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%85%89%E7%99%BA%E9%9B%BB%E3%81%99%E3%82%8B%E8%BE%B2%E6%A5%AD%E7%94%A8%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9'  太陽光発電を用いた農業用ハウスの低コスト自動換気システム 
(ポイント)世界的にCO2削減が求められる中、農業においてもクリーンエネルギーの活用が望まれています。従来の太陽光電池は重く、換気システムは待機時も一定量の電力を消費すること等が問題でした。しかし、近年、軽量薄型加工ができるアモルファスシリコン電池や消費電力を極めて少なくできるマイクロコントローラの開発が進み、農業場面で利用できるシステム開発が期待できます。そこで、生産現場で普及している農業用のハウスに適応できる、小型・軽量な太陽光発電を用いた低コストな自動換気システムを開発しました。

*3:http://sankei.jp.msn.com/life/news/121014/trd12101418420010-n1.htm 
(産経ニュース 2012.10.14) 東海村長「闘いこれから」 茨城で脱原発サミット
 茨城県東海村で14日、「脱原発サミットin茨城」が開かれた。脱原発を訴える同村の村上達也村長は冒頭のあいさつで「このまま原発が維持されれば、必ず第二の原発事故は起こる。脱原発の闘いはこれからが本番だ」と話した。日本原子力発電東海第2原発(同村)の廃炉を目指す団体「茨城の環境と人を考える会議」が主催。在職中から国の原子力政策に批判的だった福島県の佐藤栄佐久前知事も参加し、住民ら約550人が集まった。パネルディスカッションでは、「脱原発をめざす首長会議」の呼び掛け人の一人、根本良一前福島県矢祭町長が「20世紀は人類が自然に挑戦したが、21世紀は自然に敬虔にならなければいけない。そうでないと原発は止められない」と主張。佐藤前知事は「元に戻したいという強い気持ちを持ち続けないと、福島は駄目になる」と訴えた。

| 原発::2012.10~12 | 04:21 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.10.19 わが国の警察・検察及び報道こそ、深刻な病と罪を持つということ(2012.10.22に追加あり)
 メディアは、どれも*3の尼崎連続変死事件の犯人が、角田美代子被告だとして、そればかり報道している。しかし、私が変に思うのは、①他人の女性が何か言っただけで、よその家の家族が家族同士で殺し合いをするのかということ ②仮にそういうことがあったとしても、存在が見え隠れする何か言っただけの人が殺人したと言えるのかということだ。報道の仕方を見ても、どこから情報を入手したのか、裁判前の容疑者の段階で、その人が真犯人であるかのようにして、空想まで含めてそればかり放送している。きっと、この事件も、最後は筋の悪い冤罪になるのだろう。

 その一方で、小沢氏のドイツ訪問は実際に行った事実があるにもかかわらず、全く放送されていないが、*1、*2のように、小沢氏がドイツを訪問して、ドイツ環境相と会談し、「脱原発」推進で一致したというのは国民にとってより重要なニュースだ。ドイツの状況も含めて報道するのが、あるべき姿だろう。それにもかかわらず、こういう状態なのが、わが国の報道の深刻な病であり罪なのだ。

*1:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121016/stt12101617300003-n1.htm
(MSN産経ニュース 2012.10.16) 小沢氏がドイツ訪問へ 脱原発前面、衆院選に向け野田政権に対抗
 国民の生活が第一」の小沢一郎代表が16日、ドイツ訪問へ出発した。次期衆院選公約の柱に「10年後の原発ゼロ」を掲げる意向で、2022年までの脱原発を決めたドイツを参考にする。衆院選でエネルギー政策が主要な争点になるとにらみ、野田政権が掲げる「2030年代の原発ゼロ」方針より積極姿勢を示し、脱原発への取り組みを訴える狙いもある。小沢氏は15日の記者会見でドイツ訪問について「10年後の原発ゼロが決して現実離れしたものではなく、正しい方針だと国民に知ってもらうきっかけになればいい」と強調した。小沢氏は16日午後(日本時間同日夜)、フランクフルト国際空港に到着。17日にはアルトマイアー環境相と会談。21日に帰国する。

