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2014.10.1 日本企業における軽自動車の迷走とEVに対するテスラの意識の差について (2014.10.3に追加あり)
   
  *1-1より        テスラのEV       BMWのEV         日産のEV

(1)国内生産車6.9%減と電気自動車への日本企業の対応について
 *1-1及び上の左の表のように、日本の乗用車メーカーの生産・輸出・販売実績は、前年同月比6.9%減の59万7940台で、消費増税後の買い控えの影響で、2カ月連続のマイナスになったそうだ。メーカー別では、トヨタが5カ月連続、日産が3カ月連続、ホンダが2013年8月以来のマイナスとのことだが、必ず消費税増税を言い訳にするのも情けない。何故なら、日本では世界で最初にEVやそれを無料で充電できる太陽光発電を実用化したため、自動車産業は他国より優位な地位にあったからである。

 しかし、マツダは量販車種の小型車「デミオ」を刷新して発売し、ダイハツも月1台のペースで軽の新車を投入して販売回復に繋げるつもりとのことだが、軽自動車をガソリン車のままにしている限り、ドラマチックな販売の伸びはないだろう。何故なら、軽自動車のユーザーの多くは女性で、燃費だけを気にしているのではなく環境意識も高いため、騒音や排気ガスの多いガソリン車に魅力を感じないからである。これまでは手頃な値段の軽EVがなかったため仕方なく買っていたのであるため、軽自動車をスマートなEVに変えれば、買い替え需要が伸びることは間違いない。

 なお、*1-2に書かれているように、日本では充電スタンドの不足が障害だとしてEVの普及が進まず、テスラが、2014年6月12日に自社で保有する特許を無償で開放すると発表したのを受け、BMWと日産が協力に前向きな姿勢を示して動き出したそうだ。日産は、世界で最初にEV(リーフ)を販売したが、充電スタンド、1回充電あたりの走行距離、販売価格、デザインなどの課題を解決することができず、それらをテスラが解決したわけで、これは、その社会の意識レベルを反映しているかもしれない。

(2)アメリカ、テスラのEVについて
 *2-1のように、米EVベンチャー、テスラのCEOイーロン・マスク氏は2014年9月8日、EV普及に向け他社との技術連携を強化する戦略を語り、「重要なのは、日本の社会や大手自動車メーカーにEVの実力を伝えること」「自社で抱える特許群を他社が無償で使えるようにしてEV開発を促す」「充電インフラ普及でも協力関係を構築する」「投資リスクを分担して電池の生産量を増やすと同時にコストを削減する」など、EVを世界で普及させるために必要十分なことをする意識である。

 また、*2-2のように、テスラのEV「モデルS」は、構造がシンプルな上、イタリアの高級スポーツカーを思わせる外観で、空気抵抗を減らすドア、空調・オーディオのタッチパネルやインターネットへの常時接続、グーグルマップのナビゲーションなどが備え付けられており、停止状態から5.6秒で時速100キロメートルに到達する性能で、走り出しても車内は静寂で振動もないということだ。「EVは静かだから、事故を起こしそうで困る」などと報道していた日本メディアもあるが、事故の解決策はいろいろ考えられるため、最も困るのは意識が低いことである。なお、フル充電したときの航続距離は最大500キロメートル以上で、かかる電気代は1000円になったため、後は、これが大量生産できて低価格になればよいのだ。

(3)日本企業の軽自動車における意識の低さ
 *3-1のように、スズキは主力軽自動車「ワゴンR」を、減速する際に発電した電気を加速に使うシステムを採用して燃費を今までより8%改善して発売したそうで、*3-2のように、トヨタもトップを走っていた軽自動車の「タント」(ダイハツ工業)が2位になり、軽は上位10車種中5車種にとどまったそうだ。

 しかし、軽自動車こそ、遠距離ドライブ用ではないため航続距離が短くてもよく、安いエネルギー代が要求されるため、EV親和性が高かった筈だ。そのため、日本の需要は、もう旧来型のガソリン車から離れ始めているのである。

(4)再生可能エネルギーについて
 そもそも、再生可能エネルギーは、EVを国産のクリーンで安価な電力で走らせるために、1995年前後に私が通産省(当時)に提案したものであるため、太陽光発電はEVと同様、世界でトップを走っていた。しかし、*4のように、進んだら邪魔が入って台無しにされるようなことが続き、その間にも外国では着実に進んで、日本は先頭から追いかける側に落ちたのである。つまり、日本人は、一番手は果たせず、他人を見て二番手で走ることしかできない民族のようで情けない限りだ。

 また、電力会社が、太陽光を中心とする再生可能エネルギーの新規受け入れを中断する動きが拡大したため、太陽光発電を予定していた事業者などからは怒りと戸惑いの声が上がっているが、その理由を、まだ「再生エネは天候や昼夜によって発電量が大きく変わるため」としている。これも、容易に解決できる問題であるため、意思決定主体になっている人々のやる気と工夫のなさには呆れるばかりだ。

     
2014.9.5    EV冷蔵トラック      EV軽トラック  ソーラーパネル付EV *4より
日経産業新聞

<国内生産車6.9%減は何故か>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140930&ng=DGKDASDZ29HIW_Z20C14A9TJ2000 (日経新聞 2014.9.30) 車国内生産6.9%減 8月、2カ月連続マイナス
 国内の乗用車メーカー8社は29日、8月の生産・輸出・販売実績(速報値)を発表した。国内生産台数は前年同月比6.9%減の59万7940台。消費増税後の買い控えの影響で、2カ月連続のマイナスとなった。昨年は秋以降に増税前の駆け込み購入が出始めており、9月から減少幅が拡大する可能性がある。各社は新型車の投入などで需要を掘り起こす考えだ。メーカー別ではトヨタ自動車が5カ月連続、日産自動車が3カ月連続のマイナスだった。日産は足元の新規受注も「回復というには早い状況」という。ホンダは2013年8月以来のマイナス。3月以前に受注した分の納車(受注残)で数カ月は数値が押し上げられていたが、最近は受注残がなくなってきて「足元の実需が数字に表れてきた」(同社)という。各社が期待を寄せるのが新車投入の効果だ。6月にワゴン車「レヴォーグ」を発売した富士重工業の国内生産は6カ月連続のプラスだった。マツダは9月に最量販車種の小型車「デミオ」を刷新して発売。ダイハツも夏以降、月1台のペースで軽の新車を投入し、下期の販売回復につなげる。国内生産は増税後の4~6月もプラスを維持していたが、受注残による台数押し上げ効果が薄れ、7月に11カ月ぶりのマイナス(2.2%減)に転じた。8月は減少幅が大きくなった形だ。

*1-2:http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140618/biz14061810300006-n1.htm (日経産業新聞 2014.6.18) 電気自動車3強「充電中」 テスラ、BMW・日産と規格統一協議 
 電気自動車(EV)で“3強”と呼ばれる米国のテスラ・モーターズ、ドイツのBMW、日本の日産自動車が、急速充電方式の規格統一について協議していることが分かった。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT、電子版)が17日までに伝えた。充電方式をめぐっては、日米欧が三つどもえの主導権争いを繰り広げており、その結果、充電スタンドの整備が進まず、EV普及の大きな障害になっている。テスラが12日に自社で保有する特許を無償で開放すると発表したのを受け、BMWと日産が協力に前向きな姿勢を示し3強連合が動き出したという。FTによると、匿名の関係者は「みんながより簡単に自分の車に充電できる方法があれば、すべての人にとって有益となるのは明らかだ」と述べ、3社が協力体制の構築に向け協議していることを明らかにした。FTは3社それぞれの取材源から言質を得たという。FTの報道を受け、BMWも複数のメディアに協議を認めた。EVベンチャーのテスラは2003年にサンフランシスコで創業。08年にスポーツカー「ロードスター」を発売し、12年にはセダンタイプの「モデルS」を売り出した。日産は10年に「リーフ」を発売し、BMWも昨年、「i3」を投入。この3社で世界のEV市場の8割を占めている。
■スタンド不足が障害
 3社はライバル関係にあるが、テスラは今月12日、自社が持つEV用電池や充電機器に関する特許を無償開放することを決めた。悪質なケースを除き、特許が無断使用されても提訴しないという“英断”だ。名うての起業家として知られるテスラのCEO、イーロン・マスク氏(42)は声明で「テスラだけの成功より、EV全体の成功が重要だ」と強調。「真の競争相手は、わが社以外のEVではなく、世界中の工場で連日、洪水のように生産されるガソリン車だ」と、挑発的な発言でEV普及に本腰を入れる姿勢を示した。走行時に二酸化炭素(CO2)をまったく排出しないEVは、究極のエコカーとして期待されながら、普及スピードは鈍い。最大手の日産・ルノー連合は16年度までに世界で150万台を販売する目標をぶち上げているが、今年1月時点の累計販売は10万台にとどまっている。高額な販売価格や1回の充電での走行距離が短いなど課題はいくつもあるが、中でも充電スタンドの不足がネックとなっている。整備が進まない一因が、充電方式の規格争いだ。現在の規格は、テスラが提供する「スーパーチャージャー」、日産を中心に日本が推進する「CHAdeMO(チャデモ)」、BMWなど欧米勢の「Combo(コンボ)」の3方式あり、陣営ごとに整備するという非効率的で利用者不在の状況にある。
■市場活性化に期待
 テスラの特許の無償開放には、単なる自陣営の勢力拡大ではなく、規格統一の呼び水とする狙いがあるとみられる。協力については、「テスラ方式が世界標準になりかねない」との警戒感もあるが、日産、BMWの関係者からは「EV市場の活性化につながることは歓迎する」との前向きな発言が出ている。利用者の視点に立ち、3社が歩み寄り手を結ぶことになるのか。協議の行方が注目される。

<アメリカ、テスラのEVについて>
*2-1:http://www.nikkei.com/article/DGXLZO76807730Y4A900C1TJ1000/?bu=
(日経新聞 2014/9/9) テスラCEO、EV普及へ「日本に急速充電器設置」
 米電気自動車(EV)ベンチャー、テスラ・モーターズ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は8日、日本経済新聞とのインタビューで、EV普及に向け他社との技術連携を強化する戦略を語った。一問一答は以下の通り。
―8日から高級EVセダン「モデルS」の日本での納車を始めた。販売目標は。
 「日本の年間新車販売台数は数百万台規模だが、テスラの日本での販売台数は多くても数千台規模にとどまるだろう。市場シェアとしての台数はわずかに限られる。重要なのは、我々の車が日本の社会や大手自動車メーカーにEVの実力を伝える重責を担うことだ」
―日産自動車などEVを開発している他の自動車メーカーとの協業をどう考える。
 「テスラの今年度のEV販売台数は世界で3万5千台程度。2020年には年間50万台の生産規模を目指しているが、世界の年間自動車生産は1億台程度もありEV普及に向けてテスラが1社でできることは限られる」 「我々は自社で抱える特許群を他社が無償で使えるようにしてEV開発を促している。充電インフラ普及でも協力関係を構築したい。テスラが日本でも整備する急速充電器の『スーパーチャージャー』を他社の車に使ってもらうことも検討する。テスラのEVでの成功を他社とも共有することで普及を促したい」
―日本企業との関係をどう深化させる。
 「株主のトヨタ自動車向けに提供している電池供給は今年中に休止するが、それは電池の供給量に限りがあるためだ。2~3年後には、トヨタ向けに再びEV用の電池やモーター、ギアボックスなどの供給を検討したい」 「同じく株主であるパナソニックからは『モデルS』で使われる電池全量の供給を受けており、この関係は当面続く。新たに米ネバダ州に電池工場の建設を表明したが、投資リスクを分担して電池の生産量を増やすと同時にコストを削減する。電池工場はおよそ3年後に生産を始める3万5千ドル程度の新型EVの生産につなげるほか、据え置き型蓄電池向けや他の自動車メーカーへの電池供給にも活用する」

*2-2:http://www.nikkei.com/article/DGXMZO76621980U4A900C1X11000/?df=2
(日経産業新聞 2014/9/5) まるで「走るスマホ」 テスラのスポーツEVを試乗
 米テスラ・モーターズの高級スポーツ電気自動車(EV)「モデルS」の納車が8日に日本で始まる。ガソリン車をしのぐ運動性能を持つモデルSは電気自動車のイメージを一変させるが、驚くべきはその構造のシンプルさだ。極論すれば電池とモーターを組み付けるだけ。その生産工程はまるでスマートフォン(スマホ)のようだ。
■車内操作はタッチパネルで
 モデルSは米国ですでに2012年から発売されており、フェラーリやポルシェに乗っていたセレブが続々と乗り換えている。その実力を知るため、モデルSを個人輸入した知人に頼んで一足早く試乗させてもらった。高級感が漂う外観は、イタリアの高級スポーツカー「マセラティ」を思わせる。ドアを開けようとクルマに近づくとドアハンドルがドアの中に埋め込まれていて、つかむところがない。キーを持った人が手を近づけるとドアハンドルがせり出してくる。走行中の空気抵抗を減らすための工夫だ。運転席に座ると、まずコンソールの中央にあるタブレット端末大の液晶パネルに驚く。ダッシュボードの周辺にスイッチの類いはほとんどなく、空調やオーディオはタッチパネルで操作する。インターネットに常時接続して、グーグルマップでナビゲーションしたり、様々な情報を検索したりできる。スイッチを入れて走り出すと、車内は静寂そのもの。EVだから当たり前だが、エンジンの駆動や変速に伴う振動は一切ない。まるで魔法のじゅうたんのような乗り心地だ。しかし、モデルSが実力を発揮するのはここからである。アクセルを踏み込むと大きな車体がウソのように急激に加速し、革張りのシートに体が押しつけられた。試乗したモデルSは停止状態から5.6秒で時速100キロメートルに到達する。上位車種のモデルSパフォーマンスは4.4秒だ。
■騒音や振動ない未体験の加速
 日産自動車のGT―R(2.7秒)やフェラーリ(3秒)には及ばないが、通常のスポーツタイプの市販車が6秒台後半であることを考えると、ずば抜けた加速性能といえる。しかもガソリン車のエンジンが高回転するときのような騒音や振動は一切ない。ヒューンという音を残して滑るように加速する走りは、これまでに体験したことのないものだった。フル充電したときの航続距離は最大500キロメートル以上で、かかる電気代は1000円。日本の価格は823万円からだが、補助金対象のため実際の負担はもっと安くなる。まだ「お金持ちの車」ではあるが、コストパフォーマンスは普及してもおかしくないレベルに達しつつある。だが最も驚いたのはクルマを降りてボンネットを開けたときだった。ガソリン車ならエンジンがあるはずの場所が空洞なのだ。モデルSの驚異的な走りを支えているのは後輪のそばに配されたサッカーボールより一回り小さいモーターであり、エンジンも排気管もガソリンタンクもない。
■ホンハイに製造を打診?
 モデルSのモーターを構成する部品点数は約100個。シリンダー、カムシャフトなど1万~3万点の部品からなるガソリンエンジンに比べ、はるかに単純な構造だ。そこから想像されるのは驚くべき生産工程の簡略化だ。電池とモーターを買ってきて、好みの形にデザインしたボディーを乗せればできあがり。自動車メーカーの生命線とされる「擦り合わせ技術」が無用になるかもしれない。業界ではこんな噂話がまことしやかにささやかれている。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、台湾・鴻海精密工業(ホンハイ)の郭台銘(テリー・ゴー)董事長にこう言った。「iPhoneの次はウチのクルマを作らないか」。郭董事長はにやりと笑った。EVの生産工程はガソリン車やハイブリッド車に比べ格段にシンプルだ。よりデジタル製品に近い。アップルのiPhoneなど電子機器を年間100億個の単位で組み立ててきたホンハイなら、EVをとんでもない価格で作ってみせるかもしれない。今はまだ電池の値段が高く、ガソリン車並みの量産は難しいが、テスラがパナソニックなどの協力を得て作る巨大電池工場「ギガファクトリー」が稼働すれば、電池の価格は大きく下がるだろう。ホンハイがEVを作るかどうかはさておき、自動車産業の参入障壁が一気に下がるのは間違いない。4日、テスラのギガファクトリーの立地場所がネバダ州に決まったとのニュースが流れた。「世界からガソリンスタンドをなくしたい」というマスクCEOの野望は、もはや荒唐無稽とは言えないのかもしれない。

<日本企業の軽自動車における意識の低さ>
*3-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11316906.html?_requesturl=articles%2FDA3S11316906.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11316906 
(朝日新聞 2014年8月26日) 燃費、8%改善 スズキ・ワゴンRの新型車
 スズキは25日、主力軽自動車「ワゴンR」を改良して発売した。ハイブリッド車のように、減速する際に発電した電気を加速にも使うシステムを採用し、燃費を今までより8%改善した。ガソリン1リットルで32・4キロ走ることができ、軽ワゴン車では最高になった。新システムは、「S―エネチャージ」。小型のバッテリーを使い、最大6秒間だけモーターを動かす。新システムを載せた低燃費モデルの価格は、消費税込みで137万2680円から。新システムがないタイプだと、同107万8920円から。

*3-2:http://digital.asahi.com/articles/ASG8653M9G86ULFA01B.html?ref=reca
(朝日新聞 2014年8月6日) 7月の新車販売、アクアが首位 軽自動車、販売苦戦
 7月の新車販売は、トヨタ自動車の小型ハイブリッド車(HV)「アクア」が今年2月以来の首位に立った。3カ月連続でトップを走っていた軽自動車の「タント」(ダイハツ工業)は2位だった。軽は上位10車種中5車種にとどまった。日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が6日、発表した。7月は、軽自動車をのぞく「登録車」の販売が消費増税後初めて増加に転じた。燃費を改善したトヨタのヴィッツが前月のランク外から9位に入るなど、新型やモデルチェンジの効果もみられる。一方で、7月の販売が13カ月ぶりにマイナスに転じた軽は、車種別でも苦戦した。タントも7月は前月比で約2割減った。「3月までに注文を受けていた分が、6月ではけた」(ダイハツ広報)という。6月はトップ10だったワゴンR(スズキ)やムーヴ(ダイハツ)は圏外になった。

<再生可能エネルギーについて>
*4:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014100190071001.html
(東京新聞 2014年10月1日) 原発優先 縮む再生エネ 電力会社、買い取り中断次々
 太陽光を中心とする再生可能エネルギーの新規受け入れを中断する動きが拡大し、太陽光発電を予定していた事業者などからは怒りと戸惑いの声が上がっている。北海道、東北、東京、関西、四国、九州の電力六社に続き、沖縄電力も三十日、八月八日から新たな受け入れを中断していたことを明らかにした。国は原発再稼働を急ぐ一方で、再生エネの受け入れ態勢を整えないまま事業者の発電計画について買い取りを認定。制度設計の甘さが浮き彫りになった形だ。太陽光発電を計画する東京都内の事業者は「国は、電力会社の受け入れ態勢が整っていないまま次々と事業計画を認定していたので不安は感じていた。国の政策は無責任だ」と憤る。「電力会社も状況を説明せず急に中断するのはおかしい」と語った。太陽光発電装置を販売しているサニックス(福岡市)は、九州電力が中断を発表した二十五日に対応を公表。「九州電管内で太陽光発電設備の施工ができなくなり、影響は避けられない」としたうえで九州以外への人員配転や採用計画の見直しなどのリストラ策に着手することを明らかにした。再生エネの買い取り価格は四月から下がることが決まっており、北海道、東北、四国、九州、沖縄の五電力によると、直前の三月に、太陽光を中心に駆け込みの申し込みが急増した。全量を買い取った場合、「管内の電力需要を上回る時間帯や季節が生じる可能性があり、大規模な停電を起こす恐れがある」という。このため、今後の対応方針が決まるまで「数カ月間」は受け入れ可否の回答を保留することにした。再生エネは天候や昼夜によって発電量が大きく変わるため、電力が余った場合はほかの電力会社に流したり、蓄電池に充電しておいて夜間に送電したりするなど、電力を安定させるための調整が必要になる。しかし政府は多くの再生エネ事業者を認定しながらも、電力会社とともに原発の再稼働に力を入れ、全国をまたぐ送電網の整備や蓄電池の開発などの受け入れ態勢は整えてこなかった。経済産業省は十月に学識者五人程度の部会を設置、受け入れのあり方を再検討する。
<再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度> 太陽光、風力、中小規模の水力、地熱、バイオマスの5種類の発電を、国が決めた価格で買い取る制度。民主党政権時の2012年7月に導入され、国の第三者委員会が発電事業者の採算をとれる価格を設定し、電力会社に買い取りを義務付けることで事業者の参入を促してきた。買い取り費用は「賦課金」として電気料金に上乗せされ、家庭や企業などの電力利用者が負担する。


PS(2014.10.3追加):先日、羽田から池袋行きのバスに乗るために待っていたところ、目的のバスが来る前に数台のバスが通り過ぎ、排気ガスで気分が悪くなった上、排気ガスでいぶされて髪の毛に匂いが残った。しかし、*5のように、イギリスでは三井物産が、スマートシティプロジェクトの一環として、路線バスの電気自動車(EV)化を開始しているため、日本でもオリンピック前に空港バスはすべてEV化するのがよいと考える。また、市街地を走るバスもEV化すべきだと思うが、9割以上が空席なのに大きなバスを走らせているのも合理的でないため、適切な大きさで、高い環境意識と未来を感じさせるスマートなデザインのEVバスに交換した方よい。

    
    *5より                   その他、日本のEVバス     

*5:https://www.mitsui.com/jp/ja/topics/2014/1202260_5768.html (MITSUI&CO. 2014年3月7日) 英国ミルトンキーンズ市で非接触充電EVバスが運行開始、記念式典を開催
 三井物産株式会社は、日本および世界のスマートシティ・低炭素プロジェクトを推進する一環として、路線バスの電気自動車(EV)化実証事業を、ミルトンキーンズ市、Arup社、Wrightbus社、Arriva社などと共に、2014年1月から開始しました(実証事業期間は、2014年1月末から5年間)。本実証事業は、都市の温暖化ガス削減効果が期待できる交通機関のEV化、中でも早く普及すると考えられる路線バスに着目し、英国の中規模都市であるミルトンキーンズ市で最も乗客数の多い一路線をすべてEVバスに置換え(計8台)、路線の始点・終点で毎回充電(通称「ちょこちょこ充電」)する予定です。このEVバスは、充電はケーブルをつなぐ手間を省き、ボタン一つで充電を開始できる非接触充電技術を利用しています(電磁誘導方式)。「ちょこちょこ充電」をすることで車載電池容量を減らし、バスの本体価格・重量を経済性に合うレベルにできるかを検証します。また、実路線での運行データを収集・分析し、他路線へ展開する際に最適な車載電池容量・充電設備数をシュミレーションすることで、企画から運用までのワンストップソリューション構築を目指します。

| 資源・エネルギー::2013.10~2014.10 | 05:40 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.9.25 ロボットと自動車の発達で面白くなりそうだが、道路や電線の改良もした方がよい (2014.9.26に追加あり)
      
   介護ロボ   ミラタ(写真2)  ローマの建物(写真3)  自動運転車

(1)ロボットについて
 *1のように、パナソニックが、高齢者がベッドから立ち上がる動作や歩行を補助する「介護ロボット」を開発して病院や介護施設向けに発売し、価格は100万円未満に抑えるそうだ。高齢者の呼吸や動きを把握して異常がないかを一括管理する「みまもりシステム」も便利そうなので、これらが世界で売れることは間違いない。

 ロボットは、健常者とコミュニケーションできるキロボやミラタ(写真2)のようなものもできているので、私は、ヨーロッパの街角によく立っている彫刻(写真3)にその機能を持たせ、その彫刻に質問するとその人と同じ言語で、街、建物、彫刻の由来などをガイドするようにすれば、観光客がぱっと増えると思う。ヨーロッパで、あれだけ古代遺産のあるギリシャやイタリアの財政が苦しいのは、遺跡が壊れ放題で廃墟と化しているからで、オリジナルに忠実に復元して彫刻のガイドを置いた方が観光客が増えると、私は考える。

 そして、これは日本の神社仏閣にも言えることで、2020年の東京オリンピックまでに、一部の仏像をロボットガイドにしてはどうだろうか。

   
   マドリッド       ローマ(コロッセオ)     ギリシャ(神殿)   法隆寺仏像 

(2)ロボットに近い自動運転車と道路の進歩について
 *2のように、パナソニックは、画像認識技術を持ち、自動運転関連技術の共同開発を視野に入れて、スペインの自動車部品大手フィコサ・インターナショナルを傘下に収めるそうだ。業種や国を越えて、自動車とIT(情報技術)が融合し、自動車がロボットに近く進化するのは面白い。

 しかし、自動運転には、自動車の進化だけでなく、道路や道路標識の進歩もあるべきだろう。例えば、現在、可視光線だけを発している信号機が電波による信号も発したり、緯度・経度や地名の情報も発して車内のカーナビと連動させることができたり、車線が信号を発したりすれば、自動運転システムも作りやすいし、初めての街に行っても運転しやすい。

 また、車が右側通行だったり左側通行だったりして、走行車線が国によって異なるため、決して間違わないように車が支援してくれると有り難いと思っている人も多いだろう。

(3)送電網の整備も・・
 そのような中、*3のように、送電網が対応できないとして、九州電力が太陽光など再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)に基づく新たな契約の締結を、九州のほぼ全域で中断すると発表した。出力の変動については、送電する側が蓄電池を備えていれば問題ない筈だが、既存の電力会社の送電網をそのまま使用すれば、その電力会社の都合によって送電拒否があることは想定内だった。

 そのため、このブログの2011.11.24に「21世紀の発電・送電システムについて」と題して記載しているように、電力会社の送電部門を送電会社として分社化して中立なものにしたり、上下水道やガス管の近くに新たな送電線を引いたりして、発電事業者や電力の消費者が送電線も選択できるようにする必要がある。また、遠距離送電は、高速道路や鉄道の土地を借りて、超伝導電線を引くのがよいだろう。

*1:http://qbiz.jp/article/46484/1/
(西日本新聞 2014年9月24日) パナが介護ロボット開発 百万円未満、16年度発売
 パナソニックは24日、高齢者がベッドから立ち上がる動作や、歩行を補助する「介護ロボット」を開発したと発表した。2016年度に病院や介護施設向けに発売。価格は100万円未満に抑える。安全性などを確かめて、在宅介護をする一般家庭への販売も検討する。介護施設のベッドに取り付けたセンサーで、高齢者の呼吸や動きを把握し、異常がないかを一括管理する「みまもりシステム」も16年度に発売する。介護ロボットと合わせて20年度に50億円の売上高を目指す。