*2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012101701002136.html (東京新聞 2012年10月17日)  小沢氏、「脱原発」推進で一致 ドイツ環境相と会談
【ベルリン共同】新党「国民の生活が第一」の小沢一郎代表は17日午後(日本時間同日夜)、ドイツのアルトマイアー環境相とベルリンで会談し、脱原発を進めるべきだとの認識で一致した。小沢氏は「『生活』は期限を切って10年後の脱原発を主張している」と強調。これに対しアルトマイアー氏は「福島の事故後『このままでは駄目だ』と、ドイツ国民の8割とすべての政党が脱原発を支持した」と国内の状況を説明した。ドイツは東京電力福島第1原発事故を受け2022年までの「脱原発」を決定している。

*3:http://www.asahi.com/national/update/1018/OSK201210180040.html (朝日新聞 2012年10月18日) 家族呪縛、25年の闇 尼崎の連続変死事件
 兵庫県尼崎市の連続変死事件は、18年前に失踪宣告を受けて死亡したことになっていた女性(当時66)も殺害・遺棄されていた疑いが出てきた。行方不明者の足跡をたどると、尼崎市や高松市などの家庭が次々と事件に巻き込まれ、その陰にいつも角田(すみだ)美代子被告(64)の存在が見え隠れしていた。捜査関係者によると、尼崎市の女性は59歳だった1987年に姿を消した。94年に失踪宣告を受け、戸籍上66歳で死亡したことになった。息子は美代子被告の義妹と2001年に結婚。その弟(54)は東京に引っ越し、昨年、行方不明になった。東京での生活を知る人物は「無口で、身寄りがないと話していた」と証言する。高知県の男性(36)は、弟が美代子被告の養子になった翌年の00年から行方不明になった。

PS(2012.10.22追加):*4の記事は、誤認逮捕され自供させられたひどい事件だが、『認めないと少年院に行くことになる』というのは、自供しようとしまいと罪にするということになるし、『認めないと長くなる』というのは、普通の人にとっては仕事や学業に差し支えるので拷問に近い。そのため、これでは誤った自供を産む。それに加えて、司法関係者がITに弱く(監査法人は、法人内にシステム監査の専門家を置いている場合が多い)、IT技術についていっていないという実態もあると思う。司法は、問題が起こらなければ関わらない場所なのであまり知られていないが、私の経験では、裁判所は明治時代から変っていないのではないかと思うくらいの雰囲気であり、書面による証拠の証明力を過小評価したり、損害額や慰謝料の判定が驚くほど小さかったりする。つまり、わが国の司法は、あまり頼りにならないということであり、お世話になる時(弱者の立場)に気がついても遅いので、普段から注視しておく必要があろう。

*4:http://www.asahi.com/national/update/1022/TKY201210210455.html (朝日新聞 2012年10月22日) 「自供しないと少年院、と言われた」誤認逮捕の大学生
 横浜市のホームページに小学校への襲撃予告が書き込まれた事件で、神奈川県警に誤認逮捕された男子大学生(19)が、県警の再聴取に、取り調べをした警察官や検事に自供を促されたという趣旨の説明をしていたことが、捜査関係者への取材でわかった。県警は捜査を検証している。 都内の弁護士らに「真犯人」を名乗る人物から犯行声明メールが届いたことを受け、県警は17日に大学生を再聴取した。捜査関係者によると、大学生はその際、「県警の取調官に『認めないと少年院に行くことになる』と言われた」「検事に『認めないと長くなる』と言われた」と話した。取調官は県警の調査にこの発言を否定しているという。 大学生は7月1日に逮捕され、否認したが、同月4日に容疑を認める上申書を提出。その翌日、否認に転じ、横浜地検が家裁送致する前日の同月19日に再び容疑を認めたとされる。