*2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140925&ng=DGKDASDZ24045_U4A920C1MM8000 (日経新聞 2014.9.25) 車部品 欧州大手を傘下に、パナソニック、新分野加速 自動運転視野、車・IT融合進む
 パナソニックはスペインの自動車部品大手フィコサ・インターナショナルを傘下に収める。来年3月までに株式の5割弱を200億~300億円で取得、成長戦略の柱とする自動車分野で初の大型M&A(合併・買収)になる。フィコサは画像認識技術を持ち、自動運転関連技術の共同開発も視野に入れる。業種を越え、自動車とIT(情報技術)の融合に対応する動きが世界で加速する。パナソニックとフィコサは株式の取得額などを年内に詰める。出資比率を引き上げて子会社にする可能性もある。フィコサは自動車ミラーで約2割の世界シェアを握り、2013年12月期の売上高は約1300億円。独フォルクスワーゲンや仏ルノーなど欧州勢を中心に世界の自動車大手に納入している。カメラを使って車両周辺の障害物を認識する技術の開発も手掛けている。カメラでとらえた側方や後方の様子をミラーに映すなど、ミラーは自動運転など運転支援システムでも中核部品の一つになる。パナソニックは車載用センサーに強く、フィコサと連携して新技術開発を急ぐ。高度な運転支援機能や車内でインターネットなどを楽しむための情報端末など、ITが自動車の性能や機能を大きく左右するようになっている。需要増を見据え、自動車部品会社とエレクトロニクス会社の間で提携や買収が相次いでいる。変速機などを手掛ける自動車部品世界9位の独ZFは今月、センサー技術に強い米TRWオートモーティブの買収を決めた。特に従来の自動車の概念を変える自動運転技術には自動車メーカーだけでなく、米グーグルなど異業種企業も参入している。今後の競争軸になるとみて、パナソニックは同分野でも戦える体制を構築する。パナソニックは19年3月期に連結売上高を前期比約3割増の10兆円にする計画を掲げる。自動車分野では同5割増の2兆円をめざし、海外でM&Aを狙っていた。フィコサを通じ、カーナビゲーションシステムなど既存の自社製品でも、手薄だった欧州自動車大手向けの販路を手に入れる。パナソニックは13年3月期までの2年間で計1兆5千億円の連結最終赤字を計上し、プラズマテレビからの撤退など構造改革を進めてきた。前期の連結営業利益は前の期から9割増の3千億円になるなど業績が回復し、成長戦略を加速する。

*3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11367986.html
(朝日新聞 2014年9月25日) 再生エネ、新規購入中断 九電、太陽光急増で 送電網、対応できず
 九州電力は24日、太陽光など再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)に基づく新たな契約の締結を、九州のほぼ全域で中断すると発表した。出力の変動が大きい太陽光発電などが急に増えると、電気を安定的に送れなくなるおそれがあるからだ。ほかの電力会社でも同様な課題があり、経済産業省も対策を検討し始めている。九電は、すべての再生エネについて、出力10キロワット以上を発電する民間事業者が九電の送電設備に接続する新規契約を、25日から当面中断する。一般の家庭が太陽光などの余った電気を売る分については、新規の契約を受け付ける。中断に踏み切ったのは、太陽光の急増に対応しきれなかったからだ。九州では、太陽光パネルを設置する土地が比較的安く手に入り、日照条件にも恵まれ、パネルの設置申請が多かった。このため、買い取り価格が減額される前の3月末までに、「駆け込み」の接続申し込みが殺到。すべて接続すると、太陽光と風力の出力は計1260万キロワットに膨らむことがわかったという。能力ベースでは、九電管内の夏のピーク時の電力需要の約8割にあたるという。太陽光は天候や昼夜の発電量の変動が大きい。九電によると、こうした不安定な電力を大量に送電線に受け入れると、周波数が乱れて電気の質が悪くなったり、停電したりする場合があるという。このため、他電力管内に余った電気を送ることで受け入れ容量を増やす対策などを検討し、どれだけ受け入れられるかを見極めるとしている。
■東電管内も一部制限
 問題を抱えているのは九電だけではない。東京電力は、一部の地域に太陽光発電設備が集中し、送電線の受け入れ容量が足りなくなる地域がでてきた。たとえば、群馬県北部では4月から受け入れを制限したうえで、送電線への接続を希望する複数の企業を対象に、送電網を増強する工事費を多く負担した企業から、順番に接続を認める仕組みを始めた。栃木、茨城、千葉、山梨の各県の一部エリアでも受け入れを制限している。北海道電力は「再生エネの受け入れを保留する考えはない」(広報)としているが、道内の太陽光発電の受け入れ容量は70万キロワット。接続の申請を受け付けた分は208万キロワットに上っており、上限を超えるのは時間の問題だ。風力発電も56万キロワットの受け入れ容量に対し、残りが3・9万キロワットしかなく、上限を超えそうだ。政府は、水力を含む再生エネの割合を約1割という現状から、約2割をさらに上回る水準にする目標を掲げる。FITで利益を出しやすい買い取り価格を設け、太陽光の申請は相次いでいるが、送配電網の容量という物理的な壁が普及の足かせになってきた。経済産業省は、送電網の増強や大型蓄電池の整備に補助金を出す一方、FIT自体も見直す方針で、年末にも一定の結論を出したい考えだ。ドイツやスペインでは、再生エネの導入目標に達したら買い取り価格を大幅に切り下げたり、買い取り価格を年に複数回改定したりしており、こうした事例を参考にする。


PS(2014.9.26追加):*3のように、再生可能エネルギーが余るほどある中で、*4のように、温暖化対策の必要性が増して米国・中国も前向きになっているのに、1997年の京都議定書の中心となった日本の関電は、*5のように、原発でなければ石炭火力だそうである。石炭火力もCO2を地中に埋める技術やCO2を使う技術もあるが、それをやるかどうかは記載されておらず、環境を軽んじ、核か燃焼かしか思いつかない電力会社やメディアは、かなり遅れている。

*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140926&ng=DGKDZO77546210W4A920C1EA1000 (日経新聞社説 2014.9.26) 温暖化対策は言葉だけでなく行動を
 地球温暖化対策について各国の首脳級が討議する気候変動サミットが、ニューヨークの国連本部で開かれた。温暖化ガスの二大排出国である中国と米国が、2020年以降の温暖化対策の国際協調体制づくりに前向きに関与する姿勢を示した。明るい兆しといえる。中国の張高麗副首相は温暖化ガス排出の総量抑制に、同国高官として初めて言及した。これまでの「国内総生産(GDP)当たりの削減目標」から踏み込んだ。世界最大の排出国であることを考えれば総量抑制は避けて通れない。中国は先進国だけが温暖化ガスの削減義務を負うべきだと主張し続けている。産業革命以降の歴史を踏まえれば先進国の責任は免れない。しかし今や世界の4分の1を排出する中国の責任も重い。総量抑制の幅や時期を早期に示し応分の責務を果たすべきだ。オバマ米大統領は国内の石炭火力発電所に厳しい規制を課すなど、温暖化をもたらす二酸化炭素(CO2)の排出削減に意欲的である。米議会には温暖化対策に消極的な意見が根強く、政治的に難しい制約があるなかで対策を強めている点は評価したい。ただ、大統領の任期はあと2年ほど。米国として前向きな姿勢が後戻りしないよう、国内の合意をしっかり固めてもらいたい。米国は1997年の京都議定書合意の際に積極的な役割を果たしたが、国内の意思統一ができず議定書から離脱した。その経緯を世界は忘れていない。安倍晋三首相は人材育成などで途上国支援を強めることなどを約束したが、肝心のわが国の20年以降の排出削減目標については「できるだけ早期に提出を目指す」と述べるにとどまった。今回、中国は来年3月末に削減目標を決める方針を示した。日本の対応は国際社会の議論から周回遅れになりつつある。提出期限を明確にしたうえで、目標づくりの国内議論を急ぐべきだ。世界各地で豪雨や干ばつなど異常気象が増えている。洪水などによる多数の難民の発生や、穀物生産の減少、熱帯病の流行が予測されている。温暖化は世界の安全保障への危機といえる。それぞれ国内事情はあろうが、待ったなしの対応が求められている。各国首脳は国連で誓った言葉を具体的な政策にし、確実に行動に移すべきである。

*5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140926&ng=DGKDASDC2500A_V20C14A9MM8000 (日経新聞社説 2014.9.26) 
関電、首都圏向け火力 仙台に発電所 域外初、自由化にらむ
 関西電力は宮城県に石炭火力発電所を新設する方針を固めた。伊藤忠商事子会社で新電力の伊藤忠エネクスが計画する発電所建設に参画する。2016年度に電力小売りが全面自由化されるのをにらみ、大手電力会社やエネルギー会社などが首都圏での電力販売拡大を目指している。関電は自社の供給エリア以外で小売り向けでは初となる電源を確保して、競争を優位に進めたい考えだ。伊藤忠エネクスは仙台港に石炭火力発電所を建設する計画で、15年秋に着工する。関電の全額出資子会社で新電力の関電エネルギーソリューション(大阪市)と伊藤忠エネクスの子会社が折半出資で特別目的会社(SPC)「仙台パワーステーション」を設立し、同発電所の建設を担う。発電所の出力は11.2万キロワットで事業費は約300億円。17年秋の運転開始を目指す。関電は発電した電力を首都圏を含む東日本の企業や家庭に、伊藤忠エネクスは企業向けに販売する計画だ。関電は今年4月から関電エネルギーソリューションを通じ、首都圏でオフィスビルなどに電力販売を始めている。電力小売りが自由化されれば市場はさらに広がるが、電力の安定供給には自前の電源が不可欠と判断、東日本で発電所を造る機会を探していた。国内需要の3割が集中する首都圏の電力市場は、自由化をにらんだ競争が激化している。ただ販売量の拡大には安定して電力を確保する必要があることから、自ら発電所を建設する動きが広がっている。中部電力は三菱商事などと静岡県内に出力約10万キロワットの石炭火力発電所を造る。中国電力もJFEスチールや東京ガスと東京湾岸に大型発電所を計画している。

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2014.7.16 水素社会へのエネルギー転換と公害を出さない発電方法への転換を素早くすべき (2014.7.17、18に追加あり)
         
   *1-2より   2014.6.22日経新聞  2014.7.8京都新聞

(1)水素社会への転換を素早くせよ
 *1-1のように、茂木経産相が7月15日、トヨタ自動車の本社を訪れて、2014年度中に市販を予定する燃料電池車(FCV)の試作車に試乗し、「非常に静かで加速もいい」と述べたそうだ。FCVを、「水素社会を実現していく未来の自動車」と位置付けたそうだが、700万円程度の税抜き価格では高すぎるので、300万円台で素早く普及すべきだ。そのくらいの本気度でやらなければ、太陽光発電と同様、これも海外に抜かれるだろう。

 *1-2の「2018年度を目途に、FCVの水素ステーションを100カ所設置する」「水素ステーションの建設費は平均4.6億円かかり、政府が2.8億円を上限に補助金を出す」というのも、遅すぎる対応と補助金頼みの経営で、本気度が感じられない。水素ステーションの設置がそれほど高くしかできないのなら、FCVの水素は、タンクを交換する方式にしてもよいだろう。

(2)発電方法は自然エネルギーで
 *1-3のように、玄海町では、(私のアドバイスで)水を電気分解して水素を生成する実験を2010年から行っていた。しかし、燃料電池車に供給する水素を、化石燃料や原発由来の電力で作れば環境によくないため、今後は、*2-1のような海洋エネルギーなど自然エネルギーで作るべきである。なお、地元漁協は潮流や魚の生態に詳しいため、対象海域を漁業者から推薦してもらい、風力発電機を漁礁に利用したり、漁業に影響を与えない潮流発電機を考案したりするのはよいと思う。

 また、*2-2のように、九州7県の1級河川水系に県などが設置した発電やかんがい目的の利水ダムのうち、全体の3割近い17ダムが国土交通省の定期検査で安全管理上重要な問題があると判定されたそうだ。そのため、必要な改善がされると思うが、これまで利水ダムでは発電していなかったので、ついでに利水ダムでも発電できるようにすればよいと思う。

 なお、*2-3のように、九電工は、経営が悪化している九州電力からの配電線工事の受注が大幅に減少したため、太陽光発電で工事量を補って業績を伸ばしており、蓄積した建設技術を生かして、提案を続けているそうだ。これは、他地域の配電線工事会社にも応用可能である。

(3)原発とは、司法を使って決別するしかない
 *3-1のように、原子力規制委員会が2014年7月16日に、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)について、「新規制基準に適合している」とする審査書案を公表したため、今後は、「①新規制基準をクリアしていれば、本当に安全と言えるのか」を、司法を使って明らかにするしかない。また、*3-2には、「国内全16原発の半径30キロ圏にある特別養護老人ホームなど875の介護保険施設のうち、7割にあたる621施設(定員計約3万3000人)で、原発事故時の避難先が決まっていないことが分かった」とも書かれているため、「②実際に新規制基準をクリアしていると言えるのか」も、立法と行政が再稼働に前のめりである以上、司法で明らかにするほかない。

(4)フクシマの実情は、すさまじい人権侵害である
 *4-1のように、東京電力が2013年8月19日に、福島第一原発で実施したがれきの撤去作業で、放射性粉じんが20キロ以上離れた避難区域外の水田に飛散し、さらに50キロ付近まで飛んでいた可能性が高いことが京大研究グループの調査で分かった。これを公表せずに、「福島の農産物は食べて協力すべき」とし、今月下旬に大規模ながれき撤去に入るのに、「1号機を覆うカバーを解体して飛散防止剤をまく」としているのは、殺人行為に近い。

 また、*4-2のように、年間被ばく線量が20ミリシーベルト以下だということで、福島県川内村の避難指示を解除する方針だったが、一般人の被爆線量は世界では年間1ミリシーベルト以下であり、放射線管理区域でも年間5.2mミリシーベルト以下であるため、「20ミリシーベルト以下なら避難指示を解除してよい」とするのは、世界に例を見ない人権侵害である。

 さらに、*4-3のように、福島原発訴訟で争点の「国と東電が第1原発の全交流電源喪失をもたらす津波を予見できたか」に関する証拠を、国は「資料が現存せず確認できない」としていたが、一転、「電力会社から提出された資料があった」と試算報告書の存在を認めたそうだ。やはり、個々に訴訟をしなければ、ある証拠も出ずに、うやむやにされるのだろう。

<水素社会への転換>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140716&ng=DGKDASDF1500U_V10C14A7PP8000 (日経新聞 2014.7.16) 燃料電池車に経産相が試乗 トヨタ本社を訪問
 茂木敏充経済産業相は15日、愛知県豊田市のトヨタ自動車本社を訪れ、同社が2014年度中に市販を予定する燃料電池車(FCV)の試作車に試乗した。経産省は次世代エコカーとしてFCVの普及を後押ししている。茂木経産相は記者団に「隗(かい)より始めよで、経産省でも公用車として使いたい」と述べ、市販後に購入する意向を示した。茂木経産相は1周2キロメートルのテストコースを自ら3周運転し、本社工場内の水素ステーションで充てん作業にも参加した。試乗後、「非常に静かで加速もいい」と感想を述べた。トヨタの豊田章男社長とも懇談。茂木経産相によると、FCVを「水素社会を実現していく未来の自動車」とし、省として購入する考えを伝えた。台数などは明言しなかったようだ。トヨタはFCVを700万円程度の税抜き価格で市販すると表明している。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140716&ng=DGKDASDZ15093_V10C14A7MM8000 (日経新聞 2014.7.16) JX、水素ステーション100ヵ所 燃料電池車向け、18年度めど 政府、補助金で普及後押し
 JX日鉱日石エネルギーは「究極のエコカー」とされる燃料電池車(総合2面きょうのことば)に、燃料の水素を供給する施設である水素ステーションを2018年度をめどに100カ所設置する。現在の5カ所から一気に増やす。燃料電池車はトヨタ自動車が世界に先駆け14年度中に市販を始める。政府も補助金や規制緩和で後押しする方針で、普及に向けた体制整備が動き出す。燃料電池車は水素と空気中の酸素を反応させて走る。政府は次世代エコカーと位置付け、15年度までに主要都市に水素ステーションを計100カ所整備する計画だが、足元で設置が決まっているのは41カ所。JXエネが100カ所の設置に乗り出すことで、燃料電池車の普及の課題だったインフラ整備が大幅に進む。JXエネは水素ステーションの運営や水素の調達・供給を手掛ける子会社を近く設立する。現在、東京都杉並区や横浜市など5カ所に水素ステーションを設置している。当初14年度中に15カ所に増やすとしていた計画を19カ所に上方修正。15年度までに40カ所にし、その後2~3年で100カ所規模にする考えだ。既存のガソリンスタンドに併設するほか、首都圏や地方の主要都市に水素供給専用の拠点を新設する。水素ステーションにはガソリンタンクの代わりに圧縮した水素を貯蔵する設備を設置。専用の充てん機を使い自動車に水素を供給する。水素ステーションを巡っては14日、岩谷産業が商業用施設を兵庫県尼崎市に開いた。同社は15年度中に計20カ所建設する計画。東京ガスや豊田通商なども都内や愛知県に設置する方針で、今年度内に10カ所程度が開業する見通しだ。実験用では大阪ガスや東邦ガス、大陽日酸、出光興産なども手掛けている。インフラ整備の進展は自動車メーカーにとっても追い風となる。トヨタはまず、都内や名古屋市など水素ステーションが整備される地域で燃料電池車を販売する方針。4人乗りのセダンで価格は税抜きで700万円程度。コスト削減を進め25年ごろには同じ車格のハイブリッド車(HV)並みに価格を抑えたい考え。ホンダも15年中の発売を目指し、5人乗りのセダンの開発を進める。価格は1000万円を切る見通しだ。燃料電池車の普及には、水素ステーションの建設費と車両価格を下げることがカギとなる。政府は平均4.6億円かかる水素ステーションの設置に2.8億円を上限に補助金を出している。今後は車両の購入に200万円程度の補助金を出すことを検討する。水素ステーションの設置費用を引き下げるための規制緩和も進める。水素をためる容器に欧米並みの安い鋼材を使えるようにし、市街地でも設置しやすい基準をつくる。設置費用は「1.5億円安くなる余地がある」(経産省)という。水素ステーションの設置計画の大半が首都圏と愛知県に集中し、関西や九州は整備計画があまり進んでいない。1億~2億円で設置でき、移動も可能な小型施設の普及を支援し、地域間での偏りを減らすようにする。与党内にはステーションで水素を補給する費用も政府が全額補助する案もある。高速道路のサービスエリアへの水素ステーションの設置補助を上積みし、燃料電池車の走行料金を無料にする案も浮上している。

*1-3:http://www1.saga-s.co.jp/news/saga.0.1633240.article.html
(佐賀新聞 2010年5月12日) 玄海町で水素実証実験 水を分解、カートや自転車走らせる
 環境に優しい次世代エネルギーとして注目される水素を実際に社会に生かす実証実験が今秋、佐賀県東松浦郡玄海町の九州電力玄海エネルギーパークで始まる。水を電気分解して水素をつくり、その水素でカートや自転車を走らせる。生成から利用までを集約し、来場者も水素エネルギーを実体験できる。実験は玄海町、佐賀県地域産業支援センター(佐賀市)、民間企業などが取り組む。太陽光や原子力発電の夜間電力で水を電気分解して水素を生成、貯蔵する。園内には水素で動くカートと自転車を2台ずつ配備し、来園者に試乗(無料)してもらう。電気量と水素製造量の関係や水素消費量などの検証も行う。実験は設備整備後の10月下旬から11月上旬に始め、本年度末まで行う。施設は2012年4月に開園を予定する玄海町次世代エネルギーパークに移設して活用する。総事業費は約1億1千万円。国の水素利用社会システム構築実証事業を活用する。玄海町は、環境負荷軽減の取り組みや同パークのPRも兼ね、総事業費のうち設備購入費や工事費など約5900万円を負担する。水素は水や灯油など多様な燃料から取り出すことができ、酸素と反応させれば水と電気が発生する。利用段階で二酸化炭素を排出せず、水が燃料になることから次世代エネルギーとして期待されるが、コスト面などの課題もある。

<自然エネルギーによる発電>
*2-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/84206
(佐賀新聞 2014年7月16日) 海洋エネ実証実験場に佐賀を選定 内閣府
 内閣府は15日、地方自治体に公募していた潮流や波力など海洋エネルギーによる発電の実証実験場(実証フィールド)に、佐賀県が提案した唐津市呼子町加部島沖を含む4県6海域を選定した。今後、国の支援で環境整備を進め、関連産業の集積を図る。県は5年間で約7億円の経済効果を見込んでいる。佐賀県は5種類の海洋エネルギーのうち「潮流」と「浮体式洋上風力」に選ばれた。県のプランは地域との協力体制を構築したのが特徴。誘致のために立ち上げた協議会の会長には地元漁協の代表が就き、対象海域も漁業者から推薦した。大型の浮体式風力発電機は漁礁になる可能性があり、将来的には漁協で発電機を運営する案もあるという。今後、国は送電用の海底ケーブルを整備するほか、メーカーや大学の実験装置の維持管理に必要なハード整備などを進める方針。県によると、国から具体的なスケジュールや支援メニューはまだ示されていない。長崎県の五島市や西海市の3海域も潮流と浮体式洋上風力のフィールドに選ばれた。佐賀県新エネルギー課は「予想より多くの海域が選定され、驚いている。メーカーらに対し、魅力あるフィールドとして佐賀を選んでもらう仕掛け作りが重要になる」と話す。今後は国とやり取りしながら、ハード整備の方法やフィールドの管理運営団体の設立を検討していく。国は福島第1原発の事故を受け、再生可能な海洋エネルギーの早期実用化を促進するため、発電の信頼性や耐久性を実験する実証フィールドを全国公募し、7県11海域が提案していた。

*2-2:http://qbiz.jp/article/42006/1/
(西日本新聞 2014年7月16日) 九州の17ダム、安全管理に不備 国交省検査で判明
 国が管理する九州7県の1級河川水系に各県などが設置した発電やかんがい目的の利水ダムのうち、全体の3割近い17ダムが国土交通省の定期検査で安全管理上重要な問題があると判定されていたことが15日、分かった。中でも北山ダム(佐賀市)、瀬戸石ダム(熊本県芦北町、球磨村)、大分県営若杉ダム(由布市)の三つはダム湖に大量の土砂がたまり、機能低下につながりかねないと指摘されていた。定期検査はダム検査規程に基づき実施。2002年度に導入された現行制度では原則3年に1回程度、管理状態などをABCでランク分けする。西日本新聞が関係文書を情報公開請求し分析した結果、対象となる62ダムのうち、大分県6、福岡県5、佐賀県3、熊本県2、鹿児島県1の計17ダムが02〜13年度のいずれかの検査で最も問題のある「A」と判定された。農林水産省が設置した北山ダムは04〜12年度に5回連続でA判定。想定の2・7倍に上る土砂堆積やダム湖周辺のり面の100カ所以上の崩壊、ゲート施設の不良などを指摘された。電源開発(東京)が熊本県の球磨川に設置した発電用の瀬戸石ダムは02〜13年度に計6回の検査結果がすべてA。ダム湖の土砂堆積を問題視され、洪水被害が発生する恐れを指摘された。同社は「真摯(しんし)に受け止め、土砂撤去に取り組んでいる」としている。ダム湖の土砂堆積は水面下のため、対応は遅れがちになるという。土砂堆積などによりA判定を4回受けた若杉ダムは、09〜11年の3年間に土砂のしゅんせつ費用として約6億4800万円を投じていた。ほかにA判定を受けたダムはサイレンなどの設備不良や、維持や操作を適切に行う管理主任技術者の不在などを指摘された。国交省九州地方整備局によると、検査結果に法的拘束力はないが、どのような措置を講じたかの報告は求めているという。河川管理課は「土砂の除去など課題解消に時間がかかるケースもある」としている。

*2-3:http://qbiz.jp/article/41997/1/
(西日本新聞 2014年7月16日) 九電工、メガソーラーで業績アップ
 九電工(福岡市)は15日、大分市日吉原のゴルフ場跡に大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設すると発表した。出力は4万5千キロワットで、九州内で有数の規模。伊藤忠商事(東京)、三井造船(同)と共同で設立した特定目的会社「大分日吉原ソーラー」が運営する。総事業費は約144億円で、同日、みずほ銀行を幹事とする銀行団と融資契約を結んだ。予定地は、三井造船の所有地で、5月末に閉鎖した「日吉原カントリークラブ」跡地。広さは約46万平方メートルで、8月に着工し、2016年3月に営業を始める予定。年間発電量は一般家庭9300世帯の消費量に相当する約5250万キロワット時になる見込みで、全量を20年間、九州電力に売電する。九電工は伊藤忠の呼び掛けで参加したといい、出資比率は伊藤忠50%、九電工30%、三井造船20%。九電工は、稼働中のメガソーラーでは九州で2番目に大きい「鹿児島七ツ島メガソーラー発電所」(出力7万キロワット、鹿児島市)に出資するなど、九州内外で太陽光発電を積極的に展開している。設置場所によって提携先は京セラやオリックスなどさまざま。出資はしないものの、発電所の建設工事を請け負っているケースも多い。太陽光発電は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を利用し、安定した収益が見込めることから各社の参入が相次ぐ。九電工も、蓄積した建設技術を生かした提案を続けているという。さらに九電工は、経営が悪化している九州電力からの配電線工事の受注が大幅に減少。このため太陽光発電で工事量を補い、業績を伸ばしている面もある。

<原発との決別>
*3-1:http://mainichi.jp/select/news/20140716k0000e040197000c.html
(毎日新聞 2014年7月16日) 川内原発:「新規制基準に適合」審査書案を公表
 ◇10月以降にも再稼働へ 福島原発事故後で初
 原子力規制委員会は16日、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)について、「新規制基準に適合している」とする審査書案を公表した。今後、30日間の意見公募などを経て審査書を決定する。川内1、2号機は、東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえ、安全対策を強化した新規制基準をクリアする初の原発となる。再稼働に向けた手続きが本格化するとみられるが、設備の使用前検査なども必要となるため、再稼働は10月以降になる見通しだ。現在、川内1、2号機を含め、12原発19基が規制委の安全審査を受けている。

*3-2:http://mainichi.jp/select/news/20140716k0000m040164000c.html
(毎日新聞 2014年7月16日) 原発事故時:避難先7割未定 30キロ圏の介護施設・病院
 国内全16原発の半径30キロ圏にある特別養護老人ホームなど875の介護保険施設のうち、7割にあたる621施設(定員計約3万3000人)で、原発事故時の避難先が決まっていないことが分かった。同様に838病院中、7.5割の633病院(計約4万床)でも確保されていなかった。原子力規制委員会は16日、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の安全審査で事実上の「合格証」となる審査書案を示し、原発の新規制基準に基づく「合格」第1号が決まるが、要援護者の避難が担保されていない実態が浮かんだ。毎日新聞は6〜7月、国が原発事故時に住民に避難を求めることがある範囲として定めている30キロ圏の21道府県と、東京電力福島第1原発事故で避難指示が出ている10市町村を除く125市町村にアンケートを実施。1市を除く124市町村が回答した。国は原発事故を受けて見直した原子力災害対策指針などで、住民の避難計画策定を義務付ける市町村を原発8〜10キロ圏から30キロ圏に拡大。県や市町村の地域防災計画で、施設や病院の管理者に避難計画作成を求めることも定めた。アンケートで住民の避難計画を未作成だったのは4割の49市町村で、うち40市町村を占める宮城、茨城、新潟、静岡、富山の5県では、施設や病院も避難計画を作成しておらず、全377施設と全412病院が避難先を確保できていなかった。反対に、川内原発が立地する鹿児島をはじめ、青森、石川、滋賀、愛媛、長崎の6県では全市町村が住民の避難計画を作成済みだったが、施設や病院の避難先は一部を除いて見つかっていない。「30キロ圏より外は市外になるので、施設や病院の避難先を探すのに、市だけでは調整できない」(鹿児島県薩摩川内市)、「事業者だけで確保するのは難しく、行政が連携して取り組むべき課題になっている」(愛媛県)という。一方、関西電力大飯原発など4原発がある福井など7道府県は、全231施設と全202病院の避難先を確保しているとした。ただし、このうち北海道の一部や鳥取県では、施設からいったん自治体が指定したホテルなどに避難し、特養から特養へといった同種施設に移れるかどうかはその後の道県の調整に任される。

<フクシマの実情>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/ASG7H5SVWG7HUUPI00C.html
(朝日新聞 2014年7月16日) 50キロ先、住宅地にも粉じん 福島第一原発がれき撤去
 東京電力が昨年8月に福島第一原発で実施したがれき撤去作業で放射性の粉じんが20キロ以上離れた避難区域外の水田に飛散した可能性が指摘されている問題で、この時の放射性の粉じんがさらに50キロ付近まで飛んでいた可能性が高いことが京大研究グループの調査で分かった。今後も実施していくがれき撤去作業による汚染が広範囲に及ぶ恐れを示すものだ。調査したのは、京大大学院医学研究科の小泉昭夫教授(環境衛生)ら5人。住民の被曝(ひばく)量を予測するために2012年9月以降、福島県内の住宅地の3地点に空気捕集装置を置いて大気中の粉じんを集め、1週間ごとに放射性セシウム濃度を測定してきた。このうち原発から北西48キロの相馬市で集めた昨年8月15~22日分から、他の時期の6倍を超す1立方メートルあたり1・28ミリベクレルの放射能を検出。北北西27キロの南相馬市では20~30倍だった。西南西22キロの川内村では変化がほぼなかった。小泉教授らは①原発の北西や北北西で放射能濃度が上がり、西南西で変化がほぼないことは当時の風速や風向きによる放射性物質の拡散予測に一致する②大気中から集めた粉じんの粒子は比較的大きく、第一原発のような放射性物質が密集する所に長くあるうちに大きくなったと推測される――などから第一原発でこの時期に行ったがれき撤去で飛散してきたとみている。さらに南相馬市の地点では昨年5、6月にも1度ずつ粉じんのセシウム濃度が急上昇した期間があり、この間にも撤去作業で飛んだ可能性があると分析。小泉教授らは今年3月、「第一原発のがれきが汚染源とも考えられる」とする報告書を環境省に提出していた。東電は昨年8月19日に第一原発3号機で大規模ながれき撤去を実施。20キロ以上離れた南相馬市の水田で収穫されたコメから基準超のセシウムが検出され、農林水産省から飛散防止を要請されていたことが14日の朝日新聞報道で発覚した。東電は記者会見で撤去作業との関係は不明としつつ、「ご迷惑をかけた」と謝罪。当時の放出量はふだんの1万倍以上にのぼり、4時間で最大4兆ベクレル(試算)だったと発表した。東電は今月下旬に1号機を覆うカバーを解体し、大規模ながれき撤去に入る方針だ。飛散防止剤を多くまくとしているが効果は不透明で、詳細な作業日程や放射線量の公表を求める声が出ている。

*4-2:http://www.minpo.jp/news/detail/2014071416850
(福島民報 2014/7/14) 「26日解除」断念 川内の避難指示解除準備区域
 政府は13日、福島県川内村の避難指示解除準備区域(年間被ばく線量20ミリシーベルト以下)の避難指示を26日に解除する方針を断念、延期する考えを示した。同日、同村と郡山市内で開いた住民との懇談会で、住民から生活環境の整備が不十分と、解除への反対意見が相次いだ。政府の担当者は解除時期について「あらためて村と協議し、適切な時期を見定めたい」と述べた。
■村と協議、時期再検討
 村内の懇談会には約60人、郡山市には約20人が参加した。政府側が福島第一原発の廃炉・汚染水対策の現状、事後モニタリングの結果と追加除染などを説明。避難指示解除準備区域の復興状況を説明した上で、26日に解除する方針を伝えた。しかし、住民側から「一部の道路で復旧が終わっていない」「線量が高い所があり不安」「帰ってから仕事がないのに解除は時期尚早」「仮置き場があるままでは帰る気分になれない」といった不安や懸念を示す意見が相次いだ。遠藤雄幸村長は懇談会最後のあいさつで、解除に向けた村の検証委員会が28日にも中間答申をする予定とした上で、「検証委の答申を踏まえて解除時期を判断したい。26日の解除は政府に再考してもらい、もう一度協議する時間が必要と感じた」と述べた。復興庁の熊谷敬統括官も解除しない方針を示した。区域内では、4月26日から3カ月間、帰還のための準備宿泊(長期宿泊)が行われており、25日で期限が切れるため、期間を延長した上で解除時期を再協議する見通し。避難指示解除準備区域の解除と同時に居住制限区域(同20ミリシーベルト超~50ミリシーベルト以下)を避難指示解除準備区域に再編する方針は変えない方針。
■避難指示解除準備区域139世帯
 村内の区域分けは【図】の通り。6月1日現在の人口は1148世帯、2746人で、避難指示解除準備区域は139世帯、275人、居住制限区域は18世帯、54人。
■廃棄物搬出後、地元に返還 中間貯蔵候補地 政府方針
 東京電力福島第一原発事故に伴う除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の候補地について、政府はいったん買い上げて国有化し、全廃棄物を県外の最終処分場に搬出後、地元に返還する案を検討している。自民党の大島理森東日本大震災復興加速化本部長が13日、会津若松市での講演で明らかにした。大島本部長は「さまざまな知恵を政府で考えてもらっている」と語り、案がまとまり次第、佐藤雄平知事や候補地のある大熊、双葉両町長らに説明する考えを示した。自民党県連の「ふくしま再興政治塾」で講演した大島本部長は、中間貯蔵施設の廃棄物が政府の条件通りに30年以内に県外で最終処分された後、施設候補地の取り扱い案について「(候補地は)国の名義になっているが、(県外搬出を終えた)その時には、地元に返すというアイデアを固めつつある」と述べ、故郷への帰還を望む住民に配慮する考えを強調した。一方、候補地の貸借について大島本部長は民法上の借地権の期間は基本的に20年になっており、30年近く廃棄物を借地で保管するのは困難との認識を示した。中間貯蔵施設をめぐっては、最終処分場への移行を懸念し、候補地の貸借を求める地権者の要望は多い。政府は土地返還案の提示によって最終処分場にならないと強調し、地元に理解を求めるもようだ。ただ、政権政党が替われば方針が変更される懸念がある。国有化後に必ず返還するよう法的担保などを求める声は強まるとみられる。
   ◇  ◇
 大島本部長は講演で、今月末にもまとめる復興に関する政府への党提言に関し、「自立」と「コミュニティーの再生」を柱にする考えも明らかにした。
■政府案に具体的コメント避ける 大熊、双葉町長
 大島本部長が中間貯蔵施設建設地を将来的に地元に返還する案を検討していると明らかにしたことについて、建設候補地のある大熊町の渡辺利綱町長は「賃貸借などいろいろな選択肢を検討している中の一つと思う。中間貯蔵後の跡地利用や原状回復の問題などもあり、現時点でどうと言える状況ではない」と語った。双葉町の伊沢史朗町長は「政府から直接聞いていないのでコメントできない」とした。県生活環境部の担当者は「候補地の取り扱いについて、国は住民説明会で出た意見を受け止め、地域振興策などと合わせて迅速に対応してもらいたい」とコメントした。

*4-3:http://www.minyu-net.com/news/news/0716/news7.html
(2014年7月16日 福島民友ニュース) 第1原発・津波試算「資料あった」 国一転、存在認める
 東京電力福島第1原発事故で県内外の被災者約2600人が国と東電に原状回復や慰謝料を求めた「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の第7回口頭弁論は15日、福島地裁(潮見直之裁判長)で開かれた。争点の「国と東電が第1原発の全交流電源喪失をもたらす津波を予見できたかどうか」の証拠になり得る津波の試算報告書について、「資料が現存せず確認できない」としていた国側は一転、「電力会社から提出された資料があった」と試算報告書の存在を認めた。国側が提出した資料は1997(平成9)年に電力会社が国に提出したとみられるもので、試算された第1原発の津波の高さは敷地高10メートルに近い9.5メートルとされ、「冷却水取水ポンプモーターのレベルを超える数値で、余裕のない状況」と記載。次回は9月16日午後3時から口頭弁論を行う。


PS(2014.7.17追加):*5のように、「自然エネルギー協議会」が「2020年までに20%にする」などの自然エネルギーの導入目標を提言したそうで、その積極性はよいが、根拠のない数値をめくらめっぽう設定するのは、市場経済ではなく計画経済である。もし、目標数値を設定したいのなら、「2020年までに20%以上」というような決め方にすべきだ。なお、自然エネルギーの環境アセスメントは、機材の構造によっては行う必要すらない場合もあるため、一律に規模を決めることはできない。それよりも、原発の環境アセスメントは、半径250kmの範囲で行わなければならず最も重要だが、やったとは思えないため今からでもやるべきだ。

*5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/84694
(佐賀新聞 2014年7月17日) 自然エネ導入「20年に20%」 協議会、目標提言へ
 佐賀県など36道府県と民間企業でつくる「自然エネルギー協議会」(会長・飯泉嘉門徳島県知事)は16日、唐津市内で総会を開き、自然エネルギーの導入目標値を明確化することを柱とした5項目の政策提言をまとめた。今月中に経産省などに提出する。政府は閣議決定したエネルギー基本計画で自然エネルギーの導入目標を明記していない。提言は、「2020年までに20%にする」などの目標値を設定し、導入加速化を要望した。太陽光発電が急激に伸び、発送電システムへの接続拒否が出ている問題でも系統網の増強なども盛り込んだ。佐賀県の古川康知事は、唐津市沖の海域が海洋エネルギー発電の実証フィールドに選定されたことに触れ、「環境アセスメントをどの程度の規模で行えばいいのかなど必要な対応が決まっていない」と述べ、導入の障害となる規制の改革も求めた。


PS(2014.7.18追加):*6のように、東京農大教授も、昨年産玄米から高い放射性セシウムが検出されたことに気がついて、①原発がれきの撤去でセシウムが飛散したか ②溜め池からの流入と指摘していたそうだ。これを適切に開示して、消費者の内部被曝予防に繋げられないところが問題の一つである。

*6:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=28798 
(日本農業新聞 2014/7/17) 原発がれき撤去でセシウム飛散 玄米基準値超え 東農大教授も指摘 福島で試験 
 東京電力福島第1原子力発電所事故に伴い、福島県南相馬市で昨年秋に収穫された米から基準値を超す放射性セシウムが検出された問題で、東京農業大学の後藤逸男教授らが行った作付け試験でも、昨年産玄米から高い放射性セシウムが検出されていたことが16日、分かった。原因として土壌由来ではなく、がれき撤去の可能性を示唆する格好となった。
●昨年秋に値上昇
 後藤教授は、昨年7月下旬から9月下旬の間に放射性セシウムの蓄積に異変が起きたとみており「がれき撤去が関係あるかもしれない」との見方を示し、「がれきを撤去する際には、放射性物質が絶対に飛散しない対策が必要だ」と指摘する。放射性セシウムの吸収抑制を進めるには、ゼオライトと塩化カリウムの施用が有効とされる。このため後藤教授の研究チームは、試験圃場(ほじょう)でそれぞれ施用量を変えて米を栽培した結果、初年度の2012年産は9月下旬の時点で玄米中のセシウムが、7月下旬の幼穂形成期の茎葉中の値に比べ、最大で5分の1程度だった。13年産の試験では、7月下旬の幼穂形成期の茎葉の値が前年同時期と比べて2分の1~5分の1程度と大幅に低下していた。だが、9月下旬に測った玄米中の値はゼオライトや塩化カリウムの施用量にかかわらず、前年産玄米の1.9~7.8倍と高い値を示し「予測に反して、放射性物質の値が高い」(後藤教授)ことが分かった。前年の試験を踏まえると、後藤教授は「土壌からの吸収ではない」と判断。ため池からの流入か飛散を想定していた。

| 資源・エネルギー::2013.10~2014.10 | 05:20 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.6.4 世界で受け入れられている再生可能エネルギーを、インド、アフリカ、砂漠地帯などの太陽光が強く、電力インフラが未完成な地域では、途中をとばして採用すべきだ。(2014.6.5追加あり)
    
 *1-2より  潮流発電機(イギリス)       EVバス        EVトラック

(1)世界の発電における再生可能エネルギーの割合は増加した
 *1-1のとおり、「2013年に世界各国で新たに建設された発電設備のうち再生可能エネルギーは全体の43.6%を占め、総発電量に占める比率も前年の7.8%から8.5%に増えて、発電コストは風力で53%、太陽光で25%安くなり、原発や火力発電のコストは増加傾向にある」とのことである。

 また、*1-2のように、「2013年末の世界の再生可能エネルギー発電容量は、前年比約17%増の5億6千万キロワットに達し、日本の太陽光発電も固定価格買い取り制度で2倍以上になって、再生可能エネルギーは、世界の全エネルギー消費のほぼ20%をカバーして原子力の2.6%を大きく上回った」とのことである。

 最も増えたのは中国で、米国、ブラジル、カナダ、ドイツの順とのことだが、電力インフラが未完成で、太陽光・風力・地熱・潮流が豊富な場所(特に、インド、アフリカ、砂漠地帯等)では、途中を飛ばしてまっすぐ再生可能エネルギー発電を採用してもらいたい。そうすれば、電力インフラの整備コストを低く押さえることができ、環境にもよくて無駄がないからである。

(2)九州は地熱・海洋・水素を重点に産業化する
 *2-1のように、「九州地方知事会と九州の主要経済団体でつくる九州地域戦略会議が、九州のエネルギー関連産業のうち、地熱、海洋、水素の3分野に重点を置いて産業化を目指す方針を決めた」とのことで、これは先見の明ある決断だ。

 「①産学官の技術蓄積を生かした東南アジアでの地熱開発」「②造船技術や港湾機能と連携した浮体式洋上風力発電の拠点化」「③燃料電池自動車(FCV)の生産ライン誘致」などが考えられるそうだが、①は、まず九州でやって欲しいし、②も有望である。また、③については、*2-2のように、燃料電池車の大量生産と普及が加速する時期なので、地方自治体も協力してインフラ整備すれば、より高次の技術開発に繋がるだろう。

 なお、燃料電池車(FCV)の方がパワーがあるため、「次世代環境車の本命」と言われているが、東京などの地震多発地帯では、避難中の自動車が爆発しないように、蓄電池式の電気自動車を多くした方がよいと考える。

(3)「パブリックコメント」では、脱原発を求める意見が9割を超えていた
 *3に書かれているように、「安倍内閣が4月に閣議決定したエネルギー基本計画をつくる際に、国民に意見を募った『パブリックコメント』で、脱原発を求める意見が9割を超えていた可能性がある」とのことである。パブコメの結果が開示されなかったことも問題で、経産省が、そうした意見を無視してエネルギー基本計画で、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけたのは、パブコメの役割を果たしておらず、大きな問題である。

 そして、このように、役割を終えた原発に天文学的数字の無駄遣いをしながら、年金給付を減らすことしか思いつかないのが、愚かな行政と政治とメディアがもたらす国民の不幸である。

*1-1:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2658901.article.html
(佐賀新聞 2014年4月7日)  再生エネが着実に増加 / 世界の発電、国連環境計画調べ
 昨年、1年間に世界各国で新たに建設された発電設備のうち再生可能エネルギーは全体の43・6%を占め、総発電量に占める比率も前年の7・8%から8・5%に増えたとの調査報告書を国連環境計画(UNEP)などが7日、発表した。2009年からこれまでに、風力の発電コストは53%、太陽光は25%も安くなった。これに対し、原発や火力発電のコストは増加傾向にあり、報告書は「再生可能エネルギーは着実に競争力を増している」とした。UNEPの事務局長は「再生可能エネルギーに対し、さらなる投資を促すために政策の強化や制度改革が重要だ」としている。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140604&ng=DGKDASDG0400F_U4A600C1CR0000
(日経新聞 2014.6.4) 再生エネ、世界で17%増 昨年末の発電容量 日本、太陽光が2倍
 2013年末の世界の再生可能エネルギーによる発電設備の容量は、前年比約17%増の5億6千万キロワットに達したとする調査結果を、エネルギーの専門家らでつくる「21世紀の再生可能エネルギーネットワーク」(REN21、本部ドイツ)が4日までにまとめた。日本の太陽光発電も容量が2倍以上になり、「(12年に導入された)固定価格買い取り制度の効果が表れた」と分析している。REN21によると、昨年1年間で世界の太陽光発電は約1億キロワットから1億3800万キロワットに、風力発電は2億8300万キロワットから3億1800万キロワットに増えた。バイオマスなどの熱利用まで含めると再生可能エネルギーは世界の全エネルギー消費のほぼ20%をカバーし、原子力の2.6%を大きく上回った。最も増えたのは中国で、以下、米国、ブラジル、カナダ、ドイツの順。中国では、再生可能エネルギーの新設容量が、化石燃料や原子力の新設容量を初めて上回った。日本は太陽光発電が1年間で690万キロワット増えて1360万キロワットに達し、世界5位から4位に浮上。再生可能エネルギーへの投資額でも中国の542億ドル、米国の339億ドルに次ぐ286億ドルで世界3位だった。

*2-1:http://qbiz.jp/article/39084/1/
(西日本新聞 2014年6月4日) 「地熱と海洋と水素」重点に産業化 九州地域戦略会議が方針
 九州地方知事会と九州の主要経済団体でつくる九州地域戦略会議は3日、大分県別府市で会合を開き、発展が期待される九州のエネルギー関連産業のうち、地熱、海洋、水素の3分野に重点を置いて産業化を目指す方針を決めた。分野ごとにワーキンググループを立ち上げ、2014年度中に行動計画を策定する。各分野の産業化の方向性として、産学官の技術蓄積を生かした東南アジアでの地熱開発、造船技術や港湾機能と連携した浮体式洋上風力発電の拠点化、燃料電池自動車(FCV)の生産ライン誘致などが考えられるという。同会議は、九州での再生可能エネルギーなどの産業化に向け、昨年4月に検討委員会(委員長・安浦寛人九大副学長)を設立。太陽光や風力など8分野について課題を分析し、4月の中間報告で今回選んだ3分野を重点テーマに挙げていた。記者会見した麻生泰九州経済連合会会長は「アカデミックなことに行政やメーカーが加わり、ビジネスにしていくことを期待している」と述べた。

*2-2:http://qbiz.jp/article/13409/1/ (西日本新聞 2013年3月2日) 燃料電池車 普及へ加速 相次ぎ共同開発 インフラも整備 福岡県なども促進策
 「次世代環境車の本命」と言われる燃料電池車(FCV)の普及開始に向けた動きが加速している。自動車メーカー各社は2015年に市販車を発売する方針。燃料である水素を充填(じゅうてん)する水素ステーションなどのインフラ整備は今年から本格化する。自動車産業が集積する福岡県などもFCV普及促進構想を策定、関連産業の誘致などにつなげたい考えだ。東京・有明の東京ビッグサイトで1日まで開かれた「国際水素・燃料電池展(FCエキスポ)」には、国内外の企業・団体260社が集まり最新技術を披露した。中でも、石油元売りなどのエネルギー企業や自動車メーカーでつくる「水素供給・利用技術研究組合」(ハイサット)のブースでは、国内自動車メーカーが開発中のFCVが来場者の目を引いた。トヨタ自動車は、15年に日本、米国、欧州でセダンタイプのFCVを発売する方針。FCVは燃料電池の触媒に高価な白金を使うなど高コストがネック。だが、白金の使用量を減らすなどして、トヨタは「一般消費者の手の届く価格」で発売したい意向だ。業界では1台500万円が販売価格の目安との声もある。FCVでメーカー同士が手を結ぶ動きも相次ぐ。トヨタは1月、ドイツのBMWとの共同開発を決定。内山田竹志副会長は「連携で開発費用と時間を大幅に削減できる」と説明する。日産自動車も米国のフォード、ドイツのダイムラーと共同開発を決めた。
  ■   ■
 業界団体の燃料電池実用化推進協議会は、25年までに国内でFCVを200万台普及させる青写真を描く。鍵を握る水素ステーションは、市販開始の15年までに、首都圏や九州北部の四大都市圏とその間を結ぶ高速道路に計100カ所、民間のエネルギー関連企業などが整備する方針だ。経済産業省は、水素ステーションの整備が今年から本格化するとみて、13年度予算案に補助金46億円を盛り込んだ。水素ステーションの建設費は1カ所あたり5億〜6億円とされ、ガソリンスタンドの10倍。補助金は民間企業が建設する際、最大半額を交付する。販売する水素の価格について、ハイサットの北中正宣技術本部長は「普及開始当初は国の支援をお願いして、ガソリンと同等か、それ以下を目指す」とする。
  ■   ■
 福岡県などの産学官で構成する福岡水素エネルギー戦略会議は昨年、FCV普及促進構想を策定した。目玉は20年時点で九州で必要と予測される水素ステーション60カ所の配置図。FCVの初期購入者として想定される、高級車やハイブリッド車の購入者が多い地域の分析や、自動車の利用状況調査などからつくった。この地図をもとに民間事業者にステーション設置を働き掛ける。同会議が運営する「福岡水素エネルギー人材育成センター」では、昨年から「FCVコース」を設け、参入機会をうかがう地場中小企業の経営者に最新の技術動向なども提供している。北部九州にはトヨタ自動車九州、日産自動車九州、ダイハツ九州などの工場が立地。水素研究で先端を行く九州大や、北九州水素タウンなどの実証施設もそろう。福岡県新産業・技術振興課の秋田道子主査は「まずFCVの普及先進地になり、生産拠点や関連企業の誘致にもつなげたい」と狙いを話した。
▼燃料電池車 燃料の水素を空気中の酸素と反応させて電気をつくり、モーターを回して走行する自動車。排出するのは水のみで、二酸化炭素(CO2)を出さず、「究極のエコカー」とも言われる。1回の水素充填で走行可能な距離が500キロメートルと充電式の電気自動車(EV)より長く、充填時間も3分とガソリン車並み。非常用電源として使えば、一般家庭の1週間分の電気を賄えるのも特徴。

*3:http://digital.asahi.com/articles/ASG5L0FYJG5KULFA00K.html?_requesturl=articles%2FASG5L0FYJG5KULFA00K.html (朝日新聞 2014年5月25日) 「脱原発」意見、9割超 エネ計画のパブリックコメント
 安倍内閣が4月に閣議決定したエネルギー基本計画をつくる際、国民に意見を募った「パブリックコメント」で、脱原発を求める意見が9割を超えていた可能性があることがわかった。朝日新聞が経済産業省に情報公開を求め、開示された分について原発への賛否を集計した。経産省は、そうした意見をほとんど反映しないまま、基本計画で原発を「重要なベースロード電源」と位置づけた。経産省が昨年12月6日に示した基本計画の原案に対し、対象の1カ月間にメールやファクスなどで約1万9千件の意見が集まった。経産省は2月に代表的な意見を発表したが、原発への賛否は集計しなかった。朝日新聞はすべての意見の公開を求め、経産省は、個人情報保護のために名前を消す作業が終わった2109件分のメール(2301ページ)を開示した。受け付け順で開示したとしており、残りの開示の可否は9月までに決めるという。内容は、再稼働反対や原発の廃炉を求める「脱原発」が2008件で95・2%、「原発の維持・推進」は33件で1・6%、賛否の判断が難しい「その他」が68件で3・2%だった。脱原発の理由では「原発事故が収束していない」「使用済み核燃料の処分場がない」との声が多かった。原案が民意に背いているとの批判もあった。一方、原発の維持・推進を求める声は、運転コストの安さなどを理由にした。民主党政権は2012年に「30年代に原発稼働ゼロ」の方針を決めた。だが、安倍政権はこれを白紙に戻し、今回の基本計画で原発を再稼働させる方針を明確にした。原発への賛否を集計しなかったことについて、茂木敏充経産相は2月の国会で「数ではなく内容に着目して整理を行った」と説明している。
    ◇
〈パブリックコメント〉 行政機関が政令などを定める際に広く一般から意見を募る仕組み。ウェブサイトなどで原案を公開し、電子メールやファクスで意見を集める。2005年に改正された行政手続法は「意見を十分に考慮しなければならない」と定めている。