| 報道の問題点::2012.4~2012.10 | 11:42 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.10.18 差別を利用した卑怯な批判の仕方 ― 「公人」なら、こんな報道に「報道の自由」「表現の自由」が認められてよいのか?(10月20日、24日に追加あり)
 橋下徹大阪市長の出自を報じて評判を落とそうという記事に対し、私は、最初に見た時から筋の悪さを感じていた。そして、*1の橋下大阪市長の発言はもっともだと思う。そもそも公人である政治家については、その人の政策、実績、実行力で評価するのが当たり前であり、性別や門地でこきおろすのは良識に欠ける。そのようなマイナス要因を克服して抜きん出てきた人は、そうでない人よりも、むしろ能力があったり、人一倍頑張ったりして、その悪条件をクリアしてきた人だということを忘れてはならない。

 日本国憲法では、第13条で「すべて国民は、個人として尊重される」、第14条で「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない」と定められており、メディアの「言論の自由」や「表現の自由」がこれに優先するものではない。それにもかかわらず、*2のように「ハシシタ 奴の本性」として「橋下氏の血脈」をたどり「本性をあぶり出す」としているのは、差別に基づく優越感そのものだが、週刊誌の編集部は、そのようなことをいちいち抗議されるまで気がつかないのか。

 私も、女性であることで、「控えめでなく傲慢だ」「論理性がなく感情的だ」「細かいだけで仕事ができない」「部下を使えない」等々、世の中にはびこっている女性に対する先入観や偏見を利用した卑怯な悪口雑言により評判を落とされたことがたびたびある。しかし、私のこれまでの経歴や実績から、それは全く当たっていない。そのため、そのような先入観や偏見のある悪条件の中でも頑張ってきたやる気と能力のある人の足を引っ張るのは、全く卑怯な人間のすることであり、国益にもならないと心から思っている。

 このような差別を撲滅するには、日本もアメリカのように公民権法を作って、Affirmative Actionを行うくらいの決意が必要だろう。

*1:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/329539 (西日本新聞 2012年10月17日) 橋下氏、朝日新聞に見解表明要求 週刊誌報道で
 日本維新の会代表の橋下徹大阪市長は17日、自身の出自を報じた週刊朝日の記事をめぐり、朝日新聞に対し「先祖によって全てが規定されるということが前提の新聞社だと宣言してもらえれば、その前提で僕も付き合う。議論させてもらいたい」と述べ、見解を公式に示すようあらためて要求した。18日に予定されている記者会見などの取材機会を想定している。週刊朝日を発行する朝日新聞出版は、朝日新聞出版本部が分社化され2008年に発足した完全子会社。広報担当者は「朝日新聞社や朝日放送は別会社。同誌を含め、当社の刊行物は当社が責任を持って独自に編集している。今回の記事は、公人である橋下徹氏の人物像を描くのが目的だ」とコメントした。橋下氏は「血脈とか先祖を暴き出すのが政治家へのチェックだと、堂々と掲げる団体はナチス以下だ」と厳しく批判した。