PS(2014.6.5追加):*4のように、九大が伊都キャンパスに、下水処理の過程で出る汚泥から水素を取り出して燃料電池車(FCV)に供給するなどの先端技術を集積して技術面で産業のイノベーションに貢献するのは期待できる。日経新聞は、「再生エネルギー分野の研究は欧米が先行しているのが実情で、海外で勝ち抜くには最先端技術の研究に加え、学内の国際化が不可欠だ」としているが、再生エネルギーの研究は、もともとは日本が最初であったにもかかわらず、文系の馬鹿者の無理解で欧米に先を越されたものであることを忘れないで欲しい。上の写真の潮流発電機の例では、日本の航空機技術(流体から力を得る技術)、IT技術(最も大きな回転力の出る流れとらえて最大の電力を生み出す技術)、生物を傷つけない安全技術など、多様な技術の組み合わせになると、日本の技術力はまだ大きいと言える。

*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140605&ng=DGKDZO72274590U4A600C1TCQ000 (日経新聞 2014.6.5) 九大、伊都キャンパスに拠点集積、産業力の底上げ狙う 先端技術で世界と勝負
 先端技術の研究成果を社会に還元する――。2011年、創立100周年を迎えた九州大学が掲げた9つの目標の一つだ。05年にオープンした伊都キャンパスに、次世代を見越した再生可能エネルギーなどの研究施設を相次いで新設しているのも、この目標を達成する側面を持つ。さらに行政と連携し、周辺の工業・研究団地に企業を誘致。九州発の「産業力の底上げ」を狙っている。「映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の世界がついに現実となる」。福岡市の高島宗一郎市長は4月、市中部水処理センター(福岡市中央区)で始まる実証実験について興奮気味に話した。実験は下水処理の過程で出る汚泥から水素を取り出し、燃料電池車(FCV)に供給する試みだ。米映画に登場する過去と未来を往来できる車の燃料がごみであることになぞらえた。この取り組みは九州大と福岡市、三菱化工機、豊田通商の共同プロジェクト。15年にも市販されるFCVは排ガスの代わりに水蒸気を出す究極のエコカーといわれる。九州大はプロジェクトを技術面で支えており、責任者の田島正喜教授は「九州大発の技術を産学官連携により具体的に見える形で全国に広げたい」と意気込む。
●実証実験の現場
 こうした先端技術研究の拠点が、福岡市西区と福岡県糸島市にまたがる伊都キャンパスだ。05年以降、工学部などが順次移っており、19年度までに移転が完了する予定だ。再生エネ関連の基礎研究を行うカーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(アイスナー)のほか、燃料電池に特化した次世代燃料電池産学連携研究センターを開設。同センターには世界に1台しかないという材料の表面を詳しく分析できる機器や、世界一の解像度を誇る電子顕微鏡を備える。アイスナーについては来年2月に2号館が誕生する。有川節夫学長は「移転に合わせ、先端技術の開発に向けた実証実験の現場にしたかった。世界最大・最強の拠点が必要」と話す。
●学研都市めざす
 九州北部はかつて炭鉱の町として栄え、九州大は以前からエネルギー研究に積極的だった。水素関連の研究が03年度、国のプロジェクト「21世紀COEプログラム」に選ばれるなど、ノウハウを蓄積。石油資源の枯渇や温暖化といった問題などが絡み、再生エネ分野は世界が注目しており、有川学長は「社会が抱える課題に応えるのが大学の使命だ」と言い切る。次世代燃料電池産学連携研究センター長の佐々木一成・主幹教授が「研究だけしても製品化がなければ完結しない」と言うように現在、産学連携を強め、製品化に力を注いでいる。企業とのプロジェクト数は50に及び、センターの研究室には日産自動車や東京ガスなど15社以上の企業が入居する。伊都キャンパス周辺では自治体の後押しもあり工業団地などへの企業誘致も進める。三菱電機や西部ガスなどが九州大の取り組みに期待し、研究開発機関を設立した。伊都キャンパスとその周辺を学研都市にする構想の背景には、優秀な人材を集めたいという思惑がある。地元からは「優秀な頭脳が域外に流出している」(高島市長)という指摘は少なくなく、魅力的な研究施設や企業の集積という受け皿を作り、産業力の強化を狙う。ただ再生エネルギー分野の研究は欧米が先行しているのが実情で、海外で勝ち抜くには最先端技術の研究に加え、学内の国際化が不可欠だ。アイスナーの所長には海外で活躍していたペトロス・ソフロニス氏を招いた。ソフロニス所長は「国際化は若い研究者や教員のレベル向上に期待できる。世界的に施設の知名度を上げて優秀な留学生も集める」と力説する。米調査会社トムソン・ロイターがまとめた13年までの約10年間で、国際的な研究団体に強いインパクトを与えた論文の引用数は、国内の研究機関で九州大は11位。国立大では1位の東京大、3位の京都大、4位の大阪大に水をあけられている。有川学長は「いかなる分野の評価でも世界トップ100に入る大学にする」ことを目標に掲げる。大学経営の面からも次の100年へ向け、「自主的に変わり続けることが必要」と説く。新キャンパスを舞台にした九州大の挑戦が続く。

| 資源・エネルギー::2013.10~2014.10 | 06:58 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.4.2 環境や生態系を考慮できず、原発か石炭火力しか思いつかないような人は、もうエネルギーを語らないでもらいたい。(2014.4月3日、5日、6日に追加あり)
   
 *2-1より     *3-2より       *4-2より      北九州市電気バス

(1)再稼働を前提とした原発公聴会を開く必要はない
 *1-1のように、日本原子力学会が原発の安全神話に立脚した原子力政策そのものの弊害を指摘したのは正しいが、原発は安全だという根拠なき神話を作って批判を封じ込めていた点で、原子力学会は、今までに既に科学者の集まりであることを放棄してきたのである。

 そして、原子力ムラは、常時、都合のよい結論ありきの論理を組み立て、国の基準にさえ合致していればよいという事業者にはあり得ない態度で、原子力を扱っていながら事故時の危機管理もできていなかったし、その状況は現在も変っていないのである。このような当事者が、必要な情報も開示しない中で、素人が議論して判断することは無意味であるため、国民や県民の安全を第一に考えれば、原発は決して再稼働すべきではなく、再稼働を前提とした*1-2の地元での原発公聴会を開く必要はない。

(2)九電は、原発でなければ石炭を燃やすことしか思いつかない会社か?
 このような中、*2-1のように、九州電力は、原発の新増設や運転延長が難しくなっていることを理由に、長崎県松浦市(佐賀県伊万里市、玄海町、唐津市のすぐ近く)で石炭火力発電所2号機(出力100万キロワット)の建設を再開する方針を固めたそうだ。しかし、石炭火力は、CO2を地中に埋める技術があるとはいえ、*2-2のように、北京では石炭の燃焼でPM2・5が基準値の3倍もあり、それが九州にも流れてきて問題になっているのであって、CO2だけが石炭による公害ではないため、原子力か石炭火力かの選択しかできないような人は、もうエネルギー産業で意思決定するのはやめてもらいたい。

 また、*2-3のように、地球温暖化で切実な危機があるとされ、*2-4のように、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の横浜総会では、地球温暖化のために①海面上昇・高潮被害で数億人が移住を迫られる ②気温上昇や干ばつで穀物の生産量が減る ③大都市で河川の氾濫が増える ④海洋生物は中・高緯度域で増え、熱帯で減る ⑤多くの陸上生物は温暖化に対応できない ⑥都市部で熱波などの死亡リスクが高まる などが予測されている。

 日本は、1997年12月に京都で開催された第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、COP3)で京都議定書が採択されて以来、環境分野ではリーダーシップをとってきた国である。そのため、*2-5のように、日本が温暖化対策で「主導的役割」を果たすのは、国連総会のジョン・アシュ議長だけでなく、多くの国が期待しているのであって、温暖化対策では、いくら何でも原発ではなく、再生可能エネルギーで技術的な貢献をし、主導的役割を果たすべきである。そこで、今から石炭を発電に使おうというのは、センスがないにも程がある。

(3)再生エネの振興は、いくらでも方法がある筈だ
 *3-1のように、政府は中長期のエネルギー基本計画に、太陽光発電などの再生可能エネルギーを拡大する数値目標を盛り込む検討に入ったそうだが、その数値は、最低○○%という最低目標値であるべきであり、これまで何度もこのブログに書いた理由で、その他を原発や石炭火力に依存すべきではない。

 また、*3-2のように、再生エネの買い取り制度で電気代が月225円上乗せされるというキャンペーンをしているが、稼働していた原発に支払っていた交付金を再生エネの買取費補助にまわせば、家庭の負担は上がらない上、国庫にもお釣りがくる筈だ。

(4)環境対応自動車の普及価格設定と早期の普及が望まれる
 *4-1のように、北九州市は、太陽光発電の電力で走る電気バス2台を導入し、来年4月には太陽光エネルギーに完全移行するそうだ。これは全国初で、発電時も走行中も二酸化炭素(CO2)を排出せず、リチウムイオン電池を搭載し、軽くて強い炭素繊維を使って通常より1割軽い車体にしたそうだが、せっかくの先進的なバスであるため、色やデザインも人を惹きつけるおしゃれなものにできないだろうか?

 また、*4-2のように、ホンダは2015年11月にも燃料電池車(FCV)を年間1千台規模で生産して日米欧で販売し、トヨタも15年中にFCVを発売する計画とのことである。2020年代にはFCVの値段を「300万~500万円」にするそうだが、1995年頃から開発している割には目標が悠長で値段も高すぎる。

 それでも、自動車分野は、発電時も走行中も二酸化炭素(CO2)を排出しないシステムが可能になりつつあると言えるが、これは、「目標」を「現実」に合わせていては決してできないことである。

(5)再生可能エネルギーによる発電について
 *5-1のように、九州電力の発電所メンテナンス会社である西技工業が、鹿児島県姶良市加治木町に出力約140キロワットの水力発電所を建設すると発表したが、これは、姶良市が所有する農業用水路から水を引き、約50メートルの台地の落差を利用して発電を行うものだ。現在、発電に未利用の農業用ダムや水路が多いので、今後、この方式の増加が期待できる。

 また、*5-2のように、鹿児島県薩摩川内市でも市総合運動公園で整備を進めていた太陽光発電設備が完成し、九州電力の100%子会社「キューデン・エコソル」が事業を担って、発電量の約95%を売電し、約5%は武道館などに使うそうである。

 さらに、*5-3のように、日本政府は、アジアやオーストラリア沿岸の洋上で計画される液化天然ガス(LNG)開発の支援に乗り出すそうだが、日本企業が強みを持つ技術があるのなら、外国への支援よりもまず、日本近海のメタンハイドレートやレアメタルなどの資源開発をすれば、日本政府に税外収入が入る上、国内企業からの税収も増えるので、やる気を出してやって欲しい。

*1-1:http://www.minyu-net.com/news/news/0327/news11.html
(2014年3月27日 福島民友ニュース) 原子力政策の弊害を指摘 学会事故調が最終報告書
 日本原子力学会(堀池寛会長)の「春の年会」は26日、東京・東京都市大で開幕し、同学会の原発事故調査委員会(学会事故調)の最終報告書が説明された。東京電力福島第1原発事故の背景について「過酷事故が起こり得ないという(誤った)予断が、地元への説明や訴訟対策、安全規制の一貫性といった(原子力政策を進めるための)理由で正当化されてきた」として、安全神話に立脚した原子力政策そのものの弊害を指摘した。原発事故対策について、欧米は事故が起きた場合の住民避難など被害を最小限に食い止める原子力防災の考え(深層防護)が一般的なのに対し、日本は事故が起きないようにする対策にとどまっていたと指摘。原子力災害を特別視せず、台風などの自然災害などと合わせた統合的な防災対策が必要と提言した。

*1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/ronsetu.0.2654116.article.html
(佐賀新聞 2014年3月30日) 原発公聴会 見送って良かったのか
 原発立地県の地方紙8紙が今月中旬に掲載した「迫られる判断-原発立地県は今」。福島県の福島民報と福島民友新聞は「普通の生活の全てが失われた」「もう帰還は諦めたよ」などと、住民の声を取り上げていた。その切実さに胸をつかれた読者も多かっただろう。原発は、目立った産業がない地域に建設され、雇用を生み、地域経済を潤してきた。しかし、ひとたび深刻な事故を起こせば、ふるさとそのものを失い、揚げ句の果てには除染で出る汚染物質の中間貯蔵施設の受け入れまで迫られる現実。「ふるさとへの思いと現実の間で揺れ続けている」という住民の姿は、私たち原発立地県に暮らす者にとって人ごとではない。企画スタートと前後して原子力規制委員会は、九州電力川内原発(鹿児島県)を優先的に審査していく方針を決めた。規制委の田中俊一委員長は、優先審査に選ばれた原発は「合格の見通しが立ったと考えていい」としており、再稼働第1号がいよいよ見えてきた。その川内原発の地元、南日本新聞は、再稼働をにらんで環境整備を着々と進める鹿児島県の姿を描いていた。審査に適合後、再稼働への同意が求められる流れを見越して、早くも来年度当初予算案に「原発立地自治体として唯一、住民説明会費1200万円を盛り込んだ」とあった。是非はともかく、少なくとも再稼働に対する自治体としての姿勢は見える。一方、同じ九州でも「やらせメール」が尾を引く、佐賀県は事情が異なる。本紙では、古川康知事の「再稼働のプロセスは、国が責任を持って明確にすべき。県の対応は現時点で考えていない」というコメントが象徴的だ。県民の安全を第一に守るべき立場のはずなのに、国任せという印象も受ける。原子力規制委員会は、「立地自治体の希望があれば、自治体と共催で公聴会を開く」という方針を示したが、これに対して佐賀県など立地自治体は強く反発した。「開くなら規制委が主体的に開くべき」という主張だった。結局、規制委は一般からの意見は電子メールや手紙で受け付けるだけで、公聴会は「自治体の要請」を前提とし、実質的には見送られる見通しになった。果たしてこれで良かったのか。本来、住民の意見が反映されるチャンネルは、できるだけ多いほうがいいはずだ。しかも、今回の公聴会は開くとすれば、安全審査の途中というタイミングが考えられていた。審査に対する意見を述べるという貴重な場だけに、立地自治体はしっかり開催を要請し、規制委は責任を持って開く。これが、それぞれの責任ではないか。安倍晋三首相は国会で「再稼働は地元の理解を得るのが重要」と答弁、地元の判断を重要視するということだ。一方、規制委の田中委員長は会見で「私たちは再稼働の是非を審査しているわけではない」と繰り返す。規制委の役目は、あくまでも審査に適合しているかどうかを見ているのであって、再稼働の判断は政治の問題というわけだ。 となれば、なおさら立地自治体の判断は重大な責任を伴う。それを支える住民のコンセンサスをどうやって作り上げていくかが、今、問われている。(古賀史生)

*2-1:http://qbiz.jp/article/34353/1/
(西日本新聞 2014年3月26日) 九電、松浦火力を増設 建設再開へ、原発の新設見込めず
 九州電力は、石炭を燃料とする松浦火力発電所2号機(長崎県松浦市、出力100万キロワット)の建設を再開する方針を固めた。2014年度に発電所建設のための入札を実施し、自社による落札を目指す。原発の新増設や運転延長が難しくなっていることなどから、大型火力電源の開発が不可欠と判断した。27日に発表する14年度供給計画に入札実施方針を盛り込む。松浦火力発電所は1989年に1号機(出力70万キロワット)の運転を開始。2号機は05年の運転開始に向け01年に着工したものの、電力需要の伸びが計画を下回ったなどとして運転開始を11年度に先送りし04年に工事を中断。その後、運転開始を「23年度以降」に再延期して事業を凍結していた。九電は今回、23年度より早い稼働を検討しているという。九電は、川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)と玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の4基の早期再稼働を目指しているが、東日本大震災前に計画していた川内3号機(出力159万キロワット)は事業化の時期を見通せない状況。玄海1、2号機は原則廃炉となる稼働40年が迫り、運転延長の可否が焦点となる。全原発停止で活用している効率の悪い老朽火力の置き換えが必要と判断したとみられる。石炭火力は、二酸化炭素(C〓)の排出量が多い半面、燃料費が割安。電力市場の完全自由化をにらみ価格競争力を確保する狙いもあるとみられる。火力電源の新増設は、国の指針に基づき、経費抑制のため入札が求められ、他社が応札する可能性もある。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2651970.article.html
(佐賀新聞 2014年3月25日) PM2・5、北京は基準値の3倍 / 中国環境省が調査
 【北京共同】中国環境保護省は25日、北京、上海など全国主要74都市の昨年の大気汚染状況を発表、北京周辺地域では、微小粒子状物質「PM2・5」が中国政府の定めた基準値の3倍という深刻な汚染状況であることが分かった。北京と隣接する天津、河北省全体の昨年の大気1立方メートル当たりのPM2・5は年平均106マイクログラムで、中国政府が定めた年平均35マイクログラムを大きく上回った。全国74市で国の基準値以下だった都市はチベット自治区ラサなど3都市にすぎなかった。全都市の年平均は72マイクログラム。

*2-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014032102000175.html (東京新聞 2014年3月21日) 地球温暖化 切実な危機を知ろう
 今世紀末の日本は洪水の被害額が二十世紀末の三倍以上になる。砂浜も85%が消える-。地球温暖化の影響だ。環境省の研究チームが発表した報告書が示す、切実な危機をあらためて認識しよう。われわれが暮らす環境は、著しく悪化の一途をたどっているようだ。各大学や研究機関が集まり、コンピューターモデルによる気候変動予測を用い、二十世紀末と比べて、分野ごとにどんな影響が出るか計算した。現在のペースのまま、温室効果ガスの濃度が上がり続けると、年平均気温は三・五~六・四度も上昇するという。気温が大きく上がれば、身の回りの世界も生活も大きく変わる。例えば、今世紀半ばには暑さで脱水症などを起こし、死亡する人が二倍以上になる。ヒトスジシマカと呼ばれる、デング熱のウイルスを媒介する昆虫の分布域が拡大する。人の生命や健康に悪影響を及ぼすことになるわけだ。強い雨も頻繁に起きるため、洪水被害も起きる。金額に置き換えると、今世紀末には約六千八百億円の損失になるという。海面も約六十センチ上昇するらしい。高山に生えるハイマツは約五万平方キロあるが、百分の一の約五百平方キロにまで収縮してしまう。何しろ亜熱帯の果樹が首都圏で栽培できるというのだから、農業への打撃もまた大きい。研究チームの報告書は、予測される未来を描いているが、警鐘を鳴らしているのは、現在のわれわれに対してである。「温室効果ガス排出の抑制が必要だ」というのが強いメッセージだ。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第五次評価報告書でも、温暖化の原因は人間活動が原因である可能性が「極めて高い(95%以上)」としている。人間活動のあり方が、人間の暮らしに跳ね返る。つまり、人間の活動が地球の環境を悪化させてしまうならば、人間の努力によって、その制御も可能なはずだ。まず、その視座に立つべきである。省エネなどの取り組みだけでない。温暖化と表裏一体のエネルギー政策も転換せねばなるまい。事故が起きれば深刻な環境破壊を起こす原発に頼るのではなく、CO2を排出しない再生可能エネルギーの道を切り開いていくべきだ。温暖化問題は世界規模で手を携えなければ克服できない。人類の未来のために、人類の英知を結集すべき重大な岐路にある。

*2-4:http://www.nikkei.com/paper/related-article/tc/?
(日経新聞 2014.3.26) 国連、日本で温暖化討議 IPCC総会、きょう開幕
 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の総会が25日、横浜市で開幕する。各国の政府代表や研究者ら約500人が参加し、地球温暖化の影響に関する最新報告書を31日に公表する。「すべての大陸と海洋で重大な影響が観測されている」などとする評価を盛り込む見通しで、温暖化ガスの排出削減策とともに、被害を減らす適応策が最大の議題となる。総会が日本で開かれるのは初めて。報告書は温暖化対策を話し合う国際交渉の基礎資料となる。昨年9月にスウェーデンで開いた第1作業部会の総会では、今世紀末の平均気温は最大4.8度上昇すると予測し、人間活動が温暖化を起こした確率は95%以上とした。横浜市で開く第2作業部会の総会は、温暖化の各地域への影響や、適応策をまとめる。最終原案では(1)海面上昇や高潮被害で数億人が移住を迫られる(2)気温上昇や干ばつで穀物の生産量は10年で最大2%減る(3)大都市で氾濫リスク上昇(4)海洋生物は中・高緯度域で増え、熱帯域で減る(5)多くの陸上生物は温暖化に対応できない(6)都市部で熱波などの死亡リスクが高まる――などと予測した。また、温暖化で貧困や紛争が増え、被害を減らすには途上国だけで年700億~1000億ドルが必要と指摘している。今後の国際交渉では削減策と適応策の両方で実効性のある枠組みを築けるかが焦点になる。

*2-5:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2653997.article.html
(佐賀新聞 2014年3月29日) 日本は温暖化で「主導的役割」を / 国連総会議長
 【ニューヨーク共同】国連総会のジョン・アシュ議長は28日、4月1日からの来日を前に共同通信のインタビューに応じ、国連が重要課題に掲げる温暖化対策で、日本が再生可能エネルギー分野などで技術的な貢献をし「主導的役割」を果たすよう求める考えを示した。アシュ議長は「これまで通り(温暖化の原因となる二酸化炭素を大量に発生させる)化石燃料を発電に使い続けることはできない。より持続的な再生可能エネルギーへの移行が必要だ」と指摘。 「気候変動との戦いは科学技術が鍵を握る」と述べた上で「日本の技術は最先端だ」と称賛し、主導的役割に期待が集まっていると語った。

*3-1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2603S_W4A320C1PP8000/?n_cid=TPRN0006 (日本経済新聞2014/3/27)再生エネに数値目標 基本計画で政府検討、公明に配慮
 政府は中長期のエネルギー基本計画に、太陽光発電など再生可能エネルギーを拡大する数値目標を盛り込む検討に入った。計画の原案は数値を示していなかったが、明記を求める公明党の主張に配慮する。原発にかわるエネルギー源の確保を求める与党との調整は難航する可能性もある。政府は4月上旬にもエネルギー基本計画を閣議決定する。2月に示した計画の原案では、再生エネや原子力、火力の電源構成について将来の数値目標を盛り込んでいなかった。運転を止めている国内48基の原発が今後どれだけ動くか見通せないためだ。経済産業省は将来の電源構成が不透明な中で、数値目標は示せないと判断していた。原案は再生エネについて「3年程度、導入を最大限加速し、その後も積極的に推進する」とした。与党内の再生エネ推進派は、数値目標がないことに反発。特に公明党は12年の衆院選公約で「総発電量における再生エネの割合を2030年に30%にする」と明記した。脱原発依存を掲げてきた党内には「原発の再稼働を進める」とした政府原案に反発する声も強い。経産省と与党幹部は26日、20年以降の電源構成に占める再生エネの目標比率などを協議した。12年度時点では火力が88%、原子力が2%に対し、水力も含めた再生エネの比率は10%。経産省は政府が2010年時点で一時的に掲げた「30年に2割超」といった参考値を示したが、与党幹部は目標としての明記を求めたもようだ。再生エネの数値目標以外でも対立点は残る。原発から出る核燃料の処理について、政府は発電しながら核燃料を生み出す高速増殖炉「もんじゅ」の計画の見直しを示唆した。与党内には、より踏みこんでもんじゅ計画の廃止を求める声もあり、調整は27日以降も続きそうだ。

*3-2:http://qbiz.jp/article/34369/1/
(西日本新聞 2014年3月26日) 再生エネ買い取り制度、電気代月225円上乗せ 14年度
 経済産業省は25日、再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度」に基づく2014年度の電気料金の上乗せ額を、標準的な家庭で月額225円にすると発表した。13年度の全国平均(120円)の2倍近くになり、家計の負担が一段と重くなる。買い取り制度は、大手電力が買い取る太陽光などの電力量を予想して、買い取り費用を電気料金に上乗せする仕組み。14年度は、比較的大型の原発7基分に相当する約700万キロワットの再生エネルギーの導入が見込まれており、普及拡大に伴い、上乗せ額が大幅に増える。標準的な家庭は、電力使用量が1カ月当たり300キロワット時として算定した。5〜9月の検針期間は、現行制度導入前の家庭の太陽光発電を買い取る「余剰電力買い取り制度」(既に廃止)の影響が残るため電力会社によって最終的な上乗せ額は異なり、234〜240円になる。10月から来年4月の検針期間は、全国一律225円となる。併せて再生エネルギーの14年度の買い取り価格も公表。太陽光発電の買い取り価格は、事業者向け(消費税抜き)を13年度から4円引き下げて1キロワット時当たり32円、家庭向けは1円引き下げて37円とする。引き下げは2年連続となる。また太陽光発電事業者で、国から設備認定を受けながらパネルが値下がりするまで発電を始めないケースが多く見つかった問題では、認定後半年以内に土地や設備を確保しない場合、認定が失効することも決めた。発電の先延ばしにより、電力会社の買い取り予想量が膨張、電気料金の上乗せ額が必要以上に高くなっていた可能性があり、経産省の作業部会が制度の見直しを議論していた。

*4-1:http://qbiz.jp/article/32005/1/
(西日本新聞 2014年2月11日) 太陽光電力の路線バス CO2排出なし、北九州市が全国初導入へ
 北九州市は10日、太陽光発電の電力で走る電気バス2台を導入し、市交通局のバス路線で運行すると発表した。3月に一般電力で走行を開始。10月までに若松区響灘地区に出力7500キロワットの太陽光発電所を建設して太陽光電力への切り替えを進め、来年4月に完全移行する。同市によると、太陽光発電による路線バス運行は全国初。発電時も走行中も二酸化炭素(CO2)排出量はゼロで2台で年間30〜50トンのCO2を削減できるという。事業は、電気バスの車体や電池の開発に携わる東レエンジニアリング(東京)や三菱重工業(同)、同市の第三セクター「ひびき灘開発」が共同で実施する。総事業費は27億円。電気バスは72人乗りでリチウムイオン電池を搭載。軽くて強い炭素繊維を使って車体を通常より1割(約1トン)軽くして、充電1回当たりの走行距離を約80キロに伸ばす。市交通局に運行を委託し2路線を走らせる。来年春までに大型蓄電池を運用し、電気バスの電力を全て太陽光で賄う計画。電力消費量などのデータを収集し、他地域での電気バス普及などに役立てる。

*4-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140326&ng=DGKDASDZ190HE_V20C14A3TJ0000 (日経新聞 2014.3.26) 燃料電池車、トヨタ・ホンダが年1000台生産 来年から、まず1000万円切る価格
 ホンダは2015年11月にも「究極のエコカー」とされる燃料電池車(FCV)を年間1千台規模で生産し、日米欧で販売する。トヨタ自動車も15年中にFCVを発売する計画。当面の価格は1千万円を切る水準とみられ、20年代には500万円以下を目指す。FCVは現在リース方式だけで使えるが、15年からは個人や企業などが所有し、普及が急速に進みそうだ。FCVは先に実用化された電気自動車(EV)に比べて1回の燃料補充で走れる距離が長く、実用性も高いとされる。ホンダは15年中の発売を目指し、5人乗りセダン型FCVの開発を進める。炭素繊維を使ったタンクに燃料を高圧でため、1回の充填でEVの2倍に当たる約500キロメートルを走る。日本での価格は1千万円以下に抑える。狭山工場(埼玉県狭山市)で生産する。同工場はセダンやミニバンなど複数の車種を効率よく生産するのに向く。当初は数量が少ないFCVの生産コストを抑えるのに最適と判断した。5年間で約5千台を生産し、欧米に順次輸出していく。ホンダは13年に米ゼネラル・モーターズ(GM)と燃料電池システムの共同開発で提携し、20年に低コストのシステムを実用化する考え。15年に発売する車両でもGMの技術の活用を検討する。トヨタは本社工場(愛知県豊田市)でFCVを生産する。ホンダと同規模となる「年1千台の生産体制」(幹部)を築く方針だ。セダン型を日米欧で15年から市販する。価格は詰めているが、1千万円を切る水準を目指す。20年には年数万台規模に増やす。トヨタはFCVの公道実験を始め、安全面など信頼性を高めるための取り組みを進めている。発電装置は小さくして座席下に置き、車内空間を広くする。水素タンクも開発時の4本から2本に減らし、コストの引き下げなどを進める。ホンダ、トヨタともに生産量が少ないうちは大がかりな設備投資を避ける考え。トヨタは20年代にはFCVを「300万~500万円で売りたい」(開発担当者)という。販売増に伴ってコスト削減を加速する方針だ。
★燃料電池車 水素を燃料に使い、酸素と反応させて作った電気でモーターを回して走る。水を電気分解すると水素と酸素ができる反応を逆にした仕組みだ。水しか出さず、二酸化炭素など排ガスはゼロとなる。電気が発生する小さな部品「セル」を重ねて電源システムを作る。FCVは「Fuel Cell Vehicle」の略。

*5-1:http://qbiz.jp/article/31893/1/
(西日本新聞 2014年2月8日) 鹿児島・姶良市に水力発電所 西技工業、九電グループで初
 九州電力グループの発電所メンテナンス会社、西技工業(福岡市)は7日、鹿児島県姶良市加治木町に出力約140キロワットの水力発電所「龍門滝発電所」を建設すると発表した。九電のグループ会社が水力発電所を造るのは初めて。投資額は約2億円の見込みで、姶良市が所有する農業用水路から水を引き、台地の約50メートルの落差を利用して発電を行う。3月に着工し、来年6月に運転を開始する。年間発電量は一般家庭300戸分に相当し、全量を九電に売り、年間1200万円程度の売り上げを見込む。

*5-2:http://qbiz.jp/article/31986/1/
(西日本新聞 2014年2月11日) 避難施設で太陽光発電 薩摩川内市、災害時に電力供給
 鹿児島県薩摩川内市が災害時の避難所となる市総合運動公園で整備を進めていた太陽光発電設備が完成し、10日稼働した。平常時はほぼ全発電量を九州電力に売り、災害で停電した際は電力系統を切り替え体育館などの施設に電力供給するシステムを導入した。市によると、自治体が防災機能強化のため、発電事業に取り組むのは国内でも珍しく、電力系統を切り替える仕組みは国内初という。公募で選んだ九州電力の100%子会社「キューデン・エコソル」が事業を担う。駐車場や体育館の屋根に取り付けた太陽光発電の出力は計670キロワットで、年間発電量は一般家庭約200世帯分にあたる75万キロワット時を見込む。発電量の約95%を売電し、約5%は武道館などに使う。災害時には施設に電力を供給し、非常用発電機とともに動かすことで、発電機の稼働を延長させる。約2600人収容で市最大の避難所となる体育館の電力を自前で供給できる態勢が整ったという。総事業費は約6億円で同社が負担。市は昨年3月、設備の所有権を持つ同社と2033年までの20年間のリース契約を結んだ。20年間の売電益でリース料金全額を賄う計画で、市は同社に15年目まで年約4千万円を支払い、16年目以降は約500万円を支払う。この日の完成式では、岩切秀雄市長らがスイッチを押し発電を始めた。岩切市長は「市民の安心安全な暮らしに寄与できる。次世代エネルギーを活用したまちづくりを理解する場所になる」と期待を寄せた。

*5-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140327&ng=DGKDZO68924700X20C14A3EA1000
(日経新聞 2014.3.27) 政府、洋上LNG開発を支援  日本企業の参入後押し 融資保証や出資
 政府はアジアやオーストラリア沿岸の洋上で計画される液化天然ガス(LNG)開発の支援に乗り出す。融資保証や出資を通じて、日本のプラントメーカーや造船会社の事業参入を促す。洋上LNGは将来の市場拡大が見込まれる有望分野。日本企業が強みを持つ技術を生かし、受注を拡大できると見ている。経済産業省が28日開く「総合資源エネルギー調査会」の専門部会で方針を示す。独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の制度を活用する。洋上LNG設備を受注する日本企業の借り入れの最大75%を保証したり、企業が参加する開発合弁会社に出資したりする。洋上LNGプロジェクトは2016年前後の生産開始を視野に、豪州や東南アジアで複数進んでいる。国際石油開発帝石が運営参加する豪州の「プレリュードプロジェクト」やマレーシア国営会社主導の「サラワク州沖プロジェクト」がある。JOGMECが資金を出すのは設備の発注が始まる2~3年後だが、ガス田の開発には時間がかかるため、早めに政府支援を打ち出すことで日本企業の参加を促す。洋上LNGは海底から天然ガスを吸い上げ、巨大な船のような洋上の浮体式設備で液化する。通常の洋上ガス田がガスを陸まで運んで液化するのに対し、洋上LNGならば1キロメートルで数億円とされるパイプラインの敷設費用がかからない。ネックは浮体式設備をつくる費用がかさむこと。1基3000億~5000億円とされ「資金面のリスクが壁となり、容易に参入できない」(プラント大手)との声が出ているため、政府が資金支援に乗りだす。海洋資源開発への投資規模は現在の6兆円から20年に11兆円に拡大するとの試算がある。なかでも大型ガス田が減るなか洋上LNGは有望分野として、設備の受注案件の増加が見込める。日本企業が強みを持つ技術も生かしやすい。三井造船子会社は、揺れる海上プラントでも安定して操業できる技術を持つ。IHIは波で揺れても内部のLNGが気化しにくいタンクを開発しており、世界中のプラントメーカーが注目する。ただ、韓国の造船会社などとの競合も激しい。政府は資金面で後押しして、今後の洋上LNGの開発で日本メーカーが主役になることをめざす。技術を蓄積し、「メタンハイドレート」など日本近海の資源開発に生かす思惑もある。メタンガスと氷が混ざったもので、日本近海に国内のガス使用量100年分の埋蔵量があるとされる。ただ、開発コストが高く実用化のメドが立たない。政府は洋上LNGの技術がこうした資源開発にも役立つと期待する。


PS(2014.4.3追加):*6の記事もあったが、再生可能エネルギーの比率を2020年時点で13.5%、30年時点で約2割というのは、あまりにも導入に積極性がなさすぎる。また、「最適な電源構成の比率を決める」などというのは、社会主義の計画経済の下で行うものであり、市場経済では、電源構成の比率は、公正な競争の下、市場原理で決まるものだ。

*6:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140402&ng=DGKDASFS02009_S4A400C1EAF000 
(日経新聞 2014.4.2)再生エネの導入目標 自公協議が決着 政府案の表現強める
 自民、公明両党は2日、原子力発電を重要電源と位置づけたエネルギー基本計画の政府案の内容について合意した。焦点だった再生可能エネルギーの導入目標は「これまでの目標をさらに上回る水準の導入を目指す」とした。「これまでの目標を上回る」としていた政府案の表現を強めた。3日夕の与党エネルギー基本計画ワーキングチームで、同計画の政府案を受け入れることを正式に決める。政府は来週の閣議決定を目指す。再生エネルギーの比率をめぐって、基本計画は2020年時点で13.5%、30年時点で約2割にするとの東日本大震災発生前につくった目標を参考値として付け加えた。政府は最適な電源構成の比率を3年以内に決める予定。2月に示した政府案は構成比率を示していなかったが、12年の衆院選で「30年の再生エネの割合を30%にする」と明記していた公明党は基本計画に数値目標を盛り込むよう求めていた。再生エネの導入に積極的に取り組む方針を明記し、原子力発電への依存を弱めていく姿勢を打ち出したい考えだ。


PS(2014.4.5追加):燃料電池車などのエコカー燃料を、*7のように、下水汚泥を発酵させ、バイオガスを作って利用すれば、地方自治体に税外収入も入り、安価な国産燃料となるので一石三鳥だ。税金を払う人も大変であるため、他の地方自治体でも、創意工夫や応用をしてもらいたい。

*7:http://qbiz.jp/article/35123/1/
(西日本新聞 2014年4月5日) 下水からエコカー燃料 福岡市、九大など実証事業
 福岡市と九州大などは4日、下水処理の過程で出る汚泥から水素を作り、燃料電池自動車向けに販売する実証事業を始めると発表した。都市部で多量に発生する下水から未来のエネルギー源を取り出す試みで、来年2月をめどに市中部水処理センター(中央区荒津2丁目)内に製造プラントと水素ステーションを建設。下水処理場で燃料電池自動車向けの水素を製造する事業は全国初という。中部水処理センターは現在、一日約20万トンの汚水を処理。汚泥の一部を発酵させてつくったバイオガスを、場内施設向けの発電などに利用している。新たな事業では、バイオガスをメタン(CH4)と二酸化炭素(CO2)に分離。メタンを化学反応させて水素(H2)を取り出して精製し、99・99%以上の高純度の水素を1日当たり約3700立方メートル製造する。自動車70台分の燃料電池を満タンにできる量という。CO2もハウス栽培のレタスの生育促進に活用するという。事業にはプラントメーカーと商社も参加。国土交通省の実証事業として、プラント建設などの費用約13億円は、国が全額負担する。記者会見した九州大大学院工学研究院の田島正喜教授(水素製造システム研究室)は「水素は(低コストでの)運搬が難しかったが、都市部の下水から生産し、その場で活用できれば、こうした課題を解決する有効なモデルになる」と話した。事業では約1年かけてコストなどを検証する。


PS(2014.4.6追加):昨日、埼玉県の自宅近くにあるイトーヨーカドーに買い物に行ったら、*8の「星空の黒牛」という牛肉が出ていた。これは、PM2.5に悩まされている九州の弱点をついた賢い命名だと思ってしばらく見入ったが、そもそも摩周湖は美しく、本当に行く価値のあるところだ。

*8:http://list.tabiiro.jp/303483.html <星空の黒牛>
 いい水、空気、大地だからできる極上の肉北海道・標茶(しべちゃ)にある、摩周湖の清らかな水をたたえる広大な牧場。ここで誕生したのが、上質な黒毛和牛と体が大きなホルスタイン種を掛け合わせた「星空の黒牛」。名前は牧場の上に輝く星空から名付けられたものだ。空気が澄んでいなければ満天の星は仰げないことから、牛たちがいかに素晴らしい環境で育てられているかを表している。牛は有機農法で育てた牧草を食べて育ち、味はジューシーでほどよい歯ごたえのある赤身、豊かなコクを持つ脂身のハーモニーが格別。稀少価値が高いので取扱店が限られているが、ぜひ足を運んで味わいたい。
●旨みを存分に秘めた肉
 赤身、脂身ともにたっぷり旨みを含んだ「星空の黒牛」。その肉質は歯ごたえもあり、食感も優れて
 いる。
●清らかな水を湛える原野にある牧場
 「星空の黒牛」はその名の通り、空気の澄んだ牧場で育てられる。夜は星もキレイに見える大地は、
 摩周湖の伏流水を湛える豊かな土壌が魅力。

| 資源・エネルギー::2013.10~2014.10 | 06:08 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.3.18 農業からできるエネルギーは大きい
      
 *1-2より   *1-1より 3月18日西日本新聞   3月18日日経新聞
          (画像をクリックすると大きくなります)

(1)営農発電は、一石四~五鳥ある
 *1-1、*1-2、*1-3のように、営農しながら発電し、営農に利用したり、電力の販売を行ったりする方法ができた。農業が本気でこれを行えば、輸入化石燃料の単価に振り回されることなく、安い燃料コストで農業生産を行うことができる。また、農地からかなりの副収入が得られるため、最初に国が施設設置費を補助したとしても、その後の所得補償として農業に支払われる補助金を削減することができ、国の財政支出を削減することができるため、国民にもメリットがある。

 さらに、エネルギーとして電力を使うため、制御しやすく、安価に次世代の園芸に進化させることができるし、それは国産エネルギーであるため、外国への支払いが生じず、エネルギー自給率を上げる。

(2)地域で、作物・発電方法の最適ミックスを選ぶべき
 もちろん、次世代の園芸になったからといって、液肥で育てた形だけでミネラルや栄養価の乏しい作物を作ってもらいたくはないし、そのような作物が市場を席捲するようでは困る。しかし、これについては、もう理解されているだろうから、まずは農業者の良心に任せたい。

 そのため、作物と発電方法の最適ミックスを研究し、地域によって選ぶことが必要だが、気候が異なるため、これを中央集権で考えることはできない。

(3)「原発、原発」と言ってまだ未練をもっている人は、「馬鹿」としか言いようがない
 そのような中、*2のように、「2050年までに温室効果ガス40~70%減必要だが、それには太陽光や風力などの再生可能エネルギーや原子力といった低炭素エネルギーの比率を、現在の17%から3~4倍に急拡大させる必要性があると強調された」そうで、「原発は成熟した低炭素技術だが、世界的なシェアは1993年から減少している」とも指摘しているなど、環境に悪影響を及ぼすのが、まるで温室効果ガスだけだとでも言いたげな無知ぶりには呆れるほかない。*3-2の福島の退会表明はもっともである。

 また、*3-1では、規制委が「大量の放射性物質の放出につながる事故を100万年に1回以下に抑えるなど原発の安全目標を掲げている」と書かれているが、STAP細胞に求めたのと同じ精度で「100万年に1回以下」という証明をするのは、津波・地震の発生や放射線の生物に対する影響について、ここまで想定外が多く無知な関係者にできるわけがないため、私企業の損害保険の対象となる筈もなく、このようなレベルの研究機関を設置することは、予算の無駄遣い以外の何物でもない。

*1-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26486
(日本農業新聞 2014/3/13) [営農発電・最前線 7] CO2排出削減 オール電化で省エネ
 愛知県田原市はJA愛知みなみなどと低炭素施設園芸づくり協議会を組織、2010年度から菊苗業者、イシグロ農芸のハウスで低炭素モデルの実証試験をした。断熱性を高めた2重被覆で省エネ化、ヒートポンプの導入でオール電化とし、太陽光発電で一部の電力を自給、二酸化炭素(CO2)排出量を90%近くも削減した。
●菊でモデル事業
 同市は日本有数の施設園芸地帯だ。農業生産額724億円の半分が花でその90%が菊。市農政課の横田浩一主任は「花作りを続けるには高い技術が必要と考え、モデル事業に取り組んだ」と説明する。672平方メートルの耐候性ハウスを建て太陽光発電や発光ダイオード(LED)照明など、最先端技術を投入した。太陽光発電は2系統ある。一つはハウスの天窓部分に出力7.8キロワットのパネルを設置。天窓の開閉やカーテンの巻き上げなどの電源として使い、余剰分を売電する。もう一つは敷地内に設置した2.2キロワットの屋外施設で、蓄電し夜間、LEDに使う。屋根はガラスに16センチ四方の発電素子を天窓面積の50%になるよう配置した注文品で遮光率が屋根全体の約5%になるよう設計した。イシグロ農芸の中島康善社長は「10%では品質に影響すると考え5%にした。柱など部材を白くしフィルムも光が散乱する加工をした」と品質重視を強調する。外壁フィルムは専用アルミ部材で2重窓のようにフィルムを2センチ弱の間隔で2層に張った。この一つの技術で重油の使用量を25%削減できた。重油ボイラーを使わずヒートポンプ5台、電照はLEDを100灯導入した。太陽光発電、高断熱化と散乱光利用、省エネ機器、加えて複合環境制御を導入した。天窓の発電量は1年間で9500キロワット時程度の実績だった。12年度に購入した電力は約54万円、一方で33万円の売電をした。太陽光発電で必要な電力の6割を賄えたと見る。CO2削減率は10年度が冬作1作で84%、11年度が夏冬2作で86%、12年度夏冬2作で88%だった。LEDは赤色、遠赤色、青色を試験、赤色は花芽抑制効果を確認。消灯後の増加葉数は白熱電球と遜色なかった。
●消費者招き教室
 40品種を栽培し見本園とする一方、消費者を招き親子花育教室を開き、低炭素園芸への理解を深めた。最終年度の今年も1日に開催、約50人がフラワーアレンジメントに挑戦した。中島社長は「電力を自給しないとCO2排出は抑えられない。太陽光発電も一つの手段だ」と訴える。既存ハウス(946平方メートル)も12年度にリフォームし複層化、天窓に太陽光パネルを設置、低炭素化に挑戦する。環境省の統計によれば、1965年の大気中のCO2濃度は320ppmだったが、昨年気象庁が観測している国内全地点の観測データは400ppmを超えた。温暖化ガスの濃度が高まっている。政府は原発事故を受け25%削減の国際公約を撤回したが、温暖化対策は待ったなし。CO2を排出しない太陽光発電には消費者の関心も高まる。

*1-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26458
(日本農業新聞 2014/3/12) [営農発電・最前線 6] 共同事業 企業と連携、薬草栽培
 徳島市の農家4人が営農型発電施設の設置に合わせ、国府花園薬草倶楽部(くらぶ)有限責任事業組合を組織した。奈良先端科学技術大学院大学の教授らが組織するベンチャー企業、(株)植物ハイテック研究所と連携し、遮光率50~60%に設定したパネルの日陰を生かして、薬草の産地化を目指す。
●耕作放棄避ける
 農家は同市国府町花園の松内豊次さん(65)、以西秋美さん(64)、岩崎滋大さん(58)、簑手重夫さん(53)。町内の農地は農用地区域内農地だが、戦後水路を手作りして以来整備されていないため、水利が悪い。パイプライン化の計画が持ち上がったが、高齢化で農家の事業意欲が弱く2012年2月に 頓挫した。このままでは耕作放棄地になるという危機感が高まった。「今後の地域農業の活性化策をどうしようと話し合う中で太陽光発電のアイデアが出てきた」と花園土地改良区の役員だった松内さんが説明する。一方、岩崎さんは知人から薬草などの知識と、産地化するときの組織として、有限責任事業組合(LLP)設立を助言された。以西さんは橋梁の設計会社の会社員で、松内さんと簑手さんは電気設備業などをそれぞれ経営する。兼業で得た知識を生かして対策を検討し、LLPで薬草を栽培、産地化する構想を立てた。13年6月にLLPを平等に出資し設立した。LLPは05年の法律施行で創設された共同事業をするための組合組織だ。代表者を置かず組合の業務執行は総組合員の同意によって運営し、利益を全額平等に分配できる。こうした点を「評価した」と岩崎さん。
●6次化も視野に
 資材を安価に調達するため、共同購入をし、販売も共同でする。営農を継続するため、互いに営農できなくなったときは、組合が作業を受託し農地を守る。さらに薬草の加工など6次産業化も視野に入れる。営農型発電施設を置く農地は本人か父親の所有だ。節税対策でそれぞれが既に所有する会社か新たに設立した会社が空中を借り、農地は個人が耕作する形にした。薬草栽培は植物ハイテック研究所が支援、種苗も供給する。13年8月に協定書を結んだ。栽培する作物は山菜、ホースラディッシュ、ハーブも予定する。同社は産地化の熱意に共感して応援。需要のほとんどを輸入に頼る薬草もある中、この提携で、国内生産量を増やしたいと考えている。営農発電型施設は合計で3.85ヘクタールの農地に19カ所、出力3.58メガワット。1カ所はLLPの活動資金に充てる共同発電所とする。以西さんは「12年9月から農業委員会に相談し根気よく説明した」と振り返る。13年8月に申請し11月に許可された。一部は12月から売電している。現在工事中で、年内には全部の売電を始めたい考えだ。

*1-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26326
(日本農業新聞 2014/3/5) 木質バイオ推進を 「エネ基本計画」 自民が提言
 政府は、中長期的なエネルギー政策の方向性を示す新たな「エネルギー基本計画案」を取りまとめた。これを受けた自民党の議論で、再生可能エネルギーも焦点の一つに浮上している。特に、木質バイオマス(生物由来資源)発電は、基本計画案では導入拡大の「期待」にとどまっており、明確な導入目標を明記するよう注文がついている。
●明確な導入目標 要望
 政府はエネルギー基本計画案について、与党内での調整を経て3月中の閣議決定を目指す。最大の焦点の原発は、季節や時間帯にかかわらず一定の電力を発電し続ける「ベースロード電源」と位置付けて重要視し、再稼働したい方針を鮮明にした。一方、再生可能エネルギーについて「2013年から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していく」とした。木質バイオマス発電も「安定的に発電を行うことが可能な電源となり得る、地域活性化にも資するエネルギー源」と評価した。ただ、導入に向けた方針では「拡大を図っていくことが期待される」と、あいまいな姿勢にとどまっている。「木質や廃棄物など材料や形態がさまざまであり、コストなどの課題を抱える」と、むしろ難しさを指摘している。これに対し自民党では「自給率の向上に貢献し、ベースロード電源になり得る木質バイオマスをしっかりと位置付けるべきだ」「木質バイオマスの導入目標を示してほしい」「再生可能エネルギーは本気度が足りない」などの不満や注文が続出。同党の木質バイオマス・竹資源活用議員連盟(宮路和明会長)でも、同計画の策定に当たって木質バイオマス発電の積極的推進と明確な目標を盛り込むことなどを提言している。今後、計画案について与党内で議論を進め3月中にまとめる考えだが、再生可能エネルギーの位置付けをめぐっても議論が続きそうだ。

*2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11034972.html?iref=comkiji_redirect 
(朝日新聞 2014年3月18日) 2050年までに温室ガス40~70%減必要 原発の位置づけ後退 IPCC報告書案
 地球温暖化による環境の激変を避けるには、2050年までに世界の温室効果ガス排出量を10年に比べて40~70%減らさなければならないとする気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最終報告書案を朝日新聞が入手した。達成には、二酸化炭素(CO2)排出の少ないエネルギーの割合を大幅に増やす必要があるとしつつ、東京電力福島第一原発事故などを踏まえ、原発の位置づけは後退させた。内容がわかったのは、温室効果ガスの削減策について最新の研究成果をまとめる第3作業部会の報告書案。4月にドイツである会合で承認される。報告書案によると、世界の温室効果ガス排出量は人口増と経済成長を背景に00年以降加速。10年にCO2換算で495億トンとなった。大気中の濃度は過去80万年で最も高い約400ppmまで上昇している。環境激変を避けるためには、19世紀半ばの産業革命前と比べて気温上昇を2度以内に抑える必要があると国際交渉で合意されてきた。報告書案は2度を突破しないために、今世紀末の濃度を480ppm以下に抑える必要性を指摘。また530ppm以下でも2度以内に抑えられる可能性が50%以上の確率で残っているとした。達成するためには、50年の世界の排出量を10年比で40~70%削減しないといけないという。現状の国際交渉では排出量を減少に転じさせるめどすら立っていない。重要対策として位置づけたのが最大の排出源になっているエネルギー供給分野だ。当面は石炭火力発電所を天然ガス発電所に変えていきながら、太陽光や風力などの再生可能エネルギーや原子力といった低炭素エネルギーの比率を、現在の17%から3~4倍に急拡大させる必要性を強調した。交通、建物、産業分野での省エネ技術のいっそうの普及なども挙げた。ただ、原発については、「成熟した低炭素技術だが、世界的なシェアは1993年から減少している」と指摘。安全性や廃棄物処理など未解決の課題を挙げた。7年前の前回報告書では、原発を重点技術として将来のシェア拡大を見込んでいた。
◆キーワード
<IPCCと報告書> 地球温暖化に関して世界中で発表された研究成果をまとめる国連機関。1990年以来、繰り返し評価報告書を発表し、現在2007年以来の第5次に取り組んでいる。

*3-1:http://www.nikkei.com/paper/related-article/tc/?
(日経新聞 2014.3.18) 原発リスク、産学で研究 経産省、研究機関の設置提言へ
 電力会社や原子力の学界は原子力発電所のリスクを研究する機関を今夏にも設置する検討に入る。東京電力福島第1原発事故を受け、地震や津波など想定外のリスクを過小評価しない体制を整える狙い。事故が起きる確率や客観的なデータを用いて、電力会社ごとの自主的な安全対策の強化を促す。経済産業省の有識者会議が14日、原発のリスクを研究する機関の創設を提言する。電力会社などは提言を受け、重電メーカーの技術者や大学の研究者を集める。海外で原子力の研究や規制に携わった人材の確保も検討する。原発の安全審査は国の原子力規制委員会が担う。ただ想定外の地震や津波の発生に備えて「業界は規制水準を上回る安全対策をとるべきだ」との声が上がっていた。規制委は「大量の放射性物質の放出につながる事故を100万年に1回以下に抑える」など原発の安全目標を掲げている。新たな研究機関では数値や確率をもとにした安全対策を練り、事業者に実施を求める。有識者委は、原発が損害保険の対象となる体制を整えることなども提言する見通し。