*2:http://mainichi.jp/select/news/20121019k0000m040083000c.html 
(毎日新聞 2012年10月18日) 橋下市長:週刊朝日「不適切な記述」と謝罪 取材拒否問題
 橋下徹大阪市長が、自らの出自に関する週刊朝日の記事を巡って朝日新聞の取材を拒否している問題で、週刊朝日は18日、「不適切な記述があった」などと謝罪するコメントを出した。次号でおわびを掲載し、連載を続けるかどうかも協議するという。記事は、週刊朝日(10月26日号)が連載を始めた「ハシシタ 奴の本性」。ノンフィクション作家の佐野眞一氏らが執筆し、橋下氏の実父の縁戚者へのインタビューなどを掲載。「橋下氏の血脈」をたどり、「本性をあぶり出す」としている。週刊朝日の河畠大四編集長は「同和地区を特定するような表現など不適切な記述が複数ありました。橋下市長をはじめ多くのみなさまに不快な思いをさせ、ご迷惑をおかけしたことを深くおわびします。差別を是認したり、助長したりする意図は毛頭ありませんが、不適切な記述をしたことについて深刻に受け止めています」とコメントした。これに先立ち、橋下氏は18日の記者会見で、「(記事は)血脈主義や民族浄化主義につながる危険な思想」と指摘し、朝日新聞の見解を求めた。同紙記者は「週刊朝日とは編集権が別」として見解を示さず、橋下氏は取材拒否の継続を決めた。橋下氏は、記事が実父の出身地を巡る記述で橋下氏の人格否定につなげていると指摘。「差別を助長し、社会的に許されない」と批判した。また、朝日新聞が同誌を発行する「朝日新聞出版」に出資していることを問題視し、「血脈主義を認める団体」と批判。記者団からは週刊誌とは編集権が異なるとの指摘が相次いだが、橋下氏は「親会社なら子会社の方針を決められる」と受け入れず、記事に賛同しないなら出資をやめるよう要求した。朝日放送については、「週刊朝日と同一視できない」として取材拒否を撤回した。


PS(10月20日追加):*3のように、連載中止は当然だろうが、被害者は謝罪されたからといって元には戻らない損害を受けているため、橋下氏のコメントはよくわかる。また、記事は、ノンフィクション作家の佐野眞一氏と『週刊朝日』との共同作品と書かれているので、記事内容にはノンフィクション作家の想像がかなり含まれているのだろうが、これで、民主主義の基盤をなす「知る権利」として、有権者に対して公人に関する情報を提供していると称するのはずうずうしすぎる。なぜなら、事実ではない空想を含む記事は、有権者にとって百害あって一利なしだからだ。ちなみに、ソフトバンクの孫正義社長を描いた「あんぽん」を読んだことがあるが、佐野眞一氏は、成功者に対して素直に褒めるのではなく、斜視的なフィルターを持って人間分析をする人だ。

*3:http://mainichi.jp/select/news/20121020k0000m040075000c.html 
(毎日新聞 2012年10月19日) 週刊朝日:橋下市長記事の連載中止
 橋下徹大阪市長の出自に関する週刊朝日の連載を巡り、橋下氏が朝日新聞の取材を拒否している問題で、同誌を発行する朝日新聞出版(東京都中央区)は19日、連載を中止すると発表した。「同和地区などに関する不適切な記述が複数あったことを深刻に受け止めた」とし、連載を1回目で打ち切る異例の対応をとった。発表を受け、橋下氏は同日夜、「ノーサイド」などと自らのツイッターに書き込んでおり、取材拒否は解除される見通しになった。記事は同誌が10月26日号で連載を始めた「ハシシタ 奴の本性」。河畠大四(かわばただいし)・同誌編集長はコメントを発表し、「連載の継続はできないとの最終判断に至りました。橋下市長をはじめとした関係者の皆様に、改めて深くおわび申し上げます」と謝罪、「全責任は当編集部にあり、再発防止に努めます」などと釈明した。朝日新聞社広報部も「当社から08年に分社化した朝日新聞出版が編集・出版する『週刊朝日』が今回、連載記事の同和地区などに関する不適切な記述で橋下市長をはじめ、多くの方々にご迷惑をおかけしたことを深刻に受け止めています」とコメントした。これに対し、橋下氏は自らのツイッターで「今回の件で僕の子どもにどれだけの影響があるか、じっくり想像しろ。謝って済む話ではないことは分かるだろ。それでも最後のところで謝罪と連載打ち切りにした。これでノーサイドにしてやる」と書き込んだ。記事を執筆したノンフィクション作家の佐野眞一氏は、朝日新聞出版を通じコメントを発表。「記事は『週刊朝日』との共同作品であり、すべての対応は『週刊朝日』側に任せています」と説明し、「記事中で同和地区を特定したことなど、配慮を欠く部分があったことについては遺憾の意を表します」とした。