*3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2648312.article.html
(佐賀新聞 2014年3月18日) 福島が原発立地議長会の退会表明 / 再稼働方針に相いれず
 福島県議会の平出孝朗議長は18日、原発が立地、あるいは立地予定の14道県の議会議長でつくる「原子力発電関係道県議会議長協議会」(会長・飯塚秋男茨城県議会議長)から、本年度末に退会すると明らかにした。原発再稼働を前提とする協議会の方針と、原発廃炉を目指す福島県は相いれないというのが理由で、この日に開かれた福島県議会各会派の代表者が集まる会合で表明し、各会派から賛同を得た。会合で平出議長は、政府のエネルギー基本計画案が原発を重視していることなどから、「協議会で原発再稼働の動きが活発化していくことは明らか」と指摘した。

| 資源・エネルギー::2013.10~2014.10 | 11:56 AM | comments (x) | trackback (x) |
2014.3.10 太陽光発電の大きな将来性と「原発がなければ産業が衰退する」というのは嘘であること (2014.3.14に、養殖漁業と洋上風力発電に関する追加あり)
    
*4-1より *4-2より *5-1より  イチゴ収穫ロボ      耕うんロボ  

 私は理科系の人間で、遺伝子や生命科学に関心を持って東大理科Ⅱ類に入学し、医学部保健学科を卒業した。そのため、生物学・疫学・栄養学・公衆衛生学・人類生態学・環境・精神衛生学などに詳しい。しかし、男女雇用機会均等法もなく、女性差別やセクハラ、アカハラも普通に存在していた時代に大学を卒業したので、結婚しても生涯にわたってやり甲斐を持って働くために再勉強して公認会計士となり、外資系のプライスウォーターハウス(現在ビッグ4の一つで、当時はビッグ8の一つ)に入って監査業務・税務業務に従事した(後は、プロフィール参照)。

 つまり、私は、このような経歴から、会計学・監査論・商法・税法・経済学・法律などの文科系の知識にも詳しく、理系と文系の両方の知識を持っており、監査実務と税務実務の経験を持って発言しているのである。しかし、発言の背景を説明するためにこういうことを書くと、わが国では、「(女のくせに)生意気だ」「謙虚でない」「嘘!」「完全な人などいない筈だ→いてはならない」等の批判をされることが少なくない。これは、上昇志向の女性をやりにくくしている、”日本文化”の名の下に行われるジェンダーだ。

(1)原発が産業を支えているのではない
 私は、1982年に公認会計士二次試験合格後、プライス・ウォーターハウスに入社し、それこそいろいろな会社の監査チームに入れてもらったが、日本軽金属(株)の監査チームにも入れてもらっていた。日本軽金属は、*1で「去りゆく企業が、また一つ出て、アルミ製錬の二の舞いになろうとしている」書かれているアルミ製錬会社で、日本でのアルミ製錬から撤退してカナダのアルキャンと提携した。当時、私は、会社の担当者と話をしていて、「アルミは電気の塊ですから、日本の電気料金ではナイアガラの滝で発電して精錬しているアルキャンにはかないません」と言われたのを覚えている。この時期、日本ではすでに原子力発電が行われており、燃料が何であれ、燃料を使って発電する限り、自然エネルギーにはかなわず、まして、運賃をかけて外国産の燃料を購入すれば、どの産業でも負荷が大きいのは当然だ。

 それに加えて、私がこのブログの原発や資源エネルギーのカテゴリーに何度も記載したように、日本では電力会社が地域独占であり、高コスト構造だ。そのため、*1の「原発停止に伴う燃料輸入増は付加価値を生まない純粋な国富流出で、日本経済の体力は日々弱まっている」という主張は、電力の構造改革をせずに輸入化石燃料か輸入核燃料かの二者択一で比較した点で、本質を見誤っている。

 さらに、「鉄鋼原料のくず鉄を溶かす時に大量の電気を使う電炉業は、原価の2~3割を電気料金が占めるので、電気料金値上げが打撃となり生き残りは難しい」と書かれているが、それなら、他の方法でくず鉄を溶かすか、他の方法で電力を調達するか、廃業するか、政治に働き掛けるかを選択すべきだ。

 なお、日本軽金属の監査では、もう一つ、面白い経験をした。それは、倉庫で実地棚卸の立会をしていた時に、薄暗い倉庫に入ったら光で発電していた電卓がすーっと消えたことである。私は、この時に光発電の実力を知り、1994~1995年頃、現在の太陽光発電の提言をした。

(2)再生可能エネルギーは、年間100億kWhのペースで増加している
 *2のように、太陽光発電を中心として再生可能エネルギーの発電設備が続々と運転を開始し、年間の発電量が、電力会社10社の総販売量の10%を超える規模になったそうだ。

 再生可能エネルギーには、太陽光のほかに、中小水力、風力、地熱、汐潮、バイオマスなどがあり、固定価格買取制度が始まった2012年7月から1年5カ月の間に発電規模が3割以上拡大し、100億kWhに近づいて、比率は1年に1ポイント以上、上昇する見込みだそうだ。今後も同様のペースで増えれば、再生可能エネルギーの比率は毎年1ポイントを上回る勢いで上昇するとのことだが、再生可能エネルギーの利点は、国内にある資源を使うためエネルギー自給率が100%であり、燃料費は無料で、環境負荷も小さいことである。

(3)農業の挑戦は効果が大きい
1)圃場での太陽光発電
 *3のように、電気も作物と考え、太陽光を作物と分け合って営農を続けながら同時に発電し、安定した副収入を得るという考え方が広まってきたのは期待できる。何故なら、圃場は広く、営農活性化、耕作放棄地再生、二酸化炭素排出抑制に繋がり、安定的副収入を得られるからだ。そのため、営農型発電施設に補助する方が農業の所得補償をするよりも、エネルギーと食料自給率向上にメリットがあると思うが、そのためには、太陽光を作物と分け合える太陽光発電機器のさらなる進歩が望まれる。

 また、*4-1のように、太陽光発電の遮光性を積極的に活用し、林間などでの栽培が適しているセンリョウ、薬草、シイタケなどで太陽光発電を取り入れたり、日射量の多い広い圃場で栽培される水稲やかんきつ園で導入したりもしている。そして、*4-2のように、一本脚型施設へと進んできているが、どういう設置の仕方をしても太陽の向きにかかわらず発電量が大きくなるよう、鏡かレンズを使って太陽光を一点に集めた上、より狭い面積の多結晶型シリコンで発電できる機器ができないのだろうか。

2)ハウスでの太陽光発電
 東日本大震災に伴う原発事故を契機に、福島県は復興への主要施策として再生可能エネルギーの推進に力を入れており、全エネルギーに占める割合を基準年度(2009年度)の21.2%から40年度には100%として、その後は、それ以上を目指しているそうだ。

 そのうち太陽光パネルメーカーであるソーラーフロンティアの事業は、天窓にパネルを取り付けて1334平方メートルのハウスでイチゴとトマトを栽培するもので、40.5キロワットの出力があり、ハウス内の植物の生育に影響はないとのことである。そのため、地中熱やヒートポンプと組み合わせれば輸入重油も不要にできるので、ハウスの燃油に補助するよりも、次世代型ハウスの建設や太陽光パネルの設置に補助した方が、日本のエネルギーと食料の自給率向上に資すると思う。

 このような中、*5-3のように、関東甲信、東北を中心に発生した記録的な大雪で、ビニールハウスの損壊が24都府県で約9500件に上った。そのため、ハウスの再建時には、ハウスを次世代型にするため、太陽光パネルや自動化機械の設置にも補助をつけた方がよい。

3)ロボット化
 *5-2のように、手間がかかっていたイチゴのパック詰めを素早くできるロボットが登場し、佐賀県白石町でお披露目されたそうだが、農作業ロボットは、大規模化した農業を効率化し、農業の生産性を向上させるKeyとなる。そのため、性能のよいロボットの開発と安価な普及が望まれるが、そのロボットは、自家発電の電気を動力とすべきだ。

(4)「エネルギーを得るためなら何でもあり」は、もう古い
 *6のように、大分県宇佐市は、市景観審議会に対して、大規模太陽光発電所(メガソーラー)進出への対応策を検討するよう諮問したそうで、市として良好な景観を維持しながら進出に対応していく方策を探ることになったのは、大変よいことだ。

 これまで日本では、石炭、原油、原子力など、「エネルギーを得るためなら何でもあり」という価値観が続いてきた。しかし、これに、大規模太陽光発電所による太陽光発電が加わることのないよう、ゼロエミッション住宅や営農と両立する田園発電などによる太陽光発電を促す仕組みにしたいものである。

*1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140309&ng=DGKDZO68006420Z00C14A3MM8000 (朝日新聞 2014.3.9) 去りゆく企業 またひとつ
 雪なお深い北海道小樽市東部の銭函工業団地。創業約80年の製鉄会社が9日、ひっそりと操業を停止する。新日鉄住金系の電炉メーカー、新北海鋼業の本社工場だ。
●値上げで廃業
 鉄鋼原料のくず鉄を溶かす時に大量の電気を使う電炉業は、原価の2~3割を電気料金が占める。昨年9月からの電気料金上げが打撃となり「生き残りは難しい」(同社幹部)と判断。2月19日に事業停止の検討に入っている。原子力発電所の稼働停止が、企業の活動をむしばみ始めている。1キロワット時の発電に必要な燃料費は原発が1円に対し、石炭が4円、液化天然ガス(LNG)が13円、石油が18円。原発を止めたことで燃料を年3.6兆円余計に輸入するようになった結果、全国の電力料金は上昇。特に、企業向けは3~4割上がったとみられる。いまの日本の電気料金は米国のおよそ3倍、中国の1.5倍。国際エネルギー機関(IEA)の長期予測は、電気料金の格差が残れば鉄鋼、化学など素材産業での日本のシェアは7%から2035年に4%に下がり、中国や米国が伸ばすと指摘する。現実の動きはもっと早いかもしれない。「アルミ製錬の二の舞いになろうとしている」。チタン製錬大手、大阪チタニウムテクノロジーズの西沢庄蔵社長は、1970年代のオイルショック後の電力料金高騰で業界各社が相次ぎ国内拠点を閉鎖したアルミニウム業の歴史にチタンの現状を重ねる。売上高の2割にあたる電気料金の上昇が響き、同社の今3月期の営業利益は前期の約6分の1に減る見通しだ。航空機用として高い評価を受ける日本勢のチタン原料は世界シェアの3割を握るが、新興国企業との競争も激しい。今3月期に53億円の営業赤字に転落する見込みの東邦チタニウムは1月、サウジアラビアに現地企業との合弁で製錬拠点を新設すると決めた。決め手は「日本の半分以下」(杉内清信社長)の安い電力だった。「東京電力は韓国より15%高くガスを買っている」。4月に東電会長に就く数土文夫JFEホールディングス相談役は、燃料部門の企業提携や割安な北米産シェールガスの導入を進め、年3兆円近くに膨らんだ燃料費の調達価格を2割程度引き下げることをめざす考え。だが、シェールガスの導入は早くても17年。調達改革には時間がかかる。燃料費がかさむ火力発電に全体の9割を依存する現状を改めなければ電気料金は高止まりし、企業の競争力が揺らぐ構図が続く。
●輸入10兆円増
 昨年の日本の貿易赤字は前年比65%増の11.5兆円。化石燃料の輸入が震災前の10年より10兆円増える一方、輸出が伸び悩んだ。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「原発停止に伴う燃料輸入増は付加価値を生まない純粋な国富流出。足元の景気は回復しているが、日本経済の体力は日々弱まっている」と心配する。「小樽がまた寂しくなる」。5日、小樽の新北海鋼業本社近くで出会った地元の初老の男性が嘆いた。原発再稼働には安全審査が最も重要だが、電気料金上昇のあおりで地域経済の担い手を失う悲痛もまた、日本が目をそらすことのできない現実だ。古谷茂久、原田逸策、小山隆史、中村元が担当した。

*2:http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1402/26/news017.html 
(スマートジャパン  2014年2月26日) 電力の10%を超えた再生可能エネルギー、年間100億kWhのペースで増加
 太陽光を中心に再生可能エネルギーの発電設備が続々と運転を開始した結果、年間の発電量が電力会社10社の総販売量の10%を超える規模になってきた。2013年に運転を開始した設備だけで100億kWhの水準に達する見込みで、再生可能エネルギーの比率は1年間に1ポイント以上も上昇する。資源エネルギー庁が集計した再生可能エネルギーの導入状況によると、2013年11月末時点で運転を開始した設備の発電規模は累計で2705万kWに達した。太陽光が全体の4割以上を占め、次いで固定価格買取制度の以前から数多くの設備が稼働している中小水力が35%程度にのぼる(図1)。そのほか風力とバイオマスが1割ずつといった状況だ。固定価格買取制度が始まった2012年7月から1年5カ月のあいだに、再生可能エネルギーの発電規模は3割以上も拡大したことになる。この間に増加した645万kWのうち、太陽光が626万kWと圧倒的に多く、バイオマスが12万kW、風力が7万kWで、中小水力と地熱は1万kW未満にとどまった。それぞれの再生可能エネルギーの発電規模をもとに、年間に生み出せる電力量を計算すると、合計で877億kWhになる(図2)。発電規模(最大出力)に対する平均の発電量を太陽光12%、風力20%、中小水力60%、バイオマス80%、地熱70%の標準値で想定した。一方で電力会社10社が販売する電力量は減り続けていて、2012年度に8516億kWhまで低下した。さらに2013年度は減少する見通しであることから、再生可能エネルギーによる電力の比率は10%を超える水準まで高まる。このうち2013年に新たに運転を開始した設備に限ると、集計が完了している11月までで89億kWhの年間発電量になる。12月に運転を開始した設備を加えれば100億kWhに近づく見込みだ。今後も同様のペースで増えていけば、再生可能エネルギーの比率は毎年1ポイントを上回る勢いで上昇していく。2020年には20%前後に到達して、欧米の先進国並みになる。

*3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26376
(日本農業新聞 2014/2/27) [営農発電・最前線 1] 電気も作物 安定的副収入が魅力
 太陽光を作物と分け合い、営農を続けながら発電も同時にする「営農型発電」が普及し始めた。安定した副収入が魅力で“電気も作物”という考え方が広がっている。営農活性化や耕作放棄地再生だけでなく、炭酸ガス排出や原発の抑制にもつながる。営農的な太陽光発電の最前線を追った。

 三重県伊賀市の山あい。三山悦史さん(67)が発電パネルの下で春を待ちかね水田をトラクターで耕していた。2013年3月、農水省が優良農地での太陽光発電を認め、三山さんは13年5月、転用許可を受け全国でその第1号になった。
●水田に施設設置
 60アールの水田を経営し、そのうち20アールに発電施設を設置した。扇港電機(四日市市)が開発した「ソーラーほ場」太陽光発電システムを導入。建築基準法に触れない高さ4メートル以内、内部は高さが3メートル。トラクターで作業できる。震度7にも耐える頑丈な架台が特徴だ。400枚のパネルが30度の角度で南を向き、太陽光を効率良く受け止める。発電容量は96キロワット。7月5日から売電。12年度に経済産業省の認定を受けたので売電価格は出力10キロワット以上の施設に対応する価格で、1キロワット時が税込みで42円。年間発電量11万キロワット時超を見込み、10アールに換算すれば収入は235万円になる。事業費5700万円はJAいがほくぶから全額20年ローンで借りた。損害保険代と中部電気保安協会への支払いを含め毎月約28万円を払う。これまでの売電実績は月額34万~55万円。平均48万円で差し引きが毎月の収入だ。三山さんは「安定収入を確保できるというので取り組んだ」という。三山さんが利用する「再生エネルギー固定価格買取制度(FIT)」の魅力は、高い売電価格、それに20年間契約時と同額で売れる安定性だ。制度の根拠となる「再生可能エネルギー電気特別措置法」は付則第7条で「3年間を限り、調達価格を定めるにあたり、利潤に特に配慮する」としている。この制度で電気の買い取り価格を決める調達価格等算定委員会は12年に、太陽光発電の投資額に対する税引き前利回りを6%に設定した。この額が投資者に戻る。経産省は建設費などの費用を調べ、毎年度買い取り価格を改訂する。太陽光発電のブームが起きた一因は、利回り6%の“威力”といえる。
●収量確保が条件
 優良農地に太陽光発電施設を設置する場合、農水省は平均10アール収を8割以上確保するなどの条件を付けた。三山さんの施設は同市の水稲農家、和田満さん(55)が先行して、メーカーと12年に実証試験をし、遮光率40%の下で「コシヒカリ」と「キヌヒカリ」が一般水田対比80%以上の収量を確認し、実用化を果たした。東日本大震災の後、再生可能エネルギーへの関心が高まった11年から営農型発電の準備を進めてきた。農地転用にあたって、行政との調整役を務めた和田さんは「農作物は毎年単価が上下するが発電は変わらない。経営にすごくプラスになる」と有利性を強調する。三山さんは今年は短かん品種に代え、施肥を抑えてみる。営農発電に対応して日射量が少なくても収量が確保できる技術を見つけるつもりだ。
〈ことば〉 再生可能エネルギーの固定価格買取制度 略称「FIT」。再生エネルギー電気特別措置法に基づいて12年7月にスタートした。電力会社への売電価格は政府が年度ごとに決め、電力会社は20年間同じ価格で買い取る。

*4-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26212
(日本農業新聞 2014/2/27) 広がる営農型発電 許可件数、24県で69に 日本農業新聞調べ
 農地で営農を続けながら、その上では太陽光発電をして売電する「営農型発電」をするための農地の一時転用許可件数が、全国で69件になったことが、日本農業新聞の都道府県に対する取材で26日までに分かった。野菜、稲作、果樹など幅広い作物で取り組まれている。兵庫県のJAあいおいが農地の有効活用モデルとして実証圃場(ほじょう)の設置を計画するなど地域農業の活性化に向け新たな動きが生まれている。
●JAがモデル圃場設置も
 営農型発電は24県で許可され、既に発電を始めた施設もある。作物はフキ、ミョウガなど野菜が多い。遮光を積極的に活用し、林間などでの栽培が適しているセンリョウ、薬草、シイタケなどで取り入れている半面、日射量の多い広い圃場で栽培される水稲やかんきつ園での導入例 もある。中にはメガソーラーと呼ばれる巨大な発電施設の開設計画もある。新潟では牧草地1.8ヘクタールに1メガワットの施設が計画されている。遊休地の再生を狙った取り組みもある。JAあいおいは同JAが開く市民農園「海のみえるやさい畑」(23.4アール、45区画)に、ソーラーパネルの下の土地を有効活用しやすい一本足型の設備4基(出力17.6キロワット)を設置、7月から売電する。徳島県の11件は4人の農家が有限責任事業組合(LLP法人)「国府花園薬草倶楽部(くらぶ)」を組織。合計3.7ヘクタールで3メガワットを計画する。大学と組んで薬草の生産体系を開発する。69件中1件は届け出で転用できる市街化区域内の案件。関係者は「営農継続の強い意向があった。専用の発電所で農地の固定資産税が増額するのを避ける意味もあるのではないか」とみる。農地の一時転用とは別に、太陽光発電の導入に伴い農地を永久転用する面積は44県で918ヘクタールあることが分かった。農水省の調査では、11年4月から13年8月までで2585件、592ヘクタールだったので、調査時点より一層転用が進んでいることが分かった。今回は都道府県により集計期間が異なる他、数県がとりまとめ中だったため、厳密な面積ではないが、最大の県は131.5ヘクタール、最少は0.3ヘクタールだった。
★メモ:農地法では農地の転用を厳しく制限。発電施設の設置も当初は第2種農地、第3種農地、転用が届け出制の市街化区域内農地に限られてきた。転用が認められない優良農地(農用地区域内農地、甲種農地、第1種農地)では、農地に支柱を立て発電パネルの下で営農を継続するタイプの太陽光発電設備が実用化してから、行政の対応が変わった。農水省は13年3月31日、(1)生育できる日照量を確保(2)地域の平均10アール収を8割以上確保(3)下部で農作業できる(4)周辺の営農に支障がない(5)毎年1回報告――などの条件を決め優良農地での営農型発電施設の設置を認めた。砂利採取などで最大3年の転用を認める1次転用の仕組みを活用。柱の敷地だけ一時転用し、営農継続を条件に更新を認め、再生可能エネルギー固定買取制度(FIT)の買取期間である20年に対応した。

*4-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26364
(日本農業新聞 2014/3/7)  [営農発電・最前線 5] 一本脚型施設 正面受光で効率的に
 2013年度の天皇杯に輝いた(有)とまとランドいわき(福島県いわき市)は営農型発電施設を設置するため、2月に農地の一時転用許可を受けた。約1.5ヘクタールに1本脚型の「追尾型太陽光発電システム」75基(出力420キロワット)を設置し発電事業を始める。鯨岡千春社長は「作業性と発電効率が良く、陰が少ないので導入した」と説明する。同時に宅地に570キロワットの地上型施設を計画、大型発電事業者に加わる。1本脚型発電システムの下では加工用イチジクを栽培。現在の経営の柱、トマト(2.3ヘクタール)の養液栽培や観光イチゴ園に加え、新たに加工事業も手掛け、経営を多角化する考えだ。
●少ない陰が利点
 営農型発電は農地に架台を設け農作業できる空間を確保し、上部に太陽光パネルをすのこ状に隙間を空けて設置する屋根型が主流だ。1本脚型は太陽光パネルメーカーのフジプレアム(兵庫県姫路市)が開発した。太陽を追尾し屋根型の1.4~1.5倍の発電量がある。「陰になる部分が少なく作物への影響度が低い」とPRする。同社の創業者、松本實藏会長は農家で、05年に実験農場を設けハウスを建てた。屋根に太陽光パネルを付け発電量や作物への影響を調べた。だが「ハウスではコストも含め実用化に限界がある」(大川拓志専務)という結論に達した。そこで日本では風の影響とコスト高から普及していないものの欧州で普及している追尾型を開発、2009年に農場の水田に設置し試験した。同システムは横7.9メートル、縦4.9メートルの大きな受光部にパネルを20枚取り付け、コンクリートの基礎から立ち上げた直径30~40センチ、髙さ約5メートルの柱で支える。電線は地下に埋設する。パネルの設置角度は、緯度と同じ角度が一番効率が良いとされる。しかし、陰が干渉するため、発電量や地形などを勘案し実態は10~30度になっている。
●水稲収量を確保
 同システムは、あらかじめ入力したデータから季節ごと、時間ごとの太陽の位置を算出し、いつも太陽光を正面から受け止める。その結果、発電量が多くなる。陰の延べ面積は一日を通しても20%未満と少なく、「ヒノヒカリ」での試験では一般水田対比で95%の収量を確保した。同社は昨年、姫路市と共同研究を始めた。水田12アールに4基(出力17.6キロワット)を設置している。営農組織の(株)アグリ香寺に管理を委託し、水稲を栽培する。同市では後継者不足で耕作放棄地が増えているだけに「3年間かけ収入を検証したい」(農政総務課)と期待する。昨年はいもち病で収量が360キロにとどまった。当初は陰の影響を心配したが「周辺の水田と変わりなかった」とみている。兵庫県のJAあいおいが導入するのも1本脚型だ。JAの山本潔参事は「発電効率が良く、市民農園に設置するので陰が少ない点を評価した」と話している。

*5-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26338
(日本農業新聞 2014/3/6) 営農発電・最前線 4] 復興へ再エネ推進 ハウス上でも手応え
 東日本大震災に伴う原発事故を契機に、福島県は復興への主要施策として再生可能エネルギー(再エネ)の推進に力を入れている。1次エネルギーに占める再エネの割合を基準年度(2009年度)の21.2%から40年度に100%とし、その後それ以上を目指す。風力発電と並ぶ柱が太陽光発電だ。
●原発2基分目標
 震災前から推進ビジョンを策定し再エネ先駆けの地を目指してきた。震災後の12年3月、目標を上方修正する改訂版を策定した。太陽光発電は基準年に対し30年度に51・4倍、原発2基分に相当する200万キロワット(設備容量)にするという挑戦的な導入目標を掲げた。実現するため国の補助を受けて「福島実証モデル事業」を実施している。12年度に公募し採択した20事業の中に営農型発電が二つある。太陽光パネルメーカーのソーラーフロンティア(東京都港区)と、発電事業者のフォーハーフ(兵庫県加西市)がそれぞれ南相馬市で試験している。フォーハーフの事業は、農地に支柱を立てて発電パネルをすのこ状に設置する方式。一方、ソーラーフロンティアの事業は野菜ハウスの上にパネルを設置した。それぞれ違うタイプの営農型発電を試験している。南相馬市でソーラーフロンティアが事業展開する方式は、全国的にも珍しい。農水省が営農型発電施設に関する通知を出す前の13年3月21日、同市の農家、西一信さん(69)の農地に、農地法3条による空中地上権を設定する許可を取得し、同社が再エネの固定価格買取制度の契約期間に対応する20年間、空中地上権を借りた。1334平方メートルのハウスを建て、息子の達也さん(41)がイチゴとトマトを栽培している。パネルは天窓に取り付けた。遮光率は同社と提携しているドイツの建設会社が欧州で大規模に施工しているハウスと同じ25%を採用した。出力は40.5キロワットで8月14日から売電した。9~12月の発電実績と売電実績は合計で1万4538キロワット時と58万1503円(税抜き)。発電量の予測値を15%上回る好結果だった。同社社長室の重山直樹副室長は「年間平均で20%近く上回り売電収入は年間240万~250万円が見込まれる。建設費は確定していないものの税引き前で7.7%の高い利回りになる」という。
●生育に影響なし
 イチゴは「とちおとめ」の購入苗を10月17日に定植し1月7日から収穫した。生育、収量、果実品質への影響を東京農工大学の荻原勲教授が、パネル直下とそうでない部分を比較して11月下旬から1月下旬に調査。「光強度、温度などの環境、収量および生育から判断して太陽光パネルによる影響はほとんどないと考えられた」とまとめた。達也さんは水田20ヘクタールと水稲育苗ハウスで花苗などを生産する。風評被害もあり、売り上げの7割を占める米収入を原発事故で失い、自力で復興したいとモデル事業に乗った。「売電しながら良い作物ができれば経営安定になる

*5-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26104
(日本農業新聞 2014/2/22)  イチゴ パック詰め自動化 効率、手作業の2倍 農研機構など開発
 手間がかかっていたイチゴのパック詰めが、素早くできるロボットが21日、登場した。農研機構・生研センターとヤンマーグリーンシステム(株)(大阪市)などが開発し、佐賀県白石町でお披露目された。30個入り平詰めパックに1分以内に果実を並べ、手作業の約2倍の能力がある。500万円台での販売を目指す。ロボットのキャッチフレーズは「人手をかけずやさしくすばやくパッキング」。吸着ハンドで選果ラインの搬送容器から最大でイチゴ6個を同時に吸い上げ、向きをそろえてパックに並べる。30、24、20個入りに対応、果実を傷めないよう、へたを吸着する。イチゴ生産に占める選別出荷作業は3割に上り、近年は生産者の負担を軽減しようとパッケージセンターの設置が増加。だが、期間雇用のため熟練者の確保が難しい現状にある。ロボットは2011年~13年度の農水省の農業機械等緊急開発事業(緊プロ事業)で開発。担当した同センターの山本聡史主任研究員は「新品種が次々と開発され、市場ニーズも高まっている。出荷作業の省力化で、生産拡大に貢献できるよう製品化に向けて改良していきたい」と展望する。

*5-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26098
(日本農業新聞 2014/2/21) 大雪被害 ハウス9500件、農作物160ヘクタール
 農水省は20日、関東甲信、東北を中心に発生した記録的な大雪で、ビニールハウスの損壊が24都府県で約9500件、農作物などの損傷が13府県で約160ヘクタールに上ることを明らかにした。19日時点の各都府県の報告を元に同省が集計した。調査中のところもあり、今後さらに増えるとみられる。林芳正農相が、衆院農林水産委員会で明らかにした。林農相は、日本政策金融公庫による融資や園芸施設共済の早期支払で支援する考えを説明。過去に例のない被害が生じた場合や、激甚指定された場合にビニールハウスなどの再建や修繕、機械の再導入に掛かる費用を10分の3以内で助成する「経営体育成支援事業」が適用できないか検討するとした。
●対策中央本部 全中が設置
 JA全中は20日付で、「平成26年豪雪災害対策中央本部」を設置した。関東甲信越 地方を中心に農作物や農業関係施設、農地などに大きな被害が出ていることを受け、被害状況を的確に把握し、必要な対策を講じる。本部長は全中会長が務める。さまざまな課題に円滑に対応するため、JA全国機関の常勤役員で構成する幹事会も必要に応じて開く。

*6:http://qbiz.jp/article/33482/1/
(西日本新聞 2014年3月8日) メガソーラー対応、景観審議会に諮問 宇佐市
 大分県宇佐市は7日、市景観審議会(会長=小林祐司・大分大工学部准教授)に対して、大規模太陽光発電所(メガソーラー)進出への対応策を検討するよう諮問した。審議会は県の職員や市民団体代表、学識経験者など15人で構成。市内へのメガソーラー進出は、市が非公式に把握しているだけで8件。工事中が1件。さらに業者からの問い合わせも数件あり、今後も進出が続くと予想されることから、市として良好な景観を維持しながら進出に対応していく方策を探ることになった。この日の会合では、市が進出の現状や他自治体の取り組みなどを報告。今後、現地視察なども行いながら、進出抑制地域の選定や、市景観条例に業者側の届け出義務を盛り込めるか、などを協議していく。


PS(2014.3.14追加):*7のような洋上風力発電は、太陽光発電と組み合わせたりして、養殖漁業でも電気も作物として漁業収量に影響させないように工夫しながら、洋上に設置することが可能だ。

*7:http://qbiz.jp/article/33755/1/ (西日本新聞 2014年3月14日) 
北九州市、新電力に出資へ 響灘地区の洋上風力「70基設置可能」
 北九州市は13日、若松区響灘地区に火力と洋上風力の発電所を集積させる構想に絡み、洋上風力発電では「響灘沖に7千キロワット級の発電施設を最大70基設置できる」とする試算結果を明らかにした。発電した電力を買い取り、企業に供給する「地域エネルギー会社」を2016年度に設立し、市が出資する方針も新たに示した。同日の「地域エネルギー推進会議」で、市側が説明した。洋上風力発電では、船の航路を除く水深50メートル以内で試算したところ、響灘沖約15キロに70カ所の設置が可能と分かったという。市は出力計約50万キロワット分の誘致を進める。別に、出力30万キロワットの中規模火力発電所を誘致し、既存の送電線の容量限度(計約80万キロワット)の発電を目指す。地域エネルギー会社は、電力を安く売る特定規模電気事業者(新電力)を想定。民間資本による設立を呼び掛け、市も出資する。響灘地区では、西部ガスが出力160万キロワット級の火力発電所の建設▽オリックスが廃材などを燃料とする11万2千キロワットの火力発電所の建設−を計画。市は「九州電力が送電設備を拡大すれば、300万キロワットまで送電可能」との見通しも示した。

| 資源・エネルギー::2013.10~2014.10 | 11:46 AM | comments (x) | trackback (x) |
2014.1.1 電力自由化と発送電分離について - 九州電力の事例から(2014.1.3最終更新)
   
 2013.11.15   2013.11.8       *3より         超電導電線
 西日本新聞     日経新聞

(1)遅々として進まない電力自由化
 *1のように、改正電気事業法では、「第一段階として2015年をめどに広域系統運用機関を設立し、全国的な需給調整を行って、電気事業者に対し、発電出力の調整や電力融通を指示する」とのことだが、まず、2015年というのは進捗が遅い上、これでは地域独占を排するどころか、政府による計画経済となり、電力コストは下がらない。地域独占を排するためには、需要者が、どの電力会社から電力を購入することも可能にしなければならないのだ。

 また、「第二段階として、小売りの全面自由化については2014年に法案を提出し、2016年を目途に実施する」とのことだが、あまりにも遅々としており、渋々やっているのが目に見えるようだ。これで、個人消費者を含む電力需要者のことを考えてきたとは言い難い。

 さらに、「第三段階として、電力会社の送配電部門を別会社化する。送配電部門の一層の中立性の確保が目的で、2015年に法案提出を目指し、2018年〜2020年を目途に実施する」とされているが、これも進捗が遅々としており、これでは、なかなか新電力が自由に送電線を使うことができる状況にはならない。そして、送配電部門を別会社化する前に、*2のように、「やはり原子力がなければ、云々」となるストーリーが見てとれ、全体として、巻き返しを狙ったスケジュールに見える。これならば、地方自治体やガス会社が水道管やガス管に併設して、地下に電線を引いた方が早いのではないだろうか。

 なお、*1の最後に、「全面自由化は、実質的に発送電一貫を崩す可能性をすでに内包するものであるが、法的とはいえ発送電分離まで明文化しなければならない理由は何か」とも書かれているが、上のような状況だから、法律で決めなければならないのである。

(2)私的事業者の市場競争が、工夫と低コスト化を促す
 また、*1では、「今日の9電力による地域独占、発送電一貫の電気事業体制は1951(昭和26)年に創設されたが、それは、すべての国民の生活向上に等しく貢献することを目的として、低廉、豊富、そして良質な電気を長期に安定して供給するための制度だった」としているが、とにかく電力インフラを整備することが重要だった60年前と現在では、日本社会の成熟度が全く異なる。そのため、現在は、民間でやる方が、迅速に先端技術を導入し、工夫を凝らすことができるのだ。*3の佐賀市の事例は、民間ではないがアッパレであり、他の市町村も見習うべきである。

 また、*1では、「経営の安定のための法的バックアップは、一重に供給の安定確保が目的だった」としているが、とにかく電線を延長することが必要だった当時と現在では状況が異なり、現在では、その法的バックアップが電力料金の高コスト化を招いているのは間違いない。

 さらに、*1では、「今回の改正は、『選択』と『競争』がうたい文句であり、主にビジネスチャンスを好機とする様々な私的事業者のためというもので、本当に国民のためになるのか疑問」とされているが、これは、経済学の基礎である市場原理を否定する。需要者が選択し、選択されるために供給者が競争して工夫を凝らすのが、市場経済の成功理由だ。人間の自然な心理や動機付けを無視した共産主義計画経済が世界中で失敗したのは、歴史上の事実である。

(3)古い言い訳が多すぎる
 *1には、「現在既に、販売電力量全体の約2/3が自由化されているが、新規参入者のシェアはその4%程度に留まっている。このように競争が進んでいないことが、まるで現行の制度、電力会社のせいであるように取りざたされているが、実は本当の主たる原因はそうではなくて、新規参入者が大量の電源を持てないからと考えるのが自然ではなかろうか。それは、大型インフラを持つ経営リスクが大き過ぎるからである」と記載されているが、それでは、新規事業者は発電した電力を何の憂いもなく既存の電力網を使って販売できたと言うのだろうか。実はそうではなかったことが経営上のリスクとなり、新電力は事業を展開できなかったのである。また、*3の例で明らかなように、大型インフラを持つことが、安い電力供給の必要条件ではなく、そこが工夫だ。

 *1には、「わが国のようなエネルギー無資源国、島国において、安価な電源を保有しようとすれば、スケールメリット(大規模電源)を追求するしかない」等とも書かれており、わが国が無資源国というのは、昔、学校で習ったフレーズだが、わが国には、太陽光・風力・地熱・ゴミ・潮汐・他目的のダム・メタンなど、使っていない資源がいくらでもある。これらを新技術で資源化することもせずに、わが国は無資源国と断じて工夫しない状況こそ、まさに地域独占と政府の先見の明のなさによる結果なのだ。

(4)民間の一般企業は、供給責任を果たせないと言うのだろうか?
 *1には、「供給義務の重要性を、電力会社の全員が理解し、身につけているから、台風や地震などの自然災害で停電した場合も、全力で復旧作業に当たるのである。異常時、事故あるいは自然災害などによって発電と電力需要が大きく乖離した場合、法的に分離されたネットワーク部門は今回のように供給責任を果たせるであろうか?」と記載されているが、東日本大震災の事例では、電気は停電したが、食料は民間企業が無償で運び、メールは繋がっていた。つまり、民間の一般企業は、供給責任を果たさないという信じ込みこそ、失礼な間違いなのである。そして、これは、経営学の基礎であるが、民間企業にも社会的責任があり、社会的責任を果たさない企業は存続できない。

(5)今後の原子力との向き合い方
 *1には、「最後に自由化後の原子力について、経営上のリスクは極めて大きなものとなる。私企業として、原子力とどう向き合うか、今後厳しい判断を求められるのではないか」とも書かれており、確かに、原子力は、電力会社にも国民にも大きなリスクを有する。そのため、私企業である電力会社が、原子力部門を別会社にして国に売却し手放すのは自由でなければならないし、国民もまた、これ以上、原子力とはつきあえないというのが結論だと、私は思っている。

 *1の最後には、「民間の電力経営の実務者や現場技術者の率直な声を反映していただきたい」と書かれており、*4-1や*4-2からは、九州電力の社長や社員は、本来なら、いろいろな発送電方法の創意工夫ができる人材であることがわかる。そのため、これまでの国主導の電力システムの押し付けが、如何に優秀な人材の能力を殺していたかもわかるのであり、早急に、新しい自由な発想で発送電の工夫ができるようにすべきだと考える。

*1:http://qbiz.jp/article/29599/1/ (西日本新聞 2013年12月28日) 
「電力自由化」雑感 - 眞部利應氏(九州通信ネットワーク取締役会長、前九州電力社長)
 1995年からスタートした電力自由化もいよいよ最終章の段階を迎えている。2013年11月には、電力システム改革に向けた改正電気事業法が成立した。
※改正電気事業法とは
 その内容は、まず、第一段階として2015年をめどに広域系統運用機関を設立する。現在も中立的な電力系統利用協議会があるが、系統運用ルールの策定、運用を巡っての紛争処理、電力会社間の送電線運用の連絡・調整が主な業務である。が、新しい機関は、全国的な需給調整を行う。つまり、電気事業者に対して、必要な場合、発電出力の調整や電力融通を指示する。そのような権限を持つこととなる。また、需給計画や系統計画のとりまとめ、地域間連系線の増強にも関わることとなる。これも大きな影響力を持つこととなる。次に第二段階として、小売りの全面自由化については、2014年に法案提出、2016年を目途に実施する。これにより、現在は全需要の約60%程度が自由化されているが、それが100%に拡がり、全ての需要家が電気の販売会社を自由に選択できるようになる。
 第三段階として、電力会社の送配電部門を別会社化する。送配電部門の一層の中立性の確保が目的で、2015年に法案提出を目指し、2018年〜2020年を目途に実施する。今回の自由化の流れは以上の通りであるが、いくつか基本的なところで疑問が残る。
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 今日の9電力による地域独占、発送電一貫の電気事業体制は1951(昭和26)年に創設されたが、それは誰のため、何のためであったかここで改めて考えてみたい。現行の電気事業制度は、戦後の我が国の経済復興と、そしてすべての国民の生活向上に等しく貢献することを目的として、低廉、豊富、そして良質な電気を長期に安定して供給するための制度ではなかったか。決して私企業である電力会社のための制度などではなかったはずである。もちろん、経営の安定のための法的バックアップは用意されているが、それは一重に供給の安定確保が目的である。翻って今回の改正は、「選択」と「競争」がうたい文句であり、主にビジネスチャンスを好機とする様々な私的事業者のためというものになるのではないか。本当に国民のためになるのであろうか? これが第一の疑問である。
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 次に、現在既に、販売電力量全体の約2/3が自由化されている。しかしながら新規参入者のシェアはその4%程度に留まっている。このように競争が進んでいないことが、まるで現行の制度、電力会社のせいであるように取りざたされている。果たしてそれは全て現行の電気事業制度に起因しているのであろうか?これが第二の疑問である。実は本当の主たる原因はそうではなくて、新規参入者が大量の電源を持てないからと考えるのが自然ではなかろうか。それは、何故か。大型インフラを持つ経営リスクが大き過ぎるからである。わが国のようなエネルギー無資源国、島国において、安価な電源を保有しょうとすれば、スケールメリット(大規模電源)を追求するしかない。
 島国である日本に燃料を、長期にわたって、安定的に相応の価格で持って来る為には、原油、石炭、天然ガスなどの輸送、貯蔵、そして場合によっては、加工処理等に大規模なインフラ設備が必要で多額の資金が必要となる。そして、発電所もその時々の最高効率の発電設備つまり大型最新鋭ユニットを導入する方が経済的である。しかし、これらには、何千億円という建設資金が必要となる。そしてその回収には、順調に行って10数年はかかる。その間、間違いなく発電所に見合う大規模の需要家が確保できる保証がなければ、建設に踏み切れないというのが実態であろう。いろいろな事業者が、他社より少しでも自社の電気を安くして、顧客を奪い合うような市場には、安易に参入できないのであろう。通信事業のように革新的な技術の発展は望めない世界であり、また自由化によって仮に価格が少々下がっても、全体の需要が増えることもない、売り上げは奪い合いでしか伸ばすことができないのである。
 これに対して、欧米はどうか。日本とは事情が異なっているように見える。天然ガスは、国際間パイプラインで輸入でき、更に国内にパイプラインが網の目のように張り巡らされている。石炭は国産という国もある。最近はシェールガスも産出している。発電所適地も多く、短期間で回収可能な中小型の簡便な電源を安く導入できる環境が整っている。日本において、電力のシステム改革を行ったとして、そのような諸条件を満足することができるのであろうか。
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 全面自由化は、実質的に発送電一貫を崩す可能性をすでに内包するものであるが、法的とはいえ発送電分離まで明文化しなければならない理由は何か。これが第三の疑問である。よく云われる系統運用面での不公平な取り扱いは、具体的にどのような事例があっているのか。電力会社としても知りたいところであろう。
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 供給義務というものが、今の電力会社には重くのしかかっている。地域独占との引き替えでもある。電気事業法第18条には、「電気事業者は正当な理由がなければ、その供給区域における電気の需要者に対して電気の供給を拒んではならない」とある。 正当な理由とは、例えば料金を支払わないとか技術的に極めて難しい場合である。当然供給を開始した後の供給継続の義務もある。この供給義務の重要性を、電力会社の全員が理解し、身につけているから、台風や地震などの自然災害で停電した場合も、全力で復旧作業に当たるのである。そして今般の、原子力全ユニット長期停止という事態にも、数千億円もの会社の内部留保を取り崩し、借金までして火力機の燃料を海外から買い集め、火力発電所員の懸命の努力で老朽発電機を含む全ての火力機を何とか運転しているのである。新しい制度が導入されると、恐らくそのような役割はネットワーク部門が持たされるのであろう。平常時の電力調整はそれで十分対応できると思う。しかしながら異常時、事故あるいは自然災害などによって発電と電力需要が大きく乖離(かいり)した場合、すなわち電源が大幅に不足し、かつ、それが長期に及んだ場合、大量のバックアップ電源と燃料の手当が必要になるが、果たして法的に分離されたネットワーク部門はそのような時に、遅滞なく的確な処置を行って、今回のように供給責任を果たせるであろうか? これが第四の疑問である。
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 最後に自由化後の原子力について。先般のqBizコラムでも触れたところであるが(繰り返しになるが)、原子力は運転が順調に行けば、燃料費および温室効果ガス排出の削減などのメリットがあり、強いコスト競争力のある電源として高い評価を得るであろう。が、一方で、いったんどこかで事故が起きれば、それが国内であろうと海外であろうと長時間の停止を余儀なくされ、供給力の確保と収支対策に苦慮することとなるなど、経営上のリスクは極めて大きなものとなる。私企業として、原子力とどう向き合うか、今後厳しい判断を求められるのではないか。これが第五の疑問である。以上、私個人の考えとして、現時点で懸念される基本的な疑問点を縷々述べた。国レベルで決定された大きな動きに抗する考えではなく、少しでもより良い方向に進んでもらいたいとの思いである。今後、国の検討委員会で新たな制度設計について、具体的に、詳細に検討が行われることになると思うが、ぜひ、民間の電力経営の実務者や現場技術者の率直な声を反映していただきたいものである。

*2:http://www.saga-s.co.jp/news/genkai_pluthermal.0.2600057.article.html
(佐賀新聞 2013年12月24日)  料金値上げ 「九電離れ」進む顧客
 原発停止の影響は、33年ぶりの電気料金の本格値上げという形で消費者を直撃した。厳しい市場競争にさらされる企業は価格転嫁が進まず、収益悪化に苦しむ。円安による燃料価格の高騰で、さらに料金値上げが続く中、安い特定規模電気事業者(新電力)への乗り換えも活発化。顧客の「九電離れ」が進んでいる。電気料金は4月に企業向けが平均11・94%、5月から家庭向けが同6・23%値上げされた。標準的な家庭で月6888円と224円のアップ。アベノミクスによる円安進行で燃料価格が高騰したことに伴う値上げも重なり、家計への負担は増している。電気使用量の多い企業はさらに深刻だ。船舶部品などを製造する佐賀鋳物(佐賀市)は月40万円程度の上積みとなり、年間の電気料金は3千万円に上る。中国など海外との価格競争の激化で、加工費への転嫁も「大口取引先の壁は厚い」と森博重社長。値上げ分が利益を圧迫する。節電対策も限界がある。唐津地区でスーパー12店を展開するまいづる百貨店。照明のLED化などで使用量を前年より10%近く減らしたが、年明けには残り3店舗の電気代が上がり、年間で1千万円程度の負担増になるという。
 こうした中、九電から新電力に契約を切り替える顧客が急増。4月以降に九電との契約をやめた県内の企業や団体は11月1日現在で100件と昨年度1年間の14件を大きく上回る。年間約560万円の削減を見込む佐賀大学など、安価な電力を求める動きが加速しつつある。一方で、安定供給の不安から切り替えが難しい企業も。材料となる鉄の価格高騰にもあえぐ佐賀市の自動車部品メーカーは「景気持ち直しで仕事は増えてきた。コストが下がれば利益が出る」と原発再稼働への期待をのぞかせた。

*3:http://qbiz.jp/article/29893/1/
(西日本新聞 2014年1月1日) ごみ発電51校へ供給 佐賀市清掃工場から全小中学校
 佐賀市は2014年度から、市内の全51小中学校で使用する電力を市清掃工場のごみ焼却熱による発電で賄う。エネルギーの“地産地消”と位置づけた環境教育が狙いで、コスト削減にもなる。市によると、ごみ発電の学校への供給は埼玉県の一部で先行事例があるが、全国でも珍しい。24時間稼働する市清掃工場では、焼却炉の熱で発生させた水蒸気でタービンを回し、常時発電している。12年度の年間発電量は約2500万キロワット時。清掃工場と隣接する市健康運動センターで優先して使い、余った約520万キロワット時は九州電力に売電した。14年度はごみの受け入れ地域が拡大してごみ発電の量が増える見通し。市はその売電先を特定規模電気事業者(新電力)に切り替え、小中学校51校で使用する電力を新電力から購入することにした。学校の年間消費電力は約600万キロワット時で、ごみ発電の売電分とほぼ同量になるという。市は業者から提案を受けるプロポーザル方式で事業者を選び、1月に契約する予定だ。
 新電力側は安定した供給源と販売先の確保が課題になる。市は「入り口と出口を市がセットで用意することで、九電より高く買ってもらい、安く供給を受けられる」と、年6千万円の経費節減を見込んでいる。学校で使う電力は、新電力になっても既存の電力網で送電される。市はごみ発電の電力が学校で使われていることを児童生徒に実感させるため、工場からの送電量と学校ごとの消費電力量を常時確認できるウェブサイトを新電力に開設してもらう。市循環型社会推進課の古賀将之課長は「ごみの分別を徹底しないと、発電効率は落ちる。子どもがエネルギーに関心を持ち、分別にも気を配ってもらえるようになれば」と効果を期待する。
◆自治体発電の好例に
 公共施設運営に詳しい佐々木陽一PHP総研主任研究員 3・11以降、自前の施設で発電する自治体は増えているが、発電した電気の使い方や売電の収益を地域にどう還元するかが問われている。佐賀市の取り組みはその戦略を示した好例であり、広がる可能性がある。特に電力消費量が少ない地方には、導入しやすいのではないか。

*4-1:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9E%E9%83%A8%E5%88%A9%E6%87%89 『ウィキペディア(Wikipedia)』 眞部 利應(まなべ としお、1945年5月11日 - )
九州通信ネットワーク取締役会長、前九州電力顧問。
略歴:香川県三木町井戸生まれ。香川県立高松高等学校を経て、1968年3月京都大学工学部電気工学科卒業。1968年4月、九州電力入社。企画部課長、企画部次長、電気事業連合会出向、理事系統運用部長、執行役員経営企画室長、執行役員熊本支店長などを歴任。2006年6月、取締役執行役員電力輸送本部長。2007年6月~2012年3月31日まで社長を務めた。翌4月1日付けで相談役に退き、6月の株主総会で取締役も辞任。2013年6月21日、九州電力子会社の九州通信ネットワークで取締役会長に就任。なお、この役職は直近の株主総会で突然設置が決められたものだという。

*4-2:http://www.kyuden.co.jp/company_outline_officer_21634.html
九州電力代表取締役社長 瓜生道明略歴
生年月日 昭和24年3月18日
出身地 福岡県
学歴 昭和50年3月 大阪大学大学院工学研究科 産業機械工学専攻修了
職歴 昭和50年4月 九州電力株式会社入社
平成7年7月 同社 火力部火力課長
平成9年7月 同社 新大分発電所建設所次長
平成10年7月 同社 火力部次長
平成12年7月 同社 火力部設備計画グループ長
平成13年7月 同社 経営企画室新規事業開発グループ長
平成14年7月 同社 経営企画室(次長)
平成15年7月 同社 経営企画室エネルギー市場戦略グループ長
平成16年7月 同社 経営企画室電力取引管理グループ長
平成18年6月 同社 環境部長
平成19年6月 同社 執行役員 経営企画室長
平成20年7月 同社 執行役員 経営企画部長
平成21年6月 同社 取締役 常務執行役員 火力発電本部長
平成23年6月 同社 代表取締役副社長 火力発電本部長
平成24年4月 同社 代表取締役社長
現在に至る


PS(2014.1.3追加):*5のように、薩摩川内市は、企業誘致して脱原発に備えているようだが、原発が残っていると他産業の企業誘致に不利であるため、廃炉を急ぐべきだろう。

*5:http://qbiz.jp/article/29914/1/ (西日本新聞 2014年1月3日) 
市内企業を“破格”の補助 バイオマス発電に6500万円、薩摩川内市
 鹿児島県薩摩川内市が企業誘致のため、進出企業に最大10億円を補助する新制度に、市内に工場がある中越パルプ工業(富山県高岡市)が取り組む木質バイオマス発電事業が応募した。新たな企業進出ではないが、薩摩川内市は「事業費は多額で新規雇用もある」として助成対象事業と決定した。補助金は施設整備と新規雇用が対象で6500万円となる見込み。補助金制度は食品、次世代エネルギー、医療・介護関連、観光の4分野が対象で、用地取得費などに1億8千万〜2億円を補助。さらに新規雇用者1人当たり50万円(次世代エネルギー関連は100万円)も補助し、合わせて10億円を上限とする内容。当初、昨年6月から8月にかけて公募したが、1件も応募はなく、再度10月から12月27日まで公募していた。市によると、再募集では県内外から十数件の問い合わせがあったが、応募は1社に終わったという。バイオマス発電設備は出力約2万5千キロワットで、同市宮内町の工場敷地内に建設。年間で一般家庭約4万1千世帯分に相当する約1億5400万キロワット時を発電する。事業費は約73億円。発電開始は2015年11月を予定し、5人を新規雇用する計画。昨年12月26日に開かれた市の企業立地審査会で、助成対象事業と認められた。補助制度は2020年度までで、市は「これをきっかけに次年度以降も公募制度を活用して企業誘致につなげたい」としている。

| 資源・エネルギー::2013.10~2014.10 | 01:22 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.11.29 脱原発の意思決定をしたのは、日本ではなく国連と世銀が先だった。そして、原発による海水温の上昇は漁業にも悪影響を与えており、これも原発のコストであって、原発は地球温暖化防止の意味もなかった。
 

(1)フクシマ事故後に脱原発を決意したのは、国連・世銀・ドイツ・イタリアが先だった
 *1に書かれているように、2013年11月27日に、国連と世銀が「『原発への支援には関与しない』と宣言し、今後は再生可能エネルギーや次世代エネルギーへの投資に力を入れる方針」とした。本当は、原発事故を起こした日本こそオピニオン・リーダーになってしかるべきだったが、世界が意志決定してくれたのは、喜ばしいことだ。

(2)原発の本当のコスト
 私が、2012年9月2日をはじめ、このブログに何度も記載したように、原発は、廃炉費用や大事故の対応費用まで含めると天文学的な資金が必要となる。しかし、それだけではなく、原発は、*2に書かれている地球温暖化対策の役にも立たず、*3に記載されているとおり、「原発稼働中に海に放出され続けてきた温排水が止まったことで、原発停止後、原発周辺の海域の環境が劇的に回復してきている」のである。これは、玄海原発の近くでも言われており、そういうことを言う人をあわてて黙らせる人もいるため、本当だろう。原発が漁業に与えていた被害は、国民全体から見れば原発のコストだ。また、*7のような被害も、当然、原発のコストである。