PS(10月24日追加):*4の記事のように、橋下市長が「鬼畜集団」等と言ったことについては、今日、本人がTVで謝罪しておられたが、私もこの言葉はよくないと思った。しかし、政治的見解が異なるからといって、差別され、家庭を破壊の危機に追い込むようなことまでされれば、ここまで頭に来るのはよくわかる。また、それだけ失礼な記事を書いておいて、週刊朝日は、謝罪記事を掲載した週刊誌を朝日新聞出版の社員が22日に市職員に手渡しただけだというが、それでは謝ったことにはならない。責任者が、その週刊誌を持参して事の次第を説明し、丁重に謝るべきだ。 私も週刊文春の嘘記事で、これまでの人生や実績を否定され、全く逆のイメージを作られて社会的評価を落とされた。そのため、週刊文春を名誉棄損で提訴しているが、週刊文春側は、「報道機関は、『公人』である政治家については、嘘を書いても、『言論の自由』『表現の自由』で護られ、それが国民の知る権利に資する」と主張してきた。しかし、実際には、守旧派側について改革派の政治家を嘘記事で叩いているのだから、国民の知る権利に資しているなどと言うのはおこがましい。また、*5のように、東国原前宮崎県知事も「知事時代の実績を抹殺するもの」として週刊文春記事を提訴したそうだが、一般の人が信じやすい偏見を利用して嘘記事を仕立て、その人を抹殺しようとしている点で私の記事と同じ構図である。政治家が泣き寝入りしていたのでは、決してこの現状は改善されず、本当の民主主義社会は来ないので、それぞれ頑張って欲しい。

*4:http://mainichi.jp/select/news/20121023k0000m040050000c.html
(毎日新聞 2012年10月22日) 橋下市長:週刊朝日は「謝り方も知らない鬼畜集団」
 橋下徹大阪市長は22日、自身の出自に関する週刊朝日の連載を巡り、おわびが掲載された同誌が市役所に届いたことを明かし、「謝り方も知らない鬼畜集団」などと批判、公開の場で直接謝罪するよう求めた。記事を執筆したノンフィクション作家の佐野眞一氏に対しても「佐野を(社会的に)抹殺しに行かないといけない」などと激しい言葉を並べた。 市によると、同誌を発行する朝日新聞出版の社員が22日に市職員に手渡したという。橋下氏は大阪市内で記者団に「僕は子供に、謝る時は週刊誌を送りつけて終わりという育て方はしていない」と批判。同誌が橋下氏の実母に、記事を掲載した週刊誌を送り、取材を求めたことを明らかにし、「人間じゃない。鬼畜、犬猫以下。矯正不可能だ」などと激怒した。また、佐野氏についても「向こうはペンの力で僕(や家族)を殺しにきた。佐野を抹殺しに行かないといけない」「僕と同じくらい異常人格者だ。佐野のルーツを暴いてほしい」などと話した。連載は同誌が10月26日号で始めた「ハシシタ 奴の本性」。同誌は2回目以降の連載休止を決めている。23日発売の11月2日号では2ページにわたる「おわび」を掲載した。

*5:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121023/trl12102311580001-n1.htm 
(産経 2012.10.23) 東国原前知事が文春を提訴 女性との性的関係記事「全くの事実無根」
 宮崎県知事時代の女性関係について報じた週刊文春の記事で名誉を傷付けられたとして、東国原英夫前知事が23日、発行元の文芸春秋を相手取り、2200万円の損害賠償や謝罪広告の掲載を求める訴えを東京地裁に起こした。問題となったのは9月20日号の記事。県庁や後援会の関係者の話として、東国原氏が在任期間中に県職員を含む20人以上の女性と性的関係を持ち、知事室内で職員とみだらな行為に及んだなどと報じた。東国原氏は訴状で「知事としての品位や社会人としての常識に欠けるとの印象を与える記事で、社会的評価を低下させた」と訴えている。東国原氏は23日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「全くの事実無根。知事職にあった4年間を冒(ぼう)涜(とく)された」と文春側を非難した。週刊文春編集部は「記事には十分自信を持っている」とコメントした。


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