(3)原子力か火力かという選択しかないというのは、知識がなく思考停止だ
 *2では、「エネルギー政策の争点が原発に集中するなかで、棚上げされたのは地球温暖化対策だ」「原発依存度を下げるには、当面は二酸化炭素(CO2)の排出量が多い火力発電の増強で電力需要に応えるしかない」としており、これが、現在も、日本国内で多くの人が言っていることだ。

 しかし、*4のブータンのように、首都を全て電気自動車にして化石燃料を使わない、*5のように燃料を水素に変換する、*6の佐賀市のように、水道用水確保を目的としたダムで発電するなど、エネルギーをスマートに変換し、今まで使っていなかった資源を使って無駄なく発電する方法もいくらでも考えられる。そのため、原子力か火力かという選択しかないと言う人は、知識がなく思考停止なのである。

*1:http://saigaijyouhou.com/blog-entry-1290.html
(原発はもう時代遅れ? 2013年11月28日)
 11月27日に国連と世界銀行が、「電力網を整備するのに数十億の資金が必要だが、原発への支援には関与しない」と宣言しました。今後は再生可能エネルギーや次世代エネルギーへの投資に力を入れる方針で、事実上の国連による脱原発宣言だと言えるでしょう。脱原発の動きは世界規模で広がっており、ドイツやイタリア以外にもアメリカなどの国々でも拡大中です。原発というのは廃炉費用や維持費用まで含めると膨大な資金が必要になる上に、一度でも大事故が発生すると、国家全体を揺るがすほどの事態になります。特に福島原発事故が世界に与えたインパクトは大きく、各国の原発離れを加速させました。また、次世代エネルギーの開発と生産が可能になって来たことも、世界的な脱原発と深く関係しています。国連は次世代エネルギーを普及させるためには「年間およそ6000~8000億ドル(約61兆~82兆円)が必要」と述べていますが、公の場で脱原発宣言をしたということは、次世代エネルギーを普及させるための目処が付いたということです。(中略)

☆「原発は援助しない」、世銀と国連が表明
URL http://www.afpbb.com/articles/-/3004099
【11月28日 AFP】世界銀行(World Bank)と国連(UN)は27日、最貧国に電力網を整備するため数十億ドル規模の資金援助が必要だと訴えるとともに、いずれの国においても原子力発電への投資は行わない考えを表明した。世銀のジム・ヨン・キム(Jim Yong Kim)総裁と国連の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は、2030年までに世界中の全ての人が電力の供給を受けられるようにする取り組みについて記者団に説明した。その中でキム総裁は「われわれは原発は行わない」と明言した。キム総裁によると、世銀は来年6月までに42か国の発電計画をまとめる予定。電力網の整備やエネルギー効率の倍増、再生可能エネルギー比率の倍増などを掲げ、目標達成には年間およそ6000~8000億ドル(約61兆~82兆円)が必要になるとしている。しかしキム総裁は、集まった資金は新エネルギー開発にのみ使用すると報道陣に明言。「原子力をめぐる国家間協力は、非常に政治的な問題だ。世銀グループは、原発への支援には関与しない。原発は今後もあらゆる国で議論が続く、たいへん難しい問題だと考えている」と述べた。(c)AFP

☆イタリア、原発再開を断念 国民投票で9割超が反対
URL http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1305E_T10C11A6MM8000/
【ジュネーブ=藤田剛】イタリアで12~13日に実施された原子力発電の再開の是非を問う国民投票が成立し、政府の原発再開の計画を否決した。内務省の発表によると、投票率は約57%に達し、成立の条件である50%を上回った。福島第1原発の事故後、主要国での原発政策に関する国民投票は初めて。他国からの電力購入や再生可能エネルギーの利用拡大など戦略の練り直しは必至だ。
 暫定発表では投票者のうち95%が再開に反対票を投じた。欧州ではドイツが原発をすべて停止する関連法案を決定。スイスも既存原発の停止を決めた。ベルルスコーニ政権は1990年までに稼働を停止した原発の2020年までの復活を検討していた。

☆米バーモント州の原発閉鎖へ 福島第一原発と同型
URLhttp://www.cnn.co.jp/business/35036469.html 
(CNN) 米電力大手エンタジーは27日、バーモント州のバーモント・ヤンキー原子力発電所を来年末に閉鎖する方針を明らかにした。安価な天然ガスに比べて操業コストが高く、採算が取れないためとしている。バーモント・ヤンキー原発は40年前、マサチューセッツとの州境に近いコネティカット川沿いに建設され、630人の従業員が勤務している。川の水を冷却水として使うシステムで、運転期間は2032年までとなっていた。数十年に及ぶ廃炉作業には5億6600万ドル(約550億円)のコストがかかるが、既に5億8200万ドルを積み立ててある。同原発は、福島第一原子力発電所と同じ米ゼネラル・エレクトリック(GE)製の格納容器「マーク1」を使った沸騰水型炉(BWR)。マーク1型の格納容器は全米で23基の原子炉に使われている。福島第一原発の事故を受け、反原発団体などからマーク1型原子炉をすべて稼動停止とするよう求める嘆願書が出されたが、米原子力規制委員会(NRC)はこれを却下した。

*2:http://www.nikkei.com/paper/related-article/tc/? (日経新聞 2013.11.20) 2012 衆院選) 争点(5) 脱原発 足りない説明  設備投資コスト・電気料上昇… 負担増には触れず
 今回の衆院選は東京電力福島第1原子力発電所の事故後、初めての大型国政選挙となる。「脱原発」を掲げる政党が多いが、時期は「即時」から「2030年代」まで幅広い。問題は経済社会が持続可能な現実的な道筋を示しているかどうか。電気代の値上がりや、電力の安定供給という課題への具体策も問われる。
●8党「ゼロ」公約
 政権公約で「原発ゼロ」を打ち出したのは民主、未来、公明、みんな、共産、社民、大地、新党日本の8党だ。原発事故以降、「脱原発依存」を掲げてきた民主党は「30年代の原発稼働ゼロ」を公約に盛り込んだ。「卒原発」の日本未来の党は「大胆な省エネと再生可能エネルギーの飛躍的な普及を実現」し、「遅くても10年以内」に原発ゼロを実現すると公約に明記した。当初、原発ゼロを主張していた日本維新の会は原発維持が持論の石原慎太郎氏率いる「太陽の党」との合流で、「フェードアウト(消失)」との表現に後退した。この文言にも石原氏は難色を示しており、方針は不明瞭だ。自民党は「10年以内に電源構成を決める」として事実上、判断を先送りした。ただ安倍晋三総裁は「原発ゼロは無責任」と繰り返し民主の原発ゼロ政策を批判。一定の原発比率を維持する可能性を示唆する。「脱」や「卒」が乱立する原発政策。省エネの推進や太陽光・風力など再生可能エネルギーの普及で原発ゼロをめざすと訴える党が多い。だが設備投資のコストや、電気代の値上がりなど利用者負担の重さも含めて「ゼロ」への道筋を説明する党はほとんどない。政府が11月にまとめた試算によると、30年時点のエネルギー消費量を10年比で約2割減らすには83兆円の環境投資が必要になる。再生可能エネルギーを3000億キロワット時以上まで拡大するには、設備投資にさらに38兆円かかるという。そのコストは電気代の値上げや、公共投資の財源となる税金で企業や家計が負担する。製造業の海外流出や、中小・零細企業の経営を圧迫する要因になりかねない。廃炉の法的手段の問題もある。電力会社など民間事業者が持つ原発を法定稼働年数の40年より前に強制的に廃炉にするには、損失が生じる電力会社や原発そのものを国有化する措置などが必要になるとみられる。その場合も損失負担は最終的に国民負担になる公算が大きい。
枝野幸男経済産業相は今年9月、着工中だった島根と大間原発の建設再開を認めた。途中で国有化など強制的な手段を発動しなければ、原発は向こう40年は稼働・存続するため、50年代まで原発ゼロは達成できない。
●温暖化対策に穴
 エネルギー政策の争点が原発に集中するなかで、棚上げされたのは地球温暖化対策だ。民主は公約に「30年時点の温暖化ガスを1990年比でおおむね2割削減」と明記。09年秋に国際公約した「20年に90年比で25%削減」から後退した。自民も「50年に05年比80%削減」と、これまでの「20年に05年比15%削減」から目標を先延ばしにした。原発依存度を下げるには、当面は二酸化炭素(CO2)の排出量が多い火力発電の増強で電力需要に応えるしかない。日本は国際社会で温暖化対策を主導してきたが、京都議定書に続く国際的な計画作りに日本の意見を反映するのは難しい情勢になった。

*3:http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131126-00543714-sspa-soci
(週刊SPA! 11月26日) 原発停止で周辺の海洋環境が劇的に改善
 現在、日本で稼働している原発は1基もない。そのため、稼働中に海に放出され続けてきた原発から出る温排水が止まったことで、原発周辺海域の環境が回復してきているという声が各地から挙がっている。
◆鹿児島川内原発の場合……
 鹿児島県にある川内原発の近くで海岸の清掃ボランティアやウミガメ監視員を務める中野行男さんは、10年ほど前から月に20日以上、川内原発の南海岸を歩き続けてきた。「これまで、季節によっては毎日のようにサメやエイ、ダツなどの大型魚類や、クジラ、イルカなどの海生哺乳類、ウミガメなどの死体が海岸に漂着していました。原発ができる前は、こんなことは全然ありませんでした」。サメの死体が1日で4体もうち上げられたこともあったそうだ。「それが、川内原発が停止した’11年9月以降、これらの死体漂着は一切なくなったのです」。また、この近辺ではウミガメの異常行動がよく確認されていた。「例えば、通常のウミガメは満潮の夜に産卵のため岸に上がりますが、昼間や干潮時に産卵に来るケースがしばしば報告されていました。ところが、現在では産卵は順調に行われています」。週刊SPA!11/26発売号「原発止めたら[海の環境がもりもり改善!?]リポート」では、他にも、原発が止まったことによって取水口に取り込まれる魚が減ったり、海水温が下がったために外来種が減り、漁業にも好影響が出ていることを報じている。また、福井県の若狭湾周辺の原発、北海道の泊原発周辺地域での(よい意味での)激変をリポートしている。<取材・文/週刊SPA!編集部>

*4:http://qbiz.jp/article/27743/1/
(西日本新聞 2013年11月22日) ブータン、首都全て電気自動車に 日産と提携
 「国民総幸福量」の追求を掲げるヒマラヤの小国ブータンが、首都ティンプーにある自動車を全て電気自動車(EV)化する計画に向け、日産自動車などと提携することが22日分かった。大気汚染を防ぐとともに、EVの充電に水力発電を活用し、原油輸入などで膨らむ貿易赤字の改善も図る。投資額は100億円以上になる見通しだが、環境保護に直結するためアジア開発銀行が低利融資を検討している。日産のカルロス・ゴーン社長が今秋、ブータン首脳と会談し協力で一致。日産は主力EV「リーフ」を納入する。ブータンは米EVベンチャー企業テスラ・モーターズとも提携する。日産には車両の性能改善や、都市全体のEV化を研究できるメリットがあり、世界的なEV普及に弾みを付ける狙いもありそうだ。ブータン政府は、2011年時点で5千台以上あるティンプーの政府車両やタクシー、観光用のバスなどを、2年以内にEVに入れ替える方針。将来的には対象を首都以外にも広げ、補助金を支出して国民にEVへの買い替えを促すことを検討している。手始めに、来年2月にEV約100台を導入する国内大手タクシー会社に補助金を供与。同社は当初、スズキのインド子会社マルチ・スズキの小型車などを改良した試験開発車を使う。ブータンは全面禁煙化や全作物の有機栽培への転換計画など“クリーン・カントリー”を目指している。ヒマラヤ山系の豊富な水量を生かした水力発電でEV用のエネルギーを自給し、排ガスも削減する構想だ。また食料や燃料を輸入に頼り慢性的な貿易赤字に苦しむ同国には、経済立て直し策の意味合いもある。若者の失業問題解決や、付加価値の高い経済への転換も目指す。

*5:http://qbiz.jp/article/27717/1/
(西日本新聞 2013年11月22日) 「水素社会」構築へ議論 福岡市で国際会議
 水素社会の実現を目指す国際組織「国際水素・燃料電池パートナーシップ(IPHE)」の第20回運営会議が20、21の両日、福岡市であり、水素の安全性に関するデータベースの構築などを盛り込んだ今後10年間の活動計画を採択した。IPHEは2003年発足。年2回、運営会議があり、先進国やインド、ブラジルなど17カ国と欧州連合(EU)が、燃料電池の普及に向けた政策や技術に関する情報交換を行っている。日本での運営会議は05年の京都以来2回目。これまでの活動を振り返り、今後10年の方針を決める節目の会合で、14の国と地域が参加した。自動車メーカー各社は、次世代自動車の本命とされる燃料電池車(FCV)を15年に発売する方針。会議では、燃料の水素を充填する水素ステーションの整備に関する議論や加盟国・地域間の情報共有について議論が交わされたという。来年までに事務局を常設する方針も決まった。議長を務めた新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の橋本道雄・新エネルギー部長は「水素ステーションの普及など、各国が協力して取り組むべき課題を確認でき、有意義な議論ができた」と振り返った。

*6:http://qbiz.jp/article/27908/1/
(佐賀新聞 2013年11月26日) 佐賀県営ダム水力発電事業者 九電グループに決定
 佐賀県は25日、県営中木庭ダム(佐賀県鹿島市)で小水力発電に取り組む事業者に九州電力グループを選んだと発表した。同グループは新たに発電設備を設け、2016年4月の発電開始を目指す。グループは九電と九電工、九電関連会社の西技工業(いずれも福岡市)で構成し、代表は西技工業。公募に応じた2グループから選んだ。提案書によると、最大出力195キロワット、年間発電量は125万キロワット時で、一般家庭約350世帯分の消費電力に相当する。県によると、中木庭ダムは洪水調節と水道用水確保を目的に2006年度に完成し、佐賀県営の13ダムでは最大規模。発電を目的にダムを建設することは珍しくないが、既存ダムを活用して民間に発電を促すのは九州で初めてという。

*7:http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20131107ddlk07040107000c.html
(毎日新聞 2013年11月7日) 東日本大震災:福島第1原発事故 シメジから43万ベクレル 自家消費食品検査で−−南相馬10月結果 /福島
 南相馬市は6日、10月に行った自家消費用食品の放射能簡易分析結果を公表した。キノコ狩りのシーズンを迎え、キノコから高濃度の放射性セシウムが相次いで検出された。原発事故で居住制限区域に指定されている原町区馬場の山林で採取したコムラサキシメジは、基準値(1キロ当たり100ベクレル)の4000倍を超える43万4000ベクレルに達した。市によると、キノコは▽ウシコ(原町区馬場)同4万5700ベクレル▽マツタケ(同)同3万8200ベクレル▽アミコ(同区高倉)同3万6100ベクレル▽サクラシメジ(小高区小屋木)同1万9550ベクレルなど。同分析は、市民が自家消費用に山や川、家庭菜園などで採取・栽培した農水畜産物を対象にし、一般に流通していない。10月は9施設で908件を測定し、606件からセシウムを検出、うち144件が基準値を超えた。

| 資源・エネルギー::2013.10~2014.10 | 02:11 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.10.30 本当に原発のコストは安かったのか、「原発のコストは安い」と言った人に再度問う。
  
  2013.10.28東京新聞     2013.9.27朝日新聞

(1)再生可能エネルギーは、何故、今まで普及しなかったのか
 *1に、九州・沖縄・山口9県の知事でつくる九州地方知事会議が、再生可能エネルギーの利用について国の規制緩和を求める決議を採択したと書かれており、このように問題点を洗い出して、必要な規制緩和、電力自由化、電力市場独占の廃止を求めていくことは重要だと思う。ただ、農地の転用は、むやみに行って食料自給率を下げないようにしてもらいたいし、「電気さえ起こせばよい」という発想で、低周波による人間に対する被害や景観の悪化がないようにすべきである。

 なお、今まで、再生可能エネルギーの普及が抑えられてきた理由は、送電線が電力会社に帰属し、電力会社の裁量で送電拒否を行うことができたからである。そのため、発送電分離は必要不可欠だ。

(2)発電するのに、原子力の代替は天然ガスしかないと考えるのは科学的レベルが低い
 *2の電気事業連合会の電力レポートは、「我が国の原子力発電所の大半が停止し、その電力供給低下を埋めるために火力発電所をフル稼働させ電力の安定供給をかろうじて確保しているが、その結果、火力発電用燃料の輸入増加による供給コストが大幅に上昇し、2012年の貿易赤字が過去最大の6兆9000億円を上回った」「原子力発電を順次利用停止した時、CO2排出抑制のため、不足となる電源をすべて天然ガス火力で賄う場合・・・」と書いている。

 要するに、電気事業連合会は、①原子力に代替するエネルギーは輸入火力しかない ②火力発電用燃料の輸入増加による供給コストで貿易赤字が過去最大の6兆9000億円を上回った ③火力発電は、CO2の排出も問題である としているが、これは、政府と独占企業による原発再稼働のための論理だ。何故なら、私が、このブログの2012.7.15に「環境・脱原発・増税なき財政再建・経済成長を同時に実現する方法はある」等で記載したように、全体を総合的に考えれば、より賢明な方法があるからだ。

 さらに、ドイツのように、再生可能エネルギーを2000年頃から準備して普及し始め、国内産のLNGを開発していれば、国産のクリーンエネルギー資源で発電できるため、CO2の排出量目標を達成できた上、火力発電用燃料の輸入増加で貿易赤字が過去最大の6兆9000億円を上回ることもなく、国富の多大な海外流出を心配する必要はなかったのである。しかし、経済産業省は、日本は資源のない国であるとして、「安いから(!?)」という理由で、どうしても輸入燃料を買うことに固執してきた。

(3)それでは、原発のコストは本当に安かったのか
 *3によれば、「東京電力福島第1原子力発電所周辺の除染・賠償費用を国が分担する見通しになり、その廃炉、汚染水、除染、中間貯蔵施設まで負担すれば10兆円規模に膨らむ可能性がある」とのことである。さらに、廃炉、中間貯蔵施設、最終処分場などは、福島第1原子力発電所のみが必要とする費用ではなく他の原発でも必要となる費用であり、福島第1原子力発電所事故の後始末も本当に10兆円で収まるか否か不明だ。仮に、全体で30兆円かかるとしても、消費税1%(約2兆円)分の15倍である。

 つまり、私が、このブログの2012.9.2を始めとして、原発のカテゴリーにずっと書いてきたとおり、原発のコストは安いどころか膨大であり、他の発電方法の方がバラ色なのである。

(4)健康診断、食事管理、個人線量把握は、除染にかわる「対策」になるのか
 *3には、「除染そのものの効率化も欠かせず、除染は放射線量から身を守る一つの手段にすぎないため、健康診断、食事管理、個人線量把握など多くの対策を組み合わせるほうが現実的だ」と書かれている。しかし、健康診断は必要ではあるが、癌や白血病などが発症・進行していないかどうかをチェックする手段にすぎず、健康診断をしたからといって、なってしまった病気を治せるわけではない。

 また、食事管理は、放射性物質を含まない食事をするために重要だが、このブログの2013.10.26に記載したとおり、わが国の安全基準は緩く、外部被曝と内部被曝の両方の影響が重なることを加味しておらず、すべての食材を測っているわけでもないし、特に海産物の測り方は甘い。

 さらに、個人線量の把握は重要だが、事故直後から線量の計測を始めておかなければ、累積線量は把握できないため、事故後、すぐに住民に線量計を渡すくらいのことは、国としてやるべきだったし、できた筈だ。そして、そもそも、国や地方自治体が、空間線量だけではなく、地表や線量の高くなりやすい箇所を測っていないのは、本気で放射線防護をしようとしていないからであり、二の句がつげないのである。

*1:http://qbiz.jp/article/26121/1/
(西日本新聞 2013年10月29日) 再生可能エネ規制緩和を要求 九州知事会議が決議
 九州・沖縄・山口9県知事でつくる九州地方知事会議が28日、佐賀市で開かれ、地熱や太陽光、風力発電といった再生可能エネルギーの利用について国の規制緩和を求める決議を採択した。温泉が多く日照時間が長い九州の特性を生かし、エネルギー資源の円滑な活用を図る狙い。九州地方知事会長の広瀬勝貞大分県知事は「再生可能エネルギーは九州で一番ホットなテーマ。経済界とともに利用と産業化を推進したい」と述べた。具体的には、国立・国定公園で地熱発電を行う際の許可基準の明確化▽太陽光発電に使う土地の農地転用の許可基準緩和▽風力・洋上風力発電を実施する際の環境影響評価の手続き迅速化−などを求める。地方分権改革の推進など他の決議とともに11月、国に提出する予定。会議ではほかに、70歳まで現役で働ける社会づくりを9県で連携して進めることを福岡県が提案し、就業支援策や国への提言内容を検討する研究会を設置する方針を確認した。 

*2:http://www.fepc.or.jp/library/report/__icsFiles/afieldfile/2013/02/14/report_20130214.pdf#search='%E7%99%BA%E9%9B%BB%E7%94%A8%EF%BC%AC%EF%BC%AE%EF%BC%A7' 
(電力中央研究所電気新聞ゼミナール 2013年2月4日) 電気事業連合会:電力レポート
 「天然ガス火力発電は原子力発電を代替することはできるか?」。東日本大震災により、我が国の原子力発電所の大半が停止している。原発の停止による電力供給低下を埋めるために、天然ガスを中心とする火力発電所を緊急的対応措置としてフルに稼働させ、電力の安定供給をかろうじて確保しているのが実情だ。だが、その結果として火力発電用燃料の輸入増加による供給コストの大幅な上昇、2012年の貿易赤字が過去最大の6兆9000億円を上回るという、日本経済や国民生活に大きな影響を及ぼしている。ここでは、中長期的な視点から原子力発電を順次利用停止したとき、CO2排出抑制のため、不足となる電源をすべて天然ガス火力で賄う場合に生じる課題について考えてみたい。(以下略)

*3:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2803K_Y3A021C1EA2000/ (日経新聞 2013/10/29) 膨らむ除染・賠償、10兆円規模に 東電の負担限界 国が一部負担、財源はこれから
 東京電力福島第1原子力発電所周辺の除染費用を国が分担する見通しになったことは、すべての事故処理や賠償の費用を東電が負担する仕組みが限界にきていることを示す。だが、国費投入には与野党に異論も根強い。財源も固まっておらず、今後の議論には曲折もありそうだ。除染費用のすべてを東電に請求する現行の枠組みを見直す根拠として、政府関係者が着目したのは除染特措法45条だ。「国は費用の支払いが円滑に行われるよう必要な措置を講ずる」。政府・与党はこの条文を活用し、国が費用を分担する仕組みの導入を探っている。背景にあるのは、事故処理や賠償の負担で行き詰まりつつある東電の経営問題だ。東電はすでに3兆円の賠償を支払ったが、賠償額はさらに膨らむ見通し。賠償資金は国が無利子で貸しているが、東電が利益から将来返済する。廃炉、汚染水、除染、中間貯蔵施設まで負担すれば10兆円規模に膨らむ可能性がある。東電の試算によると、10兆円の返済には46年かかる。巨額の負担にあえぐ東電をそのまま放置すれば、汚染水対策や除染で後手に回る状況が続きかねない。浮上してきた案は、計画済みの除染は「賠償」として東電が、追加で発生する除染や中間貯蔵施設の建設費用は「復興」として国がそれぞれ負担する仕組みだ。
 国が負担する際の財源はハッキリしない。電源開発促進税などを原資とするエネルギー対策特別会計で少しずつ払う案が有力だが、収入が年1兆円しかないエネ特会の負担は軽くない。電源開発促進税を増税すれば電気料金上昇につながる。除染そのものの効率化も欠かせない。被災地では「除染で追加被曝(ひばく)線量が年1ミリシーベルトに下がるまで帰還できない」との声があるが、除染は放射線量から身を守る一つの手段にすぎない。健康診断、食事管理、個人線量把握など多くの対策を組み合わせるほうが現実的だ。今後は原子力損害賠償法の見直しも課題として浮上する可能性がある。米国やフランスでは事故を起こした事業者の負担の上限が法律に明記されている。日本の原賠法は事業者の負担が青天井なうえ、規制する側の国の責任もあいまい。安倍晋三政権は安全性を確認した原発を動かす方針。今の原賠法のままでは電力会社が大きなリスクを背負ったまま再稼働を迫られる点も見逃せない。


PS:*4の2015年をめどに全国規模で電力需給を調整するという「広域系統運用機関」は、地域独占を経済産業省主導の独占に変えるにすぎない。また、2016年を目途に電力小売りへの参入を全面自由化するのはよいが、この時点で「発送電分離」ができていなければ、電力小売り参入自由化は、お題目だけとなる。さらに、2018~2020年を目途に大手電力の発電部門と送配電部門を別会社化するだけで資本関係が切れていなければ、新電力が自由に電力小売りに参入することはできないため、意味のある「発送電分離」にならず、電力改革はできない。

*4:http://qbiz.jp/article/26248/1/
(西日本新聞 2013年10月30日) 電力改革法案が審議入り 今国会で成立見込み
電力システム改革に向けた電気事業法改正案が30日、衆院経済産業委員会で審議入りした。改正案は先の通常国会で成立直前まで審議が進んだが、時間切れで廃案になった。衆参両院の「ねじれ」が解消した今国会で早期成立が見込まれる。電力改革は、大手電力による地域独占体制を見直して新規事業者の参入を促し、競争を通じて電気料金の値下げやサービス向上につなげる狙いがある。改正案では改革の第1段階として、2015年をめどに全国規模で電力需給を調整する「広域系統運用機関」を設立する。広域系統運用機関は電力不足を起こさないため、ある地域の需給が厳しくなった場合、他の地域の電気事業者に発電量の積み増しや電気の融通を指示する権限を持つ。改正案の付則には、16年をめどに電力小売りへの参入を全面自由化し、18〜20年をめどに大手電力の発電と送配電部門を別会社化する「発送電分離」を実現するまでの改革工程を明記した。

| 資源・エネルギー::2013.10~2014.10 | 03:43 PM | comments (x) | trackback (x) |

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